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1962-04-26 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       安藤  覺君    上村千一郎君       内海 安吉君    小笠 公韶君       大森 玉木君    島村 一郎君       辻  寛一君    藤原 節夫君       保科善四郎君    緒方 孝男君       田口 誠治君    受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛政務次官  笹本 一雄君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         総務参事官)  佐藤 敏夫君         運輸事務官         (航空局監理部         国際課長)   林  陽一君         運輸技官         (航空局技術部         管制課長)   泉  靖二君         郵政事務官         (大臣官房文書         課長)     溝呂木 繁君         郵政事務官         (大臣官房人事         部審議官)   土生 滋久君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      石川 忠夫君         郵政事務官         (電波監理局法         規課長)    田所 文雄君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月二十六日  委員小川半次辞任につき、その補欠として上村  千一郎君が議長の指名で委員に選任された。      ————————————— 四月二十五日  建国記念日制定に関する請願外四十二件(椎熊  三郎紹介)(第四六四一号)  同外六件(菅野和太郎紹介)(第四七四四  号)  同(大村清一紹介)(第四七六八号)  同(外七十二件)(坂田英一紹介)(第四七  六九号)  同(渡海元三郎紹介)(第四七七〇号)  同(津島文治紹介)(第四八一五号)  同外十一件(福田赳夫紹介)(第四八四六  号)  同(内藤隆紹介)(第四八四七号)  同(富田健治紹介)(第四八七三号)  同外五百二十二件(徳安實藏紹介)(第五〇  一八号)  同(保科善四郎紹介)(第五〇一九号)  健康感謝の日制定に関する請願小枝一雄君紹  介)(第四六四二号)  国有林野事業職員賃金引上げ及び雇用安定に  関する請願外五百九十八件(下平正一紹介)  (第四六四三号)  同(帆足計紹介)(第四六四四号)  同外五件(芳賀貢紹介)(第四六八三号)  同外十七件(原茂紹介)(第四六八四号)  同外六百三十七件(渡辺惣蔵紹介)(第四六  八五号)  同外二百四十三件(渡辺惣蔵紹介)(第五〇  五六号)  解放農地補償に関する請願外十五件(森下國雄  君紹介)(第四六四五号)  同(加藤高藏君紹介)(第四七四二号)  同(松村謙三紹介)(第四七四三号)  同外一件(綾部健太郎紹介)(第四八四二  号)  同外六件(小澤太郎紹介)(第四八四三号)  同外五件(西村英一紹介)(第四八四四号)  同外百八十二件(赤澤正道紹介)(第四九三  〇号)  同外十六件(秋山利恭紹介)(第四九三一  号)  同外四十八件(有馬英治紹介)(第四九三二  号)  同外四百六十五件(伊藤幟紹介)(第四九三  三号)  同外七十八件(伊能繁次郎紹介)(第四九三  四号)  同外二百七十二件(池田正之輔君紹介)(第四  九三五号)  同外百二十九件(上村千一郎紹介)(第四九  三六号)  同外四百七十件(植木庚子郎君紹介)(第四九  三七号)  同外四十九件(臼井莊一君紹介)(第四九三八  号)  同外二百九十九件(内田常雄紹介)(第四九  三九号)  同外百九十件(江崎真澄紹介)(第四九四〇  号)  同外二十八件(遠藤三郎紹介)(第四九四一  号)  同外二百三十四件(大久保武雄紹介)(第四  九四二号)  同外四十七件(大竹作摩紹介)(第四九四三  号)  同外四百六十六件(大橋武夫紹介)(第四九  四四号)  同(岡田修一紹介)(第四九四五号)  同外九十一件(加藤常太郎紹介)(第四九四  六号)  同外八十八件(海部俊樹紹介)(第四九四七  号)  同外六十四件(金子一平紹介)(第四九四八  号)  同外百十三件(金丸信紹介)(第四九四九  号)  同外百七十二件(神田博紹介)(第四九五〇  号)  同外四十七件(亀岡高夫君紹介)(第四九五一  号)  同外十六件(鴨田宗一紹介)(第四九五二  号)  同外三百九十件(簡牛凡夫君紹介)(第四九五  三号)  同外四百六十七件(木村公平紹介)(第四九  五四号)  同外十件(木村守江紹介)(第四九五五号)  同外百五十九件(藏内修治紹介)(第四九五  六号)  同外三十六件(纐纈彌三君紹介)(第四九五七  号)  同外四件(坂田英一紹介)(第四九五八号)  同外七十二件(坂田道太紹介)(第四九五九  号)  同外四百六十三件(櫻内義雄紹介)(第四九  六〇号)  同外四十三件(始関伊平紹介)(第四九六一  号)  同外七十三件(澁谷直藏紹介)(第四九六二  号)  同外五十四件(鈴木正吾紹介)(第四九六三  号)  同外二十六件)園田直紹介)(第四九六四  号)  同外百八十一件(田澤吉郎紹介)(第四九六  五号)  同外二百五十二件(田邊國男紹介)  (第四九六六号)  同外七十七件(高見三郎紹介)(第  四九六七号)  同外四百四十二件(竹内俊吉紹介)  (第四九六八号)  同外六百六十三件(竹下登紹介)  (第四九六九号)  同外二十八件(竹山祐太郎紹介)  (第四九七〇号)  同外一件(舘林三喜男紹介)(第四  九七一号)  同外四十四件(千葉三郎紹介)(第  四九七二号)  同外九十六件(寺島隆太郎紹介)  (第四九七三号)  同外八百十二件(徳安實藏紹介)  (第四九七四号)  同外九件(内藤隆紹介)(第四九七  五号)  同外四十四件(中垣國男紹介)(第  四九七六号)  同外百六十三件(中島茂喜紹介)  (第四九七七号)  同外六十二件(中村幸八君紹介)(第  四九七八号)  同外一件(中山榮一紹介)(第四九  七九号)  同外三百八十一件(楢橋渡紹介)  (第四九八〇号)  同外二百三十一件(南條徳男紹介)  (第四九八一号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第四九八二  号)  同外十三件(丹羽兵助紹介)(第四  九八三号)  同外二百二十一件(西村直己紹介)  (第四九八四号)  同外二百六十七件(野田卯一紹介)  (第四九八五号)  同外五十八件(八田貞義紹介)(第  四九八六号)  同外三十八件(原田憲紹介)(第四  九八七号)  同外十八件(福家俊一紹介)(第四  九八八号)  同外四百九十一件(福田一紹介)  (第四九八九号)  同外三百六十二件(福永一臣紹介)  第四九九〇号)  同外九十一件(藤田義光紹介)(第  四九九一号)  同外九十六件(藤本捨助君紹介)(第  四九九二号)  同外二件(古川丈吉紹介)(第四九  九三号)  同外三件(保利茂紹介)(第四九九  四号)  同外四百四十三件(細田吉藏紹介)  (第四九九五号)  同外百八十一件(堀内一雄紹介)  (第四九九六号)  同外二十九件(前田義雄紹介)(第  四九九七号)  同外百十八件(増田甲子七君紹介)  (第四九九八号)  同外八件(松浦東介紹介)(第四九  九九号)  同外十一件(松永東紹介)(第五〇  〇〇号)  同外百九十六件(松野頼三君紹介)  (第五〇〇一号)  同外十四件(松本俊一紹介)(第五  〇〇二号)  同外八十六件(三浦一雄紹介)(第  五〇〇三号)  同外三十九件(村上勇紹介)(第五  〇〇四号)  同外四十六件(森清紹介)(第五〇  〇五号)  同(森下國雄紹介)(第五〇〇六号)  同外二件(山口好一紹介)(第五〇  〇七号)  同外四十一件(山村新治郎君紹介)  (第五〇〇八号)  同外七十七件(吉田重延紹介)(第  五〇〇九号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第五〇  一〇号)  同外二十七件(伊藤幟紹介)(第五  〇一一号)  同外六件(江崎真澄紹介)(第五〇  一二号)  同外一件(綱島正興紹介)(第五〇  一三号)  同外三十二件(中垣國男紹介)(第  五〇一四号)  同外五十一件(楢橋渡紹介)(第五  〇一五号)  同外六件(藤原節夫紹介)(第五〇  一六号)  同外十七件(早稻田柳右エ門紹介)  (第五〇一七号)  同外九件(内藤隆紹介)(第五〇五  五号)  恩給増額に関する請願外一件(加藤  高藏君紹介)(第四六八一号)  元南満州鉄道株式会社職員期間の恩  給法等特例措置に関する請願(受  田新吉紹介)(第四八一四号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する  請願池田清志紹介)(第四八四五  号)  滋賀県下の寒冷地手当級地是正等に  関する請願草野一郎平紹介)(第  五〇五七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八七号)  郵政省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四八号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前会に引き続き質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 話が非常に遠いようにあるいは長官感じられるかもしれぬけれども、これは一番われわれに近い問題だと思う。ゆうべの日本の時間では午前二時、クリスマス島においてアメリカ大気圏内の核実験を行なったのですが、これは平和利用じゃないわけです。せんじ詰めて言えば、最大武器実験でございます。私、よく軍備というふうなもの、もっと下がって自衛力というふうなもの等を考えてみると、いつの場合でも、そういう問題と犠牲者の問題を私はにらみ合わせ工考えざるを得ない。自衛力という問題も、推し進めていけば、自衛力という名のもとで戦わざるを得ない、これは現実だと思う。政府政府として、あの通り毎度同じようなまくら言葉、まことに形容詞が不足している。抗議文の内容が非常に空虚に満ちているということは、本気でないからですよ。国民がいろいろ文句を言うから、やむを得ないで抗議をしているという態度、そらぞらしい。ですから、抗議文にも迫力がないということになるようでございますけれども、私は、核実験平和利用のための実験ではなくして、最大武器実験だというふうに考えざるを得ないのです。核装備はしない、これを一つの大きな支柱として、日本の再軍備は進行しているわけですが、この場合における担当の、いわゆる戦争の力を持っている自衛力という建前に立っていろいろな問題を見ている長官は、この問題をどういうふうに今お考えになっていられるか、普通いうところの所信を聞きたいのでございます。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 米国において核実験が再開されたということにつきましては、文字通りほんとうに遺憾なことだと思います。何か政府米国に対する抗議がなまぬるいというような御指摘でございましたが、政府一体となりまして、核実験の再開については、いかなる理由があるにせよこれはやめるべきであるという非常に強い信念のもとに、数度にわたる抗議をいたしたのでありますが、それがいれられず、ついに今晩その第一回が行なわれたということを、われわれは非常に残念な、遺憾なことだと痛感をいたしております。御承知のように、直ちに今後の実験を中止するよう、さらに強い抗議政府といたしましてはやったわけでございます。私自体といたしましても、こうした核実験がおそらくソ連の核実験をも誘発し、そうして国際の緊張が一段と高まるということは、一方において核実験禁止あるいはさらには核兵器そのもの禁止協定、あるいは軍縮等が行なわれるというときにおいて、非常にそれと逆行する方向にいくわけでございまして、政府といたしましても、今後ともこれらの実験が、すでに第一回はやられてしまいましたけれども、今後中止されるように、さらに強く真剣に抗議を申し込みたいと考えておる次第でございます。
  5. 石山權作

    石山委員 原子爆弾ができ、水爆ができ、それからその輸送において、たとえばミサイルとかアメリカのB72、二十五メガトンを二基ぐらい積める、こういうふうな輸送機関発達をしたというので、戦争に対する抑止勢力というものができたというふうに世間では言っている。それと同時に、局地戦というふうなことも考えざるを得ないのです。私はきのうも触れたのですが、どうも自衛隊幹部諸公の中では、やはりどうしても小型の核兵器を持ちたいという気分があるのではないかということです。その任務にある者としては、そういう考え方が浮かぶということは当然だと私は考えているし、いけないとは言わぬ。ただ、ものの考え方として、たとえばこういうふうな水爆実験がされる、あるいは核の大気圏内における実験がされるというとき、われわれはショックを受けるわけでしょう。いけないじゃないかと思う。これはだれしもそう思うのです。この原則を忘れないでいろいろのことを立案、計画していただきたいということを、私はこの際特に強調したい。その立場にあれば、たとえば大砲が一門あるよりも二門ある方がいいというのは当然なんです普通の爆薬一トンの力よりも三トンの能力のある爆薬を使いたいというのは、これは当然のことなんです。だけれども、われわれのふだんのものの考え方の基準というものを忘れないような工夫をしないと、お互いに不幸な思いをするのではないかと思うのです。これは原子爆弾だから被害が多いということじゃないでしょう。かっての一人対一人の戦国時代等戦争を見てもわかるわけです。そこの農民農地を荒らしたわけでしょう。農民犠牲にし、農地を荒らしてきている。火薬が使われてくると、無こうの民も傷つけるということになる。ですから、戦争発達をしてき次第、どうも人類の平和というものがむしろ傷つけられ、戦争のために被害を受ける犠牲度合いというものが広くもなったし、深くもなったというこの現実です。ですから、日本自衛隊日本の国を守るのだ、海外派兵はしないのだ、これは、例の安保条約審議のとき、いろいろと裏表、縦横、上下というふうに論議をされて決定されたというふうに思っております。ただ、まだはっきりしていない点は、私きのうちょっと触れた第五条による自衛義務、これは木村篤太郎さんなどは、自衛義務などという観念が憲法調査会の中に出ればしめたものだというふうに言っておるのです。自衛義務ということが憲法調査会の意見として集約できれば、憲法などは改正しなくても、徴兵等施行令は行なわれていくだろうというふうに彼は考えているようです。これは今までの自衛隊がカエルだか何だか知らぬけれども、今日だんだん大きくなってきて、警察予備隊七戸五千から今日までになってきた経緯を考えると、あるいはそういう形で移行するかもしらぬという懸念をわれわれは持っております。その前の自衛の問題でございます。特にまた私の言いたいのは、アメリカと混淆する共同作戦、これがやはり当面の一番の問題なのじゃないか、自衛隊が考えなければならぬ問題ではないか。  これは「政府の窓」二月一日号です。これをきょうテキストとして、あなたと質疑応答したいと一応は考えているわけですが、藤枝泉介防衛庁長官細川隆元という方の対談文書になっているのです。これはあなたお読みになりましたか。これはおそらく否定しないでしょうね。その中で出てくる問題は、かなりいろんな話題を提供しそうなんです。今言ったようなことも、この中の一部では話し合っている面もあります。これはあとにしますが、あなたの一番気になっているのは、アメリカはこれから日本にはあまり援助をしないのではないかというのが、八ページの中段に書いてある。あなたは、南ベトナムに重点を置いて援助するのではないか、こう言っている。この南ベトナムは、御承知のように、東西紛争中心をなしているわけです。韓国の問題もありますよ。韓国の問題もあとで触れたいと思いますが、あなたは韓国の問題はあまり話に出してないから、ベトナムに私は限定して話をするのですが、ベトナムアメリカ援助が向けられる。そうすると、アメリカ日本に今まで援助したのを差し控えて、東西が非常にせり合っている南ベトナム援助する。南ベトナムは、アメリカ側にとっては非常に注視されているということです。そうすると、たとえば、仮定のことは言ってはいかぬというけれども、仮定がなければ戦争の話、軍事力の話はできない。これは完全に仮定なんだ。仮想敵国があって初めて自衛力の話をわれわれは論ずる。戦力の話も論ずる。十万では足りないから十七万でなければいかぬ、十万トンの船ではいかぬから十四万トンを作るというのでしょう。結局われわれは、その想定図からいけば、どうもあそこでは紛争が起きる、起きた場合ということになる。その場合に、この五条の解釈があいまいであれば、日本はその紛争の中に自然の形で巻き込まれていくだろう。戦争が始まれば、おそらく巻き込まれるだろう。おそらくは戦争というものはそういう過酷なもので、むちゃくちゃな思慮分別のないものだから、巻き込まれる。しかし、平和のうちに、問題が起きないうちにきちんとしたけじめをつけておけば、日本被害は少ないだろうということです。それで、この五条で、私の方では戦争のことをよく覚えているから、結局はアメリカ共同作戦をとってやるだろうと言っている。領海でなくても、基地でなくても、攻撃されなくてもやるだろうということを盛んに主張しているけれども、あなたの方では、そうではない、そうではないと言っている。だから領空領海基地——軍事基地ならはっきりわかる、これは陸地だからはっきりわかる。領空領海の判定の仕方はどうですかと、きのうあなたにお聞きしたら、すこぶるあいまいな、確信のない返答をしている。これは確信できるわけはないんだ。もうマッハ二の飛行機が飛んだり、それだまなんかつかまえるわけにいかぬだろうしね。こういうとき、自衛隊としては紛争に巻き込まれないように、どういうふうに構想をこらしているか。指揮、指令の機関を通じて現地の部隊にどういうふうな指示を与えて——二月よりも四月の今日は落ちついたとはいわれませんね。南ベトナムの問題はむしろ深刻化している。底に深くもぐっている。だから、二月よりも今日の方が重要だということはおわかりだと思う。それに対して、あなたは腕をこまねいて黙って見ていたわけじゃないでしょう、あなたは五条を力説しているんだから。あなたの前の長官も盛んに言っておったな。こんなはこと全然心配は何もないから、賛成しなさいと盛んに言っておった。これは安保条約だけでないのだ。安保条約の蒸し返して、あったけれども、当委員会横路委員からも再度にわたって力説された問題なんだ。だから、私みたいな軍事関係ない者も頭に残っているので、あなに聞いている、心配になったものだから。どういうふうにこの問題に対して対処していかれるか。紛争に巻き込まれないように対処していくか。日米安保条約五条による理解の度合いとともに、その対応策をばお聞きしたい。
  6. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 安保条約五条にいう武力攻撃というのは、しばしば当委員会あるいは安保の改定のときに政府側から御答弁申し上げておると存じますが、他国による計画的、組織的な明らかな武力攻撃ということでございます。従いまして、単なる領空侵犯というようなものはこういうものには入らないわけでございますが、いずれにしましても、こういう他国の組織的、計画的な武力攻撃があるというようなことについては、相当の情勢の判断もできると考えております。昨日石山さんにお答えを申しましたのは、もちろん領空あるいは領海に入ってくるというようなことについては、こちらのいろいろな組織、すなわち、レーダーその他によりまして察知ができるわけでありますが、この五条にいう武力攻撃というのは、ただいま申し上げたような攻撃でございます。従いまして、それに対応して自衛隊が発動するということでございます。従って、こうした計画的な、組織的な明らかな武力攻撃が起こるかどうかということについては、相当な判断ができるわけであります。その意味で、十分自衛隊の各クラスについてもその趣旨は徹底をいたしておるのでございまして、何か南ベトナムの問題と関連をいたしまして、紛争に巻き込まれることがあるのではないかというような御趣旨でございますが、さような点はないと考えられます。  なお、私が細川さんとの対談で、軍事援助日本には減って、他の後進諸国に多くなるだろうということを言ったのは、御承知のように、アメリカ軍事援助方針として、工業の発達した、あるいは経済の発達したところには漸減の方針をとっております。そうして、それらはむしろまだまだ工業的に、あるいは経済的に発達度の少ない方面に向けられるということを、南ベトナム等を例にいたしまして申し上げたことを申し添えておきます。
  7. 石山權作

    石山委員 例ではないようだな。「特にひどい南ベトナム」というような言葉を使っているから、あなたは非常に南ベトナムに対して強い関心を持っている。これは防衛関係のないわれわれだって、南ベトナムは東南アジアの今一つの焦点になっておるから、防衛を担当しておるあなたとしては、自然にここを中心に考えるというのは何も不自然じゃない。ただ、私たちとして、あなたの言うことを聞いても、そうですが、そうだろうなという感じになれないのですね。やはり疑問は残ると思いますね。私はあまり戦争の姿を見たことはないのですが、考えてみると、あなた計画的という言葉をお使いになっているのですが、今は全部計画的でしょう。どこだって計画的でない軍備をしておるところはない。仮想敵国を持って計画的にやっておるから、最初からきまっているようなものだ。計画的でないというようなことはない。偶発戦争ということはあるけれども、それは何か間違って戦争が起こるということと、事前にちゃんと計画を立てた上に、だれか最高司令官が命令しなくても起きたというのが、偶発という言葉に今使われておるのであって、軍側というものは、昔から組織的、計画的に立案されて実施されてきておるのですから、偶発であろうが何であろうが、戦争があればそれは行なわれてくるわけです。その場合に、領海領空というものは、軍事基地と違って非常に微妙な間柄に立つのではないか。では、こういうことを言いますか。たとえば今の刑事訴訟法等を見ますると、疑わしきは罰しない、疑わしい領空侵犯等に関しては、アメリカは一生懸命に戦争をしておっても、私は知りませんといってそっぽを向いておられるでしょうか。どうなんですか、その点は。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の計画的、組織的な武力の攻撃というのは、攻撃そのものが計画され、組織的に明白に日本の施政権の及ぶ領土に行なわれる、そういうものをさしておるのですと申し上げたわけでございます。自衛力あるいは他国軍備等が初めから計画され、組織されておることは、これは当然なのでありますが、侵略そのものが計画され、組織的に行なわれる、こういう場合に出動するのだということであることを御了承いただきたいと思います、結局石山さんの御指摘は、たとえば南ベトナムの事態が非常に悪くなる、そういう場合に日本基地が使用されるというようなときに、いわゆる戦争に巻き込まれるのではないかということを御指摘なのではないかと思います。これにつきましては、しばしば安保改定の際の御論議の中にもありましたが、それについては十分事前の協議をする、そして日本の安全に対する脅威というものを中心に考えていくのだということは、申し上げた通りであります。こういうことでありますから、いわゆるずるずると戦争に引き込まれる、日本の意思を無視して戦争に引き込まれるというようなことは、絶対にないと考えております。
  9. 石山權作

    石山委員 きょう核実験があったから特に考えられる点は、たとえば日本基地が相手国に爆撃されなかった、攻撃されなかった、そういっても、日本基地におった船なりあるいは軍艦なりが——これは日本海がおもだろうと思うが、日本海のまん中で敵とやり合った、負けいくさで、だんだん日本の近くまで来た、しかし領海からはかなり離れている。そこで、向こうの方では、その船を沈めるために原子爆弾を使った、死の灰が日本の上空へ流れてきた。これを黙って見ていますか。今度は戦争だから、抗議文で、やめて下さいなんてアメリカ大使館へすわり込みに行くなんて、ちょっと間に合わないと思う。そういう場合の自衛隊の身の振り方はどうなんなんでしょう。そういう想定は成り立ちませんか。私は成り立つと思うんです。二十五メガトンくらいのやつを使って、そこら辺に五、六隻いる原子潜水艦を一挙に沈めてしまうというようなことを考えたり、第七艦隊の大半を一挙に壊滅さしてやるというので、もし敵が使ったと仮定する。そうすると、どうも日本の国は黙っていられないようになるのですが、そういう場合には、われわれは一体どういうふうに考えたらよろしいでしょう。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 石山さんの御想定が、何と申しますか、御理解を申し上げるのに少し骨が折れるのですが、たとえば第七艦隊を原子爆弾で一挙にやるとするというようなこと、そのことは、すでに相手国が核の全面戦争を覚悟したというようなときであろうかと思います。先ほども申し上げましたように、私は、さような核装備というものが核の使用に対する抑制力をはなれ、核を使用するということについては、ほとんど考えられないということを申し上げておるわけでございまして、今の御想定のような場合は起こり得ないというふうに考えるわけでございます。
  11. 石山權作

    石山委員 あなたも日本人らしい悲願を持って答えておるんだね。戦争は悲願じゃ通らぬもの。私たちがアメリカに対して、核実験をやめて下さいと何べん言っているの。社会党のことだからアメリカだけに言っているんじゃないですよ。ソ連に対しても強く言っているんだ。それでもばかばか行なわれるわけですね。戦争というものはそういう様相を呈しているものですから、私たちは非常な大きな危険を感ずる。大きな意味に見れば、南ベトナム紛争は、日本に対しても間接侵略みたいな格好で影響を与えるでしょうけれども、表向きに見れば、南ベトナム紛争によって、日本海の中で行なわれる戦争というものは、ほんとうからいえば、法律的に見れば、日米安保条約の解釈からしても、特に政府が解釈しているような解釈からすれば、普通からいえば、私たちはそんなにこの問題に対して深刻にならなくてもいい。そっちはそっちでやってろ、おれは知らない、こういうことができるだろうと思うんだが、そうではない。そして、死の灰が風向きによっては日本に流れてくる。そういうふうなときに、どうなんでしょう、自衛隊の諸君は黙っていないでしょう。おそらくここにいる幹部の諸君は、やれやれと言うんじゃないですか。やらなければならぬというふうに言うんじゃないでしょうか。そういう場合にも、われわれは厳然として条約をたてにとって中立を保ち得るかどうかということが、この際私の聞きたいところなんです。
  12. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申しましたように、この第五条によって発動されるのは、わが国に対して組織的、計画的な武力攻撃が行なわれたときということでございます。従いまして、ただいま御想定なさっているような場合においては、この第五条によってわが自衛隊が発動するということはないと考えております。
  13. 石山權作

    石山委員 明快な答えです。その通りでよろしいと思います。そういうふうにやっていただくことを私はこの際強く要望しておきたいと思うのです。  もう一つは、五条関係のある問題だろうと思うのですが、特に航空機だと思うのですが、指揮、指令の問題でございます。去年の春でしたか、例の韓国問題があったとき、三沢にある指令塔が全部非常命令を出したわけですね。そうしたら、あなたのお知りにならないうちに、日本の航空隊が全部非常体制に入ったというふうに新聞等では伝わっているわけですね。このアメリカ軍と日本軍の、特に空軍における場合の指揮、指令の区別、また、聞くところによれば——これは一ぺん三沢に行って私たち調べてみる必要があると思うのですが、同じところにいる。密接な関係にあるというと、うるわしい言葉ですね。しかし、独立している日本自衛隊という面から見れば、われわれ五十をこえた年配から見れば、何だか屈辱感を受けるような感じです。これはどういうふうになっていたでしょう。それから去年のその問題は、自衛隊としてはどういうふうに処理しておりますか。
  14. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま先生が御提示になりました事案と申しますものは、おそらくは、昨年の内閣委員会でも私から御説明した事柄ではないかと存じますが、ただ三沢ということでございますので、あるいはそれとは違うことかもしれませんけれども、自衛隊に関連しましてそのような警戒措置がとられたというのは、昨年私が御説明しましたことだけでございます。その事実の詳細はただいまちょっと資料を忘れておりますが、記憶が正しければ、昨年のたしか二月か三月の中ごろに、朝鮮の群山というところで領空侵犯があった。これは結果的には領空侵犯ではなかったのですが、そのために韓国の空軍が七、八機領空侵犯に対する措置として飛び上がった。そのことが、米軍の指揮系統を通じまして日本の府中の米軍まで到達した。そのことを参考として、米軍の方から私の方の総隊司令官に連絡があった。そこで、たまたま総隊司令の方では、従来防空演習の時期を考えておられたのでありますので、その時期を選んで防空演習を発令した、これが事実でございます。それで、防空演習にも警戒措置というものは機種か分かれております。この場合は、一応一番軽い各部隊に対する防空演習警戒の指令を出しております。これが事実の真相でございまして、三沢におきまして米軍と一緒に演習をやった、あるいは非常措置をとったということにつきましては、私は承知いたしておりません。おそらくこの朝鮮におきます領空侵犯容疑事件に関連しまして、第五空軍の方で連絡がありました機会に、航空自衛隊の総隊が行ないました演習についてお話かと思いますので、そのように御了解願います。
  15. 石山權作

    石山委員 三沢には日本の実戦部隊はないわけですか。そうですね。——そして三沢から指令が発せられるという理由は一体何でしょう。実戦部隊から離れて司令部があるというのはどういうことでしょう。
  16. 海原治

    ○海原政府委員 先生も御承知と思いますけれども、一応三沢、入間、それから九州の福岡の春日、ここには防空管制所というものがございます。中央には府中に防空指令所がございます。このような演習を行ないます場合には、この府中から各管制所を通じまして連絡が参ります。三沢から出たということではないと私は承知いたしております。
  17. 石山權作

    石山委員 大新聞の記事や世論というよりも、皆さん方の方が商売人だから、皆さん方の方を信用した方が無難でしょう。しかし、領空侵犯が非常に誤解を生みやすいということは、防衛長官、わかりましたか。アメリカのようにいい武器、通信網を持っても、ああいう誤認を犯し、非常体制をとるということですよ。ですから、私何回も言うようですけれども、なかなかこの認定はむずかしいから、あなたの組織的という言葉もいろいろあるだろうと思うけれども、領空侵犯というものは非常にむずかしいものだということは、このことでもおわかりだろうと思うから、十分お互い注意をして、紛争に巻き込まれないような万全の策が必要だ。こう言えば、それだったらもっと設備をよくしてくれというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、そんなことではいけないと思う。  今、運輸省の航空局長さんが来たということですから、本案とあまり関係のないのに長く待たしておいては悪いですから、ちょっと航空の話と一緒に申し上げたい点がございますが、「航空行政監察結果について」というのが行政管理庁から三十六年の一月十四日に出されております。これは防衛当局、運輸省当局にも提出されて、善処方を要請されたと思うのですが、その後の経過、一年と三カ月ぐらいたつのですが、この各項目についてどういうふうに善処をされているかということをお聞きしたい。たとえば飛行場の問題について、これについては「航空法第四十六条により告示された飛行場においても、」云々というふうに書かれて、その飛行場としては、八尾、高松、松山、宮崎、鹿児島というふうに例記をされておる。どうも運輸省と防衛庁の共用されている飛行場においては、その運用方法が明確でない。従って、責任の問題も明確でないということが指摘されている。これについてどういうふうにおこたえになって善処をされておるか。
  18. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 御指摘の行政管理庁の監察結果につきましては、今手元に持っておりませんので、見ながらお答えすることはできませんが、今先生の御指摘の点につきましては、防衛庁と運輸省との間に、基本的な飛行場共用その他に関する覚書を作りまして、基本的な面については、その覚書によって両者で十分連絡をし得るような体制をとると同時に、各飛行場につきましては、私どもの出先である航空保安事務所長と、それから防衛庁の出先機関である基地司令というふうなものとの間に、さらにそれぞれの飛行場の共用の実情に沿うような協定を現地で締結して、十分それに対策を立てるつもりでやっております。
  19. 石山權作

    石山委員 私の方の担当している自衛隊の飛行機が最近大へん落ちる。どういうわけか知りませんけれども、度数が多いのです。それでわれわれは、気象が原因だろうか、気象観測が不備でそうなるのだろうか、あるいはその技術が下手でそうなるのだろうか、あるいは管制の問題が非常に不備なために、誘導がおくれたり何かしてそういうふうになるのだろうか、いろいろ考えておるのですが、その中で、今言ったように、共管の問題があるわけです。管制する、いわゆる航空交通管制については、航空交通管制の指定がある飛行場での管制の権限責任が運輸省にあるというふうに規定されているのですね。それが、覚書をかわされたというふうに言われておりますが、覚書がかわされても、この点は変わっておりませんか。
  20. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 おっしゃる通りでございまして、航空路あるいは航空管制圏等におきますいわゆる計器飛行の管制は、民間機、自衛隊機、米軍機を問わず、一切飛行機については運輸省で一元的に管制をいたしております。なお、個々の飛行場の管制につきましては、防衛庁の所管する飛行場に離着陸する場合だけの管制につきましては、防衛庁との覚書によりまして、防衛庁に管制を委任しておるというのが実情でございます。なお、その場合に、防衛庁の管制官は運輸省の規定する管制官の資格に関する試験を受けまして、全く私どもの管制官と同じ技量と資格において管制をやっておるという実情でございます。
  21. 石山權作

    石山委員 ただいま御答弁なさったことは、同一の視野に立った資格でなければいかぬということを指摘してありましたが、それは直していただいたので大へんよろしいのですが、まだ直っていないだろうと思うことは、「要員配置に適正を欠き業務が過重」だということを言っているのです。そして時間についてもここで言っているのです。このときの三十六年一月には、八時間三交代であったと言っているのですが、これはそれではいかぬのじゃないか、緊張連続の困難さから見て、六時間四交代制にしたらどうかと言っているのですが、この点はどういうふうになっておりますか。
  22. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 御指摘の点は、非常に大事な点でございまして、実は御指摘のように、三直四交代という制度を四直五交に直すということで、現在特に羽田であるとか、大阪であるとかいうふうに、航空機のトラックの非常に多い管制機関から逐次四直五代に直すべく、現在人員の整備をやっております。大体におきまして、この三十七年度中には、そういう非常に重要な管制機関につきましてはこの制度が実現すると考えますが、なおそういった制度は逐次他の空港にも及ぼすということで現在考えております。
  23. 石山權作

    石山委員 この前、いつだったか、羽田で事故があったときに、この問題は指摘されておったようですね。つまり、要員の労働過重だというふうに指摘しておったと思います。ですから、これはやはりいろいろな問題があるだろうと思うけれども、やはり急いでもらう必要事項の一つであろうと思います。  それから、昨日私はちょっと所用があって席をはずしたので、私どもの飛鳥田委員から質問があったかもしれませんが、自衛隊の訓練空域の問題です。たとえば民間飛行場がある、その上空に自衛隊の広範な訓練空域ですか、そういうふうなものがあり、それと逆な場合もあり得るだろうと思う。自衛隊の飛行場の上に民間の航空路があるというふうなことは考え直す必要があるのではないかというふうに指摘しております。この説明の中の例証としましては、いわゆる松島局地飛行空域に仙台、札幌線の一部がその上を通っている。それから宮崎県にもそういう例があるというふうに指摘をしております。今のところでは、民間機と自衛隊機と衝突したなんということはあまり聞いておりませんけれども、こういうのを見ますると、非常に上手に管制をしてもらわぬと衝突する可能性がある。むしろ、その衝突する可能性を心配するようだったら、航路をもっと変更することも、この際必要ではないかというのが指摘の要旨のように思うのですが、この問題についてはどういうふうになっておるでしょう。
  24. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 自衛隊の演習空域を設定いたします場合には、私どもの方へ協議をしていただきまして、私どもの方で、民間機の運航との関係を十分考慮した上でその適否をきめまして、これによって御返事を申し上げておる。こういうふうにいたしておる状況でございまして、従って、現在のところでは、民間機の航空路と防衛庁の演習空域というものについては、十分両者で連絡協議の上、ある程度事故防止その他についての措置を講じてあるわけでございます。なお、こういった問題につきましては、今後さらに、現在御指摘のような区域における民間機、自衛隊機の関係につきまして、十分両者で検討の上で措置いたしたいと思っております。
  25. 石山權作

    石山委員 運輸省がお知りにならないうちに飛行機が入ってくる、こういう例があるというふうにここでは指摘をしておるわけですね。そして、直接でなくして、たとえば税関を通して聞いたり、こういう例があるというふうに指摘されているのですが、その実情はどうなんでしょう。
  26. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 演習空域でございましても、自衛隊機が計器飛行で飛行いたします場合には、すべて私どもの方の管制機関の指示によって飛行をいたしておるわけでございます。たまたま有視界飛行で訓練をいたしております場合には、有視界飛行に関する飛行計画が出されるだけで、行動は、その空域においては操縦士の責任でやっておるわけでございますが、私どもがその空域を民間機の定期航空なりあるいは不定期運航なりで飛行させます場合には、自衛隊機の訓練の状況を十分把握いたしました上で、その状況を民間機に連絡して、できるだけ安全に飛ばせるような措置を講じておるというのが現状でございます。
  27. 石山權作

    石山委員 そうじゃないのです。ここで指摘しているのは、米軍との関係を言っているのです。「外国民間機の発着については米軍との協定がなくその通報もないため、機数さえ十分把握していない」というふうに指摘されております。この点、私は申し上げたい。普通でいえば、管制を握っている運輸省は、どこそこの飛行機が入ったよ、そうしてたとえば税関なり検疫所に報告しなければならぬわけでしょう、連絡があれば。それがなされていないというふうに言っている。運輸省から聞かないで、税関とか検疫は別の機関を通じて知っているというふうにいっているのです。この点に関してはどうなんですか。
  28. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 先生の御質問、実は申しわけないのでございますが、今行政管理庁の勧告を私持っておりませんので、その文書を見ながらお答えできないのでございますけれども、先生の御質問の趣旨は、米軍の基地、たとえば板付であるとか三沢であるとかいうふうなところへ米軍機が入って参りました場合に、運輸省の機関がそれを税関なり検疫関係の役所から間接的に聞いて知るというふうなことになっておるか、こういうふうな御質問かと思いますが、その点につきましては、実は御承知のように、米軍機が入国いたします場合には、航空法に関する特例によりまして、入国は自由にできるわけでございます。従いまして、直接民間航空を主宰いたします私どもの立場からいたしますれば軍用機が軍の基地に入出する場合についての通報を一々受けるということには実はなっておらないのでございます。ただし、そういう飛行機が入って参りました場合にも、その搭乗員なり何なりが入国する場合には、税関あるいは検疫というものは当然受けなければならないということで、そういったふうな機関は、それを知り得る立場にあるということのために、御指摘のようなことになっているのではないかと思います。
  29. 石山權作

    石山委員 管制をしていられるのですから、米軍機が何機ぐらい入ったというぐらいはわかりそうなものだと思うのですが、機数さえ十分把握していないと言っていることは、一体何を見ているのか。東京、岩国、三沢、松島、小牧、板付のこの六つが国際空港になっているが、一体ここにいる管制は何を見ているのでしょう。機数さえわからないというような、そんなことがあるのでしょうか。
  30. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 今おっしゃいました点につきましては、飛行場への着陸入国につきまして私はお答えを申し上げたのでございまして、米軍機がアメリカから日本に入ってくるというふうな面については、すべてその機数についても私どもの管制本部は把握いたしております。太平洋は全部が管制区域になっております。従って、ハワイの管制センターなり、あるいはミッドウエーの管制センターなり、あるいはまたウエーキの管制センターなりというところから、全部東京の私どもの管制本部に通報があるわけでございます。従いまして、米軍機が入って参ります場合も、すべて日本に入国するものにつきましては、管制本部は全部連絡を受け、把握いたしております。ただ、どの飛行場に何機入ったかというようなことは、それを管制本部で調査いたしますためには、実は管制のための、私どもストリップと称しておりますが、その枚数が一カ月に六万枚ぐらいございまして、その中から全部えり分けて、それぞれの飛行機の機数なり、あるいはそれ以外の事項を知るということになっておりまます。従いまして、私どもは入ってくる飛行機が全然わからないということではございません。管制本部で全部掌握をいたしております。
  31. 石山權作

    石山委員 安心いたしました。そうでないととても大へんなことだと思って、これだから飛行機は衝突するのだなと思ったのですが、よろしゅうございます。ただ、ここで言われているのは、おそらく税関の問題と、おりるのか飛んで行くのかわからないものだということでしょう。それから特別検疫が非常にむぞうさなような格好になっているのは、これは直さなければならぬというふうに言っているのですが、今のところは、やはり皆さんから根強く米軍関係とかけ合ってもらって、出ていくのはいいけれども、おりるものはやはりはっきりしておかないと、例の宝石がたくさん入ってきたとか、麻薬が入ってきたというようなことは、これがやはり原因だろうと思いますので、この点は、運輸省としては、ここへとどまって何日かいる者は厳重に知らしてもらわなければならぬというように、これは調達庁の関係もいろいろあるかもしれませんけれども、   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 考えておく懸案事項だと思います。  あなたを当委員会に再々呼ぶわけにいかぬから、もう一つ伺いたいことは、秋田の飛行場の問題です。これはラジオ・ビーコンがついていないというでしょう。ラジオ・ビーコンがついていないのに、飛行機を簡単に飛ばす。そうして東京から秋田、秋田から今度は札幌というように飛行会社が違うのです。そうすると、あそこで乗りかえるのですか。どうも不便なことをおやりになって許可しているのですが、その理由をちょっとお知らせしていただきたい。
  32. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 御質問の第一点でございますが、保安施設は完全にでき上がりまして、現在電波を発射中でございます。従いまして、現在の大体の目標で参りますと、五月早々には管制官を配置して完全に運用ができるようになります。  なお、保安施設ができない前に飛行機を飛ばせるのはどうかという点でございますが、飛行場を設置いたします場合に、滑走路、誘導路、エプロン等の基本施設、それから保安施設というように二態様で現在作っております。場合によりましては、そういった基本施設ができ上がりまして、保安施設がおくれる場合もあり得るのであります。その場合に、基本施設ができ上がりますれば、有視界飛行で、気象その他について厳重な条件を課して、その条件を守っていただけば十分飛び得る状態になるわけでございます。従いまして、有視界飛行で飛び得る状態になりますれば、地元の特に強い御要望があります場合には、そういった条件のもとに不定期の運行を認めるというのが建前になっております。なお、御指摘のように、保安施設は、できるだけ基本施設の完成に合わせるということが建前になっておるのでございまして、現在はできるだけそういうふうな方向で努力をいたしております。  なお、二社に認めた理由いかんという問題でございますが、元来北海道、札幌、函館から東京に来られる乗客の利便というものは、現在、日本航空、全日空によって十分に手段が提供されておるわけでございます。従いまして、札幌、函館から秋田を経由して東京へどうしても来なければならぬという方は、秋田に用事のある方か、でないと必ずしもその路線としては必要はないわけでございます。秋田空港は、地元の非常な御熱意によりまして、私どもも全力をあげて整備したのでございますが、秋田を中心にして路線を考えます場合には、まず第一義的には東京と秋田を結ぶこと、秋田と北海道を結ぶこと、これが一番の問題でございます。そういう線で今回の路線の認可をいたしたわけでございます。ただ、たまたま函館等における方々の便宜のために、両社のスケジュールを秋田で接続させるというふうなことによりまして、さらにその利便を強化するという措置をとったのでございまして、秋田にとりましては、むしろ現在の措置は決して悪い措置ではないというふうに私は考えております。
  33. 石山權作

    石山委員 明快な御答弁で、御苦労様です。  ところで、長官、あなたは聞きましたでしょう。自衛隊の飛行機が落ちるのは、行管で指摘されたように良好な状態のもとで落ちているのではない。運輸省の責任がどこかにあるかと思って探したら、運輸省の責任はございません。全くこれは自衛隊自体の事故だというふうに私は思うのです。そうではございませんでしょうか。
  34. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今までの事故の原因におきまして、ただいま御指摘のように、管制の誤りによる事故というものは、多分小牧で民間機と衝突いたしました一件だけだったのじゃないかと思います。従いまして、もちろん、事故につきましては、自衛隊自体としてその対策を講ずべきものであることは、お説の通りでございます。
  35. 石山權作

    石山委員 教育局長、あなたは、新聞の発表を見ますと、処置ないというような言葉を使っているじゃないですか。処置ないといって、そんな言葉がありますか。これは、あなたは正直でよろしいといえばよろしいでしょう。この通りだと思う。今のところは、あまり落ちるから頭にきて、困ったと言ったのでしょう。そこで、新聞記者は、何も方策がないというふうにとって書いているようです。ほんとうに処置ないのですか。
  36. 小幡久男

    ○小幡政府委員 私が記者クラブで申しましたのは、即効薬がないということを申し上げたのであります。
  37. 石山權作

    石山委員 即効薬がないということと、処置がないということは、言葉をせんじ詰めていけば、幾分か違うようですが、まあ似たり寄ったりでしょう。現実この場面に二つの言葉をあげてみたら、同じことでしょう。対策としてどういうような対策をなさったでしょうか。今のように私らは、結局は教官制度のためとか、あるいは気象の関係とか、いろいろ考えてみたのですが、結局何でしたろう。私の持っている切り抜きの一部の新聞は、結局のところ腕が未熟だという表現を使っているのです。やはりそんなところに問題が集約されるのでしょうか。
  38. 小幡久男

    ○小幡政府委員 昭和三十六年度から集中的に起こりました事故につきまして、分析した結果を申し上げます。  昭和三十六年度から今日に至りますまでの間に、事故機が二十七機ございます。そのうちでジェット機の事故は二十機ございます。従いまして、ジェット機対策が第一であるというふうに考えます。  その次は、事故の原因についていろいろ分析しましたところ、操縦関係が九機、それから監督、指導に若干の手落ちありと思われますものが四機、それから機材整備関係に若干の疑点ありとされるものが四機、気象関係に原因するものが二機、残りは現在調査中であります。このうち、操縦関係に基因するものが一番多うございます。なお、これを分析いたしますと、同時に、監督、指導とか、あるいは気象というふうな第二次原因が非常に多くからんでおります。純粋に操縦に基因するものは、このうち二件であります。従いまして、気象あるいは教官の監督、指導、あるいは機材整備、そういった点が、客観的には非常に重要な事故対策になってくると思っております。なお、そのほかに、だんだん訓練が進んで参りまして、編隊中に空中接触による事故が五件八機ございます。これは編隊飛行中は慎重にやるという必要を感ずるのであります。さらに遭難時に、相当余裕がありますにもかかわらず、無線通信のなかったという、きのうも指摘されました事態が六件ございます。これは通信機の故障か、あるいは緊急手順の間違いかということを厳重に取り調べております。  以上のような原因が、大体過去一年の事故を概見いたしまして、中間的に結論として出ますので、このうち早急に取り上げ得るものは取り上げていきたいと思っております。
  39. 石山權作

    石山委員 八戸の海の沖で事故の起きた例のP2V、あのときの結果報告も出していない。国会を開いているうち、私は皆さんに座談的に申し上げ、だいぶ落ちるじゃないか、一体何としたのだというので、話をしているわけですが、皆さんの方で何ら八戸沖の問題もその後報告も出さないし、それからも数機自衛隊機は落ちている。八戸が二月八日、小田原が三月十七日、豊後水道が三月二日、鹿児島が三月七日、岐阜が四月四日というふうになっているわけです。私は、自衛隊の皆さんが、こういうとき、委員会が開かれているのだから、拙速主義でもいいから、その問題は報告する義務がやはりあると思う。われわれが問題が起きたときやると、いかにも皆さんのあげ足とりになったような格好で不愉快です。われわれは設置法をたくさんかかえているために、飛行機が一台落ちたからといって、皆さんをそのつど呼んでお聞きすることはなかなかできないわけでしょう。もしかりに、自衛隊や再軍備強化に強硬に反対している社会党に、少しでも自分たちの意のあるところを了解してもらおうという善意が皆さんにあるとするならば、こういう問題をきっかけにして非常に親切に問題を解明することが、私はこの場合正しいPR方法だと思う。また、それは一つの義務でしょう。きのうの私の方の緒方委員のあれによれば、ジェット機搭乗者一人の経費は一億くらいかかると言っているのです。ちょっと多いようですが、かかるのでしょう。飛行機が落ちればこわれるのだし、こういうようなことを考えると、いろいろな問題を兼ねて、これはやり報告する義務があったろうということ。報告した方がお互いの理解の度合いが高まるのではないかと思うのです。われわれのように一般的な問題を処理する者は、こういうことしか言えないと思う。どこが何で、どういうふうになったというこまかいことは、皆さんや現地の人におまかせするしかない。しかし、全般のやり方として、この事故の問題に対しては、私はそういうところから問題が出ているのではないかと思うのです。われわれに報告する機会がたくさんあったんだ。何もこの問題をわざわざ取り上げて呼ばなくてもいい。運輸省を呼んで、運輸省に責任がなくて自衛隊に責任があるのだという三段論法を用いさす方法は、普通からいえば要らぬはずなんです。ですから、こういう場合には、求められなくとも一つの義務としてそういうことをやるのだ。大臣はよくきめのこまかいという言葉を使っておる。きめのこまかい指導方針によって自衛隊を認識させたいという言葉を使っておる。私に言わせれば、きめのこまかいこととはそういうことじゃないでしょうか。  それから、事故を起こす要素というものをここでは五つか六つあげているわけですね。パイロットのあやまち、未熟によるもの五三%、機の構造上の欠陥一七%、教官のあやまち等によるもの五%、整備上のあやまち五%、気象条件四%、その他不明として一六%になっている。気象の場合は、神奈川の民家に落ちた場合で、百年に一度というくらいのジェット気流の激変だといっている。こういう場合はやむを得ないのですね。しかし、ここでいうところのパイロットのあやまち、未熟によるもの五三%というふうなものや、機の構造上の欠陥一七%というものは、これは全くわれわれの努力ですぐにも解決のできる問題なわけですね。できる問題だと思います。こういうところにもやはりわれわれは力こぶを入れなければならぬと思う。  それからもう一つは、源田さんが行ってから落ちたのを見ますと、何も源田さんの古武士的なやれやれというものだけではないような気がするのです。どこか一つのこまかい施策というものに欠けている。それから科学的なシステムが欠けている。これはやはり源田さんのあれをくんでいると思う。一生懸命でやれやれというようなあれが残っていると思うのですよ。やはり飛行機というものは、ここに戦意の高揚ということもあなたは言っているわけだけれども、肩をいからして大声でやるのが戦意の高揚じゃないと思うのです。戦意というものは、当たった場合に爆発すればいいのであっていふだんはおとなしくて、もっと冷静でなければいかぬはずなんです。それに欠けているのではないかと思うのです。それで、少しぐらい気象が悪くても、あるいは整備の時間が十分でなくても、それから搭乗員自身が非常にからだの工合が悪かったけれども、教官に気がねをする、こういうふうなものが重なっているのではないかという気がするのです。どれ一つというわけではないが、そういう点で、いわゆる戦意の高揚というために、与えられた教程時間は忠実に守らなければならぬ、その気魂も大事だけれども、気魄というものは、われわれ考えてみるのに、永続しないのです。永続するものは、やはり科学的な冷静なもので組み立てられたものだと思う。戦車ならいい。戦車なら、私は少しぐらい無理してもいいと思う。歩兵なら、トラックに乗る連中ならいいと思う。しかし、飛行機だけはそういうふうな無理をしてはいかぬ。無理をしてはいかぬと言えば、甘えるというふうにあなた方は言う。そこだよ。無理をさせないで、甘えさせないで、指導していくというところに、指導者とか、あるいは教官という人の任務があるだろうと思う。それに欠けているのではないかということです。そういう点は、皆さんは下までおろしていますか。
  40. 小幡久男

    ○小幡政府委員 今おっしゃったような点は、一々ごもっともな点だと思っております。ことに最後におっしゃった、教官が非常にきめこまかく学生を指導するという点につきましては、先ほども申しました通り、純粋の監督、指導の事故も多いのみならず、そういう一種の過誤といわれておるものの中に、やはり第二次原因として、もう少し監督、指導よかりせば避け得た事故もありますので、その点は長官からも幕僚長からも言明されまして、現在非常に気を使って注意しております。
  41. 石山權作

    石山委員 非常に速力が早くなりまして、私たちP2Vの飛行機に乗っても、こんなにメーターがあって、われわれの血管のように電線がはってある。これを見ると、なかなか御苦労だと思うのですよ。ですから、その御苦労なのを無理させると、ちょっとでも操作が誤ると、あの通りいろいろな安全装置があるけれども、もしかりに安全装置に狂いがあれば、事故が起こるということのように思います。最近事例がたくさんあるので、皆さんの方でもほんとうに頭の痛くなる問題だと思います。それだけ、対策を早急に練ってやっていただくことになると思います。私の方でも十分注意を喚起して、この問題は打ち切りたいと思います。  次に、長官にお伺いしたい点は、第二次五カ年計画のことについて、きのうは池田さんからちょっぴりしか聞く時間がなかったのであれでしたが、池田さんなかなか自信満々で、やるやると言っておるのだけれども、例の二百億ないし二百十五億程度でやり抜くことができるでしょうか。ほんとうのところをちょっと話して下さい。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 五カ年の長い期間のことでございますので、一分一厘違わないということは申し上げられませんけれども、現在の見通しといたしましては、あの平均百九十五億ないし二百十五億ということで予定した計画はやっていけるというふうに考えております。もっとも、昨日総理もお答えいたしましたように、いわゆる一斉のベース・アップというものは、この数字では予想していないわけでございます。
  43. 石山權作

    石山委員 ベース・アップは別にする。みんな別にする。物価値上がり分も別にする。アメリカから相互援助法によって援助を受けた分も、これは国内で使うから。ではこうなんですか。請負契約するときいつも問題になるのですよ。つまり、物価が動いておるとき契約を結ぶわけです。そうすると、半年のうち一割くらい値段が高くなる。そのときの契約によって、その一割を認める場合と認めない場合があるわけなんです。今政府で国庫負担の問題をやっておるわけですね。飛行機と例の艦艇継続、あの両方でやっておるのは約七百億近くあるわけですが、これは全部予約を終わっておるのですか。
  44. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御指摘のものはどれかと思いますが、たとえば104等につきましては、契約済みで生産が続けられておるわけでございます。104につきましては、概算契約であって、あとで精算をいたすわけでございますが、いわゆるエスカレーター条項はないのでございまして、しかし、労賃の値上がり等はある程度見込んでおるわけでございます。
  45. 石山權作

    石山委員 ことしの大蔵省で出したこれを見ると、増勢分としては百三十九億しかない。あとは維持費なわけでしょう。操作としては、その面から見ると、第二次五カ年計画というものは非常な苦労をしないと、総理やあなたが言われるような格好では達成できないじゃないか、この数字を見ても。あとは全部既存の維持費ですよ。今度たとえば十三個師団のうち、五個師団新しくなるでしょう。残っておるこういう問題戦車の問題、ヘリコプターの問題、船を作る、巡洋母艦ですか、河か作るのはおやめになると言ったのですが、いずれにしても、ちょっと無理だ。原則として、たとえば契約変更はしないのだ、こういう原則を打ち立てるということになれば、これはまた話が違うと思う。そうでなく、そのつどの物価高に応じてそのつど変更する。兵器を注文するということは、国内産業育成をかなり含んでおるのです。今の場合は、アメリカから買えば安い。しかし、それを内地に発注するということは、内地の国内産業を育成するということだ、高いものを買うのだから。国内産業というものは、貿易が少なくなってきておる。だから、防衛庁に納める連中は、防衛庁は神様みたいにするでしょう。今のところ、全産業の一割くらいしかないのだけれども、それにしても、防衛庁様々にならざるを得なくなってくるのが、貿易不振以後の日本の重工業の姿だと私たちは見ているわけです。そこと契約する場合に、さきにも言ったように、国内産業を育成するために、アメリカの安いものをやめて日本の国内で発注するわけですから、頭をたたくというわけにいかぬでしょう。去年よりもことしは、たとえば八%から九%物価騰貴をしたというふうになれば、その分を見てやるということにならざるを得ないと思うのですが、そういうことはしませんというのでしょうか。
  46. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この第二次計画、しばしば申し上げておるように、平均百九十五億ないし二百十五億という幅をとっておるわけでございます。もちろん、物価高という問題がございますが、しかし、最近いろいろ御論議になっておりますいわゆる消費者物価と違いまして、われわれの発注するものにつきましては、必ずしも現在目立った物価の値上がりというようなものは、あるいは建築資材等につきましてはありますけれども、ございません。しかしながら、将来のことを考えて参りますと、給与費の値上がりというような問題、賃金の値上がりというような問題は、これは考えていかなければならぬと思います。それで、百九十五億ないし二百十五億という幅の間におきまして、何とかこの二次計画に予定したものについてはやっていけるのではないか。もちろん、御指摘のようにいろいろ因難がございます。また、今後の物価の上昇、あるいはその他の問題とのにらみ合わせはございますが、現在私どもが予想をいたしております賃金の上昇等を考慮しても、この幅をもって参りますならばやっていけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  47. 石山權作

    石山委員 既定の通りやるということは二色あるのです。金の面で、金だけ見て、既定の金を使ったらあとやめるということでしょう。これはほんとうは逆でしょうけれども、そういうものの見方もある。予算がないからやれませんというのが皆さんの常套語なんで、補償の場合そう言うでしょう。予算がないので、どうもやれませんからかんべんして下さいという常套語だ。これは金の面から言った既定の事実。それから計画の問題となると思うのですが、皆さんのお話を聞いていますと、金の面ではなくて、やはり既定の計画を遂行していくのだ。しかし、給与の値上がりという言葉を使っているのですが、給与の値上がり、その分をワク外にするとういこともけしからぬと思う。それでは増員の分はどうなる。三万まだ足りない。また、増員したがっておるんでしょう。増員の分はどうなるのです。それも除外ですか。
  48. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この平均百九十五億ないし二百十五億という中には、増員の分は含んでおります。ただ、先ほど申し上げましたのは、自衛隊員の一般的なベース・アップ、昨年も一昨年も行なわれたのでございますが、そういったものは、この計画策定のときにはその中には入れていないということを申し上げたわけでございます。
  49. 石山權作

    石山委員 藤枝さんは大蔵省出身ですから、これは池田さんと同じ考え方日本の経済を見ているわけでしょう。そして、まあこれは達成できるというふうに考えているのでしょうが、その通りいけばこれはめっけものだ。まことにお互い様喜ばしいことです。民生安定ということをうたっているわけですね。自衛力増強と民生安定のバランスをとる、こういうことが大鉄則になっておるわけです。また、ベトナムの問題を出すわけですが、ベトナムの問題によって問題が起きた、そういう場合の出費ですね。これはおそらくこの計画のワク外でしょう。そうすると、その出費はどこから出そうと今目下のところ考えているんですか。
  50. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ベトナムによって日本防衛力に何らかの変化があるかというような御質問のようでございますが、私どもはさようなことは考えておりません。
  51. 石山權作

    石山委員 特定の名前を言ったのがいかぬのでしょう。紛争が起きて日米共同作戦をとる、お金がかかる、一発撃っていた練習用のたまが、千発撃つか万発撃つかわからない。その費用の出し方ですよ。あなたの場合は、軍事力でいえば一カ月持ちこたえるというようなことを再々答弁している。一カ月持ちこたえるというのは、一体どこをさして一カ月、どこの国とやったら一カ月持つのか、非常に疑問に思うのだ。一体どこの国だろうか、一カ月持ちこたえるというのは。日本周辺各国の兵力保有状況というのをもらったんですが、どの国だろう、一カ月持つというのは。これは戦うお金も入って一カ月ですか。お金抜きにした兵力というだけの一カ月でしょうか。お金は一体どのくらい持てるのでしょうか。
  52. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この弾薬を有事初動一カ月程度自衛隊として持ちたいというのが、この計画にあるわけでございまして、それはすなわちどのような侵略の対象とでも自衛隊として一カ月やれるというような意味でいっておるわけではございません。ただ、初動の一カ月分の弾薬を持つという計画でございます。従っって、侵略の状態その他、これは予測できないわけでございまして、そのときによりまして態様は変わって参ると思います。  なお、最初にお話のございました点につきましてのこの防衛出動をいたす場合には、もちろん国会の御承認をいただくわけでございますし、また、そういう事態になりましたならば、予算の補正その他もお願いしなければならないような事態はこれは参ると思います。
  53. 石山權作

    石山委員 練習用のたま一カ月というのはわかる。侵略を受けた場合に使うたま一カ月というのは、一体どの数量をさしておるのかという疑問が起きるわけでしょう。どの国と戦って一カ月なんだ。これを見てると、アメリカの極東軍、それから国府、韓国、極東ソ連軍、中共、北鮮と書いているのですが、あなたたちがたとえば侵略を受けた場合というのは、どのクラスをさしておるのですか。そんなことは言いたくないか。秘密か。そうすれば、自衛隊のことは全部秘密になってしまうじゃないか。言葉として、たとえばAランク、Bランクとある。ABCくらいにこれは分けられると思う。Bクラスの場合一カ月なのか、Aクラスの場合一カ月なのか、どのクラスの場合一カ月なのか。所要弾薬の量というものは、一体どこをめどとして考えればよろしいか。それはお前たちのことじゃない、おれたち自衛隊が考えればいいことだと言うかもしれませんが、われわれは金を出さなければいかぬ。ですから、その一カ月の所要量というのはどのくらいかということは知っておく必要がある。
  54. 海原治

    ○海原政府委員 弾薬一カ月分の積算根拠に関連した御質問でございますので、事務的に取りまとめいたしました私からお答えさせていただきたいと思います。  先生もよく御存じのように、わが国に対する侵略の様相というものは、一定のこれだという形のものではございません。いろいろな形があるわけです。それで、ただいまのこういう場合の備蓄ということを考えます場合にも、状況がきわめて激しい場合、いろいろ分かれるわけです。どこの国でもやっておりますが、たとえば各部隊におきましては、基礎定量というものをある程度持たしておる。これは一週間の場合もございましょうし、一カ月の場合もございます。その算定の基礎というものは、いろいろな場合を設想いたしました平均的な場合をとるのが普通でございます。従いまして、自衛隊の場合におきましても、かりにわが国に不正侵略があったという場合におきましても、日本全国この四つの島におけるいろいろな様相というものは変わるわけでございます。どちらにどういう事件が起こった場合に、どれがどうということは、これは専門家がいわゆる防衛計画ということで十分検討いたすわけでございます。そういう前提を総合いたしまして、大体基礎的には、部隊にどの程度持てばいい、その後かりに事態が起こった場合においては、一日どの程度の量を補給していくかという定量補給があります。この基礎備蓄というものと補給定量、補給日量、これの合算したもので、この基礎的な標準的な状況下においておおむね一カ月程度分ということに算定をしたわけでございます。一日定量幾らかということにつきましては、私どもの中で事務的な試算の数字がございますが、これは申し上げることを差し控えさしていただきたい、このように考えております。
  55. 石山權作

    石山委員 日本に防諜法がしかれて、代議士も聞かれないことになっているのか。その法的根拠があるか。われわれは質問して皆さんから御答弁をいただくという権限を持っているのだ。秘密会にすれば何でも答えられるという前提がなければいかぬと思う。私は答えられませんじゃしょうがないですよ。つまり、公開しないならばお答えいたしますとかなんとか言わなければ、われわれの任務が果たせないじゃありませんか。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 海原治

    ○海原政府委員 私のお答えが不十分で申しわけございませんが、先ほど申しましたように、いろいろと事態によりまして具体的な例を申しますというと、たとえばある地点に外敵が上陸してきた、それがたとえば一個師団である、二個師団である、あるいはそれが空挺師団であるということによりまして、当然出動します自衛隊の対抗の方法も違うわけでございます。その場合に百五十五ミリの砲を一体一日何発撃つか、あるいは小銃、機関銃では何発ぐらい消耗するかということにつきましては、いろいろな数値があるわけでございます。これは先ほどからいろいろ御質問でございますけれども、一つのきまった型を前提にして議論をしていきますということは非常に危険でございます。御存じのように、いろいろな様相が変わっておりますのでそれらを全部総合いたしました点で、第二次計画の期間におきましては、昨日もお答えいたしましたように、一応この程度のものでいきたいと考えておるわけであります。総量といたしましては一応数字を持っておりますが、その個々の数字につきましては、たとえば小銃一丁あたり毎日何発である、あるいは機関銃では何発であるということにつきましてはこれだという確定のものはございません。事務的に試算したものがある、こういうことで、発表することを御容赦願いたい、こういうことは御了解願いたいと思います。
  57. 石山權作

    石山委員 三百九十九人のナイキの訓練部隊も帰りましたね。まだ帰りませんか。——まだ帰らぬ。ナイキの設定個所、関東に四カ所目標がついている。一カ月ささえる中にナイキの活躍も想定されるわけですね。その試算をしておりますか。
  58. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキにつきましては、一カ月をささえるというお言葉でございますが、ナイキの各大隊に持ちますたまは、練習用のたまを含めて大体百発でございます。そのうちに実際に使用ができますものは七十発前後ではないか、このように考えるわけでございますが、それでもって何ができるかということになりますと、これもまことに抽象的に申し上げて恐縮でございますが、七十発撃ってしまえば一応なくなるわけでございます。しかし、私どもの方としましては、その七十発で一カ月やれるとかやれないとかということは、やはり相手方と申しますか、そういう現実に発動します場合の前提が問題でございます。同時に、そういう場合には、現在持っておりますところの七十発だけで済むか、あるいはあらためて補給をいただくかということにも関連して参りますので、とりあえず装備いたします七十発程度のもので一カ月やれるか、こういうことになりますと、高空の襲撃がなければできますし、相当多数の飛行機が参りますと、これは一日で消費するということに相なるかと思いますが、なお、その場合には、ナイキが実際に働きます前のいわゆるインターセプターと申しますか、迎撃戦闘機あたりの行動能率とも関連して参りますので、これだというお答えが実はできないことを一つ御了解願いたいと思います。
  59. 石山權作

    石山委員 局長の答弁はわからないわけではないのです。けれども、皆さんが、私たちが仮想敵国の話をすると、仮想敵国などないと言われるから、こういうことを言っておるのです。当然答えらるべきものが答えられない。あいまいな返事にならざるを得ないのです。ですから、秘密会でも何でもいつか求めて、仮想敵国はここだ、だから一カ月ささえるにはこれくらいのたまが必要だ、ナイキだって七十発撃てば相手をだまかせるという答弁に変わっていくならいい。それを何か野党のわれわれから言えば、はれものにさわるようなかまえで、最初からいいかげんに言葉じりを濁しておけけばいいだろう、何回も何回も答弁を親切に繰り返していれば、そのうちにあきらめるだろう、こういう能度はいかぬ。  ナイキの話ですが、ナイキは国内では練習が不可能だということを言われているのです。そうすると、練習するたびにアメリカに部隊を派遣するということになるのでしょうか。
  60. 海原治

    ○海原政府委員 実弾を発射いたしましての訓練ということになりますと、現在アメリカ本土の訓練場、あるいはこの近くであれば沖縄というようなところに参りましていたしていくことになると思いますが、この点につきましては、まだ具体的な考えを持っておりません。現在顧問団と折衝いたしております過程では、アメリカ国内における演習場において訓練を行なうことがいいのではないか、こういうことに相なっております。
  61. 石山權作

    石山委員 それと趣を変えて一つお聞きしたいことは、この前に、防衛長官は、韓国日本自衛官を長期派遣して韓国軍事事情を調べたい、こういう意図を北海道か何かで漏らした。それで、私は当委員会で聞きただしたら、それはそうではございませんと言ったのですが、最近韓国に反共防衛センターというふうなものを設けて、そこで東南アジアの反共グループを訓練するというもくろみがあると聞いておる。これに日本がかなり意欲的に手助けをするのではないか、その現われがいわゆる韓国長期軍事視察、こういう表現になって表われたのではないかというふうにいわれるのですが、このことに関しては、わが自衛隊では、防衛庁では関知しないということでございましょうか。
  62. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 韓国にそういう何か防共のセンターを置き、訓練をするというようなことについては、わが国といたしましては関知いたしておりません。また、そういう意思もございません。
  63. 石山權作

    石山委員 そういうことにかかり合いがない、今後もそういうことにかかり合えば日本の国に不利益だ、わが自衛隊としてはとるべきことではないというふうなことになるでしょうか。
  64. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そういう意思を持っていないことを申し上げます。
  65. 石山權作

    石山委員 これは、前に日本の国との国交正常化を急いだ韓国の金という方が日本に来た場合に、UPIの新聞記者にそのことを語っているわけなんです。韓国としてはその気持が非常に強いということで、しょう。ですから、日本の場合では、韓国と国交を結んだ場合に、そういうふうなことも一応向こうから要求されるだろうと思うのです。日本のすぐれた指揮系統、能力、そういうふうなものを一つ教えていただきたいというふうに言われるのですが、その場合、今あなたがおっしゃったように、そういうことは世間の誤解も招くのでいけませんと言い切れるでしょうか。
  66. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こちらからそういう性格のものに対しまして自衛官を派遣するというような意思を持っておりません。
  67. 石山權作

    石山委員 それは私は大へんいいことだと思います。この表を見ても、わが国がよその国よりすぐれたといってみても、指揮能力とか、あるいは持っている飛行機とか、あるいは新しいのですから、駆逐艦とか船などもあるいはいいのかもしれませんけれども、よそさまに行きまして教えてあげましょうというふうなのがわが自衛隊の性格ではないと思います。みずからを守る、みずからの領空領海を侵された場合、守るということが規定されているようです。ただ、ここで私が気になるのは、こういう場合に、間接侵略という言葉が非常に生きてくると思うのです。間接侵略を押えるために、あるいは長い足とか短い足とかいわれるのですが、その根源をはたくという考え方、こういうものと間接侵略というものは非常に関係があるだろうと思うのですが、間接侵略と、もう一つは、ここに藤枝さんの、私に言わせれば、あなたらしからぬ発言をしているのは、自衛隊の中には共産党員はおりませんよ、このところまではいいが、共産党員は兵隊にしちゃいけないというところまで言っているようだ。一体この発言は、法的根拠はどこにあるのですか。共産党は日本の国内法ではちゃんと認められている政党なんです。国民としてのすべての権限を持っている。官吏になる権限もありますよ。自衛隊員は公務員ですよ。変なところまでいきり立って、共産党員ではいかぬというふうなことをおっしゃらなければならぬ理由は、一体何だったのです。
  68. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊員を募集し、これを採用いたします場合には、その者が自衛隊員として適格であるかどうかということは、やはり採用する者として十分に調査をいたします。従いまして、自衛隊そのものに対しましてのいろいろな反対的な考え方を特に強く持つというような方は、おそらく志願をなさらぬと思いますけれども、私の方としても、自衛隊員としてふさわしからぬ人はこれを採用しないということは、これは採用する立場として十分御理解をいただけるのではないかと思います。
  69. 石山權作

    石山委員 いわゆる採用基準というふうなものの作り方は、これはそのつど変わりますね。これは民間の会社のことを例に引いてみると、民間の重役で、全学連くらいの意気込みがなければこの変動する経済の中でうまくやっていけないのだといって認定して、全学連を採用している重役も、民間の会社ではいるんですよ。それはその人のものの見方だと思う。全学連なんというものは、ある意味でははしかみたいなものだと言う人もいるのですよ。一度は経過する若気の血のたぎりだから、奥さんをもらって新宅をかまえれば、これはおさまってかなりにセーブされるという御意見で、むしろ逆に、非常な頭のよさ、意気込みの強さ、こういうふうなことを企業に生かしてもらうのだ、こういって、進んでそういう人を採用している会社もあることは事実なんです。それは自衛隊と違うといえばそれまでですが、なぜこういうふうに公言せなければならないのでしょう。これがやはりあなたたちと私たちの感覚の、ものの見方の相違だと思うのですね。ちゃんと日本国民で税金を納めているんだ。公務員になる資格はちゃんとあるのですよ。それにもかかわらず、初めから自衛隊の中に入れることはてんでだめだなんということは、底が知れているじゃありませんか。反共政策を貫いているというふうに——日本の国民のなんぼかはそんなことは知らぬですよ。ほとんど知らぬと思うのです。反共だとか反共でないとか、そんなことでないと思う。ところが、あなたが公言しなければならない理由、そうでなければ自衛隊が困るという理由は、やはり反共政策に貫かれているからそういうふうになったのでございましょうか。
  70. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまもお答え申し上げましたように、自衛隊自衛隊の性格からいたしまして、厳重な規律と団結が要求されます。従いまして、その構成員については、そうした規律、団結に支障のあるような者は、これは採用する者としては排除せざるを得ないわけでございます。
  71. 石山權作

    石山委員 団結を阻害するものを排除する、それはそうでしょうね。だけれども、団結を阻害する者というのは、何もあなたが固有名詞をあげた共産党だけじゃないのですよ。そんなことは言わぬでもいいじゃないの。言うところが私はいかぬということです。これはやはり取り消していただかなければならぬです。こういう「政府の窓」などに書いている共産党員なんということは、最初から皆さんの場合には日本憲法を否定する、まじめな日本国民の誠意というものを最初から否定する。全学連というものは全部共産党員かというと、そうでもない。さっき申し上げたように、若気の正義感といいますか、そういうものの現われの場合もある。ですから、こういうふうなことは私は言い過ぎだと思うのです。そうすると、国法を犯した者なんかは自衛隊員にはおそらくなれないはずでしょう。何にもやらない人でも、思想というものによって——思想の中に信仰というものがないでしょうか、私はあると思うのですね。私たちの小さいときは、カントの思想というものがうんとはやった。西田幾多郎さんは禅の問題ではかなりな問題を提起して、哲学としては初めて日本に組織なるものをやった。こういうふうなものを調べている人とあまり違わないのじゃないでしょうか。自衛隊のそういうふうなことを考えるならば、国法を犯した者は一人も採用しないという前提で今まで入隊さしていますか。
  72. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊法には、その三十八条に欠格条項として、「禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで」という者は欠格条項になっております。それでありますが、そのほかでも、いわゆる前科者というようなことにつきまして、もちろん、その問題はいろいろあろうかと思いますが、先ほど申しましたような団結と規律を要求される、それに不適格な音は排除をいたしておるわけでございます。
  73. 石山權作

    石山委員 まあ、なんぼかよくなってきたから、私はあえて追及しませんけれども、入隊する人が少なくて、新聞等にいささか物議をかもすような手段も使って募集しておる。あの中には、私たち普通人から見れば、かなり性格破綻者のような人もおるのではないかというような心配があります。怠け者は団結を乱さないで、思想、信条を少し強く持っている者は団結を乱すか、そうではないと思う。むしろ逆だと思うのですよ。怠け者の方は団結を乱すが、思想、信条を持っている者の良識というものは、国難に対してはやはり一番先に飛び出すと私は思う。良識とは一体何ぞや、私はそうだと思う。一番みながやってほしいということに対して勇気を持ってやるという身がまえだと思うのですよ。勉強するということは、法律の技術屋になるということではないでしょう。われわれが勉強するということは何でしょう。いざというときはおそれないで、皆がいいと思うことについてやってあげるという気持だと思う。自衛隊は、その気持がなければ自衛隊の役目をなさぬでしょう。全学連がいかぬ、全学連がいかぬというのは、全学連が動くところの六割か七割は、ある意味では良識の強い発露なんです。きょうも行っているでしょう。雨が降っておっても、おそらく原爆反対だなんといって、アメリカ大使館に押し寄せて行っているでしょう。これはいかぬとあなたは言えますか。この行為は、自衛隊の団結を乱すものなどと初めから規定はできないと思う。ここら辺でいいでしょう。これはよく考えていただかなければいかぬことですよ。最初からあなたたちは問題を区別をつけて、自衛隊を固定化してしまう。これは国民のものではないのか。自衛隊というものは自民党のものだ、保守勢力温存のものだと形づけられてしまう。それではいかぬでしょう。自衛隊というものは国民のものでなければいかぬのだ、国民に愛されなければならぬといっているのだもの。何で敵を作るようなことをば公開の席上で発言をして、「政府の窓」などに麗々しく掲載させるというようなことをしたか、私に言わせれば不届き千万だ。孤立ばかりはかっているじゃありません。保守勢力のバック・ボーンをなしておるということを裏づけるようなことは、お互いに慎みたいものだと思う。私たちも、自衛隊というものをほんとうの自衛力に限定するようなものにしたいというふうな念願を最近持ってきているのですよ。そうしてこういうことを見ると、それはいかぬということになる。とてもそういうものではないのです。これはだめだということになる。ですから、私は、そういうふうなことに対しては、もっと広い場から問題を見詰めていただかなければならぬのではないかというように考えております。  それから先ほどのお話の団結の点では、おそらく皆さんの中では防諜というふうなこともあったと思うのです。あまり思想が違う者に入られて、何かいい機械なんかいじられて、それを盗まれては困るだろう、こういうような気持もどこかにあると思うんですね。隊員の中で反戦思想を持っておる者、そういうふうな者は危険だ。で、八個師団ができたわけですね。それよりも前に、一月十五日と私の見た書類には書いてあるのですが、自衛隊の中ではスパイ部隊というふうなものをこしらえて訓練している、こういう情報が流れているわけです。八個師団ができたあと、それとうらはらのような関係でこの問題が流されているのですが、そういう事実はあるのでございますか。
  74. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 第二次計画にもうたっておりますように、そうして昨日防衛局長からお答えいたしましたように、情報活動を強化するということはございますけれども、今御指摘のようなスパイ部隊と申しますか、そういう養成をやっておるというようなことはございません。
  75. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいま長官がおっしゃったように、そういうものはございませんが、昨年北海道でそういった記事が一部の新聞に出たことがありまして、綱渡りしたりなんかするレーンジャー部隊ですね。斥候でございますね。あの訓練行為を二十数名がやったような事例をつかまえての誤解であるということが判明したことがございます。
  76. 石山權作

    石山委員 私は、スパイ部隊というふうなものが特殊に訓練されることが進展していくことにはかなり疑問があるのです。たとえば外国から流される電波の暗文を解くということは、いわゆる自衛の中には、私はあってよろしいと思う。ですが、世間からスパイ部隊として特に誤解を招くような部隊の活動というのは、綱渡りするという部隊ですね、そんなのだと、これは問題にならぬと思うね。綱渡りして、サーカスの下請みたいなことをする。ただ、私の言うのは、この問題について防衛庁は何もおそれることはないと思うんです。機関を設けて電波をいろいろ分析してみる、そういうことはおやりになっておりませんか。
  77. 海原治

    ○海原政府委員 外国の通信を傍受して、これを解読するというようなことはやっておりません。ただ、諸外国におきます海外放送がございます。その軍事放送等は聴取いたしております。
  78. 石山權作

    石山委員 いともやさしい答弁をしてちゃだめですよ。軍事問題だけで満足しているような自衛隊じゃ困るじゃありませんか。今の軍事は、軍人が戦争するんじゃないですよ。最高の機関は政治家なんだ。情勢は、政況家の判断によって起こるんですよ。ですから、軍事問題だけ傍受しているから事足れりなんというのは、あなた、役目に対して不忠実じゃありませんか。私ならそう思う。日本の国の自衛隊が動く場合、一体だれが指揮なさるでしょう。自衛隊の実際の操作に指令を与えるのは皆さんじゃありませんか。背広じゃありませんか。もう一ぺん答弁を……。
  79. 海原治

    ○海原政府委員 私、先ほど申し上げましたように、防衛庁といたしましては、外国の軍事関係の放送ということだけで十分だと思っております。ただ、日本の国としてあるいは政府として、諸外国のいろいろな外交、政治上の問題をどう取り扱うかということは、別の問題だと思います。自衛隊といたしましては、私どもは法律に定められました任務達成に必要な範囲の勉強をいたしておるわけであります。
  80. 石山權作

    石山委員 その答弁は大へんよろしい。この「第百五条第一項中「訓練」の下に「及び試験研究」を加える。」という項目で、それならば、今度は多大の金を請求しては絶対にいけませんよ。いいですか。これは今改正するのですよ。われわれは、これを改正した意図は、いろいろなことを試験研究でやるのだろうと思っておったんだ。ところが、たとえばこれを総理府にやってもらう、あるいは運輸省、あるいは郵政省にやってもらって、あなたの方ではそういうような外交に関する電波関係その他は試験をいたしません、設備はいただきませんということになりそうだ。忘れてはいかぬよ。この問題については絶対に予算の増額はお断わりします。いいですか。しないと言うんだもの、しないと言うものに金を出す必要はないじゃないか。何でこれをやったんだ。これを改正する意図は一体何だというのだ。そういうことをやるためにこういうことをしたのだと思った。あなたやらぬというのだから、金は上げません。
  81. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今回の百五条の改正は、今までは自衛隊の行ないます訓練だけでございましたが、試験研究につきましても、ある程度漁船の操業その他を制限することができる。そうしてもちろん、そういう制限をいたします場合には、十分漁業権者その他との話し合いをいたしまして制限をし、そうして補償の適正を期そう、こういうわけでございまして、ただいま石山さんがおっしゃるような、そうした通信をどうするというようなものではございません。
  82. 石山權作

    石山委員 なかなか官僚というものはものの出し方がうまいものですね。この項目だけ見ると、私はそういうこともやられるのだろうと思った。そうすると、漁業補償だけの研究ですね、長官の意見を聞くと。研究はいいけれども、漁業補償の研究をするのですか。それではその試験は一体何です。
  83. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 実際に使う前に試験開発をいたしておる各種の装備品等がございます。それを海上において試験をしてみる、そういう場合に、今まではほんとうの契約によってやっておったわけでございますが、この項目の改正をお願いいたしまして、そうしてそういう試験の場合にも漁船の操業を制限することができるようにいたし、もちろん、それはただいま申しましたように、漁業権者等との話し合いの上でございます。そうしてさらに、制限をしたことに伴う損害の補償の適正化をはかろう、こういうわけでございます。
  84. 石山權作

    石山委員 この第百五条第一項中「訓練」の下に「試験研究」をつけ加えたいというのは、明らかにわかりました。しかし、局長の言った問題については、私はやはり根拠が残ると思う。自衛隊としては軍事関係——まあこの場合、軍事関係というのは一体何かという定義の置き方だと思うのですが、軍事関係という局限されたものしか今後とも自衛隊としては研究しないのだ。さっき私が防諜とかスパイという問題を出したことは、そういうことを言っておるのですよ。たとえばアメリカの国防省の中におけるああいうふうな問題、いろいろな諜報機関との連絡、共同の研究項目、こういうものはおそらく日本に強要されてきていると私は思う。これは絶対に今もなく、今後もそういうことはないという表現なのでありましょうか。
  85. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 冒頭にも申し上げましたように、われわれといたしましては、できるだけ各国の情勢等の把握のための情報の収集については努力をいたしております。また、隊員の教育その他につきましても、単に軍事面ばかりではなく、広く一般的な常識を養うように努力をいたしておるわけでございます。そういう情報の収集という面におきまして、米軍との接触のあることはあり得るわけでございます。
  86. 石山權作

    石山委員 これは防諜の問題だから、ベールに隠れているということでしょう。ですから、お前たち委員会なんかでどんなことを言ったって、おれたちはおれたちでやるんだ、そういう建前で金を使えば金は使える。こっそりどこかの基地の端っこでそういう研究をしていれば、研究もできるわけなんです。しかし、それじゃ私はいかぬと思う。こっそりやっても、いつかの黒いジェット機のように現われてくる。日本国民はそういうふうな訓練も受けてきているわけなんです。だから、防諜法をやらなければいかぬというようなこともここで言っているようだ。アメリカからいい武器をほしいといっても、日本の防諜法が不備なために、アメリカとしてはなかなか譲れない、こういうふうなことも言っているのですが、それとからんでお聞きしたいことは、先ごろアメリカのヨーク大佐という方がおいでになって、おもに、私たちから見れば、防衛産業のようなところを克明に調査をされたようです。これについては、自衛隊としては特別な関係はなかったのでございましょうか。
  87. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先般技術団が参りましたのは、防衛装備に関する資料の交換の可能性あるいは技術の交換の可能性についての調査に来たのでございまして、もちろん防衛庁としては関係がございます。
  88. 石山權作

    石山委員 交換というとよくのみ込めませんけれども、意見の交換ですか。
  89. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 資料の交換です。
  90. 石山權作

    石山委員 研究物の交換はおやりになりませんでしたか。
  91. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お互いに持っておる資料で交換して役立つものがあるかどうか、あるいはさらにはお互いの技術の交換をするのに適当なものがあるかどうか、こういうものの調査に参ったわけでございます。
  92. 石山權作

    石山委員 ベトナム韓国等を考えてみると、東南アジアで紛争が起こりそうだ、だから世間でも、反共防衛センターというふうなものをどこかに設けなければならぬという風聞が流れるのも、やはりかなりな根拠のある見方だと思うのです。その根拠の中で、ヨーク大佐なる人物が来て、資料の交換などをしていられるというのですが、東京新聞でありましたか、兵器番号の切りかえをする、そうして防衛庁の兵器についてはすべてNATOの形にする、だから日本の国の反戦主義者が騒ぐように、NEATOなど作る必要はもうないんだ、それでけっこうだ、これらの前兆は日本の国がNATOの形にこたえるものだ、こういうふうなことを一部の新聞では報じられているのです。これについては今日までどういうふうに進んでいるのでございましょうか。
  93. 久保忠雄

    ○久保政府委員 ただいまの東京新聞に出ておりました兵器番号の切りかえの問題につきましては、現在陸海空三自衛隊の装備品の物品の番号その他がまちまちになっておりますので、これを統一いたしますことが、補給の合理化と申しますか、経費の節約等に役立つということで、三十三年ごろからその研究を始めまして、昨年くらいから具体的に作業を進めております。そういう物品を分類いたしましたり、名前を付与いたしましたりする方法につきましては、現在アメリカでやっております連邦補給分類というのがございますが、この方法が今一番進んだもので、NATO諸国なども全部これによっておりますので、防衛庁といたしましても、この方法を採用いたしまして、番号を切りかえていきたい。ただ、その場合に、アメリカからの供与品につきましては、これはアメリカの番号と同じものがつきますけれども、国産品につきましては、全然日本独自の番号をつけていこう、こういうふうに考えております。そういう作業を現在進めておりまして、大体四十一年度ぐらいまでに全部番号の付与を終わりたいというふうに考えております。
  94. 石山權作

    石山委員 四十一年までに一応全部NATO諸国で通用している番号と同一に切りかわるというのですか。
  95. 久保忠雄

    ○久保政府委員 品目が相当膨大なものでございますので、年度計画によりまして逐次切りかえていく、それで三十七年度におきましては、今米軍から貸与、供与あるいはマップで参りました品目につきまして、アメリカの方式によりました番号をつけていこうということでございます。その後、国産品につきましては、三十八年度以降、年度計画を作りまして番号をつけていくということでございます。
  96. 石山權作

    石山委員 部品の問題だから、大きい小さいはそんなに心配ないというふうになるかもしれませんが、部品のおおむねは何ですか。飛行機でございましょうか。ナイキはもちろんでございますけれども、主たるアメリカと統一されている品目は何でございますか。
  97. 久保忠雄

    ○久保政府委員 米軍と統一されますのは、特に陸上の武器でございます。武器、車両、この辺は従来マップ品が非常に多いわけでございます。国産化いたしましたのは最近でございますので、そういうものでございます。それから航空機とか艦艇等につきましては、米軍から貸与を受けましたものが同じ番号になるわけでございます。貸与なり供与なり受けましたものでございます。
  98. 石山權作

    石山委員 私、去年の秋自衛隊を視察に参りましたとき、潜水艦を見たわけですが、潜水艦の模型は向こうの潜水艦の模型でした。それで日本人が操作するには、このぐらいの箱を一つ据えて、小さいものだから、その箱の上で操作をしておった。それを見てきて、どうもこれは全部NATO並みに兵器をそろえられると大へんだ、大きい鉄砲をかついでへばるのではないか、そういう心配をしていたのですが、そういうことも考えられる。日本人向きの兵器というふうなことをだんだんやっているだろうと思うのですが、今アメリカの兵器を使って、どうもからだに合わない、力に合わない、腕が短くて困るというような兵器の種類はどういうものですか。
  99. 久保忠雄

    ○久保政府委員 たとえば小銃等があるわけでございます。小銃もできれば国産化いたしまして、日本人のからだに合ったものにしたいということで研究開発は進めております。
  100. 石山權作

    石山委員 四十一年までかかる。四十一年まで年次計画でこの兵器番号が切りかえられるということは、考え方によっては武器——NATOの国は幾つありましたか——九つかあったと思いますが、この国々との間にはいつでも取っかえっこ——取っかえっこということはないけれども、流すことができるということでしょう。流すことができる。そこに、日本の国が、東南アジアにおける紛争においては、基地の役目と同時に、いわゆる兵器廠の役目もなすだろうというふうにいわれているのですが、そういう危険性はないでございましょうか。
  101. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この兵器番号をつけかえるというのは、アメリカの今やっているのは、アメリカのフーバー委員会の勧告によってやったそうでございますが、それが一番よい方式であるので、それにならってそういう方式をとるというだけでございままして、もちろん、アメリカからの供与品、貸与品はやむを得ませんけれども、兵器そのものをアメリカやNATO諸国と同じ形にするという意味ではございません。
  102. 石山權作

    石山委員 私、潜水艦の話をしたのですが、MSAの援助法によって武器が入ってきた。あのときはないから仕方がなかったでしょう。からだに合わないものをいつまでも使って、兵器番号まで変えていくという屈辱感を私は否定したいのです。もしそうでない——今あなたがおっしゃったそうでないようですが、私たちは今までの情報を聞いていると、いかにも日本自衛隊は屈辱している。それはいかぬと思いますね。そういうことではないというのですから、よろしいのですが……。  最後に、軍隊の士気の問題。軍隊という言葉を使ってみましょう。日本自衛隊は軍隊ではなくして、特別公務員ですが、士気の問題を考えてみましょう。士気という問題を考えると、私は先ほどちょっと触れたように、士気というふうなものは永続するものではないというふうに申し上げたのですね。蓄積されて初めてそれが士気という形になって現われるものであって、日常士気だ、士気だといって、スタート・ラインに立ったいわゆるランナのようなものではないと思うのです。その点で、私は、自衛隊の厚生福利という点については非常に欠けるところがあるのじゃないかと思っています。これはいつかも私は申し上げたのですが、特に回ってみてびっくりしているわけなんです。これはまあ航空自衛隊の場合はよろしゅうございます、おおむね新しいですから。それで、私の言うのは陸上自衛隊でございます。これは調べてみますと、明治三十年——明治三十年だと、残念ながら私はまだ生まれない時代のことでございます。三十年代、四十年代。金沢が三十年で、久居といいますか、これは明治四十年。いずれも第十師団の管轄。これも私の生まれない前のときです。私が白髪になっている今日を見ても、この兵舎というのは、見なくても、いかに古色蒼然としているものであるかというふうなことが一応理解される。第三師団の中でも、宇治は明治三十八年。十師団の中の福知山も明治三十一年です。十三師団善通寺、これは私、三年ばかり前に行きましたら、床が歩けないほどひどい。あれはもう直しただろうと思いますが、明治三十一年、最近の日本人は長生きするといっていますけれども、これはもうよぼよぼですね。人間ならばいい食べものを食べさしたり注射をして、健康体で長生きをさせることはできるけれども、木材の寿命は五十年こせば全然だめになる。こういうところは、表現を変えていえば、生命に危険のある老朽舎ということになりそうです。自衛隊の隊員の生命に危険のある老朽舎、これはやっぱり私は考えていただかなければならないのではないかと思う。大蔵省では新しい官庁の設置は認めませんと言っているけれども、この場合の兵舎は官庁じゃないのです。こういうところから、やはり私は、あなたの言う、いわゆる下まで通していくようなきめのこまかい施策が始まらなければならないと思う。自衛隊の士気を高めるということは、ここから始まらなければいけないと思います。こういうことを置き去りにしているのではないのですか。私が申し上げたのはうそですか。
  103. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お話のように、士気の高揚ということは、必ずしも肩を怒らしたり、そういうことではございませんで、十分に自分の使命を認識して、そしてその使命に邁進するという、その気持をたくわえるということだと思います。その中でいろいろの方策があろうかと思います。一つには、自衛隊に対する国民の皆さんの御理解を深めて、そして自衛隊を十分に御認識いただくということも必要だと思いますし、ただいまおあげになりました各般の厚生施設、あるいは隊舎、宿舎というようなものの整備ということも、その中に入ると思います。ただいまおあげになりましたようなところ、確かに非常に古い隊舎を使用しているところがまだまだあるわけでございまして、何分にも一方において相当の増勢を急いでおったというような点から、既存の隊舎で使用の可能なものは使っておりましたが、ここ数年来、そうしたものについても計画的に新改築をやっていくという方向をたどっておるわけでございます。以前にもそういう御指摘がございましたが、今後もその気持で努力をして参りたいと思います。
  104. 石山權作

    石山委員 この前も私は提案しておきましたが、隊員の見る小図書館のようなものを設置する必要があるのではないか。大体陸軍の場合、一部隊二千名以上ですから、図書館としては小さな町村単位にも匹敵するわけです。そしてその中でたくさんの書籍を自由に読ましておく方が、隊員の教養を高めるのに役立つということを申し上げておいたのですが、その進捗状態はどうですか。
  105. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そういう隊員の教養を高めるための各段の施設について、いろいろ既存の建物等も工夫をいたしまして、各部隊で実施をいたしております。まだまだ十分でない点は私も認めるのでございますが、今後もそういう方面に十分予算その他の使い方に気をつけまして、御指摘のような点を充実して参りたいと考えております。
  106. 石山權作

    石山委員 私、今こまかい予算を見るのはいやだから見ませんけれども、施設費なんかふえていない。いけませんよ、あなた。やかましいから防音施設費をちょっとふやしたり、いつ使えるかわからないようなジェット機を一生懸命買ってみたり、やっぱりこれを見ていると、昔とあまり違いませんね。兵の方があまり大切にされないで、兵器の方が大切にされているという気風、この気風は依然として改められない。それはもちろんわかりますよ。皆さんの方では、回りの諸国よりも兵備関係がおくれているというので、それを急がなければならぬというような気持はわかる。だからといって、兵器だけひとりで動くのではない。操作をする、いわゆる士気高い自衛隊員をわれわれは必要としているわけでしょう。士気高まらぬで今のような格好では、お嫁さんも来ませんよ。だから、そういうことではいけないと思うので、これは会計課長あたりと少し渡り合わぬと話の種にならぬと思うのだけれども、きょうは一時を過ぎておるのでこれでやめておきます。  私はまだお聞きしたいことは、防衛庁の設置法の中において調達庁の身分が変更になるわけですね。この身分が変更になるだけではなくて、私はそれとからんでお聞きしておきたいと思っておりましたのは、第四十八条の二項にあたる「隊員は、防衛施設庁長官により、その意に反して、降任され、休職にされ、若しくは免職され、又は懲戒処分を受けた場合においては、防衛長官に対して審査請求することができる。」こういう項目の中身をもっと聞きただす必要があると思っております。それから一般の隊員のいわゆる下意上達ということは、皆さんの方は上からおろすのはお得意なんだ。おろすのはいいが、下のいろいろなことを考えている人たちの意見というものをどういう工合に吸い上げて、その苦情なりあるいはその創意工夫というものをどういうふうに吸い上げてやっていくかということもお聞きしたいと思う。それからナイキがどういう形で配置をされていくのか。ナイキは一体どこに所属されればその能力を一番発揮するであろうか。航空がいいのか、こういうことも一つ真剣にあなた方と討議をしたい、関係局長と討議をしたい。これは残念でございますが、後日に譲っておきます。三項目は、この法案が上がる前、また機会を見ましてもう一ぺん発言の機会を得たいものだ、こういうふうに申し上げまして、一応休ませていただきます。
  107. 中島茂喜

    中島委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議
  108. 中島茂喜

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑を許します。山内広君。
  109. 山内広

    ○山内委員 私どもばかりでなく、人類の悲願を込めて反対した核実験がなされたわけです。このことについては、午前中に石山委員からもいろいろお話があったわけです。私からもあらためて一言お聞きせざるを得ないし、長官のこれに対する考え方も具体的に一つお尋ねしておきたい。  もうすでに政府自身も、国会の議決もありまして、アメリカにもしばしば核実験をしないようにという抗議はなされておるわけであります。それに対する何ら成果もあげることができなかったということは、これは与党、野党を問わず、全人類のためにはなはだ残念なことだと思います。そこで、いま一度私はこの国防という問題を実は考えてみたのでありますけれども、核実験をやりました場合の放射能が日本に降ってくる、このことは、日本自衛隊の一番の目的である独立と平和、国土の保全、そういうことに対するやはり一つの脅威であり、一つの侵略と考えていいのではないか。そういうことで、いろいろ国会の今までの審議も、資料はすぐ手に入りませんけれども、記憶をたどってみれば、やはり私はこれは一種の間接侵略である、急迫不正な一つの侵略と考えるべきではないか。これは、国防会議が三十二年に日本の国防の基本方針を決定いたしております。そこで、これの第四を見ますると、国際連合が有効な外国からの侵略に対する阻止ができない場合は、その日のくるまでは米国との安全保障体制を基調とするという基本方針にのっとっておる。ところが、この一番仲よくして安全保障をやるべき同盟の相手国が、宣戦布告のない原爆を打ち上げて、その被害日本の国民と国土に及ぼしておるのであります。こういうことに対しては、単たる核武装がいいとか悪いとか、憲法上のそういう解釈を越えて、今国防会議というものは、もう一ぺん、国防とは一体何か——目に見えない敵であります。この誘導弾とかなんとかいえば、これを察知する観測の方法も、これからの施設の拡充で可能なわけでありますけれども、放射能だけは、これは目に見えない灰が降ってくる。そうして人類に非常な被害を与えるもう二十日間たてば、この姿のない敵が日本に侵略してくるのでありますから、これに対してもう一ぺん具体的な反省があってしかるべきだと思います。まず、その基本的なものについて長官の意見を承りたいと思います。
  110. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お話のように、アメリカにおいて、本日早暁と申しますか、核実験が開始されたことにつきましては、午前中も石山さんにお答えいたしましたように、われわれとしては非常に遺憾の意を表するものでございます。今御指摘の、この核実験による放射塵が、灰が日本のみならず、世界の各方面にまき散らされるわけでございますが、それをいわゆる侵略だというふうに解釈するのは私はいかがかと存じます。ただ、しかし、とにかくそういう人類にいろいろな影響を与える死の灰が降るというようなことに対しましては、これは十分いろいろの対策を講じなければならないと思います。そういう意味では、十分今後もこうした核実験に伴う灰の問題について、政府全体として、その対策その他については考えて参ります。それを国防会議においてやるかどうか。十分御承知と思いますが、国防会議そのものは防衛庁の付属機関ではないわけなんでございます。国防会議においてそういうものを取り上げるのがはたして妥当かどうかということは、さらに研究をさせていただきたいと思いますが、そういう対策について十分政府として考えるということはやって参らなければならぬと思います。
  111. 山内広

    ○山内委員 非常に抽象的であり、けさ降られたばかりの放射能に対して、長官はもう少し怒りを持ってもらいたい。相手が遠い所で、イギリスとかフランスがやったやつのおこぼれが来たというのなら、これは一応抗議だとかなんとかいう範囲を出ないかもしれませんけれども、お互いに日本を守る、アメリカに危害があっても、向こうまでいくかどうかわかりませんが、これは別の議論として、日本の国土、日本人の生命、そういうものをお互いに守ろう、しかし、日本は終戦後は力がないから、あなた方でいえば、自衛隊は内野を、国内を守るのだ、アメリカさんは外野を守って下さい、外国からの侵略を防いで下さいということで、安保条約を結んで相提携してやっておるのでしょう。ところが、その相手方が、日本の要望にもかかわらず、どんどん放射能を今度は二、三カ月中に三十回もやる。こういう相手方が同盟国であればこそ、今もう一度考え直して、一体これでほんとうに国を守れるのか、あなた方の本来の任務である日本の平和と独立を維持するために、こういう相手方と一緒になってこの関係を維持していけるかどうかという根本的な反省があってもいいのじゃありませんか。今のお話の中で言うと、何か具体的な案を考える、防空壕を掘って、国民に放射能が降ったら防空壕に入れとアメリカ式におやりになるのかもしれませんけれども、そういう反省がもう少しあっていいのではないか。相手が同盟国であればこそ、私はそういうことを言っておる。今、国防会議防衛庁の付属機関でないと言われたが、それは私も知っております。あなたは国防会議に列席される人なんです。国防に対する最高の基本方針を決定する、これは国防会議なんです。そこへ行って抗議して、放射能がどんどん降られては、いかに平時といえども考えなくてはいかぬという提案くらいなさるのが、あなたの義務ではないかと思う。もう一ぺんどうぞ……。
  112. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 残念ながら、核実験による放射能というもの、それが侵略だと御立論なさる山内さんのその立論の根底には、私は御賛成できないわけなんでございますが、ただ、いずれにしても、そういう結果として、わが国の国民が被害を受けるという状態になる。そのことについては、われわれとしては、十分な対策と申しますか、そういうことのないことを期してやらなければならないわけでござまいす。核実験そのものが中止さるべきものとしてしばしば抗議を申し込みつつも、ついにその最初の再開がされてしまったわけでございますが、私どもは、そういう意味において、この核実験が今後継続して行なわれることのないように、さらに本日も政府としては抗議を申し込んだ次第でございます。ただ、そういうことがあるから現在の日米安保体制というものに再検討を加える必要がある、そういうことを考えなければならないのではないかという御質問に対しましては、私は、核実験による放射能というものの問題とは切り離して、やはり現在の世界の大勢としては、安保体制を基準としていくのが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  113. 山内広

    ○山内委員 今までの過去の戦争の歴史からいっても、戦争というものは、宣戦布告をしてから行なわれるものでなくて、日本も真珠湾攻撃をやったように、もう先にやってしまう。今回の場合は、アメリカとソ連との軍縮会議がうまくいかないで、そして冷戦の結果が核実験をやってしまった。その被害を私どもが受けるじゃありませんか。そうすれば、明らかにこれは宣戦布告もしてないし、冷戦ではあるけれども、一種の戦争であり、アメリカの片棒を持ち、くっついている限りは、抗議も申し出られないじゃありませんか。それよりも、むしろ安保条約を、こういうことでは私どもはもう日本の国土を守っていくわけにいかぬ、使命を果たせないから、同盟を破棄しますと、あなたがアメリカへ行って一言横に寝ることが、核実験を停止させる一つの圧制力になるじゃありませんか。ただ行って、国民が騒いでいるからやめてくれくらいの抗議では、もはや無視されて、この核実験は強行されるばかりだ、そういうことを私は考えざるを得ないと思う。(「この前ソ連がやったときはどうした」と呼ぶ者あり)今度はソ連がやっても、社会党は同じ態度で臨むことは、これははっきり申し上げておきたいと思います。  これは古い記録なんですけれども、三十一年にこの内閣委員会で、右橋委員基地攻撃に関する質問をされて、政府はこれは統一解釈としてしばしば同じことを言っております。この解釈によりますと、急迫不正の侵害が行なわれた場合には、その侵害を防ぐ手段がない場合は、いわゆる相手方の基地をも攻撃する、これは自衛である、こういう解釈であります。このときに、必要があれば核兵器を使っても自衛の範囲を越えなければいいという、これは総理からも私直接お聞きしておるのであります。こういうことになりますと、やはり日本の国民は非常に不安を抱いておる。こういうときには、もう内野も外野もない。外野自体がもうルールを破って、そして一緒になって試合をやる意思がない。こういうチームはすぐ破壊してしまって、あなた方弱くても、その力に応じた野球チームの編成がえをおやりになった方がいい。これは決して日本を守ってくれません。そういうことでもう少し長官の積極的な——こういう機会でないと、こういう放射能に対する考え方を明らかにする機会がない。いつでも法文の解釈、統一解釈を守って国会の答弁をどうして切り抜けるかということにきゅうきゅうとしておるだけだ。もう敵は別なんです。  ここで誘導弾等という言葉を使っております。この中の等には何を含むかわかりませんけれども、これからの戦争は、細菌の戦争も考えられます、あるいは毒薬も考えられます、放射能ももちろん有力な武器になってしまっています。こういうもので、二つの大国の争いの渦中で日本が今被害を受けるのですから、こういうときには、いかに十年間の安保条約の同盟国といえども、相手が信義を破った場合には、これに対するもう少し怒りなり根本的な対策を持つべきだと思います。もう一ぺんお聞きしたい。
  114. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 アメリカ核実験による放射能がわが国に落ちていろいろな影響を及ぼす、この問題は、非常に重視し、また、それがゆえに、政府は常に強くこれに反対をして参ったわけでございます。ただ、私が先ほど申し上げたのは、その問題と、それから世界の情勢の中におきまして、日本防衛のためには、日米安保体制を持続するということがむしろ妥当であるというふうな考え方は、変更をする意思はないことを申し上げたわけでございます。この核実験再開による放射能の被害等に対しましては、十分その対策を講ずるとともに、また、そのようなことの今後持続されないように、さらに強力に抗議をいたすつもりでございます。
  115. 山内広

    ○山内委員 防衛長官の立場としては、そういう答えより出ないとは実は私も御同情申し上げます。しかし、賢明な長官ですから、個人的にももう少しいろいろな世の中の動向なり情勢をお考えになって、少なくとも政府のとる方針がだんだんにでもそういうふうに、国防会議などでも、今までのような気持をいこじに持たぬで、ほんとうに日本の国土を愛し平和を愛するというのだったら、その観点に立って、漸進的でもいいから、そういう雰囲気を作っていただくことに御努力あるべきだと、私は個人的にも考えるわけであります。一つその点をあなたの良識に訴えておきたいと思います。  それではその問題はそれくらいにいたしまして、ついおとといの晩に本屋から「論争」という雑誌を買ってきまして、寝そべって「日本防衛はどうするか」という題で、防衛庁の教官をしておられます伊藤皓文さんの「防衛に関する五つの解答」というのを実は読んだわけであります。これはあまり長いものではないのですが、長官はまだお読みになっておらぬのですか。
  116. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私はまだ読んでおりません。
  117. 山内広

    ○山内委員 これは最近出たばかりだから、お読みにならぬのは無理もないと思いますが、これはあなたの配下におる教官のお書きになったものであります。ぜひ御一読をおすすめしたい。私はこれを読みまして、実は思わず起き上がって二度読んだのであります。しかし、私は、決して伊藤さんのお書きになったものを悪くはとっておりません。ということは、毀誉褒貶の非常に多い自衛隊の中にあって、自分たち自衛隊員としてどうあるかということに非常にまじめな考え方をめぐらしております。お目にかかったことはありませんが、この文章を通じて私は人柄がよくわかるということと、自衛隊員自身のお書きになったものですから、非常に私は参考になりました。これは非常に偏狭な再軍備論者の方にも読んでいただいていいことである。私個人にとっても、なるほど思い違いもあったし、非常に誤解もあった点が解明された点もあります。いずれもこの内容は、非常に適切なテーマを取り上げて考え方を述べておるので、その個々については、もちろん私もいろいろ異論を持っておりますけれども、総体的に、今後の防衛論議というものはこういう形で進められるのではないか、集約されてきたのではないか。内閣委員会は特に防衛問題が多いのでありますから、そういうことは非常に参考になる一つの論文だと思います。これは非常に適切な、たとえば憲法九条と自衛隊関係とか、そのほか核兵器の、今私の申し上げたことについては、これは長官とは全然別個の考え方であり、これに対する見解もなかなか明快に書いております。そのほか申し上げればいいのですが、これは読んでいただいてから、日をあらためてやりたいと思います。  その最後の方に、非常に適切な、きのうきょう議論されている中から参考になることを一つだけ取り上げて申し上げたいと思います。こういうことを書いております。「防衛に要する経費は、社会保障に使った方が良いのではないか、どうして国防のための軍備が必要なのか、」というテーマに対しては、率直にこういうふうに書いております。社会党が自衛隊を改組して国土建設隊にせいということをいっておる、改組せいというそのことには反対であるけれども、国土建設隊という考え方には賛成だ、そこで、北海道から九州までの国土縦貫高速道路を一つ建設しようという非常におもしろいことを書いておる。そしたら、自衛隊の隊員は喜んで希望を持って入隊するであろう、上野だとか山谷でぽん引きみたいに自衛隊員募集をしなくてもいいし、仮の合格証をやって非行少年を誤って入隊させるなんていう醜態をしなくても、青少年に希望を持たせることが唯一の隊員を充実する方法だと書いてあります。この書き方は、ちょっとやゆをした点もあるやには見受けますけれども、隊員が国土建設隊というか、そういう方面に非常に希望を持っておる。国防なんていうものは、核兵器のできた今日、そういうところで内野選手だけやらされるのはいやだ、それよりも国土建設をやって、ほんとうに日本国民の平和に寄与したい、こういう希望だと私は率直に受け取っております。この点については、長官かどなたでもいいですが、一体隊員の気持、平和に対する気持、核兵器戦争に対する気持、そういうことに対して一つお考えになっている点を出していただきたいと思います。
  118. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまおあげになりました教官の論文は、先ほど申し上げましたように、私読んでおりませんので、それについてのお答えは後日にさせていただきたいと思いますが、私の知る範囲におきまして、また、私が防衛庁に就任をいたしまして以来、各方面に接触いたします際におきまして、若い隊員諸君など——あるいはお前の前だからそう言うんだろうとおっしゃるかもしれませんけれども、決してみずからの任務に対して非常な疑問を持つとか、あるいは防衛というようなことに対して無関心である、そうして国土建設というようなことにあこがれを持つ、あるいは希望を持つというようなことではございませんで、やはりみずからの使命を十分認識して隊務に励んでおるというのが現状でございます。さらにわれわれは、こうした隊員が十分自信を持ってその任務を遂行するような幾多の方策は、今後とも考えて参りたいと思っております。
  119. 山内広

    ○山内委員 これは伊藤さんが個人としてお書きになったので、別にあなた方の責任だとか——これは防衛庁の決定でもありませんから、どういうことをお話しになってもけっこうなんで、別にこの内容を私はとやこう申し上げておるのではないわけです。これはいずれまたほかの機会もあると思いますので、次に質問を移したいと思います。  あなたの方のお出しになった資料によって、いわゆる施設提供等の諸費と相互防衛援助協定交付金、この二件の金額は私承知しております。これの今までのトータルがちょっとわからぬのですが、お教え願いたい。今までなされた総額です。
  120. 大石孝章

    ○大石政府委員 施設提供諸賢は、御承知のように、三十七年度国会で御承認いただきましたのは六十一億でございます。今までのトータルにつきましては、三十四年度六十六億、三十五年度六十九億、三十六年度五十六億、三十七年度六十一億、こういうことになっております。
  121. 山内広

    ○山内委員 交付金は……。
  122. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今計算しておりますから、あとで……。
  123. 山内広

    ○山内委員 この総額は、私また将来必要があるのでお聞きしておくわけですが、この場合にちょっと私奇異に感じたことは、三十六年度が五十六億六千二百万余で、本年になって六十一億と今お話しですが、六十億七千三百万であります。今お話の出された通り、三十四年が六十六億、三十五年が六十九億、それから三十六年が五十六億ですね。そうしますと、本年になってから約五億余急にふえておるのです。たしかあなた方の方からお出しになった資料で読んだと記憶しておりますけれども、だんだん向こうの兵隊も減ってきたし、施設。提供もだんだん縮小の傾向にあるというのに、これだけ急に金額がふえているというのはどういう理由に基づくのか、その点、……。
  124. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 詳細は政府委員からお答えさせる必要があるかと存じますが、提供の施設は減りましても、たとえば賃借料とか、そういうものにつきましては、やはり最近の動向に従いまして引き上げていくというようなものもございます。そうした面が含まれていると思いますが、なお、詳細は政府委員から答えさせます。
  125. 大石孝章

    ○大石政府委員 お答え申し上げます。  確かに三十七年度では増額いたしておりますが、ただいま大臣からお答え申し上げましたように、その内訳は、たとえば三十六年度におきましては、民生安定的な防音施策というような経費が八億円であったのが、今度は十三億円、それからただいまの、提供土地の賃借料の値上がり分とか、漁業補償の値上がり分とか、そういったような施設区域を維持するために必要とする、あるいは周辺住民に与える被害を軽減する施策を講ずるといったような内容につきましても、増額をいたしておるという形になっております。
  126. 山内広

    ○山内委員 今防音装置というお話でしたが、アメリカに提供した建物の防音もこっちで金を出してやることになるのですか。一般には十六億ほど組んでおりますね。そのほかにどうしてこういうのが出てくるのですか。
  127. 大石孝章

    ○大石政府委員 防音は、御承知のように基地周辺におきます騒音対策費でございます。ですから、アメリカ自体に提供いたしております建物なんかにつきましては、関係ございません。
  128. 山内広

    ○山内委員 それでは、提供している土地と建物とは、一体どれくらいの坪数を現在提供しておるのですか。
  129. 大石孝章

    ○大石政府委員 土地につきましては、米軍に提供しておる民、公有並びに国有合わせまして約九千二百万坪、それから建物につきましては百五十万坪でございます。
  130. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほどの顧問団交付金は、昭和二十九年度から三十七年度までの合計が四十一億七千八百万円でございますが、これは大蔵省所管になっておりますので、大蔵省の予算についております。
  131. 山内広

    ○山内委員 大蔵省所管のことは私も知りませんでした。あなたの方だと思ってお尋ねしたので、失礼いたしました。  これは、今数字をお聞きしただけで九千二百万坪も取られ、建物も百五十万坪というと、これは大へんなものだと、ばく然とした考え方は持つわけです。これについては、またいずれあらためてお話の機会があろうかと思います。  次に、対米援助期待額と申しますか、今年度のやつはもう話合いがきまったのか、きまったら、どのくらいに落ちついたのか、それをお聞きします。
  132. 久保忠雄

    ○久保政府委員 三十七年度の期待額は約二百億でございます。
  133. 山内広

    ○山内委員 約二百億というのは、私どもも常織として、今までの経緯から見ても見当のつく数字なんです。これが具体的に幾らと、アメリカとの間に話し合いがついてどういうふうになっているのか、もっと内訳を詳しくお聞きしたいと思います。
  134. 久保忠雄

    ○久保政府委員 正確に申し上げますと、二百一億四千八百万円のものを期待いたしております。内訳といたしましては、陸上自衛隊関係が四十六億四千五百万円でございまます。海上自衛隊関係が五十五億二千五百万円、航空自衛隊関係が九十九億七千八百万円、合計いたしまして二百一億四千八百万円になります。
  135. 山内広

    ○山内委員 このうち、無償で来るものと、それから経費を分担するものとあると思います。その内訳を示していただきたい。
  136. 久保忠雄

    ○久保政府委員 この分は全部無償でございます。
  137. 山内広

    ○山内委員 無償といいますと、無償のものを評価して受けとるわけですか。どういう形で評価するのでしょうか。たとえば戦車をもらった、しかしあなたの方では、これを評価して二百一億という最終の数を出してくるのでしょうか。それの評価とか帳簿とか、そういうことについて具体的にお示しいただきたい。
  138. 久保忠雄

    ○久保政府委員 これは国有財産台帳に登録されますときに評価をした額でございますが、その評価の方法でございましょうか。
  139. 山内広

    ○山内委員 そうです。
  140. 久保忠雄

    ○久保政府委員 一応アメリカの評価価額がございます。それとこちらへ持って参りますときの価額等を考えまして、ここに一つずつ評価をしていくわけでございます。
  141. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、これは無償貸与ですけれども、防衛庁の行政財産になるわけですね。
  142. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 艦船、航空機につきましては、これはいわゆる防衛庁の行政財産になります。そのほかの物品につきましては、防衛の物品になります。
  143. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、艦船等は行政財産で、物品はあなたの方の物品になる、こういうことですか。
  144. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 法律上国有財産法の適用を受けるものと物品管理法の適用を受けるものとございます。一般的に申しますと、防庁の所管する国有財産、要するに、防衛庁の財産ということになるわけでございます。
  145. 山内広

    ○山内委員 どうも今のお答えは自信がないようで、あるいは虚をつかれたのかもしれませんから、あとでお調べになって、はっきり御回答をいただきたいと思うのです。そうでないと、艦船と物品の間だって常織的に考えて、たくさん品物もあるし、そういう不安定な答弁では私満足しかねるわけです。なぜこういうことを申し上げておるかというと、この間、外務委員会でガリオア・エロアの論争を聞いておった。ところが、ただだ、ただだといって帳面もろくさまつけないものを、今になって返せといって、あれだけ国論を沸かした問題になっている。これは無償貨与でアメリカからもらうといえども、そういう問題もあるし、将来返せというようなことは言わぬだろうと思いますけれども、もらったのだから当たりまえだというので、たとえば、トラックや、ああいうものでもあいまいな記録をしておくと、将来決算で国有財産なんかの問題の追及のときに、必ずこれは問題になる。だから、そういう帰属は明らかにしておいてほしい。あるいはまた、日本が完全に独立してそれだけの軍事予算もとれるだけの軍事予算もとれるようになったら、アメリカのおかげで自衛隊がこんなに充実したのだから、今までの無償のやつを返してくれと言われないでもない。そのときになって台帳があったのないのと、ガリオア、エロアのような騒ぎを私は心臓が弱いのでやりたくないから、そのことを今からちゃんとしておいてくれ、こういう話であります。
  146. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは、援助協定によりまして無償で提供されるものでございまして、先ほど経理局長が申し上げたように、国有財産法に基づいて管理するのが艦艇、飛行機、物品管理法の規定に基づいて管理するのがその他のもの、こういうことでございまして、台帳の記載その他は十分やっております。
  147. 山内広

    ○山内委員 長官、そうおっしゃるけれども、防衛庁のものは全部国有の財産ですよ。ただ、それに行政財産としてあなたの方で管理されるものと、大蔵省の普通財産としておるものとあるでしょう。それがないとすれば、これは全部あなたの方の行政財産です。
  148. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは御承知だと思うのでございますが、いわゆる行政財産というものは、国有財産法の中に普通財産と行政財産がございます。この国有財産法の規定に基づいて、防衛庁の行政財産として管理をいたしますのが艦艇、飛行機、物品管理法に基づいてやるものがその他のものということでございまして、広い意味ではいずれも防衛庁の財産でございます。
  149. 山内広

    ○山内委員 わかりました。  それから、だいぶ古くさいものをもらって役に立たなくなるということが国会でも議論になったのですが、この役に立たなくて廃品とするものの処置はどういうふうにしておるのですか。
  150. 麻生茂

    ○麻生政府委員 山内先生、「防衛関係法令集」というのをお持ちになっていると思いますが、これの三二三ページに「日本国とアメリカ合衆国との問の相互防衛援助協定第一条に基く装備の返還に関する取極」というのがございます。これでは、向こうから完成品計画で日本の方に援助として装備、資材等を提供して参りました場合に、日本側で使用してもう必要がなくなったという場合には、軍事顧問団側に日本側から通知をすることになっております。軍事顧問団の方でほかに使いたいという場合には、米側が受領するわけでありますが、米側が受領しない場合においては、日本側とアメリカ側と協議の上、日本側が処分をするということになっております。  今申し上げましたのは、当初の目的には要らないものでありますが、ものとしてもう使えなくなってしまった、いわゆる廃品になったというようなものにつきましても、同じような手続で向こうの承認を得て処分をするということになっております。
  151. 山内広

    ○山内委員 これは期待額が二百一億ということですが、第二次防衛力の整備計画によりますと、たしかあれは平均ならして百八十億と書いてあったと思うのです。しかし、これは漸減の傾向にある。そういうことで平均をとられたと思うのですが、二百一億から百八十億。将来五年たてば、おそらく期待できないものと思いますが、この二次計画の百八十億というものは、自信を持って算定されておるのか、どういうことになっておるのですか。これは大体の向こうとの取りきめがあってこういうふうに見積もるのか。しかも、特に私気になることは、これは全部物品で来るのでしょう。現金じゃないのですから、品物で、しかも、いろいろな向こうの使い古しか新しいものかわかりませんけれども、不用になったものが来る。そういうことで、この百八十億というものが非常に気になる金額です。これについてのお考えをお聞きしたい。
  152. 海原治

    ○海原政府委員 第二次の防衛力整備計画におきまして、各年平均百八十億、合計いたしまして約九百億円程度のアメリカからの援助を予定いたしております。この計画を策定いたしましたのが昨年の七月十八日でございます。そのかれこれ半年くらい前からいろいろな作業をやったわけでございまして、各自衛隊におきまして、この五年間にアメリカからどうしてももらうものがあればもらった方がいいもの、ないしはアメリカの方で、これは援助手続の都合でございますが、いわゆるエクセス、過剰物資として無償でもらえるもの、こういうものにつきまして、それぞれ関係のところで、顧問団の方の担当部局と事務的に非公式な意見の交換の結果を取りまとめまして、大体この程度のものは五年間にもらえるということに考えてもよかろうという想定をしたわけでございます。ただ、御存じのようにだんだん援助額というものが、援助の割合は減って参りますので、この中で例を申し上げますと、たとえば陸上自衛隊につきましては、M41という軽戦車を約二百両、これは無償援助と考えております。百五ミリの榴弾砲、こういう個々のアイテムにつきまして、これは大体無償援助でもらえる、これは経費分担でいける、また経費分担も五分五分でいける、あるいは七、三でいけるだろうというようなことで、一応私どもとして推定した数字を詰めると、こういうことになっております。従いまして、今後五年間の推移を見ますと、あるいは私どもが考えておったようなことにはならないかもしれません。その場合に、この五カ年間の総合的な計画の実施でございますから、今後毎年その援助の内容に合わせまして、私どもが国内で調達する向きもございましょうし、あるいはもらわなくても、何とかほかのところでかえていけるというものも出て参りましょうし、その辺の調節は各年度の援助計画で実施していく、こういうふうに実は考えたわけであります。繰り返して申しますと、アメリカの方から、これだけやるというふうな確約を得たものではございません。あくまで一応向こうの方と非公式に情報交換ということをいたしまして私どもが推定した数字である、このようにお考え願いたい。
  153. 山内広

    ○山内委員 先ほどお答えが出されていたときに、私は無償と経費分担と分けて説明してほしいと言ったのに対して、二百一億というのは無償分であるというお話ですが、経費分担の方は何百億くらいになるのですか。
  154. 海原治

    ○海原政府委員 実はこの援助内容につきまして、経費分担方式と申しますのは、昨年ころから話に出てきたものであります。具体的に申しますと、今度のナイキ、ホークの施設等は、最初の一個大隊のための装備品というものが全部無償援助で参ります。しかし、その一部の資材及び第二大隊目のものにつきましては、ホークの資材と合わせて経費分担でいこうじゃないか、こういうことに、個々の品物でなしに、向こうではプロジェクトと申しておりますが、全般的な一つの計画を単位として、どの部分は無償、どの部分は金を出せ、こういうふうなことに今後なって参ると思いますので、先ほど経理局長が申しましたごとく、二百一億というものは、この経費分担方式の適用されます前のものでございます。その経費を全部見積もったところが、グラントとして無償援助で二百一億くる、こういうことでありますので、さしあたり三十七年度分としての経費分担の対象は私はないと考えております。
  155. 山内広

    ○山内委員 ちょっとわからなくなったのですが、そうすると、二百一億の中には経費分担分も含むということですが、アメリカから援助された総額が一千億なら一千億円、そのうち二百一億分は無償で、あとの残りは経費分担としてお互いに分け合ってやるんだ、たとえば三、七の分担で、三は日本が持てといった場合に、七の部分を二百一億の中に含めて計算されたということなんですか。
  156. 海原治

    ○海原政府委員 私の説明不十分で申しわけございませんが、さらに例を引いて申し上げますと、経費分担方式というのは、一応向こうではお互いに金を出し合ってやろうじゃないかということで、そのことを単にコスト・シエアリングといっておるわけであります。法律的、事務的にこういうものを経費分担というふうに確定はいたしておりません。そこで、たとえば警備艦を作ります場合に、その装備品でございます大砲であるとか、あるいはエンジンの一部であるとか、あるいは潜航艇の場合には潜望鏡であるとか、そういうものは日本で作らないで向こうさんのものをもらうわけです。そうしますと、船自体をつかまえて言いますと、船は両方の金が出ておりますから経費分担ということになるわけでございますが、艦艇搭載装備品というものは、それ自体をグラント、無償援助としてもらっております。従いまして、それは二百一億の中の無償援助になっております。しかし、それは取りつけられる船もあわせて考えるというと、その船ができ上がるためには、日米双方が経費を分担してやっておる、こういう言い方になるわけであります。従って、繰り返して恐縮でございますが、二百一億の中には、先ほど申しましたようなナイキの一大隊用の装備品は、一応全部無償援助で参りますが、これが現実日本に配置されまして大隊としての任務が果たせるようになるためには、日本側でそこに基地を整備し、関連の車両等はこちらが用意するわけです。そういうことで、計画全体としますと、これは経費分担である、こういう取り方をしておるわけです。二次計画におきまして無償援助と経費分担と分けておりますのは、そういうふうに今申しましたようなことで区分をいたしておりますので、先ほど申しました三十七年度の無償援助の中に入ってきますものは、取りつけられる本体、あるいはそれか完全に動くようになります項目全体から見れば、経費分担方式でやっておる、こういうことになるわけであります。一つ御了解を願います。
  157. 山内広

    ○山内委員 私ののみ込みが憩いので、十分理解できないのですが、そうしますと、これもまたガリオア・エロアのような心配が出てきたわけです。たとえばここに十億の軍艦を作った、ところが、船体の方は日本の部分だが、それに取りつけた機械はアメリカの経費分担として入れてくれた。かりに十億の船ができた。そうしますと、これは無償貸与といえども、経費分担で言いますと、向こうの分は消してやってしまわぬと、日本に全所有権がない。さっき聞いたように、日本の財産として完全に全部あなたの方に十億自体が入ったのではないことになるでしょう。その辺の関係はどうなんですか。とりきめがしっかりしていて、もらったことにしていないと、今度時がたつと問題が起こるのではないか。その辺のとりきめは法的にはどうなっておりますか。
  158. 海原治

    ○海原政府委員 今先生のおっしゃいました例で申しますと、軍艦に取りつけます、たとえば五インチの大砲が日本政府に貸与されるものでありますと、その権限と申しますか、所有権の所属で問題が出る。しかし、現実には全部供与品でございます。従いまして、大砲をアメリカから無償援助でもらって、日本政府のものとなって、この日本で作った船に取りつけられるものでありますから、今おっしゃいましたような問題は生じてこない、このように考えております。かりにそれが貸与品でございますと、今後の扱いにつきまして、先ほど麻生参事官からも御説明いたしましたようなことで、その所属が最終的には問題になるということはあり得ますけれども、現在のところは、全部そういうものはそのものとしては供与されております。そういう御懸念はないと私は考えております。
  159. 山内広

    ○山内委員 これは、私も、あなた方の方と軍事顧問団との協定の中でやっている条約などももう少し勉強してから、お聞きして得心がいきたいと思います。所管外の大臣もお見えになっているようですから、きようはこれくらいにしまして、また……。      ————◇—————
  160. 中島茂喜

    中島委員長 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  161. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 郵政省設置法の一部を改正する法律案の質問をいたしたいと思うわけですが、時間の関係もございますので、私は、この法案の説明によってわかりにくい点、十分に説明しておらない点をあげて御質問を申し上げ、なお、明日には受田先生からそれぞれ疑問点についての質問をしていただくことになっておりますので、大筋だけを説明を伺いたいと思います。  まず、改正の第一点といたしましては、最近における人事、労務、給与その他の事務が、質的にも非常に膨大になって参りましたので、従来とって参りました官房の人事部を人事局といたしたいということでございます。  私ども考えてみますと、人事局を設置する必要はいつごろからできたかということが疑問であるわけです。その裏には、人事局というものを設置いたしました場合には、やはり労務対策というものが主になるのじゃないかという疑惑を持っておりますので、これの提案に至りました経緯をもう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
  162. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 先生の御質問にお答えいたします。  ここに書いてございますように、これをもう少し詳しく申し上げますと、公労法の適用がございまして、今までと違いまして、給与とか勤務時間というものを団体協約でやっていくというふうなことからして、そういう面の仕事が非常にふえて参ったわけでございます。これは二十八年以降でございますが、それからもう一つは、恩給の一部が共済組合の中に取り入れられまして、御承知のように、私の方は非常に人数が多いものでございますから、この仕事が非常に膨大になっておる。それから一般的に最近は郵便が非常にふえまして、その結果、不十分ではございますが、従来から定員がふえて参る。それから毎年相当物数の自然増もございますので、相当な人数を採用していくということから、そういう仕事が非常にふえて参った。それからまた、人がふえて参りますので、厚生関係、住宅とか、そういうような仕事もふえて参った。同じようなことからいたしまして、最近においては特に人間ドックと申しますか、成人病と申しますか、そういうような保健行政の方も質量ともに非常にふえて参ったわけでございます。こういうような関係で、今までは官房の中の部でございますが、おります人間が二百人をこえております。実質的には局といっても別に差しつかえないようなことになっておるわけでございます。そんなようなことからいたしまして、事実上局の形を備えておりますので、これを局にいたしていただきたい、こういうわけでございます。ちょっと申し上げますと、これはなるほど人事部が人事局になっておりますが、課の数も、あるいは人間の数もふえておらないわけでございます。そういうことにいたしまして、決して労務の強化とか、そういうことを考えているわけでは毛頭ございません。
  163. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 恩給が共済関係に移りかわったということにおいて、事務量がふえて参ったということは考えられますし、これからもふえていくと思うわけですが、ただ、役所の機構として——これは役所だけでなしに、民間企業においても、人事とか労務、給与というようなものは、総務とか庶務とかいうところに所属しておるんで、省においてはやはり官房に所属しておるというのが常であるわけです。従って、これを特に局を設置しなければならないということになりましたことは、単なる事務量の増加ということだけではないと思うので、先ほどもお話になりました公共企業体等労働関係法に基づいての交渉の当事者として、この局長が立たれるのか、そういうような点についても明確にしておきたいと思います。
  164. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 今お話のございました公労法の適用で、私の方の関係におきましても、団体交渉というものが非常にふえたわけであります。そういうことで協約等の事務が急増いたしまして、三十五年中の協約、協定の締結数が百四四件になっております。これは大体大きく分けますと、部長と審議官がございまして、ものの性質によりまして部長が全部立つわけじゃございませんけれども、大事な問題については、大体全部部長が交渉相手になっておるわけでございまして、そういうようなことで、非常に仕事がふえるにつれて、そういうような関係になっておる。それからあっせんとか調停、仲裁という仕事が非常にふえて参っておるということで、量的に仕事が非常にふえて参っておるというわけでございます。それで、なるほど仰せのように、総務部とか、あるいは庶務とかいう官房の中の一つの部という単位をなしておるわけでございますけれども、実質的にそういうふうに仕事がふえて参りますと、どうも官房の中の部という形では、実際と形とが相そぐわないというような形になって参っておりますので、局としていただきたいということをお願いいたしたわけでございます。
  165. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 郵政省ばかりでなく、国家公務員の場合には、やはりどこの省でも同じようなことが言えると思うのです。特にあなたの方で今度部を局に昇格させるという面については、ただ郵政省におけるところの事務だけでなしに、地方の局に対するところの労務関係の指示、その他そういうようなものに相当介入されることになると思うのですが、そういう点についてはどういうようなお考えを持っておられますか。
  166. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 これは今申し上げましたように、実質的に官房の中の部というよりも、人間の数も二百人をこえておりますというようなことからいたしまして、そのまま部が局になるのでありまして、先ほどちょっと付言いたしましたけれども、人間の数もあるいは課の数もふえない、部長さんが局長さんになるということでございますので、看板がそのまま変わるということでございまして、別にそういうことは考えておりません。
  167. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 地方の局に対しては、全然機構は変わらないのですか。
  168. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 全然変わりません。
  169. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、まあ、名称が変わるだけというような工合に受け取っておいてよろしいのですか。
  170. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 さようでございます。
  171. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣にお伺いいたしたいと思いますが、今川島行管の手元で、機構をいかにしたら近代的な機構にして能率を上げることができるだろうかということを検討されておるのですが、そういうさなかに、今度局の新設をされるのであるから、行管とのいろいろな打ち合わせというようなものもあったと思いますが、それほど必要を感じられて、この局の新設というものを行管から了解を得られたのか、そうした経緯を一つ話していただきたいと思います。
  172. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 現在の人事部というのは、実質的には局と同じでありまして、ただ官房長の下にいるという官制上の格好だけがありますので、いろいろなことを一応官房長の判をとり、それからというようなことで、むしろ事務の簡素化の反対の方向のようでございます。実際は人事部長がもうほとんど直接に次官に話をしたりしておるような状態でありますので、実はそういう格好をそのままに、官制の上でもそうしたい、その方がいいんじゃないか。それで、人事局というようなものを早くから置きたいと考えておったのですけれども、やはり局を作るのにはいろいろむずかしい問題やなんかがありまして、了解を得られなかったわけであります。今回川島さんに対しては、とにかく人件費が全体の事業費の八〇%を占めるような郵政省の立場においては、人事、つまり、人間関係ということが非常な重点であって、それが官房の一部という形よりも、局として独立をして、そうして経理局と同じように、各局の取りまとめをするというような立場のことも多いから、局にしていただきたいということを行政管理庁長官にお願いをいたしましたところが、行政管理庁長官は、他のいろいろなところで、そういう人の非常に多いところではみんな局になっておるという実情をお考え下さいまして、非常に快く御承認を得た次第であります。
  173. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今大臣からの御回答の中にもありましたように、現在のところでは、人件費も非常にかさんでおるし、人事局というものを設置して、十分に地方の局の機構も検討をしたり、また、事務分掌の内容も検討をしたりして、何とか人件費を減らすことも考えなくてはならぬというお考えも、一つの要素に入っておるようでございまするが、実際郵政省関係は、地方へ行きますと、定員不足で困っておるわけなんですが、こういう点については、省の方では逆の把握をされておるのじゃないかと思うのですが、その点のところを一つ伺いたいと思うのです。
  174. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 私ただいま申し上げましたのが、言葉が足りませんで、私の申し上げました道りに御了解願えなかったことは、非常に申しわけございませんが、人事局にして事務の能率化をはかって、そうして人をなるべく減らす方向で考えておるということは、私決して申しませんでした。むしろ私は、現在人的、物的施設がおくれておる事情をよく掌握いたしまして、人的、物的な施設というようなものを実態に追っつくようにしようということで、本年の予算においても非常に大きな定員の増加をお願いしておるようなわけでございまして、人事局を作ることによって人減らしをする種を探すなんという考え方は毛頭ございません。その点御了解を願いたいと思います。
  175. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣の回答の内容については了解をいたしまするが、官房の方にお伺いをいたしたいと思います。  今定員増を組合の方から要求をいたしており、今年は相当定員増も予算的に認められておるわけなんですが、組合の方から要求されておる人数と今度定員化する分との差はまだどのくらいあるかということをお伺いしたい。
  176. 土生滋久

    ○土生説明員 昨年の年末に全逓が要求いたしました増員数は三万九千三百九十三人、約四万人近いのでありますが、その説明を聞きますと、たとえば臨時雇いといいますか、非常勤職員をも定員化する、あるいは超過勤務をあまりやらないで、それも定員でやるというような趣旨のものもかなり入っていたわけであります。省といたしましては、御承知のように、新年度において約一万五千名の定員増を成立さしていただいておるのでございますが、組合の四万人と一万五千人というその差だけを見ますと、相当大きな差があるようでございますが、別に省の予算といたしまして、やはり必要な非常勤職員の賃金予算、すなわち、組合が定員で処理したいと考えておりましたものに見合う労働力として、非常勤職員の予算も約十二億円ありますし、超過勤務手当も前年通りの実積によって予算化されておりますので、それらの点をいろいは換算いたしますと、組合の当初要求いたしました約四万人に近い定員要求と、今年度予算におきまして実現されましたところの本定員一万五千人プラス非常職員賃金プラス超過勤務手当というものを労働力に換算いたしましたものとの間には、正確な数字は私ここでちょっと存じておりませんけれども、大ざっぱにいって、そう大きな差はないのではなかろうか。従って、組合の方といたしましても、省の今年度の措置についてはあまり大きな不満は持っておらないようにも私どもは感じておる次第であります。
  177. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 失礼でございますが、人事の関係はあなたが専門でございますか。
  178. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 人事部の審議官でございます。
  179. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それではこまかいことを聞いてもよろしいですか。お答えできますか。
  180. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 手元に資料を持ち合わせてないものについてはあとで差し上げるというようなことで、審議官でありますので、先生の御期待に沿えるかどうかはわかりませんが、できるだけお答えいたします。
  181. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ちょっとえら過ぎてわかりにくい点があるかもわかりませんが、今各省とも臨時職員の定員化がなされて、本省においては全く少なくなっておるわけです。ところが、各省とも地方へ行きますと、非常に臨職が多いわけです。それで、この臨時職員の場合でも、日々の業務に差があったり、そうしてまた、局の方でございますと、年末のような、ああいう月を限っての繁忙期の場合の臨時は別といたしましても、常時使用するところの臨時というものは、一定の期間をとってこれを定員化していかなくてはならぬと思うのですが、こういう点に対する基本的な考え方をまず承りたいと思います。
  182. 土生滋久

    ○土生説明員 臨時職員、すなわち、私どもの方で従来申しておりました非常勤職員でありますが、昨年までに、この中にいわゆる長期を目的として採用するものが相当おったのであります。すなわち、たとえば物量がふえたために、まだ本定員は予算の関係でとれていない、年度において定員を要求するといたしましても、その当初の年度におきましては、とりあえず非常勤職員で物量に見合う処理をしておる、あるいはまた大きな職場におきましては、年次休暇者のあと補充のために、ほとんど常時何がしかの人を使っていかなくてはならない、そういうような関係で、常時特定の人を固定して使う、そういうような非常勤職員もかなりおったのでありますが、新年度からは、そういった常時使用する、いわゆる長期に使用する目的の非常動職員というものは、それは全部定員化する。ただ、例外的に厚生施設関係の、たとえば保養所だとか、あるいは職員の合宿の寮だとか、そういうごく少数のものだけは置いてありますが、事業定員というものは、全部本定員でまかなうということで予算を計上いたしまして、幸いにしてそれが認められましたので、新年度からは臨時職員、すなわち、非常勤職員として採用する者は、先ほどお話がありましたように、年末だとか暑中の一時的な事務繁忙、あるいは雪害地における冬季の季節的な増員のために使用する何カ月かの一定期間を区切って使用する者、あるいはまた一時的に病気で休む人がおったり、あるいはまた年次休暇も、小さな職場では常時一名以上の人を配置するだけのあと補充をしておりませんから、そういう小さな職場における年次休暇をとった者のあと補充というようなそういうものに限っていわゆる臨時雇のような非常勤職員を使用するということになりましたので、先ほどお話になりましたような長期的なものにつきましては、ほとんど新年度からはなくなったということを申し上げてもよかろうかと思っております。ただ、若干例外がありますのは、たとえば組合の専従者のあと補充というようなものについては、これは定員化できなかったわけでございます。組合の専従者は定員を食っておりますので、そのあと補充のためにもう一人とるということはできなかったわけであります。組合専従者は最低一年くらいは休みますので、そのかわりの人を採用する場合においては、臨時雇という形式で採用いたしましても、事実上長く使う、こういうよケースが出てくるわけなであります。これが全国で三百何十名くらいあるわけでありますが、こういった特殊なものについて今後どうするかということについては、なお研究しておるわけでありますが、一般的には、先ほど申しましたように、一時的な欠員補充要員としての臨時雇ということになろうかと存じております。
  183. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 年末の繁忙期の場合のいうゆるアルバイトと申しますか、そういう人たちの場合は別といたしまして、季節的に雇う非常勤職員の場合には、これはどの程度あるのですか。雪のために能率が上がらぬということから定員をふやす場合があると思いますが、こういう程度のことであろうと思うのですが、大体そういう員数はどの程度でございますか。
  184. 土生滋久

    ○土生説明員 実人員数は、今最近のものを把握しておりませんが、予算といたしましては、そういう雪害地の季節増員といいますか、自転車に乗れないために集配員の数をふやすとかいうような関係で、増援のいめに冬場に特に非常勤職員の予算として流しておりますのは、約七、八千万円程度だと記憶しております。それを地方におきましては、特定の人を四カ月なら四カ月、三カ月なら三カ月きっちり区切って人を雇う場合と、それをある程度くずしまして、一般の勤務補充等々と込みにいたしまして、臨時雇という形で処理する場合とありますので、その中で特定の人をきちんと数カ月間区切って採用するのは何名くらいかということは、今残念ながら正確な資料を持ち合わせておらないのであります。
  185. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 非常勤職員の季節的な方は、大体どの程度のものを季節的な非常勤職員と名づけておられるのですか、三カ月とか四カ月とかあると思いますが……。
  186. 土生滋久

    ○土生説明員 普通四カ月くらいの者が一番多いのでありまが、例外的にあるいは五カ月くらいの者もあり得るわけでありますし、三カ月くらいのところもかなりあるように存じております。
  187. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きょうは資料をお持ちにならないので、それ以上お聞きすることはできませんが、先ほど私が質問申し上げました、いわゆる季節的な常勤職員の数がどの程度なるかということは、日をかえて次の質問の日にまたお伺いをいたしたいと思いますので、この点は、一つ数字を準備しておいていただきたいと思います。  それから組合の方から要求しておりまする数字と、本年定員化しておると言われておる数字の差が相当多いわけですが、組合の方から要求しておりますのは、季節的な非常勤職員も含まっておるのか、あるいは年末年始の繁忙期のアルバイトに類する非常勤職員も含まっておるのか、この点も含まっておるのか、この点も明確にしていただきたいと思います。
  188. 土生滋久

    ○土生説明員 昨年末に組合要求いたしました約四万人近い定員増の中には、今お話しになりました季節的職員でありますとか、年末繁忙というようなものは入っておらないと承知しております。
  189. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうなりますると、基本的なお考え方としましては、常勤職員は定員化していくという考え方でございまするので、あと残りの数は明年度の予算ということになるのか、それとも、一年では少しえらいから、二年計画とか、何かいろいろと御計画があると思いまするが、そういう点についてもお示しを願いたいと思います。
  190. 土生滋久

    ○土生説明員 先ほどの御説明があるいは不十分であったかと思いますが、組合の要求しておる約四百人と、省の方で算定いたしました一万五千人との差は、先ほど申しましたように、非常勤というものを平常時においては全然使わない、つまり、暑中とか年末繁忙以外には使わないで、それを定員で仕事をするということと、それから超過勤務もやらないということを前提としておるわけであります。ところが、私どもの予算ではやはり先ほど言いましたように、臨時に欠員のあと補充でありますとか、あるいは必要によって、それぞれの仕事の物量は振幅性がありますので、それを処理するために超過勤務をやってもらうということについては、従来通りその方の予算の裏づけをしておりますので、組合の要求する定員に実質的には労働力としては見合うものであります。それを考えますと、私どもの方といたしましては、それでも、換算すれば組合の四万人との間にある程度の差があるかと思いますけれども、現状におきましては、一応労働力といたしましては、おおむね適正なものだけが確保していける、従いまして、お話にありましたように、足りないものを将来に向かって云々というようなことは考えていない次第であります。
  191. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 組合から直接私聞いておりませんので明確なことは申し上げられませんが、職務によっては、人をたくさん並べておいても時間内に仕事のできぬ職務についての超過勤務ということは、おそらく組合の方でも、それを延べ人数に申し込んでおるというようなことはないと思うのです。ただ、常時必要とする定員数に欠けておる分を定員化してほしいというのが要求であろうと思うのです。四万人に対する一万五千では、二万五千の差がございますので、公務員の場合には、労働基準法即適用ということにはなっておりませんけれども、一つの日本の労使管理のあり方としては、常時必要とする人たちを臨時で雇う月数、これはやはり一定の基準があるわけなんです。従って、そういうことから、常時必要とする定員については、常勤職員の方々を定員化してもらわなくてはならないと思うので、ただいま申しましたように、職務によってどうしても超過勤をとやらなければならない人の場合は別といたしましても、常時必要とする人たちが非常勤職員として二万五千名もまだおるとするならば、これはやはり一年なり二年なりの計画を立てていただいて、定員化していただかなければならないと思うのです。その辺のところが、私の考えておることとあなたのお考えになっておられることとちょっと相違があると思うのですが、これはやはり雇用条件として日本では一つのケースがあるわけなんですから、それに乗せていただかなくてはならないと思うのです。そういう面から、あとの残りの定員化というものに対してどういうような計画をお持ちになっておられるか。持っおられなければ、今後どういうような考え方で進められようとされておるか、この点もやはりはっきりしておいていただきたいと思いますと。
  192. 土生滋久

    ○土生説明員 組合の四万人の要求の説明を伺いますと、その根拠につきましては不明な点が非常に多いのでありまして、私どもといたしましては、定員としてではなくて、かりに労働力といたしましても、その数字そのものについては非常に大きな疑問を持っていたわけであります。従いまして、省といたしましては、省の独自の判断によって必要な定員と、なお必要な臨時雇の賃金あるいは超過勤務の予算というものを計算いたしまして、これを確保することによりまして、先ほど申しましたように、一応現状におきましては事業要員の問題につきましては、労働力といたしましても解決しておるというふうに私どもは考えておる次第であります。
  193. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 まだその辺のところがはっきりしないのですが、この二万五千名という人たちは、繁忙期のいわゆるアルバイトに該当する人でもなし、それから冬場に必要である季節的な非常勤職員でもない、こういうことははっきりしておるのですか。
  194. 土生滋久

    ○土生説明員 暑中、年末繁忙のようなときのアルバイトは入っておりませんし、またお示しの冬場に使う季節的要員も入っていないということについてはっきりしております。
  195. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますと、この二万五千名という人は、常時必要とする常勤職員ということになりますので、これはやはり計画を立てて定員化をしてもらわなければならぬわけなんです。ただ、そこで、お答えの中に、二万五千名の中にはいろいろと疑問もあるし云々というお言葉もございましたが、やはり省の方で見られた場合には、そういう疑問点もあるかもしれませんけれども、そういう疑問点については何か御調査をなさったのか、これからやろうというお考えであるのか、その点のところも伺っておきたいと思います。
  196. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 私からお答えしますが、昨年の四万人増員要求については、積算の根拠を示してほしいということを私から組合に要求いたしましたけれども、積算の根拠はついに説明が出ませんでした。そして、大体郵政省の方で今まできめられているところのサービスを完全に実施する、超過勤務はしない、いわゆる常勤的非常勤というような、つまり、長く一人の人が非常勤職員、臨時雇として存在するのを一切なくす、そういうようなことを前提として、各局から要求してきた数字を積算したものが四万人になるのだ、こういう説明にとどまりまして、結局この四万人というものを分析して詰めるという方法が実はなかったのです。そこで、せっかくの御質問でございますけれども、この四万人というものの積算の基礎を今後さらに詰めていくかどうかということについては、現在のところは、私はそうは考えておりません。私の方で事務量、たとえば従来二回配達しておったところで、戦後いろいろな関係で一回になっている部分がある、それを二回の配達にするということを前提にすれば幾人要るかとか、それから貯金をこれだけ集めるためには幾人要るかという、仮定の数字も入っておる数字であって四万人と二万五千人とをそのまま対等で比べて差し引き計算するには適当でない数字なんです。それで、今のところ、一万五千人というのは、郵便物の物量の増加等に応じて労働力がどのくらい必要になるかということを計算をして積算をした数字でございまして、それと先ほど申しました賃金ベースの方と合わせて労働力を確保していこうという計画でございまして、今後郵便物数がさらにふえてくる状態が起こる、あるいは現行のサービスをさらに拡大して、二回配達、三回配達というようなものをもっともっと積極的に実行するということになれば、人はよけい要ってくる計算になります。そういうことについては、全体のサービスの形等を考えて、それから全体の労働事情も考えていたずらに定員をふやしても、現実に応募者がないという状態でも非常に困りますのでそこら辺を勘案しつつ、サービスの内容とも関連して、定員の問題をこれから考えていく、こういう方針でおります。
  197. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 理論的な積算基礎数字の出し方については、私、学校の先生の場合を岐阜県の方でやってみたことがありますが、やはり数字の出し方によって出てきたものが違うのですね。そういうことから、今あなたの方でお出しになっておる出し方は、どういうようなものを基礎においてお出しになっておられるのか、この点を伺いたいと思うのです。もし具体的な面がきょうお答えできなければ、また明日他の方からこういう点を明確にしていただきたいと思いますので、わかりましたら一つお示しをいただきたいと思います。
  198. 土生滋久

    ○土生説明員 細目につきましては、関係事業局の方でやっておりますので、私からは大筋的なことだけを申しますと、今度の定員化いたしましたのは、まず、従来、先ほど申しましたように、長期雇の非常勤職員という形で使っておりましたのを本定員化するということが一つあります。それから新年度において事務量が増加するということに対応する定員の増という要素もあります。それから従来臨事雇ということで補充しておりました年次休暇のあと補充を本定員でやるという、いわゆる予備定員制をしくという関係から本定員をふやすという要素、大体この三種類の要素に分類できるのではなかろうかと存じておる次第でありますが、なお、こまかい内訳につきましては、本日資料もございませんので、明日でもまた関係当局の方から資料について御説明申し上げます。
  199. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 まだ本日は資料も十分でないようでございますし、ただいま私が質問申し上げましたこの内容は、やはり本案を審議するに重要な問題でございまますので、相当この面で質疑応答が続けられようと私は思うわけなんです。従って、そういう面から、当局の方でも十分に資料を整えてきていただいて、そして十分に審議のできるような準備態勢のもとに、次の質問に答えていただくようにお願いをいたしたいと思います。  きょうは時間もおそくなりましたので、これで質問をやめておきます。
  200. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 了承いたしました。
  201. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十七日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時六分散会