運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-24 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十四日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 山内  広君       小笠 公韶君    辻  寛一君       藤原 節夫君    保科善四郎君       緒方 孝男君    大柴 滋夫君       田口 誠治君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛政務次官  笹本 一雄君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         調達庁次長   眞子 傳次君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 高野藤吉郎君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月二十四日  委員前田正男君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として増田甲子七君及び大柴滋夫君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員増田甲子七君及び大柴滋夫辞任につき、  その補欠として前田正男君及び柳田秀一君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣  提出第八七号)     ────◇─────
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内容を個々にお聞きする前に、お尋ねをいたしたいと思いますることは、昨年の三十八国会通過を見ました防衛二法による部隊編成状況進捗状況、それに防衛二法によるところの計画内容進捗状況、こういう質問をしていく過程において、時間を見合わせて、今地元で問題になっておりまする日野の射撃場の問題をきょう主として御質問をいたしたいと思うのです。総理に対して御質問申し上げることやら、また、おそらくきょう与えられた時間には質問を終わることができないと思いますので、残りの分は後日に保留をしていくという考え方で進めていきたいと思いますから、なるべく答弁の方で時間をかけないようにお願いをいたしたいと思います。  第一に、お聞きをいたしたいと思いますることは、三十八国会通過を見ました防衛二法によるところの部隊編成、十三個師団編成がえをするという点、これの陸海空を含めて進捗状況をまずお聞きしたいと思います。
  4. 海原治

    海原政府委員 ただいま御質問がございました陸海空自衛隊部隊編成状況でありますが、陸上自衛隊につきましては、御存じのように、十三個師団への改編というのは、昨年度と今年度二カ年にわたりまして実施いたしました。これは予定通り進捗いたしております。十三個師団のうち、三十六年度におきましては八個師団改編を実施いたしまして、三十七年度において四個師団、このほかに例の第七混成団機械化、これを含めまして合計十三個師団編成を完了するわけであります。ナイキ大隊につきましては、この秋、現在アメリカ教育しております要員が帰って参りましてから、一個大隊編成いたします。これが陸上自衛隊につきましてのおもな部隊であります。  さらに、海上自衛隊につきましては、本年度第四航空群というものを新たに編成するわけであります。これは現在御審議を願っております法案によりまして、下総に飛行場ができますのを機会に、従来ございました海上自衛隊航空部隊関係の再編成で、新たに第四航空群編成する、そのほかに小さな部隊といたしましては、第一潜水隊というものを編成することを考えております。  さらに、航空自衛隊につきましては、三十六年度におきまして法案予定いたしました方面航空隊一つ編成いたしましたが、そのほかに三十七年度におきましては、F104Jによりますところの飛行隊の新編を考えております。これは第二次整備計画におきましては、一応二飛行隊予定いたしておりましたが、その後教育関係あるいはパイロット、整備員等の出て参りますアウトプットの状況等から考えまして、当初二次計画予定しておりました二飛行隊を一飛行隊に縮小いたしまして、その時期は現在まだ検討中でありますが、この秋あるいは来年の春ごろに一飛行隊編成して、千歳に配置するということで検討いたしております。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは全く計画通りであるのか、計画よりどれだけ足らぬ面があるのか、ちょっとその辺を……。
  6. 海原治

    海原政府委員 一般的に申し上げますと、航空自衛隊部隊編成が、ただいま申しましたように、計画よりおくれております。具体的には二飛行隊考えておりましたのが、一飛行隊にとどまることに相なりますが、それ以外の陸海の部隊につきましては、予定通りに進捗いたしております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 航空隊予定通りいかなかったという面はいつ追いつくのですか。
  8. 海原治

    海原政府委員 先生も御承知ように、第二次計画というものは、一応本年度から五カ年の計画でございます。従いまして、私どもが現在検討しておる過程で申し上げますと、現在のおくれは、三十八年度ころにおいて回復できるのではないかという見込みであります。ただし、これにつきましては、特に104関係部隊編成要員教育は全く新しいことでございますので、あるいは現在私ども考えておりますより若干その進度がおくれるということはあり得るかと考えております。ただいまのところでは、一応三十八年度中には現在のおくれは取り返せるのではないかという見込みであります。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛二法のときに定員増決定になりましたが、おそらくこの面についても不足しておると思いますが、この実態陸海空に分けてお話し願いたいと思います。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知ように、現在自衛隊自衛官定員に満たない面が相当あるわけでございますが、昨年御審議をいただいた増員の関係のうち、海と空については、大体所要の数量を満たしておると思います。正確な数字が御必要でしたらあとで申し上げますが、ただ、陸については、御承知よう状態で、必ずしも十分でないということは申し上げ得ると思います。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとその数字をお願いしたいと思います。
  12. 小野裕

    小野政府委員 これは三月末の概数見込みでございますが、海におきましては、欠員が約六百ございまして、充足率九八までいっております。空におきましては、欠員が約三千でございまして、九四、五%になっておりまして、大体予定数字に達しております。陸の方は、欠員が約二方九千でございまして、充足率は八三でございます。予定ではもう少し期待しておったのでありますが、数%下回っておる状態であります。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 年々定員増法案が出されて決定になっていくのですが、その実態を見ますと、やはり充足するということが毎年困難になっておる。こういうよう実態の上に立って、昨年から今年にかけてどういうような手を打っておられるか、それを承りたいと思います。
  14. 小野裕

    小野政府委員 隊員充足、増加のためにいろいろ考えて参ったのでありますが、一つは、何と申しましても除隊者除隊の防止といいますか、適当な時期に除隊することは当然でありますけれども、あまりに早く除隊することを防止する手段を講じたい。この点につきましては、必ずしも十分なことができておりませんけれども、隊内におけるいろいろな環境を改善するというようなこと、これには、一つは施設あるいは厚生という面もございますが、あるいはまた隊内にとどまりまして将来への希望を持つというような点から、あるいはそれぞれ特殊な技能を与える訓練を強化するとか、あるいは相当期間勤めました者についての就職あっせんについての有力な方途を講ずるとか、あるいは一般隊員で入りました者が、将来曹でありますとか、あるいは下級幹部、こういう方へ昇進するめんどうをよけい見る、つまり、曹のワクをふやすとか、あるいはその比率をふやすとか、そういうようなことによりまして、比較的安定した気持で長期勤続できるよう体制を作る。この点で早期除隊——大体任期二年の場合でしたら、四年やってもらえば、そのあと十分めんどうを見る、あるいはそれ以上勤める人は、いわゆる曹であります下士官に昇進をさせるというよう方法を講じ、この辺で継続勤務意欲を高めるという施策をとって参りました。  反面、募集関係でございますが、募集の点につきましては、主として事務的、技術的な面でありますけれども、常時試験をする、また常時入隊をさせる。このことは、従来の募集方法では、三カ月を一期といたしまして、年四回にわたって試験をやり、四回に分けてそれぞれ入隊をさせるというよう方法をとっておりましたために、せっかく志願者がありましても、あるいは合格者がありましても、入隊までの時期のずれがありましたために、最後に残る者が大きく減ったわけであります。そういう点の改善をいたしまして、常時募集、常時試験、常時入隊——常時といいましても、月に二回くらいに分けまして、もよりの部隊に入れるという方法を講じまして、その結果、歩どまりと申しますか、合格いたしました者の入隊する割合が高まって参りました。そういうような形で、一方では除隊を少なくする、また一方では入隊を多くするという努力をして参りました。それに加えまして、最近の経済事情といいますか、最近、特に三十六年度の下半期におきましては、大体横ばいの状態で、大差なく推移しておるという状況であります。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、隘路というものはどういうところにあるかということと、これに対する対策をどう今後立てられて進められようとするか。それから自衛官になり手が少ないということは、心身とも労働強化待遇が悪いということに原因があるのか、それとも、自衛隊そのもの国民が魅力を失っておるのか、きらっておるのか、これは何か原因があると思うのですが、そういうような点の分析の上に立っておそらく対策は立てられておると思うので、そういうような点についても、今後の進め方について御説明をいただきたいと思います。
  16. 小野裕

    小野政府委員 ただいまお尋ねの点は、非常にむずかしい問題でございますが、私から申し上げるのもあるいはいかがかと思う点もございますけれども、根本問題は、何と申しましても自衛隊に対する国民理解、信頼、進んで大命に従うという意欲を若い方に持っていただくということが根本でございます。この点につきましては、いろいろ御意見のある点もございますけれども一般国民方々理解を深めてきていただいておると考えるのであります。その点につきましては、たとえば志願者でございますが、いろいろと事情お話しいたしますと、志願者は相当数あるわけでございまして、三十六年度におきましては、入隊いたしました者は陸海空を通じまして三万一千でございますが、志願されました方は二十万になっておるわけでございます。この数字は、一年前の三十五年度と比べますならば、ずいぶん入隊者ともふえておりますし、また志願者もふえておるわけでございまして、よく事情を知っていただければ、そういう点については問題は少ないのじゃないかと考えるのでございます。むしろ現実の問題としては、自衛隊隊員、特に一般隊員勤務というものが、二年ないし三年という一任期を更新しながら勤めていただくわけであります。十八才から二十五才まで入隊できるわけでありますが、そういう若い大事な時代に自衛隊に入りまして、心身を鍛え、また、いろいろな技術を覚えるわけであります。その人にとっては決してマイナスではないと確信をいたしております。しかしながら、それから引き続き任期制でない末長く勤まる階級と申しますか、ポストといいますか、幹部あるいは曹に昇進いたします者は、それから二十年なり三十年なり、一生の仕事として御漁公できるのでありますが、そうない、むしろ多数の隊員諸君は、大体二年の任期、三年の任期、それを更新しまして、四年なり五年なりの任期除隊をされるわけであります。除隊をいたしましたときに、社会的な別な職業につくわけでありますが、そのつくための事情はどうであるか、ここに一つの問題があると思うのであります。高等学校を出られまして、それから四、五年というものを自衛隊隊務に精励をいたしまして、二十四、五という年に除隊をするわけであります。その場合、社会に出ますときに、ただいままでの状況では必ずしもいい条件で第二の——第二と申しますか、あるいはその人の一生のほんとうの仕事に切りかえる、その切りかえが必ずしもうまくいっていなかったということが、一つ隊員としてのさびしさであろうかと思うのであります。そういう意味において、自衛隊の三年なり五年なり、そういう生活のあと、必ず一生の人生行路にスタートさせられるよう条件を作ってあげるということ、これが大事なことではないかと考えております。  もう一つは、今の上級の地位につきます者が、それぞれ停年が四十幾つという停年でございます。二十年、三十年勤まるわけでございますが、その道に乗れるワクを広げてやること、つまり、昇進余地を多くするというような、安定して勤務できる、これはやめるという場合でなくて、残って働く場合に、張り合いを持って働けるよう条件を作ってあげる、このことが大事なことではないかと思うのであります。  なお、当面の問題といたしましては、待遇のことにつきましてお話がございましたが、そういう問題もあろうかと思います。若いうちに、将来の計画のまだ十分に立たない方がこれからの職場を選ぶ場合に、やはり当面の条件のいいところへ行こうというのは、これは当然でありまして、そういう意味において、現在の自衛隊隊員給与状況待遇状況というものはこれでいいのかどうかということにつきましては、いろいろ問題があるわけでありまして、私どもは私どもなりに考えもございますが、いろいろと検討をし、またそれに応じて関係当局とも御相談はいたしておるのであります。まだ必ずしも理想的な状態だとは考えておりません。そういうことであります。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣にお聞きしたいのですが、任期のあるということは、もう今さら言わなくてもわかっておるわけです。それから年々定員不足ということも、これもはっきりしておるわけなんです。こういうことになりますと、これはずっと以前からのことを考えてみますと、御承知通り昭和二十五年の八月に七万五千で警察予備隊ができ、二十七年の十月には保安隊に改称されて十一万余名になり、それから二十九年の六月には十五万二千余名で自衛隊ということに改称して、そして今年では二十七万余にするということになっておるのですが、こういうようにだんだんと防衛庁防衛力拡充強化されようとする場合には、要員を確保するには、任期というものの現任の期間が正しいかどうかということも検討しなくてはならないと思うし、それから場合によりましては、これはちょっと進んだ話になりまするけれども、一昨年新安保条約が締結されて、日米共同防衛という形の上に立って第二次防衛計画が立てられ、これが終了いたしますると、第三次の防衛計画が立てられるわけなんです。そうしますると、計画は立てても、実際に要員が確保できない、予算の面が確保できないというようなことも、これはあり得ると思うのです。それで、今日出されておる設置法改正内容を見ますると、やはり一元的な指導行政をするという面が大きく出ておるわけなんです。こういうところから察知いたしますると、将来は今の防衛庁を省に昇格をして、そして防衛力拡充強化をはかり、アメリカとの共同防衛の責任を果たさねばならないというように追い込まれてくると思うのです。従って、こういうことから将来の省の設置というようなことのお考え方、これをまずお聞きしたいのと、それから今要員不足であるという面を解消するための方法として、局長から今お話しになった程度のことでは、これは解決しないと思うので、場合によってはその任期というものに手直しをしなくてはならないかもわかりませんし、国民は反対をしておりまするけれども、よくいわれておるところの、憲法九条を改正をして、そうして日本にも軍隊が持てるのだという形の上に立って、徴兵制度というようなものを考えなくてはならないというような羽目に追い込まれるのではないかという危惧がされるわけなんです。こういうようなことについても、将来のことを構想してどういうようにお考えになっておるか、防衛庁長官からその辺のところを明確にしておいていただきたいと思います。
  18. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 第一に、省に昇格の問題でございますが、現在の防衛庁内容等から考えますると、他の省と同様、省にするよう内容を持っておるものとは考えます。また、私どもとしましては、何とかそういう方向考えたいと思いますが、しかしながら、この省にいたしますという問題については、十分各方面の御意見も伺わなければなりません。現在直ちにこれをやるやらないということをここで申し上げることは差し控えますが、そういう方向研究はいたしたいと存じております。  また、隊員募集がなかなか困難であることにつきまして、いろいろな対策は、先ほど人事局長からもお答え申し上げましたが、私は、こういういろいろな方策をきめこまかくやって参りますならば、現在予定いたしておる程度要員というものは徐々に充実できるのではないか、また、そうしていくことを考えておるわけでございます。自衛隊の、ことに第一線の性格からいたしまして、ある程度士のクラスにおきましてはある年限で更新していくということが、その性格上必要であろうと思います。従いまして、任期につきまして、現在の二年あるいは三年というものが妥当かどうかということの検討余地はあると思います。しかし、こういう点は、やはりある種の任期を必要とするのではないかと考えております。何と申しましても、一面において経済の発達による若年労働者不足というような問題と競合いたすので、将来ともなかなか困難ではあろうかと思いますが、しかし、先ほど人事局長からもお答え申し上げましたように、十分自衛隊性格等も御認識をいただき、さらにまた、入った者が除隊後新たな人生を有利にスタートできるよう方途を、現在使用者側と申しますか、経営者側とも相談をいたしておるわけでございますが、そういうことがあれば、若い方々が一たん自衛隊に入って、さらにその上で人生のスタートをするというよう方向に持っていけると考えております。従いまして、こういう施策——どうも万能薬はございませんけれども、いろいろな施策を講ずることによって確保する。また、御承知ように、世界の他の国におきましても、こういう志願制度において相当な要員を確保している実例等もございます。こういう面も十分研究をいたして、対策を講じて参りたい。従って、徴兵というような問題は、もちろん憲法その他の問題もございますが、私どもは、そういう徴兵制度というようなものを採用しないでも、現在われわれが考えておりまする要員というものは、今後努力いかんによって確保できるのではないかと思っておる次第でございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 政府としては、経済成長十カ年計画が立てられて、徐々にこれが進められ、成果が上がっておるわけなんです。この計画成果を上げると、その反面には、自衛隊隊員募集ということについては、非常に困難性が出てくるわけなんです。そうなりますると、別段任期を変える必要もない、徴兵制度をしく考えもないと言われてみても、やりようによっては定員を確保することができるのだと言われましても、何か具体的ないい名案でもなかったら、私はできないと思うのです。そういうことになりますと、必然的に憲法の九条を改正して、軍隊というものを認めさせて、そして徴兵制度というようなところまで進んでいかなくては、アメリカにこたえるところの共同防衛体制を作ることができぬのじゃないかという憂いを持つわけです。そうい5点から、ただいまの御答弁では、やりようによってはできるとお話しですけれども、そのやりようを承りたいと思うのです。私はちょっとないと思うのです。その辺どうなんですか。
  20. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど人事局長もお答え申し上げたように、三十五年度に比べまして、三十六年度は、むしろ上昇と申しますか、やや好転のきざしを見出しておるわけであります。これはもちろんいろいろな要因もあろうかと思いますが、先ほど来お答えしているよう方策の一部が効果を持ってきたとも見られると思うのでございます。御質問ように、なるほど、経済成長に伴いまして、特に青少年の労働力というものと自衛官競合というものはあり得るわけであります。しかしながら、一方におきまして、先ほど申しましたように、一たん自衛隊に入り、そうした上でさらに職場につくよう制度を確立し、経営者理解を得ていくならば、そういう点の競合は、ある程度時期的にずらすという問題も考えられるわけでありますので、現在やっておりますよう方途をいろいろと重複してやって参りますならば、一足飛びにもうこれで志願制度というものは限界にきたんだという結論にはならないと考えておるわけであります。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 昨年の募集方法は従来と変わっておりました。従って、幾分成果は従来と比較をすれば上がっておると思うのです。ところが、私が考えまするに、警察予備隊から今日まで、ずっと日本防衛力を増強してきた経過からいきますと、第二次防衛計画が終わったときには、第三次防衛計画には相当思い切った計画計画されるんじゃないか、こういうように予想できるので、そういう予想の上に立ってこの定員の問題を考えますると、ただいま御質問申し上げましたよう危惧があるので、お聞きしたのですが、大体第三次の防衛計画は、質的に、また近代的に切りかえることにおいて、この定員とかあるいは隊の編成がえということはおよそしなくともでき得るという判断があるのかどうかということを承りたいと思います。これはちょっと先のことで、むずかしい質問かもわかりませんけれども、おそらく長官のところでは、少なくともここ十年先の日本防衛については構想を持っておられると思うので、そういう点の御構想も承っておきたいと思います。
  22. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 第三次防衛計画がどういうことになりますか、まだ具体的な問題を考えておりませんが、御指摘のように、いずれにいたしましても、質的な向上と申しますか、装備近代化あるいは能率化というものを中心に考えることは、当然のことであります。第二次防衛計画におきましても、御承知ように、陸におきましては、現在十七万一千五百人という定員を第四年度までは踏襲いたしまして、最終年度の第五年度にそれを十八万にふやすという計画を持っているようなことでございます。そうしてでき上がりました骨幹をさらに近代化していく、能率化していくということが、おそらく第三次防衛計画の中心に相なるかと存じます。全然隊の編成その他に手をつけないかと仰せられますと、必ずしもそうとは言えませんけれども、重点は、そうした近代化、質の向上、内容の充実ということを重点にいたして考えることに相なると思っております。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 言葉のニュアンスもございまするが、防衛省に昇格するという考え方は、そういうよう昇格をしたいという構想は持っておるけれども、今のところでは、周囲のいろいろな状況からそれまでには立ち行っていない、こういう受け取り方をしておいてよろしいのですか。
  24. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 十分各方面の御意見を承りながら考えて参りたいというふうにお受け取りいただいてけっこうです。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 省と庁との場合、これは実際日本防衛力という面について相当相違が出てくるのですか。
  26. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 防衛力そのものに、庁であろうが省であろうが、影響はないと思います。ただ、現在の防衛庁の人的構成あるいはその他からいって、各省と同じよう内容になっておるので、省としてはどうかというふうに考えるということでございまして、防衛力そのものに、庁であると省であるとによって変わりがあるということではございません。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの日本経済成長十カ年計画要員確保という問題については、先ほど来質問申し上げました点がどうも明確にならないので、この点は、池田総理のお考えもお聞きしなくてはならない点もありまするので、本日はこれ以上お聞きはいたしません。  そこで、部隊編成がえを行なったのですが、当面ミサイル化する師団はどことどこ、それからどの師団へは何を備えるか、その計画をお聞かせ願いたいと思います。
  28. 海原治

    海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたミサイル化という言葉でございますが、私ども第二次計画考えておりますミサイルを持った部隊といたしましては、先般も御説明いたしましたが、ナイキの二個大隊、ホークの二個大隊ということが一応現在考えられております。そのほかに、対戦車誘導弾といたしまして、いわゆる有線で誘導いたします戦車攻撃のための近距離誘導弾がございます。これにつきましては、現在研究開発を重ねておる状況でございまして、これが予想通り成果をあげました場合におきましては、この装備を持ちました対戦車中隊程度のものを、各師団にある程度の数配当するということを一応計画としては考えておりますが、これ以上には具体的にミサイルを装備した部隊考えておりません。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 それはどことどこの部隊に配置するのですか。
  30. 海原治

    海原政府委員 対戦車誘導弾の部隊は、各師団にそれぞれ一個中隊程度のものを持たすことを考えております。  なお、申し忘れましたが、そのほかに、従来持っておりました、ミサイルといたしましては、空対空のサイドワインダー、あるいは海上自衛隊におきましては、御存じのターター、こういうものを装備した船がございます。新しいものといたしましては、先ほど私が申し上げたものだけでございます。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとあとのところを聞き漏らしたのですが、新しいナイキについてはどことどこですか。
  32. 海原治

    海原政府委員 地対空の誘導弾でございますが、ナイキ二個大隊は、それぞれただいまのところでは独立の大隊として編成いたしまして、これの指揮系統につきましては、おそらく中央直轄であるか、あるいは方面隊直轄になろうかと思いますが、これは御存じのように、部隊の所属決定とも関連いたしますので、ただいま私どもといたしましては、二個大隊編成するということだけをきめております。なお、ホークの二個大隊は、やはり地対空のミサイルでございますが、この二個大隊については、陸上自衛隊方面隊に配属する予定でございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、ナイキの訓練隊員ですが、これは三百余名アメリカへ行って訓練を受けておるのですが、いつ帰ってきますか。
  34. 小幡久男

    ○小幡政府委員 秋に戻ります。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 秋と申しましても、九月から十一月まであるのですが、九月ごろ帰ってくるとすれば、もう幾らも日にちがないわけですが、どこへ配属するんだというようなことが全然決定になっておらぬということは、ちょっとおかしいと思うのですが、お隠しになっているのと違いますか。
  36. 小幡久男

    ○小幡政府委員 配属の決定でございますが、決して隠しておるわけではございません。配置の場所につきましては、最終的な案を検討しておることをこの前に申し上げたわけでございますが、この所属を航空自衛隊のものにするか、陸上自衛隊のものにするかということにつきましては、先般二次計画決定いたしました際に、この秋要員が帰ってきましてから部隊編成に取りかかる、その適当な時期において決定をすることに防衛庁としては方針をきめております。現在、どちらに所属させる、あるいはその指揮系統をどうするということは、具体的な案をまだ持っておりません。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁の場合はそういうことが通るか知りませんけれども、民間の企業なんかの場合にそういうスロー・モーション的な計画をしておれば、株主総会で全部首になってしまいますよ。従って、私は、おそらく防衛局長にしても、そういう構想を持っておられないということはないと思うので、お隠しになっておるというように思っておるのですが、それ以上お答えできなければそれでよろしゅうございます。  それでは、員数は三百何名でございますか。
  38. 小幡久男

    ○小幡政府委員 三百三十九名でございます。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、国防会議でもおそらくこういう点は協議されたと思いますが、今度三百三十九名の兵がアメリカへ行って訓練を受けて、日本装備するわけですが、ナイキという兵器は、アメリカの方ではもう一九六二年からはまあ廃品というよう考え方を持っておるらしいのですが、これからの日米共同防衛という立場に立っても、日本が局地戦に備えるところの日本の国土を防衛するという面からも、もうはっきりと廃品になるというような兵器を、若干はただでもらう分もあると思いますけれども、相当のお金を出して買い求めるということになりますと、私はまことに下手なやり方だろうと思うのですが、そういう点は御研究なさったのですか。
  40. 海原治

    海原政府委員 ただいまナイキ・アジャックスは、もうすでに廃品になる運命にあるようなお言葉がございましたが、実はこの点につきましては、私ども承知いたしますところは若干違っております。「ロケット・アンド・ミサイル」という世界的にも権威のある雑誌がございますが、これに書いてあるところによりますと、現在ナイキ・アヅャックスというのは、アメリカ国内におきましても約百七十個中隊ございます。そのうちの六十八個中隊程度は新しいハーキュリーズに置きかえられるということに一応計画がなっておりますが、依然として百個中隊ほどのものはアメリカにおける国内防空組織の一つの要素として、今後も残っていくわけであります。さらに欧州におきましても、ハーキュリーズとアジャックスは両方併用しております。御承知ように、防衛形態としてはそれぞれに一利一害のあることは当然でございまして、アジャックスなりハーキュリーズなり、それぞれ用法が違っております。ナイキ・アジャックスにいたしましても、ここ近々のうちに廃品になるものでは絶対にない、このように私ども考えております。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 しろうとなりに、性能の面についてはまあ本で見たりして承知はしておりまするが、今の御答弁からいきますると、まだまだ優秀な兵器というように御答弁があったのですが、性能について一応あらましをお聞かせ願いたいと思います。
  42. 海原治

    海原政府委員 ナイキ・アジャックスにつきましての性能を申し上げますと、一応射程は約五十六キロ、弾体の飛びます速力が一・九マッハという数字と約二・五マッハという数字と二つございます。高さは約六万フィートというのが一応の数字としてございます。ハーキュリーズの方はさらに精度がよくなっておりますので、これも御参考までに申し上げますと、射程はアジャックス五十六キロに対しまして約百二十キロ、速力は二・九マッハあるいは三マッハ以上ということになっております。このハーキュリーズの方の射程は、アジャックスの六万フィートに比べまして十五万フィートというのが私どもの手元の数字でございます。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 性能からいきまして、ハーキュリーズの場合は相当優秀なように出ておるのですが、導入するということについては何ら話が出なかったのか、話が出ても、それは何かの理由でだめになったのか、その点の経緯も……。
  44. 海原治

    海原政府委員 これは、昨年の当委員会におきましても御説明申し上げたことでございますが、事務的に考えますと、ただいま読み上げましたように、ハーキュリーズの方が性能がすぐれております。従いまして、同じ高射砲を持つのであれば、アジャックスにかえてハーキュリーズの方を私どもとしては持ちたいわけでございますが、先生の御承知ように、ハーキュリーズは核弾頭にも使えるようになっております。従いまして、ハーキュリーズを持ってくるということになりますと、たといそれが通常弾頭のものしか持たないと申しましても、いろいろとそこに問題が起こり得る可能性がございます。昨年も申し上げましたように、私どもはあえて誤解を生ずることを避けまして、アジャックスの方を取り入れることにお願いをいたしました。事務的には、先ほどのような相当な性能上の開きがございますので、ナイキ・ハーキュリーズの普通弾頭のものを導入したいという考え防衛庁内においてございました。ございましたが、先ほど申しましたように、ハーキュリーズを導入することによる誤解を生ずることをおそれまして、アジャックスの方でがまんをすると申しますか、アジャックスで満足するということに防衛庁の方針は決定された次第でございます。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 兵器を導入する場合には、性能その他を十分に検討をしてやらなければならないと思うので、それは、国民感情というものもやはりその計算の中に入れて検討はしなくてはならないのですが、核を持ち込むというよう一つの気持があるから、だいぶそういう方面へ気を使っておられるのだと思うのですが、この点はどうですか。第二次防衛計画中は絶対に持ち込まぬということは断言できますか。これは長官一つ……。
  46. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 核兵器の持ち込みを許さない、あるいは核武装をしないということは、一貫した政府の方針でございまして、もちろん、第二次防衛計画では、そういう核を装備できるようなものの装備、やろうと思えばできるようなものの装備もいたしておりません。将来に向かってこの方針は貫いていくものと考えております。  なお、つけ加えて申しますが、あえてアジャックスをとりましたが、それがわが国の防空上非常に支障があるにもかかわらずやったというのではなくて、よりよき性能のものも考えたいが、しかし、アジャックスでも十分間に合うということで、アジャックスを採用いたしましたことを念のためつけ加えて申し上げておきます。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 局地戦という定義ですが、ただいまの長官の御答弁からいきますると、ナイキ・アジャックスで十分だということになりますると、局地戦というものの範囲というものが大体それで明確になるわけなんですが、どの程度のことを局地戦と解釈されておるのか、この点承っておきたいと思います。
  48. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この局地戦か全面戦争かということを広さとか規模とかで表わすのは、なかなかむずかしいのではないかと思うわけでございます。結局、全面戦争を誘発するような紛争というものは、必ずしも局地戦とは言えない。従って、また逆に言えば、全面戦争に移行しないような局部的な地域における紛争というものが、一応局地戦といわれると思うのでありますが、距離とか広さとか高さとかで必ずしも判断できないのじゃないかと思うわけでございます。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 その御回答も当たってはおりますが、ただ、局地戦の場合に、日本防衛力日本の国土を守るのだ、全面戦争の場合にはアメリカさんに応援をしてもらうのだという、こういう基本的な考え方があるのだから、私は、やはりナイキ・アジャックスを日本に備えつける場合には、局地戦というものがどの範囲のところまでを局地戦というかということで、このナイキ・アジャックスが選定をされたということが出てくると思うのです。そういうことからお聞きをしておるのですが、装備局長——防衛局長でもいいが、その点、どうなんですか。
  50. 海原治

    海原政府委員 ナイキ・アジャックスの性能等からお考えになりまして、従いまして、その性能の範囲において起こり得るいろいろな戦闘行動、従って、局地戦というものが一定の範囲でもって決定されるのじゃないか、こういうふうなお考えだと思いますけれども、そういうことでお考え決定される面もあろうかと思いますが、ただ、ナイキは御存じのように高射砲のようなものでございますから、主としてこれはわが領空、領土の上空を防衛するものでございます。従いまして、これだけで直ちに局地戦というものの範囲が決定するというようには私どもとしては実は考えておりません。ただ、先ほど大臣から御答弁がございましたように、まあ、局地戦という言葉は広く世界的に使われておりますが、これは全面戦と対称的に使われておりまして、いわば一般的な概念でございます。どういうものを局地戦と言い、どの範囲のものであれば局地戦であるという定義はございません。ただ、私どもがものを考えますときに、関係者におきまして、いろいろとその与えられた状況下で内容決定していくということでございます。私どもといたしましては、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊、三自衛隊の現在法律上与えられております任務というものを達成するという点から考えますと、あくまでわが国土、領空というものに対する侵害を排除するということが任務でございますので、おのずからそれから局地戦の内容が規定される、このよう考えておる次第でございます。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでナイキ・アジャックスでいいということになった。そうすると、アジャックスの場合、これは敵機の来たような場合に発射をいたしますると、結局ブースターがどこかへ落ちてくるわけなんです。そうしますと、これは撃つ角度にもよりまするけれども、危険地帯というものが結局できるわけなんです。こういうような面を考え合わせますると、これを備えつける位置というもの、それから角度というようなものが問題になってくると思うのですが、こういう危険地帯というような面を考慮されて、備えつけられる地点というものをどういうように御解釈されて、今計画を立てられておられるか、この点も御説明をいただきたいと思う。
  52. 海原治

    海原政府委員 ただいまナイキの第一大隊を配置いたす予定場所といたしましては、関東周辺のわが自衛隊の施設内ということでございますが、これは自衛隊の施設におきまして、そこで有事の場合に射撃をするということでは必ずしもございません。と申しますことは、平生そこに置きまして、平時の配置予定場所ということでございます。従いまして、実際にこのナイキが発射されるような事態を想定いたしました場合には、これは二十四時間以内に他の場所に移動できるものでございます。従いまして、状況によりましては、現在配置せる場所で撃つということも、これはあり得るわけでございますが、必ずそうであるというものではございません。くどくなりますが、他の場所に移動いたしまして、そこで撃つということが可能である場合には、そういうことも考えられるわけでございます。従いまして、一応今お話のありましたブースター落下の危険地帯ということでございますが、万一の場合には、あるいは配置いたしたところで発射するということもございますので、その場合には、どの範囲内にこれが落下するのかを今技術的には検討いたしております。現在のところでは、その付近に御迷惑をかけるということに相ならないという結論でございますが、なお、つけ加えて申しますと、実際にこのナイキが発射されますような場合には、その外敵の襲来ということが前提でございますので、飛行機から投下されます爆弾であるとか、あるいは空対地ミサイルであるとかいうものの損害というものを考えまずと、ブースターそれ自体の起こしますところの被害というものは、問題にならない程度にごくわずかだ。かつて高射砲を撃ちましたときに、高射砲の破片が落ちてきたというようなのと同じ状態になるということも、一つ御考慮に入れていただきたい、このよう考えます。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは移動される場合がある、こういうことになりますと、現在確保されておる自衛隊の基地だけでは不足だろうと思うのですが、大ていどういう方面から来たものに対してはどこへ移動して発射するのかというようなことも、これはお考えになっておると思うのですが、新しく確保される基地というか、防衛庁として確保される敷地は、どことどこを予定されておられるのか、これも明確にしていただきたいと思います。
  54. 海原治

    海原政府委員 先ほど私が申しましたことに関連いたしまして、常に移動するというふうにおとりになっておるのではないかと思いますが、そういうことでもございません。従いまして、現在防衛庁といたしましては、このナイキの二個大隊を取り入れまして、これを部隊に配置するということだけを考えておりますので、万一の場合によそに移る予定地点の選定等につきましては、私の申しましたのは、これは理屈のことでございまして、具体的にはそういう計画を持っておりません。今後状況が非常に切迫しました場合には、そういうことも考えねばならないということは、事務的には考えられることである、こういうことでございますので、そのように御了解願いたいと思います。
  55. 田口誠治

    田口(誠)委員 こういうように確認をしておけばよろしいのですか。まあ、移動する場合があるけれども、これはめったにないのだ。それで、万が一移動しなくてはならないような場合には、これは日本の国としても相当非常事態になっておるときだから、国有財産の土地でなくとも、どこでも必要なところへ行って発射を行なうのだというように確認をしてよろしいですか。こういう確認よりしようがありませんですね。
  56. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 防衛局長が申し上げたのは、たとえばわが国の領空に対して敵機の来襲がある、あるいはその危険が非常に切迫しておるという場合に、場合によっては移動しなければならないということを申し上げたわけなんでございまして、あくまでそういう非常事態の際のことでございます。平素におきましては、既存の基地内にこれを設置いたしまして、訓練を行なうわけでございます。なお、つけ加えて申し上げますが、平時におきましては、その備えつけました基地で射撃の訓練をするようなことはいたさないのでございます。
  57. 田口誠治

    田口(誠)委員 その問題については、私は、将来移動することがあり得るとすれは、やはりどの方面から来たときにはどこへ持っていくというようなことを考えて、いろいろ土地の確保というようなこともあり得るのじゃないかと考えましたので。御質問申し上げたのですが、めったにそういうことがないということでございまして、日本として全くの非常時というような場合には、やはり非常事態の一つの手段としてそうしたことがとられるのだということでございますので、この問題についてはこれ以上お聞きはいたしません。  そこで、僕らが考えましても、これはどうしても計画をし直さなくてはならないと思いますることは、御承知通り、第二次防衛計画は五カ年であり、それから日本経済成長は非常な高速度をもって成長しておりまするし、これに続いて物価の上昇もいたしております。これは日本の物価だけでなしに、世界的な物価の値上がりというものはあり得るわけでございまするので、現在計画されておる第二次防衛計画の予算の面とか、兵器の確保の面とか、定員の確保の面とかいうものを完全に実施しようといたしますれば、これは物価上昇の面から計画を変更しなければならないときがくるのではないか、こういうような想像がされるわけなんです。従って、こういうことについてはおそらく防衛庁においてもいろいろと検討されておられると思うのですが、そういうことは一切必要ないのだということか、計画を変更される場合もあるのだということか、こういうことがどうなっておるかということを私はお聞きしたいので、その点を御解明いただきたいと思います。
  58. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 物価の上昇等もございます。現在のところでは、必ずしもいわゆる計画変更というほどのことを考えなくてもいいようではありますけれども、しかし、今後の、ことに賃金その他の上昇等を考えますと、場合によっては、そういうことも考慮に入れなければならぬかと思います。三十七年度の予算を中心にいたしましてこの防衛五カ年計画がどうなるかというようなものは、事務的にも検討はしております。それで、場合によっては、あるいは一年延びるというようなことも考えられますし、あるいはまた財政の状況によりましては、初めに第二次防衛計画策定の際に考えました金額というようなものの再検討をしなければならぬというような面も出てくるかと思います。これらにつきましては、本年の推移等を考えながら、事務的には研究をいたさせますが、現在必ずしもいわゆる計画変更をしなければならぬという要素が大きく出ておるわけではございません。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 僕は、一二十七年度の予算で三十七年度計画を実施しようとすれば、もう三十七年度でどれだけか手直しをしなければならないのではないかというように、予算の面から、また計画の面から照らし合わせてみて、判断ができるわけですが、予算が足らなかったから、三十七年度計画を三十八年度に繰り延べていくのだということをすれば、金額の手直しはしなくてもそれは済みますけれども、三十七年度計画をそのまま実行をするということになりますと、三十七年度の予算ではやはり不足を生じてきて、手直しの必要が出てくるのではないかと思うのですが、まず、三十七年度の分について明確にしていただきたいと思うのです。これは一つ率直な御回答を願いたいと思います。
  60. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 一応私どもが三十七年度の予算をお願いし、それで計画したものを、物価上昇その他によりまして変更しなければならぬということは、現在のところ見出しておりません。先ほど私が申し上げましたのは、五カ年計画全体といたしまして、これが将来特に賃金の値上がり等を考慮に入れましたときに、はたして五カ年計画をあの予定の金額で十分に消化できるかどうかという点については、研究をしなければならないと思いますが、三十七年度について、特にこれを、あるいはさらに補正予算をお願いしてやるとか、一部の相当部分のものを三十八年度に繰り延べるとか、そういうことには相ならぬと現在のところ考えております。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 予算要求の場合のことに関連をいたしまするが、船を作ったり、ミサイル兵器を購入したりする場合には、金額の面もわかっておりますし、この点については狂いはないと思いますが、やはり定員を確保するという面からいきますと、これは完全にそれだけの予算が組まれておるかといえば、従来はやはり完全に確保できないという数字の上に立って予算というものがとられておるわけです。それで、まずこれを完全にやろうとすれば、ここに不足が出てきまするし、それから民生安定関係の防音装置の関係なんかは、まだ今年の今日になりましても、どことどことどこの学校、病院をするということが明確にされておりませんで、金額が出ておるだけです。だから、物価が上昇してできないということになれば、三十校やろうと思ったのを二十五校に縮めれば、これはできるわけなんですけれども、やはり予算要求をされる場合には、おそらく今の防音装置の関係なんかでも、およそ何万坪とかを鉄筋コンクリートにするとか、あるいは木造の建物の何千坪を防音装置を行なうのだ、こういうような具体的なものを大蔵省へ持っていって、そして大蔵省と折衝して予算を獲得されたと思うのですが、そういうことになりますると、三十七年度は絶対に心配はありませんという御回答は、こまかいことをいいますと、三十七年度でもそのようにはならぬわけなんです。その点、どうですか。
  62. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 たとえば例におあげになりました人員の方でございますが、これは本年度一年を通じました充足率というものを考えて予算をお願いしていることは、御承知通りでございます。それから防音装置等でございます。もちろん、非常にこまかく申しますれば、あるいは地元のその御希望の坪数と、こちらの計画をいたしましたものとの食い違い等があろうかと思いますが、本年度はこれらの単価の増高もある程度見込みましてやっておるわけでございます。まだどこをやるか決定しないではないかというお話でございますが、これは御承知ように、やはり地元の市町村等の計画、あるいはそれに対するまた文部省の関係等もにらみ合わせてやらなければなりません。こういうことになっておるわけでございます。もちろん、詰めておっしゃられれば、予定した坪数が一坪も違わないでやれるかということになりますと、これはなかなか実際問題としてはむずかしいかと思いますが、われわれの予定をいたしましたものにあまり大きな狂いがなくやっていけるという見込みだということに御理解をいただきたいと思います。
  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 大まかな点で確認をしておきたいと思いますが、第二次防衛計画予定されておる予算は、今日の物価上昇とにらみ合わせて考えてみますると、必ずしもそのままではやれない、手直しをする必要ができてくるのじゃないかという程度に確認しておいてよろしいのですか。——それでよろしいですね。頭を振っておりますが、速記録の上ではどうなるか……。  そこで、これは経理局長お尋ねをいたしたいと思いますが、毎年今の時期になりますと、大体防音装置なんかの場合でも、今年は何校々々というのは、大ざっぱなものではあろうけれども数字というものは出ておるわけなのです。今年だけはまだ見当がつかぬということなのですが、これはやはり物価上昇という面からなかなかむずかしいのか、その他の技術的な面もあるのか、この点を一つ御解明を願いたいのと、今防衛長官が御回答なさった面で、専門的な経理局長としての補足があれば、一つ承っておきたいと思うのです。
  64. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいまの防音装置の点でございますけれども、これは物価上昇のために当初の計画に非常に狂いがあって、そのために実施計画がおくれておるというものではございませんで、ただいま長官から御答弁申し上げましたように、若干の地元の負担が伴います関係上、地元の市町村の当局の方々と本年度の実施計画につきましていろいろお打ち合わせをする必要がございます。そういう関係で、この実施計画が現実にはまだ詳細には立っておりません。もちろん、三十七年度の予算を要求いたします際に積み上げ計算をして、一応財政当局の査定を受けました基礎的な数字は出ておりますけれども、しかし、実際にこの工事の補助をいたします場合には、やはり何と申しましても、地元の市町村の御意向を十分尊重していかなくてはなりませんので、現実の面はある程度の時間がかかると思います。いずれにいたしましても、これがあまり延びますと、本年度のせっかくの貴重な予算が繰り越し等になりますので、できるだけ早く実施計画を立てたいと思って、現在地元の方とも御相談をし、われわれの方としても計画を立てておる次第でございます。  なお、その他の点につきましては、ただいま長官から御答弁申し上げましたことにつきまして、特に事務的に補足を申し上げる点はないかと思います。先ほどお話がございましたように、五カ年間の長期計画でございますので、防衛計画そのものの内容におきましても、その当該年度の財政の規模なりあるいは経済状況をにらみ合わせて、伸縮性のある態度をとっていくのだということが、この計画自体の中にもきめてございますので、三十七年度はすでに予算の御承認を得ましたけれども、三十八年度以降につきましても、おそらくそういうことに相なるかと思います。
  65. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間とにらみ合わせて質問申し上げているわけなのですが、との辺で防衛庁設置法関係に入りたいと思いますけれども、ちょっと緊急な問題がございますので、その方を先に質問さしていただいて、設置法に関するもろもろの内容についてはあとから質問を申し上げ、また、今まで質問を申し上げました大綱的な面について、池田総理にお尋ねしなくてはならない面は触れておりませんので、これはそのときに譲りたいと思うのです。  それで問題は、防衛庁の方へ直接私の方からも実態を報告申し上げてありますし、それから昨年の委員会で相当詳細に報告を申し上げ、また御回答もいただいておりまする日野の射撃場の問題でございます。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 この問題につきましては、昨年の質問にも申し上げましたように、旧陸軍六十八連隊がおりましたときに、日野の射撃場のある地点は、その当時は岐阜市としては郊外でございましたので、六十八連隊から徒歩でちょうどいい地点であった。明治四十年に新設をいたしておるようなわけでございますが、その後岐阜市が発展をして参りまして、現在では、岐阜市の今後の大計画を四角に囲ってみますると、中心地ということになるわけでございまして、従って、単なるイデオロギーということだけでそれの反対の質問を申し上げたはかりでなくして、この射撃場のあるすぐ八百メートルのところには精神病院があり、一千メートルの地点には国立結核療養所があり、こういうような非常に環境の悪いところにありますのと、それから射撃場を持っております船伏山という山は、金華山の峰続きでございまして、この金華山というのは、従来はただ鳥を撃ってはならないという禁猟区でございましたけれども、それが一歩前進したところの鳥獣保護区域になっておりまして、日本では嵐山に次く小鳥の住むにいいところであり、育つにいいところだというので、保護区域になっておる。しかも、これは四囲に原始林かありまして、日本でも有名なところであって、ここにはロープウェーあるいはドライブウエー、いろいろなそういう交通の便をよくして開発をして、全国からの観光客が来ておるというようなこと。それからその山の麓に流れておるのが有名なウ飼いを行ないます長良川でありまして、来月の二十五日ですか、今年も天皇、皇后がおいでになるということにもなっておりますし、政府からも政府の大事なお客さんをいつも回してくる。こういうようなことから、地理的な環境からいっても、やはり病院というような面からいっても、鳥獣保護区域というような面からいっても、あの地点はもう射撃場としては不適当な地点であるという考え方から、質問を申し上げておったわけです。  たまたま昨年の一月十三日でございましたが、守山の部隊が、射撃をやるために相当数の人数が来たわけでございますが、これを聞き込みました土地の人たち、あるいは病院の先生を初め患者が押しかけて、そして交渉の結果、結局この問題については、病院側とも、また患者自治会の方とも了解を得なければ強行はしないのだ、しかし、こういう話し合いについては、一月末を目途にやりたいという一つの話し合いのもとに、その日は終わったわけでございます。その後、やはりどうしてもあの地点は、いろいろな面からいって、射撃場としては不適当な地になっておるのだからというので、反対同盟ができまして、これは全国的な基地反対の連盟のカンパなんかももらって、反対の闘争が続けられておったのですが、先日も申し上げましたように、たまたま十混から三十名の兵が来まして、そして石油をぶっかけて整地をしたという事件がありまして、非常にこれに神経をとがらしまして、患者自治会もかけつけ、また、土地の農民の人、あるいは反対同盟の人たちが抗議を行なって、引き揚げてもらったわけです。それで、さっそく私の方へ連絡がございましたので、この実態防衛庁長官教育局長に申し上げましたら、この問題は一時岐阜県の知事があっせんをしてくれまして、そしてあっせん案も出したけれども、しかし、肝心かなめの患者自治会を除外しておったために、問題が目的通りにいかなかったので、岐阜県知事としても、やはり周囲の関係から防衛庁に協力をしてあっせんをするということも不適当であるというよう考え方も手伝って、もうあっせんの手を引いたわけなんです。こういうような問題があっただけに慎重を期するのだという御回答でありましたので、その旨を現地の方へ伝えておいたわけです。ところが、その後数日しまして、また二十名の隊員が武装をしてやって参りまして、そして何かやろうとしておったんですが、それを見つけました反対同盟の人たち、あるいは病院の自治会の人たちがいろいろ抗議をいたしましたら、歩哨動作の訓練を行なうのだといって逃げを打っておったのですが、この問題につきましても、さっそくそのあくる日に、防衛庁長官にその旨を私から申し上げたら、とにかく射撃という面については、この間話した通り、あそこは問題になっておるだけに、一方的なそうしたことはやらないから、現地の人たちにもそういう点を伝えてほしいという誠意ある回答がございましたので、その旨を伝えておいたわけなんです。  そこで、防衛庁の上層部としては、そういうりっぱなお考え方を持っておられましても、現地の部隊では、何か非常に感情的になっておりまして、防衛庁の確保しておるところの敷地で何をやろうが勝手じゃないかというような暴言を、当時来ておりました武藤という責任者がそういうようなことを吐いておりまするし、今後、そうしたことを徐々になされておる過程において、不意打ちに射撃訓練をやられるのではないか、試射をやられるのじゃないかというので、非常に心配しておるわけなんで、その点で、私は、なおここで明確に一つ答弁をしていただきたいと思うのですが、これは前の西村防衛庁長官質疑応答の過程でお約束をいたしておりまするように、患者自治会等を無視して一方的な射撃は行なわないというこのお考え方においては、藤枝防衛庁長官もお変わりはないのかどうか、まず、これをお伺いしたいと思います。
  66. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 日野の射撃場の経過については、御指摘の通りでございます。それで、私どもといたしましては、岐阜県知事さんのごあっせんを受諾いたしましたが、それが、不幸にして県知事は手を引くというお話でございます。しかし、私どもといたしましては、とにかく地元の知事さんにそれだけのごあっせんをお願いしたいきさつもありますので、今後のやり方については、一方的に自分のところだから何でもやるのだというようなことはいたさないことでございまして、この点は十分部隊長以下にも注意をいたしておるわけでございます。ただいま患者同盟にどうというお話でございましたが、あのときの西村前長官の御答弁も、必ずしも患者同盟とかと限ったわけではないと思いますが、いずれにしましても、自衛隊側では一方的に射撃を開始するということのないように、今後も十分気をつけて参りたいと思います。もちろん、演習場必ずしも十分でございませんので、ただいま御指摘のような、あるいは演習場の整備のために参りました者が、石油をかけたことはないそうでございますが、ススキ等を一部焼却して整備をしたというようなこともあるようでございます。また、宿営地における歩哨訓練のために参りましたこともございますが、こういう訓練はあるいは今後もやろうかと思いますが、射撃についてはただいま申しましたような方針をとっておりますし、それを現地の部隊長、師団長その他にも十分伝えてございますので、御了承をいただきたいと思います。
  67. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、関連してお伺いしたいと思いまするが、部隊の訓練というのは、どこで何をやってもいいということになっておるのか、その点、何か一つの秩序があるのですか。どうなんですか。たとえば歩哨の行動訓練を行なうのに、愛知県の守山からわざわざ岐阜県の日野まで来まして、土地の人たちがいやがっておるところに来ていろいろな行動をやってみても、私は成果も上がらないと思いまするし、そういうようなことはどこでもやれると思うのです。何事も訓練であり、人がいやがろうが迷惑であろうが、自分の土地では何をやってもいいというような無秩序なものではないのではないか、こういうように私どもとしては判断をしておるのですが、その点、どういうものなんですか。
  68. 小幡久男

    ○小幡政府委員 訓練につきましての秩序は、訓練の種類等につきましては長官が訓令を出しまして、それに基づきまして、たとえば陸で申しますと、第一・四半期にこの練度まで、第二・四半期にこの練度までというふうに、やや定型化した内容のものは幕僚長が基準を示しております。今御指摘の、歩哨による宿営地における警戒訓練といったものは、普通科連隊の通常の訓練としまして、幕僚長の示しました基準の範囲内で師団長が自分の裁量でされるわけであります。ただ・その日野であったことが妥当かどうかという点につきましては、守山は非常に演習場においても不足しておりますし、また、その問題が宿営地における歩哨訓練というので、相当旅をして、泊って、そこで訓練をやるというふうなテーマでありますので、当然そのうちの一つとしまして日野射場を選んだ点については、別に他意はなかったと考えております。
  69. 田口誠治

    田口(誠)委員 長官なり局長さんの答弁を聞いておりますると、しごくごもっともな誠意ある内容のものでありまするけれども、最近、現地の幕僚長の権限というものが、昨年の防衛二法の改正によりまして、上の方では統合幕僚会議議長の権限が強化されて、防衛庁長官の許可がなくとも兵を動かすことができるというようなことになっておるために、やはり一つの権限というものが現地の方へ相当おろされておるのではないか、行政面の力というものは薄らいでおるのではないかというように、いろいろなそういう行動とか言動という面から判断できるのですが、そういう点については、昨年の防衛二法で決定したものはしたものとして、運営の面としてはそうした憂いは事実ないのかどうか、この点もやはり明確にしていただきたいと思うのです。
  70. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊の運営について、いろいろ従来の経験にかんがみまして、改正すべき点は改正いたしておりますが、そういうことで、現地の部隊が上級の者の意思を無視したり、あるいはそれと反したようなことで勝手な行動をとるというようなおそれは絶対にないと私は考えます。従いまして、ただいま御指摘のような法律の改正あるいはその他によって、そうした現地限りの気ままな行動というものはとるべきではなし、もちろんとらないというふうに私は確信をいたすわけでございます。また、演習等につきましても、十分その各部隊についての演習計画を持ちましてやっておるわけでございまして、気ままな演習を、自分の演習場なら何でもやっていいのだというような気持を持っておるとは毛頭考えておらない次第でございます。
  71. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、二回目にやってきました歩哨行動の訓練のことですが、二十名くらいの兵が歩哨行動の訓練をするのに、わざわざ愛知県の守山から岐阜県までジープに乗ってガソリンを使って来てやらなくても、守山の部隊の中に——行って見ていただけばわかりまするが、あき地は幾らでもございますし、岐阜県へ来なくても、愛知県内においても射撃場というものはありますから、そういうことはできると思うのですが、どうも問題になっておるままほおっておけば、何か実質的にはあの射撃場というものを廃止するよう方向になるのじゃないかという一つ危惧から、ときどき来て行動をしてみるということが意識的になされているように思うのです。最近は立入禁止という立て札も大へんりっぱになっておりますし、どうもそういうことから考えてみますると、わざわざあんな野っ原の険しいところへ立入禁止の札を立てなくても、あそこは自衛隊射撃場になっておるのだ、しかし、今問題になっておるということは、岐阜市民はだれ一人知らぬ者はないわけでございますので、あの中へ家を作ったり、またあの土地でいろいろな行動をするということは絶対にあり得ないことであるので、あえて神経を使われる必要はないと思うのですが、最近非常に神経を使ってこられたその裏には、何かお考えがあるように受け取れるのですが、そういう点はどうなんですか。教育局長、何か別な、裏から指示がしておりませんか。
  72. 小幡久男

    ○小幡政府委員 長官以下お約束しておりますのは、射撃につきましては、事前にお話し申し上げて、決して抜き打ちはしないというふうな点を中心に地元とお話をしておるわけでございます。通常訓練につきましては、これは先ほど守山駐屯地構内でというお話もございましたが、歩哨というものは、やはり知らない場所に行って、そこで本番で訓練をするというところに意義がありますから、こういうところを選んで順番に各演習場を回っていくということは、相当意義があると判断しておりまして、決してこれは射撃促進というふうな気持でやっておるのではありません。射撃は別個の問題としまして話をつけようとしておるわけであります。
  73. 田口誠治

    田口(誠)委員 訓練の範囲ですが、これはずいぶん多くあると思います。射撃の訓練もあるわけです。それで、防衛庁の方で、今問題になっておる日野射撃場についてのお考えは、射撃の訓練は話し合いをせずに一方的にはやらぬ、これは防衛庁長官から明確に答弁されておられますが、その他の訓練は、これは実際武装してあそこに来るのですね。そうしますと、外部の者が見ますと、いつでもぽんぽんとやられるわけなんだ、そういうことなんだから、おそらく不意を打ってそういうことをなさるのじゃないかというようなことから、大体あそこでやられる訓練の範囲はどういうようなものがあるのかということを土地の人は知りたいらしいのです。そして、今申し上げましたように、わざわざあそこまできて、二十名の者が歩哨動作の訓練をやらなければならぬものかどうかということですね。これもやはり疑問があるわけなので、こういう点もひっくるめて一つ御解明願いたいと思います。
  74. 小幡久男

    ○小幡政府委員 射撃につきましては事前に御相談申し上げておる点を信頼していただけば、そういう心配はないと思うのでございますけれども、そうは言いましても、いろいろ神経的にいら立っておるときもありましょうと思いますので、われわれとしましても、いろいろ配慮しておるわけでありますが、射撃以外の訓練としましては、あそこでは大体土地も狭うございますから、少人数の歩哨訓練とか、そういった少人数の人で動作を演練するという程度であろうと思っております。あそこで演習等はおそらくあり得ないと思っております。
  75. 田口誠治

    田口(誠)委員 私、位はちょっと忘れましたけれども、暴言を吐いた責任者は武藤何がしという人なんですが、その人は、防衛庁の土地で何をやろうが勝手じゃないか、こういうことを言っておるのです。何をやろうが勝手じゃないかというその中には、射撃も含まっておるということなんです。射撃の方はどうだといえば、それは今やるとは言わぬけれども、やらぬとも言わぬ、こういうようなことをその土地の人たちに言っておりますものだから、あそこに来られる場合には、おそらく不意打ちをやられるのじゃないかというので、平時の場合でも患者が非常に神経を使っているのです。だから私は、とにかくこれこれはやらぬのだ、やったとてこういうような任務でやるのだから、御心配を下さらずに、病気の養生に専念せよというように言うてやりたいと思うので、私それでしつこくこういう点をお聞きするわけなんです。武藤さんの場合は相当暴言を吐いておるわけなんです。どうなんですか。
  76. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいま御指摘のような御心配が現地にもあろうかと思いますので、射撃につきましては事前に相談をする。それ以外のことは、通常の訓練はやるといった意味の談話をあるいは師団長あたりから現地の新聞等に発表するということも、一つ方法ではないかと思っております。そういう点で御了承願えれば幸いだと思います。
  77. 田口誠治

    田口(誠)委員 これで現地の方へ御注意願えますね。
  78. 小幡久男

    ○小幡政府委員 射撃につきましては、全然話し合いなしにやるということはやらぬ、それ以外のことは通常の訓練としてやる、しかし、射撃は全然事前通告なしにはやらないということは、確約して差しつかえないと思っております。
  79. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、先ほど申し上げたように、武藤何がしという責任者が、これは防衛庁の土地だから何をやろうがこちらは勝手なんだ、こういう暴言を吐いたことが非常に刺激しておるわけなんです。これをよく分析してみれば、いつ何をやられるかもわからないというので、ベッドに休んでおる病人も安心してようおられないわけです。だから、こういう点については注意をしていただけるかどうかということをお伺いしておるのです。
  80. 小幡久男

    ○小幡政府委員 誤解を与えるような言動については注意をするように連絡したいと思います。
  81. 田口誠治

    田口(誠)委員 防衛庁長官、私はちょっとしつこくお聞きするのですけれども、要望もかねてでございますが、ああした問題になっているところには、あえて自衛隊の方がこられてごたごたするようなことは、これはやはり避けられたらいいと思う。どうしてもあそこでやらなければならないというような理由があった場合には、射撃以外の問題は、私らがあとから聞いてみてなるほどというものなれば了解のできる面もあるかもわかりませんけれども、とにかく今問題になって、あそこに鉄かぶとをかぶった兵が一人来ても二人来ても押しかけるような現状の中で、自分の土地だから、射撃はやらないけれども、ほかのものはある程度やるんだというお話でございますけれども、この点も私は慎んでいただいた方がいいじゃないかと思う。そして、これはあとから申し上げたいと思いますか、あそこだけは、もう地理的な環境から射撃場としては全く不適当な地になっておりますから、あきらめてもらって、そうして廃止することができるならば、どっかで解決点を見出してもらわなければ、岐阜の将来の図面の中心地に入っているようなところで、しかも幾つかの条件があるのです。どの条件一つとらえてみても好ましくないのだから、私はそういう方向に持っていっていただきたいと思う。この点についてのそうしますという回答は、おそらく長官としてちゅうちょされると思いますが、努めて、問題になっているうちは、ほかの訓練もやめていただくことが、最も妥当なやり方であり、愛される自衛隊としての本分でもあろうと思うので、この点について、記録の上で御回答を残しておきたいと思うのですが……。
  82. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 何分守山の部隊の演習場は必ずしも十分ではございません。従いまして、先ほど来教育局長のお答え申し上げましたような各種の訓練をいたします場合に、あの日野の射撃場を全然使わぬということは、訓練の計画達成のためにちょっとむずかしいのじゃないかと思う。従いまして、射撃訓練については、事前に十分な打ち合わせをしない限りにおいてはやらないという私どもの方針を御信用をいただき、ただ、それ以外のそうした歩哨の訓練とかそういうものについては、あるいは使うこともある、しかし、それは決して射撃の訓練に行くんではないからということを、地元の皆様に御理解をいただくということが先決ではないかと思います。さらに、要すれば、先ほど教育局長も申しましたように、あるいは師団長がそういうものについて地元の新聞等に発表するとか、あるいは地元の県とか市にそういうことをはっきり申し上げるとか、そういうことも研究してよろしいかと思いますが、全然使わないということのここでのお約束は、ちょっと演習場全体の状態並びに訓練の計画達成のためにむずかしいのではないかと思います。  それから後段の、あれをもうどこかへ移転せぬかというお話でございます。御質問の冒頭にお話がありましたように、あれができました当時は、郊外と申しますか、相当遠いところであったのが、だんだん地方の発達のために、観光あるいは産業の中心に近くなる。そうした自衛隊の基地と地方の開発との調整をどういうところにはかっていくかというような問題は、われわれといたしましても十分考えなければならぬことだと思います。思いますが、何分射撃場というようなものを他に求めると申しましても、なかなかむずかしい点もございます。しかし、ほんとうに適当な土地があり、また、財政的な問題も解決できるというようなことがありますならば、十分それは考慮してもよろしいと考えます。従いまして、地方の県なり市なりの御当局等とも十分お打ち合わせをする用意はございますが、ただ、そのかえ地と申しましても、こういう射撃場というようなものはなかなか求めにくいものでありますので、その辺の調和をどうするかということは、なお十分考えて参りたいと考えております。
  83. 田口誠治

    田口(誠)委員 射撃はやらないのだが、その他のことは絶対にやらぬとは言えぬということでございますが、私が特にこの点を質問申し上げておるのは、その武藤何がしが責任者で来たときには、防衛庁の土地だから何をやろうがこっちの勝手だと言う。そのときには、警察へ連絡をして、警備部員がジープで乗りつけておったのです。別段反対をするというようなことをやらぬのなら、そういうことまでやる必要はないと私は思うのです。大へんあの行動は、私内容に入って検討をしてみますと、複雑なものがあるよう考えられるわけです。何がために警察の方へ連絡をして警備部員を現地へ出張させなければならないのか、まことにこれはおかしい話でございますし、どうしても上層部で考えておられるそのお考え方がそのまま現地へは伝わっておらぬ。また、現地の人たちが把握されておる面に相違があるというように私は判断するので、こちらで一つ直接行って指導していただくか、呼びつけて指導していただくか、どちらかやっていただかなくては、何回もこの問題で私は防衛庁の方へ質問を申し上げなくちゃならぬ。こういう実態なんですよ。だから私は、射撃以外の訓練でも、問題になっておるだけに、あそこへ来ていろいろ訓練をされることは好ましくないから、まず、どうしてもやらなきゃならぬというとき以外のときには、やはりあそこには来てもらっては困るのだ、来てもらいたくないというのが、現地の人たちの考え方であるわけなんで、その辺をお伺いをしておるわけです。そういう事実があったのですよ。だから私は、こういう点に非常に神経を使っておるのですが、もう一度お聞きしたい。
  84. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 その歩哨の訓練に参りました数日前に整備に行きまして、カヤを焼いたときにも、現地の方々がいろいろおいでになって話し合いがあったようでございます。そんな点からいたしまして、もしも不測のことがあってはという配慮であったかと存じます。しかし、いずれにしましても、そういう点で、現地の方々理解を深める方法について十分でなかった点もあろうかと思いますので、さらにこの点は、現地部隊に対しまして十分注意をいたしまして、そうした誤解によって地方の方々の神経をとがらせるようなことのないよう、適当な方法を何か考えさせたいと存じます。
  85. 田口誠治

    田口(誠)委員 この問題については、これ以上突っ込んではお聞きをいたしませんが、先ほど来申し上げておりますように、射撃はもちろんのことでございますけれども、その他の訓練においても、問題になっておるうちはやはり遠慮をしていただくというような指導をお願いをしておきたいと思います。  それから、あそこの射撃場が今日防衛庁の手に移されておる経緯について、私は相当疑問があるわけなんです。それで、その点についてお聞きをいたしたいと思いますが、先ほど申しましたように、あそこに射撃場を新設いたしましたのは、明治四十年に六十八連隊が新設をしたわけです。その当時は、軍本位に日本の政治がとられておったので、もうこれは文句を言わせずにできただろうと思うのです。ところが、これが昭和十九年まで旧陸軍の六十八連隊の所有になっておって、そして使用をしておったわけなんです。それから終戦になりまして、二十年に大蔵省の財務局の管理下に事務が引き継がれた。そこで、二十一年から二十三年にかけまして、日野の農協の組合長が地元民の要求によって、とにかくあの土地は日野の農民の土地であり、そして軍が日本で非常に重宝がられておった当時に供出をしたんだから、憲法においてもやはり戦争放棄というように明確になっているんだから、この際地元民に返してもらいたい、こういうような要求を岐阜の財務部の方へ申し出たわけなんです。そうしますと、財務部の当時の課長は、よろしい、そのように骨折りましょう、こういうことで、結局日野の農民の人たちに、一まずあなた方に使ってもらうんだから、それで適当に分けて使って下さい、こういうことで、個人の地割り表を作って配分されたわけなんです。これは一戸当たり三畝か四畝くらいな土地でございますけれども、配分されて、そこに必要な農作物を作っておったわけなんです。そうしておりますと、昭和二十四年の末から二十五年、ここのところがちょっと私の方としてもはっきりいたしませんが、いずれにしましても、二十四年の末か二十五年の初めです。これは農作物のないときだろうと思いますが、その耕作者に何ら一つ話がなくして、これはおそらく調達庁の関係になると思いますが、ブルドーザーを持ってきまして、強行的にあそこを整地して接収をしてしまったということなんです。それでそのときに、あそこの開墾料として一戸当たり五十円から六十円、当時の金でくれておったわけです。だから、私がここでお聞きをいたしたいことは、通告なしにブルドーザーで強行接収をしたのは、これはどこがやったんだということ、それからどうしてそういうような強行対策を新しい憲法下においてなされたのかということ、それから五十円、六十円というようなこの金は、これは金額は小さいけれども、どこから出された金であるかということ、この点について、まず初めにお聞きをしたいと思います。
  86. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御質問の、二十四年から二十五年の間に耕作者の了解なしに整地をした、これに対して補償を払ったというような今のお尋ねでございますが、調達庁で調査しましたところによりますと、この時代にブルドーザーで整地したという事実も承知しておりません。また、調達庁においてこのような補償金を支払ったという事実もございません。どこからこのような補償が払われたかということも、各方面について調査したのでございますが、承知いたしません。
  87. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうなりますと、これは調達庁がやったのでないということになると、調達庁を通じていろいろそうした作業をやるものを、米軍が直接やったということになるんですね。そういうことになるんじゃないですか。
  88. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この点につきまして、当庁において調査をしたのでございますが、このような整地をしたというような事実もございませんし、補償金も払ったというようなこともございません。
  89. 田口誠治

    田口(誠)委員 記録にはそれはないのですけれども、事実ブルドーザーで整地をして、五十円、六十円という金を配ったのです。だから、あなたの方に帳簿上とか記録的には残っておらぬかもわかりませんけれども、どこからか金が出て、そうして耕作料としてお金を払い、そしてブルドーザーで強行接収をしたということは、これは事実なんです。他にもこれに類したようなことがございますか。米軍が調達庁を通ぜずにこういうような行動を行なったというようなこと、それから調達庁としては、こういう場合に、開墾料として五十円、六十円というような小さな金であるけれども、そういう金を出したというようなことについての記録というものは、この問題は別として、他にそういうような記録というのはあるのですかないのですか、どうなんですか。
  90. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その当時の記録について調査いたしたのでございますが、この点について補償金を払ったというような記録はございません。
  91. 田口誠治

    田口(誠)委員 調達庁から払った記録はないということになりますと、だれか篤志家が払ったのか、県とか市が払ったということになるのですが、少くともその当時は武藤県知事で、非常に年はとっておられたけれども、そうした政治の面には非常に通じて、信用のある人であって、そうしたむちゃくちゃなことを許されるような人でもなし、また、幾ら軍に対して協力したとしても、おれの方から金を出すのだといって、県の金を出されたということも、これは考えられませんし、市としても、調べましたが、出しておりません。こういうことになりますと、これは迷宮入りですね。
  92. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ブルドーザーでやったということでございますが、当時ブルドーザーというのは、米軍が主として使っておったというような事実から見ても、もし事実とすれば、米軍がブルドーザーでやったのではないかと存じますが、この日野射撃場は、昭和二十四年に調達命令が出ておりますが、終戦と同時に、旧陸軍射撃場であったというよう関係から、占領後、他の軍用射撃場や何かと同時に、占領軍の管理下に移ったわけでございます。そしてなお引き続きそういう財産を占領軍として使う必要のあるものについては、当時、昭和二十四年に、すべて米軍からの調達命令によって前にさかのぼって使用する、今後とも米軍として引き続いて使用するものについては、PDを出して使うというようなことで、二十四年にそういう措置がなされたわけでありますが、従って、米軍として占領後引き続いて管理して使用しているというよう関係から、米軍がブルドーザーでやったのではないかというふうに想像されるわけでございますが、補償金を払っているという事実につきましては、当初においては、府県がそういう場合の補償や何かについては占領直後はしておりましたが、昭和二十四年ということになりますと、そういう関係はすべて調達庁に移されているわけでございます。名古屋調達局に照会しましたところ、そういう事実がない、補償金を払ったような事実はないということでございます。
  93. 田口誠治

    田口(誠)委員 二十年には大蔵省の財務局の管理下に事務が引き継がれた、軍がなくなったのだから、これは想像できますね。ところが、これをあとだれに払い下げるか、使用させるかということについては、やはりこれは大蔵省の財務局の管理下にあるのだから、大蔵省の方でいろいろ手を尽くされたと思うのですが、こういう場合には、国有財産法の九条の一、二、三項に基づいてやらなくてもいいものかどうか、これを伺いたい。そしてやらなければならぬというのなら、その記録があるかどうかということ、これも伺いたい。
  94. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 当時終戦直後の占領下でございましたので、旧軍用財産は、そういう陸海軍の射撃場とか飛行場とかいうものは、占領軍の管理下に事実上移された、そして昭和二十四年になって、漸次体制が整うに従いまして、そういうもので引き続き米軍として使用するものについては、PDが出されて使われる、その間、国有財産法との関係もあろうかと存じますが、占領下にございましたので、事実上米軍が使っていたということでございます。
  95. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、二十四年から二十六年、これは米軍が使用しておったにいたしましても、占領下であるから相当勝手なことはやったと思いまするけれども、おそらく調達庁の調査でも出ておると思いまするが、実際の米軍の接収命令というのは二十七年の四月じゃございませんか。今あなたは、二十四年云々というような何がありましたが、結局ブルドーザーで接収をして、五、六十円払ったということが二十四年、五年にはあります。そういうことをして、それから二十六年、七年には一方的に米軍が使用しておるけれども、残された記録の上においては、二十七年の四月にやはり米軍の接収命令が出ておる、こういうことに私の方の調査ではなっておるのですが、これは違いますか。
  96. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 お尋ねの二十七年は、ちょうど講和条約発効の年でございます。この年に平和条約が結ばれたわけでございますが、その平和条約の六条におきまして、占領軍は、この条約効力の発生の日から九十日以内に撤退しなければならない。それを逆から申しますと、九十日は従来使っておった施設が使えるというようなことになるわけでございますが、ただいま先生からおっしゃられました二十七年四月から二十七年七月までというのは、ちょうど講和条約の効力発生の日から三カ月、九十日以内、それを平和条約の六条の趣旨によって使ったという意味でございます。従いまして、昭和二十七年までは占領軍の接収という形で、それから二十七年の四月から七月までは平和条約の趣旨による、さらに二十七年の七月以降は、新しくできました当時の行政協定の施設区域として提供され、三十一年の返還までそういう形で使われたということでございます。
  97. 田口誠治

    田口(誠)委員 それでわかりました。二十七年の四月二十九日に接収命令が出て、それから七月二十九日までということになっておって、三カ月ですね。あなたの九十日というのは大体合いますが、実際的にはまだ米軍が残っておって、三十年ごろまでこれは使用しておったのです。こういう経過は、何か調達庁の方ではお許しになっておられたのか、どうなんですか。米軍の接収期限が切れてからなお三十年まで使用しておったのですから、あなたの方で何か了解をされておらなければ大へんおかしいものだと思うのですが、その点の記録はどういうことになっておりますか。
  98. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 これは昭和二十七年の七月に、新しい安保条約並びに行政協定のもとにおける施設、区域として米軍に提供するということが、これは行政協定では合同委員会を通じてきめなければならないということになっておりまして、合同委員会を通じて施設、区域として提供するということの合意がなされ、その合意のもとに提供されたわけでございます。
  99. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、今私のお聞きしておるのは、もう米軍の接収しておる期限が切れてから、米軍に使用させるということになりますると、これはやはり調達庁がそれを認めるとか、何かオーケーを与えなくてはならぬと思うのですが、これはオーケーを与えてあるのですか。与えてあるとするなれば、期限が切れたものをどういうような理由で与えられておるのかということもあわせて伺います。
  100. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 先ほど申しましたように、二十七年の平和条約の発効日まで占領という事態はなくなったわけでございますが、それから三カ月というものは、平和条約の六条に基づいて使用した、その間において、もとの行政協定の施設、区域として提供するかどうかということを、九十日の間において両国政府間で合同委員会できめたわけでございます。この合同委員会は、御承知ように、外務省、調達庁その他の関係各省が日本側としては関係しておるわけでございますが、現在のすべての施設、区域というものが合同委員会を通じて提供されるということになっておりました。そういう過程で、これも同じように米軍の使用を許すということでございます。
  101. 田口誠治

    田口(誠)委員 あなたの方の記録では、あの射撃場は何坪になっておりますか。
  102. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 一万九千二十四坪ということになっております。
  103. 田口誠治

    田口(誠)委員 それは米軍に接収されたときの坪数か、今の坪数か、どうなんですか。
  104. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁が関係しておる範囲においては、これは米軍が使っておったときの面積ということに相なります。
  105. 田口誠治

    田口(誠)委員 確めておきますが、その数字というのはどこに登録されておるものですか。どこから拾われたかということです。
  106. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいま申しましたのは、この米軍に提供した土地につきまして、米軍に提供する際に、あなたのところに使用させる土地の坪数はこれだけですというようなことを日本政府から米軍に知らせる、米軍もそれに基づいて、日本政府に対して、その土地確かに引き渡しを受けましたというような、そういう行政機関の引き渡し書に記載されておる坪数でございます。
  107. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますると、昭和三十四年五月二十九日に大蔵省より防衛庁に正式に払い下げをされた坪数と相違があるわけなんですね。私の方でいきますると、二万二千二百二十二坪ということで、これが行政財産ということになっておる。その坪数に相違がありますが、この点がちょっと食い違っておかしいと思いまするし、それからまだ大蔵省から防衛庁に正式に払い下げをされる前の昭和三十三年三月五日に、その一部を農協が払い下げを受けておるのです。これは七百五十九坪ということになっておりますけれども、坪数は実際的にはそれだけありません。そして、これは個人が払い下げを受けておるわけなんです。こういうことはやはりあり得るのですか。これはあなたにちょっと見ていただこうか。   〔図面を示す〕 この赤い線のあるところの射撃場の入口が民有財産になっておるわけです。出入りする一番大切なところが民有財産になっておるのだが、その坪数が七百五十九坪ということになっておりますけれども、これは実際坪数とは相違があるのです。それが三十三年の三月五日ということでございますから、国有財産を大蔵省から防衛庁に正式に払い下げる前に、これは払い下げになっておるのです。従って、こういうものについての、先ほど申しましたところの国有財産法九条一、二、三との関連も、ちょっとおもしろいものがあると思うのです。こういうややこしい問題でございますから、先日こういう質問をするから調べておいて下さいということをお願いしておいたので、大体調べておいていただいてあると思う。その点、明確に一つお願いしたいと思います。食い違っておりますから……。
  108. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいま書面では七百五十九坪となっているが、実測が五百坪になっており、食い違いがあるということでありますが、私どもの方の聞いたところでは、道路敷等のためにこういう差ができているということでございます。
  109. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、大蔵省から防衛庁へ正式に払い下げる前に、民間に払い下げがしてあるわけなんで、こういうようなことが事実あったのか、それとも、これからこういう土地はそういうようなことがやられるのかどうかということ、これはやはり問題になっておるだけに、また土地の人たちが払い下げをしてほしいという要望が出ておるだけに、この点がやはり重要だと思いますので、明確にしていただきたいと思います。
  110. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁としては、軍側から返還がなりますと、国有財産については大蔵省に引き継ぐわけでございます。従いまして、その後民間に払い下げるとか・そういうことにつきましては、調達庁としてはタッチしないという関係にございます。
  111. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますると、これは財務局なり財務部がそういうような手を打った、こういうことなんですか。
  112. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 そうでございます。
  113. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう場合の国有財産法の九条との関係は、これは手続上の必要はありませんか。これはあなたに聞くのはちょっと無理かもわからぬが、それはわかりませんか。——この質問はまだ幾日か続きますから、この点については、私は大蔵省から財務局の方へお尋ねをしたいと思うわけなんですが、いずれにいたしましても、こうした問題があるわけなんです。しかも、その払い下げをされているところが、今図面を見ていただいたように、射撃場の入口であるという、こういう何だかわけのわからぬことが今日までの経過にあるわけです。しかも、三十四年五月二十九日に大蔵省から防衛庁に正式に払い下げられている。このときには、やはり国有財産法の九条の一、二、三項によって審議会にかけられておりますが、そのときには、その土地の代表、県知事なり市長なりの出席を求めて意見を聞いて、結論を出さなくちゃならないけれども、全然そういうような案内もなく、欠席裁判で結局決定なされているということ、ここに一つの疑問がありますし、正式のルールを実行しておられないということがあるわけなんです。これは調達庁にお聞きしてもちょっと無理な面もあると思いますが、こういうようなことから、今問題になっている日野の射撃場の問題は、今日に至るまでの経過というものは非常に不明朗なものがあるわけなんです。法的にどこをどうというようにいく場合には、これはいろいろ意見もあろうと思いますけれども、総合的にこの問題を判断し、経過を見ますと、やはり先ほど申しましたように、あそこの射撃場は民間に払い下げをして、そうして必要があればどこか一番住民に迷惑のないようなところに、防衛庁として減らすわけにいかぬのなら、そういうところをお見出しになることが最も当を得たことであろうと思います。私どものイデオロギーからいいますと、廃止そのものであるわけなんですが、そういうことから私はこの点が疑問でありますので、疑問の点は疑問としてなお残しまして、財務局の関係にもここへ来ていただいて、またお聞きもいたしたいと思います。  今理事の方から質問を中止するように連絡がございましたので、その通り私は実行したいと思いますが、最後に防衛長官の御意見を承りたいと思います。
  114. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この日野の射撃場の取り扱いについて、何か非常に御疑問があるようでございますが、先ほど来政府委員から御答弁申し上げましたように、これは旧軍の射撃場でありまして、従いまして、占領と同時に占領軍に接収され、しかも、二十四年から二十五年にかけて、これは当時の慣例でございましたけれども、正式に占領軍から日本政府に調達命令が出まして、そうして米軍が使用するようになり、先ほどお話がありましたように、講和発効と同時に、九十日間の余裕を置きまして、今度はあらためて当時の行政協定第二条により、合同委員会において提供が正式に行なわれて、三十一年に解除になったということでございます。従いまして、正式に昭和二十四、五年ごろに調達命令が出ます以前の問題について、いろいろなお私どもにもわからない、先ほどの補償金の問題その他があるわけでございます。なお、この点については、さらに十分調査をいたしてみますが、なかなか困難でございます。  それから国有財産につきましての払い下げについては、当時国有財産の中央審議会が開催されまして、たまたま岐阜県知事さんが御欠席だったそうでございますが、これは大蔵当局からお聞きしたところでは、岐阜県知事にも会議開催の御通知をいたしておる、たまたま御欠席だということでございます。委員の十九名中二名の欠席でやったということでございまして、法律的には瑕疵はなかったように承っております。  その他の問題につきましては、たとえば途中で一部返還のありましたものの払い下げの問題でありますとか、二十四年の調達命令が出ます以前の問題等につきましては、私どもにもはっきりいたしていない点もありまして、なお財務当局にお答えをいただいた方が適当かと思います。  また、最後にお述べになりました点につきましては、先ほどお答え申し上げたことで御了承いただきたいと思います。
  115. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、私らは通知をしてもらえなかったというように把握をしておるのですが、通知がしてあるとするなれば、おそらくその原文もあると思いますので、写しもいただきたいし、また、事後承認をそういうことならおそらくなされていると思うのです。事後承認がどういう文書で、どういう形でなされているか、これもやはりお聞きをしたいので、これは今財務局関係の方がお見えになりませんけれども、記録によって、よろしく委員長の方でそういう点を計らっておいていただきたいと思います。途中で何だかしり切れトンボになりましたが、時間を催促されておりますので、一応私の質問は中断さしていただきます。
  116. 中島茂喜

    中島委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分開議
  117. 中島茂喜

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑を許します。大柴滋夫君。
  118. 大柴滋夫

    大柴委員 主として調達庁長官並びに調達庁の関係者の方に御質問をいたします。  御存じの通り、八丈島にロランCと呼ぶ米軍の基地を作ることを何か要請されているようでございますが、ロランCの正式の名前は何というのでありますか。
  119. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ロランCというのは、これを原語で申し上げますと、ロング・レンジ・エード・フォア・ナヴィゲーション、こういう言葉でございます。私ども、略称遠距離用電波航法施設、こういうふうに申しております。さらに略して電波灯台という俗語を使っております。
  120. 大柴滋夫

    大柴委員 何か鉄塔から電波を送って、潜水艦、飛行機あるいは軍艦等の居場所を決定する、そのための基地であるというようなことを聞くのでありますが、アメリカ軍から正式に要請された基地の目的というのは何でありますか。
  121. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ロランCとは、ただいま申しましたように、遠距離用電波航法施設ということでございます。これは俗称電波灯台、こういうふうに申しております。これは大洋を航行しまする船舶とか航空機、これに対する航行保安をはかる目的のための設備でございます。さらにこれを具体的に申しますと、このロランCから発する電波を大洋を航行する船舶とかあるいは航空機が受信しまして、その所在位置を確認するということでございます。こういうことをすることによりまして、船舶とか航空機が安全に航行ができるというのがその目的、趣旨であります。
  122. 大柴滋夫

    大柴委員 八丈島へできるロラン基地の発するところの電波というのは、私はしろうとでよく知りませんけれども、電波の波長とか規格、そういうものはどういうものでありますか。あわせて八丈島から発する場合は何キロくらいまで及ぶものなんですか。
  123. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このロランCから発するところの電波の周波数は九十ないし百十キロサイクルの長波でございます。その他の技術的な問題につきましては、関係機関において検討することになっております。その有効距離と申しましょうか、到達距離は、私ども承知しているところによりますれば、約千七百海里というふうに聞いております。
  124. 大柴滋夫

    大柴委員 それはラジオとかテレビと混信とか、いろいろの妨害になるとか、そういうことはございませんか。
  125. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、この電波の周波数は九十ないし百十キロの長波でございます。この周波数につきましては、日本におけるところの各関係機関において十分検討して決定するということになっておりまして、ラジオとかテレビに障害を与えるということはないと信じております。
  126. 大柴滋夫

    大柴委員 何か同じようなものが北海道、沖縄、ミッドウェーにもできるというようなことを聞いておるわけでありますが、これは、この四つがそろって、初めて大洋を航行する飛行機とか船舶の位置を確認することができるのでありますか、それとも八丈島にできればよろしいのかどうか。
  127. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在米軍が計画しておりまするのは、八丈島と北海道の十勝太というところに設置したいということでございまして、このような通信施設は数カ所にあって初めてその機能を発揮するというふうに聞いております。
  128. 大柴滋夫

    大柴委員 それでは、その数カ所が同時に完成しないと機能は発揮しないわけでありますか。八丈島に完成するときには、十勝太とか沖縄の方も完成しなければ所期の目的は達しないわけですか。
  129. 林一夫

    ○林(一)政府委員 八丈島と北海道の十勝太の両方の施設ができ上がらなければ、その機能を発揮することができないというように聞いております。要するに、両々相待ってその機能を発揮するということでございます。
  130. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、すでに沖縄とミッドウエーあたりには完成しているということでありますか、あるいはそれは知らないということでありますか。
  131. 林一夫

    ○林(一)政府委員 聞くところによりますと、この八丈島、北海道の十勝太と、沖縄方面に一カ所、マーカス島方面に一カ所というよう計画であるというふうに聞いております。
  132. 大柴滋夫

    大柴委員 その沖縄やマーカス島というのは、すでに完成しているのでありますか。
  133. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これもはっきりしたところは申し上げられないのでございまするが、マーカス島の方はそういう計画を持っておるようでございます。沖縄の方はほぼ完成しておるというふうに伺っております。
  134. 大柴滋夫

    大柴委員 御存じの通り、この八丈島は大へん平和な島でありまして、八丈島の島民の意向としては、できるならばあのそばの鳥島の方に移したいというような要請があるわけですが、特に八丈島でなければならない理由が何かありますか。
  135. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これは技術的な問題になるのでございますが、技術的な見地に立って、八丈島が最も適当であるということで、八丈島をその候補地として選んだのでございます。それは方向とか距離とか他の位置との関係において、八丈島が適当であるというふうに米軍は考えて、八丈島の地域の提供を要請してきておるわけであります。
  136. 大柴滋夫

    大柴委員 その方向とか距離とか位置とかいう答弁でなくて、もう少し何か物理的な、科学的な理由というものがございますか。
  137. 林一夫

    ○林(一)政府委員 科学的と申しましょうか、今の技術的な点から申しまして、他のロランCの施設との関係において、八丈島が適当であるというように私どもは伺っております。
  138. 大柴滋夫

    大柴委員 その答弁では困るわけですね。もう少し物理的な、常識的な、もう一歩進んだ、こういう他の地域との関係だとかなんとかいうような、もう少しはっきりした理由はありませんか。あなたも御存じの通り、根強い反対運動が起きておるわけでありますから……。
  139. 林一夫

    ○林(一)政府委員 当方で承知いたしておりますのは、この施設が他の発信所に対して適当な位置にあるということ、大洋の近くで、他の発信所との間も大部分水域であるというようなこと、他の発信所のアンテナとの間に山が存在していないことというようなことで、八丈島を適地として選んだということであります。
  140. 大柴滋夫

    大柴委員 他の発信所というのは、おそらく沖縄、十勝太をいうのだろうと思いますが、それならば鳥島でもいいじゃありませんか。別に悪い理由というのが見当たらぬのでありますが、それはどうでありますか。
  141. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、他の発信所との間の距離だとか方向とかの関係もございまして、八丈島が適当であるというような判定をいたしたのでございます。
  142. 大柴滋夫

    大柴委員 先ほども申したように、八丈島に根強い反対運動がありまして、鳥島の方に持っていってほしいという声があるのであります。私は不幸にして、長官の返事では、八丈島でなければならないという理由の根拠を知ることができません。しかし、あなたにここで結め寄ったところでしょうがないので、問題を先に進めますけれども、これはミサイルと何か関係がありますか。
  143. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、このロランCというのは電波灯台であります。航空機とかあるいは船舶の航行の安全を期することがその目的でございます。ミサイルとは関係があるというようなことは聞いておりません。
  144. 大柴滋夫

    大柴委員 それでは、何かその電波灯台から発する電波に対して、それをすぐ変更したならぼ、応用上ミサイルの飛翔を探知するに役立つとか、そういうことはありませんか。
  145. 林一夫

    ○林(一)政府委員 応用上も、これがミサイルと関係をするというようなことはないと存じております。
  146. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、その発する電波によって、潜水艦や軍艦あるいは飛行機が自分の位置を知るということでありますから、その八丈島に合わせて位置を知ったところの軍艦、飛行機からは、自分はここにおるというような何らかの意思表示がある場合ができてくるだろうと思います。そうすると、それに対して、お前さんはここへ行け、ここへ行けというような指揮をするようなものを八丈島へ作る、こういうよう計画はありませんか。
  147. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これはただいま説明申し上げましたような航空機とか船舶の航行安全をはかるための施設でございまして、ここから指揮をするような施設ができるというようなことはないと信じております。
  148. 大柴滋夫

    大柴委員 それならば、海洋を航行している各国々の飛行機や潜水艦やあるいは軍艦というものは、その電波を利用して自分の位置を知ることができるわけですね。そうすると、海洋を航行しているたとえばソビエトの飛行機あるいは潜水艦も、受信機さえあるならば十分それを利用できる、こういう理屈が成り立ちますか。
  149. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このロランの受信機を備えておりますれば、どの国の航空機でも、どの国の船舶でも、大きな船でも、小さな漁業でも、その所在地を確認することができるということであります。
  150. 大柴滋夫

    大柴委員 それは簡単な理屈上はそうなるわけでありますが、対アメリカとの話上に、そういうものであるという確認を調達庁はいただいてきているわけでありますか。
  151. 林一夫

    ○林(一)政府委員 その点は、もちろんそういう目的で作るということでございまして、現在も、国内にはこのような施設が米軍の施設として、あるいは海上保安庁の施設としてあるのでございます。いずれも先ほど申しましたように、航空機あるいは船舶の航行の安全をはかるという目的のための施設でございます。このようなロランの受信機を持っておれば、どんな船でも、どこの国の船でも飛行機でも、その所在地を確認することができるという施設でございます。
  152. 大柴滋夫

    大柴委員 施設のことでありますが、大体私どもが聞いている限りにおいては、所要土地が三十万坪、そこの中心に四百メートルの鉄塔を建てて、鉄塔のまわりへ線を張ると聞いておりますが、施設の具体的なものを一つお示し願いたいと思います。
  153. 林一夫

    ○林(一)政府委員 必要な面積は大体三十万坪ということになっております。その中央に今お話しの約四百メートルの鉄塔を建てまして、その鉄塔をささえる支線を張るということでございます。この鉄塔を中心としまして、発信所とかあるいは居住施設というような施設が建設されるというよう計画でございます。
  154. 大柴滋夫

    大柴委員 その支線というのは、鉄塔の位置からどのくらいに張るのでありますか。
  155. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 支線は鉄塔の基礎部分から放射状に地中線を出すために、直径約手メートルにわたって張るということでございます。
  156. 大柴滋夫

    大柴委員 それは資料としていただけますか。
  157. 林一夫

    ○林(一)政府委員 資料として提出いたします。
  158. 大柴滋夫

    大柴委員 何か電波を起こすのに重油がドラムカンで一万八千本要るというようなうわさが、すでに八丈島の運送業者から立っておりますが、そういうことは具体的にはもう判明しておりますか。
  159. 林一夫

    ○林(一)政府委員 まだこの点は当方においては聞いておりません。
  160. 大柴滋夫

    大柴委員 三十万坪の土地が必要だといいますけれども、それは二十五万坪とか二十万坪とか、そういうものではいけないのでありますか。
  161. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在の計画におきましては、約三十万坪必要であるということを申し出ているのでございますが、もちろん、これは現地を調査した結果、あるいはこれより少なくて済むというような場合もあるかとも考えますが、米軍の要求は約三十万坪ということでございます。
  162. 大柴滋夫

    大柴委員 何か三十万坪のほかに、米軍の方から飛行場であるとか港であるとか、いろいろの要求がございますか。
  163. 林一夫

    ○林(一)政府委員 そのような要求はほかにはございません。
  164. 大柴滋夫

    大柴委員 しかし、いずれにしても、電波を起こすのにはいろいろな油が要るだろうと思いますから、油を運ぶ。そうすると、港を完備しなければならないとか、あるいは御存じの通り、八丈島は雨や風が荒いと、レーダーがないので飛行機が着かないので、レーダーを完備しなければならないとか、いろいろな問題が起きてくるだろうと思いますが、アメリカ軍からそういう要求はございませんか。
  165. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在そういう要求はございません。その輸送方法というようなものにつきましては、今後検討して協議して参りたい、こういうよう考えております。
  166. 大柴滋夫

    大柴委員 しかし、あれだけの工事をやる以上、常識上調達庁は、何かこういうものが要るだろう、ああいうものが要るだろう、こういうものはございませんか。
  167. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在判明している施設は、ただいま申し上げましたように、高さ約四百メートルの鉄塔、これを中心としまして発信所とかあるいは宿舎その他通信の操作場といったような施設程度であるのでございます。それ以外に大きな施設はないというふうに聞いております。
  168. 大柴滋夫

    大柴委員 それに付随して、アメリカの兵隊というのは何名ぐらい八丈島に来ており、どんな職業を持った者が来て、どういうところに寝泊まりするのでありますか。
  169. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この八丈島のロランCの施設の仕事に従事する米軍は、主として技術者でございます。兵隊はきわめて少ない。大部分が技術者、しかも、教養のある技術者であるということを聞いております。人数は約二十数名ということでございます。
  170. 大柴滋夫

    大柴委員 大へん教養のある人に来ていただいてありがたいわけですが、どこで寝泊まりするのでありますか。それは兵隊ですか。それとも、単なる技術者ですか。技術将校といったようなものですか。
  171. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ここに常駐しますのは技術者でございまして、その宿泊は、ここに設けますところの宿舎に宿泊するという計画でございます。
  172. 大柴滋夫

    大柴委員 変な話でありますが、それは妻帯者が来るのでありますか。独身でありますか。
  173. 林一夫

    ○林(一)政府委員 独身者と聞いております。
  174. 大柴滋夫

    大柴委員 このロランCの工事を正式に日本の調達庁へ要請してきたのは、アメリカの何というところで、主としてあなたたちの交渉相手は日本のどこにいるのですか。
  175. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このロランCの施設の立ち入り要求をして参りましたのは、合同委員会を通じて米軍から要請があったのでございます。その主任官と申しましょうか、係官は、在日米軍の司令部の第四部長のスタングラ大佐という方でございます。
  176. 大柴滋夫

    大柴委員 その大佐というのはどこにいるのですか。
  177. 林一夫

    ○林(一)政府委員 事務所は、府中の在日米軍司令部に常駐しております。このキャプテン・スタングラは、合同委員会の下部機構である施設委員会の議長も兼ねておるわけでございます。
  178. 大柴滋夫

    大柴委員 これはいろいろ反対運動もあるわけですが、調達庁がよって立つ、この工事をしなければならないという法律的根拠は、安保条約のどこですか、ちょっと読んでみてくれませんか。
  179. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知ように、地位協定というものがありますが、その地位協定の第二条にございます。第二条第一項(a)に「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。」ということでございます。
  180. 大柴滋夫

    大柴委員 その合同委員会から調達庁に話があったわけでありますが、正式な書類や何かを、こういうのを作れという書類を資料として御提出願いたいのですが、いかがですか。
  181. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この合同委員関係の協議事項の内容は秘密事項になっておりまして、そのままお示しすることはできないのでございますが、米軍からの要請は、昨年の十月の合同委員会におきまして、八丈島にロランCの施設を設置したいから、そこの立ち入りを認めてもらいたいという要求があったのでございます。それがその要請のおもなる内容でございます。
  182. 大柴滋夫

    大柴委員 それならば、ソビエトの飛行機が飛んだときにも、平和的に利用できるとか、あるいはまた日本の漁船が平和的に利用できるという根拠がないではありませんか。
  183. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私どもが平和的に利用できると申し上げておりますのは、平時におきましては、どんな小さな船舶も、またどんな大きな船も、このロランの受信機を設備しておれば、その所在位置を確かめることができる、かくすることによって航行の安全をはかることができるということであります。そのほか、たとえば暴風雨の際の海難救助とか、あるいは漁場の発見等にも役立つということでございます。平時においてはこのような平和的な利用が大いに活用される、こういうふうに私ども考えております。
  184. 大柴滋夫

    大柴委員 大へん失礼でありますが、安保条約あと七年くらいあるだろうと思いますが、あなたがこの七年間責任を持つわけではないだろうと思いますから、対アメリカとの関係を、合同委員会においてあなたが今言ったようなことを確認された上で言っているのか、単なる希望的な、一般的、常識的な見地から言っておるのか、その点をはっきり願いたい。
  185. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げたような、ロランC設備の機能と申しましょうか、効果といいましょうか、これは米軍がはっきり示しておるのでございます。現在、日本国内にロランAというのがございますが、この型はこのロランCより少し小さな型でありますが、やはり同じような目的のために設置されておるのであります。そのよう内容からいっても、今回設置されるロランCは、ただその精度をさらに高める、到達距離を長くするという点の違いだけで、同様な目的、同様な趣旨のもとに作られる設備であると私どもは信じております。
  186. 大柴滋夫

    大柴委員 長官、信じておることばかり言ってもらっては困るのでありまして、たとえば調達庁の人が八丈島へ行った際には、これは東京タワーに次ぐ名所になるだろう、こういう無責任な発言を調達庁の高級役人は言っておるわけでありますが、はたして一般人に見学ができるというようなことをアメリカ軍が約束しておるのかどうか。
  187. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米側としてはっきり申しておりますことは、ロランCが提供する航行標識は、いかなる船、いかなる飛行機も利用できるというようなこと、また、このロランのことを説明した出版物はだれにでも上げます、また、この施設が竣工しました上は、アメリカ側としては、参観者を歓迎するであろうというようなことも申しております。今、長官から申されましたように、ロランCはロランAを一歩前進させた施設でございまして、現在ロランAは米軍施設で五カ所ございます。それからなお、近くは日本側では、海上保安庁等もロランAを作っております。このロランCが問題になりましたのは、現在のロランAをさらに一歩進めて、現在のロランAでは電波の到達距離が短かいので、それをさらに長くするということと、その正確度をさらに期するというような面から、ロランCを設置することになっておるわけでございます。
  188. 大柴滋夫

    大柴委員 八丈島に作るロランCは見学が自由だ、まことにそれはけっこうでありますが、そういうことであるならば、すでに作ったロランAの見学も自由に許されておりますか。たとえば、大島なら大島にあるロランの局は、ほとんど立ち入り禁止というようなことになっておると聞いておりますが、どうでありますか。
  189. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 私の聞いておるところでは、軍側としては、新潟等にあるロランAの施設をぜひお見せしたい、そうすればいろいろな不安も解消するでしょうというようなことを申しております。
  190. 大柴滋夫

    大柴委員 お見せしたい、解消するでしょうとあなたは言っておられるのですが、それでは、なぜ、八丈の町長あるいは町会議員一致して反対の陳情に来た場合に、あなたたちはそのロランAの既設のものを見せるとか、あるいはここへ行って見て下さいとか、紹介の労をとらないのですか。
  191. 林一夫

    ○林(一)政府委員 どこの方でも、このような施設を見学したいという御希望がありますれば、いつでも紹介の労をとりたいと思います。
  192. 大柴滋夫

    大柴委員 漁船なども平和的に利用できるというわけでありますけれども、具体的に、八丈島あたりから出漁する漁船、二百万円か三百万円の漁船、こういうものがそういう精巧度の高い受信機を整備するというようなことが、常識上できますか。たとえば一万円なら一万円持っていればできるというようなたぐいのものですか。
  193. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このロランの受信施設は簡単に取りつけることができる由でございます。たとえば五十トン以上の漁船は、このロラン施設をつけているものがたくさんあるし、また、北洋漁業に従事しておる漁船は、三十トン以上のものは大体受信機を設備しておる、こういうふうに聞いております。
  194. 大柴滋夫

    大柴委員 一体、この八丈島の施設というようなものは、金額にして日本の金で何億円くらい要るのでありますか。
  195. 林一夫

    ○林(一)政府委員 八丈島のロランCの施設の工事費でございまするが、これは約五百万ドルの計画である、こういうふうに聞いております。
  196. 大柴滋夫

    大柴委員 それはおそらく将来十勝太の反対も起こると思いますけれども日本政府が何らかのことで自分で作る、あるいはアメリカから金を借りて作る、こういうようなことで、日本のものとして——あなたたちの説によれば、これは十分必要なものでありますから、日本で何か金を借りて作るというような工合にはいきませんか。
  197. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 われわれの関する限りにおきましては、米側の合同委員会における要求によりまして、しかも、内容的にも有効なものであるから、その設置についての一応の立ち入りを認めようという考え方でございます。もし日本側で作るとなりますと、これは運輸省と海上保安庁などのお考えでございますので、私そのお考えを伺っておりません。先ほど調達庁長官からもお答え申し上げましたように、ロランAにつきましては、すでに設置し、あるいは今後も設置するというようなお話を承っておりますが、ロランCまでやれるかどうか、やる御意思があるかどうか、まだ確かめていないわけでございます。
  198. 大柴滋夫

    大柴委員 この際、防衛庁長官に申し上げておきますが、非常に反対の運動が強いわけです。しかも、防衛庁の方としては、大へん平和的に利用できるというならば、調達庁の方はともかくとして、政党人たるあなたは十分それを考えていただきたいと思うのですよ。なお、八丈島に現実にいろいろな反対の運動がありますが、貫いている思想というものは、将来何らかの意味の戦争が起きたとするならば、第一番の敵国の攻撃目標になるであろう、こういうことであります。つまり、海洋を航行する飛行機や潜水艦のいろいろのことを撹乱するために、結局ここがやられるだろう、こういうおそれでありますけれども、そのことについての見解は、防衛庁長官、いかがですか。
  199. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど来お答え申し上げていますように、これはいわゆる電波による灯台のようなものでございます。従いまして、過去のいろいろな世界に起こった各種の紛争、戦争等を考えましても、こういった施設が第一の攻撃の目標になったというようなことは聞いておりません。従いまして、万々一非常の場合が起こったときに、このロランCの施設が第一の攻撃の目標になるということは、万々私は考えられないことでありまして、そういう点の御心配は、これは少し思い過ごしをされているのじゃないかというふうに考えます。
  200. 大柴滋夫

    大柴委員 ものの考え方が違うから、あなたと水かけ論はよしましょう。ただ、あなたのその説明では、島民の多くは納得できないということだけを私はあなたに伝えておきますけれども……。さらに問題を進めますが、これは御存じの通り、三十万坪のうち、持ち主は少ないけれども、十万坪の一番いいところを持っている人たちは、これは反対であります。これはなぜかというと、そこにサカキを作りまして、十分なる生計を永遠に営める産業を持っておるわけであります。そういう場合、それを安保条約に基づく特別措置法によって強制収用をしなければならぬだろうと思いますけれども、これはどういうようになりますか。
  201. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このロランCの施設の約三十万坪のうち、面積にして約九〇%の土地所有者の方々は、御了解をしていただいておるのでございます。なるほど、その一部反対されておる方々のうちには、サカキ組合に所属されておる方々があると聞いておるのであります。この反対されておる方々についても、現在、この施設の概要その他機能等につきまして、納得のいくように説明をいたしておるのであります。今後もできるだけこのような御理解、御納得をいただいて施設を進めて参りたい、こういうふうに私ども考えております。
  202. 大柴滋夫

    大柴委員 そういう答弁しかできないかもしれませんけれども、それをやっていると五年くらいかかりますよ。かつて新島が防衛庁の基地を反対したと同じように五年くらいかかると思いますが、そんなゆうちょうなことでもよろしゅうございますか。
  203. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この施設はなるべく早く完成したいというような要望もあるのであります。私どももなるべく早くその反対の方々の御理解と御納得をいただいて、早く話がまとまるように進めて参りたい、こういうふうに努力しておる次第でございます。
  204. 大柴滋夫

    大柴委員 御存じの通り、八丈島の町議会は、昨年の十一月、多少の異論を持っている人はあったかもしれませんけれども、全員一致この反対の議決をいたしております。そうすると、御存じの通り、山を持っている人々が百人賛成だとしても、五百人の八丈島の人々は賛成するか知りませんけれどもあとの一万一千五百人の人はほとんど反対であります。そうすると、町議会の議決というようなものは、あなたたちは尊重しなければならぬと思いますけれども、一方にはあなたたちが言う国の命令がある。一方には町議会の反対議決がある。こういうようなことを具体的にはどういうように処理するつもりでありますか。
  205. 林一夫

    ○林(一)政府委員 地元の町議会において反対決議があったということは伺っております。でございますので、私どもとしましては地元の関係地主の方々の御了解を得るのはもちろん、町会議員の方々にも十分にこの趣旨を説明しまして、御理解と御納得をいただくよう努力をしておる次第でございます。
  206. 大柴滋夫

    大柴委員 それでは具体的に町会が反対を議決し、なお一番中心部を持つ大地主が反対している場合には、特別措置法による強制収用というようなことは行ない得ないだろうと思いますけれども、その辺の見解はどうでありますか。
  207. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私どもとしましては、どこまでも話し合いによって御理解と御協力を得て話を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  208. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、私が言ったように、少なくとも五年はかかるだろうと思いますけれどもアメリカの方は二年間で作ってほしいとか、まあまあできるだけ早く作れ、三年でも早い、五年でも早いことになるのだろうと思いますが、いついつまでには少なくとも土地は買い上げてほしいというような時日の指定というのはないのでありますか。
  209. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お尋ねような時日の指定はございません。なるべく早く設置したいという希望を述べております。そういうようなわけで、私どもの地元の方々の説得も、十分御理解をいただくよう努力を続けておるわけでございます。だいぶん地元の方々も御理解を持っていただくような傾向にあるのは、非常に幸いに思っておるのでございます。今後もさらに十分努力しまして、地元の方々の御理解を得ていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  210. 大柴滋夫

    大柴委員 現在あなたたちのこの命令で測量が進んでおるだろうと思いますが、一番新しい情報によって、測量はどの程度進んでおるのでありますか。
  211. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この調査の期間でございますが、現在のところの計画では、今月一ぱいに終了するというようなことで、その調査を進めておるのでございます。
  212. 大柴滋夫

    大柴委員 御存じの通り、反対地主あり、賛成地主があるわけでありますが、土地の価格などは、今お考えとしては、どういうような価格で買い上げるつもりでありますか。
  213. 林一夫

    ○林(一)政府委員 土地の買い上げあるいは賃借というようなことにつきましては、従来の方針によりまして、近傍類似の土地の価格あるいは賃借料というようなものを考えまして、所有者の方々と十分話し合いの上決定して参りたい、こういうふうに考えております。
  214. 大柴滋夫

    大柴委員 大変法律的な用語でおそれ入りますが、何か百円くらいする何にもならぬがけっぷちのところを八百円で買う、サカキを十分生産しておるところを千円くらいで買う、こういうようなことを盛んに調達庁のお役人はまき散らしているらしいですが、その辺の具体性、真実性はどうでありますか。
  215. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申しましたように、従来の調達庁の方針としましては、近傍類似の土地の価格とかあるいは賃借料というものを参考にしまして、地元の土地所有者と十分話し合って決定していくという手続をとっております。八丈島の場合においても、やはりそのよう方向で今後進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  216. 大柴滋夫

    大柴委員 八百円とか千円とかいうのは、これはどういうことでありますか。
  217. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私ども、その具体的な価格、値段等につきましては、まだ聞いておらないのでございますが、ただいま申しましたような方針によりまして、地元の方々と十分話し合って進めていくという計画でございます。
  218. 大柴滋夫

    大柴委員 不動産部長にお聞きしますが、その八百円、千円ということが、すでに公式の席上で述べられているわけです。あなた、それを聞いておりますか。
  219. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 これは東京局の職員が行かれて地元と話をされた場合に、おそらく千円とか八百円というような話が地元の方からも出たことではないかと存じます。これをどうきめていくかは、ただいま長官からお話がありましたように、近傍類似の価格を考慮して、相手のあることでございますので、相手と十分詰めてきめていく、また、そのようにいたしたいというふうに考えております。
  220. 大柴滋夫

    大柴委員 念のために、その近傍類似の価格というのをお示し願いたいのです。
  221. 林一夫

    ○林(一)政府委員 近傍類似の価格と申しますのは、やはりその周辺の土地価格ということでございまして、そのような土地価格というものを今後十分調査検討しまして、それを参考にして話し合いを進めていくという計画でございます。
  222. 大柴滋夫

    大柴委員 あなたの先ほどの説明によれば、すでに九〇%は賛成だ、こういうのでありますが、この賛成地主に対しては、いつそれを買い入れるわけでありますか。
  223. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申しましたように、このような施設の買収と申しましょうか、あるいは借り上げというようなことは、やはり地元の方々の御理解と御協力を十分いただいて、御納得の上に話を進めなければならないのでございます。現在は地元の方々の説得と申しましょうか、御理解をいただくことに努力をいたしておる次第でございます。そのような進行度合いを見まして、そのような手続を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  224. 大柴滋夫

    大柴委員 何かすでに測量をして、町道へくいを打ったと聞いておりますが、それは事実でありますか。
  225. 林一夫

    ○林(一)政府委員 町道に測量のためにくいを十一本打ち込んだという事実は承知いたしております。
  226. 大柴滋夫

    大柴委員 町議会が全員一致で反対しておる町道にくいを打つという権限は、法律的にはどこにあるのでありますか。
  227. 林一夫

    ○林(一)政府委員 との測量のために町道にくいを打たなければならないような事態に至ったので、うっかり町道に無断でくいを十一本打ったのでございます。さっそくそれに気がつきまして、翌々日このくいを全部抜きまして、あとは小さな穴を埋めまして、原状回復はちゃんといたしておりまして、そのような手違いがあった点は、十分調査員に注意をしておきました。
  228. 大柴滋夫

    大柴委員 それは賛成するか反対するか知りませんけれども、とにかく測量のためにくいを打つということを町議会に通告しない——通告というか、了解を求めない、あるいはまた関係の警察へも何とも言わないということに、大へん私たちは調達庁の無礼な、町民の意思を無視する態度を見るわけでありますが、そういうことについて、何か町議会に特にあなたたちがまことに申しわけないことをしたという陳謝をいたしましたか。
  229. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現場においては陳謝いたしておると思います。形の小さなくいでありますので、十本ぐらい打ち込んでもというような気持でうっかり打ち込んだのでございます。しかも、打ち込んだのは、上に出ないように全部打ち込んだと聞いておりますが、このような点は手違いから生じたことでございますので、さっそく翌々日これを全部引き抜きまして、あと原状回復はいたしておきました。
  230. 大柴滋夫

    大柴委員 これはあなたは、この席では出先においては陳謝をしたと言いますけれども、行ったところのお役人は、これに触れると公務執行妨害だ、こういう不遜な言葉を吐いておるわけであります。こういうことに対してどうお思いですか。
  231. 林一夫

    ○林(一)政府委員 出先の者が現場においてどういうことを申し上げたか存じませんが、私どもといたしましては、こういう点は十分地元の方々の気持を尊重して注意するように、再々現場の係員には注意を重ねてきたのであります。今後はこのような間違いのないように十分に注意をいたしたい、こういうふうに考えております。
  232. 大柴滋夫

    大柴委員 それは、私は、地元の町長がどういう意向を持っているか知りませんけれども、とにかく、出先の測量する人々には、一つきょうでもあるいはあしたでも十分な注意をしていただかぬと——大へん傲慢無礼だということをけさの電話で聞いているわけです。だから、きょうでもあしたでも、出先のあれに対して、行き過ぎたことをするな、もしそういうことをする必要がどうしてもあるというならば、町長並びに警察署長にはっきり相談してからしろ、こういう指令を出していただきたいが、よろしゅうございますか。
  233. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このくい打ちの問題が起こったときも、地元の係官には厳重に注意をいたしておきましたのでありますが、今後ともさらに地元の方々の気持を察して、いろいろの点について十分に注意をするように強く連絡いたしたいと存じます。
  234. 大柴滋夫

    大柴委員 この土地は、ここの山の人から買って、そして一応大蔵省のものになるわけでありますか。所有権者はどこへいくのでありますか。
  235. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この施設の土地を買収して米軍に提供することになるのであります。これはもちろん買収すれば国有地でございます。国有地ということになるわけであります。
  236. 大柴滋夫

    大柴委員 御存じの通り、あそこは年間約三千五百万ぐらいに及ぶサカキの生産地でございます。それと同時に、八丈島の町民全部に入会権を許しているタマシダの発生地であります。あそこのおばあさんたちは、あそこへとりに行けば、一日約三百円ぐらいの収入がどんな人にもあるわけです。歴史始まって以来、あそこは立ち入りを許しているわけでありますが、これらの補償というもの、サカキの補償あるいはタマシダの補償といったようなことについては、調達庁は何かお考えをお持ちですか。
  237. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今後あの地域を米軍に提供したことによりまして、あの地域内においてタマシダとかあるいはサカキ等を栽培されておる方々に被害を与えるというようなことがありますならば、当然これは補償するということになるのでございます。
  238. 大柴滋夫

    大柴委員 いや、ありますならばではないのですよ。具体的にあるから——先ほど言った一番の反対は軍事基地反対でありますが、二番目はサカキ業者が全部反対しているわけであります。それから島民全部が反対しているあれは、ここのおばさんたちのタマシダの立ち入り権による一日三百円ないし三百円をこえるこの収入なんですよ。そのことについて、調達庁は、今後そういうことをするということで、現在何もお考えないのでありますか。
  239. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私が先ほど申しましたのは、ここにタマシダとかあるいはサカキを栽培しておった方々の土地が提供されたということによって、従来の収益を上げることができない、あるいはそのようなタマシダなりあるいはサカキを刈り取りに立ち入った方々の収入がなくなるということになれば、これは当然補償の対象になるのでございまして、十分補償いたしたい、こういうふうに考えております。
  240. 大柴滋夫

    大柴委員 なくなるならばですか。今実際的に考えはないのでありますか。サカキ並びにタマシダに対して、こういうようにこれを補償して、この土地を買い上げるという考えは、今はないのでありますか。
  241. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在は、立ち入りまして調査をしている段階でございます。これで具体的な施設計画ができまして、被害を与えるということになりますれば、当然これは補償をいたすということでございます。施設提供によって損害があれば補償するというのは、従来の調達庁の方針でございます。その点ははっきり申し上げて差しつかえないと思います。
  242. 大柴滋夫

    大柴委員 そうすると、これが適当であるかどうかという検査のために立ち入りをしている、こういうことでございますね。
  243. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私が申し上げますのは、今度の施設は、四百メートルの鉄塔と、これに付属しますところの発信所とか操作所とか宿泊設備というような小さな施設でございます。どの方面にそういう施設を作るかということが、今度の調査の結果だんだんと具体化していく、こういうよう考えております。その具体化した結果、なるほどこの方面のサカキなりあるいはタマシダ栽培者には大へん御迷惑をかける、被害を与えるということになれば、十分補償をするということになるのであります。この提供施設が全部演習場になるあるいは飛行場になるというのではございません。鉄塔を立て、その周辺に支線を張り、付近にわずかの施設、建築物を建てるという程度であります。そのようなことによって被害を与えるならば、これは当然補償をするということになるのでございます。
  244. 大柴滋夫

    大柴委員 重ねて伺いますが、八丈島は、御存じの通り、町会で反対を議決している。この自治権というものに対して、あなたは説得をするんだ、了解を願うんだと言うが、現在ただいまこの議決をしているのですから、これを尊重して八丈島からどこかに移す、こういうことにはなりませんか。
  245. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この八丈島がこの施設の候補地として最も適当である、こういうふうに考えておりますので、さらに説得を重ね、地元の方々の御理解、御了解を得て話を進めたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  246. 大柴滋夫

    大柴委員 最後に、これは私どもがお願いしておきますが、第一に、よく防衛長官も御存じの通り、八丈島は一万二千の人口であります。そのうち賛成の人は、私ども考えて、単にあの荒れ地である土地を売る人たちだけです。残りの一万一千何百という人は、これはみんな反対であります。私どもこの地区出身の政治家としては、こういうところに持ってきてもらってはほんとうは困るわけであります。しかし、国の命令でどうしても持ってきたいというならば、第一には、さきに説明したように、アメリカ軍でなくて、何か日本政府の責任において持ってこられないかどうかということ、第二には、もう少し、これはこういうものだ、ロランAの既設のところを八丈島の町会議員、代表者を呼んで、よく御説明願いたいのであります。今までの経過を見ると、ここで国会答弁においては、大へんどうも町長に許可を得ないでくいをしたのは申しわけないと言っておるけれども、向こうは実は暴力的であります。これは国の命令なんだ、お前らこれに手を触れると公務執行妨害なんだ、どういうことの一つないようにきわめて注意をして、政府の命令であれば進められんことをお願いしておきます。ただ、私どもとしては、先ほど説明したように、納得がいきませんから、独自な行動をとることをここに明確にしておきまして、私の質問を終わります。
  247. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十五日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会