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1962-03-09 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月九日(金曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       井村 重雄君    内海 安吉君       金子 一平君    佐々木義武君       島村 一郎君    田澤 吉郎君       高橋  等君    藤原 節夫君       保科善四郎君    細田 吉藏君       緒方 孝男君    田口 誠治君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君         公安調査庁次長 關   之君         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (道路局長)  河北 正治君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第三課長)  下條進一郎君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月八日  委員山中吾郎辞任につき、その補欠として柳  田秀一君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員小川半次君、大森玉木君、加藤常太郎君、  前田正男君及び柳田秀一辞任につき、その補  欠として田澤吉郎君、佐々木義武君、細田吉藏  君、井村重雄君及び楢崎弥之助君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員井村重雄君、佐々木義武君、田澤吉郎君、  細田吉藏君及び楢崎弥之助辞任につき、その  補欠として前田正男君、大森玉木君、小川半次  君、加藤常太郎君及び柳田秀一君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。石山権作君。
  3. 石山權作

    石山委員 この前の当委員会のとき、中村建設大臣おいでを願いまして、東北地方その他の後進地域に対して、鉄道はどうも最近非常につれない措置をとっておる、これをカバーするにはどうしても自動車道路をば整備する必要があるのではないか、こういうふうに申し上げまして、大臣にもその通りだというふうにおっしゃっていただきました。それで、私も、もうこれで質疑を打ち切ってよろしいと思っておりましたが、地方からきのう参りました新聞を見ますと、東北地建で今度の予算等試算してみますと、どうも建設省の今度とられている措置は、太平洋ベルトラインと申しますか、今すぐ効率的な経済関係のあるところに大部分を投資している、こういうことが明瞭になったような数字が出てきているわけでございます。この東北地建試算は、四十一年三月の東北地方における道路の問題をまとめたもののようでございます。これで見ますと、道路改良舗装が非常におくれるということが指摘されております。改良舗装というふうになりますと、一級国道よりも二級国道と県道をさしているように見られます。努力をしていただいているために、この数字からしても、やや全国平均に近づいていっているように見えますけれども、この速度では全国平均に近づくのは大へんに遠いように思われるわけです。本日は昭和三十七年三月九日でございます。四十一年の三月を見通し試算でございますから、かなりの年月をかけてこの指数が現われてくる。全国平均の対比でございます。一々この指数を読めばおのずからはっきりしますけれども、みなおわかりのことをこまかい数字をあげてもやぼなので、申し上げません。四十一年分三月末を見通してやっている計画から見れば、全国平均東北地方の差というものは、少しく大きい、こういうふうに結論的に申し上げたいために、私は何べんも言っておるわけであります。鉄道はああいうふうに太平洋ベルトラインを中心にして四十年までやっていこうというかまえを見せました。そうしますと、裏日本という言葉をわれわれは使いたくないけれども日本海方面地域は、交通運輸をばずっとおくらされてしまう、こういうのでございます。計画計画として、何も否定をしません。しかし、その間における行政措置として、これらの点をばカバーしてやっていく面がないものか、探してもらわなければ困るし、やっていただかなければ困るということをこの際言いまして、大臣答弁を願いたいわけなんです。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、私先般九州へ旅行をいたします際に、九州の現地で、九州道路全国平均に比較して非常におくれているではないかという質問をされることを前もって聞きましたので、その際に、全国道路整備状態舗装率等、実は比率を出させてみたのであります。今手持ちをいたしておりませんけれども、そのときに見ましたら、九州よりまだおくれているのが東北四国でありまして、そのときは、私は整備状況舗装状況のパーセンテージを実は見たのであります。そういう点、現実から言いますと、今石山さんのおっしゃった通りでございますが、実は一級国道について申しますと、昭和四十年までに全国的に改修及び舗装を完了する予定でございます。大都市あるいは交通量の多い地区は、すでに一応改修舗装ができてきましたので、現在としましては、従来整備のおくれている地域が昨年あたりからふえ始めまして、今年あたりも、今予算配分を検討しておる最中でございますが、非常に大幅にふえていくわけでございます。そして、昭和四十年にはもう全国的に均等の状態にいたしたいと思っているわけでございます。二級国道につきましても、やはりこれも格差がございます。そこで、二級国道改修整備方針なり考え方としましては、交通量が多くて消化の困難なところと、同じ二級国道国道に指定されていながら、自動車運行がまだできないようなところもございます。そういうようなところをとにかく自動車運行のできるように早く改修するということを目標にしまして、整備を急ぎまして、できるだけ地方格差がなくなるようにしたいということが基本的な考え方でございます。その方向に向かって実はすでにスタートをいたしておるわけでございます。東北地建新聞試算を発表されたということでございますが、これはおそらく昨年及び今年の伸び見込みくらいのところで試算をしていったと思うのでありますが、今年度あたりから非常におくれている地域配分が多くなって、すでに整備されたところはむしろ減っていくという姿に相なる予定でございますので、実は石山さんからそういう御質問があるということをただいま聞きましたので、できれば明確に現在のあり方の比率数字ども御説明した方がと思いまして、道路局長を探しましたが、ちょうど道路局関係のある人の病人ができまして、そこへ見舞に行っているそうで、すぐにつかまりませんので、まことに抽象的で恐縮でございますが、そんなような次第でございます。
  5. 石山權作

    石山委員 東北六県、新潟を含めまして、東北開発をやっているわけなんですが、七県の知事がそれぞれ苦労を重ねまして、最近経済企画庁に出した要望書がございます。これは昭和四十五年までかかりまして、全国平均の九一・一まで経済効率を上げたい、生産能力を上げたい、こういう指数を出している。それとこれと引き比べてみますと、道路が何ともおくれるという現象が見えます。それで、どうしても第二次道路五カ年計画をお立てになると思いますが、それでは僕らは知事諸君を笑っているのです。お前らは全国平均九一・一で満足しているのかと笑っているのですが、知事諸君にしてみれば、これだって四十五年までやるには並み大ていのことではないと言っているわけなんです。しかし、この道路の今の試算表を見ますと、四十五年には九一・一というふうな全国平均には、とてもじゃないけれども追いつけないのじゃないかという心配がございます。ただ、ここで建設当局としていいのは、日本の産業が、今後とも石油等によって非常に伸びがあるだろうという予想がされるわけです。そうすると、例の、業者からいろいろ怒られているけれども税金等関係で、かなり道路整備の面では余裕が出てくるのではないか、こういう見通しがございます。そこで、この前に大臣に申し上げた、いわゆる東北六県の裏側の方の県の各県境の峠に、集中的に一級国道なりあるいは横断の二級国道手入れをする、このことは、東北本線複線化あるいは電化に対しておくれをとっている奥羽本線の開発を助けるものだ、それでちょうど表と裏と均衡がとれるだろうと思うのです。この場合、大臣に御答弁いただきたい点は、今度の石油税等のいわゆる目的税等によって資金が潤沢になった場合においては、優先的に裏日本道路開発する、しかも、集中的にやるのは、県境の個所をば、一級国道なり二級国道なり横断道路手入れをしてあげますよ、こういう答弁をこの際いただかなければ——やはり東北六県のやった試算表というものは生きているだろうと思いますので、この前もあなたがああいう答弁をなすっているとすれば、私が今御質問申し上げる点にもお答えいただけるのではないか。お願いを申し上げます。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 道路財源の今後の見通し等につきましては、目下のととろはかりかねますが、われわれとしましては、こういった格差をできるだけ是正をしていかなければならない、こういう意味において、従来の整備状況のおくれておりまする東北四国等につきましては、極力努力をいたしまして、均衡のとれるようにして参りたい、こう思っております。それと、御承知通り東北地方には各地に峠がございまして、自動車も思うように通れない二級国道がまだあるわけでございますので、これらを早く解決するために、先ほども申し上げたように、そういう点を一つ優先的にやるということが一つ基本方針でございますので、御期待に沿うように進めて参りたいと思います。現在でも、東北ではかなり大きな隧道工事及び計画等がございまして、すでに着手している分も御承知通りございますわけで、今後とも自動車交通のできるように、今のようなできないところを早く整備するように進めていきたいと思っております。
  7. 石山權作

    石山委員 抽象的でございますが、大臣から将来にわたって一種の確約をしていただきましたので、私はあえてこれ以上申し上げませんけれども道路局長おいでになりましたから、重ねて要望として申し上げておいた方がよろしいと思いますので、実務家として申し上げておきたいと思いますが、東北地方は、御承知のように、裏日本の場合は積雪量が大へん多いわけなんです。積雪量が多いということは、砂利道の場合は非常に維持が困難だということを意味するわけでございます。ですから、もしかりに、私らが考えるに、道路経済効率をよくするとするならば、積雪地帯砂利道というものを一日も早く解決することが、その経済効率を高めることだと思っております。それを怠れば、どぶにお金を捨てるという言葉もございますが、しょっちゅう同じことを繰り返している。僕ら何も裏日本積雪地帯を優先的にやれなどということを申しておるのではなくして、経済効率の面から見て、将来奥地を開発するという点からすれば、常に乾燥して、砂利道でも維持発展ができるような状態にある場所と、春と秋にはじめじめして、幾ら砂利をやっても維持ができないというふうな道路との比較、その問題をやはり中心的にお考え願わないと、資金的にはいかにも公平のような身がまえで資金配分いたしましても、実際の経済効率になると問題にならぬような場面が出る。この点に関して、局長から一言御答弁をいただきたい。そういうふうな不公平にならないように、経済効率が両方同じように、資金配分を行なうのだ、めんどうを見てあげるのだ、こういうふうなことを御答弁いただきたいと思うのです。
  8. 河北正治

    河北政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、おそらく、先日仙台東北交通問題に関するお打ち合わせがありましたときに、東北地建が御参集の皆様にお配りした資料に基づいてのお尋ねかと思いますが、その表は、私どもまだ正確にはチェックしておりませんが、その表でいきましても、二級国道などにつきましては、全国伸び率よりも東北伸び率が上がるようになっております。ことに御指摘舗装の問題でございますが、これまた東北地建の表をチェックしてはございませんが、全国が二〇・九%が四三%になるのに対して、東北では九%が三九%、ほぼ全国並みになるように五カ年計画では数字が上がっております。それで、今のもう一つ積雪地帯舗装の問題でございますが、一挙に舗装までできるのが理想でございます。しかし、一面、交通量が多いところで、砂利道では維持が困難であるというようなところが、どうしても舗装を先にやっていかなければならぬというようなことでございますが、一日仙台で行なわれました東北交通問題に関する打ち合わせ会のときでも、東北地建が配りました資料に基づきましても、東北の二級国道舗装は相当伸びるようになっております。それからもう一つ、先ほど大臣からもお答えがございましたように、東北地方の二級国道につきましては、八戸−仙台線、横手−古川線、秋田−盛岡線等県界交通不能区間解消努力いたしておりますので、御指摘舗装の点が、あるいは多少全国的に見ておくれるということがあるかもしれませんが、私どもとしては、県界その他の交通不能区間解消に一生懸命努力しているような次第でございます。
  9. 石山權作

    石山委員 大体わかりました。そして、東北地建で出している資料は、あなたの言うように、今の舗装指数をお出しになったのですね。それは東北地建でもその通り指数を出している。ですから、私の言うように、基礎になっている指数というものは、試算であってもおおむね違いはない。それで、先ほど、私、あなたがおいでになる前に大臣に申し上げておったのですが、われわれが昭和四十五年までかかって全国平均九一・一まですべてのものを伸ばしていきたいという願望を持っておるわけですね。それから比べますと、この指数は少しくテンポがおそいというようなことです、私に言わせれば。ですから、この点は何も議論するのではなくして、長い間かかって各県当局試算をして、九一・一まで四十五年までに達成したい、そういう希望にこたえるように、特に鉄道等関係がございまして、道路に特別にめんどうを見ていただかなければ、この指数の達成はむずかしいのだろうと考えておりますので、うんとやっていただきたい、こういうふうに要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  10. 中島茂喜

    中島委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  11. 中島茂喜

    中島委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  建設省設置法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  14. 中島茂喜

    中島委員長 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。石山君。
  15. 石山權作

    石山委員 当委員会では、設置法の中で、定員の問題などよく論議するわけですが、その意味で、最近どうも裁判の速度がおそいという意見がかなりあるようでございます。そのおそくなる理由一つとしまして、裁判所判事さんの数が少ないのではないかというふうにも思われる節がございますが、定員は確保されているわけでございましょうか。
  16. 津田實

    津田政府委員 御承知のように、裁判官定員につきましては、裁判所職員定員法によりまして、その数が裁判官種類別によって定まっておるわけでございます。現在やはり相当数欠員を持っておりますが、そのうち一番補充困難なのは、何と申しましても判事であります。判事の補充につきましては、給与関係その他から非常に補充困難になっておりまして、現在でも数十名の欠員を持っておりますが、来年度におきまして、別途御審議中の裁判所職員定員法によりまして判事十五人を増員するということになっておりまして、一応本年の四月にそれを充員し得る見込みは立っておりまするけれども、この定員十五名の増加につきましても、とうてい満足すべき数字ではないのでありますが、しかしながら、一方裁判官補給源等をにらみ合わせてみますと、この程度の増員をもって一応満足するほかないということになりまして、現在別途裁判所職員定員法で十五名の増員を提案いたしておる次第でございますが、何と申しましても、現状におきましては、根本的に対策を講じなければ裁判官の充員は困難であるというようなことになりまして、これもやはり別途御提案申し上げております臨時司法制度調査会法案、それにおきまする調査会におきまして抜本的な対策を審議していただく、こういうことを考えておるわけでございます。
  17. 石山權作

    石山委員 どうも検事さんの役目柄のためか、若い人はあまり最近希望者が少ないというふうに承っておるわけですが、これの定員関係はどういう工合になっておりますか。
  18. 津田實

    津田政府委員 現在検事定員は千四十九人でございまして、現在員は九百九十三人でございますから、五十六人現在欠員があるわけでございます。本年三月におきまして、司法修習を終わりまして検事を志望する者の概数は四十一人ということになっておりますので、その司法修習生を終了いたしまして現在任官いたしましても、なおかつ十四、五人の欠員を残すというような状態でございます。従いまして、この面につきましては、本年度は増員措置はいたしておりませんですが、これもやはり判事の場合と同様に、非常に補充困難な状況はお説の通りでございます。
  19. 石山權作

    石山委員 そうしますと、判事さんも検事さんも定員よりも不足なようでございますが、しかも、最近聞くところによりますと、検事さんに応ずる優秀な人の数がだんだん低下してきておるので、去年、ことしになりましては、おととしあたりからそうですが、それぞれ大学の卒業生は前の年から契約できたようでございますが、それ以前、たとえばこの前の三十三年くらいのちょっと不況のような場合には、大学出法律家方々は、検事さんになるならば大体なれるのだというので、一番あと検事さんを希望する法学部の学生さんが多かったというふうに私聞いておるのですが、そうしますと、国民のいわゆる安寧秩序というようなものを守って下さる機関の方々が、一番あと希望される大学生の方々で占められるようであれば、それはやはり大問題のような気がするのです。ある場合にはわれわれの家庭の中まで調べるというふうな方々を、大学を卒業した方々が一番先に希望していただけるという傾向ならば、心配は要らぬと思うのですが、どうも一番あと希望されるというふうな現象、この現象はいろいろ探ってみなければならぬだろうと思うのですが、あなたの場合には、おおむね給与が安いのだというふうな表現が行なわれているわけですが、やはり大きな面は給与でございましょうか。
  20. 津田實

    津田政府委員 ただいま御指摘の点についてでございますが、最近三年間、すなわち、昭和三十四年から三十五年、三十六年の三年間の任官の傾向を見ますと、司法修習生修習を終わりましたうち、三十四年は二百八十二人終わりましたが、そのうち、裁判官になりました者が六十九人、検察官になりました者が五十一人、弁護士になりました者が百五十七人、そのほか五人ということでございます。それから三十五年におきましては、裁判官、すなわち判事補になりました者が八十一人、検事になりました者が四十四人、弁護士になりました者が百六十六人、合計二百九十一人、三十六年におきましては、判事補になりました者が八十三人、検事になりました者が四十八人、弁護士になりました者が二百十七人、計三百四十八人、こういう割り振りになっております。  ただいまお説ではございますが、なるほど検察官につきましては、欠員がありながら、希望者が少ないということは事実でございます。しかしながら、希望者の内容を見ますと、必ずしも優秀でないとは言えないので、むしろ優秀な人々がかなり集まってくるわけでございまして、これは判事補の場合も同様でございます。しかしながら、すべての最優秀者が集まるということにはとうてい参らないのでありまして、その意味におきましては、戦前状態と非常に変わってきております。戦前におきましては、優秀者が努めて裁判官あるいは検察官を志望し、むしろ志望者が多過ぎるというような状態で、希望してもなれないという人が相当あったわけでありますが、今日におきましては、希望いたしました人につきましては、かなり部分の人が任官し得るという状態になっております。そういう状態で、戦前から見れば、質が落ちたのではないかという議論もあり得るかとも思いますけれども、現在におきまして、さほど優秀でない人のみが集まってくるというような状態ではないと申せると思うのであります。  なお、このように志望者の少ない理由につきましては、いろいろ原因があると思うのでありますけれども、とにかく弁護士という自由職業に対する魅力というものが非常に大きいのでありまして、何と申しますか、権力を持つということについては、最近の学生層にはあまり好まれないというような風潮もあるわけで、そういう問題と、やはり給与の問題、それから一たん任官いたしますと、相当な理由がない限りは、いかなる任地にでもおもむかなければならない、いわば大都会において生活をし得ない場合が相当出てくるというような問題、従って、子弟教育に将来困るというような問題、そういういろいろな事情が重なりまして、裁判官あるいは検察官志望者がふるわないというのが現状だと私どもは考えております。  従いまして、これをいかなる方法によって是正するかということにつきましては、それらのいろいろな原因を除去する必要があるわけでございますが、やはり相当な要素は給与の問題が占めておるということと、それから次には、宿舎、すなわち官舎の問題でありますとか、子弟教育施設を考えるとか、いろいろなあらゆる面に総合的な施策を用いなければならないというふうに考えるわけです。なお、給与の点につきましては、現在同年次の弁護士方々裁判官検察官とは、かなりの開きがあるということが考えられます。
  21. 石山權作

    石山委員 きのうの夕刊でございますが、そこに小林俊三さんという、今は弁護士でありますが、前は最高裁判所判事を勤めた方が、「最高裁はこれでいいか」「難行した最高裁裁判官選任」というふうな表題で、随想を書かれております。これを見ますると、私どものように裁判とかいうふうなことには門外漢でありますけれども、なるほど思われることが三つ四つ書いてあるわけなんです。その中で、例として、最高裁判所判事の後任に、これは難行という言葉で書いておるわけですが、非常に難儀をなさった。それはこういうことだろうというふうに指摘しておるわけなんです。ということは、やはり弁護士と定年退官するときの退職金との見合いが、非常に問題になるのではないか。たとえばここに法務大臣もおられるわけですが、最高裁判所に民間の新しい風を吹き込みたい、裁判というものは民衆とつながるもので、特定のものではないのだ、そういう意味では、弁護士さんの中から優秀な人を登用したいというので、選考なさったと思うのですが、これはなかなかうまくいかなかったというふうに書いておるわけなんです。そうして、ついに東京高裁の方からですか、出した。ここでこの方の言っておることの場合は、つまり、弁護士から最高裁に入る人は、少なくとも在職五年であった場合には、いわゆるお役人の恩給のような制度をしてあげるくらいの必要性があるのではないか、そうでなければ、弁護士生活を三十年、四十年とやられて、そうして六十くらいになってから最高裁判所に行けといっても、現職をなげうって莫大な収入を停止して、国のためだからといって、簡単には転職できないのではないかというふうな例示をしておるわけです。そうして次に、アメリカのように、退官時の場合の俸給をそのままずっと終身やっておる例もあるのだから、そういう点も考えてみる必要があるのではないかというふうに小林さんは書いておるわけなんです。これを見ますると、私、なるほど日本裁判官もやはり人間性があるのだと思ったのです。裁判官も人の子だと思ったのです。それでいいと思うのです。ただ、権力を握ることが無上のことのような社会であれば、これは大へんなわけでしょう。どこか弁護士さんの生活に魅力を感じて、権力の座にすわるよりもよろしいというような社会状態の方が、ある意味では平穏で無事なのかもしれません。しかし、法によってわれわれのいわゆる生命、財産が非常に左右されるというこの場合において、優秀な弁護士さんはどうも最高裁判所裁判官になり手がない、こういうのであれば、これもまたある意味では、裁判機構の組織は非常に弱体だというふうにわれわれは指摘せざるを得ないのではないかと思うのです。今度お考えになっている給与改善とかいう問題については、どういうふうなお考えを持っていられるか、まだ何も固まっていなければ固まっていないでよろしいし、事務当局として、大体ここら辺をわれわれは考えているのだというふうに考えて、まとまったものがあれば、お答えを願いたいと思うわけです。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  22. 津田實

    津田政府委員 ただいまの御質問でございますが、裁判官給与あるいは検察官給与問題につきましては、過去におきましていろいろの経緯がございましたことは、すでに御承知のことと存じますが、現在におきましても、一般行政職との対比におきましては、ある程度優遇されておることは事実でございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、裁判官検察官のプールは、在野法曹、つまり、弁護士からしかないわけで、結局弁護士裁判官検察官を通じて一つのプールになっておりまして、それから何人が在朝になるか、在野になるかという問題になるわけであります。従いまして、その給与等は、弁護士と相当のバランスのとれたものでなければならないわけであります。この点におきまして、もちろん国家公務員といたしまして、他の国家公務員とのある程度の比較ということも考えられますが、現実に弁護士から裁判官になり手がないという事態を考えました場合は、何らかの考えを持たざるを得ないわけであります。そういう意味におきまして、現行の給与制度におきましても、相当の欠陥と申しますか、つまり、給与弁護士の所得に比べて低過ぎるという問題があるわけであります。しかしながら、一面、この問題を根本的に解決いたしますのには、やはり裁判官は必ず弁護士から採るというような方式を打ち立てざるを得ない。そうしなければ徹底した給与の改革はできないというふうに私どもは考えております。そこで、今回別途御提案申し上げております臨時司法制度調査会におきまして、裁判官弁護士から採るのを原則とするような制度、すなわち、法曹一元制度というものをわが国においてとるべきかどうかという問題、これは、御承知のように、アメリカその他の国におきましては、法曹一元制度を事実上昔からとっており、それが成り立ちであるわけであります。これに反しまして、独仏の大陸制度は、一般役人としての裁判官の制度になっております。こういうふうに対立した二つの異なった制度があるわけでございますが、日本におきましては、現在においては、いわばキャリア・システムという一般の役人に近い採用方法になっておるわけであります。これを英米のように法曹一元の制度に持っていくかどうかという国の大きな根本的な施策を、まずその調査会において調査審議していただいて、その審議の結果に基づいて、さような方策をとるべしということになりますれば、そこで、法曹一元の制度に基づく完璧な裁判官任用制度、同時に、それらに対する完璧な給与制度を考えるべきだというふうに考えるわけであります。そういう現在の暫定制度と、法曹一元を採用した暁の制度、かなり恒久的な制度の場合の給与制度との二本立で考えていくべきだというふうに考えておりますが、具体的にいかなる額にすべきかというようなことにつきましては、まだ十分な検討は遂げておりません。
  23. 石山權作

    石山委員 裁判官給与、あるいは検察官、あるいは自衛隊員というふうな特別職の方は、それぞれ給与が異なっているわけです。それで、お聞きしたい点は、本俸は違っておりましても、たとえば家族手当、住宅手当、通勤手当、あるいは暫定手当、こういうようなものは一般公務員にはついているわけです。検事さんやあるいは判事さんにも、一般公務員並みに諸手当はついておるものでございましょうか。
  24. 津田實

    津田政府委員 一般の裁判官あるいは検察官につきましては、もちろん、扶養手当、暫定手当、期末手当、勤勉手当、あるいは通勤手当、これは全部一般職と同じくついております。ただ、認証官たる裁判官検察官については、特別職の例に準じておるわけでございますから、扶養手当あるいは勤強手当は支給されておりません。
  25. 石山權作

    石山委員 これは古いことで、皆さんの方でお調べになってもおそらくわからないことなんですが、仙台と秋田の高裁で人事交流を行なおうとした場合がございました。そのとき、仙台からおいでになる方が、秋田へ来るのをいやがったという例がございます。この理由一つとして、手当が減額される——手当というのは、昔の地域給、今の暫定手当であります。それからもう一つは、あなたもさっきおっしゃった子弟教育ということについて、少なからざる問題があるわけで、なかなか来る人がなかったというふうに地方新聞は書いていたわけなんです。  私、大臣おいでになったから、お聞き申し上げたいのですが、人事院は先ごろ暫定手当を勧告したわけなんです。暫定手当なるものは、おそらく植木大臣はあまりお知りにならないかもしれませんが、やはり一ぺん閣議にかけて検討されたと私は聞いております。この暫定手当というのは、昔は地域給と申しまして、東京の物価、仙台の物価、秋田の物価、青森の物価に即応した手当をくれていたわけなんです。それが最初は、東京の場合は最高一五%、それを第一次本俸繰り入れで一〇・八%、今度は三年間にわたりまして操作することによって、東京七・二%くらいに押えて、あとは順々に高めてやろう、地方を上げてやろう、こういうのが今回の人事院の勧告だったのです。そうしたら、話に聞きますと、閣議では何か給与担当大臣が孤軍奮闘のような形になって、あとの方はあまり助言して下さらなかったと聞いております。それで、予算に入らなかったというふうにも漏れ聞いておるわけです。あなたがおいでにならない前に、判事さん、検事さんの定員が大へん充当しにくい原因は一体何だろう、こういうふうに話し合ってみたら、いろいろな原因があるのでございますけれども最高裁の場合なんか特にそうだと思いましたが、給与の面が多分に影響しておるのではないか、こういうふうに事務当局の方では答弁をしておるわけです。そうした場合に、わずかではございますが、今度のは、三・六%の比率をば三年間でつけるというのですから、一年に一・二%の手当でございます。ですから、わずかなものでございますけれども、この人事院勧告を予算化できなかった。閣議においては、給与大臣だけが孤軍奮闘した。判事さん、検事さんの給与を考えていられる法務大臣としては、この問題が出た場合には、少しくらい助言してもよかったのではないかというふうに私は考えるんですね。わずかに給料が上がる。しかも、それは遠くの方の判事さん、検事さんに影響していくわけなんです。あなたはその場合にどうだったんでしょう。一体閣議にこの問題がかかったのをお知りであったかどうかということもおかしいのですが、この問題について賛成なさったのでしょうか。その経緯を一つお知らせいただきたいと思うのです。
  26. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 裁判官または検察官等についての給与の問題についていろいろ御心配いただきますことは、まことにありがたいことに存じます。それに関連しまして、いわゆる暫定手当の問題について、ことしの閣議でどんな様子だったかということでございますが、閣議の内容としては申し上げかねますけれども、実はこの問題についてそう大きな論議は戦わされなかったように私は記憶しております。言いかえますと、この暫定手当の問題を予算化するかどうかという問題について、特に論議をしたことがなかったように私記憶いたしておりますので、その点、以上の状況で御推察を願いたいと思います。
  27. 石山權作

    石山委員 大臣答弁はみなそんなものだろうと思うのですよ。給与大臣は、おれは一生懸命やった、一生懸命やったと言うのです。せんだっても、一時間半もここへおすわりをいただきまして、私はいろいろ聞いたのですが、一生懸命やったと言う。だけれども、残念ながら、その暫定手当というものを理解もしてくれなかったし、応援もしていただけなかったと言っております。しかし、きょう給与問題等に対して、定員に満たないということがはっきりしたのでございますから、少しでも給与が上がるのでございますから、今度この問題がもう少し熟したならば、おそらく閣議でもう一ぺん問題になるとか、あるいは持ち回り閣議になるかもしれませんけれども、問題になるだろうと思います、だんだん日数が詰まってくるのでありますから。その場合に、大臣はこの暫定手当の件に対しては賛成していただき、助言していただけるということになりましょうか。
  28. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 本問題につきましては、実は私も、石山さん御承知通り、かつて内閣委員をやっておって、地域給のこの問題について、御一緒にいろいろ研究したことでございますから、よくその間の状況承知いたしております。今回人事院から勧告の案の内容については、実はまだよく承知しておらないようなわけでございまして、今ざっと拝見しましたが、そう無理な勧告ではないように私も思います。あるいは判検事のみならず、公務員全体の異動の上にも、非常にしやすくなる、また、各公務員のために非常に有利な改正の勧告だと思いますから、でき得る限りそうした場合におきましては善処いたしたい、かように考えております。
  29. 石山權作

    石山委員 その点に関しましては、私たちは協力者を一人得たわけなんでございます。前途は大へん明るくなったと思っております。  給与問題は、またあとで事務当局の方と話をしますが、きょう大臣がせっかくおいでになったのですから、大臣のいる限り大臣に御質問申し上げたいと思います。  八日に全国の次席検事会同をばお開きになりまして、法務大臣はお話——お話というか、訓示というふうに新聞は書いているわけですが、訓示をなさったわけですが、その中で非常に気になる点が一つございます。それを読み上げてみます。これは新聞が違っているというのなら違っているでよろしいのでございますが、読み上げてみますが、「最近、一般刑事事件の分野で、一部国民の間に脱法的手段によって刑責を免れようとし、刑罰法規の存在すら無視しようとする傾向が増大しているが、検察官はこのような傾向を是正して順法意識の向上をはかるよう努力しなければならない。」、このほかに交通関係の問題を二つあげているようですが、この今私読んだのは、大体その趣旨でございますか。
  30. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 今そこに御指摘になりましたような発言をいたしております。
  31. 石山權作

    石山委員 これは、私は、日本現状を表面から見れば、こういう現象だろうと思うのです。ただ、ここでちょっと私考えたいことは、法を守る者、法によって人をさばく者、これが現われたもののみでやっていくのが正しいのか、そうでなくして、もう一つ見方があるのではないか。つまり、経済界が非常に不安定であれば、いろいろな脱法行為をしても税金を免れようとか、あるいは利潤をたくましゅうする。マル公の場合なんかそういうこともあった。利潤をたくましゅうするというような罪を犯すわけですが、たとえば経済界の不安定あるいは政治上の及ぼす不安定、こういうふうなものは、法をもって人をさばく、罪をさばく場合に勘案されないものかどうか。あるいは現実は、今はそういうことを勘案しないで、あなたがおっしゃったような立場において、現われた表面の立場において処罰なさっているのか、あるいはこれは混淆して、いわゆる裁判官が良識によってやるといえばそれもそうかもしれませんが、どういう傾向か。今裁判官方々が法をもって人をさばく場合、これが大体妥当だというふうな線を法務当局としては出していられるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  32. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 裁判所のことは、これは裁判権に関することでございますから、さておきまして、われわれ部内の検察事務の運用の面におきましては、ただいま御指摘になりましたような事案については、厳重なる調査 公平なる捜査をやることは申すまでもありません。しかしながら、その事態そのものが、そのときそのときの社会情勢、経済情勢というようなこともやはり頭に入れて、そうして、御承知通りのいわゆる情状酌量というような制度もあるのでございますから、この点も十分活用いたしまして、そうして適正な求刑をいたす、論告をいたすということに注意をいたしておる次第でございます。
  33. 石山權作

    石山委員 法務大臣に、まだお聞きしたい点がたくさんございますが、さっき読み上げた個所と、最近たとえば警視庁で、軽犯罪の場合はチケット制みたいなことをやる、皆さんの方では反対なさっておる、そういう根拠等を含めて、それから公安調査庁に対して法務大臣はどういう立場に立っているかということで、私はお聞きしておきたい点があるわけでございます。それと、いわゆる公安調査庁の調査事項というものは、どのくらい世間に公表されるものであるか、どういう形で公表されているものであるか、会計はどういう工合になって処理されているか、会計検査院の調査を受けたことがあるかどうか、行政管理庁の監察を受けたことがあるかどうか。今度人員をふやしますが、どういう理由で人員をふやすのか、大臣はどういう見解のもとで、言葉を悪くいえば、昔の特高の数をふやそうとなさっているのか、こういうふうな点もこの次にお聞きしたいと思いますが、約束されている時間が来まして、今防衛庁長官が来ましたので、との次にしたいと思います。大臣おいでにならないと、私は賛成しているのだけれども、なかなか上がりませんから、この次は繰り合わせておいでになるように要望申し上げておきます。      ————◇—————
  34. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 この際、国の防衛に関する件について調査を進めます。  問質疑申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  35. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は、佐世保市の元二十一空廠跡、通称崎辺地区と言っておりますが、これが米軍から返還されたわけでございます。との土地を、実は市といたしましては、市民の非常に強い願望に基づいて、工場の敷地にしたいというふうに考えて、盛んに運動をしておるわけでございますが、これに対して、防衛庁、海上自衛隊が教育隊の施設としてよこせという、いわば横やりをいれておるために、非常に紛糾を来たしております問題について、若干お尋ねをしてみたいと思うわけであります。  大体のことは大臣も御承知だと思いますが、現在の佐世保市といたしましては、石炭産業の衰微その他いろいろな面から、人口も減り始めておるという現象を示しておるわけで、ここに有力な住友金属系の大阪鋼管という大会社が来るということに、非常に魅力を感じておるわけであります。それだけに、自衛隊がどうしてもこの土地をよこせということに対しては、市民としても相当の反発を感じておるので、ゆゆしき問題だと思うがゆえに、質問をいたしたいと実は考えておるわけです。  市及び市議会、一般市民がどのように熱願しておるかということは、お聞き及びだと思いますが、この会社の払い下げ申請に対して、市長も副申をつけております。それから市会も陳情書を採択いたしまして、積極的な誘致運動を展開いたしております。商工会議所も副申をつけておる。そういうものについて十分に御認識だと思うわけですけれども、そういう熱望に対して、全く自衛隊の態度は、一顧だも与えず、強圧的な感じを与えておるわけなんです。今さらお前らが何を言うか、そこはおれたちが最初から予約済みの土地なんだというふうな、強圧的な態度で臨んでおるということが、問題の第一です。一体、国の防衛を論ずる場合に、国民、市民の協力なくして何の防衛かということは、十分に御承知だと思うのですが、この問題に関する海上自衛隊の態度というものは、まことに強圧的であり、旧軍的感覚をそのまま露骨に示しておる。軍事万能というふうな意識がまたもや出てきておるのじゃないかという感じを率直に私は受けております。第一に、この問題を私ただしてみたいと思うのです。  例をあげてお話ししますと、これは市会議長が談話を発表しておるのによりますと、これは毎日新聞の記事でございますけれども、昨年の十一月の二十四日、市議会の企業経済委員会が現地視察したときに、佐世保総監部の長倉というのですか、防衛部長がこんなことを言っております。「佐世保港周辺の元海軍施設は全部ほしい、崎辺に工場を作るのは市百年の計を誤るものだ」市会議長も、これに対しては、全く突拍子もないことを言っておるというふうな説明をつけ加えておるわけですね。これなどは一例ですよ。市長なり市議会なり一般の市民が、ぜひ工場がほしいと言っておるのに、市百年の計を誤るものだ、何というせりふですか。これは、市の発展の第一義的責任はだれが持っておるのかと私は言いたい。こういうところに現われております。しかも、これは佐世保総監部の一防衛部長の談だけではないのです。もっと上層部においても、似たような考え方がはっきり言葉の端々に現われております。  もっと例をあげて申し上げるならば、三十七年、本年の二月十五日に、市議会の代表が海幕に陳情にたくさん来たときに、あなたたちは選挙運動に来たのかというようなことを、中山海幕長が開口一番言ったというんですね。こういうところにも現われているのです。一貫しているわけなんです。  それからそのとき、同じく海幕の管理課長ですか、古館という人ですが、との人はこういうことを言っております。防衛庁としては事務的に全く固まってしまっているので、今さら計画を変更することはできない。事務的に固まっているから変更することはできない、これはどういう意味ですか。やや問題は違うにしても、もう少し高い立場に大臣というものもおるはずです。政治的な考慮を加える分野というものがあるはずです。それを、自分たちがきめたんだから今さら変更はできないというきめつけ方をしておる。少なくとも市民がそこまで熱望するなら、もう少し何らか打開の方法はないかというような、弾力性のある応待はだれもしておりません、上から下まで。ごたごた言うな、黙ってついて来い、こういう態度を、海幕の上から出先の部長に至るまで一貫して、この問題に示しておる。こういう態度を私は第一に追及したいわけです。  大臣もこういうことをおそらく容認はされないと思います。また、佐世保という港が、あるいは町が、どういうふうな発展策を講じておるかということも、ある程度は知っておられると思います。旧軍港市転換法というものもある。近くは産炭地振興法もある。こういうものと関連して、いろいろな生きる道、発展の道を真剣に市民は今考えておる最中なんです。佐世保という町は自衛隊に対して非常に好意的な町であるということは、大体防衛庁でも認めておるようですね。それに甘えて逆に強圧的に出てきておるというところに、問題があるわけなんです。私たちとはいささか考えは違います。しかし、一歩譲ってみても、市会議長の談話で、佐世保の基本方針というものはこういうふうに述べられておるわけです。佐世保市の基本方針は軍商二本立ときめており、駅裏から東側の前畑、崎辺方面を工場地帯に、駅裏から西の立神方面を海上自衛隊とし、港をはっきり区画するつもりだ、これが佐世保の生きる道だと、思い詰めておるわけです。そういうときに、昔帝国海軍が使っておったところは全部自衛隊のものだ、絶対に工場なんかは割り込ませない、一体こういう態度でいいと大臣お考えになるのか。先ほども申し上げたように、市百年の計を誤るものだなんというきめつけ方を制服がすることは、越権行為じゃないか。市の発展策について、第一義的にはどこが責任を持っておるのか、自衛隊が責任を持つのか、防衛庁が責任を持つのか、こういうことについて暴言だと大臣はお考えにならないか、もしおっしゃることを暴言とお認めになるならば、この問題については、そういう強圧的な態度ではなく、もっと市民と話し合いをし、そして市民の反対を押し切ってそういう態度に出ることが、防衛庁全般の立場からいって非常にマイナスだということをお認めになって、今後処置していくというお考えがあるのかどうか、この辺からお尋ねしてみたいと思います。
  36. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 崎辺地区に海上自衛隊の教育隊あるいは加工整備場、燃料施設用地等を置きたいということは、防衛庁といたしましても、ぜひあそこをそういう意味において使いたいというふうな計画のもとに準備を進めておるわけでございます。一方、佐世保市において、これを工場敷地としたいという強い御希望のあることも、私存じております。自衛隊としてぜひあそこを使わしていただきたいというあまり、ただいま御指摘ございましたが、必ずしも適当でない言葉等があったということは、はなはだ残念でございますが、私どもとしましては、ぜひあそこを使わしてもらいたいという強い希望を持っておるわけでございます。しかしながら、これらに対しまして、ただいま御指摘のように、何か市民の方々が非常に自衛隊に対して御好意を持っていただくのに甘えて、強圧的な態度をするということは、毛頭私どもも考えていないのでございます。先般来、私は、こうした問題については十分慎重な態度で対処するように、海上幕僚幹部等にも注意を促しておるのでございまして、今後もそうした態度で進みたいと考えております。
  37. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 市の関係者としても、自衛隊がほしがっておるということは十分に承知しておるわけです。だからこそ、市長の大蔵大臣に対する払い下げ申請に関する副申書の中でも、「願い出の敷地ついては、防衛庁御当局の御計画もあるやに仄聞いたしますが、でき得れば、相互調整の上、ぜひとも、当該工場の建設ができますよう格別のご配慮を煩したくここに副申いたします。」というふうに書いてあります。そのほかの副申書でも触れておるわけです。自衛隊がほしがっておるということは知っておりながら、なおかつそれでも譲ることはできない、どうしてもここに工場を持ってこなければ今後の市の発展は期せられない、こういう思い詰めた気持に今あるわけです。  この点で私申し上げたいのですけれども、ここの敷地が工場の敷地として非常に適当であるということが会社側から力説されております。まず、地盤が非常に強固である、それから旧軍の施設、建物や工作物ですが、こういうものの利用が可能である、それから製品が非常に重いものでございますから、海上運送ということに力点を置かなくちゃならないのですが、この点でも便利な位置にある、それから将来の日中貿易なり東南アジアの貿易というものを考えた場合に、まことに適当な位置に位しておる、それから長崎県の造船関係工業、北九州工業地帯とも近いので、輸送に非常に便利である、こういうことが述べられております。どうしてもここが一番いいと言われますと、市としてはほしい気持が一ぱいですし、従業員は千人、年間に大体百四、五十億の規模の計画が立てられておるようですので、そのうち、生産額の三〇%が直接市の経済を潤すとしても、四、五十億の実質的市民所得の増加を招くというような点で、今だんだんと衰微していくさなかでは何よりも魅力なんです。それだけに、ここをほしいと言われれば、ぜひここに誘致したいという気持で一ぱいなんですが、一方、教育隊の方は必ずしもここでなくちゃならぬという条件にはないと私は思うのです。ほかに適地はたくさんある。それを大臣も先頭に立って、工場敷地の方がほかに何ぼでもあるようなことを言っておりますが、一体どこにあるのか、私どもに教えてもらいたいのです、それほど佐世保に詳しければ。どこにこのような適地が工場適地としてあるか。私ども教育隊の適地がほかにあるという例ならあげます。昔の海兵団の跡が何ぼでもあるわけなんです。佐世保の海兵団の跡、これも米軍が長く使っておりましたが、現在はほとんど使ってないのと一緒です。接収したまま遊ばしております。これは昔海兵団だった。今度の教育隊というのは昔の海兵団なんですから、そこをアメリカに交渉して返してもらって使えば、さっそく使えるじゃありませんか。こんなものを遊ばしておく。あるいはまた針尾の海兵団の跡だってあります。これも今は何も使っておりません。同じく昔の海兵団です。新しく作ろうとする教育隊と同じ性格のものでしょう。ここでなぜ悪いのですか。あるいは今度は転換する方法として、相浦海兵団の跡は陸上自衛隊が使っておりますが、陸の方はどこかに移って、その跡に海の教育隊を持ってくるという手もありましょう。それから同じく崎辺地区には、米軍がゴルフ場を持っております。こんなものだって、そんなに必要なものなら返してもらって使えばいいじゃありませんか。教育隊の施設こそ何ぼでもあるのです。そういうところは一つも考えようともしないで、市民が念願しておるところ、ここでなくちゃいかぬという——ここに問題があるわけです。そういうところを、教育隊としては、そうまで無理して強行しなくても、ほかにもあればほかにしたいという気持を示そうともしない。一体そこは原因は何ですか。アメリカに対しては何も言い切らないということなんですか。私は、この点、工場適地が佐世保市内に幾らもあるのならお示しを願いたい。教育隊が今申し上げたようなところで工合が悪いという理由があれば、それをお示し願いたい。
  38. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいまおあげになりました数カ所につきましても、私どもとしては、決してそれを全然顧みないで崎辺地区だけを考えておったわけではございません。そういう点もいろいろ調査をいたしましたが、ある場所においては非常に金額がかさむ、ある場所におきましては教育隊として置きますことは必ずしも適当でないというような比較考量の上、何とか崎辺地区を使いたいというふうな結論になりましてやったわけでございます。もちろん、佐世保市が工場誘致に非常に御熱心でありますることは、私どもも十分承知をいたし、また、それが適当であると存じます。私どもは、もちろん工場等の問題については部外者でございますが、防衛庁としてお手伝いができるものはお手伝いをしたいということは、私現地に参りましても申し上げたのでございます。崎辺地区を選びましたのは、ただいま申しましたように、数カ所についていろいろ比較検討をいたしました結果、そういう結論になったわけでございます。
  39. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣が佐世保で工場適地は幾らもあるということをおっしゃった、その根拠はお示しになられないようです。今、ほかの佐世保海兵団の跡とかあるいは針尾の海兵団の跡とかいうものが不適当であるという理由もあいまいでございます。大臣から市民が納得のいくような御説明ができないとするならば、事務当局からでもけっこうです。どういう比較検討をして、針尾はなぜ悪いか、佐世保海兵団、相浦海兵団跡ならなぜ悪いか、もっと納得のいくように説明していただきたい。
  40. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、防衛庁といたしましては、崎辺地区だけでなく、ただいまお話に出ました相浦あるいは針尾の土地も十分調査をいたしまして、その結果ただいまの答弁のような、必ずしも両地区が適当でないという結論になったわけでございます。  なお、詳細に補足説明を申し上げますと、相浦につきましては、ただいま委員から御指摘のございましたように、陸上自衛隊の第二教育連隊が現在使用いたしております相当の広さの土地、また建物もございます。ただ、この建物のうち、約半分は旧海軍時代からの建物でございまして、老朽の度合いがはなはだしくて、そのままとうてい使用できない。一方、現在使っております陸上部隊につきましては、ここに常駐いたします隊員が五百九十名余りおります。また、これは教育隊でございまして、被教育員がピーク時でもって二千五百人ぐらいの数に上るわけでございます。従いまして、新たにここに教育隊その他を収容するだけの余地がございません。これがまず第一点でございます。  それから第二点といたしましては、海面が、御承知のように、浅瀬が多い関係がございますのと、外海に面しておりますので、波が非常に荒いということのために、教育隊を設けて、ここで教育訓練をするというのに必ずしも適当でないという事情がございます。そのほかには、佐世保の海上自衛隊のおもな施設からの距離の問題でございますとか、あるいは現在の基本訓練場が必ずしも面積的に十分と言えないというような面もございます。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕  それから次に、針尾の問題を調査いたしました結果は、ここも御承知のように土地が相当広いのでございますけれども、建物につきましてはすでに撤去されておりまして、もしここに今度の教育隊を持ってくるとしますと、新たに五億ばかりの金を出して建物を建てなければならないような状態でございます。  それから一番大きな問題は、針尾につきましては、御承知のように、水源が枯渇いたしておりまして、大体隊を置くと一日百五十トンぐらいの水が必要かと思いますけれども、この水をどうするかという問題がございます。過去において、民間の会社等がこの地区に出ようというような御希望もあったように伺っておりますが、いずれも水の面で断念されたというような状態でございまして、隊を置くといたしましても、この水の問題をどうするかということが一番大きな問題であろうかと思います。  なお、海上自衛隊自体の便宜から申しますと、先ほど相浦について申し上げましたと同じように、主要施設からの距離が相当あるというような面もございまして、いずれにいたしましても、調査はいたしましたけれども、この両地区とも、教育隊を置くのには不適当であるという結論になった次第でございます。
  41. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 まず、相浦の海兵団の跡ですが、これは現在陸上自衛隊が使っていることは知っております。しかし、今度教育隊を佐世保に設けるという理由の中で、総監部の所在地で教育隊がないのは佐世保だけだからということを理由にしておられるようだが、そうすると、陸が必ずしもここになくてはならぬという理屈はないわけですね。だから、ここを海にやらして、陸を移転するという方法も考えていいのじゃないかと私は言っておるのです。針尾にしても、相浦の海兵団跡にしても、これは帝国海軍全盛時代に作ったものですよ。時の日本の海軍が、意のままにたいていのことはできる状態にあるときに、選定して作っておるその地域に、あなた方今けちをつけようとしておられるわけですが、この辺つじつまが合わないじゃないですか。今の自衛隊などは及びもつかないような力を持っていた旧海軍が、海兵団の適地として全部選んでいるところなんです。同じ教育隊、昔の海兵団を作るのに、今は不適当だというようなことを言ったって、それは市民はなかなか納得しませんよ。それから地理的にどうのこうのと言いますが、そんなに地理的に中心部に必要だというならば、私が先ほどから言っている佐世保海兵団跡などを、アメリカに、あなたの方は使っていないようだから、ここを教育隊に使わせて下さいと、一言くらい声を発しないのですか。市民に対しては強圧的に出ながら、アメリカに対しては一言も言わないのですか。これはもう佐世保のまん中にある。しかも、広い土地、建物、これは使いようがなくて、アメリカが学校みたいなものにして、何人か少数の子供を集めてやっている程度です。グラウンドあたりでは野球をやっているじゃないですか。こういうところに問題があるのですよ。だから、あなた方がほかを考えてみたんだと言ったりて、市民は納得いかぬです。もう少し市民の立場に立って、市民の気持を入れてやろうという気持に立って、こういう土地の選定をやっていただきたい。何がなんでもここだ、自衛隊の言うことを聞かないのかというような態度は、およしになっていただきたいと思う。特に先ほどあげました旧軍港市転換法というものを御承知でしょう、自衛隊も防衛庁長官も。この中にはどういうことがうたわれておるか。市民はどういうことを宣言しておるか。これは国としても協力する義務があるのです。平和産業港湾都市として立っていこうという、市民のこの熱願にこたえる義務が、法律的にもあるのですよ。お忘れになっておれば、読んで聞かせますが、第三条には、「国及び地方公共団体の関係諸機関は、旧軍港市転換事業が第一条の目的にてらし重要な意義をもつことを考え、その事業の促進と完成とにできる限りの援助を与えなければならない。」と書いてあります。また、市長にしてみれば義務がある。市民としても——第八条に「旧軍港市の市長は、その市の住民の協力及び関係諸機関の援助により、平和産業港湾都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない。」第二項には、「旧軍港市の住民は、前項の市長の活動に協力しなければならない。」こういう法律規定があるのですよ。いわば平和産業港湾都市として立っていこうということを宣言している。しかし、非常に幅のある態度で、軍商二本建というところまできめております。しかし、第一義的にはこっちなんです。この義務を遂行する責任が市長にはあり、市民にもそれに協力する義務がある。その建前でやろうとすることに自衛隊が強圧的に出てくるということは、法律的に問題ですよ。もっと法律自体を尊重すべきですよ。そういうことをお考え願って、私はいま一度大臣にお尋ねいたしますが、この問題について一歩も引かないというような、そういう市民の反対を押し切ってでもやるんだという態度はおよしいただいて、もっとゆっくり市民と話し合いをするという意思表示をしていただきたいのです。
  42. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほどから申し上げますように、私どもといたしましては、ぜひここをほしいという希望を持っておるわけでございます。しかしながら、市長あるいは市議会当局におきましても、工場誘致について非常な御熱意を持っておられるわけでございます。従いまして、今後十分地元とも話し合いを進めて参りたいと思います。その際におきまして、御指摘のありましたような、何か非常な高圧的な態度というようなことは、絶対に慎まなければならぬわけでございまして、十分地元との話し合いを進めつつ、この間の調整をはかって参りたいと考えます。
  43. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは次の質問に入りますが、従来の制服の諸君がどういう態度で出てきておったか。話し合いなどは全然しない。とにかくおれたちがきめたことだからやるのだというような態度であった。どういうふうに出てきたかということを例証をあげながら、しかもお尋ねをしていきたいと思う。  まず第一は、返還前に海上自衛隊が使用することがきまっていたというきめつけをやっておるということです。結局、米軍から返還してもらうときに、海上自衛隊が使うことが条件になっておったのだ、こういうことを非常に大きな根拠にしておるわけなんですが、この点にも問題があるのですよ。これは地元の長崎新聞の三月一日の報道ですが、自衛隊があまりそんなことを言うものですから、市議会の企業経済委員会の一同が、アメリカの佐世保のウイルソン司令官に会っておられる。そして、この問題についてただしておりますので、記事を読んでみますと、「崎辺町を米軍が返還する際の条件は私が起案したが、一月十六日、在日米軍から日本政府あて出された要請書の内容については知らない。」、こういう言葉から司令官が答えておるわけですけれども、最後に、「返還後は海上自衛隊が優先的に使用できるという取り決めがあったのか」という市議会代表の質問に対しては、「そんなことはない」とはっきり地元の司令官が説明しておるといわれる。そしてつけ加えて、「佐世保は日米間の空気もよく、佐世保の発展のためにできるだけこんごも協力して行きたい」、こういうことを言っております。そうしますと、地元の米軍の司令官は否定しておる。ここにも問題が出てくるわけです。勝手に自衛隊が使うことが条件だったのだというようなことを吹聴しているんじゃないかという感じを市民は受けるわけです。この点では調達庁と大蔵省にお尋ねしたいのですが、自衛隊が言うように、海上自衛隊が使うことが条件みたいになった形で返還がなされたのですか。もしそうだとするならば、この司令官の言うことがおかしくなるのですが、一体どっちが真相なのですか。その辺を調達庁と大蔵省にお伺いしたい。
  44. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍が崎辺地区を返還するにあたりましての条件として、自衛隊に使用させるというようなことはございませんでした。
  45. 山下武利

    ○山下政府委員 大蔵省といたしましても、ただいまの調達庁長官のお答えと同様に理解しております。
  46. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣、ここでも一つ明らかになりましたね。海幕の首脳部から下の総監部の人たちまで口をそろえて、自衛隊に返すという条件があったからそこ、アメリカは返還してくれたのだ、こんなことばかり言っておるのですよ。今調達庁からも大蔵省からも否定されていますよ。これも市民に対してうそを言っているんじゃありませんか。一体こんなデマが許されますか。これは調達庁なりあるいは大蔵省の言葉をかりなくても、はしなくも防衛庁の海幕の管理課長ですかの説明の中にも、うそだということがすっぽ抜けているのです。これは、本年の二月十五日、市議会の代表が海幕に行って中山海幕長、石渡海幕副長、古館管理課長、こういうお歴々と会ったときの記録ですが、片一方では、返還前に海上自衛隊が使用することがきまっていたと言っておきながら、そのあとの方では、さらにその際、今後返還地域の利用計画については、市は事前に総監部に連絡協議するという取りきめがあったのである、こんなことも言っているのです。全く愚弄しておらぬですか。両方矛盾していることを言っているのですよ。片方は、自衛隊に使わせるということが了解済みなんだ、それが条件で返還されたと言っておきながら、そのあとでは、今度は市が何かほかにこの返還地域の利用計画を持った場合に、事前に総監部に相談する約束になっておったところへ、それはけしからぬ——全く矛盾したことを同じ時間に同じ人が平気で言っているのですよ。だから私は、もうこのときに、そんな約束がなかったことが十分にわかっておりながら、市に対し、あるいは市議会、市民に対し、方便でそんなでたらめを言っているのだということを感じておったのですけれども、今の調達庁、それから大蔵省の説明で裏づけられました。こういうインチキなことまで言っているということをよく肝に銘じておいていただきたい。  さらに、もう一つ、そういう約束があったはずがないと考えましたのは、今問題にされております。米軍の示した五条件というのです。結局、払い下げにあたって条件を五つつけているわけです。もし自衛隊にやるというようなことが返還前から約束されている、了解されているとすれば、五条件なんか出てくるはずがありません。しかも、五条件を合同委員会に提示して、今後この返還施設を使う場合にはこの条件を必ず守ってほしいということを言うはずがないと思った。案の定である。この五条件について、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。  まず第一に、納得のいかないのは、この五条件というのは、いかなる根拠、拘束力を持っているのかということなんです。これは調達庁の所管ではないと思うのですが、この返還にあたっての五条件は御承知ですね。これはいかなる根拠に基づき、どのような拘束力を持っているのですか、日本政府なりあるいは市なり市民なりに対して。まず、これからお伺いしたいと思います。
  47. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御承知のようにこの返還にあたりましては条件をつけておる。そのおもなる条件は、その返還する区域内に今後電波障害を起こすような施設は作らないように、また、水道、電気等のユーティリティーズ、こういうようなものについては、周辺に米軍の施設があるから、これを使用さしてもらいたい、もう一つの点は、やはり周辺に施設区域等があり、その返還地域内を通行する必要があるから、この通行の自由を認めてもらいたいという条件でございます。こういうような条件が守られるならば返還するということでございまして、この返還は、向こうとしては返還の一つの条件として提示しておるのでございますから、この返還の条件は守らなくてはならない、こういうふうに私どもは考えております。
  48. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 道義的な意味としては、私は十分理解いたします。まず、ここで私が今問題にしたいと思っているのは、法的な拘束力です。法的な根拠です。これがどうもあやふやなんです。なぜあやふやかというと、一番最初にこの条件なるものが出てきたのは昭和三十五年七月六日、これは正式に日米合同委員会に提案されているようです。ところが、そのあと、三十五年の十一月十八日に調達庁あてに米側が示した文書、これがいわゆる五条件と言われているようなんです。しかも、この十一月十八日に出された五条件なるものは、厳密に対照して見ると、合同委員会に出されたものとは違うのです。それだけではない。本年の一月十六日の合同委員会の施設小委員会に出されたものは、また内容が違うのですよ。この点はあとでただすとして、そういう事情にありますから、一体どういう法的な根拠に基づいておるのか、これをお尋ねしているわけです。
  49. 林一夫

    ○林(一)政府委員 まず、返還にあたりまして条件をつけましたのは、三十五年の七月の合同委員会でございます。そのときに、三十五年七月の合同委員会において、返還の条件として、ただいま申しましたような条件をつけて参ったのであります。この条件は、先ほども申しましたように、この条件を今後満たしてくれるならば返還するということでございます。やはりこのような条件を満たすということが条件になって返還をしてきておるのであります。こういうような条件ということについては拘束される、こういうように私どもは考えております。
  50. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではもっと具体的に申し上げますが、三十五年七月六日に日米合同委員会に提示されたものは、日本側としては確認をしたのですか。
  51. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまの米側の提案につきまして、現地におきまして関係機関が会合しまして協議いたしました。米軍からの提案に応ずることにしまして、三十六年七月の合同委員会において返還がきまったのであります。現地の関係機関と申しますのは、地元機関であります調達庁、財務部、海上自衛隊、それらの代表機関が集まりまして、十分協議して、この条件に応ずるということで、この条件を受けて返還を受けたわけでございます。
  52. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は法律的な問題を提示しているわけですから、法的にお答え願いたいのです。何らかの拘束力を法的に持つとするならば、その根拠は地位協定の第三条以外にありますか。
  53. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私ども地位協定第三条と解釈しております。
  54. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 第三条の適用を受けて、政府なり国民なりが拘束をされるとするならば、これには条件があります。何でもかんでも向こうがメモランダムを出してきて、それを日本政府がオーケーと言いさえすれば、それで拘束力を持つというものでは第三条はないでしょう。これは合同委員会という窓口を通じなければいけないでしょう。その点いかがですか。
  55. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろん、これは合同委員会において決定したことでございます。
  56. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そこで、合同委員会に出されたのは七月六日ですね。その日に日本政府が承諾したのですか。それとも、その後に合同委員会をあらためて開いて、そして確認をしたのですか。いつから拘束力を持っているのですかと聞いているのです。
  57. 林一夫

    ○林(一)政府委員 三十五年の合同委員会において、そのような返還条件の提案がございまして、それに基づきまして、現地関係機関が十分協議しまして検討の上、この条件に応ずるということにきまりまして、三十六年の六月の合同委員会においてこれを決定したわけでございます。
  58. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 六月の何日の合同委員会ですか。
  59. 林一夫

    ○林(一)政府委員 六月の六日でございます。
  60. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その条件というのは、三十六年の六月六日に合同委員会で確認されたものを条件という、こういうふうに認識していいわけですね。
  61. 林一夫

    ○林(一)政府委員 さようでございます。
  62. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、ことしの一月十六日に九日付で施設小委員会に出されたものは、これは何ですか。これはこの前に合同委員会で確認されたものとは明らかに違いますね。しかも、返還後に出されておりますね。すると、これは法的には拘束力はないと解釈していいですか。
  63. 林一夫

    ○林(一)政府委員 一月に米側から申し入れてきましたのは、ただいま申しました三十六年六月の合同委員会において決定した条件の履行に関することでございまして、具体的に申しますと、崎部地区に電波障害を起こすような施設を作ってくれては困る、従いまして、このさきに示した条件というものは十分厳守してもらいたいという、注意を喚起してきた文書でございます。
  64. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは法的に拘束力を持っておるものとは別個のものと考えていいわけですね。
  65. 林一夫

    ○林(一)政府委員 法的に拘束力を持っておりますのは、合同委員会の決定した条件でございまして、この合同委員会で決定した条件を順守するようにという米側の注意事項でございます。
  66. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 もう一つ、この条件の中には、電波の関係が主となっておるようですが、これは周波数の分科委員会にかけて承認されておりますか。
  67. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この返還地域に今後設置する施設等について、それが電波妨害を起こすかどうか、適当な施設であるかどうか、要するに、条件に該当するものであるかどうかというようなことは、まず第一に地元の日米政府代表機関において決定するという条件になっております。正式にこの地域にどういう施設を作るかという申し入れがありましたならば、それについて、はたして電波妨害を起こすかどうかという点を地元の政府代表機関において決定し、さらに中央においてこれを検討して決定するという手続になることと思います。
  68. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今後具体的な問題が出てきたときに、初めて周波数の分科委員会にかかるということなんですか。
  69. 林一夫

    ○林(一)政府委員 具体的なそういう申し入れがありました場合には、地元の政府代表機関においてこれを協議し、はたして電波障害を起こすおそれのある施設であるかどうかということを検討して、決定するということになるのであります。もちろん、その場合において、周波数分科委員会等の意見を聴取する必要もあるかと存じます。
  70. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 地元々々と乱発されますけれども、おかしいじゃないですか。さっきあなた、合同委員会で確認しなければならぬということをお認めになっているのですよ。だから、合同委員会で確認するために地元の意見を聴取するということはあり得るでしょう、政府間の問題として、あるいは米側の間の問題として。しかし、法的にただしている場合には、そこにポイントがあるのじゃないのです。合同委員会にポイントがあるのです。だから、合同委員会というところに焦点を合わせてお答え願いたいのですよ。今まで電波の問題についていろいろな条件などを出されてきておるが、周波数の分科委員会にはかかっていないように思うのです。施設小委員会で勝手にそういうととろまで条件としてのんでいるような印象を受けているのです。だから、その点をまずただしているわけですよ。では、今まではその必要がなかったというのかどうか。そうすると、法的拘束力を持つということ自体がおかしくなるのじゃないかという感じを持っているのですよ。
  71. 林一夫

    ○林(一)政府委員 私が申しましたのは、地元の政府代表機関においてそういう点を協議し、これはもちろん政府代表機関でございますので、中央においても最後の決定をするということになると思うのでありますが、その場合、電波障害云々の問題もございますので、これは周波数分科委員会にかけるということになろうかと存じます。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうすると、こういう条件をのんだときには必要なかった、だからかけてないということですか。
  73. 林一夫

    ○林(一)政府委員 問題が電波障害を起こすかどうかの問題でございますので、政府においても、電波障害を起こすかどうかという二とを、十分に技術的に調査して決定するということになるわけでございます。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この点に関連して、また防衛庁の海幕ではでたらめなことを言っているのですよ。先ほどからも引用しております二月十五日、市議会代表が海幕に行ったときに、これはおそらく古館管理課長の発言だと思うのですが、この五条件に関連して、工場なんか作ることをアメリカが承認するはずがない、それに関連して、この種の問題は、ワシントン対日本政府間の問題となるので、防衛庁及び在日米軍司令部だけで処理できる性質のものではない、こんなことを言っているんですよ。これも、法律的なことを知っておって言っているのか、単なるこけおどしなのか、どうもふに落ちないのですが、本人に聞くわけにいかないので、事務当局でけっこうです。これは一体どういう意味ですか。うんと高いところで、ワシントンと日本政府とが直接話し合わなければならぬ問題である、これはそんな問題ですか。
  75. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 海幕の方で、地元の方に対してどういう御説明を申し上げましたか、私、詳細には存じておりませんが、おそらくこれは、ただいま調達庁の長官から御説明がございましたように、返還に際して、事前に条件がくっついておった、従って、そういう条件を日本政府としても守っていかなければならぬということを申し上げたのではないかと思います。それで、ワシントンに云々ということは、私も存じませんが、いずれにいたしましても、そこにある施設をする場合には、それが電波障害を起こさないものであるか、あるいは起こすおそれのあるものであるかということについては、日米両現地政府機関の代表で事前に話し合う、協議し合うという約束になっておりますので、おそらくそのことを申し上げたのではないかというふうに考えられます。
  76. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 こけおどしか何か知らぬけれども、とにかくワシントンなんていうのを持ち出して——私は、おそらくこけおどしでそんなことを言ったのじゃないかと思うのですが、そうでないと、これはあまり無知ですからね。これがやはり一つ、でたらめなことを言うなという私の根拠になっているわけなんですよ。こういうことを言って煙にまいている傾向があるわけです。これは考えようによっては、まさにトラの威をかるキツネだということも言えないことはないんですよ。ワシントンとさえ言えば、ぎゃふんというのじゃないか、自分がぎゃふんというものだから、佐世保の市民の代表たちがぎゃふんというだろうという感覚に陥っているんじゃないかと思う。大臣は、こういうところも十分に注意していただきたいと思うのです。  それからこの五条件ですが、地位協定の三条によって拘束されるという場合も、関係法令の範囲内という明文がちゃんとあることは御承知でしょうね。
  77. 林一夫

    ○林(一)政府委員 承知いたしております。
  78. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この五条件に反しないという立証がありさえすれば、民間の工場ができたって差しつかえないわけでしょう。
  79. 林一夫

    ○林(一)政府委員 さようでございます。
  80. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃ防衛庁にお伺いしますが、こういう条件がとてもやかましくて工場なんかできっこないという断定を、海幕は上から下までまた下しているのですよ。それじゃ、この五条件にどういうふうに違反してくるのか、これを一つ一つ明示していただきたい。私は違反しないという会社側の反論をみな持っていますから……。検討してないというなら問題ですよ。検討もしないで、こういう条件に抵触するから工場なんかできっこないんだ、アメリカは許可するはずはないんだ、そんなことを言っているとするならば、ここでもはしなくもトラの威をかるキツネという正体を現わすことになりますよ。五条件の内容も会社側の言い分も聞かないで、頭から、アメリカが条件をつけているんだから、その条件に反するだろうから、もうだめだだめだというきめつげをやっているということになりますね。どこまで検討しておりますか。
  81. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 会社側がどういう種類の会社を建てて、どういう点が電波障害になるかという、こまかいところまでは私は存じておりませんが、聞くところによりますと、継ぎ目なしの鉄管を溶接するために出す火花、それから移動式のクレーン等が電波の障害になるおそれがあるのだということを聞いております。ただ、自衛隊がとこを使わしていただきたいという希望と、それから米軍がつけた五条件との間には、先ほど調達庁あるいは大蔵省の方から御説明になりましたように、直接の関係はございませんが、米軍としては、その周辺にある自隊の施設の維持に障害になるようなものを持ってこられては困るということでございます。また、自衛隊としては、先ほど申し上げましたような理由から、ここに施設をほしいということでございまして、これを直接関係があるというふうにはわれわれは考えておりません。
  82. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうじゃないですよ。先ほどから引用しておる二月十五日の市議会代表に対する話の際にも、米側が認めるはずはないというきめつけをやっているのですよ。これは石渡副長の発言ですが、従って、鋼管工場をわずか九百メートルの距離にあるところに建設することを米軍が認めるはずはありません、こういう断定の仕方を再々やっているのです。五条件というものがあるから、これに抵触するから認めないというなら、まだわかる。五条件の何たるかも、会社の言い分も全然聞かないで、頭からアメリカ、アメリカという態度に問題があると言っている。アメリカが認めるはずはない、お前ら引っ込んでおれ、自衛隊以外には認めないんだ、こういう態度で出てきているということなんです。その五条件とどういうふうに抵触するかという検討はされていないんじゃないですか。会社側の方はちゃんと反論をしている。決して五条件に違反しません——時間がかかりますから読み上げませんけれども、五条件の一つ一つについて、そんなことはないと言っているわけですから、この点では、今調達庁の長官も認めましたように、五条件に反しなければ十分に立候補する資格があるということなんです。  これは大蔵省にも確認しておいていただきたいと思いますが、五条件に反しなければ十分に払い下げの対象になり得るわけでしょう。
  83. 山下武利

    ○山下政府委員 五条件の中には、先ほど調達庁長官から御説明がありましたように、要するに、米軍の通信施設に対して電波障害となるような施設あるいは機器を設置する場合には、米政府並びに日本政府の現地代表が、地元でもって十分に事前に協定し合うということでございますから、その話し合いがつけば、もちろんこれは五条件を満たすということになろうかと考えます。
  84. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 しかも、電波々々とやかましく言いますけれども、一番最初、三十五年の七月六日に、日米合同委員会に対してアメリカが出した覚書の中には、この三十メガ・サイクル云々というのは入っていないじゃないですか。そうそう重要視した条件じゃないんですよ。一番最初の提案には入っていない。  それから、私お聞きしたいのですけれども、その電波障害を来たすような米軍の施設が、一体あの辺にあるのですか。どんなものがどこにあるのですか。
  85. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この返還になりました地域の周辺に、米軍の通信施設がございます。この通信施設に電波障害を与えては困るということで、このような条件がついたのだと思います。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、あそこにはSSKという大工場も近くにありますよ。それから、先ほど溶接などということを言われましたけれども、米軍の施設の中で溶接を現在やっているじゃないですか。こういう点はどうなんですか。自分のところの溶接は支障を来たさぬけれども日本の工場の溶接は支障を来たす、こういうことですか。そういうところも防衛庁はお調べになりましたか。
  87. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろん、新しく作る施設が電波障害を起こすということが確認された場合においては、その施設をやめてもらうという条件でございます。電波障害を起こすかどうかを十分検討した上、その設置を許す、あるいは許さないというようなことになるので、その点は具体的に調査の上において決定することでございます。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 もう一人質問をされる方がおりますから、私、あまり時間をとるのはやめます。とにかく、最近高級幕僚というのですか、制服の連中がまた高姿勢ですよ。よほど注意していただかなければいかぬと思う。発言が、今一、二私が例をあげてお話ししたように、全く口から出まかせみたいなことを言ってみたり、こけおどしみたいなことを言ったりしておる。それから放言のように聞こえないとも限らぬことを、いろいろな記者会見なんかで、これに関連して言っております。そのことだけ大臣にちょっと確認しておきますが、「海上自衛隊の基地としても佐世保は横須賀と並ぶ重要な港で、将来は全艦艇の主力を二分し横須賀、佐世保に配置することも考えられる。」こういうことを昨年の十二月十一日に魚住地方総監が言っていますね。これはやや利益誘導的なねらいもあるんですが、こんなことは事実なんですか。
  89. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そういう計画は持っておりません。
  90. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 これも放言集の中に入りますよ。  それから、現在国会でまだ予算審議のまっ最中、本委員会すらまだ聞いておりませんが、三十七年度の業務計画について、早々と総監は地元の記者に対してあれこれ述べております。全部読めと言うなら全部読んでもいいですがね。ずいぶんたくさんしゃべっております。壱岐監視隊、芦屋連絡所、教育隊、第十三掃海隊の開隊、こういう問題もあります。それから今秋から海将補の副総監が任命されるとか、あるいは総監部の機構の改革があって、防衛部長は幕僚長に名称がえになるとか、これは総理府令できまることだと思うんですがね。全部聞かなくてもいいです。この地方総監部の防衛部長を幕僚長に名称がえするということは、大臣もはっきり確認している、総理府令を改正することは確認している事項なんですか。
  91. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 そういう計画で準備はいたしておりますが、まだ確定をいたしたわけではございません。
  92. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 確定的に記者会見で公表しておりますよ。何ならこれを参考に上げてもいいです。こういうところを私は高姿勢だと言うのです。内局や大臣は無視されているじゃないですか。いかにも自分たちの内輪の制服同士で話し合ってきまってしまえば、きまったものとしてはっきり記者会見で発表しているんですよ。こういうところにも現われてくるんです。その幹部の頭の程度がどういうところにあるかということですね。こういうことを一つ一つ、こまかいことだからといってほっておいてはだめですよ。あっちこっちでクーデターの起きておる時代ですから、よほど用心していただきたいと思います。  最後に、もう一つ確認しておきますが、あくまで無理押しはしない、十分市民の意向を参酌して、今後とも検討を加えていくということ。それからこの会社自体には弱みもあるわけです。いわゆる親会社が住友金属ですから、これは防衛庁の御用を承っておる。そういう裏口から圧力をかけて、市民の願望を粉砕するような卑劣なまねは、決してやってもらいたくない。この点についての確認をしていただきたい。  それから大蔵省としても、あくまでも防衛庁優先じゃないのですから、法律の規定からいっても、住民の意思を尊重して処理するというお約束をしていただきたい、調達庁もあわせて。
  93. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いろいろ御指摘の、至らなかった点等もあろうかと思いますが、先ほど冒頭にお答え申し上げましたように、この問題については十分慎重にやるように、そうして、ことに市民の皆さんにいやしくも高圧的な態度等にとられるようなことのないようにということは、私は最近におきまして注意をいたしておるわけでございます。今後ももちろんそういうことでやって参りたいと思いますし、また、ただいま御指摘のような、何か会社側に圧力をかけるようなことは、絶対にいたすつもりはございません。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、ぜひあすこを使いたいという強い希望を持っております。それと市民の言われるいろいろな御要望、こうしたものの調整を十分にはかってやって参りたい。ただ、これは私が申し上げるのは適当かどうかわかりませんが、返還についての条件があります。これは日本政府といたしましては、この条件はあくまで履行しなければならないという性格のものであることは、御了承をいただきたいと思うのであります。
  94. 山下武利

    ○山下政府委員 旧軍港市につきましては、先ほど御指摘のありましたような旧軍港市転換法の趣旨にのっとりまして、政府側の要望と民間にこれを返還する要望との両方を、十分地元の御意見を聞きながら、調整して参りたいと思っております。
  95. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは最後に、委員長にお願いしておきたいと思いますが、ぜひ市民の声を直接聞く機会を本委員会としても持っていただきたい。できれば現地にも出向いていただきたいという希望を持っておりますので、この点考慮に入れておいていただきたいと思います。
  96. 中島茂喜

    中島委員長 受田新吉君。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 今石橋委員質問で、重大な問題を提起しておられるわけですけれども、私も、この問題についてある程度事情を聞いておるのです。大体地元の意思を尊重すると、今責任者からそれぞれ御答弁があったようでございますが、国有財産を政府間で転用してこれを使用する場合に、各地元の軍港転換委員会ですか、そうした佐世保地区の地元のいろいろな人々を網羅した委員会にこれを諮る性質になっておるのかどうか、それは財産の政府間の転用になる場合は、地元のそうした委員会に諮らなくてもいいことになっておるのかどうか、これは規定の上でちょっとお伺いいたしたい。
  98. 山下武利

    ○山下政府委員 現在の旧軍港市転換法によりますると、旧軍港市国有財産処理審議会というのが設けられておるのでございますが、これはもっぱら旧軍港市を平和産業都市として転換させるために、公共団体とかあるいは民間企業に財産を譲渡したり、あるいは譲与したりするための大蔵大臣の諮問機関でございます。ただいま御指摘のありましたような政府間の所管がえというものは、直接この審議会にはかかっておりません。しかしながら、これもやはり国有財産の処理としては、十分に地元の御意見を尊重していかなければならないわけでございまして、実際問題といたしましては、現地の市長さんなり、その他関係の方の御意見を十分に聞いてやっておるのが実情でございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 そうした地元の意思を十分尊重するという先ほどの御発言が、具体的に何らかの形で現われていなければならないと思うのです。すでに市議会が満場一致で決定した民間会社への払い下げ決議のようなものが無視されて、途中から防衛庁が突如として要求をされるような形のこういうようなものは、地元の意思を無視した、いわゆるアメリカのお声がかりによって防衛庁が動いたという印象を国民に与える。これは佐世保のみならず、全国的な問題としても、私は重大な要素を持っていると思うのです。特にアメリカの意思によって動かされる防衛庁という印象を払拭するためにも、この問題はもう少し真剣に民間の意見によって、特に地元の民主的な声の結集によって、これの結論が得られるような努力をされるように要望しておきます。  私の質問はこれでおきますから、大臣としても、一つ私の趣旨を十分了としてもらいたいと思います。     —————————————
  100. 中島茂喜

    中島委員長 この際、政府より発言の申し出がありますので、これを許します。調達庁長官林一夫君。
  101. 林一夫

    ○林(一)政府委員 さきの当委員会におきまして、楢崎委員から御指摘になりました、板付飛行場の北端部の提供予定地における市道廃道手続の経緯について、御報告申し上げます。  板付基地におきまする進入灯の設置のための米側要求は、航空機の離着陸の安全性並びに板付基地周辺の安全性を確保することでありますので、調達庁としては、米側要請を実現するため、昨年春以来、地元関係者と相当長期間にわたって話し合いを続けてきた次第でありますが、すみやかに工事着工を可能ならしむるように手続を進めてほしいとの米側の要請を勘案し、昨年十一月には私が福岡市に参りまして、地元関係者にその必要性を説明し、了承をお願いいたした次第でありますが、当時としては、十二月中に市会の同意が得られることを期待しておったのであります。  その後、米側からは、二月中には工事着工が可能なように措置してほしいとの要請がありましたので、調達庁といたしましては、円満な解決点に到達するため、地元関係者と話し合いを続けてきた次第であります。  このような過程を通じて、地元の理解も得られる段階にきたと私は判断し、調達局長に、一日も早く、何とか二月中には市会の同意が得られるよう、最大の努力をしてほしい旨指示したのでありますが、調達局長は、調達庁からのこのような指示並びに現地における基地司令官とのこれまでの交渉経緯等から判断して、二月中にはぜひ市会の同意を得たい旨、強くお願いしたとの報告に接しています。  以上であります。
  102. 中島茂喜

    中島委員長 質疑申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、三月一日の本委員会で、板付北側の拡張問題に関する質問をしたわけです。その質問に関連をして、本委員会理事会の了承を得、中島内閣委員長と私と非公式に同道いたしまして、現地におもむき、調査をいたしました。その調査結果を得て、実は本日、本問題に対する最後の締めくくりの質問なり、確認をいたしたいと思っております。最後の締めくくりになるかどうかは、これから質問するその御答弁によってきまることであると思いますので、問題をしぼって質問をいたしたいと思います。  中島委員長と現地におもむきまして、調査をいたしましたその結論としては、まず二月二十八日までに市議会において問題の市道の廃止、これをどのような形で調達庁が要望されたか、その点について、まず米軍からどの程度の強い要望があったかどうか、これはいま一度本委員会で明確にしないとわからない。それが第一点。次は、米軍の指示によって、調達庁が、本庁が調達局に対し、どういう指示をされたか、そして調達局長が、また福岡市に対し、あるいは市議会に対してどういう要望をされたか、この点については、本庁と地元局の間で連絡の行き違いがあるという印象を受けたわけです。これが第二点。第三点は、県道、市道の問題について、なお若干問題が残っている。以上の三点に大体問題をしぼって結論を見たわけです。  そこで、その三点について、さらに確認をしたいと思うわけです。  まず、ただいま調達庁長官からその間の事情の回答を得たわけです。その御答弁の中に、米軍から二月中になるだけやってもらいたいという要望があったとおっしゃいましたが、その要望は、何月何日の第何回の日米合同委員会でそういう要望があったか、それをまず伺っておきたい。
  104. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お尋ねの合同委員会の期日でございますが、一月二十五日の第三十五回の合同委員会で、二月中には工事着工が可能となるよう所要の手続を進めてもらいたいという希望を申し入れてきたのであります。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本件については、一月二十五日の第三十五回日米合同委員会以外にはございませんか。
  106. 林一夫

    ○林(一)政府委員 さらに、二月の合同委員会におきまして、米側から、三月早々工事着工が可能になるよう努力願いたい旨の要望がございました。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日米合同委員会の議事の内容について、これを発表できるかどうか。この点は、新安保条約の審議のときにいろいろ問題になったと思いますが、ただいま長官から発表された程度の、本件に関する部分のみの議事の正式の発表ができるかどうか。
  108. 林一夫

    ○林(一)政府委員 合同委員会の合意議事録は、御承知のように秘扱いになっておりまして、これは発表しないことに両国間で合意されておる点は、まず御了承願いたいと思うのでありますが、お尋ねの合同委員会の議事録に提示されておる内容の要旨を、関係部分について御説明申し上げます。  香椎で起こりました墜落事故のため、市民感情の上から見まして、十二月中に市会の同意を得ることは困難でありますので、一月から工事を着工したいとの米側の要望を実現させることは困難であるが、いつから工事着工ができるかについて後日協議したい旨を、十二月十八日の合同委員会申し出たのでありますが、これに対しまして、一月二十五日の合同委員会で、米側から二月中には工事ができるようにしてほしいというような要望がございました。これに対しまして、日本側は、一月中に市会の同意を得ることは困難である旨を回答いたしましたところ、二月八日の合同委員会におきまして、米側から三月早々工事に着工ができるように努力してほしいという要望がございました。そういうことでございます。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいまの調達庁長官の御答弁によりますと、非常に強い要望があったということは言えると思います。  そこで、問題は、それだけの強い要望があったけれども、しかし、これについてはある程度の審議の必要があろうと思う。なぜなら、私が、あるいは関係委員が、これほど時間をとって本委員会質問をしなければならないということ、そのことが、審議の必要があるからこうして質問しておるのです。あなた方の責任によって、二月二十八日までにあげてくれという強いあなた方の要望で、地元では審議期間を置かずに、委員会にも付託せずにこれを採決なさった。だから、もう地元では審議のしようがない。従って、少なくとも最小、国の政治に関係のある部分だけは明確にする点が残っておるから、こうして時間を要しておるのです。私は、やはり二月二十八日までという印象の与え方が、先ほども長崎の基地のことで石橋委員からも質問が出ておりましたように、アメリカ側の意向の日本政府としての受けとめ方、そしてそれを地方自治体におろす場合の本庁としての態度といいますか、そしてまた、地元の調達局が地方自治体に示すときの態度というものは、非常にデリケートな問題があります。地方自治体ではもうアメリカといえば、あるいは日本政府がこうせいといえば、そうしなければならないという受けとめ方をして、ああいう結果になったと思うのです。そこで、やはりあのような市議会の混乱を起こさせた原因は、今の答弁を聞きましても、二月二十八日に必ずこれを採決して、三月一日に引き渡さなければならないという強制さはない。できればということであって、そのように調達庁の態度を私は理解したいと思いますが、その点を確認したい。
  110. 林一夫

    ○林(一)政府委員 当庁から地元の局長に命令いたしましたのは、何とか二月中に市道の廃止の決議をしてもらうようにぜひ市当局にお願いしてもらいたい、具体的に申しますと、三月早々から工事が着工できるようにというようなことで、地元の局長にはお願いしたわけであります。やはりそのような命令は当庁から出しておるわけであります。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は早くこの問題を切り上げたいので、やはり意のあるところを示していただきませんと、次に移れないわけです。  そこで、これは命令するような性質のものじゃないでしょう。だから、できればということであることは間違いない。もしそこに正当な理由があれば、それが審議のために若干延びてもやむを得ぬのじゃないですか、そういうふうに私は理解しているわけですが、どうですか。
  112. 林一夫

    ○林(一)政府委員 命令という言葉はいささか適当でないと思います。何とか二月中に市会を開いて廃道手続をやってもらうように市当局にお願いしてもらいたいということで、指示をいたしたわけであります。そういう意味におきましては、調達庁から強い指示を与えたというふうに御解釈になって適当かと思います。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、これは命令ではないから、正当な理由があれば、そこに若干の日にちのズレがあってもやむを得ない、これはまた長官も御理解いただけると思います。そこで、地元においては、わが党の関係の市会議員の方は、少なくともそこに一週間や十日の期間を置いてくれという要望をしたわけですけれども、本委員会質疑を通じて明確になったところは、わが党の市会議員の皆さんがそういう態度で臨まれた、それが私はやはり妥当であり、正しかったと思わざるを得ないわけです。長官あたりの御答弁を見ましても、私はそう理解せざるを得ない。しかし、二月二十七日に、委員会にも付託されずに強行採決された。その採決は不法ではないかもしれぬけれども、内閣委員会の今までの質疑を通じてはっきりしていることは、まことに当を得てない、不当な、妥当でない採決のあり方であった。従って、その不当性を少なくともなくすために、私たちは本委員会でもし努力する面があったら、その点において政府と一緒に私ども努力したい、このように思うわけです。  そこで、三月一日から工事に着工したいという米軍の要望があった、それで、三十七年の二月二十日付で、調達局長が市長あてに市道の廃止の点について要請されました。この根拠は、何によってこういう要請を福岡市長になさったのですか。法的な根拠を示してもらいたい。
  114. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米側の要望は、先ほど申し上げましたように、三月早々から着工したいということで、強い要望がありましたので、調達庁といたしましては、できるだけそのように努力いたしましょうということで、回答をしておったのであります。とのような、なるべく早く工事を着工するというような状態にいたすまでには、その新しく提供する地域内に市道がございますので、まずその市道の廃止手続をやった上で提供する手続をとるというのが適当と存じて、このような市道の廃止決議を市会において早くやっていただきたいということで、依頼を申し上げたわけでございます。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 提供地域内に市道が含まれているから、市道の廃止をしなければならない、これは、日本の法律の何によってこれをしなければならないか、それを私は聞いておる。
  116. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 市道を廃止する場合は、道路管理者である市長が市会の議決を得てするということになっておりますので、そういう手続をお願いしたわけでございます。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 道路法によってなさったわけですね。
  118. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 さようでございます。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではお伺いをいたしますが、土地の関係の所有者の買収は終わった。提供予定地に含まれておる市道の廃止も、一応不当ではあるが市議会の決定を得た。米軍への今度の拡張の提供の手続はとられましたか。とられたとすれば、いつとられたか。
  120. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 福岡調達局長が三月早々に米軍に土地の引き渡しを了したというふうな報告を受けております。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、提供の契約ができてサインをされたと思うのですが、そうすると、米軍は、もういつからでも準備でき次第着工できるのでしょうか。
  122. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 両政府間では、米軍はいつでもでき得る状態にございます。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三月一日の質問で、米軍の着工準備の点はどうであるかということをお尋ねをいたしました。調達庁長官は、よくわからないという御答弁でございましたが、もう約十日過ぎておりますけれども、米軍の着工の準備状態がもしその後わかっておればお伺いをしたい。
  124. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍としては工事を着工し得るような状態にございますが、この工事開始時期等につきましては、二月末以来の福岡市における情勢、そういうことを説明いたしまして、こういう情勢を十分勘案の上実施されるというようなことを今話し合っておるととろでございます。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、法的にはいつでも着工できるわけであるけれども、今までの提供に至る経緯を考えて、そこに着工の時期につきなお若干の期間が置かれるようにお話をしておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  126. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 さようでございます。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、お尋ねをしたいのですが、道路法の十八条によりますと、廃止をしたら一カ月の縦覧期間を市長が置くのですね。その一カ月の縦覧期間を置くということは、どのような必要から一カ月縦覧期間をこの法律が置くように規定をしておるのか、その点についてお伺いをします。
  128. 河北正治

    河北政府委員 今まで交通の用に供されておりました道路が、急に交通不能になるというようなことになりますと、今までの利用者に対する周知徹底を得るために、それだけの余裕期間を置いておるのであろうと承知いたします。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、その法の解釈あるいは精神からすると、一カ月の間は、その市道の状況の変化について余裕を置くという法の解釈であり、精神である、このように今の道路局長の御答弁は解されるわけです。そうすると、実際の着工は、少なくともこの十八条からいきますと、一カ月はやはりかかれない、かからないのが、この法の解釈であり、常識である、そのように理解しますが、どうでしょうか。
  130. 河北正治

    河北政府委員 ただいまの御趣旨でけっこうだと思います。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、道路法の十八条からいきますと、法的に一カ月はかかれないのであって、先ほどの不動産部長の御答弁とちょっと食い違います。法的にはかかれるが、実情として余裕を置きたいというような御答弁がございましたが、その点はどうでございましょうか。
  132. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 そういう国内法規等も説明しながら、もうしばらく工事の実際の着工は、そういう国内的な問題もあるので、そういうことを勘案しながら、計画を進めてほしいということで話し合っております。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が先ほど念を押したのは、法的にはすぐかかれるのだ、しかし、実情としてかかれない、そう解釈していいかと聞いたら、そうですとあなたは御確認をなさった。今重ねて御質問をしますと、そういう法的な問題もあるから、米軍の方に延期を御相談しているというふうに、今答弁がちょっと変わったわけですが、どうでしょうか。
  134. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 今度の廃止御決議を願った市道の中には、通常一般の交通の用に供せられるのが道路でございますが、実際的には農道的な役割を果たしておったというようなことで、その道路法が予定している道路と実態面が違うような問題もあるわけでございますが、そういう点は、関係建設省とも十分協議をしなければならない点でございまして、そういう点で明確さを欠く点が若干ございますが、私の方としては、いずれにいたしましても、そういう国内法があることでございます。そういう点に形式的にも違反することがないというふうなことを確保したいということで話し合いをしておるわけでございます。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、問題は明確になったわけです。少なくとも道路法の十八条では、一カ月間はかかれない。  さらに、お尋ねをしたいのですが、引き続く質問関係がございますので、いま一応確認をしておきたいのは、北側の拡張の内容ですが、三十二年に拡張されました二万坪の地内にオーバー・ランを作る、そしてその先に、今度拡張した分の土地の中にアプローチ・ライトをつける、そういうふうに確認をしたいのですが、どうでしょうか。
  136. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 その通りでございます。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、南側の三十二年度に拡張された二万坪については、オーバー・ランは作らずに、標識灯ですか、それをつける、そうですか。
  138. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 南側については考えておりません。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 南側は、現在滑走路の方向と直角に県道が通っておりますね。そうして飛行機が発着する際には、危険であるから交通制限をしておるわけですね。それは御存じでしょう。
  140. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 存じております。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、北側の三十二年度の拡張地と拡張地の南、今の飛行場の発端、滑走路の間に県道、市道が通っておることは御存じでしょう。
  142. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 存じております。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、その道路の北側にオーバー・ランができるとすれば、その道路は南側の道路よりももちろん危険になるし、交通に支障がくると思いますが、どうでしょう。
  144. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいまのところは、この県道はそのままの姿にしておきたいということでございます。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、そのままの姿にしておきたいかどうかをお尋ねしておるのではなしに、南側はオーバー・ランは作らない、その状態でもなお交通制限をしておるのですね。北側はオーバー・ランの中を道路が横切ることになる。そうすると、南側よりもよけいに危険であり、交通に支障がくるということは常識でしょう。それを聞いておる。
  146. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 従来よりも支障を来たすことと存じます。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、あなた方が、二月二十八日までにこの市道を廃止してもらわぬと米軍が着工できないと言って、市に廃止の要請をされたその市道は、今あなた方が残しておくというその道路よりもさらに北側にあり、危険度はさらに少ないのですね。危険度の多い道路はそのまま残して、危険度の少ない方の市道を廃止しなければ着工できないということはおかしいではないですか。あの北側の農道を廃止しなければ米軍に引き渡せない、着工できないといって、危険度の多い方は残しておる。おかしいではないですか。
  148. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 お話のように、県道と市道と二つがあるわけでございますが、今度廃止の御決議を願いました市道は、利用度から申しますと、大部分が農道的な道路でございまして、県道に比べますと、利用度も非常に少ないわけでございます。反面、県道につきましては、一般交通の利用に供せられる度合いも強いわけでございまして、そういう点から、県道については、現在のところは、直接廃止することはせずに、将来これにかわるべきつけかえ道路という点が県側と十分話しの上つきました際に、県道をどうするかを考えたいというふうに考えておるわけであります。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。  道路法の三十一条によりますと、道路鉄道と交差する際にいろいろ規定があります。道路が飛行場の滑走路と交差する場合の問題はどうなっておりますか。道路局長にお尋ねいたします。
  150. 河北正治

    河北政府委員 特に滑走路と交差する場合の規定はないかと存じます。
  151. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ないのですね。ないが、しかし、鉄道なり市道なりが交差する危険性と同じ危険性が、飛行場の滑走路の中を道路が横切るのですから、あるわけです。そうすると、この三十一条に鉄道道路の交差の規定が書いてあります。この精神は、滑走路との交差の場合でも十分考えなくてはならないと私は思うわけです。法規がないのが不備であって、この精神は準用されると考えてよろしゅうございますか。
  152. 河北正治

    河北政府委員 滑走路と鉄道との違いは、鉄道道路も、これはいずれも網となっております。そうして、いずれかで交差しなければならない宿命にあるかと思います。これは上下は別といたします。しかし、滑走路と道路の場合は、必ずしも交差しなければならないという宿命にはないかと存じます。
  153. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういうお答えをなさっていいのですか。滑走路と道路は、飛行機が上を通りますから、そうですね。しかし、オーバー・ランを作るということは、あるいは飛行機がそこを通って滑走するかもしれないから、オーバー・ランを作るのです。必ずしも上に行くとは限りません。危険があるから、あなた方は拡張しておるのでしょう。安全のためといって拡張しておるのでしょう。上を通るから交差しないというのはおかしい。
  154. 河北正治

    河北政府委員 私、言葉が足りなくて申しわけございませんが、道路も網をなし、鉄道も網をなしておりますから、この両者はいずれかで交差しなければならない宿命にある。ただし、滑走路と道路との場合は、滑走路は無限に網を張られておるわけではないのでございますから、平面的に交差するポイントというものは避けられる、避ける方法があるのだということで、特に規定がないのではないかと考えます。そういう意味でお答えしたわけであります。滑走路と道路が交差していてよろしいというつもりで申し上げたわけではないのであります。
  155. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今の道路局長のお考えが私は常識であろうと思うのです。大体、道路を横切って滑走路を作る方が常識ではないのです。むちゃです。常識だったら、道路があって、そこを人が通っておるから、滑走路なんか延長しない方がいい。局長答弁は常識の通りです。しかし、現実には道路を横切って滑走路を作る。しかも、今の御答弁では、その道路は廃止しないというのです。  さらに、質問を続けたいと思いますが、同じく道路法三十二条一項の七に、「道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件」云々となっておるわけです。そこで、三月一日の私の質問によりますと、県道の部分については舗装する、その舗装は、南側の道路舗装なさったときと同じに、滑走路の延長の分は非常に厚いコンクリートになるわけですね。今私が問題にしております県道、市道、これは三十二条の一項の七に該当すると思いますが、道路局長はどう思われますか。
  156. 河北正治

    河北政府委員 施設または物件は政令で限定されておりまして、何でもかんでもというわけではないと思います。
  157. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何でもかんでもというような、そういうあいまいな御答弁では困ります。私は具体的に問題を出しておるのです。あなたは板付を御存じなかったら御存じないでいいですが、滑走路の中に道路があるのですね。その道路は、交通の制限を受けると今御答弁なさっていらっしゃる。だから、三十二条の一項の七に該当すると解釈しておりますが、何もかにもと私は言っていないのです。板付の今の北側の県道、市道について、滑走路の中を通るからどうですかと言って、具体的に聞いておるのです。
  158. 河北正治

    河北政府委員 占用しようとする工作物または物件は、政令で定めたものに限られておりますので、滑走路は占用の対象にならぬと思います。その政令の中に入っておりませんので、占用の対象になりません。
  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほど三十一条の御説明を聞いたときに、滑走路と道路が横切るようなことは常識としては考えられぬから、法にはないということですね。これは不備ですよ。だから、今私が申した事例は、もし政令で定めてなかったら、当然三十二条の一項の七の問題として考えなくてはならない。同じことです。そういうふうに私どもは理解せざるを得ぬのですが、あなたがどうしてもこれは違うとおっしゃるなら、問題にしなくてはなりません。これは精神としてはそうでしょう。これはそう簡単に、ないからというような御答弁で済まされましょかね。事によったら廃止しなくては危険で通れない道路であるということは、この前の質問でもはっきりしておるのです。それほど交通に支障がある道路なんです。これは重要な点ですから、今即答できないならば、私が質問を続けておる間一つお考えをいただきたいと思います。私の理解によりますと、やはりこれは三十二条に該当する。そうすると、工事の責任者は、三十日前に、県道の場合は県知事、市道の場合は市長に対してその工事の計画をお出しにならぬといかぬわけですね。どうでしょうか、道路局長さん、もし私の解釈が合っておれば、その計画書を一月前に市長あるいは県知事に出さなくてはいかぬですね。
  160. 河北正治

    河北政府委員 どうも道路局長でありながら、道路法のことについて不勉強で申しわけないのですが、一カ月縦覧に供さなければならぬというようなところは、ただいまここでちょっと見つけがたいのです。
  161. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一カ月とおっしゃったのは、あなたですよ。私が言ったのではない。私が申しましたのなら、それは一応言わなかったことにします。ただ、縦覧期間を置くという精神は何か、それでけっこうです。一月に限らぬでけっこうです。ただし、私がさっき聞いたのは、廃止の道路の分です。これはすでに市議会で廃止にきまった。私が今聞いておるのは、廃止されていない道路で、交通に重大な支障を及ぼすものについて質問しておる。お間違いないようにして下さい。
  162. 河北正治

    河北政府委員 御質問の趣旨がちょっとのみ込みがたいのですが、道路上に工作物を設けて、交通に支障があるときに、それを告示しておけば足りるのかという御質問だとすれば、それは告示とは関係ない問題かと思います。
  163. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 御了解がいってないようですね。質問の最初の方で聞いたのは、道路を廃止する際には、廃止したら、縦覧期間を設けなくてはならない、そういう法の解釈あるいは精神は、あらかじめ周知徹底させないと住民が迷惑するから、その期間を置くのだ、その一定の期間については私はあとでやりますけれども、そういうことを聞いたのです。今聞いておるのは、交通に重大な支障を及ぼすような工事をするときには、その工事をする人は、一月前にその工事の計画書を知事あるいは市長に出して許可を受けなければならないというふうになっておるわけですね。三十六条でそうなっております。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
  164. 河北正治

    河北政府委員 三十六条は占用の特例でありまして、先ほどから申し上げております通りに、滑走路は道路の占用物件とはなり得ないということでございます。ですから、三十六条とはちょっと関係がないのではないかと考えられます。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が三十一条の質問をしたときに、滑走路と道路の交差する規定はないとおっしゃったでしょう。これは法の不備なんです。そう思いませんか。もし不備と思わぬなら、またもとへ戻らなければならぬ。常識で考えられぬから、法に載ってないのです。ところが、常識で考えられねことを実際になさっておるから、問題が出てきておる。滑走路と道路と横切っておるところが今までありますか。
  166. 河北正治

    河北政府委員 私の承知しておる範囲内においては、ないかと思います。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ないのです。だから、ここに載ってないのです。ところが、現実にそういう非常識な問題が起こっておるのですから、これは法の不備だ、そう思われませんか。
  168. 河北正治

    河北政府委員 先ほど調達庁の方からお答えがありましたように、つけかえを考えておられるそうでありますから、それまでの間、道路の使用上の制限が与えられる。ただし、非常に交通量が少ないような場合には、ある程度の期間道路の使用上制限が加えられるということも、あるいはやむを得ない場合があるかとも考えられます。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その制限を、県道の場合は県知事、市道の場合は市長が、道路法に基づいてするのです。だから、私が今言っている問題は、この道路法にやはり十分関連がある。もし載ってないとしたら、これは法の不備なんだ。だから、この不備である場合には、法の精神で物事を処理していかなければならない。それはそうでしょう。それはそうだと思います。だから、私は、そういう交通に重大な支障を及ぼす工事をする際には、工事者がここに載っておる通り——三十六条には水道法とかなんとか書いてありますね。それにはないです。これに実際形式的には該当しておらぬけれどもも精神は同じだと思うのです。だから、一月前に計画書を出して県知事の許可を得るというのが、この法の精神であろう、このように思うわけですね。道路局長は今承諾をされたようです。そうしますと、今の三十六条の精神からいきますと、ここに許可書を出すのは一月以内というのが書いてあります。そこで、三十日という期限が浮かび上がってくるわけです。そこで、十八条の廃止の場合の縦覧の期間がここに書いてないのは、これはどうなっているのでしょうか。
  170. 河北正治

    河北政府委員 何日公示しなければならないとは書いてございませんが、通常私どもは、二週間ないし一カ月を通例といたしております。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私も今の局長の解釈に賛成をします。大体書いてないときはそういう常識だと思うのです。  そこで、三十六条の精神によると、一月前に許可を求めなくてはいけない。それからさらに九十六条の一項の八によりますと、ただいま私が申しました四十六条関係異議がある場合は、一月以内に異議をそれぞれの道路管理者に申し立てねばならないと書いてありますね。そこで、異議のある場合は三十日、今度は、そういう異議が出た際にはどういうふうになるかというと、これは今度は九十六条の二項ですね。それからさらに異議のあった際には、九十六条の四項によって、そういう異議を受理した道路の管理者、つまり、県知事あるいは市長は、三十日以内に文書をもって決定しなければならない、こうなっておりますね。そしてその決定に異議があるときには、今度は九十六条の五項によって、十日以内に訴願をすることができる。さらに、その訴願について不服がある際には、今度は九十六条の六項によって、三カ月以内に訴訟をすることができる、こうなっています。非常に私くどくど申しましたけれども、結局、法的に言って、あるいは法の精神から言って、合計六カ月と十日は着工してもらっては困る、こういうことになるのです。だから、私はお伺いしたいのは、そういう九十六条によって、いろいろな不服の場合、あるいは訴願、訴訟とずっと日にちのあれがありますけれども、そういうふうに九十六条に規定されておるが、着工はいつでもできるのだというふうにお考えでしょうか。
  172. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 その県道をどうするかの問題につきましては、県側と話をしておるわけでございますが、道路管理者である県側といたしましては、やはり先決問題として、市道の廃止ということが問題である。と申しますのは、市道の廃止ということの中に、軍の要求をいれるかどうかという問題があるわけでございまして、市道の廃止決議というようなことになりましたならば、それが軍の要求に対して御了解が得られたという道にも通じますので、そういう福岡市の態度を待って県としてもいろいろ対策を考えたいというような話で進めておるわけでございまして、従いまして、今後県道をどのようにするかということにつきましては、県側と十分話し合いをしまして、国内法等に触れることのないような方法を踏みつつ、善処したいというふうに考えております。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 二時から本会がありますから、結論に入ります。  私どもが、福岡市にああいう板付基地があるというのは困るということを、再三現地からも、あるいは本委員会においても訴え続けてきたわけです。それで、これを拡張されると、だんだん大きくなって、なお移りにくくなるから、拡張はやめてくれ、被害も多くなるから。しかし、米軍側からいろいろ要求がある。私どもはわらをもつかむつもりで、国内法的に何かあれば、それに寄りすがって私どもは政府に訴えておるわけです。何も重箱のすみをつつくような気持でやっておるのではないのです。あなた方は国際信義ということを言われましたね、今度二月二十八日に引き渡す問題のときに。国際信義というのは、これは私は失礼でございますが、政府と政府の約束を守るということが、はたして国際信義になりますか。国と国ということは、国を構成しておる国民の理解と納得がいかなくては、ほんとうの信義は生まれませんですよ。国民の不満を強く押えつけて約束を守ったからといって、どうして信義が生まれますか。そうでしょう。これは釈迦に説法だと思うのです。こういうこまかい道路法とかなんとか、いろいろな問題を出しておるけれども、それは法的には載ってないからやれるのだという、そういう木を見て森を見ないようなやり方は、私はやめてもらいたい。今申しましたように、道路の問題でも、くどく言えば何ぼでもありますですよ。おかしいです、これは。防衛庁長官もこの前笑っておられました。おかしいです。このおかしい、そして非常識なことが、現実には行われている。だから、道路法にもないのです、滑走路の中を道路が横切るなんというのは。従って、私は、この法の精神から考えても、六カ月くらいは、十分これは米軍と交渉する際に延期をしてもらいたいという日本政府の要望の基礎になると思うのです。実情としても、そういう交渉をなされておるということを聞きまして、私はその点についてはその努力を多といたします。さらに、こういう問題もあるから、今不動産部長がおっしゃったように、国内法的にも十分御説明をなさって、半年くらいはこれは着工しないでほしい。もし半年以内に着工するとしたら、こういう手続が住民から起こってきた際にどうなさいますか。それは不法だから、われわれが心配するような、不法なことをやる者に対して抵抗する強い運動が起こります。  この点について、私はまだ言いたいのですけれども、要するに、三十五回、三十六回の日米合同委員会で、強い要請を日本政府は受けておる。真相は、それを長官はあいまいにされて、地元の局長が正直にそれを言ったまでです。米軍の圧力です。それで、日本政府として、特に板付の場合なんかは、あなた方がどちらを向かれるかが問題なんです。アメリカと一緒になって住民の方へ押しかけていくか、あれほど地方自治体を混乱させてもやるか、あるいは住民の意思を体して、アメリカに対して言うところは言うていくという態度であるかどうかが問題なんです。  それで、最後に、防衛庁長官、私が申しましたような、滑走路の中を道路が横切っているというような非常識な事態が起こっておるし、手続としても、法の不備な点もございますから、そういう点も勘案されて、私は、六カ月以内は正式にそういう異議が出たらやれないと思いますけれども、米軍着工についての地元との十分の理解なりあるいは交渉、法的に間違いのないそういう手続を踏んでやられるかどうか、長官の御所信を承りたいと思います。
  174. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいまの道路法等についての御意見を私伺っておりまして、必ずしも楢崎さんと同じ解釈はいたさないのでございます。しかし、それはそれといたしまして、とにかく福岡市議会のいろいろな問題等もございますので、これらの点については、十分慎重に取り及って参ると同時に、この県道等の取り扱いにつきましても、現在福岡県当局と話し合いをした点は、前々から調達庁からお答え申した通りでございますけれども、しかしながら、さらにこれらの点については、県当局とも十分協議を進めて参りたいと存じます。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後に、今長官の御配慮ある言葉を聞いたわけですが、今言われました通り、これは県道も関係をしておりますから、県とも十分お話し合いをなさった上、また、先ほど申しましたように、これは四十六条の関係についても十分検討して、その辺の納得のいく解釈もお示しをいただいて、そして、それらが十分円満にいった後着工をしてもらいたい、このように要望して、私の質問を終わることにいたします。
  176. 緒方孝男

    ○緒方委員 ちょっと、林長官から釈明みたような経過報告がありましたが、現地の局長に聞けば、局長は、私が本庁の実態を強調し過ぎたがためにこういう事態になりました、不動産部長に聞けば、私の責任であります、林長官に聞けば、私がなにしました、非常に責任のかぶり合いをやって、うるわしい姿を出しておるようであります。そういううるわしいお話自体では、私は解決にならないと思う。あなた方が御相談して集約したところが、きょう報告された。私がぜひとも二月中にこの議決をしてもらいたいという強い要請をいたしました、「私が」という言葉を使って、自分の責任であります、こういうふうな表現で言われましたが、この前の答弁から考えてみると、二十八日まででなければならないということは、どこからもこれは考えられなかった問題じゃないか。ただ、日米合同委員会で二月中にはという強い要請もあったので——そのお約束もなかったかもしれないが、しかしながら、二月二十八日まででなければならないという絶対的な拘束力があったわけではない。してみるならば、こういうふうな状態になったならば、長官が責任を負うなら負うでかまわないが、現地の市長なり市議会に対して陳謝の意を表する必要がある。この点に対して陳謝する意思があるかないか、その点をお伺いしておきたい。
  177. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど釈明と申しますか、報告をいたしましたが、あれで先日の委員会において私が申し上げたところはおわかりと思います。二月中には工事着工が可能になるように所要の手続を進めてもらいたいということを、地元の局長に強く指示したのでございます。私から強い指示を与えたことは間違いかないわけであります。それによりまして、地元の局長は市当局に、ぜひ一つ中央からもこういう強い指示があるから、市会の手続を至急やってもらいたいということをお願いしたわけであります。このような強い指示と申しますか、このような指示を出したのは私がもとでございます。これははっきりしておる。先日も、地元の市当局者並びに移転促進協の幹部の方々が上京されまして、このような問題について懇談をいたしたのでございます。その席上におきまして、まことに御迷惑をかけて遺憾でございましたという意味の陳謝をいたしております。
  178. 緒方孝男

    ○緒方委員 そういう、向こうが来たときについでにお断わりしたというくらいの問題で済まされない。もし二月中にぜひともしなければならなかった必要性があるなら、もっと前から市会を開いてもらって、何とかしてもらいたいというなにがあるし、二十六日にこの議題がようやく上がったときに、その場できめなければならないような事態に追い込むことにすでに問題がある。たといそれが、この前も申しましたけれども、容易に議決がもらえそうにないという事態であっても、すでにスケジュールがきまっておるような状態の中に、ああいう大混乱を引き起こして、だれも責任のとり手がないというのは、これははなはだ遺憾だ。そのときのなにからすれば、現地の局長が間違っておれば、局長に引責辞職をしてもらいたい。不動産部長が連絡をとったなら、不動産部長が責任をとってもらいたい。局長に責任があるならば、局長に責任をとってもらいたい。それくらいなことはすべきだと思う。きょうはそこまでは言いません。そこまでは言いませんが、せめて、あなたが現地に正式な陳謝のなにができなければ、現地の局長を通じてでもいいが、こういう事態に追い込んだのは、私たちの要請の仕方が多少そごを来たした結果でありましたということをはっきりと釈明をし、陳謝する必要があると思いますが、それはやれませんか。
  179. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまも申しましたように、市当局の方々、代表の方々、地元の移転促進協の幹部の方々には、大へん御迷惑をかけましたということで陳謝の意を表しておるわけであります。しいて地元の局長にそのような意思を伝えよというようなことであれば、さっそく地元の局長を通じて、大へん御迷惑をかけましたということで、遺憾の意を表したいと思います。
  180. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十三日火躍日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会      ————◇—————