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1962-03-02 第40回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    大森 玉木君       金子 一平君    辻  寛一君       藤原 節夫君    前田 正男君       緒方 孝男君    田口 誠治君       受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君  委員外出席者         建設事務官         (計画局総務課         長)      小林 忠雄君         建 設 技 官         (河川局砂防課         長)      矢野 義男君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、建設省設置法の一部を改正する法律案の内容にのみとどめて、わからない点を御質問いたしたいと思います。そういうことでございますので、なるべくはみ出る質問はいたしませんので、気楽に一つお答えをいただきたいと思います。  提案理由説明書によって説明を受けたのでございますが、第一の改正点としては、河川局砂防部を設ける、そして、この砂防部仕事といたしましては、砂防法の施行に関する事務とか、あるいは地すべり防止事業に関する事業、こういう仕事を効果的に成果を上げるべくやりたいというお考えから出されておるわけなんですが、そうしますと、今日までの機構ではどういうような点が支障があったのかという点を、まずもってお答えをいただきたいと思います。
  4. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 砂防部設置を必要とする理由の裏のことになると思いますが、砂防行政が、御案内のように、治水対策上非常に根幹的な仕事といたしまして、近年毎年非常に伸びてきております。従いまして、本省地方を通じて、それらの事業を担当する職員相当の数に上り、かつ、非常な苦労をして仕事の遂行に当たっております。そこで、これらを統括する、いわば元締めでありますところの本省砂防行政機構をもっと充実強化する必要がある。これにはいろいろ考えられますけれども、何と申しましても、役人の世界では、一つの課ではこれが元締めとしての効力を発揮するのに非常に不十分である、やはり少なくとも部とか局といろ体制をもちまして、全国の砂防行政元締め強化をはかる必要がある、こういうふうに考えられた次第でございまして、このままでいきますると、今後砂防関係職員定員確保し、人数もそうでございますが、ざらに上気を高揚して働かせるという面で支障を来たすのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういうお考えでこの改正提案をなされたと思いまするが、今日までおやりになっておられる仕事分布状態からいきますると、河川局砂防部を設けて、総括的な指揮をする部を設けるということも、これは仕事発展途上においては必要であろうと思いますけれども、私どもが実際にこういう行政の裏表というような点を仕事の面から見させていただきますると、指揮するところだけ強化されても、実際に仕事をしてもらう下部機関が手薄になっておっては、やはり仕事にならないということが感じられるわけなんです。それで、私らはいつもそう思うのですが、いろいろ地方要請にこたえて、それぞれ地方事務所では活躍なされておられますけれども、なかなか手不足で十分な活動がしていただけない。その活動のしていただけないそのことが、やはり調査不足であり、また手足不足であり、こういうことが、ひいては水害なんかの場合に影響があるわけなんです。従って、上部機関に部を設けて指揮をされるということになりますれば、もちろん下部組織強化ということもはかられると思うのですが、この点につきましては、この提案の中にも、定員増加とか、また地方の局に用地部を設けるというような点がありますけれども、ここに提案なさっておる以外のところに相当たくさん隘路があるのではないかというように、私どもは実際現地へ行って感じられるわけなんです。こういう点について、上部強化をされると同時に、下部機関強化をされる面についてのお考え方を御説明いただきたいと思います。
  6. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいまの、上部機関のみならず、下部機構強化すべしという御意見は、まことにごもっともでございまして、私どもも、御意見趣旨に沿って十分配慮いたして参りたいと考えております。御参考に申し上げますと、現在、昭和三十六年度直轄砂防関係職員は、本省の二十四名を含めて千三百四十名おるわけでございますが、今回提案されておりまする定員法改正におきましては、実は昭和三十六年度定員に比べまして、二百一名既存定員から減らして、定員化で四千七百九十一名ふえまして、差引三万五千七百二十名が新年度定員ということになるのでございます。そこで、これらの新定員地方建設局に対する配分に際しましては、ただいまお尋ね趣旨に沿うようにできるだけ配慮いたして参りたいと思っております。この点は、まだ具体的な配分案を今検討しておる段階でありまして、設置法改正案が成立いたしましたら、すみやかに地方建設局定員の再配分をいたしたいと考えております。それからなお、砂防事業は、御承知のように、地方都道府県相当仕事を消化いたしております。これらの職員充実あるいは地方都道府県砂防行政機構強化ということにつきましても、かねて省といたしましては、十分知事に対してこれを指導してきておるところでありまするが、たとえば砂防課設置あるいは砂防関係事務所充実というような機構の面、さらに職員確保につきましては、とれまたただいまお尋ね趣旨に沿いまして、今後行政指導上一そう力を入れて参りたいと考えております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 建設省の場合なんかは、労働省とか厚生省なんかと違いまして、予算要求の場合も割合にとれやすいわけなんです。実際に各都道府県からの強い要望にこたえるところの実務でありまするから、予算の面においては割合にとれやすい。ところが、そういうことから、いろいろな面で手を広げまして仕事をしていただいておるわけでございまするけれども、今日の提案では、定員増という提案はありまするけれども、私は、この人数では、全国的な下部機関行政をスムーズに行なうには定員がまだまだ不足でないかと思うのですが、この定員を割り出されたのは、何か基準に基づいて出されたのか、それとも、まあ予算的にこれこれでしんぼうしてくれというようなことで、この定員の数がきめられたのか、そういう経緯を承りたいと思います。その承りたいという理由は、ただいま申しましたように、実際的に建設省は多くの仕事を手を広げてやっておりまするけれども、その割に定員というものがふやされておらないということが実態であるわけなんで、こういう点が並行してなされなければ、非常にそごを来たすわけでございまするから、こういう点を憂えましての質問でございますが、何かの基準に基づいておやりになったのなら、そういう点をお示しをいただきたいと思います。
  8. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいま御指摘の点は、建設省直轄事業と申しております。地方建設局で担当しておる事業関係定員の問題だと思いますが、これは御指摘のように、近年、年々直轄事業相当の伸びを見せておりますが、特に砂防事業等は、三十三年のころに比べると倍近くなっておるというような状況でございますけれども定員はそれほどふえてないという傾向にございます。しかしながら、法律上の定員につきましては、たとえば今年度におきましても一万一千余名の定員化が入りまして、三万一千一百三十名になっておる。昨年も相当数定員化が行なわれたというようなことでございまして、三年前くらいは一万七、八千だったかと思いますが、それが今年度三万一千一百三十名になっておるという状況でございます。しかし、これは実質上の定員増ではないんじゃないかという御批判があるかと思います。なお、実質的な定員がそれほどふえないのに、伸びた事業をこなしていけるかということ、この点は、私どもも常に苦心を払っておるところでございまして、だんだんに、頭数でなく、むしろ、定員の質の問題を引き上げていくということが一つでございます。それから直轄事業の中に、直営請負という二つの方式仕事を施行しておりますが、できるだけ請負の方に仕事を多くやらせる。もちろん、高度の技術を要するものとか、あるいは特に試験研究的にやるというようなものは、直営でやりますけれども、なるべく請負でやっていく。そこで、たとえば昭和三十年ころは、請負直営比率がちょうど半々でございました。それが今年度あたりは直轄事業の約八七%が請負になっております。これは土木関係だけでございます。営繕はもちろん全部請負でございますから、土木関係の中の割合でそういうふうになっておるということによりまして、現場のいわゆる直営に要する頭数がだんだん年々大幅に減ってきておる、こういう状況でございます。一面、質の問題といたしましては、監督要員でありますとか、設計関係要員をできるだけいい人を確保する、また、今までおる職員につきましても、建設研修所あるいは地方建設局研修いたしまして、質の向上をはかる、こういう対策を講じまして、人事管理配置転換等もうまくやって、何とかこの仕事をこなしておる、こういう状況でございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 今定員に関して、事業土木関係直営請負関係比率を承ったわけですが、私が先ほど来質問を申し上げておる考え方は、まあ、工事をやる場合の人夫の場合は、これはそろばんに入れていないわけなんです。これを管理するところの管理者に該当する人とか、それに準じて事務をやられる人とか、こういう人たち定員が少ないのではないか。従って、外部請負師事業を請け負わした場合には、相当管理をしなければ手を抜いた仕事がなされておるということは、これは水害対策特別委員会のときにも、またその他のときにも、直接私の方からも実態を申し上げたわけでございます。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕 そういうような実態でありますから、私の申し上げておるのは、やはり管理をする人たち、それに準じて事務をやっておる職員の方々がまだ手不足である、こういうことを申し上げておるのであって、一応ここへ出されておる数字というものは、何か下部からの要請にこたえたとか、それとも、いろいろの今の科学的な事務管理方式によるところから人数をはじき出されたのか、何かに基づいて出されたと思うのですが、それがどういうような基準に基づいての定員増の員数であるかということを伺っておるわけなんです。予算の面でしぼられたのか、そういう点もあわせて伺っているわけです。
  10. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 この定員配分基準でございますが、いろいろな要素がありまして、定員増加を要求いたしますときには、一つ基準下部の方で積み上げまして、要求いたします。たとえて申しますると、直営事業の場合は大体一人当たりどの程度事業量をこなせるかというようなこと、これが請負の場合ですと、四倍から五倍くらい、事業の種類によって違いますが、こなせるというようなことからいたしまして、その基準地方建設局の方から積み上げて要求いたします。しかしながら、御指摘のございましたように、なかなか定員増加ということは、予算編成の際にも難航いたしまして、十分には認められないということが通例でございます。今回の定員増加は、先ほど申し上げましたように、実質的には定員化の数が大部分で、この二百一名を既存定員から減らしておりますけれども、実は、これは伊勢湾高潮対策事業の終息に伴ったり、あるいは水資源公団の方にダムの建設工事を移管するのに伴って、実はもっと減らすべきものをとどめて、実質的には地方建設局道路関係要員としまして八十五名ほどふやしておる、こういうような状況に結論が出たわけでございます。そこで、科学的な基準できちっと割り出すというわけには参らぬ点もございまして、先ほど申し上げましたような工事施工方法とか、あるいは人の配置、あるいは研修による質の向上とか、いろいろな要素がからんで参りますから、私どもとしましては、今回予算上認められました定員の中で、直轄事業を何とか円滑に施工できるように、先ほど申し上げましたような諸般の手を打って参りたい。そうすることによりまして、新年度直轄事業もまず予定通り円滑に施工できるというふうに考えている次第でございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 なお、人員の面から伺いたいのですが、従来は直営事業外部請負師仕事をやってもらう割合は五〇、五〇というような比率になっておるのが、今日では外部に請け負わせるのは八七%という比率になっておるというお答えなんですが、このことは、ここ二、三年水害がありまして、非常に急を要する仕事があったために、直轄事業では手が回らないということで、これは外部請負師仕事をお回しになったのだろうと思うのですが、これが正常の場合には、やはりこういうような比率で将来ともなされるのか、これは過渡的なものであるか、この点もお伺いをしておきたいと思うのです。
  12. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 先ほど申し上げました直営請負比率の問題は、これは過渡的なものとは考えておりませんので、昭和三十年ころから年々請負の方の比率がふえて参りまして、建設省直轄事業が伸びて参ります限りにおきましては、今の請負比率が八七%ないし九〇%近くには相なると思います。また、御案内のように、建設業界も、かなり質も向上して参ってきておりますから、業者の選定を適正に行ないまして発注いたしますれば、請負工事で十分りっぱなものができておる、こういう状況でございます。ただ、先ほどお話しのように、監督者が不十分ではないかという御指摘がございましたが、この点は必ずしも十分でないという感じがいたしますので、今後一つ監督者の養成、確保につきましては力を入れて参りたいというふうに考えております。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 建設省関係地方事務所とか出張所仕事を見ますると、これは職員機動運営ということが非常に重要に考えられるわけなんです。従って、今日の実態を見ますると、ジープの数にいたしましても、乗用車の数にいたしましても、こういう点にあまり力を注いでおられないような感じがするわけなんですが、この点についてはどういうような把握をされて、そうして計画を立てられておるか、把握と、それから今後の計画についてお伺いいたしたいと思うのです。
  14. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 これは直轄事業ばかりでございませんけれども都道府県補助事業やり方についても同様でございますが、請負工事でやる場合も直営でやる場合も同様に考えておりまするが、人の力を合理的に使うという意味は、私どもとしましては、頭数の問題よりも、人の技術、技能の問題であるというふうに考えております。それはまた、あわせて機械をうまく使っていく、機械化施工ということをあわせて考えていかなければならぬというふうに考えておりまして、最近直轄事業におきましても、年々相当新規機械を購入いたして、機械化施工工事をふやしております。また、地方都道府県の方につきましても、建設省所管工事につきましては、機械をある程度貸与するという道も開いておりまして、やはり単なる人力でやっていくというやり方は、能率の上から申しましても不十分である。あるいは工事の質から申しましても十分でないというふうに考えておりますので、そういう考え方予算措置も講じておる次第でございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまのお考え方は、その通りであり、ごもっともなお考え方だと思いまするが、それが実態に反映されておらない。事実、今のお答えのお考え方がそのまま反映されておらないうらみがある。それで、わかりやすい例を申し上げますれば、ある地方監督調査に行かなければならない予定を立てられておられる方が、まずあの車が帰ってきたら出かけようと思ったときに、その車は十時に帰ってくるのだ。それで待っておるうちに、十一時になっても十二時になっても帰ってこない。一時になっても帰ってこない。夕方になって帰ってきて、極端な話を申し上げますが、結局、その日は車待ちで一日終わってしまったというようなことがあり得るわけなんです。従って、ただいまのお答えからいきましても、ここで必要な車の数を地方事務所なり出張所では備えておかれる必要があると思うので、こういう点について、今年度どの程度御心配をいただいておるかどうか、数字的に御用意なさっておられるかどうかわかりませんけれども、わかりましたらお示しをいただきたいと思います
  16. 草野一郎平

  17. 石山權作

    石山委員 建設大臣がかつて大臣におなりになる前に、主要な工業港を作る、おもに構想の中に東京湾埋め立てをだいぶ熱心に進めていくという構想を持って、工業臨海法をお出しになっていましたが、あの構想は、おそらく形が変わっても進められているだろうと思うのですが、今でもやっぱり東京湾主体にしたものの考え方臨海工業地帯発展建設大臣はお考えになっているか、その点一つお聞きしておきたいと思います。
  18. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、東京湾を初め重要な地帯について、近時埋め立てをして開発し、工業的な発展をはかろうという機運が、御承知の通り非常に強いわけでございますが、かつて私、党の役員をしておりましたころ、自民党の議員立法臨時地域開発に関する法律案提案して、提案者としていろいろ御説明申し上げたことがありますが、この考え方は、臨海地域開発もけっこうでありますが、無秩序にやられては困る。たとえば東京湾について申しますと、東京過大都市になって、過大都市防止のために首都圏整備にいたしましても努力しておる際に、東京に接続したところにむやみに埋め立てをされて、さらに工場を誘致し、人口を誘致されては困る。だから、やるならば、やるのはけっこうだが、大いに大局に立って計画的にやってもらいたい。考え方としましては、やるならば、東京に接続した区域埋め立てをするとすれば、東京整備港湾整備の形で、あるいは倉庫を作る用地とか、港湾荷役用地とかいうような、東京整備のための埋め立てばけっこうだ、しかし、こうした開発をするのは、やはり東京と切り離しまして、千葉の方であるとか、川崎の方であるとか、ほかの区域を総合的にやるようにしてもらいたい、そうするのには何か立法が必要じゃないだろうかというのが、あの当時の考え方でございました。あいにくあの法律案も流産をいたしましてそのままになっておりますが、今日といえども、私ども考え方としましては、同じような考え方を持っておりまして、できるだけ、過大都市化して人口の過度に集中しておるところへ接続したところの開発は、港湾整備くらいのところにとどめて、やるならば他の地域独立都市を作る、独立工業都市を作るという姿でやってもらいたいという希望は、今日も変わらずに持っておるわけでございます。
  19. 石山權作

    石山委員 よく太平洋ベルト・ラインというような言葉をわれわれのような東北地方の連中はうらやんで使うわけです。私どもたとえば東京湾繁栄発展というものを喜んでいるものの一人です。ただ、黙っていても非常に立地条件がよろしい、そこへ政府がまた好んで財政投融資をして、高速道路お作りになる、港湾お作りになるというのでは、東北北海道あるいは甲信越側から見れば、池田内閣の言っている、経済の地域格差をなくするということから見れば、非常に違った方向になるのではないか。私どもとしては、民間の投資の動きはなかなか規制できないと思うのです。しかし、せめて政府が自由になる財政投融資は、やはり地域格差をなくするという大眼目に立ったお金の使い方をぜひとももくろんでいただきたい。港湾の問題は直接関係にはなっておりませんけれども、つながるところの道路等の問題、これはやはり建設には非常に深いのです。  特に、私、この際、理解ある大臣に御研究願いたい点が一つあります。それは、今度東北本線複線化と同時に電化が行なわれます。これはけっこうなことでございます。しかし、奥羽本線側では、これは単線そのまま、ほとんど投げやられているという格好になるようでございます。そうしますと、奥羽本線側にはこれに対応するような交通運輸機関がなければ、これも格差ができるだろう。鉄道がたとえば北海道東京大阪を結ぶ、こういう雄大な構想電化し、複線化をするのは、これはけっこうだ。では片手落ちになりそうだから、建設の方では奥羽本線側道路をば早急に整備してやってあげよう。特にこれはおもしろいもので、今の県の格好を見ますと、福島県から山形県に入るのには大きな峠がある。山形県から秋田へ入るのには大きな峠があって、それぞれそこへ行きますと、国道が非常に細くなってしまっているのですね。そうして、冬季になりますと交通不可能というふうなことがございます。去年大へん木材が値上がりいたしました。秋田県などは御承知のように木材がたくさん取れるから、木材はうんともうかったんだろうという一般の定評でございます。しかし、残念ながら、去年度の秋分からかけまして二十万トンの滞貨でございます。ですから、せっかく深川の木場で木材が非常に値上がりしたのだといっても、輸送ができません。運輸ができない。そこへまた、鉄道東北本線主体にしてやっていくとすれば、幾ら資源がある、水が豊富だ、工場おいでなさい、豊富低廉な電力があるからといっても、交通機関によって、優秀な工場誘致はおそらく不可能だろうと思う。そういう点で、一つ建設省としては、奥羽本線側、いわゆる青森から大阪へ通う道路網というものをもう一ぺん再検討していただいて——先ほど私が例をあげましたように、県境がそれぞれ峠になって交通運輸隘路になっているのでございます。ですから、ここはやはり重点的にやっていただくというふうな施策をこの際立てていただかないと、片一方だけはレールが二ちょう敷かれ、どんどん電化をされて、こっちはそのままだというのでは、せっかくの資源も安い労賃も生きてこないというふうなことでございまして、もし幸いにして建設省でそれに十分対応する案をば練っているのだ、こういうふうなことでございましたならば、この際、御意見を聞かしていただきたいし、私の申し上げている点がまことに理由があるのだというふうにお考えならば、一つその点に関しましても御意見を承っておきたいと思います。
  20. 中村梅吉

    中村国務大臣 石山さんの御指摘、まことにごもっともと存じておるのでございます。そこで、私どもの基本的な考え方としましては、現在のように、東京及び大阪あるいはベルト地帯といわれるような地域産業及び人口が急速に集中をいたしまして、このさばきにも困難をいたしておる状態でございますから、できるだけ産業立地条件に応じて、全国的に均等のある開発及び発展がされるように力を注いでいくのが政府の任務である、かように必得ております。ことに大都市における過度の人口集中を排除いたしまするのには、いろいろな手段もたくさん必要でございますが、基本的な一つの問題としましては、現在のように、東京とか大阪というようなところが、全国民から見て魅力ある都市になっておる、他に東北とか北陸とか九州というようなところに魅力の都市がないということが、直通で魅力ある地域人口が流れ込んでくる根本でもございますから、できるだけそういう地方に魅力ある都市を育成していく、そういうことによって地方の都会生活をしたいとか、あるいは工業生産に参加したいという希望のある人たちが、そういう地方に魅力ある産業都市ができることによって、過度集中で困っておる東京大阪のようなところへ直通でこないで、まずそとに吸いつけられるという姿になることが、過度集中を排除する基本的な一つ考え方ではないか、こう思っております。かような角度から、今度の新産業都市建設促進法を御審議願っておるのも、そういうことも構想の中にあると思うのであります。従いまして、われわれとしましては、通産省で産業立地条件を基本的に調査されております。これともよくにらみ合っていかなければなりませんし、また、経済企画庁も中心に全国の総合開発及び地域開発についての施策が進められておりますから、これらともにらみ合いまして、できるだけ御指摘のような線に沿うように、われわれとしては、道路整備についても考えていかなければならない。さしあたり、今目標地がしっかり固まらない今日においては、東北、北陸等を初め僻陬の地域の一級国道は、一級国道と申しましてもまことに貧弱なものでございますから、これらを近年中に整備いたしまして、改修はもちろん、舗装を全線にわたってする、こういう建前をもちまして目下進めておりますようなわけで、従いまして、一級国道の整備事業費のごときは、たとえば三十七年度考えてみましても、すでに開発された区域よりも、開発のおくれている地域の方へ非常に重点的に投入をする、事業分量も多くなる、こういう形で実はやっておるようなわけであります。御指摘考え方については、私ども同感でございますから、一挙には参りませんが、そういう方向に向かって進めて参りたい、こう思っております。
  21. 石山權作

    石山委員 それからもう一つ、ものの考え方として御研究願いたい点は、確かに、今の東京のそばに工場を作れば、消費都市が直結しているために、非常にいい、これはだれしもわかることですが、しかし、その後にくるもの、たとえば下水の問題、水道の問題、伝染病等のあらゆるものが、人口集中すればするほど、いろいろな問題が複雑怪奇になってくるだろうと思います。ですから、それらは政府が負担するわけでしょう、工場のコストの問題は個人あるいは事業会社だけれども。われわれが今いいとか悪いとかいうのは、企業会社はちっぽけなそれ自体だけのめどで、大東京のそばがよろしいとか、大阪のそばがよろしいということになるだろうと思います。しかし、国家全般のお金を使ってみる場合には、必ずしも大東京のそばに工場を営むことが日本の国の経済のためにプラスになるというふうには発展しないのではないか。特に今のようにマンモス東京、マンモス大阪というふうな格好になる場合は、それよりもっと地下資源あるいはその他の電力、水、適当なる住宅地を背後に持つ、こういうふうなところに中都市建設をする方が、より有効なものではないだろうか。今通産省のお出しになっている例の新産業都市建設促進法に対しては、わが党はかなりの疑問を持って見ているわけですけれども、そういうこと等もあわせて、建設省あるいは通産省等協力して御検討していただけば、国家の財政投資は、そういう形で地方へ投資されるのではないか、こういうふうに私は思っております。  それから、県境の国道の問題につきまして大臣にお願いをしたわけですが、その他の道路網についても、もう一ぺんお願いをしておきたい点がございます。それは国鉄の支線でございます。この国鉄の支線は、今は民有貨車を作るとかいう意見が出ているほど、貨車が不足しているわけです。この支線にはなかなか貨車が回らない。なぜ回らないかというと、戻り荷がないということです。しかし、国鉄さんは独占企業なんだから、一ばいにならなければ貨車を貸さないとか、それは値段が安いから貸さないとかいうことになってしまうらしい。ですから、自動車網を整備していただけば、これは短距離で運転ができますから、必ずから荷で自動車を走らすということは少ないと思います。ですから、私、東北本線、奥羽本線を並べて道路網整備をお願いしているわけですが、いわゆる戻り荷のない支線、国鉄線における戻り荷のない支線を援助する意味においても——地方へ行くと、融雪期には、まるで道路とは言えないような県道あるいは二級国道がたくさんあるわけなんです。これもやはり建設省に一がんばりしていただきまして、融雪期になっても三トン、五トンの自動車くらいは走れるような工夫をしていただかなければ、これまた国鉄だけに依存している地方では、何年たったって経済の発展というものはあり得ないのではないか。これは、今申しました交通、輸送がよくなれば、資源があるのでございますから、電力もあるのでございますから、労力も十分あるのでございますから、住宅地もあるのでございますから、発展の可能性がある。ただ、今一番われ一われの目の前に見えるのは、交通、輸送の隘路が、山間の中都市となり得る都市をば町あるいは小さな市にそのまま置いてきぼりにしてしまっているということ、こういう点は、私は東北ばかり言うようで非常におそれ入りますけれども、目を開きまして日本全国を見た場合に、恵まれた背景を持ちながら、交通機関の不備のために埋もれている。これは、雪の深いところは特にそういう点があるのでございますから、十分一つ考えを願っておきまして、そういう点に早急手を打っていただきたいと思います。
  22. 中村梅吉

    中村国務大臣 努めて御趣旨を体して努力して参りたいと思います。
  23. 石山權作

    石山委員 この問題は、大ざっぱに申し上げますと、労働組合対策に対する建設省やり方、これは私何もこまかいことを大臣に言うのではなくして、私たちよそから見れば、建設省の労働運動対策、労働組合対策と申しますか、まことに拙劣なように思われてなりません。どうも下手なように思われてなりません。きっと労働運動をあまり御勉強なさっていないのではないかというような気がいたします。もし御勉強なさっているとすれば、どうも能力不足だというふうに言ってもよろしいのではないか。いずれにいたしましても、非常に紛争を招いております。この紛争を招いているということは、これはやはり一方的に労働組合だけが悪いのだというふうにはならないのではないか。もう少し時代を認識していただきまして——仕事に対しては、もちろん建設省のお役人の幹部の方々は御熱心でございましょう。しかし、仕事のみではいかぬと思うのです。人心の収攬はあらゆる機構に優先するというのが、われわれが今まで見てきた政治の要諦のようでございます。組織と人心収攬、これが上部機関に立っている者の責任のように思います。そういう点から見ますると、私の身辺あたりでも、いろいろいざこざが起きまして、馘首されたような者もおりますけれども、どうも馘首をしなくても済むようなものを馘首にしてしまった形跡があるようにも思われてなりません。しかし、過去のことは、これは大臣に一々こまかい例証をあげて質問してはいけないと思いまするので、そういうことを申し上げるのではなくして、今までやられた労働運動の対策を見てみますると、下世話で言えば下手だ。もっと上手にやってもらわなければ困るのではないか。この点も一つ十分研究していただきまして、世間をあまり騒がすようなことをおやりにならないように、それぞれの幹部の方々に大臣からよろしくお説教というわけにはいかぬでしょうけれども、もう少し労務対策に対しては慎重にやらなければいかぬのではないか。よその役所よりも、建設省の方は少し時代おくれだ。時代おくれだという言葉がいやであるならば、部下を律するにあまりにも厳格過ぎる、過酷であるというふうに言ってもよろしいのではないかと私たちは思っておるものですから、そういうふうに見ているものですから、その点も一つ大臣からよろしく配慮していただきまして、十分に国民の気持にこたえていただくという意味で、私が申し上げた、雪の深い東北地方から信越地方をずっと見て、愛情のある建設事業を、道路政策なりその他をやっていただきたいというように御要望申し上げておきます。
  24. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、確かにふなれな点もまだあるかと思いまして、いろいろ勉強いたしておる最中でございますが、東北地方が、一番人心が純朴な地方であるにかかわらず、建設関係の労働問題といいますか、建設省にとっては一番苦手なむずかしい地域になっております。その根本を私考えてみておるのでありますが、直轄工事等を行ないまする場合に、地域地域でありますから、できるだけ地場労力をお願いして、土地の人に御協力を願っておる。ところが、工事場が、たとえば工事が連続するような地域と違いまして、一つの隧道工事なり一つの河川なり、そこで大きな工事が終わりますと、他のところへ移らなければならない。ところが、やはり地場労力を御協力願っておるものですから、その土地に住みついたものとしては、場所が変わっていくということは非常に困るわけです。そういうことに関連しまして、何か事があると、少し過激と申しますか、そういう方面の人たちがあおりますと、人心が純真なだけに、監督者管理者の方も非常にやりにくいという点があるようで、全国的に見まして、御承知の通り、実は東北が一番いろんなもんちゃくを起こしまして、私どももこれを何とかなめらかに建設事業の進むようにこちらも勉強しなければなりませんが、また、全建労の方々にもお考えを願わなければならないと思って、せっかくいろいろな工夫なり知恵なりをしぼっておる最中であります。今後も一つお気づきの点を御注意いただきまして、われわれとしましては最善を期して参りたい、こう思っております。
  25. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 先ほど田口先生からお尋ねの点で、工事事務所等におけるジープ、トラック等の乗用車の確保が不十分ではないかという点でございますが、これは、直轄工事につきましては、地方建設局工事事務費で、それぞれ乗用車——乗用車と申しましても、ジープ等がおもでありまするが、それを購入できるようになっておりまして、必要なものは全部行き渡っておる。特に台数は、ちょっとはっきりいたしませんが、行き渡っておると思っております。そのほかにトラック等につきましては、また別の費目で、機械器具費等でも購入できる、こういうことになっておりますので、まあ、たまたまでありますかどうか、非常に忙しい際に、御指摘のような例があったかと思いますので、これらの運用につきましては、さらに今後気をつけて参りたいと思っております。県の補助工事につきましても、ジープや乗用車は、やはり事業費の中の事務費で購入する、トラック等は、直営工事を県があまりやっておりませんが、やる場合、やむを得ない場合に、機械器具費で購入さしております。  以上のような状況でございます。
  26. 田口誠治

    田口(誠)委員 先ほど例を申し上げたのは、わかりやすく極端な例を申し上げたのですが、そのままそっくりの、ものではありません。ただ、今の直轄事業に必要なところの自動車、ジープの場合は、現地で必要に応じて購入するようになっておるというお話ですけれども、全体的な予算がしぼられておるので、やはりこれは遠慮して買わないのか、それとも、上の方からの圧力があるのか、その辺のところはわかりませんけれども、必要なものは現地で買えるんだということになっておっても、実際的にはそういう態勢は整えられておらないというのが実態であるわけです。従って、これは非常に必要なことでありますから、もし省の方から圧力的なものがいっておるのであれば、そういう点は十分に留意していただかなくてはなりませんし、現地の要望にこたえて予算化してもらうように、この点はお願いしておきたいと思うのです。  それで、大臣はお帰りになりましたけれども、ただいま石山委員の方から、労働組合対策について、いろいろ御質問やら御意見を申し上げたわけなんですが、労務管理を完全にやって、そして能率を向上させようといたしますれば、現段階においては、労働組合対策も並行してやらなければ、これは成功するものではないわけなんです。特に私は組合出身でございますから、そういう点については、官公労の組合の一つ一つの性格、一つ一つの内容について把握しておりますが、全建設の場合は、少し管理者の方が反動的な労務管理をやられておるというように私は受け取るのです。その反響が労働組合の性格になって現われておるのです。大体その労働組合の性格を見ますと、経営者あるいは管理者がどういう労務対策をやっておるのか、労働組合対策をやっておるのかということは、私らのようなくろうとは一見してわかるわけなんです。従って、特に東北の極端な例があるので、石山先生から御発言になりましたけれども、私は、全体的に労務対策の一環としての労働組合の対策は、もう少し時代に即応した感覚を持っておやりにならないと、管理者側の考えておられることと、ますます離れていくことに相なると思うのです。労働組合の構成員の政治信条は自由でありますけれども、政治信条をそれぞれお持ちになっておる、そのいろいろな量を分析してみますと、管理者がどうなんだということははっきり出てくるのです。反動的な行政をやられる場合には、反動的なことが出てくるし、個人々々の思想も従ってそういうことに相なるわけなんです。こういう点は、管理者の方では、今後能率を上げるべく正しい労務管理をやられる場合には、やはり十分に留意していただく必要があると思いますので、この点を私からもつけ加えて申し上げておきたいと思います。  横道になりましたが、それから今の定員関係ですね。この定員は、予算要求との関係はどの程度確保できたのですか。
  27. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 定員予算要求というのは、事務的には相当の要求をいたしましたが、これは例年のことでございますけれども定員増加という問題は、予算編成の折衝の大詰めにきまして、大体建設省所管事業予算がどのくらいになるかという段階で折衝いたします。しかも、大詰めの最終段階で話を煮詰めて参りますので、時間的にも十分話し合う余裕がないというような事情がございますが、私どもとしましては、十分理想的に定員充実するということならこのくらい要るだろうということを八月末の当初要求で出すわけであります。だんだん事業予算の見通しがついてきますと、私どもも現実的に処理しなければなりませんから、ほんとうのぎりぎりのところで交渉する、こういうふうなやり方で例年やってきております。そこで、理想的な数字を申し上げてももうあまり御参考にならぬと思いますけれども、結局、先ほど申し上げましたように、実際の仕事の量とやり方というものをかみ合わせまして、何とかやっていけるという最後の線で十二月の末に交渉いたしました結果が、先ほどのような数字に落ちついたわけでございますから、要求の数字はどうも御参考にならないかと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
  28. 田口誠治

    田口(誠)委員 その程度お答えよりできなければそれでよろしいのですが、ただ、予算要求をやりました場合に、先ほども申しましたように、建設省の場合は事業をおやりになる省でありまするから、これは労働省とか厚生省というようなところよりは、やはり予算的に戦いやすいわけです。従って、最終的な結論を比較をいたしまして、有利に予算というものは獲得できるわけであります。ところが、総予算の面からいって、何十%確保できるということになりますと、結局しわ寄せはどこへくるかといえば、定員をふやすというようなところに対してしわ寄せがきやすいわけなんです。削ろうとする方も、削られる場合に窮地に立たされた建設省においても、やはり定員増というような面についての削られ方は万やむを得ぬという工合にずうっと同意していかれるというのが、これが経過的な人情としてやられておると思うのです。だから、人員不足というものは、建設省には地方には相当多いということなんです。この人員不足ということは、すなわち、個人の公務員の諸君に労働強化というものが強く強要されるということなんです。労働基準法に示されておるような程度仕事をしてもらうというようなことは、なかなか実施ができないというのが現段階であるわけなんです。こういうような他と比較して労働強化がなされる。それで、ちゃんと仕事ができぬで文句を言えば、左遷をさせられたり首を切られたりするということになりますと、自分の首はかわいい、食べることはかわいいから、やはりものを言わない。このものを言わない者が内攻して何になるかといえば、これはやはり政治信条の自由に基づいていろいろな立場に立たされる人、また、そういう方面へ走られる人たちも多くなっていくということなんで、私は、どこへ走られようが自由だから、別にこれにはとやかく言いませんけれども、これは管理者の方のお考えになっておるというのと逆行されるものが出てくるのじゃないか、こういうように考えますので、特に私は、この定員の問題について、ただいままで強く御質問を申し上げ、内容的にも解明していただきたいと思ったわけでございますけれども、部分的には、抽象的な御回答でありますけれども、それを了解しておきますが、私の言わんとするところは、おそらく今までの質疑応答の中で、つぼはどこにあるのかということは十分把握していただいたろうと思いますので、あえて私は言葉の表現では申し上げたくないと思いますので、申し上げませんが、その点を十分に御留意いただきたいと思います。  次に、宅地制度審議会を設置する、これは二年間の期限を切られておりますが、宅地の関係につきましては、二つ、三つ法律化されたものもあるわけでございますし、今までの運営の面について何か大きな支障があったのか、それとも、今後一つ計画に基づいて、この審議会において十分に具体的な審議をしていただくというお気持であるのか、この点についての解明をお願いしたいと思います。
  29. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 今回提案されております宅地制度審議会の設置につきましては、提案理由にもございますように、宅地問題の解決の根本対策を立てますためには、やはり制度的な問題を解決して参らなければならない。そこで、宅地に関する制度につきましては、従来とも建設省におきましてはいろいろ検討をいたしてきておりますし、また、その一環と申しますか、一部の問題は、法律上の制度としても制定されているものがございます。御承知のように、たとえば公共用地の取得に関しましては、御審議をいただきまして、すでに昨年立法化されておりますし、そのほか、住宅用地の問題といたしましては、住宅金融公庫法あるいは日本住宅公団法等の法律上の制度をもちまして、これは主として住宅用地を低廉に大量に供給するということをねらいといたしまして、現在事業をやっておるわけでございます。あるいはそのほかに、市街地の公共施設を整備することに関連しまして、市街地の改造をはかろうということ、これも法律が成立しております。現在運用の段階に入っております。そのほかに、防災建築街区の造成等も、ある意味では宅地の立体的な高度利用ということから、宅地に関する一つの制度だと考えております。これも運用されておりますけれども、さらに民間の宅地を含めて、住宅用地のみならず、工業用地、商業用地、全体の宅地の基本的な制度の問題が未解決のままに残っております。たとえて申しますと、国会におきましてもしばしば御論議されております地価の高騰対策をどうするか、あるいは宅地全体の取得につきまして、取引の方法等をどういうふうに考えていくかというような問題、そのほか、遊んでいると申しますか、利用されてない宅地をどういうふうに利用するか、そのために必要な制度が考えられないかというようなこと、あるいはこの宅地そのものを新しく開発していく制度として、もう少ししっかりした制度が考えられないかというような問題がございますが、これらにつきましては、建設省あるいは関係各省の役所の部内だけで研究いたしましても、適切な案が得られないのではなかろうかというふうに考えまして、広く民間の学識経験者の方々のお知恵を拝借し、それによりまして適切な案を立案して参りたい、こういう考え方で、今回宅地制度審議会を御提案申し上げているような次第でございます。
  30. 田口誠治

    田口(誠)委員 この審議会の性格につきましては、あまり権威のないもののようになっておるのです。建議をする一つの権限もないわけなんですが、これは単なる専門的な研究を依頼をして、それを大臣一つの参考にお聞きになる勉強機関というようなものなんです。それとこれとは若干違いますけれども、私どもは秘書を使っていろいろなことを調べさしたりして、僕らの勉強の補佐をさしておるわけなんですが、これはそれと同じようなものなんです、建議をする権限もありませんので。それで、こういうようなものが、実際において、ただいま解明のありましたような幾つかの問題を解決するに役立つであろうかどうかということ、それが一つなんです。それから、これはおそらく役立たせようとするなれば、相当回数審議会を開いて、そしてその結論を出してもらわなくてはならないと思うのですが、審議会とか審査委員会とかいうものは、おそらく現在二百件の余あると思いますが、ところが、その中には、有名無実で、全く何にもやらないという審議会なり調査委員会なりがあるわけなんです。こういうことから、私は、必要があれば、こういうような制度をお設けになっていろいろと結論を出してもらわれることも、それは時によってはけっこうだと思いまするけれども、何でも持ちかければ、審議会を作って審議をさせる。それから、私どもがいろいろ問題を追及いたしますると、まだ審議会の方で検討をしてもらっておるから、その結論を見て考慮したいと思う、こういう答弁のがれに、この審議会というものをずいぶん各省とも使われておるわけなんです。こういうととから、実際に作るのなら、実のある仕事のできる、また、それが実際に応用のできるものでなければならないと思うので、なお突っ込んで、そういう点についての構想を御解明願いたいと思います。
  31. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいま御指摘のように、ほかの審議会のことはよく存じませんけれども、中には、お話しのような責任のがれと申しますか、役所のものが責任回避するようなために使われているようなものもあるかもしれませんが、今回のこの宅地制度審議会に関しましては、ほんとうに実のあるものに運営して参りたいというふうに考えております。そこで、建議等もできないのではないかというお尋ねがございましたが、これは法律案にもございますように、「建設大臣意見を述べること。」という表現でございますが、当然この中に建議等も含まれておるというふうに考えております。  それから、もちろん、諮問に応じて宅地制度に関する重要事項を調査審議することが、本来のこの審議会の任務でございますが、今回の審議会は、これが御審議の結果認められますると、これはさっそく発足させまして、問題がいろいろございますが、先ほど申しましたような問題のうち、早く解決策を見出さなければならぬ事柄を手をつけて参りたい。問題によりましては、逐次解決策の出るものから解決策を出していただくように、一つ審議会の運営上万全の配慮をいたして参りたいと思っております。問題は、非常に根本的にむずかしい問題もございますし、建設省限りで施策を立案するわけに参らぬ事柄、たとえば税制に関するような問題もございます。土地に関する租税制度というような問題もございまするが、しかし、この審議会は、宅地制度全般にわたって問題をとらえて御審議をいただくというふうに考えております。そこで、委員の人選にあたりましては、最も慎重を要することであると考えておりますし、これはまだ今後法案が成立いたしました暁におきまして十分検討さしていただくことでございますが、おざなりな審議会ということにならないように大臣も常々注意されておりますので、事務当局といたしましても、この点に十分配慮して参りたい、かように考えております。
  32. 田口誠治

    田口(誠)委員 意見を述べるということになっておるから、建議も含んでおるというお話でございますけれども、やはり法が認めたところの建議する権限を付与するということと、単なる自分の研究した内容を建設大臣意見を述べるということとは、おのずからこれは違うと思うのです。それで、これはやはり軽く取り扱われておると思うのですが、ここ二、三日前ですか、交通運輸関係委員人たちと、それからそれに関係しておる労働組合の関係者、それに学者、建設省運輸省、それから警察庁、こういうところの方々に来ていただいて、軽い意味での交通緩和の対策に対する意見を楽に述べ合ったわけなんです。そのときに、警察庁の富永参事官が、今度は宅地制度の審議会も上程されておることだし、東京都内のいろいろな、今いわれておるところの隘路とされておるところは、やはりこういう審議会によって検討をして、そしてこれを大きく採用したいというような考え方のもとに、この法案が出されておるということを力説されたわけなのです。従って、それほど重要視されておるものとするなれば、私は、少なくとも建議することのできる権限の付与ぐらいは与えておかなければ、せっかくお出しになっても、これは単なる勉強の補佐機関というようなことになるのではないか、こういうように考えられるわけなんですが、そういう点についてはどうお考えになるか。ただいまの富永さんが期待をしておられる都市交通の緩和の問題は、やはり宅地の問題も関係がありますので、そういう意見を出されたと思いますけれども、こういう点についても、建設省としては大きく期待をされておられるのかどうか、この点も承っておきたいと思う。
  33. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 建議という言葉をはっきり書くかどうかという問題につきましては、これは最近の法制局の表現の例が、意見を述べるというふうにやわらかくいたしまして、この中に、実際に意見を出す場合の形式は建議という形で出してもいい、そういう事務局の議論があったようでございますから、意見を述べるということがむしろ幅が広いのではないかということで、私ども承知したわけでございます。建議というと、少しかみしもを着たような形で、かえって幅が狭くなるというような事務的な話し合いがございまして、こういう案になっておるようなわけですから、御了承いただきたいと思います。  それから、警察庁の富永参事官の意見を私も直接は聞いておりませんが、ただいま先生からお話しの点はまことにごもっともだと存じまして、都市交通の緩和対策に直接役に立つという対策が生まれるかどうか、私ども自信を持っておりませんけれども、ただ、この宅地制度の根本問題をいろいろ掘り下げて検討していきますると、既成市街地におきましては、どうしても宅地を高度にかつ適切に利用するという施策を考えていかなければなりませんので、従来も若干そういう制度がございますけれども、それがもう少し積極的にあるいは総合的に、そういう高度利用の方策を考えて参るということになりますると、いわゆる都市改造の役割と申しますか、都市改造ということに寄与することになると思いますので、その都市改造・都市開発ということになりますと、むしろ、交通問題は、その中で中心の課題になっていくということから考えまして、間接的には都市交通問題に寄与するような宅地制度の施策を、一つこの審議会の調査審議を通じて編み出していただくように考えておる次第でございます。
  34. 田口誠治

    田口(誠)委員 ここであなたに確認をしてもちょっと無理な点もあろうと思いますが、法制局の方で、やはり幅を広く、やわらかくするために、意見を述べることができ得るというような表現にしたのだ、これは建議をする権限も何ら変わりがないということでございまするが、これは今後できるところの審議会あるいは既往の審議会も、やはり共通に考えなくてはならないと私は思いますので、確認をいたしたいと思いまするが、建議をする場合の文章は、やはり建議をする権限を付与するというような、こういう表現が大体なされておると思うのです。そうすると、一つの権限があって、そういう建議があれば、いい悪いは別として、やはりそれを検討してみなくてはならないという一つの義務が、管理者の方ではあると思うのですけれども、ただ意見を述べるという言いっぱなしは、聞いてはみたが、それを審議にかけてみるみないというようなことは、その内容、そのときによってどちらでもできるのだ、こういうことになると思うのですが、これはやはり従来あった程度の建議をする権限を付与するという、この表現と表現は違いまするけれども、内容的には権限的に完全に同じであるというように確認をしてよろしいですか。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 これは今後のものも既往のものもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  35. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 ただいま御指摘の点は、法文上厳密に申し上げますと、若干の差異があるかと思いますが、ただ、私は、実質上建議もできる、とれも含まれるということで、これは意見を述べるということの表現の方が、幅が広いのではないかということで承知いたしております。たとえば従来の審議会におきましては、先生御指摘のように、確かに関係行政庁に建議し、その他何々に基づく権限を行なうことというような表現の規定になっておるものがございます。表現の形式上は多少の違いはございますが、先生のおっしゃるように、意見を述べる、述べたから聞きっぱなしだというふうには、実質的には私ども考えておりません。しかも、これは建設大臣意見を述べるという権能規定になっておりますから、建設大臣以下建設省といたしましては、審議会から意見が述べられますれば、かりに建議とかなんとかという形でなくとも、意見が出てきますれば、これを十分検討する、また、できるだけ尊重するという気持でおることは、これは私からお答えするのはどうかと思いまするが、間違いないと思います。そういう意味で御了承をいただきたいと思います。
  36. 田口誠治

    田口(誠)委員 事務的なことになりまするけれども意見を述べた、聞いた、大臣は一カ月あとにかわった。そうしますると、意見を述べたことは、結局あなた方の方の事務的な進め方としてどういうようになりますか。大臣意見を述べるということなんだから……。
  37. 木村守江

    ○木村(守)政府委員 ただいま宅地制度審議会のいろいろの権限の問題についていろいろな御意見がありましたが、官房長から話されましたように、この審議会におきましては、宅地制度に関する重要な調査、審議をしまして、その審議したものを建設大臣に答申するような形に相なっておるのであります。従って、建設省といたしましては、建設大臣がかわりましても、その宅地制度審議会の審議の答申というものを尊重いたしまして、そして、これを基としていろいろ検討いたしまして、そのいいところをとって参るところに、宅地制度の将来の解決のために大きく役立つものだと考えておる次第であります。従って、大臣がかわったからあとどうなったかわからないというようなことではないと考えております。
  38. 田口誠治

    田口(誠)委員 言葉じりで申し上げるわけではございませんけれども、こういうようになると考えておるということでなしに、この法案を出した考え方は、そういう場合にはこうするのだという、こういう点をやはりはっきり言うておいていただかなくてはちょっと困るわけなんです。
  39. 木村守江

    ○木村(守)政府委員 私の答弁が、考えておるというような、ちょっとあいまいなように聞き取られたかもしれませんが、この法文に示す通り、宅地制度審議会における答申に基づきまして、これを真剣に検討して、そしてそのいいところをとっていくというのが、この宅地制度審議会を設置する理由であると申し上げて差しつかえないと思います。
  40. 田口誠治

    田口(誠)委員 二年間に期限を切られたという理由は、どういう理由がありますか。
  41. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 宅地制度の問題は、先ほどから申し上げておるように、いろいろむずかしい根本問題もございますけれども、さればと申しまして、これをあまり長期にわたってただ調査審議するということでは、現実的な施策を編み出すという趣旨から申しまして、適当ではないのじゃないか。そこで、しからば三年がいいか、一年がいいか、二年がいいかと、いろいろ議論もございましたけれども、大体三十七年度年度ではちょっと無理ではないか。そこで、三十八年度一ぱいまで審議会を置いていただきまして、問題によりましては、この三十七年度に具体的な調査審議の結果を出していただいて、できれば三十八年度予算なりあるいは通常国会にも、ある程度それを反映させるようにいたしたい。ただ、非常にむずかしい権利関係の問題もございますから、これらはやはり三十八年度中くらいに結論を出していただくということになるであろうということから、二年というふうな時限をこの案にきめておるような次第でございます。
  42. 田口誠治

    田口(誠)委員 関連がありますので、参考にお聞きしたいと思いまするが、昨年できました公共用地の審議会、これの経過をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  43. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 昨年できました公共用地審議会、これは御承知のように、公共用地の取得に関する特別措置法に基づく特定公共事業の認定に関する事項を審議することのほか、臨時的に公共用地の取得に関する補償基準の問題を調査審議させております。これは本年度中にこの任務を終わるということになっておりますので、現在鋭意答申を急いでいただいておりますが、今月の下旬には結論を出していただいて、大臣に答申を願うという段取りになっております。
  44. 田口誠治

    田口(誠)委員 内容的な面から、その点の運用としては私はそれでいいと思いますが、ちょっと性格の変わっておりまする建設業審議会というのは、これはどの程度開かれて、どういうような権威があるかということが、お手元でわかれば、一つお聞かせ願って参考にいたしたいと思います。
  45. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 中央建設業審議会は、やはり建設大臣の諮問に応じまして、建設業に関する重要事項を調査審議するということ、また、関係行政庁に建議するということが、建設業法に規定がございまして、そういう規定に基づく権限を行なうことになっておりまするが、この審議会は、この二、三年は非常に活発に開かれまして、特に建設業法の改正の問題、これを一昨年は、たしか総会を三回か四回開きまして、その総会の下に法制部会というものを置かれておりましたが、この部会も、多いときには月に二、三回、年に数回以上、一昨年から昨年にかけて開かれまして、昨年の通常国会には、御承知のように、建設業法の相当大幅な改正を立案いたしましたが、その骨子は、この審議会で調査審議して答申されたものでございます。それは昨年の通常国会で成立いたしております。そのほかに、建設業法の運用上一番問題なのは、たとえば建設業界の受注区分の調整と申しますか、そういう問題、それから資格審査、業者の施工能力を格付する審査の方法の調査検討、こういうことをその後も引き続いてやっておりまして、その審議会は、各審議会のうちでも非常に活発に働いているというふうに考えております。
  46. 田口誠治

    田口(誠)委員 お聞きしますと、二つの審議会とも有効に利用されているようでございますが、結論的には、これはどちらかへきまると思いますけれども、こういう審議会というものは、現在二百余もありまして、全く有名無実のものもありますし、全然利用度のないものもあるわけで、有名無実に終わっては非常に困るわけです。こういうものを有効に利用されることになりますれば、これはまたいろいろと考え方も変わってくると思いますので、そういう点から今まで御質問申し上げたわけです。  最後に、一つだけお伺いいたしたいと思いますが、今度改正をされるところの、地方建設局用地部を四つ設置するということになっているのですが、これだけでは漏れているところがあるように思うが、建設省から見られてどうですか。
  47. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 地方建設局用地部設置につきましては、先生御承知のように、本年度は関東地方建設局と近畿地方建設局の二カ所に設けられております。そこで、今回提案されておりますように、来年度東北地方建設局と九州地方建設局の二カ所に設けられる予定に相なっております。率直に申し上げますと、まだ足りないのではないか、もう一カ所くらは私どもとしてはぜひ用地部を設けたいと考えております。ただ、東北と九州は、近畿等に比べますと、本年度、来年度事業の量から見まして、むしろ近畿以上に用地事務の量も多いし、いろいろ問題も多いということから、この二地区は当然設けられてしかるべきものというふうに考えております。あとは、もう一カ所くらいと思っておりますが……。
  48. 田口誠治

    田口(誠)委員 あとの一カ所はどこですか。
  49. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 中部地方建設局でございますけれども、これは東北、九州に比べますと、実は仕事の量が若干少ないものですから、今回は設けられませんが、今後の問題としては、十分努力して参りたいと思っております。
  50. 田口誠治

    田口(誠)委員 今の一つは、私は中部の関係考えておったのです。仕事の量の面から御答弁がありましたが、相当幅広くいろいろな面に出ておられるので、この点については十分検討していただきたいと思います。私ども感じといたしましては、足りないような気がいたします。  そこで、最後に、要望を申し上げておきたいと思いますが、特にここで強調いたしたいと思いますことは、建設省上部機関に部が設けられて管理機構充実されても、やはり地方機構充実されておらなければ、実際的には仕事になりませんので、まだまだ建設省地方実態がちょっと把握不足でないかというように私としては考えられるわけなんです。そういうようなことから、事業の能率化をはかろうとする場合には、全体的な面をやはり考え機構を変えていかなければいけないと思いますので、こういう点について、今後十分に実態把握していただいて、適当な処置を行なっていただきたいということを希望を申し上げる次第です。この点について、何か御回答がございましたら回答いただいて、終わりたいと思います。
  51. 木村守江

    ○木村(守)政府委員 ただいまの御意見の通りでありまして、中央、地方を一貫したものを作りまして、この事業の施行に遺憾ないようにいたして参りたいと考えております。そういう点から考えましても、すみやかに本法案の通過をはかられますようお願い申し上げます。
  52. 中島茂喜

    中島委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる六日午前十時より理事会、午前十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会