○小坂国務大臣
在外公館の
名称及び
位置を定める
法律の一部を
改正する
法律案の
提案理由を
説明いたします。
この
法律案におきましては、大使館の新設四館、公使館より大使館への昇格十館、総領事館より大使館への昇格一館、領事館より総領事館への昇格一館を規定いたしておりますとともに、国名及び首都名の変更に伴いまして、それぞれ
所要の
改正をいたしております。
大使館の新設につきましては、クウェイトに実館を
設置し、他のサイプラス、シエラ・レオーネ、タンガニイカの三国には、それぞれ兼館として
設置し、近隣の大使をして兼轄せしめる予定であります。
クウェイトは、ペルシャ湾の北西部に
位置し、御承知の通り、石油資源は世界石油埋蔵量の約二四%を占めており、世界第一を誇っております。
わが国のアラビア石油も、サウジアラビアとクウェイトの中立地帯の沖合いに進出し、石油採掘を行なっており、クウェイトと
わが国との貿易も年々
増加し、在留邦人も逐次
増加の一途をたどり、本年末までには、一千人に達するものと思われます。また、クウェイト
政府が米、英両国に次ぎ、石油利権国として最優先的に
わが国と大使の交換を希望してきており、かつ、
わが国としても、権益の保護及び在留邦人の保護等あらゆる面において大使館を
設置することが必要であります。
また、地中海にあるサイプラス、アフリカにあるシエラ・レオーネ、タンガニイカはいずれも最近独立した国でありまして、
わが国としては、すべての独立国との間に友好
関係を樹立するという基本方針に基づき、かつ、これらの諸国は貿易、経済上の見地からも、
わが国にとりましては、将来性のある国々でありますので、兼轄公館としてそれぞれ大使館を
設置するものであります。
次に、公使館より大使館へ昇格するものは、フィンランド、パナマ、エルサルバドル、 ハイティ、リビア、ジョルダン、イエメン、チュニジア、ニカラグア及びルクセンブルグであり、このうち、実館はパナマ、エルサルバドル、フィンランドの三館でありまして、他はいずれも兼轄公館であります。最近の情勢は各国とも大使を派遣する方向に進んでいる現状であります。
わが国といたしましても、このような国際的な趨勢にかんがみ、これらの国々との外交
関係をより密接ならしめるために、大使館に昇格することといたしたのであります。
次に、総領事館より大使館へ昇格するものとして、ダマスカス総領事館がございまして、これを在シリア大使館に昇格いたします。また、在ダッカ領事館を総領事館に昇格することといたしております。
在ダマスカス総領事館を大使館に昇格いたします
理由は、客年九月クーデターによりシリアがアラブ連合共和国より分離独立いたしましたので、総領事館を大使館に変更するものであります。
ダッカ領事館の総領事館への昇格につきましては、東パキスタンは、パキスタン
政府も経済
開発に多大の努力を払っており、また東パキスタン州の対日輸入額はパキスタンの対日輸入総額の六二%に達しており、
わが国の重要な資本材輸出市場であります。在留邦人も昨年四月現在において三百人でありますが、逐次
増加しつつある現状であります。また、現在ダッカにはテジガオンに副首都建設計画が具体化されつつあり、大幅な権限を持つ中央の出先機関が設けられる予定であります。これらの進展に伴いまして、
わが国といたしましてもこれに対応するよう総領事館に昇格するものであります。
一方ドミニカは昨年十一月二十四日から首都シウダー・トリヒリオをサント・ドミンゴと
名称を改め、南アフリカ連邦は昨年五月南アフリカ共和国と国名を変更いたしましたので、
在外公館の
名称及び
位置に、それぞれ
所要の
改正を加えることといたしております。
以上のように
在外公館の新設及び昇格等を行なうための法的措置といたしまして、
在外公館の
名称及び
位置を定める
法律の一部を
改正する法案として、本
法律案を提出する次第であります。
次に、
外務省設置法の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御
説明いたします。
今回の
改正は、経済協力部を局に昇格するとともにその
所掌事務を定めることと、在ジュネーヴ国際機関代表部の長を大使とすること及び
定員を
改正することを規定しております。
経済協力部を局に昇格する
理由につきましては、低
開発国に対する
開発援助により、世界経済の拡大と世界平和の維持をもたらすものであることが、世界的に強く認識されるに従い、自由先進工業国は、
開発援助に積極的となり、また、同時にこれを効率的に
実施するため、相互に協調していかねばならないという雰囲気も生れて来ました。
自由先進工業国の一員である
わが国も、低
開発国に対する
開発援助問題に協力することが、外交的見地から見て重要なことであるばかりでなく、ひいては、
わが国の輸出市場の拡大、重要原材料の輸入確保等に寄与するとの認識のもとに、これを推進する立場をとるに至っております。
このような状況下におきまして、経済協力部の
事務量は急激に
増加するに至っており、また、
事務の性格も経済局の取り扱う経済、通商の
事務と分離することが適当となって参りましたので、この際、部より局に昇格することといたしたものであります。
次に、在ジュネーヴ国際機関代表部の長を大使にすることといたしておりますが、ジュネーヴにおきましては年中国際
会議が行なわれており、重要な
会議には、他国は必ず大使級以上の代表を出席せしめておるのでありますが、
わが国は、その都度大使級の代表を送り得ない場合も多々ありますので、他国との均衡を失する場合が少なくないのであります。このような現状におきましては、代表部の長である公使を大使に昇格することが、対外
関係上必要な次第であります。
また
定員の
増加については、
在外公館の増強等に伴い、特別職三人、一般職において四十七人を増員いたしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその概要であります。
最後に、
在外公館に勤務する
外務公務員の
給与に関する
法律の一部を
改正する
法律案の
提案理由を御
説明いたします。
この
法律案におきましては、
在外公館に勤務する
外務公務員の
給与に関する
法律の別表を
改正することにより、在勤俸の支給額を改めることといたしております。
現行の在勤俸は、
昭和二十七年外交再開を前に急ぎ制定されました番ので、以来十年間据え置きのままとなっておりますが、この間に世界各地とも物価、生活条件等の変動があり、このため、現行支給額は、諸外国外交官の
給与に比し格差がいよいよ著しくなってきましたほか、さらに各任地間の
給与の均衡という観点から見ましても、種々の不合理が目立って参ったのであります。しかも、最近の国際情勢にもかんがみ、外交機能の充実強化、なかんずく
在外公館の活動を一そう強化することがますます必要となっておりますので、在外
職員をしてその職責遂行を遺憾なからしめるためにも、この際現行在勤俸の支給額を
改善することがぜひとも必要となって参った次第であります。
このような
関係から、この
法律案におきましては、在勤俸の一般水準を
改善しますとともに、各任地間の在勤俸支給額の格差をできるだけ実情に即するごとく
是正することといたしましたが、下級
職員の在勤俸支給額があまりにも低い現状にかんがみまして、これをできる限り大幅に引き上げるよう努めます一方、アフリカ、中近東、東南アジア等勤務条件の悪い任地の在外
職員の在勤俸支給額を特に
改善するよう配慮いたしました。さらに、館長次席の参事官等は、館長に準ずる外交活動に従事しており、このために、特別の出費の多い事情にも考慮を加えた次第であります。
なお、今回の
改正は
昭和三十七年四月一日より
実施することといたしておりますが、さらに、この
法律案におきましては、別表の
改正に伴い、
昭和三十七年度に昇格する予定の一部
在外公館に勤務する者の在勤俸支給額に関する昇格
実施までの間の経過規定等若干の付随的な規定を設けております。
以上の通り、外交活動強化の一環として、
在外公館に勤務する
外務公務員の
給与を
改善するための法的措置といたしまして、この
法律案を提出する次第であります。
以上三案につき慎重御
審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
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