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1962-04-04 第40回国会 衆議院 逓信委員会電波監理及び放送に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月四日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席小委員    小委員長 秋田 大助君       上林山榮吉君    佐藤洋之助君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君      橋本登美三郎君    廣瀬 正雄君       大柴 滋夫君    佐々木更三君       森本  靖君    受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         郵政政務次官  大高  康君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  小委員外出席者         逓信委員長   佐藤虎次郎君         逓 信 委 員 羽田武嗣郎君         逓 信 委 員 森山 欽司君         逓 信 委 員 栗原 俊夫君         逓 信 委 員 畑   和君         逓 信 委 員 原   茂君         逓 信 委 員 谷口善太郎君         外務事務官         (アメリカ局北         米課長)    西堀 正弘君         郵政事務次官  大塚  茂君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         日本電信電話公         社総務理事(         兼)技師長   米澤  滋君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社技術部         長)      新堀 正義君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社研究所         宇宙通信課長) 宮  憲一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         理事国際局長) 松井 一郎君         参  考  人         (日本放送協会         研究所所長)  野村 達治君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 四月四日  小委員山本幸一君三月一日委員辞任につき、そ  の補欠として山本幸一君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員受田新吉君三月九日委員辞任につき、そ  の補欠として受田新吉君が委員長指名小委  員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田小委員長 これより会議を開きます。  電波監理及び放送に関する件について、調査を進めます。  本日は、宇宙通信に関する件につき、まず参考人より御意見を聴取することにいたしたいと存じます。  参考人各位には、御多用中のところ、本委員会に御出席を下さいまして、厚く御礼を申し上げます。  なお、本日の参考人として御出席をいただきました方々は、お手元に配付いたしました名簿の通りでございます。  まず、参考人より意見を承ってから、質疑に入りたいと存じますが、宇宙通信のごく素朴な理論と実際につきまして、郵政省電監局長から、宇宙通信に関する国際的な関係等につきましては、外務省参事官竹内さんか、あるいは北米課長、どちらからでも御一人、外務省を代表して御説明を願い、次に、宇宙通信国内電信電話テレビラジオ放送等との間の混信問題につきまして、電電公社技師長及び国際電電宮憲一氏から御説明を願い、なお、宇宙通信利用しての国際放送オリンピック放送中心とした諸問題につきまして、NHK溝上会長から、それぞれ、時間の関係上、困難な問題をはなはだむずかしい注文でございますが、お一人数分程度にして御説明、御意見を承ることにいたしたいと存じます。  それではまず、宇宙通信理論と実際につきまして、郵政省電波監理局長から御説明を願いたいと存じます。
  3. 西崎太郎

    西崎政府委員 今日宇宙通信の問題は、米ソを含めまして、世界的な関心事になっております。また、御承知国際電気通信連合におきましても、この問題につきまして、非常な関心を持っております。一九六三年の後半には、この宇宙通信に充当する周波数の割当を決定するための臨時主管庁会議が開催されることになっております。と申しますのも、今日国際通信というものは、無線におきましては乏しい短波、それから海底ケーブル、こういつたものによって疎通しておるわけでありますが、今後国際関係がますます緊密になるに伴いまして、非常に急増するところの通信量の増大に対処するためには、何らか抜本的な手段を必要とするわけであります。たまたま、宇宙開発というものが、一面におきまして非常に促進されて参りました。その平和利用といいますか、実用化の第一陣を承っているのが、この宇宙通信、そのほか気象衛星の問題、航海衛星の問題が取り上げられておるわけであります。その中でも、宇宙通信というものは非常に重要な地位にあると思っております。そういうわけで、今日アメリカ中心にしまして、宇宙通信関係技術開発というものが急速調に進められておりまして、その原理といたしましては、ちょうど今国内テレビ中継あるいはその他多重通信マイクロ・ウェーブというものが大量に使われておりまするが、その中継局衛星に搭載するということによって、相当遠距離の通信を一中継でできるということになるわけであります。こういつた考え方を利用したわけであります。もっとも、宇宙通信としましては、そういうふうに中継局衛星に搭載するという以外に、現在エコーという衛星が飛んでおりますが、これはただ地上から強力な電波を発射さして、それをその衛星に反射さして、反射波利用する、われわれこれを受動的な通信衛星と呼んでおりますが、こういったやり方もあるわけであります。しかし、今日最も将来性があると見られておりますのは、先ほど申し上げました中継局を積んだ衛星利用するというものでありまして、これをわれわれは能動的な衛星通信方式と呼んでおります。こういったものが、今後急速に実用化の方向に向かっていくんじゃないか。それで現に新聞紙の報道するところによりますと、この五月の二十二日ごろにその第一発がアメリカから発射されるというふうに聞いておりますので、いずれにしましても、非常に近い将来その実験が開始されるという状態になっておりまして、また同時に、御承知のように、アメリカにおきましては、こういった衛星通信のための、衛星通信を運営する機構についての法律案が、現在国会において審議されております。これまた近いうちにこの関係の所要の法律が制定されるようなことになるのじゃないか、こういうふうに思っておりますので、日本としましても、こういう情勢に対処するために、これの準備を進めておるわけであります。特に地上側施設準備、またそれに必要な研究を進めておるという段階でありまして、現在すでに国際電電におきましては、茨城県にこれに必要な地上施設土地を購入されまして、準備が進められ、また郵政省電波研究所におきましても、これは単に衛星通信だけでありませんで、宇宙開発に必要な電波関係の諸研究という面に重点を置きまして、この実験施設を現在建設中であります。  大体以上で御説明を終わります。
  4. 秋田大助

    秋田小委員長 外務省の方見えておられますか。それでは、宇宙通信国内電信電話テレビラジオ放送等混信問題につきまして、電電公社技師長から御説明を伺いたい。
  5. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま委員長から御説明がございました宇宙通信混信問題その他につきまして、お話を申し上げたいと思います。  宇宙通信開発につきましては、現在、郵政省、並びにKDD、あるいはNHKで進められておりますが、国家的に非常に重要なものでありますから、公社として、今後の発展のためにできるだけの御協力をいたしたいと考えておる次第でございます。しかし、この宇宙通信周波数は、公社マイクロ回線周波数が共用になるという可能性が相当強いのでございます。従いまして、今後この宇宙通信基地局がどこに置かれてくるかということにつきましては、公社といたしまして、マイクロ回線の今後の施設拡充、並びに現在ある回線との混信問題等に関しまして、十分な考慮を払っていく必要があるというふうに考えております。  それで、この周波数につきましては、まだ世界各国で完全に国際的にきまっていないのが現状でございます。しかし、ただいまアメリカCCIR分科会が開かれておりますが、分科会におきましては、大体四千メガサイクルあるいは六千メガサイクルの周波数帯宇宙通信に割り当てられる可能性が非常に強いというふうに考えておる次第であります。最終的に決定いたしますのは、これは主管庁会議なりあるいはその他で国際的にきまってくると思うのでございますが、今度のアメリカの打ち合わせ、いわゆるCCIR分科会等で出てくる案等が固まって参りますと、この案というものは、今後の主管庁会議なり条約会議等できまってくる基礎的なものになるというふうに考えておりますので、われわれといたしまして、今回のCCIR分科会の決定というものに対しましては、非常に関心を持って見ておる次第でございますが、今までわれわれがいろいろ情報を集めてみますと、大体四千メガあるいは六千メガというものになる可能性が相当強いというふうに考えておるのでございます。その場合に、日本側から見ますと、日本基地局からは六千メガ帯が発射されます。それから空中にあります人口衛星からは、四千メガ帯が発射されるということになって参ります。従って、日本側といたしまして見ますと、四千メガ帯がいわゆる空中から発射されて参りますので、いわゆる非常に弱い電波が入って参ります。それから基地局から出る六千メガ帯は、これは強い電波が出て参りますから、これを混信を受けるという立場から考えますと、六千メガサイクルに対しましては、公社通信系妨害を受けるという形になります。それから四千メガ帯に対しましては、公社通信系がむしろ妨害を与えるという形になります。しかし、もともとこれらのマイクロ施設は、電波到達距離というものが大体光に近くて、限定されておりますので、また、その地理的な条件によりまして、必ずあらゆるところで妨害が起こるというわけではございません。やはりその位置その他によりまして、妨害程度がいろいろ変ってくるのではございます。たとえば、世界各国の、と申しましても、米国あるいはイギリス、フランス、ドイツ、そういったこの宇宙通信に非常に関心を持っている国々の状態を考えてみますと、いずれも国際通信とそれから国内通信との間の混信につきましては、いろいろ考えられておるようでありまして、たとえばアメリカあたりでございますと、一番混信妨害の少ない北部地方に、ずっとこれらの局を考えております。また盆地の、何といいますか、ちょうどすりばちの底のようなところに局を置きまして、そういう点について技術的な配慮が十分されているように思います。イギリスにおきましても、イングランドの南西の一番端の方に置かれておりまして、そういう妨害につきましては、いろいろ考えられておる次第でございます。  私たちといたしましては、現在、電波管理局あいるは国際電電と、この技術的な混信程度その他に対しまして共同実験をするとか、あるいはまたそれに対する対策を打ち合わせ中であります。今後これらの問題に対しまして、置局の選定、あるいはその他に対しまして、国家的に最も宇宙通信というものがうまくいき、また国内通信系が最も妨害の少ない形でこれが進められるということを希望する次第でございます。
  6. 秋田大助

    秋田小委員長 次に、同じ問題につきまして、国際電信電話株式会社立場から、新堀技術部長さんに御意見を承りたいと思います。
  7. 新堀正義

    新堀参考人 ただいま電電公社技師長からいろいろお話がございまして、われわれの方といたしましても、この宇宙通信に関しまして、いろいろと問題は持っております。一応、混信その他の問題につきましては、十分調査をいたして進めていきたいというふうに思っておる次第であります。
  8. 秋田大助

    秋田小委員長 次に、宇宙通信国際放送、特に三年後に行なわれる東京オリンピックに関するオリンピック放送との関係について、NHK溝上会長から御意見を承りたいと存じます。
  9. 溝上けい

    溝上参考人 この前ローマのオリンピックの際に、短波利用いたしまして、まことに初歩的な方法でございますが、どうやら写真電送を早く写すようなしかけで一応の中継をいたしましたが、今回は、今お話がありましたように、人工衛星によるテレビ中継ということが非常に可能性がふえて参りましたので、先般来国際電信電話株式会社あるいは郵政省等と十分に連絡をとりまして、われわれの方といたしましては、主として、その回線の中で、テレビジョン信号を乗せるという方面研究を続けております。もちろん送信受信関係の基礎的な問題につきましては、各方面連絡をとっております。主たる内容は、テレビジョンをどう乗せるかという問題に集中されるわけでございます。さらに問題の中心を申し上げますと、非常に弱い電波を乗せなければならないということから、それをできるだけ受けやすくする。同時に限られた通信回線をできるだけ有効に、節約しながら使う、そういう点から、テレビジョン写真を、普通ですと相当幅が広いのでございますが、それを約半分くらいに縮めてなおかつ同じような画が出るというような、かなり高級な研究でございますが、それを今大至急進めております。この研究は、およそ来年の初冬ぐらいになれば一応の完結を見ることになりますが、この完結を見、送信受信回線ができれば、信号を送って、国際電電等の機械によって衛星連絡をとる、こういう形になる。そういう研究を進めております。
  10. 秋田大助

    秋田小委員長 それでは、以上の参考人の御意見開陳につき、質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
  11. 森本靖

    森本委員 外務省の方、来られておるということですが、どなたですか。
  12. 秋田大助

  13. 森本靖

    森本委員 今度のいわゆる人工衛星に対する追跡ステーションの問題について、あなたの方でおわかりですか。
  14. 西堀正弘

    西堀説明員 これは大体新聞に報道されております通りでございますけれども、本件は、アメリカ大使館の方から私のところへ最初に言って参りました。それで、何分にも技術的なことでございますので、科学技術庁の方に御連絡を申し上げまして、いろいろな質問点をまとめていただきました。その質問向こうに提起いたしまして、それに対する大体の回答がまとまったということでありましたので、四月二日に関係官庁方々にお集まりを願いました。それでさらにまた詳細なる疑問点が出てきた、こういうことでございますので、向こうから最初提案されましたところの調査員二名をとにかく日本へ受け入れる。受け入れるのは、決して土地調査ではないけれども、さらにわれわれの疑問とするところをその調査員質問をして解明をしていく、こういう目的のために、NASA――米国航空宇宙局調査員二名が日本にやってくる、こういうことにいたしたわけでございます。
  15. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、詳細な質問点というのは、どういう点を向こう質問せられたわけですか。それから向こうからどういう回答があって、それでその回答に基づいて調査員二名を許可するという点については、どういう日本政府の見解をもって許可をせられたか、この内容一つ……。
  16. 西堀正弘

    西堀説明員 本件NASAが計画しております観測衛星、これを追跡するステーション、これは世界各地に設けるわけでございまして、その一つ極東地域に設けたい、こういうことでございます。それで、こちらから最初に提起いたしました質問というのは、きわめて大まかなものではございますけれども、目下彼らが言うように全く平和目的のみであるかどうかという点。それから、施設は一体日本人に公開されるものであるかどうか。これは公開される、こういうことでございます。それで観測の結果でございます。それがどういうことに相なるか。これは全世界科学界利用に供される、こういうこともわかりました。それからそのトラッキング・ステーションの、主として電波関係の方はどうなっておるか。これに対しまして、向こう返答は、九九・九%まで電波受信である。送信の方はきわめて短崎間、瞬間的なシグナルを――彼らはコマンド・シグナルと言っておりましたけれども、きわめて瞬間的なシグナルを送るだけである、こういった非常に大まかなあれでございますけれども、返答があったわけでございます。それでそのラインで今度は、先ほど申し上げましたように、電波監理局方々、それから航空局方々、それから科学技術庁方々においでをいただきまして、さらに技術的な質問をまとめた、こういう状況でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 これは科学技術庁のどこの所管ですか。
  18. 西堀正弘

    西堀説明員 科学技術庁計画局でございます。
  19. 森本靖

    森本委員 この衛星ステーションの設置については、ほとんど九割九分まで電波関係の仕事ではないのですか。
  20. 西堀正弘

    西堀説明員 おそらくそういうことに相なるかと存じますが、しかし、もっと詳細に申しますと、航空路にこれがまた非常に関係してくるわけで、追跡ステーションの真上はもちろんのこと、それより相当の範囲にわたって航空路に当たってはいけないというような制限もございますので、航空局も和名に関係してくるのじゃないかと存じます。
  21. 森本靖

    森本委員 航空路関係してくるというのは、航空路になると、これが受信送信がじゃまになるから航空路関係してくるということであって、このステーション運営そのもの技術的なものについては、ほとんど電波関係局限をせられる。こういうふうに局限をしても、これは決して間違いがない、こう思うわけですが、どうですか。
  22. 西堀正弘

    西堀説明員 何分にも技術的なことでございますから、私責任を持ってお答え申し上げるわけにいかないのでありますが、あるいはそういうことであるかも存じません。
  23. 森本靖

    森本委員 だから、この問題について、責任のある回答ができる政府当局はどこですか。
  24. 西堀正弘

    西堀説明員 関係官庁といたしましては、電波監理局関係、それから航空局関係でございますが、われわれといたしましては、現在それをまとめて、国内的に問題点をまとめてやっていただくのは、やはり科学技術庁の方にお願いすべきではないかと考えておりますけれども……。
  25. 森本靖

    森本委員 そうすると、この具体的な内容については、科学技術庁に聞けばわかりますか。
  26. 西堀正弘

    西堀説明員 技術的な点につきましては、科学技術庁計画局、特にそこにおられます井上調査官でございますかが、向こうの大使館の専門官とも質疑応答いたしておりますので、相当詳しいことはお答え申し上げることができるかと思います。
  27. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、まず私は外務省関係で聞いておきたいと思いますが、もしかりにこういうステーションを置くということになった場合は、これは、それの所有権とか、それからこれに関する対策関係とか、条約関係というものについては、どうなるわけですか。
  28. 西堀正弘

    西堀説明員 もちろん、ほんとうに追跡ステーション日本のどこかに設けるということになりますと、まず第一に、その施設を設置いたします土地の問題が生じます。これはNASAがわが日本政府から借りるなり、あるいは直接NASAの弁護士なり何なりがやって参りまして、土地所有者と交渉して賃借契約を結ぶなり、それはそのときどきによって状況は違うと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは十分な対価をNASAからとりまして、日本側がこの土地向こうに貸す、こういうことに相なる次第でございます。それで、そのほかの諸問題につきましては、各国の例を見ましても、いろいろな制限もございます関係上、協定を締結しなければならぬということに相なるかと存じます。
  29. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これは日本政府アメリカ政府との協定を結んで、その協定に従って、いわゆる航空宇宙局とそれから民間人とが契約するという形になるわけですか。それとも、日本政府民間人とが契約をして、日本政府航空宇宙局との間において話し合いをすることになるのですか。どうなんです。
  30. 西堀正弘

    西堀説明員 ただいま申しましたのは、土地関係でございまして、土地関係につきましては、そのときどきによって、あるいは日本民間と直接NASAの間の賃借契約になるかと存じます。しかし、それ以外の電波につきます制限とか、それから航空路につきまする制限とか、もしかりにありといたしますれば、そういう点が国と国との間の問題、従って、国と国との間の協定の問題になるわけでございます。土地の提供につきましては、かりに国有地でもありますれば、それは国と国との協定だけでできるわけでございますけれども、民間所有地であれば、これは必ずしも政府が買い上げるなり賃借をして、それをまた貸しする、こういうことにはならないわけでございますが、その場には、土地の賃貸借の関係につきましては、NASAとそれから民間、こういう直接のこともあり得るかと存じます。
  31. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、いわゆる電波法関係、それからこれは放送法にはあまり関係ないと思いますけれども、放送法関係、さらにまた、私は航空関係についての法律は知りませんけれども、そういう国内法にある程度優先をするという形のものをとらなければできないのじゃないかという気もするわけですが、そういう場合のものを協定によって行なう、こういうことになるわけですか。
  32. 西堀正弘

    西堀説明員 これは技術的にさらに検討いたしませんとわからない問題でございまして、実際問題といたしましても、一昨日の会議におきまして、あるいは現在の国内法範囲内で電波関係もできるかもしれない、それから航空関係もあるいは国内法範囲内でできるかもしれない、こういうことでございました。かりにできないということになりますれば、協定を結びまして、その協定国内法というのじゃなしに、協定に基づいて国内法の改正ということが当然行なわれなければならない、こういうことになります。
  33. 森本靖

    森本委員 大体これは科学技術庁外務省とそれから郵政省と、並んで聞かないと、あなたの方はきわめて事務的な回答ばかりしておるわけですから、具体的な質問になってこないわけでありますので、外務省竹内さんの方から質問があるようでありますから、一応私の質問はこれで……。
  34. 竹内俊吉

    竹内委員 この軌道追跡ステーションに関して、アメリカから申し入れがあった、そのことについての新聞報道を読みましたので、これは日本人を雇い入れることはあるだろうけれども、日本人をその技術の中に組み入れていくということはしないのだ、こういう新聞記事でわれわれ心配したのでありますが、今の説明で、もっぱら平和利用に使うのだ、日本人にも公開される、観測結果は世界にこれを公開するのだ、こういうことで、その限りにおいては安心をするのでありますが、ただ一つ、今の森本委員との質疑応答でもやや明らかであるように、この施設は、そういたしますと、アメリカ施設でありますか。
  35. 西堀正弘

    西堀説明員 施設自体は、その通りアメリカ施設でございます。
  36. 竹内俊吉

    竹内委員 目的平和利用にもっぱら使う、日本人に公開するのだ、しかも、観測結果は世界に公開するのだとなりますと、何らの秘密がないということであります。そういたしますと、これは電波法に抵触する面があって、電波法を改正しなければ、なかなか困難な問題だ。これは私の観測については議論がありましょうが、いずれにいたしましても、これはそんなに金のかかる施設でもないのだから、こういうものは日本施設として――軌道追跡ステーションくらいは日本技術界でもほしいと言っていると思うのですが、そういうような考え方に立って、外務省から向こうNASAに交渉をしたという事実がございますか。
  37. 西堀正弘

    西堀説明員 その点は、最初に話を持って参りましたときに、最初の数問のうちの一つとして、私は向こう質問したわけでございます。それに対しまする先方の答えは、これはある一つのディープ・スペイス・プローブというNASA観測衛星についての追跡ステーションであって、その施設は非常に特殊なものである。しかも、その一つ衛星を追いかけて歩くについては、そのほかの場所にある施設と全く同一のものを使わないと役に立たないような、きわめて特殊なものである。従って、今のところ、アメリカNASAが使っているところの施設、その施設の画一性ということが非常に重要なので、そういう見地から、今回のこれはアメリカ施設をそのまま使わなければ当面の目的には即さないのだ、こういう返答でございました。
  38. 竹内俊吉

    竹内委員 これはあなたと議論してもらちがあかぬと思いますが、他国の状況はどうなんですか。西ドイツ、ブラジル、フランスその他の国で、同じものを作っているわけでありますが、そういう場合との比較はどうですか。
  39. 西堀正弘

    西堀説明員 なるほど、仰せの通りオーストラリアにもございますし、西独にもございますし、そういう点も質問いたしました。これに対しまする向こう返答は、今回日本に設けようとしておるところのトラッキング・ステーションの追っかけますところの衛星、これを追跡しているところのステーションというのは、現在のところアメリカのノースカロライナ州に一つ、それからアラスカに一つ、それから極東地域では、日本になりますかフィリピンになりますか、 これが一つ、この三つが追っかける衛星でございまして、西独ないしはオーストラリアのものと関連するものではございません、こういう返答でございました。
  40. 竹内俊吉

    竹内委員 関連するものには相違ないが、向こうはどういうしかけでやっているのですか。向こうも同じですか。これは私はこう思うのです。軌道追跡そのものには秘密があるはずはない。ただ、衛星の機能、性能には若干秘密があろうかと思います。あるとすれば、そこにある。でありますから、そのサテライト自体の観測結果について、他に漏れることを多少ははばかるという点があるかもしれぬが、しかし、あなたの説明では、これは日本人に全部公開されるんだ、しかも、観測結果は世界に公開されるものだ、こういう性質になりますと、それは向こうが上げる人工衛星ですから、日本地上的条件はそれに支配されることは当然です。支配されてしかるべきものだ。そういうものを日本で作って、日本施設として、日本アメリカとの科学技術交流の拠点になるような形において運営することが、われわれの方から考えたら願わしいことじゃないのか。それをもう少し外交の折衝において強く打ち出してしかるべきじゃないかと考えるのだが、これはあなたと論争しても仕方がありませんし、大体事情はわかりましたから、私はこれで…。
  41. 秋田大助

    秋田小委員長 受田君。
  42. 受田新吉

    ○受田小委員 北米課長にお尋ねしたいことが一つあるのですが、NASA、すなわち非軍事目的のために作られた航空宇宙局の計画というものについて、たとえば来年度実施されるエコーという通信衛星、それから六十三年に実施されるというリバウンドという通信衛星アメリカのそうした通信衛星の計画について、日本側には何らかの御相談があっているか。それに対する観測所を設ける用意をしてほしいという形になっておるのか。漫然と衛星船の観測所を設けてほしいというような申し入れになっておるのか。その間の情勢をお伺いしたいと思います。
  43. 西堀正弘

    西堀説明員 今回のトラッキング・ステーションは、先ほど申し上げましたように、きわめて特殊な衛星に対する追跡ステーションでございますので、それ以外の点につきましては、北米課に関する限りは、アメリカの方からいろいろな協力の申し出その他を受けてはおりません。しかしながら、あるいは外務省の担当課でございます科学課の方、あるいは直接に科学技術庁の方にいっておるかもしれませんですが、私ちょっと直接担当でございませんから、そちらの方のことは責任を持って御返答いたしかねます。
  44. 受田新吉

    ○受田小委員 御相談を受けている範囲内のアメリカの実施見通しというものについて、どのような様子になっているかをお伺いしたいです。
  45. 西堀正弘

    西堀説明員 大へん恐縮でございますけれども、私、北米課長といたしまして、今回のこの追跡ステーションのことに関してアメリカとの交渉をやっておりますので、それ以外のことは、実は国連局にあります科学課の方でやっております関係で、はなはだ申しわけございませんけれども、私御返答申し上げかねます。
  46. 受田新吉

    ○受田小委員 それでは私はおきます。
  47. 竹内俊吉

    竹内委員 電監局長に聞きたいのですが……(森本委員追跡ステーションだけ先にやろうじゃないか、あなたが外務省にあるというから私はやめたのだ。」と呼ぶ)それでは、ちょっと今の外務省とわれわれとの質問応答と関連してお尋ねするわけですが、先ほどあなたの説明で、すでに日本側でも準備、用意に入っておる。電電公社のパラボラ・アンテナの建設、それからあなたのところの鹿島の建設、これはすでに取りかかっておる。そこで、それらのものに着手するに至った経緯ですね、これはアメリカの打ち上げる人工衛星に対する地上施設としての意味が非常に大きいのだ。電電公社の場合は、全くこれはアメリカ電信電話公社、ATTのあれを受けるのだということだろうと思いますけれども、今着手するに至るまでの経緯、日米間でどういう交渉、どういう了解、あるいははどういう取りきめがあって着手したのかですね。そういう公の事実があるのかないのか、その点を一点だけ伺っておきたい。
  48. 西崎太郎

    西崎政府委員 米国との正式な取りきめというものはございません。しかし、いろいろ技術的なレベルにおいて話し合いはしております。しかし、やはりここまで準備が進んで参りますと、正式な取りきめというものも必要がありますので、実は今、御承知のようにCCIR宇宙通信関係研究委員会がこの三月に行なわれまして、そこへ日本から十名ばかり人を派遣しておりますので、これはごく近いうちに帰ってくるわけでありますが、その派遣された専門家にも、その点の下打ち合わせをやってくるようにということは言ってありますから、帰ってきますれば、相当具体的な話が進められていくのじゃないか、こういうふうに思っております。
  49. 竹内俊吉

    竹内委員 国際電電の方はどうですか。
  50. 新堀正義

    新堀参考人 お答えいたします。  国際電電といたしましても、ただいままでは、いろいろ先方の情報をもらったり、技術的情報をいただいて、それについてわれわれの方としては準備をしたらどうか、こういうふうな考え方で進んでおります。正式の取りきめその他については、何もまだいたしておりません。
  51. 竹内俊吉

    竹内委員 あとで詳しくお尋ねしますが、両方とも公の線は全然ないのだ、こういうことですか。ただ情報の提供は受けておる、その情報によって、これはいずれやらなければならぬことだから自発的にやっているので、正式の交渉、正式の取りきめ、そういうことは何もないのだ、こういうことですか。それをもう一ぺん再確認しておきたい。
  52. 西崎太郎

    西崎政府委員 まだ正式の、取りきめはできておりません。しかし、これの準備をいたしております。
  53. 竹内俊吉

    竹内委員 電電はどうですか。
  54. 新堀正義

    新堀参考人 お答えいたします。その通りでございます。
  55. 秋田大助

    秋田小委員長 この際、逓信委員谷口君より、小委員外の発言を求められております。これを許すに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 秋田大助

    秋田小委員長 御異議なしと認めます。それでは谷口善太郎君。
  57. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私、簡単に三点ほど伺っておきたいのです。  先ほどのお話で、九州に追跡基地を設けたいというアメリカの申し入れに対して、その内容で、これはあくまでも平和目的だというふうなお話がございましたが、軍事目的であれ、平和目的であれ、ロケットにしろ、衛星にしろ、科学技術の上では同じ基礎の上に立っているのですから、従って、利用目的ということについて、完全に何か保障があるかどうか。その点を一つ伺っておきたいと思います。
  58. 西堀正弘

    西堀説明員 今度アメリカから提案して参りました、日本あるいはフィリピンに設けられます追跡ステーション、これが全く平和目的のためであって、絶対に軍事目的に使用されないか、こういう御質問でございますが、これは一国の政府が、その代表を通じて、こちらの政府に、全くこれは平和目的のためであると言って参ったものでございますから、これは文明国同士では、やはりその通り信ずる、こういうことが国際常識かと存じます。
  59. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私の伺っておりますのは、アメリカ政府がどういうふうに言っていようと、科学技術の上からいいましたら、これは軍事目的平和目的も科学技術の上では同じ基礎の上に立ちますから、そういう点、科学者として、あるいは科学技術の上からいって、そういう保障が実際にあり得るかどうか。その点についての外務省のお考えはどうでしょうか。
  60. 西堀正弘

    西堀説明員 科学者の立場からは、私、責任を持って御回答できないわけでございますが、本件につきましては、とにかく米国政府としては、あくまで平和目的のためである。それから施設は全部自由に公開されるのだ。それから当初の段階におきましては、もちろん、日本の科学者をこのトラッキング・ステーションのオペレーションに参加させることは技術関係でできないけれども、行く行くは日本の科学者にも参加していただきたい。それがまた、フィリピンよりも日本の方にNASAとしては設置したいという希望の一つの理由をなしておるわけでございます。それから、観測の結果はすべて世界科学界利用に供する。こういうことなんでございますが、われわれとしては、アメリカ政府の代表のいう平和目的ということを、実はかたく信じて疑っていないわけであります。
  61. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その点、あなたと押し問答してもしようがありませんが、ただ、あなた方のお考えの方向といいますか、それをちょっと伺っただけでも、アメリカ政府がそう言っているのだから、国際信用上信頼する、そういうお立場だけでありまして、これが、科学技術の上からいって、軍事目的利用されるか、平和目的利用されるかという問題では、何一つ保障はない。しかも、あなた方の方では、その信用の上に立ってやるという考えであるらしい。非常に私どもは不安に感じますが、その点は第一点として申し上げておきます。  第二の問題でありますが、この施設は、アメリカ衛星だけを追跡できる施設であって、外国の衛星を追跡するという、これも科学技術の上からいって、そういう能力を持つかどうか。それとは別個のものですか。
  62. 西堀正弘

    西堀説明員 今回設けられます追跡ステーションが、きわめて特殊の衛星を追跡するものであって、そのほかのものを目的とするものではないということは、向こうの代表が繰り返して言っているわけであります。ただ、それがそのほかのものに利用されるかどうか、技術的に使用されるかどうか、それは私つまびらかにしませんけれども、向こうの代表の言いますには、これは一つの特殊の衛星、これをノース・カロライナにありますトラッキング・ステーション、アラスカにありますトラッキング・ステーション、それからもう一つこの極東にありますトラッキング・ステーションをもって追いかけるのだ、こういうことであります。
  63. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これもあなたの論議と私とずいぶん食い違うわけでありますが、一つの花でも、自分のところの庭に植えて主人だけ見ようと思っても、花自体は、外を通る人にみんな見える。同じことでありまして、アメリカ目的は、アメリカ衛星を追跡することが目的でしょう。しかし、科学技術の上からいったら、よその国の衛星を追跡できる、そういう本質を持っておるという点では、どうなんでしょう。これはわかる人がおいでになったら聞くとしまして、第三点にいきます。  これは外務省の方に聞いた方がいいと思いますが、ここに東京天文台の関るのです。「正体不明で不安です。普通の人工衛星の追跡というのなら、こんどアメリカが要請して来たような規模は必要としません。それに、設置されれば、そこは基地と同じことになってしまいます。それに平和な宇宙開発の国際協力が、まだできていないとき、軽率に平和利用だからといって設置をみとめるのは早計でしょう。」というようなことを言っておられます。つまり国際的にこういう問題で協定ができていないときに、日本が特にアメリカのそういう施設を――われわれはこれを基地だと思いますが、そういうものを認めるということについての日本の非常な不安、あるいは国際協力のできようとしておる前にそういう施設を設けた場合に、むしろ国際協力を妨害するのじゃないか、そういうことに考えられますが、どなたでもけっこうです、大臣も見えておりますが、お答え願います。
  64. 西堀正弘

    西堀説明員 関口さんが何かコメントをされておるのを取り上げられましたけれども、これはわれわれの方の責任かもしれませんけれども、関口さんにもう少し詳細に向こうからの申し入れを御説明申し上げたら、そういうコメントは出なかったのじゃないかと私は存じます。  それからまた、国際的にも協定ができていない現状において、これは非常に不安だ、こういうようなお説でございますけれども、現在アメリカとの間には、オーストラリア、メキシコ、ナイジェリア、チリー、エクアドル、イギリス、カナダ、南ア連邦、こういうところは、すでにこういう衛星関係ステーションアメリカとの間の協定によって設けているのでありまして、日本の場合、われわれをして言わしむれば、むしろおそかったと言いたいくらいのところなのであります。
  65. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この問題もまた、もう少しいろいろ審議できるようなところでやりたいと思うのですが、ただいまのお話を聞いておると、これはもうすでに施設を許すべきだという立場に立って話しておられます。関口先生がどうおっしゃっておるか、私はただ単に例を言っただけでありまして、問題は国際協定のできていないときに、日本がまず平和目的だというので協定することに非常に無理があるのではないか、早計ではないかということを伺っておるのでありまして、関口先生がどうおっしゃっておるか、別であります。特にあなたがおっしゃるように、各国幾つかの例をあげてやっておるんだから、日本だっていいという考え方はおかしいと思ううのです。いずれにしましても、外務省の方では、あなたを通じて聞いてみると、もうすでに申し入れ通り、承認するのがあたりまえで、むしろおそきに失したというような考えを持っておられるようでありますが、その点はしかと、承っておきまして、あとでまた御質問いたします。
  66. 森本靖

    森本委員 今のあなたの答弁の端節をとるわけではないのですが、各国が全部やっておる、だから、日本もおそきに失したというあなたの感覚で答弁をせられたのですが、おそきに失したということは、日本に何か相当の利益がある、だから早くやるべきだったということなら話はわかりますけれども、かりにこの追跡ステーションをこしらえて、日本にどれだけの利益があるか。先ほどの観測を公開せられるということであるとするならば、それほど日本電波界にとって利益になるということにはならぬと思う。それはデータが公開されるということであるとするならば、これは日本でなくとも当然あることでありますから、これは普通の協定とかなんとかという問題とだいぶ違うわけですから、もちろん、これはよく内容というものを承知してから、利益になるか、利益にならぬかということについては検討すべきであって、外国がやっておるから日本もやるべきである、日本はおそいくらいだというふうな印象を受けるような答弁は、これはちょっと誤りじゃないか。もしそういうことであるとするならば、このことによって日本が受ける利益は、一体どれだけあるか。逆にいえば、日本のいわゆる航空路にしても、あるいは電波の問題にしても、混信その他によって受ける被害の方が大きいじゃないかというくらいに考えられるわけです。そういうも、頭の中だけで考えて物事をやっておると、これは非常に判断が狂ってくるのじゃないか、こう思うわけで、あなたは技術者じゃないから、先ほど来私は質問を控えているけれども、そういう点については、もっと技術者とよく打ち合わせをして、こういうものを置いたら、一体日本ではどういうところが不利益になって、どういうところが利益になってということを検討されたあとにおいて、そういう重要な意味の答弁はやってしかるべきじゃないか、こう思うわけですが、ちょっと聞いておきたいと思う。
  67. 西堀正弘

    西堀説明員 私、先ほど国際協力が各国で行なわれていないときに日本がトップを切ったというふうに実は伺ったものでございますから、それに対してああいう御答弁を申し上げたので、それが間違った印象をお与えしたといたしましたら、私の舌足らずでございますから、おわび申し上げます。  さて、慎重に考慮しなければならぬという仰せでございますが、その通りにわれわれ今までやってきておるのでございまして、本件の、最初向こうからの申し出は、こういうものを極東地域一つに設けたい、ついてはそれの候補地として九州にある土地を実は調査をいたしたいから、調査員を派遣したい、ついては、それを受け入れてくれないか、こういう要請であったわけであります。それに対しまするわが方の見解は、関係方面と検討した結果、その調査員を受け入れること自体についても、これは軽々にはできないということで、慎重に検討したわけでございます。しかも、その調査員を受け入れること自体は、アメリカがその調査員を派遣したことによって、日本に必ず設置するというコミットメントを構成するものでもなく、逆にまた日本の方におきましても、その調査員を受け入れることを決定したことによって、日本向こうから申し入れがあった場合には、このトラッキング・ステーション日本に設けるということを約束するということを何ら構成するものではない、こういう条件がついていたにもかかわらず、なおかつ、調査員を受け入れることについても、それ自体重要問題であるから検討しなければならぬ、こういうことで、若干時日を要しましたけれども、検討したわけでございます。しかし、その結果は、その調査員を受け入れる。しかし、土地調査をさせるものではないのだ。また、さらに制限を加えまして、この調査員を受け入れて、彼らからさらに詳細に聞いて、しかる後にまた検討をして何分の決定をする、こういうことでございますので、慎重の上にも慎重にやっているのじゃないかと私は存じます。
  68. 森本靖

    森本委員 そうしますと、大体こういうものをこしらえたい、それでこういうふうに調査をしたいというわけですか。こういうものをこしらえたいから、一つ調査員を派遣をしたい、その調査員については受け入れを願いたい、こういうことですね。
  69. 西堀正弘

    西堀説明員 ただいま申し上げました通り、こういうものを作りたいのだけれども、その候補地を自分の方で見たいということが、最初の申し出であったわけであります。それがまた、現在のアメリカの申し出もあるわけであります。しかし、それは困る。調査はまだまだ先のことだ。その先に、このトラッキング・ステーションがどういうようなことをやりたいのかということをもっと技術的な方々の間で検討をして決定をしたい、こういうことを逆に日本から条件を出しまして受け入れることに決定をした、こういうことでございます。
  70. 森本靖

    森本委員 それではこういうものをこしらえたいということでありますが、大体その輪郭はどういうふうに向こうから言ってきておるわけですか。たとえばその構成人員、それからその土地、それから使用する電波、そういうものについての内容、そういうものはどういう工合に――初めはばく然と言ってきておると思いますが、ばく然とした意思表示だけでもけっこうですが、どういう輪郭ですか。
  71. 西堀正弘

    西堀説明員 それは、ちょっと先ほどの繰り返しになりますが、まず目的は、平和目的のための観測である。二番目、施設は公開される。それから観測の結果は世界科学界利用に供される。業務は主として電波受信である。送信は、先ほど申しましたモーメンタリー・コマンド・シグナルのきわめて瞬間的なものである。敷地としては大体八十エーカー――三十町歩くらいになるかと思うのですけれども、要は、できるだけ正方形であることが必要である。それから土地は、盆地といいますか、まわりをできるだけ丘のようなもので囲まれているということが望ましい。それから敷地の周囲の一マイル以内には、発電所等の電波障害物の存在しないことが望ましい。それからその敷地のところは、メージャーと向こうは言っておりますが、だから航空機が全然通ってはいけないというわけではないと思いますが、要するに、主たる航空路には当たらないようにしてもらいたい。それから敷地の問題でございますが、これは今のところ、一応十年の賃貸借契約というようなものを希望している。それから施設、これは先ほど申し上げましたように、NASAの所有に属して、特殊な目的でございますから、とりあえずは米国の製品をもって建設されなければならない。大体施設の運用には約四十名の米人科学者が、当初のオペレーションに働く。それから一定期間の後は、もちろん日本人の科学者にもぜひ参加していただきたい。大体そんなところでございました。
  72. 森本靖

    森本委員 これは受信が主であるということでありますが、おそらく衛星から発せられるものを受信すると思いますが、ただ、今の日本がやっておりますよらな、ああいう観測送信の場合は、観測になると、思いますが、そういう場合に、これはこっちから発するところの波がどの程度の波になって、大体この出力がどの程度になるかというようなことによって――これがどこにこしらえられるかわかりませんが、かりにマイクロ波が日本にあったとするならば、これは影響するんじゃないか、場合によっては、これが一つのなにでありますから、ずっと方向を見てやるわけでありますから、このマイクロ波にも関係してくるんじゃないかというふうにも考えるわけでありますが、そういうふうなこまかいことについては、郵政省としては相談があっておりますか。
  73. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど外務省から御説明がありましたように、郵政省として正式に協議を受けましたのは三日でございまして、実は今そのときの説明につきまして検討しておるわけでございますけれども、結局われわれの方としましては、先ほどお話しのように、向こうから専門家に来ていただいて、もう少し詳細に伺わないと、ちょっと何とも判断できないんじゃないか、こういうような状況でございます。
  74. 森本靖

    森本委員 調査員を受け入れるというのは、いつきめたんですか。
  75. 西堀正弘

    西堀説明員 これは昨日の閣議で打ちへ合わせになったと了解しております。
  76. 森本靖

    森本委員 郵政省が相談を受けたのは、いつですか。
  77. 西崎太郎

    西崎政府委員 ちょっと間違えました。二日でございます。
  78. 森本靖

    森本委員 郵政省が二日の日に相談を受けて、そうして閣議で調査員を受け入れるということをきめたのは、そのあくる日の三日ですか。これは電監局長、おそらくこれは電波関係については相当の専門家であるし、また日本でも有数な詳しいものであると解釈しなければならぬ。そうでなかったら、電監局長の値打ちはないわけでありますから、そういう人が、今、まだ十分検討しなければならぬというふうな答弁で大体ここを切り抜けようとせられておる。内容については、まだこれから、どういうふうなことについてということを調査せられて、その結果を云々、こういう話です。しかし、この追跡ステーションというものを実際に作った場合には、これの担当官庁というものは、ほとんど郵政省です。しかも、電波監理をあずかるところの郵政省が、ほとんどこれの担当になるということは間違いないわけであります。その郵政省に二日に相談をしておいて、郵政省はどういう回答をしたか知りませんけれども、三日によろしいというふうな返事を出すというようなことは、ちょっとこれは、私は、純技術的に見ても、軽率に過ぎるんじゃないか。もう少し時間を与えて、専門的に検討さして、そうしていよいよ調査員をこっちによこすならよこす、その結果をまた慎重に検討する、こういうふうにやってしかるべきじゃないか、こら思うわけでありますが、その辺、どうかね、大臣。
  79. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 きのうの閣議で三木科学技術庁長官が発言をいたしまして、当該調査員の問題について発言をいたしました。三木科学技術庁長官は、この問題については、きのうの話で昨日と言いましたから、二日のことです。昨日、事務当局の間の連絡をしたところが、郵政省も、運輸省も、事務的には必ずしも賛成し、かねるという立場、たとえば郵政省としては、電波を出す以上は電波法の改正がなければ出せない、こういうことであって、ちょっぴりであっても、電波法の改正が必要であるということを言った。それから運輸省の方は、いろいろ交通の関係、そういうようなことで、直ちにそういう土地があるかないか、そういうものについても非常に問題であるということを言った。しかし、とにかく調査員というものを受け入れてほしいということを先方では言ってきておるんだから、その土地調査させるという立場でなしに、その人たちが日本に入ってきて、その日本に入ってきてから、その人たちから話を聞いて、そうしてよく検討したらどうかと思うから、とにかく調査員という人が、現在東南アジアのどこかにいるらしいのですが、その人が日本に入ってくることだけは認めてやろうじゃないかという話が、三木長官から出ました。従って、その人が入国することを認めようという話だけになったので、土地調査をさせるということもきまってはおりません、承認したわけではありませんし、とにかくフィリピンかどこか、今極東のどこかの地にいるアメリカ調査員という人が、日本に入ってくることを認めよう、入ってくれば、もう少し話を具体的に聞いて、データもよけい出てくるだろう、こういうようなお話でございましたので、われわれも常識的に考えて、これはそれも入ってきちゃいかぬというような、こういう立場ではなさそうに思ったものですから、よかろうといってみんな納得したわけです。
  80. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは九州の一部の現場を見るとか、どこを見るとかいうことでなしに、とにかく入ってくることを許す。入ってきてから、科学技術庁郵政省、それぞれ純技術的に調査員からよく聞いてみて、そうしてこの調査を許すかどうかということをそのときに決定する、こういうことですか。
  81. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 きのう三木長官が二度繰り返して言いましたけれども、この調査員が入ってきたから、すぐに九州かどこかの土地調査させるということじゃない。調査させるということじゃないということを留保して、とにかく国へ入ってくることを認めてやろう、こういうことでした。
  82. 森本靖

    森本委員 これは時間が長くなりますので、郵政省にお願いしておきたいと思いますが、外務省の方から郵政省に対して純技術的に相談のあった部門を、一つ資料として文書で当委員会に御提出を願いたい、こう思うわけでありますが、どうでしょう。
  83. 西崎太郎

    西崎政府委員 さよう取り計らわしていただきます。
  84. 森本靖

    森本委員 それでは、私は、この問題については、その資料をよく見ましてからあとで質問をすることにいたしまして、ちょっと宇宙通信関係をいたしまして聞いておきたいと思いますことは、今度、先ほどちょっとお話がありましたように、大西洋方面アメリカイギリスとの間においてテレビ中継を行なうための衛星通信のテストを六月ころに行なう、こういう計画だということを聞いたわけでありますが、これは大体どういうふうな計画ですか。
  85. 西崎太郎

    西崎政府委員 私も詳細はよく存じませんので、あとさらに専門家がおりますから、御必要ならそちらから説明してもらいたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、ATTがこの五月の末ごろ打ち上げる計画のテレスターというものがありますが、おそらくこれを使いまして、アメリカの東海岸、それから欧州の英国であるとか、そういった地上施設準備のできておるところと実際の通信実験をやってみる、こういうことだと思います。
  86. 森本靖

    森本委員 この場合、大体何個程度衛星を打ち上げるわけですか。
  87. 西崎太郎

    西崎政府委員 私が聞いておりますのでは、この五月のは一個でございます。それからもう一個今年中に打ち上げる、こういうふうに聞いております。
  88. 森本靖

    森本委員 この五月に打ち上げる衛星というのは、これはかりに中継するという場合は、増幅して中継をするわけですか。
  89. 西崎太郎

    西崎政府委員 さようでございます。いわゆるアクティブ・サテライト――能動式の通信衛星
  90. 森本靖

    森本委員 能動式の中継といえば、増幅してやるということになるわけでありますが、その場合、これの高度がどの程度になるわけですか。
  91. 西崎太郎

    西崎政府委員 これもいわゆる円軌道じゃありませんので、大体千キロから五千キロくらいの範囲内と聞いております。
  92. 森本靖

    森本委員 その場合は、この波はどの程度になりますか。
  93. 西崎太郎

    西崎政府委員 これは、地上局から送信する周波数が六千メガ帯であります。それから逆に、衛星局からのが四千メガということであります。
  94. 森本靖

    森本委員 こういう衛星を打ち上げた場合、一個か二個でどれだけの瞬間の中継ができるわけですか、かりにニュヨークとロンドンとの間においては。
  95. 西崎太郎

    西崎政府委員 大体四、五十分と聞いております。
  96. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この程度のもので常時中継ができるということになると、どの程度人工衛星が必要になるわけですか。この高度と、こういうふうな能動中継でやって、どの程度のやつがやれば、大体全世界というよりも、緯度にして東京、たとえばヨーロッパはロンドンと、それから一カ所でいいわけですが、大体アメリカ、極東、それからヨーロッパというふうなものを常時中継ができるという場合は、どの程度になるわけですか。
  97. 西崎太郎

    西崎政府委員 大体四十個程度と見ております。
  98. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、日本が今後中継しようと考えておるのは、やはり能動中継という形の、しかも高度の低い衛星と、こういう意味ですか。
  99. 西崎太郎

    西崎政府委員 さようでございます。
  100. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これは全世界中継する場合には、かりに今国際テレビ中継しようと考えておる場合には、どの程度衛星を打ち上げることになるわけですか。
  101. 西崎太郎

    西崎政府委員 結局その四十個の衛星を共用するというわけで、それだけでいいわけでございます。
  102. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、四十個程度衛星を全部打ち上げる、こういうことですか。
  103. 西崎太郎

    西崎政府委員 そういうことになりますれば、国際的な回線が常時設定できる、こういうわけであります。
  104. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、よく国際テレビ中継するということを郵政大臣が談話として発表しておるから、そういうことをやるについての具体的な衛星計画というものは、この能動中継の低高度の衛星というものを四十個も打ち上げて、全世界中継ができるという形をアメリカ圏内だけでやる、こういうふうに認定をして、その方向に進めておるかどうか。かりにこれがソ連とアメリカ協定ができ上がって、そうしてソ連とアメリカとの協定においてやるということになれば、また私は変わった角度になってくる、こう考えておるわけであります。だから、今日本の郵政大臣が考えておることは、今私が言ったようなことで国際テレビ中継を考えておるかどうか。これは大臣の談話ですから、大臣にお聞きします。
  105. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 テレビの国際中継をやりたいということは念願でありまして、そういうことを考えているわけですけれども、日本が四十個もの衛星を自分のものとして打ち上げることは、とうてい財政的能力がありません。私は技術的には十分あると思いますけれども、財政的能力からあきらめなければならぬのじゃないかと思っております。さしあたり、アメリカがそういうことをやるというなら、それを利用してやったらどうかという考え方ですが、しかし、もしソ連が何らかの別の計画を持っており、そしてソ連との間に話し合いがつくならば、それも決して排除するというようなことを今考えておるわけではございません。
  106. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この四十個程度かりに打ち上げをやる。これは理想案ではないと思うのですけれども、現実に実現ができ得るという見通しに一番近い案になると思いますが、そういうことになった場合は、アメリカがこれを打ち上げて、その一つ衛星を使っての通信ということになる場合に、たとえばその回路についての使用権というものは、どうなるわけですか。たとえば衛星まで届く波については日本が発射する。ところが、今度は衛星から増幅されて向こうへ落ちる波についての権限というものはどうなるかというふうな、いわゆる所有権といいますか、そういうものはどうなるわけですか。
  107. 西崎太郎

    西崎政府委員 その衛星通信による国際通信網の運営をどういう機構でやっていくかということは、これは一つの大きい課題でありまして、これから各国がそれぞれ研究しまして結論が出る、こういうことに思いますが、いずれにしましても、地上施設というものは、それぞれその所属している各国通信会社なりあるいは政府が運営していく、こういう格好になると思います。問題は、通信衛星自体、これの管理がどういう機構で行なわれるか、あるいは今の所有権がどうなるかといったようなことは、今後の大きな国際的な課題であると思います。
  108. 森本靖

    森本委員 衛星所有権というものは、当然その衛星を打ち上げた国の所有権になる。ただし、それを使用する場合の使用回路の方はどうなるか。たとえば日本から衛星を通じていく場合、日本から発射したところの衛星までの波を出したら、当然これは日本が権限を持つものである。しかし、その衛星から今度向こうに増幅されて送る場合は、これまた日本が権限を有するというふうな発言は、衛星が自分のところのものでなければ、ちょっとおかしいのじゃないか。しかし、こういう点において、あっちこっちの国がぽこぽこ衛星を打ち上げて、要するに所有権を叫ぶということになった場合には、収拾がつかぬということになるわけでありまして、何らかここに一つの宇宙の交通整理みたいな協定と申しますか、そういうものがないと、この国際宇宙通信中継というものも、なかなか困難ではないかというふうに考えるわけでありますが、そういう点についての研究が、日本政府としては非常におくれているのではないかという気がしているわけであります。かりにそういう所有権が打ち上げた国にあるとして、そうした場合に、たとえばNHKテレビを国際中継するといった場合、その回路は、国際電電が――これはあなた方の専門事項になりますが、回路は国際電電が所有し、それから国際電電まではNHKの回路によって行なう、こういうことになるわけですか。
  109. 西崎太郎

    西崎政府委員 そういう考え方が一番妥当ではないか、こういうふうに思っております。
  110. 森本靖

    森本委員 これはNHK当局にもよく聞いておきたいと思いますが、今言ったような考え方にNHK当局としても立っているわけですか。
  111. 溝上けい

    溝上参考人 そういうふうな考え方でやるつもりで、今研究をしているわけであります。
  112. 森本靖

    森本委員 そうしますと、今の国内法規の国際電信電話株式会社法、日本電信電話公社法においても、たとえば国際電信電話株式会社法の、国際通信については国際電信電話株式会社が行なうというこの項によって、テレビ中継、電話中継、こういうものについての宇宙通信も、すべて国際関係については国際電電が取り扱う、こう解釈をしてもいいのですか。もっとも、これは大事な問題でありますから、今すぐ回答してもらわなくてもいいわけでありますが、よく研究をして――将来何十年にわたって行なう問題になって参りますので、これは一つよく研究をしてお答え願いたいと思いますが、今の国内法規からするならば、そういう形になっていくのではないかと私は私なりに解釈しているわけでありますが、そういった場合に、さらに宇宙通信についての何らか法的な明確な規定というものが、今後――今の国際電信電話株式会社法、電波法日本電信電話公社法、こういうものを考えた上においても、なおかつ法的な規制措置というか、あるいは法的な措置が必要な感じもするわけでありますが、そういう点についてはどうですか。
  113. 松田英一

    ○松田説明員 ただいまお話しの問題は、私どもも同様に、テレビ中継にしても――とにかくそれは放送ではございません。放送というのは、じかに一般大衆が受けるのが放送でございますから、そういう工合にはならないで、テレビ中継というものは、通信であるから、従って、それは対外的にやる場合には国際電電がやるべきだというふうにわれわれは考えているわけでありますから、そういう意味で、今後衛星通信によっていろいろ行なわれます通信というものも、やはり同様に国際電電がやっていくべきだ。ただ、現行法上、衛星通信のようなものを予想しておりませんために、あるいは字句の上からいえば、少し検討しなければならないということも起こらないとも言えませんけれども、この点は、際衛星通信がどういう工合に行なわれるかというところまで、世界的にもきまっておりませんので、これから考えなければならない問題だと思っておりますが、原則的にはそういうものだと私どもは考えております。
  114. 森本靖

    森本委員 それから、これはこの前にも私が言ったところが、竹内さんは、五つや六つじゃない、四十個程度だ、こういうことを言ったので、そのまま私は控えておったわけでありますが、ただ、あなた方の報告書を見ても、今言ったたとえば大西洋方面において研究する。今度四十個程度中継するために出すというところのいわゆる衛星等にしても、値段にして、このあなた方の報告では大体四十五万ドルから六十万ドル、一番高いもので二百万ドルというふうな程度のことが、郵政省の報告にも載っておるわけであります。そういうことになってきますると、私が言ったようなことについては必ずしも夢ではない。かりに打ち上げる能力がなくても、その所有権について、今後これはアメリカ公社でありますが、そういうところと話し合いをして、いわゆる資本の投下というようなことについてもできないことはないというふうに私は考えられるわけでありますが、その辺のことについてはどうなんですか。
  115. 松田英一

    ○松田説明員 ただいまの問題は、アメリカといたしましても、まだ、具体的に法案が国会にかかっておる段階でございまして、どういう形にそれが決定するのかということは、まだ判然としないところでございます。それから一方、国際的にも、国連の方で決議ができまして、私どもに関係する国際電気通信連合会に対しましても、衛星利用通信の問題について検討するようにということが国連から要請されておりますために、国際電気通信連合といたしましても、周波数の割当を含み、いろいろと今後の衛星通信の原則をどういう工合に立てていくのがいいかということを検討していくことになっております。そういう工合にしてまとまりました結果というものを考えまして、今後の衛星通信のやり方というものは具体的にきまってくるわけでございますけれども、もちろんお話のように、アメリカ側が何か法案が決定いたしまして、それに対して外国からも参加を求めることができるというような形になって、日本と相談が始まるというふうな事態がかりにできますれば、当然、日本としても、こういうことに対しまして、衛星通信というものを実施する段階に話し合いをしなければならないとは考えておりますけれども、世界的の情勢の動きと、それからアメリカの情勢の動きというものが、まだ具体的にきまっておりませんために、私どもはまたいろいろなことを想定しながら検討を進めている、そういう段階でございます。
  116. 森本靖

    森本委員 私は、時間がありませんので、これ以上質問いたしませんが、こういう問題についての答弁を聞いておっていつも私が感ずることは、日本政府は、こういう問題について非常にうしろへ引っ込んでおろうという態勢である。何か向こうができれば、それに乗って、一つの話し合いを進めていこう、こういう気がまえであって、ちっとも積極的な努力と気がまえというものはなされないじゃないか。たとえば現在、こういうふうな法案がアメリカの国会にかかっている。それについては審議をせられておる。しかし、日本政府としては、現在の経済力と能力と技術において、どういう工合にやったならば、日本政府というものが将来国際通信において優位な地位を占めるか、こういう問題について、もっと具体的な研究をして、私は向こうが言い出す前に、日本政府としてはこういう考え方を持っているから、こういうふうに一つの御協力を願いたい、こういうふうな明確な国際通信の政策を出すべきだ。それを、いつも電監局長なり松田監理官の答弁を聞いておると、アメリカがこうでございますから、これがこうこうでこうなりましたからこうなると思います、こういう答弁しかない。日本政府は、一体こういう宇宙通信について何を考えておるのか。なるほど研究段階でありますけれども、現実の問題としては、もはや実験段階にきておるわけであります。来年あたりになると、具体的な通信が始まるかもわからぬ。そういう段階において、いつまでも人頼みであってはならぬ。かりに日本が打ち上げる能力がなくても、それだけの経済力というものは、今あるわけです。それから通信をする能力というものは、日本が、今日はアメリカ、ソ連を除いては、劣らぬと考えておる。それだけの能力を持っておりながら、いつまでも向こうさんの研究待ちであるということでは、私は情けないと思う。やはり日本としては、今後の宇宙通信、やはり日本については、こういうふうな立場でこうなっていけば日本が将来有利である、また世界的な、国際的な平和にも利用できることがあるというふうに、もう少し私は確固たる日本のいわゆる宇宙通信国際通信についての政策を立てて、その上に立って日本が積極的にアメリカと交渉するなり、あるいはソ連と話をするなり、そういう形をとって初めて池田総理が言っておる大国になるわけですよ。全然そういうことを一つもやらずして、いつまでたってもアメリカさんの言う通りアメリカさんがこうやればこの通りということでは、この通信面においても私は情けないと思う。そのことを私はしょっちゅう言っておるわけであります。この点については、私は相当日本政府が金をかけてもいいから、一つこういう政策を立てて、こういう点についてはアメリカはこうやってもらいたい、こういう明確ななにをやってもらって、せっかく優秀な大臣がおるのだから、金がなかったら、一つ閣議において堂々と理論を展開して、そうして予算もとってこれるという形をぜひ私はやってもらいたい、こう考えておるわけでありますが、こういう点について、今の質疑応答を聞いておって、大臣はどう思いますか。
  117. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 熱心な御激励を受けまして、私も勇猛心を起こして一つ努力したいと思います。
  118. 竹内俊吉

    竹内委員 参考人の先ほどのお話を承ったのに関連して参考人に伺いたいと思うのですが、電電公社米澤技師長さんのお話では、周波数の割当がまだ決定しているわけではないからさほど心配していないけれども、人工衛星から発射するものは四千メガ、地上から出るのは六千メガで、六千メガの方は妨害になる可能性がある、こういうお話であったのですが、これはしかし、来月の五月の二十二日にテレスター計画が一発上げますと、実験段階に入るので、実験段階における周波数は、すでに決定しておるのであります。ATTが使いますのは、大体もう二月ほど前から新聞、雑誌等に出ておって、われわれがそれを見ますと、これは明らかに電電公社マイクロ回線とぶつかるようなものを使うことになっておる。来年十一月周波数の決定後に使いますものは別として、実験段階においてすでにこれは温情を免れないと思う。アメリカのような土地の広いところは別として、日本のような狭い土地では、どういう方法を講じても、それは鹿島を中心にして直径二百キロぐらいのところは相当な混信を受けるのじゃないか、こうわれわれは思うのですが、国際電電お話として先般朝日新聞だかに載りました点では、実験段階ではさほど支障はない、こう言っておられる。電電公社国際電電と、これはかなり違うことになっておる。片方は妨害を受ける方ですから当然でございましょうが、この点、実験段階において相当な混信があるとなると、日本テレビ放送に、あるいは公共通信に、相当大きい影響がある問題だと思いますが、この点、もう一ぺん両者から御説明をお聞きしたい。
  119. 米澤滋

    米澤説明員 ただいまの御質問でございますが、私、先ほど全然懸念がないと申し上げたのではないのでございまして、懸念は十分あるけれども、まだ決定してないから、最終的なことをちょっと控えたのでございます。私の方といたしまして、この問題につきましては、国際電電並びに電波監理局に、その混信問題については十分考えてほしいという申し入れは、別途してある次第であります。従って、今後特に実験段階のほかに、さらにこれが最終的に、何といいますか、日常の業務に移ったということまで考えなければならないと思うのでありますが、そういった際に、この混信問題をどういうふうにやっていくか、いろいろ案が考えられまして、たとえばもし現在の国際電電実験を予定されておる場所が非常に妨害が多いということがはっきりして参りますれば、あるいはまた別な場所を考えるということも必要じゃないかというふうに思っている次第であります。
  120. 竹内俊吉

    竹内委員 ATTのテレスター計画で衛星から発射する周波数は四〇八〇、四一七〇、地上から発射するものは六三九〇、こう計画が発表されておる。実験段階ではこれを使うんだということは、もう決定しているんじゃありませんか。国際電電にお聞きしたい。どうですか。
  121. 新堀正義

    新堀参考人 その通りでございまして、周波数においては、ただいまお話しの通りでございます。
  122. 竹内俊吉

    竹内委員 そういたしますと、これは相当な混信があると予想するのは、当然だと思うのです。これに対してどういう方法で混信を防ぐのか。あるいは指向性というか、送信をしぼってやるという方法もあると思います。そういう方法を講じてもなおかつ相当な混信があるだろうから、これは放送業界でも相当に心配している点でありますが、電電公社では、この点どういう方法でそういう支障なくやっていくということを考えているのか、その自信があるのか、その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  123. 新堀正義

    新堀参考人 お答えいたします。  国際電電といたしましても、この点についてはいろいろと調査をいたしております。現状におきまして、どの辺の波に混信があるかどうかというようなことも、現地において調査をいたしており、また、電電公社さんの方におきましても、この調査を引き続いて行なっております。何分マイクロ・ウエーブのことでございますので、通達距離がある程度で相当弱くなりますので、国内の局の位置、あるいは今度の鹿島の位置というものから考えまして、あるいは混信が軽微になる、あるいは避けられるというようなことも考えられるのであります。しかし、将来これが非常なる影響があるというような場合には、われわれの方といたしましても、さらにこれを考え直すという考え方で、電電公社さんの方ともお話をしておる次第でございます。
  124. 竹内俊吉

    竹内委員 それは将来の問題じゃなくて、五月の二十二日にもう始まるんですよ。すぐです。あなたのところは、今基礎を築いている程度でしょう。五月二十二日から始まるわけなんです。そういうことでやるわけですから、これから基礎からだんだん大きい工事にかかるんでしょうが、どのくらいの経費で、いつ完成する見込みがあるのか、それを聞きたいということと、それは工合が悪いからといって簡単に位置の変更ができるのですか。そうじゃなくて、私が聞きたいのは、実験段階から日本の公衆通信マイクロ回線とあまりぶつかるような周波数の使い方は考えてほしいという申し入れなり何なり、日本の事情をもっと強く訴える方法があるんじゃないか。それは今三月十二日からニューヨークでその会議を持っているわけでありますから、最終決定でなくとも、日本の公衆通信妨害にならないような方法にあらゆる努力を払う、あなたの国際電電としても払う、こういう建前をとるのが至当じゃないか。あなたの方の次長さんが向こうにおいでになっているわけでしょう。これから研究して材料をまとめて、混信があるのならば位置をかえますということでは、はなはだずさんな計画と言わざるを得ない。そういうことではなしに、もっと周波数の面で最善の方法を講ずる手段がないのか、そういう点をお聞きしたいのであって、これは電波監理局長の方からもお答え願いたいが、これはきわめて重要な問題だと思います。
  125. 西崎太郎

    西崎政府委員 先ほど来お話がありましたように、宇宙通信国内マイクロ・ウエーブ、この両者の混信というものは、宇宙通信というものの技術的な性質からいいまして、どこに置きましても、しょせん避けられない問題であるとは思いますが、なるべくそういう可能性の小さいところを選ぶということが、宇宙通信の基地選定条件として重要な要件だと思います。  それで、現在準備しております茨城県の鹿島地区、ここの適否の問題につき議しては、具体的な問題といたしまして、現在郵政省中心になりまして、国際電電、それから電電公社、この三者の間で常に緊密な連絡をとりながら検討もいたし、また実地の試験もやっておるわけであります。ただ、今のテレスターですか、この計画は、日本地上施設準備関係もありまして、もうすぐこれに参加するというわけじゃございませんで、日本としましては、やはりこの地上施設ができてからでなければこれに参加できない、そういう意味から言いまして、この五月に打ち上げればすぐその問題が出てくるというわけではないわけであります。  それからまた、実験ということでございますが、これは実用の場合とおのずから性質が違いますので、その混信問題という点は、実用回線の場合と実験の場合とは、だいぶ違うのであります。こういうふうに思っております。
  126. 竹内俊吉

    竹内委員 私申し上げているのは、五月二十二日に打ち上げたその日から日本混信が起こると申し上げているわけじゃない。もちろん、地上から発信しなければそういう問題が起こらぬけれども、五月二十二日にそういうものをしかけて上げますと、周波数を変えるわけにいきません。その衛星が飛んでいる間その周波数でいくわけですから、これは訂正を要求してもできない。しかも、鹿島から直径二百キロまで混信があるといいますから、東京――鹿島は二百キロで、東京に影響がある、テレビの一番中心地に影響があるということです。それをこれから調査して、相当混信があるのだといっても、その衛星が持っておるサテライトの周波数をそれに合わせる、地上から周波数を変えることができますか。これはできない。そういうことだから、今から十分にそういうことがないような手段を講じておかなければならぬわけです。こういうことを申し上げているわけで、五月二十二日からすぐ日本混信が起こらないことは知っています。地上施設は一体どのくらいに完成するのか。おそらく一年くらいかかるでしょう。一年あとだと思いますが、変えるわけにいかないのだから、今からそういう点を十分に考えていくべきじゃないか。これはATTのあれからすると、変えることはできないのかもしれない。その場合に日本は一体どういうことをするのか。鹿島が不適当なら不適当のように、早目にそういう調査が今ごろできていなければならぬはずです。これから電電公社国際電電の資料を突き合わせて相談しますということでは、おそいのです。おそくなったのだから仕方がないと思いますが、電監局長にあらためて聞いておきたいと思いますが、これは混信がないように、いろいろ手段を講じてそういうふうにいたしますということが、確答できますか。
  127. 西崎太郎

    西崎政府委員 ちょっと確答しろと言われましても、そこまでは申し上げかねるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、今急いで結論を出すように進めておりますので、もうしばらくの御猶予をお願いしたいと思います。
  128. 竹内俊吉

    竹内委員 これは大臣にお尋ねしておきたいのですが、私がこういうことを申し上げるのは、アメリカの打ち上げる衛星に関する情報、これを日本が受けて、その情報だけで国際電電も、郵政省の方も、いろいろな準備をしておるわけなんです。これは早目にそういう仕事をするということ自体は、私は賛成です。賛成だが、どの程度の確実な情報を受けているのか。現在すでにもう現われてきているように、そう確実な情報を受けられていないという面も考えられるわけです。そこで、一体アメリカからどの程度の情報提供を人工衛星に関して受けているのか。その点を一つお尋ねしておきたい。これは科学技術庁にも伺っておきたい。
  129. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 どの程度の情報を得ているか、私、はなはだどうもその点は技術的にも暗うございますし、お答えをするのは困難でありますけれども、うちの技術者の連中に聞きますというと、できるだけの情報を集めてやっているということでありますので、私は、技術者がその良心に従って、できるだけの、最大限度の情報を基礎にしてやっているものと信じておりました。なお、今後ともできるだけそういう情報は正確なものを集めるように、外務省とも協力し、科学技術庁とも協力するようによく申します。
  130. 竹内俊吉

    竹内委員 情報の提供は、われわれ聞くところによれば、あまり大した情報を受けていない。現実に今の周波数の問題なんかでも、その情報をもらっていないから、こういう間違いというか、手違いが起きてきて、今調査をしなければならぬということなんです。  そこで、なぜそういう技術的なディテールに関する情報が入ってこないのか、そこに問題がある。これは人の名前をさして言ってもいいわけですけれども、先般郵政省からNASAにこの問題について見学に行った人たちが言われてきたことは、日本人工衛星に関する情報を受ける窓口が一つじゃない。通信に関しては郵政省、学術に関しては文部省、宇宙開発に関しては科学技術庁、窓口が三つもあって、どこが責任を持つのか、責任の所在が明確でないので、技術的な、精密なディテールの点までは情報の提供をしかねる。窓口を日本にしてほしいということを言われてきた。昨年の五月です。ところが、なかなか各省のなわ張りがあって一致しない。最近日本からニューヨークヘ行っておる――国際電電からも、郵政省からも行っておりますが、そのある人の通信によると、同じことを言っている。NASAに行ってみたら、そういうことを言われる。何か日本にしないと精密な情報は受けがたい、こういうことなんです。それで去年の十一月か十二月ころか、外務省が中に入って三者の調停に当った事実があると思います。ところが、最近の情報を聞くと、どうもうまくいかないということで――これは大臣御存じかどうか。こういうことは大臣段階で話をして、窓口を日本にして、そうして精密度の高い情報を受けるという建前をとらないと、たとえばさっき軌道追跡ステーションの問題が出ておったが、軌道追跡の予報さえ精密にはきていないじゃありませんか。そういうことですから、まず情報を受ける窓口を日本にするという建前を至急に、これは大臣段階で話をしてまとめてほしいと思う。この問題に関しては、おそらく西崎さんは知っておられると思いますが、今までのいきさつが説明できるなら説明してほしいし、工合が悪いなら説明しなくてもよろしいが、そういう事実があるわけですから、これは大臣とくとお考えになって、至急善処してほしい。
  131. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 ただいまのお話はよく承りまして、私もぼやぼやしておりましたから、さっそくこれは統一するように努力したいと思います。
  132. 竹内俊吉

    竹内委員 それから先ほどの国際電電についてお尋ねするのですが、今の、ATTと何らの表向きの取りきめはないのだ、向こうの情報だけで、こちらは自動的にやっているのだ、こういう意味の話をされましたが、全くそういうわけじゃなくて、文書でなくても、相当な了解事項があるのじゃないですか。了解事項があるとすれば、その了解事項の内容を差しつかえない程度で御説明願いたい。
  133. 新堀正義

    新堀参考人 先ほども申し上げましたように、公式な取りきめというものはまだ全然ございません。われわれ幹部が向こうへ行った場合、ATTあるいはRCA、そういう方々にお会いしまして、ある程度の情報を得てくる、こういう程度でございます。
  134. 竹内俊吉

    竹内委員 あれはどのくらいの経費で、いつ完成するお見込みですか。
  135. 新堀正義

    新堀参考人 われわれの方として、実験の設備としては五、六億円、完成はまだでございまして、一年かあるいは一年半かかると思います。
  136. 竹内俊吉

    竹内委員 どうもさっぱりわからないのですが、それだけの大きい仕事をするのに、ただ情報を得てこっちが勝手にやっているというわけじゃないと思うので、何かそこに了解事項があると思うのですが、それを聞いてもわからぬが、そういう情報はあまり確実でないので、受信機の設定に相当困難しているということを巷間伝えておりますが、その通りですか。
  137. 新堀正義

    新堀参考人 宇宙通信につきましては、送信機の問題、受信機の問題、並びに空中線、それから先ほどもお話がございました追尾装置、こういうようないろいろな諸元で相当突っ込んだ問題がございます。それでただいまのような受信機の問題につきまして特に困っているというようなことは、われわれの方としては今思っておりません。いろいろとこれに対する基礎調査というものを進めております。
  138. 竹内俊吉

    竹内委員 あなたは技術的なことはおわかりですか。――それじゃ、通信方式は決定しているのですか。
  139. 新堀正義

    新堀参考人 実験段階においてはさまっております。FMの変調方式を使いましたものを考えております。
  140. 竹内俊吉

    竹内委員 いろいろあるわけですが、詳しいことは、技術屋でないから無理だと思います。いずれにしても、情報があまり確実でないということは、大体言えるかと思います。つまり精密度の高い情報の提供をまだ受けていない、その段階においてこちらが着手したのでありますから、われわれは、こういう新装置の国際通信に早く踏み切るということは非常によろしいと思いますが、それに対して、政府も、実際に関係した国際電電も、あまり用意が足らないままに入ったのではないかという感じが深くいたします。先ほど森本委員から述べられたように、政府も、もっとこの問題について熱を入れて、たとえば通信衛星なんか、私は、一つ日本でも上げていいと思う。アメリカだけでなく、ヨーロッパも今計画して、一九六六年にイギリスを主体として十二カ国が共同で上げるということを最近確定しました。その費用を見ると、そう大きい金額じゃない。日本は、あたりにそういう共同国がないから不便であるけれども、そういう方法は決して不可能でない。ただ打ち上げ場所が、ヨーロッパでも設備に非常に金がかかる。それを今豪州の試射場から出してもらう、こういった契約までしている。カナダは、カナダ一国でも同じものを上げようということで、カナダにも、打ち上げ設備がなかなか無理で、ありませんから、アメリカのケープカナベラルから上げるということの了解を得た。方法さえ検討すれば、これはできないことはないのです。日本の科学技術日本のロケット技術は、アメリカ、ソ連に次いで世界第三位という折紙がついている。そういう技術的な可能性からいえば、大臣がさっきおっしゃったように、不可能ではないわけです。財政的にこれはいろいろ問題がありますから、今すぐ上げるということは困難なことはわかりますけれども、そういう意欲でもってこの国際通信の世紀に入っていくんだという気がまえくらい持たないと、あまりに不用意である。  まだまだたくさん問題があります。時間がありませんから申し上げませんけれども、われわれしろうとが考えても、相当に問題があるわけでありますから、これに対して、郵政大臣が中心になって科学技術とよく相談されて、そうしてもっと通信衛星気象衛星その他に関して積極的な態度を政府はとるべきだということを強く要望して、質問を終わることにいたします。
  141. 秋田大助

    秋田小委員長 これにて参考人からの意見聴取を終わります。  参考人各位に一言御礼申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重なる御意見を伺い、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  この際、小委員会を暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――    午後零時四十八分開議
  142. 秋田大助

    秋田小委員長 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  当小委員会におきましては、二月一日に設置せられまして以来、今日に至りますまで六回にわたり会議を開きまして、主としてFM放送の実施に関する諸問題につき検討を進めて参りましたが、この際、現在までの検討によって得られました小委員会意見の大要を取りまとめて、結論として小委員長より本委員会に報告することにいたしたいと存じます。  報告の内容は、FM放送の実施を中心にしておりますが、関連して、その他の放送に関する基本問題にも及んでおります。  それでは報告案の内容を読み上げます。  (一)標準放送、FM放送それぞれの特質および標準放送に対する外国混信増加の状況等にかんがみ、FM放送受信機の普及した遠い将来におけるわが国のラジオ放送は、主としてFM放送によることが予想されるが、標準放送はその特質に応じ、これと併行的に使用され、中波放送とFM放送との併立時代が相当長期にわたって、継続するものと判断される。FM放送実施に関する諸政策はかかる判断の上にたって、状勢の推移に適応するよう段階的に策定せられるべきである。  (二)一般放送事業は、原則として都道府県を単位とする地域社会を存立の基礎とすべきものであって、現在数県にまたがる広域放送の行われている区域内においても、中波、超短波を通じ、周波数の許す限り、併行的に、都道府県単位の地域放送局の設置について考慮すべきである。  (三)ラジオの新媒体として、国民がFM放送に期待するものは、既往の中波放送と同質のものを増加することではなく、FM放送の特質を活かした放送である。よってFM放送の実施に当っては、この点に充分留意すべきである。  (四)放送はマスコミ・メディアとして、きわめて有力な機能をもつものである。従って、これを支配する態様如何によっては、いわゆるマスコミ独占の弊害が生ずることも考えられるので、慎重に対処すべきである。また一の地域における放送手段の独占を排除するため、NHKは別として、一地域に周波数の許す限り複数の民間放送局を設けることが望ましい。FM放送の実施階段においては、この点に格別の注意を要するものと認められる。  (五)放送は社会的に重大な影響力をもつものであることにかんがみ、放送番組全般の質的向上、特に教育、教養番組の充実をはかることが必要である。よって、一般放送事業については、現在の教育専門 局、準教育局、総合局の区別を廃し、教育および教養番組に、それぞれ少くとも全放送時間の二〇%および三〇%を充てるよう規制すべきである。    ただし、学校等による学校教育局および教育放送番組を主とする特別の放送局の設置については、企業体、資金関係等について充分考慮すべきである。  (六)放送法に規定された放送番組審議機関は、一層その自主的機能を発揮し、世論の要請に応えるよう運営すべきである。  以上の通りでございますが、これを本委員会に報告することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 秋田大助

    秋田小委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  つきましては、本日の委員会におきまして、私から本件に関する小委員会における審議の経過と、ただいま御決定の一応の結論を報告し、委員会においてしかるべく措置を講じられるようにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 秋田大助

    秋田小委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会