運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-15 第40回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 佐藤虎次郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 廣瀬 正雄君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       椎熊 三郎君    竹内 俊吉君       羽田武嗣郎君   橋本登美三郎君       藤田 義光君    森山 欽司君       佐々木更三君    畑   和君       原   茂君    八百板 正君       安平 鹿一君    受田 新吉君       谷口善太郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         郵政政務次官  大高  康君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     阿部真之助君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田邊 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     春日 由三君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十五日  委員中山榮一辞任につき、その補欠として藤  田義光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員藤田義光辞任につき、その補欠として中  山榮一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十四日  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用範囲拡  大等に関する請願外三件(増田甲子七君紹介)  (第二三三〇号)  同(今松治郎紹介)(第二四七五号)  同外一件(唐澤俊樹紹介)(第二四九四号)  同(藤本捨助君紹介)(第二六四六号)  同外一件(菅太郎紹介)(第二七一〇号)  同(八木徹雄紹介)(第二七一一号)  簡易郵便局法の改正に関する請願早稻田柳右  エ門紹介)(第二三三一号)  同(二階堂進紹介)(第二五一〇号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二六四五号)  基地周辺住民に対するラジオテレビ受信料  減免に関する請願早稻田柳右エ門紹介)(第  二三三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会  の承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題として、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを順次許します。谷口善太郎君。
  3. 谷口善太郎

    谷口委員 もうすでにいろんな点を同僚議員からお聞きになったんで、あまり聞くところはないような状態ですけれども、私自身も、若干の問題でNHK当局並びに郵政大臣にお尋ねしたいことがあるのですが、最初に、やはり料金問題を一つ、どうも納得いかないので、開きたいと思います。  今度の新しい料金体制で、NHK放送を聞く人を総括的に甲契約といって統一されたようでありまして、この点自身一つやり方だと思うのです。しかし、一方にラジオだけを聞く乙という契約を認めていられる以上、テレビだけを聞くという面もやはり認められるのが道理のあることじゃないかというように思っておるのです。この点がよくわからないのですが、どうしてテレビだけの契約を考えるという、そういう点が落とされたのか、それを一つ聞かしてもらいたい。
  4. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。受信料の設定にあたりましては、これの負担が公平であることが非常に重要な問題であろうと思います。そういった面を非常に重視いたしまして、料金自体が普遍的に妥当であり、また個々具体的に妥当であれば、これは一〇〇%完璧なものであろうと思いますが、そのようなことを百パーセント実現することは、なかなか困難な点があろうと思います。しかし、大勢から申しますと、テレビを持っておられる向きは、ラジオを同時に持っておられます。これが実態のように見受けられます。これは、ラジオ普及台数等から見ましても、そういう推定をいたし得るわけでありますが、そのような実情につきまして、在米テレビラジオを別々に契約していただき、料金をいただいておったわけでありますが、これを一体にいたしまして、三百八十五円から五十五円を引いた三十円にいたそう、ラジオだけのものについては、それ相応な料金として、在米の八十五円料金を五千円にしようということでございまして、おおよそはこれで普遍的な妥当性を確保し得ると同時に、具体的にも妥当であろうと思うわけでございますが、これは数がどのくらいありますか、正確には算定困難でございますが、テレビだけで、ラジオほんとうに持っておらない、こういう向きが皆無ではないと思いますけれども、非常にごく少ない数であろうと推定されます。そのような向きに対しましては、これは具体的妥当を欠くではないか、こういうようなことを申されますことは、これはあろうと思います。しかしながら、そのような面を個々に完全に具体的妥当をはかり得るような状態料金やり方を持って参りますと、これが現在の大きな悩みで、そのような措置をとらざるを得ない大きな理由であったわけでありますが、ほんとうに所在を調査し得る権能も、また、そのような実際の具体的方法もございませんので、勢いそこに料金負担の公正を欠く面が起きておりまして、受信者の方々から、この負担の公正を欠く面を非常に追及をされ、非難されて参ったわけであります。これを解決いたしますためにとりましたのが今回の措置でございまして、以上のような理由から、改定を甲乙に分け、三百三十円、五十円の両建を設定しようという結論に至ったわけでございます。
  5. 谷口善太郎

    谷口委員 テレビを持っておるものは大体ラジオを持っているという推定でなさるということは、ラジオを持たないものがいるということも認めていられるのだろうと思います。また、事実私どもの身辺などに、特に若い人たちなどは、テレビから入りまして——一応年とっているものはラジオから入って、そしてテレビということになったのですけれどもラジオなどは、初めからおかしくてというので、テレビだけというものがかなりあります。これは調べることができないとかなんとかいうことでおっしゃっているようでありますけれども、事実テレビだけのものがあるということになってきますと、それがラジオも聞いているという推定でやられるとしますと、私は非常に不合理だと思うのですが、その点どうです。
  6. 小野吉郎

    小野参考人 先ほどお答えを申し上げました通り、そのような例が皆無とは申し得ないと思います。しかし、それではテレビだけのものが幾つあるかということも、これはなかなか調査困難でございます。おおよその大勢は、両方を持っておられる。このような事実につきまして、諸外国におきましても、今回NHKにおいてきめようというような体系である両建をもって実行をいたしておるようでございますので、そういうことで、大局から見まして、具体的妥当も一〇〇%ではございませんが、到達し得る。また、普遍妥当は、これで十分に御承認を得るものというように考えておるわけでございます。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 関連して。今の料金策定の根本の問題は、あなたの御答弁のようなことでも説明はつくと思うのですけれども、私は、もっと一皮むいて、料金改定の基礎を考えておかなければ紛淆を来たすおそれがある、こう思うのでお尋ねいたしますが、それは実態は、あなたが言われるように、また谷口君が言われるような状態も部分的に認めなければならぬのです。しかし、そういう実情に即した改定というよりも、新しい観点に立った改定なんだ。それはなぜかというと、テレビラジオワンセットとして契約するんですね。ワンセット。これを二つとも見たい人は、二つとも見て下さい。一つはちょっとやめたいというのは、それは御自由です。けれどもワンセット契約が前提になる、こういうふうに私どもは解釈しておるのですけれども、どうもあなたの御答弁を聞いてみますと、実情を重視し過ぎているような、それでかえって答弁紛淆を来たすような気がしますので、そういう感覚なのか。実情はそうだが、実情を無視して無理にそういう契約をさせているのか。私は、それではなくて、やはりワンセット契約テレビラジオワンセットとしての契約、それは二つとも見てようございますし、ときには一つでも御自由でございますよというのが重点じゃないのですか。私はそういうように解釈しておりましたが、大事な点ですから一つ……。
  8. 小野吉郎

    小野参考人 いろいろ言葉の足らぬ点もございました。私は、現在の実情のみに固着したような御答弁をいたして申しわけないことをしたわけでございますけれども、今回の画期的な料金体系改定につきましては、上林先生指摘通り、これは非常に将来にわたっての基本問題でございまして、将来ラジオ放送関係につきましても、これは大いに利用していただきたい。こういうようなこともあわせ考え、一体といたしまして、将来放送のいろいろなものが出て参りましても、これを一体として見てもらう、その部分しかある種の事情によって当座は受けられない、こういうものとに分けて体系づける、こういうことが基本でございます。
  9. 谷口善太郎

    谷口委員 上林山さん、あなた応援団もやるらしいが、しかし、その応援団は、あまりいい理屈じゃない。ワンセット、いいですよ。これからFMも出てきますし、ワンセットいいと思うんだが、それはワンセットで聞く場合です。ところが、一方に、そうじゃなくて、ラジオだけ聞くという人も認めているのでしょう。それからあなたがおっしゃる通りに、テレビだけのものもある。皆無と言わぬ、こうおっしゃっている。もしラジオを持たないで、テレビだけ持っているものもワンセットでやるということになりますと、放送法から変えていかなければならぬでしょう。三十二条では、放送を聞く機械を持っているということが条件になっております。テレビ以外は持っていないものに、ラジオを持っているというような料金をかけるのは、これは放送法から変えていかなければならないでしょう。その点どうです。これは私は大臣から聞きたいのですが、三十二条からいっても、その設備をしてない。それにワンセットと称してラジオ料金を含めた料金を取るということは、これは法律違反じゃないですか。
  10. 西崎太郎

    西崎政府委員 今御指摘放送法第三十二条第一項によりまする「協会放送を受信することのできる受信設備」というのは、これはテレビとかラジオとかきめておらないのでございまして、どちらでもこの受信設備になるわけでございます。それの契約体系をどうするか、また契約条項をどうするかということは、それに基づきまして、NHK受信規約の方で契約の単位をきめる、こういう建前になっておりますので、放送法上は一向差しつかえない、こういうふうに考えております。
  11. 谷口善太郎

    谷口委員 それなら、なぜラジオだけのものを認めますか。これがラジオとかテレビとかいう規定じゃないんだと言って、テレビだけ持っていても、ラジオを含めるということになってくると、ラジオだって、テレビを含めるということになるんじゃないですか。そういう言い方はインチキだと私は思うのです。現に設備を持っていないのですよ。だから、そういう意味では、テレビ料金を上げるのですか。そこのところをはっきりすべきです。そうしないと、一方でラジオという単独のものを認めているわけです。それなら、総合的に見ないで、テレビだけ見るというものを、これはやはり制度として認めなければならぬということは当然じゃないですか。そこのところはインチキでやっているとしか国民には受け取れないような今の体制であって、今のおっしゃり方では説明がつかぬですよ。その点、やはりはっきりすべきだと思うのです。
  12. 小野吉郎

    小野参考人 端的に申し上げますと、今回の料金改定は、料金値上げの部面は導入しておりません。と同時に、放送の発展の過程から申しますと、ラジオから進みまして漸次テレビにいく、こういう歩みを諸外国ともとっておるわけであります。日本の場合も、まさにその通りでございます。まずラジオセットを持って、漸次それにつれてテレビを持つというようになるのが、一つ放送受信の姿であろうと思います。そういうような面で、ラジオ単独のものは現実にございますし、また把握もできるわけでございます。そのような面に相当する体系一つ設けておりますが、テレビの面につきましては、先ほども申し上げましたように、現在並びに将来にわたります一つ放送受信状態としましては、これを一括して受けていただくという一つの要望がありますと同時に、他面には、おおよそテレビを持っておられるものはラジオも持っておられるというような現実に着目をいたしまして、そのような料金体系及び料額をきめたわけでございます。
  13. 谷口善太郎

    谷口委員 それでも納得できないのは、やはり三十二条による契約というのは、一般的傾向NHK契約されるのじゃないですよ。個々聴視者との契約でしょう。そうじゃないですか。一般的傾向がこうだから、だからこうだということで契約をきめるわけにいかぬじゃないですか。何のだれそれという家と、そこの設備がどうだからという契約でしょう。持っていないものがあるとすると、これは契約のしようがないじゃないですか。それは一般的な傾向がこうだからといって、それでもってさっと軒並みにやってしまうということは、個々聴視者からいったら、納得ができないですよ。私自身納得できませんよ。これは機械二つ備えた場合には、放送法にちゃんときめておりますから、契約する義務がありますが、一方はない。なかったら、なぜ契約するのですか。契約をする必要はないですよ。契約というのは、一般的な傾向との契約ではなしに、個人との契約でしょう。そういうことをおっしゃっても、国民納得できませんよ。どうですか。
  14. 小野吉郎

    小野参考人 放送法三十二条の規定につきましては、ラジオテレビを分けて、これに対して厳密に個々にどうこうということは、明示してございません。受信し得る放送設備となっておりまして、これはどのように契約をいたしますかは、聴視実態に沿い得るような方法をとるわけでございまして、それが放送法三十二条に違反でない限りにおいては、受信者にも便宜であり、また聴視実態にも即し、事務の手続上からいっても簡素であるような、いろいろな面の最善を貫かれるような契約やり方をすればいいというように考えております。
  15. 谷口善太郎

    谷口委員 立ち入りができないとか、調査ができない、そういうことから、現実機械を備えつけていないというもの、それと契約する場合に、おれは実態調査ができないから、お前は持っていると認める、そんな契約がありますか。そんなことがもし許されれば、とんでもないことになりますよ(「包括的にやっているんだよ」と呼ぶ者あり)包括的にやることはいいと思いますよ。テレビを持っているもの、ラジオを持っているものを包括的にやる、そういう契約は、私はしてもいいと思いますが、しかし、持たないものをどうするか。一方にラジオでは認めているのに、なぜテレビでは認めないのですか。
  16. 小野吉郎

    小野参考人 現実事情から申しましても、ある特定の一時期について、ごく短時日でございますが、故障してラジオを今持っておらないというような面ができることは、現実にございます。しかし、いずれは、長い目で見ますと、両方持たれると思いますので、そういった状態に着目しまして、今回の体系別契約は可能である、かように考えております。
  17. 谷口善太郎

    谷口委員 私は、テレビを持っていて、ラジオを持たぬ、だから、放送法三十二条によってテレビ契約はするが、ラジオ契約はせぬということの訴訟を起こしますが、こういうことであなたはそのときに対抗できますか。今の法律からいって、大臣、どうですか。
  18. 迫水久常

    迫水国務大臣 この三十二条は、さっきから言っているように、ラジオラジオテレビテレビという別個の契約をしろと書いてないので、契約体系をどうするかということは、NHKの別ななにによるというのですから、私は、かりに訴訟を起こされても、十分対抗はできると思っております。
  19. 谷口善太郎

    谷口委員 こういうインチキは、国民納得しないと思いますよ。一般的傾向がそうだからといって、だれもかれもラジオテレビを持っているというような建前の上に立って料金体系をきめるということは、何といったって世間が承知しません。テレビを持っている者はテレビラジオを持っている者はラジオ——ラジオの方は認めているんだから、両方持っているものは両方ですよ。そういう意味で包括的に契約するという制度を設けられることは、私は一つ方法だと思う。最初に言った通りです。同時に、やはりこういうむちゃなことを言わないで、はっきり実情に沿うたやり方でやっていけば、国民だってこれは当然納得しますが、こういうやり方だったら納得しません。ラジオを持たない者からいったら、三百円が三百三十円になるのだから、値上げですよ。これはやはりどうあっても、テレビ料金というものを一方に認めなければいかぬ。この点はやはりここではっきりさせておいてもらいたいと思うが、どうです。
  20. 小野吉郎

    小野参考人 理論的に申しますと、先生の申されることよくわかります。その通りであろうと思います。理論上最も合理的な線であろうと思うのでございますが、現実におきましては、在来その辺に非常な悩みがあり、受信者からも非常な不平があるわけでございますが、NHKが実際にこれを調査する権能と手段を持ちません関係上、料金負担の公正を欠く面が随所に出ておるわけであります。こういった面に対する非難が、受信者自体の方から、両方を満足に払っておられる向きから、非常にけしからぬ、同じように持っておって、NHK立ち入り調査権がないから、ないと言えばそれで済むのだということで低い料金で免れておる者がある。これは非常に納得がいかないので、そういう面は公平にやってもらいたい。そうでないと、受信料を納める根拠自体について非常に納得できかねることになる。ひいては現在とっております受信料制度の根底をくつがえす危険を持つ問題に発展しかねないのでありまして、そういう面で、最初に申し上げましたように、普遍妥当を貫きまして、これを最善に貫ける最大公約数は今回のこれではなかろうかというように考えておるわけでございます。
  21. 谷口善太郎

    谷口委員 時間が非常に制限されていますから、一つの問題でとどまっているわけにいきませんけれども、一般的に公平を期してくれという声があるとおっしゃるが、その場合は、テレビラジオを持っている人で払ってない人があるからという、払っている人々からの声だろうと思うのです。しかし、それは別な問題です。現にテレビだけしかもっていないという者があるとすれば、一般的にこういう声があるから、またそういうふうに両方持っていて、しかもテレビだけしか料金を払ってない者がおるから、だからお前はラジオを持たないけれども両方持っているとして料金を取るんだというような制度を作られたのではかなわぬです。そんなことをやったら、だれも納得しません。NHKともあろうものが、そういうむちゃな制度をなぜ作らなければならぬのです。そこのところをやはりはっきりさせておかないと、NHKは、こういうごまかしでもって、料金を払う必要のない者から不当に取るという制度を作って押しつけているということの非難は免れません。ここのところは、やはりはっきりさせていくべきだと思うのです。第一、NHKはあなた、非常に大きなもうけをしているわけだ。きのうも問題になっておりましたが、たとえば、料金から建設資金に三十億繰り入れているということが問題になっておるでしょう。それほどもうけている。だから、去年からも問題になっておりますが、私は、ここでもうラジオ料金なんというものは、どんどん減っていくんだから、はっきりやめてしまってもいいんじゃないかと思う。むしろ、ラジオから金は取らぬ、これは無料にしてしまうというような踏み切り方をこの際すべきじゃないか、その方がもっとはっきりするんじゃないかというように思います。ラジオから出ている料金は、ちょっと計算しますと、大体ことしは、年初めと年度末との平均をとりますと、約五百万くらいであると思いますが、五十円にしましたら、三十億じゃないですか。料金から建設資金に出していくというようなやり方非難されるよりも、むしろラジオ料金なんかこの際全廃するというような踏み切り方を、NHKはすべきだと思う。ましてこういうふうなやり方でもって——一つインチキですな、こういう国民納得できないようなやり方でもって、いわゆる包括的な料金という項目をこしらえて、無理に金を取っていくということだったら、これはとんでもないことだと私は思うのです。この点はやはり考えてもらいたいと思うのです。  先へ進みます。これは阿部先生に伺いたいのですが、私、昨年のNHKの予算の審議のときにも触れたのでありますが、NHK政治的中立公平性の問題で、昨年三党首会談のことで伺ったことがあります。あのときに、ああいうやり方は不公平であって、法の建前からいいましても、NHKの性格からいいましても、やはり正しくないじゃないかということを申し上げておきましたが、依然としてあの態度が直ってないようでありますので、ことしもまたこの点に触れないわけにはいかないのです。特に参議院選挙が近いのですが、こういう状況の中でNHK中立性の原則を貫く上で、今度の選挙の中で、去年のような共産党を排除するような態度を相変わらずおとりになるのかどうか。これは改めてもらえるかどうかという点を一つ伺いたい。
  22. 阿部真之助

    阿部参考人 NHKは、常に政治的には大へん普遍、公平な態度を堅持しているつもりでありまして、将来においても、過去においても、私どもはこの方針は堅持して参りたいと考えております。昨年のあの場合においても、われわれ必ずしも公正、妥当を欠いたとは思っておりませんが、しかしながら、個々の場合においては、その立場々々においていろいろの非難があることは事実なので、現に自民党あたりからも、絶えずそういうようなことは聞いております。社会党からも聞いております。しかしながら、われわれは不公正なるがために、それを目的に不公正であったことはかつてなかったし、将来もありようはないので、それぞれの立場においては、一つの問題ですから、立場が違えばそういうふうに見える場合もあるが、私自身、またNHK自体とすれば、さような偏向するような態度をとろうとしてはおりません、とったこともないだろう、私はかように存じております。
  23. 谷口善太郎

    谷口委員 そうしますと、昨年の三党首会談の申し合わせで、またああいう討論会をやるというふうに言っておられるようですが、今度の選挙を機会に、ああいうテレビ討論会なんかが行なわれる場合に、共産党も参加させますか。
  24. 阿部真之助

    阿部参考人 それは、そのときの番組の立て方でどうなりますか、あるいは共産党の皆さんに進んで参加していただくこともありましょうが、それはそういう個々の具体的な番組を編成する問題が起きた場合にそういうことになるのでありまして、共産党を参加させるとかさせないとか、どの党を参加させるとか参加させないとかいうことを、今ここで申し上げることはできません。しかしながら、精神は常に公平な立場をとっておる、こう考えております。
  25. 谷口善太郎

    谷口委員 そのときの番組事情によるとおっしゃいますけれども、去年の場合はどうだったのですか。去年の場合は、私ども参加させてくれということを申し入れをしましたが、これは遂にNHKから拒否されております。ああいう場合の例で言えば、どういうことになりますか。
  26. 阿部真之助

    阿部参考人 手前どもといたしますれば、去年の場合にも、必ずしも不公平であったとは考えておりません。しかしながら、谷口先生のおっしゃるような、そういうふうな考え方もありますから、個々の場合には十分考えて、そういうふうな御意見のあることも考慮に入れて、将来番組を編成したい、かように考えております。
  27. 谷口善太郎

    谷口委員 去年私このことを伺ったときに、あなた方の方からこういう御答弁があったのです。あれは社会党や自民党などが集まってああいう計画をしたのであって、この人たちが計画したものを受け入れたのであるから、社会党や自民党や、あれを計画された方々の方で共産党を入れてくれと言っておらぬから、だからNHKとしてもどうにもできなかったのだというふうに御答弁をなさったと思うのですが、やはりそうだったのですか。
  28. 前田義徳

    ○前田参考人 お答え申し上げます。  NHK番組の編成方針は、これも放送法規定されておるのですが、NHKは自主的に編成せよということが、大前提になっております。その中で、政治に関係するもの、特に公職選挙法と関連のあるものは、公平な形をとるべきであるということは、私ども先生の御指摘通りだと思います。昨年の答弁は、私はここにおらなかったと考えておりますが、この答弁意味先生のとり方によってそのような疑問を生じたかもしまれせんけれども選挙そのものに関係する、公職選挙法に基づくあらゆる番組は、すべて共産党の方にも入っていただくことを建前といたしております。しかし、公職選挙法と関係のない一般番組の一部としての政治討論会その他については、私どもが自主的に番組編成の基本を定めるわけでございまして、それについて共産党とそれほど関係のないという問題については、その建前から、共産党の方には入っていただかないこともあるわけでございます。従って、去年の三党首会談は、おそらく私どもの決定では、公職選挙法そのものと直結する問題ではなくて、一般社会番組、政治番組一つとしてNHKが取り上げたものと確信いたしております。
  29. 谷口善太郎

    谷口委員 あなたの御答弁、私もそうであるべきだと思うのです。他の政党が計画したから、その計画に基づいてやるということはないのであって、NHKの方で番組編成上の自主性で判断してなさっておることも、これは法にきめてある通り、そうであるべきだと私は思う。その場合、たとえば去年のテレビ会談の場合で申しますと、共産党にあまり関係はない、こういうふうに思われたのですか。
  30. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもはそういう判断をいたしました。
  31. 谷口善太郎

    谷口委員 もってのほかでありまして、これはあなたも法律のことをおっしゃったから御存じだと思うのですけれども、特に去年のテレビ会談での中心課題は、中立問題だったと思うのです。これに対して、共産党の意見は、この三党とも違った見解を持っている。違った見解があればあるほど、一そうこれを反映させなければならぬということを、法律規定しています。これは御存じでしょう。それだけに、あらゆる違ったものを公平にそこへ反映するようにしなければならぬと書いてある。関係のないどころじゃありませんよ。むしろ大関係があります。番組編成の上からいいまして、原則として、意見の違っておるものは一そう出していかなければならぬという規定がある。関係がないといって排除することはないでしょう。  そこで私は伺いますが、こういう場合のあなた方の基準は、何かあるのですか。どういう基準を持っていらっしゃるのでしょうか。こういうたとえば政治討論会をやる、その場台に、どことどこまで集めるということについての基準は何ですか。
  32. 前田義徳

    ○前田参考人 立場によってそういうお考えになる場合は、各方面でおありのことと存じます。そういう意味で、谷口先生のお立場からそのような疑問が出てくることは、私たちも非常にはっきりと了解できます。ただ、番組というものは、御承知のように、限られた時間の中で、限られた編成方針で、その中で自主性を原則的にはっきり守って参りたいということを私どもは考えておりまして、去年の三党首会談の対象となった問題は、単に中立の問題だけではございません。また、共産党の中立主義については、特に討論会に参加しなくても、一般大衆がほぼ熟知しておることではないかというように考えまして、さらにはっきり申し上げますと、去年の三党首会談の主たる題目は、中立主義をどうするという問題ではございませんでして、そういう意味で、私どもは、当時三党首会談の目標が中立主義だけを取り上げておらず、また、中立主義そのものについての広範な討論の趣旨でもございませんので、共産党の幹部には入っていただかなかったわけでございます。
  33. 谷口善太郎

    谷口委員 去年の三党首会談を例にしたわけでありますけれども共産党と社会党、あるいは共産党や社会党と自民党というものの間には、あらゆる政策の面で違っております。社会党と共産党の間にはかなり共通のものはありますけれども、特に自民党とは、特に共産党は対立があり、意見が違っている。世間に熟知しているからというような言い方であるが、そういうもろもろの意見を持っている者を集めてこそ、初めて公平性が強いのでありまして、これを読みましょうか。こんなことをあなたに言うのは釈迦に説法ですけれども、第四十四条の三項にちゃんと書いてある。三項の二号には、政治的に公平であるということが義務づけられております。四号には、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするということが規定になっている。共産党——私は共産党員ですから共産党のことを言いますと、——さっき上林山さんは、そういう立場で何か言っておりましたけれども、私は、何も共産党立場から、共産党の利害を言っているのではない。これは放送法規定しておりますところの公共放送中立性、公平の問題であり、民主主義を守るという原則の問題であります。そういう点は、あなたのおっしゃる通り、そういう点で自主性を持っているし、それを守らなければならぬと義務づけられている。そういう立場からいえば、ああいう選挙の時期において、なるほど面接に公職選挙法に基づいた会合でなかったかもしれません、しかし選挙において国民の中で争うような政策の問題について、論議するような場合、最も現在の政府に対して対立しているところの共産党という一つの政党の意見をはっきり反映させるということが、あなた方の義務じゃないですか。そういう点から、どうして共産党をああいう場合に排除するかという、何か基準を持っていらっしゃると思うが、その点は何ですか。さっき上林山さんは、もっとたくさん当選してこいというようなことを言っておりましたか、そういう何か——あなた方の持っております基準は何ですか。
  34. 前田義徳

    ○前田参考人 先ほど来の公平性の問題は一般的な公平性の問題よりも、むしろ去年の三党首会談の問題に先生の御質問は集中されていたかと、私多少考え方が浅かったかと思いますが、三党首会談に関する限りは、先ほど申し上げましたように、単なる中立の問題だけでなしに、それよりもほかの問題があったわけでございまして、その限りにおきまして、私どもの判定といたしましては、必ずしも共産党の代表を必要としない、こう考えました。これは先ほど説明申し上げた通りであります。政治についての公平性を守るという義務は、最初会長からも申し上げましたように、私どもは完全にこれを守り抜いていくという決意を持っております。それでは、いろいろな政治問題についての議論が分かれた場合の公平性はいかに守るかという基準につきましては、これはある一つの瞬間の場面、ある一つ番組についても、もちろん私どもは十分その原則を守らなければなりませんが、幾つかの番組の中で、すべて意見の異なる問題を取り上げ、意見の異なる方の代表に出ていただくということを、総体的に考え複数で考えるというのが、私どもの基準でございます。
  35. 谷口善太郎

    谷口委員 去年の三党首会談のことを抜きにしましても、今後もあることなんです。特に私は、今度の参議院選挙を目ざして、必ずテレビ討論会などをおやりになると思う。私は、毎週とか毎月やっていらっしゃるような各党討論会というようなところに、全部共両党を出せとは言いません。これはあなた方のあれもあるだろうと思う。けれども、たとえば、例で言いますけれども、去年の三党首討論会のごとき選挙を目ざしての時期に、選挙国民の中心課題になるような問題が、各政党の代表者によって論じられるというようなときに共産党を入れぬということは、今あなたがおっしゃられるような理由では、われわれは納得できない。何かあなた方はそこに、共産党という政党  あるいは今後も小さい政党が出てくると思う。国会の中の勢力としては小さい政党が出てくると思いますが、そういうものを入れるとか入れぬとかいう基準を持っていられるに違いない。その基準は何ですか。そこのところを聞かしてもらいたい。
  36. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもはただいま申し上げましたように、私どもの基準は、番組の目標が何であるか、その番組の目標によって、われわれの政治的な公平を保ち得る措置を講ずるということが基準でございます。しかし、選挙に関する問題につきましては、公職選挙法及び関連法規、及びそれに関連するわれわれの社会的な責任というものを考えまして、公職選挙法に関連する一切の問題については、当然共産党の代表あるいは共産党の候補が、われわれの放送を通じて意見を述べて下さったと従来も考えておりますし、今後もその方針については、変更はございません。
  37. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 谷口さん、理事会で申し合わせの時間が参りましたけれども委員長としてあと七分ばかりやっていただきます。
  38. 谷口善太郎

    谷口委員 時間の制限を受けておりますから、一つことでもなかなか追及ができないわけですが、この問題をもう少し聞いておきます。と言いますのは、たとえばさっき上林山さんがちょっとおっしゃったように、国会の議席が少ないということ、小政党だ、従って、世論の上から見たら小さいものだという考え方でもしおやりになっていらっしゃると、私は正しくないと思う。もちろん、公職選挙法に基づくラジオテレビを利用する問題につきましては、これはちゃんと選挙法にきめてある。これはたとえば候補者の政見放送だとか経歴放送というものは、どこでも公平にやっている。これは当然です。しかし、私が言っておりますのはそうじゃなくて、特に選挙のような時期において、公職選挙法に基づかないけれども、一般的に政治活動としては各党の意見を十分に知悉させるというような問題で各党が集まる場合に、一つの政党がそこから排除されるということはあり得ない。もしそれが排除されるとすれば、何か理由があるだろう。または排除するかしないか、基準がなくちゃならぬ。あなたがなかなか言わないとすれば、私はこういう意見を持っております。国会の中の数から言えば、共産党はなるほど衆議院は三人しかおりませんから、三百人近い自民党から見たら、百分の一だ。そういう意味では非常に小さい。けれども選挙のときには、これは候補者数で考えなければいかぬだろう。候補者数の点につきましては、共産党は小政党じゃありません。特に党員数とかそういうことになってきたら、私は一番大きい政党だと思う。事実そうです。選挙を終えた結果じゃなくて、選挙をやるという時期においては、候補者数によって——、これは選挙法におきましても、候補者個人々々に、はがきにしろポスターにしろ、あるいは政党活動の宣伝車にしろ、そういう点はすべて候補者によってきめる。やはりここのところで考えなければならないのじゃないか。選挙法に基づいて放送を利用するという問題は、これは当然でありますけれども選挙法に基づかないにしましても、そういう時期における政治活動として、NHKが適当に各党の意見をまとめる、あるいは聞くというようなことをおやりになるときには、当然そこには選挙において大きく戦っている各党を全部網羅すべきであろうというふうに、私どもは思うのです。そこに基準があるべきだと思うのです。そういう点を御承認得られませんか。
  39. 前田義徳

    ○前田参考人 先ほどから申し上げましたように、選挙そのものに関連する問題については、もちろん、私どもといたしましては、先生の御意見通りにこれまでもやって参りましたし、今後もやって参るつもりでございます。しかし、その他の番組の編成については、法律によってわれわれが自主権を守ることになっておりますが、と申しても、共産党を除外する方向で自主権を守るということを申し上げておるのではございませんで、共産党の代表に出ていただかなければならない問題については、これまでも出ていただいたと思いますが、今後も出ていただくつもりでございます。
  40. 谷口善太郎

    谷口委員 そうなのです。終戦後は、共産党も加わっておやりになった。それが途中からくずれておやりになっている。政党討論会にも、選挙の時期におけるようなああいうときにも、共産党を一度も入れてないのです。公職選挙に基づくのは、今申しました通りに、政見放送も、経歴放送も、NHKもやっておりますし、民放もやっております。けれどもそうでないああいう政治討論会には、共産党を一度も入れていないのです。いつもそうですか。いつも必要はないのですか。そうではないのでしょう。そういうことはあり得ません。特に当面の政治問題について各党が意見を発表するという、そういう討論会に、一つの政党を入れない。事実ずっと入れてないんだから、これはやはり正しくないのだろう。私は聞きますが、今度の選挙に際しまして各党の討論会をやりますか。やる計画はありますか。ある場合に、共産党をどうします。
  41. 前田義徳

    ○前田参考人 選挙運動の確定と同時に、そういう企画をする場合には、共産党の方にも出ていただくことになると思いますが、選挙と直接関係のない問題については、仮定的な御質問と思いますが、私どもといたしましては、今のところ確実な計画はいたしておりませんし、かりに計画ができた場合でも、各党すべてに入っていただくかどうかは、その問題点が何であるかによって、私ども自由的に判断させていただきたい。先ほどから申し上げた通り立場を続けたい、こう考えております。
  42. 谷口善太郎

    谷口委員 あなたは、こういう点をどうお考えになりますか。去年の九月に、これは民放のことですが、福岡の九州朝日放送が、参議院選挙の準備状況についてテレビ放送をしています。このとき、どういう理由があったか、共産党を特に無視した。これは、私どもの方で、共産党の利害という立場からじゃなくて、さっき申しました通りに、放送の原則からいってやり方が正しくなかろうというので、申し入れしました。朝日放送の方は、これはそうだった、確かに放送法の原則からいって正しくなかった。他意があったわけじゃないが、こういうことになったのは間違いだったからというので、直ちに訂正してやり直しました。これは私は正しいと思う。去年の例で言いますと、三党首会談の場合も、選挙という時期に、当面の政治問題について各党の意見をそこで討論させるという場なんです。ここに共産党を入れていないのです。これはあなた方の自主的な判断によってなさっているという理由の中で、明らかに一つの政党を排除しておる。自主性でやるということは、法律できめてある公平性を貫くということなんです。この自主性ということを大きくやかましく言っておりますのは、権力や外部の圧迫によって自主性が曲げられるのじゃなくて、この原則を貫くということについての自主性の責任があなた方にある。それをあなた方はやっていないのです。これを変える気があるかどうかを私は聞いているのです。
  43. 前田義徳

    ○前田参考人 九州朝日の問題については、私どもの関せざるところでございますので、実情も存じ上げませんし、それについて意見を申し上げる筋合いではないと考えます。  ただ、去年の三党首会談については、われわれはあの三党が必要であるという判断をした。これは選挙放送ではないものでございまして、その際、共産党の各支部を通じて、本部はもちろんのことですが、提訴された事実もございますが、私ども建前から申しまして、この提訴についても、検察当局その他も私ども建前を了解してくれたという事実もございまして、その点に関する限り、私どもが政治的公平性を失ったとは考えておりません。
  44. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 あと一分ですから、御承知願います。すでに七分超過しております。
  45. 谷口善太郎

    谷口委員 一分ではどうにも仕方がないのですが、政治的中立性とか公平性という問題は、あなたのおっしゃるように、検察庁がこう言ったとか、自民党がこう言ったとかいうことによってきまるのじゃないのでありまして、私どもは、あれには提訴しました。しかし、うやむやです。そのときに、また、NHKに申し入れましたら、NHKはこう言ったのです。これはうちの方で企画したのじゃない。他の政党が企画したのだ、だから、他の政党に行って言ってくれ。そこでまた他の政党に行って申し上げました。事情はそういうことです。こういうもろもろの事情がありますけれども、あればあるだけ、NHKとしては、法律に基づいて、ここにいわれている通り、いろいろな意見をそこに反映するような公平性政治的中立を守る義務があるわけです。これをやってもらいたい。私は、阿部先生会長をしていらっしゃるのですから、こんなことはわかり切っていらっしゃると思うのです。検察庁がこう言った、政府がこう言った、大きな政党がこう言ったということで、あなた方が自主性の名に隠れてこういうことをやってきたことが、あの戦争の大きな被害になり、戦争の中で果たしたNHKの反動的な役割になっておると思う。こういうことを再びやってはならぬということが、われわれの主張です。  私は、たくさん質問を用意してきましたが、時間がないからこれでやめますが、少なくとも来たるべき選挙のときにおきましては、公職選挙法に基づく選挙活動は当然なことです。これは問題はありませんよ。やらなんだら、あなたは法律違反になります。そうじゃなくて、放送法に書かれておる趣旨に従って、この原則を貫くために、特に阿部先年を会長にいただくNHKこそ、公共放送建前からいって、政治的中立性、公平性を貫くべきだ。検察庁がどう言おうと、そういう立場から——共産党もそうですし、また他の政党もあります。自民党は今三百人おりますけれども、将来これが三人になるかもしれません。そういう場合だって、当然入れなければならない。この点を貫くべきだと思うのです。この点、最後に聞いておきます。この点貫いてもらえますか。
  46. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもは、従来から政治的公平性を守るために、特に民主主義を守ってこれを強化育成するために、私どもは重大な責任を与えられておるということは、自覚いたしております。今後も、その原則は、私ども、ちょっと表現が誇大になるかもしれませんが、全力を注いでその方向に参りたいと考えております。
  47. 谷口善太郎

    谷口委員 もうやめますか、今後、選挙に向けて各党首会談あるいは討論会をやるというような時期には、それが政治問題について、当面の諸政策についての論議である場合には、当然共産党の代表もそこに参加させるということを、ここではっきり御確認願いたいと思いますが、その点どうですか。
  48. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもが各党を網羅する必要があると考えた場合には、そのような結果になるかと考えます。
  49. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 次に森本靖君。
  50. 森本靖

    ○森本委員 私は、まず最初会長にお聞きしたいと思いますが、御承知の通り、現在政府が提案をいたしております郵政省設置法の一部改正の中で、放送法並びに電波法その他に関して審議をする審議会の設置のことが提案せられておるわけでありますが、わが党はこれについては反対をいたしておりますので、場合によってはこれは通らないかもわかりませんが、しかし、一応政府は政府なりに、ああいうふうな法律案を提案をいたしまして、そうして将来の放送法、電波法の問題について検討しようというかまえを示しております。この法律案がどうなるかは、まだこの国会においては予測が立ちませんけれども、一応従来の大臣答弁によりましても、政府としては、現在放送法並びに電波法については検討すべき段階にある、そこで、そういう問題については一応各界の意見を聞いて、そうして審議会で十分にやってもらいたい、こういう趣旨をしばしば答弁をせられておるわけであります。そこで一番関係が深いのは、何といたしましてもNHKと民放であります。特に現在の放送法については、これはほとんど日本放送協会法といっても過言ではないように、放送法のほとんど全部がNHKの問題に触れておるわけであります。そこで放送法の改正、あるいはこれをどうするかということになりますと、NHKとして非常に大きな問題になってくるわけでありますが、NHKNHKなりの考え方、また将来にわたる希望、そういうものをいろいろ持っておると私は思いますが、こういう点について、政府が提案をし、さらに用意いたしておりますこういう方向に対して、NHKとしてはどういうふうな準備態勢をしようと考えておられるのか、その点について会長からお聞きしたいと思います。
  51. 阿部真之助

    阿部参考人 私も、政府が放送法改正の準備をされておるということは承知いたしております。それではこれについてNHKはどう考えるかという問題でありますが、まだどうも話が具体的になっておらないようであります。どういうふうな改正、どういう方向に向かうかということも私承知しておりませんので、今ここで私の考えを申し述べることは必ずしも適切でないと考えます。しかしながら、改正する場合においては、NHKNHK立場がありますから、その点は十分政府に了解していただいてやっていこう、かように考えておるだけのことでございます。
  52. 森本靖

    ○森本委員 今の会長の御答弁では、準備とかそういう点についておくれをとるのではないかというふうに考えられるわけであります。と申しますのは、政府は、そういうことで今後十分にこの問題と取り組んでいこうということになっておるわけでありますが、たまたま、たとえばFM放送等については、NHKとしてはFM放送についての非常な研究と、さらに今後のNHKのあり方というものについて、これと歩調を合わせて非常に検討いたしておったわけであります。だから、今日のFM放送調査会よりも先を越して、NHKとしては一つの結論と方向を見出しておるという形になっておるわけであります。それでNHKだけの機構そのもののあり方から、根本的に一応の検討をしようという段階において、NHKとしてもやはりそれに即応いたしまして、現在の段階において法律がどういう方向になり、NHKのいわゆ財政のあり方、あるいはまたそういう受信料の問題、こういうような問題についてもいかようにした方がいいかということを、NHKNHK自身自主的に検討して、こういう方面に早くから反映できる方向にしておく方が、私はNHKにとっても非常に望ましいと考えるべき問題ではないか、こういうように考えます。今の会長答弁を聞いておりますと、まあ審議会ができて、審議をし始めて、NHKの問題に触れてきた場合に、NHKとしてはそれに対応してやろう、こういう御意見であったと思いますけれども、私が言っておりますのは、そういうときになってやるということになりますと、政治的にも時期おくれになるだろう。またあわてなければならぬ段階になります。だから、私は、対外的に発表する必要は一つもないと思う。しかし、NHKNHKとして、内部で自主的に、もし改正をするならこういう方向に改正してもらいたい、こういうふうなあり方にしてもらいたい、こういうことは、私は、協会協会自身自主的に検討しておる方が、手おくれにならずに、また協会自身のためにもなるだろうと思う。そういう準備を今から、会長としては腹がまえとしてしておく必要があるではないか。その内容の善悪、また内容はどうなる、こうなるということを、私は聞いておるわけではありません。
  53. 阿部真之助

    阿部参考人 大へん御親切な御忠告で、ありがとうございます。  実はNHKでも、もう昨年というよりも、年じゅう、放送法の専門家の間で、こういう問題については研究をしております。と同時に、御承知のことと思いますが、これは民放でも関係があることなので、民放と一緒になって放送法に対する調査会をこしらえまして、それで放送界全体に通ずる意見も、われわれはまとめて持っていたい。それで、近く民放とNHKとの連合体のようなものも発足することになっております。そういう点について、われわれぼんやりしておるわけではありませんから、どうぞ御安心——というわけにはいかぬかもしれませんが、さように御承知を願います。
  54. 森本靖

    ○森本委員 今の答弁でまだ安心をするわけにはいきませんけれども、最後の段階になってNHKがあわててどうこうということではなしに、今から準備をしていった方がよかろう。民放は民放なりに、また、民放とNHKが合同して会議をする場合には、放送連合という一つの機関もあるわけであります。しかし、その中でも、特にこの放送法に関連をする重要な問題については、私はNHKNHKなりに最高のスタッフを集めて、月に一回くらいでも会合を持って、その面だけを検討してみるということも必要ではないか。われわれも忙しいけれども、なかなか忙しい方ばかりでありますので、案外こういう面について、その面だけじっくり腰を落ちつけて検討するということはないのじゃないか。最高の幹部がその面だけを検討するという機会はないのじゃないか。だから、そういう場合には、協会協会自身で、月に一回程度はこういうものを最高幹部がフリー・トーキングをやって検討するというふうなことをやっておいた方がいいんじゃないか、こういう意味を言っておるのであります。会長は、協会の将来の問題については十分に心配しておるのだろうと思いますけれども、しかし、この問題については、そういうふうな非常に重要な要素を含んでおるわけでありまして、協会がどういう考え方を持っておるということも、今後のこの問題を左右する意見としては非常に大きな要素を占めるわけでありますので、私は、協会放送連合というようなものを通じて検討するという必要もあろうと思いますけれども、今の会長答弁では、その点は一応納得がいきますけれども、今申しました通り、そういう面についてのみ真剣に検討するという機関が、今のところなかなか時間もないのではないか。これは二年に限っておりますから、せめて月に一回程度は、こういう問題だけを順番に目を追って計画的に討議していく、こういう形を協会の内部自体でもとっていいのではないか。私は、こういうことを言っておるわけであります。会長の腹がきまれば、こういう問題について協会内部で幾らでもやれる問題でありますから、今からやっておいた方がよくはないか。そういうことを協会がやっていくことが、われわれとしても協会の考えておる意思が那辺にあるかということがだんだんわかるわけでありまして、そういう点もわれわれとしては参考にしたい、こう考えておるので、そういう点を協会は十分に考えてもらいたい、こういう意味であります。
  55. 阿部真之助

    阿部参考人 できるだけ御趣旨に沿うようにやってみますが、事実NHKは、絶えずこの問題については研究しております。そういうふうな組織は持っておりませんが、それを専門に研究する人も実はあるのでありまして、われわれも絶えずこの問題については話し合っております。ただ、御趣旨のような、月に何回集まる、そういう組織はありませんが、できるだけ御趣旨に沿うようにやっていくことにいたしたいと思います。
  56. 森本靖

    ○森本委員 これは理事会なんかも相当やっておりますけれども理事会なんかも、おそらく雑件が多くて、そういう問題のみを検討する時間がなかなかないのではないか。だから、別に機構、委員会というような名前でなくても、この次の臨時の理事会はこの問題だけを討議するというような一つの習慣をつけて、しかも、計画的にやっていただきたい。その場その場当たりの意見の出しっぱなしということでなしに、今月はこの問題について討議し、来月はこの問題について討議する、その次はこの問題について討議するというような、一つの計画的な内容の討議をしてもらいたいということを特に要望しておきますか、この問題についての答弁は要りません。  さて、そこで今度の予算案でありますが、今度の予算案で何としても一番問題になりますのは、各委員とも質問をいたしております新しい料金制度の問題であるわけでありまして、何としてもテレビラジオ料金を一本化したことが問題になってくるわけであります。  その前に私が電波局長に聞いておきたいと思いますことは、昨年私が協会の予算を質問したときには、この割引料金の問題が実はこの条項になくて、これは違反であろうと言ったところが、違反ではありません。しかし、違反に似ておるように思いますので、来年度は直しますということで直したわけでありますが、結局われわれの主張したことが正しかった、こういうことになるわけですね。
  57. 西崎太郎

    西崎政府委員 その点につきましては、前の国会でいろいろ御審議なり御意見がありまして、その方が誤解がなくていいのではないかということで、その御趣旨の線に沿いまして、今回予算総則の改正ということに踏み切ったわけでございます。
  58. 森本靖

    ○森本委員 いや私が言っておることは、今の法律上の建前からいっても、理論的にいっても、こういうふうに予算総則に入れることがやはり正しいやり方である。国会がそう言うたから、長いものに巻かれろというので今年は出しましたという意味での答弁だったら、了解ができない。昨年やっておったことが、どうも不明確であった。だから、明確に法律に基づいてちゃんと予算総則に書きなさい。そういうことで、確かにそれは間違いではなかろうけれども、あの方が不明確である、こういうふうにやることが正しゅうございます、こういうふうに答弁すればいいわけであって、それを国会が言うたから、国会の方がえらいのだから、やはり長いものに巻かれろというので私どもの方は直しましたと言うのでは、さっぱり権威がない。何なら大臣に聞いてみましょうか。第二条において、こういういきさつがあるのです。去年から、こういうことは一つ一つ毎年々々明確にしていきたいと思うが、一年分納めたから一カ月分免除する、半年分納めたら半月分割引をするということを、予算総則に載せずに、収支予算のところに書いてある、そういうことはいけないということで、今年はちゃんと予算総則に書いておるわけです。しかし、こういうことは、今西崎君が言ったようなことでなくして、今度の予算総則に書くようなやり方が、法律的にも私は正しい、こう考えてわれわれは主張したわけでありまして、それを国会が言うたから、御無理なように思うけれどもこう直しましたということでは、これはどうも理解に苦しむところであるわけでありまして、その点、ちゃんとしておきたい、こう思うわけです。
  59. 迫水久常

    迫水国務大臣 私、電波監理局長の答弁を聞いていて、決して長いものに巻かれたというような趣旨の答弁をしたとは思いません。かりにそういう趣旨の答弁をしたら、私も大いに反撃をするところですが、私は、今あなたのおっしゃった通り、予算総則に書いてないことは不適当だったという反省によって、今度は適当に処理する。正しいとか正しくないとかいう言葉じゃなしに、書いておく方が適当である、こういうことをわれわれは反省しましたので、今回は書きました。
  60. 森本靖

    ○森本委員 適当であるということは正しいということであって、まあそんな言葉のあやはどうでもいいんですが、大臣もおとなげないと思うんだが、何もこれは質問者に対してこうということは必要ないですが、面子があれば、別に言いません。  それから今度の場合、先ほどやはり谷口委員も追及いたしておりましたが、ラジオテレビと一緒にとっておって、そうして今度三百三十円の料金をとって、テレビだけしか持ってないというのか問題になるわけであります。これが一番の今度のこれに対する処遇の条件であります。この間もわれわれは、笑い話でありますけれども、私の社会党の逓信部会の政審の書記の奥さんのところに、実は集金人が来たそうであります。そこで前の逓信部会の書記でありますから、こういう内容をよく知っております。それで、一年分前納しよう。今前納すれば、前の料金で前納になるわけであります。しかも、テレビだけしか現実にとっておらぬ、ラジオはとってないわけでありますから。そうすると、四月一日から料金が変わるそうでありますから、今一年分の契約はできません、まあ待っていただきたいというふうなことだったらしいんです。それはNHKにすればそう言うのが当然であろうと思いますけれども、私は、こういう家庭がかなり全国的にあるんじゃないか、何ぼ少なく見積もっても、一万人程度はあるんじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、その辺については、NHKはどう考えているわけですか。
  61. 小野吉郎

    小野参考人 予算総則に前納の場合については割引のそれを明示いたしましたので、これで完璧になったと思います。具体的な問題につきましては、これからの切りかえに際しまして、将来にわたっての受信契約の改正方を今作業中でございます。問題は、そのような中間におきまして料金の変動があるわけでございますので、厳密には精算をして過不足を生ずるものにはそのような措置をとらなければならぬわけでありますけれども、ただいま御指摘の事例を見ますと、近くそのような精算にどうせ入るケースがあるわけだから、それを避けるために前納を受け付けない、こういうような現場の事例があったということでございましたが、別段にこれは私どもから指示はいたしておりません。前納は常にいつからでもできるわけでございまして、いろいろ今後の問題として考えて、そのような、前納を四月まで待ってもらいたいというようなことは、あるいはやったかもわかりません。しかし、この辺の経過につきましては、すでに三月はともかくにいたしまして、ここ二、三カ月前まではやはりございますし、件数もおよそ森本先生指摘通り、一万件くらいあるようでございます。そういうような関係で、この経過をどうするかにつきましては、すでに料金の今度の改定でよけい納めた結果になる家庭に対しましては、これは何といたしましても、精算をいたしまして、事務が複雑でもお返ししなければならないと思います。ただ、追徴をしなければならぬような事態の問題につきましては、これはどう扱うかは、ただいま検討中でございます。
  62. 森本靖

    ○森本委員 それは、よけい納めた分については、あとから精算をして支払うのは当然でありますが、これは商取引の慣行としては、たとえば二月に一年分の前納をすれば、来年の二月分までは一応そのままということが普通じゃないですか。どうですか。
  63. 小野吉郎

    小野参考人 その通りだと思います。鉄道の関係につきましても、将来にわたっての定期券を買えば、中間で料金値上げがありましても、これはさらに料金を徴しないというような取り扱いを、過去においてもやっておられるようでございますし、大体はそのような例によって取り扱いたい、こういうことで今作業中でございます。
  64. 森本靖

    ○森本委員 そういうことでやればいいわけでありますが、今のように、せっかく人が納めてやろうというものを、要らぬということも、実にこれはけしからぬ話でありますが、そういうのは少ないと思います。  そこで、大体この一万人程度というのは、どういうところから一万件という数字が出て参りますか。
  65. 小野吉郎

    小野参考人 前納の件数は、総体といたしましても案外少のうございます。そういうような中から、いろいろ円滑に前納になったものに対しては、今度の切りかえで相当前から準備をいたしておるのでございます。そういうことで、加入の現場でいろいろ作業をいたしました件数でございますが、これはもう今回における現状ではありません、もう三月に入って、またいろいろな変動もあろうかと思いますが、一月末あたりにおきましては、およそそのような件数が出てくると思います。
  66. 森本靖

    ○森本委員 いや、私が聞いておるのは——もう一ぺんそれでは聞き直しますが、テレビだけ持っておるという人ですね、テレビラジオ両方持っておるという方でなしに、テレビだけ持っておるという人が、現実にどのくらいあるであろうという推定の数字ですよ。
  67. 小野吉郎

    小野参考人 テレビだけしかない、ラジオを持たない数がどれくらいあるかということは、非常に推定困難でございまして、契約の現状から申しますと、契約面では幾ら幾ら、こういうものは把握できるわけでございますが、実際に真実どのような状況にあるかということは、推定を下す以外にないのでありまして、なかなか困難でございます。私どもの方で、そこの加入の契約を扱う部門でなしに、いろいろな聴視関係の問題につきまして、全般につきまして……。
  68. 森本靖

    ○森本委員 困難なら困難で、答弁はいいです。
  69. 小野吉郎

    小野参考人 困難でございます。
  70. 森本靖

    ○森本委員 そこで私が聞きたいのは、困難だということになると、これはラジオにしても、テレビにしても、一応放送の積算根拠からいって、一つの単価というものを出していかなければならぬわけであります。そうすると、将来かりにラジオテレビとを一緒にした場合、一体テレビはともかくとして、ラジオはどの程度あるか。それからFM放送も、これによって一緒になるわけでありますから、FM放送の受信機も大体どの程度あるかということについて、正確にこれを把握しないと、放送の行政というものは円滑にいかないということは、当然言えると思う。そういう面の補足を、この新しい料金制度ができていった場合には、どうせられるのか、この質問であります。
  71. 小野吉郎

    小野参考人 この切りかえ並びにその直後におきましては、ラジオ受信者実態につきまして十分にこれを把握して参らなければなりませんし、また、テレビ関係についても十分な把握をして参らなければならないわけでございますが、これはすべて、契約時における受信機の種類とかあるいは台数等を受信契約書に記載してもらうことになっております。そういうようなことによって、大体の把握はできようかと思います。その後、またさらにいろいろな異同があるわけでございますが、これにつきましては、できるだけいろいろな方法を講じまして、実態を把握できるようなことに努めて参りたいと思います。
  72. 森本靖

    ○森本委員 そのいろいろな方法というのは、どういう方法ですか。
  73. 小野吉郎

    小野参考人 NHK放送文化研究所の調査活動でございますとか、また、もちろん当面現実にこの問題を担当しております加入局の関係等も参加させまして、努力いたして参りたいと思います。
  74. 森本靖

    ○森本委員 たとえば今の最初の場合は、その受信機の数によってわかるにしても、これから先の、かりに一年分前納したり、FM放送が開始せられ、このFM放送の受信機も持ったということになっても、これは一つ一つ加入者をもう一回回っていかなければ、その動態の把握がはっきりしない、こういうことになるわけでしょう。そういう場合に、定期的にそういうふうな全国的な調査をやるというふうに考えておるのかどうか。
  75. 小野吉郎

    小野参考人 定期的なそれは、毎年一回はやっておりますが、これは将来も、さらにそのやり方をもっと精密にいたしまして、定期的に調査を進めて参りたいと思います。
  76. 森本靖

    ○森本委員 だから、私は、どういう方法でやるのだろうと思って、昼間に思っておるのです。これをやるのに、具体的にあなたは頭もいいし、郵政省の次官もやっておったのだから、何か具体的にいい方法があるだろうと思って聞いておるわけです。
  77. 小野吉郎

    小野参考人 なかなかそう完璧ないい方法は考えつかないのでございますけれども、いろいろ面接の調査とかいったようなことで、全体にわたってやることはなかなか困難でありますけれども、大よその趨勢はわかるわけでございます。そのような方法によって推定していきたいと思います。
  78. 森本靖

    ○森本委員 大よその数が、これはたとえば直轄の集金をやっておるところはNHK自体でいくと思うけれども、委託集金をやっておるところは、そうなかなか簡単にいきません。これはちょっと参考までに聞いておきますが、直轄集金と委託集金との割合は、何割になっておりますか。
  79. 小野吉郎

    小野参考人 大体を申し上げますと、直轄でやっておりますものが六割でございます。あと四割が委託というようなことになっております。
  80. 森本靖

    ○森本委員 これはちょっと電波監理局長に聞きますが、こういうふうな予算が出て、こういうふうな新しい制度になって、そこで実際にこれから先FM放送が行なわれていく、そういうふうなときに、FM放送の受信機が一体どの程度あるか、どの程度聞かれておるかということは、これは非常に調査をしなければならぬと思う。そういう点についての調査方法なんというものを、あなたは監督官庁としてどういうように考えておるのですか。
  81. 西崎太郎

    西崎政府委員 なかなかむずかしい御質問ですけれども先ほどNHKの方からもお答えがありましたように、できるだけNHKの文研その他を活用さしていただいて、実態の把握に努めたい、こう考えております。
  82. 森本靖

    ○森本委員 NHKの文化研究所で調査するというのは、具体的にはどういうようにやるのですか。ちょっと、それは小野専務でもいいですが……。
  83. 小野吉郎

    小野参考人 過去において実施をいたしました事例を申しますと、いろいろそういった調査に対する一つの型があるわけでございます。これはNHKだけでなく、民間でも、科学的調査としていろいろな検討が加えられておるものであります。これに対しまして、もちろん職員も参加いたしますが、外部の調査員を使用いたしまして、これにいろいろな調査の大綱を練ってもらうわけであります。そしてこれにいろいろ書面によって本人に書いてもらうとか、あるいは面接でいろいろお伺いをして、各項目につきまして調査員が記入をする。それをいろいろ分析をいたしまして、大体の動態はこうである、こういうように判断しております。
  84. 森本靖

    ○森本委員 その調査は、抽出方法じゃないのですか。
  85. 小野吉郎

    小野参考人 抽出方法でございます。
  86. 森本靖

    ○森本委員 抽出方法だったら、この動態の数字の把握は不可能なんです。たとえば、これはラジオテレビについては、最初にこの切りかえのときに、一応あなたが言ったように、加入申し込みなりあるいは契約書に全部受信機の数を書いてくるから、一応の最初の把握はできるわけですけれども、それからあと、たとえば半年なり一年したら、その動態というものは、年に一回の集金人の調査においてわかる。しかし、たとえばFMの受信機が何台くらい出ておるかというような調査は、なかなかできがたいのではないか。そうすると、いわゆる受信料の算出根拠といいますか、そういうものにおけるところの放送単価、そういうものの積算が、なかなかむずかしくなってくる。そうすると、すべて推定々々でやらなければならぬ、こういうことになるわけであります。そこで、具体的にそういう受信機の数がどの程度あるというふうな調査については、今西崎局長の、あなたの答弁を聞いておっても、文研か何かで調べます、こういう回答ですが、文研では、そういうことはできないのです。現実に具体的にどういうふうな調査方法を行なうか、こういうことを聞いておるわけであります。
  87. 小野吉郎

    小野参考人 大勢といたしましては、受信機の生産の数がはっきりわかります。それがいろいろ庫出しされまして、在庫で残るもの、店頭でまだ購買者の手に渡らないで残るものの数は、大体推定できます。特にメーカーの在庫になっておりますものは、統計上はっきり把握できます。そうしますと、世帯にどのくらい行き渡っておるかということは、およそ見当がつくわけでございます。ただ、個々の世帯につきまして、具体的にこの家にあるかということになりますと、これは非常に困難なことになろうかと思いますけれども、ある現在時におけるFM受信機の数がどの程度いっているかという大勢は、およそつかむ方法はあるのでございます。
  88. 森本靖

    ○森本委員 それは受信機についても、そのメーカーが何ぼこしらえて、卸に何ぼいって、小売にどのくらいいって、どのくらい売られておるかということはわかるのですが、一体その受信機の分布が、地域的にどういうふうになっておるかということは、なかなかわからないのですよ、率直のところ。だから、こういうふうに新しく受信料制度をこしらえてやるということになるとするならば、その不備、欠陥というものを補うだけの万全の措置を講ずべきではないか。たとえば本年度の予算については、新しくそういう調査活動費というものをこの業務費の中に組むべきではないか。そういうふうな万全の準備をしておかないと、物事が科学的でなくして、推定でいってしまう。こういう点についての日本の状況を把握するという方向は、NHKしかないのですからね。放送は一生懸命やるけれども、どの程度聞かれておるか、どの程度受信機があるかということがわからずに、ただいい番組を送る送るといっても何にもならないわけですから、根本は、どういうふうな人々が、どのくらい受信機を持って、どういうふうな階層の人が聞いておるかということが、一番大切な問題になってくるわけです。だから、私は特に言っておきたいと思いますが、予算の実行上においても、こういうふうな受信機の動態を把握するところの調査活動が十分でき縛るような措置を、NHKとしてはやってもらいたいというふうに考えるわけでありますが、その辺はどうですか。
  89. 小野吉郎

    小野参考人 御指摘の点、ごもっともと思います。そのような面は積極的に尽くして参らなければなりませんし、予算実行上の段階におきましては、そのような方面の経費も予定していないわけではございませんで、全力をあげましてそのような方面に努力して参りたいと思っております。
  90. 森本靖

    ○森本委員 これは、ここだけで済んだ、やれやれというようなことでなしに、次に必ず、どういうふうな措置をとって、どういうふうに調査して、その結果はどうなっておるということを聞きますから、その場のがれの答弁でないように、これは大事なことでございますから、確実に御調査を願いたい、こう思うわけであります。  それから、先ほど受信料の一番の問題になってくるのは、何としてもテレビだけしか持っていない人が、三百三十円払わなければならぬ。そこで、これはどう弁解をしても、三十円値上げになるということは間違いないわけでありますが、この辺のことについて、この受信料の何か制度調査委員会みたいなものがあなたの方にあったわけでありますが、この中ではどういう論議をせられておりますか。この点について……。
  91. 小野吉郎

    小野参考人 この点につきましては、いろいろ国内における現在の聴視実態がどうなっておるか、これにはラジオの普及が現在どのくらいになっておって、テレビの普及がどうなっておるかというような推定からいたしまして、およそテレビがあればラジオがあるじゃないかというようなこと、並びに諸外国がとっております制度等を参酌いたしまして、現実には、テレビだけで三百円だけしか納めていない向きは、かなりの数ございますけれども聴視実態から見ますれば、両方を持って三百八十五円を払わなければならない対象が大方ではないかという前提からいたまして、これは三百三十円は値下げではないかという審議、結論を下されたわけであります。
  92. 森本靖

    ○森本委員 だから、私が言っておるのは、あっさり言って、三百八十五円払っておった人は三百三十円になる。お気の毒だけれどもテレビだけしか持っていないで、三百円しか払っていない人は、今度は三百三十円になる。一万人程度あるけれども、こういう人には値上げだけれどもがまんしてもらおう、こういう論議がせられたかということです。論議はこれしかないのですよ。だから、三百八十五円の人は三百三十円になって、値下げで大いに喜んでもらおう。そのかわり、少数であるけれども、犠牲になってもらおう。テレビだけしか持っていない人は、三十円の値上げになるけれども、これは一つがまんをしてもらおう、こういうことでこれを承認したか。理屈はそれしかないのです。
  93. 小野吉郎

    小野参考人 今回の料金体系並びに額の改定策定につきましては、全体的に受信料のあり方を合理化しようというところにございます。この合理化……。
  94. 森本靖

    ○森本委員 その理屈はわかっているからいいですよ。
  95. 小野吉郎

    小野参考人 具体的にそれが個々に貫けられれば非常に理想的かと思いますが、ただ、今のようなことが皆無ではありませんが、非常に微々たるものだ。しかも、今の時点においてそうであっても、将来FM放送もありますし、放送は、やはり災害時等においてはテレビでは間に合わぬ点もありますので、それは利用してもらわなければならぬ、またされるであろうというようなことから、放送を全体として受信される段階になるもの、いずれはそうなるのでございますが、いましばらくその一部のラジオだけしか利用されないもの、こういうふうに分けることが、全体としても、また個々の場合に適用しても、特殊な、非常な例外を除いては合理的であろうということで、結論を出されたわけであります。
  96. 森本靖

    ○森本委員 いや、その意見はわかるのですよ。だから将来FM放送も始まれば、その受信機も持つであろう。しかし、それは二年先になるか、三年先になるかわからぬ。西崎局長の話では、五年から十年ぐらい先でなければ本格的にはならぬだろう、こう言っているから、いなかの方では十年ぐらい先になるかもしれない。現実にいなかの方では、まあ五年くらいかかることは間違いない。だから、そういう人はお気の毒だけれども、しんぼうしてもらう。三十円値上げだ。これはやむを得ぬ。そのかわり、三百八十五円の最大多数の人は、三百三十円になっておるから、これはがまんしてもらうのだ。お気の毒だ。あっさり言って、こういうことでしょうか。理屈は要らぬですよ。
  97. 小野吉郎

    小野参考人 率直に申しまして、その通りでございます。
  98. 森本靖

    ○森本委員 その通りだけれども、実は三百円払っておって三百三十円になる人に対しては、ほんとうのところ、これは弁解の余地がないのですよ。これは率直なところ、私のところの政審の書記の人が、森本さん、実にこれはけしからぬ。それはまことに申しわけがない。私は、あやまるよりほかに方法がない。私は、トランジスターも何も持っておりません、テレビだけしか持っておらぬのに、今よりも三十円値上げをせられるということは、けしからぬじゃないか。こんなものは反対だ。そんなことを言われても、これはやむを得ません、これを認めると、若干値上げにならざるを得ません、こういう回答をあなたにかわってやらざるを得ないということになるわけであって、どう弁解しても、少数の人が不利益になったということは、これは私は率直に認めなければならぬ、こう思うのでありまして、この点は非常に残念でありまして、この際、わが党の見解を言っておきたいと思いますが、社会党がこの数年来ラジオテレビとの料金を一緒にしろと言ったことは、こういう形のやり方をやれとは、われわれは言った覚えはありません。要するに、ラジオテレビ料金は、テレビを見る人は、ラジオをとっておっても、一日中ラジオを聞くということはほとんどない。だから、ニュースなりあるいはまた音楽ぐらいしかラジオは聞かない。その面からいくと、八十五円全部とるということは、ラジオテレビを持っておる者はお気の毒だ。そういう人に対しては、ラジオテレビを一本にしてまけてやりなさい。これがわが党の今までの主張であります。そういう場合には、ラジオテレビ料金を一本化して、これを安くしてやりなさい。これをわれわれは今までずっと主張してきたわけだ。今度一本化になったと思って喜んで見てみたところが、あにはからんや若干インチキがあった、こういうことになって、何かペテンに引っかかったような気がするわけでありますけれども、まあ大綱的に見ると、われわれとしてはある程度やむを得ない、こう思って、一応これについては了承しておるわけでありますけれども、そういう点の不合理があるということは、私は、この際、率直に党の見解を明確にしておきたい、こう思うわけであります。  それから次に聞いておきたいと思いますことは、今後FM放送の七局の実験局をこしらえることになっておりまするが、これについての具体的な説明をお願いしたい、こう思うわけであります。
  99. 小野吉郎

    小野参考人 現在東京、大阪の二局はやっておるわけでございますが、これにあわせて七局をさらに実験追加をいたしたいと思います。地域は、およそ中央放送局所在地になろうかと思いますが、これに対する経費といたしましては、ざっと六億ぐらいの所要を見積もっております。
  100. 森本靖

    ○森本委員 それじゃもう一ぺんお伺いしますが、まず、場所を言うて下さい。
  101. 小野吉郎

    小野参考人 名古屋、広島、熊本、仙台、札幌、松山、福岡の七局でございます。
  102. 森本靖

    ○森本委員 そうしてこの放送の開始は、いつごろになるわけでありますか。
  103. 田邊義敏

    ○田邊参考人 できるだけ早くやりたいと思っておりますが、これにつきましては、いろいろ郵政省の方の御方針もありますので、今後折衝を続けて、できるだけ早くやりたいと思っております。
  104. 森本靖

    ○森本委員 できるだけ早くでなしに、予算上はいつから放送ができるようになっておりますか。本日は、予算を審議しておりますので、予算上からいきますと、これについては、いつから実験放送ができるようになっておるか、こういうことであります。
  105. 田邊義敏

    ○田邊参考人 一部の機械は、すでに東京で使っておりました機械もございますので、建設工事に関しましては、数カ月の間に、もし許されるならばでき得ることと思っております。
  106. 森本靖

    ○森本委員 電波監理局長の方は、どういうつもりでこの予算を承認したわけですか。
  107. 西崎太郎

    西崎政府委員 FM放送ということになりますと、いろいろ電波の伝わり方……。
  108. 森本靖

    ○森本委員 あやは要らぬ。いつからやるかということを言って下さい。
  109. 西崎太郎

    西崎政府委員 こういう面でわれわれの方としても、ぜひ必要であると思いますので、NHKの準備ができ次第……。
  110. 森本靖

    ○森本委員 そんなばかな答弁があるか。両方側が全然違うじゃないか。あまり質問者を愚弄したような答弁をするべきじゃないですよ。今田邊専務はちゃんと準備ができております、郵政省が許可次第できますと、こう言っておるのだ。今度あなた方は、NHKが準備でき次第やる。どっちがほんとうかわからぬじゃないですか。(「予算撤回」と呼ぶ者あり)そういうことは別として、そういう点は一つ、大事な点でありますから、はっきりしておいて下さい。NHKとしては、郵政省の波の割当その他のことを考慮して、郵政省の方からはっきりとしたオーケーがなければ、私の方は、何月ごろに放送するとか、建設に取りかかるとか、言うことはできません。これはNHKにすれば当然ですよ。だから、郵政省の方としては、それに対する具体的な考え方はどうか。こう聞いておるわけです。
  111. 迫水久常

    迫水国務大臣 NHKから免許の申請がございましたら、すみやかに私の方は許可する用意を持っております。
  112. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この予算が通ってすぐ建設段階に取りかかれば、これは何カ月ぐらいでできますか。
  113. 田邊義敏

    ○田邊参考人 個々の場所によりまして若干の相違があると思いますが、早くて半年以後くらいにはできると思います。
  114. 森本靖

    ○森本委員 これの具体的な計画としては、周波数はどの程度を使いますか。それから、この実験放送放送時間、放送の内容、それから大体のサービス・エリア、こういうものについての具体的な計画の内容をお示しを願いたい、こう思うわけであります。
  115. 田邊義敏

    ○田邊参考人 お答えが若干相前後いたすかもしれませんが、電波の伝わり方の方から、私どもの考えを申し上げたいと思います。先ほど小野専務からお答え申し上げました場所につきましては、大体FMは、テレビジョンの送信を現在やっております同じ場所から出したいと思っております。従いまして、現存のテレビジョンの電波の伝わっております範囲は、大体良好に聴取できるかと思います。また、そのくらいの電力で十分かと思っております。周波数につきましては、現在FMに使い得る波の中の八十メガサイクルから九十メガサイクルの間において、適当な波の割出を受けたいと思っております。
  116. 森本靖

    ○森本委員 その八十メガサイクルから九十メガサイクルの間の一体どの程度の波を、具体的に個々放送局に割り当てられるかや実験放送が……。そのことによって、大臣はどうとかこうとか答弁をしているけれども、FM放送のおおよそのめどといいますか、そういうものが出てくるわけであります。だから、その点について、これは予算を出しておるわけでありますから、そういう点についても一応具体的な計画があると思いますので、聞いておきたい、こう思うわけであります。
  117. 西崎太郎

    西崎政府委員 まだ具体的に八十から九十メガサイクルのどのチャンネルを割り当てるかということは確定いたしておりませんけれども、御承知のように、八十から九十メガの間に二百KC置きということになりますと、五十チャンネルとれるわけでありますが、その中で、その土地によりまして、その場所によりまして、ただ一部今ほかの業務に使っておるところもございますので、そういう点をいろいろ勘案しまして、そういった業務に支障が起こらないように割当をしたい、こういうふうに思っております。
  118. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、一応FM放送のチャンネル・プランというものが、性格が——チャンネル・プランは別として、おぼろげながらも大体一つの計画というものは、郵政省としては持つわけですね、この実験放送の開始をせられる段階においては。あとで個々の変更その他はあるにしても、大体のプランの構想というものは、ここで出てくるわけですね。
  119. 西崎太郎

    西崎政府委員 今度の実験局免許の際に、そういったプランを前提とするわけには必ずしもいかないかもしれません。と申しますのは、実験局ですから、個々の周波数というものの将来の変更ということは、これは当然あって差しつかえないのじゃないかと思っております。
  120. 森本靖

    ○森本委員 周波数の変更は当然あってしかるべきでありまするが、大体その八十メガから九十メガサイクルまでいくと、その間に五十チャンネルとって、大体どの地域にはどの程度のチャンネルが割り当てられるかということは、一応のめどをつけて、それがどこにいくか、どうなるかは別として、そういう一つの大きな構想というものは、このころには大体技術的なものは固まっておらなければならぬ。七つも作るわけでありますから……。そうなるわけでしょう。
  121. 西崎太郎

    西崎政府委員 各地区に何チャンネルずつ割り当てるかということになりますと、これは全体の免許方針というような関係がありますので、多少時間がかかると思いますけれども、今NHKとして考えておりますのは、みんな七つの違った場所でございまして、そこに一チャンネルずつ割り当てるということは、これは相当自由度があるわけでございますから、大した問題はないのじゃないかと思います。
  122. 森本靖

    ○森本委員 大した問題はないといえばそうだけれども、一応七局に対して、それは確かに距離も離れておりますから、ぽかぽかとやればいいようなものの、しかし、一応五十チャンネル程度とれるとするならば、日本におけるそのチャンネルを大体どの程度に分布をするという一つのプランの骨子というものが、郵政省になくして、ただ単に漫然と、七局に対して混信のない程度において、これをそのまま一つの実験放送局としてやるという無定見なやり方はないと私は思う。少なくともそれは一応の日本のプランの構想というものを持って、その上に立って、実験放送局といえども——これが一つ二つなら別ですよ、今やっておりますような。しかし、今度の実験放送局というものは、一応全国的に見ると、いわゆる地方放送局単位にほとんどできるわけでありますから、そういった場合に具体的にどうなるかということを実験するのが、目的だろうと思う。そうなってくると、今の一局や二局の実験放送とは意味が違わなければ、個々に実験放送局を七つも置く意味がない。七つも実験放送局を置かなくても、そういう意味の混信がなければ、そのまま割り当てていくというようなやり方をするならば、今の実験放送局で十分だと思う。何も場所を変える必要はない。東京、大阪でそれぞれやればよろしい。個々にこういうふうに地方にも七局置いて実験放送を行なうということは、そういう将来のデータとかその他について考えていくことだから、この実験放送局を置かなければ意味がないわけである。そういうことでしょう。そうなりますと、おのずから一つのプランの骨子というものが固まってくるのではないか、そのころになれば。それをどこにどうするこうするということは別としても、単にどうこうするということは別であっても、人口の比例からして、普及の度合いからして、大体どの地区には何チャンネル程度、どの地区にはどの程度という一つの構想は、出てくると思う。そういうところばかりこれは許可するのだから、いなかの方に実験放送を許可するわけじゃないのだから、今から半年ほどしたときには、大体のそういう一つのプランの骨子というものがもうできてくるだろう、こういうことを言っておるわけですよ。
  123. 西崎太郎

    西崎政府委員 今先生のお説のように、そのころまでには大まかなそのプランというものは打って、その線に沿って実験局の免許をしたい、こういうふうに思います。
  124. 森本靖

    ○森本委員 そこで、この実験放送の内容ですね。これはどういうことをやりますか。それから放送時間は、どの程度予定しておりますか。これはNHKの方から……。
  125. 前田義徳

    ○前田参考人 番組関係につきましては、三十七年度は、一日十八時間の放送を実施したいと思っております。FM放送の実験放送放送時間は、今年度は十時間でございますが、八時間年度末までに延ばしたいという考え方を持っております。  番組の編成方針といたしましては、教養番組は、中波とは全く別の第三放送的見地に立ちまして、非常に高度の教養番組を組みたいと思っております。教育番組につきましても、普通の中波の教育番組よりも、より専門的、高度のものもいたしたいと考えております。音楽番組につきましては、純音楽を基礎にして、高度のFMに適した音楽番組を作りたい、こう思っております。その内容につきましては、大体レコード番組が五時間、それから制作された番組が大体八時間、それから、明年度限り、これは将来国のFMの方針等も勘案いたしまして、明年度中は、一応中波からの入り中放送を五時間予定いたしております。それに要する三十七年度の放送番組関係の予算は、大体三億八百五十万の予定でございます。
  126. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この放送番組の三億八百五十万というのは、先ほどの六億円の建設段階とは別になるわけですね。
  127. 小野吉郎

    小野参考人 先ほど六億と申しましたのは、建設、運営両方を含めてでございます。
  128. 森本靖

    ○森本委員 三億も入るわけですか。
  129. 小野吉郎

    小野参考人 そうであります。
  130. 森本靖

    ○森本委員 それからこのFMの実験放送局は、それぞれの地方の場合には、それぞれの地方における自主的なFM放送番組は組まない、全部中央からのそのままの流しである、こういうことになるわけですね。
  131. 前田義徳

    ○前田参考人 建前としては、その方針で参りたいと思います。ただ、東京から全部完全に中継するということがあるいは不可能かと思いますので、その場合は、東京あるいは大阪よりも離れている局のFMについては、一部パッケージ番組が送り出される。作ったものを現地に持っていって放送する場合があるかと思います。それから将来に対するやはり実験の一部として、たとえば札幌あるいは熊本などについては、さらに一部実験として、電波障害を排除する場合にどうなるかというような番組も、放送いたしたいという心づもりではおります。
  132. 森本靖

    ○森本委員 この実験放送で、やはりステレオ放送等も行なう、こういうことになるわけですか。
  133. 田邊義敏

    ○田邊参考人 FMのステレオ放送につきましては、現在まだ標準方式がきまっておりませんので、世界じゅうで、アメリカだけが一応きめておりますが、ヨーロッパ並びにその他の諸国におきましてはまだきまっておりませんので、これも実験段階におきまして、主として東京を中心にステレオの実験もやりたいと思っております。
  134. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、今度新しくできる場合には、これは多重方式ではないわけですね。
  135. 田邊義敏

    ○田邊参考人 将来多重方式がどういう形できまるかは未確定でございますが、多重方式も入れ得るような方式でございます。
  136. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、今度のこの十八時間に延長してやる場合のこの七局の場合には、多重放送も行なう、こういうことですか。それから多重放送やり方、ステレオ放送やり方ということになりますと、この番組の組み方そのものも変わってこなければならぬ、こう思うわけでありますが、その辺はどうですか。
  137. 田邊義敏

    ○田邊参考人 先ほど申し上げましたように、多重放送につきましては、主として東京で実験をするつもりでございまして、その他の新しく作ります局におきましては、多重放送はやらないと思います。
  138. 森本靖

    ○森本委員 大体これでこの実験放送のなにがわかりました。  もう一つ、ついでに聞いておきますが、東京と大阪でやっておりまする実験放送以外に、地方に一挙に七局も実験放送局をこしらえたという、その真意ですね、この実験放送をこしらえたという意味は那辺にあるか、これを聞いておきたいと思うのです。
  139. 田邊義敏

    ○田邊参考人 先ほどサービス・エリアは大体テレビジョンと同じと考えられると申しましたが、実際はチャンネルも違いますし、それからまたFMを受信いたします際に必要とする最低の電波の強さが、必ずしもテレビジョンと同じではないと考えられますので、それらにつきまして、いろいろな地形の違った地域、あるいは違ったチャンネルなどにつきまして、それらの電波の状態あるいは受信の状態などについてのデータをとるのが、一つの目的でございます。
  140. 森本靖

    ○森本委員 それじゃ、これはそういうデータをとるのが目的で、聞かすのが目的じゃないのですか。もしそういうデータをとるだけの実験放送局なら、こういうふうな金をかけたやり方をやる必要はあまりないと私は思う。これは現化のやり方でけっこういくのじゃないか。しかし、そういうものは東京、大阪だけにしか今普及していないから、地方におる人はほとんど開けない。だから、実験的な放送であっても、やはり一般の国民にFM放送というものになじんでもらう。もちろん、そういう意味でさらにFM放送の受信機がかなり普及をしていく。そういう国民にある程度聞かすという意味が、この七局の新しい実験放送局にあるのではないか。もしそうでないとするならば、地形の変更とかその他については、著しく変わったところを三つぐらい持ってきてやれば、何も中央放送局単位にやらなくともいいわけです。もはやこれが実験放送の段階でなしに、実用放送の前に、いわゆる国民に聞かしていくという考え方をNHKは持つべきじゃないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
  141. 田邊義敏

    ○田邊参考人 お説の通りだと思います。さような目的も含まれております。  それから、先ほどちょっと申し落としましたが、熊本あるいは札幌等におきますものは、若干その中に入って参ります中波の番組によりまして、実質的に難聴地区の救済という目的も達し得るかと思っております。
  142. 森本靖

    ○森本委員 それで、先ほどの前田専務のお話では、中波の番組をそのまま入れるということが言われておったわけでありますが、もしそういうことであるとするならば、この七局の実験放送の場合は、中波のローカル番組をそのまま入れるという可能性も出てくるわけですね。
  143. 前田義徳

    ○前田参考人 そういう場合もあり行ると思います。
  144. 森本靖

    ○森本委員 そこで大臣、お聞きしたいと思いますが、きのうの椎熊委員の質問に対しましても、受田委員の質問に対しましても、明確でなかったわけであります。そこで、FM放送調査会においても鋭意検討しておるということはわかります。しかし、この段階において、NHKにFM放送は将来やらす。それ以外に民放にやらす場合もありましょう。しかし、民放あるいは通信社の問題は、これは現在検討いたしておりまするから、別になってくるわけであります。そういうものの免許は別としても、NHKに対するFM放送のやらし方は、これは一波与えるか、二波与えるか、あるいは多重放送にするか、ステレオにするか、そういう具体的な内容は別として、公共放送建前を貫いておるところのNHKに対しては、FM放送の波は優先的にこれを取り扱うという原則は、この段階においては、大臣答弁ができるのではないか。もしその答弁ができないということであるとするならば、こういうふうな大がかりな、貴重な国民受信料の中から十億円に近いところの金を注ぎ込んでやるという価値はないわけであります。その点については、私はきのう関連でやっておいた方が早いと思いましたけれども、人の質問でありましたから言わなかったわけでありますが、これだけの準備とこれだけの資金を注ぎ込んでおいて、まだNHKにはやるかやらぬかわからぬ、こういう答弁をするようでは、全くこれは審議を愚弄したあなたの答弁になるわけでありますので、その点は一つこの際明確にしておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  145. 迫水久常

    迫水国務大臣 どうも私は言葉にこだわっていけないのかもしれませんけれども、今御質問の中に、NHKに優先してというふうな言葉が出てくると、そういう言葉にやっぱりちょっと私はこだわりを持ちます。率直に言いまして、このFMが一般に免許になるような場合に、NHKに免許しないことは絶対にあり得ない、こうは思うのです。しかし、ある波をNHKにできるだけ優先的に割り当てて、そのあとをほかのものに割り当てるという意味で優先的という言葉が使われると、それは違ってくるのじゃないか、こういうことでございまして、きのう椎熊さんにも、もうちょっと補足してお答えしようと考えておったのですが、機会がなくて椎熊さんには失礼したわけですけれども、将来NHKがFM放送の免許を受ける立場にあるということは、私もそうだと思います。
  146. 森本靖

    ○森本委員 あなたは、何か物のように電波というものを考えておるから非常にこだわるけれども、私が言っておるのは、ごく常識的なことなんです。たとえば五十チャンネルあった場合、その波のチャンネル・プランがどうなるかわからぬけれども、具体的にNHKに対して——優先的という言葉が悪ければ、全国あまねくNHKがFM放送ができるような措置を、郵政大臣としてはとるべきではないか。これは何も優先するとなんとかいうことではない。五十チャンネルのうちのいいところだけをNHKがとって、あとをつかみ取りで分けるということを言っておるわけではない。そういうFM放送の波があれば、このFM放送については、全国あまねく受信できるようにしなければならないという放送法規定に基づいて、NHKに全国の国民があまねく受信できるように、この波を割り当ててやらなければならないのじゃないか。それを与えても、日本にはなおかつその他のものに与えるだけの波が十分にあるわけであります。そのことを私は言っておるわけであります。あとの通信社とか、民放とか、どうとかこうとかということを今論議しているわけではない。そういうことを言っておるわけであって、何も優先的という言葉にあなたはこだわる必要はないわけであります。私が言っておるのは、そういう意味であります。
  147. 迫水久常

    迫水国務大臣 これはFMをどういう立場において使うのかという問題とは、やはり重大な関連があると思います。というのは、今度NHKに、第三放送的なものとしてあまねくFMを聞かせるという措置をとることになるのか、それとも難視難聴地域を解消するとか、あるいは外国混信を防除するとかいうようなところに重点が置かれてFMが使われてくるということになると、そういう立場においてNHKにも必然割当があるでしょうけれども、そこら辺がFM放送調査会においてきまらないものですから、昨日からの私の答弁がきわめて歯切れが悪くなっておりますが、優先的という言葉は別ですけれども、かりにNHKに全国あまねく聞こえるように電波を割り当てるのだ、それを第三放送的なものとして割り当てるのだということは、私は、ここでまだ申し上げる段階ではないと思います。
  148. 森本靖

    ○森本委員 その第三放送的な問題については、私も大臣と同じような意見を持っております。持っておりますが、FM放送が始まった場合は、そのFM放送を全国あまねく聞こえるようにすべき任務と性格を協会は持っておるのである。だから、それについてはやらせなければならないだろう。従って、それを第三放送にするとかしないとかいう問題につきましては、私も意見があるわけです。今の前田専務の答弁については、まだそう断定すべきものではないと思う。これはやはり将来の日本放送の中波の使い方、さらにFMの使い方、それと関連をして、現在のテレビの問題、そういうことを総合的に判断をしていかなければならぬ、このFM放送というものは軽々に第三放送的なものになるということにはならぬと、私は思う。その点については、私は話を別にしておるわけであります。しかし、FM放送というものは、今の放送受信機とは別な受信機でありますから、そういうような放送が起こった場合は、その放送については、放送法の第七条にいうところの、国民協会が聞かす義務があるのではないか。先ほど来の小野専務の答弁でも、テレビだけしか持っておらぬところでも、将来のFM放送の受信機の料金もこの三百三十円の中に含んでおりますということを、しばしば言っておるわけであります。そういう意味で、NHKがFM放送を行なうところの義務と責任がある。郵政大臣は、その通り考えるべきではないか、こういうことを言っておるわけです。
  149. 迫水久常

    迫水国務大臣 私の考え方は、森本さんと同じだろうと思うのですけれども法律を引いてきて、あまねく聞かせなければならぬ義務があるということになると、NHKの少なくとも現在中波のあるところには、全部FMというものを一応割り当てなければならぬのかどうか、そういうことまで含めて御質問になっていらっしゃるとすると、これは簡単に答えができないなという心配を私は持つのです。あまねく聞かせなければならぬ、それは確かにそうですけれども、波には限りがあるのですし、波に限りがある限界において、不公平のないようにやることは当然であります。多分考えておる意見は同じだと思いますけれども、やはり言葉にこだわっておるせいか、そこのところをうっかりすると、今の中波のあるところ、少なくともそのくらいな数はまず優先的にNHKに割り当てることになるんだという印象を一般に与えることは、私は、現在の段階ではまだ早過ぎると思いますので、そういう立場答弁をいたしております。
  150. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと電波監理局長に聞いておきたいが、カラーテレビNHKがやっておる。これは将来全国あまねくカバーするということは、放送法の第七条の目的からいけば、NHKは時間が二十年かかろうが三十年かかろうが、そういう方向に持っていかなければならぬ義務がありはせぬですか。
  151. 西崎太郎

    西崎政府委員 時間の問題を考えなければ、当然そういうことだと思います。
  152. 森本靖

    ○森本委員 それなら大臣、一緒じゃないですか。今の放送法の七条のカラーテレビの問題とFM放送は一緒じゃないですか。中波放送、FM放送、カラーテレビ、それからいわゆる白黒テレビと、いろいろあるわけです。将来ラジオ放送が、中波の放送とFM放送とが共存をすることになっても、今の放送体系と同じような体系において共存するということは、おそらくどなたもあり得ないと考えておる。そうすると、放送法の七条の建前からいくとすれば、FM放送が開始をせられた場合には、それを当然NHKとしては全国民にあまねくやらなければならぬ責任と義務があるわけでしょう。そうでなかったら、白黒テレビがいっておるところはカラーテレビはよろしい、カラーテレビのいくところは白黒テレビはいく必要がない、こういう理屈になるわけですよ。どうですか、大臣
  153. 西崎太郎

    西崎政府委員 今先生がおっしゃいましたように、七条におきまして、NHKの目的として、NHKは「全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」それから同時に、第九条の第四項ですか、「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」こういう条項があるわけでありまして、結局NHKが将来第一放送なら第一放送を全部FM化するのだという線がかりに出るとすれば、先生が今おっしゃったように、当然FMによって全国あまねく救済できるようにしなければならないと思いますけれども、現在の時点において、中波という問題と無関係にFMを全国あまねく行き渡らせなければならないかどうかという点については、さっきの第三放送という問題をどう取り扱うかということとも関連があるので、問題があるのじゃないかと思います。
  154. 森本靖

    ○森本委員 あなたは第九条を持ってきたが、それなら第九条の一項の八の項は、カラーテレビの今のあなたの答弁とどうなるんですか。あなたの答弁が間違いなんです、そういう論旨からいくとするならば。第九条第一項の八の項については、とにかくテレビジョン放送というものをやればいいということになっている。何もカラーテレビとか白黒テレビということは書いてない。あなたは今、カラーテレビも年数をかけても全国あまねくやる義務がある、こう言ったじゃないですか。そんなてあてあな答弁をするな。
  155. 西崎太郎

    西崎政府委員 テレビジョン放送ということになりますと、これは一般的な呼称でございますから、当然白黒でもカラーでもどっちでもということになります。先生おっしゃった通りです。ただ、今の超短波放送を標準放送……。
  156. 森本靖

    ○森本委員 それは理屈はわかっておるけれども、あなたは、今、カラーテレビも、全国的に、年数は別として、三十年かかるか五十年かかるかは別として、全国にあまねくやる義務があるという私の質問に対しては、その通りですと答弁したのだ。ところが、今度中波とFMの問題になると、どっちでもかまわぬ、全国あまねく行っておればいいという答弁をしたから、それならテレビだって違うじゃないか。テレビだって、白黒かカラーテレビかどっちかが全国あまねく行っておればいいじゃないかということになるんじゃないか。あなたの答弁はうそを言ったということになるんじゃないか。あちゃこちゃ前後の弁解は要らぬから、うそを言ったらうそを言った、申しわけございません、こう答弁したらいい、こういうことですよ。
  157. 西崎太郎

    西崎政府委員 お言葉を返してまことに申しわけありませんが、先ほど引用した条文でございますが、第九条の四項に、「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか」こういう表現になっておりますので、この字句通り解釈すれば、先ほど私が申し上げたようになるのではないかということを申し上げたわけです。
  158. 森本靖

    ○森本委員 それをもう一ぺん言って下さい。
  159. 西崎太郎

    西崎政府委員 第九条の四項でございます。「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか」、これはラジオ関係でございます。それから「及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」そういう意味で、ラジオに関しましては標準放送、それから超短波放送、そのどっちかを使ってあまねく受信できるようにすればいい、そういうことを申し上げたわけです。
  160. 森本靖

    ○森本委員 だから、それはその通りということで、あなたも案外強情なんだ。その通りに解釈するなら、それはそれでいいと言うのだ、法律の解釈として。しかし、あなたは今私の質問に対して、カラーテレビも、全国あまねく、年数は幾らかかっても、普及しなければならぬ義務が第七条によってNHKにあるという答弁をしたから、私は言っている。ないじゃないか。あなたの今言った答弁からすると、白黒でもカラーテレビでもどっちでもかまわぬじゃないか、一つか行っておれば。そういうことになるじゃないか。あなたは非常に強情だから、私は突き詰めて言っている。だから、あなたは、先ほど答弁が間違いだったら間違いだと、この際正確に訂正しておきなさい。無理ですよ、あなたの答弁がどだい。中波とFMのときには都合のいいことを言っておいて、白黒とカラーテレビのときは、今の答弁でいくと、白黒もカラーテレビ両方あまねくやらなければならぬ、こういうことになってくる。
  161. 竹内俊吉

    ○竹内委員 関連して。森本委員と局長の質疑応答を聞いておって、局長は、カラーテレビの普及も法的な義務がNHKにあると、こう受け取れるような答弁であったように聞いたのですが、そういう意味であるならば、法的義務はカラーテレビとか、白黒とかいうことを規定しているわけではありませんから、テレビ普及にはなるほどそういう法的義務がある。しかし、白黒とカラーと区別して考えたときには、カラーの方はよりベターだから、そういうだんだんいいものを流していくという道義的義務は、当然そういうものを扱っておるNHKにあるのだ。こういう意味の義務はあると思う。こういう答弁ならば私は至当じゃないかと考えるのでありますが、そこが今明らかでなかったから、その点一つ明らかにしていただきたい。
  162. 西崎太郎

    西崎政府委員 今竹内先生がおっしゃった通りに訂正させていただきます。   〔「早くやめよう。」と呼ぶ者あり〕
  163. 森本靖

    ○森本委員 初めからそういうふうにちゃんと訂正を早くすれば、時間が早く済むわけです。あなたは意外に強情を張るから、そういう結論になるのであって……。  委員長、これははっきり言っておきますが、きょう一時に採決をするという約束はいたしておりませんので、今ごろ来てヤジられるのだったら、私はやめます。きょうは、午後、一応質問が済むまでゆっくりやる。そのかわり、きょうは採決をしようという理事会の約束になっておりますので、そういう理事会の申し合わせを無視して、早くやめろ、早くやめろということなら……。
  164. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 そういうことはありません。あれは私語でございますから、気になさらずに質問を続けて下さい。
  165. 森本靖

    ○森本委員 そこで、今のFM放送の問題でありますが、くどく言うのは、やはりFM放送については、NHKには、全国的に放送ができるように許可せざるを得ないであろう。今、大臣が明確にそれが言えないにしても、将来はそうなるであろう、こういう意味のことを言っておるわけであって、この点については、これは逓信委員会委員の各位は、与野党とも私は意見が一致しておると思う。だから、その点について、大臣は、大臣という立場にあるからはっきり答弁ができないというなら、私はこの程度でおきますけれども、その趣旨というものはよく了承しておいてもらいたい、こう思うわけであります。  そこで、先ほどの、もとに返して、前田専務がちょっと言われた第三放送の点でありまするが、これは、問題はそう簡単に見のがせる事柄ではないと思う。現行の第一放送と第二放送に対する第三放送ということを当面考えておるというなら、まだ話はわかるけれども、将来のラジオ放送というもののあり方が、今の中波放送の第一、第二さらにその上にFMの第三放送という考え方に立つとするならば、これは若干NHKとしても私は考えを新たにする必要があるんではないか。われわれとしては、FM放送というものはやはり今のテレビのサービス・エリアに大体似たようなものでありまするが、大体今のようなローカル放送、あるいは地方を主とした中波の放送というようなものは、当然FM放送に変わっていくであろう。しかし、中波が、そうかといって絶滅するものではない。中波放送は中波放送としての特殊な波の性格において、やはりこれは電力が大きくなって、そういう面のカバーができるだろう。しかし、今のような形の中波放送放送局があっちこっちにあって、それと同じようにFM放送放送局があっちこっちにあるということについては、これは私は、日本の現在の状態からいって、そういうことは望ましいとは考えられない。やはりその点については、前からあなたの意見は、どうも——去年の予算のときにも、そのことを私も言いましたし、橋本委員からも、この点についてはNHKとしては少し考え方が違っておるんじゃないかという追及があったわけでありまするが、ようやくにしてこのFM放送がいよいよあなたの方の七局の実験段階に入ってきた、こういうことになってくるとするならば、もしあなたが——あなたということでなしに、NHKが第一、第二の中波、その上にFMの第三放送という考え方をするとするならば、今から先の実験放送意味がだいぶ違ってくるんじゃないか、こう思うわけでありますので、その点について、これはNHKとしての明確な考え方をこの際出しておいてもらいたい。現在の時点における考え方でけっこうであります。
  166. 前田義徳

    ○前田参考人 私が、前国会ないしただいま森本先生にお答え申し上げたFM放送の編成方針は、現段階を中心としてお答え申し上げたものであります。将来、中波とFMの関係がどうなるか、これは国の電波政策がまず先行されなければならないと思いますが、いかなる将来の変化にも応じ得る準備と予測は、立てております。
  167. 森本靖

    ○森本委員 その程度で一応いいとしなければならぬと思いまするが、ただ、まあNHKが現在の段階においてFM放送はこうなければならぬというようなことについての断定、それに似かよったような発言は、私は、当委員会あたりでは慎重にしてもらいたい、こういうところから、特に第三放送という言葉が出て参りまして、大臣もその言葉をとらえておられましたので、特に今言ったわけでありますが、この問題については、一つ将来も慎重に考えていかなければならぬ、こう私は思いますけれども、あまり慎重に考えて、研究し過ぎてちっとも実らぬということでは、何にもならぬわけであって、慎重であると同時に、なおかつ、急速にこういう面については考えていかなければならぬということを十分に私はお考えを願いたい、こう思うわけであります。  それから、だんだんピッチを上げていきますが、委員長に協力をいたしまして……。昨年の委員会において、従業員の待遇の刷新を——刷新というのは、実は待遇を改善してもらいたいという要望でありましたけれども、刷新という名前も字も同じことであろうということで刷新でありましたが、今年度の予算で、従業員の待遇についてはどうなっておりますか。
  168. 小野吉郎

    小野参考人 基準賃金の引き上げに関しまして、七%のベース・アップができるような配慮がいたしてございます。さらに賞与の関係につきましては、在来三五%でございましたが、四〇%に、五%の改善ができるような配慮をいたしております。
  169. 森本靖

    ○森本委員 私は、あえてこの問題を詳しくここでやろうと思いません。思いませんけれども、たとえばここにありますところの新聞三社との基準内賃金のいわゆる比較表を見てみますると、NHKが三万五百六十九円、朝日新聞が四万四千七百九十八円、それから毎日が三万六千八百三十円、読売が三万五千六百九十五円、これで見るとNHKが一番低い割になっておるわけであります。さらにこれを民間放送と比べてみますると、NHKが今言いましたように三万五百六十九円、北海道放送が三万一千六百二十二円、東京放送が三万七千七百十四円、大体このNHKより下のものが一つもないわけでありまして、ほとんど新聞放送関係が、NHKよりも全部給与ベースが上である。ところが、実際は、NHKというものは、公共放送という建前もあるし、これは大体きぜんとした態度をとっておらなければならぬ。しかし、このごろは武士は食わねど高ようじというような言葉ははやらぬわけでありまして、実際に腹が相当張ってなければ、なかなかスマートな格好もできないわけでありまして、そういう点から考えてみますると、私は、今の七%という点については非常に低いではないかというふうに考えるわけでありますが、その点をここで論議しようと思いません。ここでこういうふうな予算が上程をせられておりますので、これをいまさらどうこう修正するということは、現実になかなかむずかしいわけであります。しかし、せっかくこの予算総則には毎年ついておりまする第七条の弾力条項がありまするので、この予算の実行段階においては、私は十分に一つこの第七条の弾力条項というものを生かしていただいて、実行段階においても、この点については十分に一つ従業員側とも話し合いをしながら、この従業員の待遇改善についてはさらに御努力を願いたい、こう思うわけでありますが、これは一つ会長から聞いておきたいと思います。
  170. 阿部真之助

    阿部参考人 御趣旨については、十分私ども考慮するつもりでおります。
  171. 森本靖

    ○森本委員 それからもう一つ、臨時者の問題でありまするが、今NHKは、臨時職員というのがどの程度おりますか。
  172. 小野吉郎

    小野参考人 千七百名でございます。
  173. 森本靖

    ○森本委員 この臨時者というのは、いつまでも臨時者になるわけでありますか。それとも一年なり二年なりすれば、試験を行なって本務者になる、こういうことになるわけですか。
  174. 小野吉郎

    小野参考人 この中には、いろいろ用務の、取り扱っておりまする仕事の関係におきまして、永久に臨時的な性質を持ったものがございます。そうでないものにつきましては、ある時期には試験をいたしまして、本採用の必要があればその中から本採用に移しかえて参るということになっております。
  175. 森本靖

    ○森本委員 職種の内容によってはある程度やむを得ないと言う方もあるかもわかりませんけれども、私は、臨時職員というような制度は、なるべくなくしてもらいたい。すべて本務者にするという方向において一つ実行段階ではお願いしたい。それから万やむを得ない臨時者というような点についても、これは一つ、一般の本務君と待遇は変わらない、こういう方向にぜひお願いしたい、こう思うわけでありますが、これについて、小野さんの力から御回答を願いたいと思う。
  176. 小野吉郎

    小野参考人 御趣旨の線に沿いまして、できるだけ改善をいたして参りたいと思います。今回の予算におきましても、臨時要員の関係につきましては、相当程度の改善を見込んでおります。
  177. 森本靖

    ○森本委員 それからもう一つNHKの職員といいますか、芸能関係の方々で、いわゆる契約ということになっておるかどうか知りませんけれども、広島でもどこか訴訟が起こされて問題になった、それから大阪でも問題になったというような形が出ておるわけでありますが、こういう人たちのいわゆる待遇といいますか、条件といいますか、これはどうなっておりますか。
  178. 春日由三

    ○春日参考人 優先出演契約という、個人々々の出演契約でございます。
  179. 森本靖

    ○森本委員 そういう人たちが、大体どの程度おりますか。
  180. 春日由三

    ○春日参考人 約五百人であります。
  181. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、そういう人たちは、五人で労働組合みたいなものを作っておるわけですか。
  182. 春日由三

    ○春日参考人 そのうち、東京を除きまして、大阪を中心に約半数が日芸労という労働組合を作っております。
  183. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、日芸労の団体交渉の相手はNHKと、こういうことになっておるわけですか。
  184. 春日由三

    ○春日参考人 さようでございます。
  185. 森本靖

    ○森本委員 私は、これは非常に微妙な問題になってくると思いますけれども、こういう人たちも、労働者としての一つの待遇、身分、そういうものについてはっきりと確立をする必要があると思いますが、こういう人たちNHKと直接の交渉をするという形でなくして、たとえばそういう芸能関係の人々が全部網羅できるようなビジネス・センターならビジネス・センターという一つの形になってまとまった方が、たえとば六百人の方々が全部一つの単位組合なら単位組合にまとまってNHKと折衝するという形になれば、これまた方向としてけっこうでありますが、これが中央放送局段階で、それぞれ個々ばらばらな格好になると、これはNHKの方としても非常にやりにくいだろうし、また、要求する側においても、なかなかむずかしいのじゃないか、こう考えるわけでありまして、私は、今すぐこれをどうこうという結論は得ませんが、こういう人たちの身分を確立すると同時に、この人たちの待遇をきちんとまとめるという意味においても、こういう面については、早急にNHKの内部においてもよりよき結論を得られるように、一つ御検討願いたい。いつまでもあっちこっちでこういう紛争を来たしておったのでは、NHKの名にかかわる、こう考えると同時に、そういう人たちの身分の不安定ということ、それを確立する必要もあろうと思いますので、そういう点については、一つ将来早急に十分御検討願いたい、こう思うわけでありますが、これは前田専務から御回答願っておきたい、こう思うわけです。
  186. 前田義徳

    ○前田参考人 日芸労との関係につきましては、二月の二十三日に一応の基本的了解は両方でついております。その了解の線に従いまして、NHKといたしましては、着実かつ忠実にこれを解決するように実効を上げて参りたい、こう考えております。
  187. 森本靖

    ○森本委員 もう一つ聞いておきたいと思いますのは、このNHK番組の向上という点でありますが、私は、特に申し上げておきたいと思いますことは、NHKというものは、普通の民放とかあるいは映画会社とは趣きを異にするわけでありまして、要するに、スターを中心としての番組の編成をしていくというやり方を、NHKあたりはとるべきではない。少なくともNHKは、NHKとしての性格からいくとするならば、ああいう営業的な、いわゆるスター中心的な——ドラマにしてもあるいは映画にしても、一つの大衆を相手としたやり方でありますから、民放なりあるいは映画会社とは違った意味番組面の特殊な性格が出てこなければならぬ、こう常に考えておるわけであります。NHKも、まあ週刊誌あたりで読む情報でありますから、はっきりわかりませんけれども、何か人気番組が出てきますと、それがまるっきりNHKの中心になったような錯覚を出演者自体も起こして、その番組自体がもめるというようなことが載っておるわけでありますが、たとえば「事件記者」でありますが、こういう問題については、なかなかもめたというようなことが、週刊誌に載っておるわけでありますが、そういうこまかいことは私は一々ここで追及いたしませんけれども、そういうふうな弊害が起こらないように、私は、番組のあり方について、専務の方から、一般の映画会とか民放との違いを明確にしておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  188. 前田義徳

    ○前田参考人 先生の御意見に私ども全く御同感でございまして、現在の番組製作あるいは編成方針の運営についても、その方針は貫いてきております。私どもは、二、三の芸能界のスター的な人を中心として番組を編成し、製作するという考え方は、持っておりませんし、今後も、この考え方を続けて参る方針でございます。
  189. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと参考までに聞いておきますが、たとえば「事件記者」とか「若い季節」というふうな、ああいう花形の番組については、一つ番組でどの程度の経費を使うものですか。大まかな点でけっこうです。
  190. 前田義徳

    ○前田参考人 「若い季節」については、おおむね一回で六十万円から七十万円の間でございます。
  191. 森本靖

    ○森本委員 今、三十分ないし四十分程度の映画をNHKで自主的に作っておりますが、ああいう映画は大体どの程度でできますか。
  192. 前田義徳

    ○前田参考人 現在やっている映画番組は、一時間もので、平均しますと、約二百二十万円になっております。
  193. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、これは金がかかっても映画より安いということになるわけであって、その点は別でありますが、私が最初に言った根本的な理念を忘れずに、こういう製作についてはお願いしたい。その金額の多寡そのものについては、とやかく言いませんが、NHKともあろうものが、ああいう「事件記者」でもめたとかどうとか、こういうことを週刊紙で書かれることすら心外のわけでありまして、ややもすると、人間でありますから、ちやほやされるとうちょうてんになるということは当然でありますが、そういう点については、特に番組の編成上その最高責任者である前田専務理事あるいは春日理事あたりは、十分に考えてやってもらいたい。  それから巷間とやかく言われるのは、年末にやります「紅白歌合戦」でありますか、ああいう点についても、いろいろ週刊紙等に書かれているわけでありまして、これは根も葉もないことを書いていると思いますが、そのように書かれるには、書かれるだけの理由があるわけでありまして、やはりこういう点も、一般の映画会社、民間会社とはNHKは違うわけでありますから、そういう点も十分注意せられて予算執行に当たってもらいたいということを、特にこの際、平生から気がついておったことでありますから、申し上げておきたい、こう思うわけであります。  さらにもう一つ聞いておきたいと思いますことは、NHKの機構でありますが、どうもわれわれ部外者が見ますと、NHKの機構が、その指揮命令系統が、一体今度はどういうようになっているのか、さっぱりわからぬわけであります。われわれは国会議員でありますから、理事以上と話しておればいいようなものでありますが、つい用事があって下の方に話をしましても、さっぱり話が通ぜぬわけであります。大体この放送総局と総務室というのはわかります。この一番の大将が前田専務理事で、その小さい大将が春日理事だということはわかります。この下にそれぞれの局があるということはわかりますが、それ以外の管理局、計理局、技術局の、これらの局の面接の指揮命令系統はどうでありますか。
  194. 溝上けい

    ○溝上参考人 現在の機構は、昨年、在来の機構を改正しまして、多少そのためにおわかりにくいかと思いますが、在来の計画部門、経営部門というものを現業と切り離して、これを経営第何部という形にまとめたところにあるいはおわかりにくい点があるかとも思いますが、御質問の命令系統その他については、会長、副会長、専務、そのほかに理事がそれぞれ会長の特命を受けまして、たとえば経営第一部につきましては、赤城理事が第一部担当という形になっております。それで、そういう分担で在来局長というものを同時に理事がやっておりましたが、たとえば大阪局長とか国際局長とかいった特別の局長以外は、なるべくそのスタッフが面接経営部門を担当するというふうな形式に改めまして、従いまして、命令系統はそういう形で下部の方へ伝わって参ります。
  195. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、放送総局以外の局長の担当は、専務理事を分けておるわけでありますか。
  196. 溝上けい

    ○溝上参考人 経営部門につきましては、専務並びに理事が適宜会長の任命によりまして担当いたしておりますが、それ以外の部門につきましても、それぞれ役員が指導するという形になっております。
  197. 森本靖

    ○森本委員 どうもそこがわかったようでわからぬわけですがね。たとえば管理局、計理局、技術局といろいろ局があるわけですが、これは担当の専務を分けておるんですか。たとえば管理局ならこれは小野専務、施設局は田邊専務というふうに——放送総局は、一つ大きな局があって、そこに小さな局があるわけですから、わかりますよ。ところが、横がわからぬわけです。
  198. 溝上けい

    ○溝上参考人 たとえば関連の深い主計部、計理局、加入局といったものは小野専務が指導する。それから技術局、施設局、技術研究所といったものは田邊専務が指導するというふうになっております。
  199. 森本靖

    ○森本委員 これはあなたの方のどういう機構を見てもさっぱりわかりませんので、あとでけっこうでありますが、あなたの方のこういう機構に対する人の配置、指揮命令系統というものを、一つ資料として出していただけませんか。そうしないと、第一経営か管理局か、だれがやっておるとかいうことがさっぱりわからぬわけでありまして、これは一つ早急に資料として、人的構成とこの職制とを合わせて委員会にお出しを願いたい、こう思うわけであります。
  200. 溝上けい

    ○溝上参考人 承知いたしました。
  201. 森本靖

    ○森本委員 それから最後に一つ聞いておきたいと思いますことは、オリンピック中継に関することでありますが、オンピック中継というのは、ラジオ中継は別として、かりにテレビジョン中継ということになるますと、これを具体的に行なうのは国際電電であって、そうして国内におけるものを取り扱うのがNHKということになろうと思いますが、その辺の具体的な内容はどうなりますか。
  202. 前田義徳

    ○前田参考人 技術的に海外との関係で施設を使う場合、国内施設は、放送に関する限りNHKが分担いたしますが、海外との連絡中枢機関としての機械設備は、国際電電にお願いすることになるわけでございます。
  203. 森本靖

    ○森本委員 大臣に聞いておきたいと思いますことは、これは毎年私が言っておることでありますけれども放送法の三十四条に基づく技術研究に対して政府は補助金を出す、交付金を出すことができるようになっております。ところが法律はみごとと思いますけれども、郵政省は大蔵省にけられまして、一ぺんもこれはやったことがありません。今年は、迫水郵政大臣だからそういうことをやってくれるだろうと思っておったところでありますが、それは電波局長から話はなかったのですか。
  204. 迫水久常

    迫水国務大臣 ことしもその予算が取れなかったことはまことに残念でありますし、申しわけございませんでしたが、NHKは、相当金持でもありますので、特に私の方からどうしてもやらなければできないということでもなさそうに思ったものですから、大蔵省がどうしても通さないと言えばしようがないと思ってあきらめました。
  205. 森本靖

    ○森本委員 NHKは金持であるということは、ちょっと言い過ぎだと思うわけでありまして、金持であるとするならば、受信料金を値下げをするなり、ラジオ料金先ほど問題になっておったように廃止をすべきであります。もう一ぺん言い直して下さい。
  206. 迫水久常

    迫水国務大臣 NHKは金持であるという言葉は取り消します。
  207. 森本靖

    ○森本委員 これで大臣には終わりますが、一つこの放送法の第三十四条の技術研究の問題については、ぜひ将来は考究してもらいたい。一度でいいから、技術研究を政府が交付金を出してやらしてみたらいい。これはぜひ来年度は実現ができるようにやってもらいたいと思うわけでありますので、重ねて、簡単でけっこうですから……。
  208. 迫水久常

    迫水国務大臣 努めて努力いたします。
  209. 森本靖

    ○森本委員 私の方といたしましては、まだ実は、巡回修理の問題につきましても、あるいはまた沖繩関係の問題につきましても、その他いろいろ質問をすべき事項がたくさんございますけれども委員長委員に協力をいたしまして、この程度で私は質問を終わりたいと思いますが、この場のがれで答弁をしたらいいということでなしに、当委員会で質問があった事項については、実行段階の際に十分にやっていだきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  210. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 本日はほかに質疑もないようでございますから、本件に対する質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  211. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。秋田大助君。
  212. 秋田大助

    ○秋田委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対し、私は、自由民主党を代表して、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  以下賛成の理由を申し述べます。  NHKの昭和三十七年度収支予算において、最も重視すべき項目は、放送受信契約制度の改正でありますが、最近におけるテレビジョンの急速な発展は、テレビラジオを通ずる受信者聴視態様に著しい変化を与え、同一世帯内にテレビ及びラジオ受信設備が併置されておのおの別個の役割を果たすことが普通になりましたと同時に、ラジオが実際に聞かれている状態と遊離して、契約面におけるラジオ受信者数の激減という異常な傾向が生じて参り、ために、受信料を唯一の収入として事業を行なっているNHKの財政基盤まで脅かされるような状況と相なったのであります。これは一に現行の受信料制度テレビラジオの受信態様の変化に適合しないところから生ずる欠陥と見られるのでありまして、ここ一両年来、当委員会におきましても論議の焦点となり、昨年三月、NHK三十六年度予算の議決に際しては、政府並びにNHK当局は、すみやかに現行受信料制度及び受信料の額につき再検討を遂げ、次年度以降適正な受信料制度の確立を期すべき旨の附帯決議が付されたことは、御承知の通りであります。自来、NHKにおいては、部外有識者からなる受信料調査会を設けて慎重に本問題を検討の結果、一案を得て、ここに提出さたれのでありますが、この議案に盛られた新受信料制度を見まするに、放送受信契約を、協会の行なうすべての放送の受信についての契約と、ラジオのみの契約との二種に改めて、前者を放送受信契約甲、後者を放送受信契約乙と呼ぶこととして、放送聴視実態に即応せしめるとともに、受信料の額につきましても、前者を三百三十円、後者を五十円と定め、相当の引き下げを行なって、受信契約者の負担の軽減をはかっておるのでありまして、いろいろの面において複雑かつ困難な本問題の解決策としては、適切妥当な方策と認められ、わが党としては、これに支持を与えるものであります。  次に、事業計画において注目すべき点は、NHKにおいては、従来の放送事業五カ年計画を吸収して新たに六カ年計画を策定し、三十七年度においては、その第一年度として、放送網の建設、FM実験局の増置、放送番組の充実刷新、通信高等学校の設立、その他放送の利用促進、国際放送の拡充、調査研究の強化、経営管理の合理化等、各般の諸施策を強力に推進しようとするものでありますが、この六カ年計画が順調に達成された暁においては、NHK放送のカバレージは、ラジオ第一、九九・九%、同第二、九七・八%、テレビジョンは、総合、教育ともに九五%に達するのでありまして、NHKの使命とする放送の全国普及は、ほぼ完成の域に達し、同時に、放送番組の質的向上、特に教育、教養番組の充実に一そう努められることによりまして、国民の要望する豊かで、かつ、よい放送の実施も期して待つべきものがあると信ずるのであります。三十七年度事業計画に織り込まれました諸施策は、そのスタートをなすものでありまして、万難を排してこれが実現に努めるよう、協会当局の一そうの努力を要望する次第であります。  これを要するに、本議案の内容となっているNHK昭和三十七年度の収支予算、事業計画普及及び資金計画は、その内容いずれも適切、妥当なものと認めまして、自由民主党は、これに賛意を表するものであることを明らかにして、私の討論を終わります。
  213. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 畑和君。
  214. 畑和

    ○畑委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、議題の案件に対し、承認を与えることに賛成の意を表するものであります。  この日本放送協会の昭和三十七年度収支予算、事業計画及び資金計画は、かねてからの懸案であった放送受信料制度の全面的改革を実現するとともに、この改革を契機として、新長期計画の発足をはかることを主軸として策定されており、NHKの事業史の上に画期的な意義を残すものと思われます。  この収支予算等の要目の一つである放送受信料制度改定は、現行制度が、テレビ高度普及下の放送事情に対する適応性を失い、その正常な施行の確保が困難になってきたことから、これを全面的に改めようとするものでありますが、今回の新制度は、ほぼこれと同様の制度を採用しているヨーロッパ諸国の先例等から見て、きわめて常識的な制度といえるばかりでなく、改定の趣旨にも適するものと見られ、また、その受信料額も、受信契約者の負担軽減と協会財政基盤の安定とのかね合いとして、おおむね適当な算定であろうと思われます。  第二の要目である第二次六カ年計画は、受信料制度改定によって協会財政基盤の安定が得られるのを機に、新たな展望に立って協会の将来設計を立てようとするものでありまして、当年度計画は、その長期構想のもとに、放送網の整備、拡充、FM実験局の増設、放送番組の充実、刷新、通信高等学校の設立、その他の放送利用の促進、国際放送の拡充、調査研究の強化、経営管理の合理化等の諸施策を積極的に推進しようとしておりますが、これらの重点的諸施策は、いずれも協会の使命に照らして適当なものと思われ、その成果に期待をかけるものであります。  以上申し述べましたように、わが党は、この収支予算等に対しては、おおむねこれを適当と判断するものでありますが、その実施等につき、この際若干の希望を表明しておきたいと存じます。  まずその第一は、放送受信料制度についてであります。今回改定される新しい受信料制度は、前述のようにおおむね妥当な制度と考えられますが、この制度には、テレビ単設者に対しても、ラジオを含めた契約を強制することになるという制度上の難点があるほか、この改革に伴う受信者の利害の変化にも微妙なものがある等、その実施にあたっては注意を要する点が少なくないと思われます。制度上の問題については、今度施行の過程において、テレビラジオの併置を勧奨する等の努力によって発展的に解決をはかるとともに、改定趣旨の徹底についても、格別の工夫と努力とが望まれるものであります。  第二は、放送網の整備についてであります。第二次六カ年計画に入って、テレビ放送網の整備はいよいよ急ピッチになって参りますが、中波放送の場合と異なり、テレビ放送網においては可聴地域の空白が著しく目立つばかりでなく、テレビが文化の尺度に見られるところから、難視聴地域の救済が特に切実な問題となってくるものと見られます。かかる点からして、政府並びにNHK当局は、難視聴地域に対する周波数の手当、置局等について、一そうの促進をはかられるよう希望するものであります。  第三は、放送番組の刷新、充実に関してであります。近時、民間放送を含めて、放送番組については、かなりきびしい世論の批判があり、はなはだしきは放送の功罪にまで及ぶものがあり、すべての放送事業者を通じて改善の努力が望まれますが、特にNHKにおいては、放送界におけるその役割と地位とに顧みて、真に豊かですぐれた番組の編集に努めることが必要であり、特に近く本放送の開始の運びとなると見られるFM放送については、実験局の段階においても、そのあり方を工夫することが期待されるのであります。  第四には、国際放送の拡充に関し、政府に希望しておきたいと存じます。国際放送の拡充に関しては、数年来、予算審議のたびごとに政府交付金の増額を要望して参りましたが、この三十七年度予算においても、国際放送費四億五千九百万円余のうち、政府交付金はわずかに一億八百万円余にすぎず、わが党の要望はほとんどいれられておらず、近時、国際事情の変転が活発、微妙なおりから、政府の積極的な態度が望まれるのであります。  第五は、調査、研究についてであります。これも数年来強調してきたところでありますが、最近における放送に関する科学、技術の研究は、いよいよ高度化し、しかも、その分野はますます拡大しており、これらのすべてをNHKの自主研究にまかすことは適当でなく、基礎研究のごときは、国の責任において行なうことが必要であり、これがためには、放送法の研究命令条項の河川をはかるべきであると考えられるのでありまして、この点について政府の再考を望むものであります。  第六に望むことは、従業員の待遇改善について、なお一そう留意願いたいということであります。この点については、あらためて説明の要もないところであろうと存じます。  最後に、特に希望しておきたいことは、予算の執行にあたっては、厳に経理支出の放漫化を戒められたいということであります。受信契約者の伸長に伴って、年々NHKの予算は膨張し、事業費、建設費を通じて多額の経理支出を行なうことになりますが、かかる事情のもとにおいては、とかく支出の放漫化を来たしやすく、特に戒心を要するところであります。NHK当局は、かかる勧告を心外とされるかもしれませんが、法律によって保障された受信料収入によって経営をまかなうNHKとしては、その使途につき細心の注意を払うことは当然の責務であり、また、このことは国民の寄託に沿うゆえんでもあることに思いをいたし、経理運用の適正につき不断の関心を寄せられたいのであります。  以上、数項にわたって希望を申し上げて参りましたが、わが党は、本収支予算が適実に実施され、NHK放送が、六カ年計画の標榜するごとく国民生活の充実向上に資することを切望し、私の討論を終わります。(拍手)
  215. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 受田新吉君。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま提案されておりまするNHKの三十七年度収支予算案につきまして、国会承認を求められるにあたり、特に希望を付してこれに賛意を表したいと思っております。  このNHKの三十七年度収支予算案を拝見いたしますと、昨年の当委員会における全委員の付帯決議の要望の線にもある程度沿うた努力をされておることは、十分認められる点であります。特にその放送番組におきまして、教育、教養の面に重点を置かれ、通信教育の観点から通信高等学校の設立を新しく計画されており、また、僻地の中小学校等の、特に無料利用等の道も開かれまして、さらに難視聴地区に対する苦労のあとも見られるのでございますが、私は、こうした山間僻地、島嶼部に至るまで、全国すみずみに至るまで、公益放送としての任務を果たそうと努力されている点については、十分これを容認するところであります。  さらにこの事業計画におきまして、今後六カ年計画をもって、全国的な放送網の確立、そして建設事業、放送内容の充実等に寄与されようというこの計画につきましても、一応共鳴するものであります。  ただ、この機会に希望をする点は、NHKというこの特別の機関は、少なくとも国の放送事業の中におきましては、その公益性を特に重視せられまして、NHKの持つ持ち味というものを十分生かし、民間放送との関係におきましても、十分典型的な放送番組の編成、事業計画の遂行をはかっていただきたい。放送法の第一条に規定されておりまする放送事業の目的、この公共の福祉増進に寄与すること、政治的な公平を期すること、あるいは不偏不党、真実、自律を重視すること等におきまして、NHKがその果たす役割はきわめて重大であると思います、放送事業の近代化、合理化という面を経営面に生かされ、経営の安定化と、全国民に安心していただけるように放送内容を充実していただきまして、この三十七年度の予算案を実施されるにあたりまして、十分の注意を払われることを要望いたすものであります。  以上、簡単でございまするが、わが党の立場よりこれに対する賛意を表した次第でございます。(拍手)
  217. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 谷口善太郎君。
  218. 谷口善太郎

    谷口委員 私は、日本共産党を代表しまして、本件に対して反対の意を表明します。  反対する理由は、ずいぶん多岐にわたってありますが、しかし、時間が極端に制限されておりますので、根本的な問題について一、二点だけその理由を申し上げて、反対の立場を明らかにしたいと思います。  その一つは、今度新しく改定されました料金制度の問題であります。これは私、先ほどの質問でいろいろな点からお聞きしたのでありますが、やはり納得することはできませんでした。これは、今の社会党の反対討論の中にもございましたが、機械を備え付けない、ラジオというものを備え付けない者に対しても、その料金を取るという内容が含まれておりまして、それはもはや料金ということは言えない。むしろ架空なものから不法に料金と称して金を取っていくという、収奪の内容を持っております。公共放送であり、独占的な事業でありますが、それにあぐらをかいて、こういう状態国民料金を課すというやり方は、これは私どもの絶対に賛成しがたいところであります。  それから第二は、この問題も昨年から問題にしておったのでありますが、NHK政治的中立性の問題、公平の原則の問題であります。伺った質問によりましても、やはり依然としてNHKが今やっておられますような偏向的な態度を改めるという意思はないようであります。公共放送として、放送法規定しておりますNHKの公共性、また公平性中立性という問題は、これは全く原則的な問題でありまして、重要であります。先ほどのお話によりますと、ある政党を政治討論会に呼ぶか呼ばないかという問題は、NHK番組編成の都合によるというような答えであります。政党は、たとえばある劇なら劇についてのタレントを呼ぶという、そういうタレントではないのでありまして、政治問題についての発言を持つ一つの分野を持っております。これがNHKの判断によりまして排除するかしないかということをきめるという自由は、NHKにないはずでありまして、NHKの自主性という問題は、法律によって規定されております、民主主義を守る、公平性を守る、政治的中立を守るという原則を犯すものに対して断固として戦うという自主性でありまして、NHKみずからが、自由性の名において、あたかも政党をあるタレントに類するごとき待遇でもって判断するというやり方は、間違いであります。こういう点で、私どもは、根本的に言って、今のNHKやり方につきましては賛成しがたいという立場を持つわけであります。  最後に、あとに附帯決議が出るようでありますが、この附帯決議も、共産党を除く各党が共同して出されるようでありますが、この内容を見ましても、国際放送を多くしろ、あるいは教育、教養の番組を多くしろ、そういう内容が含まれておるわけであります。もちろんこのこと自体は悪いことではありませんけれども、しかし、今申しましたNHK立場、これにこういうものをさらに多くしろということになりますと、その内容を論議しないで、ただこういう抽象的なことを言うことは、むしろNHKの現在の反動性を促進する意味を持ちますので、この附帯決議にも反対することをここに明らかにしておきます。
  219. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に承認を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  220. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 起立多数。よって、本案は承認を与えるべきものと決しました。     —————————————
  221. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 この際、廣瀬正雄君より発言を求められておりますので、これを許します。廣瀬正雄君。
  222. 廣瀬正雄

    ○廣瀬委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案として、ただいま議決されました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対し、次の附帯決議を付する動議を提出し、あわせてその趣旨を御説明いたしたいと存じます。  まず、附帯決議の案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会当局は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。  一、難視聴地域の解消対策を積極的に推進すること。  二、国際放送の充実並びに拡張をはかること。  三、放送番組の向上、とくに教育、教養番組の充実につとめること。  四、経営の合理化、能率の向上をはかり、もって従業員の待遇改善に努力すること。  右決議する。  以上でございます。  本決議案提出趣旨は、すでに議決を見ましたNHK収支予算、事業計画の当委員会における審査過程においての論議の動向に徴して明らかであると存じますが、きわめて簡単にその趣旨を申し述べます。  その一は、難視聴地域の解消対策の積極的推進ということであります。ラジオテレビの難視聴地域については、NHKの第一次五カ年計画及び三十七年度より始まる第二次六カ年計画において、相当強力にこれが解消対策が進められておることは、これを認めるにやぶさかでありませんけれども、いまだ若干の地域に対し、テレビラジオ文化が及んでおらないことは、はなはだ遺憾であります。特にテレビジョンにつきましては、その全国普及が促進されるに伴って、取り残された空白地域がますます目立ってくるわけでありまして、放送の全国普及というNHKの使命からいっても、国民放送文化を一様に及ぼすという公平の見地から見ましても、難視聴地域の解消に一そうの積極策をとるべきであるというのが、その趣旨であります。  その二は、国際放送の拡充であります。国際放送は、年々整備されて参りました。けれども、世界一流国に伍して、わが国の国際放送がなお相当に遜色あることは明らかであり、かつ、現状においては、国際放送の受信状態が必ずしも良好でない地域もあるのでありまして、国際放送について、方向、時間、電力等を拡充するとともに、機能の面につき、技術的の改良をはかる余地が、まだ大いに残されております。ことに三年後に迫った国際オリンピックの開催を控えて、主催国としましては、オリンピックの全世界中継に万全を期する義務があると考えますが、テレビジョンの中継は、今日なお技術的に種々の困難が予想されており、この面におけるラジオの任務はますます重大となってくるのでありまして、この意味からも、国際放送の拡充は焦眉の急務と考えるものであります。  その三は、放送番組の質的向上、特に教育、教養番組の充実でありますが、これは、NHK、民間放送を通ずる今日の放送番組に対する一般世論の動向からいって、特に説明を加える必要もないかと考えます。特にNHKは、わが国放送の基幹としてきわめて高度の公共性を持っておるのでありますから、その放送番組も、真に国民の文化の向上に寄与する水準の高いものでなければならないのでありまして、この決議は、この点に関し、重ねて政府及び協会の注意を喚起しようとするものであります。  その四は、経営の合理化、能率の向上をはかり、もって従業員の待遇改善に努力するということでありますが、これは従来といえども、当委員会がしばしば要望いたして参ったところであり、あらためてその趣旨を申し述べる必要もないかと思いますが、特にNHKにおいては、新たに六カ年計画を策定して、三十七年度よりこれが実行に着手するわけでありまして、この計画は、所期の成果をおさめるには協会内部の一致した努力によらなければなりませんが、この上下一致の企業努力による成果を、民間放送その他の類似職種に比し、決してよいとは言われない協会従業員の待遇改善に反映せしめることは、六カ年計画の達成上も肝要なことと考えられ、重ねてこの要望を提起した次第であります。  以上をもちまして趣旨の弁明を終わります。  何とぞ全会一致、御賛成あらんことを望みます。
  223. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 ただいまの廣瀬正雄君の提出の動議の通り、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  224. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 起立多数。よって、本件に附帯法蔵を付することに決しました。     —————————————
  225. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 なお、本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、前例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、大高政務次官並びに阿部日本放送協会会長より、発言を求められております。これを許します。大高政務次官。
  227. 大高康

    ○大高政府委員 ただいま提案いたしました件につきまして、大多数をもちまして御承認願いまして、まことにありがとうございました。なお、附帯決議につきましては、御趣旨のほどを十分考えまして、善処したいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
  228. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 阿部会長
  229. 阿部真之助

    阿部参考人 毎日御熱心な御審議をいただきまして、本日満場一致に近い数をもって御承認いただきまして、まことに感謝にたえない次第であります。  なお、この附帯決議につきましては、この決議を十分尊重いたしまして、着々実行に移したいと思います。明年度以降の実施にあたりましては、NHKは、全員一段と努力いたしまして、皆様の御期待に沿いたいと思います。本日はどうもありがとうございました。(拍手)
  230. 佐藤虎次郎

    ○佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会