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1962-02-28 第40回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十八日(水曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 佐藤虎次郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 廣瀬 正雄君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       竹内 俊吉君    中山 榮一君      橋本登美三郎君    保利  茂君       星島 二郎君    森山 欽司君       畑   和君    原   茂君       安平 鹿一君    吉村 吉雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (貯金局長)  荒卷伊勢雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員山本幸一君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として吉村吉雄君及び受田新吉君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員吉村吉雄辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第三〇号)(参議院送付)  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  郵政事業郵政監察電気通信並びに電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを順次許します。吉村吉雄君。
  3. 吉村吉雄

    吉村委員 きょう私は特に時間をさいてもらって――おそらく大臣の方でも御承知になっておって、今頭を悩ましている問題だろうと思うのでありますが、福島県の民間テレビの許可問題について、大臣並びに関係当局見解を承りたい、このように考えておるわけです。  申し上げるまでもございませんけれども、テレビが非常に急速に普及をいたしておるのでありますけれども、全国の中で福島県だけが民間テレビを視聴することができない、こういうことで約五カ年間も経過をいたしておるわけです。これは、福島県民にとりましては非常に迷惑な話で、県民全体としまして、一刻も早くこの民間テレビが開局されるように願っておるのでありますけれども、電波を監理しているところの郵政省当局としましては、もちろん、言うまでもなくその開局のために努力をいたしておるとは思うのでありますけれども、いかんせん、相当長い期間にわたってこれが実現を見ていない、こういうことで、非常に県民全体としての問題になっておるわけです。これは、ひとり福島県民だけの問題というよりも、電波恩恵というものを享受せしめる、こういう観点からしますると、郵政省としてもこのまま放置するわけにはいかない問題だろうと考えますので、現在までの福島県の民間テレビの許可ができ得ない理由あるいはその経緯等について、まずお伺いしておきたいと考えるわけです。
  4. 迫水久常

    迫水国務大臣 福島県の民間テレビの問題は、お話しの通り、私具体的な問題として頭を悩ましている一つでございます。それで、この問題は、私が郵政大臣に就任する以前からもつれている問題なのでございまして、その経過を御説明するのにつきましては、私が就任する以前の問題について一応電波監理局長から申し上げまして、私が就任して後、私が管理をし始めてからあとの経過は私が申し上げます。
  5. 西崎太郎

    西崎政府委員 福島地区におきまする民間テレビ免許についての従来のいきさつを簡単に御説明申し上げます。  今、先年からお話がありましたように、五年前、すなわち昭和三十二年の十月二十二日に、当時民間テレビに対しまして三十四社三十六局、これに対して大量の予備免許を与えたわけでありますが、そのうちの福島地区の分といたしましては、株式会社ラジオ福島に対しまして、昭和三十三年三月末日までに資本構成役員構成条件としまして予備免許を与えたわけであります。  その条件と申しますのは、資本構成につきましては、株式会社ラジオ福島テレビジョン放送事業用の新規の増資分八千万円を次の通り割り当てる。それは株式会社ラジオ福島が四五%、福島テレビ放送株式会社、これは発起人代表和久幸男、これが四五%、それから福島テレビジョン放送株式会社、これは発起人代表油井賢太郎、これが一〇%、こういった資本構成、それから役員構成につきましては、増資後の資本額に対する出資の割合による、こういう条件を付しまして、いわゆる停止条件付予備免許を与えたわけであります。ところが、不幸にいたしまして、三月末日までにこの条件を充足させることができなかったために、同年の四月一日にその予備免許は失効したわけでございます。  それで、続いて昭和三十五年の十一月二十四日に、当時申請されておりました五つの申請者が一緒に合同しました株式会社福島テレビ――従いまして、これは発起人代表といたしましては、その五社の代表でありました太田耕三金子公和久幸男油井賢太郎、一力次郎、この五人の方が発起人代表になられたわけであります。この株式会社福島テレビに対しまして、昭和三十六年二月末日までに、すなわち去年の二月の末日までに会社設立することを条件といたしまして、予備免許を与えたのであります。ところが、会社資本の払い込みは済んだわけでありますが、不幸にしまして役員の問題でもめまして、結局会社設立の運びに至らなかったわけであります。そういうわけで去年の三月一日に予備免許は失効したわけでございます。  それで現在その後また新たに八つの新しい申請が出ておる状況であります。
  6. 迫水久常

    迫水国務大臣 ただいま御説明しましたような状態で、八社の申請が出ていて、私がこれを引き継いだわけでありますが、そのうちに、昨年の秋に、福島県の県議会の方が見えまして、そして県議会各党各派一致で、一つ協議会を設けて一つの案を作り、あっせんをしたいと思う。それでなければ、いつまでたっても、なかなか福島県のテレビはできそうもないからということでありましたので、私はそれに賛成しまして、県議会協議会で一案を作って、それを関係者がみんな賛成せられるにおいては、その形のものを福島県の世論の結果であるというふうに考えて、その会社免許することにいたしましょうということを申しました。そこで、県の協議会は、鋭意案を作ることを急がれまして、結局福島県の県が五〇%持つ、そのほか申請した各社にそれぞれの割当をいたしまして、そうしてそういう株主構成資本構成会社を作ったらどうかという案が出てきたわけであります。現在におきましては、その案に対して太田耕三さんの一派及び和久さんの一派、この二ついずれも資本構成の一〇%を持つところでありますが、この人たちが、そういう構成会社には反対であるという意向を表明しているところであります。それで県はこれに対して、この反対者を除いて、反対者が持つべき二〇%というものを県自身が持ってしまって、会社設立を認めてもらうわけにはいかないかという意向もありますけれども、私はそこまでくると、自治団体の持っている株式が七〇%ということになりますれば、これは一体民放といえるかどうかということについて疑問を持つものですから、それについては、私は県の方々に対しては、それに対して民放として――つまり自治体経営のようなことになるから、これに認可する勇気は私は持ち合わせないということを言いまして、現在、鋭意この一〇%を持っている和久及び太田耕三の二人に対して、承諾を受けて努力しておりますし、私も陰ながら県の案を実現するのが一番いいように思うものですから、利久氏及び太田氏に対して、陰ながら働きかけて、この案をまとめようと現在努力している最中でございます。
  7. 吉村吉雄

    吉村委員 大体経緯はわかったわけでありますけれども、何と申し上げましても、福島県にチャンネルが割当になったのは、三十二年のことだと思うのであります。それから約五年の間、全然他の都道府県と違って、福島県民だけが民間テレビ恩恵に浴することができ得ない、こういう現実にあるわけです、そのよってきているところの原因というものは、いわば出願者意思というものが一致をしたい、こういうところにあるというふうに、経緯から見ると言い得ると思うのです。現在のところは、七社で一つ会社を作って出願をしておる、この中に県の方が五〇%の資本金を持つという今の大臣お話でございましたけれども、これ自体については、大臣は、五〇%持つこと自体に若干の問題があるという趣旨の話が今あったようでございますが、しかし、最終的には、このことでまとめていきたい、こういうようなお話でございました。私は、この内容についてはとやかく言おうという気持はないのです。いずれにしましても、民間テレビというものができてから、福島県民だけがその恩恵に浴することができない。電波割当をしておるのは郵政省当局であるはずでありますから、当然にその電波を能率的にかつ公共のために利用をせしめなければならない義務も、郵政当局にはあるはずだと思うのです。この間大臣も、もう三人もかわっているのですけれども、現在の大臣になってからは、まだ期間も少ないので、私どもも、非常に骨を折っているということについてはわかるのですけれども、しかし出願者の方で、意見一致をしないということになりますと、いずれにしても、大臣の方では強制的にどうこうするわけにはいかないということになるならば、極端な場合を申し上げますと、いつまでたっても今までの経緯を繰り返すだけになってしまうのではないか、こういうことを私としてはおそれざるを得ないのです。そのよってくる原因というものが、利害関係なり何なり、どういうものがあるか、私はそれには深く触れようとは思わないですけれども、こういう問題に対しまして、郵政省として、大臣としては、行政措置として十分指導をして、一刻も早くこれを実現をしていく、これ以外に現在のところ方法はないということになるのかと思うので、そういうことだけで、これは今までの経緯から見て解決するのかどうか、こういう点に私は非常に不安を感じておるのです。というのは、特に強制的にどうこうというわけにもいかない、何回となく同じようなことが繰り返される。今までの例から見ると、どうもそういうふうに今度もまたなるんじゃないか。変わっておるのは、今回は県議会の方が特別委員会を設置して、その収拾に当たっているという点が変わっておるわけでございますけれども、これすらもいまだにまとまらない。これは発足してからもう相当期間過ぎておる。こういう事態に対して、大臣としてはさらにこれをまとめていくためにどういう具体的な考え方方法というものを持っておるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思うのです。
  8. 迫水久常

    迫水国務大臣 私の方は、一刻も早く福島県民民間テレビを見ていただけるようにしたいという情熱を持っておりまして、鋭意努力しておりますけれども、何しろ当事者がまとまりがつきませんで、それぞれ自分のところを中心にした一つ会社に許可せられたいということを主張しておるわけです。  そこで、今具体的にどういうふうにやるつもりかと言われましたけれども、先ほど申します通り、私としては、県議会でまとめてきたこの案をぜひ実現さしたいと思いまして、県の方にそれぞれ――今反対意思を表明している人たちを説得すべく努力するようにということをお願いしますと同時に、率直にいって、私が表面に立ってその反対者を説得していいかどうか、それが大臣としての立場であるかどうかということは、いろいろこれまた御批判もあることになるんじゃないかと私は思うのです。ですから、率直にいって、私があえて表面に立つということはできないものですから――陰ながらとさっき言ったのはそういう意味なんですけれども、陰ながら太田耕三さんなり和久さんに、これに同調して、早く県民テレビを見せたらよくはないかということを、陰ながら働きかけておる次第でございます。
  9. 吉村吉雄

    吉村委員 結局これは福島県だけがこういう問題で残ったわけでありますけれども、実は私の心配するのは、大臣が今言われましたように、表面に立って話を進めるということについても若干の疑問を感じながら、しかもまとめなければならない、こういう状態です。私は、そういう状態のままでなかなか行政指導といっても限界がある、こういうきわめてデリケートな問題になっていると思うのであります。そうなってくるのは、何かもう少し法的にきちっとする部面をしておかないところに、こういうふうになってきた原因があるのじゃないか。まとまるならばこれにこしたことはないのです。現在までの経緯から考えてみまして、大体出願者というものは、名称こそ変われ、同じ人たちがやっておるわけです。だから、歴史的にもいわば対立感情というものが非常に深くなっていると思うのです。こういう問題を処理するのに、今のような大臣の言われた権限のワクの中で、一体大臣が希望するような、そしてまた県民全体が望んでおるような、一刻も早くということが実現するのかどうかということについて、危惧を感ぜざるを得ないのです。だから、何らかの――もっときつい措置といいますか、そういうような方向措置をするというようなことは、全然できないわけですか。
  10. 迫水久常

    迫水国務大臣 現在の法制では、そういうことは全然できないわけであります。結局福島県というものを――私の感じが間違っていたら御訂正を願いたいと思うのですけれども、福島県に二つ新聞社がありまして、民報という新聞社民友という新聞社、これの何というか、争いのようです。それで、一方が承諾すると、一方が承諾しない。この前の三十五年に認可が失効してしまった原因は、民報という方が承知していないで、民友の方が賛成したのですが、何か今度はそれが逆になっているとか――どうも全く困ったものだという感じなんです。それを何とかまとめてくれということを言っておりまして、非常に率直に言うと、県の持っている五〇%というのが、将来どう動いていくかということに対する疑義と思惑が、この問題の解決を困難にしているのじゃないかと私は思います。五〇%という問題が、一方の方に株式譲渡の形でいってしまうというと、一方が非常に強くなる。そうすると、二つ当事者の一方は、どうもあっちにいきそうだというような感じをしているから反対をしている。一方は、そっちで自分の方にきそうだと思っているから賛成している。こういうようなことがあるのだというようなうわさもあるのです。そこで、県の五〇%というものが絶対に動かないものなのだ、それはどこまでも県が持っているのだというような確信でも得られるような措置が講ぜられれば、あるいは納得がいくのじゃなかろうかとも思っている次第であります。その辺が今私が陰ながら努力をしている要点でございます。
  11. 森本靖

    森本委員 今のあなたのは、法制上これ以上の行政措置ができないという大臣答弁でしたが、これはどういう意味ですか。電波局長、その点の意味をちょっと明確にしておいてもらいたい。
  12. 迫水久常

    迫水国務大臣 私が言いましたのは、大臣裁断によりまして、こういうような資本構成会社を作っていきなさい、そうしたら免許しますという、そういう意思表示をすることは、大臣として法制的にできない、こういうことであります。
  13. 森本靖

    森本委員 そういう意味であって、だから、いつまでも、福島県においてこういうふうにしょっちゅう出資者、それから役員等についてもめる。それでなかなか話し合いがつかない。そうであるとするならば、今同僚の吉村委員が言ったように、せっかく福島県の県民のための波として与えられた、いわゆる民放の波というものが、いつまでたっても日本全国の中で福島県だけが波が出ないということについては不都合ではないか。そういう場合には、今までのありきたりでやってきたところの、いわゆるテレビ局に対するところの免許の基準というものを、この場合はある程度行政庁として変更してでも、強制的に早くやらすということはあり得ると思うのです。たとえば、実際問題として今の七社なら七社、五社なら五社が、どうしても意見が合わない、そういう場合、これがまた別個に新しい会社が出てくるという場合に、それにおろしてやるということは、法制上できないということは私はないと思うのだが、もし法制上できないということになるとするならば、法制上というのはどういう意味か、ちょっと明確にしておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  14. 迫水久常

    迫水国務大臣 それはたとえば五社なら五社、七社なら七社から競願になっておるときに、そのうちのどれを選ぶかということは大臣権限です。そういうことはできるのです。できるのですけれども、はたしてそういうことをやって、県民全体の幸福になるのかどうかというようなことについては、なかなかこれはむずかしいことでありまして、県議会もあるし、国会の諸先生もあるし、これは私がそう言っては悪いのですけれども、免許認可を拒否された方は訴訟をすることもできます。それですから、これは実際問題として裁断はなかなか困難な問題です。従来から、当事者によく協調をとってまとまったものを作ってくれるようにするのが例でありまして、その例の通り今やろうと思って努力しておる最中であります。
  15. 森本靖

    森本委員 関連でありますから吉村委員に譲りますが、従来の例としても、そういうように競願して、どうしても折り合いがつかなくて、一方に許可して、そして訴訟を起こして、聴聞会においてやはり郵政省の許可したことが勝った、あるいは途中で和解ができたというような事例があるわけであります。ないことはないのです。だから、そういうような事例もあるわけであって、必ずしもそういう措置が全然できないといういうことではないわけであります。しかし、郵政大臣としては、その場合、将来そういう争いが起こった場合にでも勝てる自信がない、あるいはそのことによって福島県の内部が混乱をする、そういう非常に先を見た憂慮から、なかなか免許をおろし切れないというのが実情であろうと思いますが、しかし、そうかといってこの福島県の民放争い状態というものは、常軌を逸しておるということは明らかであります。昭和三十二年以来今日まで、四年間も争っておる。しかも、日本全国の中でここだけしかない。こういうことになってきた場合は、これはある程度郵政大臣権限をもって、県民福祉にこたえるという形をとらなければ、このままでずるずるやっておったのでは、どうにも処置ないと私は思う。  これは私は、昭和三十四年でありましたか、武知委員椎熊委員と三人で東北方面を視察したときに、この問題が持ち上がって、私は正式にこの委員会を通じて、早急にこの問題については郵政大臣として解決をつけるように善処すべきであるということを、行政視察報告として報告書にも載せてあります。あれ以来すでに足かけ四年になっております。そのに間私が当委員会を通じて質問をしたことも三、四回あります。そのたびに大臣としては――あなたではございませんけれども、大臣としては、早急に善処いたしまして、県民福祉におこたえをしなければならぬと考えております、こういう答弁を何回も繰り返しておるわけであります。それがいまだに解決がつかないということになっておるわけでありますから、何らかの措置を講じなければ、これは大臣が言うように、そう簡単に片がつかない。つくならば今日までについておるわけであります。その点を十分に考えなければならぬ。  私もこの内容が、どちらがいいとか悪いとかということは、触れたくないので触れませんけれども、いずれにしても、これでは福島県民が困る。一番困るのは県民でありますから、それは最高の責任者としての郵政大臣が、何らかの方法を考えなければならぬ、こういうことになるわけでありますので、大臣としても、これは今までのように何とか話し合いがついてということでなしに、話し合いをつけるように努力をして、たとえば、四月なら四月までに話し合いをつけるように全努力を傾注する、しかし、今度こそは、四月で話し合いがつかなければ、郵政大臣としてはこういう措置をとりますぞという一つの明確な線を出さなければ、これはどうしても片がつかない問題であります。これは大臣委員会答弁がしにくいと思いますけれども、そういう点を十分に考慮して何らかの思い切った措置をとらなければなかなか解決がつかない、こう私は考えるわけでありまして、今までのように、大臣のおざなりの答弁ではいかぬ。それからまた、電波監理局長も、なるべくなら事が起こらぬように、起こらぬように、円満に円満にというようなことで、四年間もたってきておるわけだ。これはあなたの前任の電波監理局長以来の問題だ。そういうことでは、これは行政執行責任者として私ははなはだ不満であります。だから、こういう点については、今度こそは私は期限を切ってもらいたい。ある程度――今年の六月なら六月までに、この七社案、八社案についてとにかく福島県でまとめる、どうしてもまとまらぬものなら、郵政省としては、今度はこういう考え方で、こういうふうに民放をやらしますぞというくらいの対案を出さなければ、どうしてもまとまらぬ。その辺については、そういうふうにしますということは、大臣なかなか言えぬと思いますが、いずれにしても、その辺の話し合いといいますか、かけ引きといいますか、そういう点については大臣の利口な、行政的な手腕を使って、早く解決をつけるように私はやってもらいたい、こう思うわけです。
  16. 迫水久常

    迫水国務大臣 全く森本さんの言われることに同感であります。ただ、実を言うと、福島県の関係者もずいぶん強情なものだと私もつくづくあきれておるわけです。福島県民テレビを見せなければならぬ責任は、福島県のこういう関係者にあるのであって、私は郵政大臣じゃないと思っているのです。われわれの方は、要するに申請を許可するかしないかということが私の責任であって、まとまって早く福島県民テレビを見せなければならぬところの福島県のこの当事者自身が、私のところへ来て、福島県民テレビをなかなか見せないようにするのは郵政省責任だと言わぬばかりのことを言うのですが、それは全く筋違いで、そっちじゃないかと私は実は言っているような次第であります。ただ、期限を切って、それ以後は郵政省が独自の見解でやるぞという、そこの法律上の何がないわなけんです。それですから、どうか一つ先生におかれても、福島県の連中がまとまるように、ごあっせんをしていただいたらどんなにしあわせかと思うくらいな気持です。
  17. 吉村吉雄

    吉村委員 今森本委員からも言われましたけれども、私も最悪の場面としてどうしてもそういうことを想定をせざるを得ないのですよ。というのは、経緯を聞きますと、非常に複雑な内容を持っている。だからこそ今日まで延引をしているのです。この場合、別に郵政大臣責任を転嫁しようとかなんとかいう問題ではございませんけれども、しかし、免許を与えることができるのは郵政大臣だけなんですから、その権限というものを最大限発動して、そして行政措置の中でまとめていくという方向をとらなければまとまっていかぬじゃないか。現大臣はそうじゃないと思いますけれども、考えてみますると、あまり泥をかぶりたくない、そういう紛争に巻き込まれたくないという気分というものは、皆さんの間にあったんじゃないか、それがかえってこの問題を輻湊せしめる原因になっているんじゃないかというふうにすら私は考えざるを得ないのです。私は、どの案がいいとか、この案がいいと言うのではございませんけれども、しかし、何と申しても、もう五年にもわたって福島県民だけがその恩恵に浴することができない、こういう事態に対して、郵政省がいつまでも、いつまでも、これを放任をして――放任をしておったというのじゃないけれども、結果的にそうなっている。今までの大臣答弁を聞いておっても、いろいろ努力をしているということだけで、一体解決の見通しというものが立つのかどうか、ここが私の非常に心配をする点なんです。だから、大臣がいろんな点で努力をしているとするならば、その努力を通じてこの問題が解決をして、県民の期待に早急に沿い得るという自信があっての努力なんだろうと思うのですが、そういうことについてはどういうふうに考えておりますか。
  18. 迫水久常

    迫水国務大臣 一刻も早く福島県に民放ができることは希望しておるのですけれども、きわめて率直に言いますと、現在申請している幾つかの会社というものは、そのうちの一つだけに免許をおろす――言葉は悪いですけれども、ドングリの背比べで、たとい、どれに一つおろしても、おろすことは適当でないという考え方から、現在どこにもおろしてないわけです。従って、われわれの方の目から見て、これに免許をすれば適当であるという確信の得られる会社申請してくれれば、直ちにやるわけです。今そういう確信の得られる会社構成について県も努力しておられるし、私も陰ながらあっせんしているというわけなんでありまして、私は、こういうことを郵政大臣がすることは、ある場合には、逆に、郵政省は干渉し過ぎるんじゃないかと言って先生方からおしかりを受ける場合もあるんじゃないかと思うくらい、心配しながら実はやっているのでありますが、とにかく県民のためを考えたら、福島県の当事者も、もうちょっと自分の言うことばかり言わずにやってくれたらいいんじゃないかなあとつくづく思うので、もし私に全部まかせてくれるなら、各当事者が全部私に、一切文句は言いませんという委任状でもよこさなければ、裁断というか、案を出しても、またそれに文句をつけてきて、今の福島県の関係者人たちではとてもだめですから、場合によっては逓信委員会が各方面から一札をとって、大臣裁断すべしというような決議でもして下されば、私はまたそれを拝見してやりますけれども、現在の行政力というものは、その程度しか率直に言ってないのです。森本さん、非常に調子の高いことを言われるけれども、実際、かりに森木さんが郵政大臣になられても、なかなかそうはいかないと私は思う。
  19. 吉村吉雄

    吉村委員 大へん御苦労願っている気持はわかりますけれども、何回も申し上げて同じようなことになるのですけれども、関係当事者意見一致しない場合は、その被害を受けて困るのは県民だけだ、こういう状態なんです。だから、そういう状態にあるということは、何か法上の機関というものもあるんじゃないか。もしそうでないとするならば、今森本委員も言われましたように、行政官庁として最大限の権限というものでも発動しなければ、なかなかこの解決はつかないというふうに考えられるのです。これは、従来の五社案に対するところの予備免許が切れたときの経緯、あるいは今度の問題等考えてみましても、同じようなことがいえるのですから、従って、こういうことをずっとこのままで期間経過しておったのでは、いつまでも福島県民だけはその恩恵に浴することができ得ない、こういう状態がいつまでも続いていくと思うので、私は大体今までの経緯なり大臣の考えておる方向というものはわかりましたけれども、それだけで、この解決というものについての自信を持っているようでもない。  こういうことでございますので、委員長にも十分お願いをしておきたいと思うのでありますけれども、この委員会等で実態等を十分調査をして、そうして取り残された福島県二百万の県民だけの不幸というものに、この委員会として何らかの措置をするというようなことも、一つ方法ではないかというふうに考えます。どうか一つ、あまり泥をかぶりたくないというあいまいな態度でなしに、この際、相当長い期間たっている問題ですから、勇気を持って方向を明らかにして、そうして一刻も早くその解決をしてもらうように特に強く要請しておきたいと思うのです。地方におきましては、関係当事者ばかりではなしに、いわば県民運動的なものとして起こっている非常に大きな問題でもありますから、実態をよくおわかりだと思いますので、さらに勇断をもって、そして一刻も早くこれに対処をしていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。  以上で私、質問を終わりますけれども、まあ同じ答弁だと思いますが、一つその決意を聞かせていただきたい、こう思います。
  20. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は泥をかぶりたくないから逃げているということでは決してなくて、むしろ、大臣少し民間のこういうようなことに対して出過ぎるじゃないかという非難があることを心配しいしい、実は一生懸命やっているつもりです。御趣旨に沿うように私も努力いたしますけれども、どうかこいねがわくば、福島県の当事者が、福島県二百万県民のためを考えて、自分の言うことを、お互いに互譲といいますか、何か精神を出してやることを私はほんとうに心から念願して、その気持を出してもらえるようにと思っていろいろ努力もしておるような次第でございますが、最後に私も、できるだけ努力いたしますという言葉で結ばなければならぬわけでありますけれども、今までの各大臣と同じ答弁になるようですからちょっと残念なのですが、とにかく努力いたします。
  21. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 ただいま委員会も協力願いたいというお話ですが、各理事諸君と十分御相談いたしまして、県民の要望にこたえられるように当局に鞭撻するように努力したい、かように考えております。      ――――◇―――――
  22. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。森本靖君。
  23. 森本靖

    森本委員 法案の審議をする前に大臣に一言申し上げておきたいと思いますが、この前の委員会でも、その前の委員会でも、私は何回も言ってありますが、委員会は水曜日と木曜日でありますから。木曜日に要求した資料については、火曜日には当然出せるはずでありますね。前日にぜひお出しを願いたい。そうしないと、その委員会において審議することが、朝もらってその場でその質問をせよといっても無理であるからということを繰り返し言ってありまして、よろしゅうございますということになっておりますが、きょうもまたけさになってぞろぞろ委員会へ資料を出す、こういうことであります。これは繰り返し大臣から事務当局に厳命をしておいてもらいたいと思うのです。けさになって出るものなら、きのうの昼ごろになったら出るわけでありますから、その点の資料の提出については、委員会の要求通り委員会の前日には必ず御提出を願いたい。出ないものについては無理に出せとは言わぬわけですから、こうこうこういう事情で出ませんから、こういうことをはっきりしておいてもらいたいということを、特に私は大臣に要望しておきたいと思います。これは、うなづいておられますので、答弁は要りませんが、特に要望しておきたいと思います。  そこで、この貯金法の一部を改正する法律案でありますが、これはまことに簡単な法律案でありまして、三十万円を五十万円に改めるということでありますが、まず私は聞いておきたいと思いますことは、五十万円という、この五十万円にいたしました一つの理由があろうと思いますが、その理由を明確にしておいてもらいたい、こう思うわけであります。これは事務当局からでもけっこうです。
  24. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 物価指数等を比較いたしまして、基準年度といたしましては、昭和九年ないし十一年当時の状況と今日の状況とを比較いたしまして五十万円ということに結論をつけたわけでございます。その当時と比較いたしますと、物価指数はおおむね三百五十倍程度になっております。しかしながら、当時の国民一人当たりの通常貯金の平均額を見ますると、四十五円程度でございまして、当時の制限額が二千円でございました。で、それと今日とを比較しますと、おおむね五十七万円程度になろうかと存じまするけれども、それを適当に査定いたしまして五十万円という結論に達したわけでございます。
  25. 森本靖

    森本委員 この郵便貯金の最高額の制限については、これは利子の課税について影響があるのでこの最高額をきめるわけでありますが、主たる理由は大体そうじゃないですか。これは大臣にお聞きしたい。
  26. 迫水久常

    迫水国務大臣 その通りであります。
  27. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、今度もこの郵便貯金法の改正に合わして、民間の方についても、国民貯蓄組合の限度を五十万円にするというふうな、これは何か法案が出るのですか。
  28. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 別途国民貯蓄組合法の改正案が大蔵省方面から出ると思います。
  29. 森本靖

    森本委員 この郵便貯金と貯蓄組合とが大体同一水準でなければならぬというふうなのが政府の考えておる原則のようでありますが、私はこの郵便貯金というものの性格からいって、まあ本来ならば、これは百万円程度にして無税にしてもいいというように考えておりますけれども、今の状況では、政府の金融政策等については、なかなかそういうこともむずかしい。もしそういうことであるとするならば、今の預金利子の課税の関係で、最高制限額をつけるということでありましたとするならば、郵便貯金についても、かりに免税点については一般の国民貯蓄組合と同じ五十万円にするけれども、それ以上の預金についても、一般の銀行と同じように預金については一切制限がない。ただし、郵便貯金についての免税点は五十万円である、こういうようにした方がすっきりしていいような気がするわけですが、この点についての大臣のお答えはどうですか。
  30. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は御趣旨は非常にごもっともでして、しろうとの私も最初はそう思いました。ところが、郵便貯金というものは最初から税金がないという何十年かの歴史がありまして、それでこの際郵便貯金の中の一定額だけは無税だというような取り扱いにすると、郵政省の中は相当むずかしい問題が起こってきて、人間の数や施設や何かいろいろなものでもって、百万円なりそういう限度を上げることの方が、逆に仕事の上でマイナスになってくるということになるのじゃなかろうかということがいろいろ検討されまして、私はそういうような感じを実は持っております。従って、郵便貯金は税金がかからないのだという一本の思想を通した方がいい、こう思います。
  31. 森本靖

    森本委員 まあそれは大臣のお答えでありますけれども、実は事務当局の方も、それはそういうことをやったら非常にめんどうくさいんだ、実は貯金支局で大へんであるという頭の中の観念論であって、実際にそれをやってみたらどうなるかということを実際に計算もし、またそういうことを実施に移したらどうかという研究をあまりしてみたことはないと思うのです、実際のところ。ただ頭の中で、そんなことをやったら大へんだ、えらいことになっちまうというようなことになっておるのが今の郵政省の貯金局の実態だろう、こう思うわけであります。だから私は、それを早急にどうこうせよということは言いませんけれども、一つこれも研究課題として、忙しい郵政省に、そういう研究課題を渡すのもどうかと思いますけれども、しかし、そういうことをやった場合、一体どこに弊害が出てきて、どういうふうなことになって、ここが悪いというようなことについては、今後一応の検討と研究を郵政省としてもやってもらいたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  32. 迫水久常

    迫水国務大臣 貯金局長にどうかと言いましたら、研究いたしますと申しますから、研究いたします。
  33. 森本靖

    森本委員 そういうことは一々事務当局に聞かなくたって、大臣の一存で答えていいのですよ。いずれにいたしましても、その点については深追いはいたしません。  それからもう一つ、郵便貯金の金利で伺いますが、これは政府としては、政府の全体的な金融と金利政策から、郵便貯金の金利だけを引き上げるということはなかなかむずかしい、こういうふうな点もあろうと思いますが、この前の郵便貯金の金利引き下げのときにも、郵便貯金は零細な国民の預金が集まっておるという関係からしても、金利を引き下げるということについてはやる必要がないのではないかということを、私の方から質問をしたことがございますが、今回この五十万円に引き上げるということについて、さらに郵便貯金の金利の引き上げについて郵政省としては考えておりませんか。
  34. 迫水久常

    迫水国務大臣 私は金利というものはやはり全体的な経済界の体系の中で考えるべき問題だと思いますので、現在の郵便貯金の金利の位置が長年の間の一つの秩序を保っておる形であると考えますがゆえに、全体的に金利の引き上げの問題が論議せられない限りにおいては、郵便貯金だけこの際金利を上げるということは適当でない、こう考えます。
  35. 森本靖

    森本委員 それは大蔵大臣と内閣総理大臣考え方でありまして、郵政大臣としての考え方からいくとするならば、少なくとも郵便貯金が大いにふえて、郵政省としての事業が興隆をするということを考えればいいのであって、大蔵大臣が、それはちょっと待ってくれ、あるいは国の政策全体からいったらこういうふうに、と言うのがほんとうじゃないかと思うけれども、あなたも幸いに――幸いにと申しますか、もともと経済企画庁長官もやられたし、それから大蔵省の出身でもあるので、なかなか経済方面については詳しい大臣でありますから、そういう答弁が出てこようと思いますが、これがしろうとのそのままの郵政大臣だったら、私は金利引き上げについては考えておりますけれども、どうも大蔵省なりあるいは内閣全体の金利政策からいって反対であります。こういうことになるのじゃないかと思うのですが、大臣その辺はどうですか。
  36. 迫水久常

    迫水国務大臣 郵便貯金の金利というものだけを考えて、郵便貯金をよけい集めればいいということから考えれば、それは金利は高いに越したことはないと思いますけれども、運用の方法を資金運用部資金にくっつけられて、それは六分五厘なら六分五厘でくぎづけになっている。だから、郵便貯金というものを集めてきて、その運用というものを郵政大臣にまかせてくれて、資金運用部ばかりでなくて、ほかに運用をやるような体制になれば、郵便貯金の金利というものは郵政省も考えていく。その関連からいって、現在の制度のもとにおいてはと、こういう前提をつけると、先ほどの答弁になると思います。その制度をどう変えたいか、変えたくないかということについては、また別な考え方があるのです。
  37. 森本靖

    森本委員 その六分五厘のコストの問題についても、実は私はこの委員会を通じて明らかにしていきたい、こう思いましたけれども、参議院の速記録を見てみますと この問題について参議院でかなりやっておるようでありますので、私は重複することを避けて、ここではこのコストの問題についてはやらないことにいたしますが、ただ、今大臣がちょっと申しましたように、やはり郵便貯金についても一兆二千億全部を郵政省が運用をやれというふうなことは、私今のところ直ちに申しませんけれども、少なくとも一兆二千億という郵便貯金があるとするならば、たとえばその中の十分の一程度でも、せめて郵政省は、郵便貯金の預金者を対象にして、あるいはまたその預金者を全部まとめた地方公共団体、あるいは県、そういうところに対して、郵政省が直接、資金運用部資金にたな上げすることなくして、運用ができるというようなことをやってもらうとするならば、郵政省としての貯蓄奨励上としても、あるいは郵政事業の興隆という点から考えても、さらにまた郵政事業が一般国民大衆と非常に親しみを持つというようなあらゆる観点から考えても、郵便貯金の資金の運用という点については、全部とは言いませんけれども、少なくともその中の十分の一程度をとりあえず郵政省が運用できるように、簡易生命保険の資金と同じような意味でやった方がいいのではないか、こういうように考えるわけでありますが、この点どうですか。
  38. 迫水久常

    迫水国務大臣 郵便貯金をまるまる資金運用部に預けて、その運用は一切大蔵省がやるという現在の制度を改めて、若干部分郵政省が郵便貯金をよけい集められるように、つまり貯金者との関連をもっと深くする意味において――貯金者還元という言葉は使いたくないのですけれども、もう少し一般大衆と密着した関係においてこれを使えるような道を開きたいということは、郵政大臣に就任以来私は非常に情熱を持って考えた点でありますけれども、何しろ時間がなくて、今期国会までにはそれが間に合わなかったのでありますが、その方向はぜひ何とか実現すべき性質のものと考えております。
  39. 森本靖

    森本委員 現在の段階においては、私はただいまの郵政大臣答弁で一応満足をしたいと思います。今の郵政大臣答弁についてはお忘れなく、これは将来にわたって実現ができ得るように、郵政省としても鋭意研究と検討をぜひお願いしたい、こう思うわけでありますが、再度重ねて一つその点についての大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
  40. 迫水久常

    迫水国務大臣 今後研究を進めます。
  41. 森本靖

    森本委員 もう一つ、これは小さな問題でありますけれども、郵便貯金の中に罹災貯金と戦災貯金というのがありますが、この罹災貯金と戦災貯金というのはどの程度あって、どういう種類のものであるか、一つ御説明願いたいと思います。
  42. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 いわゆる戦災未復旧貯金と私どもは申しておるのでございますが、現在におきましては口座の数といたしまして二千二百万口座あります。現在高といたしましては四億九千二百万円程度のものでございまして、一口座二十二円程度のものが現在残っております。
  43. 森本靖

    森本委員 二千二百万で四億九千二百万円ということでありますが、その戦災貯金と罹災貯金の内訳をちょっとお願いしたいと思います。
  44. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 戦災貯金は千八百四十五万口座、三億七千八百万円、罹災口座は百四十三万四千口座、約五百万円。そのほか制度の変わりました貯金がその中に若干ございます。
  45. 森本靖

    森本委員 千八百四十五万で三億七千八百万円というのは、これは戦災貯金ですか。
  46. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 さようでございます。
  47. 森本靖

    森本委員 この戦災貯金というのは、いつの戦災ですか。
  48. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 今回の戦争でございます。
  49. 森本靖

    森本委員 それから罹災貯金というのは、これはいつですか。
  50. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 関東大震災のものでございます。
  51. 森本靖

    森本委員 百四十三万というのは、これは関東大震災のときの分だけですか。
  52. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 さようでございます。
  53. 森本靖

    森本委員 この百四十三万の五百万円という関東大震災の貯金の分は、一人平均にすると、どのくらいになりますか。
  54. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 約三円くらいになると思います。
  55. 森本靖

    森本委員 これは何とか整理する方法はないのですか。
  56. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 実は整理の方法につきましても、いろいろと検討はして参ったのでありますが、原簿がすでに焼けてございません。ただわれわれの整理の方法といたしまして、それだけの金額並びに加入の数が確かにあるということが推定できるわけでございまして、これは国民の権利でございますから、そのまま保存をいたしております。
  57. 森本靖

    森本委員 あなたの方の法律上とった措置意味はよくわかります。常識で考えて、関東大震災で一人平均三円、百四十三万という貯金口座を残しておくということは、五百何万にしても、それは結局郵便貯金特別会計の中の預貯金の中に五百何万人っておるということになるわけです。郵便貯金は、普通は十年すれば通知をして、返事がなければ国庫に納入されるわけです。ところが、これは要するに住所も何もわからぬから、その通知もできないということで置いてあるわけでありますけれども、このままで置いておくと、これは未来永劫に置いておかなければならぬことになる。これは何らか行政的な方法でこれを処置するということはできませんか、現行法律で。
  58. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 現行法律におきましては、今先生がおっしゃいましたようなことで、個々の権利者に御通知をして、二カ月以内に返事がなければ、時効によってこれを処理するという建前になっておりますので、現行法律におきましては、どこまでも個々の権利者にこちらの意思が届かない限りは処置できないという状態でありますから、別途法的措置を講じない限りは、現存においては困難かと思います。
  59. 森本靖

    森本委員 これはこまかい問題で、こんなちっぽけな問題で法律案がばからしくて出せるかということになると思いますけれども、これもやはり特別立法か何かをしないと解決がつかないということでありますから、少なくとも関東大震災のときの貯金口座が百四十三万口座ですね、平均にしたら三円ですけれども、それを一つ、これは特別立法でも何でもいいんですから、この戦災貯金と今言った罹災貯金というものについては、何らかの処置ができるような立法措置なり行政措置というものを早急に講じてもらいたいと思うわけでありますが、どうですか。
  60. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 ただいま御答弁申し上げましたが、三十二年当時におきまして、これらの問題の処理につきまして、事務的には法制局等とも打ち合わせいたしたのでございますが、当時の法制局側の意見と申しますのが、それだけを一般の方針によらないで、催告をしないで一切がっさい処理してしまうということにつきまして、相当反対意見がございました。しかしながら、ただいまお示しのように、零細な金をいつまでも、原簿がないとは申せ、私どもは整理をしているわけでございまして、これらにつきましては別途にさらに法的措置を講ずるということで進めさしていただきたいと存じます。
  61. 迫水久常

    迫水国務大臣 今御答弁しましたように、研究いたします。
  62. 森本靖

    森本委員 これは一つぜひお願いしたい。だれが考えても、関東震災の貯金口座百四十三万を後生大事に残しておく、しかもこれが毎年度の予算の預貯金の中に五百何万入っているということはおかしい。これは零細な貯金でも、その国民の人々にお返ししたいということは当然郵政省としても考えますし、またわれわれ自身としても考えます。戦災貯金についても、一人二十円程度のもの、千八百四十五万の口数を置いておくということについても、これは逆にいえばかえって国民に迷惑をかける。国民の零細な二十円程度のことで逆に郵政省の事務が輻湊して、大衆一般に迷惑をかけるということも考えられるので、こういう点についての措置もやるのが、私は逆に国民へのサービスじゃないか、こう思いますので、十分この点については今後検討、研究をし、早急に措置を願いたいと思うわけであります。  次にお伺いしたいのは、今回の郵便貯金法の、引き上げのことでありますけれども、その中で第十一条であります。この第十一条の措置というものを、郵政省としては具体的にどういう措置をとっておりますか。
  63. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 現在の措置といたしまして、定額貯金につきましては、預入のつどその郵便局で限度が超過していないかどうかを、預入申込書を通じまして調べるようにいたしております。また地方貯金局におきましては、もし超過しているものを発見いたしました場合におきましては、郵便局に通知いたしまして、郵便局から個々の預金者に超過している旨をお話しして、払い戻しをしていただくなり、あるいは名義を家族に譲渡するなりというようなことで、勧奨を申し上げております。  それから、通常貯金につきましては、預入のつど努めて注意をするようにいたしておるのでありますけれども、もし通帳面におきまして預入者が限度をオーバーしていることを承知していない場合におきましては、十分にその旨をそのつどお知らせするということにいたしております。また通常貯金は長期にわたって預けているという性質のものではございません。出し入れが非常に多いものでございますので、制限超過の割合といたしましても比較的私どもは少ないと見ております。さような趣旨で現在やっております。
  64. 森本靖

    森本委員 初めの定額貯金の答弁はその通りであります。しかし、通常貯金の答弁は、これはあなたが頭の中で考えられておることであって、現実に郵便局の窓口でそういう措置はとっておらぬわけであります。しかしそういうことをここで追及しようとは思いません。思いませんが、一応法律がこういう建前である以上は、それをあまり重く見なくても、それは現実には大したことはないと言えるかもしらぬけれども、法律はそういう法律でありますから、一応郵政省としてはこの法律の建前を貫くように、本省から現業郵便局の末端に至るまでの通達というものは出しておかなければならぬ。そうしないと、これはもしこういう点について突っ込まれた場合には、言いわけも申し開きもできぬわけでありますから、現実には今貯金局長答弁せられたことでけっこうでありますけれども、それは観念論でなくして、現実の姿として写すように、これはぜひ一つ実行段階において指導方をそういうふうにやってもらいたい、こう思うわけです。  それから、第十七条の問題でありますが、これもこの十一条の問題と同じ問題でありますけれども、現実に第十七条の問題については、これは現在の貯金支局の機構と事務のあり方においては、これが監査できる方法はないのじゃないか。
  65. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 特にさように組織分担等はないわけでございますけれども、事務のやり方といたしましては、努めてそういうことのないように注意はさせておるつもりでございます。
  66. 森本靖

    森本委員 私はこういうことは率直に答弁してもいいと思うのです。これは実際問題として、同じ東京であっても、東京の渋谷で貯金を預入して、さらに世田谷で貯金を預入すれば、それを監査する方法は、現在郵政省の中の貯金局の機構ではないわけであります。同じ同一の貯金支局内の口座であっても、これを監査する方法がないわけであります。なぜかならば、これは一連の番号になっておりますから、全然これを監査する方法はない。たとえばこの貯金口座の原簿が、イロハ別とかアイウエオ順になって、人間別にずっと並べた格好になっておるとするならば、監査の方法がありますけれども、今のように預金者をずっと預金せられた月日によって一連の番号をつけていくとするならば、これは全然監査する方法はありません。そうすると、この十七条もやみ米と同じことで、空文にひとしいということになりまして、だから今回の三十万円を五十万円に引き上げるということについては、宣伝価値としてはあるけれども、現実の問題としてはあまり価値がないということになるわけでありけれども、実は法治国家であります関係で、そういうことであってはならぬ。よく与党の方が言われますように、法律は守らなければならぬわけでありますから、法律があれば、その法律を守る方法というものについては、やはり郵政省としても研究し、いつでもそれに対する答弁ができるような格好と形式は整えておかなければ何ともならぬのじゃないか、こう思うわけであります。これは法律がこうなっておるのだから、やはり今後もその法律に従わざるを得ないわけです。これはいつも政府、与党の言うことでありますので、やはり法治国家である以上は、その法律を貫く建前をとるのが建前である。それに対する措置としては全然今日できていないわけでありまして、何らかのできる方法を一応考究しておく必要があるのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  67. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 これは実際面として法文をその通りにするといたしますると、預金者に対しまして非常に感じを悪くするというようなこともありまして、貯金のサービス面ともからんで参ります。具体的に申し上げますれば、たとえば預金者がきました場合、あなたは前の通帳をお持ちですかというような程度のところでお聞きいたしております。しかしながら、持っていませんと言った場合にはそれきりでございまして、それを調べることは郵便局ではなかなかむずかしい。そこで、さらに、あなたは初めていらっしゃった方ですが、どちらにお住まいで、どういうことでございますか程度の、いわゆる仮空名義を防ぐというような窓口の一応の調査ということもいたさせるようにいたしております。その程度のところで、なるべく窓口で二重通帳にならないようにというようなことでやっておりますが、今後もそれをさらに続けて参りたいと思っております。   〔「名答弁」と呼ぶ者あり〕
  68. 森本靖

    森本委員 これは名答弁じゃないのです。あなた方は、そういうことになると、大へんだな、一ぺんこれはやらなければならぬなということになるけれども、これは番号別順とイロハ別順の原簿口座をこしらえさえすれば、今の監査はできるわけです。そうしておいて、何も窓口で一つ一つ注意しなくても、年に一回かあるいは二年に一回かきめて、これを抽出の対象監査というものをやればいいわけです。全部とってやる必要はない。ただ全国で貯金局が幾つあるか知らぬけれども、そのうちの一つ二つを抽出して監査をするという方法を講ずるということが――これはせっかく十七条というものがあるのだから、十七条を生かすような格好を郵政省としては考えておかなければならぬと思うのです。もしそういう方法がないとするならば、こういう十七条は空文でありますから要りません。貯金局長はそういうことをやるとするなら大へんだなという観念が頭にあるものだから、これは大へんだ、大へんだと考えておるけれども、やはりそれはそれ相当にできるような方向にしておかなければならぬ。それから、これはいつもそうですが、官僚というものは大てい申し開きが立つようにちゃんとできておりますけれども、この面だけは申し開きが立つようにできておらぬ。私はそういう申し開きの仕方を教えるわけじゃないけれども、要するにこういう法律の条項がある以上、今までの貯金局の原簿口座のあり方について再検討の必要があるではないか。番号別とイロハ順あるいはアイウエオ順、二つ方向をとるべきじゃないかというように考えるわけです。その点事務的にどうですか。
  69. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 確かに先生のおっしゃられます整理の方法ということも、十七条の趣旨を徹底する意味におきましては一つ方法かと存じます。しかしながら、貯金の原簿の整理というのは、それはかりでなく、郵便局単位にすることによりまして非常に能率的にいくということも考えられますので、それこれ十分に今後多少時間をかけて検討させていただきたいと存じます。
  70. 森本靖

    森本委員 一つこの問題も十分に時間をかけて、研究課題として検討してもらいたいと思うわけです。  それから、もう一つ聞いておきたいと思いますが、これもこまかい問題でありますけれども、郵便貯金の問題については非常に関連があるわけであります。と申しますのは、今の貯金行政と郵政行政全般について――大臣、参考になるので、あくびをせぬと聞いておいてもらいたいのですが、郵便局の場合は、本省から郵政局へ指令が飛んで、郵政局から現場の局に飛ぶわけであります。ところが、貯金局と保険局だけは、その郵政局管内にあっても、郵政局長並びに貯金部長の権限が及ばぬわけであります。独立をした機関で本省直属になっておるわけであります。そこで、たとえば徳島なら徳島の場合に、徳島郵便局の現業局と徳島貯金支局の場合は、徳島貯金支局というものは本省の直属であります。ところが徳島郵便局は統轄郵便局でありながら松山郵政局の配下にあって、松山郵政局は本省の配下になるわけであります。そこに定員問題、構成問題あるいはその他のいろいろな問題で、若干の差が出てきたりなにかする場合もあるわけであります。それからまた、指揮命令系統としても、貯蓄問題については、郵政局の場合は現場の貯金問題あるいは保険問題について貯金部長、保険部長が責任を持っておるけれども、肝心の貯金支局と保険支局に対しては、郵政局の貯金部長、保険部長の権限が全然及ばない、こういう形になっておるわけであります。こういう形がはたしていいか悪いか。今日まではよかったけれども、今後将来の問題として、この貯金支局、保険支局についても同じように郵政局の管轄に入れて、そうして郵政局長のもとにおける貯金部長なり保険部長がその貯金支局なり保険支局を管理する、こういう形になっていって初めて現場郵便局の保険課、貯金課というものとの緊密な連絡がとれるのではないか。こういう機構の問題でありますが、この点については大臣に聞いても今すぐわからぬかもしれませんが、参考になったと思います。貯金局長、この点はどうですか。あなたは今の制度がいいと言うと思いますが、あとで官房長に省全体としてどう考えるかということを聞いてみようと思いますけれども、どうですか。
  71. 荒卷伊勢雄

    ○荒卷政府委員 現在の地方貯金局が本省の直轄じゃないということで、郵便局との間のつながりの点についてのお尋ねでありますが、地方貯金局の仕事が原簿事務を中心といたしました仕事であるために、本省直轄で動くことが、従来比較的円滑に動かれてきたと私は思っております。しかし、最近の人の問題あるいは労働問題等、いろいろ複雑な情勢になりますると、地方でいろいろと関連する問題が多くございまするので、この地方貯金局を、どうあるべきか、郵政局の管下に置くべきかどうかということは、一つの新しい情勢下におきましての検討すべき問題ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  72. 森本靖

    森本委員 確かにこの貯金局長、保険局長としては、今のままでいいと考えると思いますが、現業側に立った場合は、やはり何といたしましても原簿所管庁に対して照会する事務が事実問題として非常に多いのですね。そういう点からいくとするならば、少なくとも貯金支局、保険支局というものを私は現業局の範囲に入れてけっこうだと思うわけであります。そういう点からいっても、今の制度が完全であるというふうには私は考えられぬ、こう思うわけであります。こういう点は、一つ官房長、今後の郵政省の研究課題として、この点も十分検討を要する問題じゃないかと思うわけでありますが、どうですか。
  73. 金澤平藏

    ○金澤政府委員 この問題については、過去においては、ただいま貯金局長がお答えいたしましたように、本省直轄ということで十分な機能を果たして参ったわけでありますが、現在になってみますと、いろいろな問題を含めまして、やはり御説のように、現業と貯金支局という間の若干の差というものがいろいろに出て参っておるわけでございます。そういう意味におきまして、将来にわたりまして――なるほどこの問題は非常に長い間の問題でございますので、これを変えるということになるといろいろの問題も起こって参りますので、そういう問題はもちろん解決いたすにいたしましても、結論は十分慎重に出すことにいたしまして、今後検討を重ねていきたいと思っております。
  74. 森本靖

    森本委員 簡単な法律案件でありますので、私の質問はこの程度で終わりたいと思いますが、これは討論がありませんので、私は質問の際に申し上げることにして、最後に申し上げておきたいと思います。  大臣答弁をせられましたように、後ほど三党の一致で附帯決議をつけるわけでありますけれども、郵便貯金の預金者の貸付制度というものについては、大臣もその趣旨については賛成をしておられますので、この点については一つ実現ができるように、声だけでなくして、十分に誠意を持って、一つ郵政省としても研究と検討をぜひお願いをしたい、こう思いますと同時に、先ほどの睡眠貯金によるところの罹災貯金、さらに戦災貯金等の特別立法についても早急に考えていくべき課題である。それから、そう重きを置きませんけれども、十一条、十七条の申し開きが立つような格好に郵政省としてもしておく必要があろう。それから、ただいまの機構の問題等についても、きょうの質問で、郵政省に対して、この郵便貯金関係における研究課題、検討課題というものは四つくらい出ておりますので、これは一つおざなりな答弁でなくして、真剣に検討しておいていただいて、いつかまた四月ごろにでも、もう一回この問題で、どの程度検証しておるかということを私の方から質問をしたい、こう考えておりますので、今の検討と研究課題を残しまして私の質問を終わりにいたします。
  75. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 ほかに質疑もないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     ―――――――――――――
  76. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより討論に入るのでございますが、討論の通告もございませんから、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案通り可決いたしました。     ―――――――――――――
  78. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 この際、佐藤洋之助君より発言を求められております。これを許します。佐藤洋之助君。
  79. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 私は、ただいま可決されました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付する動議を提出し、あわせましてこれが提案の趣旨を御説明申し上げたいと存じます。  本決議案は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党の、三党の共同提案にかかるものでありまして、案文の内容は次の通りであります。     郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   郵便貯金の預金者貸付制度の創設は、かねて各方面から熱心に要望されているところであるが、郵便貯金が大衆の零細貯蓄の集積であることにかんがみ、長期性郵便貯金を担保とする預金者貸付制度を設けることは、中小企業その他国民の中核層の切実な要望に副うものであり、預金者の利便、貯蓄心の高揚、ひいては郵便貯金事業の進展のためにもじゆうぶん検討に価する問題である。   よつて政府は、速かに、本制度創設の利害得失並びにこれを実施する場合における諸般の措置につき考究すべきである。   右決議する。 というのであります。  次に、提案の趣旨を御説明申し上げます。  郵便貯金の総額は現在一兆二千億円という巨額に達しておりますが、この膨大な金額は、実は二億一千万をこえる口座、言いかえれば、きわめて多数の国民の預金の集積したものでありまして、預金一口座当たりにすれば、わずか五千二百円という零細な額の積み重なったものであります。すなわち、郵便貯金は、国民の中核層をなす一般大衆が、額に汗してかち得た努力の結晶ともいうべきものでありまして、決して富裕階級の余裕のある金ではありません。これら大衆の経済生活は、中小企業者にしろ、農漁業者にせよ、乏しい経営資金のやりくりに追い回されているのが常であり、サラリーマンにしても、不時の支出の金策に悩まされているのが一般の例であります。このことは、昭和三十三年から実施した電話加入権質の制度が年間十三万件をこえる利用状況を示しておることに徴しても明らかでありますが、このような実情が、郵便貯金の、特に長期性預金をした預金者の最も苦痛とするところであり、同時に貯蓄の増強を妨げているきわめて有力なる原因ともなっているのであります。  そとで、郵便貯金に預金者貸付制度を設けてほしいという要望は、久しい以前から全国的にわき起こっており、われわれも、国政調査で地方へ参りますたびに、このような陳情に接しておるわけでありますが、われわれとしては、このもっともな、しかも切実な要望に耳を傾けざるを得ないのでありまして、積立貯金、定額貯金、定期貯金のような長期性郵便貯金の預金者に対し、これを担保とする貸付制度を設けることは、一面において、これら預金者の経済生活に利便を与えるとともに、他面、その貯蓄心を高揚し、国民貯蓄の増強に資することもきわめて大きいものがあると信じます。同時に、これは、銀行あるいは農協等の貯蓄機関との均衡からいっても、きわめて適切、妥当な措置であると考えられるのであります。  しかしながら、郵便貯金は、現に財政投融資資金の大宗として、国家財政の面にきわめて大きな役割を果たしておるのでありますから、郵便貯金につき預金者貸付制度を設けることが、この方面にいかなる影響を及ぼすかについても、当然慎重に考慮されなければならないのであります。われわれとしては、財政資金の面に著しいマイナスの影響を及ぼさないで、しかも預金者の要望にこたえるような適当な限度なりやり方なりがあるのではないかと思いまするが、これらは、今後における精密な研究を経た後でないと、今直ちに可否の判断を下すわけには参りません。  よって、本決議案の趣旨は、政府は、ともかくも国民の熾烈な要望にこたえて、郵便貯金の預金者貸付制度につき、まずその利害得失並びにこれが実施の可否を十分に研究していただきたいというのであります。  何とぞ全会一致本決議案に御賛成あらんことを希望いたしまして、私の説明を終わります。
  80. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 ただいまの佐藤洋之助君提出の動議の通り、本案を附帯決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  81. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議をつけることに決しました。     ―――――――――――――
  82. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、前例によって委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 異議なしと認め、さよう決します。  この際、迫水郵政大臣より発言を求められております。これを許します。
  84. 迫水久常

    迫水国務大臣 ただいまの附帯決議は、御趣旨を尊重し、というよりむしろこれをバックにしまして、当局において十分検討をいたします。
  85. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明三月一日午前十時より理事会を開き、理事会散会後直ちに委員会を開くことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十一分散会      ――――◇―――――