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1962-02-08 第40回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月八日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 佐藤虎次郎君    理事 上林山榮吉君 理事 小泉 純也君    理事 廣瀬 止雄君 理事 大柴 滋夫君    理事 森本  靖君       大森 玉木君    竹内 俊吉君       羽田武嗣郎君   橋本登美三郎君       保利  茂君    島本 虎三君       畑   和君    原   茂君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 迫水 久常君  出席政府委員         郵政政務次官  大高  康君         郵政事務官         (大臣官房長) 金澤 平藏君         郵政事務官         (郵務局長)  西村 尚治君         郵政事務官         (電波監理局         長)      西崎 太郎君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     長田 裕二君         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社総務理事(         兼)技師長   米沢  滋君         日本電信電話公         社総務理事   秋草 篤二君         日本電信電話公         社営業局長   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  平山  温君         日本電信電話公         社経理局長   井田 勝造君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 二月八日  委員八百板正辞任につき、その補欠として島  本虎三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島本虎三辞任につき、その補欠として八  百板正君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  郵政事業郵政監察電気通信並びに電波監理及び放送に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これをします。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 私は、まず有線放送公社線との接続について、もう一つ農村電話、この二つに限定して若干質問させていただきたいと思います。  有線放送電話試験接続が昨年度実施されまして、全国で五ヵ所、神奈川県、栃木県、山梨県、広島県、と北海道空知北長沼、この五ヵ所で実施されておるわけですが、全部布設は終わったものであろう、こういうふうに思っております。この件につきまして、試験実施の結果どうなのか。大体この試験実施の結果について、御報告願いたいと思います。
  4. 松田英一

    松田説明員 お答え申し上げます。  実はただいまのお話しのように、五ヵ所ともすでに布設を完了いたしまして接続を開始いたしておりますが、実は改修のための工事、それから補助を出すことにいたしまして、何分私どもといたしまして初めてのケースでもございましたので、いろいろと補助を出すための手続等にかなり時間がかかりまして、大際接続を始めましたのは昨年の暮れからことしの初めにかけてでございますので、まだ接続状況につきましては、具体的なデータというものは集まっていない状況であります。
  5. 島本虎三

    島本委員 データがまだはっきり集まっておらないという報告のようでございます。逓信委員会におきまして、郵政大臣所管事項説明資料をちょうだいいたしました。そしてこの中で、有線電話の部門につきまして、はっきりこう大臣説明しておるわけです。これによりますと、「いまだ有線放送電話を設置していない市町村においても、その需要は相当多く、また、電電公社との接続有線放送電話設備相互接続等制度改善に関する要望は強いのであります。従いまして、郵政省といたしましては、有線放送用語現状農山村におけるその有用性にかんがみ、昨年来その改善普及についていろいろ調査研究を進めて参りましたが、来年度は、さらにこれを推進するよう努力して参りたい」こういうように言っておるわけです。そういたしますと、電電公社との接続有線放送電話設備相互接続等制度改善に関するこういうような要望について推進するように努力したいというふうに受け取れるのでありますが、そういうような意味ならば、データがないのに、こういうようなはっきり大臣の方からこれを申し述べるということにはならないはずたと思っているのです。これについて、やはりはっきりした見解がないといけないと思うのですが、大臣、ちょうど参られましたが、今、この逓信委員会における郵政大臣所管事項説明の中に、農村有線放送公社接続についてのいろいろな制度上の問題や相互接続等について、本年度以降のはっきりした方針を述べられておるようです。これについて資料が集まっておらないというような報告ですが、これは大臣いかがなものでございますか。
  6. 松田英一

    松田説明員 お答え申し上げますが、ただいま資料が集まっていないと申し上げましたのは、具体的に接続状態を作りまして、その利用の模様から見まして、接続のために必要な条件、あるいはどういう接続をして使う形がいいかというような問題につきましての検討をいたしまして、そのデータが集まっていないということでございます。有線放送電話制度改善あるいは接続の問題という要望は、相当前から有線放送電話利用している向きから強くございまして、そのために昨年度、三十六年度も、予算が成立いたしまして、有線放送電話要望している向きあるいは有線放送電話利用している人たちに対しましての調査というものは、これはこの前本委員会でもすでに資料として御提出申し上げましたが、こういう要望があるということ、こういう意向があるということにつきましての資料は、委員会でも御報告申し上げた次第であります。  そこで、そういう状況から考えまして、有線放送電話利用する人たちの希望から考えまして、この有線放送電話をもっとその目的にも沿うように、また御要望にも沿い得るようにということを、私どもは始終検討して参ったわけであります。その内容はどういうものかといえば、結局公社電話接続したいということ、あるいはお互いの間でも、特に市町村の中で違った施設者がやっております場合には、それを接続させてもらいたいという要望とか、あるいはそのほか、制度改善のいろいろな事項もございますが、そういう要望はいろいろと聞いておりますので、私ども検討して参ったという状況でございます。ただ、それでは、具体的にそれをどういう技術的な条件でやるのが最もいいのか、これも、私どもは、具体的に今度の接続施設を五つ認めますときに、大体今までのいろいろな状況から考えまして、この程度のものであればという一応のめどをつけまして、それに沿うように施設改修してもらって、その改修に対しても補助を出したわけでございますが、それで一応やってみておるわけでございます。しかし、それで実際やって見た結果、これはまあ試験をするための一応の技術的な標準でございますから、それでいいのか、あるいはそれで悪いのか、さらにその問題について技術的な基準というものを強くしなければならないのか、あるいはそこまでしなくてもいいのかというような問題等、いろいろございますので、そういうことは、しばらく動かして見た結果のデータを待ってほんとうの結論を得なければならない。しかし、いずれにいたしましても、技術的なレベルというものは、有線放送電話の出発する当時からいたしますと、相当改善されておることは事実でございまして、接続するという状態が全然見込みのない、問題にならないという状態でないことは、確かなことだと思うのであります。そのために、今度の五つの施設改善も、私どもは、予定いたしましたように可能になって、現にやっているわけでございますから、そういうことによって、とにかく私ども意向といたしましては、有線放送電話有効性にかんがみまして、これを改善して、そうして電電公社電話にも接続できるようにしたいという考えは、今までの調査その他から考えまして、持っておるわけでございます。ただ、それを具体的に法律に現わしてやるという問題につきましては、ただいま検討中である、こういうわけであります。
  7. 島本虎三

    島本委員 大体わかりました。私の聞きたかったのは、この大臣説明資料の中にございます電電公社との接続、これはわかった。その通りであります。それと有線放送電話設備相互接続、それと制度改善に関する要望について、昨年来検討調査を進めて参りましたが、来年度はさらに推進するように努力したい、こういうように申し述べてあるのです。こういうのをやるとすると、当然これは通信形態と申しますか、方式と申しますか、こういうものの変更意味することになるのではないか。従って、これに対するはっきりしたデータがあるかを聞いてみたわけですが、その施行の結果があまりはっきりしていないのに、設備相互間の接続制度の方までの改善も行なっていくというような意図であるということは、私は解しかねたのです。こういうような大事な問題をこの説明の中に含んでいなければいいのですが、これはいかがですか。
  8. 松田英一

    松田説明員 ただいま島本先生のおっしゃいましたように、確かに有線放送電話の今後の改善で一番大事なことは、公社電話との接続ということが中心だと考えられるわけです。公社電話接続して動いていくという状態考え合わせて、なお有線放送電話利用しておる方たちはいろいろな要望を持っておられるわけでございますから、そういうものと通信あるいは電話というものの全国的な体系考えまして、まず接続をすることによって全国的な体系調整された一つの活動ができるわけでございますから、それと考え合わせた上で、ほかの要望というものも、その地方の実情に従ってどの程度考えるべきものか、あるいは考えていくのがいいのかという問題としてやはり考えなければならないというふうに私ども考えておりますので、その点は接続できる状態とにらみ合わせて、ほかの要望がどの程度に応じられるかということを検討しなければならない。そこで、それを全部一緒にいたしまして検討して、法律改正が必要であれば法律改正の提案をいたしたい、こういうふうに考えております。
  9. 島本虎三

    島本委員 そういうようにしてもしやるとすれば、通信方式変更という重大な問題を含むほかに、一つ形態として、電電公社が全面的に通信を受け持ってやるような形態にするのか。第二電電公社のような組織がまたできて、こういうようなものだけを全部請け負わしてやるのか。国有鉄道に対して私鉄を認めておるような工合にやるのか。また、電電公社一本にして将来これをやらせるのか。こういうような考えもしっかりしておるのでなければ、これからの拡充計画もあるわけでございまして、こ点は私は十分知っておかなければならない問題だと思うわけです。この接続方法料金交換要員保守要員、こういうようなものに対して、公社側との接続の結果、いろいろな差異ができてくることがちょっと考えられます。こういうような点については、どのようにお考えでございますか。
  10. 松田英一

    松田説明員 ただいまのお話の問題は、確かに重要なことでございまして、もちろん、私どもは、日本全体の電話電電公社がやるという、そのことは問題ないことだと思います。末端の問題になりますと、たとえば、これは現在の制度としてございますように、一つの建物の中では、PBXという形で末端では行なわれていること、これも、電電公社の全体の通信系の中に調整された形で動かされておるわけでございます。同様に、いなかの方で非常に不便な状況になっているところ、そういうところに有線放送電話が、その通信の不便なところを救済するためのものとして生まれて参りまして、それがだんだんと発達してくるにつれて、ほかのところとも話をしたい、それには当然電電公社接続をして、ほかのところと連絡をするということになるわけでございますけれども、しかし、有線放送電話というものは、何分非常に電話機能としては不十分な状態で、従って、施設者には負担が軽い、安くできるというところに特徴があるわけでございます。しかも有線放送と結びついて、非常に特徴を発揮して、有効性を発揮しているという点もございますので、そういう状況をそのまま残しながら、しかもその要望を満たして電電公社との接続ということを考えていくという問題になりますと、そこに一体どういう程度の線を引き、どういう程度に運用をしていくことが最もいいのかということが、非常にデリケートな問題になるわけでございます。従って、そういうものは、やはり特殊なその地方状況等に合って動くものでざいますので、そういうものを電電公社が統一的に全部自分のところで動かす、つまり公社電話網一つの形になるということでは、なかなか動きにくいこともございますので、そこに有線放送旭話電電公社接続の問題をどういう形で解決すればいいかということを、われわれが検討しているわけでございますが、そういうことは、電電公社と同じような電気通信網が別にできるということでは決してございませんので、むしろ末端の方に、電電公社電話利用してやらせて、そうして自分らは自分有線放送電話独特の機能を発揮して、役に立っていく、こういう形でうまく事柄が動いていくということを、われわれ考えている次第でございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 今度の質問は、松山さんと電電公社側両方から聞きたいと思います。  電電公社の方では、最近の技術革新の目ざましい進展に伴って、新技術の開発と実用化を強力に進めるために、本年度予算では、特にこの強化をはかるということが予算説明書に書いてある。ただいまの説明でありますと、低い料金で、これも割合に低い技術をそのままにしておいて、それで接続させるようにして満たしてやりたいということになると、この公社方針と現在のあれとが、百八十度、天と地の違いがそこに生じてくるのじゃないか。こういうような方法をそのままできるだろうかという心配一つと、もしこれをやるようになった場合には、公社側の方でこれを受けていろいろなことをやるような場合には、また現在の計画にそごを来たさないものであるかどうか。また、それを引き受けてやるようになった場合には、公社側としては、現在の計画とこれは全然相反するとは申しませんが、それを引き受けるだけ計画に対してはマイナスになるようなことがあるのじゃないかということがちょっと考えられましたので、この二点については、どのようにお考えになりますか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  12. 松田英一

    松田説明員 ただいまのお話の問題は、結局公社としては、もちろん、電気通信に関する技術というものは、これは世界的にも非常に進歩の早いものでございますから、それに劣らないように進んでいかなければならないということで、公社としての、つまり電話の、特に幹線だとか、あるいはこれからどんどん進んで参る通信技術の方向、これについては大いに検討して進めているわけでございます。しかし、そういったものが日本全国に完全に行き渡って、日本のいわば端々まで完全に自動化して、どこの家にも全部電話がつく、どこからでもどこへもすぐ自動的に電話がかかるというようなことが、最も理想的な形態ではございますけれども、そこにいくのは、これはなかなか容易なことではないので、現在の電電公社電話つけ方について、いろいろと社会的に問題の起こっておりますのも、なかなかそういうことが達成せられないからというわけでございまして、そのためにいろいろと電電公社が努力しているわけでございます。そこで現在といたしましては、農山漁村における要望というものを生かして、そして簡単ではございますけれども電話による通話というものをできるだけはかっていくということにすれば、どうしても現状というものを十分に考慮して、そうして電電公社というものと調整をはからなければならないということを考えておりますので、電電公社進歩目的にして最新の技術を取り入れて進んでいくのと、それと現在の有線放送電話接続の問題とは、別に現段階として矛盾していることではなく、公社の進みも、いわば最先端とそれから現状との調整という問題だというふうに考えております。
  13. 平山温

    平山説明員 ただいまの先生のお尋ねに対しまして、公社側の方のことを主としてお答え申し上げます。  質の問題と量の問題と二つあると思いますが、有線放送電話公社線接続するについては、今度五ヵ所接続することになったわけでございますが、一定の技術基準に合格したものを接続するという考えでおります。今度の場合、五ヵ所合格したわけでございます。その技術基準はどういうふうにきめられたかと申しますと、公社といたしましては、一般公衆通信サービスの中に、御承知のように、地域団体加入といいまして、農村方面で多数の加入者団体で加入して、公社サービスを提供する、こういう制度がございますが、その地域団体加入に二色ありまして、一つ公社直営でやる場合と、それからもう一つは、施設を地元の方が持って、そうしてそれを公社接続する自営の場合と、二つあるわけであります。その自営の場合におきましては、私どもは、乙規格と申しておりますが、若干直営である甲の規格よりも緩和することを認めておるわけであります。従いまして、今度有線放送電話接続するにつきましても、技術基準につきましては、その乙規格地域団体加入に準じた技術基準で合格したものを接続する、こういう考え方でおりますので、まず第一の、質的にこれを引き上げることによって、公社との間に行き違いができやせぬかということはなかろうかと思うのでございます。  その次には、有線放送電話接続した場合の量的な問題といたしましては、この接続をしますと、それを通して市外通話が行なわれますので、これに伴って、公社側といたしまして、市外線等の補強、強化の必要がございますので、今度五ヵ所の接続に関しましても、そういった施設の方の準備はいたしたわけでございます。しかし、今のところ、まだ施設の量もわずかでございますので、有線放送接続に伴う市外通話、それに対する市外回線の増強という問題は、今の公社施設拡充の面に対してそう大きな問題にはなっていない、かように思うわけでございます。
  14. 島本虎三

    島本委員 大体電電公社計画で参りますと、有線放送区域の場合は、特別にこれを設定して有線放送布設区域になっておって、それぞれ区分されておるようでございますが、有線放送に加入してしまって、それが今度は特別加入区域になってまたやる場合には、一軒で電話二つもつけることがあり得ることになります。また、現に施行しているところでは、そういうところもあるようでございます。便利に越したことはございませんが、そういうふうにして今度農村電話拡充計画によってだんだんやって、そこへさらに公社側の方の市外通話もできるようなことになりますと、当然現場におきましては、いろいろな相当の混乱があり得るのじゃなかろうか。費用の点なんかを考えてみましても、これは負担が多くなるような向き相当あるのじゃなかろうか。電電公社の方では、今までは相当金をかけまして、農山漁村に対して公衆電話地域加入電話というものをやって、現在までの所要資金が二百五十億をこえておるようであります。そういうような点を考えますと、やはり何かしら――私としては有線放送をそのままやって害がなければけっこうでございますけれども、この農山漁村電話拡張の度合いが、あまりにも遅々として進まないから、何か障害があるために、このような有線放送との接続強化しなければならないようなことになったのではなかろうか。あえて申しますと、公社側計画に、おそらくどこかこういうようなことを誘致するような一つの原因があるのじゃないかというふうにちょっと考えられます。この点はいかがでしょう。
  15. 松田英一

    松田説明員 お答え申し上げますが、ただいまのお話で、前に提出いたしました資料の中にもございますように、有線放送電話加入者の中で加入電話を持っている者は、大体二〇%程度ということが調査の結果出ておりまして、それを職業別で見ますと、大体農業世帯では約五%、商業世帯が七五%、その他一般が二〇%、大体その程度のものになっておりますが、結局有線放送電話というのは、御存じのように、一本の線に十も二十もぶら下がる。それから、ただいま接続試験いたしておりますものの基準にいたしましても、十五をこすのは困るけれども、最高十五まではいいというふうにしておりますので、非常に話し中が多くなる可能性がある。従って、ごく通話数の少ないようなところについてしか、十分その通信要望を満足できない。そこで、ことに商業を営んでいるような人が、その地域的な関係から、ことに有線放送ではいろいろ奥地等もございますし、有線放送電話というものはやはりつけておく必要があるけれども、しかし、それだけでは自分の各方面への連絡がとても満足し切れないというものが、どうしても通話プロパー電話プロパー公社電話というものを必要とするわけでございまして、その意味で、ある点では二重であるわけでございますけれども、これはその人の生活態様からいたしまして、どうしても両方必要とするのだということでございますので、これはやむを得ないというふうに考えまして、現在の状況でいいのではないか。従って、電電公社の嘱託で全部の要望を満足させるということになりますれば、これはどうしても電電公社として非常な資金を要しますし、また、今度は利用者の側からいいましても、大部分の人はそれほどの高度の技術を要しない。つまり今の程度のものでも自分らの要望は達せられるのだから、安い力がいいんだいいうこともございますので、その点が、両方現状では有線放送電話というものの形で調整されているというふうに考えております。
  16. 島本虎三

    島本委員 そういうふうにしてもしやって参りますと、危惧される点が一点あるわけでございます。それは有線放送に従事しておる従業員、たとえば保守または交換、呼び出し、こういうような仕事をやっておるような人たちは、あらゆる現在のような交換をやるほかに、放送事業もやる。それは時間を限定してやっても、その間相当の繁忙で、おそらく特定局電話を扱っておる程度仕事以上のことはやっておるはずです。こういうように見てみますと、この労働条件とかいうものは、相当きついものがあるのじゃないか、こういうふうに思われます。また、保守の面になりますと、線はある程度規制したといたしましても、電電公社の線と全然同じものである場合は何んですが、そうでない場合には、今後保守の点なんかについても、農村有線放送を実施しておる主体自身相当困難があるのじゃないかと思います。こういうふうにして別々な労働条件のものが二つある場合においては、今後の運営において、労働条件の向上という現在の傾向に逆行するような心配があるわけでございますが、こういうような有線放送に従事しておる従業員労働条件を完全にしておくような指導をされておるのかどうか。今後は一億も使っていろいろこれを拡張する方針のようでありますから、この点については、重大な問題として十分検討していかなければならない問題だと思います。その方面労働条件については、私の見てきた範囲では、相当きつく、中にはやめていきたいというような意思を表示された人もあるかのように聞いております。こういうような状態をそのままにして指導していく考えでありますか。その労働条件の点をちょっと伺います。
  17. 松田英一

    松田説明員 実は、有線放送電話を正式に法律上認めます有線放送電話に関する法律ができましたときに、いろいろと問題がございまして、私ども郵政省の方からの有線放送電話に対する監督といいますか、統制といいますか、それは最小限で、そういう有線電話をやっておるところに対しては、とにかくその地方々々の、実情にまかせて、ほんとうにこれでは困るというようなものについてだけの監督をするという態勢になっておりますので、ただいまお話のような交換手あるいは保守をする人たちの問題についても、法律上は、実は私どもは何も手を出さない建前になっておるわけであります。もちろん、それはそれぞれ農協あるいは市町村その他の運営者がおるわけでありまして、その運営者の方で、農協の組合員あるいは市町村の職員というような観点での労働問題の扱いがされておるわけでありますので、それをあえて郵政省の方からいろいろと内容的に手を出すということは――有線放送電話の運営の問題について、従来の法律考えております線からすれば、私どもは手を出さない方がよいというふうになっておりますので、今後布設をいたします場合には、そういう問題で従来と少し様子が違ってくる点があると思いますが、その点は、法律を改正いたしますときに十分検討いたしたいと考えております。
  18. 島本虎三

    島本委員 将来電電公社計画が完成してしまった場合を予想して――当然これは計画ですから、完成がありますから、そういう場合には、相当不便な場所にも電話が行き渡る。そういうようになったときでも、現在のような有線放送との接続をそのまま認めていくような方針ですか。それとも、その場合には、電電公社に全部引き渡して、一元化を現在の通り認める方針ですか。これはやはり将来のためにちょっと伺っておきたいと思います。この見込みについて、いかがなものですか。
  19. 松田英一

    松田説明員 その問題は、私どももいろいろ考えたわけでございますけれども、ただ、電電公社電話がほんとうに日本の隅々まで完全に行き渡って要望を満たすという時期がいつ来るかということでございまして、これは現在、昭和四十七年末でほとんど需給が均衡すると考えておりますけれども、そのときの状況といたしましても、まだ全国のどの家庭にも全部電話がつくという状況ではないという、いろいろな推測の数字をもとにいたしてできておるわけでございます。従って、そういううんと遠い将来において、日本全国どこにも電話があるという状況になれば、確かにおっしゃるような問題は出て参ります。しかも有線放送電話というものは、もう電話の面ではほとんど必要がないし、よけいなものだということになってくると思いますけれども、そういう状況というのは相当遠い将来のことでございますので、とにかく現在あるいはこれからの近い将来において有線放送電話というものが果たさなければならない使命というものは、まだまだたくさんあるのだと考えておる次第であります。
  20. 島本虎三

    島本委員 どうもわかったようなわからないような、私としては、どうも議事録を調べて、もう一回質問をし直さなければならぬのではないかと思うのですが、時間の関係もありますから、進めます。  有線放送を現在いろいろと接続したりしている線は、電電公社の方で保守、管理、そのほかいろいろやっておるようですが、これは有線放送協会というのですか、そっちの方からわれわれの方にも陳情やいろいろな要請がくるわけです。その中で、一つどもとしてははっきり聞いておかなければならないのは、公社通信系の業務区域に関係なく、有線放送電話の業務区域の設定を認めてもらいたいという動きが、最近出てきておる。こういうようなことをやるとすると、完全に第二電電公社を認めるようなことになるから、こういうことに対して、実ははっきり意向を伺っておきたかったのです。それについて、先ほどから何回も言っても、ほんとうにりっぱな答弁で、われわれはどう言っていいのかわからないような答弁でございますが、具体的に今の問題にしぼって、これは認めるつもりですか、認めないつもりですか、これを一つはっきり言って下さい。
  21. 松田英一

    松田説明員 そのことは、法律改正をしなければ現在の状況以上には進めないわけでございまして、どういうふうになるかということは、いずれ法律案が国会に提出されまして、先生方に御審議をいただくことになるわけでございます。ただ、現在の段階で私ども考えておりますのは、現在有線放送電話に関する法律案に書いてございます有線放送電話の認められる範囲、つまり大体電話が不便なところで、一つの地域共同社会……。
  22. 島本虎三

    島本委員 もう大体わかりましたから……。
  23. 松田英一

    松田説明員 その程度のものでやって参ります。ただし、それ以外の区域で、非常に現状では右線放送電話利用するために不便になっておる、こういうふうなものは、その業務区域外であるのだけれども、入っていないと目的上困るのだということは、いろいろ私どもも聞いておりますので、せめてそういうものは特別な事情として何か救う必要があるのではないかということだけは、私どもも考慮しているのでございます。
  24. 島本虎三

    島本委員 どうして私はこの疑問を提供したかというと、初めに戻りますが、「逓信委員会における郵政大臣所管事項説明資料」の三枚目の裏を見て下さい。前から六行目まで、これがはっきりしているからちょっと心配なんです。というのは、初めに読んだのですけれども、ここに、「電電公社との接続有線放送電話設備相互接続等制度改善に関する要望は強いのであります。」これはおっしゃる通りですから、いいのです。問題はそのあとなんです。今度は、有線放送電話現状農山村におけるその有用性にかんがみて、昨年に引き続いて来年度はさらにこれを推進するように努力したいと言っているのです。推進するということになると、「有線放送電話設備相互接続等制度改善、「これをも進めるという意味に私は解釈したから、データがはっきりできているのかと聞いたのです。ところが、ないという。ないと言ったから――陳情書等で、危惧されるようなことがいろいろ持ち出されている。それに対して、大臣説明資料はこういうふうになっているでしょう。そうだとすると、初めから行き方をはっきり指示してしまっているのに、これから考えるというのはまことに私としては解しかねるわけですが、その点そうではないのだということをはっきり言ってもらえば納得できますが、これは私の考えが間違いですか。
  25. 松田英一

    松田説明員 実は、文章が仰せのようにはなはだ足りなかったところがあるかもしれませんが、私どものつもりとしましては、改善普及についていろいろ調査、研究を進めて参りまして、その調査、研究を来年もさらに推進して参りたいというふうに考えておりますので、法律改正をしないのに、法律改正をされたようなことで進んでいくというようなわけには参らぬことでございます。しかし、私ども意向としては、「有線放送電話設備相互接続等制度改善」というものは必要だと考えておりますので、それが可能になるようにいろいろと研究を進めて参りたいということでございます。
  26. 島本虎三

    島本委員 その「制度」の上に書いてある「有線放送電話設備相互接続」というのに対しては、どうですか。
  27. 松田英一

    松田説明員 それは「接続等制度改善に関する要望は強いのであります。」ということで、要望があることは事実でございますから……。
  28. 島本虎三

    島本委員 要望だけで切れて、あとの方につながらないのですか。これを進めるということではないのですか。
  29. 松田英一

    松田説明員 そういうつもりではございません。
  30. 島本虎三

    島本委員 何を進めるのですか。
  31. 松田英一

    松田説明員 改善普及について、つまりそういった要望がいろいろ強うございますので、そういう要望をいろいろ考えながら改善、普及についていろいろ調査、研究を進めていく。それを今年度予算で昨年よりもよけいできておりますし、範囲を広く検討できますので、これをよりさらに推進したい、こういう考えでございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 大体わかりましたが、私の尊敬する郵政大臣に言ってもらう資料なら、もっとすぐ納得できるような表現にしてもらった方がよかったと思う。私自身も電信屋でございまして、弱電の方についてはよく経験のあるものでありますから、こういうものを見た場合に、ぴんと響いたわけです。しかし、そうではないということがはっきりしたので、よくわかりました。研究だけはよくしておいて下さい。しかし、前提としてこれではないということを一つ確かめまして、それで私は質問のすべてを終わることになりますが、最後に一つ要請がございます。  その要請というのは、いろいろ陳情や資料が私どもの手元にございますが、これはこの有線放送の場合には、対等接続を認めていただきたいということと、料金は安くしてもらいたいということと、技術基準は下げてもらいたいということです。ところが電電公社の力では、今日技術の革新が目ざましいので、その進展と相反するようなことを認めて両方一緒にやるということは、当然でき得ない問題だと思います。ここは十分考えていただきたい。おそらくこういう点は、低きに堕すれば、水はたまって、低い方に流れますから、これは技術革新をせっかくやっているものに水をさすようになる。せっかくたくさん金をかけてやるのなら、遠くまで聞こえるものでなければ何にもならない。しかも、これを許可したのは郵政大臣である。郵政大臣なんか、次の選挙の場合に入れてはいけない、こういうふうに思われるようなことをやったならば、これはとんでもないことになりますから、それらのことを十分考えて、わが尊敬する大臣にそんなことがないようにやっておいてもらわないといけないと思います。技術の革新に伴うところのいろいろな進展計画と相反しないように指導してもらいたいということを、この席から強く要請しておきたい。それとあわせて、公社間の、そこに働いている人の労働条件が、あまり格差があり過ぎて困らないように、またそれによって、せっかくつなぐのだけれども、向こうの方の人が全然悪くてだめだとかいうことで、この違いによって逆に公社側が批判されることがないように、これも指導していかなければならないんじゃないかと思われます。  あわせて、公社側の方では、こういうふうなことに対しましては、やはり計画以外のいろいろな労務関係の提供があるはずでございますから、そういうような場合には、組合と十分話をして万遺憾なきを期してもらいたい。私はそういうふうに思っておりますから、こういうふうな点は十分注意して実施してもらいたいと思います。この点感想を承りたいと思いますが、いかがでございますか。
  33. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 ただいまのお話、よく了承をいたしました。一々ごもっともだと思いますので、御趣旨に沿うように努力いたします。
  34. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 畑和君。
  35. 畑和

    ○畑委員 私は、まず最初に、きょうの朝刊に出ております通信衛星のことについて、電波監理局長にお尋ねいたしたいと思います。  こういう方面は、全然しろうとでありましてよくわからないのでありますが、通信衛星に関する法案をアメリカのケネディ大統領が議会に提案をするというようなことが出ております。これは世界的に見まして、われわれの非常に大きな関心事であることは間違いないと思います。こうしたものが一日も早く実現することを、われわれも期待をいたしておるわけであります。新聞に大体書いてありまするけれども、さらにそのことについて確認をいたし、将来の見通し等についてお伺いをいたしたいと思います。  新聞の報道によりますと、アメリカの大統領が通信衛星に関する法案を出すということであります。それに関連をいたしまして、特に日本で関心事なのは、近く日本で行なわれるオリンピックについて、この通信衛星が間に合えば、その状態が世界に放送をされるということであります。ほかのことももちろん関心事でありますけれども、特にそれが日本の国民にとって関心事であるということでございます。それがアメリカの方で法案が出ていよいよ実用化するということになりますと、これに対して受け入れ態勢が必要だということは、もちろんでございます。新聞の報道によりますと、茨城県鹿島郡神栖村に専用の送受信局を日本で建設するように今計画中である、アメリカの電信電話会社ATTとの間に非公式な了解が成立しておる、そして電波監理局の話では、この送受信局は本年末かおそくとも来年春には完成して、通信衛星との実験交信を開始するようになる、こういうふうに書いてあるのです。それに対して西崎郵政省電波監理局長の談もちょっと載っておりますが、その辺に関して大体のそういった了解ができておるのかどうか。その見通しについて承りたい。
  36. 西崎太郎

    ○西崎政府委員 今御指摘のアメリカにおける宇宙通信関係のニュースにつきまして、実は、私の方では詳細な資料はまだ得ておりませんので、多少想像的なことになるかもしれませんけれども、お許し願いたいと思います。  御承知のように、現存国際間の通信というものは、年々非常な勢いで通信量がふえておるわけです。それで、それに対処するところの通信路といたしましては、普通の短波の無線であるとか、あるいは海底ケーブルであるとか、そういうものに依存いたしておるわけでありますけれども、将来のこういった通信量の増高に対処するためには、ほかの手段をもあわせ考えなければならぬ、そういうわけで登場したのが通信衛星という構想でありまして、もしこれが実用化された暁には、普通の国際間の電報とか電話だけではなくして、テレビの国際的な中継ということも可能になってくるというわけで、われわれとしましても、その将来に対して非常な期待を持っておるわけです。この面におきまして、実はソ連の方の情報というものははっきりわかっておらないわけでありますが、アメリカにおきましては、今御指摘のように、その方面の開発研究というのが非常に進んでおります。それで御承知のように、アメリカにおきましては、国際通信事業を担当しておる事業社は、一つでありませんで、多数あるわけであります。従いまして、こういった通信衛星を利用する国際通信事業というものをどこが担当するか、すなわち通信衛星をどこで監理するかということが、アメリカの国内において非常に問題になっておりまして、アメリカの連邦通信委員会という電気通信関係を監理する役所がございますが、ここが中心になってその問題の研究をやっておったわけでありまして、おそらくそのニュースが正確だとしますれば、どういう運営機構で通信衛星による国際通信を実施していこうという方式がきまったのじゃないか、それでその関係の法案というものが提出されたのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで、これは御承知のように、おそらくことしの春ごろその通信衛星というものが実験的に打ち上げられるのじゃないかというふうに考えておりますので、その実験がはたしていつごろ実を結ぶかということにつきましては、まだ何とも申し上げかねるわけであります。しかし、相当その結果には期待が持てるというふうに考えております。日本としましても、これに対処する地上施設というものを考えていかなければならぬということで、政府としましては、郵政省の電波研究所、それから、いずれにしましても、将来日本がこれを実用するという暁には、当然国際電電というものがそれを担当していくということが考えられるわけでありますから、国際電電もこれに対する準備を進めておるというわけで、現在国際電電は、ただいま申されました茨城県にこれがための地上施設を――もちろんこれは実験施設でございますが、それの建設の準備をしておる、こういうふうに聞いております。おそらく来年度中にはそれが完成するんじゃないか、こういうふうに見ておるわけであります。
  37. 畑和

    ○畑委員 そうすると、新聞にありますATTというのは、アメリカの幾つもある国際通信のうちの支配的な相当大きな会社なんですか。
  38. 松田英一

    松田説明員 ATTと申しますのは、アメリカ電話電信会社の略でございますが、これはベル系統ということで、アメリカの中で、電話としては、ことに市外通話を扱います通信網につきましてのほとんど大部分といっていいほどの実力を持っておる大きな会社でございます。それで対外的には、電信の方は別の無線会社がやっておりますけれども電話につきましては、大体このATTという会社がやるということになっているわけでございます。
  39. 畑和

    ○畑委員 そうしますと、電話をやるような会社と日本の方で非公人な了解が成立しておって、今言ったような送受信局の建設計画がある、こういった話があるかどうか、まず聞きたい。
  40. 松田英一

    松田説明員 この点は、ただいま西崎電波監理局長からもお答え申し上げましたように、まだ実験段階でございまして、しかも私の聞いております範囲では、本年度アメリカが通信衛星を二個、春と秋と打ち上げておるわけです。これに補足するようなものをまた別に上げるようですけれども、それによって直接相手といたします実験の相手は、イギリスとかフランスとかでございまして、日本はちょっと直接の相手とはなりかねる程度のものである。しかし、アメリカは、将来、今度は日本を相手としましても通信の実験をやり得るような計画をその以後に持っているわけでございまして、日本としても、この世界的な衛星による通信網には当然関与すべきことでございますから、それの準備として、実験的なものを今から建設を始めている。もちろん、この直接通信相手というわけではございませんけれども、ことしじゅうには、アメリカとイギリス、フランスあたりとが中心になって実験をいたします通信衛星による通信を横から聞きまして、今後の、実験の参考にするということは可能であるわけでございますが、それにどの程度間に合いますかわかりませんけれども、とにかく、いずれそういった実験が日本でも行なわれるということが考えられますので、目下いろいろと準備をしているわけでございます。
  41. 畑和

    ○畑委員 私が聞いたのはATTとの間に非公式な了解が成立しておるというんだが、それがあるだろうかということです。
  42. 松田英一

    松田説明員 非公式な了解ということの意味でございますけれども、ただいま申し上げましたような程度で、実験そのものはATTが――つまり先ほど西崎監理局長がお答え申し上げしたように、通信衛星の打ち上げそのものにつきましては、各通信会社がやるんじゃなくて、ほかのものが一緒になったというふうなことで何かやるということですけれども、それを使ってやる実験は、ATTがやるんだろうと思います。そしてそのATTを相手に実験をするとすれば、いろいろ打ち合わせしなければなりませんけれども、直接通信の相手となるわけでありませんので、直接的な交渉はない。しかし、いろいろとことしじゅうに行なわれます実験の模様というようなものも、情報を聞きまして、国際電電の方でも、またやみくもにやるんでなくて、将来のいろいろな計画とマッチできるような工合に計画を進めておりますので、そういう意味でいろいろ情報をとったり話をしたりというふうなことが、非公式な打ち合わせということで表現されているんじゃないかというふうに考えます。
  43. 畑和

    ○畑委員 大体それで了解いたしました。結局さっきも申し上げましたように、国民の関心事でございますから、世界的なこうした新しい企画に乗りおくれないように、十分受け入れ態勢を研究してもらいたいということを申し添えて、その点に関する質問を終わります。  次に、実はこの間全逓関係の年末闘争に関する処分者の名前と非違行為概要ということについての報告資料をいただいた。そのことにつきまして、具体的に一点について聞きたい。全般について聞きたいのだけれども、私は具体的に知りませんので、私のある程度知り得た、関係するところについてだけお聞きいたしたい。  それは停職六カ月の川越郵便局の久保田利久、これは今役職は、埼玉地区の全逓の青年部長をやっております。私は、個人的にも知っておりますし、いろいろ聞くこともできましたので、ちょっとふに落ちない点がございますので、お聞きするわけでございます。この処分の理由によりますと、「埼玉地区青年部長として、昭和三十六年十二月四日頃から同月六日頃までの間において熊谷郵便局管理者の再三にわたる退去要求を無視して同局事務室内をはいかいし、同局取り扱いにかかる郵便物を郵袋につめこむ等したばかりでなく多数の同局職員に対し怠業行為を指導する等して業務の運営を阻害したものである。」こういうふうに処分理由の概要は書いてあります。これは結局、全逓の地区の役員として指導に当たっていたわけだと思うのですが、この中に再三にわたる退去要求を無視して俳回した、こういった点、これは普通よく組合の戦術としてやるところでありまして、これはそう大したことはない。これは、ひっかかるとすれば、全部がひっかかってしまうことなんです。おそらくその重点は、「郵便物を郵袋につめこむ等した」ということだろうと思うのであります。そこにウェートがあると思うのでありますが、ところでお聞きいたしたいのは、この郵袋に詰め込む等した日時がいつであるか。そうしてさらに、そういうことの報告を聞いたのはいつであるか。おそらく監察局長あたりに報告したのか、東京郵政局の方に報告したのかわからぬけれども、とにかく局長から報告を受けたのはいつであるか。そのことが調べてあるかないか。もしわかっておれば聞きたい。
  44. 長田裕二

    ○長田説明員 ただいまのことにつきまして、十二月四日から六日までのどの日に当たるか、あるいはその報告を監察局なり郵政局が受けたのは何日かという御質問でございますが、今詳細な資料を持ち合わせがございません。戻りましたら、十分はっきりした日時はわかりますから、御連絡申し上げます。
  45. 畑和

    ○畑委員 その詳細な点についてまだつまびらかにしてないということでありますので、これはあとで調べていただきたい。  それに関連するのですが、私の聞いたところによりますと、これはいわゆる詰め込んだと見られる日は、五日の日らしい。それで報告を受け取ったのは監察局長かどうか知らぬが、それは三日くらい過ぎてからのことらしい。しかもこの話は、二、三日過ぎてから、郵便局長のところで昼飯か何か食べておるときに、郵便課長が茶飲み話にした話、それを郵便局には、いち早くそれではということで報告をしたということがきっかけのように私は聞いておる。その点をあとで少し調べて下さい。  郵便物を郵袋に詰め込むということがあったとすると、郵便法九十七条か何かに触れる、郵便物を隠匿する罪とかそういうことに触れるということで、そういう疑いで局長も報告し、それから監察の方でもそういう日で調べた。ところが、本人はそうでなくて、久保田自身が川越局の出身だが、郵便出身であるという関係で、郵便のことは非常に詳しいということで、たくさんたまっておってかごからあふれ出ておるものを、便宜郵袋の中に詰めて整理していたというのが、本人から私が伺ったところであります。そうしますと悪意も何もない。ただそういった争議の指導に行っておる、年末闘争の指導に行っておる者が、そういうものに手を触れること自体は、不謹慎である。それはその通りだと思います。ただしかし、本人の言う通りだといたしますれば、悪意がない。それを二、三日後に茶飲み話に出た話を、それは大へんだということで、隠匿罪とかなんとかいう見込みでそれを上司に訴える。その上司がまたその目で見るということによって誤解が大きくなったというふうに思われる。そうじゃない。振り上げたこぶしのやりようがなくて、なぐることもできぬが、せいぜい肩に触れる程度のことで処分をしなければならぬというようなことにうかがわれる。そういう点で、今では郵便局長も郵便課長も、その点何か済まなかったというような態度でいるようです。そういうことになっては、どうも処分に値しないのではないかということにわれわれは考える。ここであなたをきめつけても、資料が乏しいようでありますから、その点をもう一度再調査していただいて、その上でまた質問をいたしたい、かように思います。おわかりになりましたか。
  46. 長田裕二

    ○長田説明員 その事件を調べました際に、本人が実は手伝うつもりでやったのだと言いましたことは、お説の通りでございますが、当時の現場の管理者、あるいはその他のいろいろな調査の結果で、郵袋の中に入れた郵便物は、もうその場で、それぞれの区分だな、あるいは道順組み立て等で処理されておったものであります。それをまた郵袋の中に入れますことは、あとの処理にも差しつかえる、作業手順を狂わせることになりますので、そこで郵便課長も、そういうことはしないでくれということをはっきり言って制止しておるような状態でございます。なお、区分だな等にも手を触れ、あるいは作業中の職員に対して、そんなに張り切らないで、外でひなたぼっこでもしないかというようなことも言った。そういうようなことから、局へ入ることに対して、外へ出てくれということ、あるいはそういうことをしないでくれというようなことを、郵便課長からたびたび本人に対して申しておるようでございますので、私どもは、本人が善意でお手伝いしたというよりは、やはり作業手順を狂わせる、若干郵便の業務の運行阻止になるような行動ないし言葉があった、そういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 畑和

    ○畑委員 この点につきましては、当局の方でもう少し調べていただきたい。私の方でももう少しよく調べまして、次の機会に再度質問するということにしまして、終わります。
  48. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 上林山榮吉君。
  49. 上林山榮吉

    ○上林山委員 本委員会で二回ほど問題になりました三十六年秋季年末闘争等におけるおもなる被処分者の非違行為概要について、私も、少しばかり角度を変えて質疑をしてみたいのであります。  おそらく処分する方も、処分される方も、まことにお気の毒なことだろうと深く察するにやぶさかではございませんが、いずれにいたしましても、国民に奉仕する重要なる業務でございますので、これに従する者は、管理者といわず、あるいは被管理者といわず、重点はまずここに置かれてすべての問題がなされなければならない。私は、冷静に考えて、そういうように思うのであります。そういう意味からいって、信賞必罰というものをやっぱり双方が尊重していくという慣行を作っていくことが、終局において国民に奉仕する業態としての大きな方向になってくるだろう、私はそういうように考えているし、また国民大衆も、多くの者はそういうふうにしてもらいたいと期待をしているのです。だから、私がこれから具体的に尋ねんとすることは、そういう趣旨に沿ってのお尋ねであるという意味で聞いてもらいたいのであります。なお、この処分について、重いとか軽いとかいう議論がございます。痛くない腹をさぐられて、一部では、この処分はあまり軽いじゃないか、郵政大臣初め管理者当局は、できるだけ無難に、最小限度にこれをやっていこうとしているのじゃないか。もっと悪くかんぐる人々は、これは全逓との間に、あまり処分者を出さぬようにしてくれと言うたから、やむを得ないのは仕方がないが、できるだけそうしましょうというような、取引ではないが、そういうような話もあったんじゃないだろうかなどとかんぐる向きもあるのであります。  その第一点を申し上げます。あれだけの大きな騒ぎの中に、わずか三十名くらいの処分者が出た。しかも、一番最後にたった一つ、戒告というのが、小諸郵便局の沢尾利夫という人にあるだけなんです。これだけの騒ぎの中に、これだけのわずかの処分者、しかも、戒告に至ってはわずかに一人である。この辺に、多少ながら郵政事業というものを、あるいは多少ながら闘争の内輪を知っておる私としては、まことに不思議でならない。あるいはこの報告に漏れているのかもしれませんけれども、たった一名戒告というものがあるんだが、これは一体どういう理由なんです。これほどの人数の免職なり、停職なり、減給なりというものが行なわれるのに――減糾も行なわれていないのでありますが、減糾とか戒告とかいうものは、これに比例して全然なかったんですか。あったけれども、この際は、将来の郵政事業の円滑な、建設的な発展ということを期待されて、いわゆる減刑酌量といいますか、そこに一つの手心を加えたという処置なのか。一体その目標はどうなのか。その点をまず伺っておきたいのであります。
  50. 長田裕二

    ○長田説明員 秋季年末闘争関係の非違行為にどういうものがあったかという点につきましては、私ども地方の関係のものと連絡いたしまして、すっかりその事態を掌握するように努めたわけでございます。その結果、幾つかのケースが上がって参りました。そう非常にたくさんというほどではございません。それはそれぞれ検討いたしまして、大体免職につきましては、大臣発令という形をとりました。それから停職処分にするものにつきましては、大体事実上両方連絡の上、郵政局長発令ということにいたしております。減給、戒告、あるいはそれ以下のものににつましては、郵政局長が現場のいろいろな事情を考えて処分をするようにということで、打ち合わせを済ませたわけでございます。ただし、その素材になるものは、大体私ども見せてもらったりなんかしているわけでございます。その中の長野郵政局の戒告は、これはたしか管理者の阻止を無視して、非常にひんぱんに、かなり長い間にわたって局に出入りした、そういうような事柄がおもになったケースだというように記憶しております。  なお、減給、戒告のものにつきましては、地方郵政局長にまかせて行なうことにいたしまして、実はこの発表は、一月三十日発令でございますが、当時までにはっきりしているものをここへ収録したわけでございます。地方であとどうしてもやらなければというものがさらにあれば、やることも考えられるわけでございます。一月三十日までにはっきりしたものをここへ収録したわけであります。
  51. 上林山榮吉

    ○上林山委員 減給ないし戒告等は郵政局長で処置することになっておるそうでございますから、これ以上お尋ねをいたしませんが、懲戒免職になった広島地区書記長というのは、すでに停職、減給を合わせて四回、不法行為といいましょうか、これに該当する対象があったために、そういうふうになったのでございましょうが、こうしたような者が、たとえば広島地区の執行委員で中村という人は、減給、停職三回でございますが、これは三回以上とか四回以上とかという、何か基準があるのかどうか。私は、少なくともこういう違法行為を二回以上やるような者は、これははたして公務員として適格者であるのかないのか、国民に奉仕する公務員としてこういう人が存在していいのか悪いのか、デリケートな問題ではございますが、国民の側からいえば、二回以上こういうような行為を積み重ねた人は、不適任ではないのだろうか、こういうふうに思われるんですが、こういう方面基準――これはなるほど性格あるいは広範ないろいろな立場から検討しなければならぬが、そういう基準というものがあるのか、ないのか。これは四回だったから、今度は懲戒になった。しかし三次郵便局の中村武君の場合は、三回だから、これはまあ停職にしておけ、こういう判断でしたんですか。私は、これくらいの人は免職に相当するものではなかろうか、こういうように思われるのですが、この点はいかがですか。
  52. 長田裕二

    ○長田説明員 処分をする際の、いろいろとこちらで考慮する事項といたしまして、以前処分を受けたことがあるかどうかということも、一つの要素にはしているわけでございます。それが何回ならどうとかということは、それほど厳密には考えておりません。一つの考慮事項には十分しているわけであります。なお、福山郵便局で行なわれました行為について、三人でございますが、三人の処分をきめる際には、やはり一番主になって行動した者、あるいはそれと一緒になってくっついて行動した者、そういう者に対しましては、今回の行動を見まして、若干の差をつけるのが妥当であるというふうに考えて、このような処分をしたわけでございます。
  53. 上林山榮吉

    ○上林山委員 さらに、先ほど川越郵便局の久保田君の問題が質疑の中にもあったようでございますが、先ほどの人事部長の答弁によりますと、ほかの郵便局の者が、他の局に来て、しかも制止を聞かずにそこの中に立ち入って、しかも郵袋に郵便物を詰め込む行為、この行為は、公務執行妨害になりませんか。さらに、これよりももっとひどいのでございますが、愛知県の設楽郵便局の古井戸竜介君のことですが、これはこういうふうに書いてありますね。これは事実だろうと思いますが、「同局管理者の作業手順の指示に抗議して同局職員に勝手な作業手順の指示をする等して業務の運営を阻害したものである。」こういう者、さらに都城郵便局の安楽長信君でございますか、この人の場合は、「管理者に対し集団抗議を行なうことを指導し、かつ自からもこれを行ない、」この次が大事ですが、「また監察官の職務の執行を妨害する等して業務の運営を阻害したものである。」これがわずか停職六カ月。これは監察官に対して、その公務の執行を明らかに妨害した、こういう証拠と事実をあなた方がはっきりと認識されるなら、これはその他の官庁と連絡をとられて、それぞれの処置をすべきものではないか。私は、一罰百戒、一つの処罰によって、百人の人が、千人の人が、そういうあやまちを犯さないようにするためには、万やむを得ない場合は、やっぱり筋を通して処断をすべきものである、こういうように考えるのです。そういう場合、いかがですか、こういう非常に悪質な、歴然たる証拠のあるものについても、ただ行政処分だけにとどめておかれるのかどうか。この点は、私は今後の運営上大事な点であると思います。これを単なる行政処分のみでとどめておくべきものかどうか。官吏は、こういう事実を発見した場合は、明らかにその服務規律によってそれぞれの処置をしなければならぬようになっておるはずだと私は考えるのだが、こういう点に対してはどういうお考えを持っておるか、聞いておきたいのであります。
  54. 長田裕二

    ○長田説明員 業務の運営を阻害する行為があった、それによって公務執行妨害ということにもなるのではないかというお尋ねでございます。非常に厳密な意味で、ただいまあげられました三つのケースが、業務の運営阻害というものが、公務執行妨害にもなり得るのではないかということは、確かに申せると思うわけでございます。ただ、その程度によりまして扱い方をやはり変えて参ることに従来しているわけでございます。たとえば、おあげになりました中村洋壮君のような、福山郵便局の暴力的な行動を伴っているような場合には、私ども、関係の向き連絡させるようにしているわけであります。それからただいま御指摘になりました三件の場合では、まだそこまで至っておりませんので、なお、それによって実際に業務の阻害がどの程度起こったかということなども考え合わせまして、そこに書いてございますような処分にとどめたわけでございます。刑事事件にこちらからしていくということはしなかったわけでございます。
  55. 上林山榮吉

    ○上林山委員 監察局長見えていますか。
  56. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 きょうは見えていません。
  57. 上林山榮吉

    ○上林山委員 見えていなければ人事部長にお伺いいたしますが、この都城郵便局の安楽君の場合、監察局が――これは管理者じゃないのですよ。管理者の場合は、これは今あなたの言われるような酌量も、場合によっていいと思うのです。しかし、監察官は、これは別ではありませんか。監察官の場合は、これはもう少し監察行政がやれるような態勢というものを作らなければならぬのではありませんか。そういう場合もこれを同列に処置するということは、少し私は管理者側に良識が欠けておられるのじゃないだろうか、このように思うのです。何も高姿勢になる必要もありません。同時にまた、低姿勢になり過ぎる必要もない。(「池田首相みたいなものだ。」と呼ぶ者あり)要は正姿勢だ。池田さんがどう言われたか知らぬが、正姿勢で、やはり筋だけは通していくという考え方をお持ちにならないと、今あなた方が管理者と監察官とを同列に論じられることは、将来の秩序を乱す。だから、その辺は、今後はもう少し掘り下げての御研究が願いたい。これ以上追及はしませんが、掘り下げた御研究が願いたい。こういうふうに私は申し上げておきたいと思います。  それから、この委員会で私は発言したかのように思っておるのですが、まだその詳細な報告を承っておりませんが、例の速達を何日間かおくらして配達したという事件、それからもう一つは、郵袋を間違って、横浜の郵便局ですか、中央の郵便局からか送った。それはどういう意味か調べてみますとあなた方はお答えになって、それからもう長くたったようだけれども、その後の処置についての御返事がない。郵袋を間違って送ったということなどは、これは大事な処置で、故意かあるいは過失か、そういうような方面のことをもう少しありのままを御発表にならなければならぬ。こういうものは一体どういうふうにされているのか、一つお答えを願いたい。
  58. 長田裕二

    ○長田説明員 御質問の最初の、監察官の職務の執行が円滑にいくような態勢を部内で総体としてとるべきじゃないかという点は、お説の通りであります。これらの扱い方につきましては、私ども、監察局と連絡をとりながら進めている次第でございます。
  59. 西村尚治

    ○西村政府委員 第二番目の問題の、速達が著しく遅延した問題とか、郵袋を誤送したケース、これは年末闘争時のケースについてのお話だと思います。実は、国会で私ども先生からのお話を聞いた覚えはないのでございますけれども、あるいは監察局長が承ったものと思います。いずれにいたしましても、この問題につきましては、当時監察局の方で鋭意原因等調査いたしまして、お話のように、故意に基づくものであるのか、あるいは過失によるものであるのか、いろいろ調査をしたのでございます。その当時の結論では、故意によるものではなかった、はなはだしく仕事が輻湊いたしましたために、結果的にそういった一枚が起きたのだというふうに聞いておるのでありますが、現業局につきましては、そういうことのないように指示はしてあるようでございますが、当時の詳細の模様につきましては、監察局の方から、いずれまた監察局長が来ましたときに、御回答させていただくことにいたしたいと思います。
  60. 上林山榮吉

    ○上林山委員 年末闘争のために、普通の手紙では、採用試験にしても、緊急なる商用にしても、間に合わぬというので、みな速達を高い料金を払って出すわけだ。それが届かぬ、はなはだしくおくれる。これでは、もう機能の麻痺ですよ。ほんとうは相済まぬでは済まぬのです。同時に、送るべき先を間違って郵袋を送ってしまうなどというのは、これは故意でないとするならば、現場の管理者も大いに責任を感ずべきであり、同時に、これに従事した従業員も対等に戒めてしかるべきです。そういうところに、私は、やはりくぎが抜けておるところがあるような気がする。何も一から十までやかましく言うわけじゃないけれども、何かくぎの抜けている気がする。私がこれを郵政当局に申し上げてから、もう二カ月、あるいは一カ月半か、それぐらいたったのじゃないかと思うのですが、いずれにしても、あなた方の耳に入っておるわけなのだ。だから、これは一つお調べになって、その後の処置をありのままを一つお示し願えれば、それ以上は私も考えないわけでありますから、しかるべく取りはからってもらいたいと思います。  それから郵政大臣一つお伺いしたいことは、郵政大臣が非常に努力をされて予算をとってもらった中に、簡易郵便局の予算がございます。三十六年度はたしか五百局であったかと思いますが、三十六年度の簡易郵便局の消化は、全部できましたか。
  61. 西村尚治

    ○西村政府委員 三十六年度は、実は五百局の予算がとれましたのでありますが、これに対しまして、実際にできました局数はわずか三十三局でございます。
  62. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大臣、今お聞きの通りです。三十六年度に五百局簡易郵便局の予算をとったものが、もうあと年度も一カ月あまり、それであるのに三十三局しか消化しなかったという事実、この事実に基づいて、五百局をさらにふやして八百局にされた理由は、那辺にあるのか。この点を一つ、まずお答え願っておきたいと思います。
  63. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 過去のいろいろな経験を聞いてみまして、結局消化の悪いのは、手数料といいますか、簡易郵便局の手数料というようなものが著しく低くて、やっても引き合わないからそういうことになっておるのだというふうに考えたものですから、ことしは特にお願いしまして、手数料を倍にしました。これを倍にしたということを一つのてこの支点にして、昭和三十七年度は大いに推進しようと考えて、その気持を現わすために八百局という、もう一つ拡大した目標を掲げてやってみよう、こういう次第でございます。
  64. 上林山榮吉

    ○上林山委員 郵政大臣郵政事業を何年もやっておられたわけではないから、おそらく事務当局が大臣に、ぜひそうして下さいとお願いをしたんじゃないだろうかと実は思うわけでありますが、それにしても事務当局は、親切が足らぬのじゃないかと私は思うわけです。なぜかといえば、こういう状態であるから、簡易郵便局法の改正をやらなければならぬ、そして手数料に限らず、身分その他の問題についても、もう少し郵政事業というものに精魂が打ち込めるようにしなければならぬ、こういうことであるのですけれども、当委員会が満場一致でないところから、そうした苦肉の策をとっておられるのだと思います。それにしましても、まず満場一致できる部分、その部分については、もう少し待遇を改善するはずであったのです。当委員会においても、あるいはわれわれが郵政当局に聞いたところでも、そういうような話であったわけです。だが、それが昨年も、お話しになった線よりも一歩も二歩も退却し、三十七年度もまた、われわれが予想しておったよりも低い、こういうことになって、はたして八百局プラス四百七十局ですか、約千二百七十局が、三十七年中にその程度の改正で消化できると思っておられるとすれば、これは大へんな大臣のミスになってしまうから、これは私の老婆心に過ぎるかもわかりませんけれども、事務当局がこれはほんとうのことをあなたに言っていないわけですから、帰ったら、一つこの点についてもう少し再検討しておかれた方がよかろう、こう思うのです。ただ、私の意見をもってするならば、りっぱに正々堂々簡易郵便局法の改正をすることがベターである、最善である、こういうように考えるのだが、社会党の方々も、だんだん外国を回ってこられたりして、外国の事情なども非常におわかりになってきたようでございますので、私は、話し合えばまた話し合う機会もあるのではなかろうか、これは私のただ一人考えだが、話してみなければわからぬのだが、これは結論はわかりませんけれども、そうしたように考えられますので、まあ一つ消極的に引っ込めることだけをしないで、もう少し大臣、できるできない、これは相手のあることだからやむを得ぬ、やむを得ぬが、一つ熱心に相談をしてみる、それでできない場合には、その一致した部分だけの待遇改善というものをもう少しよくしていく、こういうような考えになってもらわなければならぬ、私はこういうふうに考えるわけです。御意見があれば拝聴します。
  65. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 上林山先生のだんだんの御意見、お話が胸にこたえるところもあります。よく一つ勉強をいたしますが、当面のところは、もう少し待遇改善の幅も広くしたいと実は考えましたけれども、大蔵省というタイト・スカートをはいた足幅の非常に広くない役所を相手にいたしまして、とうとうこの限度でとどまってしまったことは、まことに申しわけございませんけれども、このところでもう一段の努力をしてみたいと思います。
  66. 上林山榮吉

    ○上林山委員 それから特定局ですが、これは三十五年度、三十六年度の消化の状態は、どうですか。局設置の消化の状態、これは三十五年度、三十六年度を承ってみたいと思います。
  67. 西村尚治

    ○西村政府委員 三十五年度の分は大体消化したはずでございますが、ちょっと今手元に詳細な資料がございません。  三十六年度について申し上げますと、二百局のうちで、ちょっとこまかくなりますが、よろしゅうございますか。
  68. 上林山榮吉

    ○上林山委員 どれだけ消化したということを言えばいい。
  69. 西村尚治

    ○西村政府委員 開局の済みましたのが十九局、その他開局日の決定準備中、局長選考中というものを合わせまして百四十局ばかりですから、手配は済んでおるのがそのほかにございます。あと位置未定のものが三十九局ということで、大体これは年度内に消化できると思います。(「足らぬ、足らぬ。」と呼ぶ者あり)
  70. 上林山榮吉

    ○上林山委員 三十五年度は、大体済んだ。三十六年度も、準備中まで入れれば大体消化し得る状態だ、こういうことですが、これは今建設的なヤジが飛んでおるように、局の数が少ないというところにもあると思うし、簡易郵便局の成績のいいところは、これを特定郵便局に昇格させる、こうしたような処置もとらなければならぬだろうと思うわけで、そうしたような方面について、今後具体的な検討ももう一歩お進めになられて、三十七年度は今予算審議中ですから、三十八年度予算の要求のときには、一つもっと大幅の獲得をしていくということが、国民の期待に沿うものである、こういうように私は考えるのであります。  これに関連して、局の設置がおくれておる理由は、局長の選考方針にもあるかと思います。私は特定局の性格からいって、適当な人であれば、信用のある人であれば、だれでもいいという立場をとるものであります。そういう立場から、その地域の有力なる信用のある人である方が、気心もわかっておるし、貯金やいろいろな相談をする場合もやりやすいんですね。だから、そうしたようなことをできるだけウェートを置いて考えないと、局長の人選というものが非常におくれる。しかしながら、部内にも、管理者にしても、あるいは一般の局員にしても、二十年も三十年もおるりっぱな経験者もまたおるわけです。これを私は比率で決してやかましくは言わぬけれども、せめて特定局の性格からいって、これは世界的にお考えになっても間違いないことだから、そういうような世界的視野に立っても間違いないことだから、特定局の性格というものをよく解剖されて、これはフィフティ・フィフティでもいいです、経験者を五割あるいは一般を五割でもいいんですが、その比率は多少の違いはかまいませんが、これに対して全逓側が、一般の人を立てると、必要以上に反対運動を起こす。これは局の事務がわかっていないからいかぬ、そういう者を置くよりも、全逓の推薦する者を置いた方がいいじゃないか、こういうような運動や反対運動を起こすことがあるんです。これは全部じゃありませんが、そういうことがある。だから、そういうことを、われわれとしてはとるべきものはとらなければならぬ場合もあるでしょう。的なりっぱな意見であれば、それは相談に応じてやらなければならぬ場合もあるでしょう。だけれども、反対せんがための反対もあるように私は聞いておる。だから、そうしたようなことに災いされておることが、局長任命がおくれておる理由になるんです。だから、この辺は、一つ迫水大臣がおられる間に、事務当局の思想統一をはかって、一つ方針というものをきめておかれれば、ほかの人がまたやりやすくなる。あなたには非常に気の毒だが、あとの人がやりやすくなる。こういうことになることに思いをいたされまして、局長の選考方針というものは、特定局の性格をこわさないような御配慮も願いたいと思うのだが、事務当局はあなたにどういうことを言うておるか知りませんが、もし御発言がございますれば承っておきますし、次の機会でもけっこうでございますが、こういう方面についての考え方も一つ研究していただきたい、こう思います。
  71. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 私は、特定郵便局長というものが非常に大事な位置だと思います。信用は、もちろんなければなりません。同時に、ことに大事だと思いますのは、管理者としての識見と能力を備えているということが大事だと思います。そういうようなことから考えまして、ただ単純に保守党の先生が御推薦になるから、それをそのままとろうというふうにも考えませんし、全逓のといいますか、組合側の推薦者だからこれをとる、こういうふうにも考えないで、明鏡止水、ほんとうに局長の本質に一番いいという人を選ぶように、そういう見識を持って考えるように、地方郵政局長、監察局長に申しております。
  72. 上林山榮吉

    ○上林山委員 大臣が非常に名答弁をされたようでございますが、明鏡止水の立場から高い視野に立ってあやまちなきを期する方針だ、これはもうどこに出しても恥ずかしくない、りっぱな御答弁なんです。ことに、痛いところをおつきになったのか、はずれたのかわかりませんが、保守党の先生方の御推薦があっても、不適任者は採用しない。その通りです。その通りでありますが、私が見ておるところは、あなたはそうおっしゃっていますが、それならば、今一般から採用する比率、あるいは部内から採用する比率をどう思っておられるか。そしてその部内から採用した比率に、全逓の推薦状が幾らついておるとごらんになりますか。
  73. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 私はさっき上林山先生が言われた通り、その比率でものを考えて、それで大体計算といいますか、ものさしでこうやるべき筋のものではなくて、特定局というのは、具体的な、地理的な位置があるのですから、その地理的な位置、その地域社会における実情の考慮ということが大事だと思うのです。ですから、比率はどういうふうに考えているかと言われますと、全然比率は考えておりませんで、部外者であろうと部内者であろうと、先ほど申しましたように、一番適当な人を探す、こういう立場が一番いいのじゃないか、それをなまじっか大体部内者がどのくらいあるから今度は部外者をどのくらいにしなければならぬというふうに考えてくると、そこに曲がってくるのじゃないか、これは抽象的でありますけれども……。
  74. 上林山榮吉

    ○上林山委員 抽象的な御答弁としては、あなたの答弁は正しいのです。私も了解できるのです。しかし、実際の方法は、そういう方針でやっておられるかもしれぬけれども、部外者はいかぬ、全逓は反対だ、だから部内者を全部採用しろと、こういうふうに言っている。そうでないと、あなたも今ちょっと触れたように、事務になれておらぬ、こういうふうに言うんですよ。そこが間違いなんです。いわゆる特定局長という一つの性格、立場というものは、そんなものじゃないんで、一般の普通局の局長とは違う性格がある。そこを考えなければいけない。これは世界的にそういうふうに違っている。だから、そういう意味からいって、その地域の人と親しみのある、信用のある人であったら、特定局長として、管理者として、仕事はできる。事務というものは二、三年たてば覚えてくるんですよ。また講習もやるんですよ。だから、そんなに大局長を作るのと違うんだから、その辺の感度というものをもう少し一皮むいてお考えおき願いたい。それを地方郵政局長などにも、どういう方針で君らはやっておるかということをたまにはお尋ね下さいということなんです。その意味がおわかりになったかどうか、これで終わりますけれども一つお答え願っておきます。
  75. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 さっき私が答弁しますときに、実は非常に言葉に気をつけて申しまして、事務的な知識があるとか、ないとかという、事務という言葉は、一言も申しておりません。私は、管理者としての識見と能力、こういう言葉を使いました。その点で御了解を願います。
  76. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 原茂君。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 私やるつもりはなかったのだけれども、上林山委員の非常な名調子につられて、三つだけ簡潔にお答え願いたいのです。  一つは、今の特定郵便局長の任用の問題です。これは、私は、郵政当局とすれば原則としては部内者を起用する、この考えが正しい、こういくべきだと思うのです。原則はそこに置いても、部内にどうしても適任者がないというようなときにのみ、広い地域社会から求めようという考えで選考される。原則として半々でよろしいとか、明鏡止水であっては、たとえば今度は、何か簡易保険郵便年金福祉事業団なるものができるわけです。かつてから郵政当局の関連した外郭事業その他の団体があるわけです。こういうところに人をやろうとするときにも、原則としては郵政当局の内部における部内者をまず先に考えて、しかる後に、適任者がなければ他の広い地域からも求めようと考えてきたに違いないし、現実に今までの実績がみんなそうなっている。上部の管理者が出ていこうとするときにのみ、部内者が原則になる。いわゆる平たい言葉で言うと、下部の従業員がせっかく鋭意努力をして経験を積んできたのだから、特定郵便局長などを任命しようとするときに、部内者を原則とすることは当然な話なんです。そういう考え方に立って、しかるのちに適任者がないときには広い地域社会に人を求めるということでなければ、正しい意味の郵政当局の長たる大臣のお考えとして私は受け取れない、こう思いますが、はっきりこの点を御答弁願いたい。
  78. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 特定郵便局長の人選につきましては、先ほど申しましたような標準で考えまして、その間に原則は部内者をもって優先し、部内者のないときに限って部外者を求めるという考えではございません。
  79. 原茂

    ○原(茂)委員 先ほどの基準によってという前段の答弁があったのですが、その基準というものは明鏡止水なんです。これも一つ考えかもしれませんが、少なくとも――もう時間がないならば、次にこの点またはっきりとお伺いしてもよろしいのですが、いやしくもとこの事業団体にしましても、そこにブランチができる、ないしは違った機関を一つ作ろうと考えておるときには、経験ある部内者をまず起用しようとする考えが原則になることは、国家のあらゆる機関においても、あるいは地域社会の事業集団においても、当然の慣行として行なわれている。郵政当局たけが、その考えをとらないという、これは、私は少しく何か他に気がねをしている答弁じゃないかと思う。たとえば、処分者の問題を三つ目にちょっと申し上げたいのですが、先ほどの処分にしましても、上林山委員の言うのとは違って、郵政当局の処分の一番大きなねらいというものは、やはり自民党に対する言いわけにある。国民に対する云々という考えではない、私はそう考える一人なんです。今の郵政大臣の答弁も、何か全逓という組合を意識しているのか、あるいは過去の組合との交渉の経過を意識しているのか、そういうものをぬぐい去ってくると、私は、常識としては部内者をまず原則として考える、こういう考えになるのが当然だと思うのです。大臣はそうではないとおっしゃるのですが、この点は、あえて今そうではないものをそうであるという御答弁を要求しても無理かもしれませんから、次の事業団その他の問題のときに、関連してこの問題は一つ大臣のお考えを具体的にお聞きをしたい。  二つ目に、これは大臣に関係がないような問題ですが、先ほど上林山委員の質問をした中に、郵袋の行く先をわざわざ方向違いをさせた、従業員の意識的なレジスタンスが行なわれたような角度から、もう一度調査をすべきではないかという意見が出されております。私は、ここに列席する委員も、一応処分者等の名前が出て、その理由が発表されますと、自民党の諸君は、一応それをそのままうのみにする。前提としては、正しいもののような受け取り力でものを言っている。にもかかわらず、当局が出しもしないのに、聞いてもそれらしい答弁もしていないのに、なおもう一歩掘り下げて、いかにも犯罪意識があってやったような考え方で再調査をするということは、私は少しロジックが合わないと思いますし、少なくともものを判断しようとするときに、そういった一方的な犯罪意識ありという前提での調査というものは、すべきではないというふうに考えますが、これは一つ局長から御答弁を願いたい。   〔上林山委員「答弁の前に関連し   て」と呼ぶ〕
  80. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 上林山君。簡略にお願いします。
  81. 上林山榮吉

    ○上林山委員 私の質問が前提になっておるようでございますので、関連しておるだけ当局に申し上げておきたいことは、私は、郵袋の行く先の問題について犯罪意識があったのかないのかを調査せいとは言っておりません。故意であったのか、あるいは過失であったのか、これを明らかにして、ありのままを服告してもらいたい――つけ加えろとか、重くする意味でとかいう言葉は、全然ない。速記録をごらんになればはっきりいたしますので、そういう点をお考えの上で、聞き間違いのないようにして御答弁を願いたい。
  82. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 私から御答弁いたしますが、郵政省の中で一番自由民主党から影響を受けるとすれば私なんですけれども、私自身が、今回の処分なり、あるいは上林山さんの言われた郵袋誤送事件等のことについて、そういうものの調査については、決して自民党に気がねをしたりなんかはいたしておりませんから、先ほどおっしゃいましたような、すべてのことが何か自民党に気がねしつつあるのじゃなかろうかというようなことは、言葉は悪いけれども、思い過ごしというか、思い過ごしという言葉では足りないで、邪推ですから、そのお考え方はやめになって、明鏡水の境地から、一つ御質問を願いたいと思います。
  83. 原茂

    ○原(茂)委員 それが答弁になるのかどうか、私の質問には答弁になっていないのですが、今の自民党に対する気がねで処分したというのは、新聞もそう言わんばかりに書いてきたから、私も、国民の一人として、なるほどそうかなと感ずる一人なんです。全逓におけるいろいろ組合との問題に関しては、自民党の中に強硬な意見がある。こんななまぬるいことでどうするのだといったようなことで、郵政当局も困っているのだというようなことを、いわゆるマスコミの中から私なども感じ取っているわけです。そういうことを私は率直にやはりそうだろうと思っているから、その通り言うので、そういう感じ方、見方もあるわけですから、邪推ではないということを私もはっきり主張申し上げておきたい。  今の私の二つ目の質問は、たとえば、今上林山委員の言われたように、犯罪意識という言葉を使っていない。その通り、そんなことは聞いていない。ただ、故意にやったか、あやまちであったかということになると、故意となれば業務妨害じゃないか、いわゆる犯罪を構成するではないかということまで言おうとする底意があることが歴然とわかりますから、時間の関係でつづめて私は言っただけなんです。そういうことを一つその通りおくみ取りの上に、そういった意識を持った調査というものを――皆さんは、前から問題になっているのに、ここに資料も出さなければ、そういうことに対して質問を受けても、そのような事項についての答弁をされてはいないのに、なおかつそれをほじくって、そういうような調査を新たにするということ自体に、私は疑義を持っているんだ、こう言っているわけですから、その疑義を持つ私の気持に、どうお考えになるのか、その点を一つ御答弁願いたい。
  84. 西村尚治

    ○西村政府委員 上林山先生の御質問にお答え申し上げたのは私でございますが、私がそのときに了解いたしましたのは、上林山先生は、あの事件をもう一回再調査をしろとおっしゃったのではなくて、調査をしたはずだから、調査をしたんなら、その詳細を責任ある当局者から答弁するようにというふうにおっしゃったと了解しまして、その趣旨でそういたしますと、そこで御答弁申し上げたわけでございます。再調査ではございません。
  85. 原茂

    ○原(茂)委員 三つ目。最後に、これも関連の問題なんですが、先ほど被処分者についての貴重な御質問があったわけです。私は詳細をよく知っておりませんし、見ておりませんが、百歩を譲りまして、当局が出されたこの資料が全面的に正しいんだ、こう考えたとき、私の今まで経験した中で、世の中には、人の集まりがあると、いろいろ紛争なり係争が起きるわけです。起きた数十件にわたる件数の中で、しかも非常に長い時間、広い場所でこの係争が起きた中で、一方的に組合員といわれるものたけがいわゆる処罰に値する行為があって、それを相手にしている局長なりいわゆる管理者といわれる諸君の側には、何らの非違行為がない。こういうことは世界的にいっても前例がないことです。どんなに悪い人間でも、悪いことを長時間にわたって広い場所でやってきたときには、必ず正しいと思われるような側の人にもその陰にどこかに非違行為、おれもこの点はあやまりだ、間違っていたという点がいつも反省されているのが現実なんであります。郵政と全逓との問題に関する限りは、当局名に何にもそういった非違行為がなかったと言わんばかりに当局者の側に対する戒告なりあるいはこういう処分をしたという報告は、要求しないから出されていないのか、あるいはそういうことが全然ないと判定をされたのか、全然ないということになるなら、もしあったときに、これに対する措置をどうお考えになるかも――後の問題になりますが、全然ないということは私はあり得ないという前提で、こまかいことを知らずに言うわけですから、きょうは突っ込んだことは言えないと思いますが、必要があれば調査をして、当局者側にも、何らかの非違行為なり行き過ぎなり、あとで反省すべき、ないしは上司から注意をすべきような言動というものが多少でもあったのではないか。それが常識だ。ないということはあり得ないと私は考えるものですから、そういう点を率直にまずお答えを願いたい。
  86. 長田裕二

    ○長田説明員 このたびの処分のもとになりました秋季年末闘争は、大体全逓側でその幾つかの要求を達成するために、いろいろな方法もあったわけです。主力といたしまして、三六協定の拒否だとかその他の方法によりまして、郵便の運行にある程度影響を及ぼす、それを圧力として自分たちの要求を実現しようということでございましたわけで、普通のけんかというような形ではないわけでございます。従いまして、非違行為というものも、管理名側には総体として見ましてきわめて少ない。時に言葉のやりとりなどで、あとから考えまして不穏当だと思うようなことも、絶無とは申せませんし、それらについても、私どもも若干調査をしたりしているわけでございますが、処分をするというところまでいくケースはほんとうに少ないわけでございます。ゼロになるかどうかという面については、ただいま私どもそちらの面もいろいろ材料を当たっているところでございまして、ゼロともこの場で申し切れませんけれども、きわめて少ないし、またある程度少ないのも当然だという考え方は持っているわけでございますが、さりとて、ことさらに隠蔽したりなんかしようと考えているわけではございません。
  87. 原茂

    ○原(茂)委員 もちろん飲み屋で起きた偶発的なけんかだなどというふうに私は考えているわけではないですから、そういう引例の仕方は非常に僕に対する軽蔑だと思う。いやしくも全逓の要求の内容が何であるか、どういうことを中心にしてこの種の係争、闘争が起きたのかは十分に知っています。あなた方の処分の内容に関してこまかく知らないだけなんです。経過を十分に知って今ものを言っているわけです。  そこで、これは委員長一つお願いしておきたいのですが、当局者の側に、絶無とはいわないまでも、一体反省すべき点があったのか、行き過ぎがあったのかという資料一つ次の委員会までに出してもらいたい。当局者の側に対して今調査をしているという、その調査の内容をひっくるめて、どういう人間に対して、どこの局でどういうことが当局者側に対して一体行き過ぎであったか、あるいは非違行為であったとかという調査ができたのか、まだ処分をしていないなら、その処分のことを書けとは言いません。調査を今しつつあるというのですから、調査を至急にやって、次の委員会一つ今までの当局側における反省のものをお出しいただくようにお願いしたい。  大臣に最後にお伺いしておきたいのですが、私は、全逓と郵政当局がいろいろな問題を起こす。これは組合が法律の定めるところによって当然の権利を主張する正当な行為なんですから、要求そのものは否定すべくもない問題なんです。これはやってよろしい。これを受け取る大臣の側、当局の側は、このことを何かけんかを売られるとか、あるいは厄介なことを要求してきたという考え方に立った立ち上がり方をすると、非常に問題がこじれてくるのではないか。これは今までの組合との間のいろいろな問題に関して、まずその点の考え方を、大臣はそういうふうにはお考えになっていないと思いますが、一つお伺いしておきたい。  それから、現在の処分の問題ですが、どんな理由にしても、局なら局でいいますと、局長のもとにおける従業員の一人でもがいわゆる免職になるというほどの、そういう事業全体の運営の中にトラブルがあったわけですから、そういう下部に責任者が出る、解職も何人も出てくる、数十名の者が処分を受けるというようなことを大きく取り上げれば、やはりその当局側の責任者の立場からいって、相手が悪いのだから何人処分してもよろしいのだというような考えではなくて、そういうような処分者を出さざるを得ないような事態にしてしまったこと、そういう事態にまで、とにかくある意味の混乱なり紛争なりを起こしてしまったことに対しては、別途に当局者自身が責任を感じなければいけないのじゃないか。やはりそういう考え方がないと、公平にそれがないと、いつまでたっても、問題を起こしたのは組合が悪い、処分をすれば事足りるというようなこと、力と力の対立関係に常になっていく危険があると思う。やはり従業員というものを使う親の立場で、当局者というものは、問題のいかんを問わず、処分者が数多く出るということは、その監督なり指導の責任にある者のそれも大きな、一つの過失である、あやまちである、そうなることが望ましいのである。そういうことが起きるということは、やはり当局者の局長なり何なりの責任の所在を確かめなければいけない問題だ、こういうことを、大臣としては、当局側にある大臣の下僚に対して、一つの思想として持っていないと、どうも郵政全体が問題の処理を力で、権力で処分をすれば足りる、だんだんそうなっていく危険がありはしないだろうかというふうに考えますので、これは考え方の問題ですが、やはりどんな理由であろうとも、数十人にわたる処分者を出すということは、その出すという事態にしてしまった、なってしまったということは、受け身で向こうが悪いということよりも、とにかくいいことではないのだ、そのときには、当局名の側でも、全体的にそのような処分者を出さざるを得ない事態に対する責任というものは、やはり強く喚起せざるを得ないという考え方が大臣にあった方が、私は今後いわゆる郵政当局のあり方として、正しいんじゃないだろうかというふうに考えますから、この二点について大臣から御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  88. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 きわめて重要な、ものの事柄の本質に触れる御質問でございまして、私ここで簡単に答弁をすると、いろいろ言葉の上で問題があるんじゃないかと思います。ただ率直に言いますと、今原先年のお言葉の中に、当局者、われわれの方は親だからと、こういうお言葉だったのですけれども、私は全く管理者と従業者との関係が親子のごとき関係であることを期待して、そういう関係ができておれば事態というものはもうよほど違うんじゃないか。私はきょうのお話で非常にうれしかったのは、当局者だから、親だからと、こういうことなんですけれども、今までみんな敵、敵と言われて、当局者を親と言った人、従業者はないのです。それを今のお話で親という言葉が出てきて、私は非常にある感慨を覚えるものでございますが、どうか闘争関係でなくて、そういうほんとうの従業者、一つの組織一体のヒューマン・リレーションができ上がることを私は念願として、その方向に向かって努力をする。その関係がいわゆるこのごろの――私はあんまり好きな言葉でありませんけれども、このごろの言葉でいえば、労使関係の正常化という言葉だと思うのですけれども、私はそういうことかできて初めて今のお話のような、相互の信頼と理解によるいい関係、そういう関係ができたときに、今お話しのような気持が出てくるのではないか。その前提として、まずそういう関係を打ち立てることにできるだけの努力を私はこれからしたいと思っております。
  89. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 原君、簡略にお願いします。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 これでいいのですが、だから私二つ御意見をお伺いしようとして、前段一つを申し上げておいたのですが、やはり何といっても、組合というものが子の立場であろうと何であろうと、子供の方が親だと思わなくても、親というものは親の立場から守るという気持をまず持っていただきたいという、二つ目に要望したのは、第一にはそういう気持になるために必要なことは、やはり組合員が自分たちの生活を守るために、あるいは、自分たちの厚生前進を考えるために要求をするということ、こうしてもらいたいということを提出することは、これは保障された当然の権利なんだ。だから、このことを何かけんかを売られたような、厄介なことを持ち込まれたような感じがもし前段にあっては、そういう気持ができてこないということを第一に申し上げて、この点をお伺いしたいと言ったわけですが、大臣の今非常に慎重な御答弁の中で、急速に、はっきりとお述べ願えないこともよくわかりますし、時間もないようですから、次にまた事業団関係の質問のときに、前段の質問とあわせてこの問題にも関連をさせていただきます。
  91. 佐藤虎次郎

    佐藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時五十四分散会