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松浦説明員 ただいま
指摘がございましたように、すでに行なわれておりまする
制度から出て参ります既得権なり
期待権につきましては、われわれといたしましては極力これを尊重するということを方針といたしまして、
法律その他の作成に苦労を重ねたわけでございます。具体的に申し上げますならば、受給年限の問題でございます。これにつきましては十七年ルール、すなわち
恩給のルールによって現在施行されておりますものにつきましては、その条例の適用を受けておりまする期間が十一年以上でございますものは十七年で年金をつける。五年から十一年までの勤務年限を持っておられる方については十八年でつける。五年以下であっても十七年ルールの条例の適用を受けておる方については十九年でつけるという
経過規定を設けるほかに、十五年とか十年とかいうような、さらに有利な条例の適用を受けておられる方もございます。それらの方につきましては、過去の部分が決して不利にならないように、それぞれ比例方式をもちまして、受給年限については既得権、
期待権を尊重するという
建前をとっております。
また額の問題につきましても、旧条例の適用を受けておる期間については、旧条例に定めるところによりまして額を算定いたしまして、その額は保障するということを
法律の中で
規定をいたしております。
さらに支給開始年令につきましても、五十五才以前は支給しないということを本法に書いてございまするが、旧法におきまして五十五才未満でも支給をするという
規定がございます部分については、旧法の適用を受けておりました部分に
相当する額については、それぞれのそういった
規定を適用して
経過的に不利にわたらないよう配慮いたしております。具体的にお尋ねのございました十年で年金がつくようなときは一体どうなるのかということでございますが、これは、十年の条例の適用を受けておりました人がその
団体に八年勤めておったといたしますると、八年の十分の二十倍ということで、仮定計算上は十六年勤務したというふうに計算いたしまして、新法施行後四年間勤務すれば年金をつける。実際には前の八年と
あとの四年の十二年でつくという
経過措置を設け、さらに十年の場合には一年当たりの年金額が非常に多いわけでございますから、八年部分について有利な旧条例によりまして計算した部分と施行後の新法によりまして計算した部分と、両方足しましたものを年金として支給する、こういうふうなことによりまして過去の既得権なり
期待権を尊重することを
建前としております。
なおそれによりましても基本的に新法よりも有利な条例の適用を受けておる
職員もあるわけでございます。具体的に申しますならば、私
どもの調べでは大阪等約九つの市があるわけですが、そういう市につきましては、新法の適用を受けました場合には、そのままもとの条例が適用になっていった場合にもらえたであろう額よりこの
法律によってもらいます額が少ない場合には、その差額の範囲内で、各
地方公共団体が条例でそれに
相当する額を支給することができる、こういう
特例規定を設けまして、極力
期待権尊重ということをはかって参ることを
建前といたしております。
なお、五十五才まで年金を支給しないということは非常に不穏当じゃないかということでございますが、
建前といたしましては、御
承知のように今度の年金
制度は老齢保障ということを
建前といたしておりますので、四十五才あるいは五十才程度の稼動能力のある方々については年金を支給しない、そのかわり五十五才からできるだけ手厚くするという
建前をとることにいたしておりますので、新法におきましては五十五才まで支給しないということにしておるわけであります。ただ過去の条例におきまして四十五才以降は年金が支給されるような条例の適用を受けておられた方々が現在は大部分でございます。そういう方々につきましては、旧法の適用を受けておりました時代の年金に
相当する部分については、四十五才から五十才については幾ら、五十一才から五十五才までについては幾らというふうに、旧条例で
規定しておりましたものに準じまして、その
規定に従いまして、それぞれ新法施行後も五十五才未満でも年金を支給するという
特例規定を設けまして、過去におきます既得権を尊重するということを考慮いたしておるわけでございます。