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1962-03-13 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 阪上安太郎君    理事 野口 忠夫君       小澤 太郎君    大竹 作摩君       亀岡 高夫君    久保田円次君       田川 誠一君    前田 義雄君       山崎  巖君    二宮 武夫君       山口 鶴男君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君     ————————————— 三月十三日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として淺  沼享子君が議長指名委員に選任された。 同日  委員淺沼享子辞任につき、その補欠として安  宅常彦君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十二日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二七号)  市の合併特例に関する法律案内閣提出第六  六号)  地方交付税法の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第九七号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  昨十二日付託になりました内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 園田直

    園田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大上政務次官
  4. 大上司

    大上政府委員 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、選挙管理委員会組織地方公共団体出資債務保証損失補償等をしている法人に対する地方公共団体関与方法地方公共団体職員退職手当通算指定都市指定に伴う経過措置等について規定整備する必要が生じましたので、地方自治法及び関係法律について、所要改正を行なおうとするものであります。以下その内容の概略をご説明申し上げます。  第一は、選挙管理委員会組織に関するものであります。すなわち、選挙管理委員は、人格高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有する者でなければならないものとし、また、選挙等に関する罪を犯し刑に処せられた者は選挙管理委員となることができない旨を定め、さらに、選挙管理委員任期を四年に改めるとともに、選挙管理委員会事務を補助する機構を整備しようとするものでありまして、いずれも選挙制度審議会の答申に基づくものであります。  第二は、地方公共団体出資債務保証または損失補償等をしている法人、いわゆる公社等に関するものであります。最近地域開発進捗等に伴い、地方公共団体の事業の一部を執行することを目的として、地方公共団体が全部またはその大半の出資をして法人を設立し、その債務を保証し、または損失補償を行なう等の事例が多くなっております。この種の法人の設立に対しどのような態度をもって臨むかについては、なお検討しなければならないものがあると考えますが、地方公共団体が大きな財政的責任負担している特別の関係にかんがみ、地方公共団体の長及び議会において法人経営状況を把握し、その経営適正化を期するため、最小限度関与方法を定めようとするものであります。  第三は、地方公共団体職員退職手当通算に関するものであります。地方公共団体職員退職手当については、条例で定めることとされておりますが、地方公共団体は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算について、国または他の地方公共団体との間に在職期間通算措置を講ずるように努めなければならない旨を定めることにより、人事交流円滑化に資そうとするものであります。  第四は、新たに指定都市指定があった場合に必要となる特例及び経過措置に関するものであります。今後新たに指定都市指定が行なわれる場合に備えて、指定に伴い、大規模償却資産に対する固定資産税指定都市市税とする経過措置を定めるほか、地方道路譲与税譲与の基準についての特例指定都市を包括する都道府県の公安委員会委員の数及び任期に関する特例指定都市教育長に関する特例、その他昭和三十一年に指定部市制度が設けられた際に講ぜられたと同様な事務の引き継ぎ、債権の譲渡等に関する経過措置を政令で定め得る根拠を設ける等、地方自治法及び関係法律整備をしようとするものであります。  以上が、この法律案内容のおもな事項でありますが、そのほか、最近における法令の制定及び改廃に伴い別表に改正を加えるほか、地方公共団体の長の任期の起算について所要改正を行なう等、規定整備をいたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 園田直

    園田委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  なお、本案についこの質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 園田直

    園田委員長 次に、市の合併特例に関する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。太田一夫君。
  7. 太田一夫

    太田委員 市の合併特例に関する法律案についてお尋ねをいたしますが、本法は、御提案説明にありました通りに、第一条において目的趣旨を明らかにいたしております。その目的は、「市が合併によって都市経営を総合的かつ一体的に行なおうとする場合において、その合併を円滑ならしめるために必要な関係法律特例を定める」こうあります。私はこの表現の仕方について若干疑義の念を持ったのでありますが、新市町村建設促進法ができましたとき、同じように第一条に目的を定めましたが、これは「この法律は、町村合併を行った市町村の新市町村建設計画実施を促進して、新市町村の健全な発展を図ることにより、地方自治の本旨の充分な実現に資することを目的とする。」とある。この目的、ねらいというものが、二つの法において文字を異にしておる。文字を異にしておるということは、そこに盛られた精神というものが違っておるということだと思うのですが、両法案表現の相違について、自治省当局は、立案においてどのような考え方の違いをしていらっしゃったか、これをお答えいただきたいと思うのです。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お答え申し上げます。  新市町村建設促進法は、御承知のように町村合併促進法によりまして合併を行たいました結果できました市町村建設をはかって参ろう、こういう目的で作られております。従いまして、新市町村建設促進法対象といたしております新市町村は、町村合併促進法によってできました新市町村でございますので、主として従来町村でありましたものが、合併によって規模適正化いたしましたものでございまして、市と申しましても、合併によって新しくできたいわゆる新市が対象になっておるわけでございます。そこで、新しい町作り村作りをいたしまして、すみやかに一体性を確保して、合併によってできました町村内容を充実して参る、そのための建設を促進しよう、こういう趣旨でございます。ところが、ただいま御審議をお願いいたしております市の合併特例に関する法律案におきましては、その対象といたしておりますのが都市でございまして、新市町村建設促進法対象といたしておりましたものと違うわけでございます。むしろ町村合併促進法対象となってないような市を主たる対象考えておりまして、そういう市につきましては、町村合併促進法では合併が行なわれませんでしたのでございますが、従来からあります市が、もともと独立の市として発達いたしましたものが、その後の経済社会発展に伴いまして、事実上一つ都市地域になりつつあるような地域、そういう地域に、行政上だけばらばらの幾つかの市が独立しておるということでは、都市経営が総合的、一体的に行ないにくいんじゃないか、その合理化をはかるためにそういう市同士合併が容易にできるようにいたそう、こういう趣旨立案をいたしましたので、新市町村建設促進法とは、その表現がだいぶ異なったわけでございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 それは佐久間局長二つのものをもっともらしくそうおっしゃったわけですけれども地方自治体である分には同じでしょう。新しい町作り村作りだとおっしゃったが、北九州での合併は、新しい村作り町作りという概念には当てはまらないというような意味に私には聞こえたのですが、そうなると、何かこれが非常に方便的に、大して大名養分を持たないようにあなたの万で御説明になると、特例までお作りになる趣旨がぼやけてくるじゃありませんか。その点どうですか。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 町作り村作りと申しましたことが少し言い足りなかったかと思いますが、新市町村建設促進法で申しましたのは、従来まだ弱小な町村でございましたものを合併によって一つにいたしまして、そこでの新しい町作り村作り、こういうような趣旨で申したわけでございます。もちろん市の合併特例に関する法律案考えております都市合併につきましても、合併によって新しくできました新しい都市町作りということをねらっておるわけではございますが、こちらの方はすでに一つの一応まとまった町ができておりましたものが、さらに合併することによってもっと都市としての総合的な都市経営ができるようにしようということで、町作りの点においてはもちろん同じでございますが、同じ町作りにつきましても、そのねらいと申しますか、町作りの中身と申しますものがだいぶ違っておるように存ずるわけでございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 そういう御表現ですと、これは表現の仕方ですから、私そう悪意を持ってお聞きしようとは思いませんが、善意に解釈してそんたくいたしますれば、町作りということについては、まとまった町であったものが市となっても、あるいはまとまらない町が市になっても、やはり町作りには同じであって、町作りか、都市計画の総合的な推進かというその格調の違いが一つあるのだ、その格調の違いがあるところに、特例であり、あるいは促進法でありというふうに名前が違ってきたと思うのです。現地の方では、住民は、この五市合併、百万都市実現ということに非常に大きな夢を託して、そして百万都市ができたならば市民生活は大いに向上する、産業が発展して、雇用も増大して、失業の機会というのは少なくなるであろう、あるいは貧困家庭も減るのじゃないだろうか、厚生保護の手もかゆいところに手が届くようなゆとりができるのじゃないだろうかというような、幾多期待が生まれておるのですから、これは近代の町作りであるに違いないと私は思うのですよ。近代的な町作りでないなら、特例を作る必要はないでしょう。それはそういうことで、あなたの方も同じように近代的な町作り一つの手段だと考えていらっしゃいますか。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お話しのように、やや格調の高い近代的な町作り先生のおっしゃいますような、そういう気持考えております。
  13. 太田一夫

    太田委員 そこで、これは提案されてからしばらく時間がたっておるのですが、地方財政計画ばかりをやっていて、具体的な自治発展に連なると御説明のある市の合併に関する特例法案審議がおそくなっておるということは、われわれとしては全く遺憾千万です。これの扱い方を間違いますと、このことは直接百万人の市民にストレートでつながっているのだから、一般の財政計画であるとかいうものの間接的な制度とは違うという点に、一つはわれわれは心を置いて、これはよほど慎重に事を運ばなければいけないと思うのです。   〔委員長退席渡海委員長代理着   席〕  そこで局長にさらにお尋ねをいたしたいのですが、合併計画が進められていくというその終点に、市民は、そうなれば交通機関は、地下鉄も作られる、橋もりっぱな橋ができる、町は発展をして税金は安くなるという望みを持っておるのですが、そういうような望みというものがかなえられる条文というものはこの中にあるのですか。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お話しのように、橋ができる、あるいは税金が安くなる、直接そのことをうたいました条項はございませんけれども、先刻も申し上げましたように、従来ばらばら市政が運営されておりましたことによって、道路にいたしましても、水道にいたしましても、橋にいたしましても、そうした公共施設建設についていろいろなむだがあった、あるいは計画上の調整がうまくいかぬような点もあったように聞いておるわけでございますが、そういうことが合理的に、計画的に進められることになります結果といたしまして、市民負担もそれだけ合理化されるということは期待いたしておるわけでございます。
  15. 太田一夫

    太田委員 市政が合理的に進められていくことによって、市政でこぼこというものが修正されて、市民負担というようなものが合理化され、希望も満たされてくる、こういうお話であるが、市政でこぼこというものは、具体的に言うならば、税制にあり、あるいは施設にあり、こういう点にあると思うのです。あるところでは公民館がたくさんあったけれども、ある市では公民館なんかほったらかしである、こういうのがある。あるところでは水道の料金が安かったけれども、あるセクションでは非常に高い、こういうことがある。こういうでこぼこというものが、この市の合併特例法によって合理的な計画的に調整をされてくる。合理的に計画的に調整されるということは、高い方や悪い方へいくものだとは思わない。その場合の理念というのは、悪貨良貨を駆逐するのじゃない。いい方に、より高きものにこれはさや寄せされていくべきものであるとわれわれは考えておるのでありますけれども、そういうことは期待して間違いありませんでしょうね。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 もちろん、先生のおっしゃいましたように、いい方向にいくことを私ども期待をいたしておるわけでございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 その、いい方向にいくことを期待するためには、この法律が、条文があまり少ないために私どもが少々心配をするのです。できるならば、これがさらに具体的に、そしてまたもうちょっと突っ込んで書いてありますと安心をするのですが、それがないので少々の心配がある。特に、今度の五市の中で、規模のアンバランスがあるでしょう。たとえば戸畑は十万だ、若松も十万の都市だ。ところが、八幡に至っては三十数万、小倉に至っても三十万都市だということになれば、市の規模が違っているために、その間、若松戸畑に至っては、弱小市が大市に合併されるというようなひがみが生まれぬとも限らないけれども、その弱小都市だといわれるところに、なお非常によき善政、すぐれた善政が行なわれておるという事例があるわけです。それらのものが、大市のラフな荒い行政自治制のなかに没入してしまって、埋もれてしまって、せっかくいいものが影を失うということは残念だ、こういう気持もする。だから、今度の場合が何も人口によって差別を作られて合併されるとということだとは思わないので、その点はいいと思いますけれども、新市を作る、五市の百万都市を作るという以上、大きな理念理想と抱負がなければ、画龍点睛を欠くわけですから、そういう点で、立案される場合においては、財政を強固にする幾多裏づけ住民福祉というものを増進する裏づけというものを脳裏に描いて立案をされなければうそだったと思うのですが、それはもちろんそういうことを脳裏に描き、この種の合併特例二法によって、百万都市の百万人目それぞれは決して期待権を裏切られたりあるいは既得権を踏みにじられたりするようなことなく、さらにお互いに前進し得るという、そういう確固たる決意というものを、見通しというものを立ててあなたたちは立案されておると思うのですが、その点はどうですか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御質問ありましたこと、二、三のことをおっしゃっておられたように思いますが、最初におっしゃいました五市の間で市の規模も違う、しかし規模の大小にかかわらず市民に対していい条件でサービスしているようなところもあるようだが、こういうような既得権と申しますか、期待権と申しますか、そういうことについて配慮があるかどうかというような御趣旨の点が第一点にあったと思いますが、そのような点につきましては地元関係市の方々からも、いろいろ御意見も伺っておりまして、もちろん合併することによって、そういう従来のいい業績というものが失なわれることのないようにということも配慮いたしまして、それらの点につきましては「都市建設計画」の中に、「市の合併に際して必要な経過措置に関する事項」という一項を設けておりますが、その必要な経過措置一つとして関係者の間で御協議をしていただく、そしてこの都市建設計画できめられましたことは、お互いに誠実にこれを実施をしていく、こういうようなことを、法律の上にもこの気持表現をいたしたわけでございます。  それからそれに関連して、次にお述べになりました点でございますが、もちろん財政上の裏づけもするし、従来よりさらに住民福祉合併によって増進するというような高い理想と申しますか、そういう計画を描かれて、地元の方では関係者の間でいろいろ御検討になり、住民もまたそれを支持しておられるように伺っておるわけでありますが、私どもといたしましてもその地元関係地方公共団体のお考えが、将来スムーズに実現をいたしますように、できるだけの御協力はして参りたい、かような考えに立っておるわけでございます。   〔渡海委員長代理退席委員長着席〕  ただ先生の御指摘のように、この法案そのものに大いに大規模財政的な配慮をするんだというような趣旨条項がないわけでございますが、これは五市は新市町村建設促進法対象といたしましたような貧弱な町村の集まりと違いますので、それ自体もう相当な能力あるいは潜在的な力を持っておられまするので、この法案そのものは、それらの五市の合併が円滑に進みますように、合併の障害になると考えられるような諸条件をできるだけ排除してあげるということを主眼といたして立案をいたしましたので、お話のような点があまり条文の方には現われておりませんけれども、もちろんそういう大きな方向について、私どもも協力して参りたいという気持立案をいたしたわけでございます。
  19. 太田一夫

    太田委員 そうですね。できる限り新市建設、特に百万都市というのは新しいモデルになるのですから、日本の国の新しいこういう百万都市というようなものは、かくのごとく地方自治が水準を上げ、かくのごとく財政が運営されるものだという点については、自治省地方自治の名に隠れて、地方のことに目をおおって放任せずに、この中の精神というものを、さらに積極的に一歩踏み出して拡大されるように望みたいと思うのですね。それはとにかく五つの市だから、三人寄れば文殊の知恵ということはあるが、五人寄れば何の知恵になるか知りません。いい知恵も出るかもしれないが、足並みもまた乱れるおそれはあるでしょうね。たとえば市営住宅なんかどれくらいできたかということを見ますと、傾向線で一番いいのは戸畑市ですね。この戸畑市は、先ほど申しました通り人口では一番少ないけれども道路もよく舗装されておるし、社会教育施設も充実しておる、そうして市営住宅というような市民福祉施設もよく配慮されておった、どういうところがこれから百万都市の中の一割のところに没入いたしますと、そちらの方は、お前さんのところは今までよかったのだからしんぼうしなさい。学校はこちらの方に建てます、公民館の費用もこちらの方に回します、道もこちらの方に回しますということで、だんだんうらぶれていきますと、現在目前にありますように鶴見の市民が怒っておるようなことが、ここでまた起こってきたら、これは何にもならぬから、最初はだれでも合併すれば、いいことがあるだろうと思ってやるのだが、そのうちにそれに没入して、なれてしまって、まあ手が回らぬなということになってきては困るのです。こういう点などは、あなたの方が財政的によほど裏づけをしませんと、市民税均等割が二百円ふえるということだけに終わってしまっては困るのですよ。市民税均等割が二百円ふえるだけだったら、百万都市のいい特徴は、市民税が上がりましたというだけではいけない、そんなことではいけない。市民税は下がらなければいけない。特に固定資産税などにおいては、どういうことをこれからなさるか知りませんけれども、バランスの非常にでこぼこのある五市の中で、固定資産税評価方式が違うのでしょう。それを悪い方に統一されると、いわゆる悪貨良貨を駆逐するわけでありますから、そういうことにならぬように、これは十分なる指導とあなたの方の関心をあわせてやってもらわなければならないことには、この七条やそこいらの法律では何だか心もとないような気がする、そう思う。  そこで局長さん、最後に、きょうはあまり長くやりません、あと財政計画がありますし、あなたもお忙しいようですから。一つ聞いておきますが、戸畑のような十万人という人口は全体の一割だ、若松に至っても一割だということになると、それは市政の上に反映する世論度合いというのは一割くらいしか見られぬことになりますか。これから五市合併をするからお互に五というものが、一、一、一、一、一を合わせて五であるなら、これは二〇%のウエートを持っておるのだ、人口を中心とすると一割しかないでしょう、どうなりますか、市政に反映する世論度合いというのは、これは議員任期だとか定数とか何とかいうことに関連があるような気がするのですが、それはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お話のような点を考えなければならぬことはごもっともでありますが、ただ現在の地方自治法あるいは公職選挙法の建前が、議員定数というものは人口比例して定めるということが原則になっておりますので、この五市の場合におきましても、それぞれの市から選出される議員定数というものは、結局人口割にならざるを得ないと思うのでございます。ただ合併直後の経過的な措置といたしましては、これはそれぞれ選挙区といたしまして、その選挙区から選出される議員の数について、必ずしも人口比例しないで特例を設け得るという規定がございまするので、当然そのようなことになっていくであろうと考えておるわけでございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 その人口比例ということ、人口比例ですけれども、必ずしも比例じゃないでしょう。五方の人口を持てば、議員定数現行地方自治法によって三十六人でしょう。五万が三十六人であるとするなら、この比例というのは当てはまっているかというとそうではなくて、五十万以上は二十万を加えるごとに四名だから、五万あるごとに一人ずつふえていくわけだ。これは必ずしも比例じゃない。そこで、今度のこういう大きな市ができたときに、こういう事態を想像しておらないから、地方自治法そのものが私は不備だと思う。その不備を合法化して、何ともならない不動なるものとして見てくれというやり方もありますけれども、やはり世論の反映とか、市民がひがまないとかいうことの配慮は必要だと思うのです。今あなたのおっしゃったのは原案によるお答えでしょうから、そう思いますけれども市民をひがませない対策を考えないと、せっかく今まで割合にいい条件のところに住んでいた方々が、何だか冷飯を食わされたような感じがしてしまうと、せっかく合併が中からくずれるようなことにならぬとは限らぬですから心配するのですが、全然心配要りませんか。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 戸畑を例にあげておっしゃっておられましたが、戸畑において、従来ほかの市よりも、市民に対していい条件でのサービスが行なわれておるというものにつきましての経過的な措置といたしましては、先刻申しましたように、建設計画の中に入れて、それを誠実に実施してもらうということで措置をしていただく。  それから今の世論の反映という点でございますが、これは立法論としてはいろいろ御議論もあろうかと思います。地方自治法の建前が人口割じゃない、それは確かに人口段階によって違ってはおりますが、ただ同じ人口段階でありますと、同じ市の中での各選挙区ごとの定数というものは、やはり入口割でいく建前になっておりますので、この場合にその点を変更するということもでき得ませんので、そのかわりこの案に盛っておりますような議員定数について、従来の特例法に認めておりましたよりも長い期間にわたって経過的な議員定数を認めるというように措置をいたしたわけでございます。しかし、それが終わったあと、今お話しのような、特定の地区における市民世論の反映に欠けるところがありはせぬかというような点につきましては、全然問題がないとは思いませんけれども、現行法の建前においてはいたし方ないのじゃないか、あと、これは市政全体の運営の面において、そうした、市民がひがみを持つようなことのないように運営をしていただくということを、私どもとしては期待するより仕方がないのじゃないか、かように存じておる次第であります。
  23. 太田一夫

    太田委員 一応きょうは十一時までで私の持ち時間は終わりますから、さらに引き続いてまた後日お尋ねすることにして、本日は終わらしていただきます。      ————◇—————
  24. 園田直

    園田委員長 次に、地方交付税法の一部を改正する等の法律案議題とし、審査を進めます。質疑を行ないます。通告がありますので、これを許します。二宮武夫君。
  25. 二宮武夫

    ○二宮委員 この前の質疑に続きまして、文部省関係の高校生急増対策とか、あるいは社会教育、青年学級等に対する経費が、まことに僅少であるというような問題を、実は本日質疑をしたかったわけでございますが、こちらの方が来てもらう要請がおくれましたので、機会はこの次に譲りまして、これからの財政計画をやります際の、大体大まかなことは、この前、奥野財政局長お尋ねしておりますので、各論に入って参らないと、どうしても問題の究明ができないと思うのです。従って、それら建設省、文部省そのほかの方の出席を委員長を通してこの次に要請をいたしまして、それに基づいて、目下のいろいろ問題になっておりますことについての質疑を行ないたいと思うわけでございます。  本日、財政局長お尋ねしておきたい問題は、非常に初歩の問題でございますけれども自治省が指導しておりますととろの投資的経費と消費的経費というものに対して、字引を引けばわかるような問題ですけれども財政局長のこれに対する解釈をお尋ねいたしたいと思います。
  26. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 経費をどう分けていくかということにつきましては、いろいろな考え方があるわけでございます。私たちが投資的経費と消費的経費というように区分しておりますのは、経費支出の効果が後年度まで持続していく、そういうものを投資的経費と言い、経費支出の効果が当該年度で終わるもの、そういうものを消費的経費というつもりで使っておるわけであります。しかしながら、人件費でございましても、必ずしも経費支出の効果が、当該年度に終わってしまうという見方は穏当でないというような意見もございますし、また、消費的経費といいますと、何かむだ使いをしておるような誤解を与えるのではないかというような意見があったりいたしまして、最近におきましては投資的経費、消費的経費というような区分を取りやめまして、給与関係経費と一般行政経費というように分類して地方財政計画を作成するように改めて参っておるわけであります。
  27. 二宮武夫

    ○二宮委員 そういうような名称変更によって、それに基づいての行政指導が、地方自治体に浸透しないと、地方ではどうしてもやはり自治省に対しても、投資的経費というものを比較的大きく見がちである。消費的経費というものの中でも、人が中心にならなければ事業は推進されない。性格上全くの投資的経費と思われるようなものも、分類をいたします関係上、それをあまり増大することは好まないということになって、やがて給与を押えてみたり、あるいは人員を押えてみたりするような傾向が、従来地方財政の中でありがちであったわけです。従って、一般行政経費と給与関係経費に分けるにいたしましても、やはり従来のものの考え方を、基本的に行政指導をやりまして、そういうことを十分ぬぐい去るような方向に指導をやっていただきたいというように考えるわけでございます。  次に、もう一点財政局長お尋ねしておきたいのですが、昨年、財政指数をもとにしまして、後進県に対する事業の高率国庫補助を新しいケースとして打ち出して、後進県の後進性をなくするような方向法律を作ってやったわけなんですが、これの実績というのは、まだ年度がちょっと若いためにわかっていないのじゃないかと思いますが、本年度はこれがために大体百二億程度のものが財政措置をされておるようでございます。これらの中間においての実績でもよろしゅうございますが、これらの実際運営の問題とか、あるいは効果の問題とか、あるいはこれに伴う弊害の問題というような問題についても、中間資料として何か報告するようなものがございますか。——なければ、これはまたもう一年たって、決算期がきて、決算報告がありました後にお尋ねしてもいいのですけれども、中間における新しい試みとして行なわれた後進県に対する高率補助、しかもそれは財政指数を基本にしたものをもとにしてやっておる関係がございますので、ぜひこれは伺っておきたいと思うのです。
  28. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今、御指摘になりました法律に基づきまして後進地方団体が国から特に援助を受けます金は、百八十億円程度でございます。補助事業につきましては、その実績に基づきまして翌年度かさ上げ国庫負担金を国から地方団体がもらう、こういうことになっておるわけでございます。三十六年度の補助事業につきまして、地方団体がかさ上げの国庫負担金をもらう、これが今お述べになりました百二億円でございます。国が直轄で行なう事業につきましては、事業を行ないます当該年度において、地方団体の負担を特別に軽減するわけでございます。この額が三十七年度の事業について八十億円程度予定されておるわけでございます。従いまして両者合わせますと百八十億円程度、こういうことになるわけでございます。昨年法律を作りますときに、これによる地方団体の負担軽減額が百七、八十億円だ、こう申し上げておったわけでございますが、これが今申し上げました百二億円と、三十六年度の国の直轄事業に伴う地方団体の負担軽減額を合わせました額で申し上げたわけでございます。三十七年度におきましては、三十六年度の補助事業に対します国庫負担金のかさ上げ額と三十七年度の直轄事業に伴います地方負担額の軽減額、これの合算額で申し上げるのが穏当ではなかろうか、こう思うのでございます。これによりまして、大体百八十億円程度と予想いたしておるわけでございます。  なお、これに伴う効果は何かということでございますが、何よりも私たちは後進地方団体の財政力が貧困であるために、せっかく開発のための公共事業を持っていってもなかなか受け入れが困難だ、それで受け入れやすいようにするには、それらの事業の地方負担を特に軽減する措置をとることが妥当だろう、こう考えておったわけでございます。地方財政が全体としてよくなってきたこともございますけれども、後進地方団体は、積極的に公共事業をとりたいという気持が非常に強くなっておりますし、往年のように国庫補助金を返納するという事態はもちろん見られないわけでございます。なお赤字の地方団体につきましては、赤字が継続する間だけ国の補助率を引き上げるという法律が別個にあるわけでございます。そうしますと赤字を脱却すると国の補助金のかさ上げがもらえない、いつまでも赤字でいようとしておる、その限りにおいては自立の精神というものはむしばまれている。自治団体が自立の精神を基礎にして、発展への努力をみずから続けていかなければならない、それを阻害する役割をしておったわけでございます。それでその法律を作りました機会に、このような制度を廃止いたしまして、これに統合いたしたわけでございます。その結果、地方団体が積極的に赤字起債を繰り上げ償還をする、そして自主的な努力で発展へいろいろ企画をしていくという機運が、一そう強まって参った、これは私たち指摘できる点だろうと思います。大体立法の当初に考えておりましたような長所というものが現われて参ってきておる、こう思っておるわけでございます。  弊害と言われます点は、ちょっと今の段階では指摘しにくいのであります。ただ、しいて言いますならば、特定の場合に、特に後進地の団体に事業を傾斜的に増額していかなければならないわけであります。傾斜的に増額していくと、その限りにおいて補助率が高くなるわけでございますので、事業分量としてはそれほどではなくなる、そうなってくると、各省としてもそういうところへ金はあまり持っていきたがらないのじゃないかという疑問があるわけでございますけれども、現在の段階においては、そういう傾向は見られていないというふうに私たちは思っておるわけでございます。その点は将来注意をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  29. 二宮武夫

    ○二宮委員 順位をつけます方程式ですけれども、あの指数そのものが理論的に何もかも的確なものを基礎にして出されておるとはなかなか考えられぬ。非常に数のマジックと申しますか、あの財政指数の出し方による各県の順位のつけ方というものに私たちなかなか理解しにくい問題があるわけでありますが、これに対する都道府県からの不満とか不平とかいうものは全然出ておりませんか。
  30. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 現在のところ全然聞いておりません。要するに客観的に数値が定まってくる、これが一番地方団体に納得してもらうのに大切なことだろうと思うのでございます。基準財政需要額でもって基準財政収入額を除して出しておりますので、きわめて客観的に判然としてくるわけでございます。今のところ不満は聞いておりません。
  31. 二宮武夫

    ○二宮委員 これは私も法的にちょっとむずかしい問題だと思うのですが、昨年この法律を作りますときに、一事業一億円というものを大体七千万円程度まで額を下げることによって適用事業というものの範囲を広げて参ったわけでございます。これは皆さんの超党派的な修正事項として、一億以上というものだけに区切るということはおかしいのじゃないかということで、事業単位というものを格下げするといいますか、大体事業の量がふえますように付帯決議をしたかあるいは修正をしたというように記憶をしております。同時にまた、これに関連する事業というものを含めて、金額の査定について不平不満のないようにする考慮が昨年払われたと私は思っておるわけなんです。それらの点について、これは都道府県を中心にした都道府県単位の問題でございますけれども、同じような問題が五大都市市町村等にも、ぜひこうした高率の助成をしてもらいたい、——五大都市なとは財政指数の問題などを計算して参りますと、順位が落ちてくるような結果になろうかと思いますが、主として都道府県を中心にした事業に対する高率助成であったと思うのですけれども市町村に対しては、こうした問題の適用というものは法的に不可能なものなんですか、どうなんですか。あるいは今の法律では無理だと思うのですけれども、実際問題としては、やはりそういうところにも適用してやれるものならやってもらいたいというような感じがするわけなんです。これはごく初歩の法的な問題だと思うのですけれども一つそういう点についての見解をお尋ねしておきたいと思うのです。
  32. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 市町村も、開発促進のための公共事業費について、国庫負担率を引き上げていくというようなことは必要なことだと思うのであります。必要なことだと思うのですけれども、府県について、今、行なっていますような一律的なやり方は、穏当ではないと思うのです。やはり市町村ごとに必要な開発のための公共事業というものを認定いたしまして、その事業に限って負担率を引き上げていくという方向がとらるべきではないかと思うのであります。後進地の市町村であるからといいまして、一律に港湾を整備する、道路整備するというようなことは穏当でないと思います。農業地帯として置いておかなければならないところもございましょうし、工業地帯として置いておかなければならないところもございましょうから、そういう意味で府県のように一律的な取り扱いをすることは穏当でないと思います。従いまして、現在の新産業都市建設促進法というようなことで、特定の都市について国が重点的に事業を持ち込み、その事業についても相当な援助をしていきたいというような考え方が生まれてきておるわけでございます。また低開発地域工業開発促進法という考え方が入ってきたりしておるわけでございます。従いまして、府県の場合と市町村の場合とは、若干、考え方を異にして開発促進のための事業を円滑に遂行する手段を講ずる必要がある、こう思っております。
  33. 二宮武夫

    ○二宮委員 最後に、資料としてぜひ財政局の方でお出しいただきたいと思うのですが、二月末を目途にして決定いたしました特別交付税の配付の基準あるいは配付の実態、こうしたものを一つプリントにして配付をしていただきたいと考えるわけなんです。特に前の臨時国会が、災害対策特別国会であったというような面からも考えまして、本年度の特交についての配分の基準あるいは配分の実態というものを、資料にして提出していただきたいと思いますが、それはできますか。
  34. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お指図の通り資料を提出いたします。
  35. 園田直

    園田委員長 山口鶴男君。
  36. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 昭和三十七年度の地方財政計画について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  地方財政計画の策定方針を拝見をいたしたのでありますが、これを見ますると、昭和三十七年度においては、地方財政の自主性及び健全性を強化することにより、地方財政の基盤の充実をはかり、国と同一の基調により財政の弾力的運用に配意しつつ、立ちおくれた地方行政水準のすみやかな向上をはかり、地域格差の是正を行なうということを定めておるのでございまして、確かにこの策定方針は文章として拝見をいたしますと非常にりっぱに見えるのでありますが、はたして私は今回の昭和三十七年度の地方財政計画が、地方財政の自主性及び健全性を強化しているのかしていないのか、また財政の弾力的運用が、昭和三十七年度においては期待し得るのか、また立ちおくれた地方行政水準のすみやかな向上と地域格差の是正というものが、はたして今回の地方財政計画において配意されておるのかいないのか、こういう点について非常に疑問を持つものでございます。その点から幾つかの問題をお尋ねをいたしたいと思うのであります。  まず、昭和三十七年度の地方財政計画におきましては、特に歳入面におきまして地方税では一千六百八十九億円の増収を期待をしております。増加率は二二%程度であるようでありますが、これは昭和三十七年度当初における税収見積もりでは一千六百八十九億ふえる、こういうことのようでございますけれども、現実にその地方財政の実態を拝見をいたしますと、昭和三十六年におきましては確かに池田首相も間違ったというふうに告白するくらい経済の成長率が急激に伸びまして、その影響が当然地方財政にも作用して参りまして、地方自治団体に相当の税の増収があったことは実事だろうと存じます。ところが地方自治団体では、昨年のいわゆる税の自然増収をどうしたか、これは今まで放置されて参りました単独事業を充実するなり、あるいは今まで手抜かりであった問題についてこれに充当するなり、いろいろな形で地方自治団体ではすでに昨年の自然増収分というものは使い切っておると思うのです。そういたしますと、昭和三十六年度の現計の予算に対して一千六百八十九億ふえるなんということは、期待することは全く無理でありましょう。同時に、本年度の国の予算におきましては、経済の成長率を五・四%と非常に低く押えたわけでございます。これは国際収支の逆調なり、あるいは国際通貨基金からドルを借り入れるための方便なり、いろいろな政治的の考慮があっての数字だとは思いますけれども、とにかく昭和三十七年度は、引き締め基調になるだろうということは考えられるところであります。そういたしますと、昭和三十七年度の地方財政全般を通じていえることは、確かに一千六百八十九億程度の税収は昨年度当初よりふえるかもしれない。しかし現在の三十六年度の現計において、すでにそのうちの相当額を三十六年度の自然増収として使い切っておるといたしますと、昭和三十六年度の現計に比べて、昭和三十七年度は非常に弾力性が乏しくなる。今言ったような税の自然増収分を使い切っておるということも一つ理由でありましょうし、同時に五・四%というような経済の成長率の低さ、そういう中から、当然経済の景気というものも下向きになるでありましょう。とすればそのしわ寄せが、特に金詰まり等が中小企業に及び、地方自治体の税収にも大きな影響を与えるでありましょう。そういうことになれば、片や自然増収を使い切っており、税収については非常に弾力性が乏しい、そういう事態の中で、当然昭和三十七年度の地方財政というものは、これは弾力性を強化するどころか、むしろ弾力性が著しく乏しくなってくる、こういうふうに私としては考えるのであります。この地方財政計画を策定せられました自治省といたしましては、どういうわけで本年度の地方財政の弾力的運営というものが期待できるのか、特にこういう点で配慮したということがありますのか、この点をまずお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  37. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 地方財政の運営も、経済の動向がどうなっていくかということと深い関連を持っていますことは、当然のことだと思います。経済がむずかしい階段に差しかかっておりますだけに、地方財政の運営については十分留意をして参らなければならない、かように私たちも考えておるわけでございます。ただ、個々の地方団体の財政がどうなるかということを考えます場合には、やはり交付税の不交付団体と交付団体とに分けて考えなければならないだろうと思っております。交付税の交付団体におきましては、基準財政需要額に満たない財源は交付税をもって補てんされることになっておるわけでございますし、またそういう意味で基準財政需要額がどういう推移をたどるであろうかということを頭に置きながら財政運営をしておるわけでございます。もうこの制度を始めまして相当の年数になっておるわけでございますので、基準財政収入額で予測されているよりも相当の地方税の自然増収があった場合には、翌年度はそれが基準財政収入額に加算して計算されていくということを自覚しておりますだけに、ただそれを漫然と将来の経費膨張を来たすようなところに使ってしまうということは一般的にはないようであります。当該年度だけの歳出に使うなり、あるいは将来の健全化に備えて積み立てをするというような注意をする傾向が一般的になってきている、こういうように私たちは考えておるわけでございます。  不交付団体は、もっぱら地方税の収入に依存をしておるわけでございますので、地方税収入が増減いたしますにつれまして、財政運営が楽になったり非常に窮屈になったりするわけでございます。この二、三年相当な自然増収が毎年続いておった、これが不幸にして三十七年度において逆転するようなことがあります場合には、不交付団体としては相当な影響を受けざるを得ない、こう思うわけでございます。しかし、この点につきましても、私たちは従来から口をすっぱくして、そういう点について留意をしてもらうように強調して参ってきておりますし、地方団体自身も、二十九年、三十年ごろの非常な混乱時代を経過して参っておりますだけに、ただ増収があったから、それをそのまま使ってしまうということじゃなしに、自分自身で健全な運営をするように非常な苦心を払ってきておる、これが一般的だろう、こう思っておるのでございます。  今申し上げますことはもちろん一般的なことでございまして、例外的な団体もあろうかと思いますけれども、私たちとしましては、地方財政計画にあげております自然増収にいたしましても、すでに三十六年度中に増収になっておりますものが大部分でございますので、かなり時宜に地方税収入を計算している、こういうことは言えると思うのであります。しかしこれも今後の経済の推移いかんによることでございますので、楽観的なやり方をすることは避けるべきだと思うのでございます。自然増収として見ておりますものが千七百十億円であります。三十六年度中に当初の計画を上回って増収になっておると見込まれます額が千億円をずっと突破しておる、こう思っておるわけでございます。そうしますと、三十七年度のほんとうの自然増収は数百億円にとどまっている、こういう計画の仕方でございますので、そう過大な見方はしていないんじゃないだろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
  38. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣がおりませんから次官にお尋ねをいたしたいと思うのです。ただいまの局長の答弁は、お聞きをいたしておりますと、いわば事務的な答弁でございまして、確かにそういうふうに見ていけば、そういう御答弁もあるかもしれません。局長の言をかりれば約一千億くらいあるだろう、こう言われておりますけれども、この一千億の自然増収が局長の言われたような趣旨に立って運営されるとは私はどうしても思えない。その理由はいろいろありましょうが、特に明年は統一的な地方選挙の年であります。全国の知事、市町村長、それからまた都道府県会の議員市町村会の議員選挙に当たる年でございます。そういうことになりますならば、昭和三十六年度の財政運営にあたっては、首長が来たるべき統一選挙のことを考えてその財政運営をすることは当然であります。議員もまたやはり同じような考えを持っている。確かに昭和三十五年度の決算においては全国の自治体が相当な黒字を出したことは承知をいたしております。しかし、その当時の黒字決算から見ると、今言ったような事情も加わって、昭和三十六年度は、税収もふえたのだから三十五年度以上の黒字決算が地方自治体に出ておるか。私は決してそうではないと思う。この点は、まだ決算が明瞭になっておりませんから、数字をあげてどうこうという議論にならないことは承知をいたしておりますけれども、傾向としてはやはりそういう傾向があるんじゃないかと思うのでございます。そういうことから考えまして、しかもその一千億が相当消化されていったという場合を考え局長が言われたような将来の経済見通しということも考慮いたしますならば、昭和三十七年度の財政計画は弾力性がないじゃないですか。次官の方からお答えをいただきたい。
  39. 大上司

    大上政府委員 お説の通り、明年度はすべてにおいて地方選挙が行なわれる。今のお話を承りますと、これによって地方公共団体それ自体の作業量が相当ふえているじゃないか、これに見合う財政措置、あるいは例年度に比してやや選挙の当たり年になるので、地方議会並びに地方の公共団体の公選による選挙的な作業量が非常にふえる。従って、どうしてもバランスがとれないじゃないかというように私は聞き取れたのです。そこで、ただいま局長が御説明印しましたように、なるほど経済的な動向によっての自然増収は従来通りはいかないとは思いますが、すべての作業におきまして、ほとんど自主財源または地方債等々によって、財源の出場所等において、事前に作業量とこれに見合う放出資金をある程度計画的に見ております。勝手に野放図にやらしておりません。そこで、最後に局長が申しましたように、交付団体並びに不交付団体等の財源のやりくりあるいは流し方等々おのずから違って参りますが、総合的に判断いたしまして、さほど窮屈になろうとは私は考えておりません。
  40. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 次官、局長はそういうふうに言われるのでございますが、昭和三十七年度は三十六年度よりも「弾力的運用に配意しつつ」とここに書いてあるのですから、少なくとも、三十六年度より三十七年度の方がよけい弾力的にならなければ、配意したことにはならない。そういうことから考えて、お二人の御答弁を聞きましても、そう窮屈なことにはならぬとは述べておりますけれども、三十六年度より三十七年度の方がより弾力的になるのだという、こういう積極的な御答弁はどうも聞けないのであります。私はそういう意味で申しているのでありまして、次官、そういうことになれば配意したということにはならぬでしょう。去年より弾力的によくならなければ、配慮したことにならぬでしょう。
  41. 大上司

    大上政府委員 ただいま申し上げました裏づけでございますが、われわれの力の手元に持っております資料的な説明を、一応局長から計数的にしてみたいと思います。
  42. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 地方財政が自主的、かつ、健全に運営されるように配意していくことが、今のお話にこたえる道だろうと思うのでありますけれども、たとえば、資料として差し上げております歳入歳出の構成を見ましても、三十六年度の計画では、地方税の百分比が四〇%であったのが四一%にふえて参っているわけでございます。あるいはまた、歳出構成におきましては、投資的経費が三十六年度の当初計画では三三%であったのが、三五%にふえて参ってきております。そういうようなことから、財源においてもある程度自主性が強まってきた、こういうことが言えると思います。歳出構成におきましても、積極的に公共施設整備に充てられるようになってきているということが言えるではないか、こう思っているわけであります。満足しているわけではございませんけれども、違いを言え、こうおっしゃられますならば、こういう点も申し上げることができるではないか、こう思っております。
  43. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは、局長が御答弁されました投資的経費が三三%から三五%、昨年度から本年度の投資的経費の増加率は二七%くらいになっておりますか、ということで今度はお尋ねをいたしたいと思うのであります。確かに投資的経費はふえているのであります。もちろん、国庫補助を伴わない単独事業の増加率も相当あるようであります。しかし、金額的に見て、その伸びの相当部分を占めておりますのは、言うまでもなく国庫補助を伴うところの公共投資であろうと存じます。その公共投資が伸びていることは私も承知をしております。二七%伸びていることは事実です。ではどういうものが主として伸びているか、私はそこを問題にしてみたいと思うのです。  私は、地方財政計画を拝見いたしまして、特にこの公共投資の中で著しく伸びているものをば資料で拝見いたしたのでありますが、金額的にも、また率から言っても伸びておりますのは道路整備であります。率はたしか二一%くらいのようでありますが、去年急激にふえましたから、こういうものがふえている。しかし、率の一番高いのは、たとえば港湾整備などは三五%くらい伸びているではないですか。港湾整備というのは、これは京葉工業地帯とか堺とかああいったいわばコンビナートを作るところに重点がいくのは当然であります。そういったものは相当伸びがよいのであります。地方計画を拝見いたしますと、一般会計債や、一般会計債のうちでも義務教育施設整備事業など、去年から見ますと五億も減っております。去年百六十億だったのが今年百五十五億に減っている。ところが一方では、工業用水の事業については、昨年九十五億が百五十億、六〇%も伸びておるじゃないですか。こういうふうに見ていきますと、国が自治体に強く要請をするといいますか、公共投資がふくれる原因になっておりますのは、私ども考えるところでは、あまりそういう言葉は使いたくありませんが、やや独占資本の要請にこたえる公共投資、いわゆる社会資本を強化せよ、産業基盤を強化せよという、そういう方面の公共投資は確かにふえておる。しかし、先ほど指摘をいたしましたが、義務教育などの起債においては五億も減っておるし、それからまた公共事業の調べを拝見いたしますと、文教施設などは、国庫補助金は同額であります。わずかに地方負担金がふえておりますために、昨年から見まして五・五%ふえているだけではないですか。  こういうように公共投資がふえておることは、私どももちろん認めますけれども、その内容たるや非常にアンバランスだ。特に住民に直結する教育施設であるとか、あるいは厚生関係施設であるとか、そういったところはあまり伸びないで、どうも住民にはあまり直接関係のないところが非常に伸びているような気がしてなりません。これはもちろん自治省が補助金を組んだのじゃなくて、建設省初め政府機関の各省庁がそういう補助金を組んだので、自治省とすれば、その補助金をそのまま受け入れて財政計画に組み込んだだけで、おれの方は理由は知らぬと言われればそれまでかもしれぬけれども、しかしそういう言い方は自治省としては無責任だろうと私は思う。こういった文教施設などが減ったりする中で、どうして特殊なものだけが三割五分も五割も六割も伸びているのですか。こういう公共投資のあり方が、いわゆる住民に直結した自治体の運営として好ましい姿である、あるべき姿の地方財政の運営である、こういうふうにお考えでございますか。この点を一つお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 地方財政計画の上で、歳入歳出の構成がよくなってきている、こう申し上げたことに対しまして、内容に御異論があったように伺えたわけであります。その際に、港湾整備事業でありますとかあるいは工業用水道事業でありますとかいうものが、非常にふえているということを御指摘になりました。これも事実でございます。しかしながらこういうものは、地方財政計画の中に計上していないわけでございまして、準公営企業なものでございますので、これからはずしております。普通会計のものだけを地方財政計画に計上いたして参ってきておるわけでございます。経済発展が急速でございますので、そういう部分につきましても、私たちとしては、思い切って整備の促進をはかっていかなければならない、こう考えておるわけでございます。  第二点として、義務教育などの関係の部分は減ってきているのじゃないか、こういう御指摘がございました。これにつきましては、御承知だと思うのでございますが、小学校の児童数は年々相当減って参ってきております。また中学校の急増対策も、文部省が当初考えておりましたものが大体において達成されてきているということになっておるわけであります。私たちから見ますと、まだまだ老朽校舎その他不備な点があるわけでございますけれども、一応国の計画としては相当進捗して参ってきているということがいえると思うのでございます。反面、高校生の急増対策が、これから大きく取り上げられなければならない問題になったわけでございまして、私たちとしては、この地方財政計画の上で、高校関係の部分については、従来の実績の二倍半を計上している、こう考えているわけでございます。減るものは減るかわりに、ふえるものにつきましては積極的に財源を見ているつもりでございます。  なお第三に、住民に関連するものが少な過ぎるじゃないかという御指摘がございました。私たちは、産業関連の施設につきましても、あるいは生活関連の施設につきましても、両面にわたって、思い切って、地方団体の維持すべき施設整備に努力をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。産業関連の施設といたしましては、御指摘になりました港湾施設整備でありますとかあるいは工業用施設整備でありますとかいうようなものが入ってくると思うのであります七生活関連の施設といたしましては、上下水道の問題でありますとか、あるいは塵芥処理の施設でありますとかいうものが入ってくるかと思います。こういうものにつきましても、かなり思い切って年々増額して参ってきておりますし、三十七年度におきましても相当に増額しておるつもりでございます。決して一面的なところだけを考え地方財政計画を作っているような気持は毛頭ございません。
  45. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 お言葉を返すようで恐縮ですが、港湾整備地方財政計画から全然はずれておりますが、そんなことはないでしょう。このいただきました地方財政計画説明の公共投資の内訳を示しました十五ページの第六表、公共事業費に関する調べ、これは地方財政計画から別ですか。この中に港湾事業は入っているんじゃないですか。
  46. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 港湾の岸壁を整備しますとか、あるいは水路を整備しますとか、そういうものは一般の公共事業といたしまして地方財政計画にも入れておりますし、普通会計に所属するものと考えているわけでございます。地方債で、準公営企業のところで、港湾整備関係のものが非常に大きく増額になっておりますが、これは、埋め立てをして宅地を造成いたしましたり、あるいはクレーンその他の荷役関係整備いたしましたりするようなものでございます。二つに分けておるわけでございます。地方債の方で大きく伸びておりますのは、もっぱら準公営企業関係のものでございます。
  47. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 確かに起債も伸びております。局長の御指摘の通りでありますが、公共事業についても率をごらんなさい、やはりこれだって三五%ふえているのですよ。そういう点を一つよく御注目いただきたいとお願いいたすわけであります。  そこで、公共投資が二七%伸びておる、これが伸びておるから、地方としてもいわゆる弾力的な財政運営が一歩前進したのだ、どういうお答えでございました。その点に関連してお尋ねいたしたいと思うのでありますが、財政計画策定の方針では、弾力的運営をはかると同時に、おくれた地方行政水準のすみやかな向上をはかり地域格差を是正する、こういうことを述べておられるわけです。そこで私お尋ねいたしたいのでありますが、公共投資は確かに二七%伸びております。これは事実であります。しかし今度は地域的に考えました場合に、一体日本のどういう地域に主としてこの公共投資が投入されていくのか、こういう点を私は考えてみたいと思うのであります。私、群馬県の出身でありますから、群馬県に帰りまして、昭和三十六年度の公共投資が昨年に比べて一体どのくらいふえているかという比率を、財政課から提出させて調べてみました。一二%であります。たしか昨年の公共投資は二〇%以上伸びたはずだと私は記憶いたしております。ことしは群馬県において、当初予算計上においてどのくらい公共投資の伸びを考えるのかと言いましたら、せいぜい一一%ないし一三%だという。だから、こういった公共投資は伸びておる、道路整備事業は確かにふえております。しかしこれが全国くまなく投入されて——何も総花的にやれと私は言っているわけじゃありませんが、自治省期待するごとく、地域格差の是正なり、おくれた地方自治体の行政水準引き上げなり、とういった方面に効果的に使われておるか。もし自治省の言うような策定方針でいくならば、太平洋ベルト地帯に公共投資が集中するなんということはなくて、むしろ東北とか、あるいは北海道とか、あるいは北陸とか、あるいは内陸地帯とか、そういうところに公共投資が傾斜的によけい集中する、これが私は、地方財政計画の策定の方針でなくちゃいかぬと思うのです。そういうふうに実際に公共投資の地域的な配分といいますか、そういうものがなっておりますか。
  48. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 私たちがいろいろと努力をいたしまして、昨年後進地域の開発促進のための公共事業費の国庫負担率について特例を定めることができる法律が、皆さんたちのお力で制定になったわけであります。その際にも、ただ国庫負担率を引き上げるだけでは意味がないのだ、事業分量を傾斜的にそういう地域に増加しなければならないのだ、こういうことを主張しておったわけでございます。またそういう意味の主張もその後も繰り返して参ってきておるわけでございます。これが三十七年度の予算の運営においてどう反映してくるかということを、今後におきましても私たちとしては注視していきたい、こういう気持でおるわけでございます。ただ、たとえば道路問題一つ取り上げましても、自動車が激増しておりますので、先進地域であります東京や大阪におきましても、道路問題が大問題になっておるわけでございます。また御承知のように、昨年は東京、大阪、横浜、名古屋、神戸いずれの港におきましても埠頭の設備その他が不十分でありますために、何十日という間、沖で沖待ちをしておったわけでございます。そういう意味において港湾施設整備をそういうむしろ先進地域においてはからなければならないというような問題もあるようでございまして、ただ私たちは後進地域に公共投資を傾斜的に増額配分せよ、こう言ってはおるわけでございますけれども、今申し上げますような事態もいろいろ考えなければならないような点があるようでございます。ただ自治省といたしまして、それじゃそういう格差是正について今度の地方財政計画の策定にあたって、どういう努力をしてきているのかというようなことでございますると、若干申し上げさしていただきますと、一つは今申し上げました法律関係で、約百八十億円程度の財源が後進地の府県に与えられておるという計算になっておるわけでございます。第二には、この地方財政計画を受けまして基準財政需要額の算定を行なうわけでございます。そのための地方交付税法改正案を御審議願っておるわけでございます。この法律案におきましても後進地の地方団体に対しまして財源を傾斜的に増額しよう、こういう考え方をお示しいたしておるわけでございます。第三には、これも法律案を提出して御審議願っておりますように、辺地対策を整備していきたいということで、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案を御審議をお願い申し上げ、またその内容に従って地方計画を策定いたしておるわけでございます。同時に将来の基準財政需要額の算定もそれを前提にして行なう、こういたしておるわけでございます。さらにそのほかには、新産業都市建設促進法案の御審議を願っておったり、あるいはまた、低開発地域工業開発促進法の制定をさきにお願いをいたしたりしたわけでございまして、そういう一連の施策を通じて、国土全域にわたってひとしく発展が遂げられていくような努力を、国としては払っていっているつもりでございます。
  49. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの質問並びに答弁に関連して、ちょっとお伺いしたいと思うのでございますが、地域格差の是正というととは重要問題である、この点政府も取り上げられて、今、奥野局長から御調川がありましたような措置をしておるわけでございますが、今の説明の中であげられました第二の理由で、交付税法で、貧弱団体に対して傾斜的に配分を加えて、交付税でやる、こういうお答えがありましたが、具体的にどの程度の傾斜配分を貧弱団体に考えておられるのか、ある程度パーセンテージ、数字がわかりましたら数字等もあげて、一つ交付税法の傾斜配分のやり方を御説明願いたい。
  50. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 府県につきましては、数年来やってきておったわけでございます。市町村につきましては昨年取り上げまして、その後、さらに今後に強めていこう、こういたしておるわけでございます。御承知のように市町村を一種地から二十種地に区分いたしております。都市的形態が進めば進むに従って種地が上がっていくわけでございます。交付税の単位費用は、十種地を基礎にして定めておるわけでございまして、そうして都市的形態が上がっていきますれば、財政需要がふえていくだろう、そうして都市的形態が下がってくれば財政需要も減ってくるだろう、こういうような見方をいたしておるわけでございまして、それを態容補正で行なっておるわけであります。要するに九種地以下の市町村につきましては、基準財政需要額の割減を行なって、十種地以上の市町村については、基準財政需要額の割増しを行なっておるわけであります。昨年からとろうとしております方向は、九種地以下の市町村についてだけ基準財政需要額を特別に増額していく、言いかえれば、従来やっておりました割落としをやめていくわけでございます。昨年国の計算で約四十億円程度のものをこの九種地以下の市町村にだけ振り向けたわけであります。今回はさらに九種地以下の市町村にだけ四十三億円程度のものを持っていこうとしておるわけでございます。こういうような意味の割落としの金額が、三十七年度のベースで百七十三億円程度あるわけでございます。昨年一年同じ方式をとったわけでありますが、残っておる百七十三億円をさらに四年間で解消していく、言いかえれば、全体を五年計画で解消していくというような考え方でいきますと、やはり四十三億円程度三十七年度においても九種地以下の市町村についてだけ財源を振り向けていくという必要があるわけでございます。そういうような趣旨改正を行なおうとしておるわけでございます。財政状況が許します限りは、年々この程度のものをやっていきたいという希望を持っておるわけでございます。そのほかにつきましても、たとえば単独災害復旧事業債については、後進地の地方団体に対しては、特に基準財政需要額への算入率を高めるという方式もとっておるわけでございます。
  51. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今、渡海委員のお答えで、昨年市町村に対して九種地以下のものを十種地まで繰り上げる措置をおとりになる、ことしもそれに引き続いておやりになるというお話がありましたが、三千六百に余る市町村に対して、そのうち九種地以下が半分だか三分の一だか知りませんけれども、私の県では、市町村では十種地以上のところは数市町村しかございませんでした。群馬県約百市町村がありますが、このうち十種地以上のところは私の県では市でもって三つか四つ、町村でもって二つか三つでございまして、大部分の町村がその対象にあずかったことは事実であります。そういうわけで、交付税がふえたということは事実でございまして、これは非常にけっこうだということには考えておりまするけれども、しかし、これが昨年行ないましたことを本年引き続いてやることでもって、これで格差是正が大いに前進したというようにお考えになることは、私は全くまだ不徹底ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。  そこで、先ほどの質問に返るわけでありますが、次官にお尋ねをいたしますが、政府全体として、とにかく公共投資が確かに——先般からこの地方行政委員会道路交通対策小委員会で議論をいたしておりますように、大都市において交通難を緩和しなければいかぬ。そういう点に対して抜本的な施策をとることはもちろん必要でありましょう。そういうことはもちろん必要でありまするけれども、しかし、今までの公共投資の地域的な配分の状況というものは、相当著しく傾斜的に、いわゆる太平洋ベルト地帯といわれる地域に重かったことは私は事実だと思う。あとで事務当局の方から、三十六年はまだ出ておりませんから昭和三十五年の決算でけっこうでありますが、府県別の公共投資の率なり割合なりを一つお示しをいただきたいと思いまするけれども、これはあとでお願いをいたしたいと思いますが、そういう数字を見れば、さらに私は明らかじゃないかと思うのでありますが、そういう現実が現にある。ところが自治省の方としては、地域格差の是正というところに抜本的な力を入れていきたい、こういうお考えを持っておるようです。そうしたときに次官として、ほんとうにこの地方財政計画策定の方針にうたったような事柄が、十分に達成されるような努力をいたすおつもりがあるのでございますか。また、するとすれば、一体どういう形で、地方財政計画策定の方針に沿って公共投資を実施しようとか、具体的な方法があるのでございますか。この点をあわせて一つお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  52. 大上司

    大上政府委員 お説の通り、いろいろな方面から見まして、特にわれわれもこれを重点的にあげている。そのあげた実例は、今、局長が申しましたようないわゆる辺地都市とか、あるいは基準財政額の改正であるとか、あるいは新産業都市、あるいは低開発、いろいろの方法で一歩々々ながら前進しております。そこで私たちといたしましても、この傾斜的な配分といいますか、地域格差是正のためにする資金の流し方というものは、真剣に取り組んでいきたいと思います。なお、さらにこれが具体的な方法いかんということは、ただいま列挙いたしました、また一部には本委員会に御審議願っておる法案等もございまして、これを推し進めることによって所期の目的を達成したい、このような考えをもって最善の努力をしたいと思っております。
  53. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 後進県の知事などに話を聞きますと、現在、国会に新産業都市法案が出ておる。自治省ではかつて基幹都市法案考えまして、基幹都市をどういう地域に設定をするかというようなことを、いろいろお考えになったようであります。ところが自治省のそういった基幹都市開発構想というものでは、全国くまなくそういうものを作ろうと考えておるようだけれども、新産業都市というような構想によると、指定都市が片寄った太平洋ベルト地帯、いわゆる独占の要請する効率のいい開発地帯に集中するというような傾向が見えるので心配でならぬ、こういう声もあることを、私は次官にお伝えをいたしておきたいと思う。具体的にはお答えはけっこうであります。また連合審査等もありまするから、そこでお尋ねすることといたしまして、そういった後進県の知事あるいはそういった人たらの心配が、具体的に声となって出ているということは、一つ十分念頭に置いていただきたいと思う。  そこでお尋ねをいたしたいと思うのですが、とにかくいろいろな方法を通じて格差是正に努めておられるというお話であります。また、地方財政の運用につきましても、弾力的な施策をこのように配慮しておるというようなお話でありますが、では、具体的に高等学校の増改築をとって私議論してみたいと思うのですけれども、あれがはたして地方財政の健全性を強化する——策定方針の冒頭に書いてあるのですが、健全性を強化する、そうして地方財政の弾力的運用にあの高等学校の急増対策がなっているかということは、私はどう考えても相反するように思えて仕方がございません。現在全国で都道府県会が開かれておるようでございますが、各都道府県会で高等学校の急増対策に、当初予算で一体何ぼ予算を組んでいるか、全国で集計をしてみました。五百四億だそうであります。ところが、実際に政府措置いたしておる金額は一体幾らですか。その起債が五十億だそうでありますが、昨年三十億だったわけですから、ことしは起債が二十億しかふえてない勘定になるでしょう。それから交付税で九十一億円見た、こういうようなことを言っております。工業高校の増設について十三億補助金を出しておる、こういうようなことも申されておるようです。しかし、これを全部トータルしたところが、その起債の五十億まるまる組んだところで百五十四億、昨年から見て起債が五十億まるまるふえたのではなくて、二十億しかふえてないわけでありますから、昨年組んだ三十億を落とせば、百二十億程度しか財源措置をしていない、こういう結果になるではないですか。そういう中で、都道府県ではみんな苦労をして、当初予算において五百四億円もの高校急増対策費を予算化いたしておる。これでは地方財政は、ことし急増対策を迎えて弾力的運用が行なわれるどころか、逆じゃないですか。自治体の健全性が強化される、はたしてそうですが。全国町村会から陳情書が来ております。どういう陳情書かというと、財政運営の基準を明確にしてくれ、財政運営の秩序を明らかにしてくれ、こういう陳情であります。その内容は、高等学校の増改築にあたって、市町村にやたら負担金をかけてしようがない。昨年、たしか行政局長は私の質問に答えまして、税外負担解消の一番の重点は、今後は高等学校の建築にあたって、都道府県が市町村に対してその財政負担を転嫁している、このことを是正することが最も重要だというふうに答弁をされました。ところがその措置は、全然ことしとられておりません。地方財政法の改正でも私は今国会に出てくるかと思ったのでありますが、出てきておりません。そして全国の町村会では、財政秩序を確立してくれという陳情をやっておる。これも五百四億も予算を組んでる中で、政府財政措置が百五十四億しかないという事実が、こういう結果をもたらしておると私は思うのでありますが、この今年度の一番重点である高校急増対策を具体的に見たときに、はたしてこれが財政の健全化ということが強化されておりまするか、私は全く反対じゃないかと思うのでありますが、健全化が高等学校の急増対策においても強化されておる、こういう根拠がございましたら、一つお知らせをいただきたいと思うのであります。
  54. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 私たちがこの地方財政計画の策定にあたって、今、御指摘のあった健全化に留意している、こう申し上げましたのは、一つは、財源におきましても、あとう限り自分の自由になるというと多少語弊があるかもしれませんが、そういう自主財源を増強していきたい、これが一つの問題点でございます。そういう点につきましては、入場譲与制度を廃止いたしまして、反面地方団体の税収入を増額するという措置を行なって、おるわけでございます。さらに全体といたしまして、歳入においては地方税のウエートが増していく、歳出においては投資的経費のウエートが増してくるというような姿が望ましいのではないかと考えるのでございまして、そういう意味では歳入歳出構成はやはりよい方向へ前進してきておる、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。  高等学校の問題について、いろいろ御議論があったわけでございます。一応地方財政計画の上では、三十七年度の急増対策の事業として、二百二十三億円程度見ておるわけであります。百五十四億円と、それから土地の購入費について五十九億円程度予定をいたしておるわけでございます。これについては別途四十億円の地方債を考えております。さらに私学の高校生急増対策への助成として十億円程度考えておるわけであります。そのほかに、従来から高等学校の建築などにつきまして、地方団体は決算の上で見てみますと毎年百億円程度使っておるようでございます。基準財政需要額の面におきましても、校舎とかあるいは設備とかいうようなものにつきまして、償却費の計算で百億円程度算入いたしております。これは別に減額をいたしませんで、そのままにしておるわけであります。その上積みとして、今申し上げましたような数字を乗っけているわけであります。基準財政需要額の計算におきましても、従来の費用はそのままにいたしまして、上積みとして別個に今申し上げましたような費用を加算する、こういうやり方をしておるわけでございます。府県の間にはなおいろいろと意見があるようでございまして、これらの点につきましてはだんだんと予算が固まって参っておりますので、これらの結果を見ました上で十分調査をしたい。問題は、高校牛急増対策が円滑に進んでおるようでございますので、もし国の計画の上に十分でない点がありますならば、それは当然計画を是正すればよろしいと思うのであります。しかし、現在のところ私たちは、こういう計画でやっていける、こういう考え方を持っておるわけであります。しかしながら建築費も動いておるわけでありますので、建築単価が少な過ぎるというような議論もあるわけでございます。こういう点につきましては今後の推移を十分調査いたしまして、必要があれば是正もやぶさかでない、こういう気持を持っておるわけでございます。  なお財政秩序を確立するという点でいろいろ御指摘がございました。この点につきまして私たち全く同感でございます。そういう意味もございまして、税外負担の解消という問題を三十五年度の地方財政計画に引き続きまして、三十七年度の地方財政計画の上でも取り上げたわけでございます。百億円程度解消したい。基準財政需要額にもその程度のものをそういう意味で算入していきたい。さらに地方財政法を改正して立法措置もとりたい、これは従来からの念願でございます。三十五年度においてもその措置をとったわけでございますが、引き続いて三十七年度においてもそれを進めて参りたい、こういうことを従来から考えておるわけであります。御指摘のありましたように府県が市町村に費用転嫁をしていく、それを排除していくべきだということで、一番考えなければならないのは、私たちもやはり高等学校の建設費だと思います。これをどうやって立法的に排除できるだろうか、全く頭を痛めておる、正直なところいい知恵がなくて弱っているというところでございます。と言いますのは、高校生急増対策の問題はことしから始まるわけではございませんで、一両年前から始まっておるわけでございます。同時にそういう意味で、すでに相当の市町村は府県に土地なりあるいは現金なりを寄付しております。また将来にわたって寄付するんだという約束をしておるところも相当数ございます。そうなって参りますと、立法をもって禁止する、そうした場合に将来の約束は封ぜられる、またすでに約束したものについてもこれを解消させることは必ずしも困難なことではないと思うのでありますけれども、そうなって参りますと、すでに寄付したところは返せという問題も起こってくるだろうと思うのであります。せっかく進められている急増対策につきまして、非常な混乱をもたらすのじゃないかという心配を持っておるわけでございます。そこで一面には税外負担の解消、財政秩序の確立を私たちとしては強く今後も呼び続けていきたいと思っております。同時に、府県が高等学校を新設するために土地を求めなければならない。その土地を市町村から寄付させるのではなしに、府県が自分で購入するなら、その土地の購入費については地方債をつけます。地方債をつけるから市町村に費用を転嫁することをやめてくれということを言い続けて参っております。そういう意味で三十六年度は地方計画に計上しておりませんでしたが、高等学校の土地の購入費につきまして、府県に二十三億の地方債を認めたわけであります。私はこういう点につきましても、府県が市町村に費用転嫁を防止するのにある程度の役割を果たしてきていると思うのであります。三十七年度におきましても、そういうものについては地方計画の外で、四十億円の地方債をつけるからということを言っておるわけであります。こういうような方向で努力はしておるわけでございますが、これだけでは抜本的解決にならないと私は思います。  それでは、どういうような立法の方法があるかということになりますと、全く知恵がないわけでございまして、何かこの国会に提案をしたいと考え続けながら悩んでおるというのが現在の段階でございます。しかし得られる限りの方法を通じまして、そういう方向での努力をしていきたいと思うのでございまして、基本的にはもっともっと国民全体の間に民主的な主張というものが強くなってくる、自己の権利を正しく主張できるような体制をもっとつちかっていく、秩序をはずれた力による費用負担の転嫁が排除されるというような気風を盛り上げていくことが根本ではなかろうか、われわれはそういう気風の盛り上がりに地方財政計画なりあるいは地方交付税法改正なりを通じて努めていきたい。また地方債の運用に当たりましても、そういう方向での役割を果たしていきたい、こういう気持でおるわけでございます。
  55. 太田一夫

    太田委員 関連。あなた今おっしゃったことは、予定法案地方財政法の改正を出さぬということをおっしゃったのですか。その点一つ……。
  56. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 出したいとして非常に苦慮しているのですが、なかなか法律案がまとまらないで弱っている最中だ、こういうふうに申し上げたわけであります。
  57. 太田一夫

    太田委員 法律案は一条でいいじゃありませんか。そうむずかしい法律をお作りにならなくたって、北九州の五市の合併でも、わずか六条か七条で済んだ。あなたの方の、地方財政法の一部改正といったところで、県立高等学校に要する経費は、市町村負担させてはならないとどこかに入れればいいのです。これをあなたお出しにならんで、立法技術上困難があるということになると、法制局はどこにその問題を持っておるのか、どの辺に問題があるのか、その辺をお聞きいたします。
  58. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 三十五年の改正の際に、地方財政法の二十八条の二の規定を起こしまして「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」こういう規定が入っておるわけであります。入っておるわけでありますが、これだけではまだ十分ではない、こういう条文規定だけでは十分でない。だんだんよくなっているわけでありますが、十分ではございませんので、何かそれに一歩を進めた立法措置をとりたい、こういう希望を持っておるわけであります。しかしそれについては、やりようによっては今申し上げましたような混乱も予想されるわけでございますので、混乱を起こさせないでどのような規制の方法があるか、もし民主的な秩序を守る空気というものがもっと強くなってくれば、この二十八条の二の規定だけで私は十分だと思うのであります。しかしそれだけではうまくいっていない、そこでどういうようなさらに一歩を進めた立法措置があるか、しかも混乱させないでやっていけるかということの知恵がなくて弱っているところであります。
  59. 太田一夫

    太田委員 大上次官、あなたはなかなか政治家としての達観力が強い。次官室におってあなたはいつも大所高所を見てこまかいところは見ない。大所高所からかくあるべきだという点をあなたは見ていらっしゃると私は信じているのだが、あなたの立場から見て地方財政法は——知恵がなくて困っているのですか、知恵がないので困っているのですか。
  60. 大上司

    大上政府委員 お答えします。知恵がなくて困っておるというわけじゃないのでございまして、ただどういうふうに規制をしていくか、その後における逆にいって、法律効果と言いますか、その予測が現在立ちかねているというのが大きな問題ではなかろうかと思います。従いましてただいま太田委員から政治家としての政務次官と、一方はどこまでも行政官としての所管局長としてこれを法律化した場合、その効果は行政官としてどう判断しているか一その苦慮が、われわれの方に具申してくるのが手間取っているのではないか、さように考えております。いずれ出て参りましたら、仰せの通り私たちは大所高所から見て処置していきたいということを考えております。
  61. 太田一夫

    太田委員 いずれ出て参りましたらということは、いずれというのは無限大でありますから、少々われわれ審議のテンポが合わない、なぜ予定法案地方財政法の一部を改正する法案が出ないか、また出る見通しがないか、非常に奇怪千万だと思うのです。今日、高等学校生徒急増対策として非常な金が要るということは御承知でしょう。一説によると千六百億円というのであります。千六百億円という非常な金がかかる。しかも三カ年に何とかしなければならないというときに当面して、ことしは少なくとも県の責任においてそれを立てなさい、地方町村負担させてはならないという原則をお立てにならなければ、あすじゃ間に合わないじゃないですか、あすに間に合わないことを今日お急ぎになるのは、これはわれわれとして一番大事な責任だと思うし、あなたたちの責任でもあるわけだが、いずれ出て参りましたら、そのうちになんということじゃ困ると思うのですが、督促してこの国会において出させる見通しがありますか。
  62. 大上司

    大上政府委員 お答えします。この基本的な問題につきましては、たしか前国会におきまして、参議院の文教委員会において、各市町村の寄付云々という問題についてお呼び出しがあり、なお、さらにそういう傾向があるというので、われわれは文部省に対してそういう指導をしてはいけない、財政法の違反であるという公式文書を出したこともございます。そういう建前から、自来これを研究しております。従いまして私の申すのは、ただいま太田委員がおっしゃるような緩慢な考え方でなくして、もちろん早急にせかし、これを処置することは当然でありますが、ただ規制それ自体の法令案を出すということは、一つの規制手段であるというふうに私個人としては考えます。  なお、さらに本委員会に御審議願う新しい問題として、私は帰ってさっそくよく主務大臣とも相談して、次の委員会において確答申し上げたい、このように考えます。
  63. 太田一夫

    太田委員 次の委員会で確答していただければけっこうです。それでいいですが、ぜひそれは出させて下さい。私は出ると思って今日まで審議をやってきたのですよ。だから、起債がわずか四十億しかないとおっしゃっても、あるいは私学の助成が十億だと先ほどおっしゃったと思うのですが、わずかなものでも、この原則が確立されれば、地方住民負担はそんなに大きくならないと思うから、税外負担の問題もからみ合わせて、そこに一つの将来の展望を描いていたわけです。それが出ぬとなると、財政計画の全体の中にわれわれは疑惑の念を持って、別な意味の考え方をしなければならぬ。審議がおくれますからね。この審議促進のために、われわれはこの提案を急いでいただきたい。早くしていただかないと上がりませんよ。これだけ申し上げておきます。
  64. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今、次官の御答弁を聞いておりまして大へん安心をしましたが、そうしますと、自治省は文部省に対して、次官の御答弁によれば、高等学校の施設に対しまして市町村負担を転嫁することは財政法違反だ、こういうふうにちゃんと連絡してある、こういうふうに言われたわけでありますから、今私が議論しておりますようなものは、地方財政法を改正しておられなくても、現在においても地方財政法違反である、こういうふうに次官ははっきりお考えになっており、またそういうふうに自治省では、文部省に強くそういった意見を伝えてあるのだ、こういうふうに次官の御答弁通り理解してよろしゅうございますね。
  65. 大上司

    大上政府委員 その通りでございます。
  66. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、局長、現在全国都道府県において堂々と地方財政法違反が行なわれているじゃないですか。これに対してどのような行政指導をおやりになるつもりですか。
  67. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 府県立の高等学校の経費については、市町村に転嫁することのないようにということは、従来から繰り返し地方団体に言い続けて参ってきておるわけでございます。今回におきましても、先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますけれども、税外負担の解消、財政秩序の確立、これを地方財政計画を策定する場合の一つの重要な方針にしておるわけであります。さらにはまた、高等学校の急増対策につきまして全体計画を明らかにしたつもりでございます。その全体計画に基づく財源の付与にあたりまして、府県の基準財政需要額に全額を算入するというような方針をとっておるわけでございます。府県の財政的な責任を明確にしたつもりでおるわけでございます。  第三には、地方債の運用にあたりましても、それを容易にするような方法をとっておるということを申し上げたわけでございます。地方財政法の現在の規定にもその趣旨のことがあるということを、二十八条の二をとって申し上げたのでございます。  さらにもう一歩進めて、地方財政法の規定がないものだろうかどうだろうか、これがわれわれがいろいろ苦慮していた点だ、こういうことでございまして、現存にもあるわけでございます。  ただ、地方財政法の別なところに、二十七条に、「都道府県の行う土木その他の建設事業でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。」、こういう規定があるわけでありまして、高等学校の建設については別に排除する規定を置いてないわけでございます。三十五年に改正いたしましたときに、道路でありますとか河川とかというような事業につきまして、特定なものについてはこういう規定を排除したわけであります。排除して、府県は市町村負担を転嫁してはならぬ、こう書いたわけであります。たしか四項目についてそういう規定を及ぼしたわけであります。高等学校についてもさらにそういう規定を及ぼすべきではなかろうかということで、いろいろ考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これから始まることではございませんで、すでに両三年来始まっていることでございますので、そういう規定を今直ちに置くことは、今後に非常な混乱を起こすことになりますので、混乱を起こさせないで規制する方法がないものだろうか、こういうことを考えているのでございます。
  68. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 二十七条もあるが、二十八条の二もあるのだ——地方財政法に対して解釈を下すのは、主管官庁となるのは当然自治省でしょう。だから自治省の方で、二十七条があるけれども二十八条の二があるからいかぬのだ、地方財政法違反なんだ、こういう見解を明確に持っているなら、もっと堂々とそれを言って、その秩序を守らしたらいいじゃありませんか。次官の御答弁は大へん明確でございますので、けっこうであると思っております。  それから、局長さんからいろいろお話がありましたが、高等学校で五百四億を組んでいるのは、高等学校の設備費の合計が五百四億というのではないのです。今まで通り老朽校舎についてはどんどん直していく、そういう平常の経費は別にあって、急増対策として上げたものをかき集めて五百四億円になるのだ、こういうように聞いておるわけでございまして、それは従来の経費その他で百億程度あったかもしれませんが、しかしそういう意味で比較検討することはおかしいと思うのでありまして、その点についてはいろいろ議論をいたしたいと思っておりますが、しかし前に質問いたしておりました二宮さんの質問の対象であります消防庁の関係の方がお見えになったそうでありますので、私は今後の質問は保留いたしまして、地方財政計画に関する質問を、ここでとりあえず一応打ち切っておきたいと思います。
  69. 園田直

    園田委員長 二宮武夫君。
  70. 二宮武夫

    ○二宮委員 大へん時間が迫ったのですが、せっかく消防庁がお見えになって全然質問しないでも失礼ですから、少しだけしておいて、みな腹が減っておるだろうと思うから、これはまたあとでゆっくり質問したいと思います。  私は、現在の交通事故による死者と火災による死者というものが、非常に激増してきておる現情勢というものは、これは十分に消防庁の方で認識しなければならぬと思います。あなたの方でお出しになった火災年報を見ましても、非常に死者が増加しておる、負傷者が増加しておる、こういう状況なのでございます。  そこで、まずお尋ねをしたいのは、消防組織法などによって施設やあるいは計画そのほかが非常に綿密に義務づけられておるわけですけれども自治省の外局として消防庁が、今度の交付税の算出基礎の中で一体要求はどのくらいお出しになったのですか。その要求の額を一つお聞きしたいと思います。
  71. 川合武

    ○川合(武)政府委員 どうもおくれまして申しわけございません。  お答えいたします。市町村の交付税につきまして、私ども財政当局に御説明をいたしておりまして、昭和三十七年度におきましては、単位費用につきまして相当額の増をお願いいたしまして、財政局の方でも非常に理解のある態度で御検討いただきまして、三十七年度におきまして、三千三百八十二万円の市町村の交付税分につきまして、お願いをいたした次第であります。
  72. 二宮武夫

    ○二宮委員 一人当たり、昨年度は二百九十五円三十九銭、本年度が三百三十八円二十七銭、四十二円八十八銭という増か認められておるというのが、ことしの消防費に関する算定ですね。ところが、昨年は二百九十五円三十九銭だったのですけれども、これを全国各地でどのように使っておるかという実態を考えると、一番たくさん使っておる東京都では五百八十六円というお金を一人当たり消防費として支出をしておるわけです。ところが一番少ない徳島県では、わずかに百三十五円しか消防費というものを使っていない。二百九十五円三十九銭というものを頭割りで交付税の中に積算をされてもらいましても、地方においてはわずかに徳島県のごときは百三十五円しか使っていない。こういう実態では——これはもちろん再建団体で非常に苦しい団体であろうと思うのですけれども……。従って私のお聞きしているのは、三千三百八十二万ふえたという問題でなくて、今年の総額は九千万ふえている、その九千万というのは退職者あるいは公務傷害に対する費用の分がふえただけなんです。そしてその算定基礎は、今言ったような程度の市町村に対してふえているわけです。従って、国の財政のふえ方と消防費のふえ方とのバランスは、非常にアンバランスになっておるわけです。そういう点、消防庁の方は少し気が弱いと私は思うのです。その重大な責務に対してもう少し押しの一手でやらなければ、昨年私が指摘しましたように二百九十五円というものがありながら、それよりほかに税外負担が二百九十円あったのです。その二百九十円を解消しなければ消防の事業というものは成り立たないのです。そういう実態にありながらわずかに四十二円幾らというものが算出の基礎の中でふえている、それでもって理解のある財政措置だなんていうことを言っておったのでは、今交通に次ぐ非常な惨害を与えている火災というものに対して、消防庁としての責任は十分果たしておらないと思う。従ってそういう点についていろいろお聞きしたいのですけれども、消防組織法の内容をいろいろ見て参りますと、あなたの方でやらなければならない仕事がずっと項目別に分かれております。そこで一つお聞きしますが、大体常設消防のベースというものは全国平均一体幾らなんですか。
  73. 川合武

    ○川合(武)政府委員 私の方は、考え方といたしまして人口一万のところに対しましては消防署を置きまして、いわゆる近代的な消防に踏み出してもらいたい、かような考えを持っておりますが、財政力の問題もむろん現実の問題として起きますものですから、昨今におきましての私ども考え方は町村が組合消防的な方向で、できるだけ合理的なまたは財政力に即応いたしましたような方式をとるべきではないか、かように考えておる次第であります。
  74. 二宮武夫

    ○二宮委員 私のお聞きしておるのは、非常に人的に制約を受けますので、やはり人材というものを十分に吸収しなければならない、同時に機械化をやらなければならない、そして施設を拡充しなければならない、そういうことをやるためには、あなたの方で把握しておる全国の常設消防の給与ベース、待遇というものは一体どれくらいに把握しておるのか。今なければ、後に資料として御提出していただいてもいいですが、あなたの今の御答弁は、私の聞いていることと的はずれのことなんです。私のお聞きしておるのは、消防の待遇というものは一体どのように待遇しておるかということです。資料が今なければあとからお出しいただいてもけっこうです。  それから消防組織法で、事前に防火のために出動しなければならないとありますが、あるいは消火のために出動するのは当然ですが、一回出動して一時間勤務したらそれは幾らになるのか、こういう計算は当然なされなければならぬと思うのです。そういう面を十分にやらないと、消火活動といいますか消防の人々の活動というものは気合いが入らぬと思うのです。そういうことについてあなたの方で材料を把握しておりますか。
  75. 川合武

    ○川合(武)政府委員 お尋ねの点につきまして十分な資料かどうかはわかりませんが、後ほど私の方で把握しております限りの資料を提出さしていただきます。
  76. 二宮武夫

    ○二宮委員 大体都道府県、市町村を含めまして、私どもは今申しましたような立場で、火災による死者が非常に続出しておるというような、こういう状況から考えますと、あるいは施設を近代化しなければならない、あるいは土地も値上がりするから、防火用水の地代も要るだろう、こういう点から考えますと、消防に必要な経費というものが相当に増額をされなければならないというように考えるわけです。ところが消防費全体を考えてみましても、国の予算が二四・三%増であるのに、消防費だけはわずかに一二%しか増になっておらない、どういう実態で、この非常事態の消防というものが一体やっていけるのかということを私は申し上げたい。そういう点については、もう少し予算要求そのほかについて、強く国民の要望にこたえるような、そういう態度をもって予算要求をし、予算を計上してもらうというようにお考えをいただかなければならない。昨年も消防庁長官にそれをお尋ねしましたら、なかなか足りないということを言わない、言わないでおいて自分はヨーロッパに消防事情を調査に行った、そういうようなことで、一体消防そのものが国民の期待に沿い得るような、消防組織法の第一条に示されておるような、身体、生命、財産そのほかを守るということがうまく活用できるのかどうかということに、私は疑念を持つわけなんです。そういう点から考えますと、私は消防庁は自治省の外局として、いま少し力強い予算要求なり予算獲得というものをやっていただきたい、これは国民がみんなそのように要望しておるわけなんですよ。きょうは長官がお見えでないけれども、長官にもそういう点を一つお伝えいただいて——私は去年相当にそういう点については御要望申し上げたので、ことしは多少なりとも前進したかと思って、実は内容を一々検討してみましたが、ここでは時間がありませんから申し上げませんけれども内容一つ一つを見ますと、むしろ減になっているものもあるわけなんです。市町村の単位費用算定基礎の中には、まことに残念な状態で、  一体これはだれの責任かと言いたくなるくらいのものがあります。十万を単位にしたところの都市における消防  のあり方に対するこの算定基礎というものに対しては、非常に不満を持っておるわけでございます。そういう点に  ついて、一つ今後の御活躍というものをぜひお願いを申し上げたいと思うわけでございます。一回出れば何ぼというように一人当たりいただけるのだと思うのですが、時間によっては三時間もかかる場合もあるし、五時間もかかるような場合もあろうと思うのです。それに対する手当というものは当然出さなければならぬと思うのです。同時に組織法の二十一条では、市町村は防火について関係市町村と協定を結ぶことができる、こういうように規定をされておるのですが、川の向こう側の火事だと思って見のがすわけには参らない。しかしながら、その協定というものが正式に結ばれないと、出ていったところの費用負担というものはその市町村が見なければならぬ、こういう問題について、隣接市町村との協定をやはり結んでいかないと、総合的な消火作業というものは私はできないのじゃないかと思うのです。どの程度に全国的にこういう協定というものは結ばれておるものですか、おわかりですか。
  77. 川合武

    ○川合(武)政府委員 ただいまの協定の点につきましては、実は私どもが盛んに指導と申しますか、勧告をいたして参っておりまして、ざっくばらんのことを申し上げまして恐縮でございますが、協定をしておるかという問いに対しましては、実はほとんどの町村が協定をしておる、こういう回答になっております。なっておりますが、はたして実のある内容の協定をやっておりますかどうかにつきまして疑問の点もございますので、本年に入りましてから協定いたしましたその内容を私どもの方に報告しろ、こういうふうにして確認をいたしておりますが、ただいままだ進行中でございます。
  78. 松島五郎

    ○松島説明員 先ほど消防庁次長お尋ねのごさいました給与の関係でございますが、私ども地方財政計画で積算をいたしております単価について申し上げたいと思います。  消防職員につきましては、本俸、扶養手当、暫定手当、この三者を合わせまして月額二万八千五百二十八円でございます。市町村の一般職員が二万三千九百十四円でございますので、それよりかなり高い額になっておるわけでございます。なお、この単価は給与実態調査を基礎にいたしまして、その後ベース改定等のあります場合には改定率を乗じ、さらに昇給率等も乗じまして算定をいたしておるものでございます。  それから、消防関係財政需要額の増加が少ないではないかというお尋ねでございますが、前年度に対しましてただいまのところ四十八億ばかりの増加を予定をいたしておりますので、全体としてはかなりの増額ではなかろうかというふうに考えております。
  79. 二宮武夫

    ○二宮委員 昨年度ベース・アップの際に問題になりました常設消防に対する給与の問題と、同時に、同個所に勤務をしている雇用員との間にアンバランスを生ずる結果になる問題でございます。雇用員に対しては実は財政的な裏づけは昨年しなかった、そういう事実があるわけです。ところが、実際問題としては、同じところで同じような仕事をしていて身分が違うというので、これは実際運営上問題になってきたのでございます。本年度のベース・アップはどれくらい見ているのですか。
  80. 松島五郎

    ○松島説明員 本年度は、昨年十月から行なわれましたベース改定の平年度化分を見込んでおるのでございますが、市町村の消防職員につきましては八・一%の改定率を見込んで計算しております。
  81. 二宮武夫

    ○二宮委員 そのほかなお問題はあるのです。先ほど山口さんから高校急増対策についての質問がございましたけれども、これもやはり文部省に、本腰になって高校急増対策に対する財政措置を強く財政当局に要望するという態度がなければ、なかなか解決しない問題なのです。この問題については、文部省はきょう全然来れないというから保留したのですけれども、消防庁の問題につきましてもなおたくさん問題がございます。私どもは、消防が国民の期待に沿うように、よかれかしと思う気持からいろいろ御質問するわけですけれども、時間も下がりましたので、本日はこの程度で質問をとどめます。  なお、地方財政計画については数多くの問題がございますから、いずれ委員会で再度質問をいたしたいというように考えます。
  82. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 消防のことでお尋ねをいたしたいと思います。  実は過日、全国版に報道せられました群馬県吾妻郡吾妻町の消防団の団員が、死亡をいたした事件についてでございます。ちょうど私の住んでおります地域のことでありますので、一昨日当該吾妻町の町長にも会い、地元の町会議員の人たちにも会いまして、当時の事情をいろいろ伺ったのであります。そこで、時間の関係もございますから、二つのことだけをお尋ねいたしたいと思うのです。  一つは、先ほど二宮委員から消防に従事をする職員方々に対する財政措置が乏しいというお話がありました。常備消防の方々に対しては、地方公務員として当然な給与が支給されておりますが、常備消防でない一般の消防の人たちの出動手当というようなものも、非常に多様であり、その調査もまだ十分できていないというお話でありますが、吾妻町の消防は、常備消防ではございませんでした。これは消防庁もよく御存じだと思うのでありますが、最近、農山村におきましても、次男、三男はもちろん都会に働きに出ていき、長男の人たちが残っているとは言うものの、昼間は工場に勤めるとか、いろいろな形で他に働きに行っている人が非常に多いわけであります。でありますから、町村が消防団員を集めるのに非常に苦労をいたしておる。しかもまた、苦労をして集めた消防団員に対して、出動した場合の手当というものがほんとうの涙金程度でありまして、ほとんど手当も出しておらぬ。手当を出すかわりに、点検等をやったときに一ぱい飲むというのが多くの地域における消防の実態ではないかと思うのであります。そういう中で、あそこの点検をいたしましたあと酒を一ぱい飲んで出かけた。たまたま運転をしております青年が無免許であって、酔っていたためにがけから落っこって六名の方が死亡された、こういう事件であります。確かに無免許で酒に酔って運転をしたということは悪いことであります。この行為については、別にここで議論をするつもりはございません。ただ問題は、消防に従事する人たちを集めようと思っても、現在なかなかなり手がいないわけです。維持するのに苦労している。しかも、手当も出せない。仕方がないから、そういうときに酒を一ぱい飲む、こういう習慣がああいった悲惨な事態を引き起こした原因ではないかと思うのです。そこで、二宮委員も言っておったのでありますが、できる限り常備消防に切りかえていくことが重要である。一ぺんにはできないでしょうから、そうした場合には、運転手であるとか特殊な技術部門の人、そういう人たちを常勤の職員に切りかえていくという措置はお考えにならないか。そういう措置をとっていきますならば、全員がすべて常備消防という形にはならぬかもしれませんけれども、主要な、運転手であるとか技術関係職員であるとか、そういう人たちを常勤職にしていく。責任ある仕事に対してはそれ相当の報酬をして身分の確立をしてやる、こういう形を漸次確立をしていくならば、ああいった悲惨な事故はある程度防止し得るではないかと思うのでありますが、消防庁としては、あの事故を契機に今私が申し上げたような点について、何かお考えはございませんか。
  83. 川合武

    ○川合(武)政府委員 ただいまの御質問でございますが、お話通りでございまして、私どもの言葉の表現では機関要員と言っておりますが、運転手、その他機械をいじくります者、最低限度二名程度のものは確保——確保と申しますか、お話のように常備的なものにいたしたい、かような考えを持っております。もちろん、これは先ほどからもお話がございました財政の問題とも関連いたしますから、考えでございまして、まだ私の方の消防庁の正式な見解として打ち出しておるわけではございませんが、私ども消防庁といたしまして種々検討いたしました。今の段階といたしましては、そのようなことにすべきではないかと思っております。  なお、お尋ねの点に付随しまして、一町村だけで常備消防を持てない場合におきましては、複数と申しますか、組合的なもので最小限度の消防力を備えるべきじゃないか、地方におきましてはなはだ残念ながら、最小限度の消防力もお話のような理由から現在には欠けておる点もあるのじゃないか、かように考えているばかりでなく、早急に措置を打ち出したい、かように存じております。
  84. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 考えておるばかりでなく、措置を打ち出したいというのでありますが、まだその措置はやっておらないのでございましょう。そういうことになればまだやっていないということになるのでありまして、これは私は残念だと思うのです。機関要員を常備職員にしたい、それからまた幾つかの町村が組合でもって常備消防を作るようにしたい、これは構想としてはけっこうであります。お進めいただきたいと思うのでありますが、問題は先ほど二宮委員から指摘されましたように、いかにも消防というものが予算面からは非常に軽視されていると言ってはなんでありますが、確かに非常に劣っていると思うのです。前々から社会党としては消防施設税を創設せよ、あるいは消防施設の充実に力を注げという説を言っておりますが、消防庁の長官は、この程度の消防にはこの程度の消防力が要るというような一応の基準は作りますが、それに対する財政措置は十分ではありません。それから職員についての手当も同様である。私もこういうことでは非常に残念だと思うのです。ですから機関要員を常勤職員にする問題とか、町村においても組合でもって常備消防を作ることを実施するとか、そういうことは構想ということではなくて、現実に一つ実現をしてもらいたい。そういう点について消防庁として十分な決意がございましたら、一つお聞かせいただきたいと思うのであります。  それからあわせてお伺いをいたしたいのは、実はあすこの地域でそういうことが起きて、あの地域職員の方がかわいそうだ、遺族もかわいそうだということで、消防団員等公務災害補償共済の対象にしてくれというようなことを申しておるようであります。これについては法律的に非常に無理な点があることは、私も承知をいたしております。ただそこで本日の新聞を拝見をいたしたのであれますが、法律的にかくかくしかじかの理由で適用は無理だ、こういうお話を消防庁の職員の方がおやりになることは、私は法律を守る建前から当然であろうと思うのでありますが、あの新聞に出ております談話を拝見しまして、予防課長の雨倉さん、総務課長の山本さんですか、ちょっと名前を忘れましたが、消防庁の責任者の名前で、法律的にも疑義があるし、同時にこの消防団員等公務災害補償の基金については、現在四千万円からの赤字であるので無理だ、こういうような談話が出ております。私はこのことは非常に遺憾だと思うのです。法律あるいは規則に照らして、酒に酔って運転した、そうして死亡したというような者については、こういう規則の適用ができぬならできぬ、あるいはこういう規則を何とか適用ができる、こういろ議論を発表することは私はけっこうだと思いますけれども、基金が赤字だから無理なんだというようなことを発表するとは一体何ですか。そういうことに対して、消防庁の予算でも基金に対する補助を何ぼか計上しておるようでありますけれども、基金の赤字が出ぬように、財政的に措置するのが消防庁の責任ではないか。だから法律的云々という議論のほかに、基金の財政が赤字だからというようなことでもって適用するとかせぬとかいう、そういう談話を発表されることは私は非常に遺憾です。その点は一体どういうことなのですか。
  85. 川合武

    ○川合(武)政府委員 お尋ね通りでございまして、新聞に出ております談は、ただいま名前をお示しのような責任者の談ではございませんが、新聞に出ましたからにはそういうような意味のことを聞かれたにしろ、答えたものと思われますし、ともかく消防庁の者がしゃべったことでございますから、お尋ね通りに、後段の赤字云々の点につきましては、これははなはだ当を得ていない談であるというふうに考えまして、ただいまのようなお尋ねをいただきましたことについて申しわけないと思っております。赤字と申しましても、それだけの数字が出ましたことに対しまして、いわゆる補てん措置をいたしまして赤字は出ていないのでございますし、なお、さような点よりも公務災害補償の基金の問題につきましては金が余っているから出す、足りないから出さない、かようなことではむろんございませんで、はっきりと法律、政令に基づきまして、基準に従いまして出します。たとえば伊勢湾のような大災害のときには、相当額の国の補助も受けてこれをやりましたわけでございますし、また今回も四千万円国の補助を受けるべく予算をお願いしておるわけでございます。お話通りその赤字云々の点につきましては、さようなふうに新聞記事に載るような意味の談話につきましては、全く適当でないというふうに考えます。
  86. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 前段の常備消防と機関要員、それから町村における消防組合でもって常備消防化していく、これについては具体的などういうスケジュールで実施しようと、消防庁は考えておりますか。またそれに対する消防庁としてのいわば決意といいますか、そういうものはどうですか。
  87. 川合武

    ○川合(武)政府委員 常備消防の問題つきましては、実は国家的な立場、あるいはもっと町村固有の独自の点からいいまして、お話のような方向に持っていくべきであるということで、私の方の努力もむろんなさねばなりません。と同時に、町村からの盛り上がりというものも、相まちまして必要かと存じまして、実は昨今そのことだけでなく、ほかの要件で出張をいたします庁員に対しましても、そのような点につきましての、町村側と話し合い、意見の交換をいたすというふうにしております。その反応を見ますると、先ほどからお話のございましたように、町村におきましては、地方の方におきましては、消防団は夜はいるけれども昼はいないというような場面が相当多くなっております。またことに機関要員、自動車の運転をいたします者は、夜はいるけれども昼はいない。そうしますと、火事が起きた、待っていられないということで、無免許の者が便宜運転していく、こういうような場面もあり得るように思われます。町村側におきましてもこの問題につきまして、何とかしなければならないという空気が相当出ておりますので、私どもの方と話し合いをいたし、また意見の交換をいたしております。明確に何月何日どういう点でどうというところまでのスケジュールには至っておりませんが、そのような方向に進みたいと思っております。
  88. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 先ほど次長さんのお話を聞きますと、消防庁は外局ですから、自治大臣の指揮のもとにあるはずであります。しかも自治大臣は国家公安委員長も兼ねておられ、交通取り締まりの最高責任者であるべきだ、そういった交通取り締まりの最高責任者が同じ管理をしておる消防庁において、結局財政措置が不徹底であるとか、今までの消防に対する措置が不徹底だというようなことから、堂々と昼間などにおいても無免許運転が行なわれるというようなことは、全く現在の行政の姿としては恥ずかしいと、私は自治大臣もお考えになるのではないかと思います。この点は、大臣もおりませんから、あらためてまた大臣がお見えのときにお尋ねすることといたしまして、特に消防庁におきましては、今申し上げた点を十分積極的に実現に移していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  89. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今、山口君から消防自動車の事故について、いろいろと御質問があったわけでございますが、この際一つ委員長にお願いいたしたいと思いますのは、資料を一つ提出させていただきたいということであります。  ここ数年来、大へん消防団の自動車事故というものが多いのであります。そしてこれがまた花見ごろになりますと、ますます多くなってくる、従って、正式な消防担当以外に、自動車に乗って団員が慰安等に出ていき、相当な事故を毎年繰り返しております。従ってこれに対してここ数年来の事故の統計表を一つ出していただきたい、これを一つお願いいたします。
  90. 園田直

    園田委員長 よろしゅうございますね。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会