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1962-02-22 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)    午前十時二十四分開議  出席委員   委員長 園田  直君    理事 纐纈 彌三君 理事 高田 富與君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    亀岡 高夫君       久保田円次君    津島 文治君       前田 義雄君    山崎  巖君       安宅 常彦君    二宮 武夫君       野口 忠夫君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  奧野 誠亮君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         大蔵事務官         (財務調査官) 松井 直行君         大蔵事務官         (主計局主計官)宮崎  仁君         参  考  人         (秋田県知事) 小畑勇二郎君         参  考  人         (主婦連合会副         会長)     三巻 秋子君         参  考  人         (読売新聞論説         委員)     上子 俊秋君     ————————————— 二月二十日  電気ガス税撤廃に関する請願  (臼井莊一君紹介)(第一二七九号)  同(中山榮一紹介)(第一六二五号)  ガス税撤廃に関する請願小川平  二君紹介)(第一二八〇号)  同外四件(川野芳滿紹介)(第一三  九五号)  地方財政関係法抜本的改正に関す  る請願福田篤泰紹介)(第一二八  一号)  同(中村高一君紹介)(第一三四〇号)  電気税撤廃に関する請願毛利松  平君紹介)(第一二八二号)  同(大倉三郎紹介)(第一三九四号)  市町村道路譲与税の創設に関する請  願(下平正一紹介)(第一三〇八号)  同(井出一太郎紹介)(第一三七〇  号)  樺太引揚市町村吏員の処遇に関する  請願永山忠則紹介)(第一三四一  号)  大衆飲食に対する料理飲食等消費税  軽減に関する請願五島虎雄紹介)  (第一五二六号)  同(吉田重延紹介)(第一六七一号)  国民健康保険団体連合会職員地方  公務員共済制度加入に関する請願  (秋山利恭紹介)(第一六五二号)  特別区の区長公選に関する請願(賀  屋興宣紹介)(第一六七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四九号)  地方交付税法の一部を改正する等の  法律案内閣提出第九七号)  昭和三十六年度分として交付すべき  地方交付税の総額の特例に関する法  律案内閣提出第八五号)      ————◇—————
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は参考人方々の御出席を願い、本案についての御意見を聴取することになっております。御出席参考人は、秋田県知事小畑勇二郎君、主婦連合会会長三巻秋子君、読売新聞論説委員子俊秋君、以上三名の方々であります。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、非常に御多忙のところ、当委員会法律案審査のために御出席をいただき、まことにありがとうございました。地方税法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から、何とぞ忌憚のない御意見をお述べ願えればまことに幸いに存じます。なお、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ約十五分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しましても十分にお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、初めに小畑参考人お願いいたします。小畑勇二郎君。
  3. 小畑勇二郎

    小畑参考人 今回の地方税法改正につきまして、地方団体側から意見を申し上げたいと存じます。  今回の地方税法改正は、これまでのように単なる負担軽減だけにとどまることがなく、最も困難とされておりました国と地方団体との税源の再配分にも手をつけ、たばこ消費税配分方法を改め、また法人事業税分割基準改正するなど、従来懸案とされました事項に向かいまして、積極的な改善に努められた跡が十分にうかがわれるのでありまして、部分的には不十分、不満の個所もあるのでありますが、全般的にはおおむね妥当な改正であると存じております。  まず、今回の地方税減税規模でございますが、平年度減税は四百二十二億円になるのでありまして、これを昭和三十六年度分の減税額二百一億円と比較いたしますと、倍以上になります。これから再配分による増を差引いたしましても、なお三百十七億円の減税となるのでありまして、これは税制調査会答申されました平年度減税規模よりもさらに五十九億円も上回り、相当大幅な減税でございます。私ども地方団体といたしましても、住民負担軽減には大いに努力しておるところでありまして、できる限りこの方向に向かって進みたいと思います。しかし、地方税の場合は国の予算経理とは違いまして、年度内の自然増収というものが、ほとんど当該年度人件費のベース・アップや公共事業量増加のために使い切らざるを得ない現状でございます。従いまして、前年度における税の伸びを、そのまま翌年度歳出増加に充てるという余裕はほとんどなく、新年度歳出の増は、新年度の新たな歳入の増加によってまかなっておるのが実情であります。しかるに昭和三十七年度地方税の見通しでありますが、その大宗をなす事業税伸びは、今までのように大きな増収は期待されません。現に私の県におきましては、石油精製や銅の精錬の事業のごときは、すでに昭和三十六年度の下半期から、相当の減退を示しておるのであります。また地方団体全体の集計としては、税の自然増相当ございましても、各地方団体ごと伸びは一様でございません。多くの場合は、税の自然増伸びは大規模団体に多く、反面減税影響貧弱団体ほどその受ける打撃が大きいというのが実情でございます。従いまして今回の改正は、その総体の規模におきましても、また個々税目におきましても、地方団体にとりましては相当きびしい影響があるものと受け取っておるのでありまして、この減税の幅は現状におきましては、地方団体にとって目一ぱい減税であると申して差しつかえないと思います。さらに都道府県におきましては、高等学校生徒急増政策という最近にない大問題をかかえておるのでありまして、これは実際に予算を査定してみますと、われわれの予想しておったよりもはるかに出費が多いのでありまして、このまま推移するにおきましては、減税はできましても、一方において現在三百五十四億と推算されております住民税外負担がなお一そう増高するんではないかと憂慮されておる次第でございます。  次に、個々税目改正案について意見を申し上げたいと存じます。今回、国と地方団体間の税源配分適正化をはかるために、所得税の一部を府県民税所得割に移譲されましたことにつきましては、これは多年地方団体が要望して参りましたことがその一部でも実現されたものといたしまして、心から私ども喜んでおる次第でございます。たださなきだに住民税が重いという観念があるのに、さらにこれを強化する形となりますので、この点につきましては、われわれ地方団体として税源配分の趣旨をよく説明し、そして所得税住民税の合計では増税にならないこと、また所得税控除失格者につきましては、従来より増税にならないように措置されることなどを、十分に住民に徹底させる必要があると思っておるのであります。  これとも関連いたしまして、住民税課税につきまして申告制度がとられたのでありますが、これが義務制になったのであります。これを実際に着手いたしてみますと、いわゆる事務の輻湊、煩雑というものはまことに想像以上のものがあるのであります。私ども府県側といたしましても、税務出張所員の全員をあげてこの推進に全面的な協力をいたしておるのでありまするが、国におかれましても市町村のこれに要する経費の激増につきましては、特段の御配意お願い申し上げたいと存じます。  次に、事業税改正についてでありまするが、事業税改正は、本来企業課税全体の根本的な検討の一環として措置せらるべき段階に来ておると思うのでありまするが、今回の税制調査会におきましても、ついに具体的な結論を得るまでに至らず、ただ法人企業所得に対する負担は、諸外国に対して必ずしも過重ではないので、一般的な税率引き下げをはかるよりは、むしろ法人税などの課税が、企業資本構成なり資金調達に与えている各種の影響に対して、措置をとる方が重要である、こういう方向を示しただけで、多くの問題を今後に残しておるのであります。このように根本的な方針が立たないままに、今回また部分的な税率引き下げが提案をされておりまするが、個人事業税のごときは、たび重なる手直しのために、ほとんど骨身を削られまして、発足当時とははなはだしい変動を生じております。今かりにここに提案されておりまするような案に改定をされたといたしますというと、課税全額五十万円の方は、昭和二十三年度課税額は九万円でございましたが、昭和三十七年度白色申告でも一万五千円となりまして、約六分の一に軽減されておりますので、もはやこの事業税軽減最低の限度に来ておるのではなかろうかと思うのであります。また白色申告にも専従者控除が昨年認められたのでありまするが、大体こらしたものを含めて概算控除をしておったのでありまするから、白色申告者にも専従控除が認められました現段階におきましては、二十万円という大幅な基礎控除につきましても、抜本的な検討が加えられるべきであろうと存ずるのでございます。法人事業税も今回中小法人に対しさらに軽減率を適用するという案でございますが、この軽減率の幅があまりに大き過ぎまして、これを法人税と比較いたしますというと、全く均衡を失するように考えます。法人税は御承知通り標準税率が三八で、最低税率が三三でありまして、この軽減率は八七%でございます。しかるに法人事業税標準税率が一二でありまして、今回提案されました最低軽減率は六でございます。従って軽減率は実に五〇%でございます。本来応益原則に基づく地方事業税では、税率原則として一定税率であるべきでありまするし、反面応能原則による法人税こそ累進課税であるべきであると思いまするが、その方向が全く逆行いたしておりますることは、私ども納得がいかない点でございます。しかも法人事業税所得計算上損金とされておりますので、事業税軽減分は、法人税あるいは法人税割増収となって国税にはね返るのでありますから、納税者にとりましては法人事業税の減額は必ずしも全部の負担軽減にならないという実情でございます。このような見地からいたしまして、中小企業者税負担軽減は、これは当然でありまするが、むしろ私どもは、昭和二十五年度当時より重くなっておる法人税減税を行なうことが、最も妥当であると思いますので、この点につきましては再検討お願いをいたしたいと思うのであります。  なお事業税府県税大宗といたしまして、私ども最も重要な税目でぜひともこれを存置いたしたいと思うのでありまするが、その課税標準につきましてはあらゆる角度からいたしまして、根本的な検討を要する段階にきておると思うのであります。税制調査会におきましても論議されましたように、この課税標準に付加価値的な要素を加味する等のことにつきましても、今後できる限りすみやかに研究をされまして、適当な改善をされますようにお願いを申し上げたいと存じます。  なお、法人事業税分割基準を今回改正するような案でございますが、従業員のほかに事業活動を測定するためにとるべき要素もあると思うのでありまするが、これはいろいろ自治省におかれまして、試算の結果による結論と思いますので、この改正によりましても現在よりは大きく前進する案と思いますので、現段階におきましては適切妥当であると存じます。  次は、料理飲食等消費税につきましては、現行の場所課税廃止いたしまして、一人一回の消費金額によって税率を区分することは、近来場所の態様がますます複雑多岐にわたりまして、現場ではその認定に少なからず困難をいたしておりましたので、今回の改正は適正な措置であると存じます。しかしながら場所課税廃止原則を打ち立てながら、旅館の宿泊にわざわざ一泊につき二食までの料金を含むという注釈をつけまして、結果としては旅館飲食すべてを一〇%という形にしようとすることは、私どもどうしても納得いきかねるのであります。近来各地の温泉旅館等で豪奢な遊興飲食が多いことは周知のことでございますので、これらをすべて一〇%とすることにつきましては、これまたぜひとも再検討お願い申し上げたいと存じます。また税制調査会答申は、二千円をこえる場合に一五%としておるのでありまするが、この改正案では三千円以上を一五%としておるのであります。おそらく、大都会の消費状況基準にとったものと思うのでありまするが、全国的な実情からいたしますれば、やはり二千円以上に高率を適用することが妥当であると存ずるのであります。高級施設の少ない府県では三千円以上とすることによりまして著しい減収が予想されます。秋田県の場合を申し上げますと、二千円とした場合の一号税率の適用の税収入は、年間約一億一千万円程度でありまするが、これを三千円といたしますと約三七%、金額にいたしまして四千百万円程度減収となる見込みでございますので、これにつきましてはやはり税制調査会答申通り二千円以上一五%というようにいたされたいと思うのであります。  次は、入場譲与税制度廃止でございます。御承知通り入場税は、古くから観覧税として、地方本来の独立税として存在した税金でございますが、昭和二十九年度地方財源の偏在を是正するために国に移管し、これを人口に按分したのでありまして、弱小団体には大きな役割を果しておるのでございます。従いまして、大衆負担軽減するという立場から、大幅な減税を行なうことにつきましては、私ども異議はございません。しかしながら税そのものは、やはり地方税源として、各団体間の財源調整のためにぜひ残していただきたい、こう思うのでございます。これを道府県民税がふえたから振りかえになるのだという計算がございまするが、国と地方税源配分は、あくまでも地方団体に対して大幅な財源を移譲するという見地に立って断行すべきものだろうと思うのでありまして、今回の改正案交付団体について計算をいたしますというと、百三十八億の府県民税増収がございます。しかし反面におきまして、今まで百七十億の入場税譲与税交付団体だけであったのでございまするから、交付団体限りの計算によりますと、差し引き三十二億円の赤字が出るのであります。なるほど、たばこ配分あるいは事業税分割配分によって多少の増加が出ますので、差し引き二十六億円の得があるという自治省計算でありまするが、しかし、この県民税所得割のふえるのが富裕県でございまするし、それから入場税の減るのが貧弱団体でありまするから、個々団体計算いたしますというと、おそらく赤字の出る県があろうと思うのであります。減税のムードのさなかに、私ども県民税の増徴をあえてするということは、多少の財源のおかげがあるからするのでありまして、こんな難儀をして一文の得にもならぬようでありますれば、せっかくのこの財源の付与も私は大した効果がないと思うのでありまして、私どもは、この所得税府県民税所得割に移譲されたことは、非常な英断だと喜んでおるのでありまするが、これの反面に入場税引き上げますというと、せっかくのごちそうに砂が入ったような感じがしてならぬのであります。多年懸案国税地方税の再配分が行なわれるのでありまするから、どうか今度の所得税府県民税振りかえが、そのまま府県財源の増強になるような結果にぜひともお考えを願いたいと思うのであります。  最後に、たばこ消費税改正でございますが、その課税標準に数量を取り入れましたことにつきましては、各団体間の財源調整をはかるために適切な措置であると存じます。ただし、税率引き上げにつきましては、地方団体の希望は、それぞれ県三%、市町村三%というふうにこの案を相当上回る案になっておるのであります。かりにこの改正案入場譲与税廃止等を含めてこの通りにきまる場合には、少なくとも入場譲与税廃止減税額で約百億、この相当分たばこ消費税税率引き上げによって補てんされるようにお願いをいたしたいと存じます。  なお、最後に、地方税制の抜本的な改革につきましては、税制調査会でも種々検討されまして、解決を見た点も相当あるのでありまするが、やはりこの問題は、税制という限られた範囲ではなかなか解決しにくい問題が多いのでありまして、地方自治伸展のために、地方財源の総量を強化するという立場に立ちまして、現在の行政水準検討し、また国と地方との事務配分と、その負担区分適正化という見地から、税源なり財源の再配分をはかるということが総合的に行なわれる必要があると痛感いたします。  どうか今後なるべくすみやかに、地方行政水準の向上という新しい段階に即して、税財政制度の確立を促進して下さいますようお願いをいたしまして、私の意見の開陳を終わりたいと存じます。(拍手)
  4. 園田直

    園田委員長 次に、三巻参考人お願いいたします。三巻秋子君。
  5. 三巻秋子

    ○三巻参考人 私、ほんとうにしろうとでございます上に、地方税と申しますのはむずかしくてわかりませんのに、きょうおこがましく出て参りましたので、抽象的になりますことをどうぞお許し願いたいと思います。  国の予算が超大型化されまして、それに伴いまして地方財政が大へん積極化して参りました。国、地方とも自然増収一定量を、自動的に減税してほしいということを国民は思っておりました予算でございますだけに、最近決定いたしました状態を見ますときに、国民一人当たりの税の負担額は、三十七年には三万四千六十九円になりますし、地方税で言いますならば、昭和十六年のときには十二円であったものが、一万百六十八円にふえておるようなわけでございます。本年のような、自然増収が国では四千八百億あり、地方では千七百億もあるような、こういう自然増収の多いときこそ多く減税してほしいと願っておったものでございますが、少額に終わったということを大へんに残念に思うものでございます。ことに住民税とか、事業税とか、電気ガス税は、これからもっともっと積極的に負けてもらってよかったのじゃないかしらん、こういう欲をかいております。今度の減税の幅を見ますと、国では初年度千四十二億、地方では二百七十三億、こういうようになっておりますが、何となく物価高で因っております私たちといたしましては、片方減税したのに、片方ではふえているじゃないかということを、一般の納税者は必ず思うと思うのです。それはよく読めば、増税にならぬようにしてあるということにはなっておりますけれども、それを理解する者はおそらくございますまい。そのために、何となくだまされているのじゃないか、国の方では下げた下げたというけれども地方ではふえているのではないか、こういう感覚になるのではないかと思います。ことに警察とか、消防とか、学校とかいうものにおきまして、税外支出として三百五十億も国民負担させられておりますし、最近のように中学浪人がずいぶん出てくるということで、お母さん方は大へん高等学校増設を訴えましたし、それとごみの回収とか下水の増設とかいうことの、衛生方面に対する陳情をいたしましても、結局は予算がないということで、いつの間にかこういうことがなおざりにされ、その反面、ここに知事さんがおいでになりますので大へん申しわけございませんけれども、公民館ができたり、いなかのまん中に庁舎がでんとすわっていたりいたしまして、そういうものができていく。これは悪いとは申しませんけれども庶民的感覚が少し欠けているのじゃないがということを考えておりますだけに、今度の税制改正というものが、万やむを得ない措置だとは存じますが、もう少し何とかあっていいんじゃないかという感じがするわけでございます。今度の地方税改正を詳しく見て参りますと、国と地方との調整と申しますか、地方の要求が大きいだけに、国税減税を遮断するという意味から、県の税金がここで一応形を変えていろいろ操作されたということについては、いい面と悪い面とが出てくるんじゃないだろうか、中途半端じゃないかという感じがいたします。簡素化すべきだという税制改正のあり方からいいますと、いろいろと上がらないようにしなければならないがために、何となく小細工されている。そして、なおわかりにくくしてしまっているのじゃないか。たとえば比例税率にしたり、それから税額控除特例を設けたりいたしましたところなんかは、なおなお複雑にしてしまっているということを感じるわけでございます。それと同時に、住民税のオプション・ワン、 オプション・ツーのただし書き等は、今までは五つの方式を条例でもって各市町村がまちまちにやっておりましたが、その五つを二つに改めたことは、単純化したことにはなりますけれども、大都市から見たならば少し不利になるのじゃないかということを感じます。ですけれども扶養親族税額控除標準化などをきめまして調節してあるとは申されますけれども、私たち財布から出しますものは一つでございまして、何となくどこかで融通しておると言われるけれども、概してもっと大幅に地方税まで減税をしてほしかったという感じでございます。  今、家庭には三月十五日までに確定申告をしなさいという紙が配られて参りました。こういう制度義務制になってきたということは、サラリーマンにとりましては、年末調整によって、いつの間にかわからずそれがされると思いますけれども、その他の者は、一度国へ控除額をすべて書き出したのに、また地方の方にもそれを書き出さなければならないというわずらわしさ、市町村税務事務所では事務の返上とまで言っているという騒ぎがあるということを、ある新聞で見たようなわけでございまして、こういう辺、もっともっと簡素化できないものだろうかということを感じます。  それで、いま少し一つずつの税について疑問な点を申し上げてみますと、先ほど申しました、住民税単純化はけっこうではございますけれども、今までの税負担の軽い方に統一してくれればいいのですけれども、重い方に統一しちゃったのではないかということを感じますし、基礎控除の際に、扶養者控除九万、七万、五万という制度を、改正を一年ずらしております。ことに青色申告者専従者につきましては八万と十二万の差があるというようなわけで、住民税独自の減税がもっとあってもいいんじゃないか。税率の緩和を三十八年度に延ばしたというところが、何となくずるいと思います。  府県民税住民税をともに国で徴収されますならば、百円について一円七十銭の徴収費で済むと聞いておりますが、これが各地方へ行きますと、今のように事務を拒否しているというようなことさえ起きておりますならば、今度は徴収費がまたまたふえていくのじゃないかということも考えますので、今後はこの徴収ということについても相当考えなければならないのじゃないかと存じます。  次に、電気ガス税でございますが、私たち家庭の主婦は、今まで電気料金の中に税が一割入っているということを知らずに使っておりました。物品税というものは、ぜいたく品からだんだんと必需品に変わるものを非課税として、このたび大幅な減税がなされたわけでございますが、電気ガス税のような戦時立法であるものを、なぜそのままたった一%だけの減税で済ましてしまったかということが、まことに残念でございます。生活が向上して参りまして、その使用料金が大へんふえましたために、その自然増収が今では市町村の費用の九・三%のウエートを占めておりますし、税額にして四百三十八億に当たっておると聞いておりますだけに、市町村でこの税が減収されるのはいやだというお声が大へん大きかったために、どうしてもこれはとってもらわなければならない、悪税だとおっしゃりながら、とってもらわなければならない。それで昨年はやっと三百円までを免税にしたわけでございますが、三百円というガスだったら、毎日お茶を一ぱい沸かすだけが三百円だと聞いております。ことに貧乏県にはこの影響が大きいというだけに、大へん問題ではございますし、不均衡をなお不均衡にするということは聞いておりますが一とって使う人の身でなくて払う方の身になって大いに考えていただきたい。ことに電気料金なんかどうかと申しますと、料金の徴収の仕方は、工業用の電力は家庭用の電力に比べまして三分の一でございます。そうしてその大部分が非課税になっておりまして、今まで九十三品目であった非課税が、今度十六品目追加いたしましたので百以上になります。これが料金が三分の一であって、しかも非課税でございますので、この四百三十八億はおそらく家庭が大部分持っておるのではないか、こういうふうに計算いたしますときに、何で一%くらいでこれが押えられてしまったかということでございます。ことに徴収がたやすくて、使用料をさらっと、主婦がわからないままにとられておるところにうまみがあるのでありましょう。それに引きかえまして、料理飲食税の方は、さっきも秋田の知事さんがおっしゃいましたように、答申では二千円が、いつの間にか三千円になっております。一本にいたしましたものの、この三千円ときまりました場合に、地方へ行ったならば三千円も使う人はあまりないのじゃないか。それと同時に、二人でもって三千円食べましたと言ったならば、これは逃げられるのではないかというようなことがあります。おそらく地方の方は、たなからぼたもちみたいにはあまりもらえないのではないか。今はこれが府県民税の六・三%のウエートを占めておりまして、二百九十一億に対して減税額は八十一億になりましたのですが、電気ガス税がたった五十億で終わっているというこの逆なところをよく見て下さい。どこかから圧力がかかって、遊興飲食税がその名前すら変えていったのではないか。今までは遊興飲食税と申しましたが、今度は料理飲食税と御丁寧に名前を変えております。そういうような圧力とか選挙対策で、こういうものが変わっていくのではないかということを、国民だれもが感じたわけでございます。  そのほか不動産取得税とか固定資産税とかも、これがよくわかる人はどれだけおるでありましょうか。税務事務所の言いなりに払っておりますし、市民が内容がわからないままに、ちょっと時期がおくれますと、矢の催促でございまして、二へん、三べんと令書が参りますし、しまいには差し押えという紙が来ます。そのくせ払ったのに領収書を持っておりませんと、領収書がない者には何べんでも払わせるのがこの税でございます。ことに不動産取得税でございますが、婦人団体あたりがこの間も地方で公益法人として債券まで発行して会館を建てたのです。ところが、寄附をちょうだいして建てて、収益が上がったか上がらぬかというころになると、もはや税を出せということになって大へん困ったということを聞いておりますが、こういうものを非課税にしてほしいということの要求は通らないのでございます。  それから国民健康保険制度というものが大へんに問題になってきておりますが、給付が各市町村によってまちまちでございますので、所得の低い人の負担が大へん重くなっておるという点、こういう点は、もう少しきめのこまかい方法があっていいのではないかと思います。  いろいろ申し上げましたけれども、要するに自治権の確立と知事さんの公選によりまして、各県が競って自主財源の確立に重点を置かれます。そして善政ではございますが、建設に、道路の、港湾のというように、大へんに努力されておりますところをまのあたりに見ますときに、税金だけでは限度があるんじゃないかと感じます。たとえば堺市の港を掘っているときには市が出し、隣の大阪の続いた港は府が出しておるといった状態で、参ったときには、市が三分間説明すると府が一分間説明するといった状態で、そういうところこそ何らか大きな方法があっていいんじゃないか。自治だ自治だと言いながら、まるで国の下請機関になり下がっているということを考えます。ことに最近行政水準改善と申しますか、九州あたりで五市が合併したということを聞いておりますが、こういうものを合併することは大へんけっこうなことでございますが、まず議員さんが減るだろうと思いましたけれども、議員の数は減らないで、せいぜい減るのが三役くらいだと聞いておりますけれども、こういうところを思い切って合理化していただく。各地の歳出構成の推移を見ますときに、県では議会費が戦前と戦後を比べましたときに〇・二から〇・四になり、庁費が二・五から八・五になり、市では議会費が〇・三が一・九になり、庁費が七・八が一九・八になっておりますし、人件費が二十六年に地方の方では三四%が三十七年になって三七%になっております。さっき知事さんも、今後人件費の値上がりが苦労だとおっしゃいました通り、だんだんと地方財政の大きなウエートを人件費が占めていくということが、将来大きに心配されるんじゃございませんでしょうか。こういうときに何とか、言葉が悪いかもわかりませんけれども地方では定年制もないということを聞いておりますだけに、首を切られていい気持はいたしませんけれども、そういうところをもう少し合理化したものがなければ、ふくれ上がるばかりだという、そういうものに対して、税金だけふやしてまかなわれていくことに、大へん疑問を持つものでございます。各地で聞くのでございますが、府県制度といいますか、国の仕事と地方の仕事の配分について、この際一度根本的に見直す必要があるのではないかということを、つくづく感じますものでございます。さっき九州のお話を申し上げましたように、連合体としての行政を考えていくと同時に、能率的な自治体の運営を私たちは願い、いわゆる公益行政的立場に立って、悪い言葉で言いますならば、税法をたてに議員さんが行政を悪用してほしくない、ここまで申し上げて大へん失礼なんでございますけれども、行政基準は高く、そして負担は軽くという点に徹底していただく。大へん虫のいい話でございますが、あくまでも公僕精神に沿って、十分なる行き届いた地方財政の運用をされたいということをお願いいたしまして、大へん勝手なことを申し上げましたが、これで私の意見を終わります。(拍手)
  6. 園田直

    園田委員長 次に上子参考人お願いいたします。上子俊秋君。
  7. 上子俊秋

    上子参考人 ただいま小畑参考人、三巻参考人から、それぞれの立場に立ってきわめて具体的な御意見の開陳がありましたので、私の方はごく大ざっぱに、今度の改正案について感じたことを申し上げたいと思っております。ただ同じような問題がありますので、多少重複するかもしれません。それはあらかじめ御了承を願いたいと思います。  まず今度の地方税改正案に含まれる減税規模について、私の意見を申し上げたいと思います。  今度の案では、平年度減税額は今までしばしば出ました通り四百二十二億円、初年度は二百七十三億円ということになっております。これは最近までの地方税の毎年の減税規模から見ますと必ずしも少ないものではない、むしろ多いという感じはするのであります。実質的な減税額を調べてみますと、所得税の一部地方移譲で道府県税増税される、それからたばこ消費税税率引き上げて、これも増税になる、こういう点がありまして、入場譲与税が減りましても、実質的には初年度でわずか百九十一億円の減収にしかならない。平年度では三百十七億、これは少し少な過ぎるのではないかという感じを持っております。  その理由といたしましては、第一に三十七年度の新しい税法でやった結果の地方財源増加というものを考えてみますと、最近自治省から発表された地方財政計画によりますと、三十七年度増加財源は税収で千六百八十九億、交付税の増加が八百八億、国庫補助の増加が千二百十億、これは増加財源といえるかどうかわかりませんが、地方債で百九億、雑収入が二十億、それから地方譲与税減収の百十二億という分を差し引きますと、実にその合計三千七百二十四億円という膨大な増収があるのでありますが、私ども税制調査会において地方税減税を審議いたしました際は、地方税自然増収が一体幾らあるのかという点ははっきりいたしておりません。そこで結局減税額も平年度三百六十三億、それでやろうということになったのですが、いざふたをあけてみたところが、これだけ膨大な増加財源があるという点から考えまして、もっと減税してもよかったというふうな感じを今持っております。  この財源とは別に、住民負担という点から考えましても、国税の場合は過去に毎年、たまには一、二年抜けたことがありますけれども相当減税をいたしております。三十六年度の例で申しますと、所得税納税者の数は大体千四百万人、これは概数でございますが、就業者総数の三割ということになっております。また間接税のうちでも、物品税などについては課税品目の選択上、それから免税点制度などで、大衆負担は割合軽くなっておるということがいえると思うのですが、地方税の場合は住民税所得割納税者の数は約千五百万人、これは就業者総数の三五%に当たります。また均等割の方では二千七百万人、実に就業者総数の六割がこれを納めておる。そのほかに固定資産税の納税者が約千八百万人おります。電気ガス税では千四百万世帯が納税対象になっておりまして、きわめて大衆負担が多いというふうに感じられるのであります。今後国民税負担をさらに軽くするというためには、国税ももちろんでありますけれども、特に地方税の面において、零細負担を排除するというふうな方向に持っていくべきではなかろうかと思っております。これに対しまして、地方財政上、いろいろ困難が多いという意見が、先ほど小畑参考人からも出ましたけれども、それはなるほどもっともな御意見であると私は思うのです。しかし最近の地方財政の状況を見ますと、府県の例だけを申し上げますが、二十九年度には赤字団体は実に三十四の多数を数えておりました。そして決算収支全体で二百四十七億円の赤字を記録しておったわけであります。ところが三十五年度には赤字はわずか二団体になっている。決算収支も四百六十五億円の黒字であります。財政再建債の償還残高も順調に減少しているといっていいと思うのであります。今地方団体の側では、道路とか、あるいは上下水道、あるいは塵埃処理施設といったふうなものが非常におくれている。それで住民が非常に困窮しているから、現在の段階ではこれをまず整備するのが先だ。減税はあとでもいいということでもないのでしょうけれども、それよりもこの整備が先だという考え方をとっているようであります。この意見は私にもわからないわけではありませんが、明年度のように大幅な増収が期待される機会には、もっと減税額をふやすのが当然ではなかろうか。また地方団体相互間において財政力の均衡をはかる、あるいは財政運営の合理化をやる、そういうことで行政水準引き上げはやれるのじゃないか。たとえば地方財政の三七%を占めている給与費、これは新しい財政計画では三七%に下がっておりますけれども、これは地方税収入の大半を食ってしまっておる。いわゆる投資的経費と申しますか、地方単独で事業をやる、あるいは国庫の補助による事業をやるという場合の金は、全部交付金その他の国からの財源にたよっているという形は必ずしも正常な形ではないと思っております。現実に来年は地方選挙が多く行なわれますけれども、今度の地方予算の編成にあたって、いわゆる選挙目当てにいろいろなことが考えられているということをわれわれはときたま耳にするのでありますけれども、こういうつまらない——つまらないと申すと怒られますけれども、そういう不急不要の工事をやるということはやめてもいいのじゃないか。もっと必要なところに使った方がいいのじゃないか、そういうふうな問題が一つあると思います。  それから、私は地方のことはあまりよく知りませんが、東京都の例なんかを見ますと、東京都職員の給与ベースは国家公務員よりもはるかに高い。私は正確な数字を持っておりませんが、平均大体四千円くらい高いのじゃないか。それから大阪の場合も同じであります。これは富裕団体に限りまして、貧弱な財政しかない地方ではむしろ低いところもありますけれども、どうもこういうふうに一部で突拍子もなく高い給料を払っているという例がありますと、どうも地方財政はルーズではないかという印象を持つわけであります。必ずしも全体がそうであるとは申しませんけれども、そういう点も気をつけていただきたい。  それから道路の掘り返し、ガスとか水道とか、いろいろな工事をばらばらにやって、一ぺん舗装した道路を何回も掘り返して、実にむだづかいをやっておる。これもまたしかられそうですけれども、成人式とかあるいは老人の日なんかを作っていろいろ催しをやっておる。ところが私の住んでいる地域では、ごみとりに来るのは、東京都の清掃局へ問い合わせますと、週に二回が原則であるというわけです。それが十日に一回くらいしか回ってこない。なぜそういうことになるかといえば、これは予算が不足だからという返事をするのであります。しかしこれもつまらないところに金を使わないで、もっと必要なところに使うことによって改善できるのじゃないか、そういうふうに考えるのであります。  これらの点から見ると、今度の改正案というのは、どうも地方公共団体財源保障というか、財源強化という面に重点が置かれて、減税が少しあと回しにされているのじゃないかというふうな印象を持つわけであります。三十六年度税制改正のときは、国税減税地方税が大きく減らないようにということで、課税方式の整理統合が行なわれました。その結果住民税減税は完全に見送られたのでありますが、今回も国税である所得税減税と、地方税である道府県民税増税を組み合わせて、同時に行なうという方法をとっておりますが、その結果どうなるかと申しますと、われわれのような給与所得者の標準家庭の例を申し上げます。これは夫婦、子供三人、五人家族でございますが、年収五十万円の場合所得税は前年より三千四百七十七円減る、これは三七%でございます。ところが道府県民税の方は九百九十一円、これは金額は小さいのですが八二%の増になる。これを差引すると二千四百八十六円の減税、これは二四%しか減税にならないという仕組みになっております。この場合の減税額は月にするとほぼ二百円ということになるのですが、一方では年収二千万円以上五千万円以下の金持の場合は、総合した減税率は〇・六から八というふうに非常に低いのですが、所得税道府県民税減税される、結果的にはこういう方式でいきますと、低所得者の住民負担の方が重いということになると思うのであります。この不公平はなぜ起こったか、私ども税制調査会の審議の際にこの点は大いに追及したのでありますけれども、結局今まで十三段階に分けられておった道府県民税率というのを、年収百五十万を境にしてそれより下は二%、それより上は四%というふうに税率の簡素化をはかったというための結果であります。税率の簡素化ということは、私も大賛成でありますけれども、その原則にとらわれているということによって低所得者に不公平な負担をかけるというやり方は、今度の審議の際によく皆さん方に検討していただきたいと思う点であります。役所関係の方ではよく調整してあると申しておりますけれども、その点をもう一度よく見ていただきたい、こういうふうに考えております。  大体大ざっぱな意見はそれで終わりまして、あと簡単に二、三問題点だけを取り上げて申し上げたいと思うのであります。  その第一は、入場税国税移管の問題であります。これについてはいろいろ反対がある。特に地方団体の側では意見もあるということを聞いておりますが、入場税収入というのは最近はテレビその他の影響でだんだん減る方向に行っております。将来もぐっと先細りするであろう。こういうものを財源にしておるよりも、所得税を移してもらった方が地方財政としては安心して、しかもこれは後々ふえる可能性のあるものだという点で、この措置には私は賛成であります。  それからたばこ消費税を上げたという点は、貧乏県でもかなりの税収がありますし、全体としてもやはり今後ふえる見込みがありますので、これも賛成しております。  また法人事業税分割基準改正ということを行ないまして、富裕団体が貧乏団体——これはどうも言葉が悪いので工合が悪いのですけれども、ほかに適当な言葉がないものですから貧乏団体と申し上げますけれども、これに平年度で二十億ばかり財源を移譲するというのは、いわゆる富裕団体と貧乏団体の格差を是正するという点は非常にけっこうなことだと思っております。ただ貧乏市町村に対する財源移譲というのには、あまり具体的な措置が講じられていないのではないか。貧乏市町村は個人の市町村民税について、低所得者の税率を緩和した、それから扶養親族課税控除の標準額を法定した、電気ガス税税率引き下げられた、さらに非課税品目が拡大したというふうなことで、かなりの減収になっております。その穴埋めは、わずかにたばこ消費税配分の仕方を改めて有利にしただけだということであります。この点もよくお調べ願いたいと思うのであります。  それから住民税につきましては、市町村民税で所得割のただし書きによる負担は、本文方式より過重だということは今までもわれわれ申しておったのでありますが、さしあたって扶養人員に応ずる課税控除の標準額の法定にとどまったということはどうもあまりうまくない。この点は今後優先的に負担が軽くなるように努力していただきたい。  それから個人事業税の問題は、来年度税収の二割とかなり大幅に軽減されておりますのは、中小企業者にとって非常にけっこうなことだと思うのであります。これに対していわゆる給与所得者の負担というものも、せめてそれに近い程度財源の許す限り軽減していただきたい。  それからこれは悪名の高い電気ガス税の問題でありますが、電気ガス税を消費者に対してかけるのは、これは米や水にかけるようなものだというのは、かつて池田総理大臣も国会で申しておられます。従ってこれを廃止した方がいい。それから生産者に対してかけるのも、これはいわば原料にかける。原料にかけるというのはコストに響くわけであります。物価高を招くという点でもやはりあまり賛成できない。だからこれははずしていただきたい。諸外国の例を見ても、電気、ガスに対して高率な課税をやっている国は一つもないと私は聞いておる。しかしこの電気ガス税の税収は五百億近い金額に達しておりますので、これを一挙にはずした場合は、一体かわり財源があるのかという問題が当然起こってくるのでありますが、今のところ一体これにかわる何がいいかということまでは私は考えておりません。これから皆さん方に考えていただきたい。それで将来は廃止してもらうという方向に持っていっていただきたい。  それからもう一つ、これは三巻さんもおっしゃいましたけれども、料理飲食税、それから自動車税の問題であります。今度の改正で料飲税は場所区分をやめて、一人三千円以上あるいは三千円以下ということで、一〇%と一五%の区別をつけましたけれども、これはどうもおかしいのじゃないか。われわれが最初答申したときは二千円で一応区切りをつけたのですけれども、そのときも金額で区切りをつけるというのは脱税を奨励するようなものじゃないかというふうなことで、いろいろ議論があった。ただ、いろいろ時間の関係もありまして、二千円という区分で通したわけでありますけれども、どうもこれを三千円に上げるということになりますと、こういう席で申し上げるのはどうかと思いますが、芸者をあげてどんちゃん騒ぎをする人と、同窓会あたりでささやかに飲む人あるいはお祭りやお葬式で飲む人もほとんど変わらない、同じ税金をかけられるという不合理があると思うのであります。しかも納付期が今までは翌月の十五日までだったのを月末までに延ばした。これはどうも業者に対して一方的に有利過ぎるという点も問題になります。それから自動車税の場合もやはり答申とやや違っておりまして、もっと軽減されております。この二つが政府案が調査会原案と変わった点で、料飲税では十三億円、自動車税では十億円減税分がふえている。こういう点の不必要な減税をするくらいなら、これを住民税とかその他のもっと必要な減税に回すべきであるというのが私の考えであります。  だいぶ時間もたちましたけれども、あと一つ、二つ申し上げますと、これは直接税金の関係ではありませんけれども税外負担の問題が一つあると思います。これは地方によっては税と同様に、強制的に非常に重い負担になっているという実情でありまして、今度の地方財政計画でも百億円を計上してこれを解消するということをいっておりますけれども、この前も、私の記憶がはっきりしませんが、たしか二百億円くらい計上して、そうして住民負担がはたして減ったかというと、あまり減らなかったということも聞いております。従って税外負担実情というものをよく調査して、住民負担をかけないような方法を講じていただきたい、こういうふうに考えております。  大体今回の改正は、税源配分についても、その根本である国と地方の財政関係の改善という点、それから地方の財政運営の合理化、それから国と地方事務配分あるいは費用の適正化、あるいは地方行政機構の改善といったふうないわば非常に重要な問題でありまして、簡単に言うわけに参らないのです。この点があまり突っ込まれていない。従って、今の段階ではやむを得ないと思うので十けれども、今後はこの点まで深く突っ込んでやっていただきたい。特に地方制度については、明治以来、交通通信の発達した現在、いまだに同じ府県制度をとっております。アメリカの一州ぐらいの面積しかない日本で、はたしてこれだけの県が要るかをどうか、これは私個人の意見でありますが、あるいは道州制、もっと大きく統合することによって、先ほどほかの方からも話の出ました地方公務員の過剰問題、これは過剰と一口には申し上げられませんけれども、少し多過ぎるのじゃないかという感じもいたします。これも自然に何かできるのじゃないかというふうな感じを持っておるのです。まあ、このところまでいきますと少し問題が大きくなりますので、一応この辺でとめさしていただきたいと思います。
  8. 園田直

    園田委員長 以上をもって参考人よりの御意見の開陳は終わりました。  次に、質疑の通告がありますので、これを許します。委員の諸君に申し上げますが、参考人方々は皆さん御多忙でございますが、特に上子俊秋参考人は、職務の関係上正午までにできるだけ退席したい、こういう御希望でございますから、そのおつもりで御質問願います。渡海元三郎君。
  9. 渡海元三郎

    ○渡海委員 いろいろ御高見ありがとうございました。  小畑参考人に聞きたいのですが、これは上子参考人もおっしゃいましたのですけれども、このたびの地方税改正案の中に、いわゆる税源配分が取り上げられたのです。政府の税制調査会が設けられました大きな目的の一つは、国と地方税源配分をこの際抜本的に考えようということでございまして、相当年月をかけてやっていただいたのじゃないか、こう思っております。私らもこれに期待しておったのですが、この期待に対してはあまりにも少な過ぎたのじゃないかという意見がある。私も事実その感じがするのでございます。今お述べになりました御意見の中にも、根本的には国と地方制度のあり方、事務配分のあり方というものを考えなければいけないんだ、答申もそのことを書いてありますが、税制調査会でこのことを考える前に、制度そのものを考えるような地方制度調査会もございますが、こういったところでこの根本を考えて、この根本から、あるいは今回大蔵省が作っておりますような国の負担金、補助金の制度の問題の審議会とかあるいは税制調査会とか、それぞれの分野に応じてやってもらうという方向が正しかったのじゃないだろうか、私はこういうようなことを感ずるのであります。しかも今日の段階におきまして、いろいろ今御意見がございましたが、地方財源がないために、地方税改正というものが、財源論からある程度考慮されざるもやむを得ないという実態からながめましても、ぜひとも抜本的にやらなくちゃならないのじゃないか、こういうふうな感じがするのであります。この点についての御意見を聞かしていただきたいというのが第一点。  もう一つは、毎年々々地方税改正をやるのでございますが、知事さんという立場において、こういった姿ではたして責任ある財政運営ができるかどうか。各方団体といえども、長年にわたって財政運営の計画を立てておられる。その運営計画の上には、おそらく減税案というものはあまり考慮することもできないし、また考えずにやっておるのじゃないか。しかも一方的に国が制度を変え、あるいは譲与税を変え、減税をやられると、はたして責任ある地方自治運営ができるかどうか、これではその日暮らしの財政計画を立てるより仕方がないのじゃないか、もっと責任ある地方自治体の財政運営をやるためにも、地方税減税というものは、よく地方自治体の声を聞いた上で、ほんとうに何年かに一回やるべきなんだというまでに、抜本的に財源配分が行なわれなければならないのじゃないかというふうな感じがするのでございますが、この点あわせて、知事さんという立場において一つ御答弁願いたい。
  10. 小畑勇二郎

    小畑参考人 私も、税制調査会の一人といたしまして、三年間出席をいたしましたが、税制調査会の三年間の審議の過程におきまして、いろいろな問題点というものが究明されまして、大きな方向というものは示唆されたのでありまして、そういう意味で相当の役割は果たしたのではないかと思うのでありますが、しかし問題が進んで参りますと、税制調査会という土俵では、解決のつかない問題が非常に多いのでございます。また他面、この国庫補助制度の再検討を行なわれる、こういうことでありまするが、しかし単に国庫補助制度というものをやってみまして、それではその土俵で解決がつくかどうかというと、これまた非常に困難な問題に当たると思うのであります。結局、地方の税財政のためにいろいろな審議会が設けられますけれども、きわどい問題になりますと、これは自分の方の限界ではないというので、未解決の問題が集積されておるというのが、今日の現状でなかろうかと思うのであります。従いまして、地方自治というものを進展させようという基本的な観点に立って、総合的な立場から一つの会合を持たれて、そして部会としていろいろな問題を検討されるということを、ぜひともやっていただきたいと思うのであります。  それから第二点の問題でございますが、一体この現状で、地方というものは責任のある自治行政ができるかどうかという問題でございます。私どもの県におきましては、今度予算編成をいたしましたが、予算規模が大体二百八億でございます。税収入がどれだけあるかというと、二十億でございます。従って九割というものは依存財源であります。地方財源を付与するというと、何か非常にぜいたくをするのじゃないかという、いわゆる地方団体ぜいたく論というものが横行しておるようでありますが、むしろ人からいただいた金というものは、無責任に使いやすいのでありまして、自分で集めた金というのは、これは念入りに使うというのが人情でございますから、もう少し自己財源を付与していただいたならば、もっと有効適切な使い方ができるのじゃないかと私ども思うのでございます。先ほど地方団体は、昨年度の剰余金が大体四百六十億あるじゃないか、黒字じゃないかとおっしゃいました。なるほど、そういう計算になりましょうが、他面五百億の起債というものがございまして、これが赤字でございますますから、差し引きでは赤字になっておるのであります。いつも言う言葉でございますが、国は一銭も公債を発行しないのに、地方は年々公債の発行をしておる。そのほかに、数年前の計算では、税外負担が二百五十億と聞いたのでありますが、最近の調査では、三百五十四億になっておるようでありますからして、結局地方財政赤字のしわ寄せというものは、住民負担という形で転嫁されておるのであります。PTAとか、そういうような非常に使い方の吟味されない住民負担という形を、ますます増大することがよいのか、減税という名前にとらわれて、無形の負担住民に転嫁させることがよいのか。今までは国が減税をしたから地方もつき合え、こういうのでありますが、国の会計は一本でありますが、地方団体は数千の団体一つ地方自治体になっておるのでありまして、その運営は千差万別でございます。従って、集計は黒字になっておるのでありますが、吹きだまりのような状態もございますし、単に出た黒字をもって、地方団体はいいではないかということもまたいかがかと思うのでございます。要するに、私どもは、全体の予算の九割が依存財源であるという、こうした姿では、結局責任のある自治運営というものは、なかなか保しがたいというのが現状でございますので、やはり地方行政水準引き上げる、それには自主財源を付与するという基本的な立場に立って、今後一つ、いろいろな機関なり検討が持たれることを切にお願いいたしたいと思います。
  11. 渡海元三郎

    ○渡海委員 上子参考人は、時間の関係で帰られるそうでございますので、ちょっと二、三点。これは意見を交えて失礼になるかと思いますが、上子参考人は、税制調査会にも出ていただき、あるいはまた論説の面を受け持っておられますので、地方自治のあり方というものについて、強い批判力と、また及ぼされる影響も大だと思いますので、特に質問させていただきますとともに、地方自治のあり方というものに対して、今後とも一つ御協力を賜わりたいと思うのでございます。  まず第一点は、減税規模国税と比べて非常に少ないのではないか、こういうことでございます。ことしは清水の舞台から落ちたつもりで、自治省減税をやったのじゃないか。小畑参考人は、少し多過ぎたのではないかということを言われておったのでありますが、これは立場の関係上そうだと思いますが、なるほど国が一千億余り、地方は初年度にいたしまして二百七十二億、しかも今差し引き百九十一億だと言われましたが国の減税の一千億の中には、当然三税の減税がございます。しかもそれが大部分なのでございます。その三税の二八・九%というものは、国が減税をやることによって当然減らされます。このたびの主税の減税額が大体九百六十億、これによって交付税の減って参りますのが二百七十六億、そうなりますと、国の減税は一千億から三百億ほど引かれまして七百億、地方は今の二百七十三億でございますが、この上に加わって五百七億、しかも地方の税収というもりは、今申しましたように一千七百億しか自然増がない。交付税の増を加えまして二千五百億。そうすると国との比率において、結局地方がそう軽い負担減税をやっているのじゃない。要は、私は国の税金地方税金とを比べまして、とられる側は一本でございますが、国税地方税現状からいうて、住民の感ずるのは、非常に過重に感ずる税が地方税の中にあるのじゃないか。ところが国の方は、七割ものものを国税で取り上げて三割しか地方に渡されていない。これほど少ない財源ですから、地方が税改正がおくれてしまった。これはやむを得なかった。むしろもっと移譲をやって、その中で住民課税国税と同じ負担の限度まで下げるのが当然だ。上子参考人が言われました前にもっと国税の移譲があって、そして地方税を下げるということが、私は必要じゃなかったかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  12. 上子俊秋

    上子参考人 大へんおほめにあずかったりひやかされたりしましたが、最初の、国税減税に比較して地方税減税は、決して少なくないというお話であります。私もその通りだと思います。ただしきょうは地方行政の委員会じゃありませんので、地方税減税だけ私はお話をいたしました。国税減税についても、別に意見を持っております。しかも、これは税制調査会の速記録に残っておると思いますけれども、国の増収が大体五千数百億ある、来年度二千億以上の減税をすべきだということは私も申しております。たまたま私の意見が少数意見となりまして、今おっしゃったような千億程度減税にとどまったのは非常に遺憾なことでありますけれども、従って国税の方ももっと減税してもいいだろう、だから地方税がそう少なくないという点も、国税がもっと減税しておればそう大したことはないというふうな言い方ができると思うのです。  もう一つの、地方にもっと財源を移譲してやれ、仕事の量からいって、中央官庁は計画官庁である、実施主体は地方出先機関で——出先機関と言うのは適当ではありませんが、地方団体であるという点は私も認めております。しかし、一体今使われておる地方財政の内容が、はたして妥当なものかどうかという点になると、どうもそうではないのじゃないかという疑いを持っておる。ただ先ほども税制調査会が根本的検討をやらなかったという御質問が小畑さんにあったわけですが、まさにその通りであります。税制調査会税制だけのワクをはめられておりまして、歳出まで押えるということをやっていいのか悪いのかということは、税制調査会が始まった当初においてわれわれも非常に議論をした。結局これはやめた方がよかろう、われわれの仕事のワク外であるということで、歳出まで調べるということはできなかったわけです。  それから地方行政制度の問題についても、これは別個の機関でやればいいということで触れなかったために、先ほども私が申し上げましたように、根本的な検討を怠っている。その結果こういう微温的と申しますか、小手先のような改正案しか作れなかったということを申しておるのであります。従って、地方の仕事といいましても、たとえば、私、公務員のことばかり言って社会党さんあたりからしかられるかもしれませんが、地方公務員の数というものは三十六年度百六十万一千人おるわけです。おそらく国家公務員の方がそれよりも十万ばかり多い、これも問題になると思います。地方は、昭和十三年度においてはほぼこの半分だったと私は記憶しておる。もちろん福祉国家をめざして政治が行われている以上は、地方公務員の数もふえるのは当然と思いますけれども昭和十三年度に比べて二倍以上の人員がいるという点は、やはり疑問があるのじゃないか、これも一体どういう仕事を一人々々していて、だれが遊んでいるかということを正確に調べないことには、私も自信があることは言えないのです。何かよけいなことをし過ぎているというふうな感じも持っております。そういう意味で財源の移譲をされるという主張はわからぬこともないのですけれども、その前に歳出の内容をもう少し検討してもらいたい、これが私の願いであります。
  13. 渡海元三郎

    ○渡海委員 歳出検討はよく言われる問題でございます。当然のことで、私たちも考えなくてはいけないと思いますが、御意見の中にありました給与費が三七%を占めておるということ、昨年の給与費は三八%、ベース・アップしながらも一%減っておるのであります。しかし地方団体というものは国と違いまして、実施機関じゃないか、この三七%の人件費の中には、今投資的経費と対比されましたが、むしろ事業をやる投資的経費に入れるべきものが、この中にも入っているのじゃないか。警察官吏にしてもしかり、学校教員にしてもしかり、そういう意味から言いましたら、この給与費の観点が、公務員の数がふえるということだけでは割り切れないものがあるのじゃないか、地方の給与費というものは、名前は給与費でございますが、給与そのものが、人そのものが仕事をしているということ、しかもそれが大部分を占めておる。私も精細には調べておりませんが、むしろ本庁の職員の増加程度というものが国と比べて圧縮されておるのじゃないか。要は、不要な人員が多いのは零細な補助金とか何かを国が持っておるために、国が出てこなければならぬということで要らぬ費用も出てきますから、むしろそんな財源地方にやることにすれば国も簡素化され、地方も簡素化される。しかももっと必要な部面に金が投げられる、それを住民に監視していただく、そのために財源配分が必要だ、私たちはそんな感じで扱っておりますが、その点についてのお考えをいただきたいのと、もう一つ給与ベースのことで、地方は大体国家公務員よりも高い給与を払っておるのじゃないか、なるほど東京、大阪あたりではそうでございます。そこでそんな富裕団体財源をぶった切れという議論がよく出てきます。しからば東京、大阪の吏員にそれだけの給与を払っていて、この大東京の行政を行なうのにふさわしい人間が、一般事業体と比べて確保されておるかといいましたら、協定を破ってまで先に就職試験をやらなくてはならないというのが実情じゃないか。それだけの給与を払わなければならぬ。これはおかしな例でございますけれども、先般私、大蔵省からそう言われたときに、君、月給を五千円上げてやるから東京都の役人になって行くかと言ったら、私は行きませんと言った。そのときに向こうは、——こんなことを言ってはいかぬのですが、金は要らぬから国会議員になりたい、こう言って笑ったことがございます。事実高いと言われますけれども、そういった面を見ていただいたら、そうも言えない問題があるんじゃないかと考えております。そういう点から歳出の面で冗費があるという点は考えられますが、制度そのものの中にもそれがあるんじゃないかと思っておりますので、この点をあわせて一ぺん御意見を伺いたい。
  14. 上子俊秋

    上子参考人 大へんむずかしいことで、さっきから弱っておるのですが、最初の地方公務員の増加よりも国家公務員の増加の方が多いんじゃないかというお話でありますが、昭和十三年度の——戦後公務員制度が変りましたから、それと正確に比較するわけにはいきませんけれども、いわゆる官吏と称する者は九十四万八千人でありました。ところが現在の国の公務員数というものは、百七十六万七千人になっております。地方の方は昭和十三年末は八十四万四千人、現在が百六十万一千人、これは概数であります。大体倍率はほぼ同じ、むしろ倍率でいくと地方の方がちょっと高いかもしれない。これはよけいなことですが、給与が東京、大阪は高い、高くてもなかなかいい人がこないんだということなんです。僕は人の問題ももちろん大事だと思うが、東京、大阪の場合はむしろ機構の問題が先じゃないかと思う。私も、あることで東京都へ陳情手続に一度参ったことがあるのですが、きわめて簡単なものですが実に十数日を要した。しかもあまり長くかかるので僕の方でその申請をやめてしまったという経験を持っている。人間の能力というものはそれほど違うものじゃない。ばかと天才は違いますけれども、普通町を歩いている人ではそう違わない。問題はそれをどう動かすか、機構をどうするかという点に重点があると思う。東京、大阪がこんなに給与ベースを高くするのは人を集めるためだというが、僕はそれが全然理解できない。そういう意味で東京都政というものはきわめてむだが多い。われわれ新聞社としても、国家財政その他については大上段にふりかぶっていろいろ議論をしますけれども、どうも東京都の問題になると、ついすみっこの方にやって、あまり扱わない。そのためにいろいろなことが行なわれておる。伏魔殿だという説さえあるのであります。私はこれは保証はできません。それで責任を追及されても困ります。そういううわさが出るということは、給与ベースの問題とかなんとかに関係なく、やはり行政のあり方という点に問題があると思う。  もう一つ、給与費が多いということ、これは先ほども僕の方から説明したように、中央官庁は計画官庁である、実施主体は地方団体であるという点で、なるほど地方の方が今人が要るのがあたりまえだということもわかります。が、それだからこそ、さっき私が意見を申し上げたときに、中央と地方の行政事務こいうものをもっと分担をはっきりさせて、その上でやったらどうかということを申し上げたわけであります。多いということはわかるのだけれども、はたして今の人数が適正かということについては、必ずしもあなたの御意見のような、これはいいんだというわけには参らぬと思う。これも調べてみないことには何とも言えないのでありますが、それくらいのところでごかんべんを願いたいと思います。
  15. 渡海元三郎

    ○渡海委員 社会党さんの方の質問もあると思いますので、簡単に最後の一点だけお聞きしておきたいと思うのでございますが、今の電気ガス税のことでございます。電気ガス税は悪税であるということは、よく言われるのでございますが、なるほど物品税、消費税というものは奢侈であるからというのでかけるのではないが、しかし能力に応じて、何かで税金はとらなければいけない、しかも応益性が非常に強い地方税におきまして負担分担の意味からいきましたら非常に公平にとれるんじゃないか、まあその点、将来はやめる方向で進め、——私たち税率は決して低いとは思いません。ある程度税率に下げなければいけませんが、応益という面を考えましたならば、悪税というよりもむしろ率が少し今のところ高過ぎるんじゃないかということで、電気ガス税は、そういう考え方であればこそ、何といいますか、一番生活の能力に応じて公平にかけられるとも言い得るのじゃないかと思いますので、この点から、率は下げることはいいかもしれませんけれども、むしろ置いておいてもいいものではないか、こういうふうに考えるのですが、この点につきましては、どうお考えですか。
  16. 三巻秋子

    ○三巻参考人 今応益性とおっしゃいますけれども、それは、どの税金をとっていいか悪いかという、その物によって差があっていいと思うのです。だから電気、ガスみたいな空気や水みたいなものに税金がかかるということに私たちは文句を言うのであって、今度のように、しかも家庭がよけい負担していて、工場側の方が非課税になっているというところに問題があるわけでございます。工場の方もその非課税をなくして、全般的に五%なら五%に暫定的に持っていくというのなら私も納得できると思うのです。だからそういう意味において、工場が物価が上がるじゃないかと言われてみても、それはある程度原価のコストの切り下げによってまかなっていただかなければならぬというような方向で、物に対して、たとえば物品の方から考えてみて、これはかかっているのに、こういうものには、かかってないじゃないかという、その均衡の面においてこれが悪税だということを申し上げたわけであります。
  17. 園田直

    園田委員長 二宮武夫君。
  18. 二宮武夫

    ○二宮委員 先ほどから地方自治のあり方その他について、基本的な問題が論議されたわけでございますけれども、私は、地方自治というもののあり方そのものについては、憲法第八章において保障されている、それを中央に集権をしようという頭の考え方のおかしいところに、地方自治のあり方の誤りが出てくるのであろうと思うのです。それから地方財政計画、これは、税制調査会に政府が諮問をして、その結論を待って、——先ほど発言をされた渡海さんも当時の政務次官で、非常に勇気を持って、今度は抜本的に非常な決意でもって地方税法改正するのだということを言明された一人なんですが、そういうものがなぜ行なわれないかというと、税制調査会というようなものに諮問をしておきながら、民主主義のあり方からいって、やはり主権在民の姿で政府はそういうところの意見を徴しながらも、その出てきた意見を尊重しないというところに問題がある。そこで先ほど上子さんが指摘をされましたが、後藤田税務局長は、大衆課税というものは非常に軽減をしたのだと言われておるけれども、やはり税制調査会の一員である上子さんは、今度の税制はやはり大衆課税であると、こういうふうに指摘をされておるのであって、やはりそういうところに問題があろうかと思うのです。同時にまた、地方団体と中央政府との財源の問題については、これは予算の第四分科会で私指摘いたしましたけれども、どうしても地方団体と中央政府との間に相互不信の感がある。お前のところは黒じゃないか、おれのところは赤だ、こういうように中央と地方との間に、相互に信用しないような感じがあるのです。そういうところにいろいろな問題が制度として出て参りましても、せっかく貴重なものを、知恵をしぼって作りました地方税におきましても、これを政府は取り上げなかった。先ほどのお三人の参考人の御意見を聞きますと、どこからか何らか圧力があったというようなお言葉もありましたけれども、やはりそういうような意味から申しますと、まじめに、ほんとうにすなおな気持で税制調査会に諮問したならば、そのいいところというものは、やはり大衆課税だと反対されないように、そういうことを十分くみあげて税法の改正の中に入れていかなければならないと思う。こういうところに問題があろうかというふうに私は基本的には考えるのです。三人の方から率直な御意見がございましたし、一般論としては、一応この際渡海さんから論じられましたので、私は今後税制の小委員会で具体的に問題を検討していきます建前から、小さな税目別の御意見を皆様方にお聞きしておいて、今後慎重に審議していきたいという考え方に立って御質問を申し上げたい。このように思うわけでございます。  まず第一に、どなたからも出ておりました税外負担の問題でございますが、これははっきり地方財政法の第二十七条の三に、市町村の当然負担すべきものについては、これを市町村民の負担にさせてはならないということが明瞭に法律としてあるわけです。ところが実は、実際問題としてそれがなかなか実行されておらない。できれば何とかやりやすい方向からお金を集めたいということが問題になりまして、税は税としてとるかわりに、同時に別個にまた寄付金を集める、こういう格好になりがちなのが地方財政の状況ではないかと考えるのです。  そこで知事さんにお聞きしたいのですが、地方税外負担の問題について、どのように法律が守られておるのか、あるいはこれにつれて政令も施行されているわけですが、とれがどのように市町村や県で具体的に行なわれておるのであろうかということを私は懸念いたしますので、この点一つお聞きしておきたいのですが、こういうものが制定されます以前と後とでは、大して差がないのかどうか、具体的な状況というものをお聞きしたいのですが、これがだんだんふえているという問題は大へんな問題だと思いますが、どうでしょうか。
  19. 小畑勇二郎

    小畑参考人 政府からいろいろな通達もございまするし、財政法の規定もございます。そういうものが制定せられる前と、現在はどうかというのでありますが、相当是正をされておりまして、私ども市町村の分担金というものはできるだけ軽減をいたしたい、また市町村でもそうしたものは軽減に努めておるのであります。しかしながらどうしても解決のつかない一点があるのでありまして、それは国の補助基準と単価の問題でございます。たとえば、一番大きいのは教育費の分担であろうと思うのでありますが、文部省の補助単価というのは、大体坪数に対して三割減をいたすのが一つの常識になっておるのであります。実際に必要な坪数に対して、まず三割のものを頭切りをする。それからたとえば建物の構造でありますが、今度改正をされましたが、高等学校の建物は六、一、三、鉄筋が六割、鉄骨が一割、木造が三割とこうなっております。しかしながら、これから建てます高等学校に木造なんというものはあり得るはずがございません。それから一坪当たりの単価でありますが、大体たしか鉄筋コンクリートで六万三千くらいだと思うのでありますが、六万三千で鉄筋の建物が建つわけがないのであります。従いまして、どうしても必要でありますから、やはりその増加分は地方住民が分け合う、こういう形でございます。従いまして、私どもも法律また通牒は守って漸次軽減に努めておりますが、根本のこの国の補助基準といいますか、単価というものが実情に即するようにならないうちは、なかなか税外負担の解消はできないではないか、こう思うのであります。ことに高等学校に対する対策が現状のような状況では、おそらく税外負担というものは飛躍的に増大するのではないか、好むと好まざるとにかかわらずそういう状況になるであろうということを、先ほども申し上げましたように、心から憂慮をいたしておるわけであります。
  20. 二宮武夫

    ○二宮委員 私は昨年雪害調査で秋田県におじゃまをいたしまして、特に雪の深いところにおける火災は非常に危険を伴うといいますか、人命を失うことが多い、出口が非常に少ないために非常に多いのだということをお聞きいたしました。同時に、近ごろの新聞を見ますと、東京都などでは木造で高層の建物がありますために、火災が起こりますと死亡者が非常にふえてくる、こういう実情にあるわけなんでございます。ところが消防費を私調査して参りますと、国における負担費は、ことしの全体の予算が二四%増になっておるにもかかわらず、消防費は昨年の国の費用に対しましてわずかに一二%、それから県の負担を申し上げまして大へん失礼ですけれども、実は ○・〇五%三十五年度は減っておるというような実情でございます、市町村においてはそれが少ないために税外負担をしてやはり寄付を集める、このような状況になっておるのでございます。特に火災によってなくなるところの人数は、三十年の六百九十四名という死者に対しまして三十五年は七百八十名というような上昇率を示しておるような状況であります。近ごろの新聞は、火事のためになくなる方の報道が、非常に大きく伝えられておる状況でございます。このように国、県、市町村とも、交付税をもとにいたしました消防に対する費用は非常に少ないのでございますけれども、何とか消防に対する特別な税金というものを考えてみたらとうかという考え方を私どもも持っておるわけなのですが、これに対するお考えを聞かしてもらいたい。
  21. 小畑勇二郎

    小畑参考人 いろいろ地方自治体の財源の区分、仕事の区分を考えてみますと、消防こそは市町村自体の仕事であろうと思うのであります。しかしながら、今お話しのように、消防施設に対する財源付与が足らないのであります。府県負担が非常に減ったじゃないか、こういうことを先生おっしゃるのでありますが、むしろ市町村の消防費に対して府県負担すること自体が負担区分から言えばおかしいのでありまして、全く逆の状況だと思うのであります。しかし、やはり市町村ではなかなかまかない切れないので、なけなしの金からはたいて市町村のポンプの設置あるいは水槽の設置等に対して補助をいたしておるわけであります。従いまして、消防に対して一つの目的税を設定するということにつきましては、私ども趣旨といたしまして賛成でございます。
  22. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連をしまして、税外負担について上子さんにお尋ねをしたいと思います。  上子委員は先ほど、税外負担は非常に重くてしかもそれが強制性を持っているから問題だという点と、減らす減らすといってもこれは減るものじゃないのだという摩詞不思議な性質を指摘されたと私は思うのですが、秋田県知事の小畑さんが、減税をすれば地方負担がふえるわねと、別の言葉で言えば、いうような意味のことをおっしゃった。それを上子さんが最後に、これは減る減るといって減らないものだとおっしゃった。このところなのですね。税外負担というのは全く減らないものだ、私どもそう思うのです。三百五十何億なんという数字のことがちょいちょい出るけれども、そんな小さなものでは絶対にない。そういうのが地方実情でありますが、税外負担を減らすということについては、とても今の税制では無理だと上子委員はお考えになっていらっしゃるのですか。それとも税外負担を減らすことのきめ手というものについて、何かお気づきになっていらっしゃる点があるのでしょうか。それを承っておきたいと思うのです。
  23. 上子俊秋

    上子参考人 どうもむずかしい質問がだんだん出ます。私は先ほど税外負担は減らないものだとは申し上げておりません。ただ前に減らすといって予算をつけたけれども、あまり減ってないようだということを申し上げたわけであります。だから税外負担解消のためにいろいろ金をつければ、だんだん減っていくだろうとは思っております。ただこれは絶対に減らないものか、あるいは何かきめ手があるかというお言葉であります。それがわかれば私も自治省大臣ぐらいは勤まるかと思うのであります。非常にむずかしい問題でありまして、結局は地方自治体当局が、なるべくその地元住民によけいな負担をかけないように努力する。それから先ほど小畑知事がおっしゃったように、校舎を一つ建てるにしても、割当が実際の時価とえらく違っているという点なんかも、必要な金はつけてやってもいい、そういうことで解消していくより仕方がないと思っております。
  24. 園田直

    園田委員長 川村君。
  25. 川村継義

    ○川村(継)委員 どうも皆さん御苦労さまでございます。貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。実はせっかくの機会でございますから、お忙しゅうございましょうけれども、十分時間をいただきまして御意見を承りたいと存じておりますけれども上子さん大へんお急ぎのようでございますから、私とりあえず一、二点上子さんに再度御意見をいただいておきたいと思います。  先ほどの御意見で、いわゆる減税政策の問題にお触れいただきまして、とにかく国の減税政策についても十分検討を加える必要がある、地方減税についても考慮しなければならぬ、特にまだ大衆負担が重いという御意見でございました。実はこまかに申し上げて御意見を聞く時間がないかもしれませんが、結論としてお尋ねいたしたいと思いますことは、地方税の中で大衆負担軽減する、こういう筋の通った一つ減税をやろうとすれば、どういう税目をねらえばいいか、どういう税目をどういう程度にやればいいか、その辺のところを一つお聞きしておきたいと思うのです。先ほど電気ガス税等のお話もございましたが、私たちも決して異論を差しはさむものではございません。私がここで申し上げるまでもございませず、すでに御承知通りに、本年四百億幾らという平年度減税が出ておりますし、初年度二百億幾らという減税でありますけれども、これは実質は大した減税ではございません。また国民所得の割りから考えましても、これもすでに御存じの通りに、昭和の初めから今日まで、戦前は割合国民の租税負担が軽うございましたが、だんだん伸びて参りまして、昭和二十四年ごろには非常に大きなウエートを占めております。その後近年幾分減って参りましたが、また昭和三十七年は、自治省の資料によりますと、国民負担が二二・何%、二三%近く、大へんはね上がっておるわけであります。そこで申し上げるまでもなく私たちの身に感ずるいわゆる税の重さというものは、これはだれでも痛切に感じているわけでございまして、昭和三十二年当時あるいは昭和十年当時の国民一人当たり所得と租税額とを比べてみましても、この統計の上でもそれがはっきりと現われている。昭和三十二年は一人当たりの所得額が八万九千七百十六円という数字を示しております。そのときの租税負担が一万八千五百九十七円という数字を示しております。昭和十年ごろは一人当たりの所得額が二百十円でございまして、租税負担が二十七円であります。そこで経済企画庁の三百四十倍という物価指数で換算をいたしますならば、所得額におきましては一・二六倍の増加でございますけれども、租税負担は実に二・四倍という上昇を示しておる。こういうような数字から見て参りましても、またはわれわれが身をもって感ずる面からいいましても、何といってもまだ租税負担が大きいということは一言えるわけです。そこでお話のように国税においても考えなければならぬ。しかし地方税においても私は当然考えるべきだと思います。ところが今日の減税政策はまだまだそういう点では手抜かりがあると私たちは考えている。そこで当初お尋ねいたしましたように、減税をやるとなると、どういう税目をねらって、どういうように減税をやって大衆の負担軽減するか、これを一つお聞かせおきいただきたいと思う。
  26. 上子俊秋

    上子参考人 まず租税負担の重さの点について私の意見を申し上げたいと思います。先ほど昨年度の当初予算国民所得に対する税負担率というのは二〇・七%である。ことしは今度の予算でいくと二二・二%になる。これはおっしゃらなかったようですが、税制調査会が一昨年の六月ですか、最初に税負担はどの程度がいいかという中間答申をやりました際は一応二〇%以内という線を出した。実は今度答申案がまとまりましたときに、中山会長に対して私は税制調査会が一度二〇%以内という線を公表しておきながら、それをはるかに上回る答申案を出すのはどうかというふうなことも申した記憶があるので十が、やはりできれば負担率が低い方が、二二・二%よりも二〇%の方がいいと、私はそう思っております。しかし来年度の場合はたまたま景気調整の問題がからみまして、減税の景気に及ぼす影響といった問題、それから当時は、今度の予算には織り込まれなかったのでありますが、景気調整資金といったものをいわばたな上げしておこうじゃないかといったような問題がありまして、われわれの方はとにかく三十人もの委員がおりまして、全部同じ意見というわけに参りませんで、結局いろいろな情勢を勘案して答申案を承認したというような形になっております。ただしかし二〇%というのははたして不変なものかという点になりますと、最初二〇%案がきまったとき実は私は旅行しておりましてそのときはいなかった。一体これは何を根拠にして二〇%という線を出したのだという疑問を持ったことは確かであります。しかし今までの財政の状況をずっと見て、大体この辺が妥当だ、いわば経験から割り出したような、理論的な根拠はあまりない、きわめてずさんなものでありますが、二〇%という線が出たらそれもよかろうというふうに——こういう言い方をすると、お前は委員として何をしていたんだとしかられそうですが、まあそういうところでのんだわけであります。ただ税負担率が大きいということがイコール重税ということには私はならぬと思う。これは日本の場合には確かに重税になるわけでありますが、諸外国の例を見ましても、国民所得に対する税負担率はもっと高い国は幾らもある。ただその中で社会保障的意味で国民に返される部分がある。日本はそれが非常に少ないという点が一つ。それからたとえば、年に一千万円の所得者から二割の税金を取る。あるいは五割でもいいです。計算しやすいように五割にすると、その人は五百万円残る。租税負担率は五〇%。しかし十万円の人から二割とると八万円しか残らぬ、そういうふうな所得によって差がありますので、負担率だけをとやかく言うということも無理だ、こういうふうに思っております。先ほどもどなたからか今度の案は税制調査会答申を全く尊重してないというお話がありましたけれども、私がいろいろ批判的なことを申し上げたのは、全く尊重してないということではございません。それなら僕らの方で委員会に諮って政府に抗議を申し込みます。まあ一部曲げられた点があったということを申し上げたわけでございます。それでそういう点いろいろ考えまして、負担率の方はもっと低い方がいいけれども、いろいろな情勢でやむを得なかったかもしれぬという感じも持っております。ただ予算におけるたな上げが実現しなかったために、やはりそれくらいならばもっとその分は減税に回してもよかったろうという意味で、先ほどからもっと減税しろということを主張しておるわけであります。  それからもう一つの点は、具体的に地方税減税する場合はどの項目がいいかということでありますが、これは非常にむずかしいのでありますけれども、たとえば住民税とか固定資産税とかいった——固定資産税は市町村にとって非常に重要な財源でありますけれども、こういうものもだんだん軽減していく。一つ一つ申し上げるほど私は知識が豊富ではありませんので、全体的に少しずつ下げていくという方法をとるより仕方がないと思っております。  以上であります。
  27. 川村継義

    ○川村(継)委員 委員租税の負担率の問題は、仰せの通りだと私も存じておるわけですが、これはいつも政府は諸外国と比べると高くない、こういうことを言っております。しかしやはり国民所得と対比して考えていかなければなりませんし、社会保障その他、いろいろの諸施策等を考えあわせて参る必要はもちろん当然あると思います。ただ本年度負担率の二二・何%というその率の割合から申しまして、国税は一五・何%というように昨年より下がっております。ところが地方税は下がっておりません。こういう割合からすると、やはり国税の減に対応する地方税の減がないというようなことはわれわれとして十分考えて、大衆の負担がより増加しないようにはしていかなければならぬ、こういうことを考えるわけです。そこで実は、税制調査会におられますから、私はどういう税目がそういう点では一番目的を達し得るかということでお尋ねいたしたわけでございまして、いろいろお尋ね申し上げておる時間がいただけないので大へん残念でございますが、他の問題はほかの御出席の皆さん方にお聞きすることにいたしまして、もう一つ上子さんにお尋ねしておきたいと存じます。  税制調査会でも料理飲食等消費税は、結局場所課税を廃して金額課税に変えろという答申がございました。政府としてもそういう形で三千円の線を引いて出してきたわけでありますが、これはやはりいろいろ考え方はあると思いますけれども料理飲食等消費税というものは、やはり根本の思想には奢侈的行為に課税するというのが一つの考え方になっておると思います。それを二千円とか三千円とかいう金額によって区分するのが妥当なのか、あるいは従来通りにやはり場所によって区分していくのが妥当なのか、これは議論の分かれるところとは存じますけれども、もしも今回の金額によって課税されるとなりますと、現在のやり方でさえも非常に不明朗な脱税的な行為が行なわれておる。この十分なる捕捉ができない状態であろうと私たちは見ておるわけでございますけれども、それを金額によってやるということになると、そういう脱税行為はもっともっと容易になるのじゃないか、私はそう思っておるわけです。これは場所によってはどんなことでもやれるということになりますと、これが創設された、改正された裏側にはいろいろ問題がございましょうけれども、そういう点を心配いたしております。そういう点上子さんはこの料理飲食等消費税についての今度の改正に御賛成下さっておるのかどうか、あるいは自分はやはり従来通りがいいとお考えになっておりますかどうか、その辺のところを一つお聞かせおき願いたいと思います。
  28. 上子俊秋

    上子参考人 ただいまの御意見は一々ごもっともだと思います。ただ税制調査会場所課税をやめて金額課税に変えたということの背景には、たとえば新橋あたりの高級料理屋とそこいらの一ぱい飲み屋では、場所がはっきり違うといって簡単に分けられるのですが、だんだん近寄っておりますので、その場合に女がいるからとかあるいは座敷が広いから狭いからとか、あるいは座敷があるからないからということでは、どうも区別がしにくい境界線が出てくるわけであります。そこでどうも不公平になる。場所でやるとどっちへ持っていったらいいか、適当でないというところが出てくるものですから、量れじゃ一つ金額でやろうじゃないか、その方がはっきりするということで金額に変えたわけであります。しかし今御指摘の通り、たとえば五千円飲んでも人数をふやせばたちまちその金額が下がる、だから幾らでも脱税できるという懸念はわれわれも持っております。しかし、といって場所でも工合が悪い、金額でも工合が悪い、一体どっちにしたらいいかという非常にむずかしいところなので、とりあえず私ども金額でもいいけれども、しかしそれは二千円にしてほしい、三千円は困るというふうなその趣旨は、先ほども意見の中で申し上げましたから繰り返しませんけれども、そういうことでやったわけであります。私個人が賛成したかしないかという点については発表していいのかどうかわかりませんが、その返事は保留させていただきます。
  29. 太田一夫

    ○太田委員 関連して。上子さん、今の料理飲食税でございますが、先ほどのあなたの御発言の中には、業者に一方的に有利な今度の改正案だと御指摘いただいたと私は承りましたが、確かに今度の料理飲食税の改正案というのは業者に非常に有利であり、その圧力に屈したものとみなければ説明がつかぬと思うのです。こういうものを、場所の区別がむずかしいからとかどうとかいうようなことで説明をしようとしたら、それは説明できない。一々ちゃんと、これは料理店だ、これはカフェーだ、これはバーだという場所の認定は、そんなにむずかしいものじゃない、行政上の指導でできるのです。ですから一応これを金額にしたということは、少なくとも今まで料理飲食税は高級飲食店からあまりとれなかったからの、この収税率低いのをカバーして正当化するための魔法だと思うのです。そういう点をお考えになったと思うのですが、同じ意見でございましょう。
  30. 上子俊秋

    上子参考人 どうも、同じ意見でしょうと先に答弁をされましたので、もう必要はないと思いますが、確かにあなたの御指摘の懸念はあると思います。ただ税制調査会の名誉のために一言弁じておきますと、われわれの方に対してはどこからも圧力はかかっておりません。いろいろ、陳情その他は多数参りましたけれども、それは公平な立場から取捨選択をしております。だからその後変えられたということについては、私どもとしては責任は負えないということであります。
  31. 二宮武夫

    ○二宮委員 私が基本的に申し上げましたことに上子さんも誤解されておるようですが、税制調査会の原案を全部没にしたのだというのではないのです。それより以前に政府は、税制調査会答申があるから、それがあったら抜本的にやるのだということを言明しているのです。そうすれば、やはり出たときにはそれを尊重するということの裏返しなんですから、私ども税制調査会の皆さん方の御努力に対して感謝をし、政府自体もそれを感謝して、そうしてそれを取り上げるということにいくことがいいのだ、こういう立場で申し上げておるわけなんです。  ただいま問題になりました料飲税の問題につきましても、これは今度の地方財政計画の中でも大臣が堂々と言っているのは、やはり地域格差をなくすのだという項目が一つの柱としてあるのです。しかしながら今の問題はこういう問題と矛盾をする問題であろうと私は考えます。従ってこれは今後の小委員会等におきましても、あるいは財政計画の問題等においても論議しなければならぬ問題だと思うのですが、もう少し税目別に砕いて、地方自治体のあり方等から一つこの際お聞きしておきたいのです。  まず、懸念されます問題は、高校生急増対策に対する政府のやり方は、私は非常に姑息な態度であるというように——言葉は少し過ぎるかもしれませんけれども、さように感じます。荒木文部大臣は本会議場で、これは終戦処理としてやるべき問題だというふうに言っておるのです。終戦処理ということは、外地におった男の方が帰ってきた、従ってできた子供なんだからこれは国が責任を持ってやらなければならぬ問題だ、こういう意味であろうというように私は解釈をするのです。しかもその中で荒木さんは、残念ながら敗れましたという言葉も言いました。これは大蔵省との折衝の間に敗れたという意味であろうと私は解釈するのですけれども、これらが全部起債に持ち込まれた。あるいはわずかに出ておるのは工業高校の十三億という問題、私立高校の十億という問題、それらの問題以外はほとんど全部は起債の中に持ち込まれてしまっているという状況でございます。これは地方税法とはいささかちょっと問題がずれるのでありますけれども、この機会にぜひ一つお聞きしておきたいのです。こういう問題を出されますと、私は地方財政に非常に大きな圧迫を加える結果になるのではないかというようにも考えるわけでございます。従って終戦処理として考えるという国の文部大臣の態度であるならば、やはり当然国の責任において、この高校生急増対策というものは、身近な姿でその財源措置をすべきであるというように考えるわけなんですけれども、これに対して知事さんという立場から一つ地方税法から少しはずれますけれども、お答えいただきたいと思うのです。
  32. 小畑勇二郎

    小畑参考人 お答え申し上げます。  高等学校の問題は、私は二つの問題があると思うのであります。一つ高等学校の対策というものに対して、これを全部現段階におきまして、府県にまかせておいていいのかどうかという基本的な問題があるのであります。今日私どもの県でも、高等学校の就学率というものは五〇%をこえておるのであります。ところが今高等学校の生徒一人にどれだけかかるかというと、先般計算をいたしましたところ、あらゆるものを含めまして大体二万九千円であります。授業料収入は月六百五十円で、年間七千八百円でございまするから、大体県立高等学校の生徒一人に対しましては純県費で二万円以上を投じておるわけであります。しかもその生徒は一体どこに行くかというと、まことに地方的なことを申し上げて恐縮でありまするが、中学校高等学校総じまして、卒業生の県内に残る数というのは昭和三十六年度はわずか一八%であります。せっかく地方の県が純県費で二万円以上のものを負担をいたしまして、その八〇%が関東、関西に来る、こういう事実を考えましても、一般の高等学校対策費に対して国が交付税だけで見ておっていいのかどうかという大きな問題があるのであります、しかし私どもは今、当面そういう根本問題を言っておるのではないのでありまして、昭和三十七年度からふえて参りますところの急増対策につきまして、これはやはり終戦処理の一貫として、これだけは地方も責任を負うのだが、地方だけではまかなえないからして、まことに謙虚な要望でありまするが、だんだんとおりて参りまして、せめて校舎に対しましては三分の一、施設に対しましては二分の一という、まことに謙虚なお願いをいたしておるわけであります。これに対してはことしの一月二十七日の閣議の決定では、昭和三十八年度からは別に考慮するが、昭和三十七年度におきましては交付税で九十一億、国庫補助は十三億、起債は五十億、なお土地については足らない分は起債を考えようということになったのであります。従いまして、これは要するに幾らか足らないというこういう問題でありますので、私ども知事会といたしましては、明日、明後日二日間緊急の知事会を開きまして、昭和三十八年度以降のことはさておきまして、昭和三十七年度に実際どれだけ予算に計上したか、また年度内にどれだけ計上をしなければならないかという金額を寄せてみまして、これから所定の財源手当を差し引いた残りは、とりあえずことしは起債でまかなってもらいたい。三十八年度以降は一つ抜本的な対策を立てていただきたいというのが私どもの要請でございます。
  33. 川村継義

    ○川村(継)委員 今二宮議員の質問中でございますが、ちょっとその中にはさまらせていただきまして、小畑知事に一つ二つお尋ねしておきたいと思います。一つは、入場譲与税の問題でありますが、上子さんは先ほどのお話の中で、いわゆる所得税の一部を県民税として移譲した。その方が安定性があるし、入場譲与税伸びが少ないから、かえってその方がいいだろうという御意見があったと私記憶しているわけであります。小畑さんは入場譲与税制度廃止、これには賛成ではないようでございまして、残しておいてもらいたいという御意見であったと存じます。実はそこで、ちょっとお尋ねをいたしますけれども、私たちは、実はこれはぜひやはり残しておいた方が、地方の財政の問題から考えても、地方財源から考えてもいいのじゃないかという考え方を持っております。  そこで、秋田の知事さんにちょっと数字のことをお聞きしてみたいと思いますけれども、私の持っております資料では、三十二年度は、おたくの方は三億四百万程度入場譲与税が参っておるようでございます。ところがそのときに、同じ三十二年度、あなたの方の県では県で取れた入場税というものは一億三千二百万であって、結局プラスの一億七千二百万というのがプラスされて配付されておる、こういうことでございます。そこでこれがなくなるとなると、年度別によって少しの差異はございましょうけれども、大体三億程度減収になる、こう見て差しつかえないのじゃないかと思っております。この数字に誤りがありましたら指摘していただく。と同時に、今度県民税の、いわゆる所得税の一部移譲による増収分というものが、秋田県で幾ら一体出てくるか、この辺のところを試算下さっておると思いますが、それをちょっとお聞かせいただきたいと存ずるのでございます。
  34. 小畑勇二郎

    小畑参考人 今お話がございました入場譲与税金額と、実際入りまする数字は、大体先生のおっしゃる通りでございます。県民税の増徴分を計算をいたしますと、今大体の計算でありまするが一億二千万ぐらいの増収になると見込んでおる次第でございます。
  35. 川村継義

    ○川村(継)委員 入場譲与税が三十二年度に配付されました総計は百七十四億三百万、大体こういう数字になっております。三十三年度が百八十三億三千万、三十四年度百六十三億、少し減少しておるようでありますが、三十六年度の当初見込みが百六十二億でありまして、ことしはそれに約八億の自然増を見込んで百七十億程度自治省は考えております。百七十億となりますと、大体昭和三十二年度程度金額でございまして、これがなくなるとなると、今私お尋ねといたしましたその数字からいたしまして、御指摘いただきましたように相当欠陥が出る、こういうことを考えなければなりません。もちろん入場譲与税は、なかなか急激に増加を望み得る税収でございませんから、あるいは県民税の方に、一部移譲という形で持ってきた方がいいのじゃないかということを、将来は一応考えられるわけでございますけれども、何といっても、これは全都道府県ではないと思いますけれども相当の県にやはり同じような状況が出てくるんじゃないか、こう考えますと、わずかに百九十億程度所得税の一部移譲という形で税源を付与しても、力の弱い地方団体府県は、相当この程度ではマイナスになるんじゃないかという考え方を持っておるのでございますけれども、この点についてお考えをいま一度お聞かせいただくと同時に、何とかこの入場譲与税はやはり地方財源として持っておく方が必要じゃないかと考えるわけでございますけれども、御見解を一つお聞かせ願いたいと存じます。
  36. 小畑勇二郎

    小畑参考人 先ほども申し上げましたように、入場譲与税廃止をする、県民税増収をはかる、そこでこれが二者択一で、どちらかとらなければならぬがお前はどっちをとるかというと、私は、やはり県民税は成長株でありまするし、入場税は先細りの株でありまするから、どちらかを選べというならば、私どもはやはり県民税増収を選びたいと思うのであります。しかしながら、国と地方財源配分という根本精神はそれでいいのかどうか。要するに五を与えるかわりに五マイナスをするというようなことでは、何も財源の付与にならぬではないか。しかも総体が減るという中に、私どもの名前を書いた令書だけがふえて参る、これは非常につらいのであります。県民からはお前が増税したということを言われますし、それから町村からは、こんなめんどうくさいことは厄介だというふうに、サンドイッチになって苦しむということは困る。やはり財源がふえるという楽しみがあればこそお引き受けしょうというのでありまするが、それが住民税交付団体で百三十八億ぐらいふえるだろう。しかし入場税は国で減らされるというのでありますれば百億になりまするが、大体百七十億ほど入るのでありますから、財源計算からいえば百七十億という収入が減ったという格好になります。従って交付団体だけで計算をいたしますと、ふえるものが百三十八億、減るものが百七十億、マイナス三十二億であります。しかも税金はふえて町村から小言を言われる、こういうような形が一体いいのかどうかという問題でございます。従いまして、私はやはり国、地方財源配分という根本精神というものは、国から地方に対して財源を付与してやる、こういう立場に立って考えていただかなきゃならぬと思うのであります。従いまして、私どもは形は増税という格好になるが、総体の住民負担がふえないで、所得税から所得割振りかえたということは、よくも政府がここまで踏み切ってくれたと非常に感謝をしておるのでありますが、そこでお前らの持っている入場税をよこせということをいわれますると、これは非常に好意に対して水がさされるようであって残念であります。もちろん入場譲与税は現在は交付税の前渡しのような格好になっておりますので、その点は交付税でカバーされると思うのでありまするが、しかし私ども弱小団体といたしましては、交付税のほかに、このような調整財源があってほしい、ぜひともあるべきだ、そうして今回の所得税所得割振りかえが、心から地方団体に喜んでいただくように、与えるものを与えて、入場税は百億でけっこうでありますから、これはやはり存置していただきたい。しかも沿革から見ましても、これは観覧税として地方に古くからあった税金でございまして、地方にとってはなじみの深い税金でありますから、これは一つぜひとも存置していただきたいというのが地方団体の要望でございます。
  37. 川村継義

    ○川村(継)委員 この税目は御承知のように歴史から考えましても、やはり当然もう一ぺんそのまま地方に返すという考え方は、私は筋が通ると思いますから、私たちもそう願っておりますが、知事会としてもぜひ御検討おき願いたいと思います。  いろいろお尋ねいたしたいと思いますけれども最後一つだけお尋ねしておきたいと思います。木材引取税、木引税の問題でありますが、知事さんの地方は非常に山の多い、しかも優秀な木材のとれるところでございまして、市町村にはこれは相当重要な財源じゃないかと思いますが、それらの徴収の現状というもの、一体毎年徴収がうまくいっているのか、あるいは延びているのか、その辺のところはいかがでございましょう。実は私、自治省からもらった資料を見て、意に解しないところがあるのでございます。と申しますのは、市町村民税の税収見込みを申しますと、昭和三十六年度の当初見込みが木材引取税は十八億一千五百万円、三十七年度も同じ十八億一千五百万円、こう並べてあります。これはやはりもう少しこの実態をよく調べたら、少なくなっているのか多くなっているのか、これが出てくるべきじゃないかと私として考えるのです。同じ数字が去年もことしも並べてあるというのは、木材引取税にあまりにも冷淡というか、投げやりにしておるのか、そんな税金はもう要らぬと考えるのか、あれやこれや憶測をたくましくせざるを得なくなりますが、秋田の状況等から、木引税の現状というようなものをちょっとお聞かせ願いたい。
  38. 小畑勇二郎

    小畑参考人 実はこの木材引取税というのは、秋田県が昭和二十二年に、独立税として全国に先がけてやったのでありまして、これは秋田県にとりましても、私もこれを創設したつもりでありますので、非常に関心が深いのであります。これに対して私いろいろな意見がありますけれども、差しさわりがあるので、まずお尋ねの点だけお答え申し上げたいと思います。  木材引取税は、県におる時代よりも、町村に参りましてから必ずしも捕捉が完全ではないということは事実であります。従いまして、私どもも町村の指導といたしましては、この捕捉につきましては一つ十分努力するようにということは、絶えず指導いたしておりますが、全国の伐採量と比較いたしまして、捕捉が必ずしも十分でないということはお答え申し上げることができると思います。
  39. 園田直

    園田委員長 安宅常=君。
  40. 安宅常彦

    ○安宅委員 秋田の知事さんにちょっとお伺いしたいのですが、私は概念的なことだけをお尋ねしますけれども、どうも地方交付税の場合、実績主義という形で今まで予算が立てられてきた。たとえばこういう事業をやる、それだけしかあなたの方では使わなかったではないか、あるいは教育費を算定する場合にしても、去年の実績はこうだったじゃないか、だからこのくらいだという、そういう考え方で、いわゆる実績主義が今の交付税の一つの立て方の基本になっておるのではないかと思うのであります。従って、あれもやりたい、これもやりたい、交付税なんかずっとふやしてもらいたいという希望があっても、この実績主義というものがたたっておって、どうも思うようにいかない、こういうことが大へん県の当局者としては問題点になっておるのではないか、こう私は思うのでありますが、この点痛切に感じたことがないでしょうか。ちょっとお伺いしたい。
  41. 小畑勇二郎

    小畑参考人 従来私どもが交付税の配分について不満を持っておったことは、交付税というのは、大体、現在ある施設の償却を見ておるということに、非常に大きなウエートが置かれておったわけであります。従って道路の延長が長い、港湾の施設がある、こういうようなところに経費が多くいっておった。しかしこれを裏返して考えますと、施設のあるところはもうすでに償却が済んでおる、むしろないところにこれからあるべき姿を予想して、金をつけるという要素があっていいではないかということを、たびたび主張いたしまして、現在では未開発補正とかあるいは態容補正とかいうもので相当補正をされておりまして、結局総体の姿は交付税と税の負担を足したものが大体各県とも見合っておるということで、現在では相当補正をされておる、こう思っておるわけであります。
  42. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは具体的な問題に今度は入りますが、先ほど問題になりました税外負担の問題でございますけれども、知事さんは先ほど百億くらい計上しておられるのだが、これでは税外負担の解消のために足らぬ、こういうふうな発言をされておったようであります。その中で大体税外負担というのは三百四十五億くらいあるというふうにお話されておったようですが、私どもはもっとあると思います。ところが自治省の方の見解は、これは財政局長がきのうですか、おとといでしたか言っておったのでありますが、六十億だと言っておるのです。こういうことでしょっちゅう自治省などと接触面の多い知事さんの方の会あたりで、いろいろと数字の問題でやり合ったことはございませんか。
  43. 小畑勇二郎

    小畑参考人 これはどこまでを税外負担と見るかという問題が非常にあるのでありまして、全国から資料を集めましても、資料のとり方によって違うと思うのであります。一例を申し上げますと、高等学校の雨天体操場というのは大体二百坪に相なっております。ところが住民は、とても二百坪では公会堂に使えないから、三百坪にしてくれ、こういう非常に強い希望がございます。そこで私どもといたしましては、二百坪は県でやるけれども、ふえた分は地元でやってくれ、こういうことになります。そうすると百坪分は地元負担になりますが、それが厳格な意味からいって、地元負担といえるかどうかということにも非常な問題がございます。三百五十億という自治省の発表が正しいのか、もっとあるのか、あるいは厳格な意味でもう少し不足なのか、これは私ども自信はございません。しかしながらともかくも国の国庫補助の単価なり基準なり、あり方がこのようなままでは、今後減るどころか、ますますふえていくのだということは、これは確信を持って申し上げられます。
  44. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでことしの予算では、税外負担というものはどれくらいあるかということを調査するために七十万円、七十億じゃございません。これは一市じゃございません、全部ですよ。七十万円を計上して調査をすることになっておるのです。七十万円とは不届きな予算だと私は思うのでありますが、これが実態なのでありまして、もし私が県知事だったらどなり込んでやりたいくらいな予算だと私は思うのであります。  今度は、非常に具体的な話になりますから、三巻先生にお伺いいたしますが、こういうようなのが大体国のやり方であります。そこでたとえば、憲法には義務教育費は全額国庫負担であると書いてあるわけです。ところがわれわれの子供にいたしましても、全額国庫負担でもって義務教育をさせていただいた子供は日本国じゅうだれもいないわけであります。そういうことからいって、どうも現在の政治のあり方は、まるっきり憲法にも反しておるのじゃないかという、主婦連の役員をしておられて非常に憤慨をされる、こういう気持にしょっちゅうなっているんじゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。
  45. 三巻秋子

    ○三巻参考人 仰せの通り下ございまして、私たち、経済問題をしょっちゅう扱っておりますけれども、今度の予算を見ましても、消費者行政というものは顔を出しただけであって、いざ予算を組むときにはみんな削られてしまうという状態で、なかなか思うように参りませんが、いわば、ないそでは振れないというところで、みんな切られるのじゃございませんか。
  46. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで、私は山形市の税外負担の実態というものを、時間がないから、PTAの関係だけ申し上げてみたいと思うのですが、たとえばPTAの会費がどういうふうに使われておるかという調査でありますが、これには保健費——学校保健法の第七条にいう予防措置に必要なものが大部分になっておるわけです。それから、図書費というのは、学校の先生の使う新聞、それから教育資料代、そういうものまでみんな父兄が負担しておるような状態です。それから、修学旅行の旅費なんというものは、これは研修費その他旅費はありますけれども、一人当たり四千円ぐらいです。そうすると、校長先生が何か会議があるとか、教頭の会議があるということになると、一人平均ずらっと削られてしまって、平先生の方はほとんどなくなる。従って、修学旅行のときには全部PTAにおんぶして行っているわけです。山形では、そんなことをして親たちにおんぶしてまで私は修学旅行のつき添いはできません、と言って突っぱねた先生が一人おったのであります。そういった社会問題まで起こしておるような状態でございます。そのほかに、女の先生の産前産後の休暇の産代の人件費まで、四万三千円くらい山形市だけで三十五年度に払っております。これは地方財政法の禁止事項になっておることなんです。そのほかに、事務補助の人件費八十八万二千四百二十円、その他図書館の司書の補助費、これが七十四万七千八百円、それから給仕やその他の人件費が三十五万円、校舎の校具や設備の補助が大体三百十二万八千七百円ぐらい、山形市全部でこれくらいのものが負担させられておる。つまり、学校の先生が読む新聞、学校の先生が教育をするための教育資料並びに諸雑誌、こういうものまで負担をするような予算を渡しておかないというのが現実であります。こういうことについて、私ども、非常におかしいじゃないかということで国会でいつもがんばっておるつもりなんでありますが、もしこういうところの全国的な資料がございましたら、ぜひ三巻先生あたりから私どもにいただきたいのであります。こういう点で今まで運動されたと思うのでありますが、PTAの会費を減らせとか、こういうものを減らせとか、そういうときに、政府側としてはどういう答弁があってどんな結末になっているか、一つ例をお話し下さると、大へんありがたいと思うのであります。
  47. 三巻秋子

    ○三巻参考人 今、ここに例と申しましてもすぐに思い当たりませんけれども、大体、PTAの運営といいますか、会費というものに対して、PTA自身が関心がなさすぎるといいますか、学校から言われたままに動くというのが、今までのPTAのあり方だ。それと同時に、今まで会長になる人たちがボス的存在で、経費が軽減されようと何しようと、やはり補助金ほしさに、補助金を先にこれだけつけて、それと寄付でまかなえば、あとはこれだけ国からもらってくるのだというような、逆の手で、ぜひ子供にこうしてやりたいというような呼びかけがありますために、つい自分たちの子供の成績を考えて親たちがふらふらっと出してしまうというのが、今までの現状じゃありませんでしょうか。  それと同時に、今後のPTAのあり方についてもはや改善すべきだという声は方々から出ております。税外支出について、この前私の方で強く追及いたしましたが、百億軽減した場合に一世帯にして幾らになるのかということを質問いたしましたときに、そこまではちょっとわかりませんから、かんべんしてくれということでございますが、これが百億であったならば、一家庭についてどのくらいまで軽減できるのだという数字を、はっきり見せていただかなければ、間で旗を振る人によって、どんなにでもそれが中切りに切られてしまいますということを申し上げたのであります。それで最近条例ができて、はっきりとその点を押えたということを聞いておりますように、一歩々々前進しているとは思っております。
  48. 安宅常彦

    ○安宅委員 最後一つお伺いしたいのですが、そういうただいま先生が申された情けにほだされて出さざるを得ない立場というのは非常にあるわけです。たとえば、私のうちのおやじは遺族会の役員をやっておるのです。遺族会の会費だというのですが、遺族会にかぶさって靖国神社の造営費とか、明治神宮まで入っておる。おやじ、これはおかしいじゃないかと言ったら、遺族会に怒られるからやむを得ないと言って出してしまったわけです。そういうのがどういう形が来るかといいますと、大体知事さんとか市町村長さんあたりが、神社の奉讃会かなんかの本部長になったり支部長になっている。そうすると、その形が、市役所や役場が事務的な補助をやっておって、町内会を通じて——大体機構がそういうようになっているのです。そのために町内会で会議を開けば、何か有力者がそういう発言をして、出さざるを得ないようにしてしまう。そのほかに消防の協力会費、防犯の会費、夜の街灯をつけるためのあの会費、それから赤い羽根の割当、社会福祉協議会の金だとか、ありとあらゆるものがすべて町内会、部落会を通じ、村長なり町長なり市長という名前は使いませんけれども、その人がその役員になっておる。そして、そういう機構を通じて上の方から押しつけてこられるというところに、出さざるを得なくなる一番大きい問題があるのじゃないかと私は思うのです。たとえば、お寺さんの金というのは、市役所なんぞ手がつけられませんから、何だ坊主、このごろもうろくしやがって、今ごろお寺に金なんか要らないと言えますが、お寺の金以外の、ただいま申し上げたような例になりますと、これは出さないと、何か村八分になるような気がして、出してしまう。こういうふうな仕組みを自治省などは知っておって、それで知らぬ顔をしている。あるいは知事さんだって、これはこういう金が集まるだろうなと思っておられる。たとえば福祉協議会の金だとか、消防協力会費なんということになりますと、地方によっては、私のところなんかそうですが、納税告知書と同じような紙でくる。こういうところに大きな問題がある。こういう町内会や部落会を利用し、名目を問わず、市町村長やそういった人が、こういうことに事務的に名前をかす格好で初めは入ると思うのですが、下僚がその仕事を実際にやるような仕組みをこの際なくしてしまったならば、よほど税外負担というものはなくなるような気がするのでありますが、そこのところを三巻先生から御意見を伺いたいのであります。
  49. 三巻秋子

    ○三巻参考人 仰せの通りでございまして、ふだん各党でそれぞれ地方のボスに頭をなでられるので、組織を作る一端として、選挙対策のためか、そういうところに鼻薬をきかせるという意味で、言うことを聞いておけば何かになるというような、ついつまらない根性から、そちらの方にだけ動くという人たち相当多いということを見ております。私はそういうことこそ批判しなければならないのであって、そういう意味におきましては、私たちの会では、お互いにほんとうのPTAの会費はどうあるべきか、出すべきものと出すべきでないものとは、国民が大いに批判しようじゃないかということを、寄り寄り話し合っておるわけでございます。
  50. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもありがとうございました。
  51. 園田直

    園田委員長 参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      ————◇—————    午後三時二十三分開議
  52. 園田直

    園田委員長 これより再開いたします。  地方交付税法の一部を改正する等の法律案及び昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので順次これを許します。山口鶴男君。
  53. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵大臣がお見えでございますので、地方財政計画のうち特に都道府県が国庫補助金を受け入れることなく行なうところの単独事業の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。  今度の財政計画を拝見いたしますと、国のいわゆる投資的経費である公共事業費が二六%もはね上がりまして、その結果自治体が国庫補助金を受け入れまして行なうところのいわゆる公共事業費は約一千億円ふえたわけでありますが、自治体の単独事業は六百八十三億円しかふえておりません。そこで、公共事業費は相当ふえておりますけれども、現実に建設省なりその他の省が補助金として自治団体に流してくる場合のいわゆる単価というものが私は非常に問題だと思うのです。大蔵大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、現在の公共事業を自治団体がこなしていく場合に、法律できめられましたいわゆる費用分担、三分の二なら三分の二国庫補助、自治体が三分の一なら三分の一持つ、この法律通り自治体が三分の一持つべきものは持てば完全に工事ができる、こういうふうにお考えでありますか。もしそうでないということになれば、公共事業の面でさらに財政計画以上に自治体の単独事業を圧迫する、こういう結果に相なろうかと私は思うのです。この点大蔵大臣として、自治団体に対して公共事業を実施するにあたって財政的なしわ寄せは一切させないという自信がおありかどうか、この点の一つ承りたいと思います。
  54. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 補助単価は実際の単価じゃございませんで、全国的な平均による単価でございますので、地方地方によってこの単価には合わないというものが当然出て参りますので、従ってこれは地方負担になるというような問題も現実には起こっておると存じます。そういう問題はまだまだいろいろな部面にございますが、この交付税、交付金というものが、やはり全体的にはいろいろな調整の資金として働いているものでございますから、地方財政計画を立てるときに、財政計画の中でいろいろそういう全体的な配慮が行なわれておるものと思います。実際問題として、全国的な平均で出すものを各地方々々実単価に合わせるというようなことはできないのでございますので、これはやむを得ないやり方であろうと思っております。
  55. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方財政法には憲法に保障されましたいわゆる地方自治の本旨を守るために、国が国の行なう施策によって地方自治団体に不当な圧迫を加えてはいかぬということが明記をせられておると思うのです。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」ということが明確に規定をされておることは、大蔵大臣もよく御存じの通りだろうと思うのです。  そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、確かに補助単価というものがあって、補助単価は一律に全国に流すのではなくて、その地域のいろいろなファクターも考慮いたして若干補正をしているということも承知いたしております。しかしそういう補正を加えてもなおかつ、たとえば具体的に学校の校舎の問題でもけっこうでありますし、または住宅建設の問題でもけっこうであります。公営住宅の建設のごときは、東京都で第一種の簡易住宅が六十何万くらいで一戸建つという計算になっております。具体的に東京都の場合の補正を加えて、なおかつそういう単価に昭和三十六年度はなっているわけです。七年度で若干ふやしたというお話は聞いておりますけれども、なおかつ現実に合わないことは明らかだと思います。たとえば土地の購入費においても、東京都の一坪当たりの購入費が三千八百円ぐらいにたしかなっている勘定だと思いますがそういうようなことでこの土地の購入ができるはずのないことは、大蔵大臣がよく御存じの通りだろうと思います。そうなってくれば、当然国が自治体の自主性をそこなったり転嫁してはならぬという建前に法律は立っておりながら、現実には公共事業を実施するという中で、国が自治体に負担を転嫁し、大幅に自治体が自主財源をこれにかさ上げしなければいかぬ、そうでなくても貧弱な自治団体がよけい犠牲を負わなければならぬ、こういう事態が起こっていることは、大臣十分お考えだろうと思うのですが、こういった点、地方財政法の建前からいたしましてどうお考えでございますか。またこれを解消するためにどのような御努力をされたかお聞かせ願いたいと思います。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 地方団体が第一義的に責任を負うべき行政というものは非常に多いと思うのです。これを完全にやらせるというためには、地方財源というものを与えてこれをできるようにすることが一番好ましいことでございますが、独立した地方財源を与えてやらせようということでしたら、税源の偏在ということからこの行政水準の不均衡というものがはっきり出て参りますので、独立した地方財源を与えられない、こういう事情がございますので、そのために交付税という制度によってこの地方水準の均衡化をはかるということと、それから同時に国が負担金をする、補助金を出してやるというようなことで対処しているわけでございますが、今、国が出しておる金を見ますと、交付金で四千五百億円、国が出しておる補助金が六千億をこえている、この一兆円以上の国負担地方財政へのそういう機能を果たさせることをやっている現状でございますので、この地方財政については根本的にこれを合理化すためにはどうしたらいいかということは、ここでやはり根本的にわれわれ考えなければならぬ時期にきているのではないかと思います。地方財政間の調整とか、いろいろ言われておりましたが、結局は国と地方事務配分というものとの関連で、このあり方がどうなったら合理的かということを、ここらでやはり一応検討する時期にきておると思いますので、私どもは今度内閣にこの補助金制度等の審議会を設けるということにしまして、この国、地方を通ずるそういう財政のあり方というようなものについて、今年度どもは根本的な研究をしたい、それによっていろいろ今御指摘になっておりますような問題も、個々の解決じゃなくて、もう少しそういう根本的な方式によって解決をはかりたい、こういうのがわれわれの考えでございます。
  57. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 問題は国が六千億に上る補助金を出しておる、交付税四千億の金を出しておる、合計一兆円の金を出しておるという金額の問題ではないと私は思う。問題は、現在の国の法律に従って義務制の諸学校、これは市町村が設置をする義務がある。それから公営住宅についても、これは自治体が建設する義務を持っておる。そういった現在の法律の規定に対して、自治団体がこれを実施するための財源を、国が具体的に保障しているかどうか、これが私は問題だろうと思うのです。金額として国が何ぼ出したかということは、その積算の結果でありますから、これも問題でありましょうけれども、問題は個々の自治体に与えられた、法律によって国が自治体に課しておる仕事、これに対して国が十分な財源措置をやっているかどうか、この点が私は欠けておるんじゃないかと思うんですがね。そういうことになれば、金額を一兆円出しておるかいないかということはともかくとして、地方財政法で禁止しておるのに、自治体に国が責任を転嫁しておる、こういったことが私は現実の姿になって現われておると思う。この点どうお考えであるか、重ねて一つ明確にお答えいただきたいと思います。
  58. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはさっき申しましたように自治体負担になっているところも多い。現状はそうであると思いますので、今回の予算編成におきましては単価是正ということをやった次第でございまして、地方関係機関との相談によって計算したものを土台としての補助金を支出しているということでございますから、それによって地方も何とかやりくりができるものだろうと思います。
  59. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 事務当局にお尋ねをしますけれども、それでは公営住宅の土地の購入費は一体坪幾らですか、昭和三十七年度。具体的にそれが現実のものさしに合っているとお考えですか。
  60. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御承知のように公営住宅に対する補助の制度は、標準の経費に対して一定の補助を出す。第一種住宅は二分の一、第二種住宅は三分の二の補助を出すことになっております。そういったことでございますので、予算段階におきましては、全国の平均について補助をするという形でございます。特に用地費につきましては従来からの経緯もございまして、これは全部を購入するということではないという実態に対処しまして、大体二分の一程度は公共団体がいろいろの形で持っておる宅地を利用する、こういう考え方で補助の予算が組まれております。従いまして坪当たり幾らの金額ではじくというようなことではなくて、二戸当たりの金額というものを考えておきまして、それについてたとえば三十七年でありますと、従来の土地の値上がりの程度というのを見て、これを算出していくというとり方をしております。三十七年度におきましては、三十六年度の当初予算に対して一九%一般のものを上げました。特に都心部にあります、町の中心にあります関係もありまして、改良住宅につきましては五四%の引き上げという程度のことをやっております。絶対額につきましてはそういった形でございますので、必ずしも現在実際に買っているものと合うと思いませんが、これは公共団体等の方が手持ちしておる宅地の価格というものを織り込んでのことでございますので、そういったもので予算をはじきました次第であります。
  61. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 趣旨はそうかもしれませんが、現実には購入をしているでしょう。北関東あたりの都市は、坪当たり千円という単位でしょう。それを一九%上げたところで千百九十円、こんなもので千葉とかあるいは前橋とか高崎とか、そういうところに土地が買えるはずがないじゃないですか。そういった公共事業の単価の見積もりが不適切であるということが、そうでなくても六百数十億しかふえていない単独事業をさらに圧迫をしておるという現実は、大蔵大臣としても十分考えていただかなければならぬし、今後の施策にあたって実際に移していただかなければならぬと思います。先ほど、将来財源調整その他云々ということを言われたのでありますが、今度審議会を設置いたしまして、この財源調整の問題については検討せられるというお話ですね。しかしどういう経過でそれが出てきたかということを考えてみますと、一つには〇・三%の臨時交付金を切るか切らぬか、あるいは高校生の急増対策について補助金を見るのか見ないのか、あるいは地方公務員の共済制度に対してこの補助金を出すか出さぬか、あるいは義務制の教育費の二分の一負担をさらに切っていくかどうか、そういったような、大蔵省が、そうでなくても貧困な地方財政に対してさらに圧迫を加えようとした、これに対して自治省が抵抗した、いろいろな中で妥協ができて本年度予算が成立した中で、それではこの問題について審議会を設けて検討していこうじゃないかというふうになったと私どもは聞いておるのでありますが、そういった大蔵省の観点から、その地方財政をさらに充実させてやろうという観点から審議会を設け、中央、地方の行政配分あるいはその財源配分を考えていくという趣旨であったならば、私はけっこうだと思いますけれども、そうではなくて、さらに地方自治団体の、たとえば東京とか富裕自治団体財源を、少し切ってやろうじゃないかというような観点から問題が出てきて、そうしてこの審議会が設けられる、こうい4観点であるならば、これは全く本末転倒であろうと私は思う。こういう点は自民党の地方行政委員方々も異論のないところであろうと思うのでありますが、一体どちらの観点からこの審議会というものを大蔵省はお考えになったのですか、この点を一つお聞かせいただきたいと思います。
  62. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 地方団体の第一義的な責任の行政に対して、国がどういう補助をするかということについて、今補助金の種類も一千種以上に上っておるというようなことでございます。これが最も効率的に使われて地方財政に寄与する形が望ましいのでございますから、従って、望ましいということと同時に、今地方行政委員会で始終問題になっております地方格差の解消という問題とからみまして、やはり国の補助金の出し方、そのほか交付金にしましても、傾斜配分的な考えを持つというような財源調査ということも、現状から見て必要だろう、そういうようなことを考えまして、一連のこの補助金負担等についての今後のやり方というようなものを、全面的に検討しようというのが、本審議会の目的でございまして、これは国の補助金を削ろうというのじゃなくて、今後ますます福祉国家へ前進して——今急速に前進しておりますが、そういう傾向を持ってきた以上は、国が必要な補助金は、どうしても出さなければならぬという部面も非常に多いときでございますので、これらをどうやることが地方財政との関係において一番合理的かということが、おそらく論議の中心になる、審議の中心になるだろうと思っております。
  63. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連して質問さしていただきたいと思いますが、実は午前中の委員会で、税制調査会でも参考人の方と意見を戦わしたのでございますが、前の佐藤大蔵大臣当時、国と地方の問題は、根本的に財源配分から考えなくちゃいけないのだというので、税制調査会が設けられた。ところがその税制調査会で出された税源配分が、入場税府県民税と交換という、二年間の審議でありながらその程度に終わった。私はこれは税制調査会でやらすんじゃなくて、根本的に今大蔵大臣も交付税が四千五百億、国庫支出金が六千億、一兆余りのものが国から出ておるのだ、こう言っておられますが、その財源を、国が福祉国家としてどんな貧弱な町村でもやらさなければならないというものは、国が統制を加える必要がございますが、それ以外のものはできるだけ独立財源として地方に与えて、零細補助金はぶった切って、そうして地方が何が一番いいかという判断のもとにおいてやらすところに、初めて地方自治の本質があるのではないか、こういうふうに考えますと、私は根本的に国と地方事務のあり方、制度のあり方というものを考えなければ、この大きな問題は解決することができないのじゃないかと思う。そのために税制調査会がわざわざ設けられまして、二年という歳月をかけましたけれども、あのような少ない財源配分に終わらざるを得なかった。これは答申を見ましても十分書いてある。私も、補助金制度につきまして、あらゆる補助金制度がある、こんな零細補助金はぶった切るというのを、私たちの自民党の地方行政部会におきましても意見として出した。そのかわり、むしろそういったものを、地方財源として与えていけばいいんじゃないか、こういうふうに考えておるのでありますが、ただその補助の面だけを見るような審議会であったならば、税制調査会と同じように末端のことだけをとらまえてやってもできないのじゃないか、そうではなくて根本の制度を考え、その上に立って税制はいかにならなければならないか、補助金の制度はいかにならなければならないか、負担金の制度も考えていただく、これで初めて問題が解決されるのではないか、このように思うのでありますが、そのためには今地方制度調査会というものがあるのですが、私はむしろまず解決案の根本方針というものが地方制度調査会で打ち出されて、その方針のもとに大蔵省が今月作られたようなそういう補助金の制度も考え、そうして税制制度も考えてもらう、こういうふうにできぬことにはこの問題は解決せぬのではないか、このように思うのでありますが、これについての大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その通りでございます。国、地方を通ずる税源調整というようなことは差し迫って必要な問題だということで、税制調査会が取り組みましたが、これは税制調査会だけでは簡単に解決する問題ではございません。どうしても地方、中央の事務配分というような問題まで触れて、それとの解決でなければ結論は出ないむずかしい問題にぶつかっておりますので、この二年間の成果が今回程度のものにしかならなかった。さらにこれは税制調査会としてはこの問題と取り組んで、今後研究するという立場をとっております。それと今申しました補助金等の審議会それから行政調査会、この三つがそういう目的のもとにこれからそれぞれ作業をして、そうして最後にその三つを総合する対策検討というものを経なければ、ほんとうのものはできないと思いますので、今後一つ委員会では扱わない、そういう目標を示されて三つの委員会、また政府の今度の行政調査会もこの問題に触れるはずでございますので、その各機関がこの問題について検討するということをやらなければ、最後結論は私は出ないだろうと思っております。
  65. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今お答えいただきまして大体わかったのでございますが、さらに行政調査会にまで言及されました。当然のことであろうと思います。行政調査会の根本もここまでいっていただいて、真の根本的なメスも入れられるのじゃないかと思います。しかしながら、税制調査会の轍もございますので、地方制度調査会へ根本的なものを出されて、そのもとに、その方針に従うて税制調査会あるいは今の補助金の審議会等を運営していただくより、その運営の方針につきまして私たちの要望だけ申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 渡海さんは与党でございますので安心をせられているかと思うのでありますが、私どもの方は、どうも今までの実績からいたしましてなかなか安心できがたいのであります。税制調査会につきましても、昨年池田首相は、本会議におきまして、中央、地方事務配分財源配分の問題を質問せられたときに、いや税制調査会においてその問題については十分検討しているから、来年はこれに対する抜本的な解決ができると思うというような返答をされておる。されておりながら、出てきたことしの財源配分は何ですか。そういうわけでありますから、私どもは、今までの政府の実績からいたしまして、先ほど渡海委員が言われたような、地方自治の本旨にのっとるような抜本的な中央、地方事務配分なり財源配分というものを、言うべくしてなかなかおやりにならない、こういうことを非常に遺憾に思っているところであります。私ども、そういうわけでなかなか安心はできがたいのでありますが、この問題は、今までのような口頭禅に終わることなく、真剣に政府全体として取り組んでいただきたい。このことを強く要請をいたしておきたいと思います。  次いで具体的な問題を一、二お尋ねいたしたいと思うのでありますが、地方公務員の新退職年金制度の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。大蔵省はどうしてこの国庫補助金をお出しにならなかったわけですか。昭和三十六年度の「国の予算」を拝見いたしますと、大蔵省の立場で国庫補助金を出さなくてもいいというような趣旨にのっとった理由がいろいろと書かれてございます。地方自治団体も公経済の一環なんだから、組合員が四五%を持ち、国庫補助金であるとないとにかかわらず地方自治団体も五五%持てばいいじゃないか、こういうような趣旨に解せられるのでありますけれども、しかし現実には、厚生年金にいたしましても、それからまた船員保険にいたしましても、あるいは農林団体の職員の共済にいたしましても、すべて国が社会保障という建前において相当額の国庫補助金を出していることは事実であります。当然この一割の負担を国がすべきでありまするし、同時にまた、あらゆるこういった各種の年金等は事務費はすべて国が持っているのが現実でありますから、そういった面からいって、この地方公務員の共済制度だけが事務費は国の補助金の対象からはずされる、こういうことでは全く私は筋が通らぬではないかと思うのです。特に私が強調いたしたいのは、国が予算を組み、いろいろ政策を立案いたします。しかし現実は、先ほど大蔵大臣も言われたように、一兆円のお金が国から地方自治団体に流され、国の具体的な施策というものは大部分が地方自治団体の手を通じて行なわれておることは御存じの通りであります。そういう観点からいたしまするならば、他の保険に対しては国が事務費を持ち、また一部を国が負担いたしておる。それなのに国の施策を具体的に実践をいたしておる地方公務員に対して、国が補助金を全く出さぬということは、これは全く筋の通らぬ話じゃないか、かように考えるのであります。なぜ大蔵省といたしましては、この問題に対して国庫補助を出さぬのか、こういう態度をおとりになったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  67. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはもう長い間の懸案でありますから御承知のことと思います。私たちの考えは、国費を出すのを惜しんでおるというようなことではございません。当然一割負担すべきだというお話がございましたが、当然負担すべきものであるかどうかという建前論が今まで問題になっておったわけでございまして、今回の解決によって、実質的には国が負担する金額よりも、交付税引き上げという方が金額的には地方が強化されていることになると思いますが、金額ではございませんで、公経済主体であります国や地方公共団体がどういうふうな負担をすべきであるかということが問題であって、国も、三公社もみずからの負担をしていますから、地方負担する立場をとるべきで、国が補助すべきものと考えません。これは建前論として私どもが今まで主張しておったわけでございまして、金の問題ではないと私は思います。
  68. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 公社云々と言いますけれども、公社については、いわゆる収益事業を営んでおる団体であって、地方自治団体は決してもうけ仕事をやっている団体でないことは、私はおのずからはっきりするだろうと思うのです。従って、この三公社について国が補助金を出さないから、自治体について出さぬのだ、こういう理屈は私は通らぬと思うのです。それから今度交付税で措置されたというのでありますが、〇・一%でしょう。金額は十五億じゃないですか、そうでしょう。幾らかかるかといえば、昨年の積算によっても一割相当額の五十二億円、それから事務費が十七億円かかる。合計いたしまして六十九億円ほどかかる。さらに三十七年の場合はこれは引き上がっているでありましょう。従って、ことしはこれがさらにふえることは明らかです。そういたしますと、七十億からあるいは八十億かもしれませんが、これに対して十五億の交付税で肩がわりする、これでは全くその金額が合わないじゃないですか。  さらに問題は、集まった金は一体どうやって管理するのですか。大体自治省がいろんな共済組合は作りますけれども、国がある程度統一的に運用する。聞くところによれば、その資金の大部分は大蔵省の資金運用部に入って運用される、こういうお話を聞いております。ところが、一方では不交付団体は国が金を一銭も出してはくれぬですから、すべてこれは組合の掛金であり、地方自治団体の独自の財源、これで集まった金の運用は、補助金も何も一銭も出さずに、大蔵省の資金運用部が統一的にするなんということは、全くこれこそ筋が通らぬだろうと思うのです。金は出さないが、集まった金はみんなおれの方へ集めて運用する、そんな理屈が通りますか。
  69. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連して。大蔵大臣に山口さんに対する答弁と一緒にしていただきたいのですが、先ほど、これは地方自治体がやることだから、建前論として今論議になって、それが云々、こういうふうに言われましたが、山口さんがただいま申されましたことを別な側面から申し上げますと、地方財政法の二条の二項に、明らかに「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と、こういうふうに第二条の二項に書いてあって、つまり自律性というものを非常に強調しておるわけです。これはなぜかと言いますと、地方自治体というのは、地方の政府とこういうふうに理解するのが地方自治が確立せられた日本の政治の上では当然だと思うのであります。こういうところで、今までそういう退職年金の制度というものがいろんな形で行なわれてきたわけであります。そういうところから自主的な立場でいろんな形態でやってきておるのですね。今度は新法律でもって一つ全国的に一緒にしようということらしいのでありますが、そうしますと、今まで組合員たるべき者が負担しておった金というものが非常に少ないところもあるし、多いところもあるし、いろいろと千差万別なわけであります。これは交付税の交付を受けないような、そういう富裕な県と、それから貧乏な県ともいろいろ違いがある。こういう問題は資金の運用を含め、それからその自律性と言いますか、自主性と言いますか、そういう基本からくる地方自治体のあり方として、組合員たる者は四五%掛けなければならない、理事者の方では地方公共団体地方自治団体の場合には五五%出さなければならない、こういうふうにびっしり一本にしぼってしまうということ自体が、地方自治体の自主性というものを全然認めないことになるのではないか。そうしておいてあなたの方では、今度都合のいいときには、それは地方自治体がやることだから、国の補助は要らぬのではないか、こういうふうに理屈を言うというのは、これこそ本末転倒もいいところだと私は思うのでありますが、そういう観点から見て、今の山口さんの質問に対する答弁とあわせてあなたから説明願いたいと思うのです。
  70. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ですから、先ほど私が言いましたように、固有の税源というものを地方にどう与えるかという問題がやはり一番根本的な問題だろうと思いますが、これはその簡単にできないために、国がいろいろな補助金、負担金、交付金というようなものをやって調整をはかっていく。そうしなければ事実上地方財政の運用というものはできない現状でございますから、そういう制度があります。従って、地方財政が、固有財源がない地方が財政的に困るというものは、これは全体としてやはり現在では国の負担になってくる仕組みになっておりますので、そういう意味でこういう制度の問題も、やはり地方が当然自分でやるべき問題だと思われるものはその立場でやってもらう、しかも足らないものは結局回り回って直接的であるか、間接的であるか、回り回ってやはり国の負担にはね返ってきておるもので、また私どもはその費用を見ようという立場でいっているのですから、実質的には国が直接その部分を持ってやるか、間接的に持ってやるかという問題で、私は本質的に少しも地方がそれによって国によって圧迫されているというようなものにはならないのじゃないかと思います。
  71. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは今のお話のように、自治体が独自でやっていくのが望ましいのであるということになりますならば、何も集まった金を、国なら国の立場において統一的に運用するなどということはおかしいじゃないですか。各府県のその職員共済組合あるいは市町村の共済組合、そういうもので集まった金については、自治体なら自治体が集まって共済組合を作り、そこが自治体のために自治体みずからが運営していくということであるならば、それは大臣のお話についてもある程度了解いたします。ところが、現実に資金の運用はそうじゃないでしょう。この点はどうなんですか。
  72. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題は、まだ関係省内で相談がきまってない問題だと聞いておりますが、事務当局からお答えさせます。
  73. 石野信一

    ○石野政府委員 資金運用の問題でございますが、これは地方団体地方住民の福祉に還元するという建前で、ただいま自治省と相談をいたしております。そういう段階でございます。
  74. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 資金運用部にこれを全部あるいは一部入れるというようなことはないですね。
  75. 石野信一

    ○石野政府委員 その辺のところを今いろいろと相談をいたしておる段階でございます。資金運用部で運用するという考え方は、結局、地方債というものに資金運用部から金を回すというような考え方もございまして、そういった意味で、いずれにいたしましても、その金の運用が地方団体並びに地方住民の福祉に還元するという方向で皆さんが納得されるようにということで、自治省とただいま相談をいたしておる段階でございます。現在具体的にどうするということはまだきめておりません。
  76. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからそこにおかしいところがあると私は言うのです。山口さんはそういうところを言っておるのですが、自治省からの説明を私は先に聞いておるのでありますが、大蔵省が、資金運用部の方に全部吸収したい、地方自治体の立場から言って、自治省の方は、退職年金の制度というような共済制度みたいなような形で、今運用しよう、作ろうとしておるのですから、こういうものは本来ならば、その共済組合というそのものの性格は、国家機関が何だかんだと口ばしを本質的にはいれる筋合いのものでは諸外国の例を見てもないのでありまして、そういうことを一本に統一してしまおう、中央集権的な非常に悪いやり方が、日本の場合、今まで国家公務員でも、共済組合制度というものができた。現在のようなそういう民主的な政治が行なわれておるというまるきり違った当時にできたのであるから、昔の天皇制の残滓みたいなものが残っておるわけであります。そういう形で地方公務員のやつを作ろう、そういう頭があるから、大蔵省の方では、資金運用部の方で全部やりたい、これは厚生年金についても、戦争遂行のために資金を集めるために積み立てたと言われておるくらい悪評があったものであります。こういうものをすべて資金運用部に集中しよう、こういうあなた方の考えがある。自治省の方が一歩進んでおって、新しい考え方を——持ち上げるわけではありませんが、そういう考え方をもって今折衝しておるときに、あなた方の方ががんとして聞かないから、警察職員と学校の先生だけは、おれの方はもっと関係があるのだから、国が半額負担くらいしておるのだから、一つそれはどうしてくれとか、こうしてくれとかいうことをあなたの方ではまだ突っぱっておる、こういう状況だと私は聞いておるのであります。従って、たとえば高校生の急増対策にしても、荒木文部大臣なんという勇ましいおっさんでさえも大蔵省には負けた。終戦処理費だから、あれは全部起債だの何だのということではなくて、金を回さなければならぬと言っているのに、大蔵省のがんこ頭に負けたというように言っているのですから、荒木さんよりあなたの方ががんこなんだからね。そういうやり方で臨んでいるから、そういう資金運用の考え方で統一しようという頭になる。もう一つは、もっと地方自治の自主性というものを認めようとするならば、先ほどちょっと私が触れたんですが、金持ちの県のところはちゃんと組合員が出すべきものさえも負担しておるところもあるのです。いろいろな例があるのです。それを四五%に中央政府が統一しようというようなことを考えることが、地方自治体がやるべきだという大蔵大臣の論議が基本ならば、今までの既得権を侵害するようなことを国で統一するというようなこと自体がおかしいのではありませんか、そういうことはどうなんですか。その二つを明確に答えていただきたいと思うのです。
  77. 石野信一

    ○石野政府委員 ただいまの資金の統一運用の問題でございますが、これは地方自治の精神からいって、統一運用は国家が地方に干渉するというようなふうにお考えいただくのも、必ずしも適当じゃないと思うわけでございます。と申しますのは、大蔵省として資金の統一運用ということを主張いたしますのは、国と地方との対立関係というものではなくて、やはりいろいろなそういう集まります金を運用いたします場合には、地方の必要というものも考え、また全般的な経済ということも考えて、資金を統一的に運用した方がより効率的であるという立場からの観点でございます。自治省の方は、それはいかぬということで、それがさらに進んでおるというお話で、そういうのに対して反対のような立場をとっておられるわけでございますが、そういう点はよく話し合って、適当な解決策を作り出そうというのが現在の段階で、話し合いをしておるわけでございます。  もう一点は、大蔵省がお答えすべきか、自治省がお答えすべきかわかりませんけれども、その点は、自治団体の職員として、同じような基準と申しますか、同じような制度が打ち立てられる方がよりいいという観点でこの制度を採用されるということでありまして、各自治団体がばらばらの方がいいんだということでもないんじゃないかと思うのでございますが、そういう考え方でございます。
  78. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 他の年金についても、財政投融資の計画を見ますと、確かに厚生省にまかされている部面もあるけれども、大部分がやはり生活環境とか厚生施設とは別な、いわゆる公共投資の方面に大幅に使われているという現実があるんじゃないですか。そうしますと、やはり大蔵省としても、今度の共済制度の資金の運用についても、同じような形で運用したいという気持があるんじゃないかというふうに、私どもは他の厚生年金等の財政投融資の実情を見て判断をするわけです。私は、さっき冒頭申し上げたよう・に、国が補助金をきっちり出しておる、事務費も持っておる、他の厚生年金と同じように国が相当な資金を出しておるということがあるならば、ある程度の部分がいわゆる資金運用部を通じて運用されていくということを全面的に否定するということはできがたいかもしれませんけれども、一方では補助金は全然出さぬ。特に交付税で見ると言ったところが、現実には不交付団体には全然いっておらぬ。そういう措置を一方でとっておきながら、しかも資金については、この国庫補助を出したと同じように、国がある程度統一的運用をやってやこう、こういうところに全く相反する矛盾を含んでいるんじゃないか、こういうふうに私は指摘をせざるを得ないわけです。この点はまだ意見がまとまっておらぬというふうに主計局長の方からお答えがございましたから、大蔵省の方も、そういった筋の通らぬことをやらぬで、自治体で独自に使わせる、こういう立場を貫くように、そういうことを主張として申し上げておきたいと思う。
  79. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国が負担している金は国が干渉してもいいだろうというようなお話ですが、負担しているとか負担していないとかいうものとは問題が違っておると思います。負担するというのでしたら、さっき話しましたように、直接か間接かであって、間接には国が負担していることであって、全く無負担というわけではございません。問題は、こういう公的な資金というものがどう運営されることが望ましいかということでございますが、これがやはり統一運用されて国の施策に貢献するということが望ましいことでございます。各種の年金とかいろいろなもの、なるたけ拠出者の意思に基づいて一般国民生活と直結した部門にこれが還元されるべきだという方針はもうその通りで、これに異存ございません。そういう方向で今まで資金の運用をいろいろやってきました。ところが最近は、御承知のように、これはここの委員会とは少し空気が違うのです。よその委員会に行きますと、一体住宅政策はどうなっているのだ、失業保険金の積立会計の中から家を作ったり、今度は厚生年金の中から一部家を作ったり、資金運用部から公庫、公団を通じて家を作ったり、いろいろなものを通じて家を作っているが、一体こういうばらばらな運用をやってよいのか、もう少しこういう資金は政策的に統一運用をやるべきで、何をしているのだ、そういうふうにばらばらにやって一体この資金が国の目的に沿った方向に効率的に使われているのかと、よそでは盛んにやられて、できるだけばらばらにならぬように使いましょうと私は答弁しているのです。ただし、これを拠出者が見ましたら、自分たちの金がどこへ使われているかわからない形が最も困るということで、今度は使途別にはっきりここへこれだけのものが使われているという分類表を作って、国会で御審議をお願いするということになって——今使われておりますが、この各部門の資金を今度は——国民生活と直結している部分が五十何%ありますし、道路そのほか経済基盤の強化というところにやはり三〇%使われるということで、輸出金融とか、あるいは基幹産業部面、石炭とか、いろいろ御要求がございますが、その部面に使う金はもう二割もなくなっているというようなことで、この国民の拠出した金がどこに使われるかということを明瞭にするような措置が講じられております。従って、自分たちの拠出した金は、公的な資金である以上、これは勝手に運用すべきだという方向は間違いであって、どの程度は預託して統一的運用にまかせるが、どの程度は自分たちに直結した行政部門にこれを役立たせるというようなことは、これは今大蔵省と自治省できめているところでございますが、一切そういう方向へ行っちゃならぬというような議論は、これは行き過ぎだと思います。もう失業保険積立金ですから、やはり還元融資的な運用をするということまで今やっているところでございますので、要するに、使途がはっきりして、こういうところに使われている、またそれが、審議会は今まで政府の委員ばかり入っておりましたが、今度は民間の委員も入れました。そこでこういう計画が至当だと承認されたら、そういう方向で一運用されるということが私は望ましいと思います。私学で共済制度を作りますが、この積立金は、やはり今後私学のいろいろなものにある程度使われるような運用が好ましいと思っておりますし、また地方の今の共済掛金というようなものも、できるだけ地方のために使われることが望ましいと思いますが、やはり公的な資金の運営については一定の原則がございます。この原則を野放図にするわけにはいきませんので、この点は一つ御了承を願いたいと思います。
  80. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大臣に反論するようでありますが、現実に、たとえば地方債計画を拝見いたしましても、どういった方面の起債が伸びているかということになれば、一般会計債は非常に伸びが少ない。具体的に言いますならば、公営企業債の工業用水道事業というような、まさにこれは独占のために使うようなものでありますが、こういうものは、昨年の九十五億に対して今年は百五十億、五〇%以上も伸びているじゃないですか。そうして通常の意味における一般の国民の福祉に還元される経費というものは非常に伸びが少ない。こういう実情があるからこそ、私どもはただいまのような意見を申しておるのでありまして、大臣が言うように、大部分がほんとうに国民福祉の面に——確かに財政投融資計画でいけば、その一から六までの資金が五割幾らになっているというふうにいえば、確かにそうかもしれませんけれども、現実に地方債計画を見ていけば、国民生活に結びつく方はほとんど伸びていない。大企業に結びつく方は伸びておる。こういうことは、やはり無視することはできないと思う。そういう意味で、これは議論になりますから、そういう私どもの主張だけを述べまして、退職年金制度の問題についてはさらにまたあらためて議論をする場合もあろうかと思いますので、時間の関係もありますので、一応この点は打ち切っておきたいと思います。  次に、大臣のお考え方を一つお聞きしたいと思うのですが、間接的とかなんとか言っておりますけれども、交付税というものは確かに国が自治団体に交付しているものです。確かにこれは国税から自治団体に与えているものです。しかし、これは交付税法の建前からいけば、地方自治団体の独自財源であるということははっきりしているのです。そうなれば国が間接とかなんとかいう議論を幾らしたところで、それは交付税法の建前をくずしている議論だと言わざるを得ないと私は思うんです。  そこで関連をしてお尋ねしたいと思うのですが、今度の予算を見ますと、高校生急増対策にいたしましても、終戦処理だ、国が補助金をもって相当見るべきだという議論があった。ところが、これまた交付税で九十一億肩がわりをやっている、交付税で措置をやっている。あと起債五十億を認める。わずかに工業高校の補助金について十五億程度を認める、こういう格好になっております。退職年金についても同様です。補助金を要求してくると、交付税でもって見る、こういう考え方は私は誤りだと思う。少なくとも交付税が地方の独自財源だという建前を堅持する限り、いろいろな要求があったら、これは交付税でやる、こういう考え方は私は誤りだと思うというふうに指摘をせざるを得ません。  そこで高校生急増対策でありますが、九十一億と五十億、計百四十一億で、全国一千億以上の経費を必要とするといわれるこの高校生急増対策——現に地方自治体におきましても、本日も秋田県の小畑知事が参りまして、ここで御意見を述べられたのでありますけれども、自治団体として全く不満であることは大臣御承知通りであろうと思うのです。この百四十一億円の財源をもってこの急増対策ができると大臣お思いでございますか、その点を一つお聞かせいただきたいと思います。
  81. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 できると思わなければ、別の方法をとらなければなりませんが、私どもはできると考えたから、こういう措置にしたわけであります。確かにおっしゃられるように、交付税というものは地方の固有の財源と見てもよろしゅうございます。本来の独立税を許すべきですが、それによる場合には、さっきお話したような問題がありますから、一たん国が全部取って、そうしてこれを地方に与える。そのときにこの配分調整によって円満な地方行政をやりたいという趣旨でございますから、考え方によれば、これは地方の固有の税金かもしれません。もしそうだとすれば、地方が自分の設置責任を持っているというものに対しては、地方税でございますから、固有の税金でございますから、むしろこの交付税を考えて、それで措置すべきだということになって、建前論としては、あくまでも府県がこの責任を持つべきだという建前になっております。その場合にこの交付金の操作においてこれができる状態に現在あるかないかというと、地方財政の実態の問題になってきますが、これはりっぱに現在あるというのが私どもの考え方でございまして、しかも高校生急増対策はことし始まったことじゃあございません。去年はすでに地方独自に、起債も国から得ていろいろ始まっておりますし、これは昭和四十年までに対策を立てなければなりませんが、来年から本格的に急増するものを、前もって今年度から三年計画で措置しようというものでございます。じゃ本年度どれだけやれば間に合うかという計算は、文部省を中心に関係省で十分計算した結果、これだけの計画をもって対処できるという計算が出ておりますので、それに基づいて、それじゃ今の地方財政から見て、この交付税の使い方に特定の考慮をしたらそれでやっていけとるかといえば、みなやれるという結論になった。  問題は、この対策はやれるかやれないかですが、やれればいいことでございまして、やれるのにわざわざ建前をくずして、今後いろいろ地方が施策することについて、全部これに一々補助金を伴わせるというようなやり方は、私はやはり感心できないというので、この問題を主張したのですが、頭のかたいのはこちらじゃなくて、交渉経過から見ましたら、文部大臣の方がどうもかたいような気がして、こちらの方は筋が通っていると思ってます。
  82. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これでやめますが、大臣、やれると思って予算を組んだとみえを切ったのでありますが、地方に行って一つ聞いてみてごらんなさい。今度のこの急増対策で、このような財源措置しかできなかった。知事会では、政府に対して一方ではいろいろ要求をいたしております。一方では、昭和三十七年度の各都道府県予算編成過程でどういうことをやっているか。たとえば六百円なり七百円の一カ月の授業料を、百円なりあるいは百五十円なり上げているじゃないですか。だから、今度地方に国が設置をいたしました国立工業専門学校の授業料よりも高等学校の授業料が高いという現実が、もう全国どこの都道府県に行っても出ているじゃないですか。それからまた、高等学校の建物の建設について、地元の人たちがどう言っているか、あれは県立学校じゃない、PTA立学校だと言っている。なぜか、建物を建てるときに、二分の一は都道府県が持つけれども、二分の一は地元で持ってくれ。その二分の一をどうするかというと、PTAの寄付金、入学するときに七千円あるいは六千円という入学金を生徒から徴収する。またその一部は生徒が通学している市町村に対していわゆる割当金という格好でぶっかける。こういうことがどこの都道府県においても平然と行なわれておるのです。しかも体育館を建てる、生徒一人について何坪だ、だからこの高等学校は百坪でいいのだというような計算をする。しかし、現実には体育館として使われるのには二百坪なりあるいは二百五十坪なければ使えない。その場合の足し前の百坪なり百五十坪というものは、すべて自治体の負担で、いわゆる地元の負担で建てなさい、こういうことをやっている都道府県がいかに多いか、大臣御存じですか。結局、政府がこれだけの財源措置しかしないから、あるいは急増対策はできるかもしれませんが、しかし、そのしわ寄せがどこにいっているかというと、今言ったように授業料が上がる、それからPTAの負担金が上がる、自治体にしわ寄せされる、寄付金が上がる、こういう格好でこなされるということが、文部大臣のやられる終戦処理、政府の責任としての終戦処理、こういう形の意味での高校生急増対策には絶対にならぬ、こういうことだけは私ははっきり申し上げておきたいと思うのです。大臣はそういうことについてお考えになったことはありませんか。
  83. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 義務教育費関係の父兄負担については、税外負担をできるだけ解消させるというために、今度百億の措置をとりましたが、高校生急増対策については、そういう税外負担を基礎の計画とは聞いておりません。これは自治省、文部省、大蔵省、関係省が集まって、この計画は各省で相当厳密にやったものでございますので、この計算による所要額が大きい税外負担を前提として、それを基礎にした計算であるとは私は聞いておりません。
  84. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それは大臣の認識不足だということだけ申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  85. 園田直

    園田委員長 安宅君。
  86. 安宅常彦

    ○安宅委員 私、たった一言だけでちょっと失礼しますが、今大蔵大臣は、そういう膨大な税外負担を基礎とするというふうには聞いてない、こういう微妙な答弁をいたしましたが、すばらしく大きな税外負担を伴うということは計算の途上でわかったはずであります。それは全然そういう税外負担はなしにそういうことができるというふうに考えているのか、そこをはっきりして下さい。
  87. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私の聞いておる範囲では、土地問題があの計画からは別個にされておりまして、土地は一律に計算するわけには参りません。たとえば県有地を使う場合もありましょうし、民間から買い上げなければならぬという問題もございまして、これは一律に考慮することはできませんので、土地については事情々々によって特別の起債でこれに対処するということをきめてございますが、一応土地についてのそういう配慮があれば、あとの計算は大体これで実施できる計算にはなっているのだろうと私は思っておりますが——大体そうなっているはずでございます。
  88. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうインチキな答弁をしてはだめだ。あなたはお釈迦様だから、そういうことは知らないと言って、こそこそ話が今出ているのですが、それは大臣をお釈迦様にしておけかい。  そこで土地というのは大体どれくらいの値段かあなたが一番よく知っているじゃないか。家を私らが建てるときに、土地代で大体がたがたしているのですよ。土地代だけはなんて、あっさり言うけれども、土地代が問題だ。それから先ほど言ったように、東北の方なんかに行きますと、雨天体操場が必ず要る。そのときには何だかんだといって二百坪くらいになる。そうすると、とても動きがとれないからというので三百坪ということになる。あとの百坪のところは地元負担だ。何でも地元負担なんですよ。土地だけじゃない。それはあなたよく知っておいてもらわないと困ります。その証拠には、与党に属する政党の知事さんでも、野党も含めて——大体与党の自由民主党に所属している知事さんが多いのでありますが、みんなあなたを恨んで、そして私のところには陳情書がたくさんきているのですよ。そういうことを知らないなんてばかなことは世の中にあるものじゃないですよ。それからあなたは、出したくないときには、地方自治の独立性があるから、そう言うのです。そして出さなければならないときには、あるいは自分の都合のいいときには、先ほどの資金の運用の問題についても言う通り、今度は国が出しているのだからおれの方で資金運用をするのはあたりまえじゃないかというような議論をふっかけてくるのです。これくらいずるい人は日本国じゅうあなたぐらいしかいないと思うのであります。  これは具体的に言いますと、先ほど来、自分たちが出した金がどれくらい、どういうふうに使われているかということを明確にするためにも、資金運用の面では統一をしなければならぬのだという議論をあなたはいたしました。山口さんはそれに対して、次にいつか議論をする時期があるでしょう、こういうことを言いましたけれども・たとえば、それは厚生年金だ、あるいは国家公務員の共済組合だ、またこのたびの退職年金制度だ、いろいろなものがたくさんある。こういう形で社会保障制度といいますか、そういうもりがばらばらになっておるから、どこに金があったかわからないということになる。それをいいことにして、あなたの方は全部資金運用部で何とか使わせたい、こういうふうになるのじゃないかと思うのであります。だから本来ならば、国民年金制度というものを、国家公務員や地方公務員のようなところまで水準を上げて統一的にすれば一番問題がない。ところが、そういう形にまでいってないから、あるいは住宅はどの金を使うんだとかなんとか、ほかの委員会で文句を言われているのでありまして、とかうまいことを言うのでありますが、これはとんでもない話でありまして、たとえば私は、元の逓信省今の郵政省の出身なんでありますが、簡易保険や郵便年金の資金運用の面で、どれだけ郵政省が大蔵省当局に今まで十何年間食い下がってきてやりましたか。一生懸命やって、大蔵省は自分の財布が若干でも傷がつかない程度で少しずつの自主性を、ウサギのふんみたいにぽろっぽろっと少しずつ許可してきたような状態ではありませんか。こういうことを知っているから、自治省の方では、資金の運用をはっきりさせてもらいたい、こういうことを言っております。  しからば、そういうことを言うならば、あなたの議論が正しいとするならば、ここに重要な問題があるのですよ。共済組合の制度というか、そういう制度は大正年間にできたものであります。これは国家権力が労働者に恵むみたいなそういう形で共済年金制度というものが当時作られた。これは初めからそんなことなら——今郵政には郵政互助会なんというものがある。電電公社にもある。この共済組合の制度とは別に、共済会というものを作っておるのですよ。自分たち労働者が、従業員が、目くされ金を〇・一%くらい国が出してくれたのに、今度は金の運用をおれにまかせてくれなんというばかなやつがおるとすれば、われわれだけでやろうじゃないかということでやり出したわけです。これはどういうことになるのです。だから、現在の共済組合制度なり退職年金の制度なりに、労働者が対等の立場を主張して——民間人を入れたとかなんとか言っておりますが、あくまでも諮問機関か何かにしておいて、労働者の発言権というものはぴしゃっと押えておるから、こっちは四五%出しているのだから、四五%の分はわれわれに運用させてくれ、こういうことを言われたらぐうとも言えないあなた方の立場ではありませんか。そうしておいて、労働者がしあわせになるようなところに労働者は使うでありましょう。今、当局側などと言われておる人は少ししか入ってない。大部分はいわゆる団結権を認められているところの労働者が排けている金なんですよ。その分まで、あなたの方では巨大な産業の方に全部使う——全部と言うと語弊があるかもしれませんが、大部分使ってしまう。これに対して一般の人々は大きな不満を持っておるのであります。  従って、どういうことかと言いますと、われわれに金を出させておいて——私もおととしの十月まではそういう制度に入っていたわけです。何に使われているか知らない、そういう制度だからわからぬのですよ。労働者にそれが返ってきて、電電公社に勤めておれば、この共済積立金を運用して住宅がどんどん建つんだといったら、みんな喜んでそういう制度を享受するだろうと思うのです。それがどこにいったかわからない。資金運用部の方へいった金は、財政投融資をずっと見てみると、ほとんど労働者の利益になるような方には返ってこない。言うなれば、あなたはわれわれ労働者から金を取り上げておいて、人のふんどしで相撲をとっておいて、そうしてあっちの金、どこに使ったんだか、ばらばらでいけないと怒られております、などと言って、人の金で怒られているような体裁のいい話をするなんて、とんでもないことだと思うのでありまして、そういう点から見るならば、あなたの議論というものは支離滅裂、本来転倒だと、こういうふうに言わざるを得ないと思いますが、それはどうなんですか。対等の立場を要求されたらどうします。
  89. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いずれにしましても、共済制度を中心にする資金は、それは自治省と大蔵省の話でございますから、必ず御納得のいくような合理的なやり方をきめられるだろうと思っております。
  90. 園田直

    園田委員長 太田君。
  91. 太田一夫

    ○太田委員 大蔵大臣せっかく委員会においでいただきましたので、ちょっとお尋ねをいたしますが、これは一月十九日ですか、財政演説におきまして、こういうことをあなたはおっしゃったのですね、「地方財政の内容りますが、」「地方団体におきましても、は、幸いにして著しく改善されつつある経費使用の合理化をはかり、財政健全化の努力を続けられるよう希望、するものであります。」こういうことをあなたは財政方針演説の中においておっしゃったわけですが、地方財政の内容が幸いにして著しく改善されつつあるという、大蔵省として、あるいは大蔵大臣としての御認識なんですね。どうもこれが甘いような気がしてしようがない。先ほどから、地方公務員共済組合法の負担が少し少ないのじゃないか、あるいはまた高校生が急増するその対策としての負担も少ないのじゃないか、そして税外負担が著しく大きいというようなお話がずっと続いていたわけでありますが、そういう点から言いまして、著しく改善されつつあるという御認識だから、そういうことになってくるのだと私は思うのです。その改善されつつあるという根拠、ちょっと無理だと思うのですが、いかがでございますか。
  92. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私ども党にあったときは、二十八年ごろから地方財政の問題に関係いたしましたが、二十八年、九年あたりの地方財政というものは惨たんたるものでございまして、決算で見ましても膨大な赤字が出ているということから、いろいろ財政の改善について今日まで骨を折ってきたつもりでございますが、今度三十五年度の決算を見ましても、相当の黒字が出ておりますし、三十六年度、七年度、傾向をたどりますと、地方財政が二十八年、九年、三十年に比べてもう著しく改善されておることは事実だろうと思います。むしろ、たとえば国の予算で見ますと、三十六年度予算の実績、当初予算じゃなくて決算される場合を考えましたら、この実績の予想に比べて、昭和三十七年度はわずか千五百億円しか予算額は多くなっていないというような実情から考えていきまして、地方財政のこれからというものを見ますと、国の窮屈さと地方の窮屈さというものの予想をしますと、簡単にこれが予想できないくらいいろいろ様相が変わってきておりますので、国においても、特に財政の節約、緊縮というようなことをする必要が出ると同時に、地方財政においても、やはり財政運用の健全化ということについて相当考慮を払ってもらわなければならぬという情勢にあるのではないかと私は思っております。
  93. 太田一夫

    ○太田委員 三十六年度非常に黒字が出るのは事実だとおっしゃったのですが、奧野さん、ちょっとあなたに証言をしてほしいのです。実際地方財政がそんなに好転をして、黒字が出るのは事実である——まあ黒字の出るところはあるでしょうけれども、この黒字の内容というものがあります。地方債はどれくらいかかえておるか、そしてそれを差し引いて正味黒字であるかどうか、この点についてあなたの御見解を承りたい。   〔委員長退席、渡海委員長代理着   席〕
  94. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 三十四年、五年、六年と、幸いにして経済の好況にささえられまして、地方財政計画で考えておりますよりも、地方税収入はかなり伸びているのであります。また、先ほどお話が出ましたように、過去の地方財政の混乱状態を体験しておりますだけに、地方団体としては、増収があればすぐそれを使ってしまうということよりも、あとう限り積み立てをいたしましたり、黒字決算をしたりということに努力をして参ってきておりますので、収支じりを見ていきます限りにおいては、相当の好転を見せて参っております。他面、それでは住民のいろいろな要望にこたえられるようにもろもろの施設というものは十分に整ってきておるか、こういう面で参りますと、たとえば自動車がどんどんふえてきておるが、それに比例して道路がよくなってきておるかどうか、あるいは個人の生活がどんどん改善されてきておるが、それに比例して下水道が改善されてきておるか、こういうような問題になって参りますと、公共施設の立ちおくれが目立ってきておるのではないか、こういうことが考えられるわけであります。どういう観点からものを見ていくかということによって、地方財政は非常に好転しておるとも言えますし、まだまだとも言える、これが私は実態だと考えます。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 水田さん、奧野局長というのは、自治省におきましては数字の天才でありまして、池田さんを上回って地方財政のことは詳しい。奧野さんのおっしゃったことは、ものの見方の問題だ。あると思えばある、ないと思えばない。これは哲学や芸術の世界にはあるでしょうけれども、政治の世界にはちょっと無理な話でして、地方財政の現実的なものの見方ではないと思う。実質は非常な税外負担がふえていって、地方の水準を辛うじて維持しておる。また先ほどおっしゃった通りに、地方債などの非常な乱発と言ってはなんですけれども、ワクの拡大によって辛うじてつじつまを合わせて、つめに火をともして黒字になった。貯金ができたから、これは非常に好転しておるというのは、少し人情のない見方だと思います。大蔵大臣といたしまて水田さんは、地方財政は好転するだろうならいいのですが、好転をしておると思い切って断言をされるのは少し実態にうといのではないかと思いますが、その辺はいかがでありますか。
  96. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういう意味の実態を申しましたら、奧野局長の言う通りだと私も思います。国もやりたい仕事がたくさんあるのに制約されてなかなかやれないというときですし、地方も特にここでいろいろな単独事業を進めなければならぬ必要性に迫られておるときに、この財源に困っておることは事実であります。今私の申しましたのは、今までの地方財政に比べてみたら、最後に決算において黒字を残そうとしても、そういう余裕どころではなくて、やっていけなかったのが、ようやく決算ベースで黒字が出るという状態になったことは好転であろうと言っただけでありまして、実態論を申しますと、これはそう簡単なものではないと思っております。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 決算で黒字が出たからよかろうというのは、タコ配を地方団体がやっておるのでありまして、いわゆる民間の会社におけるタコ配ですよ。ですから、黒字を出すということが、何か一つの流行になっておるのですね。何か黒字を出さなければ肩身が狭いようなことで無理してやっておる。この無理しておる実態を見通していただきませんと、地方財政というものを見る見方が間違ってくると思うのです。その点奧野さんのおっしゃった通りですから、大蔵大臣、お間違いないようにしたい。特に地方債というのは、大体五%はどうしても地方債にたよらざるを得ない。しかも地方債は公営企業を中心としたものでしょう。かたわら、いわゆる収益事業に対する起債というのが非常に多いのですが、それでも大体五%くらいのものは毎年地方債として計上されておるのです。とても好転をしたというようなものではない。  そこでもう一つお尋ねをいたしますが、これは決算期の問題です。会計年度の問題ですが、大蔵大臣、どうですか、地方では、予算は三月にきまるとしても、四月から仕事が始まらないのですよ。数カ月いつもおくれてしまつて、そのために、今の話で、予算が使えなくて黒字になるものがあるのですよ。だから予算というものは、地方財政計画から始まって国の予算があるべきだということを、私は本会議であなたにお尋ねしたのですが、政府の方の御答弁は、予算の方が先であって、地方財政はそれからだという御説明ですけれども、とにかく会計年度が四月から始まって三月で終わるという国の制度は、地方団体にとって困るのです。これを一月から始まって十二月三十一日に終わるという暦年制をとるのが、ほんとうに地方団体に対する思いやりだと思っておりますが、あなたはどんなふうに考えておりますか。
  98. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはあらゆる機会に研究されている問題でございますが、結局、これは日本の社会生活、気候、災害のあり方、暮れ、正月のいろんな生活上の繁忙期とか、各国別々にそういう特殊なものを持っておりますので、そういういろんな事情の総合から、やはり今の会計年度ができたものだろうと思います。ですから、これを変えようという企てがあってもなかなかできなくて、一、二回変わったことがあるそうでございますが、結局、明治十九年から今日まで変わらないできているというのには、それ相当の理由があると思います。私どももこまかに検討してみましたが、実際において会計年度を一月からにするということは、今のところは事実上の問題として無理だという結論になっております。これはいろいろ理論的には各国の例もございますし、区切ることは可能であっても、実際問題としては実情に適しないということになろうかと思います。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 やったことがあるそうだができなかったので、できないだろうという御答弁ですが、もうちょっと真剣にこれと取り組んでいただく必要があるのではないか。たとえば先ほど補助金等の審議会を作るとおっしゃったのですが、地方財政のためにいろいろと御配慮いただくということはありがたいことでございまして、これがクローズ・アップされない限り、日本の国の行政水準なんて上がらないと思うのです。ですから、そういう意味からいきましたら、国の会計年度が一月から十二月までの暦年とひとしいということが、実は非常に地方団体にサービスになると思うし、また予算の計画と実施とが一番ぴったりすると思うのです。そういう意味においてこれは御検討なさる必要があるのではないかと思いますが、手放しでだめだとあきらめていらっしゃるのはふに落ちかねる。その点いかがですか。
  100. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国と地方の会計年度をずらすことには私は意味があると思いますが、一面、ずらしますと、地方財政の方では、国の会計年度と違う関係から、国の二年度にまたがった編成考慮をしなければならぬというような問題が出て、事実問題としてはさらにこれは不便な方向へ行かぬとも限らないという問題もございまして、やはり国と地方年度が補助金その他一体的に考えられておる現状から見ましたら、この年度をずらすことの方がさらにむずかしい問題を起こすだろうと考えております。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 これはむずかしいだろうし、いろいろとあるだろうと思いますが、真剣に一度考えていただいて、地方の自治体の活動に便なるように考えていただきたいと思うのです。これは私の一つ意見です。  さて、そこで先ほど来の地方財政の実態の話ですが、交付税の問題が実はほんのわずか上がったのです。実質十五億円の増でありますが、この十五億円はたしか使途が大体きまっていたのですね。いわゆる地方公務員等の共済組合法の制定によるその費用に見合うものとして十五億円、〇・一%の交付税の増額があった。交付税というのは、全体の地方団体予算に占める割合は一五、六%なんです。これは非常に少ない。そうして国庫支出金が非常に多い。二五%くらいは国庫支出金だ。こういうところから地方予算の構成比率に問題があるわけです。この際は、独自の財源といったところでちょっと見当らない限り、何とか交付税でももう少しふやしていただいて、そうして地方の一般財源を強化するというのが本筋だと思いますけれども、それを当面そんなわずかの程度で、今までの臨時交付税を普通交付税に入れて、さらにそれに〇・一%乗せただけだ。この〇・一%の十五億は給付金の負担分に見合うものとして一応それを措置したというわけです。なぜこれが三〇%なら三〇%というふうに思い切り飛躍がなかったか、この点大臣はどういうようにお考えになっていますか。
  102. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国の財政との調整の問題とかいろいろな問題がございますので、やはりいきさつ的に現状に応じて現在のような形に徐々に上がっては参りました。私どもの方では、この〇・三%が問題になりましたが、いろいろ地方財政実情を見まして、これを入れて〇・四%の交付税の引き上げということをやったわけでございます。これはやはり国の財政との見合いを中心としたいろいろな考慮から、一挙にこれを引き上げるというわけにはなかなか参らないものだろうと思います。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 一挙に引き上げることには参らないだろうとお答えになりましたけれども、一般財源のパーセントというものはどのくらいあったらいいだろうということも実際真剣に考えておいていただきたいと思うのです。今のような非常に国庫支出金や地方債にたよって、辛うじて交付税を含め、譲与税を含めて一般財源五〇%というようなことでは、地方の仕事がうまくいきそうなはずがありません。  そこであなたにもう一つお尋ねをいたしますのは、最近の税制改正が、非常に所得税減税をする、その一部を地方税住民税県民税の方に回して県民税がふとる、こういうふうになさいまして、早く言うならば、所得税を納める階層を中心として税体系が考えられておる。しかし、今日本の国の一番悩みというのは、その所得税も納められないという人たちの生活の実態なのです。そういう点が問題なのです。地方住民税が二段階の簡単な比例税率でいきますならば、どうしても所得の少ない人も税金をたくさん出さなければならぬ。しかも均等割というのがあるのです。そこであなたの方には、各階層別の税負担実情というものは、何かお調べになった資料はおありなのでしょうか。
  104. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 道府県民税が、税率が上がりましても、納税者負担増にならないという所得税改正を行なっておりますので、この階層別の資料は、詳細な資料がございます。そしてどの階層でも負担増にはなっていないという資料はございますが、今持ち合わせておりませんので、必要ならばこの委員会に提出いたします。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 もしそれに目を通していらっしゃるとするならば、今次の改正案が、とにかく所得税は減らしたのだ、県民税はふえたふえたと言うが、総合すれば減るじゃないかとおっしゃっても実はその金額は微々たるものであって、独身者などにおきましては、二十万円の方が今度減りますのが、平年度におきましては千二百円、月額にいたしまして百円でございます。百円減るだけだ。五人家族の五十万円の方が二百円減るだけだ。この金額の減り方というものは、これは減ったことにならぬでしょう。かたわら物価の値上げがあるのだから、減税じゃないと言うのです。そういう点について、あなたの方はそれを移譲することは減税だとお考えになったでしょうか。
  106. 松井直行

    ○松井政府委員 大臣からお話がございましたが、国の所得税減税、それから府県県民税の今回の調整、合わせてどういう負担増減になるかということは、租税及び印紙収入の説明の資料でございますし、おそらくそれをお持ちになってのお話だろうと思います。これをもってごらんになればおわかりになりますように、税の配分以外に全般を通じて減税になるようにということのほかに、特に低所得階層にその減税の恩典が強く響きますように税率配分等について工夫がしてあるという跡をこの中でよくお読み取り願えると思います。
  107. 太田一夫

    ○太田委員 その表がありますので、私は言うのですが、二十万円の独身者で月に百円だ、五十万円の標準家族で二百円だ。それでしょうちゅう一合に幾ら減らしたのですか。あなたの方の税の改正によりますと、お酒の減らし方などというものはまことに微々たるものでございまして、しょうちゅう一合に四円、そして二級酒で五円、その減らし方でありますけれども、こういう一番その日の生活に苦しんで、何とかしてもう少し楽になろうという人たちに対する思いやりというのは、単に数字の上ではあるのだよではいかぬと思うのです。先ほどから逐次皆さんが論ぜられましたように、税外負担は、実は地方住民税金額を上回っておる。それがほとんどなんです。四百億や五百億なんて小さなものじゃありませんよ。そういう実態の上で、さらに今度のいろいろなあなたの方の御方針は、地方負担をふやすことばかりだということになれば、もうちょっと減税というものを思い切ったことをおやりになるべきだった。地方税に、県民税に移譲しないものを減税なさって、それでもなお足らないのじゃないかと思うのです。しかも一部を県民税に移譲して、県民税で増徴する、余分に取るということは、どう考えても思いやりが不足していると思うのです。その点を申し上げたいのでありますが、門司さんがおいでになりますので、以上の点を申し上げて御答弁は要りません。
  108. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 門司亮君。
  109. 門司亮

    ○門司委員 率直にお聞きしますから、大臣もごく率直に短い時間に答弁して下さい。一つ聞いておきたいのは、これはこの間の予算の分科会でも聞いたのでありますが、自治省大臣には承ったのですが、大蔵大臣に承っておきたいと思いますことは、国と地方との会計年度を変えた方がよろしいと思いますが、この点についての大蔵大臣の御意見を聞いておきたいと思います。
  110. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今同じような質問がございましたのでお答えいたしましたが、これは国の予算がきまって、そして補助金、負担円、交付金がきまってから、それを土台に地方団体予算を組むということにしましたら、一応これはその方が今よりは便利であるようにも思われますが、会計年度がずれますというと、地方の会計年度中に、次の国の予算のあれがわからない限りはやれないという部面がございますので、二年度にまたがって会計をしなければならないとか、いろいろの問題が出てきて、技術的にも私どもの方では検討いたしておりますが、これは変えた方がいいという結論にも今のところ出ておりません。
  111. 門司亮

    ○門司委員 私は、その考え方はおかしいと思うのですよ。地方の財政をどこまでも国に従属させておこうという考えからそういう考え方が出てくると思うのです。地方の会計を独立させようとすれば、国が暦年にすれば、地方を今の四月にしてもちっともさしつかえないと思うのです。ただ補助金や何かの関係があると言われますけれども、こんなものは会計がきまってからでよろしいのでありまして、そして地方がやはり独立した建前で事業のできるようにしてあげることが、私は、今日の地方行政を混乱させない最大の原因だと思うのです。今の地方自治体は全く混乱をしているのです。当初予算というものは、幾ら補助金がつくか、幾ら交付金が来るか、どうなるのかちっともわからない。これが全部見込みでやられているから、堅実なところの骨格予算しか組んでいない。ややずるいところは、大体水増しをして予算を組んでいくという危険性がある。今日の地方現状は、この会計年度がダブって同じような会計年度をとっておいて、地方の自治体の財政がどこまでも国に従属しているところに、地方財政のむだと、地方の独自性と、さらに発展性を大きく阻害していると思う。地方がわかった財政で地方の重要な仕事を計画的にやっていける方法は、やはり国が講じてやるべきだと私は考えております。交付税だって最初からきまっているのだ、十二月にきまっておれば、三月の予算に組む場合においても確定した財源で思い切った仕事ができていくのである。幾ら来るのかわからないからこの辺にしておこうということで、従って、地方の今日の現状というものは、当初予算はほんとうに骨格予算であって、ほんとうの仕事は三カ月おきに行なわれる地方議会においてこれが取り上げられている。全く自主性を欠いている。しかも場当たりである。これではいつまでたっても憲法にいう住民自治なんというものは考えられない。政府があくまでも地方の自治体は国の従属機関だというようなものの考え方の上に立っておられると思うから、今のような御答弁が私はできると思う。われわれは、自主的にやれば幾らでもできると思う。もう時間もございませんから、多く議論はいたしません。  次に、私聞いておきたいと思いますのは、基地を持っております自治体の財政と、今日までのこれらの関係であります。御承知のように基地の交付金ができましたのは四年ばかり前であります。ことしの十二億を入れましても、前二年が十億、その前が五億であって、大体三十七億程度しか出ていない。基地所在の町村が、基地のためにどれだけ迷惑をしたかということを広く考えていくならば、爆撃を受けた都市がどれだけ、戦争のために自治体として大きな犠牲を背負ったかということである。今日こうした問題につきましては、御承知のように新しく法律ができている。そして駐留軍の被害を受けた諸君に対しては何らかの補償がされるような法律ができております。これがさかのぼって適用されることになっている。人的にはそういう措置が講ぜられている。  また一つの問題は、今政府あるいは自民党で、法律によって施行いたして参りました農地の改革に対する地主の補償というものが考えられているように私どもは聞いている。こういう戦争によって今まで被害を受けた幾つかの問題で、個人に対しては補償されようとしている。しかもずさんなのは、法律できめた土地改革に対する問題も、いかにもあの法律は誤りであったかのような印象を与えて、そしてこれにも補償をしようという考え方を持っている。そうだとするならば、自治体にも同じような補償がさるべきではないか。地方の自治体が戦争のためにどれだけの被害と、どれだけの立ち直りに苦心をしたかということは、大臣も御存じだと思う。従って、この基地交付金に対して、さかのぼってこれをこまかい計算をして全部払えとは言いませんけれども、少なくとも法の建前としてはこれを取り上げていくというお考えがあるかどうかということをこの機会に伺っておきたいと思います。
  112. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 基地を持ったところの地方団体が、そのためにいろいろな負担がある。それをどうするかということは、結局、根本的には、やはり必要経費を交付税の配分によって、これは対処するのがほんとうであって、現にそういうことになっておると思います。しかし、この基地交付には御承知のような経緯がございまして、特別に計算をしない。きわめて大ざっぱに、そういう地方財政の運営の仕方が根本的ではあるが、それとは別に一定金額を交付して、その中でまかなってもらう。現にもうそのための負担が減ったところもございますし、さらに負担の強化している地方団体もあると思いますが、それを個々に一々計算しない・で、一括一定額を交付するという形で、国会でも妥協と言っては悪いのですが、妥協的な一つのやり方として交付金という制度ができたわけでございます。従って、その後ずっとその趣旨でこれは定額で、特に具体的な計算をしてこれを増減しないという立場で今日まできましたが、今回は、私どもいろいろ御要望もございましたので若干これを増額するということにとどめたわけでございますが、これは内容を積算した経費の計上ではございません。そのための必要経費というものは、やはり一般の地方財政の趣旨に沿って運営さるべきものだろうと思うのです。
  113. 門司亮

    ○門司委員 大臣のせっかくの答弁ですけれども、なるほど地方交付税の中には、御承知のように財政需要と収入とのアンバランスを埋めていくという建前がとられておったということは事実である。しかし、これは全額を出しておるわけでは決してございません。同時に基地交付金のできた由来というのは、大臣も御承知のように、全然そこから固定資産税も十分に上がりませんし、また土地の発展も大きく阻害されることから、税収入にきわめて大きな影響を持っておる。一方において自治体の負担はだんだんふえていく。こういう形で市町村に、国の持っておりまする財産に対して国が固定資産税相当額というものを出しておる。そうだとすれば、理論は同じような形で、われわれとしては、今の大臣の御答弁のようにつかみ金でやるというようなことでなくして、自治体が固定資産税でどのくらい損をしておるかということを積算して出すべきじゃないか。これを出してごらんなさい、大体今の五億だの、十億、十二億だのという数字が出てくるはずはないと思う。もっと大きな数字が出てくると思う。ところが一方、そういうことがあるから交付税で見ておるじゃないかということで逃げ込んで、そうしてつかみ金でそれをやっておる。私はこれほど不見識なものはないと思う。もし政府が筋を通すならば、はっきりと固定資産税相当額を、今まで払わなかったものをさかのぼって一つ出してごらんなさい、どれくらいの額になるか。当然交付税でその全額を補償しておればよろしゅうございますが、交付税で全額を補償するということはどこにも書いてないのですよ。ただ収入と需要額とのアンバランスだけを見るということになっておる。しかもそれは政府のきめた基準でやる。それで地方自治体のどこに発展性がありますか。地方の自治体は何も交付金をもらわなくても、当然固定資産税として入ってくるやつがあれば、それでもって地方自治体が独自で発展し得る素地を持っておるのだ、そうなっておるのだ。にもかかわらず、当然出すべきものを出さないで、そうしてお前のところは収入が少ないから交付金でこれを埋めてやるのだというようなものの考え方が間違っているのじゃないか。さっき申し上げましたように、個人の損害についても、今まで御承知のように多少の見舞金はみんなもらっておる。しかし、その見舞金だけでは足りないので、新しい法律でこれを補償することになっておるのでしょう。そうだとすれば、自治体も同じような考え方に立って、今までの不足分は出す方が——積算してどうこうということも一つの方法でありますが、そういうことを別にして、大蔵省の考え方として、当然長い間地方の自治体に御迷惑をかけた、国家財政もどうにか立て直ってきておる、何とかこの際地方の自治体にもそうしたものを補うという考え方があってしかるべきだと思う。これは地方の自治体にとっては実際災難ですよ。早くやめてもらいたい。そんなものはない方がよっぽどいい。日本の基地は何百カ所あるか、私は、きょう不幸にして資料を持って来ていませんが、私は詳細な資料を持っているのです。この詳細な資料に基づいて各道府県市町村から集められたデータを積算して参りますと、十二億なんという半端な数字は出てこないのです。もっと大きな数字が出るはずです。  私は重ねて大臣に聞いておきますが、どうしてもそういうことはできないとおっしゃるのですか。私は、個人にそれを補償する段階にまで今日きておると思うのです。地方の自治体の、少なくとも被害を受けた市町村、あるいは現に基地を持って迷惑をしている市町村、ことに基地を持っておりまする自治体というものは、基地のある間はまだ何とか息をしているのでありますが、一たび基地がなくなってしまいますと、その自治体は非常に大きな迷惑をする。たとえば先年行なわれた横須賀も、一万人以上の首を切って、そうして百数十万坪の土地を返されるということです。あるいは今現に起こっている所沢の問題でも、ビクターオートの労働者約三千人の首切りをこの三月に行なわなければならない、それで閉鎖をしなければならない。それからくる地方財政への影響というものは、かなり大きなものがある。こういうことを考えて参りますと、今日基地を持っている自治体の経済ほど不安なものはないのであります。いつこれがなくなるかわからない。なくなった場合には、これをどうするかということになる。たくさんの失業者をかかえ、市民税も固定資産税も入ってこない。全く自治体はとほうにくれなければならぬ。こういう自治体の現状を考えますと、今のようなあてがい扶持の交付金をやっているからそれでよろしいということは成り立たない。少なくともこの段階では、積算の方法はいずれにいたしまして、大蔵省としては、非常に長い間御迷惑をかけたから、先ほど申しましたように、国の財政も立て直ってきたことであるから、これを何とかしょうという大臣のお考えがあってしかるべきだと私は思いますが、大臣はそういうことは毛頭考えていないという御答でございますか。
  114. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題を根本的に考え直せ、合理的にしろというお話なら、これはまた別の問題でございまして、新たに別なやり方を険討するということになろうかと思いますが、ただ従来のいきさつから見まして、一般的なやり方のほかに、特にこういうものを設けて——基地を持っておった地方団体でも、今基地がなくなって、その負担がなくなっておるところもございますし、負担がさらに強化しておるところもございますが、いろいろ内容を全部見て積算して、それに対する補償をどうするかということでしたら、これはまたやり方が別の問題になると思いますが、そうじゃなくて、そういうむずかしい問題があるが、とりあえずつかみ金でこれくらいの金額を出して、それで合理的な配分をしたらよかろうということからこれは出発した制度でありますので、私ども、それは一応踏襲してきておるわけでございます。この委員会に出てきますと、たびたびこの問題が出て参りますし、ことしの予算で、一応つかみ金という性質のものでございますから、大ざっぱにつかみ金で二割を増額しておいたということでございまして、これをもっと合理的に積算してというのでしたら、この制度自身がやはりやり方を根本的に検討する必要があろうかと思います。
  115. 門司亮

    ○門司委員 これ以上追及してもしようがありませんから、きょうは一応そのくらいにしておきますが、これは大臣、一つほんとうに考えてもらいたいと思います。基地のある間はまだ幾らか息ができるのであります。たとえば、具体的に言えば、福岡県の芦屋町のようなところはそうであります。  それから最後にもう一つ聞いておきたいのは、この間大蔵大臣の答弁で、自治省の大臣それから財政局長から伺ったのですが、大蔵大臣、ほんとうにそういうことを考えておるか、もう一度伺っておきたい。それは起債の償還年限を延ばすということです。これはこの間も申し上げたのでありますが、今度の例の交付税の算定の基礎の参考書を読んでみますと、鉄筋コンクリートにおいて七十五年、鉄骨の建物で四十五年、木造が二十五年と耐用年数が書いてある。そうすると、地方財政法には、耐用年数をこえて償還するようなことがあってはならないと書いてある。だから裏を返せば、耐用年数まで償還年限を置くべきだということが法律ではっきりしているのに、七十五年間の耐用年数のあるものが償還年限が三十五年、平均して起債の償還年限は十八年くらいにしかなってない。だから、一方においては交付税の算定の基礎はそういうことで計算をされる。政府に金を借りるときは、いや七十五年でない、三十五年だというようなことで早く返せということになる。この間自治省に聞いてみましたら、どうも政府の資金繰りの都合があるから延ばしては困るという話だったのですが、政府の資金繰りのことはわれわれでもわかります。しかし、その政府の資金も、必ずしも自治体を優遇しているわけではない。財政投融資というものがどういうふうに使われているかということは大臣も御承知のことだと思うのです。だから、もうこの辺で大体法律と合わせて、そして起債の償還年限も耐用年数一ぱいに返せばよろしいということになることがよろしいのではないか。私は、法律通りにやっていただきたいと言うだけでありまして、無理なことを、この際新しい提案をするわけではございません。  それからもう一つ、この問題については利息の問題があります。ことしの財政計画を見てみますと特に感ずるのでありますが、ことに高等学校の増築の問題に対する起債などは縁故で大体これをまかない、いわゆる地方起債にこれを求めようとしておるから、国から出す金を少なくして、地方銀行から出る金が大体これに充てられているように私ども見ておるわけであります。そうなって参りますと、公募の方は御承知通り償還年限は非常に短いのであります。しかも金利は八分五厘で、政府資金よりも二分高いのであります。こういうことを考えて参りますと、この地方の実態というものは、起債についてかなり大きな無理な負担をさせられておる。だから地方の自治体の負担を軽くして、そして法律のように耐用年数と合った償還の年限にしていくというお考えが大蔵省にあるかどうか、大蔵省がこれでよろしいというなら、私は自治省も大した文句はないと思うのですが、大蔵省としての意見一つ承っておきたいと思います。
  116. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 起債の年限の問題等は、自治省と大蔵省でお説のような方向において今相談をしておる最中でございます。高校生急増対策、いろいろ問題がございますが、要するに急増に対処し得るよう、これは関係三省において十分協議して支障を来たさないように、とにかく責任を持ってやっていくつもりであります。
  117. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁ちょっと違います。私は何も急増対策が間に合うとか間に合わないとか言っているのじゃないのです。財源措置が公募に非常にたくさんを委ねておるということです。このことは一つの例として申し上げます。たとえば学校を建てれば、片っ方では木造でも二十五年という耐用年数があるのであります。そうすると、公募の方の償還年限は七年でしょう。しかも利息は八分五厘で、政府の六分五厘より高いでしょう。償還年限は非常に短い間に返さなければならない。政府から借りておけば、少なくとも木造であっても十七年、十八年、あるいは二十年はどうにかなるかもしれない。しかし地方の公募債ではそういうことはできませんから、やはり政府との取りきめの上で、利息は八分五厘払わなければならぬ、償還年限は七年でやらなければならぬ。これは地方の自治体にとっては非常に迷惑であります。そういうことが現実にあるのでありまして、私は何もそれで公募の問題をどうするということを議論しているのではなくて、そういう例があるのであります。非常に迷惑しておるということです。だから少なくとも二十五年の耐用年数があるから二十五年で返せばいいようにしていただきたいということであります。ことしの地方財政計画を見てみますと、そういう非常に大きな起債に対して政府資金が割合に少なくて、地方の公募は非常に多い。その結果は耐用年数と関係してこういう事態になっておる。私は、公募について地方銀行に大蔵省が二十五年待てとか、あるいは鉄筋だから四十五年待てということになると、地方の銀行はなかなかそういうことは承知しないと思います。そのことはわかります。しかし、起債と償還年限を合わせるという——事業起債その他ならまだよろしゅうございます。収益も上がってくる。水道だとかあるいは交通だとかいうものなら、あるいは償還年限は短くてもいいかもしれません。しかし、少なくとも学校の建築などというものは、何も償還財源が上がってくるわけではございませんから、これはやはりできるだけ長くしておいてもらいたい。こういう考え方でありますから、一つ間違いないようにしておいてもらいたいと思います。
  118. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 一般会計部分の学校とか、そういうものについては今公募を認めていない、ほとんど政府資金で起債をまかなって一おるという実情でございます。
  119. 門司亮

    ○門司委員 あまりおそいから、あとで聞きます。
  120. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会