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1962-02-13 第40回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十三日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    大竹 作摩君       亀岡 高夫君    田川 誠一君       津島 文治君    前田 義雄君       山崎  巖君    安宅 常彦君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      大村 襄治君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     降矢 敬義君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)   佐々木喜久治君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 二月十二日  委員前田義雄辞任につき、その補欠として西  村直己君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村直己辞任につき、その補欠として前  田義雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十日  昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法律案内閣提出第八五  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会において参考人出頭要求に関する件  昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法  律案内閣提出第八五号)地方税法の一部を改  正する法律案内閣提出第四九号)     ────◇─────
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  去る十日付託になりました内閣提出昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案議題といたします。
  3. 園田直

    園田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大上自治政務次官
  4. 大上司

    大上政府委員 ただいま議題となりました昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由と、その要旨を御説明申し上げます。  政府は、今国会に、第二次の補正予算として額総百二十八億円余の地方交付税増額提案いたしましたが、このうち先般の国会において、御議決をいただきました昭和三十六年度分地方交付税単位費用特例に関する法律に基づく本年度分普通交付税の再算定に伴う普通交付税追加交付に充てられる額は、二十八億円程度となっております。  現行地方交付税法第六条第二項の規定によりますと、毎年度分として交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十八・五に相当する額の合算額に、当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し、または前年度以前の年度において交付すべきであった額をこえて交付した額を、当該合算額から減額した額とされております。従って現行法のもとにおいては、今回の補正予算により増額計上された地方交付税は、本年度分普通交付税の再算定に伴う追加交付所要額を差し引いた残余の部分も、地方交付税法第六条の三第一項の規定により特別交付税として本年度内に交付されることとなるわけであります。  地方財政の現況は、低位にある行政水準引き上げ等のため、さらに多くの財源を必要としているのでありますが、本年度はすでに余すところ幾ばくもありませんので、年度内に交付いたします地方交付税額は、普通交付税の再算定に伴う追加交付額及びこれに対応する特別交付税相当額にとどめ、これをこえる額は、地方財政全般考慮した計画的かつ合理的な財源配分を行なうため繰り越し、明年度地方交付税総額に加算して配分することが、より適当と考えられるのであります。  なお、明年度へ繰り越して配分する額は、本年度分地方交付税総額四千七十五億円から、本年度分の各地方団体普通交付税合算額三千七百三十八億円及びこれに対応する特別交付税二百三十九億円との合算額三千九百七十七億円を差し引いた九十八億円となるのであります。  以上が、昭和三十六年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 園田直

    園田委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  なお、本案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 園田直

    園田委員長 次に、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  前会に引き続き質疑を行ないます。山口鶴男君。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今回提案されました地方税法改正について、おもな問題点を一、二お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一番目といたしましては、税制調査会答申当局としてはどの程度尊重されたのか、この点をお尋ねいたしたいと思うのです。今回税制調査会は中央、地方財源配分について、より抜本的な答申を出すのではないかと私ども期待をいたしておったのでありますが、その期待は非常に裏切られまして、この問題についてはきわめて不完全な答申しか出しておりません。われわれといたしましては、この問題については非常に遺憾に思うわけでありますが、ただ、今回の税制調査会答申で、全国民に非常に歓迎をもって迎えられた事項が一つございます。それは、国民所得に対する税負担割合を二〇%程度の現在の負担の線で押えることを基本的な目標として減税政策をとるべきものである、どういうことを税制調査会ははっきりと述べておるのであります。その他の税制調査会答申は、きわめて遺憾とするところでありますが、この国民所得に対する税負担を二〇%で押えろ、この問題に関する限りは、今回の税制調査会のいわゆるヒットであろうと私ども考えておるのでありまするが、この問題について、政府におきましてはいかに考慮をしてこの答申を守ったのか。私ども考えるところでは、税制調査会の最大のヒットであるべきこの問題について、政府は全く答申を無視しておる、このことを私ども非常に遺憾に存ずるのでございまして、この点に対する当局の明快な御答弁を次官から一つお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 大上司

    大上政府委員 税制調査会における答申、いわゆる基本方針と申しますか、これに対する主要なる点は、国民負担を大体二〇%で押えていく、これがどのように振りかえられておるかという御質問でございますが、これの結論といたしましては諸要因も含んでおりますので、系統的に一度十分に、基本的に事務当局から答弁いたさせます。なお事後におきまして私が補足的な答弁に立ちたいと存じます。
  9. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の税制改正は、昨年も同じでございますが、まず政府税制調査会に付議いたしまして、その答申政府としてはでき得る限り尊重して、可及的に答申の線そのままで実施、実現を期していく、こういう根本方針に立って税制改正案立案をいたしておるのでございます。  そこで、今回の私ども地方税法改正案中、政府税制調査会の案と違っております点は二点ございます。第一点は、自動車税減税につきまして、政府税制調査会の案におきましては、現行税率小型自動車の一〇〇〇CCないし一五〇〇CCの線に合わすのが適当である、こういうことになっております点を、政府原案では一五〇〇ないし二〇〇〇CCの線に合わす、こういうことで調査会答申以上に減税を行なう、こういうことに相なっておる点が一点違っております。いま一点は、料理飲食等消費税につきまして、答申案では二千円を基準として税率適用区分の差を設けるべきである、こういう答申に対しまして三千円になっております。この二点が変わっておるのであります。あとは変わっていないつもりでございます。  そこで御質問税負担率の問題でございますが、税負担率の点につきましては、昨年の税制調査会において国民所得に対しておおむね二〇%を目途にして国民税負担軽減をはかっていくのが適当であろう、こういう御答申があったのでございますが、その際に、実はいろいろな付帯の意見がございました。それは税の負担率一定に押えるということが、はたして正しいのであろうかどうか。つまり所得倍増計画によって国民所得が増加をする際には、税の構造上当然負担割合というものは上がっていくのではないか。その負担割合が上がっていくことをもって増税であると考えることは、税の構造上誤りではないか、こういう点が一点。いま一つは、およそ現在の経済機構を維持しようとする場合に、富める者は、やはり税のいわば累進の構造といいますか、そういうやり方ででき得る限り能力に応じて税は納めていただく、そうして、それを国なり地方団体歳出を通じて、経費として税を負担し得ない階層に還元をする、こういう必要性もあるのではないか。さらにまた、地方団体としては、一定割合でかりに押えるにしても、それを国税地方税を通じて同じ割合で押えるということについては、地方財政の実態から見て、これは酷に過ぎはしないか、こういったいろいろな疑問点も出まして、その結果一応の目安、こういうことでおおむね二〇%、こういうことになったのでございます。従いまして私どもとしては、その線をでき得る程度には守っていきたい、こういう気持を持っておるのでございますが、しかしながら、何と申しましても所得がふえれば、それは当然に税負担の率というものは上がっていくので、諸外国の場合であれば、大体三〇%見当負担率になっております。といって三〇%になっているから諸外国の方が日本より税が重いかというと、それは必ずしも重くない。それは結局所得の絶対額の開き、つまり可処分所得がどうなるかというところに帰するわけでございます。そういうような点から、今回の税制改正でも、三十六年の決算の見込みでは大体二二・八%でございますが、それを今回減税をいたしまして二二・二%ということに押えておるのでございまして、こういった点は、所得と税の負担率ということは根本的にいろいろな問題点もございますし、同時に私どもとしては、税制調査会答申の線もあるということをかれこれにらみ合わせまして、減税案立案をいたしておるのでございます。
  10. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一応二〇%という答申があるけれども、現状では二二・二%程度国税地方税を合算した負担になっておるというお話でございます。確かに地方税の問題に限定をして論議をいたしますならば、現在、地方自治団体財政は、必ずしも十分でありませんで、地方財源を充実するという観点から、地方税についてあまりに軽減をしていくということについては問題があるというお話しの点は了解いたします。ただ私の聞いておりますのは、地方税限定をして議論をいたしておるのではないわけでございまして、あくまで国税地方税を通じて税制調査会がそういう基本的な方針を出しておる。これについて、政府が二〇%を相当こえた税負担国民に課しておる。この点を実は問題にいたしましてお尋ねをしたわけでございます。確かに御指摘の通り所得が一〇ふえれば税負担は一五ぐらいふえるというのは、これは税の累進的な性格からいって当然であります。  ところで、昭和三十六年の国税の伸びがどのくらいかというようなことについては、いろいろ学者方々の方も議論をいたしておるようでございますが、大体第一次補正、第二次補正をいたしましても、なおかつ二千億円以上の剰余金が出るだろうということは、大体どの学者方々も一致した見解であろうと思うのであります。そういたしますと、ここに税制調査会答申が出まして、個々の税に対するいろいろな答申については、自動車税並びに料理飲食等消費税を除いてそのままお守りになったということは、私も理解をいたすものでありますが、しかし税について、この程度軽減をしろということについて、時期まではっきり税制調査会は限っておるわけじゃないでしょう。とすれば、昭和三十六年において二千億円もの膨大な余裕財源が出ておるということになれば、個々の税の答申についてはこれを守っていきながら、なおかつ国民負担軽減するという方法は、私は当然あろうかと思うのであります。そういう点については政府考慮をなさらなかったのですか。この点をお尋ねいたします。
  11. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 先ほど申しましたように、政府としては、税制調査会のおおむね二〇%程度ということを一応目安に置きつつ、同時に、歳出の不可避的な増の要因、こういうものと彼此勘案をいたしまして、今回のようにおおむね千五、六百億程度国税地方税を合わした減税実施する、こういうことにいたしたのでございます。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも理解しがたいのです。個々税目についていろいろ答申お守りになった。ところが全体の税負担については二〇%の水準を相当こえておる。これが私は現実だと思うのです。その場合、個々税制調査会答申を守ったから、守った減税はやったのだ、だから問題ないではないか、こういうようなお話でありますけれども、しかし、全体の国民負担というものは、税制調査会が妥当と認める線をこえていることは事実なんですからね。ですから、一方では確かに料理飲食等消費税、それから自動車税等において、答申の線よりもより減税をやった、こういうお話でありますが、そういろ気持があるならば、二〇%の線を守ろうとするならば、ほかの税目についてもより減税をやったって悪くないと私は思うのです。それからまた、本年度、平年度で若干減税の額も違うわけですから、減税の時期を早めるなり、時期の操作等によっても、私は二〇%という答申の線を政府が守ろうとするならば、守る道は幾らでもあると思うのです。ですから、一体そういう点で、ほんとうに国民負担というものをお考えになって減税政府考えられたのか。そうではなくて、まあそれは一応の基準なんだから、それはかまわぬ、とにかく本年度のように大型総花予算とか、あるいは総花ゆるふん予算とか言われておりますけれども、そういう格好で、国の予算全体を大きくふくらまして、そうしていく、こういうような考え方で対処をせられたのか、その点を聞いているわけです。ですから、政府の方として二〇%というものを守るとすれば、守る道は幾らでもあったのではないか、なぜそういう点を考慮なさらなかったのか、そういう点を一つお聞かせ願いたい。
  13. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の政府税制調査会答申は、御承知通りに、個々減税の内容をどうするかという点と、もう一つは、国民負担考えながら、財政支出増高、これを彼此勘案しつつ、減税規模についてどう押えるかという、この二点が答申になっておると思いますが、そのうちの減税規模につきましても、政府の今回提案をいたしております原案というものは、国税地方税とも政府税制調査会答申の線を上回っておるというふうに私ども考えておるのでございます。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは個々については、地方税限定をして言いますならば、遊興飲食税、現在は料理飲食等消費税自動車税について答申の線を守って減税をおやりになっておるということは、それはよく理解をいたしておりますが、しかし、そういう配慮はしつつも、全体として税負担が二〇%を相当こえており、二二・二%に達している。こういう点は私どもといたしましては非常に遺憾であるというふうに言わざるを得ないと思うのです。この点については、さらに小委員会等もございますから、一応こちらの意見を申し上げて、この問題については終わりたいと思います。  次いでお尋ねをいたしたいのは、今度、道府県民税におきまして、国税の、いわゆる所得税の一部を移譲いたしたという問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、この所得税の一部を道府県民税に移譲する場合に、現行累進税率を改めまして二段階比例課税といたしたという問題であります。この問題につきましては、過日も渡海委員からお尋ねがございまして、政府の方の答弁をお伺いいたしたのでありますが、この問題についての政府の御答弁は、比例税率にしたところが負担は絶対にふえないのだ、低所得者においても負担は絶対ふえぬ、こういう御返答であったのでありますけれども、これは何ですか、個々所得、それぞれの段階におきます所得をとってみまして、絶対に負担はふえておりませんですか。それからまた負担の問題については、減ったといい、ふえていないといっても、これは大幅に軽減をした所得層と、それからあまり軽減になっておらぬ所得層というものが当然あり得ると思うのです。そういうものを、ある程度高い所得層の場合は幾らどういう形になって、低所得の場合に具体的にどういう数字が出ておるのか、大まかな段階でけっこうでありますから、どうぞお示しをいただきたいと思います。
  15. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の所得税からの一部移譲に伴います道府県民税改正で、納税者負担増を来たすことはないのか、こういう御質問でございますが、これは先般お答えいたしましたように、同一の条件の者について、この改正によって税負担がふえるということはございません。私どもといたしましては、所得税及び府県住民税総合負担の上において、低所得者ほど減税割合が大きい、こういうことにいたしておるのでございます。その方法は、一つは、税率による調整が一点でございますが、いま一点は、税の構造上の差異に基づく課税所得が開いておるということに伴う税額控除制度の採用、さらに政策的な配慮から、特に低所得者であるという意味合いにおいて、一部初年度実施に伴って還付制度を認めておる、こういうようなことも、私どもとしては完全な調整をいたしたつもりでございます。個々の具体的な所得段階別減税割合がどのようになっておるかという数字につきまして、課長から詳しく御説明を申し上げます。
  16. 降矢敬義

    降矢説明員 私から御説明申し上げます。  給与所得者事業所得者を分けまして、実例を申し上げます。給与所得者独身者の場合でございますが、これを給与金額が年二十万円という場合について申し上げますと、現行法で見ますと所得税が五千三百五十四円、県民税が四百二十八円、計五千七百八十二円でございます。それが改正案によりまして、三十七年度分を申し上げますと、所得税は三千六百八十三円、県民税が千七十円、計四千七百五十三円になり、従いまして、増減額を申し上げますと、所得税において減が一千六百七十一円、県民税では増が六百四十二円、差引、減が千二十九円でございます。その増減割合を見ますと、所得に対して一七・八%の減の割合になっておるわけでございます。それが、たとえば給与所得が七十万円のところを申し上げますと、今と同じ数字で、現行所得税は六万六千四百二円、県民税が六千三百十二円、計七万二千七百十四円でございます。改正案で、昭和三十七年度分を申し上げますと、所得税は五万八千四百二十一円、県民税が九千三百九十円、計六万七千八百十一円、従いまして、三十七年の所得税の減は七千九百八十一円、県民税の増が三千七十八円、計四千九百三円の減、従いまして、その増減割合は六・七%の減という格好になります。  それから給与所得者標準世帯夫婦及び子三人の世帯で申し上げます。夫婦及び子三人で扶養親族が十五才以上が一人、十五才未満が二人、こういう家族構成標準世帯考えて、ただいまの給与金額が七十万円の階層で申し上げますと、現行所得税は三万二千九百二十六円、県民税が三千七百五十二円、計三万六千六百七十八円でございます。三十七年度改正案で参りますと、所得税は二万六千六百七十六円、県民税が五千七百十円、計三万二千三百八十六円、従いまして、三十七年の所得税は減の六千二百五十円、県民税の増が千九百五十八円、差引、減四千二百九十二円、その増減割合は一一・七%の減、こういう格好になります。  事業所得者について申し上げます。事業所得者独身者の場合でございますが、所得金額が二十万円の独身者について申し上げますと、現行所得税では一万五百七十一円、現行県民税が八百六十八円、計一万一千四百三十九円でございます。改正案における三十七年度分所得税は七千八百五十七円、県民税が二千百十四円、計九千九百七十一円、従いまして、三十七年度分所得税は二千七百十四円の減、それから県民税が千二百四十六円の増、従いまして、計千四百六十八円の減でございます。その増減割合所得に対して一・八%の減でございます。それが七十万の所得で申し上げますと、同じように現行所得税は九万一千四百五十六円、県民税が八千六百九十五円、計十万百五十一円改正案所得税が八万一千九百五十六円、県民税が一万一千八百九十五円、計九万三千八百五十一円。従って三十七年度分所得税は、九千五百円の減、県民税が三千二百円の増、従って計が六千三百円の減、その増減割合は、所得に対して六・三%の減ということになります。これを事業所得者につきまして同じように……。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もうけっこうです。あとで表にしていただきたいと思います。  結局、今回の所得税の一部を都道府県民税に移行するにつきまして、市町村段階における都道府県民税徴収手続というものが、非常に煩瑣になるわけであります。過日の渡海委員の御質問に対しまして、その問題については、徴税費あるいは交付税算定等において考慮しておる、こういうお話でありますが、一体全国の市町村に対して、何人くらいの徴税吏員の増を具体的に計画をいたしておりますか。十万くらいの市において幾らくらい、あるいは八千くらいの町村において何人くらい、全体で一体何人あれば十分であるか、こういう点一つお尋ねいたしたいと思います。
  18. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説のように、今回の改正市町村事務の煩瑣になりますことは間違いのない事実でございます。そこで私どもといたしましては、事務員の面では、初年度定員措置が五千名、賃金措置が二千名、合計七千名を予定いたしております。次年度以降はその賃金の二千名をさらに定員化する、こういう計画になっております。これは住民税改正固定資産の評価がえ、この双方を考え措置でございます。なお先般も申し上げましたように、徴税費交付金倍額程度増額をするという考えを持っております。それは三十六年の実績徴税費は大体十一億でございますが、その点が本年度改正、つまり三十六年度県民税について、配付課税を御承知通り改めております。それに伴って若干の引き上げをいたしておりますが、それを基礎にいたしますと、三十七年度見込みが大体十九億になります。それを倍額程度にいたしまして、四十億見当交付金を計上いたしたい。そういたしますと三十六年度実績との差が約三十億ございます。これはPRの経費だとか、紙とか印刷だとかいったような経費もございましょう。従って全部を人件費に回すというわけには参りませんが、これによる人員増ということも当然考えられるわけでございますので、私どもとしては、実は相当数の増員が可能になるような措置をとったつもりでございます。そこで個々の、どの程度人口規模市町村で何人程度ということにつきまして、課長から御説明申し上げます。
  19. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 具体的な都市におきまして、どの程度人員増が必要かということにつきましては、まだ完全に全市町村について資料をとったわけでございませんが、最近におきまして人員を増加したものにつきまして、三十七年度の徴収取扱費の関係でどういう数字になるかということを申し上げますと、たとえば関東地域の五万程度の市でございますが、これは三十六年度における住民税関係の税務職員が十一名、それが本年度人員増を予定しておりますのが、この関係で二名でございます。これが徴収取扱費の関係で、三十六年度と三十七年度での取扱費の増が大よそ五十五万円、これによる充足可能人員が二名、大体予定の人員が充足可能になると思います。  それから人口が十六万程度の市でございますが、これが三十六年度住民税担当職員が二十一名、三十七年で予定しております人員が三十一名、十名の増加を見込んでおりますが、これに対する徴収取扱費の増加額は大よそ一千万円。従いまして、これによる人員充足可能数が約三十名ということになりますので、むしろこの市におきましては、徴収取扱費の方がやや多目になっておるという実例でございます。   〔委員長退席、伊藤(幟)委員長代理   着席〕  それから四国における約二十万の都市でございますが、これが三十六年度当初における住民税関係の職員が二十五名、三十七年度における人員数が三十六名で、十一名の増を見ておりますが、ここの徴収取扱費の増が約四百五十万円、これによる人員充足可能数が十六名ということになっております。  大体実例からいいましても、府県民税事務量の増加に対応する人員の充足を終わった市につきましては、徴収取扱費は十分今のところ見込み得るという考えでございます。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 五万、二十万、二十五万というような人口のところはいいが、一万とか八千とか、そういう小さなところはどうですか。このあれでいけば、そういうところではかりに十万円くらいしかあるいは十万円以下というようにしか実際の徴税費の額がふえないという場合も当然考えられますね。そうした場合に、十万円では一人雇うというわけにいかないでしょう。半人前というわけにいかないですからね。そうした場合は特別な配慮をいたすのですか。
  21. 佐々木喜久治

    佐々木説明員 具体的な市町村の実際の数字はございませんが、私どもがモデルにして計算をしております人口一万の町村の場合の例をあげますと、一万の町村では、個人の道府県民税が六十七万七千円、そのうち均等割の人員が二千九百八十二人という数字で計算をしておりますが、これの現行の徴収取扱費は十一万六千円でございます。これが今後改正を予定しております率によるところの徴収取扱費は、おおむね二十四万円、従いましてその差額は十二万四千円ということになります。従いまして、この程度の町村におきましては、納税義務者の数等もそう多くございませんので、二月から六月くらいまでの期間で臨時的にアルバイトを入れる、あるいは若い職員を入れるということによって、事務の取り扱いは可能であるというふうに考えております。
  22. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 七千人のうち二千人臨時職員を予定しておるということ、それからただいまのお返事で、一万くらいのところでは県民税の増加に対応しましてアルバイトを入れる、こういうお話でありますが、私もかつて地方議会で問題にいたしたことがあるのですが、税務の関係の吏員の方に相当いわゆる臨時の方がおられたわけです。県の出納の規則によれば、県の正規の吏員でなければ金の徴収やそういうことをしてはいかぬことになっておる。しかし、現実にその当時の都道府県の実態では、臨時職員をして徴税に当たらしておる、規則違反を都道府県みずからがやっておるというような事態がございました。今回の納税手続の繁雑化によって人員の増を予定するその場合に、臨時職員をお考えになる、そうした場合に、そういうことをなくするように自治体が努めればけっこうでありますが、今言ったような計画でいきますならば、ややもすれば臨時職員が徴税に当たるという可能性も出てくるわけでしょう。それはそういうふうにしないように自治体が努めればいいですよ。しかし三千幾つある自治体の中には、規則違反をやるような事態が出てくるかもしれない。こういうようなことについては私は非常に問題だと思う。ですから、この事務の繁雑化に伴う人員の増という場合には、当然正規の吏員を充てるべきであるし、また規模の小さい町村においても十分正規の吏員をふやして、そうして徴税について規則違反というようなことの起きぬようにすることが、私は政府の責任ではないかと思うのです。この点についてもやはり十分な注意をする必要があろうかと思う。このような点はどうですか。
  23. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説まことにごもっともだと思います。ただ、いわゆる徴税権の行使、これは臨時職員ではできませんけれども、現実の税務の事務といたしましては、内部で行なう書記的な事務であるとか、あるいは計算事務、こういうものも相当あるわけでございますので、そういう面に臨時職員を充てていただく、こういうつもりでおるのでございます。しかしながら、もちろん御説のような弊害を伴うことも、これはまことに不都合なことでございますので、そういう点については、私どもとしても十分地方団体側に、そういったことのないように、臨時職員は内部事務の補助をさせる、こういうように指導をいたしたいと考えておるのでございます。ただ、私、最近の市町村側のいろいろな御要望を聞いておりますと、いかにもごもっともで、先般の委員会でも申し上げましたように、徴収交付金等では思い切った措置をしたいということで考えておるのでございますが、ただ、率直に申しまして、市町村側の御意見の中には、今回の府県民税改正に伴う事務分量の増加と違って、三十六年の所得税市町村民税との影響遮断、つまり自分みずからで所得の調査をし、賦課徴収をしていく、こういう事務の増加が実はあるわけでございます。これは自分自身の税の改正の問題でございます。それと今回のとチャンポンにした御意見があるように実は私うかがわれるのでございますが、しかし、それはそれといたしまして、いずれにせよ今回の府県民税改正が、円滑に実施せられるということは絶対の要件でございまするので、そういった点も考えまして私どもとしては支障のないように、思い切った財政面での措置を講じたい、こういうふうに考えております。
  24. 伊藤幟

    ○伊藤(幟)委員長代理 二宮武夫君。
  25. 二宮武夫

    ○二宮委員 今度の地方税法改正を見まして、実は昨年度地方税法改正当時の政府筋のいろいろと言明をされた会議録を、もう一ぺん読み返してみたのでございます。ところが三十七年度には税制調査会の方からも、地方税国税との間に抜本的な改正をやるから、その際に行政事務の再配分を前提として大幅な改革をやりたい、これは安井国務大臣も、当時の政務次官の渡海さんも、それから税務局長も言明をされておるところなんです。今読み上げるまでもないと思うのですけれども、読み上げろといえば読み上げてもかまいませんが、断固として政府はというような、非常に強い意思をもって表明をされておるわけなんでございますが、今度の地方税法改正を見ますと、当時の意気はどこにいったやら、全然前進をしておらないとは申しませんけれども、当時の言われておった政府筋の、特に皆さん方関係筋の元気は一体どこへいったか見当たらないというのが現状ではないかというように考えるのです。このように、当時の問題として地方税法を抜本的に、国と地方との税制を改正をやるのだ、こういうように言明をされた問題が、一年たった今日、新しい地方税法提案する段階になって、全く姿を消しているというようなことでは、政治に対する不信感というものは、当然にわいてくるのではないかというように私は考える。従って当時の会議録を読んでみますと、非常にものさびしい感じがするわけでございますけれども、先日の、当時の政務次官であった渡海さんの質問に対して、税務局長は、現行政の段階において地方税法改正するのだ、国の地方に移譲さるべきものを持ってきた、こういうふうな昨年度とは違ってまことに低姿勢になった、情ない姿でもって弁明をされておるということなんでございますけれども、これは私ども気持としましては、まことに大きく期待はずれの感じがいたすわけでございます。こういうような姿を年々繰り返しておったのでは私は困ると思うのです。なぜ、そのように当時強い態度でもって、国と地方との税源配分の問題について、非常に強い態度でやろうと言ったその気持を、なくしたのかということ自体が、私には疑問でたまらない問題でございます。当然行政事務の再配分ということを前提としなければならない、こういうように言明をされておきながら、今度の税務局長答弁を聞いておると、行政事務は現段階の姿においてやるのだ、こういうように昨年の地方税法提案の当時の言葉を翻して、全然その言葉をふいにしてやっておるということについては、了解をしがたい問題があるわけなんです。これが政府筋の常にとっておりますいわゆる決議案であるとか、あるいは附帯決議であるとか、あるいはそうした政治的な言明をされた問題を、一歩片々積み重ねて前進をしていくという方法をとらずに、また一歩後退するという姿になること自体については、私は非常に不満でございます。自治大臣がおられませんし、政務次官もおられないという段階でございますので、まさかこれは渡海さんに聞くわけにも参りませんので、この問題については、こういうような態度の豹変と言っては悪いけれども地方税法調査会答申があったら、その線に沿って断固政府としてはやるのだという態度のないかのような、後退した姿になっているという問題について、私は疑問を持ちますがゆえに、この前税務局長の御答弁になりました中で、一体いつになったらそのような行政の再配分を前提とした地方と国との税源の配分というものを抜本的に行われる見通しがあるのかということを、一応お聞きしておきたいのでございます。  政府は、どうも今までの態度を見て参りますと、事前に方針を聞かれたり見通しを聞かれたりいたしますと、その際には、これは今調査会に諮問をしておる段階だから、もうしばらく待ってくれ、今言明する時期でないというふうなことを言われる。それはまたそれで正しいとは思うのですけれども、今度調査会や諮問機関等から答申が出ますと、それに対してはそれを尊重するという意思を欠いておるような状況になるのでございます。それは諮問機関なり調査機関なりというものに対して非常に冒涜であると同時に、これを隠れみのに使おうとする傾向があるのじゃないか、私はこういう疑心暗鬼が起こるのです。この際税務局長、この前の答弁と昨年の答弁とは大へん食い違っておるのだが、あなたの、今後とも減税をやっていきたいというような御言明もございましたけれども、昨年度会議録は持っていますけれども読み上げませんが、一つその辺の強い決意のほどを聞いておきたい。そうしなければ、言うたこと自体がいつもだめになってしまうというようなことでは、これは大へんな問題だと私は思うのですが、その辺について、これは大臣や政務次官の答弁は後に回して、税務局長の御答弁をまずぜひお聞きしたい。
  26. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 税源配分の問題につきましては昨年の当委員会でお答えいたしましたように、私どもとしては税制の抜本的な改革を行なって、その際に多年の懸案であります地方独立税源の増強をはかりたい、どういう強い決意でもって、私ども政府税制調査会等に対しても臨んでおったのでございます。しかしながら何分にも税源配分の問題は、やはり行財税制の根本的な改革を伴わない限りは、この問題のみとらえてはとうていできないという結論に政府税制調査会自身がなったわけでございます。   〔伊藤(幟)委員長代理退席、委員着席〕 まことにこの点、私どもも遺憾に思っておるのでございます。しかしながらよく考えてみますと、税制調査会というものの性格ではこの問題は遺憾ながら壁に突き当たらざるを得ない。私どもとしてはあくまでも強い態度と決意で臨んだのでございますが、何分にも国といいますか、中央政府は中央政府側としてのいろんな財政上の要求もあるし、また現在の行政機構そのものに対する御意見もあるといったようなことで、両者の意見がととのわない。同時にまた政府税制調査会の審議そのものも意見の一致を見るに至らぬ、こういうような結果に相なりまして、それがために先回の委員会で申し上げましたように、一応現行制度のもとにおいてでき得る限度の税源配分を行なう、こういう結論に相なったのでございます。  そこで将来どうするのだというお話でございますが、この点については、税源の再配分という問題については多年の懸案でありますし、私の気持は変わっておりません。しかしながらそれじゃ一体いつできるかというお話でございますが、私はこれはまあ大臣その他からのお答えを求めていただきたいと思うのでございますが、私自身の個人の見るところでは、遺憾ながら税制調査会ではむずかしいのじゃないか、やはり別個の行財政全般を通じての何らかの審議機関等を作ってそれに政府全体として強い決意でもって当たっていくというような審議の方法、これをとらないとなかなか困難な問題ではないか、こういうふうに考えております。
  27. 二宮武夫

    ○二宮委員 地方制度調査会等の結論も必要である、あるいは別個にまた行財政の調査の機関も必要である、このように言われるわけですけれども、それ自体がまた同じことを繰り返しておる問題だと思うのです。新聞で見ますと、四月から税制調査会が再発足をするというような報道をいたしております。あるいは行政改革の七人委員会というものが発足しておるというような段階であります。そういうことを待っておりましても、今申し上げましたように昨年の態度がことしになっては変更され、あるいは調査会の結論が出ましても政府はそれを御家庭の都合で取り上げるわけには参らない、こういうふうになりますと、いつまでたってもこういう問題についてはほんとに牛歩的な前進しかないのじゃないかというように考えるわけでございます。私は昨年初めて地方税法についての皆さん方の言明を聞いて、まことに心頼もしい気持がしたのでございますけれども、常にそういうような調査会なり審議機関というものを、新しく発足させあるいは再発足させ、そういうことに隠れみのを着て、ほんとうに地域住民が考えているような税の減免やあるいは税の再配分というような問題についての期待にこたえる、こういうようなことができかねるような情勢というものを、私は非常に遺憾だと思うのです。こういうようなことで、また再びそういう調査会の結果を見るとかあるいは昨年申しましたような、税制調査会の結果自体では、これは改革できないのだというようなことを言われたり、いつもそういう隠れみのを着たりあるいは前言を翻したりするようなことでは、地方税法の抜本的な改正というむのはできかねる、このように考えるのです。昨年度は徴税方式について、一つの単一的な簡素な方法考えたということは一歩前進だろうと思います。ことしは所得税地方住民税所得割の方に還元をするということも、まあまあ一歩の前進だろうと思うのですけれども、皆さん方の昨年の決意というのは、もう少し思い切った地方税法改正というものを、心の中に期待をし、決意をしておったのではないかというように考えるわけなのです。従ってその点については、そういう決意をしたのならば、今後も自分の職を賭してもやるというくらいの強い決心で進んで参らないと、だれかがその気持にならなければ、これは循環を繰り返すばかりでありまして、少しも前進をしないのじゃないかという危惧の念を私は抱くわけであります。これについては一つ今後も、税務局長以下税の担当者の専門的な知識を基礎にいたしまして、政治的な配慮を持ったところの人々に対しての進言あるいは勧告というようなものも行ないまして、期待にこたえていただきたい、このように考えるわけでございます。  それから、私はきょうの公報では地方財政の問題その他全部答弁者は来ておるものだというように考えておったのですけれども、税制関係ばかりのようでございますから、それだけにしぼって、その問題以外はこの後に質問したい。少し私もかぜにかかっておるので、あまり時間が長くもてないようでありますから、短かい時間で質問したいと思いますが、税務局長お尋ねしたいのは、昨年あなたは、大体税の国民所得の中に占める。パーセンテージというものは一体どれくらいが正しいのかという質問に対して、どのようにお答えになったか、記憶がございますか。
  28. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 正確な記憶は持っておりませんが、政府税制調査会答申はおおむね二〇%程度である。しかしこれにはいろいろな意見もある、こういうお答えをしたように記憶をいたしております。
  29. 二宮武夫

    ○二宮委員 まことに心もとない御答弁ですね。そうなるというと昨年の議事録を読み上げなければならぬことになるのですが、あなたは私が質問したことに対して、国民所得、しかも問題になりますのは、税を差し引いたあとの処分し得る所得というものがどれくらいあるかによって、国民の生活向上というものは左右されるのだ、こういう答弁の中に、やはり国民配分所得の中で、税というものは国税地方税を含めて総合的に高度経済成長というものを見込んで二〇ないし二一%が正しいと思う、こういう御答弁をなさっております。思い出しますか。全然覚えがないというようなことでは話にならぬじゃないですか。
  30. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 速記録でごらんになっておられるのでございますから、私が記憶で申し上げることはかえって混乱をいたすと思いますが、私は、政府税制調査会答申の線はかようになっておる。それについてはいろいろな意見もあるのだ。しかし一応二〇%ないし二一%、おおむねその程度が適当だろう、こういうようにお答えをしたのではないかと思います。
  31. 二宮武夫

    ○二宮委員 今申し上げましたように、経済成長というものも見込んで二○ないし二一%が正しいのだ、こういう程度が妥当である、大体日本の今の姿においてはそのようにすることが正しいのだ、こういう御答弁だったのです。これは読み上げるまでもございません、昨年言ったことくらい覚えておいてもらわぬと困るのですが。ところが池田さんは、大体今は二二%をこす程度のものが、担税能力としては妥当であるという答弁を、本会議場でやっておるわけなのですね。そこで私は非常に疑問に思うのですけれども国民所得というものを一体どのように見ておるか、それが第一の質問です。  その次に、パーセンテージというものを一応きめて、そうして国税地方税というものに大方バランスをとって、そのような姿の中から地方税なり国税税率をはじき出していくという形態をとるのか、あるいは地方税あるいは国税の従来の税率というものを基礎にして、それに多少の増を見込んで積み上げ方式にして結果論を出していくのか、そのような税の率の出し方について私はどうも理解ができないわけなのです。というのは、あなた方の方では、国民所得の大体の目安というものは持っておるはずなのであって、昨年の答弁の中にもイギリスやアメリカの例を引かれて、そういうところは大体三〇ないし三五%の担税能力がある。しかしこれは国民所得が大きいのだから、従って大きい率を出してもあとに残る金額は多い。従って国民生活というものは、それでもってりっぱな安定をした生活をしておるのだ、こういう御答弁もなさっておるわけなのですが、まず三十七年度における国民所得というものを、一体どの程度に見ておるのか。と同時に、あなたが今言われました昨年度の税の率より、本年度の税の率というものは相当に上回っておるわけなのですけれども、それは率を初めにきめてそれから逆算をしていくのか、あるいは国税地方税というものの、一応従来の例を基礎にしまして、それに多少のプラスを考えながら積み上げ方式で決定をしていくのか、そういうような具体的な調整方法を一ぺんお聞かせをいただきたいというように思うのです。その辺はあなたの方が専門ですから。
  32. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 まず税収のはじき方でございますが、これは経済の伸びが何%になるかということを一つ目安にいたします。これは形式的な税でございますので、形式的な伸び率でございます。それを頭に置きながら、同時に最近の税の収入状況、こういうものから積み上げていきまして、三十七年度どの程度の税収が期待せられるかという金額をまず出すわけでございます。それは現行法によって出すわけでございます。そこでその現行法税制改正でどのように変わるか、それによる減収が幾らか、こうはじいて、それを現行法による金額から差し引いて税収を見積もるわけでございます。  次に負担率の求め方でございますが、負担率の求め方は、今申しましたように、国民経済がどの程度に伸びるかということから、国民所得が大体どの程度であるか、これを企画庁ではじくわけでございますが、そういたしますと、それと税の負担というものとを比べて、負担率を出すわけでございます。従って負担率をまず先に出して形を整える逆算ということは、いたさないのでございます。なお三十七年度の経済の伸びは、御承知通り五・四%とはじいております。総生産額は十七兆六千三百億ということを基礎にはじいておるのでございます。なお詳細なはじき方につきましては担当の方からお答えいたします。
  33. 二宮武夫

    ○二宮委員 税制については小委員会もあることでございますから、税目その他についての詳しい問題は、その方で審議することが妥当であろうというふうに考えます。従って一般的な大綱的な問題だけをただしておいて、その方でまた審査をするというように進めていくことがいいのではないかというふうに考えているわけです。そうしますと、三十五年と三十六年を比較をして、経済成長をあなたの方では五・四%だというふうに三十七年度考えているわけなんですが、三十五年と三十六年度との経済成長を見合わせた担税能力というものはどの程度の伸びを考えているか。それと比較をして、三十六年と三十七年度の税の増徴率というものをどの程度考えておるか。それで、三十六年は経済成長の一年目として一つの蹉跌を来たしたピークだというふうに私は考えますので、三十六、七を比較するのじゃなくて、三十五、六、七を比較して経済成長と担税能力というものの移り変わり、経過というものを御説明いただきたい。
  34. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 三十五年対三十六年の経済の伸びは、御承知通りに九・二%ではじいて国民総生産の額は出ておったのでございます。ところが経済の異常な発展のために、これが実績大体一四・二%程度になる見込みでございます。三十六年と七年の関係は、今申しました。四・二%の伸びの上に立って、さらにそれから五・四%伸びる、こういうことに相なっておるのでございます。そういたしまして、それに伴う税負担割合でございますが、税負担割合は、三十五年が二一・五%でございます。三十六年は三十五年に対しまして減税等を織り込みまして、当初二〇・七%とはじいたものが二二・八%に決算見込みでなる予定でございます。そうして三十七年は二二・二%、こういう割合になっておるのでございます。従ってこの税の比率の方は、分母となる数字は、その年その年の国民所得ということが分母になっておりますので、それの金額がふえておるということでございますから、率は下がりましても、当然税収そのものが相当にふえていく、こういう形になるわけでございます。
  35. 二宮武夫

    ○二宮委員 先ほど山口委員から、国税から地方税に移管をいたしました徴税についての交付金並びに人員等についての配分その他を、どのように取り扱うかという質問があって、それに対して課長の方から答弁があったわけでございますけれども、私ちょっとお尋ねをしておきたいのですが、地方財政法の二十八条によって都道府県が市町村に徴税を委託した場合に、徴税の仕方が非常にめんどくさかったり、過酷であったりするような場合には、市町村から都道府県に対してその不満を申告することができるということになっておるし、その不満が出て参りました際には、都道府県の議会の議決をもって自治大臣の方にこれを伝えるということになっておると思うのです。そこでこれらの問題は、先ほどの徴税の交付金やあるいは七千名の人員増という問題と関連があろうかと思うのですけれども、実際問題として、この都道府県から市町村住民税の徴税を委託した問題について、どうも困るというような問題が、この地方財政法の法に照らして、公式に大臣の方にこういう申告があった例がございますか。
  36. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 徴収委託に伴う市町村側のいろいろな御要望でございますが、現実にその法律に基づいた申し出ということはございません。
  37. 二宮武夫

    ○二宮委員 昨年度は、大体徴税に伴う交付金は十一億で、それの自然増が十九億になる。今年度は大体四十億程度のものを見込んでおる、こういうことなんですし、それに必要な人員として七千名程度のものを増置したい、そうしてこれは平年度に定数化したいのだ、こういう御意見でございますが、それについては、先ほど五万程度の人口あるいは人口別におおむねどの程度の配分ができるかという御答弁があったのですが、今私が質問いたしました、公式に不満の表明がないといたしましても、大体先ほどの質問に対する答弁では、人口五万に対して何名程度は配分できるんだということで、去年の比率を妥当なものとして、ことしそれにプラスするという説明があったわけですが、そうした交付金の率とか、あるいは徴税に伴う人員の配置とかというものに対する比率あるいは歩合というようなものは、どの程度が正しいというようにお考えになっておるわけなんですか。それを一つ……。
  38. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 具体的には府県民税改正が行なわれますことに伴いまして、どういう事務がどのようにふえるか、つまり実際ふえるのは、一つは機械化をしております計算事務の際に、本文方式採用の市町村であるならば、従来の所得段階区分ごとの税率が二〇%と八%それぞれきまっておるわけでございまして、それが比例をしております。そこで二八%で一度パンチを打てば終わりというものを、もう一ぺん二〇と八といいますか、今度は二 ○と二と四、これをもう一度パンチを打たねばならぬというので、パンチを打つのが一回ふえるということ、もう一つは、課税所得の相違に伴います税額控除、これを申告を見ながら、この人はこういう税額控除をする、これを見なければならぬという事務、もう一つは、三十七年度に限りましては還付の事務、これだけがふえるわけでございます。そこで、そういった事務がどの程度ふえるかということを積み上げて、それによってどの程度人員の増加が必要であろう、こういう計算をいたしまして、それによってやらねばならぬ、これが一つでございます。  もう一つは、これは私ども考え方でございますが、市町村税及び府県税の現在の徴収経費がおよそ何%になっておるであろうか、これが一つ目安になるわけでございます。そういたしますと、最近の市町村税全体の徴収経費が六・六%でございます。府県税の場合には三・九%程度でございます。これらを一応目安に置くのでございます。四十億ということになりますと、おおむね八・五ないし九%程度にこれはなるのでございます。従って平均率を相当に上回った処置を私どもとしてはとっておるつもりでございます。
  39. 二宮武夫

    ○二宮委員 地方財政計画について、建設省とか、文部省とか、厚生省そのほかに私どもはおいでが願えるものだと考えておったわけなんですけれども地方税法のみに限っての質問でございますので、一応この程度で総括的な質問を終わって、そういう地方財政計画の問題については、再度質問を留保させていただいて、そのときに一般質問を続けたいというふうに考えますので、これで終わりたいと思います。
  40. 園田直

    園田委員長 門司亮君。
  41. 門司亮

    ○門司委員 簡単に一、二だけ聞いておきます。  最初に聞いておきたいと思いますことは、きょうは大臣が見えてないようですが、もしおわかりでしたらお答えを願っておきます。地方税の中、ことに財政の問題とからんでですが、これも税ですから一緒に申し上げておきます。例の入場税を国に全額移管したということについてですが、これは何か理由がありましたか。どういう話し合いになっているか。譲与税にしないで国に持っていった経緯をはっきり聞かしておいていただきたいと思います。これはいずれまた大蔵省との話し合いの中にも当然出てこなければならぬ問題ですから、自治省側の意見をここではっきりしておいていただきたいと思います。
  42. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 その点につきましては、先般もお答えいたしましたように、これは何といいましても府県の交付団体についてのいわゆる調整的な財源でありますので、これがなくなるということは、私どもとしては非常に残念に思っておるのでございます。しかしながら、今回の税源配分が全体の財源計算ということから、やはり国の立場もあるということで、所得課税の増徴と引きかえにこれを国に移さねばならぬ、こういうことに相なったのでございます。そこで私どもとしては、現在の経済規模のもとにおいては、地方財政考えた場合に、何としても所得課税というものの強化、これが将来の伸びというものを考えた場合に絶対必要である。ところが入場税の方は最近テレビ攻勢等の関係で伸びが全くとまっております。むしろ減少の傾向すらうかがわれる。しかもこれは税の全体の体系、間接税の体系から見て先行き期待の持ち得ない税である。しかもこの税はいわば交付税の前取り的なもので、いわゆる独立財源ということの性格から見るならば、税とはいいながらきわめて性格のあいまいなものである、こういうようなことで、同じ全体の財源計算で国とのやりとりがあるならば、こういったものと差引をいたしたい。つまり私どもとしては、平易な言葉で申しますと、優良株と不良株と等価額面で交換する、こういう考え方で、残念ではございましたが、実施をした、こういうのが実情でございます。
  43. 門司亮

    ○門司委員 きわめて不可解な答弁を聞くのですが、この税金はもともと地方税であったことは御承知通りであります。これを国税に移管する際の条件なり状況は、自治省も私は知っておると思うのです。入場税というものは、税の徴収が非常に困難だから——大蔵省の見込みとしてはもう少しある、ところが地方にまかしておくから取れないのだ、おれの方によこせばもっと税金が取れるから、おれの方によこせ、こういういきさつでこの税金は一応国税にして、そうしてそのときの法律は御承知のように、従って一〇%だけは手数料で国が取るが、残りの九〇%は地方に交付するから、こういう条件だった。税の徴収が困難であったかどうかということが最大の原因であったので、これが国税が正しいか地方税がよろしいかという議論はされていない。そういうことで一応国税に移管してみたが、徴収は同じことであって、ちっとも変わらない。そこでその次の税法改正で、国で取り上げておった一〇%を地方に回して、全額地方に交付する、こういう経緯をこの税金は持っているのだ。そうすれば、今ごろ税の性格上なんということを議論されるのはおかしいと思う。もともとこれは地方税なんだ。なぜこのまま地方に返さないのか。私は一体何を考えているのかと思う。しかもこういう税金は国税とのつながりというもの、いわゆる国政とのつながりは非常に薄い問題であります。地方住民の消費に関する問題である。地方住民のふところから出てそして納められる、徴収される税金であります限りは、これが地方住民に還元されるというのが税の本質からいって正しいのだ、私はそう考えておる。それを何が優良株か不良株か知らぬが、もともと悪かったから国税に回した、国税に回したがやはり悪かった、悪かったから全額地方に出しまし、うということで、全額地方に出した。大蔵省としては取り上げる手数料だけ損をしているという形だった。だから本来のこの税金の成り立ちからいけば、大蔵省が当然こういうものは地方に戻すということが正しいのであって、大蔵省がよく今までがまんして自分の方で徴収して、そして徴収料だけ損をして、地方に全額払い戻しておったものだと考えている。大蔵省ももてあまして、地方に返せないと考えているから地方に返さない、取り上げるという自治省の考え方は、私はおかしいと思う。そしてこれを県民税の方と取りかえたって、県民税負担が大きくなる。十三段階に分けておったものがちょうどおのおのまん中で切られておる。十万円以上のもののまん中と、百五十万円以上五千万円までのまん中で、二%、四%という数字ができておる。十三段階の中でちょうど二つに分けたような数字が出てきておる。そうすると、少額所得者負担というものは、私は必ずしも軽くならないと思う。今まで一%程度であったものがこれが大体二%に、十万円以下の金額については百分の〇・八であったのが二%に持ってこられ、そして百五十万円をこえる額までの間の二・四%のところだけが二%になる、こういう形が大体出てくる。それ以上はやはり同じようなことになってくる。住民負担がよけいふえて、そうして何にもそんなことを考えないで、役人が役人の頭の中でただ税だけを考えて、こちらの税金の方が取りいいのか、確実性があるのか、こちらの税金を取れば確実性がなくて取りにくいのか、こういう事務的な考え方だけからいけば、今のような答弁ができると思う。しかし納める方の身になってみなさい。私はなかなかそうはいかぬと思う。だからこのいきさつについてはもう少し自治省としても考えてもらって、もともと地方税であるべき税金なんです。だからこういう形で取り上げられるということは、私は、税の体系全体から見ておかしいですよ。たとえばたばこ消費税をこしらえたいきさつから見ても、やはり国民の消費に関係するものである、国税主税の中に、酒税が入っているということも一つ国民の消費に関係することである。従ってこれらの問題は、いつでもわれわれはもう少し交付率をふやしなさい、こう申し上げているのであって、納めた税金がどう使われるかということ、納めた税金が最も身近かに使われる行政というものが税法上の正しいものの考え方でなければならないと私は思う。納めた税金が遠いところにいって、そうして何に使われているかわからぬようではどうにもならないと思う。今日の自治行政のあり方というものは、税金が身近かなものであって、そうして自治行政に関する住民の関心というものを、税金の負担を通じて高めていくということが私は必要だと思う。ところが今度の税法の改正では、こんなあほうなことをしてと言っては怒られるかもしれないが、私は実に驚いたのでありますが、考えられないことが考えられておる。しかし大臣がおいでになりませんから、これ以上政治的な答弁を求めようとはいたしません。  それから次に、もう一つ基本的なことでおかしいと考えられるのは、今度の税法改正の中で、住民の負担が一体軽くなったのか重くなったのかということです。税金がふえたか減ったかということじゃない。住民の負担が重くなったか軽くなったかということです。それについて自治省はどう考えておりますか。国民所得割合からいけば、ことしは当初予算と比べると、かなり地方税割合というものは重たいですよ。これはどう考えておいでになりますか。税がふえたか減ったかということでなくて、地方住民の負担がふえたか減ったかということです。
  44. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 地方住民の負担は、国税地方税を通じまして、税負担の率そのものは上がっておりますけれども、現実の負担軽減をせられておる、私はこういうふうに考えております。
  45. 門司亮

    ○門司委員 その軽減というのは、所得に対する軽減ですか、税額の軽減ですか、どっちですか。
  46. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 所得に対する軽減でございます。つまり所得そのものの増加というものに伴う税の構造上の割合は上がっておりますけれども、可処分所得そのものは非常にふえておりまして、全体としては税負担軽減せられておる、私はこういうふうに考えております。
  47. 門司亮

    ○門司委員 そうなっていないじゃないですか。去年の当初予算総額に対する国民税負担数字は、この私の持っている数字は大体間違いがないと思っている。当初予算国民税負担というものは総額の二〇・七%に最初押えておった。最初はそうであったが、見込みからいうと二二・八%という数字が書いてある。ところが、今度三十七年度の国、地方を通ずるものを計算して参りますと、大体二二・二%という数字国民所得に対する割合になっている。そうすると、去年よりも約一・五ばかり、国、地方を通じて税金がふえている。こういう計算が出るのでありますが、これは間違いございませんか。
  48. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 負担率だけの観点から申しますと、ただいまおっしゃった数字に間違いございません。ただ三十六年度税負担は決算見込みで二二・八%でございますが、それが今回のでは二二・二%に相なっております。
  49. 門司亮

    ○門司委員 私は今、当初予算考えることが正しいと思う。やはり当初予算が二〇・七%という数字になっている。ところが、その見込みからいうと二二・八%になっている。こういう数字が書いてある。だから、三十七年度計画といいますか、税制を考える場合には、やはり当初予算としてのものの考え方でないと、片方は三十六年度見込みまで全部入れておるのより安いからという言い方は少しおかしいと思う。当初予算と当初予算を比較すると、どうしても一・五%だけ今年は税金が重くなっているのは隠せない数字だと思う。ことに地方税がこれと同じような数字になっている。だから、国自体の税収はふえたが、国民負担は軽くなったか、重くなったかということを、もう少し明確に答えてもらいたい。これは地方税だけでほんとうに国民負担が軽くなったのか重くなったのか、どういうことになりますか。
  50. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 税負担の方は、おっしゃるように当初対当初ということになりますと、その割合は確かに上がっておるのでございます。ただ現行の税制でいきますと、今日の税負担は二二・八%になるということはこれまた事実でございます。さようにいたしますれば、二二・二%ということはこれはやはり率の上でも軽減になっている。さらに先ほど申しましたように、可処分所得そのものは一体どういうことになるのだろうという点もあわせ考えますならば、やはり私は税負担割合というものは下がっておるのだ、こういうふうに考えております。
  51. 門司亮

    ○門司委員 実際はそうならないんじゃないですか。当初予算考えてみますと、三十六年度の国と地方との割合からいうと、総合して二〇・一七%、その中で国は一四・六%をとっておりますから、三十六年度の当初予算では地方税は六・一%になっている。ところが、三十七年度の当初予算から勘定いたしますと、大体二二・二%が総合したものであって、その中で国税が一五・六%ですから、残りは六・六%という数字が出てくる。そうすると、〇・五だけ三十六年度の当初予算よりも税金が重くなっている。こういう数字が現われてくるのですが、これはどういうことですか。
  52. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 その点は地方税の方は、今回の改正で約二百億ばかり税源配分を受けております。こういった数が地方税負担率の中に入ってきております。これは納税者負担という面から見れば、やはりその分は増加になっておるのではなくて、文字通り、これは国税から移譲を受けたものでありますので、そういう数字のために六・六、こういうことに相なっております。
  53. 門司亮

    ○門司委員 この議論をすると話は長くなりますが、移譲を受けたものだと言いますが、移譲を受けた税金というものは国税として考えるのですか、地方税として考えるのですか。一体どっちなんですか。これは移譲を受けようと受けまいと、国税国税として移譲されたものであって、税の使い方による配分ではない。地方税地方税として地方市町村がとる税金であって、それが移譲されようがされまいが、私は大して影響はないと思うのだが、そういうことをして勘定しないと悪いのですか。もしそうだとすると、われわれのものの考え方を変えなければならない。これは国税だけれども、実際は地方税だというふうに考えなければならない。
  54. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 国民税負担の率を考える場合に、私は国税地方税を通じて考えるべきものだと思います。地方税割合がかようにふえておりますのは、税源配分という結果がこの数字の中に入っておるということを申し上げておるのでありますが、これは申し上げるまでもなく、税源配分で地方の独立税源を強化すれば、この割合地方の方はどんどんふえていく。しかしながら、それと見合って国の方から移譲を受けるわけですから、国の方はその分だけ差し引きになっていく。従って国民との関係においては、全体としての税負担がどういうような姿になるかということが問題になる、こういうふうに考えております。
  55. 門司亮

    ○門司委員 全体としての負担はわかっているのです。先ほど申しましたように、二二・二%という数字が今年の国、地方を通ずる国民税負担だということはわかっている。当初予算にこう書いてある。国民の総所得幾らですか、十四兆三千五十億ですか、これに対する国税の二兆二千三百二十八億四千八百万、地方税の九千四百九十九億ですか、こういう数字を加えてパーセンテージを出したら、そういう数字が出てくる。だからそういう考え方でなくて、率直に——一体地方税の中には、国民負担が、今度は三十六年度の当初予算よりもふえているのだということは、だれが何と言っても、数字が明らかに物語っている。それは、所得がふえたからそれだけふえたのだという表面の理屈は一応成り立ちます。しかし実際は、所得がふえたからお前たちの税負担もふえたのだというときには、税率をいじらない方がいい。今度は税率をいじった。税率を動かさないで、そのままの姿に置いておけば、それは所得がふえたからそこでそれだけ税金もふえたのだということは言える。ところが今度は税率が動いている。税率が動くということになると、ほんとうに減ったのかふえたのかという議論を一応しなければわからなくなってくる。税率を動かしているのです。あなたの方で税率さえ動かさなければ、それは所得がふえたのだから税金がふえるのはあたりまえだという理屈は簡単に成り立つ。だからこういうふうに税率を動かしてきて、ほんとうは一体税負担というものがふえたのか減ったのかということを、もう少しはっきりしておいてもらいたいと思います。
  56. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 門司先生のおっしゃる意味は、私宅よくわかるのでございますが、ただ先ほどから申しますように、税源配分ということを行なえば、地方税だけを見ればその分だけ負担率が高まってくる、これはもう必然の結果だろうと思います。ただ税源配分は、そのときの税源の国、地方間のやりとりでありまして、納税者に対する関係においては、その面は国の方の負担の方で差し引きになる、こういうことでございます。
  57. 門司亮

    ○門司委員 そう言うとなおおかしくなるのですよ。数字から見ると、三十六年度の当初予算に対する国税の伸びの国民負担割合というものは一四・六%、ところが三十七年度の当初予算、今言った数字から考えると一五・六%であって、ちょうど一%だけ国税の方も、去年よりも国民所得に対する割合がふえておるのである。地方税の方は、これを差し引いた残りの〇・五%だけが、地方税ではふえておる。こういう結果が出ているのです。国が一%ふえて、地方は〇・五%ふえたというのが、大体ことしの税負担のふえた、国、地方を通ずる国民所得に対する割合なんです。だから今のような答弁は、私は当たらないと思う。国税も一%ふえていく。だから、国税が減って、地方税がふえたというなら、これは同じふところ勘定から出るのだから、国民所得がふえなかったという理屈は成り立つかもしれません。実際は両方ふえているのですよ。だから私はそういう答弁は成り立たないと思う。だからもう少しはっきり——三十六年度の当初予算と三十七年度の今の当初予算との間に、国民所得に対してこれだけふえているととは事実なんですから、そうすれば、それは所得割合からふえているというだけでは済まないので、どこの税金をどういうふうに動かしたからこういう結果が出たのだ、いわゆる地方の自治体でよけいとれるのではなくて、よけいとるように仕組んだのだということにどうしてもなると思う。県民税なんかは明らかにふえるのであります。これはどのくらいふえますか。具体的に聞いておきますが、去年のままの県民税で置いておくのと、ことしの税法改正で置いておくのと、同じ所得者についてどのくらい違いがありますか。
  58. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 その金額は百八十一億でございます。
  59. 門司亮

    ○門司委員 それだけやっぱりふえるでしょう。そうして入場譲与税の九十何億か国に持っていく、また差し引きよけい税金をとる、こういうことになるのです。この点は、もう少しはっきり、やはり税法改正を行なう場合には、こういうふうに税金をずっと動かしてくると、その結論としてしわ寄せがどこにくるかというようなことが明確にならないと、税金を議論する場合に非常に迷惑する。ただ地方財政との関連だけで、これだけよけい税金をとって、これだけ税金を少なくした、だから地方財政がこうなったという、あなた方の机の上の税金だけを考えれば、それでよろしい。しかし国民税負担の関係は、どれだけふえてどれだけ減るか、個々納税者がはっきりしなければ、いわゆる税金を議論するわけにいかぬと思う。必要なだけとるので、よけいはとらないと、あなた方は言うかもしれない。必要なだけは納めてもらわなければならぬと言うかもしれません。しかし納める方の身にならなければならぬと思う。こういう点はもう少しはっきりしておいてもらいたいと思います。きょうはこれ以上聞きません。いずれ大臣がおいでになれば、はっきりしたことを聞きたいとも思いますが、次官でおわかり願えれば言っておいてもらいたいと思いますが、税金は——これは大蔵大臣あるいは総理大臣にも聞くことかもしれませんが、こういうふうに毎年々々税金を改正しなければ悪いのですか。これは一体どうなんですか。税金を毎年々々変えていくのですね、こうしなければ悪いのですか。自治省の考え方はどうですか。
  60. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私も税制というものは、あまりにもひんぱんに変わり過ぎると思います。これは何と言うても、税制は安定をしておることが望ましいのでございます。しかし何分にも、最近のように経済が異常な姿で変動するという際には、どうしても、税制をそのままにいたしておきますと、税の構造上、それとパラレルにならない。パラレル以上の変動を来たすわけであります。そういったような意味合いもあり、また最近のように変動そのものが、所得倍増といいますか、非常に経済が伸びていくという際には、税制を放置しておきますと、この負担割合が——先ほど問題になっておったのでございますが、この割合がより以上に上がってくるわけであります。そういった点を考えて、どうしても減税という姿をとりながら、税制をそのつど改善をしていくという必要性があるわけでございます。そういう意味合いから、安定の必要性はわかりながら、なおかつ税制を毎年いじっておる、こういう格好になっておるわけであります。
  61. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁、はっきりしないのですが、私が聞いておりますのは、税金というものについてもう一つのものの考え方の上に立ちますと、税金は国民の義務なんだな。国民の義務である以上は、国民理解し納得してその行為を行なうことが、正しい義務だと思う。国民理解し納得しないで、法律によって、国家権力によってこれを施行しようとすれば、これは政治の暴圧だと思う。ことに税金というものは、個人々々の働いた一つの過程の結晶ですからね、大体は。そういうものを、国民理解し、納得するひまがない。国民は何も知っちゃいないんですよ。ただ知っているのは役所の上の方の役人だけであって、まごまごすると、徴税しておる役人でも、何でとうなっているか知らぬ。法律がこうなっておるからこれだけ納めなさい。国民理解しようにも、何も知っちゃいない。法律がこうなっておるからとっておるんだ。全く悪代官のやり方とちっともかわりはしない。税金を動かすには、もう少し動かすだけの理由があって、そうして国の経済に計画性があるならば、税金もやはり計画性があってしかるべきだと思う。こういうことが一体考えられないか、経済の伸びはこういうふうに伸びておる、そんなら税金の方はこういうような形でいくべきだということは、私は考えられると思う。毎年々々、ほとんど場当たりでしょう。場当たりの改正ですよ。これが場当たりの改正でないと言えますか。もし今のような答弁なら、これから先、税金を一つ一つ、場当たりでないかどうか聞いてみます。遊興飲食税を見てごらんなさい。全くの場当たりでしょう。何が何やらわけがわからぬ。経済の変動があったから——経済の変動ということが遊興飲食税に一体どれだけ関係があるか。そうしてこれらは、高級の料理店ほど安くなる。今まで一五%だった税率が一〇%になっているから、高級飲食店に遊んだ人は、確かに三千円の幅だけ安くなるにきまっておる。こういう税法をそういう形で答弁なさることは、私はきわめて不愉快なんです。だから税金自体についてもう少しよく考えてもらって、そうして税の立て方ができないかということなのです。税金は国の情勢によって考えなければならない。しかし減税をするにはやはり減税計画性というものが必要である。この階級まではことしはこれだけ納めてもらいたい、来年はこうするんだ、再来年はこうするんだ、その次はこうなるんだというくらいのことは、やはり税法の中において考えられるのではないか。ことに地方税というようなものについては、直接住民に関係があって、そうして所得税を納めない零細な階級までも実は地方税を納めているんです。そうなって参りますと、特に国の税金が、何か所得税が安くなれば、みんなの税金が安くなったような気がするけれども、決してそうではない。所得税だけ安くなっても、国民のわずか一割かそこらです。所得税を納めている人は一千万ないでしょう、八百万かそこらでしょう。そうすると、一割に足らない。あこの諸君は所得税を納めるほどの所得は持たないのですが、地方税はおのおの納めている。そうしますと、地方税に対しては、特に税に対する関心を自治省としてはやはり持たれるべきである。その税金を、簡単にさっきの御答弁のように、入場譲与税はやったけれども、片一方はふえたからよろしいというような、そろばんだけの勘定でやられたのでは住民はたまらぬのです。きょうはこれ以上質問はしませんが、さっきの問題だけは明らかにしておいてもらいたい。税法改正で住民の所得がどれだけふえたか、この次の委員会までに明らかにしてもらいたい。
  62. 園田直

    園田委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  63. 園田直

    園田委員長 この際お諮りいたします。道路交通対策小委員会において、道路交通対策について調査を進めるため、参考人の出席を求め意見を聴取いたしたい旨、小委員長より申し出がありました。つきましては、同小委員会において参考人の出席を求め意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 園田直

    園田委員長 御異議なしと認め、さように決します。  なお、参考人の人選、招致の日時及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 園田直

    園田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十三分散会