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1962-04-27 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十七日(金曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員   委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君    理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       飯塚 定輔君    宇都宮徳馬君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    久保田藤麿君       藏内 修治君    佐々木義武君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       津雲 國利君    永田 亮一君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       吉田 重延君    岡  良一君       川俣 清音君    佐藤觀次郎君       東海林 稔君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       横山 利秋君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         大蔵事務官         (為替局長)  福田 久男君  委員外出席者         議     員 綱島 正興君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      奥田  亨君         大蔵事務官         (主計官)   相澤 英之君         農林事務官         (農地局管理部         長)      丹羽雅次郎君         国民金融公庫副         総裁      酒井 俊彦君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月二十七日  委員久保田藤麿君、篠田弘作君、広瀬  秀吉君及び武藤山治辞任につき、  その補欠として佐々木義武君、飯塚  定輔君、東海林稔君及び川俣清音君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員飯塚定輔君、佐々木義武君、川  俣清音君及び東海林稔辞任につ  き、その補欠として篠田弘作君、久  保田藤麿君、武藤山治君及び広瀬秀  吉君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際通貨基金及び国際復興開発銀行  への加盟に伴う措置に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第  一〇〇号)(参議院送付)  国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣提出第一三一号)  国民金融公庫農地買収者等に対  する貸付けに関する臨時特例法案  (綱島正興君外六十九名提出衆法第  三三号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び綱島正興君外六十九名提出国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案の三案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 実はこのIMFの問題につきましては、前回IMF総会における論議を少し承りたいと思いまして、大蔵大臣出席を得たいと思ったのでありますけれども、まず最初に、ちょっと具体的な問題でお伺いをいたしたいと思います。  為替局長にお伺いをいたしますが、英語ラージというのでありますが、これは日本語では普通はどういうふうに訳すのでしょうか。
  4. 福田久男

    福田(久)政府委員 英語ラージ日本語でどう訳すか、ある意味において非常にむずかしい質問でございますが、まあ巨額というか大きいというか、場合によって多少言葉が違うかと思いますが、とにかく大きいという意味だと思います。
  5. 堀昌雄

    堀委員 実は私がこの問題を伺ったのは、IMF協定では、第六条の第一項に、ラージ・オア・サステインド、こういうふうな言葉が使われておるわけです。ところが邦文に訳してあるのを見ると、「巨額な又は持続的な」こういうふうに訳してあるのです。なるほどラージという英語はいろいろに使われると思うんですが、日本語で見ますと、ラージという言葉が持っておる語感巨額なという言葉語感とは、私はやや趣きを異にする。ラージ、スモールということ、大きい、小さい、これはいいのです。だから、今局長お答えになったように、大きいという意味では、私は理解はできると思うんですが、巨額ということになると、大きいでも、日本語語感は、大きさがもうちょっと上の大きさという感じを与えるわけです。ここで英語論議をしようと思うわけではございませんが、IMF協定第六条資本移動の第一項資本移動のための基金資金利用という点で、加盟国は、巨額なまたは持続的な——私は巨額なとは思いませんが、大きい額または持続的な資本流出に応ずるために、純計して基金資金利用することになってはならない、こういう規定がございます。そこで、一体このラージという言葉は、何に対してラージなのか、これをちょっとお答えいただきたいと思います。
  6. 福田久男

    福田(久)政府委員 この巨額な額の判定の基準と申しますか、何を基礎にしているか、これは絶対的に幾ら幾らということではなくて、ファンド、つまり国際通貨基金の持っております、あるいは動かし得る資金量基準にして判断されるべきものと思います。と申しますのは、そもそも国際通貨基金は、経常勘定の取引に基づく一時的な不足を助けるということが第一の任務でございまして、従って、資本移動のための基金資金利用は、その意味におきましては、第二次的なものである、従って、資本移動のために、あまり基金の大きな資金の分量を利用いたしますと、第一の目的である経常勘定に基づく基金資金利用の妨げになるという面を配慮しての趣旨から、第一項のような趣旨が生まれておるものと理解いたしております。
  7. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、資金の動く量ということになりますけれども、過去における経常勘定赤字に対してIMFが融資をした例、そしてそれの金額の大きさ、それをちょっと伺いたい。
  8. 福田久男

    福田(久)政府委員 過去におきましては、割合に小さな国が利用した回数が多いのでございますが、引き出しました累計額は、基金がきまりまして以来……。
  9. 堀昌雄

    堀委員 累計じゃなくて、過去における一回の移動経常収支の一番大きいもの……。
  10. 福田久男

    福田(久)政府委員 大体おもな大きなものを申し上げますと、最近におきまして、たとえば一九六一年中におきまして貸し出しました一番大きいのはイギリスの十五億ドルスタンドバイを別にして十五億ドルでございますが、これは資本勘定移動に伴うものが含まれております。その次はインドの二億五千万ドル、オーストラリアの一億七千五百万ドル、ここらあたりが・割合に大きいものでございます。  なお過去にさかのぼってみますと、やはりイギリスが八億六千万ドル、これは五十何年ですか、前回イギリス国際収支のよくなかった時期のことでございます。それから一九五七年にフランスが二億六千万ドル、大体そういったところが大きなものでございます。
  11. 堀昌雄

    堀委員 実は私がラージというのを伺いましたもとは、今のこの問題と関連があるわけでございます。イギリスの、年代はわかりませんが、この八億ドル、これが過去における経常収支赤字もとにしての引き出しの最高額であると思うのであります。その他を見るならば、大体二億五千万ドルくらいが普通の額ということになっておると、この文章は、IMF協定が意図しておるものの主体は、経常勘定赤字に対して為替関係を維持するために貸し出しをしましょうというのが、この協定の全文を流れる趣旨でありますから、ラージということがいわれておるのは、その経常勘定赤字操作に対するものに比べてラージというものだと理解するのが適当ではないか、私はそういうふうに思うわけであります。  そこで一九六一年のイギリスの十五億ドルなるものは、この協定から見るならば、これはまさにここに該当するラージに匹敵するものであって、協定建前だけから見るならば、これがすぐオーケーされたということは、国際条件のいろんな問題は別として、協定自体は何らか書きかえられるか何かされるべき性格のものではないか。協定を書きかえるということになれば、IMF加盟国全体がやはりこれを処理しなければならぬことになっておるのじゃないかと思いますが、この点で、イギリスの十五億ドル資本収支主体とするところの一九六一年のIMF支出は、この第六条第一項の例に該当するものであるというふうに私は思いますけれども、いかがでございますか。
  12. 福田久男

    福田(久)政府委員 IMF解釈といたしましては、何が巨額であるかということは、IMF保有資金ないしはIMFの使用し得る資金の量から見て、当該のボローイング巨額であるかどうかというふうに解釈することに方針がきまっておるのでございまして、従ってその金額は、絶対的じゃなくて、相対的に判断せられるべきものと解されております。お話しのように、今まで二億ドルとかあるいは一億五千万ドルとかいうような額が多かったのでありますが、それはやはり引き出し国の需要から見ましてその程度金額になっておるのであります。たとえばイギリスといったような国が引き出す場合には、先ほどお話し申し上げたように、八億七千万ドルあるいは十五億ドル、まあ十五億ドルの場合には資本関係が入っておりますけれども、割合に大きな金額になっておるのでございます。実は昨年の夏イギリスが十億ドル引き出しと五億ドルスタンドバイの取りきめをいたしましたに際しまして、特に御指摘の六条一項との関係について、IMF理事会でいろいろとこの点の討議が行なわれた模様でございます。従来におきましては、先ほど申し上げたように、IMF建前として、第一義的な目的経常勘定に基づく不足について援助する、応援するということが第一義的な目的であることは当然でございますが、次に第二義的な目的としての資本移動についても、やはり考えてしかるべきではないか、諸般の情勢の推移をもあわせて考えてもいいのじゃないか、六条にも、それが第一義的な目的を妨げない限りやり得る余地も残されておるということで、昨年の七月二十八日のIMF理事会におきまして、いろいろとこれらの点についての検討が加えられました結果、主としてイギリスの十五億ドルをバックにした問題でございますが、イギリスに対する十五億ドルボローイングを認めることは、六条の規定によって禁止されておるものではない旨の決議がなされたわけでございます。今具体的にイギリスと結びつけて申し上げましたけれども、一般的に基金資金資本移動利用せしめることは、第六条その他協定の諸規定の禁止するところではないといった趣旨決議がなされておるのでございます。そこでIMF解釈としては、一応今後もそういうことで進み得るという解釈がはっきり確認されたといってよいのじゃないかと思います。
  13. 堀昌雄

    堀委員 私は、IMFでそういうことがきまっておるのに国内でどうというわけにはいきませんが、このイギリスに対する十五億ドル問題というのは、IMFとしては非常に基本的な問題を含んでおると思うわけです。というのは、イギリスとかアメリカというのは、少なくとも今世界キー・カレンシーを持っておる国になっておるわけです。そういう国においてこういうふうな経常勘定における資本収支赤字が出てくるということは、本来的に言うならば、それはもうキー・カレンシーの能力がないということに発展する余地が私は十分あるのじゃないか、こういうふうな感じがするわけです。私が少し調べてみたところによると、昨年のIMF総会においては、今度のこのスタンドバイクレジットの問題については、フランスから強い反対意向が表明をされておるし、オランダその他においても反対意向を明らかにしておるわけです。要するに今度の問題については、EECが必ずしも全面的に賛成をしておる状態で問題が運ばれておらないということが大体明らかになっておるわけです。そのもとになっておるのは一体何か、今度の六十億ドルに及ぶところのスタンドバイクレジットの問題が予想しておるものは一体何か。ここに私は、このIMFの今後の問題について、一九六一年のイギリスの問題は、世界通貨の問題が一つの新しい段階に入ってきた、こういうふうに理解をすべき段階にきておるのではないか、こう考えますが、今度のスタンドバイクレジットの問題は一体何を予想しておると考えられるか、お答え伺いたいと思います。
  14. 福田久男

    福田(久)政府委員 もともとイギリスの場合もそうでありますが、経常勘定資金不足のほかに、短期資本移動の問題がここ最近のところだいぶひんぱんになって参りまして、これは結局一九五八年に西欧各国交換性を回復して、同時にそれらの国が外貨準備もふえて参りまして、自由化も相当進んで、資金移動しやすい環境が整備された。同時に、たとえば各国間における金利の格差であるとか、あるいは政治的に不安な地域から政治的に安定した地域資金が流れるとか、いろいろな要因によりまして、短期資本移動しやすい状態と、移動しがちな環境がときどき現われまして、特に一九六 ○年あたりでは、その移動した資金が二十五億ドルといわれ、あるいは三十億ドルに上ったといわれておるわけでありますが、ある国においてそれが出ますと、他の国においてそれがふえるということでありまして、それが主として先進工業国間において資本移動が行なわれる。そこで、そういう関係資金に余裕の出ましたところでは、そのために不足を来たしたところに対して応援をしても、それは一時的な現象としてまたもとへ返るなり何なり、正常な状態に返ってくるであろうというようなことも考えられるわけでございますが、そういった背景のもとに、六十億の今回の措置も考えられておるわけでございます。従って、六十億の貸付に応ずることが予定されております先進工業国の十カ国いずれの国も、そういった必要が止まれた場合にはこれを利用し得る建前になっておるわけでございまして、どの国にどういうふうにいつごろ起こるかということは、予測が非常に困難な問題だと思います。しかし必要がありますれば、関係国も相談にあずかって、それに対して適切なるしかるべき対処の方法を相談してくれているということでございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 当たりさわりのない御答弁で、それはそういうことでありましょう。しかし私は、やはりこのヤコブソン提案もとになったものは、これは一九六〇年から六一年にかけてのアメリカドル危機に対処して提案されてきたことは明らかだと思います。そこでちょっとお伺いいたしますが、一九六一年度におけるアメリカ国際収支赤字は、総計で一体幾らになったか、四半期別にはわかっておりますけれども、年度計としては結果は一体幾らになるかを伺います。
  16. 福田久男

    福田(久)政府委員 一九六一年におけるアメリカ国際収支赤字はどうかという御質問でございますが、統計の見方はいろいろあるかと思いますが、かいつまんで申し上げますと、貿易収支を含みました経常収支のしりが七十三億ドルの黒字でございまして、それに対しまして政府支出、この中には海外軍事支出なりあるいは政府資本海外への純流出、あるいは政府の贈与というようなものが含まれておりますが、それが五十九億ドルマイナス要因でございますが、そのほか民間の長期資本の純流出額が二十億ドル程度でございまして、そのほか統計の誤差、脱漏というものもございまして、差引いたしまして、いわゆる日本流に言った総合収支じりでは約二十四億ドル赤字だというふうに計算できようかと思います。
  17. 堀昌雄

    堀委員 最近はそのように毎年、実はアメリカ国際収支じりは、多少赤字幅は減ってきましたけれども、依然として赤字相当額に上っておるわけですね。現在の状態だけで見ましても、この前のケネディの教書で見ても、一九六〇年の十二月三十一日現在でアメリカの金の保有量は、一九五〇年に二百二十八億ドルであったものが百七十五億ドルとなって、減ってきておるわけです。ところが赤字累計はこの間に百八十一億ドル、金の減少高は五十三億ドルで、この間、金の減少率以上に赤字は増大をしてきておる。一九六〇年の十二月三十一日の国際収支累計が百八十一億ドルですから、それに二十四億ドル加えれば、すでにもう二百五億ドルに上る連続的な赤字が、アメリカドルの場合には記録がされておる。現状で見ると、海外のいろいろな債権を合してみると、すでにこの額をはるかにこえておる。ですから、率直に言うならば、これはいろいろな相互信用関係ドル現状に維持できておるけれども、もしこれをストレートにコマーシャル・ベースで問題が処理されるような格好になってくるならば、ドルはとうに破産をしておるのじゃないか。現実のこの金準備その他の勘定から見るならば、債権との関係では、ドルはもう破産に瀕しておる。大体一オンス三十五ドルというこの金価格のきめ方の中にも、原則的には問題があるのじゃないか。ですから、今おっしゃった短期的な、いわゆるホット・マネーの変化によるところの資本収支赤字に対処するという短期的な問題としてならば、これは問題は別だと思いますが、第六条の(a)に書いておりますものは、巨額なまたは持続的な資本流出に応ずるために使ってはならないと書いてあるのですが、まことにクリーピング・インフレではないけれども、忍び寄るところのドル危機というものは、私は非常に明らかな形で、現状であると思うのです。  そこで私がお伺いしたいのは、われわれはおそらく日本のことですから、アメリカのやることにはあまり反対しないので、水田さんもおそらくこの前の総会に行ってヤコブソン提案には、やあ、まことにけっこうでした、ということだったろうと思うのでございますが、政務次官、御存じでしょうか。まことにけっこうです、ということで双手をあげて賛意を表してきたのか。フランスオランダその他のように、この問題については疑義があるということであったのか、これは政治的な問題ですから、一つ政務次官からお答えを願いたい。
  18. 天野公義

    天野政府委員 原則的に賛成であるということは聞いております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 原則的に賛成であるというと、ちょっと反対なところもあったというように聞こえるのですが、どうですか。
  20. 福田久男

    福田(久)政府委員 ちょっと敷衍して説明さしていただきます。日本はもちろんそうでありますが、ほかの国でも大体原則的には賛成であるが、たとえばその運用の仕方なり何なりについては、なおよく検討する必要があるという趣旨でございます。一例を申しますと、国際収支状況等によって出し得る場合、出し得ない場合というのもございます。それらの場合について政府側も配慮してもらいたいし、またいろいろ手続上の問題等についても、なお具体的に検討してみなければならないというような点を含めまして、そういう問題がある、つまり強制的に割当額を義務的に拘束されて、出し得ない実情にある場合に出さなければならぬということのないようにという配慮が、その中で比較的大きな要素ではないかと思います。
  21. 堀昌雄

    堀委員 そこで、時間があまりないようですからあれですが、一九六二年度におけるアメリカ国際収支見通しは、これはアメリカではむずかしいでしょうが、あなた方は、大体日本アメリカに非常に関係があるわけですから、何らかそういう予測等もあるだろうと思いますが、どういうふうに考えておられますか。
  22. 福田久男

    福田(久)政府委員 日本国際収支自身についても、見通しが非常にむずかしいところでありまして、ましてアメリカ国際収支となりますとなおさらむずかしい問題でございますが、アメリカ政府当局が国会においていろいろと言っておりますところから察しますと、結論から申しますと六一年よりは悪くなることはあるまいというふうに言われております。町の——町のと申しますか、アメリカ経済評論家等では、いろいろなことを言っておる者もあるようでございますが、公式見解としては悪くなることはなかろう、少なくとも翌年度つまり六三年度には、基礎的国際収支均衡を達成されるであろうというふうに考えられておるようであります。従いまして、先ほど先生の御指摘になりました短期資本以外の面における赤字というものは、これは各国ともそれが均衡を保持するために努力しなければならないし、またそうなくては慢性的にそういう赤字のめんどうをアメリカが見るというわけにはいかないということは議論の余地がないととろであろうと思います。
  23. 堀昌雄

    堀委員 そこで、私は日本政府が今後IMFに対処していくかまえといいますか、ドルの問題については、大体すでにいろいろな意見が出されております。私も少し調べてみました。いろいろな方の意見を読んでみて、やはりここでは何とかしなければいかぬだろうということは、これは私結論としてあると思うのです。大体世界通貨の金の量のふえ方というものは、年間七億ドルぐらいだといわれているわけですから、その金のふえ方に比して世界貿易の流通の状態ふえ方というものは、はるかに率が大きいわけでありますから、結果としてはこれは金が減価されていると同様の事態が起きているにもかかわらず、金が、一九三三年の一オンス三十五ドルに固定されておるということは、やはりこれは一つの大きな矛盾をはらんでおるし、問題があると思います。そこで、今の時点で先のことを言う必要はないということもるかもわかりませんが、これは世界通貨の問題は、もしドルが切り下げにでもなるというようなことになれば、特にわが国のようにドルを唯一の外貨保有として持っておる国にとっては、きわめて重大な経済上の変動が起こるわけでありますから、その点について政府IMFの問題、世界通貨としてのドルの問題というものに対して、何か検討その他を進めておられるかどうか、次官にお伺いをいたします。
  24. 福田久男

    福田(久)政府委員 お話のように、世界貿易の量の伸びとそれから決済用の金ないしは交換可能通貨の量との関係が、長い目で見るとどういうふうになるかという点でございますが、お話のように金については、それだけでカバーし得るような状態ではないと思いますけれども、少なくともここ当面の問題として考えますと、各国先進工業国通貨交換性を回復して参りまして、いわゆる通貨交換可能範囲はかなり拡大されて参ったわけであります。それらの通貨ドルであれ、ポンドであれ、マルクであれ、相互交換が自由に行なわれ得る状況になっておりますので、世界貿易決済通貨としての量はこのところ拡大されて、利用し得る通貨は拡大されておると言っていいんじゃなかろうかというふうに考えます。長い将来の問題としては、お話のように世界通貨の理論なり、あるいはいろいろな世界銀行的な、いわゆるワールド・バンクでない意味世界銀行的な考え方なり、あるいは金をプールするというような考え方なり、いろいろな考え方があるようでございますが、いずれにいたしましても一挙にそこまでは、各国実情その他もあってなかなかいかないだろうと思いますが、当面のところは、やはりそれらの国々の間の国際協調と申しますか、国際協力というのが中心になって進むのじゃなかろうか。昨年のイギリスポンドの問題がありました際も、内容は秘密になっておりますが、バーゼル協定というものができまして、欧州の主要国中央銀行相互間で、お互いに助け合うという機運現実の問題として履行されたわけでございます。その後におきましても、この機運はだんだんと盛り上がりつつあるようでございまして、片やIMF中心とする今回のような問題が措置され、片やそういった自主的な各国間の、特に各国中央銀行間の協調態勢が進むことによって、主要工業国通貨につきましては、一応その価値その他について、そう当面大きな問題はないのではなかろうかというふうに考えております。従いまして、今日本ドル中心にして円の価値をきめ、あるいはいろいろな取引がドル中心に行なわれておるわけでございますが、それについてこの際特に、何か特別のことを考えるいうことは、当面のところその必要はないのじゃなかろうかというふうに考えます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 今度のスタンドバイクレジットは六十億ドルでありますが、イギリスが一応ああいう問題が終わりまして、あと予想せられるものは、アメリカが借り入れる場合が私は一番可能性が多いのじゃないかと思う。大体西ドイツもフランスもイタリアも、今国際収支状態が非常にいいわけですから、ドルを多額に保持しておりますし、最近のEECの発展の状態から見ると、これらが急激に減少する可能性というものはほとんどないのではないか。そうすると、アメリカにおける急激なドル不安が起きたときに、今度イギリスがそれでは貸し出せる条件があるかどうかというと、私は、はたしてイギリス状態としては、必ずしもそのときに行なう貸付予定額まで出し得るかどうかということは、きわめて問題があると思う。そうすると、大体EEC五カ国で二十四億五千万ドルの貸付予定額があるわけですが、アメリカドル危機のときには、日本なんかは多少いいときになると思いますけれども、しかし現実には、アメリカが本年二十四億ドル赤字を出しているときに、日本国際収支は非常な赤字になっているわけです。一九六二年はまだ二十億ドル程度赤字が予想されている。こういうことで、それから先にいって赤字が減るというととは、私はやはりグラントとかクレジットが減るということじゃなくて、経常勘定の黒字をさらに大幅にふやすということが、私は一九六三年度の目標として考えられておるのじゃないか。経常勘定の黒字をさらに増大するとなれば、裏返して言えば、日本の場合は国際収支は困難なことになるわけでありますから、そういうふうにしてみますと、とのスタンドバイクレジットは、アメリカが要求するときは、最大二十五億ドル程度くらいしか出ないじゃないか。はたしてそういうことが予想せられることになると、この貸付予定額等がさらにまだふやされることが予想されてくるような事態が起きないでもないじゃないかという感じがするわけですけれども、それについての考えを承りたい。
  26. 福田久男

    福田(久)政府委員 どの国が利用するかという点につきましては、先ほど申し上げたように、各国いずれの国でも、必要があった場合には相談してきめることであります。その場合に、アメリカが入らないというわけではもちろんございません。アメリカが借り入れるということもあると思います。ただその際に、どの程度金額が考えられるかというと、やはりそのときのアメリカならアメリカの必要とする額、あるいは基金資金状況、あるいは貸し付け各国の出し得る資金状況等から、いろいろ相談の上きめられることでございまして、幾らということをあらかじめ申し上げることは非常にむずかしいと思います。なお、この総額六十億ドルの今回の措置は四年間という期限でございまして、その後におきましては、四年間における経過を顧みてどういうふうにするかは、また別途あらためて関係国間とIMFとの間で相談されることになろうと思います。
  27. 堀昌雄

    堀委員 そこで、これはちょっと為替局長の方でおわかりになるかどうかわかりませんが、この協定をし、法律をこういうふうに改めて、そして必要になったときには政府はこれを外為特別会計資金から出すことになりますね。そうするとこの出し方ですが、これは、たとえばその補正予算が組めるとか、あるいは年度の当初であるというときはいいと思いますが、これは出すということになれば、あなた方の方は、外為特別会計における予算支出として予算を組まなければならないことになるのかどうか、そこはどうですか。
  28. 福田久男

    福田(久)政府委員 出し方でございますが、出すのは円をIMFに貸し付けるということになるが、その円資金は外為会計の資金繰りで調達することになっております。御承知のように、外為会計は短期一時借入金ないし外為証券で調達することになっております。外為証券の発行限度も、四千億円の発行限度をお願いいたしまして、国会の御承認を受けておりますので、その範囲内でまかなえると考えます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、ちょっとここであわせて承りたいのですけれども、われわれどうも特別会計の資金が一体今幾らあるのかということが、出入りはわかっても現状が非常によくわからないわけです。現在のところの、どれでもいいのですが、三月三十一日でもいいのですが、外為資金の現在高というものは大体どのくらいになっておりますか。
  30. 福田久男

    福田(久)政府委員 ちょっと資料が古くて、まことに申しわけないのですが、三月末現在で申しまして、外為会計の固有の資金と申しますか、自己資金的なものが千六百三十七億円ございます。借入金が二千七百四十億円でございまして、このほかにもうけがありました場合に、積立金として残すことになっておりますが、それが百五十一億円ということになっております。なお、三十六年度における純益金でございますが、損益金では四十五億と予想されております。もうけがありますので、それを合わせまして四千五百七十六億円程度が三月末の計数であります。この中で三月末で外貨を持っておりますものが、円に換算いたしまして四千三百八十五億円でございます。あとは当座預金とか資金運用部への預け金とか、そういうものに運用されております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 そこで私は今問題があると思いますのは、もし外為資金から、たとえば仮定の事実になりますが、六月なら六月に九百億円出してくれ、こういうことになったといたしますね。九百億円、この外為資金から出していくということは日本通貨の内部的な条件としてはどういうことになりますか。為替局長の方でも銀行局長でもどこでもけっこうです。要するに外へ九百億出ていくわけですからね。何したってIMFへ円で貸し出していく、その場合に、国内通貨は外為とはこういう格好でバランスをとって処理されておると思いますが、これを円で出せと言われて、円で九百億出ていく、そういうときに起こる国内通貨の問題はどういう格好になりますか。
  32. 福田久男

    福田(久)政府委員 それはその円資金の調達のあり方によって変わってくるのではないかというふうに考えております。もしも外為会計自身が、手持ちの余裕金がかなりあった分については、その分は国内の市場には影響がない。それからもし中央銀行からその資金を調達すれば、国内市場には影響がない。もう一つは、市場からオペレーションその他によってある程度吸収できたといたしますと、国内の円資金をそれだけ吸収される。その三つの場合が考えられると思いますが、その際に現実IMFに対して日本資金を供給する場合の国内金融市場の状況とにらみ合わせて、今申しました点について考えなければならぬのではなかろうかというふうに思います。
  33. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、この場合は国際収支の関連で問題があるというときは断われるということになると思うのですが、国内的なそういう経済状況といいますか、そういう場合にもこの支払いをちょっと待ってくれということができる仕組みになっておりますか。国際収支赤字のときは、今はちょっと出せないから待ってくれ、これはいいでしょう。ただ、私ちょっとそこがよくわからないのは、国際収支赤字だというときに、これはたとえばドルで払えと言われると待ってくれということになると思うのですが、自国通貨ということなら、全体としての問題では同じことになりましょうが、その自国通貨で出すことになっているところには必ずしもそう強く主張できないような問題があるのではないかというような感じがちょっと私するのです。それは事実かどうかわかりませんが、それが一つ。それからもう一つは、国際収支の条件が悪いときには断われるということになっておりますが、しかしさっき申しました国内条件のいかんによってこれがどうもやりにくいという場合に断われるのかどうか、それをちょっと伺いたい。
  34. 福田久男

    福田(久)政府委員 第一の御質問の点は、先ほどもちょっとお答えいたしましたが、円でIMFに貸してよろしい、ただしこのIMFに貸しつけました円は交換性を与えなければならぬことになると思います。つまり、相手国でそれを使わなければならぬ。使う場合には外貨にかえてくれということが当然前提にならないと、この趣旨に合致しないことになりますので、結局は外貨を出したと同じ結果になりますが、少なくとも形の上では円を貸し付けるということに相なるわけでございます。  それから第二点でございますが、この点については、各段階ごとにございまして、まず手続から申しまして、一番最初にある国がこの資金利用したいという申し入れをIMFの専務理事にいたしました場合に、専務理事関係国十カ国、申し入れをした国を除けば九カ国になるわけですが、九カ国にそれぞれ相談をして、総額これだけの申し入れがある、この総額を一体どういうふうに判断するかということを相談するわけですが、その際にその総額をきめるにあたって、ある一国が国内の立場から見て、国際収支状況なり外貨準備状況なりから見て非常に工合が悪い、応じかねるという場合には、その総額をきめる表決に加わらない、つまり棄権することによって参加をしないようにするという方法がございます。それが一つ。それからかりに現実に貸した後におきましても、国際収支状況が悪くなって、どうしても自分の方は工合が悪くなったというときには、貸した金を期限前といえども返してもらうということもできることになっております。そういうふうにそれぞれの段階におきまして、その国の国内の状況というものを十分考慮して運営されるということになっておりますが、一番最初日本は一体どういう態度で臨んだかということと関連しますが、これらのセーフガードについては十分考えてもらいたいということを強く主張したわけでございます。
  35. 堀昌雄

    堀委員 まあいろいろなクレームのつけ方がその中にあるのならば、それはまたそれなりでいいと思いますが、この間エコノミストが書いておるのに、日本国際収支赤字の中で自由化をやるというのはまことに勇気があるといってほめておりました。そこで私は、どうも日本の場合には、ややそういうことに似通っておりますが、よその方にいい顔をしてただすべきところをたださない点がしばしばあるのではないかという不安が常にしてなりません。私どもは、これはスタンドバイクレジットに、協定に参加するだけですから、金を出すということになってくるわけではないので、あとでもう一ぺん条件によって出してくれといわれたときには、そうやって断わる方法もあるようですから、その点は私が今申し上げたように、今の国際収支の急激な赤字の中で自由化をするようなことを、このIMFに顔を立ててやっておるのですからね。そういうようなことで、国際収支の条件が悪いのに、またもやそういう勇気のある行為をとってもらったりしては困ると思うのです。そこで、私はこれは政治的な問題ですから政務次官国際収支の条件がいいときでないときに、もしこういうときがきたときは、断固として断わるかどうか、またぞや、いやどうもアメリカから頼まれたから仕方がないなどということでは、これは私納得ができないですが、勇気があるかどうか、一つ伺いたい。
  36. 天野公義

    天野政府委員 国際収支が悪いときには、日本政府としてはこの問題については勇気を持ってお断わりをしなければならないということは、はっきりいたしております。
  37. 堀昌雄

    堀委員 勇気を持ってやるそうですから、われわれも信用いたしますけれども、いろいろなこういうものを調べてみますと、フランスとかオランダの方が言うべきことをさっさと言う。どうも日本は国内に対してはまことに勇気を持ってものを言われるのだが、外へ向かっては非常にだらしがない。こういうのは、やはり内弁慶の外すぼみという言葉があって、本来弱い者がやることであると、われわれとしては考えておりますので、今後はこういう国際問題については、きぜんとして、われわれ国民の立場に立って政府が善処されんことを要望して、私の質疑を終わります。
  38. 小川平二

    小川委員長 藤井勝志君。
  39. 藤井勝志

    ○藤井委員 私はこのたび上程されております国民金融公庫法の一部を改正する法律案並びに国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案に関しまして、質問をいたしたいと思うのでございます。  まず私は、後者の綱島先生外数十名の方の提案による臨時特例法案に対して質問いたしたいと思うのでございますが、その質問の前提といたしまして、昭和二十一年三月、御承知のマッカーサー司令部の指示によりまして、農地改革が断行された当時の日本の農村の実情を、いま一度回顧しなければならないと思うのでございまして、同時にまたそれが行なわれました当時の農地改革制度が含む不合理と矛盾、こういった問題に対して、いま一たび冷静な認識の上に立って、本問題を私は質問いたしたいと思うのでございます。  実は私自身ちょうど終戦後いなかに帰農いたしまして、あのマッカーサー指令が出ます前後の農村の実情は、身をもって体験をいたしておる一人でございます。共産主義を中心とした農民同盟が、まことに兄弟かきにせめぐような争いがいろいろあったことは、皆様方記憶に新たなものがあろうと思うのでございますが、特に私はこのたび提案されましたこの国民金融公庫中心とした改正法案並びに特別立法、こういった問題に対する認識は、当時の実情をよく把握しなければいろいろ議論が分かれてくると思うのであります。  そこで私は、当時買収された約二百五十万に及ぶ旧地主の方々の生活の実情というものが当時どのような状態であったか、現在またどういう生活状態であるかということを、提案者である綱島さんにお尋ねいたしたいと思います。
  40. 綱島正興

    綱島議員 御承知の通り、この立法の当時の趣旨を読んで見ますと、農地は自作者によって耕作されるべきものだ、だからこういう改正をやるということになっている。ところが実際の実情といたしましては、自作者を甲から乙に取りかえた点が非常に多いのであります。ことに二百五十万戸の被買収者のうち、二百万戸は一町歩以下の農地所有者でございます。その中には二反歩、三反歩等のものも含んでいる人さえございます。これはどういうことからかくのごとき小さいものが取り上げられたかといいますと、これはほとんど不在地主として、もしくはみずから耕作する労力を持たぬ等の理由で取り上げられている。ちょうど法律ができましたのは昭和二十一年の秋でございますが、その法律で判断する——自作農であるかないか、不作地主であるかないか、もしくは自作し得る労働力を持っているかどうかというようなことを調べます基準になる日付は、二十年十一月でございます。たまたま当時は二十年八月十五日に終戦をいたしまして、ほとんどの国民が兵役に服しておって、多くは帰還をしていない、帰還している者はほんの一部にすぎない、こういう者のうち、幸いにして女房、子供等、あるいは老人が自作をいたして、自作し得るだけの労力を持った者は自作者としてこれを継続することができたのでありますが、ほとんど多くの農村においては、農村の主要の労働力が海外にございましたために、みずから自作者ということができず、不在地主的なものとみなされる期日が、実は帰還以前の期日でございましたためにさような適用を受けましたが、ほとんど実際帰ってくればその人たちは自作農でございます。一町歩以下の自作という言葉がいけなかったと思う。一体農村の一町歩以下の耕作者が地主だろうかどうか、これは常識でお考えになればわかるのであります。やみくもにこれを地主という、そして二カ村なり三カ村にわたるような大きな地主と同一水準に考えて、これを自作農に渡せという法律を作ったところに法律の無理がございます。当時御承知のように占領司令官の意思は国会の意思よりも、天皇の意思よりも優先することを誓った効力のあります当時でございますから、その当時の政府も、その当時の議会も、責むるには当たらないと思いますけれども、独立したからにはこれに対して是正の道をとる、これは妥当なことと考えられるのであります。主としてそれらのことから私どもはこの一部修正を主張したのであります。ところがたまたま国民金融公庫に二十億円の特別融資ワクが設けられましたが、御承知の通り、国民金融公庫は、生業資金でなければならぬ、事業資金でなければならぬ、別なものには絶対貸してはならぬ、小口のものもそういうもの以外には絶対貸してはならぬという非常にひどいワクをはめておる。その後の実情から、生業資金と明らかにすることよりはもっと先の、学費であるとかその他の生活資金等が必要でございます者には、この代替の方法である国民金融公庫の経営方針を変えて特例を設けなければならぬということからこの法案を出したものでありまして、それは実に占領当時の政策を是正するためにはなくてはならぬ次第であると考えますので、どうぞその意味を含んで御審議を願いたいと思います。
  41. 藤井勝志

    ○藤井委員 今提案者の御説明を聞きまして、政府がこのたび国民金融公庫法の一部を改正する法律案を出されたその考え方が根本的に違っておるように思います。私は、政府の出された案というものが、今綱島さんからいろいろ御説明がございましたような認識の上に立っておるならば、別途考えなければならなかったのではないかと思うのであります。私、実はいろいろな方面からお話を聞き、多少資料を集めてみたわけでございますが、当時はともかくお互い日本人が一種の虚脱状態になっておった。ぼう然自失というような状態で、あきらめ的な、自覚もないようなときであった。しかも今お話しのように、マッカーサー司令部の指令というものが絶対権力を持っておった。こういうときに行なわれたわけでございまして、そのときの解放農地の反当最低三百八円、最高で九百九十四円ということに相なっておる。ところがその当時やみ米は一升百七十円ということでありますから、大体米三升くらいのところで取引された。その取引された当時の状態は、今申されたように、いわゆる地主であったということで一律的に行なわれて、その地主であるおい立ちが、どういう社会条件、経済条件でそのような立場に当時あったかということの認識が欠けておったということが、今日政治的に大きな問題になってきたと思うのであります。現在の解放された農地の転用の状況を農林統計から見ますと、大体年々一万五千町歩くらい行なわれておる。その価格が現在反当平均七十五万円、最高は三百万円以上ということになっておる。当時ぼう然自失しておった旧地主の人たち、しかもそれは、自分たちがともかく、たとえば学校の先生の場合、老後の一つの保障的な気持で積み立てたお金で買った、たまたま戦争中徴用を受けてよそへ出ておった、それがいわゆる不在地主の名のもとに一律にやられた、どういう事情もあるわけでありますが、また、当時、中堅農家の子弟は大半が戦地に行っておって帰ってみたら土地が取られてしまっておる。泣くに泣けないような、周囲、身辺の農村の悲惨な状態も私聞き及んでおります。従って、そういうことで、この際、ようやく日本も一人前の経済の自立ができ、よその国の世話も多少しなければならぬという状態になってきたきょう今日、今のような問題を一ぺん再検討をすべき段階にきておる。これが私はこのたび国民金融公庫を通じて何とかしなければならぬということになった大きな政治的背景であろうと思うのであります。もし同じ何とかしなければならぬということになっても、政府が出されておる提案の内容はその認識において非常に欠けておるというふうに思うのであります。これはやむを得ず、何か一種の治安対策費と申しましょうか、何か騒ぐから少しおさめておけというようなことになっておるのではないかというふうに思うのであります。私は、今申しましたように、当時の価格においても非常に無理がある。現在、手放した土地が非常に高騰して取引されておることを見た場合に、元の地主あたりが思い入れを一そう深くして、何とか政治の手当によって公平な取り扱いをしてもらいたいという気持になってくることは当然であり、それに対して、しかるべき手当をすることは、決してうしろ向きの政治ではないというふうに思うのであります。これに対して、政府側の御答弁をお願い申し上げたいと思うのであります。
  42. 天野公義

    天野政府委員 ただいまお話がありましたように、農地の被買収者の方々は、非常に不合理な点やお気の毒な点が多々あったわけであります。そこで、政府の方といたしましても被買収者の調査会を設けましていろいろと研究、検討をお願いしておるわけであります。政府としてはこの答申を待ちまして、善処をしたいという基本的な考え方を持っておるのであります。その間において、被買収者の方々でいろいろと事業をしたい、また資金を要するというような御要望も非常にありましたので、この際、国民金融公庫に事業資金、生業資金のワクを設けまして、被買収者の方々に資金の供給をしたい、こういう考え方で御提案を申し上げておるような次第でございます。従って、治安対策でも何でもないわけでございます。われわれとしては、そういう基本的な考え方に立っておるわけであります。
  43. 藤井勝志

    ○藤井委員 もう一つ伺っておきたいのですが、これはどなたに御答弁願うか、農地局の管理部長も見えておるようでありますから、適当にお答え願いたいと思います。先ほど綱島さんから御説明がございました中で、農地改革は昭和二十一年の三月施行されたが、実際の農地の価格決定の時期は昭和二十年の十一月、こういうふうに私は今聞き及んだわけでございますが、大体法律一つの原則と申しますか、不利益は遡及しないという建前があるように聞き及んでおるわけでありまして、こういったことに対しては政府当局側は、現有の時点に立って、どのような御判断をされておりますか、御質問いたしたいと思います。
  44. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 自創法におきましては、御指摘の通り二十一年の三月に制定せられまして、その中の条文で、特定の場合には前年の十一月一日の時点で買収計画も立て得るように規定は和なっております。この特定の規定が入りましたゆえんは、二十年の十一月に農地改革の閣議決定がございまして、その結果地方におきまして農地改革前に小作地を取り上げるということが、全国的に非常にたくさん起こりましたために、社会的に相当の混乱を起こしました。従いまして、二十年の十一月以降の小作地の取り上げであって、小作人の方から特に不利益を理由にして主張せられましたケース及び農地委員会が特に必要がありと認めたケースにつきましては、二十年の十一月の時点で買収する計画を立てることができる、そういうふうな規定に相なっておるわけでございます。もちろんこの間におきまして、賃貸借の解除等におきましても適法に行なわれたもの、あるいはこれを取り上げることが正当なものにつきましては、当然有効である、こういう法制に相なっております。  そこで、法律の、人に不利益を与える法律につきましての不遡及の問題でございますが、憲法におきましては、刑事事件につきましては明文をもちまして不遡及の原則をうたっております。民事事件につきましては、裁判所等で、今御指摘の点が裁判事件にも相なった事例もあるわけでございますが、絶対不遡及はいけないというふうには民事の場合では相なっておりませんで、遡及することに相当の理由がある場合には一応遡及もできる、こういう形に相なっておりまして、いろいろ御議論の存する点ではございますが、私どもといたしましてはそのように考えておる次第でございます。
  45. 藤井勝志

    ○藤井委員 今の問題は済んだことの議論でありますから深入ってお尋ねしようと思わぬのでありますが、一つ今度は相澤主計官にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  御承知のように、農業基本法の前文には、「わが国の農業は、長い歴史の試練を受けながら、」幾多の困難を経て、ともかく日本国家の「国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を」果たして今日まできた、このような使命は今後も変わりないであろう、こういう意味のことがまず農業基本法の前文にうたわれておるわけでございます。そういう現在の政治的な背景を前提としながら今度の問題も考えてみなければならぬのではないか。そこで私は、先ほどお話がございました中に、大体われわれ普通の、ちょっと言葉から入る印象は、地主というとすぐ金貸しから土地を兼併した、こういったことが頭に浮かぶわけでございますけれども、実際この農地解放で犠牲になった地主の八割は、先ほどのお話のごとく一町未満の零細な地主である。しかもそれは社会党の諸君あるいはまた革新系の方々が言われる搾取階級というような立場ではない人たちで、先ほども触れましたように、学校の先生が老後の保障のために、戦前は社会保障制度が行なわれておらなかったというようなことで、自分で一種の保障的な意味でやっておったような人たち、あるいはまた一生懸命に自作でやっておったけれども、戦時でむすこが応召されて手が足りないということで小作に預けた、こういったことが契機で取られてしまうという状態で今日に至っておるわけでありますが、私はことに、農業基本法が前文にうたっておりますような、いわば日本民族、国家の中堅の形成者であるというような角度から、この問題を政治的に考えなければならぬ時期が来ておるのではないかというふうに思うわけでありまして、そういう点について私は御一考を願いたい。その一考していただくまず前提として、当時の農地改革がはらんでおった不合理な点で、第一は、私はやはり大地主と今申しましたような小地主との間に何らかの差別をつけないで一律に取り扱ったということの一つの矛盾、すなわち今申しましたような地主のおい立ち、いろいろ背後に控えておる社会的条件、経済的条件、こういったものを一切考慮しないで、占領軍の占領政策でこれが遂行されてきた。しかも国家の重要な形成者である農村をそういう改革を断行し、そういう目にあわした、こういったことは、ようやく日本が自立し得る経済的な条件がそろった今日、真剣に農業基本法の精神から考えましても取っ組むべき問題ではないか。同時にまた、だれしもこれは指摘しておることだと思うのでありますが、山林に向かって何ら手をつけない。山を持っておれば同じ地主でもそのままになっておって、平野におった地主はいためつけられた。これはまた農地解放の一つの矛盾である。こういったことをいろいろ考えます場合に、私はこの際一つ冷静な判断が、今日ようやく終戦後十数年経過して経済的にも自立できた、このときにあたって、本問題を真剣に大蔵当局としても取っ組んでいくべきではないかというふうに思うわけでありまして、これについて相澤主計官のお考えをお伺いしたいと思うのでございます。
  46. 相澤英之

    ○相澤説明員 農地改革の問題は、現在におきましてまた政治的にも社会的にもはなはだ重要な問題として取り上げられているわけでありまして、私どもが今ここで事務的な答弁をいたしましても、あるいは御満足いただけないかと思いますが、事務的な立場から申しますと、一応農地改革の問題につきましては最高裁の判決にもありますごとく、正当な手続のもとに正当な法律に基づいて行なわれた措置であるということになっておりますものですから、今ここでにわかにその農地改革につきまして今後どういうような補償をするとかどうとかいうことを考えるのは不適当であると思いますが、農地被買収者問題調査会におきまして農地改革に伴う社会的な問題についてせっかく検討が行なわれている際でございますので、その答申を待ちまして政府としての態度をきめるという基本方針に従って、私どもも事務的に処理いたしたいというふうに考えております。
  47. 藤井勝志

    ○藤井委員 これは念のために、誤解があってはいけませんので私申し述べておきますが、私自身農地改革が日本の農村民主化に占めた役割を高く評価いたしております。しかもその農地改革の進歩性について私は何ら異議をはさむものではありませんけれども、先ほど申しましたように、いわゆる地主ということで一律に行なわれた。あの当時の日本の社会条件、経済条件を知らないいわゆる他国の占領政策のもとで行なわれたということが、この際日本の自主的判断において政治的にまた経済的にこれを解決すべき時期がまさにきておる、その声がほうはいとして現在の時点において起こってきたという認識の上に立って、このたびの法律改正を論ずべきであるというふうに思うのであります。  そこで、私は本論に進みたいと思うのでありますが、国民金融公庫に対しまして、一般会計から二十億の出資を行なうというのが政府の案のようでございますが、その二十億の金は一体どういう積算ではじかれたか、積算の基礎を一応聞かしてもらいたい。同時に、貸付の対象なり貸付の利率なり償還期限、こういったことについて、すでに本委員会でお話があったかとも思うのでありますけれども、一応念のために質問をいたしたいと思うのであります。
  48. 大月高

    ○大月政府委員 ただいまお話のございました二十億の出資の問題につきましては、この二十億の性格は、今お話のございました農地補償と申しますか、農地の被買収者に対する融資の問題とは直接の関連がございません。この点をはっきり申し上げておきたいと思います。それは、国民金融公庫におきましては、本年度の資金の調達計画といたしまして、政府出資二十億円、政府資金の借り入れ四百六十五億円、回収金等九百六十三億円、合計一千四百四十八億円をもって資金調達をいたす予定でございます。これの運用といたしましては、一般の貸付といたしまして千二百六十億、特別小口貸付一億、恩給及び遺族国債担保貸付として百五十七億、引揚者国債担保貸付として六億、更生資金貸付四億、その他貸付二十億、合計千四百四十八億、こういう計画になっておるわけでございます。そのその他貸付の金額二十億というのが今問題になっております被買収者に対する融資でございます。数字は同じでございますが、出資、借入金、回収金等の振り分けにつきましては、国民金融公庫資金の貸付のコスト及びこれの運用の利回りを勘案いたしまして、ほかの公庫等に実施いたしておりますように、コスト計算からこの程度の出資が必要であるという計算から出ておるわけでございます。融資の問題について、二十億の根拠は、率直に申し上げましてそのまま積み上げたわけではございません。被買収者の二百万あるいは二百五十万というような数字がございますが、その数字とこの二十億とは直接関連を持っておらないわけでございます。ただ、国民金融公庫の平均の貸付金額が一件当たり大体二十万あるいは二十五戸、こういう数字がございます。逆算いたしまして、かりにその程度の平均だと考えますと、大体一万件ないし八千件がまかなえる、その程度措置として考えた、こういうことでございます。
  49. 藤井勝志

    ○藤井委員 今のような御方針だからこそまた議員立法として別途の特例法案が提案されたわけでございます。これは、先ほどもいろいろお話がございましたように、従来の先入観なんかにとらわれないで、地主は搾取階級だ、こういったことにとらわれないで、すなおな気持で、日本の国力の許す範囲内において戦争の犠牲者に対する補償の問題として考えることが本論ではないかというふうに思うのでありまして、このたび出されたのは、やむを得ずそういったことの政治的背景を顧慮しながら糊塗的な措置として一応頭をのぞかせたというふうに理解せざるを得ないと思うのであります。そういう面においては別途すっきりした特別立法ということが望ましいと考えております。ただ、特別立法の場合、そういうふうに金を貸すということだけでは問題解決のきめ手として不十分きわまるわけでございますので、先ほど御答弁がありましたように、この問題の調査会が特別にできておりますから、旧地主の実態調査ができた上で政府もすっきりしたものを用意していただきたい、このように特にお願いをいたしておく次第であります。  ところで、今のような問題に対するいろいろな意見を頭に浮かべながら念を押したいと思うのでございます。そのような農地補償もなるほどいろいろ事情を聞けばよくわかる、しかしながら、そんなことをやっておると戦争犠牲者に対する補償の措置が無限に広がるではないか、こういったことが反対論拠の一つに掲げられるではないかと思うのでありますが、すでに軍人恩給、あるいは遺家族援護、こういった措置が不十分ながらもされてきておる。無限に広がるということでありますけれども、どういうことが問題でございましょうか。この点関係者から御答弁願いたいと思うのであります。
  50. 天野公義

    天野政府委員 ただいまの点は非常にむずかしい点でございますので、ちょっとお答えできかねます。
  51. 藤井勝志

    ○藤井委員 与党側から出ておられる政務次官が御答弁できないというのであえて突っ込もうとは思いませんけれども、そういうことだからこういう問題がすっきりした形で解決されない。原因はそこにある。この程度でいくのだ、ここまではいけない、こういう点早急に政務次官より大臣に御報告願いまして、結局は大蔵省へ話が持ち込まれるわけでございましょうから、一つ大蔵省で処理してもらいたい、このようにお願いを申し上げる次第であります。そう無限に広がるものではない。頭に浮かぶ一つは、非戦闘員の原爆被害者でいまだに病床に呻吟している人たちに対する援護措置、これが不十分ではないか。もう一つ参考までに、よくわからないというお話でありますから申し上げておきます。日本海運——この間春日委員からもお話が出ておりましたが、戦争被害に対する善後措置は海運界にまことに冷酷でありました。戦時補償特別措置法によって戦時補償特別税が百分の百積み立てられた、それが当時の金で納税額三十五億、現在にいたしますと五千三百億になんなんとする、こういったものが全然打ち切られてしまっております。これの補助的な意味で利子補給の制度が芽をふいたけれども、これまたそのままになっている。これなんかは単なる跡始末ではなくして、現在の日本国際収支の改善、輸出の増強、こういった経済を取り巻く環境から考えますと、前向きに積極的に処理しなければならぬ問題である。一つ一つ考えてみると、そう無限に広がるものではな。そういう先入観を持ってじんぜんと手当をしなかったのは政治の貧困によるといわざるを得ない。副大臣である政務次官は、きょうのこの場の私の意見を大蔵省に反映していただきたい。あなたの政治力によって浸透していただくようお願いいたしておきます。
  52. 天野公義

    天野政府委員 御意見は承っておきますけれども、個々の具体的問題についてどうこうというお返事はできかねます。
  53. 綱島正興

    綱島議員 この際一言発言さしていただきます。農地補償という問題と、焼失した家屋というものは性質が非常に違うことをこの際言明をしておきたい。農地政府がなした被害でございます。従って、政府は……。(「戦争もそうだ」と呼ぶ者あり)戦争したということは、政府がしたに違いない。しかしうちを焼かれたということは、政府がしたことじゃございません。それは外国のしたことだ、それが大切なことだ、それで、一つそこの点をはっきりしておきたい。考えてごらんなさい。たとえば大風が吹いて家が倒れたといっても——被害はございますよ。けれども、その風に百日の恨みを持つということはないのであります。家が倒れたということ、そこに恨みを持つということはないのであります。母親がむちを食らわせると、子供は、何をするのだという恨みを持つのでございます。よろしゅうございますか。意思が加わってできた結果と、意思が加わらずにできた結果とはおのずから違うのであります。政治の要諦は、意思が加わってできた事柄についてはまず取り除くということが大切でございます。何となれば、意思によって統治法則というものはきまって参る。いろんな法則がございますが、生活法則というものは、すべて生物である人間の事情から、産業その他物産、気象、風土等によって決定されて参るので、政府がどう言おうが、腹が減ったときは腹が減る、減れば食わねばならぬ、そういう法則は決定しておるのであります。ところがこれを共産主義にするか、民主主義にするか、あるいはこういうものでどういう統治行為をするかということは、これは意思が決定することでございますから、意思で決定したことについては、それが妥当性を失うときは、政府はこれをつみ取らねばならぬ政治上の義務が発生する。そこでうちの焼けたことについては、なるほど多少のことは考えなければならぬが、政府が積極的にしたこととは、その間に区別があるのであります。特に私どもがこの問題を取り上げるゆえんのものは、意思でもって決定されてきたものか、偶発的に生まれてきたものかということに別な事情があることを、これは一つこまやかにお考えを願って、ことに政府がその点を理解しなければならぬ。そういうことを同一視して考えることは、これは考え方が粗雑でございますから、そんな考え方でものを処せぬように、私はこの際発言をいたしておきます。
  54. 藤井勝志

    ○藤井委員 私はまた少し別の角度から御質問いたしたいと思うのでありますが、今度の問題の起こりの一つの大きな原因は、先ほどもちょっと触れましたように、かつて反当三百円あるいは最高でも九百円程度、これで買い取られたものが、しかも農地以外には使わないという理由で強制買収されたものが、今度はどんどん工場その他に転用されて、反当平均七十五万円、高いととろは三百万円、こういう現在のべらぼうな土地の価格の高騰ということが、この問題のまた大きな社会的政治的背景になっておると私は考えますがゆえに、土地問題について、一つここで関係当局者に御質問いたしたいと思うのでございますが、これは、私は、きょうだけの問題でなくして、当大蔵委員会の各位の全体的な問題として、何も地主補償問題だけの考えではなくして、お取り上げ願い、一ついい、実効ある計画を立てていただくために御審議いただきたいと思うのでございます。  昭和三十年と現在の土地価格の値上がりを比較いたしましても、ある資料によりますと四倍になっておる。こういうふうにどんどん年を追うて地価が高騰しておるということが、いろんな問題をかもし出す前提になっておるというふうに考えるのであります。ところが不思議なことに、経済白書、こういったものを見ましても、土地の価格の値上がりについての議論が何らされておらない。これはまことに不思議な感じがいたすのでありまして、土地の価格の値上がりがすべてに関連して物価騰貴を起こさないはずはない。これが私は現在の政治の一番大きな盲点の一つではないかと思うのでありまして、こういうことに対して今までどのような手当を政治的になされておりますか。一応、この問題に対する認識と、これに対する対策について当局の御答弁を承りたいと思うのであります。
  55. 天野公義

    天野政府委員 大体土地の問題につきましては建設省の所管でございます。大蔵省の方でいいますと、高く売りましたところからは税金をたくさんいただいて、一般の方々の方に一般会計でこれを処理する、そういう建前をとっておりまして、土地の売買による税収も最近は非常に多くなっておるというふうに承知いたしております。
  56. 藤井勝志

    ○藤井委員 今の立場といいますか、現在の政府のいろいろやっておられますこの問題に対する準備からいいますと、政務次官の今お答えのようなことしか答弁がないので、私はまことに残念に思うわけでございます。私は過ぎ去ったことを申し上げようとは思いませんけれども、この問題はせっかく経済企画庁というのが総合的な経済計画の本拠になっておりますので、経済企画庁の方おられますか——一つ大いにこの問題を御研究願い、ただ単なる研究でなくして、拙速主義でいいから——私は結論を申しますと、最近基本法ばやりでありますけれども、土地基本法というものをまず一つの大きな政治の問題として早急に立案すべきではないか。きのう新産業都市建設促進法案が一応商工委員会の採決を経たわけでございますが、こういったことの前提にもやはり土地というものが不可欠な要素になっておるわけでございますけれども、こういったことに対して何らまとまった法の整備、制度の整備がなされておらない。あるいはまた地価というものが——たとえば公共用地には土地収用法によって、また先般改正されまして、緊急事態に対してはとりあえず収用して使える。ところが土地の価格は時価できめるということになっておるが、時価はどこできめるかというようなことがまことに不十分な現在の法の建前になっておりますので、国の経済発展に沿うて、経済計画に沿うて、それとからみ合わせて、土地というものをどう取り扱うかということで国民全体に最も効果的に使っていく。単なる私有権万能の時代はもう過ぎたのでありますから、ここに思い切った土地に対する基本的立法を総合的にまとめてやっていく必要が今日ほど求められておる時代はないと思うのであります。こういった問題がやはり旧地主の被買収者補償問題とも関係があるわけでございまして、どうかこの点について一つ思い切った施策をやるべく早急に御研究願いたい。きょう私も多少意見を準備しておりますけれども、相手方にそういった準備がなければどうにもなりませんので、あまり時間はとりたくございませんけれども、どうか一つこの問題について——きょうは答弁される皆さん方のお顔ぶれがお立場上むずかしい問題ではないかと思いますので、あえて深入った答弁は求めませんけれども、一応それぞれの関係者からお答えを願いたいと思います。
  57. 天野公義

    天野政府委員 土地の問題は、建設省を主体といたしまして、政府部内でもいろいろと施策を講じております。宅地の造成であるとか、また埋め立ての事業であるとか、道路、街路の整備とか、いろいろなことをやっておることは御承知の通りでございます。しかし土地というものは、くだいていうならばなかなかきめ手がないのでありまして、利便が多ければそれだけ高くなるし、不便なところになれば安いのでありまして、実際の問題としてはなかなかむずかしい。むずかしいところを何とかやりくりしていくのが政治だろうと思うのでございますから、今後とも土地の問題につきましては努力をし、研究をし、調査をしていくわけでございます。
  58. 藤井勝志

    ○藤井委員 平素しっかり勉強していただきまして推進方をお願いいたします。特にこの問題が旧地主の補償と関連するということのもう一つの理由は、現在土地を持っておれば一年で二倍にも三倍にもなる。これはまさしくいわゆる不労、働かざる所得であります。こういった問題は、私は公平、公正な立場から政治が積極的に手当をしなければならないというふうに痛感いたしておるわけでございます。過去の傷あとをなおすということも必要でございますけれども、前向きの、今のようなことによって過去の傷あとが間接的にいえてくるという、こういう手当は将来旧地主の土地買収補償問題を含めて、一つ積極的に、本格的に御研究、御検討いただきまして、いわば土地基本法的な法律の整備をしていただきたい、このように考えるわけでございます。  最後に、銀行局長一つお尋ねしてみたいと思うのでありますが、聞くところによると、昨年一カ年間の土地売買で、表面に出ておる取引価格だけで約一兆円というようなことになる。そういうことになりますと、土地を担保に必ず信用ということがつくわけでありますから、信用の膨張のいわば主要な柱になってきておる。これが水ぶくれと申しましょうか、高度成長の中に巣食っておる不健全な経済的要素ではないかというふうに思うのでありまして、こういったところにも地価高騰の問題が一貫して流れておる。これに対して銀行局もやはり真剣に取り組むべきではないかというふうに思うのであります。この問題についてどの程度お調べになっておりますか、御見解を承りたいと思うのであります。
  59. 大月高

    ○大月政府委員 金融の面から見た土地の価格問題でございます。つまり一部の意見におきましては、土地の値段が上がる、それが担保価格を増す、それが金融を容易にして、またインフレを促進するのではないかという議論があるわけであります。そういう問題につきまして、われわれの調査した結果によりますと、必ずしもこの土地の騰貴と全体の経済の動きとには、金融的には直接の関係はないという結論になっておるわけでございます。具体的にその感覚を申し上げてみますと、昭和三十六年九月におきまして、全体の貸付金が六兆二千七百四十億というような数字になっておるわけでございます。その貸付金の担保別の内訳を調べてみますと、不動産財団抵当が一つ、有価証券担保が一つ、その他の担保、保証、信用、こういうようになるわけでございます。そのそれぞれのパーセントをとってみますと、不動産財団抵当が二四・四%と大かた四分の一でございます。有価証券担保が三・五%、その他の担保一六・四%、保証二一%、その他、こういう数字でございます。問題になりますのは、不動産財団抵当の中で土地の占める割合ということになるわけでございますが、その二四・四%のうちで、土地、建物自体を担保にしておるものはわずかに八・八%でございます。そのほかに工場抵当、工場財団、船舶抵当、そういうものが全部含まれておりまして二四・四でございますので、土地に関係する融資は八・八という数字でございますので、これはやはり経済全体の成長というものをどの程度に見るかという全体の話だろうかと考えるわけであります。それから土地自体の値段につきましては、先ほど政務次官お答えがございましたように、やはりそういう大きな意味経済の中における土地の需要供給というものがポイントになるかと思うのでございまして、かりに土地の値段が上がれば建物の高さが高くなり、一坪当たりの有効利用度はまた高くなるということもあるかと思うのであります。いなかの方へ参りますればそれほど上がらないというような実態はまた別に考えなければならぬ。それが非常に不当なつり上げの原因がございましたならば、それはそれとしてまた除去するというような個別の考え方が必要ではあるまいかと考えております。
  60. 藤井勝志

    ○藤井委員 これで終わりたいと思いますが、今申しました土地政策というものに対して抜本的にこの際対策を立てていただき、その一環として旧地主補償の問題も取り上げるならば、決してうしろ向きの施策ではない、こういうように私は心得たいと思うのであります。同時に、最近農業構造改善の問題が農村の今後の建設の課題でありますけれども、そういった場合、たとえば年産の選択的拡大で畜産、果樹といったものを伸ばすためには、山林、原野の開発が前提であります。そういった問題に対して、単なる私有権を前提にしてすべてを従来通りやっておるというのでは、農業基本法が要求しておるような豊かな村作りはできないことも考えられますし、あるいはまた首都建設というようなことに対して、いろいろ土地問題がからんでスムーズにいかないという時代であります。大きくいえば、革命的な変化を現在遂げつつある日本の社会におきまして、一番大切な基本である土地政策に対して基本的な立法措置を講じていただき、総合的に、計画的にバランスのとれた国民経済社会がここに構成されるように、真剣に取り組んでいただくことを特にお願いを申し上げまして、質問を終わる次第であります。
  61. 小川平二

    小川委員長 この際午後四時まで休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後四時十七分開議
  62. 小川平二

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び綱島正興君外六十九名提出国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案の三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。有馬輝武君。
  63. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私は最初に、一月五日の理事会で総額六十億ドル相当の各国通貨IMFに供与することになりました経緯についてお伺いをしたいと思うわけであります。幸いにいたしまして与党の理事諸君の御理解あるお計らいによりまして、今国会のわれわれの審議の一番重要な点でありました国際収支の問題、また国内経済問題等につきましては、六日に慎重な審議をしまして、その帰趨を明らかにすることになっておりまするが、その前提といたしまして、私はこのIMFに対する日本の態度についても明らかにしておかなければいかぬと思うのであります。少なくとも今後の日本経済というものは、これは幅が非常に狭くなりまして、日本経済がというのじゃなくて、各国とのつながりというものが緊密になりまして、その動向によって非常に左右される。それだけにIMFの動向についても、私たちは重大な関心を注がざるを得ないわけであります。そういった意味合いで、六日の質疑の前提となるような諸点について、二、三の点だけを本日はお伺いしておきたいと思うわけであります。  それでただいまも申し上げましたように、一月五日の理事会で総額六十億ドルスタンドバイクレジット方式で供与することを決議しておるのでありますが、その伝えられる額を見ますと、アメリカが二十億ドルイギリスが十億ドルフランス、イタリア各国が五億五千万ドル日本が二億五千万ドル、カナダ、オランダが各二億ドル、ベルギーが一億五千万ドル、スエーデンが一億ドルで、また非加盟のスイスも五億ドル程度を直接取りきめで貸し付ける用意があると伝えられておるのでありまするが、私はこの供与について日本が積極的にこれに協力するゆえんについてどのような点から積極的に協力しなければならないのか、また協力することを決定されたのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  64. 福田久男

    福田(久)政府委員 一月のIMF理事会におきまして六十億ドルスタンドバイ貸付予約ということが理事会としては決議されたのでありますが、実はその内容につきましては、だいぶ以前からいろいろと検討が続けられておったわけであります。提案理由の説明にも申し上げておったと思いますが、最近におきまして、特に一九五八年、九年、六〇年と年を追うに従いまして、こういう問題が短期資本移動という問題を中心といたしまして論議が盛んになったわけでございます。午前中にも御説明申し上げましたが、御承知のように西欧諸国が一九五八年の年末に一斉に通貨交換性を回復いたしました。その当時外貨準備もそれぞれの国でかなり好転いたしておりましたが、その後年々それらの国の、西欧工業諸国の外貨準備も概して申しまして増加いたし、通貨交換性も回復され、そういった短期の資金移動しやすい環境が生まれて参ったのでございますが、他面各国間における金利の格差もございましたし、あるいはそれぞれの国の金融市場の緊張度も異なる、あるいはベリルン問題といったような問題もあったりいたしまして、政治的に安定した地域資金が流れるというようなこともありまして、いろいろとあるいはドルあるいはポンドについてのいろいろな考え方というようなものもありまして、資金量が相当増加して流動性が高まっておったほかに流動し得る仕組みができて交換性が回復された。そこにもつてきまして、先ほど申し上げたようないろいろな金の動く要因が起こりまして、漸次そういった短期資金移動し始めたわけでございます。特に一九六〇年におきましてはそれらの移動した金額は、はっきりした統計はございませんけれども、専門家の見るところによりますと、三十億ドルくらいには上ったのではなかろうかというふうに言われておるのが実情でございます。今後におきましてもそういう傾向はいつどういう状態で起こるかわかりませんのですが、また起こり得る可能性は決して低下しておるわけではないということから、IMFといたしましては、出資で持っております資金は百四十数億ドルあると思いますが、その中で今使える金として考えてみますと、金で持っておりますのが約三十億ドル、それから先進工業国通貨で出資されておるもの等で持っておりますものが約六十五億ドル、合わせまして九十五億ドルでございますが、そのほかに今回六十億ドルというものを加えますと、総資金量としては百五十五億ドルくらいが使えるあてのある資金量ということになるかと思うのでありますが、しかしながら今申しました金というものはいつ必要かわかりませんし、また必要なときにそういう資金が集め得るというルートができておりますれば、一応目的は達するということで六十億ドルの貸付予約ということが問題になってきたわけでございます。しかしながらそういたしましてこの六十億ドルという問題が具体的な話題に上って昨年のIMF総会におきましてヤコブソン専務理事から提案されまして、各国では建前としては原則としてその趣旨には賛成であるということで事が運ばれて参りました。その間いろいろないきさつもあったわけでありますが、たとえばIMFに対する出資額と、それから今回貸付予定額として各国が予定されております金額との割合が出資の割合に比べまして、フランスとか、ただいま御指摘のようにイタリアとか、西独とか、そういった国はかなりふえておるわけでございます。従って、IMFの中でやるよりもむしろ外でこの問題を取り扱って自分たちの資金の寄与した額に応ずる発言権を保ちたいというような考え方も出て参りまして、いろいろと論議がなされたわけでありますが、結局のところ最終的には今回のような案にまとまったわけであります。そういう仕組みと申しますか、決議のやり方と申しますか、そういう点が一つの議論の焦点であります。いま一つは特に日本などが主張したわけでありますが、自分の国の国際収支状況あるいは外貨準備状況によってはその実情を十分考慮した運営をしてもらわないと困る。言いかえますと、非常に外貨準備がよくない場合、あるいは国際収支がよくない場合にはこの貸付の参加を辞退するという道を開くと同町に、貸し付けました後におきましても、そういうよくない状況が出た場合には期限前に償還を受けられるというような安全弁と申しますか、セルフ・ガードと申しますか、そういったことを考慮して運営してもらわなければ困るという点がやはり一つの問題点になっておったわけであります。それらも、日本の主張なども取り入れられまして、現在のきまったような案になっておるわけでございます。  なお、スイスの問題でございますが、スイスはIMF加盟いたしておりませんのですが、聞くところによりますと、応分の協力をする用意があるというふうに伝えられております。あるいはそういうことになるのではなかろうかというふうに考えております。
  65. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今お伺いしましたところでは、各国がこの資金の供与について協力する経緯と申しますか、理由というよりも経緯については御説明があったわけでありまするけれども、日本が積極的にこれに各国と一緒になって二億五千万ドルの供与をしなければならない積極的な理由については何ら御説明がなかったわけであります。この点についてもあとでお伺いいたしまするが、この安定した地域資金が流れていく傾向を御指摘になったわけでありまするけれども、その額がどの程度どこに流れていったか、これについてまずお聞かせいただきたいと思います。
  66. 福田久男

    福田(久)政府委員 まず最初に当初の御質問に対する答弁を漏らしましたので、その点から御説明申し上げますが、この六十億ドルの取りきめをいたしました根拠は、御承知のように国際的な通貨制度の維持と申しますか、通貨制度に障害となるようなことのないようにというところに最大の重点があるわけでございまして、それは申すまでもなく国際金融機構の中心的存在であるIMFがまさにその役割を受けるのが適当であるということで、この措置がとられたわけでありますが、日本といたしましても、先生も先ほどお話ございましたが、そういった国際間の協調態勢というか、国際間の関係がますます密接になりつつあるという立場からも、そういった国際通貨制度に対する、原文ではインペアメントと申しておりますが、何か障害になることの起こることを防止することは、これら先進国の共同の任務でもあるということが言えると思うのですが、日本も先進国の一員といたしまして、その趣旨にもちろん反対であるわけはないと考えてしかるべきではなかろうかというふうに思われます。のみならず、今回の六十億の資金は参加国だけ、つまり十カ国だけが利用し得るということでございまして、日本もこれに参加いたしますことによって、そういった事態が起こります場合に、日本利用する機会が得られるという点は、一つの大きな利点であろうというふうに考えます。のみならず、通貨基金関係だけでなくて、経済全般にわたりまして欧米主要国との関連はますます密接になって参ると考えられますので、この面におけるそういった主要諸国との協調関係を持つことが経済関係における協調関係の促進、ひいては貿易等におきましてもいい結果をもたらすのではなかろうかというようなことから、この案に日本としても賛成することにいたしたわけでございます。  それから短期資金がどの国にどの程度流れたかということでありますが、なかなか統計の整理されたものがございませんのではっきりわかりませんが、非常に抽象的でありますが、たとえばスイスを例にとってみますと、一昨年から昨年にかけまして、短期資金が非常に流入いたしたようでございます。と申しますのは、スイスの社債の発行額などもその間非常に増加いたしております。もちろん昨年の終わりごろから最近はその傾向はとまっておるようでございますが、しかもスイスといたしましては、そういった短期資金の流入を防止いたしますために、預金はつけない、むしろ手数料を取るというような措置までとっておったのであります。それらを考えてみますと、相当量スイスには流入したのではなかろうかというふうに思われます。  それから西独でございますが、西独につきましては、流出した場合と流入した場合とあるようでございまして、金額的には、私の想像でございますが、五、六億ないし十億ドル程度、出るにいたしましても、入るにいたしましても、その程度ではなかったろうかというふうに想像いたしております。あまり詳細なことは、統計等も短期資本移動についてはっきりしたことがございませんので、想像の域を出ませんで、あるいは数字が間違っておるかもしれませんことを御了承いただきたいと思います。
  67. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今の御説明でも、加盟国としての、十カ国のうちの一国としての日本の責任といいますか、義務といいますか、そういうものについてはわからないでもないのでありますけれども、しかしそれは日本国際収支というものが正常な状態にある場合、上向きな状態にある場合にのみ初めて言い得ることではないかと思うのであります。少なくとも現在の国際収支について楽観的であるのは、政府与党というよりも、閣内でも池田さんくらいのものになってきておるのは、これはこの前からの本院における論議を通じて明らかなところであります。ところが今もって大蔵省が先進国意識をえらく強調されて、その共同の任務だという点については、少なくともこの問題に対する説明にはならないと思うのです。その点について、現在のような情勢にあるのにやはり先進国として共同の任務を果たさなければならないその根拠について、いま少し詳しくお話をいただきたいと思うのであります。
  68. 福田久男

    福田(久)政府委員 御承知のように、最近の国際収支状況がよくなかったことは、私から申し上げるまでもないわけでありますが、先ほど申し上げましたが、国際収支状況あるいは外貨準備状況によりましては、これに応じかねる場合ももちろんあるわけであります。その場合には、参加を御辞退するという道も開かれているわけであります。当面としましては、そういう問題が起こりました場合には、日本としては御辞退申し上げざるを得ないというふうに考えておりますが、制度としましては、国際的にこういう制度ができるにあたって、長い目で見てみまして、日本自身としてもいつまでも国際収支が悪い、あるいは外貨準備が悪い状態であってはならないのでございまして、だんだん今後改善されるに従いまして、借入金の返済その他も漸次解決いたしまして、日本としてもやり得る状態になった場合に、応分の協力をするという趣旨におきまして、この制度に参加しようということでございます。悪いときには断わると申しますか、辞退するということで運営して参りたいと思います。
  69. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 そうしますと、たとえば一つは、フランス等においては、加盟国でありながら、局長の答弁にもありましたように、資金の活用については、非常に自国中心主義亡ですね——自国中心主義というよりも、きわめて堅実な態度をとっているわけであります。にもかかわらず、日本だけが国際収支見通しについても決して楽観でき得る情勢にあるとは、どうひいき目に見ても思われない。その時期に情勢が悪くなった場合には、これは遠慮するのだ、たといそういう取りきめがあったにしても、一応六十億ドルという目標を立てられておって、それに積極的に十カ国が協力しなければならないということに理事会の方向としてはなっている。その中で日本がその役割を果すという場合に、なぜ日本が現在の国際収支状況外貨準備についていま少し積極的に訴える努力をしなかったか。ただ目標を六十億ドルに置いて、私のところも参加いたします、協力いたしますというイージーなものの考え方は、決して本質的にIMFの強化にはならないのではないかというふうに考えられる。あなたがおっしゃるように、国際収支が悪くなった場合には、外貨準備が悪くなった場合には遠慮すればいいのだというのなら、何も六十億ドルの目標を立てる必要はないじゃないですか。その点についていま一度御答弁願います。
  70. 福田久男

    福田(久)政府委員 まず第一点は、六十二億ドル資金は、今直ちに各国から金を出すということではなく、必要なときに必要な金額だけを出すということでございますので、その点を前提としてお含み置きいただきたいと思います。  それから第二点は、制度として参加するということでございまして、その場合に、あるいはある国ではたまたまそういった貸付の必要が起こりました際に、国際収支状況のいい国、外貨準備のいい国、あるいは悪い国というのがそのときどきの状況によってそれぞれ事情は違うというふうに思うのでございます。従いまして、いい国はいいように、悪い国は悪いように、応分の協力をそのときの状況に応じてやろうというところに問題の重点があるのではないか。従いまして、御指摘のように、日本の今の状況は非常によくないので、悪い場合にはそのことを十分考慮した運営方式を考えるべきであるということは非常に強く訴え、かつ主張して参ったわけでございます。その結果、先ほど来申し上げておりますように、参加を辞退するとかあるいは期限前であっても外貨準備状況が悪くなった場合には、期限前に償還を受けられるというような道が開かれましたのも、今御指摘になりましたような趣旨に基づくものであるというふうに考えます。
  71. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 少なくとも今度の資金増強策のねらいというものは、ホット・マネーが急激に出尽くしたといったところからくるドルポンドの防衛策というよりも、アメリカなりイギリスなりの主張によりまして、とにかく米英中心主義でIMFを運営していこうということの端的なねらいであることはきわめて明瞭だと思うのであります。私の考えがあるいは間違いであるとおっしゃるかもしれませんけれども、この現在までのIMFの運営のされ方から見ましても、私はそう受け取らざるを得ないわけでありますけれども、その点について、これの強化の過程で日本にどのような恩典が予想されるか、その点について端的に御説明をいただきたいと思います。
  72. 福田久男

    福田(久)政府委員 この制度は、十カ国が協調して六十億ドルを貸し付ける約束をするわけでありますが、その十カ国の中の国だけが利用できるということでありまして、その中へもちろんアメリカも入っておりますし、イギリスも入っておりますし、西独あるいはフランス、イタリア、オランダ日本も入っておるわけです。そのいずれの国におきましても、そういった事態が起こりました場合にはこの制度を活用できるという建前でございます。短期資金移動は、たとえばアメリカあるいはイギリスだけでございませんで、西独におきましても、あるいはオランダにおきましても、イタリーにおきましても、過去の傾向を一九五九年あるいは六〇年について見ますと、そういった短期資金移動はあったようであります。正確な数字は把握できませんが、それぞれ相当の移動があったようでございます。これが相当大きくなりました場合には、それらの国はこの制度を利用して対処する。もちろんその場合に、短期資金がある国から出ますともう一方の国へ入るわけです。入った国は資金がむしろダブついて、場合によっては因る場合がある。スイスあたりも困ったと申しますか、なるべく入り過ぎないようにしたいという配慮をしておったことは、先ほど御説明した通りでございますが、そういう意味におきまして、この十カ国のいずれの国に、いつ、どういうきっかけでこういった必要性が起こってくるかということは、今あらかじめ予測できないわけであります。イギリスあるいはアメリカは、もちろんその中の一カ国でございますけれども、今あらかじめ予想して申し上げるということはなかなかむずかしい問題だと考えております。
  73. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に、すでにIMFから日本は三億五百万ドルの借り入れを認められておるのでありますが、今度の割当額との関係についてはどういう工合になっておるわけですか。
  74. 福田久男

    福田(久)政府委員 三億五百万ドル日本が過般取り付けましたスタンドバイの取りきめと、今回の貸付予定額との関連でございますが、直接の関連はございません。
  75. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 直接の関係はないという御答弁でありますが、問題は、今度のこの六十億ドルの供与によるIMFの強化策がはたして強化策になり得るかどうかという問題があろうと存じます。  その第一の理由というのは、予約額というものが、少なくとも今あなたが御説明になったような意味での強化策としての額としては少な過ぎるのではないか。しかも日本が今申し上げましたように三億五百万ドル借り入れを予定しておる。しかも国際収支については見通しは非常に暗い。よくなった場合には協力するし、悪くなった場合にはこれを辞退することもできる道が開かれておるのだという御説明でありますけれども、私は現在の情勢からいたしまして、この二億五千万ドル割当額について努力し得る余地というものは、現在の場合非常に少ないのではないか、このように考えておるわけであります。そうなりますと、立てられました六十億ドルの目標の実現というものは非常に困難であるという工合に見てこざるを得ないわけであります。それと同時に、現在国際通貨制度が動揺するその原因は、ドルポンドの弱化にある。だからIMFを強化する前に、やはりドルポンドを強化する手だてというものが打たれていなければ、本来的な意味でのIMFの強化については実現できないんじゃないか、こういう工合に私たちとしては考えておるわけであります。これについて当然加盟国としての日本としても、IMFの強化についてはそれなりの、ただ米英に慫慂されたから、お義理でがらにもなく協力するのだということではなくして、その協力策について日本自身の態度というもの、施策というものが準備されていてしかるべきであると思いまするし、当然あなた方の方でもこれについてはそれなりの考え方を持っていらっしゃるだろうと思いますので、その点についてお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  76. 福田久男

    福田(久)政府委員 第一の点は、六十億ドルが少な過ぎるじゃないかという点でございますが、もちろん六十億ドルという額であらゆる事態に対処し得るかいなか、それは必ずしもはっきり言えないことだと思います。しかしながら、六十億ドルという総額を一応予定いたしまして対処いたしますれば、相当の程度の貢献をするであろうということは想像できるのでございます。短期資金移動なりが一体総額でどの程度動き、またその中でその他の方法によって解消し得る分がどの程度であり、あるいはIMFに依存しなければならぬのがどの程度あるかということは、それぞれの事態によって違うわけでございますが、大体今予想される範囲内の移動であるならば、まあまあ何とかやっていけるのじゃなかろうかということで、一応当面の聞こういうことで進んでみました上で、将来必要に応じましてまた適当な方策を考えるなり、あるいは金額について改定を考えるなりということになろうかと思います。もちろんこのほかに過去の例から見ますと、昨年の夏ですが、イギリスが、かなり短期資本流出等もありまして、国際収支上困難な事態に遭遇いたしましたととは御承知の通りでありますが、あの際におきましても、欧州の中央銀行の間でバーゼル協定というものが結ばれまして、これは紳士協定で内容は発表されておりませんけれども、ポンドにつきまして各中央銀行間で欧州諸国が協力態勢をとったわけでございます。そういったこともございますので、さらにそういう傾向は今後も高まるだろうと思いますが、さらにIMFで六十億ドルのこういった措置がとられますれば、それらをあわせ考えますと、相当の効果を持つのじゃなかろうかというふうに考えます。なお六十億ドルといってもその中のどこかの国が利用する場合には、その国の受け持つ金額は入らないことにもなるわけでございますが、その点は制度の運用で六十億まるまるいつでも出すということではなく、その必要な際に必要な金額各国の出し得る能力というか、出し得る余力というか、それらのものをにらみ合わせて個々にはきまってくるのじゃないかというふうに考えます。  なお、ドルポンド等につきましては、もちろん当然のことでありますが、各国ともそれぞれの国におきまして、経常取引なり何なりにおきまして健全な方策をとり、不健全な方策で漫然と推移した場合に、それに対する単なる穴埋めという役目をIMFは果たすべきではないということは、従来IMFが貸付をいたします場合に、貸付を受け入れる各国におきまして、国内のそういった均衡政策をとるようにいろいろと配慮いたしておりますことから考えても当然であり、また常識的に考えましても、まず各国それぞれその国における国際収支なりあるいは国内の均衡政策なりをとるべきであるということは、これは議論の余地のない当然のことだろうと思います。もちろん英米においてもその例外であってはならないと考えます。  なお、先ほどの二億五千万ドルの貸付約定額と三億五百万ドル日本スタンドバイとの関連をちょっと敷衍いたしますと、この資金利用するというわけではなく、あるいは振りかえるというわけではなくて、先ほど申しました金が三十億ドルあり、使える金が現在先進工業国通貨で六十五億ドルある。その方の固有の資金の方から日本としては必要な場合に借り入れを行なうということでございます。
  77. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今の答弁ではIMFに対する積極的な態度については何ら触れておらない。この点についてあなたに答弁を求める方があるいは無理かもしれませんので、今の点について、大臣がおられないので政務次官の方策らIMFの強化策について、今度のような六十億ドルの供与、これに日本も一枚加わるというようなことでは、決して本質的な意味でのIMFの強化にはなり得ない。この理由について、先ほど政務次官お聞きの通り述べたところであります。それについて日本政府としてはどのように見ておるのか、どのような施策を準備しておられるのか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
  78. 天野公義

    天野政府委員 IMFにつきましては、今までIMFに協力をし、また日本IMFから借り、またそれの返済をする、そういうような深い関係にありまして、この国際通貨基金の発達ということに協力をして参ったわけでございますが、今回この六十億ドルの短期資金措置につきましても、これは国際通貨の今後の円滑化、安定性という面からいたしまして、きわめて時宜を得たよい考え方であり、よい措置である、かように考えてこの措置に参加することにいたしたわけでございます。そうした場合に、日本国際収支等に、現在見られますように逆調もしくは国際収支に不安があるというようなときにおきましては、今度の協定では御遠慮申し上げる措置もできておるわけであります。現在日本国際収支がよくないからといって、永久に悪いわけじゃございませんので、できるだけ早い機会に国際収支をよくしていきたい。よくなった場合には、また悪くなったときも協力をしていくことが、日本の地位を高めもまた経済的な貿易収支という面にも非常によいわけでございます。従いまして、今回の取りきめはわが国にとりまして利益が非常にある、かように考えておるわけでございます。
  79. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 政務次官の真摯な御答弁については敬意を表するわけでありますけれども、しかし、その内容については何ら積極的な意義を認められないわけであります。少なくともこの問題については、先ほども申し上げましたように、国際経済というものが非常に緊密化し、接近化しておる際に、日本がイージーな態度で臨んではいかぬ、ただお義理で臨んではいかぬ、この点についてはいずれ六日の総理以下各閣僚が出席いたしました際に、再度あらためてお伺いいたしたいのでございます。  本日の私の質問はこれだけにとどめておきたいと存じます。
  80. 小川平二

    小川委員長 岡田修一君。
  81. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 私は提案者の綱島議員に御質問したいと思います。  昨年、私の質問に対しまして綱島議員は、今回提案されている農地被買収者に対する特別措置、すなわち国民金融公庫による二十億の貸付はとりあえずの措置である、次の通常国会には本格的な対策を出したい、こういうことでありました。これは予算を伴う案ですから、政府でないとほんとうの腹はわからないのでありまして、綱島議員にお伺いするのはいかがかと思いますが、後ほどこの点についてはお尋ねしたいと思います。しかし、綱島議員のそういう御意向にかかわらず、国会の一部には農地解放についてはもうすでに政府から適当な対価が支払われてある、それに対してすでに最高裁で政府は適当な補償をしたんだという判決が下されておる。であるから、農地被買収者に対してはこれ以上国家が少しでも補償する必要はない、今回の国民金融公庫による特別措置はきわめてささいなものでありますけれども、これすら必要がないという強い反対意向がある。これに対して綱島議員はいかなるお考えをお持ちか、この点一つ詳細にお伺いしたいと思います。
  82. 綱島正興

    綱島議員 現在最高裁の判決がある、そうして補償がなされておる、必ずしもそうはっきりした判決ではございませんが、そう解釈される判決がある。従って支払う義務はない、また何らの追加処置は必要はない、こういう議論があるがどうかというお話でありますが、それはなるほど現行法の範囲で解釈すると、そう解釈することが著しい失当とも言いがたきところがある。しかしながら、立法行為によってものを処置するのは、現行法の拘束の範囲で処置するのじゃございません。そういうこともございます。それを越えてやることもございます。ではどういうことが妥当かと言えば、現行法において社会的に見た妥当性が見出されがたきところは、立法行為でこれを改定していく、こういう考え方であります。従って、この前申し上げた今までのような処置では、これは不十分である。また処置のうちには法律の運営の上において非常に妥当を欠くことがたくさんある。そういうものを一つ正しくやり直さねばならない、こういう考えでございますから、従って、かような一部の融資もそのほんの緒口ではございますが、妥当だと考えておるわけでございます。
  83. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 次に、農地被買収者に対して特別の補助措置を講じまする場合に、このあとに続いて戦災者だとか、あるいは戦争中の疎開した者に対する補償というものが引き続いて出てくるのではないか、これがわが国の財政に非常に負担をかけやしないだろうか、こういう意見が出て、非常に反対しておる者もあるのですが、これらの者と今回の農地被買収者との間にどういう理由で差別をつけられまするか、その点を一つ明快に御説明願いたいと思います。
  84. 綱島正興

    綱島議員 ただいまのお話によると、疎開者とおっしゃるのは、戦時中の強制疎開の意味だと思うのです。なるほど強制疎開で道幅を広げなければならぬ、どうしても多くの人の人命を救助したりすることのために、特に道を広げなければならぬ。あるいはたまたま戦争の結果爆弾が落ちてきて家が焼けた、こういうものとこれとはどういう径庭があるか、こういうお話でございますが、実は、国家の財政が十分になりましたら、おいおいさようなものについても処置をいたさなければなりますまい。しかしながらこのことはそういうものとは事違いまして、疎開をしたために非常な被害をこうむったといえども、公衆の生命保護のためにしたもの、これは何も公衆生命保護のほどのことはございません。なるほど戦時後の食糧確保のためという議論もございましょうが、食糧確保ならば、不耕作地にさようなことをすれば、なるほどよかろうが、戦時中だって戦前だってこれは何も田に米を植えなかったものは一つもございません。これで問題になりますのは、耕作者を取りかえたという強制取りかえである。そのうちには妥当な部分もございます、非妥当な部分もございます。そこでこの妥当を欠く強制買収についての考え方をわれわれはいたします。だからこれは何もこれがために別なものと一緒にしなければならぬ、そういうことはございません。ものには大小、急緩いろいろございますからして、急にして大なる被害について処置をしようという考え方であります。
  85. 岡田修一

    ○岡田(修)委員 この点について政府当局の、今大蔵政務次官しかいらっしゃいませんが、大蔵政務次官、いかがですか。
  86. 天野公義

    天野政府委員 前にも申し上げましたように、農地被買収者の問題につきましては、いろいろと問題点もございますので、調査会等を設置いたしまして、いろいろと調査研究をお願いいたしているようなわけでございます。従いまして、その調査会の案ができました場合におきましては、その案を参考といたしまして、政府でいろいろとその処置について財政的にも検討をして参りたい。かように考えておったのでございます。ところがいろいろと御要望がございまして、農地被買収者の方々の中で事業資金を要する、こういうような声もございましたので、国民金融公庫の方にこの事業資金のワクを作って、そうしてこの被買収者の方々の事業、生業がなお一そう伸びるように処置をいたしたような次第でございます。  お話の中にありました別項の二、三の問題につきましては、いろいろ御議論の点もあろうかと思いますけれども、できるならば建設的な考え方を持ちまして、日本の国民経済なり福祉国家の建設という方面に向かって進めていく方があるいは妥当ではないかというふうに考えるわけでございまして、その問題につきまして現在お答えはできないと思います。     —————————————
  87. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 議事進行について。  私は、ただいまの政務次官の御答弁にも関連いたしまして、これは非常に重要な法律案でありまするし、綱島さん以下真剣に本法律案について提案されておられますので、これに関連いたしまして次の動議を提出いたしたいと存じます。それは参考人招致に関する動議であります。次に動議の内容について読み上げますので、御賛同いただきたいと存じます。  本委員会は、ただいま議題となっております国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び国民金融公庫農地買収者等に対する貸付けに関する臨時特例法案の二法案について審議を慎重かつ迅速ならしめるため、次の参考人を招致する。武蔵大教授近藤康男君、農地被買収者問題調査会会長工藤昭四君。右動議を提出いたします。   〔発言する者あり〕
  88. 小川平二

    小川委員長 ただいま有馬輝武君より参考人招致の動議が提出されております。動議の形で提出されておりまするので、採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  89. 小川平二

    小川委員長 起立少数。よって、本動議は否決されました。(発言する者多し)     —————————————
  90. 小川平二

    小川委員長 この際暫時休憩いたします。    午後五時十一分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕