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1962-03-22 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       宇都宮徳馬君    岡田 修一君       金子 一平君    正示啓次郎君       津雲 國利君    永田 亮一君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       坊  秀男君    吉田 重延君       久保 三郎君    久保田鶴松君       佐藤觀次郎君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君    横山 利秋君       春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         郵 政 大 臣 迫水 久常君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    中野 正一君         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         国税庁長官   原  純夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    有吉  正君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    澄田  智君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      上田 克郎君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         日本電信電話公         社副総裁    横田 信夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月二十二日  委員田原春次辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として田  原春次君が議長指名委員に選任された。     —————————————会議に付した案件  酒税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  八二号)  国税通則法案内閣提出第一〇三号)  国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に  関する法律案内閣提出第一一四号)  金融に関する件  証券取引に関する件     ────◇─────
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  酒税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
  3. 平岡忠次郎

    平岡委員 村山主税局長にお伺いいたします。今回の酒税法改正当たりましては、本年度の税制改革間接税減税をやろうということ、それは所得税において減税されない層が非常に多いから、特に間接税でこの問題の解決をしようという、そうした動機からなされておることを考えますと、酒税改正におきましても当然大衆酒減税していくという、そういう筋できておると思うのです。  そこで何かばかにしたみたいな質問かもしれないけれども、大衆酒とは何を言うのか、それからまずお答えをいただきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山政府委員 これは非常に常識的のお答えでございますが、大衆によく飲まれる酒類というものであろうかと思うわけであります。
  5. 平岡忠次郎

    平岡委員 大衆酒規定する基準となるものは、大衆によって飲まれるもであるということですね。これは一つの条件であると思うのです。いずれにいたしましても大衆酒税金は、その税率においてしからざるものより低く定めるべきだと思うのです。その点は御異論ないわけですか。
  6. 村山達雄

    村山政府委員 その通りでございます。
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員 私自身は表を持っておるのですけれども、委員各位の手元にまだ表が配付されておりませんが、時間の制約がありますので、その点は御容赦願いまして質問を続けていきたいと思います。  そこで三十六年度の各酒類移出実績をお示しをいただきたい。こいねがわくはキロリットルばかりでなしに、パーセンテージもお示しをいただきたい。
  8. 村山達雄

    村山政府委員 今、実はそのパーセンテージをとった表、それから、こまかいのは作ってこちらに持ってくるところだろうと思いますが、とりあえず移出実績、これは実績見込みでございますが、絶対数量だけで申し上げます。これは現行種類区分でございますが、三十六年度の移出実績見込みでございます。全体で二百六十万六千七百キロリットルでございまして、そのうち清酒が八十四万九千キロリットル、合成清酒十四方八千キロリットル、それからしょうちゅう、これは甲乙を合わせまして二十八万二千キロリットル、それからみりんが一万一千キロリットル、ビールが百二十一万三千キロリットル、果実酒類が三千キロリットル、雑酒合計九万七千キロリットルでございます。  パーセンテージは、これはあとで詳しいのを申し上げますが、三十六年度予算の構成比で見ますと、清酒が三三・九%、合成酒五・六%、しょうちゅう一一・二%、みりん〇・五%、ビール四四・五%、果実酒〇・二%、雑酒四二・一%ですから、多少の違いはございましても、パーセンテージにいたしますと、ほとんど異同ないだろうと思います。いずれまたあと実績見込み構成比が来ると思いますが……。
  9. 平岡忠次郎

    平岡委員 清酒特級一級、二級に分けて、二級のうちに準一級を入れてけっこうですから……。
  10. 村山達雄

    村山政府委員 絶対数量で申し上げます。先ほど酒類の総体の移出実績見込み八十四万九千キロリットルと申し上げましたが、その内訳を級別に申し上げますと、特級が一万二千キロリットル、一級が八万三千キロリットル、準一級が四千キロリットル、二級が七十四万八千キロリットルでございます。
  11. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると、最も多く飲まれている酒類は、あなたの言う四四・五%のビールが第一、それから清酒が三三・九%、以下云々ということになりますね。  そうしまして、今度次に、今回の改正による製造酒税抜き価格酒税の額の率を知りたいわけです。資料がございますか。
  12. 村山達雄

    村山政府委員 ずっと清酒から申し上げます。清酒特級、もちろんこれは従量税のところでございますが、これは基準価格によっておりますが、特級一九六%、一級一二六・八%、第二級七八・一%、合成清酒七八・一%、それからしょうちゅう、これは二十五度で申し上げますと、六一・五%、それからしょうちゅう乙、やはり同じく二十五度でございますと、四一・四%、本みりん四三・六%、それから本直し五四・四%、それからビール一三七・一%、果実酒二〇・九%、それから雑酒ですが、雑酒特級ウイスキーから申し上げますと、一五九・五%、一級ウイスキー一〇二・〇%、二級ウイスキー六七・〇%、それから甘味ブドウ酒二四・三%。
  13. 平岡忠次郎

    平岡委員 前もって実は私どもが整理してみたんですが、そこで今度税制改革をしまして、税抜き製造者原価に比べて各税金指数は今あなたが仰せられた通りです。従いまして、この表からあなたのおっしゃった数字からまとめてみますと、清酒二級で製造者税抜き価格一〇〇に対しまして、税金が七八・一になりました。これは現行法の一〇三・四から非常に下がりましたが、これは非常にけっこうだと思います。それから合成清酒も同じ七八・一%になります。これは現行が一〇九・三ですからこれも下がったわけであります。総体的には割がよく下がったわけであります。それから、しょうちゅうにおいては六一・五%、それから、ウイスキーの二級において六七%となります。ですから、大体こういう二級酒とか合成酒とかしょうちゅうウイスキーの二級ですね、こうしたものは製造原価より低くなったということは非常に私はいい傾向だと思っております。問題はそれ以上の清酒における特級一級、それからウイスキー一級、それからビール、要するに、この指数がまだ一〇〇以上あるものとの比較なんです。そういたしますと、ここで特徴的なのは、ビールの場合が一番圧倒的にたくさん飲まれておりますね。そのゆえに間違いなく大衆酒類であると思うのです。石数にしても大へんなものになっていると思うのです。そこで、その指数がどの辺にあるかということをよく検討してみますと、結局ビールの場合においては、清酒比較しても指数が、清酒特級一級との間にある。それからウイスキー比較しても同様特級一級との間にあるわけです。  そこで輸出高の約半ばを占める大衆性から判断して、税金負担の上での序列としては少し違っていいんじゃないかと思うのです。要するに、そういう比較からいって今度のこの改正案におけるビール減税幅自身も客観的に妥当ではないのではないかという感じがいたしますが、局長はどのような御判断でありますか。
  14. 村山達雄

    村山政府委員 先ほどは全体の酒類のうち、どれだけそれぞれの種類構成比率を占めておるか、こういう観点で申し上げたのですが、いわゆる大衆酒と申しますか、あるいは下級酒ということになりますと、単に数量だけではきまらない。飲まれる場所の問題があるということでございます。われわれはその場合いろいろ検討いたしまして、たとえば家庭で飲まれる割合がどうか、それから高級飲料店で飲まれる割合がどうか、普通飲食店はどうか、職場で飲まれるのはどうか、その他店頭とか屋外で飲まれる場合はどうか、こういうものも調べておるわけでございます。そういったところからある程度その酒類大衆的であるかどうかという点、その辺にも目をつけております。ただ申し上げられますことは、これだけではいかぬわけであります。というのは、現行税率がその小売価格の中に含まれておるわけでありまして、その税率はわれわれは総体的に高いから減税するわけでございますけれども、相当高い税率を盛ったその価格のもとにおける消費態様である。従って、本来その酒類が適正な税率であったならばどう飲まれるであろうか、どういうふうな場所で、どう飲まれるであろうかというのを出します場合には、かなりむずかしい問題でございます。ですから、この点実はわれわれは調査会で一番悩んだ問題でございまして、確かに現行酒類ごと消費場所、そういうものはわかります。しかしそのときに、もし税負担というものが適正であるか、何が適正であるかは別といたしまして、適正であり、それに基づいて価格形成が行なわれたとした場合の、その大衆的な、いわば大衆性というものはまた別の形を描いてくるのかもしれぬ、同じことが所得弾性値においても言い得るわけでありまして、そこが非常に悩んだわけであります。ですから、そういった意味の現在使用される場所ごと使用割合とか、あるいは外国の制度等に比べまして全体がどうであるか、各酒数ごとバランスをとってみるとか、こういう非常に多面的なことをやりまして、それで総合勘案して大体単位当たりこの酒類についてはこのくらい下げるのが適当であるというようなところからスタートしております。  もう一つ申し上げておきますが、そういう感触で全体を出しておるのでございますが、何分にも各酒類についてそれぞれ企業が現在作っておるという状況がございます。それであまり理論的にだけ走りますと非常な問題を起こすということも同時にわれわれは考えなくてはならぬ問題でございまして、その間かなり現実的な考慮も入れたということも確かでございます。酒にいたしましても四千余りの業者がある。それから酒類相互間で相当に競合になっております。現在はあるバランスのもとにそれがある。それからそれぞれの消費伸びの工合、それが割安であるにしろ、割高であるにしろ、消費伸びの将来性というものもございます。こういう幾つかの要素がございますので、そういった意味で今度の減税率は必ずしも白紙に、ちょうどこれから酒税税率を盛ると同じような感覚だけでは割り切れなかったということは事実でございます。
  15. 平岡忠次郎

    平岡委員 村山さんの説明の長くなるときはあまり自信がない、まあそういうことであろうと思います。私が重点的に聞きたかったことは、先ほど製造者税抜き価格に対する酒税額の率において清酒一級数字が一二六・八、同じくウイスキー一級数字が一〇二というものに対して、ビール指数が一三七・一になっておる。結局清酒ウイスキー一級よりは税金が高いというのは、これはあまり客観的でないのではないか、あなたの方の原案として出した百十円にするというその案であった場合には、この指数は幾らであるのか、念のためお聞きしておきます。
  16. 村山達雄

    村山政府委員 今計算しております。若干さきの点補足して申し上げますと、おっしゃるように、われわれは酒類大衆性という角度をいろいろな角度から分析してみました。おっしゃるように、対メーカーの税抜き価格に対する割合、これも一つの問題でございます。それから一キロリットル当たり税率がそれぞれどうなっておるか、それから度数を問題にいたしまして、一度一キロリットル当たりどうなっておるか、それからその消費場所がどうであるかということで家庭割合考える、あるいは消費指数弾力性にも現われてきますのでそれをとってみるということ、それから同時にまた、これは企業でございますので今までの過去六年間の平均幾何平均伸び率がどうなっておるか、こういう点も考えてみたわけでございます。しかし何分にもこれが現行税率、非常に高い税率価格の中に含んでの態様でございます。今の伸び率とかあるいは使用場所であるとか、消費指数弾力性、そういう関係がございますので、こちらだけでもやれない。それから現在の対原価割合あるいは一度一キロリットル当たり、これはどっちかといいますと理論的な数字でしょうが、これだけでも割り切れない。この両方からにらみ合わせまして今度のようなことにしたわけでございます。今の政府原案は、今度の単位当たり十円の減税でございますが、それを十三円にするといたしますと、先ほど十円の場合には一三七と申し上げましたが、それが約一三〇%の割合になると思います。
  17. 平岡忠次郎

    平岡委員 改正案はいろいろな複合的な諸原因を盛り込んでやったとあなたはおっしゃったわけです。しかし、そう言わなくても非常によくできたんですよ。この指数でもよくできている。ただそこに今のビールの一三七・一というものだけがちょっと客観的におかしな数字として出てきている。従って、私が聞きたかったのは、原案の百十円できた場合については妥当な数字がはまるのではなかったか、そうすると、それをいじくった途中において、あまり合理的でないいじくり方があったのじゃないかということが私気になりましたので聞いたわけであります。いずれにいたしましても、五〇%近くをこの移出総額に占めるビールというものは、これはもう大衆酒であることは間違いない。ですから、そういう点は今後改定のあった場合、大衆が一番これは負担しているのですから、それで今度の値下げの分の十円も完全に大衆に返るわけですね。ですから、そういう点はやはり正しいものは正しい、悪いものは悪いとして、主税局が最初に立案したことが妥当性を持つものとの主張に立つなら、これはあくまでもやってもらった方がいいのじゃないかという感じがいたしましたので申し上げた次第であります。そういうことで、将来の改革改正等におきましては、すでにもう大衆性のトップにいっている、大衆の重荷となっているこの酒類に対しまして、やはり正当な判断をして、正当な減税ということをしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、村山さんは一昨日の当委員会におきまして、各酒類は領域を侵してはならない、これを基本考え法律で、区分してもよいが、日進月歩に即応する部分は政令にゆだねるべきだとの趣旨をお述べになりました。そうして清酒合成酒の現実の調整調整としてやはりこれは行なっているということで、言うなれば水陸両用戦車を使いましてピンチ切り抜けを策された様子でございますが、あなたの心底はどういうことなんでしょうか。
  18. 村山達雄

    村山政府委員 私も、実を申しますと、酒の種類分類というのは今度はつくづく読ましていただいたのですが、非常にむずかしい問題だという感じがいたします。それは一つにはこれがもともとが嗜好の問題から出発しているということと、それからそれぞれの酒類というものが非常に歴史的の過程を持ってきていること。市来からあるものもありますし、途中で始まったものもあるし、あるいは戦争中アルコール不足のときに伸びてきたものもございますし、それから戦後たとえばしょうちゅうとかあるいは合成清酒のように、そのときにぐっと伸びてきたものもあるわけであります。しかし、何分醸造学のことでございますし、また嗜好の問題であるものですから、なかなか細部の分界線がわかりにくい。それから将来の発展考えて、そこの区分をつけると申しましても、やはりこれは嗜好につながる問題だということでございます。ただわれわれは、現にそれぞれの酒類について相当多数の企業の方が携わられて、それで一つ安定点を持っておられる。こういうものを前提にして、それで減税を通じながら、少なくとも酒税は将来の嗜好の進歩に対して妨げにならぬようにするということ、それから企業が今度の改正を通じて不必要に紛淆を来たさないようにするという問題と、それから従来非常にあいまいであった点をはっきりするという点、それから酒類品目分類についてはその辺を考えていくということでございます。そういった意味で言いますと、正直申しますと、今度のやつでそれならば法律的に酒類ばかりでも完全に割り切れておるかということになりますと、相当そこははっきりさしたつもりではありますが、まだはっきりしないところが若干あるだろうと思うのでございます。しかし、実際の問題としては、そういう酒類原案には出ておりませんので、分界線あたりはそれほど問題にならぬのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから、何を法律事項にし、何を政令事項にするかということにつきましては、一般論として申しますと、一昨日申し上げたようなことではなかろうかというふうに考えております。
  19. 正示啓次郎

    ○正示委員 関連。ただいまちょうど平岡委員から酒税の問題についていろいろ御質問がありましたが、私ちょっと関連して一つだけ主税局長に、これは質問と同時に意見になるのですが申し上げたい。この梅酒ですね。梅ちゅう、梅の酒、これは新しい農業政策と非常に関連があるのです。御承知のように梅というくだもの日本古来のもので、保健上大へんよろしいくだものでございますことは御承知通りであるが、これがいわゆる農業基本法において果樹の振興をやる場合に、梅がいわゆる成長作物選択的拡大の対象になっていない。私はこれは非常に大きな問題だと思います。私は専門家ではないからわかりませんが、これは農業専門家の非常に研究しなければならぬ点だと思う。そこで、この梅をこれから消費を伸ばしていくにはどうしても梅の加工ということを考えなければいかぬ。梅の加工には現在のところではいろいろあります。たとえば砂糖で巻いた梅とかあるいは梅肉エキスとかいろいろありますが、私はこれを大きく伸ばすには梅ちゅう以外にはないと思う。梅ちゅうというのは今しろうとが作っておりますが、これについても行政上いろいろ問題がありまして、梅ちゅうを作って売ることがいわゆる酒税法違反じゃないかというような問題もあったのですが、これは誤解に基づくものが多いのであります。将来栃ちゅうというものを作って、そしてたとえばこれから夏になりますと、おなかをこわす、そのときにいい梅ちゅうを飲むときれいさっぱりなおる。これはここにお医者さんの堀先生がおられるから伺いたいが、そこでこの梅ちゅうを日本人嗜好のみならず外人嗜好にも合うように工夫をして、これをどんどん生産いたしますれば、新しい農業基本法に基づく選択的拡大の梅の増産ということにも相通ずるのである、こう私は思うのであります。この点について御研究があればただいま伺いたいし、御研究ないならばあらためて大蔵省において御研究の上、日本の新しい農業政策酒税行政、この結びつきにおいて、ぜひともこの機会に税務当局考えを伺いたい。
  20. 村山達雄

    村山政府委員 酒税法規定はやはり農村方面経済を助ける、少なくとも阻害しないという方向は望ましいことだと思います。今日農業基本法の問題が非常に大きな課題になっておる際でございますが、そういった意味におきまして、われわれは酒税法のみならず物品税法あるいは所得税法、すべて配慮しているつもりであります。お話しのような今の梅酒の問題でございますが、これは従来家庭で使っておりましたものを、いわゆる製造になっておったわけでございます。その点を今度は、いろいろ御批判もありましたので、法律ではっきりそういうものについては製造と見ない、課税いたしませんということを、四十三条の九項というところではっきりいたしております。ただしこれは消費者が自分で消費するつもりでやったものだけに限られるわけであります。今のお話はそうでなくて、日本酒類として大いに梅酒を作ってやったらどうか、大いに将来性がある。これは私の聞いた話でございますが、梅酒の非常によくできたものを外人の方に飲ませたら、これはすばらしいリキュールだ、こう言ったということでございます。そういう意味で今後日本酒類伸びるためには相当の工夫を要するのであろう、そういう意味で今度の分類も全く新しい事態、消費の形に即して分類したつもりでございますし、それから酒税法の方から今後の嗜好伸びあるいはその推移を押えるという方向で極力配意したつもりでございます。
  21. 平岡忠次郎

    平岡委員 中断されましたけれども、主税局長お答えあいまい模糊としておりますので、もっと具体的に聞きます。  合成酒の原酒の中に含まれる米の重量パーセンテージの対清酒分岐点分界点を何ほどくらいと考えておるか。
  22. 村山達雄

    村山政府委員 現行税法では、合成清酒の原料中に占める米の使用率は、製品の重量に対して五%以下ということにしてございます。
  23. 平岡忠次郎

    平岡委員 現行はわかっておるのですけれども、日進月歩に見合うパーセンテージの上昇、ただしそれは清酒を脅威しないという、そういう大前提があると思います。具体的にどのようにお考えでありますか。
  24. 村山達雄

    村山政府委員 率直に申しまして、まだ結論は出ておりません。非常にむずかしい問題だと思っております。御案内のように昭和十五年に酒税法が設けられましたが、それ以前はこれは酒精含有飲料税法で規制されております。その後酒税法で新たに合成清酒という規格が設けられたわけでございます。その後ずっと一しかしこの合成清酒酒税法に載るときにやはり業界間のお話がありまして、米は使わないということでこれが認められたやに聞いておるわけでございます。その後実際は法的の規制がなかったわけでございまして、二十八年に現行制限規定を入れたわけですが、そのときの使用実績のマキシマムを考えまして、それがたしか四%くらいだったと思いますが、そのときに非常にやかましい問題が出てきたということで、五%に当時押えられたという経緯がございます。もともとのスタートの問題とその後の問題、それから、今後においてこれは酒類両方の品質的な区分を残しながらしかも両業界がうまくやっていける限度あるいは将来の発展考えて、その辺をどうするかという問題が今日問題になっているわけでございますが、今のところ遺憾ながらまだ最終的の結論に達してない状況でございます。
  25. 平岡忠次郎

    平岡委員 村山さんいろいろの御事情でなかなか明確にはおっしゃれないと思うのですが、要するに、合成清酒の制限は、原酒の中に占める米百分の五をこえるべからざるものとしているわけです。清酒清酒合成酒合成酒、言うなれば花は紅、柳は緑という、境界線を明確にしてそれぞれの酒類として消費者の味覚に訴えてしかるべしということであろうと思うのです。ただ村山さんは、日進月歩なんだからメーカーたちの確執とかそういうことでなしに、やはり消費者嗜好の向上とかそれにマッチすべしというのは、一応の理屈があると思うのです。ただ、そういうことを村山さんが執念として持っておるかどうか知らぬけれども、もしそういうお気持であった場合に、今度はそれはある時間的クッションを置くかもしれませんけれども、百分の五にフィックスすべしということが法律化されます、そのときに、そういう大衆の生活向上に見合ってなお向上すべしという意欲が合成清酒業界にあり、なお大蔵省それ自身もこれはなお掬すべきところがあるということになると、どこか抜け道で逃げ道がありそうな気がするのですね。そういう可能性はございませんか。
  26. 村山達雄

    村山政府委員 今度一部意見が出ておりますように、政令段階の原料制限、米についての使用制限を法律化されてもなお抜け道があるかというお尋ねでございましょうか。
  27. 平岡忠次郎

    平岡委員 そういう法律化してしまったとき、なお他の酒類として合成清酒がその意図を逐げるような場がありはしないかということです。  資料を配付されておりますね。「酒税法の一部を改正する法律案新旧対照表」それの五十五ページから五十六ページにかけまして、上欄の改正欄ですね。九のリキュール類というのがあるのです。このリキュール類の口ですから五十六ページになります。口で「その他のもの」としてありまして、(1)、(2)と分類されております。ここに逃げ込む可能性がありませんか。五%に押えられても、十三度、たとえばそれは八度は八%ということになるならば、十三度未満という一項を使い、それから十三度以上になお飛躍的に米の量を入れるということになれば、第二項を使って逃げていく、そういう可能性がありそうな気がするのですが。
  28. 村山達雄

    村山政府委員 おっしゃる点は、たとえば清酒の方の規格が、原料中五〇%以上を使ったものと、こう書いてある。それから補助原料がきまっております。それから合成清酒の方は、米が製品中その重量割合で五%以下ということになっているから、その中間のものですね、中間を作ったらどこへいくかという問題かと思うのです。おっしゃるように、ほかにいくところはございませんから、これはリキュール類にいきまして、度数によってイ、ロに分かれるだろうと思うのでございます。ただその場合に、もちろん業界の混乱という問題がございますので、別途五十条による承認という問題はあるかとは思いますが、酒類の極数としては含まれると思います。
  29. 平岡忠次郎

    平岡委員 その承認の問題が一つあるということ、それから承認されても、むろん合成酒というような名前はつけられませんね。そうですね。
  30. 村山達雄

    村山政府委員 もちろん承認があっても、それは合成液という定義に当てはまりませんので、こちらに参るわけでございます。
  31. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうすると、リキュールとして商標に表示される。リキュール村山とかリキュール達とか、そういう名前で売り出すよりほかないのだけれども、そういうことになりますか。
  32. 村山達雄

    村山政府委員 さようなことになるわけですが、これは先ほど申しましたように、別途五十条の承認の問題があります。
  33. 平岡忠次郎

    平岡委員 じゃその程度にしまして、次によく似た問題がございます。  実は今の対照表の五十七ページの上段は、詰めて書いてありますが、下段がブランクなんです。これが気になったので少し調べたのですけれども、この下段に相当するものはどういうことです。
  34. 村山達雄

    村山政府委員 現行で申しますと、五十五ページの雑酒第二級、これに一括してほうり込んであるわけでございます。「アルコール分が十二度以下のとき」幾らと、それから「十二度をこえ、三十九度以下のとき」云々、まあこれになるわけでございます。
  35. 平岡忠次郎

    平岡委員 これだけ見るとわからないのですよ。それで五十七ページの上欄の発ぽう酒に該当すべきものが法律では今までないけれども、政令とか通達とかなんかで出ていると思うのです。
  36. 村山達雄

    村山政府委員 これも現在は五十条の承認でいっているわけでございます。実際申しますと、これは雑酒の中にはいろいろございますが、今度この五十七ページで特記いたしました発ぼう酒、これに相当するものが現に出ているわけでございます。ラビーであるとかあるいは発ぽう酒とか、いろいろな名前で相当数出ております。これを雑酒中、現在の数量から見まして新しい品目にするのが妥当であるということで設けたわけでございます。しかしそれは現行法では別に出ておりませんで、すべて五十条の承認に基づいて実際は運用されていくということでございます。
  37. 平岡忠次郎

    平岡委員 承認に基づいて通達された内容を一つ示しをいただきたい。
  38. 村山達雄

    村山政府委員 通達そのものはあとで国税庁の方からあれしますが、私が承知している限り、製品中麦芽の使用率を二八%以下で切る。だから一キロリットル中二十八キログラム以下、こういう制限で承認していると承知しております。
  39. 平岡忠次郎

    平岡委員 一八の間違いではないですか。一八・五ではないか。
  40. 村山達雄

    村山政府委員 それで言いますと、今の重量換算で一八%以下、それで通達そのものは一キロリットル中二十八キログラム以下でございます。
  41. 平岡忠次郎

    平岡委員 結局モルト使用を一八%以下として押えておるわけですね。一八・五か一八かよくわからぬが、一八%前後に押えており、結局税額はキロリットル当たり六万三千円である。それが現行です。それが今度はこの五十七ページの上欄で発ぽう酒の第三項「その他のもの四万円」としてありますから、内分けしてみますと「その他のもの」というのは結局二五%未満のものと読めるわけですね。そうしますと結局一八%というものを底上げして品質をよいものとしてもよいということで二五%まで引き上げて、それで税金の方は六万三千円から四万円に下げたわけですね。その辺の作業は、村山さんの最もお好みになる減税の要件は入っているし、それから日進月歩に即応すべき品質の底上げという要件も満たしておるから、この辺のところはわれわれとしても大いに賛意を表していいと思うのです。  ところで発ぼう酒の(1)と(2)というものにおきまして、それよりもっと麦芽をたくさん入れたものも、税金が入ればいいという観点であるかどうか知らぬのですけれども、あるいは脱税を防止するためというお気持ちかどうか知らぬけれども、明確に規定した理由はどういうことなのですか。
  42. 村山達雄

    村山政府委員 発ぽう酒につきましては、現存は実を申しますと使用原料の制限はほとんどないわけでございまして、先ほども申しましたように、承認上現存一八%以下ということで抑えておるわけでございます。現実にはそういったものが市場に出ておるということでございます。この四万円にしましたのは、大体当時ラビー一本当たりやはり十三円くらい下げるのが適当だということでいったわけでございます。当時ビールにつきましてはやはり十三円というふうに考えておりましたので、大体格差を同じ程度にしようということで、そこから換算いたしますと一キロリットル当たり四万円になってくる。問題は今の六七%以上の麦芽使用率、これは今ビールの制限と同じところでございます。実際は七三%ぐらいやっておりますが、このビールと同じようなものを考えていった場合、ビールでございますと残りの三三%の原料というのは、これは法律で、法制上使用される原料がきまっているわけでございます。そのままいきますとビールになるわけでございますが、少なくともそれを発泡酒にもっていくためには、それ以外のものを使わなくちゃならぬという問題と、それからビールという名称は使われないことになるわけでございます。実際は発泡酒とビールの間にはそれほど業界における紛淆状況がない、そういうところがありますし、ビールも非常に不足しているという状況、この辺を考えまして、ビールと違う発泡酒、これは多少違うわけでございますが、そういうものが出た場合には、ビールと同じ税金を納めれば、それで発泡酒として考えていいのじゃないか、こういうところでいっておるわけでございます。そのカッコに、中間のやつはわかりませんので、ちょうどこの税額の半分を考えてみたわけでございますが、はたしてこういう製品がうれるか売れないかほんとうはわからないわけでございます。ビールはおそらく最も研究してでき上がった結果の原料が今固定しているわけでございます。これに何かはかのものをまぜた方がうまくなるのかならぬのか、あるいはアルコール度数を濃くしたらうまくなるのかならぬのかという問題がございます。非常にむずかしい問題だと思いましたが、少なくとも税制として門戸を開放してもそう心配のない問題であろうということで、門戸を開放したという意味で一、二が設けられたということでございます。
  43. 平岡忠次郎

    平岡委員 種類の違うもの、時と場所によっての使い分けでいろいろ問題がありますけれども、発泡酒をビールとはっきり区別せしむべしという立場に立つ限りにおいては、モルトの使用の限度を旧通達の通り押えるべきではないか。一八・五%を二五%にまで底下げすること、この程度のことなら日進月歩論でいいと私は思うのですが、モルトの使用量も税額も同じものを今回発泡酒に認めたのはどういう理由であるか。これはちょうど合成酒清酒との関連と同じことなんだが、合成酒の方でどうも問題が大きくなって、えらく煮え湯を飲まされそうなので、発泡酒の方だけはかまえを厳重にして、先に法律化してしまうというたくらみであるかどうか知らぬけれども、ずいぶん至れり尽くせりで帆走されていると思うのですが、どうでしょうか。
  44. 村山達雄

    村山政府委員 先ほど申しましたように門戸は開放しましたが、これが出るか出ないか、出ればビールと同じ税率になるわけでございます。その辺考えてみますと、少なくとも心配されることはないのじゃなかろうかということでございます。
  45. 平岡忠次郎

    平岡委員 論理が不明確ですが、心配論でこれを裏づけられているということは、どうも少し納得ができないわけです。ただ今合成酒清酒の分解点、米のパーセンテージの問題が出ましたので、ちょうど同じケースなので、お聞きしたわけであります。  大体私のきょうの質問はこの程度で終わりたいと思いますが、実は私の方の河上委員長あてに陳情があったわけです。この陳情をされた人は輸入洋酒卸小売業者として名前が書いてないのです。この人たちは自分の商売の事柄ですから、自分の頭にそのことがあるわけですね。発表されているこの文章自身ではつかみにくい点があるのですけれども、またもちはもち屋ですから、これを読むとあなたの方にはぴんとくると思うのです。それで多少質問としては不備かもしれませんが一つ答えていただきたい。  ちょっと読んでみますと、「来たる四月一日より改正される間接税酒税、物品税、入場税等)大幅に減税されると巷間に喧伝されるおり、減税という美名の陰に輸入洋酒の大幅引き上げという事実により、これに従事する中小企業者の犠牲を見のがすことはできないでありましょう。」この意味は、従価税採用で結果的に引き上げになるからという意味であろうと思うのですが、そこまではいいと思うのですけれども、あと続けます。「ここでも資本家は金の圧力で通産省、大蔵省の上にあぐらをかき、損害をこうむるものは倒産一歩手前の中小企業者であることは絶対に許すべからざることであります。一応御説明申し上げます。販売経路は洋酒において大略次の通りであります。輸入商社から卸業、卸業から小売業(普通一般のケース)それから輸入商社(卸兼業)から小売業(旭興業らのケース)次には輸入商社(卸兼業)(小売兼業)(明治屋らのケース)」要するに、輸入商社が直接に小売までやっている、そういうケース、こういう販売経路があるということ。「現在の洋酒の高値は輸入商社がつり上げきわめて莫大な利益を得ておる変則的業界であります。現在業界は絶対量の品不足にして市価の高値を示す原因になっておりますが、しかしその反面ほとんど不必要に近い品種は原価を切っても換金不可能の品が卸、小売業者の間に在庫として死蔵されております。原因は輸入商社は品別に輸入制限があり、選択の自由がなく、すべて一括輸入し、卸、小売業者に抱き合わせで買わせ、莫大な利潤を得在庫はほとんどなく泣くのは卸、小売業者で、営業上やむを得ず高い金利の売れない在庫たとえばラム、ウォッカ、特殊ジン、リキュール等を抱えて青息吐息の現状であります。これが業界の現状なんでしょう。  そこで今回の酒税改正にからんで、売れない在廃品をも今度の更改高率での割増し課税の対象となることに対して、この点は納得ができないということです。要するに未納税移入——米納税移出の逆ですよ。そういう苦衷を訴えておると思うのです。ですから、山はその点であろうと思うのです。そこで今度は例を引いているのですね。それは、中小企業が、非常にそういう死蔵品を抱えて困っている。その死蔵品を四月以降に売るということになると、今度は新しい高い税率になりますね。だからその点を、安い税率の賦課でやってもらえるのかという趣旨であろうと思う。そういう結論を出すために、一方において輸入商社というのは、大商社になりますと、たとえば二月末日発券予定のライセンスによって、発券と同時に、すでに各港に着荷している。これは先積みしておりますね。そして現品を直ちに通関手続をして三月中今まで通り消化しようと企図し、通産省に運動しており、こういう運動に対しては通産省も大蔵省も寛大で、このことを容認しておる。一方中小企業者が、発券まであとわずかの日数なので、大蔵当局にこの件を指摘すると、管轄違いであると逃げを打って聞いてくれない、こういう訴えをしているわけです。  結論としては、甘い汁は大きな輸入商社で、苦い汁は卸売、特に小売業者に飲ませる当局の方針に対しては、これは死活問題だから坑議せざるを得ない、こういう趣旨であります。  そこで、実際の三月三十一日と四月一日の分岐点において、こうした今度高くなる酒類に対してどういう中間措置をおとりになるのか、なっているのか、お答えを願いたいと思います。
  46. 村山達雄

    村山政府委員 これは、新しい従価税の制度とストック課税の問題、両方の問題だろうと思います。それぞれ理由があってやっているわけでございますが、従価税の考え方は——原則的に取り扱いの便宜の関係で従量税にしております。そういたしますと、従価に直しますと、高級の酒ほど、税抜き価格に対する税率は低いということになって参るわけでございます。そこで消費税の考え方からいいまして、特に高いものについてはどうもおかしい。ある程度まではそこはいけるにいたしましても、高い酒ほど——物品税を考えていただくとすぐわかるわけでございますが——税率は安いということはおかしいという点で、ある点でもってスティックしようという考え方でございます。そこで、非課税最高限度というものをきめまして、ある一定以上のものについては、通常の従量税のものを、従価税にした場合とバランスがとれるような税率を盛ろうというのが今度の従価税の思想であるわけでございまして、非課税最低限度をどうするかということは政令に譲られております。これからの検討問題でございます。  一方ストック課税の問題でございますが、従来から一キロリットル以上のものはかけるという問題でございます。今お話しになりましたような、洋酒について一キロリットル以上持っているのは、おそらく中小にはほとんど関係ないのじゃないか、相当大きなところだけではないかと思っております。ただこの場合といえども、そのときの輸出価格が、今度政令で定められる非課税最高限度をこえているかどうかという問題でございます。もちろん小売屋さんなり卸売屋さんにございますが、おっしゃるように非常にストックになって売れないということがあるかないかわかりませんが、もしあるとすればメーカーのところに一ぺん戻していただければ、これは法律上はできるわけでございます。輸入品でも、同一酒類であれば、言っても差しつかえないということにはなっております。ただ実際問題として、取引でございますから、引き取ってくれるかどうか。これは商売の関係でございます。実はこれは税関から引き取るときはシフ価格できているわけでございます。それに関税がかかっているわけでございます。それで旧税がかかってきております。実際はそんな値段では売れません、こういう御主張なんだろうと思います。もしあるとすれば、おそらく抱き合わせその他のものでないかと思うのでありますが、そこはもしそうであれば、たとえばウイスキーであれば、それぞれウイスキーのメーカーに引き取ってもらえば、今言った点は少なくとも免れることはできるということでございます。その場合の幾らで引き取るかというような問題は、これは別の問題だと思いますが、いずれにいたしましても、今のやつは非課税最高限度をどうするかという問題、それから一キロリットル以上ということでおりますので、おそらく中小の方々の問題というよりも、大きな卸商の問題の方が多いんじゃないか、それが非常にストックを持っている場合の措置の問題じゃなかろうか、こういうように考えます。
  47. 細田義安

    ○細田(義)委員 関連して。今の陳情をお聞きいたしまして、私ども、さようなことを二、三年に入れる機会を持ったわけでございます。そこで主税局長お話では、売れないもの、気に食わないものは返すというわけですが、損も得も一応は承知をして、商取引は済んだわけでございますから、産業の慣習としては、法律上はどうであろうとも、これを押し返すということはなかなかできない。しかし、他方もうけた諸君がありましても、中小企業、しかもあまり大きくない小企業の諸君が、税法改正——他方においては、酒税一般としては税金を下げるということでございますね。他方、そのために余波を食って——従価税そのものの考え方、またそれに該当するようなものがあることについては、私ども異存がないわけでございますが、その余波を大きく食らってどうにもならぬという事態は何とか避けてはどうか、避けるべきではなかろうか、こういう気がするわけであります。そこで税法が公布されれば、即座に税率通り適用されるでありましょうが、最後の調整とかなんとか行政措置をそこに挿入し、取り入れて、実態をよくつかんでいただかなければなりません。ほんとうにかわいそうだというようなものにつきましては、これをめんどうを見ようというような配慮があってしかるべきではなかろうか。その訴えをそのまま聞きますと、困っているやつはそのままいいということを——品物を返してしまえということは、実際できない相談ですよ。私ども、まだ税法は通ったわけではありませんから、通す前にこの辺をよく聞いておいて、野党諸君の賛成を得てうまく通したい。困るやつはどうでもいいというようなことになりますから、これは一つしっかり考えてもらいたい。この点政府はどうお考えですか。
  48. 村山達雄

    村山政府委員 これは、先ほど細田委員がおっしゃったように、すでに商取引は済んでいるわけでございます。まさにそれはそれとして済んでおる。ただ、今の、従価税によって従来よりも絶対額で上がるという分だけは、おそらく取引したものについては考えていなかった。ですから、前に抱き合わせなら抱き合わせでやっておりますから、従来の税率であればそれでカバーできるということで、ほかのものもやっておりますから、従来の税率に関する限り、売れようが売れまいが、おそらくそれは危険負担で片がついているのだろうと思います。問題は、上がった分が理論的には問題になるのだろうと思うのです。その場合でも、国産品について言いますと、元へ戻せばおのずからその問題は解消するわけでございます。輸入品について戻すといってみても、引き取ってくれるかどうかという問題だろうと思います。実際問題として考えてみますと、二十九年の増税の際には、ストック課税が二石でやったわけでございます。今度は一キロリットルでございますから、五・五石に上げております。ですから、おっしゃるようなことは中小のところではほとんどないんじゃないか。むしろ今おっしゃったような抱き合わせ販売をやらしている側に、五・五石以上持っておるものがあるんじゃないか。ですから転嫁ができません。その酒類についてだけ見ると転嫁ができないという問題はございましょうけれども、あるいは少し割高だ。従来の税率だと思って輸入したという問題がありましょうけれども、おそらく現実問題としては、従価税後においても、マージン率の非常に高い洋酒を扱っているものがたまたま従価税として割高な売りにくいものも一部持っておるということではなかろうかと私は考えておるわけでございます。
  49. 細田義安

    ○細田委員 酒などというのは非常にむずかしいもので、私どもにはわからぬ面があるわけでありますが、該当するものはないということで、なければ、これは杞憂で、よけいな思い過ごしでございますが、かりにあった場合には、やはりこれは考えてやってよろしい問題である。将来長く尾を引いてどうするという問題ではございませんから、一定の期間を置いて——たとえば去年ですかことしですか、自動車を輸入してこっちへ来たら自動車税が倍に上がるのにひっかかるのだということがありましたので、外国で契約の済んだもの、外貨の割当のあったもの、こういうものについては六月なり七月まで延ばして、それから適用するようにしようというような実際に適合した修正案を用意をいたしまして、あれは通過しておると思うのであります。そういうようなことで、たまたま平岡委員から陳情の趣旨が述べられましたが、これは与党も野党もないことでありまして、実際困っている小企業の諸君がとんでもないことになるということであれば、何らかの知恵を使えばこの調整はつくのではなかろうか。特に主税局長などは答弁もうまいし、何でもうまいのでわれわれしろうとはごまかされやすいのでありますが、この点はあなたの明快なあれでやれば調整がつく。そうでないとちょっと気の毒だ。われわれ審議をして気がつかないで通したのならば返す方法はありますが、問題が出て参りますと、その辺には十分な配慮をすべきである、かように考えるのであります。だから、知恵がないとかやれないとかということでなくて、泉のごとく知恵が出るのだ、こういうふうな態度が望ましい。深慮遠謀までいかぬでも、大丈夫ですか、一つ示しを願いたいと思う。
  50. 村山達雄

    村山政府委員 自動車の話が出ましたが、これはたしか物品税で言いますと、従来の大型の区分を引き下げたときに四千ccから三千ccまで下げた、その三千、四千間の改正前後にわたる輸入の問題だったわけでございます。これは外貨割当、それからいつそれが入ってくるか。特にあのときは沈没したという問題がございまして、その身がわりがいつ入ってくるかという点がはっきりしておりました。従って、今後改正法によって覚悟して入れてくるものという限界がはっきりしたわけでございます。今度の場合はどうもはっきりいたしません。しかも五・五石以上でございますから、非常に少ないのだろうと思うのでございます。中小メーカーでそれに該当するものがあるかどうか、非常に事納がめんどうでございます。しかも、従来の実績で言いますと、一人の人が持っている限り全部でございますが、これがなかなかむずかしいわけでございます。その間、法案が提出になりましてから施行になりますときまでに期間がございますので、それぞれ相当分散するようなこともありますし、また、分散されてわからないということも現実の問題としてはあるわけでございます。しかし、従来、法の筋からいいまして増税する、減税する、こういうような場合に、ストップについてはやはり酒税であるからそこは調整せざるを得ぬ。しかし、現実問題を考えまして五・五石に引き上げているわけであります。理論問題としては、中小メーカーで、おそらく明治屋さんが持っている、何が持っているというようなことについては、まだこれはマージンのあるものも相当あるので、税の理論でいっても差しつかえないだろうと私は思っております。思っておりますが、中小の会社でそういうものがあるかないかということになりますと、私はほとんどないと思いますけれども、あった場合にどうなるかという問題は、これは商取引でも片づくではないか。引き受けてくる。たとえば、ウイスキー製造業者が、あるかどうか問題でありますが、かりにそれを合理的な安値だけで、その部分だけ安くしますと、つまり、従来抱き合わせにして割高に売った分を、その分だけ割引して割り戻していけば、四月一日現在における輸出価格は当然今の非課税限度以下に落ちますからこれは課税にならないということになるので、その間の調整はつくのではなかろうか。問題は、そのとき戻し入れをするところの、ウイスキーならウイスキーのメーカーとの話し合いがつかない、あるいはつくときにたたかれるという問題があるかないかということだろうと思いますが、現実問題として考えてみますと、中小のものが五・五石以上持っておる、そういうことはまず少ないではないかという感じがいたすわけでございます。またかりにあったとして、今度は自動車の例と違うものですから、その部分だけを調整するというのは技術的に非常に困難であるということでございます。
  51. 平岡忠次郎

    平岡委員 中小企業ではないだろうという断定をするのはどういう根拠なんですか。私どもはそういうことを知らぬですよ。知らぬけれども、書いてあることは、輸入商社は品別に輸入制限があり、選択の自由がなく、すべて一括して輸入する。ここまではよいのです。そうして次の段階で、卸、小売業者に抱き合わせで買わせ莫大な利潤を得、在庫は、年二回の輸入に際して直ちに売るからほとんどない。だから、消費価格で泣くのは卸、小売業者で、営業上やむを得ず高い金利で売れない在庫をかかえている、こういうことである。その種類としては、ラム、ウオッカ、特殊ジン、リキュール、こうしてある。だから、あなたが断定をされる根拠がちょっとわからぬのです。といって、こっちは反駁するだけの材料がない。しかし、やはり税制改正にあたってそういう弊害が実際に起こる。そうして倒産するようなことにもなりかねないという表現ですから、でたらめを言っているわけでもないだろうし、中以上の人が書いたようにも思えないのです。ですから、あなたの断定がどういう根拠かようわかりませんけれども、いずれにしても、細則委員提案のごとく何らかの方法を講じてあげてしかるべしと思いますが、いかがですか。
  52. 村山達雄

    村山政府委員 と申しますのは、従来の二十九年の例で言いますと、二石以上でストップ課税をやったわけです。そのときにストップ課税の実績はあまりなかったように聞いております。そういうことから総合勘案いたしますと、特に今のは輸入酒で抱き合わせの問題でございます。五・五石以上にやっているということを考えますと、常識的に中小については現実の問題としてまずまず問題が起きないじゃなかろうかということ……。
  53. 平岡忠次郎

    平岡委員 一軒で五・五石ならよいのですか。
  54. 村山達雄

    村山政府委員 二石の場合でもストップ課税の実績というものはほとんど上がっていないということでございます。
  55. 細田義安

    ○細田委員 平岡さんなり私の要望あるいは見解に対しまして、政府としては、さような事実があった場合にはどのような考えを持っておるか。天下の政治家がただ主税局長の知恵ばかり借りておったのではだめですよ。
  56. 天野公義

    ○天野政府委員 五・五石まではかからないというお話でございますから、今計算をいたしますと千三百本ということでございます。千三百本ということになりますと、大体中小企業その他はかからないというようなことでございますが、なお事情をよく調査いたしまして研究いたしたいと思います。
  57. 平岡忠次郎

    平岡委員 私はこれでよろしゅうございます。
  58. 小川平二

    小川委員長 毛利松平君。
  59. 毛利松平

    ○毛利委員 この問題は在庫の問題と同時に、間税を引き去った残りの正味の非課税限度の価格が今明示されていないのですが、漏れ聞くところによると多少無理があるのではないか。正しいものの考え方として、国産愛川の施策として、限度を考えなければならぬが、さりとて正味の非課税限度が多少低過ぎるのではないか。もう少し上げなければならぬのではないか。これが問題点として残ると思うのですが、この点に対する対策はやはり考えておいてもらいたい、こう思います。
  60. 村山達雄

    村山政府委員 非課税最低限度は今後政令段階の問題でございますので、お話のような点も十分研究した上政令できめて参りたい、かように考えております。
  61. 毛利松平

    ○毛利委員 けっこうです。
  62. 小川平二

  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この前の質問のときに、村山さんからビールと酒の税金が世界で一番高いということをはっきり申されたのですが、今度の減税は、これくらいの減税ではわれわれ非常に不満であって、もっと減税をする必要があると思うのですが、その点について当局はどのようにお考えになっておりますか、御意見を承りたいと思います。
  64. 村山達雄

    村山政府委員 酒の税金につきましては、いろいろな意見がございまして、財政収入を上げるには日本は今までも非常にいい税制をしいておったというような意見も相当あるのでございます。しかし何分にも各国と比較してみますと高い。それから家計における状況を見ますと、特にその点が顕著になっておる。所得税の非納税者にも重い負担がかかっておりますので、今度相当思い切ってやったつもりでございます。全体で平年度三百七十億でございます。一割以上に及んでいるわけでございます。  今後どうするかという問題でございますが、これはこの施行の実施の状況をしさいに検討いたしまして、その上で検討して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  65. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 しかし、これは酒でもビールでも下げれば、やはりそれだけよけい飲む可能性があるわけなんで、そういう点に対しての見通しはどのように立っておりますか。
  66. 村山達雄

    村山政府委員 酒税を下げると、その分が他の方に向かわないか、こういう御質問ですか。
  67. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうじゃなくて、下がればうんと飲むでしょう。そういう点のあれは、全体としては減税減税するけれども、実際的にはよけい飲めば、税の収入は減るわけじゃないでしょう。そういう見通しはどのように持っておられるか。
  68. 村山達雄

    村山政府委員 その点はもちろん消費増を見込んでございます。消費増後、減税を平年度三百七十億、初年度三百九億、こういう数字を出しております。従って、もちろん数量は相当上りますが、その後においても減税のメリットは相当あるということでございます。しかしその場合に、消費資金として減税前の消費資金と減税後の消費資金がどうなるかということとは、一昨日も間税部長が出ましたが、われわれは減税後の消費資金の方が減る。ですから、消費資金全体として考えてみても、やはりそれだけ家計にとっては減るというふうに考えております。  消費増の石数を申し上げますと、この減税に伴う消費増でございますが、これは平年度ベースで出してありますが、清酒で四十万石、合成清酒で五万石、しょうちゅう十万石、みりん一万石、ビール六十万石、リキュール五万石、全体で百二十一万石程度の消費増を見ております。しかし、この消費増によって負担がふえても、なお平年度三百七十億くらいの減税になるだろう、こう見ております。
  69. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 与党の人で、ビールなんかの減税をする余裕があるならば、道路を直した方がいいじゃないかという意見があるほど、ビールに対しては関心が深いわけです。従って、ビール界の景気がいいということは皆様方御存じの通りの情勢で、幾ら作っても足らぬような情勢であります。そこでそれに関連しまして、それならばビールの原料であるビール麦の買い上げ問題について、どうも農民にちっとも潤っていないじゃないかという意見があるわけですが、その点はどのような考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。ビール麦の買い上げ問題です。
  70. 上田克郎

    ○上田説明員 ビールの原料はビール消費増によりまして大へん不足しておることは御承知通りでございますが、国内産のビール麦は、私、今正確な計数をここに持っておりませんけれども、大体八割ないし八割五分、八五%くらいは国内産で従来まかなってきておるわけであります。残りの一五%くらいを大体モルトの輸入でやっておるということであるように承知しておりますが、従来の経緯を申し上げますと、できるだけ国内のビール麦の栽培を奨励し、大麦から転換させるという方向に農林省の方の行政指導が行なわれているようであります。われわれといたしましても、ビール会社に慫慂いたしまして、できるだけ製麦能力、いわゆるモルト、麦芽を作る能力を増強させまして、国内でできるビール麦は全部国内で使って、それでなお足りないところを輸入に仰ぎたい、そういう形で従来やってきております。昨年度までの例に見ますと、設備も増強いたしますが、新しい設備を作るためには約一年くらいかかります。それもやらせますが、従来継続して作ったものもございまして、その能力をフルに動かして、なお足りないというような現象が最近まで起こっております。従って、ビール伸びに対しまして国内産の原料麦の増産も間に合わない。従って、どうしてもモルトの輸入をさらにことしも頼まなければいかぬ、そういうような格好になっております。
  71. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 麦芽の輸入問題については、農村の麦の生産に非常に影響があるので、農民はそれほど詳しいことは知りませんけれども、今上田さんが言われましたように、業者から麦芽の輸入という問題についていろいろ運動があるかに聞いております。しかし、国内の農民の立場を考えてどのような方法をとられるのか。これも関連して承っておきたい。
  72. 上田克郎

    ○上田説明員 原則論といたしまして、できるだけ国内の農民の方が作られた原料でビールを作るということに、われわれとしても異存はございませんし、またビール業界に対してもそれを勧めている次第でございます。なお、農林省といたされましても、農民の麦作を、大麦ビール麦に転換するという行政指導をやっておられますので、今後とも麦芽の製造能力を増させ、そしていい原料を農民の方に作っていただいて、国内産でできるだけ間に合わせる、そういう方向にいくべきだろうと考えております。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 うちの芳賀君あたりからもいろいろ意見が出るかと存じますが、御承知のように農村の景気の不況という状態がだんだん出てきまして、なるべくこれは国内のもので間に合わすように指導していただきたいと思いますが、現在ビールの原料の集荷が二本立になっておりまして、一つは麦耕運、一つは全販連という形になって、多少差別的な待遇をしておるのじゃないかというような非難もあるわけです。その点と、もう一つは原料麦に対してもう少し値を上げる必要があるのじゃないか。農村の副次的な仕事がない今日、やはりこういうような景気のいいビール麦に対しては少なくとも政府がもう少し考える必要があると思います。その点はどのように考えておられるか、これも関連して承っておきたいと思います。
  74. 上田克郎

    ○上田説明員 従来のビール麦の生産につきましては、技術的にそのビール麦の発芽能力などもあるようでございまして、ビール会社自身が特約栽培というような形で相当農民の方から買い上げておったのが実態のようでございます。ただできるだけ国内で間に合わせるという方針のもとに、極力原料は、たとえば発芽能力が普通なら九〇%以上というものを、今度八〇%台のものでもなおビール会社に買ってもらう、そういうようなことも農林省の指導でビール会社は応じておるわけでございます。値段の問題その他につきましては私まだつまびらかにいたしませんけれども、ビール会社の気持としてはできるだけ国産で間に合わせるという気持になっておるようでございますので、今後ともビールに適したいい麦を作っていただいて、農村が潤えば大へんけっこうだと思います。
  75. 久保三郎

    久保委員 関連。ただいまビール関連してビール麦の問題が出ておりますので、一つだけお尋ねしたいのであります。  御承知だと思いますが、ここ三、四年来ビール会社といわゆる酒造組合と生産農民との間の取引関係は混乱しているわけなんです。従来麦耕連というものが——これは生産団体ではなくて、指導団体というふうになっておるそうでありますが、実際はビール四社の下請機関ということでやっておるわけです。そこに不満を持った農民が系統共販をやろうということで、ここ二、三年来系統共販の形も出てきておる。ところが御承知のようにビール四社は、その系統共販に対しては、従来の麦耕運の取引と比べて相当の差別待遇をやっておる。そうしますと、ただいま大蔵省の御見解では、農林省と同様に国内産麦をもってこれに充てるという御方針でありまして、この増産あるいは品種改良というようなことでありますが、実際に取引関係がそういう差別待遇をされておる現実においては、残念ながら先ほどお話があったような線には沿わないのじゃなかろうかと思う。もちろんビールそのものの生産なり取引関係は大蔵省の関係ではないと思うのでありますが、いわゆる酒税の問題一つから考えましても、全体的に見ても、これはあなたの方に比重がたくさんあると思います。ところがビール四社は大蔵省に対してどういうことを言っておるかわかりませんが、残念ながら実際は今言ったように取引関係は非常に混乱しておる。公取においてもいろいろ疑問を残したまま今日おるわけです。われわれは今日ビール会社は今年度において六万五千トン輸入してほしいということも聞いております。もちろんこの六万五千トンが絶対にビールの生産に必要だ、国内産麦を洗いざらい買い集めてもそれでは足りないということがあるかもしれませんが、実際は生産をはばむところの取引関係を、大蔵省自身ビール会社に反省を求めるという態度がなくては、先ほど佐藤委員からもお話しのように、生産農民は納得しがたいであろうと思うのです。この点についての改善の考えがおありであるかどうか。いかがでしょう。
  76. 上田克郎

    ○上田説明員 われわれの酒の税金関係から申しますと、ビール基準価格は御承知のように従来百二十五円でずっと据え置きになっておりまして、大衆に対してはできるだけ高いものを飲ませないようにという形で指導しておりますので、原料面において生産会社ができるだけ安い原料を仕入れようというような努力をしてきたであろうということは推定できます。ただどんな価格が適正であるかという点につきましては、私は資料を今ここに持っておりませんので、意見は差し控えさせていただきますが、今回のモルトの輸入申請の問題は、予想外にビール消費伸びてきた、そういう意味で八〇%台の発芽能力を持つ原麦を買いましてもなお材料が足らぬということで申し込まれておりますので、将来の方向といたしましては、できるだけいいものを作ってもらって国産を使うということに、われわれの方は異存はございません。ただそのテンポなりタイミングなりということは、今後農林省ともよく御相談をいたしまして、善処していきたいと考えております。
  77. 久保三郎

    久保委員 このテンポというか、そういうものを考えてやっていきたいということですが、現実には、実際に足らないということもわれわれは全面的に否定するわけではございませんが、国内の生産態勢を今のような混乱のまま差別待遇をさせておいて生産を上げていくことは不可能であります。これは大蔵省自身も、ビール四社、酒造組合に対して重大な反省を求めるのが当然ではなかろうか。これを裏づけとして、さしあたり三万なら三万を輸入するというならば、生産農民も励みが出ると思いますが、差別待遇をして、実際には、ことしの買い入れの契約はまだ系統共販がきまっておらないではないか。麦耕連はきまっておる。さらにもう一つは、間もなく起こるでありましょうところの今年度まき付けの種子について、種子は御案内の通りビール会社が独占した形になっておる。これはもちろん農林省の問題でもありますが、そういうものをこの際すっきりした形に片づけることは、まず大蔵省に責任の半分くらいがありはしないか、こういうふうに思う。農林省は全面的にやる。しかし残念ながら農林省には、このビール四社を押えるといっては語弊がありますが、これを指導するところの力はないというふうにわれわれ考えておる。そういうことでありますから、これは国全体として、選択的拡大ということで大・裸麦の転換は二回にわたってつぶれたけれども、実際において、政府の方針としても、大・裸麦は要らないのだ、ついては大麦の転換はビール麦以外に方法はない、そういうことから、全体的に考えてこの取引関係を正常化するように、早急に大蔵省で手配をしていただきたいと思うのでありますが、この点いかがですか。
  78. 上田克郎

    ○上田説明員 先ほど申し上げましたように、現在まだその間の取引条件のことなどをつまびらかにしておりませんので、農林省ともよく相談いたしまして善処いたしたいと思います。
  79. 久保三郎

    久保委員 御承知になっていてもそれは御承知にならぬということでございますが、実際は、たとえこの麦耕連に対しては、指導費として一俵十七円のリベートといっては語弊がありますが、そういうものが従来ある。ところが同じ生産団体であるところのこの系統共販については、まだこれは未解決であります。さらにもう一つは、蔵入れ料なり運搬料についても未解決だとわれわれは考えております。そういうことでは、残念ながら系統共販にいった生産者である農民は、非常に不当な圧迫を受けているということであります。そういう点は十分あなたが御承知であると思いますが、そういうものを解決することもこの際必要ではないかと考えます。あとでまたわれわれは党としてあなたの方にも参りますが、このことを一言申し上げておきます。
  80. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ビール会社が非常に太って、ビールを作る麦を作っている百姓は飢えるというような現象が出てきておるわけです。日本ビールは、ドイツあたりに行きましても非常に優秀だということを聞いておりますが、今、同僚委員の言われたような意味もありますので、ぜひ一つ善処していただきたい。先日もちょっと伺いましたが、御承知のように、ビール販売業というものは、マージンの問題がからんで、十二円のあきびんを七円にするということがだいぶ具体化したような話を聞いておりますが、その点について、あなた方はどんなように主張されておりますか。せっかく十円安くなっても五円あきびんが上がれば、結局受ける大衆はばかにならないと思いますが、そういう点に対してどういう方針になっておるか、あらためて伺いたいと思います。
  81. 上田克郎

    ○上田説明員 私たちの方で現在考えておりますのは、十円税金減税になりますので、ビール大びん一本百十五円という形で、今回の税法改正に伴う基準価格改定をやりたい、このように考えております。その際、従来十二円でびんを引き取るようにというような趣旨の基準価格規定がございましたが、この点につきましては、従来ともこのような基準価格規定をびんまでいたしましたのはほかにないので、清酒にいたしましても、その他洋酒にいたしましても、びん代についてまで基準価格を定めたというのはございませんので、これもほか並みに十二円というものははずす。しかし行政指導といたしましては、できる限り従来の線に沿った買い方をしていただくということにはいたしておりますが、ただいま御指摘のように、自由にまかせますと、そこにおのずから急激な変化があっては困るので、最低限七円以上に小売魔さんあるいはびんの買い集めをなさる方はやっていただきたいというようなことで行政指導いたしたい。実際問題としてどうなるかと申しますと、大部分と申しますか、約半数くらいは従来の十二円という価格でとられる向きがあろうかと思います。しかし最低七円といたしますと、やはり七円以上でございますから、八円なり七円というところまで下がる向きもあろうかと思います。平均いたしますと、十二円でとる人は半分くらいあるのではなかろうかという予想でございます。それでこの問題は、生産者とそれから卸小売の方でどうやって、自分たちはどの程度のものがほしいかということを十分相談し合って、できるだけ消費者に迷惑をかけないようにという形で相談を願っておりますが、なおまだ結論が出ない段階でございます。ただ状況といたしましては、最低七円以上ということで考えております。
  82. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ビール会社のもうかっていることは一般に知られておるから、あまりそれ以上のことは言いませんが、最後に二、三点みりんのことについて、先日堀委員からもいろいろ質問があったそうでありますが、どうもいろいろみりん業者と話をいたしましても、まあ間税部の方ではわかっているけれども、どうも村山さんの方の主税局の方が理解が非常に低い。主税局の方は、これは指導的なところであって、業者と直接関係がないからという点もあるかと存じますが、今度のアルコール分が十三度以上十五度未満の問題について、二度の含みを持ってもらいたいというような、こういう強い要望があるわけです。先日もお伺いいたしましたけれども、どうも納得できないので、その点についてどういう御意見を持っておられますか。これは村山局長でけっこうでありますからお伺いしたいと思う。
  83. 村山達雄

    村山政府委員 これはみりんに限りませず、合成清酒、酒につきましても、従来基準度数をそれぞれきめてございます。基準度数がいいか悪いかという問題は別でございますが、基準度数がきめてあるそれよりも強いアルコール度数で出すという場合には、従来の考え方は、こういう在来の日本酒について、あまり高い酒を飲ませることは、国民の健康上いかがか、こういう見地から、特に割増税率二割の加算税率を適用してあるわけでございます。その場合に、ただ基準度数はきまっておりますが、加算税率を適用するときに、いきなり、ある一度幅で基準度数をきめておいて、それでそれから上回ったらすぐ加算をするかと申しますと、何分にも二割の課税率をかけるものですし、それから実際はアルコール度数の検定度でも、若干の誤差があるということでございます。その辺を考えまして、加算税率を適用する場合には、二度のアローアンスを置く、こういうことでございます。基準度数そのものにアローアンスがあるわけではございません。今度の考え方は、そこは全部、アルコール度数の高い度数を出すことを、ちっともかまわないということにいたしたわけでございます。加算税率の適用を排除したわけでございます。従いまして、その基準度数は従来通り一度でいいではないか。そのかわり高い度数を出したら、それはそれなり基準度数で盛られた一度当たり税率を普通に納めていただけばいい、こういうことにしたわけでございます。この点はひとりみりんのみならず合成清酒清酒につきましても同様のことをいたしました。その場合の基準度数そのものをどうするかという問題は、三種とも従来の通りにいたしました。こういういきさつでございます。
  84. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 またこの前の質問関連して御答弁の中で、関西の方のみりん業者はみりんかすを非常に生産する目的があるので、私が十五度までのあれをしないといけないということをこちらに申しましたところが、それはみりんかすを作るためにやるのであって、やはり十四度でもけっこうだという話を聞きました。いろいろ私たちの方で当事者に会って聞いてみますと、これはやはり限度がありまして、どうしても十五度でないとみりんかすが腐るということを一言われております。この点で、せっかく五〇%の減税をされても、そういうような副業的な方に悪い結果が出たのでは非常に困るというような意見があるわけですが、この点についての解決点はどういうふうになっているのか、これももう一つ承っておきたいと思います。
  85. 村山達雄

    村山政府委員 基準度数を従来通りにしたということは先ほど理由はお話ししましたが、そのときは主としてやはり清酒、そのでき上がった酒のバランス考えておるわけでございます。それで今度みりんでございますと五〇%ぐらい下がっているわけでございます。それで度数が高ければ、これはやはりアルコールの問題でございますので、度数が高くなればそれなりに、一度当たり高くなればそれだけよけい納めていただくというのはやむを得ないことであろう。従いまして、問題は基準度教をどこにきめるのが妥当か。そのときに、でき上がったみりんの話ではなくて、みりんかすまで考えて全国的にやる必要があるかどうか、そういう問題であろうかと思うのでございます。結果として、もしやりましてもその影響は本来のみりんの方に直ちに及ぼす問題でございます。ねらいがかりにみりんかすにあるといたしましても、その及ぼす影響はみりんにも及ぶわけでございます。従いまして、そういう事情はよく伺わせていただいて、やはり別途検討すべき問題ではなかろうか。今直ちに、それだからそうすべきだということはなかなか——合成清酒もあり、それから酒もあります。それぞれかすを出しておるわけでございます。ですからその辺はもう少し検討いたした上でないといかぬのではないか。今回は、先ほど申しましたような一応のすらっとした考え方で基準度数が出ておる、こういうことでございます。
  86. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に、これは上田間税部長にも一度今度のときお願いしたことがあるのですが、中小の酒屋さん、また中小のみりん業者が私らの愛知県に非常に多いのですけれども、そういう業者たちがだんだん圧迫を受けて、いろいろ無理を言ってくる。どういう無理を言うかというと、大企業減税と、それから中小企業減税の率を同じでは困るから、大企業よりも中小企業の方の、このみりんや酒について減税してくれというようなことを言うのです。これは少し私たちとしても今の現状では無理だということは知っておりますが、旧式みりんの形式のものと、大きなみりんを作っている業者との間にいろいろな摩擦が起きておると思うのであります。だから村山局長の言われるように五〇%も減税したのだから、そう文句を言うなというような御意見のあるのももっともな点がありますが、何といってもこれは没落的な、だんだん下がっていく、斜陽産業と申しますか、そういう点があるわけであります。昔は相当有力にやっておりましたけれども、日に日に衰えを見せるような傾向が出ております。こういう点に対してわれわれはたびたび陳情を受けるわけですが、そういう点についてあとで堀さんその他の方からお話があると思いますが、一言、何らかの方法で救済する道があるのかないのかということを、さらにお伺いしたいと思います。
  87. 上田克郎

    ○上田説明員 小さなみりん業者の方の経済的な窮状をどんな形で救済したらいいか、これは大きな問題でございますが、従来打ちました手と申しますか、そういうものを御参考までに申し上げますと、清酒への転換を慫慂したことがございます。みりん業者で、みりんをやめて清酒をやりたい方は、どういう形で清酒の造石指数に転換するかということをきめまして、酒屋さんになる、清酒屋さんになる特別な承認をしたことがございます。それによって、たとえば昭和三十二年の九月三十日までに十五の方が一つ酒屋さんを作りたい、そういうことがございます。それからさらに一年たちまして三十五年の九月に九社の方が酒屋さんに転向される、そういうことがございます。転向されまして大体その規模は、指数にいたしますと一六五二というのが最初の酒屋さん、次が五一五の酒屋さんでございます。酒屋さんといたしますと、その四倍くらいの石数を作れるわけでありますから、これは中以上くらいの酒屋さんがそこにでき上がっておる、こういう形だと思います。これはみりん業者の方だけに限らず清酒屋さんでも今は小企業者が多うございまして、このままの生産方法なり販売方法なりで、はたして今後の需給関係に見合う、安くていい酒を、消費者にも満足するような酒を出していけるかどうかなかなか疑問でございます。日ごろ申し上げていることでありますが、できるだけ生産面、販売面を合理化するために企業合同を行なうなり、あるいは何かそこに新しい工夫をしていただきたいということで慫慂はいたしておりますが、従来は何と申しましても従来の方法でまだ何とかやっていけたということが災いしていたと思いますが、なかなか思い切ってそういった新しい生産方法なり販売方法なりに踏み切るというところまでの刺激力が少なかったというふうに思うのであります。ところがことしは酒造業界も転換期だと言われますように、相当製造高が伸びて参りました。その方の経済的な自然の成り行きから何かそういった新しい方法を考えなければいけないという心がまえも皆さん出てきたようでございますから、われわれもそれに協力いたしまして、どうやって立て直していくか、あるいはどうやって生きていく方法を考えるかということに大きな関心を持って、その道の発見には御協力いたしたいと思います。これはある言い方をしますれば、金融的な面での考慮、あるいは助成ということも必要かと思いますが、具体的にどうやったらいいかということをただいま検討中でございます。
  88. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 酒税減税の大きな法案が出ておりまして、私たちは専門家でありませんから、詳しい事情を全部知っているわけじゃありませんが、ただ問題は、やはり今上田さんが言われましたように、近代的な産業の中で、旧式な酒屋さんとかあるいはみりん業者その他の業者にはいろいろな欠陥があると思いますが、先日も泉さんからいろいろ伺いました。そういう点の改善もいろいろ必要でありますが、主税局並びに国税庁の間税部の方々が業者の立場を十分に理解して、一つあたたかい気持で善処していただくようにお願いいたしまして私の質疑を終わります。
  89. 小川平二

    小川委員長 堀昌雄君。
  90. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは本質的なことをちょっとお伺いしたいのですが、今佐藤さんがみりんの話をしておいでになりましたから、引き続いて、この前みりん業者のシェアの変化をお伺いしておきましたから、お答えをいただきたいと思います。
  91. 上田克郎

    ○上田説明員 この間いわゆる本みりんの方で、堀先生お話、いわゆる小業者が全体のシェアで二一%、三十五年度のあれが二一%にすぎないが、大業者の上の二社でほとんど約七五%くらいのシェアを取っている、そういうお話がございましたので、みりんの甲類で一応そのシェアの傾向を申し上げてみたいと思います。  いわゆる小業者のシェアが昭和三十一BY、三十一酒造年度で二八%ございます。それが三十二、三十三、三十四とどのような変化をいたしたかを申しますと、二八から二六・九、二五・一、二一・八、三十五年で二一・〇、そのような変化をいたしております。お聞きの通りシェアはだんだんと減少していく傾向にございます。しかしながら絶対量から申しますと、三十一年からの、このその他の方の絶対量の伸び指数を申し上げますと、三十一年から三十二年の対前年比は一一二%、これはほとんど清酒よりも伸びている格好でございます。それから三十三年に参りまして一一〇%、三十四年には一二一%、ただ三十五年は若干伸びが落ちましたが、それでも一〇九%という数字示しております。シェアはだんだん減っていきますが、絶対量はふえていく、そういう傾向を示しております。  ついでに、みりん全体、本直し等を含めましてシェアを御参考までに申し上げますと、本直しまで含めますと、その他の方のシェアは、三十一BYでは二八・五%でございます。同様に三十二年からの変化を一応とりましたが、三十二年には三六・一%、三十三年に三三・六%、三十四年に二九・五%、それから三十五年はただいま申し上げました二八・五%、これはごらんの通りやはり減少いたしております、なお絶対量から申し上げますと、みりん全体での絶対量は、先ほどの本みりんに比べますとシェアは減っておりまして、伸び方は本みりんほど伸びておりませんで、三十二年から三十三年にかけての伸び率は九二・九%で、逆に約七%減っております。それから三十四年になりますと、前年比で一〇一・六%で、ほとんど横ばい、三十五年には九九・一%、まあ横ばい、そういうような傾向を示しております。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 絶対量はふえておるとおっしゃいますが、そのふえておる絶対量というのは、大手が入っての絶対量でございましょう。今の中小といいますか、二一%のシェアに該当する業者の絶対量がこういうふうにふえているのですか。
  93. 上田克郎

    ○上田説明員 本みりんの絶対量の指数は、その他のいわゆる二一%の方たちだけの絶対量の伸びでございます。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、私どこで見たかちょっと覚えておりませんが、本みりんだけについて見るならば、総体の絶対量が今の伸び率よりは著しく伸びておると思います。というのは、シェアが減っておるにもかかわらず絶対量が伸びておるということは、総体としていえば、さらにこの伸び率より大きな伸び率示しておるということになると思いますから、問題は別でありますが、ここで私、実は昨日資料を調べておって気がつきましたので、ちょっと知識がないのでお伺いをしたいのですけれども、しょうちゅうに甲類、乙類とございますね。この甲類、乙類については、蒸留器の性能か何かの相違で、片方はかなりコストが高くなる、片方は安くなるということで、同一製品が終末では出てくるにもかかわらず、税率に差があるようにそこで見受けたわけです。それは、この税率に見合うほどの差がコストの中に出てくるという計算の根拠があるのでしょうか。
  95. 村山達雄

    村山政府委員 これはコストももちろん違いますが、でき上がってくる製品が相当違うものでございます。甲類でございますと、連続式蒸留器でございますので、実際は九十八度くらいで、純粋アルコールに近いものが出て参るわけであります。それを薄めていくという形でございます。乙類の方でありますと、例のフーゼル油とか、それからアルデヒドとかなんとかいう不純物、不揮発性のものが残ってくる。それが残った方がうまいという人もあるそうでございますが、不純物が残ってくるという点で相当違ってくるわけであります。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 片方はアルコール蒸留器のようなもので、片方は普通の何といいますか、原始的な蒸留器なんだろうと思いますが、これを税率で見ますと、これは一・八リットル当たりでありますが、二十度もので甲類は六十三円に対して乙類は四十八円六十銭でありますから、この差額が約十五円くらい一・八リットリ当たりあるわけです。この差が今のコストと品物の性質によって違う、こう言われておるわけですが、終末価格が同じだから、終末価格が同じであるということは、私はやはり製品が同じであるということでないと、製品が違うのなら終末価格が違わなければおかしいと思う。私は今の答弁は、コストが違うから、その分だけは基本的な生産の容態が違うということで、税率が違うというのなら理解はできるのですが、多少ものがまじっているとかどうとかということで終末価格が違うのなら話はわかりますが、同一価格になっている点では理解ができないのですが、そこはどうですか。
  97. 村山達雄

    村山政府委員 理論的に厳密に申しますれば、堀先生のおっしゃる通りでございます。コストの違いだということでございます。従来も単位数量当たり十二円程度の税差を設けてございます。それはコストの違いだと言われておるわけであります。今度さらに三円の価格差をつけたということでございます。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 これまでと今度に差がついたということは、そうするとそれはコストに差がついたということで出ておるのでしょうか。私はどうもこの税額の取り方がそういうことではなしに、何かどっちか片方固定した格好で出ているのじゃないかという感じがするのですが、これを出してきた経緯をちょっとお伺いしたい。
  99. 村山達雄

    村山政府委員 これは標準物は普通は二十五度で計算しております。二十五度でありますと、従来は十六円ちょっとのところでございますが、今度は二十円でございます。これも大体のコストの違いというところをそれほど厳密には計算しておりませんが、大体の考えられるコスト差がつきつつあるというところをにらみ合わせまして考えておる。それでは今の二十度物の計算は、それの二十五分の二十としまして、特に今の密造対策の関係がありますので、それから従来通り一割引いておる、こういう形で税率が組まれておるるわけであります。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで今度はもう一つちょっと伺いたいのは、専売アルコールですね。専売アルコール払い下げの価格と自家製造のアルコール原価といいますか、大メーカーの自家製造アルコール原価といわゆる専売による払い下げ価格との差は今一体幾らでしょうか。キロリットルでもどちらでもけっこうです。
  101. 村山達雄

    村山政府委員 たしか、今資料を探しておりますが、かなりものによって違いますが、一石当たり五千円くらいの差はあるように覚えております。
  102. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでこれはまたみりんに返るのですが、本みりん製造者の中で、新式みりんと旧式みりんというのは、新式みりんというのは自家アルコール製造業者が自家製のアルコールを使ってやる。それから旧式みりんというのはいろいろ皆さんのお骨折りによって専売アルコールを購入して、それを土台としてやる、こういうふうになっているのですね。そうすると原価上におけるコスト差が、今おっしゃったように行当たり五千円ある、こういうことがはっきりしましたね。しょうちゅうの場合には税制の差が甲類と乙類については、理論的にはコストの差をもとにして、要するに蒸留器によるコストの差をもとにして税制に格差がつきましたね。甲類と乙類と。それならばアルコールを自家醸造しておる者と、それから専売払い下げによるものとの間の石五千円の差は、当然私はこれと同じものの考え方によって、末端における品物が同一であっても、税率において格差があってしかるべきだと思いますが、それはどうですか。
  103. 村山達雄

    村山政府委員 先ほどこのアルコールの甲類、乙類のお話をしたときに、末端価格が同一である場合にかかわらず、税率の差があるのは何か、だから末端価格を同一にすべきであるという前提をとった場合には、おっしゃるようにコスト差しかございませんということになるだろうと思うのです。ただ実際問題としてはこの製品が全く違うということは事実でございます。ですから今の末端価格という問題を除いて考えれば、これは末端価格を同じにするかどうかは別問題でございますが、除いて考えれば当然そこに税差はあっていいのだ。コストの問題でなくて、消費税プロパーの立場で考えまして、ただその場合にはもしそうであるとすれば、末端価格においてもその差をつけるべきではないか、こういう理屈にはなろうかと思うのです。ですからはなはだ不明瞭なお答えをせざるを得なかったわけですが、実は税差というところを、税制の方だけで言いますと、実は酒類が違うという点も同時ににらんでおるわけでございます。これに対しまして単純に今のコスト理論からくる旧式みりんあるいは新式みりんということは、これは製品が同じでございますので、直ちに盛るわけには参りません。その点はこれは企業対策の問題でございますので、国税庁の方でせっかく専売アルコールその他の払い下げを願っておるという問題でございます。もしコスト差があった場合には税率も違うべきであるというのを正面切って出しますと、これは消費税でなくなりまして、すべての酒類についてその問題が出てくると思っております。ですからコスト差の問題は実はほんとうに言いますと、税率の問題では従来表面的には問題にならないであろう、やはり酒類の性質からくる問題というのが、やはり税率をどうするかという問題の基本でなければならぬというふうにわれわれは考えておるわけであります。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 話の筋道からするとやはり理解しにくいです。おっしゃるようにしょうちゅう甲類と乙類と度数が同じで価格も同じにしているわけですね。   〔委員長退席、毛利委員長代理着   席〕 だからしょうちゅうという名称は、なるほど飲んでみると多少味は違うかもわかりませんが、しかし少なくともしょうちゅうとして価格が末端価格全部同じです。これまでも同じ、今度も同じ、そうしてその税差はこの前と今度の間で差が違うわけです。だから私が今あなたに伺ったのは、一体この前と今度の税差はなぜ違うのかと伺ったら、それはコストの差で変えたのだと今お答えになったわけですよ。税差があるのは何かというと、それはほかにも要素がありましたという点は了承いたしました。しかしその税差が今度変わってきたのは何かといったら、それはコストの変化を考慮いたしました、三円か幾らか考慮した、そうするとものの考え方の中にウェートが非常に入っているわけだから、それはものの考え方の筋道としては、これは一つは甲類のしょうちゅうと乙数のしょうちゅうは私は業者対策があると思うのです。甲類しょうちゅうというのは大企業だと思うし、乙類しょうちゅうというのは中小企業者でありますから、当然そこで中小企業者が陳腐なる機械を使って製造しておるところは、しょうちゅうとしては、ほぼ同じようなものが出るけれども、しかしそれは結果として出ているわけですよ。別のものを作ろうと思ってやっているということよりも、機械がいいか悪いかによって、結果として起こる差がついておるだけであって、当初の目的は同一の原料からやっていると思う。全然これは違うのですか。片方はイモを使い、片方は米を使うというように、甲類と乙類は原料まで違いますか。
  105. 村山達雄

    村山政府委員 今のお話、まず末端価格を固定さしておいてお話しになると、理論的にはそこへいかざるを得ないということでございます。私は率直に申しますと、末端価格を固定すべきものであるかどうかという点についてもう少し検討を要しますが、その点に問題があるのではなかろうかと思います。税率としては、コスト差ではなくて、本来はその性質の問題であろうということでございます。そうであるといたしますと、しょうちゅう乙は、今お話がございましたが、原料においても違います。しょうちゅう甲類はほとんどイモから作っておりますが、乙の方でございますと、これは今の酒かすを使ってみたり、澱粉、米とか、いろいろなものを使っておるわけでございまして、必ずしもイモを使うとは限りません。においも、片方は無臭で片方はにおいがある。味も、片方はほんとうに純粋な味でございます。片方はやはりフーゼル油その他、不揮発性のものが多少残っておるという問題がございます。そういう点がございますし、このしょうちゅう甲類、乙類の税率の差というものは、昭和十五年以来ずっと置かれておるわけでございます。この際そこを理論的に詰めて一挙になくすということも、どんなものであろうかということでございます。ですから、末端価格を押えてこられますと、なかなかつらいところがございます。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 私はしょうちゅう論議をするつもりではないのです。実はしょうちゅうも今のような御趣旨なら、乙類の二十度物のようなものは、もっと下げるべきだ。密造酒が出ない程度にまで下げていいのではないかという気がしますが、これはあとでしょうちゅうのシェアの変化も伺いたいからあとに残しますが、問題は、比較的性格の似ておるみりんの場合に、今おっしゃったようにコストで一石当たり五千円大手の方が安いものを使い、中小のものが、専売アルコールを払い下げていただいたにしても五千円高いものを使って、同一の税率で同一の終末価格で売れというのは、どうも私は、さっき上田間税部長の言われた中小企業対策の逆を行っているような気がして仕方がないのですが、そこのところを、それは逆ではございません、これが順でございますといえるのか、いや逆でございますというのか、ちょっとそこをどちらからでも……。
  107. 村山達雄

    村山政府委員 この表は民間の平均でありまして、コスト差に従いまして値段も違うわけですが、平均いたしますと石当たりで二万一千六百四十八円くらいでございます。それに対しまして専売アルコールでございますが、これが一万七千百七十三円ということでございます。約四千五百円くらい、これは非常に違っておるということでございます。今の旧式みりん、それから新式みりんの問題は、でき上がったものが全く同じだというところに、税率を違えるということが非常に困難だということでございます。もしそれをとりますと、これは全酒類に波及してしかるべし、こういうことになるのだろうと思うのでございます。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 順か逆か、間税部長でけっこうです。
  109. 上田克郎

    ○上田説明員 しょうちゅう甲類の値段と乙類の値段は、基準価格で、同一の基準価格で一応出しておりますが、実際問題といたしましては、実は最近の好みでございますが、従来はしょうちゅうといえば大体乙類のしょうちゅうだったようでございますが、最近甲類のしょうちゅうが好まれるというような格好になっているようでございます。どうしても甲類に押される傾向が、同じに並んでおりますとあるようでございます。地方によっては違いますが、鹿児島では本格的な乙類のしょうちゅうの方がよけい売れるということのようであります。そういうような関係で、実際コストも高いが、同時に売るためには若干基準価格よりも、たとえば銘柄物の甲類がある値段、基準価格あるいは基準価格よりも若干アップした値段で売れる場合には、若干基準価格より下回ったところで売らないと、乙類は並べておくと売れないという現象があるようでございます。税率の差がありますと、そういう点でコスト差が一体どの程度までかということになりますが、乙類はやっとそれで売っていける、小さい方はそれで息をついておられるということになろうと思います。それは順と言えるのではなかろうかという気がいたします。
  110. 堀昌雄

    ○堀委員 私が逆だというのはみりんの方です。みりんの方は中小の方が高いコストのものを売らなければならない。コストの高くかかっておるものを、同じ税率で同じ価格で売らなければならない。しょうちゅうの方は大手と中小の間に多少配慮がされておる。そうしてみるとあなたがさっき中小対策はいろいろしなければならぬと言われた、そういう考え方とは逆じゃないですかということを言ったわけです。
  111. 上田克郎

    ○上田説明員 みりんの問題につきましては、従来の甲、乙、今度本みりん、本直しとなっておりますが、生産方法が全く同じで、ただ大規模かどうかという点で、しょうちゅうの場合のように連続式蒸留器あるいは単式蒸留器、それでできてくるものが違うというのではなしに、でき上がったものは全く同じだ。そうするとコスト差があると税率差を設けるべきかというと、これは酒屋にいたしましても醸酒屋にいたしましても、それぞれコスト差というものがあるわけです。それを一々理論的に税率に織り込んでいくことは困難だろうということになるわけであります。しかしいずれにいたしましても、原料になるアルコールの生産費というものは、商売をやっていかれます場合に相当大きな影響を持ちますが、ただいま主税局長からも御説明申し上げましたように、実はアルコールの甲の点をとりますと、その会社によりまして極端にはピンからキリまで——政府のアルコールでございますと、ピンと申しますかキリと申しますか、コストの安い方になっております。その安い方と同じものを甲類の製造者がみなそれだけのコストでできるかというと、必ずしもそうではない。しかし一流のところはその付近で作っている。そうすると一々そこまでの値段のアルコールを乙類の小みりん業者に供給して、少なくとも原料費のコスト、直接のコストを下げてやるような努力は従来もやってきたわけです。初めは原料アルコールの中の五〇%を安い専売アルコールだったのですが、最近は七五%まで専売アルコールでというようになりました。その先の二五%は、この間申し上げましたように専売アルコールを食料品に使って、他のしょうちゅう蒸留業者の権益を侵すのはけしからぬというような談論もありまして、安いから一〇〇%まである人に供給するということは、なかなか反対も多いのでできかねる。しかし実際問題といたしましては石数もそう大してございません。多くて四千石で、三石か三千五百石くらいでございます。まあしょうちゅう業者の方に、みりんの方は困っているから専売アルコール並みの値段で今後ともやるようにしてくれないかということで、慫慂はいたしております。そんな格好で、できるだけ直接コストは競争できるような形には努力いたしておるつもりであります。それで順かと思っております。
  112. 堀昌雄

    ○堀委員 これはたまたま具体的な例の中に出ておりますが、今後の酒数の中で今問題がありますのは、しょうちゅう合成酒とそれからみりんが、格別大手と中小の間に差がある。清酒もだんだんそういう傾向になるでしょう。そこでこれは私の思いつきなんですが、しょうちゅうの甲数、乙類を見ながら感じたことは、精製石数に応じて何らか少し配慮を今後やっていくことはないのかどうか、ともかく一万石以上作るとか十万石以上作るものと、千石や千五百石作っておるものが同じ税率というのは、片や合理化はできる、宣伝はできる、非常に強力にいくわけで、今間接税というのはともかく一率課税というのがどうも原則のようですが、私は酒類はもっと減税をしなければならぬと思うのです。上の方を上げるということを言いたいわけではないのですが、下の方をそれらの競争が今後できるように、少し精製石数に伴った配慮をする必要はないのかどうか。これは中小企業対策の面として、さっき部長はお触れにならなかったけれども、今後われわれが真剣に検討してみる価値のある課題ではないか、こういう気がいたしますが、主税局長、あなたの感触はいかがですか。
  113. 村山達雄

    村山政府委員 率直に申しまして、非常にむずかしいことであろうという感じがするわけでございます。間接税の建前は、何といっても消費者を中心に考える税制になっております。それが技術的に従価税であるにしろ、従量税であるにしろ、これは消費者がその金額を支出する場合の話を考えております。他方において今の生産コストを考えていくというと、言ってみますとかなり直接税的な考え方の問題でございます。同様の問題は国税において、地方によってそれぞれ生活費が違うことを基礎控除に織り込めというような御主張も、一方においてあるわけでございます。これも理論は理論かもしれませんが、事柄の性質上非常にむずかしいのではないか。おそらく実行ということになりますと、非常な紛議をかもすのみならず、私は理論的には原則としては受け入れられない性質なのではないかと思います。かりにやるとしても、実行きわめて困難であって、かえって非常な不公平を来たすという予感がしてならないわけでございます。
  114. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 関連質問を許します。藤井君。
  115. 藤井勝志

    ○藤井委員 今中小企業メーカーとしての清酒業そのほかの税制にからんでの質問だと思うのでありますが、この前私は、西ドイツは、ビール税を施行しておるやり方が、作っておるビール・メーカーの規模によって税金のかけ方を変えておる、そして大メーカーが作っておるビールに対する課税は多く取る、小規模のメーカーに対しては少ない課税をやっておる、こういったことが西ドイツにおいては行なわれておることを、ある専門の雑誌で読んだのでありますが、そういった配慮を、今、堀委員からの質疑の中で、主税局としても一ぺん検討してみなければいかぬのではないか。われわれはもちろん究極的に消費大衆の利益を擁護するという、この大前提を無視するという考え方はさらさらない。ただ問題はそういったものを含めて、やはり中小企業をも大いに育成していくということが必要ではないかというふうなことを考えますので、西ドイツのビール課税方式というものを御検討していただいて、もちろん国によっていろいろ事情は違いましょうから、日本にそれが導入できるかどうか、御検討を願いたいと思うのでありますが、局長のこれに対する御見解を承たいと思います。
  116. 村山達雄

    村山政府委員 ドイツのビールに対する税率が、規模差によって差等が設けられておることは承知いたしておりますし、この点は非常に特異な例でありますので、そういう外国の資料について、こういう考え方があるということで、政府の税制調査会でも御披露しております。それだけではございませんが、そのときにも問題になったわけでございますが、消費税の基本を一体どこに考えるかという、大へん大きな問題でございます。おそらくその場合問題としては、転嫁困難という問題なんだろうと思います。コストがそれだけ違いますと同じ事情で同じ価格がついているときに転嫁は困難だという問題、物品税等にも相当ある問題でございます。その場合に、今物品税等を考えておりますが、その場合にはある程度はやむを得ない。それは要するに税もまた原価要素の一つであるということでございます。それがある物品について非常にむずかしいということでございますれば、それを解消する課税方法はどうであるかというような問題が、第一に考えられねばならぬ。今度物品税法でもただいまのと同様の問題を考慮いたし、まず課税段階の移行ということで調整すべきだということで、さよういたしているわけでございます。先般どなたの御質問でございましたか、今の景気調整との関係あるいは転嫁との関係という問題とまさにぶつかる問題でございまして、価格が形成されるときに、間接税というものがそれぞれ即論的にそこの原価要素の一つをなしている。中小企業と大企業とに同じ原価要素を与えたときに、その作用が違ってくることは当然でございます。そういう問題として、これは総合的に検討すべき問題の一つであろう。ただ、今の消費税の、企業の採算面が違うからというだけの現出で、直ちに踏み切ることはきわめて危険であるというふうにわれわれは考えているわけでございます。
  117. 藤井勝志

    ○藤井委員 局長の今のお話ですが、西ドイツはどういう理由で企業課税的な思想を消費税の中へ取り入れて行なっておるか、一つその事情を局長からお聞きしたいことが第一点と、第二点は、これは一般的な抽象論になりますが、とかく、大蔵省というわけではありませんけれども、大衆消費者の利益を擁護するという名のもとに、結果的には大企業の擁護に回すということが起こることをわれわれはおそれるのでありまして、その点今度の酒税問題をめぐっていろいろ質疑応答いたして今日に来ておりますが、特に酒の関係においては酒団法というようなもので、いろいろ法的規制を受けておる。そういうワクの中で相当多数の零細な中小企業メーカーがおる。しかもそれが相当国の財源確保に役立っておる。こういう事情を勘案すると、簡単に割り切れない問題でありますので、先日も主税局長の答弁にいろいろ私は気に食わない点がございました。従って、そういった面については特段の配慮をしていただくことを、第二点として希望意見を申し述べておく次第であります。
  118. 村山達雄

    村山政府委員 ドイツでなぜこういうことが起きたかということは、これはわれわれ推測しているわけでございますが、ドイツのビールの歴史は非常に古いということで、現在約四万戸くらいの製造家がある。それからこれはおそらく数百年前から同じような税率構造を持っておる。当時、考えられますのは、製品課税ではなくて原料課税をやっておった。原料課税でありますとその問題がやはり出てきたのだろう、初めから製品課税という近代的な税制を持っておれば、ドイツもそこはなかなか踏み切れなかったのではなかろうか、これは私の推測でございます。一国におきましてそれぞれどんな税制をとるかというのは、いろいろないきさつがありまして、またどういうものがいいかということはそれぞれ違うかと思いますが、実際問題としてはかなり沿革的なものがあると思います。御案内のようにわれわれはいろいろ検討の結果とることを反対したわけでございますけれども、西ドイツでは多段階の売上税をやっております。各段階でずっとかけていく。こういったものも欧州大戦後の財源をまかなうためにとられたもので、一ぺんできますと、税制というものはなかなか根本的な改正はむずかしいということだろうと思います。先ほど申しましたような意味におきまして、この問題は総合的に検討すべき問題の一つであろうというふうには考えております。
  119. 堀昌雄

    ○堀委員 今、税制の理論的な血では、あなたのおっしゃる通りのいろいろな問題があると思うのですが、税というのは国の政治の機能の一部ですから、そういう政治的な要請がどこまで税制の中で譲歩できるか、こういうバランスの問題に結果はなってくると思うのです。今はまだそれほど問題が激しくないようですが、さっき私がみりんで拝見をしても、中小の小さいところのシェアはますます小さくなりつつある。時間がありませんから、しょうちゅうのシェアは資料で今度いただくことにしてきょうは伺いませんけれども、しょうちゅうも、おそらく合成酒も、みなそういう傾向にあるだろうと思うのです。  それから私ここで一つちょっと触れておきたいのは、酒類の広告の問題なんですが、ウイスキーの広告、ビールの広告は、われわれとしてはやや過度に過ぎるではないかという感じがするほど広告が現在行なわれております。こういうふうに大企業であるものはふんだんに広告をする。広告をするだけではなくて、直接に、たとえば自分たちの直営ビヤホールというのですか、そういうものを作っている。あるいはいろいろなバーのようなものを特殊な格好で作っている。資本主義の発展というものは、マルクスが言った通り発展酒類の中でもやっておるわけですね。巨大独占化という方向は、今われわれはまのあたり見るところであって、私はこういう点について、広告等の問題も少し配慮をする必要があるのではないかと思うのです。特に私はビール感じるのですが、ビールは御承知のようにびんがでたらめですね。アサヒビールのびんにキリンが入ったりキリンビールのびんにアサヒが入ったり、てんでびんはめちゃくちゃです。冷蔵庫で冷やして出してきて、レッテルがはがれていたらどこのビールかわからないというのが、実は日本の現状なんですね。しかしビール会社は、コストを狭められているから、なかなかそういうびんのところまでは手が届きませんと言うでしょうが、片方では内部留保をやってどんどん新設工場ができてくる。片方でははでな広告がずいぶん出てくる。こういう点を見ると、私はもう少しびん等の問題についても考えて、出てきたびんを見たら、レッテルがはがれていても、アサヒビールはアサヒビール、キリンビールはキリンビールとわかるようにすべきだと思う。これはびんの回収の過程の中でちょっと配慮すればいい。キリンはキリンのびんだけ買い取ればいい。何もアサヒのぴんとキリンのびんを一緒くたにして買い取ることはない。そのくらいのことは今でもできる。私は何も市場に出ているびんを全部つぶせばいいと言うのではない。キリンはキリンで回収します、サッポロはサッポロで回収します、アサヒはアサヒだけ回収しますといって、その回収くらいは少なくとも良心的に行なうべきではないかという感じがします。そういう広告は、私は過当広告と思いますが、その過当にわたる広告の部分と、今ビールについていえば、そういうびんの問題等について、これは主税局、国税庁、どっちの所管かわかりませんが、お答えできる方で一つ答えていただきたいと思います。
  120. 村山達雄

    村山政府委員 ビールについて、今後そのびんは、自社製のびんはやはり自社で回収して、キリンならキリン、アサヒならアサヒとはっきりさしておく方が、さしずめ消費者の利益になるのではないか。将来のことを考えましても、いろいろなびん詰作業あるいは箱詰作業その他考えますと、やはり合理化の方向に向かうし、それだけコスト・ダウンができるのではないかということで、その方向に向かうべきものであろうと考えております。こういう減税の際に、何とかしてその方向に切りかえていくように、国税庁の方とも相談して持って参りたいというのが、実はただいまの考え方であります。  広告の問題でございますが、確かにわれわれテレビを見ておりまして、これはビールに限らず、ずいぶん盛んなものであるということを感じております。税制の問題といたしましては、指導面は別でございますが、いわゆる広告税の問題、あるいは広告費否認の問題がございます。これらにつきましても目下いろいろ検討しておりますが、何分にもこれが過大であるかどうかという問題、それからこれが事業を伸ばす上に、一体本質的にいって必要なものであるかどうか、現在の経済体制その他を考えまして、目下検討しておる段階でございます。
  121. 堀昌雄

    ○堀委員 それは一つ御検討いただきたいのですが、これはやはり中小との関係もあるのです。片方は広告しようにも広告費も出ないものと、さっきのみりんの話でも、広告が出れば宝みりんか、野田の方上ですか、こういうものの広告しか目につかないということになれば、そういう点でも実は相当な差がつくわけですから、そういう面でもお考え願いたい。  時間がありませんから先を急ぎますが、酒類販売上の問題ですね。皆さんの方の資料を拝見しても、非常に酒類の販売量がふえておるにもかかわらず、酒類の販売業者は卸、小売ともに、昭和十五年に比べて非常に減っておりますね。パーセンテージで見ると、卸が一三・九%ですか、小売が二八・八%、ビールを含めて、二一と二八ですから、戦前よりは大体四分の一程度に販売業者が減っておる。酒類の移出数量は非常にふえておりまして、清酒で一八三%、ビールで四七三%というふうにふえております。人口も三割二分ぐらいふえておりますが、販売する場所が非常に減っておるということは、どうもやはり流通段階でもう少しスムーズにいくべきが、ひっかかりを起こす一つの条件になっておるのではないかという気がいたします。税制調査会の答申でも、「酒類の原料の自由化の傾向、酒類消費数量の増加等に即応した販売機構がいかにあるべきかを考慮しつつ、時宜に応じて所要の措置を適切に講ずる必要があると思われる。」こういうふうに触れられておるわけですが、これに対する態度は一体どうなりましょうか。
  122. 上田克郎

    ○上田説明員 実は戦争前と——戦争になりましていろいろな企業整備が行なわれまして、また酒の量も少なくなりました。そのときに整備されまして、小売の常数なども、これはいろいろなとり方がございますが、一般に二、三本置いておっても小売といっておったようなときも昔はございまして、とり方でございますが、小売の常数は、あの当時から三分の一くらい減っておる。現在の数え方でありますが、十二万とか十万とか、いろいろ言い方はあります。小売の方はよく十万といっておられます。その十万の小売の方で、大体戦後はほとんどわずかずつしか伸びないできておられる。現在は大体十万といっておりますが、それに酒の伸びは、今御指摘のありましたようにどんどん伸びておる。これではいわゆるパイプが先細りになって困るのではないかというような一般論も、現在相当あちこちで聞かれるわけです。われわれといたしましては、かつて小売業者あるいは卸売業者の免許をする際には、小売業者や卸売業者の方の生活を守るために、できるだけそういう組合の方の御意見を聞いた上で、新しい免許をするようにというような国会の附帯決議がございます。それに即応いたしまして、できるだけ小売の方、卸の方、組合の方の御意見を聞いて従来やって参りました。反対だとおっしゃれば、なるべく免許しないでおくということで現状まで至ったのです。ところが、何と申しましてもいろいろな形で消費者層もふえましたし、量もふえましたし、また地域分布もいろいろ変わってきております。その実情に沿うような免許を当然考えなければならない。原則的にはそのことでずっと参ったわけでございます。実際問題といたしまして、そういう従来の、なるべくならば意見を尊重するようにということで、反対があれば、まあまあというわけでたな上げしておくという現象がございまして、なかなか伸びなかった。しかしこれもここまで酒の量がふえて参りますと、このままではいかぬのじゃないか。だからことしの課題は——去年度生産関係の自由化ということに一歩進めたと考えておりますが、今度は流通段階の自由化と申しますか、免許の緩和と申しますか、実情に即応した緩和を考えていくべきではないか、そういうのが今のわれわれの課題だと考えて、そういう方面で問題を処理していこうと考えております。
  123. 堀昌雄

    ○堀委員 大へんけっこうですから、何とかして一つ、そういう方法で御配慮いただきたいと思います。   〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕  次に、従価税の問題についてちょっと伺いたいのですが、さっきから洋酒の輸入関係で問題になりましたが、洋酒の輸入の保税地域からの引取価格と現実の小売価格との間には、どのくらい差があるのか。サントリーではなくて、ジョニー・ウォーカーの黒と赤ですね。おわかりになっていれば教えていただきたい。
  124. 村山達雄

    村山政府委員 これは最近現在でございますが、シフ価格で申しますと、ジョニー・ウォーカーの赤、これは七百二円でございまして、小売価格三千八百円、ジヨニー・ウォーカー黒、千六百十三円、小売価格九千円であります。
  125. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今度の従価税で問題になりますのは、皆さんの方では保税地域からの引取価格に対する従価税ということに考えておられるのじゃないかと思いますが、そこはどうでしょうか。
  126. 村山達雄

    村山政府委員 さようでございます。引取価格に対する従価税でございます。従いまして関税がかかれば、関税込めのところできまって参ります。
  127. 堀昌雄

    ○堀委員 今の関税を込めての引取価格は幾らになりますか。
  128. 村山達雄

    村山政府委員 ジョニー・ウォーカーの赤で四百十八円プラスになりますので、引取価格は千百二十円、それから黒でございますと、やはり四百十八円加わりまして千四百八十一円でございます。
  129. 堀昌雄

    ○堀委員 そうしますと、これは今は皆さんの方では、従価税の非課税最高限度額等、政令で定めるものはまだきまっておらないのですか。おらないとすれば、これはちょっと今ここで議論ができませんが、引取価格が千四百円のものが市場価格小売価格で九千円になるとすると、これは今の従価税のものをかけてみても非常に差があり過ぎて、従価税として国内産のものととてもこれはバランスがとれませんね。一体ここは皆さん、どう考えておられますか。
  130. 村山達雄

    村山政府委員 従価税をとる場合に、小売価格をとるか、あるいは製造者価格に相当する移出価格をとるかという問題は、もちろんあるわけでございます。本来からいいますと、酒税でございますから、これは酒税に限らず、従価税をとる場合には、小売価格をとるのが理論的だろうと思うのであります。しかし実際上の取り締まりの問題からいいますと、小売価格はほとんどとりにくいということで、現在物品税でも同じでございますが、ほとんど九〇%まではメーカー価格に対する従価税でいっているわけであります。酒税につきましても、それらのことを十分検討いたしましたが、残念ながらいろいろな執行面の確実を期するためには、これはやはり移出価格によらざるを得ない。国内器につていも、メーカーの製造場からの移出価格によらざるを得ない、こういうことでございます。
  131. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると皆さんの方の法律によると、ウィスキー特級は百分の百五十という従価税ですから、価格の制限は当然ジョニー・ウォーカーの黒ならひっかかりますね。ひっかかるとすると、千四百八十円のものに従価税をかけて、そうして小売価格酒税価格の比率で見ると、大体どのくらいのところになりますか。現在はジョニー・ウォーカーの黒はわずか七・七%なんですが、これはどのくらいのところまで上がりますか。日本産のウイスキーならば大体四〇%くらいのところになっているようですが……。
  132. 村山達雄

    村山政府委員 約二五%くらいになるだろうと思います。
  133. 堀昌雄

    ○堀委員 どうも従価税——今の捕捉の問題から引取価格のところで課税するということでしょうけれども、九千円というような価格が生じるのは、これは大体小売価格というのはこういうきっちり出ているところを見ると、何か基準価格があるのですか。小売価格はどうして出すのですか。
  134. 村山達雄

    村山政府委員 ウイスキーその他の雑酒については、基準価格は何も定めはございません。これは御承知のように、そのときどきの入り方によって非常に差のあるものでございます。入りますとこの九千円がぐっと下がるということで、おそらく九千円でございますから、この相場はジョニー・ウォーカーとしては最高の値段が出ておると思うのです。ですから、二千円くらいの幅はしょっちゅうあるわけでございます。ブランデーでございますと、これは私の個人的な考えでありますが、最高の値段は五千円くらいの開きは絶えず出て参る。これは従来輸入割当をしております関係で、非常な希少価値が出てきまして、その間介在しておる人たちが非常に多くて、結局マージンとなって加わってしまうということでございます。
  135. 堀昌雄

    ○堀委員 自由化をされたあとはどうなるかわかりませんから、ここでは時間がありませんからこれまでにしておきますが、やはり従価税の問題は、国内のものと国外のものとが、そういう点ではかなり問題が残るのじゃないかという感じが私はしますので、この点については何らかの御検討を願いたいと思います。  最後に、特殊用途酒類の廃止を今度皆さんの方では提案をされております。そこで税制調査会の資料を拝見しますと、どうしてこれが予算の分が出ておるのかわかりませんが、消費数量昭和三十六年度予算というので出ております中で、清酒一級が三千石、それからビールが六千石というのが出ておりますね、特殊用免税酒類。そうして現行の税制がもし通ったとするならばというので、一級については百十一円五十七銭、依然として減税後も特免価格との間に差がある。ビールについては、一本当たり八円の差があるということが出ておりますが、ちょっと私これは目の子算で計算をしますと、両方入れて四千五百万円、あなた方はこれによって増税をすることになる。塊状として、安い酒をもらっておる人たちから特免を取り上げることによって、農民その他ここの適用になる人たちから四千五百万円ばかりの増税をすることになるのです。今度の酒税法律減税法律だと思ったのですが、増税を中で隠れてやるという、まことにおかしなことが行なわれているのですが、これについてはあなた方はどう考えておりますか。
  136. 村山達雄

    村山政府委員 これも、もともとが非常に沿革的な税率でございます。もし一般的減税が今後進みまして、そしてこういう格差を認める必要がなくなるときになったら、できれば廃止したいということはかねがね考えておったわけでございます。今度大幅に減税をいたしますと、大体現在の税率が二級酒で言いますと、百五十三円現在メリットがあるわけであります。これに対しまして、今度の残る税金が百五十三円になるわけでございます。それに百五十三円であったものが今度減税いたしますと百五十四円、一円ばかり高くなりますが、ほぼ同じくらいになる。それで合成清酒でございますと、多少ございますが、これらの高級のものは現在のところを言いますと、あまり特殊な用途には出ておりませんで、自家用に使われておるものが大部分でございます。
  137. 堀昌雄

    ○堀委員 なぜ予算のあれを使っておるのか知らぬけれども、あなたの方の税制調査会の答申二百六十八ページには百四十八表にちゃんと出ておるのですよ。清酒類として特殊用途酒類Aとして三千石、二級として九万四千石というふうに出ておる。あなた方はここに一級三千石と出しておるならば三千石に百十一円をかけるのです。そうすると三千三百四十五万円、それからビール八円というのはこれは間違いなく出ておって、これも六千石とあるのだから、これをかけ合わせると、約一千二百万円、これだけあなたの方の資料で——私は自分で資料を作って言っているのではないのですよ。
  138. 村山達雄

    村山政府委員 私も同じ資料を見ておるわけでありますが、ただ一級と高級のものは、実際は特殊用途免税として農家の方には流していないのです。これはいずれも従来の沿革からそれぞれメーカーが使っておる特殊用途の酒類でございます。ですから下級酒の方、下級酒といいますか、税率の低い方、これは主として農家の方に行っておりまして、ビールとか一級とかいうものは農家には流しておりません。
  139. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、それは自家用特殊用途酒類ですね。その中に「清酒合成清酒、しょうちゅう及びビール製造者が労務者等の飲用に供する酒類で、所轄税務署長の承認限度内の酒類」、そうなれば今度は労務者が逆にそれは大へんだ、われわれ労働者の利益を守らなければならぬのが、これは四千五百万円も増税されるのでは、これはなかなか重大問題ですが、これはやはりあなた方は増税だと言わざるを得ませんね。増税になりますね、四千五百万円という。
  140. 村山達雄

    村山政府委員 これによって確かに税率は違ってきますから、増収になることは確かでございます。
  141. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきから局長は税制には沿革があるということをしばしばおっしゃるわけですね。だから沿革があるものならば、その沿革を尊重する必要が第一あると思う。それではおっしゃるようにだんだん税率が下がってきて、そういうものに触れるものがなくなった場合には自然なくなる。沿革があって既得権としてあるものを、こういう格好で取り上げるということは、私はあなたの今までのお話とややこの点趣を異にするように思うので、私は特殊用途免税を全部廃止するのではなくて、下に下がったものはよろしいからはずされていいと思うのです。ただ上がっておるものはこれから少なくとも除くべきであると思う。だから合成清酒としょうちゅう類はけっこうです。清酒の二級も一円ですから、一円くらいはまあいいと思いますけれども、一本当たり百十一円であったり、ビール八円も違うということならば、消費量の全面で四千五百万円になるわけですから、この点について私は与党の諸君も異存がないだろうと思う。こういう特殊免税を今特にはずさなければならぬ積極的な理由はないと思うので、この点あなた方はもう少し税率が下がるまでこれをやめるならば、私は今度の酒税減税法案だと思うけれども、これをあなた方が残すならば、これは減税に名をかりた増税法案だということになると思う。
  142. 村山達雄

    村山政府委員 実際はこの特殊用途免税という理由は、それぞれそこの従業員に飲ませるということでないと、特殊用途免税にはならぬわけです。そういう意味でまた特殊用途免税にしておるわけです。実際には従業員に売っておるというのは、ほとんどないだろうと思います。やはり従業員でございますので、メーカーの負担において税金を納めてそれで飲ましておる。もし問題があるとすれば、どちらかといえば現物給与の問題の方だろうと思います。これで特に従業員にビール吊さんが、メーカー等で売っておるということは聞いておりません。ほとんど飲ましておる。
  143. 堀昌雄

    ○堀委員 それはどっちが飲まそうと、それは税制とは別の問題であって、だから税制としてはどっちが持ったらいいということではないと私は思う。これはあなた方はそういうことをおっしゃると、飲ますのが当たりまえだということを主税局長が、占ったから、一つビールや酒の従業員はとにかくただで飲ましてもらえよう、もし金を払ったら主税局長のところにねじ込むぞ、こういうことになってもいいか、ちょっと公の席上の答弁としてはいかがであろうと私は思いますが、どうでしょうか。
  144. 村山達雄

    村山政府委員 もともとがこれは戦時中の沿革の問題であり、数量も少ない点もありまして、かねがね機会を見て廃止すべきだということを考えておったということが基本でございます。おっしゃるようになるほど見ますと、ビールとかあるいは高級酒についてはありますが、これは農村にないということ、それからその実情が大部分実際は会社の負担においてやっておるということ、その辺を考えましてそれほど弊害がない、こう踏み切りまして——踏み切るのであれば今をおいてないという考えで言っておるわけでございます。
  145. 堀昌雄

    ○堀委員 実は天野政務次官が決算委員会にちょっと行くということでおいでを願ったら、一向にお帰りになりませんので、私は税制の基本問題について政府の態度が伺えませんので、これはちょっとやむを得ません。譲りますが、明朝またこの分だけをちょっとやらしていただきますから御了承をいただきたいと思います。終わります。
  146. 小川平二

    小川委員長 広瀬秀吉君。
  147. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 時間がありませんので簡単に伺いますが、酒税保全という立場から、原料である酒米の問題について若干の質問をいたしたいと思います。  現在酒米、それから主食の米、業務用の米、こういう三本立になっておりますが、これの販売価格一つ三本立のものをお示しいただきたいと思います。
  148. 田中勉

    ○田中説明員 ただいま私の方で米の売り渡し価格に採用しております価格は、主食用におきましては石当たり一万八百十五円、こういうことになっております。これは石当たり全国平均でございますが、この中には東京都とか、いろいろ級地によって違っておりますが、これは政府が卸業者に売る価格でございます。従いまして、末端の小売が消費者に配給する価格、それはこれよりも高くなるわけでございますが、一応それを申し上げます。それから業務用の価格でございますが、これは石当たり一万一千三百六十三円ぐらいだと思います。ちょっと今計数をあれしておりますが……。それから酒米の価格におきましては、これは石当たり平均一万二千五百九十五円というのがことしの売却価格、こういうことになっております。
  149. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 三本立の状況がそういう状況になっておるわけでありますが、この一万二千五百九十五円という酒米の価格は、いつ決定をされましたか。
  150. 田中勉

    ○田中説明員 この価格は昨年の十一月に決定をいたしました。
  151. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この酒米の価格の決定の問題につきましては、いろいろ疑問があるということで、第三十九国会において堀委員からも相当詳細な問題点をあげて質問があったわけでありますが、毎年この問題が問題になるので、基準価格がきまりさえすれば、あとはもう自動的にきまってくるというような、すっきりしたものにすべきじゃないかということで、特に中間経費としての運賃の問題、あるいは時期別加算の問題等が、当面最も問題となるだろうということでいったわけであります。その後その点についてすっきりしたものにしようということから、どういう検討がなされておるか。それでこの前の質問に対して、例の基準価格において六百五十円の値上げを生産者米価でやったということに対応して、この価格が四百円から四百五十円くらい上乗せという形になるのじゃないかという答弁があったわけですが、その点は結果的にどうなったわけですか。
  152. 田中勉

    ○田中説明員 酒米の価格の最終決定については、毎年十月から十二月ごろにかけまして、大蔵当局との関係におきましても、また業界との関係におきましても、決定の経緯が必ずしも円滑に運んでなかったという事実がございます。当委員会におきましても、過去二、三年来いろいろ御意見をいただきました。特に昨年におきましては、今後の酒米の価格の決定等については、大体大筋の線がきまりますればそれにのっとってかなり自動的に価格が決定されるようなことを考えろというお話がございまして、昨年の酒米の価格につきましては大体そういう線に沿いまして、私の方も酒屋さん、大蔵当局、食糧庁ということで決定をいたしたようなことでございますので、ことしの新米の酒米の価格については、大体昨年決定したような線に沿ってきめて参りたいという工合に考えております。政府の買上価格、生産者米価が毎年いろいろ変わって参るわけでございますが、そういうものを基準といたしまして、その間における政府の諸経費等々も勘案いたしまして決定をしておるのが現状でございます。ことしの米につきましては、大体昨年きめましたああいう大筋の考え方にのっとりまして、きめて参りたいということでございます。それから生産者米価が、昨年の場合は石当たり六百五十円値上がりしたという事実があるわけでございますが、当時私の方で算定をいたしたものにつきましては、その生産者米価の値上がりの要素はもちろん勘案いたさなければならぬわけでございますが、同時に、その間政府の諸経費を再検討いたしまして、先ほど申しましたように平均二万二千五百九十五円、これは酒米の価格でございますが、こういうことできまったのでございます。先ほど四百円とか四百五十円というようなお話がございましたけれども、これは私の方で中間的にいろいろ政府経費の見方等について見込んだ経過途上において、そういう見方も出てきておるということでございます。
  153. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 時間がなくて急いでおるので、そういうわかっていることではなくて、一万二千五百九十五円というのは前年度に対して幾ら上がったか、このことを端的に答えてもらえばよいのです。
  154. 田中勉

    ○田中説明員 三十五年度産米の平均は一万二千三百円でございましたが、三十六年度産米は一万二千五百九十五円でございますので、石当たり二百九十五円の値上がり、こういうことでございます。
  155. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういう工合にして原則的には、自動的にきまるようなすっきりしたものにしたいという点では考慮されているわけなんですが、この時期がいつでもおくれがちになる。そういう点で、今原則的に答えられた点は非常に重要なことであって、この決定がごたごたしたことは、業者にとって相当大きな問題になったはずであります。これは国税庁の方も御存じであろうと思いますが、栃木県あたり、たとえば新潟県から専門技術者を雇い入れるわけです。これは季節労務者の問題である。ところが、大体幾日ごろには価格がきまるであろう、そうしてそれによって配給操作がなされるであろう、こういうことを予想して、労務者を十人なり五人なりあるいは二十人くらい入れても、今度は米が、価格がまだ決定しないから渡らぬ、こういうようなことで非常な損害を受ける、こういう実態を国税庁はどんなふうにとらえ、どんなふうにお考えですか。
  156. 上田克郎

    ○上田説明員 従来は、と申しましても私の経験でございますが、一昨年の価格が決定いたしましたのは年が明けて二月になってからだったと記憶いたしております。ところが去年は十一月にきまりましたので、比較いたしますとかなり早目にきまったということになります。しかしただいま先生が御指摘なさいましたように、昔ならば最終価格がきまる前に、現物の輸送を暫定価格でお許し願っておったわけであります。ところが今回は、政府物資を暫定価格で出すということはいかがなものであろうかという原則論が出まして、それで当初われわれが予定しておりましたのより一ヶ月くらいおくれました事情でございます。大へん残念な事情でございますので、今後はそのようなそごがないようにいたしたいと思っております。
  157. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今後はそういうことのないようにするということでありますから、その点しっかりやっていただきたいと思うのです。これも結局酒米の価格をどういう算定方式を用いてすっきりしたものにするかという原則に返るわけですが、その点について突っ込んだ具体的な案の検討が今行なわれておりますか、大体の考え方をこの際聞かしておいていただきたいと思うのです。
  158. 田中勉

    ○田中説明員 先ほどお答え申しまして重複するようでございますが、昨年取りきめました一万二千五百九十五円という価格につきましては、大体生産者価格、それから政府の諸経費というようなものを勘案いたしましてきめた次第でございますが、大体この筋にのっとって私の方はことしの価格についても見て参りたいという考えでおります。
  159. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 時間がありませんから、いずれまたこの問題のこまかい問題を、日をあらためてやりたいと思っております。  一つ資料を要求したいと思うのですが、ビールの原料の需給関係、特に外国からの輸入、麦芽の輸入、こういうような状況がどうなっておるか、それとあわせてホップ等の輸入の状況、それから国内産の状況、あわせてビール麦と麦芽の輸入、これらの資料要求をいたしたいと思います。できるだけ早く一つ出していただきたい。きょうは時間がありませんので、簡単に以上で終わります。
  160. 小川平二

    小川委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後四時三十分まで休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後五時開議
  161. 小川平二

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国税通則法案及び国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。毛利松平君。
  162. 毛利松平

    ○毛利委員 先日、細田委員から国税通則法の問題について、総括的かつ詳細な質問がありましたので、十分意を尽くしておると思いますけれども、他の角度より、なるべく重複を避けながら数点について質問をいたしたいと思います。  国税通則法のねらいは、御案内のように三点に要約できると思います。その三点とは、現行の複雑難解な税法を、納税者にわかりやすいものにすること、各税法を通ずる基本的な法律関係を明らかにするということ、及び納税者の利益に着目しつつ、各種加算税や不服申し立ての制度などを改善合理化するということであると思います。そこで、今申し上げました三つのねらいのうち、基本的な法律関係を明らかにするというねらいについて、さらに具体的にかつ詳細に御説明を承りたいと思います。
  163. 村山達雄

    村山政府委員 こまかい点はいろいろございますが、そのうちの大きな項目を申しますと、まず納税義務の成立がいつ成立するのか、従って繰り上げ徴収、繰り上げ請求というのはいつまでいけるのか、こういう問題がはっきりしておりません。従いまして、どこまでいきましても繰り上げ請求は成立後でなければいかぬわけでございまして、そこまでしかさかのぼれないわけでございます。そういう意味で、各税ごとに、いっその納税義務が成立するかという点を明らかにいたしました。それからいつ納税義務が確定するのかという問題でございます。この確定の問題につきましては、時効の起算点、あるいは除斥期間の起算点の問題、あるいは利子税、延滞加算税の問題、あるいは脱税の既遂がいつ行なわれるか、こういう問題に関連するわけでございまして、これまた現行法ではそれぞれ解釈をまかされておるという状況でございます。その点を、納税義務の成立並びに確定といたしまして、明らかにいたしましたことが第一点でございます。  それから第二点は、その問題と関連するわけでございますが、従来賦課権と徴収権、この性質上の区分が必ずしも明らかでございませんでした。従いまして、その公示期間の制限らしき規定が各税法に書いてありますが、その性質上の差がはっきりしていないということでございます。ただ所得税法、法人税法あるいは相続税法等におきましては、通常の場合、三年間に限って更正決定ができる、この規定がございます。これは解釈上除斥期間と言われておりますが、他の租税につきましては、同じく課税権について、それが除斥期間であるのかどうか、またその期間は一体いつなのか、何年なのかという点が明らかでございませんでした。国税徴収法の方では、一般に税に関する債権は五年でもって時効によって消滅するという規定があるわけでございます。従来の解釈といたしましては、他の、三税以外のものの賦課権も、これは徴収法の五年でもって切れる、こう解釈しておったわけであります。解釈上おそらく賦課権は除斥期間であろう、こういうことを言ったにすぎないわけでございます。そこでこの問題を明らかにいたしまして、今度の改正案では、賦課権は、これは時効制度に服するのではなくて、除斥期間である。従って時効の中断、消滅ということはない。これを第一点として明らかにいたしました。しかもその公示の期間を、各税を通じまして、原則として三年ということにいたしました。ただ無申告の場合、脱税の場合は五年とするということに明らかにいたしました。  一方徴収権につきましては、これはすべて時効の制度に服するものである。従来通り五年といたしました。従って、時効の中断または停止に服するのだということにいたしたわけでございます。これが基本的な法律関係を明らかにした大きな第二点でございます。  第三点といたしましては、申告納税を例にとりますと、当初申告があって、その次にたとえば修正申告があり、さらに更正決定がある、こういうときに、だんだんもとの税額がふえて参ります。そのときに、最初第二次以降の処分があったときに、相互の法律関係、有効無効の関係はどうなるのかはっきりいたしませんでした。まあいろいろの説がございまして、それはそのときに後の処分は置きかわるのだという説、あるいはその部分が加わるのだという説、あるいはそのあとの処分が前の処分を吸収するのだというような説、いろいろ説がございまして、学者によりまして、いろいろの呼び方をしているわけでございます。今度はその点を明確にいたしまして、その増差額にかかわる前の部分はそれらの修正申告、更正によって効力に影響ございませんという点をはっきりいたしたわけでございます。従いまして、前の申告に基づいて、かりに滞納いたしておったといたしました場合に行なわれる徴収処分、これは当然有効ということになるわけでございます。大体解釈もそれが多数説を占めておりましたが、その点を明確にいたしました。  それから第四点といたしまして、所轄税務署という言葉を使っているわけでございますが、この所轄税務署の観念が必ずしも明確でないということでございます。住所地は絶えず移動があるわけでございます。申告の段階から更正決定の段階、それから再調査の請求の段階、審査の段階、こういうふうにずっと異動がございます。その手続と手続との間で移動がある場合、同じ手続間で移動がある場合、これらにおきまして、一体所轄税務署所轄税務署と言っておるが、所得税でございますと、一年間期間があるわけでございます。さらに更正決定になりますると、計算期間が一年ありまして、それから申告期間がその間また三月十五日まであるわけであります。それで再調査、審査といくわけでございまして、その間所糟税務署と申しましても、住所は転々と動くわけであります。そういうときに、一体どういうふうにして持っていくかということを明らかにいたしました。  その他こまかい点につきまして相当手を加えまして、それぞれ明確にいたしました。おもなる点を申し上げますと、その辺が大きな事項であろうと思います。
  164. 毛利松平

    ○毛利委員 ただいまの説明によって、基本法律関係の内容がどういうものであるかということはよくわかりました。  さらに、私は税法の民主化が国民の待望するところであり、またきわめて大切なことであると考えます。この見地に立って、国税通則法を制定するについて政府はどのような配慮をされたのか、その点についてお述べを願いたいと思います。
  165. 村山達雄

    村山政府委員 税法の民主化あるいは税制の民主化と言うときに、これはいろいろの考え方があると思います。われわれが考えました第一点は、何しろわかりやすいものにするということでございます。どんな税法でも、やはり国民の方がよくわからなければ、その上に立っての批判が起こり得ない。そういう意味で、何よりもわかりやすくしたい。これが民主化の第一だと思っております。先般もちょっとお答え申し上げましたが、大体千五百条中二百七十条くらい、条数で減らしたつもりでございます。それのみならず全体の構成を各実体法と手続的な通則法、それから滞納処分法、この三つに統一いたしまして、国民の国との税務行政の場面で接触するところは、ほとんど滞納以外は国税通則法に盛られているわけでございます。そこに統一的に書かれておりますので、それを見ていただければ、どういう基本的な観念であるかということもよくおわかりになるだろうと思います。そういう意味で条文を減らすということのほかに、体系的にもはっきりこの分野はここに帆走してあるということで、納税者の方々にわかりやすくしたつもりでございます。それが第一点でございます。  第二点といたしましては、大きな事項として、直接計算の問題として納税者に有利に取り扱うということでございます。その点は、附帯税の問題、加算税の問題等でございます。そのほかに、税務の救済手続につきまして、再調査、審査の請求を通じまして、同時にまた今度設けられます行政不服審査法あるいは行政事件訴訟法、これ自身が相当民主化になっておりますが、これと平仄を合わせながら、さらにそれらの両方考えを一歩進めまして、通則法それ自体の中において納税者の利益をはかっていくという点でございます。それから若干こまかい問題になりますが、今の所轄税務署をはっきりいたす。その場合、いつでも納税者の便利を考えて、新住所地の方に原則として窓口を持ってきたというようなこと、あるいは申告書の提出期限あるいは再審査の請求期間というような問題につきまして、期間を計算する場合、従来到達主義をとっておりました。これが当委員会でも過去において御指摘を受けたところでございますので、今度は各税を通じて発信主義をとったというようなこと、その他でございますが、おもなところは先ほど申したような点でございます。  それから、これは通則法そのものではございませんが、通則法と思想的に表裏をなしている問題といたしましては、間接税全体につきまして、今度申告納税制度を採用したということも、やはり同じ考え方に立っておるわけでございまして、原則として納税義務というものは、まず第一に納税者自身がきめる問題であるということにいたしました。これに伴いまして、従来の移出免税あるいは未納税移出承認というような問題は、今度は手数が省けまして、すべて申告段階で、そのことを申告すれば足りるようになったわけでございます。おもな点はさようなことであるわけであります。
  166. 毛利松平

    ○毛利委員 国税通則法が、税法を民主的観点に立って制定しようとしていること、またその趣旨、苦心のほどはよくわかりましたが、そもそも国税通則法の立法の試みは、わが国では全く新しいものであると思います。欧米の主要国においては、このような租税の通則法というものが存在しているのか、していないのか、その点をお伺いいたします。
  167. 村山達雄

    村山政府委員 アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの例で申し上げますと、アメリカ、ドイツ、フランス、これはいずれもございます。イギリスは非常に古い法典で、ございません。アメリカは単一法典主義をとっておりまして、内国歳入法の中に、第一編、たとえば所得税というふうに、ずっとありまして、通則法はその中の一編として設けられております、フランスにおきましても、やはり同じような単一法典の中の一章としての通則法は設けられている。ドイツはこれに対しまして、日本とちょうど同じような形でございますが、別にライヒ租税法というのがございまして、これが共通法の役割を果たしているわけでございます。英国は、税制を見ましても非常に歴史がにじみ出るような税制でございまして、そういった沿革の上に積み上げられた税制であります。従いまして、通則法は英国にはございません。
  168. 毛利松平

    ○毛利委員 英国のように何でも洗練され、進んだ国が、通則法を用いないという理由は、ほかに何か原因がありますか。
  169. 村山達雄

    村山政府委員 これははなはだ沿革的なものじゃないかと思うのでございます。ほかの法律もそうでございますが、判例の基礎の上に立ってすべてを解決していく、実定法は昔のままずっと置きますが、判例法でそれをずっと整備していく、実際は判例法の基礎の上にすべての法秩序が動いていく、こういうような国柄ではないかと思います。
  170. 毛利松平

    ○毛利委員 租税関係のうちで最も基本的な、納税方法についてお伺いいたしますが、この納税方法については、従来からも大別して申告納税方式と賦課課税方式とがあるといわれております。この両方のうちで、申告納税方式の方が民主的な納税方法であるといわれております。この点について政府の所見を重ねて承ります。
  171. 村山達雄

    村山政府委員 原則としてはお説の通りであると思います。やはりできるだけ申告納税方式に乗せ得るものは乗せていった方がいいと思います。そういう意味で、今度もおよそ申告納税方式に乗ると思われるものは、全部乗せたつもりでございます。
  172. 毛利松平

    ○毛利委員 ただいまの答弁で、申告納税方式が民主的な納税方法であるということはよくわかりながら、国税通則法で申告納税方式のほかに賦課課税方式が今なお残っておる理由は一体どこにあるかという点と、この際税務署長が税額を決定するという賦課課税方式をやめてはどうか、こういう点についてお伺いいたします。
  173. 村山達雄

    村山政府委員 申告納税方式の方が民主的であり、それだけ好ましいものだと思いまして、技術的にでき得る限りは全部今度申告納税制度に切りかえたつもりでございます。ただ残りました賦課課税方式と申しますのは、幾らもないのでございまして、一つは税関引き取りにかかる消費税、これは賦課課税にせざるを得ないわけでございます。と申しますのは、申告納税者でございますと、大体こちらに住所もあり、あるいは製造所もあって、通常その業務あるいは自分の所得を知悉しているものでございます。ところが関税でございますと、商品としての輸入物品のほかに携帯品もございます。輸入物品にいたしましても、絶えず日本に入れるとは限らないわけでございます。従いまして、その価格を一体幾らにするかということを本人に申告さしても、これはなかなかむずかしいわけでございます。またわからない場合には税関が査定いたすわけでございます。そういう意味で、その関税そのものが、内国消費税でなくて、賦課課税をとらざるを得ない立場にございます。もちろん一応形の上で申告はさせますけれども、しかしこれはほんとうに参考までにとるのであって、その査定価格が違いますと、それによりましてあとはタリフでもって課税せざるを得ない、こういうことになりますと、その上に乗っかる消費税もどうしてもこれは賦課課税にならざるを得ないということでございます。ですから、保税地域から引き取る消費税は、関税との関連でそういうことになっております。  それから第二番目は、若干性質が違いますが、取引税という商品取引によるものがございます。これは現行の建前では、それぞれ取引員が前月中の取引高を取引所を通じて税務署長に申告いたすことになっております。税務署長はこれをまたその取引所を経由して本人に対して賦課課税をする、こういう建前になっております。これはこの種の税の特殊性からいたしまして、一ぺんその中間に取引所の目を通す必要があるということによって、そういうことになっておるわけでございますので、この分だけはその税の特殊性から賦課課税として残さざるを得なかったわけでございます。  それから第三番目は消費税のうちの特別のものでございます。たとえばこれはほんとうにそんなケースがあるかどうか知りませんが、消費税ではこまかく手当しておりまして、たとえば移出した場合に、酒でございますと、場内へ来てだれかが飲んでしまったというと、その飲んだ人が移出したものと見て課税し、直ちに税金を徴収することになっております。この場合も申告納税しろと言ったって無理でございます。それからまたどろぼうがその物品なりあるいは酒を製造場から引き出したという場合も、移出の課税原因が発生するわけでございます。こういうごく例外的な即時徴収の場合の間接税につきまして、これを申告納税に期待することは無理でありますので、特に賦課課税の制度をとる。まあほとんどあり得ないことでございますが、そういうことでございます。それからもう一つとりましたのは、申告納税方式をとっておるものにつきましても、それが過少申告とかあるいは無申告である場合の加算税の決定の問題でございます。もともと違反している者に違反の事実を申告納税させるといってもこれは無理でございますので、こういう場合にはやむを得ず賦課課税よりほかにとる道がありませんので、賦課課税の方式が残っておるということでございます。ですから、通じてみますと、とり得る限りほとんど全部が申告納税になったということでございまして、現行残っているものは、事柄の性質上賦課課税として残さざるを得ないものだけが残っておる、かようなことでございます。
  174. 毛利松平

    ○毛利委員 先ほど来の答弁によって、基本的な法律関係が民主的な観点から整備されているということはよくわかりました。この整備の一環として、税金の申告が過少であったり無申告であった場合、更正決定期間の制限があることを明らかにしたということもよくわかりますが、通則法案によれば、この制限期間は過少申告の場合の更正は三年とし、無申告または脱税の場合は五年ということでございます。この五年は長いように思うのでありますが、納税者の立場から考えますと、五年という期間はしごく迷惑なように考えますが、これに対する所見を伺いたい。
  175. 村山達雄

    村山政府委員 これは少なくとも現行よりは不利にならないということが第一でございます。それから沿革的に申しますと、今の三年というのは賦課権として通常の場合は三年にいたしておるわけでございます。その場合、無申告である、あるいは詐偽、不正があるという場合には当然その期間に違いがあっていいのではないかという考え方でございます。これは諸外国の立法例を見ましても、たとえばアメリカでありますと、通常が三年でございますが、逋脱額が二五%以上になりますと六年になります。それから無申告、脱税の場合は無期限でございます。これは全然今言ったように期間の制限がございません。それからイギリスでも、通常の場合六年、詐偽のある場合無制限ということになっております。それから西ドイツでございますが、これは通常五年、それから脱税の場合は十年ということになっております。この辺当然差があってしかるべきじゃないかという考えでございます。少なくともそれらの場合、現行法より不利になるということはしておりません。
  176. 毛利松平

    ○毛利委員 そうすると、諸外国の場合は日本よりも少なくとも期間が長い、そう解釈していいですね。  更正や決定に三年ないし五年の期間があるということはわかりましたが、これはいずれも増額更正や決定であります。これに期間制限を加えることはけっこうだと思いますが、逆に納税者側の税額更正について、納税者の利益をはかるという立場から、いつまでもこれをやれるということにしてはどうか、これをも五年に制限することはどうかと思います。政府の所見を承りたいと思います。
  177. 村山達雄

    村山政府委員 これは脱行法でも時効の制度は五年になっております。今度そこの除斥期間と時効の観念を分けましたが、時効を五年にするという思想は、かりに分けましても同じことが働くのだろう、要するに一定の事実関係が続いたら、それを法的段階まで引き上げて、あとでそれを直すことをしないという方がかえって法秩序を維持するために必要だという趣旨に基づいて、時効制度なり除斥期間は設けられておるとすれば、ある時期で切ることはやむを得ないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。またもしそうでないといたしますと、実際問題として不公平の場合も考えられるわけでございます。税務署は、通常帳簿書類は五年くらいしか保存してございません。保存義務はおそらく五年くらいだろうと思いますが、もし五年というようなものを置きませんと、そのときにたまたま書類のあるものについて金額更正がきいたが、証拠書類を破って捨てたものは事実上できなかったという不公平が考えられるわけでございます。そういう意味で、時効なりあるいは除斥期間というものはある程度でやはり切らざるを得ないということじゃないか。なおこれはいずれも現行より不利になることは絶対にございません。その点も現行通りでございます。
  178. 毛利松平

    ○毛利委員 諸外国の例はどうでしょう。
  179. 村山達雄

    村山政府委員 諸外国も同様な考え方に立っております。
  180. 毛利松平

    ○毛利委員 現在は御承知のように、民主的な申告納税制度の健全な発達をはかるという意味で、所得税、法人税に青色申告制度が設けられております。従って納税者が日々記帳した帳簿書類が尊重されることになっているのは当然であると思いますが、また青色申告の更正決定の通知書にはその理由を付記しなければならないこととされております。この点は青色申告の健全な発達のためにきわめて重要な点であると考えます。ところが国税通則法には、この帳簿尊重の規定が見当たらないようでありますが、これに対する所見を承りたい。
  181. 村山達雄

    村山政府委員 国税通則法は、各税を通じます更正決定に関する共通事項だけが規定してあるわけでございます。一方青色申告制度の採用されておりますのは所得税法及び法人税法でございます。従いまして、更正の場合の理由の付記ということは、所得税法、法人税法に限られるわけでございますので、その点は通則法には持ってきませんで、従来通り所得税法、法人税法にそのまま存置してあるわけでございます。決してこの制度をやめたわけではございません。
  182. 毛利松平

    ○毛利委員 冒頭に申し上げた、国税通則法のねらいの一つとして、納税者の利益をはかる立場から種々制度の改善が行なわれております。その一環として、納税者の不服申し立ての道を大きく開き、協議団の運用を改善したいということだが、この点についてお尋ねしたいのでありますが、現行法によると青色申告者が課税処分に対して不服申し立てをする場合、所得税法では税務署長に対し再調査の請求をしないで、直ちに協議団に救済を求めることができるにもかかわらず、法人税法ではそれができないこととされておる。この点について国税通則法ではどうなっているか、所見を承りたい。
  183. 村山達雄

    村山政府委員 現行法所得税法と法人税法の場合が違いまして、所得税法は青色申告者につきまして、その原処分に不服がある場合には選択的にどちらにでもいけます、税務署長に対する再調査の請求でもあるいは国税局長に対する異議の申し立てでもいける、こういうふうになっております。ところが法人税法の方はやはり原則通り、白色と同じように再調査の請求を経て、その決定にさらに不服ある場合に限って審査請求ができる、こういう建前になっております。この点検討いたしました結果、それらの差を置く理由なしという結論でございまして、現行所得税法と全く同一にしたわけでございます。つまり納税者の好むところに従ってどちらでもいけますという制度に今度通則法でいたしたわけでございます。
  184. 毛利松平

    ○毛利委員 最後に、この国税通則法の成立の必要性については、立法府の一員として非常に責任を感じておるものであります。この国税通則法が万一通過しないということがあった場合に、各税法にいかなる悪影響を及ぼすか、この点について御所見を承りたい。
  185. 村山達雄

    村山政府委員 これは二つございます。先ほど一つ申し上げておりますのは、国税通則法はこういうことをねらっておりますということが全部実現できなくなるということは当然でございます。従いまして、三つのねらい、これが全部消えてしまうということでございます。  ところで第二の問題は、そういう実質論は別にして、法制的にどういうことになるか、現行税法が動くか動かぬかという問題でございますが、その観点から申しますと、今度の国税通則法並びにそれに伴う整備に関する法律は動かないということになりますから、それはそれなりに旧法が法理的には動くわけでございます。それはよろしいのでございますが、動かないというのは、たとえて申しますと、間接税のうち、酒税、物品税、入場税、それからトランプ類税、これらにおきましては、今度全部申告納税にいたしたわけでございますが、期限内申告だけは各本法に番いてございます。しかし期限後、それ以外の手続はすべて国税通則法にまかされておるわけでございます。従いまして、期限後申告あるいは修正申告、あるいは更正決定、更正の請求、並びにこれらに伴う納付の手続、これが全部国税徴収法の方に譲られておるわけでございます。これらの規定は全部国税通則法に基づく政令の施行を待って初めて動くわけでございます。従いまして、通則法がもし通過いたしませんと、これらの税が完全に麻痺状態に陥ってしまうという点が今の法文上の問題として考えられるわけでございます。  それから第二点といたしまして、国税通則法で課税標準並びに税額に関する端数計算の規定を設けてございます。これによりますと、税額の計算の段階で端数を相当上げて計算してございます。もちろん、われわれといたしましては、四月一日から実施になるものと考えまして、各所得税の源泉徴収税額表、特にさしずめ問題になりますのは、退職所得の源泉税額表等につきましては、すべて税額の端数を上げたところで計算されておるわけでございます。二十万部ばかり要るわけでございますが、すでに国税庁におきましては、これを手配いたしまして、全国の徴収義務者に配ってあるわけであります。これがもし通過しないということになりますと、これらの源泉徴収税額表を全部刷り直さなければならぬということでございます。その間行なわれます源泉徴収税額というものは、間違った税金を徴収するという結果になるわけでございまして、これが大へんなことになるであろうということでございます。  それから第三点といたしまして、今度はさしあたりの問題でございますが、先ほど申しましたような意味合いにおきまして、間接四税につきましては、その法律でもって動かなくなった点は別でございますが——その点は私の誤解でございます。通過しなかったとした場合は今言ったことに尽きるだろうと思います。
  186. 毛利松平

    ○毛利委員 今の御説明のように、間接税初め来たるべき減税に対して大混乱に陥るという印象を深くいたしましたが、いろいろ先日来聞いてみますと、もはやいろいろな難点は解除いたしましたので、そう問題になる点はなさそうにつくづく感じたのでありますが、さりとて不成立の場合には大混乱に陥る。いま少し国民に向かって、この問題の重要性とまた意歳と必要性を啓蒙すべきではないかと痛感するのでありますが、これに対する御意見を承りたい。
  187. 村山達雄

    村山政府委員 われわれといたしましては、この国税通則法の持つ実質的の意味からいいまして、またこれが成立しない場合、あるいはおくれる場合の重要性にかんがみまして、できるだけわれわれとしては各種の機関を通じて鮮明に努めたつもりでおります。この席をかりて、われわれの見解を率直に申し述べさせていただきますと、先ほどから申しておるようなねらいでできておる通則法でございます。この所定の時日までにぜひ実施されんことを希望する次第でございます。今後ともわれわれはこのPRには努めて参りたい、かように考えております。
  188. 小川平二

    小川委員長 鴨田宗一君。
  189. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案について御質問申し上げます。  通則法の制定に伴い、それぞれ各税法等の関係法律が整備されることになっております。すなわち、この法案によりますと、第一に、所得税法等の直接税に関する法律からは、修正申告であるとか期限後の申告であるとか、更正の請求、更正決定であるとか、国税の附帯税、更正の期限延長であるとか、不服申し立て等の規定が削除され、また間接税の面におきましては、担保の種類、提供及び処分、利子税額等の規定が削除され、同時に間接税にも申告納税方式が導入されることになっておりますが、間接税に関します法律については関係規定の整備が行なわれ、また第三には国税徴収法からは、期間の計算であるとか、送達、納税管理人であるとか、それぞれそういう一般的な問題は除かれまして、そうして一つの体系的なものができ上がっておるわけであります。  そこで、国税通則法のこの法案は、いわば三本立で、最初は総則である、次は各直接税、間接税に対する実体的な法律である、それから国税徴収法においては国税の滞納処分に対する法規を記入しておる、こういうふうにして一応ここに法体系ができ上がっておるわけでありますけれども、この法体系は、これはとっくに、私といたしましてはこういうものは作らなければならなかったのではないか、本年までこれを引っぱってきた理由並びに、先ほど毛利君の質問の中にありました通り、アメリカあるいはドイツ、フランスではとっくにできて、そうしてそれを円滑に施行実施しておる、こういう面からいたしまして、少しおそきに失したのではないかという感があるのですが、それについて主税局長の意見を一つ拝聴いたしたいと思います。
  190. 村山達雄

    村山政府委員 国税通則法を設けるべきであるというようなことは、われわれが実は主税局に入りました当時から非常に問題になっておりました。戦前から何らかの規定を設けるべきであるということでございました。しかしながら御案内のように、昭和十二年から終戦、つい三十四年ぐらいまでは毎年税法改正が行なわれております。しかも戦後におきまして税制調査会が設けられておりますが、毎年一年限りの税制調査会でございまして、部内ではそのずっと前から検討は続けておったわけでございますが、やはり民間の関係の学識経験者の意見も十分聞かないで作るということには自信がなかったわけでございます。  幸い、三十四年五月十九日に発足しました税制調査会は、今後三年間の期間をもちまして、税法の、税負担並びに租税体系の根本的整備改善をはかる、こういうことがそのテーマになりまして、このときをおいてはないということで、われわれはかねていろいろ検討して参った資料をこの三年間に提出いたしまして、いろいろ練っていただいたわけでございます。そういう意味で、三年間の苦心を重ねましてできた答申でございますが、さらにその答申を現在実施するという立場からもう一ぺん検討いたしまして、まだ時期尚早であると思われるものにつきましては、慎重の上にも慎重に考慮を重ねまして、調査会の了承を得た上で削除することにいたしたわけでございます。はなはだおくれたようでございますが、われわれといたしましては、できる限り順序を踏んで今日提出した次第でございますので、御了承いただきたいと存じます。
  191. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 国税に通則法が制定されますと、地方税法にもその影響が非常に甚大じゃないか、こう思考せられます。私も地方税を幾らかやったものでありますけれども、こういうふうな通則法の必要を実は非常に感じておるわけでありまして、特に税制調査会の答申では、地方税法については答申の趣意を参酌して所要の改正が行なわれることを期待するという旨が述べられております。政府においても通則法の制定と関連して、地方税法にも延滞金であるとか加算金であるとかあるいは賦課金の期限の制限等の所要の改正を行なう準備がなされておると思うのですけれども、どの程度まで進んでおりますか。おわかりのところだけでもいいからお知らせをいただきたいと思います。
  192. 村山達雄

    村山政府委員 地方税法におきましても、もとよりこの問題はあるわけでございます。ただ地方税法は、御承知のように地方税という単一法典の形をとってございます。そういう関係もありますし、それからまず国税でこの問題をはっきりさして、そのあとで追っかけてやるというのが大体の基本的なかまえでございます。ことし考えておりますのは、とりあえず納税者に非常に利害関係の深い、今の延滞税に相当する延滞金、加算税に相当する加算金、それから賦課権の行使制限の問題、こういう直接差しあたり手直ししなくちゃならぬ点だけを今度の地方税では改正すべく目下研究、準備中であるというふうに伺っているわけでございます。
  193. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 大蔵大臣がせっかくお忙しいところをおいでになりましたので、野党の方にお席を譲りまして、私の質問を留保させていただきたいと思います。      ————◇—————
  194. 小川平二

    小川委員長 金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
  195. 堀昌雄

    ○堀委員 本日は、最初に電話債券の問題をお伺いをして、後段でそれに関連して公社債の問題を伺いたいと思います。  まず最初に、二月の二十七日の予算委員会の第四分科会におきまして、この電話債券の問題が取り上げられておりますが、郵政大臣にお伺いをいたしたいのは、ここでもいろいろお触れになっておりますが、電話債券が最近非常に価格が低落をしてきました主たる理由は一体どこにあるかを伺いたいと思います。
  196. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 全般的には、このごろ公社債全体の価格が下がっておるといいますか、公社債市場の不況ということが根本的な原因でありますが、特に加入者債券が下がっておりますのは、要するに数量が膨大であるということ、それから売る人が割合に多いというようなことから下がっておるのだ、こう思っております。
  197. 堀昌雄

    ○堀委員 公社債の不況ということは、金融の引き締めによる結果であろうかと思いますが、次の、数量が大であるということは、これは要するに需要と供給のバランスがとれていないということなのか、売り出す数量がただ多いということだけなのか、一体これはいずれに理解すべきですか。
  198. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 御承知のように、加入者債券というのは、電話を引いてもらうときに、その電話を引いてもらう人が引き受けてくれる債券でありますので、電話の需要が非常に多くて、従って加入して電話をつけてもらう人が多いものですから、公社としてもお金がよけい要る関係で、その人たちに引き受けてもらう。要するに電話の設備が拡大すればするほど社債がよけい出ていくという形でございますので、需要と供給とのバランスというのは、結局みんながそれを利殖の道として持っていてくれればいいのですけれども、それを売る人が多いというのが下がっておることの原因だと思います。
  199. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、結局数量が多いということは、一つは、引き受けさせておる債券の額が大きいということにつながるわけですね。
  200. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 つまり電話一個引くと、東京ならば十五万円なら十五万円というのが多過ぎる、それを十万円にしたらよかろうということの御質問としますと、逆にそれは電電公社の設備拡大の資金計画からいいまして、簡単にそういうことはできないのじゃないかと思います。
  201. 堀昌雄

    ○堀委員 私が特にきょう電話債券の問題を伺いたいのは、この電話債券というのは、わが国で流通をしております唯一の債券であって、その背後に非常に大きな流通しない公社債があるわけでありますから、まず電話債の問題を少し掘り下げて論議をさしていただいて、日本の公社債のあり方はいかにあるべきかということを少し伺っておきたいと思うわけでありまして、そこで今おっしゃった全体の不況の問題というのは、これは当然でありますが、それに対して皆さん方が何らかこの原因に対処して、電話債の価格を維持したいということでいろいろお考えになっておることがあるやに承っておりますが、現在のところでお考えになっておる、これに対処する方策を一つ具体的にお伺いしたい。
  202. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 電話の加入者引き受けの債券の価格の維持の問題につきましては、基本的には大蔵省にお骨折りを願って、公社債市場が正常化と言っては、言葉が悪いかもしれませんが、よくなるようにしていただくことが根本だと思います。同時に、あるいはその公社債の発行の形というようなものも若干研究する余地があるかもしれない、こういうふうにも感ずるのでありまして、そういうような点についても研究をいたしておりますが、とにかくいきなり売る人が多いというような関係から、少しそれを持っていることによって価格の維持ということができる。従ってそういうようなものを担保とする金融の道を講ずるなり、あるいは若干ここに一つのリバルビングするファンドを設けて、そこで一ぺん買っておいて、そうして一般公社債の市場の回復等によって、それがまた値段が出てきたときには投資家にはめ込んでいくというような方法を講じたら電話債の価格の維持ができるのじゃないか、こういうようなことで目下研究をいたしております。
  203. 堀昌雄

    ○堀委員 今の問題で、かなり電電公社の方では具体的なお考えがあるやに私もいろいろな資料で拝見をしておるわけでありますが、今おっしゃったのは非常に抽象的だと思います。発行の形を考えるとか——担保金融は非常にはっきりしておりますけれども、一体その担保金融をやるとすればどこで担保金融をするのかわかりませんし、調整機関のようなものをお考えになっておるということでありますが、一体それは私的なものなのか公的なものなのかもわかりませんが、もう少し具体的に承りたいと思います。
  204. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 実はそういうことを考え研究している最中でありまして、ここで今具体的にこういうように考えているのだということを申し上げられる段階にはまだ実際至っておりません。
  205. 堀昌雄

    ○堀委員 実はそこまでお考えが至っていないそうでありますが、そこで大蔵省の方にお伺いをいたしますが、迫水さんも、今大蔵省の方で公社債が正常化をするようにしてくれれば一番いいのだということですが、大蔵省としては一体この電話債券がこういうふうに下がっておることに対してはどういうふうに対処をしていきたいとお考えですか。
  206. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今郵政大臣の言われた通りで、これは何らかの措置をとりたいということで、私どもも今いろいろの案を研究して検討している最中でございますので、近く大体この結論は出ることと思っております。
  207. 堀昌雄

    ○堀委員 いろいろとということと、検討中ということを二つ並べますと、これでは何も話が前に進まなくなるのですが、しかし私どもはすでに大蔵省としては電話債券値下がり防止に対する措置というようなものがある程度具体化しておるように見受けられますし、新聞紙上にもこれは伝えられておるわけですが、大臣はまだ御存じない、しかし省としてはやっておる、こういうことでございましょうか。
  208. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そうじゃありませんで、大蔵省も大蔵省としての一応考え方をまとめて、これは大蔵省だけでも決定できない問題でございますから、それぞれのところと今いろいろその考え方を中心に意見を聞いておるという段階でございまして、文字通り検討中でございます。
  209. 堀昌雄

    ○堀委員 そういう御答弁じゃ話はちっとも前に進みませんけれども、それではもう少し具体的にお伺いをいたしますが、電信電話公社の方では、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案要綱というものが出ておるようでございますね。私の手元にございますが、これは何か改正をしたいということでお考えになったのだろうと思います。その中には国雄預託制度の改正の問題、減債基金の問題その他投資関係の問題、相当具体的に出ておるわけでございますが、これはそうすると架空のことで、何ら根拠のないものでございましょうか。
  210. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 どうしてその文書が堀さんのところにあるかということを非常に疑問に思いますが、私は電電公社に、今度の国会に提出する希望の法律案法律改正があったら腹一ぱいのことを一ぺん考えてみろ、それを各方面といろいろ折衝もするし、そうしてだんだんに煮詰めていく段階として一番最初に腹一ぱいのものを作ってみろと言った、その分でございまして、これが堀さんのところに行っていると思うので、架空のものではございません。そういうものは検証している、それだから検討中、こういうことを申し上げておる次第でございます。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 検討中の内容じゃ、私はここで論議をするのはまだ少し早過ぎるのかもわかりませんが、しかし新聞紙上にはもうまさに相当具体化して、皆さんが折衝されておるやに伝えられておるわけでございます。実はここに私今いただいている大蔵省の資料を見ましても、電話債券値下がり防止に関する具体策というのがありまして、やはり減債基金の問題なり国庫預託の問題等について、大蔵省としての意見も相当詳しく出ておるわけですね。検討中というふうにおっしゃられると、これは論議ができませんけれども、しかし私は、これだけわれわれの手元にこう刷りものになって手に入るぐらいのところにきておるわけですから、そこらについてはもう少し、国会の審議で言質をとられるとあとでうるさいとかということではなくて、やはり私は、公社債の問題をいかにすべきかという点で、一つ電話債というのは象徴的なものでありますから、少し突っ込んだ議論を伺って、あとで公社債の流動化というものに対処するいろいろな問題を伺いたいと思うのです。どうも初っぱなからみな検討中で、内容に触れないということでは、やや私誠意に欠けるかの感じがするのでありますが、国会の論議だからといってわれわれが常にあげ足をとるわけではございませんから、もう少し一つ率直なお答えをいただきたいと思います。
  212. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今言われたものも、大蔵省で一番最初検討の素案として考えた案でございますが、その後またもう少し前の考えも変わっておりまして、まだ最後案に到達しないというところでございます。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 その現状のところでいいですから、その変わったところを一つお伝えいただきたいと思います。
  214. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 堀さん自身がおっしゃられているように、実際ちょっと早いので、もう少し待っていただけば大体各省間の意思統一もできる段階でございますので、それぞれの役所が勝手にいろいろな意見を言うこともまた不都合かもしらぬと思っていますが、問題はやはり調整資金的な考えを持つかどうか、そういうものを置くような方向考えるかどうかとか、あるいは据え置き期間、償還の期間をどうするかとか、結局流通化対策の一つでございますから、そういう点を中心とした考え方を今関係者でやっておる最中でございます。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 早過ぎるということですから、早過ぎるのならあとで少し時間がたって伺わなければなりませんが、しかしどうしても私ここで触れておきたいことが二、三あります。この前の拡充法が出ましたときに、非常に論議になった点が二、三点ございます。そのときには附帯決議がついておりますが、その附帯決議には、「この法律による電信電話債券の市場価格の安定を図るため、債券の利率の設定その他の措置につき格段の考慮を払うこと。」、これはおおむね払われておるようです。二番目は、「電信電話債券の引受けを容易ならしめるため、電話加入申込者等が、全国にわたり、簡易に、銀行等から融資を受けることのできる方途を講ずるとともに、その方途の周知徹底に努めること。」、これは一体どうなっておるのか。その次に、「電話売買取引に関する諸種の弊害を根絶するとともに、業者の善導に努めること。」、このほかにもありますが、この二つの経緯は、この付帯決議が付されて以後どういうふうに取り扱っておられるのかお聞きしたいと思います。
  216. 横田信夫

    ○横田説明員 お答えいたします。ただいまの銀行の貸し出しの問題につきましては、月賦金融とわれわれ申しておりますが、都市銀行、地方銀行で今の電話債券を窓口へ持っていきますと、日歩二銭八厘で、最初大体一五%ぐらいの金を納めて、あとは六ヵ月ないし九カ月の分割払いをするということで銀行から貸してもらうことに銀行にお願いいたしております。相当これが利用されております。できるだけわれわれもその趣旨を生かしたい。  それから第三の電話業者の問題につきましては、電話業者の、ことに良質の電話業者の自主的統制と申しますかそういう方向に進む方がいいと考えられますので、いわゆる取締法案というようなものでなくて、電話業者の自主的統制の上に立って大体やっていくということで、郵政省の御方針もそうなっておると思いますが、この点は郵政省の方からあるいはお答えがあるかと思います。
  217. 松田英一

    ○松田説明員 ただいまの問題につきましては、今までは電電公社の電話局の窓口におきまして、なるべく電話加入者が迷惑をこうむらないようにいろいろな注意をしてやって参りたいということで進んで参ったのでございますけれども、ちょうど電話業者の中に、今までの自分たちの態度では非常に一般の信用もなくなるし、自分らの将来というものも危うくなるものだから、もう少し業態を合理的にあるいは加入者の利益になるようにまとめていく必要があるだろうということで、いろいろと団体を作るというような動きもございますので、郵政省といたしましては、加入者の利益に役立つように業者の業態が自粛されるようにということを目途といたしまして、その団体がいい方向に動いていけるようにということで、目下いろいろ考慮しておるところでございます。
  218. 堀昌雄

    ○堀委員 この附帯決議は、昭和三十五年三月十五日にされておるわけですが、すでに二年たっておる。横田さんは三月八日のときに、堤委員が、この五カ年計画を終わられるころには、今の電話業者に対して、いかなる法的根拠を与え、いかなる基準をもってこれに臨まれるのかと、いろいろ伺っておられるのに対して、「公社といたしまして、できる範囲で、今の先生のおっしゃるような方向で努力をいたすことを、ここで誓います。」と、誓っているのです。どうも誓って二年たって今のような答弁では誓いもいいかげんだなという気がするのです。  そこでちょっと伺いたいのですが、今電話債券が横に動く中に二つあるように思います。一つは、電話業者の人たちが代理業務を行なって、最初に九万円なら九万円持っていらっしゃい、そこで代理業務を行なって、九万円取ってあれば一万円は架設費でありますからあと八万円というものはとってあります。それで電話債券を適当に、十五万円で八万円ですから、七万円分は落としていってももうかることになるわけですから、そういうことが行なわれているということが一つ。二番目は、入口のところか何かで待ち受けて、買いたたいて買っていくというのもある。そこでこれは大蔵省に伺いたいのですが、前段の代理業務によって債券がそのように動くということは、これは貸金業法でも証券業法でも該当しないものだ、あとの方の買う方は、何か聞くと貸金業で担保として取り上げて金を貸す、こういうことになっているらしいのですが、前段の方は一体法的には何に該当するか。
  219. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいまの堀委員の御質問の趣旨がちょっとわかりかねますので、もう一度お願いいたします。
  220. 堀昌雄

    ○堀委員 電話業者が電話を架設したいという人から委任状か何かをとりまして、代理業務という格好で一切の手続をその代理業者がする、そのときに、要するに九万円持ってくれば電話を引いてあげますということで代理業務をする。そうするとどういうことになるかというと、彼らは一応二万円で電話を架設して、あと自分で七万円出して十五万円の債券を自分で取って、これを勝手に市場に持っていって売る、こういうことが起こるとするならば、これは私はどうもあり方としては証券取引法にひっかかる感じがする。あとの方の、出てきたものを買い取るときには何か担保金融のような格好で貸金業者になっておいて、債券をお貸しなさい、金を貸しますということで、結局それは流れて落ちるにしても、形式はどうも貸金業者の形態をとっておるようだが、前段の方は私はどうも証券取引法違反というか、どうもこれにひっかかるのじゃないかという気がするので、ちょっとお伺いしたのです。
  221. 有吉正

    ○有吉説明員 電話業者と加入者の間の電話債券の取引につきましては、脱在のところ先生のお話しのように、いろいろな形態があるように私ども承知いたしておるところでございます。大多数は今先生のお話しのような担保金融の形をとって行なっているというように承知をいたしておるわけでございます。ただ、その担保金融の形をとって行なっている実態につきましても、やはり本人と意思を疎通いたしまして直接に売買の形になるというようなことも考えられ得るのでございます。本人と意思を通じているかどうかという点につきましては、なかなか実証が困難な点もございますが、私どもといたしましては、今後調査等を進めましてその実態を把握いたし、もし証券取引法違反のような事実がございますならば、関係当局とも十分打ち合わせをいたしてその是正に絡めたい、かように考えておる次第でございます。
  222. 堀昌雄

    ○堀委員 今の問題について、郵政省の方はどうでしょうか。
  223. 松田英一

    ○松田説明員 電話業者の問題につきましては、これを取り締まる根拠としての法律というものは何もございませんで、しかもその電話業者の実態というものが、私ども現在の機構あるいは体制のもとにおきましては、なかなか把握しかねるというような状況でございまして、そういう事情でございますので、もっぱらやることは電電公社の窓口を通じて加入者の方によく御注意を申し上げて、そしてそういう悪徳の業者にひっかからないようにするということを主眼として今までやって参りましたので、ことにこの証券を手に入れたりそれを場合によっては動かしたりとかというようなことにつきましては、ただいま大蔵省からもお話がございましたように、証券業法との関係でかなりむずかしいというよりは、きわどい問題があるということは承知しておるわけでございますけれども、何分私どもの関係法律もございませんために、どういうふうにこれをやっていくかということにつきましての方法は、郵政省としては実は考えていないわけでございます。
  224. 堀昌雄

    ○堀委員 この拡充法が出るときに、この問題はずいぶん論議されて、非常に多額の債券を今度は加入者が受け持つことになるのだから、この加入者等が不当な取り扱いを受けないようにしてもらいたいというのが附帯決議として出ておるわけですね。それに対してまだ的確なる処理ができないなどというのは、監督官庁としてまことに、国会の決議に対して誠意を示さざるものである、こういう感じがいたします。しかしこれは派生的な問題であって、本来の筋道の問題としては、やはり大きな問題は、このうしろに控えておる。それはなぜかというと、電信電話公社が今立てておられるこれらの設備投資計画というものが、現在の日本の客観的な経済諸条件、国民の負担能力それらにバランスをとってこの設備投資計画が組まれておるかどうか、ここに一番大きな問題があると私は思うのです。この電話債券の問題は、今大臣は数量が大きいとおっしゃいました。まさにその数量が大きいという言葉の中には、いろいろな背景があると思うのです。その中で特にやはり問題があるのは、設備投資が日本全体の今の経済諸条件の中では少し過大に過ぎるのじゃないか、これが強く感じられるわけでありまして、このことはその他の社債等の問題につながっておると思います。そこで大蔵省では、今非常に論議をぼかしておいでになりますから、私はそれは触れないつもりでおりますが、現存の発行条件を少し変えて、償還率をよくしたらどうかということが新聞紙上にも伝えられておりますし、最初の段階での御検討の中にあります。私はもしそういうふうにして償還率を早め、据え置き期間を短縮するということになれば、当然これは設備投資計画に変更を生ずることになるだろうと思うわけですが、一体郵政省としては、現在の設備投資計画はどうしても強行しなければならないのか、このような経済の困難な状態で、その他の諸事業は繰り延べをしておるというようなときに、一体電電公社の指導についてはどう考えておられるか、郵政大臣のお考えを伺いたい。
  225. 迫水久常

    ○迫水国務大臣 電話に対する需要というのは非常に多くありまして、御承知のいわゆる積滞という、電話を引いてくれと頼んでも引いてくれない部分というのは、幾ら引いても引いてもなくならないわけです。そういうような状態でありまして、電話の需要が非常に多い。こういう事態は決して無視することはできないので、今の計画でも積滞の関係から言いましたら、たとえば昭和三十七年度に六十万個拡充を予定しておるのでありますが、もっとそれをふやした方が——ふやせればふやしたいという気持でありますので、ぜひこの計画というものは完遂していただきたい、こう思っております。
  226. 堀昌雄

    ○堀委員 もちろん、電話を引いもらいたい人が非常に多いということは現実だと思います。しかし現実だけれども、今のように多額の費用を使って、おまけに引けないものだからこれを経費のように見て、とりあえずそれを安売りをしたり、電話業者にまかせたりするようなことが起こるわけですから、もちろんこれは卵と鶏のような関係がありますが、私は今問題になっておるのは、この電話債券というものが非常に値下がりをして、今後それでは値段が皆さんがいろいろお考えになる方向で上がるかどうかというと、私は上がらないと思うのです。上がらないというのは、これからの債券の増加の方がはるかに膨大であって、これまではまだ序の口なんです。この序の口ですでにこういう状態になっておる。そして買いささえ機関とかいろいろお考えになりましょうけれども、これはそう簡単に維持ができないのではないか。これはもう一つ経済状態の問題でありますから、非常に好況になってということになれば話は別かもわかりませんけれども、その点では、今のいろいろな具体的な問題の論議ができないので、私は問題の所在が明らかにできませんけれども、そう簡単なものではない。これはやはりその背景にあるところの、そういう電話債の流通というものが、流通できるような諸条件というものが出てこなければ、この問題は解決しないのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。  そこで、これは一つ大蔵省にお伺いしておきたいのですが、電信電話公社の方では、この電話債券を日銀の担保適格債にしてもらいたいという要望がだいぶ前からあるようですが、なっておらない。これは日銀でなければわからないかもしれないが、なぜこの政府が発行するきわめて信頼度の高い債券が、日銀の担保適格債、にならないのか、この点をちょっと大蔵省にお伺いいたします。
  227. 大月高

    ○大月政府委員 私はそういう要望については承知いたしておりませんが、抽象的に考えますと、政府の債券でございますから、ならないということにはならないと思います。ただ、現実に電話債券は個人が持っているわけでございまして、金融機関を持っておらないということになりますと、日本銀行とのつながりの面からいきまして、すぐ担保に使うというようなチャンスがないのであろう、それからまた日本銀行といたしましても、券面が非常に小さいものでございますから、一般の金融政策としては、こういうこまかいものを一々拾い上げるということは適当でないというふうな考え方を持っているのではないかと思いますが、率直に申しましてまだこの問題について具体的に私検討いたしておりません。
  228. 堀昌雄

    ○堀委員 調整機関の問題が今後出るのかどうかわかりませんが、今おっしゃるように、初めから出てくる電話債券は一人十五万円の負担ですから、大きな額面にはなっていないと思います。ただしかし、額面の問題が出ましたから、ちょっと触れておきたいのですが、最近どうも社債は大きな額面のものがどんどん出てきて、発行会社の方では額面の分割をあまり好まないというような傾向すら——これはちょうどこの電話債券と逆になるわけですが、一体債券の流通化の問題が今非常に大きな問題になっておるときに、その小さな額面の債券は、一つ何らかの格好で債券の併合を行なって、金融機関等がそれを買い取って、これが場合によっては日銀の担保適格債になるということになれば、ある一つの面の流通の道が通ずると思います。しかしこれも担保で日銀に入っただけでは、これは私はあとで論じますが、問題があります。しかし一応の道が通ずると思うのですが、今の社債の問題として、今後の方向としては、そういうことについて、大蔵省は日銀側にそういう適格債になるような努力をされるのかどうか、ちょっとお伺いしておきます。
  229. 大月高

    ○大月政府委員 今お答え申し上げましたように、電話債券の性格から申しまして、額面が非常に小さくて、しかも金融の面にすぐに乗ってこないということから、特に勧奨するつもりはございません。
  230. 堀昌雄

    ○堀委員 さっきの小口の月賦金融、これはこの前、昭和三十五年当時には非常に微々たる金しかない。やっておるのは勧業銀行だけだったようでありますが、その後は銀行としては一体どれくらいのものを取り扱って、どれくらいの率まで高まっておるのか、ちょっと承りたいと思います。
  231. 横田信夫

    ○横田説明員 先ほどの月賦金融のお話だろうと思いますが、大体累計額が約六十八億くらいのように思っております。現在残高は三十億でありまして、その内訳は都市銀行三、地方銀行二、そのほかが一、大体こういう割合になっております。
  232. 堀昌雄

    ○堀委員 それではこの前逓信委員会で論議された期待に沿うところはるかに遠いと思いますが、それはやむを得ないといたしまして、きょうは実は電話債券について一つ論議をさしていただいて、公社債の問題の基本的な問題でいろいろ論議したいと思いましたが、どうも早過ぎるそうですから、電話債券についてはここまでにして、あとでまた適当な機会に伺うことにいたします。  ここで企画庁長官にお伺いいたしますが、ちょうど先月のきょうぐらいでございましたが、私、予算分科会で、生産関係の問題について触れまして、一月の鉱工業生産が案外高いということの話をいたしました。これは、まだ正確な資料が出ておりませんのでわかりませんが、どうも電力等の事情から見て、二月もあまり下がっていないように思いますが、もう二、三日でわかることですが、いかがでございましょうか、二月の生産は今おわかりの程度では。
  233. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 二月の数字がまだ出ないものですからわかりませんけれども、しかし電力の消費その他から見ますと、やはり一月の横ばい程度というふうに見られるのでございますが、もう数日しますと出てくると思います。
  234. 堀昌雄

    ○堀委員 私もあのときは、二月もおそらく相当高い水準で動くだろうと申し上げました。予算委員会の一般質問のときにこの問題も伺ったら、通産大臣は、しかし在庫もどんどんふえておるから早晩下がるだろう、私は生産のことばかり言うけれども、在庫の方も見てもらいたいというふうなお答えでございましたけれども、私は別に在庫を見てなくてものを言っているわけではなくて、在庫を見て、在庫が多いにもかかわらず高水準で生産が動くというところに問題があるということで伺ったわけでございますから、現在在庫は確かにふえておりますが、なぜ在庫がふえておるのに現状で生産が下がらないのか、この点について企画庁長官のお考えを承りたいと思います。
  235. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 率直に申して、非常にむずかしい問題だと思うのでございますけれども、一方では金融が引き締められておる。従って原料で持っておりますよりも、あるいは製品にしてそれを金融化する、あるいは在庫金融をする、あるいは販売をするということによって金融の道をつけていくということも私はかなりの理由があろうかと思います。そのほかに、やはり全体として何となくまだ全体の景気動向に対して、一般の引き締まり的な傾向が若干弱いような感じと申しますか、従って消費水準というようなものから見ましても、一応生産を進めていこうというような気持にもなろうかと思います。また業者の間でこういう状況であるからあるいは市場をこの際拡大するという意味の意欲と申しますか、そういうものもまだ引き締め政策の中においても、やはり引き締められれば引き締められるほど自分の市場が拡大していくというような、前途に対する予想もあろうかと思います。そういうようないろいろな事情が織りなされてこういう状況が出てきているのじゃないか。従って全般的にもう少し引き締めをやはり強化すると申しますか、つまりたるんでいると申し上げるとなんでありますけれども、全体の気分を引き締めていくということが必要じゃないだろうか、こう思います。
  236. 堀昌雄

    ○堀委員 私はそういう点、今、長官のおっしゃった通りの点があると思うのですが、どうも一部に少し滞貨金融といいますか、少し金融の道が何だかつかなければ、商社といえども、あるいはその他のメーカーといえども、そうどんどん在庫をかかえていて、現在全体がこう引き締まっておる中で、必ずしも楽じゃないんじゃないかと思いますが、一体滞貨金融というようなものが多少でも行なわれているとお考えになるか、現状では行なわれていないとお考えになるか、どちらでしょうか。
  237. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 現状では必ずしも滞貨金融が——いわゆる滞貨金融という意味における滞貨金融が行なわれているとは考えません。しかし、今日のような金融の状況下におきまして、御承知通り銀行の系列関係その他もございますので、いわゆる滞貨金融という意味ではないかもしれませんけれども、ある意味においては生産して売って金にかえるというような道をつけられるならつけたらいいじゃないかという意味で、若干滞貨金融があろうかと思います。将来いわゆる滞貨金融の問題が起こってきますと、これは相当大きな問題じゃないか、こう思っております。
  238. 堀昌雄

    ○堀委員 現在特に私はそういう意味で必要なのは、設備投資等についても含み貸し出し等でかなり銀行のコントロールのいかない点があるのではないかと思いますので、そういう中では運転資金にある部分が流れて、大っぴらに滞貨金融をやるという段階ではないと思いますが、実質的には結果としては、滞貨金融をしたと同じような効果を生じている金融が少しあるのではないかという感じがいたすわけであります。そこで今の状態は、しかしそういう滞貨金融のようなものを認める段階にはないというふうに私は思いますけれども、長官は一体どうお考えでございましょうか。
  239. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 お説の通り、私は現在の段階においてすぐに滞貨金融をやろうということは、今の引き締め政策の上からいいましても適当であるとは思いません。
  240. 堀昌雄

    ○堀委員 しかし、もしそういう滞貨金融をやらなければならないというような時期、そういう時期が起こるとすれば、どういう事態が起きたときはやむを得ずそういうことをやるということになりましょうか。
  241. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 製品在庫が非常にふえて参ります。これは一方から言えば輸出奨励によりまして国内市場の消費をある程度抑制して参るとすれば、輸出に向けていかなければならぬのでございまして、これが輸出に向きますようにできるだけ指導していっていただくことが私は必要だと思います。それがまた貿易バランスの上にも好影響を及ぼしますし、日本の今日の金融情勢に対応する対策だと思うのでございます。しかし、そういう点について十分な処置ができないような事態が起こってくる、あるいは国際的な経済界の変動によりまして、十分輸出目的が達せられないというようなことになって参りますと重大な状況ではないかと思うのでありまして、極力この際は、やはり国内消費を押えて参ります以上は、それは輸出に振り向けるために押えるということなんでございますから、輸出の奨励全体についてもっと力強い方策を必要とする場合があろうかと思います。
  242. 堀昌雄

    ○堀委員 最近、輸出信用状の先食いといいますか、かなりそういうところまで、資金が足りないからいろいろな操作が行なわれているやに聞いておりますが、これは大蔵省の方でお答えをいただく方がいいのかもしれませんが、そういう問題については、大蔵省としてはどの程度にそういうことが行なわれておるというふうに考えておいででしょうか。
  243. 大月高

    ○大月政府委員 輸出信用状につきましては、御存じのように輸出貿手その他につきまして、輸出について格段の金融をつけるという措置をとっておりますから、できるだけこういう金詰まりの時期には輸出をやりまして、かつみずからの金融もつけるということに努力をいたしておるように考えております。またそういうことは決して悪いことではないわけでございまして、われわれとしてはそういう方向に指導いたして参りたいと思っております。
  244. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで今滞貨金融の問題にちょっと触れたわけですが、企画庁で三十七年度総合資金需給見込み試算というのをこの間予算委員会にお出しになったようでございます。きょうは時間がございませんから、社債関係だけについて触れていきたいと思うのでありますけれども、昭和三十六年度の実績見込みの中で、金融機関収支の部分でございますけれども、当初、事業債は、昨年最初の見込みでは四千百九十億円を予想しておられたにかかわらず、実績見込みでは千五百五十億円となり、政府保証債で六百六十億を予定されたものが三百七十億になり、地方債だけが百八十億を予定されていたものが二百十億と、これはふえておりますが、事業債におきましては、見込みと実績の間に異常な相違が出ておるわけであります。そこで本年度はいろいろ計画を立てておられますが、事業債がこのように変わってきた主たる原因は一体何であるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  245. 中野正一

    ○中野(正)政府委員 こういうふうに事業債が当初の見込みよりも相当減ってきて、実績見込みでございますから大体こんなことになるのではないかと思います。昨年の一月から発足した公社債投信ですが、これが最初調子がよかったのですが、その後非常に不振を続けておる、これが一番大きな理由じゃないかというふうに考えます。
  246. 堀昌雄

    ○堀委員 公社債投信が出ましたのは一月からでございまして、そのときに非常な盛況であったことは御承知通りでありますが、今日公社債投信は解約がほとんどになって新規設定よりは解約が多くなったという状態になりました。私は、昨年公社債投信が発足をしますときに参考人に来ていただいたときに、この解約が申し込みより増加する場合のことを伺ったわけでありますが、そのときはコールがあるから何とかなるだろうというのが証券業協会の会長の答弁でもあり、政府側の答弁でもありました。そこで大蔵大臣にお伺いをいたしますけれども、今企画庁はこれだけの事業債の変化が出たのは公社債投信の、率直に言えば失敗といいますか、それに基づいたものだということですが、あなたはこの公社債投信については今どうお考えになっておりますか、やはりちょっと間違ったとお考えでしょうか。
  247. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 公社債投信はあのときは必要で、あの制度は非常にけっこうなことだということでやったのですが、そのときと事情が変わってきましたことと、今考えて、やはりああいうものの設定を許可するというときには、お話がありましたような解約が起こった場合とかいうようなときの対策、結局は流通化の問題になるわけですが、この道をどういうふうに確保しておくかというような配慮に欠けておったということは事実でございまして、従って、今この問題をここで解決しようとしてわれわれがいろいろ骨を折っているところでございます。去年の四月に公社債の条件を変更したこと、それ以後の一連の金融引き締め政策、こういうようなものが全部重なって、事業債の消化というものが困難になって、千八百億前後ということになったわけでございますが、公社債投信、あれを設定したことは失敗だったというのじゃなくて、ああいう制度を作るときの配慮を欠いた点があるということと、あとは金融情勢の変化だろうと思います。
  248. 堀昌雄

    ○堀委員 金融情勢の変化と、何か人ごとのようにおっしゃるけれども、金融情勢の変化は、その当時あなたの方で金利の引き下げをやる、四月も、あれは人為的に下げたのであって、情勢の変化で自然に公社債の利子が下がったわけじゃないのですからして、そうすれば私は、その部分は人ごとではなくて、あなた御自身の責任だ、こういうふうに思います。  それからもう一つ、大蔵省は最初の指導について、新規債、既発債、コールを一体幾らで指導されましたか。
  249. 有吉正

    ○有吉説明員 新規債の組み入れを八割、既発債が一割、コールの組み入れを一割として指導いたしました。
  250. 堀昌雄

    ○堀委員 結局指導のあり方で、私は当時コールの部分が少ないのではないかということを申し上げたけれども、そのくらいで十分だということであったわけですが、これがやはり大きな問題になって、結局組み入れの比率をだんだん変えて最近は自由にする、そういうことになると、今公社債投信は、一体既発債とコールはどのくらいの割合になっておりますか。
  251. 有吉正

    ○有吉説明員 ただいまのところ、コールの率は全体でこの二月末におきまして五・八%でございます。
  252. 堀昌雄

    ○堀委員 公社債投信は現在大体八分ぐらいに回っておるというのに五・八%、最近の組み入れですよ。全体としてということではなくて、最近設定されておる、たとえば二月なら二月の公社債投信は七十七億七千万円が設定をされておる。解約は百二十一億も出ておるわけですが、その七十七億は自由にしなさいということになっておるのだろうと思いますが、その場合において、既発債が九五%でコールが五%ということですか。
  253. 有吉正

    ○有吉説明員 私が先ほど御説明いたしましたのは全体の数字でございまして、本年二月に設定されたものにつきましては、設定当初におきましては大部分を現金、つまりコールに放出して、逐次公社債の運用に回してくるということになりますので、現在のところ二月のものが、幾ら公社債が全体に買い入れられておるか、私どもちょっと手元に資料もございませんので、わかりかねます。
  254. 堀昌雄

    ○堀委員 公社債投信を設定するときに、自由にしてよろしいということはいいですが、最初これが全部コールへ行くというようなことで一体公社債投信を設定したと言えるでしょうか。監督官庁として、二月に七十七億七千万円設定されたものが、もうすでに三月の終わりになろうというのに、一体コールが幾らになっているのか、幾ら既発債を入れたのか、内容がわからないような、そんなあいまいな指導で公社債投信をこれからやられたら大へんだと思います。公社債投信に名をかりてコール資金を入れておるようなものだと思いますが、一体どうですか。
  255. 有吉正

    ○有吉説明員 私が申しましたのは設定当初の話でありまして、逐次組み入れておりますので、当然二月の分につきましては、公社債の組み入れが十分に行なわれておると思っておりますが、何分にも手元に資料を持っておりませんので、何%組み入れておるか、お答えできかねる次第であります。
  256. 堀昌雄

    ○堀委員 手元に資料がないだけで、あしたならわかりますか。
  257. 有吉正

    ○有吉説明員 多分各社から報告が参っておると思いますけれども、二月のことでございますので、まだ十分にその点確かめてはおりません。
  258. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは一月はどうですか。六十四億四千万円。
  259. 有吉正

    ○有吉説明員 私ただいま手元に持っておりませんが、一月につきましては調査いたしましたらわかるかと思っております。
  260. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、あしたまたちょっと時間をいただいて伺うことにいたします。  そこで、企画庁長官がお急ぎのようでありますから、企画庁長官のお考えを少し伺っておきたいのですが、私は今一般商品についての滞貨金融のことについて少し触れましたけれども、これは商品に限らず、今問題になっております公社債投信あるいは投資信託を、昨年度大蔵省は、ある限度を越えた分については、一つ公社債を持ってもらいたいというような行政指導がされて、その結果、約三千億に余るものが四大証券等の手元に滞貸となって積み上がっておる、こういう現状があると思うのです。これにどうも大蔵省の方のお考えとしては、金融をつけたい、日本証券金融を通ずる担保金融であるとか、あるいは銀行にシンジケートを作らして担保金融をするということを言っておられるようでありますが、私は経済の情勢から見るならば、これもやはり一つの滞貨であるということになると思うのです。滞貨金融というものは、現在では日銀の信用を膨張させるだけであって、今中だるみになっておるから引き締めをさらに少ししっかりしなければならぬという段階では、適当ではないのではないか、こういうふうに考えますが、企画庁の立場としては、いかがでございましょうか。
  261. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 公社債に金融をつけます問題については、日本の金融上の相当重要な問題だと思います。従いまして、かりにそういうことをある程度やらなければならぬといたしましても、それらの問題についてどういう方法でやるかというようなことは、これは非常に重要な問題でなければならない。大蔵省の方でただいまそういう点については十分御検討中だと思うのでございまして、私どもとしても、もしそういう点についていろいろ大蔵省のお考えがございますれば、意見を申し述べる機会があります場合には、賛意を表するか、あるいはもう少しこうしたらいかがかというようなことは申し上げるつもりでおります。
  262. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵省の御相談はあったのでしょうが、私が今御相談をしておるので、企画庁の大臣としてのそれに対する——私は今信用膨張になることは、この際特にそれは滞貨金融という性格を持っておりますから、中だるみをともかく少ししぼっていかなければならぬという段階にきておる、年産がもう申し上げたような状況でございますから、必ずしも在庫が生産につながらないという特に重要な段階だと思いますので、私は現時点では望ましくないというふうに思うのですが、長官としてのお立場でお答えを願いたいと思います。
  263. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 絶対に望ましくないとまでは言い切れないと思うのであります。それはいろいろな実情がございますし、今日までの政府の指導もございます。しかしながら今日金融がある程度今申し上げたような滞貨金融に熱するような形において扱われますことは、景気調整考えております立場から言いまして、よほど慎重でなければならないというふうに考えております。
  264. 堀昌雄

    ○堀委員 率直なお答えで、私もまことに同感でございます。やはり私は、大蔵省が多少過去のいろいろな指導がまずかった点について責任を感じておられることはよくわかりますけれども、そのことと今の日本経済情勢をどうしていくかということは、次元の違う問題ではないかという感じがいたします。その点は長官から率直なお答えをいただきましたので、これで企画庁、けっこうでございます。  そこでいよいよ大蔵省だけになりまして、大蔵大臣にじっくりこれから伺いたいのでありますが、ちょっとさっき触れましたら、最近含み貸し出しが相当行なわれておるということで、日本銀行としては何とかしてこれをもう少し締めていきたいというようなことが述べられております。そこで大蔵省では、一体この含み貸し出しについてどの程度行なわれておると推測されておるか、お伺いしたいと思います。
  265. 大月高

    ○大月政府委員 含み貸し出しの問題につきましては、これは日本銀行と金融機関の関係でございますので、われわれとして直接タッチしている問題ではございません。日本銀行としては、毎月大体各銀行につきまして、どのくらい貸し出しをふやしてもいいかというような窓口指導をやっておるわけでございますが、各銀行におきましては、それぞれの事情に応じまして、その数字が必ずしも同じような結果になるとは限らないが、できるだけ日本銀行の指導に従いまして努力いたしておると思いますが、それぞれ誤差が出ると思います。その誤差が出るような場合に、毎月の貸し出しをできるだけ低くいたしまして、それから次の月においてまた貸し増しをするというようなことをやっておることは事実でございます。しかしこれは統計外の数字でございまして、正確にどの部分が含み貸し出しと言っていいか、あるいはまた含み貸し出しという意味がはたしてどういうものであるかということは、実は率直に言って正確な定義もないわけであります。われわれとしては、ある程度そういう一般に言われているような含み貸し出しというものがあることは承知いたしておりますが、これを統計的に幾らあるかということは、ちょっとわかりかねる次第でございます。
  266. 堀昌雄

    ○堀委員 今幾らあるかということは、なるほどこれは向こうが内緒でやることですからわかりにくいだろうと思いますが、新聞紙上で見ると、全体として二千億くらいは全部の銀行等であるのではないかというようなこともありますが、そうするとさっき私が触れました、締めていると思いながら、やはり締まっていないという現実がそこに一つ頭を出しているのではないかと思います。  それからもう一つ、二、三日以来問題になってきておりますが、最近非常に実勢金利が上がっている。この実勢金利が上がっている中には——どうも私どもが非常に不可解だと思いますのは、われわれ預金者が預金しますと、今銀行預金は定期預金でも五分五厘くらいの金利にしかならないのに、ところが金融機関同士で預金すると、三銭五厘とか相当高額の金利で金が動いているということが大体事実あるようです。これが実勢金利を高めている大きな原因ではないかと思いますが、銀行局は、大体そういうことは御存じでしょうが、これは一体どういうことになるのでしょうか。
  267. 大月高

    ○大月政府委員 一般の銀行等の預金の関係は、臨時金利調整法によりまして金利の率はきまっておりますので、その点につきましては銀行は確実に守っているというふうに承知いたしております。今お話がございました金融機関同士の預金関係は、いわゆるインター・バンクの預金だろうと思いますが、インター・バンクの金のやりとりにつきましては、一つはコール市場を通じてやりとりが行なわれている、これは貸し借りになりますが、もう一つは直取引のコールというふう言っておりますが、直接コール業者を通じないで貸し借りをやっております。それから一部はいわゆる預金の関係で取引があると思います。それは各銀行の資金のポジションにより、あるいはお互いの金を出す方と受け取る方と金融機関のいろいろな背からの因縁その他の系列関係、その他親疎がございますので、それぞれによって特別な姿をとっていると思いますが、そういう意味で、最初の貸し借りの関係におきましては、これはいわゆるコールは申し合わせでやっておりますが、インター・バンクの方の貸し借りの金利は自由になっております。従いまして、預貯金について特利を出しているという問題につきましては、実は実態から申しますと、あまり影響がない話でございまして、どういう格好でやりとりしているかということだと思います。しかし預金の格好でやる分につきましては、そう大きな金利をつけるということは、若干例外はあると思いますが、ほかの格好でやりとりができるわけでございますから、そう大きく乱れておるのではないだろう、しかし全体を通じまして、金融機関同士のやりとりの金融というものは、一般の金利よりも高いことは事実であろうと思います。
  268. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで片面でそういうことが行なわれて、金融が非常に引き締まっているために、最近では金融債等はどんどん売られておるというふうに私ども聞いておるわけですが、先ほど私が、ちょっと企画庁の見通しに対して触れましたけれども、来年度のいろいろの公社債関係の問題について、今非常にたまって困っているところへ持ってきて、さらに政府保証債と地方債については本年度よりもふえるというような大体方針になっておるようです。そのために一般事業債は非常に収縮をしなければならぬということが現実に出ておるわけですが、これに関連して、金融債もおそらく現状のような引き締め状況では、十分に出ていけないのではないか。あらゆる面で起債関係の問題は非常に混乱をしてきておる、こういうふうに思いますが、今の流通の問題などということは簡単にいきませんが、来年度の政府保証債あるいは金融債等の発行について、政府は現状としてはどういうふうに考えておられるか、ちょっとお答えをいただきたい。
  269. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御指摘のように、政府保証債の発行計画は前年度より上回っております。しかし満期償還、定時償還がございまして、実質的な純増ベースではさほど上がらぬのではないかと思います。ただ御指摘のように、金融情勢が今日の情勢とあまり変わらないと思いますので、これの消化については相当困難を来たすのではないかと考えますので、情勢に応じまして弾力的に運用して参りたい、かように考えております。
  270. 堀昌雄

    ○堀委員 それは答弁としては満点なんでしょうけれども、しかし、昭和三十年の償還期限延長による満期償還の地方債と事業債が、大体三十七年十月以降満期が来て、相当借りかえ等が行なわれるということは計算に入っていますか。
  271. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 計算に入れております。
  272. 堀昌雄

    ○堀委員 大体どのくらい償還で借りかえが行なわれる見通しですか。
  273. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 事業債では大体借りかえが三百億程度ではなかろうかと思います。
  274. 堀昌雄

    ○堀委員 事業債で三百億程度の借りかえがあるということは——本年度の新規の地方債は今一体どれだけ予定しておられますか。
  275. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 純増ベースで、三十六年度は、御承知と思いますが二百十二億でございますが、三十七年度は百七十四億予定しております。
  276. 堀昌雄

    ○堀委員 借りかえ分はちゃんと計算の中に入っているということでございますね。——そうすると、結局その分だけ政府保証債がふえているんだから、一般地方、事業債を圧縮する、そういうことになるわけですね。
  277. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 事業債は今年度千八百七十六億の発行でございますが、大体最近の金融情勢から見まして、そう大した変化はないであろう。従いまして、事業債の発行見込みは大体今年度と横ばいで、千八百億程度ではないだろうか、かように見ております。
  278. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今私が申し上げたいことは、片方で公社債が十分流通しなくてずいぶん滞貨になっておる。片方で卒業債を発行したいものができないような条件で、政府保証債と地方債が特にことしは例年になくたくさん出るというようなことで、全体の公社債問題がどうも適正を欠くのではないか。少しバランスが政府保証債、地方債に寄り過ぎておるのではないかという感じがしますが、これの引き受け等は、現在は言うなれば強制的に統制発行のような格好で、無理に発行条件その他をきめて押し込んでおるわけですね。だから、こういうところから公社債の流通の矛盾が生まれてくると思いますけれども、大臣、これはどうでしょうか。
  279. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今までのところでは、銀行等とも相談して消化させておりますし、そう無理に押しつけておるわけでもございませんし、今年度の財政投融資計画のときの公募債の問題も、ことしの実情から見て千四百八十二億円ですか、あれだけの消化が少し無理ではないかということも心配して、金融機関との相談もしたのですが、やはり一応あの程度の消化はできるだろうということであの計画をきめたわけでございますので、今のところはそう押しつけておるわけではございません。
  280. 堀昌雄

    ○堀委員 起債市場として見ると、さっき企画庁のお話で申し上げたように、出初計画が一般事業債四千百九十億、需給見通しのことでありますが、それで見たのが千五百五十億しかできなかったということはノーマルな姿ではないと思うのです。政府債が立てば一般の事業債はどうでもいいということなら、今までおっしゃるような言い方は成り立つと思うのでありますが、話し合いでうまくいっておるというのではなくて、やはり少し無理があるのではないか。皆さんの方でよく公社債流動化ということを最近たびたびおっしゃいますが、社債を一種の統制発行をしておって流動化などということが考えられるのかどうか。株式は流動化しておるうちに、やはり会社によって値段も違うし、実勢に応じていろいろな価格があるからこれが流動化するのであって、実勢に合わない統制的な社債の発行、そういうものをやっていて流動化が考えられるかどうかという点で、私は根本的に矛盾があると思うのですが、大蔵大臣はその点どうお考えになりますか。
  281. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ほんとうの意味の流通市場を作ろうとすることは、今のところ金融が正常化していない場合にはむずかしいことでございますので、これはすぐにはできないとしましても、過渡的にそこへ行くまでの間の措置として、流通化の何らかの道を聞くことが必要でございますので、もしほんとうの流通市場ができましたならば、むしろ発行条件にも影響してきますし、自然に市場の価格によって発行条件もそのつどそれに応じて考えられるという形になるだろうと思いますが、今それがないために発行条件はああいう形できめて出しておるのですから、これをやはりこのままにして、この条件がなるたけ維持できるような形の流通化対策をすることが次善策であろうと考えておるのでございます。
  282. 堀昌雄

    ○堀委員 どうも大臣のお考えは順序が逆じゃないかと思うのです。流通市場ができたら統制をはずすのだ、統制発行をやめるのだ、そうでなくて統制発行をしておるから流通市場ができないので、やはり物は自然の値段がつくときに売買が行なわれる、こういうことになるのではないですか。大臣、それは順序が逆じゃないですか。
  283. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは原因であり、結果であると思うのですが、流旭市場ができたら確かに今の公社債というものは銘柄によって相当の暴落が考えられますし、そういう市場ができておったら、それによって銘柄別に、また発行条件の変わったものが出せるということになるのですが、一面市場ができていないからこそ、今度は発行条件がそういう形できめられるという関係になっておりまして、これは今の場合としては、発行条件はああいう形できめるよりほかに、今までは仕方がなかったと思います。
  284. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃちょっと伺いますが、流旭市場ができたら、こうおっしゃるのですが、何か自然にできるような話で大へん心もとないのですが、一体どういうふうになったら流通市場ができるのですか。お作りになるとしたらどうやったら作れるということでしょうか、ちょっとそれをお伺いいたします。
  285. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは金融が正常化した場合でありまして、たとえば今のようにコールの方が高いというときには、市場を作ろうとしてもこれは市場ができるものではございませんで、金融が正常化したという場合でなければ流通市場はできないだろうと思います。
  286. 堀昌雄

    ○堀委員 それじゃ一体金融はいつになったら正常化するでしょうか。
  287. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございますから、今言ったように完全な市場というものを作るという方向へはなかなかいきませんので、次善策を考えていくよりほかにないだろうと思います。
  288. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、どうも金融正常化については、当分自信がないということに理解をしてよろしゅうございますか。
  289. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 まだまだ日本の金融正常化にはもう少しひまがかかるだろうと思います。
  290. 堀昌雄

    ○堀委員 実は金融正常化は、何かお話を聞いておると、どこかで自然に正常化するかのようなお話感じられるのですが、私はやはり大蔵省は金融を正常化させる努力をしていただかなければ困ると思うのです。そうすると、今の段階で市場で言われておることは、やはりどうももう少しいろいろな統制的なものをはずして、自由化をしたらどうなのか、金利等も実勢に合った格好にしたらどうかというのが、どうも私はちまたの声のような気がします。このことはもうたびたび出ましたから、きょうはこれで触れません。  そこで最後に申し上げておきたいことは、今まで次善の策次善の策とおっしゃっておるわけですが、明日も証券取引審議会が開かれて、皆さんの方で何かこの前四つの方策を証券取引審議会へお出しになっているようですが、明日は一体どういうふうな提案がされるのでしょうか。
  291. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御指摘のように、四つは、新しく買取機関を作る案、日証金を通ずる担保金融の案、市中金融機関によりまするところの協調融資の案並びに買いオペの問題等が当面の流動化の対策として考えられるというふうに資料として提案いたしまして、御審議願ったわけでございます。いろいろ御議論がございまして、なかんずくやはり担保金融の案がいいんじゃないかというような意見がかなり強うございました。あすはこれに基づきましてさらに詳細に御検討を願いまして、審議会の御意見を出していただこう、かようにいたしたいと思っております。
  292. 堀昌雄

    ○堀委員 担保金融というのは、日本証券金融会社を通ずるものと、それから銀行による協調融資と二つあるようでありますが、もしそういう担保金融をやった場合に、その金融をやって出ていった債券が一体どこへ行くんでしょうか。これもこの前ちょっと聞いたと思いますが……。
  293. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 さしあたり金融機関の手持ちになる、日本銀行はそれに対して資金を流すということになると思いますけれども、いつまでも金融機関にとめ置いたのでは流動化になりませんので、やはり時期を見まして新しい設定の公社債投信に入れるとか、あるいは株式投信に組み入れるとか、こういうふうにして、また公社債の疎通と申しますか、消化をはかるという方に持っていかねばならぬものと考えております。
  294. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると結局は、一番簡単なのは、公社債投信に、一応たな上げしたのは徐々に組み入れるということですが、今のあり方で公社債投信が設定されておって、一体——さっき私が伺ったら、有吉さん、一体幾ら公社伏、投信に細み入れられているのか、一月も二月もわからぬような公社債投信で、そこへ一体幾ら入るというふうにお考えになっておりますか。もし今のままで毎月——公社債投信をやめるわけではないでしょうから、まあ六、七十億の設定を毎月していくとして、それをずっと今、日証金かどこかの損保にしたものを入れなくても、現実に入っておると私は思うのですね。その方に入っていると思う。これでずっと入っていったら、今公社債投信でこげついたと目されるものですね、これは一体いつごろになったら解けると考えられますか。
  295. 有吉正

    ○有吉説明員 私どもまだ案を出しまして審議会の審議をお願いしている最中でございますので、具体的にどの程度のものがはたして金融の措置が講ぜられるものかどうか明白でもございませんし、今後の設定の見込み等はやはり金融情勢等にも影響がございますので、それらの点を勘案いたしまして、今後として考えていかなければならぬ問題であると私どもは考えております。かりにこれが実行いたされることになりましたならば、できるだけ早い機会に新規のものに逐次組み入れて参りたい、かように思っております。
  296. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺っているのは、担保金融の担保になったものでなくて、現在こげついておるものをストレートに新しい公社債投信に入れていったって、一ぺんたな上げをしてこれをやるか、たな上げしないでやるか、時間的な問題だけで、一時に金が要るのか、徐々につけてやれば結局解けていくかという、ここを伺っておるわけです。だから、もしこのままでは——最近の状態は、一月が六十四億の設定で百六十億の解約、二月が七十七億の設定で百二十億の解約で、これでは、とてもじゃないが公社債投信には入れる余地はないと思うのです。少なくとも解約とこちらとが逆さやになって余裕ができるので、こんなふうに設定の倍以上も解約が出ておる現状では、そんなこと、あなた方がおっしゃったって可能性はないと思うのですが、一体あなた方の方では、今理財局長は公社債投信に組み入れるなんという話ですが、可能性があると思っておられるか、ないと思っておられるか。
  297. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 最近の設定並びに解約の状況は、ただいま御指摘の通りでございます。なかなか先の見通しを的確につけることは困難でございますが、今年半ば以降は、設定額の方が解約額よりはふえるのじゃないだろうか、かように考えております。
  298. 堀昌雄

    ○堀委員 それはなぜでしょうか。
  299. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいまは最も条件の悪いときじゃないだろうか、もう少したてば、多少金融もゆるむような時代がくるのじゃないだろうかと思います。
  300. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵大臣、今理財局長は非常に重要なことを言われたのですが、六月ごろになったら金融はゆるみますか。
  301. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そう簡単にゆるむ事態にはならないと思います。三月危機と言われていましたが、これに対しては相当私どもも、三月に一度にそういう金融の混乱がないようにという配慮から、増資についての調整やそのほかやっておりますので、むしろこれは少し先にずれて、少しずつずらしているということでございますから、そう簡単にはならないと思います。しかしこの流通の道が全くないということと、流通の道ができているということは、これはまた投資家にとって非常に違う問題でございますので、やはりまずそういう道ができることによって、かたがた今の経済情勢の変化に対応さしていくならば、これは今のような状態ばかりが続いていくとは思いません。必ずこれは新しい時点で消化していけるという事態になると思いますが、問題は、全くふさいでおるということが、今の金融情勢以外に、やはり一つの障害になっておるだろうと思います。
  302. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣のお答えはそういうことかもしれませんが、理財局長お答えは、大臣のお答えとはちょっと違うと思います。そこで私は、非常に気になりますのがまだもう一つあります。それは要するに、株式投信が非常に伸びてきました背景は、キャピタル・ゲインが主体になっていますから、ここは非常に将来の希望もいろいろあるわけです。ところがボンド・オープンというものは大体はインカム・ゲインですから、インカム・ゲインのものは、キャピタル・ゲインと並べてみれば、色あせたものだということになると私は思います。そこへ持ってきて、今度は大蔵省は、昨年の暮れにインカム・ファンドなるものの設定を認められたわけですね。このインカム・ファンドというものは、ボンド・オーブンときわめて性格の類似した格好のものだというふうに私は見ておりますが、インカム・ファンドが相当に実はたくさん設定されたようでありますね。ところがボンド・オープンの当初も両建になっておったわけです。社債発行会社と両建にしちゃいかぬと言いながら、両建になっておったものがあおりを食って、非常に解約が殺到する端緒になったと思うのですが、そのインカム・ファンドは両建がやはりあるのじゃないか。これはもう相当にそういう格好で出ておることによって、インカム・ファンドとボンド・オープンというものは、性格的にはそういうインカム・ゲインに並んでおるものでありますから、これは競合する格好で、ますますボンド・オープンの将来については困難な事態が起こるんじゃないか。だから今度ボンド・オープンがこういう条件が悪いときにインカム・ファンドを認めたということは、それは片方は株券であり、片方は債券であるかもしれませんが、非常に性格が似たものであって、これがボンド・オープンの今後の問題についてマイナスにこそなれ、プラスにはならぬのじゃないか。そうしてこれはやはりある程度のところへくると、インカム・ファンドなるものが、逆に解約がまた相当に殺到してくるというような事態が起こるのではないかと思いますが、大蔵省は一体これをどう考えておりますか。
  303. 有吉正

    ○有吉説明員 昨年の十一月に募集をいたしまして十二月に設定いたしました大型ファンド——インカム・ファンドとただいまお話がございましたものにつきましては、これは当時設定を一回やったわけでございます。ボンド・オープンと申しますか、公社債投信のように、毎月設定をいたして、今後追加設定を続けていくというものではございません。当時二百四十数億円を募集ができましたわけでございますが、当時におきまして、この募集につきまして相当私どもとしましても慎重なる配慮をいたし、特に指導をいたした次第でございますが、お話のように、かりに公社債投信の発足の当初のような両建でいくものがあれば非常に困る結果になるということからいたしまして、当初目標は大体三百億程度ということを考えておったのでございますが、募集に際しまして厳重な注意をいたしまして、各社ともその趣旨に沿いまして、募集はできる限りの範囲にとどめるということに相なりました結果でございまして、二百四十四億——相当多量ではございますが、当時計画いたしておりましたものよりもはるかに内輪の実績になったということにつきましても、かかる配慮から出たものであろう、さように私ども考えておる次第でございます。  同時に、先ほど御指摘のございました公社債投信との競合という問題につきましては、昨年の十二月に一度設定されまして、今後、半期に一回ぐらいの追加設定はあろうかと思いますけれども、これも一つの投信に対する追加という程度にとどめまして、大々的に、新規に毎月募集していくという性質のものではございません。
  304. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今インカム・ファンドに触れましたから、ちょっと伺っておきたいのですが、最近ある製鉄会社が増資をいたしましたら、一部失権株が出たようでありますが、大蔵省では、大体どれくらい失権株が出たか、御存じでありますか。
  305. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 正確なところはわかりかねますが、ただいま所管の課長から聞いたところによりますと、二%程度じゃないかということでございます。
  306. 堀昌雄

    ○堀委員 株数にしてどれくらいでしょうか、二%というのは。
  307. 小熊孝次

    ○小熊説明員 実は手元に資料がございませんので、若干間違っておるかもしれませんけれども、一千万株かそこらでございます。
  308. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、ちょっといやなうわさを聞いておるのです。私も株数が幾らだったかわからないので伺ったのですが、生命保険会社に対して、事業会社の方では失権株をぜひ持ってもらいたいということで、それについては、何か大蔵省も、一つ協力してやってくれというような話がある。どうもそういうことが行なわれると、生命保険会社は自分のところで持っているやつを、こっちが来れば、どっちか売らなければならぬということになって、そういう無理が行なわれることは、好ましくないことになるような気がするわけです。大蔵省はそういうようなことはなさっておらぬでしょうね。
  309. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいま御指摘のようなことはいたしておりません。
  310. 堀昌雄

    ○堀委員 御指摘のようなことはしておらぬということでは、何かしておるような感じが……。
  311. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 はっきり申し上げます。失権株を消化するために生命保険会社に持たすようなことは、指導いたしておりません。
  312. 堀昌雄

    ○堀委員 実は大蔵省が証券についてなさることについては、いろいろな疑惑が起こりやすい客観的な条件がございますので、一つその点は十分に——私もうわさを聞いただけで、まさかそんなことはと思いましたが、念のために伺ったわけですが、そういうことのないようにお願いいたします。  最後に、結論だけを申し上げますけれども、私はいろいろな社債や証券の問題について、大蔵省が少し小手先の操作をなさり過ぎるような感じがいたします。私は社会党ですから計画経済がいいと思いますけれども、中途半端な統制というのが一番いかぬと思うのですね。やるのなら徹底して計画経済、それでなければやはり自由にまかせるというのが、私は資本主義の本来の性格ではないかと思いますので、そういう点で、今のいろいろなこれまで指導をなすった中の誤りを、単にしりぬぐいをしたらそれで済むというのではなく、公社債投信についてなら、それこそ減債基金のようなものか何かを考えるとか、もっと前向きに問題を指導するようにしていただかないと、単に買い上げるにしても、担保で一時、金を回せばいいというような格好の指導だけでは問題は発展しないのじゃないかと思う。減債基金という言葉がいいのかどうかわかりませんが、改悪に備えての基金というものが今四社——五社くらいですか、四社がほとんど独占でやっているということですが、そういうところはもうちょっと真摯に考えるべきではないかと考えますが、今後の公社債投信に対する指導についてお考えがあれば伺っておきたいと思うのです。
  313. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 先ほどからお話しいたしているように、やはり経済を安定的に成長させるためには、安定した長期資金の調達が円滑にいくようなことでなければならぬ。そのためには、やはりそういう安定した資金が調達できるような道については、十分の措置をとっておかなければならぬというふうに考えまして、今やっているその公社債の流通化対策も、私どもとしては過去の跡始末というよりも、むしろ前向きの問題としてもこれを取り上げているわけでございまして、跡始末ということだけでございましたら、御承知のようにいろいろの機会がございました。たとえば、今度の日銀の買いオペを行なうときに、こういうものの考慮もすべきであるという意見もございましたが、私どもは、単なる証券対策、株価の問題に関した対策というような問題とはこの問題は考えておりませんで、そういう問題と離れて前向きの問題としてこれを取り上げるべきであるという態度をとっておりますことと、もう一つは、これをやるにつきましては、さっき企画庁のお話もございましたが、いろいろな調整策をとっておるときでございますので、これとの関連で手離しな措置も今とれない時期でございますので、この問題を解決することによって日銀の信用造出に全部はね返ってくるようなことでは困りますので、どういうクッションを置いてこれが合理的にしぼられるかというような、いろいろなことも今考えて対策を考究中でございますので、そういう御心配のような方向での考慮を私どもはしておりませんので、これは御了承を願いたいと思います。
  314. 堀昌雄

    ○堀委員 今の後段のお話は大へん私もけっこうだと思います。やはり単に証券業界だけがよくなればいいということではなくて、日本経済がよくならなければ証券業界もよくならないわけです。そういう点は一つ全体の中で十分お考えを願って、あまり無理な問題の処理をなさらないように重ねて要望いたしまして、私の質疑を終わります。
  315. 小川平二

    小川委員長 次会は明二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十四分散会