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1962-02-13 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十三日(火曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       足立 篤郎君    宇都宮徳馬君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    久保田藤麿君       正示啓次郎君    田澤 吉郎君       高見 三郎君    永田 亮一君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       坊  秀男君    吉田 重延君       久保田鶴松君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君    横山 利秋君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      塩谷 忠男君         運輸事務官         (鉄道監理局国         有鉄道部業務課         長)      芳賀  久君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月十日  酒税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  八二号)  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八三号)  トランプ類税法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税法等の一部を改正する法律案内閣提出第  八二号)  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八三号)  トランプ類税法の一部を改正する法律案内閣  提出第八四号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一二号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一三号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一四号)  国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第七五号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  酒税法等の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案及びトランプ類税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
  3. 小川平二

    小川委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。天野大蔵政務次官
  4. 天野公義

    天野政府委員 酒税法等の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明いたします。  政府昭和三十七年度における税制改正の一環として、さきに提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案提出いたす次第であります。  以下との法律案について、その概要を申し上げます。  この法律案は、最近における酒税負担状況等に顧み、その軽減合理化をはかるとともに、税体系整備改善を行なうため酒税法及び酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正しようとするものであります。すなわち、酒税負担軽減合理化については、大衆酒において現行小売価格をおおむね一割程度引き下げることを目途として、各種類間のバランスを考慮しつつ酒税税率を引き下げるとともに、価格の特に高い酒類については新たに従価税制度を採用することとし、税体系整備改善については、酒類取引実情に即するよう酒類種類等区分改善し、納税方法申告納税制度に改める等所要規定について整備改善を行なおうとするものであります。  まず、第一に税率改正について申し上げます。わが国の酒税負担がかなり高く、特に低所得階層負担が相当重くなっている実情に顧み、大衆酒中心として、各種類にわたり、税率平均で二割程度引き下げることといたしております。この結果、酒類小売価格は、清酒二級は大びん一本当たり五十円、ビールは大びん一本当たり十円、ウイスキー二級は大びん一本当たり三十円、その他の酒類についても品質等に応じて、それぞれその価格が下がる見込みであります。  また、最近の消費水準向上等に伴い、価格の特に高い酒類もある程度出回っておりますが、現行酒税はすべて従量税でありますために、これらの高級酒類価格に対する酒税負担割合は、通常の酒類に比べて相当低くなっておりまして、負担の公平上適当でない状況も見受けられますので、今回、このような高級な酒類に対しては、従量税にかえて従価税を採用することといたしたのであります。  税率につきましては、以上のほか、しょうちゅう甲類乙類との税率格差を最近の実情に即するように改める等税率合理化をはかることといたしたのであります。  第二に、酒類区分改善についてでありますが、まず、酒類種類につきましては、最近における酒類消費及び取引実情にかんがみ、現在独立種類とされている濁酒及び白酒の種類を廃止し、他面、現在雑酒の中に含まれているウイスキー、ジン、リキュール等のいわゆる洋酒をウイスキー類スピリッツ類及びリキュール類に分けてそれぞれ独立種類とすることととし、現在の九種類を十種類に改めることといたしております。なお、炭酸ガスを加えた種々の酒類は現在すべて雑酒の中の発泡酒として一律の税率が適用されることになっておりますが、これを今後はそれぞれ炭酸ガスを加える前の酒類として、その税率を適用することといたしております。  また、酒類紋別等につきましても、清酒について、現在の特級及び第一級をあわせて特級とし、準一級を一級とし、リキュール類については級別を廃止する等、制度簡素化取引実情に応じた改善をはかることとしております。  第三に、現在、産業用等のいわゆる特殊用途酒類につきましては、租税特別措置法により、ある程度の税率軽減が行なわれておりますが、この制度はいわば配給酒類の名残りでありまして、今日では、その数量も全酒類の一%程度ときわめて少なくなっておりますので、今回の減税に伴い、この制度を廃止することといたしております。  第四に、以上のほか、納税方法原則として申告納税制度に改め、輸出免税夫納税移出等についても承認制度原則として申告制度に改める等所要規定整備改善をはかることといたしております。  第五に、以上のような酒税法改正等に伴いまして、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律規定につき、所要整備を行なうこととしております。  なお、この法律は本年四月一日から施行することとしておりますが、以上申し上げました軽減措置による酒税減収額は、昭和三十七年度において約三百九億円、平年度において約三百七十二億円と見込んでおります。  以上が酒税法等の一部を改正する法律案につきましての提案理由内容の大、要でございます。  次に、入場税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における入場税負担状況等に顧み、その軽減合理化をはかるため、税率を引き下げるほか、新たに一率の免税点を設けるとともに、展覧会場及び遊園地等への入場に対する課税を廃止し、あわせて納税方法申告納税制度に改める等税体系整備改善するため、入場税法の一部を改正しようとするものであります。  まず、第一に税率改正について申し上げます。現行税率は、原則として、七十円以下一〇%、百円以下二〇%、百円をこえるもの三〇%となっており、ただ、演劇、音楽等については、三百円をこえるものから三〇%、純舞踊、純音楽等については、百円あるいは三百円をこえる場合にも二〇%にとどめる等の特例が認められておりますが、これを入場税性質にかんがみ、これらすべての催しものに対し一率一〇%に改めることとしております。  第二に、免税点については、現在、臨時開催催しもの等の特定の場合に限り、二十円または三十円の免税点が認められておりますが、これを廃止いたしまして、すべての催しものに対して一率三十円の免税点を設けることとし、零細負担軽減制度簡素化をはかることとしております。  第三に、課税の廃止でありますが、現在、展覧会場博覧会場及び遊園地は、いわゆる第二種の場所として、一〇%の税率課税され、また、いわゆるアマチュア・スポーツは、一定の条件のもとに承認を受けた場合に限り免税されるほかは、原則として課税されることとなっておりますが、これらの催しもの等の性格にもかんがみ、その課税を廃止することといたしております。  第四に、いわゆるみなし課税制度について改善をはかり、単なる割引の場合には実際に領収した入場料金によって課税することといたしております。  このほか、納税方法申告納税制度に改める等、他の間接税に準じて規定整備改善をはかることといたしました。  なお、この法律は本年四月一日から施行することといたしておりますが、課税範囲税率免税点及び非課税に関する改正は、入場券の前売りとの関連において、五月一日から施行することといたしております。なお、前売券についての経過的な取り扱いとしては、五月一日以後に入場する入場券を四月一日以降に前売りする場合には、新税率を適用できるようにいたしております。  以上申し上げました軽減措置による入場税減収額は、昭和三十七年度において約七十億円、平年度において約八十五億円と見込んでおります。  最後に、トランプ類税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近におけるトランプ類消費状況及び税負担状況に顧み、その負担軽減合理化をはかるとともに、納税方法申告納税制度に改める等税体系整備改善を行なうため、トランプ類税法の一部を改正しようとするものであります。  まず、第一に税率改正について申し上げます。トランプ類消費性質や、他の消費税課税物品との負担均衡から見て、その税負担はかなり高く、かつ、課税物品相互間にも小売価格に対する負担の不均衡が見られる実情に顧み、トランプ花札等については一組につき現行六十円を四十円に、合成樹脂製マージャンについては一組につき現行千円を五百円に、牛骨製マージャンについては一組につき現行四千円を三千円にそれぞれ引き下げを行なうこととするとともに、反面、象牙製マージャンについては一組につき現行六千円を八千円に引き上げて、税負担の調製をはかることとしております。  第二に、課税体系整備につきまして、他の間接税と同様に、納税方法原則として申告納税制度に改める等諸規定整備改善をはかることとしております。  なお、今回の改正による減税額は、昭和三十七年度において四千七百万円、平年度五千百万円と見込んでおります。  以上、酒税法等の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案理由内容の大要を申し上げましたが、何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  5. 小川平二

    小川委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 小川平二

    小川委員長 続いて、本日の日程に掲載いたしました所得税法の一部を改正する法律案外七税制改正法律案及び国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私は、きょうは税制全般ということを避けまして、具体的な問題から一つ入っていきたいと思います。  まず利子課税の問題、今日非常に貯蓄増強という政策目的と税の公平の原則という問題とのいわば接点と申しますか、そういうような点から税制担当者としての主税局長から現行利子課税の問題について、公平の原則というものを中心にしてどういう考えを持っておられるのか、基本的な考え一つ承りたい、こう思うわけです。
  8. 村山達雄

    村山政府委員 ただいまの利子課税の問題につきましては、まず現行法からの問題でございますが、所得税法の本則に対しまして、大きく申しまして二つ例外が認められております。  その一つは、御案内のように利子につきましては、現行総合課税いたしませんで分離一〇%の課税をやっておる、これが普通の所得課税方法と違う第一点でございます。その二つは、昭和十六年に設けられました国民貯蓄組合法、これが戦後今日でも続いておりまして、この貯蓄組合のあっせんにかかる預金等利子所得につきましては免税いたすことになっておるわけでございます。  そこで、最初の分離一〇%の課税の問題でございますが、これははたして総合することがいいか悪いかという理論問題と、それから実行上それが可能であるかどうかというふうな問題がございます。これは総合の場合でも問題点だと思うのでございます。かりにもし分離しないで税率源泉でやるとすれば、平均上積みをどの程度見るか、この問題があるかと思うわけでございます。いずれにいたしましても、税制上特異の制度でございますし、ほかのものとは全く違う形になっております。今後税制を検討する場合におきまして、この点は絶えず問題になると思うわけでございます。昨年、ことしの税制調査会でも非常に論議を呼んだわけでございます。ことしは最近における貯蓄必要性その他配当とのバランス等関係がございまして、ことし一年はそのまま従来通り見送るという案を提案しておるわけでございますが、基本的には租税負担の公平という問題からいたしまして、大きな問題を含んでおるところだろうと思うわけでございます。片や国民貯蓄組合の問題につきましては、貯蓄増強という観点からその必要性を説く向きもあるわけでございますが、一方従来の国民貯蓄組合制度が二重加入の防止というような点につきまして、必要な措置が十分でなかったと思うわけでございます。これが、乱用を招いたと普通いわれるところでございまして、かりにこの貯蓄組合制度をそういう政策的観点から残すにいたしましても、この適正な運営を期するためにも必要なる立法的措置がとられねばならぬというふうに考えておるわけでございます。大体以上の二点であります。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現在の制度がそういう状態になっておることはわかるわけですが、この間税制調査会長の中山さんにおいで願ったときにも、私この問題を質問したのでございますが、やはり税制として、利子に関する今日二つの大きな特例を設けるということはまずいのじゃないかということを言われておるわけであります。何かほかの方法をもって、いわゆる貯蓄増強ということはやっていくべきであって、税制を通じてそういうものをやるということは、もうそろそろ清算すべき段階にきている、こういう御意見でございました。もうこ制度ができてから時限が切られて、それをさらに一年限り延長をして、またもう一回延長をする。国民貯蓄増強することは、国の経済にとってこれはいつでも必要なことだと思うのです。従って、国民貯蓄増強しようという立場だけを、そういう政策目的だけを遂行しようという場合には、これは毎年々々、一年延長一年延長をやらざるを得ないのじゃないかと思うのです。もう貯蓄はたくさんだという時期は、おそらくこれはあり得ないはずだと思うのです。だから、そういうことから考えれば、この貯蓄増強というものを達成するために、もう大体理由はそれ一つだと思うのです。もちろん配当との関係ということも言われておりますけれども、こういう観点からするならば、ここにもう一年延長する。特にことしは非常に政策目的としての貯蓄増強必要性が強いという観点から、そういうことになったかと思うのですけれども、やはり去年もこの問題を問題にいたしまして、これはもう税制の面からいっては、一番端的に公平の原則を害している。しかも国民が一番その点ではわかりやすいという問題でもあるわけでありまして、そういう角度からするならば、これはもうことし一年の延長というようなことをなさらずに、そういう特例というものを廃止していいのじゃないか。そうしてまた税制以外の面については、いろいろな方法というものを貯蓄増強のためにやっていいと思うのですけれども、税制でやることについてはもうこれ以上はがまんができない。こういうところまできていると思うのですが、いかがなものでしょうか。
  10. 村山達雄

    村山政府委員 今の問題もやはり貯蓄組合と、それから分離課税二つあると思うのでございます。  貯蓄組合課税の問題につきましては、これは他の政策税制との調整の問題でございます。われわれ税制を担当している者として、単に税制立場から申しますと、われわれはこの制度はできるだけ早い機会に廃止された方が、税制体系としては非常にすっきりするという点は確かにございます。ただその場合考えなければならぬことは、一方において郵便貯金は、これは非課税になっておるのでございます。これはもう非常に古くから、所得税法ができたときから沿革的にそうなっておるわけでございまして、ただその後預入限度が上がりまして、ことしの改正では五十万円まで上げるような提案がなされておるわけでございます。従いまして、それとのバランスという問題が一方において国民貯蓄組合にあるわけでございます。ですから税制上すっきりさせるという場合に、この両者の問題をどうするかという問題も、税制上やはりあわせて検討されねばならぬということでございます。しかし、いずれにいたしましても、税制の問題としては、こういう特例がなくて済む状態が早くきてほしいと思うことには全く同感でございます。  それから、分離課税の問題につきましては、これも理論問題と実効問題がございます。どこの国でも、特に進んでおる国におきましては総合課税をやっておりまして、脱税が非常に多いとも聞いていないわけであります。ただこれは、支払い徴収を出すにいたしましても、非常に零細な預金があるものですから、はたして技術的にそれが全部集められるかどうか。どうしてもその国民納税についての御理解を前提にしないと、総合する場合においてもなかなかうまくいかぬのじゃなかろうかという感じがするわけでございます。これは実際問題でございます。その場合、たとえばそれなら暫定的にそういうことでなくて、総合という段階に一挙にいくとなると実効上問題がある、そこである妥当な源泉税率できめるということが中間的に考えられるわけであります。その場合の上積み税率が実は一番違うわけでございます。これは所得税のかからない納税者から最も多額な納税者に至るまで、ゼロから七〇に至るまで、おそらくその税率はあるわけでございまして、それを源泉課税一本できめるということはかなりむずかしい。その中間制度といたしましては、いわゆる源泉選択税率があるわけでありまして、一方源泉徴収でやっておいて、あとで申告で精算するという道はもちろんあるわけであります。その場合におきましても、その源泉選択にかかる源泉徴収税率を幾らにするか、この問題がございますし、またかたがたもう少し突っ込んで考えますと、最後に精算する場合におきましても、預金秘密性との関連において、うまくそれがスムーズに流れる方策が別途考えられねばならぬというふうに感ずるわけでございます。なかなかこの問題も、税制上の理論からいいますと非常に割り切ってものを言うことができるわけでございますが、最後実効を収める実効の点で及第点を取るということになりますと、なかなかむずかしい問題を含んでいる、かように私は考えているわけでございます。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現行制度を弁護されるような立場で、郵便貯金の場合も利子は古くから非課税だというようなことを言われたり、それから総合所得方式に、分離課税をやめた場合には、これはゼロから七〇%までの累進税率があることにも問題があるというようなことを言われるわけですが、もしそういうことを言われるなら、これは現在のすべての税金はまさに問題があるのであって、第一、後者の場合などは、われわれの立場からすればもう七〇%以上になる場合があってもいいのだというような気持を持っているわけです。それはやはり担税力のあるところから取るという建前、これがやはり公平の原則なんだということからいえば、貯蓄利子であるから税制面で特段に優遇しなければならないことはないと思う。しかもこれは何人も疑いのないように資産所得であり、しかも言うならば不労所得でもあるわけであります。こういうような立場からいえば、今主税局長が言われるようなことを言っておられたのでは全然前進の芽というものはその中から出てこないのです。そういう立場から考える問題が一つあることと、もう一つはあなた方が設定をされた国民貯蓄組合法によりましても、現実の姿というものは、乱用防止するとかあるいはいろいろなことを言っておったけれども、現実には大へんな姿になっていることは、この税制調査会の資料を見てもわかることでありまして、有業人口が四千四百万に対して、国民貯蓄組合組合員数が六千七百七十七万六千という、まさに一五三%に当たっている。しかも一世帯当たり考えましても三・一口になっているというのが、ごく最近の三十六年度の実績として明確にされているわけです。そういう傾向というものは、もう二十七年からずっと見ましても、毎年冷々そういう乱用の結果というものが累増してきたわけです。そういうことに対して、これは税務当局としてのあなた方がこれについて責任を感じなかったということが、むしろ私はおかしいのじゃないかと思う。こういう立場というものを考えたら、今のような答弁では私ども何とも満足できないわけです。この利子課税の問題について、税制当局としての決断すべき時期というものがきているのだということで、利子課税についてもう少し前進した、すっきりした姿に直したいという表明がここらであってしかるべきだと思うんですが、いかがですか。やはりこういう事態が出たということについて、それをここ数年来ほっておかれたということについては、今度それの乱用防止の案は出ましたけれども、これだってあまりにもおそ過ぎたんじゃないか。むしろ政策的、意識的にそれをはったらかしておったと言われても、あなた方としては陳弁できないのじゃないかと思うわけです。そういうことも含んで、利子課税の問題についてもう少し前進した方法をとる気持はあるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思うのです。
  12. 村山達雄

    村山政府委員 国民貯蓄組合組合法に関する税の執行面の問題でございますが、御承知のように昨年は、われわれといたしましては、この三十六年中乱用防止ということを執行面において実行いたすつもりでございます。その成果を見たしで、その制度の改訂を要するのであれば、来年度国会にその案を提出いたします。ということをたしか申し上げたと思うわけでございますが、その際国会では、その執行の結果をよく監視するというお話がございました。実は国税庁の方におきまして、昨年はこの乱用防止につきまして相当な努力を払ったわけでございます。その結果といたしまして、本税におきまして約二十五、六億の追徴を見るに至ったわけでございます。予算面では十八億くらいあげておったのは御案内の通りでございましたが、執行面ではそれを上回るものが出たわけでございまして、決してこれで十分とは申しませんが、相当努力したということでございます。なお、これに伴いまして加算税をとるべきものにつきましてはとっておりまして、これまた五億以上に上っているわけでございます。総額三十億をこえる追徴を見るに至ったわけでございます。  この監査の結果をつぶさに検討いたしますと、どうも現在の国民貯蓄組合制度そのものの中に、その適正な運用について十分の配慮が加えられていないということが感ぜられまして、今回の国民貯蓄組合法におきまして、その点に関する改正案を銀行局の方から御提案願ったわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、今度の適正化の措置によりまして、同時にまた今までの何年かにわたる税務当局国民貯蓄を取り扱っておる機関——主として金融機関でございますが、これらの州立理解もだんだん深まって参っておりますので、今度の改正措置、それと、取り扱っている金融機関の御理解によりまして相当な成果を上げることができるというふうにわれわれは現在考えておるわけでございます。これまた今度の改正によってどれくらいの成果が出てくるかということを注視した上で一歩々々所要措置をとって参りたいというふうにわれわれとしては現在考えておるわけでございます。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国民貯蓄組合の加入している状況を、一番新しい数字で、組合数、組合員数及び金額、これについてちょっとお示しいただきたいと思います。
  14. 村山達雄

    村山政府委員 申し上げます。  一番新しい数字が三十六年三月で、わかってございます。組合の種類も、地域、業域、職域、窓口、その他、とございますが、これらを合計したところで申します。組合数で九万四千二十二組合でございます。組合員数で六千七百七十七万六千人でございます。金額で申しまして四十六億六千百五十九万三千円でございます。——間違えました。金額は四兆六千六百十五億九千三百万円でございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それよりも新しい時点では調べたことがございませんか。
  16. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 お答えいたします。  国民貯蓄組合の動向に関しましては、ただいまでは一年に一回報告が出て参ることになっております。従いまして、ただいまのところでは、三十六年三月末の数字が一番新しいものでございます。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 一番新しい数字がそこに出たわけでございますが、私は今、主税局長がその数字の金額単位を違えたところに問題があると思うのです。明敏な主税局長がそんなことを間違えるはずがないのです。四兆と四十六億と間違えるということは、もう絶対にあり得ないことなんです。  それは別といたしましても、四兆六千億からの国民貯蓄組合に加入されている預金がある。これに対して、分離一〇%の課税をかりにやったとしましたならば、これは幾らになりますか、これを一つ伺っておきたい。
  18. 村山達雄

    村山政府委員 分離一〇%の課税をすることのよしあしは別でございますが、単純に計算いたしますと、二百億くらいになると思われます。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ことしはまだ租税特別措置による減収の見込額が一覧表になって出てませんが、これを一つ資料として提出していただきたいと思います。これを間違いなく約束してもらいたいと思います。  今の数字に対しまして、分離一〇%課税で、内部的に、六カ月ものとかいろいろ条件が違うから、だいぶ安全率を見込み、ずいぶん甘く見て二百億ということを言われたわけですが、それはどういう事情に基づくものですか。原則的には、黒金さんが——彼も税金の大家のようですけれども、一〇%ですぐわかるじゃないか、四百六十六億ということになるじゃないかという趣旨のことを言われているわけですが、そういうように違う原因というのはどこにあるのですか。
  20. 村山達雄

    村山政府委員 ただいまの四兆六千億と申しましたのは、これは元本でございまして、従いまして、普通預金、定期預金その他みんな利率が違いますので、それぞれ預金種類別に元本を推計いたしまして、それに対応する支払い利子額を求めますと、約二千億になるやに思われます。それに対して一〇%課税すればどうなるかということになれば、二百億という数字になるわけでございます。  それからただいま租税特別措置法の三十七年度の数字を出すようにというお話ですが、早速出します。実は、われわれの方で三十七年度について見込んだ数字がございますので、今の部分に関する限りどれくらいの租税特別措置によって減税になっておるかという点を、国民貯蓄組合預金利子の免税によって幾ら、それから分離課税によって幾らという点を数字だけ申し上げますと、三十七年度国民貯蓄あっせんの利子の免税が百五一億——その減税分が百五十億に上るように思います。それから分離一〇%の課税による税率軽減による減税分が百二十五億、合計いたしまして二百七十五億という程度の数字に上るようでございます。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その数字はいずれ要求をいたしまして詳細に出していただきたいと思います。  それで、今度の国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案乱用防止をするということについて、乱用状況は先ほど私が申し上げましたような状況になっているんですが、これがはたしてこの法律の一部改正で絶対可能だ——たとえば有業人口に対して一五三%になったり一世帯当たり三・一口になったりというようなことは若干改まると思いますけれども、ほぼ完全なまでに乱用を、この法律改正の中で、一人二口だけは選べるということで、百万円までということで、それ以外の——今までは一千万円を三十幾口に分割をしていろいろな形がだいぶあったわけですけれども、そういうようないろいろな問題が完全に防げるという立場でお出しになっているわけですか。それともまだこれでも不十分なんだという立場に立って出されておるわけですかその点明らかにしていただきたい。
  22. 村山達雄

    村山政府委員 結論から申しますと、今度の改正によって、その相当部分は今までの乱用の中身から見まして防げるように思われます。今度の改正では、ごらんのように、まず従来は十三種類でございますが、各種類ごとに三十万とある。かなり非現実的なものを、それぞれ三種類にしまして、その場合に三十万を五十万に改める、ただし選択する場合には、そのうちの二つに限るということになっておるわけです。しかも同一人は一組合しか加入できないという現行法規定はそのまま踏襲してございますので、従って普通銀行につきましては、実際上は預金なら預金だけになるわけでございます。窓口で二つできるというのは、信託銀行のように信託と預金をやっているようなところはできるかと思います。  それから地域組合につきましても、今度は二種類しかできない、こういうふうに、いわばそのグループを観念ではなくて実際の問題に合わせてやっていたというのが一つ制度でございますが、何よりもここで出ておりますのは、今後銀行が本人であるかどうかということを確認し得る権限を与えてもらった、同時にその納税者に対して他の組合には加入してないといういわば誓約をした上で、その検査権を持っておる銀行に加入申込書を出すことになっております。従来の乱用から考えますと、結局制度の問題もございますが、それらの加入する納税者考え方、それを受け取る銀行の窓口、この呼吸の問題が一番大事な問題だと思うわけでございます。今度はその点につきまして一つのくさびが入ったような感じでございますので、これをよく御理解いただいて、その上で、その制度の精神に従って、銀行並びに預金者に利用していただけば、相当部分は自動的に乱用防止になるだろうというふうに考えわけでございます。もちろん窓口での監査でございまして、従いまして、納税者がいろいろな手を使ってやる場合、完全には防止し切れないかもしれませんが、従来の実績から見まして相当部分はこれで押え得るものと考えておりますので、もちろんこの制度はぎゅうぎゅうあらゆるものを資料で監査するという制度にはなっておりませんが、相当部分はこれによって問題点の解消ははかれるものと考えております。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 金融機関に対して、非課税貯蓄申込書の提出を要することとするということが一つ具体的な方法である、それから、窓口組合の場合には加入しようとする者の資格の調査を行なうため必要な証明を求める権限を与える。銀行は何も税金の取り立てに協力する義務はないと思うのです。銀行は、要するに資金がよけいに集まればいい、これはもうそういう性格を持っておる。従って、一千万円持っていって、これを税金のかからないようにしてくれと言うと、今でも乱用防止するというのが法の趣旨であるにもかかわらず、銀行自体が、いや、それならいい方法があります。三十七口に分割しなさい、名前を変えなさい、この通りすれば一文もかかりませんから、これが銀行の姿で、貯蓄を集めようという考えを本質的に持っているし、何も税務署からほめられて預金が少なかったというよりは、税務署からしかられても預金をうんと集めた方がいいというのが銀行の立場だと思う。そういう本質的な問題に対し、これだけのことでできるのだろうかということを私ども考えざるを得ない。うしろの方で、どろぼうに金庫の番人をさせるようなものだというような声も聞こえておりますが、この点で、たとえばこういう場合は一体どうなんでしょうか。ある銀行に非課税貯蓄申込書の提出をする、また別の銀行へ行ってこれをやる、そういうように、銀行を幾つもかえればこれはできるのじゃないですか、これが一つ。それから、資格の調査はどの程度にどういう具体的な方法をもってやるのか、その二つについて伺いたい。
  24. 村山達雄

    村山政府委員 先ほど私が、この改正によりまして相当なる効果をおさめ得るのではないかと申し上げたのは、実はこういう認識を持っておるわけでございます。現在の乱用の形を見てみますと、ほとんど店内での分割で、これが大部分でございます。それからもう一つは、銀行がそれが分割だということを知っておるということなんでございます。それがいろいろな名義になっておる。極端なのになりますと、本人の名義のまま分割されているようなことがございまして、銀行は百も承知なんです。なぜ銀行がそういうことを知りながらできなかったのかということに問題があるわけでございます。だんだん聞いてみますと、はっきり申しますと、いわば銀行相互間の預金獲得競争、これが最も大きな原因であったように思われます。われわれも知っている銀行家に、せいぜいこんなことをやってみたって甲の銀行の預金を乙に移すかまあそれぐらいの効果しかないじゃないか、お互いに食い合っているというのが実情じゃないかというような点をいろいろ話したことがございます。私の会った範囲での銀行家も、全くその通りなんだ、しかしそうかといって自分のところがやめたらほかに預金が流れるんだ、だからやるからには、途中からということでなくて、新しい方式によって乱用防止ということに金融機関一斉に進んだ場合に、初めて効果を得るのであって、一人だけやるということは、これは要するに銀行の預金競争において脱落するということなんだから、これはわれわれも悪かったかもしれないけれども、制度に基本的な問願があるし、どこかで再スタートのチャンスを与えてもらわなければならぬ、そういう趣旨のことをわれわれは強く訴えられたわけであります。考えてみますと、確かにそういうことはうなずけるわけでございます。そういう意味で、われわれは新しい制度のもとに金融機関が一斉にこの新しい制度の精神でスタートいたしますれば、大部分の弊害は除去し得るものと考えておるわけでございます。  それから、広瀬先生のお話しになった第二点の、店舗を異にして二重加入する場合あるいは仮装名儀を使う場合、これはどうだというお話しでございます。これは今度の制度でも法制上は防止する道は出ておりません。ただ、本人が加入申し込みをする際に、他の組合には入っていない、つまり他の店舗には国民貯蓄組合として預金している預金はございません、こういう誓約をした上で入るわけでございます。従いまして、納税者の普通の人の心理状態考えますと、それでかなり防止できるのではなかろうか、また銀行もその点を確かめる等の方法によりまして、相当防止できるのじゃないか。まあ従来の乱用から申しますと、二重加入という問題は非常に少ないわけでございます。今度は店内を締めることによって店外に動くのではないかという御懸念でございましょうが、その点はそれらの納税者の善意と金融機関の御協力によりまして相当防止できるのじゃないか。なお金融当局におきましても、今後組合の適正な運営状況を監査する場合に、税法上二重に加入しているかどうかというような点にも十分配意をしていろいろ検査をしていただくというふうにわれわれは聞いております。もちろん疑いがある場合におきましては、税務の監査もまた通常必要があれば行なわれるわけでございますので、それらの措置と相待ちまして、今度の改正は相当の所期の効果を上げることができるというふうに現在のところ思っておるわけであります。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あとの質問に答えていないわけですが、窓口組合の組合長に対して、その加入しようとする者の資格の調査をできる権限を与える、その資格というのは一体何を調査するのですか。その資格要件というものは何なんですか。これはたとえば、生まれたばかりの子供をやるというようなことではいけないという趣旨なのか、一体何をそのねらいとしているのかということです。
  26. 村山達雄

    村山政府委員 これはおそらく貯蓄組合法の施行規則、細目の方で明らかになると思いますが、われわれが聞いておる範囲では、その申し込んでおる人が住所氏名を書いていっているわけですが、それが事実であるという確認の問題、それから他の組合に入っていないという誓約書がありますが、そのうち自分の店舗についてはこれはまあ確認できるわけでございます。それから実情からいいましても、現在二重加入しているものについては、店内二重加入についてはほとんど銀行がわかっております。その問題はおのずから確認がつくものと思います。従って、残る問題は、先ほど先生がおっしゃった店舗を異にして二重加入しておったものがどうか、この問題だけが残る。ほかにつきましては大体確認し得るものというふうに考えておるわけでございます。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今のお話を聞いていまして、やはり一つの店内で一千万円を三十幾口に分けたというようなことは防止されるけれども、これはあくまで税金をのがれようとする者にとっては、どんな方法でもあるのだ。その方法については規制がないということで、しかもこれは全然罰則も何もないわけですね。このことが一つです。  それから問題は、その組合員名簿というようなものを税務当局が銀行から出さしてこれを検査するというようなことができるような立場になっているのか、そしてまたそういう場合に二重、三重になって、この二口という制限をこえているものに対して何らかの罰則的な規制の用意というものがあるのかないのか、これが第二点。  それからもう一つは、政令にまかされた。今までは十三種類あったものが、今度は三種類だけに限った、これを政令で追加することができるというわけでありますが、これも、今のところ三種類だけであって、あと政令で追加する場合に今どんなものが考えられているか。やはり政令が出てみたら十三種類に近くなったというようなことでは、またこれも意味がないことだと思う。そうすると、まさにこの法律は、乱用防止するためにこれだけ努力しましたという税務当局の善意にもかかわらず、効果としては、ほとんどその意図というものは達せられなかったという結果が、来年の今ごろになって出るのじゃないか、こういうことが考えられるわけですが、それらの点について、具体的に一つお答え願いたいと思います。
  28. 村山達雄

    村山政府委員 問題は、その組合法に基づく組合法違反の罰則と、それから税法に基づく監査の問題と、二つあるわけでございまして、いずれもそれぞれ規定があるわけでございます。組合法はたしかその違反があったら、三百円でございましたか、低額の過料が課せられることになっております。税法におきましては、もちろん監査権があるわけでございまして、源泉徴収義務者としての金融機関等については十分源泉徴収義務を的確に適正に履行しているかどうかということは随時監査はできますし、また、質問検査権によりまして、必要があれば所要のことを聞き得るわけであります。ただ、お話のように、この組合法の中で、組合員名簿、住所、氏名というようなものを作って、それを税務署の方に出させるかどうかというような問題も、立案の途中においては、一つの案として考えられた段階もございます。ただ、この場合、そもそものこの制度が設けられた趣旨、それから現在における預金状況等考えまして、そこまで一挙にいかなくても、今度の措置で相当の目的を達し得ると思いますので、今度の措置をとった上で、必要があればまた考えるということでおそくないのじゃないかということで、その案は実は廃案にしいたしたわけでございます。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今お答えになりました過料とか、それから組合法自体における罰則、これらのものは、今度の法改正に伴って新設をしたものですか、それとも前からあった通りのものそのままですか。
  30. 村山達雄

    村山政府委員 その点は、従前の法律からあったわけでございます。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 従前そういうものがあってこれだけの乱用状況になっているということなんですね。そうだとすれば、今度せっかくこの乱用防止しようというからには、そういう面でのチェックというものがやはりなければ、これは先ほどから申し上げているように、全くのざる法に終わってしまうのじゃないかという考えがしてならないわけです。特にいろいろな過程で組合員名簿を出させなかったということは、これはまさに画龍点睛を欠くものだと思うのですね。それがきちんと検査の対象になるのだというだけで、やはり私はやろうとする意図が達成されるのは、やはりこれがあって初めて達成される、そうでなかったら、いかにいろいろな方法を講じても、同一店舗内での乱用防止だけにとどまって、総体約には国民貯蓄組合制度による免税というものが、二口百万円という以外は免税にしないんだぞというようなことも、まるきり役には立たないのじゃないか、こういうように考えるのですが、いかがですか。
  32. 村山達雄

    村山政府委員 先ほども申しましたように、今の弊害の根源を見ますと、どうも罰則が弱いからとか、あるいはそれを監査できるシステムが十分でないというところにも一半の原因はあるかもしれません。しかしわれわれの見るところ、大部分の原因は、本制度をほんとうに適正に運用しようという金融機関の気がまえと、それに対する納税者の理解、この問題が大部分を決定しておるというふうに、われわれは実は認識しておるわけでございます。従いまして、確かに、それらの非常に強い罰則とかあるいは名簿を中心とする資料が自動的に税務署に集まるというような制度をとらないという面については、もちろんその面では不十分だというそしりは、あるいはあるかもしれません。しかし実際問題として考えてみますと、さっき言ったような乱用の原因からいたしまして、現在ある乱用の相当部分は防止し得るものだというふうに私は考えておるわけでございます。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この問題はだいぶ内容がはっきりしてきましたので、またいずれ日を改めて、具体的な資料等も先ほどの問題で要求もいたしましたから、それに基づいてもう一ぺんやることにいたしまして、きょうは問題を次に移したいと思います。  通行税法の問題ですが、去年、本委員会で附帯決議を、これは与野党一致した満場一致の決議でつけたわけでありますが、その結果、今回二〇%から一〇%に下がったわけでありまして、その点では、国会の意思が一部実現したわけであります。その点では大へんけっこうなのですが、ただここで、この段階へきて、通行税などというものを設けておくこと自体にやはり問題があるのじゃないかということがございますし、さらに国鉄の場合に、航空機における九十二条に基づく特別措置との関連において、なぜそういうような差別を設けなければならぬのか、税制調査会でも、この問題については、通行税は二〇%から一〇%にしろということだけを言って、航空機の特別措置についてどうこうということは何も触れなかったわけです。航空機はもう今まで特例で一〇%にされておった。国鉄よりも一歩早く、国鉄の一等や特急や寝台というようなものとの見合いにおいて二〇%・それに対して特例で一〇%ということになっておったわけですけれども、その二〇%を今度一〇%にしろというだけのことで、航空機について、現行の一〇%の特別なものも五%にしろということは、何にも税制調査会は言ってないわけであります。これはどこからも大した意見といいますか、そういうものも実は出てなかったのですけれども、それにもかかわらず、最後のころになってこれをぽこっと出してきたというのは、やはり何らか政治的なプレッシャーがあったのじゃないかとすら疑われるわけです。合理的な根拠というものは、一体その間にあるのですか、どうですか。その点を一つ伺いたい。
  34. 村山達雄

    村山政府委員 前国会の附帯決議におきまして、通行税についてはできるだけ軽減ないし廃止の方向に向かうべきだという点があったことは、われわれもよく承知しておるのであります。今度の税制改正案を提出するにあたりまして、実は間接税全般について検討を加えて参ったわけであります。その結果今度の提案になっておるわけでございますが、この通行税につきましては、今の二〇%では、ほかの間接税体系に比べてやや重いということで一〇%にしたわけでございます。廃止という御意見、これも多少あったわけでございます。特に世間ではそういう御意見もあったわけでございますが、間接税体系全体を見ますと、入場税との振り合い等も考えてみまして、しかも通行税とはいいながら、実際課税の対象になっておりますのは、汽車の一等、それから汽船の特等、それから飛行機、これだけでございます。そういたしますと、国鉄の場合は、全体の乗客数に対して〇・六%くらいでございます。しかもその料金割合は税込みで改正前の約二倍、税抜きで一六六くらいだと思っておりますが、それくらいのことになっております。こうなりますと、現在の日本の消費の階層別の実態からいたしまして、やはり課税を廃止するというのは行き過ぎではなかろうか。各国におきましても、もちろん通行税のないところもございますが、アメリカ、西独、フランス等におきましては、いずれもこれに相当する税金がかかっております。そういう意味で、廃止というところにはいかないで、従来の二〇を一〇にとどめるということになったわけであります。  それから第二点の航空会社に対する軽減税率、これは御案内のように、従来二〇%の場合に一〇%の軽減税率が適用になっておったわけであります。これは日本の民間航空が非常におくれて発足いたしまして、これの企業対策というものも、やはりこの間接税の面で考えていく必要があるであろうというところで盛られたわけであります。税制調査会では何らの答申がなかったじゃないかというお話でございますが、おっしゃるように、答申本文にはそのことは出ておりません。ただ、出ていないということは、なかったわけではございませんので、その経過の説明等の詳細におきましては、その点が出ておりまして、やはりよく現状を調べた上で、その必要があるなら適当の軽減税率を盛るべきであるという趣旨のことが、その答申の明細の方ではうたわれておるわけでございます。  われわれ、いろいろ調べて参りますと、現在の民間航空、すなわち日航と全日本空輸の経理内容は、現在の料金にもかかわらず、まだ相当基礎が脆弱だと認められます。一番最近のところで、三十七年三月の決算見込みによったわけでございますが、日航で申しますと、大体国内線が黒字、それから国際線が赤字、通じてとんとんでございます。ただその場合に償却不足は相当程度ございまして、税法でいうところの償却限度一ぱいまでやった場合に比べまして、その不足額は十億九千万円程度に上る予定でございます。国内線の数字を申し上げますと、約十三億三千六百万円、それから国際線で赤字十五億七千五百万、差引二億三千九百万円の赤字、このほかに償却不足十億九千二百万というところでございます。全日本空輸につきましても、単純な公開決算の予定では、利益が四億五千万程度出るやに見受けられますが、償却不足額が一億九千五百万、そのほかに日ペリと極東が合併した際の営業権の償却不足は二億八千万程度ございますので、これらの企業資産を落としますと、これまた実質上は赤字だ、こういう経理状況でございます。料金等を見ましても、なお航空機は一等料金に比べましてはある程年割高になっておる。こういう現状等を見まして、もうしばらくの間この軽減措置を続けることが必要ではないか。ただ今度は半分にして一〇%を五%にいたしましたので、はなはだ形式的なものの言い方ですが、特別措置による減収額は一〇%から五%に減りましたので、その分は機械的に金紙は減って参るわけでございます。内容的に申しますと、ただいま申しましたような実情でありますので、もうしばらくこの措置を継続する必要があるというふうに考えるわけであります。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 航空機の場合には、租税特別措置法の第九十二条を適用するというのは、主として航空会社の経理が不安定だということからとられているわけですが、これはそういう面では最近非常に改善をされている。この九十二条を作った当時から見れば、今は非常な経理面の改善が行なわれているということは認められると思うのです。しかし国鉄の場合に、二〇%から一〇%になったから、黙っておっても、それを今までの対比において、向こうは半分をまた半分にしてやる、こういうのはいかにも既得権化している考え方じゃないかと思うわけです。一〇%なら一〇%で同じにすべきだし、また五%に向こうをしたならば、国鉄もこの際一気に五%にする必要があるのではないか。そうして大体国鉄の一等に乗る者と飛行機に乗る者と、これはもう今日においては担税力があるのかないのかというような点については、むしろ航空機を利用する人の方が担税力があるのだということも当然だし、それでできるだけ航空機に人を乗せてやろうという政策目的をもっともっと強く出すためには、国鉄を犠牲にしなければならぬのだということもあるのかもしれませんけれども、そういう気持であるのかどうか。国鉄はまだ経理はいいのだというけれども、去年の運賃引き上げの場合においても、あれだけの国民的な抵抗がやはりあるわけです。はたして国鉄の場合でも減価償却なんかが、航空機会社と事情は若干違うけれども、十分に減価償却などを認められているかどうかというようなことになると、これは非常に論議があると思うのです。やはり若干のものをまだ残す段階だという理論があるとしても、航空機に乗る者の払う通行税と——同じ九州に行くのに四時間しかかからぬで行ってしまう、片方は特急に乗って行っても十七、八時間かかるというような場合に、片方は、のろのろと行く方が税金を高くとられて、運賃は今度の措置によって比較してみると幾らも違いがないような状況になっている。そういうような状況だとするならば、もうこれは五%くらいに、せめて同じような状態に持っていっていいのではないか、こういうようなところまで考えが及ぶわけですが、そういう点いかがですか。
  36. 村山達雄

    村山政府委員 民間航空を国鉄との比較において対比する、こういう見方もあるかと思いますが、われわれむしろ重点を置いておりますのは外国の民間航空、これとの関係が一番重要じゃないかというふうに考えておるわけでございます。国鉄との対比という考えもございますので、その点について申し上げますと、これは三十五年度の実績しかわかりませんが、旅客総数が国鉄で十七億八千三百万人、そのうち課税になった人員でございますが、これが千百万人でございます。今度は二等がはずされて、新一等だけでありますので、割合はこれより減ると思います。単純に三十五年度の割合で見ますと、片や課税人員の比較をとってみますと、国鉄が、これは三十五年度の二等を含んだ数字でございますが、二千二百万人が課税人員でございます。航空機の方は御指摘のように逐年利用者数がふえて参りまして、九十八万人でございます。従って〇・五%弱という数字でございます。この乗客は軽減税率ではございますが、全部かかる、こういう状況でございます。先ほど申しましたように、民間航空につきまして軽減税率をやっておるというのは、これらの状況、それから現在の料金がなお航空機が高いという点、それから民間航空機が日本の場合非常におくれて発達したということ、それらが不良資産をかかえておって、実質的に赤字であるということ、それから将来の問題として非常に今飛行機の機種が日進月歩しておりまして、今後といえどもおそらくとっかえひっかえ新しい機種を設けざるを得ないという状況が容易に想定されます。それらの点を考えまして、一方一〇%というときに、なおしばらくの間五%程度の税率というのはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。国鉄の減価償却の問題につきましては、もちろんこれは国鉄なりあるいは運輸省で見ておりますし、また主計局におきましても、十分償却が行なわれるというその基礎の上に年々の予算を組んでおると思っておりますので、償却不足があるということは、私、数字はわかりませんが、まずないものというふうに常識的に思われるわけでございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 運輸省からおいでになっておりますか。——運輸省にお伺いしたいのですが、主税局長は税金をとる方の立場ですから、国鉄の場合には償却不足なんというものはまずないだろう、こう言われておるわけなんですが、この点理想的な償却をしたとするならば、さらにどのくらいその償却不足というものがあるのかというような点について、わかっておったら一つこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
  38. 芳賀久

    芳賀説明員 昨年運賃価上げをさせていただきまして、それによりまして現在比較的償却不足はないという見通しでございます。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 償却不足はないということですから、それはけっこうですが、一等関係の乗車効率というものは最近どんな状況になっておりますか。これは国鉄でも運輸省でもけっこうです。
  40. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 お許しを得まして、国鉄から御答弁申し上げます。  去る十月にダイヤ改正をいたしましてからあとも、一等の方は盆暮れ等の特別な時期を除きましては、必ずしも乗車効率はよくございません。全国平均で申しますと、大体五〇%から六〇%ぐらいでございます。それに引きかえまして二等、前の三等は大体八七、八%から九〇%というふうになっております。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 今お答えがありましたが、私がちょっと調べたところによりますと、航空機の場合と国鉄の一等というのは、最近具体的に比較をされるようになってきたのではないかと思うのです。たとえば東京−大阪間を旅行いたします場合に、航空機の場合には東京−大阪間は普通運賃が六千三百円だそうであります。それで国鉄で、普通急行で寝台のAの下を使って参りますと今度一〇%になりましても五千三百六十円であります。ところが航空機会社の方は新婚サービスだとか、あるいはビジネス・サービス、夜間サービス、家族サービスなどというのがあって、夜間サービスのごときになりますと四千四百五十円で東京−大阪が行けることになります。この時間的要素を考えたならば大へんな違いでありますけれども、一番安いのは家族サービスの四千四百十円、夜間サービスの四千四百五十円、国鉄の場合は普通急行の一等で、寝台のAの下を使うと五千三百六十円であります。ビジネスの場合でも五千円、あるいは新婚の場合でも航空機は五千円ということになりますとこれはもう全然——国鉄に乗って特急だといっても七時間近くかかる、それが一時間半ぐらいで飛んで行って、しかも五千円で行くということになったら、これは妙なことになるのじゃないかと思います。こういうような状況が東京−大阪間ばかりじゃなくて、東京−福岡間でもあるいは東京−札幌間でも、ほとんど国鉄の運賃を出して一等の寝台なんかで行くというのがばかくさくなっているような航空機の割引料金というものが相当広範囲に利用されて、しかも去年の証券会社の「銀行よさようなら、証券会社今日は」じゃないけれども、国鉄よさようならというような宣伝がなされまじき現実も出ておるのであります。たとえば千円安くて時間はこれこれと、それでサービスは満点ということになりますと、非常にそういう面でおかしいじゃないかと思うわけです。(「国鉄がんばれ」と呼ぶ者あり)私、国鉄出身だから別にがんばっているわけじゃないけれども、これは、航空機等に対して、経理が、もちろんまだ国外線なんかは赤字が出ている、国際競争のためにはこれくらいめんどうを見てやらなければいかぬのだという理屈はわかりますけれども、国際的に航空会社の経理状況を国際路線との太刀打ちにおいて負けないようにしてやるために、幾ら税制ががんばってみたところでたかが知れていると思うのです。それはもっといい方法というものがあるだろうと思うのです。特に国鉄の場合には去年あれだけ国民的な抵抗を押し切って、ようやく償却不足を解消する程度のところまできたということであって、その間においては非常に合理化も推進されるし、業務量の増大に見合う職員の補充なんというのはちっともなされない。それから時間短縮の仲裁裁定が出されたけれども、これもほとんど具体化する余地がない。これは経理面からの支障がそういう面でも現われているわけです。従って償却不足は解消したかもしれないけれども、そういう面では非常に職員に犠牲を押しつけてどうにかつじつまを合わして近代化におくれないように、それから所得倍増計画に即応できる輸送力をつけようということで、だいぶ経営者陣も苦労をしているし、その苦労が今度は労働者に相当なしわ寄せとなってきていることも事実であります。こういうようなことも一方においてはやはり考慮をしていただかなければならぬじゃないかと思うのです。そういうことは一応考えていただくことにしましても、少なくとも航空機会社の方ではガソリンも全部免税であります。航空機の使用するガソリンは全部免税だということにし、さらに通行税の面でもわざわざ特別措置を作って五%にしている。何も国鉄の一等や、あるいは一等の寝台に乗る、しかも長時間かけて旅行をするということに対して一〇%の税金をとるということはどれほどの合理的な根拠があるだろうかということになりますと、私は非常に疑問じゃないかと思うのです。一体その点どんなふうに考えるのか。国鉄の一等に乗って寝台に乗るということ、あるいは特急に乗るということは今日非常にぜいたくなことだという考えがあるのでしょうか。この一〇%というのを合理的だと考えるのは一体どういうところから出てくるのか、これについてはっきりお示しをいただきたい。
  42. 村山達雄

    村山政府委員 その最後の点でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、旅行一般について、それがぜいたくだとか、あるいは奢侈的であるとか、特に担税力を求めるということではないわけでございます。旅行の形にはいろいろある。そのうちで、汽車の一等、船の特等、それから飛行機の旅行というものは、ほかの旅行に比べて多少の税金を負担してもらうのが、現在のいろいろな国民消費の態様から考えてみてどんなものであろうか。それが一〇といったときに行き過ぎであろうか。特に入場税等につきまして今度は一〇でいっているわけでありますが、それを考えるとわれわれはバランスがとれておるというふうに考えているわけでございますが、その辺の常識的の感覚に出ているわけでございます。先ほど申しましたように、全体の国鉄の旅客のうち、三十五年度では〇・六%、一%にも満たない人が税抜き料金で一六六%くらいの高い料金を払って乗っておられる。これに対して一〇%程度の負担をしていただくことが非常に無理なことかどうか、この考え方でございます。飛行機につきましては、別途申しましたように、先ほど申しましたような趣旨から、もうしばらくの間五%くらい軽減することが必要ではないであろうか。ただいま先生がおっしゃったように、今の飛行機の料金と国鉄の一等の料金、これはもちろん普通料金でいいますと飛行機の方が若干高うございます。もちろん割引料金その他を考えますと、そこそこあるいはかえって逆転する場合もありますが、一般的には飛行機の方が若干高い状況でございます。ただ今度の減税によりまして一方は一〇%下がりますが、片方は五%下がるにとどまりますので、料金の格差の絶対額は相当縮まってくる。東京−大阪間の急行一等寝台で申しますと、ただいまお示しにあったように、改正後では五千三百六十円、飛行機が六千円となります。従来はそれぞれ五千八百四十円と六千三百円でございますので、約五百円程度開いておりましたものが、今度はこの格差が広がりまして六百四十円程度になるわけでございます。(「飛行機は割引をするぞ」と呼ぶ者あり)もちろんその割引の問題はございますが、これは一般の普通の人が乗る場合の普通料金での比較をしているわけでございます。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 航空機会社は経理が好転するまでということで、租税面でいろいろな形での特典が与えられている。ところが国鉄は、国鉄の国内における輸送の地位が非常に高いということはどなたもわかっておると思います。具体的な数字はあげませんけれども、そういうことはわかっておる。しかも今日、国鉄が国家的な補助を受けているというのは、新線建設、赤字路線を建設する際の資金に対する利子補給、わずかに去年から三億円が計上されただけで、あとは全部、借金したものに対してほとんどコマーシャル・ベースによる利子をちゃんと払っております。そういうようなこともあって、しかも国鉄がどんどん発展していくための運賃体系として、運賃自体においても一等は二等の倍というものがとられておる。そういう状態で運賃体系ができておって、それで、そういうことだからということで税金をもってのいろいろな補助的な政策というものは何ものもないということを考えてみますと、運賃体系自身の中にもう国の鉄道輸送というものが遂行さるべきものが含まれているということになるわけだと思うのです。そういうようなことを考えれば、その上になおかつ、しかも今日の競争路線としての航空機というようなものが、意識的に、国鉄の特急一等寝台のお客と競合して、うちの方が勝つのだという気持で、そういう意識を持って宣伝をしておるというような場合にまで、通行税を別建にして、国鉄の一等に対して一〇%、航空機に乗ったよりもよけい負担させるというような、少なくとも道義的なあるいは政治的な理由というものはどっちから見ましても、あるいは経済的な立場からも税制の公平の原則からいっても、あらゆる角度からいって、その間に差別を設ける具体的な理由というものは、もうなくなったのじゃないか。だから船空機五%にしなければならぬというなら、これはやはり国鉄の場合にもあるいはその他の汽船の一等の場合でも五%にしていいんじゃないか。その点についてはどうですか。これは非常に具体的な質問なんですが。……
  44. 村山達雄

    村山政府委員 これもまた繰り返すようなことになりますが、実は国鉄と今の民間航空はまだまともに比べる段階までいってないのじゃないかというのが実感なんであります。十七万人間を運んでおるところ、それはもちろん容器の関係がございますが、年間九十八万運んでおるところ、そうしてなるほど途中の税の問題についてはいろいろな考え方はありましょうが、最後の決算じりを見た場合に、国鉄ももちろんこういう公社でございますので、適正な運賃できめているわけでございますが、十分監督官庁その他が見て妥当な決算が組めるという状況、今非常ににおくれてスタートした民間航空、しかもこれは普通の株式会社でございます。こういうものが先ほど申しましたようになお不良資産をかかえておる、この辺のところと、それから料金関係から見ましても、今度の改正によって格差は若干拡大するわけであります。さっき縮小と申しましたのは間違いでございまして、若干減税という問題についてはなるほど反対があるが、現行よりも格差が拡大するという点もございます。それらの点を考えますと、もうしばらくの間五%くらいの軽減措置というものをとるということは、それほど無理なことではないのじゃないか。税の公平観という問題もございますけれども、一般に間接税につきましては、将来相当伸びる新規の物品につきましては、ある程度これは物品税でもそうでございましょうが、ある程度育成する措置をとりませんと、いきなり既成の物品と同じように消費税を課税いたしますと、伸びるものも伸びないというようなことがございますので、問題は程度いかんの問題だと思うわけでございます。われわれとしては、この程度の軽減措置をもうしばらくの間とるととはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 消費者の立場に立って消費者の感覚において、どうしても航空機に乗ったら五%税金をとる。国鉄の一等で、よけい時間がかかってのろのろ行って、そして疲れる度合いもだいぶ違う。それで料金としては大体とんとんに近づいてきている。それなのに国鉄に乗ったら一〇%税金をとられて、航空機に乗ってさっと快適な空の旅をやったら五%でいいのだというのは、消費者の立場からすればこれは何と言おうと納得できないと思うのです。消費者の立場に立ってそういう感覚というか、感じ取り方は無理だと思いますが、その点はいかがですか。
  46. 村山達雄

    村山政府委員 消費者は、税金の問題も分解して、うち税金が幾らというところで、どうも税だけ考えると納得できぬという問題もございましょうが、多くの場合は税込み料金で、実際はそろばんをはじくのだろうと思うのでありますが、その問題で言いますと、税込み料金は先ほど申し上げたように、現行では航空機の方が一般的に高い。特に改正前と改正後では格差は拡大するという点。それから利用の度合いでございますが、これは御案内のように現在のところ航空会社の方がやや一等に比べては利用率が高いように思われます。しかし決算の最後の数字を見てみますと、先ほど申し上げたような程度でございます。それらの点を総合的に考えますと、ある程度の軽減措置というのは是認できるのではないかというふうに思うわけでございます。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうも主税局長は答弁をうまくそらすのですけれども、これは何としてももうここへきては、しかも税制調査会で口頭で実は説明があったんですなんと言っても、僕らそこのところの事情はうかがい知れないから、表面に出たところで考えざるを得ないわけです。おそらく税制調査会としても、これは確信を持てなかったから、表面にはやはり九十二条の場合も下げなさい、半分にしなさいということを出せなかったのだろうと思う。しかも二〇%という問題は、これはもうまずいと言うから一〇%に下げろということを言ったんであって、もしそうだとすれば、少なくとも低い方に同じにするという感じがもうそろそろ妥当ではないかということは、税制調査会のむしろ意向ではないかと思うのです。先ほども言いましたように、航空機会社では何のためにこういうように割引運賃というものを盛んにやっているか、しかもこれが相当使われておる。夫婦で行けば五千円、大阪の場合、新婚の場合は五千円に割引にしてやる。それから夜間は四千四百五十円だ。国鉄なんか乗っていくやつはいないというようなことになるわけです。そういうように国内的には競争の関係に立ってきているということになると、これはもうそういった面からは、先ほども消費者の立場から言ったわけですけれども、こういうような問題を考えて、しかも航空機会社がそういうところに非常に力を入れてきつつあるということになりますと、やはり五%、一〇%の税負担という問題が、この人の流れというものを意識的にそちらへ向けているというようなことが非常にあるのではないかと思う。国鉄の一等の乗車効率というようなものも、二等から見ると非常に乗車効率も低いということがいわれるわけでして、そういう状態から考えましても、どうしても五%というものに歩調を合わせて通行税は一本でいいじゃないですか。一気になくすということも何ですから、この際五%に全部合わせても、どうしても合わされない積極的な理由はもうないわけでしょう。積極的な理由がありとすればそれを示していただきたいのですが、積極的な理由がないとすれば、もうこの辺で航空機もあるいは国鉄を中心とする通行税も一本にまとめてしまったらどうか。その方がすっきりしていて、税体系としてもこういう通行税のごときものにまで二本建の税率があるというようなことはあまりいいことではないと思うのですが、その点一つ明確にしていただきたいと思います。
  48. 村山達雄

    村山政府委員 税制調百会のことにつきましては、先ほど申し上げた通りでございますが、答申本文には出ておりませんが、その経過の説明におきましては、やはり当初論議された経過が出ております。やはり助長産業として必要があるかどうかという点は十分検討して、必要があるなら当分の間軽減措置をとることは適当であろう。率については明確には言っておりません。われわれが考えました点でございますが、今広瀬先生がおっしゃったように、だんだんこの軽減税率というものはなくす方向に向かうし、また将来なくし得る事態がくると思います。思いますが、現在の段階でどうかということになりますと、やはりおくれて発達した民間航空、それから現在の決算の状況からして、軽減税率をとる方が妥当であるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。同じような問題は、今後また出て参ります物品税の暫定税率についても、あるわけでございます。非常に未発達な分野における新しい物品に対する消費、こういうものについては、それの消費あるいはその裏になる産業が軌道に乗るまで、ある程度の特別措置的な税率を盛るということも、これまた国民経済全体のバランスある発達を遂げてもらうためには、税制上もまた忍ぶべきことではないかというふうに考えておるわけであります。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 寡聞にして、外国における例を詳しく知らないわけですが、通行税を取っているところは、等級に応じて取っているのかどうかというような点について、この際わかっていればお聞かせ願いたいと思うのです。
  50. 村山達雄

    村山政府委員 われわれ今わかっておるのはアメリカ、西独、フランスについてわかっておりますが、アメリカにつきましては、課税最低がございます。それは金額によるものと、キロ数によるものでございます。金額は六十セントが一つ免税点なんであります。これをこえる分についてかかっております。それから、定期につきましては、片道三十マイル以下のものについては非課税になっておりますが、それ以上は課税される。等級による差別はございません。一率一〇%でございます。その乗車線の種類も汽車、電車、その他全部にかかっておるわけであります。  西独は、航空機会社については取引高税で処理しております。四%かかっております。鉄道、自動車、船舶につきましては、それとは別の、取引高税でございますと納税義務者は航空機会社になっておりますが、鉄道、自動車、船舶については納税義務者は乗客になっておりまして、運送税という名前がついているわけであります。ちょうど日本の通行税と同じ体系でございます。料金は鉄道の場合が一〇%から一六%程度の税率になっております。それぐらいでございます。船舶については課税しておりません。  それから、フランスにおきましては、収入料金に対して八・五の用役供与税を課税しております。
  51. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に、今日における通行税、これは今航空機と国鉄を中心とする汽車その他があるわけですが、この通行税を徴収する積極的な理由というものを最後一つ伺いたいと思います。
  52. 村山達雄

    村山政府委員 先ほど触れたかと思いますが、要するに旅行をする場合には公用、私用、いろいろあると思います。その場合に、全部の旅行乗客ではございません。そのうち特に高い料金を払った乗客にはそれだけのサービスがあるわけでございますが、そのサービスを受けながら旅行をするという者に対して、ある程度担税力を認め、妥当の税率をもって課税しよう。これが要するにほかの間接税体系とのバランスから見て、日本の現状において、その程度は適当である。こういうふうに考えているわけであります。
  53. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは国鉄の方でこういう資料が出るかどうかわからないのですが、今日特急とか、今通行税をかけられておるものを利用している状況の中で、国家公務員というような人たちであるとか、あるいは自営業者であるとか、あるいは会社の重役であるとか、そういう乗っている人の職業別のものがわかりますか。これがわかったらそういう統計も出してもらいたい。これは公務員の旅費の関係で、税金を片方で取って片方で払い出しておるというようなことも、一等を利用する質的な内容の面から、この通行税がそもそもナンセンスだということも出てこないとも限らぬわけであります。そういうこともありますので、もしできたらそういう資料を出してもらいたいと思います。
  54. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの御質問につきまして、ちょっと古いのですが、たまたま一昨年の十月にお客様からアンケートをとった資料がございます。一応一等の、定期でないお客さんの旅行目的ということでもって、四つに分けまして取りましたもので、必ずしも正確かどうか別として、一応調べた結果を申し上げますと、いわゆる公用、社用、商用というビジネスのカテゴリーに属するものが六四・五%、研修とか修学、体育、そういった関係で旅行するものが一五%、それから私用、家事、慰安、行楽、そういったものに属するものが一八・七%、その他が一・八%であります。(「国鉄はどうだ」と呼ぶ者あり)国鉄職員を一等に乗せるには非常に厳格にいたしておりましてごく少数の者しか一等を利用できないようになっております。
  55. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大体今お答えをいただいたわけですが、きょうはこれでやめて、またあらためて諸外国の制度等ももっと調べましてやりたいと思っています。先ほど主税局長もだんだんにはその方向に進むのだと言われておりますが、そういうような問題についても具体的に、それじゃたとえば航空機会社の場合にどの程度経理が改善したら通行税をやめるのだというような目途もはっきりつけていただかなければならない。また国鉄の場合も、今の物品税やその他の消費税体系との関連について、より深めた討議が必要だと思いますが、きょうはきのうからかぜをひきまして勉強不足でございますので、この辺で終わりたいと思います。
  56. 小川平二

    小川委員長 次会は明十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会