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村山政府委員 先ほど私が、この
改正によりまして相当なる効果をおさめ得るのではないかと申し上げたのは、実はこういう認識を持っておるわけでございます。現在の
乱用の形を見てみますと、ほとんど店内での分割で、これが大部分でございます。それからもう
一つは、銀行がそれが分割だということを知っておるということなんでございます。それがいろいろな名義になっておる。極端なのになりますと、本人の名義のまま分割されているようなことがございまして、銀行は百も承知なんです。なぜ銀行がそういうことを知りながらできなかったのかということに問題があるわけでございます。だんだん聞いてみますと、はっきり申しますと、いわば銀行相互間の
預金獲得競争、これが最も大きな原因であったように思われます。われわれも知っている銀行家に、せいぜいこんなことをやってみたって甲の銀行の
預金を乙に移すかまあそれぐらいの効果しかないじゃないか、お互いに食い合っているというのが
実情じゃないかというような点をいろいろ話したことがございます。私の会った範囲での銀行家も、全くその通りなんだ、しかしそうかといって自分のところがやめたらほかに
預金が流れるんだ、だからやるからには、途中からということでなくて、新しい方式によって
乱用防止ということに金融機関一斉に進んだ場合に、初めて効果を得るのであって、一人だけやるということは、これは要するに銀行の
預金競争において脱落するということなんだから、これはわれわれも悪かったかもしれないけれども、
制度に基本的な問願があるし、どこかで再スタートのチャンスを与えてもらわなければならぬ、そういう趣旨のことをわれわれは強く訴えられたわけであります。
考えてみますと、確かにそういうことはうなずけるわけでございます。そういう意味で、われわれは新しい
制度のもとに金融機関が一斉にこの新しい
制度の精神でスタートいたしますれば、大部分の弊害は除去し得るものと
考えておるわけでございます。
それから、
広瀬先生のお話しになった第二点の、店舗を異にして二重加入する場合あるいは仮装名儀を使う場合、これはどうだというお話しでございます。これは今度の
制度でも法制上は
防止する道は出ておりません。ただ、本人が加入申し込みをする際に、他の組合には入っていない、つまり他の店舗には
国民貯蓄組合として
預金している
預金はございません、こういう誓約をした上で入るわけでございます。従いまして、
納税者の普通の人の心理
状態を
考えますと、それでかなり
防止できるのではなかろうか、また銀行もその点を確かめる等の
方法によりまして、相当
防止できるのじゃないか。まあ従来の
乱用から申しますと、二重加入という問題は非常に少ないわけでございます。今度は店内を締めることによって店外に動くのではないかという御懸念でございましょうが、その点はそれらの
納税者の善意と金融機関の御協力によりまして相当
防止できるのじゃないか。なお金融当局におきましても、今後組合の適正な運営
状況を監査する場合に、税法上二重に加入しているかどうかというような点にも十分配意をしていろいろ検査をしていただくというふうにわれわれは聞いております。もちろん疑いがある場合におきましては、税務の監査もまた通常必要があれば行なわれるわけでございますので、それらの
措置と相待ちまして、今度の
改正は相当の所期の効果を上げることができるというふうに現在のところ思っておるわけであります。