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1962-02-06 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月六日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員   委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君    理事 横山 利秋君       字都宮徳馬君    大久保武雄君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       古川 丈吉君    坊  秀男君       吉田 重延君    久保田鶴松君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁調         整局参事官)  羽柴 忠雄君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    渡辺  誠君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    有吉  正君         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      塩谷 忠男君         通商産業事務官         (通商局次長) 山本 重信君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 二月五日  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)  外国為替銀行法の一部を改正する法律案内閣提出第六一号)(予)  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出第六二号)(予) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月五日  金融政策に関する陳情書(第一六四号)  テレビジョン受像機に対する物品税減免に関する陳情書(第一六五号)  ラジオに対する物品税減免に関する陳情書(第一六六号)  退職公務員年金支給に関する陳情書(第二〇八号)  消防用ガソリンの免税に関する陳情書(第二二一号)  日本輸出入銀行及び経済協力基金資金確保に関する陳情書(第二四五号)  家具物品税改廃に関する陳情書(第三三八号)  嗜好飲料清涼飲料物品税撤廃に関する陳情書(第三三九号)  国税通則法制定に関する陳情書(第三四〇号)  国税通則法制定反対に関する陳情書(第三四一号)  昭和三十七年産葉たばこ収納価格引上げ等に関する陳情書(第三四二号) は本委員会に参考送付された。    ───────────── 本日の会議に付した案件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  証券取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 経済企画庁羽柴さんにお伺いしたいと思いますが、それは去る七日の本委員会におきまして、国際収支の問題について大蔵大臣にお伺いをいたしました。輸出四十七億ドル輸入四十八億ドル見通しについて、四十八億ドル輸入についてはむしろ心配しておる。四十七億ドル輸出については楽観的な見通しを持っておるというお話でありましたが、私たちはその大蔵大臣お話を伺っておりましても、どうしてもその楽観論根拠について明確な把握ができないわけであります。そういった意味合いにおきまして、一、二お伺いしたいと思うのでありますが、それは、三十年から三十五年の平均を見て参りますと、輸入伸びは、例外的な年を除きまして毎年大体二五%、それから輸出伸びは、大体一五%前後になっておる。ところが、これが金額の面でのアンバランスにならなかったのは、それなりの経済外的な理由があったのではないか。その一つ特需であり、また主要輸入品であります原燃料価格がずっと低落を続けてきた。それから三十四年、三十五年にはアメリカヨーロッパからの借金があった。また為替制限による輸入制限が可能であった。こういうような状況の中でバランスを保ってきたのであって、それが本年度こういった条件があるかどうか、これは特需につきましても、また原燃料価格、これはむしろ上げぎみになっておることは御承知通りであります。そういたしますと、こういった経済外的な条件がないところで、この輸出入の目標達成ができる、その根拠についてこの際お聞かせを願いたいと思うわけであります。
  4. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 来年度の見通しにつきましては、輸入は四十八億ドル、それから輸出は四十七億ドルというように予測をいたしておるわけでございますが、ただいま輸出について、はたして四十七億ドルまで行くかどうか、それに対する具体的な根拠があるかという御質問でございますが、これにつきましては毎年の推移を見まして、はたして四十七億ドルまで来年度行くかどうかということにつきましては、いろいろ問題があるわけでございます。しかしながら、現在の見通しといたしましては、輸出がどの程度まで行くかということの推測前提といたしまして、まずわれわれとしてどういう施策輸出面について打つかということが前提となりまして、かような施策を全部取り入れて、あらゆる輸出振興策を国をあげまして努力するならば、必ず輸出は四十七億ドル行くであろうという政府施策というものが前提となるわけでございます。従いまして、昨年の九月以来いろいろ具体的に輸出振興策を展開いたしまして、現在に至りましても、たとえば輸出保険増強であるとか、あるいはまた輸出表彰制度であるとか、また輸出関係するところの金融機関の金繰りの増強であるとか、いろいろな面につきましてあらゆる施策を広げておるわけであります。  またそれと和前後いたしまして、今度は国際的な環境の問題でございまするが、たとえば米国景気がだんだんと立ち直ってきた、もちろんアメリカにつきましては、今までは、たとえばドル防衛政策というような問題であるとか、あるいはバイ・アメリカン、シップ・アメリカン政策の展開によりまして、非常にアメリカヘの輸出というのには問題があったのでございますが、今後のアメリカ景気好転いたしますると、アメリカに対するところの輸出というものも必ずや好転をしてくるであろうというのが国際的な環境といたしまする第一点でございます。  それから国際的な環境の第二点といたしましては、ヨーロッパに対する関係でございますが、西欧におきましても対日差別待遇緩和動き、こういうようなものが出て参りましたし、また昨年の暮れ以来、その緩和動きに対しまして日本側といたしましてもあらゆる努力を続けておるわけでございます。来年度の経済において、これはアメリカヨーロッパの例をとったのでございまするが、なおそのほかの東南アジア地域であるとか、また大洋州であるとかいうようなところにおきましても同じような明るい面が出てきております。もっともこれに対しまして暗い面といたしましては、アメリカドル防衛政策の堅持の問題とか、それからまた西欧に対して差別待遇撤廃してくれといっても、なかなかそう思うようにはいかぬというような暗い面もありまするが、これらと相殺いたしまして、国際的な環境といたしましては、決して来年度は暗いものじゃない、こういうような国際的な環境見通しというものがあるわけでございます。従いまして、今も申しましたように、輸出振興策政府が強力に打ち出すということと、また国際環境好転いたしてくる、こういうようなことによりまして、国をあげて努力をいたしまするならば四十七億ドル輸出達成、これは相当なる努力は要しまするけれども、この四十七億ドル輸出を達成しないことには国際収支好転をいたしませんし、われわれは全力をあげてこの目標達成に向かって邁進する必要があるし、またそうすれば必ずや四十七億ドル輸出は達成できる、かように信じておる次第でございます。
  5. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 精神訓話を聞いておるようなととろに問題があると思うのであります。確かに今おあげになりました米国景気の立ち直りの問題、あるいはヨーロッパにおきまして、具体的にはおあげになりませんでしたけれども、対日差別待遇緩和について、フランス等には若干の動きがあったことは事実でありますが、しかしマイナスの面について非常に楽観的な見方をしていらっしゃるんじゃないか。私はこの点が心配なのであります。それはフランスは確かにある程度変わって参りましたけれどもドイツなりイタリアなりにおきましては、御承知のようにミシンの問題を初めといたしまして、なかなかきびしい態度に出てきております。これについての、特にイタリアドイツについての見通しを聞かしていただきたいと同時に、今度は米国ドル景気上昇の点をおあげになりましたけれどもEECとの接近をはかっておる、そのしわ寄せがくるんじゃないかということは、これは私たちだけじゃなくして、事業に携わっておる人たちも大いに懸念しておるところであります。そこら辺についてどのような折衝をして、どのような見通しを持っていられるかについて、いま少し具体的にお聞かせを願いたいと思うのであります。
  6. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 ただいまの御質問に対しまして、まず欧州についての問題でございますが、欧州におきましてはEECの話が出たのでございますが、EEC域内貿易は次第に活発化して参っております。今お話ししましたが、わが国に対します差別待遇につきましても徐々に緩和方向に向かっておりますし、またわが国輸出品競争力もだんだん高まってきておるというような状況になっておりますので、この欧州に対しますわが国輸出競争力というようなものはだんだんと拡大する方向に向かってくるというように考えております。しかし先ほど申し上げましたように、欧州におきますEEC動きというものは、これは決して楽観を許さないものがありまして、特に経済統合ということにつきまして欧州は非常なる関心を示しており、またそれを強化拡大していこうというような動きがあるわけでございますので、われわれはいたずらに楽観をすることは禁物でありまして、こうした向こう動きに対しまして、われわれは必ずこの動きに対します輸出努力というようなものでこれをカバーしていかないと、プラス要因が全部勝つか、あるいはまたマイナス要因が打ち勝つかということにつきましては、これは国際的な今後の推移経済推移、また国際情勢推移によりまして、いろいろ問題があるわけでございますので、決してこれは楽観は許されないのでございますが、しかしながらこうした国際的な環境もやはり暗い面、明るい面がある。その中で明るい面の方が勝ってくるんじゃないかという推測と、それから万一マイナスの面が強く出てきたという場合に備えるためにわれわれは輸出振興策というものを強力に展開いたしまして、そしてこれを今年度もまた来年度もさらに強力に続けていこう、こういうような考え方で進んでおるわけでございます。
  7. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 明るい面が欧州においても出てきた、それを具体的に一つお話をいただきたいと思うのです。
  8. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 国別に今お話を申し上げますならば、まず西独につきましての問題でございますが、西独につきましては最近著しく上昇率といいますか、輸出動きというものにつきましては、割合全般的に西独自身のいろいろな動きというものは活発な動きは今のところ見ておりません。ただ問題は、西独におきましては鉄鋼が不振だということが周知の事実になっておりまして、特に機械工業労働力が非常に足りませんためにどうも伸び悩んでおる、こういうような情勢があるわけでございます。従いまして、鉱工業生産伸びについて考えてみましても、どうもあまりはかばかしくない。むしろ西独鉱工業生産というようなものは消費という方が強くございまして、生産より消費の方が強いというような情勢でございます。それで工業並びに輸出の受注につきましてもだんだんと下がりつつある、こういうような傾向を示しておるわけでございます。これを一言にして言いますならば、西独経済というものはすでに調整過程に入っておる、こういうように言い得るのではないかと思うのであります。これはすなわち裏を返しまするならば、逆に日本の国の西独に対する輸出というものは、こういうような西独国際情勢国内情勢というものについて考えますと、大体見当がつくのではないか、かように考える次第でございます。そのほか特に西独を結びつきの強いオランダでございますが、オランダにつきましても大体同じように停滞を続けておるわけでございます。またイタリアフランスというような国につきましても大体同じような状況でございまして、特にフランスなんかは西独経済との関連におきまして伸び悩みのきざしが出ておるわけでございます。  そこで見通しといたしましては、イタリアフランスなどはまだしばらく経済の拡大というものはある程度続いていくものでございまするが、特に西独におきましては、今言いましたように生産伸び率というものは低下してくる。またイギリスにおきましてもやはり生産の減少というような状況が出て参りまして、全体として非常に調整過程にある。ところがただ問題は、調整過程がどのくらい続くかということでございまして、われわれの推測によりますると、今のヨーロッパ情勢はこの調整過程期間というものは比較的短期間ではなかろうかというような推測にとどまっておるわけでございます。短期間であり、軽微である。ところがその反面また上界に転じましても、その上昇に転ずるところのテンポというものが割合のろいのではないか。とういうようなことを全体を総合いたしますと、やはり明るい面がだいぶ出てくる、かように考えていいのではないか、こういうように考える次第でございます。
  9. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 機械工業伸び西独を初めとしてオランダフランスイタリア等調整過程に入っているということを明るい面としておあげになったのでありますが、私は一つの問題としては、その域内貿易については非常に積極的な面が出てくるであろうけれども、逆に域外の点については関税その他で相当強い態度に出てくるのではないか。これが一つと、それからこの前も私は大蔵大臣にもお尋ねしたのでありますが、西独グレムゼ報告、これは西独フランスイタリア三国がブラッセルの専門家会議日本製ミシンの締め出しをねらう、そういうような意味で今後関税を検討するというような動きにある。これは確かに西ドイツなり何なりの内部情勢はそうなっておるかもしれないけれども、外部に対しては、日本に対してはこういう態度に出てきておるのに、むしろ伸びが見込まれるのだ、その具体的な点についてどのような折衝をし、どのような見通しを持っておられるかをお伺いしておるわけであります。
  10. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 ただいま申しましたようにプラスの面あり、またマイナスの面あり、色とりどりでございますが、全体を総合してみまして、やはりマイナス要因というものは大したことはないのではないか。これは今御指摘の点でございますが、さらに具体的に申し上げますならば、向こうといたしまして域外の面において関税でいろいろ強い面を持っておるということになりますれば、またこちらといたしましても、これに対していろいろな対策を考えなければならないのでございますが、むしろ私の方は、マイナスの面がどうなるかよりプラスの面がどうなるかということを両方比較いたしまして、プラスの面が多ければそれによって輸出伸びる、かように考えていいと思いますが、その場合にプラス面といたしまして一番問題になる点は、対日輸入制限緩和という問題ではないかと思うのでございますが、これが昨年来の折衝によりまして、だんだんと緩和方向へ向かっておるということは事実でございまして、これがうまく結論が出ますならば、必ず輸出の増加というものが期待されて参るわけでございます。特に、西欧向け輸出につきましては、現在非常に対日差別待遇というものを大きくやっておるわけでございますので、これが成功するということになりましたならは、必ず相当なる伸びというものが、西欧に対しまするところの輸出において出てくる、これが非常に明るい面である、かように考える次第でございます。
  11. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今のミシン混合関税問題等については、これは大蔵省からお答えをいただきたいと思うのですが、どのような折衝を続けておられますか。
  12. 渡辺誠

    渡辺説明員 西欧の対日差別待遇につきましては、長い間その撤廃努力しておるのでございまして、ことにEEC内部自由化、それから対外的にその自由化を均霑させるということで、西欧諸国並びにアメリカ等の間で自由化が急速に進展しておるのでありまして、わが国といたしましてもOEEC並みでなくとも、少なくとも対ドル自由化程度自由化わが国に均霑させろということで、各国と個別の貿易交渉を続けておるわけでございます。昨年におきましては日英日仏日伊それからオーストリア・スエーデン等各国交渉いたしまして、日本自由化の進展に伴いましてわが方の立場も強くなってきておりますから、従来に比べますと、いわば画期的な強硬な交渉をいたしまして、原則として日仏につきましてはかなり自由化約束を獲得できたわけでございます。フランスは、御承知通り日本に対して三十五条の援用をしておるわけでございますが、フランスは従来かなりひどい差別待遇日本に対してしておったのでございますが、点数からいえば七十点くらいの自由化が獲得できたわけでございます。  イタリアにつきましては、昨年七月に日本イタリアの間で合意をいたしまして、ことしの三月の末までに、わが国に対して、原則としてドル地域並み待遇を与えるよう努力するということをイタリア側約束をいたしまして、昨年の十月から十一月まで東京でまた交渉を行なったのでございますが、イタリアの方は、国内の業者がなかなか対日自由化に対して強硬に反対をしておるということで、わが国の対ドル並み自由化要求には、原則として応じられないということを言いまして、交渉は打ち切られたのでございます。そこで私どもの方は、昨年、日本に対して著しい差別待遇をしている国に対しては、日本自由化を均霑させない、いわゆる差別自由化ということで、イタリアと強硬に交渉しておったのでございますが、そういうことで一時もの別かれになりまして、十二月に日本は百七十品目自由化をいたしたわけでありますが、これは一応イタリアには均霑させるけれども、ことしの三月までにイタリア側の誠意が見られない場合には、この自由化均霑を四月から取り消すということで、イタリア側の反省を求めているような次第でございます。  ドイツとの関係でございますが、ドイツとは、西独がIMFから国際収支理由とする輸入制限を行なう資格がないということを、三十二年に言われましたのに関連いたしまして、西独輸入制限大幅緩和撤廃について三十四年、三十五年に交渉いたしまして、三十五年の五月に、繊維陶磁器を除く主要品目、すなわち、ミシン家具、ライター、双眼鏡について、おそくとも昭和四十年までに西独自由化をするというコミットを得ておるのでございます。  ただいまお尋ねの混合関税でございますが、これは外交ルートを通じまして、日本側としては、主として日本ミシン等対象とするような、あるいは日本陶磁器対象とするような差別強化は非常に困るということで抗議を申し込んでおるように私は聞いておるのでございます。そういうことでEECその他西欧諸国自由化が進むに伴いまして、わが方は強い交渉を続けておるのでございまして、漸次日本に対する自由化も拡大していくという傾向にあります。また繊維会議でも見られますように、アメリカは、日本繊維品については西欧各国がもっと門戸を開くようにということで側面から支援をしてくれております。輸出もだんだんふえておるのでございまして、障害も、起きますと同時に、この障害を突破する努力を続け、私どもといたしましては、西欧向け輸出は今後有望であろうかと心得ておる次第でございます。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 渡辺さんに続いてお伺いしたいと思うのでありますが、四月には自由化率を七四%くらい、それから秋には九0%以上やっていくというのでありますが、大体自由化を進めていく上については、為替制限撤廃、それから関税障壁撤廃、これは当然要請されることだろうと思います。ところが現在は、関税についてはむしろ逆な方向で対処されつつあるのではないか。しかし将来何年か後には、やはりこれも撤廃方向に持っていかなければいけないのですが、その道筋について政府考え方をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  14. 渡辺誠

    渡辺説明員 日本は御承知通り自由化が非常におくれておるのでございます。自由化がおくれておるということは、日本産業について、対外競争力をまだ備えていない産業がかなり多いということに基づくものでございます。しかしながら自由化要請に基づいて政府自由化大綱をきめまして、それによりまして着々と自由化を進めておるわけでございまして、十二月末現在には七0%に達し、かつことしの九月末までには九0%まで持っていこうという努力をしておるわけでございます。今までは、自由化に伴いまして今後育てていかなければならぬ産業で、しかもまた対外競争力を完全に備えるまでに至っていないものにつきましては、自由化に伴い関税率引き上げて、暫定的に成長を待つというやり方をとって、むしろ自由化のうらはらとして関税引き上げという傾向がかなり強かったわけでございますが、西欧の力は、工業品につきましてはどしどしと自由化していく、アメリカEEC接近関税引き下げをはかる、EECの方はフランスが提唱しております関税を二0%一律に引き下げようという問題を取り上げまして、ガットのこの次の総会でそういう問題が取り上げられる、若干日本の現状は逆行しておるような傾向でございます。しかしながら、西欧並びアメリカ関税引き下げた場合には、当然日本に対しても関税引き下げろという要求が出て参るのでございます。それから今後工業品につきまして、日本がこの輸出を伸ばすというためには、やはり日本自身関税引き下げなくちゃならぬということに相なるわけでございまして、関税引き上げの途中におきまして、関税引き下げ要請が非常に強く現われてきておるということに相なるわけでございます。従いまして、世界大勢としては、工業品関税引き下げるという方向でございますから、国内的には企業合理化能率化というものを早急に促進いたしまして、むしろこの対外競争荒波企業がさらされるということによって、一面においてはその合理化を促進いたしますと同時に、なるべく早い期間対外競争力を備えたような産業に育てあげるということが重要になってきておるのでありまして、むしろ今後は、関税引き下げという方向で物事が考えられなければならないと思うわけでございます。しかしながらただいまのところでは、まだこの問題がことしになってからむしろ急速にそういう問題が提起されたという状況でございまして、政府部内で検討中でございまして、はっきりした結論なり方向なりというものを現在申し上げられない段階でございます。
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 国内産業合理化を進めて、今渡辺さんがおっしゃった荒波にさらされるような状態を作るために努力する。それまではやはり関税についてはむしろ引き上げ方向にある。ところが実際にはEEC、あるいはアメリカにおいては大統領に対して二0%のものを五0%まで権限を委譲する、あるいはEECにおいてはもうそれに近いところまでいこうとしておる。この世界大勢と今おっしゃった自由化の速度、それと関税、この三つのかね合いについて、今の御説明ではちょっと理解しにくいわけです。どういうテンポでもってこの二つをマッチさせようとしていこうとしておられるか、この点についていま一度お話を伺いたいと思います。
  16. 渡辺誠

    渡辺説明員 自由化につきましては、本年の九月末までに九0%達成するというはっきりした決意を政府国内及び国外に対して宣明しておるわけでございます。為替制限をなるべくすみやかに撤廃するということは、これは国際的な要請でもありますし、同時に国内産業を強化するゆえんでもございまして、いまさら御説明申し上げるまでもないことと存じますが、私どもはこの為替制限撤廃は、もう財政金融当局といたしましては、金融の引き締めあるいは財政政策、金融政策、これによりまして、輸入を調整しながら自由化を行ない、自由化によって国際収支に大きな影響が起きないように、為替制度を取りはずすと同時に、財政金融政策全般で、国際金融及び国際貿易をコントロールしていくという考え方をしておるわけでございます。従いまして自由化を行ないましても、そのうらはらとなります、たとえば現在行なっておるような金融引き締め政策というものを続け、財政も状況に応じて弾力的に運用していくということでありますれば、自由化約束通り実行いたしましても、国際収支面に対するそう大きな圧迫はこない、また圧迫がこないようにやっていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。  それから関税の問題でございますが、これは主として国内産業関係のある問題でございまして、自由化をしながら関税を上げていくというのは一番安易な方法でございますが、上げるにつきましては、御承知通りガットの交渉等めんどうな交渉がございますし、また最近の情勢では、工業品関税はできるだけ引き下げるのだという方向にあるわけでございますから、関税引き上げ要請引き下げ要請をどう調整するかということが非常に問題であるわけでございます。大勢としてはやはり引き下げ方向にいかざるを得ないというふうに現在考えておる人もかなり出てきておるわけでございますが、私どもといたしましては、自由化は、財政金融の政策によって、全体的に自由化による主として国際収支に対する影響を緩和し、それによりまして輸入を押え、輸出を伸ばすという政策をとり、関税につきましては、諸外国の動向を見まして、やはり今後検討していかざるを得ないというふうに考えておるわけでございまして、関税政策につきましては、先ほども申し上げました通り、まだはっきりとした政府の方針なり何なりは打ち出されておらないということで、明確な御返答は現在できかねる段階でございます。
  17. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今渡辺さんからお話通り、これは関税引き下げるということになると、国内産業の大部分に大きな混乱を引き起こす、世界大勢とむしろ逆な困難な条件に置かれておる、その中でEECなりアメリカ動きとどうマッチさせていくか、ここら辺について再度羽柴さんの御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  18. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 今の財政金融政策を締めるということと、それから関税政策をどう持っていくかということと、そういう国内政策の関連と、それからもう一つは国際政策というものとどういうふうにマッチさせるかという御質問だと思うのでございますが、国際政策につきましては、これはやはり日本側だけの立場からこれを論ずるということはきわめてむずかしい、またデリケートな問題で、結論が出ないと思うのでございますが、まずわれわれといたしましては、第一に国内政策によって、その自由化をするための、自由化まで備えるというような政策、これは非常にわれわれとしてとれる方策でございますが、これと同時に、国際的なサイドにおいてEEC動き、そういうものとどういうふうにこれを組み合わしていくかということは、非常にむずかしい問題ではございますが、さらに先ほど申し上げましたように、差別待遇というものをできるだけ撤廃させるように、われわれが向こう西欧側といろいろ交渉を重ね、そうしてできるだけ成功に導いていくというような例、これは例でございますが、そういう以外いろいろな方法によりまして、またいろいろな折衝によりまして、国際的にも自由化がしやすくなるように、そういう雰囲気を作り上げていく。これと国内政策がマッチいたしまするならば、私は必ずことしの九月中には自由化のスケジュール通り自由化が達成できる、かように考えておるわけでございます。しかしながら外交的な折衝の舞台になりますると、先ほど申しましたように、客観情勢プラスの面、マイナスの面、いろいろ込み入っておりまするので、今後日本側といたしましてもできるだけの努力を傾注いたしまして、また国内政策といたしましてもそれに即応するような努力を続けていくことによりまして、自由化に備えていく、これより方法はないのじゃないかと考えております。
  19. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そこで、具体的にお伺いいたしますが、対外経済協力の面で、今度海外技術協力事業団の設置を考えておられるようですけれども、この構想についてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 天野公義

    ○天野政府委員 海外技術協力事業団のことは、所管は外務省でございますので、詳しくは外務省の人をお願いいたしたいと思います。
  21. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 それでは次にお伺いいたしますが、これも羽柴さんにちょっとお伺いいたします。昨年の十二月十二日閣議決定されました経済見通しそれから経済運営の基本的態度の中で、在庫投資を三十六年度には九千億あったものを、三十七年度は三千五百億と見込んでおられます。この在庫論争が今後の輸出入の見通しに大きな影響を持って参るかと思うのでありますが、これについて、こういったほとんど半分以下に見込まれた根拠についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  22. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 この在庫投資の問題につきましては、見通しを作りますときでも一番問題のあったところでございますが、これは本年度の見通しにおきましては九千億程度というように踏んでおったのでございますが、これは実は昨年の一−三月の大体の在庫投資の状況を見ますると、相当行き過ぎがございまして、大体一兆を一、二千億こえる。大体一兆二千億程度の在庫を積みました。こういうような情勢であったのでございます。それから四月から六月までの情勢を見てみましても、これも大体それに近い在庫の積み増しが行なわれておった。これはもちろん三十六年の一−三と四−六の実績でございます。従いまして三十六年度の在庫投資はこれをずっと引き延ばしますと相当多く、一兆以上ということになる可能性があったわけでございます。これはもちろん年率の話でございます。ところが御承知通り昨年の九月から経済の成長の行き過ぎを押えまするためにいろいろな施策を講じまして、金融の引き締めまた輸出の振興策等を講じまして、設備投資におきましてもできるだけの抑制をしていく、また在庫投資におきましても、できるだけこれを抑制していくというような方策をとった結果、昨年の七月以後におきましては、そのような一兆をこえるような大きな在庫投資はちょっと見込むことはできなかったのであります。ところが今のところ、昨年の下半期の在庫投資の実績はまだ出ておりません。従って推定でございまするが、経済の成長の面におきましてこれが相当しぼられて参りました結果、年率にいたしまして三十六年度の在庫投資は大体九千億程度でとどまるのじゃないか、かような推定をいたしたのでございます。  次に三十七年度の推定でございますが、三十七年度におきましては、御承知通り経済全体の成長、それからまた国民の総生産伸びにつきましても、名目、実質とも五・四%ということで、だいぶん三十六年度の伸びに比べまして全体を調整しなければならない、こういうような状況に立ち至りました結果、設備投資におきましても三兆七千五百億という投資を、三十七年度は三兆六千億台ということに見積もりをいたしておるわけでございます。また生産におきましても、今まで三十六年度におきまして一八%とか一九%とかいうような伸びを考えており、またそのように鉱工業生産伸びておるのでございますが、三十七年度におきましては、五・五%の伸び、かように経済全体の縮小ということを考えておるわけでございまして、在庫投資におきましても、これも昨年度のように大きな九千億程度伸びということはわれわれの推定によりましても期待できませんし、またこれは考えるべきじゃないということで、いろいろ検討を重ねました結果、三千五百億程度ということに来年度の見通しが落ちついたわけでございます。
  23. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 九千億から三千五百億に減ったその根拠について、大体ということじゃなく、いま少し親切にお教え願えませんか。
  24. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 これにつきましては今国会におきましてもいろいろ議論のあるところでございますが、在庫投資といいましても、これは厳密にいいますと、その中の一番問題になりますのは輸入原材料でございます。たとえば繊維の原料であるとか、それからまた鉄鋼の原料であるとか、あるいはまた石油関係であるとかいうような原燃料といいますか、原材料というものがどういうように推移するかというところが一番ポイントになろうかと思うのでございますが、これで推測をいたしてみますと、大体今まで在庫の積み増しというものが去年からずっとありまして、これは輸入が相当ふえておりましたために在庫の積み増しが相当多くなってきておるわけでございます。今これはまだ私の方で厳密な計算をいたしておりませんので、はっきりと数字は申し上げられませんが、目下作業中でございますので、私が抽象論を言ってまことに恐縮でございますが、在庫の積み増しが大体一億から二億程度、これはドルでございますが、一、二億程度の在庫の積み増しがある、こういたしますと、これをことしどのように食いつぶしていくか、それからまたどのようにこれに積み増しが行なわれるかというところが一番問題になるわけでございますが、現在の輸入状況からいいますならば、現在の輸入の在庫が一、二億ございますと、それに対して積み増しをするといたしましても、そう大した額ではございません。むしろこれが逐次食いつぶされていく過程ということが一つ想定されるわけでございます。しからばいつまでにどの程度食いつぶすかということになりますと、これは実はまだ私の方で作業が終わっておりませんので、正確にいつまでに何億ドル食いつぶすかということはまだ申し上げかねますが、とにかくことしの上半期といいますか、六月ごろまでにはこの一、二億ドルの在庫はある程度食いつぶされていく、これはもう事実でございます。ところがその上に乗っかる積み増し分というようなものがございまして、その積み増し分と食いつぶし分とがどういうような関係になるかといいますと、これは大体今までの実績からいいましても、現在もちろん鉱工業生産伸びも今までのようなそう大きな伸びではございませんし、全体の食いつぶし分の方が今後の積み増し分よりも多いということは大体推定ができるのでございます。そういたしますと、全部この在庫が食いつぶされていくのじゃなくて、食いつぶしながらさらに積み増しをしていくということになりますると、何月ごろ一体何億ドルになるかというところの算定が非常にむずかしいのでございますが、これが大体上半期分につきましては、まだ全体の食いつぶしが行なわれない、むしろ下半期にもその食いつぶしが若干ひっかかる、この食いつぶしという言葉は語弊を招きますので、繰り延べと言った方がいいかもしれませんが、今そういうような見通しを立てております。そういたしますと輸入が、この在庫の食いつぶしによりまして、これは全部食いつぶしますとまた輸入がふえるという理屈になって参るのでありますが、これが全体的にまだ食いつぶしが残っておるということになりますると、輸入のふえ方というものもある程度チェックされる。それからまた政策といたしましても、輸入を四十八億ドル以上にこれをふやすということは、非常にむずかしい問題がございます。国際収支全体にも影響がございますので、輸入はこれの食いつぶしと相並行いたしまして、できるだけ抑制していく、こういうようなたとえば輸入担保率の問題とかいろいろな調整がございます。これをあわせまして行なっていくことによりまして輸入を四十八億ドル程度にとどめていく、こういうような状況でございます。まことにまだ数字が固まっておりませんのではなはだ恐縮でございますが、現在のところはかような考え方でおる次第でございます。
  25. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうもその問題については、いずれ日をあらためてお伺いをいたしたいと思ます。  次に、通産省にお伺いいたしたいと思います。それはエカフェから要請のありましたアジア経済協力機構の問題についてであります。当然来月の六日までには日本政府としての態度を決定しなければならぬだろうと思いますけれども、私はこれはEECなんかの場合と違いまして、アジアと日本とそれからその他の国々との経済事情というものが非常に異なっておりますので、私は相当日本としても慎重な態度で臨むべきではないかと思うのであります。特に第一次製品の買い入れその他これは当然要求されるところですし、また日本の援助、これが基調にならなければならなくなってくるというようなことで、私はこの協力機構ができ上がって、日本プラス面としてどういうものが出てくるかという点で非常に疑問を持っておるわけです。そこら辺について政府としては当然これに参加しなければならぬようになってくるだろうと思いますけれども、そこら辺についての見通しはどういう工合に持っておられまするか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 山本重信

    ○山本説明員 アジア経済協力機構の問題につきましては、従来事務的にもいろいろ検討して参りまして、明日閣僚懇談会で最終的に政府の意見をまとめることになっております。この構想自体が実はまだきわめて抽象的なものでございまして、今後の研究によってだんだんに具体化していくということでございますので、その利害得失につきましては、今後の具体化の状況いかんにかかっておるのではないかと思います。その場合に、ただいま御指摘になりましたようにEECとの比較をしてみますと、EECの場合のように各国がほとんど共通の地盤に立って有無相通ずる関係にあるのと異なりまして、日本と東南アジア各国との関係はそれほど一緒になることによってEEC並みの大きな効果を上げるということは確かに期待できない点があるかと思います。しかしながら、また同時に日本と東南アジアとの経済関係を考えてみますと、これはどうしても何らかのつながりを持っていく、むしろだんだんに強化していくということはこれはどうしても必要でございます。特に最近私たち貿易関係を担当いたしておりますと、いろいろな問題にぶつかるのであります。たとえば日本輸出をいたそうといたしますと、相手の国が外貨がそれほどございませんので、逆に日本に対して一次産品の買付の強い要請が出て参りまして、それをいたしませんと日本輸出がまた伸びないというようなことになるわけでありまして、そうした問題を解決する一つの場として今問題になっておりますアジア経済協力機構というようなものがあるいは活用され得る余地があるのではないかというふうにも考えておる次第であります。従いまして、私たちとしては多くは今後の研究課題でございますけれども、やはり前向きの姿勢でできるだけ協力的な態勢をとっていくというふうにして参りたい、こういうことでございます。
  27. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 あす関係閣僚会議で検討されるということでありますけれども、当然予想されることは、今お話のあったように一次産品の買付その他を強制される。これは私がイタリアへ参りましたときにも、たとえばイタリアの米を買ってくれないからというようなことで、非常に在外公館の人たち貿易面について日本経済事情、一次産品の間との関連で困難さを訴えておられましたけれども、これは東南アジアの場合にはさらにその状態はひどいし、この機構が具体化してくると、今言ったような点がむしろ浮き彫りにされる。そうなると、前向きにと言っても、その矛盾が拡大されるだけで、私は日本として利害得失を考えた場合に害の方だけ多くなっていくのではないか。特に日本の農業については農業基本法ができたけれども、非常に隘路がある。その中でさらにそれをむしろ拡大するような形に日本が追い込まれていくのではないかと思うのでありますけれども、あすの閣僚会議を控えて、事務当局としてはここら辺についてどのような考えを持っておられるか、これをお聞かせを願いたいと思うのであります。
  28. 山本重信

    ○山本説明員 一次産品買付問題が従来もかなりたくさんの国との間に起こっておるのでございまして、一次産品買付の促進と国内の農業との調整問題には、実は私たち平素からいろいろ頭を悩ましているわけでございます。今後OAECが具体化して参りますと、今の問題がさらに浮き彫りになってくるということも予想されるのでございますけれども、その問題の解決の方法がまたそこでいろいろ多角的な角度から討議されまして、今までよりはまたいい案がそこから出てくることも考えられないではないというふうに思うわけであります。と申しますのは、一次産品の買付問題につきましては、私たちは従来こういう基本的な考えでおります。相手から無理して物を買うというのは、やはり経済原則から言うと反するわけでございますから、できるだけ経済協力、技術協力その他の手段によりまして、一次産品の生産の技術の向上、品質の改善その他をはかりまして、コマーシャル・ベースに乗るように日本が応援をする、そうしてある一定の期間たった場合には、コマーシャル・ベースでも買えるようなところまで持っていくというのが基本的な考えでありまして、その過渡的な措置としていろいろ技術援助をする。それから同時にどうしても若干割高であっても買わないことには日本輸出ができないというような場合には、ある暫定措置として割高のものを無理して買うというような考え方で参っておるわけであります。従いまして、アジア経済協力機構ができました場合に、そうした問題がかりにここで取り上げられるといたしますと、従来よりももっと多角的な視野から、つまり今までは二国間の交渉で話をされておりましたことが、多角的な視野からそこで取り上げられる可能性も出て参るのでありまして、本格的な解決のための努力ということが従来よりはよりやりやすくなるということも期待できるのではないかと思います。もちろん私は、その点については決して甘い考え、楽観的な気持ばかりではございません。相当努力しなければいけないし、むずかしい問題が多いと思いますけれども、しかし従来よりも少なくともより掘り下げた検討が行なわれるようになるのではないか、このように考えております。      ————◇—————
  29. 小川平二

    小川委員長 証券取引に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
  30. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと先に、今そのメンバーがおられるところで聞いておきたいのですが、羽柴さんのさっきのお答えで、昭和三十六年一−三月の在庫投資は一兆二千億くらいだというお話がありました。四半期別統計の一−三月ではたしか一兆五千億幾らになっていたのですが、それはその後修正があったのですか。
  31. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 私の方の統計数字によりますると、最終的に一兆二千億ということになっておりまして、四−六月も大体同じような数字ということになっております。
  32. 堀昌雄

    ○堀委員 どこまでわかっていますか。
  33. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 四−六でございます。
  34. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとついでに今後議論する必要があると思いますから資料をお願いしたいのですが、さっきの三千五百億ですかの在庫投資、これは年率平均しての問題だと思うのですが、結局在庫なんかを議論するときに、年率だけの平均では議論にならないと思うのです。だから一−三月は幾ら、四−六が幾ら、七−九、十−十二が幾らというふうに、年間の四半期別で見た在庫投資の目安がなければ、私は三千五百億か幾らか出てこないと思うので、あなた方の方がそれを出された根拠になった四半期別の見通し、それを一つ次の委員会までにお出しを願いたい、こういうふうにお願いいたします。  それからこれはどこでやっていただくのがいいのかわかりませんが、さっき来年度の鉱工業生産指数の見通しは五・五%の増だということなんですが、今鉱工業生産指数などというようなマクロ的なものでは議論ができないところに私は来ているのではないかと思います。というのは、輸入粗原材料を食いつぶす鉱工業生産の指数とそれから国内粗原材料を使うものと、いろいろと鉱工業生産指数の中にはウエートがありまして、これを一本につかんだもので見て、輸入粗原材料がどういう格好で増減するかという見通しは、私はやや雑に過ぎるのではないかという感じがするわけです。  そこで一つお願いをしたいのは、この五・五%の年間の指数の増加というものを、輸入粗原材料に直接関係のある鉱工業生産指数とその他のものとに一つ分離をしていただいて、そうして毎月は出せないでしょうが、四半期別くらいの動きを一ぺんそれに合わして出してみていただきたい、こういうふうに思いますので、資料請求をいたします。その点お願いをいたしておきます。
  35. 羽柴忠雄

    羽柴説明員 先ほどの二点の問題でございますが、第一点の在庫投資の各四半期別の御要求でございます。これにつきましても私の方で一応推定した数字はあるのでございますが、しかしながらさらにこれは検討いたしまして資料をお出しすることにいたします。ただ問題は、先ほど申しましたように、在庫投資が来年度非常に少ないのじゃないかということになりますと、問題は輸入原材料だけではございませんで、いろいろな在庫があるわけでございますが、しかし全体の国際収支とか、また鉱工業生産との関連におきましては、一番輸入原材料がウエートを持っております。ただパーセンテージにいたしますとまた別になりますが、だからこれの動きというものが、非常に来年度食いつぶしが多いということになりますれば、おのずから在庫の投資というものもこの部分では減ってくるわけでございますので、従って全体的に九千億程度まではとてもいかぬ、こういうふうな推定はできるわけでございます。  ただ第二点の問題になりまして、鉱工業生産との関連におきまして、輸入の原材料の生産との関連が一番大きな問題でございますので、これも私の方からさらに資料を作りまして今度お出しする、こういうことにいたします。
  36. 堀昌雄

    ○堀委員 その点はよろしいです。次にいきます。  この間ぺンディングになっておりましたコールの問題で、資料も少しいただきましたからお伺いしますが、先に、銀行局の総務課長、この前話を大体聞いていただいておりましたね。そこでちょっとあなたの方に伺っておきたいのですが、銀行局としては現在の短資市場におけるコールの実情をどの程度に今把握しておられるのですか。
  37. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 御承知のように、コール市場につきましては、直接銀行局といたしまして日常の詳細な監督はやっておるわけではございません。ただ金融界にとりましては大へん重大な問題でございますので、その動向につきましてはいろいろな資料を集めて見ておるわけでございます。
  38. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると動向は御存じのようですから、ちょっと動向を伺いたいのですが、十二月——これは十二月というような言い方がどうも適当ではないのですが、前期、中期、後期というふうに分けて言った方がいいかもわかりません。少し大ざっぱな言い方ですが、十二月におけるコールの市場、東京市場ですが、その最高の動きと最低の動き、それは一体どのくらいになっておりますか。
  39. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 十二月は御承知のように年末繁忙の時期でございますので、コール市場の動きを見ておりましても、月初の動きは大体月中続いたように考えております。従いまして終始繁忙であった、こういうことが言えると思います。
  40. 堀昌雄

    ○堀委員 金額として大体どれくらい出入りがあるのですか。
  41. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 金額は若干の出入りはございますが、大体月末が四千九百億円程度でございます。大体十二月の出入りはその程度であったと思います。
  42. 堀昌雄

    ○堀委員 一月から十二月の年間で——これは金融の状態によって違いますから、昨年の例を一つ考えていただいて、昨年の一月から十二月の中で平均してみると、大体年末は四千九百億、これは特に繁忙だったと思いますが、少しはゆるむときもあるのじゃないかと思うので、一月から十二月で大体はどのくらいですか。
  43. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 昨年中の各月におきます月中の平均残高の推移を見てみますと、多少の出入りはございますが、大体四千億円から五千億円の間を動いておったように思います。
  44. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで今度は年末の時期ですが、御承知のように自粛レートというものとやみレートと称せられるものがあるのですが、大体四千九百億、まあ四千億でも五千億でもいいのですが、その中で自粛レートとして認められておる部分は大体どのくらい、それをこえておる部分は大体どれくらい、こういうふうな点はおわかりでしょうか。
  45. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 この点につきましては、実は私どもも正確な資料を握りたいとかねて考えておるわけでございますが、御承知のようにコール市場の動きは、レート別に幾らというふうなことはなかなか把握しにくいような仕組みになっております。従いまして、ただいまから申し上げますことは非常に的確でない点がございますので、お許しいただきたいと思うのでございます。十二月は別といたしまして、八月ごろまでは、多少自粛レートを上回るレートは月中において出ることはございますけれども、大体が自粛レートに近いところで動いておったと言っていいと思います。ところが八月ごろから金融の引き締めがだんだん強まって参るに従いまして、自粛レートの線からはずれるもののウエートがだんだん多くなってきたということでございまして、おそらく年末に近づきましては自粛レートの占める部分は二、三割程度じゃなかったかと思います。この点は、お断わりいたしましたように非常に不正確でございます。個々の商売でありますので、的確になかなかつかめない要素がございます。
  46. 堀昌雄

    ○堀委員 これから日銀の総裁等も当委員会にお見えになるようでありますから、そういう際に伺いたいのですが、結局政府の方針は、本年度は大体金融引き締めの基調はくずさない、こういうことになっておるのですね。そうすると、年末からこの一月にかけまして、ちょっと資料を拝見した部分では、大体やみレートの最高部分では一銭くらい下がっているようですが、一銭下がり程度ということは、やはり今の二、三割が実際問題としてそうふえてないんじゃないか、そういうふうな感じがするわけです。そうすると、これから向こう一年間、金融引き締めを大体今の基調でやっていくとしますと、その動きはずっと年間を通じてあまり変わらない、それは四月のように財政資金が大幅に出てくればゆるむときもありましょうし、いろいろそれは月に応じて財政収支の関係で違うだろうと思いますが、まあ当面予測されるところではその線に近いところを一年間いくんじゃないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  47. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 その点の予測につきましては非常にむずかしい問題でございますので、私もどういうお答えをしていいかよくわからないのでございますが、ただコール市場というのは非常に敏感な市場でございますのと、これは御承知のように現金の需給を反映した市場でございます。従いまして、財政資金が大幅に払い超になる時期、言いかえますれば、現金需給の面で言えば、供給の多い月にはかなり大幅に減るといいますか、レートが下がる、こういう傾向は従来たどっておったわけでございます。従いまして月中におきましては、先ほど御指摘もございましたように、月初、月中、月末ではかなりレートの変動はございます。月末に近づくに従ってレートが上がるというのが通常でございまして、そういうように非常に騰落が激しいものでございますから、これから一年間どういう動きかということはなかなか予測できがたいと思いますけれども、ごく大ざっぱな感じで申しますれば、最近この一−三月は一般に揚超で、現金の需給面も非常に詰まっておるといわれておる時期でございますけれども日本銀行の内面指導もございまして、無条件もの及び翌日ものにつきましては、一月は大体二銭八厘程度推移したようであります。そういうような状態を考えますと、今後も指導のいかんによりましては、従来のように三銭を超過するものが非常に多く出るといったようなことはあまりなくて、コール市場についてはある程度平穏な推移をたどるのじゃないか、多少政策的にこれを調整するということも頭に置きまして、そういう予測を持っておるわけでございます。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 コールの様子は少しわかりましたから、そこで一つ先週の投資信託のコールの方へ参りたいと思うのですが、資料をお出しいただいて見て、証券業者がとっているコール・マネーは——ちょっとこれは伺いますが、四社と全社というのは、全社の中には四社は入ってないわけですね。
  49. 有吉正

    ○有吉説明員 お手元に資料としてお配りしました証券業者のコール・マネーは、全社千四百億の中に四社千四十九億が含まれております。
  50. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、これを拝見してわかりましたけれども、大体公定レート以下のものが六百二十七億円、公定レート以上のものが四百二十二億円、こういうことになっておりますが、さっき銀行局の方から、今後は二銭八厘程度のところへ落ちつきたいという話が出ているんですが、これはもし二銭八厘で六百二十七億を一カ月運用したとした場合における自粛レートとの差額は幾らになりますか。
  51. 有吉正

    ○有吉説明員 二銭八厘で運用いたしますと、二銭五厘との差額三厘でございますので、それに六百二十七億を掛けまして、月額当たり五千六百万円でございます。
  52. 堀昌雄

    ○堀委員 もし三銭になったとしたら大体幾らになりましょうか。
  53. 有吉正

    ○有吉説明員 九千四百万円でございます。
  54. 堀昌雄

    ○堀委員 今後のレートの推移がどうなるかははっきりわかりませんけれども、今お話を聞いてみて、低目に見積もっても一カ月に五千六百万円、その部分がほかのレート並みに取り扱われれば、信託に参加をしている人たちのふところに入るものが入らないで、証券業者のふところに入る、こういうふうに理解せざるを符ないと思います。これが少し上へ上がって、もし三銭で平均が動けば、月間で九千四百万円、まことに膨大な金額が証券業者の側に流れ込む仕組みになっておるように思う。年間にすれば約十億をこえるわけです。これは四社が全社千四百億円のコールの中で一千億円からとっている、こういうことでありますし、ローンに出しておる方がやはりその中で八百八十億ほどあるわけですが、四社がこれによって受けている、率直に言うならば、不当利得というものが野放しにされている感がするんですが、一体こういうことを今後具体的にどう処置をしていかれるのか。これは私は新聞紙上で大いに取り上げてもらいたい問題だと思うのです。この問題は、根本にはやはり投資信託業務と証券業務との分離というものをやっていかなければならぬということの必要を如実に示しておるものだと私は思うのですが、これだけの大きな金額が、私の言で言えぱ、不当に投資信託に入っている、大衆のふところから証券業者のふところへ流れておる。黙過できないと思うのですが、今後のこれに対する具体的な対策を一つ伺っておきたい。
  55. 有吉正

    ○有吉説明員 先日も御説明いたしましたように、証券、投資信託のコール・ローンの運用につきましては、この金利の問題といたしまして、いわゆる自粛レートというものが定められておりまして、自主的な線によりまして、コールの一斉レートというものを自粛している次第でございますが、これによりまして金融秩序の維持というものをはかっておる次第でございます。投資信託が一つの機関投資家といたしまして、今後公共的な意味を持ちまして十分に伸びて参ります上におきましては、やはりこの自粛レートによって参るということが必要だろうというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。投資信託は余裕金をコール・ローンに放出してこの運用をはかるということがあるわけでございますが、投資信託の本来の運用と申しますのはあくまでも有価証券の運用でございまして、この有価証券の運用に重点を置きまして運営をはかっておる次第でございます。ただ余裕金がコール・ローンに放出されますときに相当大きな額にも相なりますので、全体のコール市場の秩序の維持という意味からいたしまして、自粛レートによらざるを得ないという結果に相なっておるのでございます。現在のところ投資信託が相当のローンも出しておりますし、また証券業者といたしましては相当のマネーを取っているのでございます。これらはすべてコール市場を通じて取引されておるのでございまして、投資信託があらかじめローンをどこへ流すかということは定めておらないわけでございます。結果的に証券業者のマネーと投資信託のローンが結びつくというふうに相なるわけでございます。先ほどお話しのような点が生じてくるわけでございます。今後私どもといたしましては、証券業者がコール・マネーを現在相当量取っております。これは金融引き締めの影響から最近において相当多くなった事情もございますが、今後このマネーを取る額を、従来から引き続きまして、できる限り節度のある態度におきまして、一定の規模に計画的に押えて参るように、私どもといたしましても指導するように取り計らって参りたい、かように考えておるわけでございます。何分にもコール・ローンが投資信託から相当放出されて、これが自粛レートによっておりまして、先ほど申しましたような金額、五千六百万とかあるいは九千何百万とかいう金額を、その差額におきまして算出はいたされるのでございますが、自粛レート二銭四厘の最高においてこの運用をはかっておるということに相なりまするならば、受益者に対して、もちろんその間におけるところの利益の縮小というものはございますけれども、自粛の最高限度ということによって運用をはかって参るということの御了承を願いまして、今後私どもといたしましては、証券業者のできるだけのマネーの縮小という点で考えてみたい、かように存じておる次第でございます。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 全然納得できません。私の伺っていることと違うことをあなたは答えているのです。私が言っているのは、今の投資信託が出しているコール・ローンが二銭四厘であってはいけない、こういうことを言っているわけじゃないのですよ。それを取るところが他の業種であるならばいいでしょう。銀行が二銭四厘のコールで取っているなら話は別だと思うのですよ。自由な成り行きの中で取れるという条件があるなら、私はこの問題をこんなふうには言わないのです。しかし現実に、あなたは結果としてこれを証券業者が取ったと言われますが、そんなことを国民が信じますか。偶然に、電話も何もかからないのに、話も何もないのに、出会いで二銭四厘の安い分だけが、それも六百二十七億ものものがさっとうまいこと証券業者の方だけに流れるなんて、そんなそらぞらしいことを国会で答弁してもらいたくない。国民に向かってあなた方は言っておられるのですから、国民が納得するような答弁をしてもらわなければいけない。ということであるならば、そういうことでなくて、遺憾ながらこれはいろいろな現在の情勢ではそういうふうにいかざるを得ないのですと答えてもらわなければ、偶然にそうなったので、これは決して作為があったのではないのだ、そういう意思があったのではないのだというようなことになれば、私はこの問題は何回でもここでやらざるを得ない。  それからもう一つ。だから私がさっきから言っておることは、自粛レートを守らせるかどうかという問題は、あなたの方は今どう考えておられるか知らないが、銀行局ですら、今のところ十二月の経済の繁忙の時期になれば自粛レートは二、三割しかないのじゃないかという感じがすると言っておられるでしょう。七割も八割もが自粛レートじゃないときに、あなたの方の指導では一体どうして投資信託のところだけは自粛レートを守らせるようにしなければならないのですか。そういうことでいいのですか。不当にそういうコール・ローンを出しておるものに金額の少ない収入しか与えてはならないという、そういう証券の指導ですか。投資信託に対してはそういう指導をするというのなら、今後この投資信託から出てくるコール・マネーは一切証券業者の方に行かないようにしてもらいたい。そのどっちか、一つはっきり答えてもらいたい。
  57. 有吉正

    ○有吉説明員 先ほどの御質問でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、証券業者が取りますコール・マネー、投資信託が出しますコール・ローンは、やはりコール市場におきましての出会いという形になっております。そこにいわば金に色目がないと申しますか、市場を通じておるという形をとっております以上、私どもといたしましてはできる限り証券業者はコール市場から取れ、こういうように指導して、もちろん直接のコールを引くということではなくて、市場から取るという指導をするほかはない、かように考えておるのでございます。今後といたしましてもコール市場の育成というところから、われわれといたしましても十分に市場を通じて取っていくということを指導したい、かように思っております。  また投資信託が出すコール・ローンが、相当の量におきまして自粛レートを守っておるのはおかしいじゃないかという御質問でございます。先ほどもお答えいたしましたように、投資信託が出しますコール・ローンが現在相当の額に上っておりまして、投資信託が機関投資家として一つの地位を形成いたしております上におきまして、投資信託のコール市場に対する影響が相当大きいという点に着目いたしまして、特に私どもといたしましては、この投資信託の出すコール・ローンは、二銭四厘の自粛レートというものによって運営をはかってもらいたいということを希望いたしておる次第でございます。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 銀行局にちょっと伺いますが、さっきの話ですと大体四千億から五千億のローンが出ているわけですね。そうすると、これで見ると投資信託から出ているコール・ローンは一千三百四十八億円ありますから、約四分の一くらい出ている。あとの出し手のおもなものは一体何ですか。
  59. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 御承知のように出し手のおもなものは大体余裕のある金融機関でございます。大きなところから申しますと、ただいまの投信を別にいたしますれば、相互銀行及び信用金庫が約四分の一利度だろうと思います。
  60. 堀昌雄

    ○堀委員 両方合計でですか。
  61. 塩谷忠男

    ○塩谷説明員 両方合計でございます。約千億程度、それから地方銀行がそれに次ぎまして約八百億から千億程度、その次は農林中金、これが約三百億前後、これは月によりまして、たとえは十月のようなときには五百七十億程度出しております。大きなところはそういう点でございますが、ただ都市銀行も金額的には約三百億程度はローンの形で出しておるわけです。これは資産運用の形でマネーの取り分が非常に大きいことは事実なのですが、他面ローンとしても一部出しておる、こういうことになっております。
  62. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、今の問題はこういうことになるのじゃないかと思うのですよ。理財局は投資信託に対しては一つの自粛レートを守れとやかましく言っておる。銀行局は自粛レートを守れと言ってないかというと、おそらく都市銀行、相互銀行、信用金庫、地方銀行、農林中金も含めて、やはり自粛レートを守れと言っておるでしょう。ほかは守らなくてよろしい、そんなことを言うなら自粛レートなんて意味ないのですから。だから私はいずれもみな自粛レートを守って下さいという点において理財局と銀行局に差があろうはずはない、こういうふうに思います。差はあろうはずはないと思うと、ここで二銭、五厘未満が六百二十七億もあるということになると、結局さっきの話じゃないけれども、自粛レートを守っている一番大きなものは投資信託から出ておるコール・ローンが一番よく守っておるということになるのじゃないですか。なぜそれはそういうふうに守られるかというと、これを低く抑えることによって証券業者がもうかるから低く下げておるのであって、決してこれは自然な金融の中の流れの結果として低く抑えられておるわけじゃないじゃないですか。ほかのところは相互銀行、信用金庫が一千億出しておる中でやはり相互銀行も信用金庫もとっておるはずでしょうが、彼らが出しておる出し手というものの相対的な見合いの中で自然にきまるだけであって、出し手の方は少しでも高いローンがもらいたいということであるし、マネーを取る側は少しでも使いものをもらいたいというととは自然経済原則じゃないですか。ところが投資信託の方だけがそういう条件の外に置かれておるというふうに理解できませんか、理財局では……。だからさっきのあなたの話の、そういう正面切った御答弁は、そんなことは聞かなくたってあたりまえのことなんですから、そうじゃなくて、あなたがここで言わなければならぬことを一つ言ってもらいたいのです。おざなりの答弁なら私は聞く必要はありません。銀行局だって言ってないでしょう。われわれはこれをあとのコール・ローンについては自粛レートを守らないでもよろしいなどと言っておるわけじゃないのだから、自粛レートを守れ守れと理財局はやかましく言っておるのでしょう。言ったってできないというのが自然の今の自由経済原則じゃないですか、統制経済じゃないのですから・・。にもかかわらず、こういう事実が起きておるということに対して、あなたのさっきの今後の指導方針に対する答弁では私は不満なんです。もっとコールが上がったときには上がったものもとらせるように自然の成り行きの中でやらせるような指導をすべきじゃないですか。これは同じペースでやればいいということじゃないですから、銀行局が地方銀行や信用金庫に対して言っておることと同じベースでやるということになって、なおかつこういうことになったとするならば、一体原因はどこにあるかということはさらにはっきりするのじゃないですか。あなた方は銀行局以上に自粛レートを守らせる努力をしておるのですか。
  63. 有吉正

    ○有吉説明員 コール・レートの指導につきましては、私どもといたしまして、銀行局がやっておる指導と申しますか、あるいは全銀協が自粛的な措置を守っていることにつきまして協力をしているという限りにおいてやっている措置でございまして、私どもといたしましては、できる限りコール・レートの自然的な措置の維持ということがはかり得るように考えている次第でございます。
  64. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと天野さん、これは事務官じゃしょうがない。こんな答弁を聞いても仕方がない。あなたに一つ伺いたいのだけれどもどうですかね、コールが非常にはね上がる一つの原因に、証券業者がレートにかまわずとっているという事実が非常に大きな事実として片一方にあるのです。だからそういう事実が片一方にあるときに、一番低いところでこうやってこっちからこっちへやらしているという、こういうことになっているのですがね、私は国民の立場で言っているのだけれども、これはあなた方やはり監督の立場があると思うのですが、公正な取引が守られるように投資信託の受託者に公平な利益が守られるようにする責任は政府にはありませんか。
  65. 天野公義

    ○天野政府委員 ただいままで申し上げておりますように、コール・マネーのレートを見ましても二銭五厘未満のものが六百二十七億、それから二銭五厘以上のものが四百二十二億あるわけであります。自粛レートを守っていただきたいというのは、これは一般の建前でございます。でありますから、投資信託から出すものについてもできるだけ守っていただきたいということを指導するというのは、これは当然ではないかと思います。しかしながらコール市場のいろいろな動きによりまして自粛レートよりも上のものも出るのはこれは当然でありまして、その結果、四百二十一億の二銭五厘のものが出ておるわけであります。今までやっておることが全部正しいとは思いませんけれども、自粛レートは守っていただくように指導すると同時に、投資信託に加入している君たちが不当な損害を受けないように、これまたいろいろ監督をする必要がある。これは原則的にそう申し上げるわけでございます。従って自粛レートのもあと自粛レートを上回ったものが出る。上回ったものがその期その期によってふえたり、減ったりするということもこれまた当然だろうと思うのであります。従って結論的には自粛レートは守るように指導すると同時に、不当な損害のかからないように指導したいと思います。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ、これ以上ここで申し上げても答弁はまさに困難でありますから、私は伺いませんが、政府当局としては私どもの意のあるところを体して適正なる一つの指導をやっていただいて、もう三カ月してもう一ぺん私本委員会でやりますから、その間における具体的な経過を私どもに納得のできるようなケースとして現われるような御指導を一つお願いいたします。きょうが二月ですから、国会の終わるころ、要するに参議院選挙前の最も効果的な時期に取り上げてもう一回やろうと思います。  以上で私の質問を終わります。
  67. 小川平二

    小川委員長 次会は明七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会