運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-01-31 第40回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年一月三十一日(水曜日)委の指名で  、次の通り小委員及び小を選任した。  税制及び税の執行に関する小委員   伊藤 五郎君    大久保武雄君       岡田 修一君    金子 一平君       藏内 修治君    濱田 幸雄君       藤井 勝志君    細田 義安君       久保田鶴松君    芳賀  貢君       堀  昌雄君    横山 利秋君       春日 一幸君  税制及び税の執行に関する小委員長                 濱田 幸雄君  金融及び証券に関する小委員       伊藤 五郎君    大久保武雄君       岡田 修一君    鴨田 宗一君       藏内 修治君    田澤 吉郎君       藤井 勝志君    毛利 松平君       岡  良一君    佐藤觀次郎君       広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君       武藤 山治君  金融及び証券に関する小委員長                 伊藤 五郎君 ————————————————————— 昭和三十七年一月三十一日(水曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    津雲 國利君       永田 亮一君    濱田 幸雄君       藤井 勝志君    古川 丈吉君       坊  秀男君    吉田 重延君       岡  良一君    久保田鶴松君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       芳賀  貢君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    武藤 山治君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         農林政務次官  中馬 辰猪君         食糧庁長官   大澤  融君         中小企業庁長官 大堀  弘君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    松井 直行君         国民金融公庫総         裁       石田  正君         中小企業金融公         総裁      森永貞一郎君         参  考  人         (商工組合中央         金庫副理事長) 河野 通一君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 一月三十日  委員春日一幸辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として春  日一幸君が議長指名でに選任された。    ───────────── 一月三十一日  昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外十四名提出、  第三十九回国会衆法第一二号)、委員会の許可  を得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案内閣提出第一号)  昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特  例に関する法律案石田宥全君外十四名提出、  第三十九回国会衆法第一二号)の撤回に関する  件  金融に関する件      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長    これより会議を開きます。  石田宥全君外十四名提出昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案及び内閣提出昭和三十六年産米穀についての所得税臨時特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 小川平二

    小川委員長 なお石田宥全君外十四名提出法律案については、先国会において提案理由説明を聴取いたしておりますので、今回はこれを省略いたします。  これより両案について質疑を行ないます。芳賀貢君。
  4. 芳賀貢

    芳賀委員 私は、政府提案措置法について若干の質問を行ないたいと思いますが、まず伺いたい点は、先日政府当局から提案理由説明がありましたが、今回の特例法を出す最大理由をどういうところに置いているかということを念のため政務次官に伺いたい。
  5. 天野公義

    天野政府委員 従来この問題につきましては、毎年政府提案でやっておったことでございまして、本年もいろいろと御議論もあったかと思いますが、いろいろな面を研究し、この法案を御提案することにいたしたわけでございます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 法案を出されたことはわかるのですけれども、提案された一番大きな必要とする理由、その点を簡単に述べていただきたい。
  7. 天野公義

    天野政府委員 事前売り渡し申し込み制度に対しまして、売り渡した場合においては従来と同様に所得税について免税をするということはきわめていいことであり、また必要である、かように考えてやったわけでございます。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 昨日の提案理由によると、私たちの判断では、この法律案提案された大きな理由は、事前売り渡し申し込み制度の円滑なる実施に資するためにこれを出したということになっておる。そうであれば、われわれもこれは同調できるわけです。ただその場合、事前売り渡し綱皮の円滑な実施をはかるとか進めるということであれば、売り渡しがスムーズに行なわれるような時期に法案を出せば、政府方針を明らかにした場合には、なおさら成果があったのではないかと思う。もうほとんど売り渡しが年内に九九%終わって、いよいよ今年度の税の申告の時期に当面してしぶしぶ出すということになれば、これはせっかくの法案趣旨目的最大効果を上げずらい、そういう欠点も生じてくるわけですね。ですから、どうせ出すのであれば、たとえば昨年の米価決定機会に、食管制度の健全なる運営の一環として、予約減税制度については三十六年産についてもこれを適用するとか、そういうことを同時並行的に政府施策として決定して、そうして生産農民に協力を求めた方がよかったのではないかと思いますが、この提案の時期が非常におくれた原因はどこにあったか、伺いたい。
  9. 天野公義

    天野政府委員 事務当局より答弁いたします。
  10. 松井直行

    松井説明員 税制調査会に付議いたしましていろいろ検討いたしておりましたことが一つと、今回提案で一部前年と変わっておりますように、天候その他の関係で、一期、二期、三期の供出時期で恩典を与える時期も違っておるところもございますので、そうした事情も勘案いたしまして、最も適正な運用を期するに十分準備をしたというかげんで非常におくれたわけでございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、政務次官も御承知通り、前の委員会でも私指摘した点ですが、これと同様の石田着金君外十四名提案にかかわる予約減税法案が昨年の十月十七日に、臨時国会提案されておるわけです、ですから、そういう議員提案法案が現在継続審議になっておるということは、これは政府当局も御承知通りです。ですから、その議員提案法案内容が、政府が今回出された法案目的と同内容のものであれば、これは何も政府がこだわって、野党の議員提案に対しては賛成できないとか、それと同じものであっても、政府面子内閣提案にしなければならぬという、そういうものではないと思うのですね。趣旨同一のものであれば、同一内容のものであれば、政府としても、これは議員立法であっても、与野党が協調してこれをすみやかに成立させるということが議会運営上一番望ましい姿だとわれわれは思うが、一体政府当局はどういう考えでこれをお出しになったか、今後の問題もあるからここで明らかにしていただきたい。
  12. 天野公義

    天野政府委員 従来この法律につきましては、政府提案で毎年やっておったことは御承知通りかと思いますが、議員提案で出ております法案よりも今度の法案の方が範囲が広くなっておるわけでございますし、こういう性格のものにつきましては、できるだけ政府提案でやっていくのが筋である、かように考えたので政府提案にいたしたような次第であります。  範囲が広くなっているという点につきましては、先ほど事務当局お答えいたしましたうちの後段のところの部分がふえているわけであります。御了承願いたいと思います。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そういうことであれば、議員立法でも、これは修正ができないことはないですから、与野党が相談してこの点を修正して内容を充実して通そうじゃないか、こういうことでもいいじゃないですか。何も社会党が出したから面子にかかわるとか、社会党法案を通したらこれは与党として農村に顔向けがならぬというようなことでこの法案提出をいたしたような、そういうちゃちなまねをすると、正常な国会運営とか、正しい政治の運用ということはなかなかできないと思うのです。政府提案内容がよいとか悪いとかいう問題ではないですよ。原則的な問題として今後もこういう問題がときどき起きるから、これは注意までに指摘しておきたいと思います。  その次にお尋ねしたい点は、この法案は毎年一カ年間の時限立法で出ているわけです。たとえば昭和三十年以降米の売り渡し制度御存じ事前売り渡し契約に基づく制度に変わったわけです。この減税制度も、それ以降は事前売り渡し制度を円滑に連帯するという一つ目的を持って法案が毎年出されておったが、それ以前は、昭和二十六年産から三十九年産までの間は、これは予約減税制度ではなく、政府農民が売り渡す場合の一つ助長策として供出奨励金という制度があったわけです。奨励金とか、完遂奨励金とか、超過供出奨励金とかそういう各種の奨励金部分についてのみ、昭和二十六年産米から二十九年産米まではこの奨励金部分に対してだけは免税措置を講ずる、そういうことでやってきておるわけです。ですから、この制度というものは、歴史的に見ると昭和二十六年から今日にずっと続いておるわけです。そういう歴史を持っているわけです。ですから、この制度というものが、食管制度の健全なる運営上施策を進めるために相当大きな成果、貢献を上げておるとすれば、単に三十六年の産米のみならず、たとえば三十七年度、今後においてもこれらの制度建前としては存続すべきものであるというふうにわれわれは考えておるわけですが、この際、将来に対する政府所信というものを明らかにしておいてもらいたい。
  14. 村山達雄

    村山政府委員 この予約売り渡し米に対する税金につきましては、ただいま芳賀先生のおっしゃったように非常な幾変遷いたしまして今日に至っているわけであります。現行のような制度になりましたのは、御案内のように昭和三十年でありますが、との当時いろいろないきさつがございまして、大体千四百円を一途として、減税措置を講ずるということになりました。当時といたしましてはまだ課税農家が非常にたくさんございまして、税制上この措置をとることは、育成の面におきましても和音の意味があったわけでございます。その後御案内のような食糧事情になりまして、それから課税も非常に少なくなってきておりますので、いわば特例措置として考えます場合の政策効果から言いますと、どちらかと申しますと、こういう変則的なものは機会を見て漸次整備する方向にいきたい。それにかわるべき方策で必要なものがあれば、そういう新しい観点に立って必要な施策は講ずべきであるというのが、われわれ税制に携わっておる者の考え方でございまして、この点は政府税制調査会でもしばしば答申されておるところであります。しかし、税制だけでものを考えるわけには参りませんので、最終的にこの制度を残すかどうかという問題は、もっと広い見地からいろいろ考えられておるわけでございまして、税制としては考えものではあると言いながら、今日まで毎年のように特例が下されておるような事情でございます。ただ、税制立場からいいますと、こういう制度は、機会を見て一般制度の中に吸収すべきものだというふうにわれわれとしては考えておるわけであります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 これは税金屋立場から見て、税制上好ましいとか好ましくないという問題でなくて、たとえば農業政策とか経済政策全般立場から見て、その関連で、はたしてかかる税制というものはどうすべきかということにならぬと、税金のことしか知らぬ者がとやかく言う、これはそういう狭いものじゃないです。ですから、これは事務当局は今後どうするなんということは、かりそめにも、言えないわけです。できれば大蔵大臣が出席して、将来どうするということは明確にしてもらいたいのだが、あいにく予算委員会が今開かれておりますから、これはやはり政務次官からある程度のことは言ってもらった方がいいと思います。
  16. 天野公義

    天野政府委員 税の立場から、今、主税局長が答弁いたしたような考え方があるわけでございます。いろいろな農業政策とか、政治的な判断をいたしまして、ただいま御審議願っておりますような法律案提出した次第でございます。今後におきましては、税の立場なりまた農業政策等あと一年間よく研究をいたしましてやっていくつもりでございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは具体的な内容に入りますが、政府から出された資料によると、大体三十六年に予定される農業所租税課税対象人員が十九万九千、約二十万人ということになっておるが、一体この課税対象者と予定される農家、この階層が三十六年の産米政府売り渡し、これは大体三千九百九十万石をこえておると思いますが、この売り渡し総量に対して課税対象になる、たとえば二十万戸の農家が一体全体の何%程度の米の売り渡しを行なっておるか、その内容についてお示しを願いたいと思います。
  18. 村山達雄

    村山政府委員 今資料を探しておりますが、後刻正確な数字をお答え申し上げます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう点がわからぬと審議が進まぬと思うのですよ。その程度のことはあらかじめ質問があると予定して準備してこないと——たとえば課税対象戸数がこれだけあるとか、その対象所得金額がどれだけあるかとか、そういう資料はこちらにはあるが、この減税制度恩恵を受ける対象農家が非常に激減しておると、税制度存在価値というものは疑わしいというようなことを当局が指摘するとなると、やはりこの点は議論する必要があると思うのです。一体この階層日本農業発展に受け持つ役割というものはどういう地位にあるかということが明らかにならぬと政策というものは進めようがないと思うのです。これは大蔵当局がわからぬければ食糧庁でもいいです。新長官が来られておるから、その点がわかれば・・。
  20. 大澤融

    大澤(融)政府委員 私まだ就任間もないところでありまして、資料的な準備がございませんけれども、先ほど来大蔵省の方からお答えございましたように、税金立場からいいますならば、予約減税というようなことが必ずしもやるべきことであるかどうかというような疑問があるというようなお話がございましたわけでございますけれども、もっと広く農業立場その他を考えて必要であるというようなことで、ことしも、三十六年産米についてもそういうことをやるということで法案の御審議をお願いしておる、こういうことだと思います。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 それではその資料がわかるまで別な質問を少しやっておきます。  次に農林省と大蔵省両方にお尋ねしますが、昨年の農業基本法審議の際あるいは所得倍増審議の際にも、日本農業発展の基礎となるものは、今後建前家族経営を主体としたいわゆる自立経営農家百万戸を育成するという方針が、これは総理大臣からも述べられたわけです。自立経営農家実態というものは、その基準となるものは家族農業建前にして、その家族農業に従事する者が通常三名として、そして経営面積の平均を二町五反歩として、所得目標をおよそ百万円に置く、いわゆる自立経営農家というものは百万円を所得目標にして、資本主義的な企業農業として育成するというのが、政府自民党方針でありますが、そうなると税制の面を通じて、現在百万所得農家というものは六百万農家の中に一体どの程度現存しておるか、これは所得階別別内容を分析すれば直ちに出てくる点であると思いますが、この点に対して税務当局からお答えを願いたいと思う。たとえば便宜的に百万円所得者中心にして、それより十万円ごとの段階をつけて百万円以上の所得階層がどういうふうになっておるか、あるいは百万円以下の分についても、十万円ずつの段階で各階層がどういうような農家実態になっておるか、階層別所得内容を示してもらいたい。
  22. 村山達雄

    村山政府委員 今手元にありますのは申告所得税につきまして、あるいは給与所得についての階級別表がございますが、そのうち営業農業種類別の分はまだ役所に置いてありまして、この手元資料ではわかりませんので、便宜申告分につきまして申し上げまして、そのうち山峡業については少ない数でございますが、それについて申し上げたいと思います。  三十六年度予算では申告所得税課税見込み人員が百八十万人でございますが、そのうち百万円以上のものは約三十万程度でございます。農業人員は先ほど申し上げましたように、三十六年分で当初予算で十九万九千人でございますが、来年度は減税の結果十八万程度と見込まれるわけでございます。御案内のように、農業所得階層営業その他に比べまして非常に零細でございますので、全般申告所得の百八十万に対する三十万が百万円以上ということでございますから、それよりもはるかに低いものであろうということは容易に想像つくところでございます。おそらく、一0%といたしますと、十八万中パーセンテージにかからない程度ではなかろうかと思うわけでございますが、後刻詳しい資料をもちまして所得階級別別表を離し上げたいと思います。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは正確な資料あと委員長を通じて出してもらいたい。  今主税局長が答えたことは、百万農家というのはパーセンテージからいくとゼロなのでしょう。このゼロから百万戸育成ということが、一体自民党政府のもとにおいて、たとえば所得倍増十カ年計画にしても、はたしてそういう達成が可能かどうかということは、もう一年目の経済政策が失敗した今日ですから見通しはつくと思うのですが、これはどうですか。ああいうでたらめな計画というものは日本農業に当てはまらぬという判断が結論的に出ておると思いますが、これはできると思いますか、どうですか。
  24. 大澤融

    大澤(融)政府委員 農業基本法で御審議いただきました構造改革政策といたしまして、基本法考え方自立経営農家育成と協業の助長を大きな二本の柱にしておるわけでございます。あのときにいろいろ議論になりました、ただいま芳賀委員からお話がございました二町以上の農家を百万戸育成するということは、所得倍増計画を作ります過程におきまして、たとえば、将来の自立農家目標を大担に考えてみるならば、このくらいではないかというような、一つのあれを作ります場合の非常に大担な見通し一つでありまして、政府が必ずしもああいうものに十年後に持っていくのだという考えではございません。しかしながら、年次報告の中にもありますように、農家経営というものはそうした方向に徐々に発展をしていっております。従いまして、今後十年後にどれだけの自立経営ができるかというようなことは、そのときになってみなければわかりませんけれども、農業基本法考え方としては、計画的に育成するというふうなことではございませんからわかりませんけれども、そうした動きはすでにあるということは御承知おき願いたい、こう思います。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 結局今の主税局長の答弁にもあったように、三十六年度においては課税農家が大体二十万程度である、三十七年度にはそれが十八万程度になる。むしろ低所得階層農業の面では増加する傾向にある。税金を納める農家が、たとえば二十万戸から二十五万戸にふえるというならばこれは話がわかりますが、傾向としてだんだん一0%あるいはそれ以上ずつ課税対象農家が減るということは、これは非常に重大な点だと思う。自立農家育成と逆の方向を、税制の面から判断するとたどるということになるわけです。それじゃだめなんですね。これは一つ逆行をストップさして課税農家がふえる方向施策を進めるにはどうするかということになると思うのです。これは単に予約減税を廃止すれば対象がふえるなんということではなくして、一体どうしたらこういう逆な現象を克服できるかということについては、これはやはりこの際総合的に考えをまとめておく必要があると思うのです。特に大澤さんは農業基本法の立案の中心をなした人物ですから、一つそういう点について、これは農林大蔵当局の具体的な所信というものを述べてもらいたいと思います。
  26. 大澤融

    大澤(融)政府委員 所得税を納めます農家が減っていくということは、おそらく減税効果だと思いますが、芳賀先生もよく御存じでそういうことをおっしゃっておられると思いますけれども、農家所得は、年々非常な勢いでふえております。また基本法目的にしているようなことのためには、政府もいろいろなことをやっておりますし、やろうとしております。従いまして、所得は今後も大いに伸びていく、伸びることが期待できると、こう思います。ただいまのお話で、税金を納める農家がふえるような政策をとらなければならぬというようなお話であったのでございますけれども、減税というようなことがなければ、所得の増加に応じて税金を払う人数が多くなるということは考えられると思います。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことじゃないのです。何も農業の面だけに特別な減税措置を講じているのではないでしょう。国民全体を対象にした減税が、これは毎年ごくささやかに行なわれておるということは事実ですが、そういう非常に微温的な減税が行なわれておるにもかかわらず、たとえば三十六年度には、税の自然増収が四千八百億程度ある。これは少なく見てもそれだけ見積もられるわけです。国全体の経済の成長から見ると減税を行なってもなお四千万、五千万の自然増収というものが確保できるわけです。農業の部面においては、自然増収なんというものは全然ないでしょう。だから税金を納める農家が減っておめでたいなんというものではないのです。課税能力を喪失させる政策を今の自民党政府がとっておるからこういうことになっておるわけなんだから、これをどうするかということが政策的に明らかにならなければいけないと思うのです。今の農民はそういうことではごまかされないですよ。ことしは税金を納めなくてよかったからありがたかったというようなばかなことを言う者はいないのですから、そういう昔の物語的な税制を通じて、恩恵を売るような形で農民に臨むとか国民に臨んではいけないと思うのです。この点は十分反省する必要があると思うのです。天野さん、この点どうですか。
  28. 天野公義

    天野政府委員 今度の税制改正によりまして、納税者がうんと減ったということは御承知通りだと思います。従って今度の税制改正減税効果によりまして、農業所得納税者が減ったということはやはり全般の趨勢でございまして、減税効果がここに一つ現われたのではないかと思います。ただし方向といたしましては、先ほど来食糧庁長官が申し上げておりますように、今後も農業所得がふえて参るようにいろいろな政策を進めていかなければならないと考えておるわけでございます。  なお、自然増収等につきましての一番大きな要因といたしましては、法人税等の伸びが非常に大きいということも御承知おき願いたいと思う次第でございます。要するに、私どもといたしましては、農業所得がどんどんとふえ、農業経営者が豊かになるようにという方向で今後も政策を進めて参る所存でございます。
  29. 村山達雄

    村山政府委員 ただいまの芳賀先生の御質問に対しまして数字でもってお答えいたしますと、三十六年度の所得税納税者の総数は、三十六年の当初予算では千二百三十六万二千人でございます。しかるところ、御案内のように、経済成長が当初予算で見積もられましたよりもはるかに高度になりまして、当初九・八%の名目といわれておりましたのが、実績見込みではやはり名目で一四・四%というように非常に成長率が高くなっております。そういうことに対応いたしまして、実績見込みでは千二百三十六万ではなくて、千四百四十五万程度でございます。今度の経済見通しを基礎にいたしまして、三十六年度の改正前の納税人員を見込みますと千五百六十三万九千人でございます。しかし今度減税をいたします、もっともこれは四分の三の減税でございますが、その結果約百万人、九十万二千人ばかり失格いたしまして、合計千四百七十三万七千人でございます。同じようなことがこれは農業についてもいわれまして、農業につきましては、改正前の現行法ベースで見込みますと十九万二千人でございますが、税法改正の結果、先ほど十八万と申しましたのは、ちょっとラウンド・ナンバーで申し上げまして間違いでございまして、正確に申しますと十七万一千人、二万一千人程度農業におきましても失格するということでございまして、もちろん一戸当たりの所得は伸びておるわけでございますが、税法改正の結果、課税最低限は相当上がりますので失格者が出てくる。約二万二千人くらい失格する見込みである、こういうわけであります。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、予約減税の結果が地方税に及ぼす影響、その点は検討されておると思いますが、所得税の面については、資料によりますと、この減税制度を適用する前の課税人員が大体十九万九千人、それが予約減税実施した場合には、六万人程度対象人員が減って十三万九千人となり、それによる税額が減税前の場合は十三億円、それが六億一千万程度減って六億九千万円、そういう一応の見積もりができておるようですが、地方税に及ぼす影響というものはどういうことになるか、その点を説明していただきたい。
  31. 村山達雄

    村山政府委員 三十六年度の予算ベースで、予約減税の適用のあります、これは市町村住民税でございますが、数字は百六十六万人というふうに見込まれておりますが、三十七年度の見込みでは、百七十一万八千人程度が市町村住民税としてこの予約減税の適用を受ける農家数でございます。この措置によります減収額は、本年度は十九億円程度見込まれております。昨年度は予算ベースで十二億円程度、こういうふうになっております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 理事会の打ち合わせの時間もあるそうですから結論を急ぎます。われわれとしては社会党案を提案した立場にありますが、それに対して政府案の内容は、昨年の新潟県災害によって、新潟県の時期別の売り渡し期日を、九月三十日までの分を十月五日まで延期した。その措置をこの特例措置の中にうたってあるので、これはわれわれとしても賛成できる点であります。それから政府提案の第二項は、食管法の第三条第二項の規定に基づく政府の買い入れ価格につき買い入れの時期に応ずる格差が設けられていない米穀である場合には、四百八十円となるということであります。この規定に該当する売り渡し米の内容についてはどういう実態になっておるか。
  33. 村山達雄

    村山政府委員 第二項に該当するものはいわゆる等外米といわれるものでございまして、農林省告示でわれわれが見ますと、九月二十九日、十月十四日、十一月十日、去る一月六日と四回くらいそれぞれ規格が告示されてございます。等外上玄米、水分過多甲規格外玄米、胴割米混入甲規格外玄米、その他八つくらいの規格がそれぞれこの四回の告示によって示されております。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 その数量はどのくらいになりますか。
  35. 村山達雄

    村山政府委員 数量がどのくらい出るかということはちょっとわかりかねますが、ことしは例年よりも非常に災害が多いので、それで農林省の方も早く告示をして、それで政府の買い入れ義務をはっきりさせたのだろうと思いますが、例年よりは多いものというふうにわれわれ考えておるわけであります。
  36. 大澤融

    大澤(融)政府委員 最終的な数字は固まっておりませんけれども、十月末現在で七万石足らずのものでございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは最後に、今後の農業基本法効果的な実施とも関連して、税制上、農業政策に貢献させるにはどうあるべきかというような問題については、これはまた別な機会にお尋ねしたいと思いますが、特に私どもとしては、国税の面については所得税の中における農業課税の問題、あるいは今度の国会改正案が出ておりますが、農業における相続制度、相続税の問題——相続税についても、農業基本法では農業の相続制度を一子相続というようなことも片鱗を示しておるようでありますが、これは憲法上から見ても、民法上から見ても、そういうことを打ち出すとすれば重大な問題になるわけですが、農業における相続あるいは分家に対する農地等の贈与の問題等に対する税制上の措置とか、あるいはまた、地方税については特に固定資産税の制度の中における農業に対する措置、たとえば農地に対する評価とか、課税の方式とか、あるいは農業の生産手段に対する固定資産税や償却資産税の課税の方法とか、こういう問題は、農業政策との関連において適当な機会に十分根本検討をするものであると思いますが、これらの点について大体大まかな方向とか、考え方というものがもし政府にあるとするならば、この際聞かしておいてもらいたい。
  38. 村山達雄

    村山政府委員 御案内のように、政府といたしましては、ひとり農業に限らず、日本の現行の所得税が重いという認識に立ちまして、零細所得中心にして、引き続き毎年減税をやって参っておるわけであります。おそらく業種で申しますと、一番大きな影響を受けておるのは農業ではなかろうかと思っておるわけでございます。先般も申しましたように、三百五十万戸の課税世帯が、今日約十七万台になってしまったというあたりにその点が出ておるわけであります。昨年は農業につきましては、特に耐用年数の短縮につきまして、平均でございますと大体二割程度でございますが、農業につきましては大体平均三割くらい短縮しておるわけでございます。そのほか、ことし特に地方税について配慮いたしました点は、地方住民税の二のただし書きでございます。これは非常に地域的な問題でございますが、いなかの方で非常に重くなっておる。本文方式でなくてただし書き方式になっておる。そのことは業種で申しますと、主として農業に負担がかかっておるという点に着目いたしまして、いずれ後刻御審議を願うかと思いますが、地方税法におきまして、ことしは地方税としては非常に思い切った減税をいたしておるのは、主として農村地帯の負担の現状を見てやっておるわけでございます。  相続税につきましても、大体二町五反経営のあたりまでは相続税の課税対象にならないようにことしも基礎控除を上げておるわけであります。  なお、相続制度との関係の問題につきましては、税の方はもちろんこれに従わざるを得ませんが、現在は実際の取得価格によらずに、相続人が、たとえば四人か五人ありますと、それぞれ民法による相続分によって按分して課税をしておるわけであります。従いまして、実際に長子相続がございましても、その長子が相続したということが明らかになりますと、あとで調整することになっておりますが、実際問題としては、五人おりますとそれぞれ相続分によって基礎控除をした遺産をその相続分で按分してそれぞれの人に帰属すべき課税価格を求めてそれで税金をかけておるわけでございます。結果からいいますと、それは税の方ではそうでない場合に比べてかなり負担は軽減されておる、こういうことでございます。われわれとしましては今日の相続税のこの制度を変えるつもりはございませんので、今の制度は、農家につきましてもまたほかの者につきましても、今の課税方法が合理的である、こういう考えを持っておるわけでございます。  固定資産税につきましては、特にやっておりますのは、農協方面の農業倉庫等につきましては御案内のように今免税しておりますが、そういう配慮が特殊の資産については行なわれておるわけであります。
  39. 小川平二

    小川委員長 お諮りいたします。  ただいま議題となっております両案中、石田宥全君外十四名提出法律案につきまして、提出者全部より撤回の申し出がございます。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可することに決しました。     —————————————
  41. 小川平二

    小川委員長 次に、内閣提出法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  42. 小川平二

    小川委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  お諮りいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  45. 小川平二

    小川委員長 次に、金融に関する件について調査を進めます。  本日は、政府委員のほか石田国民金融公庫総裁、森永中小企業金融公庫総裁及び参考人として河野商工組合中央金庫副理事長がそれぞれ出席いたしておられます。  それでは質疑を許します。横山利秋君。
  46. 横山利秋

    横山委員 さっきの委員長の発言にちょっとあとに残るものがあるかもしれませんが、提案者の撤回の申し出を委員会としては了承という意味でおっしゃったのではなかったのですか。やはり許可ですか。
  47. 小川平二

    小川委員長 これは国会法規上、委員会の許可を要するということになっておりますので、御了承願います。
  48. 横山利秋

    横山委員 わかりました。それは後日・・。  それでは中小企業金融について御質問いたしたいと思います。この問題についてはもう何回となく本委員会で取り上げられておりますから、私の質問は広範にわたりますけれども、重複をなるべく避けて具体的に御質問をいたしますから、政府側各位並びに参考人各位におかれましても、具体的に一つ簡単に御答弁を願いたいと思うのであります。  その前に、私どもとしてこの中小企業金融についてすでに大蔵大臣、あるいは通産大臣より予算委員会及び本委員会においてもう御確認を願ったことが二、三ございます。一つは、この金融引き締めを中小企業に影響を及ぼさないように最大の努力をするということが一つでございます。それから、そのねらいは少なくとも経済の二重構造を解消する方向において行なうということでありました。私がその際に注文いたしましたのは、そのためには中小企業金融なり、中小企業の設備投資については抑制をしない方がむしろ大事であって、大企業の設備投資は極力これを一側なり一判以上にきちんとやれということについてもほぼ御了承を願ったところであります。このベースでお答えを願いませんと困るのでありますから、まずもって注文をしておきます。  そこで、一番最初の問題は、第四・四半期の問題であります。年末金融が、お互いの努力もございまして、まあとにかく窮迫を告げた中に一応過ぎましたが、ここ一月から三月までの金融は、各位御存じ通りに非常に窮迫を告げておるのでありまして、しかもこの引き締めがほぼ最初の予想の三月では終わらなくて、四月、五月、六月にわたるという長期の展望を持ち、俗に言いますところのフライパン型という感じがいたすのであります。底が浅くて広くてということでありますから、第四・四半期の三公庫を中心にいたします中小企業金融というものが極度に逼迫をしておることは御存じ通りであります。すでに政府側にもわが党から先般申し入れてございますが、第四・四半期に少なくとも三公庫で四百五十億、買いオペ三百億の申し入れをいたしておきましたところ、新聞の伝えるところによれば三公庫で百億か百二十億かというところで、ぎりぎりの状況にあるそうであります。まことに遺憾なことでありますが、その結論はどういうことになりましたか、買いオペの問題も含めてまず御説明を願いたい。
  49. 天野公義

    天野政府委員 金融引き締めによりまして中小企業にしわの寄らないようにという方針をもちまして、昨年第三・四半期におきましては、政府関係三公庫並びに買いオペにおきまして八百億出したことは御承知通りでございますが、そういう考え方をもちまして第四・四半期にも対処をして参り、中小企業金融にしわの寄らないように配慮をいたす方針で進んでおるわけでございます。ただいまのところでございますと、最終結論には達しておりません数字ではございますが、現在の段階におきましては、国民金融公庫に二十五億、中小企業金融公庫に三十五億、商工組合中央金庫に五十億、計三公庫百十億並びに中小向けの特別買いオペとして百五十億を予定しておるわけでございます。昨年の第三・四半期と合計いたしますと一千六十億という数字に相なるわけでございます。政府といたしましては、今後も、中小企業の金融につきましては、政府関係三公庫ばかりでなくて、各金融機関にも行政指呼をいたしまして、中小向けの貸出比率が下がらないように指導して参る方針で進んでおるわけでございます。
  50. 横山利秋

    横山委員 きわめて簡単明瞭な御説明でけっこうです。しかしながら、三公庫で百十億という数字で、実際問題として第四・四半期の中小企業金融を緩和させる確信が一体政府側においておありであるかどうか、私は非常に疑問に思うわけであります。この中で特に商工中金が五十億と出ておりますから、まず大きいところから質問をいたしたいと思うのですが、商工中金は、昨年の募れの財政投融資で短期と長期とあって、そしてこの五十億をさらにつけ加えることによって五十億の内容がどういうふうに政府から借りられて、それが今日の需要にどういうふうな影響を与えるか。私の聞きましたところによりますと、商工中金は七十五億の要求をしたと仄聞をしておるのでありますが、七十五億の根拠は一体どういうものであるか。私の方は七十五億ではとうてい足りないとして、百五十億の算定をしたわけでありますが、この五十億によってどういうふうに商工中金の金融は行なわれるか、これまた具体的にお伺いをいたしたい。
  51. 河野通一

    ○河野参考人 お答え申し上げます。  私どもが第四・四半期における金融緩和のために政府当局にお願い申し上げました数字は、実はもう少し大きい数字をお願い申し上げたわけであります。今、政府当局からお答え申し上げましたようなことで、かりに私どもに五十億の資金が追加投入せられます場合におきましては、もちろん私どものお願い申し上げました数字には達しないわけでありますけれども、格別の御高配によりましていただきました資金はできるだけ効率的に運用いたしまして、何とかこの第四・四半期における中小企業の金融の逼迫を緩和して、大過なくこの第四・四半期を送れるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。まだ五十億という数字は実は私どもお示しをいただいておりませんので、これをどういうふうにして具体的に金融の線に乗せていくかは、これから正式に政府からいただきました数字に従って具体的に計画を立てていきたい、かように考えております。
  52. 横山利秋

    横山委員 先ほどお断わりしたように、修飾語は一切なしで、具体的に私がお伺いしておるのは、政府側から、まだもらってないからわからぬとおっしゃるなら、政府側はその五十億はどういう条件でお貸しなさるかということを政府側にお伺いしたい。商工中金側は五十億もらったら、現実に第四・四半期は総需要はどのくらいあって、自分たちはどのくらい要求したが、五十億ならばどういうような資金需要になるか、需要と供給との関係はどうなるか、政府に対する返済はどういうようになるかということを具体的にお伺いしておるのですから、一切修飾辞抜きで御答弁をお互いしてもらいたい。
  53. 大月高

    ○大月政府委員 あらかじめお断わり申し上げておきたいと思いますけれども、この中小企業金融の問題は、この三機関だけの問題ではないわけでございまして、全体としての中小企業金融が円滑に行なわれるということが目的でございます。この三機関は全体の市中金融の補完になっておりますので、この間中自体の立場からだけでは中小金融がうまくいく、いかないというような結論は出ないという意味で、われわれは昨年の秋以降、千億以上の金を中小企業につぎ込んでおるわけでありますが、そのほかに民間金融機関の指導によりまして、中小企業金融に対する量及び質の資金の確保ということについて格段の努力をしておるわけでございます。そういう努力と政府の資金の追加、この両々相待ちまして第四・四半期の金融は、中小企業金融に対しまして、心配なく推移するものと考えておるわけでございます。  間中自体の問題といたしましては、われわれといたしまして、この五十億追加いたすことによりまして、第四・四半期全体として、昨年の八百三十四億の貸出ベースが千百六十億、千二百億若干欠けるというところに参りますので、商中の資金の供給量は格段に増加するものと考えております。
  54. 河野通一

    ○河野参考人 ただいま具体的にお話をということでございましたが、五十億の資金をどういうふうに配分していくかにつきましては、まだ具体的計画を立てておりません。しかし、今お話銀行局長からございましたように、この五十億なかった場合における私どもの第四・四半期における融資の累計額は、大体千億ちょっとということの予定であったのでありますけれども、それが、その五十億が追加されますことによって、約二百億近く融資の累計額が増加するはずになります。これは去年の同期といいますか、三十五年度の第四・四半期に比較いたしましておそらく二五%くらいふえるのではないかと思います。もちろん政府当局を前にしてこう言ってはあれでありますが、決して十分とは私ども考えておりません。何とか努力して難関を切り抜けて参りたいと考えております。
  55. 横山利秋

    横山委員 商工中金が一月から三月までに貸してほしいという総需要はどのくらいあって、それに対して、五十億の財政投融資を受けることによって供給総額はどのくらいあるか。
  56. 河野通一

    ○河野参考人 私どもが今お話し申し上げましたのは、貸し出しの累計つまり延べ貸しで申し上げたわけでありますが、私どもが需要として各支店からとりました数字は、はるかに多い数字になっております。
  57. 横山利秋

    横山委員 幾らですか。
  58. 河野通一

    ○河野参考人 大体第四・四半期中に二百億程度の純増という数字になっております。それは現在の第三次の財政投融資の追加がありません場合における私どもの資金計画におきましては、第四・四半期において貸し出しは約百億余りの純減となる予定になっておりましたが、これは残高です。先ほど申し上げました千億というのは、片道の貸し出しの累計額です。今申し上げておりますのは残高です。残高において約百億余りの減少ということになっておったのでありますが、それに対して各支店からの要求を集めますと、残高において約二百億程度の増加をすることが望ましいという数字になっております。従いまして資金量といたしましては差引約三百億程度足らないということが、支店からの数字を集計いたしますと出て参ります。しかしこれは、そのうちで緊急を要してどうしても出さなければならぬという数字は、そのうちの全部ではないと私どもは考えておりますから、相当程度それは査定しても差しつかえない数字ではないかと考えております。それで今申し上げましたような第三次の追加がなかりし場合における第四・四半期の残高減少百億余りというものが、この五十億の追加によりまして残高の減少約五、六十億というところでおさまることになるわけであります。
  59. 横山利秋

    横山委員 非常にあなたは回りくどい話をしておられるのですが、大体の数字が三百億不足であった、しかし追加で百億の減少が五、六十億になるという、結論的な点からいえば、これではとうてい足りないということを逆に言うておられると思うのであります。お互いに本委員会委員はそれぞれの選挙区において中小企業金融に直接、間接に接触しておるのでありますから、むしろその意味ではあなたよりも実際の現場の事情は私どもの方が詳しいと私は考えているのです。その点でいえば、今回の商工中金の、五十億、またあと国民、中金それぞれ触れるのでありますが、最も今金融のしわ寄せを受けておる大企業の下請企業、下請企業と一緒になっておる協同組合あるいは特殊産業的には繊維産業等々というようなものは、年末からことしにかけて大へん苦しんでおって、まことに言語に絶するものがあります。そういうときにあなたの方がこれっぼっちと言っては言い方もまことにいかがなものでありますけれども、これっぼっちのことで、それで何とかなるでありましょうということを本気にあなたはおっしゃっておるのでありますか。政府側にもお聞きしたいのは、ほんとうはもっと出すべきであるけれども、財政投融資の資金上これよりしようがないというのでありますか。それともこれが適当にして十分なる額だと思っておられるのでありますか。御両所から簡単に御答弁を願いたい。
  60. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御説のように必ずしも十分とは思いませんが、いろいろ原資の点等も勘案いたしまして、この程度でいたしたいと思います。
  61. 天野公義

    天野政府委員 先ほど銀行局長が答弁いたし、また私も先ほど言いましたように、中小企業金融政府関係三公庫ばかりでなくて金融業界全般の問題でごさいますし、また金融業界全般の中における三公庫という見方もできるわけでございまして、中小金融につきましては三公庫に対する政府措置ばかりでなくて、いろいろな面で中小金融の円滑化のために今後も努力をして参る所存でございます。
  62. 横山利秋

    横山委員 今の宮川さんのお話は、十分だと思わないけれども、原資の都合上これでやってもらうことにした、こういうお話であります。このことは私はきわめて遺憾の意を表示いたします。今日金融引き締めの中で最も考えなければならぬ最大無二の問題が中小企業金融の問題であると本会議はもちろん当委員会においても予算委員会においても重ね重ね答弁をされておるのにかかわらず、しかも今満座の中で商工中金を例に引いて、とうていこれでは足らないということがわかっておるにかかわらず、原資の都合上これができないというお話をなさるというのは、私はまことに遺憾千万なことだと思うのです。やはり政務次官も同様に原資の都合上と御答弁なさいますか。
  63. 天野公義

    天野政府委員 先ほど申し上げたような考え方で進んでおるわけでございます。
  64. 横山利秋

    横山委員 先ほどのお話、聞き忘れましたが、宮川さんと対比して御答弁願います。
  65. 天野公義

    天野政府委員 宮川理財局長の答弁並びに先ほど私の申し上げたこと、両方合わせてお考えいただければいいと思います。
  66. 横山利秋

    横山委員 私どもはこのような中小企業金融で二月、三月の状況が克服されるとは思わないのであります。それは商工中金に銭がないから断わる、断わればしようがないじゃないか、そこはそこで済むのであります。ところが一方、町の高利貸しが最近に跳梁しておる状況というものはまことにはなはだしいものがあるのであります。これは年の暮れの新聞記事を引用してでございますが、私もこの間その実際の状況を体験をいたしました。最近ではここに超一流企業の手形までが持ち込まれて、金利も超一流で日歩七銭から八銭、最高は日歩三十銭とはね上がっておる。金融筋では今度の金融引き締め政策が金利機能を割に軽んじて資金の量だけをぐいぐい引き締めている、前回の三十二、三年の金融引き締めのときに比べ、このような摩擦現象が大きいと見ており、明年一月から三月までの金融逼迫期には貸金業者の暗躍がかなりふえようと予想している。大体大蔵省の調べによりますと、統計で貫録業者が全国で四万、もぐりが一万、全国金融団体連合会の話によると、年間で五千億円と見られ、ほぼ地方銀行の上位クラスの一行分に当たる。金融引き締めが強化されて以来、業界の話では貸金業者のところへくる資金の需要は、春ごろの五、六倍にふえている。金利も昨年暮れごろの日歩五銭ないし十銭に比べ、ぐんとはね上がっている。最後に結論として外貨ぎりぎりまできて強力な金融引き締め政策に転換した政府、日銀の態度を各方面は非難をしていると言っておるのであります。  財政投融資が原資がないからこうしておくといえば、商工中金も役所のような顔をしていらっしゃるから、それはそれで済むかもしれない。けれどもそのしわ寄せは黒字倒産にもなり、こういう貸金業者の中へいって日歩三十銭というような状況に転化されて、しかも先般も本委員会で私が言うたのですが、これらの高利貸しに対して、政府のなすべき手は何もないのであります。今日まで高利貸しに対して、政府が適当な手を打ったということを私は不幸にして聞いてはおらないのであります。もしも原資が足りないけれどもこれくらいだというのならば、それにかわる別なしわ寄せを回避させる措置をおとりになっておるのでありましょうか。一つの例として申し上げました、この金詰まりにおどる高利貸しの対策についてお伺いをいたしたいと思います。
  67. 大月高

    ○大月政府委員 貸金業者に対する政府の監督権は、許認可の問題でございませんので、届出の営業ということになります。従いましてこの金利をどのくらいにするかという問題につきましても、行政的な問題としては規制をしておりませんので、ただ、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律という法律によりまして、金利の最高限度は三十銭という金利が考えられておるわけでございまして、その範囲内において貸金業を営める、こういうことになっております。われわれの考え方といたしましては、そういう意味で貸金業者を取り締まるという面ではなしに、全体の金融政策といたしまして、現存の中小企業がうまく金融をつけて、そういう方面にたよっていかなくてもいいように運営するということがポイントであろうと思います。貸金業に関する今のお話につきましては、それぞれの立場のそれぞれの御発言があるわけでございまして、私は、必ずしもその実態を物語っておるとは思いません。随所にそういう現象もあると思いますけれども、全体として今回の引き締め政策下における中小企業は三十二年、二十八年の場合に比べますと、相当引き締めの影響は軽いというのがわれわれの見ておるところでございます。むしろ今回の引き締めの影響を強く受けておりますのは、大きな企業と大きな銀行とでございますが、最近の資金のポジションを見て参りましても、たとえば相互銀行、信用金庫というような中小企業金融機関の資金は格段に伸びておるわけでございます。たとえば相互銀行の資金は現在一兆四千億、信用金庫が一兆二千億というような数字を占めておりまして、全体の貸し出しに対するウエートも約四 〇%・こういう状況でございます。それに対しまして都市銀行の資金の伸びが非常に悪い。これは金融の引き締めの影響によりまして、大企業が営業性預金を引き出して使っておる、こういうことでございます。そういう金の力から見ます動きから見ましても、中小企業金融というものは今回はむしろ優遇されておって、大企業の方に逆にしわが寄っておるのじゃないかというのが一般の感覚でございます。そういう意味におきまして、今回政府が金を出します場合に、理財局長お話がありましたように、完全に十分というわけには参りません。いろいろ財政上の事由もありましょうけれども、一般の金融の状況とか、そういった傘下の活動、それから信用保証協金の活動、そういうものを総合いたしまして、中小企業金融については、大体よくいっておる、こういうふうに考えておるわけであります。
  68. 横山利秋

    横山委員 大月さんに一ぺん私言わなきゃならないと思うのですが、去年私は欠席をしておりましたけれども、あなたがここでやはり今と同じような発言をされて、与野党の間に非常な紛糾を起こしたことがございます。御記憶だと思います。今まで本委員会でいろいろと大臣からも、各政府委員からもお話を承った中で、金融の面であなたが一番中小企業に対する楽観論者であります。しかも先回の問題は、中小企業金融を即座に改善をしなければならぬという圧倒的な本委員会の雰囲気の中で、あなたは、大丈夫です、そう御心配は要りませんと言われて、その直後に対策がとられたのであります。今また同じようなことをあなたはおっしゃる。それであなたのお考え一つ考えではないかと私は考てもよろしいと思うけれども、中小企業金融の当面の責任者であるあなたが二十七、八年、三十二、三年と対比して、今回は中小企業金融は楽だ——この楽だという考えは、単に算術的な比較をされたものであって、その問における経済情勢の変化、そこの中における中小企業の立場の相違、あるいはまた与野党ともそれこそ超党派で努力をしておる中小企業政策発展、それらのことについて一顧の顧慮もなくて、中小企業金融は今度は楽ですよというがごとき判断というものは、まことに私は遺憾千万だと思うのであります。あなたは、もう五十億の商工中金なり国民金融公庫や中小企業金融公庫の合計百十億の金融をもってして、これで万事足れりとお考えでありますか。私は、あなたが野党に対する答弁として、事務責任者として、お役人としてどういう立場お話をなさっておるか知りませんが、まじめに政府各級機関、与野党が中小企業金融について心配をしてできる限り努力をしようと言っておるときに、一人超然として中小企業金融は前に比べて楽ですよというがごとき態度は、私は許されないと思う。これは数字的にも経過をたどって言うならば、あなたの考えは間違っておるというばかりでなくて、この一般の雰囲気の中で、中小企業金融は前と比べて楽ですよというがごときあなたの態度は間違っておる。私はきわめて遺憾の意を表示したい。重ねてあなたの御見解をお伺いしたい。
  69. 大月高

    ○大月政府委員 先ほど来申し上げておりますように、中小企業金融の問題は非常に重要な問題でございまして、われわれといたしまして、金融引き締め政策をとりまして以来、最重点的に考えて参っておるわけでございます。今の政府機関に対する資金の供給のほかに、全体としての中小企業金融機関の活動、資金量の増加、そういうものを総体的に考えてみますと、中小企業金融に対しては、相当の努力が払われておるのです。それで全体としての金融の引き締めはやっておりますので、決して金融が楽である、問題がないというようなことを考えておるわけではございません。しかし今の問題は、金融の引き締め下においてどこにしわが寄って、どこで非常に困っておるかというような問題だと思うわけでございまして、そういう総体的な感覚から申しますと、どちらかと言えば、大企業で設備をやり過ぎて、そのあとの引き締めで金繰りに非常に困っておるという面の方に非常に圧力がかかっております。中小企業自体につきましては、仰せのように社会的に非常に強いわけでもございませんで、いろいろ悩みはあると思います。しかし総体的な感じから申しますと、やはり二十八年、三十二年それを経過いたしまして、次第に基礎も固くなっておるわけでございます。それから中小企業というものに対する世の中の関心というものは、非常に強くなっております。政府政策から申しましても、二十八年、三十二年に比べまして、非常に格段の進歩をいたしておると私は考えます。そういうふうなことを全体に考えまして、全体として金融が引き締め基調になるわけでございますから、そう楽だというわけではございませんけれども、今の金融の情勢下におきまして、中小企業がほんとうに困っていろいろ倒産が起こる、黒字であるけれどもやっていけないというような状況が起きるだろうかというようなことから考えますと、私はなかなかつらいとは思いますけれども、大過なくその期間は過ごせるのじゃないか、このように考えておるわけでございます。
  70. 横山利秋

    横山委員 私はあなたが現実的認識がきわめて乏しいと思うのです。もう一度あなたは一ぺん全国の中小企業の現場を回って見られるとか、中小企業団体とひざを交えて事情をお聞きになることがどうしても必要だと思うのであります。しかし抽象論に陥りますから先ほどの話に戻りますけれども、先ほど高利貸しの話をされまして、貸金業者に対する措置はないかと言いましたところ、あなた方は今のような弁を使いまして、あちらこちらの御意見はいろいろあるけれどもといってはぐらかそうとなさいました。私も貸金業者が全部いかぬと言っているわけではない。この金融引き締めの中で、とてつもない高利をむさぼっている貸金業者に対して、何らかの措置はないかと言っているのに、それに対して何らのお答えもないのであります。先般来この千葉銀行の問題で本委員会が取り上げたことがございますが、直接的に言えば、千葉銀行は今大蔵省が経営しておるようなものだという話がございます。当時私どもは言ったのでありますけれども、大体昔は銀行は取りつけ騒ぎがあったけれども、このごろは相互援助条約があって、銀行は絶対に取りつけ騒ぎというものがなくなっている。それがために銀行、金融機関の人はみんないばってしまって、多少のことがあったところで、まあ銀行がつぶれるようなことはないとずうずうしくきめ込んでおる。それが証拠には、一つは千葉銀行である。また最近においては信用組合の連合会ですか、あそこにも汚職が出ておる。かくのごとく氷山の一角として金融機関で汚職があるけれども、その底というものは、どうしてどうしてなかなか私は奥深いものがあると思うけれども、ちっとも表に現われずに、あなた方がそれを適当に処理してしまっておる。責任の所在というものが預金者保護のにしきの御旗に隠れてしまって、責任の所在がきわめて不明確になってしまっておる。そういう意味合いでは銀行行政というものは少しお高くとまり過ぎているのじゃないかという感じが私はしてならない。もう少し銀行行政というものが中小企業金融公庫を含めて、もっと具体的、ラジカルにわれわれとの間に高く具体的に議論をされるような習慣がつかない限りにおいては、私はよくならないと思うのです。御見解をお伺いいたします。
  71. 大月高

    ○大月政府委員 ただいまの具体的な千葉銀行あるいは信用組合連合会の話につきまして、われわれの銀行行政といたしましては非常にむずかしい問題だと思います。と申しますのは、今お話がございましたように、一つはわれわれの行政の重点は預金者保護という面に向けられておりまして、あらゆる金融機関の預金につきまして万全の対策を講じたいわけであります。そういう意味で、日常の行政におきましても、各金融機関が健全経営をやりまして、貸し倒れがないようにということをやかましく言っておるわけであります。しかし何分数の多い金融機関でございまして、そのうちにいろいろな不詳事件なり、あるいは貸し倒れを生じて、世間を騒がすような事件はないわけではございません。しかしそういうような場合に、はたしてそういう金融機関に大きな穴があるので、それは取りつぶしたらいいかどうかということになりますと、われわれは今の社会状態において、やはりそういう金融機関をつぶすということ自体をこえまして、その預金者は極力保護しなければならぬ。そうすればその金融機関を建て倒すために、あるいは人事の刷新を要請し、あるいは監督の強化を実行し、あるいはどこかの金融機関への合併を慫慂する。そういうことについていろいろ配慮をしなければならぬのではないかと思います。そういう観点から、われわれといたしましては個々の事件が起こりますつど苦労いたしまして、預金者に御迷惑のかからないように、万全の配慮を払っておるわけでございます。しからばそういう感覚で考えました場合に、金融機関の経営者としては非常に安易な考え方になるのではないかというのが多分御心配の一点だと思います。われわれもそういうことがございませんように、預金者の保護、経営者の努力ということで区別して厳格にやっておるつもりでございますけれども、何分今の側方の面をあわせて考えますと、必ずしも一方ばかり強行するわけにいかない。最終的に考えますと、やはりその間の調整ということが必要になりまして、外部からごらんになりまして、あるいはなまぬるいというようなお感じは出るのではないか、われわれも終始その点をかみ分けながら、どうして銀行行政を進めていったらいいかということを心配いたしておるわけでございまして、今のお話の問題につきましては、われわれとしても終始心配いたしておるわけでございます。ただわれわれが中小企業金融に冷淡であるとか、あるいは金融行政の進め方について非常に抽象的であって、中に立ち入ってないじゃないかというお話につきましては、十分反省いたしたいと思いますけれども、われわれといたしましては、そういう問題は及ばずながら全力を尽くして、事がございませんように、なるべく円滑に、スムーズに進むように努力いたしておる次第でございます。
  72. 横山利秋

    横山委員 政務次官に端的にお伺いしますが、今の質疑応答でおわかりになったと思うのでありますが、二つの問題がある。一つは銀行が預金者保護のにしきの御旗に隠れて、責任の所在が明確でない。それからもう一つは、やはり政府みずからが——銀行局でもそうでありますが、政府みずからが預金者保護の名に隠れて、そうして非常なる権限を持っておるということであります。非常な権限を持っておる。銀行の内部で不正がありましたときに、政府の行政指導が非常な権限を持ち過ぎておる。千葉銀行が大蔵省の管理下にあると俗にいわれるほど、そういうような権限をわれわれは一体まかしておいていいだろうかということであります。私は預金者の保護というものが新しい時代感覚によって考えなければならぬ。こういう銀行、金融機関のうぬぼれや、あるいは政府の役人のオールマイティのようなやり方というものについては、制限を打つ必要があると考えておるのでありますが、あなたのお考えはいかがですか。
  73. 天野公義

    天野政府委員 金融機関は公的な使命を非常に大きく帯びておるものでございますが、その公的な使命の一つの大きなものは、預金者保護ということは言うまでもないことだろうと思います。従いまして、ただいま銀行局長が申し上げましたように、千葉銀行とか、また信用組合の連合会の問題とかありましたけれども・・(横山委員「埼玉銀行もしかり」と呼ぶ)そういうような面につきましては、預金者の保護を考えなければならないということは言うまでもございません。しかしながらその責任者のいろいろな問題につきましては、責任者の交代を願う。それからまた責任者の交代を願ってから銀行を健全な運営にするように指導していくということが望ましいことではないかと思う次第でございます。従いまして、ふだん正しい金融機関の運営が行なわれるように指導すると同時に、もしもその経営者等に不正とかまた間違ったことがあった場合においては、これは断固として処分をする。しかしながら一経営者、一機関の間違いによって、多数の預金者が不測の災害をこうむらないように配慮をしていくということも、当然なことじゃないかと思う次第であります。
  74. 横山利秋

    横山委員 あなたの御答弁は非常に抽象的で、私の質問に具体的に答えてないのですよ。私の言いたいことは、銀行家の責任の所在、金融機関の責任の所在を明確にすべきであることと、それから政府が、特に銀行行政をつかさどる人たちが、預金者保護の名に隠れてオールマイティのような仕事が実際に行なわれるおそれがある。この二つについては制限しなければならぬ。預金者保護に名をかりて、責任の所在が不明確だ、大蔵省のお役人が、ない権限をもって適当にやってしまう、こういう点については考えなければならぬと私は言っておる。お考えはありませんか。今お考えがなければ、一つ御検討を約束してくれますか。
  75. 天野公義

    天野政府委員 ただいま私が申し上げた線に沿って今後やっていくつもりでおります。
  76. 横山利秋

    横山委員 御検討をぜひお願いしたいと思います。  今度は国民金融公庫、中小企業金融公庫に少し苦情を言いたいのであります。国民金融公庫については、先般私が本委員会で鳥取の信金を例に引きましてお願いをいたしました。もっと国民金融公庫の支所が増設されて、そうして、もとはといえば零細企業、庶民金庫から始まった国民金融公庫でありますから、そのベースをくずさずに拡充する必要がある、これはどうしてもある、こう痛感をしておるのでありますが、ことしの拡充計画は一体どんなものであるか。私どもの要望いたしますように、迅速に、もっと機能を全国各地に充実しろというのが注文であります。  それから中小企業金融公庫に至りましては、このごろ少し、おれのところは銀行だというような感じがあり過ぎるような気がいたします。その例を申しますと、たとえば直貸しがおそいと私どもは思う。大体早いもので三カ月、今から頼めば五月か六月にしか直貸しがもらえない。それは人がいないからである。人はふやせばいいじゃないか。そう簡単にいきませんといいながら、最後に、そう皆さんのおっしゃるように、国民金融公庫や相互銀行じゃありませんからねという気持がある。これは非常に遺憾千万なムードが中小企業金融公庫の中に出始めたと私は思っておる。これはそういうムードがある限りにおいては、人をふやしても何をやっても、中小企業銀行のような感じを持ってしまったら、これはもうだめだと私は思う。少なくとも、代理貸しだったら一カ月でできるものなら、直貸しだってせいぜい二カ月あったらやってもらわなければならぬはずであります。それが人に事よせて、機能に事よせて、実は腹の中で私のところはね、という感じがあって、そうしてビルもりっぱなものにし、もう洋服もきちんとしたものにし、ムードをそういうふうに作り上げる点があって、これは少し国民金融公庫のムードにかえってもらわなければならぬと痛感をするのでありますが、両公庫の責任者からお伺いいたします。
  77. 石田正

    石田説明員 今、横山先生からの御質問の点でありますが、あるいは私勘違いをいたした答弁をいたすかもしれませんが、その節は御訂正させていただきたいと思います。  国民金融公庫の仕事をやって参ります上において、全国的にもう少し網の目をふやしたらどうかという問題につきましては、三十七年度、来年度の予算にありましては、四カ所支所をふやすということにいたしております。予算折衝の過程において四カ所ふやすということになっております。  それから代理所の問題でございますが、代理所は、現有におきまして、いろいろな関係からいたしまして八百の代理所を持っております。さらにこれを拡大していくという問題があると私は思うのであります。ただ、今どう三十七年度に対処するかという御質問がごさいましたが、この点については遺憾ながら明確にお答えができないのは残念に思います。と申しまするのは、三十七年度の予算におきまして、三十七年度でわれわれがどのくらい普通貸し出しができるであろうかという数字を、算定いたしておるわけでございます。その数字は大体千二百六十億の貸し出しができるのではないか、かように考えておるわけでございます。これの数字は三十六年度の予算ができました当初貸し出しを計画いたしました千六十九億円に対しましては一八%の増になっておるわけであります。しかるところ、三十六年度は御承知のように、いろいろな方面からのお話、御援助をいただきまして、資金の追加をいただきましたので、三十六年度末の予想では、千二直三十七億の貸付ができると思っておったのであります。これと千二百六十億を比べますと、千二百六十億というのは二%の増にしか当たらぬわけでございます。この代理所等を設けますことにつきまして、ただ代理所という看板を掲げるだけでは意味がないのでありまして、やはり資金手当をしなければならぬのであります。そういう今申しましたような事情から申しますると、来年度代理所の数をはたしてどれくらいふやせるかどうかということにつきましては、今後の推移を見て検討いたしていかなければならない。ふやしたい気持はございまするけれども、なかなか今申しましたような資金事情から、そう簡単にいかないのではないかということを心配しておる状況でございます。
  78. 森永貞一郎

    ○森永説明員 ただいま中小企業金融公運営の心がまえにつきましておさとしをいただきまして、ありがとうございました。私も全然同感でございます。かりそめにも銀行家などというようなことで高くとまって、迅速処理を怠っておるというようなことは、絶対にあってはならぬわけでございまして、その点につきましては、かりそめにも政府機関、公共機関としての責任を自覚しないで変な空気にならないようにということをいつもやかましく言っておるのでございますが、もしただいまお話がございましたようなことがございまするとするならば、これは私どもなお一そう引き締めていかなければならぬわけでございまして、なお今後とも一そう注意いたしたいと存じます。ただ、審査期間につきましてお話がございましたのですが、これはお話のように、人も、まだ創立早々八年でございまするし、十分ではございません。毎年ふやして賛成をいたしておるのでございますが、なかなか意のごとく参りませんのは事実でございます。またお貸しいたします金が、利益の中から償還する金というわけでございまして、単に担保さえ充実しておれば、あるいは保証人さえ充実しておればというわけには参らぬわけでございまして、その間普通の短期金融よりも審査に時日を要するという点があることは、これはぜひとも御了承いただかなければならぬわけでございます。それにいたしましても、今の審査期間をできるだけ短縮いたしますように、能率の改善につきまして一そう努力をいたして参りたい、さように考えております。
  79. 横山利秋

    横山委員 どうもさっきから考えておりますが、三公庫の人みな大蔵省の出身ばかりで、それで前とうしろとの答弁がどうも感覚的に違うのは一体どういうことでありましょう。うしろの方としては、昔前にすわっておって、そうして一生懸命に言っておったことと比べて、うしろへすわったら、今度はえらい遠慮深げに、庭はこうしてもらいたいのだけれども、前の人がいるものでどうも容易でないというような感じがするのは、人間というものはそういうものじゃないのじゃないか。昔の同僚、後輩諸君でありますから、われわれも旧知の間柄でございますから、遠慮なく、こうしてもらいたいということは、ぜひ、初めての人じゃあるまいし、堂々と言って下さったって、別にそうあげ足をとろうとは思いませんから、遠慮なく注文をしていただきたいと私は希望しておきたいと思うのであります。  そこで、今の中小企業金融公庫のお話の中で、もう一つだけ、これはもうおわかりのことであろうと思いますが、注文しておきたいと思いますのは、なぜこうもおくれるかということであります。言うまでもありませんが、それは代理貸しを頼んだら、時間は早いけれども、政府のお金を貸しながら、そのほかに、お前はんのところへそれじゃ中小企業金融公庫の金を貸してやるで、そのかわり頭金をしてくれとか、ああいう他人のふんどしで相撲をとる連中がいるから、それがいかぬ。どんなに支店長に、言ったところで、それは注意しておりますがね、けれどもいろいろ代理店にもご厄介になっておるのですからということで、わかっておりながらこれの改善がされない。しかもそこで直貸しへ行くと五カ月だという。今ごろ、五カ月のような政府金融というものがどこにありましょうか。私はくどく言いますけれども、代理貸しで一カ月で済むものなら、せめてどんなにころんでも二カ月で実際金融が行なわれるように、他人のふんどしで相撲をとらせるようなことのないようにということを目標にしてもらわなければならぬと思うのでありますが、その実現の方法といいますか、その点についてあなたの構想を伺いたいと思います。
  80. 森永貞一郎

    ○森永説明員 私どもの公序は、発足当時は御承知のように代理貸しだけで始めました。その後代理店もだんだんふえて参りまして、現在七百店、全国に六千くらいの店舗網を張っておるわけであります。これはこれとして、手軽に迅速に融資をするパイプとしてやはり今後も活用していかなければならぬと思っております。ただやはり政府機関として、いわゆるかゆいところに手の届くような融資をいたしますには、まだ意に満たない点があるわけでございますので、創設後間もなく直貸しを始めまして、その後だんだん直貸しをふやすという方針で今日まで参っております。   〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 現在七五%ぐらいが代理貸しで二五%が直貸しということでございますが、三、四年のうちには、これを五、五ぐらいの比率までぜひ持って参りたい。それには公庫の人員の充実を期さなければなりませんし、また店舗網を広げていかなければならぬわけでございますが、この点も昨年は三支店二出張所、来年度はやはり三支店の新設を認められまして、だんだん今後全開的にそういう店舗網を張りまして、直貸しの比率が少なくとも半分ぐらいにはなるようにということで心がけて努力をいたしておる次第であります。
  81. 横山利秋

    横山委員 中小企業庁にお伺いいたしますが、今質疑応答を聞いていらっしゃって——わざとあなたにあとから質問をするつもりで聞いてもらっておったわけでありますけれども、このような、中小企業金融がなかなか改善をされないいろいろな原因が私はあると思うのです。根本的な結論は一番最後に申しますけれども、あなたの方で御努力願わなければならぬたくさんの問題があると思うのであります。直接あなたの関係ではないかもしれませんけれども、中小企業を担当していらっ資の残高はこの数年来、もちろん始まってまだ数年しかなりませんが、相当程度ふえて参っておりますことは御承知通りであります。今後もそういった内容の充実と相持ちまして、資金の許します限り、そういった方面への重点を決してないがしろにしない努力をいたして参りたいと考えております。
  82. 大堀弘

    ○大堀政府委員 商工中金は組合金融中心にしてやっておりまして、ただいま少し大きな方に重点がいっておりはしないかという御質問もございましたが、私どもとしましては決して大きな方に重点を置いておるということではなく、きわめて小口の、ごく最近も小規模事業組合等に対しても特別の金融をいたしておりますが、そういった意味で、相当こまかく配慮して中小零細企業関係の団体に対しましても同様に、あるいは特に配慮して金融をするように指導しておるわけであります。
  83. 横山利秋

    横山委員 商工中金に端的にお伺いしますが、私の申し上げたことは、このような零細企業の組合に対しては、一般の経済ベースに乗っておる協同組合と違った低い水準でおやりになるかどうかということを端的に聞いておる。具体的には二割は預金をしてもらいたいの、自己資本を充実して、借り入れ限度額の一五%までにやってもらいたいのという注文は、一般のことと同じことじゃないか。もう少し下げるつもりはないかということを聞いておる。
  84. 河野通一

    ○河野参考人 預金を二割お願いするといったようなことは私どもは申しておりません。ただ、先ほど来申し上げましたように、私どもとしてはやはり金融対象になるものでなければならぬ。従いまして、自己資本といいますか、基礎がある程度充実したものでなければ、これは金融をするわけに参りません。従いまして、自己資本比率という点につきましては、これは一五%というものがよいかどうかは別といたしまして、ある一定の自己資本に対して、私どもが融資申し上げる金額というものは、ある程度の比例を保つということはやむを得ないことであろうかと考えております。一五%ということに固執するわけではありませんが、ある程度の自己資本比率は維持していただくことは必要だと思います。それから預金につきましても、二0%ということは申すつもりはございませんが、やはり融資に対する償還の源としての預金というものにつきましては、ある程度のことはこれはお願い申し上げる。一律に相当程度の、高いレベルの組合に対すると同じような比率ということを要求することは適当でないかと思いますけれども、ある程度の預金の御協力ということは、これは当然金融機関としてお願いして差しつかえない範囲のものはお願いしてよいのではないかというふうに考えております。
  85. 横山利秋

    横山委員 ちょっと角度を変えまして、私の個人的意見になるかもしれませんけれどもお伺いしたいことは、中小企業金融が政治的な課題になり、そうして国会を開けばすぐにその方向金融の問題がいきますときに、また理財局長の話によれば、原資がないといっておるときに、また株が少しずつ増勢をたどっておるときに、日証金の融資が、大蔵省と日銀の間に意見の対立があって、そうして日銀の方はあまりこういう問題は好ましくないという立場をとっておりますのに、池田内閣総理大臣がどうしてもやりたいというお話を伺っておるのであります。私は結論から先に申しますけれども、賛成をいたしかねるのであります。いたしかねる理由はいろいろございます。いろいろございますが、端的に申し上げれば、今日の原資の情勢から、あるいは株価の情勢から、さらに、言いにくいことでありますけれども、この問題について、池田内閣総理大臣をめぐって好ましからぬうわさが町に流れておる。今それを言うのが私の目的ではございませんから、それはあまり言いたくはありませんけれども、こういう問題が政界の内部でくすぶって、最後には日銀も、やるなら勝手にしやがれというような雰囲気だというのでありますが、一体この日証金の融資はどういうことになっておるのか、なさろうとするのであるか、それを政府側からお伺いをいたします。
  86. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 公社債の流通を促進いたしますためにはある程度金融考えなければなりませんので、今そのやり方につきまして、買いオペレーションをやりますか、あるいはお話のありましたように、日証金を通ずる担保金融をやりますか、いろいろ検討中でございまして、結論を得ておりません。
  87. 横山利秋

    横山委員 えらく事務的に御答弁をなさいますけれども、ほんとうはあなたに政治的なことをお伺いするのは無理かもしれません。しかし、あなたが今お話しのように、二つの方法でやるかどうか検討しておるということは、それをどちらかの方法でやるという立場でございますか。
  88. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 最終的な結論は得ておりませんが、方向といたしましてはやる方向考えるべきじゃないかというふうに考えております。
  89. 横山利秋

    横山委員 その理由は、先ほどお話しになりました公社債の流通市場の拡充のためにやるのだということでございますね。
  90. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 さようでございます。
  91. 横山利秋

    横山委員 今そういう積極的な必要性が、どういう情勢であるのでありますか。
  92. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 公社債の消化を促進いたしますためには、流通市場がないと消化が促進されない。流通市場がない状況におきましては、金融をする道を講ずることが必要ではないか、かような見地からやっておるわけであります。
  93. 横山利秋

    横山委員 一般論としてはそれは考えられないことはないのですけれども、今の金融情勢なり、あるいはわれわれが当面いたしております諸般の問題からいいますと、それは二義的な問題ではありませんか。今どうしてもやらなければならぬ積極的な要因は参議院選挙前だということだけであります。そのほかに今どうしてもやらなければならぬという理由はどこにございますか。
  94. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 今直ちにこれを実行しようとする意図ではございません。政府といたしましては、そういう道を講じておくことが必要じゃないか、かような見地から検討を進めておるわけでございます。
  95. 横山利秋

    横山委員 そうすると、一説によりますと、日銀は二月の上、中旬に検討して三月分の買いオペに信託銀行を通じて云々というような時期判断をしておるようでありますが、あなたのお考えはそういう時期判断でなくて、事項としてやるだけであって、少なくともこの金融逼迫時の緊急の問題ではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  96. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 二、三月ごろの金融情勢を勘案いたしました場合に、あるいはその必要があるのじゃなかろうかと考えておりますが、まだやるかやらぬかは日本銀行と相談したいと思います。
  97. 横山利秋

    横山委員 日本銀行は好ましくないと言っておる。あなた方がわあわあ言うものだから、やるなら勝手にしろという態度でおる。これは不日日銀の総裁に来ていただいて、日銀がこのごろいろいろ陰で言っておることを率直にお伺いをしなければならぬと思うのでありますが、だれに聞いても日銀はそのことについて反対をしておる。もう一つの反対は、預金金利の引き上げをなぜしないかと日銀は言っておる。それもどうも池田さんがやらないというふうに言っておる。これらの二つをめぐってどうも芳しくない雰囲気というものが政界の底流に流れておると私は思う。今どうしてもこのようなことをやらなければならぬのか。あるいは去年の春以来預金金利を引き上げるべきことは、私ども社会党立場を離れてでありますが、一つの常識になっておる。金融機関にもうけさせてばかりおってどうなるか、九月の大法人三十社の所得の状況を見てごらんなさい。金融機関がどんどんと所得を増加しておるじゃありませんか。そういう中でどうして預金金利を引き上げて預金者の保護をはからないのか、あなた方の言う貯蓄の増強をやらないのかという声は客観的な判断をする人ならあたりまえのことでありますが、これらの二つについてどうも無理がある、こう考えられておるのでありますが、あなたはそういう話は全然お聞きになりませんか。
  98. 大月高

    ○大月政府委員 預金金利の問題は私の方の問題でございますので、それに限ってお答え申し上げます。  最近、金融界におきましても預金金利引き上げをして貯蓄の奨励に資した方がいいのじゃないかという意見があることは承知いたしておるわけでございますが、この預金金利を引き上げるという問題につきましてはその影響するところが相当大きなわけでございまして、貯蓄の奨励という観点からだけいたしますと、預金金利は高いほどいいということでございますけれども、御存じのようにわが国の預金金利の水準は非常に商いわけでございまして、これが金融機関のコスト・アップを招来いたしまして、全体としての金利水準を非常に高からしめておるというのが一つの事実でございます。そういう意味におきまして、去年の四月一日から預金金利の引き下げを行なったのであります。しからば、こういうような金融引き締めをやりますときに、全体の金利水準を上げるという意味で預金金利も上げたらどうかという意見が、昨年の七月あるいは九月の公定歩合の引き上げの際にあったわけでございます。しかし、それに対しましては、実はわれわれの考え方といたしまして、先ほどの国際金利水準という問題もございますけれども、今般の金融引き締めに際しましては、何としても中小企業金融については優遇措置をとらなくちゃいかぬ、中小企業にしわが寄らないように十分な配慮をしなければいかぬということで公定歩合を引き上げ、貸出金利は短期のものを上げましたけれども、中小企業につきましてはその量及び質、つまり金利の面でも量の面でも格段の配慮を払うということで、一般の金融機関の中小企業向け貸し出しを上げないようにということをやったわけでございます。なお、相互銀行、信用金庫につきましては貸出金利を、引き締め下におきましても逐次下げる指導をやっておりまして、現に下がっておるわけでございます。そういうような情勢下におきましてかりに預金金利の引き上げを実行いたしますと、中小企業の金利もあわせて引き上げなくちゃいかぬという問題が一つございますので、これは特に今のような情勢におきまして、先ほどから御論議がありますので、中小企業の金融は一体どうなるのだろうというようなことを一般に言っておられますときに、預金金利を引き上げ、かつ中小企業の金利まで引き上げるという情勢にあるかどうかということが根本であろうかと思うのであります。なお、その際あわせて長期の金利も引き上げる必要があるだろう、そういたしますと、社債の金利にも影響がある、そうすれば今の証券市場に対する影響も大きいのじゃないか、そういたしますと、金利水準の引き上げということが、今の金融が詰まっておりまして非常に心配いたしておるというようなときに、それではさらに追い打ちをかける金融政策をとるかどうかという判断に帰するわけでございます。その点につきましては、日本銀行におきましてもわれわれと同意見でございまして、先般来公の席におきましても、日本銀行総裁は、預金金利の引き上げの問題については非常に影響するところが大きいので、これは慎重に考えなければいかぬという御発言をなさっておるわけでございまして、一部日本銀行の意見として上げたらいいというような意見も伝わっておりますけれども、日本銀行の公式の立場というものは、今申し上げましたように非常に慎重な立場でございまして、そういう意味で大蔵省日本銀行の間に意見の食い違いは全然ございません。緊密な連絡をとりまして、今のような考え方に基づいて今の金融情勢に対処しておるというのが現状でございます。
  99. 横山利秋

    横山委員 私は金融機関の利益金が非常に上がっておるということを指摘しておるのでありますが、あなたはそれについて何らのお話もございません。私は預金金利だけさしあたり引き上げればいいじゃないか、なるほどそれは預金金利引き上げ影響なしとはいたしませんけれども、その影響というものは、むしろ預金者に対する預金金利を引き上げることによって生ずる利益ということも兼ね考えるならば、私はそう心配はないと考えておるわけであります。  政務次官にお伺いをしたいのでありますが、今までは事務当局の答弁でございますから、政治的の御答弁ではございません。私が申し上げた日証金の融資なり、買いオペなり、あるいは預金金利というものが非常に複雑な政治的な様相をたどっておる。そして日銀と大蔵省、それから池田総裁のお声がかりで問題が解決しようとしておるところに、ちまたのうわさは非常に不純なものがからんでおるという惑じがいたすのであります。前者の問題は、私は今どうしてもこれをやらなければならないという積極的な御説明に接するわけにはいかなかった。つまり、やらなくてもいい、将来制度として考えるならば適当であろうけれども、今どうしてもやらなくてはならない問題でもないと考えるが、あなたはどうであるか、その政治的な判断であります。  それからもう一つの預金金利の問題は、なるほど影響なしとはしないけれども、昨年以来、日銀がどういうふうに負けたか知りませんが、一貫して日銀がそういうふうに主張しており、これは一つのお声ではないか、これもまた政治的なあなたの判断を伺いたい。
  100. 天野公義

    天野政府委員 日証金等をめぐりまして、池田さんがどうとかというお話がありましたけれども、そういうととは全くないということをここで申し上げさせていただきたいと思います。そういううわさがあるということをあまり聞いておりませんし、そういう事実は全くないということを申し上げます。  日証金の問題につきましては、株価が下がったときにおきまして、いろいろと御要望もあったところでございまして、それは横山さんも御承知通りかと思います。そして一−三月期におきまして、あるいは金融が締まって、また株価等にも影響があり、公社債の市場等にもいろいろな影響があるのではないかということが言われておったところでございまして、先ほど理財局長が答弁いたしたように、そういうような窓口を開いておくということが、公社債の市場を維持する上にも必要なことでもあろうかと思うわけでございまして、そういう点につきまして研究をいたしておるわけでございます。  預金金利につきましては、ただいま銀行局長の申し上げた通り、おもに中小企業向けの金利という面を主眼といたしまして、預金金利はいじらないという建前で進んでおるわけでございます。日銀と大蔵省とは常に緊密な連絡をとってやっておるわけでございまして、両者にそごを来たしておるわけではございません。
  101. 横山利秋

    横山委員 政務次官一つお願いをしておきたいのでありますが、政務次官も次官になられましてから相当の期間を経られ、非常に熟練をされており、また高邁な御識見をお持ちなんでありますから、最初のころのあなたの——そう言っては失礼でありますが、あなたのことだけ言うのではありませんが、一般的な調和の御答弁から、できる限り今後意見を交えてお願いをしておきたいと思うのであります。お互いの立場でありますから、私どもは決してそんなに足をとられて云々という気持はございません。前向きの方向で今後御答弁を願いたい。お役人の方々は、前向きの答弁は政治的になるからというわけで、遠慮なさっていらっしゃるのですけれども、あなたまでがうしろ向きで調和のことに努力をなさったのでは議論が少しも発展しませんし、そういたしますと、どうしても私どもとしては大蔵大臣の御答弁を求めざるを得ないのでございます。われわれの質問は突然に行なう質問が多いのでありますから、もし工合が悪ければ悪いと言って下さればけっこうでありますから、御答弁を保留なさって、部内の意見をまとめて前向きの方向で、一つ政務次官には切にその点をお願いをしておきたい。そうしませんと、大蔵大臣がいらっしゃらないものでありますから、いつもあとのことばかりただ聞く、ああそうですかというだけに終わって、議論がちっとも前進しないのが本委員会一つの悩みでございますから、副大臣たる地位にかけて、一つ意見を含めて今後御答弁をなさるように願いたい。  最後に、私は、以上の質問を含めて自分の希望を申し上げたいと思います。これは何回も私がここで言ったことでありますから、簡単に申し上げて政務次官の御検討を待ちたいと思います。  それは第一には、中小企業金融というものは、どう考えても、今日の政治情勢では、積極的にこれをやるのではなくて、消極的に防衛的立場として中小企業金融が行なわれることから脱却をしなければならぬと思われることであります。私どもは、その方法として、社会党の構想ではございますけれども、単に政府資金ばかりではなくて、民間資金をも含めた総合的な資金委員会を作って、全体の流れをとめなければだめだ、こう言っております。三十二、三年のときの大失敗は、われわれ与野党共同で三百五十億の財政投融資をしたのであります。その年の金融機関の全統計を見ますと、驚くなかれ、これをやっても、中小企業そのものは非常に激減して、大企業に対する金融が増加をしたという実態を持っております。ゆえに、きわめて不満な、三公庫で一十億、買いオペが百五十億、合わせて三百六十億を投下いたしましても、これが先ほどの信用保証と相並んで、しょせん、大企業の手形サイトの延長を助けるだけだという結果になることを私は非常におそれておるのであります。従って、資金委員会の構想を立てるということで、全体的な流れをとめることが必要ではないか。  第二番目には、政府側としても、この中小企業に対する融資率を定められて、それを守るように言っておられるのでありますが、むしろ百尺竿頭一歩を進めて、集中融資を規制する。つまり、われわれがかねて申し上げておりますように、銀行法を改正して、一金融機関は、資本金と準備金の合計の一割をこえて一企業に貸してはならぬ、それ以上貸す場合においては大蔵大臣の認可を要するというような、基本的な集中融資規制をしなければ、これはだめである。それが今まであるくらいであるならば、運用がうまくいっているくらいであるならば、埼玉銀行事件は起こらないし、千葉銀行事件は起こらぬはずであります。それが起こっても、私どもが質問をいたしますと、預金者保護という名に隠れて、先ほど私が意見を申しましたような状況になっておる。これは官僚の全体的な行政運用にまかせられるべきことではないと私は考えるわけであります。これが第三番目であります。  第三番目には、とっぴな意見かもしれませんけれども、すべての金融機関には日本銀行という大本山がございますが、中小企業金融というものについては、そういう大本山がないのであります。最近いささか進展をいたしまして、商工中金にも財政投融資が逐次大幅に流れるようになりました。池田総理大臣は、相互銀行の大会ですが、あそこに行って、十年たったら日銀からも金が流れるようになるだろうと、えらい遠い話をされましたけれども、総合的に中小企業金融機関の指導育成をはかり、そうして資金運用の全しを積極的に期する要因としての方向として、中小企業中央銀行なるものが考えられていいのではないか。これはいろいろな問題がありまして、私もまだ検討を進めている段階でございますから、この弊害やあるいは長所和並べて説明をしなければなりませんが、今は十分な時間がありませんから、別な角度にいたしますが、そういうことが考えられてよいではないか。  第四番目には、中小企業の緊急救済資金とでも申しましょうか、予算の中に一定の緊急救済資金というものを設定をする必要がないか、これは不慮の災害の問題とか、あるいはまた今日のごとき景気の激変に類するようなもの等に必要がないか。  第五番目には、今日金融につきましては、それぞれの国民金融公庫なり、中小企業金融公庫なり、商工中金なりのベースがございますけれども、私が質問に触れて申しましたように、まだその下に零細な企業群がおる。国民金融公庫でも相手になかなかいたしかねる零細な企業群がおる。この企業群、またそれに関連をして消費者金融というものが課題のままになっている。これらの問題についていま一歩考えるべき必要がないか。たとえば私は町の貸金業を例に出し、あるいは動産を担保にする金融を例に出し、政府側からは小規模の金融についての御意見がございまして、これが合致するベースがあるわけでありますが、もっともっと下のベースに考えを及ぼす必要があるのではないか。最近中小企業金融公庫の天井を上げよという意見は非常に強いのでありますけれども、そのてっぺんを上げることによって中小企業金融のベースはしに向くだけであって、下がますます希薄になるという可能性が私は痛感をされてならないのであります。もしもその上を上げる場合においては、絶対にその資金量とそれから下への確保というものがなくてはならぬ。その意味では、結論的に申しますと、中小企業の定義について二つに分ける必要がある。中小企業とそれから零細企業という二階建の上区分をして、そうして金融税制、その他について格段の、区分けをする必要がどうしてもあると痛感をするのでありますが、この点はどうでありますか。重ねて申しますが、おざなりの答弁でございましたら次会でけっこうでございますが、政務次官の御意見をお伺いいたしたい。
  102. 天野公義

    天野政府委員 政府といたしましても、また大蔵大臣個人といたしましても、中小企業金融につきましては一番力を入れておるところでございまして、今後とも積極的に中小企業金融につきまして努力していくわけでございます。従いまして、前から申し上げておりますように、市中の金融機関の中小企業向けの融資率も、昨年来の指導によりまして確保しておりますし、今後もこの融資率を確保するばかりでなくて、中小企業向けの融資率をできるだけ多くしたいという方向で進めていきたいと考えておるわけでございます。  それから中小企業の金融機関の総本山のような形というお話でございますが、これにつきましてはいろいろと研究をいたしているところでございます。当面といたしましては、相互銀行なり信用金庫等の日銀取引等のことも考えておるわけでございますが、中小企業金融機関の総本山につきましては、今後研究をしなければならないと思っております。  それから緊急救済資金というような問題につきましても、これは今まで中小企業金融につきまして、いろいろと配慮して参ったところでございます。これを財政的にどうするかという点につきましては、今後研究しなければならないところでございますが、緊急救済的な中小企業向けの金融につきましては、いろいろ行政指導等を通じていたしてきているつもりでございます。  それから中小企業向けの金融のワクにつきましては、天井を上げるということは、これはもう実情に即して上げざるを得ない状況にあるのではないかと思います。またそうしなければ現在の中小企業の発展の策にはならない、かように考えておるわけでございますが、また天井が上がったといたしましても、零細企業につきましてのいろいろな金融指貫ということは当然あわせて行なわなければならないところでございます。私見でございますが、天井が上がるとそれだけまた中小企業向けの金融機関に対する預金というものも当然ふえてくるということも考えられるわけでございます。  零細金融につきましては、今後も大いに配慮をしていかなければならないことは言うまでもないところでございます。消費者金融につきましては、これは今後も研究をいたしたい、かように思います。
  103. 横山利秋

    横山委員 私の申し上げたことがまだよくわかっていない点もございますけれども、これは非常に時間をとりますから、私はここで質問をやめますが、最後にもう一つだけ、中小企業庁長官にお伺いをしたいのです。  私どもは今中小企業基本法国会に上程をする直前にあるわけでありますが、本日の新聞によりますと、自由民主党においても、議員の中で中小企業基本法提案をする準備があるやに聞いておるわけであります。政府側としては、この問題について先般の本会議におきましての池田内閣総理大臣の御答弁は、できる限り出したいと思っておるがごとき抽象的な御答弁でございます。一体中小企業庁における基本法の作業はいかに進展しておるのか。私の推察するところによりますと、これは重要な案件であるから、政府側としてはすぐにこれをやるということは準備として困難であるから、中小企業の基本的な問題は何であるかという討議を中小企業庁を中心にしてやっておるのであると承っておりましたので、おそらく政府側としてはこの国会に上程は困難ではないかと踏んでおったのです。池田さんの御答弁は非常に進んでおりますので、どのような作業が今行なわれておるのであるか、これはこの国会上程に間に合うのであるか、しからずとすれば、議員提案を見て政府側の態度をきめるということであるか、これをお伺いをいたしたいと思います。
  104. 大堀弘

    ○大堀政府委員 私ども中小企業庁といたしましては、昨年九月以来、政策審議室におきまして特別のスタッフをもって基本法の問題について検討を開始いたしておりますと同時に、業種別振興法に基づきます振興審議会に総合部会を設置して、各方面の学識経験者に入っていただいて、またこの方面の御意見を伺いながら、基本的問題についての検討及び各種の問題についての調査を今日まで続けて参っておるわけでございます。この問題の取り扱いは非常に大きな問題でございますので、私から取り扱いについての結論をここで申し上げることができないことは申しわけない次第でございますが、われわれ行政責任者といたしましては、なかなか問題にむずかしい点がございますので、今日の段階で、この案で法案が出せるという私としての確信までに至っておりません。現在まだ勉強中でございます。
  105. 毛利松平

    毛利委員長代理 関連質問を許します。佐藤觀次郎君。
  106. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 森永さんと石田さんが来ておられますから、簡単に二、三の点だけ関連してお伺いします。  先ほど森永総裁は、中小企業の金は国家資金であるから、できるだけ直接貸しをする方針をとっておるようでありますが、いつごろになったら大体全部が面接貸しになるか。今のところ七五%、それが三、四年のうちに五0%になるということでありますが、代理貸しというのは非常に非難がありまして、これは横山君からいろいろ質問がありましたが、現状は非常に銀行のために利用されているようなことになって、何のための国家資金かという非難があるわけです。こういう点について、あなたも総裁として非常に期待をされておりますが、一体いつごろまでに直接貸しにできる方針なのか、そういう点の目安を一つここで、せっかくおいでになりましたからお聞きしたいと思います。
  107. 森永貞一郎

    ○森永説明員 現在は七五%、二五%という比率でございます。来年度の新規貸付につきましては、大体三、七にそれを持って参り差して、その調子でいきますと少し時間がかかりそうで困っておるのですが、私の見込みといたしましては、三、四年の後にはフィフティ、フィフティのところまでぜひ持って参りたい。代理貸しを全部なくすというわけにはなかなか参らぬと思いますが、全国にまだ必要なる店舗網はどうしても残して活用していかなければならぬと思いますので、さしあたりは大体五、五の比率くらいのところまでに三、四年のうちに持っていきたい。そのくらいの心組みでおりますことを申し上げておきたいと思います。
  108. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 森永さん、ぜひ一ぺん地方へ出かけられて、現状をよく見て、いろいろな弊害が出ておると思いますので、この点を一つ早急にやっていただきたい。  それから石田さんにお伺いしたいのですが、国民金融公庫は零細な資金が多いので、われわれ地方においてもここ十年来非難がないようになりまして、非常に有効に活躍していることは事実であります。ところが今度これに関するとんでもない法律が出まして、旧地主という条件で二十億の金を貸すような法律が出るようになっておりますが、一体こういうものはあなたの方で、そんなことはやれぬというふうに拒否できるのかどうか。これはあとでどうせ参考人としてあなたに来ていただくと思うのですが、少なくとも私たちは承服しがたい。国民金融公庫の貸し出しのワクというものには一定の基準があって、今までは非常にむずかしかったのですが、今度は旧地主という理由国民金融公庫が貸すということになりますと、非常に弊害が出てくるので、むろんわれわれは反対いたしますが、こういう点について、政府から金を借りているのだから、どうしても仕方がないからやらなければならぬということになるのか、あるいはこんなことはどうも引き受けられぬからといって断わることはできないのか、一つ石田さんに聞きたい。
  109. 石田正

    石田説明員 農地補償と申しますか、あるいはそういう関係とは別だと私は思っておるのでありますが、旧地主でお困りになっておる方に対して、新しく特別に資金を出したらどうかということで政府の意思が決定された。ついては国民金融公庫がそれをやれ、こういうお話は承っております。しかしながら、まだ今日のところにおきましては、こまかいところまで入りまして、こういう工合にやるのだというふうなお示しは実は受けておらないのであります。もしその通り政府方針がきまり、また国会がそれを承認されるということになれば、政府機関でありますから、国民金融公庫としてはやはり拒否すべきではない、かように考えております。ただ私のただいまの気持として政府当局に申しておりますことは、国民金融公庫は今まで生業資金中心に一生懸命仕事をやって参りましたが、それと同じペースで仕事がやれるように御高配を願いたい。それがくずれてほかに波及することがあっては困る、こういう希望だけ申し上げておる段階であります。
  110. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これはいずれ法案が出てきますから、そのときにもいろいろ議論になると思うのですが、むしろ旧地主などは農林中金あたりで借りたらどうか、われわれちょっとそういうふうに簡単に考えるのです。国民金融公庫や中小企業金融公庫が地主に金を貸すということはどうしても納得できないのです。こういう点はいずれ委員会法案が出てからやりたいと思いますが、国民金融公庫は今日地方において非常にたっとばれておりますし、信用を得ておりますので、そういう点で、今後これがわずか二十億くらいのことで非常に問題が起こると思いますから、そういう点を十分注意しておいていただきたいと思います。
  111. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間もだいぶたっていますので、国民金融公庫総裁に一つだけお伺いしたいと思います。  国民金融公庫は零細企業者にとって一番大事な金融機関でありまして、これを利用しようという人たちが今日非常にふえて参っておるわけであります。業務量も逐年増大をいたしておりまして、去年もたしか何人かの職員の増員がございました。しかしながら、今日の業務の取り扱いの状況を見てみますと、私どもがちょっと見ましても、非常にオーバー・ワークになっておるのじゃないかと思います。そうして、そのことは、ひいてはせっかく緊急を要する借り入れの申し込みをいたしましても、調査を開始するまでに一カ月半も二カ月もかかるというような事態も、そういうような中から現われておると思う。そういうような現実に私もぶつかっておるわけであります。いろいろ実情を尋ねてみますると、それぞれ調査を担当する人はほんとうに熱心によくやっておる。それにもかかわらずそういうように次々に申し込みに応じて調査をしなければならぬ。なかなか順番が回ってこないわけです。しかも非常に急ぐというような場合において、そういう面から応じられないというようなことで、非常な迷惑がかかっておるのではないか。こういうようなことで、最近はそれでもやはり大衆のためにということで、職員も相当努力をして無理をする。そういうような中から長期欠勤者というような者もだいぶ出ているやに伺っておるわけでありますが、この職員の陣容をもっとふやしていくということは、資金量の問題やあるいは手続の問題や、いろいろ問題はまだたくさんあるわけですが、その陣容の面から、さらでだにいろんな問題点が多いのに、その面からの不便を生ずるというようなことは、早急にやろうと思えばいつでも解決のつく問題じゃないかと思うのです。その点について、職員の方からも相当強い要請がたしかいっておるはずでありますが、これについて総裁はその面をいかに改善し、サービスを向上させていくためにどのような具体的な案を持っておられるか、この際お示しいただきたいと思うのです。
  112. 石田正

    石田説明員 今御指摘がございましたような工合に、私どもといたしましては、現在の人員では人手が非常に不足であるというように感じております。同時にこれから資金量もますますふやしていただかなければ、ほんとうにわれわれの取引層でありますところの中小企業者、特に零細企業者の金融をはかるのに欠けるところがあるであろうと思いますので、人員の増員につきましては毎年政府に対しまして予算要求をしておるところであります。三十七年度につきましては、二百四十七名増加ということになっております。これは相当配慮してもらったものと思っております。ただこれは個人的なことでございますが、大体日本全体の経済の行き方、また人の問題等も考えてみますと、われわれのところでもってかりに予算上人員の増加が認められましても、現実問題として人員の充足が困難だという事態が起こってくるのではないかということを心配しておるわけです。それに対しまして、人員の増員をはかり、できるだけ国民金融公庫に来て働いていただくことをお願いすると同時に、また事務のやり方についても、むしろ簡素化し得べきところはできるだけ簡素化して手を省いていくという方向についても研究しなければならぬのではないか。それからまた、従来仕事がきわめてこまかくじみでありますため、機械化というような方面につきまして配慮が足りない点があったのではないだろうかという気もいたします。そういうふうな機械化の問題につきましても、それは大銀行や普通の一般金融機関のような大きな機械が必要ではないけれども、小さな機械で事務能率を改善し得るところはできるだけこれを充足していくということに意を用いなければならぬのではないか。そういうことで、三十七年度の予算におきましても、三十五年度、三十六年度に比べまして、相当多くの予算が認められるということになって参りました。いろいろのむずかしい問題がございますが、できるだけそういうようないろいろな面で配慮をいたしまして、できるだけお得意先の不便を解消するようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  113. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 三十七年度で、二百四十七名ですか、それは今、総裁のお話によりますと、ワクとしては増加をするけれども、はたしてそれだけの人員が得られるかどうかというような心配のようでありますが、その点はまだ採用試験をやるとかいうようなところまではもちろんいっていないわけですね。見越しでやっておるというところにはいっていない。そうしますと、現実に二百四十七名がふえたといたしましても、三十七年度にはとうていその実現はできないというような格好になりますか。これが一つです。それからそのふえる分の内訳ですが、やはり中心は業務能率を上げて大衆にサービスをしていく最大のものは、調査の陣容を飛躍的に強化するということが一番だろうと思います。やはり国民金融公庫を利用する人たちはかなり零細でございますし、書類等もなかなかよう作れぬというような人も多いわけであります。こういうような人たちに対しては、やはり懇切な指導の面というようなものが調査の中に入っていかなければならない。そういうようなことなんかも現在の段階ではなかなかやれないわけでありますから、そういうような御配慮があるのかどうか、この点を確かめておきたい。
  114. 石田正

    石田説明員 三十七年度の数学だけ申し上げましたので、あるいは誤解が起こったかと思うのでありますが、これは三十六年度では二百六十名の増員が認められたわけであります。これが三十六年度中に充足できませんので、新規卒の関係がございますから三十七年の当初から働く。ですから、三十七年度二百四十七名というのは大部分の人は三十八年の四月から働いていただく、こういうことになろうと思います。  それから充員の方法でございますが、お話通りに、われわれの方では審査と言っておりますけれども、審査の方に重点を置くべきだと思っております。ただしかし審査だけがふえるわけではございませんので、契約事務、回収事務もございますから、そういう面もバランスをとってふやさなければならぬ、かように思っておる次第でございます。  それから、非常に誤解を招いたようで恐縮でございますが、私は二百四十七名が充足できないということを申し上げたわけではないのでありまして、だんだんとこれから先を考えていきますと、人員の増加ということだけでは対処できないのではないか、それについては今からそういうときの準備をしておかなければならぬのではないか、それでいろいろ研究いたしておる、こういうことを申し上げた次第でございますので、御了承いただきたいと思います。
  115. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 考えはわかりました。それでぜひ一つそのようにやっていただきたいのですが、実際の業務量に見合った要員が絶えずあと回しあと回し、追っかけ追っかけになるというようなことでなしに、もう少しやはりそういう面でも——これが国民金融公庫の職員の人たちといろいろ話をしますと、やはり宿舎がないので非常な不便があるとか、いろいろ福利厚生施設なんかの面でも非常に苦情が多いようであります。何といいましてもやはり金融機関でございますし、しかも今日総裁のやられておる仕事が非常に重要な問題であることは言うまでもないわけであります。この第一線で働く人々に対して、あまりにオーバーワークになったり、疲労をさせて病気にしたりというようなことについて、むしろこれはお役所仕事と同じような形で、あまりに形式にとらわれて、いろいろな定員のワクがふえても実員がなかなかとれないとか、そういうことでなしに、むしろ先を見越してもっと飛躍的にサービスを向上さしていく、そうして大衆に便宜を与えていく、こういう立場から、これは大蔵省あたりでもなかなかむずかしい制限をするだろうと思いますけれども、そういうものに対しては私ども一生懸命応援をいたしますから、積極的な立場一つそういう面でもとっていただきたい、こういうことを要望いたしまして質問を終わります。
  116. 毛利松平

    毛利委員長代理 次会は来たる二月二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会      ————◇—————