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水田国務大臣 この見通しも、またなかなかむずかしい問題で、これはまだ自信のある見通しではございませんが、私
どもは三月末の外貨保有を、この前の国会では、十四億四千万ドルくらい保有してこの
年度を越えるというくらいになるだろうという見通しを持っておりました。まだはっきりわかりませんが、今のところで、ただ保有外貨という点から見ますと、十五億ドル以上はむろん持てる
状態になると思いますが、かりに十五億四、五千万ドルという線になりはせぬかと見ますと、この中には米国の
市中銀行から借りたものが二億ドル入っておりますから、それを引きますと、あのときの見通しが、やはり一億ドル前後狂っておったことになるのじゃないかと
考えております。三十七
年度の見通しは、御
承知のように上半期は
赤字であって、下半期
均衡、そして
年度を通じて一億ドルくらいの総合の赤ということを予定しておりますので、もう一億ドルくらい
改善されないと、去年の見通しの
通りの線にはならないという計算になろうと思います。いずれにしましても、去年の見通しから比べて一億ドルやそこら
程度の見通しの狂いが出れば、その辺というような
状態になるとするのでしたら、この外貨の問題は、そう心配しなくても切り抜ける
状態になるというふうに思います。従って、今
市中銀行から借りておりますが、この十一月から、短期
資金ですから返さなければなりませんが、何もせずにおったら、今の見通しからいって、この二億ドルを返すといろことは、非常にむずかしいというふうに
考えますので、私
どもは用心のためにそういう
事態を予想して、今すぐ、当面必要ではございませんが、IMFから借り入れの予約をしてある、こういう
状態でございますので、この金を引き出すときは、こういうものの返済の必要が出てきたとき、なおそのときに、われわれの見込みよりも
国際収支の
状態がよくいっておれば借りなくても済んで、この二億ドルを返す力があるという
事態になるかもしれませんし、もしかりにそうでなくて、せいぜい見込み
通りの
国際収支の回復
状態だったとするのでしたら、これを引き出して支払いに充てれば済むというふうなことになります。いずれにしましても、今の見込みからいいますれば、外資の
資金繰りの心配というものは、もう大体なくなっておると思います。問題は
資金繰りじゃなくて、実際的に
国際収支の回復がどういうふうになるかというのが問題でございますので、おそくともことしの下半期までには回復させる、そこで回復しても、上半期に大きい
赤字を出して下半期から回復したのでは、やはり一年の総合
赤字は大きいことでございますから、上半期の
赤字を極度に少なくするような方向でいくことが望ましいと
考えておりますが、今の見通しでいきますと、
赤字幅がだんだんに狭まってきていることは確かでございますので、案外上半期の
赤字は私
どもが見込んだよりも小さいものになりはしないかとすら
考えられますので、そこに小さくなるというと、また下半期の回復があるいはおくれるという
事態にならぬとも限らないということを心配しておりますが、着実に今の
政策をやっていくのでしたら、上半期の
赤字を非常に小さくして、そうして下半期にほんとうの回復になるというところに持っていけるのじゃないか、またどうしてもそうさせなければいろいろな問題からなかなか大へんな問題になりますので、私
どもはそういう意味でもうIMFの借り入れの取りきめをやったということは、これ以上の手が私
どもありませんので、従って
国際収支の問題については背水の陣を敷いて臨んでおるということでございますから、これも万全を期してもことしはそういう方向で
政府は努力したいと思います。