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1962-03-16 第40回国会 衆議院 商工委員会社会労働委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十六日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員  商工委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       小沢 辰男君    神田  博君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       中垣 國男君    原田  憲君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    中村 重光君       西村 力弥君  社会労働委員会    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 辰男君 理事 柳谷清三郎君    理事 滝井 義高君       安藤  覺君    佐伯 宗義君       淺沼 享子君    五島 虎雄君       中村 英男君    井堀 繁男君       本島百合子君  農林水産委員会    理事 秋山 利恭君 理事 石田 宥全君       仮谷 忠男君    倉成  正君       藤田 義光君    角屋堅次郎君       中澤 茂一君    西宮  弘君       安井 吉典君    玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         労働事務官         (大臣官房長) 松永 正男君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         議     員 井手 以誠君         議     員 阪上安太郎君         通商産業事務官         (企業局立地政         策課長)    馬場 一也君         労働事務官         (職業安定局調         整課長)    北川 俊夫君         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号)  産業雇用適正配置に関する法律案井手以  誠君外十八名提出衆法第一五号)      ————◇—————   〔早稻田商工委員長委員長に着く〕
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより商工委員会社会労働委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  まず、内閣提出、新産業都市建設促進法案及び井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案議題として審査を行ないます。     —————————————  新産業都市建設促進法案  産業雇用適正配置に関する法律案  〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 内閣提出、新産業都市建設促進法案は、すでに本会議において趣旨の説明を聴取いたしておりますので、提案理由説明は省略し、本日は、井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案について、提案理由説明を聴取することといたします。  提出者提案理由説明を求めます。井手以誠君
  4. 井手以誠

    井手議員 産業雇用適正配置に関する法律案について、提案理由と、その概要を御説明申し上げます。  東京にわが国人口の一割以上も集まり、南九州所得全国平均の半ばにすぎないということは、異常の事態といわねばなりません。数年前から対策を迫られておりました過大都市地域格差の問題は、高度成長政策によってさらに大都市とその周辺産業人口が集中し、その生産面生活面の隘路を開く公共投資は総額の七割近くに達するという悪循環を招き、交通地獄に代表される多くの弊害を引き起こしております。一方それ以外の地域における公共施設はますます立ちおくれ、人口は減り、地域格差はいよいよ拡大してきました。  従いましてこの際、奇形児のような経済不均衡を正すには、思い切った国の措置が必要でありまして、過大都市は抑制から進んで解消に努め、同時に全国数カ所一大工業地域を造成するとともに、全国各地開発都市建設を行ない、産業適正配置と、その地域における雇用の安定をはかること、端的に申しますと、通勤できる都道府県内数カ所工業地帯ができるよう、現実に効果の上がる施策を強力に集中し、経済の均衡ある発展をはかることが今日最とも緊急であり、お互いの務めと存じ、ここに本法律案提出した次第であります。  今、この法律案概要を申し上げます。  第一に、内閣総理大臣は、国土総合開発計画に適合する開発拠点地区指定して開発基本計画を作り、国が全額出資する産業設備公団の手で、土地確保工場その他の施設整備賃貸を行ない、新たに広域経済圏中核となる地域を作ろうとするものであります。なお、この指定には、その経済圏労働力需給ができ、雇用が安定するよう配慮することにしました。  第二に、内閣総理大臣は、知事申請により数カ市町村にわたる経済圏開発中核とすることができる開発拠点地区指定して開発基本計画を立て、その周辺労働力によって大いに産業開発しようとするものであります。また、著しい変動による産業不況地域には、その再開発について特別の対策をとらねばならないよう配慮しました。  第三に、知事は、関係市町村長申請により、農産物、林産物、畜産物または水産物の加工業開発に適するところを開発小拠点指定して開発基本計画を作り、その地域開発と、農山漁村加工業への進出、所得の増加、就業の増大をはかろうとするものであります。  第四に、右の中拠点地区、小拠点地区開発には、国と都道府県が出資する開発公社を設立して、その都道府県における産業開発を総合的に行なわせ、開発に必要な土地確保工場その他の施設整備賃貸等をすることにしました。なお、この開発公社都道府県の一元的な開発機関となるよう考えております。  第五は、既成の大工業都市へさらに産業人口が集中しないよう、大規模工場新設や増設を制限する工業制限区域指定することができることにしました。また進んで過大都市解消する積極的対策として、工業制限区域内の工場開発地域移転するときは、工場新設、労務者の移転等に特別の措置を講ずることにしました。  第六は、国や地方公共団体は、開発計画を達成するため用地水道輸送教育、厚生その他の施設整備就業上必要な教育または職業訓練施設整備を急ぎ、許可その他の処分、国有財産の譲渡、貸付に便宜をはかり、工場建設に必要な資金の確保に努め、国は地方公共団体の行なう事業費補助地方債に特別の配慮をすることにしました。  第七に、電気料金は、製造原価への影響が大きく、その低料金工場誘致のきめ手の一つでもあります。しかも今日低開発地域ほど料金は高い傾向にありますので、開発計画に沿う工場電気料金は、一般よりも低減されるよう特に法律措置することにしました。  第八は、工場地帯建設のため、最近地方公共団体負担が加重され、また地方税を減免する等のため、一般行政が圧縮されるおそれがあります。この法律は、国が多くの負担画期的開発をやろうとするものでありますから、特に一項を設け、補助を行なうときは、その行政水準が低下しないよう考慮することにし、地方税の減免は行なわせない方針であります。  最後に、開発に関する重要事項を調査審議するため総理府産業雇用適正配置審議会を、都道府県産業雇用適正配置協議会を設けることにしております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。五島虎雄君。
  6. 五島虎雄

    五島委員 私は社会労働委員立場から、ただいま議題となっております、政府の新産業都市建設促進法案及び社会党産業雇用適正配置に関する法律案について、若干の質問をいたしたいと思います。  私のほかにたくさんの質問者がおられますので、私はできるだけ質問点をしぼって端的に質問をいたしますから、経済企画庁長官を初め答弁者は、できるだけ明快に御答弁を願いたいと思います。  政府提案理由説明にもありますし、社会党提案理由説明にもございますように、現在の過大都市の問題をいかにするかということは、最も重要なことであります。われわれはかねて、工場全国配置転換をいたしまして、そうして雇用の拡充、国民経済格差是正をしなければならぬ、それがすなわちひいては完全雇用への道であるし、国民生活の安定と向上であると考えております。ところが、政府社会党も、それぞれこれに関するところの打開策として新法案を出されました。ところが、政府の新産業都市建設法案を、まあ十分ではございませんけれども、読みそうして考究いたしますと、考えれば考えるほど、私の頭の中でばく然となってきます。何かっかみどころがないような気がするのです。そこで、この新しい産業都市わが国の中で計画的に転換をしていく、そうして新しく造成していくというようなことは、一日もすみやかに行なわなければならないわけですけれども、この法律案を読んで、これが一体いつごろ完成するものやら、そうしていつごろから始まるものやら、条文を読んでみますと、申請をして、そうして基本計画を作って、それからやおら立ち上がって、そうして新しい都市を造成するには莫大な経費が要るんじゃないか、それに対応するところの対策は一体どうなんだろう、こういうことになりますと、国土総合開発法ができましてから今日まで、あれがずっと計画的にやってこられたのならば、もうすでに戦後十数年たって今日においては、それらの問題が総合的に勘案され、そうして国土は総合的に開発の緒にはもうついていなければならなかったと考えるわけであります。  そこで私は、第一に、この法律案法律化された暁において、経済企画庁構想の中には、これを何年に完成するつもりであろうか、そうして全国的にこれらの新産業都市をどれだけの個所に構想されておるのか、そうしてこれに要するところの経費、国、地方あるいは民間が支出するところの総合的な経費をどれだけに構想すれば、現在の国民生活格差是正が行なわれ、そうして完全雇用への道を歩けるのかというような構想が、企画庁にはあるはずだというように思いますけれども、その点について第一に質問をいたしておきたいと思います。
  7. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国土総合開発計画がおくれておりましたことは、まことに申しわけない次第でございます。昨年七月に草案を出しまして、そうして各方面の御意見を伺いました上で、この四月一日を期して最終案決定して参りたい、こういうことでございます。従って、国土総合開発計画がいよいよ計画確定段階に入ります。今回提出しております新産業都市法案は、その構想の中における、ある意味においては拠点都市というようなふうに考えられるわけでございまして、従って、非常に多数のものを指定するというようなことを考えておるわけではございません。なお、同時に衆議院等皆さん方の立法されました地域開発計画の立法もございます。それらもあわせまして、そうして新産業都市をきわめて参ることは当然でございまして、そういう構想のもとにこの法案が通りますれば、急いで計画整備しながら、秋くらいまでにはできるだけ指定を進めて参りたい。そしてこれは、やはり各地方の御協力も得なければなりませんし、御意見も伺わなければならぬと思いますが、同時に、各地方だけの御意見では、全体の総合開発計画との拠点拠地としての中央における見方と、場合によりますと食い違う場合もございましょうし、中央においても、そういう点については、十分審議会等において御審議の上最終決定をして参りたいと思います。  それに要します経費ということになりますと、これはそれぞれ指定されます都市別にその条件がいろいろ違っておるわけでございまして、従って、今どの程度のものをということは、実は都市指定されない上において積算することは、非常に困難なことでございまして、従って、そういう意味で、何か確定的な予想的な数字を申し上げるわけには現在の段階で参らないと思っておるのでございます。
  8. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、政府法律案社会党法律案を比較検討いたしますと、大体諸外国の地域開発方式といいますか、それは大拠点主義であり、あるいは広域開発方式、それから拠点方式二つ方式によってそれぞれ開発傾向に分類することができます。そうすると、政府の案では、日本は狭いんですから、広域開発方式ということよりも拠点方式の方がまさっているだろうということはわかります。ところが、社会党もここに御出席でございますから、政府方式は、ただいま経済企画庁長官が申されましたように、拠点方式だ、拠点方式の中の大拠点方式である。従って、大拠点方式というのは、新しい産業都市をたくさん作っていくということではなくて、比較的少数に属するんじゃないかと考えられます。そうすると、新産業都市を一生懸命各関係が努力して作られて、そうしてそれは、地域的格差解消の手段としては、今よりもその地域的な格差国民生活アンバランス、これを少々は是正することができると思いますけれども、そうすると、その他に残されたところの地域は、いよいよ取り残されるという状態が現われてきやしないかというような心配もされるわけであります。ところが、社会党方式を読んでみますと、ここに大拠点方式、中拠点方式、小拠点方式の三方式内容に盛られておるわけであります。そこで一だんだん大中小に分類しつつ、でき得る限りまんべんなく地域開発に努力しようというような構想が明らかにつかみ得るわけであります。そこで、この問題について、大拠点方式でやられるのならば、大体各都道府県においてどのくらいの新都市建設される構想がねるか、これは、経済企画庁が今、幾つ作るかということを発表することは、なかなか困難じゃないかと思う。なぜならば、法律の中に明示されているように、都道府県議会の議決を要して、知事申請にして、そうして各協議が始まって、そうして内閣総理大臣に要請をして、そうして指定地域にされるわけですから、そういうようなことですから、幾つできるかわからない。まずは都道府県にまかせて、そうしてその申請の中から指定していこうというような、何かばく然たる姿が出てくる。その方法としては、いろいろこういう取り扱いが必要であろうと思いますけれども、そうすると、それにまかせきりなあんばいにしたら、なかなか早急に新しい都市建設というのはむずかしい。ある種の力をもって、ブラジリアの新都市建設というような方式でやられるのならば、こういうようなことは、山岳地帯にでも新しい都市ができる、こういうように思われるわけですけれども、大拠点方式で一体幾つくらいの新都市構想されるのかということを聞いておきたいと思います。と同時に、社会党方式に対して、社会党はこの点についてどういうようにお思いになるか、これは非常に両案の特徴点だろう、こういうように思うわけです。開発方法論として……。
  9. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 現在国土を総合的に開発して、そうして地域格差解消していくというようなことを考えて参る場合に、二つの問題が現実にあると思います。その一つは、先ほど御指摘になりましたように、過大都市の防止ということでございまして、今日のような状況におきましては、もう行き詰まった、経済活動も困難な過大都市ができつつございます。これを回避しまして新しい産業都市を作っていくということが一方では必要でございます。他面におきましては、地方開発の場合に、地方都市において、十分その都市自身発展が期し得られないような地方がございます。それは先般の臨時国会で御審議を願いまして御決定をいただきました低開発地工業促進法によりまして、そういう地方都市というものに対して工業促進をいたしていく、こういうことによってそのレベルを上げていきたい。そこで、その中間にありますような都市がございます。それは現在自力である程度やりつつあるというところでございして、社会党構想からいえば、あるいはそういう都市を含めて大、中、小ということですべて施策をされるというのではないかと思いますが、われわれの方の政府といたしましては、今のような何といいますか、低開発都市というものは、低開発工業促進法によりまして、これは整備してやっていく。大拠点はやっていく。そこで、国土総合開発計画の中で、拠点都市としてこれを指定して参るわけでございますが、これについては、むろん従来の観念でございます行政地方的な部面、たとえば東北地方あるいは中国地方とかいうようなものも考えて参ることは当然でございますが、しかし、必ずしも現在の場合におきまして、行政的な地域経済的な地域というものの連関が同一でない場合もございます。従いまして、経済圏中心になり得るようなところであって、立地条件等を十分に備えているところに新産業都市を作りますことによって、その周辺のいわゆる衛星都市と申しますか、中都市との連携によって、中都市発展も期し得られるわけでございまして、そういうことによって全体の計画の発達をはかっていきたいということが政府考え方でございます。
  10. 井手以誠

    井手議員 私どもの方から出しました産業雇用適正配置に関する法律案におきましては、国土総合開発という大きな立場地域格差解消という観点から、きめのこまかい措置対策をしなければならぬのであります。もちろんこれは、地域格差解消過大都市解消ということは、これは国の責任でございますから、思い切った国の財政上の裏づけが必要であると考えるのであります。そういう立場から考えまして、先刻も説明で申し上げましたように、大拠点開発、中拠点開発、小拠点開発というふうに三つに分類をいたしておるのであります。お尋ねの、それではどのくらい指定しようとするのかということに対しましては、大体大拠点は、広域経済圏開発中核となる地域ということにいたしておりますから、企画庁でもかねて立案されておったあの全国九か十くらいの広域経済圏一つずつくらいの大拠点地区が予定されるのではなかろうか。次に、中拠点におきましては、都道府県によって違いはございますが、二、三カ所あるいは特に必要なところは府県内に五、六カ所、こういうことが指定になろうかと思うのであります。また小拠点は、その地域のいわゆる農産加工水産加工という性格もございますから、かなりの数に上ろうかと考えておるのであります。
  11. 五島虎雄

    五島委員 この両法律案目的を読んでみますと、政府案法律の中には、ただいままで述べられましたように、地域間の格差是正集中排除目的とされておるわけであります。社会党の案の中には、それとともに雇用の安定ということが一項うたわれております。  私は、つくづく考えますに、現在のアンバランスの中に、雇用バランスが完全にとれているかどうかというようなことです。それで、工業県でない地方からは、その過大都市労働力が集中して、そうして人口の減を見るというような状況を排除しなければならぬ。それで法案の中でも、両案で見ましても、その精神が大体にじみ出ておるわけです。これはいいといたしましても、この政府案の中には、雇用の問題ということが重点的に取り上げられていない。産業都市建設する上におきましては、雇用の安定というような問題を抜きにして工場建設したり、諸施設を設備したりしようというような考え方が、今後の近代の社会構造の中でできるかどうかということです。雇用の問題を、雇用の調整とか、それから将来に向かっての完全雇用への基本方針をゆるがせにして、あらゆる行政ができるであろうかというように私は考えます。  ところが、政府案には、事業の種類の中には人口の問題やら、あるいは雇用の問題が書かれております。ところが、それをやろうとするところの行政責任という中には、一向に雇用の問題を重要視しようとしていないのではないか、こういうわけです。   〔早稻田商工委員長退席中野社会労働委員長着席法案案文をずっと読んで見ましても、この雇用適正化というようなことには重点がないような気がします。一通り読んだのですから、どこにかあるかもしれませんが、私にはないような気がするわけです。今後の都市建設やら、あるいは工場を幾つ作る、そうしてそれには大いに国も地方も協力しなければならない、こういうようにされておりますけれども、その中で雇用が一体どうなっていくのか、地方人口がどうなっていくのか、新産業都市は一体何万くらいの人口になったら新産業都市といわれるのかというようなことが、ちょっと不明確なような気がするわけです。この点について経済企画庁長官に特に聞いておきます。これは経済企画庁長官中心として、今後の日本経済バランス、それから上昇というものが最も重要な役割りを示されるからだと思うのです。ですから、この点について今後雇用の問題を忘れて諸企画ができるかどうかということです。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作り、あるいは国土総合開発計画を実行して参ります場合に、雇用の問題が重要であることは、これは申すまでもございません。従いまして、今回の法案につきましても、基本計画を策定いたしますときに、労働力需給関係というものがまず基本計画の中に入れられなければならない。しかし、労働力があるからというだけではいけないのでありまして、あるいはそこに過大都市から動いていく場合もありますし、従って住宅問題は、これは重要な問題で、ただ単に工場用地の問題ばかりでなく、新産業都市としての資格としては、住宅問題もこれは重大な問題でございますが、また同時に、住宅関係ができますれば、働いておる人たち環境衛生ということが大事でございますから、上水道下水道というものが完備されていくというようなことが基本計画にうたわれなければならないのでございまして、そういうことによって過大都市から移転もできまするし、あるいは地方中核体都市としてのりっぱな整備もできるように基本計画として策定をして、そうして力を注いで進んで参りたい、こう考えております。
  13. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、今案文を開きますが、十一条には建設基本計画を作らなきゃならぬ。そうして建設基本計画内容には、「工業開発の目標」とそれから「人口規模及び労働力需給」、そして「土地利用」、それから「工場用地」、「住宅及び住宅用地」、「工業用水道」、「道路、鉄道、港湾等輸送施設」、「水道及び下水道」、「その他政令で定める主要な施設」、これらを網羅して建設基本計画を作るということになるわけであります。そうすると、この建設基本計画ができて、そうしてこれが総理にもたらされて、そうして経済企画庁中心として各省関係大臣がこれを検討されて、協議されて、そうして手続上内閣総理大臣に要請されたらその地域指定される、こういうようなことになろうと思いますけれども、そのときに、たとえば労働省関係あるいは厚生省関係も、その協議の中に入るわけでしょうか。ただ、第三条を見ますと、第三条の中には、「申請書提出があったときは、内閣総理大臣は、当該申請書の写しを経済企画庁長官、農林大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣(北海道の区域内又は首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第一項の規定による首都圏の地域内(以下「首都圏の地域内」という。)に係るものにあっては、北海道開発庁長官又は首都圏整備委員会を含む。以下同じ。)その他関係行政機関の長に送付するものとする。」こういうようなことがうたわれておりまして、労働大臣や厚生大臣にはこれは送付する必要はない、あるいは、厚生大臣や労働大臣をさして「その他関係行政機関の長に送付するものとする。」ということで、労働大臣や厚生大臣に対して「その他関係行政機関の長」と表現されたのかどうか、この点について、ちょっとこの条文の中の中身を質問しておきたいと思います。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 関係行政機関の長と申しますのは、労働大臣、むろんでございますし、厚生大臣もむろんでございます。また、将来、こういうような相当な規模都市ができますれば、文教関係も必要でございます。子供の就学でありますとか、あるいは将来の工業都市としては、今般できておりますような工業専門学校というものも必要であります。そういうものもやはりにらみ合わせなければなりませんので、関係行政機関の、長と申すのは、文部大臣、そういうものも含めておるわけでございます。
  15. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、あっさり労働大臣なんかは行政機関の長ということになるから、私はさいぜんから雇用の問題を聞いておるわけです一そこで、今後新しい産業都市を作る。作るということは、自然の中に、自然発生的にできた産業都市でなくて、今度は非常に大きな力が加わって産業都市建設される。産業都市の中には、労働力が適正に配置されなければならない、こういうように考える。しかも、全国雇用の問題は、労働大臣がこれを管掌し、つかさどり、そうして雇用の面は、すべて労働省の計画に基づくところの労働力が配置されなければならぬと思う。そうすると、新しい産業都市を作る、設備ばかりに重点をかけるということなしに、ほんとうに労働力バランスがとれるのか、そうして、あるいは過大産業都市から労働力をいかにその新産業都市へ配転していくか等々は、より重要な問題であろうと思われるわけです。そこに、労働大臣に協議機関にも入らせないようなこの新産業都市建設構想が一体いいかどうかということです。私は、社会労働常任委員ですから、特に我田引水的に労働大臣や厚生大臣を言うものじゃありません。ただ、新産業都市という、労働力が最も大きな原動力とならなければならないこの新産業都市建設にあたって、労働大臣を忘れたのはけしからんじゃないか、こういうように言いたいわけであります。この点についてもっと明らかに、労働大臣は入れるというような考え方はないのか。厚生大臣の環境衛生の問題とか、あるいは水資源の問題とか、水道下水道の問題等々は、これには明らかに基本方針の中に必要であると書いてある。もちろん人口がふえれば子供さんたちもふえるわけですから、文教の問題、文部省の問題も必要になってくるでありましょう。しかしその基本としては、雇用力の問題を忘れて、新産業都市建設というのはなかなかこれを抜きにしては考えられないと思うのです。経済企画庁中心となってこれを作られた上において、経済企画庁が常に労働力というものを無視されちゃいないか。経済企画庁は——僕は経済企画庁長官質問するのは初めてですけれども、すべて国民経済発展の中に計画企画をされる上において、労働力を忘れて諸企画を行なわれようとは今まで知らなかった。非常に無視しておられるから、この点について経済企画庁長官の気持を聞いておきたい。
  16. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 決して労働関係を無視しておるわけではないのでございまして、この指定すべきことを内閣総理大臣に要請をいたす場合には、企画庁長官は、関係行政機関の長に協議をしなければならないというのは、第三条の第三項にございます。従って、当然労働大臣等にも協議をしなければならないのでございます。特に農林、通産、運輸、建設、自治というようなものをここに出してありますことは、御承知の通り、これを指定します場合の諸条件につきまして、第一次的に相談をしなければならぬ場合でございます。従って、そういう意味であれですけれども、決して労働力について忘れているわけじゃございませんし、これを軽視しているわけでもないのでございます。
  17. 五島虎雄

    五島委員 軽視していないし、労働力の配置という、それから適正化ということは、これを重要視すること、そうして政府方針でも、現在の失業者をなくし、そうして完全雇用の達成ということは、その内容のいかんを問わず、これは重要な国の責任である。憲法ということを言えば大げさになりますけれども、これは失業者のない、低所得者のないことを構想してこれらの問題が考えられるならば、この労働力でというものは、最も重要なことではなかろうか。そこで、これは北海道から九州までの労働力を調整するということを最も眼目としなければならない。これに労働というものを忘れちゃいません、その他必要に応じて書類を送付する、そうして協議する、こういうようなことよりも、運輸大臣や通産大臣、建設大臣等々について協議されることは必要でありましょうけれども、それを十ぱ一からげに、その他はただ書類を送付するんだ、こういうようなことでは、将来の日本経済発展せしめる企画の迫力といいますか、非常にないような気がする。その気持を私は聞いておるわけです。  ところが、一方には社会党からは、産業雇用との適正配置に関する法律案というように、その法律の名前から雇用を堂々と出してきておられる。この点についての考え方社会党に聞いておきたいと思うんです。雇用を忘れた新しい都市建設というようなものは、私はないような気がする。気がするのじゃなくて、できないと思う。そこで、労働省関係をこの中に入れないで、そうして新産業都市建設しようということは、まことに画龍点睛を欠いているのじゃないか、こういうように考えられるわけであります。特に社会党考え方としては、ただいま提案理由説明の中にもありましたけれども、もう一度、二人お見えでございますから、いずれの方でもいいですから、その点についてどういう考え方を持っておられるか、政府は、この雇用の問題は重点的に考えられておらないような気がしますので、阪上さんでもいいですからどうぞ……。
  18. 阪上安太郎

    ○阪上議員 お説の通り最近の地域開発ということにつきましては、少なくとも英国あたりの例を見ましても、地域における雇用の安定ということを無視した地域開発方式というものはないわけなんであります。従って、私ども産業雇用の再配置法とうたったのも、実はその点を強く意思表示しているわけでございます。  そこで、地域開発をやる、手段といたしましては、これは御承知のごとく、産業の、工業の立地ということが大きな手段となっておるわけでありますが、しからば、工業の立地条件といたしまして、立地の因子といたしまして考えられることは、これは当然雇用を無視した産業立地、工業立地というものはないわけなんであります。従って、私どもといたしましては、まず第一番に雇用の安定ということを強く目的といたしておりますが、その方法といたしまして、多角的な産業の配置が必要であるという考え方を持っております。それはこの法案の十一条の二号にはっきりと明記されております。すなわち「開発すべき工業の業種及びその規模」ということが計画条件になっております。これはどういうことかといいますると、むやみやたらに、自然に放任して、勝手気ままに工業が立地するのではなくして、必要な工業というものをきめまして、そしてそれを誘致しよう、こういうお考え方に立っております。このことは、何かというと、一つの大企業が一つの地点に立地いたしまして、ほかに何も産業が来ないというような状態では、その地域におけるところの雇用の安定ということが期せられない、こういう考え方でありまして、その点を特に配慮いたしまして、多角的な——一つの企業が不況に入りましても、他の企業によってその地域における雇用の安定を考えていこう、実はこういう配慮から十一条にこれをうたっておる、こういうことなのであります。  なおまた、慢性不況地域に対するところの配慮といたしましては五条にこれが明記されております。従って、不況地域においては、指定に特別の配慮をするということをここにうたっております。それが小拠点、中拠点あるいは大拠点の中で配慮されるということになる場合は、適当にこれは配慮していくのでありますが、いずれにいたしましても、慢性不況地帯というようなものに対しては、特に配慮をしていく。産炭地のようなあのみじめな状態に置きたくない、あるいは大阪周辺の堺その他におけるような綿業関係におきましては、常に不況に見舞われている、こういうことのために地域雇用が安定しない、こういった点をやはり五条で配慮いたしております。  また、十八条におきましては、就業上必要な教育または職業訓練をする、こういうふうなことを配慮しなければならぬというふうにうたっております。このことは、御承知のように、こういった地域開発をやっていく場合に、当然その地域におけるところの労働者の再教育をやらなければ、幾ら工業が立地いたしましても、労働の需給というものは確保されないわけなんでありますから、従って、そのことのためには、特にその地域における労働者の再教育をやろう、従って、考え方としては、ヨーロッパ諸国で行なわれておりますような、国民職業学校的なものを実は構想しているのでありますけれども、何さまこれはわが国教育制度の大きな改革になりますので、一応今考えておる段階といたしましては、職業訓練所というものを必ずこれは設置していくのだ、こういう考え方をいたしておるわけであります。  なお、御承知のように、雇用審議会の答申がすでに出ております。雇用審議会の答申の中で特に問題とされておりますのは、労働力地域間の流動性を増進することである、あるいは地域的な雇用の機会を拡大することである、あるいはまた中高年令離職者の対策を強化しなければならぬ、同時に季節的な労働対策というものを十分に持たなければいかぬ、こういうことが実はうたわれておるわけであります。従って、その具体策としては、職業紹介所の能率化というものを高めていかなければいかぬ。先ほど申し上げました職業訓練の充実をやらなければいかぬ。中高年者の就業への企業の協力というものを強く求めていかなければならぬ。同時に、開発地域におきましては、特に労働者に対するところの住居の確保をはからなければならぬ。この場合、立地して参りますところの企業に対して、企業みずからがそういう施設をやるよりも、むしろ当該の地域内における地方公共団体が思い切って自分の手でもって住居をやっていく、公営住宅というものを地方自治体自体がやらなければいけない、会社まかせにしておいてはいけない、こういう考え方であります。  以上申し上げましたようなところを今のところ考えております。
  19. 五島虎雄

    五島委員 経済企画庁長官は、労働力の配置と雇用の安定ということは非常に重要なことで、忘れているわけではない、しかし、申請がきたときの文書の発送は、各行政機関の長に出す、だから、労働大臣にも厚生大臣にも、あるいは必要とあらば文部大臣にも出されるわけだ、こういうようなことになります。私は、労働大臣や厚生大臣は、新しい都市を作るという上においては、これは環境衛生の問題も、住宅の問題も、そうして雇用の安定の問題も、非常に重要な問題であろうと思う。もちろん、その交通をどうするか、道路をどういうように計画していくか、そうして、住居あるいは工場地帯をどう設定していくかということは、基本的な問題であろうと思う。その上において、それと同様に進めていかなければならないと私は思う。   〔中野社会労働委員長退席、岡本(茂)商工委員長代理着席〕  そこで、労働省の方に伺いますが、この法律が制定をされて、ただ、三条の中に、行政機関の長に送付するのだという程度で、労働省自身としてこの新しい都市建設を一これは非常に困難な仕事であろうと思っておりますが、困難な仕事の中に、今後政府も、われわれ社会党も、完全雇用の世の中の実現ということをうたっております。この方法内容は違うでしょうけれども、いずれにしても、表現的厄は、失業者のない社会を作る、そうして労働者は一生懸命働いて、そうして国の経済発展に寄与するものである、こういうように考えておる。そうすると、この困難な仕事——やさしい仕事ではないと思う、この困難な仕事を達成するのに、労働省がこのように何かその他大ぜい——こういうように取り扱われていいものかどうか、官房長に質問するのは非常に困難だと思いますけれども、労働省としても何かの考え方があるはずだ。あるいは厚生省は来ておられないと思うのですけれども、またそのほかの機会に聞きますけれども、ちょうど来ておられるからあなたの意見を聞いておきたいのです。
  20. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいまの五島先生の御意見に対しましては、われわれといたしましても、長期の経済計画におきましても、完全雇用の達成をいたすと、いうことが最も重要な計画であると考えておりまして、長期計画策定の際等におきましては、経済企画庁その他の関係省と緊密な連絡をとりまして、十分われわれの意見も聞いていただいた上で、計画を策定するというふうにいたしていただいておるわけでございます。今度のこの法案につきましても、労働省といたしましては、できればこの要請大臣の中に労働大臣を入れていただきたいという気持は、強くあったわけでございますけれども、国全体といたしまして、閣議で総合的な見地から、このようなふうに決定をせられたのでございまして、われわれといたしましては、今申し上げましたような趣旨によりまして、この要請大臣には入っておりませんけれども、関係行政機関といたしまして、十分情勢をキャッチし、そして個々の段階でそれぞれ意見を述べるチャンスがございますし、また十一条で、基本計画を策定する際に、労働力需給状況も十分勘案して策定するということになっておりますので、これらの法律の条項を十分に活用をいたしまして、先生のおっしゃいましたような趣旨が達成をされますように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  21. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、ただいまの官房長の説明は、労働省関係は、この新しい法律の中に労働大臣も入れてもらいたいという強い要望をしたけれども、いろいろの関係で、ただその三条及び十一条の中には十分相談をされるから、これで労働省の意見がこの新しい都市建設の中には入るものであるというようなことで、まあこれで十分であるというような説明があったわけです。労働省から入れてくれというのに労働省を入れなかったというその理由は、どういう関係ですか。厚生省は要望されたんですか。そうすると、労働省や厚生省というのは、基本的計画の中にはさほど重要でないというような経済企画庁考え方ですか。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 労働関係あるいは厚生関係、先ほど申しましたように文教関係と、それぞれ新産業都市を作ります上において重要でございまして、各省としては、むろんそういう問題に対していろいろな御意見が出ました。しかし、御承知の通り、この指定をして建設をするという事業に直接関係を持っておりますものがまず主体になりまして、そうして実際にそういうような労働力の問題、文教の問題あるいは厚生の問題等は、これは申すまでもなく、先ほどから私が申しておるように、非常に重要な問題でございますから、協議もして参りますし、また同時に、労働省方面におきましても、たとえば社会党案にございますような職業の訓練というようなものは、単にこの新産業都市に対してのみでなしに、別個の法体系によりまして、低開発地域工業促進においても、あるいは中都市の場合においても、全体を総合してこれらの職業訓練等を考えて参らなければならぬわけでございまして、そういう意味から申しますと、別個の法体系の中で十分考えられる方が私は適切なのではないか。しかし、完全雇用ということを、私どもは経済計画を立てます上において、決してないがしろにいたしておるわけではございませんし、特に私は、昨秋アメリカの経済計画委員会の委員長でありますヘラー氏とも話しまして、アメリカの経済計画というのは、結局、終局において日本のいわゆる所得倍増という線よりも、完全雇用というのが最終目標であって、やはりそういう観点から経済計画を考えているようなわけで、完全雇用というものは、当然われわれは経済計画をやります上において考えて参らなければならぬ。その点、ないがしろにいたすことは絶対に考えておりません。
  23. 五島虎雄

    五島委員 どうもわからない。ないがしろにしないで、労働大臣なんかをこの条文の中にうたわないのはわからない。しかも、職業訓練やら再教育のことは、阪上議員から私は伺ったわけですけれども、これは経済企画庁長官が言われるように、労働省には職業訓練の拡充強化という方針はあります。その量の違いは、労働省の考えられること、われわれ社会党の考えることは、違いこそすれ、それはそれなりにいい。しかし、阪上議員が説明されたことは、その中でも、その地域々々の問題だから、その中での職業訓練というものは、重点的に地域に沿った訓練を極力やらなければならないという説明の仕方であろうと私は受け取っておるわけで、これは一部了承をいたしておるわけであります。しかし、雇用適正化の中に——私は雇用の問題を重点に長官に聞いているわけでありますけれども、雇用ばかりが完全であっても、すなわち、その計画基本方針の中に住宅の問題等々がうたわれておるわけです。これは最も重要であります。新しい産業都市におけるところの住宅の問題が重要であるのみならず、今日現在でも最も重大であろうと思うのです。ところが、住宅に付随するものは土地であります。土地の暴騰によってとうてい一般市民といいますか、住民といいますか、一般住民は土地確保することすらできません。土地確保することができなければ、住宅をその上に建設することはできません。何年たって仕事をしても、土地住宅確保することができないで、今日困っておるわけです。そうすると、雇用の安定の中から住宅をいかにして確保せしめるかということは、非常に重要だと思うのです。そうすると、この法律の中にもうたわれておりますけれども、国の保有する土地などを十分活用しなければならないと書いてある。そうして、工場を作る上においては、海面の埋め立てなどをしなければならないと書いてある。そうして、自然的条件と社会的条件が大都市に向くような土地指定しなければならないと書いてある。そうすると、将来新しい土地構想があり、指定をされるというようなことになれば、一番先に影響があるのは地価ではなかろうかと思うのです。そういうことになると、地価はどんどんウナギ登りに上っていきます。そうすると、一般住民はとうてい住宅確保することはできません。そういうような場合に、一体労働者はどういうように居住することができますか。現在、産炭地の問題も出ましたけれども、産炭地の人々が失業をされる、そうして新しい広域職業紹介によって他の地区に行きましても、住宅がないからそこでまた再び産炭地に舞い戻らなければならないという現実は、企画庁長官は十分御承知だろうと思うのです。そうすると私は、土地というものの所有に一つの制限が必要じゃないかと思う。これは私、社会労働の直接の関係ではなくて、おそらく建設委員の人々から、こういう種類の質問があったであろうと思うのですけれども、地価の上昇をどういうように押えていくか。これは新しい都市建設の上において、非常に重要であろうと思うのです。すべて今度法律が制定されてから指定される土地に国有の土地が全部あるとは限らない。土地をどういうように工場に取得せしめるか、あるいは個人がいかにしてその土地を取得して、そうしてその上に住宅建設するか、これは非常に重大です。重大であればこそ、建設関係と労働関係は密接な関係を持ってきます。こういう面からも、労働関係をこの中に入れるというような主張が出てくると思うのです。私は主張したいと思うのです。こういうような土地の値上がりの問題等々について、今後どういうように考えられておりますか。新都市建設法に関係してのみならず、一般の問題でも、私は一度は経済企画庁長官に聞いてみたいと思っておったのです。ですから、憲法では私有が認められております。しかし国というのは領土と人口だと思うのです。だから土地というものは、完全に徹底的に商品ではないと私は考えておるわけです。そういう面からしまして、現在ではこの土地が商品化されて、そうしてどんどんある種の考え方政府から発表される。発表されただけで、土地は値上がりする。値上がりされて不利益をこうむるのはだれか。土地を持たざる国民である。こういうように考えるわけです。そういうようなことになるならば、新産業都市建設で設備等々に多くの金を使われても、国民の福利増進というようなことがなかなか成り立たないんじゃないか、こういうように杞憂するものですから、特に労働関係、厚生関係の常任担当委員としては、ちょっと質問のワクをはずれたようですけれども、この点について質問をいたしておきたいと思うのです。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 土地の問題が非常に重要な要素でありますことは、私どもも痛感いたすのでございます。ただいま御指摘のような新産業都市を作る場合における労働者の住宅問題や、そういう点からばかりではございません、物価問題を扱ってみましても、やはり土地の問題というのは、非常に重要な問題になりつつございます。むろん積極的に土地を造成し、あるいは政府の持っておるところを開放し、あるいは高層建築を作って、そうして土地の余裕をつけていくという面も考えていかなければならぬことは当然でございます。しかし、同時に、土地が何か投機的な対象になるというような問題については、私ども十分研究をしなければならぬと思いまして、実は昨秋以来企画庁に二、三の人をきめまして、そうしてその問題点をただいま整理いたしておるようなわけで、将来そういう問題につきましては、できれば審議会等を作りまして、この問題等を考えて参りたい、こういうふうに存じているわけでございます。
  25. 五島虎雄

    五島委員 その他にもたくさん質問がございまして、企画庁長官もあまり長くこの委員会に出席されているということは困難だと聞いておりますから、私はこれでやめます。やめますが、さいぜんのように、新しい産業都市建設というのは非常に困難であろうと思われるとともに、必要であろうと思うのです。しかし、その基本的な構想として、全国拠点的に都市を作るということでなくて、私は社会党の考えられるような大拠点、大拠点を取り巻く中拠点、中拠点を取り巻く小拠点、それによって国民所得格差是正、そうしてひいては日本産業発展等々を考慮されることが、やはり写真技術で言うならば、何かコントラストのついた、より完全な考え方ではなかろうか。すべてが社会党の案がいいというようなことを私は申し上げるわけではない。ただ、政府の案は、まことに莫然として、いつ完成するものやらさっぱりわからない。そこで、写真技術で言うならば、フラットだ、こういうように考えられるわけであります。しかも私が、社会労働常任委員の立場から言うならば、雇用の問題を忘れて新産業都市建設はあり得ない、こういうように思うわけです。従って、上下水道建設やら、あるいは環境衛生の問題やら、あるいは雇用配置転換の問題点やら、そうしてまた、その住民における土地の所有や住宅確保、そういう問題は、新しい産業都市が夢のようにできるわけですから、できるときは基本的に衣食住を考えなければならない。こういうことを忘れて新産業都市を作るということは、そこで言われているように、絵にかいたもちになるのではないか、こういうように考えます。ですから、さいぜん特に労働省関係も来てもらったわけですけれども、非常に強く要望されたということを聞いておる。ところが、これは書類によって十分協議できるから、その機能は発揮できるのですというような説明がありましたけれども、この点については、私はきょう短時間質問をいたしましたけれども、その態度は保留いたします。私は、あくまで厚生大臣や労働大臣は協議の中に入れなければならないということを主張しながら、保留して質問を終わりたいと思います。
  26. 岡本茂

    ○岡本(茂)委員長代理 西宮弘君。
  27. 西宮弘

    ○西宮委員 私は農林水産常任委員会に所属をいたしておりますので、まずそういう問題からお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、ただ私は、今までこの新産業都市建設の問題について論議されました質疑応答の内容を議事録に出ておりまする分は読んで参りましたけれども、その他は全部傍聴しておったわけではございませんので、多少重複するようなことがあるかもしれませんけれども、お許しを願いたいと思います。  この問題は、私ども農林水産関係の委員といたしましても、非常に関心を持たざるを得ない問題でありまして、しかもこれはなかなかそういう立場から見てむずかしい、また大事な問題が多いのではないかと思うのであります。そこで、いろいろお尋ねしたいことがありますが、まず第一に、たとえば農林関係におきましては、主産地形成、米作であるとかあるいは酪農であるとか、果樹であるとか、そういう主産地形成ということを、最近の構想にして、政府の方でもいろいろ案を練っておるようでございますが、そういう考え方と、この新産業都市建設という問題は、どういうふうに関連づけて考えたらいいか、あるいはそれとも全然無関係であるのか、まず第一点、そこをお尋ねいたしたいと思います。
  28. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合に、まずその都市の将来の発展等を考えますと、農地の問題が出てくると思います。また、同時に、ある程度の大きさの産業都市ができて参りますと、そこにおける市民と申しますか、住民の食糧問題としての野菜問題その他も出て参ります。従って、農林方面との関係は非常に重要な点があるわけでございまして、今後、農業基本法によりますいわゆる選択的拡大という考え方が新産業都市と並行して、その周辺に対して考えられなければならぬ場合もございます。また、輸送関係その他を考えて、お話のように特に臨海都市となるだろうと思います。従いまして、沿岸漁業というようなことに冒して、埋め立て等に関する問題もございますので、その点は非常に重要な関係があると思っております。従って、農林省の基本的なそういう対策と十分照合しながら進められて参らなければならぬというふうに考えておるのでございます。
  29. 西宮弘

    ○西宮委員 これは今度の新産業都市建設促進法案というよりも、むしろ昨年できました低開発地域促進法ですか、あの法律の方が関連性が深い、あるいはあの法律がそういう農村地帯においては対象になるべきで、今度の法律は直接関係がない、こう理解した方がもっと実際的なのかどうか、一つ確かめておきたいと思います。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大体におきまして、新産業都市は広域地域内における拠点構想として打ち出されるものでございますから、お話のような観点からいたしますと、昨年国会を通過いたしました低開発地域工業促進ということで農村都市なり臨海町村というようなものが、それらの第一次産品を主体とした工業化を進めていくというような面において、より有効に発達いたすと思うのでありまして、そうした有効に発達した、いわゆる低開発地域都市とこの拠点地域とが連絡をとり得るような経済圏というものの中に拠点としてできてくる、こういうふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  31. 西宮弘

    ○西宮委員 そういう点でさらにお尋ねをするのですが、今度の新産業都市建設促進法案は、いわゆる大企業の誘致ということを予想しているのかどうか。たとえば法律の条文の中にも大規模産業都市を作るという表現を使っておるのですが、少なくとも大企業の誘致ということを原則的に考えているというふうに私どもはこの法律を読むべきなのだろうと思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知の通り、この法案の第一条にもございますように、過大都市の防止というのが一つのねらいでございます。従いまして、今日まで過大都市になっておるようなところ、あるいは工業立地上、便利、有利であるから過大都市ができ、そこに巨大な工業が集まってくるという形でもございません。従って、過大都市の防止という点から考えてみますと、やはり将来大きな規模工業が今日の過大都市に集中しないで、新しくできて参ります産業都市に新しい立地を求めるということが必要になってくるわけでございまして、ねらいの一つはそこにあることも当然でございます。しかし、非常に大きな工業と申しましても、その種類によりましては若干の差異もございますし、また関連産業そのものが全体としてまとまって参ります場合には、必ずしも一つの地帯が非常な大規模工業であるというわけでもない場合も、その経済圏関係においては起こってくると思いますけれども、主としてやはり大企業の集中されることを阻害するのが目的でございます。
  33. 西宮弘

    ○西宮委員 そこで農村との関係ということになりますと、いわゆる農村人口労働力として大産業に吸収されていくという事態が当然に起こってくると思うのです。これはもちろんそれ自体決して望ましくないことではないのでありまして、それはそれでけっこうだと思うのでありますが、ただ、私どもそこで問題にしたいのは、そういう工業に農村人口が吸収されていくということと、農業内部において農業の所得を引き上げていって、農業と他産業との間の格差是正をはかる、こういう大方針があるわけでありますが、それとの関連をどういうふうにお考えですか。
  34. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農村を振興して農村自体の収入を上げていかなければならぬ、これは当然格差是正の上で非常に重要な問題でありまして、地域格差ばかりではない、あるいは業種格差という立場から考えましても、当然考えて参らなければならぬ。それは農業基本法を作りまして、政府としてその線に沿って、選択拡大という線に沿って農業の収入を上げていくということになって進めておるわけでございます。同時に、一方では、ある程度、先ほどお話がございましたように、低開発地域工業促進法等によりまして、地域におきまする第一次産品を主体とした工業化ということによってその方面の労働力も吸収し、あるいは地域的な生活経済の上昇をはかっていく、こういうふうに進めて参るわけでございます。
  35. 西宮弘

    ○西宮委員 私がお尋ねをいたしました趣旨は、大産業、大企業に対して労働力が吸収されていく、それによって農村の人口が減るということ、あるいは減らすということ——減らすという作為的な考え方は不適当だというなら、表現はどう使ってもけっこうですが、とにかく農村人口を減らしていくということが、将来の農村を建て直すための一番大事な条件だというふうに考えられているわけです。特に政府などはそういう点を強く考えられておる。要するに、今までの日本の農業が非常に零細経営だ、これがそもそもの日本農業の弱点なんだから、これを改めるためには農村人口を他の産業に吸収しなければならぬ。幸いにして今その他の産業が非常に高度成長を続けておるので、そういうことが可能な時期が到来したんだ、こういうことが零細経営から脱却するということを今政府は非常に大わらわで取り上げられておられるわけです。そういう考え方と、それから農業は農業としての所得を引き上げていって、他産業との格差解消しようという考え方はどういうふうに関連づけることができるかということです。
  36. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、日本国民生活内容的には非常に変わってきつつあるわけでございまして、蛋白資源のとり方等についても相当な変化が見られております。従って、これが農業自体の内容の改善というようなものにも関係して参ります。それによって農村自身の収入を上げるというような新しい分野に向かって、いわゆる選択的拡大と申しますか、進めて参る。一方では、先ほどお話のございました零細な農業というものがある程度共同化をして機械化をするというようなことによって、生産性を向上させていく、あるいは効率化していくというような面と両々相待って農村の将来の発展ということが、農業基本法を中心に考えられておる点でございまして、私どもとしては、そういう面から推進されることが望ましいことだ、こう考えておるのでございます。でございますから、単に農村の人口をむやみやたらに産業都市を作って吸収するというだけではなしに、一方ではやはり地域格差解消するためには、農業におきますそういう施策が並行していくことが、これは当然のことだと思うのでございます。
  37. 西宮弘

    ○西宮委員 私のお尋ねしたことをもう一ぺん繰り返して、しかも簡単に申し上げると、私は、今政府施策として取り上げられておることは、従来容易に解決のめどのつかなかった農業の零細経営というものを解消する手段として、他の産業に農業労働力を吸収するということによってそれが初めて可能になる道が開けたわけですね。今、大臣はいろいろ、たとえば選択的拡大その他で農業所得をふやしていくということを言っておられたが、むろんそういう施策も当然でありましょう。しかし、何と申しましても、日本の農業は零細経営だというのが、そもそも日本の農業を今日困難にしている最大の、あるいは唯一のと言いますが、少なくとも最大の理由であるということだけは、特に強調されておる点なんです。従って、それを解決する道が、他の産業の高度成長ということによって初めて開かれたのだ、こういうふうな理解の仕方で、今他の産業に農業労働力を吸収する。そうすることによって、人口が減って、それは前に池田総理が言われましたたとえば農業人口の半減とか、六割減とか、いろいろその言葉自体は誤解を生みましたし、私は何もそれを、いわゆる言葉じりをつかまえて言おうとするのでは決してない。池田総理の言われたことも、ただ何も農家人口を削減するとは言わない、農家人口がやがて減るだろうという見通しを言ったのだという御説であれば、それでもけっこうだと思うのであります。しかし、いずれにいたしましても、そういう状態ができ上がることによって、初めて日本の零細経営というものを脱却することができるのだ、そういう御説明ですね。ですから、私の言いたいことは、そういう考え方と、たとえば方法としては今大臣が言われたようなことでもけっこうですが、農業所得をふやしていくということとは、どういうふうに関連させることができるかということです。質問内容がおわかりでしょうか。
  38. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 工業促進して参りまして、日本が先進工業国と同じようなレベルに工業を持って参りますれば、どうしても第一次産業から第二次産業人口が移動していくし、吸収されるということは、これは当然でございまして、その限りにおいて農業人口というものが減って参る。ある意味から言えば、今まで潜在失業的なものもなかったとは言えないわけでございます。そういうような意味での人口移動というものは、相当に起こるだろうと思いますし、起こることがまた全体の経済発展のために必要だと思います。従って、そういう状況のもとにおきまして、零細農業がある程度合理化され、共同化される。そしてまた、その中において先ほど申しましたようないわゆる選択的拡大と申しますか、新しき需要を持っております農業というものに変わっていく、あるいは輸出産業としての果実カン詰もございましょうし、あるいはその他に応じていろいろな面が見られるわけでございます。あるいは日本人の蛋白資源の変化に伴いまして、畜産の奨励という問題もございます。そうした面から内容と数という両面から農業の方の格差解消し、あるいは発展をはかっていくという道が関連されて開かれていく、こういうことだと思います。
  39. 西宮弘

    ○西宮委員 今私のお尋ねしたことを一言で申し上げますと、要するに他の産業に農業労働力が流れていくというためには、農業は非常に不利であるという条件がなければ、流れていかないわけです。あるいは逆に言えば、他の産業の方が非常に有利だという状態でなければ、自然には流れていかないわけです。ですから、他の産業に農業労働力を吸収することによって、過小農経営を改めるという考え方と、それから今大臣がるるお話になったような、そういう形で農業者の所得を引き上げていくということとは両立しないのではないかということは私は申し上げておるわけです。
  40. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は必ずしも両立しないというふうには考えないのでございまして、むろん農業経営をやっておられる方々が、その性向として農地に非常に愛着を感じ、あるいは農業そのものに愛着を感じ、あるいは伝統的な自分の地方におきます感情というものもございますから、農業自体に愛着を感ずることもございます。しかしながら、全体の日本経済が成長して参ります場合に、都会における過度集中の状況を見ましても、新しく何らかの分野に進出していこうという意欲に燃えた人たちもあるわけであります。しかし、同時にまた農業を自分の使命としてやっていきたいという人もあるわけでありまして、そういうような関連を考えて参りますと、必ずしも矛盾撞着するものではないと考えております。
  41. 西宮弘

    ○西宮委員 私は大臣のように愛着とか何とか、そういう問題でそういうふうに議論をされると、私がお尋ねしておることが全くはずれてしまうのですが、私は全くそういう問題でなしに、あくまでも経済的な問題としてながめて、だから一方において所得格差をなくすという考え方と、それから他に労働力を移動させるという考え方と、それが両立できるのかということを言っておるのです。あくまでも経済問題として、経済原則で考えた今のような考えを一つもう一ぺん聞かせていただきたいと思います。
  42. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農業の方と、つまり何と申しますか、地域的な格差あるいは業種的な農業と他の工業との格差、そういうものがなくなって流れなくなってくるということになれば、農業自体が確固たる他産業と比べて同じような地位になるわけでございますから、ただそういうことであればけっこうであって、他の産業の方は合理化をやって、そうしてできるだけ農業から人が流れてこなければ、その中で合理化をやり、生産性を向上させていくということになるわけです。でありますから、農業の収入をふやすということは、これは政治としてやってもらわなければならないことでないかと思うのでございます。   〔岡本(茂)商工委員長代理退席、早   稻田商工委員長着席〕
  43. 西宮弘

    ○西宮委員 その問題についての問答は、それでは大体終わりにいたしますが、池田総理が言われたいわゆる農家人口を半減にするとか、六割減にするとか、そういう減ずるという作為的なものでないにしても、それが初めて日本の零細農を克服できる新しい道が開けるのだ、そういう時期が今初めて到来したのだ、こういうふうな理解のもとに、あるいはその基本法の制定その他に取り組んでこられた。ところが今、大臣のお話だと、農業がりっぱな他の産業と同じような所得を得て、もうそうすればそれでけっこうなんで、むしろそれこそけっこうではないかというお話であったけれども、それでは私は新しい産業が必要としておる労働力を得ることもとうていできないし、それは合理化云々というお話もあったけれども、合理化だけで問題は解決しない、先ほどの質問者労働力の問題を特に強調して取り上げて、しかも大臣もそれを肯定しておられた。とてもこれから大産業を起こしていこうというのに、合理化だけでやっていけるはずはない。そっちの労働力も必要でありましょう。同時にまた農村自体としても今の過小農業を克服するためには、労働力を他に排出しなければならないという、いわば宿命的な問題があるわけです。だから、あなたの今のお考えのようなことでは、とうてい解決をしないわけです。農業の所得がふえ、ほかと肩を並べればそれでもういいんだというだけでは、問題の解決にはならない。その辺に非常に大きな問題がある。これは根本的にどう考えるべきか、非常に重大な問題だと思うのでありますが、それに対するお答えがあったらもう一ぺんお答えいただきたい。
  44. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農業自体の収入を上げていくということが非常に困難であるということは御指摘の通りだと思います。従って、他の産業に従事している人とのバランスをできるだけ縮めていかなければならぬし、農業所得を拡大していく方法として、農業の集約的経営というものも必要でありましょうし、あるいは共同化も必要でございましょうし、いろいろな意味において労働力を節約して、いくということも必要になってくると思います。それは非常に困難なことでありまして、そう簡単に農業所得が他の所得と同じになると考えてはおらぬ。そこに農業方面に対する一そうの努力が必要だと思います。同時に、そういう意味におきまして新産業都市ができる、あるいは日本工業が拡大して参ります場合には、もしそういう必要がありますならば、当然農村労働力というものは新工業に流れていく、また吸収さるべきものだと考えられるわけでございます。ただ、今日のように工業が非常な合理化等を進めて参ります場合には、必ずしも従来のような勢いでもって第二次産業が吸収力があるかというと、そうでない場合もあります。現在のように第三次産業に相当人が流れておるのが実情でございます。でありますから、その点は非常にむずかしい問題で、われわれとしても十分日本経済を総合的に発展させ、また地域格差あるいは業種格差というものをできるだけなくしていくという立場に立ちますと、非常にこれは大きな課題として検討して参らなければならぬ問題で、にわかにこういう解決策があると簡単に申し上げるわけに参りませんけれども、目標としてはそういうことで進めていきたいと思うのでございます。
  45. 西宮弘

    ○西宮委員 それは大事な問題として大きな課題だというお話でありますので、私もこれ以上この問題に時間をさくことをしないようにしたいと思いますけれども、私今そういうふうに申し上げたけれども、労働人口を必要とする工業の側から見れば、幸いにして、それから農民の側から見れば、まことに不幸にして、農村の実態は今大臣のお話のようなことと全く逆でありまして、だんだんに所得格差がなくなってくるとか、いろんな面で農業所得がふえてくるということには、残念ながらなっておりません。農業基本法の第一条は所得格差をなくすということを堂々とうたっておるのでありますが、ところが現実はそれとは相反しまして、ますます格差が開いておるということは、先般も農林省が発表いたしましたいわゆるグリーン・レポートの中に明記されておるので、そういう点で私が今そういうことを論議することは単なる理論だけの問題になってしまうかもしれませんが、残念ながら農村の側から見ると、所得格差はますます開いておる。従って、農業労働力は次第に工業の方に流れていく。そういう勢いがさらに助長されるという傾向だと見ざるを得ないのであります。しからば政府施策として行なって参ります今後のやり方について、特に新産業都市建設等につきましても、今後どこに重点を置いてやっていくか、たとえば政府の行ないます公共投資というような問題についても、そういう地域的なりあるいは業種間における格差是正というようなことに主眼を置いていくのか、あるいは産業の高度成長というようなことにその重点を置いていくのか、まずそれを伺いたいと思います。
  46. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この新産業都市を作ります趣旨は、一面では過大都市の防止でありますけれども、他面は日本の総合経済力を発揮するためには地域格差解消して参らなければならぬのでございまして、地方におきます適地あるいは条件を備えた土地に新しい産業都市を作りまして、そうして二面では現在の都市の過大化を防止するとともに、他面においてはその産業都市中心にいたしまして、そしていわゆるその経済圏と申しますか、若干行政圏とはニュアンスが違う面がございますが、現在の経済発展状況から見ますと、一方ではそういうものの中核体となっていく、従ってそれに、その周辺のいわゆる中都市あるいは低開発地というものが、このいわゆる中央産業拠点としての構想であります産業都市と、十分な有機的関連を持って活動するようにして参りますことが理想でございますし、そういうことによって国土の総合的な開発が完成されるのであり、それがまた地域的な格差というようなものの解消に役立っていく、こういうふうに私どもは考えております。
  47. 西宮弘

    ○西宮委員 この今提案されております新産業都市建設法律ですね、あえてこの法律に限定しないで、ただいまとられております日本全体の大きな経済政策、そういう点から考えた場合に、あるいはさらに大きな言葉でいうならば、たとえば所得倍増計画というような立場で考えられておるその大きな経済政策の中では、その産業の高度成長というような問題と、それから格差是正という問題を、その大きな経済政策の中ではどっちに重点を置いておられますか。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いわゆる所得倍増計画というのは、国民所得を全体として倍にしていく、そこでその大きな政策は、これは当然進めて参るわけでございますが、しかし、個々のことを考えてみますと、たとえば個人にしてもあるいは地域にしても、そのまま倍になりましたのでは、格差がふえるのはあたりまえなことなのでございまして、従って、地域開発をやりまして、あるいは業種別間の調整をして、そしておのずから全体としての所得倍増計画と申しますか、その計画にマッチしていくということにもなるわけでございます。そればかりではございません。やはり日本の総合経済力あるいは総合的な日本の社会的、文化的な力が出て参りますことは、東京だけが文化的に水準が高いというようなことでは日本全体の国力は高くならないので、やはり各方面のレベルが同じように上がっていく、あるいはそれ以上に上がってきて東京に近づいていくということで、初めて日本の総合国力というものが上がっていくのだと考えております。日本総合開発計画としてはそういう大きな理想と申しますか、ねらいを持って進めるべきだ、こう考えております。
  49. 西宮弘

    ○西宮委員 私は日本全体の産業経済を伸長させるというためには、たとえば問題になっておりますような既成の工場地帯ですね、こういうところに今いろいろなマイナスの問題がありますから、それを解消させて、あるいは克服させて、そこに主力を注いでいくということも考えられるかもしれません。あるいはさらにいわゆるベルト地帯と称される地帯、ここにうんと力を注いでいくということも考えられるかもしれません。ですから、日本全体の産業経済を大いに伸ばそうというのであれば、そういう施策もあり得るわけです。それから同時に地方産業を育成していって格差をなくそう、こういう考えもあり得るわけでありますが、大きな日本産業経済全体を見るときに、今の政府方針としてはどっちにその重点を置いて考えておるか。要するに高度成長を大いにやろうということであれば、今申し上げたような、前段で申し上げたような方法でもできるし一できるというか、そういうところに大いに力を注ぐべきだと思うのです。  それから、多少それがテンポは鈍っても、スピードがおくれても、とにかく日本全体をできるだけ平均化していこうということにねらいがあるとすれば、その格差是正ということに力を入れなければならぬし、その点ではどっちにウエートを置きますか。
  50. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 どちらにウェートを置くと申しますよりも、おそらく国土総合開発で申しておりますベルト地帯というようなものは、すでに飽和状態になっておる。これ以上の経済活動というものは、むしろ経済的にはある程度必ずしも有利ではないような条件が続出しておるのでございまして、それらのものはやはりこれ以上の集中をしてはかえって有効な経済的活動というものはできないのじゃないかというような面があろうと思います。従って、その面から考えましても、地方拠点的な都市を、地理的あるいは自然的条件がかないますならば、政府が相当力を入れて作って参りまして、そうしてその方面における産業を誘致していくということが必要で、そのこと自体がまた先ほど申し上げましたような国土総合開発であって、地域差をなくしていくというような問題に寄与して参るわけでございますが、両々相待っていくのであって、今のベルト地帯だけに何かあれば、日本産業がこのまますぐ伸びていくんだ、これは若干個人的な考えになるかもしれませんが、相当交通の関係を考えましてもその他を考えても飽和状態になりつつあって、かえって経済的な活動に支障を来たすような状況が現在すでに東京などでは起こっておるのでございまして、そういう意味から考えましても、新産業都市ということが必要であろう、こう考えております。
  51. 西宮弘

    ○西宮委員 そうしますと、ただいま長官のお話は、ベルト地帯は飽和状態に達しておる。従って、これ以上ここに仕事をするということは、かえっていろいろな悪条件を生み出す。むしろ地方に重点を移すべきだ、こういうお話でありましたが、あるいは長官のお気持はそういうことかもしれませんけれども、たとえば経済審議会で作りまして、先般の国民所得倍増計画のもとになりました答申によりますると、あなたのお話とは全く逆なんです。たとえば、その最終年次までに公共投資をいたします比率は、今のベルト地帯に四〇%、将来を一〇〇にいたしてです一よ。でき上がった形を一〇〇にしますと、その中でベルト地帯に注がれるのが四〇、それからいわゆる既成の工業地帯に注がれるのが二八、それから開発地域と称される今後開発しなければならぬという地帯、たとえば北海道とか東北とか、そういうところにはわずかに一〇——一〇〇の中で一〇しか注がれない、こういう形になっておるので、今、大臣の言われた、お気持とは全然逆なんですが、それはいかがですか。
  52. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 逆と申しますよりも、もう行き詰まっております過大都市、いわゆる東京というようなものに対してもっと道路を整備する、あるいは港湾を整備する、あるいは輸送関係整備するというようなことに相当な力を注ぎませんければなりません。それでなければ、現状においても打解の方法がございません。従って、今後それらのものに力をある程度入れて、現在の東京が完全に経済的に効率的に動くようにして参るためには、公共投資というものは相当要るわけでございます。しかし、そのことは、そこに新しい工業地帯をふやしていこうということではないわけでありまして、少なくとも現状を早急に改善して、現状の効率を上げていこうということにみんなが頭を使っている点だと思います。しかし、それと並行して、今申し上げたように、たとえば通産省におきましても、あるいは首都圏におきましても、工場を東京でもってこれ以上作るということについては、相当制限をしていかなければならぬというふうに、産業行政の上からも、あるいは首都圏の上からも考えておられるのであります。将来日本工業化が発展して参りますれば、新しい産業都市を一方では作って参らなければならぬのでございまして、たとえば公共投資の金額だけから見て、何か従来の土地にさらに大きな工場をふやしていこうというような意味ではないと私どもは考えておるのでございます。またそうすべきであると考えております。
  53. 西宮弘

    ○西宮委員 もちろん現在すでに飽和状態に達しているその地帯に、さらにその工場をふやしていく、そういうばかなことはどなたも考えておられないと思いますが、しかし、いわゆる所得倍増計画で、私がさっきから繰り返し申し上げておったことは、日本産業経済の全体から見れば、たとえば北海道なり東北の山奥に——山奥という言葉は語弊があるかもしれませんが、そういうところに同じ金を投ずるならば、同じ百億の金ならばそっちの方に投ずるよりも、たとえばこの地帯に投じて今非常な困難に逢着している既成の工業地帯を、何といいますか、そういう悪条件を除去するというようなこともありましょうし、だから同じ百億を北海道に投じた方がいいか、京浜地帯に投じた方がいいかということになれば、日本産業経済全体から見ると、その場合でも京浜地帯に投じた方がいい。あるいはいわゆるベルト地帯に投じた方がいいという、そういう考えがあるのじゃないかというふうに私は考えるものですから、その点を少しくどいようにお尋ねしておったのです。むろん今の行き詰まっておるここにさらに大きな工場建設をするというようなことは、おそらくその企業者自身も考えないと思いますけれども、しかし、そういう日本産業経済の全体から見た考えからいうと、そういう今私が前段に申し上げたようなこともあり得ると思うのです。そういう点からいうと、この経済審議会の答申によりますると、十年後にはこのベルト地帯の工業生産は六六〇に伸びるわけです。六倍六分というわけですか、それに伸びるわけですね。それに比べて、たとえば開発地域四五〇、あるいはその他の地域が三四〇というような状態で、そのベルト地帯に、そこの工業生産を大いに伸ばそう。従って、さっき申し上げた政府公共投資にいたしましても、その一〇〇のうちの四〇をそこに投ずる。その他の今後開発を要する地域にはわずかに一〇だ。こういうことになっておるので、私はこんなことではとても、大臣が言われたようなお気持を実現するというようなことはできないと思うのですが、その点はいかがですか。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今のベルト工業地帯、いわゆる太平洋ベルト工業地帯といわれておりますが、それは一応今日まで条件がある程度認められておる地域でございまして、しかもその中では東京でありますとか、大阪でありますとかというようなものは別にして、新産業都市であるべき資格のものもこれはあるわけでございまして、そういう面については当然やはり考えていかなければならぬと思います。しかし、同時に、今日のような、昨日も申したのでございますけれども、科学技術が非常に進行してきておりまして、港湾でもたとえば苫小牧あるいは新潟が計画しておられるように、必ずしも天然だけの状況の港湾ばかりではなくして、人工的な港湾というものも相当考えられてきておる。いろいろな新しい技術による状況の変化もございます。そういうものを勘案しながら、新工業地帯というものを考えていくということは、これは当然私はやらなければなら  ぬし、そういうこと自体が必ずしもい  わゆるベルト地帯だけを重んずるという意味でなく施策を進められていってしかるべきだと考えております。
  55. 西宮弘

    ○西宮委員 そういたしますと、所得倍増計画ができたのはむろん前のことでありますから、その当時の考え方と、それから今度の新産業都市建設考え方と、これは時間的にはもちろん今度の方が今出ておるわけですから、それによって従来の考え方が若干モデファイされる、こういうふに理解すべきですか。
  56. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 前の所得倍増計画の中でいろいろ書いておりますこと、そのこと自体は必ずしも否定されることではございません。しかしながら、今日のような状況になって参りますと、過大都市の問題というのが、御承知の通り、非常に大きくクローズアップされてきたわけであります。この数年間の違いというものは大へんなものであります。でありますから、むろんそういう面も考慮しながら考えると同時に、やはり全体の総合的な地域開発というものも推進して参らなければならぬのでございますから、そういう意味において、その場合においても必ずしも地域的な拠点開発を拒絶しておったわけではないわけでございます。同時に、新産業都市というものがその地域のいわゆる拠点になるわけでございますが、しかし、これは必ずしも人口何万とかあるいはどうした−たとえばコンビナートみたいなものが来なくちゃいけないとか何とかいうようなものでなくていき得る新産業都市も私はむろんあろうと思いますが、そういうことで、やはり地域経済圏の中の一つ開発拠点になる、それで全体の総合開発計画拠点になっていく、こういうことが適当であろう、こう考えております。
  57. 西宮弘

    ○西宮委員 私は今の大臣のお話のように、たとえば過大都市というような問題は、ここ最近になってから非常に大きくクローズアップされてきた。従って、従来の考え方も、その点においては少なくとも修正しなけばれならぬ、そういう段階に来たという意味の御答弁のように伺いましたが、もしそういうことであれば、私は当然に、すでに閣議決定されております所得倍増計画、これもそういう観点から将来もう一ぺん再検討をされるべぎだというふうに考えるのですが、その点いかがでしょうか。
  58. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今直ちに所得倍増計画そのものを再検討すべきだと考えてもおらぬのでございますけれども、しかし、とにかくこういうふうな非常な勢いで経済が過度に成長しております。この過度に成長させることがいいかどうかということにも若干の問題がございまして、安定的な成長ということを期して参らなければならぬと考えておりますけれども、しかし、十年の計画を立てまして、それを十年間全然動かさないというようなことも時勢に適したことではないわけでありまして、必ずしもそういうこだわりを持つわけではございません。しかし、今直ちにそれじゃ変えるというだけのことは、まだ考えておりません。
  59. 西宮弘

    ○西宮委員 もう一ぺんだけ今の点を伺っておきたいと思うんですが、十年間という時の流れの中でいろいな問題が起こってくることは当然だと思うのでありますが、その中で、過大都市という問題がここに至って非常に大きくクローズアップされてきたということは、大臣も言っておられるのでありますから、少なくともこれを立案した、あるいはこれを検討した当時と、その事情は大きな違いが来ておる。従って、たとえば、具体的な問題としては政府も、行政投融資問題等にいたしましても、ずいぶん考え方を変えなければならぬことになっておると思うのです。今、責任ある大臣として企画庁長官お一人でこの計画をすぐに変えるとか、そんなばかなことはもちろん言える道理はないと私は思いますけれども、少なくともそういう大きな変化が来ておるということを前提にいたしまして、これをもう一ぺん考え直してみなくちゃならぬ、あるいは少なくとももう一ぺん検討しなくちゃならぬということだけは、大臣もお考えになっておられると思うんです。その点くどいようですけれども、もう一ぺんお尋ねいたしておきたいと思います。
  60. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知の通り、計画を策定して以来、成長率が非常に高くなっております。従って、その間にいろいろなひずみも起こってきております。そのひずみのために経済活動が円滑にいかないというような場面も起こっております。でありますから、将来適当な時期に、そういうことについては、十分事情を察して、再検討するということは私は必要だと考えておるのでございまして、一ぺんきめたものを十年間一つも動かさないでいくというようなことでは実情に即さないのではないか、こう思っております。   〔早稻田商工委員長退席、内田商工委員長代理着席〕
  61. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、大臣のお答えはわかりました。その際は黙っていても当然そういう立場でお考えになると思いますけれども、特に今度の新産業法案なりあるいは前の低開発法なり、ああいう考え方がある以上、当然にいわゆるベルト地帯とか、ましていわんや既成工業地帯とかそういうところに行政投資をするというようなことをやめて、新しいところの育成に大きく力を入れなければならぬと思うのですが、そういう立場で検討していただくように御要望を申し上げておきたいと思います。  先ほど来大臣のお答えの中にたびたび出て参り、また事実その通りなんでありますが、今度の法案の第一条は、過大都市の防止といいますか、何という言葉でしたか、とにかくそれを是正していくという考え方目的の第一にあるわけであります。その点については、それをどうしてやろうという具体的な方策は、どういうことなんですか。
  62. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 過大都市の問題は、非常に大きな問題でございます。ただ、この法律といたしましては、過大都市自身を積極的に処置していく、たとえば工場の分散をやるとかあるいは官庁街の分散をやるとか、そういう過大都市自体の問題を取り扱うといいますよりは、そういうような分散をなし得るような条件のところを作っていくという法律でございますので、従って、今の過大都市の防止というようなものは他の法体系にまかせまして、この法律はそういう側面においてそういうことがやれるということになると御了承願って差しつかえないと思います。
  63. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、大臣のお話の他の法体系にまかせるといういわゆる他の法体系というのはどれですか。
  64. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 たとえば、首都圏整備その他の法律もございます。あるいは通産省等でもって工業の規制に関するものもございます。そうした他のそれぞれの立法によりまして、現在の過大都市に対する処置をしていく。今後もあるいは交通の問題その他でいろいろな問題が出てくるかと思いますし、あるいは官庁街の移転というような別個の問題も出てくるかもしれませんが、そういうような他のことで、新しい産業が今後過度に集中している都市にいかないように、別の地域を十分整備していくということを目的としてやるわけであります。これの中に入まれすと、混淆して参りまして、いけないことになる、こう考えます。
  65. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、いわゆる過大都市の中には、たとえば官庁なりあるいは学校なりいろいろな問題もあると思いますけれども、特に問題としてクローズアップされているのは、工場地帯の工業の問題ですね。この法案も、いわゆる新産業都市ということで、産業がねらいになっておるわけです。そういう立場からすると、私は、過大工業地帯解消するというか、改善するというか、そういう目的のために積極的な施策が当然とらるべきだと思う。今お話のように、首都圏整備とかいろいろありますけれども、それなどでは、過大工業解消するという言葉は不適当かもしれませんが、直接それに取り組もうとするような、そういう点は首都圏整備等では出てこないわけです。どうしても私は過大工業それ自身を対象にしてこれを抑制する、あるいは改善する、つまりさっき大臣のお話しのような、たとえば分散をさせるとか、そういう問題まで積極的に取り組むべきだと思うのですが、それはいかがですか。
  66. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 通産省方面におかれましても、それぞれ指導をしておられるように私ども拝承しておるのでございまして、たとえば豆電球の輸出業者が秋田県に疎開するというような問題も通産省の御指導があるようでございますし、あるいはおもちゃ業者が千葉県にいく、これは土地の問題でうまくいかないという話もございます。そういう意味で、通産行政の中で相当工場集中排除というようなものについて今日では御指導になっておるようであります。それぞれ各省においてこの問題については善処していかれることだと思います。あるいは場合によりますと、そういうものが総合されて一つの何らかの形になって出てくるかもしれないと思います。
  67. 西宮弘

    ○西宮委員 通産行政で実際に行なわれていると思うのですが、そういうことを法律的にやろうという御意図はありませんか。
  68. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今のところ、まだ企画庁としてそういう計画を持っておりません。
  69. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、大へん時間がおそくなりましたので、いろいろお尋ねしたいと思ったことがありましたが、ずっと省きまして、今度のこの新産業都市建設というのに対して、何といっても一番問題になること、そしてこれは速記録等で見ましても、すでに質問者からも何回か論議されていることではありますけれども、財政的な裏づけが法律に十分確約されておらないという点が一番大きな問題だと思うのです。これだけは何回繰り返して指摘いたしましても、強調し過ぎることにはならない大事な点だと思うのであります。しかし、すでに質問があり、答弁がありますから、私はそれを繰り返しませんけれども、その点が十分でないということだけは、まことに残念しごくだと思うのであります。  そこで一、二お尋ねをいたしますが、たとえばこういう大きな計画に従って国の施策を実行するという場合には、現在の財政法を改めても、継続費というような予算でやるべきではないかと思うのですが、そういう点についてはいかがですか。
  70. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 産業都市を作ります場合の財政的援助の問題というものは、非常に重要な問題でございますと同時に、大きな問題でございまして、そうした問題等につきましては、今後とも十分大蔵大臣等の御意向も伺いながらわれわれは考えて参りたい、こう思います。
  71. 西宮弘

    ○西宮委員 継続費的な形においても十分これから検討するということでありますから、そういうことであれば、少なくとも方法としては一つ明確になったと思うのです。  それからもう一つは、たとえば五年計画とか十年計画とか、こういう形のものがしばしば発表されるのでありますが、それが年次別には常に出てこないわけですね。予算編成というのは、技術等から制約されるというような点もあろうとは思いますけれども、こういう計画の場合には、その年次計画が出ないために具体的にならないという場合が非常に多いのですが、その点、いかがですか。
  72. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今度は基本計画を策定いたすわけでございまして、それをどういう順序でもってどういう年次にやっていくかということは、そのときにおきます財政需要等のことも考えながらやって参らなければならぬのでございまして、ある程度の目標を置きますけれども、当時の財政需要によりましては、年次別計画というような確定的なものが金額の裏づけ的に出てくることは、必ずしも予想できない場合もあるわけでございます。総体的には一体どのくらいかかるのだろうか、これをどの程度の期間にやることが適当であろうかというようなことぐらいでは明らかになっていくのではないかと思います。
  73. 西宮弘

    ○西宮委員 私がお尋ねしましたのは、国土総合開発法等によっていろいろこれに類するような計画はしばしば今日までやってきたわけですが、それらがいずれもその最終年次における目標、またそれまでにその期間中における財政投融資ということはうたわれるけれども、それを年次別に作られない。むろん予算の編成等々とからんでいろいろむずかしい問題があると思いますが、少なくとも十年なら十年ということについて、トータルにおいてそういう計画が立つならば、ぜひ年次計画を作るべきだ、それがなければ少しも具体的にならないということを今日まで非常に痛感しておりますので、それを特に強調するのですが、そういうことはできませんか。
  74. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 年次別に非常に詳しい予算的な数字的なものを集めて参りますことは、相当私は困難じゃないかと思うのでございまして、そのときの財政需要その他によって勘案して参らなければならないのでございます。しかし、こうした計画を立てます上において、どのくらいの目標で、どのくらいの金額で、どのくらいの年次でこれを完成していくかということは、ある程度最初に考えて参らなければ、基本計画というものはできないわけでございます。従って、そういう意味においての計画を立てて、そうしてそれの進行状況等はそのときの状況によって考えていくというよりほか方法はないと思います。
  75. 西宮弘

    ○西宮委員 それではもう一つお尋ねしますが、この新産業都市建設について、いわゆる行政投資をするという場合には、その予算を一本化するということは考えられませんか。
  76. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 これは一本化ということは非常にむずかしいことでございまして、たとえば道路につきましては、例の道路五カ年計画がございます。そうして国道をこういうふうに改善していくというような問題もございまして、新産業都市の位置によりましてはそういう既設の計画の中でやり得るものもあるわけでございます。従って、そういうものをすべて何か予算的に一本化していくということは、相当むずかしい点があるのでございます。御質問は、多分たとえばそこにおける港湾なり何なりすべての予算を一括して企画庁にでもつけて、そうしてやれというようなお話かと思いますが、そうことは非常にむずかしいことでございますし、また私の考えとしては企画庁が実施官庁になってはいけないのではないか、むしろ実施そのものは各省にやっていただきまして、それに対する総合調整というだけの、指導と申しては各省に対してあれでございますけれども、御協力申し上げて、そうして円滑に進行するようにしていく、これがいいんだと思っております。
  77. 西宮弘

    ○西宮委員 私も長官の言われることは理解できないわけでは決してありません。ただ、今まで国土総合開発法等の仕事を長くやって参りますと、そういう点が、国民の側というか、あるいは地方人の側からといいますか、そういう点から見ますと非常に徹底しない点があって、非常にやりにくい。企画庁の性格なり、あるいは各省がそれぞれ道路なら道路としての予算を持っている、そういうこともわかりますが、たとえば新産業都市ということで、新産業都市を作るのだというようなことが明確になるならば、   〔内田商工委員長代理退席、早稲田商工委員長着席〕 そこに新産業都市を作るだけの予算は、まあかりに企画庁でなくてもいいと思うのです。どこでもいいと思いますが、どこでもいいということになると、また官庁間の争いが出るのかもしれませんが、やっとここまでこぎつけたのですから、もう一ぺんあの問題に触れたくないという気持もあるかもしれませんけれども、そうしないとなかなか進まない。これは実際問題として、たとえばこの法律に基づいての特例措置等が若干は出ると思います。まだその辺も具体的じゃないので、私ども実はその辺もう少し追及してお尋ねをしたいところなんですが、時間がありませんから略しますけれども、これはこれとして、やっぱり補助率を引き上げるとか、そういう問題も当然出てくると思うのです。そういうことになると、各実施官庁はそういう高率補助のところに予算をさかれるというようなことを好まないのです。これはまあ与えられた道路費を高率補助のところに使ってしまうと、他に迷惑をかけますから、そういう考え方で、実施官庁としてはその高率補助に予算を食われるということを好まないという心理があるわけです。そういうことから、実際問題としては非常に苦労をするわけです。私はその困難な事情がわかりますから、もう一度御答弁を求めませんけれども、十分一つ御研究を願いたいと思うのです。そのいわゆる予算の一本化ということについて……。
  78. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、予算の一本化ということは私はすべきでないし、また困難だと思いますが、現在でも企画庁としては調整費というものを持っておりまして、本年は九億から十一億に、多分増したわけであります。こういうような費用をある程度持ちまして、たとえば港湾の関係が、堤防はできたけれどもその次の道路ができていないというようなことを調整するのに現在使っておるわけでございまして、これは各省とも皆さん喜んでいただいてもおりまするし、また協力の体制の一つの形でもございますから、そういうような意味でのことは企画庁としてもできるだけ考えていって、そして各省と協力していきたい、こう思っております。
  79. 西宮弘

    ○西宮委員 これを進めますについての財政的な裏づけの問題で今御質問をしておったのでありますが、さっきから申し上げるように残念ながら財政的な裏づけということについて明確を欠いておるという点が、せっかくの法律を非常に弱いものにしてしまうおそれが多分にある、従って、これをぜひ明確にしていただきまして、特に私は国の責任を明確にする、たとえば地方知事から申請をするというものもありまするし、あるいは国が国の立場からその地区を選定するという、第四条でしたか、そういうのもありますし、少なくとも私は第四条で国の方から選定をするという場合のごとき、これはもう全部国の責任において財政的な措置をするというぐらいの腹がまえがないと、これはもうとてもできない。私はさっきから申し上げておるように、従来の考え方がいわゆる所得倍増というようなことにとらわれ過ぎておるわけなんですから、それを打ち破っていきまするためには、そういう目的のために地方に新しい産業拠点を作るんだということであれば、それは国が全責任を持ってやっていくというぐらいの意気込みが当然に必要だと思うのです。それをたとえば地方地方税を負けさして、幾らか減額して、その減額した分は交付税で考えるというようなことで、交付税で考えるなんというものは与えられた交付税の中でやりくりをするというだけの話なんですから、その分何も新しい財源が来るわけでも何でもないのですから、そんなことでごまかしてしまってはいけないと思うのです。私はその財政問題について、もう一度企画庁長官の強い決意を伺いたいと思います。
  80. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 財政的な裏づけということは非常に重要な問題でございまして、自治省におかれましても、あるいは大蔵省方面におかれましても、この問題を取り上げるときには十分考慮されることと思うのでございまして、いろいろな面において今後これを推進する上において、私どもといたしましては、最善の努力を尽くして参りたいと存じております。
  81. 西宮弘

    ○西宮委員 あと五分だけお許しを願いたいと思いますが、委員長にお願いをいたします。  この案が出てくる過程において、たとえば十九条に、国有財産の譲渡及び貸付の特例とか、二十条に国有鉄道などの協力とか、あるいは国有財産売払代金等の延納の特約とか、あるいは重要事業を営む者に対する農地転用等の配慮とか、あるいは減価償却の特例とか、こういうようなのが、この法案ができる過程においてはあったのです。ところが、いよいよでき上がってみたら、こんなものは全部なくなってしまった。かりに減価償却等の問題にいたしましても、低開発法の方にはあるのだけれども、こっちの方にはなくなってしまった。財政的な問題では、低開発の方も非常に心細いけれども、それ以上に、途中に盛られておった構想もみな消えてなくなっちゃったというようなことで、私どもは非常に残念だと思うのですが、時間がなくなりますから、この程度にいたしましょう。大臣は大いに全力を尽くすというお話でありましたから、私どもはそれに期待する以外にありません。  ところで、最後に一言だけ伺いたいのは、この地域を早く発表してもらいたい、今まで何人かの方が質問をしておりますから繰り返しませんけれども、地域を早く発表してもらいたいと思うのですが、その見通しはいかがですか。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 できるだけ早く発表いたしたいとわれわれも考えております。しかし、軽率に調査を完了するわけにも参りませんし、また地方的な諸般の事情もある程度は考慮して参らなければなりませんので、なかなか急速にと申しましても、まあ今秋ぐらいまでに一つ作り上げていきたい、こう考えております。——ことしの秋です。
  83. 西宮弘

    ○西宮委員 私は「コンシュウ」というからこの土曜日までかと思いまして、それならば大へんけっこうだと思ったのでありますが、(笑声)この法律によりましても、第五条に、「区域の指定は、工場の立地計画がすでに進行し、」云々というので、その工場の立地計画がすでに進行しているものについて今度これを取り上げようということなんですから、現にそういう計画は今までそれぞれの実施官庁で取り上げられておったに相違ないので、ですからぜひそれを早く取り上げて明らかにしてもらいたい。できるならほんとうに今週の土曜日ぐらいまでにお願いをしたいと思うのですよ。なぜなら、そうでないと、地方ではいろいろ迷惑をいたしまするし、あるいは、たとえば農民などの立場から——私は農林委員会から参ったものですから農業のことを申し上げますが、農民などの立場から申しましても、この辺は工場地帯にでもなるのじゃないかというようなことになりますと、耕作の意欲を失ってしまう。そうして農業の方がほんとうにお留守になってしまうというような実際問題などがあったりいたしまして、非常に困難をするわけです。そういう点からも早く一つ発表していただきたいということをお願いいたしたいと思います。実は私はこちらに出て参ります前に長く地方庁におりましたので、そういうところにおった経験から申しますと、こういう新しい法律ができるたびに、その計画を作るというようなことにほんとうに夜昼追い回されるわけです。そしていずれもそれらはペーパー・プランに終わってしまう——というと語弊があるかもしれませんが、そのうちのほんとうに何%かのきわめてわずかの部分が具体化していくというようなことで、そういう計画の作成に追い回されているというようなのが実情でありまして、そういうことになってしまったのでは相ならぬ。そういうことで地方の役人が忙しいということは何もかまわないかもしらないけれども、ただ、地方の住民は、それがためにいわゆるバラ色の幻想に惑わされて、何か非常によくなるんだというような期待を持って、いよいよになってみて現実にがっかりするというような例が多過ぎるので、私は財政の問題等も特に強調したわけですけれども、最後に質問を終わるにあたりまして、一つその点くぎをさしておきたいと思うのですが、大臣の強い決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 これをやります以上は、ぺ−パープランに終わらないようにやって参らなければならぬと思います。従いまして、企画庁がこの法案を出します以上は、国土総合開発計画拠点構想としての現実にできますように努力して参りたいと存じております。また同時に、若干誤解もございまして、何か非常に方々にたくさんのものができるような誤解があって、いろいろかえって地方に混雑を起こすというようなことがあってもなりませんので、できるだけ早く指定をして参りたいと思っております。  それから、この考え方というものについて、十分われわれとしては一般に広く政府考え方を承知していただきまして、いたずらなる期待が起こらぬように、できるだけの努力はいたしていきたいと考えております。
  85. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続きまして、井堀繁男君。
  86. 井堀繁男

    ○井堀委員 ただいま議題に載っておりまする案件、社会党の案をも含めてお尋ねをしようと思うのであります。  この法案の全体につきまして拝見をいたしまして、最も私どもが重視いたしておりますのは、十一条なり第五条の規定について、やや具体的に出ておりますもの、この点からお尋ねしてみたいと思うのであります。それで、十一条に、建設基本計画内容をやや具体的に列挙されておりますが、「工業開発の目標」「人口規模及び労働力需給」「土地利用」「次に掲げる施設の整側」、そうしてイ、ロ、ハ以下ずっとあげておるようでありますが、ここで私どもがお尋ねをしてみたいと思いまするのは、この第一条の目的を遂行いたしまするために、この法律がどのように今後活用されてくるかということについでは、国民の間にいろいろな利害関係を大きく巻き起こすと思うのであります。もっと積極的に言いますと、利権屋の介在を招来するようなものになるのではないか。それから、一つには、この法案目的にありまするように、産業人口の過度の集中を適度に分散したいという考えは、これはもう当然の大きな要請になっておることも、われわれ是認できるのであります。だから、この目的を少しでも前進できる可能性がこの法案の中に見出せますならば、多少の犠牲はやむを得ぬ、こう思うのであります。しかし、私どもがこの法案で感じまするのは、結論からどんぴしゃり申し上げますと、むしろこういう一条の目的を遂行することは事実上不可能に終わって、逆に多くの利害得失から来る紡争を国民の上に巻き起こしたり、汚職疑獄の温床ともなりかねない不安を感ずるから、この点を中心にしてお尋ねしてみたいと思うのであります。  それは、今あげましたように、第十一条の中にあげられております人口規模及び労働力需給関係からお尋ねしてみたいと思います。この問題は、この政府も他の部面でたびたび言っておるようであります。日本人口を適正に配分するという大きな目標を遂行するための法律といたしまして、第一に考えられますのは、現在過度の人口が大きな都市に集中しておるというようなものは、私はそれぞれの理由があると思います。この理由を明確にしないでこういう法案を作っても、さっき申し上げるような結果に終わるのであります。そこで、今日都市に大きく人口の密集しておりまする大きな理由は、私は、自由経済の原則から言うならば、やはり利潤の高いところに産業経済発展してくることは当然じゃないか。またそれに人口がそれぞれ並行して偏在してくることもやむを得ぬと思います。その根本にメスを入れるような措置がとられないで、ここにあげておりまするように、簡単に一定の地域指定するというようなことが行なわれますと、指定された地域は、もう今の経済の仕組みから参りますならば、需要供給の関係で、今でさえ土地はなかなか大きな跛行的な姿を呈しておるのであります。指定されたところはもう値段が上がるにきまっております。あるいはその指定をしようとするために、ここにあげておりまする審議会が調査を開始するということは、すぐ刺激を与えると思います。そういう意味で、私は、この法案は、極端に言いますると、有害無益な結果に終わるんじゃないかという不安を、私は識者も持っておると思う。まずこの点についてお尋ねをしてみたいと思うのであります。そこで答弁は具体的にお願いをするといいと思うのでありますが、「工業開発の目標」こういうことをいっております。この目標が、今申し上げたように、自由主義経済の自然発生的なものにさからわないでやろうとすれば、非常に困難を生ずるのではないか。それに抵抗をするということになりますと、要するにそれぞれの準備がなければならない。この法律の中には、どこにもその準備を発見することはできない。ただ審議会の慎重な調査と審議をわずらわせるということで、あとはどこにも具体性がないのだ。ところが、ここにあげておりまする十一条は、かなり具体的なことが書いてある。これを全部審議会に検討をしてもらって、その答えを答申の形で受け取ったものを立法に移すということに受け取りますならば、これは容易ならぬことになると思うのです。どういう方が審議委員に選ばれるかはわかりませんけれども、そういうような大問題を、審議会の答申だけで政府が直ちに地域指定するなどのごときは、暴挙もはなはだしいといわなければならぬと思うのです。ここに書いてありまする一から四まで、こういう具体的な事実を前提にして審議会に諮問されるんだろうと思う。そういうふうに理解していいかどうかをまず伺いたい。
  87. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん審議会に諮問いたしますときには、一から四までの条件、そういうものを十分調査いたしまして、そうしてそれを材料として審議会に提出して、御協議を願うということに相なるわけであります。
  88. 井堀繁男

    ○井堀委員 そこで関連して第五条が出てくると思うのでありますが、この五条も、自然的な条件と社会的な条件とをあげて、これは抽象的ですからわかりますが、次にあげておりまする相当量の工業用水とか、あるいは港湾とか、そういう自然的な条件は客観的にも主観的にもそう間違った判断はないと思うのであります。しかし、そのほかの社会的な条件ということになりますと、なかなか問題が多いと思います。これは他の委員から各方面から質問されておりますから重複を避けますけれども、一番問題になりますのは、現在都市が自然発生的に集中しているものを分散しようとするためには、こういう社会的な条件をどうするかということを先に明らかにしなければ、この法律はさっき申し上げるように非常な弊害を伴うということを前提にお尋ねをしておるわけですけれども、もしそういう地域をきめる場合に、あなたの方は簡単に審議会の答申をそのまま尊重するかどうかは別として、しかし今のところは審議会の答申だけがよりどころになっている。この十一条と五条との関係以外に、たとえば政令で示すとかなんとかいうようなこともあるのでありますけれども、まさかそういう基本的なものを政令にゆだねるはずはないと思う。この条件についてどういうお考えであるか、この際具体的に伺っておきませんと、他の問題についてもお尋ねができませんので、十一条と五条のことをあげて質問したわけであります。具体的にこの問題についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  89. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 自然的にと申しますのは、その後に例示されておるような問題が主でございますから、これは特別な説明を必要としないかと思いますが、社会的な条件ということがただいまの御質問の趣旨だと思います。社会的な条件という問題の中には、非常に広範な問題が出てくると思うのでございまして、経済的な問題、そのいわゆる拠点構想としての経済圏というような問題も、一つの社会的な条件になってくると思います。また地方における農業その他との関係というものも、条件になってくると思います。その方面におきます労働力問題というものも、一つの社会的な条件になってくると思います。そういうようなことをあわせ考えると同時に、拠点構想でございますから、やはり地方開発というような一つの大きな総合的な、社会的な観点からやって参らなければならぬと思いますね。そういう面についての諸般の考慮をいたした上で、十分な検討をいたしていただくということに相なろうと思います。
  90. 井堀繁男

    ○井堀委員 相当規模工場用地とか住宅用地をあげております。工場用地あるいは住宅用地ということになりますと、自然制約はある。いずれにきめるかということになりますと、こういう問題が先に出てくると思うのです。この工場用地住宅用地をどこに求めるかということは卑近な問題だと思う。特に、今日住宅地と工場用地との間遠い距離を持つというようなことは、この際考えていないはずだと思うのです。そうすると、住宅地と工場用地をあわせて持つような用地が具体的に日本の場合どこに考えられるか。たとえば農耕地をつぶすとか、山間僻地に近い、先ほど言った自然条件が全く不適当なものばかり並べられてくるのじゃないか。やはりこれは近代産業でありますから、自然の条件もそうだけれども、社会的な条件として労働力の問題がそれに付随して出てくると思う。そこで住宅地という問題も出てきているわけです。ところが、今日、政府のどの政策を見ましても——工場は、ここにあげてありますように、非常に至れり尽くせりの条件が出てくるようであります。たとえば固定資産税であるとか、地方税に属するような免税の措置を講じてあげる、あるいは土地の買収などに対して地方自治体が便宜を与えるというような点は明確になっている。ところが、労働者住宅の場合は、今政府施策の中で見られるものは、公団の住宅住宅金融公庫などがありましても、こういうものはこの場合大きな役割を演ずることができないのは明らかであります。先進国のいずれの例を見てもわかるのですが、今人口の問題を言うておると同じように、生産の基礎をなす労働人口の具体的な内容というものが盛り込まれていないと、こういうものは動きがとれないはずのものである。抽象的にはあげておりますけれども、具体性が一つもない。社会党の案はむしろこれを裏返したような形で、労働力の問題を同時に提出しているところに、私は新味があると思うのです。この中で住宅用地という言葉は使っておりますけれども、条文にはどこにもそういう規定がありません。これは一体どういう制度を活用される意図であるか、一つはっきりお答え願いたい。
  91. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 産業都市を作ります場合に、工業誘致をすることでございますし、工業建設されることでございますから、その従事しております労働者の住宅問題というものが重要な問題であることは、申すまでもないことであります。従って、われわれとしては、基本計画にそれを策定することにいたしておるのでございます。従って、そういうような労働者の住宅整備されるような自然的条件の備わっておるということが望ましいことであることは、むろん申すまでもないことでございます。工場用地はある場合には埋立地によってできまして、住宅地そのものが確保されないというようなことではいけないわけであります。むろん日本の地勢から申せば、普通の場合においては、都会地の背後地あるいは港湾等の背後地には丘陵地帯というものがございまして、あるいは住宅に適するような地帯も開発のいかんによってはやれるわけであります。そういう面から見て、条件等も勘案しながら、工場住宅の問題、あるいは労働者住宅の問題、あるいは商業人口住宅の問題を考えていかなければならない、こういうふうに考えておるのでございます。
  92. 井堀繁男

    ○井堀委員 私がお尋ねしておるのは、工場誘致はほったらかしておいても、利潤の高いところには自然に事業発展していくと思う。工場誘致条件と同じようなものを、さらに法律では具体的に数カ条文書いてあります。たとえば資金の問題とか、あるいは土地のあっせんとか、さらには免税措置の保護まで書いてある。ですから、ここに抽象的にあげておるような条件が成立すれば、自然に利潤の高いところへ事業は集まると思う。ことに一条で人口の適度の集中防止をいっておりますが、工場経営をしたところで、重役は移っていかぬでも仕事ができる、重役は別荘にいてもいい、あるいは管理者はごく少数でいいが、人口がやはり産業とともに移動していかなければならぬというなら、言うまでもなく産業労働者です。でありますから、この法律が一条の目的を達しようとするならば、先に労働者住宅の問題が出てこなければならぬ。この条文の中のどこに住宅を誘致できるような条件が書いてあるのでありましょうか、これを具体的に伺っておるわけです。
  93. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、この法律の中に、工場用地だけでなしに、住宅用地の問題が相当に書き出されておると思っておるのでございまして、決してこれをないがしろにしておるわけではございません。
  94. 井堀繁男

    ○井堀委員 抽象的にはもちろん住宅住宅といっておりますけれども、条文のどこにも具体性がないじゃないですか。この第一条の目的からいくならば、過度の産業及び人口の分散をはかろうというのですから、過度に集中しておりますこの現象を少しでも解消していこうということでありますならば、今日の場合、用地の上から、面積の上から見て、先に住宅の問題が出てこなければならぬ。どこに住宅が誘致していけるような内容の条文がございますか。さっきもあげたように、工場を誘致するためにはちゃんと土地をお世話いたします、お値段の方も適当なものを心配しましょう、整地のために何もとかいたしましょう、資金も何とかいたしましょう、さらには税金まで何とかいたしましょう、それで足らぬところは国庫の方で何とかしましようと、親切な規定があるにかかわらず、抽象的には産業労働者あるいは人口の過度の集中を分散していこうと言っておりますけれども、そういう可能性をどこに発見することができましょうか。都市人口が集中してきているということは、冒頭にも言いましたように、これは自然発生的な利潤を求めてきておる。労働者が生活を求めてきておる。でありますから、要するにこの目的を達成するためには、一番先に取り上げなければならないのは、人口の分散をはかろうというのですから、その産業の一番、しかも大部分を占める人口の移動が自由になされる、自然発生的に行なわれておりますものを合理的に置きかえようというのですから、そのことをこの条文の中にきわめて明確に、しかも当然そうなるべき条件を加味した文章をこしらえなければならぬ。もっと具体的にお尋ねしますならば、どうして労働者住宅を建てるのですか。それは労働者がそのときにそれで考えてやろうというのですか。それとも、あるいは工場を作れば労働者がやって来るからということならば、御存じのように、ここにもあげております提案理由説明であなたが言っておられるように、人口の過度の集中というものはいろいろな社会悪を作っておる。交通地獄などと言っておりますがこういう問題の解決は現在でも至急にやらなければならない。  それから、もう一つは、この目的を達成するためには、今の地方産業が移動しておるのは、他の条件がある程度具備するならば、あとは安い労働力が豊富に得られるところへ産業が移動しておるのですよ、現状としても。ましてや国が一つ方針を立てて新しい産業の立地計画をするという以上は、労働者住宅というものが理想的で、かつ合理的なものが保障されてくるということが大前提でなければ、自由経済主義の中においては私はそんなものはありえない。それともがらりと捨てて計画経済に置き直していくということになれば、これは政府の一切の政策がくずれてくるわけですから、そういうことは毛頭あろうとはわれわれは思いません。あくまでも自由経済の中でおやりになろうとするならば、ほんとうをいうと、こういう税金の問題も資金の問題というのも、あとのあとでもいいわけです。要するに利潤の生まれてくる経済さえ生まれてきさえすれば、どんどん起こってきます。一番大事なのは、動きたくても動けない、あのぎしぎし——まるで今の労働力は通勤時間に摩滅しておる部分の方が多いのではないかと思われるほど、長距離の通勤がしいられておる。この問題の要するに解決こそが前提にならなければならない。一体この法律を生かそうとする場合に、労働者は自然に集まってくると思っていらっしゃるのですか。じゃないということは抽象的に言っておる。具体的に何かありませんか。その具体性を伺っておるのです。
  95. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 住宅用地の問題が非常に重要であることは、工場用地の問題と同じように並列して私ども考えておるのでございまして、この条文の中にも、あるいは基本計画の策定にも、それをうたうわけであります。お話のことは、おそらく現実にその住宅をどういうふうにして建てるのだというようなことかと思うのですが、住宅用地確保しておきまして、そうしてそれに対して公団住宅を建てる、あるいは政府が低利資金を出す、そういうような方法論になりますと、それは現に過去にございます法によりまして、新産業都市がそれの適用を受けていくということで、要件としてわれわれ住宅問題が重大であるということは考えておるのでございます。お説のように工場地帯を造成いたします場合に、工場地帯から遠方では困るじゃないかというようなことは、その通りだと思います。しかし、同時に工場労働者の厚生的な面から考えますれば、必ずしも住宅自体が緊急に必要な人以外は、ある程度若干の距離を置いて、工場から離れて生活することも必要な面もあるわけであります。そういう意味において、埋立地等においては、必ずしも住宅をそのまま建てるのが適当でないとも思います。そういう場合には、やはり住宅地があり得るようなところが要件として指定されなければならないということを書いておるのでございまして、決して私どもその点をないがしろにいたしておるつもりはございませんし、またそれは非常に重要な問題だと思っておりますから、この法律の中にも各所にそういうことを要件として基本計画の中にも織り込むべきことをうたっておるのであります。
  96. 井堀繁男

    ○井堀委員 各所といってどこに出ておりますか。抽象的には出ております。それでさっき私は十一条と五条をあげたのです。十一条と五条のほかにどこに具体的にそういうものがありますか。
  97. 菅太郎

    ○菅政府委員 条文についてお答え申し上げますが、まず指定の要件を考えますときに、五条の二号に「住宅用地確保が容易であること。」これは指定の要件として重大なものの一つでございます。それから、基本計画を立てまする基本計画重要事項の中に、十一条の四号のロが「住宅及び住宅用地」になっておりまして、やはり住宅及び住宅用地というのが基本計画の重要な柱でございます。こういうことについてどういう方法を規定しておるかと申しますと、十七条の「施設整備等」で、国及び地方公共団体がいろいろな施設整備をはからなければならないという中で、一番そのページの最後の行にございますが、住宅及び住宅用地というのは、やはり最も重要な項目の一つに相なっております。国及び地方公共団体は、住宅及び住宅用地整備について力をいたさなければならぬという原則がここにうたわれております。そうして、それを実行する方法として、十八条に、この住宅用地等のための土地に関しまして、公有水面の埋め立てであるとか、あるいは農地法でありますとか、そういうことによって土地の造成をやり、あるいは農地を転換するという場合の処分については、特にこれを促進するように配慮しなければならぬということも出ております。ことにこういう住宅及び住宅用地確保につきまして最も大切なのは、地方公共団体地方債によってこれを実行することが多いのでございますが、その次の十九条につきましては、この地方債については特別の配慮をすることに相なっておるわけでございます。それから、資金の確保とか税法につましては、出て行きます企業自体に関することが規定してございまして、こういう公共施設につきましては二十条、二十一条は適用が必ずしもそうない建前になっております。しかし、今申しましたようなところでごらんになりましても、この法律というのは非常に住宅及び住宅用地の取得、建設等につきましては重要な条項で、ことごとくこれを中心の項目に拾い上げておるのであります。しかも、この住宅建設につきましては、地方公共団体がこういうふうに非常に力を入れますのみならず、たとえば住宅金融公庫なりあるいはまた住宅公団等がどうせいろいろな協議の際に参加してくれますから、住宅金融公庫なり住宅公団なりが全面的に協力いたします。そういうわけで、法律の体系といたしましては、住宅問題は非常に重点を置いておるということは、これは明瞭なのでございます。だから、これを一体どう具体化するかということは、まずこの案ができますときに、この基本計画を作りますときに協議会で十分関係各機関が寄って相談いたしますから、住宅問題は十分取り入れて案を立てますし、上って参りました案が中央審議されますときには、もちろん住宅関係を代表する厚生省とも協議するし、あるいは審議会にもそういう専門家が来ておられますし、政府自体もそういう問題の具体化には大いに力を入れますから、決してこの問題がなおざりにされることはないと私どもは確信をしておる次第でございます。
  98. 井堀繁男

    ○井堀委員 私がお尋ねしているのは、最初から何べんも言っているように、住宅を一番先に考えなければならぬということです。これはしかし言うだけではだめなんです。今伺ってみますると、ただ既存の住宅政策のためにある制度や機構がフルに動くだろう、あるいはそれを中心に考えなければならぬだろう、そういうことは、何も審議会に選ばれる人でなくても地方長官でなくても、だれでもわかっていることなんです。今は必要性を聞いているのじゃなくて、それを具体的に明文化しなければ——私がお尋しているのはこうなんです。ここの条文ではあなたがおっしゃる以外のことはない。資金の問題にしても、用地の問題にしても、あるいは免税の問題にしても、企業を誘致するためのみな援助条件なんです。一つ住宅の問題はありませんよ。どれですか。二十条の資金、これは住宅のための資金を取ろうということですか。それとも住宅用地というものは地方債で保証するということですか。そうならそうとわかるようにこれは書くべきじゃないでしょうか。これはそうは読めませんよ。
  99. 菅太郎

    ○菅政府委員 御質問のところですが、地方債につきましては十九条がございますことは御承知の通りでございます。二十条は、ここには製造事業、運輸事業に関する、お話のように事業に対する資金。住宅資金の問題は触れておりません。触れておりませんが、もちろん住宅政策全般について、住宅金融公庫なり何なりの住宅政策の面における資金の動員等が一方において行なわれておるわけでありますから、ここでは取り上げておりません。それから、課税の問題につきましても、事業体自体のことで、住宅建設には触れておりません。しかし、そういう全体の法案の立て方が、公共施設なり住宅なりにつきまして、あるいは水道等につきまして、原則をきめまして努力を集中しなければならないという、いろんな建前を基本法的に立てた法律でございます。それに基づいて、それぞれ各省が従来の権限になっております仕事の分野がございますが、それらの分野については、こういう基本法的な考え方で努力をせられます。厚生省の住宅政策なり何なりがどんどん発動して参りますから、そういう面ももちろんこれで非常に促進されると思うのでございまして、これで何もかも全部書き込んであるわけではないのであります。大原則をうたいまして、住宅及び住宅用地についてはこの新産業都市建設がいかに力を入れておるかという、その体系をこれではっきり出しておるということを信じておるわけであります。
  100. 井堀繁男

    ○井堀委員 私は抽象的なことを聞いているのじゃない。抑象的には意見が一致しているわけです。文章にも書いてある。第一条の目的にも提案理由説明でも繰り返し、また他の質問でも明らかになったのです。要するに産業人口を過度の集中から緩和していこう、そして新しい都市を作ろうという。それは産業都市というからには、しかも人口の問題を考える以上は、さっきから言っているように、労働人口にきまっている。そうだとするならば、一番先にあげなければならぬものなんです。宅地を用意しなさいという抽象的なことで解決がつくなら、今日の住宅問題や過度の人口集中による社会的弊害は起こらぬ。今の過度の集中を解消しようとしても、あるいは交通関係を考えても、問題は勤労者、そこに勤めておるサラリーマン、労働者の住宅アンバランスからきていることだけは明らかです。都市に学校や管庁やビルが陸続とできて、住宅は一向できぬものですから、遠隔の地から長時間しかも交通地獄の中を四苦八苦して通勤しているのが現状なんです。でありますから、現在でも経済なり文化なりに見合うように、勤労者の住宅の配分が考えられてくるということが、当面の問題になっているくらいなんです。その問題の解決のために一つこの法律が役割を果たそうというのである以上は、住宅が建てられる条件法律の中に出てこなければ意味がない。そうしたい、ああしたいということは、だれでもわかっている。そうするための法律でなければならぬはずでありますから、私のお尋ねしていることは、住宅用地については政府が買い上げをするとか、あるいは地方公共団体が買い上げするためには、地方債を認めて、それに肩がわる財政援助をするとか、そういうことが明らかにされてこそ、ここでいっておる住宅対策に対して政府は誠意を示し、あるいは要請を強くしておるということがいえるのであって、そんなことを言うだけなら、スローガンです。お念仏と同じである。この法律目的をかなえていくためには、当然宅地を見つけるための隘路を解決するところの要件が出てこなければ、何ぼうまいことを言ったって、だれもそんなものを正直に受け取る者はありません。それも全体が抽象的なものであれば別でありますけれども、さっきから例をあげているように、企業のためには営利を求めて進む、自然発生的に、水が低いところに流れていくような傾向を持っていくものに対しては、保護を与えぬでもいける。そうじゃなくて、いきたくてもいけない、要するに社会的な隘路の中に悩んでおるもののために解決条件が出てきてこそ、対策になるんじゃないかということで、何も議論じゃないのです。常識です。その常識がこの中に明らかになっていないんじゃないかということを聞いているのです。あるなら、どの条文が住宅のために、あるいは住宅用地のために働きをするか、御答弁を願いたい。それを聞いておるのです。
  101. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 基本的な精神は少しも変わっておらぬと思うのです。これをどういうふうに実行していくかという問題になりますと、既存の公団その他が活用されて参るわけでございましてそういう点については、この法律は新産業都市を総括的に作り上げていく方針を示したものでございますから、そう一々こまかい内容までこの法律自体に織り込んでいくというわけではございません。従って、政令等に譲るものもございましょうし、あるいは別個の法律によりまして規制していくものも出て参ると思います。そういう意味において、総合的に一ただ住宅問題を非常に軽視しているということではないのでありまして、内情はそういうことについて今後の施策の上で十分やって参るということは言えるし、またやらなければならぬと思います。
  102. 井堀繁男

    ○井堀委員 軽視しているとは一向言っていないのです。しかし、こういう法律を作って、それがこういう法律のしんでなければならぬじゃないかということを聞いておる。だから、産業というのをどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。ただ重視しているということじゃなくて、この法律はそうしたいということのための法律であってはならぬ。ただしたいということなら、何も法律にしなくてもいいですよ。それから、今ただかすかに言ったのは、既存の住宅政策をになっておる機構や機関をフルに動かすというだけなのです。冗談でしょう。今の公団でも住宅金融公庫でも、今日の勤労者の住宅要求に対してははるかに及ばない現状じゃないですか。新しい産業都市を作って、新しい企画でしょう。そんなものに問に合うはずがありませんよ。言いのがれもそういうものは通らない。だから、問題は、過度の人口を、すなわち産業を分散するということは、一つには工場の分散もありましょうけれども、おもな目的は要するに人口の配分の問題だと思うのです。その問題をここで規定しない。これが全部抽象論ならいいですよ。政府の施政方針を述べるというならいいですけれども、いやしくも法律にして、しかもさっきから何回も繰り返し言っておりますように、企業のためには格段の便宜をはかりますということをわざわざ書いてあるじゃないですか。あなたに伺いますが、あなたのお考え方は、企業というものは経営者と工場設備さえすれば、それで労働者は自然に集まってくる、そして住宅も何とかなるというお考えですか。そうだとするならば、私がこういう理屈を言うまでもなく御存じだと思う。たとえば西ドイツのような例を引いてみましても、工場を建てる前に住宅を建てておるじゃありませんか。しかも、日本住宅公団の問題は別に論ずるとして、今の公団住宅は、こういうものに対応できる姿じゃないということも言いたいのであります。それから労働者自身が金を借りて住宅を建てるなんということは、夢を求めるようなものです。何人か例外はあるかもしれません。そういうことがあるなら、ほったらかしておいても、何もあんなすし詰めの列車に押し込まれ、へし込まれして通わなくても、適当な家を建てて、適当な時間で通勤しますよ。これは自然発生的な現象の中では、絶えず大きな圧力を受け、あるいは漸次後退をしているという事実が、要するに、この法律でも、あなたの提案理由説明にも言っておるように、過度の都市人口集中じゃありませんか。しかも、あなたは各省ということを言っておられましたけれども、各省の中で、だれかも質問しておられましたが、こういう重要なものは、私は、労働省であるとか、厚生省だとか、あるいは労働者のこういう問題に対して関係の深い役所が、一番先にこういうものを出してくるだろうと思ったのでありますが、その名前が出てないからどうこう言うのではありません。各省でいいのかもしれません。こういうところにも、この法案に対する考え方のずさんさがよく現われていると思う。そうむずかしいことじゃないでしょう。だから、労働者が他の地域に行くが、その地域が一番好ましいという状態を作り上げてこそ、この法律目的は達せられるといっても言い過ぎではないと思う。それはここでも言うておる。何にもそんなことを言っていない。そしてあなたはあとからと言うけれども、これはあとではいけません。しかし、大きな障害がある。隘路があるのです。地方庁が、私はこの通りにぜひ新しい産業都市を作りたいというので、一番先に大きくはだかって出てくるのは、住宅用地だと思う。安くくればいいけれども、需要供給の関係でどんどんつり上がっている現状からいいましても、地価のつり上げを起こす作用しかしません。それをチェックするものがどこにもないんです、これは。それとも、この場合は地方債をどしどし認可され、あるいはこの分の値上がりによる格差を国庫で負担するという資金の面で何かあれば、これは少ないとか多いという議論になってくるけれども、全然ないのです。さっきから次官も一生懸命答弁をされておりますけれども、何もないということを繰り返しておるだけです。そうしたいということだけです。したいということは、これは必然の要求でもある。これはどうなさいますか。今からでもおそくありませんが、ただ重視するというだけでは動きますまい。それとも長官、ここでそういうことにいたしますと言うのには、あなたとしては住宅公団をもう少し資金をふやして、特別のワクを与えて——今の住宅公団では、入居制限は御案内の通りで、低所得者は入れませんよ。それとも産業労働者の賃金は三万以上の月収が保障されるという高賃金の産業だけを中心にしておやりになるなら、住宅公団でも間に合うかもしれません。住宅公団は家を建てることに成功したって、入れないような低所得者をある程度雇用しなければやっていけぬような現状ですから、この問題の隘路を解決しないでこんなことを言ったって、国民は納得しないのみでなくて、何かこれはこういうことをして、地方都市の値上がりや、あるいはそういうことによって利権をあさる人々のためにこの法律ができたんじゃないかという疑いを持たせる以外の何ものでもなくなってくる。画龍点睛というならば、その一つを欠く。この問題だけでも、われわれはこれを審議する価値を認めぬくらいです。社会党に聞けば、そう考えますかどうか、社会党のやつはうらはらに持ってきたのだけれども、住宅のことを一つも触れていない。もっとも、これから警告をすればいい立場でございましょうから、あとでお伺いをいたしますけれども、問題は、私はそうむずかしいことじゃないと思う。西ドイツでは、ノイエ・ハイマイトという労働団体や生活協同組合の投資になるものでありますけれども、大がかりな労働者住宅に成功しております。ああいうものが一方にあって、そういうものが普及されておるときに、この法案が出てきたというのならばまあまあですけれども、さっきあなたは苦しまぎれに住宅金融公庫と言ったけれども、あんなものは何の役に立つものですか。何も役に立ちませんよ。立つなら、一つ説明を伺いましょう。
  103. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律は、新産業都市一つ構想を作ったものでございまして、むろんその中において住宅が重要なものであるということは、私ども考えておりますし、先ほどお話のように、工場が建って機械が並べば、それで仕事ができるとは考えておりません。従って、それを動かすところの人の問題が重要であるということは、これは申すまでもないことでございます。従って、こういうような産業都市構想ができて参りますれば、それぞれの機関が、この産業都市構想を盛り立てていき、それを充実させていくようにそれぞれ動いていかなければならぬので、必要があればそういう機関が強化されるということも必要でございましょうし、あるいは新産業都市のために特別な融資ワクを持つということも必要でございましょうし、そういうようなことは、それぞれの機関がこれを行なうことでございまして、今一々そういうことをここに書き表わす必要があるか、私どもは住宅政策の必要だということを書いて参りたいと思っておるのでございます。同時に、住宅全般の大きな政策の問題にも御議論が触れたようでございますけれども、これは当然将来の問題として大きく考えるべき問題ではございますが、新産業都市については、われわれとして十分そういう点は留意しておるつもりでございます。
  104. 井堀繁男

    ○井堀委員 何ぼ伺っても同じことばかり繰り返して、特別の何か機関があるかのごとく言ってみたり、それぞれの機関なんて、何かちゃんと日本には労働者住宅の問題については適切な機能のものがあるように聞くと聞けるものでありますが、私はないと思うのですけれども、もしおありなら、一つ伺ってみましょう。こういう産業都市地方で作られるのですね。どの機関が労働者の入れるような住宅を建てますか。今のそれぞれの機関でもいいし、それとも何か特別なものをお作りになるというようなことは、法律でも起こさなければ特別にならぬ。今何もありませんよ。地方の公共団体、市町村が、なけなしの財布をはたいて、低所得者のために一級、二級の住宅を建ててみているけれども、焼け石に水ですよ。今度は新しいところへ新しい産業地域を造成しようというのですから、労働者のたくさんおるところへこんなものを建てたら迷惑しごくですから、やりっこはないでしょう。少ないところへ行くにきまっている。これはまことにどうもずさんきわまるもので——でありまするから、冒頭に言うたように、どうもこいつは利権をあさるような法律じゃないか、こういうものを作ってごっそり地方の地所の値上がりなどをねらっているものとの間に手を組んで妙なことをやるようにしか、この法律は働かぬのじゃないかと勘じっておるのは、私一人じゃないと思う。だから、そういう意味でこの法律はむしろ弊害をもたらす危険性だけがあって、そうして第一条に言うような目的を遂行できるような法律に絶対なりっこない、こういう結論を下さざるを得ないのであります。そうであるとかないとかということをここで議論してみたって始まらぬことでありますが、具体性がないのです。今までの御答弁でも明らかなように……。ただ重視しているということは、何もそんなことは聞かなくても……。この点は、要するにここで考え直すべき問題で、とくとお考えなすって、われわれは、もし考えるならば、社会党の案も出ていることでありますから、修正をして、そうしていい方向へ、できるものならそうしたい。そうでないとするなら、これはおやめになった方が危険でなくていいんじゃないかという結論を、これだけの質疑の中でも下せると私は思うのです。  そこで、時間もありませんから、せっかく社会党さんもりっぱな案を出していただきましたから、敬意を表する意味一つお尋ねをしてみたいと思うのであります。  大へんけっこうな御意見でありますけれども、この中で、今質疑応答の中で十分わかっていただいたわけですが、なぜ先に、むしろ雇用の問題よりは、住宅とまではいかなくても、労働者住宅を一これは日本の労働人口というものは、御存じのように過剰人口に悩まされている労働市場なんですから、雇用の問題よりは、その雇用が容易になる客観的な条件を満たすことが、その目的を遂行するきめ手になると私は思う。だから、家賃が安くて住み心地がよくて、そうして生活のための必需物資が低廉で豊富に入るという条件を作ってやれば、労働力は自然に流れていくと思う。ところが、あなたの方には、これを雇用と、こう持ってきたのは、むしろこれに対決する意味なら、住宅と持ってくるべきだ、この辺のお考えを一つ伺ってみましょう。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上議員 先ほどから伺っておりましたが、全くお説の通りだと思います。従って、大都市人口集中排除等も考えるということになりますれば、これは当然一番いいのは新都市だと思いますけれども、しかしながら、新都市構想としては、おっしゃる通り、第一番に取り上げなければならぬのは、その場所に居住して、その場所で働くということだと思うのであります。これはあらゆるニュー・タウンの計画、みなそうなっております。私どもその考え方を持っております。  そこで、今御指摘いただきました点でありますけれども、この法案の二十四条、二十五条に、それぞれそういった点につきましては、大拠点につきましては産業設備公団にこれをゆだね、そうして賃貸をしていこうという形をとっております。二十五条には中拠点、小拠点につきましては、開発公社にこれをゆだねております。  そこで、実はお手元に差し上げておくべきであったと思うのでありますが、産業設備公団におきましては、業務の第二点として「大拠点地区開発基本計画に適合する製造事業者等の工場事業場及び当該工場等に雇用される労働者の住宅を当該製造事業者等々と費用を分担して建設すること。」こういうふうになっておるわけなんでございます。それから地方開発公団でも同じような事業内容を持っている。ただ、これはお手元に今出ておりません。従って、われわれといたしましては、これらの設備公団は、大拠点の方につきましては、全額国庫出資するということになっております。それから地方公社につきましては、地方公共団体の合同の出資、こういう形になっておりますので、そういう形において労働者住宅確保していこう、同時に、周辺に中小企業団地その他の工場団地を持っていこう、こういう考え方になっておるのであります。ただ、お手元に設備公団の内容がいっておりませんので、そういうふうな御忠告をいただいた、こういうことになるのじゃないか、かように思っております。
  106. 井堀繁男

    ○井堀委員 お考えは相当進んでおいでになることはうかがえますが、具体性がやはり一番必要だと思う。もちろん社会党さんが政権をおとりになれば、こんなものはへのかっぱかもしれません。一応保守政権のもとにおいてやはり問題を満たそうということになると、私は住宅の問題だと思うのであります。しかも、可能で、いずれかの抵抗のない問題だと思うのであります。そうすれば、政府の案に対しても、住宅の問題をぐっとぶち込んで一つ通せば、むしろ修正の方が実際的ではないかと思うんです。  それからもう一つは、あなたの言う産業設備公団とかあるいは開発公社という、仮の名前でしょうが、こういう公社、公団というものをこういう場合に利用なされるという考え方について、私はちょっと伺っておきたいと思います。現在、公社、公団、公庫というようなものが、むやみにできてきている。これはもちろんあなた方が政権をおとりになると、こういうものは非常に民主的な運営をされて、民主的な効率が高まってくると私は信じております。現在の段階でこういうものをお作りになることは、特に冒頭にちょっと私が危険を感じておることを述べたように、利権の巣になる危険性がある。利権の代弁者、媒介体になる危険性があるのです。というのは、そういうものの構成ということになりますと、やはり政府の任免や委嘱になるわけです。そしてこういう大きないわば資本主義の行き詰まり、自由主義経済の大きな、要するに一つの矛盾をも克服しなければならぬ客観的情勢に迫られて、政府はこういうものを出してきた。それに便乗する危険性が、一方にあるわけです。そういうものを厳重にチェックしていくということが、野党の役目ではないか。にもかかわらず、こういうものを出してきたことは、むしろそういう危険に便乗させられる危険性があると思うのですが、この点どうですか、伺っておきます。
  107. 井手以誠

    井手議員 お話のように、今日の公団、事業団は乱設の気味がございまして、再検討の段階にあると私も考えております。しかし、御説にもあったように、その運営なりやり方に問題があるわけでありまして、必ずしも公団あるいは事業団というものが悪いとは、私ども考えていないのであります。お互いの立場でいい面を取り上げて伸ばしていこう。しかも、私どもの方で今考えております、この法律案で考えております開発公社は、各都道府県においても最近乱設の気味がございますから、この開発公社に一元化していこうという意志も持っておるわけでございます。趣旨としては御同様でございます。
  108. 井堀繁男

    ○井堀委員 問題は、いろいろと検討を加えていきますると、問題がかなり他のものとも関連をしてくることでありますから、多くをお尋ねするほどの時間がございませんので、結論だけ申し上げて、一つ政府の所信だけ伺って終わろうと思います。  それは、きめ手になるのは、先ほど来繰り返しているように、新しい産業地帯を作ろうとする場合には、日本の場合は、もう労働人口は過剰で悩んでいるくらいあるのです。だから、優秀な労働力を求めない産業はないはずです。要するに、その隘路は住宅だ。だから、住宅の問題を——それもただ住まえさえすればいいのではなくて、しかも十分な労働力を新鮮に絶えず更新させていくということにつきましては、環境が問題だと思う。だから、今日一番日本で急がれなければならないものは、自由主義経済をたどるものも、われわれ社会主義的な経済を理想に掲げるものも、共通の広場として前進できる部分は、私は住宅の問題だと思う。これは利害が共通する。その問題を、故意に落としたとは思いませんけれども、大事なところへ大きな穴があいている法案だと思いましたので申し上げたのであります。今からでもおそくありませんので、こういう点に対する補強をなさる御意思が具体的でなければいけないと思います。この点だけ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市におきます住宅問題が重要であることば、私どもも申し上げた通りでございまして、その点はお認めいただいておると思うのでございます。今の井堀さんのお話は、実質的には現在の住宅政策全般にわたった大きな問題だと思うのでございまして、特殊な産業都市という限りではない大きな問題として、別個の観点から考えるべき問題である。同時に、そういう観点に立って考えれば、新産業都市というものについても、やはりそういう住宅政策というものについて十分な配意をしなければならぬ、こういうことだと思うのでありまして、われわれとしては、できるだけ新産業都市建設する場合に、住宅問題の解決に努力いたしますことは、これは当然のことだと信じております。そのつもりでやるつもりでおります。
  110. 井堀繁男

    ○井堀委員 一言だけ言っておきたいと思いますが、今の中でもまだ強情に固執されておるようでありますけれども、なるほど、全般の住宅政策も問題でありますが、この法律目的を達成するためには、何をおいても住宅政策が先行していかなければならぬのじゃないか。むしろ一般よりも、この場合にこそそういうことが明らかにされて、住宅政策が解決されるように政府の意図が示されなければならぬ。御答弁は逆だと思います。まことに遺憾だと思います。一つ十分反省なさいまして、ゆめゆめこの法案が利権の温床にならないように御注意を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 商工委員会社会労働委員会農林水産委員会連合審査会は、これにて散会をいたします。  なお、本会議散会後、商工委員会をこの部屋において開きますので、商工委員の方は御参集をお願いいたします。    午後二時一分散会      ————◇—————