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1962-06-01 第40回国会 衆議院 商工委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 岡本  茂君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    江崎 真澄君       海部 俊樹君    神田  博君       佐々木秀世君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    首藤 新八君       田中 龍夫君    中垣 國男君       野田 武夫君    林   博君       南  好雄君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中嶋 英夫君    中村 重光君       西村 力弥君    山口シヅエ君       伊藤卯四郎君  委員外出席者         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   中原 英典君         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         検     事         (刑事局付)  大堀 誠一君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         厚生事務官         (大臣官房国立         公園部長)   木村 又雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局栄         養課長)    大礒 敏雄君         厚生事務官         (薬務局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (薬務局企業課         長)      網野  智君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (企業局立地指         導課長)    柄越將兵衞君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         中小企業庁長官 大堀  弘君         参  考  人         (近畿商事株式         会社社長)   伊次 竜雄君         参  考  人         (帝国石油株式         会社社長)   岸本勘太郎君     ————————————— 六月一日  委員原田憲辞任につき、その補欠として江崎  真澄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として原  田憲君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業に関する件  鉱工業に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  中小企業に関する件について調査を進めます。  中小企業金融問題について質疑通告があります。  本日は本問題について、近畿商事株式会社社長伊次竜雄君が参考人として出席されておりますので、一言ごあいさつを申し上げます。  伊次君には御多忙中にもかかわらず御出席いただき、まことにありがとうございました。どうぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお参考人には質疑応答の形式で御発言願うことといたします。  質疑通告がありますので、これを許可いたします。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 実は本日は、中小企業金融一つの型としての町の金融業者といいますか、貸金業者、この問題をとらえまして、その実態を明らかにしながら、その監督行政がどうなっておるのか、そういう点を質問をしていきたい、このように考えております。  そこで、まず第一に大蔵省銀行局にお伺いいたしたいのですが、町の金融業者貸金業者は、「出資受入預り金及び金利等取締等に関する法律」、この法律と、それから「貸金業届出及び貸金業実態調査に関する権限委任に関する政令」、この二つによって規制ないし指導が行なわれておる、このように理解いたします。二つとも言葉が長いので、片方法律といいます。片方政令といいます。そういうことで聞いていきたいと思うのですが、実はよく小説やら映画で、いわゆる町の高利貸しがひどいことをやる、こういうことは、話で聞いておりました。ところが今回私その実態に接したのであります。そこで一体この種の業者に対して、今申しました法律及び政令によって、どのような指導監督取り締まりをしておるのかをお伺いいたします。
  4. 大月高

    大月説明員 貸金業者に対する取り締まりに関しまして、現在の法律上の制度についてのお尋ねでございますが、お話のございましたように、貸金業者につきましては、第一段といたしまして、届出営業ということになっております。従いまして、貸金業を営むときには、まず所轄庁にこの営業開始届出をする必要があるわけでございまして、その点はほかの金融機関、たとえば銀行でございますとか相互銀行信用金庫、そういうようなものが免許事業であるということとまず本質的に異っておるわけでございます。  第二の問題は、金利調整の問題でございますが、一般免許事業でございます金融機関におきましては、金利調整法に基づきまして金利調整をいたしておりますが、貸金業につきましては、「出資受入預り金及び金利等取締り等に関する法律」に基づきまして、日歩三十銭を最高限度とするということで、司法的な取り締まりが実行されておるというのが実態でございます。この取り締まりにつきましては、この法律大蔵省法務省との両方の共管になっておりまして、預かり金かどうかという法律上の解釈の問題につきましては、主として大蔵省主管になります。それから金利取り締まりの問題につきましては、主として法務省主管ということになっておりまして、この両者におきまして具体的な問題あるいは全体的な法律解釈については協議しつつ運用をはかる、こういうことになっておるわけでございます。具体的に貸金業者監督する第一線といたしましては、監督の全権限都道府県知事委任してございまして、それによって具体的な行政的な取り締まりをいたしておるわけでございます。ちょうど一般の質屋さんの営業が、都道府県知事監督下にあると同様でございまして、中央官庁としては具体的な事例についてはタッチしないという建前になっております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど今言われたように、法律委任事項として都道府県知事においてこれを監督しておる。そこで私最初は大蔵省直接だと思って、実は神戸財務事務所に照会してみましたら、県だというので県の商工労働部総務課長に会いました。ところがそういうことになっておりますが、予算一つもないのだ。従って、ほとんど何もしていない、こういうのが実情であります。ただ警察が、今の金利取り締まり等の方面において、若干法違反があった場合にはやるというのが実情だ、こういうことなんです。いうなれば行政面においては野放し状態である。従って、こういう法律がありながら、それが何も適用されずに野放し状態である。従って、われわれは中小企業、ことに零細企業金融の問題を委員会において何回となく取り上げた。しかし、われわれの決議はいわゆる金融機関に対してであって、この種のものを含んでいなかった。そこで幾らわれわれが中小企業零細企業金融問題をやっても、この種貸金業者の手にかかれば、必ずつぶされるようになっておる。その実態は今から明らかにいたしたい、このように思うわけでございます。  そこで何らかの方法でその実態をつかみたいと思っておりましたところ、たまたま近畿商事と申しまして、兵庫県竜野市に本社を持ついわゆる貸金業者、これの実態をつかむことができましたので、はなはだその会社に対してはお気の毒ですが、他の貸金業者も大同小異であろうと思いますので、今から法律違反の事実を逐次あげて参ります。従って、関係政府当局は、その法律違反の点をよくメモしていただいて、あとで明らかにしていただきたい、このように思うわけであります。  そこで伊次参考人にお伺いいたしたいのですが、法律第七条では、届出事項が明記せられてあって、その届出事項に変更を生じたときにはこれを届出ねばならないということになっております。ところがあなたの会社実態を県で調べましたところ、まず第一に、役員名前代表者名前が変わっております。届出衣笠一郎氏ほか数名の役員名簿になっております。ところが、あなたが現実に取引をし会社を代表しておられるのは、ここに私、公正証書謄本を持っておりますが、伊次竜雄氏あなたであります。従って、第七条に関する届出の件はどうなっておりますか。
  6. 伊次竜雄

    伊次参考人 ただいまの御質問でありますが、前社長昭和三十三年一月三日に卒中でなくなられた。私はもともと学校の教員をしておりまして、三十年勤めまして恩給をいただいておるのでありますが、役員会を開かれた結果、畑違いの私に向けて、このあとをどうかやってくれぬかというお話が出まして、私は畑違いであるので、とてもその重責にたえることができぬと再三お断わりを申したのでありますけれども……。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう身の上話はけっこうです。
  8. 伊次竜雄

    伊次参考人 そこで私が一週間の猶予をいただきまして、そのあとを受け継いだのでありますが、受け継いだときに届出をしなかったのは、私は知りませなんだ。実は税務署、失業保険社会保険県税財務事務所、その方には届けたのでありますが、県に届けるということを私は少しも知っておりませなんだ。それで届出をせなんだのでありますが、県の方から岸本、浜田両主事の方がお越しになりまして、会社内容その他を御調査になって、届出の件についてお話がありまして、ただいま申し上げた通り申し上げました。届け出るようにという命令を受けておるので、帰りましたならばさっそく届ける予定をしております。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 お聞きのように、三、四年前から就任しておいて、そのままになっておる。県の方から調べに行ったということは、私が県に調査に行ったからであります。この届出義務を怠ったものについては、やはり法律によって罰則があるはずです。十二条に罰則があります。  さらにもう一点、届出を怠っておるのは、営業所事務所を届け出る必要があります。県の登録では出張所は姫路と相生だけになっております。ところが、現在本店を除き八カ所に支店、出張所を持っておられる。あげますと、加古川、高砂、網干、相生、赤穂、上郡、佐用、山崎、これも七条違反で十二条で罰則にかかる問題であります。ことに、この罰則行政罰でありますから、犯意を必要としないと考えますが、法務省はどう考えますか。
  10. 大堀誠一

    大堀説明員 お答えいたします。十二条の一号に「届出怠り」とありますが、その「怠り」の意味は、これは故意過失、いずれも含むと解釈いたします。ただし虚偽届出につきましては、故意犯だけに限ることはもちろんであります。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 虚偽届出故意犯でしょう。だから私の言っているのは、これは行政罰なんです。従って、自然犯でないから犯意を必要としない、届ける義務を怠ったことだけでも十二条の違反になるのじゃないか、こう言っておるのです。
  12. 大堀誠一

    大堀説明員 お答えいたします。「怠り」の場合は、おっしゃった通り怠りだけで、その怠り故意であろうと過失であろうと、いずれにしても処罰されるわけであります。しかし、怠り虚偽届出はまた別な問題でありまして、虚偽届出の場合には故意犯だけが処罰されるということでございます。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 これで一つ法律違反が出て参りました。  次に、法律の第二条では、いわゆる預かり金の禁止を出しております。これは銀行その他特別に法で許されたもののみに許される行為であります。従って、この種金融業者貸金業者には当てはまらないのです。  そこで伊次参考人にお伺いしますが、これはあなたの方の電話帳広告を切り抜いてきたのですが、金融利殖ということになっている。利殖とはどういう方法なのでございますか。
  14. 伊次竜雄

    伊次参考人 御存じのように、昭和二十九年六月二十三日の百九十五号によって法令が改正になりまして、第一条では、受入金制限、第二条では、預かり金の禁止ということが明記せられておるのであります。この点については、決してしてはならないという規則になっておることは十二分に存じております。県におかれましても、昭和二十六年七月二十一日に通達がありまして、特にこの点に関することと、利息の高いのをとってはならぬ、もう一つ債務者相手方とのいざこざの起きないようによく注意するようにという通達を受けております。従って、出資の問題でありますが、この受入金制限は、縁故知人限り特定のものとみなしてお許しを得ておるのであります。そのほかの預かり金に関しましては、一切これをやっておりません。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 私の聞いておることに答えていただきたいのですが、ここの広告利殖ということは、どういうことなんですか。何を目的として広告の中に利殖ということをお入れになったのですか。
  16. 伊次竜雄

    伊次参考人 その件でありますが、私のやっておりまするこの貸金業は、普通の人の思うておられる短期の貸金業と違いまして、愛される金融会社になりたい、そうしていつまでも永続したいというところで、貸金を日戻しで返してもらう、この日戻しで返してもらう貸金に重点を置きまして、八割まではこの日戻しを中心にしておるのであります。お客様の中に、この日戻しに関しまして——私の方では、百五十日、二百日を基準といたしまして、百日、百円掛で使っていただいたら利息は十銭、百五十日、百円掛で使っていただいたら十五銭、二百日、百円掛で使っていただいたら二十銭ということになっております。使っていただいたときに、その利息をもらうのでありまして、ほかの金融業者がやっておられますのと違いまして、一般消費者の便宜をはかりますために、初めから申し込まれたらすぐにお金が貸せる……。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 そうじゃない。利殖はどういう意味かと聞いているんですよ。
  18. 伊次竜雄

    伊次参考人 そこでお客様から金を貸してくれと申し込まれて、調査に一日かかりまして、あくる日お金を出すときに、約手なんかがまだ回ってくるのがちょっと延びたとかなんとかで、申し込んでいるけれども、もうしばらくちょっと待ってくれと言われて、延ばされることがある。これが一般の方の使われる関係上延ばされることがありまして、申し込まれたときに、第一回の掛金をお願いするのでありますが、延ばされたり、ほかからの金融面関係がありまして、使われない人も出てくることがあるのであります。そのときに、この百日に対して百五十円、二百日に対して六百円の利息を差し上げることになっております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 何だか回りくどいことを言われておりますが、利殖ということは、預かり金を意味するんですよ。参考人うそをおっしゃるのなら、委員長にお願いして、直ちに証人として切りかえていただき、宣誓の上、偽証するときには懲役十年以下の罰則のある手続をとりたいと思いますが、いかがでございますか。
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 もう少しはっきりさせてから……。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたがうそをおっしゃるならば、今言った証人手続をとって、宣誓してお伺いすることにいたします。  私の調べたところでは、日掛、月掛にいたしまして、日に三百円なり五百円、月に何ぼという定額の金を集めている。それは借りることを前提としている人もあるでしょうが、そうでない人もある。こういう行為一つ定期預金にひとしいと思う。従って、法二条の禁ずるところであろうと考えます。しかも今参考人本人が申しましたように、掛金を一方にして、貸してやるということは、歩積両建の制度であります。これが公然と行なわれている事実を参考人自体が申しております。  そこで今言ったような、これはいろいろやり方によって問題が出てくると思うのですが、日額三百円とか五百円という定額を集めて回る、それに一定の利子をつける、この行き方は、いわゆる預かり金の業務になるか、ならないか。すなわち法二条に規定する行為になるか、ならないか。もしその行為に該当するとすれば、第十一条で懲役を含む罰則がございますが、その点について、まず法制局から見解をただし、及び法務省見解をただしたいと思います。
  22. 山内一夫

    山内説明員 具体的な案件がどうなっておるか私知りませんけれども、今、田中委員がおっしゃった通りだとずれば、これは二条の預かり金になる、こう思います。
  23. 大堀誠一

    大堀説明員 法制局と同意見であります。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 法制局それから法務省が言われたように、私の言うようなことであるならば、明らかに法二条違反であり、十一条の罰則の適用を受けるのです。従って、これは都道府県委任をしているとはいえ、所管は大蔵省でございます。直ちにそういう方法であるのかどうかを調査の上、当委員会報告していただきたい、こう考えますが、いかがですか。
  25. 大月高

    大月説明員 法律上の解釈につきましては、田中委員の仰せの通りだろうと思います。業としてということは、反復、継続するということを考えます。それから不特定多数の人から金を預かるという行為、この二つの要素がありますれば、第二条に触れると思います。従いまして、今のようなお話でございますれば、直接の監督兵庫県知事でございますから、兵庫県知事に依頼いたしまして、十分な実態調査をしていただきまして、それによってわれわれの見解を定めて後刻申し上げたいと思います。ただ、この問題は非常に具体的な問題でございまして、やはり司法処分あるいは警察処分というような問題に関連いたしますので、この具体的な案件がどうであるかというような問題については大蔵省の問題ではないと考えておりますから、具体的な最終的な結論を申し上げるということはあるいは不可能かと思いますので、あらかじめ御了承願いたいと思います。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 政令委任によって府県知事がやっている。そこで私も県の方にも言うております。直ちに私はこれを聞くから、大蔵省銀行局長に六月一日までに間に合うように報告しておけ——そういった報告が来ておるかどうか知りませんが、あなたの方で処罰ということじゃないのだ、実態を取り調べてもらいたいということなんです。それからここに警察庁も見えておりますが、警察の面からも、あとからいろいろ法律違反の問題をあげていきます。それを取り調べてもらいたい、こう思うわけでございます。  それから法第七条によると、業務方法も届けることになっております。ところが県の方では、私はこの法律によっていわゆる業務方法書というものを考えておりましたが、そういうものではないらしい。ただ、単に「動産不動産斡旋並びに売買貸金業。」二が「統制局外商品売買業、但し官庁の許可を要する商品を除く。」三が「前号に関連する一切の業務」、こういうことになっておるだけなんです。私は、少なくとも最高金利あるいはその返還の方法の原則、こういうものは届け出さすべきだと思うのですが、この法律からはその程度でいいのですか。
  27. 大月高

    大月説明員 最初申し上げましたように、貸金業者に対する監督は、行政監督ではなくして、警察及び司法監督という建前になっております。大体においてどういうような業務をやられるかということを都道府県知事において把握していただくということが主になっております。そういう意味で、われわれが銀行相互銀行信用金庫というようなものを監督いたしております内容とは若干違いまして、監督内容は荒くなっておると思います。そういう意味で、この政令に要求してある程度の届出を要求しておる、こういうように思います。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 お聞きのように、法律第八条では、大蔵大臣主管をして、報告及び調査をすることになっております。ところが政令都道府県委任しておる、こういうことで、何らやっていない。兵庫県の実例を見ました場合にも、予算一つもないので実際やっておりませんということなんです。従って、これからいろいろと私明らかにして参りますが、野放図なことをやっておるのです。私は、大蔵省金融関係について、これは政令都道府県委任しておるのだから何も知らないということは許されないと思います。しかし、事実はそうであるならば、あとで調べたらいいと思うのですが、政令の第一条第二項では、「貸金業開始届出に添える書面には、業務の種類及び方法を記載しなければならない。」こうなっておるのです。ところが、私の調べたところでは、今言った三つだけしか書いてない。しかもそれはこの近畿商事定款二条にある業務の書類と一緒なんです。動産不動産とあるのですが、あなたの方は不動産関係については……。
  29. 伊次竜雄

    伊次参考人 一切やりません。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待って下さい。建設大臣の認可を受けておられるのかどうか。一切やりませんということだから受けておられないと思うのですが、届出及び定款には動産不動産売買ということになっておる。このことは、とりもなおさず差し押えをしてこれを競売にする、この手段を通じて弱い者いじめをして、悪らつなる方法をとっておる。そこに動産不動産売買ということを書かなくてはならぬ理由があるのだと思うのです。  次に、私は具体的事実をもってお伺いいたします。ここに、公証役場で作った公正証書謄本を持っております。まず第一点にお伺いいたしたいのは、債務者につきましては、甲乙丙という——人格的な関係から名前は申し上げません。甲というのが借りまして、乙、丙はその兄弟なり、おいでございます。ところが、この二人は連帯保証となっておることも全然知らない。しかし、判を貸してくれということだったので判を与えたと思う。そこで、公正証書によると、右三名の代理人として有川政秋というのがなっております。それから債権者代理として、近畿商事株式会社代表取締伊次竜雄氏の代理としては森崎清道氏がなっております。ところが、私が調べました結果は、この両名とも近畿商事社員でございます。民法第百八条では双方代表禁止いたしております。なるほどこの森崎某有川某は、人格は個人として違いますが、ともに近畿商事会社社員であります。この場合の取引相手方近畿商事株式会社であります。そこの社員双方代理をするということはどういうことでございましょう。これは民法百八条にいうところの双方代理に抵触しないかどうか、しかもそれが印刷してあるということです。全部名前が印刷してあるということです。そのことは、いかなる場合においてもこの二人が代理人として、一つ会社社員債権者及び債務者代理として、知らないうちに公正証書を次々と作っていっているということです。公正証書を作れば、手続として執行文不要で直ちに強制執行ができるという民法の規定を逆用して、——今の日本の民法は、なるほど権利本位に書いておりますから、そういう者には都合がよく書いてあります。しかしながら、この種の人たちは、自分たち都合のいい民法は知っておるが、そうでないところは知らないだろうと思うのです。まずこの双方代理の件について、法制局はどう解釈しますか、法務局はどう解釈しますか。
  31. 山内一夫

    山内説明員 双方代理に該当する行為をすれば、その行為は無効であるということは明らかだと思います。ただ、それが公正証書に表われたという公正証書自体の効力がどうなるかということは、一つの問題がありますが、今、もう少し私考えてみませんとあれですから、その点、公正証書が独自の効力を持つかどうかについて、もう少し考えさせていただきたいと思います。
  32. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 私の方も少し研究させていただきたいと思います。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 民法百八条の双方代理という件に抵触すると私は思います。しかし、その契約自体が無効であっても、公正証書それ自体がどうか、こういう点の手続には問題がある、こういうことは私も了解いたしましょう。ただし、このような印刷をしておるのですよ。しかも、その公証役場それ自体が、あとでまた明らかにするが、このようなべらぼうな法律違反の事実を出すということならば、私は、法務省から、その公証人等についてもやはり何らかの格好で監督なり制限をしてもらわなければ困ると思うのです。その公証人名前は、兵庫県姫路市北條口七十七番地、公証人原敬三と申します。その公証謄本が、こういう代理者まで印刷をしたもので、金額と債務者名前とだけ書けばあとはもう——それから番号なんか書きますね、それから利息、そのほかは全部印刷ですよ。このことは、常に双方代理が行なわれていることを知りながら、公正証書を作っているということになる。これは公証役場についても一応の調査を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  34. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 主管の民事局に連絡いたします。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 法の——法というのは先ほど言った長たらしいやつです。その中の五条には、日歩三十銭以上はいけない、これは処罰の対象になることになっている。この規定と、利息制限法その他利息に関する法律関係はどういうことかというと、これは利息制限法違反の超過したものは、自然債務として裁判上要求ができない、こう理解している。この法律の五条の日歩三十銭というのは、処罰の限界だ、こう解釈しております。従って、いかなる方法によって公正証書に書かれてあったとしても、利息制限法をこえる部分については、これは裁判上の請求権はないと解釈いたしますが、法務省並びに法制局見解はいかがかとただします。
  36. 山内一夫

    山内説明員 利息制限法を超過する金利がそこにありとすれば、その超過部分については、公正証書があっても私は無効であると思います。
  37. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 私の方もよく検討いたします。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 それにかかわらず、それをも入れたやつで計算をいたしまして、それを元金として差し押えをいたしております。その差し押えがいかなるものかというと、まず、民訴の五百七十条を見ていただきたい。民訴五百七十条三号には、生業を営んでおる者の、その生業に対する機械設備その他は差し押えできないということになっておるのです。ところが、ここに差押調書を持ってきておりますが、現実にやっております。このことは執行吏の問題なのか、それとも、債権者代理として立ち会った森崎某なる者に問題があるのかは知りません。おそらくは、第一次的には執行吏に対しての問題だろうと思うのです。こういう五百七十条三号のようか、禁止せられておるものに対する差し押えの効果は、どんなものであるか伺いたいと思います。
  39. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 恐縮でございますが、問題がすべて民事局の所管でございまするので、あとでまた相談いたしましてお答えいたしたいと思います。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 具体的に言いますから、よく聞いておいて下さい。執行吏は、神戸地方裁判所姫路支部柴原重市、それのところに動産差押調書なるものを持ってきております。この問題にいたしております公正証書連帯保証人たる乙はコンニャクの製造業者であります。それに対しまして、この裏に何ならあとで控えていただきましょう、コンニャク製造のすべての機械を差し押えております。明らかに民事訴訟法五百七十条三号違反の差し押えだと思います。これをやりました執行吏の責任とこの法律による効果の問題を明らかにしてもらいたいと思います。ところが、今、所管が違う、管轄が違うということでありますから、直ちに調査をして報告をしていただきたい。しかもそれは競売期日が近づいております。私は、競売してくれたらいいと思うのです。競売にしたらおもしろい問題にしてやろうと思っておりますが、まあ早く調べた方がいいと思います。
  41. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 執行吏に対する監督の問題は最高裁判所の問題でございますので、直ちに最高裁判所の方に連絡いたします。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたでできますね。できなければ直ちに最高裁判所長官ないしその代理者を呼びますが、やりますか。
  43. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 向こうに、ただいま承りましたことを連絡することはすぐにできると思います。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 利息制限法をこえるところのものは、自然債務としては法律上の義務ではないということは明らかになりました。そういたしますと、そのことをも含めて差し押えをやる、ぎょうぎょうしく人がやってきて執達吏が差し押えをやるというならば、利息制限法違反利息法律上の義務ではない。ところが、差し押えという手段を通じてこれが一つ浮かんできた、交通事故のようなものだと私は思うのです。ほかにいろいろな手段がたくさんあると思います。そうするならば、義務なき者を生命、財産等に関しておどすことによって、義務なきことを行なわせしめるということ、すなわち刑法二百二十三条の強要罪になると思うのですが、その点は法制局並びに法務省はどう考えますか。
  45. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 おそれ入りますが、もう一度事実関係をお伺いしたいと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 利息制限法違反のこえる利息法律上の義務じゃないわけです。義務とは言えないわけです。ところが、それをも含めた金額を対象として差し押えをするわけです。そうしてその利息制限法をこえたものを債権者代理森崎某は私どもにもはっきりと、できます。やってみせますと言った。こういった事実は、義務なきものを行なわせたことになりませんか。法律上請求できないものだ。それを差し押えという財産上の脅威を与えて実行せしめるということは、刑法の二百二十三条の強要罪に該当すると考えますが、いかがですか。
  47. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 刑法の強要罪には、ただいまのお話のような司法手続による強要を含むということに解釈することにつきましては、多少疑問があるように考えます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 その司法手続自体がすでに法律義務なきものをして義務を行なわしめるということを含んでおるのですよ。なるほど執達吏という公務員を使い、受ける身からは明らかに財産上あるいは信用上の大きな脅威なんですよ。そうして差し押えをしておいて、利息制限法の違反利息であろうが何であろうが、どんどん取り立てていくということなんです。まさに私は強要罪を適用するものだと思います。刑法二百二十三条の強要罪の成立要件、これを一ぺん聞かせていただきたいと思います。
  49. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 正確なことはまたあとで調べましてお答えするのが適当かと思いますが、たとえば債権が現存しませんのに、あたかも債権があるように偽りまして裁判所に訴訟を提起いたしまして、勝訴の結果、強制執行をするというような事案につきましては、詐欺罪が成立するという判例はございます。従いして、司法手続を悪用して、人から不正な利益を得るという場合には、あるいは詐欺の成立があるかもしれないのでありますが、強要という概念には入りにくいのではないかと考えておる次第でございます。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、もう一度条文を読んで検討してもらいたいと思います。二百二十三条は「生命、身体、自由、名誉若クハ財産ニ対シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ脅迫シ又ハ暴行ヲ用ヒ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ又ハ行フ可キ権利ヲ妨害シクル者ハ三年以下ノ懲役ニ処ス」となっております。「義務ナキ事」とは何か。利息制限法をこえた利息義務なきものであります。差し押えという事実はまさに財産に対する脅威であります。どうでございますか。
  51. 山内一夫

    山内説明員 先に利息制限法の考え方に触れたいと思うのですけれども、この利息制限法の考え方は、いつぞや田中委員の御質問がありましてお答えしたと思うのですが、われわれの方のそのときの考え方というのは、実体法上の債務というのは自然債務的にはあるのだ。ただそれを、裁判上それは利息制限法に違反するから払わないのだと主張した場合には、裁判所はそれに対して救済を与えないという意味で、われわれは利息制限法を理解しているわけであります。そこで義務なきものということを端的に強要罪との関係で言い得るかということが問題だと思うのです。それからもう一つは、強制するということは法権力がそこに介在しまして、それが一定の措置をとりましたときに、それが法の強要という行為に直ちに該当するかどうか、その点が一つ問題だと思うのです。そこで事実関係の場合において、かりに無効であるような公正証書を振り回して、ほかにこういうことをしなければ差し押える、そういうような形で事実関係が出て参りました場合には、あるいは強制、強要罪ということも成立するかと思いますけれども、その辺の関係を前提としませんと、直ちに強要罪が成立するかどうか若干疑問の点があるように私は思います。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 警察庁はどうお考えになりますか。
  53. 中原英典

    ○中原説明員 今の法制局の御意見と同じで、若干疑問があるのではないかと存じます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 最高裁とかどこかのそういう判例が出ておりますか。
  55. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 強要罪につきましては、判例はございません。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、刑、法というものについての最終的な解釈最高裁の判例だと思います。従って、判例がないのなら、一応研究の必要はあると思うのです。警察庁においても研究してもらいたい。研究の結果を私にまで知らせてもらいたい。ここで私が告訴をするということになれば、高利貸しのような人たちですから、私を誣告罪で来るかもしれません。そういうことはいたしませんが、研究してもらってもいい問題ではないかと思いますが、いかがですか。
  57. 中原英典

    ○中原説明員 十分に研究いたします。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、あるいは若干こじつけだと思いますが、考えようによっては二百二十三条ですか、強制罪になるのではないかと思います。おもしろい事案じゃないかと実は思っております。  それから、具体的な、今申しました公正証書によって事実問題を明らかにしていきたいと思いますが、これには元金が十九万九千円となっている。これはちゃんと受領したとなっている。ところが実際受領したのは十四万何ぼ、それに五万何千円というものが上にかぶさっている。それから年三割六分の利息がつけられておる。そして十九万九千円を毎日百九十九回にわたって千円ずつ払うという契約になっておる。これはこの上では持参払いとなっておりますが、実際は集金人が集めに来るようになっておるのですが、そういうようなことがほんとうに履行できるかというと履行できません。この十四万円が十九万九千円になって毎日千円ずつ百九十九回に払う。そして一日でも怠ったときにはその翌日から三分六厘の利息がつくわけです。そして二日怠れば次のやつに三分六厘、片方はその三分六厘の二日分、三分六厘が日歩幾らになるのか、あるいは十四万円を公正証書に十九万九千円と書いたこの差額及びこの利息、それを合わしたら法の第五条にいう日歩三十銭を超過するかしないか、これは私も計算をしておりませんのでわかりません。しかし、同じく法の五条の三項ですが、「第一項の規定の適用については、利息を天引する方法による金銭の貸付にあっては、その交付額を元本額として利息を計算するものとする。」第四項には「一年分に満たない利息を元本に組み入れる契約がある場合においては、元利金のうち当初の元本をこえる金額を利息とみなして第一項の規定を適用する。」とある。少なくとも日歩三十銭とならないにしても、第五条の第四項に該当するのではないか。これは一つ頭のいい銀行局等で計算をしてもらいたいと思います。計算の結果が私の申し上げておる法第五条の一項並びに三項、四項を合わせまして、この処罰の対象になるかならぬか、この結論を計算の結果出してもらいたいと思います。計算の基礎になりますので、私は本人からいろいろとそのことを聞いておりますが、一方的ではいけないので参考人からも、あなたはこのことを知っておられるはずだから、お伺いしておきたいと思います。それは先ほど言ったように、名前を伏せております。従って、公証役場の番号が七千六百七十三号の分です。あなたは知っておられるはずですから、元利合わせて何ぼになったか、お伺いいたします。
  59. 伊次竜雄

    伊次参考人 私の会社におきましては、執行部というものは独立しておりまして、ただいま申し上げたように森崎清道氏が執行部長をしております。この問題に関しまして、田中先生は私のところへお話しにおいでになった。先生とのお話は政治的折衝はできたのでありますが、執行部の者がどうもいかぬというてこれを行なったらしいのでありますが、森崎氏はどういう計算を出したか知りませんけれども、社長といたしましては、金利面に関しては一切違反はしておらないという自信を持っております。県から岸本、浜田の商工、労働総務部の主事の方が見えて、いろいろと調査になりましたが、何ら違反になっておらないという言いつけでありまして、私の方はそう高い金利は取っておらぬと思うのであります。短期で四分、日掛の金利につきまして、商工部の方の御意見では、この出し方に三通りある。私の方で出しておりますのが日歩十九銭九厘、商工部で出されたのが二十一銭になっております。これば出し方が三通りあって、お前の方でやっておるのもそれは間違いではないというて、ここにそういう許可を得ましたわけで、私の方は、決してこの金利について違反をしておるということは毛頭存じておりません。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは執行部のことは執行部長の森崎氏にまかしておる、私は知らない……
  61. 伊次竜雄

    伊次参考人 それは言いません。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 これは何ですが、ここではそれは通りません。あなたは法人の代表者でございます。お聞きのように、していないとおっしゃる。私は今言ったように、法律の第五条一項と、三項、四項を合わせて計算した場合に、なるかならぬか私も計算していないからわかりませんが、一つ計算をしてもらいたいと思います。そのために大蔵省の方にあとでこれを渡します。これは何でしたら、法務省もごらんになってよろしい。こういう事実があるということだけを明らかにしておきたい、こう思うわけです。そうして今言った公証役場にも問題がある、悪く言うならば、高利貸しと組んでやっております。そして形式的に、「右の者については面識あり」云々、「読み返したところ、異議なく捺印した、」こういうことになっておる。これがすべ  てこんな印刷になっておる。公正証書としてもあまり権威もない。そんなことで通るのですか。全部印刷ですよ。いかなる場合にも、債権者代理はこれ、債務者代理は同じ社員がやっておる。それは金を借りたいものは、とにもかくにもうそだましても、兄弟、親の判を持って出るのです。あるいは家をあばれても盗んで出るのです。そういう手続を本人は何も知らないんだ。ところが突然内容証明がきたり、突然差し押えがきて初めてあわてるのです。私は、連帯保証がどういう性格であるのか、印鑑を渡すことによって、いかなるものを作られても、白紙委任状を取られても、その白紙委任状にどんなことを書かれていてもわからないということを知らないという事実がばかだと思うのですが、それに乗じて悪らつなことをやっているということが、現在の貸金業者実態であります。従いまして、大蔵省においても、これは政令によって都道府県委任しておるんだといったような安易な考え方ではどうにもならない。われわれは何回となくこの委員会において、中小企業の危機を救うべく、金利に関する決議を何回行なっても、こうした野放し状態にあって、おぼれるものはわらをもつかむという考えで金を借りる。そうするならば、今言ったように手取りが十四万、それが十九万九千円として、元金として公正証書面にまさに受け取ったことになっておる。天引きなんです。しかも月掛、日掛で集めておいて、片方においては借金の利子はものすごく高い、片一方は軽い。これは両建、歩積み、まさにその通りであります。われわれが何回委員会において、両建、歩積みのことに対して問題にいたしましても、今度のようなことになったら大へんだと思うのです。大蔵省は直ちに兵庫県と連絡をし、その実態を調べていただきたい。そうしてその結果について、次の委員会までに明らかにしてもらいたい。なお法務省並びに警察庁は、私、数点の法律違反の事実をあげました。まだ必要ならば、もっとあげてもよろしい。そういう事実について、次の委員会までに、調査の結果の御報告をいただきたい、かように申し上げます。  さらに公正取引委員長に対しましては、そのようなわらをもつかむというような心理を利用して、まさに不公正この上なき取引が巷間行なわれておるということで、公正取引委員会の立場からも、この貸金業者に対する監督といいますか、調査、この問題をやはり僕は等閑に付してはならないと思う。詳細に今申し上げました、具体的な会社名前もあげておりますので、公正取引委員会としては、その立場に立って、調査の結果をこれまた聞かしていただきたい、このように思います。  まだいろいろと参考人に聞きたい点等もありますが、何ならばもう一度参考人に来てもらうかもわかりません。今申しました点について、あらゆる調査ができました場合に、その中において具体的な事実をつかみながら、この次には参考人としてではなく、証人として来てもらうかもわかりません。そういうような方法によって、私はそういった悪らつな貸金業者に対して、この際鉄槌を加える必要がある。従って、法律の改正も必要だ。大蔵省は、都道府県に届けたままになっており、都道府県は、ただ届出の一片の紙を持っておるだけで、その実態をつかんでいない。やっておる本人は、そういうことを届け出る必要があるということも知らぬ、こう言っている。あなた自体、あなたの会社届出の番号を知っていますか。百七十二号です。こういう事実なんです。こういうことで大蔵省としても、金融統制とか何とかかんとか、自分の権限の及ぶところでは大きな顔をしておりながら、こういううるさいことになると都道府県知事にまかしてしまう。都道府県はこのための予算を持たない。いつもおたくの金融課長と県の商工、労働部、総務課長がやりとりしておるが、とにかく頼むということぐらいでやっておるらしい。そういう事実に対して法の改正を必要としている。少なくとも監督のきびしい銀行とか、そういうものにすら、業務方法書というはっきりとしたものをとっておるのじゃないですか。こういったちまたのものに対して、どういうことをやるかというと——業務方法書も、法律政令では私はそういう解釈もできると思いますが、そういうものを取っていない。しかも法律禁止しておるところの利殖という好餌をもって預金業務を行なっておるという事実がたくさんあります。そういうことに対して、この際徹底的に一つ調査をしてもらいたい。必要ならば、次の国会においてこれに対する法改正をしてもらいたい。あなたがやらなければ、こちらの方から議員立法でやりたい、こう考えております。これについて一言、監督の職にある銀行局長から答弁を願って、あとは保留をいたして、その調査の結果をもってもう一度実態を明らかにしていきたい、その結果、私は法律を作るところまでやりたい、このように考えております。
  63. 大月高

    大月説明員 ただいまの田中委員お話は、全体の金の流れにつきまして、国がどのような形態で監督をしあるいは規制をしているかという、基本的な問題に触れておると思います。現状における考え方を若干御説明申し上げますと、やはり金融の中核になっておりますものにつきましては、大蔵省が直接免許をいたしまして、特に厳重な監督をいたしておるわけでございます。その面につきましては、一つ金融の流れを正常化するという問題はございますけれども、むしろ本質的に、一般の大衆から金を預かる機関であるということをわれわれの本質的な考えといたしておるわけでございまして、一般の大衆から金を預かっておる機関につきましては、その資金の運用につきましても、十分健全性を確保しなくてはいけない、そういう意味で預金者に迷惑をかけないということが、国としてあるいは大蔵省としての最大関心事でございます。しかもそういう金を預かる機関につきましても、やはりそれぞれの性格によりまして、非常に重要性を持っておるものとそうでないものとがあることは御存じの通りでございまして、現に監督の態様といたしましても、中小企業等協同組合法に基づきます信用協同組合につきましては、直接の監督都道府県知事に全面的に委任してあるというのが実態でございます。その次に、一般の大衆から金を預かることはいたさない、むしろ預かることを禁止しております業態でございましても、なおかつ一般の庶民のために金を貸すという仕事をしておるものがございます。ただいま問題になっております貸金業者及び質屋営業これはその種類でございます。この点につきましては、かりにその貸金が貸し倒れになる、その会社がつぶれる、あるいは質屋さんが営業が成り立たなくなるということはありましても、それは金を預かっておるということではございませんので、一般の大衆に迷惑をかけるということはないわけでございます。そういう意味におきまして、大蔵省といたしましては、特にみずから監督する必要がないんだ、こういう態度をとっておるわけでございます。しかし、一般大衆に金を貸しております貸金業者及び質屋営業者につきましては、社会的正義の観点から、今までお話がございましたように、一般大衆に対して非常な高利をもって金を貸すということは社会正義に反する、こういう感覚をもちまして、金利についてのみ最高限度三十銭というものが定められておるわけでございまして、その範囲において貸し出しをやっていただく。その取り締まりにつきましては、むしろ警察取り締まり及びもし法律違反がございましたならば、それは司法権の発動によって取り締まるというような感覚でおるわけでございまして、その中間において私法的な関係利息制限法によって規制するというのが全体の考えでございます。そういう意味におきまして、かりに大蔵省貸金業者直接の監督をいたすといたしましても、現在の銀行あるいは相互銀行信用金庫に対する監督と観点が全然異なっておるわけでございまして、われわれの感覚からいたしますれば、その必要はないということでございます。かつ手数という点から申しましても、数万という数がございまして、かつそれが毎年何千という新規営業者ができ、何千という業者が廃業いたしておる、こういうような実態大蔵省自身において直接監督をし、規制をするということは煩瑣であってかつ益がない、こういう立場をとっておるわけでございまして、われわれといたしましては、現在の法制上の立場を変えるということは、目下のところ考えておりません。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう考えだから、無登録でやっておるものがたくさんある。また登録してもいまだ一つ調査なり何をやっていない。今の事実をもってしても、三十何年に社長がかわってから今までほってあった。これは法八条にははっきりと報告及び調査という項目があるのです。それすら行なわれていないというのが事実なんです。それから、そういうことが案外社会悪として、そのために首をつったりあるいは一家四散したりするような事件はたくさん起こっておるのです。あまりにも私はこの貸金業者に対して政府は無感覚過ぎると思うのです。なるほど何千といったような種類がある、それが出たり入ったりしておることも事実でありましょう。それだけに私は握っておく必要があると思う。この法律によれば、業務の停止とかそういうこともないんですよ。そういうひどいやつについては、業務の停止なりあるいは登録の取り消しなりやるようにしなければいけないと思う。法律違反の事実をあげましたが、こういうことに対して、業務の停止等の処罰はできますか、できませんか。
  65. 大月高

    大月説明員 現行法においては、そもそも設立につきまして自由営業でございますので、逆に言えば業務停止もやらない、こういうことだと思います。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 従って私の言うのは、そういったこともできるような法改正が望ましい。そうしなければ、警察にまかしておるといったって、警察はその日その日に追われて、貸金業者の一々の利息まで調べられぬと思うのですよ。こういうことこそ大蔵省、県あるいは警察その他の責任のなすり合いになっておると思うのです。いいことならばなわ張り争いで取ろうとしておりながら、こういうことは県がやっております。県はいや警察がやることになっておりますということで、警察はつまらぬことに一々、貸金業者利息法律の五条に違反しておるかどうか、そんなことを調べて回る余裕もないと思います。従って、法律による取り締まりが必要である。少なくともここには調査報告という規定がある。それは県知事に委任してあるというけれども、県自体もやっていないのです。しかし、法の建前は、やっぱり大蔵大臣です。金融はあなたの方の所管なんです。そのくらいのことははっきりやるようにさせなければいけない。そのためには、予算も必要だと思うのです。予算は全然ないのです。こういうことだから、ますます増長するのです。見ておられないような事実がたくさんあるわけなんです。そこで、私はあえてこういうことを問題として——ことに零細企業がこのためにどんなに泣かされておるか。法律に明るくない人たちがどんなに泣かされておるか。少し法律がわかっておる者なら、差し押えぐらい食ったって、鼻で笑っていますよ。ところが、今でもまだまだいなかでは、差し押えといったら大ごとなんです。それを利用して、義務なきことを行なわしめるということ、高利を調達するということ、貸すときには三分の一もの天引きをやるということ、その実態を私は今明らかにしたわけなんです。従って、これに対する業務の停止その他の方法を考える必要がある。あなたの方でやらなければ、われわれは議員立法で考えていきたい、このように考えております。まだこの程度では必要がないというなら、もっともっと明らかにして参りたいと思いますが、いかがですか。
  67. 大月高

    大月説明員 ただいまの田中委員お話通りでございまして、むしろこういうものは社会的な感覚から取り上げる問題でございますので、金融行政としての感覚ではないというようにわれわれは割り切っておるわけでございます。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほどこの法律自体は大蔵と法務との共管だと思います。従って、社会悪——そのことによって泣きの涙で、しかも自分が借りたのじゃないですよ、ただ不覚にも判を押したという事実、それが公正証書の上で自分が連帯債務者になっておるということは全然知らない、しかもその日の生業に使うところの機械までばたばたやられておる、これは社会悪——犯罪ともいうべきであります。これは法務省の方においても考えてもらいたい、このように思いますが、いかがですか。
  69. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 具体的事例につきましては、十分調査いたしまして、必要な措置をとりたいと思います。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 と同時に、法の整備です。こんなしり抜けな法律だけで、あとは二、三条の政令でもって全部委任しておるということだからだめなんです。私の言っておるのは、根本的なこれらの法の新たなる立法ないし現在の法律の大改正を必要とする、こう考えておるのですが、どうです。
  71. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 法務省関係は、主として罰則の問題でございますので、またあとでよく検討させていただきたいと思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 これは一つ金融という点からいえば大蔵省なんです。考え方によっては、民法の特別の特別の特別法だという考え方も出てくるわけです。そうすれば、あなたの法務省の方の関係です。どうも当局がやられぬとすれば、われわれは委員会において、次の臨時国会において委員長に相談して議員立法をもって改正したい、このように考えております。  本日は、ほかにも質問がありますから、この貸金業者の問題につきましてはこの程度にいたしますが、これで終わったのではないということだけは、はっきり申し上げておきます。私は徹底的に今後も追及して参ります。そういうことで、一応この点に関する質問を保留して、板川委員質問が待っておりますので、簡単に厚生省に私聞くことがありますが、それはあとでやります。
  73. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまの質疑応答を聞いておると、非常な社会悪なんです。今までほったらかしておった。法の盲点みたいなもので、高利貸しがはびこっておるという状況なんです。そこで、政府の答弁を聞いておっても、きょう出てきておる人は最高の責任者でもないわけです。そこで、これは私は委員長にお願いしたいのだけれども、一つ委員長は、大蔵委員長、法務委員長と相談してみて下さい。これを政府をしてやらしめるという方向で相談してもらって、その結果によって、あるいは議員立法なり何なり考えていくということにしたらどうか。ずっと委員長はここに出席されて、事の内容を知っているわけなんだから、これは大蔵委員長、法務委員長とぜひ近い機会に相談してもらって、そうしていわゆる町の金融業者を正常なものにするような方法を講じてもらいたい、これを要望しておきます。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 それからもうちょっと、さっきは終わると言いましたが、これに関連して中小企業庁長官にお伺いしたいのですが、こういうことで貸金業者のえさにされておるのは、競輪、競馬等で身を持ちくずす者も多いが、それはそれとして、零細企業が多い。あなたの方でもっと零細企業に対する金融ということを考えてやったならば、何も好きこのんでこういう人たちの金を借りにいかないと思います。それがいつも問題になるように、零細な人たち金融が回らないから、もう背に腹はかえられないということで借りるのですよ。借りてしまえばその店はおしまいです。今大蔵省に渡しておるから、あなたもごらんになったらいいと思いますが、ああいう契約でほんとうに商売をまじめにしておって、払える金じゃないですよ。ばくちを打つとか競輪に行く資金を借りて、一日、二日で倍になるようなものならば払えますが、まじめな仕事をする者の運転資金としては絶対に借りられません。そうするならば利息利息を積んで、元金はとっくに返して払ってしまったのに、利息に追いまくられて差し押えられるという事実がたくさんある。いわゆる零細企業金融という問題から真剣に考えなければならないと思いますが、中小企業庁長官、どうなんですか。
  75. 大堀誠一

    大堀説明員 田中先生の先ほど来御指摘になりました点について、実は中小企業の問題、ことに零細企業については、最近特に町の高利の金を借りて苦しんでおるという実例がかなり多いのでありますが、この点については、われわれとしては、やはり中小企業、ことに零細企業の充実について、今後努力して参らなければならぬと考えておる次第であります。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 それではここで一応質問を整理します。
  77. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本件に類似する案件は他にも多いと思います。従って、本件に対する質疑は留保いたします。  なお松平委員からの法務委員長、大蔵委員長と相談して善処する件につい  ては適当に計らいます。  伊次参考人には長時間にわたって御出席いただき、ありがとうございました。一応これで終わりますので、お引き取りいただいてけっこうでございます。      ————◇—————
  78. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。田中武夫君。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 厚生省にお伺いしたいのですが、去る五月八日、いわゆる武田薬品の販売になるプラッシーですか、これに対する強化米及び「いの一番」の抱き合わせの問題を取り上げて、厚生省からいろいろお聞きいたしましたが、どうも責任者でなさそうで、はっきりしたことは言えなかったのですが、その際はっきりと調査をし、なおそのことによって米屋との間において大きな問題をかもしつつあるそのことが独禁法の関係に及ぶのですが、独禁法の問題にする前に、行政手段として厚生省は考えるべきじゃないか、何ら手を打っていないということだったから、それに対して何らかの行政指導を行なえ、こういう要望をしておきました。そのことについて、その後の厚生省の調査の結果、あるいは資料を要求しておきましたが、まだ出ていないようですので、そういうことを一つ聞かしてもらいたい。  なおもう一つは、農林省も呼んでおったと思うのですが、きょうは来ていないようですけれども、この問題に関連して米屋の組合、いわば公的な組合を利用しておるということ、そういう問題も残るわけなんですが、時間もありませんから、この間私が五月八日の日に質問をしたことはお聞きになっておるし、あるいは関係があるのだから、議事録を見られたと思いますが、厚生省のその後の動きをお聞きします。
  80. 大礒敏雄

    ○大礒説明員 本日は公衆衛生局長は出張不在でありまして出席できないので、まことに申しわけない次第でございます。かわりまして栄養課長からお答えいたします。  せんだって田中委員の方から御質問がございました、私どもの所管をしております特殊栄養食品でありますプラッシーと強化米につきましての抱き合わせ販売の点でありますが、その後五月九日に武田薬品から実情を聴取いたしました。また五月十日には強化米だけでやっております栄養食糧協会というものを呼びまして事情を聞きました。このことは、私どもの方では、国民の栄養向上のために栄養改善法という法律のもとに特殊栄養食品というものが許可されておりますが、これは私どもとしては一般消費大衆に十分にいくように指導しておるわけでありまして、そうした販売方法一般の消費者に非常に迷惑になるというようなことでは困るということで、そういうことにならないようなことにつきまして、今回起こったような問題については、米穀の販売業者とよく相談して問題を起こさないようにということでよくそのことを申しまして、そうして五月二十一日に武田薬品の総務部長を呼びましてなおその後の様子を聞き、五月二十六日に食品事業部の営業課長を呼びまして事情を聞きましたものを、五月二十九日にてんまつ書として一応提出させております。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 問題はまだ片づいていないのだが、問題を起こさないように話し合いを進めるよう指導しておる、そのことについて私、注意をしなければならないのは、往々にして経済力の強い方の言うなりに経済力の弱い者が言い含められた格好で話し合いがついたということであります。そういうことのないよう注意を願いたいと思いますが、経過は何か書面にないですか。   〔大礒説明員、書類を示す〕  それではこのことについては経過はあとでこれを見せていただいて、それから厚生省としてまず独禁法の動く前に、行政指導というあなたの方で監督しておる会社の起こした問題ですから、私はもう一つここでは農林省も来てもらいたかったのでありますが、言うておったのだが来ていないのだが、米穀の連合会ですか、何か公的というか、ともかくそういう組織を武田が利用しておるわけです。これが一つの問題だと思います。  それから、武田と東京都食糧組合連合会が共同出資をして別個の会社を作って、それの系列に入れていくというようなやり方、あるいはそこから派遣出張して社員を送るというような問題、これが百貨店法等々と同じようにわれわれが独禁法その他で常に問題にしていた事項です。しかもこれがそういうような準公的機関を利用するという点に、私は問題があると思います。そういう点も頭に置きながらやってもらいたい、こう思います。  それから公正取引委員長の方では、まだ委員会段階ではないが、事務段階で調査をしておると言っておられましたが、その後調査の上で何か新しい進展等がありましたら、この際お聞きいたしたいと思います。
  82. 佐藤基

    ○佐藤説明員 いわゆるプラッシーについての抱き合わせ販売の問題につきまして、私の方におきましても事務局において調べておるわけでありますが、最近の段階といたしましては、五月二十三日に全国米穀商組合連合会の常務理事が来まして、この問題については武田側と米穀商側との間でほぼ了解に達したということを述べております。私の方といたしましては、同時に、これは武田側にも確かめる必要があるので、武田側にも聞いたのでありますが、武田側の責任者も同様のことを言っておりまして、その後においては大して紛争のようなものも見えないというのが現状であります。しかしながら、先ほどもお話したように、経済上の優者あるいは弱者と申しますか、優者、弱者の関係にあるならば、やはり一応おさまっても、またいろいろ問題も起こりやしないかというので、その後の情勢を私どもの方で見ておるというところであります。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 あるいは五月八日に当委員会で抱き合わせ販売の問題ことに具体的な事実として武田の問題をあげましたので、それがある程度話し合いを進める動機になったかもしれません。従って、われわれは何も独禁法違反をここで摘発し、その適用を迫るものではない。法適用以前に、法を適用しなくてもいいような状態になることを望んでおるので、その話し合いがつき、了解がつくならば、けっこうなんです。その間に行政庁としての厚生省が努力をする、あるいは側面から公取委員会が助言、勧告を与える、こういう方法が望ましいと思いますので、そういうことで話し合いがつきつつあるということなら、私は、これ以上は質問いたしません。が、ただし、先ほど来申しましたように、往々にして話し合いとは強いものの言うことを聞いたという格好においてつけられるものであるので、そういうことであるならば、やはり法の精神からいえば間違ってきますから、そういうことのないように厚生省、公取委員会に要望しておいて、この件については終わりたいと思います。  次に厚生省の薬務局企業課長はおられますか。——あなたに一つお伺いいたしますが、五月二十一日に、時間にいたしまして午後一時から二時の間、場所は薬業健保会館、ここで兵庫県の県会議員と兵庫県の薬剤師協会の人たちが、神戸におけるダイエーというスーパー・マーケットに薬の販売をさせないようにしてもらいたい、陳情の内容は何かそういうことだと思うのですが、そのときあなたは何とおっしゃったか覚えておりますか。
  84. 網野智

    ○網野説明員 大体のことは覚えております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 そのときに、あなたの発言で私は大きな迷惑をこうむった。そこで公開の席上において明らかにしたいと思うのです。私は、あなたと会うのは初めてです。顔を見たこともありません。私がいつあなたにスーパー・マーケット・ダイエーの促進方について話をしたことがありますか。兵庫県で田中とおっしゃったら、私以外にないのです。ある代議士が促進にきて圧力をかけられておる、その名前を言えと言ったら、田中と言ったそうです。兵庫関係田中といえば、私なんです。私はあなたにそういうことは頼んだ覚えもなければ、私はスーパー・マーケットに対して反対なんです。ましてや反対の者がそういうことを言う必要もない、はずもないわけです。それをあなたは、そう言ったということを言わないというならば、参考人として私は社会党の兵庫県議員団の幹事長である小谷守君にここへ来てもらって、あなたと対決してもらいます。いかがでございますか。
  86. 網野智

    ○網野説明員 私は、そのようなことを申した覚えはございません。どういう誤解か、とにかくそのときにもいろいろ地方における誤解の話を聞きまして、いろいろ誤解があるので、そういう誤解のないようにということは、特に念を押したつもりでございます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 私が今申しましたように、県会の小谷君から——同じ社会党の県会議員団の幹事長ですが、あなたの名前が出て大へん困った、こういうことを言われております。だれが一体そういうことを言ったのかということから、田中さんだ、こう言ったという。兵庫県で田中というのは、私一人です。私は、むしろ薬剤師協会とは話し合いをして、ダイエー・スーパー・マーケットを作ること自体が大きな中小企業者の脅威ということから反対の立場をとっておる。特に私は、党においては中小企業部長です。そういうものがそういうことを言ったと言われることは、私に対しては大きな迷惑です。その点をはっきりしていただきたい。
  88. 網野智

    ○網野説明員 今おっしゃったようなことは、私は言った覚えはございません。話の中で、あるいは商工委員会田中代議士さんがこの問題を取り上げて御質問がある——私ちょうど兵庫県の方に参りまして、ダイエーの店を見たことがありますが、そのときに、どういう問題であろうということはいろいろ県から聞いておりますが、その薬業健保の会館において、私が田中さんからこういう話を受けた、あるいは田中さんがこういう問題でこうおっしゃっているというようなことを私言った覚えはございません。私だけではなしに、薬事課長も一緒に出ておりましたが、そういうことは私は言った覚えはございません。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 そのときは、薬事課長とあなたが会ったことも聞いております。あなたの口から出たということも聞いております。ないというのなら、そのときに陳情に来た人の名刺が全員あなたのところに来ておりますから、誤解を解くような手続をとってもらいたい。もしそうでなければ、私はこの関係者にここへ来てもらって、あなたと対決します。党の中小企業部長に対する侮辱であります。私はあなたの今後の処置等によっては、あなたの進退をかけての戦いを開始することをここで宣言しておきます。
  90. 網野智

    ○網野説明員 私、実は今初めてそういうことを聞きましたので、直ちに兵庫県に参りまして、関係の皆さんと会いまして、確かに私そういうことをはっきり言った覚えがないのでありますが、誤解を解きたいと思います。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 関係者全員に対して誤解を解く手段を早急に講じてもらいたい。もしそれがなされないならば——私は党の中小企業部長であって、そんなことを言うわけもなければ、ダイエー・スーパー・マーケットについては、設置反対です。そういうものが、そんなことを言うはずがない。私は大きな迷惑をこうむっているので、あなたの進退の問題とかけて私は対決したいと思います。どういう手段をとりますか。
  92. 網野智

    ○網野説明員 直ちに兵庫県に参りまして、関係の方に集まっていただきまして、確かに私がそういうことを言った覚えがないが、もし——その席上でも私の名前は出なかったのですが、ちょうど、四、五日前に兵庫県に参りまして、そしてダイエーの店を見たわけでありますが、それに関しても相当私自身が言ったことの覚えのないようなうわさが飛んでおりまして、非常な誤解であるということを関係の皆さんは言ったわけでございます。そういう誤解のないように、とにかくこの問題は非常に微妙な問題だから、いろいろデマが飛ぶ、そういうことのないように一つお願いするということを、特にその席上でも言ったわけでございます。今回の問題も、実はそういうことを私指摘されまして、あるいは誤解されて、いろいろそういう形で先生のお耳に入っているのではないかと思いますが、私そんなことを言った覚えは全然ございませんので、直ちに兵庫県に参りまして、関係の皆さんに集まっていただきまして、そういうことを言った覚えはない、誤解があるとすれば、その点は早急に解いていただきたい、こういうことを訴えたいと思います。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 なお、この際、私ははっきりとしておきますが、あれには絶対反対である、そのこともあわせて言っておいてもらいたい。従って、今後のあなたの処置を見せていただきます。その上で、私はほんとうに迷惑をこうむったのだから——私は自分の選挙やそんなことじゃない。そんなことならかまわないのだ。中小企業部長という立場から迷惑をこうむっておる。従って、あなたが万全の処置をとり、そうして事実においてそれを解決する、そうしない限り、再び宣言する。あなたの進退をかけての戦いをやる、よろしいですか。
  94. 網野智

    ○網野説明員 よくわかりました。御趣旨の点も十分伝えたいと思います。      ————◇—————
  95. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、鉱工業に関する件について調査を進めます。  天然ガス試掘に関する問題について質疑通告があります。  本日は、本問題について帝国石油株式会社社長岸本勘太郎君が出席しておられます。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中御出席下さいまして、まことにありがとうございました。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。  なお、参考人には、委員からの質疑応答の形式で御発言を願うことといたします。  質疑通告がありますのでこれを許します。板川正吾君。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 東京都との境にある埼玉県草加市で、帝石で試掘をされましたところ、天然ガス及び温泉が発見された、こういうふうに報道されています。その実情について、とりあえず帝石の社長から、今日までわかったところでけっこうでありますが、御報告を願いたい、こう思います。
  97. 岸本勘太郎

    岸本参考人 ただいま板川先生からの御質問がありましたのですが、まだ試掘の井戸は一本しか掘ってないものですから、十分な御説明が申し上げられない点が残念でありますけれども、今掘りました井戸は大体深度千八百メートルまで掘りまして、千三百メートルから千八百メートルの五百メートルの間で採取いたしておりますが、天然ガスが大体一日四千五百立方メートル、温水が二千五百キロリットル出ております。ガスの方は九八%メタンでありまして、きわめて良質な天然ガスであります。温水の方は大体井戸元で四十六度五分の温水であります。その数量からいいますと、二千五百キロリットルでありますから、相当大したものであります。次に来月もう一本、その次にもう一本、三本掘ってみれば、三千メートルの距離で掘れば大体の数量がわかると思いますが、今の考え方といたしますと、大体一日に二十万立方メートルのガスを出したい、そうすると三十本の井戸を掘ればそれが出ることになるのであります。ただいま申し上げました四千五百立方メートルのガスというのは試験的に小さい管で取っておるものですから、本格的にその採掘をするということになりますと、今の五インチ半から八インチ半の水とめ管を入れることになりますので、大体数量が倍出てくることになる。そうしますと大体三十本井戸を掘りますと一日に二十万立方メートルのガスが出てくる。それから温水の方は大体十万トン——草津、別府、熱海あたりが大体一日四万トンの温水が出ておるわけなのであります。それの二倍以上のものが出てくるということで、大へんな数量の温水が出てくることになるという見通しを立てておるのであります。先刻申し上げました通りに、まだ一本しか掘ってないものですから、あともう二カ月ほどお待ち願いますと、間違いないと思うのでございますけれども、大量の温水を伴う天然ガスが生産できる、こう思っております。
  98. 板川正吾

    ○板川委員 それではガスの開発と温泉、それから地盤沈下というような問題に区分して伺いたいと思います。  まずガスの開発ですが、今一日二十万立米という規模ですね。これは、新潟、千葉等の採掘量からいってどういう程度なんですか。それよりも非常に有望なのかどうか。二十万立米というのはどういう規模でありますか。
  99. 岸本勘太郎

    岸本参考人 大したものでないのでありますが、実は新潟の直江津付近でただいま開発しておりますものは、一日に二百万立米を目途にして開発しております。でありますけれども、さっき先生がおっしゃいました地盤沈下の問題があるものでございますから——草加のガスというのは、水の中にガスが溶けておりまして、地上に出てからセパレートして、ガスと水とに分けるものですから——御承知の通り、新潟で地盤沈下の問題が非常にやかましくなりまして、先年科学技術庁の資源調査会でも、新潟の地盤沈下は、急激な大量の水のくみ上げを重視しなければならぬという判定が出たものですから、従来大臣勧告によりまして規制をいたしまして、もう今は地盤沈下はとまっておるのでございますけれども、そういう経験があるものですから、私どもも非常に心配いたしております。  大体地盤沈下と申しますと、東京と大阪の方に一つあります。それから新潟のガス田が一つ、千葉はどうかと言いますと、千葉は水溶性のガスを取っておりますが、地盤沈下がないのです。東京、大阪は百五十メートルないし四百メートルで地下水を工業用水として取っておりまして、地盤沈下が起きておる。新潟は大体三百メートルないし六百メートルで一日に五十万トンないし六十万トンの水をくみ上げておったのでございます。それが原因で地盤沈下が起きたというので、非常に極端な規制を受けまして、今水を取っていないのであります。それで地盤沈下はとまっておる状態にあるのであります。そういう苦い経験があるものでございますから、草加は心配ないという確信を持っておりますのですけれども、それにしても十分に注意いたしまして、新潟では大体三百メートルくらいの間隔で井戸を掘ってきたのでありますけれども、草加では大体六百メートルくらいの間隔にしよう、それから新潟では五十万立方メートルも市内で取っておったものを、こちらは大体二十万立方メートルくらいにしていきたいと思っております。それから、草加では、地質が、今度掘ってみましたところが、深度五百メートルから約千三百メートルまで八百メートルの間は非常にかたい砂質の泥岩がありまして、その下にガスが水に溶けて入っておるというのが実情なのでございますが、従来埼玉県でも一本か二本県でお掘りになったそうですか、そんなに深くお掘りになっていなかった。私の方の今の感覚から申しますと、それほど深いところにある、それも、礫が重なっておるところにある、礫の空隙の間にガスがあるものですからして、その水をくみ取っても、何ということはないだろうと考えておるわけであります。それから地質の組成にしましても、大体新潟あたりはそんなに古くもないのですけれども、草加は大体千五百万年ぐらい前に堆積をしたものだということでありまして、堆積し尽くせるだけ堆積し、圧密が起こるだけ起きておるということも考えられる。新潟でありますと、四千メートルないし五千メートルの堆積がありまして、いまだに圧密が起こっておるわけであります。それから、千葉県もそうでありますし、草加の方も化石を調べて年代を調べるのでありますけれども、大体千五百万年くらい前に堆積ができておって、しかも今のところは大体が地殻のベース・ロックに二千メートルの程度で突き当たってしまう。今度春日部に今掘っております井戸は、大体二千メートルないし三千メートルくらいまでは堆積があるのじゃないかといっておりますけれども、千葉県の小見川だとか竜ケ崎というようなところは、みな千メートル以内に地殻についておりますから、もう圧密のできる程度はいっておるわけであります。でありますからして、いろいろ御心配をかけることがあるのじゃないかと思いますけれども、地質技師の判断によりますと、草加ではまあそういう心配はない、こういうようなことであります。先生は地元でいらっしゃるからよく御存じでしょうけれども、徳川秀忠のときに、あの辺は沼地だったそうですね。それで草を植えて土地を作ったものですから草加という名前ができたのだと聞いておるのです。それがだんだん隆起してきまして、四、五百年くらいのうちに隆起しておるところがあります。むしろ隆起するような地域であるから、地盤沈下はまずなかろう、こう考えております。
  100. 板川正吾

    ○板川委員 地盤沈下についてはあとでお伺いしますが、二十万立米というと、新潟等から見ると十分の一くらいですし、そう大きな規模じゃないわけです。しかし第二号、第三号、あるいは現在通産省工業技術院で春日部地内で掘っているところから同質のガスなりあるいは構造性ガスなんかでも出るようなことであれば、まあその結果を見てみなくてはわかりませんが、その場合にはまたずっと規模が違うが、当面は二十万立米程度、こういうふうに考えてよろしいですか。
  101. 岸本勘太郎

    岸本参考人 はい。
  102. 板川正吾

    ○板川委員 それで、次の開発を待ってさらに構想がきまるわけだと思うのです。帝石では最近新潟から東京へパイプ・ラインでガスを引くということになっておって、十一月ごろそれが完成を見る、こういうことが新聞等でも報道されておるのですが、地元市町村とすると、せっかくガスが出た、とりあえず草加に出ている、しかしあの周辺一帯は、これは相当膨大なガスを埋蔵しておるんじゃないかという場合に、そのパイプ・ラインに乗っかって東京へ売られてしまうということでは、地域市町村としては、せっかく地下資源がうちの土地の下から出たが、東京へ売られていくというのじゃ、どうも地域開発のためにプラスにならぬ、まあできればあの農村地帯ですから、工場を開発をして、そうしてその安いガスを供給していただいて、そのガスをもとに諸産業を開発していこう、こういう希望を持っておるのです。このパイプ・ラインの関係等の将来の見通しですか、それについてお考えがありましたら、それを伺いたい。
  103. 岸本勘太郎

    岸本参考人 ただいまのお話のように、地元優先ということは非常に考えております。それで、ガスの開発と温水の利用につきましても、ただいま埼玉県と草加市と私どもの方で、三者でもって合同委員会を開きまして、いろいろ計画を進めております。ガスは東京まで持ってくるとやはりそれだけ運賃がかかるわけでございますから、地元で使っていただければそれが一番いいことじゃないか。それから、先ほど二十万立米と申しましたのは、二十万立米ということは、経済単位として最小限度なものでございますし、私は、東京は別としまして、関東地区にも非常に大きなガスの埋蔵があるのじゃないか、こう考えておりますから、埼玉県を中心として群馬も出るかもしれませんし、長野県も出るかもしれませんけれども、出ましたら地元優先で、ことに今お話のありました構造性のガスが出れば、安いガスを供給して、地元でお使い願うということが大事じゃないか。地元が反対されると、地元交渉から何からあって、ガスの仕事はできないのです。ですから、ごきげんをとりとり一つ開発していきたい、こう考えております。十分御支援を願いたいと思います。
  104. 板川正吾

    ○板川委員 ガス使用の産業というと、現在、新潟の例から言いまして、どういう産業が一番適性なものですか。
  105. 岸本勘太郎

    岸本参考人 一番高く売れるのは、都市ガスに売るのが高く売れるのです。東京瓦斯とか、新潟で言いますと北陸瓦斯とかいうようなタウン・ガスです。その次は工場の燃料でありまして、工場燃料と申しますと、発電なんかにも使っているわけです。それから、一番たたかれて、私どもの方で値下げを要求されますのは、化学工業の原料でございます。それで、外国では、都市ガスを高く売って、そうして輸出産業に当たる硫安だとか尿素というものは安く売るというのを建前にしておりまして、フランスでもイタリアでもみんな国営でやっておるものですからそういうことが勝手にできるのですが、私どものところは、そう高く売っても、なかなか都市ガスも高く買ってくれませんが、しかし大体の方針は、都市ガスが一番高く売れる。その次は工場燃料だ。その次は、できるだけ勉強しまして、化学工業の原料にして合成繊維だとか硫安だとか尿素でございますね。そういう化学工業の原料として使っていただくというのがいいのじゃないか。まあ埼玉県は何と申しましても大消費地に近いものでございますから、おそらく化学工業が主になるのじゃないか、こう思いますが、十分研究いたしまして、地元の御期待に沿いたい、こう思っております。
  106. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。  次に、先ほど地盤沈下について釈明をされたのですが、確かに地元の住民とすると、ガスが出て地下に膨大な資源があるらしい、これは喜ばしいことだ、こう思っておるわけです。ただ、あの草加、越谷、春日部という東埼玉地区ですね、東武蔵野といいますか、東武地区というのは県内では有名な低湿地帯なんです。ですから、たんぼなんかは一毛作で米しかとれない、焔にならないというのが大部分で、低湿地帯なものですから、ガスが大量に出たのはうれしいが、しかしそのために地盤沈下をしてこれ以上ますます下がったんじゃ困るという気持を持っておるわけです。住民の心配がそこにあるのですが、先ほどの岸本参考人の御意見ですと、六百メートルから千二、三百メートル辺は砂岩層があって、それが相当かたい岩層だからそれでささえるのじゃないか、こういうので心配がないだろうというのが一つと、もう一つは、新潟の例から言いまして、新潟では急激なくみ上げ、しかも小範囲——坑井間隔が新潟では百五十メートルだったそうですね。穴を掘って、一日百五十万トンなんという大量なものを急激に吸い上げたものだから、地盤沈下の原因をなした。草加の場合には、坑井間隔を六百メートルくらいに広くして、しかも急激に吸い上げずに、ある程度調整しながら少しずつ吸い上げる。そうすると、結局そこへ地下水がまた流れ込んで地盤沈下を押える。そういうように、新潟の経験を生かしてやっていけば地盤沈下は起こらないだろう、こういうような説明のように思いますが、これに間違いありませんか。
  107. 岸本勘太郎

    岸本参考人 ただいま申し上げました通り、新潟で非常に苦い経験を経たものでありますので、それを生かして、草加の場合にはそういう心配のないようにいたしたいと存じます。
  108. 板川正吾

    ○板川委員 しかし、なお地域住民の心配がありますから、今後の開発と見合ってさらに慎重に検討していただきたい。また、帝石側は掘る側ですから、掘る側だけではやはり客観性がないという説もありますので、県当局等とも連絡をして、そういう地域住民の心配のないような方法をもって今後開発をされる場合にはやっていただきたいと思います。  それから、温泉についてですが、温泉の温度四十六、七度、この水質等もこれは温泉として非常に適当なものですか。
  109. 岸本勘太郎

    岸本参考人 そうでございます。温泉は、日本で今までできた温泉と比べると非常にスケールの大きなものだと思っております。それで夢物語のようなことを申し上げてはなはだ失礼なんですが、普通の温泉で湯あみをする温泉というような考え方では解決がつかない。温水を利用して熱帯性の植物、パイナップルとかバナナ、パパイヤ、そういうものをグリーン・ハウスを作ってやっていく、それから熱帯性の水産物、真珠だとか車エビの養殖、ハンドバッグを作るワニの養殖というようなことも考えております。さらに一つ大きなレクリエーションのグラウンドを建てまして、二万坪か三万坪の池を作って九十九里浜から砂を持ってきて、海岸のようなものをこしらえて——ハワイのワイキキの浜でも砂は全部よそから持ってきたそうで、もとはなかったそうですか、水着を着て若い男女が遊べるようなものを作る。ふろに入る温泉というようなものではだめだと思っております。それを少しさまして、そのさめた上で綾瀬川を利用して江戸川の放水路の方に流そうと思っております。それは県の御尽力、先生方の御尽力で、東京都とも話せば漁業の問題とかいろいろなことがあるのじゃないかと思いますから、とても帝石一つの考え方でできる仕事ではないと思います。非常に大きな問題で、毎日十万トン出るのですから、大へんなものでございます。ですから、一通りのことではなかなか始末がつかないのじゃないかと思っております。切に御支援をお願いいたします。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 お湯が一日十万トン、しかもその規模は草津温泉や別府温泉の二倍半くらいの膨大な湯量である。先ほどのお話ですと、ガス二十万立米の開発というのは最小限だ。しかし、これが最小限で二号、三号というふうに開発が進んで、さらにその上十万トン以上のお湯が出るということになると、膨大な湯量になります。それでガスをとったあとのお湯の温度というのはどのくらいになるのですか。
  111. 岸本勘太郎

    岸本参考人 それが四十六、七度です。ですから、お湯の量によってガスの開発が制約されるのではないかと思っております。荒川放水路で冬から春にかけて湯気がずっと立っておるんだということになると、何か問題が起きるのではないかという気がいたしまして、二十万立米のガスを四十万立米にして、二十万トンのお湯が四十六、七度になったらまた抗議を申し込まれるのではないかと思っております。ありがたいような、ありがたくないようなお湯なんです。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 これはあとで関連するのですが、たとえばそのガスをとらない温泉に入った場合に、人間には有害ですか。
  113. 岸本勘太郎

    岸本参考人 ちょうどラムネと同じようなものでして、ふたを取るとガスがすっと出てしまうわけです。そして温泉が残る。そのガス自体は無色透明で無臭で無毒で一酸化炭素も何もない。ですから、それから受ける弊害というものは何もないのです。温泉のようなところに入りますと、ガスはさっと出てきます。ただ心配なのは、ガスが空気にまじって火がつきますと爆発するのです。大体一〇%以内の割合でガスが空気に入りますと、たばこを吸ったとか自動車が通ったりすると爆発する。ですから、どうしてもガスの始末をつけなければならぬ。外国では必要によったら長いチューブをつけまして燃してしまいます。燃してしまえばそれで何にも害はないのですが、ガスの爆発というものが非常におそろしいものですから、水と一緒に出てきた、とたんにガスが分離するものですから、それの分離したガスの爆発をいかにして避けるかという問題が非常にあるわけです。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 鉱山局長にちょっとお伺いしますが、今言ったような実情なんですけれども、そのガスをとるために温泉が出てくる、湯泉を掘るためにガスが出てくる。ガスを採掘する権限は鉱業法によって規定されます。温泉は温泉法によって知事の認可を受けるということになりますね。この地域で実はガスを掘る権利と温泉を掘る権利が非常に錯綜してくるのではないかと感じられるのです。たとえば帝石さんがガスを掘られる鉱区を鉱業法で設定される、またそこを帝石が掘るというのは温泉が出ることなんですから、おれもその鉱区へ温泉法による温泉を掘るという申請を出した場合に、これはどういうふうに調整になりますか。これは、ガスの出るところへ温泉法で温泉が出るからおれも掘るんだといったところで、別なものだろうと思うのですが、ただしかし、温泉を掘るためにはガスが一緒に出てくる、ガスを掘るためには温泉が出る、こうなってくると、その間の調整というのはどういうのですか。あるいはこの場合には鉱業権の方が優先して、温泉法の方があとにつくのですか。この関係がわかりませんから……。
  115. 川出千速

    ○川出説明員 私、温泉法の方をよく勉強しておりません亀のですから、その辺の関係が正確にどういうことになるのかわかりかねる点があるかと思いますが、天然ガスを採掘するためには、鉱業法に基づきまして鉱業権を取得していないとできないことになっておるわけでございます。鉱業権を取得した人が天然ガスを掘る目的を持って掘採をした場合に、天然ガスと同時に温泉が出てきたという場合に、温泉を、温泉法の目的に従って使用する場合は、これは当然温泉法の適用があるわけでございます。その許可を受けなければ使えない、かように考えております。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 われわれとしては地下のそういうエネルギーが開発されて、国のエネルギー政策に幾らかでもプラスされる方がいいと思うのです。温泉の場合は、できれば景色のいい山の中の方が、健康上からいっても、温泉の目的からいっても、好ましいことだと思うのです。しかし、幸か不幸かガスを掘ると温泉が出てくる。鉱業法の七条によると、天然ガスは自家用の場合には鉱業権を設定しなくていいとあります。だから私が心配するのは、帝石が鉱区を設けておる、温泉法による温泉のお湯を取る権利、採取する権利、これを温泉法で知事が許可をしたとしますね。これはなるほど温泉が出るのですから、ガスが出るかもしれませんが、私はガスを掘るのじゃないのです。温泉を掘るのです。こういう目的で温泉を申請をして許可を受ける。しかし、ガスが出る。そこでいや、このガスは長い間お湯をためておくと少し冷えるから自家用で温泉を暖めるために使うのです。そのガスを掘ることがちょうどいいのですと言う。七条にもそれは自家用のガスを取っても別にかまわないというのですから、そういうような温泉経営業者が出てくると、帝石さんがせっかく開発されてガスを取ろうと思うと、その近所へどんどん温泉ができてきてしまってくるということで、非常に錯綜するのじゃないかと思うのですが、どうなんです。
  117. 岸本勘太郎

    岸本参考人 大体今温泉が出ますのは、三千万円かの金をかけないと掘れないのです。自家用の温泉を掘るのに、三千万円のお金をかけるということはおそらくないでしょう。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 そんなことはないですよ。
  119. 岸本勘太郎

    岸本参考人 いや、それでガスが出ますね。自家用だから組合を作って掘るということはできないのです。第七条によって、組合を作って営業用にやるという——まあ、とうふ屋がガスを出すとかというようなことはできるでしょうけれども、組合をお作りになって、三千万円の金を集めてガスを掘るということは、鉱業法で許されざるところです。それからガスが出てきたら、ガスに対する鉱業権は私の方が持っておるわけですから、ガスをお取りになると、それは盗むと同じことになるのです。だから、ただで掘って下さるというなら、私のところは温泉をお掘りになってもけっこうです。私のところはただでガスをもらえますからね。局長の方は、これは法律的にはなんですが、私のそろばんで言いますと、三千万円かけて井戸を掘るという者はまずありませんよ。
  120. 板川正吾

    ○板川委員 営業でない自家消費ならいいと言われていますね。たとえば業者がみんな集まって組合を作って、これは自分の家で使うのですから、ということで自家消費をしてもいいのじゃないかと思うのですよ。それは七条の解釈によるでしょう。しかし、今の岸本参考人の答弁ですと、お湯を掘ると同時にガスが出ますね。しかし、ガスは、これは帝国石油の鉱業権だから、その地域ではお湯は掘ってもいいがガスは取っては悪い、こういうことになるのですか。
  121. 岸本勘太郎

    岸本参考人 ガスは申請がなければならないわけですが、うちのものだから、ただで掘るからただであなたのところにあげるから、温泉を下さいという奇特な人が出れば別ですけれども……。
  122. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、二、三千万というのは、お湯の権利を何人かで合同で分ければ大した金じゃないですね。たとえば温泉地帯で一本の湯口をもらうために何百万も出しますから、それは大した金じゃないと思います。そうすると、たとえば温泉法によって申請して、私は温泉だけ取ろうと思ったらガスが勝手に出てきた、そのガスは帝国石油が取る権利があって、七条によってその温泉経営者が自家消費するためにガスを使うということは、鉱区が設定してある場合には帝国石油さんにガスをやらないと、人のものを盗んだということになるのですか。
  123. 岸本勘太郎

    岸本参考人 そういうことになるのです。ガスを全部草加の町でお使いになったとしても、一日に一千立米か二千立米です。そんな大きなものが自家用なんということは許されないですね。  それから鉱山局長もおいでになっておるから、法律的な見解は別ですけれども、そんな大きなガスを出したら危険ですよ。私のところはくろうとですから始末をつけますが、ガスだけは放り出して温良だけを使うというようなことは、それは鉱山保安法で許されざるところだと思います。
  124. 板川正吾

    ○板川委員 それはガスの自家消費をするということは、今度は除きましょう。危険もあるでしょう。しかし、温泉法で、温泉が出る、しかし、おれのところは温泉を掘るのだといって、温泉を掘ったらガスを含んでおる。なるほどそれはガスの方を温泉よりも二倍近く含有しておる場合には、これはおれの方の鉱区内でやったことは盗んだということになるかもしれませんが、それがずっとガスの成分が薄い、温泉の目的だけに使うという場合に、そのお湯の中にガスが入っていたら、温泉は掘れないですか。
  125. 岸本勘太郎

    岸本参考人 それは掘れませんね。私のところはそういうことがあったら裁判所に仮処分を申請しますよ。ガスが出る温泉を勝手に掘る人があったとしたら、それは鉱業権で——鉱業法というのはああいう非常に特権のある法律でございますからね。その人が掘って自分は温泉だけ取るのだ、ガスはほったらかすのだ、こう言ったら、私のところは仮処分は申請して、それはとめてもらいますね。それはできると思うのです。
  126. 板川正吾

    ○板川委員 その点鉱山局長の方の法的解釈はどうですか。
  127. 川出千速

    ○川出説明員 ただいま岸本参考人の言われた通りではないかと思うのです。
  128. 板川正吾

    ○板川委員 私は実はそれがちょっと心配になった。そうなったらどうなるかなと思ったのです。せっかく掘って、産業の開発になるのかと思ったら、どんどん温泉宿ができて、おれはガスを掘るのじゃない、温泉を掘るんだ、温泉法による温泉を掘るのである、こういうことになると、せっかくガスを開発された帝石さんなりが、その開発されたものを勝手に向こうへ果実だけを取られてしまうような格好になるから、どのようになるのかと思ったのですが、それはそうすると鉱業法で鉱業権を守るという建前からそういうことはできない、そうしますと、あの地域でお湯を使うとすれば、結局帝石さんがガスを取ったお湯を分けてもらうことによって何かをするということ以外には、あの地方でお湯を使う道はないわけですね。
  129. 岸本勘太郎

    岸本参考人 それはガスがついて出ないお湯が、やっておるうちに、どこかに出てくれば、それは私どもかれこれ申し上げられませんけれども、ガスの出る限りは、鉱業法で私のところが試掘権なり採掘権の税金も払って、きちんとやっておるものでございますから、いろいろ御心配があるようでございますけれども、ガスを取ったあとのお湯はなるべく勉強してお分けをするようにいたしますが、あまりそうごせんさくされると、こっちも心配になってきますから……。(笑声)
  130. 板川正吾

    ○板川委員 別に私が温泉をやるという意味ではないですよ。ただ、そうなったら、せっかく危険を冒して掘った会社の利益が侵害されるのではないかなと、法的にはどうかということを確めてみたいと思ったわけです。それではそれはそう心配ないということになりますね。  それから厚生省、今の解釈は間違いありませんか。
  131. 木村又雄

    ○木村説明員 温泉法の立場から申しますと、その土地の使用権と申しますか、土地を使用する権利を持っておれば、一応温泉を湧出させる目的をもって掘さくしたいという申請がございました場合には、これは都道府県知事が温泉審議会というものを設けまして、その意見を聞いて、場合によっては許可するということは温泉法の立場からはございますけれども、今参考人がおっしゃられました、あるいは鉱山局長お話になりましたことは鉱業法上の問題でございますから、その方面からの規制というものが当然あるのではないか、その方面は温泉法では規制はいたしておらない、こういうことでございます。
  132. 板川正吾

    ○板川委員 温泉法によると、四条で、掘ることによって温泉の湧出量、温度、成分に影響を及ぼし、その他公益を害するおそれがある場合は許可してはならないが、そういうふうに成分や湧出量に影響を及ぼしたりするおそれはない、それから公益を害したりするおそれはないという場合には、当然許可しろと言っておるのです。許可する場合があるのではなくて、これはもう温泉法は許可することが前提ですね。他に条件がありまして、公益を害する場合と湧出量あるいは成分に影響を与える場合には許可してはいけない、許可するかしないかは温泉審議会の答申を待って知事がきめる、こういうことになりますか。原則は許可する方針ですね。
  133. 木村又雄

    ○木村説明員 一応そういう建前でございます。
  134. 板川正吾

    ○板川委員 温泉を掘る方は、掘ってみなければ実際ガスがどのくらい入っておるかわからない。入っている量によって、少量ならば帝石さんも鉱業権の侵害とは言わないでしょう。しかし、多量に出るものなら、それはいかぬということになって、裁判の問題にもなるかもしれない。しかし、掘る方は、この辺はガスが少ないかもしれないということを期待して、温泉法によって申請をする。そうすると、四条によって、温泉審議会ではとにかく問題はないから許可してよかろうということになって、知事は許可する、こういう形になって、掘ってみたら帝石さんから権利の侵害だといわれる程度のガスが入っておる場合もあるし、あるいはそうでない場合もある、こういうようなことになるのですが、たとえば公益を害するおそれがある場合という四条の解釈は、これはガスを採掘して、地域住民の経済的な増進をはかるとかあるいは産業上の発展に貢献する、こういうようなことでガスを開発する、それをじゃますることは、公益を害するおそれがある場合ということに該当するという解釈にはなりませんか。
  135. 木村又雄

    ○木村説明員 ただいま申し上げましたように、都道府県知事が許可を与えられます場合には、温泉審議会の意見を聞くことになると存じますが、その場合に鉱業法上の規制があることでございますから、鉱業法上の扱いがどうなっておるかということについて十分連絡をとった上で、鉱業法上からいっても、それは適当であるというふうなことになった場合において許可をするという慎重な取り扱いをすべきではないかと思います。
  136. 板川正吾

    ○板川委員 温泉法の三条の三項には、温泉を工業に利用する場合には許可するにあたって知事が通産省と協議しろ、こういうふうになっておりますが、これは温泉を工業に利用する場合ですね。ところが、その温泉が工業に利用するガスと一緒に出てくるという場合には、知事はこの場合に温泉法によって許可する場合には、この三条の三項を延長解釈して通産省と協議するというような解釈が成り立ちますか。
  137. 木村又雄

    ○木村説明員 これは温泉を掘さくすることによってその温泉を温泉法に申しまする浴用とか飲用に供する目的でやる場合におきましては、三条においてその場合においても通産局長に協議をするということまでは要求はしておらないわけでございまして、温泉そのものを工業用の目的で使うという場合において、初めて協議を要するという問題でございますけれども、ただ鉱業法から申しまして、その地帯において温泉を掘さくした場合には当然ガスが含有されるというふうな、そういう客観的な資料というものが明らかである場合におきましては、当然通産局長等に照会をいたしまして、その方面の意見を聞いた上で慎重に処理すべき問題ではないか、そんなふうに考えます。
  138. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、温泉法三条の三項は、工業に使う場合に通産省と協議しろということになっておるから、温泉を掘る場合に、当然ガスが入っておることが予想されるような地域の場合、この場合は当然許可にあたって知事は通産省と協議をするものと思うという解釈ですね。その点は、一つそちらから埼玉県知事の方にそういうことを連絡をして、温泉法による申請があった場合には、一つガス開発とごちゃごちゃにならないように連絡をしてやってもらいたいと思います。  それから鉱山局長にちょっとお伺いしますが、春日部市で地層調査を今度始めましたが、あの結論はいつごろわかる予定ですか。
  139. 川出千速

    ○川出説明員 この前開坑を始めたわけでございますが、開坑いたしまして三千メートル以上掘りまして地層を調べたわけでありますが、その結果を発表できるのは今年の秋十月ごろではないかと思います。
  140. 板川正吾

    ○板川委員 あの地域でこれは帝石さんが実際現場をやっておられるのですが、あの地方のガスの予想はどの程度にお考えでしょうか。たとえば、地下資源が水溶性ガスが出る、あるいは構造性ガスが出るのじゃないかというようなことについての感じといいましょうか、そういうのはまだでしょうか。
  141. 岸本勘太郎

    岸本参考人 地形的に申しまして、非常に堆積が厚くて、平原で、大きな川が流れておるところは、世界じゅう、至るところに大体ガスが出るわけで、日本でいいますと、秋田の雄物川流域、新潟県の阿賀野川、信濃川の流域、イタリアのポー川、アメリカのミシシッピー川、ソ連のボルガ川、フランスのラックという世界一のガス田、これもボルドーという川が流れております。それで大体平野で、もとは海であったところに有機物が堆積して、それがバクテリアの関係でガスが発生するわけです。日本で今まで手をつけていなくて、地形的に最も有望だと思われるのは関東平野です。掘ってみないとわかりませんが、今度私のところで掘りました草加でも、だれも考えていなかったのです。県でお掘りになったのは六百メートルでおやりになっておると思います。しかし、千葉県も出るのじゃないか、新潟県も出るのじゃないか。それから長野県にも一応あります。そうしますと、関東平野でも出たら非常に大きなものがあるのじゃないかという感じがいたします。ただ先ほども申しましたように、地盤沈下が起こらさる程度の——堆積が割合薄いのです。今の春日部の方も三千メートル前後で地殻のベースロックにつくのじゃないかと言われております。新潟県のように四千メートル、五千メートルというようなところまではないものでございますから、若干の底の不安はあるのですけれども、しかし、地形的に、地質学的に申しますと、関東平野は有望であるということであります。いずれまた来年には鉱山局の方から予算を割り当てられると思いますが、一本で勝負をきめるのは早いので、二、三本予算をつけていただけたら勝負がつくのではないかと思っております。
  142. 板川正吾

    ○板川委員 春日部で地層調査をしておって、さらに今言ったように関東平野全体の地層調査をやるという計画があると聞いておるのですが、次には栃木市周辺とか、あるいは群馬県に行くとか、こういうような予定を持っておるのですか。
  143. 川出千速

    ○川出説明員 いわゆる石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というものがありまして、そこで国産原油及び可燃性天然ガスの五カ年計画を立てておるわけであります。その計画の中でも、関東平野で二本ぐらい、その他では三本ぐらい、毎年一本ずつということで地層の状態を調べることが望ましいという方針が出ております。それに基づいて、まず第一年度として春日部をやる、来年はさらにどこの地点かまだきまっておりませんが、おそらく北関東あたりになるのではないかと考えております。
  144. 板川正吾

    ○板川委員 次に質問者がありますから、ではもう一つだけ伺いますが、企業局で工場立地調査法に基づく工場適地調査をしておる。この工場立地調査法によると、二条では、あらかじめ工場の適地調査を整えておく、条件としては用水、輸送、電力あるいはガス、こういったものの需要供給計画も一つ考える。また五条では工場を設置したいという事業者がある場合には、この辺が適地だ、条件が整っておるということを助言しろ、こういうことを言っておる。また四条では、相談されてからそういうことを言うばかりでなくて、あらかじめ適地を発表しておいて、事業者が工場を作りたいという場合には、そのあらかじめ発表されておいた事項を参考に与えることもいい、こういうようなことで工場立地調査法があるわけでありますが、この東埼玉地区は、工場立地調査法によると、どういうふうな適性を持っておりますか。一部立地調査による適地の指定を受けておるのですか。どことどこですか。
  145. 柄越將兵衞

    ○柄越説明員 今の点につきまして、私どもの方では、昭和三十三年から、適地調査法に基づきまして、ただいま御指摘の通り調査を実施いたしておりますが、特に三十六年度におきまして、草加、越谷を中心にいたしまして、東埼地区といたして適地調査を実施いたしております。その結果に基づきますと、草加、越谷地区は、土地の値段が関東地方の大都市の近接部といたしましては比較的安い、それから輸送条件が国道四号線を中心にしてありますので比較的よろしいというような関係から、主といたしまして消費地立地——たとえて申しますと加工業がおもでございますけれども、第二次製品的なものといたしまして、同じ化学工業にいたしましてもビニールを加工するようなもの、合成樹脂の可塑をいたしますそういう成型品工業というようなもの、あるいは機械工業、機械工業も加工度の高い機械工業でございます。あるいは、機械工業のほかには、鉄工業にいたしましても、電炉を使いますような鉄工業及びそれの加工業でありますシャーリング業とかいうものが適しておるというふうに私ども発表いたしておりまして、なおそれに基づいて、主として昨年の上半期まででございますが、あの辺に中規模程度の工業が主として移されております。そういうような状況になっておりますので、私どもといたしましては過大都市をできるだけ抑制するという考え方で、昨年工業の適正配置構想を発表いたしております。それに基づきまして、できるだけ企業の方々にインフォーメーション・サービスをいたしまして、かたがた、県及び市町村の方々にもその結果を申し上げまして、秩序のある発展ができますように、せっかくただいま努力中でございます。
  146. 板川正吾

    ○板川委員 先ほどお聞きの通り、そこの地区が交通的にも非常に便利であり、あるいは労働力の供給源というものもあり、都市にも近くて過大都市を防止する意味からもいい条件にあるというほかに、今度、今言ったようにガスが開発をされるようになると、さらに一つの条件が加わってくると思いますが、ガスの開発については、まだあと何カ月か先を見ないとはっきりしたことを申し上げられませんが、そういったガス開発状況と見合わせて、従来の適地調査、それを一つしかるべく再検討し直して、東京の過大部市を分散するような方向へ指導してもらいたい、こう思います。  なお、あの地域では、工場を持ってくる場合には、用水が問題だろうと思うのですが、そういう条件の不備な点は、一つ県等とも連絡し合って、せっかくガスが出るのですから、このガスをあの地域で大いに使って産業を開発する、同時に東京の過大都市を少なくとも緩和する、こういう方向へ一つ指導してもらいたいと思います。  以上で一応質問を終わります。
  147. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 岸本参考人には、御多用中、長時間御出席を願ってありがとうございました。     —————————————
  148. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、金属鉱山に関する問題について質疑を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
  149. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先般、自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する決議を、本会議並びに本商工委員会において行なわれたわけですが、すでに自由化に入る前に、現在の設備投資の繰り述べ、あるいはまた景気調整金融難によって、鉱山においてはあるいは解雇が提案され、また具体的にその解雇を通告する、こういうような状態になりつつあります。   〔委員長退席、板川委員長代理着   席〕 ことに中小鉱業についてはさらに深刻なものがあるわけです。一体政府はこの決議をいつの時点で実施されるおつもりであるのか、それをまずお聞かせ願いたい。
  150. 川出千速

    ○川出説明員 この前も衆議院の商工委員会並びに本会議の、金属鉱山に対する諸対策に関する決議がございました。この決議の内容は、いろいろ多方面にわたっておりまして、なかなか実現については検討すべき問題もたくさんございますので、鉱業審議会を開きまして検討を加える次第でございますが、その対策は自由化の時期に見合ってやるわけでございまして、実際問題としましては、来年度についての予算措置、あるいは財政投融資の措置、税制対策という点が重点になろうかと思います。
  151. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この問題は、貿易自由化の問題と、当面の金融難の問題とが二つ来ておるわけです。それで、より条件が重なりまして、自由化を前にして野たれ死にをするという形が出ないとも限らぬ、こういうように思うわけです。ですから、なるほど決議は自由化に直面をするということで、自由化にならないとその政策をしなくてもいいというようにも書いてありますが、必ずしもそうではなくて、自由化を前にしての金融難ということと一緒に深刻な悩みが来ておる。そこで、これはどうしても来年度の予算、あるいは次の通常国会への法律ということでは間に合わないじゃないか。根本問題は、それは通常国会ということになるでしょうけれども、当面起こっている問題を早く解決しなければならぬという問題もあるわけです。一体これらをどういうようにお考えであるのか、一つお聞かせ願いたい。
  152. 川出千速

    ○川出説明員 ただいま多賀谷先生の御指摘のように、最近の国内引き締めの影響が一番の理由だろうと思いますけれども、そのしわを鉱山業というものは、ほかの産業に比べまして一番ひどく受ける産業でございますので、最近、特にことしになりましてから、御指摘のような現象がぼつぼつ出てきておるわけでございます。来年度以降のいろいろな政策もございますけれども、緊急の場合いかにするかというようなことは、これは早急に検討しなければならない問題だと存じておりますけれども、それでは現在どういう手を打ってどういうふうにするという案は、持っていないわけでございます。
  153. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず第一に、最近鉄鋼においては、御存じのように操短をやりつつある。そういう現状で、鉄鋼の資材、原料あるいは燃料とか、そういったものは最近買わないという状態であります。ちょっと買い控えをしている。そこで貯鉱になっているという例もあるのです。そこで、今でも困っているのに、なお品物が売れないということになると、非常に困る。その品物が永久に売れないというわけではないでしょうけれども、当面買い控えという状態になっている。そうすると、その貯鉱融資でもやるかどうか。一体それをどうして切り抜けるか。ことに一般資材は、御存じのように上がっているわけです。ましてや電力あるいは運賃というものは、みな現金払いです。それで運賃が、御存じのように鉱山業には非常に多くかかるわけです。品物を売らなければ運賃はかからぬでしょうけれども、売るという状態では、運賃はかなりのウエートを占めている。そういう場合に、運賃や電力料は現金払いになっている。ところが実際は鉱山の方では、台風手形というのもありますけれども、要するに、大体六十日くらいの手形が百二十日くらいになっている。そうするとにっちもさっちもいかない、金融面で倒れていくという可能性が出てくるわけです。それから鉱山業というものは、比較的操短がきかない。要するに生産に弾力性がない。ですから、景気が悪いから少しぼっておこうというようなわけには、かなりの人件費が要りますからいかない。そこで、どうしても一時休山という形をとらざるを得ない。こういうようになるのですが、一体それについてどういうように対処されようとしているのか。
  154. 川出千速

    ○川出説明員 実際問題としましては、どういうふうに対処するのか非常にむずかしいわけでございまして、産業界全体が引き締めで、いろいろな問題を起こしておるわけでございます。これは鉱山業だけではないわけでございます。鉱山業は、先ほど申し上げましたように、その影響をきわめて受けやすい、あるいは電力料金、運賃は現金払いであるという点が非常に圧迫材料になっておることもございますわけですが、全体の金融問題をどうするかという問題にも関連しております。その中で、鉱山の問題をどういうふうにするかということも、全般の問題と関連しながら対策を立てなければいけない面もあるかと思います。私は金融の専門を担当しているわけでもないわけでございますが、鉱山につきましては、具体的な問題が起きたような場合に、それをもとにして考えなければいけない、こういうような感じを持っておるわけであります。
  155. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 しかし、具体的な問題を個々に片づけるといいましても、やはり制度的に解決をしてやらなければ、手厚い保護にならないと思うのです。それは政府自身の金がここに何十億かあるというならばできるでしょうけれども、政府自身の金が、今すぐ制度的に、それじゃ貯鉱融資をしましょうということになっていないんですね。ですから、そういう制度的なものをとりあえず考えてやる必要があるのじゃないか、こういうように思うのです。
  156. 川出千速

    ○川出説明員 先ほどちょっと申し落としましたが、現在考えております一つの施策は、中小鉱山が御指摘のように金融的に一番困るわけでございます。それもさしあたっての今の問題は、運転資金に困るのが非常に多いわけでございます。それで中小金融の道をつけるために、たとえば運転資金の供給をしておる商工中金がございます。これは組合金融になっております。現在鉱山は組合の結成ができておりませんので、早急に地域別に中小鉱山の組合を作るように現在指導中でございます。
  157. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 鉱山の場合はやはり貯鉱融資か何か考えざるを得ないのじゃないですか。どうなんですか。現状において、一般的にも金融引き締めでしょうけれども、一般的の金融引き締めを解除するのは、国の政策として大方針にもとるでしょうから、とりあえず鉱山だけということを考えるならば、やはり制度的に解決してやらなければならぬのじゃないですか。
  158. 川出千速

    ○川出説明員 さような点も必要かと存じます。運転資金の融資ということになれば、こういうところから原因が起きておるとすれば、結局はそういう面に対する融資ということにもなるかと思います。   〔板川委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは一つ早急に制度として考える必要があるのじゃないか、こういうように思います。それはやはり鉱山とか、あるいは炭鉱という特殊事情による、それから景気変動の波を激しく受ける、そうして生産に弾力性がない、こういう点から見ると、かなり他産業と違う面があるのじゃないか、そういう特殊性を十分考慮して政策を立てる要があるのではないか、こういうように考えるわけです。  次に、具体的な問題としまして、宮城県大土森鉱業、この問題についてお尋ねいたしたいのです。  これは今までずっと稼行しておったわけですけれども、最近になりまして親会社の方から融資をとめられるという事態になって、手形の不渡りを出さざるを得ない、こういうような状態になってきた。そこで従来この鉱山が探鉱が十分徹底をしていない、通産省で御調査なさったところによりましても、鉱量としてはかなり見込まれるけれども、的確な探鉱が行なわれていないというので、探鉱をどんどんやりなさい、こういうことで勧告を受けておるわけですけれども、やはり従来の探鉱費が少ない。政府の補助金も少ないし、また自己資金というものがかなり要るわけですから、十分な探鉱ができていなくて、その日暮らしをやっておった、こういうことが言えるのじゃないかと思うのです。しかし、何にしましても、今三百名に近い従業員が解雇されようとしておる。そこで組合としては会社と話し合って、再建案を作って、それに協力しようというわけで、今明日じゅうに再建案が労使の間で作られるはずになっておるわけです。これらの問題については、通産省としてはどういうようにお考えなのか、これをお聞かせ願いたい。
  160. 川出千速

    ○川出説明員 大土森鉱山でございますが、大土森鉱山は昭和十六年以来稼行しておる山のように聞いておりますが、三十年以降に日本曹達の実質上の経営に移りまして、それ以来探鉱に相当の努力をして、通産省としましては補助金を出したり、あるいは中小企業の公庫の金融のあっせんをいたしたりしまして、今まで探鉱開発に努めてきたつもりでございます。先ほどお話がございましたように、鉱量があまり十分でなく、しかも最近の金融情勢の逼迫も加わりまして、今まで赤字を出してきたわけでございますが、その補てんが続かなくなったのではないかと想像しております。そういうこともありまして、一時閉山という通告が一方的に会社側から出たわけでございます。現在再建案につきまして団交中というふうに聞いておるわけでございます。どういうようにその再建案がまとまりますか。今そういう交渉をしておる段階なものですから、政府として特にそれをどうすべきかということは言いにくい段階にあるわけでございます。
  161. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労使関係といいましても、これは労働問題ではないわけです。むしろ企業の問題なのであります。ただ、賃金値上げの問題というような労働条件の問題とは非常に違うと思うのです。そこでこの鉱山を、一体国としてつぶした方がいいのか、やった方がいいのか、そういう大きな見地から、雇用問題を含めて検討する要があるのではないか。ただ、労使問題として団交が行なわれておるということで答弁を差し控えるということは、私は政策として聞いておるのですから、それは適当でないと思うのです。問題は、この山は一時休山をするというわけでしょう。そうして保坑をしながらやっていく。ですから経営者が廃山に踏み切る——保坑をしないで、もう閉山に踏み切るという場合なら、それは価値がないという経営者の踏み切り方だと思うのです。今休山をして、そうして景気の立ち直りと一緒にやろうというのですから、鉱量がないという断定は経営者としてしてない。やはり開発が十分できればやりたい。要するに率直にいうと金がないのだ。金がないから一時それで糊塗しよう。しかし、雇用問題をかかえておるし、しかも炭鉱離職者ほど鉱山の場合は援護処置ができないのです。何もないわけです。しかも炭鉱離職者は移住資金もあり、あるいは一時離職金ももらえるのですけれども、それも制度としてない、しかも非常な山奥である。こういうことになりますと、やはり制度が確立するまでは、何らかの職をつないでおく必要があるのじゃないか。ですから、それだけに問題が深刻である。ですから、労使問題であるからというので、役所は回避されておるようですけれども、私は率直に役所として見解を述べられた方がいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  162. 川出千速

    ○川出説明員 多賀谷先生から今御指摘ございましたように、根本は金融の問題であります。それが大土森鉱山の問題につきましては非常に重要な問題になるかと思います。金融の問題ということになりますと、再建の方途の問題にもつながるし、現在金融は市中の金融ということになっておりますので、政府としてそれでは現在どういうふうにすべきである、金融はどういうふうにつけるべきであるというような結論を出すということは非常に困難なことになるということを申し上げたつもりでございます。
  163. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、再建案を労使で作りますね。組合の方もそれに協力しましょう。かなり組合の方も犠牲を負うかもしれない。経営者もかなり犠牲を負う再建案ができるでしょう。そこでやはり役所としてはそれが軌道に乗るように最大限の努力をしてもらいたい。それがためには、役所としてどういう金融的な処置をとるか。金融の問題は、何も私は必ずしも立法上の処置を必要としない場合もあると思うのです。その点一つ格段な努力を願いたい。またこの問題は引き続いて今後の問題として残しておきたいと思います。
  164. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で本件についての質疑は終了いたしました。  次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会