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1962-05-08 第40回国会 衆議院 商工委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月八日(火曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       始関 伊平君    首藤 新八君       田中 榮一君    中川 俊思君       林   博君    原田  憲君       南  好雄君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中村 重光君    西村 力弥君       山口シヅエ君    伊藤卯四郎君       井堀 繁男君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      谷川  宏君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    佐竹  浩君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君        厚 生 技 官 苫米地孝之助君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    影山 衞司君         日本専売公社副         総裁      大槻 義公君         日本専売公社販         売部長     狩谷 亨一君         中小企業金融公         庫理事     磯田 好祐君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事)   永野  量君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月八日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  井堀繁男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井堀繁男辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  一、金属鉱産物価格安定臨時措置法案多賀谷   真稔君外二十四名提出、第三十九回国会衆法   第三一号)  二、金属鉱物資源開発助成法案多賀谷真稔君   外二十四名提出、第三十九回国会衆法第三二   号)  三、有明海開発促進法案井手以誠君外二十一   名提出衆法第四号)  四、中小企業基本法案宮澤胤勇君外二百六十   二名提出衆法第四二号)  五、中小企業基本法案松平忠久君外二十六名   提出衆法第二四号)  六、中小企業組織法案松平忠久君外二十六名   提出衆法第二五号)  七、通商産業基本施策に関する件  八、経済総合計画に関する件  九、公益事業に関する件  一〇、鉱工業に関する件  一一、商業に関する件  一二、通商に関する件  一三、中小企業に関する件  一四、特許に関する件  一五、私的独占禁止及び公正取引   に関する件  一六、鉱業と一般公益との調整等に   関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  中小企業に関する件      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 質問の順序として、まず厚生省質問をして進めるのがいいと思っておったのですが、厚生省がまだ見えないので、公取委員長の方へまず質問したいと思うのです。  これは新聞等でもだいぶん出ましたので御承知のことかと思いますが、武田薬品工業米屋との紛争最初東京だけであったのが、現在全国的に広がりつつあります。こういう問題について、公取としてどの程度の情報といいますか、あるいは一説によると調査に乗り出したといっているが、これは何か誤報のようなことも聞いておりますが、つかんでおられますか、一つお伺いしたい。
  4. 佐藤基

    佐藤説明員 武田薬品のプラッシーの問題につきましては、新聞等で若干は聞いておりますけれども、私の方でも事務局の方で若干調べておるという段階でありまして、事務局の方においてもまだ正確な事態はつかんでいないし、従って、公取委員会としてもまだ取り上げる段階には至っておりません。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる抱き合わせ販売、これは私は不公正取引一つだと思うのです。そこで公正取引委員会としてはいわゆる抱き合わせ販売をどの程度に把握しておるのか。これは商慣習云々という言葉になろうと思うのだが、結局のところは商慣習とは何ぞやで意見が分かれてくると思う。しかし、抱き合わせ販売についてはどのような理解を持って取り締ろうとしておるのか、お伺いします。
  6. 佐藤基

    佐藤説明員 抱き合わせ販売というのは一体何を言うか、これは非常に法律的には疑問の多い取引じゃないかと思いますが、現在におきましては、抱き合わせというのは物価統制令に規定があって、物価統制令十二条に「抱合せ」ということが書いてありますが、それが一つの抱き合わせという観念の現われじゃないかと思います。私の方といたしましては、抱き合わせ販売がどうなるかというのは、いわゆる不公平取引に該当するかいなかという問題、しかして不公正取引につきましては、いわゆる拘束約款であるとか、あるいは取引の優越した地位の利用という問題になるのじゃないかと思っております。いずれにいたしましても、プラッシーなどにつきましては、その実態を十分把握しないと何とも申し上げかねる、こういう状態であります。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたの方の告示で、不公正取引法とはこれだ、こういうのが昭和二十八年九月一日告示十一号で出ていますね、その十ではなかろうかと私は思うのですが、「自巳の取引上の地位相手方に対して優越していることを利用して、正常な商慣習に照して相手方に不当に不利益な条件取引すること。」これに当たるのじゃないかと思うのです。そこで問題は、正常な商慣習ということになるのだが、今、武田がやっておるいわゆるプラッシーですか、よく売れるものと売れない強化米ポリライスというのですか、それと化学調味料の「いの一番」、こういうのを抱き合わせでないと卸さない、こういう行為はまさにこの告示の十号でいうことになるのではないか、このように考えるのですが、まだ調査をしていない、こういうことなら答えははっきりしたことは言えないだろうと思いますが、いわゆるそういう一つの品物がよく売れる、こちらが売れない、従って売れるものに対してこちらを何ぼ買わなければこちらは何も渡さない、こういうようなやり方、これは一般的に言ってどうですか。
  8. 佐藤基

    佐藤説明員 今お話しの不公正な取引方法の十号の問題とすれば、正常な商慣習ということが問題になってくるし、あるいはまた八号で拘束約款じゃないかという疑問もあるので、そうすると八号によりますと、「正当な理由がないのに」という正当の理由の有無の問題になる、そういう点を法律的には考えなければならぬし、具体的取引関係の事実をはっきり把握しないと、何とも意見を申し上げかねる次第でございます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、事実問題は、調査をしないと言えない、こういうことはその通りだと思うのです。しかし、一般的に言ってよく売れるもの、これを買うためには一方売れないものまで押しつけられるというこの取引、これはまさにいわゆる不公正な取引、それをいわゆる約款として規制せしめたのが八号だと思うのです。それから、普通、取引条件としたときは十号じゃないかと思うのですが、いずれにいたしましても、独禁法の二条七項でいうところの不公正取引ではないか、このように思うのです。その点について一般的な解釈、これはいわゆる抱き合わせ、売れるものに売れないものをつけなければ卸さないのだという、このこと自体はどうですか。
  10. 佐藤基

    佐藤説明員 売れるものに売れないものをつけて取引するというお話でありますが、その売れるものにつけることが正当な理由があるかどうか、あるいは正常な商慣習に照らしてどうかという問題が残るわけでありますから、そうすると、結局事実関係をはっきりしないと、ちょっとお答えいたしかねる、こういうのが私の今の状態であります。もちろんお話がありますからして、さらに事務局において検討させようと思います。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 厚生省が見えたので厚生省にお伺いしますが、これは厚生省がいわゆる行政指導監督をしておられる頭だと思いますが、武田薬品工業株式会社米屋さんとのいざこざの問題、しかもそのいざこざのもとになっているプラッシー、これは厚生省認可したもの、その他強化米、「いの一番」、これも一応厚生省関係だと思うが、こういうトラブルについて厚生省はどのように把握し、どのような手を今日まで打ってき、これから打とうとしておるのか、お伺いいたします。
  12. 苫米地孝之助

    苫米地説明員 局長、課長が公務で出張しておりますので、私からかわってお答えいたします。  厚生省では、強化米、それからプラッシー特殊栄養食品ということで、強化米に混入されておりますビタミン、あるいはプラッシーの中に混入されておりますビタミンC許可基準をきめまして、そしてその許可基準に合致しておるものについて特殊栄養食品として指定しておるわけであります。従いまして、そういう特殊栄養食品普及をされますことについては非常な関心を払っております。それで厚生省として一番問題としております点は、そういう強化米あるいはプラッシーの中に、許可された表示量だけが実際に含まれているかどうかという点が一番重要視しておるわけであります。従いまして、特殊栄養食品もしばしば集計などいたしまして、そのうちに実際に含まれておるかどうかということを調べておるわけでございます。それと同時に、こういう特殊栄養食品普及奨励されることをわれわれの方では指導しておるわけであります。ただ現在の、武田米屋さんとによるいろいろな商取引上の問題につきましては、これは私たちの方で直接に干与しておりません。と申しますのは、そういうことによりまして、そういう特殊栄養食品普及が阻害ざれるかどうかという点が私たちの方で一番重要な問題でございます。従いまして、現在までのところそういう特殊栄養食品、特に強化米普及がそういう商取引上の問題として利用されておるようではございますが、まだそれによって別に強化米普及が阻害されるということはないように考えております。ただこういう強化米普及が不当な取引によって強制されるということについては、非常に問題があるかと思います。不当な取引があるかどうかは公正取引委員会の方でも検討しておられるので、そういう点でもしこれが不当な取引が行なわれて、それを取引一つとして強化米が利用されるということでありましたならば、私たちの方でも十分検討しなければならないと考えております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 長々と答弁したが、結局私が要求しているのは、そういうことじゃないのです。新聞にも出ているし、あなた方の方で認可を与えたものが今言った抱き合わせ販売の対象となって、そして今米屋さんとの間にトラブルを起こしておる、そういうことについて厚生省は何らかの指導か何かしたかということです。それともそういうようなことは、許可はするが、それから先は厚生省の問題じゃないのだ、こういうことなのですか。
  14. 苫米地孝之助

    苫米地説明員 これにつきましては実情を把握しておるという程度でございまして、特に現在までこういうふうなことをしなければいけないという指導はしておりません。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 それは事実を知っておるがやらなかった、そういうことですね。
  16. 苫米地孝之助

    苫米地説明員 事実と申しますか、実はこちらの委員会要求がございましたので、昨日この問題につきまして、強化米販売関係しております団体を呼びまして、実情調査したわけでございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 私がちょっと目にかかったのを切り抜いただけでも、だいぶそのことについての新聞の報道があるんです。あなたが職務に忠実であるならば、こういうものを見れば、何らかの行政指導を行なうべきでなかったかと思うのです。最初東京都で起こったのが今や全国的になっておる。一方米屋さんはそれのことによって武田製品不買同盟を結んでおる。店頭から一切の武田の名称を取りはずす、そういうことで一部では中小企業法律によって認められた団体交渉に入っております。そういうことについて私が質問するからということで、きのう呼んだ、こういうことなのだが、やらなければ、これはあなたは、公取の問題だ、こういうことで、あくまでもほうっておくわけなんですか。それともここでこうして問題を取り上げたら、何らか厚生省の責任においてこれを解決していこうという考えはありますか。
  18. 苫米地孝之助

    苫米地説明員 これは法律上の問題として一応栄養改善法という法律がございまして、それによりますと、特殊栄養食品標示許可というだけの法律でございますので、法律上の問題ではないわけでございますが、やはり行政上の指導の問題としてそういう点は十分考慮されると思いますので、その点については十分検討いたしたいと思います。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 法律ではいわゆる独禁法あるいは先ほど佐藤委員長が言った物価統制令、そういうことに関係あるとしても、あなた方は何も法律に忠実であるだけじゃないんです。それ以前に行政指導ということを行なわなくちゃいけないのです。それをやらない。やっていなかった。今、武田米屋との間にいろいろな問題が起こっておることについて、あなたは全部知っていないんじゃないかと思う。たとえば、武田傍系会社、そこから米屋さんへ出張店員というか、派遣社員ということで人を押しつけておる、こういう問題もあります。これなんかも、公正取引委員会告示では、これはそのものということは出ていないけれども、いわゆる百貨店における特殊指定等でもやはり問題になるわけです。そういうような状態について薬品等はあなた方が所管しておるのだろう、それをこうして問題になるまでほうっておくということはどうなんですか。あなた方は薬品会社に対してそういった行政指導権を持たないのですか。厚生省でそういうことはようわからぬ、とういうことなんですか。——だからだめなんだ、局長が帰ってからもう一ぺん出直せ。ここで言えることは、厚生省自分の所管になっているものに対しては、そういった新聞種になるような事件を起こしておるにもかかわらず、何ら手を打っていないということがはっきりしただけなんだ。君はこれから先の答弁はできない。だから局長なり大臣を呼んでこい。
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 田中さんに申し上げます。この点につきましては、大臣もしくは局長に来てもらってさらに検討願うことにして、いかがですか。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長のお言葉もありますから、そういうことといたしましょう。しかし、国会が終わったからといって、どういうことがあるか知らぬが、関係局長が全部いないということは、どうもおかしい。そこで何ですか、あなたを言うんじゃないけれども、何か厚生技官ということで見えて、あなたは厚生省を代表する答弁はできないわけです。だからあらためて大臣なり、少なくとも次官ぐらい呼んできなさい。  じゃ、続けます。——というようなことで、公正取引委員長、まず行政指導で解決しよう、こういうことにやろうとしても、厚生省がお聞きの通りなんです。そうすると、今度は法が動かなければならないと思う。何か委員会としてはまだ取り上げていない。だがしかし、事務局段階において調査をやっている、こういうことなんです。これは私は忠実だと思う。そのことについてまだ正式な報告を受けておりませんか。
  22. 佐藤基

    佐藤説明員 委員会といたしましては、まだ何ら事務局の方から——大体事務局の方で話がまとまりますと、委員会報告し、委員会が判断するわけですが、まだその段階に達しておりません。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかくこの武田米屋の問題で、私は独禁法から見て問題になる点が、二、三点あると思うのです。  その一点は、今言っている抱き合わせ販売。それからいわゆる社員派遣といいますか、こういうことで武田及びその傍系会社から米屋さんへ人を派遣しておる。さらに直売所ということにして、これを系列下に置く、こういう動きがある。それに対する米屋さん側の不買同盟、これも考え方によっては一つ独禁法等の点が出てきます。さらに、先日当委員会通り、本国会において成立を見ました不当景品類及び不当表示防止法、この点から見て、武田が行なっている特売とか記念販売とか称しておりますが、これはそういうことで一時期を区切ってやるのでなくして、そういう名目で年間を通じてやっておる。そういうことであるならば、どうも不当景品類及び不当表示防止法との関係でやはり問題が出るのではないか、こういうように考えます。  従って、この問題に対して、厚生省がようやらないなら、公正取引委員会において独立権限として調査に入ってもらって、一つこの紛争をうまく解決する、あるいは適当な勧告を出す、そういうようにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  24. 佐藤基

    佐藤説明員 お話しの点よくわかりましたから、事務局において至急検討いたしまして、何らかの結論を出したいと思います。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ、あまり調査しておられないようだし、事務局ではある程度事務的な調査をやっているらしい。しかし、まだ委員会への報告段階でないということだろうから、これ以上聞いても、その事実を調べなくては、佐藤委員長も言えないと思う。問題はやはり正当なる商慣習というところへ問題が帰着して法律論争になるので、そういうことはやめますが、いつも私は公正取引委員長に言っているように、そういった弱い者が強い者から押しつけられておる取引、いわゆる不公正な取引を是正するんだという独禁法の精神にのっとって運営し、この事件につきましても、速急に何らかの手を打ってもらう——私は何も独禁法違反処罰云々を言ってはいない。そういうことに対する勧告あるいは原状復帰、いろいろ方法があるから、早いことやってもらいたい。そうでないと、これは全国的に広がります。そういうことを申し上げておきます。  次に抱き合わせ販売の問題に関連をして、専売公社にお伺いいたしたい。一体専売公社というものの性格は何か。その性格の上に立って、自分の方で許可しなければ売らさないところのたばこ小売店に対して、これ以上強い経済的な有利な立場はありません。この有利な立場を利用して専売公社が不公正取引をやっている。すなわち抱き合わせ販売をやっている。これはもう長年続いておる。長年続いておるから、これが商慣習だとはいえない。たとえば、「いこい」、「新生」あるいは「ピース」といったような売れ行きのいいもの、「光」その他の売れ行きの悪いもの——あるいはたばこの種類は違っているかもしれません。私は専門じゃないからあまり知りませんが、とにもかくにも、売れ行きのいいたばこを何ぼ、そうしたらこのたばこを何ぼというようにおろしておるのが実情なんです。それに対して、今問題にしておる抱き合わせ販売すなわち不公正取引という立場専売公社性格からいってどうか、その点をお伺いいたします。
  26. 大槻義公

    大槻説明員 抱き合わせ販売という点が私少しはっきりいたしませんが、事実としてはそのようなことがやむを得ずある時期においてあるかという点を申し上げますと、最近フィルター付たばこに対する需要が非常に多くなっておりまして、公社といたしましてもそれの増産に努めているわけでありまするが、たばこ小売店配給を希望する数量を十分配給できないというようなこともございまして、御質問のような御印象をお持ちになったのかと思うのでございますが、抱き合わせで何と何でなければ小売屋配給しない、こういうような考え方はとっておりません。まあ、時期的に十分供給できないという点は、公社といたしましては、何しろ専売でございますから、そういうことが早いこと解消しないといけないというので努力はしておりますが、現実の問題としては今申しましたような、たとえば「ハイライト」あるいは「ホープ」というようなフィルター付たばこにつきましては十分な配給をなし得ないという点は、遺憾ながら私どももそのように思っておりまして、せっかく増産に努めている状況でございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 全然違うんだよ。どういうように君が言おうとも、事実小売屋さんに対して出張所が行なっている行為は、このタバコ何ぼならばこれを何ぼとれ、こういうことをやっているんだよ。やっていないとおっしゃるなら、あなたは監督不十分なんだ。やっているんだよ。塩あるいはショウノウはいいとして、専売にしたことはそれぞれ理由があろうと思う。しかし、専売ということ自体は一番の独占なんだよ。いいですか、しかも、公社という格好で国家機関として行なっておる、それがそういった抱き合わせ販売をやるということはどうなのです。あなたはやっていないと言うけれども、事実やっているんだよ。そのことについてあなたは今後どう考えておるか、今までやっていないということだって、それはうそなんだ。おそらくあなた方が認可を与えておる小売屋さんだから、ここに参考人で呼んできても、やっていると言わないと思うんだが、やっていないというならやっておるという事実が出るまで争いましょう。どうです。
  28. 大槻義公

    大槻説明員 公社考え方といたしましては、お話しのように、たばこを供給する唯一の機関でございますから、やはり消費者の需要するたばこの動向を察知して、十分それが供給できるような態勢をとるべきだと思います。従いまして、現実の問題として、ある銘柄たばこをとらなければ、こっち側の銘柄たばこは供給しないというような態勢がもしありとすれば、好ましくないと私は考えております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 もしじゃなしに、現実にあるんだよ。私も国会に出る前は兵庫県の労働組合委員長をしておった。その労働組合が、いわゆる特別な販売というか、工場内の販売許可をとってやっておったのだが、はっきりその事実があるのですよ。今後はどうするじゃなしに、今までやっていた事実についてあなたほんとうに知らないとおっしゃるなら職務怠慢だ、やめてもらわなければいけない。ほんとうに知らないのか、それともあるんだが隠しておるのか、どっちなんだ。とぼけたってだめだぞ。
  30. 大槻義公

    大槻説明員 私正直に申しましてその実態を十分把握しておりませんでしたが、ただいま販売部長の話を聞きまして、時期的にやはり銘柄の供給が十分できないというような場合において、そのようなことがあったということを申しております。やはり根本はたばこを十分供給できる態勢を早く作るということと考えます。今後そういう点のないように十分配慮をしていきたい、このように考えております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた、公社関係してから何年になるのか。
  32. 大槻義公

    大槻説明員 公社に参りまして五年になりまして、ついこの二月に副総裁に就任しました。それまで経理部長をやっておりました。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 五年もたっておって、どういうようにやっているかということをほんとうにあなたは知らないの。そういうことでは副総裁は勤まらぬ。全国のたばこ配給状態を資料にして出して下さい。時期的じゃないんだよ。要望するものが間に合わないということはある。しかし、そうじゃなしに、要望するものが何ぼほしければこれを何ぼ買え、こういうやり方なんだ。そういうことが絶対にないと言うようなことは許さぬ、事実あるんだから。おれが経験してきているんだよ。それをとぼけたってだめなんだ。全部調査して報告して下さい。もしその調査がはっきりできなかったり、あるいはその事実があるにかかわらずうその報告をしてきたら、私は承知しません。あなたの首をかけて一つ調査して下さい。
  34. 大槻義公

    大槻説明員 よく実態調査いたしまして、御報告申し上げます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 いつまでにその調査提出できますか。
  36. 大槻義公

    大槻説明員 できるだけ早く申し上げたいと存じます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、今ここでは僕は言わないが、その調査が出たときに、もし違っておったら、具体的な出張所の名前及びその所長の名前等を明らかにします。それと違った報告をするなら、うその報告になりますから、御承知願いたいと思います。よろしいですか。  それで、これは通産省の中小企業庁長官の方がいいと思ったが、これはやはり次官の方がいい。お聞きのように、たばこ屋にしたって、それから米屋にしたって、これは中小企業というよりか、もっと零細小売業者なんです。それに大企業が抱き合わせ販売で押しつけてくる、あるいは派遣店員というようなことで人を押しつけて、あるいは系列直売所を作ってくる、作らないところには卸さない、しかも米屋さんの団体武田とが共同出資をした商社を作る、そこを通してそういうことを行なっているという事実、こういう事実について、独禁法の問題だけでなく、いわゆる中小企業立場から、通産省は適当な処置をしてもらわなければ困る。ことに専売公社というのは国家機関で、一番大きな独占なんだ。そこが今のように抱き合わせ販売をやっているということ、こういうことは、中小企業を守るという立場に立つ中小企業庁を所管する通産省としては、適当な処置をとってもらい、専売公社あるいはその会社もしくはそれを監督する厚生省、これに対して適当な措置をとるように要望してもらいたいと思う。いかがでございますか。
  38. 森清

    ○森説明員 田中さんの御指摘のように、最近、大企業に対してそうした傾向のあることは、私も承知をしております。そこで、中小企業を守る立場にある私どもといたしましては、これは非常に寒心にたえないところでございまして、将来十分なる行政指導をしていきたいと思います。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 きょうは厚生省も、今言ったように責任者が出てきていない。専売公社も、ほんとうに知らないのかどうか知らぬが、あまり実情を知っているようなことではなさそうだ。ことに副総裁という人が来てですよ。そういうことでは、この問題はこれ以上続けましてもむだだと思いますから、一応きょうはこの程度にいたしておきます。しかし、次の委員会までに、厚生省あるいは専売公社公取委員会、それぞれどういう措置をとるか、あるいはとったか。それから通産省、これは中小企業庁になると思いますが、それからは、そういう点に対して厚生省あるいは公取あるいは専売公社に対してどのような申し入れをしてどうなったか。これをすべて次の委員会に御報告を願います。そういうことで、この項に関するきょうの質問は保留いたしておきます。
  40. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 首藤新八君。
  41. 首藤新八

    ○首藤委員 私は、 スーパー・マーケットのことについて、公取委員長に御意向をただしたい、こう考えております。  本来、このスーパー・マーケットが、数年前から、大阪、神戸あるいは東京、そのほか主要な土地に開店いたして、これがために、一般小売商に非常な圧迫を加えておる。率直に申し上げますれば、公正な経済秩序を破壊いたしておる。ここで当然この問題は、公取が何らかの対策を講ずべきであるという考え方から、国会でこの問題を取り上げようと考えたけれども、御承知の通り、与党の議員でありますから、相なるべくならば私的にお話をして、円満な解決をすることが好ましいというふうに考えて、一昨年以来しばしば、公取の経済部長あるいは当時の事務局長に、至急に対策を講ずべきである、同時に、それがためには、慎重な調査を一日も早く実施いたして、この結末を報告してもらいたいということを、数回にわたって私は申し入れてあるのでありますが、きょう事務局長も見えております。このことは、事務局長もよく了承いたしておると私は考えておるのでありますが、それにもかかわらず、今日まで何らの御返答がないのでありまするけれども、これはまだ調査が未了でありますのか、あるいは調査した結果が独禁法には触れないというお考え方に立つのであるか、この結果をまず一つお伺いしたいと思います。
  42. 小沼亨

    ○小沼説明員 ただいまの御指摘の点、たびたび首藤先生の方からお話がございまして、大阪の問題でございますので、大阪の地方事務所の方に昨年の暮れ指示いたしまして、調査を求めたわけでございますが、実は二月に大阪の総務課長が出て参りまして、問題の大栄スーパー・マーケットの社長に会って直接調査した内容を報告したわけでございますが、これによりますと、少なくとも独禁法の不公正な取引方法に当たるいわゆるダンピングのような販売方法はとっていないということでございまして、このマーケットはちゃんと、売り上げから相当多額の配当までしておるということで、年一回の決算で、一番新しい資料としまして、三十五年度末の決算を見ますと、一億円あまりの配当までしておる、そういうことになりますと、どうも独禁法上の不当な廉売をやっておるという問題には当たらないのではないかということを考えておるわけでございます。ただ、これは調べましたマーケットの全般的な決算の状況でございますので、個々的に見ますと、あるいはその仕入れた原価よりも安く売っておるのがあるのじゃないかということで、この総務課長の報告ではその点が十分明らかでないものでございましたので、事務局段階でございましたが、これは一つ大阪の事務所の審査課長の方と総務課長の方で協力し合って、もう少し深い突っ込んだ調査をしてもらいたいということで要求しておりましたが、その結果はまだ出て参っていないのであります。
  43. 首藤新八

    ○首藤委員 この問題は、私が公取に申し入れるだけじゃなく、全国の小売商、なかんずく薬局、薬種商、この面からは各自とも公取に対してそのつど訴えて、善処方を陳情した事実があるのであります。このことは、私がここで言わなくとも、十二分に事務局長も承知されておると思うのでありまするが、特に今事務局長のお話によりますると、仕入れ値段よりも安く売った事実はまだ調査が判明してないということであります。しかし昨年東京の池袋駅前で、いわゆるスーパー・マーケットなるものが突如出現いたし、あまりにも安値でありますから、東京都内はむろん遠く千葉、埼玉、山梨、神奈川、こういう方面からも毎日何万人の方がこの店に買いに行く。そこで東京の、いわゆる薬種商の組合におきましては非常な影響をこうむりまするから、共同してこれに対抗すべきであるということで組合の共同経営によっていく。この池袋のスーパー・マーケットの近くに、いわゆる薬種商の共同店を開店いたして、そうして猛烈な販売競争をやった。そうしてその結果が初めはスーパー・マーケットは大体六割くらいで売っておった。だんだんそれが進行して最後には七割引きだ、三割でまで販売しておった。しかもついに警察が出動いたし、さらに厚生省が出動いたして、そうしてこれが鎮圧といいまするか、事態の解決に乗り出して一応小康状態を呈しておりまするが、このことは東京だけでなく、今事務局長が申された大栄スーパー・マーケット、神戸の三宮にありまするが、毎日朝から晩まで何万の人がそこに行く。生田警察署が交通整理のために毎日警官を派遣して整理をするというような状態にあるのです。これはなぜこんなにたくさんのお客が来るか、言うまでもなく値段がべらぼうに安いからです。安いのは一般の小売商が仕入れる値段よりもさらに安い販売をしておる。その一般の小売商が仕入れる値段よりもさらに安い値段で売りながら、なおかつそれが仕入れ値段よりも安くはないんだということが、いわゆる独禁法にひっかからないというような見解であろうと思いまするが、御承知の通り、この製薬会社はこの数年間猛烈な新薬の宣伝をやっております。テレビあるいはラジオ、あらゆる面を通じてその宣伝をいたしておる。ただし次から次に新しい薬ができる。従ってその全部の薬を宣伝することは経済的に許されないから、やはり新しい薬、新しい薬を宣伝する。そこで今まで宣伝しておった薬はある時期になったら宣伝をやめる。しかも製薬会社はいずれもがオートメーション化しております。大量生産になっておる。そこで最も新しい薬の宣伝を始めますると、前に宣伝しておった薬の売れ行きはだんだん減ってくる。そうしてそれが、いわゆる大量のストックになってくる。この大量のストックをキャッシュを持っていって不当な安い値段で仕入れてくることが、かような安値売りの根拠になったのではないか。ただしこれは善意の解釈であります。製薬会社も何もそのスーパー・マーケットだけが得意先でない。全国の業者が得意先であります。全国の業者がこれがために非常な損失を招き、この結果は結局問屋に迷惑をかけ、問屋は結局製薬会社に最後はしりを持っていく。従って製薬会社がさような不当な安値で売るということは自殺行為でありまして、結論的には自分が責めを負わなければならぬということになりまするから、少なくとも製薬会社としてもさようなことはあり得べからざることだと私は考える。しからばその安値のものが一体どこから入ってくるのか。結局金融関係から、その手形の期限が来て、どうしてもこれを落とさなければならぬ。そこで仕入れ値段のいかんにかかわらず、これを処分して手形を落とす、いわゆるせっぱ詰まったダンピング、これらがいわゆるスーパー・マーケットに集まっていく。それがこういうふうな安値売りをするということになっておるのだと解釈するのが、私は正しいのじゃないかと実は考えておるのであります。かりにそれが仕入れ値を下回っていないというたところで、少なくとも正常の取引でないことだけは事実であります。あるいはダンピングである、あるいは製薬会社の金融関係にいたしましても、これは一つのダンピングであります。正常ならざる取引であります。その値段が、正常ならざる取引によって購入した仕入れ値よりも安くないのだというような解釈を下して、この大きな問題をいつまでも不問に付して、そうして全国の薬種屋がほんとうに窮境に立ち至っておるのですよ。もし委員長が不審に思うのならば、あるいは神戸や、大阪や、あるいは東京の薬局においでになって、どういう状態になっているかということを調査したならば、まことに簡単にこの結果はわかってくるのであります。私たちは、理論よりも、公正取引委員会は、いわゆる公正な取引、日本の経済秩序を維持するために必要な機関だと実は考えておる。この経済秩序を破壊するような、公正な取引を破壊するような、こういう行為は、やはり公取が率先してこれを取り締まっていく。それで全国のいわゆる零細業者の薬局が通常の取引ができるようにこれを保護してやらなければならぬと思うのでありまするが、これに対して委員長はどういう考え方を持っておるか、その点を一つ聞いておきたい。
  44. 佐藤基

    佐藤説明員 経済秩序の維持と申しますか、そういうお話はよくわかります。ただ、私どもといたしましては、何と申しましても、独占禁止法がある、独占禁止法にひっかからぬ限りは、現在の法制じゃ何ともならぬということになるのじゃないかと思うのです。そこで今事務局長が説明いたしましたように、現地において事実関係を明らかにして、独占禁止法にひっかかるかどうかということを究明して、しかる後に法律的な手を打つというふうに考えております。
  45. 首藤新八

    ○首藤委員 これは重大な問題であります。私が初めに申し入れてからおそらく二年を経過いたしておると思うのであります。公取の陣容が非常に弱い、人手も不足である、従ってよその官庁よりも調査が若干おくれるであろうことは、これはやむを得ないと思いまするけれども、しかし、それにしても程度があると思う。全国の薬種屋は毎日々々このわずかなスーパー・マーケットのために非常な圧迫を受けておるのでありまして、従って何かの対策を講じようということで環衛法によって組合を全国的に結成いたして、これに対抗しようとしたのでありまするが、組合は作ってみたけれども、依然としてこのスーパー・マーケットの販売というものは何ら反省しない。また公取に対してしばしば陳情したと思うけれども、この公取も一向に動かないということから、そのくらいならばもう組合に入って賦課金を納めるだけでは損じゃないかということで、せっかく組合を結成しながら、いわゆる脱落者が相次いでできて、せっかく組合を作りながら、その組合の運用というものはどこもここも非常に変な状態に陥っているのが現在の姿であります。私たちはやはり取引というものは昔からの一つの習慣があって、小売は何割の利益、卸は何割の利益、そうしてその原価というものは大体がみな同じものであります。ただキャッシュであるか手形であるかによって多少の開きはあるけれども、しかし、それも一つの通念で、キャッシュのときは何割、手形のときは何割、これは久しい間の一つの商習慣があるわけです。その商習慣によって全国の業者が営業いたしております。その商習慣を無視いたし、この慣習を破壊して、わずか二、三のものが自分勝手な営業をやって、そして全国の昔ながらの商習慣を破壊いたし、現業者に大きな圧迫を加えておるというととは、許されない問題であると思うのであります。それでもあなたの方は、これが独禁法に触れなければ発動するわけにはいかぬという御意向であるかどうか。同時にまた、先ほど申し上げたように、独禁法に触れるか触れないかというあなたの方の解釈は、仕入れ値段よりも安く売っているか売っていないかという点にポイントを置いておるらしいが、この点に対しては私たちは非常に問題があると思います。しかもその調査が、今日なお二年たってもできないということは、率直にいって非常に大きな怠慢だと申し上げても過言でないと思います。必ずしも今日私はあなたを追及しようとは思いませんけれども、全国の業者がこれがためにどれくらい苦しい営業をしておるか、あらゆる対抗策を講じておっても、なかなか目的を達成しない。しかも私は厚生省局長に申し入れをいたしました。禍根は製薬会社にあるらしい。その製薬会社に反省を促す。そして卸、小売それぞれの段階があるから、その秩序を維持するように、行政指導に全力を傾倒すべきじゃないかということを、厚生省局長に申し入れをいたしたのであります。その後どういうふうに厚生省は手を打っておるか、その点は私どもは聞いておりませんが、これはゆゆしい問題でありまして、放任できない問題でありますから、あなたの方の調査ができていなければ、もう一度急速にもっと慎重に突っ込んだ調査をしていただくことが、私は必要であると思うのであります。またそれが公取の責任としても当然やるべき問題ではないかと思うのでありますが、どうですか。それについてあなたの方は、先ほど事務局長の話では、調査はできぬということでありますが、大体いつごろになったら調査ができるのですか。この問題について一つ御回答願いたいと思います。
  46. 小沼亨

    ○小沼説明員 一度は先ほど申し上げましたように、調査いたしたわけでありますが、もう少ししさいに立ち入って、向こうの仕入れ台帳まで出して調べるようにということでございますので、あるいは審査部の問題として問題にしなければならぬと思います。できるだけ早くそういうようにいたしたいと思います。  それから補足させていただきますが、非常に怠慢のおしかりを受けて恐縮なんでございますが、同じような例で三十四年八月に一度、現在の大栄マーケットの前身とかいうことでございますが、これは審査部の方で実際に調べたようでございます。ところが、これもやはり不公正な取引法に当たらないということで、一種の不問のような措置になったわけであります。東京では先ほどの池袋の件、東光マーケットというのがございまして、それにつきましても、東光マーケットの場合には周囲に三、四軒倒産した企業があるということで、具体的に審査部の方で調べましたが、やはり現在の独禁法から見て、一定のマージンをとっておるということで、現在の独禁法からは何ともいたしがたいということで、不問になったような事例が若干ございます。従いまして、大阪の件につきましては、そういうことでできるだけ早く調べたいと思います。
  47. 首藤新八

    ○首藤委員 私たちの見ておるところによりますと、大体薬がおとりになっておる。薬をべらぼうに安く売っておる。それに魅力を持たせて客を集めて、集まった客に対して、いわゆる薬以外のいろいろな雑貨を販売しておる。これは先ほど田中委員質問しておりました、ある一種の抱き合わせ販売になる、そこまでは私は申し上げませんが、ともかくも薬をおとりにしておる。そしてほかのものを全般的に押し売りするというようなことで、しかも、たとえば大阪、神戸においては、ほとんどの者が、薬は大栄だということで、遠方からみんな近所隣の委託を受けて代表者で交代的にみんな買いにいくというような状態になっておりまして、あなたの方もこの点一ぺん大栄のこの事実について調査をされる必要があると思います。そうしてそこに何らかの異常な姿がよく認識されてくれば、調査に対して私は情熱も沸いてくると思います。しかし、時間もございませんから、きょうはこの程度にして、あなたの方の調査の結果を待って、その上においてさらに質問をいたすことにいたしたいと思います。
  48. 板川正吾

    ○板川委員 ちょっと関連して。——この薬の流通機構に対するいろいろな問題は、この前当委員会でも取り上げて参ったのであります。しかし、そのときの経験からいうと、これは必ずしも全部公取の問題だけというわけにはいかないと思います。問題はやはりこの製薬会社の面から規制をして対策を考えないと、下の方だけ幾ら公取で押えようとしても、公取公取一つの限界があります。この不公正取引といい、乱売といい、安く売ってもそれでももうかる。それをお前はもっと高く売れということは公取で言うわけにはいかない。そういう非常に幅のある価格をとっております。割り戻し制とかいって、大体百円の品物が五十二、三円で普通入る。ですから百円のものを三割引でもって七十円で売ったって、決してそれは不当乱売ではない。しかし百円のものを五十円までにするのには、割り戻し制とかなんとかいうものがあって、結局小売商がメーカー、製薬会社の犠牲になっておるような形になっておると思うのです。ですから調査をされる場合には、これは厚生省に当たるか、あるいは通産省の企業局になるか知りませんが、そういう点をあわせて検討されて調査をしていただきたい。そうしていずれにしても薬業の小売商が不当な圧迫を受けないような流通の方法というものを一つ考えてもらいたい。そういう面からも考えてもらいたいということを要望いたします。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 大体板川委員の言ったことと同じことになるのだが、もちろん首藤委員がおっしゃったように、公取の範疇に属することもたくさんあります。しかし、その根本は、やはりメーカー、製薬会社にあると思います。いろいろわれわれ調査してみますと、ともかく薬局が六十五円、七十円で買うものを、乱売では六十円で、いわゆる自分の仕入れ値段より安く売っておる。これはどこかに何かあるに違いない。当委員会でも何回かこれを取り上げて、それならばその定価を下げろと言った。一番今不公正な取引が行なわれておるのは、小売の定価が書いてあるものに多いのですよ。それは化粧品、薬、電気製品——酒等は別として、大てい価格を表示しておるものが今一番問題になっており、むしろ価格の表示のないものの方がうまくいっておる。こういう点は、もういないけれども、むしろ厚生省の問題だと思います。そこで、先ほどたばこその他の抱き合わせの問題を申したと同じことを次官に申し上げて、これはむしろ通産省から厚生省の方に、一つ何らかの申し入れをしてもらうということが必要だと思います。これは当委員会でも何回も取り上げた問題でありますので、一つ善処されるようにお願いします。
  50. 森清

    ○森説明員 御趣旨よくわかりました。さっそくに厚生省とも連絡いたしたいと思います。      ————◇—————
  51. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に中小企業に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本件について、商工組合中央金庫理事の永野暴君に参考人として出席願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお同君は本日すでに出席をしておられます。  そのほか、中小企業庁より影山指導部長、大蔵省より佐竹財務調査官、谷川監理官が出席をされております。なお中小企業金融公庫よりは磯田理事の出席を求めておりますので、御承知をいただきたいと思います。  まず最初に、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫の最近における金融状況について、報告並びに説明を聴取することにいたします。中小企業金融公庫磯田理事
  53. 磯田好祐

    ○磯田説明員 中小企業金融公庫の磯田でございます。昭和三十六年度までの概況につきまして、ちょっと御説明申し上げたいと思います。  昭和三十六年度の資金計画は当初八百三十五億であったのでございますが、三回にわたります追加融資によりまして百六十五億の追加がございました結果、実績といたしましては九百六十九億の融資を実行いたしております。これが昭和三十六年度の実績でございます。  それから最近におきまする申し込みの状況でございますけれども、御承知のように昨年の年末以来、先ほどもお話し申し上げましたように、三回にわたりまする追加融資を受けたのでございまするが、昨年の第三・四半期、すなわち十月、十一月、十二月には、対前年で申しまして、直貸し、代理貸しを合わせまして一五五%の申し込みの増加に相なっております。それからまた本年、昭和三十七年に入りましての一−三月におきましては、昭和三十五年度に比べますると、直貸し、代理貸し合わせまして一一四%の申し込みの伸びということになっております。最近におきまする状況でございまするけれども、なお全般的な金融引き締めの状況もありまするが、一般的に申しましておおむね昭和三十六年度の第四・四半期程度の状況で推移するのではないか、さように私どもとしては考えておるのでございます。  こういう状況からいたしまして、三十七年度の資金計画といたしましては、国会の御承認を得て、三十七年度におきまして九百八十五億の資金計画の協賛を得ておるわけでありますが、これの貸し出しの仕方といたしましては、引き続き三十六年度の第四・四半期程度の状況で推移するであろうということも考え、三十六年度の第一・四半期におきましては、全体の資金計画の中で大体二三%程度を出すことにしていたのでありますけれども、三十七年度におきましては、引き続きいわゆる金融引き締めの結果、そのしわ寄せ等によりまして、中小企業における金融も相当苦しいという点を考慮いたしまして、三十七年度の第一・四半期にこれを二五%の二百四十六億程度を出すという計画にいたしておるわけでございます。私どもの方の窓口から申しますと、一般的に申しまして、昨年末までの状況は、いわゆる金繰りの問題ということが非常に大きな問題だったと思うのでございますが、最近になりましては、金繰りのほかに、これは私どもの問題ではないのでございますけれども、一般的な金利上昇の問題でありますとか、労務の問題でありますとか、あるいは親企業のしわ寄せ等による収益減、そういうようなところが今後問題になるのではないか、さように私どもとしては考えておるのでございます。私どもの方の窓口から見たところの最近の金融情勢並びに中小企業金融公庫として三十七年度の第一・四半期の資金需要に対する事業計画と申しますか、それは大体先ほど申し上げた通りでございます。
  54. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ありがとうございました。  次に、商工中金の永野参考人より、最近の状況の御報告をいただきたいと存じます。
  55. 永野量

    ○永野参考人 商工組合中央金庫の永野であります。商工中金の窓口から見ました最近の中小企業金融の概況を簡単に申し上げたいと思います。  まず三十六年度の状況でございますが、私どもの計画は、貸し出しの額は、年間を通じて純増のベースで計画しておりますので、この点は御了承いただきたいと思います。三十六年度は、年度当初の計画は三百十億でスタートしたわけでありますが、御承知のような金融引き締めになりました結果、引き締め当時から年末、年度末にかけまして、三回にわたる政府の追加財政投融資をいただきまして、三十六年度の実績といたしますと四百九十億という純増になったわけであります。三十七年三月末の貸し出し残高は二千百九十六億であります。こういった政府の追加財投をいただきましたので、まあまあ私どもの責任は大体果たし得たと考えております。問題は本年度でございますが、本年度の計画といたしますと、三百六十五億の純増を年度当初の計画として持っております。これは三十六年度のスタートに比較しまして、純増分では二割ちょっと増加という計画でございます。しかし最近の中小企業の状況を見ますと、引き締めも相当浸透して参りまして、私どもの窓口で一応三十七年度の純増規模といいますか、各支店を通じて調べた数字によりますと、五百七、八十億ないし六百億という純増ベースでの要求がございます。しかし、これは一応支店からの要求でございますので、必ずしもこの通り出るかどうかという問題はございますが、一応支店を通じて調べました需要は、五百八十ないし六百億ということになっております。それに対して、年度当初は三百六十五と非常に少ないわけでありますが、これは一応昨年度の当初の計画に対して二割を上回る数字でありますので、まあまあこれでスタートをしたいと考えております。今後の経済情勢によりましては、昨年と同様にある程度政府の方の追加をお願いしなければならないのではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ私どもの計画三百六十五を達成するにあたりましての私どもの問題点と申しますのは、昨年度いただきました三次にわたる追加投入のうちで、相当部分を三十七年度に返済するという約束になっておりますので、これは政府の方にもいろいろお願いしておりますが、この返済の状況いかんによっては相当苦しいのではないかということが一つ。それからもう一つは、三百六十五を実施するための資金調達の中で、私どもの資金源の相当部分を占めております商工債券、特に割引商工債券の売れ行きが昨年以来非常に悪くなっております。昨年も相当大幅な計画をしたわけでありますが、今年も情勢はそう変わっておりませんので、計画面ではある程度縮小しておりますけれども、なおかつ資金調達には不安があるわけでありまして、資金調達面で実は私どもいろいろ苦慮しておるという状況でございます。  簡単でございますが、商工中金の一応の状況を申し上げました。
  56. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ありがとうございました。  ただいま大蔵省の大月銀行局長が出席されましたので、御報告申し上げます。     —————————————
  57. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、質疑の通告がありますので、これを許します。首藤新八君。
  58. 首藤新八

    ○首藤委員 ただいま金融公庫と商工中金の金融に対する現状の報告を承りました。ところがこの中小公庫の説明と私たちが民間の陳情を突き合わせて考えると、実は非常な開きがあるわけであります。最近各地とも中小企業の金融が再び逼迫してきた。特に下請業者の苦況は全く想像を越えているのでありまして、いわゆる親会社が手形の支払い期限等を非常に長くする。また従来はある程度は現金決済であったものが、全額手形に切りかえられた。あるいは契約品を納入してからも、検査という名目で決済するまでに非常な時日を要するというようなことから、下請業者は二重にも三重にもその影響を受ける。しかもこれがために、金融機関に対していろいろ申し込むけれども、資金がないということで断わられるというような陳情が非常に多いのでありまして、明後十日にも関西の方の業者が大挙してこの問題の陳情にやってくるという通知を実は受けております。ところが、今公庫の話を聞きますと、大体大したことはなく、どうにかこうにかやっているというような印象を受けた報告でありまして、実は非常に不可解に考えております。  そこで私は公庫の方についてまずお尋ねしたい。公庫の昨年の計画は八百三十五億、実績は九百六十九億、これは何回かの追加融資が行なわれた結果と、旺盛な需要の結果、こういうことになったと思うのであります。ところが昨年の実績が九百六十九億であったにもかかわらず、本年は一段と経済が伸びている、資金の需要は一そう強くなっているにもかかわらず、年度計画は九百八十五億、昨年の実績に比較しましてわずかに十六億の増加にすぎない。こんなことでどうしてこの中小企業の需要に応ずることができるか。特に先ほど申し上げた普通の金融関係だけでもすでに非常に苦しい立場に置かれている。いわんや労務者の不足から、好むと好まざるとにかかわらず、生産性をこの際思い切って引き上げなければならぬ、ベース・アップはこれは営業内容の善悪にかかわらず、アップしていかなければならぬ、生産性は一向上がらないということになりますと、その結果は倒産以外に結論はないのであります。そこでそれを免れるためには、生産性の向上をこの際一つ思い切ってやらせなければならぬ。また業者もそういう気持になっていると思うのであります。それにもかかわらず、こういうふうな公庫の報告を受けて実は意外に考えておりますが、私は公庫がかような報告をし、また安易な気持になっていることには、ほかに大きな原因があると思う。それは、公庫の貸し出しは非常に日時を要することであります。中小企業の金融の要請は、問題が起こってから計画的に融資を受けるのではなくて、突発的に融資を受ける必要があるのが非常に多い。また計画的に受けますときにも短い期間にそれを必要とする。ところが公庫の今日までの実績を見ると、申し込んでから大体五カ月、六カ月——昔から興業銀行が長いことでは有名でありましたが、最近興業銀行も非常に事務の合理化ができて、大体二カ月ぐらいで貸し出しをしている。今日申し込んでから五カ月も六カ月もほったらかして、容易に貸し出しをしないのは、おそらく日本の金融機関では、この中小企業金融公庫だけだと思う。そこで一般の中小業者としては切実に金融の必要を痛感しながら、公庫に申し込んでもとても間に合わない、また公庫の調査は非常に厳格だ、公庫の方ではそれを一つの誇りにして、私どもの調査は金融関係で非常に信用があるのだという、そのこと自体にも私たちは実は同調しかねる。何となれば、公庫を作ったそもそもの事情は、金融ベースに乗らないものの金融をいたすために公庫を作った。厳密な調査をして、そしてこれならば心配ない、大鼓判を押すというようなものだけを選んで、しかも五カ月も六カ月も時日を要する、こういう貸し出し方は、公庫を作った本来の目的に反するのであります。しかも結果的には、こういうことをやるから、中小企業の方では、公庫は当座の間に合わぬということになる。今日の公庫が、資金は少なくともどうにかこうにかやっていけますというような、一般の要請と食い違った安易な気持でいる根拠は、ここにあると思うのであります。これではたして公庫は、中小企業の金融をやる責任を果たしておるのかどうか。私はこの問題についても、森永総裁、中野副総裁に直接苦言をしばしば呈しておる。今日なおかつこの弊風が一向改善されていない。一体公庫はどういう考え方を持っておるのか。また幸いに銀行局長が見えておりまするが、銀行局長は監督の機関といたして、公庫の貸し出しの非常に時日を要する点、これに対してどういう考え方を持っておるか、まずこの点から承ってみたい。
  59. 磯田好祐

    ○磯田説明員 中小企業金融公庫の審査といいますか、貸し出しに相当の時日を要する、これはたびたび、ただいまもお話のありましたように、森永なり、中野なりにお話をいただきまして、中小公庫といたしましては、累次にわたりまする支店長会議等を通じまして、極力敏速に処理するように最善の努力をいたしておるつもりでございます。  なお、よく御存じのように、中小公庫の貸し出しには、いわゆる代理貸しと直貸しと二つの形態があるわけでございます。代理貸しの方におきましては、これは大体地方銀行、都市銀行、信用金庫、相互銀行等の窓口を通じて今までのお客さんに貸し出しをするという形になっておりますので、審査もきわめて敏速に、きわめて容易でございます。従いまして、これは一カ月内外で処理されておるというふうに私どもは思っております。ただ直貸しの方におきましては、先生もよく御存じのように、大体におきましてフリの、全く新規のお客さんが多い、そのためにその審査に相当の時日を要するのでございますけれども、これとても累次にわたりまして、首藤先生初め国会の諸先生並びに外部からいろいろな御批判もあることでございまするので、先ほども申し上げましたように、支店長会議等を通じまして極力短縮をするように努力をいたしておるのでございます。私どもとしては、時代の要請にこたえるように最善の努力をしておるつもりでおりますので、その点一つ御了承を願いたいと思います。
  60. 大月高

    ○大月説明員 中小公庫の貸し出しの審査の期間が長過ぎるという点につきましては、従来からいろいろ御批判もございますし、われわれといたしましても十分その点関心を持ちまして、公庫の方に期間の短縮を要請いたしておるところでございます。ただ、今説明がございましたように、やはり直接貸しと代理貸しと性質が違いまして、代理貸しにつきましては平生の取引先でございます。直接貸しにつきましては全く新たなお客が大多数でございまして、かつ長期の設備資金ということになりますと、やはり企業の実態、それからいろいろな経営計画、そういうものをたんねんに審査する必要があると思います。仰せのように、この公庫は一般の市中銀行のベースに乗らないものの補完機関でございますから、一般の市中金融機関並みのベースで審査するわけではございませんけれども、やはり一つの金融機関でございまして、貸し倒れが出ないということが一つの大きな要請でございます。大事な国民の金、政府の金を預かって運用するわけでございますので、やはりそこには、市中ベースとは違いますけれども、一つの金融ベースというものがある。そういう意味で、審査が慎重になるということはある程度避け得ない。そういうようないろいろなむずかしい問題がございますけれども、できるだけ一般の需要者の声にこたえるように、極力努力しておる次第でございます。
  61. 首藤新八

    ○首藤委員 磯田理事答弁を聞きますと、いわゆる代理貸しは早い、一カ月ぐらいで大体できる、直接貸しは新規のお客さんが多いから、それで長引くのだということであります。これはあなただけでなく、総裁も副総裁もそういうことを言われておる。これはそういうこともあると思います。しかし、代理貸しは一カ月以内で、直接貸しは五カ月も六カ月もかかる。かりに新規であろうとも、あまりにもその差がはなはだし過ぎると私は考える。しかも相手は中小業者であります。これが三菱であるとか、あるいは三井であるとか、住友であるとかいうような大企業であるならば、相当の期間調査しなければ一切の調査は完了しないかもしれない。しかし、そんなに長くかからなくても、二時間か三時間いて調査したならば、調査はできると思われるのであります。しかも私はあまりにも不可解千万であるから、一体どういう調査をしておるのか、あなたの方の審査部長を呼んだ。それで審査部長の報告によりますと、その会社の資本金、従業員、売り上げ、創業以来の経歴、取引銀行、大体月並みなことを調査いたしておる。資本金一千万円、従業員三百人、これが融資の対象であります。そういう対象を、月並みな調査をして、それに五カ月も六カ月もかかる。常識で私にはあなた方の答弁が理解できないのです。しかも聞くところによると、一人の調査員が一カ月に二件という。大月局長、一ぺん聞いておいて下さい。一人があの吹けば飛ぶような中小業者の調査が二件よりできぬ、これで能率的ですか。どんなに精密に調査いたしても、私は二日か三日かかったらそんな調査はできるものだと思う。それで一向反省せずして、私の方の調査は非常に信用があるのだ——私は公庫の調査が信用があるかどうかということよりも、必要な業者に一日も早く融資してもらいたい。これを私は根本的に強く希望せざるを得ない。先ほど磯田理事報告によると、このわずかな金融の資金でもう大体いけそうだというような答弁があったが、今や中小業者は、公庫は融資の相手にならぬ、公庫に申し込んでも目的が達せられないとさじを投げて、ほとんどもうあきらめた、それがゆえにこのわずかな融資の計画はその範囲でいけるというような結果になっておりはせぬかと思うのでありまして、そういうことになれば、本来の公庫の設立の目的に反することきわめて大で、それならは一応公庫は根本的に組織を変更する必要があると私は考える。今のままの公庫だったら役に立たぬ。どうですか、根本的には、この改革をいたして、少なくとも二カ月以内には融資ができるというようなことができるかできぬか、その点を一ぺんはっきり聞いておきたい。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。——今、首藤委員が申されたことは、何回か当委員会において言っておるはずなんです。しかも昨年の通常国会で、現在の直接貸しと窓口貸し、代理貸しとを少なくとも国民金融公庫並みに五〇、五〇に上げていく、そこで五カ年計画で五〇にするのだということを森永総裁は私に約束したはずなんです。また調査の問題にしても、首藤委員のおっしゃる通りなんです。何回言ったらあなた方はわかるのですか。しかも中小企業金融公庫法の第一条、目的を読んでごらんなさい。一ぺん大きい声で読んでみい。どない書いてあるか。その目的に沿って運用をやっているのか。やっていない。しかもおそいだけでなく、資金のワクにしても、徳川時代と同じように、生かさず、殺さずという上に立ってやっておるのじゃないかと思う。たとえば一つの物の産地で同じような業態がたくさんある。そこで輸出等々をやっておるときに、いま少しめんどうを見れば伸びることはわかり切っておる。それに対してけちくさいやり方をやる。そのために何にも目的を達しないという事実がある。委員長は、委員長立場から発言はできないでおられますが、委員長の郷土に関係のある瀬戸市においても、事実を言わなくたってあなた方はわかっておると思う。同じような問題を起こしているじゃないですか。今、首藤委員がおっしゃったが、もう一言強く私は申し上げます。要望通りやれないならば、法律が悪いのか、それとも人が悪いのか、運営が悪いのか。人が悪いなら全部かわってしまえ。かわるようにしなければいけないと思う。どうしようとしておるのか。首藤委員答弁にあわせて答弁願いたいと思います。
  63. 磯田好祐

    ○磯田説明員 公庫の運営の仕方につきましてはたびたびおしかりを受けておるわけでございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、今、中小公庫といたしましては、総裁、副総裁以下、いかにしてこの融資を迅速適確にやるかということに最善の努力を尽くしておる次第でございます。先ほど首藤先生のお話によりますると、ごく月並みの調査しかしていないんじゃないかというお話でございましたが、しかし、私どもの中小公庫で扱っております資金需要の大部分は設備資金でございまして、大体全く新規の設備をする、その設備の結果できるものがはたして売れるのか売れないのか、はたしてそれが経済的に採算がとれるのかとれないのか、その業界の一般的な問題とかなんとかいうことを調査するために相当の時日を要するわけであります。そういうような関係と、先ほども銀行局長からお話がありましたように、全く新規のものを扱うのが大部分である、そういうような関係で相当の時日を要しておることは事実でございますが、中小公庫といたしましては、できるだけこれを短く融資ができるように努力するようにいたしておるわけであります。  なお、ただいま首藤先生から二カ月で融資ができるかどうかというお話でございますが、これはケース・バイ・ケースによるのでございまして、きわめて簡単なケースにつきましては二カ月でできるものもございます。現に一カ月ないし二カ月以内でやっておるケースもあるわけでございます。しかし、事案によりましては、やはり相当の時日を要するものもあるわけでございまして、何もかにも一般的に二カ月でやれるというようなことにつきましては、私どもとしてはたびたびの国会で御叱正、御批判を承っておるのでありまして、今後この融資の能率を上げることにつきまして最善の努力を尽くすということを今の段階ではお答えする以外にできないと思います。全体を二カ月の中におさめろ、そういうお話のありましたことは帰ってよく総裁、副総裁にお伝えいたしますけれども、今の段階ではちょっと一般的にそういうお約束はむずかしいのじゃないだろうか、これは私個人の考え方でございますが、さように考えます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 公庫法の第一条を、一ぺん声高らかに読み上げて下さい。どう書いてあるか。
  65. 磯田好祐

    ○磯田説明員 「中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 この目的に沿った運営がやられていないから、こういろいろと問題になるのですよ。  そこで、次官あるいは大蔵省にも申し上げて意見を聞いてみたいのですが、今のような状態であるならば、法が悪いのか、人が悪いのか、これを究明して改組の必要がある、あるいは人員をかえる必要がある、そういうように考えるが、監督の衝に当たられる通産省、どう考えられますか。それから、資金の問題等もあるわけですが、そういうことに対して、大蔵省——大体、大蔵省というところもよくないと思う。一つ意見を聞いておきたいと思います。  なお、何回かこう言っておるのに、われわれが委員会で何べん言うたって改めようとしないなら、こちらにも考えがある。それだけはっきり申し上げておきます。しかも殺さず、生かさず、申し込んだ中で、ほんとうにスズメの涙ほどしか融資をしてやらない。これは委員長の土地のことで、恐縮だから申し上げませんが、同業者、いわゆる中小企業者が六百軒もあるのに対して、わずか五千万円ほどしか出さない。事は輸出に関連しておる。そういうことで法の目的が達せられるのか。法の目的の達せられないような運用をやっておるなら、やめてもらいたい。当局の御意見を伺います。
  67. 磯田好祐

    ○磯田説明員 先ほど中小公庫としては、三十七年度の計画九百八十五億で満足しておるのかというお話がありましたけれども、私ども決してこれで満足しておるわけではございません。これは、予算でそういうふうにきまったわけでございまして、当初、私ども中小企業金融公庫としては、政府に対して、千四百億を要するということを御要望申し上げたのであります。いろいろな査定の結果として、九百八十五億ということに結果的に相なっておるということでございます。現在におきましては、この資金の範囲内において、現実の資金需要に対応しまして、最善の努力を尽くすという以外に、私どもとしては申せないわけでございます。そういう意味におきまして、ただいま話しましたように、従来に比べまして、本年度の第一・四半期におきましては、資金需要が相当旺盛であろうという考え方のもとに、第一・四半期に相当繰り上げてやるということにしておるわけでございます。  なお、先ほど商工中金からは、三十七年度の資金調達方法につきまして、いろいろお話があったのでありますが、私ども中小企業金融公庫の立場では、先ほどお話しいたしましたように、昨年、百六十五億の追加融資を受けております。そのうち、昨年九月に追加融資を受けました九十億の分につきましては、三十七年度に返還する資金がございません。従って、これは問題ございません。それから、本年の一月に追加融資を受けました三十五億の分につきましては、そのうちの十五億を三十七年度中に償還するということに相なっておりますけれども、この分につきましては、三十五億の資金の融資によりまして、おおむね十五億の回収金が確保できるということでございます。これは問題ございません。ところが、昨年の十一月末に追加融資を受けました四十億分につきましては、本年の七月に十億、八月に十五億、九月に十五億、合わせて四十億を返済するということになっておるのでございますが、この分につきましては、四十億の貸付に伴う回収金というものは大体年度間十三億ということになっておりますので、四十億に対する利子分を含めまして四十一億を償還しなければならぬわけでありますが、その分につきましては、結局回収金との間におきましては二十八億くらいの不足が生ずるのではないか、かように思っております。この機会にあわせてお答え申し上げます。
  68. 森清

    ○森説明員 人が悪いか法が悪いかという御質問でございますが、私どもは法が悪いとは思っておりません。そこでただいま磯田理事からのお話をるる承っておりまして私どもが感じますことは、やはり首藤さんの質問の中に盛り込まれました趣旨に対しては私ども全く賛成でありまして、その方向に向かって足らざるを補っていただいて、たとえば人の問題あるいは能力の問題あるいは組織の問題、そうした問題を十分考慮していただきまして、首藤さんの御質問の趣旨に沿って私どもはやっていただきたいとむしろ望むわけであります。
  69. 大月高

    ○大月説明員 大蔵省としても全く同様な考えでございます。
  70. 首藤新八

    ○首藤委員 磯田理事に申し上げますが、この貸し出しが非常におくれる、業者はこのために大へんな迷惑を受けるということから、私は今日まで弔う何回となく改善をしなければいかぬと個人的に勧告をいたしておる。そうしてその当時の回答は、近くやります。今やりつつありますということであったけれども、その後相当の時日が経過したにもかかわらず、一向改善されたような傾向はない。先ほど田中委員が発言した通り、こんなに重ねて勧告したにもかかわらずそれの実効が上がらないということは、誠意がないのかあるいは能力がないのか、いずれかに私は帰すると思うのでありまして、しかもこれが一般の中小業者に、切実に金融を希望する業者にとって非常な影響を及ぼしておるのであります。ただいまの説明によりますと、まだ資金源は足りないのだということでありますが、先ほどの報告によるとどうにかこうにかこれでやっていけそうだという印象を私は受けた。同時にまた、一方中小業者が最近金融問題について毎日陳情に各方面へ来ますが、あなたの方を対象として金融を申し込んだということが一つもこない。くるのはみな商工中金だけです。商工中金は資金がなくなった、枯渇した、それで貸し出してもらえない、それで困るのだという陳情が実は全部であります。結論的に言えば、先ほど申し上げた通り、普通ならば商工中金が資金難であれば今度は公庫の方に行こうということは当然起こり得なければならぬと考えるにかかわらず、この公庫ということは一言半句も陳情者の文字に現われていないということは、要するに公庫に申し込んでもだめだ、間に合わぬ、要するに公庫は当面の金融機関にあらずという考え方がおそらく全国の中小業者の一様の考え方になっておることが、こういうことになったのではないかと私は憂える。従って、今御答弁によれば、あるものは二カ月以内にできるけれども、しかし全部が二カ月以内ということは困難だという答弁です。先ほど申し上げましたごとく、調査も必要でありますが、今日までの公庫のやり方を静かにながめておると、公庫の責任者が大蔵省に対して、いわゆるいい顔をしよう、利益を少しでもたくさん上げようという考え方、そのことが非常識な調査になり、非常識な貸し出し遅延になってくるのだと私は考えざるを得ないのであります。そういうことであるならば、しかも今日までたびたび忠告したにもかかわらず、一向改善の跡がないというならば、この際日本の全中小業者の金融を円滑にするためにも、気の毒だけれども、公庫そのものの改革を考えざるを得ないと私は思うのです。今日まではしんぼうしてきたけれども、この金融難に四苦八苦しておる中小業者があるにもかかわらず、ひとり公庫だけが安易な気持で、これで十分だというような考え方に立っておることは許されない。磯田理事はきょうは最高の責任者じゃないから、私はこれ以上追及しない。私の今の発言の趣旨を帰ってから森永総裁と中野副総裁によく伝えて下さい。それでこれをどうするか、この回答を私は求める。  そこで大月銀行局長にお尋ねしたいと思うのは、昨年十月から一般の金融機関並びに政府機関に一千億の追加を行なっておる。これは非常に時宜に適したことであって、民間の金融機関の協力と相待って、非常に心配された中小企業の金融が、とにもかくにもどうにかこうにかついてきたことは、一にかかって私は適切な融資の結果だと思うのであります。が、この融資はほとんどが短期でありまして、すでに買いオペの五百億を加えて民間の金融機関から政府の方にもう大体返却が済んだのじゃないかと思う。また商工中金の方も、これがために三月には五十億であったか返還されておる。一方一般の銀行の手元は潤沢になったかというと、一向潤沢にならないのみならず、むしろ窮屈になっておると思うのであります。こういうことから再び金融機関の貸し出しが非常にシビアだということになってくる。きびしくなってくる。先ほど申し上げたように、最近各地から金融難を訴える陳情がひんぴんとして来ている。明後十日には大挙して業者が陳情に来ることになっておりますが、このことはいわゆる政府機関の金融機関を初め、一般金融機関が非常に手元不足に陥っておるということを反映しておると思うのでありますが、この際、これが打開のために何らかの考え方を持っておるかどうか。  もう一つは、昨日の国会閉会に際して、産投特別会計がついに成立せずに終わったわけです。これが成立せない場合において、産投特別会計から政府機関の金融機関に資金源が相当投入されるような予算になっておりますが、これに対してはどういう考え方を持っておるか、対策を講じるか、この点を一つ明確にしていただきたい、こう考えます。
  71. 大月高

    ○大月説明員 昨年の九月以来、国際収支改善のために、金融の引き締めを中心としまして総合対策をとって参ったわけでございますが、当然金融引き締め下において中小企業にしわが寄ってくる。これはほっておけばそういうことになるということは見通されましたので、特にお話がございましたように一千六十億——これは相当今の財政から言いますと大きな数字だと思います。そういう金を一つは政府機関に追加いたしますし、一つはいわゆる中小企業向けの買いオペとして金融債を買い上げた、こういう措置をとったわけでございます。それでことしの一−三月は非常に財政の揚超の大きい期間でございまして、放置すればこれはさらに金融逼迫をはなはだしくするということで、日本銀行におきましても千四百億の買いオペを実行する。今の千六十億の中の相当部分を一−三月に実行する、こういうことでございます。おかげさまで中小企業としては、なかなか苦しい場面はあったかと思いますが、大過なく過ごしたというのが今までの経過だと思います。問題はこの四月−六月がどういうような金融情勢になるかというところにあると思います。現在の見通しでは、大体この四月−六月におきまして財政の面で、大体四月において千七、八百億くらいの散超になる。これはちょうど年度越しの金が集中的に出ますので、大体この四月は散超期になるというように見込まれておりまして、四月自体としてはそう大きな金融上の問題はなかろう、こう予想されておったのでございます。今までの経過から見ますと、不渡手形の発生につきましても、そう異常なものもございませんし、無事に済むであろうと思います。五月の財政の面におきましては、大体七百億程度今度は引き揚げ超過になろう。それから六月では大体五百億程度の引き揚げになろうか、こういう感じでございます。そういたしますと、その関係で四月の千七百億と相殺いたしまして、五百億くらい全体としては散超になるわけでございますが、五月、六月とだんだん財政面からは締まってくる。その上に日本銀行の買いオペレーション千四百億の売り戻しをこの期間にやるわけでございますので、逆に千四百億の売り戻しを計算に入れますと、全体としては今度揚超になる、こういうことでございます。特に六月になりますと、決算資金でありますとか納税資金でございますとか、いろいろな資金需要が起こりますから、五月よりも六月の方が金融面ではなかなかむずかしい情勢になろうかと思います。こういうのが大体われわれの見ておるところでございます。  ただ一面、国際収支の問題あるいは経済の見通しに関連いたしましていろいろの議論があることは御存じの通りでございまして、あるいは金融が若干ゆるみ過ぎておるのじゃないか、逆の御意見でございますけれども、全体としてはそういうような意見も一部にはございます。われわれといたしましては、国際収支を何とかして均衡に持っていきたいというのが一つの目標でございますので、その辺のかね合いを考えながら、中小企業に特にしわが寄るということがないようにいろいろ配慮を加えて、そのときどきの情勢を十分注意深く見守って参りたい、必要があればいろいろな手を講じたい、こういうように考えておりますが、今のところ市中金融機関の協力もございまして、中小企業に対する貸し出しは比較的ウエートが現在まだ多い段階でございますので、十分この方針を続けまして、慎重に対処して参りたいと考えております。
  72. 首藤新八

    ○首藤委員 きょうは時間がありませんから私は簡単に質問を終わりますが、五月、六月に再び金融難が深刻になりそうだということは、民間の中小業者も非常に今おそれておるわけでありまして、何らかの対策をやはり必要とすると思うのであります。特に商工中金——先ほど来申し上げております通り、民間の中小業者は、今日、公庫よりも中金の方にほとんどがみな融資を申し込んでおる。従って、中小業者の融資の窓口はその大部分が中金になっておるという現状から見て、中金の資金が一番不足しておると思われるのであります。しかもその原因は、御承知の通り債券が売れない。申し込みは多いが、債券は一向売れない。そこで一そう困っておりますが、もう一つ困った問題は、政府からの融資は短期資金が多い。短期資金でありますと、かりに八カ月にしても、これはもう四カ月も貸しておったら、あとはそれの回収に力を注がなければ期日に返済ができないということで、実際にそれが有効に使われるのはごく短期間にすきない。従って、せっかく融資を受けながら、それの効果が十分発揮できないというようなうらみが非常に多いのでありますが、こういう点も特に考慮されて、そうしてこの短期資金をできるだけ長くするということを考えてもらいたいのであります。もし、この資金がほかの方に求めにくいならば、この際公庫の資金を思い切って削減して、それを中金の方に回すということも考えざるを得ないような情勢も私はあると思いますから、そういうこともあわせて一つ考えてもらいたいと思うのであります。
  73. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 中村重光君。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま首藤委員田中委員から、政府金融機関、特に中小企業金融公庫の問題に対して、きびしく指摘があったのであります。このことは、今指摘されましたように、金融問題で論議をします場合に、いつも中小企業金融公庫の貸し出しが非常に、いわゆる調査期間が長過ぎるという点と、さらには調査が非常にきびしい。今、首藤委員が述べられた通りのことがいつも繰り返されておるということを、私今答弁を伺って感じております。そこで私どもは、中小企業金融公庫に資金をふやす、政府金融機関にもっと金をふやさなければならぬ、それでなければ中小企業の金融は緩和できないのではないかということを強く主張し、要求して参った。ところが先ほどあなたが御答弁になりましたように、資金をふやした場合、その資金がどのように中小企業金融難を緩和するために効率的に使われるのだろうかという一まつの疑念が生まれて参っております。結局貸付件数がふえていくというのではなしに、一件に対する貸付金額が増大をするということ、少しオーバーな指摘になりますが、いわゆる集中融資的な形というものがむしろ生じてくるのではないか、こういった不安すら持ちます。今のように長期間にわたって——それはいろいろ御答弁がありましたように、事情はありましょう。ありましょうが、そうした長期の調査期間を要する、これに対してまた資金をふやしてきた場合、それだけ貸付件数がふえてくるということになるだろうか、こういったような疑問を持ちますのは私一人ではないと思います。それだけに、ただいま首藤委員が言われたように、むしろ中小企業金融公庫の資金ワクを削減をして商工中金に回せ、あるいは国民金融公庫に回せという意見も出てくるわけです。  そこで、私はどうしても、この調査期間が非常に長いといったような点、調査が非常にきびしいという点は思想上の問題があるといったような気がいたします。それは代理貸しの場合は、代理店である民間金融機関が、もし焦げつきの場合等はそれを弁済するということになって参りますが、直貸しの場合は公庫自体の損失というものがそこへ生まれてくるということ、そういう点でやはり貸付の場合にどうしても直貸しがきびしくなり、代理貸しが安易になるという点がありましょう。そのこと等もやはり調査期間が相当長引くという原因にもなると思う。いま一つは、その民間の金融機関になって参りますと、営業関係もあります。従って、いわゆるサービスという点をどうしても念頭に置きます。しかし、中小企業金融機関の場合、その点が欠けておるのではなかろうか、貸してやるという気持、そのことがお役所的な形ということにどうしても調査の面その他の取り扱いの面においてなってくるのではなかろうか。やはりサービスということを念頭に置かなければならぬ。同時に中小企業金融公庫その他政府金融機関が民間の金融ベースに乗らないために、設備資金は相当長期にわたる貸付であるために、民間ではどうしてもこれの貸し出しが困難であるといったいろいろな事情が出て参ります。また政府金融機関というものがここへ設けられた理由というものがそこにあるわけなんですが、そのことは、中小企業を育成強化していくということ、これを根本に置かなければならぬと私は思う。その点がややもすると欠けておるのではなかろうか。そういうことが、調査が必要以上にきびしくなり、いわゆる形式を備えるということに重点が置かれてくる、そういったようなもろもろの関係というものが、やはり調査があまりにも長引き過ぎる、さらには調査が著しく厳格になり過ぎる、こういう点が起こっておるだろう、こう私は思います。従いまして、そういった根本的な問題を直していかなければならぬ。先ほど森政務次官は、法律には欠陥があるとは思いませんとおっしゃった。なるほど法律には欠陥がないのかもしれません。しかし、そういったような運営の問題というものはより重要である、そういったような点に私はメスを加えていかなければならぬと思う。私どもは毎回そういったような期間が長引く、調査がきびしいということを言っている。そのたびごとに御趣旨に沿うように努力をいたしますと言って、いつも同じような答弁が繰り返されておる。そういったような私どもの指摘に対して、無理がある、どうしても国会側が言うように簡単にいかぬのだと言われるならば、物理的にこういうことによって期間がどうしてもこれだけかかるのですということをもっと詳細にここで明らかにされ、そうして納得させるということが、当然金融機関としてのあなた方の責任であり、義務であると私は思う。そういったような御答弁というものは少しもない。ただ、私どものそういう指摘に対して、そういう御趣旨に沿うように努力するといったような答弁というものは、これはきわめて卑怯であり、責任ある態度でないと私は思う。そういう点は厳にこの後反省されて注意をして、中小企業を強化育成していく、このことに思いをおいて一つ対処していただきたい。このことは通産省並びに大蔵省に対しても、私は重大な警告と注意を喚起しておきたいと思います。時間の関係もございますので、この点に対しての答弁は求めません。  なお、先ほど大月銀行局長中小企業の金融の問題に対して、六月は揚超であるから相当逼迫するのではなかろうか。それに対しては十分対処していきたいということでございましたが、具体的な対策というもののお示しがございません。新聞報道等によりますと、行政指導をやる、買いオペはやらないといったようなこと等も報道されております。この点、非常に私どもは関心を持っております。従いまして、もっと具体的な、新聞報道が誤りであるならば誤りである、そういうことではっきり対策をお示し願いたいと思います。
  75. 大月高

    ○大月説明員 先ほど申し上げましたように、ただいまの経済の動向自体は非常に微妙な段階にございまして、昨年の秋に総合対策をもって金融引き締めをやる、これを強化するというような段階とはまた違ったいろいろな問題が出ているわけでございます。従いまして、今の場合、六月にたとえば買いオペをやるということが金融緩和につながるのではないかというような議論もございますが、ただいまのところ早急にそういうような態度をきめる段階にない、もう少し事態を見まして、必要があればやる、適当でなければやらない。今の態度としては、具体的な買いオペの問題については、白紙の段階でございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 買いオペに対してもこれは十分考慮していかなければならぬ、こういうことだと思います。  それから、先ほど首藤委員の深刻な金融難をどうやら回避したということに対して、銀行局長は買いオペのことを引用されて、そういった対策が回避することに役立った、こういうような御答弁であった。私はこの買いオペが中小企業金融難の緩和に役立っていないとは申しません。ですが、政府から出されております資料等を見ますと、買いオペをした時期に中小企業金融に対する貸付の比率が上がっておらなければなりませんが、上がっていない。むしろ若干低くなっておるということ、この点はどうも私は不思議に思っておりますが、買いオペが具体的に中小企業の金融難に大きく役立った、緩和することに役立ったという資料と申しますか、それを一つお示し願いたい。実は資料がたくさん出ております。中小企業金融公庫あるいは保険公庫あるいは商工中金その他いろいろ出ておりますので、若干違うようでありますけれども、私がきょうここへ持って参っております資料を見ますと、どうも買いオペのために確かに緩和しておるといったようなことが数字の面に現われていない。その点を一つお答え願いたい。
  77. 大月高

    ○大月説明員 金融の引き締め化におきまして、中小企業金融に窮迫を来たさないようにという配慮のもとにいろいろな施策を講じて参ったわけでございますが、具体的に申し上げますと、昨年公定歩合を二度にわたり引き上げまして、一般の貸出金利をそれに並行いたしまして二厘引き上げたわけでございます。しかし、この場合におきましても、一般の金融機関指導いたしまして、中小企業向け貸し出しの量及び質についてこれを確保するように、つまり中小企業向けについては市中金利を上げないように、かつウエートについてはその比率を落とさないようにという指導をいたしたわけでございます。  それから相互銀行、信用金庫におきましては、公定歩合の引き上げが二度にわたりましたにかかわりませず、貸し出しの金利を逐次下げるという指導をやっておりまして、具体的には逐次下がってきておるわけでございます。金利の面におきましては、そういう意味で、中小企業については、一般の大企業に比べまして、非常に優遇された金利措置をとっておる。量の問題につきましては、一般の金融機関においてウエートを落とさないようにということ、さらに相互銀行、信用金庫も御存じのように非常に資金の伸びがいいわけでございます。都市銀行、地方銀行の預金の伸びに比べまして、相対的に非常に多く伸びております。そういう意味で本来の中小企業金融の専門機関といたしまして、そちらの方へ回る金の量が相対的に非常にふえたというのが一つ実態でございます。  第三の問題といたしまして、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、これに対して具体的に資金量を追加いたしましたので、そういう意味で政府三機関中小企業におけるウエートがまたふえた。そういうように市中の一般の銀行、それから中小専門の市中の金融機関及び政府機関、それぞれに対して中小企業金融の措置をはかるという面の指導をやって参りました。そういうような指導の結果といたしまして、全体のあらゆる金融機関を通ずる総貸し出しに対する中小企業向け貸し出しの残高の比率は、ずっと引き締め以降もウエートが落ちずに来ておるわけでございます。具体的に申し上げますれば、引き締めの前の月は、昨年の六月でございますが、このときの中小企業向け貸し出しのウエートは四一・五七%というウエートであったわけでございます。その後大体において九月ごろまでは四一%台を続けておりましたが、九月の引き締め後におきましても、十月のウエートは四二・〇六%で、四二%に逆に上がったわけでございます。十一月が四二・〇九%、十二月が四二・五九%、こういうふうに上がって参ったわけであります。本年に入りましてからもやはり四二%台を保っておりまして、四二・〇三%というのが一月二月の実績でございます。そういうようにあらゆる金融機関を通じての金融施策に基づきまして、今のようにウエートが落ちずに来ておる。三十二年の引き締めのときには、御存じのように数千億分が中小企業から落ちていったという統計がございまして、これに比べますれば、絶対量がふえておることは当然といたしまして、ウエートにおいても、若干ではございますけれども、むしろ引き締め前よりも上がっておる、こういうような実績でございます。  それでオペレーションがはたしてどの程度寄与したかという問題は、大きな施策の中の一環でございますので、いろいろな問題を総合いたしましてどれだけ伸びたか、オペをやったのでこれだけということはちょっと数字的に申し上げかねると思いますけれども、総体としての中小企業金融としては相当努力のかいがあったと見ていいのじゃなかろうかと思います。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁を中心としていろいろ質問もしてみたいと思いますが、きょうは何分時間がございませんので簡単にお尋ねします。  今の買いオペの問題は大きな一つの金融対策の一環としてやる、従って、そのことだけを取り上げての数字的なものは非常に困難であるという御答弁であります。ところが買いオペは中小企業の金融難を緩和する一つの施策として相当これは重視しておられたと思います。このことに対しましても、その買いオペがほんとう中小企業金融に役立つということが、ここで具体的な取り扱いとして施策の面に現われてこなければならぬですね。そのことを私は指摘しましたが、それに対してはあなたも通産大臣も、十分それを配慮していく、効果が上がるかどうか、また上がったかどうか、この点を十分慎重に考え、取り扱っていきたい、こういう御答弁でございました。この買いオペの問題に対して、信用保証協会の保証付でもって融資する、そのことが中小企業金融に役立つということをやはり施策としてはあなたが私にはっきり御答弁になった。そこで、そのとき指摘いたしましたように、保証協会の保証付という場合、保証協会の資金という問題、それから保険公庫の信用補完の能力の問題、これをあわせて取り上げ、施策していくということでなければ、買いオペだけをやって、保証協会の保証付で貸し出すということになりましても、現在ですら保証協会の資金的な能力の問題、あるいは公庫の資金的能力の問題等々から、やはり中小企業金融を緩和する上に一つのネックとなっている。そういうことですから、いかに買いオペをやって、保証協会の保証付でやるということになりましても、保証協会の資金ワクをふやし、保険公庫の保証ワクを増大をしていくということでなければ、買いオペの効果というものはないのじゃないか、私はそのように実は考えておりますし、また当時もそのような考え方から私は指摘をしたわけであります。そういったような具体的な問題に対してどのように取り組んだのか、それを一つお聞かせ願いたい。
  79. 大月高

    ○大月説明員 今のお話は、買いオペを実行いたしまして資金の量をつけましても、信用保証協会の資金の方が不足いたしますれば保証能力がないじゃないか、そうすれば一方の方で制約がつくのではないか、こういうお話だと思います。問題を二つに分けて考える必要があると思います。一つはこの買いオペの制度を実行いたしましたのは、三回に分けて実行いたしたわけでございます。第一回は昨年の十月ごろに実行いたしました。それから第二回目が年末であったかと思います。それから第三回目がことしの一月に実行いたしました。それでわれわれが今の信用保証の関係をいろいろ見ておりますと、相互銀行とか信用金庫は本来中小専門の金融機関でございまして、信用保証協会の保証あるなしにかかわらず、これは全額中小に出しておるわけでございます。これは一ぱい一ぱい出しておるわけでございますので、特に信用保証協会の保証をつけるというひもをつけないでもいいのじゃないか。また逆に信用保証を無理にこのためにつけるということにいたしますと、やはり保証料の負担がふえるというとともございますので、保証抜きで貸してもいいというものについては、これは是認する方がいいということを実施の段階においてわれわれは考えたわけでございます。そういう意味で一回目のときには信用保証協会の保証付という条件をつけましたけれども、第二回目以降は、できるだけ保証協会の保証をつけてほしいが、つけなくてもこれは中小企業金融に回すということであれば、計算上考えてもいいのじゃないかという指導をいたしたわけでございます。そういう意味におきまして、信用保証協会の資金の不足に基づいて中小企業金融が伸びなかったという事実はまずないのではないか。  それから、第二の問題は、信用保証協会の資金繰りが悪くて、そのために保証能力が欠けておったかどうかという現実の問題でございますが、当時におきましても信用保険公庫自体におきまして、資金量の方はいいのだということでわれわれは中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫その他資金的手当はいたしましたけれども、保険公庫には資金手当をしないで、むしろ支出を繰り上げたということで措置いたしたわけでございます。これは公庫の方におきましても、資金のワクが不足するということにはならないから大丈夫だ、こういう話であったわけでございまして、信明保証協会のワクが不足したためにこの制度がうまく動かなかったという事実はないのではなかろうか。最初申し上げました保証付という制度を緩和したということと相待ちまして、われわれはこの買いオペの制度というものは相当積極的に利用されたのではなかろうか、かように考えます。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 今の御答弁には反論がありますけれども、時間の関係で、いずれ適当な機会にその点を申し上げたいと思います。  買いオペはやはり中小企業金融に大きく効果があった、こういうことでなければなりません。買いオペをやったけれども、その買いオペは都市銀行あるいは地方銀行、そういったような銀行の自由裁量にまかせるということになって参りますと、どれだけ中小企業金融に役立つのかという点は問題でありますので、せっかくそのような施策をやられる以上は、十分一つ効果が上がるように万全の措置を講じていただきたい。同時に後の効果がどのようにあったのかということを十分把握するように努めていただきたいということを要望いたしておきます。  なお、買いオペは、相互銀行あるいは信用金庫等も対象にしておられるのか伺いたい。
  81. 大月高

    ○大月説明員 今お話の買いオペについて、二つの区別があると思います。それは日本銀行が実行いたしました千四百億の買いオペ、これは中小企業対策ということではなしに、全体の一月——三月における財政の揚超の調整という意味でございましたので、これは全然ひもをつけるというふうなことなしに、一般の貸し出しにかわって資金の供給をやったわけでございます。中小企業金融対策としての買いオペにつきましては、金融債を買い上げたわけでございますが、このときは、たとえば相互銀行、信用金庫、地方銀行、都市銀行、全部から買い上げまして、かつこれについては貸し出しはもちろん、中小企業金融に向けてもらうようにという指導をしてございますので、われわれの感じといたしましては、この全額が中小企業金融に行ったのだというように考えておるわけであります。そういう問題を含めまして、先ほど申し上げましたように中小企業に向いた金のウエートが下がらないで、ずっと四十数%という水準を保っておったということは、引き締め下において相当の努力の結果であろうかと考えておるわけであります。中小企業金融の買いオペについては、私どもは百パーセント効果が出たのだろう、こういうように見ておるわけでございます。相互銀行、信用金庫の持っております金融債も買い上げを実行いたしました。それが全部中小企業金融に向いたと思っております。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 次は金融政策について簡単にお尋ねいたしますが、三十五年九月の日銀貸し出し残高が四千債、三十六年九月が一兆円、三十七年五月が一兆三千三百八十五億円、こういうことに膨張して参っております。ところがこの金はほとんど大銀行に回されておるというように考えられます。先ほどあなたの御答弁の中にもそういったような意味の御答弁がございました。そこで、その金が大企業に回されてくるということになって参りますと、勢い設備投資に回される、とのことが問題の国際収支の悪化という形になってきておるととは、現実の問題として御承知の通りであります。ところがその反面、中小企業金融機関——これは民間金融機関ですが、そのしわ寄せというのがきておるのじゃないかというように私は思います。具体的な問題としては預貸率を強化していく、あるいは有価証券保有率の引き上げをやるとか、あるいは準備預金制度の拡大をやるとか、こういうことになりますと、二重、三重のしわというものが民間の中小金融機関というものに寄せられてくる、その結果は中小企業金融を圧迫するという形になるのではないか、そのように私は考えるわけでございますが、その点に対してどう配慮しておられるか。
  83. 大月高

    ○大月説明員 ただいまお話にございました中小企業金融専門の民間機関、つまり相互銀行でございますとか信用金庫に対して、一つは預貸率を制限したというようなお話のようでございましたが、むしろわれわれは行政指導によりまして預貸率を上げるということを指導いたしたわけでございます。逆に申し上げますれば、準備率の指導におきまして、信用金庫におきましては、預金の引き出しのための準備といたしまして、一定の金額を必ず持つようにということが法律できまっておるわけでございますが、われわれは行政指導としてさらに安全を期するために法律できめられておる規制の二倍程度の準備を持つようにというのが従来の指導方針であったわけでございます。こういう金融の引き締めを実行いたしましたあとは、その二倍という数字を若干下げまして、一・八倍程度でよろしいということを実行いたしておるわけでございます。ということは、裏から申しますれば、貸し出してもいい金額をふやしたということでございますので、お話とは逆の指導をしたわけでございます。  それから、最近新聞等で信用金庫とか相互銀行に支払い準備の制度をかけたらどうかというような意見が出ておりますが、これは当面の問題として考えられておるのではなくして、御承知のように、相互銀行の資金量は今一兆二、三千億あるいは一兆四千億というような数字になりまして、信用金庫におきましても、一兆一千億というような大きな数字になりまして、普通銀行に対比いたしまして相当大きなウエートを持ってきたわけでございます。そういう意味では、全体の金融を調節するという意味からは、現在かかっております支払い準備制度は普通銀行だけでございますので、それでは金融調節力としては不十分だという意見から、相互銀行、信用金庫にも準備制度をかけようじゃないか、こういう意見でございます。しかし、今の引き締め下においてすぐに実行するという議論ではないわけでございまして、次第に中小企業金融の専門機関のウエートが高くなって参りますので、だんだん地位も高くなって参ります。それなりに金融の調整策としてもそこらに御協力を願わなくてはならぬようになるだろうという長い意味の話でございます。そういう意味で現在すぐに支払い準備制度をかけるというととは考えておりません。そういう意味で中小企業金融の専門機関に対しては、できるだけ中小企業に金が回るようにいろいろな措置を講じておるわけでございます。  それから最後に、日本銀行の貸し出し一兆三千億がみんな大企業に回って、それが設備投資に行っておるじゃないかというお話でございますが、この問題は、銀行の貸し出しのうちで中小企業向けのウエートも落とさないという指導をいたしておるわけでございまして、やはりその中から中小企業にも出ておる。ただ、オーバー・ローン解消の問題は、たとえば財政政策でございますとか、あるいは国際収支の問題でございますとか、あるいは経済の成長でございますとか、いろいろむずかしい問題がございまして、われわれ今金融制度調査会に諮りまして、慎重に御検討を願っておる大きな問題でございます。そういう意味で十分このオーバー・ローンの解消問題には取り組んで参りたいと思っております。日銀の貸し出し自体もやはり中小企業に回っておる、こういうように考えております。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 私が調査した面とただいまの答弁とは異なっている点もございますけれども、きょうはあとで決議をやらなければなりませんので、時間の制約でずいぶん御注意がございますので、あと二、三点だけ質問いたしまして打ち切りたいと思います。  あなたの方の行政指導ですが、預貸率の問題であるとかあるいは支払い準備率の問題とか、いろいろな指導もやっておると思うのですが、同時に経常収支率という点に相当規制が行なわれている。たとえば収入が一〇〇%に対しては支出は七八%ないし八〇%といったような規制があるようであります。そうなってくると二〇%程度は内部留保をしなければならぬということになってくる。その結果は、先ほどあなたの御答弁にもございましたが、できるだけそうした民間金融機関、特に相互銀行あるいは信用金庫には金利を引き下げるような指導をしているということですが、一方、今度は相互銀行あるいは信用金庫の方といたしますと、預金のコストというものが上がってくる。また預金の金利も引き上げないといったようなもろもろの指導をやってきておると思うのですが、そうなって参りますと、その良否は別といたしまして、結局民間の中小企業金融機関としては、経費の圧縮をはかってこなければならぬ。この経費の圧縮の場合、第一に経営者の念頭に来るものは、人件費の圧縮ということになってくると思う。そのことでいろいろ労使との関係におきましても、賃上げあるいは一時金といったような問題で非常な混乱が起こってきておるということは、幾多の例で御承知になっておると私は思うのです。そういったようなことに対して、大蔵省の行政指導というものは非常に強化されてくる、そして大蔵省のむしろひもつき人事といわれるような、大蔵省の古手官僚という言葉が当たるか当たらぬかわかりませんが、そういったように人事面に対しても相当な関心を持ってやっておるのではないかと考えられる点が、実例として多々出ておるように私は思います。それらの点に対しては、どのように対処していこうとしておるのか、また行政指導をどう行なっており、またこれから先はどのようにそうした問題に対して配慮していこうとしておるのか、その点を一つ伺っておきたい。
  85. 大月高

    ○大月説明員 先ほど申し上げましたように、金融の引き締めをやるにつきましては、金利の引き上げを実行いたしたわけでございますが、預金金利につきましては、いろいろ御意見もございましょうけれども、これを据え置いたわけでございまして、その結果、相互銀行、信用金庫等につきましても、特にその面からするコストが上がるということはないような配慮をいたしつつ、貸し出し金利を下げてきた、こういうことで、特に経理上の圧迫が来ないような配慮をして、かつ中小企業金融の疎通を考えたわけでございます。それで、そういうような前提のもとでわれわれが指導いたしておりますのは、経常収支率八〇%というのが相互銀行に対する指導の基準でございまして、その残りの二〇%を内部留保に当ててほしい、あるいはその中から賞与なり配当なり、そういうものに使ってほしい、そういう指導をしておるわけでございます。そういたしますと、経費の八〇%の中には人件費と物件費とございます。それから預金の金利が入るわけでございます。大体その三つでございますので、預金金利については今のように上がらないようにまず配慮する、人件費、物件費についてもできるだけ合理化をやりまして、その比率が上がらないように、こういう指導をしておるわけでございます。ただ、こういうように相互銀行について申し上げますと、資金量がどんどんふえて参りますと、ある程度経費の実額はふえましても、コストがかかるという意味のコストにつきましては、そう上がらなくて済むわけでございまして、そういう範囲で物件費及び人件費をまかなってきておる。しかし、それが極端な増加を来たさないように常に督監をいたしておるわけでございます。お話の人件費の問題につきましては、これは非常にデリケートな問題でございまして、労使の関係自体でございますので、大蔵省としてはその中身についてはタッチしないという厳重な方針をとっております。つまり人件費総額については幾ら幾らということは見ておりますが、その中の、たとえば職階がどういうようなカーブを描いておるかとか、あるいは初任給がどのくらいでそれがどの程度に昇給していくか、そういう中身の話ではなしに、内容を別といたしまして、総額について監督をいたしておるわけでございます。従いまして、経理の悪い銀行、相互銀行につきましては、人件費もなかなか上げにくいという実態が生ずるということは、これはやむを得ない。しかし、悪い相互銀行であるために、人件費は一切ふやしてはいかぬか、こういうことになりますと、これは一般の社会的な基準がございますから、それは社会的な基準をにらみ合わせて、ある程度のベース・アップはやむを得ない。しかし、その具体的な交渉については大蔵省としては関与しない、こういう方針をとっておるわけでございます。  それから、人事問題につきましては、当然役員等の人事は民間で自主的に株主総会によってきめらるべきものでございますので、大蔵省としては法律の権限もございませんし、また現にそういう干渉をしておる問題もございません。ただ、例外的には、非常な不祥事件を起こすとか、非常に大きな資産内容を害するような事件が起きたとか、経営者として当然銀行監督上責任をとってもらわなくちゃいかぬというような実態のある場合には、これはわれわれも監督権を発動いたしまして、いろいろな監督をするということはございますが、具体的に事のない金融機関につきましては、人事の干渉は一切避けるという方針で実行いたしておるわけでございます。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 人事の問題は、御答弁のように、特殊な場合を除いてはこれは関与しないということは当然でなければならぬ。ところが現実の問題としては、あなたの御答弁とは異なるような形が出ておるということは、やはり問題があると思う。それから社内留保を高めていくということは、銀行の経営健全化をはかるという面からは、それは確かに効果があります。ところが、その結果としては、どうしても人件費の圧縮、経費の削減は、人件費に勢いしわ寄せされてくるということがどうしても現われてくる。それからいま一つは、貸付に対して件数をずっとふやしてくるということになると、経費が高くなって参りますから、勢い件数を少なくする、そうして一件に対する金額を多く貸し付けるという形、いわゆる大口金融ということになって参りますと、肝心の中小企業金融というものが薄れてくるということになってくる、そのような配慮も同時におやりにならなければ、ただ経常収支の問題、社内留保を強めていくという、その面からのみの行政指導を行なっては間違いである。やはり財政資金の支出であるとか、経営そのものを強めていくという形は、政府としての施策、財政的な措置といったような問題があり、買いオペの問題とかいろいろの方法が私はあろうかと思いますが、やはり銀行経営の内部の、そういった社内留保をすることにおいて起こってくるいろいろな問題点を、同時に重視していくというようなことを十分配慮していただきたいということを要望いたしておきます。  さらに、長崎の事件がこれらのことと関連をして参りますので、私は質問いたしておきますが、長崎の相互銀行事件、これは御承知になっておられると思います。前からいろいろ不当労働行為の問題等々、銀行の経営者側が一審、二審とも敗審しなければならぬといったような不始末がございます。そのことが預金者あるいは中小企業金融というものに対して不安を与え、大きな影響をもたらしたということは、事実であります。そのようなことが、この長崎相互銀行の業績というものが非常に落ちてくる結果になったということは、これは否定できない。ところが、この長崎相互銀行が現在春闘の問題から未解決になっておる。しかもその話し合いの中におきましては、経営者が、二つある組合の中で、この春闘の話し合いは同時に解決をするという約束を一方の組合にしておきながら、現実には第二組合といわれるものと一方的に取引をやって、いわゆる不信行為をやって、第一組合との関係というものが非常にむずかしくなった。今日までまだ未解決という状態にございます。先日、社会労働委員会におきまして、河野正委員からこのことに対して質問をいたしました。当時福永労働大臣は、事態がこれ以上悪化しないように善処すると御答弁になり、さらには別の機会に水田大蔵大臣は、十分一つこの問題は調査をして善処する、こういったような答弁をしておられます。従いまして、それから相当期間もたっておることでございましょうし、また先日はかつて大蔵省におられた上田社長も上京してこられまして、あなたともお会いになったでありましょうし、当然また大蔵大臣その他関係者との接触もあったろうと思いますが、これに対してはどのように対処しておられるのか、まずその点を一つお伺いいたしたいと思います。
  87. 大月高

    ○大月説明員 内部留保を厚くするということのために、経費を減らすという努力をするように指導をいたしております。その一つの現われとして、大口融資が主じゃないか、そういう点も注意しろというお話でございますが、われわれといたしましても、そういうようなことのないように厳重な監督をいたしておるわけでございます。具体的には、今般相互銀行、信用金庫につきまして、一人当たりの貸し出しの限度を千万円から三千万円に引き上げたわけでございます。こういたしますと、やはり千万円の貸し出しよりも三千万円の貸し出しの方が手数もかからない、またおもしろいというようなこともございまして、とかく上の方に行きがちだということは、われわれは十分関心を持っておったわけでございます。そういうことでただいま指導いたしておりますのは、一方、三千万円に限度を引き上げましたけれども、相互銀行につきましては、従来貸し出しの対象を中小企業に限っておらなかったということを限定いたしまして、資本金千万円、従業員三百人という一般の基準を当てはめまして、その中小企業者に貸すようにという指導を新たに加えたわけでございます。それから小さい金融についてなおざりにしてはいけないということで、いわゆる零細金融については総資金量の一定のパーセントを落とさぬようにという指導をいたしております。具体的に何%にするかという問題につきましては、現在実態調査をやっておりますので、その結果を待ちましてきめたいと思っておりますが、少なくとも零細の金融については、一定の金額及びパーセントを確保するという指導と並行いたしまして、あわせて下の方の零細な金融に支障のないように努力いたしておるわけでございます。  それから、長崎相互銀行の問題につきましては、御存じのように、長期間にわたりまして争議行為が続いております。その原因は、やはり基本的にベース・アップ闘争でございまして、労働組合が第一組合と第二組合に分かれておる。第一組合の方が大体二百三十名ぐらい、第二組合の方が二百九十名くらいということで、第二組合がおおむね六割ぐらいを占めておる、こういう状況でございます。このベース・アップ闘争は、第二組合と経営者との間は妥結いたしまして、第二組合は平生通り就業いたしておるわけでございます。しかし、第一組合の方は、この妥給いたしました金額では不満足だということでまだ闘争状態にある、こういう実態でございます。それで、先ほど私から申し上げましたような行政指導方針からいたしますと、こういう労使の関係自体に大蔵省が介入することは適当でないという基本原則を持っておりますので、もしこの闘争があるいは預金者に迷惑を及ぼす、あるいは社会問題になるということになりますれば、その地方の地労委でございますとか、あるいは府県知事、そういうような系統において処理していただきたい。労働大臣がいろいろ善処したいとおっしゃったのは、そういう系統において考えたい、こういう意味だとわれわれは考えておるわけでございます。ただ、具体的な今の事態におきましては、地労委及び府県知事のサイドから見ますと、第一組合と第二組合と、労働組合の中に分裂があるわけでございますので、こういう格好でこれに介入していった方がいいのか、非常にデリケートな問題であろうと思います。そういう観点から、現在そちらの労働関係機関においても事態を静観しておられるということでありまして、われわれといたしましては、できるだけ労使双方とも良識を持って円満に解決していただきたいという気持で、いろいろ今研究はいたしておるわけでございます。ただ、具体的にこの問題に介入するかどうかという点については、大蔵省としては介入する意向は持っておりません。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの御答弁では、労使の関係には大蔵省としては介入しない、また賃金問題に対しても介入はしないのだ、こういった御答弁でありました。ところが、あなたの方の中小金融課長は、賃金があまり上がっていくことはおもしろくない、そういう金は社内留保に回せ、回すことが適当である、こういったことを「金融財政事情」で、はっきりこれは公表をしていらっしゃる。そういうことがそうした中小金融機関に対しては大きな圧迫となり、影響となっている。また、そのようなことを公表するということは、そのような行政指導をやっているということを私は裏書きしていると思う。そこで、今のあなたの御答弁と、実際に関係者がおやりになっておることとは異なっておるというように私は考える。さらに、今の第一組合と第二組合との問題ですが、このことに対しては、私はあなたよりも実は詳しい。現に最近二回、経営者だけと、私あるいは河野代議士とゆっくり話しました。一時間半あるいは二時間にわたって話をしております。さらに、第一組合と第二組合は組合だけの関係だ、こう言いますが、私の経営者との話し合いの中におきましては、少なくとも第二組合と経営者との関係は密接不可分、これは今経営者が私にはっきり言われたことは、組合が二つあることは業績が上がらない、従って、これは一つにしなければならぬと考えている、今、会社が出しておるところの案を第一組合がのんでくれるならば、組合を一本にするということになってうまくいくと考えておったのだが、こういうことで、第二組合そのものは会社が作ったんですという言葉をはっきり使いませんけれども、私どもがくみ取れるところでは、そういうことをはっきり意識しておられた。またそういうことを現にやったということを物語っておられるということであります。経営者が、組合分裂、組合干渉、こういうことを現にいろいろやっておる。ところが、そうすることが業績を上げていくのじゃなくて、業績を非常に落としていくといったような結果が実は現われてきておるということ、そのようなことから、大蔵省といたしましても十分の関心を持って、これに対する配慮というものを私はしていかなければならないのじゃないか、このように考えます。やはり大蔵省は、監督をしている金融機関、これに対しては預金者の立場、預金者の不安もなくしていかなければならないし、なかんずく中小企業金融機関であります以上は、最も重大な中小企業の金融問題ということに大きな影響がありますので、その点に対しての配慮というものは私は当然なければならぬ、かように考えます。水田大蔵大臣あるいは福永労働大臣答弁は、今あなたの言われたような消極的なことではなしに、もっと前向きな、もっと積極的な考えの上に立って答弁されたものである、私はこのように解釈をいたしておりますし、またその答弁は、そういうことで、これは現実の形として効果が上がるように一つやってもらわなければならぬ、このように考えます。あなたも当の銀行局長であります。きわめて深い関係にありますので、十分の関心を持って、これらの問題がすみやかに解決をされ、何といっても大切な人の和というものを取り戻して、そうして金融機関の運営の全きを期する、こういうことに一つ配慮を願いたいということを強く要望いたしたいと思います。それに対しての最後の御答弁一つお願いします。
  89. 大月高

    ○大月説明員 中小金融課長が申し上げておりますことは、私が申し上げたことと同一であろうと思います。つまり、大蔵省といたしましては、経理の健全性という点は一歩も譲るわけにはいかない、労働問題自体には関与しない、こういうことでございます。従いまして、かりにベース・アップの問題その他人件費をふやす問題がありましたならば、その二つのプリンシプルの間に調整を要する事態が起きるということは当然だと思います。われわれは今申し上げました二つの基本線のワク内において公正な行政をやって参りたい、そういう立場から申しますと、大蔵大臣の御答弁も多分私と同じであろうと思います。これは十分大臣ともお話をしまして御答弁申し上げておるわけでございますので、私の申し上げました基本原則から申し上げますれば、第一組合、第二組合及び経営者、これらのデリケートな問題に大蔵省がタッチするのは適当でない、むしろその当事者において良識を持って円満にこの問題を解決していただいて、預金の増強及び中小企業金融の措置については全員一丸となってやっていただきたいというのがわれわれの期待でございまして、そういう意味において、もし先生方にも個人的にも御尽力願えれば、われわれは非常に幸いと存ずるのでございます。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 最後の質問をいたしますが、言葉巧みな答弁ということもある。また言葉巧みな意思表示ということもありましょう。あるいは雑誌等に書く場合、巧みに意思表示をすること、こういったようなこともいろいろあろうかと思います。今あなたがこの委員会の席上で公式に御答弁される場合は、そのような答弁がこれは当然でありましょうし、それ以上のことは私はできないと思う。ところが現実には、私が今申し上げたようなことが起こっているということを、いろいろな事実を持って実は申し上げておる。委員会の席上でございますので、私はそれをただ口にしないだけであります。なお、労使の関係におきましても、直接私は銀行局がこれに介入をして解決をしろ、こう言うのではございません。私が先ほど申し上げましたように、やはり銀行局は、監督官庁の立場から預金者の不安を解消し、中小企業金融を緩和していく、この点に立って十分の関心を持って注意を与えるところは注意を与える、行政指導するところはしていく、こういうことが大切であるということを実は申し上げておるわけであります。そういった考え方のもとに、長崎相互銀行の問題、あるいはまたこういった類似の問題に対しましては重大な関心を持って配慮していただきたい。  なお、あなたが、大蔵大臣並びに労働大臣答弁を、こういうことで言ったんだ、あるいは中小金融課長の答弁も、今あなたが御答弁になったことと同じだと思うというように、私の質問の矢面から避けていこうといったようなことに注意を払っていくという感じがしてなりません。どうぞ一つほんとうに前向きでこれに取り組んで、あなた方として果たさなければならぬ点を十分果たしていく、こういうことに一つ留意していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  91. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本件に関する質疑は終わりました。     —————————————
  92. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、中小企業金融難打開に関する件について、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して首藤新八君外六名より決議すべしとの動議が提出されておりますので、まず趣旨の説明を聴取することといたします。首藤新八君。
  93. 首藤新八

    ○首藤委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党の御同意を得まして、ここに中小企業金融難打開に関する件という決議案を提案いたしたいと思います。  まず、案の内容を朗読いたします。   昨今の金融引締策が中小企業に与  えた影響は極めて大きく、また、貿  易自由化が国内産業に及ぼす影響も  真先に中小企業にしわ寄せされてい  るが、なかんずく、下請代金の支払  渋滞は、下請事業者の経営を著しく  困難ならしめている。このような事  態を招来した根本原因は、中小企業  専門金融機関の資金源の洞渇であ  る。   よって政府は、現下中小企業の深  刻な金融難を打開するため、早急に  財政措置等を講ずるとともに、今後  は、中小企業金融にかかる不安を来  たすことのないよう、抜本的方策を  樹立すべきである。   右決議する。  先ほどから質問あるいは答弁によって現在の中小企業がいかに金融難に苦しんでおるかは、あらためて申し上げるまでもないと思います。特に五月、六月の揚超を控えまして、この金融難は一そう深刻となることがおそれられておるのであります。従って、政府は、この際緊急にかような事態の起こらないような対策を講じてもらいたいと思うのでありまして、財政措置の必要がまず根本でありますが、特に私が強調しておきたいと思いますのは、先ほども申し述べましたように、昨年の融資に対する返還は、本年度じゅうにほとんど返却しなければならぬことになっております。これを商工中金の場合に考えましても、六月に二十億、七月に二十億、八月二十億、九月三十億、これだけでも九十億の返済が約束されておるのでありまして、中小公庫もまた七月以降九月までに四十五億、国民公庫も同じく三十億、かような膨大な返却が予定されておるのでありまして、どうしてもこれを埋め合わせるためには、別途に新しい財政資金の投入が必要となってくるのであります。こういう点を大蔵省の方では特別に配慮されて、先ほど申し上げたような、この上なおはなはだしい金融難の招来を避けるような措置を講じていただきたいという考え方に基づいて、この決議案を提案いたした次第であります。各党の御賛成を切にお願い申し上げます。
  94. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  95. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本件について討論の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、委員各位の御同意を得まして、ただいまの決議案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、賛成の意見を申し述べたいと思います。  当委員会において、この種中小企業金融に関する決議は過去何回となく行なってきたのであります。しかるに、今日またあらためてこのような決議をせねばならないという事態について、われわれはまことに残念だと思っております。政府は、今日までのようなこそく的な中小企業金融対策を改めて、抜本的な方策を樹立しない限り、当委員会におきましても委員長以下強い決議で対処せねばならないと考えております。従いまして、政府が幾回となくなされましたところの国会の決議を忠実に実行し、今後このような決議を何回も繰り返すことのないように善処していただきたい。そうでなければ、先ほど申しましたようにわれわれはより強い決議において対処するということを申し添えまして、賛成の意見といたしたいと思います。(拍手)
  97. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 討論は終わりました。  採決いたします。  本動議を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、本動議の通り決議いたされました。  この際、通商産業政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。森政務次官。
  99. 森清

    ○森説明員 十分御趣旨を体しまして、万全の努力をいたしたいと思います。
  100. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 なお、本件の参考送付等扱いに関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  102. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 参考人の方々には、長時間にわたりまして御出席をいただき、いろいろ貴重な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時七分散会