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1962-04-20 第40回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十日(金曜日)    午前十時三十分開議 出席委員   委員長 早稻田柳右エ門君    理事 岡本  茂君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       中垣 國男君    中川 俊思君       藤井 勝志君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    中村 重光君       西村 力弥君    渡辺 惣蔵君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         北海道開発政務         次官      田中 正巳君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建設技官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君  委員外出席者         総理府事務官         (北海道開発庁         主幹)     鈴木  登君         通商産業技官         (大臣官房審議         官)      久良知章悟君         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      大木  恒君         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         自治事務官         (財政局理財課         長)      茨木  広君         参  考  人         (北海道地下資         源開発株式会社         社長室長)   桑原 幸信君         参  考  人         (全国地質調査         業協会連合会会         長)      佐野猪輔君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十日  委員藤井勝志君、加藤清二君及び伊藤卯四郎君  辞任につき、その補欠として中村三之丞君、渡  辺惣蔵君及び玉置一徳君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補  欠として伊藤卯四郎君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会  議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件北海道地下資  源開発株式会社法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇七号)(参議院送付工業用  水法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員長代理 これより会議を開きます。  連合審査会開会申し入れの件についてお諮りをいたします。社会労働委員会において審査中のばい煙の排出の規制等に関する法律案ば、本委員会所管事項関連のある議案でございますので、連合審査会開会を申し入れることに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員長代理 内閣提出北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため参考人として北海道地下資源開発株式会社社長室長桑原幸信君、全国地質調査業協会連合会会長佐野猪輔君両君が出席されております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席下されまして、まことにありがとう存じました。参考人両君におかれましては、最初に五分程度本案についての御意見をお述べいただき、あと委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず、桑原参考人意見をお述べ願います。
  5. 桑原幸信

    桑原参考人 私は北海道地下資源開発株式会社社長室長をやっております桑原でございます。  当社は昭和三十五年八月に発足いたしまして、機構といたしましては、札幌に本店、東京支店を置きまして、札幌には社長室事務部技術部を置いております。それから東京には支店を置いておりますが、社長室事務の都合上東京に常駐しております。管理職員は現在七十九名でございます。   〔長谷川(四)委員長代理退席委員長着席〕 それから現場の職員は約百名でございます。会社発足当初の見込み事業量伸びが非常に悪かったというような関係から、昭和三十六年度の決算までを累計いたしますと約二億円、そのうち償却を九千万円しておりますが、赤字を計上したことはまことに申しわけないと思っております。  会社ができましてから、北海道内地を通じまして約九万メートルからの試錐を実施しておりますが、会社の規律の厳正それから技術高度化というようなことから逐次御信用を博しまして、漸次事業量も増大しておりますけれども北海道のみの事業量では、現在の探鉱状況は今のような状態でございます。またメタル関係伸びも思うようにまかせない現状でございますので、機械貸付事業として内地で実施しておりますところの事業量は、毎年伸びておるような形になっております。会社といたしまして発足当初共同探鉱、いわゆる資金のない鉱区につきまして会社共同開発する、ボーリング費会社が負担して、もし当たればその利益を半々するという制度で大いにやろうというように.張り切っておったわけでありますが、出て参りましたところの鉱区につきましては、なかなか思うようにいいようなものがないというような関係もありましたし、またもちろん五十件ばかりの申請が出ておりましたが、そのうちの約半数は現地に調査員を派遣して予備調査をやりまして、昨年の十二月からは、函館地区におきまして、北大三森というところは当社始まって以来初めて共同探鉱を約五百メートルばかり実施したような状況でございますが、何せ会社経理状況が今申し上げましたように非常に悪いという関係もございますので、共同探鉱か思うようにできないというような現況でございますので、今般会社法が改正になりました暁におきましては、現在もうすでに約二年内地でこの機械貸付事業というのは実施しておりまして、そうして先ほど申しました九万メートルのうち約四万五千メートル、半分は内地で実施をしておるわけでありますが、機械貸付という契約ではお得意様を獲得する上においても非常に不便というように考えますので、一般北海道探鉱事業に影響のない限りは請負形式でやらしていただくというようにお願いしたいと考えておる次第であります。もちろん会社内地に、今までも進出しておりましたけれども、これから内地に進出しても、既存の中小の関係業界に御迷惑のかかるような仕事の進め方はしない、あくまで国策に基づいた信用のある技術ボーリング界全体に推進していくように考えて進みたい、こういうふうに考えております。  簡単でございますが、現状と、この法案に対する意見を御参考までに申し上げた次第であります。
  6. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、佐野参考人意見をお述べいただきます。
  7. 佐野猪之輔

    佐野参考人 私は、全国地質調査業協会連合会会長佐野でございます。わが連合会は百六十三社ございまして、そのほかに協会に参加しない会社あるいはわれわれと同等の仕事をしておるというような会社を集めますと、約五百社ほどございます。  私どものしております仕事は、一般地質調査でございまして、その工事をやっておるのでございます。一般地質調査という仕事は、鉱物資源開発するための探鉱とは違いまして、土地の物理的性質力学的性質あるいは地質構造調査でありまして、土木建築工事設計資料となるものであります。そのほか地下水、つまり冷温水でございますが、そういうものの調査もいたしておりますが、調査関連性のあります地下水のさく井あるいは温泉、そういうような工事関連してやっております。それから最近地すべり対策工事、こういったものも調査関連してやっておるのでございます。われわれのお得意先と申しますのは、主として中央官庁及びその出先機関でございまして、その他一般民間から委嘱を受けております。  現況としましては、われわれは昨年来非常な好景気に恵まれまして、われわれ自体仕事機械その他人員の増強をいたしまして、非常に飽和な状態にあるわけでございます。現況において、設備投資の抑制とか、あるいは石炭あいるはメタルマインの不況、そういうことで、われわれの仕事も非常に今少なくなって参りました。そこで、業者間では、国内でこういう調査をやっておっただけではとてもマーケットが足りない、どこぞ海外に進出しなければいけない、こういうふうに考えておる段階でございまして、われわれは、現況においては、先が暗いのでございます。  私どもの、本日この法案に対してお願いしたいことは、北海道地下資源開発株式会社は、北海道内外において、地下資源開発以外の一般地質調査をやっていただきたくない、こういうことでございます。われわれが今やっておる仕事は、もう十分間に合っておるのでございまして、各官庁でも、われわれの仕事に対して一向不満がないのでございますから、われわれのやっておるような一般調査工事、こういう資源開発関係のない仕事は、やっていただきたくないのでございます。それから、それと同時に、そういうわれわれの機械が余っておるような状態でございますから、それに対して機械の貸与というようなことも、北海道内外においてはやっていただきたくないのでございます。  以上をもちまして、現況を終わります。     —————————————
  8. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは、次に、政府並びに参考人に対する質疑を順次許可いたします。岡田利春君。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 佐野参考人にお伺いしたいと思うのですが、ただいま述べられた意見は、いわゆる業者として特に要請をする、陳情をするという内容であったと思うわけです。そこで私は、若干の問題について御質問いたしたいと思うのでありますが、現在、全国地質調査業協会連合会加盟は百六十三社である、こういうお話でございますが大体、鉱業法上でいういわゆる鉱物探鉱する場合と、鉱業法でいう鉱物以外のいわゆる地質調査地質学上の一般的な地質調査、こういう面では、現在、大体全国的に総延べメートルといいますか、そういう仕事状態は、一体どういう傾向にあるのか、もしその点おわかりであればお聞きしたいと思うわけです。  それから、第二点としては、鉱業法上いういわゆるボーリングをする場合ですが、非鉄金属あるいはまた石炭の場合、大体全国平均メートル当たり単価は、民間の場合には一体どういう状態であるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。——資料がなければけっこうですが、それでは次に、日本ボーリング会社地質調査会社は、零細な業者の場合には、機械が一台か二台、利根の浅い機械一台か二台持っている業者もあるでしょうし、それから大和とか礦研あるいは利根のように、代表的な、機械も製造ししかも調査をしている、こういうものもあるわけですね。ですから私は、非常に、この会社自体内容というものがずいぶん差があると思うのです。大体普通一般日本地質調査会社の場合には、標準となるべき会社は、大体機械が何台くらいで、一年間総延べメートル何メートルくらいが標準会社と見られるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  10. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 参考人に申し上げます。わかっていることだけでけっこうですからお答え願います。わからなければわからないでけっこうです。
  11. 佐野猪之輔

    佐野参考人 お答えいたします。全国機械保有台数と申しましても、これは推定でございますが、連合会加入者台数は約千八百台ほどございます。それで、この機械の性能によって、ゼロから百五十メートル、あるいは百五十メートルから三百メートルという、こういう機械保有台数は、この七五%ほどでございます。三百メートルから五百メートルまでの機械が二〇%、五百メートルから八百メートルまでのものが三%、八百メートルから千二百メートルまでのものが二%でございます。それで、各会社によってその保有量は非常に違っておりますけれども、このメートル数量をどのくらいこなすかという点については、よくわかっておりません。それから、その単価につきましても、地質状況とかあるいは地形の状況、それからその施工の内容というものによりまして非常に開きのあるものでございまして、メートル当たりどのくらいということは、今ここで即答はできかねますが、広い範囲で言いますと、メートル当たり五百円ぐらいから一万五千円くらいまでの範囲でございます。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、大体深度五百メートル以上掘る機械は、大体推定一千八百台の機械があるわけでありますから、約その一割、百八十台ぐらいと、こう推定されるわけです。百八十台のうち、実際稼働をいたす場合には一〇〇%稼働というものは考えられませんから、そうすると、常識的に判断すると、七五%稼働とすれば、大体百工、三十台の稼働、そういう推定になるのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  13. 佐野猪之輔

    佐野参考人 そうでございます。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、ただいまの御意見によりますと、ゼロから三百メートルまでの機械が七五%を占めておるわけですね。この三百メートルの範囲内の場合には、大体主として鉱業法上でいう鉱物ボーリング外がほとんどを占めておるのではないか。九〇%程度はいわゆる鉱業法上でいう鉱物ボーリング以外のいわゆる地下水工業用水あるいはまた隧道、ビル、橋梁、ダム、こういうものの地質調査に向けられておるのではないか、こう私は考えられるわけなんですが、そういう理解でよろしいですか。
  15. 佐野猪之輔

    佐野参考人 さようでございます。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 次に、桑原参考人にお聞きしたいと思うのですが、北海道地下資源開発株式会社の当初計画と実績の比較を実は資料としていただいておるわけです。私は、やはり北海道選出の代議士でありますけれども北海道地下資源開発株式会社そのものの成立に無理があったのではないか、これは当初から無理があったのではないか、実はこういう判断をするわけなんです。というのは、北海道の場合には非常に地下資源が豊富に埋蔵されておるとはいいますけれども北海道は歴史的に非常に新しい地域であって、開道まだ九十年を若干こえただけであります。そういうために、北海道地下資源というものは、石炭については、ほとんど九〇%大手が独占をしている。三井、三菱、北炭、住友、明治、雄別、太平洋、古河——古河はほとんどありませんけれども、この大手がほとんど鉱区を独占しておるというのが実態であり、わが国の埋蔵量の半分である百億トンの石炭が今日北海道に埋蔵されておる。あるいはメタルの場合を考えましても、これまた石炭と同様に北海道外の本州、九州、四国とは違って、これまた大手がほとんど鉱区を独占している、こういう関係にあるわけです。あるいはまた石油、天然ガスについては、これはほとんど帝石鉱区である。ですから、大手会社の所有してない鉱区というのは非常に少ないと思うわけです。しかもその上に、最も調査困難な個所として、知床半島あるいは大雪山から日高山系にかけるこれらについては、人跡未踏の地で、なかなかこれは直接ボーリングをして調査をするという条件には、今日といえども、私はないと思うのです。そういう条件を無視して、北海道地下資源開発株式会社を成立させて、しかもこういう株式会社の形態で北海道地下資源をやるということ自体に、私は大体計画誤り、そういう判断誤りがあったのではなかろうか、こういう根本的な問題について非常に専門的な面から考えると、不満を持たざるを得ないわけです。この点について、私は三十三年当時の議事録をそれぞれずっと全部目を通して見たのですが、その論議の過程を通じても、そういう根本的な問題については、全然触れられていない。何か抽象的な上に立ってこの会社を設立したような感じを実は受けるわけなんです。しかし、この条件というものは絶対条件であり、このことはもうはっきりした基盤でもあったわけです。ですから、そういうものを根本的に解明しないで、こういう会社が、しかも株式会社という形で成立したこと自体に、今日のこういう運命が出発するときから予想されておったのではないか、私はこういう考えを持つのですが、いかがでしょうか。
  17. 桑原幸信

    桑原参考人 ただいまの御指摘の点、非常にごもっともな点があると思いますが、会社ができます前には、やはり公団とか公社というような考え方もあったやに聞いておりますけれども一つは、やはり会社という形で能率的にやらなければいけないということがございます。それからその会社ができます前に、北海道ではボーリングが非常におくれている、これをどうしてもボーリングによって地下資源開発をうんとやらなければいけない、しかしながら一般業界では、大体北海道ボーリングというのは五割ないし六割高になっております。ものによっては倍以上になっております。そういうようなことで、どうしても国策会社を作らなければならない。確かに一つ国策という面、一つ会社営利性という面からいいますと、一応二律背反のような感じがございますけれども、やはり山の奥地に入って、人跡未踏な地に資源開発する以上、どうしてもあくまで能率主義ということがきわめて大事なものでございますので、会社になったというように考えておる次第であります。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 問題は、ボーリングの場合は、地質学的に、いわゆるボーリング以外の、探鉱以外の地質調査によってある程度調査が完了した地域に対して、ボーリングというものが行なわれると思うわけです。全然そういう地質調査をしないところに初めからボーリングによって地質調査をする、こういうばかげたことは、これは常識的に行われないことは明らかだと思うのです。しかも、この会社ができても、たとえば知床半島月島山系地下資源の問題については、大体道の商工部あるいは通産省の地質調査所、こういうものと連携して、いわゆる初歩的な地質調査というものを行なっているというのがここ数年の経過ではなかったかと思うのです。ですから、そういう地質学上の基礎的な調査が完了していないところには、ボーリングは行なわれないのでありますから、そうすると先ほど申し上げたように、ボーリングが行なわれる地点というのは、ほとんどがメタルあるいはコール・マインあるいは天然ガス等の、しかも大企業が独占している鉱区に限られる、こういうことになると思う。ですから、北海道地下資源をほんとうに開発するとすれば、むしろ単なるボーリング会社ではなしに、北海道地質調査というものをまず徹底的に積極的にやる、そういう事業計画が組まれ、そういう予算が組まれなければ、北海道地下資源調査開発というものはできないわけです。ですから、その考え方自体にどうもしろうとくさい、非常に観念的なふわっとこの会社ができ上がった、こういう感じが強くするわけです。この法律内容を見ましても、事業範囲というのは、いわゆる探鉱のみに限られている。そうすると、そういう一般的な——まだ北海道未開地である。あまり人が通ったことのない日高山系知床半島の最も地下資源が埋蔵されている地帯については、この会社というものは何ら資源調査に役立っていないということになるのではないか。そうすると、北海道地下資源開発するために作ったこの会社自体は、そういう最も肝要な地域地質調査に対しては、何ら用をなさない機構になっている、こういうように考えるのです。そういう点については、十分論議されたことがあるのか。そういうことに対して、一体どういう配慮が払われておったか。会社自体としても、その面に対して当初から何か方針があったら、お聞かせ願いたい。
  19. 桑原幸信

    桑原参考人 お答えいたします。北海道会社は、地質調査所とも十分連携をとりまして、地質調査を進めております。特に共同探鉱で申請しているような地区のものは、御指摘の通り、人跡未踏のところが多うございます。そういうものにつきましては、道とそれから通産局の地下資源調査所十分連携をとりまして、その連携の上に調査を進めているような現状でございます。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、参考人に対しての質問は以上で終わりたいと思います。あと政府関係になりますので、ほかの参考人に特に質問のある方は先にしてもらっていいのではないかと思います。
  21. 早稻田柳右エ門

  22. 玉置一徳

    玉置委員 会社の方にお伺いしたいのですが、あと政府の方にお伺いしますが、ついでにお聞きしておきたいと思います。  北海道地下資源開発株式会社法は、昭和二十三年五月十五日に施行になったものですが、これによって皆さんの会社定款ができているのではないか。これに背反することは定款違反であり、法違反だと思うのです。そこで、お伺いしたいのは、第八条に「会付は、その目的を達成するため、北海道において次の事業を営むものとする。」と書いてございます。そして、一つ探鉱であり、一つは委託に基づく探鉱でございます。その次に「前二項に附帯する事業」、2といたしまして、「会社は、前項の事業の円滑な遂行に支障のない範囲内において、主務大臣の認可を受けて、その保有する探鉱用機械貸付事業を営むことができる。」こうなっておるのであります。この条文をそのまますなおに解釈いたしますれば、第二項の問題は、一項の「北海道において」という範囲を逸脱しておる、あまりにも拡張解釈をしておるのではないか、こう私は思うのですが、どういうようにお取りになっておるのですか。
  23. 桑原幸信

    桑原参考人 お答えいたします。私の聞いております範囲では、この「北海道において」というのは第二項の方にかからない、こういうふうに聞いておりますので、内地でも貸し付け得ると思います。
  24. 玉置一徳

    玉置委員 題名が北海道地下資源開発株式会社法でありますし、北海道地下資源開発を主にするものでありますので、この法文には書いてないからどうこうと言うのは私は間違いだと思うのです。第八条の一番初めに「会社は、その目的を達成するため、北海道において次の事業を営むものとする。」と書いてあるのにそういうことをすることは、これは当然会社設立の趣旨から申しましても私は法違反だと思うのですが、そうお思いになりませんか。
  25. 桑原幸信

    桑原参考人 私はそう思っておりません。
  26. 玉置一徳

    玉置委員 あなただけじゃなしに、あなたの会社は全部そう思っておいでにならぬ……。
  27. 桑原幸信

    桑原参考人 はい。
  28. 玉置一徳

    玉置委員 あなたの方はそれをやるにつきまして監督官庁ともお打ち合わせになった事実がありますか。
  29. 桑原幸信

    桑原参考人 はい、あります。
  30. 玉置一徳

    玉置委員 何年何月ですか。
  31. 桑原幸信

    桑原参考人 ちょっと忘れましたけれども、たしか三十四年の十月ごろじゃないかと思います。
  32. 玉置一徳

    玉置委員 あとで教えて下さい。  そこでその次は、同じく第二項ですが、この条文はどう拡張解釈いたしましても、探鉱用機械貸付することができる、貸付する事業ができるということになっておるわけで、これはわかっておりますが、それ以上のことをしてはいけない。私が監督官庁で聞きましたのでは、十月から年度末ぐらいまでの間で、雪が降っておそらく機械を使うことはないだろうと思われる期間遊休機械を貸して会社の経営を助けているんだ、こういうようにお伺いしておるのですが、そういうようにあなたの方も考えていると解釈してよろしゅうございますか。
  33. 桑原幸信

    桑原参考人 私の方ではもう少し広い意味で、要するに北海道全体として機械なり人員が余るというような場合には、内地においても貸付をする、こういうふうに考えております。
  34. 玉置一徳

    玉置委員 北海道で余る場合に内地でもという意味じゃなくて、今聞いておる問題は、北海道におきまして探鉱用機械をこういう主たる目的である事業を遂行するのに支障のない範囲内において、主務官庁の許可を一々得てやっていく、それは探鉱用機械を貸し付けるだけであるということを厳密に解釈せねばいかぬと思うのですが、わかっておりますか。
  35. 桑原幸信

    桑原参考人 探鉱用機械技術員とともに貸し付けております。
  36. 玉置一徳

    玉置委員 技術員とともに貸し付けることは、このごろ土木用機械におきましても多々あることだと思います。しかし、それは技術員とともに貸し付けるのであって、事業を営むのではないということは厳としておると思うのですが、会社はどうお考えになりますか。
  37. 桑原幸信

    桑原参考人 そこに書いてございますように「貸付事業を営むことができる。」という意味で、営業としてやれる、そういうふうに私ども解釈しております。
  38. 玉置一徳

    玉置委員 それは全然間違いだと思います。わざわざこれを第二項に起こしておるのは、非常に厳密に、設立の趣旨からある程度はずれてもやむを得ぬという問題を取り上げておるのであって、従って、それには一々主務大臣の認可を得て、遊休機械であるという認定を受けて、そうして探鉱用機械貸付事業を営むことを得る。この書いてあることは事業を営むとは全然違うと思いますが、どうお思いになりますか。
  39. 桑原幸信

    桑原参考人 私たちはそういうふうに考えておりません。
  40. 玉置一徳

    玉置委員 これはお話にもなりませんし、重要な問題ですので、会社の方との質疑は、この問題についてはこの程度にしまして、主務官庁とお話しいたしたいと思います。  最後に、定款違反法違反であって、法違反は処罰を受けることが載っておるのはわかっておりますね。で、今そういうように解釈してなかったということであるが、これは主務官庁のそれぞれの許可を得なければならぬのだから、何月何日、何のだれがしとお話をして了解を得たということを、きょじゅうに調べて出していただきたい。
  41. 桑原幸信

    桑原参考人 それは昭和三十四年の十月二十一日に認可を得ております。お話し合いを持ち出しましたのは、昭和三十四年の八月四日でございます。
  42. 玉置一徳

    玉置委員 どの官庁ですか。何という方ですか。
  43. 桑原幸信

    桑原参考人 それは内閣総理大臣と通産大臣の力に申請を出しております。
  44. 玉置一徳

    玉置委員 どういう申請ですか。
  45. 桑原幸信

    桑原参考人 探鉱用の機械貸付事業の認可申請についてというものでございます。
  46. 玉置一徳

    玉置委員 今のはちょっとあとで私直接聞かしていただきたいと思います。  それからもう一つお伺いしておきたいのですが、今度の提案理由の主たる目的は、会社の赤字の補てんにあるように伺われるのですが、ここの事業計画とその実施の報告を見ますと、いずれも、毎年度ごとに計画と実施が著しく違う。約半分に近い。これで監督官庁から何も言われぬと毎年許可をもらっておるのですか、どうですか、ちょっとお伺いしておきたい。
  47. 桑原幸信

    桑原参考人 御指摘の点は、初年度、二年度ぐらいのときにはあったかと思いますけれども、昨年度の御許可をいただいておる事業量は大体四万二千でございまして、三月末までに遂行いたしました事業量は三万五千、計画量の約八割を達成しております。
  48. 玉置一徳

    玉置委員 あとは主務官庁の方にお伺いすることにいたします。
  49. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 西村力弥君。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この提出された資料の中の「機構および人員配置図」というのを見ますと、管理部職員が七十九人で、現場職員が百四人だ、こういう会社は現業会社とは言えないように思う。半分以上が管理部門の職員だというようなことですが、会社のあり方としてここに根本的な欠陥があるのではないか、こういう工合に思われるのです。なぜこんなに管理部門の職員が必要であるのか、その理由を一つ述べていただきたい。
  51. 桑原幸信

    桑原参考人 いかにもこの管理部門の職員と現場職員との比が相接しているように見えますけれども管理職員の方にも、現実に地質調査とかそういうような技術職員が相当占めております。それからもう一つは、現場職員はほんとうのうちの社員として登録してある者だけでありまして、現実に働く人間はこの五倍以上の者が働いております。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そのほかに雇い入れの諸君が働いておるのでしょうが、やっぱり現業の会社としては現場職員に重点を置いた配置——管理部門の職員地質調査をやったって、そういうものは本格的な仕事というものはできないはずなんです。こういう工合に私たちは考えられる。ところでどうでしょう。これは北海道地下資源という工合にはっきり限定されておる。それが東京支店を置いておるのですが、重点は北海道の現地ということになるわけです。東京支店にはあなた以下どのくらいの人員を配置しておるか。
  53. 桑原幸信

    桑原参考人 私以下約三十名であります。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 東京支店に三十名というと、ここには現場職員はほとんどいないはずですから、北海道の現地には七十九名、東京が半数近く占めておるということになるわけです。それはいろいろ政府資金も出ておりますし、他の株主諸君との連絡もあるでしょう。あるいは注文取りとか、そういうこともあるかもしれませんけれども、私たちは、こういう会社がとかく政府との関係において、東京支店を置いて、東京で多くの人々がこの会社職員として本質的な業務以外にダブついた人員を擁しておる、いたずらに事を現場の問題よりも別の方向に持っていくという例をたまたま見せつけられる。あなた以下三十名の職員というのは一体どういう仕事をやっているのか、これだけの人が必要であるかどうか。それから管理部門というのが七十九名、現場職員が百四名というが、これはいつからこういう工合になっているか。同時に当初からこういう人員でやっているのか。事業量から見ますと、三十五年から三十六年三月三十一日までの事業収入が一億六千三百万、事業原価が一億二千五百万、事業利益は千五百三十九万、それに対して一般管理費が七千四百十九万、事業収入が一億六千万の仕事に管理費は七千四百十九万かけている、こういう経営のあり方自体が一億四千万の累計赤字を持っているということになってくるのじゃないか。これは一般企業でありますと、こんな経理で赤字が出ましたと言えるものじゃないと私は思う。事業収入が一億六千万の仕事しかないのに管理費に七千万もかけている、そういう会社というものが一体あり得るかどうか。それでも、ぜひともこれだけのことをやらなければならぬから必要な経費だという理由があるならば、国策的な意味を持つのですから、これまたやむを得ない。絶対にこれだけの管理費が必要なのかどうか。こういうところで、はっきりした確信ある回答を出されるか、それを一つ伺いたい。
  55. 桑原幸信

    桑原参考人 ただいまの点でございますけれども、赤字が累積しておることをまことに申しわけなく思っております。しかしながら、やはり国策会社といたしましては、他に見られないようないろいろな監督官庁関係もございますし、所要の人員以上に、普通の中小企業的な考え方ではおさめられない人員も擁さなければならない現状でございます。  それからもう一つ、西村先生御指摘の、支店では何をしているのだというお話でございますが、注文の関係がほとんど内地東京を中心にして大手の取引も行なわれております。それがおもな理由の一つでございます。それからもう一つは、内地機械貸付に対する技術の指導また現場に対する監督ということも、東京支店でやっております。
  56. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いろいろのことはあるでしょうが、どうもその人員配置というものが、いたずらに管理部門をよけいにして、事を役所的に処理する、帳面づらだとか、あるいは対政府関係というところだけをやっておるような人員配置であるという工合に見られますし、またいかに国策会社といえども、一億六千万の仕事に七千万の管理費をかけておるなんということは、とうていわれわれは認めるわけには参らない。こういうところが根本的に解明されないで、他に事業を拡大するような今度の改正法案が出されましても、こういうことはかえって欠陥を拡大する方向に行くのではないか、こういう気持があるわけです。  それではなはだぶしつけですが、役員諸君の給与関係はどうです。それは理事、監事、相談役、こういう工合におられますが、その給与関係はどういう工合ですか。
  57. 桑原幸信

    桑原参考人 社長が二十六万、それから普通の取締役が十六万五千円、それから監査役が十三万、相談役は無報酬になっております。
  58. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ところで、先ほど一メートル当たりボーリング単価、そういうことが明瞭でなかったように思うのですが、民間とあなたの方でやる場合の対比はどうでしょう。
  59. 桑原幸信

    桑原参考人 私の方の平均単価は、道内におきましては大体七千五百円、それから内地機械貸付事業の場合は三千五百円くらい、こういうようになっております。
  60. 佐野猪之輔

    佐野参考人 私の方の地質調査におけるメートル当たり単価は、先ほど申し上げました通り、地質状況とかあるいは地耐力の調査とかによりまして、施工の内容によりまして非常に仕事の量が違うものですから、一がいにメートル当たり単価を幾らと申し上げられませんと申し上げておきましたが、一般の土質の調査におきましては、東京都内あたりですと単価は約三千円でございます。
  61. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三千円というのは高い方ですか安い方ですか。いろいろ事情はあるでしょうから、条件の悪い場合にはもっと高くなるでしょうが、地方の場合はどうなんですか。
  62. 佐野猪之輔

    佐野参考人 三千円の単価標準でございます。
  63. 西村力弥

    ○西村(力)委員 北海道でやった場合、先ほど仰せられた七千五百円程度かかりますか。
  64. 佐野猪之輔

    佐野参考人 私の申し上げた単価は、これは一般の泥ということでございまして、北海道方面の鉱山の単価ですと、主として岩盤でございますから、その辺のところが大へん開きがあるのじゃないかと思います。比較にならないと思います。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたは資料がないからなんでしょうが、東京で三千円だということですが、岩盤ならどのくらいになるのですか。北海道に限らず、他の地域の岩盤のボーリングもあなたの方でやっておる例はあるでしょう。そういう場合には大体どのくらいかかりますか。
  66. 佐野猪之輔

    佐野参考人 岩盤の場合ですと、岩質によりまして種々ございますが、概略を申し上げますと、七千円ないし一万円くらいの間でございます。
  67. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 関連して。——今、桑原参考人の答弁によると、第八条二項の機械貸付の問題について、一般貸付を行なうことができるという解釈の説明があったようです。法律を制定した昭和三十三年の速記録では、当時あなた自身が開発庁の役人としてその席について説明員としてみずからが説明しておるのと、今あなたが言われるのとは、月とスッポンほど違うのですね。法律を制定した当時の記憶をもう一ぺん思い起こしていただきたいと思います。私の質問に対してあなたは、「機械の貸与の場合は、機械の償却と、それからそれに伴うところの人間の旅費とか、滞在費というようなものを見たものが貸付料になるわけです。受託探鉱の場合はそれとは異なって、契約をちゃんとして、かりにボーリングをやってみる、そして途中で会社機械を折っちゃったという場合は、会社の責任になるわけです。しかし、機械貸与の場合は、一応向うの指示に従ってやるということになると思います。」そして、私の質問に対してさらに「機械貸与の場合は、オペレーターが行く人件費と、旅費というようなものと、機械の償却というようなものはちょうだいいたしますが、その消耗品とか、現地の人夫賃といったようなものは相手方が持つ、こういうことに相なっております。」こう答えておるのですがね。あなたのさっきの答弁と違うのですがね。
  68. 桑原幸信

    桑原参考人 大体機械貸付現況は、今、先生の御指摘のように、人夫とか消耗品というものはお得意様から提供していただくという形式でやっております。
  69. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 違うでしょう。問題は、この法律の第八条の第一号、第二号、第三号それぞれの条項の中にはまらない。一般機械貸与の名において、入札まで参加したりすることは、こういう国会の答弁とも法律の規定する条項とも一致しない。法違反を犯しているのではないかという玉置君の質問もありますが、今のあなたの御意見をもう一ぺん承っておきたいと思います。
  70. 桑原幸信

    桑原参考人 そういう遺憾なケースもあったかと思いますが、大体は先ほど私が申し上げたようなケースでやっております。
  71. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 ケースがあったかと思いますがと言っているが、やっている仕事をそういう答弁では、ここでは通らないですからね。法律を審議しているのですから、法律に基づく答弁をしてもらいたいわけだ。あったかと思いますということでは困る。これからあなたの退出したあとに大臣に質問するのですから、大臣が答弁するのに困りますからね。あったと思いますではなしに——先ほどの玉置君の質問に対して、あなたはそういうことはないと言っている。あなたがこの法制定当時私の質問に対して答えていることと著しく違っておるので、その点もあなたに、前の答弁をそうじゃないというて取り消していただくか、いずれかしないと話が違ってくる。
  72. 桑原幸信

    桑原参考人 第二項の方で営業としてやっているということを先ほどお答えしたわけであります。その営業のやり方におきまして、相手によりまして、機械貸付方式がとれなかったという場合に、御指摘のような、応札したというようなケースはございます。しかし、これはあくまで形としては機械貸付のつもりでございます。
  73. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 あなたが機械貸付というのはこういうものだという、それと違うのじゃないかと言っているのです。違うなら違うと言えばいいのです。
  74. 桑原幸信

    桑原参考人 その点は、あの当時お答えいたしましたのとやはりだんだん実際に業としてやりますと、事情も変化してくるということだけお答えいたします。
  75. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三十六年度の決算は、大体試算ができているだろうと思うのですが、三十五年度のは五千万円の赤字、こういうことでありますが、三十六年度の欠損の見込みはどのようになっていますか。
  76. 桑原幸信

    桑原参考人 それは大体三千三百万円の償却を含めまして、五千六百万の赤字でございます。
  77. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 参考人に対する御質疑はございませんか。  それでは参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は御多用中おいでを願いまして、貴重な意見を御開陳願ってまことにありがとうございました。——では引き揚げをいただきましてよろしゅうございます。  引き焼きまして政府に対する質疑を続行いたします。岡田利春君。
  78. 岡田利春

    岡田(利)委員 会社の根本的な問題はあとから論議をすることにいたしまして、初めに私がお聞きしたいのは、この北海道地下資源開発株式会社法は、この運用については、いわゆる内閣総理大臣と通産大臣の共管に実はなっておるわけです。そこで、これはボーリング会社でありますから、当然専門的には通産大臣が責任がある。しかし、北海道開発庁は総理府に属しますから、内閣総理大臣が共管をするのである、こういう形でこの法が定められておると考えるわけです。そこで、昭和三十三年以来毎年度地下資源開発株式会社事業計画を策定をして、この事業計画については、認可事項になっておりますから、内閣総理大臣と通産大臣の認可を受けなければならぬわけです。開発庁並びに通産省は、鉱山局と石炭局両方の局にまたがる問題だと思うのですが、その間の手続については、通産省の場合にはどうやってきたのか、あるいはまた共管という面で、開発庁はどういう運用をしてきたのか、この点についてお伺いしたいと思うわけです。
  79. 木村三男

    ○木村(三)政府委員 お答えいたします。  法律ができまして、その法律の中にいろいろな事業計画その他を含めまして認可事項がございます。そのルールにつきましては、三十三年に北海道地下資源開発株式会社業務整理規則というものが総理府、通産省両方の政令になっております。それに、事業計画、資金計画内容を具体的にどう書かせるか、どういう参考書をつけるかというようなことをきめてあります。それに基づきまして会社は所定の事業計画、資金計画を出して参ります。これは一カ年間の一事業年度全般についての事業計画ということになっておりますので、だいぶ先のことまで入れたものが出て参ります。その扱いにつきましては、大体この法律制定の経過とか会社の業務態様について主体を置いて見るということになりますと、監督権についてもまず北海道開発庁の方からやっていく、それでこちらで荒ごなしをしまして、それから通産省と話をつけるというふうにいたしております。法律の方の書き方としましても、一般業務については両方共管なのでありますけれども、重役に関することその他本体的な問題につきましては、総理大臣だけが監督をするというような書き分けをしておりますので、その間の事情を物語っておるわけであります。手続といたしましては、私どもの方に経済主幹室というのがございまして、そこに地下資源担当の専門官を配置しておりまして、それに補助職員を入れまして業務を見さしております。  手続関係は以上のようなわけであります。
  80. 岡田利春

    岡田(利)委員 基礎的な問題として通産省から特に資料が出されておるわけです。  そこで、わが国の鉱業の現状でございますが、石炭産業は、御存じの通り、いわゆる五千五百万トンに押えられて、しかも今日急激な合理化が進められておるわけです。しかもまたメタルの場合は、十月からの貿易の自由化を控えて、この日本の鉱業政策は貿易の自由化に対応する施策を実施しなければならない。そうでなければ、銅、鉛、亜鉛を初めとする日本の金属鉱山というものは壊滅の状態になるだろう。一方において石油、天然ガスについても、これはアラビアの安い油が入ってくれば、国内の原油は価格で太刀打ちができない。いずれにしても、いわゆる鉱業法上の鉱物資源の問題については、今日のわが国の政治の大きな課題に実はなっておるわけです。そうしますと、そういう現状から考えて、これからわが国の今の政府の施策を検討してみますと、わが国の鉱業生産量というものが急速に増大をする、こういう可能性は私はないように判断をするわけです。しかし、思い切った施策をとる場合には、わが国のいわゆる鉱産物の生産量というものは増大をするでしょう。しかし、今の政策では私はあまり急速に生産量がふえるという判断にはならぬと思います。しかるに、三十五年度から昭和四十年度に関するいわゆる事業量、こういうものが北海道内のあるいは北海道外全国にわたって一応想定をされておるわけです。これを見ますと、昭和四十年には百十九万六千メートルの、いわゆる地質調査を含んでボーリングというものが総延べメーターとして一応見込まれる、その内訳は北海道内外石炭非鉄金属天然ガス地質調査、こういう形で分類をされておるわけです。これを見ますと、いわゆるその想定というのは決してボーリングの総延べメーター数については大体停滞の可能性はありますけれども、しかし、ある程度伸びていくという、こういう計画が見込まれておるわけです。私はこの点についてどうも理解がいかぬわけでありますが、特にこれは石炭局と鉱山局からまず基礎的な問題として、これからの鉱業政策、石炭政策から見て、地下資源調査ボーリングについてはそういうことが一体見込まれるのかどうか、見込まれるというそういう計画を持っておるのかどうか。この点についてそれぞれお聞かせ願いたいと思うわけです。
  81. 大木恒

    ○大木説明員 私の所管しておりまする金属、非金属鉱山の今後の見通しにつきまして簡単に御説明申し上げますると、今お話のございましたような自由化対策を盛んに現在練っておりますが、自由化対策の基本はやはり現在の金属と非金属鉱山の体質の改善かます第一歩であろうと存じます。体質の改善の方法としてはいろいろございますが、特に今日問題になっておりまする探鉱にしぼって考えてみますると、現在まで日本の金属鉱床あるいは非金属鉱床というものは、ほとんど大部分露頭から発見されまして、稼行されて参っておりますが、最近山野を跋渉いたしましても、大きな露頭の発見はごくまれになってきております。特に北海道におきましても鉱山の開発の後進性はございますが、昔のように山を歩いて発見して参るということは、だんだん少なくなってきているような状況でございます。そういたしますると、どうしても地中に埋もれておりまする鉱床を地上から探さなければならない、こういう事態になってきておりまして、それには組織的な地質調査あるいは物理探鉱さらに試錐というような探鉱方法をとりまして、鉱物のあり方を探さなければならない、こういう状況になってきております。現在の稼行しておりまする品位でもって自由化いたしまする場合には、相当問題がございますので、新しい優秀な鉱床を探しあてまして、それによって品位を向上いたしまして、体質改善に資する、こういう施策をとっておるわけでございます。北海道内地と鉱床の状況は違いまするが、まだ北海道の探査も不十分でございます。特に力を入れて探していかなければならないと考えております。
  82. 久良知章悟

    ○久良知説明員 石炭関係の試錐量につきましては、この会社が設立されました前後は、先生も御承知の通り、非常に石炭の生産量が将来大きく伸びるという想定の時期だったわけでございます。具体的に申し上げますと、昭和五十年には七千万トンをこえるような出炭というものを予想した事態でございまして、その当時九州の方は比較的老朽炭田が多い、将来石炭の生産額を伸ばすということになりますと、その主点はいずれにしても北海道に置かざるを得ないということで、北海道の新鉱開発というものは非常に大きいというふうに見込んでおったわけでございます。これが御承知のような石炭産業の状況によりまして、現在のところ民間企業体が自力で積極的に新鉱開発のための調査を進めるということはほとんどできないような状態になって参ったわけでございます。従いまして、石炭関係ボーリングと申しますと大体大きく分けまして二つの種類に分け得ると考えるわけでございます。その一つは、ただいま申し上げましたように、新しい炭鉱を開く、または新しい区域に発展していくための調査、これが一つでございます。それからもう一つは現在稼行しておりますところに隣接した少し先の区域の炭層状況がどうなっておるかということをやはり前もって確認しながら事業を継続していく。この二つの種類のボーリングに分けられるように考えるわけでございます。御承知のように、この前者の方の新炭鉱の開発のためのボーリングというものは、現状ではほとんど自力ではやり得ない。それからもう一つの方の操業のために必要なかつかつのものを維持していく。このために必要なボーリングというものもこれは絶対に必要なものでございますが、御承知のような炭鉱会社経理状況からこの二、三年、極力しぼり得るものはしぼり、先に延ばし得るものは延ばすということで、この種類のボーリングもかなり減ってきておることは事実でございます。しかし、これはいわゆる操業のために絶対必要なものでございますから、いずれにしてもやらざるを得ないということで、この分については非常に困難ではございますが、先にいきますと現状よりは若干ふえざるを得ないような状況にあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。そういう二つの面を勘案いたしまして、お手元に差し上げましたようなボーリング推定メーター数を出したわけでございまして、若干の増加というものは、そういう事情から来ているわけでございます。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はまず初め石炭の問題を申し上げると、これは合理化法に基づくいわゆる未開発炭田、日本の炭田別の調査昭和三十三年から系統的に実は行なわれておるわけであります。しかも北海道においては、地下資源開発株式会社が通産省の予算に基づいてこれを大体ほぼ引き受けてボーリングをする、こういう経過の実績がこの石炭関係には出ておると思うのです。しかし、これも一応年次別計画は終わっておるわけです。そうしますと、国が石炭の問題について大々的にボーリングをするという時期はもう過ぎたのではないか。いうなれば、今度原料炭開発をするとしても、いわゆる南夕張地帯くらいが考えられるだけであって、あとは増強分の各周辺に対する調査という面にほほ限定されてくる。一般炭については石狩炭田以外には、天北の場合にはほぼ現在の場合は開発の可能性がない、こういうことになって参りますと、大体この石炭関係については、事、北海道に限れば、伸びるということはあまり私は想定できないと思うわけです。ほぼ大体調査は一応完了しておる。あと新鉱開発をする場合により精密調査をするというボーリングが考えられるだけであって、これはむしろ後退をしておるのではなかろうか。それぞれの増強分のフィールドを見ると、ほぼ調査を完了しておるのが実情です。しかもそれに基づいて調査の展開が行なわれておるわけです。ですから、石炭の面では北海道は全然期待ができない。そうしますと、今度はメタルの場合は、北海道では大手が独占をしている。一鉱山単位当たりのフィールドが決定されておって、内地の中小金属鉱山のように直接積極的にボーリングをどんどん行なっていくという地域は少ないのじゃないか、むしろ日高系あるいは知床関係一般的な地質調査が始まる、いわゆる資源開発という問題が北海道の場合当面の問題になっておるのではないか、こういう工合に私は理解をするわけです。そういうことがあなた方の理解と私の理解が一致するとすれば、この北海道地下資源開発株式会社というものは、北海道地域を限定しては会社が成立する要件はないということになるわけです。こういうことは私はこの問題を論議する場合にきわめて大事な問題であると思う。それは北海道に限って、石炭メタルの場合、これを中心にして地下資源開発株式会社が成立する要件があるとするなら、これは別に法改正をする必要も実はなくなってくるわけです。この点実際の今の各炭鉱あるいは鉱山が持っておるボーリングの能力あるいは北海道のように大企業鉱区を独占しておる現状、あるいはまた石炭のように一応年次別計画調査が完了しておるという実態、こういう面から考えますと、私は大体北海道地下資源開発株式会社というものは、ボーリングあるいは物理探鉱法によって、北海道に限って、この会社が将来とも成立していくという要件はない、こう理解をするのですが、その点、専門家である通産局の方から御答弁を願っておきたいと思うわけです。
  84. 大木恒

    ○大木説明員 北海道における金属鉱山並びに非金属鉱山の現況について申し上げますと、これは石炭を含めてでございますが、鉱区の面積を本土と比較いたしてみますと、日本の国土の二二・二%が現在鉱区として設定されておりますが、そのうち北海道は、全体の北海道の面積のうちの二七・九%が鉱区面積でございます。本土は二〇・六%で、鉱区の面積からいきますと、本土の方が鉱区面積の比率が低いわけでございます。しかし、今度鉱区の数から申し上げますと、稼行鉱区数、実際鉱区は設定されているが、まだ稼働しておらない鉱区があるわけでございますが、それを比較いたしてみますと、北海道が二・五%、本土が二二・七%、こういう数字に相なりまして、北海道の方が鉱区の面積なり鉱区の数は多いにもかかわらず、稼行に至っていない部分が相当あるわけでございます。  それから鉱産額のお話がございましたが、鉱産額で比較いたしてみますと、これは金属、非金属だけでございますが、昭和三十五年の歴年の数量でございますが、全国で九百五十六億円の鉱産額であります。そのうち北海道は百出二億、本土が八百四十三億という数字になっておりまして、本土面積平方キロ当たりにいたしますと、北海道は本土の半分であるという数字が実は出るわけでございます。  こういうふうな数字からだけ判断いたしますと、これは早計だとは存じますけれども北海道には未開発地域がまだ相当残存しておるということも、この数字から言えるのではないかということでございます。
  85. 久良知章悟

    ○久良知説明員 石炭関係につきましては、先ほど岡田先生が述べられましたように、試錘の将来のメーター数そのものについては、現状で進む限り、あまり期待はできない、現在私どもの見積もりで三十五年で全国で約九万六千メートル石炭の試錘をやっておりますが、そのうち北海道は約四万五千メートル、これが三十七年の見込みで申し上げますと、全国が約五万、それから北海道が約二万、ただし、この二万というのは、これは絶対的な必要量に近い数字でございまして、これより減るということはないというように考えている次第でございます。  それから会社が将来試錘するであろう北海道関係石炭は、大体一万メートルを若干上回る程度のメーターではないかというように考えている次第でありますが、これはいわゆる原料ベースということでございまして、先ほど先生から御指摘がございましたように、原料炭の産炭可能地域に対して積極的な開発を進めていくということにいたしますと、これよりもその分だけはプラスしていくのではないかというように考える次第であります。
  86. 岡田利春

    岡田(利)委員 北海道開発庁長官にお尋ねするのですが、今私が質問しました通り、石炭については北海道の場合にはまだ開道して百年にならぬわけです。しかも大手が、大企業鉱区をそれぞれ将来の自分のフィールドとして独占している。ですから、鉱区問題が解決しない限りは、それは百年なり二曲年なり、その鉱山が営業を継続するために必要な保有鉱区であるということでそれぞれ独占されているわけであります。そうしますと、石炭の場合は、合理化法があって、石炭産業の方向というものは明らかになりつつあるわけです。ですから、北海道石炭開発も、原料炭に限ってはある程度期待できますが、一般炭の場合は、そう大きく期待するわけにいかぬじゃないか。むしろ現在稼行している炭鉱がそれぞれ増強していく、こういう傾向にあるわけです。それから、今金属山については、いろいろ答弁がありましたが、実際問題として、これも貿易の自由化を控えて膨大な探鉱費をかけて、しかも開鉱して、いわゆるペイするか、採算がとれるかということになると、現状はお先まっくらです。理論的には一応それは開発可能である、こういいますが、現状の問題としてはみな二の足を踏んでいるということで、大幅に通産省で探鉱補助金を出さない限りは、この問題は解決しない、こういう実情になっているわけです。ですから、新しくどんどん北海道で金属山の開発というものは期待できない、こういうことがやはりはっきりするわけです。そうすると、北海道地下資源開発株式会社というものは、北海道だけに限っては、今の会社の性格では存立していくことができないのではないかと思うわけです。そういう認識をもし大臣ができるとすれば、これは大臣が資源開発株式会社そのものを根本的にどうするかという問題を抜本的に検討しなければならぬ時期に来ているのではないか、このように考えるわけです。でなければ、内地の力にとんとん——このままでいくと、北海道よりも北海道外の方の事業量というものがむしろふえていく。いろいろ計画は出ておりますが、近い将来においては、おそらく道内が三五%、道外が六五%の事業量になるであろう、こういう私は私自身の見込みをつけているわけです。従って、この北海道地下資源開発株式会社である以上、会社が設立した趣旨から考えて、大臣はその点についてどういう考え方を持たれておるか、お聞きしたいと思います。
  87. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 北海道川下資源開発株式会社のこれまでの業績がきわめて不振でありまして、設立当初の目的を達成していないことは、おおうことのできない事実であります。しかし、北海道資源開発というものはきわめて重大でありまして、ただいまの御指摘とは、私は多少違った考え方を持っております。今後とも地下資源開発には、政府といたしまして積極的に力を尽くしたい、こう考えておるのであります。ただ現在の地下資源開発株式会社だけの仕事では会社そのものの維持ができませんので、そこで今回御審議願っているように、内地へも進出し得るような制度にいたしましたけれども、あくまでも本体は北海道に置くのでありまして、北海道を重点的に会社事業をやりまして、余裕があった場合に、しかも会社の経理を健全にするために内地に出す、こういうふうな考えに基づいて提案し、御審議を願っているわけであります。
  88. 岡田利春

    岡田(利)委員 今までの会社の経過は別にして、今ここで当面問題なのは、いわゆる全国相当数に上るボーリング会社北海道地下資源開発株式会社の競合問題が一つの争点に実はなっておるわけです。そこで、では何が北海道外の場合に問題であるのかということになりますと、これは機械の貸与は現行法上認められておるわけです。直接事業をする場合には、鉱業法でいう鉱物資源探鉱するためにボーリングをする、あるいは物理探鉱を行なうという面については、私はあまり大きな問題でないように実は理解をしておるわけです。問題なのは地質調査という問題なんです。地質学でいう地質ということになりますと、これはもう範囲が非常に無限に広いわけです。ですから、結局地質調査になりますと、その辺のビルを建てる場合にも地質調査しなければならぬ、橋を作る場合にも橋げたの関係地質調査をする、あるいはまた温泉があるかないか探すのにもこの地質調査をする、あるいは関門トンネルのような、あるいは青函トンネルのような場合にも大々的な地質調査をする。これは鉱業法でいう鉱物の探査ではないわけであります。あるいはまた工業用水を掘り当てる、あるいは簡易水道で水が非常に不便なために、地下水を掘り当てて一般の民家に水を供給する、これもまた鉱業法でいう鉱物資源ではないわけです。そこで私は、地質調査という問題については、いわゆる地質学でいう地質という一般概念では問題があるのではないか。そうすると、厳密に限定をすれば、鉱業法でいう鉱物探鉱する場合に限るということになれば、これは会社の性格からいっても、また一般の受ける理解も非常にすっきりしたものになるのではないか、こう理解をするわけなんです。ところが、本法を改正しますと、今私が実例として申し上げた全部の部面についてでき得る、こういう法律の解釈になるわけなんです。この点について大臣は、この法改正にあたって、北海道地下資源開発株式会社は、主として北海道地下資源を積極的に開発する、こう言われますけれども、そういう面についてはどういう見解を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  89. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 一般地質調査事業もやり得るような法律の改正でございます。しかし、これは内地ボーリング業者を圧迫しない程度でやらせます。特に高度の技術を要するもの、あるいは機械設備を特に大規模に要するもの等の地質調査をやりまして、小規模のもの、従来慣例によっていろいろボーリング業者がやっているような程度のものは、この会社ではやらぬという方針をとっておるわけであります。あくまでも内地ボーリング業者に対して圧迫をしないということを基本にして、今後運営させるつもりでおります。
  90. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は北海道のこれからの資源開発は、いわゆる株式会社による、ボーリングによるあるいは物理探鉱だけによる地下資源開発という考え方では、不十分ではないかと思うわけです。先ほど申し上げました通り、それぞれ鉱区の出願がすでに許可されている部面が非常に多いのであります。そこで、まだ十分調査が行なわれていない地帯というのは、非常にへんぴな地帯であるわけです。知床半島日高山系、ここには相当の地下資源が埋蔵されているということは学界の常識です。そうすると、これは単に直接ボーリングをするとかあるいは探査や探鉱をするという問題ではなくて、それ以前のいわゆる地質調査という面が相当強く積極的に行なわれない限り、新規に北海道地下資源調査し、その開発ができるような態勢に持っていくことは不可能ではないか。ですから、今私が申し上げました地質調査関係については、通産省に地質調査所がありますけれども、これも微々たる予算で、とてもそういう北海道の問題について重点的にできる仕組みにはないと私は思うのです。そうすると、むしろこの開発株式会社でできない、こういう部面を積極的に担当することによって、北海道地下資源開発がより積極的に進むのではないか、こういう判断を私は実は持っておるわけなんです。そうしますと、株式会社であり、開発会社である以上、そういう調査は金がかかってなかなか危険度が高いわけですから、そういう点については、事業計画を組めないというのが実情なわけです。ですから、もし開発庁としてこれから北海道の未調査の面についての地質調査を進めて、地下資源開発をするとするならば、その面については別途の予算を組んで、これを株式会社にやらせる、純然たる目的をもって国が金を出して、その金を使って調査をする、こういう方向へいかなければ、私は会社を作った趣旨も生きてこないし、これからの北海道地下資源調査というものは、そこに重点を向けていくべきではないか、こう考えるわけなんですが、御見解を承っておきたい。
  91. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 株式会社の形式でなしに、事業団その他の形式でやることが適当かと私も考えておりますが、それは別な問題といたしまして、とにかく現にこれができておるのでありますから、これを活用しまして、できるだけやってみたいというのがただいまの私の心境でありますが、これで十分とは考えておりません。やはり株式会社の形式でなしに、政府の資金を全部につぎ込んで北海道開発をするということが必要でないかということも十分わかるのでありますが、実は北海道地下資源開発株式会社の監督者といたしまして、私はどうしたらいいかということを結論を得ないので、一応今年度はこれを提案したわけであります。これで十分とは決して考えておりません。
  92. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は基本的には、地下資源埋蔵量から申しますと、先ほど通産当局から答弁があったように、石炭は半分は北海道に埋蔵されておるわけです。メタルについても相当比率を高めておるわけです。ですから、全国の地下資源開発株式会社にしても、結局は重点は相当部分北海道にいくと思うのです。現実に石炭は百億トンあるというのです。メタルの場合についても、相当の比率を持っておるわけです。ですから、日本地下資源開発株式会社にしても、結局相当部分については北海道にいくと私は思うのです。それが大体今日のわが国の鉱業の分布状況ではないかと思うのです。そうすると、北海道においてなかなか採算かとれぬから、内地の方、北海道外にやるのだというのじゃなくて、むしろこの際抜本的に改正をして、日本地下資源開発株式会社というものに発展的に解消させても、これは結局相当部分というものは北海道に重点が置かれると思うのです。結局その方がこういう会社が生きていく道ではないか、しかも一元的に地下資源開発に対する政府の行政が行き届くのではないか、しかも貿易の自由化を控えている日本の金属鉱山の現状は、それを特に強く要求し、要望しているのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。特に長官は行政管理庁長官でもありまして、そういう面から考えても、私は根本的に再検討すべき問題だと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  93. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 これを発展的に解消しまして、日本地下資源開発株式会社の性格を与えることも一つの方法でありましょうし、また事業団に切りかえるのも一つの方法でありまして、これらにつきましても、かねて私は検討いたしておるのであります。御趣意の点はよく私わかりますから、十分検討してみたい。私は現在の北海道地下資源開発株式会社に決して満足いたしておらぬのでございまして、何とかしたいという考えを持っておるわけですから、これだけは申し上げておきます。
  94. 岡田利春

    岡田(利)委員 それでは、時間もございませんし、他の法案もかかっているようでありますから、私はもう一つだけ質問をいたしておきますが、私はやはりこの問題は、そういう意味で、審議についてはある程度時間を要すると思うわけです。今、大臣から答弁があった内容から見ても、ある程度議論というものを詰めていかなければならぬ性格のものではないか、こういう感じがするわけなんです。ですから、私はそういう面で、この時点では、第一には北海道地下資源開発株式会社の今までの経過あるいは現状というものが満足できる状態にあるのかどうか、私はやはりこれは相当メスを入れて、こういう赤字を出さなければならぬ実態にあるのですから、人の問題についても徹底した合理的な体制を作るということがどうも先のような気がするわけです。  それから第二の問題としては、今いろいろ多く問題になっている地質調査の面についてはある程度あきらめて、当面鉱業法でいう鉱物資源という面にむしろこの際限っておいて、そして一方合理的な体制を築いて、今、大臣が言われた根本的な問題は、そういう前提において根本的な問題を検討して結論を出して、あらためてどういう形でありましょうか、抜本的な法改正の提案を国会にする、こうした方が——もう国会も時間がないのですから、そういう何か大胆な考え方をこの際むしろ積極的に示さないと、この法案の成立などというのは考えられないんではないか、こう私は思うのですが、この点いかがですか。
  95. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 これはほうっておきますと死んでしまうものですから、生かすために出しておるわけです。根本的には別に考えようと思っておるのです。これはこれとして御審議願いまして、いずれ後年度におきまして日本全体の地下資源開発のことを政府も考えるべきだと思っておりますから、十分考えるつもりです、私はそういう意見には非常に同感なんです。
  96. 岡田利春

    岡田(利)委員 あと質問者がおりますから、質問は保留して終わります。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 川島長官に一問だけお聞きしたいと思います。  この法案、先ほどからあなたのおっしゃること、あるいは提案理由の説明を見ますると、死にかかっておるから生かさなければいかぬ、死んでは困るんだ、こういうことなんですが、そういうことでかりに民業を圧迫するということになれば、一会社の存亡という問題が重点になって民業を圧迫する、これは国策会社としてとうてい許容されるものではないのです。それが第一点。  第二点は、一会社の存亡を救済するための法律というものをわれわれが審議しなければならないのか。こういう問題は特定な一会社、これはもちろん北海道地下資源開発目的はあるでしょうが、現実には会社組織であって、会社の形態でもってやっている。これが存亡の危機にある、その一会社を救済するために、事業範囲を拡大するというような工合にもう法律改正でわれわれはやっていかなけばならないのか。こういうことは特定の地域、あるいは一個人、あるいは会社、それにだけ関係する法律を考える場合に、もっと慎重な、また規制というものがこの国会の方針においてはあるべきことではないか。まあ特定の地域のみに関する法律の場合には住民投票を求めなければならぬとか、そういうようなことがあるわけですね。そういう制限があるわけです。そういう点からの疑義、この二点について一つ解明願いたいと思います。
  98. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 この会社北海道開発のために必要な会社で存在しておるのでありまして、従いまして、今度の法律の改正は一会社を生かすためではなくて、根本的には北海道開発のために必要だからしてこの会社を存続させようということが主意であります。  それからもう一つは、民業圧迫ですが、内地の民業を圧迫しないように配慮して今後も運営させるということを、先ほどから御答弁申し上げておるわけであります。
  99. 渡辺惣蔵

    ○渡辺(惣)委員 時間の関係で大臣が退場されるそうで、きょうの質疑は後日にいたします。しかし、ここで資料要求を一つはっきり申し上げておきたいのです。この会社は何の施設もない会社なんですから、工場もなければ何もない仮事務所だけで、あと会社の財産というのは唯一のものはボーリング機械です。推定約二億円くらいにわたっておるはずだと思うのです。巷間伝えられておるこの会社は、一つも公入札をしないで、全部特定の会社と随意契約をしておる、こう伝えられておるのです。  そうなりますと、国費を投入してやっている会社が特定の会社と随契でみなものを入れているということになりますと、大問題になってきます。東北開発株式会社と同じことになりかねないので、ここで一体機械の購入数は総数幾らであるのか、その機械は巷間伝えられるような事実があるかどうか、一体機械を購入するときにそれぞれのメーカーから購入をした事実があるかどうか、その機械はどこから入ったのか、こういう点について、その事実を一つ資料として出していただきたいと思います。同時にそれは監督官庁としての開発庁長官の監督権の問題になって参りますので、その点はそういうつもりで資料を要求します。  それから先ほど問題になっておりますこの法第八条の規定に基づく事業に該当するものの中で、たとえば受託探鉱、ことに共同鉱業権等による、会社の設立の本来の目的であった資金のない鉱山主に対して共同鉱業権を設定して探鉱をやるということがはっきりと規定してありますのに、一体四年間に会社本来の地下資源開発の任務である共同鉱業権を設定した事実が何件あるのか、そういう本来の会社仕事に打ち込んだ事実がどれだけあるのか、事実を明らかにしてもらいたいと思います。そういう点の資料一つ次の委員会までに提出を願います。
  100. 木村三男

    ○木村(三)政府委員 渡辺先生から御要求のありました探鉱機械、ただいま六十一でありますが、それの購入先、購入価格等資料として差し上げます。  それから第二点の共同鉱業権の関係、これも資料として提出させていただきます。
  101. 玉置一徳

    玉置委員 私も質問したいのでありますが、時間の関係で後日にお譲りになるそうでありますので、資料を要求したいと思います。  一つは、会社事業でありますが、これが計画量と実施量が毎年度ずっと違っております。これにつきまして、監督官庁はどういう指導と監督と助言をしたかということが一つであります。  その次は、第八条の第二項ですが、「会社は、前項の事業の円滑な遂行に支障のない範囲内において、主務大臣の認可を受けて、」とありますが、私はこれは個々に認可を受けるべきだと思うのです、この法そのものを解釈すれば。今までどういうように受け取っておったか、全部年月日と事業内容を調べていただきたいと思います。それからこの問題につきまして、きょうは法制局長官もしくは部長の出席を要求したのでありますが、先ほど私は会社の人とだけしか話しておりませんけれども、私の解釈しますように、これはその保有する採鉱用機械貸付でなければこの法律はおかしいと思うのですが、法制局の意見はどうであるか。それから法務省の出席を要求したのでありますが、巷間こういうものの告発をしておるといううわさを聞いておりますが、そういう事実があったかないか、もしないとしても、こういうことを承知すれば、これは法務局として調査を行なうべきであると思いますが、どうであるかということを法務省の方に聞いていただきたいと思います。  それから、三つ目でありますが、私の手元には事業入札に際しての実例をたくさん持っておるのでありますが、貸付事業ではなしに入札を現にやったのですから、第八条の二項違反であると思われる節がありますが、監督官庁はそのつどどういうような処置をしたか、これを個々に分けてやっていただきたい。  以上、資料として要求いたしまして、次期に質問をしたい、かように思います。
  102. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本案に対する質疑は、大臣の御都合もありますので、この程度にとどめます。      ————◇—————
  103. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出工業用水法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保田豊君。
  104. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 出席の大臣としましては、通産大臣、建設大臣並びに自治大臣に御出席を願っておるのでありますが、建設大臣はお見えになっておりますが、あとの大臣はどうなっておりますか。
  105. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 今呼んでおります。
  106. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは、時間の節約をする意味で、建設大臣にまず最初にお伺いをいたします。  第一の質問の一番大きな点は、どうもこういう問題に対する政府の施策というものは、非常に後手々々で、しかも非常に消極的で、しかも総合性を欠いているということを、どうしても指摘せざるを得ないと思うのであります。こういう点については、今度の部分改正は、それなりでは一応事態のあとを追っかけてやったという格好でありますが、そういう点については、建設大臣としては、都市建設なり何なりという観点から見て、どういうふうにこの問題を思われておるか、お聞きいたしたいのであります。
  107. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘をいただきましたように、確かに地盤沈下問題はすでに先年来起こっておりましたことで、本来ならば手回しよく先行すべきであったと私ども考えております。しかしながら、いろいろ個人の権利との関係もございますし、法律をもって現状を規制するということの困難な事情がら延引いたしておりましたところ、昨年御承知のような大阪に第二室戸台風の被害等もございましたので、この際建設省としましては、最近の事情にかんがみまして、ビル用水の地下水利用というものが相当にやはり地盤沈下に影響があるという現状にかんがみまして、すみやかに立法措置を講じたいということで、今回この運びになった次第であります。従いまして、建設省のビル用水の規制に合わせまして、通産省の方におかれましても工業用水法の一部改正を行ないまして、工業用水につきましてもさらに強化をしていこう、こういうことに相なりましたような次第で、できるだけ政府部内といたしましては横の連絡をとりまして、総合的に進めたい考え方で進行いたしておるというのが、現在の状態でございます。
  108. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 はなはだ抽象的な質問ですが、私は、この工業用水ないしは水資源の問題については、政府の各監督、実施官庁なり何なりの間に十分な連携がとれているのかどうかという点が、非常に疑われるわけです。工業用水につきましても、地盤沈下についてはあなたの方がおやりになっておる。ところが、地下水のくみ上げの規制については通産省がやっておる。そして、この工業用水の建設その他についても、これまた通産省の所管だ、こういうことであります。さらに、これと連関の深い水資源については、今度水資源開発法等ができて、これはあなたの方の所管になる。農林関係の方については、農林省の方がやっている。しかも、さらにもう一つは、都市建設とこれは非常に大きな連関かあるし、その上にもってきて、今日あるいは今日以降の段階では、単に工業用水ないしは地下水の問題だけではなく、工業排水の問題にしましても、どうするかということが、工業用水そのものの今後の始末についても非常に大きな連関を持っておる、こう思うのであります。どうもこういう点についての政府のあれがそれぞれの所管に分かれておって、一つもピントが合っていないように思う。   〔委員長退席、白浜委員長代理着席〕 その結果、至るところにひずみが出て、しわ寄せが、何かというと大阪の室戸台風のような非常に大きな被害をこうむって、しかもその復旧のために非常に大きな国費なりその他の金を必要とする。しかも、今度それに対処する工業用水なりそういったもの全部の整備となると、全く違った観点から問題が出される、こういうふうになっておるように思うのであります。こういう点の調整について、政府としては、これは政府全体の立場から、こういった問題の総合的な、しかも積極的な開発あるいは問題の解決のために、単なる連絡ということでなく、今までどういうお考えで進めてこられたのか。また今後、一々具体的な問題についてはお伺いをいたしますけれども、総括をしてどういう方針で進まれるかというようなことについて、今まで検討された事実があるのかないのか。あるいはこれに関する建設省側としてのお考えが何かあるかないのかということを、まず第一にお伺いをいたしたい、こう思うのであります。
  109. 中村梅吉

    中村国務大臣 ごらんの通り、都市建設及び防災ということについて重大な責任をになっておりまする私どもの方としましては、あらゆる地盤沈下の現状にかんがみまして、地下水利用というものを極力規制をいたしまして、地盤沈下の現象を食いとめるようにいたしたい希望は十分抱いておるのでございますが、ただ反面におきまして、過去におきましてこのような事態が憂慮されていなかった当時から、そういった地域に工業等が発展をいたしまして、現に既存の権利として地下水を大規模に吸い上げておる、またそれが同時に産業の原動力になっておるというようなことにかんがみまして、産業の維持、発展という点から見ますと、あながち強制的に一挙にとめてしまうというわけにも参りませんし、その点は非常にむずかしい問題であろうと思うのであります。さような角度から、実は近年になりまして、地下水の規制をしていくのには、それにかわるべき代替用水の充実ということが最も緊急を要する、かような角度から、現内閣になりましてから、水資源の総合的な開発利用ということの緊急性にかんがみまして、実は水資源開発促進法及びそれの実施機関である公団法を前国会に提案いたしまして、成立さしていただいたことに相なったような次第でございます。この水資源開発に関する二法案を制定するにいたしましても、これは水の利用をいたしまする通産省関係はもちろん、水の造成管理をいたしまする建設省、あるいは農業用水とも関係がありますので農林省、それから運輸省その他の各省も関係がございますので、政府部内としましては極力統一的な方法を一体となって検討いたしまして、あのような成案を実は得たような次第であります。従いまして、われわれといたしましては、急速にこの水資源開発を実施いたしまして、また理想的な上流地帯におけるダムの建設等も一挙にはできませんので、さしあたり淀川にいたしましても利根川にいたしましても、川口に可動堰を設けまして、そして海に流出いたしております水を努めて早く工業用水等に活用して、そして地盤沈下の原因となっております地下水の利用を根本的に抑制をしたい、かような考え方で進んでおるわけであります。工業用水法にもございますように、代替用水が全然めどがついていないのに、とめてしまうというわけに参りませんので、そこらの猶予期間的な若干の調整はとっておるわけでありますが、根本は代替用水の充実ということにあろうかと思いますので、これらにつきましては、政府部内一体となりまして、全力を尽くして促進して参りたいと思っております。
  110. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 抽象的にはそういうことになろうと思いますが、現実にそういう点がテンポが各官庁が合ってないように思うのであります。今通産省の方からもらったいろいろの資料によりましても、たとえば大阪市の例をとってみましても、今のお話のように、根本は、何といっても工業用水道を早急に整備をしなければ、問題の基盤的な解決はできないということになるわけです。これは言うまでもないことであります。ところが、その計画を見ますと、今の指定地域だけでも、大体において大阪地区は尼崎と西宮を含めて五百七十五億の一応の事業計画がついておる。そしてこれによって日量が二百三十六万立米の工業用水を持ってこよう、こういうことになっておりますが、この計画を見ますと、一期から九期になっておる。期間は三十四年から四十五年までになっておる。しかも、大阪市を呼んで聞いてみますと、この計画通り進んでいない。相当予算がつくが、どのくらいのテンポで進んでおるかというと、金が足りないためにどうしてもこれより二割からそれ以上ずれる。従って、全部の計画を実施するのには、どうしても十年から十二、三年は今のテンポでいってもかかるというのであります。そこで、それじゃ地盤沈下の力はどうかというと、三十三年かの調査によりますと、一番多いところが年間に十四センチであります。ところが、昨年あたりの調査を見ると、一番ひどいところは二十一センチもいっておる、こういうことであります。しかも今指定地域になっているのは、大体今後地盤沈下の起こると予想される地域の半分もいっておりません。大体三分の一であります。来年度あるいはことしあたりさらに指定地域がふえるようでありますけれども、そういう実情であります。さらに、その水源を見ると、下水道を再浄化して使うという計画よりは、淀川を使うという計画が大部分であります。その淀川はどうかというと、あちらから担当者を呼んで聞いてみますと、今度は工場排水をしてだんだん濁ってきて、このままではもう四、五年もたつと水源がなくなる、こう言っておるのであります。使えなくなってくる。どうするのだと言ったら、どうも私どもの方としては考えようがない、こう言っているのであります。これはおそらく今のところ指定地域が集中をしているのは東京並びに川崎、横浜のグループと、それから名古屋を中心とする四日市のグループ、それから大阪を中心とする尼崎、西宮のグループ、この三つが大体の中心だろう。おそらく同じような事情がどこにもあると思うのであります。こういうことになりますと、建設省は建設省で地盤沈下あるいは都市建設という点でおやりになっても、工業用水が、今度の規制でやりましても、これはあとで聞きますけれども、どの程度地下水のくみ上げが規制できるか疑問であります。そうなってくると、今のように一年間に二十センチも沈下していくということになれば、十年後には一メートル以上の沈下になる。今の一番ひどい中之島一帯の地帯なりその他の地帯というものは、一生懸命防波堤の積み増しを次々とやっておったって追っつかなくなるのじゃないか。しかも、こういう点について、片方の水源はどんどん工場ができて濁ってきて、これがか先は使えなくなりそうだといって、現地の人たちや担当者は心配しております。そうすると、これは単に都市建設ないしは工業用水地下水の地盤沈下ということだけでなくて、もっと工場の分散なりあるいは建設計画なり、そういうものを含めた全般的な計画を立てていかなければとても追っつかない。今度の部分改正も一応の地盤沈下の抑制にはなると思いますけれども、とてもこんなテンポでは話にならない。おそらく今後三、四年たてばまたこうやくばりか何かをする。そしてだんだん矛盾が大きくなって、しかもこういうことで都市全体がふん詰まりになっちゃうということになっていくのが、今の実情ではないかと思うのであります。こういう点も政府としてはもう少し総合的に、各官庁——おれは地盤沈下が問題なんだ、それに対する対策だ、おれは工業用水の確保の対策なんだ、こういうばらばらな考えでなく、法律を作ることも大事でありますが、総合的な、積極的な、先を見た思い切った施策をやらないと、今自動車と道路との関係がちぐはぐになってふん詰まりになったと同じように、今後は工業用水の問題、あるいは地盤沈下の問題、それから工場の排水の問題、その他公害の問題で、都市は人間のすみかでなくなる、こういう心配さえ私は相当あると思うのであります。こういう点についてもう少し突っ込んだ施策を政府はとらなければならない。それには、これは官庁機構でやむを得ないと思いますけれども、今のように、これは建設省だ、これは通産省だ、これは自治省だというようにばらばらで、そう言っちゃ失礼ですが、事務当局だけがおのおのの分野でやっておったのでは、もうあと四、五年もたちますと、ちょうど今の都市の自動車と道路の関係と似たり寄ったり、もっと深刻な影響が出てくると私は思うのですが、こういう点について何か根本施策を講ずるお考えなり具体的な措置を始めておられるのかどうか。これは両大臣にそれぞれお聞きをいたしたいと存じます。
  111. 中村梅吉

    中村国務大臣 今御指摘の通り、工業用水の造成と水資源開発に関する全体計画としましては、今お示しのようなことになるかと思います。そこで、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、淀川の可動堰は、すでに建設省独自で今日まで調査を遂げまして大体結論を得ておりますので、公団の発足とともに今年度からこれには着手をいたしまして、これでは全体計画から見れば一部分でございますが、さしあたり地盤沈下地帯における工業用水のうち激甚地帯だけでも早く間に合わせまして、工業にも支障がなく、地盤沈下の防止にも稗益するところが大きいように極力進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。東京の江東地区などにつきましては、かねてから憂慮されておりましたので、大体東京都と国の方の補助金をつけまして、三年くらい前から、御承知のように、尾久の浄水場、砂町の浄水場、二カ所の水を化学的に処理をいたしまして、飲めるくらいの水にはなるわけですが、飲むわけには参りませんので、大体江東地区の地盤沈下のはなはだしい地域工業用水が二十三、四万トンと計算されておりますので、これくらいをこの二つの浄水場の浄化によりまして供給をしようということで、すでに着手をいたしておりまして、尾久の方はもう八、九分通りできまして、三十九年度からは使用ができようということで、東京都の方でも配水管の整備等に着手いたしております。砂町の方も今年から着手をしておりますから、これらも右から左に間に合わないということは御指摘の通りでございますが、われわれとしましては、極力そういったような施設の充実を促進いたしまして、工業用水の充足を期するように今後とも努めて参りたい、かように考えております。
  112. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 途中から参りましたが、大体その結論の点についてお答えしていきたいと思います。  御承知のように、この地盤沈下に対して、建設省並びに通産省それぞれの法律案を出しておるのでございます。しかしてこれは十分連携をとるつもりでございますから、今両省間においてぶつかるようなものはないように思います。ことに、通産省としては、工業生産を担当する役所であるかのようにみんな見られておりますけれども、経済を発展いたしましても、同時に、それが国民生活に不安を与えるようなことでは、目的を達するわけではございませんので、今回の改正等におきましては、主目的にその点を明確にいたしたつもりでございます。従いまして、基本的には、現在の機構のもとにおいては、相互が十分連携を緊密にいたしまして、そうして対策を立てるべきだ、かように思いますが、ただいまの久保田さんのお尋ねは、同時に、御意見を交えて、将来の問題についてどうするか、こういうことに触れられたように思います。すでに御承知のように、これは建設省の所管でやっておられることですが、水資源開発公団など取り上げられる、こういう場合には、もう明らかに広域行政と言いますか、各自治体だけの狭い範囲ではいかぬということがはっきりいたしておるわけでございまして、そういう意味で、広域行政というようなことがやはりその研究の対象になります。また、中央官庁相互の問題にいたしましても、ただいま行政管理庁が中心になって、行政機構調査を始めているのであります。最近の産業構造の変化に対処していくのに好ましい行政機構を作ろうということで、いろいろ調査をいたしておるわけでございます。将来の改革の方向は、行政機構調査機関がどういう結論を出されますか、その結果を待たなければならないと思いますけれども、御指摘の通り、もう少し高度の立場からこういう問題と取り組んでいかないと、なかなか結論が出てこないのじゃないか。従いまして、まだまだ将来の問題のようでございますが、基幹都市建設法案だとか、あるいは産業の地方分散計画であるとか、こういうものも、ただいまの疑問にされている問題の一部に対する答えじゃないかと思います。まあ現在におきましては、現存する制度相互間において、十分緊密な連携をとって、そして要望にこたえる、こういうことを今努力しておるという実情でございます。
  113. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 建設大臣に、お約束ですから、先に少し特に御質問をさせてもらいます。  この室戸台風の大体の結果を、政府の書類によって見ましても、被害が、物的な被害だけで、大体において八百八十七億あるわけです。そのう大部分は、住宅関係とそして商工関係、特に商工関係が一番大きな被害をこうむっているわけです。それに対する復旧費の総額というのは、恒久対策までを含めますと、大体において恒久対策費が約七百九十億、それに応急対策費が三十五億ばかりですか、これを合わせまして約八百二十億くらいかかるわけですね。これだけの国費なり何なりを費やすわけです。その大部分は地盤沈下や高潮関係です。この高潮その他が全部地盤沈下に基づくだけの原因ではない。これは台風に結びついておりますから、原因ではないのでありますが、こういう状態で、今問題になっている指定地域なり、特に工業のための地下水の吸い上げによって地盤沈下を来たしておる地帯の、今後の地盤沈下に対処する経費というものはそれだけでしょう。工業用水の改善その他を考えずに、どのくらいかかるか。大体どのくらいかかって、どのくらいの処置ができますか。さっきお話にありましたように、大阪のごときは、今の工業用水のテンポでいきますと、どうしてもひどいところは一年間に二十センチ近くの地盤沈下がある。十年後になれば一メートル以上になるということになりますと、しかもその地域は、地盤沈下の起こりつつある地域の指定地域は、わずかに三分の一くらい、あとの三分の二はまだ指定になっておりません。近くなるそうですが、指定地域になっておりません。こういう状態でありますと、地盤沈下の都市建設なり地盤沈下防止のための計画というものは立っているのですか、立っていないのですか。また、それにどのくらいの銭がかかっておるのですか。こういう点の計画がおありになるのか。また、それらについての計数の大体のはじき——これは全国のひどい地域東京を中心とした地域、名古屋を中心とした地域、あるいは大阪を中心とした地域、まだほかにも小さい地域がたくさんありますけれども、とりあえず重点地域を見た場合に、建設省としてはどれだけ今後こういう地盤沈下の対策費に使われるつもりか。工業用水関係を除いて、大体どんなふうになっておるのですか。
  114. 中村梅吉

    中村国務大臣 高潮対策としての経費は、今久保田さんがお示しいただきました通りで、私どもとしましては、昨年の第二室戸台風程度の規模のものにまず緊急に備える必要がある、こういうことで、御承知の通り、緊急三カ年計画を立てまして、三カ年のうちに激甚地だけでもせめてこれに備える程度の設備を完了いたしたい。引き続いて恒久対策をやっていくわけでございますが、これは幾らその方をやりましても、従来と同じように地盤沈下が続いたのでは、これはそれだけで万全というわけには参りません。そこで、問題は、先ほど申し上げましたように、代替用水の充実ということをかけ足で急ぐ必要がある。これも、ダムを作る、その他恒久的な施設はやるとしましても、さしあたり早く間に合う工事を急速に仕上げるということが大事だと思います。この可動堰の経費等は所管の局長の方から御説明をすることにいたしますが、通産省の方におかれましても、工業用水の規制ということを——今回、地域の指定も拡大し強化される、同時に、おそらく行政指導として、今までの水の使い方を節水させるということにつきましては、御尽力をいただけるかと思いますから、両々相待って努力して参りますれば、地盤沈下の方も、代替用水の完成以前においても、相当今日までよりは緩和していくことは必ずできる、私どもはこれを期待いたしておるような次第でございます。
  115. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 建設省といたしましては、何とか、地盤沈下の関係もございますが、いろいろ諸用水に必要なための水源の確保、これを今極力やっているところでございますが、その点につきまして、特に大阪に非常に重点を置いてやっております。先ほど大臣も言われましたように、まず第一に、今年度計画ではっきりいたしておりますのは、淀川の長柄可動堰の改造の問題、それから淀川の木津川の水系でございますが、高山ダムのダムの建設、これをはっきりいたしまして、これは現在建設省でやっておりますが、いずれ水資源開発公団に移譲してやる、こういう段取りで着々やっております。その経費は、まだ全体の額ははっきりいたしませんが、本年度高山ダムにつきましては四億、長柄可動堰につきましても四億、この経費を予算で計上いたしております。これをやりまして、長柄可動堰の方は大体本年度、おくれまして来年度に多少かかりますが、高山ダムにつきましては大体四十年目標にやっている、こういう状況でございます。
  116. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 建設大臣に続いて御質問申し上げますが、これは今地盤沈下のところだけですね。ところが、最近では、工業用水、特に地下水工業用水にくみ上げるというので、ほかのいろいろな問題が出ておるわけです。たとえば井戸水がかれてしまったとか、あるいはそのほか町の一般水道源がかれてしまったとか、あるいはその工業用水とうらはらになります問題として、工場汚水が町をきたなくしてしまったというような問題が出ておるわけです。そういうところに対しましては、どういうふうな対策を考えられておりますか。私どもの方でも、あっちこっち全国的に見ますと農民関係等からいろいろ問題が持ち込まれるわけです。ところが、一向にこれがどこがどうやるやら、結局しようがないものですから、いやでもおうでも工場あるいは会社等がけんかして調整して、やむを得ずわずかな補償金を取って片っ方も押えておく、片っ方もがまんしてもらうというようなことで、実際にはこういう問題では基本的な解決が一つもつかないのです。もちろんこの一番重点は地盤沈下地帯ですが、そうでないような問題の工業用水をやっているところでも、あるいは工場の下水の問題が出る。こういったものを早く総合的に一貫した方針を立てて処置していくということがないとだめじゃないか。特に今当委員会で審議中の御承知の新産業都市とか、あるいはコンビナートとかいうことになりますと、出てくる態様はそれぞれ違うと思います。しかし、いろいろこういった問題が複雑になって、しかも大規模に出てくることは明らかであります。ところが、これらに対する対策が、今度の新産業都市建設促進法案を見ても、大体において工業用水という項だけはありますけれども、そのほかの項はないのであります。これでは私はますます全国的に今のような状態を広げていくだけじゃないかというふうに考えるのですが、建設省としては、こういったことに対する国全体にまたがる統一的方針というものを立てようとしておられるのかどうなのか。特に地盤沈下のひどい地帯の地下水なら地下水をとってみても、地下水の総合的な調査というものが現に行なわれておるのかどうか。これは建設省の方でも少しやっておるようです。通産省の方でもやっておられます。しかし、その地域全体の地下水状態がどうかということの総合的な把握というものが、まだないように思うのであります。ましてこれと工業用水との関係がどうなるのか、特にどの程度をとったら地盤沈下が押えられるのかという基準は、現在のところはないのであります。ですから、今度のような口径だけを押えて、あるいは過去のものを押えてみても、これだけではたしてどれだけ地盤沈下が押えられるのかということになると、私はめどがつかぬと思うのですが、そういう基礎の調査なり何なりというものが、現にどういう機関で行なわれておって、どれだけの人員が従事しておって、それに予算はどれだけ使っておるのか、そして通産省なりあるいは建設省でやっておられる調査の結査は、どのように総合されて生かされておるのかという点が私にはわからない。あっちこっちで聞いてみましても、その基礎の調査さえできておらないというのが全国的な問題なんでありますけれども、こういう特に地盤沈下のひどいところでも、そういう総合的な調査というものができていないように思うのですが、どうでしょうか。またこれらの解決に対してはどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  117. 中村梅吉

    中村国務大臣 地下水は、地下に流れる水脈の問題が確かにお話のようにありますので、大阪地区につきましては、大阪市、大阪府及び建設省の近畿地建が相協力いたしまして、私ども聞いておりますところでは、綿密な調査は一応整っておるわけでございます。同じような問題のあるところでまだ十分進行しておりませんのが東京の地帯でございまして、先ほど申し上げた三角地帯の江東地帯の地盤沈下ということは、江東の水だけではなくて、それは中央区でありますとか、城北地帯の足立、荒川、北区方面のもっと上流地帯の地下水のくみ上げ等の水脈関係はどうなるかということにつきましては、まだ調査が整っておりませんことは、まことに遺憾に存じております。実はわれわれといたしましては、これらの地盤沈下の原因をなします水脈関係の地下の調査につきまして急速に進めて参りたい、こう思っておるわけであります。  それから、汚濁の関係でありますが、これも従来あまり活発に進んでおりませんでしたが、この問題が非常に激しくなっておりますので、われわれとしては、さしあたり一番ひどいところを一つ急速に浄化の方法を講じていきたいということで、東京の荒川沿岸、ことにかつて水田でありました志村の低い地帯のところに化学工場が集結しておりまして、あそこに逆川と称する川がありますが、そこにみんな放流されますので、ひどい水になる。それが荒川に出、隅田川に出まして、隅田川の水が問題になっておるのでございます。本年から東京都と建設省が相協力いたしまして、馬力をかけて逆川の水を一つ完全に浄化する道を講じてみよう、あわせて隅田川の上流にちょうど放水路がございますが、放水路の方に流しておりました水を、施設を講じまして隅田川の干潮時を利用してためておいて一斉に流す、これによってきたないものを流下される、こういうようなことにも実は着手しております。全面的に一挙にやるという力もなかなかございませんので、こういうはなはだしい地帯にまず力を入れて、近々のうちに仕上げてやってみて、そうしてさらにこれを他の地方にも及ぼしていきたいという考え方で、目下進めておるようなわけでございます。   〔白浜委員長代理退席委員長着席
  118. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がございませんから、建設大臣に最後に一つお願いしておくわけでありますが、こういう既設のせっぱ詰まったところについては、もう少し通産省なりその他と連絡をとって積極的な施策をとらなければ、とても今のところ追いつかないというような感じであります。ある意味においては、建設省がむだな金をそこにつぎ込んで、そのしわよせを穴埋めしていくという格好になろうと思います。こういう点については一つ十分に追いつけるように適切な施策を講じていただいて、特に今後の新産業都市とかコンビナート、こういうところはこりておるはずですから、そういう点については基本からかちっとした計画を立てて、それを積極的にやっていくということでなければ、今までの都市作りのように次々にこうやくばかりをしておったって、私はとても追いつくものじゃないと思いますので、特にそういう点については、水の総合的な利用という点から、関係官庁の間で十分に一つ調査をしていただき、そうしてきまったら、地方にまかせるなんというようなことなく、国がよほど積極性を持って一つ先導的にやっていただきたいということをお願いして、建設大臣に対する、質問は終わります。  次に、通産大臣に一つ質問をいたしますが、今起こっておる地盤沈下の問題の解決の一番根本は、何といってもいわゆる工業用水道を早急に整備するということだろうと思います。これがおくれたのでは何にもならないと思います。そこで、私はお伺いしたいのですが、私がいただいた資料で大●の子でやってみた場合は、東京を中心とする川崎、横浜の一帯、これが指定地域にある程度なっておりますが、これも、地盤沈下のすでに起こっておる地域からしますと、まだごく一部しか指定になっておりません。近く少し追加になるようです。それからあとは名古屋と四日市を中心とする地域、これも指定地域がありますが、これもまだやはり一部のようであります。特にひどいのは大阪、それから尼崎、西宮、この一帯の大阪を中心とする地盤沈下の地帯、これも近くまた追加指定になるようでありますが、面積そのものも、現に地盤沈下が起こっておる地域よりずっと少ないのであります。大阪から資料をもらいましたから、申し上げてもいいのですが、時間がありませんから、詳しいことは言いませんけれども、ここにちゃんと図面から何から、地盤沈下の程度がどの程度進んでいるかどうかということは、全部資料が出ております。こまかいことは申しませんが、今申しましたように、このままのあれでいきますと、これはとても追っつかないという感じであります。  そこで、私は第一に、これは事務当局でもよろしゅうございますが、たとえば大阪について見ますと、大体において、尼崎、西宮を含めまして、さっき言いましたように五百七十五億の事業費を投じまして、日量二百三十六万立米の工業用水をやるということになっております。この期間は一期から九期までに分かれております。大体三十四年に始まって四十五年に終わるようなあれになっております。一つ工業用水が大体五年ないし七年というあれになっております。しかし、予算のつき方、その他資金のつき方等から見ると、大阪市の当局を呼んで聞いてみますと、とてもこの計画ではいきません、大体において一つのものを仕上げるのに七年は最低かかります、ちょっと大きなものだと十年はかかります、こう言っております。その間に地盤沈下はどのくらい進むかというと、一番ひどいところは、今の調査では一年間に十四センチ、これが一番ひどい線だ、しかし昨年あたり二十センチから二十一センチにふえておる、こう言っております。こういう状態です。そこで、これに連関して、通産省からいただいた全体の計画によると、昭和三十三年から四十九年の間に、今の三地域を中心として見ますと、千三百三十四億円を投じて、そして日量にしまして約七十五万立米の工業用水道を整備する、こういうのです。それまでの暫定期間として、今度のように法律の改正をしたわけです。そこで、私がお伺いしたいのは、これだけのものをやる間に、現地ではどんどん工場がふえて、用水量がふえております。これだけの整備をして、この地域の地下用水のくみ上げ量が年次的にどのくらい減ってこれが地盤沈下の防止にどれだけ役立つのか、こういう計算が出ておるはずだと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
  119. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 詳細は事務当局から説明させますが、第一に指定地域の指定、これは現地といいますか、そこの自治体と十分話し合いをつけて指定いたすのでございまして、通産省自身これを拘束するというようなことはございません。自治体の要望に沿って処理しておる、これで一つ御了承いただきたいと思います。  第二の問題の工業用水の整備、これは御指摘の通り必要でございます。毎年予算編成の際に、その増額などを要求したり、あるいはまた起債等につきましても特別に見ていただく、こういう考え方で整備いたしておりますけれども、なかなか思うように参りませんので、ことに最近は政府の補助率を下げることによって限られた予算を広地域にわたって使う、むしろ自治体等の起債のワクで不足分をまかなう、こういう行政指導をいたしております。もちろん、これは工業用水単価などにも影響いたしまして、必ずしも好ましいことではございませんが、急速に整備するという観点に立っておる、その現われだと一つ御了承願いたいと思います。  また、この工業用水の整備を計画いたします場合には、その指定地域云々に限らず、給水地域の工場の使用水量というものを一応想定して、それをまかなうということで計画を進めておりますので、現実にそれぞれ工場が立って参りましても、そのために特に計画にそごを来たすということはないように考えております。しかしながら、これももちろん情勢のいかんによっては工夫し、また計画も改善する必要があろうかと思います。一応の計画は立てて、将来あるいは五年ないし十年後にどの程度工業用水を必要とするであろうかということを考え、地下水でどの程度まかなう、水道で幾らというようなことで、それの目の子算を立てているということでございます。  詳細は事務当局から一つ……。
  120. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 久保田先生の方にお渡ししてあります資料の地盤沈下地帯における工業用水道の計画は、これは指定地域外のものも含めて当該市府が持っております計画の全貌を明らかにしたものでありまして、地盤沈下の激甚地帯につきましては、この中でも優先的に事業を進めまして、下の方の表に書いてありますように、この地域指定になっております地域地下水のくみ上げは、これは優先的に施行する工事の完成次第、大部分が工業用水に置きかわるという計画になっているわけであります。
  121. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これでこの計画が一応実行せられるとして、地下水のくみ上げと工業用水との置きかえがどんな程度になるのですか。どういう比率になるのですか。そしてどういう方向のあれになるのですか。  なぜ私がそういう質問を出すかというと、あなたの方の工業用水の整備の計画というものを見ますと、これは全国的できわめてぼうっとしておりますが、現在地下水のくみ上げ量というものは一日に大体七百八十四万立米だ、こういうのです。この中でこの地盤沈下の起こっている地域が幾らになっているかわかりませんが、これだけです。それが、今度は政府の所得倍増計画を中心として、地盤沈下のひどいところはできるだけ水道に切りかえていく、そうでないところ、ひどくなさそうなところは井戸でいく、こういうことですね。しかも、あなたの方からもらった資料では、その間大体四十五年までに一日に二十万立米の水をふやせばいいという計画になっている。少なくとも政府の所得倍増計画が、こういうことになると地下水との関係もあるが、こういう程度計画で、はたして地盤沈下の一番ひどい地域においてもうまく防止できるかどうか。特に今の大きな三地域について、これだけの工業用水に置きかえをやっても、なおかつ日量相当の地下水をくみ上げなければまかない切れっこありませんよ。現在どのくらい地下水をくみ上げているのか、その置きかえがどのくらいにつくのか、その見当がつかなければ、地盤沈下の防止にならないじゃないでしょうか。それを聞いておる。それの具体的な検討が行なわれておるかどうか、こういうことを聞いておる。
  122. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 工業用水の十カ年計画を持っておりまして、現在地下水のくみ上げが、大体今御指摘のように、日量約七百万トンから八百万トンの間にあるわけであります。今後はいわゆるその十カ年計画におきましては、地下水のくみ上げの総量は大体微増程度になっておるわけでありますが、その内容は、いわゆる地盤沈下地帯におきましての地下水のくみ上げ量が大幅に減りまして、それ以外の地域におきまして地下水を利用する面がふえてきまして、その増減で大体微増いうとことになっておるわけであります。われわれの方で現在七地域を指定しておりますが、この急激な地盤沈下地帯につきましては、ほとんど全量を工業用水道で置きかえる、こういうことを計画しておるわけであります。
  123. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうしますと、この地域は、地下水を使う、あるいは工業用水を使うような工場の新設や拡張はもう認めないということですか。今の工業用水の使い方がうまくなって、合理的になって、使う量が少なくなるということはありますけれども、今後十年間この三地域かあるいは四地域がそういうふうに進めばいいが、そうでない限り地下水はくみ上げざるを得ないじゃないですか。どういうことになるのですか。
  124. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 こういった既成工業地帯で、しかも地盤沈下の激しいところに新規工場が進出いたしまして、地下水をくみ上げるということは、これは原則として禁止しておるわけでありまして、これは工業用水道に依存するということでなければ、いわゆる地下水を取水するということは認めないつもりであります。現実に、こういった地域におきましては、現在の基準に照らしまして、これは厳格に指導いたしておりまして、新しい取水を認めておらないわけでございます。
  125. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは、もう一つ、これは事務当局にお尋ねしますが、今度のように法改正が行なわれて、標準的にいえば今まで二十一平方センチですか、それを六平方センチというと、今までは日量で五百トンというのを、今度は五十トン以上のものは許可制にする、大体こういうわけですね。それによって各指定地域についてどのぐらいの地下水のくみ上げが押えられますか。
  126. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 ただいま御指摘のように、法定の基準がいわゆる二インチから一インチに減るほかに、その一インチ以上のものについての許可基準を作るわけでありますが、これは従来の考えよりも相当厳格な基準になるわけでありまして、これが各地域別にどれだけ減るかというのは、現在手元に資料を持っておりません。その数字はちょっと出しにくいのですが、相当大幅な規制になる、こういうふうに考えております。
  127. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 どうもその点がはっきりしませんが、資料がないのじゃしようがありませんから、そこで大臣に次に具体的な問題について一つ一つお伺いいたします。  第一にお伺いしたい点は、この地域の指定基準、これをもう少し緩和する必要があるのではないかということを考えるのですが、この点はどうでしょうか。と申しますのは、現に指定を受けている地域というのは、これは御承知の通り政令できまっております。ことしないしは来年度あたりに東京、大阪等三カ所ぐらいまた指定増になるようですね。それ以外は指定がないわけです。ところが、実態は、こういう地域全国的にもそうでありますが、この地域においては、指定地域外でどんどん井戸を掘ってやっているわけですね。そういう点を含めて、全体として指定地域にして計画を立てないと、今のお話で、この政府からいただいた計画は必ずしも指定地域だけではない、ほかの地域のものも考えて工業用水計画を立てておるのだというお話でありましたが、やはり私は、指定地域の指定基準というものはどういうふうになっておるのか、これはわかりません。法文でははっきりいたしておりません。政令では具体的に一つ一つやっているわけですが、どういうふうな地域指定の指定基準というものをとっておられるのか。そして、それを今の現状にかんがみて、もう少し指定地域の基準というものを引き下げて、もっと広範な地域を指定をして、その上に工業用水計画なり何なりというのを立てる。この点がはっきりしないと、これは、さっきのお話のように、地下水その他の基本的な調査ができておりませんから、なかなかむずかしい問題だろうと思います。この点を何とか改正する必要があるのじゃないかというふうに私は思いますが、どうですか。
  128. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 指定地域の指定は、先ほどもお答えいたしましたように、地方自治体と十分連繋をとってやっております。実情に合わないようなことでございますれば、内部規程でございますから、これを改正することにやぶさかではございません。問題は、地方から申請して参ります、また実情等も話を伺っておりますが、一面、自治体自身におきましても、非常に広範な制限を加えることはどうだろうか、こういう問題もあろうかと思います。また、先ほど建設大臣にお尋ねのごとく、地下水の水脈等を考えると、上流で取ってしまうと下にも影響があるということは当然あるだろうと思いますので、そういう点はなお研究すべきことだろうと思います。
  129. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点では、大阪その他一カ所を聞いてみたのです。そうしたら、要するに政府の方が指定地域は広げたいのだ、しかし、政府が水道事業なり何なりをよけい見てくれなければ、指定地域を作ったってどうにもしようがない、だから、問題は、政府の方が予算なり事業費をふやして積極的にやってくれて、これが基準にならなければ、指定地域の指定はできないと思う。指定地域だけこさえてしまって、あとそれに工業用水道がこないということになったら意味がないのですから、政府の方では、今のお話では、地方自治団体の意見を聞いてやるというのだが、地方自治団体の方からいうと、政府が積極的に水道を作ってくれる、予算なり事業費をどんどん回してくれるという前提でなければ、われわれの方は困るのだ、こう言っておるのです。ですから、今の大臣のお話の点とは私は逆になると思うのですが、この点はどうなんですか。
  130. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これの因果関係は、まあどちらが因かどちらが果か、わかりかねるようでございますが、要は、関係のところと十分話し合うことが大事だと思います。そういう意味で、総合的計画を樹立する、政府考え方を地方でも了承していただくと、問題は一そう解決しやすいだろう、かように思います。
  131. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間がありませんから、ごく具体的なことについて詰めてお伺いいたします。今の点はもう一度一つ研究してみていただくようにお願いいたします。  その次に、今度は許可の基準の問題ですが、これも少し現状に合わないのだが、今どういうふうになっているのかということと、もう一度再検討する必要があるのじゃないか。特にそれは相当厳格にしないと、今度の法案全体が非常に厳格になっておるわけですが、許可基準そのものは、今度は一部は当然改正になると思います。どういうふうに改められるつもりか、この点を一つお考えがありましたらお答え願いたい、こう思うのです。
  132. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 ただいま御指摘のように、許可基準の問題につきましては、当時の法を作りましたときと現在とでは、だいぶん地盤沈下問題につきましても、深刻さの度合いが変わってきておりますので、現在、許可基準の方を、御指摘のように、現状よりもさらに強化するように検討小でございまして、近く成案を得る予定でございます。
  133. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この許可基準については、よほど一つ検討を早めて、しかもよほど厳格なものにしていただかないと、うまくいかないのじゃないかという気がいたしますので、この点は一つお願いをしておくわけです。  それから、その次の問題としては、政府の補助なり何なりの基準ですが、これはこういうふうに現在ではなっておるようですね。大体において、四大都市では立米当たりの使用料が四円ですか、それから四大都市以外のところでは立米当たり五円五十銭、こういうことで、これ以上に工業用水値がならないように、しかもそれは四大都市では大体全体の事業費の五分の一、それ以外のところは四分の一を限度に補助をする、こういうことになっておるようですね。あとは起債だ、こういうことです。その起債も六分五厘の起債ではなかなかまかなえないという場合が多いようで、七分五厘その他を相当借りているようです。これは今の四円とか五円五十銭とかという基準そのものが少し高過ぎやせぬですか。ここにやっぱり一番問題があるんじゃないですか。普通の井戸で、私どもの聞いておる範囲では、安いところだといっても一円四、五十銭、高いところでも三円以上出るというのは、井戸の場合ほとんどない。ほぼ二円ちょっとこすくらいのところが大部分ではないか。そういうようなものに対して、今度は四円ないしは四円五十銭、こういうことに基準を置いて、その基準に合わせた補助を出すということになりますと、これは業者の方からいうと、なかなかこういった高いものでは水源転換ができないということになりましょうし、しかも、自治体に聞いてみますと、この基準で補助金をもらったんじゃとてもそろばんが立たぬと言っております。従って、大阪等も聞いてみますと、ことしあたりが一億九千万円大阪市が一般経費を補助してやっておるという実情だ。これがピークになってくると、どうしても三億三千万ないしは、まかり間違うと五億近くの一般経費の持ち出しをしなければこれはできない、こういうことをいっておりますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになっているでしょうか。これから、国際競争が非常に盛んになってくると、激しくなってくるということになると、水あたりによけいに銭を使わせるということでは、私は工合が悪いのじゃないかと思う。ある程度これに転換するには、地盤沈下に対する都市防衛の見地からの経費などというものは、さっきから言うように、膨大なものになるわけですね。こういったものはこっちにもう少し回して、せめて二円五十銭以下くらいで工業用水が使えるようにして、しかも自治体で赤字をしょわなければいかぬ、穴埋めしなければいかぬということになれば、自治体としても本気になってやるはずもありませんし、また一般の需要者にしましても、実際にはまだこのほかにいろいろ経費がかかるわけですから、まずいんじゃないかと思いますが、この点はどうなんでしょうか。
  134. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 ただいま御指摘の通りに、水は用水型産業につきましては電力料金と匹敵するくらいのウエートを占めておるわけでありまして、工業用水道、いわゆる工業水が廉価に入手できるということは、われわれも希望するわけでありますが、何せこの地盤沈下地帯につきまして急速に工業用水道を布設し、あるいは全国的にも工業用水道を早期にやっていくためには、どうしても補助がかさむわけでありまして、われわれの大蔵省に対する努力が不十分であるといわれればそれまででありますが、現在は、ただいま御指摘のように、四大工業地帯については五円五十銭、その他の地帯については四円という補助を行なっておるわけであります。これは、企業自体も、この地下水を多少不利であっても工業用水道へ切りかえないと、これから災害による被害は工業者自体にも大きくかぶってくるわけでありまして、その点は企業の方も十分社会的な責任を自覚されて協力をしていただいておるわけであります。確かに全体的には安くすることが望ましいことは仰せの通りでありますが、ただいま言いましたような状況で、現在の財政状況からいけばやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  135. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これは外国じゃどんなふうになっておるのですか。大体工業用水なり何なりの立米当たりの単価は、国によって、場所によって違うと思いますが、私は詳しく調べたことはありませんけれども日本の場合はこの基準でいくと相当割高になるんじゃないか。特にこれからは割合に工業用水を使う重化学工業がだんだん盛んになってくるわけですね。しかもそれはすべて国際競争をやっていかなければならぬ。エネルギーの問題も、これは非常に安いエネルギーでなければならぬが、それに匹敵するくらいの重要性を持つ水を、政府がいいかげんなちょっとばかりの銭を出して、そしてなるべく業者に押しつけるという、始終高いものを使わせるということじゃまずいんじゃないかというふうに私は思うのですが、こういった点の研究なり調査なりされておりますか。
  136. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 諸外国の例を的確には持っておりませんが、大体の見当は三円ないし五円くらいの間だと思います。地下水は御承知のように良質、低温しかも価格が安いというところで、御指摘のように大体二円以下というのが常態でありまして、そういう意味で工業用水道に置きかえることがかなり不利は来たしますが、われわれの方としては、できるだけ企業の節水の指導だとか、あるいは海水の利用とかいうようなことで、その間の埋め合わせをして、企業自体の競争力の低下を来たさないように指導して参りたい、こういうふうに考えております。
  137. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 大臣に一つお聞きしたいのですが、大体今お聞きの通りです。やはりこれから相当新産業都市その他についても大規模の工業用水のための施設をしなければならない。今まではあまり地盤沈下ということだけを考えて、それをこうやくばりしておったのが今までの実情です。ところが、これから工業用水の問題というのは本格的に取り組まなければならぬ段階にきている。財政の事情が苦しいことはわかります。わかりますが、少なくともこういう点について水が豊富だという日本が、どうも外国に比べて一番高い水を使って、しかも原料も高く買って金利も高い、そして借金も多い、そういう状況では、国際競争していけと言っても無理じゃないですか。だから、私は、これらの点は政府が思い切って、こういう点は実際日本のそういう業者にもそういうしわ寄せが〇〇結局低賃金ということになるわけですから、そういう点については、政府がほかの全体の経費は削っても、こういう基礎的な条件の整備というものはもっと真剣勝負でやらなければだめだというふうに思うのです。どうも今のこのあれを見ても、みんな要するに出たとこのこうやくばり政策です。今度の改正についてもこうやくばり、すべてがこうやくばり政策で、今にこうやくじゃ持たなくなりますよ。ですから、ここらは、私はこの基準等についてももう一度再検討する必要があると思います。どうです。
  138. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 工業用水が産業立地条件の大きな要素であることは御承知の通りでございますが、そういう観点から立地条件を整備するという意味から申しまして、また生産コストを安くするという意味から申しまして、豊富にして低廉である、これは望ましいに違いありませんし、それは御指摘の通りでございます。そういう観点に立ちまして、現在の国内における工場配分などを見ていると、必ずしも立地条件通りにもいっておらないと思います。今特定地域における工業用水道の使用料金は一応前もって明示されておりまして、しかもその水を使い、しかも生産を考えて立地条件がきまっていくというのが現状であろうと思います。なおかつ大阪だとかあるいは東京都とかいうような特殊な都市に工場が集中しておる、こういうのが現状だと思います。しかし、これはそういう場所における工業用水道料金を低減することもさることでございますが、産業の分布というような考え方から申しますと、一応基準というものは安ければ安いほどいいという考え方でなしに、先ほどの国際水道料金と一応権衡がとれるというか、その程度であれば、やはり企業体自身も立地条件の整っておる立地を選んでいただくということも望ましいことじゃないかと思います。ことに一面においては、都市集中を何か排除しろ、わざわざ都市に対して高率の料金を作って進出をはばんでおるなら別でございますが、まず一応納得できる基準の工業用水道料金だということであれば、そういうことを前提にして産業の計画を立てるというのが自由経済のもとの考え方じゃないかと思います。私は現在の建前から見まして、安ければ安いほどいいというこの考え方には賛成するものでございますが、しかし、おのずからそれにも限度があるだろう、その点を実は指摘いたしたいのでございます。あるいは場所によっては現実にはもっと安い工業用水道のできるところもあろうかと思いますし、そういう点を工夫し、勘案して、産業の適正な分布、これが必要なんじゃないかと思います。なお、国の補助金が少なくて、自治体の負担が大きい、こういう点も御指摘でございましたけれども、これはいろいろ自治体自身といたしますれば、税収入の問題にも関連するでございましょうし、またその土地の繁栄という立場から考えてみますと、いろいろ進出の一つ条件として、国自身が国内産業育成強化のために財政的負担を持つと同じような意味において、自治体自身もその自治体内の産業についての保護育成をすることも、これもあたりまえのことじゃないかと私は思います。これは全部が全部あげて国の責任において処理をさるべきものでもない。ただ、私かようにものの考え方としては一応筋道を立てたつもりでございますが、しかし、先ほど言われますように、工業用水道料金が国際的に三円ないし五円五十銭というくらいではどの辺がいいのかよくわかりませんから、もう少しよく実情を調べてみたいと思います。最近の工業用水道料金と、同じ水源から使われる農業用の灌漑用水道料金との間にも相当差がございますし、そういう点から産業全般の問題としてやはり見ていく必要もあろうかと思います。そういう意味では適正であること、そういう意味の立場に立って工業用水道料金も一つ考えさせていただきたい、かように思います。
  139. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 巧妙な御返答ですが、なかなかどこに焦点があるのかわからない。やはり水ぐらいのことは安くやるぐらいの腹は通産大臣は持たなければだめですよ。ほかの一般水道の補助金よりこの方が、ずっと補助の率が少ないのです。その率の少ないのはどこかというと、今言った単価が高い。しかも単価の安いものを使おうと思えば、地盤沈下で、その穴埋めのためにまた別の大きな経費をむだ——むだということはありませんが、やむを得ず使っておる、こういう悪循環が出ているのですから、私はやはりこういうことは思い切って安く、少なくとも今地下水を使っているとそう違いのないくらいにぴしっとやる。そうしておいて片方において規制をどんどんやっていくということでなければ通りませんよ。これも石油と同じで、自由価格で適当なところでやれといったって、それじゃ地下水は自由にほうっておけということと同じですよ。そんな考え方は徹底をしませんよ。もしそうでなくて、こういうところの地下水のくみ上げを十分うんと制限して、地盤沈下がないようにするという、それで工業用水が高くつくというなら、それじゃ逆に新産業都市なり何なりの方の工業用水をうんと安くして、行きいいような条件にしてやりますというなら話はわかりますけれども、どこも同じでしょう。こういうことじゃ、私は、今後の新産業都市なりコンビナートでは、水の原価というのは実際のところますます高くなると思います。しかも水を使う工業がよけいになってくる、こういうことですから、そこらは一つ現状を、うまく大臣の言葉の先でごまかすということでなくて、もう少しはっきりした考えを持ってもらいたいと思う。それでないと、あなたの方はすべて現状そのままだということです、結論は。あとはその上に立って自由にやってくれというのでは意味がないと思うのですが、どうですか、この点は。
  140. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 いや、今言われるように現状そのままというわけじゃございません。また安ければ安いほどいいというものでもないということを実は申し上げて、それでやはり適正な料金にすることが必要だということを、要点としては実は申し上げたつもりでございます。その途中において、今の実情ではどうしても高くなるとか、あるいはその水源地を作る場所の問題もありましょうし、また最近は費用なども相当かさんでおりますから、やはり総合的に考えていかないと、ただ予算の取り方が少ないとか、あるいは補助率を上げろというだけの問題ではないだろう。これは適正料金というか、そういうものを考えるべきだろう。今言われますように、適正料金とは何か。現在までかかっているものをそれに代替するのだからその料金が適正だという議論も成り立とうかと思いますが、産業的に見ると、国際的競争力という観点に立てばある標準というものがあろうかと思いますので、そういうところから考えてみよう、かように申しておるわけでありまして、別にごまかしたわけでもございません。ただ、中央と地方の分担については、私の説にある程度御賛成いただかないと、水は全部国で処理しろといわれても困ると思います。
  141. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ、総合的な水資源の利用ということでお考えいただきたいのは、愛知用水の例で明らかだと思いますが、あれは御承知の通り、農業用水、それから一般水道、工業用水、こういうことで総合した施設を作ったわけです。最近の実情はどうか知りませんが、私が農林委員の当時、行って調べてみると、年間を通じて使う水の大部分は工業用水です。ところがアロケーション計算が不十分なために、工業の方は大体この基準でいっているわけですが、農業の方は末端では一反歩四千円くらいです。それですから最近はどうかというと、水費が高過ぎるからというので返上が多い。こういうことで、水系別に水資源を総合的に開発するとしますと、その開発費のアロケーションをどうとるかということは非常にむずかしい問題だと思います。現状はどういうふうにやっておるかわかりませんが、あのとき政府が出した計画でしっかりやりまして、それで当時農林大臣も困りまして、私が現地に行ってその話をしようとすると、私と農民との接触を持たせない、視察に行くと、私だけ別のところへ持っていって、話をさせない、こういう苦肉の策をとりまして、ごまかして通しましたけれども、現地では最近非常に水を使う連中は、農民としては使えないくらい高いのです。そこらにも問題があります。ですから、ああいう施設をやる場合は、国が思い切って援助をしなければ、農業だって工業だってなかなか安い水は使えないじゃないか、こう思うのです。ですからこの点を十分考慮していただきたいと思うわけであります。  時間がないから大臣の方に集約しますが、どうも今のような行き方では、今のような政府の心がまえなり措置では、これは手おくれ、手おくれになる。ここで各省間で十分連絡をとって、特にこういう地盤沈下のひどい地域、ないし今後新しい産業都市を作るというふうな場合は、思い切った抜本的な措置をとって、しかも、建設するときは金がかかりますけれども、いずれにしても早くやらなければ、工業が足踏みをして発展をしなければいいのですが、今の内閣の言っておられるように、倍増計画などで工業だけは大いに発展させようというのでしょう、そうすると、家だけは作るけれども、水の施設はしないということですね。上水道の水はしようがないから、ちょろちょろ出す、しかし、そのほかの方、小さな家や工場のくそ小便のしまつの水はいたしませんという計画です。こういうべらぼうな計画では所得倍増計画は私はありがたくない、こう思うのであります。これは悪口じゃありません、現にそういう問題が至るところに出ております。ですから、この点については一つ今度の法案も結局これは仕方がなしに、要するになるべく銭のかからないようにして法律で規則を厳重にして、一応つぎはぎこうやくをしておこうというだけのものです。これでは私は不十分だと思います。この点について根本的に考え直してやっていただきたいということを強く要望するわけですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  142. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 先ほどからの考え方、私も非常に蒙を開かしていただいたと思います。ことに水の使い方は総合的でなければならない。これは総合的な計画を推進する場合に、同時に広域行政という観点にも立たないと、十分解決される問題ではないように実は思います。愛知用水の場合にいたしましても、これが工業用水に回るのなら、その水は分けないとか、これは農業用水に限るとかという話が一部あったやにお聞きしますが、そういうことではならないと思います。ことに大阪の話になれば、隣の尼崎地区あるいは西宮地区につきましても、同じ水系から出てくるものだと思いますが、これが行政区画が違うという意味で、やはり総合的な計画を樹立するのにいろいろのむずかしい問題があるように伺っております。こういう事柄を克服して、本来の国土行政的な観点に立ってこういうものが進められる、これが望ましいことだと思います。ただいまはやむを得ない状況でございますから、関係省が緊密な連携をとって、その要望にこたえるように一そうの努力をして参りたい、かように考えております。
  143. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ具体的な問題としてお伺いしておきたいのは、十四条の緊急措置ですが、これは悪質なものについては差しとめ命令を出せるようになっているのかどうかという点です。この点が一点。これは監督も十分にいってないようですし、悪質なものについては、差しとめ命令は、困ってもやるくらいに——特に悪質なものは大工場が多いのです。地方で規制のないところでは、最初の約束とは違って大きな揚水機を作っちゃうものですから、下の方では困り切るという場合が多いのです。私の方なんかもそれで弱っています。三島地区は、東洋レーヨンができました。そのときの約束より現在は水の量をうんとよけいとっております。ですから下の方は三島女郎衆の水なんか出ませんよ。楽寿園の一番名園の池がからからになって水が出なくなっています。そしてよごした水を全部川におっ放してくる。ですから沿線は野菜を洗うこともできなければ、家畜の飼料その他、家畜には相当水が要りますが、家畜の水に使うこともできない。ちょっと水が出ると、その薬品を含んだ水がはんらんをして、農業地帯がずっとやられるというようなことになって、もとを調べてみると、前に許可をとったよりも大きな施設をしているのですね。こういう点について、悪質なものについては、特に地盤沈下地帯のごときは——これは私の方の例をいうと、許可に対する県なり市の態度というものは全くなっていないのであります。その結果がはっきり出てきて、今住民の憤激を買っております。特に地盤沈下地帯等においても、聞くところによると、相当悪質なものがある。こういうものは差しとめ命令をどんどん出すくらいの措置をしなければだめだと思います。今水道の方は、たしか市長に権限を委譲しているのでしょう。あれはそういうことができますか。そういうことをやるようにしなければいかぬと思いますが、どうですか。
  144. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 十四条の規定はわれわれ考えておったよりも特別な事態が発生した場合の一般的な問題でありまして、ただいま先生の御指摘のような悪質者に対するいわゆる取水量の制限はこの規定ではできないと考えております。  地盤沈下地帯につきまして大工場が非常に横暴だとかというあれがありますが、これは今後法が改正になり、同時に許可基準も先ほど答弁いたしましたように非常に厳格になりますれば、その運用で許可すべきものは許可をし、他に非常に影響を及ぼすというようなものは、これは禁止をいたしますので、そういった問題は、地盤沈下地帯については起きないかと思います。たまたま三島あたりのように、まだ指定地域になっていないものについては、この法の関与するところでないから、問題があるかと思います。
  145. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ。これと連関して、今度の改正で、何条ですか、それで、指定地域の中のさらに地盤沈下のひどい地域については、もちろん水道の引き方にもよりますけれども、一定の基準で地下水の吸い上げを禁止するという措置はできないですか。一定基準以上の口径なり何なりで一般的に禁止するというような措置をしなければ、ちょっと間に合わぬじゃないかという気がしますが、この点についてはどうですか。
  146. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 指定地域の中におきましても、ただいま御指摘のように、場所によって非常に違いがあるわけでありまして、許可基準も非常にこまかく、地域の中でも一本ということではありませんので、いろいろのニュアンスをつけた許可基準をやっておりまして、地盤沈下の激甚地帯につきましては、現在非常に厳格な基準を設けておりまして、事実上禁止をしておる扱いになっております。
  147. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ちょっとくどいようですが、これは既設の認められたものを禁止するのですか、新規のものを許可しないというのですか、どっちですか。私の言うのは、今まで認められたものといえども、安いからというので水道に切りかえないでやっているというものについてはどしどし禁止したらどうか、こう言っているのです。
  148. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 既設のものにつきましても、給水が可能になりますれば、今度の法律で強制的に転換をさせまして、地下水の取水を禁止することになるわけであります。それから、新設のものにつきましては、厳格な基準でやりますと、事実上禁止されたのと同じことで、地下水は取水ができないということになると考えております。
  149. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ。今度の法律では、水道の方に水源転換する場合には、国並びに地方自治体が安い金の援助をするという規定が入りました。これは非常にいいと思います。今まではどうやっていたのですか。今後実際にこれをやるのには、業者の方は相当金がかかると思うのです。これはやはり水道の施設だけでなくて、実際に水道に水源転換を一人々々がやる場合の経費は相当よけいかかると思うのですが、どのくらいかかるのか、そしてこれに対して単に法律だけでなしに、具体的にどういう措置をとられるつもりか、その措置の内容を聞かしてもらいたいと思う。
  150. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 従来の法でありますと、取水が可能でありましても、行政指導による転換であったわけであります。今度の法改正によりまして、それを強制転換させますので、企業に負担がかかるわけでありまして、新しく国の援助規定を設けたわけであります。実際の運用としましては、大企業につきましては開銀にその資金ワクを用意しよう、中小企業につきましては設備近代化資金あるいは金融公庫の金をその必要な面に流入したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  151. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 自治省は来ていますか。これは自治省の課長さんと大臣では困るが、通産大臣は、地方自治体もこれに対して応分の負担をするのは当然ではないか、こう言っておられる。国ばかりにおんぶするのはけしからぬ、こういうお考えのようです。自治省として、地方自治体から見た場合に、やはりこの問題は、本来のサービス業務であるけれども、財政面から見ると今の措置では不十分じゃないか。そしてさっきも言いました通り、大阪等のごときは、一般財源から相当に持ち出しをしないと、年々経営もできないという状態が出ているようですが、特にこの三大地域等については、自治省としてはどうお考えになりますか。
  152. 茨木広

    ○茨木説明員 問題は二つあると思いますが、一つは、工業用水の方の問題であろうと思います。御意見のように、できるだけ安い水を供給するという点が問題になりますが、現在のところ、工業用水といたしましては、お話もございましたように、大体四分の一程度の国庫補助を入れておりますが、一応国庫補助を入れまして、五円幾らというようなことで供給をする、こういうことになっております。それで、事業の進捗状況等の問題といたしましては、その国庫補助の額にあわせまして起債をつける、こういう考え方をとってきております。大阪地区等の工業用水計画も、ほぼ工事額等をにらみ合わせながらやっております。今年度はそういうような気持でおるのでございます。そこで、ただ、工業用水の方の歴史が新しいものでございますから、企業としての今後の採算がどうなるかということになりますと、一応、予想されました五円幾らの単価で供給できるであろうというようなことで、今の国庫補助率と、それからそれぞれのいろいろな資金を組み合わせておりますけれども、起債をつけておる、こういう状況でございます。ただ、さらにもっと安くした方がよいということはわかるのでございますけれども、この点も、私の方でもいろいろな事業を扱っておるわけでございますが、災害のようなものもございますし、そういうようなものへもやはり政府資金を全面的につけざるを得ない。それから、上水道のようなものになりますと、補助が入っていない関係上、一立米当たり十三円から、高いものになりますと三十円くらいの料金で供給されております。この上水を使っておる工業もあるわけです。でありますから、この工業用水専門のものについてだけ特にさらにもっと安くということになりますと、やはり国の方の補助をどうするというような問題を扱ってもらわぬといかぬのじゃなかろうかというふうに思います。それから、公共団体自体といたしましては、それぞれ自分の力の範囲内において、一般財源をつぎ込むというようなことをやっておるわけであります。それでようやく今の五円幾らの単価が維持できるというようなことで、当時からそういう計画のあるものもございますが、自治省といたしまして、一般的に、さらに何かそれについて一般的な財源措置を云々というところまでは、今の段階といたしましてはちょっと考えておらないのであります。みなそれぞれのいろいろなもののバランスがございまして、それについてだけ財源をつけるということには参らぬのじゃないかと思います。  それから、もう一つの問題点の、今後転換する問題について、地方団体が援助をする場合があるわけでありますが、その場合は、一つの助成をいたします場合につきましては、先ほどもちょっと御答弁がございましたような、中小企業振興資金等助成法の適用を受けていますから、その一部については国庫補助がさらについて参る、こういうことになるのじゃなかろうかということで、この条文の相談もいたしております。それから、そのほかにさらに、地方団体の年間の歳計現金の範囲内におきまして貸付をするというようなことを、現に公共団体独自でやっております。そのようなものについては、できるだけ援助に努めていただきたいというようなことで現行やっておることについてでございましたら、その点はやむを得ないのじゃないか。それよりもさらに進みまして、公共団体自身が大幅に資金を貸すということになりますと、公共団体自身がそういう機関でもないために、性格上少し無理があるのじゃなかろうかということで、その点はやはり先ほど御答弁があったように、開銀なりそれぞれ中小企業関係の金融機関というような点から出していただくというようなことで、お話し合いをいたしたようなわけであります。
  153. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 最後にもう一問だけ。  自治省にお伺いするというよりか、むしろ自治省はこれから考えてもらいたいのですが、大阪でも当局を呼んで聞いてみますと、大阪では現在でも立米当たりが、大体において六円四十銭ぐらいかかるそうです。ですから、その差額はどうしても一般財源から補助せざるを得ない。今いろいろお話のありましたような補助をやって、どうしてもそれ以上にそれだけの負担をしなければならぬ。この調子でいくと、だんだんよけいになって、どうも七円ないし七円五十銭近くまでいくのではないか、こう言って心配をしているわけです。ですから、そういう点については、今お話のような点はもちろん中央としてもやはり考えてやらなければいかぬですが、特にこういうような地盤沈下のひどい地帯については、ほかにも地盤沈下に即応する地方自治体の負担というものは非常に多いわけです。ですから、それは特別交付税等の交付の場合に、こういったものを取り入れた一つの何かというものが考えられないかどうかということ、特に私は、地盤沈下のひどい地帯については何か中央としては——まあ通産省の方じゃなかなか銭は出せない、こう言うのだが、これは出してもらうように骨を折ってもらって、そういったものはなかなか一気にいかぬから、地方自治体の財政の健全化という意味からも、暫定的にもそういった措置をとった方がいいのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  154. 茨木広

    ○茨木説明員 やや私の所管を少し越えますけれども、一応御答弁いたしますが、今御意見のような内容になっていると言いますが、実は、私の方は、通産省の所管課長さんの方へは、もっと国庫補助を努力してもらえぬか、こういうような話をしているのでありまして、特別交付税ということになりますと、今現に地盤沈下地帯の東京とか大阪だとかは、主として不交付団体でありますから、もともと特別交付税になじまぬところの団体なものでございますから、無理じゃなかろうかという気持がいたしておるわけであります。
  155. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それじゃ最後に大臣、今のようなことですから、やはり地方団体が負担をあまりしないように、原則論で——あなたが自治大臣になれば必ず逆な意見になる。今そうでないから、そんなことを言って済ましておられるのですがね。そうでなく、通産大臣といってももう実力者ですから、一つ全体の立場から、ぜひこれはもう少し事業費をふやして、そうしてしかも、地方自治体はもとより個人の負担をできるだけ安くするように、そうして事業計画時期をもっと繰り上げるということがぜひ必要だと思う。これではあまりに、政府の所得倍増計画というものが、大体において、いつもおっしゃるように、でこぼこがあっても、ほぼ十年後にああなるということになると、それじゃ追いつかぬということになろうと思います。そうすれば、ますます地盤沈下を至るところに発生する危険があるわけですから、ぜひこの点を、一応数字づらだけではなく、じっくり突っ込んで、根本的な処置を、一つ内閣全体として諮って、実行していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  156. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で本案についての質疑は終局いたしました。  次会は公報をもって通知することといたします。なお、現在、外務委員会と商工委員会連合審査会を開いておりますので、御出席願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会