○中川
委員 私は、自由民主党、社会党、民社党、三派共同提案によります
石油業法案に対する附帯決議の趣旨を説明いたします。
まず、その前に案文を朗読いたします。
石油業法案に対する附帯決議(案)
石油は今後の
わが国エネルギーの
中心的地位を占める重要な基礎物資である。従って、
石油の安定的かつ低廉な供給を確保することが、
わが国経済発展上不可欠の要件である。
よって
政府は、速やかに綜合
エネルギー政策を確立し、本法の施行にあたって特に次の点に留意して万遺憾なきを期すべきである。
一、国産原油および
天然ガスの探鉱開発について、欧米
各国の現状は、
わが国に比し、きわめて強力な保護
措置を講じている実状にかんがみ、この際我国においても
石油自由化実施に伴い、財政上税制上の保護および助成
措置を画期的に強化拡充すること。
二、
石油精製業の
国家的重要性にかんがみ、所要
資金については格段の
措置を講ずるとともに、原油の購入その他経営全般についてその自主性を高めるよう積極的指導を行なうこと。
三、国産原油および海外開発原油等の安定的供給を確保するため、買取等を行うための機関として特殊法人を速やかに設立すること。
以上でございます。
案文の朗読を終わりましたので、ごく簡単に趣旨の説明を申し述べたいと存じます。
本法の
審議の過程を通じてしばしば問題になりました点が非常に重要であることは、
政府においても十分お認めのことと存じます。そこで
審議の過程においてすでにおわかりとは存じますが、本決議案に盛られている点もございますので、重ねて強調して、
政府の御善処を願いたいと存ずるのであります。
わが国におきましては、今日まで
総合エネルギー対策という
ものが欠除しておったのではないかという感じがいたすのであります。午前中
総理の
答弁にも見られましたごとく、
総合エネルギー対策を今から樹立する必要はそうないのではないか、その場、その場に応じて立てたらいいのではないかというふうに私は伺ったのでございますがしかし、この点は、
総理は万能ではございませんからおわかりにならなかった点もあると存じますが、通産
大臣が十分本
法案の趣旨の説明においてその点は強調しておられますので、私どもは通産
大臣の言を信じて、
総合エネルギー対策が今後樹立されることを信じております。この
総合エネルギー対策の樹立がなかったために、今日でもなおかつそうでございますが、
電力業界、
石油業界、
石炭業界その他、この
エネルギー関係のすべての機関は非常に困難、こんぱいの
状況に達していることは御案内の
通りでございます。昨今しばしば、特にこの
石油業法案が上程されましてから、これらの各種の団体におきましては、この総合上
エネルギー対策を将来
日本はどう持っていくべきか、また自分らの職域を通じてどういうふうに
総合エネルギー対策を樹立すべきであるかという点について、各機関がそれぞれ
検討をいたしていることも
政府は十分御存じであろうと存じます。従って、これらの民間における各機関の意向を十分参酌されて、
総合エネルギー対策を
石油輸入の自由化に先だって樹立されんことを切望するのでございます。
さらにまた、この
石油業法案には、供給
計画はございますが、探鉱、精製に対するところのきわめて綿密な
資金計画が伴われておりません。これは
政府といたしましても予算の
関係もございますし、ことに三十七年度の予算はすでに
審議されたのでございますので、直ちにということは困難かと存じますが、しかし補正予算なりあるいはその他の場を通じて、すみやかにこの
資金計画を具体的に
一つ表わしていただくように御努力を願いたいと思うのでございます。
さらにまた、輸入原油と国産原油の
価格差補給につきましても、国産原油のあり方としては、これをどう持っていくべきかということについてかなり苦慮しておるようでございますが、これらの点につきましても、今後
政府は十分国産原油愛用と申しますか、国産原油保護という立場から御
検討を願いたいと思うのでございます。それから探鉱、精製に対する
政府の本日までの金の出し方が少ない、こういうことについては本
法案の
審議を通じて与野党からそれぞれ御
意見があったように拝聴したのでございますが、私もさように実は
考えておる一人でございます。
申し上げるまでもなく、
エネルギーは
経済産業のすべてのかてでございます。この問題を解決せずして、いかに所得倍増
計画を唱えてみたところが、それは絵に描いたもちにすぎない。でありますから、まずこの
エネルギーの問題をどう解決するかということに最大の関心をお払い願わなければ、
日本の
経済の発展は期せられないのではないかということも
考えられますので、これらの点につきましては、
政府は一体どういうふうに
考えておられるか。本来ならば、この
石油業法案をこの
委員会で通過さす前に、これらの点について具体的に
政府の意思を聞きたかったのでございます。しかし、
大臣その他事務当局からのいろいろな御
答弁中にも、これらの問題については十分考慮し、善処するということでございますので、私ど
もといたしましては、この
政府の言明を信頼して、本
法案をこの
委員会で通過さすことにしたわけでございます。どうかこれらの点を十分に御勘案いただきたいと思います。どの
法律も重要な
法律に違いございませんが、私はこの国会において、この
石油業法案くらい重要な
法案は、他の
委員会にもなかったのではないかとさえ
考えておるのでございます。
日本の
産業、
経済を育成するその根本のかてであるところの
エネルギーの問題が、今日まで等閑視せられておったということについては、はなはだ残念に思うわけでございますが、とにかく
政府の言明を信頼いたしまして、私どもは今後
政府の施策を十分見守って、この
法案をこの
委員会で通過することにいたしたわけでございます。
何とぞ、この決議案の趣旨を体して、今後に処せられんことを切望する次第であります。