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1962-04-10 第40回国会 衆議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十日(火曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員   委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 龍夫君       中垣 國男君    中川 俊思君       林   博君    原田  憲君       藤井 勝志君    南  好雄君       岡田 利春君    加藤 清二君       北山 愛郎君    久保田 豊君       多賀谷真稔君    中村 重光君       山口シヅエ君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         外務政務次官  川村善八郎君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局外資課         長)      堀  太郎君         通商産業事務官         (企業局参事官)江上 竜彦君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      成田 寿治君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月五日  委員菅野和太郎君及び伊藤卯四郎辞任につき、  その補欠として藤井勝志君及び玉置一徳君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員  玉置一徳辞任につき、その補欠として伊藤卯  四郎君が議長指名委員に選任された。 同月十日  委員中嶋英夫辞任につき、その補欠として北  山愛郎君が議長指名委員に選任された。      ――――――――――――― 四月九日  商店街振興法制定に関する請願松本一郎君紹  介)(第三七一三号)  同(宇野宗佑紹介)(第三八六一号)  同(纐纈彌三君紹介)(第三九七八号)  同(松原喜之次紹介)(第三九七九号)  物価値上げ反対に関する請願外七件(安宅常彦  君紹介)(第三七一四号)  同(佐々木更三君紹介)(第三七一五号)  同(肥田次郎紹介)(第三七一六号)  同外二十件(八木一男紹介)(第三七一七号)  同外二十五件(有馬輝武紹介)(第三七七五号)  同外九件(井岡大治紹介)(第三七七六号)  同外四件(石橋政嗣君紹介)(第三七七七号)  同(勝間田清一紹介)(第三七七八号)  同外四件(河野正紹介)(第三七七九号)  同外三件(高津正道紹介)(第三八二九号)  同(辻原弘市君紹介)(第三八三〇号)  同外二件(山中日露史紹介)(第三八三一号)  同外四件(山花秀雄紹介)(第三八三二号)  同(山本幸一紹介)(第三八三三号)  同外三件(猪俣浩三紹介)(第三八六三号)  同外四件(田中織之進君紹介)(第三八六四号)  同外二件(足鹿覺紹介)(第三九〇三号)  同外二件(高津正道紹介)(第三九〇四号)  同(中澤茂一紹介)(第三九〇五号)  同(原茂紹介)(第三九〇六号)  同外六件(岡田春夫紹介)(第三九八〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第三九八一号)  同(前田榮之助君紹介)(第三九八二号)  同(三木喜夫紹介)(第三九八三号)  同外一件(湯山勇紹介)(第三九八四号)  同(堀昌雄紹介)(第四〇七六号)  同(和田博雄紹介)(第四〇七七号)  公共料金及び諸物価引下げに関する請願外十一  件(安宅常彦紹介)(第三七一八号)  同外四件(田中武夫紹介)(第三七一九号)  同(田邊誠紹介)(第三七二〇号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第三七二一号)  同外六件(坪野米男紹介)(第三七二二号)  同(島本虎三紹介)(第三七二三号)  同外五件(中澤茂一紹介)(第三七二四号)  同外七十八件(永井勝次郎紹介)(第三七二五号)  同外一件(楢崎弥之助紹介)(第三七二六号)  同(原茂紹介)(第三七二七号)  同外四件(肥田次郎紹介)(第三七二八号)  同外二件(細迫兼光紹介)(第三七二九号)  同外十二件(村山喜一紹介)(第三七三〇号)  同外六十三件(森島守人紹介)(第三七三一号)  同外十一件(横山利秋紹介)(第三七三二号)  同外十二件(井岡大治紹介)(第三七八〇号)  同外六十四件(石橋政嗣君紹介)(第三七八一号)  同外四十九件(加藤勘十君紹介)(第三七八二号)  同外四件(河野正紹介)(第三七八三号)  同外八件(久保三郎紹介)(第三七八四号)  同(阪上安太郎紹介)(第三七八五号)  同(島本虎三紹介)(第三七八六号)  同外四件(坪野米男紹介)(第三七八七号)  同(戸叶里子紹介)(第三七八八号)  同外三十一件(矢尾喜三郎紹介)(第三七八  九号)  同外七百九十四件(渡辺惣蔵紹介)(第三七  九〇号)  同外八十五件(石田宥全君紹介)(第三八一三  号)  同外二十二件(大原亨紹介)(第三八一四  号)  同(實川清之紹介)(第三八一五号)  同外三件(島本虎三紹介)(第三八一六号)  同外十五件(田中武夫紹介)(第三八一七  号)  同外十五件(高津正道紹介)(第三八一八  号)  同(辻原弘市君紹介)(第三八一九号)  同外三件(坪野米男紹介)(第三八二〇号)  同外二件(中澤茂一紹介)(第三八二一号)  同外七件(西村力弥紹介)(第三八二二号)  同(畑和紹介)(第三八二三号)  同外四件(山崎始男紹介)(第三八二四号)  同(山中日露史紹介)(第三八二五号)  同外三件(山花秀雄紹介)(第三八  二六号)  同(山本幸一紹介)(第三八二七号)  同外三件(和田博雄紹介)(第三八  二八号)  同外六十八件(猪俣浩三紹介)(第  三八六六号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第三八  六七号)  同外二件(島本虎三紹介)(第三八  六八号)  同外三十五件(高津正道紹介)(第  三八六九号)  同外二件(坪野米男紹介)(第三八  七〇号)  同外五件(前田榮之助君紹介)(第三  八七一号)  同外八件(八百板正紹介)(第三八  七二号)  同外八件(横山利秋紹介)(第三八  七三号)  同外二十五件(吉村吉雄紹介)(第  三八七四号)  同外三十四件(足鹿覺紹介)(第三  九〇七号)  同外十三件(稻村隆一君紹介)(第三  九〇八号)  同外一件(小林ちづ君紹介)(第三九  〇九号)  同外二件(島本虎三紹介)(第三九  一〇号)  同外十六件(田邊誠紹介)(第三九  一一号)  同外八百八十四件(高田富之紹介)  (第三九一二号)  同外三件(高津正道紹介)(第三九  一三号)  同外一件(坪野米男紹介)(第三九  一四号)  同外一件(中澤茂一紹介)(第三九  一五号)  同外四件(中村英男紹介)(第三九  一六号)  同外四件(二宮武夫紹介)(第三九  一七号)  同外一件(野口忠夫紹介)(第三九  一八号)  同(原茂紹介)(第三九一九号)  同(堀昌雄紹介)(第三九二〇号)  同外一件(松井政吉紹介)(第三九  二一号)  同外五十三件(松原喜之次紹介)  (第三九二二号)  同外二件(森本靖紹介)(第三九二  三号)  同外一件(矢尾喜三郎紹介)(第三  九二四号)  同外三十四件(山崎始男紹介)(第  三九二五号)  同外百三十七件(小松幹紹介)(第  三九二六号)  同外二件(岡田春夫紹介)(第三九  八五号)  同外四件(勝間田清一紹介)(第三  九八六号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第三九  八七号)  同(阪上安太郎紹介)(第三九八八  号)  同外百三十四件(下平正一紹介)  (第三九八九号)  同(田原春次紹介)(第三九九〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第三九九一号)  同(二宮武夫紹介)(第三九九二号)  同外一件(三木喜夫紹介)(第三九  九三号)  同外四件(村山喜一紹介)(第三九  九四号)  同外十件(山口鶴男紹介)(第三九  九五号)  同外二件(山中吾郎紹介)(第三九  九六号)  同外五件(湯山勇紹介)(第三九九  七号)  同外一件(淡谷悠藏紹介)(第四〇  三〇号)  同外九十二件(有馬輝武紹介)(第  四〇三一号)  同外二件(石村英雄紹介)(第四〇  三二号)  同外八件(板川正吾紹介)(第四〇  三三号)  同(緒方孝男紹介)(第四〇三四号)  同外三件(加藤勘十君紹介)(第四〇  三五号)  同外四件(久保田鶴松紹介)(第四  〇三六号)  同外十四件(河野密紹介)(第四〇  三七号)  同外九十六件(佐藤觀次郎紹介)  (第四〇三八号)  同外百九件(佐野憲治紹介)(第四  〇三九号)  同外二件(島本虎三紹介)(第四〇  四〇号)  同外十六件(下平正一紹介)(第四  〇四一号)  同外一件(田口誠治紹介)(第四〇  四二号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第四〇  四三号)  同(辻原弘市君紹介)(第四〇四四号)  同外三件(坪野米男紹介)(第四〇  四五号)  同(楢崎弥之助紹介)(第四〇四六  号)  同外五件(野口忠夫紹介)(第四〇  四七号)  同外十四件(山花秀雄紹介)(第四  〇四八号)  同外八件(大柴滋夫紹介)(第四〇  七八号)  同外四件(角屋堅次郎紹介)(第四  〇七九号)  同外二件(島本虎三紹介)(第四〇  八〇号)  同外三百三件(杉山元治郎紹介)  (第四〇八一号)  同外六件(坪野米男紹介)(第四〇  八二号)  同外二件(中島巖紹介)(第四〇八  三号)  同外二件(穗積七郎紹介)(第四〇  八四号)  同外六十七件(松平忠久紹介)(第  四〇八五号)  同外百四十三件(安平鹿一君紹介)  (第四〇八六号)  同外四件(横山利秋紹介)(第四〇  八七号)  同外十一件(和田博雄紹介)(第四  〇八八号)  同外一件(小林信一紹介)(第四〇  八九号)  石油鉱業総合政策確立に関する請願  (永井勝次郎紹介)(第三七七四号)  同(三宅正一紹介)(第三八一二号)  同(栗林三郎紹介)(第三九七七号)  中小企業基本法制定促進に関する請  願外一件(中村幸八君紹介)(第三八  一一号)  同(保科善四郎紹介)(第三八六二  号)  同(星島二郎紹介)(第四〇七五号)  物価値上げ反対等に関する請願外二  十六件(五島虎雄紹介)(第三八六  五号)  同外十五件(五島虎雄紹介)(第四  〇七四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月六日  金属鉱産物価格安定臨時措置法案及  び金属鉱物資源開発助成法案の成立  促進に関する陳情書  (第六二〇号)  金属鉱業安定法早期制定に関する  陳情書  (第六二一号)  新産業都市建設促進に関する陳情  書(第六  二三号)  石油自由化対策確立に関する陳情書  (第六  二四号)  電話加入権質による零細企業者育成  資金として商工組合中央金庫等に特  別融資わく設定に関する陳情書  (第六二五号)  高圧送電線下建築物規制措置に関  する陳情書  (第六五〇号)  中小企業基本法早期制定に関する  陳情書  (第六五三号)  後進地域開発促進に関する陳情書  (第  六七三号)  中小企業振興対策確立に関する陳情  書  (第六七四号)  同  (第七三六号)  同  (第七三七号)  下請代金支払遅延防止措置に関する  陳情書  (第七〇五号)  金属鉱産物支持価格制度採用等に  関する陳情書  (第七〇六号)  同  (第七〇七号)  諸物価値上り抑制に関する陳情書  (第七七四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石油業法案内閣提出第一二二号)      ――――◇―――――
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告を申し上げます。先般の委員会におきまして、田中委員質疑に対する外務省関経済局長答弁に対して、いろいろ疑義を生じましたが、この件に関して、本日の理事会小坂外務大臣が出席せられ、遺憾の意を表明され、さらに関君に対しては今後十分注意するとの申し出があり、理事会においてはこれを了承いたしました。  この段委員会に御報告を申し上げる次第であります。      ————◇—————
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出石油業法案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますのでこれを許します。田中武夫君。
  4. 田中武夫

    田中(武)委員 外務大臣が見えておりますので、一点だけ外務大臣に確かめておきたい、こう思うわけなんです。というのは、日米友好通商航海条約でございますが、この十八条の解釈で、実は今委員長の御報告のありましたように、経済局長との間に若干の食い違いができて問題があったわけなんです。そこで外務大臣にお伺いしたいのは、第十八条の意味は、「競争制限し、市場への参加制限し、」云々とあって、そのことがすなわち貿易悪影響を与えるんだ、通商悪影響を与えるんだということに両締約国意見の一致を見た、こういう意味だと私は思うわけです。ところが外務省見解に、三つ要件があって、一つは今言ったような競争制限市場への参加制限云々ということが一つ条件であり、さらに一つ条件は、貿易上、通商悪影響を与えた、この二つの条件があって、要件がそろったときにおいてこの後段の「従って、」以降のことについて話し合いをするんだ、こういうように解釈しておるのですが、その点が違うわけなんです。いずれにしろ、外務省だけで、このこと自体貿易悪影響を与えるかどうか、こういうことはわからない。従って通産省あるいは公取等協議をするということはわれわれも了解しておりますが、実は今われわれがやっておる石油業法に関連をいたしまして、外資ローンを受け入れたときのいわゆるひもつき融資、そういうものが十八条の精神に違反ではないか、そこで後段の「従って、」によって政府アメリカ協議を持つべきじゃないか、こういうことを排除するための協議をする必要がある、こういうように主張いたしておるわけなんです。そこで、経済局長等意見を聞いたのですが、大臣にこの点もう一度確かめておきたい、こう思うわけです。
  5. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 仰せ通り通商条約運用並びに解釈は、一次的には外務省がやるわけでございますが、お話の通り公取あるいは通産省も実際の運用面で非常に影響が多いわけでございます。従って、この条約の中にございまする「有害な影響を与えることがあること」というのは、現実にそれが現われなくても、将来有害な影響を当然生ずると判断されるような場合には行ない得るということを意味するものと解釈しておるのでございます。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで先日の委員会で、外務省からは経済局長公取委員長、それから通産省通産大臣がおられたわけなんで、そこでこの問題を提起いたしたのですから、われわれは通商上有害である、こういうように思っておるので、直ちに関係者においてそういう協議をして寸そうであるというならば、後段の「従って、」以降の規定に従ってのアメリカへの排除措置申し入れをする、こういうようにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  7. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 通産省並びに公取とよく相談をさせていただきたいと思います。
  8. 早稻田柳右エ門

  9. 板川正吾

    板川委員 この際外務大臣に一、二御質問を申し上げたいと思います。  外務大臣は、私の本会議質問に対して、こういう答弁をされておるのです。それは、日本石油業者アメリカ石油業者外資提携をする、そうして提携条件として一〇〇%アメリカ石油を買わなくちゃいけない、こういう契約を結んでおる。まあそれを結んだ五、六年前は、石油競争者がなかったわけです。アラビア石油もないし、それからソ連油市場になかった。だからそのときは、一〇〇%結ぶということは、別にそれが競争制限することじゃなかったのですが、最近はアラビア石油が年率一千万トンもできるようになり、ソ連油も三百数十万トン入る。ところが、アメリカとの外資提携の際の契約によって、その契約が優先するから、アラビア石油ソ連油等の安い石油が買えない。こういう契約は、最近は競争制限することになってきたのじゃないか、だから、その競争制限するということは、この十八条の一項の前段でお互いに確認しているのだから、後段においてアメリカ側協議申し入れて、是正するようにすべきじゃないか、こういう質問をしたところが、その契約も、それは市場独占のための協定ではないと思われます、昨年に比較しまして、ことしは英米系石油シェアがずっと減ってきたと言うのです。九八%輸入しておって、アラビア石油ソ連油もなかった。だから、アラビア石油ソ連油が入ったために、相対のシェアは減ってはおるのですよ。それは減っております。今まで九九%近く独占しておったのですから、たとい三百万トンでも百五十万トンでもソ連油が入り、三百万トンのアラビア石油が入れば、それはシェアがパーセントとしては減るのですよ。減るけれども、総体の数量というのはふえているのですよ。そのシェアが減ったから、競争が行なわれて、制限されていないのだという解釈は、私は本会議答弁としてはおかしいと思っている。これは一つよく検討されて、もし一つわれわれの言う通り——競争を実質的に制限されていますから、アメリカ側協議申し入れをしてもらいたいということが第一点です。  時間がないからその次を言いますが、第二点は、出光石油の問題です。御承知のように、昭和三十六年十二月二十一日、アメリカ国防省出光からジェツト機燃料納入は一月以降契約しない、ボイコットする、こういう声明が出されている。事実それが実行に移されて今日まで参っておると思うのです。ところが、国防省出光のボイコットした理由が、実はわれわれには不明確なんです。その点を外務省に聞いたところ、経済局次長ではよくわからない、じゃ経済局長を呼べということになって問題になったのです。新聞等によると、昨年十二月の二十三日の読売新聞では、こういう米国防省声明アメリカ政府が、互恵通商協定法改正を実現するため、国内業界反対をなだめるという政治的動機から出たのじゃないかということをいっておる。またその前の日の二十二日の朝日新聞の夕刊では、米国防省スポークスマンの結論としては、出光石油米軍納入燃料にはソ連油は含まれていないが、出光ソ連油を安く買って不当に利益を受けている、だからボイコットするのだ、こういうことも出ておる。米国防省出光石油をボイコットした理由は一体どこにあるのだろうか。通産省見解を伺うと、このような措置国際慣習上まことに好ましくない、だから通産省としては外務省にその旨を申し入れ善処方を要望している、こう言うのです。そこで、外務省としてはこういう米国防省声明が一体どういうものであったか、それに対してどういう見解を持っておられるかということ。それから、現在ボイコットされておりますが、この問題を将来外交交渉でどういうふうに処置なさろうとするのか。この三点について一つ明確な御答弁を願いたいと思うのです。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まず御質問の第一点でございますが、確かにお話しのようにアメリカ系の五社が日本に八〇%の原油を供給しているという事実がございまして、この事実はやはり他にそういうものはなかった結果そうなったのでございますので、このシェアがあるということ自体独禁法違反というような問題はないわけでありますけれども仰せ通り、その後ソ連石油の問題、アラビア石油の問題、スマトラ石油問題等いろいろ出てきておるわけであります。これはなお新たな情勢のもとにおきまして、公取委員会においてさらに検討してもらうことはけっこうだと思います。私どもはその結果を待っていろいろ判断をしたいというふうに思っております。  それから第二点の出光の問題でございますが、これはわれわれもアメリカ政府にこの問題についてただしました。ところが、アメリカ政府の申しますには、——これは第三点に関係する問題でございますが、これは出光についてだけ行なわれたものだ、特にソ連との貿易にあずかっている業者を区別する理由はない、今後石油についてそういうことを一般的に考えておるものではないという説明をして参りました。今回のアメリカ国防省措置は、米軍という特殊な調達者ジェット燃料という重要な軍用物質調達に際して、軍自体の補給上の安全の観点からとられたもので、全く例外的なケースだ、こう言っておりますので、向こうが買わぬというものを、どうしても買えという交渉もなかなかできませんものですから、今度の場合はこれは例外的な措置でやむを得ざるものとしておるわけであります。しかし、その後におきまして、出光の方の話もいろいろ聞いておりますから、今後おりに触れてこういう措置が緩和されるようにということは交渉をしてみたいと考えております。しかし、現在のところはそういうことで一応特殊のジェット燃料で、これは軍の特殊の目的に要するものであるから困るということで、これはいたし方ないだろうということになっておるわけであります。その理由につきまして、いろいろ新聞の例をあげられましたけれども、これは全く憶測の域を出ないもので、アメリカ側はさようなことを否定しておるわけでございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 もう一つアメリカ軍自体の決定でやむを得ないというのですが、これも私ども新聞報道程度しか知りませんから、事実が違っておればまた話していただいてけっこうですが、出光ソ連油は大体一割五分程度しか輸入をしておらなくて、大半の八割五分はアメリカから原油を買っておる。それで、ソ連油からとれたジェット燃料というのは米軍は買わないということは承知しておりますが、タンクもみな別にして、アメリカから買った石油から作り、その中から米軍に納めておった。米軍もこれを検査しておる。検査の結果、その出光で納めておるジェット機の燃料は米国から買った原油の中から作ったものであるということを、新聞でもアメリカ軍当局スポークスマンもはっきり認めておるのです。それは認めておるのでありますが、問題は、新聞によると、五五%も安いものを買うんだから、不当な利益を受けておる、だから排除するのだということは、この新聞報道が正しいならば、それは間違いじゃないか。幾ら米軍が独自の判断を下せるとしても、それは正常な外交交渉を通じて反省を促すべきじゃないか。それは外務大臣日米協力を畢生の念願としておることから、日本国民の率直な意見を言わなければ、真の日米友好なんてことはできないじゃないですか。そういう意味で私はどうも米国防省措置は不当である、一つ今後とも外交交渉を続けて向こう反省を求めてもらいたい、こういうことを要望いたします。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 出光自身アメリカとの間に相当取引があることも、これは事実でございますし、出光側の話も、先ほど申し上げましたように私ども聞いておりますが、ただこういう決定がなされましたので、この際はこれはやむを得ないと思いますけれども、さらに先ほど申したように、今後なおアメリカ側の理解を得るようにいろいろ話をして参ろう、こう思っております。
  13. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 よろしゅうございますか。——それじゃ続けていただきます。
  14. 板川正吾

    板川委員 通産大臣一つ、これはエネルギー総合対策、エネルギーの総合的な基本政策を立てる、こういう問題についてまず伺いたいと思います。今回の石油業法の審議から、石油産業というのが、電力、石炭と並んでわが国のエネルギー面で重要な役割を果たしておる、こういう点が認識されて参ったと思います。特に政府が自由化をどうしても十月以降やるとするならば、まずいろいろな問題があります。石油、石炭問題あるいは電力問題等がからんでおりまして、総合エネルギー政策というのが必要じゃないか、こういうことが叫ばれて参りまして、これについては与野党の委員とも、あるいは内外の主張もほとんどそれに反対する者はないと思うのです。そこで、最近の新聞等によりますると、従来通産大臣の諮問機関であったエネルギー懇談会を通産省のもとにある産業構造調査会のエネルギー部会という委員会にして、法律的な根拠を持った委員会として総合エネルギー対策を打ち立てよう、こういう動きになっておるようであります。これは新聞等でそう承知しておるのであります。しかし、この総合エネルギー政策ということになりますると、それは原子力の関係なんかも含まれてこなくちゃならないので、通産省内の産業構造調査会の専門部会だけでは扱いかねるんじゃないか。どうしてもこれは法律に基づいた総合エネルギー政策樹立のための審議会が必要ではないか。現に欧米等の諸国では、学者、経験者を総動員して、石炭問題あるいは石油問題等を長期的な計画を立てておるのであります。長期的な見通しを立てておるのですから、そういう必要が当然わが国にもあると思うのですが、現在の産業構造調査会のエネルギー部会というだけで十分であるかどうか、その点について……。
  15. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 板川さんの言われますのは、おそらく去る四月五日の閣議決定、その中の項目であるエネルギー審議会の問題だろうと思います。今回のエネルギー審議会は通産省に置く、こういう考え方でございます。また立法措置をとるというところまでは閣議決定は明示してございません。その点は誤解のないように願いたいと思います。また総合エネルギー審議会としては内閣に置くという案ももちろん考えられたのであります。ところが、御承知のように、エネルギーとして通産省に全部関係があるわけでございます。原子力そのものは通産省というわけではないにしても、原子力開発となれば、これは通産省の認可事項というか、許可事項ということになっております。そう考えてみますと、通産省一省でエネルギー関係の審議は可能ではないか、こういう結論になりまして、それで通産省に置こう、こういうことを実は決定をいたしたのでございます。  ただいま申し上げますように、立法化して云々ではございませんし、また通産省ということで、政府いわゆる内閣に置くというところまでいっていない。それで権威が少し落ちるのではないかというような心配もあるやに伺いますが、とにかく今までなかったものをそこまで推進することがまず第一だろう。そうしてその方向を示して——もともと私どもとしては、総合エネルギー審議会というものはないにしても、総合的見地に立って、石油のあり方なり石炭のあり方なり、あるいは水力あるいは原子力発電等のあり方を工夫はしておりますけれども、形の上に出していかないと、なかなか納得しかねるだろう。ことにただいまはエネルギー革命の時代と言われ、そのエネルギー革命——革命という言葉がいいかどうかわかりませんが、そういうように言われておるその大問題と取り組む政府の態度としては、要すれば、さらに法律あるいはその他の形においてこれを整えていく、こういう考えでございますけれども、ただいまのところは、まず第一段として、通産省にあります在来の機構を強化する、こういう考え方でございます。
  16. 板川正吾

    板川委員 こういうことなんでしょうか。現在方向としてその必要は認めているのだが、しかし、今法律でその審議会を作ることも間に合わないし、作られてないから、当面は通産省にある産業構造調査会のエネルギー部会というもので対策を考えていく。その中から将来さらに発展的にそういう方向に必要があれば進んでいく、こういうふうに考えてよろしいんですか。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようでございます。
  18. 板川正吾

    板川委員 その場合、原子力との関係は、大臣は、原子力の開発はまだ微々たるものであるし、原子力燃料エネルギーが産業に寄与するという度合いも微々たるものであるから、当面は通産省でよろしい、こういうお気持のようでありますが、原子力の開発が進んで参ると、これは通産省だけじゃ、内閣の機構として十分じゃないような感じがします。一つそういうこともにらみ合わして、将来もっと強力な総合エネルギー計画を立てる審議会の設置を要望しておきたいと思のうです。  それから、第二の問題は、石油の自由化が行なわれるという前提で一つ考えますが、われわれ必ずしもそれに賛意を表するものじゃないのですけれども、前提で議論をいたしますが、その場合、当面わが国の石油行政で一番問題になるのは、アラビア石油ですね。海外開発油と国産油を今後どうするかということが、一番問題だろうと思うのです。しかし、数量的にはアラビア石油が何といっても最大ですから、まあ問題は、アラビア石油ということで一つ質問をいたしますが、アラビア石油の問題については、いろいろ批判もあるようであります。たとえば、アラビア石油会社は政界の某有力者の子弟を職員として採用しているとか、商売をあまり熱心にやらずに国会対策ばかりやっているとか、あるいは国辱的な利権契約を結んでおるとか、こういうようなことを言う者もおります。しかしこれは私は小乗的な見解であって、アラビア石油が初めて日本人の手によって開発をされ、そしてしかも相当量の採油を見るに至り、国際収支の面に相当な寄与をしているこの功績は、やはり率直に認めるべきじゃないか。小乗的見解でなくて、大所高所から、アラビア石油の功績をわれわれは認めるにやぶさかではないと思うのです。  そこで、大臣に伺いたいのですが、一体自由化後この海外開発油、特にアラビア石油の国内引き取りですね。日本人の手によって開発をされ、そして外貨も相当節約できるこのアラビア石油を、一体国内引き取りをさせるのは国として当然じゃないか、こう思うのですが、大臣見解はいかがですか。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今のお尋ねの点に二つばかり大事な点がございます。石油の自注化、これか前提でございますが、この十月に自由化に踏み切るのは石油製品だ。だから、原油は自由化は当分後だ……
  20. 板川正吾

    板川委員 いいえ違います。それは逆です。製品は自由化はしない。原油を自由化するのです。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いや、製品の自由化をしないで、原油を自由化、こういうことなんですね。だから、その点をまず第一に申し上げておきたい。だから、その観点に立って、石油業のあり方を見ていくということであります。これはまあ誤解がない。私の方が今間違っただろうと言われましたが、そういうことを申し上げたつもりだったのです。  そこで、今度は、アラビア石油そのものです。このアラビア石油は、事の起こりはだいぶ前からでございます。これは岸内閣当時であったと思います。アラビアに進出すること、これを政府としていかにするか。北スマトラの原油開発と同様に、政府が積極的な意図を持って開発に乗り出す、こういう閣議了解をいたしまして、そして実はこの問題と取り組んでおるわけでございます。これはなるほど企業家山下太郎君の特別な計画なり、あるいはそのもくろみということもございますが、これの発展に対しましては、そういう意味で、財界も積極的にこれに協力をした、また、製油業者等も間接にこれに協力する、あるいは国内の大産業等もこれが開発に協力する、こういうことでスタートいたしたわけでございます。幸いにしてこれが予定したより以上の原油の採掘ができる、こういうことになっておるのですが、今日、その原油の処理が実は問題になってきておるということであります。私どもが岸内閣当時にこういう問題について乗り出しましたのは、申すまでもなく、国内資源が非常に貧弱だ、その形の上から、経済活動の基幹になるこのエネルギー資源、これはいかにあるべきか、こういうことを考えると、私どもやはり日本の資本あるいは日本の技術、そういうものでこれは開発できれば大へん望ましい。その国内において資源がないから、国外にそういう場所を見つけよう、こういうことで実はスタートいたしたものであります。従いまして、当時においては、各界の協力態勢ができておりましたから、この事業の遂行上も非常に円滑にいくし、また、当初油が出て参りましても、原油の引き取り等も各界の協力を得て参ってきておるわけでございます。ところで、今日、アラビア石油に対しての見方がいろいろ出てきておる。これはおそらく予想以上にその力を持ってきているというその点だろうと思います。もしもこれがわずかな出油量なら、そう大して問題にならないのだ。しかし、非常な出油量だ。一千万トンあるいは千五百万トン、ときには二千万トンだとかいうような評価まですると、これは大へんなものだという、そういう意味で、これは石油業界といわず、国際的に、アラビア石油の今後の活動状態はどうなるだろうかということが注目されておるわけであります。そこで、私どもが今回、この問題と取り組みましても、国際業界の注視のもとにおいてこの問題を扱うべきだ、かように考えます。また、国の本来のスタートしたときの意気込みというものをいかに実現するか、こういうことも実はあるわけでございます。ただいま御指摘になりますように、今日の状況からは、いろいろの競争状態になっておりますから、いろいろの話などが出ているように伺います。ただいま板川さんの御指摘になりましたように、小乗的の意見かあるいは大乗的の意見か知りませんけれども、いろいろな話が飛んでおると思います。そういうようなスタートなりあるいは現状というものを考えまして、そうしてそれがそれじゃ今度は日本の産業に対してどういう影響があるか。御指摘になりますように、外貨等におきましてもいろいろこれは役立つ、使用上においての貢献をする余地が多分にある。ただ、そういう場合に、契約条項その他で特に不利を招くんじゃないかというような話ももうすでに出ておりますが、それなどについても、いろいろの工夫などが講ぜられつつあるようでございますし、また、アラビア石油そのものの力からいたしましても、そう無制限に何もかもできるわけではございません。だから、むしろ、在来の発足当初の協力関係をたどって、そうして順調な成長を期することが望ましい方法じゃないか、こういうような考え方をするわけであります。ただいま御指摘になります引き取りその他の問題で、いろいろ工夫を要する点があろうかと思いますけれども、業界の協力を得るというその前提に立って話を進めていくなら、必ず行政的なあっせん指導で目的が達するものじゃないか、かように私は考えておる次第でございます。
  22. 板川正吾

    板川委員 アラビヤ石油が問題が特に大きくなったのは、大臣も言われたように、最初予想外に成功したということがその大きい問題の一つだと思うのです。しかし、アラビア石油は現在のところ精製設備は持っておらない、販売組織も持っておりません。ですから、どうしてもこれを日本国内で消化するためには、何といっても既設の石油会社に協力をしてもらうということが常道だろうと思うのです。ただ問題は、そういう大臣が言うように、行政措置で完全に大丈夫かどうかということが心配なんです。こういう点については心配ない、こういうようなお考えであるかどうか、一つその点……。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまお答えいたしましたように、前提条件があるわけでございます。また数量の問題等もございます。だから、自由濶達な活動という点から申せば、まず大きな制約を受けるということはございます。しかし、とにかく協力態勢、お互いが相互に援助し合う基本的な態度を堅持していくということが望ましいのじゃないか。ただ、御指摘になりますように、アラビア石油自身がその自由濶達な活動をしよう、こういうことを考えるについては、これはもちろん制約を受けるものだ、かように思います。
  24. 板川正吾

    板川委員 なるべく時間を詰めて質問申し上げます。これは局長でもいいですが、アラビア石油の精製組織なりをどういうふうに今後考えられておるのか、アラビア石油の国内精製は制限しない、こういう話も聞いておるのですが、この点が実は国内の既設の業者から協力を得るか得ないかという一つのめどにもなっていると思うのです。その点でどういう方針であるか、一つ局長か大臣かで答弁を願いたいと思います。
  25. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまお話しのように、アラビア石油は、現在掘っておるわけでございまして、この採油した原油を国内に持ってきて精製する設備も販売網もないわけでございます。三十六年度は百五十万キロ、三十七年度は六百万キロをこえる量が出てくるのでございますが、この量は、さしあたりの問題は、現在の精製会社に引き取ってもらって、そこで製品にする以外にはないかと思います。それではアラビア石油が独自でそういうことを考えておるかと申しますと、現在そういうような具体的な計画は聞いていないわけでございます。需要業界等はこれに関心を持っておりまして、将来需要業界の方でそういうような話が出てくるかもわかりませんが、現在のところはまだ具体的な計画は聞いていないわけでございます。
  26. 板川正吾

    板川委員 その点わかりましたが、大臣に、外資提携問題で若干伺っておきたいと思うのです。まずわれわれの方の考え方というのを明らかにしてから聞きたいのですが、われわれの方の考え方は、石油産業は、電力、石炭とともに重要な産業である、従って、石油産業の経営権、これは外資提携しても、わが国の産業が主体性を確保しておるべきじゃないか。外資提携してもよろしい、しかし、重要産業であるだけに、経営の主体性というのはわが国の業者が確保しておるべきじゃないか、こう思うのです。ところが始関委員が先日の質問でるる申されたのですが、五〇%・五〇%の提携では、外資系に牛耳られて、国内資本の発言力というのは、実質的に五〇%の立場にならない。だから外資提携会社のある重役で、とにかく小さい会社でもいいから、自分の意見がどんどん通るところの方がいいと言ってこぼしている重役もいると言っているくらいです。それは五〇%・五〇%で対等の協議で経営するという建前だろうと思うのですが、実質的には向こうの方が経営に対する発言権が強い。そこでこれを自主性を確保するために、五〇対五〇というのを、外資四九以上はいけない、日本の資本が五一%以下ではいけない、こういう方針を確立すべきではないか、こう思うのです。外国の事例を見ますと、国内資本は五一%という規定をしているところもあるそうであります。また日本でも戦前は五一%という規定をした時代があったそうでありますが、これを通産大臣はどうお考えですか。
  27. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 事業の経営の主体性を持つ、これは望ましいことでございます。従いまして、そういう観点から株の比率を四九あるいは五一というふうに差等を設けよというお話がございます。しかし、私は必ずしも株の比率だけが主体性を確立するものだとは実は考えない人間でございまして、これは形の上に少しとらわれ過ぎていやしないか。ですから、法律でどうこうするということは、本来の姿から申せば望ましいことではないだろう、むしろ実質的な指導が望ましいのではないだろうか、こういうふうに思います。それで弊害を生ずるかどうか、もちろん国の力、それがただいまのような株主権の行使の場合に強く出てくるものだと思います。だから、国の経済力が強い場合でございますと、あまり心配は要らないだろうと思います。また経営権か持ちたいということは、逆に申すと、事業の支配力という問題もありますが、同時に、事業についての信頼度が非常に薄い、そういう意味から支配権を持ちたいという場合もあるわけでございまして、この支配力ばかりに考える筋でもないと思いますから、やはりわが国の信用度、その力ということを第一に考える、行政指導でかような点は円滑に推移するようにすべきではないか、かように思います。
  28. 板川正吾

    板川委員 私が申しているのは、一般の産業全部にそういう法律でかぶせてやれということでなくてもいいと思うのです。ほんとうはそうしたいが、もしそれができなければ、一般産業はいいが、一国の重要産業の場合は、国の主体性を確保するために法律で規定した方がいいのではないか。たとえば、大臣は、それは国の経済力の問題だというのですが、これは幾ら日本がかけ足をしても、アメリカに経済力で追いつくわけはないのですから、経済力でアメリカより強くなるということはないのですから、法律なりでそういう基準を設けることによって主体性を確保するという方が、白米経済協力の趣旨に沿うのではないでしょうか。
  29. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ごもっともなお話ですが、法律できめることがいいか、あるいは行政指導でそれを実現することがいいか、そういう感覚の問題だろうと思います。今言われますことは、私も全然無視するつもりで申しておるわけではございません。非常な弊害を生じておれば、また当然の権利として、現行法制のもとにおいても断わり得るようになっておると思います。だから、現行の法律のもとでも、運用によりましては可能なことでございますしいたしますので、ただこの際に業法ができた、それに麗々しく書くということは私まあ賛成しない、こういう意味でございますから、誤解のないように願いたいと思います。
  30. 板川正吾

    板川委員 それは外資法なりあるいは日米通商航海条約七条二項なりでそういう措置も私は考えられると思うのでありまして、その点を本法の修正に入れるか入れないかは別問題として、一つそういう方向で主体性確保のために今後とも大いに行政指導を強化してもらいたい、こう思います。それから今度は法律について若干質問をいたしたいと思いますが、大臣ちょっと退席されましたから、一つ大臣が来るまで局長にお伺いします。まず第一条で、「石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図り、」こうあるのです。いろいろの報告書なり文献等を読むと、特にヨーロッパにおけるエネルギー関係の資料を読むと、低廉かつ安定的供給という言葉になっておる。しかし、日本の場合は「安定的かつ低廉」、安定の方を重点に置いておると思うのです。これは私はけっこうだと思うのですよ。日本の場合には、やはり石油供給の安定ということをまず優先して考えるべきだと思うのです。それから第二段として低廉な供給、これは当然です。経済性を無視してはいけませんから、当然だと思うのです。そういうことに対しては、私はけっこうだと思うのですが、そういう若干のニュアンスの差があるものと思うのですが、どうですか。
  31. 川出千速

    ○川出政府委員 ヨーロッパの国におきましても、安定と低廉あるいは消費者選択と安定的供給というようなことで、その調整が非常に問題だといわれておるようでございます。この第一条に書いてございます安定かっ低廉というのも同様な趣旨でございまして、どちらに重点を置くということではなくて、両方とも絶えず念頭に置きながら、その調整を考えていくというような意味に解しておるわけでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 ヨーロッパと同じだというが、逆に書いてあるし、私はそうだと思う。その方がいいと思っているので、その点はいいです。  それで問題は、第三条と十条の関係について一つ伺いたいのですが、この第三条で通産大臣石油供給計画を定めて告示することになりますね。その定めて告示した数量——これが先に告示されるわけですね。それに基づいて今度は業界でその告示の数量に合うような生産計画を十条によって立てる、こういうことになるのでしょうか。
  33. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま御指摘になりました通りでございまして、第三条によりまして政府が、これは審議会にはかるわけでございますけれども、長期の需給見通しを毎年立てるわけでございます。これが業界に対しては指針になろうかと思います。従って、供給計画の方が先にできるわけでございます。
  34. 板川正吾

    板川委員 こういうのじゃないでしょうか。供給計画を定めて告示するということは、ことしなら、まず来年度の供給計画を立て、同時にその来年度を含めた五カ年間の長期の計画を立てる、こういうふうに供給計画の内容というのは区分されるものですか。そうでないと、今後五年間の数量を出したところで、輸入業者なんか困るのじゃないですか、その年の年度の十条による生産計画を立てる場合に。ですから、当年度のやつを立て、それで、今度はそれを含めた五年間の供給計画を立てる、こういうことじゃないでしょうか。
  35. 川出千速

    ○川出政府委員 その通り解釈いたしまして、当該年度を含み、かつ一年だけではなくて、五年間の長期見通しを毎年立てるという意味でございます。
  36. 板川正吾

    板川委員 三条で特に問題な点は、その他の石油の供給に関する重要事項というのですが、ここが私は問題だろうと思う。その他の石油の供給に関する重要事項というのは、具体的にはどういうことを考えておられますか。
  37. 川出千速

    ○川出政府委員 先ほど問題になりました海外開発の原油の供給量等もここで考えなければならないというふうに考えております。
  38. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、石油供給計画で当年度及び以降五年間の計画を政府は発表する。その中で、この海外開発油、国内産油、こういったものも、その他の石油の供給に関する重要事項で政府として供給計画に載せて、ある意味では割当をする——割当というのじゃないですが、これが入る。しかし、これが今度は十条の生産計画で海外石油を引き取りませんということになったら、どういうことになるのですか。
  39. 川出千速

    ○川出政府委員 第三条の供給計画、これは計画でございますけれども、いわば見通しでございまして、一番現実に近い見通しを立てるつもりでおるわけでございます。現在自由経済でございますので、この見通しに基づいて、十条によってさらにそれを割り当てていく、生産割当をしていくというような考えは持っていないわけでございます。企業の立場から見れば、政府がそういう見通しを持っておる、それに対してどのくらい協力するかどうかという点は、これはまた別問題と申しますか、行政指導の問題にもなるかと思いますが、政府としては、なるべくその点は業界ともよく話し合いをした上で、その見通しを立てたいと思います。
  40. 板川正吾

    板川委員 この三条、十条の関係がどうも私はっきりしないので、これが実際の運用面において一番問題だと思うのです。政府が供給計画を立てる。十条で石油精製業者が生産計画を作って大臣に届け出をする。それで、政府がことしは四千万トンの供給計画をする、それで十条による事業者の生産計画が三千五百万トンであった、こういうときには、比較的問題がないんですね。その場合には輸入をふやすか、あるいは新たに設備を拡張させて、許可をして、それで不足の生産量、供給の不足を補えばいいんですから、問題はない。両方が数量が一致しておるときも問題はない。問題は、政府が四千万キロリットル必要であるという供給計画を発表しているが、十条による業者の届出が五千万キロリットルということになった場合には、どういうふうにそれを調整なさるのですか。生産計画の方が多かった場合、そういう届出がされた場合、その場合にはどういうふうに調整されるのですか。
  41. 川出千速

    ○川出政府委員 第三条の、石油の供給計画、これは政府がいろいろな調査資料に基づいて需要測定をしてきめるわけでございます。そうして企業の活動の指針にするわけでございまして、企業としては全体どのくらいになるかということは、わからないわけでございます。自分の企業の立場から、ことしはこのくらいの供給をしようということで、おのおの計画を立てて、その間に密接な連関はないわけでございます。あるいはそれを集計をした場合に、政府の供給計画を上回る、これはあり得ることではないかと思います。これはどの程度上回るか、その場になってみないとわからないわけでございます。しかし、集計した数字がどのくらいになるか、四千万キロの場合に、集計してみたら四千五百万キロになっておりますという場合は、これを政府が発表をして——業界のそれぞれの企業の計画というものは、集合してみると、相当オーバーしておるということを発表して、警告しなければならないと思います。しかし、そうだからといって自動的に、オーバーしておるから、五百万キロ分はどこの企業がどれだけ計画を減らしなさいということを、個々に具体的に勧告をするとかいうようなことは、直ちには行なおうと思っていないわけでございます。それは企業の立場から自粛をするということも考えられるでしょうし、そういう事態にならないことも考えられますので、現実にいろいろな不都合な現象が起きてきて、石油精製業のために、あるいはエネルギー産業全般のために、非常に悪い影響が出てくるというような場合には、あるいは十条の勧告の規定を発動しなければならないときもあるかと思いますけれども、それはそのときの具体的な事情によって、審議会に諮った上できめなければいけない事項ではないか、そういうように解釈しております。
  42. 板川正吾

    板川委員 大臣のしばしばの説明の見通しでも、将来、ここ当分石油というのは供給オーバーの形をとってくる。需要が多くて供給が少ない場合は、比較的問題がない。しかし、そうじゃなくて、見通しとして、供給オーバーの事態が当分続くというのですから、そうすると、これは生産計画の方がはるかにオーバーして、一体石油業法によってどうするんだ、こういうことが必ず問題になります。その場合には、十条二項によって、大臣の勧告でやる、こういうことになっておる。しかし、その勧告には別に強制権はない、応じなくてもしようがない、こういう形になる。それで、応じなくて、みな競争を続けていったということになった場合には、一体次の段階として、どういう措置を考えておるのですか。これは大臣でもけっこうなんですけれども、どう考えておりますか。
  43. 川出千速

    ○川出政府委員 勧告をしてもどうにもならないというようなことは、それはよほどのことだろうと思うのですが、今のところ勧告を守らずに、業界自身が大へんな大混乱になるというような事態になるということは、ちょっと想像できないんじゃないかというふうに思っております。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 板川さんは、あらゆる場合を考えて、そうして万全の立法措置をというお気持だろうと思います。しばしば申し上げますように、私ども、いわゆる統制的な考え方は避ける、こういう気持が本立法におきましても基本にあるわけでございます。ただいまの点でございますが、勧告しても勧告を聞かないときはどうするかというお話でございますが、勧告が適正に行なわれる場合には、必ず業界も納得してこれを聞くと思います。聞かないという場合の勧告は、あるいは不適正な勧告であるかもわかりません。あるいは不適当なものであるかもわかりません。そういう点は、十分正確な、適正なものであることを期待しております。そういう意味の協力を得るということでございます。いわゆる自主的な話し合い、これがまず第一でございましょうが、その自主的な話し合いがつかないものについて、政府は行政指導的な立場において協力を求める、こういう実は考え方でございます。
  45. 板川正吾

    板川委員 佐藤大臣、この新聞によると、佐藤発言の波紋といって、佐藤通産大臣が戦時統制を行なうんじゃないかと財界が考えている、この石油業法もその一環でないかというようなことで新聞に出ておって、大臣非常に低姿勢のようであります。しかし、これはどうも今の言葉は、ほんとうは議事録から直しておいた方がいいのじゃないですか。勧告したが聞かなかった場合は、それは勧告が悪いのですということが議事録にあったら、将来問題ですよ。それでは勧告したってみんな聞きませんよ。聞かなかったら、それは聞かない方が悪いのじゃなくて、勧告を出した方が悪いということになると、これは大へんな問題になる。石油行政上、重要な問題だと思うので、その点は一つどうです。そう世論にびくびくしないで、はっきりものを言った方がいいのじゃないか。お取り消しになった方がいいのじゃないですか。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いや、ただいま申し上げましたのは、適正な勧告をいたしますから、必ず聞くということでございますので、だからその御心配は要りません。取り消しません。
  47. 板川正吾

    板川委員 私は、この勧告をするだけでは、おそらく問題の解決にならぬじゃないか、次の勧告をしてもだめだった状態をどうするかということが、将来必ず問題になるだろう、こういうことを予測しておるのです。そのことは、この附則四条の廃止または緩和の方向ということと関連を持つのです。将来、強化せざるを得ない状態が来るという見通しがあるのに、廃止または緩和の方向で再検討するということは、どうもハンドルが逆の方向じゃないか、こう思うから、その問題を私質問したわけであります。  それで次は、この十五条の価格の問題であります。これについて伺いたいのですが、この十五条の法文をそのまま読むと、これは前にも若干指摘されたかと思うのですが、提案理由の説明の場合には、石油製品の価格が不当に高騰したり、または下落したりする場合には、標準価格を設け公表する、こういうふうに説明が行なわれておるのであります。しかし、この法律案文を読みますと、「石油製品の価格が不当に高騰し、又は下落するおそれがある場合において、」といっているのです。こうなると、前段の「高騰し、」のところは高騰したとき、今度下落するときには下落するおそれがあるときに事前に標準価格を設ける、こういうふうに読み取れるのでございます。この点が間違いであるというならば、提案説明の趣旨が正しいので、この場合の表現に若干誤りがあるというなら、一つそれをはっきりしてもらいたい。
  48. 川出千速

    ○川出政府委員 御指摘の通りに、表現が必ずしも正確でございません。「不当に高騰し、」高騰する場合は高騰する、下落する場合には下落するおそれのあると読めるようにも考えられますが、ここに書いてある趣旨は、不当に高騰しあるいはそのおそれのある場合、あるいは下落しまたはそのおそれのある場合というわけでございまして、このポツがあって区切られておるから、そこでこの表現が切れてしまうような印象があるわけでございまして、その辺は提案理由の説明のように改めた方がいいというふうに考えておるわけであります。
  49. 板川正吾

    板川委員 これは提案理由の説明のように一つ直したいと思うのです。  それで標準価格で伺いたいのですが、標準価格は卸売を表示するのでしょうか、それとも最終小売価格を表示するのですか、それとも各段階における価格を表示するのですか。
  50. 川出千速

    ○川出政府委員 各段階ではございませんで、石油精製業者または輸入業者の販買価格でございますから、いわば卸の段階でございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 告示する場合には期限をつけるのでしょうか、それとも自後それでやれ、そうしてその後変動がない限りそれがずっと有効に続くという形になりますか。
  52. 川出千速

    ○川出政府委員 十五条の制定の趣旨は、持続して相当長期間にやる趣旨ではなくて、短期に、臨時的に、特定の場合にやる趣旨でございますので、これは業法が通ってそういう事態が起こった場合に期限をつけてやるか、あるいは期限をつけないでおいて突然やめるか、やり方はあろうかと思いますが、趣旨は期間的なもの、時限的なものでございます。
  53. 板川正吾

    板川委員 それでは自今リットル当たり何十何円、あるいはキロリットル当たり何万何千円というふうにして、ずっと持続的にそれを表示するのではなくて、期限をつける場合もあるだろうということもあるわけですね。  そこで伺いたいのですが、一体標準価格を告示してこれに業者が従わなかった場合はどうなりますか。
  54. 川出千速

    ○川出政府委員 十五条の標準価格は、これは公定価格の設定ではございません。政府が告示するだけでございますので、法的拘束力は全くございませんから、従わない場合は、それに対して制裁を加えることはできないと思っております。
  55. 板川正吾

    板川委員 従わなかった場合に、これに勧告をすることはないのですね。
  56. 川出千速

    ○川出政府委員 勧告の規定はございません。
  57. 板川正吾

    板川委員 通産大臣が標準価格を設けて、業者が、通産大臣の標準価格ができたからそれに従おうじゃないか、こういうことでお互いに話し合って標準価格を守ったら、これは独禁法違反になりませんか。
  58. 川出千速

    ○川出政府委員 これは公正取引委員会判断すべき問題でございますけれども、私個人の意見では、独禁法の問題になると思います。
  59. 板川正吾

    板川委員 公示価格を設けて、その標準価格を告示して、これに個々の業者が従う場合には独禁法違反になりませんね。しかし、大豆の標準価格が告示されたならばそれに従え、こういうことで、申し合わせによって共同行為が行なわれれば、これは独禁法違反ということになるだろうと思いますが、どうですか。これは将来必ず問題になりますから念のために……。
  60. 川出千速

    ○川出政府委員 独占禁止法の解釈は、私は専門家でございませんのでよく知らないわけでございますけれども、少なくともカルテル行為と申しますか、共同行為に該当するのではないかというふうに思います。ただし、それが公共の利益云々というような解釈もあるそうでございますから……。独占禁止法の規定に抵触することは間違いないのじゃないかと思います。
  61. 板川正吾

    板川委員 この価格の問題で、石炭鉱業合理化臨時措置法ですか、これにもやはり大臣の標準価格の告示があります。告示があって、その告示が守られなかった場合には、今度は大臣の命令で標準価格を守らせるという条項があると思いますが、石炭の場合のような方法はこの場合考えられなかったかどうか、これでは勧告もないし、標準価格を告示するというだけで、従うか従わないか、わからない。もちろんこれは場合によってはそれを政府として従ってもらいたいと思う場合があるわけです。それでないと業界としての秩序が混乱するという場合は、石炭鉱業合理化臨時措置法のように、第二段の措置として命令を守ってもらうというようなことは考えられておりませんか。
  62. 川出千速

    ○川出政府委員 現在のところ、第十五条の規定で精製業者の社会的な責任と申しますか、行政に訴えて行政指導をしたい、それで十分ではないだろうかと考えておるわけでございます。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連いたしまして——今、板川委員から質問のありました標準価格を告示して、そしてそれをお互いに守ろうではないかという話し合いをしたら、これは独禁法違反だ、こういう話ですが、申し合わせをして守ろうではないかと言わないと、私は標準価格というものは守れぬと思う。今まであなたの方では形式上独禁法違反のことを幾らでもやっておるでしょう。しかし、それは行政指導の範囲内だからというので、いわば行政指導と、独禁法の違反といえばなんですが、それが競合する面において、現実にいろいろな指示や指導をなされておる、これが実態ではございませんか。鉄鋼の場合にいたしましても、その他の場合にいたしましてもそうです。たとえば繊維の操短でも、最初、法律が出てくる前は行政指導をしておった。そこでいろいろ問題がありましたので、後に法律になったわけです。ですから、あなたのように、標準価格をお互いに守ろうという話し合いをしたら、それが独禁法違反だという。政府みずからが、さっきの大臣答弁でも若干そういう点があったようですけれども、そういう腰がまえでは、これはとても法律は動きませんよ。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。——多賀谷委員が言った通りなんです。たとえば繊維等についても、今まで行政指導で操短をやってきたわけです。われわれは、それはカルテルを行政指導でやっている、こう言ったのです。ところが、新聞問題でも、これはそこにも佐藤公取委員長が来ておるけれども、カルテルの解釈公取が変えたのです。いわゆる拘束性を持たなければ、カルテルでないというようなことを言い出したのです。ここに一つ問題がある。これは独禁法の問題でなく、だから私は国策会社が必要だ、こういうことなのです。そういう独禁法違反のおそれのあるような指導をしていくよりか、そこで少なくとも三〇%くらいのシェアを握る国策会社を作る、そしてその国策会社がいわゆる政府の意思をそこに反映することによって、他をこれに追随せしめる、こういうのがねらいじゃないですか。独禁法で答弁するよりか、その方がねらいだったはずです。立法の趣旨はどうなんです。
  65. 川出千速

    ○川出政府委員 御質問でございますが、独禁法の違反になるかならないかということは、私、先ほど申し上げましたが、独禁法の担当でもございませんし、法律の方も明るいわけではございませんが、共同行為という形式的なあれがあれば、法律的には少なくとも対象になるのではないか。これが最終的に違法性を帯びるかどうかというのは、あるいは別の角度のあれがあるかもしれませんけれども、少なくとも共同行為が形式上あれば、これは独禁法の対象にはなるだろうということを申したわけでございます。私そういう点で……。
  66. 板川正吾

    板川委員 私が言ったのは、標準価格を設けて告示したというだけでは実効が上がらぬだろう。しかし、業者が標準価格を申し合わせてこれに従ったら、これは独禁法違反だということは、独禁法の一般的な解釈のようです。ですから、私は、この一段階の措置では不十分じゃないか。そこで、石炭合理化臨時措置法のように、これで不十分な場合には、二段の措置として、今度は独禁法の正式な適用除外を受けた指示価格を命令できるような措置があってもいいのじゃないか。なぜそれを言うかというと、これも附則第四条の緩和または廃止する方向と逆の方向だから、そういうことが考えられる。だからそれを附則の方では廃止または緩和だなんというから、そこらで法律の必要上からいえば逆じゃないか、こう思うから、その点に触れたのです。どうなんです。
  67. 川出千速

    ○川出政府委員 御趣旨はよくわかりました。そういう問題になりますと、今後検討すべき問題も残っておると思います。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 板川委員の主張は、さらに従わない場合の勧告、田中委員の主張は、さらに前進をして、買取機関を設けよ、こういう話ですが、その前に現行の法律の運用についてお聞きしたい。これは公取も見えておりますから御答弁願いたいと思いますが、いやしくも政府が標準価格というものをきめて、それを国民に公示して、それをお互いに守ろうではないかという話し合いをしたら独禁法違反だ、少なくとも公取の独禁法の審査の対象になる、こういうことでは、私はどっかに法律が矛盾をしておると思う。お互いに守ろうではないかという話し合いをすることが独禁法の審査の対象になるというならば、やはり十五条関係のその標準価格というものを守るという話し合いは、独禁法の規定から除外をしなければならないでしょう。ですから、これは一体公取としてはどういうようにお考えであるか、一つお聞かせを願いたい。
  69. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 石油業法の十五条の標準価格は、これを定めた場合には告示するというだけでありますからして、それだけでは独禁法の問題にはならない。そこで、その標準価格を定めて、これを各業者が、道義的と申しますか、いわゆる業者のモラルによって大体守っていくということになれば、おそらく問題はないのですが、業者が互いに話し合って、あれを守ろうじゃないかという約束をして、それを守らない場合はどうするという拘束力がある約束をすれば、これは独禁法の問題になる、こういうことと考えます。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その業者がお互いに業界でこれを守ろう、こういう話し合いをする段階はどうなんですか。
  71. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 話し合うだけではまだいわゆる独禁法にいう共同行為までには至っておらないと思います。
  72. 板川正吾

    板川委員 それは違います。あの石油価格協定事件というので、東京高裁で昭和三十一年十一月九日判決になった問題があるでしょう。この場合には、これは業界で集まってだれかが発言したのです。協定して値上げしようじゃないかと発言したのです。ところが参加した人は黙っていて発言はしなかった。しかし、それの申し合わせを実際行なって値上げをしたら、結局は黙っていたって実際行なえば協定になったものという高裁の判決があるじゃないですか。だから、今言ったのは公取としてはおかしいな。あなたは判決々々とよく判例ばかり引き合いに出すけれども、この判決は独禁法の解釈として違うのじゃないですか。
  73. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 二条の六項の問題でございますが、いわゆる不当な取引の制限であります。その不当な取引制限というのは、ここに書いてある通り「事業者が、契約協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」、こう書いてある。その解釈の問題になるわけでありまして、われわれは、ここに書いてある事業活動の拘束ということを今述べたつもりであります。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 この独禁法の二条六項の問題は、新聞の値上げに関連して、私はあなたと何時間もやり合った問題です。あのときから公取の姿勢が変わったわけです。それ以前は、今板川委員も言ったように、東京高裁の判例でもはっきり出ておるのです。共同行為があればいいということなんです。それに拘束規定がなければカルテルは成立しないのだというような解釈を下したのは、あなたが委員長になってから初めてやったのです。言うなれば審決しておる。新しいのを出したという談話をあなたは発表したのですけれども、審決手続ではないのです。そうすると、審決としてはいまだもとの審決が残っているはずです。だから、公取委員長の談話が、いわゆる審決並びに高裁の判例をくつがえすだけの権威があるかどうかということ、あなたが公取委員長の間は、それは新聞値上げのときに言った談話の線を通さなければしようがない。無理に通すだろうけれども、あなたの言ったものはなんぼ言ったって間違いなんですよ。
  75. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ちょっと高裁の判決を持って参りませんでしたが……。拘束力の問題につきましては、当時委員会におきまして、おそらく今お示しの判決じゃないと思いますが、もっと新しい判決で拘束力ということを言っている。それを、公取がそういう判決に基づいてああいうふうな見解を発表した、こういうふうに記憶しております。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 問題は、この十五条をさらに積極的に政府がその後勧告するとか、そういうことは今政府の方ではお考えになっていない。板川氏はそれを指摘しているのですが、お考えになっていないようですが、少なくとも標準価格というものをお互いに守ろうではないかということを言った。それが形式的にも審査の対象になるということでは、これはおかしいでしょう。少なくとも独禁法の二条六項の規定は、この標準価格についての協定に関しては除外規定を設けなければ、法律は不備ですよ。業界として話し合って、いろいろの事情はあるけれども一つ標準価格を政府がせっかく出しておるのだから守ろうではないかといえば、これが審査の対象になるということはおかしいのですよ。これはむしろ独禁法の方から言っているのですから、その解釈をどんどん変えられたら困る。そこで、立法府としては、それを考慮してやって、当然、この標準価格についてのいろいろの業界の協定とか、あるいはその他の話し合いについては、独禁法を除外するという規定を設けてやらないと、これは不親切になる。業界は動きようがないのですよ。話し合いをすれば審査の対象になるといえば、どうしてやりますか。こんなに過当競争の激しい、そしてこの石油業法を出さなければならなかったということは、業界が乱れている証拠です。自主調整ができないのです。自主調整ができない実態の上で石油業法が出ているのですから、それに即応した法律の処置を考えてやらないといけないと思う。ですから、十五条に関する標準価格の業界の話し合いについては、これはどうしても独禁法の条項から適用除外をしてやるということが必要じゃないか。大臣どういうふうにお考えですか。
  77. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど基本的な考え方を申し上げました。いわゆる低姿勢だと言われるように、この自由競争の建前は基本には持っているのだ、従いまして統制的な規定はできるだけ排除する、こういう考え方でございます。従いまして、この勧告をいたしまして、あるいは公示をいたしまして、そして公示価格というものが守られない、そういう場合にどうするか。一般の行政指導をすることは当然でございます。いわゆる公取の規定そのものとは別個の、いわゆる行政措置で問題を片づけていこう。ただいま言われますごとく、公取の規定から除外例をとるということは、一つの拘束力を持たすことでございます。そういう意味において、私どもはやはり経済の基本的あり方を規定をしている公坂の規定はそのまま存置する。またそれに抵触するようなことはできるだけ避ける。特にこれは立法をいたします際に、関係機関で相互に相談をいたしまして、こういう結論を出しておるのでございます。ただいまいろいろこれを守るときに問題が起こると言われますけれども、先ほど来局長の答弁にいたしましても、必ずこれが公取違反になる、ここまでの結論を出しておるわけじゃございません。そういう事態自身は公取の対象になる問題でございます。公取においてそれが違反行為だあるいは処罰の対象になるかならないか、これはまた別の問題でございます、そういう言い方をいたしておるのでございます。だから、これは少し法律的な議論をしてまことに恐縮でございますが、行政の面から申しますと、こういう標準価格を公示すれば、その通りと申すわけではございませんが、その点を基準にして守られることが望ましいこと、これは他の共販価格等においてしばしばある通りでございます。これはそういう形において進めていきたい、そしてそれを守らないことによる弊害については、一般行政指導の立場において十分の指導をしていく、こういう考え方でございます。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣のお話はさっぱりわからない。政府の意図、この法案に対するかまえというものがわからない。業界で守らぬというなら守らないでいいのです、お互いに守る気持がなければ守らないでいい、しかしお互いに守ろうではないかという話し合いをしたら、審査の対象になるという、こういう考えは、立法者として国民に対して不親切じゃないですか。法律を強行さしておって、一方においては、標準価格が出されたから一体業界はどうしようかという相談をする、それが公取の審査の対象になる、しかし違法になるかどうかは別問題、こんな話がありますか。これは私は大臣が逃げ腰で——やらないならやらないでいい。石油業法を私はやらないつもりだというなら、やらないということでいいのですが、何かすっきりしないものがありますね。
  79. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もう少し説明を加えますと、カルテル行為そのものという、そういう事柄が一般的に公取としては対象になる、そういう抽象的な議論をいたしておるわけでございます。従いまして、こういうものを出す以上、それが守られることを期待しておるのは当然であります。またそれがどういう形でやられようと、そういう意味においては、いわゆる違法性の阻却ということは十分あるだろう、私はかように考えております。しかし、それはただいま申し上げますカルテル行為かどうか、カルテル行為はそういうことです。こういうことを局長が申したのである、かように、私は話を聞いていて理解しておるわけであります。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 この十五条の規定は、問題の規定なんです。そこで、鉱山局長の方が独禁法にまじめで、佐藤公取委員長の方が独禁法に対してふまじめだという結論が出ておるわけです。それで、佐藤大臣も言っておられるけれども佐藤さん自体もあまり独禁法を御存じないのです。そこで、ただこの十五条だけでは、販売価格の標準を公示するというだけで何も実効が上がらぬではないか、そのためにはある程度の行政指導もしなければならぬだろう、この範囲ならわかるのです。しかし、それに基づいて共同行為をやれば独禁法の関係が出てくるじゃないか。またそこまでいかなければ十五条の効果は出ないわけなんです。もし、そうとするならば、多賀谷委員の主張は、独禁法からの除外規定を置くべきではなかろうか、こういうように言っておられるわけなんです。しかし行政指導の面においてそこまではやれるのだ、こういうことについては、過去の例もあるから、われわれも了解するのですが、これはむしろ川出局長の方がまじめな答弁をして、佐藤さんの方がふまじめな答弁をしておる。ここでもう佐藤さん、腹を打ち明けたらどうなんです。この業法は、エネルギー懇談会の中間報告として出されたもののうち、いわゆる国策買取機関と業法の二つが出た。もちろん少数意見はありました。そこで、この十五条のねらいは、結局国策会社を作って、少なくとも三〇%くらいのシェアをここで握るのだ、そのことによって政府石油政策に対する意思を反映させていくんだ、こういうのが基礎だったと思うのですよ。それが予算折衝か何か知らぬけれども、国策会社がとれた、そういうことを大臣は明らかに言うて、国策会社に対してこう考えておるのだと言う方が手っとり早いのじゃないですか。
  81. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今までしばしば政府の基本的態度は声明をいたしました。自由経済の問題、そういう観点に立ってこの法律を立案した。もちろんこれを実施いたしますと、いろいろな問題が起こるかわかりません。そういう意味では、法律全般についての検討を必要とするだろうと思います。しかし、私は、行政指導によりまして十分目的を達したい。本法の運用並びに行政指導、こういうことを実は基本的に考えておるわけでございます。従いまして先ほど来、あるいは勧告が守られないときはどうかというような御議論が出ておりますが、そういう事柄は、実施後の問題として、その実情に合うようにそれぞれ工夫していくべきじゃないか、かように考えております。従いまして、ただいまの買取機関云々の問題も、実施後の問題として、運用上からさらに判断して参るつもりでございます。
  82. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連して。——大臣、ちょっと聞いておかなければいかぬですが、あなたは、この法律の運用の妙と行政指導によって、ともすれば混乱しようとする業界をうまく指導できると、かようにお考えでございますか。もしそうだとするならば、私はあえて質問しなければならない。なぜかなれば、先般来、板川委員やら田中委員からも話が出ておりますあの繊維設備制限法、それによって繊維の設備と生産数量を制限し規制する法律が提出されました場合において、私は、このような状態では、この法律はかご抜けであるということを再三申し上げておいた。その折にも、ちょうど今と同じような答弁大臣において行なわれた。しかしその後どうなったか。結局正直者がばかを見て、この法律のかご抜けの底をくぐって、やみ織機をふやしていった者が栄えていったのです。その結果、今現在どうなのか。泉南だけでも八十万錘余のやみ織機が動いておるでしょう。それをどうすることもできないでしょう。行政指導であなたができるとおっしゃるならば、今すぐそれをやってもらいたい。全然できていないでしょう。だから、正直に規制を受けて、その通り守った者は、名古屋及び尾西、尾北地区においては、ばたばたと倒れていったのです。そのときに、某政界の有力者にすがって、そしてやみを行なっていた者が今栄えているじゃありませんか。どうしてあなた、行政指導だけで、そんな欲の深い業界の交通整理ができるものですか。もしできなかった場合に、正直にこれを受けた者だけがまたばかを見るということになったら、あなたの責任はどうなります。
  83. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 まことに重大な御発言でございます。私は、それぞれの業界の特殊性があると思います。ただいま繊維業界のお話が出ております。繊維業界と石油業界はだいぶ趣を異にしております。そこらにも実情に合う、合わないという問題はあると思います。なおまた、私は、法律、立法というものが絶対のものだとも考えませんし、ましてや行政自身が絶対のものだとも考えません。しかし善意のある行政ということが望ましい姿だということを基本的に申し上げておるのでありまして、そうしてこれが運用にあたりましてなお弊害が生じたら、さらに立法措置を考えればよろしいということをただいま申し上げておるわけでございます。私は、その基本的な考え方で、おそらく、非常に統制色の強いもの、あるいは統制色の弱いもの、その相違はございます。また、皆さんと私どもとの間の考え方の相違も基本的にはあろうかと思いますが、ただいま申し上げているように、善意の行政ということが望ましいのじゃないか、こういうことを強く実は主張しておるわけでございます。もちろんこの法律自身将来一切変えないものかどうか、また、ことに立法府であられる皆様方の意向を無視して、行政府が強い主張ばかり申すわけのものじゃございませんが、ただいまのような考え方でございます。
  84. 加藤清二

    加藤(清)委員 その行政指導で直していくというお話ですが、それはあなたはそれでこの場はのがれられるでしょう。しかし、具体的にそういう問題に直面した場合に、はたして今の心がまえでできるかできないかということになると、おそらく私はできないと思う。なるほどあなたのおっしゃる通り、それは繊維業界と石油業界は違うでございましょう。ところが、一致した点もある。たとえばこれに政治家がついていく、銀行資金がつく、系列の系統においてその社だけを繁栄させようと心がまえでいく、こういう点においては何ら異なるところがないのです。従って、あなたがほんとうに行政指導でそれを直していくという勇気があるならば、今現在目前に現われている、すでに直さなければならぬものを先に直していただきたい。と申しますることは、すでにこの繊維業界のやみの問題については、会計検査院もあるいは行政監察もともに発動されて、動いているにもかかわらず、今日なお跡を絶たず、むしろやみ関係はふえる一方でございます。交通整理は乱れる一方でございます。あなたは、行政指導なりあなたの勧告なりでできるとおっしゃるならば、直ちに今現在たまっているそこを直していただきたい。さすれば、私どもは、なるほどこれだけ腕のある方ならば、石油業界の混乱もまた行政指導においてりっぱにやれるであろうと推察できるけれども、今日、片一方をほうっておいてからに、片一方が混乱状態でてんやわんややっているにもかかわらず、こちらの方をあとで直しますると言ったって、それはちょっと受け取れない、こう思うのは私のみならんやでございます。
  85. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 石油業法の話から繊維行政についての御批判でございますから、問題を繊維行政について申し上げれば、いわゆる大筋の事柄は、過去においても政治的にそれぞれきまって参りました。たとえば非常な生産過剰の際、あるいは繊維業界が全面的に非常に不況になる、こういう場合に、織機の買い取りをするとか、政府がそういうことをする、あるいはまた、繊維製品が非常に価格の不安定を招来する、そういう場合においての価格安定方策、あるいは操短等ともあわせての問題等もいたしておるわけでございます。これらの自主的な協力と政府のあり方、政治のあり方ということとあわして、それぞれ大筋をただいまつかんでいるように私は思います。ただいま加藤委員が御指摘になるような、業界においてのやみ織機等の問題が、繊維関係のそれぞれの部門においてなおあるようでございます。また、それらにつきましては、それぞれの対策をただいまも引き続いてとっておる。しかし、これは長い問題でございまして、いわゆる悪い者がなくなることが望ましい。それが真の政治の姿だとは思います。しかし、ここに積極的な協力態勢かできないと、依然として跡を絶たない。この私どもの悩み、これはあるわけでございます。これで万全の状態だ、かようには私は申しません。しかし、政治のあり方は、そういう善意の方向で物事を考え、指導していく、その態度が望ましい、またそれがいいことだ、かように私どもは考えておりまして、いわゆる悪意の行為者、それだけを追っかけていっての政治ということは、これはどうも本筋が間違っておりはしないか。今正直者がばかを見たということを言われますが、同時に、法網をくぐるとかあるいはいろいろなことをやった者が最終的に栄えるものかどうか。一時的にはそれは確かに栄えると思います。しかし、そういうことはやはり相当の期間について考えないといけないのであります。これは必ず、そういう意味のものは、政治の問題もさることですが、社会的な批判も必ずあることだと思います。そういう意味で進めていきたい、かように私は考えます。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 この辺でけりをつけたいと思うのですが、この十五条は、われわれは最初からあまりきめ手にならないものである、底抜けの規定である、こういうことは指摘して参ったわけなんです。今加藤委員からも繊維業界の話が出ましたが、繊維業と石油の各業界を見た場合に、まだ群雄割拠といいますか、そういう状態は石油の方が強いと思うのです。そういうことから見ましても、この程度の規定では十分にやっていけない、こう思うのです。そこで、多賀谷委員の申しましたような、あるいは板川委員の言ったように、もう一歩強い規定にして、そのかわりに独禁法の除外規定を置くようにするか、でなければ私の言っているような国策会社というものを打ち出してやらなければ、実はこの十五条は動かないと思うのです。しかし、大臣が言えぬこともあろうと思うので、これ以上追及いたしません。そこで、自信のあるようなことを言っておられますが、それでは十五条でおやりになってやれますか。一応お手並みを拝見しようということで、臨時国会まで答弁を待ちましょう。
  87. 板川正吾

    板川委員 十五条問題は、以上で一つけりをつけます。  それから、今度は前に戻りまして、六条の許可の基準について伺いたいのです。この許可の基準をめぐって——石油産業というのは膨大に成長して参ります。当然今の設備も過小となって、さらに増設なり新設なりが行なわれると思うのです。その場合、許可の基準というのでいろいろ好ましからざる状態も起こりかねないと思うのです。そこで、この許可の基準の一つの原則ですか、こういったものはどういうふうに考えておるのですか。また省令なりでこれを明らかにするつもりですか。
  88. 川出千速

    ○川出政府委員 許可には事業の許可とそれから設備の許可とございまして、許可の基準が第六条に書いてあるわけでございます。三つ要件が掲げてございまして、その第一は、過剰設備になることを防止するという意味で、処理能力が長期的な石油供給計画に照らして著しく過大でないように許可をしていくということがまず第一でございます。それから第二番目には、その事業を的確に遂行していくに足りる経理的な基礎及び技術的な能力を持っておるということであります。それから第三番目に、そのほかその事業計画の内容が石油の安定的かつ低廉な供給に役立つということがあげてございます。この三つの基準について運用して参るわけでございます。そして、許可にあたりましては、石油審議会に諮るということになっております。
  89. 板川正吾

    板川委員 この三つの基準はわかっておるのですよ。一の設備が過大になるような場合は許可しないのだ。あるいは技術的、経理的な能力がなければこれは膨大な設備産業ですから、だれでもやるというわけにはいかない。それを考えることは当然です。また、せっかく作っても、コストが高いのじゃいけないので、低廉な供給を確保することは必要だ。これはいいんです。これは一般的な原則ですよ。これを全部満たしておるのですよ。満たしておる業者が競合して設備申請をどっと出した場合に、一体どういう優劣順序を、どこでだれがきめるのですか。
  90. 川出千速

    ○川出政府委員 通産大臣が終局的にきめると思いますが、それをきめる際には石油審議会の意見も聞くというのが、法律の建前になっております。
  91. 板川正吾

    板川委員 石油審議会の答申を求めて意見を聞いて通産大臣がきめるということになると思うのですが、しかし、石油審議会でも、一つの基準なりがなくては、審議会としてもこれはまた困るんじゃないですか。そうすると、こういう三つの条件に適合して、なおかつ競合してきた場合に、どこの会社を先に許可し、許可しないかということは、これは私は将来運営上非常な問題になる条項だと思うのです。たとえば坑井の免許を同じ会社が申請しておるというようなこともあるし、増設なりを必要とする各社が同じように書類を出してきた場合に、審議会で審議するにしても、一つの基準というものを明確にしておくべきではないか。たとえば省令でするなら省令でするとしても、その考え方を明らかにすべきじゃないでしょうか。いかがですか。
  92. 川出千速

    ○川出政府委員 今後いろいろ研究をすべき点が多いかと思いますが、たとえば立地条件でございますとか、あるいは設備の規模もある程度国際競争力のあるものの方がコストが安いわけでございます。港湾、輸送条件その他の立地問題もございます。そういうような問題につきましては、法律に書いてない運用の基準と申しますか、これは審議会に諮って、ある程度運用基準を今後きめたいというふうに考えております。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。——実は私も四条と六条の関係を聞きたいと思っておった。板川委員質問して答弁があったのですが、私が聞こうと思っておったことは、答弁のところですが、この基準に六条の一号から三号までありますが、これはしてはならぬということで、そのほかに考えるべきことは、やはり立地条件でなければならぬが、そういうことについてどう考えておられるか。その立地条件には、まず水が必要である、あるいは既存の工場との関係その他港湾、道路、こういうことも考えなければいけないと思います。ことに今兵庫県でやかましく言っているから申し上げるが、日本石油の問題で御承知のような問題が起きている。油がきたら灘の清酒が油くさくなるかどうかわかりませんが、そういうような既存の工場、事業場との関係あるいは工業用水、港湾、道路等の立地条件、それも基準の中に入るということをはっきりと確認したいと思いますが、いかがですか。
  94. 川出千速

    ○川出政府委員 その点も入ると思います。(「どこにそんな条文があるのか」と呼ぶ者あり)三号の「その他その事業計画の内容が石油の安定的かつ低廉な供給を確保するため適切であること。」事業計画の内容がその他となっております。
  95. 板川正吾

    板川委員 ちょっと無理な読み方ですが、公取ならそういう読み方をするかもしれません。  そこで、今局長は、設備を許可する場合に、コストの安いものを一つ考えるということも言われました。事実この三号にそういう規定がございます。ところが、コストが安いか高いかというのは、設備産業ですから、設備に金がかかります。その金利が問題である。金利が高い安いでコストが安いか高いかを支配するという状態だろうと思う。これは七日の新聞ですが、東亜石油が外資導入を決意した。その東亜石油の近藤という社長は、外資導入に踏み切った理由について、国内で資金を調達すれば年平均一〇%の金利を払わねばならないが、ガルフ社からの借款は銀行保証料も含めて五・五%以下の低金利である、またひもつき原油も全体の三分の一にすぎず、残り三分の二は自由に輸入することができるという二つの条件で外資導入に踏み切った、こういうふうに出ておる。この第二のひもつきが、最近こうやって三分の一なり半分なりという状態になってきたということは、傾向として好ましいと思うのです。これはまあいいんですが、問題は第一の点、今議論になっている問題、金利が国内で調達すると一〇%、外国から借り入れると保証料も含めて半分近い五・五%、それで大きな設備産業を起こすのですから、それは金利の高い方に実際は金を借りるものはありませんから、どうしても外資にたよらざるを得ない。外資にたよると、半々持てば、一〇〇%その会社の原油を買わなくちゃいけない。たとい安いソ連油、アラビア油があったとしても、買うわけにいかない。こういうように経営の主体性、自主性というのも失われてくる。重要な産業である石油業界の主体性が失われるということは、私は問題だと思うのです。こういう点から考えると、この石油産業に対する——これは始関委員もこの間それをるる説明されましたが、国家の資金助成、こういうものが非常に欠けておるのですね。この政府提出の資料にもありますが、電力関係に融資が六千億、石炭関係では財政投融資が一千三十二億、それから石油関係はわずかに四十八億ぐらいですね、政府提出の資料によっても。これは昭和二十一年から三十六年の間です。財政投融資の一事を見ましても、石油産業が非常に重要性を持つにかかわらず、国内の財政投融資のワクは非常に微々たるものである。そうすると、これはどうしても外資にたよらざるを得ない。その方が金利が安いから、経済性が強い。そうすると、重要産業の自主性が失われる、こういうことになってきておるのが今までの実情だと思うのですが、通産大臣及び宮川理財局長のこういう問題に対する見解は、どうお考えてありますか。もちろんわれわれとしては、これはもっと石油産業に対する融資のワクを拡大して、資金の面から自主性を確保させるようなことが必要だ、こういう観点から質問しておるわけでありますが、いかがですか。
  96. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お手元に配付してありますこの資料でごらんを願いまして、総体でエネルギー関係で七千九百億、約八千億の資金が融資あるいは投資等で出ておること、これはもう御承知の通りでございます。石油関係は、今四十八億という数字をお述べになりましたが、これは融資と投資との問題でございますが、さらに国産原油、天然ガス等全部を合わせまして、その方が二百九十億ばかりありますので、まあ三百四十億程度です。そう考えまして、総体から見て大へん小さな額だ、こういうことが指摘できるわけであります。今日まで、この大事な石油について、かように政府が十分資金的な計画もなかったというような点が、好ましからざる方向というか、外資導入、そうして経営権への参画というような事態にも実はなったのだと思います。今後、こういう点については新たに工夫いたまして、国内エネルギーあるいは石油関係の資金調達政府は一そうの努力をしなければならぬ、かように考えます。問題は金利等、ただいま近藤君の話が出ておりますが、石炭関係や電力関係等の金利等のことも考えて、石油産業に対する資金ワク、これは今後政府も考えていかなければならぬ、かように考えております。
  97. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 国産石油及び海外開発石油につきましては、石油の安定的な供給の確保、また外貨の節減等に大きく寄与いたしますので、政府といたしましても、財政投融資におきまして、国産原油につきましては、御承知のように、石油資源開発株式会社を中心といたしまして、三十七年度までに九十六億、また毎年度開発のための保証を行ないますほか、アラビア石油、北スマトラ石油につきましては、日本輸出入銀行から融資を行なっております。ただいま通産大臣から答弁がありましたように、今後とも御質問の御趣旨を体しまして、資金の確保には十分努力いたしたいと思います。(「精製を聞いておるのだ」と呼ぶ者あり)精製業につきましては、御指摘のように四十八億の金が出ておりますが、これは……(「電気と比べてどうなんだ」と呼ぶ者あり)電気と比べて少ないように思いますが、努力いたします。
  98. 板川正吾

    板川委員 この際、理財局長が来たのだから注文しておきますが、石油関係からの関税と消費税その他税金が、年間二千五百億円になるといわれておるのですよ。これはおわかりでしょうが、しかし、そういう膨大な税金をとっておりながら、石油精製企業に対する——これは設備産業ですから、非常に資金が要る。今言ったように、外国の金の方が安いのだから、どうしても外国から借りてしまう、そうすると、いろいろなひもがついてどうも好ましくない。だから、そこで国が従来のあり方を反省して、石油業法を機会に、そういう東亜石油ですか、近藤社長のように、外資の軍門に下ることのないような方向に指導していかなくちゃならないと思う。一方において設備を許可するときには、コストの安い、経営能力のある会社に許可しようというのでしょう。そうすると、金利が安かったら、どうしてもその外資系と手を結ばなければ、これは安い石油製品というのはできないことになっちゃう。ここに私は問題があると思う。だから、今言った数字は、終戦後八千億近い投融資の総ワクの中で、石油産業にはわずか四十八億、それからあなたが言う国産原油と天然ガスに二百九十億。しかし、電力には六十五百億、石炭には千百億ある。ですから、こういうことを見合って、一つ石油産業の自主性確保のためにも、資金の大幅な拡大を、これを機会に考えるべきじゃないか、こういうことを注文しておくわけです。いかがですか。
  99. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今まで石油に対する配慮が少なかったように思われます。今後とも資金の配分につきましては、さらに国産石油の確保、精製業の円滑な運用のために、資金の確保に努力いたします。
  100. 板川正吾

    板川委員 その量も必要ですよ。設備産業ですから、非常に膨大な資金を要する。しかし、金利も問題なんですね。一〇%近い金利だ。外国から借りると、保証料まで含めたって五・五%だという。だから、量も確保し、安い金利のことも考えてもらわなくちゃならぬじゃないか、こういう点でどうかというのです。
  101. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 金利につきましては、いろいろ原資のコストの関係もございますし、他のバランスもございまして、直ちに引き下げるというわけには参りませんので、よく検討させていただきたいと思います。
  102. 板川正吾

    板川委員 では一つ要望しておきます。次の機会に必ず実現してもらいたいと思います。大臣にお願いします。  それから六条で、設備の許可をする条件の中で、産炭地等を考慮する必要がありませんか。たとえばさっき田中委員も申し上げましたように、この三号の「その他」の中に入っているのかどうか知りませんが、産炭地で石油精製の許可をどんどんされたのでは、これは一方において政府が盛んに石炭政策を強化しておって、水をくんでいるのに、底が抜けておるという状態になる。たとえば九州とかあるいは北海道とか、産炭地に精製設備の増設なり新設なりを許可する、こういうような場合には、私は大いに考慮しなければならぬ条件だと思いますが、この点はどうお考えになっておるのですか。
  103. 川出千速

    ○川出政府委員 その点は十分に配慮しなければいけない問題ではないかと思います。現在九州で精製設備を建設したいという計画が出ておりますが、その点も、産炭地との関係で具体的にどうであるかということは検討したいと思っております。ただ立地的に、石炭を持っていく場合に海上から輸送をした方が便利だということになりますと、必ずしも産炭地に非常に近い地点かどうかという問題はあるそうでございますが、何分にもそういう見地も入れて、総合的に判断しなければならない問題だと思います。
  104. 板川正吾

    板川委員 九州に木下産業で、フランスですか、最近はイギリスのBPと協定して、新たな精製設備を設けるというようなこともあります。そういったようないろいろの条件を考えると、私は許可の基準が、この一号、二号、三号では、まことに不十分だと思うのです。この許可の基準について、もっと詳細に、明らかに省令なりでして、審議会の審議の基準となすべきじゃないか。何でもかんでも審議会にほうり込んで、審議会の委員の答申に待つ。答申に待ったのが気に食わないときは、それはだめだということになるかもしれませんが、それでは明朗な政治になりませんから、私は、そういう点を一つ明確にして、問題の起こらないようにしてもらいたいと思うのです。  そこで、この許可をする場合に、もう一つこういうことは考えられませんか。十五条によって政府が標準価格を告示したが、言うことを聞かない会社がある。また、政府が供給計画を立てた。業者が生産計画を立てた。生産計画の方がオーバーしてしまって、調整しなければならない。そこで大臣が十条二項によって勧告をした。しかし、勧告には強制力がないし、言うことを聞かない。また、第三条第二項の四号で、「その他石油の供給に関する重要事項」という中で、大臣は海外開発油、国内油、こういった問題を引き取りをさせるように考えておられる。しかし、これにも御承知のように、強制力は十条の関係からいったってない。勧告程度しかない。そうなった場合、幾らか政府でこの法律上持っているのは、許可の基準で許可をする権限です。そういうアラビア石油は引き取らないとか、価格を乱したとか、あるいは勧告に応じない場合には、許可するときに許可しない、こういうことになれば、多少言うことは聞くでしょう。しかし、そういうことは、この法律ではどこでも考えておりませんが、行政上でもそういうことはお考えになりませんか。
  105. 川出千速

    ○川出政府委員 これは法律に基づいて許可するわけでございまして、この三つの基準に合った場合には許可するということしか申し上げられないと思います。その江戸のかたきを長崎で討つというようなことは、どうも不適当ではないかと思います。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 前の板川委員質問に関連するのですが、あまりにも日本石油産業が外国資本に依存しておるという問題。これは宮川理財局長は御承知のことと思いますが、大手十五社の製油会社のうち、九社までだったと思いますが、これが外資系の会社なんです。あとの国産糸だといわれておるものも、先ほど来問題になっているように、外資ローンによって資金を入れている。そういうところから、契約がひもつきになっておる。このひもつきが、いわゆる国際協定からいっていいかどうかということは別の問題、あるいは独禁法の問題は別にやっておりますが、事実においては、そういうことで、外国系ないし外資導入によって占められておるシェアが八五%になっておる。そうすると、十五%かせいぜい二〇%までしか自由選択がきかないというのが、この石油界の実情なんです。従って、日本石油産業は、あまりにも外国資本にたより過ぎておる、こういうことになる。そこで、融資の問題について板川さんからも触れられましたが、その量だけでなく、やはり利息の問題がある。そこで利息が安いからということで借りる。借りればひもつきになってくることは当然なんです。そこで、投融資等について特別に考えなければならぬということが一点。  もう一つは、外資に関する法律、いわゆる外資法をちょっと見てもらいたいのですが、この第一条の「目的」に何と書いてありますか。「この法律は、日本経済の自立とその健全な発展及び」と続くのです。外資法の一番の目的は、日本経済の自立と発展なんですよ。その上に立って外資導入については、あるいは外資投入については検討せらるべきであろうと思うのです。ところが、今日まで無制限にそういったことを許してきたのは、どういうわけなんですか。外資委員会においてそれらのことを審議するときに、まず外資法の第一条前段の目的を頭に置いて考えたかどうかということ。  さらに外資法の十一条に、この外国の投資について、その持ち分については「主務省令で定めるところにより、」とあるのです。ところが主務省令を見てみると、いや正副二通の申請をしなければいかぬとかどうとかということだけで、持ち分の範囲が全然きめられていないわけです。そこで、現在・五〇・五〇、フィフティ・フィフティというような格好のようでございますが、この五〇・五〇がいいのか、四九以上は外国に持たさないという考え方がいいのか、これはいろいろ考え方があろうと思うのです。少なくとも五〇・五〇の現在において、一対一であったならば、現在の経済的基盤からいって、同じ五〇でも相手さんの五〇の方が強い、こういうことはいなめない事実なんです。何か後進国において四九%以下ということになっておるので、日本は先進国だから五〇%だというようなことで、つまらぬところで意地を張ったようなんだが、こういうことで外資法第一条の目的が達せられておるかどうか。現に石油業界においては、目的は達せられていないのです。それをどう考えますか。
  107. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 金利のことにつきましては、先ほど板川委員の御質問の際お答えいたしましたように、十分慎重に研究いたしたいと思います。  なお、外資法につきましては、これは御承知と思いますが、私は理財局長でございまして、為替局が所管になっておるのでございまして、為替局から所管課長が参っておりますので、それに答弁をさせますから、お許しを願いたいと思います。
  108. 堀太郎

    ○堀説明員 外資課長でございます。  ただいまの御質問の第一点は、外資ローン導入が、日本経済の自立あるいはその健全な発展に必ずしも役立たないのではないか、こういう御質問かと存じますが、実は外資ローンの導入にあたりましては、われわれとしても十分に考慮いたしまして、たとえば原油のひもつき量があまり多くならないように、また一般に原油の買取協定におきましては、その原油の購入会社、すなわち日本側の会社がほかの購入先からより有利な条件原油を購入する場合には、相手の原油供給先もそれにならって条件を引き下げる、値段を引き下げる、こういうふうな条項が一般についておりますので、三〇%、あるいは二〇%程度原油をひもつきにいたしましても、格別日本側の購入会社は不利なことはない、こういう判断のもとに立ってやっております。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 二〇%、三〇%というのは、ごく最近ですよ。われわれは、資料として過去に結ばれた契約を持っているのですよ。全部一〇〇%です。それで外資法の一条の目的に従って運営したかどうかということなんです。それから外資法一条だけでなく、今度は十一条の持分との関係です。
  110. 堀太郎

    ○堀説明員 ただいまのあとの御質問でございますが、おそらくこれはいわゆる外資系の会社の購入契約かと存じます。私が最初に申しましたのは、いわゆる民族資本系の会社であります。実は、私、昨年の夏から外資課長をやっておりますので、その前のことは……。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 これはだめです。きょうはもう質問しません。去年の夏以前のことはわかりませんじゃだめですから、わかる人を要求しましょう。大蔵大臣を要求しましょう。外資法の関係は、これで保留します。
  112. 板川正吾

    板川委員 外資関係については、あすまた大蔵大臣とやることにします。  次の問題は、十二条の輸入業の届出の問題です。三条と十条で、三条で供給計画、十条で生産計画、そこでバランスをとるということになるのでしょうが、輸入業は届出だけでよろしいのですか。もちろん、これは大臣がさっき言われたように、輸入を行なう者は、これは製品は自由化していないから、原油石油の輸入業ですから、原油は届け出てできるわけです。これをなぜ許可にしなくてもいいのですかということを聞きたいのです。許可制をとらなくてもいいのですかということを聞きたいのです。
  113. 川出千速

    ○川出政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、原油は自由化する。原油を購入するのは精製会社の問題でございまして、精製会社の方は許可制になっておりますから、問題はないかと存じます。問題になるのは、石油製品の輸入の問題であろうかと思います。石油製品の自由化は当分の間見送ることにしておりますので、届出制というのは、実際上大した効果を持たないかと考えております。
  114. 板川正吾

    板川委員 局長、ちょっと条文を見て下さい。十二条に「石油の輸入の事業を行なおうとする者は、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない。」こうありますね。この場合、石油とは、この定義に基づいて、製品及び原油ですね。だから、製品は許可制をとりますから、この場合除いてもいいと思います。製品は問題はないとしても、問題は原油を輸入しようとする者は、届出でいいということになります。こういうことでいいのですか。
  115. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま御指摘の通りでございまして、ここの届け出る対象は石油の輸入でございますから、従って原油石油製品の二種類でございます。実際問題として、原油を輸入しますのは、精製業者か精製業者から委託を受けた輸入業者が輸入をするわけでございますので、その点は問題はなかろうかと思うということを申し上げたわけであります。
  116. 板川正吾

    板川委員 ただ、今日本の精製設備というのは、需要に対してやや過大ぎみですね。ですから、過大ぎみのところへ輸入業の届出ということになると、届出してどんどん輸入してしまうと、供給過剰ぎみになる。それが三条の供給計画、十条の生産計画からいって、生産計画の方が過剰になってしまって問題を起こす可能性はないか。そういう意味から、ここでも許可制をとったらどうかな、そう思ったのですが、そういう点の懸念はございませんか。
  117. 川出千速

    ○川出政府委員 原油の問題につきましては、精製業者が現在のところ輸入をする、あるいは精製業者から委託を受けた輸入業者が輸入をして、使うのは精製業者でございますので、これは精製業者をコントロールすればいいわけであります。精製業者のコントロールがこの業法では十分でないかどうかというのは、別の御議論があろうかと思いますので、これでよろしいかと思います。
  118. 板川正吾

    板川委員 それじゃその点はけっこうです。  十八条「審議会は、委員二十人以内で組織する。」この審議会の委員は、大体どういうような学識経験者を考慮されておるのですか。
  119. 川出千速

    ○川出政府委員 石油審議会の構成でございますが、まず一般の学識者と申しますか、たとえば例をあげますと、エネルギー懇談会の構成メンバーになっておる方々の中から、あるいは産業構造調査会のエネルギー部会、これはまだ発足しておりませんけれども、そういう構成メンバーの中から選ぶ、そういうようなのが一般の学識経験者。それからこの業法の適用の対象となります石油関係の製製業者からは、当然なっていただかなければいけないだろうと思います。そのほか、利用業界、石油をたくさん使用する側の意見も反映しなければいけないと思いますので、そういうような範囲の中から、適当な方になっていただこうと思っております。
  120. 板川正吾

    板川委員 学識経験者を中心に、精製業者あるいは消費業者の代表を入れる。それから、販売関係で中間流通機関、これは入る構想はございませんか。
  121. 川出千速

    ○川出政府委員 まだ具体的な人選というところまで検討していないわけでございますが、概念としては入ることと思います。
  122. 岡田利春

    岡田(利)委員 関連ですが、今板川委員質問は、先般の連合審査で私も質問した個所なんですが、問題は、製品の輸入については、当面自由化の計画に入っていないということで、あまり問題ないではないか、こういう意見なわけです。もちろん当面は問題ないでしょうけれども石油業法というのは恒久立法なんです。政府の出したものは、暫定的な立法ではないわけです。そうしますと、当然わが国の石油は、どうしても自由化の方向をたどって、特に電力が半数を占める、こういう想定の上に立ってこの業法が提案されておるわけであります。そこでやはり何といっても石油製品の大部分を占めるのは重油でありますから、重油の長期安定供給の態勢というものは、では一体どうなるか、この問題が私は非常に問題だと思うわけです。少なくとも今日世界の市場から見て、また石油製品の精製、それぞれの分野における市場性から見て、重油を大量に継続的に長期輸入するという場合には、やはり当然安定的供給を確保するという面で、私は非常に大きな問題になると思うのです。だから、業法が、自由化の計画が当面ないから、輸入については届出制でいいのだということは、私はどうも甘いのではないかと思うのです。実際これが自由化されるということになれば、安定的に長期的に、特に重油の輸入を確保するという点については、大きな配慮を払わなければならぬし、むしろそういう意味では、輸入業者についてもある程度それだけの能力がある、しかも長期的に一体それが供給できるのかどうかという面まで干渉せざるを得ないのではないか。政府は、そういう点についてある程度深く立ち入らざるを得ないのではないか、こういう長期的な見通しの上に立って、私はそういう判断を持っているわけであります。この点、先般も意見がちょっと一致していないのですが、その点についてもう一度、通産省は一体どういう見通しを持っておるのか。あくまでも製品の自由化は当面の日程にはないから、石油業法は恒久立法であるが、これは単なる届出制でいいのだ、将来ともそれでいいという確信があるのかどうかという点について承りたいと思うわけです。
  123. 川出千速

    ○川出政府委員 将来恒久的に絶対自信があるのかといえば、私は、その点はわからないと申し上げざるを得ない、こう思うのです。ただ、石油の精製といいますか、消費地精製主義の立場から申しますと、将来原油の輸入で大部分の重油はまかなえるのではないかという見通しがございます。しかし、これに対しては必ずしもそうではないという意見もございますけれども、大かたの見込みは、重油の製品としての輸入は、構造的には、それはそうべらぼうな割合でふえていくものではない。国内で原油を輸入して精製していく段階でできるものが、大部分ではないかという見方が多いようでございます。これはしかし、将来の見通しでございますから、必ずしもそういうふうになると確定しておるわけではありません。それでは製品の自由化の問題について、当面は自由化しないのだから、届出制でも実害はないであろう。しかし、それは永久不変の問題ではなくて、自由化する場合もあるであろう。そのときはどうであろうか、こういう御質問だと思いますが、まずそのときは、一つは関税の問題があるかと思います。現在どこの国でも、原油の関税には相当な開きがございます。日本では、特にC重油を例にとりますと、今度原油の値段が上がりましたために、その開きはほとんどなくなってきておりますから、このまま自由化するということには、いろいろな立場から問題があると思いますので、将来かりに自由化する場合には、関税の問題は考えなければならないと思います。  それから業法の届出の問題でございますけれども、これもそのときにやはり検討すべき事項があるかもしれません。現在では、私はいろいろな情勢を総合してみて、何とかいけるのではないかと思っておるわけであります。少なくとも当面の問題としては自由化はしないわけでありますが、自由化するとしても、関税面で考えるということも考慮しておりますので、こういう点をあわせてお答えいたします。
  124. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、大体油は、昭和四十五年度は、昭和三十四年度の基準年度に対して三・九倍の需要を想定しておるわけです。石油製品の輸入については、大体それと並行して三・三倍程度の需要を想定しておるわけです。もちろん割合は少ないのです。しかし、同様三・三倍の輸入を想定しておるわけです。そのことは、私は、重油というものが大部分を占めていくと思うわけです。その場合の価格政策の問題は、今局長が答弁された関税等の問題で、国内価格との調整はできると思います。むしろ逆に長期の展望に立つ場合に、重油だけを長期的に、特に安定的にこれの輸入を確保する、輸入先を確保する、この場合には、私は相当長期の協定を結ばなければならぬ性格のものだと考えるわけです。そうしますと、今の場合、イランかあるいはカナダくらいしか、長期に協定をして安定的に重油を供給するという態勢は、まだないと思うのです。そういう面から見れば、そういう重油製品を輸入する輸入業者が、単なる届出制度ではたして妥当なのかどうか。これは石油業法が暫定立法ならばいいのですが、恒久立法なるがゆえに、そういう点について、確固たる分析と見通しを持っておるのか。私は、価格の問題を聞いておるのではなくて、長期的な協定を結ばなければならぬ性格のものであるから、そういう面から考えると、届出制だけではこれは問題が残るのではなかろうか、こういう点を私は質問しておるわけです。
  125. 川出千速

    ○川出政府委員 その辺はだいぶ先の問題でございますので、私もよくわからないわけでございますが、届出制だけではたしていいかどうか、そのほかに、先ほど申し上げましたような措置ができるわけございますが、将来の問題として、検討事項だろうと思います。
  126. 板川正吾

    板川委員 もう一つ、今まで触れて参りました三条の供給計画に対する十条の生産計画、あるいは価格の問題等を考えても、どうも附則第四条に再検討条項がありますが、「緩和又は廃止の目的をもって」検討を加えるというのは、どうもこれは実情にそぐわない規定だと思うのです。この「緩和又は廃止の目的をもって」というこのところは、私は取った方がいいのだろうと思います。大体通産省の原案にはこれはなかった。途中になってこれが出てきた。いろいろ大臣の立場はあろうかと思うのですが、われわれとしては、これは取りたいと思っておるのですが、実際運用上「緩和又は廃止の目的をもって」ということをあえてうたわなくてもいいじゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。
  127. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 何度も申し上げますように、政府の基本的態度でございますので、そういう意味で誤解を招かないようにという規定でございます。
  128. 久保田豊

    久保田(豊)委員 関連して、二、三大臣質問したいと思います。  大部分の質問は、他の諸君から出たようでありますから、私はずっとしぼってお伺いいたしますが、これからの総合エネルギー政策の問題、これはやはり石油と石炭の関係をどうするかということ、もっと基本的には日本の産業の二次エネルギーまで含めて、エネルギー・コストをどの程度にしたら国際的にやっていけるか、国内的にやっていけるかということだと思うのです。これに対する通産省なり何なりとしての考え方は、具体的にどう考えておるのか、これを第一点として伺いたいと思います。
  129. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの事態は、いわゆるエネルギー革命というような言葉で表現されておる非常な変転期でございます。その立場に立ちまして、エネルギーは安ければ安いほどいい、こういう考え方ももちろんございますけれども、国内の石炭と申しますか、在来からありますエネルギー源、これも国内の資源としての特異性といいますか、利益を持っているわけでございます。そういう意味で、これもまた伸ばしていかなければならない。だからただいままでいろいろの方策をとって、石炭と石油との関係の調整をはかるとか、あるいは水力との調整をはかるとか、種々講じて参っております。しこうして冒頭に申すようなエネルギーの変転、これが非常に急速に参っております。そういう意味から、それぞれの施策が十分効果を上げないというのが、実は現状ではないかと思います。だから現状即対策の実態だ、かような批判を受けることは、私ども大へん心外に思いますが、とにかく総合的な見地に立って、国産エネルギー源、そのよさ、またいろいろな雇用等の問題もございますので、そういうことも十分考えて、調整をはかっていくという基本的態度でおるわけでございます。そういう場合に、いわゆる石炭の千二百円下げという一応の目標をお示しして参りましたけれども、ところが石油の方は国際競争でどんどん安くなっておる。当初立てた計画、価格の面では、関税等の引き上げをいたしましたけれども、もちろん調整ははかれない、いわゆる均衡もまだとれない、こういう実情にございます。しこうして、ただいまの段階では、高いものと安いものとどういう割合にいたしますか、業界等で十分一つ工夫を願う、その形において調整をはかってみよう、総体のコストが安くなればけっこうだ、かように考えますので、それをやめるわけにはいかないものですから、またこれから採用の範囲を拡大していくもの、両方の調整をとっていく、実はこういう考え方でございます。
  130. 久保田豊

    久保田(豊)委員 この前大臣の御答弁の中で、高いものと安いものと、それぞれ業者が自主的にうまくとっていく、これはとれるわけがないと思うのです。ですから、やはり外国でもどこでも、この点は非常な悩みの種になっておるようでありますけれども、何らかの形で国が調整をして、両方十分使えるようにしむけるよりほかにはないと思うのであります。そのしむけ方といいますか、しむける具体策がない限り、石炭の方は千二百円コスト・ダウンをして五千五百万トンだけは確保するといってみたところで、これは石油がますます安くなってくる。大勢はそうでしょう。そうなれば、それは追っつかなくなってくる。また合理化するといっても、私は合理化々々々とやったって、これはとうてい石炭そのものが石油のコスト・ダウンについていけるという情勢ではないと思うのであります。ですから、そこらにはっきり両方を合わせた上で、これは何らかの対策を立てなければならぬと思うのですが、この点が一つもはっきりしていない。その基礎になるのは何かといえば、私は日本の国民生活もさることながら、一番土台になるのは何といいますか、日本の産業のエネルギー・コストをどのくらいにするのがいいかということがやはり一番根本だ、こう思うのです。  それで通産省で資料をいただきますと、三十二年度、三十三年度だけの全体のあれでありますから、最近の状況はわからないわけですが、これによりますと、こういう計算でいけば、エネルギー・コストは三・七、こういうことになっておるわけです。外国の方の資料をとってみますと、これは計算の基礎がうんと違いますからわかりませんが非常に高い。ところが話によりますと、これが二ぐらいになっておるという話なんです。もしここでもって、通産省で今私の手元にくれたように全体のエネルギー・コストが高いならば、私はこの限りにおいては石油なりあるいは原油なりが相当関税をかぶって、そういったものから出たもので石油産業そのものの育成をはかっていけるし、石炭産業の補完といいますか、そういう意味での政策というものは当然持たなければならない。片方の外国のものは実は非常に計算の基礎が違うようであります。違うようでありますが、この辺がどういうふうになるかということを私はもう少し政府としては正確に調査をして、その基礎から立てるというのがやはりほんとうだと思う。その基礎がない限り、これは大臣の言ったような通りになると思うのです。高いものと安いものと一応やって片方はますます安くなる、片方はおそらく千二百円というのがぎりぎりでしょう。それでもあれだけの需要を出しておる。これ以上そんなに安くなるという条件はないと思う。そこらは、そこまでいったのだから、あとは業者でそれぞれ適当にやるように行政指導をやるという程度では、エネルギーの総合政策にも何もなっていないと思うのです。その点、どういうふうに考えておるか。  それから同じく政府で調査したエネルギー・コストを見ますと、火力発電における燃料費の割合が、通産省の方から出されておる。これで見ますと、大体古いものについては、燃料費のパーセンテージが七〇・五%になっておる。それから新しいものについては大体五二・二%になっておる。ここらの説明をもう少ししていただきたいと思うのです。
  131. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの表については、事務当局から説明をいたさせます。  ところで先ほど非常に抽象的なお話をして、その点では納得がいかないという御指摘でございます。しかし、すでに御承知のように発表した電力については三百万トンの増加需要、こういう問題も長期取引のあっせんが成立いたしております。こういう点に業界の協力、これが具体的な問題として出てきている。この点を御了承いただきたいと思います。
  132. 江上竜彦

    ○江上説明員 エネルギー・コストに関しまして御説明申し上げたいと思います。  日本のエネルギー・コストを工業統計で見ますると、昭和三十三年度が三・七%、三十二年度においても三・七%、これは製造工業であります。これは電力産業等は除いております。それからこのエネルギー・コストの出し方は、付加価値まで含めた生産額、燃料使用額、それから購入電力使用額、これを合わせたものとの割合、それをエネルギー・コストと見たわけでございます。従って、この数字は政府としては工業統計から出た信頼すべき統計による数字である、かように考えております。  それからヨーロッパのエネルギー・コストにつきましては、フランスとかドイツの雑誌等で見ますと、割合にこれは高い数字が出ておるわけでございますが、その差異は非常にわからない点が多いわけでございます。たとえば正味生産額——こちらの生産額に当たるのが正味生産額となっておりますが、これは説明がありませんので、はっきりしませんが、付加価値などを除いたものでしょう。従って、日本の場合の生産額という場合と非常に違って、もっと低いものが分母になる。従ってエネルギー・コストが高く現われるということが一点と、それから、たとえば鉄鋼業なんかについて非常に高いエネルギー・コストになっております。たとえますと、製鉄業などについて、ドイツは三八・五%というエネルギー・コストがかかっておるようになっておりますが、これは非常にわからない。想像しますと、原料炭が入っておるのじゃなかろうか。従って、エネルギーとして使用されない、原料として使用される石炭までが入っておる、そういうふうないろいろな統計上の違いからして、割合に高い数字になっておる、かように想像されるわけでございます。なおヨーロッパのエネルギー・コストについての話を聞きますと、大体ヨーロッパにおいてはエネルギー・コストは平均二%くらいではないか、こう言っておられるわけでありますが、これは的確な資料はやはり入手できなかったということでございまして、今のところヨーロッパの石油市場については信頼すべき資料は実は残念ながらないわけでございます。しかしながら、石炭は日本に比べて非常に安い、石油日本に比べて高いという点から総合して考えますと、日本とそう違いはないのではなかろうかというのが、私の個人的な想像でございます。  それから次のお尋ねは、火力発電における燃料費の割合が、過去に比べて非常に下がっておる。二十九年の原価における燃料費の比率は七〇・五%でございますが、三十五年の新設の火力の原価としましては五二・二%というふうに下がってきておる。この理由でございますけれども、エネルギー・コストを示します場合にパーセントでやっておりますから、総体的な関係であろうかと思います。それで、どうしてこの比率が下がったかといいますと、いろいろな原因はあると思いますが、一番大きな原因は、資本費の比率が総体的に上がってきた。つまり最近における目ざましい経済成長に即応するために非常に大規模な開発というのを毎年やらなければいけない。ことしで見ましても、電力だけで四千億くらいの設備資金が要るわけでございます。そういった設備資金、これは自己資本でまかなえる部分が非常に少なくて、外部の借入金あるいは社債、そういったものでまかなう分が非常に多いわけでございますから、金利なども高くつくわけでございます。減価償却、法人税、事業報酬、固定資産税、こういったようないわゆる資本費というものの比率が非常に高まってきた。そのために相対的には燃料費の占める比率が少なくなって、資本費の比率が高くなった、これが一番大きな原因であろうかと思いますが、そのほかに、石炭も合理化によりまして、石炭の価格というものも逐年下がってきておる。それから一部について重油専焼というものを始めておりまして、重油の値段は安い。従って、新設の火力発電所というものは燃料費の割合が下がってきている。こういうふうに私としては考えて射る次第でございます。
  133. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点をもう少し突っ込んで話してみたいのですが、きょうはほとんど時間がありませんから、次の問題に移ります。  次の問題は、各同僚から質問がありました通り日本石油業界の一番のガンといいますか、それはほとんど外資がこれを占めておる。その外資の流入をどうしてだんだん少なくして、自主性を持つかということがやはり基本だろう。それなくしては何としても安く、安定という線までだんだんいかないというふうに思うわけです。そういう観点と、もう一つ私は見落とされた観点があるんじゃないかと思うのは、貿易上の関係という、ものをもう少し私ははっきり認識する必要があるんじゃないか。去年の石油の輸入国をずっと拾ってみますと、これは一番大きいのがサウジアラビア、クエート、イギリスずっとあります。これを見ますと、石油輸入国十一のうち、大体において貿易じりが毎年プラスになっておるというのは二つしかありません。プラスになっておる国というのは、インドネシアとオランダだけです。あとは全部マイナスになっておる。その総計は大体十四億七千万ドル以上になっておるわけです。その一番大きいのはもちろんアメリカです。こういう格好になって、石油の輸入量の一番多いサウジアラビアとかクエートは二億ないしは一億一千万というふうな赤字のように、通産省から出してもらっている資料ではなっておる。石油というものは、去年あたりは全体として輸入量が六億六千万ドルという数字が出ておりますが、これが将来ますますふえて十五億ドルないしは十八億ドルになるということになるわけです。一商品としては一番大きなあれになると思う。ですから、これにどう貿易的に対処していくか。国全体の経済を考える場合に、どうしてもエネルギー資源を安く、安定してとるかということと同時に、この貿易上の観点をどう調和さしていくかということが、私は一番重要な問題になると思う。少なくとも私は、大臣の考えと違うかもしれませんが、日本の外貨事情の窮屈さというものは、今後当分続く、決して今までのように短期に解消できるものではない。これは日本の輸入商品として一番大きな商品になっております、これからもなると思います。従って、これの見返りに日本の商品を十分買うようなところから石油をよけい買ってくるという点を考えぬことには問題にならぬと思う。貿易は国別になっておりますけれども、この実態はどうかというと、大体において米英資本、特にアメリカ資本がこの実態のほとんど大部分をつかんでいるということになろうと思う。従って、アメリカ日本との関係の貿易の赤字というものは、いわゆるこの石油関係を考えないと、今出ているように、十億ドルとか十三億ドルというよりも、はるかに大きいのではないか。ですからこの観点からアメリカを中心とする国際石油カルテルの支配力をどうして少なくし、牽制していくかということが私は中心になると思いますが、この点についての大臣のお考えはどうでしょうか。
  134. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 石油は、もちろん石油が原料であるという面から、また国内資源がないという面から、日本の産業を拡大すれば、他の鉄鉱石やあるいは原綿、原毛同様に輸入はふえてくると思います。従いまして、バランスをとるという観点に立てば、そういうものに対して当方の製品、石油製品をも含めてまた輸出ができればいいわけでございます。  そこで、できるだけ二国間の貿易を均衡さすという意味で、ただいま御指摘にありましたクエートなどにつきましても、当方の品物を買いとってくれるように、いわゆる輸出が増大するようにいろいろ交渉あるいはそれぞれの手を打っております。手を打ってはおりますが、御承知のように、非常に人口が少ないとか、生活程度がどうだとかいうようなことがありまして、なかなか両国間の均衡は困難でございます。他の委員会久保田さんにお答えしたかと思いますが、ただいま両国間のバランスをとるという貿易の態度をとっておりますのは、日ソ間でございます。日ソ間においてはそういう態度をとり、その他の自由主義諸国間ではいわゆる総体においてバランスをとる、こういう貿易政策を実はとっておるわけでございます。しかし、もちろん日米間においてバランスがとれないまでも、今日のような非常にはなはだしい不均衡に、これに是正していかなければならない。また同額にはならないが、大体日米間の貿易は輸入一〇に対して輸出八、そういうところが実現すれば大へんいいのではないか、こういうような目標を立てて、それぞれ指導しておるということでございます。ただ御指摘になりますように、油を買うからそれに見返りのものを買い取れ、かように申しましても、それぞれの国の事情がありますので、御趣旨の通りの数字はなかなか出て参りませんけれども、気持の上から申しますと、御指摘の通りのような考え方で、貿易の拡大をはかっていくというのが現状でございます。
  135. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで気持は同じだというお話でしたが、気持だけでなく、やはりこれは政府の中でもそう言っておりますように、外貨の節約になる輸入——これは現実にはアラビア石油ないしは北スマトラ、こういうことになろうと思います。こういうものとか、あるいは少なくとも石油をこれだけ入れればそれの見返りとして相当に日本のものを買い得るところ、具体的に言えば現実にはソ連だろうと思います。クエートだとかサウジアラビアとか、これで見ますと、サウジアラビアから大体において一億三千万ドル、クエートから二億四千万ドルの石油の輸入があることになっておりますけれども、これは表面づらの数字じゃないかと思うのです。この実体はほとんどアメリカなりイギリスなりが握っておる。従って、そういうところのものをできるだけ少なくして貿易上の均衡をとるという趣旨を、相当これは気持だけではなく強く当たっていいんじゃないですか。日本向こうからいえば一番いいお得意で、向こうは一生懸命やっているから、ぐずぐずぬかしたらお前のところはとらぬくらいの気持を持ってやっても、今の世界の供給過剰の時代に、しかも、七大石油の力がある程度混乱をしつつあるような状況から見て、こういう機会にこそ日本は強く出るべきだ、こう思うのです。こういう観点から見れば、石油に対して今自由化する、原油に対してはなぜ自由化しなければならぬかということがわからないわけです。この点はどうなんですか。
  136. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま気持と申したのが不適当なら、そういう方針でございますが、またそういう意味から、外貨の節約という意味でも、石炭対策というような問題が国内では必要になってくるわけであります。また民族資本としてのものも、そういう意味で強化するということが必要になってくるのでございます。ただ今、石油国際カルテルということがやかましく言われておりますし、御指摘になりますようにクエートといっても、またサウジアラビアといっても米英系じゃないかとすぐ御指摘になるように、石油資源が国際カルテルの支配下にある、こういうことが私どもの経済拡大にのしかかってきている大きな力だと思います。これをいかにして排除するか、こういう意味で、われわれは、必要な原油でございますから、また石油でございますからこれは買わざるを得ないが、同時に産業を拡大して見返りの意味で輸出を伸ばしていくという政策をとっていくということにならざるを得ない、かように実は思っております。
  137. 久保田豊

    久保田(豊)委員 一応保留しておきます。
  138. 早稻田柳右エ門

  139. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは委員長から注意があるまでやりましょう。  石油業法の詳細な点については、同僚各位から相当質問をされて、内容的に明らかになっておると思いますので、私は一応法律案の条項ということよりも、むしろ全体に含む問題について疑問の点がありますので、そういう点において少し質問をしようと思っております。  石油問題は、御存じのように非常に複雑です。石油業会社もそれぞれ異なる複雑な経営の立場を今日とっておることは御承知の通り政府が提案している今度の石油業法のような簡単なもので、はたして目的を達し得るかどうかという点に非常に疑問があります。石油業界の安定ということと、油を使う需要者への低廉な供給というようなことは、これはその目的を達成するためには相当問題が起こってくると思うのですが、こういう点において、その起こり得るいろいろな問題を解決し得るという確信を持っておられるかどうかという点に、相当私は疑問がある。石油業界の安定をはかってやろうということと、需要家に安く油を供給するということとは、相対立するものなんです。それをこの程度の法律ではたしてこの両者の安定をはかって、法律の意義というか、権威というか、それを保つことができるかどうかという点に、私非常に疑問を持っておるのですが、この点について確信があれば、その確信の点を一つ知らせていただきたい。
  140. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は、伊藤さん御指摘になりますように、いろいろの見方、いろいろの議論があると思います。もう一つ別な見方から見ていただきたいと思うのです。  それは何かと申しますと、今日の石油業界は、自由競争の花形、いわゆる自由経済の花形として登場し、しかも今日エネルギー革命だといわれておる、そういう業種でございます。これに対しての将来のあり方、方向を示す業法でございます。こういうことを考えますると、やはり現状に対して急激な変化を与えるということは望ましいことではないように実は思うのでございまして、そういう意味において、まず業界の自主的な調整あるいは自主的な協力、これを第一段階としては強く要望し、これによって目的を達すればもうそれでけっこうだ、かように実は考えておる次第でございます。
  141. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この問題は、今ここではなかなか解決しない問題だから、これはどこまでうまくやれるかどうか、一つお手並み拝見ということにしておきましょう。  それからこの条文の中で、石油審議会にあまりに多くの重要事項を委任しておるように思う。非常任の委員をもってこの困難な仕事を完全にやれるかどうかということも私は相当疑問を持っておる。これは悪く勘ぐるわけじゃありませんけれども政府自身ではあまりに複雑で困難な石油業界の問題であるから、その責任を審議会に一つ転嫁して、そうしていろいろ問題が起これば、審議会に諮問をいたしました、その答申でありますというようなことで、そこに私は一つの逃げ場所を作るためにやっておるような気がするが、はたしてこの多くの委任事項というものを非常任の委員の人々でやれると思っておられるかどうか、こういう点について一つお聞かせ願いたい。
  142. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん審議会で審議する、諮問する事項は重要な問題が多いのでございます。先ほど来他の委員にもお答えいたしたのでございますが、問題は、こういう基本的な業界のあり方に対してのいろいろの制約を加えるというような業法でございますので、その扱い方は慎重でなければならない。まして自由経済の基盤に立っておる私どもの態度といたしましては、これは慎重でなければならぬと思います。そういう意味からは、もちろん私どもは自身また責任を持って行政の衝には当たっておりますが、さらにその上にも慎重であるという意味で、万全を期するという意味で、そういう関係で各界の良識を集めて結論を得ていこう、これが望ましい姿じゃないか、かように思っておる次第でございます。これは別にただいま御指摘になりました言葉じりを取って云々するわけじゃございませんが、責任を転嫁するような気持は毛頭ございません。積極的な意味で万全を期するという意味で、こういう審議会を設けるという考えでございます。
  143. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 過去の例から見ましても、政府がこういう機関を作りますと、それをまあ官僚独善というか、あるいはいろいろ攻撃を受ける場合のこれを防波堤によく使っておるということは、これはまことにたくさんな例があるわけだから、どうも今度も、あまりに委任事項が多いから、私はやっぱりそういうことにうまいこと逃げ場所を作っておるというような気がしますが、これもあとでどうせどういうことになるのか、われわれ見ればわかることですから、これもお手並拝見の方に一つしておきましょう。  それから、石油精製品の価格が不当に高くなった場合に、また下落をするおそれがある場合に、その販売価格の標準を定めるのを、この法案の大きな一つの中心にしておるように思いますが、現在の日本の販売価格を世界の主要な国々の油と比較をしてどのくらい高いか、それから一応どのくらいなら日本でよろしいかということについて、日本で一応この程度にしなければ業界の安定ができないとか、あるいは大口需要家というか、そういうところの問題の解決ができない、だからおよその標準価格はどのくらいを妥当としておられるか、そういう点を一つお聞かせ願いたい。
  144. 川出千速

    ○川出政府委員 石油の値段の問題でございますが、例をガソリンと重油にとって国際的に申し上げますと、これは税抜きでございます。ガソリンについても重油につきましても、日本は大体において安い方であると思います。現在資料について申し上げますと、アメリカはガソリンが税抜きで一万五千四百円、イギリスが一万四千八百円、フランスが一万五千四百円でありますが、日本は一万円程度でございます。それから重油、これはいろいろな種類がございますが、C重油に相当するものと思われるもので比較して申し上げますと、アメリカで七千百円、イギリスが一万四百円、フランスが八千八百円、日本が七千四百円でございます。もちろん日本の場合ですと大口の取引の場合はこれよりも現在相当安くなっておるのではないかというふうに考えます。  現在の石油精製会社の経理状況でございますが、詳細な点はわからないのですけれども、過半のものは実質上赤字になっておるということも聞いておりますので、現在販売している石油なり重油なりの値段は、そういう点から考えると少し低いのではないかという点も考えられますけれども、それではどのくらいが妥当かどうかという点はよくわからないわけでございます。需要家の立場から考えれば、エネルギーの値段、石油の値段というものは安い方がいいわけでございまして、その辺は総合的に調整をしなければならぬ問題があるかと思います。
  145. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本会議が始まりましたので、本日はこれにて散会いたします。  なお明日は午前十時から、正時間に始めます、池田総理大臣も出席の予定でございますので、ぜひ正時間にお出かけいただくように重ねてお願いいたします。    午後二時七分散会