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1962-04-04 第40回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月四日(水曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員   委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       中垣 國男君    中川 俊思君       林   博君    岡田 利春君       加藤 清二君    久保田 豊君       多賀谷真稔君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         外務事務官         (経済局長)  關 守三郎君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局参事         官)      向坂 正男君         外務事務官         (経済局次長) 中山 賀博君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     須之部量三君         通商産業事務官         (企業局参事         官)      江上 龍彦君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      成田 寿治君         通商産業事務官         (鉱山局開発課         長)      飯塚 史郎君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油業法案内閣提出第一二二号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油業法案を議題として前会に引き続き質疑を行ないます。  本日は政府委員のほか佐藤公取委員長外務省中山経済局次長、同じく須之部外務参事官の御出席を願っております。  通告順によって質疑を許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 石油業法について質問いたしますが、本日は通産大臣出席できないようでありますから、主として公正取引委員会委員長あるいは外務省関係の問題にしぼって御質問いたしたいと思います。  まず公正取引委員長にお伺いをいたしますが、私が去る三月十三日の本会議において公正取引委員長質問いたした点で、その速記録を見た上で、速記録の上から一つ再度質問したいと思うのです。  佐藤公取委員長は、国内石油資本国際石油資本との間の国際契約独禁法第六条一項に触れる問題ではないか、こういう私の質問に対して、「現在のところは、外資系会社アラビア石油会社等原油引き取り拒否している事実はないように見受けられます。もし今後外資系会社アラビア石油会社等原油引き取り拒否する場合には、その引き取り拒否独占禁止法上不当であるかどうかを十分検討の上、独禁法第六条第一項の違反の事実があれば、同法に照らし必要な措置をとる」こう言っておるのですが、この引き取り拒否の事実がないから独禁法六条一項は発動しないのですか。独禁法の六条の第一項の趣旨一つ説明をしていただきたい。
  4. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法六条は国際契約で、この国際契約内容が不公正な取引方法に該当する事項等を含んでおる場合に、そういう国際契約はしてはいかぬという規定であります。従って、先般の答弁不当事項を含んでおって、それが実行されるということになれば明瞭になるという趣旨を述べたつもりであります。
  5. 板川正吾

    板川委員 佐藤さん、独禁法第六条は事業者の不当な取引制限ですよ。これは独禁法の二条の六項でしょう。それから「不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」というのですよ。不当な取引制限または不公正な取引方法——不公正な取引方法というのは二条の第七項でしょう。この六項の不当な取引制限の場合は、そういう事実がなければ、あるいは公取として問題を取り上げない場合があるかもしれない。しかし、不公正な取引方法という七項の場合は、御承知のように独禁法第二条の七項で、「不公正な取引方法とは、左の各号の一に該当する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものという。」というのですよ。おかしいじゃないですか、不当な取引制限のために、事実が十月以降発効しないというなら、それはそれでいいとしましょう。それでも問題はありますよ。ありますが、しかし、不公正な取引方法に該当する事項内容とする国際協定を結んじゃいけないというのですよ。不公正な取引方法というものは、第七項で、これこれしかじかであって、公正な競争を阻害するおそれがあるで、行為はなくてもいいのです。おそれがあれば、当然それは第六条によっておそれがあるのですから、この問題を取り上げるべきじゃないのですか、どうなんです。
  6. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 理論的に申しますと、お話通りであります。ただ、私が答えましたのは、現実にそういうおそれがある契約があり、しかしてその契約実行によって一定の事実が発生しておるということになれば、きわめて明瞭になるという意味を申したのであって、理論的に申しますれば、契約がありさえすれば、そういうふうなたとえば不公正取引内容とする契約があれば、その契約独禁法上結ぶべきものでない、こういうことは理論的にはお話通りであります。
  7. 板川正吾

    板川委員 理論的にも、法制的にもそうなんなら、どうして排除措置をとろうとしないのですか。あなたの本会議答弁はそういう事実がない、それは十月になってみなくちゃわかりませんよ。そういう事実がないから、その公正取引委員会では知らぬ。しかし、十月以降もしその事実があれば、よく調べて処置をする、そんなことは当然じゃありませんか。しかし、これは私の質問独禁法六条というのは、今言ったように不当な取引制限の場合は、あるいはそういうことが言えるだろう。しかし、不公正な取引方法ということを言う、私も言っておるし、独禁法第六条もそう書いてあるじゃないですか。それをなぜこういうようなでたらめな答弁をするのです。調査して必要があれば排除措置をとると言わないのですか。
  8. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 公取といたしましては、現在のところ、かくのごとき契約があるということを認めておらないわけで、そこでその措置をとっていないという意味であります。だから、そういう契約があるということを確認すれば当然措置をとる、こういう趣旨であります。
  9. 板川正吾

    板川委員 私は二カ月くらい前から公取に、独禁法の六条の二項によって、三十日以内に石油資本外資系との国際契約をした場合には届出をすることになっておるでしょう、その届出した内容をほしいと言っておったのですよ。私が言ったのは二月くらい前でしょう。しかし、どうしても持ってこなかったのです。それでようやくきのうかおととい私の催促によってしぶしぶ持ってきたじゃないですか。この程度内容のことは、たとえばアメリカならば、その国際石油カルテル内容について膨大な資料がありますよ。それを公表していますよ。なぜこの程度内容が公表できないのですか。なぜしぶっておったのですか。これによると、ある会社とある会社とが契約——名前は書いてありません。「日本における自己の製油所において必要とする原油全量を、本契約に定める条件に従って買主に売却、引渡しをなし、またはなさしめ、買主は、売主または売主供給者より上記の原油を購入し、受領することに同意する。」百パーセントとるということになっておるのじゃないですか。これは不公正な取引方法になる、また問題があるけれども、あなたの意見も取り入れるならば、実行に移されたならば、これは不当な取引制限だということになるでしょう。こういう取引制限は、不公正な取引は、独禁法違反じゃありませんか。この契約内容独禁法違反じゃありませんか。
  10. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 その契約は、いわゆる一手販売と申しますか、一手取引契約でありまして、一手販売契約につきましては、日本光学事件において審決してある通り、われわれの解釈といたしましては、外国会社甲日本会社乙との契約において、甲は乙の必要とする全量供給するというようなことは、いわゆる相互取引関係を緊密にするための契約であって、ただ、その契約のために、他の外国会社、その他国内会社もあり得ると思いますが、乙に売ることができなくなる、要するに、取引が実質的に制限されるという場合においては、これは問題だけれども、それでない限りは、かくのごとき契約だけでは不公正取引ではないという趣旨審決でありますので、われわれはそういうふうに考えておる次第であります。
  11. 板川正吾

    板川委員 公正取引委員長日本光学審決は何年前かわかりませんよ。しかし、不公正な取引制限、まあそれを厳密に解釈するとしましても、なるほどそういう契約をしても、それがお互い発展のためであり、現実競争制限しないということであれば、それは公取としては、有害でないから、正当な理由があるものとして取り上げないという方法はあるでしょう。それはあなたの今言う通りだ。しかし、それは何年前、たとえば数年前あるいは数年以上前ですか、アメリカ会社原油を全部供給していた、日本会社がそれを受けた、これはお互い発展のためで、現実競争制限することはなかったかもしれません。しかし、今はそういう売手市場であった時代と変わって、買手市場になってきたでしょう。ここ数年間アメリカから買わなければ、ほかからも幾らでも買えるような状態ができてきているのじゃないですか。そうすると、あなたが一生懸命逃げようとしている論理をそのまま言って、前はそれでよかったけれども、今の状態からいえば、これは明らかに競争制限をしておる正当な理由がない、従って不公正な取引だ、こういう判定がなぜ下せないのですか。それは数年前に日本光学事件がこうだからといって、いつになっても、そういう判例にたよって、現実のこういう競争制限している事態を排除しようとしないのは、これは公取委員長の怠慢じゃないですか。どう思いますか。
  12. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 日本における石油国際取引というものが、お話通り売手市場から買手市場に変わった、それはその通りだと思います。ただ、私どもとしましては、そういう情勢は変わっても、買手の方において他の石油が買えない、あるいは売手の方において他に売れないという状態が存在すれば、それはお話通りだと思います。ところが、現実においては、アメリカ以外の石油日本市場に売られるということもありますし、まだ取引制限が行なわれる段階に達していると思いません。将来、ことに自由化等の結果、かくのごとき状態が起これば、その実情をよく検討して、違法な国際契約になるかどうかという点は、研究したいと思います。
  13. 板川正吾

    板川委員 それはおかしい。独禁法六条は、不当な取引制限または不公正な取引方法内容とする国際契約を結んではいけないと言っているでしょう。不当な取引制限というのは、独禁法二条の六項でしょう。これは今言ったように、そういう事実がなければ、実質的な競争制限をするおそれがあるということでは、二条の六項では公取が乗り出すのはあるいは問題があるかもしれませんが、二条の七項で不公正な取引方法で公正な競争を阻害するおそれあるものについては、当然おそれがあるのだから、公取としても問題の解決に乗り出していいと思う。ところが実際は、日本業者は他から買える、だから競争制限していないというのですが、それではこの場合、どういう状態になったら不公正な取引方法に該当するのですか、どういう状態になったら不公正な取引に該当しないのですか、それを一つ示して下さい。
  14. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 不公正な取引方法にはいろいろな条項がありますが、石油の場合に一番問題になるのは、石油市場において売手買手において両方の契約がほとんど取引全量を占める、そういうふうな長期契約が結ばれた場合には、次の売手が現われた場合に、その売手は売る余地がなくなる、非常に狭くなる、こういう場合は排他取引と申しますか、そういうふうに思っております。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問——先日来盛んに国際契約の問題で独禁法六条との関係で議論をやっているわけですが、どうもよくわからないのですが、私的独占禁止法第六条は一体どんなことを内容とする規定なのかということをどんぴしゃに言ってもらいたい、これが一つ。  もう一つは、そのことについてあなたが先日来言っておられる日本光学株式会社に対する件、昭和二十五年判第五十五号及び第五十六号のことをあなたは言われていると思います。しかし、これと今われわれが問題にしているひもつき石油契約、これとは同じことですか。日本光学の場合は、なるほど国際協定でありますが、これはこちらが向こうへ行って販売をしようという契約なんです。ところが今われわれが問題にしているのは、向こうさんがこっちで一手取引をさそうということなんです。言うならば、日本光学の問題は、内地の法律問題でなく、むしろカナダ州のあるいはアメリカのアンチ・トラスト・ロー、このアメリカ独禁法向こうは見るべき問題なんです。全然立場が逆なんですよ。しかもその判決の最後には、「これを深く追及せずして」云々となっておるのです。それをもって伝家の宝刀のごとくこの問題に当たってくるのは筋違いだと思うのです。いかがです。
  16. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 売主日本人で、買主外国人である。石油については売主外国人で、買主日本人だ、その点はお話しの通りであります。ただ、日本光学の場合は、問題は、不公正取引売主相互自由競争を阻害するような排他的約款かどうかという問題である。そこで、日本光学以外のものでも、何も日本光学によって競争が実質的に制限されておらないというふうに考えておるのであります。それと同じように、今度の場合は売主アメリカ人買主日本人という国際契約において、アメリカ人日本へ売る場合に、すでに日本市場というものをほとんど独占するような状態になれば、次にアメリカ人であろうが、あるいは日本人であろうが、あるいはイギリス人であろうが、この余地がなくなってくる。こういう場合には、不公正取引だというふうに考えております。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 日本光学の場合の適用条文は六条じゃないのですよ。この審決文に見るように、二条七項第一号によって、あなた方はこの審決をやっておるのでしょう。われわれの言っておるのは六条問題なんですよ。事態が違うのですよ。
  18. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 国際契約内容が、ここに書いてあります通り、「不当な取引制限又は不公正な取引方法」というのでありますからして、「不当な取引制限又は不公正な取引方法」というのは、日本光学の場合と同じふうに解釈して、それを国際契約内容にしておるかどうか、こういう問題だと私は思っております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 日本光学の場合、問題になったのは、二条七項の不公正取引、あなたの方はそのことを当てはめておるのでしょう。そしてそれには、深く追及せずして、一応審判手続会社は取り消す、と、こうやっておる。今われわれが言っておるのは、これじゃない。この六条の協定、この法律によると、そういうことをしてはならない、そのことをどんぴしゃりとめておるわけです。そこで問題になるのは、私はあなたのそういうことでなくして、「不当な取引制限又は」云々、この何が不当かということにかかってくると思うのです。それはあなた方の出しておるこの公取告示、これと照らし合わせて、会社が出てくると思うのです。従って、日本光学の場合と違うのですよ。六条問題として、これを扱ったのじゃないでしょう。あなたこの間から盛んに日本光学のやつを言っておるけれども、これは審決文を読んでごらんなさい。六条問題として問題にならないとやっておるのと違うのです。二条七項の問題なんです、あなたの言っておるのは。われわれの言っているのは、第六条の問題なんです。それじゃ、六条でいう不当な制限とはいかなるものなりや、とここにかかると思うのですが、もう一度お答え願います。
  20. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 六条の問題であるけれども、六条の契約内容は、不当なる取引制限とか、不公正な取引方法、そこで不当な取引制限とは何か、不公正な取引方法は何かということを、六条の契約内容として考えなければならぬ。そこでその契約内容たる、「不当な取引制限又は不公正な取引方法」というのは、二条の六項なり七項なりになる、こういう意味であると私は思っております。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、この日本光学が、オーバーシーズですか、それとともかくやったんだ。しかし、それはむしろアメリカ法律によって見るべきものなんだ。それはもちろん日本業者だから、これはしてはならないというのは、売手買手両方かかるから六条問題になるけれども、むしろわれわれが質問しておるのは、日本光学とは反対に、こちらが受け身の場合を言っておるのですよ。しかもこの六条に、そうしてはならぬ、ぴしゃり言っておるのだから、結局ここで言う「不当な取引制限又は不公正な取引方法」、これが一体どういうものなのかということにかかってくる、これはあなたのおっしゃる通りなんです。  じゃ、一つ具体的に、いわゆる「不当な取引制限又は不公正な取引方法」について、もっとわかりやすく説明して下さい。
  22. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 日米間の契約におきまして問題になるのは、いわゆる排他約款かどうかという問題であって、排他約款ということになると、アメリカ業者日本買手に売った、そういう関係で、日本における石油取引というものは制限されて、新しい会社が出て、日本ではもう売れない、日本会社がやる場合、あるいは外国会社がやる場合があるが、売手はもはや日本市場へは入ってこれない場合、これは極端な場合でございますけれども、そういう場合にはいわゆる排他約款になる、こう思っております。
  23. 板川正吾

    板川委員 どうも公正取引委員長は、おかしいことばかり言う。この六条の違反というのは、たとえばアメリカ会社から日本石油を全部配給している。全部ですよ。で、よそから売ろうとしても買えない場合にはひっかかることになる。まあ多少でもよそから入ってきている場合は、それはいいんだ、こういうようなことを言う。しかし、そんなこと言ったら、ほかの同様なことの場合でも、日本市場の一〇〇%を取引しなければ、こういう契約違反にならないということになるのですか。たとえば今言われたように、一〇〇%全量を引き取るというのは、会社から言えば、その会社が一社ばかりじゃないでしょう。しかもその一〇〇%引き取ろうという契約を結んでいる会社が、日本石油消費量の過半数を占めているのじゃないですか。しかし、それが一〇〇%でないから、この六条に違反しないというのはおかしいと思う。それで、新しい会社が出て売りようがない、そういうことでなければいかぬと言っておるのです。これは通産省でも御承知のように、アラビア石油というのが日本人の手によって開拓されて、海外開発油として国内に引き取らなくちゃならないという状態になってきておる。そのアラビア石油は、開発して原油を持ってくるだけですから、原油を持ってきても、精製し販売しなくちゃならない。しかし、精製設備販売設備がない。そこで一つ精製して販売してもらいたいという要求があり、政府——これはとこの政府もそうですよ、イタリアだってそうです。海外開発油はみんなその国内で引き取っていますよ。しかし、引き取ろうとすると、このアメリカと提携している、外資と提携している会社は、この契約によって総量を引き取らなくちゃならないから、アラビア石油は、自由化後には引き取ることはできないと言っているのですよ。そういうおそれがあるのですよ。そうすると、この契約は、不公正取引によって、自主的競争制限する第六条の違反になるのじゃないかと言っているのです。なるほど今アラビア石油は多少入っております。数百万トン入っております。それは今言ったように、外貨割当によってやむなく受けている。しかし、自由化後は、この契約によって引き取れない、こう言っておるのです。だからそれは日本アメリカと提携している石油精製会社が、アラビア石油が高い、質が悪い、高いものを買えといったって買えませんと言うならわかるのです。しかし、この契約があるから、値段が幾らにかかわらず一切引き取れないというのは、これは不公正な取引じゃないですか。そのおそれがあるのでしょう、十月から。おそれがあった場合には、それは今公取としてこういう契約違反だということがなぜできないのですか。アラビア石油国内石油もわずか入っているから、一〇〇%でないから、競争があるからかまわないというのですか。独禁法の精神はそういうのですか。
  24. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 日本石油会社全量引き取るという契約をしているものもあるし、あるいはまた一定の割合だけ引き取るという契約をしているのもあります。また全然契約をしていないのもあります。そういう関係がありまして、現状におきましては、お話アラビア石油も引き取られておりますし、契約の効果によって引き取りが阻害されておるという状態には立ち至っておらぬと思う次第であります。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 もう一ぺん何したいのですが、問題は、六条に違反であるかどうかということなのです。その六条を解釈するのには、不公正な取引方法であるかどうかということなのです。それは二条七項に戻って、そうしてそこによって公取委員会告示に戻ってくるわけです。この告示は、昭和二十八年九月一日の告示第十一号の八ですね。こう見てきたときに、八でいうこれにぴったりくるのじゃないですか。さらにあなたが言っている日本光学の場合、ずっと審決理由等が書いてあるけれども、全生産数量の七・一、二%にすぎずということで、数量的にそう大したことはない、こういうことなのです。一方においては一〇〇%引き取らねばならない契約になっておるわけです。しかも告示十一号の八号では、「正当な理由がないのに、相手方とこれに物資資金その他の経済上の利益供給する者との取引、もしくは相手方とこれから物資資金その他の経済上の利益供給を受ける者との取引または相手方とその競争者との関係を拘束する条件をつけて、当該相手方取引すること。」、一〇〇%の取引をせねばならぬ、こういう条件は、競争者との間に相手方を拘束する事件にならないとおっしゃるのでありますか。
  26. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 八号のいわゆる拘束約款でありますが、今お読みになりました通り、「正当な理由がないのに」という重要な字句があるのでございます。それで日本石油関係を見ますというと、先ほど板川さんがおっしゃった通り、昔はいわゆる売手市場であった。そこで売手から何とかして買わないというと、日本の需要が満たされない。それについてこちらの資金関係等が非常に窮屈でありますので、外資を借りるなり、あるいはその会社の株式を外国資本が持つなりいたしまして、そういうふうな方法によりまして日本外国石油を入れたという事情はあるわけであります。その場合に、たとえば外資が入ってきた、外国資本が入ってきたというので、その外国が不当な値段で売るとか、あるいはその他不当な条件をつけるということになれば問題でありますけれども、普通の取引と変わらない値段、正常な値段、その他正常な取引関係向こうから売ってくる場合には、八号には該当しない。しかして現在におきましては、そういうふうに各契約は解釈できるものと思っておるわけであります。   〔委員長退席、内田委員長代理着席〕
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 八号は「正当な理由がないのに」ということから始まることはおっしゃる通りですよ。それが途中で「もしくは」ということで次に変わっておるのです。「拘束」に「正当な理由」がかかってきますか。
  28. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 「正当な理由がないのに」というのは、実は全部にかかると読んでおるのです。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 しかし、後段は「もしくは」で続いておるのですよ。ここでこの際法学の字句でこんなことを言いたくないのですが、あなたが抗弁をもってこじつけをやろうとするから、とつちも言っておるのですよ。「もしくは」ということにここで変わってくるのですよ。どうなんです。
  30. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 「正当な理由がないのに」というのは、私は全部にかかると実は思っております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃこの告示を出したときには佐藤さんは公取委員長でありませんでした。従って、この告示を出したときの委員長である横田さんをこの委員会に参考人に呼ぶことを要求いたします。
  32. 内田常雄

    ○内田委員長代理 それは理事会において後刻協議の上、決定いたしたいと思います。
  33. 板川正吾

    板川委員 この場合、「正当な理由がないのに」というのは、どういうことなんですか。
  34. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 たとえば単純に排他的な契約をするとかいったような場合、自分の競争を有利にするために第三者による競争を阻害する、第三者が自由競争ができないようにするというような場合は、正当な理由がないと思っております。
  35. 板川正吾

    板川委員 じゃ具体的にいうと、この場合、アラビア石油が、その会社が、との契約を結んでおる会社の値段よりも、たとえば品質等考慮して、安い値段、あるいはソ連油の場合はさらに安い値段、それを買いたくてもこの拘束条件によって買えない会社はどういうことになりますか。アラビア石油は別として、ソ連油は安いですよ。出光は大量引き取りしておりますが、アメリカと提携しておる会社は、ソ連油の品質のいいものを、安いなら、出光ばかりにまかしておかないで、おれのところも買いたいと思っておるのです。二割も安いのですからね。それが買えないのですよ。この契約競争ができないのですよ。だから実際拘束をしておって、競争制限しておるじゃないですか。それをどう思うのです。
  36. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 その面だけ見ればお話通りでありますけれども、どうして拘束されているか、買えないかということは、他に資金の援助があるとか、株を持っているとか、いろいろ問題がありますので、それらを合わして考えないと、その面だけで判断するのはむずかしいのじゃないかと思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 イタリアで同じような、ENIの子会社アメリカ石油と提携している会社がありますよ。資本が五〇対五〇でやっておりますよ。それは拘束されるとしたら五〇%です。一〇〇%拘束されてませんよ。それは資本金五〇出したから五〇はひもつきで、一つその会社から物を買う。これだって独禁法の精神からいえばいけないのですよ。金を借りたら、借りた元金を保証したらいいじゃないですか。投資したら配当で返せばいいじゃないですか、それで向こう利益を受けるのですから。投資をした、株を持つのじゃないですか。だからたとえば私が五十歩譲って、五〇%出したから五〇%の原油は引き取ってくれというなら理屈としてわからぬでもないだろうと言うのだ。しかし、この契約は一〇〇%じゃないですか。ソ連油が安くたって買えないじゃないですか。こういう実情の上からいって、実際に正当な理由がないということ、それからこれは明らかに不公正な取引、不当な取引制限という条項に当然ひっかかるだろうと思うのに、事実がなければやらぬというのは、これはどういうことだ。事実があるじゃないですか。こういうことがはっきりしておっても、これは事実がなければ、公正取引委員会は何もしないというのですか。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。——先ほどの板川君の質問に対する答弁であなたは語るに落ちてしまったんですよ。ソ連石油が安くても買えないじゃないか、拘束しているじゃないかと言ったら、その面だけでいえばまさにその通りである、しかし、株を持っているとかなんとかによって、一がいに言えない、こう言ったのですね。株を持っているとかなんとかということが、それ自体が経済的有利を利用しているじゃないですか。まさにどんぴしゃですよ。どうなんですか。
  39. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 その点は契約ができたいきさつを考えてみますと、売手市場と買い手市場の問題になってくるのです。売手市場の場合におきましては、どうしても石油を手に入れなければならない。そういうことになれば、しかして金を借りているということになれば、ああいうふうな契約を結んだって、そう僕は無理だとは思いません。しかし、情勢が変わってきて、買手市場になる、将来自由化するということになれば、さらに事実をよく検討しなければならぬと思いますけれども……。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたの言をもってすれば、もしそういうことによって拘束したらということになるんだ。拘束はすでに始まっている。行なわれているんですよ。同時に六条はそんなくだらぬことをいうておらぬ。そういう契約を結んではならぬといっているんですよ。それなのにあなたはなぜそこまで詭弁を弄して、独禁法を守ろうとせぬのか。あけていこう、あけていこうとするのか。そういうことであなたは公取委員長としての職務が勤まりますか。公正取引委員会独禁法の守り神なんだ。まさに公取委員長のみが独禁法によって権利を持っているわけなんだ。そのあなたがそんな頭で独禁法を守ろうとしたら、せっかく独占禁止法も泣くと思うんですよ。言うならば、あなたは独禁法を運用する公取委員長としては不適格だということになるのですよ。そういう詭弁な弄して法律の抜け道をあなたの方から出してくるようなことは、われわれは絶対に承服できません。そうでなくても産業界並びに通産省等は独禁法が目のかたきなんですよ。くずそう、くずそうとしておるのだ。それを必死に守っていくのがあなた方の役目なんですよ。にもかかわらず、あなた方自体が今私たちとの答弁の間に起きておるような詭弁を重ねて、何とか独禁法にかからないのだと逃げようとしておることは、あなたの職務からいってあり得べき態度じゃないですよ。
  41. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 私の答弁が今お話しのように受け取られたことは、非常に遺憾に存ずるわけであります。しかしながら、私たちといたしましては、お話しの通り独禁法というのは、消費者の利益であるとか、あるいは中小企業者利益を保護する立場にある、そういう点は十分考えておりますし、われわれといたしましては、どこまでも公正にやっていこうという考えであります。われわれの力の足らぬ点はいかようにも努力をいたしますけれども、気持は決して独禁法について詭弁を弄して、資本家の利益を守るというふうに誤解されることは、非常に遺憾に存ずるわけであります。この問題につきましては、実は国際契約につきましては、われわれの方の委員会において、目下いろいろ問題を検討しておるのでありまして、将来自由化に備えまして十分実情を研究して善処したい、こういうふうに思っております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法自体が消費者を守るのだ、独占からあるいは不公正取引から消費者を守る、あるいは弱い者を守る、こういう法律なのです。その上に立ってあなた方が運用する、そうでなくてはならぬし、今あなたはそういうふうに言われたのです。そこであなたは今最後に、おかしいから、われわれとしても委員会を開いて検討しておると言われた。そういうことなら、初めから率直に言いなさいよ。そういうような国際契約はどうも今までのときと事情も変わってきた今日、どうも独禁法第六条の違反があるという疑いが濃厚になってきたので、委員会において検討します。なぜそう言わないのです。初めからそれを言ったら問題がないのですよ。
  43. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 実は御質問があったものだから、何とか答弁しなければいかぬと思ったわけです。相当研究する余地があります。その点ははっきり申し上げます。
  44. 松平忠久

    ○松平委員 ちょっと関連して——今の問題についてちょっと事例を申し上げて、公取委員長の見解を聞きたいのだけれども、そういういわゆるひもつきの国際契約を結んでいるために、自由化になっていない今日においても、アラビア石油原油というものは各会社引き取りたがらないわけです。そこで、これを引き取らせるためにどういう措置をとっているかというと、政府が行政指導して、引き取りを要求して、引き取らせているわけです。このことはすでに自由な売買ではありません。政府が行政指導によってそれをやっているということは、すでに独禁法違反の疑いがある国際契約というものが存在するということを前提としているというふうに私どもはとっているわけだけれども、それに対してどう考えますか。
  45. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 今アラビア石油の問題は、お話しの通り外資審議会で外貨割当によって、アメリカと一手買い取りの契約をする会社がありますことは、いわば不可抗力条項というので買っておるわけです。それでありますから、お話しの通り、そういうふうな外貨割当制度がなくなれば、いろいろ問題が起こると思っております。そういう意味国際契約については従来私の方の研究か、必要があまりなかったもので相当不十分な点があった、そこで目下一生懸命勉強している最中で、一応私はその委員会のそういった範囲において一応の答弁をしたわけでありまして、この国際契約、ことに自由化ということになりますと、この問題は非常に大きな問題なのです。そこで十分研究したいと思います。
  46. 松平忠久

    ○松平委員 それはあまり研究しなくたってわかっていることなんです。今委員会を開いて研究しなくても、自由化になればどういうことになるかということはわかるわけで、自由化になったならば、この国際契約独禁法違反になるのです。その場合に、あなたはどういう態度をとられんとしておるか、これに対して国際契約違反であるから解消するのだ、やり直すのだ、そういう勧告か何か出す用意はございますか。
  47. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 これが六条違反国際契約ということになりますれば、法律的に申しますれば排除措置をとるのであります。しかしながら、いろいろな事情がありますからして、円滑にいくならば事実上の勧告をして契約を改めさせる、その契約を改めない場合には排除措置をとる、こういうことになると思います。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたの方も何かなければやりにくいと思うから、ここであらためて私はあなたに対して、独禁法四十五条の手続をとります。その内容は、ここに出されてきておるこの契約ABCDとなっておりますが、これをそのままの姿で——会社はわかりません。具体的にこの事実について違反があるとして、独禁法四十五条の手続をただいまからとります。従って、それ以降に設けられた調査その他を直ちに開始せられるよう、私は公正取引委員長に四十五条の手続をとったのですよ。いいですね。
  49. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 いわゆる申告の手続でありまして、その申告があれば私どもの方ではそれに基づきまして事件の処理をいたします。
  50. 内田常雄

    ○内田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 内田常雄

    ○内田委員長代理 速記を始めて。  その手続はとれるのですか。
  52. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 実際問題といたしましては、大体書面によっておるのでありますけれども、法律上書面によらなければならないという規定はないのです。ただ口頭でもいいわけです。だから委員会外において田中さんが申告したということになれば、独禁法としては差しつかえないのじゃないかと思います。
  53. 板川正吾

    板川委員 この問題は、公正取引委員長が、初めから疑いがあるからこれは検討するということであれば、そう大した問題じゃなかったのであります。あなたが事実があればやるとか、今はないとかと言うから、あるいは一〇〇%拘束していれば問題だけれども、まだ相当数が自由に買えるのだから、心配ないのだというようなことをいろいろ言うから問題になったのであって、一つさっそく委員会を開いて、この問題につき取り組んでもらいたいということを要望します。  それから、これに関連して実は外資系石油会社のカルテル行為、こういう問題について私ははっきりしておきたいと思うのです。それは昨年の暮れから本年にかけて盛んに新聞等で報道された出光、東武鉄道の事件です。その内容はどういうことなんですか。これはこの法律関係があるのです。国際石油資本というのが、日本石油市場を支配しておって、しかもカルテルを結んでおるという実態があるから、それをはっきりしたいのですが、出光と東武鉄道の安売り事件、廉売事件というのですか、その内容はどういうことですか。
  54. 小沼亨

    ○小沼政府委員 ただいま資料そのものを手元に用意しておりませんので、正確な御回答はできませんが、後刻また資料をお届けしたいと思いますが、結局東武に納入しておる販売関係の協同組合と申しますか、そちらの方から、いろいろとこの納入に対して会社側に重大な取引関係もあって意見を述べたということで、結局会社側の方でいろいろと将来のそういう取引その他を考えられまして、出光の取引を、安売りというのを通常行なわれておる取引価格にかえて納入したという形であると思います。
  55. 板川正吾

    板川委員 今石油は価格は自由ですね。そうして石油業界で不況カルテルは結んでおりませんね。不況カルテルの認可は受けておりませんね。そうして入札制度である会社が入札をした結果、新しい顧客をとった。しかし、これが、消費者の方からいえば安く買うことができた。ところが石油連盟が中心になって結局もとへ大体戻した。買う方ではその値段で注文もできない。各社別の割当、シェアもきかない。とにかくカルテルの一方的な申し合わせを押しつけられたような形になっておるのじゃないですか。こういう行為独禁法上どういうことになりますか。
  56. 小沼亨

    ○小沼政府委員 今回の東武の問題では、いわゆるメーカー団体の連盟であります石油連盟は直接関係がないということでございまして、中小企業等協同組合法に基づく協同組合が関係しておるということで、メーカーの不況カルテルの価格協定はございませんが、協同組合法による中小業者の納入価格の協定、そういう協定はあったようでございます。従って、従来納入しておる中小協同組合の取引から見て、非常に不当に安いということで東武側に働いた。東武側としては、これは政府ではございませんで、民間企業でありますから、いろいろの配慮をされて入札した取引を一般的な値に切りかえられた、そういう解釈をしております。
  57. 板川正吾

    板川委員 安く入れたけれども、販売協同組合を作っておる人たちが東武に申し入れてもとの値段にしてもらった、こういうことですか。
  58. 小沼亨

    ○小沼政府委員 そういうことでございます。
  59. 板川正吾

    板川委員 しかし、それは私の新聞寺から知った事実とあるいは違うかもしれませんから、その経過と法律的な根拠を文書で出していただきたい、それに基づいて再質問をいたしたいと思います。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 今の板川君の質問に関連してですが、中小企業等協同組合法に基づく組合がこういうことなんですか。協同組合がそういうことができますか。中小企業等協同組合法の何条によってできるか、一ぺんはっきり示して下さい。そういうことができますか。
  61. 小沼亨

    ○小沼政府委員 協同組合は調整行為はいたしませんが、それは協同組合法ができましたときも、この中に共同施設ということがございまして、結局共同施設を利用して協同組合のメンバーが共同販売をするということになりますと、価格はおのずから結果として一致するということでございますが、当時の解釈としまして、相互扶助の協同組合の共同施設ということで価格の協定が事実上認められてきておる、そういうことでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 重要な発言ですよ。そういう共同施設を利用することによって事実上のカルテル行為が認められておる、こうおっしゃるのですね。そうすると、中小企業等協同組合法の解釈において重要な問題が出てくるのです。その答弁に間違いありませんか。
  63. 小沼亨

    ○小沼政府委員 いわゆる価格協定と申しますか、協定つまり中小企業団体法の……(田中(武)委員「団体法と違うんだ、協同組合法だ」と呼ぶ)いわゆる協定としての拘束でなくて、事実上共同施設を利用して販売するということになりますと、おのずから一致するということで、縛り合ってこの価格で制限するという意味ではなくて、おのずから一致してくるんじゃないかということで申し上げたわけでございます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは公取の事務局長ですか。それではあなたちょっと無理だよ。ことに公取の事務局長がそんな間接的なことで暗に協定ができることを認めれば、これはまたあなたも失格だ。これは板川君が文書でもって要求しておられたから、それにつけ加えて、今あなたの言ったことを中小企業等協同組合法のどれによってそういうことができるか、なおアウトサイダーの規制が中小企業等協同組合法によってできるのかできないのか、法律的根拠を明らかにした答弁をいただきたいと思います。
  65. 小沼亨

    ○小沼政府委員 ただいまの点は、後刻資料でお出しいたします。  協同組合につきましては、最近非常に価格の問題がありますので、私の方の委員会としては、非常に問題にしておるということは事実でございます。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 文書で今言ったこと——それがあなたのような言であるならば、暗に協同組合がカルテル行為をすることを認めるということになれば大へんな問題になる、そういうこと、及び今あなたが答弁したことが協同組合法のどれに当たるのか、何条によってそういうことができるのか、さらにアウトサイダー規制が協同組合法でできるのかできないのか、できるとすれば何条によってできるのか、こういうことを、今言ったってあなたわからぬから、勉強して文書でもってお答えなさい。
  67. 板川正吾

    板川委員 その点については、一つ報告書を見た上で、また質問します。  次に、これは外務省でも通産省でもいいんですが、出光のジェット機燃料をボイコットするというアメリカ国防省の声明がありました。その後、新聞等によると、国防省が独断でやったので、外務省は国務省を通じて申し入れしたということが言われておるのですが、その後の様子、実際申し入れた結果どうなったのか、あるいは出光ジェット機燃料をボイコットしたのはその後どういうようになっておるのか、この点について一つ実情を知らせていただきたい。
  68. 中山賀博

    中山説明員 お答えいたします。この問題につきましては、政府としてあるいは外務省として抗議をするというようなことはございません。ただ、国務省に対しまして、事実の照会をいたしたことはございます。これに対して国務省側から、国防省の判断と決定によってそういう措置がとられたということ、そしてこの問題は必ずしも全般的な問題ではなくて、出光一つのシングル・ケースとして処理したというような情報の提供があったと聞いております。
  69. 板川正吾

    板川委員 通産省でも外務省でもいいですが、どういう理由で国防省がボイコットしたのですか。そのボイコットされたことを看過してきたのはどういう理由なんですか。今言ったように、事実は照会したが、国防省が勝手にやったんでしょうといって、それだけですが、それは正当な理由があればやむを得ないかもしれませんが、とにかく国防省のそういう声明によってボイコットされた理由はどういうのですか。これは国際慣習上そういうことが妥当なんですか、当然なんですか、日本アメリカの植民地だからやむを得ないというのですが、その点について一つ見解を伺いたい。
  70. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。この問題につきましては、国防省としては深い理由を示さずして、ただ自分の方の売買の都合で出光をキャンセルするということを申したように承知しております。
  71. 板川正吾

    板川委員 いや、気に食わないから買わないというのですか。深い理由を示さないというのは気に食わないから——それは全般的にこういったジェット燃料を買わないというなら話はわかりますが、特定の会社を指名して、それでお前のところは文句も言わせずに——従来は買っておったでしょう。それで、買っておったものを、深い理由も示さずに、気に食わないから買わないということは、国際商慣習上そういうことが当然なんですか。アメリカが言うから外務省はやむを得ないのですか。
  72. 中山賀博

    中山説明員 向こうの立場といたしましては、自分の方としては商売上の理由、つまり売り買いの方の理由でこの一年間見合わせたいということを申しております。深い事情があるかどうかということについては、われわれは承知しておりません。
  73. 板川正吾

    板川委員 これは通産省でもいいのですが、国防省の声明の内容がわかりますか。
  74. 川出千速

    ○川出政府委員 これは新聞に載った記事だけしか私は承知いたしておりませんので、その要旨を申し上げますと、国防省は、ソ連の原油からできた製品を使うことはどうも好ましくないというような趣旨のこと、それからよく記憶しておりませんが、この措置は個別の問題であって、しかもその措置によってその目的を達するというようなことは、毛頭期待はしていないというような意味の記事であったかと存じます。
  75. 板川正吾

    板川委員 別に私、出光に肩を持つわけじゃないのですが、十二月の二十二日の読売新聞にこういうように書いてありますね。ワシントン支局発として、「米国防省は二十一日出光興産がソ連の原油を輸入している理由からジェット機用燃料の米軍納入契約を打ち切ると発表した。この発表によれば国防省は「政策として」ソ連原産の製品の買い付けを避けようとしているとし、とくに出光一社だけの名前をあげて同社のソ連原油買い付けが近年いちじるしく増加している事実を指摘し来年一月から一年間JP−4ジェット燃料の納入契約を同社とは結ばないよう米軍石油供給局に指令した」といっておるのですね。しかし、一面またこの出光側のことが朝日新聞に出ておりますが、出光が全部ソ連石油を買っておるわけじゃないんですね。ソ連石油を買っているのは出光全体の一〇%か一五%ですから。それであとはアメリカ系の石油を買っているのですね。しかもジェット機の燃料はアメリカ系の石油を買って、その中からジェット機燃料を納入しておったんですね。ソ連油をやっておったんじゃないんですね。だからこそ今までずっとソ連油は入っておっても、出光を買っておったと思うのです。そうすると、これは出光が納めたジェット機の燃料の中にソ連油が原料であったというなら、これはボイコットされてもアメリカの自由だということになるかもしれませんが、アメリカの油を買っておって、アメリカのこういう機関に納めて、しかも一〇%ないし十数%のソ連油を、国の政策によって、日ソ貿易協定によって引き取った。ところがそれはけしからぬから、出光の石油は買わぬというのは、どうもわれわれからいえば、国内干渉じゃないかと思うのです。とういう事実があるのに、外務省も通産省も、これに対して新聞の報道程度しか知らぬというのはどういうのですか。あまりに不熱心じゃないですか。いまちょっと問題を究明したり、向こうに不当な処置があれば釈明を求めるなりしたっていいんじゃないんですか、お互いに独立国なんですから。なぜ一言も言わないんです。
  76. 川出千速

    ○川出政府委員 私の省は直接外国と接触するところではございませんので、外務省を経由して向こうに申し入れをするわけでございますが、出光のケースは、先ほどお話がございましたように、通産省としては遺憾であるというふうに思いまして、外務省の方に申し入れをしてございます。外務省から、おそらく今後こういうようなケースがないように、あるいは少なくとも事前に協議くらいやってもいいんじゃないかというような話があったということを間接に聞いておりますけれども、私は直接その衝に当たっておりませんので、これ以上のことは今わからないのであります。通産省として全然何もしなかったということではないということであります。
  77. 板川正吾

    板川委員 外務省、いかがですか。
  78. 中山賀博

    中山説明員 私、このこまかい経緯を実はよく承知しておりませんので(田中(武)委員「わかっておる人を呼ぼう」と呼ぶ)私の承知しておりますところでは、事実を調査したところが、向こうとしては、もっぱら商業上の自由ということを言って、こちらとしては、今通産省で仰せられたように、そういう事態のあることを非常に遺憾とするということを申し入れたところでございます。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行——今の答弁のように、私は詳しいことは知りませんというのが外務省の答弁なんですので、詳しいことを知っておる人に直ちに出頭していただくことを要求いたします。
  80. 内田常雄

    ○内田委員長代理 経済局長を呼ぶように連絡いたしますから、その間質疑を続けていただきたいと思います。
  81. 板川正吾

    板川委員 では、その点は経済局長にお答えいただきますが、私がこういった問題を取り上げたのは、日本石油業界を支配しておるのは、いわゆる外国石油資本であろう。出光が気に食わないからといって、国防省の声明まで出さしてボイコットする。こういう英米系石油日本における支配力、独占力といったものを取り上げてみたのです。だから、こういう力がカルテルを結び、あるいはさっき言ったような国際契約を結んで、日本石油資本を拘束しておるということになるんじゃないか。だからそういう実態をよく研究して、独立国ですから、日本石油会社アメリカ石油会社と対等でいられるような立場を確保してやることが、私は公取なり政府なりの任務じゃないかと思うのです。アメリカの言うことならば何でもかんでもやむを得ない、ごもっともだ、こういう形じゃ、ほんとうに真の日米協力なんというのはないでしょう。向こうの言いなりでなく、向こうが悪かったら、どしどしこちらからも抗議を申し込むなりして、反省を求めたらいいじゃないですか。何でもかんでもアメリカの言うことを聞くなんというのは、政府日米協力という方向からだって相反するのじゃないですか。そういう点を一つよく考えてもらいたいと思います。今後の処置については、経済局長が来てから聞きます。  それから次には、私外務大臣の出席を要求しておった。それは、外務大臣の国会本会議における答弁は、公取委員長と同じようで、全く事実を見ない。この外務大臣の国会本会議における答弁に関連して質問をしたいのですが、それはだれが答えてくれますか。
  82. 内田常雄

    ○内田委員長代理 中山経済局次長。そのうち経済局長が見えましたら、なお補足答弁をしてもらいましょう。
  83. 板川正吾

    板川委員 次長に聞いて局長に聞き直すのもめんどうだし、やはり局長の方がいいと思いますので、じゃ、来るまで待ちましょう。
  84. 内田常雄

    ○内田委員長代理 それでは休憩せぬで、このまま……。   〔内田委員長代理退席、中村(幸)委員長代理着席〕
  85. 板川正吾

    板川委員 経済局長ですか。——私が去る三月十三日の本会議で外務大臣に石油問題で質問をいたしましたその際の外務大臣の答弁に関連して、実はきょうは外務大臣を呼んでおるのですが、ガリ・タイの方で来られませんから、一つ局長に質問します。大体頭にあるでしょう。  それではお伺いしますが、「米英系の石油会社とわが国石油会社との契約の問題でありまするが、」と言って、「その契約も、市場の独占のための協定を結んだものではないと思われます。現に昨年度に比較いたしまして、今年度は米英系の石油原油輸入のシェアはずっと減っておりまして、逆にアラビア系石油の分がふえております。」、だからこれは日米通商航海条約十八条に違反するものではない、こういう答弁でありますが、この答弁はどうですか、今修正する必要はありませんか。
  86. 中山賀博

    中山説明員 私が最初答えまして、それで關経済局長が私の足りないところを補足していただくようにいたしたいと思います。  今の御質問の点は、日米通商航海条約の第十八条に対する解釈の問題だと思います。それでこの点につきましては、前回の御質問に対しまして、外務省の和田参事官からも御説明申し上げたところでございますが、さらに補足説明して、次のように御説明申し上げたいと思います。  日米通商航海条約の解釈、運用は、もちろん第一義的には外務省の所管事項であります。しかし、各条項の解釈、運用につきまして、広範な専門的知識を要するものは、当然右の国内関係官庁と十分協議して、その見解を尊重することになっております。第十八条につきましては、関係国内法として、独占禁止法、輸出入取引法、中小企業等協同組合法、海上運送法等がございまして、外務省といたしましても、第十八条の前の運用につきましては、公取委員会、それから通産省その他の意見を尊重しつつ、外務省の立場をきめることになっております。米系の石油会社日本との間に結んでおります原油供給契約につきましては、先ほど来いろいろ公取委員長に対して御質問がございまして、私も拝聴しておったわけでございますが、独占禁止法第六条第二項で届出の対象となっておると承知しておりますが、現在のところ公取委員会では、先ほどのお話でも本件につきましては委員会において御検討中だと伺っておりますし、また、今のところさしあたって第六条一項に該当するということの見解はとっておられないように了解しております。従いまして外務大臣が本会議において申し上げましたところのことは訂正する必要はないのではないか、こういうふうに考えております。
  87. 板川正吾

    板川委員 独禁法の問題は、公取の問題です。しがし、事実は一つなんです。先ほどから申しておるように、こういう契約がある。その契約日米通商航海条約の第十八条の一項によって「競争制限し、市場への参加を制限し、又は独占的支配を助長する事業上の慣行で商業を行う一若しくは二以上の公私の企業又はそれらの企業の間における結合、協定その他の取極により行われるものが、それぞれの領域の間における通商に有害な影響を与えることがあることについて、一致した意見を有する。」要するにこういうような協定が、結果的には相互——アメリカ日本を拘束し、お互いの国の貿易の発展に支障を来たすのだ、こういうことをお互いが確認し合って、そういう場合があったら、一項の後段で被害をこうむっておる方の国が、その相手国に申し出て、そうしてそういった有害な商業上の慣習というものを排除するようにしようじゃないかというのが、この第十八条の精神じゃないですか。
  88. 中山賀博

    中山説明員 先ほど来お話がありましたように、米系の会社日本に対する原油の供希の非常に大きなものを受け持っておるという事実はあるにいたしましても、米系会社のシェア自身が高率になったこと、これ自身に対しては、もしそれが公正な商業的競争の結果そうなったものであれば、第十八条の問題ではないと思われるのでございます。第十八条はかかる高率のシェアを確保するためにとられた慣行行為を問題としておるのでありまして、先ほどもお話のありましたように、公取委員会としてはもちろん御研究中ということでございますが、外務省といたしましても、あるいは同時に政府といたしましても、国際的な石油取引の実態、慣行についてもちろん重大なる関心を持っておるわけでございますから、十分その動向に注意して、そしてその関係各省あるいは公取委員会の御検討もしんしゃくしながら外務省としては行動したい、こういうふうに考えているわけでございます。しかし、さしあたって、われわれとしては、十八条違反の事実はないというように考えております。
  89. 板川正吾

    板川委員 さっきも言いましたように、アメリカ系から入っておる石油というのは日本の半数以上を占めておると思われる。その大部分の会社協定を結んでおる。その会社協定を結んだ当時は、もちろん他からアラビア石油もソ連油も買えない状態でしたから、そのことが通商上有害な影響は持たないと思います。しかし、今日において、情勢が変わって、売手市場から買手市場石油は変わってきておる。そして、場合によれば、ソ連油も幾らでも買える、アラビア石油もどんどんできる、あるいはフランス石油も売り込みが来ている、こういうような状態になったときには、私はこれが九年前ですか、契約を結んだ当時は有害でないとしても、今日は通商上有害な影響をもたらしておるのだから、この航海条約十八条によってそういう有害な影響あるものと認めて、アメリカ側にこのような原油売買契約書の契約内容は改定を迫るというのが十八条の趣旨じゃないかと思う。しかし、あなたは有害かいなかということについては、公取の見解がまだ一致していない、公取がまだはっきりしてないから、その見解を待ってということのようですが、しかし、これは私は公取公取としてやっても、そういう現実日本石油会社が安いソ連油なりあるいはアラビア油なりを買いたくても買えないという状態は、やはり有害な影響を持っているのだから、当然これを発動してアメリカ側に協議を申し入れて直してもらう、直すように注意をしてもらうということが当然じゃないかと思うんです。ところが大臣の国会答弁は、逆にこういうのだね。英米系の石油原油輸入のシェアは減っている、だからこれは問題はないと言っているが、これはおかしいのです。シェアが減ったというのは、今まで九〇何%英米系だったんですよ。外油だったのですよ。だたアラビア石油が出てきて、そのアラビア石油外貨割当によって国内で消費されましたから、その分だけこれは英米系じゃないのだから、シェアが減るのですよ。しかし、実質的に数量が減っているわけじゃないのですよ。アラビア石油を引き取っておるから、この契約による悪い影響がないということはないと思う。そういうような契約自身を一つ問題にして、早急に善処方を要望したいと思うのです。大体大臣の答弁がおかしいと思うのです。シェアが減っているから問題はないという言い方はないと思う。  それから次の第二の問題ですが、第二の問題は「通商航海条約第十八条一項は、特定の産業分野におきまする少数企業による独占その他競争制限的な慣行の結果、通商の発展が阻害されることを防ごうとする趣旨であります。」これはごもっともです。これはわれわれ考え方は一致しておるので、問題がないのですが、その次の「日米間の業者が五〇%ずつ共同同出資をしているというケースはございまするが、これは一企業内における資本の比率でございまして、このことと日米通商航海条約十八条一項の違反ということ」にはならない、そんなことは聞いてない。五〇%ずつ出資しておるから、日米通商航海条約十八条一項に違反しておるということなんか聞いてない。大臣は聞いてないことを答弁しているのだね。大体日本の外務大臣なら、日本の企業を守るような頭を持ってもらいたいと思う。アメリカの方で不当な行為があれば、それは申し入れて直してもらうのが当然じゃないですか。アメリカでは、独禁法で、有害な行為をしておったという場合には、日本の重役まで呼んで独禁法違反というので処罰しているんじゃないですか。くぎの事件があるでしょう。あれは木下産業ですか、あのくぎの事件なんか、向こうで、カルテルを結んだということで、日本の社長まで向こうへ呼び出されて、お前は独禁法違反すると言われているんじゃないですか。そのくらい向こうではきびしいんですね。だから日本でも一つお互い——この日米通商航海条約というのは大体アメリカから提案をされ、日本もこれに同意したという形だと思うのですよ。特に十八条なんかそうなんです。だから提案した国の方で一つ守ってもらわなければいけませんよ、きびしく守ってもらわなければ。そういう点をこちらから注意をするというのが当然の行為だと思うのですが、いかがですか。
  90. 中山賀博

    中山説明員 今仰せの通り、この問題がもしもこの十八条一項の前段にいいます競争制限し、市場への参加を制限し、それからまた独占的支配を助長する事業上の慣行であって——これが一つ条件、第二には、それが両国の通商関係に有害な影響を及ぼすということになれば、条約に定める通り適当と認める措置をとらなければならないことは申すまでもないことであります。しかし、はたしてこれが、ことにたとえば独占的支配を助長する事業上の慣行になるかどうが、そしてまた現在あります事態が直ちに両国間の貿易の発展に有害なる影響があるかどうか、こういう問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、国内法にも恪順し、かつ国内関係官庁の御意見もしんしゃくしながら、われわれとしては行動せざるを得ないわけであります。ただ、仰せのごとく、米系石油取引慣行の整備につきましては、今後も十分考えて参りたいと思っております。
  91. 板川正吾

    板川委員 とにかく大いに検討して善処を要望いたします。  それから同趣旨の問題ですが、ガット十七回総会における制限取引慣行の処理に関する総会決定、これは御存じですか。
  92. 中山賀博

    中山説明員 存じております。
  93. 板川正吾

    板川委員 世界各国でカルテルとかこうした独占禁止政策といいますか、これが通商上有害だという考え方の上に立って、そうしてガットにおいてもこれをどうしたら排除することができようかということを再々専門家会議をもって検討してきたのですね。その結果、有害であるということは認めるが、排除措置がなかなかむずかしい。しかし、このままにしておくとお互いの通商上好ましくないということで、もみにもんだ結果、十七回総会では、「国際貿易における競争制限する取引慣行が世界貿易の拡大と諸国の経済発展を妨げ、よって関税引き下げと数量制限の撤廃の利益を無効にし、その他の一般協定の目的を侵害するおそれのあることを認め、さらに国際貿易における有害な制限的慣行を効果的に処理するためには国際的協力が必要である」。そして「締約国はいずれかの締約国の要請があったときは、二国間または多数国間のいずれか適当な方法でかかる慣行に関し協議を行なわなければならない。相互に満足すべき結論に到達する目的をもって好意的な考慮をはらい、かつ、協議のため適当な機会を与え、またかかる有害な効果が現存することを認めたときは、これら効果を排除するため適当と認める措置をとらなければならないことを勧告し、かつ、」要請国と被要請国とが相互に満足すべき結論に到達したときは、その結果をガットの事務局に報告しろ、相互に満足すべき結論に至らなかったときは、その事件の苦情の性格と事情を事務局に報告しろ、こういうことになっていますね。これは日米間の問題は、通商条約でも、十八条の精神とこのガットの十七回総会決定の趣旨は大体一致していますから、まあ通商航海条約をもとにしていいし、しかし、アメリカ以外の国には、このガットの十七回総会の決定の趣旨から、私はその問題を提起して、相互に満足すべき解決策をはかるべきだと思うのですが、この点に関する考え方ほどうですか。
  94. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。仰せの通り、第一次戦争、第二次戦争以来ずっと独禁法の問題につきましては各国で研究しております。それから、ごく最近におきましては、EECの中でも、この種の問題について決定があったと聞いております。今、先生がおっしゃいましたように、この問題については、私は、大きく見て二つの考え方がある。それは、ヨーロッパの中でも、たとえばEECの中でも、国によりましてはやはり独占禁止関係について非常に甘い。それからまた、アメリカなんかでは非常にその点シビアなところがある。この間の調整が常に国際会議で問題になっていることは、先生御指摘の通りであります。この辺の問題につきましては、ガットの点につきましても、われわれとしては、やはりここに若干そういう思想の対立、それの妥協というような点も見られるのじゃないかと思っております。従って、今、先生のおっしゃる点等も勘案しつつ、事態を注意深くながめていきたい、こういうふうに考えます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して——先ほどの板川委員質問に対する、あなたの友好通商航海条約十八条の前段の解釈は間違いであるのです。あなたは要件として二つあげたのです。「競争制限し、市場への参加を制限し、」云々、それが一つの要件でございます、そうして「通商に有害な影響を与えること」が第二の要件でございますと言った。そうじゃないのです。あなたは外務省におって、条約をよう読まぬのですか。そういうことが当然通商に悪影響を及ぼすことに意見が一致したと書いてあるのですよ。要件とは違います。要件は二つじゃないのです。先に申し上げたことは当然悪影響を及ぼす、こうなっておるのでしょう。あなたの答弁は違いますよ。従って、もうはっきりしておるのですよ。だから、今まではそうであったが、この後段、「従って、」以降の規定に基づいて申し込む用意があるのかないのか、それをはっきりして下さい。
  96. 中山賀博

    中山説明員 あるいは私の言葉が足りなかったために誤解を招いたかもれませんが、今申し上げましたような競争制限し、市場への参加を制限し、あるいは独占的な支配を助長する事業上のの慣行がこの認定というか、そういうこと自身が、たとえば独占的支配を助長する事業上の慣行であるかどうか、こういうことの認定が一つの踏み台になるというか、それをきめてかからなければならぬ、こういう意味のことを申し上げたのであります。  それから、その次に、この条項が適用になるためには、はたしてそれが有害な影響を与えておるかどうかということに対する判断が要る、こういうふうに申し上げたわけであります。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 違うのですよ。そんなことは書いてありますか。二つともかからなければいけないとは書いてないのですよ。前段の、もう一つ前の制限、あるいは二つの制限、こういうことはすなわち通商に悪影響を与える、そういうことに意見が一致したと書いてあるのですよ。あなたの読み方は違いますよ。何年間外務省におって条約を読んでいるんですか。
  98. 中山賀博

    中山説明員 どうも私の説明が悪いのですが、これが条件になるというのじゃなくて、先生のおっしゃる通り……。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは要件を二つあげた。それならさっきのを取り消しなさい。
  100. 中山賀博

    中山説明員 それは取り消します。その点につきましては、私の言葉が足りませんでした。だから、こういう事態がはたして、たとえば競争制限し、市場への参加を制限し、あるいは独占的支配を助長する事業上の慣行であるかどうか、この認定は外務省だけではできない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、その認定が、実際にその協定事項を担当しているところの意見も聞かなければならぬということはわかるのだけれども、しかしあなたの言っていることは、さっき言った、要件が二つこうあって、それが悪影響を及ぼさなければいけないということは間違いである。同時に、これは商慣習とかなんとかはないのですよ。一番上の方の制限にかかるわけですよ。それは即貿易に悪影響とくるわけですよ。これは商慣習はかまわぬとは書いてないのですよ。ここで僕は要求するよ。こんなのを相手にしてもしょうがないから、国際法の権威者を一人呼んで下さい。あんな条約の読み方を知らないような外務省のやつを相手にしてもしょうがない。国際法の権威者を呼べ。条約文の読み方もわからぬような者が出て来て何になる。商工委員会に出てくるときは、もっと勉強してこい。
  102. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 答弁がありますか。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 できぬですよ。あったら言ってみろ。委員長、これは理事会で相談しよう。
  104. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 今おっしゃったことは、確かに中山君の方で少し説明が足りなかった。この条文には、確かにあなたのおっしゃる通り書いてあります。従いまして、要するに、この条約に向こうが該当するようなことがはっきりすれば、これはもう当然、条約に書いてあるのだから申し出ます。これはアメリカに対して適当な措置をとれということは、これはもう当然申し入れるべきだ。ただ、その事実認定については、これはどうも私たちだけではできないし、いろいろな知識のある専門家もおることですから、そういう人の意見をよう聞きまして、その上でやるということで、何もそう大声を立てて言うほどのことでは私はなかろう。ここに書いてあることは、この通り、この条約で、アメリカ日本と条約が一致しておるのだから、それに該当して向こうがいかぬことをやれば、これはわれわれは、いかぬということをはっきりアメリカに申し入れることはあたりまえのことだ。それはもう逃げも隠れもする必要はない。そういうことになったら、そのときには、外務省としては、はっきりこういうことはいかぬ、やめてくれと申し入れることは当然のことであります。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 大きな声を出す必要はない——そうじゃないですよ。外務省の人が条約がわからぬのですよ。そういう不勉強なことでどうするのです。それについてはどうなんです。  それから、さらに、外務省のみでそのことは認定できない、これは認めます。従って、ここには公正取引委員長、それから石油については、責任者である鉱山局長がおりますから、直ちにこの項に該当するやいなやを検討して結論を出してもらいたい。
  106. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 それは条約の問題で読み方が読めないとおっしゃるけれども、読めないのじゃなくて、やはりちょっとあおられたものですから……。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、大きな声で言って……。
  108. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 あなたがあまり大きな声を出されるものだから、こっちも少しあわてて間違えたこともあるのでしょう。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待って。何を言うんだ。おれが大きな声を出すのは違うのだ。
  110. 中村幸八

    中村(幸)委員長 代理速記をやめて。   〔速記中止〕
  111. 中村幸八

    中村(幸)委員長 代理速記を始めて。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 大体経済局長政府委員としての態度がどうもおかしい。自分の部下が専門の条約についてよう解釈を下さなかったことについて詭弁を弄するということは許されない。委員長においてしかるべき処置をしていただくまではこの委員会をこのままにします。
  113. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 答弁なり質問なりは、感情にとらわれないでやって下さい。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 何という言い方をしやがる、だめだ、なまいきな……。
  115. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 板川正吾君。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 だめだ、いかぬ、委員長から注意してくれ。
  117. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 その点は委員長から今注意しましたから……。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長から注意して、本人から謝罪せよ。先ほどの大声を出して云々は取り消せ。もう一ぺん委員長から注意して、局長があやまれ、そして先ほどの大声云々は取り消せ……。
  119. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 あやまります。大声云々は間違いでございましたから、これは取り消します。また失礼の点はおわび申し上げます。
  120. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ただいま取り消しがありましたから、次は板川正吾君、発言を続けて下さい。
  121. 板川正吾

    板川委員 そう紋切り型で……。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行。——この問題はまだ片がついていないから、あとであなたに抗議を申し込むよ。これは委員長がもう一ぺん注意してやるならいいけれども、あんな紋切り口上で済んだと思うと違うよ。
  123. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 委員長から、先ほどから注意してあります。
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 もう一ぺん注意してくれ。
  125. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 繰り返して注意しますが、感情を交えないで質疑答弁をして下さい。
  126. 田中武夫

    田中(武)委員 はっきりせよ。そんな紋切り口上じゃだめだよ。
  127. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 何度委員長に言わせるのですか。速記録を見て下さい、あとで調べて下さい。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  128. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後五時四十分開議
  129. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 大へんお待たせしましたが、休憩前に引き続き商工委員会を開きます。  本日は、諸般の事情により、この程度で散会をいたしたいと思いますが、明日は、地方行政委員会との連合審査会を開き、さらにそのあとで商工委員会を開きますので、御了承をいただきたいと思います。  では本日は散会いたします。    午後五時四十一分散会