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1962-03-28 第40回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 岡本  茂君 理事 白浜 仁吉君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       小沢 辰男君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中垣 國男君       中川 俊思君    林   博君       原田  憲君    南  好雄君       村上  勇君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中嶋 英夫君    中村 重光君       西村 力弥君    山口シヅエ君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         北海道開発政務         次官      田中 正巳君         経済企画政務次         官       菅  太郎君         大蔵事務官         (理財局長)  宮川新一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 島田 喜仁君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  委員外出席者         議     員 相川 勝六君         議     員 寺島隆太郎君         議     員 松澤 雄藏君         議     員 石田 宥全君         議     員 西村 力弥君         議     員 鈴木 義男君         北海道開発事務         次官      熊本 政晴君         外務事務官         (経済局外務参         事官)     和田 周作君         通商産業事務官         (企業局参事         官)      江上 竜彦君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     古沢 長衛君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十八日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  玉置一徳議長指名委員に選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事松平忠久君同月二十七日委員辞任につき、  その補欠として松平忠久君が理事に当選した。     ————————————— 三月二十七日  豪雪地帯対策特別措置法案寺島隆太郎君外百  名提出衆法第二九号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  小委員会における参考人出頭要求に関する件  自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改  正する法律案内閣提出第一二五号)  自転車競技法等廃止する法律案田中武夫君  外十一名提出衆法第一七号)  競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案(  田中武夫君外十一名提出衆法第一八号)  石油業法案内閣提出第一二二号)  国土調査促進特別措置法案相川勝六君外二名  提出衆法第二七号)  豪雪地帯対策特別措置法案寺島隆太郎君外百  名提出衆法第二九号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。  昨二十七日、理事松平忠久君が委員辞任されましたに伴いまして、理事欠員を生じております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  それでは、再び委員に選任された松平忠久君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、金属鉱山に関する小委員会審査ため参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  同小委員会における金属鉱山に関する問題についての審査の必要上、参考人より意見を聴取する必要が生じ、小委員会からの要求がありました場合には、参考人出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお参考人出頭日時、人選等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 小委員辞任許可及び補欠選任の件についてお諮りいたします。  金属鉱山小委員会の小委員欠員を生じました場合の補欠選任に関しましては一委員長指名に御一任願っているのでありますが、その辞任許可につきましても委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案並び田中武夫君外十一名提出自転車競技法等廃止する法律案及び競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案議題とし審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。  他に三法案についての質疑通告がありませんので、三法案質疑はいずれも終局いたしました。     —————————————
  10. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより三案を一括して討論に付します。討論通告がありますので、これを許します。小林ちづ君。
  11. 小林ちづ

    小林(ち)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案にいずれも反対、わが日本社会党提出自転車競技法等廃止する法律案及び競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案賛成討論を行ないたいと存じます。  まず、政府提出の両改正案につきましては、当委員会審議で明らかにされましたように、競技対象が、自転車小型自動車の差こそあれ、その内容はほとんど同一のものであります関係上、一括して議論を進めて参ることといたします。  そこで、第一に問題となりますのは、この改正案提出基礎となりました公営競技調査会答申そのものに、私どもは何としても大きな疑問を持つものでございまして、競馬に比べ一段と弊害の大きい競輪等も一緒にして結論を急ぎ、世論に逆行する判断を下されたこと、しかもその論法が、売春防止法制定の際の赤線存続論者と全く同一であることは、調査会の権威のためにもまことに遺憾と存ずるものでございます。  その上、第二に問題となりますのは、今度の改正案が、この答申を隠れみのとして、公営ギャンブルの温存をはかることを目的としていることであります。  今その根拠を一、二あげますと、競輪等の収益を従来の地方財政機械工業振興のほか、新しく体育事業等にも使用できることを規定して、競輪等存続ため一つの言いわけにしていること、また競輪場等の移転、相続、譲渡などを明文化することによって、たとい制限を加えるにしても、それの既得権を擁護することに役立ち、あるいは先日の中嶋先生の御指摘でも明らかなような、期限をつけないことで恒久化をはかることなどの諸点であります。しかしながら、両法が制定されました当初のいきさつ及び審議中の経過から見まして、これらは限時的な性格を持った臨時処置であったことは明らかでございまして、このたびの改正案は立法当初の精神に反するものであると申さねばなりません。第三の問題は、立案に当たられた政府側関係者競輪等に関する実情認識が乏しいということであります。先日来の当委員会におきます審議で明らかにされましたように、競輪場等へ一回も出入りしなくて答弁に当たっておられるようでは、まさに机上の空文ならざる空法でございまして、従って、たとえば不正レース防止対策としましては、わずかに選手関係で若干の進歩が見られるだけであり、それも競技関係者の雇用、労働その他の関係を近代化するにはほど遠く、また日本自転車振興会自転車競技会等監督、監視が明確な規定を欠くばかりではなく、逆に官僚統制的なおそれを強め、あるいは競輪場等の改廃の規定がないなど、健全化対策は現実から遊離していると言っても過言ではございません。官憲の厳重な警戒のもとに現出されるあの異様な雰囲気を大衆娯楽と判断してはばからないところに家庭悲劇社会犯罪の温床があるのでありまして、この点改正案はほとんど改正の実を示していないと申せましょう。試みに競輪等存続を主唱なさる方々にお伺いします。あなた方はこの改正案を見て、はたしてあなたのむすこや知人に、競輪等は健全だからとお勧めになることができるでありましょうか。さらにこの改正案からは利権や汚職の発生が十分予見されるのでありまして、私どもはこのような不備、不満、不正の法律を認めることは断じてできないのでございます。  最後に、政府は一方で道徳教育を強調しながら、他方で公営ギャンブルを温存しようとするその政治の矛盾が問題であります。私ども国民は一体このような政治のあり方に信頼がおけるでありましょうか。青少年の非行、不良化がやまないのも、このような社会悪の存在を許す政治不信にその一因があると申して過言ではございますまい。  さらに成長経済のもとで地方財政財源機械工業振興費体育等事業費などにばくちのテラ銭を充てねばならぬ理由がどこにありましょうか。これこそまさに政治貧困を示す最もよき例でございまして、公営ギャンブルの存在する限り、政治不信政治貧困は永久になくならないでありましょう。  以上のような諸理由からして、私どもは、政府の両改正案、いやむしろ改悪案に対してどうしても反対せざるを得ないのでございます。そうしてそれはとりもなおさず社会党から提出いたしました自転車競技法等廃止する法律案賛成理由に通ずるものでございまして、しかも廃止に伴う公営競技関係者地方財政等への影響を考慮いたしまして一カ年の猶予をおき、その間特別の措置を講ずることは、現実的に最も妥当な処理方法であると確信するものでございます。  以上のような見地からして、何とぞ満場の皆様の御賛意をいただきますよう特にお願い申し上げまして、日本社会党を代表します私の討論を終わることといたします。(拍手
  12. 早稻田柳右エ門

  13. 玉置一徳

    玉置委員 私は政府提案にかかる自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案並び社会党提案にかかる同じく二本の訂正案に対し反対意思表示をいたしたいと思います。  政府はいわゆる競輪、オート・レース各法に関して今国会改正案提出されたのでありますが、政府案共通点は、一つ事業実施目的として新たに体育事業その他の公益増進目的とする事業振興を加えた点でありまして、二つ目はそれぞれの事業実施事務機関として競技会、たとえば自転車競技会等を設置しまして、従来の振興会制度よりも国の監督をきびしくした点でございます。  わが党は右の政府改正趣旨に対しまして、次の理由により反対するものであります。政府案には射幸性が強く、社会的弊害の著しい三事業の存廃につきまして何らの反省もなく、この法を改正することによってむしろ各事業存続振興をはからんとするものでありまして、これらの廃止を望む健全な国民世論に逆行していると思います。  二つ目は、最近におけるわが国経済発展にかんがみまして、地方自治体事業収入確保機械工業合理化促進体育事業等公益増進ため資金供与ためにあえて三事業にその財源を求めなければならない理由は、今や全く根拠を失っていると思います。しかるに政府が依然として三事業収入地方財政及び公益事業財源に充て、このような態度をむしろ強化しようとしているのは、行政指導として怠慢のいわざるを得ないと思います。  そこで政府改正案に対して、私どもはこれに反対いたしまして、次のように修正したいと思うわけであります。三事業昭和四十年三月三十一日をもって廃止する旨をそれぞれの法に明記すること。右の廃止期日までに事業施行廃止する地方自治体に対しては、それぞれの財政事情に応じまして、地方債起債の増額、地方特別交付税等措置をとるものとする。三番目は、三事業振興会または競技会及びそれらの連合会業務として新たに従業員転職あっせんを加えること。四番目に国及び地方自治体は二事業関係離職者離職手当、再就職、生業資金確保等に関しまして振興会監督し、かつその業務を助成することであります。  この趣旨社会党二案に非常によく似通っておるのでありますが、若干違うところがございますので、遺憾ながら政府提案並び社会党提案に対しまして反対意思を表明したいと思います。
  14. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 玉置さんにお尋ねいたしますが、今の修正とおっしゃいましたのは、修正案じゃないのですね。
  15. 玉置一徳

    玉置委員 そうです。
  16. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより三法案を順次採決いたします。  まず田中武夫君外十一名提出自転車競技法等廃止する法律案及び競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案の二法案を一括して採決いたします。  両法案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立少数。よって一両法案はいずれも否決いたされました。  次に、内閣提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  18. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決されました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました三法案に関する委員会報告書作成につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  20. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、一昨二十六日本委員会付託になりました相川勝六君外二名提出国土調査促進特別措置法案議題として、まず提案者提案理由説明を求めます。相川勝六君。     —————————————
  21. 相川勝六

    相川議員 わが国経済伸長発展民生安定向上をはかることは国策の基調をなすものでありまして、これがためにはまず、国土実態を的確に把握し、これが開発保全効率的利用に資することが前提的要請であるといわねばなりません。  政府はここにかんがみまして、昭和二十五年本院の決議にこたえ、去る同二十六年国土調査法制定し、本事業本格的実施推進をはかることといたしたのであります。  さらにまた、特に本事業基本となる地籍調査促進につきましては、昭和三十二年、同法の一部を改正いたしまして、特定計画の確立並びに事業実施に伴う国庫補助率の引き上げを行なう等の措置を講じたのでありますが、次いで昭和三十四年、本院においてあらため国土調査推進に関する決議を上程し、満場一致これを可決いたしました。  しかるに、ひるがえっておもんみるに、本事業調査法制定以来今日すでに十歳をけみするにもかかわらず、業績遅々として進まず、なかんずく、最も緊急を要する特定計画に基づく事業においてすら、五カ年間においてわずか計画量の一割にすぎない実情でありまして、かくのごとくにして遂行せんか、本事業の完成はまさしく百年河清を待つのほかなく、輓近のわが国経済情勢の急速度の進展に比し牛歩遅々たる著しい立ちおくれを余儀なくいたしているのであります。  特に、さきには農業基本法、低開発地域工業開発促進法、さらにまた、目下本院において審議中の新産業都市建設促進法等一連経済立地制定に伴い、農業構造改善適地適産による産業立地の適正化等緊急の課題に即応いたしまして、土地質的実態を科学的、かつ総合的に把握する土地分類調査必要性がますます重きを加えて参りましたにもかかわらず、この種の分類調査が、いまだに机上試験的段階にとどまり、調査法に基づく準則規程すらなおいまだ成案を得ざることは、まことに心外のきわみといわねばなりません。  かくのごとき客観諸情勢推移動向にかんがみまして、国及び地方公共団体を通じ、国土調査業務画期的推進をはかることは、刻下喫緊の急務であると思うのであります。  すなわち、これがために、新たに本特別措置法制定いたしまして、これにより昭和三十八年度以降、十カ年計画を確立するとともに、これに必要な行財政上その他特段緊急措置を講ぜんとするものであります。  以上が本法案提案する理由であります。  次に本法案について若干の説明を申し上げます。  すなわち、まず第一に、本法案目的とするところは、国土の効率的な開発利用に資するため、緊急かつ計画的に国土調査事業実施推進をはからんとするものであります。  第二に、この法律にいう国土調査事業の定義を規定しているのでありますが、この法律に基づく事業内容は、地籍調査基礎となる基準点の測量、土地分類調査基準決定等国機関が行なう基本調査と、これを基礎といたしまして、地方公共団体または土地改良区の行なう細部調査との二本建といたしております。  第三に、国土調査事業十カ年計画の策定について規定いたしました。すなわち、十カ年計画は、国土の総合的な開発、低開発地域における工業開発農地利用高度化等、当面緊要な施策を講ずる区域において所要調査を行なうことといたしまして、昭和三十八年度以降十カ年を目途として、実施すべき事業量を明らかにすることといたしております。  計画決定の手続といたしましては、内閣総理大臣が、国土総合開発審議会並び関係都道府県意見を聞き、さらに関係行政機関の長に協議して計画案作成し、特に閣議決定を求めるべきものといたしました。  なお、土地分類細部調査にありましては、これが前提となる基本的地籍調査の進行と相待って、逐次緊急を要する地域について選択的調査に限定いたしました。  第四は、十カ年計画に基づく国土調査事業実施について、この法律において特に定めるものの外は、国土調査法規定適用がある旨を規定いたしております。  最後に、国土調査実施促進するため行財政特段措置を必要とすることにかんがみまして、政府においてこれを行なうことを規定いたしました。  なお、本法は、公布の日からこれを実施することといたしております。  以上が本法案提案理由でありまして、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。(拍手
  22. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  23. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、昨二十七日本委員会付託になりました寺島隆太郎君外百名提出豪雪地帯対策特別措置法案議題といたします。     —————————————
  24. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 まず提案者より趣旨説明を聴取することといたします。松澤雄藏君。
  25. 松澤雄藏

    松澤議員 ただいま議題となりました豪雪地帯対策特別措置法案につきまして、その提案理由を申し上げます。  近年来、わが国経済が著しい伸長発展を続け、国民生活もまた向上の一途をたどりつつありますことは、まことに御同慶にたえぬところでありますが、他面、その内実をつぶさにせんさくいたしますと、これら国民経済向上がややもすればいわゆる既成大都市を中心として地域的に偏向し、全国的視野において見ればますます地域格差を助長する傾向にありますことは、諸君のよく御認識の通りでありまして、いわゆる日の当たる地域は急速に繁栄する一方、日の当たらぬ場所は何ら見るべき国家的施策の恩恵にあずかることなくして放置され、その後進性の度を強めているといって過言ではないのであります。  ことに、北海道、東北、北信越等に存在する豪雪地帯は、その最たるものでありまして、これら地域は、毎年、豪雪という自然災害ため民生産業等あらゆる分野にはかりしれない損害をこうむり、一年の約半分は冬眠を余儀なくせられ、ために民力は衰え、地場産業発展が阻害されるなど、旧態依然としてその雪国的宿命にあえいでおる実情にあるのであります。  現在わが国の直面する至上命題は、経済安定的伸長発展地域格差の縮小であり、政府もこの目標達成に向かって施策の万全を期していることは申し上げるまでもありませんが、なかんずく、まず第一に、従来わが国の最も日の当たらぬ場所としてみじめな生活を余儀なくされてきた豪雪地帯について、雪害防除し、民生産業等振興条件を整備し、他の地域と同じべースに引き上げる措置を講ずることこそ必要なのであります。かかる施策なくしては、これら地域福祉向上はおろか、地域格差是正国策遂行は望むべくもないのでありまして、さきの第三十九国会において、雪害対策促進に関する決議案衆参両院で万場一致採択されたゆえんのものも、実にここにあると信ずるのであります。  かくしてここに、地域住民の積年の念願にこたえ、豪雪地帯にスポットライトを当てて、その抜本的総合対策を確立し、これを強力に推進せんとする基本法として、本法案提出した次第であります。  以上、本法案提案理由について申し上げましたが、次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、本法案目的でありますが、前述いたしましたごとく、積雪が特にはなはだしいために、産業発展が停滞的で、民生安定向上が阻害されている地域について、雪害防除その他産業等基礎条件改善する総合的対策を樹立し、かつその実施を推進して、民生産業向上振興に寄与せんとするものであります。  第二に、本法案適用地域となる豪雪地帯指定についてでありますが、これは、内閣総理大臣が、積雪の度その他の事情を勘案して政令で定める基準に基づき、かつ豪雪地帯対策審議会意見を聞いて、道府県区域の全部または一部を豪雪地帯として指定することとしております。  第三に、豪雪地帯対策基本計画についてでありますが、内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議し、かつ関係道府県知事及び豪雪地帯対策審議会意見を聞き、さらに最終的には閣議決定を経て、基本計画決定することとしております。  なお、この基本計画は、豪雪地帯における雪害防除その他積雪により劣っている産業等基礎条件改善に関する施策基本となるべきものとし、従って、その内容は、交通通信教育保健衛生社会福祉国土保全等の諸施設のほか、本法案目的達成必要重要事項政令で定めるものをすべて含めることとしております。  第四に、総理府に、豪雪地帯対策審議会を設置することとし、その所掌事務、組織その他所要事項について規定しております。特に、その所掌事務については、地域指定あるいは基本計画作成等のほか、産業振興民生、文化の向上等有形無形のあらゆる重要事項を網羅して調査審議対象とするとともに、内閣総理大臣の諮問に答申したり、内閣総理大臣または関係行政機関の長に意見を申し出ることができることといたしております。なお、審議会の運営に伴う経費約百万円については、さしあたり既定予算の運用により処理することといたしております。  第五は、基本計画に基づく、事業実施及び調整についてでありますが、まず事業については、この法律に定めるもののほか、関連する法令の規定に従って、国、地方公共団体その他の者が実施するものとし、また、それぞれの事業の総合効率的実施を推進するため経済企画庁長官は、毎年度、関係行政機関の長がその所管事項について作成した事業計画の調整を行なうこととしております。  第六に、本法の実施に当たって、関係行政機関の長等の協力義務を規定するとともに、政府は、基本計画実施に要する資金の確保をはかり、かつ国の財政の許す範囲内において、その実施促進することに努めなければならないことといたしました。  第七に、豪雪地帯の特殊事情にかんがみまして、国及び地方公共団体は、工事の早期着手等事業の効率的実施について特別の配慮を加えることとしております。  第八に、事業の円滑な実施促進するため、当該事業に要する経費にかかる国の負担割合または補助率について、必要がある場合は、別に法律で定めるところによって特例を設けることができることといたしました。  以上、本法案提案理由について御説明申し上げましたが、豪雪地帯対策の緊要性を御勘考いただきまして、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望申し上げる次第であります。     —————————————
  26. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続き本案質疑に入ります。  質疑通告がございませんので、質疑を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  28. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 佐々木秀世君及び岡田利春君より、本案に対する修正案提出されております。     —————————————
  29. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際、その趣旨説明を聴取することにいたします。佐佐木秀世君。
  30. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 豪雪地帯対策特別措置法案に対する修正案提出いたします。
  31. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で修正案説明は終わりました。本修正案についての質疑はございませんか。——質疑なしと認めます。     —————————————
  32. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際、本案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣に意見があれば発言を願います。佐藤国務大臣。
  33. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 本法案が成立いたしました暁におきましては、もちろん政府はその法律によりまして善処するという考えでございます。(拍手
  34. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で内閣の発言は終わりました。     —————————————
  35. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、本案並びに本案に対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論通告がございませんので、直ちに裁決をいたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  まず、佐々木秀世君外一名提出修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  37. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  38. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって、本案佐々木秀世君外一名提出修正の動議の通り修正可決されました。(拍手)  お諮りいたします。ただいま議決いたされました本案に関する委員会報告書作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  40. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、内閣提出石油業法案議題とし、質疑を続けます。田中武夫君。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 前回わずか十五分間ほど質問をいたしましたが、これに引き続いて、石油業法について質問いたしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいことは、石油業法と書かれておる法律の名前なんです。中を見てみますると、石油精製業の新設許可、それに関連する石油製品生産計画も通産大臣に報告する。それから石油輸入業者の届出、石油輸入計画を大臣に届け出る、販売業の届出ということがうたわれてあるわけです。石油業といいますれば、まず探す、そして掘る、そして運ぶ、それから精製ということになるわけです。ところが、これは石油業法とうたいながら、まずその基本となるべき掘ること、それから探すこと、こういうことについて何ら触れていないのであります。あるいは石油資源開発株式会社があればそれでいいじゃないか、こう言われるかもしれませんが、基本的な石油業法を作るならば、まず基礎となるべき掘ること、探すこと、これをやらなければならないと思うのです。それが抜けておる。そのこと自体が現在の日本の石油産業界のあり方を示しておる。今日まで日本の石油産業はあまりにも外国資本にたより過ぎて、外国からの石油をとってそれを精製する、ここに重点が置かれておる。そういうところから本法案もそういうような格好になったと思うのです。石油業というものは、探す、掘る、ここから出発せねばならないと思いますが、いかがでございましょうか。
  42. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。御指摘の通りに、石油業と申しますと、探鉱して開発をする、掘る、それから精製をする、あるいは販売というのが石油業でございます。国内の探鉱開発につきましては鉱業法がございますし、それから先ほどお話がございましたように、石油資源開発株式会社法もございまして、そちらの方の法律の運用で予算と相待ってできるのではないかというふうに考えておるわけでございます。石油の精製業につきましては、御承知のように、現在法的措置が全然ございませんで、外国貿易の調整措置、外貨割当制度と申しておりますけれども、それによって目下行政運営をしております。これが自由化になりますと、法的措置による手段がなくなりますので、石油業法という名前で出したわけでございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 探す、掘る、そういうことは鉱業法あるいは石油資源開発株式会社法があるからいいんだ、そこで精製段階からのことを規制したのだ、こういうことです。しかし、そのことがそのまま現在の日本の石油産業の状態を現わしておる。日本の石油産業における資本投下の割合、これがいわゆる製油関係、販売関係、採油あるいは探鉱関係及び輸送関係にどのように投下せられておるのか、一つお伺いいたしたいと思います。
  44. 川出千速

    ○川出政府委員 正確なデータをただいま持ち合わせておりませんが、探鉱開発、国内の開発につきましては石油資源会社が中心になっておりますが、これは現在のところ、探鉱費に創立以来百六十億近い金を使っておったかと記憶いたしております。そのうち九十  一億が政府の出資でございます。そのほかに開発銀行の融資等が石油資源及び帝国石油にありまして、この融資関係がたしか二十億くらいになっておるかと思います。そのほかに天然ガス等に対する国の補助金が若干ございます。  それから精製の段階でございますが、精製の段階は、最近急速に設備投資がふえて参りまして、三十四年度には約三百六十億見当、三十五年度が六百六十億見当、それから三十六年度が九百六十億見当でございます。これが自由化を前にいたしまして、来年度になりますと、相当設備投資の意欲が旺盛になるようなふうに聞いております。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 今詳細なデータを持たないということなんですが、実は私の方で持っておりますのは、ちょっと古いかもわかりませんが、一九五〇年から一九五九年、この間にわたって石油産業に投下せられたのは二千九十九億円、そのうち製油関係に六四・五%、販売が一七・九%、輸送関係で八・三%、採油につきましては七・八%という割合でございます。この数字を見ましてもわかるように、日本の石油産業はあまりにも外国原油にたよって、そうしてそれ以後の製油の問題に重点が置かれておる。ここに日本石油産業の片ちんばがある。もっと外国等のいわゆる製油、販売、採油等に投下せられた比率を見ますと、大体においてバランスがとれておるわけです。これは日本国内には油がないから、わずか二%だから、金をかけてもだめだということかもしれませんが、もっとやれば出るかもわからない。ことにまた日本人の手で外国まで出かけていって、あとでこれも触れますが、たとえばアラビア石油がサウジアラビアなどと利権協定をやりまして掘っておるわけです。こうした場合に、こういったような片ちんばの産業はあり得ないと私は思うのです。そういうことにおいて、私が今申しましたような数字から見て、日本の石油産業は片ちんばである、こういうように申し上げておるんですが、大臣いかがお考えになるでしょうか。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま日本の石油産業のあり方について、外油への依存度が非常に強いじゃないかということは、その通りでございます。これはいろいろ国内資源につきましても、長い間開発について努力は続けて参りました。しかし、今日までの技術等をもっていたしますると、国内資源に非常に乏しい、しかしエネルギー源としての石油はどうしてもほしい。こういうところから、今日のような外国資本並びに外国資源に依存している度合いが非常に高い産業でございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 日本の国土のあり方からいって、今までは大体必要な量の二%しか出なかった、こういうことで、そうおっしゃると思うんですが、もう少し真剣に取り組めば、石油資源開発株式会社ができましてから一、二年はそうでもなかったが、三年くらいからぐっと業績を上げてきた点から見れば、たとえば千メートル、二千メートル掘ったらだめだが、二千メートル以上掘れば出るかもわからぬ、こういうように思うわけです。だからあきらめるのには早過ぎるんじゃないか、こういう考えを持っております。  さらにお伺いしたいことは、エネルギー源の三業種といいますか、すなわち石油、石炭、電力なんです。この石油、石炭、電力に対し、いわゆる内部資金、外資、政府の金融、その他借入金とでも分けまして、石油、石炭、電力、この三つに対して、どういう割合に政府金融が出ておるかということをお伺いいたします。
  48. 江上竜彦

    ○江上説明員 ただいま御要求の数字は、ただいま手元にございませんので、調べまして、後ほど差し上げます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 実は私のところにはあるんです。しかし、詳細に数字は申し上げませんが、一言で言えることは、石油に関しましては、電力その他と比べて政府の金融援助が非常に少ないということ、それから逆に外資が非常に多いということ。これは石炭、電力と比べて、そのこと自体は言えることなんです。なるほど石炭が今問題になっております。またわれわれからも強い要求政府に出しております。電気、これも重要であります。しかし、同じエネルギー源としての石油に対して、今日まで政府はあまり真剣に取り組まなかった。こういうことを表わしているのじゃないかと思う。それじゃ政府が今日まで石油に出してきた政府資金は幾らか、ほんのわずかです。そういうことでありますので、結局はそれぞれの会社はもちろん、外資系といっても、民族系もやはり外国から借金しなければならない。いわゆる外資ローンにたよらなければならないという論理にきている。そういう点につきまして政府はどう考え、今後どう処理していこうと考えておられますか、大臣の御答弁を要求いたします。
  50. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、エネルギー源としての石油についての政府の協力態勢というものは、ただいま御指摘の通り、私は非常に薄いと思います。ことにまた急激な発展を遂げました戦後の石油業界についての政府の指導というものは、ほとんどなかったと言ってもいい程度じゃないかと思います。御承知のように、戦前は軍需産業として政府が特に力を入れたものでございます。そういう意味からは、乏しい国内資源につきましても非常な積極的な意図を持って開発するとか、あるいはまた外国から原油を買うにいたしましても、貯油について非常な工夫をするとか、特別な配慮がなされたと思います。しかし、敗戦後新たに石油業が起こりました場合に、これは完全な自由企業としてみずからの力によりその資金も確保し、技術の導入をする、こういうことに相なっております。だから、その結果は、あるいは政府が指導したときより以上の急激な発展は来たしたと思いますが、結果的には、資本的にもまた資源といいますか、原油の関係におきましても、国際的に依存せざるを得ない、こう形になっております。  今日おそまきながら業法を出して、国家的な考え方をこれに反映さすべきじゃないか、こういうような考え方に私どもはなったわけでございます。この行き方については、私自身、取り扱ってみまして、ややおそきに失しているのじゃないかという感が実はいたしております。しかし、今日おそいとは申しながらも、これはスタートすることが形を正す、そういう方向ではないだろうか、かように思っている次第でございます。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣の御答弁で大体わかるような気がするのですが、抽象的です。もっとはっきりと、おそきに失したか知りませんが、とにもかくにもこうして石油業法を出して、国家として国の意思を石油産業に入れようというこの機会に、一方においては今までと同じような、政府がめんどうを見ないという——いや見ておるというかもしれませんが、それはちゃちなものです。そういう方針を具体的に大いに変えてもらわなくちゃいけないと思うのですが、そういう方面について今後どう考えていかれますかをお伺いいたします。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御審議をいただいております業法自身に、あるいは油の供給計画を立てる、あるいはそれに対応する設備計画を立てる、こういうような事柄が審議会等を通じまして真剣に審議されて、そうして本格的にエネルギー源としての石油のあり方、これを考えていく、確定していくということでございます。そういう際に、資金につきましても、順次国内資金というものが、強い、また大きな部分において、これらの事業に関与していく、こういう方向に指導すべきだ、かように考えておる次第でございます。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 あえてもう一言申し上げますが、結局、政府が財政投融資等で資金の面を見てやるならば、少なくとも民族系の会社は好んで外国から金を借りないであろうと思うのです。今までなかったから借りたのです。そのことについて起こる問題はあとで触れますが、そういう状態だったと思うのです。そのために、現在の日本の石油業界が、ほとんど外国の手に握られておると言って過言でないと思うのです。そこで、今後は、まず、採油あるいは探鉱、この方面にも政府がうんと力を入れると同時に、そういった財政面についても、今までのような態度を改めて、大いに一つやってもらう、そうしてやはり日本の大きなエネルギー源であるこの石油に対して、やはり国家意思というものをはっきり出すことができる、こういうようにしてもらわねばならないと思いますが、いかがでございましょうか。
  54. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 少しあるいは誤解があると困りますから——ニュアンスが違うと思います。私は、必ずしも政府財政資金の投入ということに限る必要はないと思います。また、外資が入ることを毛ぎらいする必要はないと思います。やはり資金的に十分政府がめんどうが見れるということが望ましいのでございまして、政府資金あるいは民間資金あるいは外資導入、それらのものもやはり計画のうちにあってしかるべきだろうと思います。ただ、問題は、そういう場合に、外資の借り入れに際して、いわゆるひもつきといわれますか、非常な拘束を受けるというようなことは、これは好ましいことじゃございませんから、自由な立場における外資の導入、これならば差しつかえないと思います。また、国内資源の開発ということにつきまして、現実にやったら出るかわからないじゃないかという意見もあると思いますけれども、これは相当な乱暴な意見だと思います。今日の科学的知識をもってして、それでもちろんあるものであるならば、これは技術者も等閑には付しておりません。しかしながら、今日の科学的な地上あるいは地質その他の調査等から見まして、日本国内には相当に資源が乏しい、これはもう各界の一致した意見だと思います。だから、この乏しい国内資源、それにしてもなお開発についての努力をすること、そういう場合には、これは非常な危険があるものですから、政府資金で開発を進めていく、これは当然でございますが、同時に、国外の資源開発につきましても、政府がやはり指導的な、また援助を与えることによりまして、その開発をすべきだと思います。すでにアラビア石油にしいも、また北スマトラの原油にいたしましても、そういう意味で国際的に政府が業界を指導し。大いに鞭撻してまいったと思います。こういう事柄は今後とも続けていくべき筋だ、かように思います。これはひとえにエネルギー源としての石油の地位、その意義というものを考えれば考えるほど、そういうことであって望ましいと思います。それで私は、この資金的な援助というものが、必ずしも、全部が全部政府資金でまかなえる、こう窮屈に考うべきではなくて、やはり事業計画に要する資金、その資金計画についてのお世話ができれば、事業とすればりっぱに立っていくんじゃないか、またそうあるべきではないか、かように私は考えておる次第で、ございます。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 私も一がいに、外国から金を借ることはいけない、あるいは資本を受けることは全然いけないとまでは言わないのですが、今大臣が言われたように、相手もさるものです。ただ金を貸す、そうして適当な利子を取る、これだけで金を貸してくれるならば話は別なんだが、大臣自体が認められたように、そのうしろにいわゆるひもつき契約というものが現実にあるわけなんです。そこに私は問題があると思う。従って、今日、日本の各石油会社といいますか、これは、一、二を除けば、外国の油を買うにあたって選択の自由を持たない。私の調べたところでは、その選択の自由を持つのは全体の一五%程度ではなかろうかと思うのです。あとの八五%までは外国のひもがついておる、こう言って過言ではないと思うのですが、実情はいかがでございますか。
  56. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまの御質問につきまして、実情でございますが、詳細わからない点もあるわけでございます。いわゆる外資系の会社と申しますか、合弁会社でございますが、合弁会社の大部分は、特定の原油を購入するということに現状はなっておるように思います。ただし、最近は、アラビア石油につきましては、政府の指導もございまして、一定の割合について引き取っておるわけでございます。それから、いわゆる外資系でない、資本としての外資が入っていない会社、人によると、これは民族系の会社と申しております。その会社の中で外国から金を貸りる——これは設備資金か中心でございますが、外貨を借り入れた場合に、その対価といたしまして、その条件といたしまして、一定量の原油を一定期間、これは契約によって必ずしも一律ではございませんが、購入する長期契約を結んでいるものがございます。これが三十六年度を基準にいたしますと、二三%ございます。従って、外資系——ちょっと言い落としましたが、三十六年度では外資系の原油が五割でございます。それから、それ以外のいわゆるローンを受けて長期契約を結んでいるのが二三%でございます。従って七三%が、いわゆる濃淡の差はございますけれども、一方は外資でということによって、一方はローンということによって購入を義務づけられておる。それから、残りの部分でございますが、これがローンはしておりますけれども、契約の表面に現われていないものがございまして、あるいはこの七三%以外にも、契約面に現われないであるのかどうか、その辺はわれわれとしてはよくわからないわけであります。従って、この一五%というのが正確であるかどうかということはよくわからないので、大体二、三割ぐらいというふうに表現をとっております。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 私の方で調べたのでは、ちょっと数字が違う。私の方の調べたところでは、外資系が六四%、残り三六%中、約半分が長期購入契約によるものと推定せられる。そうすると、自由選択の購入分は二〇%弱だと思うのです。一五%か二〇%ぐらい。いずれにいたしましても、このように借款の見返りとして結ぶところの原油長期購入契約、これが一体どういうことになっておるのか、そういうことについて、実は委員会において、この審議に入る冒頭、資料を要求いたしたわけなんですが、それがまだ出ておりません。これは通産省の外資借り入れのときには、大蔵省もですが、外資委員会においてこれを決定するから、その資料をお持ちのはずなんです。これまた公取委員会においては、あとでまた触れますが、独禁法の六条二項で外国契約は報告することになっておる。従いまして、ここにもあろうと思うんです。その実態はどういうことになっておるか、お伺いいたします。いろいろそれは会社によって違うだろうが、どういうような契約内容になっておりますか。
  58. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま私が数字をあげました中で、ローンの条件として二三%と申しましたのは、外資審議会審議を経たときの内容基準として算定したものでございます。それに表面に出ていないのはわからないということを申し上げたわけでございます。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 公坂委員長にお伺いいたしますが、独禁法六条二項では、契約を結んだときには三十日以内に契約を届け出なければいかぬことになっている。これによってどの程度の実情を把握しておられますか。
  60. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 外資契約はいろいろなものがあると思いますが、おもなものは大体こういうような条項になっております。すなわち、売り主は買い主が日本における自己の製油所において必要とする原油の全量を本契約に定める条件に従って買い主に売却、引き渡しをなし、またはなさしめ、買い主が売り主または売り主の供給者より上記の原油を購入し授受することに同意する、こういうふうな契約で、いわゆる一手販売と申しますか、そういう趣旨の契約と思っております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、資料を要求していますから、あとでそれによって詳細調べて、またその点については質問することをここで保留いたしておきます。これは委員長に申し上げておきます。  今言われたような抽象的内容においても、やはりそこに金を借りる者と貸す者の間にいわゆる経済的な立場の優劣がある。そしていわゆる一手販売、一手引き取り、こういった契約がなされておるとするならば、独禁法第六条によってその契約は違反ではなかろうか、こういう疑問を持ちますが、公取委員長の御意見はいかがでございますか。
  62. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話でありますが、これは公取もごく昔は相当解釈を広くいたしまして、これは独禁法の不公正取引に該当するというような見解を持ったときもあったようであります。ところが、昭和二十七年の日本光学の事件に関しまして、その見解を多少やわらげまして、かくのごとき一手販売契約というものは、両者の協力関係を緊密にする効果があるにすぎないのだ、競争に及ぼす影響はまことに軽微であるから、不当な拘束約款とは言えない、ということになっております。それをさらに説明しまして、同種類、同程度の業者が多数存在しておるこの場合には、たといかかる取りきめをしたとしても、これはいわゆる不当な取引制限にはならぬという見解を示しておるわけであります。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 それは旭光学の具体的事案について、公取委員会の審決例でありますか。
  64. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 日本光学とアメリカのオーバーシーズとい5会社の国際契約について、これが独禁法違反であるかどうかという問題になった場合に、これは独禁法違反でないという審決であります。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法の解釈、これを具体的に運営するのは公正取引委員会の専権であります。従いまして、あなたがそういうような審決を出したということは、一つのいわば新判例を示した、こういうことがいえると思うんですが、そこで、それではこの第六条は一体何を言っておるのかお伺いいたします。
  66. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 たとえば今の場合で、日本光学とオーバーシーズの取引において、日本光学がきわめて大きなシェアを持っている、輸出においては日本光学ほとんど全部であるというような場合に、日本光学とオーバーシーズが取引をすれば、他の日本光学に類するような光学機械メーカーは入る余地がない、こういうことになれば、これは不当な取引約款、拘束約款ということになりますけれども、日本光学以外に相当の会社がある。たくさんあるのです。日本光学のシェアといたしましても、そう大きなものではない。そういう場合まで不当なる取引、不公正取引とすることは、独禁法の根本の趣旨である自由なる取引という見地から行き過ぎであるという見解をその審決において示したものと了解しております。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 六条をちょっと見て下さい。いいですか。「事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」とあるのです。従って、日本光学の場合に、あなた方が具体的事案としてこのものさしを持っていってこうであろうということを、新しい判例とい5か、公取の方としての解釈を下したことについては、それはそれで何とも言いません。しかし、第六条の情神はどこにあるか——それを運営するのは公正委員会であるけれども、公正委員会の審決をもって法の精神を曲げることは許されない。従って、第六条はあなたの言うようなことを音一味しているのじゃない。言うならばあなた方の出したその審決、これは、もう少し——日本光学をあなたがあげられたから、これの資料をいただきましょう。そうして検討しますが、少なくとも公取委員会としては独禁法を運用する任にある、しかし独禁法の精神を変える権限はないと思うのです。その点について、独禁法第六条のあなた方の解釈は誤っておると私は思うのです。石油のひもつき契約について、もう一度独禁法の六条を読んで、具体的にそうではないという証明ができるなら、していただきたいと思います。
  68. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法の六条、要するに今の問題は、「不公正な取引方法に該当する事項内容とする国際的協定又は国際的契約」という問題と思います。そこで、不公正な取引方法ということが、たとえば拘束約款ということになりますが、どの程度が不当な拘束約款になるかということが問題になりますので、日本光学の事件でも、全然競争に影響はないとは公取は判断しておらぬが、その影響はきわめて軽微である、他に取引の方法もあるのだから、今のその国際契約ができるとほかの取引がほとんど杜絶されるということになれば、これは疑いもなく拘束約款、不当な契約と思いますけれども、その程度に至らぬものはこれを不公正取引を内容とする国際契約と見ないという見解を示しております。ただいまにおいても同じ見解を持っております。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 光学はいい。石油の場合はどうなんです。
  70. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 石油の場合においても、甲という会社と日本の乙という会社の契約は、いわゆる一手販売契約と思いますけれども、甲というもの以外には売手がない、あるいは乙という日本の会社以外には買手がないというような取引の拘束が生ずるなら、これは問題であります。しかしながら甲と日本の会社、外国の乙と日本の他の会社というふうにたくさんの会社があるのであって、これによって甲の会社と日本のある会社が国際契約を結んだからといって、取引分野における著しい制限が生じておるとは認められないんじゃないか、こういう見解であります。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど来論議していますように、まず二〇%ぐらいだとしておきましょう。そうすると二〇%を除く八〇%はそれぞれ何らかの方法による外国のシェアがついておる、ひもがついておる、こういうことなんですね。しかも御承知のように石油の国際的な会社といえば七社です。七社においてほとんど世界を支配しているわけです。日本に上陸してきているのはそのうちの五社ですか、それがそれぞれの単独引き取りの契約を結ぶというと、これは少なくとも、独占でなくとも寡占になる、これは明らかであります。そこで、この条文を具体的に見てどうなのかという議論は、ここの不当な取引制限というのをいかに解するかということになると思うのです。そこであなた方は二十八年九月一日に告示十一号をもって不公正取引とはかくかくであるということを掲げられておる。その告示と照らして、今あなたの言っていることは正しいと判断せられますか、いかがでございましょうか。
  72. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 正しいと思っております。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたが正しい、おれが正しくない、こう言っていても、どこまでもそうなんです。それならやろうということなら、これは最高裁までいって法律の解釈について争わなければならないと思うのです。そこで、これはここまでくれば、もうそれはあなたはどうでも正しいと言うだろう、おれは正しくない、独禁法の六条はどうかと言ったら、結局は公正取引、正当な取引であるかどうかという取引制限の問題になると思うのです。そこで、あらため要求をいたしまするが、あなたのところへ届け出られておる石油に関する国際契約、このすべてを、もし名前を具体的にあげるのは困るという事態があるなら、それは甲乙あるいはABでけっこうです、それを全部出して下さい。そして私の方も独禁法それから判例、それから審決例等々とにらみ合わせて、一つ後日にこのことの討論はもう一度行ないましょう。同時に、法制局を呼んでも仕方がないけれども、もっと法律のわかる人を呼んで下さい。あなたが公正取引委員長になってから、ときどき変な解釈をする。たとえばカルテル行為は三条ですか、カルテルはやったこと自体でもう違反なんです。しかし、そのカルテルに拘束力がなければ違反ではないというような新しい解釈を出されている。だいぶあなたは新しい学説、新しい審決例を出しておられますので、そのことについてはあらためてその資料をいただいて検討することにいたしたいと思います。委員長にその機会を与えられんことを望んでおきます。  そこで、話をこちらへ戻して大臣にお伺いいたしますが、この石油業法は結局十月の自由化に何もしなければ大へんなことになるだろう、この間私が聞いたら、そういう徴候が現われております過熱になるだろう、こういうふうにおっしゃっておるわけなんです。その上に立って、エネルギー懇談会ですか、これが答申をし、その答申の中から検討して生まれてきたと思うのです。ところがその答申には、もちろん少数意見あるいは強弱の意見かありましたが、業法とともに国策会社を作る、買取機関を作る、そして少なくとも三〇%以上のシェアを持たなければ国家意思は業界に反映しないのだ、こういうことであったと思うのです。ところが、国策会社の点については、予算折衝段階にいって、実力者佐藤大臣をもってしても入らなかった。そこで、業法だけが出てきたと思うのです。少なくともエネルギー懇談会の答申は、業法と、反対意見、少数意見はあったとしても、国策会社、この二つを車の両輪として石油産業に臨むのだということがその骨子であったと思うのです。ところが一方がつぶれたわけです。そうすると、これだけならほんとうに絵に描いたもち、少しは味がするかもしれませんが、その程度であって、一方の何がなければ、車の車輪の一方をとったのと一緒で、思うように進まないと思うのですが、その国策会社構想については、大臣はどう考えておられますか、お伺いいたします。
  74. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 基本的な問題ですが、ただいまの公取委員長との問答におきまして、またその前の田中さんの御意見でもおわかりだと思いますが、外国原油に依存しなければならない日本の石油業といたしまして、この外国原油が入ってくるために、いろいろの外資導入等も見方によっては容易であったとも考えられる。また、外資導入が、その結果、特殊な国際石油会社の原油を入れるということにもなった、こういうことだと思います。今日までその弊害が、非常に出ているか、かように考えますと、私は、一会社と一会社との国際契約、外資導入では、日本の市場を左右するだけの力はなかったと思います。また、外資にいたしましても、ガルフなどは、やはり金は貸すがその大部分はソ連の油を買っている、そして製油している、こういうような場合もありますので、いろいろの形態があるから、外資導入が一がいにけしからぬとか、こうはなかなか言えないと思います。また、とにかく外国の油を買わなければならないのですから、その外国の油は、スタンダードだろうがシェルだろうが、一つに限ることはないのだ、こういう意味では、まず競争は公正に行なわれておる、そういうことが言えるのじゃないかと思います。ところで、しばしば議論されておりますように、外国石油と国内石油との関係、あるいは国内ガスとの関係、こういう立場においての国産原油あるいは国産ガスを保護しなければならない、こういうことが必ず指摘されますが、また社会党などからしばしば言われますように、総合的観点に立っての国内の石炭というものと石油をいかに調整をとっていくか、こういう問題等があるわけでございます。そういうことを考えると、この石油業法は石油業法としてスタートしておりますけれども、もちろんその構想のうちには、総合エネルギーの立場に立って石油のあり方というものも考えたい、こういう点は、いわゆる石油を国営にするとか独占するとかいう意味でなしに、やはり国家的な意思がある程度反映する必要があるということにも実はなるのだと思います。そういう意味で私ども考えておるわけでございます。  ところで、その考え方からスタートすれば、あるいは石油専売の議論もあるだろうと思いますし、あるいはただいま御指摘になりますように、専売までいかなくとも、途中の買取機関を作ったらどうか、こういうのがあったり、あるいは許可事業にしたらどうか、いろいろな段階の議論があるわけでございます。これがエネルギー懇談会等の意見であり、これは実は一致した意見にはなっておらないのでございます。  ところで、私ども現在の状況と取り組んだ場合に、何がまず必要かと考えました際に、今日御審議いただいております業法の中身、これをまず一つ御賛同をいただくこと、これが第一の着手すべきことじゃないかと思います。従いまして、将来の買取機関の問題につきましては、本会議の席上等におきましても私どもの考えを明確にいたしておりますように、ただいままだ結論を出していない、もちろんこれは慎重に考うべき事柄だとは思いますけれども、まだ結論を出していない、これが私どもの今日取り組んでおる実情でございます。私はこれをただいまから反対だとか、しからばいつ出すのか、こういうようなお話があろうかと思いますが、結論は慎重に出すべきであろう、かように実は考えておる次第でございます。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、国会答弁はそれでいいでしょう。ほんとうのことを言うと、通産省は国策会社が必要であると思っておるのではないのですか。私はまたエネルギー懇談会の答申、それはなるほど少数意見はあったが、これはやはり両輪の輪として出てきた。ところが予算というところにおいてけつまずいて、片一方はついえ去ったというのが実情だと思うのです。そうでない、あるいはそうだということになると、また通産大臣と大蔵大臣がけんかしなければいけないから、そうではないと思うが、私はそういったものがなければ、この石油業法というものを作っても、裏づけが薄いじゃないか、そうでなかったら、あとは何が残るかといったら、届出と計画のあれと、それから石油に対する許可と、それから十五条の変態な価格の問題、そんなものですよ。それはやはり裏づけを作らなければいかぬ。いつも言うことですが、池田内閣は法律はどんどん作るが、あまり金を出そうとしない。ついでに言いますが、外に対してはえらい気前がいいけれども、内に対してはけちくさい。これははっきりした事実です。そこで金が要る方をあとにしたというのが実情だと思うのですが、私は少なくとも、ほんとうに十月自由化に対して確固たる国内体制を立てるというならば、十月までに国策会社を作っておく必要がある、買取機関について作る必要がある、そうでなかったら、ほんとうにこの業法は動かないんじゃないかという観念を持っておるわけです。そこで、大臣と大蔵省の宮川理財局長が見えておりますが、これは政治答弁になるので、局長はどうかと思いますが、私は補正予算でも組んで、そうして十月までにやるべきであるという意見を持っておるのです。いかがでございましょうか。
  76. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたのは、国会答弁だという御批判をいただきましたが、私ども国会に対しまして、よそ行きの答弁をいたすつもりは毛頭ございません。真実こそ国会において発表すべき唯一の場所である、かように考えておりますので、この点は一つ誤解のないように願いたいと思います。  そこで、もう一つ申し上げておきたいのは、私どもが今堅持しております態度は、どこまでも資本主義、自由経済の立場を実は堅持しておるつもりでございます。その立場に立ちまして、いろいろの施策を考えて参ります場合に、必ず民間業界の積極的協力を求め得るのだ、こういう実は確信でございます。いわゆる国家的統制は、そういう意味ではできるだけ排除すべきだ、これは最小限度にとどむべきだ、かような実は気持を持っております。だから、いやしくも統制的なものの非常に濃厚なものは、これは私どもは排除したい。ただいま言われますように、少なくとも三割近いものを特殊な会社で把握さす、それによって市場を動かすというような統制的な考え方はできるだけ排除すべきだ、かように実は考えておる次第でございます。今回のこの法案を運用するにあたりまして、あるいは私どもの予期に反して、業界の協力を得ることができなければ、それはもちろんまた別な考え方に進まなければならぬかと思いますが、いわゆる政府の考え方が非常にりっぱだ、いわゆる独善的な考え方はなるべく廃止いたしまして、業界の積極的な協力、これこそが事業を盛り立てるゆえんであり、経済の繁栄をもたらす基礎だ、この考え方に立って、法案も御審議願う、そういう意味で提案もいたしておる次第でございます。今日までいろいろ買取機関の問題も論議されております。またこの法案提案いたしました結果、国会内においては、その種の機関が必要だ、こういう御意見もしばしば拝聴いたします。もちろんこれも私どもそういう事柄を念頭に置いて検討するということは、申し上げて差しつかえないことでございますけれども、ただいま申し上げますように、事柄の性格上、これはやはり慎重な扱い方をしたいというのでございまして、これは別に言葉でいいかげんなことを申したり、あるいはそつのない答弁をしているという気持でなしに、どうも私の信念が皆様方の胸に響くことができなかったとすればまことに残念に思いますが、そういう考え方でございます。
  77. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ただいま通産大臣からお答えになった通りでございます。慎重に通産省と協議いたしまして……。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 その法律の大前提というか、なぜ作るかということは、一条の目的に書いてあるわけですね。「石油の安定的かつ低廉な供給の確保を図り、」こういうことをいっておるわけです。この立場に立って、安定的な供給、低廉な価格、これにはやはり自由な競争はいいんだ、こうではあるが、やはりある程度国家意思が反映できる方途を持たなくては、百鬼夜行となろうと思うのです。そういう意味からいって、私はむしろ国策会社を作るべきである、しかもその作った国策会社は、少なくとも三〇%ぐらいの自由にできる実力を持たなければならない。そうしなければ、国家意思は反映しないのだ。そうするならば、逆にいって、現在八十五か八十か知りませんが、ある外国のシェアを追い込んでいく、こういう政策をとらなければいけないのです。  そこで立場を変えての質問になりますが、国策会社を作ろうとすることについて、いろいろと回りくどい答弁がありましたが、大臣自体も認めておるのか、いかがか。これは国会においてそういう意見があって云々と、こういうことなんです。しかもそれは私は、自由化せられる十月までにやるべきである。従って、そのためには補正予算を組むべきである、こういう意見を持っておるのですが、これは答弁していただけましょうか。
  79. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 特殊な引取会社を作るべきだという御意見は、確かに私は傾聴に値する御意見だと思います。直ちに私賛成しておるというわけではございませんが、これは傾聴に値する御意見だと思います。ただそれをさらに突き進んで自由化前に作るべきだというこの御議論には、私は必ずしも賛成するものではございませんので、これは必ずしもそれが必要といたしましても、十月までに作らなければならぬ、かようには私は考えておりません。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 その国策会社の問題については、まず必要だということは、大臣も大体お認めのようである、ただ時期について意見が違う、こういうように理解しておきたいと思います。  そこで、この法案がなければもっと原油は安く買えるんだ、政府はつまらぬことをするなというような意見もあるようです。なるほど私は、この法案がなければ一時はそういうことになろうと思うのです。現在世界の石油大メーカーから日本はねらわれておる。あなたはねらわれておるということになろうと思うのです。従って、ある程度においては競争をして、安く入ってくる。その面においては、こんなものは要らぬじゃないかという意見もあり得ると思いますが、そのことによって弱いのは倒されていく。その結果は、必ず一つのカルテル的な価格が形成されてくる。これはもう議論の余地なく、七つの会社が、世界の石油、原油についてはほとんど握っておることは事実であります。そこで、そういういわゆる国際カルテルというか、あるいは独禁法でいう意思の疎通ということはないかもしれませんが、現実的にそういうものが現われてくると思うのです。それに対して何らかの処置をとるということは、私賛成です。従いまして、われわれの態度は、この石油業法は基本的には賛成をしているものです。しかし、それではまだ弱過ぎるのじゃないかというくらいが、われわれの言いたいところなんです。  そこで、公取委員長、いかがです。国際カルテルというものは、石油についてははたしてあり得るのかどうか、中には意見として、たとえばアメリカのアンチ・トラスト・ローですか、こういうのがあるけれども、いやそんなものはないんだ、こんなものはほっておいてもらった方がいいのだというような意見もあると思うのです。私は、石油においては、国際協定、国際カルテルなるものは存在する、こう思うのですが、公取委員長の見解をお伺いいたします。
  81. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 国際カルテルの問題につきましては、実はなかなかむずかしい問題で、私どもの方といたしましても、ほうっておける問題ではないので研究しておる次第でございます。ただ法律関係が非常にむずかしいので、すぐ結論が出るかどうかわかりません。
  82. 中川俊思

    ○中川委員 関連して——大臣にお尋ねいたしますが、今、田中君の御質問で買取機関の問題にちょっと触れたようですが、これは自由化後、すなわち本年の十月以後になってもおそくはない、そのとき考えるという話ですが、これは少し慎重に考えていかないと大へんな問題だと思うのです。このままで自由化になりますと、こんな法律を作ったところで日本の中小石油会社はばたばたですよ。もっと慎重に考えてもらいたい。どうせお作りになるなら十月までに作っていただかないと、せっかくあとで作っていただいても、仏作って魂入れずということになる。重大な問題ですよ。皆さん簡単にお考えになっていらっしゃるけれども、石油業界の実態一つ御研究願いたいと思うのです。それでなくても、世界の石油カルテルにとっては、日本は垂涎ものなんです。これはいつか鉱山局長おっしゃった通りです。日本くらい急ピッチで石油が伸びておる国は世界にないのですから、日本の石油市場をいかにして押えるかということを世界の石油カルテルは最大の目的にしておる。だから自由化になると同時に、どっと怒濤のごとく日本に押し寄せてくることは自明の理なんですよ。ですから、どうせ買取機関を作って、日本の国産系の石油会社を助けようとするならば、これは自由化後、十月以後なんてのんきなことを言っておられたのでは、せっかくお作りになっても何にもならないと思うのです。それができなければ、自由化はすべきではない。午後の質問のときにお尋ねしようと思ったのですが、今関連しておりますので大臣にお尋ねいたしますが、一体自由化というものはだれが、いつ、どこで、どこの国と約束したのでありますか。
  83. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 自由化の基本方針をきめましたのは、岸内閣のとき、私が大蔵大臣、ただいまの総理が通産大臣の時分に自由化を計画いたしたのでございます。これは貿易の自由化と申しておりますが、申すまでもなく、実態は為替の自由化でございます。為替が自由化されない限り、貿易の自由化ということもあり得ない。そういう意味から、通産、大蔵両省の意見が一致しないとできない。これはどちらからともなく自由化ということを言い出して、これを取り上げたわけであります。それで、当時の池田通産大臣は、一番先に繊維関係、紡績関係と取り組んだわけであります。これは比較的問題のないものである。それが進んできて、今日のように自由化が進んでいるということであります。そして、これはだれが言ってきたということは私存じませんが、ただいま申し上げるように、自主的な立場で日本の政府がそういう基本方針をきめた、かように私は理解しております。  それからまた、ただいまの関連されての御意見でございますが、誤解があると困ると思いますが、買取機関を作ることに私はただいま慎重でございます。先ほど申したのが、十月以降において作るという考えだろう、こういうふうにとられますと、これは少し結論が早計でございますが、これはよく読んでいただけば私の答弁はそうでない、かように思いましたので、田中さんの最後に念を押されたような御発言に対しましても、別に反論を加えなかったのです。私はただいま申し上げますように、自由化の問題、そしてこの業法を提案することになったわけでありますが、これは中川さんが御指摘の通り、日本の業界は大へん弱いものだと思います。ことに国際カルテルに左右されているというか影響下にある、そういう意味からも業界としては非常に弱い立場にあると思います。同時に、それが重要なエネルギー源である石油業でありますだけに、これは国の産業経済の立場から見まして、重大な問題だと思います。そういう意味で秩序がどうしても必要だ、これを強く要望する次第でございます。ただ、非常に自由経済にならされておる業界だけに、ただいま申し上げるような非常に飛躍的な考え方は、積極的な協力をなかなか得がたい問題であります。そういう点も政治の行き方としては十分考えるべきではないか、かように思う次第でありまして、先ほど申し上げましたように、引取機関を設けろという御意見は確かに傾聴に値する考えである、しかし、すぐそれに賛成するものじゃないということを実は申し上げた次第であります。
  84. 中川俊思

    ○中川委員 大体わかりましたが、しかし、慎重にお考えになることもけっこうで、貿易の自由化をお延ばしになるつもりならそれはいいですけれども、自由化はどうしても政府が十月なり九月にやろうと思えば、これは今田中さんの言われた買取機関は、事前に作らなければ意味がないということをさらに慎重に考えてもらいたい。私は決してあなたを責めようとは思いません。あなた一人の責任じゃない。あなた一人でやろうと思ってもできやしない。これは今日までの政府全般の責任である。それからここをつかなかった社会党にも責任がある。全般に責任がある。だからあなたを責めようとは思わぬが、日本産業を国際市場で育成していく上には、貿易の自由化も必要でしょう。為替の自由化も必要でしょう。だが、日本の特殊事情というものをよく考えて、日本の産業構造はどういうものかということをよく御研究になって、そしてステップ・バイ・ステップでおやりになってもいいことである。ただ何でもかんでも十月には全面的に貿易の自由化をやらなければならぬというような考えは、これは私はいけないと思う。御承知の通り、ドイツは貿易の自由化を押しつけられて四年も研究してやっておる。イタリアでも二年も研究してやった。貿易の自由化、自由化と言って、あなたは岸内閣の時代から、池田がどうした、だれがどうしたとおっしゃいますけれども、これは政府全般の責任ですよ。決してあなたの責任として追及しようとは思わないのですが、これは重大な問題です。日本の産業構造は浅く、基盤が非常に脆弱ですから、世界の市場にどっと持ち出したときに、たえられるかどうかということは重大な問題です。貿易の自由化、自由化と言ってアメリカに遠慮する必要はない。アメリカだけじゃないだろうが、日本の貿易の実態をよく御研究なさって、自由化をやっていただきたいと思う。特に石油にとっては重大な問題です。ただ自由化すればいいんだというような、自由化を金科玉条として考えられては迷惑であって、そういうことでは石油業法はスムーズにこの委員会を通過しないだろうと思いますから、十分に御検討願いたいと思うのです。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 中川委員の発言は、偶然にもわが社会党の主張に一致いたしました。そこで自由化までに国策会社を作れ、あるいは作らなければ自由化は延ばすべきであるという附帯決議提出いたします。与党の諸君はその場になって反対せられないように、ここで希望いたしておきます。  それから今、国際カルテルということが出てきたのですが、これはつかみにくいと公取委員長もおっしゃった。しかし、われわれの感じでは、やはりあるのです。そこで、先ほどの公取委員長と私の論議の中からまだ解決ができていないので、それによって逃げられるかもわかりませんが、外務省が来ておりますので、一応お伺いしておきたいのですが、日米友好通商航海条約、これの十八条及び制限的取引慣行の処理に関するガット第十七回総会決定、これは一体何を言おうとしておるのか、一つこの解釈を聞かしていただきたいと思います。
  86. 和田周作

    ○和田説明員 ただいまの御質問のございました日米通商航海条約十八条の一項について御説明いたしたいと思います。  この条項の主眼は、特定の産業分野において少数の企業による独占、その他競争制限的な慣行が行なわれるという結果、日米両国間の通商の発展を阻害することになるということを相互に認めまして、これを防ごうというのが趣旨であります。  ガットも、実はガットの方は特に勉強して来たわけではないのですが、私たちの了解ではこれは同趣旨であると考えております。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 今申しましたように、友好通商航海条約の十八条並びにガット十七回総会の決定は同じ趣旨なんです。そのことは今あなたが答弁をしたようなことなんです。そこでわれわれは、いわゆる外資ローンによってひもをつけられておる。これが不公正な取引であり、独禁法違反だと言っておる。この点についてはまだ若干の論議が残っておるとしても、その事実はあなたは認めると思うのです。そこで条約の十八条の「従って」以降なんです。前段はそういうことがあってはならないということについて意見が一致した。「従って」以降は、そういうことがあれば締約国の一方から申し出て解決するのだ、こうなっておる。従って、私はこの友好通商航海条約の十八条の「従って」以降の動きを日本がやるべき段階といいますか、やるべきであると考えておるのですが、これはいかがでしょうか。
  88. 和田周作

    ○和田説明員 ただいまおっしゃいましたように、「従って」以下の解釈でありますが、このような有害な影響を与え得べき事態になりました場合、各締約国は適当な措置をとるように協議するということであります。その前段でありますが、ただいまの日本の石油業界の現状におきまして、私たちはこの第一条に言うところの現在行なっておるところの慣行が、この慣行に該当しない、現在の段階ではまだ該当していないというふうに考えるのでありますが、それについては政府が判断すると申しましても、むしろその判断につきましては外務省自体でなしに、主務官庁その他が判断されるところであると思うのであります。しかし、私たちとしては、ただいまの石油業界の現状では、そこまではいっていないというふうに考えております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、ちょっとあなたが中座しているときに私ちょっと外務省に聞いたのですが、日米友好通商航海条約の十八条の後段、「従って」以降のことを今やっておるわけですが、先ほど来書っておるひもつき契約あるいは八〇%程度のシェアを握られておるということ、そういうこと等は、いわゆる十八条の前段の事実に該当する。従って、十八条の「従って」以降の規定に基づいて、政府はこういう状態を除去するために交渉を持つべき段階ではなかろうか、こう言っておるわけです。そうすると、外務省はそういうことが事実であるかどうかという判断は、主務官庁の通産省がなされる、こういうのですが、先ほど来の論議、国際カルテルの問題あるいはひもつき契約の問題、そのことによる日本の自主買い取りのできないという制限、こういうものがこの条約十八条前段の事態に該当するやいなや、これは一つ通産大臣の見解にかかっておる。こういうのが外務省の答弁でございます。  さらに先ほど触れましたが、同じ趣旨のことが、ガット第十七回の総会において規定せられておるわけです。そういうことで、航海条約の十八条後段「従って」の規定に従って、アメリカに対して、そういうひもつきあるいは経済慣行の制限、こういうことについての修正除去について申し入れる用意がありやいなや、こういうことです。
  90. 和田周作

    ○和田説明員 大臣がお答えになる前は、もう少し補足させていただきますが、ひもつきの契約がございまして、その契約の内容の問題でございますが、それについて一会社をある程度支配するといった場合が、必ずしも直ちにここに言う十八条の一項に該当するものとはわれわれには考えられないのでありまして、先ほど先生が申されましたように、むしろ日本に対して少数の企業が日本の石油業界を支配するといったような事態の場合がむしろ考えられる。従って現在の私たちの考えでは、契約が一つ一つある、そのことにつきましては、公取委員会の方でお考えになっておる通りでございますが、その一つだけであるならば、十八条一項はそのままでは動かない、対象にはならない、こう考えております。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたは専門家なんですよ。十八条をもう一ぺんじっくり読んでごらんなさい。「一若しくは二以上」、従って今言っておるのは、一会社が独占しておるとは言わないのです。いわゆる外国、ことにアメリカの特定の数社、これが日本の石油業界を支配しておる。これは明らかな事実なんです。だから、一つ一つは何パーセントであっても一、一または二以上が八〇%のシェアを自由にしておるわけです。こういう状態が十八条第一項に該当しないとあなたはおっしゃるのですか。どうです。
  92. 和田周作

    ○和田説明員 私たちの解釈では、今申されたように了解しておらないのでありまして、現在は八〇%、一または二以上の数種の企業がそういうことを行なっておるという場合でも、私たちはこの第十八条の一項に該当する段階に至っていないと考えておるわけであります。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 「一若しくは二以上」なんだよ。それが八〇%あるいはそれ以上のシェアを握っておる。これが十八条第一段の規定に該当しないということはおかしい。——外務大臣の出席を要求いたします。
  94. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 通産省の答弁が必要のようでございますから、お答えします。この十八条に該当するやいなやと・いうことは、いろいろ議論があるが、ただいままでのところ十八条に該当してはいない、こういう考えでございます。ところでただいまの外資の契約等においてああいういろいろな拘束を受けること、これは私本来から申して望ましいことではございません。そういう意味から契約者に対しても指導する方法があるだろうと思います。これが大まかに抽象的に申しまして、田中さんが冒頭に御指摘になりますように、政府がもしこの事業体について十分の関心を持ち、また親切気があるなら、ああいうような外資契約を一々通さなかっただろう、こういうことになるだろうと思います。また私もそういう御非難は当たると思います。今日当初の外資を導入いたしましたものは、比較的拘束をされておると思いますが、その後一、二の例等を見ますると、金は借りる、しかし、商売についての非常な拘束は受けない、そういうような契約をしておる例もあるわけでございます。ガルフと出光の契約などははっきりそういう方向でございまして、最もアメリカなどがきらうソ連原油を現に精製しているのが出光でございますから、そういうことを考えますと、当初非常な弱味であったその際の契約そのものが、相当当方にとって不平等と申しますか、そういうものはある、だろうと思います。ただ、私幾分か同情をするという点から申せば、先ほど来お答しておりますように、結局は外国から油を買わなければならない、それがシェル、だろうが、スタンダードであろうが、特殊の原油であろうが、そういうところから供給を受ける、国内ではほとんど買えないんだ、こうなりますと、お互いに相互扶助の形で比較的契約は順調に進んだだろう、こういうように実は思います。それがただいま独禁法に該当するかどうかという議論でございますが、七社だ、そういうことになると、いわゆる独禁法に直接該当するといってやかましく言う筋でもない、かように思います。しかし、これはいろいろ議論のあるところでございますから、その議論について私が片一方を是なりと申すわけじゃございませんが、そういうことが実際問題としては言えるんじゃないかと思います。  それからもう一つつけ加えておきたいのは、ただいまの日米友好通商航海条約の問題でございますが、これはいろいろ十八条以外にも問題の条項はあるんじゃないかと思います。ちょうど期限も近づいておりますので、政府としては、この条約の扱い方についていかにすべきか、ただいま検討している、これもっけ加えてお答えをしておきます。
  95. 板川正吾

    ○板川委員 日米通商航海条約が改定期に来ておりますから、その際考えたい、こう言うんですが、われわれが今言うことは、この航海条約をこういうふうに結んでおるが、これを日本の現実に当てはめた場合には、こっちがまずいぞということなんです。その通商航海条約十八条を改正して、今度は制限的な慣行なり取引なりを自由にできるように改正しろという意味じゃございませんから、その改正しようという方向がそういう意味じゃ困るので、それからこれはガットの十七回総会と同じ趣旨ですから、世界の独禁法の態勢もそういう制限的な取引は押えている方向に来ているんですから、それをゆるめては困るのです。その点は誤解のないように。
  96. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の私の最後のことが誤解を受けておるようでありますが、現行条約は現行条約。しかし、この条約自身について基本的にそういう問題があるということをつけ加えただけです。だから、将来これを変えるとか、ここまでお約束しているわけではございません。いろいろこの条約の他の条項等についての問題の点があるのではないか、かように思いますので、それは別途に研究するということを実は申しておるわけであります。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 この条約の問題については、どうも外務省としては現状把握に乏しい。従いまして、これは一参事官でなく、外務大臣の出席を求めてなお検討するということを保留いたします。  さらに、佐藤通産大臣、失礼ながら独禁法をあまり御存じないようです。独禁法というものは、一社によって独占することだけでなく、いわゆる寡占状態、数社によって独占することをも含んでおるわけであります。だから、そういう点で、これは結局は公取委員長と私の論議の結論が出るまではお預けということになるだろうと思いますので、これはあくまでもそれぞれの契約を全部出してもらって、それで論議を重ねていきたい、こう思いますので、この点につきましても保留をいたしておきます。  次に、その国策会社に関連してですが、結局国策会社を必要ならばというのですが、私は必要ならばこれを作る。そうして現在八〇%ないし八五%が外国の、ソ連を除くというのがほんとうかわかりませんが、とにかく外国のシェアで握られている、これを追い込んでいかなければならない。そうするためには、どうしても国産ないし国産系というか、ともかく日本の会社の手によって掘る油です。こういうものを主体に考えていって、少なくとも三〇%くらい自由に操作できるものを握らねばならない、こう思うわけです。そうすると、ここにアラビア石油の問題が出てくるわけです。アラビア石油を買いとる点において、サウジアラビアと契約をしている。そういう契約からいろいろ論議が出てくる点があると思いますが、それはしばらくさておきまして、結局アラビア石油の値段は高いのか安いのか。日本へ持ってきて外国のよその油と競争ができるのかできないのかということになろうと思います。ここに通産省で出しておられる。「日本石油業のあり方」すなわち「石油業法はなぜ必要か」というものの十一ページに、アラビア石油は安いと書いてある。しかし、一説によると、この計算は運賃について十分の検討がなされていない、すなわちUSMCですか、国際運賃レートといいますか、これによって計算をするときに、アラビア石油のものはマイナス六〇とし、一般はマイナス四〇としているから安くなるんだ、こういう主張がある。そういうことはともかくとして、一体日本まで持ってきて安いのか高いのか。こういうことです。
  98. 川出千速

    ○川出政府委員 アラビア石油の原油の値段は、その資料によりますと、CIFで四千五百円ないし四千八百円くらいということで、FOBによりますと、現在の売り値は、バーレル当たり一ドル三十セントでございますので、これをキロリットル・円に直しますと、三千円弱でございます。原油の値段というものは、ガソリン分が多いとか少ないとか、あるいは硫黄分とか、いろいろな品質の問題がございますので、形の上に現われた値段だけでは判断できない問題もございますが、アラビア石油につきましては、バーレル当たり一ドル三十セントという値段は、国際価格並みではないかというふうに考えております。  それから金融の問題とか、そういう問題は別個にあるかと思います。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 国際価額並みではないかということは、結局高くつくのですか、安くつくのですか。
  100. 川出千速

    ○川出政府委員 国際価格並みであります。決して割高ではない。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 結局国策会社を作った結果、日本人の手で掘る油、これを主体として考えていって、十分やれるという結論になるわけですか。
  102. 川出千速

    ○川出政府委員 値段の点についてはそう思います。しかし、製油ということになりますと、一つだけの酒類の油でできないわけでございます。これはどこの油でもそうでございますが、いろいろ製品を作る場合には配合の問題があるかと思います。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、アラビア石油の油は配合の問題もあって、一がいに言えない、そういうことだろうと思うんですが、一般ではアラビア石油の油は高いんだ、従ってこの法律はそういうことをも考慮しながら作ったんだという非難がある。その根拠としては、私はここに持ってきておりますが、サウジアラビア王国政府とアラビア石油の間に結ばれた石油利権協定、この利権協定が、——なるほどあとから出かけていって掘らしてもらうんだから、ある程度今までの米英系の結んだものよりか損だというか、ある程度の契約を結ばねばならない、そういう事態はわかるのです。しかし、それはたとえば五〇%渡すやつを五六%だ、あるいは六〇%だということは、これは量の関係なんです。量と質という言葉を使いますが、量という点において、ある程度一般に今まで結ばれたやつよりか不利な協定を結ばなければならないという実情はわかる。   〔委員長退席、松平委員長代理着席〕 しかし、ここにアラビア石油を中心としたこういう利権協定の中で質的な転換が行なわれてきておる。それが第五条の一貫操業の問題なんです。しかし、これはいろいろ考え方があると思う。すなわち今まではいろいろ現地だけで片づけておった。このFOB段階において進んでおった。しかし、今回は一貫性がどこまでも追いかけてきておるという格好になっておる。しかし、これは先に行った米英がそういうことでFOBの段階において打ち切ることにしておいて、どんどん子会社を作っていって、うまいことをしたというか、そういうことからいえば、こういうAA諸国から日本が信用というか信頼される一つの原因になるんじゃないかと思うのです。一貫操業の思想というものは、たとえばアラビア石油がいろいろなことをかりにやるならば、そこまでついてくるということ、こういう問題についてどうも割り切れないというか、少し質的転換が行なわれたということで変わったという感じを受けておるのですが、これについてはどういうように考えておられますか。
  104. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま御指摘になりましたように、アラビア石油がサウジアラビアと協定いたします際は、非常にアラブ民族意識の高揚しておった時期であります。スエズ動乱のあとでもあったわけであります。従って、従来の欧米諸国との協定ほかに、アジア諸国の一員とも協定をしたいということも一つの動機であったように聞いております。しかし、その際に大へん激烈な競争が行なわれまして、アラビア石油が協定の成立に成功したわけであります。そういうような背景のもとにおいて、従来、たとえばアラビアでアラムコが一九三三年、昭和八年でありますが、当時結んでおりました協定に比べると、いろいろ不利な点がございます。先ほど御指摘になりました利益の五六%というのも、従来は五〇%でありました。その点も不利であります。それから先ほど御指摘になりました操業を一貫した場合、この利益配分が、FOBと申しますか、採油の段階ばかりでなくて、以後の段階までも及んでくるということは、確かに形式上不利な点ではないかと思います。しかしながら、現在アラビア石油は掘る段階を考えておるわけでございまして、以後の計画その他を考えておるわけではございませんので、実質上は私は実害はないというふうに考えております。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 この一貫操業という規定を厳格に考えた場合は、アラビア石油が独自の立場からやればどこまでも追いかけてくる、だがアラビア石油の手を離れたときにはそこで切れるのだ、こう思うのです。そうするなら、かりに国策会社を作って買い取ったとしたときには、この一貫操業の思想はそこで切れるわけですね、いかがですか。
  106. 川出千速

    ○川出政府委員 その通りでございます。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 実は利権協定は幾多の問題を持っております。私実はいろいろと調べましたが、こういう席上で言わない方がいいんじゃないかと思える点もありますから、それは一つ後日大臣と二人のときに十分申し上げることといたしたいと思うのですが、これはいろいろ考え方によって解釈も変わってくるのです。たとえば雇用の問題等についてもあります。現地においては七〇%以上現地人を使う、あるいはこちらとか、いわゆる現地以外の場所においては最低三〇%の人を使うということ、そうするとアラビア石油が日本に製油所等を作った場合には、現地人、いわゆるアラブ人ですか、これを三〇%以上使わなければいけない、こういうことはちょっとおかしいじゃないかという見方もあり、同時にそのことによってなお一そう技術提携というか、そういった援助にもなるのだという解釈もあるわけです。この問題等についてはいろいろ解釈もありまして、実は私の手元にはこの協定を結ぶときの政府の訓令に対する現地の交渉状態の報告、あるいは山下社長が向こうの財政経済大臣に入れた確約書等々ありますが、これはガリオア、エロア等の外務委員会ではありませんので、私はそれをきょう発表いたしません。しかし、今後の審議の過程において必要ならば出したいと思っております。この点もちょっと保留をしておきます。時間の関係もありますから、これはやめたのではなしに、保留ということにしておいて、次に進みます。  今度は時間の関係で具体的な法案に入っていきたいと思うのですが、一番最初申しましたように、これは石油業法、しかもこれが総合エネルギーの政策の立場に立っておると大上上段に振りかぶっておられる。が、これはちゃちなものである。われわれの考え方をもってすれば、なお不十分である。それは先ほど申しましたように、石油というものの、探して、掘って、運んで、製油して、製品に作って、販売するという過程のうちの、半分から先だけを規定しておるわけです。だからこれは中途半端だ、こう言うのですが、それはそれとしておきまして、この間私が、一体大上段に総合エネルギーの立場に立って、こうおっしゃるが、そういう立場がこの法案からにじみ出ていないじゃないか、こう申しました。そうしたときに大臣は、いや三条三項にありますと言うのです。なるほど「石油並びに他の燃料及び動力源の需給事情、石油資源の開発状況その他」云々とある。この条文があるからといって、大乗的見地だとはいえない。ということは、この法案で先ほど申しましたように、製油所の許可を与える、そうするとそれに対する計画を大臣に報告する、あるいは輸入業者は輸入計画を大臣に届け出なければならない、こういう規定があるのです。それではここで需給計画を立てるにあたって、このどっちが先にいくのか、たとえば輸入業者が輸入計画を立てて報告してきた、あるいは製油業者が認可を前提とするが、それを報告してきた。それによって三条による石油事業計画を立てるのか、あるいは石油需給計画が立って、その範囲内において輸入なり、あるいは製油というようにいくのか、どっちが頭でどっちが尾なのかを聞きたい。
  108. 川出千速

    ○川出政府委員 この石油業法の運用の一つの大きな基本は石油の供給計画でございまして、これは個々の届出を積み上げたものではなくて、経済の見通し、国内のエネルギーの発達の状況その他を勘案いたしまして審議会にはかって政府がきめることにしておるわけでございます。
  109. 田中武夫

    田中(武)委員 審議会にはかってきめるというのは、この条文にあるんだよ。その需給計画をきめるその審議会答申によってそれはきまるわけでしょう。その需給計画からにらんでおいて、その製油の認可あるいは製油の計画、これは届け出るということなんでしょう。あるいは輸入のあれが届け出る。そういうようにいくのか、輸入計画なり製油計画が出てくる、それをにらんで需給計画を作るのか、こういうことなんです。
  110. 川出千速

    ○川出政府委員 供給計画を作ることが先でございます。これは政府の方針として審議会にはかった上で作りまして、業法運営の柱になるわけでございます。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 まず政府がこれは大きく振りかぶっておられるから、そういたしましょう。その他の燃料ということは、石炭、ガス、電気あるいは原子力発電に至るまでを頭に置きながら、その総合の立場から審議会の議を経て石油供給計画を樹立せられるわけですね。そうすると、その樹立計画から輸入届出あるいは精製の計画の届出ですか、これを見ていくということであれば、これは届出でなくて、もっと強いことにしないと、その間にバランスが保てないと思うのです。そういう点はどうですか。そういう点から私はこれは中途半端だ、やるならもっと強いものをやれ、国全体の需給計画が先に立って、そうして輸入は届け出なさい、製油会社は届け出て下さい、これじゃ何にもならない。そうすると届出に対して何らかの力というか、国の意思が動くようにしておかなければ、この立てた需給計画というものが実際に商売している連中によってくつがえされるということになるのです。だからどっちが頭でどっちがしっぽかということは、ちょっとおかしな問題になってくる。それであなたの言うようにこっちが頭だということなら、やはりそれぞれ押えるところを押えるような条文にしておかなければいかぬと思うのです。押えていない。ただ届出だけです。届出ということでは、届出が来ると、そういうものをにらんで需給計画を作るというさかさトンボに読める条文になっているのです。そういうような点についてはどうですか。
  112. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま申し上げましたように、石油の供給計画前提になりまして、これをもとにして事業許可と、その供給計画に見合う設備許可をやっていく方針でございます。この供給計画は一年の供給計画ではなくて、毎年五カ年の長期見通しのもとに立てるわけでございます。供給計画に見合って設備を押えておりますので、大元は押えられておるのではないか、事業許可制と設備許可制をとっております。あとの事業計画の届出制は、これはあまり個々の企業の自由な活動に干渉をすることは好ましくないであろう、必要最小限度の調整なりコントロールをしようという趣旨で届出制にしてあるわけでございます。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 それだったらもうちょっと僕は強い規定がほしい、こう思うのです。しかし、これでやれる自信があるならおやりなさい、お手並み拝見いたしましょうということになるの、だが、これはそういうことで、こっちが頭だということで理解いたしましょう。それにはもっと強いことが実際必要であるということだけは申し上げておきます。  次に四条の石油精製業の許可の問題ですが、今私この法律審議にあたって、これは属人主義をとるのか、属地主義をとるのかということは申し上げたくないのですが、この四条の許可、認可は外国の会社が日本において製油所を作るときに適用になるかどうか。日本の国籍を持つ会社、すなわちたとえばアラビア石油が一日に十五万バーレルか何か出ると、現地に製油所を作ることになる。日本の国籍のある会社が外地において製油所を作るときにも適用になるのか。すなわちこれは法律でいうところの属地主義につながるのか、属人主義につながるのか、それとも双方なのか、いかがでしょうか。
  114. 川出千速

    ○川出政府委員 日本の国内で精製所を持つ場合には、あるいは事業を行なう場合には、その国籍が何であろうと許可を必要とするというふうに解釈しております。
  115. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、日本が外でやる場合は……。
  116. 川出千速

    ○川出政府委員 対象にならなくなると思います。
  117. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、属地主義ということになるわけですね。時間がないから飛ばします。  十五条ですが、この点が、やはりこの問長谷川委員も質問しておりましたけれども、どうにも納得がいかぬのですよ。この販売価格の標準額というこの第十五条の規定は、何を言おうとしておりますか。
  118. 川出千速

    ○川出政府委員 石油製品の価格につきまして、常時標準額を定めるという趣旨ではございません。過去におきましては、スエズの動乱のときに需給関係を無視して非常に上がったということがあったと聞いておりますが、そういうような暴騰する場合、あるいは非常に下落をする場合、その両方のおそれがあるような場合に標準額を、これは一本価格で定めまして、全油脂にやるわけではございませんが、掲げるという意味でございまして、別に拘束力があるわけではないのでございます。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 それから通産大臣が出す標準額というものそれ自体は、一体何の役割をするのですか。
  120. 川出千速

    ○川出政府委員 企業の社会的責任に訴えて、非常な暴騰あるいは暴落の場合に警戒信号を掲げまして、あまり高くなった場合には少し低くせよ、コストを無視して暴落をしているような場合は、国内のエネルギー産業その他にも影響のある場合もあるでしょうし、精製業の健全な発達にも有害な場合もあるかと思いますので、そういうような場合には、審議会に諮って、価格標準額の掲示をしよう、そういう趣旨でございます。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 それはわかっておるのです。出された標準額というのは、どんな役割をするのか。
  122. 川出千速

    ○川出政府委員 社会的責任に訴えるという心理的な役割でございまして、法的拘束力はないわけでございます。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで私が中途半端だと言うのは、やはりこの十五条もそうなんです。やるならもっと強いものをやれ。しかし、心理的効果を及ぼすのだということは、やはり標準額というものを示したらこれにならうべしという前提で出されると思うのです。それを法律的にくくるものじゃないけれども、そういうことだと思うのです。そうするならば、ここで問題になるのは「不当に高騰し、又は下落するおそれがある場合」となっておる。これは私、上がったり、下がったりするというような、こういうような説明をしておるけれども、これは間違いだと思う。これは「高騰し、」と切ってあるのですよ。高騰の場合にはぱっと出す。下落のときに「おそれのある場合」と来る。これは標準額を出すと、これに対して右へならえをするということを期待するということなら、暗に不況カルテルを認める結果になる。そこで公取委員長はこの問題に対して一言言わざるべからずということになるのだが、どう考えておるか。私はもっと強くこの条文をすると同時に、公取委員会との間に何らかの協議もしくは同意といったものをつけて、強いものを出すべきじゃないか、こう思うのです。現在のこの条文にしても、または下落するおそれありということは、これは明らかに不況カルテルを結ぶことを期待して出すのですよ。そうならばやっぱり独禁法との関係が出てくるのですが、この間は、ありません、そうですがで終わったのですが、私はそれでは納得いたしません。
  124. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 法律的に申しますと、今通産当局から御説明があった通り、標準額をきめる、標準額を示すのであって、それに基づいて協定をするかということになれば、これは公取の問題になりますけれども、ただ標準額を示すだけなんですから、法律的には独禁法の問題になるとは思っておりません。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたが昔、日大で法律を教えておった時代と違うんですよ。少なくとも今言っているように、下落のおそれある場合に標準価格を出すことは、業界もこれにならってほしいという、すなわち不況カルテルを結ぶべしというような意思によって出されるわけなんです。法律の上において独禁法とは関係ございませんというようなことを言うておるから、一番最初できたときは、公取委員長なり公取委員は閣僚級の月給をもらっておった、ところが今——−ということは、あなた方自体があまりにも政府というか、あるいは独禁法に対して弱い。だからこういうときには、私は、少なくとも法律の上においては——あなたが行政学をやっておられることを知っているけれども、あなたが日大で教えておったときのような法律ではだめなんだ。だから、私はいつも公取の委員長佐藤さんに食ってかかるけれども、それは悪い意味じゃないんですよ。公取よ、もっと本来の姿に帰れ、姿勢を正せということを言っているわけです。それはそれとしておきましょう。  そこで川出局長さん、これは上がったり下がったりでなしに、これはここで切ってあるので、どう言ったって僕の方が正しいと思うんですが、どうですか。
  126. 川出千速

    ○川出政府委員 表現が必ずしも十分ではなくて舌足らずな点があるかと存じますけれども、気持は、高騰しまたま高騰するおそれがある、下落しまたは下落するおそれがあるという解釈でおります。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 提案理由ではそうなっているけれども、この法律は、これは鉱山局をつかまえて私の好きな法律論をぶっても仕方がないので、必要があれば法制局を呼びますけれども、どんなに読んでも、ここは切っている。上がったり下がったりとは読めない。あなたも行政科の試験を通ったのでしょう。それなら、あなた、少なくとも基礎法はやっておるはずなんです。どんなに読んでもそうは読めませんよ。これも一つ保留しておきましょう。
  128. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ちょっと私の説明が足りなかったと思いますけれども、下落するおそれがある場合に当然に不況カルテルを結ぶという問題じゃない。下落しても不況カルテルの要件が備わらなければ不況カルテルは結べないので、しかして不況カルテルを結ぶ場合には独禁法の手続によっていく、従って、この法律だけでは、私の方では何とも申し上げられない、こういう立場であります。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうような手続をするのは、それはいいんですよ。しかし、この条文は、あくまで標準価格を出せば不況カルテルを結ぶことを期待して出すということ、それを言ったわけですよ。不況カルテル自体を通産省が結べという命令じゃないけれども、期待したものを出そうというのがねらいなんだ、はっきり言って。そうじゃないとは言えないでしょう。そういうことを言っているわけだ。  それじゃ飛ばしまして、附則に入ります。附則の四条ですが、ここにいわゆる再検討条項なるものが入っておるわけです。この入りましたいきさつは、国会では言いにくいかもしれませんが、われわれも承知いたしております。これは一時、時限立法にせよとか必要ないとかいう意見に対して、それではという妥協の結果、これがあとになって入ったことは了解をいたしておりますが、こういうおかしな再検討条項というものはないんですよ。第四条をちょっと読んでごらんなさい。「緩和又は廃止目的をもって」云々となっている。この法律は、生まれるにあたって、とにかく殺されるかちんばにせられるか、そういう方向で検討しようという規定を持っている。健全に育てようという意思はない。従って、再検討条項ははずすか、もし入れるならば、すなわち経済事情の推移によっては強化をする必要があり、あるいは緩和する必要があるかもしれない、廃止の必要があるような状態のときは廃止してもよろしい、しかし、初めから「緩和又は廃止」というそういう項目を置こうとするのは、生まれた子をいっか殺すぞ、あるいは片ちんばにするぞ、かたわにさすぞということを宣言して子を生むようなものだ。そんなことを、通産大臣、あなたの所管から出してくるのに——法律を生もうとするときに初めからこんなものを入れるのはおかしいですよ。あるいは、あくまで経済事情の推移に応じてというのなら、強化もしくは緩和あるいは廃止とこう書かなければならない。しかし、そうなったら書かない方がいい。それでは、大臣はどうにもならぬと思いますから、これはこちらで考えます。そういうことで、これは答弁まで言うてしまったのだが、まあ一つ答弁していただきたい。
  130. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま先生に御指摘を受けた次第でございますが、おっしゃる通りに、緩和または廃止の方向でもって検討するということで規定したわけでございます。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 まだ質問はたくさんあるのですが、もう一時を回りましたししますから、きょうはこれで終わります。しかし、委員長に申し上げますが、私先ほど来だいぶ保留しております。従って、この法律に対する私の質問を終わったのでないということを申し上げておきたいと思います。  それから一つ佐藤大臣ともあろう人が、法律を出すときにはもっと自信を持って出してもらいたい。この法律を出すのに踏み切ったことには、佐藤大臣相当なものだという批判もあるでしょう、これはいい意味で。ところが、再検討条項を入れたことによってへっびり腰になってしまった。こんな自信のないことかということで。——これじゃ将来の佐藤内閣に関係しますよ。それだけ申し上げまして、きょうはこれで終わります。
  132. 松平忠久

    松平委員長代理 それでは午後二時まで休憩いたします。    午後一時八分休憩      ————◇—————    午後二時三十一分開議
  133. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石油業法案議題とし、質疑を続行いたします。中川俊思君
  134. 中川俊思

    ○中川委員 この石油業法につきましては、すでに私の質問せんとしておる点について、ある程度田中委員より御質問があったようでございますので、私は重複を避けてお尋ねいたしたいと思います。  立法上の疑義の点については田中委員から質問がございましたが、田中委員から指摘されましたように、この石油の問題については、国際石油カルテルが結成されておる関係上、独禁法との抵触の問題がかなり生ずるのではないかと実は心配いたしております。現に生じておることもあるのではないかと思います。この点については一つ通産省としても十分に留意をしていただきたい。このことだけを申し上げておきます。  そこでまず、この石油業法を作らなければならなかったという点でございますが、本来ならば業界が国民経済的観点に立って自主調整を行なうべきであった。そうすればこの種の立法は必要がなかったのではないかと思うのであります。このみずから業界が対策を立て得なかったことは、私は業界の恥辱だと実は心得ておるのでございますが、同時に、従来外貨の割当もして、みずから日本の石油業界を指導しておった政府当局においても、屋上屋を重ねるようなこの石油業法を立法せざるを得なかったということは、行政指導が足りなかったのではないかという点も反省をされる面があるのではないかと思うのです。そういうことを言ってみたところでやむを得ませんが、私は午前中もちょっと田中君の質問に関連をして申し上げましたように、これから私がお尋ねをすることについては、何も通産省だけの責任ではない、特に通産大臣だけの責任ではないと思いますから、通産大臣は一つ謙虚な気持でお答え願いたい。私は決してここで大臣に対して意地悪をしようとか、いやな質問をしてどうとかいう気持は全然ございません。まじめな気持で日本の石油界の将来を考えるべきだと私は思っております。そういう考えを持って質問を続けるつもりでおりますから、どうぞそのつもりで大臣も率直にお答えを願いたい。午前中も申しました通り、今日までの政府全般の責任であり、われわれにも責任があるのですから、そんなことを今さらかれこれ言ってみてもしようがありません。これまでのことはやむを得ないとして、今安どうするかということについてお尋ねしたいと思いますので、どうぞそのつもりでお答えを願いたいと思うのであります。  まずお尋ねをいたしますが、政府は、いよいよ今年の十月を期して貿易の自由化を八〇%やるとか九〇%やるとかいうことを言っておられる。しかし、貿易の自由化も、午前中も私が申し上げましたように、日本の産業界を温室で温存しておくことは、将来世界各国と貿易上の点において競争するゆえんではございませんから、為替の自由化をやって、世界のどこの国とも競争できる、だけの素地を作ることはもちろん必要だと思いますが、日本の産業界は、産業構造がきわめて小さくて脆弱でございます。従って、これを一気に貿易自由化という大海の中に投げ込むことになりますと、立ち行かなくなる産業がかなりあるのではないかと思うのです。その一つは、やはり今問題になっておる石油である。つまりそういうことになりますと、日本の石油産業というもの、特に国産の石油産業というものは一挙に壊滅してしまうのではないかという非常な心配がある。そこで私は午前中もお話を申し上げましたように、ドイツですら貿易自由化をしいられて四カ年間も研究をし、さらにイタリアですら二カ年間も研究をして、十分検討した上で自由化の道をある程度開いたと思うのでございます。日本は今直ちにこの貿易の自由化によって——ここでは特に石油の問題を取り上げますが、石油を自由化した場合に、政府は最小限度の被害に食いとめるべきでありますけれども、一体どの程度の被害があって、大したことはないと考えておられるのか、またそうではなくて、これは大へんなことであるけれども、どうも貿易自由化を十月からやらなければならないのだというふうにただばく然と考えておられるのかどうか、まずその点から政府の所信を一つ伺っておきたいと思うのであります。
  135. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 自由化は、ただいま御指摘になりますように、本来なかなか重大な問題でございます。その産業に及ぼす影響、いわゆる国際競争力があるかないかということを十分判定をして、しかる上で自由化を進めていくということでなければならぬ、かように思います。もしおくれておれば、そういう意味でそれを助長して、国際競争力のある場合に自由化するということにいたしたいと思います。  ところで、石油の自由化の問題でありますが、一口に石油と申しておりますが、私どもは原油についての自由化はいたしましても、製品の自由化は当分おくらせていこう、実はこういう考え方でございます。申すまでもなく、御承知の通り、今の原油そのものでございますれば、製油設備というところで能力は一応限度がございます。ところが、製品を輸入するということになりますと、これは国内の製油業者も大へんな影響をこうむるだろうし、それこそ市場を撹乱するということにもなるだろうと思いますので、二つに分けて自由化の処置をとっていくつもりでございます。
  136. 中川俊思

    ○中川委員 午前中の委員会において、通産大臣は、貿易自由化の問題は岸内閣時代からの問題である、こういうお話があったのですが、一体岸内閣時代からの問題であったこの貿易自由化に対して、一番の衝に当たっておられる通産省として今日までどういう準備をしてこられたか。これは単に石油だけの問題ではございませんが、特にこの際は石油についてお尋ねをしたいのですが、どういう準備をしてこられたか。そこで十月からこれを実施しても日本の石油産業にはいささかも影響がないというふうに考えておられるのかどうか。またこれだけ準備をしてきたから、もうすでに大した影響がないだろうというお考えのもとに十月からの貿易自由化を期しておられるのかどうか。その今日まで通産省としてやってきたことについて、これは事務当局からでもけっこうでございますが、お答えを願いたいと思います。
  137. 川出千速

    ○川出政府委員 国内の石油資源につきましては、三十年以降第一次の五カ年計画がございまして、ほぼ目的に達するような成果を収めております。これをさらに継続いたしまして、四十一年度を目標とする五カ年計画を推進する計画を立てております。もちろんこのためには相当の財政の裏づけも必要でございましょうが、一応国内資源についてはそういう方法をとっております。  それから、石油の精製の問題につきましては、戦後法的措置はなかったわけですが、外貨割当制度によりまして石油の行政を行なってきた。それが自由化になりましていろいろな問題が生じますので、ただいま石油業法案国会に上程して御審議を願って備えの固めをしたいというように考えております。
  138. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま局長が説明いたしましたのでいいかと思いますが、もう一つつけ加えさしていただくならば、競合エネルギーとしての石炭並びに水力を含めての火力発電所の建設等についての総合的な観点に立っての準備もそれぞれいたしたつもりでございます。
  139. 中川俊思

    ○中川委員 今の局長のおっしゃった五カ年計画を立てたというのは、可燃性天然ガス及び石油に関する開発促進のあの計画ですか。
  140. 川出千速

    ○川出政府委員 そうです。
  141. 中川俊思

    ○中川委員 あとでその問題はお尋ねいたします。  そこで私が一つふに落ちない点は、この間も何らかの会合で局長もおっしゃったと思うのだが、今や石油は世界的に生産過剰である。しかも日本は格好の市場だ。世界が日本市場にどうして手をつけようかというので、非常に垂涎の的になっておる。こういうふうに非常に石油が豊富なときに、この石油業法を作って何か規制するという必要が一体どこにあるか。今のお考えは、あるいは、自由化すれば外国からどっと入ってくるから、国産の石油を保護するという建前でおやりになるのか、ただ目的がそれだけであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  142. 川出千速

    ○川出政府委員 自由化いたしますと、先ほど御指摘のように、非常に競争が激しくなると思います。その結果、短期的にはあるいは相当値段が下がることも考えられますけれども、結局競争が継続されますと力の強いものが勝ち残るという結果になりまして、むしろ長期的に見ると、安定なそして低廉な供給を確保するという目的にかなわない事態が生ずるおそれもある。そういう弊害が起こることを未然に防止しつつ、石油精製業の健全な発達をはかろうということでございます。
  143. 中川俊思

    ○中川委員 この前大臣の長谷川君に対する答弁の中で、ちょっと私がふに落ちなかった点を申し上げますと、この法律の立案にあたって、特定国から差別待遇をするなという条件付で賛成してきておるというようなことをおっしゃったと思います。一体日本政府がそういう立法をするにあたって、従来よその国から干渉がましいことをした実例が過去にあるのかどうか。また私が非常にそれを心配いたしますことは、日本はすでに戦争に負けたといえども独立国になっておるのですから、今さらどこからも内政干渉を受ける必要はないと思いますが、特に石油業法にあたってそういうことを外国から言うて来たとするならば、何らかその裏面に考えられることがあると思うのですが、そういうことが従来あったのかどうか。  それから大臣は、長谷川君の質問の際に、国際協調ということを盛んにうたっておられる。これは大臣の石油業法についての提案理由説明の中にもあった。政治的にも資本的にも国際協調が望ましいということがあった。国際協調が望ましいということはけっこうであるが、しかし、いたずらに国際協調、国際協調というので、そのために外資系の会社に遠慮して、国産資源の保護と申しますか、国産会社をないがしろにするような場合が生じたのでは、これは結局何にもならないことになるのです。特に国際協調ということをうたわれた根拠、それから先ほど申し上げましたそういうことを言ってきた特定国というのは一体どこか、また従来そういう例があるのかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  144. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一国の法律を作ります際に、外国からとかくの批判のあるということを今まで聞いたことはございません。今回石油業法を作るに際しまして、イギリス並びにアメリカと両国から、いわゆる差別待遇をしないようにということを言ったということでございますが、これは特例だと思います。これはおそらく、今お話しになりますように、今日の石油業界は外国資本が相当たくさん入っております。そういう意味から自分たちの一つの利益擁護の立場に立っての主張だろう、かように理解します。一番心配するものは、国内の国産原油というものは非常に小さいものでございますから、おそらくこれが問題にはならないだろうと思います。もし問題になるとすれば、アラビア石油というものが今日将来性のある事業になっておりますので、それがやはり気になるのではないかという感じが一ついたします。これはもちろん私どもはそういう差別待遇をするつもりはございませんから、この点は、もちろん問題があるわけじゃございません。  ところで、国際協調のお話をいたしましたが、私は絶えず申し上げておりますのは、協調と競争と二つの面のあること、これは見のがすことができないのであります。協調ばかりではございません。同時に競争をやる。だから、貿易の自由化等の場合において、この点は非常に露骨に出てくると思います。だから、双方の対策を立てたければならない。特に私が石油業について協調という点を強く取り上げた気持は、午前中の質疑応答にもありましたように、石油自身が海外石油といいますか、原油に依存していることが非常に大きい。そういう意味で、まず石油業としては協調ということを強く打ち出すことは当然だ、かように私は考えておるのでございます。国産原油なり、あるいは民族系原油というものが非常に高いパーセンテージを占めております場合でございましたら、おそらく協調ということを特に言う必要もないと思います。しかし、日本の石油業界の今日並びに今後を考えてみましても、約九割に近いものをやはり外国の原油にたよらなければならぬ、かように考えると、やはり協調は最も大事なことだろう、かように考えます。
  145. 中川俊思

    ○中川委員 国際協調けっこうでございますが、ただ心配いたしますことは、資本がかなり入っておりますために、政治的に利用される、そういうことから、ややもすれば、劣弱な日本の石油産業というものがそのために被害をこうむるようなことのないように注意をしていただきたいということでございます。国際協調そのものに対しては何ら異議のあるところではございませんが、この点は、現在ですら、国際石油カルテルというものの力によって日本の国産石油というものがかなり追い詰められておる状態でございますから、この点に注意をしていただきたいのでございます。  それから、第三条の供給計画なんですが、これは毎年向こう五カ年間を見通してこの供給計画を作るということでございますが、今日のような急テンポで需要が伸びておるときに、はたして毎年向こう五カ年間を見通してやる供給計画が、実際に即する計画が立つかどうかということについて非常に疑問がある。これを事務当局はどういうふうに考えておられるのか。  それから、業者が設備の新設、増設、改造等の際、資金の不足を生じた場合、一体政府はどうするのか。ただ、供給計画だけをお立てになって、その供給計画に基づく措置が業者にできなかった場合には、一体政府はどう処置されるかという点について、大事な点ですから明確に御答弁を願いたい。
  146. 川出千速

    ○川出政府委員 供給計画は五カ年計画でございますが、これは従来の長期計画と観点を異にいたしまして、先ほど御指摘のように、実情に合わせるために、毎年いわば見直して五カ年間の見通しをするという計画でございます。行政運営の基本になる計画でございますので、当初の見通しが翌年になると変わるかもしれないという点を考慮いたしまして、毎年五年先までの当該年度を含む供給計画を作るというふうに考えておる次第でございます。  それから、もう一点の石油の精製設備の資金の調達についてどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、これは政府としましても、従来石油精製設備に出しました資金はたしか累計で四十億ぐらいでございます。ほかの諸産業に比べて確かに少なかったのでございます。その他は市中調達なりあるいは外資に依存をしておったわけでございますが、石油精製業は相当大きな企業でございますので、これに財政投融資面でどのくらいの資金を確保できるかどうかということは、これまた非常にむずかしい問題かと思いますが、今後努力しなければならない点ではなかろうかというふうに考えます。
  147. 中川俊思

    ○中川委員 先般、これは長谷川君の質問に対してたしか局長からのお答えだったと私記憶しておるのでありますが、業界に貯油を義務づける、それにはタンクの設備に約三百億円を要するほかに石油の代金等がかなりかかるということを御答弁になったように思うのですが、そうですか。
  148. 川出千速

    ○川出政府委員 現在のベースで月に約三百四十万キロぐらいでございますので、現在一カ月分ぐらいのタンクを持っておりますが、さらに増設をして二カ月分の貯油にするということにしますと、三百四十万キロで計算をしてみると、概算三百億ぐらいのお金がかかるということを申し上げたわけでございます。
  149. 中川俊思

    ○中川委員 その三百億円の金は一体だれが出すのですか。業者が出すのですか、政府が補助するのですか、どうするのですか。
  150. 川出千速

    ○川出政府委員 この前申し上げましたのは、一カ月分の貯油義務を課してさらに作るということを申し上げたのではなくて、かりにさらに一カ月分、合計二ヵ月分の貯油をするということになるとすれば、それだけの負担が業界にもかかるということを申し上げたのでございまして、そういう方針をとるということを申し上げたわけではございません。
  151. 中川俊思

    ○中川委員 先般、長谷川君からもこの点については御質問があったのですか、私も全く同感なんですけれども、ナショナル・セキュリティの問題と、いま一つは万一国際的に紛争があったとき、たとえばこの前のスエズの動乱などがあったようなときに、日本の石油の需要の大半は外国から輸入をしておる関係上、たちまち支障を来たすのですが、そういうときに二ヵ月分や三カ月分の貯油を持っておかないというと、日本の産業というものはもうたちまち窮地に追い詰められる。だから、長谷川君からも御質問があったようにそのくらいな準備を政府としてしておかなければならぬ。   〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕 それなら業界がしたらいいということもいえますけれども、業界ではそれはできません。なぜかといいますと、商売をしておる業界としましては、ストックを倉庫の中に入れておくぐらいばかなことはないのでありますから、そういうことは商売の道ではないのですから、こういうことは業界ではできないのです。そこで、ある程度貯油をしておこうと思えば、どうしても政府がこの資金を出してやるとか、あるいは政府直属のタンクを持つとか、何らかの方法を講じてやっておかなければならない。いつか私がそういう質問をしたときに、石炭対策委員会だったか、大臣は涼しい顔をして、そんなことは国際的紛争のないようにわれわれは努力しておるのだからというような無責任なことをおっしゃった。そんな国際的な紛争のないようになんていう  ことは、だれだって望んでおる。けれども、問題はいつ起こるかわからないのだから、そのための準備なんですから、そうい5ときに一体どうするか。そういう点から考えたならば、今の局長の御答弁のように、一カ月分で三百四十万キロ、それを二カ月分ストックするだけでも三百億円かかるというが、そんな金は民間では出せないのです。これはどうするのですか。貯油がなくともよろしいというのですか。一カ月分ぐらいは取っておくとか、あるいは二カ月分ぐらいは取っておくとか——私らの考えでは、少なくとも半年分か一年分ぐらいのストックがなくしては、日本の産業を安全に運営していかなければならない通産省の責任は果たし得ないと思うのですが、これは大臣どうお考えですか。   〔「たくわえあれば憂いなし」と呼ぶ者あり〕
  152. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまお話になっていらっしゃるように、たくわえあれば憂えなしと言われますが、その通りだと思います。ただ問題は、そういうものが経済性に乗るかどうかということが一つ。また、これが必要だと申しましても、しからばそれだけのものが可能であるかどうか。必要な事業はわかっていても、なかなか資金的に出せないという場合もあります。そういうこととあわせて、現状としてはやむなく一カ月程度のいわゆるほんとうの運転的な原材料程度でございます。将来さらに経済的なめどがついたり、あるいは国の必要から何をおいてもこれはぜひやるんだということになると、またそれは変わってくるだろうと思いますが、私ども、一般産業のあり方から見まして、必要なのには違いありません。しかし、それが多ければ多いほどいいという考え方に落ちざるを得ない。たとえば鉄鉱の原鉱にいたしましても、そうたくさんはなかなか持てない、そういうところとあわせて考えざるを得ない、こういう状況でございますから、今必要だと申しましても、業者自身はなかなか持てない。それでは今度政府の資金でたくわえる。それにはまだ政府自身も財政的ないろいろな条件がございますので、それらと勘案してきめざるを得ない、こういうことでございます。
  153. 中川俊思

    ○中川委員 局長、この間あなたのおっしゃった、民間の業界に貯油を義務づけるというのは、この法文のどこにありますか。
  154. 川出千速

    ○川出政府委員 石油業法案には貯油の規定はないわけでございます。
  155. 中川俊思

    ○中川委員 法案にはありませんが、政府はそういうふうに考えておって供給計画をお立てになる。供給計画をお立てになる以上は、やはりこのくらいのストックは持っていなければならぬだろう、お前ら石油業者はこのくらい持て、こういうことをお考えになっているのじゃないですか。
  156. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまの業界の力では、現在以上の貯油をするということは非常に困難な状態ではないだろうかと考えておりますので、その辺は少しでもよけいストックしている方が、非常の場合に備える意味では確かにいいと思うのですけれども、業界にそれを強く要望するというようなことはいたしていないわけでございます。
  157. 中川俊思

    ○中川委員 大臣、局長が今お答えのように、民間では力がないですよ。それならば、ひょっとスエズのような問題が起こったときに、たちまち日本は困ってしまう。この前、御承知の通りスエズの問題が起こりましたときに、日本ではすぐ通産省で石油業法をいじり始められたけれども、早くスエズ問題が片づきましたからその必要はなかった。イギリスでも同様の措置をとった。そこで私は、この石油というものは日本の産業のかてであって、もう一日もゆるがせにすべからざる重要な資源である、この資源がとまったときに、一体通産省は平素どういう措置をとっておいたならば、そういう場合に支障のないようにできるか。そういうことを通産省があらかじめ平素考えて施政をなさるべきだと思うのですが、それはどういうふうにお考えになっているか、その点について伺いたい。
  158. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど基本的な考え方を申しましたが、ただいまそこまでなかなか力が及んでおらない。国内の場合でございますと、やはりそういう場合は国内資源にたよらざるを得ない。石油にたよることができなければ、石炭というようなことにならざるを得ないだろうと思います。もちろん、外国の例等を見ましても、価格の決定いかんでは、その国に相当の備蓄を持つ国がございますし、また国によっては政府が備蓄を命じましてもなかなか持ち得ない、欧州の国にもそういう例が幾つもあるのでございます。これはやはりいろいろの場合を考えて、大事な石油でございますから対策を立てる、これは御指摘の通り、必要なことだと思います。その通りでございますが、必要なことはわかっていても、立ち得る場合となかなか立ち得ない場合とある、こういうように私は考えているわけでございます。ただいま事態を軽く見ているわけではございません。しかし、今の力とすればやむを得ない状態ではなかろうか、かように思います。
  159. 中川俊思

    ○中川委員 佐藤さん、それはちょっと無責任ではありませんか。それでは納得できないのです。そういう場合には、やむを得ない国内の資源にたよらなければならぬ、国内の石炭にもたよらなければならぬとおっしゃるけれども、国内の石炭は五千五百万トンというふうにくぎづけておって、私が石炭対策委員会で、何も五千五百万トンに拘泥する必要はないじゃないか、さらに六千万トン、七千万トン掘ったらいいじゃないかと言ったときに、大臣は、五千五百万トン計画でやって、これを踏襲するつもりだと言っておられた。その五千五百万トンは、すでに石油はのけても、五千五百万トンというものはノーマルに使われている。現在石油がぴしゃっととまった場合に、国内の石炭を持ってきてやるといっても、石炭は使う道がきまっているから使えない。——やむを得ぬでは、政府として、たとえばそういう場合に、汽車もとまる、電車もとまる、新聞も発行できない、テレビも見られない、ラジオも聞かれないというような場合に、これはどうも国内の石炭にたよらなければできないが、石炭は手一ぱい使っている。そうすると、苦しいけれどもがまんしてくれ、汽車も乗れないけれどもがまんしてくれ、テレビも見れないけれどもがまんしておってくれという結果になるではないかと思いますが、どうでしょうか。
  160. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 それは今申しますように、道がなければそういうことでしょう。けれども、それではただいま備蓄しろといっても、それはすぐできるわけのものではございません。それを実は申し上げている。だから、そういう事態に対応する心がまえがあり、そういう場合にはどこからセーブしていくとか、まず第一はどういうものを減らしていくということを考えるのが必要だとすれば、いわゆる総動員計画を平素から持てということで、私どもはそういう考え方までは進んでおりません。今の事態そのものをそう急迫したようには考えておらない、こういうことを先ほど来から申し上げているわけであります。
  161. 中川俊思

    ○中川委員 どうも私はそこがわからないわけです。むろん動員計画をもって戦時のようにどうせいというのではありませんけれども、この間長谷川君もその点を御質問になっておったようでありますが、ある程度の備蓄を政府は考えておくべきではないかと思うのです。政府で現在できなければ、私はできる方法があると思います。たとえば通産省の中でもすでにこういう向きを考えておられるところがあると思いますが、エネルギー公団みたいなものを作るとか何らかして、その備蓄の点も考える方法があるではないかと私は思う。どうもできなければその場合はしょうがない、動員計画みたいなことをやるわけにはいかぬからというので、産業界の大元締めである通産省が、そういう場合になったら、まっくらになってもしようがないということではちょっと困るのです。
  162. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 少し議論が飛躍し過ぎておるではないかと思います。ただいま一カ月分くらいのものは絶えず持っているわけでございますが、それが一体どういう事態が起こるか、どこからも一切来ないというような事態を考えるのか、あるいは一部は来るということを考えられるのか、そういうこともあるだろうと思います。私は、今申し上げたように、一カ月で十分だと実は申しているわけではございません。しからば、その一カ月をふやせと言われるが、それはそう簡単にふえぬということを申し上げた。だから、議論しておられますのは、一カ月をもっとたくさん持てと言われるが、それでは何カ月持てばそれが心配なしなのか、そういうことになりますと、どうもそれは問題外じゃないかということを実は私申し上げた。たとえば、今言われますように、特別な買取機関を持って、それが貯油義務を持つのだ、こういう構想はどうだとおっしゃるならそれはまた別ですが、外国から来なくなったらどうするのかと言われると、外国から来なかったらどうも手がつけようがないというようにお答えする以外に方法がないと思います。だから、議論の点がどういう点にあるのか、備蓄をもう少し持てというのか、そういう備蓄を何の方法であろうが持てと言われるのか、それがなかなか今日の状況では持てないということを実は申し上げたのであります。それが持てなければ全部とまるではないか、それでは無責任ではないかと言われても、はいさようでございますとも言えませんが、少し極端過ぎるように私は感ずるのです。
  163. 中川俊思

    ○中川委員 程度の問題ですが、相当の費用も要することでございますから、半年も一年も持つというわけにはいかないでしょうけれども、二カ月や三カ月の貯油がなかったら、日本の産業界の大元締めである通産省は責任を果たせておるとはいえないのじゃないか。それはむろん、大臣がおっしゃるように、相当の金を要する、世界のどこからも来なくなるようなことはないだろうとおっしゃるかもしれないが、あるかもしれない。ないということは、保証は、あなたは何をもってそう言うのですか。あるかもしれない、生ずるかもしれない。だから万一の場合、間違いのないようにしておくことが国民に対する親切な政治じゃありませんか。そういうことはないよ、君、そんな心配はめったにないから、そんな世界のどこからも石油が来るのがとまるようなことはないのだ、君、そんな先まで心配せぬでもいいよということは、それは同じ考えである、私どももそういうことはないと思いますが、あってはいけない。あってはいけないが、そういうことが万一あるかもしれない。私がこの前もお伺いしたように、あった場合には、政府はこれだけの覚悟をしておるのだ、だから安心してお前ら仕事をやれ、これだけの政治でなければ、私は、まじめな国民に対する親切な政治じゃないと思うのです。ここで政府でできなければ、公団を作るなりあるいは資金の面で、民間の業者に援助を与えて、そうして民間に備蓄させるなりして、何らか多少の備蓄を持っておるということでなければ、備蓄がなくても、そんなどこからも来なくなるという心配はないからということでは、どうも私は納得できない。どうなんです。これは同じですか。
  164. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私も現状でいいと言っているわけじゃございません。これはもちろんもう少し備蓄ができるようになることを望んでおります。しかし、ただいま申し上げますように、この前の半年というようなお話はちょっと困るだろう、なかなか簡単にできないだろう、それじゃまたどのくらいがいいかと申しますが、そういう意味の気持で指導するよりほかに方法はないじゃないか、ただいまの状況ですよ。だから今の状況で、中川さんが、大体時期は三カ月分持つべきだ、こうおきめになる、こういたしますと、そこは私は、ちょっとそこまでは踏み切れませんということを申し上げておるわけであります。なかなか表現はいろいろに食い違っておるようにお考えかわかりませんけれども、その備蓄のほしいことはもちろんであります。それがいろいろの制約を受ける、まあその点で、それじゃ今の状態で非常な不安な状態なのか、こう考えると、今言われるように、全然不安なしとは申しません。しかし、そのプロバビリティというものはレアケースと考えるべきだろう、こういうふうに実は考えます。ですから、この石油産業、石油エネルギーそのものにたよっております依存度が強ければ強いだけ、また外国からそれを輸入しなければならないだけに、そういうものの備蓄があることも望ましいことだ。これは私ももちろんそれを否定するものではございません。またそういう意味の努力を無にするとか、しないとかいうものではございません。しかしながら、今申し上げますように、何ヵ月が適当だとかあるいは三カ月が適当だという話になりますと、なかなかそう簡単な結論は出てこない、こういうことを実は申し上げておるわけでございます。
  165. 中川俊思

    ○中川委員 別に三カ月が適当であるとか、半年が適当であるということを私は言っておるわけじゃございません。言っておるわけじゃございませんが、三カ月や五カ月の備蓄は、これだけの日本の産業を動かしていく上に必要じゃないだろうか、それに対する方法を通産省はまじめに考えるべきじゃないだろうかということを私は言っておるわけであります。大臣がおっしゃるように、そんなことは、世界のどこからも、みなとまるわけじゃないから、そこまで考える必要はないだろうというのは、少しふまじめじゃないだろうかという私の考えです。  そこでお聞きするのですが、一体政府は第三条で供給計画を立てたこの法律を出しておられるのですけれども、供給計画だけで、資金計画というものは一切考えていないのか、たとえば今問題になった大臣と私との問に問題になっておる点についても、何も政府が備蓄しなくてもよろしい、業界に備蓄さしてもよい。業界は金さえ出してやれば備蓄します。現在ですらタンクなり精製なりに多少の余裕を持っておるのですから、金さえ出してやれば、彼らは備蓄の方法は講ずるでしょうが、しかし、政府が金を出さないから、彼らは備蓄をようしません。だから、供給計画だけ立てて資金の面で助けてやるということは全然考えていないのかどうか。また考えておるとすれば、どの程度の金をどういう金融機関から出そうということを考えておるのか。この資金計画を伴わなければ、私は供給計画というものは絵に描いたもちだと思う。それは一体大臣はどう考えるか。
  166. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 資金部会の方におきまするいわゆる通産省関係の十二業種、その中の一つになっておりますので、資金計画政府自身が相談に乗っておるわけであります。しかし、その資金計画政府資金でいくか、民間資金でいくか、あるいは外資資金でいくか、一応の大ワクは作りましても、いわゆるはしで取り上げて、どうこうするというところまでいっておるわけじゃございません。一応のワクを考えております。そうしていわゆる金融機関の協力を得ておるというのが現状でございます。
  167. 中川俊思

    ○中川委員 この業法ができますと業法に書いてございますように、政府は当該年度以降の五カ年間について石油供給計画をきめなければならないというので、いろいろ精製業の許可であるとかあるいは設備の新設の許可とか、悪く言えば統制法ですが、業界に対して一種のワクをはめるわけです。ワクをはめられる業界は今までも手一ぱいの金を使ってやっておるわけです。、だからワクをはめられて、石油がこれだけ要るからこれだけ作らなければならないから、こういうようにせいと言われれば、どうしてもそこに資金の需要を生じてくるわけです。ですから、供給計画に基づいて、この法律で一定のワクをはめる以上は、やはりはめられたものは、ワクをはめられても生きていけるようにしてやらなければ、私はちょっと憲法上の疑義を生ずるのではないかと思う、事業を自由に行ない得られるという点から考えて。そういう点をどういうふうに一体考えておられるのだろうか。私は実に不思議にたえないのですが、資金計画というものは、これは全然含まれていないのですか。今大臣は資金部会を通してどうということをおっしゃるけれども、今資金部会があっても、設備はふやさない、ふやさないということで政府の方針はやっておるでしょう。そんな資金部会があってみたところで、石油だけ特別に扱うということは、おそらくできないだろうと思うのですが、そういう場合にどうされるか。
  168. 川出千速

    ○川出政府委員 供給計画に見合って事業許可なりあるいは設備の許可をしておるわけでございます。石油産業につきましては、設備をするのが足らなくて、金をつけて大いに設備を奨励するというような現状ではございませんで、最近は設備の拡張競争が、自由化を前にして、むしろ非常に行き過ぎておるというくらいの環境にございます。そうなりますと、むしろ稼働率も低下いたします、精製コストも上がるというようなことがございますから、供給計画に照らしまして、むしろ設備を計画的に作っていくというふうに運用していくというように考えております。それが現状でございます。
  169. 中川俊思

    ○中川委員 計画的に作っていかれる、それでけっこうですが、計画的に作るなといっても、業者は計画的に作ります、自分の商売のことですから。ただ、作る場合に相当な金を要する。その金の計画は、この業法には全然裏づけがないのですかということを聞いておる。
  170. 川出千速

    ○川出政府委員 その問題は法律にはもちろん規定がございませんし、市中金融なり、あるいは外資ということも考えられます。一般の調達でまかなっていくということに現状ではなるかと思います。
  171. 中川俊思

    ○中川委員 そこは民間企業でございますから、政府が一から十まで一々みなめんどうを見てやるということもできないですけれども、そういうところに私は日本のすべての法律の欠陥があると思うのですよ。考えてごらんなさい。今だって政府は設備は大きくするな、金は出さぬぞと言って、金融機関を締めていく、民間にはなるべく金を出させないように——とにかく池田内閣になって、過大設備をやり過ぎて今日のような状態になったから、閣議でしばしば設備はもうこれ以上大きくしないぞ、大きくしないぞということを申し合わせておる。設備はやらさぬようにして、金は出させぬようにして、この精製業がこれから設備を大きくしてやっていこうという場合に、八方から締めておって、お前の力でやれるだけやれと言うのは、少し無理ではないかと思うのです。  そこで一つ考えてもらわなければならねのですが、局長は今は没設備が余っておるからそんなことをせぬでもいいとおっしゃるかもしれぬけれども、とにかく石油の需要というものが急ピッチで伸びておりますから、今の余剰設備というものはここ半年足らずして、あるいは一年足らずして足りないような状態になるかもしれません、ならなければいいけれども。ならないで、その間に金融もゆるんでき、さらに設備はある程度してもいいということになれば、また石油業界も一息つくだろうと思うのですが、そういうふうにならなかった場合には、非常に苦しい状態に追い込まれる。非常に高利の金を使わなければならないとか、あるいは外国資本がまたそこに入ってきて、それでなくても国産資本、国産石油が圧迫されておるときに、一そうの苦しさを味わって、八方から羽がい締めになるような結果を招来しないか、そこを心配するのですが、それをどう考えますか。やはりこういう法律を作って施政をやる以上は、少なくとも三年や五年先のことを考えてやるべきだと思う。今は精製の余力があるから心配はないとおっしゃるけれども、こんなに急ピッチで石油の需要が伸びておるときに、今のままで三年、五年やっておっていいかどうかということです。その辺はどう考えるか。
  172. 川出千速

    ○川出政府委員 先ほどお答えしましたように、石油の精製業につきましては、実は市中にまかしておるわけでございまして、増資なりあるいは市中銀行からの借り入れなり、それから最近は外国からのローンという点が活発にやられております。外国からのローンにつきましては、従来よりも外資の認可の際に厳重に審査をして、その条件等について検討を加えることにいたしております。これはほかの産業と同じように、やはり今後も市中調達ということが中心になるかと思いますが、財政投融資の面等についても今後研究をしてみたいと思います。
  173. 中川俊思

    ○中川委員 あなたは今後大いに研究してみたいとおっしゃるけれども、この業法が国会を通過するとしますと、やはり法律として公布されるのですから、そうしますと、そういうことは将来考えよう、とりあえずこの法律を出したのだというわけには参らないのです。法律適用を受ける方の身になりますと、そういうわけにはいかない。だから、そういうことであるならば、石油の自由化をもう少し繰り延べて、この石油業法はもう少し研究されてからでもいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  174. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま申し上げますように、今の業界自身とすれば、資金的にどうこうということは比較的ない業種であります。しかし、私考えますのに、どうしても業界が、これは必要な事業でございますから、そういう意味で低利な資金がほしいとか、そうでなくては工合が悪いとかいうことになれば、当然財政資金等で資金ワクもちょうだいするということは可能なことだと思います。ただいまそこまでの用意はしてございませんけれども、そういう意味では、将来の問題として、今局長が申しますように十分検討して参りたい、かように実は申しておるわけでございます。ただいまの状況で、しからばこれがそこまでなければ一切いかぬのかどうかということになると、まあこれでやっていけるのではないかというような感じを実は持っておるわけであります。
  175. 中川俊思

    ○中川委員 どうもちょっとわからないのですが、私は、こういう業法ができます以上は、供給計画政府は立てて、そうしてそれがいろいろな事業なり何なりするわけですから、そうする以上は、やはり資金の面においても政府がある程度の責任を持ってめんどうを見てやるという親心があってしかるべきではないかと考えて、お尋ねしておるわけであります。この点も私はまだふに落ちませんから一応保留しておきますが、政府でも十分にお考え願いたいと思います。  それから第十五条の標準価格の問題でありますが、これもこの間、局長の御答弁でしたか、何らの拘束力がないということで、午前中も田中君からお話があったというふうに記憶しておりますが、拘束力のない標準価格をいたずらに指示してみたところで、業界がこれに従うかという非常な疑念がある。  それから罰則等については、定めるものとすると書いてあると思いますか、およそこの種の統制法−統制法と言うとおしかりをこうむるかも一しれないが、一種の統制法なんですが、統制法に罰則を伴わないというのはおかしい。罰則のない統制法というものは、大よそざる法もざる法、ひどいざる法だ。これは一体どういふうに考えておられるか。それから罰則については、事務当局で大体草案があるならば一応それも提示してもらわないと、罰則がなければこんなものは作ってみたところで何にもならない。ですから、それをどういうふうに考えておられますか。
  176. 川出千速

    ○川出政府委員 この石油業法につきまして、許可とか認可とかいう規定に関する法的な拘束力のあるものにつきましては罰則が設けてございまして、二十二条より二十五条にわたって罰則の規定を置いてございます。
  177. 中川俊思

    ○中川委員 罰則の軽重については、後ほどまたなにするといたしまして、とにかく今の標準価格の問題、それからさらにこの審議会の構成もよほど慎重にやっていただきたいと思いますことは、この種審議会答申がいまだかつて完全に実施された覚えがございません。答申というものは、ほとんど無視されておる例が非常に多いのです。いたずらに審議会を作ってみたところで、結局事務当局の案ですから、これは審議会に出てきた人が事務当局の案に基づいていろいろなことをやっているのですから、なるべくそういう屋上屋を架するようなことはできるだけやめていただいて、実質本位に運用していただきたい。このことを特にお願いをしておきたい。  それから午前中も話があったと思うのですが、この買取機関については、今のところは、政府は全然そういうことは考えておられないのですか、もう一度お答えを願いたいと思います。
  178. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 午前中の質疑でお答えした通りでございまして、ただいま慎重に政府は検討しておるという段階でございます。
  179. 中川俊思

    ○中川委員 これは非常に重大な問題でございますから、慎重に御検討になっておるのはごもっともだと思うのですけれども、しかし、この点はやはりこの石油業法が成立する前に一つお考えを願いたいと思うのです。せっかく日本の資本で開発した、たとえばアラビア石油であるとかスマトラ石油であるとかいうものができても路頭に迷うというようなことになったのでは何にもならぬわけですから、この買取機関というか何というか、とにかく日本に持ってきて、日本の資本で掘ったものを日本に持ってきて、路頭に迷わさないようにするにはどうしたらいいのかということについては十分に考えていただいて、それがはっきりしないというと、石油業法を作ってみたところでちょっとむずかしいのじゃないかと思うのです。私どもはちょっと考えざるを得ない。だからそれは今慎重に検討中だとおっしゃるけれども、慎重に検討していただくのはまことにけっこうなんですが、どういうふうにやるかということを一つ決定していただきたいと思います。まだ日にちがございますから、政府で十分に検討していただいて、これを、とにかくせっかく持ってきたやつを国内でこなしてもらう、こういうことでなければちょっと問題だと思いますから、その点一つ十分にお考え願いたいと思います。  それから石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というのですか、ここにも審議会があるが、この答申に基づいて政府は第一次五カ年計画をお立てになった、そしてその結果はよかった、つまり予想しておられた三十六年の三月にこの第一次計画は終了しておりますが、石油の予定埋蔵量六百三十万キロリッターを上回ること三十万キロリッター、すなわち六百六十万キロリッターの埋蔵量があるという成果が得られたわけでございまして、まことにけっこうなことだと思うのです。ところが三十六年三月、この第一次計画が終了いたしますと、政府部内特に大蔵省がそういうことを考えたのだろうと思うのですが、石油資源の最高出資金を、需要に対する国産原油の占める割合が少ないということと、貿易の自由化を前提とする狭い範囲の経済性を論じて、その政府の出資を非常に大幅に減額したというのです。一体第一次計画にはどれだけ出して、そして第二次計画にはどれだけ減額されたのか、まずその点をお尋ねしたいのです。
  180. 川出千速

    ○川出政府委員 第一次の計画につきましては、百四十二億の出資がなされておりますが、そのうち政府が九十一億出資いたしております。第二次計画につきましては、これは年々計画を立てまして長期の計画は立っておりますけれども実施の問題になりますと、年々どれだけ政府が出資するかということをきめておられるわけでございますが、建前としましては、なるべく早く自立できるようにしていきたい。国産石油の値段も六千円をめどに本年中に下げるという方針のもとに自立態勢に早く持っていきたい、こういうことで考えているわけでございます。
  181. 中川俊思

    ○中川委員 そうすると、もうすでに第二次計画が始まっておるのに、一体幾ら出すということをきめていないのですか。第一次は百四十二億のうち政府が九十一億出したというのです。第二次は無計画に始まっておるのですか。
  182. 川出千速

    ○川出政府委員 石油及び天然ガスの第二次五カ年計画は、三十六年度天然ガスが水溶性を含めまして十億立米であります。石油に換算して百万キロでございます。これを五カ年の最終年次には二十五億立米、石油に換算いたしまして二百五十万キロに持っていきたいというのが五カ年計画でございます。それから石油でございますが、これは三十六年が七十五、六万キロでございます。これは五年後の四十一年の目標を百五十万キロに置いておりまして、四十一年度には石油と天然ガスと合わせまして石油換算で三百五十万キロベースに持っていきたいということで考えておるわけでございます。これに要する開発費用といたしまして天然ガスが約百六十億、石油関係が約七十億、合計いたしまして二百三十五億の資金調達が必要である、こういった計画になっております。そのうち政府がどれだけ出すかという長期的な算定がまだきまっていないということを申し上げたわけでございます。三十七年度は財政投融資の面で石油資源に四億の出資がなされ、そのほかに政府保証なり開発銀行の借り入れがございます。
  183. 中川俊思

    ○中川委員 今のは第二次計画ですね。大蔵省が減したというのは、どういう観点で減したのですか。どういうふうに減したのですか。
  184. 川出千速

    ○川出政府委員 減したと申しますと、ちょっと政府部内でなんでございますが、当初通産省の方で考えておりました出資の額は、今申し上げました四億より多かったわけでございますけれども、全体の財政投融資計画の中の資金のやりくりの問題で四億になったということを申し上げているわけでございます。それで結局政府部内としては統一されたということでございます。
  185. 中川俊思

    ○中川委員 これは大玉にちょっと耳に入れておきたい。あなたも大蔵大臣をしておったでしょう。日本の大蔵省は、事務当局ですけれども、事務当局は、こんなことは言わぬでも先刻御承知ですけれども、物体に現われたものでなければ金を出さないというくせがある。これからこれだけ地下にある地下資源を掘り出すんだ、探鉱するんだというものに対しては、日本の大蔵省は金を出さない。これが私は、日本の地下資源の開発をおくらしておる一番大きなガンだと思う。これはあなたが通産大臣におられる間に、一つ大蔵省と政府部内で十分に連絡をとっていただいて、そうして探鉱にもっと日本は金をつぎ込まなければだめです。日本は地質的にも経済的にもいろいろな面から考えて、フランスとかイタリアとかそれから西ドイツと非常に酷似しておる点がある。これらの国はもう探鉱費にうんと金をつぎ込んで、そうしてみな成功しているのです。日本は、この間もちょっと触れましたように、探鉱費なんて、ことしなんか僕は恥ずかしかったですよ。たった二億円しか探鉱費を取ってない。フランスは四カ年計画で五十億ドル、一兆八千億という探鉱費を使っておる。そうしてサワラ油田を発見し、ラック地帯のガスだとか石油だとかいうものが発見できた。日本は石油はないとか地下資源はないとか言っているのですが、イタリアだとか西ドイツだとかいうようなところでも、同じようなことを言われておったけれども、やはり相当な金をつぎ込んで、それぞれの成果をあげておるのです。だから、日本は地下資源がないのでなくして、政府に熱意がないのだ。熱意がないために、特に大蔵省がそういうものに金を出さないという先入感があるために——通産省は大蔵省にいって折衝されたと思うのですが、大蔵省がなかなかきかない。だから、これは大蔵省の頭、ひいては政府全体の頭をたたき直さなければだめなことだと思うのです。あなたが通産大臣でおられる間にこの悪いくせを日本政府としては直さないと、今後だれが通産大臣になっても、あなたの時代にできなければ、今後できないかもしれない。これは大きな問題ですから、その探鉱費にうんと政府が金を出す——これは通産当局としては相当に要求されただろうと思うのですが、それでも要求する額は非常に少なかったんだろうと思うのです。ことしの予算で認められた探鉱費はたしか二億円だったでしょう。どのくらい言って、二億円認められたのですか。
  186. 川出千速

    ○川出政府委員 一億五千万円でございます。これは天然ガスでございます。
  187. 中川俊思

    ○中川委員 そこで大臣にもう一つお願いしておくんだが、きのうも午前中ですか、田中君が言っておられたと思うのですが、私は日本にはまだまだ膨大な石油資源があると思いますから、これは通産省で現在どういうふうに考えておられるのかお聞きしたいのですけれども、私は膨大な石油資源もある、また飛躍的増産が期待される天然ガスもかなり未開発の状態でおかれておると思うのですが、これはどうなんですか。
  188. 川出千速

    ○川出政府委員 現在確認されております石油の埋蔵量は、約七百万キロリッターくらいでございます。先ほど中川先生からおっしゃったあれでございますが、第一次の五カ年計画で発見したものでございます。それから可燃性天然ガスでございますが、これは水溶性と構造性ガス、いわゆる石油とともに出る構造性ガスと二つございますが、経済性の点においては構造性ガスがはるかにまさっておりまして、外国で天然ガスと称しておりますのは、ほとんど例外なく構造性の天然ガスでございます。石油と一緒に出る、あるいはそれに似た構造性天然ガスでございますが、確認された埋蔵量は現在七十数億立米というふうに言われております。そのほかに水溶性、水とともに出るメタンガス系のものでございますが、これが千億立米くらいでございます。これは経済性の点において構造性ガスにはるかに劣り、地盤沈下を生じたり水と一緒に上げなければならぬというような点がございます。地質調査所でかつて四千億立米の埋蔵量があるという発表をしたことがございますが、これは推定の埋蔵量を含んでおる数字だというふうに考えております。従って、探鉱をいたしますれば、今の確認された確定埋蔵量というものは、ふえるであろうということを期待しておるわけでございます。  それからついでに申しますと、来年度の予算で天然ガスにつきましては、一億五千万の予算が今国会審議中だと申し上げましたが、三十六年は約四千万でございますので、それに比べますと四倍に増加をいたしておる次第でございます。そのうちの大きなものは、日本の土地に構造性ガスがはたしてどの地域にあるかないか、石油の賦存があるかないかということを地質調査するために、来年度、関東平野のまん中に三千メートル以上の深い井戸を掘りまして、そうして地質の状況と重なり工合を国の経費で直接探査をしていくという予算を取っております。それによって、多年学界ではたして関東平野に石油があるかないか、構造性天然ガスがあるかないか疑問視されておりましたが、その解明の一つに役立つのではないかというように考えております。
  189. 中川俊思

    ○中川委員 第三十八国会の六月五日に、これはあなたの時代になるか、椎名さんですか、石炭問題に対して三党共同決議をしております。そのときにも、ここにありますが、日本の石炭エネルギーについてはどうしなければならぬということがうたってあるわけです。さらに石油また可燃性天然ガスの資源開発審議会答申も、三十六年九月、あなたの在任中ではなかったかと思いますが、これも新五カ年計画にもっと熱意を入れてもらいたいということを言っているわけです。というのは、根拠がある。それは、この答申内容を見ますと、三十七年から四十一年の間にもし第二次五カ年計画を推進したならば、第一次五カ年計画の実績に徴しての結果ですが、こういう結果が現われるということを示しているのを見ますと、探鉱投資額、これは天然ガスが幾ら、石油が幾らということで、あなたのところに資料があると思いますが、二百三十五億円、約七千万ドル弱、これだけの金をつぎ込めば、生産量はどうなるかというと、約五百四億円になる。二百三十五億円つぎ込んで五百四億円の収入になるから、非常な外貨の節約になる。ですから、総合エネルギー対策の樹立の見地からも一つうんと国内資源の開発ということに力を注いでもらいたい。またこれは何かの資料にもございますが、石炭の活用による総合エネルギー対策の見地から見ますと、政府は五千五百万トン——五千五百万トンと言っておりますが、これをかりにもう一千万トンふやしたならば、一体どのくらいになるのか、六千五百万トンの石炭を活用することに力を入れたら三百八十七億円、外貨において約一億ドル以上の節約になる。これは大臣、大事な点ですから、眠らないで聞いておって下さい。(笑声)石炭は五千五百万トン、——五千五百万トンということを、政府はばかの一つ覚えのように言っておる。五千五百万トン、それ以上できないようなことを言っているのですが、私はエネルギーの需要が急ピッチに伸びておるときに、どうして石油だけといわず石炭ももっと需要をふやすことを考えないかと思うのです。もう一千万トンふやしますと、三百八十七億円節約できる。そしてしかも関連産業を含めると七十八万人の雇用増を招くことになる。だからいずれの面からいっても、これは非常に国策に沿うことになるのでございますが、政府は石炭政策の転換は、これは今盛んに問題になっておることですが、一つ考えてもらわなければならぬ点だと思います。私は一石二鳥だと思うのです。石炭を一千万トンふやすことによって、外貨もこれだけ節約できる。さらに雇用の面においてもこういうふうに七十八万人というものが離職しなくて済むということになるのです。離職対策を今盛んに石炭対策委員会でやっておるわけなんですが、そういう点も緩和することになって、一石二鳥の成果をおさめることになると思うのですが、そういう点について一つ十分にお考えを願いたいと思うのであります。  そこでこの石油業法につきましては、そういうような観点から一つ十分に考えていただいて、先ほど来私が申し上げておるような供給計画に次ぐ資金計画をどうするかという問題、それからその次にお尋ねした買取機関の問題、これらの問題、やはり一応大臣は慎重に考えるからとおっしゃるのだが、むろん慎重に考えるべき問題でございますが、この問題は一つ早急に政府のお考えを発表していただいて、これができないというとちょっと石油業法、非常にまずいのじゃないか。それから自由化というものを少し延ばせば、何も石油業法を今あわててやらなくてもいいのです。今まで外貨割当でやっているのですから、何もここであわててこの石油業法を作らなければ、日本の石油産業はめちゃくちゃになるとか、需要と供給のバランスがめちゃくちゃになるわけではありません、貿易の自由化さえ延ばせば。だから貿易の自由化は、私も午前中ちょっとお尋ねしたように、別に文書の上で三十七年の十月からは日本の石油は自由化するということの約束は何もしてはいないでしょう。岸内閣以来そういうふうに、けさ大臣がおっしゃったように、岸内閣のとき以来そうい5政策で進んでおる計画であったというだけで、計画通りに世の中のことはいきませんよ。ですからもっと準備を十分にして、もう心配ないというところでこの石油業法をやればいいのですから、今私が申し上げた資金計画と買取機関の問題、これは一つ十分にこの業法通過前に政府意見を発表していた、だきたい。それに基づいて私はこれに賛否のなにを表したいと思います。これはいろいろな点がありましょう。党との関係もありましょうけれども、しかしこれは重大な問題ですから、た、だ審議会、総務会でヒヤヒヤできめられる問題ではないと思います。またそういう点が総務会なり審議会で行なわれた場合には、私も出かけていって十分にこれを慎重に考える、へきであって、簡単に考えてはいかぬぞということを私も言うつもりでありますけれども、それらの点について具体的にどうするかという点を大臣のおっしゃるように慎重にお考えになって、そうしてそれをお示し願った上でこの問題に対する態度をきめたいと思います。それまで質問を保留しておきます。
  190. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 資料を一つお願いしたいと思います。  今後五年ないし十年間の日本の石油の需給、特に供給面について、どこの国の石油がどのくらい、あるいはアラビアならアラビア、あるいはソ連ものならソ連もの、あるいはインドネシアがどう、国内がどうという供給の大体の見通しなり計画というものがあるでしょうから、それの国別といいますか、それが一つ。それからもう一つは、今後五年ないし十年の間におきまする需要ですね、電力関係がどうであるとか、あるいは石油化学関係がどうであるとか、あるいは一般燃料がどう、自動車がどう、こういう需要先別、種類別の大体の見通しがあるはずでありますから、それを出してもらいたい。  それからもう一つ、それの基礎をなします今後五年ないし十年の精製業の精製施設は、どのくらいの能力にずっと大きくしていくのか、それに所要の大体の資金計画ですね、これだけのものをぜひ一つ出してもらいたいと思います。
  191. 川出千速

    ○川出政府委員 できるだけ御要望に沿いたいと思いますが、ただいまの御要求の中で、今後五年ないし十年に必要な石油の需給の見通しというのはできますが、その供給別、どこの国からどれだけ買うという見通しはできないと思います。そのときどきに買うわけでございますので、それから新油田もどんどん開発されることでございましょうし、そのデータはできないと思います。そのほかのものにつきましては、できるだけ御要望に沿った資料を作ってみたいと思います。
  192. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今の点についてですが、やっぱり問題の焦点は、供給源を国別なり何なり、大きな観点からどうやっていくかということにこの法案の調整の一つの大きな目標があると思うのであります。一国にばかり、たとえば、アメリカならアメリカに片寄るようになるのかあるいはイギリスに片寄ることになるのか、アラビアに片寄るのか、ソ連に片寄るのか、国内産に重点を置くかという、ここらの全般の調整がやはり結局的には一番問題になるだろうと思う。従いまして、通産省がこの法案適用する以上は、国別はおれの方は考えないのだ、総量さえ確保できればいいのだというばかな話はないと思う。従いまして、ある程度はそういう点についての、はっきりした見通しはないかもしらぬが、一応既往のこの程度はという見当は、今の実勢なり何なりから、つくのじゃないかというふうに思うのですが、この点はどうなんですか。
  193. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ちょっと久保田さん、御無理ではないかと思うのですが、ソ連から幾らとかあるいはアラビアが幾らとか、イギリスが幾ら、アメリカが幾らということは、ちょっと無理なように思います。ただ、総量が幾ら要るかという計算は立ちますし、そうすると、今までの実績その他もございましょうし、あるいはそれぞれの供給能力というものもございましょうから、その辺で一つ御判断願うことにして、国別までは一つ差し控えさせていただきたい。御了承願いたいと思います。
  194. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次会は明二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会