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1962-03-27 第40回国会 衆議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    神田  博君       佐々木秀世君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    中垣 國男君       中川 俊思君    村上  勇君       岡田 利春君    北山 愛郎君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中村 重光君    山口シヅエ君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君         北海道開発政務         次官      田中 正巳君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         通商産業事務官         (重工業局長) 島田 喜仁君  委員外出席者         議     員 田中 武夫君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     古澤 長衞君         自治事務官         (財政局理財課         長)      茨木  広君         参  考  人         (元公営競技調         査会会長)   長沼 弘毅君     ————————————— 三月二十六日  委員小沢辰男君、田中榮一君及び多賀谷真稔君  辞任につき、その補欠として津雲國利君、大沢  雄一君及び田原春次君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員津雲國利辞任につき、その補欠として小  沢辰男君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員大沢雄一君、田原春次君及び松平忠久君辞  任につき、その補欠として田中榮一君、多賀谷  真稔君及び石山權作君議長指名委員に選  任された。 同日  委員石山權作君辞任につき、その補欠として松  平忠久君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十三日  北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇七号)(参議院送  付) 同月二十六日  国土調査促進特別措置法案相川勝六君外二名  提出衆法第二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇七号)(参議院送  付)  自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改  正する法律案内閣提出第一二五号)  自転車競技法等廃止する法律案田中武夫君  外十一名提出衆法第一七号)  競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案(  田中武夫君外十一名提出衆法第一八号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案田中武夫君外十一名提出自転車競技法等廃止する法律案、及び、競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案を議題として、質疑を行ないます。  本日は通商産業省並び総理府関係官のほかに、参考人として元公営競技調査会会長であらせられた長沼弘毅君が出席をしておられます。  長沼弘毅君には御繁忙中特に御臨席をいただきまして、まことに感謝にたえません。厚く御礼を申し上げます。  では、ただいまより質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 まず最初に長沼さんにお伺いいたしたいのですが、あなたは公営競技調査会会長として、半年にわたっていろいろと公営競技について検討の結果、昨年七月二十五日に答申を出されたわけです。今回の改正はこの答申に基づいての改正、こういうことになっておるのでありますが、十三項目ほどの具体的な答申が出ております。ところが、詳細に見ますと、そのうちでも取り入れられたのと、あるいは行政措置でできるので法を改正しないのと、あるいは全然考えられていないんじゃないかというような点があるんですが、あなたはかっての公営競技調査会会長として、答申を出された立場から、今度の法改正ごらんになって、どのようにお考えになりますかをお伺いいたします。
  4. 長沼弘毅

    長沼参考人 お示し通りでございまして、私ども答申案の大体の骨子というものは、ほとんど全部盛り込まれておると存じます。ただ、ただいまのお話のように、行政措置をもってでき得るものもありますので、法文の全体について全部が盛り込まれているということはなくとも、全体の趣旨というものはまず九〇%以上は盛り込まれておる、かように考えます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば答申には、「少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とし、」云々という答申前文をつけておられるわけですね。ところが、今度の改正によってできる特殊法人である自転車競技会ブロックごとに作るという予定ですが、その業務の中にやはり宣伝ということが入っているわけなんです。少なくとも現状以下に押えるんだということとその宣伝ということ、どういうような関係についてはどのようにお考えですか。
  6. 長沼弘毅

    長沼参考人 こういう一種ギャンブルが伴いますスポーツにつきまして、過当宣伝をするということはあまり好ましくないことでございます。従って、過当宣伝をしないということをわれわれは考えておったのであります。この競技会にあるいは宣伝という項目がありますけれども、これは多少の宣伝をするのはやむを得ない、ただあまり民心をわずらわすと申しますか、乱すような過当宣伝をしないと  いうふうに私ども考えております。
  7. 板川正吾

    板川委員 ちょっと関連して。——  いずれが妥当でどれが過当かという問題ですが、私ついこの間栃木県足利に行ったら、昼日中に花火が上がった。これはお祭りかと思って聞いたら、宇都宮市で競輪が行なわれるのを、足利市で場外売り場があって、そこで景気づけに花火を上げるんだという、まあ私は、花火を上げてやるというのは、大ていお祭りか何かでみんなの気持をそこへ集中させ、関心を持たせることだと思うのですが、どうも花火を上げてお祭騒ぎのような状態宣伝というのは私は過当じゃないかと思うのですが、どうですか。そういう過当過当でないかという判断がむずかしいのですが、その判断は……。
  8. 長沼弘毅

    長沼参考人 この判断はもう全く主観的なものでございますから、どこまでが過当であるか過当でないかという判断はいささか苦しみますが、まあ花火を上げるなんというのは、常識的に見て過当であろうかと思います。しかし、これは全体の改正法ごらん下さいますと、相当自粛的なムードというものが出ておりますし、それから、主務大臣監督権というものも相当強化されるということに考えられますので、だんだんなくなる。この法案が通るまでの過渡的な現象として、そういうものもあるいは現われてくるのではないかと思います。
  9. 島田喜仁

    島田政府委員 ちょっと長沼会長の御答弁に対して私から補足をいたさせていただきますが、まず、宣伝という言葉は、確かに誤解を与える感じがございますが、通産省といたしましては、いわゆる宣伝という言葉から来る感じ宣伝はいたすつもりはございません。ただ、競輪がどこの競輪場で何日に何時から開催されるとか、あるいは雨が降ったからきょうはやめるとか、そういう意味の発表と申しますか、一般に周知させるという意味で、まあ言葉では宣伝という言葉になっておりますが、実体はそうでございます。  それから第二の花火等の催しによりまして顧客を誘引するような宣伝行為は、実は通牒等によりまして禁止をいたしておりますので、もしそういう事例がありました場合は、違反でございますので、厳重に取り締まるつもりでございます。
  10. 板川正吾

    板川委員 いや、実はこの間の日曜に足利に行った場合に、たまたまそういう話を聞いたものですから、これは行き過ぎた宣伝じゃないかと実は思っておったのですが、私の方の聞き違いなら別ですが、調査をして、もし事実であったら一つ注意をしてもらいたいと思います。  それから、宣伝ですが、これは長沼さんなんか博学ですからわかっておると思いますが、アメリカでは酒を宣伝することを許さないという州があるそうです。まして、それよりももっと悪質な社会悪を持っておるこういうギャンブル行為ですから、新聞を売って、——行きたい人が新聞を買って読むというのは、これはいいと思うのですが、花火はもちろんいけませんが、よくラジオ——最近どうなっているか私実は調べてないのですが、ラジオで八時ごろ、松戸競輪がいつから開催されます、その選手はこれこれで、何とかかんとかと、盛んに宣伝をする。非常に聞きづらい。(「テレビにもある」と呼ぶ者あり)とのラジオテレビ宣伝は、これは私は行き過ぎた宣伝になるのじゃないかと思う。まあポスターを掲げておく、電車の車内に広告を出す、新聞でそれを発表する、この程度は、行きたい人、関心を持つ人は、関心を持っているからいいのですが、とにかくいやな人まで、それを社会悪と見てやめたいと思っておる人まで、さも当然かのごとく耳に入り、目に映ると、どうも不愉快な感じがするのです。こういうラジオテレビ宣伝なんかはこれは行き過ぎた宣伝行為に私は入るのだろう、こう思うのですが、その判断はいかがに考えておられますか。
  11. 長沼弘毅

    長沼参考人 全く御同感でございます。やめるべきだと思います。
  12. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 ちょっと関連して。——どうも通産省も、また調査会会長さんも、考えが違うのじゃないかと思うのですが、要するに、今回の改正というものは、今までのギャンブル性をある程度自粛さして、しかも健全なる大衆娯楽に持っていこうとするための改正だと私は思うのです。そうすれば、改正をして健全娯楽としてやらせるからには、運営のできるようにしてやることが私は親切だと思うのです。禁止するならまた別です。それに、こういう宣伝をしてはいかぬ、ああいう宣伝をしてはいかぬということであれば、知らしめてはいかぬということなんです。しかし、そうでなくて、要するに、先般もこの委員会お話をしたのですが、役所なりあるいは国会なりがギャンブルに対する一つの基本的な心がまえを持って、そうして今回その覚悟で法律改正をやろうとしておる。だから、テレビで映すことはいかぬ、あるいはまた人に周知せしめることもいかぬというなら、いっそやらせない方が一番いいのであります。しかし、一つの法のもとにやらせるからには、ある程度知らしめて、その中で判断するのですから、要するに大衆娯楽にしても何にしても、パチンコの好きな人はパチンコに行くだろうし、競馬の好きな人は競馬に行くだろうし、しかし、あるかないかわからないようなことでやらせるというのはヘビのなま殺しであって、それならいっそはっきりとやめさせた方がいいのです。やらせるからにはやれるような態勢を持たせることが必要じゃないかと思うのです。  そこで会長さんに関連質問として私お尋ねするのですが、英国国会ギャンブルに対する論争が非常に長く行なわれたわけですね。ここにございますが、一九四九年から一九五一年にわたりまして、ギャンブル改正について国会に対して王室委員会からの諮問があったわけです。そして英国国会は、先般申し上げた通りギャンブルというものは廃止すべきじゃない、禁止すべきじゃない、しかし、これもまた特に奨励すべきことでもない、要するに調整して法のもとにこれを行なわしめるのだという結論をはっきりと出しているわけでございます。また、その中にはいろいろございまして、内閣内閣としての見解を英国で出しております。その当時の蔵相はバトラーでございますが、このバトラー氏も、ギャンブル法趣旨の説明にあたっては、要するに個人道義心にかわってその役目を果たすのがこの法の目的ではない。個人の自由にあまり干渉せず、ギャンブルを無理のない限界内にとどめるようにするのが新しいギャンブル法趣旨であるという内閣としての立場をはっきりとうたっております。同時にまた英国のデイリー・ヘラルドとかその他の一流新聞も、やはり個人の自由というものをそう束縛するものではない、ギャンブルとは、調整してひっぱり出して、埋もらしておくべきではない、明るみに出して取り締まりのもとにこれを行なわしめるのが、人間性娯楽、欲望をそこで満たしていくのだという意見をはっきり出しておるのでありますが、調査会としてもそういう考え方で今回の答申を出されたのではないでしょうか。  ただ、要するにこれは悪いことだ、あれはどうだと先ほどからいろいろとあり、この前からのお話もございますが、競輪犯罪が非常に多い、これは新聞に出るから犯罪が多いようであって、しからば犯罪が事実どれだけあるかという調査をしてみると、警視庁で発表した昭和三十五年の調査を見ましても、全刑法犯罪というものが五十六万一千四百六十四件、そのうち競輪犯罪を犯したと見られるものが六百六十一件、それから競輪関係がある、それが動機となって犯罪になったであろうと思われるものが六百九十二件、そうしますと全刑法犯罪の〇・二四%であって、一%にも満たないのですよ。そういうような実際を調べもしないで、新聞にただ一つ出たから、あっちにこう批判されたからというようなことで、また福岡あたりの警察の調べを見ましても、競輪が行なわれる前には賭博犯罪というものは数十倍あった、公に競輪を行なうようになってからの賭博犯罪というものは何十分の一になったという事実が、ここに私の手元にも資料がたくさんあるのですが、そういうことを具体的に調査して、要するに隠れてやらせるよりは公に法律のもとにやるのだという考え方で、私はこの結論を得たんじゃないかと思うのですが、その考え方に対して  一つ会長さんの御意見を承りたい。
  13. 長沼弘毅

    長沼参考人 詳細な数字をおあげになりまして犯罪の問題をお考え下すったのですが、実は私どもも先生よりあるいはいま少しく詳しく調べておるかもしれません。とかく競輪競馬というものが犯罪の温床であるようにしわ寄せをされるという傾向が非常にあるのです。それからまたいうところの家庭悲劇が、一番悪いのは競輪から起こるのだというふうな一般の風潮もないではなかった。しかし、だんだん冷静に数字を見て参りますと、全部が全部競輪に泣きどころを求めるということはおかしいのであって、事実と反しておるということを私ども数字の上から考える。それから前段のイギリスの例もございますが、御承知のように、ダービーなんというものは女王さんの馬が出ておる。これは一種社交場でありまして、ギャンブルが多少伴いますけれども、ばくち場とはだれも考えていない。われわれの競馬競輪等に至りましても、一日も早くそういう明朗なスポーツの公の場にいたしたいと思うのです。  御承知のごとく、動員している人間だけでもおそらく本年度は四千万人以上でごさいましょう。こういう衆人環視の中にあって、こそこそと悪いことはだんだんできなくなる、むしろこれをやたらに圧迫するということになりますと、それこそ、こそこそやるやみの賭博というものが横行あるいはわきから助成するという形にもなりかねない。従いまして、御指摘の通り態度をもちまして、明るい場所でもって、明朗な競技大衆が楽しむという方向に持っていきたいという念願で私は答申をいたしたわけでございます。ただし、過渡的にはまだそこまで百パーセントの成果をあけ得るという自信はございませんけれども、次第にそちらの方向に向かっていくということだけは、自信を持って申し上げます。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの長沼さんの御意見あるいは佐々木委員の御意見とは私は違った立場をとるわけなんですが、今の参考人が言われたような論法は、かつて売春禁止ないし防止法を論議したときに言われたと同じ論法なんです。われわれが問題とするのは、人間は生まれながらにしてギャンブルを好むかどうかということは一応別としても、本来刑法において禁止せられておるものが、一方法によって保護せられながら行なわれていくというここに問題を持っているわけなんです。この点につきましては並行線になるだろうと思いますので、私これ以上は申しませんが、しかし、少なくとも先ほど申しましたように、前文で先ほど申したような基本的態度をうたい、そうして十三項ですかの答申過度宣伝行為を行なわない、こういうととは僕は常識的に判断をしていくべきであって、もちろんやる以上何らの掲示すらしてはいけないということを申すのではないが、やはり過度宣伝というのか、たとえば花火を上げるとか宣伝車を出すとか、あるいはテレビでやるとかいうことが入るか入らないか、これは事実問題になりますが、私はあくまでも調査会答申前文態度から十三の、項目として現われたというように理解をしていきたいし、また監督立場にある通産省においてもやはりそのような方法でもっていってもらわなくちゃならないと思うわけです。  それから長沼さんにお伺いするのですが、この答申を出すまでに十回にわたって審議が行なわれた、そして三回にわたって現地調査を行なわれたそうですが、この現地調査というのは競輪場を見られたのだと思うのですが、どこを見られたか知りませんが、あれをごらんになって、健全娯楽につながるというような感じを受けられたでしょうか、いかがでしょう。
  15. 長沼弘毅

    長沼参考人 これはもう何が健全であるのか、健全でないのかということのものさしもなかなかむずかしいので、簡単にはどうも割り切れないと存じますけれども、現在の状態というものが非常に満足すべき健全なスポーツ状態であるとは、やはり考えられないと思います。しかし、これは相当の時間はかかりますけれども、これをだんだんに健全な方向に持っていく、そして大衆の楽しみというものも奪わない、こういうところに私どものねらいがございますので、現状が満足すべき状態であるとは考えない。もし満足すべき状態なら、こういう答申案を出すはずがない。
  16. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ちょっとお諮りいたします。  小平総務長官が参議院の予算委員会から呼ばれておりまするので、もし小平長官に御質問がありましたら、先にお願いをいたしたいと思います。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、せっかくおいでになったんだから、さっそくお伺いしたいのですが、公営競技調査会は、総理府にあったわけです。それを事務的に関連してきたのは、総理府なんです。そういう立場から総務長官にお伺いするのですが、今、御承知のように、その公営競技調査会答申十三項目を具体的に実現しようということで、この法案が出されておるわけです。あなたはその当時長官ではなかったかと思うんだが、公営競技調査会がどのように運営せられ、また総理府としては、これは審議会にあまりくちばしを入れるのはどうかと思うのですが、どういった態度で臨んだか。それからさらにその人選、これは前にも聞いたと思うのですが、やはり人選が問題だと思うのです。顔ぶれがきまったときに、これはどういう線が出るなということは、われわれは想像いたしました。そういう人選等について、答申当時に一ぺん聞いたと思いますが、あらためてここでお伺いいたしておきたいと思います。
  18. 小平久雄

    小平政府委員 調査会が発足しまして、第一回の会合を持ちましたのは、三十六年の三月十五日、その際に諮問をいたしました。念のため諮問事項を申し上げますと、「競輪競馬小型自動車競争及びモーターボート競走に関する現行制度とこれら公営競技全般に対する今後の基本的方策について貴会意見を求める。」こういう諮問をいたしました。その後十回にわたりまして御審議をいただき、第十回目の総会が七月の二十五日にございました。そこでただいまお話しの通り答申が出されたわけでございます。答申は私が就任してからちょうだいをいたしました。その間三回にわたって現地調査をいたしましたこともお示し通りでございます。しこうして、審議会調査会等につきましては、これはひとり本調査会ばかりではございませんが、政府といたしましては、それに別段どういう指導と申しますか、そういうことは一切いたしませんで、その調査会の独自の御審議と御判断によりまして、答申をちょうだいする、こういう建前を、この調査会につきましてももちろん堅持して参ったわけであります。  それから委員のことでございますが、これはこの調査会は、当時公営競技の存廃ということにつきまして、非常に世論のやかましかったときでもございましたので、政府といたしましては、特に、あるいは存置説、あるいは廃止説といったような意見を公にしたことのないような公正な皆さんだけを選んで、お選びを申し上げた、全く中立的な方をお選び申した、こういう事情でございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 すでに答申を終わり、一応の任務を終わって、解散をしておるその審議会のメンバーの選任にさかのぼって今さら追及してみても、死んだ子の年を数えるようなことですから、やめておきたいと思うのですが、とにもかくにも総務長官総理府として受け取って、そうして今度の法改正になっているわけなんです。そうすると、この法改正にあたって、これはやはり原局である通産省が立案したのであろうと思うのですが、公営競技調査会立場から、あるいはその答申を受けた立場から、総務長官はこの十三項目及び前文に掲げた態度、これがどのように法改正に盛られているか、こういうことについて意見を吐かれたりしたことがあるのかどうか、あるいはまた結果的に見て、今度の法改正答申に対して正直に答えておる、こういうように思われるかどうか、一つお伺いいたします。
  20. 小平久雄

    小平政府委員 答申をちょうだいいたしましてから、この答申関係各省に直ちに伝達をいたしました。同時にまた、各省庁にお集まりをいただいて、答申を中心にして連絡協議をもいたしました。しこうして、この答申の内容につきましては、これは調査会では独自のお立場でこういう答申をして下さったことであります。最も公正な立場のもの、私どもはさよう感じておるわけでございます。そこで、各省庁においても、この線にできるだけ沿うて、それぞれの法改正等をしてもらいたい、そういうことを以上申しましたような機会においてわれわれは伝えておるわけでございます。今度提案になりました法案について見ましても、答申の線に沿うて、それぞれ改正すべきものは改正を大体いたしておるもの、かように了解いたしております。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 これは通産省及び小平総務長官、それから長沼会長三人にお伺いすることになろうと思うのですが、この答申の十三項に「現行公営競技根拠法が異なっているため、各種公営競技間に均衡を失している点が少なくないので、所管各省においてこれを是正するよう努力する。」こういうように出ておるわけです。ある程度これはそういう線に沿ったかと思いますが、昭和三十二年、自転車競技法の一部改正のときに、当商工委員会附帯決議をつけております。それは、「この種射倖性を伴なう競技監督行政機構については、これを一元化するよう速かに検討すること。」こういうことをつけておるわけです。この十三項は、必ずしも一元化せよとは言っていない。しかし、言わんとするところは、やはり同じようなことを言っておるのじゃないかと思う。すでに当委員会においては、一元化せよ、こういうように附帯決議をつけておるわけです。そういう点からいって、今後、これは通産省にお伺いするのですが、この答申及び附帯決議、これを今度の法改正でどれほど考えたか。あるいは総務長官総理府立場から、私はやはり一元化していく、こういうことの方がいいんじゃないか、こういうようにも考えるわけなんですが、そういう点について伺いたい。  それから長沼さんには、この答申の十三項目の真意について、それぞれお伺いしたいと思います。
  22. 小平久雄

    小平政府委員 答申の第十三項目並びにさきの商工委員会におきましての付帯条件、これらも承知をいたしております。ただいまお示し通り、第十三項目は、この公営競技根拠法を必ずし一元化せよということではなかろう、——これは後ほど会長から御説明があると思いますが、私どももさように解釈をいたしたのであります。ただ、競技間での権衡を失してはいけないから、そういうことのないように是正しろ、こういうことだろうと存じます。そこで、公営競技という点だけから考えますと、共通的な性格というものが多分にあることも、これももう申し上げるまでもないところでございます。ただ、これらの公営競技をやることによって、それから得る一部の財源を各種の事業の補助等にそれぞれ充てておることも、これまた申し上げるまでもございません。ところが、そういった補助、助成を受けるような事業は、また各省の専管でそれぞれやっておる、こういったような事情もございますので、今直ちに根拠法規を一本にまとめるということも、行政の実態からいたしましていかがなものであろうかと、私どもさように考えるのであります。そこで、ただなるべくここに示されておりますように、各公営競技間で均衡を失しないように、その点は十分各省庁で連絡をとってやってもらいたい、さように私ども考えております。
  23. 長沼弘毅

    長沼参考人 長官の説明で大体いいんでございますが、絶対にこうしろということを言い切れなかった。努力目標を掲げたということは、もう練達の田中委員がよくおわかりのことと存じます。それぞれの歴史も違いますし、一方は馬を扱っておる、一方は自動車を扱っておる、一方はモーターボートを扱っておるというようなことになりますと、一本でやれということは、これはなかなかめんどうなことであります。ただ、私どもとしては、ことに行政官庁としては、理想的には一本の法律を掲げて、それで各種の競技にのべたらにずっと監督できるということであれば、これは事務の便宜の上から大へんいいことと思います。ところが、逆に各省に分かれておりますということは、いろいろと事情がございまして、各省一本にしろというのと同じようなことで、現に私は、余談でございますが、いろいろな苦い経験を持っております。私は国民年金というものを一本にすべきであるという持論を持っておりますが、私は二年間かかりましてあの案をまとめたのですが、各省それぞれ厚生年金とか、共済組合とかいうものを一本にしろといってもなかなかできない^これはまあ俗にいう家庭の事情というとなんでございますが、その辺は一つお含みを願いたいと思います。
  24. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 小平長官お急ぎのようですから、今、田中委員と話をしまして、私一つだけ御質問申し上げたいと思います。  田中委員の御質問とやや同じなんですが、ただもう一つつけ加えたいことは、とうしたギャンブルというようなものは、今回の法改正でますます役所の監督が強化されるのですが、法律内の監督強化というものはこれは当然なんですが、要するに、この運営等については、私としては、ほんとうは役所がやるべきじゃないと思う。これは民間が運営をやるべきだ。外国の例もこの前お話ししたのですが、ことに施行権の問題なんかは、町とか市とかが施行権を持ってこういう行為をやるということは、私は好ましいことじゃないと思う。将来は、やはり法律があるんですから、法の範囲内において役所が監督をいたしまして、地方の問題等については税金等においてこれを処理して、その開催地に対しては地方税なりあるいは何かの税金でまかなってやるというようなことにいくべきが当然だ、私はそう考えているのです。これらに対して、内閣としては、今回はこの改正でやむを得ないとしても、将来ともにこういうギャンブルが自治体とか内閣とかでやるべきかどうか、これに対する考え方一つ。  それからやはり行政権の問題ですが、今会長からやるべくしてなかなかやり得ないんだというお話ですが、少なくとも国会の決議というものはやはり尊重すべきものであると思う。尊重どころじゃない、国会は国の最高の決議機関でございますから、これに従わなくちゃならない、はっきり言えば。そうすると、その国会附帯決議に盛られた点が今回の法改正にはほとんど考慮されていない。私たちは、ほかの産業と違って、こうしたギャンブルというものは、全国的に一本に監督し、一本に運営して、そうして騒擾事件やいろいろな不安のないような健全娯楽にしようとするのですから、やはり監督も一本である方が健全娯楽方向に指導監督できるのじゃないか、こういうように考えるのです。総務長官として、内閣立場からその二つの点に対してはっきりした考えを述べていただきたいと思います。
  25. 小平久雄

    小平政府委員 第一点のこの種競技の運営主体の問題でございますが、その点につきましては、おそらく長沼調査会長におきましても御検討いただいたととじゃないかと存じますが、その間の事情を私詳細に承っておりませんでしたが、いずれにいたしましても、ただいまお話しのような行き方というものも一つ方向として考え、十分検討に値する問題だと存じます。従って、それらの点につきましては、今後私ども総理府立場としては、関係の各省とも一緒に検討することにいたしたいと存じます。  また第二点の行政機構、特に監督行政の機構の問題でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたような事情で、今回の改正におきましても、大体従来通り監督行政を持っていく、こういう建前になっておるのでございます。この点につきましても、もちろん当商工委員会の決議等もありまして、調査会におきましてもそれらも十分勘案の上にこのような結論をお出しいただいたものと私は了解するのであります。従って、今回の改正につきましても、各省でそれぞれこの答申に基づいて検討いたしました結果、少なくとも当面は従来のそれぞれの機構を生かしてやっていく、こういうことに相なったわけでございます。この点につきましても、御意見は将来十分検討をして参りたい、かように考えます。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 これから具体的な問題に入りたいと思うのですが、その前に立場をはっきりしておきたいと思うのですが、具体的な問題に入ると、何だかこの法改正を認めた上に立っての話になりますが、われわれはすでに廃止法を出しておるということを一応御了解願いたいと思う。  それでは引き続いて質問をいたしたいと存じますが、今度実施機関として特殊法人である自転車協議会を各ブロックごとに作る、どういう改正でありますが、そうした場合に、従来ある都道府県の社団法人であった自転車振興会は一体どうなるのか。これは目的達成ということで、定款によっての解散手続をとるのかどうか。その場合、これら都道府県の自転車振興会が持っておる財産、債権、あるいは負債があるかもしれませんが、そういうものはどうなっていくのか。それからその従業員については一体どのようになっていくのか、こういう点についてお伺いいたします。
  27. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいまの社団法人であります振興会は大体二つの業務を行なっております。一つ競輪の実施に関する業務、一つは自転車振興に関する事業、これを行なっておると思いますが、振興会の大部分は、競輪の実施に関する業務を行なっておると思います。従いまして、今度新たに特殊法人ができることを前提にいたしますと、従来の振興会は大部分が新しい特殊法人に切りかわっていくことになると思います。ただ、中には、ただいま申し上げましたように、振興会で自転車の振興に関する事業を行なっておるものにつきましては、もし振興会がその部面について存続するという希望がある場合には、それを解散させるというようなことは考えておりませんし、また社団法人でございますので、そういった法的根拠もございません。  それから資産の問題でございますが、資産につきましては、社団法人の定款に、もし会員が会員の資格を失った場合には、たとえば入会金というものがございますが、入会金等については、この返還の請求ができないということになっておりますし、それから資産等につきましては、もし振興会が解散をいたした場合には、自転車の振興の事業の目的に使わなければならぬということに実はなっております。現在振興会の行なっている事業につきましての財源は、御承知のように、一つは会員の入会金と、あとは施行者からの交付金でまかなっております。従って、大部分は交付金によったものでございます。そこで、もし解散をいたすということになりますと、今申し上げました競輪の実施に関する資産は、今度新しくできます特殊法人に引き継いでもらうように要請をいたしたいと思います。と申しますのは、特殊法人は、競輪の実施が円滑に参りますように、競技関係の事務を実施するわけでございますので、そういう資産については、新しい特殊法人にこれを引き継いでもらいたい、こういうふうに思っております。  なお、職員につきましては、これは特殊法人に原則的に一つ切りかわって、特殊法人の職員になっていただくつもりでおります。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 都道府県の自転車振興会が全部解散するということなら話はわかってくるのです。しかし、これはあくまで法の建前からいって、その社団法人の意思によらなければならない。そうすると、解散するところと、しないところが出てくる。もし解散した場合は、その所有財産等は今度新しい特殊法人競技会に譲与する、それから職員等も引き継ぐのだ、こういうことになるのですが、解散するかしないかは、それぞれの社団法人のきめることです。そうすると、全然解散がなかったというときを仮定するならば、今度の競技会というものは素手で出発することになるわけです。そうしたら、その経費、予算は、まず出発にあたってどういうようにすべきなのか。そのうちにどこか解散してこっちに入ってくるところもあるだろう、財産くらいできるだろうという安易な考え方なのか、あるいは残るとするならば、都道府県自転車振興会は定款を改正しなければならないと思うのです。そういうことについての行政指導としてある程度はやられるとしても、これはあくまで都道府県の振興会の法人としての意思決定に待つべきが建前になります。  それから、もし解散をした場合に、あるいは解散しなくとも、人が減ることは当然です。その職員たちは新しい競技会に引き継ぐ。これはうまく配置転換というか、引き継ぎができて、一人もはみ出さなければけっこうだと思うのですが、もしそのような場合に、どのような身分保障をしてやるのか。  それからさらにこれは退職金等につながると思うのですが、勤務年限等は、都道府県自転車振興会の勤務年限と、新たにできた競技会へ行った場合に、それの勤務年限を一緒にするようなことになるのかどうかということ、そういうこともそれぞれ法律ではきめられない。結局それぞれの異なった人格がきめるということになると、そこにまちまちのものができてくる。そういうような点について、これは法律ではきめられない、また行政指導でも、あくまで指導であって、押しつけられないと思うのです。きめ手がないと思うのですが、一体そういうような切りかえに対する混乱の防止、あるいは財産、あるいは職員の身分保障、これについてもうちょっとはっきりしてもらわないと、何だかこの点がぼやけておるように思うのですが、いかがですか。
  29. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいまの解散しない場合にどうなるかという問題が御質問の第一点だと思います。解散しない場合は、特に私から御説明申し上げたように、振興事業とそれから競輪の実施に関する業務をいたしておる場合が、実はそういうケースが出てくる場合だと思います。ただ、今度は法律におきまして、新たにできました特殊法人でなければ競輪の実施業務ができないことになりますので、おそらく振興会といたしましても、その実施に必要な資産につきましては、新しい特殊法人に少なくともその必要な資産については移譲をしてもらうことを期待をしております。そうしてまたそういう要請をいたしたいと思いますが、今度特殊法人を作ります場合には、御承知のように、施行者の長とそうして学識経験者、その中には振興会からも出まして、それが発起人になりまして、特殊法人を設立をいたして参るわけでございますので、そのときにただいまお話しの問題につきましては、たとえば職員についても全部振りかわることができるかどうか、どうしても退職しなければならないような事例が起こった場合には、その退職金等についてどう処置をとるかというような問題は、いよいよ実施の段階になりませんと私どもにもどの程度解散せずに残っていくかというような点がはっきり見通しがつきませんが、おそらく私どもの推定ではごく少数であろう、こういうふうに考えておりますが、これらの点につきましては、ただいまの発起人が特殊法人を作り出す、設立をいたして参ります過程におきまして、それらの点をよく検討いたし、私どももただいまの特殊法人移行の問題につきましては、十分に混乱の起きないように職員の保障の問題等につきましては十分考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 いよいよ実施段階にならないと、どこが解散をし、どこが残る、あるいは人がどうなるかわからない。従って、今、局長の言われたように、あくまで期待であり要請である、ここでこうであろうということを想定しての議論もできませんので、きわめて抽象的になると思いまするが、まず第一の点としては、この種の財産移譲において疑惑を招くことのないよう公正な方法、妥当な方法をとるように一つ指導を強力にやってもらうということ、それからもう一つは、しわ寄せが職員に——これは職員は何も知らないのですから、それが法改正によってしわ寄せが職員に及ぶということのないようなはっきりとした身分保障ということについて、これまた強力な行政なり指導をしてもらう、こういうことを特に申し上げておいて、まずい点があるならばまたあらためてあなたにお伺いしたいと思いますが、これは近き将来のことですから、この程度にしたいと思います。  なお、特殊法人の場合は、政府監督がどの程度がいいのか、きつ過ぎるのがいいのかゆる過ぎるのがいいのかということがいつも問題になります。従って、特殊法人である自転車競技会に対していろいろ監督の方法等もありますが、いわゆる特殊法人政府との関係、これについて誤りのないようにしてもらわなければいけない。  さらにもう一つは、この特殊法人ができれば、大体各省のお役人の古手といっては失礼ですが、天下りしていくことが多い。まあそれは経験に富む人が行くことも悪くはないだろうが、特殊法人ということでくると、われわれ、ことに野党にぴんと来るととは、政府の強い監督と官僚統制——といえば語弊があるかもしれませんが、それがあるのではないか。もう一つは官僚の姥捨山になるのではないか、こういうことがいつも来るわけなんです。そういう点については十分に一つ注意してもらいたい。  さらにこの特殊法人の設立ですね、これは準備委員とかなんとかあると思うのですが、これはどういう考え方でやっていくのか、もうすでにできているのかどうか知りませんが、あるいはどこかのブロックの競技会は、その関係県の自転車振興会の会長、役員が設立発起人になるのか、設立委員になるのか知りませんが、そういう設立手続あるいは設立委員等についてはどう考えておるのかということ。  それからもう一つは、ここで法律改正して競技会というものを作るのですから、その実施はすべてこれに責任を持ってやらそう、こういうことであろうと思うのです。いわゆる施行者との関係等について、今までの各都道府県の自転車振興会と施行者との関係と比べて、どういうように今度の競技会と施行者との関係は変わるのか、変わらないのか、そういう点をお伺いしたい。
  31. 島田喜仁

    島田政府委員 たくさん御意見がございましたのですが、まず最初の特殊法人ができます場合の職員の身分上の問題等につきましては、責任を持ちまして問題の起こらないようにいたしたい。それから資産の承継につきましては、疑惑の起こらないような公正妥当な方法で経過措置をとりたい、こういうふうに思っております。  それから監督の問題等につきましては、官僚統制の弊が生じないように、かつまた競輪を適正に運営いたして参るための必要な限度において、そういう考え方監督をいたしていきたい。  それから役員等の問題について、天下り人事という問題がございましたが、この点も御趣旨に沿って参りたい、こういうふうに思っております。  それから特殊法人と振興会との関係について最後に御質問がございましたが、この点につきましては、従来の振興会と今度の特殊法人との違いを簡単に申し上げますと……。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 施行者との関係です。
  33. 島田喜仁

    島田政府委員 施行者と特殊法人との関係につきましては、まず今度の法律改正でも、実は建前は、施行権は施行者が持っておる。従いまして、最終的には施行者の責任において競輪を実施すべきものだ、こういう建前をとっております。ところが御承知のように、現在でも施行者みずからが競輪の実施をいたすことは、いろいろな事情から困難でございますので、振興会等に競技関係の事務を委託いたしまして実施をいたしております。ところが今度の考え方は、やはり最終的には施行者が責任を負うわけでございますが、やはり新しくできます特殊法人に対しまして委託の事務の範囲を明確にいたしまして、委託を受けた振興会は責任を持って競輪を円滑しかも公正に運営できるようにいたすという建前から、法律で実は特殊法人の委託される事務の範囲を明確にいたしております。先ほど問題になりました宣伝という字句を使っておりますが、まず第一は、競技関係の事務、それから、あとは宣伝と申しましたが、実ははっきり競輪が行なわれるということを一般に発表するような意味宣伝事務、それから車券の発売、場内の取り締まり、こういう四項目を委託事務として法律で明確に規定しておりますが、特に第一項の競技関係の事務につきましては、一括委託する場合には、委託するということによりまして、特殊法人といたしましては、はっきりと競輪関係の事業の経営の安定性ができる、そのかわり責任を持って委託された事務を行なう、こういうふうになったわけであります。この点が従来の振興会と施行者との関係で違った点でございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 法律によって自転車競技会が行なう業務はこれこれこれとれ、こう書いてあります。これがそうだ、こうなると、制限委託だというようにも思われるのですが、施行者からの委託は総括委任になるのですか、制限委任になるのですか。
  35. 島田喜仁

    島田政府委員 競技関係の事務につきましては、総括あるいは包括委託になります。それからあとの残った三つの事項につきましては、それぞれ特殊法人である振興会と施行者との間の話し合いによりまして、具体的に委託されるか委託されないかがきまる、こういうわけでございます。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 長沼さんにお伺いしますが、答申第十項で、雇用の近代化ということがうたってあります。この雇用には直接自転車振興会あるいはその他との雇用関係にある者をうたっておるのですか。それから選手等をも含んでおるのか、いかがでしょう。
  37. 長沼弘毅

    長沼参考人 それはいろいろ議論しております途中で一番われわれが頭に参りましたのは、実は競輪関係じゃない、むしろ競馬関係で、厩舎とか馬丁とか、こういうものが実に非近代的な最たるものなんです。しかし、これをあまりこまかく解剖いたしまして、われわれがこうしろ、ああしろというような案を立てるまでの時日もございませんでしたし、またあまりに内政干渉にわたるようなことがあってもいけないということで、中心は競馬の方から出てきたのですが、しかし、これもいろいろ研究して参りますると、選手だけでなくて、その他事務的な職員についても相当非近代的なところがあるという考え方を持ちましたので、かような表現をいたしたわけであります。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 それで結局騎手だとか競輪選手は入るのですか。
  39. 長沼弘毅

    長沼参考人 入るのです。法律的に正しい解釈であるかどうか、ちょっと私も自信ございませんけれども、そのつもりでおります。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 これはまあ答申の文句ですから、答申を作られた方が一番よく御存じで、この言葉からくるものは、法律上といったって、これはありませんので、やはり答申せられた人の気持が一番これの解釈だろうと思うのです。そうすると、今おっしゃったように、今競輪をやっておりますから競輪にしぼりますが、競輪選手のあり方も近代化する、あるいは近代化せよ、こういうように答申したのだと了解していいのですか。
  41. 長沼弘毅

    長沼参考人 けっこうでございます。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、通産省にお伺いするのですが、競輪選手は現在では労働者でない、雇用関係がない、あえて言うならば自由労働者とでもいうのですか、ここに私、選手の身分の不安定があると思うのです。ことに答申の九項には、不正レースの防止ということで、選手等関係者の養成、訓練、管理その他、これが最も重要である、こういうようにうたわれておる。また確かにそうだと思うのです。そこで、今までの競輪選手のあり方、こういうことについて、これははっきりした身分的な問題を考える必要があるんじゃなかろうか、こう思うので、何か中途半端で、登録を受けておるというだけで、生活の保障がない。それじゃ、選手会というのがありますが、これは施行者ないし自転車振興会等に対して雇用関係がないからということで、労使間のような団体交渉ができない。従って退職金も出ない。ここにまた、この間佐々木委員も言っておりましたが、体力的な限界等があって、やはりあせりというものが出てくる、この際という気持が出てくる、ここに不正レース等の起こる理由といいますか、温床が出てくると思うのです。従って、この際、選手のあり方、これについて、はっきりとしておかねばならないと思うのです。今回の改正にあたっては、あまり選手のことについては触れておられないわけです。そこで、現在の選手会の制度のようなもの、これを一体どのように考えておられるのか。さらに進んで、訓練その他は、これは日自振がやっておりますが、日自振がやるのがいいのか、あるいは選手間で相互に叱咤勉励しながら、責任を持たして自主的にやらせるのがいいのか、こういうような点も出てこようと思うのですが、総括して、選手のあり方及び選手の生活の問題あるいは退職後の問題——退職後といいますか、限界が来てから後の問題、これはまあ大体三十幾つかになると限界が来ると思います。相撲取りなんかもそうなんですが、この種スポーツには、個人差はあるとしても、やはり人間としての体力の限界がある。こういうことに対してどの程度の配慮をされたか、お伺いいたしたいと思います。
  43. 島田喜仁

    島田政府委員 公営競技調査会答申では、雇用の近代化という文字が掲げられておりますが、現在の選手の関係考えてみますと、やはり出場ごとに施行者との出場契約と申しますか、契約という形で選手が競技に参加し、そうして賞金という形で決済が行なわれておる、こう見るのが現状認識ではなかろうか、こう思います。ただ、そういう関係にはございますが、ただいまお話しのように、選手は検定を受け、登録試験に合格して登録された者が競輪に出場することができる建前になっておりますので、やはり競輪の選手につきましては、一方、やはり体質改善もしなければなりませんし、新陳代謝も行なわれ、老朽選手の淘汰も行なわれることが、実は競輪の運営が公正に行なわれるゆえんであろうと思います。他方、そういう形で競輪の選手の質の向上を考えますというと、やはり競輪選手の生活の安定あるいは退職時における救済制度というものが実は必要になって参ります。現在では施行者からの賞金あるいは選手のみずからが賞金の中から出す金等によって共済制度等が行なわれておりますが、これらの問題につきましては、非常にむずかしい問題を含んでおりまして、ただいま田中先生からお話のあった、選手みずからがお互いに切磋琢磨して訓練をしていくのがいいか、日自振が選手に対して訓練をするのがいいかというような問題も実はございます。ただ、ほかの競技もそうでございますが、選手相互間における——現在全国の選手会もございますし、地方にも選手会もございますが、相互に訓練をいたすのももちろん大事なことでありますが、やはり中正な第三者が訓練をする建前が現状においては必要であろう、こう考えます。と同時に、ただいまの賞金等の問題を中心にした共済制度につきまして、あるいは給与の引き上げ等につきましては、全体の立場から——と申しますのは、施行者もこれらの金を出さなければなりません。そういうような面もございますので、ただいま中央選手制度の改善委員会というものがございますので、それらを中心にいたしまして、この選手制度のあり方につきましては、今後も検討を続けていきたいと思います。今度の建前といたしましては、やはり現状を一歩進めまして、ただいま申し上げました給与改善、退職時等の問題、あるいは災害補償等の問題につきまして、できるだけこの改善をはかるという考え方から、ただいま申し上げました施行者と選手の関係、選手共済会というのがございますが、それとの関係、あるいは選手みずからが共済制度をとっておる、これを建前にいたしまして、その改善の方向には前進をいたすつもりでございます。政府立場からいたしましては、これら選手関係の団体あるいは施行者に対しまして、勧告助言をいたすという、こういう考え方で本改正案を考えたわけでございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 公営競技四つのうちで、やはり選手——片一方は騎手というのですが、この選手にかかるのは、競輪が一番ウエートが大きいと思います。他は、やはり若干の機械が要る、あるいは一方においては馬という媒介があるわけです。自転車も機械か知りませんが、これはほとんど選手の気持にかかると思うのです。それだけに、この公営競技調査会でも、答申の中に特にこれを取り上げられたと思うのです。今あなたがおっしゃったいわゆる助言または勧告という規定はここに入っておりますが、私は、どうももう少し一歩を進めてほしかった。これは前にもそういった附帯決議をやったと思うのだが、売上金の中からやはり若干の選手共済のための積立金ができる。それを運営するのが、現在の選手会だけじゃどうもということなら、それは運営の方法は別にあろうと思います。同時に、選手会に対する体質改善の問題もあろうと思います。しかし、それならそれだけに、やはり現在の社団法人である選手会をもっと法的に認めると同時に、何かやる、体質改善を行なうというような、もう少し選手のことに対して真剣に考えてもらう。これが明朗なレースをやる一つだと思うのです。また先日佐々木委員質問の中にも、私は根本的に違ったものを持っておりますが、ある限りやる限り、やはり選手のあり方、あるいはOBに対する措置等には相当示唆に富んだものがあったと思います。何回も言いますが、根本的には違うが、やる限りは私は佐々木委員の御意見は示唆に富んだものがあると思います。そういう点も検討してもらって、ことに競輪というものは選手の持つウエートが大きいということを認識してもらいたい、このように思うわけです。
  45. 長沼弘毅

    長沼参考人 ちょっと関連しますので、私から発言させていただきたいと思います。  調査会のいろいろの議論の途中で、やはり選手の生活を何とか保護しなければいかぬということで、一つの案としましては、施行者において保険費というものを一部負担するというようなことを考えたらどうだろうかという議論もありました。これは今のお説に沿った議論でありますけれども、そこまでこまかく書きませんでしたが、そういう議論がありましたことだけは、一つ承知を願いたいと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 重工業局長、今の長沼会長意見も聞かれたのでありますから、これは十分一つ検討してもらいたいと思います。  それから先日小林委員が触れておりましたが、競輪場の移転とか相続その他の規定ができております。しかし、いわゆる明朗なものにするためには、相当施設等を改善しなければいけないと思うのです。それを怠ったような競輪場に対して、指定の取り消しというような措置もとる必要があるのじゃなかろうかと思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  47. 古澤長衞

    ○古澤説明員 現行法でできる建前になっております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと済みませんが、条文を言ってくれませんか。
  49. 古澤長衞

    ○古澤説明員 十四条にあります。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 現行法でできるようになっておるというが、実際にやられた例はありますか。
  51. 古澤長衞

    ○古澤説明員 今までございません。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 お聞きの通りであります。それでは全部がいわゆる理想的な改善なり施設を持っておるかといったら、そうじゃないと思うのです。法律はあるけれども、実際はできていない。こういうことですから、そういう点も私はある意味においてはやはり切るべきものは切る必要があるのじゃないかというように考えますが、今後の方針はいかがでしょう。
  53. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいま選手の問題についてお話がございましたが、もう一つ重要な点は、競輪の運営が健全明朗なものになるためには、施設並びに環境の改善が一つの柱だと思います。そういう意味で、ただいま施設の維持につきまして不十分なものがあったときには、指定の取り消しをしたらどうかという御意見だと思いますが、今度私ども考えております方針の第一は、施設の維持改善を厳格に守ってもらおう。さらに新たに施設基準を引き上げることを考えております。まず第一は、取り消す前に、この定められた施設基準を守ってもらうことをぜひ実行してもらいたい。どうしてもその基準を守れないような場合においては、ただいまお話しの指定の取り消しというような問題も考えざるを得ない、こういうふうに考えております。ただ問題は、施設を改善することになりますと、やはり経費等の問題が実はからんで参りますので、それらの点も総合的に考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと課長さん、十四条と言うが、十四条では、取り消しではなく改善命令でしょう。違反に対して何かあとの方にあるのですか。
  55. 古澤長衞

    ○古澤説明員 ちょっと補足いたしますが、十六条の二に、そういう命令に違反した場合には設置の許可を取り消すことができることになっております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 これも業務の停止もしくは制限でしょう。これは言葉の問題になりますが、どんぴしゃり取り消しという規定はないのじゃないですか。
  57. 古澤長衞

    ○古澤説明員 これは先生の言われたどんぴしゃりの規定はありませんが、十四条に基づきまして、十四条につきましては、競輪の公正または安全を確保する建前で必要な命令が出せる建前になっております。それから今の十六条の点につきましては、法令の違反等に関する措置といたしまして、これを具体的に出す場合には十六条あるいは十六条の二があるわけであります。一般の包括的な規定といたしましては十四条が発動できることになっております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 わかりました。十六条の二にあります。私は十六条の二項を見ておった。しかし、ありますが、これは動いていない。これは動く必要がなかったので動かなかったのならばけっこうだが、そうではなかったと思います。今後はこういうものを空文に終わらせないようにやってもらう、こういうことを希望いたしておきます。  それから最後に、いわゆる指示回数と実施回数ですが、これはいつも実施回数を上回って指示が与えられるというところに、各自治体間のいわゆる開催権の取り合いが行なわれる。ことに自分が持っておるときはともかくある程度の無理を言うだろうが、いわゆる自分が持たなくて私設の競輪場を管理しておるいわゆる管理施行者といわれる者が相当横暴をきわめる、そこにいろいろと問題を起こしておるようであります。この管理施行者というものは一体法律上どう解していいのですか。どういうことをうたっておるのですか。
  59. 古澤長衞

    ○古澤説明員 法律には、管理施行者というのは、はっきり出ておりません。しかし、通産省といたしまして、従来管理施行者というものに対する解釈といたしましては、競輪場は所有しておらないが、しかし他に優先してその競輪場を使用することができる施行者というふうに解釈いたしております。これは歴史的に競輪の発足当初、競輪場の設置の許可をとりながら、しかもその許可をとった施行者が実際にみずから競輪場の設置をやらなくてこれを第三者に委託してやらせた、こういうのが大体管理施行者発生の原因になっておるわけであります。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく競輪開催権の調整について往々にして醜い争いがありますので、そういうことのないような強い調整ができるように、あるいは強力な指導が望ましいと思いますが、いかがでありましょうか。どうも管理施行者というのに問題があると思うのですがね。
  61. 古澤長衞

    ○古澤説明員 この所有施行者なり管理施行者が、競輪の開催について、現在優位性を持っております。場合によっては多少行き過ぎの点があるというふうな先生のお話でありますが、これに対しましては、通産省として、競輪の開催の回数を年度初めに毎年きめておりますが、これで従来一応調整はしてきております。ただ従来の開催指示につきましては、多少不合理な点も最近出てきておりますので、今後これについては根本的に検討して参りたいというふうに考えております。
  62. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいまの田中先生の御意見につきまして、一つはできるだけ事務組合を作ることによりまして、事務組合を作りますと、それで問題はある程度まで解決する、その方向、これをできるだけ行政指導によりまして、あるいはまた法的な裏づけもございますので、そういう面でできるだけ事務組合を作って参りたいというのが一つ。それから従来限度外の開催ということを実はいたしておりましたが、これは御指摘の通り問題がございますので、今度は原則的には限度外認めずに、実際と合うような指示回数をきめるという方針で、今の問題をできるだけなくすような方向で指導して参りたい、こういうふうに考えております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 この法案自転車競技法小型自動車競走法の二つですから、オート・レースのことも一言聞いておかぬと審議をしたことにならないので聞きたいと思うのですが、従来オート・レースについては、都道府県ごとというが、全体で十三ほどしかなかったと思っているのですが、そこに社団法人の小型自動車競走会というものがあって、これが従来の府県別の自転車振興会と同じような役割をしておったのじゃないかと思う。全国的にはその全国連合会というのがあって、いわゆる日自振に相当するものがなかった。今度は日本小型自動車振興会というのを作って、これが日自振と同じような役割をやるんだ。こうなりますと、今度の改正ブロックごと自転車競技会ですか、その役割はオート・レースについてはどうなるのか。それから今までの府県ごとにあったものとの関係はどうなるのですか。組織を同じようにするという方向でいくのか、その点をちょっと……。
  64. 島田喜仁

    島田政府委員 オート・レースにつきましては、オート・レース場が全国で実は五つしかございません。施行者は八つでございます。従いまして、全国的に五十六カ所もあるこういう競輪とは趣が違っておりますので、今度新しくブロック別にできます競輪関係特殊法人に対応するものといたしましては、ただいま申し上げた五カ所を中心にいたしまして特殊法人にして参りたい。それが大体競輪に対応するものだと考えております。  それからやはり今度は社会福祉、公益の目的に資する事業、あるいは機械関係の交付金の受け入れという問題が実はございます。資金の貸付業務等もございますので、新たに中央に自転車振興会と同じような特殊法人を作りまして、そういう事務を行なうと同時に振興会に対する指導あるいは選手、審判のあっせん等、同じような業務をオート・レースについてもいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律によって今度できる特殊法人である自転車競技会ですか、これに相当するものは従来ある小型自動車競走会ですか、これになるということですか。何かそこに抜けるのですか。
  66. 古澤長衞

    ○古澤説明員 今先生の言われた通り、新しくできますブロック別の特殊法人であります自転車競技会に相当するものは、小型自動車の場合は作るわけであります。ただ、先ほども局長が申し上げましたように、全国に五つしかございませんので、考え方は全く自転車と同様でありますが、ただ地域的に各フロックに一つずつ——関東地方には三つ競走会が近接しておりますが、これにつきましては実際の設立の場合に一つ特殊法人にするか、あるいはそれぞれの特殊法人になるか、これは設立の場合にはっきりすると思いますが、今のところ一応自転車と同様な考えでおります。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこれで最後にしますが、ちょっとだめだけ押すわけです。従来ある社団法人小型自動車競走会ですか、これを改組して特殊法人に持っていこう、こういうことですね。
  68. 古澤長衞

    ○古澤説明員 そうです。
  69. 島田喜仁

    島田政府委員 競輪と全く同じでございまして、地方にあります社団法人である競走会を特殊法人に切りかえます。この点は競輪と全く同じ、実は中央になかった日自振と同じようなものとして今度は全国自動車競走会というのを作りまして、日自振と同じような業務をさせる。ですから全く同じであります。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 このくらいにしておきます。
  71. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 自転車競技法等関係法案質疑中でありますが、ただいま川島国務大臣がお見えになりましたので、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を議題とするため、一時質疑を中断いたします。  この際長沼参考人に一言お礼を申し上げたいと思います。  本日は御多用中おいでをいただきまして、貴重な御意見の御開陳をいただき、まことにありがとうごさいました。  一応長沼参考人に対する質疑は終わったようでありますので、お引き取りいただきましてけっこうでございます。ありがとうございました。      ————◇—————
  72. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 去る三月二十三日参議院より送付になり、本委員会に付託になりました、内閣提出北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を議題として、ます政府に提案理由の説明を求めます。川島北海道開発庁長官。     —————————————
  73. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 今回提出いたしました北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨について御説明申し上げます。  北海道地下資源開発株式会社は、全国の他の地域に比べて遅滞しております北海道の地下資源開発を急速かつ合理的に促進するために、探鉱事業を主目的とする特殊会社として、昭和三十三年八月に設立せられまして、逐次その成果を上げつつあります。  しかしながら、会社設立当初の見込みに反しまして、鉱業、特に石炭鉱業における探鉱活動の伸び悩み等により会社の受注事業量に不足を来たし、探鉱機能の効率的運用をはかることが困難となり、会社の収支は年々赤字を重ね、昭和三十五年度末には、設立以来の累積赤字は約一億四千二百万円に達するに至りました。このまま推移すれば、会社設立の目的である北海道の地下資源開発の推進に寄与し得ないこととなる次第でありますので、この際会社の行ない得る事業の範囲を改正し、事業量の増大、探鉱機能の効率的運用をはかり、もって経営を安定せしめて、会社設立の目的をよりょく達成せしめんとする次第であります。  以上がこの法律案提出する理由でありますが、次にその要旨について御説明申し上げます。  今回の改正は、第八条第二項を改めて、従たる事業として、主たる事業の円滑な遂行に支障のない範囲内において主務大臣の認可のもとに従来の機械貸付事業のほか、北海道以外の地域における受託探鉱、北海道内外における地質調査事業等を行ない得るようにしたことであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  74. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  75. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは中断しておりました自転車競技法関係法案質疑を続行いたします。佐々木秀世君。
  76. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 先日の質問並びに本日の田中委員質問によって相当疑問とする点も明らかになったのでございますが、まだ二、三お聞きしておきたいことと、同時にまた、この法律改正されましても、政令によって定められる点がたくさんございますので、それに対して商工委員としての私の考え方を申し上げまして、できるだけそれを実施に移してもらいたいという気持で御質問申し上げるのでございます。  同時にまた、社会党から廃止法案が出ておりますから、せっかくお出しになった法案にだれも質問なかったということでは、国会正常化の上から申しまして失礼に当たりますので、社会党の御意見もまた十分承りたい。こういう点でわずかの時間をちょうだいいたしまして、御質問申し上げたいと存じます。  まず私は通産省の方に先にお伺いいたします。先般選手の問題で、待遇改善はやるのだという基本的な考え方は聞かせていただいたのでありますが、その具体的な問題について少し突っ込んでみたいと思うのです。選手の賞金の問題ですね、これはどのような方法で、どうした考え方で改善をしていこうとなさるのか。今までの選手の賞金というものはいわゆる施行者と選手の代表とによって話し合いである程度きめられたということでございますが、私の調べたところによりますと、一人平均七万五千円の収入があるという話でございましたが、これは旅費やらあるいは宿泊料やら、それらが全部含まって七万五千円であるように私の手元では調査されているのです。現在選手は手取りで一カ月どのくらいになっているかというところがありますれば、お聞かせ願いたいと思うのです。
  77. 古澤長衞

    ○古澤説明員 ただいまの佐々木先生の御質問でありますが、今のところ選手の一カ月の一人平均の収入につきましては、いわゆる賞金として出ておりますのが約四万四千五百六十四円、参加賞として出ておりますのが二万五百二十五円、合計しまして六万五千八十九円ということになります。
  78. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうすると、この前の七万五千円というのは手取りじゃないということだけははっきりしたわけなんですが、要するに相当な宿泊旅費がかかっているということから考えますと、この際大幅な待遇改善をしてやらなければ、先般私の申し上げたような優秀な選手が養成されないという結果になると思います。そこで、これから賞金をきめるにあたりましても、今までは選手制度改善委員会という機構はあるのですが、これはおもに先ほど申しましたように施行者とのただ話し合いなんですね。今後賞金制度の確立をはかるために選手会あるいは実施者あるいは施行者というような三つの団体等による賞金改善委員会というようなものを作る考えがありますかどうか、それを承っておきたいと思います。
  79. 古澤長衞

    ○古澤説明員 現在選手制度改善委員会というのがございまして、これは施行者と日本自転車振興会、選手会、そこに通産省も入りまして、いわゆる四者構成でやっておるわけでありますが、この制度改善委員会というものが相当期間開かれていなかったわけであります。今年になりましてから、すでに三回の改善委員会を開いておりまして、先生の言われるような特に賞金問題それから共済制度等を中心にしまして、根本的に従来のやり方等も再検討して、改善をはかるということで現在やっております。
  80. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それでは、これは質問というより要望しておきますが、要するに今まで長い間ほとんど開かれなかった、最近になって三回開いたということはわかっております。しかし、それも全体の収入から見ますと、選手の方に賞金なりあるいは待遇改善の予算を増額したというのじゃないのです。増額されておりません。ある程度ふえているということは、選手がかつて六千何百人いたのが四千何百人に減って、そうして手取りは少しよけいになったという程度の改善であって、思い切った選手の待遇改善あるいはまた優秀な選手を養成するというような積極性が見られないのであります。そういうことでは、売り上げはどんどんふえておりまして施行者なりその他の施設者なりというものが利益を相当上げているのですから、相当な金額の増加を来たしておる、しかし、選手に対しては特にそれ以上多くプラスしたというのではなくて、従来の予算内で待遇改善ができたという程度のものだと私は見るのですが、将来はこういうことでなくて、施行者の収入が多くなったならば選手の待遇もよくしてやるのだ、同時に施設もよくしてやるのだというような心がまえで一つやってもらいたいというととを要望いたしておきます。  それからもう一つは、選手のみでなく、これに従事している職員が一万数千名いるはずですが、この人たちに対するところの退職金制度はどうなっておりますか。
  81. 古澤長衞

    ○古澤説明員 ただいまの御質問の従業員の内容でございますが、いわゆる選手のほかに、従業員とおっしゃいますのは、どういう者でありますか。
  82. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 たとえば審判とかとれに従事している者がございますね。あるいはまた地方振興会に属している人たちとか、こういう人たちの退職金等の考慮が払われているかどうか。
  83. 古澤長衞

    ○古澤説明員 審判等の中には、振興会の職員であります者と、それから臨時に雇われた者等がありまして、職員につきましては、それぞれの振興会が規約を持っておりまして、その規約に基づいた退職金が出されることになっております。ただ、臨時雇用の関係にあります者は、必ずしも同じような取り扱いを受けるわけではありません。
  84. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうした臨時等もございまするし、まあ雇用関係が一律でないという点もございます。しかしながら、これらに従事するおのおの人たちは、やはり常に生活の安定ということを前提として働いていただくということでなければならないと思いますから、将来これらの点についても、あるいは拠出制による退職金でも何でもよろしゅうございます、何かそれらの点を考慮して、そして不安のないような立場において業務をやっていただくというようにぜひ考慮を払ってもらいたい、こう考えます。  そこで、あとは質問というよりも私からも要望おし上げまして、時間がかかりますから一々のお答えがなくてもよろしいと考えますが、一つ今申し上げました選手の待遇改善、あるいは賞金、あるいは共済制度、これに対しては従来のような一方的な選手だけの積み立てでなくて、施行者においても相当な配慮を払う、その他のいわゆる団体においてもみなこぞって選手の待遇改善に協力するということに取り計らうようにいたしてもらいたいと思います。  それから、施設の改善、これは当然行なわなければなりません。今のような各地の競技場を見まして、だれもこれが大衆健全娯楽だとはっきり答える人はおそらくなかろうかと思います。やはり健全娯楽に持っていくためには、健全娯楽に適したところの施設の改善をやる、そういう点に対しても十分一つ考えていただかなければならないと思います。  それからもう一つは、選手の、ことに訓練の問題でございますが、これに対してどういう考えを持っているか知りませんが、やはりこの選手の訓練ということは非常に大事です。たとえば、われわれ政治家にも政治家としての職責を果たすために立法調査費というものがございまして、今回のいわゆる待遇改善におきましても三万円という立法調査費をやはりとっております。俸給の三分の一ないし四分の一というものを、やはりその人の働くためのいろいろな基礎資料を作るためにとるのでありますから、ことに選手は競技をやるんですから、競技をやるためには訓練がなければできません。そういう点において、ただ目くされ金のようなわずかなものを訓練費用に充てたからこれでよかろうというようなことでは、選手としての体面を保つわけには参りませんから、そういう点についても思い切った予算的の処置をしなくちゃならぬ、ただ心がまえだけではいけないのでありまして、やはりこれくらいの予算をつけるんだということによって一つ誠意を示してもらいたいと思います。  その他いろいろありますが、いずれまた、こういう審議だけではなく、われわれの考えというものは前の国会においても附帯決議に盛ってあるから、あの附帯決議一つ尊重して、そうして十分に大衆の納得するような健全娯楽に持っていくために努力すると同時に、今後競輪によっていろいろな犯罪とかあるいは疑惑とか不正の起こることのないように、十分なる監督をやっていただきたいということを申し上げ、これにまた従来いろいろな問題で取り残っているものもあります。小型自動車の方におきましても、あるいは競輪場の問題等もまだ未解決になっているし、譲り渡し等も認められているんですから、こういう点についても早急に一つ解決するものは解決して、すっきりした形で再出発してもらいたいということを申し上げまして、通産省に対する質問は一応終わります。  そこで、社会党の廃止法案でございますが、先般来私はいろいろと英国の例やあるいはギャンブルに対する考え方など申し上げているのでありますが、社会党が今回小型自動車と競輪廃止、そうして一年の間にその利益をもって処理していくという考えでございます。たとえばギャンブルと申しますと、競輪やモーターボートあるいはオートバイだけでなく、競馬その他宝くじ、これも一つギャンブルだと思います。大きな数字であります。それからパチンコのごときは競輪の三倍以上、昭和三十五年の売り上げにおきましても二千六百億、あるいは三十六年においてはおそらく二千八百億というような膨大な売り上げを示しておると思いますが、これらの点に対しまして、ギャンブル全体に対して社会党は将来どういう方針をお持ちでありましょうか、その点一つ根本的な考え方を承りたいと思います。
  85. 田中武夫

    田中(武)議員 お答えいたします。われわれといたしましては、ギャンブルというものについてはできるだけなくしていく。これが先ほど問題になりましたように、それじゃあまりにも無味乾燥な人生になりはしないか、こういう問題につきましては、本来人間ギャンブルを好むやいなや、こういうことに議論が発展すると思いますので、それはしばらくおくといたしまして、パチンコの例なんか出ましたが、第一にわれわれが主張いたしておりますのは公営競技という立場で、それじゃ競馬はどうかということになりますが、さしあたり同じような法体系を持つ自転車、オートバイ、そうしてモーターボートをまず取り上げたわけではございますが、法律による保護を受けながら公営競技という格好でギャンブルが行なわれる、こういうことをまず廃止していきたい。こういうような考え方で将来はもちろん、競馬にも同じような考えを持っております。しかし、民間で行なっておりますパチンコの規制については、これは別な考え方で進めるべきであって、法によって保護せられた中において行なわれるのでない、こういう点、さらに公営であるという点、そういう点から特にこのまず三つを取り上げた、こういうことでございます。
  86. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうすると、将来は競馬をも廃止する考えであるというように了解してよろしゅうございますか。
  87. 田中武夫

    田中(武)議員 そのように考えております。その方向に持っていきたいと考えております。
  88. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それから、その理由としては家庭悲劇とかあるいは犯罪というような点を社会党は非常に強く御主張のようでございますが、先ほども私が申し上げました通り犯罪というような点から見ますと、ほかの酒、たばことかあるいはまたバーとかキャバレーとか、こうしたものの犯罪と比較いたしますと、ほとんど犯罪の数にならないのですね。ただ、たまたま新聞に出るから——さっき長沼会長も言われたように、競輪そのものから起きてきますところの犯罪というものは非常に少ない。これを調べないで、ただ新聞や雑誌を見ているといかにも多いように感ずるのでありますが、むしろ社会悪ということになると、そういう点に規制を加えるべきものだと私は考えるのですが、この犯罪の点から見まして、社会党はどういう考えをお持ちでありますか、その点を承りたいと思います。
  89. 田中武夫

    田中(武)議員 お答えいたします。実は私も佐々木委員と同様警視庁の統計等を調べまして、率直に申し上げますと、今まで書きものを読んだときの感じよりか、直接動機となっているのは案外少ないという感じは受けております。しかしながら、だからいいのだということでなく、これは統計のとり方あるいは自白の仕方等によっても違うと思いますが、われわれが言っている社会悪は、ただ単に犯罪、これも直接的にそのことによって動機となった犯罪だけをさしておるのではなくて、もっと広くいわゆる社会悪として取り上げておるわけなんです。そのうちの一つとして犯罪もあるいは家庭悲劇も、実際において少ないか多いかは別として起こっておる、こういうことはいなめない事実でございます。ただ何もかも競輪だ、こういうようなとらえ方はわれわれもいたしておりません。今、佐々木委員がおっしゃった統計は実は私も調べました。しかし、だからといっていいのだという結論は出ないのじゃないか、このように考えております。
  90. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そこで申し上げますが、こういうものが法によって保護されているというお言葉があったようでございますが、私は法によって保護されるとは考えていないのです。これは法を作らないで、ほっておけば蔓延するものだ。それを法によって規制するのだ、要するに、わかりやすく言うと、調整するのだ、そうして、その限度内における法であって、決してこれを法が保護をして奨励し、あるいはこれを盛んにやらせるという意味じゃないのでございますが、それに対する保護という言葉意味一つ承りたいと思います。
  91. 田中武夫

    田中(武)議員 たとえば自転車競技法がなかったといたしましよう。その場合、ああいう行為を行なうならば、これは刑法による賭博罪になります。競輪その他の公営ギャンブル賭博でないのは、自転車競技法等関係法があるためであります。そういう意味からいって、私は法に守られてという表現をとったわけです。しかし、その内容は、もちろんおっしゃるように調整的な点、あるいは過度にわたらないように押えていく、こういう内容であることは確かにそうでございます。しかし、私が言っているのは、もしこの法がなかりせば、刑法による賭博罪が成立する。この法があるために賭博罪として要件を狭くするのだ、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  92. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 確かに社会悪を流すものは全部やめさせるという考え方は間違っておるとは思わない。しかし、実社会においては、そうした娯楽という面から見ますと、いろいろな弊害があることは、ひとり競輪競馬だけではないのであります。ことにこれに動員される人たちの数を見まして毛、三十五年度においては年間約三千六百万人、うち競輪だけの動員数を見ましても千九百万人という多数の人たちがこのギャンブルの伴う大衆娯楽を楽しんでいるのでありまして、これらの人たちがギャンブルを一度なり二度なり数度なりやったものを、全部廃止したということによって、将来ばくちというものが世の中から消えてしまうという確信がございますかどうか、その確信のほどを一つ承っておきたいと思います。
  93. 田中武夫

    田中(武)議員 おっしゃるように、かりに法案廃止したからといって、刑法賭博罪を廃止するに至るような状態がくるとは思っておりません。やはりそういったギャンブルはこっそり行なわれるであろうことはわかります。これは先ほど来私質問のときに言ったと同じことを申し上げるのですが、結局売春防止法等と同じことであって、人間の本能かどうかは別としても、これは少なくなるとは考えておりません。ただしかし、私が言わんとするところは、そういう方向娯楽を求めるのでなくして、いわゆる健全娯楽といいますか、もっと意味のある方向娯楽を求めるような政治、あるいはそういった行政を希望しておるわけであります。
  94. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 これ以上は意見の対立になると思いますから、この程度でやめておきますが、一つ具体的に伺いたいのであります。一年間で廃止なさって、その事後処理をなさるということでございますが、たとえば、選手だけでも四千何百人おるのであります。社会党の考え方、ことに炭鉱離職者等に対する退職金のお考えを承りますと、少なくとも一人百五十万程度はとうしても必要だということが従来の社会党の主張のように承っております。それが百五十万でなくてかりに百万といたしましても、四千何百人で四十数億になるのですから、相当な金額になるわけです。退職金だけでもそうですから、一年間の利益くらいではとうてい処理できません。選手だけの処理もできません。そのほかに従事している人が一万数千人、それから穴場等を数えますと、競輪関係で直接生計を営んでおります人口は、三十五年の調査によって三十七万人であります。そういたしますと、これらの多くの人たちに対する退職金というものをどこから生み出そうとなさっておられるのか。それからまた施設に対して相当の投資をやっております。その投資をなさった施設の回収もできていない施設者もあるわけです。それらに対する具体的ないわゆる損害補償の問題、それからもう一つは、地方財政に対して、今後こういうものから地方財政をまかなうべきではないとは申されますけれども、現実の地方の町村を調べますと、たとえば宮島町の財政を調べますと、五一%がいわゆるギャンブルによってあがった金によって一般会計がまかなわれております。これを一年間で廃止してしまうと、町のいわゆる施策というものはもう半分に減ってしまうのです。しかも、御承知通り競輪とか競馬からあがる金はひもつきではないのであります。自由に使える金です。この金によって政策を立てられまして、たとえば学校をやろうとか図書館を建てようとかいろいろなものをやりますが、大体一億の収入があるとすると三億ないし四億に使えるのです。なぜかというと、この元金に対して補助金とか起債とか、たとえば北海道で申しますと、まず補助金は道の補助金、国の補助金、あるいは国の起債、こう考えますと、同じ一億を使っても、こういう政府からのひもつきでない金は三倍、四倍に使えるものですから、これがなくなると、地方の財政では大きな痛手をこうむるわけです。これを直ちに一年間で廃止して、地方財政というものが健全に運営されるかどうか、こういう問題に対して一つ具体的に御説明を承りたいと思います。
  95. 田中武夫

    田中(武)議員 その前に佐々木委員に御了解を願いたいのは、われわれが提出いたしておりますのは、二つの法案でございます。第一の廃止法の方で一年ということを区切っておるわけです。次にそれに伴う特別措置法の方は、これは期限を切っておりません。従って、事後処理について、一年間のあがってくる金でまかなえるかということに問題が集中してくるだろうと思うのであります。これはわれわれが今回初めて考えたのでなく、数年前から実はこの法案の構想を持っておりました。そのときは二年というようなことで提出したこともございます。しかし、二年前でしたか、三年前か忘れましたが、三十四年か三十五年にやはりこの競輪の問題につきまして、施行者の代表として川崎市長と平塚だったかの市長さんに来てもらったことがあるわけです。そのときに施行者の代表としての意見は、競輪を直ちにやめられると困るんだ、これはいろいろと計画を持って継続事業等もやっておりますから、こういう上に立っての意見でございまして、せめて三年は、こういうことだったわけです。それからすでに二年余りを費やしておりますので、この際一年としてもいいのじゃないかということが一つ。さらにもう一つは、この法律のいわゆる廃止に伴う法律案の附則に特別な交付金を作っております。これによってそれじゃ一年間に幾らほどあがるであろうか、こういう点を考えてみました。これはあくまでも推算でございますが、大体四十億ないし五十億があがるのじゃないか、こうわれわれは見ておるわけです。それをもって今おっしゃったような直接関係者の転失業手当その他をまかないます。さらに地方財政の問題でございますが、今おっしゃった宮島の例は特別だと思いますが、大体現に五一%をギャンブル収入に依存しておるということ自体が、私はその自治体の財政のあり方としておかしいと思う。従って一年で入ってくる金でやるということでなく、廃止になった後においては、やはりそれぞれの立場から、これは自治省の問題になろうと思いますが、やっていけるのじゃないか。それからその競輪場の転用の問題とかあるいは投資の問題などは、これは先ほど申しましたように、措置法の方は一年後もまだ続きますから、これによってなお清算はやっていけるんだ、ただお金が一年間分して入らないから、これは少ないじゃないかというお話はわかります。その他についてはそうでない。とにかく一方は一年となっておるが、措置法の方は時限ではございませんので、その目的を達するまでは残るということに解釈いたしております。
  96. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 だんだんわかって参りましたが、要は一年間に四十億程度の処理費ができるであろうという計算のようでございますが、私の計算とちょっと違います。それを残したといたしましても、社会党さんの従来の御主張のようにすると、それだけでも実際を言うと、選手の退職金には足らぬわけです。四千何百人ですから、百万ずっといたしましても四十億かかりますね。選手だけでこれだけかかるのでありますから、三十七万人の人たちの退職、生活、それらを計算すると、私の計算では、大体事後処理するには、少なくとも五年、ちょっと待遇をよくしてやると七年かかるというのが私の計算なんであります。しかし、計算の違いはいずれにいたしましても、川崎とか東京などというのは、ことにこれは売り上げの多いところでございまして、もう川崎市それ自体が今までも何十億という競輪の収入を上げて、道路にしろあらゆる施設にしろ、ほとんどあそこは競輪の収入でやってきたのでありますから、もう三年もやれば、あの町がある程度考えている仕事ができると思います。要はそれよりも、先ほど言ったような宮島のような、小さな予算内でやって、しかも地方の産物というのはほとんどない、地方の人たちの地方税にほとんど依存しなくちゃならぬというような町や市がやはりあるのです。五一%なんというのはこれは例外ですけれども、三〇%、四〇%というのはもうざらにあります。私はほとんど全国の競輪場を一回ずっと回ったんです。そして調べたものですから、ただ本や何かでなくて、ほとんど回ったといっても過言ではございません。そういう点から申し上げまして、事後処理というものはなかなか容易でない。しかしながら社会党のおっしゃるような考え方で参りますれば、廃止するということもこれは当然だろうと思います。しかし、これ以上御質問申し上げましても、見解の相違も出てくると思いますが、もう一つ社会党さんにお願いしたいことは、勇断を持って競輪とオートバイを廃止するという決心をなさったそうでありますから、その他の社会悪という点について一々ここで説明を申し上げませんが、まだまだ社会悪いという点がたくさんございますので、それらの点に対しても十分な御調査の上、はっきりした御回答を示されるように御希望申し上げまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  97. 田中武夫

    田中(武)議員 いわゆる幾多の社会悪といいますか、こういうものに挑戦をし、社会を浄化していく、これはわれわれの政治に対する一つの情熱でございますので、そういう態度でわが党としては絶えず臨んでいきたい、このように考えております。  さらに地方財政の問題でございますが、実はもう四、五年前から同じようなことを、私は自治省その他に要望してきたわけです。いざのときにまだそういうことで、やめられたら困るのだといわれても国る、従って、もう廃止するという上に立って地方財政のことを考えろ、こう何回か言ってきたが、そのままになっているわけでございます。そこで、ただいまおっしゃるような地方財政の問題につきましては、この法律があろうとなかろうと、成立しようがしまいが、地方財政の五〇%あるいは三〇%もこのギャンブルに依存してやるということは、きょうは自治省がおられませんが、これは考えてもらわなければならぬ、このように考えております。  さらに実は、四十億ないし五十億と申し上げましたのは、実は二年で計算したときに大体八十ないし百億だろうという、この半分を言ったので、その後の計算ではもう少し多くなるのではなかろうか、こういうように考えております。  要は、佐々木委員がおっしゃいましたように、社会悪に対して勇敢に取り組めということに対しては、私、またわが党としても常にそういうことを考えており、またこれからもいきたい、こういうように考えております。
  98. 小林ちづ

    ○小林(ち)委員 島田重工業局長にお尋ねいたしますが、せんだって私が質問しました中に、競輪場設置の条件についてお尋ねしましたのですが、相当の距離とは、文教上また保健衛生上著しく支障を来たすおそれのない距離というふうにお答えになったのですが、それならば施行規則第四条の三の前段で「相当の距離を有し」とわざわざ書く必要はないのではないかと思うのです。相当の距離と明文化している以上は、五十メートルとか百メートルとか、一応の基準を考えるのが当然だと思うのですが、また著しく支障を来たすおそれがないという判断はだれがどのようにして判断するのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
  99. 古澤長衞

    ○古澤説明員 競輪場の設置、特に場外売り場の設置等につきましての相当の距離とはどの程度かという御質問でございますが、この競輪場の設置あるいは場外売り場の設置につきましては、実際の施設につきましては大体通産局が監督をいたしておりますので、従いまして、その場合の判断といたしましては、やはりそれぞれの実情に照らしまして、この程度であればあまりじゃまにならぬというところの距離がおのずと出て参るかと思いますが、さように考えております。
  100. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 よろしゅうございますか。——ほかに御質疑はございませんか。  次会は明二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十七分散会