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1962-03-23 第40回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十三日(金曜日)    午後零時五十七分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       齋藤 憲三君    始関 伊平君       首藤 新八君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中垣 國男君       中川 俊思君    林   博君       原田  憲君    南  好雄君       小林 ちづ君    多賀谷真稔君       中村 重光君    西村 力弥君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君  委員外出席者         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      成田 寿治君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十二日  委員小沢辰男君、田中榮一君及び林博君辞任に  つき、その補欠として花村四郎君、古井喜實君  及び坂田道太君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員坂田道太君、花村四郎君及び古井喜實君辞  任につき、その補欠として林博君、小沢辰男君  及び田中榮一君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 三月二十二日  鹿児島県大隅中部地区の低開発地域工業開発促  進法に基づく開発地区指定に関する請願(二階  堂進紹介)(第二七二七号)  中小企業基本法制定促進に関する請願原田憲  君紹介)(第二七四九号)  同(岡本茂紹介)(第二八四六号)  同(秋田大助紹介)(第二九〇六号)  同(濱野清吾紹介)(第三一三六号)  公共料金及び諸物価引下げに関する請願外八件  (片島港君紹介)(第二七八四号)  同(石村英雄紹介)(第二八三八号)  同外八件(稻村隆一君紹介)(第二八三九号)  同(川上貫一紹介)(第二八四〇号)  同(志賀義雄紹介)(第二八四一号)  同外十八件(杉山元治郎紹介)(第二八四二  号)  同外三件(田邊誠紹介)(第二八四三号)  同(谷口善太郎紹介)(第二八四四号)  同(坪野米男紹介)(第二八四五号)  同外九十五件(猪俣浩三紹介)(第二九〇七  号)  同外二十四件(石川次夫紹介)(第二九〇八  号)  同外五件(石橋政嗣君紹介)(第二九〇九号)  同外二件(岡田春夫紹介)(第二九一〇号)  同(小松幹紹介)(第二九一一号)  同外十九件(佐野憲治紹介)(第二九一二  号)  同外九件(堂森芳夫紹介)(第二九一三号)  同(帆足計紹介)(第二九一四号)  同外九十六件(石橋政嗣君紹介)(第三一三七  号)  同外三百七件(兒玉末男紹介)(第三一三八  号)  物価値上げ反対に関する請願外十件(吉村吉雄  君紹介)(第二九一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  石油業法案内閣提出第一二二号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油業法案を議題とし、審査を進めます。  まず本案について連合審査会開会の件についてお諮りをいたします。  石炭対策特別委員会より、連合審査会開会申し入れがあります。この申し入れを受諾し、連合審査会を開会することに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会開会日時等に関しましては、委員長に御一任を願うことに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、本案について資料要求があります。伊藤卯四郎君。
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 今度石油業法案審議するにあたりまして、政府資料要求をいたします。  それは、外国資本との合弁会社日本に入れておりますところの原油価格、それから民族資本である丸善、出光、帝国石油開発会社、これらの会社原油価格がそれぞれ違うように思います。さらにまたアラビア石油というのも相当今後入れようとしておりますが、これらの原油価格——国内に入れてきて精油会社に引き渡すその価格を、会社別に、資料提出を願います。それからさらに精油したものを、それぞれの精油会社が一般に売るところの価格、そういうものについて、できるだけ会社別に、具体的な資料を、できるだけ早く御提出を願うように要請をいたします。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 われわれの方からも、一つ資料要求をいたしたいと思います。  それは、日本精油会社外国から融資を受けたとき結んだ契約、この契約によっていわゆるひもつきになっておると聞いておりますので、その契約内容を明らかにしてもらう、いわゆる契約書を出してもらいたい。何々カンパニーと何々会社と具体的に書けないならば、A会社Bカンパニーでもけっこうですから、代表的なものを要求しておきます。
  8. 板川正吾

    板川委員 今の問題は独占禁止法六条の二項によって、国内会社外国資本資本提携をした場合には、その契約書公正取引委員会に三十日以内に届出をすることになっておりますから、当然届出をしてあるとわれわれは考えております。ですから、その届出をしてある契約書内容一つ出していただきたい、こういう意味であります。
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤(卯)委員 先ほどの資料要求のときに忘れましたから追加いたしますが、外国油会社から日本油会社融資を受けております。その融資を受けておるそれぞれの会社名、その借金の金額、それからさっき田中君からも言われましたが、それに対していろいろな条件があるようでございますから、そういうものをあわせて御提出願いたいと思います。
  10. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それぞれの資料提出を望みます。     —————————————
  11. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、本案について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。長谷川四郎君。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石油業法につきまして、若干の質問を申し上げてみたいと思うのであります。  政府がこのたび石油業法提案をする理由というものは、エネルギー政策、すなわち石油自由化に伴ってこれを提案した、こういうふうに推察するわけであります。エネルギー政策原則は、第一には低コストエネルギー供給であり、第二にはエネルギー供給安定性確保だと私は思うのであります。この二つ原則をいかに調和させ、いかにバランスをとるかということだと思うのであります。しかし、この二つ原則は全く相反しているもので、低コストエネルギーという観点についてのみ申し上げるならば、石油以外のものはないと考えるのであります。  第二に、第二次大戦後、各国エネルギー経済に明らかになった現象は、石油消費量の激増であり、わが国に例をとってみましても、昭和二十五年度に二百十九万リットル、三十年度には一千四十八万キロリットル、三十五年度には三千万キロリットル、四十五年度には一億キロリットルの見込みがあり、五十五年度にはおそらく二億キロリットルの需要があるであろう。かくのごとくエネルギーバランスに占める石油地位は非常に大きなものであり、需要は増大の一途をたどることは疑う余地がないと思うのであります。このように石油に対する依存度が大きくなればなるほど、安定性ということに重点が置かれていなければならないと思うのであります。ところが、わが国は九八%を輸入石油に依存しておる。この現実の上に立って石油政策を行なわなければならないのであり、また策定に当たらなければならないのであります。従って、いかなる事態が発生をいたしましても、電力がとまらないこと、また消費面心配をかけないこと、すなわち発電という基幹産業の操業を継続し得て産業界影響を及ぼさないこと、これが大眼目でなければならないと思うのであります。現在石油から離れた国民生活というものは成り立たない。今や日本産業世界の奇跡と賞されておるほどその発展ぶりを示しておることは、御承知通りであります。反面、また国外に目を向けて世界情勢を判断いたしましても、御承知のように、わが国国民が希望する平和は、われわれの努力を踏み越えて、いついかなる事態に突入するやもはかり知れないと私は思うのであります。これら大小のトラブルにかかわらず、政府が即時即刻石油影響がある業法提案にあたりまして、私はいろいろ経済界の方々からも御意見を承りました。私は業界の保護は必要であろうと思います。また保護しなければならないと思う。しかし、われわれは政治をやっておるのであります。政治とはすなわち九千万国民をいかに幸福に導くかということがその要諦でなければならないと信ずるのであります。安定感のないところに幸福を得るわけにはいかぬと思う。ただいま審議に入っておる業法は、その日暮らしの不安定のものであると私は断言をいたします。従って、エネルギー政策業法を、一国をつかさどるところの政府提案するとなれば、国民よ、産業界よ、いついかなる事態が勃発しようとも、お前たちには心配はさせないというような信念の上に立った業法でなければならないと私は信じます。いついかなる事態が他国に勃発しようと、一滴の石油が入らなくなった、国内電力が全部とまる、日本産業が全部とまる、こういうようなあり方であってはならない、私はこういうことを申し上げるのであります。でありますから、まずどうやって安定感を与えるか、それがすなわち業法でなければならないはずだと私は思うのであります。ところが、業法に掲げる安定とは、消費者すなわち国民に与える安定ではなくて、石油業界に与える安定であると私は申し上げます。なぜならば、価格業者利益のために設定されるであろうし、国家国民の安定のための価格が設定されるものでないだろう。従って、国家国民の安定のために提出された業法であるなら、今申し上げたように、国民よ、産業界よ、断じて心配するな、少なくとも一滴の石油が来なくとも、わが国には六ヵ月間は操業できる用意があるぞ、これが安定であり、それが安定策だ、このように自分は考えるのであります。従って、価格は生産と消費バランスの上に立って自動的に決定さるべきものであることは私が申し上げるまでもないことでありますが、今回の業法は、石油安定供給だと目的の中にもありますけれども、私に言わせるならば、消費者に、より高く不安を与える法案だと申し上げなければならないと思うのであります。  以下、私は法案内容につきまして、一、二御質問申し上げてみたいと思うのであります。  業法目的の中には、安定供給消費者利益公共の福祉の増進になる。これが掲げてあるわけでございますが、この理由大臣から承ってみたいと思うのであります。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回、石油業法案提案いたしまして、御審議を願うことになったわけでございます。ただいまその基本になります点について、いろいろ御意見を交えてのお尋ねでございます。  この石油業法案提案いたしますバック・グラウンド、これは私が申し上げるまでもなく、十分御理解いただいておることだと思います。もちろん、ただいまのお話のうちにもありましょうに、将来のエネルギー源としての石油の占める地位、それはまことに大きく、また価値高いものでございます。しかし、同時にこれを総合エネルギー観点に立っていろいろ考案いたします際に、国内には石炭というものがある、あるいは水力がある、その他総合的観点に立っての石油というものを考えなければならない。そういう場合にいつも言われますことは、経済的観点に立っての低廉にしてしかも安定的なものである。同時に産業の持つ意味からいいますと、純経済的の、その二つだけの条件では、この種のものはなかなか考え得ないのであります。いろいろ国としての国際収支観点からの問題もございますし、あるいはまた雇用の安定の問題もございますし、幾つも条件を勘案して、初めて総合エネルギー的な立場に立っての対策が立つわけであります。今日までは、私が指摘するまでもなく、いわゆる自由経済のもとにおいて、公正な競争のもとにおいて形成されるその立場において、エネルギー選択消費者の自由にまかされているということで参っておるのであります。問題の核心と申すのはこの点にあると思います。いわゆる消費者本位ということ、これは同時にその個々のこまかな消費者に対しても同様でございますが、消費者がいずれのエネルギー源を使うか、これはどこまでもその自由選択によるべきだ、こういう立場から、今日までの石油あり方等も、そういう意味で法的には規制しないで、ただ単に為替による管理統制を続けてきたのでございます。しかし、今日のごとく石油経済界占むる地位、いわゆるエネルギー源として占むる地位が非常に高まり、非常に大きくなって参りますと、やはり総合的な立場に立って、このあり方考えるべきじゃないか。言いかえますならば、消費者自由選択と言われておるこの使用あるいは利用の仕方につきましても、国家意思がある程度反映することはやむを得ないのじゃないか。国といたしましては、経済問題あるいは政治問題あるいは社会問題、それらを全部合わせてみまして、そうして適当な方策を立てるべきだろう。これが今回石油業法案を立案するに至りましたその大要でございます。私はこの立場に立ちまして、そうして今後石油業あるいは石油そのものを、エネルギー源として十二分にその効用を発揮させたいと考えます。同時にただいま申し上げるような自由、公正な立場といわれるこの経済原則だけによらないで、そこにある程度の規制、調整を加えることはやむを得ないのじゃないか、これは当然そういう意味の性格を持つものじゃないか、かように実は考えておるのであります。この観点に立ちますと、競争利便と安くなるということ、これについてはある程度期待通りにいかないかもしれません。しかしながら、政府考えますものは、本来これで値段をつり上げるという考え方は毛頭ございませんし、むしろ価格が安定するということが望ましいのじゃないか。ことにエネルギー源であり、しかも産業の基盤をなすものだ、かように考えますと、その価格が上下にゆれることは望ましいことではございません。安定することが必要であります。同時にそれが低位というか、安いところで安定してくれれば、これも最も望ましい姿だと思います。そういう意味で今回の業法を作り、そういう方向で業界の協力を得る、そういう意味から消費者に対しても十分の利便を提供し得る、かように実は考える次第であります。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣の御意思、私は全面的に大賛成であります。しかし、業法にはそのようなものは、どこかには現われているのであろうけれども、少しも国家意思などというものはさらに現われておらない。私は業法がいけないというのではない。業法を出すというのならば、一国をつかさどる政府提案するならば、なぜ九千万の国民を安定をさせるという上に立った業法を出してもらうことができなかったか、これを申し上げるのであって、業界が金をもうけるとか利益を得ることは当然でしょう。株式会社とは何ぞや、金をもうけることだ。どんどんもうけさせなさい。そうして安定をさせてやるべきだ。私は業界が金をもうけるのがいけないと言うのではなくて、金をもうけさせるかわりに国民の方に安定を与えなさい、こういうことを私は申し上げておるのであります。従いまして、あと御質問を申し上げるのでございますけれども国家意思に基づく調整を加える、こういうようなお言葉の中から考えてみまして、たとえば外国から来る油が中断された場合、発電業、すなわち電力供給をいかに考えておるか、これに対する施策をお答え願いたい。  もう一つは、電力でなく、あるいは直接石油を使っている産業が今日たくさんあるわけでありますが、これらに対してどういうようなことをお考えになっておられるか、これをお聞き申し上げたいのであります。  せっかくわが国精製工場世界のレベルに到達いたしましたが、現在の精製能力昭和四十五年の一億キロリットルの需要目標に沿える可能性があるのかどうか、こういう点についてもお答えを願いたいと思うのであります。
  15. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ね外油への依存度が非常に高い日本電力は、もし外油がとまればどうなるのか、またその他の産業でも非常に危険ではないかという御指摘でございます。この石油についての見方は、戦前と戦後は大へんな相違であること、これは私が指摘するまでもなく御理解いただいておると思います。また、今日私どもはいわゆる平和的な共存関係、これによりまして国際平和は維持できるものだ、実はかような考え方をいたしております。そういたしますと、いわゆる外油がとまるということ、それは一体どういう事態なのかということを考えてみますと、まずその危険はよほど遠のいておる。あるいはまた戦前のごとく、軍事的必要からこれが確保を絶対必要としたときと、今の日本の場合とは相当相違があると思います。従いまして、国際原油あり方、しかも国際原油にしても東西両陣営のあり方等、いろいろ考えられます。これは一面競争もございますが、お互い協調するという二とが一つ建前である、かように実は考えております。従いまして、いわゆる国際石油カルテルに支配される、かように申されますが、平和ということが前提になり、お互い競争もするが協調する、こういうことを考えると、やはり資本的にも協調の形態ということが望ましいのじゃないか。そういうことを考えますと、われわれの油の確保、これについてももっと高度あるいは大局的に立って進めるべきじゃないか。具体的に申しますならば、外国との協調ということが非常に必要になってくるのじゃないか。この石油業法自身が、いわゆる民族資本あるいは国産原油あるいは国産石炭、こういうことばかりを強く出さないで、油自身も将来どんどん発展していくだろうということを考えておる。その建前は、やはり国際協調ということが望ましいことだ、こういう観点に立っておるわけであります。だから、この業務自身も、そういう意味では、やや形を変えたものもあろうかと思います。そこでそういう数字を考え、そして実際は一体どうなっておるのか、ただいままでの数量で申しますと、発電電力量のうちから石油を使っておりますものが、三十七年は二〇%、三十九年度で三〇%、四二年度で約四〇%の程度になる、こういう意味ではどんどんふえていくことになるわけでございます。この石油が伸びる——ただいまのお尋ねにはございませんでしたが、一面石炭そのものにつきましては、電力業界におきまして石炭年次別使用量を拡大していく、そうして長期引取契約を進めていく、こういうことを実は考えているわけでございます。  それからもう一つ、ただいま外国からの輸入がとまったら、そのときには困るから、相当貯油をする、そういう義務を業者に負わしたらどうかというような御意見も一部出ていたかと思いますが、大体貯油ということになりますと、業界に対して相当の負担がかかります。ただいまの使用量で一カ月分の貯油をする、こういたしますと、私どもの試算では、短期の設備資金約三百億円、また原油一キロリットル当たり貯油コストも大体二千円程度になろうかと思います。だからこの点は、こういう必要なものだから、長期に耐え得るような原油の貯蔵が必要だということが一面いわれますが、同時に、安い原油を提供するという観点に立つと、この事柄は実は矛盾することでもございます。それよりも本来の、冒頭に申し上げましたような国際協調の面を大きく取り上げることによりまして、そして大事な石油の安定的な供給をする、こういう方途を講ずることが望ましい姿ではないか、かように私ども考えております。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私が大臣のお考え相違のあるところは、国際的な情勢の問題の上に立って、大臣は楽観的なお考えのようでございますが、私は即大きなトラブルがあると申し上げるのではないのであって、どんな小さなトラブルがあった場合においても、すぐ影響のあるものは石油なんだ、こういうことで申し上げているわけなんであります。現に今の国際情勢というものは、そう簡単な楽観をすべきものではないと私は考えておるのであります。  次に項目に入ります。供給面について、供給計画について御質問申し上げたいのでございますけれども石油供給計画の中に国内及び海外における石油資源開発状況を参酌をして輸入をきめるというのであります。国内石油アラビア石油との見解をまず最初に明らかにしていただいてから御質問に入りたいと思うのであります。というのは、国内石油は、国内石油資源として開発しているのがあります。アラビアスマトラ海外にある石油資源でございますが、それをどのようにお考えになっておられますか、その点をまず御質問申し上げて次の質問に入っていきたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどのお尋ねに対しまして、誤解があると困りますから、私が特に国際協調指摘いたしました点を、これは平和というか国際情勢について私も楽観したとかいう見方をしておるわけではございません。しかし、かくあるべきという通常の状態においては、それを前提にして考うべきであろうということが一つでありますし、それからもう一つは、ただいまの石油業界自身が、日本業界をめぐる姿は、世界的にただいま石油が過剰生産されておる。そういう意味で非常な競争各国に対して展開せられておりますが、日本などに対しましては相当どこよりも激しい地域だろう、実はかように考えます。他の例で申しますならば、ソ連原油日本に対しましては非常に安く売られておりますけれども、いわゆるソ連衛星圏というか東欧諸国に対しましては、日本よりも相当高いところで売られておるというような現状を見ますると、市場が独占されると、そこに一つの問題が起こり得るんだということを実は指摘したいのであります。そういう意味から申しましても、ある程度競争というか、本来の競争、これはありたいことだ、かように実は思っております。だから、国家意思を反映さす、かような強い表現をいたしましても、やはり原則として堅持しておるのははっきりいたしておるのであります。  ところで日本に入ってくる、あるいは国内消費されておる石油の実際は、ただいま御指摘になりましたように、国際原油とか、これは英米系でございます、あるいはソ連系のもの、さらにまた民族資本によって開発されるアラビア並びスマトラそれから種々国内資源としての国産原油並びに国産ガス、こういうものが実は考えられるわけであります。身近な国産原油並びに国産ガスから申しますと、これは開発五カ年計画で、達成年次で三百五十万トンということでございます。ガス原油を合わせて三百五十万トン、まことに数量といたしましては小さなものであります。またスマトラ開発計画も進んでおりまして、もうすでに第一船、引き続いて石油は入っております。これも数量的には非常に小さなものであります。五十万トン前後のものではないかと思います。うまく参りました際には六十万トン越す程度、かように私記憶いたしております。そういうことを考えますと、問題になりますのはアラビア石油でございます。アラビア石油はもうすでに年産一千万トンになり得る、あるいはさらに千五百万トンも可能で、これは油田等から見ましても非常に期待の持てるものであります。ところが今日では、アラビア石油国内に入ってくる原油、これは一体高いのか安いのかと申しますと、一部では高いと言われますが、大体国内に入ってきているアラビア石油は四千五百円で入っておると思います。だから一体国際価格並みで実は入っております。こまかに申しますと、その成分が硫黄分が非常に多いとかどうかというようなことはございまけれども、とにかく価格そのものとしては国際価格並みと見て差しつかえないものと思います。ちなみにただいま日本に入っております価格そのものとすれば、ちょっと五千円を切っておる程度じゃないかと思いますから、そういうことを考えますと、アラビア石油価格の面では必ずしも高くないので、ございます。今日までは国内に入っております数量が比較的少ない、三十六年が百五十万トンでございます。この数量が少ない状況でございますから、行政あっせんをいたしまして、国内原油同様に精油会社に引き取らす、そして他の油をミックスをして精製をしているのが現状であります。しかし将来、これが自分のところで年間一千万トンあるいは千五百万トンも原油を出すようになれば、これはただいまのような行政指導だけでは不十分でございます。アラビア石油自身もみずから精油施設を持ちたいというような希望を持っておるようでございます。これは精油施設を持つだけでも不十分、あるいは販売網を整備したいということもあるかもしれません。しかし、これは大へんな事柄だと思います。ただいま一千万トンというものが、日本国内に全部が全部直ちに入ってくるとも考えられません。業界各精油業者等とも十分協調をとることが必要だろう。冒頭に申す国際協力という形においてこれを引き取らす。そういうあっせんをするということが望ましい。今日のこの業法ができまして、あるいは石油の年次計画ができるとか、あるいは精油能力等とあわせてそうして行政あっせんをすれば差しつかえのない程度かどうか。そういうところが一つのポイントだと思います。しかし私は、せっかくあそこまで成功しておる民族資本系の原油というものは、これこそはやはり安定的なものであり、あるいは国際収支の面等から見ましても、これを第一に考うべきことが、これは当然ではないかと思います。ちなみに申し上げておきますが、英米等から今回の石油業法案につきまして、正式に外交的なルートで申し入れを受けております。その申し入れば、英米それぞれが、表現はやや違いますが、特別な扱いをされないこと、差別扱いをしないということ、そういう意味で、日本政府のやることについては、これは了承せざるを得ないというようなことでございます。私ども特別な差別待遇をするという考え方はございませんが、先ほど申しますのは、人情の常と申しますか、そういう意味考え方がその言葉の端々に出てくる、かように御了承いただきたいと思います。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうおっしゃいますと、私の質問からははずれているのでございますけれどもアラビアスマトラ石油の見解というものは、国内資源と見る、こういうお考えでございますか。それと、もう一つ伺っておきます。この業法の中に石油事情を勘案して定めるとあります。これはアラビアと北スマトラをさしておるのか。もしこれを意味するとするならば、強制的引き取りというものを命じなければならないだろうと思う。その場合に、外国の石油会社からの摩擦を生ずるようなおそれはないのかあるのか。また、政府は、これに対処する用意というものをお持ちになっているかどうか。その点もあわせてお伺いいたします。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 アラビアスマトラ原油は、国産原油に準じた扱い方をしたい、かように考えております。また、引き取り等の問題につきまして、いわゆる強制的な処置をとらなくても、ただいまの状態では、引き取りが円滑にできるだろう、実はこういう期待を持っておる次第でございます。
  20. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 お言葉にもありました通り、サルファが含まれ、すなわち歩どまりが悪いんだということは大臣の御承知通りであって、要は価格の面のみに左右されるものでない。もう一つは、せっかく海外にまで出て、そしておっしゃるような数量が出てくるとするならば、これを商業ベースとしても海外にさばかなければならないはずだと思う。そういう点についてはどのようなお考えでございますか。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 アラビア石油自身が海外の市場へその原油をさばくということは、ただいまの競争状況から申しますと、なかなか困難な状況じゃないかと思います。しかし、いろいろ今後情勢の変化等もございましょうから、そういう事態に、この原油の他の地域への売り込みももちろん可能だと思います。そういう意味の検討をいろいろアラビア石油でもやっておる次第でございます。
  22. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それでは、供給計画の中に、実施に重大な支障が生じまたは生ずるおそれがあると認められるときは、石油製品生産計画を変更すべきことを勧告することができることになっているわけでございますが、この規定をまず具体的に御説明を願いたいと思うのであります。
  23. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  石油業法案によりますと、ただいまの御質問の規定は第十条の第二項ではないかと存じますが、「通商産業大臣は、石油の需給事情その他の事情により、石油供給計画の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、石油精製業者に対し、石油製品生産計画を変更すべきことを勧告することができる。」という規定がございます。第一項は、事業許可を受けました石油精製業者に対して生産計画届出を義務づけておる規定でございます。従って、精製業者は、政府に対して生産計画届出をするわけでございます。一方、第三条によりまして、供給計画というものが業者を含めた石油審議会へ諮った上で作成公表されるわけでございます。その場合に、届け出られた生産計画数量相当上回っておる、あるいは下回っておるという場合が考えられるわけでございます。そのときにそれじゃどういうふうなことをするのかという問題が具体的に起きてくると思います。われわれとしまして、政府といたしましては、供給計画が公表されておりまして、それから集計をされましたトータルの数量がどのくらいになるかということは、これはやはり公表をいたしまして——これは法律に基づく公表ではございませんが、発表いたしまして、各企業の活動の指針にいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それから、勧告の場合でございますけれども、これは常時勧告をするというようなことではないわけでございます。届け出られた事業計画に従って事業活動をするのが当然でございます。現在石油精製業の設備能力は、需要に対して二、三割の余力を持っておると存じますが、そういうこともありまして相当に事業活動は活発になると思いますが、そういう事業活動が行なわれた場合に、非常に需給に混乱を生ずるというようなことによりまして、石油精製業界とかあるいは関連産業相当の大きな影響が来るというような場合に、審議会に諮った上で計画の変更を勧告することができるという規定でございます。これを供給計画に照らして常時勧告をして、あるいは生産割当をするというような考えは持っていないわけでございます。
  24. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 変更の勧告と低廉な供給との関係をどのように考えておりますか。たとえば一〇〇の供給計画に対して各社の生産計画の合計が一五〇になった場合は、勧告をいたしますか。また一二〇くらいだとするならば、これはどのようにいたしますか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
  25. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいま申し上げたように、勧告というのは審議会に諮った上に特別の場合にやるわけでございますので、これは供給計画を五〇%上回ったときに勧告するとか、あるいは二〇%だからしないとか、またあるいは二〇%でもするというふうな一律の基準はないわけでございます。それから、企業は積極的に販売活動を、あるいは生産活動をしたいというわけでございますから、その届け出た計画というものは、これは実際にやってみないとわからないと思いますけれども相当実際には上回る傾向もあるかもしれない。従って、供給計画に照らして何割上回っておったらすぐ勧告をするというようなことは考えられないわけでございます。一律にそれは考えないことにいたしております。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、石油生産計画に対して石油会社が勧告をされる場合、一つ石油輸入計画または特殊原油の引き取りの計画二つ石油の生産の計画、この二つになると思うのですが、これらの勧告は極力避けて、また関係者間で自主的な話し合いをすべきだと私は思うのでございますが、その点についての指導方法はどういうふうにお考えになっておられますか。  もう一つ、ついでだから聞きますが、アラビア原油の引き取りについて経団連で自主的に解決をしたらどうか、これにまかせる考えはないか、こういうようなことも言っておりましたが、あわせてこの二つの問題についてお答えを願いたいと思います。
  27. 川出千速

    ○川出政府委員 まず第一の問題でございますが、勧告をする前に自主的な話し合いはどうかということでございますけれども、これは極力精製企業の自主性を尊重したいという精神でこの業法を運用したいと考えております。従って勧告は特別の場合ということになるかと存じます。  それから、アラビア石油の引き取りの問題でございますが、これはあくまでコマーシャル・ベースに立って量及び額は処理さるべきものではないかというふうに考えておりますが、経団連等がかりに中心になってそういうような話し合いの場ができるということになれば、それはけっこうなことではないかというふうに考えております。
  28. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 先ほど大臣もお触れになりましたように、ソ連原油日本売り込みということが石油精製業に与えた影響というものは非常に大きいものがあった、そう私は考えております。しかし、大臣はどうお考えになっているかわかりませんけれども、私はそう考える。それに関連をして、ソ連原油輸入に対して、これらの一連の問題に、独禁法に違反するようなことは一つ考えられないかどうか、こういう点を、二つ質問を申し上げます。
  29. 川出千速

    ○川出政府委員 独禁法との関係は、これは石油業法に基づいて価格の標準額を特定の場合に定める行政行為でございます。あるいは生産計画の変更につきましても、石油業法目的に照らして、審議会に諮った上で行なうところの行政措置でございまして、独禁法の目的と貿易とは異にしておる問題ではないかというふうに考えております。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ソ連原油は引き取り状況についてお答えをしたいと思います。御承知のように、ただいま私どもは、共産国であろうがなかろうが、そういうことで区別して、貿易の扱い方を一、二にするという考え方はございませんし、貿易拡大は、双方が望む限り、拡大に力をいたすつもりでございます。  ところで、ソ連日本、いわゆる日ソ間の貿易の状況は、三十七年度につきましては、昨年末から交渉いたしまして、ようやく結論を得たものがございます。これによりますと、ソ連原油は、原油それから重油合わせて年間三百四十万トン、こういう目標をきめたのでございます。私どもがただいま日ソ間の貿易について基本的態度として堅持いたしておりますものは、両国間の貿易のバランスをとるということを主に実はいたしております。過去の実績等を見ますると、日ソ間の貿易のバランスをとったような計画はございましたが、実際の貿易状況は、日本輸入超過に実はなっております。そこで今回の取りきめに際しましてもへ過去の輸入超過分を一つソ連もなしくずしでそれを消していく、両国間のバランスをとる、こういう立場に立ってほしいということを強く申しました結果、今回は、日本ソ連から買うのは、石油その他を合わして一億ドル、ソ連日本から買うものが一億二千五百万ドル、こういうことで、まずことしは出超の計画を立てております。  そこで、この石油原油の三百四十万トンはどうしてきめたかと申しますと、過去の実績に対して自然増加分がございます。国内石油を使っております自然増加率がございます。この昨年度のソ連から入りましたものに対して増加率をかけて、そうしてそれが大体三百四十万トンというところの数字におさまったわけでございます。他の国に対しても増加しておる、またソ連油もそういう意味ではほぼ均衡のとれた輸入の拡大でございます。まあそういう方法をとっておりますので、特に業界に対しましても、ただいまのところでは御存じの程度影響で、市場撹乱という形のものはまだ現われておらない、かように考えております。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、協定で、協定の倍の数量が入ってきても、それが自然増加率と、大臣のおっしゃる自動的に一つのワクにはまっていく、こういうことでございますね。そうすると、ただいま大臣がせっかくおきめになりましても、自然増加率というものがまた無限に入ってくると、自動的にそれが一つのワクとなっていくということになるのでございますが、そのように了解してよろしゅうございますか。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今年は三十七年度をきめたわけでございますね。そうして、この三十七年の末期——今年じゅうには、ただいまきまっております日ソ間の通商条約の期限が参りますので、毎年実績をトレースしておりますが、そのトレースの結果を持ち寄って将来のものをきめていく、こういうことに実は相なろうかと思います。ただいまの考え方で申すと、来年になれば、日ソ間の通商取りきめが今度改定の時期になります。そして昨年ミコヤンが参りました際にもいろいろ希望を述べておりますが、長期間通商取りきめがほしい、こういうことを申しておりますので、その通商取りきめをいかにするかという問題があります。そういう場合の、相手国としては、油をいかにするか、シベリヤの石炭をいかにするか、あるいは木材をいかにするか、こういうものが、主たる実は向こうから入ってくる品物で論議をしている筋のものでございます。最終的にどういう方法できめるか、もちろん相対の貿易の実情等から勘案して決定していかなければならぬ、かように思うのでございます。ただいま言われるごとく、自然増加分で今後も自然的にはじいていく、こういうものではございません。ただいま申しますのは、三十七年度はそうしてきめたというだけでありまして、またあらためて新しい交渉を持つという以外には、方法はないのでございます。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 協定の場合一つのワクが定められておるのでございますから、それが自然増加をした、これはやはりそのままに見るべきだというふうなお考えがもしあって折衝するということでございますならば、毎年倍率をもって計算していかなければならぬことになります。佐藤大臣だから、そのようなことはあり得ないことだと思うけれども、そういう理屈にはなります。ですから、協定というものは何のために結ぶのでしょう。いつでも計算の場合には、次年度に移る場合には、協定時の数量というものがあくまで基礎でなければならぬと私は考えます。従って、ソ連原油の話が出ましたから申し上げますが、ソ連原油は確かに安いでしょう。安いけれどもソ連側から来る原油は着値でございます。日本まで持ってきた価格でございます。中東の油は現地から持ってくるわけでございます。そうすると、ソ連原油はシフ価格でございますから、着値で払って、しかも全部着払いでございます。中東地区から持ってくる場合は、これが国内の油送船を五〇%使っております。国内石油を運ぶ場合には、すなわち国内船は全部邦貨で支払いをいたします。そうなってくると、なるほどソ連原油は、安いのを扱っておる会社そのものには利益かもしれないが、国民全体の上から現在のような外貨不足という場合になりますと、どちらがいいか悪いか、安いのかという点にも大きな疑問を持たなければならないと思う。こういう点について大臣はどのようにお考えになっておられるか。現在日本船はこれに対して非常に不満を持っております。ソ連は全部自分の船で持ってくる。われわれの持つ船は何にも使ってくれないということで、非常に不満を持っておる。これらに対して大臣は何か考えを持っておられるかどうか、その点を伺ってみたいと思います。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま長谷川さんの御指摘通りの結果になっております。御指摘通りソ連ソ連の船で送っており、邦船に一切使っておらない。こういう意味から申しますと、価格だけの問題ではない。その他の場合なら邦船を利用しておるので国内も潤うけれどもソ連に関する限りは、初めからしまいまで自分の責任においてやっておる。その意味では相当改善の余地があるんじゃないかと思います。先ほども申しました交渉の場合におきまして、たとえば私どもはもう油は十分だ、だから木材がほしい、かように申しましても、もう木材については今回はほとんど限度に近い数量を約束してくれたように思います。シベリアの奥地にある森林地帯でございます。あるいはまた石炭等にいたしましても、ナホトカヘの輸送等なかなか思うようにいかないものがございます。だから問題は、双方の貿易を大体のバランスをとるという建前で進めて参りまして、日本からソ連に行くものが多くなれば、あるいは不必要なものをとらざるを得ない、こういう立場にもなろうかと思います。同時にまた、日本からソ連に行く品物が少ない場合には、こちらの要望にこたえ、相手方から入ってくる数量等につきましても、バランスがとれるような交渉をするつもりでございます。従来からその意味において、他の国と共産圏との間ではこれは明確にいたしておるわけでありますが、二国間のバランスのとれた貿易というその建前を堅持していく、その他の自由主義国との問におきましては、総体としてのバランスがとれる、こういう形をとっておりますので、実際の扱い方は、ソ連の言いなりにはなかなかならぬ。問題は長谷川さんの御指摘になりましたように、原油についてお話しのような特殊な事情がございますし、そればかりでなく、取りきめをした後に、どうも日本から来る品物は国際価格より高いとか、ソ連の実情に合わないとかいって、一応取りきめても、その数量通りを実施しない場合も間々あるわけでございます。そういう意味バランスをとるということの観点に立てば、十分実際問題を把握するとか、そういう意味の指導をすることが必要であります。過去におきましても、バランスがとれるという契約をしたのですが、実際にはバランスどころか、大へんな入超になっている、こういう結果が出ております。これは私どもももう少し商魂をたくましくしないと、なかなか両国間のバランスはとれない。相手の方はなかなか商売が上手だ、こういうように実は感じておるようなことがあるわけであります。
  35. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 先ほど大臣がおっしゃったように、中共へ売る価格、また共産圏の衛星諸国に売る価格わが国に送られる石油価格には相当大きな相違があるということは、十分に考慮の中に入れておかなければならないと思います。  もう一つ局長に伺いますが、今までの外貨割当をやめて、新たに石油供給計画を定めるということがあるのですが、その計画の上に立って各種割当を行なうのか、割当を行なう場合にいかなる方法をもって行なう御意思なのか、この辺も明らかにしておいていただきたいと思います。
  36. 川出千速

    ○川出政府委員 供給計画一つの見通しでございます。政府が作成し、公表する見通しでございまして、自由化になりました際に、現在外貨割当をやっておるような継続として、供給計画に基づいて生産割当をするようなことは考えていないわけでございます。
  37. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣にもう一点伺ってみたいのです。ソ連との石油の関係でございますけれども、大体今後の計画というものは、バランスのとれた、つまり協定による計画でいくのだという御意思のようでありますから、それは別といたしましても、どこの国でもいろいろたくさんの国々が、みなソ連原油というものに対していろいろの輸入パーセントをおきめになっておるようであります。従って、わが国においても、貿易が拡大するに従って、当然数量が多くなってくる。そういう場合にも、当然きめておかなければならぬと考えるのでございますけれども、そういう際に大臣は一定のパーセントを将来にきめておくというようなお考えがありましょうか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これはなかなかむずかしいことでございますので、いろいろ外交上の問題等もあります。ただ、それぞれの通商取りきめの際に、具体的に相談をして、最終的金額、数量等を決定するわけでございます。むしろ前もって幾らの率ということをきめないで、ただいまのようなあり方が実際問題としては解決が容易ではないか、私はかように思っておる次第であります。
  39. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 許可基準でございますが、許可基準の認定はどなたがおきめになるのですか。
  40. 川出千速

    ○川出政府委員 許可の基準は、起業許可の場合ですと法案の四条、設備の場合ですと六条に書いてありますように、三つありまして、設備が著しく過大にならない、事業を的確に遂行するに足りる経理的な基礎、技術的能力、そのほか事業計画内容石油の安定的かつ低廉な供給確保するために適切である、この三つが法律上きめられておるわけでございます。その基準に照らして通産大臣が認定するわけでございますので、認定するに際しましては、石油審議会の意見を聞くことになっております。
  41. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうしますと、業法にある許可条件というものを具備しておる、備えられておる、これによって新たに申請が出れば、だれにでもいつでも許可する、こういうことでございますか。
  42. 川出千速

    ○川出政府委員 この三つの基準に適合しており、かつ石油審議会に諮りまして適当であるということになれば、許可することになると思います。
  43. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私も許可制というものが非常に矛盾がありはしないかと思うのでございますけれども、現在のこの業法を作らなければならなくなってきた状態、こういう上から立って、この条文でよろしゅうございますか、というのは、あなた方が業法を出さなければならなくなった事態は何なんですか。自由貿易である。従って、現在の過剰をどうバランスをとるか、コントロールするかということが基礎となって、業法というものに現われてきておる。そうすると、おっしゃることと条文というものは、これでよろしいのでしょうか。
  44. 川出千速

    ○川出政府委員 現在まで戦後十年以上の間、外貨割当制度がございまして、外貨割当制度の運用によりまして、設備過大にならないようにやって参りました。現在の操業度は八割を割っておりますけれども石油の設備能力というものはある程度の余裕を持っていなければこれまたいけないかと思っておるわけでございます。従って、この運用にあたりましても、供給計画は五カ年の長期的な観点に立って作るわけでございますので、それに見合うようにこの許可基準を運用していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  46. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 速記を始めて下さい。  長谷川四郎君。
  47. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それではもう一つ許可についてお伺いいたします。  石油の精製業は許可制になっており、石油輸入届出でございます。そこでたとえば販売店、というかスタンドを持っておる方々が合同して石油輸入するという申請が出たときには、当然許可しなければならないと思うのだが、その点はどうでございましょう。
  48. 川出千速

    ○川出政府委員 石油輸入については届出制をとっておりますので、ただいまの御質問のような販売業が合同して輸入業を営むという届出をすれば、それは可能でございます。ただし、石油自由化に際しまして、重油を初めといたしまして、製品の自由化は、当面いろいろな問題がございます。精製業者に与える影響あるいは石炭その他のエネルギーに与える影響等、検討すべき問題がたくさんございますので、製品の輸入自由化は当分見送るという方針をとっておりますから、この輸入届出は実際面ではあまり動かないような格好になるのではないかというふうに感じております。
  49. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると、法律にはそのように喜ばしておるけれども、現実は違うのだぞという、これは虚偽の法律みたいなもので、どうも喜ばせておいてさっぱり喜べない、じゃあ行なおうという方はだめなんだ、こういうことです。なかなかこういう例は少ないと思うけれども、そういう事態もないとも限らない、こう思うので私は御質問申し上げたわけですから、よろしゅうございます。  引き続いて許可基準につきましてお伺いいたします。許可申請はすべて数年先のペーパー・プランでありまして、しかも、需要も景気動向によって非常にアップ・ダウンが激しいと思うのでありますが、その問に処して、具体的にどのように許可をしていく考え方なのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  50. 川出千速

    ○川出政府委員 需要の測定は、第三条に基づきまして、石油供給計画で行なうことにいたしております。この供給計画は、毎年五年先を想定いたしまして、年度別の計画を作ることにいたしております。その意味におきまして、新しいアイデアの長期見通しの作成ではないかというように考えておるわけでございます。実情に応じまして、毎年五年間の見通しを立てる。固定した五年間の見通しではなくて、毎年その反省をして、振り返って、しかもこの長期計画は、経済上の変動がある場合には変えるということを、第三条の四項でございますか、そういうことにいたしておりまして、政府としてはできるだけ実情に沿った供給計画審議会に諮った上で作るつもりでございますので、それに応じて設備の能力を想定して許可をしていきたい、かように考えております。
  51. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 競争力の増強をはかるために、企業規模の拡大化は世界経済の進運であります。しかるに本法では、特定設備の主要装置であるトッピングの能力を日に百五十キロリットル以上としております。従って、その許可基準の線を、国際能力水準以上の規模のもの、たとえば日に六千三百五十キロリットル、この程度として、石油工場のコスト引き下げに意を用いなければならないと思うのですが、その点についてはどのようなお考えを持っておりますか。
  52. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。本案の第二条第三項に、「この法律で「特定設備」とは、」云々というところで、「百五十キロリットル以上のものに限る。」という表現がしてございます。これはバーレルに直しますと、日産約千バーレルということでできておるわけでございます。この日産千バーレルあるいは百五十キロの能力のものを許可の基準にするわけではないのでございまして、百五十キロ以下のものと申しますと、たとえば秋田県とか新潟県で、家庭工業的に泥油を処理しておるものでありますとか、あるいは試験研究機関でごく小規模にやっておるものとか、そういうものをこの法律の対象から除くという意味でございます。従って、それ以上の能力の場合に初めてこの法案の対象になるわけでございますが、先ほど御指摘のようなことはもっとものことでありまして、許可するにあたりましては、なるべく国際競争力のある大型のものが好ましいわけでございます。これはケース・バイ・ケース、事案によって処理をいたしたいということでございます。
  53. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 このトッピングの大小と申しましょうか、この基準というものは、日本の現在の石油の精製というものが、せっかく世界レベルまで到達してきておるのでありますから、このような小規模のものを今後作らせていくというようなことになれば、当然これにコストの問題がからんでくると考えるからであります。  次に、石油の底廉なる供給をはかるには、消費地精製主義の原則を堅持すべきであると思うのであります。従って、電力その他の大口の原油需要者の考えている簡単な、つまり簡易トッピングは、エネルギー供給全体の立場から考えなければならない問題であり、これはそのまま許可すべきではないと私は申し上げられるのですが、その点についてはいかがでございましょう。
  54. 川出千速

    ○川出政府委員 消費地精製主義ということは、日本の精製業のみならず、各国の精製業の健全な発達のために必要な、一つ原則であろうかと思います。しかしながら、日本の今後の石油需要の増大していくのを構造的にながめますと、重油の需要が非常に増加することが予想されるわけでございます。また製品の輸入の増加も予想されるわけでございまして、消費地精製主義を画一的に適用いたしまして、電力のトッピングは一切認めないというのも、これは多少行き過ぎがあろうかと思います。この点は総合的なエネルギー観点に立ちまして、具体的な問題が起きたときに処理をするのが一番妥当ではないかというふうに考えているわけでございます。
  55. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 石油価格が不当に下落するおそれがある場合、標準価格を設定して、価格を下げとめようとする議論が当然起こってくると思う。その条件は不況カルテルの結成要件より甘いと考えていいか、独禁法と本条との関係というものをどのようにお考えになっておられるか、その点を御説明願います。
  56. 川出千速

    ○川出政府委員 ただいまの御質問は、本案の第十条の二項の規定ではないか、その運用の問題ではないかと考えます。この運用は、政府石油審議会に諮りまして、特定の、必要な場合に限って勧告を行なうことになっておりまして、政府の行政行為でございますから、独占禁止法とは別個の考え方であろう。従って、独禁法の問題とはならないのではないかというふうに考えております。
  57. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次に、標準価格は一度に全部の油種に設定するのか、それとも一油種でも出すのか。その点、たとえば電力向けのC重油だけに設定するというような考えがあるかどうか、そういう面についてお聞きいたします。
  58. 川出千速

    ○川出政府委員 標準価格の設定は、値段が、特別の事情によって不当に暴騰をしたような場合、あるいは下落したような場合、あるいはそのおそれのある場合に、つまり正常でない場合に、標準価格を公表するわけでございますが、常時やる制度ではございません。従って、全部の油種についてそういうことをやるかやらないかということは、そのときの具体的な問題に応じてやるわけでありまして、全油種についてやるというふうには現在考えていないわけでございます。たとえば過去に例を求めますと、軽油でございましたか、灯油でございましたか、非常に品不足になり、価格も上がったことがございます。そういう特殊な油種につきまして、そういうことがございました。そういうような具体的な事情に応じて、特定の油種についてやるつもりでございます。現在、全部の油種について常時やるというような制度ではないわけでございます。
  59. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 標準価格設定に際して、いつも違ったコストがある場合、このベルクラインをどこに引くか、あるいは加重平均値で定めていくのかどうか、こういう点が一点。また石油は、精製業者から需要者に渡るまでの問には、大体三、四段階の流通段階を通らなければならないと思うのであります。この標準価格消費者価格との中間マージンというものが最も重要な問題になると思うのであります。結局この制度は末端価格の設定というところまで発展する危険があると思うのでございますが、この点についてどのようなお考えを持っておられますか。
  60. 川出千速

    ○川出政府委員 まず第一に、この標準価格が末端価格まで及ぶのではないかという問題でございますが、これは法案の第十五条に明定してございますように、石油精製業者または石油輸入業者石油製品の販売価格でございまして、末端の価格に及ぶわけではないわけでございます。それから、標準価格は、生産費を基準にいたしまして、石油製品の輸入基準として、あるいは石油製品の輸入価格をしんしゃくいたしまして定めることといたしております。石油製品の生産費は、オートメーション装置でございますので、ほかのものよりも比較的、客観的に判断しやすいものでございますので、ただいまの御質問がございましたけれども、そういう標準的なものをとって算定をいたしたいと思っております。  なお、この標準額は公定価格ではないわけでございまして、一本の、標準になるような価格を掲げるだけでございまして、それについては何らの拘束はないわけでございますが、その辺、コストを非常に精密に分析する必要はないのではないか、こういうふうに考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連してお伺いいたします。あらためて質問をいたしたいと思っているのですが、今、長谷川委員の標準額についての質問に対して、簡単に答弁をし、長谷川委員も簡単に終わられたので、私はちょっと言うてみたくなったのです。というのは、やはり十五条は独禁法ないし公取との関係はあります。これは、関係がありませんという答弁で、そうですが、と簡単に終わるべきものではないと思う。読んでごらんなさい。「高騰し、又は下落するおそれがある場合」こうなっております。下落するおそれのある場合は、これは不況カルテルもやはり考えられるのです。従って、大臣がこれに対して基準価格を設定する場合は、やはり公取との何らかの協議とか、何か必要だと僕は思うのです。ただ単に、次元が違うのだ、こういうことで終われる問題ではないと思うのです。これはあらためて公取委員長佐藤大臣、両佐藤さんにあわせ質問したいと思っておったわけですが、簡単に、そうですがと終わたったので、一言だけ申し上げておきます。
  62. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 標準価格の制度というものはきわめて少ない制度であるが、これは利潤制限にまで発展するのではないかというように考えられるのですが、その点はいかがでしょう。
  63. 川出千速

    ○川出政府委員 現在の経済制度におきましては、価格競争によってきめられるべきものでございます。この標準額は、特に正常を逸したような場合に、暫定的に掲げ得るだけでございまして、先ほど申し上げましたように、法的な拘束力もないわけでございます。決して利潤の制限をするというような、統制的な意味は持っていないと思います。
  64. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 第三章の審議会ですが、今回の石油業法において、審議会の使命というものは非常に大きな役割であり、重大であると私は思うのであります。官僚統制という言葉が常に使われておりますが、業法がこの弊に陥るか、あるいは真に有効な法律として役立つかということは、審議会の構成とその運用にあることは間違いがありません。従って、この法律の使命にかんがみて、業界からも、石油業の実態を把握した方々を数名やはり入れておくべきだ、そして協力させるべきだ、私はこう考えるのですが、その点大臣はいかように考えておられますか。
  65. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまの長谷川さんの御意見、実は私も全面的に賛成でございます。今回の法律で、私、大へん期待をかけておりますのは、石油審議会のあり方であります。かように考えますと、委員の選任などについては特に注意する必要がありますし、業界の実態についても深い認識、理解を持つ人が委員であるということ、これが望ましいことだと思います。ただいままで、どういう方を委員にするかまだ決定しておりませんが、十分慎重に、ただいま御指摘になりましたような気持で選考するつもりでございます。
  66. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 先日何かに発表してありましたが、外資の提携会社に自主性がないというような言葉で表われておったのですが、自主性があるよう、契約の訂正を行政指導させるべきではないか。従って、自主性のない協定をそのままにさしておくということはけしからぬではないか、こう私は考えるのですが、その点について大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  67. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 外資提携の問題でございますが、御承知のように石油産業というものは、かつては国内の軍需産業、そういう意味で、外国資本も、これに提携するとか事業経理に一指も染めさせない、こういう態度を堅持して参ったので、ございます。しかし戦後のあり方といたしまして、いわゆる軍事的な目的はまず解消し、平和産業としての石油業が発達して参ったのでございます。そういう意味から、珍しくというか、意外でございますが、戦後において外資をいの一番に導入したのが石油産業だと思います。わが国産業は、そういう意味では非常な特異な発展を戦後いたしておると思います。当時におきましては、外資との提携、これは産業の発達に非常に役立ったことだと思います。しかし、最近のように、石油産業地位も高まり、また国際的におきましても、日本石油業あり方というものが非常に問題となっておる今日から見ますと、今日はもう過去のような線で縛ることも不可能というように実はなってきておると思います。だからそういう意味で、今後のあり方等については、十分内容等も検討し、業界の協力も得て、本筋に返していくべきではないか。先ほど私がお答えいたしたように、競争的な立場にも立ち、同時に、この石油については特に主張するわけですが、国際協調というものが大事だ、そういう意味観点に立ちまして、不当な契約などは順次解消さしていくべきだ、かように考えます。
  68. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 しかりだと思うのでありまして、要するに今日の日本の精製また需要がかくのごとく拡大されてきたというゆえんというものを振り返ってみて、わが国があの荒れ果てた中に石油というこのエネルギー源を得たということが、世界に誇る産業国になっている一番振本の問題でなければならないと私は考える。従って、これらに対して、外資問題のみに触れて一切のことを考えていくということは、大きな間違いが生じはしないか。従って、一九五一年にイラン石油国有化の際の、原油または航空ガソリンが各国とも非常に不足をした場合、わが国も御多聞に漏れず、同様でありました。そのときには、アメリカ政府はこれに対して外国石油供給委員会を設置して、完全供給を行なっております。従って、日本を合わせまして二十九カ国の危機を救っておるのであります。さらにまた、一九五六年スエズ問題のときにおいてもその通りであって、中東の緊急委員会を設置しまして、自由世界間のタンカーの航路調整と米国の原油増産によって危機を救っておるのであります。こういう一連したものは私は見のがすことができない事実だ、こう考えるのであります。こういう点につきまして大臣は十二分に考慮に入れなければならないと考えるのであります。  もう一つ伺いたいのは、石油資源会社、つまりわが国石油資源というものは、今日わずかに国内需要の二%ではあるかもしれませんけれども、われわれ政治を行なう者は、何とかして国内の資源というものを、より高く、そうしてより一そうその成長をさてしいきたい、こういうような考え方をもって、政府みずからもこれに協力し、業界自体もこれに協力して、現在の資源開発会社ができておることは御承知通りであります。この際、このような法文の上に立ってこのまま推移していくことになれば、必然的にこういう国内の資源会社というものはなくなってしまうのだ。というのは、価格というものが他国から持ってくるよりも当然高いのでございます。いろいろ費用は高いのでございますから、そういうような非常な苦境に立つと私は考えるのですが、こういう面を大臣はどのように調整をしようとお考えになっておられますか。
  69. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御指摘通り国内資源はまことに貧弱でございます。しかして、これは、すでに石油国内開発の五カ年計画では、現油百万トンという計画を一応立てております。しかもトン当たり六千円にするということで値段も引き下げる。このことは非常に貧弱な資源ではございますが、国内資源は非常に大事でございますから、やはり盛り立てていかなければならぬ。その盛り立てていくのは、ただ資源的な立場ばかりではなく、技術関係におきましても、技術者の養成なり温存ということは絶対に必要だ、かように考えておるわけであります。そこで、低利資金の融資であるとか、あるいは政府の出資であるとかいうようなことで、この会社の育成をいたしておるわけであります。すでに御承知のごとく、北スマトラ開発ども国内石油資源開発があったればこそ、これなども積極的に協力ができた、かように実は考えます。そういう意味でございますので、これは少々高いが、数量的には少ないものでございますから、行政あっせんによりまして、ただいままでは一応円滑に推移いたしております。また、この国内資源が今後どういう発展をいたしますか、その発展の次第ではもう一度考え直さなければならぬかと思いますけれども、ただいまの五カ年計画を達成することもなかなか容易じゃない現状等からいたしますと、国内原油そのものの引き取りとかは支障はない、かように思います。私どもは、むしろ石油掘さくの技術なり、そういう意味の養成、保存、同時にまた政府の資金援助、こういう方面に力を入れておる次第でございます。
  70. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 血の出るような国内石油の一滴であります。しかも、この石油も、五カ年計画の上に立って見れば、私は想像したよりも結果はよかったと考えなければならない。また事実が証明をしていると思う。これをさらに今後拡大し、そうしてもっと指導をして、より高く、より以上の採油というか、物探をし、そしてたくさんの石油が出るような方途に進めていくということが政府の使命じゃないだろうか、こういうふうに考えるのであります。  また一面、わずか二%であるけれども各国の例をとってみましても、国内資源というものを使ってくれる、すなわち国家的な立場にあるものは、国内資源から出た国内石油を使わせるというように、たとえばAという会社が一手に国内石油を引き受けてこれを精製するという場合には、たとえば日本でいうならば、自衛隊は全部この石油でなければならないというようなやり方をやっておるわけでございますが、こういうような考え方をもって今後の石油資源というものを救い上げていくというか、もっと希望を持たせた採掘をやらせるというような考え方はございませんか。
  71. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私は、ただいまとっております政策が長谷川さんの言われるような線に沿っているのじゃないかと思います。いろいろ技術者等から見ましても、今後やはり採掘方法なりあるいは採油技術なりどんどん進んで参りますので、今まで採算に合わないと申しましても、これはあきらめるべき筋のものではない、かように思います。ただ利用の面等におきましてあまり窮屈に考えない方がいいのじゃないか、かように思いますので、ただいまのごとく各精油会社が円滑に引き取っております関係等も考慮いたしまして、事業は事業として発展さす、あらゆる方策を講じて国内産業を盛り立てていくという基本的な態度は変えるつもりは毛頭ございません。
  72. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 従って、アラビアスマトラ石油、こういう問題も、中東から持ってくる油も同じ状態にある。いつどこでどんなトラブルが起きたというときに、アラビアだからといって日本に持ってくるわけにいかない。スマトラだからといって日本に運ぶことも不可能であろう。中東も当然であろう。そのときに一番大きく役立つものは、何といっても国内資源ただ一つあるのみだといわなければならないと思うのであります。こういうような点についても十分にわれわれは考えなければならないと思うのでございます。そういう点を十分にお考えになって、その育成について大臣にも御協力を願わなければならないと思うのであります。  また次に、総則にありますように、世界エネルギーの事情はすなわち日進月歩の変化を示しつつある。従って、わが国石油業者は、この間に処して低廉なる石油確保していかなければならない。こういうことは当然のことであって、そのためには、何らの規制を受けないで、自由に低廉な石油を企業努力で世界に求めていくべきであるというような考え方も私はあると思う。しかし、これには私としてもいろいろ異論のあるところでありまして、石油業界、経団連など産業界から、この法律を時限立法にしてほしいとかいうような要請やら、いろいろ陳情等があっ一たようでございます。従って、これらの問題に処しまして、審議会は、この条文を死文というわけではないが、こういうような気持をもって、いろいろな陳情等があったのでございますから、十分に業法の運用という点については生かしてもらわなければならない、こう考えるわけであります。内外のエネルギー需要ども十分に検討して、この条文の趣旨を生かすように努力を願わなければならないと思うのでございますが、そういう点についてはいかがでございましょう。
  73. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私どもは、申すまでもなく自由経済立場に立って、各種の政治を遂行し、また経済政策を進めていくつもりでございます。それを考えてみすると、この法案の根本の線に触れるわけでございますが、どこまでも自由公正な取引、それが建前であります。従いまして、この法律を作りまして、いろいろ業界の協力を得るような処置をとって参りますが、幸いにして業界の協力を得、そして秩序が確立され、そして将来の発展につき何の懸念もなく、また経済活動にも支障がない、そういう見きわめがつけば、この法律をやめることももちろんやぶさかではございません。この法律を作るに際しまして、一部統制方向へ向かうのじゃないか、その不安あるいは疑念が業界の一部にあったやにうかがいますが、法案提出前に各界の方々といろいろ懇談会等を持ちまして、政府の真意は十分理解をいただけた、かようにただいまは考えておる次第であります。先ほどもお尋ねのありました石油審議会そのものの構成等について、メンバーについて意を払うばかりてなく、この運用、これなども特に今回工夫され、そうしていわゆる官僚統制あるいは官僚独善、こういう弊に陥らないようにということを特に留意しておるつもりでございます。従いまして、本来の基本的な態度をこの法律で変更をした、こういうことはないつもりでございます。その点の誤解のないように願いたいと思います。
  74. 中川俊思

    ○中川委員 関連質問。  先ほど来長谷川委員大臣との質疑応答を承っておって、外資をいち早く導入したのは石油産業である。これも考えようによってはいいことでしょうが、また考えようによっては、政府が金を出さないから外資を導入せざるを得なくなったのじゃないかということも考えられる。そこで、そういう点から考えますと、今政府は援助資金に力を入れておるという大臣の御答弁でございますが、今まで——ことしはどのくらい入れるか知らぬが、大体今までの日本石油精製産業に対してどのくらい一体政府は金を出しておるのか、ちょっとお知らせ願いたい。
  75. 川出千速

    ○川出政府委員 政府石油産業に出しております金は、国内の資源の開発には相当出していると思います。現在石油資源の資本金は百四十億をこえておりますが、そのうちの九十一億は政府の出資であります。しかしながら、ただいま御指摘のございましたように、石油の精製業に対しましては、はなはだその量が少のうございまして、私はっきり今記憶いたしておりませんけれども、二十億か三十億、多くてそのくらいではないかというふうに考えております。
  76. 中川俊思

    ○中川委員 これはまことに微々たるもので、ほんとうに九牛の一毛と申しますか、このくらいの金で日本産業のかてであるところの石油産業というものを育成しようというのは、少し政府はずうずうし過ぎる。電力だけでも三千億の金を出しておる。しかるに、これだの石油——日本エネルギー資源のうち、倍増計画によると四十五年度にはほとんど四五%、五〇%近いものを石油でまかなうということになっておる。これに対して、しかも私がちょっと聞くところによりますと、外資系会社外国会社から受けておる外資、これも六百億か七百億だということを聞いておる。だから、どうしても外資の会社が勢いよくなるのは、これはあたりまえ。だから、日本石油資源開発会社を初めとして、やはり国内石油産業というものを育成していく上においては、もっと政府は熱意を持ってもらいたい。ただ今回の石油業法は悪くいえば一種の統制法だと見られる点もあると思いますよ。何ぼ政府は統制法じゃないとおっしゃっても、一種の統制法。だから、統制をする以上は飯を食わしてやらなければ、飯を食わさず働け働けと言ったんじゃ働きませんから、やはり政府は金をうんと出すことを佐藤通産大臣に特にお願いをしておきたいのですが、国内で資源開発をうんとやっていただきたい。国内に新しい資源がないということをだれが一体保証するか。もっと金をかけて開発をやったら、国内からも石油がサハラ油田のように出るようになるかもしれない。ないと一体だれが言い得るか。だからそこまでもっと努力をする必要があるんじゃないか。努力をせずして、だめだ、たった二十億かそこらのはした金を石油精製に出して統制をやるというのでは、私は石油会社も文句を言うのはあたりまえじゃないかと思う。だからもっと政府は熱意を示してもらいたい。これは私の質問になったときに質問いたします。
  77. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣もおっしゃるように、わが国エネルギー政策のうちで石油は全く重大な使命を持っておる。その一例は、わが国は他国とは違って周囲が全部海に囲まれているというこの状態、こういう中にあっての石油業法でございます。少なくとも佐藤大臣がお出しになるならば——先ほど業界からの反対のような声もやっと調整をとったというようなお話も承りましたけれども業界が反対する、あるいは経済界が反対する、国民が反対をするだろう。この法律では反対をしても仕方がないじゃないですか。なぜならば、どこに国家という中心の柱があるのでしょう。私が申し上げたいのは、冒頭に申し上げたように、世界にどんなようなことが起ころうとも、六カ月間は国民心配するな、一滴も石油の制限をしないぞ、電力もとめないぞ、この間大いに日本産業を拡大していけ、輸出をどんどんやるような状態にしてくれ、国民よ安心しろという、この一言がこの業法の中にあったとするならば、たとえば外国業界日本に来ておるとしても、あるいはフィフティ・フィフティの会社であろうとも、どんな経済圏であろうとも、電力会社であろうとも、祖国が中心になった業法であるとするならば、何人が反対するであろうか。そういう法に反対する反逆的な考え方を持つものは、わが九千万国民の中には一人もおらぬと断言いたします。こういう上に立って、このような業法では、お互い利益にのみ走るということは当然でなければならないと私は思う。業界の保護育成のために作ってやった法案業界が反対したとおっしゃって、私は驚いた。どこを見ても、九千万の国民よかく安定しろということは、この条文の中には一つもありません。大臣があるとおっしゃるならば、このところにあるではないかということを指摘してもらいたい。少なくとも佐藤さんは次期政権の担当者であります。私は佐藤さんに投票いたします。投票する一人です。しかるに、このような国家目的が何もない法案を出して、次期政権の担当者だなんていうことが言えると考えますか。少なくとも私たちは政治をやっておるのである。政治をやっている以上は、少なくとも国民の気持を安定させ、安心させなければならぬが、それがこの条文の中のどこにもないということだけは、返す返すも私は残念であります。いろいろな考え方もあるであろうが、国家国民というものが中心になった業法を作ってもらって、そうして業界の方々にも十分にもうけていただこうじゃありませんか。スマトラアラビア国内ともに生かそうじゃありませんか。そのような法文にしてもらうことを心から念じておったわけであります。ところが、あけてみたら反対がある。反対があるのは当然であって、お互い利益確保のために大いに戦えという——何もない法案では業法ではございません。ほんとうに石油業者の保護政策だけやった問題だ、こういうふうに私は言わなければならないと思う。その問題は大臣みず  からも十分にお考えになっていることでしょうから、よけいなことをあまり言っても仕方がないと思う。  これに関連をいたしまして、現在の石油化学の問題もある。今の日本石油化学は、御承知のようにまだ揺籃期を過ぎたばかりでありましょう。アメリカの石油化学の設備というものは、大体日本の二十倍ぐらい完備しておるというようなお話でございます。この設備を持っておりますから、製造過剰の傾向にもなってきているようでございます。従って、現在の能力で参りますと、大体八〇%弱でアメリカの国内は間に合うのだ。そうなって参ります−と、どうしても二〇%というものは海外輸出をやらなければならない。こういうような理由のもとに、その二〇%を、タンピングといってはどうかと思いますけれども、事実タンピングしている面も十分に見受けられると私は考える。従って、昨年初期より日本に向かいましてもダンピングを行なっておるようでございます。これによってフランス外二カ国の三カ国はアメリカに対して厳重な抗議を申し込みましたところが、すみやかにこれを撤回しております。わが日本もいろいろな技術提携の上に立ち、技術の導入の上に立って莫大な資本投下を行なわしめておるのであります。この日本のペトロール・ケミカルをこのままにしておくということになるならば、おそらく苦境に立ち、苦境に立つばかりでなくして、日本の技術の振興という点についても大きな変化がくるのじゃないか、こういうように考えるわけでございます。たとえばポリエチレンの昨年の例をとってみますと、大体一キロ百六十円から百七十円、日本製品は大体二百三十円。さらに、これは日本の例でなく、よそでありますけれども、規格外と称しまして八十七円から百五十八円でダンピングをされた国があります。日本のペトロール・ケミカルも日浅くはあるけれども、せっかく今日のように設備が完備をして参っのでありますから、一番大事なときだと考えるのであります。これについてアメリカ政府に向かって何か考慮を求めるというか、抗議をするとか、あるいはまた国内に向かっての行政指導という面も何かしなければならぬと思います。こういう点について大臣はどのようにお考えになっておりますか。これらは政治問題だと私は思う。
  78. 倉八正

    ○倉八政府委員 お答えいたします。大臣がお答えになる前に、私が実情だけ申し上げます。  今長谷川委員の一言われました通り、昨年から、石油化学において、特にポリエチレンのアクリロニトリルというようなものが二割ないし二割五分下がったことは事実であります。それで生産部門もまたある程度の打撃を受けたわけであります。ある程度の打撃を受けたと申しますのは、ポリエチレンにつきましてはまだ日本で自給ができていないのでありまして、年間約二千万ドルぐらいの輸入をしておりますが、その値段が下がりまして、日本のポリエチレン・メーカーがある程度影響を受けた。結果的には値段を二割下げたわけでありますが、影響を受けたのは事実であります。この問題につきましては、われわれとしましていろいろ考えておりますが、この対策としては結局二つしかなかろうと思います。積極的には、早く規模を大きくしまして、いい技術を入れて企業化を急がせるという積極的な問題。それから消極的な問題としましては関税の問題、あるいは関税定率法の第九条の例の緊急関税の問題とかいろいろございますが、一時的にはそういうもので防ぐよりほかに仕方がなかろうと思います。何といいましても、積極的に早く世界的規模に乗せるというのが第一の問題ではなかろうかと思います。  それから、今長谷川委員から最初の方で御指摘になりましたドイツ、フランス、イギリスが、アメリカに抗議したと申しますか、その業界がアメリカの当該業界と話し合ったことは事実であります。たとえば、イギリスにおいては、ポリエチレンのメーカーが緊急関税をつけてくれということを十二月の中ごろ英国政府に要請したことも事実でありますが、今に至るまで英国政府は上げておりません。日本としましても、特にアクリロニトリルという問題につきましては、日本業界が向こうと折衝を数回重ねたことも事実でありますが、現在におきましては、アクリロニトリルというものも大体落ちつきまして、どうにかこれに対応するだけの引き下げを日本もやっておる次第でございます。
  79. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 しばしば申し上げておりますように、国際間の経済、これは相互に競争もいたしますし、また協調もするわけであります。この競争協調、相反する事柄のようでございますが、その二つの面が実はあるわけであります。技術の導入等、これはもう明らかに協力、協調の問題でございます。あるいは資金の導入も同様に言えるだろうと思います。しかし、その結果、やはり競争も激烈あるいは拡大化していくのであります。私ども、大事なことは、どんどん新しい技術を導入して参りますし、新しい産品も作って参りますが、どこまでも自国産業、その立場を伸ばすということ、その気持がないと、ただいまの協調にしてもあるいは競争にしても、よい結果をもたらさないのであります。ただいま局長からも御説明申し上げておりますように、一面において自由化は進めて参ります。これは競争をする場合に最も有効なる手段でございますので、当方も自由化する、相手方もこれに対応するものを要求しておるという自由化の方向、その場合に競争が展開される。その競争に打ち勝たなければならない。これがその事業の内容の整備でございます。その意味においての産業の指導あるいは整備強化ということ、これは政府として当然するところであります。ただいま具体的な個々の化学製品等についてのお話でございますが、これらは同様の観点に立って私どもが処置している問題だ、かように考えております。
  80. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 今の日本国内のペト・ケミ工場は、外国にも劣らない設備を持ったのがあります。また小さいのもあるわけであります。ですから、先ほどのお話のような前者をとらなくて、後者をとっていくべきであろうし、反面また、行政指導は当然強力に行なっていかなければならないであろう、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、もう一つ石油と関連がありますから申し上げるのでございますけれども、プロパンガスの問題があると思うのであります。プロパンガス需要は今日非常に高まって参りまして、御承知のように、国内製品だけでは需要を満たすことができないで、相当量の輸入をしている現状であります。昨年の初めから消費者層からしばしば陳情がありました。その理由というのは、たとえばボンベに入っているキロリットルの量、これが明確ではない。きのう買ったのがもうきょうは何だか出が悪くなってしまった、こういうようなこと、いろいろそれらを調べて聞いたりしてみますと、やはり寒暖というものが相当影響を及ぼしているようであります。ですから、寒暖に影響がありますから、ことしのような寒さに入ってきますと、ボンベから噴出する量というものが、たとえば満タンであっても、出る量というものが非常に少ない、力がないわけであります。もう一つは、ブタンを入れておきますと、寒いと全然下へいってしまうというような例があるわけでございますし、こういうような点について、消費者側から、十キロなら十キロの分を払うのだから、明らかに十キロ入っていますという、何かメーターでもつけてもらうわけにはいかないか、幾ら使って、あと幾ら残っておるという量もわかり、幾ら残っているからあした持ってきてくれとか、あさって持ってきてくれと言えるのだ、ところが、その晩になって見なければ、あるのかないのかわからない、こういうような陳情が非常に多いわけでございます。私は、これに対して、まことにごもっともだというように考える、何とかしなければならないでしょうという話を申し上げておりましたら、本年になりましたところが、北の方の人たちは全然困るというような陳情であります。こういう点について、この陳情についても、たとえば十キロ入っているものは、十キロの価格を安くしろとかなんとかいうことじゃない。十キロの価格は十分取ったらいい。五十キロなら五十キロの価格を十分取りなさい。しかし、量目の点というものだけは明らかに消費者に示さなければならないだろう。しかし、メーターというのはどのくらいかかるか、価格としては幾らでもないようでございます。私は、メーターは幾らか知りませんが、そういうものは一応つけさせて、そして消費者本位という親切味を持った行政を行なわしめなければならない、こう考えるのでございます。こういう点について大臣はいかがでしょう。
  81. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ね並びに御意見はしごくごもっともでございます。私が指摘するまでもなく、最近LPGが外国からも入って参りますし、また国内産のプロパンも非常に家庭用に使われております。また一部は工業用に使われておるものすらあるようであります。これをいわゆるタウン・ガスと比較してみますと、まだ法制的にも制度的にも十分整備されておりません。ただいま御指摘になりましたように、家庭で使用されておる場合なども使用者としては有毒でないという点だけは信頼ができましょうが、量目あるいはその価格等、また保存方法と申しますか、そういうような点について非常な不安を持っておる。あるいはまた信頼ができないという感じが強い。これは早急に何らかの処置を取らなければならぬ、かように実は痛切に感じております。ただいままでは、法律ができておりませんので、業者に対しまして、御指摘になりましたような不都合がないようにという注意はしきりにいたしまして、行政指導をいたしておりますが、どうも行政指導だけでは不十分じゃないか、これは早急に対策を立てたいと思います。そういう意味で、研究所などもいろいろ検討いたしておりますが、御承知のように、ボンベの中に入れるというようなものでありますために、その量を算定することは非常に困難であります。これは何かもう少しわかりいい方法はないかというので、研究しているというのが実情であります。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 関連。  これと同じことを私は予算分科会で質問したのです。そのときにはっきり答弁が出たと思うのですが、今の答弁とちょっと違うのです。あれはこういう格好でなく、いわゆる取引の問題としてめくら取引としてこういうのがある。こういうことから問題を提起したと思うのです。従って、そのときの重工業局の答弁、すなわち計量行政の立場からの答弁は、今まで各ボンベに取りつけるようなメーターがなかった、またそれが高かった、しかし幸いにして安く簡単に取りつけることができるメーターができたので、それをただいま検定所に委任をして検定中である、従ってそれが終われば全部取りつけるようにしたい、こういう答弁があったのです。同じことをかつて私は予算分科会でお尋ねをして、そういう答弁を得ておるわけです。もっと具体的な答弁を得ている。
  83. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この前の分科会でお答えしたという原稿がここに残っておりますが、やはり最終的なところは、現状では取引の大部分ははかりを使用して行なわれておるので、このような現在の段階では、プロパンガス・ボンベを取りつけたときと、ただのボンベを取りつけたときには、それぞれ消費者の面前ではかりによって計量すべきことを徹底させるよう指導していきたい、こういうようなことをお答えしたようであります。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、各ボンベにメーターをつける……。
  85. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一応全部読んでみましょうか。こういうことであります。「家庭用プロパンガス取引における計量の適正化については、当省としても強く関心を持ち、関係業者に対し指導取り締まりを行なっている。しかし、プロパンガス・メーターについては技術的に検討すべき問題が残されており、現在工業技術院計量研究所において検討を進めている段階である。従って、プロパンガス・メーターをボンベに取りつけるよう法的に規制をする段階には至っていないと考えている。また現状では」云々、ただいま申し上げた通りであります。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは議事録にあると思うのですが、結論としては、当時はそういったような簡単で安いメーターがなかった、しかし今はそういうものもできましたから、そういうのを今検定所で検定を依頼しておるので、それの結果が出ればそれをつけるようにしたい、こういうことで、つけるというのとちょっと結論が違います。
  87. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 とにかくこれは非常に問題があると思います。予算分科会における事務当局の答弁と私の答弁とは、あるいはややニュアンスが違っておるかもわかりません。非常に関心を持っておる問題であることは、先ほどお答えした通りであります。いいものができて、それを取りつけることができれば一日も早く取りつけたいし、また法的にそこまでは進んでおらないというのが現状であります。
  88. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 話に聞きますと、だいぶ簡単に取りつけられて価格が安いそうであります。しかし、やはりボンベというものは、中が透明でないものですから、非常に少なくなっても寒さで出ないのかどうかわからない、こういうことで困っておるようです。やはりこれが営業を行なわしめ、営業を発展させるためにも、そのような親切味を持ってやらせるということが当然ではないか、こういうように思います。そこで、法律でなくても、省令でやれるのではないでしょうか。そういうように指導していただきたい、かように考えております。  もう一つ伺いたいことは、先ほど申し上げました石油資源開発会社を母体として、国産だとか、先ほど大臣がおっしゃったようなアラビアスマトラあるいはソ連原油とかいうようなものを、一定の買取機関を設置をして、これを買い上げる価格のコントロールをする、それを今割り当てたパーセントによって各社に割り当てていく、そして割り当てたもの自体を今度は備蓄をこの特殊会社にさせる、こういうようなお考えを持ったらどうだ、私はその方がいいのではないかと考えるわけでございます。先ほども、御質問の中に、石油には少しも金がないからというようなお話がありましたが、このような国家国民のためにという一つ目的があるとするならば、業界からもこれに対して半額を出してもらうとか、国で半分責任を持って貯油するということができるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。出た法律は仕方がありません。今後にかけられた問題だと思うのですが、そのようなお考え大臣はお持ちであるかどうかを、一つお聞きしたいのでございます。
  89. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 原油の特別な引取機関を作ったらどうか、あるいはそういう考えがあるかどうかというお尋ねかと思います。ただいままでのところ、この業法を作りまして、この運用でいかようになりますか、大体円満なる引き取りが可能だ、それを実は期待をいたしております。いわゆる業界の協力を得れば、国産原油なり、あるいはアラビアスマトラ等の特殊原油の引き取り等も円滑にできるのじゃないか、そういうことが望ましい形だ、かように実は考えておりますし、また業界も、なるべくならば自主的に自分たちで業界の秩序を立てたい、こういう気持も多分にあるようでございます。そういう点から、この原油の引取機関を作るか作らないかということにつきましては、今回もちろん結論を出したわけではございません。またこの特殊な引取機関を設けるといたしますと、ただいま長谷川さんの言われるような特別な義務を負わすことも可能だと思いますし、また将来の国の経済あり方等から見ましても非常に役立つ、あるいはこういうことも一言えるかと思います。同時に、その種の特殊の引取機関が業界に及ぼす影響も十分考えていかなければならぬと思います。これが好影響ばかりでもないだろう。いわゆる自由取引の建前に立っておる石油業界といたしましては、政府が特別に力を入れる特殊会社の存在ということは大へん不安な状況でもあろうかと思います。そういうことなどかれこれ勘案いたしまして、この決定については十分慎重でなければならない、かように私ども考える次第でございまして、ただいま右とも左とも申しません。ただいまのような問題については、十分委曲を尽くす検討をいたしまして、しかる上でその結論を出すべきものである、かように実は考えておる次第でございます。
  90. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 この問題については、私は外資の会社に伺ってみました。ところが、国家というものの上に立った法律に基づいてそういうものができるとするならば、私たちは出先の国の法律に基づいて営業を行なうのでございますから、これは当然受けなければならない、またその割当を受けなければならないのだというようなことをはっきりと言っておられました。いずれにしても、まず国民の安定ということを第一に考えなければならないのであって、私は、業界の一会社がもうかるとかもうからないとか、あるいは一会社が成り立っていかないからどうだ、そんなようなことは第二義的なものであって、国民の安定の上に立って業界もともに利潤を受けてもらいたい、こういうふうに考えるわけであります。  以上をもちまして、大体私の質問を終わらせていただきます。
  91. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 田中武夫君。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 時間もありません上に、私は、国際契約と独禁法六条との関係、それからアラビア石油のサウジアラビア及びクエートとの利権協定、あるいは日米友好通商航海条約の関係等を質問したいと思っております。これは通産大臣だけでなく、外務大臣、大蔵大臣あるいは公取委員長、こういう人にも来てもらって本番質問をやりたいと思います。きょうは私も十分か十五分ですが、その間大臣がおられるから、ただ一言だけ質問に入ったという格好だけをとっておきたい、こう思うわけです。  大臣は、まず本法案提案説明の中において、冒頭に、「総合エネルギー政策の見地に立って、安定的にして低廉な供給をはかることが、国民経済上最も強く要請されるところであります。」こういうことで、本法案提出のまず第一番目の目的を、「総合エネルギー政策の見地に立って」と、大上段に振りかぶっておられるわけです。ところが、この法案を見ました場合に、なるほど石油業法だから石油のことだけが書いてあっていいのかもしれぬが、「総合エネルギー政策の見地に立って」という提案説明とは全く違って、石油だけで、総合エネルギー政策との関係においてこの事業法がどういう役割を果たのか、こういうことにつていは何ら触れられていない。また、先日同僚板川君が本会議において質問いたしましたときに、総理並びに大臣——これはむろん経済企画庁長官も含めてですが、総合エネルギー政策はどうかと聞いたことに対して、総合的に考えていくという、まるで漫談的な答弁しかなされていないわけなんです。そこで、まずお伺いしたいのですが、総合エネルギー政策の中において、この石油業法の果たす役割はどういうものであるのか、及び石油及び石炭が特別委員会において、論ぜられており、あるいは原子力政策をも含む総合エネルギー政策の樹立、これに基づくエネルギー基本法とでも申しますか、そういうものについてどのように考えておられるか。先ほど長谷川委員質問の中にも次期総裁としての云々ということがありました。エネルギーを制するものはその国を制す、こういわれているので、まず通産大臣、総理たらんとするならば、エネルギー基本法をあなたの手で作られんことを望みたいのですが、総合エネルギー政策並びにこれに対する基本法をどういうふうに考えておられるでしょうか。
  93. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 申すまでもないことでございますが、ただいま石油業法を御審議願い、また電力につきましては電力審議会がございます。これでまた石油関係の審議会ができるわけでありまして、それぞれの審議会等を持っております。これはみんなそれぞれ独立しております。その間の調整は一体、どうしているのか、そういうところは、総合エネルギー政策というものがいのなじゃないかと、まあ非常な疑惑を持っていらっしゃるようでございます。ただ所管省といたしましては一つであり、実は大臣自身が全部の審議会の答申を得て、そうして結論を出すということでございます。もう一つ御披露しておきたいことは、池田内閣といたしましてはいわゆる所得倍増計画を持っております。この経済拡大計画の場合に、エネルギーはやはり中心をなしますので、エネルギーの十年後のあり方というものを一応想定いたしております。その場合に、石油あるいは国内石炭、あるいは水、あるいはガス等、あらゆるエネルギー源がその際にどういう姿になるのだろうかというものを、実は想定いたしておるわけであります。ただいのところ、これを基幹にしてエネルギー対策をそれぞれの部門で進めておるわけであります。形はいかにもばらばらかのようにお感じになるかもしれませんが、一つの柱はある。これはぜひとも御了承を賜わります。また、統一のとれた、総括のできたその形において、それぞれの部門の行政を進めておる、かように御理解をいただきたいのであります。これは私が申します総合対策ということに実はなるわけであります。先ほど来のお話の中にもきわめて簡単に触れたつもりでございますけれども石油については、国内の資源の開発、あるいは民族資本系の問題、あるいは国際資本の問題、こういうように石油についての各特性を生かしたような点についてどうするかということを申しました。同時に、この石油の拡大は、国内の競合するエネルギーである石炭との関係においての調整はもちろんとっておるわけでございまして、先ほど三〇%になる、あるいは四〇%になるというような数字を申しましたが、そういう場合の国内石炭の総量というものもやはり念頭に置いて、話を進めておるつもりでございます。従いまして、一つの形でいわゆるエネルギー総合対策委員会、こう銘打ったものこそございませんけれども、通産省の中にありますエネルギー室とでも申しますか、エネルギー参事官というものが全部を統括いたしておるわけでございまして、そういう意味では別に行政はばらばらにはなっていない。この点は形が整っていないという姿ではございますが、御了承いただきたいと思います。そこで、必要があれば、将来の問題だと思いますが、総合エネルギー対策審議会はもちろん作って差しつかえないことでございます。それもただいますぐ作るというような決心はいたしておりませんが、将来の研究の問題として、そういうことも一つの方向として念頭に置いてしかるべきことだ、実はかように考えておる次第であります。  また、基本法の問題になりますと、これはどうも最近は何もかも基本法ばやりで、ございます。この基本法もやはり実態にぴったり合うようにいたさないと、ただ名前だけ基本法でも不十分じゃないか、かように考えます。だから、これは十分検討しないと、結論はそう容易に出すべきものじゃない、かように私ども考えて、慎重な態度をとっておる次第であります。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる所得倍増計画といいますか、あれを樹立した場合に、エネルギー委員会の、十年後すなわち目標年度四十五年における総合エネルギーについての数字等は出ております。しかし、ここでまず提案のときにも大きく大上段に総合エネルギー政策の見地に立って、こううたわれておる中身を見ると、石油オンリーである。石炭石炭でまた独走しておる。オンリーである。そういうことならば、ますます総合的見地ということから離れていくと思うのです。そこで、基本法はともかくとしても、少なくとも総合的に調整する機関、そういうものが必要であり、当石油業法を作るにあたっても、総合エネルギー、あるいはそういうものとの関連性を考えながら立案すべきであった、こう思うのです。多分そうせられたとおっしゃるであろうが、条文を見ました場合に、そういう配慮がなされておると思われる個所はございません。もしあるようだったら、何条がそれに当たると言っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  95. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん総合的に勘案してこの法案はできております。そのうちでも、特に石油の需給計画といいますか、この計画を作る際には、総合的な観点に立って作るべきものでございます。だから、この供給計画というものが立つところに一つの柱がある、それが基幹をなす、これは御了承いただきたいと思います。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 お互いに時間の関係もあって、四時に私どもは終わりたいと思うので、これだけであとは次会に譲りたいと思うのですが、この業法は、結局は十月石油自由化に対して何らかの措置を必要とするということで作られたと思うのです。それじゃこの業法を一応離れて、このままで自由化した場合、十月が来たら一体石油業界はどうなるのか、価格はどうなるのか、こういうことについてどういうように見られて、だからこういう法律を出したのだ、こういうことになると思うのですが、自由化後の状態はどのように想定しておられますか。
  97. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどの条文について、もう少しはっきり申し上げておきます。第三条の3「石油供給計画は、石油並びに他の燃料及び動力源の需給事情、石油資源開発状況その他の経済事情を勘案して定めるものとする。」ここではっきり石炭電力、原子力、天然ガスまでこの中には入る。これは非常に総合的な見地に立って書いております。  それから、その次でございますが、石油が今の姿のままで自由化されたら一体どうなるのか。これは今日でももうすでに自由化前提としての様相が少し出ておりますが、今日の苛烈な競争は一そう熾烈になるだろうと思います。この熾烈な競争の結果、一部幸いするものもありますが、ようやく戦後つちかわれてきた日本経済の基礎をゆるがすような非常な影響が各部門に生ずるのではないか。国内動力源等にも非常な影響があるということを痛切に心配するものでございます。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことで、時間がないからこれでおきますが、今の大臣の答弁で、必然的に国際カルテルの問題が入ってくるわけなんです。そうすると、やはり公取委員長も必要だし、それから、なるほど三条の3にうたい文句は載っているのですが、これだけではどうも総合エネルギー対策の上に立って業法考えたとは言えないと思うのです。  以下は次回に譲ります。
  99. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次会は三月二十七日火曜日の午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会