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1962-03-20 第40回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       遠藤 三郎君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       佐々木秀世君    齋藤 憲三君       首藤 新八君    田中 榮一君       中垣 國男君    中川 俊思君       林   博君    南  好雄君       岡田 利春君    小林 ちづ君       中嶋 英夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (重工業局長) 島田 喜仁君  委員外出席者         議     員 田中 武夫君         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     古澤 長衞君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改  正する法律案内閣提出第一二五号)  自転車競技法等廃止する法律案田中武夫君  外十一名提出衆法第一七号)  競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案(  田中武夫君外十一名提出衆法第一八号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案、並びに、田中武夫君外十一名提出自転車競技法等廃止する法律案及び競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案議題として質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。小林ちづ君。
  3. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ただいま自転車競技法等の一部改正案議題になりましたのを機会に、私は主として競輪に関し政府のお考えをお聞きしたいと存じます。  まず最初に、今度の改正案は、さき佐藤通産大臣から提案理由の御説明もございましたように、昨年夏の公営競技調査会答申に基づくものであることは明らかでありますが、実はこの答申については、昨年の臨時国会田中先生も述べておられますように、私どもはなはだ意外の感を持ちまして、当時各新聞の論調もおおむねそのように承っております。いわば世論に逆行するものでございました。ところで、さき選挙制度審議会が出しました公職選挙法改正答申について、これは政府が尊重すべく義務づけられたものでありましたにもかかわらず、改正法案で骨抜きになったとして激しい非難を浴びた際、安井自治大臣は、行政に責任を負う者として、答申をうのみにすることはできないと申されているのでありますが、このたびの公営競技調査会答申そのものについて、一体政府はどのようにお考えになっておられますか、御意見を承りたいと存じます。
  4. 森清

    ○森(清)政府委員 公営競技調査会の、たしかに昨年の七月二十五日に答申がありまして、それによりますと、結論といたしましては、今までのいわゆる関連産業助成であるとか、あるいはまた社会福祉事業団とかスポーツ振興地方団体財政措置、そういうような観点からいって、今にわかにやめることはできないので、これを十分弊害を除去して存続するという形になりましたので、私どもといたしましては、競輪環境の整備、あるいはまた過度の射幸心の抑制、あるいは開催日制限、あるいは不正レース防止というふうなことに重点を置きまして、これを改正するようにいたしたわけでございます。
  5. 小林ちづ

    小林(ち)委員 調査会答申の中に次のような言葉がございます。「これらの競技が公開の場で行なわれていることは、より多くの弊害防止するにおいて、何がしかの効果を上げていることはいなみがたい」として、「公営競技を全廃することは、その影響するところ甚大であるのみならず、非公開の賭博への道を開くことになる懸念も大きい」と断じておられますが、私はこの議論を聞いて、かつて売春防止法が制定されますとき、赤線廃止に反対するいわれなき論拠をあらためて思い出したのでございます。当局の方々はそのようにお感じになりませんでしょうか。
  6. 森清

    ○森(清)政府委員 これは確かに弊害もございますけれども先ほど申し上げましたように、社会福祉スポーツその他の地方財政等考えましたときに、にわかにこれを全廃するという方向ではなくて、その弊害を除去して、これ以上これが盛んにならないような形でやっていきたい、こういうように考えておるものであります。
  7. 小林ちづ

    小林(ち)委員 公営競技の中でも、競馬に比べ競輪等がすぐれて弊害が大きいことは、警察庁の犯罪統計一つをとってみても明らかであります。それにもかかわらず、当局競輪廃止に踏み切れないのは、すでに一種の中毒症状にかかっておられるのではないでしょうか。たとえば、アルコール、ニコチン、モルヒネのたぐいですが、酒、たばこは、その被害が軽いために、未成年者を除きその使用を許されております。しかし、アヘンの吸飲と麻薬の使用は、特殊の例外を除きかたく禁じられ、きびしく取り締まられておるのは御承知通りでございます。競輪はまさにとのアヘンに当たるものでございまして、それにもかかわらず、競馬同列に論ぜられるような今度の競技法改正趣旨はいかなる理由によるものでしょうか。また競馬競輪同列に論ぜられるものとするなら、前の質問で触れました調査会答申のロジックから申して、政府アヘン窟存在すら公認しなければなりませんが、いかがでしょうか。
  8. 森清

    ○森(清)政府委員 アヘンを例にとられましたが、アヘンの場合でも、非常に害がある場合と、あるいはそれを薬用にうまく使えばりっぱに使用できると同じように、公営競輪の場合におきましても、ただいま私が申し上げましたように、確かに弊害がございます。ございますけれども、その弊害を、たとえば開催日制限するとか、あるいはそのやり方を少し変えていけば、それほどの弊害も起こらないのじゃないか、そういうような方向で指導していって、これ以上奨励するというような方向に行かないということでやればいいのじゃないかと考えております。
  9. 小林ちづ

    小林(ち)委員 通産大臣諮問機関であります競輪審議会は、去る三十五年三月三日に競輪存廃に関する答申を行ないまして、その中に少数競輪全廃論のほか、多数意見として、今から三年後に競輪存廃についてあらためて検討することにしたいとあります・が、この答申と今度の改正案とは一体どんな関係にあるのか。たとえば競輪審議会の方の答申は、これによって効力を失うものかどうか、お伺いします。
  10. 島田喜仁

    島田政府委員 私から答弁させていただきます。  競輪をやはり廃止すべきだというような意見が出て参りましたので、ただいま小林先生から御質問がございましたように、三十五年に自転車競技法に基づきます通産大臣諮問機関である審議会諮問をいたしたわけでございます。ところが、ただいまお話しのように、多数意見少数意見が分かれましたまま通産大臣への答申が行なわれました。そこで通産省といたしましては、この取り扱いに苦慮いたしまして、内閣公営競技調査会を設置するという結果が出て参りました。と申しますのは、公営競技には、競輪のほかに競馬、オート・レース、モーターボートという四種類がございますので、やはり公営競技全体について、この存廃に関する基本方針内閣総理大臣諮問機関であります公営競技調査会に諮る、こういうことに相なったわけでございます。そこで一昨々年の三月から七月までこの諮問機関であります公営競技調査会で十回にわたる討議を重ねた結果、ただいまお話し答申が出て参りまして、内閣総理大臣はこれを尊重するという趣旨で私ども通産省に対しても通牒が出たわけでございますので、私どもは、政府全体の競輪に関する方針に基づきまして、法律案改正を今国会提出し、今後その方針に基づいて実施をして参りたい、こういうふうに考えております。
  11. 小林ちづ

    小林(ち)委員 実は、私のなくなりました主人が、去る三十四年の十二月九日の当委員会で、通産省競輪競馬と一緒に論議して問題をすりかえているのではないかと質問いたしましたところ、時の小出重工業局長は、決してそんな事実はない、公営競技全部をひっくるめて、一括して全体の存廃問題というものを一蓮托生で解決することはないと答えでおられますが、どうも今度の改正案のできましたいきさつや内容、また、ただいままでに伺いました政府側のお答えから見まして、通産省公営競技調査会答申を隠れみのとして競輪温存をはかっておられるのではないか、かように判断されますが、いかがでございましょうか。
  12. 森清

    ○森(清)政府委員 ただいまお答え申し上げました通り、決して競馬等と同じようには考えておりませんが、確かにいろいろな弊害がございますものを、何とかしてこの弊害を除去して、りっぱな娯楽機関として存続させたいというふうに考えておりますので、弊害弊害として今回のこの法律には極力避けるようにいたしておるわけであります。
  13. 小林ちづ

    小林(ち)委員 とにかく競輪弊害というものは、これは天下周知の事実でございまして、去る三十四年末当委員会四日市婦人会の代表初め多数の参考人を呼んで意見を聞きました際にも、詳しく列挙されております。従いまして、今さらそれを繰り返そうとは思いませんが、競輪社会悪は大きく分けて三つになると存じます。第一は、公営賭博であるという反道徳性、第二はファン及びその家族の家庭悲劇競輪場周辺の迷惑、第三は八百長レース存在でありまして、たとえば最近名古屋で競輪開催日自由労働者が列をなして血液を売り、中には偽名を使って採血及び供血あっせん業取締法に違反するものがあるといいます。はたして当局はこの事実を知っておられるかどうか、また今度の改正案でこのようなことを未然に防ぐ確信があるのかどうかをまずお尋ねしたいと思います。
  14. 森清

    ○森(清)政府委員 ただいま小林先生が申されましたように、弊害として、環境の問題あるいは射幸心の問題、開催日の問題、不正レースの問題、そういった問題が大きく取り上げられておりますが、それで、実は今度の改正ではこれを大きく重点に置いて改正しようとしておるのでありまして、ただいま申されました競輪開催に対するいろいろな弊害、これの一番大きなものだけをこの際取り上げているわけであります。もちろんただいま申されましたような事実もわれわれは承知いたしております。
  15. 小林ちづ

    小林(ち)委員 次に、昨年四月二十二日の朝日新聞によりますと、山口県選手会理事長の有近勝巳氏ら二十人の元選手が連盟で八百長レース資料日本自転車振興会提出いたしましたところ、それを振興会は受理しなかったということが報道されていますが、当局は、この記事について確かめられたことがございますか。また有近氏らは、競輪界の現状では今後とも不正行為がつきまとうおそれもある、この際関係者の猛省を促すため、不正行為資料をできるだけ公開したいと声明しており、日自振でやらないなら、警察でやってもらうよりほかないと言っております。事実ならば、この資料提出していただきたいし、これに対する当局の処置もあわせてお伺いしたいと思います。
  16. 森清

    ○森(清)政府委員 確かに今までも選手不正レース、そういう事実はございました。そこで、今度の改正案では、そうした不正レースのないように選手の再教育については十分考慮しておるつもりでおりますが、ただいま申されました事実については、私はちょっとこまかいことを存じておりませんので、関係局長からお答え申し上げます。
  17. 島田喜仁

    島田政府委員 私ども競輪関係事務当局としては、はなはだ遺憾でございますが、承知しておりませんので、直ちにこの事情を調べまして、御報告をいたしたい、こう考えております。
  18. 小林ちづ

    小林(ち)委員 実は、ここに新聞の切り取りがあるのですが、御存じなければ、これをお目にかけたいと思います。  それでは、話題を変えまして、このごろまた競輪場はだいぶにぎわっているようですが、昨年中の全国で行なわれました競輪開催日数入場者数車券売上高、それに競輪収益配分額などを、一昨年と比較してお答え下さい。  なお、昨年十二月に限って、前年同月に比べ、回数、開催日ともふえているようですが、これはどういう理由によるものでしょうか。
  19. 古澤長衞

    古澤説明員 ただいまの競輪売り上げが三十六年度の推定では約九百二、三十億になろうと思います。それから今まで二十三年度以来の入場者、それから売り上げを見ますと、中には二十九年度あるいは三十年度において若干売り上げの減少が出ておりますが、大体上昇カーブをたどっております。
  20. 小林ちづ

    小林(ち)委員 次に、全国競輪選手は現在何人いるのでしょうか。また選手たち平均月収はどのぐらいになりますか。
  21. 島田喜仁

    島田政府委員 こまかい数字はあらためて御報告するといたしまして、大体選手の数は、競輪関係選手が四千三百人ぐらいおります。それから月収平均七万五千円だと思います。
  22. 小林ちづ

    小林(ち)委員 競輪選手の収入がよいために、このごろ自転車アマチュア選手の中からプロに転向する者がふえているそうですが、もしこのような傾向が続くといたしますと、東京オリンピック自転車競技選手養成にも差しつかえるのではないでしょうか。
  23. 島田喜仁

    島田政府委員 だんだん減ってはおりますけれども、まず支障はない、こう判断しております。
  24. 小林ちづ

    小林(ち)委員 競輪場借用料についてお伺いいたします。公有の場合の施行者借用料、また私有の競輪場を借りる場合は、それぞれどのようになっているものでしょうか。またこれを政府の方で何らかチェックする方法があるものでしょうか。
  25. 島田喜仁

    島田政府委員 賃貸料競輪場施設者とそれから施行者との私契約になっておりますので、政府といたしましてこれに深く介入することは一応できないと存じます。
  26. 小林ちづ

    小林(ち)委員 それから、自転車競技法施行規則の中で、一つお尋ねしたいことがあります。それは同規則第四条の三で、競輪場設置の場合、「学校その他の文教施設および病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上または保健衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと。」とありますが、ここにいう「相当の距離」とは、具体的にどの程度のことをいうのでしょうか。
  27. 古澤長衞

    古澤説明員 学校その他の文教施設への影響があまり及ばない距離という工合に一応考えております。
  28. 小林ちづ

    小林(ち)委員 場外車券売り場は、年間売上高の一開催平均五千万円以上となった場合、その設置許可を取り消すことになっているそうですが、最近売上高の増加に伴い、この一年間現実に取り消された例があれば、その個所を教えていただきたい。またその取り消し決定は永久なものでしょうか。
  29. 島田喜仁

    島田政府委員 最近までに取り消されたところはないと思います。取り消された場合には、永久に取り消されたことになると思います。
  30. 小林ちづ

    小林(ち)委員 三重県を例にとって場外車券売り場問題点一つ申し上げますと、三重県には現在四日市松阪に各競輪場がございまして、お互いに相手都市におのおの場外車券売り場を持っておりました。ところが四日市の方は売上高が五千万円をこえましたので、すでに四年ほど前から松阪市中にある場外売り場廃止したわけでありますが、そこで、もし四日市競輪場廃止いたしましても、松阪市側の場外売り場は依然として四日市市中に残ることになります。これでは、せっかく四日市市当局が市中から社会悪を追放しようと思っても、あまり効果はないわけで、従いまして、自治体としては競輪廃止に踏み切れないということも出て参ると存じます。幸い松阪市の場合はすでに廃止意思表示をしておられますが、ほかに高松と観音寺の例もございまして、とにかく場外車券売り場を認めますと、このようなケースが出現することは免れませんので、その点当局はどう考えておられますか、お答え願いたいと思います。
  31. 島田喜仁

    島田政府委員 原則として、新規にはもう場外売り場は認めないことになっております。
  32. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ところで、四日市市では、霞ケ浦競輪場の所在地が近く工場敷地となりますので、所有者霞ケ浦土地会社はすでに昨年夏から、隣接の遊園地経営を取りやめているほか、施行者四日市市長競輪場廃止の運命にあると言っております。また、福岡県では、来たる十月から競輪廃止することにきまりました。このほかにも廃止考えている良心的な自治体はたくさんあると思います。しかるに、今度の改正案によりますと、その第三条で、新しく競輪場移転とか相続または譲渡が明文化された。これでは、競輪場は永久に存続することになり、全く寝ている子を起こすような結果になるのではありませんか。四日市では、一部に競輪場移転のうわさもありましたが、私の調べでは、今のところ設置者市当局もその意向はないようです。このような条項はほんとうに迷惑に感じます。特に、これが実現を見ますと、競輪場を所有することは完全な既得権となり、しかもそれが転売などできるとすれば、土地値上がりのブームと相待って、利権争いや汚職の対象となることは、火を見るよりも明らかであります。これでは、通産省は、競輪の存続というより、あくまでも温存をはかっているといわれてもいたしかたないと思います。なぜこのような条項を新しく明文化されたか、その真意を明らかにしていただきたいと思います。
  33. 島田喜仁

    島田政府委員 現行法では、先に相続合併譲渡の点を申し上げますが、これは認めることに実はなっておるわけです。相続合併譲渡とも、競輪場の設備の譲渡でございますので、そういうものはそのまま認めることになっておりますが、もしかりに譲渡あるいは相続というような場合に、届出を受けなければ、実際どこに譲渡され、だれが相続をしたかということがわかりませんので、一応届出によって譲受人もしくは被相続人を明確にしたいというだけの意味でありまして、現行法と同じであります。ただその点をチェックしよう、こういうだけであります。  それから移転の問題でございますが、移転の問題は現行法でも実は認められておりますが、新しく設置されたものを移転する場合には、非常に厳格な方法によっておりまして、第一は公聴会を設けて、移転先がはたして競輪場を受け入れるに適当であるかどうかということを公聴会にかけることになっております。なお、移転先の県知事の意見を聞くことになっております。第三は競輪審議会にかけまして、移転することが適当であるかということを判断をいたした上で、通産大臣が認可をすることになっておりますので、移転を認めてはおりますけれども、非常に制限があるわけであります。
  34. 小林ちづ

    小林(ち)委員 最後に私は当局へ要望を申し上げたいと思います。  とにかく競輪が悪であることは、これは何人も否定できない事実でございます。池田内閣はなかなか道徳教育に熱心でいらっしゃいますが、それにもかかわらず、他方で公営ばくちの温存をあくまでもはかろうとなさる、これはまさにジキル博士とハイド氏の悲劇であります。政治の二重人格、これでは国民は政治を信用できません。青少年の非行、不良化がやまないのも、このような社会悪存在を許す政治不信に一因があると申して過言ではございますまい。また今度の改正案で、競輪収益地方財政機械工業振興のほか、新しく体育事業等にも使用できることを規定しておりますが、これらは申すまでもなく、本来それそれの関係当局で予算化すべきものでございまして、いかに容易とはいえ、ばくちのテラ銭でまかなうべき筋のものではありません。これはとりもなおさず政治貧困を示す最もよき例でございまして、競輪存在する限り、政治不信とその貧困は決してなくならないでありましょう。今はやりの歌の文句ではございませんが、わかっちゃいるけどやめられないとすれば、はなはだ失礼な表現ではございますが、通産省スーダラ省と申すほかありません。自民党の公営競技特別委員会では、去る三十五年二月二十四日、公営競技に関する答申を行なっておりますが、その中にも、一定の経過期間を設けて、廃止すべきであるという強力な意見があるのでございます。私ども社会党では、すでに競輪等廃止法案を用意いたしまして、この国会提出しております。どうか政府でも、競輪温存をはかる今度の改正案などは取りやめて、競輪廃止に踏み切っていただきますことを特に切望して、私の質問を終わることといたします。
  35. 早稻田柳右エ門

  36. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 お尋ねいたしますが、今回の改正案重点は、第一はこの施行者の問題と、第二は競輪実施期間の問題、第三は競輪場施設の問題、それから第四はこの交付金あるいは機械産業あるいはその利益の用途の問題、この四つに分けられるようでございますが、御承知通り、この公営競技、ことに競輪あるいは小型自動車、モーター・ボート、それらは、終戦後の議員提出によってできた法律でございます。当時は、おもに戦災復興あるいは関連産業振興ということが二大目的としてでき上がったのでございますが、私は、このギャンブルそれ自体に対して政府の根本的な考え方をまずお尋ねしたいと思うのであります。  もちろんこのギャンブルというものは、決して奨励すべきものではございません。かつて二、三年前の英国国会におきまして、ギャンブルは奨励すべきではない、同時にまた廃止すべきではない、ギャンブルとは調整すべきものであるという、英国国会結論が出ているのであります。先ほどから社会悪という言葉が出ておりますが、確かにこういうギャンブルというふうな社会悪がないとは、だれもこれを認めるわけにはいかないのであります。やはりこの社会悪をいかに調整して、そうしてその運用の上において、いろいろな間違いを起こさないというところに重点を置かなければならぬじゃないか、こう考えるのであります。このギャンブルに対する考え方でございますが、そうした外国の例を引くまでもなく、人間の生活上に一つ娯楽とか、あるいはその他の人間の好むものがございますが、ギャンブルに対する通産省の根本的な考え方をまず一つお尋ねしたいと思うのであります。
  37. 森清

    ○森(清)政府委員 たとえば競輪に例をとってみますと、御承知のように、この競輪法戦災復興という大きな眼目のためにできたものでありまして、そのよって来たったところの原因から、私は十分なる効果は上げ得たものと思います。そういう形で、このギャンブルというものも、英国の例を取り上げられましたけれども、確かに奨励すべきではないかもわかりませんけれども、これは十分なる規制の上に立って、完全に近い大衆娯楽として持っていくことが私は正しい考え方でないかと考えております。さらに今日、私どもがその規制意味からいって、ただいま佐々木さんからも御指摘がございましたように、四つ眼目を掲げてその規制に乗り出しておるわけでありまして、そうすることによって、関連産業助成あるいはスポーツ振興社会福祉、そういった面において非常な貢献があるものと考えます。ただし、決してこれを私ども奨励しようという気持は毛頭ございません。
  38. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 政府としてのギャンブルに対する態度はそれでわかったのでありますが、そうしますと、先ほどから小林先生の御質問にもありましたが、どうも競輪そのものに対する非難が非常に強い。同じギャンブルであっても、競馬ならある程度、まあ差しつかえないとはおっしゃらないが、競馬ならということがたまたま国会議員の間にも出て参ります。私はそういうように、一つギャンブルに対するところの奨励はしないが、健全な娯楽として、役所の建前からこれを監督していくという態度でありまするならば、もう少し自信を持ってもらわなければ、競輪の健全なる運営はできないんじゃないか、こう思うのであります。たとえば競馬そのものを考えましても、戦前であるならば、馬というものは、軍馬徴用、品種改良あるいは輸送面での馬の活用とか、いろいろございました。しかし、時代が進むにつれまして、現在では軍馬徴用もございません。あるいはだんだん機械化されて、農耕馬などといって農村も馬を使うという状態は少なくなりました。輸送機関もその通りであります。むしろ日本の産業という方面からいくならば、自転車産業とかオートバイ産業とかに積極的にこういうものを活用するということが時代の要求じゃないか。ただ、競馬の方は少し中流階級より上の人がたくさん行く、あるいは金持階級の一つ娯楽になっているという点に社会の批判が少ないのじゃないかと私は思いますが、競輪も一応公営としてやる以上は、役所が真剣にこれを監督して、悪いところがあれば是正していくという熱意があれば、競馬と比較することもないと思うのであります。何か通産省そのものが、競輪をやっているということに対して、ひけ目を感じられているような気がしてならない。たとえば先ほど小林さんのお伺いの中にもありましたように、すでに一千億近い売り上げをしているわけです。それも大衆のとうとい金がそこにつぎ込まれている。こうした大衆が競輪場に行って、これだけの莫大な金が出ているにもかかわらず、歴代の通産大臣競輪場というものを見た人がおりますかというと、ほとんどいない。今まで競輪場に行った大臣というと、横尾通産大臣と石橋通産大臣、この二人くらいなものです。これから私具体的に質問しますが、見てもいない人に質問してもよくわからないと思うのですけれども、やはり監督の責任を持つなら、局長などはときどき行ってどういう状態になっているかということを見なければいけないと思うのです。局長は今までこの競輪場の実態を何回見られましたか。
  39. 島田喜仁

    島田政府委員 申しわけございませんが、見ておりません。
  40. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そのように見てもいない状態で、競輪を改善しようとか、よくしようとか、ろくな答弁もできないと思うのです。課長は見ていますね。
  41. 古澤長衞

    古澤説明員 見ております。
  42. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それでお伺いいたしますが、施行権の問題です。ギャンブルなどというものは、市町村とか都道府県がやるべきものじゃないと思うのです。これは外国の例をとってみても、ドッグ・レースとか競馬などいろいろあります。ありますけれども、その施行者というのは大がい民間団体なんです。役所はただ法律の範囲において監督しているということで、実際の施行は民間にやらせるべきだと私は思うのです。通産省は現在はこの施行者を認めておりますが、将来ほんとうに改善するなら、そういう考えを持っておられるかどうか、それを承っておきたいと思う。
  43. 森清

    ○森(清)政府委員 実は私も競輪は一ぺんも見ておりません。ぜひとも勉強のために見たいとも思います。  そこで、先ほど佐々木さんのお言葉の中に、競馬競輪を比較されていろいろ御論議がございましたが、やはり競輪は、何といっても歴史が非常に浅いだけに、競馬と比較いたしまして何かと不備な点がございます。さらに先ほど佐々木さんの御指摘の中に、競馬は金持がやって競輪は金のない人が多くこれを趣味にしておるというお言葉がありましたけれども、そういう点からいっていろいろ不備な、改めなければならぬ点があるのですが、われわれはおいおいこうした事実を突きとめて法律改正をお願い申し上げたいと思いますが、ただいま御指摘の点、確かにそういう意見は私ども通産省の中にもございます。そういう方向に行かなければならないじゃないかという考え方も強くあるのでありますけれども、今回は、御承知通り公営競技調査会で出した答申を主といたしまして改めましたので、将来こうしたものも大きく考えていきたいと思いますし、さらにまた小林さんの御質問がありましたように、これは廃止すべきだという御論議に対しましては、われわれはこれを大いに研究をして規制をしていって、そうした悪いところの面をなくなした形において存続したいと考えておるわけであります。それはもちろんとりもなおさず、悪い面がなくなったあとで効果のある面を考えてみましたときに、決してこれは小さいものではないという考え方を持っておるのでございます。
  44. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 競輪大衆娯楽としての一つの役割をお認めのようでございますが、同時にまた収入の費途の問題でございます。これが今回は関連産業とそれから体育と社会福祉ということに重点を置かれておるようでありますが、私はほんとうは関連産業のための資金などというものは、国が一つの政策として予算を立てて、こういう収益から上がるものでなく、国の一般予算の中から取るべきであるという考えを持っておるのであります。同時にまた地方の財源というものも、やはり国家というものがあって、その政府が責任を持っておる以上は、交付金とかあるいは特別交付金とかいう形で地方財政を見ていくのが建前だと思う。むしろこういうギャンブルから上がる金はほとんどが社会福祉とか体育とか、社会悪によって得た金はその社会悪を是正していくために当然使われなければならないと思うのでありますが、通産省はそれに対してどういう考えを持っておりますか。
  45. 森清

    ○森(清)政府委員 確かにお言葉意味はよくわかりますけれども、ただここに関連産業助成という意味が非常に大きくうたってありますことは、そもそもこれができましたときに、戦災復興ということでございまして、当時関連産業が非常に疲弊しておった。これを何としても、自転車工業というものをりっぱなものにするために相当の資金が要るということから始まったものでありまして、だんだん時期が経過して参りますとともに、仰せのような形に移行すべきものじゃないかと考えます。ただ、地方団体の財政維持の問題がございますが、これは理想としては確かにその形が妥当だとも思われますけれども、この収益に依存しておる地方団体が非常に強力でもございますので、今直ちにその方向に移行することはいささか困難ではないかと考えます。
  46. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そこで今度運営の部面についてお伺いいたすのでありますが、今までの地方自転車振興会というものを今度解体いたしまして、特殊法人としてブロック制にして、しかも競輪の運営はそれに一任するということのようでございますが、大体全国をどの程度のブロックにして、その内容はどういうような内容にいたそうとするのか、概要でよろしいから、一応承っておきたい。
  47. 島田喜仁

    島田政府委員 社団法人であります地方の振興会を特殊法人という形で再編成をいたしまして、大体地区的には通産局別くらいの、言いかえれば八つくらいのブロック別に特殊法人を作りたい、こういうふうに考えておりますが、ただ北海道には競輪場が一カ所しかございませんので、場合によりますと北海道と東北は一本にいたしまして経営の基礎の安定をはかる必要があるのではないかというふうにも考えております。その点については、目下関係方面と話し合い中でございます。
  48. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 通産省は私の考え方と行き方が逆のようであります。社団法人を特殊法人にして、官庁の命令、監督を厳重にするということは、それはよろしいのですが、どうも特殊法人ということになると、今までのいろいろなほかの特殊法人を見ましても、官僚の権力が入り過ぎるのです。そういう点は逆行でありますが、今の場合十分な監督をするためにはそういうこと以外にないということで、そういう結論になったのだろうと思いますが、御承知通り、地方の振興会というのは、終戦後競輪というものを知らない、あるいはギャンブルというものに対するところの心がまえもない、いわゆる自転車の販売をしていた人たちが集まってできたのが地方の振興会なんですね。だから、そういう点から見て、多数の必要以上の人たちが集まって、地方自転車振興会ができているのでありますが、それを整理するとなると、容易なことではないのじゃないか。あるいはその地方々々によっては、非常に財産を持っている地方振興会もございまするし、あるいはもう全然財産というものはなくて、赤字で運営している振興会もございますし、要するにそういう整備に対して、役所は一つのトラブルもなく整備できるという確信があるのでございましょうか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
  49. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいま佐々木先生からお話がございまして、全国にあります振興会は、戦後十数年間いろいろな歴史的な過程を経て現段階に至っておりますので、社団法人から特殊法人に移行する場合には、それらの事情も勘案いたしまして、できるだけ摩擦のないようにいたしたいと思います。  なお先ほど特殊法人については官僚的色彩が濃厚であるというお話もございましたので、今度の場合には単に政府が直接特殊法人を作るのではなしに、地方の施行者の長あるいは振興会等も含めました学識経験者を含めまして、任意設立の特殊法人という考え方を弾力的にとっておりますことと、それから振興会の職員等につきましては、特殊法人にこれをそのまま引き継ぐことにいたしたいと思いますし、財産問題等につきましては、この法案がもし国会を通過させていただきましたならば、いろいろな実情を調査いたしまして、ただいまお話しの摩擦のないように措置いたしたい、こういうふうに考えております。
  50. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 局長の答弁を聞いていると、なかなか民主的にやろうとしているようでありますが、改正しようとする法律の内容を読みますと、あなたの気持とはだいぶ違っているようです。たとえば、役員の選任にいたしましても、あなたの方では最初指名ということにして、あとで認可というものを入れたようですが、役員をきめるにあたっても、通産大臣がきめてしまうというようなことが入っているとするなら、これは決して任意に作ってもらうとか、あるいは民主的だということじゃなくて、やはり地方の各特殊法人を作るに役所の大きな権力が入っているということになるのです。質問がこまかいようですが、そうしたら役員の人選なんというものは、作ろうとする団体がこの人が適当だというような推薦をして、それを認可する、任命するという考え方でいるのですか。それともあなたの方で見て、これは指名ということがあるのですから、この人は適当だと役所の見方によって役員をきめようとなさっておるのですか、その考え方一つ承っておきたいと思います。
  51. 島田喜仁

    島田政府委員 今度特殊法人を作りますのは、先ほどお話がございましたように、公営競技調査会の実は答申の線に沿って組織の改善をはかったわけでございますが、今申しましたように特殊法人はできるだけ民主的に作りたい、こういう考えを持っております。ただ、従来の社団法人は実は会員組織でありまして、会員の中から役員が選ばれていた。今度特殊法人でございますので、従来特殊法人の場合は、何といいますか、会長、副会長につきましては、ただいま申しましたように発起人ができまして、そうして逐次組織を作って参ります場合に、会長の問題も出て参ると思います。ただしかし、競輪を公正に運営をいたしまして、また社会的な非難をできるだけ少なくする、問題をなるべく起こさないという考え方に立ちますと、そういう立場からやはり公正に最終的には会長、副会長については通産大臣がこれを認可する、任命するということにいたしたい、どういうふうに考えております。
  52. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 一応法案が通過してしまいますと、——どうもいずれの法案もそうなんでございますが、作るまではいろいろ役所としては都合のいい答弁をなさいますが、法律が一たんできてしまいますと、われわれは立法府の人間ですし、あなた方は行政府人間ですから、行政面にまで立法府の人間があまり口出しするということは、これは行き過ぎのきらいがございますので、こういう場合にはっきりとあなた方の考えをこの速記録に残しおきまして、ああいう答弁をしたが、でき上がる過程において役所の権力が非常に強く影響したということが将来あると、私たちその点非常に憂慮されますので、ぜひ今の局長の答弁のように、特殊法人を作る場合は、どこまでも民主的に、そうしてあなた方のいわゆる権力で作ったというようなことのないように、一つ私は厳重にあなた方に申し入れをしておきたいと思うのであります。  同時にまた、今回そういうブロックの特殊法人を作りますが、日本自転車振興会あるいは施行者、今度できまする特殊法人の団体、こういうもの見ますと、非常に団体が多いわけですね。そんな団体はあまり必要はないと思う点もたくさんあるのでありますが、しからば日本自転車振興会に対してどういう役割りを果たさせようとなさるのか、このブロックでなくて、日本自転車振興会の役割を一つ承りたいと思うのです。
  53. 島田喜仁

    島田政府委員 ただいまの先生の御質問にお答えする前に、もう一度私からちょっと誤解のないように答弁をつけ加えさせていただきます。最後の佐々木先生の御質問の会長その他役員の選任の問題についてでございますが、私どもはあくまで、役員の選任につきまして、政府が官僚統制という考え方で役員を選定する意思はございません。ただ、あくまでも競輪競技事務の委託を受けて実施を円滑にいたします特殊法人が、社会的に見まして、少なくとも競輪を公正妥当に運営する資格ある役員が設立の過程を通じまして選任されて参りますような空気になることを私どもは期待をいたすと同時に、最終的にはその責任を最終的に負います通産省といたしまして、やはり競輪を公正妥当に、しかも弊害が除去されておる形で運営されるような役員を任命するのが社会的責任である、こういうふうに考えます。  それから第二の自転車振興会、日自振との関係でございますが、今度は特殊法人ができ、政府もこの前申し上げたような意味合いからこれを監督して参りますが、日自振につきましては、やはり特殊法人に対しましてできるだけ指導監督が徹底するように、その間の連絡を密にいたしたい。それからまた特殊法人の業務方法の運営等につきましても、日自振と特殊法人との意思が密接に疎通するように監督指導をいたして参りたい、こういうふうに思っております。
  54. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私の言うのは、役所の指導監督を聞いているのじゃなくて、日自振とそれから今度できまする地方のブロックの特殊法人の競技会との果たす役割は、具体的にどういうように分けるかということなんです。日自振のやる仕事のおもなるものは何か、それから地方にできまするブロックの団体はおもに何をやるんだ、この点を明らかにしてもらいたい、こういうことなんです。
  55. 島田喜仁

    島田政府委員 まず、今度できまするブロック別の特殊法人の業務は法律に明示いたすことにいたしました。そのおもな内容を申し上げますと、競輪競技に関する事務、あるいは審判関係の事務が第一であります。この第一の事務は施行者から一括して特殊法人に委託されることになります。これから第二は車券の取り扱いであります。それから第三は競輪の開催についての宣伝を行なうこと、第四は競輪場入場者の整理その他場内整理を行なうこと、この四つが、要するに特殊法人の業務であります。もう一回重ねて申しますが、第一は選手競技関係の事務は一括特殊法人にまかせられまして、その責任の所在を明らかにいたします。日自振の業務は従来と同じように、まず特殊法人との関係でございますが、選手を含めまして審判員その他の訓練を行なうための指導を行なうということが一つであります。第二はただいままであれしております施行者からの交付金を受けまして、機械関係並びに今度できます体育その他公益事業の資金に関する仕事をいたす、これが第二であります。
  56. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私は、こういう競技などというものは、団体が数あればあるほど非常に不明確な点がたくさん出てくると思う。ほんとうはこれは一本でやるということが僕は理想だと思うのです。しかしながら、この改正で特殊法人を地方に作って、今言う競技一切を一括団体にやってもらう、あるいは穴場とか人員の整理とか、こういうものをやる。そうしますと、考えてみますと、一番競輪の収益をあげている、努力しているのはまず選手なんですね。選手の問題については後ほどお尋ねいたしますが、その次は今度新しくできる特殊団体なんです。実際第一線で仕事をやっている。あとは、日自振とか施行者とかいうのは、入ってきた金の分配とか分け前とか、一番苦労せずにいい立場にあるわけですが、そうすると今度競輪を健全な娯楽として改正していこうということになれば、選手の待遇問題と、この新しくできる団体に重点的にあなた方の熱意が加わらなければならないわけなのです。だからこれがもしうまくいかなかったら——いろいろな騒擾事件の起きるのも競技のやり方であります。あるいは会場の整理の有無であります。そうすると第一線で競技全般をやるところの新団体に対しては、従来のような交付金につましても、今回はある程度の優遇といいますか、必要な資金だけは十分出すというお考えを持っていられるのですか。もしこの競技をやる人が、こういうことも改善したい、あるいは場内の整理にしても、こういう施設をしたいといっても、予算が伴わなければ、これはりっぱに運営ができないわけでしょう。だから重点は、施行者の施行権というので金が入るということでもなし、あるいはあがった金の配分というよりも、むしろこの競技をやり、しかも一般社会のいろいろな批判が出ます競技の運営そのものに対して処置をしなくてはならぬ、こう思うのです・それに対する通産省の熱意と、それからほんとうによくしていこうとする予算的な措置をどうするのかということを一つお尋ねしたいと思うのです。
  57. 島田喜仁

    島田政府委員 まず選手でございますが、選手は当然のことでございますが、競輪が公正妥当に行なわれるための柱でありますので、去る国会で附帯決議もございました関係もありまして、選手につきましては、その待遇改善のために漸次改善をいたして参りました。今度の改正にあたりましては、さらに一そう選手の福利厚生の増進をはかるために、法律にも明示をいたしまして、選手の福利厚生のために通産大臣は必要な助言もしくは勧告をすることができるという規定を実は設けたわけであります。その実質はと申しますと、やはり施行者から選手に出します福利厚生その他待遇改善費を合理的並びに大幅に改善をいたしまして、選手の体質改善をはかると同時に、その質の向上をはかる、こういうつもりでおります。
  58. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 その選手の待遇改善はいずれまた承りますが、特殊法人が実際の競技をやるのでしょう。一切の現場の仕事をやるのでしょう。これに対してあなた方の改善するという熱意が具体的にどういうふうに現わされるのか、ことに予算的な上で、予算がなければいろいろな改善をしようとしてもできないじゃないか。従来のような地方の振興会を扱っているような考えですと、競輪そのものも決して内容はよくならないのですね。私は奨励ということでなくて、やる以上は大衆の納得するやり方をしなければならないでしょう。それには設備の改善もございます。選手の待遇改善もございますし、あるいは競技のやり方もございますが、今までと同じような予算をつけておいて、改善しなさい、運営をりっぱにやりなさいと言ってもできないのじゃないか。だからどういう予算的な処置を考えているのか、こういうことをお尋ねしているのです。
  59. 古澤長衞

    古澤説明員 新しくできます競技会につきましては、開催に要する経費、今先生の言われたような経費については十分まかなえるような金額を一応算定しまして、交付金として確実に入ってくるというふうな措置を講じます。
  60. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そうすると、交付金として改めていくということでよろしいんですね。従来よりもよくしていく……。
  61. 古澤長衞

    古澤説明員 そうです。
  62. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 そこで、それには相当の予算が要ると僕は思うのです。たとえば競輪場に行って、今運営の部面を見てみますと、あの車券とほこりの中で、不衛生な中で、娯楽とはいいながら、あそこで大衆がギャンブルをやっているのです。甘木では二十円券五枚分かの百円券と千円券に分けているのですが、ああいうふうな売り方をしているのは世界ではありません。今ではほとんど改善されておりまして、三百円券なら三百円券、千円券なら千円券、五千円券なら五千円券、十万円券なら十万円券というように、アメリカに行ってみましても、ロンドンに行ってみましても、みんな機械化されているのです。日本では穴場というものがありまして、多数の人々が働いております。これを私は急に整理せよとは申しませんが、将来ほんとうに気持のいい会場にするというならば、そういう点も思い切って改めなくちゃならぬと思うのです。まるで車券のほこりの中で何の娯楽ぞやと言いたいような状況なんです。将来こういう状態を逐次直していくというような考え方があるのか、そういう具体的な予算の見積もりも考えておられるのかどうか、そういう点に対してお答えを願いたいと思います。
  63. 島田喜仁

    島田政府委員 これはやはり設備関係になると思いますが、この設備関係につきましては、思い切った改善を考えまして、設備の基準も引き上げまして、そうしてその基準に合致するよう、たとえば所有施行者の場合、あるいは個人の持っておる設置者等に対しましてその賃貸料もしくは交付金額の中からその設備が改善されるような金を出すように勧奨いたして参りたい、こういうふうに考えます。
  64. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 これはまあ設備の改善の問題でございますが、設備というものをほんとうに健全化するなら、急いで改善しなければ、今のような状態では決して世論は許しません。そういう点からいって、まず衛生的であるということ、それから今言う能率的であるということ、それからまあとにかく勝敗がはっきりと迅速にわかるというようなことが大きく取り上げられるのであります。そうなると、今度施設者との関係になりますが、御承知通り、終戦後この法案を作るときには、今のような九百億とか、一千億とかというような売り上げというものは想像もつかなかったのであります。一例をあげれば、後楽園あたりの一日の売り上げは多くいってせいぜい四、五千万円だろうということで、当時は三千万円かそこら前後だったのですけれども、将来もこんなに売り上げがあるとは思わなかった。後楽園の一月の六日間の売り上げが十二億です。そういう状態のときに売り上げのあれは四分で契約しているわけですね。こういう点を考えますと、施設というものに思い切って金を使う必要があるんじゃないか、こう思うのです。同時に、世界中調べてみたって、日本の大衆ほどばかを見ているのはないのです。ギャンブル売り上げの二割五分取っているというのが一体世界中でありますか。あなた方調べたことがありますか。二割五分取っているから、四回やればなくなってしまうのです。そうでしょう。そういうような払い戻しをやっているところは、世界中にない。英国はドッグ・レースが非常に盛んですが、英国だって一割八分です。一割八分でああいうりっはな運営をしておりまするし、施設を見ましてもほんとうに家族づれで楽しめるギャンブル場というような感がいたしますが、日本では二割五分も取っているのですから、この施設の改善は思い切ってやるべきです。今回は予算的措置、はっきり言うならば、交付金の歩合というものを、あなた方が施行者施設者と契約してやっている。通産省は関知しないようなさっきお答えがありましたが、関知しないでは困るのです。法律で二割五分というものを取っているのですから、その使い道というものは、むしろこういう点にあなた方が関知してもらいたい。関知しないじゃいかないのです。だから実情に即して、将来この施設賃貸料なんというものもやはりこの利益の中から出てくるのですから、こういうものに対して再検討する考えがあるかどうか。今のようにただやる人と持っている人との間の任意契約にまかしておくのだというような、そんな監督では十分な改善はできません。一つそれに対する考え方をお答え願いたい。
  65. 島田喜仁

    島田政府委員 先ほど小林先生から御質問がございましてお答えいたしましたが、先ほど申し上げましたように、施行者設置者との私契約でございますので、その契約内容に対しまして政府といたしまして深く介入することはなかなか困難であるということを申し上げたつもりであったのでありますが、ただ、今お話のように、競輪が社会的な問題を起こさずに運営されるためには、ただいま佐々木先生からお話がありましたように、設備並びに環境の改善を思い切ってやりまして、明朗に競輪大衆娯楽として行なわれるようにするためには、この際設備並びに環境の改善を先生のおっしゃる通り思い切ってやりたい。そのためには、その収入の中から政府といたしましてはその設備の改善を行なわせるようにいたす方針でおります。
  66. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 その気持はわかるのですが、実情は、実際設備の改善というものは遅々として進んでおりませんし、設備の改善とかいろいろな施設をやるということは、いわゆる大衆に対するサービスなんですね。サービスが最も悪いのはむしろ競輪場なんです。しかも何といいますか、大衆ことに生活の苦しい人まで行っている状態を見ますと、五十円ずつ出し合って百円券を買って勝負しているというような情景も見られるのです。そういう人たちがかけに来るのですから、よほど考慮をいたしまして、ことにギャンブルをやって負けたときの気持なんというのは非常に憂うつになるのですから、いろいろ周囲に樹木を植えるとか、中をきれいにするというようなことは当然なんです。しかし、あそこの中に売店だとか、食堂だのみなあります。ありますが、それ自体が不衛生でありますと同時に、あそこで売り上げしているのは、会場の名前は申しませんが、場所によっては普通の市価よりも二割も三割も高いところがある。それはなぜかというと、その施設を持っている人たちが一つの場内の販売特権でその売店から頭をはねているのです。こういう状況もよく一つお知りおき願いたいと思いまするし、またせっかく施設をしても、大衆はほとんど立って見ているのです。そうすると、今度はいすを作りますね、そのいすを作りますと、そのいす代というものをまた百円なら百円別にとられるのですね。それは今どういうふうになっているかというと、施設者の方に入っているのです。施設者というものは、もう契約で一本化しているのですよ。そのほかにいす代というものを何千人分も取るというようなことが、はたして許されるのかどうか、こういう金額は決してばかにならないのですが、そういう点に対しても、十分将来考慮を払ってもらいたいと思うのであります。施設の点を長く話しておりますと、たくさんありますが、この程度にしておきます。  先ほど選手の待遇でございますが、選手の待遇については、平均七万五千円の収人ということでございますが、これは間違いありませんね。
  67. 島田喜仁

    島田政府委員 間違いございません。
  68. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それでは承りますが、最高はどのくらいで、最低はどのくらいになっておりますか。
  69. 島田喜仁

    島田政府委員 最高は年額五百万、最低は月額一万四、五千円だと思います。
  70. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 結局問題はそこにあるんです。最低一万二、三千円で、しかも競輪というのは自転車をかついで自分の住んでいるところで競技をやるんじゃないのです。汽車に乗っていって、出張していってやるんです。一万二千円や三千円ではたして生活ができるかどうかということを一つ考えてもらわなければならないのです。しかも九百億から一千億の売り上げをして二割五分の収入をあげて、選手の待遇がこのような状態だから——八百長をやることはいいとは言わないですよ、これは厳重に処罰しなければなりませんが、八百長をしなきゃ生活ができないような状態にしておいて、まずここから直していかなければならぬと思うんです。そうして私は思うんですが、少なくともプロということになれば、商売人になれば、このごろはレスリングにしても野球にしても、日本の一流というものになると、まあ高校を出た野球の選手が三千五百万、四千万が多くスカウトの契約かと聞いておりますが、今言われた五百万というのはおそらく一人か二人でしょう、あとは非常に収入が少ないということなんです。そういう点について私は一つの具体案を出してみたいと思うんですが、待遇改善をやるにしても、今の選手の三〇%の待遇改善をしようとしましょうか、それでも五、六億あればできるのじゃないですか。そうすれば今施行者の方に行っておりまする車券で大衆が出したものの端数切り捨てというのがありますね、その端数切り捨ての金が一年間に今四億以上になっているでしょう。あれは当然施行者に行く金じゃないんですよ、端数切り捨てなんですから。その切り捨てがうやむやのうちに施行者の方に行っている。それだけでも四、五億あるんです。だから選手の待遇改善を真剣にやろうとすれば、もちろん交付金改正も必要だと思いますが、そういう金を活用してもできると思うんです。端数切り捨ては今までどのくらいありますか、一つ答え願って、それをどういうように活用しようとなさるのか、今まで通り施行者の方に、これは半端な金だからと言ってやってしまおうとするのか、その辺に対するお答えを願いたい。
  71. 古澤長衞

    古澤説明員 ただいまの端数切り捨ての金額でありますが、昭和三十五年度におきましては約四億九千万でございます。
  72. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 三十五年度ですらも四億九千万あるんですからね。三十七年度、三十八年度というたら相当な金額の端数切り捨て、これは何円何十銭という金にならない金が集まってそれだけあるんです。これを一つ待遇改善なりあるいは施設の設備改善なり、こういうものは僕は当然回すべきだと思うんです。そうすると、今まで十数年間やっているんですから、その十数年間の端数切り捨ての金だけでも十分な施設の改善も選手の待遇改善もできたはずだ。こういう点に対して、一つ今後どういうような方面に活用なさろうとするのか、従来通り端数切り捨ては施行者の方に回しておくのだというようなおざなりな考え方でいこうとするのか、その覚悟のほど、決意のほどを一つ承りたい。
  73. 島田喜仁

    島田政府委員 選手の待遇改善の問題につきましては、今いろいろお話もございました。どうも佐々木先生は専門家でございまして、端数切り捨てなどと申されますと、はなはだどうも申しわけございませんが、いずれにいたしましても、待遇改善の問題については、実は思い切ってやりたいと思っております。賞金制度の合理化もいたし、ただいま申し上げましたように、月額約五十万円と一万数千円との非常に格差もございます、もちろんこれは出場回数等にもよりますが、そういう関係で、一つこの待遇改善の問題については、ただいま検討中でございますので、ここで具体的にどういう改正をするかというような点については一つごかんべんを願いたいと思います。
  74. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 まあその端数切り捨て等を十分に活用するというお考えだろうと思いますが、どの一カ年間に四億九千万という、五億の金は決してなまやさしい金じゃございません。とうとい、大衆の血のにじむような車券の中から生まれた金でありますから、これは一つ十分に競輪の内容改善に、大衆の納得のいくような使い方に持っていってもらいたい、私は強くこれを要望いたします。  それから、もう一つは、選手はせっかく賞金あるいはまたいろいろな収入がありましても、一番心配するのはけがの場合です。これは、けがをした場合の処置なども十分一つ含めてお考え置きを願いたいし、ことに選手などというものは、一つの体力の問題でございますから、ある限度になれば選手としての勤めを果たせなくなる。将来の生活の安定、あるいはまたこれには退職金も含みますが、これらも一々伺ってもあまり詳しく知らないようでありますけれども、そういう点について十分  一つあなたの方で見てやるということの覚悟だけは持ってもらいたいと思うのであります。  ただ、そこで私は一つ非常に不思議でならないことは、選手の収入の中には、いわゆる日当と賞金と、それから先頭を切った、何といいますか、賞金、これがあるのですが、ほかの競技と違って、競輪などというものは、先頭を切れば、一着に入るということはおそらくありません。九九%までないと言っても過言でない。私は最近は競輪というのはやめております。前にはずっとやっておりましたが、この法案を研究するようになってから私は自粛していますけれども、しかし、この点について、今まで覚えているので、競輪で先頭を切って一着になったのは、高倉選手とそれから関西の西田選手ですが、この二人しか私は知らないのです。今まで何千人という競輪選手が走って、トップを切って一着になったのはその二人しか知らない。そうすると、先頭を切るということは、大事な事券を買っている人に対して競争心を放棄したことになるのですね。その放棄する選手に対して、戦闘意欲のなくなった者に対して、ほうびをくれるというその考え方がどこにあるのかわからないのですが、それに対する当局のお考え方を伺いたい。
  75. 古澤長衞

    古澤説明員 ただいま佐々木先生から非常に専門的な御質問があったわけでありますが、先頭固定の問題につきましては、今後の新しい競輪の健全化という観点からも十分一つ検討していきたいと思っております。
  76. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 これは競輪法律でできて、昭和三十三年の九月十七日に改正されているのですが、競技方法には七つございますね。そのうち、私は全国的には知りませんから、今どれとどれとを採用しておりますか。
  77. 古澤長衞

    古澤説明員 先頭責任競争、それからスプリント・レース、それから先頭固定競争、この三種類をやっております。
  78. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 せっかく法律によってできている七つの種類があるのですが、その三つ以外は全国で一回もやったことはないのですか。
  79. 古澤長衞

    古澤説明員 まあこの七つのうちで、たとえばクロス・レースのようなものはかつてやったこともありますが、あまりファンの関心がありませんので中止したというような例もございます。
  80. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 イタリア、フランスに行きますと、ロードーレースというのをやるのです。先ほど小林さんの御質問にも、来たるべきオリンピック大会に有力なる選手が出なければということもありましたが、日本の自転車競技というものは、これほど自転車競技ギャンブルまでやっていて、自転車というとほとんどイタリアにとられていますね。イタリアなんかの強いのはなぜかというと、ロード・レースというものをやって、一般大衆の自転車に対する普及が盛んなんですね。ただ単に場内でかけごとだけでなく、自転車振興自転車全般の責任を考えるならば、アマの中にもりっぱな自転車層が厚くなるということが、オリンピックなんかに対してもいい選手が出るということなんです。そういう自転車そのものの普及ということも一つの使命じゃなかろうかと思いますが、ロード・レースというようなことをやる考えがありませんか。
  81. 古澤長衞

    古澤説明員 今までにロード・レースについては、たとえば琵琶湖一周というようなこともやっております。今後これについて積極的に進めていくかどうかということにつきましては、十分一つ検討して参りたいと考えます。
  82. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それから先ほどの先頭で勝負を放棄した者に賞金をやっているということは、これはだれが聞いても納得いかないのです。しからば方法がないかというと、先頭固定制ですね、これは日本以外でもやっているのです。先頭固定制をやれば、走る人の競争というものは放棄になりませんし、同時に私は選手の待遇にも影響すると思うのです。たとえば三十五才とか四十才になった選手が、体力が消耗してできなくなれば、そういう選手の人たちをやめさせて、先頭固定要員として給料をやって、三周なら三周、四周なら四周回るときに、そういう選手をやめた人たちが先頭を切って、途中でもう一人くらいかわるようなやり方はよそでもやっている。そういうことが車券を買ったファンに対するところの混乱も起こさないし、あるいは先ほど私の言った勝負をやらないで放棄した者に対する賞金をやるというような思想もなくなりますから、将来先頭固定というものに重点を置いてやることが、ほんとうにみんなの納得するやり方じゃないか。それを日自振なりあるいはどこかに給料を払って雇っておいてもいいのです。そういうことで選手をやめた人の将来の就職にもなる。同時にもう一つ私はそれにつけ加えて申し上げたいのですが、審判も、ほかの競技なんか見ますと、従来選手であった人たちが審判員になっているんですよ。水泳にしてもあるいは柔道にしてもその他の競技にしても、自分の体験を生かして審判員になっている。競輪だけは、選手の中からは審判というものはほとんどとっていないですね。ただ、しろうとに審判をやらしているのですね。こういう点も、選手の将来のいわゆる職業として、審判を選手の中からできるだけとるとか、あるいは先頭固定の要員を選手の中からとるとか、こういうことも大きな待遇改善の一翼になるのですが、こういう考えを持っているかどうか、これに対しても一つ通産省考え方を承りたい。
  83. 古澤長衞

    古澤説明員 ただいまの佐々木先生の先頭固定の問題、あるいは審判に老齢者の選手を活用するという点につきましては、先ほど局長が申し上げましたように、選手の福利厚生あるいは共済制度の改善というようなことも、いわゆる選手の待遇改善の一つ方法として十分研究して参りたいと思います。
  84. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 この選手の行動いかんによって競輪そのものの世の批判が起こるのですから、将来の選手の生活問題とか、今まで私が申し上げたそういう点については、この機会に十分考慮してもらいたい。今までですと、この法律は、交付金の問題で、時限法として、三年おき、三年おきにいろいろ検討されたのです。それが今回は一つの恒久法になるのですから、この機会に今までのこういう点を改めていかなければ、しょっちゅうこんな改正なんというものはできません。われわれといたしましても、こういうものにタッチしたところで票にも何にもならないのですが、一人くらいはそういう研究しておるのがいてもいいというような考え方で私は十数年間研究してきておるのですけれども、この機会に変な改正をやってまた選手の中に不満ができたり、あるいは新団体の中に不満ができたりすると、今まで以上の世の糾弾を受けることになりますから、せっかく改正したことが逆効果になるというようなことがあっては、政府の責任は非常に大きいと言わなければならぬのであります。  そこで選手の共済の問題もですが、私は今の選手会の行き方を決していいとは思っていない。むしろあの選手会というものに対してはあなた方が責任を持って、りっぱな団体に仕上げなくちゃならぬ。従来まで私が選手のことをいろいろ選手の代弁者として役所の方にお話しますと、選手会はなっていないから、選手会はなっていないからということを聞くのです。なっていないということそれ自体が役所の責任なんですから、どういう点が悪いか、役員が悪ければ役員を改選するとか、あるいは組織が悪かったら組織の改善をはかるとか、そういう点に対しては一つ熱意を持って、選手会のあり方が競輪の運命を決するものだということで一生懸命この改善をはかってもらいたいと思います。  話があっちへ行ったりこっちへ行ったりしますが、そこでもう一つ考えられますことは、今度できます特殊法人ですが、八カ所なり七カ所なりにブロックを作るとおっしゃっておりました。この特殊法人というものはやはり官僚統制のような形になるのですから、そうするとばらばらになるから、ブロックでは弱いのです。一般にああいう競技に携わる人は、役人の顔を見たらふるえておるような状態なんです。言いたいことも言えないというような現状であります。だから、こういうせっかくの団体が考えておることを役所に十分に反映し、上の方にどんどん考え方が上ってきて改善されるようにしなければいけないと思うのです。ただブロックだけを作ってそのまま置いておくのかどうか。競技のやり方にしても、運営の方法にいたしましても、できるならば全国統一されたようなことでなければ納得いかないと思うのです。この特殊法人を作るのはよろしいのです。しかし、全国的にいろいろな相談をしたり打ち合わせをしたりするような全国協議会というような任意的な横の連絡ですか、こういうものがあってもいいと思うのです。競馬法の今回の改正では協議会というものを認めておりますが、全国的なそういうものを任意に作ることを認めますか、認めませんか。ブロックだけの一つの団体にして、あとの連絡はさせないつもりですか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  85. 島田喜仁

    島田政府委員 まだ実は特殊法人ができておるわけではございませんから、今直ちに申し上げるのはどうかと思いますが、やはり特殊法人間の横の連絡をするような連絡会と申しますか、協議会と申しますか、そういうものについては考慮したいというふうに思います。
  86. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 ぜひそうして、できるだけ多くの人の意見が十分に役所に入って、しかもやっていることが各地ばらばらでないように、できるだけ統一されたような形に持っていくことが妥当でないか、私はこういうふうに考えるのであります。この交付金の内容等についていろいろ承りたいのですが、これはどうせあとで省令できまるのでございましょうから、今まで申し上げた私の点、十分お考えおきを願って、百パーセントみんな納得するというわけには参りますまいが、できるだけ不満のないような形をとっていただきたい、こう思うのであります。同時に日自振やその他の幹部たちにも、役所の方から十分言っていただきたいと思います。ほとんど競輪による収益で事業をしているにかかわらず、あの人たちの名刺や何かを見ると、競輪ということは一つも書いてないのです。競輪をやっていることは世の中に隠しておこう、隠しておこうというので、歴代の会長の名刺を見ても、自転車振興会自転車の産業の方にタッチしているように世間的に現わしているのですね。私は、法律できめてやる以上は、なぜ競輪の責任者だというような責任感を持たないかということをよく言うのでありますが、これからはこういうふうな改正を行なって、しかも新団体を作らせ、あるいはまた日自振の仕事もはっきりとさせた以上は、その人方に対して、十分競輪の運営に対して責任を感ずるような指導をやってもらわなければいけないと思います。  そこでもう一つ、今度は配分の関係でございますが、体育というものを今度入れました。体育というものが入りますと、当然目先に出ているのはオリンピックなんですね。オリンピックに対しての対策を講ずることは、いわゆる体育に対して効果的に使う金の使途を考えなくちゃならないのですが、御承知通り、日本でオリンピックをやっても、現在のような状態ですと、せっかくオリンピックは東京でやったが、日章旗は一本も上がらなかったというような結果になりますれば、国民のいわゆる日本人であるという考え方は非常に萎縮してくると思うのです。   〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕 私は、スポーツですから、どんなことがあっても勝てばいいんだというようなやぼなことは申しません。しかし、努力を払って練習をやって、せっかく体育という部面ができた以上は、その効果を上げるようにしなきゃいかぬ、こう思うのです。先般私が大阪に参りまして、水泳の高石勝男さんにお会いいたしまし七、日本では水泳とか体操とか、あるいは柔道とかレスリングとか、こういうような種目でなければ、日章旗は上がらぬと思う、一つ来たるべきオリンピックに対する水泳の、あと二年半のあなたの見通しを立ててもらいたい、お聞かせ願いたい、こういうことを質問いたしました。ところが高石さんのおっしゃるのは、現状のままでは一本も上がる確信はございません。こう言うのですね。どうしてだと言ったところが、今世界の中に伍してどうやらこうやら戦えるのは、二百メートルの山中君くらいだ。豪州は最近ちょっと落ちているが、アメリカが非常に強くなっているので、われわれとしては確信がないと言われる。そのままでオリンピックに臨むのかと質問したところが、いやそうじゃない、今中学生の中から全国で二百五十名、優秀な選手を一応見つけているんだ。しかし、この人たちがほんとうに日章旗を上げるというところまで指導していくには、日常の生活から、食糧から、寝起きまで考えてやらなきゃいけないんだ、やはり十分な合宿をさせなければ、十分な効果が上がらない、ことに日本人は握り飯を食って練習しているようでは、体力的に劣ってだめだ、そういう食糧の部面まで見るということになると、一年間に六千万円の費用が要ると言うのですね。もしそれが体協なりオリンピック委員なりによって認めてもらえるならば、われわれは相当の確信を持っているということの話を承ったのであります。たまたまそういうことを承りますと、私自体もそうかなと思うのでありますが、やはり徹底的な練習をさせなければ効果は上がらない。レスリングにいたしましても、私は北海道のレスリングの会長をしているのですが、御承知通り、今までオリンピックで日章旗を上げたのは、山形の笹原とかあるいは桂本とか池田とか浅井とか石井という、笹原を除いては、全部あれは北海道の増毛というところの出身なんです。一つの町なんです。そこは非常に熱心でして、食べものまで注意して練習さしている。そういうことになると、選手強化費用というものが相当な金額に上るわけなんです。これは政府でやる仕事じゃない、どこまでも民間の団体のオリンピックなんですから。しかし、東京オリンピックとはいいながら、これは日本オリンピックだと思うのです。従来も開催地の名前をただとるだけで、ローマ・オリンピックはやはりイタリア全体のオリンピック、あるいはベルリン・オリンピックはドイツ全体のオリンピックで、東京オリンピックといいましても、これは日本全体のオリンピックです。こういう点からいたしまして、選手強化費というものは、なかなか出ないのです。政府で見るというわけにはいかない。通路を作るとか施設をやるとかという点については、いろいろな方面の予算は取れますが、選手強化ということの予算は、やはり何かの形で見てやらなければならないのであります。そうすると、この金というものは、競輪で幸い体育ということをうたった以上は、このオリンピックに対して効果あらしめる資金を出してやるということが、体育に対する私は情熱だと思う。私の考えるのは、体育の部面から何%かオリンピックにやるのも、これはけっこうですよ。しかし、一年に三回なりあるいは五回なり、まあ日本全国でやれとはいわないけれども、東京とかあるいは大阪とか川崎とか、大きな競輪場あたりが、オリンピックのために特殊競輪をやることによって得た収入、これをオリンピックの選手強化の一部に充てるとかする。そうすることによって選手強化費用も出て参りましょうし、また競輪それ自体が、オリンピックに協力しているのだというPRもできましょうし、こういうことをお考えになっていられるかどうか。それともオリンピックに対して、私の考えの以外に、こういう方法考えているのだという案がありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思うのです。
  87. 森清

    ○森(清)政府委員 非常にりっぱな、うんちくを傾けていただきましてありがとうございました。実は体育関係というものがここに一つ入りますけれども、体育厚生関係で、御承知通り百分の一しか回っておりません。そこで、微々たるものでございましょうが、特にオリンピックということを目標に、これを強化のためにとなりますと、確かに競輪がそれに寄与するとすれば、あらためた観点から開催日をきめて特殊な競輪をやるというふうなことを考えなければならぬと思いますが、一つの案としてわれわれに検討さしていただきたいと思っています。
  88. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 百分の一ということは、昭和三十一年でしたか、附帯決議の中で、まああれは私が提案して、百分の一くらいは体育関係にも使ったらいいじゃないかということを申し上げたのです。それで、当然それはオリンピックということが予想されないときの百分の一なんですが、今現にオリンピックが行なわれるということになるならば、その百分の一からオリンピックの費用に取るということになりますと——他の団体、たとえばあるときは肺結核あるいはガン、あるいは消防とか、こういうようないわゆる公共福祉の関係に使うべきだという主張をして、百分の一という数字が出たのですが、その中からということになると、特別なオリンピックの考慮ということがなくなりますから、ぜひ一つこれば御考慮願いたい、こう思うのであります。オリンピックのことは考えていられるというのでありますから、これはこの程度にしておきますが、いずれにいたしましても、今回の改正それ自体は、われわれのまだ十分納得のいかない点がたくさんございます。しかし、承りますと、この内閣審議会の方の責任者でありました小平総務長官も二十七日に来るようでありまするし、あるいはまた会長さんも参考人として来るような予定になっておりますから、そのときもう一回一つ質問をさしていただくことにいたしまして、きょうはもう十二時も過ぎましたから、一応この程度にしておきます。
  89. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 次は中嶋英夫君。
  90. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 質問の前にお願いがあるのです。今佐々木さんから非常に造詣の深いお話があったわけですが、伺いますと、森さんもまだ競輪はごらんになっていない、局長もあまりよく知らない、おそらく通産大臣も見たことがないと言うだろうと思うのです。感心ばかりしていないで、一つ佐々木さんのお話を参考に、見に行ってやろう、見るのはトップ賞がどうこうとか、売店がどうこうとかいう前に、一番前列に行って、うしろを振り向いて、入場者の顔を見ていただきたい。どんな顔をしているか、どんなことよりもこれが一番大事です。普通は左から来たのを見る場合には首の関節が動くのですが、あのゴール寸前には、からだが硬直して回らなくなってくるのですよ。からだが倒れやしないかというような半狂乱の状態です。あの顔を見ていただきたい。これが必要やむを得ない社会悪だ、必要悪だといって見ることができるかどうかということ、これをまず競輪場へ行って見てきていただきたい。どんなことよりも先に、最前列からあの狂気じみた風貌を見ていただきたい、これをまずお願いします。  次に申し上げたいのは、森さんにしても、お立場があるから、お仲人を頼まれることがあると思うのです。私も若いときから頼まれることが多くて、十四組の仲人をしました。みんなうまくいっておりますが、そのうち一組がやむを得ないことですけれども、急性の病気でなくなって、一人の未亡人がおるのです。もう一組問題があるのです。それは、日本鋼管の大学出の優秀な技術者、その奥さんは日本鋼管で事務員をしておりましたけれども、美貌であり、ほんとうに結婚式のときのほめ言葉がぴったりというような、どう見ても円満な家庭を作るであろう、しあわせな家庭を作るであろう、こう思っておったところが、たまたまその花婿さんの弟さんが競輪に手を出して使い込みをして、これが発覚をした。その会社に対して、何とか私が後始末をしますから一つ表面に出さないでもらいたい、それでは依願退職にしてやろう、そのかわり使い込んだ金は兄が毎月の月給から三千円ずつ返していく、こういう取りきめをした。このことがいいか悪いかは別として、その三千円を初めは一生懸命弟のために払っておった。ところが一年たつと何かさびしくなってくる。ある日誘われて競輪場へ行った。その日たまたま俗にいう穴が当たった。毎月三千円返す、女房にもつらい思いをさせておるから、もう二、三べん当てればそういう悩みをこれから三年、四年の間にさせなくてもいいというので、このことが高じて、ついには弟以上の、友人のカメラを借りては質に入れるようになった。私は何べんも忠告に参りました。ついには家財道具全部に赤札を張られる、債権者会議も何べんかしました。注意するとよくわかるのです。済みませんと言うが、最近花火はやめましたけれども、花火がポンポンと上がると、夢遊病みたいになって自分が競輪場に立っておるという。私は川崎に住んでおりますけれども、あの辺で使い込みをしたとか、将来有為の技術屋がだめになっていくというその原因は、全部競輪です。この実態をふんまえて問題を審議していただきたいと思うのです。今いろいろ御激励や御鞭撻もあり、また非常に示唆に富んだお話を承って私も勉強になりましたけれども、結局いろいろなことを考え、いろいろなことをやっておるが、それは競輪なりあるいはオート・レースなどを存続するための巧妙なコースの中に私どもは今審議をしておるという感じを払い去ることができないのです。たとえば体育関係に益金を回してやる、何を反対しそうなのを押えていく、悪いことをしておるんだから、反対されるのはきまっておる、その反対の勢力を弱めるために益金をあの団体に、今度はオリンピックのために、あるいは何々に、これはやはり存続するためのコースを進めるための巧妙さである、こうしか私は理解できないわけです。こういう点について、私はあとで田中委員からもよく承っておきたいと思うのでありますが、こういうことから私はまず仮面を全部なくしていきたい。  それはギャンブルは必要か必要でないかということですが、私は自転車競技賛成です、小型自動車競技も賛成です。その選手の敢闘に対して心から賞賛を贈る。それはけっこうなことです。しかし、それがギャンブルに利用されることに反対する。先ほど小林委員からの質問に対して森さんからお話があったのは、アヘンの場合は害がある、しかし酒、たばこは、未成年はともかく、みんな認めておる、アヘンは認めない、こういうお話があった。問題はここにあると思うのです。森さんの最も親しい友人に対して、今度健全化したからあなた大いに競輪をやってみたらどうかということを勧められるかどうかということが、私はポイントだと思うのです。どうだ、君ゴルフやらないかとよく言います。一緒に山に行かぬかと言います。お酒の場合もそうです。お酒は確かに害があるといっても、ついもう一ぱい、こう言います。森さんの子供さんに、もう一ぱい飲めよといっても、これはお父さんにしかられるということはないかもしれないが、どうだい、もう一ぺん競輪に行かないかと勧められるかどうかということです。健全であるか健全でないかの境は、ここにあると思うのです。他人がやっておるからいいんだ、自分がやっておるからいいんだということ、しかし、責任ある立場から、自分の子供なり自分の親しい友人の子供に勧めることができるかどうかで線を引いたらいいと思う。私どもも、飲み過ぎたかな、あばれ過ぎたかなと思うことがあります。しかし、そのときに自分が反省しさえすれば、他人も大いに飲みたまえ、こうはいかぬ。こういう点から、今回の御提案の御趣旨にある、弊害を除去して健全化をはかるという、どういうことで健全化をはからんとするのか、私の見た限りでは、どこにも健全化の方向や保障がない。いや、中嶋君、この点とこの点は明らかに競輪あるいは小型自動車競技を健全化したんだということがあったら、それをまずお知らせいただきたい。
  91. 森清

    ○森(清)政府委員 私は、実は競輪競馬も一ぺんもやったことがないのであります。それは、まだ幼少のころに、私のおやじが——当時はもちろん競輪はありませんでしたが、競馬はやってはならないということを言われたからでありまして、それが頭の中にこびりついて、今でも全然やっておりません。しかし、おやじがどうして競馬をやってはならないと言ったかといいますと、当時私の親類に大きく栄えておった肉屋がありまして、その肉屋のおやじが非常に競馬にこって家財を蕩尽してしまったという実例があったからであります。当時その肉屋に限らず、競馬ですって家財を蕩尽し、人生を破滅に導いてしまったという人は間々ありました。ところが最近は競馬でそういうようなことがあるということは、私寡聞にしてあまり聞いておりません。これは、競馬というものが、私の知れる限りにおいても、三十年、四十年の歴史を経て今日の状況になったのであります。競輪にいたしましても、戦災復興という看板を掲げてここに誕生しまして以来、いろいろの批判はございましたけれども、ともかくこれが全然社会に貢献がなかったかというと、私は、関連尾翼あるいは福利厚生の面である程度利益するところもあったのじゃないかと思います。だからといって、これは先ほど来るる申し上げております通りに、決して私どもが奨励しておるわけではございません。何とかしてその利益のみにとどまらして、あと被害のあるものは極力とれを是正して、りっぱなものにしていきたい、こういうふうに考えて、今日出しましたものは、先ほど佐々木さんの御質問の中にもありましたように、これは私もよく知りませんでございましたけれども、いわゆる端数の切り捨てが三十五年度においても四億九千万もあったというようなこと、もっと最近はふえているでしょう、こうしたものを場内の整備に使ったり、環境の衛生に使ったり、あるいはまた厚生福利の関係に使ったり、あるいはスポーツ関係、こういうふうなものに使って、有効に使ってもらいたい。と同時に、たとえば現在では競輪開催日というものは、のべつまくなしにございます。競馬の方はいち早く規制してございますが、そうしたことで、日曜、祭日あるいは土曜日等に制限をして、年じゅうこれに没頭している人のないようにしたいというふうなことで、いろいろ規制をやって、りっぱなものにしていきたいというふうに考えておるのであります。  重ねて申し上げますが、これは決してほむべきことでない、これは国として大いに奨励すべきものでないということはわかっておりますが、ともかく、だからといって過去を振り返ってみて、競輪が全くすべてこれは悪いことだらけであったというふうには、私ども考えておらないわけであります。そういう観点から、今日、先ほど佐々木さんがあえて四つの事柄をあげて、改正点はそこかというふうに念を押されましたが、その通りでありまして、少なくとも今日より四つの問題を改正することによってよくなることは間違いないことだと私は考えておるわけであります。
  92. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 過去において利点もあった。確かに自転車振興といいながら、実際は戦災地復興という趣旨で当時大方の理解なり、了解なり、あるいは反対だけれども激しい反対にいかなかったというものにささえられてきたと思うのです。東京から車で箱根に行くとします。まず川崎、それから平塚、小田原、あの県下で一番先に復興したのはこの町並みが一番早く復興した、これは私も認めます。それがもう終わっているのです。実際は戦災地でないところの方がむしろ斜陽都市化しているという、そういう傾向がある。この点をもし何歩か譲って、森さんのおっしゃるような観点に立ったとするならば、それはもう終わったということです。そういう役割は終わったということです。残るのは弊害。戦災地復興の役割を終わったとしても、先ほど来から多種多様の益金の配分をしておる。しかし、その配分しているというのは、競輪から利益があるからなんです。いわゆるテラ銭があるからなんです。だれか泣く者があるからなんです。だから泣く者をなくする。そして一方では喜ぶ者を作るということは、絶対にこれは合一点がないのです。一方で効果を上げるというときには、一方で泣く者がなければ絶対に効果がない。みんな喜んで帰るときには益金が出ませんから、益金が出なければ、その利点というものはあり得ない。ですから、言葉の上では、弊害をなくして健全化して、利点だけは残すのだといっても、それは絶対にできないことじゃないですか。それは可能でしょうか。私は不可能だと思うのですが、可能だというならば、私はこの御提案の趣旨弊害がほんとになくなるのか、あるいは健全化するのかというところに力点を置いて、御質問をして参りたいと思います。その点可能か可能でないかをまず第一に伺いたい。
  93. 森清

    ○森(清)政府委員 一足飛びに完全なものができるとは思っておりません。思いませんけれども先ほど競馬の例にもたとえましたように、幸いにも最近では競馬でもって家業が例産したとかいうふうな例は非常に少なくなっておると思います。これはやはり長い経過を経て、競馬が一応大衆娯楽としてやや健全な歩み方をしているのじゃないかと思いますが、それと同じように、競輪の場合でも、確かに仰せのごとく戦災復興は終わりました。終わりましたけれども、しかし、それと新たに大きな問題になっておるのは、これによって地方財政が潤っておるとか、あるいはまた福利厚生関係のものに有効に使われておるとかいう利点もあるのでありまして、そういう利点までないがしろにして、これを抹殺してしまうという考え方は、いささか性急に過ぎるのではないか。私ども競輪弊害を逐次除去していく。完全だとは思いません。法律改正されたからといって完全だとは思いませんが、逐次これによって是正していきたいというふうに思っておるのであります。
  94. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 私が伺ったのは、弊害を除去していくというのでしょう。それで、弊害を除去し切ったときは、利点がなくなるでしょう。どうなんですか。弊害は除去できるが、益金は十分にあって、各般の事業にこれを配分して喜んでもらえるという利点を残すことはできないでしょう。それができるかできないかを伺っておるのです。それは何も一日でなくてもいいのです。十年でもいい。百年たっても私はできないと思うのです。その努力が最後に実を結ぶ可能性のあるものなら、私は御提案の趣旨を尊重して審議に入りますが、百年たっても二百年たってもこれは絶対に相反するものですから、一致点はないと思うのです。あなたの努力は実を結ぶときのない道に入ろうとしておる。継続しようとしておる。
  95. 森清

    ○森(清)政府委員 それは私も完全なものとは考えません。考えませんけれども、ある時期においては、りっぱな指導をしていくことによって、利点の方が多くなる場合があり得ると思うのです。いかがでしょうか。
  96. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 利点というのはどういうものですか。人間が本来持っておる射幸心を満足させるという利点なのか。先ほど来お話があったように、各産業に寄与する点が多かった、社会事業に寄与する点が多かった、体育に寄与する点が多かった、こういう利点をお話になっておるのですが、その話は私は後者だと思うのです。この利点というのは、益金があるからできるのです。その益金というのは、損をする者がなければ益金はないのです。あの競輪場の上からお札でも降ってくるなら別ですよ。この点はないと思うのです。しかし、お立場で今ここでないということも、次の発展があってどうも困るというならやめますけれども、どうなんですか、その点は。
  97. 森清

    ○森(清)政府委員 極端な言い方かわかりませんけれども、たとえば何のレクリエーションをわれわれが日曜日にやるにしても、たとえばドライブするといってもガソリン代もかかりますし、それからかりに映画を見るのだって映画の観覧料が要ります。そういう点で金を使ったからといって、そのことによってガソリン屋がもうかる、自動車屋がもうかる、あるいは芝居小屋がもうかるからといって、それはけしからぬということにはならないと私は思うのです。そういう意味で、理想的にいえば、そうした健全さが求められるようになればいいと思いますが、ただしこれはなかなか言うべくして行ないがたいことはよくわかります。ですから、ステップ・バイ・ステップで、少しずつ欠点を直していきたいというのがわれわれの悲願でございます。
  98. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 よくレクリエーションが対象になるのですよ。私は、去年、婦人団体の方々が競輪反対をやっておるけれども、見たことがないから案内しろというので、後楽園へ案内して行ったのです。当日NHKの秋山ちえ子さんも見えて録音をしておりましたが、そうしたら競輪団体の人が見えておりまして、競輪大衆娯楽だ、何で大衆から娯楽を奪うのか、ゴルフがよくて競輪が悪いとは何ということかとえらい演説があったのですよ。私が質問したのは、先ほど森さんに質問したことなんですが、これが勧められるかということなんです。自分の子供なり、あるいは自分の親戚の子供なりに、映画であれば、あの映画を一回見てこい、これは勧められます。ドライブはそれは気をつけろとは言いますけれども、誰もドライブに行くときにガソリン代がもったいないからやめろとは言わない。親の方としては、危険だから、あやまちのないようにと言って注意して出しておる。競輪が勧められるかということなんです。あの競輪をごらんになれば、とても自分の子供には勧められない。自分の友人にも勧められない。そこに私はけじめをつけたらいいと思う。私は、どこまではいいのだ、どこまでは悪いのだ、レクリエーションは全部悪いとは言いません、しかし線の引きようがあると思うのです。たとえば、パチンコというのがありますね。パチンコは幾ら開店から最後までおったって、どんなにすったって、一日に二千円する人はいませんよ。競輪の場合は幾らでもすりますからね。それから競馬の場合はそういう人がなくなったとおっしゃいますけれども、たいていそういう私の見ている落後していく人々は、競輪競馬両方やりますね、どういうわけか。競輪で損した分を競馬でもうけたい。人間を狂気にするということですよ。この点を第一に考えて、一つこの法案はこれからまだ審議まで日があるわけですから、一ぺん近く競輪場にいらっして、先ほど私が冒頭にお願いしたことをしていただいて、それからまた質疑をいたしたいと思います。  それからたしか一昨年、三十五年でしたか、やはり競輪の問題で、先ほど質問された小林さんのなき夫君が中心になって公聴会などが行なわれた。その場合に、主催者側であり施行者であるととろの人々がお見えになって、質疑をやった。そのときに、平塚の戸川市長さんは、何とかあと三年だけやらして下さい、こう言いました。それから川崎の金刺市長さんは、これからは悪いと思っています、やめたいと思っていますが、実は継続事業を下水、排水関係で持っているんだ、何とかあと三年だけ一つやらして下さい。こうお話があったんですから、そういう人々がそう言ったのからもう二年以上たっています。私はもうそろそろ審議会が時間をかけて、市政的配慮で、そういう実際に競輪をやっておる方々があと三年どうぞお願いしますというのを、政治的にくんでやって、すぐに一二年というのはあれだから大体もう二年たったから、法案が通って当然ここで行なわれなきゃならぬのだが、従業員、選手その他の方途を考えてやらなきゃならぬ問題がある。ここで社会党の言うごとく廃止しても、あすからというわけにはいかぬ、その辺を見込んで出していただけるんで、答申がおそいのだろうと思って、期待して待っておった。そうしたら今度のは存続で、しかも期限もない。こういうことは、今の答弁から言うと、一歩々々実ることのない道を歩もうとしておる、こういうことになると思うのです。私は社会党の廃止法案の立場から言って、期限があればいいと申し上げるのじゃございませんけれども、何歩かを譲って、期限のことについて、通産省当局としては全然お考えにならなかったのかどうか、特に先ほど来設備の改善のお話があって、局長から大いにやりましょうというお話があったのですが、必ず設備の改善は恒久化の道です。そういうことから言うと、競輪の存続ということは、もう今回をもって一切考えない、あるのは、ただできるかできないかわからないけれども、気持だけはわかっっていただきたい、弊害はなくしたい、この道だけだというふうに理解していいものかどうか、この点をお伺いしたい。
  99. 森清

    ○森(清)政府委員 期限をつけたがいいか悪いかという問題は、ずいぶん論議をいたしました。ただ、非常に大きな問題は、先ほど佐々木さんの御質問の中にもあったのですが、いずれにしても今回は継続をすることになりますと、競輪を存続する以上は、競輪弊害をなくさなければならぬ。なくすとなると、まず問題になるのは設備でございます。そこで期限をつけますと、従来もそうであったのですが、なかなかこの設備に金をかけない、りっぱなものにしないというふうな問題もありまして、とりあえず私どもとしては慎重審議いたしました結果、期限を付さないことになったわけでございまして、何とかして弊害を除去していきたいということが念頭にあったものでありますから、逆にそういうふうにしたわけであります。
  100. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 存廃についての検討は今後あり得ないということですね。
  101. 森清

    ○森(清)政府委員 これはとりあえず私どもとしては、存廃の廃の方は考えておりませんけれども、しかし、ある時期が来て、いわゆるここに看板としてうたってありますところの関連産業助成あるいは厚生福利あるいはスポーツ、地方経済というようなものが一応愁眉を開けるような段階になったならば、そのときには私はやめるべきが当然だと思うのであります。ただ、そう言っても、なかなかいわゆる既得権利というもの、一ぺん幾らかの金が入ると、それによって地方、たとえばどの分野にいたしましても、それでいろいろの計画をしておりますから、急速にこれを切るということはできません。そういうようなことでなかなか苦慮するところでありますが、いずれにしましても、今日廃止ということを私どもとしては考えてございませんけれども、しかし、ある期時が来れば、私はやめる時期が来るのではないかというふうに考えます。
  102. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 ある時期というものは、いろいろな関連産業の状態が好転した場合、それは競輪でなければ好転できないものか。政府に産業政策あり、経済政策あり、これがあくまで主眼であるべきだと思うのです。極端に言うと、競輪を存続したい場合、国家の予算をその方に回さない、めんどうを見ない、まだ困っておるのでありますから。こうなると、競輪存在が産業の発達を阻害する場合すらあると思う。こういう重大なことを森さんから承ったわけですけれども言葉は別として、廃止考える機会がないような政府考えのときに、社会党として御提出廃止法案説明者として田中さんから御意見があると思うのです。その点を伺いたいと思います。
  103. 田中武夫

    田中(武)議員 お答弁いたします。今中嶋委員が言われたことと同じ考えのもとに廃止案を出したわけです。今、森政務次官が御答弁せられましたように、現在政府廃止考えていない。従って、これが恒久化した場合には、これを廃止するという機会はないと思うのです。そこでこの改正に合わせてわれわれの廃止法案を出した。なぜ出したかということは、中嶋さんの質問のお気持に合っておると思うのですが、簡単に申し上げますならば、大体この自転車競技法その他二法はあくまでも戦災復興というようなことが主たる眼目であって、その体系を見ましても、臨時立法であります。従って、すでに廃止さるべきものであったのが、まだ存続せられておる。従って、おそきに失するのではないかと思うわけであります。さらに社会悪の問題については、これは言うまでもありません。  もう一つ、益したではないか、こういう御意見がありますが、それらの点は、たとえば関連産業の寄与とか地方財政に対する云々というようなことは、すべて国または地方団体のやるべき問題であります。従って、先ほどおっしゃいましたように、これがなければ、当然一般予算で産業振興の立場から関連産業振興費等は考えるべきでありましょう。またこれがなくても、地方自治体といたしましては、橋もかけ、学校も作らねばならない。それに対して一番安易な、しかもギャンブルというようなものにこれをたよっている行政のあり方に対して、われわれは大きな批判とその改正を求めているところであります。  ただ、直ちに廃止が望ましいのでありますが、そうした場合は、この競輪に従事している人たち、あるいは選手あるいはまた突然廃止されることによって、先ほど二年前の参考人の話がありましたが、継続事業等の問題もある。こういうことから、実は一カ年の余裕を置いているわけです。その一ヵ年の間にそれらのことはやれるじゃないか。先ほどの平塚あるいは神奈川市長の参考意見をそのままにしても、もうすでに二年たっているから、一年たてばいいじゃないか、こういうような点から、いろいろと廃止に伴う措置等もあわせ行なうことを考えまして、一カ年という間に清算競輪と申しますか、そういうことだけはやむを得ず認めるということで、この廃止法が施行されてから一年後に現実に廃止するのだ、こういう法案を提出しておるわけであります。
  104. 島田喜仁

    島田政府委員 私からちょっと競輪の今後の改正考え方を申し上げまして、御批判をいただきたいと思います。先ほど来、政務次官から、競輪が過去発生いたしましてから地方財政の復興その他最近に至りますまでの関連産業の復興、あるいは特別競輪において福利厚生に使われている役割についてのお話がありましたが、先ほど小林先生からの御質問に対してお答え申し上げましたように、競輪なるもののギャンブル性、これは認めざるを得ないと思いますが、ただ私どもの三十五年の競輪審議会におきまして存廃論が出たときに、文化人、評論家の多数意見としまして、もしギャンブル性を少なくしていろいろな競輪実施の際に起こる弊害を除去いたすことができるならば、やはり競輪というものは大衆娯楽として健全に運営される余地が残っているじゃないか、もしかりにそう考えた場合には、公開の場で競輪なるものが運営される方が、むしろ非公開の場において賭博その他が行なわれるよりもいいんじゃないかという実は積極意見であったわけであります。今度の答申の際にも、ただいまいろいろな競輪によって生まれてきた益金の使い方等によって利益した面があるというほかに、やはり同じ問題が出ておりまして、競輪が公開の場で大衆娯楽として果たす役割も見のがすことができない、だから弊害を除去して競輪が行なわれるとすれば、非公開の場、言いかえればやみで賭博その他のギャンブルが行なわれるところに追いやる面があるのだから、やはり競輪は存続するんだという面が実は出ておるわけであります。そこで先ほど中嶋先生からお話のあった面は、要するに競輪なるものがギャンブル性を全然なくしてしまった場合には成り立たぬじゃないかという御意見であったろうと思います。確かに競輪というものがスポーツだけでなしに、射幸性というものをあわせて持っておりますが、そこでその射幸性をできるだけ少なくすることによって、大穴を当てるというようなことのない方法弊害が除去されて、大衆娯楽として社会的にも存続が認められるような方法はないかというのが、実は私ども考えている一つ問題点であります。そこにやはり考え方の多少ニュアンスがあるのではないか、なおいろいろな財政面からする問題点も実はあるかと思いますが、そういう弊害をもしかりにできるだけ除去して参りまして、なおかつ世論といたしまして競輪は絶対にやめるべきであるということになりました場合には、恒久法でありましても、そのときには廃止という問題になると思います。ただもしそういう前提に立ちまして、利益面とあわせて大衆娯楽として弊害を除去される、——先ほどお話がありました家庭悲劇等はまことに遺憾でございます。そういう悲劇が起こらないように、競輪というものの健全性について私どもは努力して参るという考え方でございますが、直接的に社会的な家庭的な悲劇の起こる根源を是正するのは、実はこの競輪法律ではどうすることもできませんが、少なくともそういうことによって起こる弊害を除去しようという観点に立って参りますというと、先ほど競技関係実施いたします社団法人の特殊法人への切りかえをして参らなければならぬ。それから設備の改善もしていかなければならない、あるいはその他法案に盛られておりますような制度改正をいたしますことを前提にいたしますならば、期限をつけて、それまでの間に、今のような改善策を講ずるということでは、改善策が実効を期せられませんので、従って、この法案といたしましては恒久立法という形で提案をいたした次第であります。
  105. 田中武夫

    田中(武)議員 先ほどの中嶋委員の御質問に対し、補足を申し上げたいと思うのです。それは、ただいま局長が述べました問題でございますが、これをなくすれば暗いところでこそこそと賭博をやるんじゃないか、それよりはむしろ白日のもとで堂々とやる方がいいじゃないか、こういうのが存続論者の一つの大きなとりでといいますか、議論の論点になっております。そこで、人間は生まれながらにしてギャンブルを好むか好まないか、こういうことは哲学的には別といたしまして、そういう論法はかつてわれわれが売春防止法を審議したときに、この法案に反対する人の意見も同じような論法であったと思うのであります。われわれがここで問題としなければならないことは、人生はギャンブルを好むから、どうやってもギャンブルはあるんだ、ばくちはやるんだ、だからということでなくして、そのギャンブル法律の保護によって、しかも公共団体の施行者のもとにおいてやられること、このことをわれわれは考えねばならない。ことにわれわれは国会議員としてそのことを保護する、その違法性を脱却するための法律を今審議しようとしておるわけです。そのこと自体が法によって保護せられる。本来ならばばくちであること、刑法において刑罰を受けることが、われわれが審議した、そして国会が認めた法律によって保護せられる、こういう点についてわれわれはもっと考えなければならないのではないか、このように思います。
  106. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 今局長からお話があったのですけれども大衆娯楽が現下日本で非常に乏しいときなのか、あるいはある意味ではんらんしているときなのか、どちらだと思いますか、それをまず伺います。大衆娯楽というものが現下日本では非常に乏しい、ない、飢えているというときなのか、よくおとなの方が子供に向かって言いますね。私たち小さいときはテレビもなかった、映画なんていうのはお祭りのときしか見なかった、僕らもよく言うのですけれども、もちろん少ないことがいいんじゃないですけれども、現下の日本というのは大衆娯楽が欠乏しているときなのか、あるいははんらんしているときなのか、どっちと考えますか、それを伺います。
  107. 島田喜仁

    島田政府委員 層に上っても違うかと思いますが、全般的に見れば、大衆娯楽は相当ふえていると思います。
  108. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 それからもう一つ伺っておきたいのは、公開されて罰せられない賭博と、過去において非公開でこそこそやった花札賭博とかさいころ賭博、しかもつかまれば罰せられる、そういう場合、そのギャンブルに参加する人の数というものは、同じくらいでしょうか。相当の差があるか非常な差があるか、それを伺います。ギャンブルの機会を持つ人の数、人口。
  109. 島田喜仁

    島田政府委員 どうもどの程度ギャンブルをやっているのか私ども知りませんが、まあ要するに、この答申考え方に沿いますと、やはり大衆の面前でやるギャンブルというのは、できるだけ射幸性を少なくして、これは要するにスポーツと射幸性との兼ね合わせになると思いますが、世論の批判の前でやるわけですから、射幸性というのはだんだん少なくなっていく、こういう前提に立って判断をしていくべきものと思います。
  110. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 いや、伺っているのは、ギャンブルに参加する人の数がどのくらい違うか、多いか少ないかということを聞いているのですよ。要するに、戦前の、つかまれば賭博犯、賭博行為で刑罰を受ける、そういう中で行なわれるばくちがあったでしょう。競輪が行なわれると、そういうものをする者がなくなるという論拠なんですね。競輪をやめると、またそういうものがはやってくる、こういう論拠なんですけれども、あなたは、答申というか、自分は知らないけれども、えらい人はこう言っていますという話をするのですけれども、全然参加人員が違う。その参加人員が違うと思うか思わぬかということを聞いているのですよ。それを答弁して下さい。
  111. 島田喜仁

    島田政府委員 非常に少なくなっていきます。
  112. 中嶋英夫

    ○中嶋委員 そうすると、先ほどもあなたは、自分は知らぬけれども審議会ではこうおっしゃっていますというものが、もうくずれているのですよ。ですから、一つ、少なくとも今後存続というか、恒久の道を歩まんとしているならば、競輪場に行ってみて、よくそういうことを自分で確かめて、それから提案をするものだ思うのです。それから答弁をするものだと思うのですよ。勉強、不勉強という問題ではなくして、大きなあやまちを残す、禍根を残してはいかぬということです。あなたの子孫のためにも、お互いの子孫のためにも禍根を残しちゃいかぬ。今これは永久に続くという段階ですから、もう一ぺん勉強し直す、研究し直して、それから審議したらいいと思うのです。委員長、少なくとも提案者が、競輪を見たことがない、競輪場の刺激というものをあまり知らぬ、背は競馬の場合はひどかったけれども、このごろはないようだという、ようだぐらいで提案されたのでは、商工委員会としては、これは審議をまつ正面から取っ組んではならないと思うので、委員長並びに理事諸君のお計らいで、一応この審議について取り扱いをもっとまつ正面から取り組むような——提案者の方がまっ正面にならぬので、われわれがまっ正面になっては、これはずれる一方ですから、お互いにまっ正面から取り組むような御配慮をお願いして、あらためて質疑をしたいと思います。      ————◇—————
  113. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 この際、参考人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の、内閣提出自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案田中武夫君外十一名提出自転車競技法等廃止する法律案及び競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案、並びに、内閣提出、石油業法案について、それぞれ参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、それぞれの参考人の出頭日時、人選等につきましても、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 中村幸八

    ○中村(幸)委員長代理 御異議なしと認めます。まって、さように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会