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1962-03-06 第40回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       海部 俊樹君    神田  博君       齋藤 憲三君    首藤 新八君       白浜 仁吉君    田中 龍夫君       中垣 國男君    中川 俊思君       原田  憲君    南  好雄君       村上  勇君    岡田 利春君       久保田 豊君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    西村 力弥君       中村 重光君    山口シヅエ君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月二日  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一〇号)(予) 同月五日  商店街振興法制定に関する請願佐伯宗義君紹  介)(第一七四八号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二二八〇号)  電話加入権質による零細企業者育成資金として  商工組合中央金庫等に特別融資わく設定請願  (小川半次紹介)(第一七四九号)  同(首藤新八紹介)(第一八五一号)  同(正力松太郎紹介)(第一九一六号)  同外一件(辻寛一紹介)(第一九六四号)  同(海部俊樹紹介)(第二二七四号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二二七五号)  中小企業基本法制定促進に関する請願田中榮  一君紹介)(第一九六三号)  同(井原岸高紹介)(第二〇六二号)  同(飯塚定輔紹介)(第二〇六三号)  同(小笠公韶君紹介)(第二〇六四号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第二〇六五号)  同(首藤新八紹介)(第二〇六六号)  同(木村守江紹介)(第二二七六号)  同(田中榮一紹介)(第二二七七号)  同外二件(中村幸八君紹介)(第二二七八号)  同(牧野寛索紹介)(第二二七九号)  国土調査法に基づく倉吉市の地籍調査特定計画  地域指定に関する請願足鹿覺紹介)(第二  〇七〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二日  小規模事業対策予算増額に関する陳情書  (第四四三号)  同(第四四四号)  工業用地造成事業費国庫補助に関する陳情書  (第四四五号)  米国向輸出綿製品に対する賦課金設定反対に関  する陳情書(第四四  六号)  同外二十三件  (第四四七号)  九州地方総合開発促進に関する陳情書  (第四五二号)  日朝貿易正常化に関する陳情書  (第四七二号)  同(第五九二号)  公共料金等物価値上げ抑制に関する陳情書  (第四七三号)  天然ガス及び石油資源第二次五箇年計画の樹立  に関する陳情書  (第四七四号)  同(第四七五  号)  同(第四七六号)  金属鉱産物価格安定臨時措置法案及び金属鉱物  資源開発助成法案成立促進に関する陳情書  (第四七  八号)  同(  第五二一号)  中小企業基本対策確立等に関する陳情書  (第五二〇号)  公害の総合的防止対策確立に関する陳情書  (第五五三号)  同(第五五  四号)  公共料金等物価値上げ抑制に関する陳情書  (第五五五号)  後進地域格差是正に関する陳情書  (第五八九号)  九州地域開発促進のための公共投資増大に関す  る陳情書(第五  九〇号)  商店街振興法早期制定に関する陳情書  (第五九一号)  新産業都市建設促進法案成立促進に関する陳  情書(第五九三  号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  国民生活研究所法案内閣提出第八一号)      ――――◇―――――
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国民生活研究所法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 国民生活研究所法案について質問をいたしたいと思いますが、まず第一に、国民生活研究所前身である社団法人国民生活研究協会が三十四年に生まれて、それが三十六年に社団法人国民生活研究所と改称になり、そして今回特殊法人国民生活研究所というふうに改正しようというのがこの法律案のねらいなんですが、社団法人国民生活研究協会から国民生活研究所にかわり、今回特殊法人になぜかわるのか、この経過を一つ説明願いたいと思います。
  4. 中野正一

    中野(正)政府委員 今先生から御指摘がありましたように、今回特殊法人国民生活研究所として新たに法律によって特殊法人研究所を作ろうといたしたわけでありますが、その前身は昨年の九月にできました社団法人国民生活研究所でございます。その前に、その前身国民生活研究協会というものがあったわけでございます。  従来ありました研究協会なりあるいは社団法人研究所も大体今度われわれが特殊法人として発足させようとしておりますものとほぼ同じような仕事をしたいということで発足をしたわけでございますが、国民生活研究所事業、業務は、ここにも書いてございますように、国民生活動向なり実態に関する総合的な基礎的な調査をやる、あるいはその成果を普及する、あるいはそういうことに関連した資料を収集するというような事業をやりますので、民間団体として発足したわけでありますが、実は一つには財政的にやはり基礎が固まりにくい。といいますのは、非常に特定業界利益にそういうものが合致するというような性格でございませんので、すなわち前に法律案趣旨説明のときに御説明してありますように、国民生活向上のための基礎的な調査資料を提供しよう、そうしてこれを政府消費者行政基礎的な材料にしようということが一つと、それから一般国民生活といいますか、消費者にとってもやはり合理的な消費生活をやる上の一つ参考にもなる。同時に、御承知のように最近は個人の消費指数相当伸びて参りまして、その動向いかんによって、各企業といいますか、産業界といいますか、そういうものも、消費生活というものがどういうふうに変動していくか、それに応じてやはり産業の形態なり構造なりというものを考えていかなければならぬ。従ってその意味では非常に参考になるわけでありますが、やる仕事業界利益というものは非常に間接的、迂遠な関係にあるようなことになりますので、どうしても資金的に基礎がはっきりしないということで、やはりこういうものは、この前も参考人の方々がお述べになっておられるように、民間のこういう一部の利益というようなものから独立し、あるいは国の行政というようなものからも一応独立をした公正、中立な研究機関調査機関でなければいかぬじゃないか、またそういうものを要望する声が、今言ったように長岡方面からも、あるいは政府筋でもそういうものは賛同したわけでありますが、主として民間の方から、これを改組して拡充をする——今言ったような財政的基礎を確立する、それから事務的にもその内容を充実すべきじゃないか、こういう議論がはからずも一致して各方面から起こって参りまして、そういうことで昨年の夏、秋にかけましてそういう議論が非常に強くなって、政府の方でもそういうことであれば相当応援できるんじゃないかということで、昨年の九月には実はわれわれの経済企画庁といたしまして、政府としても出資金を二億ぐらいは一つ応援しようじゃないか、こういうことが政府というか経済企画庁の方針としてきまったものだから、そういうことであれば、これは特殊法人に移行することも頭の中に入れながら、民間の方にも広く呼びかけて、前の国民生活研究協会というものは基礎が非常に貧弱でございましたので、それでは民間の方からも一億円程度の金は集められるんじゃないか、しかし政府の方としても応援してもらいたいということを大体頭に置きながら、実は改組いたしました。その前には、前の経済企画庁長官をしておられました菅野先生会長をしていろいろとめんどうを見られたのでありますが、どうしてもやはりうまくいかないということで、今度は会長にも松隈秀雄さん、それから所長には、この間参考人としてお見えになったこの前の慶応義塾塾長奥井復太郎さんが就任されて改組をしたということでございまして、あくまでこれは政府の方がこういうふうにせよというようなことを言ったのではなくて、やはり民間研究所自体あるいはそれに対する民間方面要望というものが期せずしてそこに一つの力になって現わわれてきた。そこで政府としてもそういうことであれば応援していいじゃないかということを企画庁の方できめまして、予算を取るのにはだいぶ長官以下苦労をされたのでありますが、大蔵省方面ではこういうような新しい特殊法人は認めないということで出資最後までもめ続けたのでありますけれども、最後の閣議においてとにかく一億円の出資を認めようということになりましたものですから、これであればもうこの際思い切って特殊法人にして、そのかわり監督相当徹底的にやるということの方がいいのじゃないかということで、寝は今度法律案を出しまして、御審議をお願いしておる次第であります。
  5. 板川正吾

    板川委員 三十六年度に経済企画庁で一千万の予算を確保したときに、経済企画庁としてはそれを機会に国民生活に関する研究所政府機関として設けたい、こういうふうな意向であったわけです。ところが、そのときはこのような研究所機関民間に置くべきだ、こういうようなことで反対があって、そこで社団法人国民生活研究所、こういうものが発足になったというわけです。ところが、今度はそれを民間に置くべきだというのじゃなくて、特殊法人へ改組するということですね。だから、昨年、一年前のときにはそれを民間に置くべきだという議論が強くて、今度特殊法人になるのだ、こういうふうに変わった経緯はどういう理由からですか。民間に置かなければいけないというのが大勢として去年までの意見だったでしょう。ことしは特殊法人にするのだ、こういうのじゃ、去年反対した理由と、ことしと逆な方向になるのじゃないか。これまで、去年反対して、民間に置くべきだといった反対意見が、そういう主張が変わったのかどうか、その点お伺いいたします。
  6. 中野正一

    中野(正)政府委員 実は、これはそういうことでなくて、この種の研究機関政府機関としてやることは、どうも今までのいろいろなほかのそういう同種の機関等のあれを見ましても、なかなかうまくいかないのじゃないかということで、実は三十六年度の予算を作るときに、御承知の約一千万円の、企画庁としては消費者行政に資するためのいろいろな資料が不足であるから、これをいろいろ民間委託をして、研究してもらおうということで、実は予算を三十六年度から取って、本年度も大体同額取っておるわけです。そのときにいろいろ議論はあったのですが、政府機関としての国民生活研究所というものは適当じゃないじゃないかということは、企画庁としては最初からそうでございます。ただ、その当時新聞なんかに出ましたのは、政府が要するに相当金を出してやらなければ成り立たぬのじゃないかということで、一部の新聞で、政府機関としての研究所企画庁は考えているのだというような報道がなされたのじゃないか、そういう御印象を持たれたとすれば、そういうことじゃないかと私は考えております。従って、三十六年度に議論したときは、やはり民間研究所としてこれは発足させよう。もっとも民間のという意味が、性格上さっき言ったように、政府は何にもしなくて、調査委託費ぐらいでほんとうに強力な、今までにないような総合的な研究所が育っていくかというと、それはなかなかむずかしいのじゃないかということは、わ、れわれも考えておりまして、その当時も、もし作るのであれば、政府は応援しなければいけない。しかし、応援する形はいろいろございまして、たとえばアジア経済研究所あたり特殊法人出資もしている。それと同時に相当額、一億数千万円じゃなかろうかと思いますが、機関的な補助をこれは海外に特にいろいろ出張して調査いたしますので、そうなっているのだろうと思いますが、補助金でやるか、あるいは機関補助金でやるか、あるいは出資金でやるか、何かの形で相当政府が応援しなければ成り立たないのじゃないか、こういうことは考えております。しかし、機関性格としては、今度特殊法人ということになったのですが、特殊法人的なそういう性格民間からも、あるいは政府からも相当独立性を持った機関の方が、財政的にうまく固まるし、それから人的にいい人を得る。それから運用についても比較的自主性というか、そういう点もとりいいのじゃないか。政府研究所となると、ただ政府の言うことに従って大体やるということに——どうしても公務員になりますから、そういうことになるわけですから、いろいろ制約があるというようなことをいろいろ考えて、民間機関であるが機関的な補助金をもらうか、あるいは出資金をもらうか、何かで政府相当腰を入れて応援する形のものにしたいということは三十六年度のときから考えておったわけであります。しかし、それじゃ政府が命令して作るのかというと、そうじゃなくて、民間の力でまず基礎を固めて、それでそういうものが非常にいいということになれば、政府の方で補助金を出すなり出資金を出すという形がいいじゃないかというように変わってきたというか、そういうことで最後出資金ということになって、出資金ということになれば、特殊法人という例はほかにないわけでない。それでこれはいろいろ政府の中でも、政府出資をして特殊法人というと、ごらんになるとわかると思いますが、えらいむずかしい監督規定があるから、もう少し何とかいい形はないかということでわれわれも研究したわけであります。しかし、今まで特殊法人という形で出資しておると、相当政府監督——仕事中身相当自主的にできるわけでありますが、やはり法律でワクだけは縛るという形のものでないと出資ができないじゃないか。政府出資しておって、国会の予算審議だけで、あとは適当に行政指導でやるなんということはこれはいかぬじゃないかということの結論に達しまして、特殊法人ということに最終的に決定したわけであります。
  7. 板川正吾

    板川委員 去年企画庁としては、もちろん政府機関でやった方がいいという考え方を当初から持っておったのでしょう。この国民生活研究所案内書という中にも「経済企画庁では、三十六年度予算で、国民生活向上に関する調査費として一千余万円を確保した。経済企画庁としては、これを機として国民生活に関する研究所政府機関として新設したい意向が強かった。」こういうふうに十ページの下の方の「消費者行政基礎調査に対応」というところに書いてある。そうして政府機関的な傾向を企画庁では希望しておったのですね。ところが、それに対して民間側では、こういう国民生活に関する調査研究機関民間に置くべきだという主張で、民法による社団法人国民生活研究所設立ということになったんでしょう。そうすると、この民間に置くべきだという主張は、政府からあまり監督規定でうるさいことを言われたくないというのが去年の気持じゃなかったんですか。ところが、今度は特殊法人にすれば、御承知のように、この法案中身はほとんどこれは監督規定ですが、これが詳しく盛られるようになった。これでいいんだということで、民間側では問題がなくなったのか。去年と逆だから、そういう点はどうなのかということを私は聞きたいのです。どうも答弁は長いけれども、問題に触れないので、その点について……。
  8. 中野正一

    中野(正)政府委員 実はこの設立経適のところ、これは研究所の方で作ったので、われわれが何も指導して作らしたものでないのですが、ここに書いてございます「研究所政府機関として」という意味は、これはやはり広い意味民間の方も考えておったんだと思います。これは国民経済研究所のような純粋な政府付属研究機関ということをわれわれは考えたことはございません。それでただ、政府機関というのは、政府相当力を入れたものをやりたいということは、迫水長官時代に、民間の方が相当のそういうあれがあればやっていい、それをこういうように表現したので、これはちょっと誤解が生じやすい言葉じゃないかと思いますが、それに対して、いやそれは民間に出さなければ政府がやってもだめだというような意味じゃなくて、民間もやるが政府も大いに応援してくれという意味の、結局程度の差はありますが、特殊機関といいますか、特殊法人的なものでなければとても、先ほどから申しておるように財政的も人的にも——アジ研の場合でもわかりますように、財政的に基礎が固まらないと、政府出資してやるということでないと、いい研究者が安心して集まらないのです。そういうことは民間の方でも非常によくわかっておりますから、それでぜひ政府の方も応援をしてくれと、こういうことでたまたま両方の意見が同じような方向に行った。それで企画庁としては乗り出したという、私が先ほど来御説明しておるようなごとく、確かに先生にここのところを言われますと、この表現自身が、いかにも政府の方は政府機関でやる、民間民間機関でやる、それと、妥協産物じゃないか、妥協産物にしては、いやに政府機関的な色彩が強いじゃないかということでございますが、出資をするということに踏み切った以上は、やはりこの程度監督規定というものは、ほかの出資した特殊機関から見て最小限度規定になっておりますので、その点は御了解願いたい。それだからといって、民間の方で特殊法人にすることについて不満なんというものは全然ございません。政府は非常にようやってくれる、これはなかなか消費者行政を本気でやっているなということは聞いておりますが、これは監督規定がやかましいからごめんこうむるなんということは、どこからも聞いたことはございません。
  9. 板川正吾

    板川委員 そうすると、国民生活研究所案内書の中にあったような問題は、民間に置けというような声が強くて、この法律があってもその声によって反対があるというようなことはない、解消している、こういうふうに解していいんですか。
  10. 中野正一

    中野(正)政府委員 その通りに御了解願って間違いないと思います。
  11. 板川正吾

    板川委員 それでは次に移りますが、先ほど局長は、社団法人国民生活研究所事業内容と、新しい今度生まれる特殊法人国民生活研究所とは、大体において同じような事業を行なっていくのだ、こういうふうにおっしゃられたのですが、大体同じようですか、変わりますか、その点一つ……。
  12. 中野正一

    中野(正)政府委員 根本においては、というか、大筋においては変わらないと思います。
  13. 板川正吾

    板川委員 大筋において変わらないということになると、少し問題の点もあるのですが、この社団法人国民生活研究所——現在あるやつですね。これの設立過程を見ますと、政府財界の話し合いでできたということになりませんか。たとえば昭和三十四年政府民間において国民生活調査研究を行なう総合研究機関がほしいという声になってきた。そこで学界業界なとの有志が三十四年七月社団法人国民生活研究協会を創立した。その方になりますと、すべて財界学界有志で作られてきたんですね。それでこの国民生活研究所名簿等を見ましても、これはほとんどが財界の代表ですね。理事が八十名ですか、それから顧問が二十名、ほとんど財界関係の者が多い。結局この社団法人国民生活研究所というのは、資金関係もあるかもしれないけれども、国民生活財界産業界の立場から考える、国民生活研究して、それを産業界参考資料にするというような建前から、社団法人国民生活研究所というのが作られて、運営されてきたと思うのです。だからそういう方向と、今度の特殊法人国民生活研究所方向が大して変わらないということは、私はこれは問題じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  14. 中野正一

    中野(正)政府委員 前の社団法人国民生活研究所のねらいと、今度の特殊法人のねらいというものは、大体一致しておると思います。というのは、もちろんこの理事のところと顧問のところで御指摘があったように、いろいろやはり広く経済界から賛助金なり出資というようなものを求めるということになって、この当時は、民間社団法人ですから、どうしてもそういう、簡単にいえば金集め関係でやはり理事相当大ぜい並べるということになっておりますが、この点は今度は根本的に、この間説明いたしましたように変わっていくというわけなんですね。会長や何かは政府の任命で、理事も二人、ただそれでは——そういう一般経済界なりあるいは消費者なりあるいは労働界なり、国民生活に非常に関係の深いところの意見もどうしても取り入れていかなければいけませんので、これは例の参与会というところに二十人の、役所関係の、政府機関の職員も入りますが、二十名ほどの参与会というものを置いて、その意見を十分聞いてやる、こういうことになって、その点は、運営のやり方は非常に変わって参りますが、しかし社団法人研究所ができたときのねらいは、将来特殊法人というか、政府相当応援した形の特殊機関になるということを頭に置きながらやっておったわけであります。また金を出す方の側も、一つの業種の団体とかなんとかいうようなものがうんと金を出して、その業界に都合のいいような、その業界の特に参考になるような調査をやってくれというようなことは全然要望もいたしておりませんし、そういう気持でやっておるのではなくて、一般経済界としても、先ほど御説明いたしましたように、やはり今後の国民消費生活内容はどうなるか、消費構造がどう変わっていくか、消費生活内容向上する過程でどういう構造的な変化があるかということは、常にやはり注視をし、また研究の対象としても考えていかなければならぬものですから、そういう機関ができるのであれば大いに賛成であるということで少しずつの金を一般経済界から集めたということで、これは広く経済界——もちろんそういうことはどうしても経団連が中心になってやってくれることになっておりますが、そういう意味合いでございまして、そういうところから金が出たから前の社団法人と今度の特殊法人と非常に違うということはございません。また、今度の特殊法人でも、約一億円程度民間出資金というものを予定をしておるわけでございます。そういう事情に相なっておるかと存じておる次第でございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 社団法人国民生活研究所特殊法人国民生活研究所と、目的は同じですか。社団法人国民生活研究所定款の第二条に目的が書いてあります。この法律の第一条に目的が書いてありますが、同じと見ていいのですか。
  16. 中野正一

    中野(正)政府委員 この定款がお手元にあると思いますが、この目的に、「この法人は、国民生活調査研究して、国民生活向上産業発展に寄与するを目的とする。」というように書いてございます。その次にいろいろ事業が書いてございますが、これは、今度の特殊法人の方と比べていただくとわかりますように、国民生活研究所の方は、これは法律規定をする関係で、「国民生活に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行なう」、あるいは産業発展というようなことは、これは、特殊法人でこういうものを企画庁で作る以上は、消費者行政ということをうんと強く出しておりますから、そういうようなことは削って、当然国民生活の安定、向上に寄与すれば、それがひいて産業発展の役に立つわけでありまして、そんなことはあたりまえのことじゃないか、あるいは不必要じゃないかということで削っておるという、そういうふうな差異はございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 社団法人国民生活研究所では、「国民生活向上産業発展」と書いてありますね。今度の特殊法人目的には「産業発展」と書いてない。ですから、書いてないだけの運用の差はありますね。前者はほとんど基金が財界から出ておりましたから、研究の項目がその結果として主として産業発展に寄与するような方向に私はある程度向けられておったと思うのです。しかし、今度政府が大きく一億円出資して、こういう特殊法人を作った以上は、産業発展のためという目的よりも、政府行政の立場から国民生活の実態を基礎的に調査研究する、こういう方向にその重点が変わってくる、こういうふうに考えていいんじゃないですか、いいんですか。
  18. 中野正一

    中野(正)政府委員 御指摘の通りで、その点私の説明がちょっと足りなかったと思いますが、そういうふうに当然、これが今度特殊法人になれば、産業発展という立場から見ておりましたが、事業の運営の重点が当然この法律で考えておるところに変わっていくということは間違いございません。
  19. 板川正吾

    板川委員 それから、国民生活研究所国民生活に関する基礎的な、かつ総合的な調査研究をするんだということに目的がなっておりますが、この国民生活に関する基礎的、総合的な調査研究をするといっても、これは非常にばく然としておりますね。その問題は国民生活をどのような立場からこれをとらえようとするかということが私は問題だと思うのです。どのような立場から国民生活を把握しようとするのか。たとえば、消費者の立場から国民生活を見ようとするのか、それとも今言ったように、産業発展経済界の立場、そういう点から国民生活を見ようとするのか、それとも政府の立場から、行政機関の立場から国民生活を見ようとするのか、まあその立場々々によって研究の視点というのですか、向ける方向というのが変わってくると思うのですが、その消費者の立場あるいは産業界、資本家の立場、国の立場という三つの点からいうと、どこに一番重点がありますか。
  20. 中野正一

    中野(正)政府委員 もちろんこれは産業全般の立場なり、あるいは政府の立場といいますか、そういうものも当然、これはこういう機関でございますので、頭に入れるわけでありますが、しかし、この法律にも書いてございますように、こういう調査研究を行ない、その成果を普及して国民生活の安定、向上に資することを目的とするということでございますから、今先生の言われた三つの点からいえば、やはり消費者の立場というか、消費者の生活内容向上させるということの観点からそこに非常な新しい研究所として生まれかわる意義があるというふうにわれわれは見ております。
  21. 板川正吾

    板川委員 そうすると、国民生活の安定及び向上に寄与するということは、国民消費生活国民生活にもいろいろありましょうが、国民消費生活ということを主点に考えておる、こういうふうに考えていいわけですね。  では次に移りますが、この研究所の事務所を東京都に置くというのは、これは社団法人国民生活研究所の従来の事務所なり、そういったところをとりあえず当初受け継いで、そこでやっていく予定でありますか。
  22. 中野正一

    中野(正)政府委員 現在の社団法人国民生活研究所のありまする場所は、たしか昨年九月に新しい機構に、社団法人にしたときに移った場所でございます。現在のところは、現在ありまする場所に事務所を置いていいんじゃないかというふうに一応考えております。
  23. 板川正吾

    板川委員 第四条かに政府出資の一億円出資というのがありますが、この一億円出資は、最初二億円を政府は予定しておった。一億円にこれが削られたようでありますが、その削られた経過について一つ説明して下さい。また一億円程度で将来も大体これでやっていけると思うのか。それとも将来さらにこれを拡大していこうという気持を持っておられるかどうか。
  24. 中野正一

    中野(正)政府委員 実は、これは予算折衝の過程において、先生もいろいろ御承知かと思いますが、政府全体として、この新しい特殊法人といいますか、出資をしたそういうものは原則として認めないというのが例の予算編成の方針に、十二月に作りましたのにうたってございまして、これはいろいろの関係でもいろいろもんで、たとえば外務省の所管の海外技術協力事業団でございますとか、ああいうものの設立を初め、通産省の関係でいうと、産炭地振興事業団を認める認めないということで、われわれの方は小さな、そう言うとあれですが、もともと二億しか出資要求していないのですから、あまり新聞には出なかったわけですが、そういうものと一緒にやはり政府として新しいそういう出資による特殊法人というものを認めるべきじゃないのじゃないか、何かそういうものにせずに同じような目的を達せられないかということが最後までもめまして、そうして最後の閣議のちょっと前でございましたが、今産炭地振興事業団であるとか、海外の技術協力事業団というようなものがきまるときに、ほかにもそういうものがあるのじゃないか、何でうちのものだけをやめなければいかぬかということで、われわれもちょっとかまえまして、どうもそっちの方にわれわれの方の戦闘の主力を向けた関係もございまして、最小限やはり認めてもら、えれば、これは大蔵省関係ですが、そうしていいものが発足すれば、今後さらにそういうところへ出資をふやしていけるということもできるのじゃないか。最後までわれわれは二億円ということで相当主張したのでありますが、そういうことでこういう恒久的な機関でございますし、今後はやはりこれを拡充していかなければならないわけでありますので、一億円で一応おさめて、再来年今度はぜひもう少し出資の方を一私どもとしてはふやしたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 板川正吾

    板川委員 この間高田参考人なんかは、参考人意見は大体こういう研究所政府機関に置くことには賛成だ。こういうような趣旨で、特に政府機関といっても、産業官庁である通産省に置かれるのじゃ困る。そうではなくて、経済企画庁のようなところに置かれることは参考人たちは大体賛成だ、こう言っておられた。できれば将来もっと資金的な充実をして、もっと一つ研究も掘り下げてほんとうの国民生活の実態に合うような一つ機構を拡充してくれという意見でありましたが、一つ今後資金等を充実して内容をもっとよくしてもらいたいと思う。  それで、その際この中野局長国民生活白書の三十五ページで昭和三十年からの実収入五分位階層別に見た消費者物価の変動の影響、これは低額所得者も高額所得者も大して影響に差がない、同じように物価値上がりが影響をしておったという説明、これは、ここにありますが、経済企画庁の中の消費雇用課において試算したというのですね。ところが、これは総評の資料ですが、東北大学の鈴木光男氏の所得階層別物価指数調査によると、基準年次が一年違いますが、昭和三十一年を一〇〇として、三十五年八月末では、一万六千円から二万四千円までを低所得者にしまして、ここでは物価値上がりが二八%も影響しておる。高所得者、六万四千円から七万二千円までの間の層は、物価値上がりは八%しか影響を与えていない、こういうような資料もある。これはとり方でいろいろ違うと思いますが、どうも官庁統計になりますと、国会答弁用を考えて、あまり影響がないような結論を出したがる。しかし、民間で学者等がすなおに研究をすると、だれが見ても、低所得者に物価値上がりの影響が大きくて、高所得者に少ないというのは、これは常識的に、その程度の差こそあれ、低所得者に物価値上がりが影響が強いというのは当然だと思うのですね。ところが、官庁統計によると、こういうような大差がないというのが出て、どうも結論が全く逆になる。この国民生活研究所をせっかく作っていっても、御用学者なり御用的な人が集まって、政府のちょうちんを持つような結論が出たんじゃ、これは実態と異なって、作っても意味がないと思うのですが、こういう研究の差というものはどういうふうに考えておるか。
  26. 中野正一

    中野(正)政府委員 実はわれわれの方の国民生活白書で今度取り上げました、今先生指摘のあった三十五ページにあります実収入五分位階層別に消費者物価がどういう影響を与えているかという、これは実はこういう数字をほかであまり研究しているところがないのですね。それで今度はここにも注釈に書いてありますように、今ある総理府の統計だけで試算をすると、これがせいぜいのものなんですね。要するに、何も統計で適当に調整したとかそういうことは全然ございませんで、「各階層の各費目に対するウエートは「家計調査」の三十四年の消費支出金額による。」三十四年の階層別の支出項目別に、食料費が幾ら上がった、被服費が幾ら上がった、家賃、光熱費が幾ら上がったというのは実際の数字が出ておりますから、そのウエートをかけて計算しますと、三十五年では大体低所得者層も高所得者層も同じような影響だということになる。実は私もしろうとなんですが、どうもそういうはずはない、実感からいっておかしいじゃないかと言いまして、これは消費雇用課だけではなしに、私の方の調査局あたりにも調査をしてもらったのですが、現在の総理府の統計だけから引っ張り出すとどうしてもこういうふうになります。三十五年は大体影響率が同じくらいであったものが、三十六年の一−七月になると、むしろ上の所得の方が影響率が大きいんじゃないか。上の方は五%ないし五・二%で下の方は四・九%ということは、ここにるる説明してございますが、要するに簡単に申しますと、高所得者の方の雑費が非常に上がった、それから下の方は副食費が相当上がりましたが、やはり主食が安定しておりますから、主食のウエートが高いわけですから、どうしても影響率は少なく出るということでこういうことになっておるわけです。こういう点も、われわれの方は経済企画庁消費雇用課において試算をしたとわざわざ注釈をつけておるわけでありまして、こういう点ももうちょっと研究所あたりで掘り下げてもらうということで、現在調査委託を出しております。  参考のために申し上げますが、先ほどの東北大学の鈴木教授の出されたのは、われわれ調査局の方の向坂内国調査課長——今は違っておりますが、これは御承知のように専門家でありますが、彼が反駁しておるのを見ますと、鈴木先生は、——低所得者の方の世帯人数は少ない、高所得者の方は人数が多いわけです。それを標準家庭ということで、下の方も家族数が多いのではないかということで、同じ家族数にして影響率を出された。それで低所得者層が上の方よりも倍も影響を受けておるという結果が出まして、それは何ぼ何でも実態に合わないのじゃないか。低所得者の方は人数が少ないのだから、少ないままで計算していいじゃないかという反駁を向坂君はやっておりますが、あの研究はちょっといただけないのではないか。しかし、現在われわれのやっておる試算の方法が非常に正確なものであるとは申しません。そういうものを研究所の方で掘り下げてもらうように、そういうところで学者のいろいろな意見を聞いてやれば、国民もああ、そういうものかということで信用する、われわれもそういう数字は信用できる、こういうことになるのではないかと思います。
  27. 板川正吾

    板川委員 確かに鈴木先生の結論は低所得者が倍値上がりしておる。実はそういう資料の取り方もあったかもしれません。しかし、国民生活研究所のように、高額所得者と低額所得者がほとんど同じだというのも実感からいってぴんとこない。この研究所あたりがこういう点をもう少し国民生活の実態に合うような、統計の方がうそを言っているのではないというものを出してもらいたいと思うのです。  それから、法案の方に移りますが、社団法人国民生活研究所定款を変更するときは、四分の三以上で議決して内閣総理大臣の承認を受ける、そう書いてありますが、この特殊法人の方は経済企画庁長官でよろしいとある。もっとも監督機関経済企画庁になったのだからそれでいいと思うのですが、なぜ社団法人は解散について内閣総理大臣の承認を受けなければならぬのですか。
  28. 中野正一

    中野(正)政府委員 今度の特殊法人につきましての監督官庁は、経済企画庁ということが法律においてはっきり示されておりますが、前の社団法人のときは総理府の所管という意味合いで、通産省の所管とか外務省の所管とか、社団法人性格によりましてどこかの大臣の認可を受けなければ、設立もできなければ定款の変更もできないわけで、これはきっと総理府所管ということで、いわゆる内閣の長としての総理大臣でなしに、総理府の長としての内閣総理大臣ということになっておるのではないかと思います。
  29. 板川正吾

    板川委員 それは大した問題ではないからいいが、第九条に、「研究所でない者は、国民生活研究所という名称を用いてはならない。」ということになっております。商工会とか商工会議所とか全国的にあるものは、商工会と同じ名前を使ってはいけないということはわかると思うのです。各市町村に作るのですから、同じようなものが同一市町村にあるとこれは間違いも起こると思うんですが、「国民生活研究所」というのは日本に一つしかないんですね。一つしかないものについて、用いてはならないという禁止規定を設けて、しかも四十一条によってそういうものを使っておった者には罰則を加えておりますが、この「国民生活研究所」というのは、あちこち似たようなのがあるような気がするんですがね。そういう似たようなものは現在どのくらいあるんですか。ありませんか。
  30. 中野正一

    中野(正)政府委員 第九条の規定は、確かに先生指摘のような気もしないわけじゃございませんが、ただ今度できる特殊法人国民生活研究所というものは、やはり相当広いというか、公共性があるというか、そういうことで研究所の信用を保護する、それから関係者の損害も防止するというような意味合いで、普通の、たとえばアジア経済研究所であるとか、最近できた日本労働協会であるとか、そういう政府出資機関については、この種研究機関であっても全部同じ規定がございます。それでここに入れているわけです。  それから、私の方の専門家の調べた——調査したわけじゃございませんが、いろいろ聞いたり何かした程度では、「国民生活研究所」という名前をつけたあれで、それですぐ迷惑を受けるととろはないように聞いております。
  31. 板川正吾

    板川委員 どこにも「国民生活研究所」というような研究所がなくて、罰則規定を設けても迷惑を受ける、それに触れるようなところがなければ、それはそれでいいと思うんです。  次に、役員の問題で質問をしたいのですが、会長、所長、理事二名以内、監事二名以内を置くということが十一条に規定されておりますが、経済企画庁長官は、この法案が通って発足するにあたって、会長、所長監事を指名することになっております。大体どういう者を指名しようとしておられるか、腹案があるんですか。
  32. 中野正一

    中野(正)政府委員 役員のうちで、実は先ほど来御説明いたしておりますように、社団法人国民生活研究所仕事を全部今度は引き継ぐわけでございます。それから、かねて政府相当応援するという態勢で、昨年の九月以来関係者も了解しておりますし、その後のいろいろな情勢を見ましても、現在のところ会長と所長でございますね、これについては、現在の社団法人の役員と同じ人を任命しても——これは私がそんなことは言えないんですが、事務的にわれわれが考えれば、そういうふうなことで、各方面でも同じような情勢にあるのではないかというふうに考えております。理事、監事については、別途また十分関係者と相談しまして決定するということに相なるのじゃないかというふうに思います。
  33. 板川正吾

    板川委員 そうすると、現在の社団法人会長がこれの会長になる、奥井さんが所長になるというような予定でおるのですか。
  34. 中野正一

    中野(正)政府委員 大体そういうことになる予定に考えております。
  35. 板川正吾

    板川委員 十七条で、役員の兼職を禁止しておりますね。非常に制限しておるのですが、研究所の役員の兼職を禁止するとなると、相当な待遇をしなくちゃならぬと思うのですが、その待遇はどういう程度でしょうか。
  36. 中野正一

    中野(正)政府委員 それは、実はアジア経済研究所とか、それ以外にも農林省関係等にできておるわけでございますが、そういうものとの関連、均衡といいますか、そういうあれもございますし、それからこの研究所財政的基礎も、まだ発足当初でございますので、どっちかというと、まだ研究の方に力を入れなければならぬような情勢もしばらく続きますので、そういう点も勘案いたしましてきめたいというふうに考えております。アジア経済研究所の場合は、たしか会長は無給で、それから所長は今東畑先生がやっておられます、これはもちろん俸給を差し上げておるわけでありますが、そういう形にアジ研の場合はなっておるようであります。そういうような点もいろいろ参考にいたしまして、決定をいたしたいというふうに思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 他のバランスをはかってきめるというのでしょうが、職員の場合は、大体公務員に準じた待遇をしようというのですか。職員の場合の待遇はどのように考えておられますか。
  38. 中野正一

    中野(正)政府委員 今御指摘のように、公務員といいますか、そういうものの基準がございますので、待遇についてもそういう点を参考にいたしましてきめていきたいというふうに考えております。
  39. 板川正吾

    板川委員 大体公務員を参考にして、準じていくということですね。  それから十八条の、会長、所長の利益が相反するという場合、たとえばどういう場合が予想されますか。
  40. 中野正一

    中野(正)政府委員 なかなかむずかしい御質問でございまして、要するにこれは、御趣旨は当然おわかりのことと思いますが、たとえば所長なり会長がいろ資料を持っておる。個人的に所長の持っておる資料で、どうしてもそれが要るので、それを研究所で買おうという場合は、これはここに書いてあります研究所とその相手の会長との——こちらの会長で、向こうの会長個人なんですが、利益が相反する、そういうような場合、そのときは今度はむしろ監事が研究所を代表して会長個人と交渉する、契約をする、こういう形になっていくわけでございます。そういうような場合だけでなしに、たとえば研究所に対する訴訟について、研究所が、会長個人の行為であると言って抗弁をするような場合、そういうのは実質的に両者の利益が相反する場合も含んでおるというような法律上の解釈になります。
  41. 板川正吾

    板川委員 これは商法の、重役の自己取引と同じようなことなんですか。たとえば、会長が何か自分の研究資料の結果なり、あるいは財産なりをこの研究所に売ろうという場合には、代表権が監事、監査役に移って、その監査役が研究所を代表して、それを買うか買わないかきめる、こういうような場合を考えておるのですか。
  42. 中野正一

    中野(正)政府委員 そういうことでございます。
  43. 板川正吾

    板川委員 これはなるほどそういうことを予想されるというのなら、将来問題も多いと思うのですが、それは一つまたあとでよく実態を考えて質問をしたいと思います。  それから、十九条で、一番問題の、参与会を置くのだ、参与会は二十人以内で組織する、こうありますが、先般の参考人意見等によりましても、参与は学識経験者というもののうちから選ぶというが、なるほど学識経験があっても、実際に国民生活研究するという点において感覚を欠く人もあろうと思うのです、というので、参与のメンバーというのが、この会の運営上非常に大きな方向を示すと思うのです。これは社団法人のときの理事五十名ないし八十五名以内の運営とは今度は違いますね。この参与にはどういうような、たとえば労働組合関係あるいは婦人代表、あるいは農協代表、あるいは生活協同組合の代表とか、そうした国民生活相当部分を非常に真剣に担当して、そういう面から国民生活を守ろうとする代表なんかは当然この中に入りますか。
  44. 中野正一

    中野(正)政府委員 今、御指摘がありましたように、参与会は、当外今度の研究所性格からいいまして、国民生活の観点からいろいろものを言い、審議をしていただくような適任者を選はなければいかぬわけであります。一応今までわれわれの考えておるのは、一つはやはり消費者の代表——これは消費者代表といっても、消費者のそういう組織の代表とかそういうふうな者でなしに、これは当然そういうことで学識経験者、研究所の業務に関する学識経験を有する者という観点から選ふことになるわけであります。消費者利益なりそういうことに関連して学識経験者から選ぶ。それから労働者の生活、消費者生活といった、そういうものの観点について、いろいろ学識経験者の方も当然考えられる。それ以外に一般の学者、それから一般経済界からもそういう方面の学識経験者、それからもう一つは、官庁関係、やはりこういう意味での所掌事務に密接な関係を要する関係機関の職員、これは実際にはアジア経済研究所あたりの例を見ますと、関係省の事務次官ということでありますが、これはあまり多くわれわれはしたいとは思っておりません。それから、アジア経済研究所は、実はこれは今言った国民消費生活というような観点からものをとらえるのじゃないものですから、参与は十五人で少ないわけです。それから、相当部分が関係行政機関の事務次官になっております。そういう意味で、消費者代表とか、そういう方面の学識経験者を相当入れたいということで、これはわれわれの方で主張しまして、アジ研の場合と違って、二十名にふやしておるわけであります。そういうことになると思います。
  45. 板川正吾

    板川委員 社団法人研究所のときは、理事が五十名から八十五名以内で、その理事は大半が財界会長、社長級の人たちです。実はそういう人たちが直接その理事会に来て、発言するようなことは大してない。先ほどもそういうようなことを事実おっしゃられておったと思うのです。だから結局社団法人国民生活研究所は、主として会長なり所長なりの意向できまっていったということであろうと思う。運営は主としてその人たちの裁断にまかせられておった。しかし、それは会長理事長がよければけっこうでありますが、しかし、その特定の個人にまかしておくということも、やはり研究範囲がどうしても狭くなってしまいます。ですから、今度は、この参与会は、社団法人理事会の運営と変わって、もっと積極的にこの研究所の運営に発言をし、参画していかなくちゃならないと思うのです。そうでないと、理事長や所長に一切まかしているという従来の運営では、せっかく国が金を出してやって、国民生活基礎的な研究をやろうという場合に、長い目で見ると間違いを起こすと思うのです。そういう意味でこの参与のメンバーの人選は私は重要であろうと思うのです。それは学識経験者の中から会長が任命するのですが、この中で学識経験者というのは、学識を持っておったり経験を持っておったりということに解釈していいのですね。学識を絶対に持たなくちゃならぬということでなく、学識を持っておったり経験を持っておったり、こういうふうに分離して解釈していいのですか。ちょっとその点。
  46. 中野正一

    中野(正)政府委員 今、先生の御指摘のようにわれわれも解釈をいたしております。
  47. 板川正吾

    板川委員 国民生活研究所に期待をして、真剣にこの成果を待とうという層の代表も、これは経験なりを尊重して入れてもらわないと、関係省の事務次官やあるいは一部の学識者だけ集まり、あるいは産業界の者だけ集まったりするなら、これは前の社団法人国民生活研究所と大差のない運用になってしまう。これはせっかく国民の税金を出して、一生懸命基礎的な研究をしてもらいたいということに反しますから、一つそういう代表をぜひとも加えてもらいたい。これは絶対に加えていただきたいということを要望いたします。  それから二十二条で、研究の結果なり成果なりを普及するというのですが、どういうような方法で普及される予定でおりますか。たとえば総理府の「統計月報」のような、国民生活に関する統計、こういったものを月報的に出すような予定もありますか。
  48. 中野正一

    中野(正)政府委員 定期的に機関誌を発行するとか、あるいは資料室を作って、いろいろな資料をだれでも閲覧できるようなことにしたいと思っております。それ以外に経過の報告会とか講演会式なこともやろうというふうに思っておりまして、そういうような方法で成果を普及したいと思っております。
  49. 板川正吾

    板川委員 機関誌を発行するというのですが、社団法人国民生活研究所では「産業と生活」というのを出しておりますね。この「産業と生活」のようなものを出す予定ですか。
  50. 中野正一

    中野(正)政府委員 これは従来のあれでございますが、今度は当然新しく、一応「国民生活研究」とか、そういうふうな題目の形のものに変わっていきたい、どういうふうになると思います。
  51. 板川正吾

    板川委員 もちろん内容方向も、新しい名前の方向になるわけですね。  次に四十条で違反行為をした場合には、「研究所の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。」こういう罰則があります。これは関連した法案でも再々論議されておるのですが、研究所の役員が法律による届け出を怠った場合とか、登記を怠った場合とかいう場合に、役員が過料に処せられるのは、これは当然と思うのです。しかし、職員までが四十条によって罰則を受けるということになると、多少問題があると思うのですが、この一号から五号までのうちに、職員が過料の対象となる場合は、何号と何号ですか。
  52. 中野正一

    中野(正)政府委員 この規定は、やはり役員につきましても、職員につきましても、一号から五号までの規定に反した場合は、もちろん行政罰でありますが、違反ということになっております。ただ具体的に、たとえばどういう場合があるか、今ちょっとなかなか想定はむずかしいのですが、実際にはやはり役員が責任者としてやっておるわけですから、そういう関係で、具体的な事例については、今御指摘になったようなことで、もちろんこの規定は考えていかれるわけであります。職員は、この法律違反について全然何も規定がないというわけにはいかないので、ほかの規定も全部そういう立て方になっておりますので、そういう規定になっております。
  53. 板川正吾

    板川委員 責任者が処罰されるのは、命令に違反したり、手続をとらなかったりした場合には、これは当然です。そのことはいいんですが、しかし、ここに職員までが処罰の対象になっておるから、これはこの一号から五号までの間に——職員がこの法に触れるような行為をする場合はごくまれなんですが、あるとすれば、どこの項目の中に、どういうことを考えられるか。たとえば一号の中では「この法律により経済企画庁長官の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。」これは職員がこの責任を問われることはないと思う。それから第八条の第一項の規定により、政令に違反して登記を怠ったとき。これはまあ職員が登記を怠るというより、こういった第三者に対抗するような要件は、それは当然役員がそうさせるべきであって、またさせた結果をすぐ見るべきであって、職員がやらなかったからこれは職員の責めに帰するということには、私はならない項目だと思うのです。それから第四号の「第三十条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。」これは業務上の余裕金を運用するということを職員がやるはずはない。職員にそういう権限はない。だから、こういうことで職員が罰則の対象にならぬじゃないか。そうすると、問題は三号と五号にひっかかるかと思うのですが、三号と五号の場合に、どういうことが予想されて職員までがこの罰則の対象になっておるのかということを、具体的に明らかにしておいてもらいたい、そういう意味で質問したのです。
  54. 中野正一

    中野(正)政府委員 確かに御指摘になったように、こういう違反行為を研究所がやった場合に、当然これは第一次的には役員が責任を持たなければならぬことになるかと思いますが、ただ実際に、たとえば余裕金を運用するとか、あるいは登記を怠るというようなことで、職員が研究所の役員の代理のような形で実際問題としてそういう仕事をして、研究所全体として違法行為があったというふうに解される場合も、なきにしもあらずじゃないかと思うわけであります。そういう意味で、役員にも、職員にも、この規定というものについては、お前たちまで責任が行くんだということで縛っておかないと、結局このもとの規定自身が十分守られないのじゃないかということで、これは行政罰になっておるわけですが、この程度の過料には処し得るというふうに、原則的には思います。御指摘のように、具体的なことをいろいろ考えてみますと、これは研究所の違反行為ですから、当然役員がその責任を負わなければならぬということになるかと思いますが、具体的なケースとしては、職員まで責任の追及をしなくてはならないという場合もあるかと考えまして、こういう規定を置いておるわけでございます。
  55. 板川正吾

    板川委員 私は、それはこうした処罰の対象に職員まで入れておけば間違いないと思うけれども、しかし、役員が当然責任を負うべきものに、こういった職員まで処罰の対象にすることは、どうかと思う。しかし、三号の場合は、第二十二条の「研究所は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。」んだ。それで一、二、三、四、第二項というふうになっておって、この国民生活研究所で行なうべき研究以外の問題で、勝手に職員が研究しておったというようなことになれば、これは第三号で、その業務以外の仕事を行なったということで、処罰の対象になるのではないか、こう思うのです。  それから五号で、「第三十四条第二項の規定による経済企画庁長官の命令に違反したとき。」これは経済企画庁長官がそういうことをやってはいかぬと、監督上必要な命令をした場合に、それに違反したということで、これは具体的に職員まで及ぶかもしれません。しかし、そういうことがあるのかなと実は思っておるので、それ以外の一、二、四なんかは、もちろん関係してない職員には関係ないだろう、こう思って、職員がひっかかる場合はどことどこかということで、聞きたいと思っておったのです。
  56. 中野正一

    中野(正)政府委員 今確かに先生の御指摘がありましたように、三号、五号については、そういうことを勝手に職員が業界委託研究をやるとか、そういったことは法律違反ですから、そういうことをやった職員がおれば、それはやられますが、しかし四号あたりでも、業務上の余裕金を運用するというのは、これは三十条で「業務上の余裕金を運用してはならない。」ときまっておるわけですね。そういうのに勝手に職員がそういうことをやるということは——実際にはそういうことはないと思いますが、絶対ないということも言えませんので、そういうことをしてはいかぬぞ。それから登記がおくれるというようなことについても、職員が、実際上法律でこういうことが規定してあるわけですから、それに違反をしたようなこと——しかし、そういうことをやらないで黙っておった職員の方が責任があるんじゃないか。具体的な事例としてはそういうことになると思います。しかし、絶無とは言えないので、こういう規定を入れて、少しやかましくしてあるというふうに私は解釈しております。なお、その点は、私はちょっとそこまで具体例を——今までいろいろあったような例等について、少し研究、検討はしてみたいと考えております。
  57. 板川正吾

    板川委員 国民生活研究所、これは従来の社団法人国民生活研究所の運営は、どうしても「産業と生活」という機関誌や、あるいは設立過程からしても、産業界意見が取り上げられるような運営になっておった。しかし、今後は政府が一億円出資をして参与会を置いて、そういうふうに産業界資金よりも、政府出資の方がウエートを増してきておる。そういう意味では、産業界重点の方向からそうでない方向へ移ってきておる、こういうことになると思うのですが、今度は、政府出資したためにかえって政府色、官僚色的になっても、これまた別の意味で危険性があると思うのです。政府も、わずか一億円——わずか一億円といってはなんですが、出資をしているからと、これを全然政府の御用機関的にすべきじゃないと思う。この運営は、将来出資はさらに強化するにしても、一つ参与会を中心として自主的な運営にまかせて、その結果を国民生活向上のために大いに利用する、こういうふうに運営してもらいたいと思うのです。産業界に片寄った従来の社団法人国民生活研究所から特殊法人になるについて、今度は官僚色を強めては、また別な危険があるわけですから、一つほんとうの国民のための国民生活研究所というふうに、そういう方向で運営してもらいたいという要望を付しまして、一応私の質問はこれで終わります。これについて次官の所見をお伺いします。
  58. 菅太郎

    ○菅政府委員 ただいま御要望がございましたが、仰せの通り社団法人当時の研究所の構成は、社団法人でございますから、会員組織なものでございますから、金を出して参加した人をなるべく優遇しなければなりません。そして、財界方面からよけいの出資をいただいております関係上、そういう人たちを出資者として、会員組織的な意味で、理事をよけいこしらえて、目的産業発展というようなことを掲げざるを得なかったような意味もありまして、今お話のように、多少産業界方面一つの重点を置いておったようにも思うのであります。今度特殊法人になりましたこの規定をごらんいただきましても、どっちかというと財団法人の色彩が強いのでありまして、出資をしましたものは、持ち分は持っておりますけれども、出資者総会というものは別にないわけでございます。おそらく将来、定款には評議員会などを設けて、出資者が発言する機会は与えたいと思いますけれども、評議員会の方がむしろ間接的になりまして、運営は理事が中心になる。しかも、参与会意見を聞きながら運営するということが、主となると思うのであります。そういう意味で、財界からの御出資相当ありましょうが、今申しましたように、出資者の発言よりも、学識経験者を持ってする参与会の御発言の方が、運営においては重きをなす、そういう意味で、財団法人的運営の色彩が強くなってくると思うのであります。ここにありますように、目的の項も国民生活向上、安定一本にしぼりましたし、機関誌の名前とか全体の運営も、国民生活向上、安定に重点を置くというより、もっぱらそれを目標にしていきたい。財界に牛耳られるようなことは、十分心いたしたいと思います。政府出資がふえまして、だんだん官僚的色彩が増すのじゃないかという御懸念につきましては、もちろん十分警戒をして参りたいと存じておる次第でございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 大体板川委員の詳細な質問で考え方はわかりましたし、私が疑問としておった点が、さらに今の政務次官の答弁によっても明らかになったのですが、政府出資が一億、政府以外の出資が一億、こういうことになっておるようです。また、先ほどの中野局長の答弁は、純粋の政府機関であるということは好ましくない、むしろ政府は応援という立場に立って出資をする、こういうような答弁であったように記憶いたします。そうなりますと、やはり社団法人国民生活研究所というものでは、資金的な問題、その他によってうまくいかぬ。そういうことから、財界政府出資を働きかけ、それに大きく期待をしておるというように私は受け取っておるわけです。そうなって参りますと、今まで社団法人は、定款によって、総会あるいは理事会ということで、積極的にこれに参与し、発言をする機会が与えられておった。ところが、今度は政府と同額ということで一億円の出資ということになりますが、財団法人的な運営ということになって参りますと、発言の機会が全く与えられない。ただ一つの運営機関と申しますか、審議機関である参与会というのは、先ほど来の御答弁にもありましたように、これは各界各層から選任をして運営に当たっていくということになって参ります。従いまして、一億を出資する政府以外のいわゆる出資者というものは、何かこの会の運営から全然浮き上がってしまうという形になるのじゃないか。法的にはそれでいいとしても、現実的にうまくこれが運営されるのであるかどうか。さらには、政府一億出資を働きかけた財界は、これで満足するのであるかどうか。これは実際面から考えてみなくちゃならぬと思う。そこらあたりを、今までの話し合いの中に十分取り上げられてきたと思うのでありますが、そう  した経緯、それらに対する考え方を一応伺っておきたいと思います。
  60. 菅太郎

    ○菅政府委員 さっき局長からお話があったと思いますが、いずれ定款で評議員会を作りまして、出資者のお立場も反映できるようにはいたしたいと思いますが、しかし、財界方面、その他出資をなさる方々は、実は今日までのお話の過程でいきますと、あまりこだわっておられません。むしろ財界意見を盛る意味において参与会なとには代表を出したいという御希望はございますが、出資者としての発言をそう強く要求されるような傾向はございませんで、むしろ政府出資を強力にして運営をする、それに財界をつけるということで満足しておられるような今までの経過はございます。ただ、参与会の人選などにつきましては、各界の学識経験者を網羅いたします関係上、財界の代表もある程度加えなければならぬと思いますし、今の評議員会というものも、ある程度出資の好意に報いるだけのことはやらなければならぬと思っておりますが、それで一応御納得がいくのじゃないかと思っております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁の通り、政府が応援するという立場よりも、むしろ財界資金的にはこれを応援するという形ですね、それが望ましいのじゃないか。先日の参考人意見でも、三者ともその点を強調されたと思うのです。ところが、そうなって参りますと、社団法人から今度の特殊法人に変えた目的、先ほど板川委員の質問、国民生活の安定、向上ということを掘り下げて質問をし、むしろ消費生活というものに重点を置いて、消費者の生活を守っていく、向上さしていく、そういうところにウエートを置くべきじゃないかというような指摘、質問があったわけですが、それに対して中野局長は、むしろ、私どもが聞いておりまして感じたことは、板川委員のそういう指摘に、なるほどそういうことが必要だなというので、気づいて答弁をしたというような感じすら与えられた。私は、少なくとも一億という出資をする。との出資は、当初は二億であったのが、大蔵省との関係において一億に削減をされたということは、もっと、経済企画庁としては一億よりも二億あるいは三億というように出資をふやしていく、こういう積極的な考え方、国民研究所をより充実した、強化したものにしていきたいという考え方があったのではなかろうか。それならば、少なくともこの目的、従来の社団法人がこういう点がまずかったのだ、民間機関であったから、こういうことが大きな制約を受けておった、少なくとも経済企画庁が考えておる国民研究所というものはこういうことではならないのだという積極的な面がなければならぬ。そういうことが、答弁の中にもむしろ進んでこれが明らかにされて、従って、今までの運営よろしきを得なかったことを、今度特殊法人国民研究所においてこれを取り上げていく、こういう形がなければならない。それならば、今までの社団法人というのは、経済企画庁委託をして調査をしてもらうとか、あるいは幾つかの財界がこれに対して委託調査研究をやってもらうとかいうような程度であったわけですね。しかも、その研究というのは、経済企画庁委託しておるのは、若い世代のものの考え方、あるいは将来の消費はどういう形に動いていくのかという、将来を描き出すということが、今までの調査委託の中には多く利用されておったんではないか。なるほど、そういうことも大切であると私は思う。非常に重要であると思いますけれども、現状分析ということは、さらにこれは大切なことではないか。それならば、この特殊法人国民研究所の中においては、現在の高度成長政策の中における国民生活消費生活にどういう影響を与えたか、あるいは貿易自由化が消費生活にもたらす影響であるとか、あるいは減税、社会保障というものが国民生活にどう効果あらしめたのか、いろいろとそういう問題が私はあろうかと思う。いわゆる将来を描き出すと同時に、現在の政府の施策が国民生活に及ぼしてくる問題点をどうこれを分析し、これを取り上げていくかといったような点が、消費者保護であり、消費者生活を安定させ、第一の目的である国民生活の安定、向上という積極面が生かされてこなければならないのじゃないか。そういう面が、私は先ほど来の中野局長の答弁の中からは感じ得ないわけなんです。それらの点に対してどうお考えになっておるのか。積極的に運営をしようという心がま、えでといいますか、今までのこういう点がまずかったのだから、今度はこれをこう是正していくのだ、充実をしていくのだという点を、一つこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  62. 菅太郎

    ○菅政府委員 ただいまお話の点は非常に御同感でございまして、一億の政府出資は、これをもって満足いたしたのではございません。早い話が、来年また要求もいたしまするし、次々と政府出資をふやしていきたいと考えておる次第でございます。確かに政府出資ができまして、こういうふうなどっちかというと財団的運営が主軸になって参りますと、従来よりも研究所研究態度がより公正になるということは、期待できると思います。私は、どこかにもそういうふうに表明しておりますが、そういう心境を確かに持っております。社団法人当時も、財界出資に多くおんぶしておるときは、やはり若干の気がねがなきにしもあらずでございますけれども、その点は、より公正になる立場をとり得る。従って、そういう意味でも、政府出資を将来も根幹として進めたい、こう考えております。この点は御同感でございます。  なお、従来の調査につきましての御批判がございましたが、従来といえども、現状分析はやらぬことはないのでございまして、現状分析も相当やってはおりました。同時に、その動向調査といいますか、将来の見通しなどについても、ある程度のことをいたしましたが、今後は、御指摘のように、現状の分析については、より一そう力を入れたいと考えております。あわせまして、今申しましたように、将来の見通しなり動向と申しますと、どうしても将来のことを見なければなりませんから、そういうこともやるつもりでございますが、現状分析を怠るようなつもりは毛頭ございません。一そう力を入れたいと考えておりますから、これで御了解願いたいと思います。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 大体今の政務次官の考え方、将来を描き出す、同時に現状分析という二つの面を大きく取り上げてやっていくという運営で、しかも、その主軸は国民消費生活を安定させ、より向上させていく、これがねらいであるということで了解いたしますが、申し上げるまでもなく、今産業構造は非常に高度化しておる、生産も多様化して参っておるわけですが、この消費生活というものは、非常にアンバランスになっておると私は考えるわけです。この消費のアンバランスを是正していくということでなければ、ほんとうに消費生活向上、ひいては経済の発展というものも期待できない。せっかくこうした特殊法人として、国民研究所というものができてくる。しかも、先ほどの中野最長の答弁から私どもが伺いますのは、いわゆる政府機関として監督、命令ということで、単に政府の下請機関的なものではなくて、民間が何を望み、何を考えているか、十分それらの点を参与会の中に各界各層、いろいろな層の人に入ってもらって、これの中において意見が出る、求められるというものを施策面に生かしていく、こういったようなことでございますので、その点に対しては、十分一つ今の答弁をさらに積極的に発展さしていく、こういうことで運営にあたってもらいたいということを要望いたしまして、一応私のきょうの質問を打ち切ります。      ————◇—————
  64. 早稻田柳右エ門

    ○早稲田委員長 この際、お諮りいたします。  本委員会において審査中の内閣提出、新産業都市建設促進法案及び井手以誠君外十八名提出、産業と雇用の適正配置に関する法律案について、地方行政委員会、農林水産委員会、運輸委員会及び建設委員会から、それぞれ連合審査会を開会せられたいとの申し入れがありました。  この際、この申し入れを受諾し、連合審査会を開会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  また、社会労働委員会から両案について連合審査会開会の申し入れがありました場合も、これを受諾し、連合審査会を開会することと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、以上各委員会との連合審査会の開会日時にりきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次会は、明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会