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1962-02-16 第40回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十六日(金曜日)    午前十一時一分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    佐々木秀世君       齋藤 憲三君    首藤 新八君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中垣 國男君    中川 俊思君       野田 武夫君    南  好雄君       村上  勇君    岡田 利春君       久保田 豊君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    西村 力弥君       伊藤卯四郎君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局立地政         策課長)    馬場 一也君         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 とれより会議を開きます。  この際、念のため申し上げます。先般の本委員会において、田中武夫君より、商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案提出方式についての御意見があり、審査を中止すべきである旨の御発言がありました。委員長としては、理事会においてこの問題を協議する旨申し上げたのでありますが、本日の理事会において、大平内閣官房長官出席を求め、同法案提出にあたっての内閣の立場及び御意見の開陳を求めました。その結果、今後同一事項のしぼり方については、慎重に考えることとし、両法の改正に関しては、今後このようなことは前例としない旨の御発言がありましたので、理事会はこれを了といたしたのであります。  つきましては、委員各位の御了承をいただきたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕      ————◇—————
  3. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 次に、内閣提出、新産業都市建設促進法案を議題として、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保田豊君。
  4. 久保田豊

    久保田(豊)委員 前会に引き続いて少しこまかいいろいろの問題のお尋ねを先にいたしておきたいと思うのであります。  この前施設整備についていろいろお伺いをいたしたわけですが、この前もちょっと申し上げましたが、今度のは工業中心にする、主体にする都市建設ということになりますと、従来の都市建設とは相当いろいろの点において違った点が出てくるわけです。それは抽象的に申しますと、実際には工場建設に伴っていろいろの特異性が出てくるということです。たとえば、工業用水の問題であるとか、あるいはそのほか各種の公害防止の問題とか、そのほかのいろいろの問題が相当出てくるわけです。それから第二点としては、大きくは都市建設施設内容自体が非常に高度になったものにしなければ、役に立たないということが出てくるわけです。もう一つは、建設速度を相当早めないと、役に立たぬということがはっきり出てくると思うのであります。こういった点について、従来の普通の都市建設と違って、こういう点をどの程度考えられ、あるいは実態調査されて、どの程度のものは、これは新産業都市においてはどう処理するかというふうな問題についての検討が今まで行なわれておったのか、いなかったのか。私ども地方でこういう問題にぶっつかりますと、中央でそういう点の検討が行なわれておらない結果が、みんな地方にしわ寄せが来るということになるようです。そこで、以上の諸点をどのように今まで実態調査なり検討をされてきたのか、こういう点について今までの経過なり、結論があるならば、少し具体的に御説明を願いたいと思うのですが、その点どうですか。
  5. 關盛吉雄

    關盛政委員 お答え申し上げます。ただいまの点は非常に重要な問題でございまして、お手もとに差し上げてあると思いますが、建設省といたしましては、国土計画を担当いたしておりますので、全国産業人口の配置に伴いまして生ずる都市建設一つの面から、特に昨今この問題が重要性を帯びて参りましたので、広域都市建設計画調査というものを実施いたしておるのであります。この調査の方法といたしましては、第一の前提は、全国的な重要都市地域規模を定める。これは、政府全体といたしましては、所得倍増計画なり、あるいは全国総合計画というものに準拠するということになるわけでございますが、それに必要な全国的な都市建設規模構想を定めるということが、中央として関与すべき大問題であろうと思っております。この問題は、既成過大都市の問題もありますので、特にこの問題は重要である。従って、それを掘り下げますのには、現在大都市といわれております首都圏の区域であります京浜地域、それから中京あるいは阪神、北九州、こういったような既成大都市地域における再開発を含めました人口産業処理構想を立てますための調査をいたしております。さらにそれと並行いたしまして、地方重要都市地域として緊急に整備をしなければならないというところを、全国主要な個所を選定いたしまして、それについてのいわゆる都市建設のマスタープランを整備の面から立てるという仕事昭和三十六年から実施いたしておるわけでございます。今回の新産業都市建設促進法案の対象になりますのは、そのうち、おそらく産業建設の面から全国幾つかのこの調査内容によって必要なものが取り上げられると思いますが、建設省といたしましては、との法案のみならず、低開発地域の問題もございますし、あるいは地方産業のみならず、観光あるいは文化という面から見ましても、重要な緊急整備を要する地域を取り上げるのがこの都市調査でございます。  そこで、今の御質問の観点についてお答え申し上げますと、確かに既成工業地帯なり、あるいはまた急速に工場整備されていく地帯におきましては、工場排水設備あるいは公害問題というものが都市公共施設が予想していない速度で出て参りますので、いろいろな面において、生活環境の面についての摩擦が起こっております。従って、こういう問題は、今後考えられますところの規模につきましては、やはり新産業都市基本計画にありますように、土地の利用なり、工場用地なりあるいは住宅用地なり、あるいはその他の排水施設というものを総合的に考え処理をしていきませんと、いろいろな面においてそういう弊害が生じますので、そういう意味調査をまずことしは全国につきまして二十カ所実施をいたしておるわけてございます。ことに、工場建設速度といわゆる社会資本の過去の蓄積のないところ、また過去の蓄積がありましてもきわめておくれておるというところに速度の早い建設が行なわれますので、この建設の仕方についての速度をやはり調整していかなければならない、それに合わすようにやっていかなければならない。で、建設省としては、道路でありますとか河川でありますとか住宅でありますとか、そういったような計画にきましては、いずれも長期計画を定めて持っております。その立て方といたしましては、大体マクロ的な方式によって投資額を定めますので、こういうふうな仕事が出て参りました以上は、それをやはり積み上げ方式によって地域的な公共投資の配分を適正に行なわなければならない、こういう作業も必要でありますので、こういう地域について、この法律内容に照らして見ますと、十一条に掲げてありますようなものの大部分は、私の方の所管で実施または計画すべき事業であります。また都市計画ということになりますれば、その地域の全体の計画にもなりますので、この施設内容整備、それから建設速度というものを、要するに財政の面からも考え直していかなければいかぬというような意味で、目下調査を進めておるわけでございまして、ただいまのような三つ観点がやはり非常に大きな問題になろうかと思っております。代表的な例につきましては、前会お尋ねもありましたので、今中間的な取りまとめ実施いたしておりますので、その取りまとめの結果によりまして概要を御説明さしていただきたいと思っております。
  6. 久保田豊

    久保田(豊)委員 少し事態を明らかにするのにその要点を企画庁の方に聞きますが、大体この法案で想定をしておるような新産業都市というものは、人口としてはどのくらいの規模のものを考えておるか、面積としてはどのくらいのものを考えておるのか、特にその中心になる工業、これは種類によっていろいろ違いましょうが、ここに新しく投資すべき、企業側から見ました施設投資総額はどのくらいのものを見ておるのか、これは既設のもの等との連関も出て参りましょうが、それによる工業上の年々の産出効果、あるいはそれが完成した場合の産出効果、それによりまする所得のその地帯ふえ工合、それはこの法律の一番最初に私がお聞きしましたが、それは面積だけではなくて、その地方一帯所得格差を縮め得るのか、そういう見通し、これは、ものによりましては、ほとんど所得格差是正にならないような場合が出てくると思う。たとえば、石油化学のごときは、非常にオートメーション化されておりますから、雇用人口が少ないのであります。予定も非常に少ない。ここには国全体の産業政策の一番基本がある。日本のように国内における資源がなくて、そうして人口は比較的多いというところで今後世界的に競争していく場合に、どういう業種を選んだら産出効果は多いか、つまり簡単に言えば材料をよけい使わずに、そうして労働集約度の高いものをしなければ、今のように石油化学を、あんな遠いところから高い銭をかけて一生懸命持ってきて、そして世界的に見ればまるで子供——子供ともいえないでしょうけれども、小企業程度コンビナートをたくさん作ってやってみたって、そこの住民全体の所得格差を解消するというところまではなかなかいきかねる。これが機械工業であった場合は、相当この効果は違ってくる。たとえば同じ年に一千億の産出効果があっても、それによる労働集約度の違いによりましては非常に違ってくるものが出てくる。こういう点の基本的な検討の上にこういうものは考えられないと、非常に工合が悪い。ねらったものと出てくる結果とはまるで違ってくるというふうに思うわけです。そこで少なくともこういう法律を数年がかりで各省検討されている以上は、そういう点についての総合的な検討というものは相当されているはずだ。またそういうものがされていないとするならば、このくらい危険な法律はありません。金をむだに使う。またこれもあとで触れますけれども、やりようによっては、この法案通りに行なわれれば、ほとんどこの方面投資というものが死に金になってしまう。この危険性は多分あります。この危険性あとで指摘をしますけれども、ここで企画庁にお願いするのは、今申し上げましたように、この法案で一律にいかないでしょう、いろいろなケースがありますから。一律にはいかないが、少なくともどのくらいの人口を収容する都市を作るのか、どの程度面積にするのか、そこにどの程度の新投資を予定しておるのか、これは重点が変わってきましょうから、業種別でもよろしゅうございます。そしてそれによって大体どの程度産出効果を見ておるのか、それによって地方——町はもちろんですが、その周辺一帯でどの程度所得格差を縮める、つまり所得を引き上げる効果をねらっておるのか、こういう点の検討なり何なりをされたのかどうか、またそれを検討されたのならば、当然その検討の基礎になっておる資料があるはずです。こういう資料はそう詳しいものでなくてもけっこうですから、大体の見当のつく程度のものをお示しをいただきたいというふうに思うわけですが、その点はどうですか。
  7. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの問題は、この法律の最も基本になるものでございまして、われわれといたしましても、先生のお話のように最も重要な問題と思っております。この法案を作ります過程におきまして、いろいろ各省間の意見があったわけでございます。結局総合調整いたしました結果こういうことになったのでありまして、具体的には三十六年度から特に新産業都市という名目にこだわりませず、一応地域経済計画調査というものを相当強く推進して参ってきておるわけでございます。たとえば、企画庁で申し上げますと、三十六年度に初めて地域経済計画調査調整費というものが五千万円ついたわけでございます。また関係各省にもそれぞれ約一千万円程度のそういう関係調整費がついております。それに基づきまして、現在鋭意調査をやっておるわけでございます。具体的な地域につきましても、港湾あるいは道路、それから水の状況、そういうものの調査を実はやっております。いろいろ各地域によりましてそれぞれの特殊事情がございまして、一がいにどうこうという結論はまだ出ておらないわけでございますけれども、要するにこの法案のねらいといたしましては、それぞれの地方に大規模な新産業都市を作るというふうな観点でございますので、相当な大規模なものになるかと思いますが、現在の四大工業地帯といいますものの状況を見ておりますと、たとえば京浜地区におきましては工場用地が約二千万坪、三十三年度の通産省の三十人以上の従業員工場使用面積でございますが、大体二千万坪、それから阪神地区も大体二千万坪、中京が大体一千万坪ですか、そういうのが現在のいわゆる既成四大工業地帯規模でございます。こういうような観点に立ちますと、今度新しくできまするいわゆる大規模な新産業都市といいますものも、工場敷地面積からいいますと、これはいろいろ違うかと思いますけれども、大体五百万坪程度前後あるいはそれ以上というものが適当でないかというふうに考えられるわけでございます。そういう考えに立ちまして、大体いわゆる鉄鋼石油関係コンビナートというものは、工場敷地規模から申しますと、そういうコンビナートの必要のあるところが当然考えられるのじゃないかというように考えております。それに伴いまして、いろいろそれに関連します従業員増加あるいは家族の増加またそれらの二次産業に関連いたしまする三次産業人口増加というものが考えられるわけでございまして、いろいろ今試算もして参っておりますが、できるだけ早い機会に一応のモデルのものでも御提出申し上げたいと思っておりますが、そういうようなことを今検討しておる最中でございます。特に今お尋ねの、いわゆるコンビナート化いたします場合に、そう多くの従業員雇用考えられないというお話も実はごもっともでございます。御承知のように、現在の工場敷地面積当たり従業員の数を申し上げますと、臨海工業地帯で大体百坪に一人ですか、内陸の方におきましては四十坪に一人というような状況になっております。おそらく今後の企業近代化に伴いまして、臨海地区の方もあるいは現在の百坪当たり一人というのが百五十坪当たり一人というふうに従業員の数も若干減ってくるのじゃないかというようなことも想像されます。いずれにいたしましても、お話のように、相当工場近代化に伴いまして、従業員の数が減るということもございますけれども、要するに大規模な新敷地を作るという前提がございますと、当然鉄鋼石油等コンビナート化考えられる。もちろんこれだけでその地域産業が振興するわけでありませんので、当然それに関連いたしまして、関連産業あるいは第三次産業人口がふえるというような関係で、そういうふうな規模がこの新産業都市としてあるいは適当じゃないかというように考えられるわけでございます。その他全くコンビナート考えずに、いわゆる内陸だけの大規模な新産業都市建設ということもいろいろ御議論があるかと思いますけれども、それにつきましては、全国的に見まして、あるものにつきましては、ある程度はそういう地区があるいは将来あるかもしれないということは考えられるかと思いますけれども、現在の段階におきましては、とりあえずは、私どもといたしましては、コンビナート化する可能性のある地区をまず選んでいくべきじゃないかというふうな考えを実は今持っておるわけでございます。またいろいろ御意見はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、そういう観点で各地区につきましていろいろ調査も続行しておりますし、またわれわれといたしましても、ある一つモデル考えまして、この結果従業員あるいは人口がどの程度ふえるか、あるいはまたそれによりまする工場敷地が幾らぐらいふえるかということも試算しておるわけであります。できるだけ早い機会に御提出して、御批判を仰ぎたいと考えております。
  8. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると、今のお答えの中で、今の新産業都市というのは、大体要するに海岸埋め立てなりなんなりして土地造成が楽なところで、内陸は今のところは考えておらないというようなふうにとられるわけです。それも一法だと思うのですが、実際は、いろいろ問題があって、必ずしもそうばかりいかないのではないか。そうなると、片方でこの法律で言っているような地域格差是正なんということをうたうことが、実際にはうそになるわけですね。東京と千葉というふうになれば多少の是正にはなるでしょうが、全国的な地域格差是正ということにはなりません。おそらく海岸埋め立てをやって、そうして新しく大きな工業地帯を作る。少なくともこれで予想するようなあれをするというようなところは、場所は限られているはずです。そんなにめちゃくちゃにあっちこっちにたくさんあるわけではない。ですから、私が最初にお聞きしたのは、そういう点です。そういう点を文章でごまかしたってだめだ。だから、どっちに重点を置いてやるのか、これを明確にしてやるということがぜひ必要だということを申し上げたわけでございます。  そこで、今お話の中で、大体重要な点はまだ調査中だ、試算中だということですね。そうすると、新産業都市の骨格あるいは大きさ、内容というふうなものもまだ実際はほとんどできていないということですね。それじゃおそらくここから出てくるいろいろの諸問題というものは、ほとんど具体的につかまれないということになる。そうしてこういうふうな非常にラフな法律だけできて、これで一切あとはお役所にまかせるのだという行き方では、私は工合が悪いと思う。それは第二段の問題にして、それじゃもう一点重要な問題を、一つ基本的な問題をお伺いしますが、一新産業都市にどのくらいの要するに社会投資が必要かという点の検討ができておるのかどうか。これはさっき質問した、そこへどの程度産業を持ってくるのか、投資をする産出効果はどうか、それの所得格差是正効果はどうかというふうな点をにらみ合わさなければ、実は出てとないわけですね。出てこないけれども、少なくともこういうことを考える以上は、こういう法律を出される以上は、一つ産業都市に私はどの程度のいわゆる社会投資——これも条件によっていろいろ違いましょうが、今想定されるような、かりにたとえばモデル的に海岸埋め立ててやるような地帯、あるいは内陸で、埋め立てはしないけれども、ほかのいろいろの要素を作りながらやるという地帯、あるいは四大都市周辺の衛星的なこういう新産業都市なら都市というふうに、大きく見れば三つなら三つにしぼられると思う。そういう場合、それに持ってくる業種によってもいろいろ違いましょうけれども、大体要するにどの程度社会投資が一カ所について要るのか、こういう点の研究なり推算なりあるいは今までの実態調査から出てくる結論なんというものがあるのかないのか、またこれをわれわれが検討するような資料が整っておるのか、整っておらないのか、こういう点をお聞きしたい。あるいは従来の四大集中地帯と称するものの実態を調べて、そういう点を出されたことがあるかどうか。あるいは千葉とか鶴崎のような、ああいう形のところにおいてどの程度社会投資が全体として必要なのかどうか。こういう点をやらなければ、国としてこれは効果があるかどうかということは、私はわからないと思うのです。こういう点をむだなくやることが大事だと思うのです。そういう点、大体一都市どのくらいかかる見込みですか。私ども今まで多少聞いたり何かして、正確なことはわからないが、しかし、百万なんということでなくても、相当の、少なくとも五、六十万の新産業都市を作るということになると、それに所要の社会投資は、完成するまでに一カ所少なくとも千五百億なり二千億というものは要ると思うのです。そのうちで緊急を要するものは、少なくともそのうちの半分程度のものをやらなければ工業は動かない、こういうことになろうと思うのです。そういう点の検討はされておるのか、また調査をされておるのか、調査なり検討資料があるならば、それを要約して御提示願いたいと思うのですが、この点はどうですか。
  9. 關盛吉雄

    關盛政委員 先ほどお答えいたしましたことに触れるわけでございますが、ただいまのお話についてごく簡単に申し上げますと、人口等につきましては、各地域個所によりましてそれぞれ異同があろうと思いますが、少なくとも地方産業が大規模に立地したと考えられるところでありまして、かつその中核的な都市施設建設される、こういうふうな観点で大づかみにしぼって参りますと、やはりそのモデルといたしましては、人口規模といたしまして、今後施設が完備して都市機能が完全に動くというような十年、二十年先の規模を想定しなければならないと思います。そういう場合は、やはり七十万ないし百万くらいというふうなところを一つモデルとして想定いたしますと、これは幾つかの調査を今中間的に締めくくっておりますものの概要を申し上げることになりますが、そういうふうなところにつきましては、やはり工場団地でありますとか、あるいは特にそれが海浜地帯でありますれば、埋め立てによる土地造成というものがありますし、あるいはまた工場団地のほかに住宅団地なりあるいはその付近の農耕地帯を確保する意味におけるいわゆる公園のような環境を保持しまして、外国ではよくインダストリアル・パークと申しておりますが、そういうふうな形で、工業地帯都市と農村というものが一つの秩序だった形でいく、あるいは人口集積に伴いまして、また工場集積に伴いまして、用水の取得あるいは排水設備、こういったようなものはやはり先行的に行なわなければなりませんし、さらに内陸方面におきましては、都市間を結ぶところの交通体系と同時に、都市内、地域内の交通網というものをやはり整備しなければならない。先般の委員会でも御意見がありましたように、交通量だけから見た要請の道路幅員よりは、一そう大きな幅員をとって考えていかなければならないというふうな形の都市構築考えなければなりませんので、公共投資といたしましては、大団地工場集団なりあるいは中小企業団地の集団地域なり、あるいは宅地の開発なりあるいは住宅地域なりというものから上水道施設まで考えますと、やはり概算といたしましては千二、三百億から五百億くらいが、一つモデルの場合に社会資本として投下すべき総量になるのじゃないか、こういうふうにわれわれ推算をいたしておるわけでございます。それが工場建設速度都市建設速度というものと緊急度によって、そのうち何年くらいの間にはどのくらいやるべきであるかということが、工場開発なり都市整備の目標として当該地域実施すべき事業の年度目標ということになろうかというふうに、概算ではございますが、見積もっているわけでございます。これらは、いずれ正式にお示しできる段階のものをとりまとめましたならば、御説明申し上げよう、こういうふうに考えておったところでございます。
  10. 久保田豊

    久保田(豊)委員 この法案の最終的な結論を出すまでには、少なくとも以上のような資料が出てこないと、これは私ども簡単に——これは非常に重要な問題です。そういう点が明らかになった上でこの法案が出てくるべきものだと思う。ところが、実際の準備作業の方はほとんど進んでいないで、法案だけが先に出てきたという格好じゃないか。少し悪口を言わせてもらうと、そういう基礎的な検討はそっちのけにして、各官庁の間で権限の争いをやっておった、かたがつかないから、自民党さんにまとめてもらった、こう言っても私はあえて過言ではないと思う。これでは困ると思う。  そこで、今大体千二百億ないし千五百億というお話がありましたが、これは当然何期かに分けて、緊急を要するものからやる。少なくとも工場を誘致するのならば、先行投資をやるのならば、先にやるべき面と、おくれてもまあ大体整備すべき面と、二段に考えていいと思います。しかしながら、私どもが実際にそういうものにぶつかってみて検討した場合には、今のものでは織り込み方が非常に少ないと思う。そこで次にかりに千五百億なら千五百億一カ所にかかるとして、現在の法律では、補助基準は全部現在通り、こういうことになっているが、その現在の補助基準は、この前の低開発のときにいただいたものでは、非常にたくさんの補助対象があるわけで、現在の補助基準でいって、かりにそれだけのものをやった場合に、国のいわゆる補助額が大体どのくらいになるのか、それから府県の持ち出し分がどのくらいになるのか、市町村の負担分がどのくらいになるのか、そこへ進出する企業の負担分がどのくらいになるのか、あるいはそこの住民が直接減歩という形で負担すべきものがどのくらいになるのか、こういった点の検討をされているかどうか、これは非常に大事な問題であります。この点、現在のところでは、国の補助基準は——出し方の問題はあとでまた聞きますけれども、少なくともそういう千五百億なり二千億なりのものが出た場合に、現在の補助基準でいって、大体国の補助がどのくらいになるのか、府県は、現在のこの建前でいくと、この前都市計画との関係を聞いたのはそれでありますが、たとえば、道路を作っても、現在国道なら国道を拡幅するなら補助がつく、現在県道になっているところならつく、しかし、そんなものでは間に合いません。ですから、どんどん非常にたくさん金のかかる道路建設もやらなければならぬが、それはどこが負担するのか。しかし、今のこれでは市町村が負担することになる。負担しきれないから、減歩をよけいとる。それでなければ程度を落とす。程度を落とすから、工場を始めるときから住民は参ってしまう。たとえば非常に重いものを積んだやつが建設期に入ってくる。そうすると今の町村道や市町村道の程度では全然道路はがらがらになってしまいます。その補修の経費もないということになってしまう。そういうものがないから、仕方がないから企業にばかり持っていって、お前出せ、お前出せと言う。企業の方は、今のように借金でやっているような企業建設が、どんどんそういう公共投資まで持ったのでは、とても国内でも国際的にも太刀打ちができません。これは独占資本だからいいじゃないかという意見もありますけれども、私はこういう点は国が責任を持ってやるべきものだと思う。こういう点の検討をされておるのか、されていないのか、もしそういう検討をされたデータがあるなら、これはまた出してもらいたい。出してもらわないことには、この問題の検討はできません。
  11. 關盛吉雄

    關盛政委員 この新産業都市法律がねらっておりますのは、指定されました地域基本計画の策定までを定めておるわけでございまして、これが直ちにすぐ事業に結びつくというところまでは、この法律は直接触れておりません。しかしながら、不可分の関係があります。そこで前段に申し上げました、建設省といたしまして今行なっておりますところの広域都市調査、そのうちの地方広域都市調査というものが、この新産業都市構想に当てはまる場所について、一つのサンプルを申し上げたのでございます。そこで、お尋ねのように、当該地域の中にありますところの現在の道路網に編入されているもの、それはまさしく管理者がきまっておりますけれども、新たにこれから道路を新設をするということが必ず起こるわけでございます。従って、その道路管理というものの体系は、一体国の施設として管理するのか、都道府県の施設として管理するのか、その他のどういう管理者になるのかということにつきましては、事業面からの調査を引き続いて実施することにいたしております。それが明らかになりますれば、全体の国道にしなければならぬということでありますれば、これはやはり法律もありまして、全国一つの幹線として法律に該当する要件を持たなければなりませんので、そういう路線がまた当該地域の中を通過することになるという場合もあると思います。あるいはまたそうではなくて、二級国道クラスのものもあろうかと思います。あるいはまたその地域のインタチェンジ、高速道路のようなもののインタチェンジをそういうところに設けなければならぬというところもありますので、おのずと管理者がそれぞれ違って参ります。それからまた他の公共施設につきましても、いわゆる企業者が、公共団体以外のものが実施するということになる場合もありましょうし、あるいはまた現在の投資方式は、いわゆる工場側がその埋め立て造成事業の実施を府県に委託をして実施しているというふうな形で全体として用地の造成が行なわれている形式がとられておるような場合もございますので、ここでその費用負担の区分を現行法の体系に直ちに翻訳をいたしまして申し上げるということにつきましては、少し時間がかかるのではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、産業は貿易をになっておりますし、従って、その立地にあたりましては、なるべくその必要な程度にし、負担をそれ以上にかけることは無理でございます。そうかといって、地方財政も、新産業の急速な発展の速度に応ずる地方行政の財政需要が補てんせられるような格好になっておればともかくといたしまして、そういうふうな形をどのようにとるかというふうなことにつきましては、まさにこの事業実施面からの速度と事業量というものと並行して検討しなければならない問題でございます。これは総事業のうち緊急性のあるものから実施いたしますけれども、民間企業に還元されるものもあるわけでございますから、そういったような点をにらみ合わせまして、調査の完璧を期した結果に待つべきじゃないか。われわれそういうふうに、今ここではっきり事業主体別の資金の内訳というところまでは急速に御提示申し上げることは困難じゃないかと、今の段階では思っております。
  12. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それは要するに調査をしていないということなんですね。検討してないということですよ。私はやっぱりそういう点はまっ先に検討しなければならぬことだと思う。  自治省がおいでになっているようですが、大体そういう点について、今の現行法を中心にすれば、市町村の負担は実際にはとうてい耐えられないと思う。とてもやれるものじゃありません。工場誘致どころの騒ぎじゃない。そして企画庁のお考えは、そういうところへ工場が来れば、生産額も増してあとで税金が取れるから、起債で一応やっておけばあとで何とかなるじゃないかという——これは法案がちゃんとそういうふうに出ております。私もそういうことに多少首を突っ込んで、行政官の責任者として実際にやったことがあります。とてもやれないです。実際問題としてはやれません。自治省としてはそういう点の検討をされておりますかどうか。  それからもう一つ、自治省の問題になるのは、どうせこれは数市ないしは  一市数町村というふうなものが一つになってくると思います。そういう場合になりますと、各市町村によってこれは財政の負担力がうんと違うわけですね。これをまとめて統一的にやるということになれば、いや応なしに、現行法では各市町村の一部事務組合を作って、それで調整をとるというよりほかにないと思います。しかし、これで調整のつき得る範囲の仕事ではございません。実際問題としてはですね。ところが市町村の合併についても、この法案では全く調査がなくて、ただ議員の選挙のことだけに触れております。私はこんな無責任なことはないと思う。そういう点について、あなたの方は、今まで市町村財政との関係をどのように調査をされあるいは検討をされておるのか。そういった資料もあれば一つ御提示いただきたい。これをお聞きいたします。
  13. 山本明

    ○山本説明員 新産業都市建設するにあたりましては、その事業実施の主体というものが、われわれといたしましては、少なくとも都市建設であります以上、地方が責任を持ってやるべきであるという考え方を根拠にいたしまして、この法律の作成には参画をしたわけでございます。その場合に、御質問のように、当特に地方負担という問題が生まれて参ると思います。この際に、先ほど建設省からもお話がございましたように、一つ産業都市建設するには千六百億あるいは千五百億というような非常な経費がかかるわけでございます。実はただいま各省間の調整をとりながら、現実に想定される都市がどのような事業に経費を要するかということを調査中でございます。ただ、われわれとしては、地元のそういう要望だけをそのまままるのみにするわけにはいかない。これは相当理想的な構想を描いておりますから、従って、われわれとしては、それぞれの規模に応じまして、大体の試算をいたしておるわけでございます。その試算によりますと、やはり相当の地方負担が出て参っております。これは現行の負担率をそのまま適用するものという考え方で検討をして参っておりますが、地方におきましては、その負担率につきまして、現行のままを想定するところもございますし、あるいは財政力の弱いところにおきましては、かなりの負担率のかさ上げというものも要求をしておるというような実情もございます。その辺のところは十分検討いたしまして、どの程度の負担が地方としては耐え得るかという問題が一つあると思います。  それからもう一つは、先生がおっしゃいましたように、割と起債といいますか、借金によって莫大な資金の需要をまかないたい、しかしそれは五年とか十年先に入ってくる収入の見返りというものにつきましても検討はしているようでございますけれども、歳入と現在高といいますか、その公債の現在高でございますね、それとのバランスが十分とれるかどうかということにつきましては、相当内容に入ってみなければ、十分な資料にもなっておらないというような実態もあるわけでございます。われわれといたしましては、現在のところ一つ考え方といたしましては、やはり土地造成という問題が一つ大きな問題としてこの新産業都市の場合には生まれて参るだろうということで、財政局の方と御連絡をいたしまして、今のところは起債の増高という考え方で話を進めて参っております。三十六年度から七年度にかけまして、財政計画におきましても、土地の購入に要します起債というのは、内陸部におきましては約四割方、それから臨海部におきましては五割方というような増高を計画しておるようでございます。これは当面ことしの地方土地造成を対象にしたものでございまして、これが新産業都市をどの程度対象にして指定をし、それに応じまして、どれだけの地方負担を要するかという問題の検討を実は目下進めておるという状況でございます。ただ、その場合に、われわれのところで今問題にいたしておりますのは、国民総所得に対しまして、いわゆる社会投資といいますか、公共事業といいますか、そういうものの率が大体七・二%程度でございます。それがそのままのペースでいくものであろうか。あるいは昭和四十五年を目標にいたしまして、社会投資所得倍増計画におきましては十六兆と踏んでおりますから、それとのバランスというものも検討をしてみなければならないのじゃないか、こういうことで目下作業を進めておるという段階であります。これが今年度の調査費の中で出て参ります結果、一つの方向が出て参るのではないか、こういうふうに考えております。  それから御質問の第二番目の問題は、これはお説の通りでございまして、実は現実に、あるところにおきまして港湾を作って参る、ところがその港湾から受ける経済効果というものは、むしろその奥にある市町村である、ところがその港湾を作ります場合におきましては、現行法におきましては、地元負担というものは、そこへ作られる現地の市で負担をしなくてはならぬという問題があります。これに対しまして、われわれといたしましては、一つはやはり合併という方式考えて参りたい。これはこの法律の中にもございますように、積極的に合併をするんだ、合併を前提とするんだという考え方は現在のところは持っておりませんが、しかし、少なくともそういう地方負担に耐える市町村財政とする場合におきましては、現実の新産業都市をつかまえまして、そこで合併という方法を考えてみたい。  それからもう一つは、一部事務組合よりはさらに高度のといいますか、弾力性のあると申しますか、一部事務組合でございますと、それぞれの市町村の負担歩合というものにつきまして、なかなか話が進まない。しかし将来はそれが一つ都市圏として、いわゆるエリアとして経済効果考えられるという場合には、そういうものを念頭に置いた事業実施機構というものを考える必要があるのではないかということで、現在実施機構の面で、何か具体的な方法はないかというのを検討しております。地方によりまして、たとえば公社、公団というようなものが現実に起こりつつあります実態というものも、今申しました問題の中から生まれてくる一つ考えであろう。こういうふうにいたしまして、そういうものも実態調査をいたしまして、実施機構というものにつきましても、今おっしゃいましたようなちぐはぐのないようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  14. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今お話がありましたが、今の法制を中心にして逃げ道を考えるとすれば、いわゆる今はやりの公団方式しか実際にはないんですね。あるいは公社方式ですね。これは非常に危険ですよ、ざっくばらんに言って。下手をすると、公団の経理内容そのものもめちゃくちゃになりますし、その結果が、法律上の責任があるなしにかかわらず、結局市町村へかぶってくるのだ。それでなければ、いやおうなしにここへ進出する会社にうんとふっかけるか、どっちかです。私は、今のような形の公団、公社というふうなものは非常に危険だと思う。それでまた下手をしますと、あれにばかり力を入れますから、いわゆる地方自治団体としての住民一般に対する公共サービスというようなことが抜きになってしまう危険性を多分に持っております。ですから私は、そういう点についてもまだまだ検討が足りないのじゃないかと思うのです。  それで、ここで今お話のありましたように、既設のものについて多少の調査なり検討をしておるということですから、こういう現在の補助負担率をそのまま据え置いたとして、大体どのくらいの市町村負担になるのか。これはたとえば千葉地帯を見ても、あるいは敦賀地帯を調べてみても、大体見当はつくと思います。そろいうものの調査なりそれに基づいたあなたの方の計画的なものがあれば、資料として出してもらいたい。  それからもう一つ、これは委員長にもお願いしておきますが、公社、公団の実態調査をしたものがあると思いますから、これを一つ出してもらいたい。非常に資料の要求が次々によけいになって済みませんが、一つこの点を考えてもらいたい、こう思うのです。いいですね。  その次にもう少し突っ込んでいきますが、もう一つは、大きな点だけ申しますと、この法律では幾つこういうものを作るかということもわからない。大体企画庁はこういうものをどのくらい、何年くらいの間に作るということですか。これは片方において、市町村長がこれのイニシアを全部とるようになっておる。これは自治省的な考えだと思う。知事は幾人おりますか、四十六人いるでしょう。この法律が出れば、みんな知事は自分でやりますよ。おれの県へ持ってこなければ、自分のあれがということで、みんなあらゆる手段でそれはやるから、結局こういう新産業都市は四十幾つか作らなければならぬようになってしまいます。一カ所で一千億なり一千五百億なり、場合によれば二千億かかる。今の国なり地方の財政力でそんなことができるのかできないのか。またそういうことをやって、国の全体の政策としていいのかどうか、こういう点が私は一番基本の問題になると思う。こういう点についても、何らこの法案整備されておりません。知事に大体このイニシアをとらせるということになれば、知事は、隣の県の知事が取ってきて指定を受けたということになれば、うちの県の知事はぼやぼやしておるから、あのやろう、能力がないからだめだということで、住民から、特にボス連中から突き上げられますから、いやだっておうだって、これは必死になって競争しますよ。新産業都市の陳情競争になってしまう。こういうことになったら、これを今の政治力で、そう言っては失礼ですけれども、これは防ぎ切れるかといったら、私は防ぎ切れないと思う。結果としては、もう四十六の都道府県がみんな一つずつ、場合によれば北海道などは二つも持つでしょう。こういうことになってしまって、これに財政力の裏づけが何もないということになれば結果がどうなるかということになりますれば、一カ所一千五百億、二千億の金は、地方から見ても中央から見てもつぎ込めないということになれば、みんなしり切れトンボです。二百億なり三百億なりつぎ込んでも、工場は、そんないいかげんな中途半端なところへ行ってやっても、自分は何にもなりませんから、結局役に立つ従来のところへ集中するようになりますよ。私は企画庁お尋ねしたいが、この法律ができたら、今後十年間、四十五年までに幾つこれをやる予定か。また、国の財政力なり地方の財政力等その他いろいろと検討していくと、幾つやれる予定ですか。この点の見当がついておるのですか。府県知事に事業のイニシアをとらせる、責任をとらせる、こういうのとこれは食い違いがありはせぬか。この点について自治省は、今のお話の中にもありましたが、地方開発という点にやはり重点を置いておるが、もっと国全体の立場から見たら、私はこういうことにはならないと思う。現に自治省の方での計画では大体四十九ですか、建設省の方からは五十四、予定地域じゃありませんけれども、一応調査しているところは、こういうことになっておるでしょう。この点はどういうふうに考えられておりますか。
  15. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。この法案の第一条にもございますように、新産業都市地方の発展の中核となるべきものであります。この地方といいますのは、たとえば、東北地方という、そういうブロックを考えておるわけでございます。従いまして、それぞれの地方の中核たるべき新産業都市といいますのは、おのずから数が限定されると考えております。また、区域の指定の要件の第五条におきましては、「将来大規模産業都市が形成される可能性を有すると認められるもの」というような限定もありますし、われわれといたしましては、こういう法律の趣旨に従いまして、それぞれの地方開発の中核となるべき都市といたしましては、さしあたり一カ所か二カ所くらいじゃないかと考えております。  それから、お尋ねの都道府県知事の申請との関係でございますが、いやしくもいわゆる新産業都市建設というものは、特に地方行財政に密接なる関連を持っておるのでありまして、また事業の主体の大部分は地方公共団体が行なわれるという前提に立ちまして、当然都道府県知事の申請を待って行なうべきであるという考え方で、この都道府県知事の申請主義をとっておるわけでございます。具体的にこういう知事の申請が出るという場合に、あるいはこの地区の指定をするというような関連が出てくるわけでございますけれども、国といたしまして、地区の指定をいたします場合におきましては、第九条にもございますように、「政府は、区域の指定及び建設基本方針の指示のため必要な基礎調査を行なわなければならない。」ということになっております。従いまして、政府としては、重点的に基礎調査を行なって参るわけでございまして、そういう関連ともにらみ合わせまして、知事の方におかれましても、この政府の意図をおくみ取りいただきまして、申請にあたりましても、十分政府調査関係等も勘案をされまして申請をされていただきたいというふうに考えております。また私どももこの法案の趣旨を十分周知徹底いたしまして、知事側との間に円滑なる作業の実施が行なわれるよい十分努力して参りたいと思います。
  16. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今のお答えで、一つか二つ作るなら特別にこんな法律を作る必要がありますか。その地方というのは、大体あなたの方の事務当局の説明によると、六地方に分けると六カ所だ。二つずつなら十二だし、一つ作っても六つだ。それならどうして知書にこんな申請権、イニシアをとらせたのですか。六カ所なり十二カ所作るなら、国が大きく考えて、この地域にやる、あの地域にやるといって決定するのが当然じゃないですか。それに知事の同意なりあるいは市町村長の協力を求めるということが当然の筋じゃないか。それをこの法案ではいかにもこれを知事にイニシアを与えるようにして、そして次官のこの前のあれでは、そうでない場合は国が直接地域をきめる、こういう話です。知事にそうしておいて、これでは事業実施の主体の責任はほとんど知事に与えておる。国がきめて知事や町村がその命令通りに動きますか。私はそこらにもこの法案考え方が非常にあやふやになっておるように思うのです。少なくとも十二なら十二、あるいは十なら十作るというのがはっきりしておるなら、この問題については国が全責任を負って、そして府県知事なり市町村長をこれに協力させる、こういう法体系でなければ、これは円滑にいきっこない。少なくともこの法律がある以上、各地の四十何人の知事はそれぞれみんな申請権を持っておりますから、いくら趣旨を周知徹底させて協力させるといったって、今のような情勢下では、これが出ればおそらく各県知事はもう競っておれのところに引っぱってこようというので猛運動をやります。代議士もそれに乗っからなければ当選できないということになって、これは一生懸命で地方をゆさぶるにきまっておる。そうなってくれば、今のようなあれで防止ができるか。今までみんなそうじゃないですか。大がいのことをやってみて、重点がどこへ行ったかわからない。いつの間にか全国的になって、二階から小便みたいになってしまって、何にも開発効果が上がっていないというのが実態だと思う。ですから、私はこの法案は非常に危険な法案だというふうに考えるのですが、どうですか。
  17. 菅太郎

    ○菅政府委員 さっき局長からお答え申し上げましたのは、一つのブロックに一つか二つと軽い意味でお答えいたしたのであります。この全国総合開発計画は、御承知の通り、十一地域を予定いたしておりますが、これはもちろん関東なんかも沿海、内陸と二つに分かれておりますし、近畿もそうなっておりまして、地域の指定が多いわけですが、少なくともわれわれが考えております全国のブロックは九つくらいになる可能性をお認めいただきたいと思うのです。それの一、二カ所、こういう意味でございますが、一つ考えいただきますことは、これは永久の立法でございますから、一回十指定してしまえば永久に十ではございませんで、日本経済の進展に伴いまして、最初十指定した、まただんだんとやって、二次、三次と指定があるわけでございます。でございますから、将来においては数十の産業都市建設が見込まれるわけでございます。しかも限定をいたします趣旨は、何も限定しなければならぬから性格上限定したのではなくて、国の予算なり施設なりを、一ときには分散できないから、集中的にやるという意味において、ある年限においては比較的集中しておりますが、逐次やっていくというふうに考えておるわけでございますから、必ずしもお話のように十なら十やったらそれきりというものではございません。おそらく何年か後に見ますと、全国に数十の産業都市ができておると思うのでございますが、ただこの第五条の三項にもありますように、順序を追うて、緊急度の高いものから、工場立地の計画が進行し、いろいろなそういう立地条件なり都市施設の緊急の度が成熟しておるところから順序を追うていくのだと第五条の三項に書いてございますが、そういうような順序はございます。従いまして、そういう意味でございますから、久保田委員のおっしゃいましたように、十なら十というものをやってしまえばおしまいというものではないのでございますので、従ってこういう法を作りまして、永久立法としての処置をいたしたいと考えておるのでございます。  もとより、こういう法律が出ますと、地方の知事としましては、非常に御申請が多いと思います。そこでおのずから、これはまず申請の前にもろもろの調査、特に本法による基礎調査の段階においてすでに中央地方との意見の交換が行なわれておるわけでございまして、本法にきめましたように、大規模地方産業都市建設という要件にしぼってございますから、いわんや個々の用水、用地その他の条件について調査をいたしますときに、おのずから限定の趣旨は地方の知事にもわかると思いまするから、むやみやたらと出してこられることもないと思うのでございます。ある程度これは、こちらが最初にやる以上にオーバーして御申請があると思いますが、そこは、御申請はあるが、第一次としてはこの程度でごがまんをしていただくというふうな結論が、審議会の議を経ましたり、関係官庁の議を経ました上で限局して決定されると思います。そうしますと、それに漏れました者は、次の機会を待っていただく。第一次の産業都市建設が逐次進展をいたしまして、第二次に向かい得る時期を待ってもらう。また、国の予算なり施設の余力ができましたというときまで待ってもらう、こういうことになるかと思うのでございます。御承知のように、たとえば国有鉄道の新線の問題にいたしましたところが、ああいうふうに全国から御要望はたくさんあるのでございます。そのうちやはり厳選をいたしまして、調査線ができ、予定線ができ、建設線ができていくようになっておりまして、もちろん御申請は、絶えず実現するものをはるかに越えて申請されておるのでございますが、それを逐次国が選択をいたしまして、順を追うて実現いたしております。やはりあれに似た状況が出てくるのじゃないか。そういう意味において、非常に広い範囲の将来の伸展を見越しまして、いろいろ調査をし、計画をし、実現をしますのはかなり大規模仕事になりますから、これだけの法案をまとめて提出する意義があると考えておる次第でございます。
  18. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今次官のお答えですが、これは永久立法だと言われる。なるほど形はそうです。しかし、これは鉄道の建設とは性格が根本的に違うと思います。おそらく工場中心にした立地というものは、たとえば用水の問題一つとってみましても、工場に適応するような条件があるわけです。全国で次々に全部そうなるわけではないのです。それと同時に、産業の構造なり仕組みというものは、これはずっと変わってきますよ。変わってきますから、この法律で永久に日本のいわゆるあれをやるという構想は、これは抽象論としては一応永久立法という格好で出ておりますから、理屈としてはそうでしょうけれども、しかし実際には合わないと思います。ですから私はこの点についてはもう少し——今までずっと、あなたがおいでにならぬときに、基礎になるいろいろな事項についてお伺いしたけれども、ほとんど準備はまだできておらないということがはっきりいたしました。ですから、この点も問題点の一つになるかと私は思うのです。  次に、今度は金の出し方の問題についてもう少し伺いたいと思います。かりに、今のお話だと、十年間に、九地区一つか二つということになると、十五、六ということになりましょう。大体一カ所に千五百億と大ざっぱに踏んでみまして、それだけの優先財政の確保ができますか。この点はどうですか。つまりこういうことを始める場合は、少なくともそれに対しまする財政の裏づけというものがはっきりなければならない。今地方では、とにかくいわゆる所得格差の問題だとか、それから工場誘致ということが県でも市町村でも、これはもう頭にきちゃっているのですね。先のことは考えずに、今わんわんやっているのが実情です。そうなると、さっき言いましたように、国で十分統制するかというと、なかなか統制がしにくい状況になってくる。あっちもこっちもおっ始める。金の面で、中央にもそういう準備がない。そしてまた地方にもそういう準備がない。初めからみんな中途半端になってしまうという危険がもうすでに個人の企業体でも、あっちこっちで埋め立てその他については出てきているのですよ。私どももそれを経験しております。そういう中でこれをやる以上は、少なくともこれに必要な資金というものは、これは中央が優先的に確保して、最低この分だけは、いわゆる継続事業費なり何なりとして確保するということをやらなければ、この事業の円滑な運営はできない。この一点、この用意がありやどうや。十年間でかりに十五やる、あるいは二十やるとしますれば、一カ所千五百億とすれば、三兆近くの金が要るわけです。それだけの地方財政の見通しがあってやっておられるのかどうか。これを優先確保して、少なくとも継続事業としてやられるあれがあるのかどうかという点が第二点。  第三点は何かといいますと、これのあれでは、出し方は各官庁がばらばらになっておりますね。みんな単年度の予算で出す。こま切れ予算で出るわけです。これをまとめるのは、今のあれでは県です。県がまとめる。そうすると、非常に、数十項目にわたるやつが単年度にこちょこちょ出てきて、そうしてこれで計画的な、しかも短期に、企業が十分に機能が出る。また新企業が十分に活動できるような都市建設ができますか。こういう点についても何らの工夫がこれには見られない。ですから、私は、第一に、この事業をやる以上は、二十なら二十おやりになるというなら、国の財政の見通しというものを立てて、これだけの資金は中央地方でもって確保する、予算面ではどう、あるいは予算以外の起償なり何なりの面ではこれだけは確保する、ということでなければならないと思う。さらにその次の問題としては、これを継続事業として出していくという措置をとらざるを得ない。もう一つは、今言ったように、単年度のばらばら予算が出ていって、これを県で統一するなんといったら、大へんな話です。これでは事業がうまくいくはずがありません。この点について、どういうふうにこれをやるつもりか。それは、おそらく経済企画庁の長官が中心になって、いわゆる要請大臣があれこれ言わっしゃるということになろうと思いますけれども、決定をした後におきましても、むしろ決定をした後の方が私は非常に困ると思う。そういうしわ寄せは、結局市町村なり、あるいは現地の住民なり企業に寄ってくる。必ず寄ってきます。そういう点についての検討をされずに——検討もされたことだろうと思いますが、検討をされたなら、その検討の経過は大体においてどうなっているか、そうして今の結論はどうで、それを具体的に保証するためには——今の三点を具体的に保証するためには、もしこの法案がこのまま通るといたしましても、どういうふうな措置を考えられておるのかという点をお聞きしたいのです。
  19. 菅太郎

    ○菅政府委員 本案の根本的な大問題を御質問でございますが、なるほど今お問いのことは、非常に根本的な問題だと思います。ただ、たとえば道路何カ年何兆億円計画というふうな意味の総額をまとめたものはまだ作っておりませんのでございますが、考え方といたしましては、すでに自由経済のもとにおいても、ある程度のこういう中級の産業都市建設というものは進行をいたします。かりにこういう総合的な、機能的な、統一的な、計画的な運営をいたさなくても、自然の今までのやり方でも、ある程度進展をいたすだけの国の財政及び地方財政の実力はあるわけでありますが、全然新たなものをここに創出するのじゃなくて、そういうものをある程度計画的に統一的に考えて、こういう作用の中にプラスはもちろんいたします、プラス・アルファするべきものにつきましては、ここにありますように、国としてはできるだけの努力をすべきものがここで規定してございますから、この根本精神にのっとりまして毎年計画を定め、予算を各省が取っていくわけであります。それを何年計画でどれだけ取るかということはきめてございませんが、この法律ができましたならば、各省がその趣旨で年々予算を獲得いたして参ることとなると思うのであります。もちろんその間不統一がないように、中央といたしましては経済企画庁が事務的中心になりまして、総理大臣の統轄のもとに各大臣は協力してその予算を立て、計画を実行していくということになると思うのでございます。その統一性につきまして、府県に御迷惑のかからないように、できるだけ統一性を保持していきたいと考えておるのでございます。お話の継続性でありますが、今の財政の立て方及び執行の仕方、いわゆる継続費の問題は、将来も財政法上検討すべきものがあると思いますが、継続費をもって継続すべきものは現法制のもとでもできるだけ継続費の形にいたしたいし、単年度に繰り返していくべきものは繰り返していく。しかしすでに基本計画がきまっておりまして、経費の概算もきまっておるのでございますから、一ぺんきまりましたならば、その年度々々ある官庁の勝手でそれはオミットするということはあり得ないわけでございます。この基本計画によって年度別の概算計画はきちんときまりますから、それに基づいて実行して参りますから、最初計画がきまりますれば、それが軌道に乗っていくことに相なるわけであります。お考えのように、計画はきまったが、途中で費用が出せない部分ができてだめになるということは、これはないことになっております。しかし、全体として、今お話しのように、最初、何カ年、何カ所、総額何ぼの予算を確保しろということになりますと、現在の日本の財政の運行はそういう建前になっておりませんから、これはちょっとでき得ません。せめて道路五カ年計画何兆円程度のものをやれとおっしゃれば、これは御趣旨でございます。それに近づくような努力はいたしてみまするが、目下のところそこまでいっておりませんことを率直に申し上げますとともに、今、久保田委員御指摘の点は根本的な大問題であるということは私どもよく肝に銘じておりますので、御趣旨に沿うように、現法制、財政の建前のもとでできるだけ努力をいたしてみたいと考えている次第でございます。
  20. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私の聞いているのは、そういうことじゃないのです。努力するのはきまっているのです。努力しなければ、これは何もできませんよ。ですから、努力いたしますと言うだけじゃなくて、具体的に検討をされて、しかもこれは産業と結びつくのですから、国の方の計画が狂ってくれば産業の方も計画が狂ってしまうわけです。そうすると、自己資金でやっていれば利子は要りませんが、ほとんど七割、八割は借りた金、利子のつく金ですよ。これが、社会投資の方がうまくいかないのでストップしたら、企業の方はやっていけませんよ。私は決して企業の味方をただ単にするのじゃありませんけれども、そうしないと、ほかの問題もすべて、労働問題も何も実際にはそこから出てくる場合が多いのです。ですから、私は少なくともこういうふうな新産業都市、これはざっくばらんにいえば、池田内閣の高度成長政策の根幹をなす部面だと思います。その根幹をなす部面について、とにかく従来の法制のワクで、この法律がきまれば、それぞれの官庁が一生懸命やるでしょうから、経済企画庁が事務的に取りまとめれば間違いありません、これじゃ話になりませんよ。ですから、そういう点の検討をなされておったのかどうなのか、検討をなされたなら、法文の形も当然内容が変わってこなければならぬと思う。そういう点は全部未検討であって、あとは後続のこれの実施法なり、あるいは官庁のあれにまかせるというのでは、そして心がまえとしてはこの法律に基づいてそれぞれ努力をいたすという程度では、問題は解決しません。この検討をされ、今度はこれに対処すべき裏づけをする、こういう法律を実は次の段階には出すつもりなのだ、予算措置としては、この予算の扱い方については、一般のものをこういうふうな扱いにするつもりだということがはっきりしていなければ、どうにもしようがないじゃありませんか。これを各官庁が一生懸命で骨を折りましょう、それを期待するというだけでは話になりませんよ。その点はどうなのかと聞いているわけです。
  21. 菅太郎

    ○菅政府委員 もちろんその点は検討いたしましたが、久保田委員の御心配になるほど私どもは心細くは考えないのでありまして、たとえば電源開発計画なら計画というもの、これはかなりシビアな計画でございます。きちんとしておれば、ほぼそれを現在の財政態勢及び民間の資金計画のもとで、そう遺憾なく実行し得ておるのでありますし、私ども根本の態勢をそう変えなくても、現在の態勢のもとでこういうふうに地域の指定をして、官民合同で地方の末端までの意見を徴して、一国の最良の知識を動員して基本方針を立て、そのワク内で基本計画を立て、その基本計画はかなり精密なものであります。少なくともそれに伴う中央地方の財政計画もきちんとついております。それで立ててきまったものは、国ももちろんそれに従って、いかに大蔵省が勝手を言っても、その計画に沿うものはやはり予算に乗せなければならぬということになりまして、この計画自体がかなり拘束性を持っておりますから、それに従って逐次実行される。それから最初計画はされておったが、ある官庁の勝手によって次の予算は削られてできなかった、ふいになった、民間の進出事業に迷惑をかけた、そういうふうに行政がむやみに自由勝手にやることは許されない、そのために年次的な基本計画を立てて、しかも各省各官庁がきちんと相談をして、審議会にもかけて計画をきめるのでありますから、計画を立てました以上は、それに従って進展をいたします。ただ根本の計画を立てるときに、十分先を見越して、精密な計画を立てて、変更なきような完全な計画ができるかできぬか、あるいは計画を立てるときにほんとうに民間が必要としているだけの、先行投資をするだけのものを国の財政でまかない得るかどうかという点については、これはそのときどきによって必ずしも御満足のいくようにならぬと思いますが、計画的に整然と進行する建前をとっておることは、この法制の建前でとっておるわけでありまして、決してその点を無検討に始めたものではないということを申し上げたいのでございます。
  22. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それは一応の計画がなくてやるということはないでしょう。しかし、あなたのおいでになる前に事務当局の方にいろいろ聞いたわけです。たとえば、一つの新産業都市規模なり、あるいはそれに持ってくる民間投資投資額なり、それによる産出効果なり、そういうものさえまだ正確にはできていないのでしょう。今、来月ぐらいには総合計画ができるとおっしゃるが、そういう点の検討を抜きにして作った計画というのは、どういう意味ですか。そういう一番基本的な事項の検討をされずに、全国的な計画はもう一カ月か二カ月たてばできますというのだが、私はどうもそれは紙の上の計画だけであって、実際の計画じゃないと思うのですが、どうなのですか、その点は。
  23. 菅太郎

    ○菅政府委員 局長から申し上げましたのは、全国総合計画は今ここに素案がありますから、これを今各方面意見を聞いて調整中で、三月中にはこれをまとめて、全国総合開発計画としてはこれを正式に決定いたしますということを申し上げたと思います。それからなお新産業都市の青写真につきましては、今お問いいただきましても、まだ研究中というものもございますし、各省意見が合わないところもございますから、これはまだ青写真にはなっておりません。しかし、そういう青写真を作っていくべき基礎の法案をここにお願いしておるのでありまして、ここでこういう新産業都市建設促進法案ができて、こういう法規に基づいてこういう方針でいくんだという、この法規の基礎ができましたら、これに基づきまして今の委員会も作りまするし、いろいろ調査も始めまするし、それから青写真が逐次きまってくる。青写真の原案になるような頭の構想は、それはそれぞれ持っております。しかし、そういうものを今発表しろとおっしゃいましても、これは責任ある官僚としては、必ずしもここで発表し得ないと思うのであります。それで、大まかなどこかのモデル、どこかの地区について、概算どれくらい要るかということはどうだとおっしゃれば、それも今責任を持ってお答えはできませんけれども、まあ研究は進んでおるわけであります。たとえば、大分の鶴崎なら鶴崎につきましてはどれくらい要るだろうかということをモデルとして考えてみようという研究はもちろんいたしておりますけれども、それを責任を持ってここでお話をいたすような段階ではございません。しかし、何もやっていないのかといえば、そうじゃございません。候補地としましてもうすでに相当のものが上がっておりまするし、また久保田さんのおっしゃいましたように、話はちょっとまたもとへ返りますが、何ぼでも無限にこれは広がるものではありません。今まで基幹都市も広域都市も、それぞれ県庁でおやりになりました調査を見ましても、せいぜいやりまして、知事からの御申請が出まして、大体四、五十か六十、この間を厳選して、逐次順を追うてやるわけでありますから、それぞれ関係者の頭にはあります。どこそこの地区、どこそこの地区、この地区はこれくらい、これくらいという腹づもりはございますけれども、ここでお問いいただきまして、さあ責任あることを答えろとおっしゃられると、今政府委員の諸君もちょっとたじろぐのじゃないか、こういうふうに存ずるのでございます。それが実情だろうと思うのでございます。そういう正確な青写真は、法がきまりましてから、逐次順を追って、基礎調査が進み、それから地方との連絡が進み、少なくともその計画ができ上がる段階において具体化していく。その点はお許しを願いませんと、今、青写真もないのに法案を作るのはけしからぬとおっしゃられますと、これは順序がちょっと御無理じゃないかと思うのであります。
  24. 久保田豊

    久保田(豊)委員 次官は、あなたのおいでになる前の私の質問を聞いておられなかったわけですね。少し御理解が不十分な点があろうかと思うのです。私は、全国地区の青写真を正確に作れと言っているのじゃないのです。しかし、一応こういうことをやる以上は、基準になる一応のめどというものは立てなければ困るじゃないか、こう言っているわけなんです。その基準のめどが、残念ながら——これは鶴崎が幾ら、どれが幾らといって、こういうふうにして、こういう青写真を出してくれと言っているのじゃないのです。少なくとも新産業都市という以上は、どの程度のものをという、これは一つのものでなくても、三つなり四つなりのそれぞれ条件の違ったところのあれによって、一応の基準というものを立てないことには、これはうまくいくはずがない。これが順序だと思います。おそらくものを進める場合に、これが順序だと思います。少なくともこれを実施するための法案を準備する、こうして出されてくる以上は、その程度のことはされておらなければ困るじゃないか。その程度のものを、今までの実態を調べられ、それから分析をされ、その中から、その上に立って、大体こういう場合の基準はこれくらいになるとか、あるいはこうだとかいう程度のものを示していただかないと、これでは、あとは準備をしているからよろしくみんな頼む、この法律さえできればあとは全部まかせろということで、それでは困る、こういうわけです。それでやったのでは、ほかの点でいろいろ欠点がありますから、これは非常に危険があるから、少なくともそういう程度のものは、私どもの言っているような程度のものは示してもらわなければ、それはこの法案ができてから作るのだでは困ります。それぞれの人には、具体的には頭の中にあるのだといっても、あっても、それはお役人の頭の中にあるなり関係者の頭の中にあるのであって、国民の頭の中にありません。国民に、少なくとも、こういうことをやって、これならやった方がいいのだ、これをやればこういうふうにプラスになるのだということを納得させるようにするのが、役所の仕事でしょう。一切そういうことはヴェールをかぶせておいて、それぞれの担当者、つまり役人ですよ、お役人さんだけはちゃんとそういう点については青写真ができているのだという、そんな無理を言ったってしょうがない。この法案を通せといったって、それは私は無理じゃないか、こう言っているわけです。ですから、この点は誤解のないようにお願いいたします。これはいずれ大臣が来ましてから、あとそういう点について具体的にお伺いいたします。  それで、その次の問題でお伺いしますが、これは要するに、補助金以外は全部起債でいく、こういうことになっておりますね。この起債の対象はおそらく府県と市町村だろうと思います。ここでもって、この法文には、「特別の配慮をする」と、こういっておりますね。この配慮というのは、具体的にはどういう内容をさしておるのですか。
  25. 山本明

    ○山本説明員 これは先ほどもお答えいたしましたように、三十七年度におきましては、土地造成並びに取得というものを対象にいたしましてワクをふやすということ、そしてそのワクをふやしたものを、今新産業都市の指定はございませんけれども、ある程度申告しておりますものを対象にするという格好にいたしております。将来は、新産業都市建設事業の中におきまして、それぞれ起債を充当する考えを持っております事業を対象にいたしまして、そのワクの増大をはかり、なおかつ、そういう対象になりました都市区域を対象にいたしまして、優先的に許可をしていくという考え方を持って参りたい、このように考えております。
  26. 久保田豊

    久保田(豊)委員 これは、問題は、私はこういうことになろうと思います。かりに多少優先的にするとしましても、従来の都市建設より非常にスピードが早いわけですね。従って、起債額は相当よけいになるということになろうと思います。従って、起債額が非常によけいになるし、特にこういうことを町村でやると、起債がまとまるまでが実際はなかなか手間を食うわけです。その間のつなぎをどうしても考えざるを得ない。中央のつなぎもありますけれども中央のつなぎじゃ、普通実際は、なかなか時期的に間に合わないということになります。これをやる場合には、御承知の通り、おそらく実際の事業は府県なり市町村が要するに業者に請負に出す、こういう格好になると、業者の事業もそこでストップしてしまう、お金がないですからね。そういうことはできませんから、いやおうなしに地方銀行に借りたり、あるいは場合によれば、実際には農協あたりから借りている場合が多いわけですね。そのために、農協が農民の方に回す金がそっちにとられてしまうという場合が非常に多い。今度は、これは非常に規模が大きいですから、農協や信用金庫やそういうところで借りられる程度の金じゃ間に合いませんけれども、その場合に、そういうものも含めた地方の負担というものは、利子負担その他は膨大なものになる。これまでにならないと、実際にどうにもなりません。そういう場合に、ただ特別な配慮をするという程度、優先をするという程度法律の保証では、これはあぶない。私は、自分で今までやってきて、実際直感をします。こんなことで飛びついてやった日には、これは大へんなことになるというふうに考えざるを得ないと思うのです。この「特別な配慮」というのは、利子や、今言ったようなつなぎなのか。これは従って非常に利子負担がよけいになります。そういうものをやった場合には、あとで出てくる企業からの固定資産税なり、あるいはその他の税金でまかなえるものじゃありません。こういう点の検討もされたのか、あるいは特別に配慮するというけれども、その配慮というのは、こういう実態に沿った具体的な内容があるのかどうか、そういう点を実はお聞きしたいわけです。
  27. 山本明

    ○山本説明員 おっしゃいます通りに、起債の許可になります期間は相当かかると思います。従って、われわれとしては、資金繰りの面におきましても、これは十分な検討をしなくてはならない。これはおそらく財務部の責任によりまして資金運用をしていかなければ、高い利息を借りるというような格好になりましても困ると思いますので、それにつきましても十分配慮をしたい。  なお、三十七年度の地方財政計画あたりから、やはり地域開発に関連いたします地方団体の財政需要の増加というのを見込みまして、単位費用の算定をいたすようにいたしております。これにつきましても、やはり新産業都市の区域の指定に当たりましたところの需要額の増加というものにつきましても、法制の面で検討するような検討は進めて参りたい、これでも考えてみたいと思います。従来は地域開発につきましては、地方財政計画の面ではあまり重要な要素にはなっておらなかったように思います。財政規模の方におきましては、この問題を取り上げたいということになっておりますから、われわれといたしましても、財政当局と相談いたしまして、今おっしゃいました資金繰りあるいはそれに伴うところの財政負担の増加ということにつきましては配慮して参りたい、このように考えます。
  28. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その次にもう一点だけお伺いしておきますが、この二十条ですか、進出してくる企業の資金の確保に努めるものという、こういうきわめて、おそらく今までにはかつてなかったような新式の法文が出てきておるわけですね。企業のいわゆる民間設備投資、これを知事や市町村長にやらせようというのですか。そんなことができますか。それは連関産業の小さなものならこれはまた別でしょう。しかし、少なくともここで私どもが想定するような産業について、また中心になるような産業についての資金確保ができなければ、これは民間資金の確保ができなければ、先行投資、先行投資と言ったって、みんな寝てしまうのです。これをここに、特に二十条に規定された意味はどういう意味か。まかり間違えば、いざというときは国がめんどうを見なければならないやつを責任のがれするようなことになる。おそらくこういうところに出てくるあれにしましても、地方限りの資金の導入ということは、ほとんどこれから困難である。御承知の通り、地方銀行も、今地方銀行は大きな金は貸せません。中央がどんどん市中銀行のこれを吸い上げて、市中銀行を通じて地方銀行の金が、場合によりますと、信用金庫あたりまでこれが吸い上げられて、そうして大企業にいっているという実態です。この実態はますますひどくなると思います。これをほっといて、知事や市町村長に、出てくる企業のめんどうまで見ろといわれたって、できるわけがありません。特にそういうできないようなことをここへ置かれた意味は何かということです。これに対して何か具体的な検討をされて、方策があるなら、これもあわせて御説明をいただきたい、こう思うわけです。
  29. 山本明

    ○山本説明員 この二十条は、国という場合におきましては、開銀の融資をできるだけたくさんしていきたい、開銀の融資ワクをふやしていこう、国の方からそれに対しまして出資をするようにしようという趣旨と、それから地方公共団体につきましては、先生のおっしゃいましたように、県から金を出せという意味ではございませんで、そういう融資のあっせんその他につきまして、できるだけ地方公共団体が援助をしてやってくれ、こういう考え方でこの法律は一応作ったものでございます。従って、先生のおっしゃいますような、県なり市町村というものが参ります企業に対して金を出すんだという趣旨とは、われわれとしては必ずしも解しておらないのでございます。それは低開発地域工業開発促進法におきましても同様な趣旨がございますけれども、今言いましたように、地方団体が出資をするんだ、金を出すのだというふうには、われわれとしては理解をしておらないわけであります。
  30. 菅太郎

    ○菅政府委員 補足して申し上げます。久保田委員の御指摘のように、きわめて訓示的、原則的な規定でございますが、最近の立法の例におきましては、ことに大きな基本法典においては、こういうふうに訓示的と申しますか、大方針を定めるような規定がときどき入るような傾向にございまして、お話のように低開発法にもすでにこれがございまするし、たとえば農業基本法とか、もろもろの基本法が出ますれば、ことにこういうふうな大きな原則的な表示の法文がだいぶ出てくると思うのであります。さりとてこういう法文がむだかと申しますと、私はさにあらずと思うのであります。こういうふうに書いてございますと、たとえば新産業都市建設基本計画に盛りました資金計画に公共事業の方の金は載ります。それから、民間事業の資金が大体これくらいというようなことが、こういうふうに規模がきまって参りますと、たとえば中央に本店を持っておりますもろもろの銀行の融資に対しまして、ある程度国が推薦ができると思います。あるいは銀行が融資順序を作ります基準などにも、やはりこの開発産業都市建設基本計画に載っておるものは優先するというような基準もまた融資の順位について作ることができましょうし、そういうふうに相なりまするから、この大原則を立てることによっていろいろなものがそれに応じて発動して参りますから、これ自体は原則はばく然としておりまするけれども、いろいろな点が逐次具体化されてくる道が開けると思うのでございます。そういう意味において、こういう基本的な宣伝的な規定も必要じゃないかと思うのでございますが、仰せのように、この法案に基づいて進出をいたしまする事業は主として大きな事業でございますから、そういう大事業の資金確保について知事なりあるいは市町村長なりがあっせん、推薦するということは割合に少ないのじゃないかと思います。考えなければなりませんことは、この計画は、そういう進出する、たとえばコンビナートの事業であるとか、あるいはそれに伴う基礎産業のほかに、関連をいたしました産業計画が相当入ります。今の大体の考え方では、コンビナート工業の、たとえば就業人員で申しますと、コンビナート工業が一と考えますと、関連産業の就業人口はもっとそれ以上と考えておりますし、いわんやそれに伴います第三次産業はまたそれくらい大きなものと考えますので、従いまして、この計画の中には、そういう大基幹産業のほかに、中小企業産業も入りますし、あるいは第三次産業の事業も入って参りますから、そういうものまでもそう考えまして、ここにあります製造事業、運輸事業等でそういう範疇に属するものがありますれば、今申しましたような比較的中小企業に属するものの世話までもしなければなりません。そういうものになりますと、比較的府県単位、市町村単位でそれぞれ自治体の長があっせんすれば、地方金融機関などがある程度融資がしいい、融資の順位を高めることがやりやすくなるということもあるかと思いますので、そういうことも含めて、一応こういうように大まかに規定をいたしたいと考えていただきたいのでございます。
  31. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それはわからぬことはありませんがね。自治省のお答えのように、府県なり市町村がそういう企業に出資をすることは私も考えておりません。そんなことはできるわけでもないのですからね。しかし、こういうふうにやっておりますと、いかにも従来は大体国が主として責任を負ってきたことなんですね。ところが、今度は、府県知事やあるいは市町村長がやるということになりますると、ある程度責任を持って、これは連関の小さなものについては当然やりますけれども、大きいものについてはとうてい手が出ない。しかもこういうふうになってこれを積極的にやるということになると、小さないわゆる地方の金融というのは、これはみんな吸いつけられてしまうという危険があります。大体知事の顔のきくというところはどこかといえば、地方銀行ないしは相互銀行、あるいは信用金庫あるいは農業協同組合、信連ですね。一番あぶないのは信連だと思う。これはどこでも一番知事の顔のきくところです。こういうところの資金をこういう方へ知事や市町村長の顔でやるということになりますと、非常に金融の秩序というものは乱れてしまう。しかも一番必要な連関のところへはますます金が行かなくなってしまう。そうして、そういう市町村長なり知事なんというものは、そういういわゆる企業のまるでサービス・ボーイになってしまう、こういう危険がここにも出ているわけですね。ですから、私は当然やるべきことは、これは知事だって、市町村長だって、こういう規定がなくてもやります。ですから、こういうものを麗々しくうたうよりは、そういう進出企業基本的な金融政策その他については国が責任を持つ。国の地方ブランチがあるのですから——なければ別ですよ。地方ブランチをみな持っておるのですから、そこでやらした方がいいんじゃないかというふうに実は考えるわけです。そこにも私は非常に大きな危険があると思うんです。これらのあれから見まして、それを申し上げたかったわけです。  で、もう一点だけ、つまり地方税の不均一課税をされる場合には、その穴埋め方式が二十一条に規定がありますが、これでは戻ってくる方は少ないでしょう。ずっと少なくなってしまう。そうしてこれでは負担はうんとよけいになります。どんなにしても、市町村やあるいは府県の負担は、正直にやろうとすればうんとよけいになります。そして、この二十一条の不均一課税でいくと、私ども実際にやってみますと、これでは税金でうんと減収になって、中央からこれを穴埋めする面は、ほとんど問題にならないように少なくなってしまいます。この点についても、地方がこれをやれば、ほかの点を別にしましても、これだけでも企業に対するサービスになろうと思います。サービスになりますが、そのサービス分は地方財政はますます困ってくる。ですから、住民に対するサービスを落とすよりほかに方法がなくなってしまいます。なぜこんな規定を置いたかと私は思うのです。この前の低開発地域でもこれは問題ですが、特にこういう点については私は相当問題だと思うのですが、この点はどうなんですか。
  32. 山本明

    ○山本説明員 お説のように、自治省といたしましては、こういう産業が来ました場合に、地方公共団体が、減税することにつきましては、むしろ反対といいますか、賛成をいたしかねておるのでございます。当然取るべきものは取って、そうしてその工場が来たことに伴う公共投資といいますか、道路を直したり、あるいは学校を建築いたしまして、工場が来ることに伴って、その当該市町村が全体としてよりよくなっていくという方向が望ましいと思うのでございます。ただ、現実には非常に税金を負けておるという例もございまして、低開発地域工業開発促進法におきましては、これは低開発であるという意味合いにおきまして、やむを得ないだろうという考え方を持ったのでございます。しかし、新産業都市の区域の中でも、現実に今、大分の鶴崎とか各地で出ております建設内容を見てみますと、かなり減税をすることが企業地方に分散する一つの助けにもなっているのです。その面を、あまり自治省の立場から、減税はおもしろくない、それに対しては全然見ないのだということになりました場合に、工業地方に分散する速度というのがかなりおくれてくるであろうということから、この考え方を取り上げました。しかし、それは低開発のような場合と違いまして、ある程度補てんをする額も減少するなり、あるいは事業税というものも落としております。これはそういうふうにいたしまして、地方工業が分散する一助にもなったらという意味合いで、この法律の中に条文を入れたわけであります。そういう点から見ますと、若干先生のおっしゃいましたような問題はあろうかと思いますけれども、根本的には、やはりわれわれとしては減税はせずに、むしろ税金を取って、そうしてそこの市町村の一般収入として、その工場の来ることに伴うところの行政水準の向上を考えるというふうにすべきである、このように指導はして参りたいと考えております。
  33. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう二点だけ質問をします。  大体この法案は、ずっと一貫して研究してみますと、今度は新産業都市を作る、しかし国は従来の補助率以外には一文も出さないという考えですね。これはどうなんでしょう。これでは私はべらぼうだと申し上げたい。そうして、知事と市町村、それから企業が全部持て、こういう基本構想で、いわゆる高度成長政策なり、産業地方分散なり、あるいはそれによる地方所得格差が変わってくるの、地方の行政水準が上がってくるのということを言われることはどうかと思う。一番最初に、わかり切ったことですが、第一条の目的で特に私がお聞きしたのはそこです。これはどう正直に読んでみましても、実態と合わせてみれば、これは市町村や何かで背負える仕事ではありません。国が従来の補助基準を保っておる限り、県で背負える仕事ではありません。そうすると、これから出てくるものは何かといえば、どう弁解をされようとも、これから出てくるものは、いわゆる先行投資なるものはみんなし参切れトンボになって、しかもそれは住民の負担なり、あるいは地方財政を非常に圧迫して、しかも効果を現わさないものになるか、しからずんば、これは地方の住民のサービス機関としての自治体の立場というものをうんと悪くする。それでなければ住民の負担を——もう少し具体的にお聞きしたかったのですが、時間がありませんからこの次にしますけれども、たとえば都市計画とこの新都市のあれとを結びつけて具体的に問題を出してみますと、これはほとんど住民負担になってしまいます。こういう基本構想というものを何で私は——これは皆さんに言ってもしようがない。大臣に聞くことですが、次官がおられるからお聞きしますが、これは何と弁明をしてもしようがない。これから出てくる事実だと思います。これを保障するものは何もない。これが永久立法だということならばわれわれは賛成できません。うちの党はどうか知りませんが、私は賛成できない。これから出てくる結論企業にもプラスになりません。何にもプラスになるものがなくて、下手すればむだ金を中途半端にあっちこっちに散らすというよりほかにないと思います。そういう点をもう一度検討されておるのかどうか。こう言うと、しましたと言うにきまっておりますが、そういうことになるだろうと思うけれども、まじめに一つこれは実際にもう一度再検討してもらいたいと思います。それでないと非常に危険です。この点はどうですか。
  34. 菅太郎

    ○菅政府委員 根本の非常に重要なる問題でございますが、大体お読み下さればわかりますように、一番のねらいは、公共事業をここに集中するという点にやはりこの法案の骨子がありますが、この集中する公共事業は国の直轄事業も相当ございます。全額国庫負担のものもあります。それから地方負担のものもあります。場合によりますと、補助金の形もあります。あるいは事業によりましては、中央からの融資のものもありましょうが、そういう大小各種のものを取りまぜました公共事業をこの目標に集中いたしまして、先行投資をやって都市作りをしていくという考え方でありますので、その間に今、久保田委員お話しになりましたように、これは相当国家的性格の強いものであるから、国費負担のものをなるべく増額するとか、あるいは中央地方の負担割合を、国費の負担を多くするとか、補助金の額を増すような特別な工夫をしたらどうかという御趣旨だと思いますが、こういう点につきましても、もちろん私どもも今後も研究を続けたいと思います。やってみてどうしても必要があれば、そういう点を取り入れることにやぶさかではありませんが、さしあたり今の負担区分のままの公共事業を、この形で一応集中してやってみたいと考えておるのであります。御承知のように、非常に地方財政力の貧弱なところに対しましては、後進地域開発促進法にありますように、補助率をアップする問題もありますし、あるいは離島振興法のように、ああいう特別な地域には特別の負担率をきめる場合もあります。そのほか事業の性質によって特別に負担率を高めることがありますし、そういう前例がありますから、主として負担力の弱いところをねらってやるのが原則でありますけれども、ここは急速な建設をやりはいたしますが、どんどん伸びる成長度の高い、いわば非常な現実の努力は要りますけれども、日の当たるいんしん産業の基礎の上に立つものでありまして、事が始まっていく途中には、かなり担税能力のある、費用負担能力のある新しい都市が生まれてくるのでありますからして、今まで考えておりましたように、負担能力が地方にないからという考慮は、そういう意味ではあまりしなくてもいいのじゃないかと思うのであります。ただ事の性質上、ある種のことについては、中央地方分担のものは、もう少し中央のものの補助率をふやすという問題は将来において考え得るかと思いますが、そういう点につきましては、もちろん将来研究をいたしまして、改正することにやぶさかではございません。そういう問題は重要な問題であるということは、私どももよく肝に銘じております。
  35. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は、その点の認識は政府は全く違っていると思うのですよ。税金がうんと入るからどんどん伸びるというけれども、しかし、企業というものは、最初投資をして、それがとにかく一応減価償却を終わる五年なり六年なりというものは、負担能力はないのです。一たん減価償却が全部できて、あとは補修程度で金が少なくて済むというときには、負担能力はありますよ。しかし、企業が一番当初投資をして、それの減価償却が終わるまでは、これはそんなに税金その他の負担能力はないのです。この点も一つ考えなければいかぬ。  もう一つは、これがないから、中小企業のごとき新しく始めたところの労働者の賃金状況は、われわれ調べてみますと、うんと悪い。そうして、おやじをつかまえてぎゅうぎゅう話してみると、結局これなんですね。一応減価償却も五年なり六年なりの間にできてしまう——今減価償却率は大企業は非常に高うございます。ですから、これが終わらないうちはできないのですよ。だから負担能力なんかそんなにありゃしませんよ。これはやはり政府が見てやるべきが当然ですよ。また同時に、かりにそれが負担能力ありとしてみて、それからどんどん税金を取ってみても、それでこんな大きなものがやっていけるかというと、それだけ新しいものができてくれば、これの管理費なり維持費なり役場の経費というものは、また莫大になってくるのです。しかもそれを、従来の十人であったところが、こういうものができたから二十人でいけるかというと、そうじゃないのです。これは五十人も七十人も、人間だけみても金がかかるということになってくるわけです。そういうものを見ますと、新規の進出企業から取り得る税金によってまかなっていく、しかも短期に借りた借金の元利の償却や起債分をなしていくということは、とうていできないと思うのです。これはあなたも御承知だと思いますが、私はそれを今まで身をもってやってきて、できないから言っているのです。できるなら、決してそんなぜいたくを言おうとは思いません。できないから、こういう点を本気になって国が責任を持ってやるのが当然じゃないか。それを国は結局借金の世話だけしてやる、あとは府県と町村で補助基準以外は全部お前の方でもってやれ、こういう根本の建前では困る。そういう点を根本的に改める必要があるという点を私は言っているわけです。  それからもう一つ、これは大臣がおいでになったら、この点についてもう少し突っ込んで、具体的な問題を出してはっきり申し上げます。全国のことを私は知っているわけじゃありませんけれども、例を出して意見を戦わしてみてもいいと思いますが、これは次に譲ります。  もう一点、これの実施主体は大体知事ということになっておりますけれども、現場の実施主体、これは知事でやれますか。今の県の機構でやれるか。町村も一体になってやれるか。これに何らかのことを考えてやらなければいかぬということと、これについては、中央で全体的な公団制度というものを考えられておるが、これにも私は問題があると思う。公団でやっても、公団の構想次第によってはかえって工合の悪いことになると思うのです。この点が一点です。これを重点的にやるというなら、これに即応するような何らかの新しい体制を——公団方式が私はいいとは考えませんが、公団方式があるなら、これは従来できたような公団方式でなくて、もっと特性のあるものを作るべきだと思うのです。地方のイニシアチブを知事なりあるいは関係の市町村に十分持たせ、こういったものの意思が十分中に民主的に反映できるような、しかもこれを強力に統一してやれるような仕組みを何とか考えなければならぬ。公団制度はそれがないと思う。そこらの公団というものについての考えをどんなに構想されているか。  もう一つ中央では、六大臣が要請で、経済企画庁が事務的にこれを取りまとめる、こういうことですが、これはうまくいかぬと思う。やはりこれを本気になってやるというなら、とにかくこれはこれからの高度成長政策の一つの国としてやるべき一番基本の事業になると思います。これはまだほかにもありますが、しかし少なくとも拠点的には一番大きな拠点になる。それをやる以上は、各官庁がばらばらに、さっきのお話のように、予算の点についても単年度予算で方針を見てこれでやれと言ったって、なかなかうまくいきません。何かやはり中央においての統一機関なり計画推進機関、こういうものがなければうまくいかないのではないかというように考えます。  以上の点ですが、実施機関として中央に大きな公団を作り、その出張所を作ってやれというのは賛成できません。これは非常に弊害がある。地方のイニシアチブがほとんど失われて、問題の解決はできず、むしろ紛糾するだけです。こういう点について、実施主体についてどういうふうに考えられているのか。私は、この点、本気にこの仕事をやるというのなら、政府はもっと煮詰めて、具体的に実際的に考えるべきだと思いますが、いかがですか、伺いたい。
  36. 菅太郎

    ○菅政府委員 ごもっともな御質問でございますが、一つ申し上げたいと思いますのは、地方でやります実施中心は、なるほど知事でございます。そうして新産業都市建設協議会——地方の場合は協議会と申しておりますが、その協議会の会長に知事が当たりまして、これに各出先の機関の長か参画いたし、その他自治体の長、民間の学識経験者が入りまして、そこが立案及び実行の中心機関になると思います。知事が中心にすわりますが、ただこの地方が負担し、実行するのには非常にふさわしくないような骨格のたくましい仕事は、国が立てて、直営事業でやりますし、御承知のように、国の出先がそれぞれありまして、港湾の建設とかの他筋金のような仕事は、国が直轄任その仕事で、それぞれの出先機関の責者がやって参りますし、それを取りまとめて県自体のやるべき相当の仕事を知事が、自分で負担してやるということになると思います。そういう国の筋金が入っておりますから、全部の重荷が知事にかかるとは思わないのでございます。そういうわけで、何もかも知事が背負ってやらなければいかぬというふうに過剰負担にお考えになる必要はないと思うのでございます。取りまとめは相当な任務でございますが、中央においても同様な問題がありまして、経済企画庁がその任にたえ得るかという御質問でございますが、私は今の日本の行政機構においては、経済企画庁が勉強する以外に方法がないと思うのでございます。  それで、公団でも作ってということですが、これも明らかに一つの研究課題ではございますが、しかし、こんなに大きく行政が直接参加し、骨組みに入っておるようなものは、行政的色彩があまりに強過ぎて、公団ではとてもできません。従って、これはやはり各関係行政機関が責任を持って、経済企画庁取りまとめをいたしていくのが一番適当だと思います。もしそれ、もう少し経済企画庁がんばれとおっしゃっていただきまして——どうもよろよろしておるようでありましたら、一つ経済企画庁の権限を強化するという問題はあるいはあるかもしれません。あるいは堂々たる一局を設けていただくということもあるかもしれませんが、そして経済企画庁が、要するにがんばって、機能を発揮していくことによって、この統一なり推進の機能を発揮することが今の段階においてはいいんじゃないかと考えておる次第でございます。
  37. 久保田豊

    久保田(豊)委員 まだ質問がありますが、お願いした資料が出ましてから、事務的な点と同時に大臣に対する基本的な政治問題についての御質問を保留いたしまして、きょうはこの程度で終わりたいと思います。
  38. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後一時十一分散会