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1962-02-14 第40回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十四日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    齋藤 憲三君       首藤 新八君    田中 榮一君       田中 龍夫君    中垣 國男君       野田 武夫君    林   博君       村上  勇君    山手 滿男君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         農林事務官         (農地局参事         官)      富谷 彰介君         通商産業事務官         (繊維局繊維輸         出課長)    亀井 義次君         建設事務官         (都市局都市計         画課長)    吉兼 三郎君         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十三日  小規模事業対策予算増額に関する請願(小枝一  雄君紹介)(第九三〇号)  同(田中彰治紹介)(第九三一号)  同(草野一郎平紹介)(第九九六号)  商店街振興法制定に関する請願浦野幸男君紹  介)(第九三三号)  公共料金等物価値上げ阻止に関する請願外五  十二件(五島虎雄紹介)(第九六五号)  同外三十四件(五島虎雄紹介)(第九九五  号)  競輪選手制度の改善及び法制化に関する請願(  倉石忠雄紹介)(第一〇七二号)  天然ガス及び石油資源開発に関する請願田中  彰治紹介)(第一一五一号)  電話加入権質による零細企業者育成資金として  商工組合中央金庫等に特別融資わく設定の請願  (相川勝六紹介)(第一一八九号)  同(宇野宗佑紹介)(第一一九〇号)  新鶴見変電所新設及びこれに伴う道路工事反対  に関する請願米田吉盛紹介)(第一二二三  号)  中小企業に対する政府関係金融機関の資金わく  拡大等に関する請願宇田國榮紹介)(第一  二四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号)  米国綿製品輸入賦課金問題に関する件      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の新産業都市建設促進法案を議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保田豊君。
  3. 久保田豊

    久保田(豊)委員 きょうは大臣がお見えになりませんから、なるべく事務的な点に要点をしぼって少し御質問いたしたいと思います。  まず第一に、第一条の法の目的ですが、これの目的は、文章としてはいかにも筋が通ったように書いてあるが、実際には二つ要点があると思うのです。一つは、いわゆる工場の再配置といいますか、産業立地的な見地ということと、一つは、国民所得地域格差をなくなす、こういう大体二つ考えがこの中には盛り込まれておると思うのです。私はこの点について、どっちに重点を置いてあるのかという点を御質問いたしたいのであります。それというのは、この法案の基礎をなしましたいわゆる通産省の要綱なり、あるいは自治省の要綱なり、あるいは建設省の要綱というものが、いずれもねらいが相当違っておるが、そのねらいの違ったものを要するに文章でまとめたというのがこの第一条だと思う。このとり方によりまして、実はこの法案実施経過なり内容なり、できるものというのは非常に変わってくると思う。そこで、これはわかり切ったことのようですが、この点について政府としては、特にこれの所管をする経済企画庁としては、どういう観点でこれを統一されたのか。これは経過からいえば、自民党の方が一応取りまとめられたということでありますけれども、これは文章でごまかしたって、この基本がどこにあるかということによって、実際にはこの計画の全体が非常に変わってくる。そういう観点から、私は特にこの際、念を押して聞いておきたいと思うのです。いかがでしょうか。      ————◇—————
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本案の質疑の途中で恐縮でありますが、ただいま通産大臣がお見えになりましたので、この際、先刻の理事会において協議いたしました通り米国綿製品輸入賦課金問題に関する件について、自民、社会及び民社三派の賛同を得て決議をいたしたいと存じます。  まず案文を朗読いたします。    米国綿製品輸入賦課金問題に関する件   さきに明らかにされた、米国綿製品輸入賦課金の構想は、それが実現されれば、わが国の対米綿製品輸出に重大な影響を及ぼし、関連産業に深刻な打撃を与えるとともに、これに従事する労働者の雇用とその生活に大きな不安をもたらすことは極めて明白である。   よって政府は、米国政府に対し、このようなわが国の実情を深く理解し、この際賦課金課徴方針を直ちに取り止め、もって日米貿易の相互の発展のために最善の努力をつくすよう、強く要請すべきである。   右決議する。  以上の通り米国綿製品輸入賦課金問題に関する件を本委員会決議とするに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。佐藤通商産業大臣
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま決議を見ましたこの米国繊維製品に対する賦課金問題、これは御趣旨通り国内産業並びに関連者一同に対しまして、重大なる影響を及ぼすものであります。今日まで政府もあらゆる機会をとらえて、政府の強い要望を重ねて参りましたが、今日までまだ結論を得ておりません。この際本委員会決議がございましたので、御決議趣旨に沿いまして、政府最善を尽くして参りたい。かように考えます。
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 なお、本件の政府方面への参考送付等手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 さよう決しました。      ————◇—————
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 中断いたしまして恐縮でありますが、久保田さんの質疑を続けます。
  10. 菅太郎

    菅政府委員 ただいまの御質問要点で、ちょっとはっきりせぬ点もございますが、本法案目的といたしております二つの事項、この四大工業センターへの過度産業人口集中を防止するということ、及び国民生活国民収入地域格差を是正していくという、この二つのいずれに重点を置いているかという御質問に対しましては、これは両方とも重点を置いていると言うほかないと存ずるのでございます。ただ、従来のいきさつから申しますと、御承知のように各省が非常に似寄りました調査及び計画を持っておられまして、それが御承知のごとく相競うておりましたのを、本法で総合いたしたことは御指摘通りでございます。従いまして、従来やっておられましたいろいろの要素が、これに総合されておることは、これまた否定できないのでございます。自治省がお考えになっておりました地方基幹都市の問題は、やはり地方行政といいますが、地方経済における基幹をなす都市を作ろうというお考えが非常に中心だったと思いまするし、また建設省のお考えになりました広域都市建設は、近代的視野において、広い経済圏を背景とした、区域もまた広い総合的な都市建設しようというお考えでありましたでしょう。ともにこれは近代的都市建設という色彩が相当強かったと思うのであります。通産省の方のお考えは、むしろ工業地方分散、大都市に対する工業過度集中の防止という、産業立地的なお考えの方が強かったと思うのでございますが、これらのものをまとめまして、まさに久保田委員の御指摘のごとく、それらのもろもろ要素を総合いたしましたのが、本法の精神でございます。  従いまして、目的も今申し上げましたような目的でございまして、しかもそういう目的をもってする産業都市建設と相なっております。単なる基幹都市広域都市建設でなくして、産業都市建設でございますので、工業中心とする近代的な大規模産業を具備する都市建設、従いましてそれは勢い広域都市でもございましょうし、基幹都市ともある程度合致するものと思いますが、必ずしもぴしゃっと一致するとは思いません。地方基幹都市と申しましても、必ずしも産業都市と言えないものがあると思うのでございまして、多少そこにずれがあるかと思うのでございますが、おおむねこれらの三省の御主張を一本に、総合的にまとめましたのが本法案であるとお考えいただいていいと存ずるのであります。
  11. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私が特にお伺いしたいのは、産業立地という見地からするのと、いわゆる地方の住民の所得格差という見地からするのとは、条件が相当違ってくるわけですね。産業立地ということになりますと、特に最近のようにコンビナートその他に見られるように、いわゆる連関産業の間に技術的、物的の連関が強くなってやるというような場合の立地条件というもの、さらに一般的に言えば、一つ近代産業が成り立つには、それの下請けなり何なりの産業を相当に近くに培養しなければできないわけです。それぞれの産業の業種によって違いましょうけれども、最近はそういう産業間の結合の一つの原則というものが、今までとは違ってきているのです。従って、そういうものを持った一定の社会的な条件なり自然的な条件なりによって、産業立地には産業立地の独特の条件があるわけですが、そういうものを基準にしてこれをやるのか。ところが今低開発、つまり所得の少ないというところ、農業地帯、そういうところには、日本のような場合には、大体において今言ったような下請産業その他のものがないのです。またそういうごく近代的なこれからの産業のいわゆる社会的な基盤をなすような条件が欠けておるから、現在はますますそういうところがおくれてくるというわけです。そういうところへいきなりこういう近代的なものを持っていって、ぽかっとやったって、産業として成り立ちません。そこに国民経済的に言えばむずかしい問題がございます。そういった問題を統合される過程で、これは自民党の方で一応政治的にまとめられたということですが、企画庁なり何なりはそういう問題を、ただ口の先だけでなく、実際これからの産業発展方向というものとにらみ合わして、どういうふうに統一をされてこの文章を作られたか、こういうことを聞いているのです。今お話しのような程度のことは、これは常識でよくわかっているわけですが、こういった点の突っ込んだ再検討がないと、要するにこの計画が最初に出たものと非常に違ったものになってしまう危険があるじゃないか。特に三省間のこの法案が出てくる経過の中で、ほんとうにおくれた地域には、この前出た低開発地域工業開発促進法というもので、地方の非常におくれた所得の少ない地帯には、商工業なりあるいは個別工業というものを持っていって、これで穴埋めしていこうという方針がすでに立っているわけです。それとの連関。片方には四大地区における工業の非常な過度集中、こういう三つの態勢というものを考えた上でのこれは目的でなければならぬ。そういう点についての検討をしておるのか、していないのかということを今お聞きしているわけです。もう一度はっきりしたお答えを願いたい。
  12. 菅太郎

    菅政府委員 今御指摘の点は、もちろん十分考慮をいたしました上の立案でございますが、ただし、お話のように総合いたしましたので、二つの大きな要請を重ねておりますから、その点を御説明申し上げたいと思います。  産業集中を防止して分散する、地域格差を是正するという意味では、その四大工業センターに次ぐ大産業立地には必ずしも十分な条件がなくても、今申しましたような意味では、ある地区にはそういう意味産業都市を置かなければならぬと思うのであります。その要請一つあります。それから、あくまで四大工業地帯に次ぐ、産業立地としては非常に高度の性格を持っておる、大規模工事地帯の適性を持っておるところを選ぶという意味選び方もあると思うのでありますが、その両方をある程度調整しながらやっていこうという考え方でございます。つまり、もう産業立地本位で、四大工業センターに次ぐ大工業地帯本位でいきますと、どうしてもこの指定が偏在いたします。だから、その際に、それのみに片寄らないで、ある程度産業地方分散といいますか、地域格差を是正する意味で、工業立地としてはやや程度が低くても、今のような要件を満たす意味において、たとえばあるブロックの一つ中心を選ぶという考え方もこの中に織り込んでございます。両方要素を取りまとめる、総合的な見地においてこの考え方はできておるのでございますが、それをあまり片寄らないように調整しながらいきたいという考え方でございます。  それから、低開発地域の問題は、御承知のごとく、この法案とは考え方が非常に違いますので、まず対象とする地域は、今御指摘のように、低開発地域中心になります指定さるべき地点は、御承知のように、第一次産業就業者の比率が三八%以上もしくは第二次産業就業率が二五%以下という、いわば比較的農村的地帯低位工業地帯と申しますところを対象といたしてやって参りますのと、それから低開発工業のやり方でございますが、これはやはり企業を優遇して誘導してくるという、それが主体になっておりまして、それを中心になってお世話するのは主として府県以下の地方がお世話するという考えに対しまして、本法の方はそうでなくて、大産業が進出するにふさわしい地区に、先行投資としてもろもろ公共施設その他の方を先に都市建設をしてかかる。しかもそれは主として国家の責任において——もちろん知事申請に基づき、地方協議会の意見を盛りまして立案もいたしますし、実施地方にまかせますけれども、国が高度に関与いたしまして、先行投資としての都市建設をしてかかるという点が非常に大きいのですから、性格的にもかなり違いますし、対象選び方も、先ほど申し上げましたような地点対象といたして参りますから、おのずから違います。そういう低開発工業地帯開発、それから今申しました本法の目標の選び方などにつきましていろいろ勘案しました結果の結論がこれでございまして、それらの観点十分考慮をいたしました上での結論なのでございます。
  13. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今のお答えは、一応言葉としてはあれですが、非常に矛盾しております。そういうお考えでのあれなら、知事事業主体になって申請をしてやるなんてばかなことにならぬはずです。これは国が全体の工業立地の立場からぴしっと全般をにらんで、どこへどう配置するということをきめなければ、知事自分の県だけのことを考えてやって、そんなうまい配置ができるわけはありませんよ。その点については私あとでもう一度触れますが、大体におきましてこの点の検討が不十分なように思うのです。もし今のようなお話で、そういう観点からやるなら、国自身がこういう大産業都市建設計画をみずから持って、みずから実行するということでなければ、ほんとうにうまい話にいくはずがありませんよ。知事自分の県を土台にして——自分の県を土台にすれば、これはみんな手前みそになりますよ。そういう手前みそ的におれの県にもおれの県にもと言ってきて、うまいそういうことができるわけがありません。ですから、そういう点で、根本において、調整はされたのでしょうが、私は筋が通っていないと思う。そういう点も含めて、国自体ほんとう計画を持っておるのか持っていないのか。文章としてなりあるいは抽象的な方針検討はされたかもしれないが、これは、具体的にする場合には問題は計画です。そういう計画を持っておってするというなら話はわかる。しかしどうもこれを、ずっと文章だけ読んでみますと、そういう計画はないし、そういう計画という点について見ると、今までの建設省計画なりあるいは自治省計画なりあるいは——通産省ははっきりした立地の再配分計画というものはないようですけれども、一応今まで考えていたもの等をやるとすると、そこに非常に大きい食い違いがあるから、この点は文章としてではなく、事実として、あるいは計画としてどう調整をされたかということを聞いているわけです。その点はあとでもう一度触れます。  第二点に移ります。その次は、従って今の話にも連関してくるわけですが、区域指定は、申請は大体知事が出すことになっておるわけですね。市町村長同意を得て知事が出すことになっておる。その指定申請には一定条件があると思うのです。その条件とは具体的にどういうことを考えているのかという点です。特にその場合において、将来の都市人口地域や大きさについては、これまた当然一定基準がなくてはできぬはずです。そこへ持ってくる新産業はどういう種類を持ってくるのか。石油コンビナートを持ってくるのかあるいは製鉄コンビナートを持ってくるのか、あるいは中小企業を持ってくるのか、あるいは機械産業を持ってくるのか——機械産業の中にもいろいろあるはずです。そういうものと、そこに持ってくる企業の数とかあるいは企業規模とかあるいはその年間の総生産高というもの、産出高はどのくらいのものとか、あるいは、就業労働者とか、そこへ移住してくる人間はどのくらいのものを見込んでおるのか、こういうふうな点。特に大事な点は、今お話がありましたように、公共事業先行投資をする、こういうのでしょう。そこへ持ってくる企業については、大体において、あらかじめ知事が、知事責任においてここへこういうものを作れば何が来るんだという約束をしなければ、作ったものは、使えませんよ、これが狂えば、要するに大きな負担がかかるのですから。その負担をペイするところがない。地方団体が償うのにきまっている。そういう点については、これは何も規定してない。何もありません。これじゃ私は、知事としたって、いいかげんな山勘でもって政治をするなら別問題ですけれども、責任を持ってやるなら、この状況を明確にしなければ、知事はうかつに申請はできないはずです。現に、たとえば、至るところで、やれ製鉄コンビナートができるとか、何ができるとかいって、地方がうんと公共投資をしているでしょう。きょうの新聞を見ても、堺地区では、八幡ですか、神戸製鋼ですか、どこか大きな製鉄所があそこへ進出するのを、ことしは規模を縮めるとかいうことである。そうなると、埋め立てなり何なりうんと銭をかけたやつが、大きなコンビナートが来なくなって、連関のほかの企業も来なくなるということになると、とたんにそこの財政というものは破綻するはずです。私の地区なんかもそうです。たとえばアラビア石油が来る、あるいはそれに連関していろいろのあれが来るということでいろいろ用意しておったところが、最近のいろいろな情勢から、これがまだめどがつかないということになりますと、私のところはまだ手をつけておりませんからいいが、もしこれが手をつけておったら、その間の地方公共投資というものは全部むだ——むだということはありませんけれども、一時ストップして、たちまち市町村なり県の財政がいびつになってしまいます。従って、これには知事申請手続が書いてありますが、責任を持ってやるならば、そういう申請について一定条件をつけるのは当然です。ところがこれは何もない。特に知事がそこに持ってくる大企業なり連関企業の誘致を、ある程度めどができなければ責任を持ってできないのかどうか、そういうふうにして知事責任を負わせることが、国の産業配置なりあるいはいわゆる地方所得格差を是正するという国の大きな方針からいって適当かどうか。こういう点についてどういうふうに考えられておるのか。それらの点について検討をし、あるいは方針を持っておられるのかどうか。少なくともこの法文と、それについての役所側の説明を聞いた範囲では、そういうことは何もない。一番生きた大事なことについては何も触れていない。聞いてみると、あとは全部行政措置にまかせる、こういうべらぼうな法律というものは私はないと思う。ここはどうなんですか。
  14. 菅太郎

    菅政府委員 本法の建前が、少しく久保田委員の御指摘とは食い違っておりますが、本法におきましては、指定要件というものを第五条にこういうふうにかなり具体的に示しておるわけでございます。従って、この指定要件につきましては、ここにありますように、第五条の第一項にずっと項目がございますし、これはお読みになればわかりますが、その第二項には、指定をするときには全国総合開発計画に適合するような意味指定をしなければならぬということもございますし、同じく第三項には、指定をするときには一つ工場立地計画がすでに相当進行しておること、もう一つは、産業立地条件及び都市施設の整備が緊急に必要である情勢が成熟しておること、こういうことが指定条件になっておるわけでございます。   〔委員長退席内田委員長代理着   席〕  つまり法の立て方としては、指定条件をここでこうきめまして、これに対する申請知事側からやらせる。もし知事側から申請がないときは中央から発動してやるというふうに、二本立てになっております。従いまして、知事申請をなさるときには、当然こういう指定条件考えながら申請をされるわけでございますので、間接的だといえば間接的でございますが、そういう仕組みになっておりますから、その点をお含み願いたいと思います。  なお、今年の三月、全国総合開発計画が正式に確定をいたしますと、ほぼ全国における工業立地の大綱がきまりますから、知事申請をされますときにも、やはり全国総合開発計画方針に沿うような意味申請を出してこられるわけでありまして、全然無鉄砲に出してくるということはあり得ないわけでございます。つまり全国総合開発計画のワクに従いながら、この指定をされる基準を頭に置きながら、知事側から申請をしてこられる。なお知事申請がなくても、場合によりますと中央から発動いたしまして、この指定を進めていくところもある。もちろん知事同意を必要といたしますが、そういう仕組みでございます。
  15. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それはわかっているのですよ。わかっているのですが、一番要点は、実行する方からいえば、どういう企業ほんとうに来るのか来ないのかということが一番中心になると思うのです。いつどういう企業が来るかわからないのに、一生懸命工業用地を作って、これから呼ぶのだといっても、国が全部しりぬぐいしてくれるなら別問題でありますが、そうではないとすれば、なかなかできにくい。そこに来る工業あるいは工場あるいは企業の招致なりその他についての責任知事に全部おっかぶしておいて、そしてそれはともすればはずれがちなものを、時に景気不景気その他いろいろの条件があると、企業側としてなかなか思う通りに動きませんよ。そういう場合に、そういうものを当てにして、こういうことを地方団体知事責任を負わせてやるという行き方がいいのかどうかという点です。これを聞いておるのです。責任を持ってやる以上は、それの前提がなければ、それがまとまらなければ、知事指定申請ができないと思うのですが、この点はどうですか。
  16. 菅太郎

    菅政府委員 御指摘の点はごもっともな点が非常にあるわけでありますが、自由経済のもとでの運行でありますから、やはり民間の創意によって一定地域に相当企業が進出するという気配がなければならぬし、それから地元とのいろいろな話し合いが進んだという成熟度がありて初めて知事側申請もありましょうし、あるいは中央からの発動もございましょうから、そういう国民経済の自然の発展の状況がある程度熟するということが必要だと思います。しこうして、これに伴いまして、いろいろな工場立地の調査でありますとか、あるいは本法に基づく基礎調査というものもありますし、また各省がいろいろな調査をやっておられますから、おのずからそこに、その調査等を通じ、あるいはそういう話し合いを通じて、自由経済下における一つの形態ができてきつつある段階に来たときに知事が発動されますか、中央から発動されますかして、そこからこの新産業都市立地の問題が申請から起こってくるわけであります。そういう運びになるのでありまして、そういう全体に対する誘導をもう少し積極的にやれという御趣旨でありますれば、それももちろん考えなければならぬと思うのであります。いろいろな審議会その他もございますから、そういう行政指導的な面において、そういうものを誘致することはもちろん必要だと思います。そうして、それを測定しながら、逐次こういう手続に入っていく。もちろん民間の自由企業でありますから、ある計画を立てて、来ようという話し合いが出ておりましたのが、経済情勢の変化その他によってまた来れなくなったりすることは間々あることでありますが、そういうことは自由経済の建前上やむを得ないと思いますが、そこをできるだけいろいろな損害などのないように、十分話し合いをしながら進めていくよりほかにないと考えておるのであります。
  17. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今までの実態はどういうことになっておりますか。たとえば五井とか鶴崎とか、いわゆるそこに作る企業と、そこに要する工業立地的な計画との結びつきは具体的にどうやっておるのですか。特にその点について企画庁に聞きたいのは、中央としては新しいそういう工業立地の再配分というものは、相当計画的にこれからなされなければならぬと思います。これは場合によりますと、もっと大きく言って、貿易あるいは産業等における一つの国際的な視野まで入れなければできないはずです。同時に最近のようにどんどん企業の技術的な内容の結びつきなり、コンビナートその他こういうふうな新しい技術段階になって参りますと、これは私はむずかしい問題になると思います。そういう点については、やはり中央がある程度の規制なり誘導なりをしなければ、うまくいかないと思います。今までの実績はどうなっておりますか。特にこういうふうに今の施設投資の引き締めその他がありまして、そこに直ちに食い違いが出てくるわけです。そういうものが現実な千葉なりあるいは大分なりその他において、どういうふうに地方自治団体の財政なりその他に響いてきておるのか、通産省建設省から実態についての報告をしてもらいたい。またそれに対する資料等があれば出してもらいたい。
  18. 菅太郎

    菅政府委員 今、通産省建設省から専門のお話があると思いますが、今御指摘の点で非常に疑問になりますのは、全国総合開発計画というものが非常に立ちおくれておるということが一つの大きな原因であります。この全国総合開発計画ができまして、大体工場配置の大綱がきまり、それに従ってまた府県計画というものが逐次策定されていく、あるいは府県の二、三の連合の地方計画というものが正式にきまって参りますと、大体大観的な日本の工場配置計画が一応できるわけでありますから、それができますると、それに従っていろいろなものが進行するのでございます。しからば今日正式に策定をされぬから全然そういう構図がないのかというと、そうでありませんで、正式の策定はありませんが、関係当局の頭の中にはおのずから相当な構想があり、それに従って調査も進み、ある程度の事実上の誘導も行なわれておると思うのでございまして、その総合開発計画がきちっときまりませんから、いろいろなことが最終的にはっきりしないという点はお含みを願いたいと思うのでございます。具体的にはまた各省からお話があると思います。
  19. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 建設省でございますが、建設省実施いたしております工場団地の造成につきましては、日本住宅公団が実施いたしております事業が一つございます。これは発足の当初は、首都圏の区域内におきまして、市街地開発区域工場団地を造成するという形で既成市街地の工場集中を防止する、こういう仕組みで今日まで実施いたしております。三十六年度からは、名古屋地域につきましての周辺の工場団地の造成も実施いたしております。これらはいずれも既存の市街地、その周辺に立地をしなければならないような、しかも業種を限定いたしまして選考しておるような状況でございまして、その土地の需要というものが、工場側から見ますと、分譲する場合には旺盛な需要をなしておるわけでございます。従って、その配置等につきましては、中小企業等の関係もございますので、政府部内でもよく適正な配置について相談しながらやっており、さらに地方公共団体が一定計画のもとに埋め立て等内陸部における工場の増設のためにする敷地の造成をやっております。千葉県等周辺におきましては御承知通りであります。これらは公有水面の埋立手法と、それから工場の設備資金を一部入れまして、県が代行しておるというような形のものがほとんどでございますが、場合によりましては、最近の設備投資の状況から見まして、その金繰りに窮屈を感じておるという時期が昨年の暮れごろにあったのでございます。ただ、今行なわれておりますところは、いずれも工場のしっかりしたところが建設されておりますので、さほどわれわれが心配したような結果は出ておりませんけれども、われわれの方といたしましては、できるだけその基礎的な資料、地盤調査を実施いたしまして、工場立地に必要なその他の生活還境施設の整備を側面から協力しておるというのが今日までの状況でございます。
  20. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 御承知のように、最近の経済の伸びに応じまして、企業自身が現在までの工業地点ではそれぞれ限界にきておりますので、新しい敷地を求めておるわけでありますが、これに対しましては県はそれぞれまた誘致運動をやっておるわけであります。通産省といたしましては、全国各地にわたりまして企業の適地調査をいたしておるわけであります。こういったような状況のもとに、企業に対しまして県の誘致運動に対応して、通産省といたしましてはそれが適地であるかどうかというようなサゼスチョンを企業に与えるわけであります。企業はそれによりまして現地にわたって調査をして、敷地をきめて、それからいってみればいろいろの条件が整備されるというのが原則でありまして、たまたま宮崎県の細島のように、先に立地条件を整備して企業を誘致するという特殊な例外はありますが、大体は企業が先に県等の工場誘致運動に対応して工場調査をいたして、これが適地だときめた場合に、それから企業に必要な立地条件の整備が行なわれるというのが原則になっておるわけであります。
  21. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今までそういう新しい産業についてそれぞれ地方工場用地のある工業都市と申しますか、そういうものを、大体今までのところでは県当局が企業等にいろいろ働きかけて、ある程度熟したところであなたの方に持ち込んで、あなたの方からある程度の指示をする。こういうことになっておるように見えるわけです。そういう経験の中から、どういう点を直したらいいのか、あるいは今後どうしたらいいかというような点はどういうふうにお考えになるか。今度はいざとなれば運用になるが、主として申請前の問題になるだろうと思います。この申請地区指定をする前の段階だと思います。この段階が一番大事だと思う。そこでそういう点についてどういうふうに考えられて、これを相談に乗せられてきめたことでしょうから、どういう議論をされてきめられたか、これを聞きたいと思います。
  22. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 御承知通りに、最近の設備投資のテンポと、われわれ建設省等で最も重要な産業基盤の整備を担当しております道路整備でありますとか、あるいは住宅団地あるいは水の問題、最終的には都市施設の整備、こういったようなものの速度は、非常に社会資本の方の充実がおくれておるのが現状でございます。急速に設備投資が拡大していくにかかわらず、その周辺の社会資本がその工場設備等の建設あるいは経営に間に合わない、おくれておる。従ってこの法律の一つのねらいは、今後新しいところに相当まとまった規模人口が集積されるような形で見られるのが工場でございますから、その工場団地が生々発展をするために必要な投資的な公共事業を、いかにそれらの設備の充実とタイミングを合わせて実施することが大事であるかということを、まず一つの基本計画という段階において調整する必要がある。と同時に、その既存の市街地につきましても同様でございまして、設備がふえて混雑をしてからすべてごてごてと社会資本の充実をやっていくのでは、とうてい生産の能率向上ができませんので、各所において現われております新しい工場地帯条件が、そのような点において一番隘路を示しておるわけでございます。従って、そういう一つ人口産業というものを抽象的に申しましたが、具体的にはどの地域においてどういう土地、水、交通等の諸要素をどのくらいのテンポで充実し、整備するかということが当面の一番大きな問題でございますので、従ってその地域指定と同時に、そういう整備の基本計画を定める、その目標に向かっていかに実施するかということを国等が中心になって考えるということが、こういう仕事の一番大事な点であろうということが、この法律案を審議する際に議論として出たわけでございます。
  23. 菅太郎

    菅政府委員 今久保田委員も御指摘になりましたように、法律だけ読んでみますと、申請から事が始まるようになっておりますけれども、実際はその基礎調査の段階におきまして、府県の側も業者の側も、それから中央の方も、みんなが結局いろいろ相談し合って研究し調査をするということから始まることが多くて、従いまして、その間において、実際上は中央の指導といいますものがかなり行き渡って行なわれると思うのであります。特に、全体の総合計画がきちんとできておる、またそれに伴って府県計画もできておるという場合におきましては、ワクも大体きまっておりますし、従って知事側が、何と申しますか、めくらめっぽうに申請してくるというようなことはないわけでありまして、おのずからそこに中央の指導も行ない得る実情になると思うのでございます。
  24. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の点について通産省の方から見たらどうですか。
  25. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 何といいますか、この法で予定しておるような新産業都市というのは、われわれの適地調査の結果でも、日本のような特殊な国土においてはそうたくさんは私はないと考えておりますが、われわれはこういった大きな都市地方にできるという場合には、当然工業主体になって、工業ができれば——先ほど久保田先生の御指摘のように、メイン企業ができれば、それに伴いましていろいろ付帯した下請工業が整備されなければ、その工業自体が成り立たないわけであります。そうなりますと、一つの大きなメインの企業ができれば、それに伴う下請その他の関係、またそれに伴います労働人口の集積、さらに所要の関係工員とかそういう人間が集まるにつれて、文化施設、娯楽施設というようなものが整備されて一つの大きな都市ができてくるというふうにわれわれは考えるわけであります。その場合に、実際の姿勢がどういう形になるかということと、その立地条件の整備がどのように行なわれるかということは、実際の問題としては、何といいますか、一般的な道路だとか鉄道といったような輸送施設だとか、あるいは公共港湾といったようなものにある程度先行的に投資が行なわれてやや整備が整いますと、企業がこれに向かって進出する予約をするというようなことになって、本格的ないろいろの立地条件の整備が続いて、そういうものがほぼなされてから行なわれるのではないか。たとえば鉄鋼なら鉄鋼あるいは石油化学なら石油化学というようなものが実際に進出するということになりますと、従来先行投資的にしました公共港湾といったようなものも、鉄鋼港湾に合うような浚渫なりあるいは港の構造というものにならざるを得ない。そういうものがくれば、それに応じて一体どれだけの所要の水が要るのだということで、工業用水なりの施設が具体的に計画されるというように、いわゆる先行投資と見られる公共投資にも、立地条件の整備につきましても、おのずからいろいろと段階がある、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。
  26. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点はなおまたもう少しあとでもう一度具体的に触れます。  そこで、それでは逐条的に私は聞いていこうと思う。その次に要請大臣六人というものですね。これは実に複雑なもので、これにはいろいろ経過があったらしくて、まさにお役所のなわ張り主義だと思うのです。そこでおききしたいのですが、要請大臣が六人おるのだが、その六人の意見の調整といいますか、意見を一致させるというのはだれがやるのですか。これは企画庁長官が実際にやるのですか、それともその前提としては、知事があっちにもこっちにも行っていろいろ了解をとらなければ、企画庁がやるといったって、これは事務的な範囲でおそらく話になるまいと思う。実際にやる気になれば、知事は六人にいやでもおうでもぺこぺこ頭を下げなければならぬ。大臣だけならいいが、実際はそれぞれの係や何かがあって、大へんな話になりますよ。こういうことになる。実際にやるのはこれは知事責任を持ってやるのですか、それとも企画庁の長官が責任を持って意見の統一をするか。特にその場合に問題になるのは、既存の——つまり各官庁はそれぞれの、その地域も含んだ全国計画、たとえば道路なら道路を作るについて権限を持っているのですね。それが当然一部分変更になる、追加になるということが必ず出てくるわけです。農業についても同じようなことが言えると思う。つまりここは畜産の主産地区にしようと思ったところへ工場がぽかりとくる場合もありましょう。そういう場合、どっちかがよけて通るのです。そういう問題は実際にやってくると非常にむずかしい問題です。しかもこの調整があっちの官庁だ、こっちの官庁だと言われて、それぞれ手前みそを言われて、あっちを回ったりこっちを回ったりすれば、こういう都市というものはうまいものができませんよ。責任を持ってその調整をするのはだれですか。これははっきりお答えを願いたいと思います。
  27. 菅太郎

    菅政府委員 お説のように、これは非常に複雑な問題だと思いますが、それがためにこそ経済企画庁というものがその主管官庁としまして調整の任に当たるわけでございますし、この法文でごらんになりましても、経済企画庁長官が絶えず中心になって関係機関との連絡に当たるように相なっております。実際上も経済企画庁中心になって取りまとめをすることになると思います。実際なかなかむずかしいところがあろうと思いますが、建前はそういうふうにやっていこうと思います。もし各大臣の意見が不統一でございますと、それは閣内意見の不統一でございまして、大きな意味では総理大臣が統制をなさる、そういうことだと思うのでございます。
  28. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それはあなたはそうは言っても、実際はおそらく知事が一生懸命骨を折らなければできないということになると私は思うのですが、その点はどうなんです。
  29. 菅太郎

    菅政府委員 知事さんをそうわずらわさぬで、そういう役目は経済企画庁一つやらしてもらおうと思っておるのですが……。
  30. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点は私はもう少し何とかならぬかと思うのですね。むろし私はこういう複雑なことより、これだけ本気に国がやろうというなら、統一的な官庁を持って、これに大きく権限を持たして、一つでやらなければできないと思いますよ。実際に私どもこういうことにいろいろ首を突っ込んで今まで多少扱ったことがありますが、実際うんざりしてしまう。あっちへ行けば、あっちの役所でうだうだ言う、こっちへ行けばこっちの役所でうだうだ言う。それからほかの関係のえらい人の口が入ったり、あっちで賛成している、こっちで反対している、こっちではこうだということになる。ですから日本の道路はまっすぐできない、曲がってしまうわけです。それと同じようなことができると、これはなお困ると思うのです。私は、強力な、統一的な機関を中央に作って、これでやらなければ、この事業はなかなかうまくいかない、こう思うのですが、この点はどうですか。
  31. 菅太郎

    菅政府委員 まあ経済企画庁が十分に機能を発揮すれば、おおむね順調にいくんじゃないか、こう考えております。
  32. 久保田豊

    久保田(豊)委員 この点はまたあとで聞きます。  その次は基本方針と基本計画という点、これは一番骨格になるわけですね。基本方針の内容は政令できめるというふうになっておるわけです。区画の変更については知事なりあるいは何なりが変更ができるようになっておりますね。しかし、基本方針そのものが、中央できめたものが地方考えられているのと食い違った場合、どういうように調整されますか。そうして、そういう場合の基本方針なり基本計画をきめる場合に、大体どういう基準でいわゆる関係の大臣、行政大臣はそれにタッチされるわけですか。この点が具体的でないわけです。政令にみな譲っているようなことになっているわけですね。この点はどうなっているのですか。基本計画の内容はここにずっと一通りあります。大体概念的なというか、抽象的なことはあります。しかし、このうちでやはり一番問題になるのは、そこへどういう企業をどのくらい持ってくるかということがやはり一番問題になると思いますが、基本計画なり基本方針の中でこういう点をどう調整をするつもりかということを聞いているわけです。
  33. 曾田忠

    ○曾田政府委員 法律の建前におきましては、お尋ねの基本方針の内容につきましては、政令にゆだねております。これはいろいろ議論もあったところでありますが、大体の考え方といたしましては、基本計画の内容といたしまして第十一条に規定がございますが、この中の、たとえば工業開発の目標あるいは人口規模、労働力の需給、土地の利用、それから施設の整備という項目がございます。この中で特に重要な事項、たとえば今先生のお話しのような工業開発の目標とか、あるいは人口規模あるいは労働力の需給あるいはまた施設の整備、特に重要な問題、そういう点につきましては、基本方針として定めて、審議いたしたいというように考えております。  それから知事申請で、こういう問題につきましても、知事側といたしましていろいろな御意見があるかと思います。それと基本方針との内容の調整の問題でございますが、これはちょっと話が戻りますけれども、要するにこの地区指定といいますものをいわゆる都道府県の申請主義をとりましたゆえんのものは、特に地方産業、新産業都市建設というものが、地方に密接不可分の関係があるというようなことで実は申請主義をとっているわけでございまして、またかたがたこの問題は非常に大きな問題でございますから、基本方針は国が作って指示するというふうな両方調整考えて規定を設けたわけでございます。国といたしましては、この基本方針に従って府県におきまする基本計画を作ってもらいたいというように考えております。一応国といたしまして責任のある基本方針を作っていく、それに基づきまして都道府県側が基本計画を作っていただきたいということであります。
  34. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私の聞いているのは、具体的にこういうことです。県の方で企業と話し合って、たとえば石油が来るように話が進んでいるとする。ところが、国の方ではそこへ製鉄コンビナートを持ってくる、こういう計画がかりにあったとします。そういう場合の基本的な食い違いはどこでどう調整するかということです。そういう点が明確でなければ、県が話を進めているものと国からの基本方針というものが、こまかい点はいいですが、そういう大きな点での食い違いがあった場合、どこでどう調整するのか、そういうふうな点が食い違った場合は、知事なり何なりはこれに対して、どうも石油を持ってきてもらっては困る、鉄を持ってこなければ困る、機械を持ってこなければ困るという変更請求ができるのかできないのかということを聞いているのです。
  35. 曾田忠

    ○曾田政府委員 基本方針を作ります場合におきましては、いわゆる行政大臣、関係大臣と十分協議をするわけでございますし、また新産業都市建設協議会、こういうものの議を経るわけでございます。特に新産業都市建設協議会におきましては、各界の学識経験者の方も集まっておられますし、そういう御意見を十分承っていくことになっております。できるだけ知事側との意見の対立がないように、十分調整してきめていきたいと考えております。具体的な問題でありますので、なかなか簡単に申し上げられませんが……
  36. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今言ったように、ほかの点はどうでもいいのですが、どうせ審議会を作ったって、あなた方が作った案に判を押すだけのことですから、これは大したことはありませんよ。そうじゃなくて今言ったように、県の招致しようとするあれと国がそこへ持っていこうとするものと食い違った場合、これが一番基本になりますね。そういう場合はどう調整するのか。知事の方は、おそらく今までの関係で、企業と相当に突っ込んだ話をしているでしょう。今さらここへ持ってきちゃ困るのだ、かりに鉄がくる予定で話をしていたところが、鉄は困る、石油を持ってくると言っても、知事は、はい、そうでございますかと言えないと思う。そういう場合の調整はどういうふうにするのかということを聞いているわけです。今のお答えじゃお答えにならない。もう一度はっきり。
  37. 菅太郎

    菅政府委員 そういうふうに情勢が全然変わったようなときには、基本方針も変えなければいかぬと思うのでございますが、そういう場合は、知事側と大企業だけでなくて、やはりそういうことがありますれば、通産省も関与をいたしますし、業界の中央の方も関与をいたしておりますから、中央の審議会の議にも上りますし、それからまたしょっちゅう中央地方とでは話し合いをいたしておりますから、御承知のようにお互いに協議をすることになっております。またどうしても基本方針そのものを情勢の変化によって変えなければならぬというような場合には、基本方針を変えてくることもあり得ると思いますが、そこらは円転滑脱、しかるべくやりたいと思っております。
  38. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今までの実態はそうじゃなかったのじゃないですか。あなたは円転滑脱で済むかもしれぬけれども、これはなかなか円転滑脱じゃ済みませんよ。おそらく県がそういう計画を立てるという場合に、あらかじめ国の工場なりあるいはまたそういう工業の再配置計画がわかっておってやるならいいけれども、そうでなくて、大がい今までの実例は、まず県側が企業に一生懸命働きかけて、大体話がまとまったところで初めて役所の方へ、こうやりたいといって了解を取ってやっているのが実情でしょう。今までの実態はそうじゃないかと思うのですが、佐橋さんどうですか。
  39. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 実態はまさに久保田委員の御指摘通りでございますが、私がこの法案承知しておる限りにおいては、国が示します基本方針というのは、そう具体的なことが示されるわけではなくて、たとえば、その新産業都市地域として指定される場合に、工業でいえば重化学工業地帯にするのだという形で出てくるのではないか。それに応じまして、都道府県がさらに基本方針によりまして基本計画を作ります場合には、都道府県にそれぞれ設けられます協議会に諮るわけであります。協議会には国の出先機関が全部これに参加するわけでありますので、基本方針と基本計画との間に大きな食い違いが出てくるというようなことはあまり予想されないのではないか、私はこういうふうに考えておるわけであります。
  40. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点もまだどうもはっきりしませんけれども、あとにしましょう。  地域指定があった後の暫定措置といいますか、措置について二、三やはり問題になる点があると思う。区域指定を受けた区域というのは大体どの程度、町村を単位にして指定するつもりかどうかという点が第一点、それからもう一つ、その場合のそういう指定をされた区域内の土地の売買とか、あるいは耕作権の移動とか、あるいは建物の建造その他について何らかの指定があった場合には、規制を加えるのかどうか。区域指定になっても、これは野放しにしておくのかどうか、こういう点です。よくあることです。あそこへ工場が来そうだというと、土地ブローカーがぱっと入ってきて、土地をどんどん買う。従って、これが値上がりの土台になるというようなことが非常に多いわけです。そういう点の規制を何か考えておるのかどうかという点と、もう一つの点は、こういう基本計画ができた場合の基本計画の内容というのが、具体的にはここに書いてあるようなものですが、これはもう少し具体的になってくると、都市計画とどういうふうに結びついてくるのかという点が、一点問題になってこようと思います。都市計画とこれはどういうふうに考えられているのですか。
  41. 曾田忠

    ○曾田政府委員 地域指定でございますが、これは市町村単位に行なうことになると考えております。  それから、地区指定がありました場合に、何らかの規制措置を考えるべきじゃないかという問題でございますが、たとえば土地のブローカーが入り込んで、地価の値上がりを来たすという点についてどう考えておるかという御質問かと思います。その点につきましては、お尋ねのように非常に重要な問題でございまして、全般的に、この問題に限りませず、地価の値上がりの防止という点につきましては、いろいろな問題につきまして、早急に検討すべき問題だと考えておりまして、企画庁におきましても、種々検討しておる問題でございますが、現在の段階におきましては、この問題につきましては、直ちに土地等につきまして何らかの規制措置をとるということにつきましては、結論に達していないという状況でございます。  都市計画との関係につきましては、計画局長の方からお答えいたします。
  42. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 都市計画は市に当然適用されますし、関係の町村につきましても、法律は、その必要があれば区域に編入することができるようになっております。ただいまお尋ねの建設基本計画の内容に相当する事項は、まさに都市計画の施設として定めなければならない一つの重要な計画のマスター・プランでございます。従いまして、都市計画の方も、だんだんと新産業都市が予想しております地域は、行政的には一つの経済的な区域地域指定対象区域として考えておりますので、都市計画法におきましても、このような建設基本計画が、都市計画の施設計画として反映し得るように運用していくべきものであるというように建設省といたしましては考えておる次第でございます。
  43. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私の聞いているのは、そういうことじゃないのです。基本計画というものが決定するでしょう。それを実施するには、おそらく都市計画法を使わなければできないと思うのです。その都市計画法の骨格になるのが基本計画になるのかどうか。どっちが優先しどっちが規制をするのか。ところが実際に今度都市計画をやるということになれば、もう少しあとで具体的なことを聞こうと思いますが、これはやはり住民側の意向が相当入ってくる。そこらにむずかしい問題がうんと出る。そこでそういう場合にどっちが何を規制するのかということを明確に、基本計画なるものと、都市計画とをどういうふうに秩序立てていくのか、この点が明確でないと、実際は今度、末端じゃ困る、こういうことになる。この点を聞いているわけです。どうなんですか。
  44. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは一口に申しますと、この建設基本計画は、都市計画の前提となる基本的な計画である、都市計画法との関係につきましては、こうお答え申し上げた方が正確だと思います。  それから、問題は精密度の問題でございます。都市計画の決定なり事業決定というものは、御承知通りに三千分の一の図面に表示されるような具体性を持つことによって、公共施設と住民の関係の権利者との間の権利の制限をいたしておるわけであります。この建設基本計画の段階におきましては、まだその点ははっきりここではうたっておりませんけれども、都市計画決定の内容ほど、それほど精密ではない。そういうふうに理解しております。従って、基本計画都市計画におろすまでの段階につきましては、さらに精密な精度を加えたもので、おろしていくべきものである、こういうふうに解釈しております。
  45. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点。その点で基本計画が大体できますね。その基本計画指定区域全体、これは都市計画用地としての区画整理その他の指定をしてしまうのですかどうですか。この点です。この点がはっきりしないと、今度はいよいよ現地の負担の区分のときに、実際にはいろいろの点で困るわけです。そういう点はどうなんです。
  46. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 都市計画法は、御承知通り都市計画の決定と都市計画事業決定の二つの段階がございます。従って、その精度につきましては、先ほど基本計画との精度の差を申しましたが、その都市計画の決定に従いまして事業決定をするときの段階につきましては、今の区画整理の手法であるとかあるいは用地買収の手法であるとか、いろいろな手法があるわけでありまして、都市計画の事業決定の際においてもそのことが議論の対象になる、こういうことに御理解願いたいと思います。
  47. 久保田豊

    久保田(豊)委員 ですからそれを聞いているわけです。そういう場合に、特に工場用地その他の、これが事業決定にならぬうちにどんどん土地買収等が始まるわけでしょう。またしなければ工場用地の整備はできないはずです。こういう場合に、指定指定あとですると、たとえば区画決定なり区画整理なり何なり、そういうところの関連はどういうふうになるのかと聞いているわけです。
  48. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは具体の場合によっていろいろ違いますが、まず大事な点は事業計画用途地域なりあるいは用途地域性なり、地区精度の決定は都市計画として行ない得ると思います。その次には、その仕事を、都市計画事業として、国の系統の機関、市町村長が行ないますにいたしましても、行なうか、あるいは会社、工場等が行なうか、あるいは公団等が実施するか、それは事業実施の段階においてきめることになります。
  49. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その次に少し実体的なことに触れていきたいと思いますが、要するに今度のやつは、大体工業土台にし、中心にした都市建設ですね。そこで、従来の都市建設とはだいぶ内容が違ってくると思うのです。今までのような工場団地その他というふうに、こま切れ的にやっていくのと違って、一つ都市全体を工業中心にして新しく建設していこうというわけですね。従来の都市建設と、これから作ろうとする新都市建設との間には、いろいろな特異性があると思うのです。たとえば、今までのあれなら各種の公害が出てもこの公害に対する公共施設なんというものはあまり考えなくてよかった。普通の都市計画ではそんなことまで考えていなかったわけです。もう一つは道路一つにしても、こういう工場用地の道路は幅員も広くなければならない、あるいは強度も普通の上側にコンクリートを塗っただけの簡易舗装では話になりません。一度大きな荷物が通ればがらがらになる。従って、道路の程度も上げなければいかぬというふうに、新しい都市建設の場合は、いわゆる特異性がいろいろな点に相当出てくるのと、それからその内容が非常に高度のものにならなければ工合が悪いという点と、もう一つさっきあなたが言われたように、工業がそこに来るということになれば、一定の年限の間に動き出さなければ、御承知通り、採算が合わなくなってくる。今までの都市建設というのはどのくらいになっているか知りませんけれども、初めから完成するまでは十五年も二十年もかかる。そんなのんきなことをやっていたのでは、企業というものは成り立たない。従って、全部一度にやるかどうかは別としまして、いわゆる都市建設の期間をかなり短縮しなければならぬ。従って、うんと金がかかる、こういうことになると思うのです。こういう点を具体的にはどういうふうに研究されておるのかということをお聞きをしたいわけです。これがないと、こういう新しい都市は大へんなことになる。この点が明確でないために、実はすべての狂いがここから出てくるというのが実態です。われわれは今までこういう大衆運動をやってきて、ずいぶんあっちとけんかしたり、こっちとけんかしたりやってきましたが、結局突き詰めてみると、この点の中央検討がほとんど行なわれておらない。従来と同じような考えを持っていって、それと違ったものが入ってくるのですから、うまくいきっこない。この点はどの程度検討され、どういうふうに考えておるか。これは、できれば、こういう点の従来のデータを整理をして、はっきりした係数的な根拠を出すべきだと思う。そこまでの用意があるのかどうか、この点を一つお聞きします。
  50. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 工業建設といいますか、既存の都市地域につきましては、御承知通りに、この法律の予想しておる新産業都市ではございませんが、政府全体といたしましては、鉱工業地帯整備協議会というものを持ちまして、主として隘路である交通関係の重点施策を今まで実施しておると思います。しかし、これは総合的なものじゃございません。たとえば、お話の法律の対象として考えられるようなところにつきましては、まさにお話のように総合的な都市作りをしていかなければならぬ。しかも当該地域は既存の市街地を持っておりますけれども、ほんとうの処女地もしくはその処女地と既存の市街地を結びつけまして、新しい広域的な都市を作るわけでございます。これにつきましては、建設省といたしましては、昭和三十六年度から広域都市の調査費をもちまして、全国の枢要な地域についての、いわゆるここに掲げてあるようなマスタープランの調査を実施いたしておるわけでございます。従って、その資料は、ものによりましては、低開発地域あるいはこの新産業都市地域の整備計画の基礎になる資料に役立つものともなりますし、そういうふうな資料を準備しております。三十六年度の調査結果につきましては、三月一ぱいでもって一応調査の内容を取りまとめる仕組みになっておりますが、一つのトライアルといたしまして考えられるところにつきましても、やはり相当膨大な公共投資——生活環境、施設の整備を含めました公共投資を必要とするというような推算ができるわけでございます。従って、これらをどのような事業主体の分担によって実施するかということも、やはりこの新都市整備の根幹となる一つの大問題だと考えておりますので、目下資料をとりまとめ中でございます。従って、その内容を一つつまびらかにいたしましたならば、この法律の実施に役立たしめたいと考えておった次第でございます。
  51. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今資料を取りまとめ中というお話でありますが、その結論を簡単に要約してここへ出してもらいたい。出してもらわなければわからぬですよ。そんなことは全部こっちではわかっているんだというのでは、お話にならぬ。審議できませんよ。ですからこれは委員長にお願いしますが、そういった過去の事例もあるでしょうし、そういった膨大な資料を出されても、私たち忙しいからなかなか読めませんから、要約して、どうなるかという点のはっきりした資料を出して下さい。
  52. 内田常雄

    内田委員長代理 久保田委員のただいまの要望に沿うようなものを何か建設省の方で出せますか。
  53. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 正式にこれだというものではございませんが、中間的な報告というものであれば……。
  54. 内田常雄

    内田委員長代理 それでいいでしょう。そのようにお願いいたします。
  55. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこでその施設の整備の中で特に二点だけ私はお聞きをしておきたい。その場合に、工場用地と、それから一般の道路その他の公共用地の取得はだれがやるんですか、どういう形でやるんですか。  それから、その場合に、その工場用地は、いわゆる都市計画実施する場合の区画整理の対象用地になるのか。従って、公共減歩なり利益減歩の負担をするのかしないのか。これは非常に大きな問題です。この点を一つお答えをいただきたいということ。  それからここにいろいろありますが、基本計画の中に「その他」というのがあります。「その他」というのは何を含んでおるのか。ここにはおもなものは載っておりますが、実際に考えてみますと、非常に数が多い。ほとんど全般の施設についてやらなければならぬ。しかもその「その他」というのが非常に大きな金を食うということです。こういったものは何を含んで考えられておるか。法律の文章としてはこれでいいかもしれませんが、実際にはそれが問題になるわけです。  この二点をどんなふうに検討されて結論が出てくるのか、あったら、聞かしてもらいたいと思う。
  56. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 これは一般論としてのお尋ねのようにも拝聴いたしたいのでございますが、工場用地につきましては、その取得の対象、だれが取得するかという問題につきましては、これはだれが取得してはいかぬというふうな規定はないのでございまして、工場用地について取得の対象を制限するということは考えられないと思います。たとえば公共団体が造成をして、必要なものに譲渡するというやり方もありましょうし、また公団が実施するという場合もありましょう。ですから、これはそういうふうに具体の場合につきましては考えられると思います。  区画整理によって工場用地から公共用地を造成する場合におきましては、  一団地の区画整理をいたします場合は、もとより工場用地も区画整理の減歩の対象になるわけでございます。これは現実に今日まで区画整理事業を起債の手法によって市町村実施しております。工場用地も宅地の造成も含めてそのような区画整理の方法によって実いたしております。公共用地の取得は、区画整理の手法によって実施する場合と、直接公共用地の管理者が実施する場合によりまして、取得の方法なり取得の主体が違う、こういうふうに考えております。
  57. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その第一の工場用地として、要するにいろいろいの事業主体があらかじめ獲得してやる場合を、個人でやる場合と、これは今までいろいろあるんです。しかし、そのいずれかがいいか。これは何かはっきりしないことには困るという点から申し上げておるんです。どっちでもいいというのでは困るのです。そういう場合にも問題を一つ一つあげて、——今のお答えでは工場用地として取得された工場用地、これは要するに区画整理その他の減歩の対象になるというお話でしたが、この前、低開発地帯のときのあなたの方に聞いたあれでは、工場用地として取得されたものについては減歩の対象にならない場合があるという返答が、ここに書いてありますよ。多くの場合は、それが多いのです。そうしますと、あと残った連中が、住民の減歩が非常によけいになって、工場の方は減歩をしょわないということになる。こういうことになるから、その点ははっきりしなければいかぬ。もう一つは、土地を何か公共団体なり事業主体なりが減歩しないと、これは相当金がかかって、補助金やあとの税金では穴埋めができないということが出てくると、普通の場合には工場に譲り渡す場合に、工場の取得価格に整備費の一部を加えて、そして新しい土地価格をきめて工場に譲るということの方が、むしろ合理的じゃないかというふうに思うのです。現実に千葉あたりではそういうふうにやっているようですね。そういう点をはっきり規制しないことには、この事業というものはうまくいかないのじゃないかということを私は言っているわけです。この点についてはどういうふうに考えられているかという点を重ねてお尋ねをします。
  58. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 具体の事業を実施する場合におきまして、ただいま千葉等の例をあげて御説明になりました。工場用地の取得につきましては、公団等が実施いたします場合は、これは明らかに適しておりますが、その他の場合につきましては、やはり工場が直接取得するということ以外のいい方法を、われわれこういう場合につきましてこれから検討をして、指導をいたしていきたいと思っております。  なお区画整理につきましては、工場用地の造成を含めまして区画整理を実施いたします場合には、もとよりこれも減歩の対象になるということは間違いのないことであります。
  59. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私の聞いているのは、工場用地というのは区画整理の対象からはずす場合が多いのです。だから減歩対象にならないということですよ。そういう場合があるので、こういうのを規制しなければ、工場用地はやはり減歩対象という格好で、他の住民に負担させないで、何らか別のこういったものを解決する道を講じなければ困る、これを言っておるのです。ですから、今どうなってますというだけではないということを言っているのです。その点はどうするつもりですか、もう一度はっきりお答え願いたい。はっきりしないと困るわけです。
  60. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 ただいまおっしゃいました話は、現地に工場がありますようなところに新しく住宅地の区画整理を行なう場合には減歩の対象になる、そうよういった場合に、往々にいたしまして工場敷地をはずしておるというような例はあるのでございますが、現実にございます工場を抱き込んで区画整理をやる、そういうふうなときには、現に工場が建っておる敷地がとれないというような場合には、清算金をもらいまして、これによりまして経済的なバランスをとっておる、こういうようなことでございます。新産業都市の場合は、どちらかと申しますと、そういった既存の工場があまりないという場合が多かろうと思いますので、そういうふうなときには、おっしゃるような方向で検討いたしまして、住民に負担を与えるというようなことのないように十分気をつけてやって参りたいと思っております。
  61. 久保田豊

    久保田(豊)委員 きょうは時間があまりないようですから、ここで一応中止をしておきます。なおまだあとずっといろいろお聞きしたいことがありますので、この次に継続させてもらいたいと思います。
  62. 内田常雄

    内田委員長代理 次会は公報をもって御通知することとし、本日の会議はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会