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1962-02-02 第40回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    首藤 新八君       中垣 國男君    中川 俊思君       林   博君    原田  憲君       村上  勇君    山手 滿男君       岡田 利春君    北山 愛郎君       久保田 豊君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君  委員外出席者         議     員 綱島 正興君         議     員 加藤 勘十君         衆議院法制局参         事         (第三部長)  浜中雄太郎君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    加藤 悌次君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 一月二十六日  商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三六号) 同月三十一日  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号) 同日  商店街振興法制定に関する請願大野市郎君紹  介)(第四〇四号)  工業団地取得造成に関する請願森山欽司君  紹介)(第五九二号)  公共料金等物価値上げ阻止に関する請願外八  十九件(五島虎雄紹介)(第八三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三六号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四七号)  離島振興法の一部を改正する法律案綱島正興  君外七名提出衆法第一号)      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

  3. 森清

    ○森(清)政府委員 ただいま提案になりました商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案では、商工組合中央金庫法中小企業信用保険公庫法の二法について所要改正をしようとするものでありますが、まず、商工組合中央金庫法改正について御説明申し上げます。  商工組合中央金庫は、政府関係金融機関として、長年にわたり中小企業者団体あるいはその構成員である中小企業者に対する金融円滑化をはかる上におきまして多大の役割を果たしてきたのでありますが、特に最近における中小企業金融実情にかんがみまして、当金庫業務について、なお一そうの拡充を期する必要があると考える次第であります。かような趣旨に基づきまして、今回、商工組合中央金庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次の通りであります。  すなわち、商工組合中央金庫に対する政府出資昭和三十七年度において二十億円増加することといたしまして、当金庫資金量拡充し、その経営基盤強化をはかろうとするものでありますが、なお、そのほかに、当金庫において商工債券担保貸付等実施し得ることとして、商工債券市中消化の促進をはかるとともに、新たに輸出組合等を当金庫所属資格団体として追加しようとするものであります。  次に、中小企業信用保険公庫法改正について御説明申し上げます。  中小企業信用保険公庫は、中小企業信用保険業務各地信用保証協会に対する融資業務を行なうことにより、信用力の薄弱な中小企業者信用補完に寄与してきているのでありますが、なお、現状においては、中小企業者信用保証協会に寄せる期待はますます大なるものがありまして、政府としても、当公庫を通じ信用保証協会保証機能を一そう拡充強化する必要があると考えられるのであります。かような趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険公庫法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次の通りであります。  すなわち、中小企業信用保険公庫に対する政府出資昭和三十七年度において二十五億円増加し、これを当公庫融資基金に充てることといたしまして、信用保証協会に対する融資業務拡充し、その保証機能強化をはかろうとするものでありますが、なお、そのほかに、最近における中小企業信用保険公庫業務量の増大に対処するため、理事を一人増加する等の措置を講じようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  次に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業者に対する金融円滑化をはかるため、政府といたしましては、政府関係金融機関等を通じて中小企業者向け資金量の確保に努める一方、中小企業信用保険公庫が行なう保険業務及び全国各地信用保証協会が行なら保証業務を通じて中小企業者信用補完を促進してきている次第であります。  しかしながら、中小企業者の中でも、とりわけ小企業者につきましては、信用力が乏しいため、とにかく民間金融機関融資の利用に円滑を欠く傾向が見られますので、小口融資について低料率で手続の簡易、迅速な保証を行ない得るようにすることによって、小企業者信用補完に遺憾なきを期するため、中小企業信用保険制度所要改正を行なう必要があるものと考えられるのであります。  かような趣旨に従いまして、今回中小企業信用保険小口保険制度を設けることとし、小企業者について二十万円を限度として、低料率保険契約中小企業信用保険公庫信用保証協会との間に締結することができるようにするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。なにとぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいま提案理由説明を聴取いたしました両法案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、綱島正興君外七名提出離島振興法の一部を改正する法律案議題とし、まず提案者提案理由説明を求めます。綱島正興君。     —————————————
  6. 綱島正興

    綱島議員 離島振興法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  離島振興法目的は、同法第一条に明記されておりますがごとくに、離島特殊事情より参りますところの後進性を除去するための基礎条件改善並びに産業振興に関する対策を樹立いたしまして、これに基づく事業を迅速かつ強力に実施することにあるのであります。  この法律は、当初、外海にある比較的大面積島嶼を対象として、昭和二十八年より十カ年間の時限立法として制定せられたのでありまして、前記の目的達成のため、少なからず寄与してきたのでありますが、その後、外海に散在する多数の小面積島嶼、さらには、昭和三十二年以降は瀬戸内海の一部の島嶼が、逐次離島振興対策実施地域として追加指定せられるに至りました。その結果、昭和三十六年に行なわれました第九次指定分までを加えますと、指定地域の数は八十九、関係都道府県の数は二十六、離島の総人口は百三十万人、同じく面積は六千五百平方キロ余に及び、昭和二十八年の法制定当時の指定地域数十一、関係都道府県数六に比較いたしますと、離島振興法の持つ重要性が飛躍的に拡大いたしておることがわかるのであります。  すなわち、この法律昭和二十八年に制定せられたとはいえ、多くの離島の中には、その恩恵に浴していまだ一両年にすぎぬものもきわめて多く、ようやく事業の緒につかんとする島々も少なくないのであります。  さらに昨年の一部改正によりまして可能となりました島嶼の一部地域指定のごときは、これから審議会において検討が始められる段階でございます。  次に、離島振興法がかなりの実績をあげていることは前述の通りでございますが、その事業費全国公共事業費と比較いたしますと、昭和三十六年、三十七年、両年とも一・四%にすぎず、いまだ離島人口面積比の一・五%には及ばないのであります。  さらに最近の情勢を展望いたしますと、都市を中心とした本土の著しい経済成長は、逆に本土離島との地域格差をますます増大せしめ、離島自立性強化を一そう困難にしていると言わざるを得ないのであります。  かくて、離島に対しては、国が抜本的な恒久対策を打ち出さない限り、一時的なこそくの手段をもってしては、その後進性を除去することはとうてい不可能であると思われるのでありますが、とりあえず現在の離島振興法あと十カ年間延長し、長期的な振興計画を策定し、もってその振興開発をさらに強力に推進せしむべきであると考えるものであります。  なお、総理府に設置された離島振興対策審議会においても、さきに離島振興法延長について、満場一致をもって決議され、すでに内閣総理大臣等意見書提出されております。  以上が本改正法案提案理由であります。どうぞ慎重御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続き本案の質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  8. 中村重光

    中村(重)委員 私は期間延長することにはもちろん賛成であります。ただ提案理由説明の中で、意欲的な離島振興ということは述べられたのでありますけれども、三十七年度までの経過がわかりませんので、これがすでに何パーセント達成しているのか、当初の計画通り進行していないんじゃないかと思うのですが、そこで当初の計画通り進行していないからこれを延長するんだということに重点があるとするならば、私は問題があると思う。計画通り進んだ、だがしかしながら離島後進性から考えてさらに十カ年の新たな計画を樹立していくということに重点が置かれなければならないんじゃないか、こう考えるのであります。これらの点について提案者はどのようにお考えになっておられるのか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  9. 綱島正興

    綱島議員 計画の遂行された実情を申し上げますと、まだ計画の五〇%に及んでおりませんので、その及ばない理由の中には予算が十分につかないということも一つでございますが、離島という特殊性から急速にものが運びにくいという事情等もございます。たとえば、道を作るにいたしましても、本土と違いまして、がけをくずし、谷を埋めて道を作っていくというような非常に困難な事業をやりますので、一ぺんにはなかなか進みにくい事情等もございますのと、それから港湾漁港にいたしましても、従来それほどに重要性を持っていなかった離島漁港港湾というものが、時代を経るに従って重要性がだんだん高くなって参りました。そうして船にいたしましても、漁船にしても運搬船にいたしましても、だんだん船の形が大きくなって参りましたために、どうしてもだんだん設備も大きくしなければものが成り立たず、効果的でなくなって参りました。それらの事情から、だんだん世の中の進歩に従って重要性拡大性本土よりも以上にかえって拡大をしなければならぬ点等も出て参りました。そういう点で計画それ自身も幾らかおくれましたが、実施それ自身もおくれておるのが今日の実情でございます。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 離島なるがために、ただいま御答弁のように、いろいろな困難性があるということはわかるのであります。しかしながら、この計画には公共事業と非公共事業というものが入っております。ただいま提案者は、たとえば道を作るにしても、漁港を作るにしても、非常に困難性がある、こら言われたのでありますが、非公共事業というものはほとんど着手していないと私は思うのであります。ただいまの御答弁では、離島性格、この振興法性格からいって、私はきわめて満足できないものがあります。なぜもっと積極的に非公共事業という面にも力こぶをお入れにならないのか、政府を督励して、これを実施させるということにもっと積極的な意欲を持って取り組んでいく必要があるのではないか、こう思います。その点についてはどうお考えになりますか。
  11. 綱島正興

    綱島議員 それは御説の通りでございますが、離島ではこのごろだんだん、たとえばいろいろなものも離島にゆきたけが合うように、本土で取り上げぬ小さい地域でも離島では取り上げる。干拓にいたしましても土地改良にいたしましても、いろいろそういうことはいたしております。実は最初は、各省で農業に関するものは農林省、運輸に関するものは運輸省、そういうふうにして各出先省でやっておりましたのを、離島で独立して計画を立つるように特別にいたしましたのは、たしか三十二年でございます。その後のことでございますので、まだ何分にも手足は十分にそろうておりませんところから、少しおくれておりますが、御趣旨通り趣旨で進めることにいたしておるので、みな吏員は非常な努力をいたしておるわけでございますから、どうぞ御了承を賜わりたいと思います。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 いま一つ、私はこの法律そのもの意欲が足りないと思われることは、離島振興、このことは第一に、離島住民所得本土住民と比較して非常に低いということにある。従って離島道路を作り、漁港整備し、あるいは教育、厚生、そういう面に予算を注ぎ込んで積極的な事業を行なっていく、同時にこの事業の中から離島住民所得をふやしていくということでなければ、この法律の精神というものに私は沿わないと思う。ところがこの法律の中には、そういった意欲的な面が盛られていないというところにいささか足らないものがあるのじゃないか、こういったような感じが私はいたすのであります。  もっと突っ込んでいろいろと質問いたしたいのでありますが、予算委員会分科会等でなおいろいろと実施面において政府当局に質問をしてみたいものだ、このように考えておりますが、提案者に対しまして、この今の御答弁によりますと、五〇%しかできていない、こういうことでありますので、できるだけすみやかに当初の計画達成ができるように、なおこの延長に対しましては新たな計画を樹立する、しかして予算を大幅に獲得をして、離島振興をはかっていき、離島住民所得を上げていく、こういう面に意欲を持って取り組んでいただきますように要望いたしまして、御提案賛成をいたしたいと思います。
  13. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ほかに御質疑はありませんか。
  14. 久保田豊

    久保田(豊)委員 議事進行について。——これに直接ひっかかった問題ではありませんが、委員長に特に、きょうは政府側が来ておりませんけれども、お願いしておきたいと思うのです。私は商工委員の方はまだ経験が浅いわけですけれども農林委員会その他のいろいろな経験から見ますと、政府側資料提出が非常に少ない。いつでもこの程度資料ではなかなか突っ込んだ審議ができません。たとえば離島振興については、綱島さんがおいでになるが、今までの実績が具体的にどうだという資料がついておると、非常に論議がみな乗ってくると私は思うのです。たとえば商工組合中央金庫法の一部改正等が出ておりましても、政府側からはほとんどこれを裏づけするような、商工中金の実績がどうであるとか、あるいはその実態がどうであるとか、問題点がどこにあるとかいうようなことが、商工委員会調査室のやつが少しばかりここに出ておりますけれども、との程度では不十分であります。ぜひこれからは、いろいろ、特に経済関係等は問題が、法律そのものより、その背景をなす事実の方が非常に大事な問題が多いわけです。そういう点から見て、政府側にもう少し責任のある資料を出してくれるように強く要求をしていただきたい。たとえば、おそらく今後大臣が来て問題になります三十七年度の経済見通しなり経済運営基本方針等に対しまして、新聞に発表された程度のものでは、ほんとうの突っ込んだ論議にはなりません。これを裏づける、少なくとも経済企画庁等には相当資料があるはずです。積算の基礎があるはずです。そういったものを国会に出せぬということはない。条約その他において非常に問題になるならばこれはよろしい。しかしながら国民の経済生活全体にひっかかる問題の資料提出もしないで審議をしろなんてばかなことはない。こういう点については委員長から特に政府関係に強く要求をしまして、責任のある資料をすべてもう少し具体的につけてこいということを強く要求をしていただきたいと思うわけです。以上です。
  15. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ごもっともな御発言だと存じます。委員長において十分善処させていただきます。  田中武夫君。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 まず最初経済企画庁にお伺いいたしたいのですが、本法が制定せられてからまる九年、この九年間にいわゆる離島振興についてどのような役割本法が果たしたか。それについて簡単でよろしいから御説明願いたいと思います。
  17. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。  離島振興法事業内容といたしましては、道路港湾漁港あるいは土地改良、そういうような公共事業的なものと、それから、いわゆる生活環境整備といたしまして、簡易水道とか電気導入あるいは診療所の設置、そういう事業離島振興計画内容になっておるわけでございます。特にこの約九年の間重点を置いて参りましたものは、住民生活に直接に影響のありまする道路とかあるいは電気導入簡易水道漁港港湾、そういうものに重点を置いて参りました。一つの例を申し上げますと、簡易水道普及率につきましては、大体離島全体としまして四九%程度普及になっております。それから電気導入等につきましても、大体いわゆる時間点灯というような非常に制限されておりまする点灯区域とか、あるいは無点灯区域というものが相当ございましたわけでございますけれども、そういう方面につきましても、大体点灯率を九七・五%——全国点灯率が大体九八%というような現状でございまして、そういう方面につきましても逐次改善を見つつあると思っております。われわれ企画庁といたしまして、特にこの離島振興法ができましてから、非常にと申してはあれでございますけれども、いろいろな方面につきまして、離島皆様方から相当この法律効果といいますものが感謝を受けておるというような実情でございます。これも実は各離島関係先生方の非常な御協力のたまものであるというふうにわれわれ自身も感謝しておるわけでございます。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 昨年の通常国会で第二条の一部を改正しておるわけであります。それまでは島そのもの地域として指定しておる。ところがこの改正によって島のうちの一部も指定地域とするような改正がなされたのです。一年たって今日十カ年延長、こういうことになるのだが、去年一部を改正するときにすでに時限立法期限あと二年、こういうことはわかっておったと思うのです。そのときにただ一部の改正だけをやって、その法律の生命に関する期限について何ら検討しなかったのかどうかお伺いいたします。
  19. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。  まことにお説の通りでございまして、こういういろいろ、特にただいま御指摘のような区域指定関係につきましても、実は昨年度の国会におきまして法律改正があったのでございますが、またわれわれもこの法律適用期限といいますものが昭和三十七年度をもって終わるということは十分承知しております。ただ、政府部内といたしましては、将来もちろん離島振興法適用期限延長しなければならないという必要性は実は十分承知しておるわけでございまして、しからばどの程度期間期限延長が適当であるかというような点等の問題、といいますのは、今後たとえば五年なら五年、あるいは十年なら十年といたします場合におきまして、どの程度事業量が必要であるかということを十分検討しなければならないわけでございます。従いまして、現在におきましても、各都道府県に将来の離島振興事業といたしましてどの程度のものが必要であるかということを実は照会して検討しておるわけでございます。また政府部内といたしましては、この法律は三十七年度までは有効でございますから、もし改正するといたしましても、三十七年度末に改正法案を出しても間に合うのじゃないかというような感じもございまして、そういう点でまだ検討中でございましたわけでございます。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 期限が三十七年度までだから三十七年で間に合う。そういうことは、結局三十六年でもいいじゃないか、こういうことになろうと思うのです。また今日においてもまだあと一年もあるのですからね。そして去年に第九次指定をいたしておるわけなんだ。この延長一つ理由は、指定を受けて作業にかかってこれからというところもあるから、延長する必要がある、こういうことだと思うのです。すでに第九次指定をやる場合に、一年や二年でそれは完成しないということはわかり切っているはずです。それでは第九次指定とあわせて法律延長とか、そういうことはむしろ議員立法という格好でなく、企画庁それ自体検討すべきものであったと思うのですが、その点はいかがなんですか。
  21. 曾田忠

    ○曾田政府委員 まことにお説の通りだと思っております。先ほど申し上げましたように、期限延長する場合におきましては、今後の延長されます期間内におきまして、どの程度離島事業費が必要であるかという検討を事務的に十分いたす必要があると思っておりまして、そういう意味におきましても、各府県に実は昨年の末から今後の離島事業の必要の見通し等につきまして照会しておるわけでございます。まあ大体資料がそろいますのが今年の四月か五月かに全部そろうのじゃないかと思っておりますが、そういうものを私どもは十分検討いたしまして、今後何年間期限延長が必要であるかということをきめまして、実は法律改正をお願いしたいというようなつもりで作業を進めて参っておるわけでございます。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 現在までに第九次指定を含めて八十九の指定の個所がある、こういうことなんですが、今後もなお十次、十一次の指定を行なう予定なのかどうか。この延長は現在まで指定してきておる八十九のうちまだ一、二年しかたっていないので、十分その効果を表わしていないし、事業も継続中である。だから延ばすということが必要であるので延長するということになるのか、九次以後の十次、十一次の指定をやるそのためにも延ばさなければならないというのか、これはそうだといえると思うのですが、どちらにウエートを置いての延長考えておられるか。
  23. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。  離島事業につきましては、今まで約九年間進捗をはかって参ったわけでございますが、相当効果があったわけでございますけれども、もともと離島自体そのものが、過去におきまして非常に、いろいろな意味におきまして整備がおくれておりましたわけでございます。私どもといたしましては、今までの成果によりまして、離島相当改善を見ましたけれども、まだ本土と比べまして相当改善すべき点が残っておるというふうに考えております。  また、なお御指摘のように、新しく離島追加等も出て参りましたので、そういう点もあわせ考えまして、今後とも離島振興に努力するであろうというふうに考えておるわけであります。
  24. 綱島正興

    綱島議員 補足して御説明申し上げます。  ただいま御質問がございました十、十一次等の指定もするかという、これは指定審議会がやるのでありまして、経済企画庁がやるのじゃないのです。直接こちらが関係をすることでございますから御説明申し上げますが、実はまだたくさん残っておりまして、これにも書いております通り最初外海の大きな島をやるというぐらいに考えておりましたが、だんだんやってみますと、小さい島は大きな島から見るともっとひどい。いわゆる離島離島というか、もう医者もおらなければ何もないという島が今でもございます。そういうのもやはりさらに延長して救済策を立てねばならぬ。それから瀬戸内海は、これはまた小さい方から指定して参りました。最初は瀬戸内海なんというものは、四国と中国の間に主としてあるところだから、十分に開発されているという概念のもとに、外海だけを指定するというつもりでかかりましたところが、瀬戸内海の方から、お前さん、瀬戸内海を知つているのか、見てみろ、こういふようなお話で、行ってみると外海の大きな島よりひどくて、瀬戸内海の島には電気もなければ、漁港といったって石を積んだだけのところもあり、どうにも話にならぬ。それで瀬戸内海は指定しなければならぬ、こうなりましたが、瀬戸内海を指定してからまだ二、三年にしかならない。これは火急な島から指定して参りましたので、まだ大きい島に及ばない。しかし淡路島のような大きいものを全部というわけにもいきませんので、大きな島は部分的に指定するという立法を実は昨年お願いしたわけです。実は必要な度に従ってだんだん願っていきよるので、一ぺんに何もかも整備するようにやれればいいが、またお願いしなければならぬのは、厚生施設が非常におくれておりまして、無医村などが一ぱい離島にはございます。これについて長崎県なんか、この離島振興の費用でなく、県の費用でやっておるのですが、船を作りまして、その船の中に診察のできる医者を乗せて始終無医村を回らしておるわけでございます。こういうのは長崎県だけではなく、全国的にやらなければならぬ。いろいろまだしなければならぬことがたくさんございますので、それが十年間で終わるようなことができるかできないか、よっぽど大蔵省にも協力してもらい、経済企画庁にもよほど協力してもらわなければ、これはなかなか十年ではできないと思っておりますので、実はその中で十年をお願いしておるわけでございます。どうぞさように御了承を賜わりたいと思います。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 提案者綱島さんのお答えなんですが、指定するのは審議会指定するということですけれもど、そうじゃありません。総理大臣指定するのです。従って、審議会は諮問を受けて答申するのですから、まず経済企画庁でもっとこういうところが必要である、こういうようなことを策定するのが法律の建前だと思います。従って経済企画庁に尋ねておるわけです。さらにもう一つは、今綱島さんがおっしゃるようなことであるならば、いっそ恒久立法にしたらどうか、こうも考えられますが、その点いかがでございましょうか。
  26. 綱島正興

    綱島議員 実は恒久立法ならまことにけっこうだと思っておりますが、恒久立法にせなければいかぬじゃないかという御意見はたびたび出ました。ですけれども、実際から申し上げますと、これほどではないけれども、たとえば特殊土壌地帯でございますとかいろいろ不利益地帯がございまして、これだけを恒久立法にするということは、他の法律との関連で困難でございます。そこで特に延期をお願いしておるわけでございます。皆さんの御協力を願って恒久立法などができるならもう私どもは渡りに船で、こういういいことはないと思っておりますが、それが今のところなかなかむずかしいという見込みで、十年ということにいたしておるわけでございます。  なお指定のことでございますが、なるほど法律は諮問に応じて指定するということにはなっておりますが、実際はこっちからこういうのをやれ、そういうのをやれと言ってやるので、経済企画庁なんかは実際御存じないんで……。(笑声)
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 経済企画庁何か…。
  28. 曾田忠

    ○曾田政府委員 恒久立法のお話でございますが、われわれといたしましては、これに基づきまして、各個々の島につきまして離島振興計画を作るわけでございまして、こういう場合におきましては、ある程度期間というものがきめられておりませんと、非常に計画の策定がしにくいというわけでございます。具体的な計画の策定という点におき産しては、ある程度期間を区切っていただくという方が適当だと考えております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 法制局にちょっとお伺いしたいのですが、時限立法、臨時立法というものは、特に臨時に作らなければいけない、こういうようなときに作るものだと思うんです。従って、それを延長する場合は、臨時立法として作って、その実施の中から、思わない、制定当時に予測していない事態が起きた、従って延長する必要がある、こういうような場合だと思うのです。たとえば肥料二法ですが、五年の時限立法で今度五年延ばしたことがあります。こういうようなのは、経済の動き、そういうものによって変わってきたと思います。このような場合は、そういったあらかじめ予測せられない事態が起きてきたから延ばすということではなさそうに思うのです。大体時限立法期限延長するときは、法律的な態度といいますか、心がまえといいますか、そういうのは、その制定当時には予測しなかった事態が出てくる、動いておるものに対しての予測が変わってきた、こういうときに延ばすのだと私は思うのです。固定したものに対して、あらかじめ指定しておったが、それが計画等で十年でできなくなった、今現在やっているのは何年で一体できるか、こういう上に立って時限をきめるべきだと思うのです。とりあえず十年というようなことは、私は法律のスタイルといいますか、そういうことからもおかしいのではないか、このように考えます。それは、もちろん十年の時限立法を十年延ばそうが十五年にしようが、私は法律上差しつかえないと思うが、いわゆる法律のスタイルといいますか、そういう点からいってちょっとおかしな感じを受けるのですが、いかがですか。
  30. 浜中雄太郎

    ○浜中法制局参事 一定の有効期間を限って制定されております法律は、その有効期間内において目的達成することを目途として制定されていることと考えられます。しかし、その後におきましていかなる事態が発生し、いかなる必要が生じたということについては、いろいろな事態があろうと存じますので、これをどういうふうに措置するかということは、これはもう政策の問題でございますので、私どもの方の立場からそれが適当か適当でないかというようなことは申し上げられる立場でないことを御了承をお願いしたいと思うのです。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 私は法制局に政策面まで聞いておるのじゃありません。法律性格といいますか、そういうことから見て、あくまでも臨時立法は臨時立法である、それをする必要が突如として出てきたというか、必要があるからこしらえる、従って、その事態が解消すればなくなる、あるいは十年もすれば解消するであろう、あるいは五年もすれば解消するであろうという見通しで五年なり十年をきめるのだと思う。ところが、肥料二法のように、当時考えていたのと違った経済的な動きが出てきた、従って、まだ延長せしめる必要がある、こういうようなときは、この場合の延長とは私は若干対象が違うと思うのです。従って、この臨時立法である時限法を延長するときには、どういったことが基本になるべきであるかというようなこと、あるいはその期限はどいうところから定めていくのがいいかということは、これは一つの政策を離れた法律論として、法理論といいますかがあるだろうと思うのです。たとえば、逆に三年の時限立法でこしらえておいて、今度十年なんてかりに延ばすとしたら、これはおよそおかしいと私は思います。かりに二年ぐらいの時限立法を作って、今度十年に延ばすという場合はどうなるのですか。どうも私は法律的におかしいと思うのですが、そういう点、法制局としては、時限立法延長について、法律理念といいますか、法理論の上に立って、これは別におかしくはないのですか。
  32. 浜中雄太郎

    ○浜中法制局参事 そういう臨時点な法律期間延長につきまして、どれくらい延ばしたらいいかというようなことは、やはり実体を離れて考えることはできないと存じますので、その実体の認識いかんにもかかってくるのではないか、かように存じます。そこで、それならば何年延ばしたらいいか、法律の体裁上何年延ばしたらいいかというような点も、別に特別な原則というようなこともございませんので、特に何年以内に限るべしというようなことは申し上げることはできないと思います。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 それは私は、法律としての形式を整えるならば、すなわち国会の承認を得るならば、成立すると思うのです。法律の形式論を言っているのじゃない。かりに緊急に必要だというようなことで時限立法として二年なり三年のものを作った、そうしてあくる年くらいに直ちにこれを十年とか十五年に延ばすということは、これは私は常識として考えられない。私の考えは、いわゆる枝は幹よりも太くてはいけないといいますか、延ばされるものは最初できたときよりも大きなものであってはいけない、こういう考え方を持っておるのです。法律制定の場合において、この場合は同等で、大きくなっていないわけですが、そういう点で若干の疑問を私は持っておるのですが、形式論じゃなくて、法の実体論からいってどうですか。そういう感じを受けませんか。枝は幹よりも太くてはいけない。最初できたよりももっと大きく持っていく、こういう三年なら三年に対して十年というようなものは、私は許さるべきではない、こう考えているのですが、どうでしょう。
  34. 浜中雄太郎

    ○浜中法制局参事 確かに常識としてはおっしゃる通りだと思いますが、ただ法律論といたしましては、いかなる必要によってそういう事態が生じたかということになりますので、その事態も非常にいろいろ複雑な要因があると存じます。それによってどうしてもこれだけは必要だというようなことが生じました場合には、それに相応した措置をとって差しつかえない、かように存じております。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこのくらいにして、最後に一つ提案者から総括して、それから補足は経済企画庁からしてもらいたいと思う。  まず第一条の「本土より隔絶せる離島」という言葉を使ってあるが、これは一体基準としてはどの程度考えておられるか、また今までどの程度考えておられたか。ただ千メートルというような考え方であったのか、五百メートルというような考え方であったのか、そういう今までの実施の実態においてどういうような基準で来たのか、今後はどういうふうに行くか。  それから先ほどちょっとお伺いいたしましたが、昨年の第九次指定を入れて八十九ある。今後も十、十一次でふやしていく。それとこの十年というものはやはりなぜ十年延ばさなければならないかという、このことについてその理由がなければいけないと思う。そういうことで今後のこの法の運用上、延長せられるならば、こういうことをやるのだ、こういうことをやるために十年間必要であるのだ、こういうこと、言うならば十年延長の具体的な基礎、ただ単にもっとこれは役に立つのだからもう一ぺんやるのだということでなく、もう少し納得のいく説明をいただいて、私はこれで終わることにいたします。
  36. 綱島正興

    綱島議員 これは物笑いでございますけれども最初離島振興法を作るときには、提案代表者は私でございましたが、私もまったく事態を考え違いしておった。いろいろな御疑問もあることはごもっともと思いますが、実はこの離島を持っている府県、東京とか新潟とか、島根だとか熊本、鹿児島、長崎、福岡というようなところの知事さんたちが来まして、そうして、隔絶しておる島が困るのだ、これを特に開発をしてくれぬか、こういうような意見であった。それで法文をあの通り書きました。それから予算は、今離島についておる総額に対して年間五億円、十カ年に五十億出してくれれば離島後進性は除去されるのだ、こういう説明であった。それで、私ども知らないものだから、そのつもりでその通り説明して、皆さんの御賛成を得たわけなのです。そうしてその後私はこの法律によって審議会長になりまして、それから役所に調べさせてみると、とんでもない話で、とても五億円など入れたってどうにもならぬのみならず、当時離島指定した人たちの頭割りは五百円にならない。本土は二千円なんですよ。それに五億円足しても六百円か七百円にしかならない。だんだん距離は広がっていくだけで、話にならないということがその後発見されました。それから離島というものは隔絶したる距離ということだけではどうしてもはかれなくなった。実際の実情が、やはり本土に近くてもやらねばならぬところが一ぱいできて参りまして、最初のうちは、航海するのにも多少の時間を要するというようなところで、船賃も高し、運送料も高しというところをやろうというたやつが、そうでなくて、離島はなべてどうもいかぬということで、そういうことも撤廃いたしましたので、この法律とは指定基準がだいぶ違っております。ほんとうを言えば、この法律改正するのがほんとうでございますが、その点は指定する身になってみますと、実情をもとにして指定し、その後先ほど申し上げましたように、外海だけと思っておりましたのが、内海もやらなくちゃならない、こういうことになって、離島というものの本土よりおくれておるものをやる。ただいまこの公共予算を見てみますると、本土は大体一人頭二千二、三百円になっておるのです。ところが離島はやっと去年からそれにくっついてきた。やっと今くっついた。明治維新以来おくれておるものを取り返すのは、そのほかに自然の不利益があるのですから、まだなかなか及ばない。  では、どういう計画をしておるかとおっしゃいますけれども、なかなか今のテンポの速い世の中で確定した計画を十年分も立てるということは困難でございますので、およそ目安でここ十年延べていただいて、そうして再開発計画を立てて、そうして離島の開発をしていこうというので、そう詳しい計画は役所もまだ持っておらぬはずですし、審議会の方でもそういうものをまだ確定しておるわけではございません。それはなかなか不十分なようでございますが、実情がどうにもならぬ実情にございますので、そこは御賢察を願いたいと思います。  以上の通りでございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 私はもう質問はこれでやめようと思っておった。先輩の綱島さんに私は言葉じりを拾って食い下がろうとは思っていませんが、少なくとも今の答弁なら、これはもっと言わざるを得ないという気持になる。はっきり言って実情はそうであろうか知らぬが、法律と違った動きがあるというふうなことをおっしゃったら、そんならそのように法律を変えてこい、改正しなければ通せぬ、こうなるのです。十年後も必要とするなら、十年間の年次計画でも示してもらわなければ、それが十年必要なのか、あるいは五年でいいのか、また先ほど言っているような、これは恒久的なものに変えることの必要があるのかということの検討もできないわけです。そういうことを一々言うておるとあれですから、提案者には先輩の方々が名を連ねておられますので、万々間違いはないだろうと思ってこの程度にしておきます。なお申し上げておきますが、今の御説明で了承したわけではございません。
  38. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十一分散会