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1962-04-24 第40回国会 衆議院 社会労働委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十四日(火曜日)    午後三時三十六分開議  出席委員  社会労働委員会    委員長 代理理事 藤本 捨助君    理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君    理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君    理事 八木 一男君       安藤  覺君    伊藤宗一郎君       浦野 幸男君    加藤鐐五郎君       藏内 修治君    佐伯 宗義君       中山 マサ君    永山 忠則君       松山千惠子君    米田 吉盛君       淺沼 享子君    河野  正君       島本 虎三君    田邊  誠君       滝井 義高君    本島百合子君  商工委員会    理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       始関 伊平君    中垣 國男君       小林 ちづ君    中村 重光君       伊藤卯四郎君  出席政府委員         厚生政務次官  森田重次郎君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局立地政         策課長)    馬場 一也君         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      宮本  惇君         専  門  員 川井 章知君 本日の会議に付した案件  ばい煙排出規制等に閥する法律案内閣提  出第一四二号)      ————◇—————   〔藤本社会労働委員長代理委員長席に着く〕
  2. 藤本捨助

    藤本委員長代理 これより社会労働委員会商工委員会連合審査会を開きます。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出ばい煙排出規制等に関する法律案議題として、審査を進めます。
  3. 藤本捨助

    藤本委員長代理 本案は、去る四月十日の本会議において、すでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、提案理由説明は省略いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林ちづ君。
  4. 小林ちづ

    小林(ち)委員 大臣がお見えにならないので非常に残念ですが、それでは質問に入ります。  私はただいま議題となっておりますばい煙規制法案についていろいろお伺いいたしたいと存じますが、まず第一にわが国工業地帯における大気汚染度は、その降下煤塵量を調べてみても、すでに欧米先進工業国を上回る状態になっており、東京都が去る二十四年に公害防止条例を制定したのを初め、大阪府、神奈川県等各地条例の制定が行なわれるなど、早くから大気汚染産業公害の重要問題として注目されていたものでありまして、その点、このたびの規制法案提出は、むしろおそきに失したうらみがあるように感じます。聞くところによりますと厚生省では、たしか三十年ごろにこの法律立案計画されたことがあるそうですが、日の目を見ず今日まで放置されていたのは一体どういうわけなのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
  5. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御指摘のように煤煙による影響を含みます公害問題につきましては、いろいろな角度からかなり前から検討いたしておったわけでございますが、ただいまお話にもございましたように、実は厚生省におきましてもこの問題を従来取り上げて検討して参っておるわけでございまして、御指摘のようにかつてこの問題を法律案の形で検討したことがあるわけでございます。昭和三十二年に日本公衆衛生協会意見を参酌いたしまして、一つの案でございますが、生活環境汚染防止基準法案というような形で、厚生省といたしまして検討いたしまして、これを当時世の意見を問うたわけでございますが、技術的にもまた社会的な諸情勢からも時期尚早ということで、一たんこの関係立法の作業を打ち切りまして、なおその後は実態的な公害関係研究という形で続けて参ったわけでございます。三十三年に公害の、実態調査を行ないまして、また三十五年には公害防止調査会を発足いたさせまして、煤煙問題を含めました大気汚染等関係検討を続けて参りまして、今回この法案提案という運びに相なったわけでございます。
  6. 小林ちづ

    小林(ち)委員 去る二十二日の毎日新聞の「学者の森」という記事の中に、「「降下煤煙研究をやっているとわかると、いろんな形の圧迫がありましてね……圧迫ではダメだとわかると、こんどは“うちの診療所に来ないか”と付近工場からすすめられたこともありました」「測定器をこわされたという話を、うっかり新聞記者にして新聞に出たら、時々強迫状めいたものが舞いこんできた……」大気汚染研究者に会うと“異口同音”に、こういう話を聞かされる。そして“こんな話は書かないでください”と頼まれる。」こういう記事があるのです。当局でもおそらくこうした圧迫があることはすでに御存じのことと思いますが、それが今まで見のがされてきたということは、これは非常に重大な問題ではないでしょうか。これでは大気汚染の満足な研究などできるはずがありません。研究の妨害を排除し、これを促進するために、当局はどれだけの決意と対策をお持ちになっておられますか、お伺いしたいと思います。
  7. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御指摘新聞記事、またその内容につきましては、私どもつぶさに承知いたしておりませんが、もしそういうことがありまするとすれば、まことに遺憾な次第でございます。最近企業家の間でも、企業公共性ということが非常に強く言われております。また国民保健衛生の面からも、環境衛生に関する世論は、また関心は非常に強まっておるわけでございまして、そういった空気の中でこの研究か順調に進められることを期待するわけでございまして、そういう事実は私ども極力排除して参りたい、このように考えております。
  8. 小林ちづ

    小林(ち)委員 それではこの法案内容について順次お尋ねをいたしますが、第二条で煤煙特定有害物質を別々に規定しておられる。そして第三条には一応特定有害物質排出する者にも大気の績浄を保つよう勧告はしていますが、実質的にこの法案規制対象となるのは煤煙排出者に限られている。   〔藤本社会労働委員長代理退席、   小沢(辰)社会労働委員長代理着席〕 しかし大気汚染原因となるものは煤煙特定有害物質も変わりはないわけで、どうしてこのような差別をする必要があるのか、お答えいただきます。
  9. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御指摘のように、広く大気汚染原因考えられますものの中には、特定有害物質といわれます健康上有害なガス等も含まれておるわけでございます。従来私ども検討の経過におきましては、具体的な問題として取り上げまして、それに対して有効適切な措置ができ得る技術的な水準としては、今回の法案で取り上げました煤煙がその対象として最も適切であると考えたわけでございます。しかしながら特定有害物質として取り上げておりますものの中にも、局所的にいろいろな問題をかもす物質がございますので、それにつきましても、事故特等につきましてこれを規制する方法を取り上げたわけでございまして、なおこの問題につきましては今後とも研究を進めまして、その問題の規制につきましても検討を続けて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 小林ちづ

    小林(ち)委員 次にこの法案によりますと、規制地域指定することになっていますが、当局が現在予定しておられます地域は、どことどこなんですか。また地域指定条件は何なのかをお答え願います。
  11. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 今回この法律案に基づきまして指定地域として指定を予想されておる地域と、それについての考え方でございますが、従来各地区におきまして大気汚染の激しいところでは、地方自治体その他研究所等において汚染状況実態調査等が行なわれておるわけでございまして、その既存の資料に上りまして、私どもとしては緊急に規制を要する地区からこれを順次指定対象として上取り上げて参りたい。具体的には、さしあたって東京川崎横浜等いわゆる京浜地区、それから名古屋付近東海地区大阪尼崎神戸等を含みます阪神地区、それから宇部、小野田等工業地区を含みます地域並びに八幡、戸畑等北九州工業地域、こういうような地域をさしあたっての対象として検討して参りたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、地域指定基準といたしましては、先ほどのお言葉にもございましたが、一応降下煤煙量等を目安といたしまして、そのほか地形あるいは気温、風向、風速など地理的ないろいろな条件がございます。そういうような自然の特性及び今後その地帯がどのように工場施設等が整備されていくか、ふえていくかというような将来の問題も含めまして、地域指定考えて参りたい。このように考えております。
  12. 小林ちづ

    小林(ち)委員 そうしますと、指定地域外では煤煙はどれだけ出してもかまわぬということになりますが、そう解釈してよろしいでしょうか。
  13. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 この法律建前は、一応指定地域内の煤煙発生施設につきまして、各般の規制をするという建前になっておりますが、しかしながらその指定地域外煤煙発生するいろいろな施設につきましても、健康上やはり問題があるわけでございますので、これらにつきましては、第三条にいわゆる訓示規定がございまして、煤煙発生について十分注意をしてもらうような規定をその中に織り込みまして全体として煤煙影響をより少なくして参りたい、このような考え方本案立案いたしたような次第でございます。
  14. 小林ちづ

    小林(ち)委員 私の考えでは、排出基準も設けられるということですから、何も地域を限定する必要はないように思います。地域指定ということになると、大気汚染によってある程度弊害が生まれてこないことには、実際問題として地域指定はできないことになると思います。そうすると、指定されるまでの間、その地域住民は被害を忍ばねばならぬことになり、公衆衛生予防的見地からいっても不都合であり、また地方公共団体としては工場誘致政策などの手前もあって、地域指定を遠慮するということも考えられますので、地域指定ということではなしに、基準以上の煤煙排出者全国どこでも取り締まれるようにすべきではないでしょうか。
  15. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 全国一律に規制すべきではないかという御意見でございますが、煤煙規制につきましてはある程度の費用の問題もございます。また影響とのかね合いの問題もあろうかと存じます。従いまして、もし健康上いろいろ大きな影響がある。支障があるというものにつきましては、先ほど申し上げましたように、地域指定をもって規制して参るということでございますが、なおその他の地区につきましては、先ほど申し上げましたように、訓示規定指尊をもって協力を促すという考え方でございます。  なお、さらにつけ加えまして、予防というお言葉がございましたので、地域指定にあたりましては、さらに今後検討を進めなければなりませんが、大工業地帯がすでに造成されておりまして、それが急速に進展をしておる。近く大気汚染煤煙の悪影響が非常に増大するおそれがあるというような場合には、ただいまお話のございましたように、予防的な意味も含めて、また将来の見通しも含めまして、そういったものにつきましてもこの指定対象として検討して参りたいという考え方でおるわけであります。
  16. 小林ちづ

    小林(ち)委員 次に煤煙排出基準のことですが、その前に、現在通産省厚生省、その他の各省庁で実施しておられる大気汚染調査の現状について、その予算措置もあわせてお知らせ下さい。
  17. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 厚生省関係を申し上げますが、私ども関係では三十七年度におきまして、公害関係専門家の御意見を伺うという予算が、わずかでございますが、四十万円足らずございます。それから、地方におきます煤煙等実態調査いたします予算が七十万円ほどでございます。さらにその実態調査いたしますのに、いろいろな機械設備等が必要でございますので、これは地方衛生研究所補助をいたしまして、三分の一補助で、補助額にして六百万円の機械器具設備予算を組んでおります。その他研究費等が若干あるわけでございます。
  18. 佐橋滋

    佐橋政府委員 通産省関係につきましてお答えを申し上げます。通産省関係は、工業技術院傘下電気試験所中央計量研究所、それから資源技術試験所等に、こういったいわゆる大気汚染状況測定する機械あるいは除塵装置研究としまして、三十七年度二千七百万円の予算を計上いたしております。
  19. 小林ちづ

    小林(ち)委員 これらの調査研究は、各官庁が個々別々に行なっておられるのですか。もしそうだとすると、これらの結果を総合判断して活用する、たとえば排出基準決定などをする統一機関総理府内に設置されるべきかと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 総合的な統一機関を置くか置かないかということにつきましては、これは私どもは必ずしもお答えを申し上げる筋ではないと思いますが、私ども研究をいたします範囲は、主として国民保健衛生上の観点から研究をいたしております。また通産省におかれましては、通産省所管のお立場研究しておられるわけでございまして、今回の法案立案にあたりましては、双方の研究成果を持ち寄りまして検討いたしましたのでございまして、その間に緊密な連絡がとれておるわけでございまして、ただいまのところはその間にそごは来たしておらないように、承知いたしております。
  21. 小林ちづ

    小林(ち)委員 それからこれらの調査研究にあたって大切なことは、測定方法を一日も早く確立することだと思います。今までの測定方法全国的に統一されておらず。このため測定結果を相互に比較研究をすることすらむずかしく、これでは地域指定も、排出基準決定も容易ではないわけですから、当局ではこの点についてどのような方法考えておられますか。煤塵有害ガス、別々に具体的な方法お答え願います。
  22. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 測定方法研究の問題でございますが、これは予算といたしましては科学技術庁の研究費の中にございまして、私ども所属機関であります国立公衆衛生院及び国立衛生試験所におきまして、測定方法研究をして、一部その内容決定をいたしております。
  23. 小林ちづ

    小林(ち)委員 とにかく煤煙排出基準をきめなければ、この法律効果は全然生まれてこないのですから、一日も早くこれをきめるように努力して下さい。工場汚水規制法と同じようにマンマンデーでは、せっかくの法律も仏作って魂入れずの結果となりますから、その点、最初の排出基準はいつごろまでにきめる予定なのか、当局見通しを伺いたいと思います。
  24. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 この法律は公布後六カ月の間に政令、省令等、所要の手続をとることになっておりますので、その期間を目標にいたしまして、できるだけ早い機会にこれを決定して参りたい、こう考えております。
  25. 小林ちづ

    小林(ち)委員 この法案第十六条の第三項に「二年間は、適用しない。」という猶予条項がありますが、この二年間という期限は何を根拠としておられますか。また二年間では長過ぎるのではないでしょうか。
  26. 佐橋滋

    佐橋政府委員 二年間の既設の施設についての猶予期間がございますが、その間におきましてもほうっておくというつもりはありませんので、行政指導を行ないまして、三年後には完全に煤塵防止ができるように指導して参りたいと思います。あるいは都道府県条例のあるところでは、その条例がその期間有用に働いて、先生御指摘のような御心配はないかと考えております。
  27. 小林ちづ

    小林(ち)委員 法案第二十一条の霧が持続的に発生した場合、都道府県知事煤煙排出者協力を求めるとありますが、煤煙排出者協力しなかった場合はどうしますか。罰則がなくて効果があるでしょうか。
  28. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 もちろんこの条文につきましては罰則規定がないわけでありますが、事人命に関します大きな問題でございますので、私どもとしましては、これをこの条文にありますように、一般によく周知していただきまして、指導によって煤煙排出する者の協力を十分にはかって参りたい、このように考えております。
  29. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ところでこの法案で見ますと、地域指定の申請、煤、煙施設の監督とか勧告などの権限がすべての都道府県知事に限られておりますが、住民に及ぼす影響を一番身近に知っておる者はその地域市町村長なのですから、この権限をある程度市町村長に移譲した方が、より適切な運営ができるのではないかと思いますが、政府にそのようなお考えはありませんか。
  30. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 この法律規制建前といたしましては、煤煙の及ぼす影響広域性という立場からこれを都道府県知事にまかせまして、その責任によって実施することが適切であると考えまして、こういう案ができ上がったわけでございます。しかしながら、御指摘になりますように、地方公共団体の中でも有力な市等におき、ましては、現実に今まで煤煙測定、あるいはその影響検討等に力を尽くしておることがあるわけでございまして、そういった実態には決して目をふさぐわけではございません。地方自治法にも権限の移譲の規定があるわけでございますが、そういった趣旨を活用しまして、地方実情に沿うような能率的な運用をはかって参りたいと考えておるわけであります。
  31. 小林ちづ

    小林(ち)委員 煤煙処理施設中心になるのは集塵装置だと思いますが、その中でサイクロン、マルチクロン、ベンチュリー・スクラッパー、バック・フィルター、コットレルなどのそれぞれの単価は、大体どのくらいのものでしょうか、御承知ならばお教えいただきたいと思います。
  32. 馬場一也

    馬場説明員 施設の大きさによりまして、大きな施設につく集塵装置は当然値段が高いわけでございますが、大体の標準を申し上げますと、非常に小形のボイラーにつきますサイクロンのようなものでございますと、たとえば数十万円から数百万円という程度のものもございますが、粉炭をたきます大形のボイラーにつきますコットレルのようなものになりますと数千万円、さらに平炉等につきますコットレルでありますと、これも数千万円から非常に大きなものになりますと億以上のものもあるわけでございます。
  33. 小林ちづ

    小林(ち)委員 いずれにいたしましても相当な資金を必要とするわけですが、その点、企業家側、わけても中小企業者の負担は大きいものとなりますから、それに対する政府助成策は、具体的にどんなことを用意しておられますか、また、より安価な集塵装置研究あるいは燃焼効率向上などについて、政府のお考えはどうであるか、あわせてお伺いします。
  34. 佐橋滋

    佐橋政府委員 お答えをいたします。大企業中小企業の場合、大企業につきましては開発銀行に特別のこのためのワクを用意して参りたいと考えておりますが、中小企業につきましては、中小企業振興資金等助成法を運用いたしまして、大体施設の半額を無利子で貸し付け、残余を中小企業金融公庫から一般金利で融資をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから試験研究につきましては、私の方の電気試験所あるいは中央計量研究所研究をさせておりまして、いわゆる有効な除塵施設研究を進めておりますので、その研究成果を普及させると瞬時に、そういう施設を使用させるように指導して参りたいと考えております。
  35. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ところでこれはエネルギーの総合政策にも関連することなのですが、わが国燃料資源が石炭から石油への比重を増すことは、これはもう争えない事実でございますので、煤煙規制石油燃焼に重点が移って参ると思います。そこで石油燃料の場合、特に問題となるのは亜硫酸ガスの排が出多いということで、従って石油燃料はできるだけ硫黄分を除去することが煤煙規制の上からいっても、より根本的なものだと思います。実は出光興産の徳山製油所では、一億円の工費をかけて硫黄回収装置を作り、日産二十トンの硫黄を回収する能力があるといいます。しかも硫黄日産十二トンあれば採算がとれるそうですから、一石二鳥の効果を上げているわけで、ここにある硫黄がそうなんです。従って政府でも石油精製工場に対しては、このような硫黄回収装置を作るよう行政指導をする必要があると考えますが、いかがですか。
  36. 森清

    ○森(清)政府委員 ただいま出光が徳山に行なっておりますコンビナートは、硫黄回収装置をやっております。それ以外についても、石油業者が各所にコンビナート計画しております。その計画の中には大部分が硫黄回収計画を盛り込んでおります。これは私ども行政指導をしなくとも、自発的にやっていくような方向になってきております。
  37. 小林ちづ

    小林(ち)委員 最近わが国経営者の中に、企業公共性とか社会性とかを強調される方がふえているようですが、これはどうも労働対策とか株主対策とかの面で自己の立場を弁護して主張なさる場合が多く、公害問題については足尾鉱毒事件の昔から水俣病の今日に至るまで、あまり関心がないように感ぜられます。その点、公害防止に対する認識が不足しているのではないかと思います。特に大気汚染の場合は、設備機械の腐蝕やスモッグによる輸送の障害などを考えると、産業活動の面でもマイナスが大きいということをもっと当局はPRすべきではないでしょうか。
  38. 佐橋滋

    佐橋政府委員 御指摘の通り、従来工業というのは飛躍的に伸びております。これが非常に要請されたわけであります。ところが現在の段階になりますと、ただいま御指摘のように企業自身としても当然社会的な責任というものを自覚しなければならなくなってきて、その風潮は確かに以前とは非常に変わって参ってきておるわけでありまして、われわれの方といたしましても、御趣旨のように企業に対してそういった社会的な責任を痛感して、経済自身の最終的なねらいが国民生活福祉向上にあります点を強調いたしまして、企業自身としても十分にその責任をとるように指導して参りたいと考えております。
  39. 小林ちづ

    小林(ち)委員 ここで私は自分の住んでおります四日市市の実情を申し上げて、政府の方々の御注意を促したいと思います。  四日市は御承知のように、わが国で最も早く石油化学コンビナート完成を見たところでございますが、これの完成によって市民大気汚染という予期しない公害に悩まされ、自治会組織中心公害防止が強く要請されました結果、市当局でも一昨年秋、四日市公害防止対策委員会を作りまして、とりあえず名古屋大学、三重県立医大などに委嘱して、公害実態調査を行ないました。このほど一年間の調査結果がまとまり、中間報告という形でこれを発表しましたが、それによると煤塵川崎尼崎等に比べて少ないのですが、名古屋神戸よりは多く、特に亜硫酸ガス全国最高といわれるほどで、四日市ぜんそくといわれる慢性気管支炎を初め、心臓病、ガンなどの罹患者死亡率が、石油化学コンビナート操業開始とともに目立ってふえております。人体への影響は重要な考慮を払うべき段階に来ていると判断しています。詳しいデータはここにあるのですが、このため市民世論も、取り締まりを望む者二割から三割、合理的な都市計画によって解決をはかれと希望する者に至っては半数近くに達している状態であります。これについて政府ではどうお考えになるか。事は人命に関する問題だけに、当局の誠意ある御回答をいただきたいと思います。
  40. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 環境衛生立場から、四日市実情につきましては、私どもも、多分御指摘調査資料だと思いますが、そういうものを入手いたしております。その弊害の除去には苦慮しておるわけでございます。今回の立法によりまして、そういった問題につきましても極力これを是正して参りたい、かように考えております。
  41. 小林ちづ

    小林(ち)委員 とにかく四日市工場地帯中心である塩浜地区に参りますと、通りかかる電車や汽車の中まで異臭が漂い、近くの中学に通います私の長女までが、学校では胸が急に悪くなったり、のどが痛くなると申しまして、帰宅すれば毎日うがいをいたしておるような次第です。畳ふきも今まで大掃除のときだけふけばよかったのですが、最近では毎日ふかなくてはならないくらい、もはやこの地区には住めないというのが市民の偽らぬ感情でございます。しかも塩浜地区四日市市内でも有数の市街地なのですが、それがやがて無人の野に化してしまおうとは、まことに重大な問題でございまして、このような市街地に石油化学コンビナートができた例は世界にもまだないそうですし、日本では今日川崎を初め、徳山、水島、五井、堺、名古屋南部など、石油化学コンビナートの建設が続々進められております。その現状からして、四日市の場合はまさにそのテスト・ケースと申してよいわけでございます。それだけに四日市公害防止は、わが国地域開発や新産業都市の建設などに重大な示唆を与えるものと言っても過言ではなく、その点、雨降れば放射能に泣き、風吹けば煤煙に悩む市民のために、政府の至急かつ十分な対策を切望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  42. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 板川正吾君。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 小林委員が詳細に質問しましたから、私は二、三の問題についてただしたいと思います。  まず第一に、本法と地方公共団体がすでに制定をしておる条例との関係について伺ってみたいと思います。本法が制定される前に、東京、神奈川、静岡、新潟、大阪、福岡、川崎、こういうところではすでに煤煙等に関する条例を持っておりますが、本法が規定になりますと、本法に触れる部分の条例は当然無効になる、こう思うのですがどうですか。
  44. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御指摘の通りであります。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 ところが煤煙特定有害物質について、本法以上の強い規制を必要と認めて、本法より以上の強い規制をしてみる場合には、やはり強い部分は無効になりますか。
  46. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 条例とこの法律との関係は、先ほど申し上げましたように、この法律案に触れます部分は無効となるわけでございます。触れない部分につきましては、これはその地力の特殊事情等を加味いたしまして、この法律案に触れずにその特色を生かして、育成していかなければならないという現実の事情がある限りにおきまして、その条例が有効であり、あるいはまた新しくそういう条例規制していくという道は残されておると考えます。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 たとえば、本法では特定有害物質規制というのは非常になまぬるいことになっております。ところが特定有害物質規制をもっと強くやっているところ、こういう条例は、この法の趣旨からしてこれは無効で、本法の線まで戻るということになるのですか。
  48. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 特定有害物質規定につきましては、私どもは一応現在の学問の進歩の水準下は、この法律規制による方法一般の水準として適切な措置であると考えておるわけでございまして、そういう意味におきまして、特定有害物質規制につきましてはこの法律が優先しまして、条例は無効になるというふうに考えております。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 私はこの法律で問題の点は、特定有害物質の問題が問題だろうと思っているのですけれども、たとえば十六条で改善命令を出すというときにも、特定有害物質に対する改善命令の項目がないのです。それから二十条で特定有害物質が事故を起こした場合には、それは応急に措置をして、すみやかに復旧するように努めろ、それに対し、必要があれば都道府県知事勧告することができる。こういうふうになっているのです。要するに、たとえば有害な艇が常時少しずつ出ておる、従って少しずつ出ているのですから人畜に大した被害はない、ただ事故があった場合にはそれは有害だからすぐ復旧しろ、次に事故が起きないようにしろ、こういう勧告が二十条で出るのですが、こういう規定は私はまことに不十分だ、こう思うのです。だからこれに対して、常時特定有害物質発生する工場等に対する規制条例で持っておった場合、これが最善だから、その条例が無効だということになると、この法の趣旨に沿わぬじゃないですか。
  50. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 特定有害物質に対する規制といたしまして、この法律の中で考えておりますのは、まず第三条が、これの一般的な規制に相なっておるわけでございます。特定有害物質発生する者に対しまして、処理の方法等を規制することによって、大気汚染が正常に保たれるようにと、一応の訓示規定でございますが、これが一つ立っております。それから御指摘のように事故の発生の際に、応急の措置を講ずることを規制いたしまして、それに対して勧告権限を置いておるわけでありますが、その他平常時におきまして、排出基準とか、あるいは施設の設置の届出とか、ほかの煤煙施設と同じようなふうに規制しないのはゆるいではないか、そういうものを規制した条例があってもいいではないか、こういう御質問と思いますが、この点につきましては、先ほど条例とこの法律案との関係を申し上げましたが、私どもの見解では、現在の技術的な水準のもとでは、これを標準的に法律化するということは困難である。もう少し検討を要する。これを煤煙発生施設と同じような一律の基準規制することはむずかしいという考え方に立っておりますので、そういう意味で、そういう条例ができにくいという考え方から、この法律が優先するというふうに申し上げたわけでございます。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 そうではないのです。法律で一律にここはなってないでしょう。常時規制してないでしょう。だからその部分を条例規制をしておるところがもしあったら、それが無効になりますか、生きておりますかということを聞いているのです。
  52. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御質問の点につきましては、これは非常に技術的な問題がからんでおりますので、私が申し上げましたのは、現在の技術水準から考えますれば、この法律案規制が精一ぱいである。そういう意味からは、条例はこの法律案と抵触するという意味に申し上げたわけでございますが、なお技術的な水準の問題でもございますので、その条例につきまして、具体的に技術水準から検討さしていただきたいと思います。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 僕は技術的な問題を聞いているのではないのです。法律解釈の問題を聞いているのです。この法律で一つの基準を設けられて、煤煙基準を設けて、それでそれと同じような、あるいはそれよりきついものを条例できめておった場合には、これは法律に戻れということになるでしょう。しかし特定有害物質については、これには規定がないのですから、ないところを条例で持っておったら、そのないところは有効じゃないのですか。その条例は生きるのじゃないのですか、ないのですから。この煤煙規制法では、特定有害物質規制というのは、和解の仲介をするというところくらいしかないのですから、あるいは事故が起こった場合に、事故が起こらない常時の規制をしようというこの条例があった場合には、私はその条例が生きるものと、こう解釈していいと思うのですが、いかがでしょう。
  54. 佐橋滋

    佐橋政府委員 条例と本法との関係でありますが、御承知のように条例はいわゆる法律に違反することはできないわけでありまして、本法において規制するかどうかを検討した上で、規制する必要がないというふうにきめました事項につきまして条例があるということは、これはいわゆる法令違反になると考えます。ただし本法が特に結論を出さなかった分野等につきましては、これは条例が制定することもできるし、あるいはその条例が生きておるということになるかと思いますが、ただいま五十嵐局長の御説明がありましたように、検討した上で結論を出していいのかどうか非常に不明な点がありますので、そういう点につきましては、個々の条例等をよく検討した上で、生きるかあるいは死ぬかどうかということをきめたい、こういうふうに考えております。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 ついでだからはっきりしておいた方がいいと思うのですが、この法律では二十条で「特定有害物質に関する事故時の措置」として、特定有害物質が事故のため多量に排出されて被害を与えるという場合には、すみやかにそれを復旧しろ。その復旧することについて必要があれば、都道府県知事は「その事故の拡大及び再発の防止に必要な措置を講ずることを勧告することができる。」こう言っておる。それから二十二条は「和解の仲介の申立て」で、こう言っております。「ばい煙発生施設又は特定施設において発生し、大気中に排出されたばい煙又は特定有害物質質による被害について、」、この二十二条の場合には、これは事故で特定有害物質が放出されたのじゃないと思うのです。事故の場合には前に書いてありますから。ある程度有害の煙が出ておるが、しかしそれは少量だから、法の第一条の目的の「公衆衛生上の危害」を与えるおそれが大してないし、「生活環境の保全」に危険を与えるほどの影響もない。だから多少有害物質が出ておってもいい。しかし少しずつ出ておっても被害を与える場合があります。農作物あるいは植木とか、そういうものに被害を与えます。そういう場合には一つ和解でやれという手続を、二十二条で言っておると思うのです。だからこの有害物質については、この二つの条文しかないですから、この有害な物質をある程度規制する条例、これが実は私の関係のところにある。どのくらい以上出してはいかぬということが、もし条例があったとすれば、私はその条例はこの法規に触れないから、当然生きておるもの、生きるもの、こう解釈しておるのです。それでどうも何かあやふやなことを言うものですから、その点、念を押したいという気持になったわけです。
  56. 森清

    ○森(清)政府委員 板川さんがただいま申された意味は、私どもも十分承知しておりますし、今局長からお答えした通りでありまして、いろいろと表現のつたなさから騒ぎを起こしましたけれども、最後に佐橋局長が答弁いたしたことによって、一つ統一解釈にしていただきたいと思います。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 それから六条で排出基準の遵守義務をうたっております。この排出基準通り守っておって、しかし損害を与えた場合には、一体損害賠償に応じなくちゃいけないでしょうか。無過失責任ということで応じなくちゃいけないものでしょうか。それとも排出基準を守っておったのだから、損害はあっても責任はない、こういうことになるのですか、いずれですか。
  58. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 排出基準を遵守しておるということと、被害があって賠償の問題が起きるということとは、一応別個の立場考えております。ただし民事の裁判等におきまして、排出基準を守っておるという事実に対する認定と申しますか、そういう点は尊重されるものと考えます。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 結局これは民事裁判を起こすということになりますね。その場合に排出基準を守っておれば、その結果被害を与えた場合に、守っておったということが裁判所で認められれば、その結果がその裁判の結果に出るだろう。しかし損害を与えた以上は、責めは免れない。こう思うのですね。うそでしょうか。
  60. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 その通りでございます。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 飛び飛びになって恐縮ですが、本法の目的に、「公衆衛生上の危害を防止するとともに、生活環境の保全」と言っておるのですが、農作物の被害をどうして入れなかったのですか。これは農林作物、こういったものに被害というのは案外多いのです。これを入れなかったという理由を伺いたいものです。
  62. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 煤煙等の被害が農作物等の物に及ぼすという事実のありますことは、御指摘の通りでございます。私どももその点につきましてはいろいろと検討いたしたわけでございますが、物に対する被害というのは非常に明確に出て参ります。これに対する規制につきましては、排出基準等におきまして、この法律で人の健康を保持するという建前からいたします排出基準とは、おのずから別個の形のものが考えられるわけでございます。そういったものを、同じ体系のこの法律に入れるということはいかがかと存じまして、この法律案では人の健康に問題をセーブいたしまして立案いたしたわけでございます。なお物に対しまする被害につきましては、人間の健康を保持するという建前によりますこの排出基準によりまして、大部分の被害を防ぎ得るのではないかというふうにも考えておりますし、また和解の仲介等の制度におきましても物の点を取り上げ得ると考えておりますので、そのような考え方に立脚いたしておる次第でございます。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 指定地域指定の問題ですが、一つの基準を設けて、この基準に達したところを政令で指定するということになりますが、企業者側から言えば、煙突へ集塵装置をつけたりいろいろするのですから、これはうるさいことになるのですね。突然というか、企業者側から言えば、突然自分もその指定地域に入っておったということになるというふうに、突然という感じを受けるのではないかと思うのです。ですから、地域指定することはいいのですが、しかし将来近く指定せざるを得ない状態、煙突がさらに建ってくるような状態では指定しなくてはならないという準指定というものを作っておったら、ある程度そういう点の心がまえができて、事前に、では煙突を建てるときに、近く指定になるならつけてしまおう、こういう形になるのじゃないかと思うのですが、準指定というようなことは考えておりませんか。
  64. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 御指摘の点は、一つの考え方としてよく理解できるのでございますが、この案といたしましては、二年間の猶予期間を置きまして、その間にそういった問題を処理したいという考え方に立っているわけでございます。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 そういう考え方をとってないということですが、二年間という猶予期間はちょっと画一的ではないですか。私は十六条の三項の二年間の猶予期間というのは、画一的に過ぎるのではないかと思うのですが、たとえば一基一億円も五千万円もするような大きいものは、これはその会社の予算上のこともあるでしょう。従って最長二年間という限度はやむを得ないと思いますが、しかし中には百万か二百万でいい、あるいは五十万、六十万でいいというようなものもあると思うのです。ですから、この「二年間は適用しない。」という一律規定は、どうも画一的に過ぎるのではないかと思うのです。二年以内にするとか、あるいは期限を限って一年、一年半、二年あるいは半年、こういうふうに区切ってもいいのではないでしょうか。全部二年というのは、どうも私は画一的に過ぎると思うのですが、この点いかがですか。
  66. 森清

    ○森(清)政府委員 確かに板川さんの言われる説はありますし、事実私どももこの案を作るにあたりましては、そういう意見も非常に活発に論議したのでありますけれども、ただ単に資金の面だけでなくして、この設備をするためには、工場を一時とめなければならぬという事態も生じてきまして、非常に生産も低下するということも考えますと、ともかくいろいろの意見はございましたけれども、最大二年間ということに期限を置いておりまして、それ以後は絶対に許さない。それまでに完全に作るのだということにした方が、より有効ではないかということで、こういうふうにしたわけであります。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると十六条三項の「指定地域となった日又は煤煙発生施設となった日から二年間は、適用しない。」ということは、二年以内に直すべきではないでしょうか。
  68. 佐橋滋

    佐橋政府委員 その地域指定された場合あるいは煤煙発生施設として指定される場合に、いろいろの条件においてみな違うわけでありますが、この改善命令を免除するには最高期限を二年にきめたわけでありまして、二年間たたなければしないということではないのでありまして、先生御指摘のように、小さなものあるいは簡単なものにつきましては、行政指導でできるだけ二年以内に工事を完了するように指導して参るつもりでございます。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 さっき言ったように、事業者の方が、一億円か、煙突につけても、二十トンの硫黄がとれて採算が合うというなら、それは急いでつけるでしょう。しかしまず指定地域となったという発表があったら、大部分は困ったな、こう思うに違いないですね。うちの煙突に装置をしなくちゃいけないのだそうだけれども、しかし二年間はあるのだからそのうちやろうというので、そうあわててやらないのじゃないかと思うのです。だから私はこれを二年以内なら二年以内として、あとは行政的な指導で、小さいあるいは費用の安いものは早目につけるというようなことがいいのじゃないか、こう思うのです。そうするとこの二年間はこれを適用しないというのは、ちょっと表現上まずいのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか、佐橋局長。
  70. 佐橋滋

    佐橋政府委員 法律でございますから、二年間は適用しない。かりに一年のものもあるいは半年のものもあるかもしれませんが、これはその期間内にいろいろの時間的な段階を置いて行なわれると思うのですが、この法律として改善命令を政府が出さない、届出について出さないという期限を二年間と切ったわけでありますので、これは法律の体裁からいっても、二年以内ということにならなくて、二年間ということで、先生の御心配のような点は解消できるのではないか、かように考えております。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 特定有害物質にまた戻ってきたのですが、私の選挙区なんですが、利根川べりで紅がらとかなんとかの工場があるのです。その工場は赤い煙を出している。これがいつも地をはっているのです。多分それを作ったときには、利根川べりで、野原のまん中で川のふちですから、多少有害な煙が出ても、まあまあがまんをしてもらえる。その公害はない、こういうことで当初は作られたと思うのです。ところが最近その工場が活発になってきて、生産も上がってきて、煙突の煙の量もふえる。その辺に行くと、事故さえ起こさないからいいのですが、まず近所の大きい木は枯れておる。農作物にも相当の被害がある。しかし会社も被害をかけておるということもあって、町のお祭とかなんとかには応分の寄付をし、公民館も寄付して作っている。近所の人も、子弟がそこに勤めておりますから、あまり表立って文句は言えない。しかし木が枯れてしまう、農作物があまり育たないというくらいですから、確かに有害な性質のものであるに違いない。こういうようなものがあった場合に、私はどうもこの法律で、どこに改善命令を出すなり勧告するなりするところがあるのかなと思っておったのですが、どこを探してもないですね。それは民法によって損害賠償をして争って、ナスやキュウリが育たなかった損害賠償をとれといったって、これはなかなかとれないですね。ですから、そういうものこそある程度基準を与えて、公衆に迷惑のかからないような方法規定することも必要だと私は思う。こういう例が全国に相当あると思う。どうもこの法律では、どこを読んでも、そういう場合に勧告をしたり、注意したりすることができないのですが、これは第三条の精神で、何か知事から注意をするとかなんとかという方法があるのですか。
  72. 佐橋滋

    佐橋政府委員 ただいま先生の御質問の紅がらの場合、それが特定有害物質になるかどうかは厚生省の方で認定していただかなければならぬと思いますが、もしそれが特定有害物質であれば、第三条の規定で、一応訓示規定ではありますが、この精神にのっとって行政指導で実効を上げたいというふうに考えております。
  73. 板川正吾

    ○板川委員 それに関連して、二十二条で、「大気中に排出されたばい煙又は特定有害物質による被害について、損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じたときは、都道府県知事に和解の仲介の申立てをすることができる。」これは二十二条というのは、さっきちょっと触れましたが、事故があった場合ではないでしょう。今の場合でも二十二条で仲介の申し立てができるのですか。
  74. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 第二十二条の和解の申立ての内客でありますが、これにつきましては御指摘の通りでございまして、この和解の仲介につきましては、指定地域内、指定地域外を問わず、また事故あるいは事故外を問わず、和解の仲介を制度化したものであります。
  75. 板川正吾

    ○板川委員 その場合には被害者としては、知事に和解の仲介の申し立てができるわけですね。  それからもう一点ですが、指定地域外で、法律よりも強い条例を持っておった場合には、やはりこの法律の線まで戻るということですか、それは自由だということですか。有効だということですか。
  76. 佐橋滋

    佐橋政府委員 指定地域以外についてこの法例は、特に煤煙等について規制をいたしておりませんわけですから、それについて特別な条例を制定することも、既存の条例も、これは有効であります。
  77. 板川正吾

    ○板川委員 もう一つ、最後に聞きますが、三十条で国の援助をうたっておるのですが、「必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。」こう国が約束するわけですが、この必要な資金のあっせんというのは、具体的にどの程度どういうことをやろうとしておるのですか。それからその次の技術的な助言その他の援助についても、一つ具体的にこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  78. 佐橋滋

    佐橋政府委員 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、処理施設をいたすために事業者は相当な施設をし、全額を負担しなければならぬわけでありますが、これにつきましては、大企業につきましては開発銀行で特別な資金ワクを用意いたしたと考えておりますし、中小企業につきましては中小企業振興資金等助成法資金を活用いたしまして、施設費の半額を無利子で貸付をし、残余を中小企業金融公庫から融資いたしたい、こういうふうに考えております。それから技術の援助につきましては、政府でそれぞれ研究をしておりますので、そのPRなりあるいはその成果を業者の方に伝達いたして参りたい、こういうふうに考えております。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 時間の都合上、以上をもって一応終わります。   〔小沢(辰)社会労働委員長代理退席、藤本社会労働委員長代理着席〕
  80. 藤本捨助

    藤本委員長代理 五島虎雄君。
  81. 五島虎雄

    ○五島委員 午前中から島本君がずいぶん長い間いろいろの問題について、煤煙のみならず、水質汚染の問題から、あるいは排気ガスの問題から臭気の問題について、ずいぶん長時間にわたって質問をされました。また小林委員や板川委員から各条文にわたって、あるいは地域のデータのことについていろいろ質問をされましたので、私はこの際二、三点にしぼって明らかにしておきたいと思います。  それは第二十八条以下の適用除外の問題で、電気関係とガス関係についてはこれを適用除外するというようなこと、たとえば十九条、二十条、二十六条、事故時の二十七条、これらは適用を除外するというように書いてあります。そうすると私はあとで質問いたしますが、たとえば県も市も立入検査等々はできないのではないか、火力発電所のある地域におけるところの県や市あるいは住民は、全くその関係においては被害者の関係になって、被害が発生した場合にどこにこれを訴えることができるだろうかというような疑問が生じて参ります。それが午前の質問によれば、煤煙等規制よりも、電気事業法とかガス事業法とか、その他の特別法によってより厳重に規制しているから、大丈夫であるというような答弁が島本委員に行なわれたらしいのです。私はちょっと退席しておりましたのでわかりませんが、そういうことであれば、一体その基準はどういうふうに設定されて、そうして県も市も関係せぬでもいいのだ、通産行政によってこれを十分監視できる、こういうようなことになるかという質問ですが、その点はどうでしょうか。
  82. 佐橋滋

    佐橋政府委員 午前中の御質問にお答えしたわけでありますが、電気関係あるいはガス関係につきましては電気事業法、ガス事業法がございまして、その法律内容はその施設自体の保安とかいうことばかりではなく、第三者に及ぼす影響がある場合、障害がある場合にも規制ができるようになっておるわけであります。さらにその内容といたしまして、本法で規制しますような工作物についての設置は、これは描出ではなくて全部事前の認可事項になっておるわけでありまして、さらに第三者に影響を及ぼす場合には、工作物の撤去あるいは使用禁止、停止という措置もできるようになっておりまして、本法よりも実は厳重な監督規定があるわけであります。ただしその法律の中には、本法で予期しておりますような大気を広範にわたって汚染するというようなことは規定がしてありませんので、いわゆる排出基準の設定だとか、そういうことは本法の適用を受け、ただ監督規定だけ旧電気事業法あるいは都市ガス法に譲るということにいたしたわけであります。立入検査等の問題につきましては、現在通産省地方にあります通産局長を通じて指導を行なっておりますので、必要があれば都道府県と連絡の上、本法の施行に遺憾のないように指導して参りたい、こういふうに考えております。
  83. 五島虎雄

    ○五島委員 私が聞きたいのは、たとえば火力発電所の場合を具体的にとれば、ちょうどさっき小林ちづ委員四日市の現状についてデータを持って質問されました。ところが四日市には大きな火力発電所があるでしょう。そうすると火力発電所から出す煙、亜硫酸ガスですかが、あの付近は海岸ですから大体一定の方向に風が吹く。風下には塩浜というところがあるが、そこに火力発電所から出るところの特定有害物あるいは煤煙が流れる。それに対して住民にアンケートがとられた。そのアンケートにはおもにこういうデータが出ておる。これは厚生省もお持ちだろうと思いますが、煤煙が目に入って数回病院に通った。それから騒音が原因心臓病に二カ月以上もかかった。のどを痛め数回医者にかかった。目まい、耳鳴り、吐きけ、頭痛が持病となってしまった。そして子供の飲食は不振をきわめている。鼻が痛くなってせきがとまらず、子供が気管支炎をわずらった。そしてある子供はぜんそくになってしまった。安眠ができないので、夜勤はもちろん勤務に支障を来たし、ノイローゼとなった。家族全員の体重が減少をして、幼児を他家に預けなければならないような状態になった。植木は枯れ——植木が枯れるのですから草色はもちろん枯れてしまいます。植木が枯れ、田畑の収穫は減少し、ごみがといにたまって早く腐れてしまう。それからテレビ、ラジオがあまり聞こえない。そのほか煤煙で洗たくを再三やり直しをするが、なかなか洗たく物も落ちない。それから夏の暑いときに戸を閉めなければ、家の中に煤煙が入ってきてしまうので、窓をあけて涼むこともできない。長距離電話は聞こえない。三重戸——戸を三重にしても畳が黒くなって、主婦の方たちは掃除にも非常に差しつかえる。こういうようなことになるわけですが、これがたとえばただいま御答弁になりましたような基準が設定されると、こういうような条件はすべて排除される自信がおありでしょうか。そしてそれの監督は常に通産省が行なうのだ、こういうことになるとこういう現象は排除される自信がございますか。
  84. 宮本惇

    ○宮本説明員 お答えいたします。火力発電所の問題でございますが、御承知のように四日市も多分そうだと思いますが、最近できます新鋭火力発電所は、この法律ができます前から機械式あるいは電気式の集塵器を併用いたしましてやっております。今おそらくそういう煤煙が出るというのは、いわゆる古い機械でありまして、この排出基準がどういうふうにきまるか、きまり方によりますが、公益事業局といたしましては、十分その点は従前からも監督をしておりますし、この基準は守らせるだけの自信はあると思います。それから御心配の、通産局長が監督するから一切都道府県知事に何も連絡しないという、そういうことはございません。十分御連絡の上やりたいと思います。
  85. 五島虎雄

    ○五島委員 今の答弁は割方方向として明らかです。これが被害がなければいいのです。ところが一説聞くところによりますれば、その基準を〇・二%で作ろうという動きがあるやに聞いておる。これはうそだったらいいのです。そうすると〇・二%で基準をきめるということになれば、またある一説から言えば、これはアラビア重油を野放しに、たきっぱなしにするのと同じような容量じゃないか、こういうようなことになるらしいのです。私は科学者でないからわかりませんけれども、そうするとアラビア重油を野放しにたきっぱしにする、そうして空気に排出するということを、それを基準にして火力発電所に対して、もしも〇・二%程度で基準が設定されるというのならば、人体に及ぼす影響は重大なことになりはせぬかと私は杞憂するものです。従って、今後は厚生省通産省とよく話し合われて、第一条の目的を達成するために、第五条によって基準が設定されるわけですけれども、人体に影響のないような基準国民の健康を十分保持するに足る基準は相談しきめられるわけですけれども、そういような気持で基準をきめられるかどうかということを、ここに明らかにしていただきたいと思います。
  86. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 ただいま御指摘の通りでございまして、私どもといたしましては、この法律立法趣旨、目的から申しまして、国民の健康を保持し、あわせて産業の健全な発達と調和するという点で、適切な排出基準決定して参りたい、かように考えております。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 関運質問。先ほど当局に伺ったら、通産省の方から、これは今の電気、ガスの施設関係のいわゆる特定有害物質排出する基準について、これは全部適用除外が二十八条できまっておるが、この法律関係で十分やっていけないのじゃないか、セーブする必要があるのじゃないかと言ったときに、セーブする必要はない、なぜならば、これよりきつく許可制をもってこれをやっておるから、現状においても差しつかえないのであるという答弁があった。ところが今聞いてみますと、現実においては、人畜に被害があるどころか、テレビやラジオの聴視まで困難を来たすような状態だ。これがいかに許可制であっても、こういうようなものを許可をしてやっていたら、この法律以上にきついということは言えない。こういうような目に見えないようなテレビや何かの媒介物にさえも、いろいろと支障を来たすような危害というものは、やはり関係法令をちゃんと整備するのでなかったらだめだと思う。生行法だけでも十分やっていけますと今言う口の下から、こういうことになるのだったら、私に対してうその答弁をしたことになるじゃないですか。これはどういうふうなことですか。
  88. 宮本惇

    ○宮本説明員 私のさっき申し上げましたのは煤煙関係で、テレビ、ラジオのことはおそらく電波障害の問題ではないかと思います。それは煤煙とは別に、高圧線が通るとか、そういう面からの障害ではないかと思います。これはまた別の問題で、この問題の中には入らないのではないかと思います。
  89. 佐橋滋

    佐橋政府委員 島本先生の御指摘でありますが、現行法規で十分だと申し上げたのではなくて、現行の法規の監督規定は、本法よりもさらに厳重に実施できる、こういうことを申し上げたわけであります。先ほど申し上げましたように、電気事業法あるいは都市ガス法は、大気汚染するというようなことに対する配慮がなかったわけでありますので、これから先、たとえば四日市市の問題にしましても、地域ごとに、そういう施設ごとに、排出基準を作るわけであります。その点は本法によりまして、そういう厳格な基準ができますと、それを監視するのは電気事業法あるいは都市ガス法で見るのだ、こういうことを申し上げたつもりであります。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると結局現行法律は、本法律を実施することによって手直しが必要だということになるのじゃないですか。あなたの方はさっき手直しの必要はないと言ったから、それで今私は聞いてみたわけです。
  91. 宮本惇

    ○宮本説明員 先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、たとえば今の法律で事業の届出その他は一応ございますが、たとえばこの第八条の一、二、三、四号まではよろしいのでございますが、現在すでに電気事業法の関係で施行規則で決定になっておりますが、この「ばい煙発生施設の使用の方法」とか「ばい煙の処理の方法」等は、今度この法律ができ、あるいはその基準ができることによりまして、これに合わせてそちらも直してやっていく。ですから現在は確かにこの立法は抜けております。抜けておりましても、今度こちらで合わせてやりますから……。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 手直しをしてやる必要があるというのなら、それでいいのです。
  93. 五島虎雄

    ○五島委員 あと二点だけ、二十二条、二十三条、二十四条、二十五条では、大体和解のことが規定されておるわけです。そうすると、提案理由説明の中にも言われましたように、これらの和解の問題については、煤煙公害の問題は全く日本の歴史上始まって以来の法律だ、そこでこれらの利害者の争いについては、法律上なじまない問題である、従ってここに和解仲介の制度を設けるのだ、こういうようなことになっておるわけです。そうするとこの法律が出れば、各都道府県には十五名程度の仲介員ができるわけであります。それで一たび紛議が起きたというような場合には、業者と住民との争いを足して二で割るというようなことではなくて、仲介員の方たちの任務はここに二十五条に明らかになっておりますが、その結論を出すためには、常に科学的に調査をされて、そうして公平無私の立場からこの仲介員がその任務を果たされて、そうして両々納得するようなことをやられることはもちろんであろうと思います。しかし法律側からすれば、これは知事の任命になるわけですから、この際明らかにしておかなければならないのは、厚生省通産省は、この仲介員の任務に対して、やはりその仲介の任務を果たすためには、より科学的に、より合理的にこの仲介の任務が果たされるように努力されることはもちろんでございましょう。どうですか。
  94. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 ただいま先生の御指摘の通り、全く同感でございます。そのように考えております。
  95. 五島虎雄

    ○五島委員 それから午前中から、ただいま連合審査のときも融資年限等の問題について質問がございました。それで現在までは中小企業の振興資金等助成法によって五〇%中小企業に無利子で援助する、そうしてそれは五カ年間を七年間に二年間延ばそうということで、あとの五〇%は中小企業金融公庫あたりで貸してやって、そしてこれが施設の万全を期すというようなことが答弁にあったわけですけれども、われわれが聞くところによると、この煤煙規制あるいは特定有害物資の規制等々に対するところの施設は、非常に腐りやすいということを聞いておる。事実今まで施設をやったところの会社の係の人に聞いてみたら、五年間くらいで煤煙規制施設は腐ってしまう、こういうことです。大体今まで実施されているのは大企業に属します。これからやろうとするところは、大体中小企業にもやってもらわなければ国民の健康の保持ができませんから、そうすると五年くらいで腐ってしまうような施設のためにこれを貸して、中小企業はやはり力というものが総体的に弱うございますから、そうすると一度借りたがまだ返してしまわないうちに腐れて、また新たに施設を入れかえなければならないというような問題も出てきましょう。あるいはさっき小林委員が言われましたように、還元的に硫黄を精製するような施設もあるようでございます。ところが無水硫酸とか、ああいう化学薬品のアンプ等は、プロペラ等が二カ月か三カ月で腐されてしまうということです。そうすると日常の経費等だって相当かかるのじゃないか。五年間を七年間に二年間延長されたという親心はわかりますけれども、融資をもっと長い期間、たとえば十年間程度はやってやることがやはり親心ではないか、こういうように考えますけれども、この点について、通産省が融資されるわけでしょうが——これはどっちが融資されるのですか。厚生省がやられるのですか、通産省がやられるのですか。もしも通産省がやられるのだったら、その点についてどういうように考えられているかという考え方を、ここに明らかに聞いておきたいと思うのです。
  96. 佐橋滋

    佐橋政府委員 中小企業振興助成法は、ただいま御指摘のように五年間無利子融資をやっておるわけでございますが、本法で二年間延長いたしまして七年にした。こういった施設につきまして、従来の慣例は二年間の延長というのが最高限であったわけであります。ただいま御指摘のような点につきましては十分考慮いたしまして、年数をさらに延ばすということで考えて参りたいと考えております。それから今の急にふやすという問題につきましては、こういった施設の耐用年数を現在大蔵省と交渉いたしておりますが、大体七年くらいに短縮するように話をして、大体了承を得ております。
  97. 五島虎雄

    ○五島委員 それからこの中に、三十条は国の援助——ですから今の気持を援用拡大していただいたら、今後規制の問題、国民の健康保持の問題には非常に役立つのじゃないだろうか。これは一つの要望として、国の援助を拡大するようにお願いしておきたい。  それから三十一条における研究の推進というところの条項が一つあります。午前中には森田政務次官は、従前の通り十分努力して行なおうというような答弁があったように思います。しかし今日まで、厚生省がこの問題について努力はされただろうけれども、その努力は国民に反映していない。従って島本委員がいろいろの、六つか七つくらいにわたるところの公害の問題を言われましたけれども煤煙とか特定有害物質のみならず、すべての問題についてすみやかに立法措置をわれわれはしてもらいたい。そういうように努力してもらいたいと考えておるわけですけれども、その点について研究の推進を極力しなければならない。そのためには研究費は相当に多く使ってもいいのじゃないか。その金を使うことが国民の健康を保持するのならば、これは通産省からもずいぶん出してもいいのではないだろうか、かように考えます。これに対しての取り組み方を通産省厚生省に聞いておきます。
  98. 森清

    ○森(清)政府委員 通産省は、御承知の通り試験研究所を幾つか持っております。私就任して間もなくでございますが、これらのところを回りまして、特に塵埃その他排気ガス、こういう問題について、生きたこういう仕事に研究の主眼を置けということを指示いたしてございますし、ただいま御指摘のような問題につきましても当然通産省としても、これから大いに力を入れてやるべきだと考えます。
  99. 森田重次郎

    ○森田政府委員 午前中に一応御答弁申し上げたのでありますが、厚生省といたしましてもこの問題については特段の力をいたしたいと考えております。実はこれは質問外になるのですが、公害問題としてお聞き取り願いたいのですが、それは隅田川の汚染をどうして浄化することができるかという具体的な問題について、環境衛生局検討させまして一種の答案を得まして、それを政務次官会議に出しまして今検討いたして、閣議にまで持っていってやりたいと思っております。それらの部分的な検討も、全部ただいまの三十一条に関連性を持つものでありますから、十分努力いたすつもりであります。
  100. 五島虎雄

    ○五島委員 ただいま通産、厚生から決意のほどを伺いました。決意は十分認められるわけです。しかしこの問題については非常にばくとした問題が多々ありますので、十分今後研究され、努力されて、金も少々出して万遺憾なきを期せられたいと思います。  それからこの煤煙等規制の問題については、三十六条と附則からなっておるわけですが、これを通読するのに、その権限はすべて都道府県知事ということになっております。ところが市の住民も県の住民も、県知事も市長もあるいは各種自治体の機関も、そうして国も、あらゆるものが総合の力を出さなければ、この公害に対する国民の健康の保持というものは不可能ではないかと考えます。従っていずれにしてもすべて国民の健康保持、あるいは第一条に書いてありますように産業を発展させるためには、あらゆる力が総合的な結論のために努力し合わなければならない。そこで地方自治の単位といううものはやはり市町村長でございますから、従って指定される規制地域等については、やはり主として工場都市が指定地域になるのではないかと考えますので、その場合本法のごとくあらゆる権限都道府県知事にあって、市長にはないということは、さいぜん言いましたようにあらゆる力を総合しなければならないのに支障がありはしないか、こういうように考えるのです。そこであなた方はどう考えられるか。私はもちろん都道府県知事が県民の健康保持のために大局的に総括して、県民の、あるいは他の都道府県関係するところのこの公害防止する権限を有するのがあたりまえだと思いますけれども、煙が発生するのは工場あるいは事業場であります。当該都市が指定されたら、その法人も自然人も市民であります。市民の中から煙が発生するのに市長の権限がない、監視も立ち入りもできない、こういうことは支障があろうと思います。ですから初めて作るところの新法において、都道府県知事にのみ権限を保有させるということはどうかと思いますから、簡単にその考え方を言って下さい。私たちは修正をいたしたいと思っておりますから、深くは質問をいたしません。
  101. 五十嵐義明

    五十嵐政府委員 午前中からの御質問で再三お答えを申し上げた通り、この法律建前といたしましては、一切の権限都道府県知事にゆだねまして、その形でやっていくという考え方になっております。しかしながら現実にその運用の面で、地方公共団体相互の間に協力体制を作りまして、それを能率的に運用するということに対して、決して反対しているわけではございません。
  102. 五島虎雄

    ○五島委員 私は意見を交換するわけではございませんから、その点について質問だけをして終わります。
  103. 藤本捨助

    藤本委員長代理 これにて社会労働委員会商工委員会連合審査会は散会いたします。    午後五時二十一分散会