○齋藤(邦)委員 政務次官に港湾労働の問題について少し
お尋ねをしたいと思います。
今回、社会党の
五島虎雄君その他の方々が提出者になりまして、
港湾労働者の雇用安定に関する
法律案を出されたわけでございますが、この案の内容を見ますと、どうも私どもまだ納得のいかない不完全な点も多々ある
法律のような感じはいたしますけれども、こういうふうに研究されたということにつきましては、私は社会党の皆様方に敬意は表しておきたいと思います。
ところで、港湾労働がこういうふうに非常に大きく出て参ったということは、非常にこれは意義のある事柄でありまして、わが党におきましても、従来から海湾労働の特殊性からいたしまして、何らかの雇用の安定に関する
法律案を準備しなければならぬであろうというふうなことで、目下検討はいたしておるわけでございますが、この際、
政府に少しく
お尋ねを申し上げてみたいと思うのであります。と申しますのは、港湾労働は、私が申し上げるまでもなく、非常に複雑なむずかしい問題でございます。行政的な面から申しますと、海湾労働の雇用安定をさせるためには、
職業安定局の所管のみならず、
労働基準局の所管にもまたがっておる労働の本質を持っておるものでございます。戦争前は、私が申し上げるまでもなく、港湾労働は現在職業安定法によって禁止されております労務供給事業の形態において労務の確保をはかられてきておったというのが、過去の
実態であります。そういうようなことからいたしまして、港湾に働く
労働者の諸君はレーバー・ボスに酷使せられ、その労働条件は劣悪なるもとに置かれ、従ってそこには何ら雇用の面において安定した姿というものを私どもは見ることができなかった。しかるに、終戦後に至りまして、職業安定法という実にりっぱな
法律ができまして、労務供給事業を全面的に禁止するということになりました。しかしながら世間では、やはり労務供給事業に類似したものがあるのではないだろうかという誤解を持っておる者もあります。さらにまた手配師等が動いておるというふうなことを間々新聞その他で見ることもある。こういうことでございまして、しかもまたその労働条件は、他産業の
労働者に比べまして、非常にむずかしい労働に従事しておる
労働者であるにもかかわらず、その労働条件が必ずしも他産業に比べていいとも言えない、こういうことが今日の姿であろうと思います。
しこうして、さらにまた将来、わが国の経済成長政策が非常に順調に進んでおるわけでありますが、順調に進むに従って港湾労働の問題というものは非常に重要性を増してくる。港湾の施設整備等にのみ力を入れたのではとてもこの問題の
解決は完全ではない。そこで何としてでもこの際私どもは、経済成長政策に伴うそういう港湾の作業を能率的に行なうということと、そこに働く
労働者の生活安定のためにこの際何らかの方法を考えなければならぬ、こういう段階にきておるだろうと思います。
そこで、この港湾労働の雇用恒常化に関する問題につきましては、一九四九年、ILO内国運輸
委員会において非常にいい決議が出ておるのであります。この決議を見ますというと、私どもは、さすがやはり世界各国のいろいろな経験を生かして作っただけのことはあるという感じがしみじみいたします。すなわち、雇用の恒常性促進のための登録
制度の問題、しかも登録制で最も大事なことは、ここの一行にありまするが、十分であって十分をこえない労働力の供給の確保、そこが非常にむずかしい問題であります。あまり多く登録しようといたしますれば、その雇用の恒常性を保つことはできません。しかしまた不十分であっては、これは何の効果もない。すなわち、十分であって十分をこえない労働力の供給の確保、これが非常に大事なことであります。しかしこれは非常にむずかしい問題であります。これはおそらく
職業安定局で所掌される職業
紹介業務の中では非常な高度の技術性を持ったところの問題であると思います。もちろん総合的な各業界その他の港湾輸送全般にわたることでありますけれども、職業
紹介そのことを考えただけでも、これは非常な高度の技術性の問題であります。私が申し上げるまでもなく、港にはいろいろな船が入ってくる。その船の荷役をするわけでありますから、そこにはいろいろな技術者、種々さまざまな技術者を必要とするでしょう。そういう中にあって、十分であって十分をこえない労働力を確保する、これは非常にむずかしい問題です。むずかしい問題だが、これができない限り雇用の安定というものはできない、こういうことが言えると思います。それが結局この
勧告にありまする第二の問題と関連して、収入の安定化に関連する問題であります。この収入の安定化、すなわち十分で十分をこえない労働力を確保し、同時にそれを確保することが表裏一体となって収入の安定ということでなければならない。この
勧告には、その国その国の経験を生かしたそれぞれの
制度を考慮されなければならないと書いてあります。社会党案によるところのものは、いわゆる不就労手当金なるものを提案をいたしております。現在の
制度におきましてはこの点については特に新しい
制度はない。すなわち日雇い
労働者については日雇い失業保険の失業保険金きりない、こういうことであります。しかし、この失業保険金
制度だけで、この十分であって十分をこえない
港湾労働者が収入の安定を得られるかといえば安定は得られない、こういうことであります。労働の質が実に複雑であり、非常に重労働であり、しかも港湾労働だけで問題を
解決することはできない。すなわち運輸、通産、その他各方面にわたってやっていかなければならない。しかもレーバー・ボスも一面禁止していかなければならない。そして近代的な輸送業者の育成もはかっていかなければならない。種々さまざまに関連した非常にむずかしい問題であります。しかし問題であるけれども何とかしなければならぬ。これは安定局だけではできない。基準局も入らなければならぬ、運輸省も入らなければならぬ、あるいは通産省も入らなければならぬ。しかしいつかは
解決しなければならぬ問題だと思います。そういう意味においてわが党も社会党案よりもっといい案を提案する予定になっておりますが、こういう不十分な案では私どもは納得ができない。できるだけ研究はいたします。
そこで
政府に
お尋ねをいたしたい。
政府は幸いに今回総理府設置法等の一部
改正法律を提案せられまして、港湾労働等対策審議会というものを内閣に作られることになった。私は非常に賢明だと思います。
労働省所管だけじゃなしに、通産あるいは運輸各省にまたがる総合的な立場で、この問題と取り組んでいこうという熱意のある点は、この
法律を出されただけで十分理解できますが、しかしほんとうにやる気があるかないかということは問題だ。審議会ばかり作って、審議会で答申をし、答申が出ればその通りやるかやらぬか、
政府のことでありますから、わが党内閣でありますから、答申が出れば必ずおやりになるとは思いますけれども、この審議会に、真剣に港湾労働の雇用安定に関する
措置について――社会党さんの言うような
法律を作れとかいうような意味ではありませんが、雇用安定に関する何らかの
措置が必要であるということを認めたから、これはお出しになっているに違いない。そこで雇用安定に関する何らかの
措置について諮問をされる御意思があるかないか。それから答申が出たら、必ずこれを次の国会を目当てにお出しになるほどの勇気があるかないか。非常に疑問だ。この問題について政務次官並びに事務
当局の責任者である
職業安定局長さんの御所信を承っておきたいと思う次第でございます。