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1962-03-22 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君    理事 澁谷 直藏君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 五島 虎雄君 理事 八木 一男君       安藤  覺君    井村 重雄君       浦野 幸男君    大石 武一君       藏内 修治君    中山 マサ君       永山 忠則君    楢橋  渡君       八田 貞義君    早川  崇君       松山千惠子君    米田 吉盛君       赤松  勇君    淺沼 享子君       大原  亨君    河野  正君       島本 虎三君    田邊  誠君       滝井 義高君    中村 英男君       吉村 吉雄君    井堀 繁男君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 山本 正淑君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君  委員外出席者         議     員 五島 虎雄君         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         厚生事務官         (保険局次長) 熊崎 正夫君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  首尾木 一君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員田邊誠辞任につき、その補欠として和田  博雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員和田博雄辞任につき、その補欠として田  邊誠君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号)  児童扶養手当法の一部を改正する法律案内閣  提出第九号)  国民年金法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第七二号)  臨時医療報酬調査会設置法案内閣提出第一〇  一号)  生活保護法の一部を改正する法律案八木一男  君外十一名提出衆法第九号)  港湾労働者雇用安定に関する法律案五島虎  雄君外十二名提出衆法第二二号)      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  五島虎雄君外十二名提出港湾労働者雇用安定に関する法律案議題とし、審査を進めます。
  3. 中野四郎

    中野委員長 提案理由説明を聴取いたします。五島虎雄君。
  4. 五島虎雄

    五島議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました港湾労働者雇用安定に関する法律案提案理由説明をいたします。  戦後における日本経済は、資本主義のメカニズムとしての不可避の起伏を経ながら、矛盾を内包しつつも一応、発展の一路をたどっているのであります。また、この経済発展と密接に関連する国際貿易においては、対米依存の不安定な貿易構造でありながらも、貿易量は年々増大しているのであります。しかし、池田内閣高度経済成長政策は、私企業の過剰な設備投資競争を招き、これがため原材料を中心とする輸送量の増大は、国際収支の大幅な赤字を招来しているのでありまして、これが今後の日本経済に深刻な影響を及ぼすであろうことは明らかであります。しかるに、他方、この貿易量に見合う港湾施設不備のため、各港における船込みは全国的な範囲に及び、滞船時間三百時間という世界的な記録すらあるのでありまして、これが経済に与える影響は、きわめて深刻なものであります。しかしながら、このような船込みを醸成した根本的な原因は、港湾労働者不足にあるということであります。それはわが国港湾労働者労働条件が、最近近代的な諸慣行のもとにおかれて、職安行政不備による手配師等の存在によって、労働賃金ピンハネは常識化し、就業の不安定となって悲惨な生活環境に呻吟しているのであります。このような生活環境に対する不満、抵抗が港湾労働者陸上労働への逃避となって、港湾労働力不足という現実を招いているのであります。ところが、この経済変動の波を直接に受ける港湾労働者生活にあっては、好況の場合には労働力不足による労働強化が起こり、不況の際には失業と低い労働条件とに追いまくられているのであります。  一例として三十五年度における横浜港における港湾日雇い労働者生活状況を見ますと、本人以外の家族のいないものが全体の四五・三%を占めているという事実が示されております。これを一般日雇い労働者と比較してみますと、一般日雇い労働者の場合、本人以外に家族のいない者は二八・四%となっており、港湾日雇い労働者生活がきわめて特殊なものであることを示しているのであります。港湾日雇い労働者の大半が家族を持ち得ない根本理由は、結局、これらの労働者賃金収入就業の不安定にあると考えられるのであります。この事実を常用日雇いとに分けて不就労日数で見ますと、常用の場合、五日から九日までの不就労日数のものが四四・七%、四日以内が三八・六%ということになっております。ところが日雇いの場合を見ますと、五日から九日までの不就労日数のものが三五・五%、十日から十四日のものが二八・四%を占め、日雇い労働者就業の不安定が明らかにされているのであります。このように就業が不安定である結果、賃金収入が少なくなってくるのは当然であります。これを月額収入で見ますと、七千円から一万円のものが一四・六%、一万円から一万五千円までのものが五八・一%で最も多く、二万円以上はわずかに二・四%で、常用の場合では五三・八%であるという事実に比較して、きわめて低いことが立証されるのであります。  このようなわが国港湾労働者労働条件現実を重視した世界港湾労働者は、国際的な連帯のもとに、来たる三日二十七日を国際港湾労働者連帯行動日として、わが国の、日本港湾労働者労働条件向上生活の安定を目標に総決起大会を開くことを表明しているのであります。つまり世界十三カ国の港湾労働者統一行動に決起し、世界の各港における日本貨物船のボイコットに立ち上がるというのであります。これはわが国は言うに及ばず、世界各国経済国民生活に異常な影響を与えるであろうことは明らかであります。世界港湾労働者が、このような形で抗議せざるを得ないことは、ひとえに、わが日本政府及び港湾専業者が、港湾労働者対策をなおざりにした結果にほかならないのであります。ここに、わが党が本法案を提案する第一の理由があるのであります。  第二の理由は、国際収支の面から見て、港湾作業料を低く押えることに問題があると思うのであります。御承知のように、わが国海運事業は年々発展の一途をたどり、その年間取り扱い童も増大し、今日では年間四億トン以上の取り扱い量を示しているのでありまして、海運業発展わが国経済発展にとって主要な部分を占めていることが明らかにされております。しかし問題は、わが国政府港湾作業料を低額に押える政策をとっている事実にあると思うのであります。これは国内の一般料金とは異なり、対外的な問題でありますとともに、国際収支面にも大きな影響を与えるものであります。たとえば諸外国港湾作業料を見ますと、トン当たり平均で、日本の場合二百円、世界各国において低いといわれているフィリピンにおいてすら五ドル、千八百円で、さらにアメリカにおいては九・五ドル、三千四百二十円と、わが国とは雲泥の差があるのであります。  一方、年間取り扱い量四億トンのうち、二億トンが外国船取り扱いとなっているのでありまして、結局一トン当たり四ドルの損失と見まして、約八億ドルの損失をこうむっているのであります。政府港湾作業料を低く押えるという方針をとっている結果、国際収支面でこのような問題を生じているのであります。この事実を私どもはきわめて重視し、対外的な方針の是正と、わが国海運業の正しい将来のためにも、本法案提出する第二の理由があるのであります。  第三に、本法案は、ILO内陸運輸委員会においてなされました港湾労働者雇用恒常化に関する決議趣旨に全く合致するものでありまして、国際的見地から見ましても、本法案成立が必要となってきているのであります。  以上三つ理由が本法案提出いたしました理由でございますが、これらの理由根本に、わが国の低賃金構造の問題があることを強調しておきたいのであります。御承知のように、わが国労働者賃金はきわめて低いのでありますが、それは結局、ここで取り上げている港湾日雇い労働者のような低賃金労働者が無数に存在しているからであります。従ってわが国の低賃金構造を打破し、正常な労働関係を樹立するためには、これらの低賃金労働者への対策を確立し、雇用近代化生活向上をはかることが必要であると思うのであります。ここに、私どもが本法案成立を重視し、その成立を期する理由があるのであります。  次に、本法案内容を簡単に説明しておきたいと思います。  第一に、日雇い港湾労働者不安定性を除去し、計画的な雇用を促進するために、日雇い労働者登録制を実施することにしました。  第二に、港湾労働計画的雇用を推進するために、中央港湾労働委員会地方港湾労働委員会を設けることにしました。  第三に、この港湾労働委員会が常に港湾労働事情実態を調査し、港湾運送事業の合理的、総合的計画を立て、それによって各港湾ごとに必要な労働力の定数を定めることにしました。  第四に、この必要な労働力に比して、常用港湾労働者数不足する場合は、登録港湾労働者の中から不足せる労働者数を指定し、指定した労働者を優先的に雇用する義務を雇用主に課することにしました。  第五に、この指定労働者が万一不就業の場合は、不就業手当を支給することにし、不就業手当原則として雇用主負担とし、その一部を国庫が補助することができる、としました。  右が本法案趣旨並びに内容の簡単な説明でありますが、つけ加えておきますと、世界のほとんどの海運国は、一九四七年ごろ港湾労働法を制定しております。一九四九年には、ILO港湾労働者雇用恒常化に関する決議を採択して、各国海湾労働法の制定を促しているのが実情であります。  以上が港湾労働者雇用安定に関する法律案提案理由説明でありますが、何とぞ慎重審議の上、本案の採択を望むものであります。
  5. 中野四郎

    中野委員長 なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  6. 中野四郎

    中野委員長 国民健康保険法の一部を改正する法律案児童扶養手当法の一部を改正する法律案国民年金法の一部を改正する法律案戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案臨時医療報酬調査会設置法案及び八木一男君外十一名提出生活保護法の一部を改正する法律案、以上六案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  7. 滝井義高

    滝井委員 先日、私は、国民健康保険法の一部を改正する法律案に関連して、国庫負担を、現在の国民健康保険にどういうように合理的に上昇せしめていくかということについて、一つの方法としては、ちょうど日雇い健康保険の被保険者擬制適用があるように、やはり国が使用主――国民全体の使用主という形で、保険料の二分の一を国が持つという形を作っていくことが必要だ、いわば擬制的な使用主として保険料の二分の一を持つことが必要だというところまで質問をしておいたのですが、きょうは、少し総合的に、ぜひそういうことをやらなければ国民健康保険はだめだということを、今後述べる余地がない。国民健康保険がほんとうに所得の再分配をして、社会保障としての本来の目的を貫くことができないということを証明しながら、そこに相当の国の負担理論的に入れる方向に持っていかなければならぬ、その理論的な裏づけをやってみたいと思うのです。それに対する内閣のいろいろな見解をこの機会に明らかにしてもらいたいと思うのです。  そこでまず第一に、そういうことを証明しようとすれば、国民健康保険実態というものの政府の方の把握とわれわれの把握とが、同一でなければならぬと思うのです。そこで、前もって厚生省の方にも十分勉強していただくようにお願いをしておるわけですが、まず私が政府の方に明確にしておいていただきたいのは、国民健康保険保険料収入とそれからその保険給付というものが、他の日本におけるもろもろの社会保険、すなわち組合健康保険政府管掌健康保険日雇い健康保険船員健康保険共済組合、これらのものの保険料収入保険給付と比較して、一体実態はどうなんだということ、これをまず明らかにしてもらうことが私は一番先決問題だと思うのです。その場合、保険給付という場合には単に医療給付を言うわけではございません。医療給付はもちろん、療養費、それから傷病手当金分娩費出産手当金保育手当金埋葬料と申しますか、埋葬給付と申しますか、そういうものすべての給付をひっくるめて――もちろん国民健康保険には傷病手当金などはございませんけれども、他のものにはあるわけです。そういう諸保険給付総計を言うわけでございます。これらと比較したものを要約して、わかりやすくここに説明していただきたいと思うのです。
  8. 高田浩運

    高田政府委員 こまかい数字は省きまして、まず医療給付について申し上げます。
  9. 滝井義高

    滝井委員 そうでなくて、総計で言ってもらいたいと思うのです。総計でいかぬと比較にならぬ。たとえば組合保険料収入一万五千八百八十五円、保険給付一万二千六十二円なら六十二円、そしてそれが昭和三十六年度なら三十六年、三十五年なら三十五年、こういう工合に言ってもらう方がわかりやすい。一々言うとまた足し算をしなければならぬ。これはお作りになった課長から言って下さい。
  10. 首尾木一

    首尾木説明員 保険料の点でございますが、政府管掌健康保険三十五年度、被保険者一人当たり調定額は一万八百七十一円、組合健保の場合が三十五 は一万六千五百五十四円、日雇い健保三十五年は四千六百七十一円、国民健康保険三十五年八百八十五円、以上が保険料調定額でございます。保険給付費で申しますと、政府管掌健康保険三十五年、被保険者一人当たり金額一万百十三円、組合健保一万二千六百七円、日雇い健保三十五年七千五百九十四円、国民健康保険保険者一人当たり金額二千五百九十六円、ただし、ただいま申し上げました被保険者一人当たり金額は、政府管掌組合管掌健康保険及び日雇い健保につきましてはそれぞれ被扶養者のものも含めた金額でございますので、国民健康保険の場合には、これは一人々々が被保険者でございますから、その金額でございます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 今、三十五年のが出ましたが、それは大体現状を示しておると思います。時間を省くために要点だけを聞いていきますが、今度は一人当たり医療費の状態を三十五年で一つお示しを願いたい。今のは諸給付全部を含めたもの、今度は医療費だけです。政府組合日雇い国保と……。
  12. 首尾木一

    首尾木説明員 まず被保険者本人について申し上げます。政府管掌では三十五年度一人当たり七千五十円でございます。組合管掌六千五百二十四円、日雇い健保五千九百六十七円、国民健康保険二千五百七十一円。それから被扶養者家族の場合でございますが、政府管掌健康保険では千五百八十円でございますが、医療費はこれの二倍、三千六十円、組合健保は三千八百五十六円、日雇い健保は二千三百七十円になります。
  13. 滝井義高

    滝井委員 大臣、今お聞きの通りでございます。まず保険給付を見ても、その保険料を見ても、政府管掌が一万八百七十一円の保険料を払うのに、国保は八百八十五円しか一人当たり払うことができないというこの現実です。それから給付に至っては政府管掌が一万百十三円、国保は二千五百九十六円、四分の一です。それから医療費だけを限って見ても、政府管掌家族が三千六十円、本人が七千五十円、この平均をとっても五千円になる。片一方は二千五百七十一円、これも二分の一です。こういう実態なんです。一体この実態をどういう工合に直していくか。日本医療というものは、今までは政府管掌健康保険が中軸になって動いてきた、しかし今後は、国民の半ばを占める四千五百万の、老若男女を問わず入っておる、この国民健康保険というものを柱にして動かさないと問題があるわけです。その場合に、やはり医療保険充実方向というものは、三つ原則が貫かれなければならぬと思います。その三つ原則というものは何かというと、その保険に確保すべき医療内容というものは、医学進歩に即応したものでなければならぬということです。これはもう当然なんです。他の政府管掌なり組合管掌なりあるいは共済組合には、そういう医学進歩に適応した医療が行なわれるけれども国民健康保険には行なわれないということがあってはならぬと思います。まずこの第一原則というものが、国民健康保険にも導入されなければならぬ。それから同時に、各種医療保険の間に存在する格差を解消する方向でなければならぬということです。これはもう当然です。医療内容に新しいものが導入され、そして健康保険との格差が縮まっていくということ、そして同時に、その医療を担当する医療従事者というものが、やはり社会的に専門技術者としてふさわしい待遇を受ける形がそこで行なわれなければならぬ。これが私は、資本主義であろうと、社会主義であろうと、近代医療における三つ原則だと思うのです。こういう三つ原則方向国民健康保険というものを、今の格差を縮めながら持っていく、こういう事業が、今の日本国民健康保険に与えられておる事業だと思います。従って、イギリスあたりは、同一医療内容を、同一保険料を取って、そして一定の統一的な機関でやれという方向イギリス社会保険、いわゆるナショナル・サービスは出しておるようですけれども日本は、必ずしも一定保険料と言えるかどうかということは、なお検討の余地のあるところだと思うんです。そこでそれはしばらくおいて、前に申し上げました三原則というようなものでこの保険を前進させなければならぬと思うのです。その場合に、まず私たちがやらなければならぬものは、医学進歩に即応したものであり、格差を解消するというならば、まず第一に取り上げなければならぬものは何かというと、給付範囲制限撤廃するということです。これはもうこの前永山委員からも指摘をされましたし、国民健康保険法施行法の十四条に書いてあるわけですね。これは「当分の間」ということになっておるんですが、しかし皆保険がもう去年の四月一日から実施されたならば、そのときには少なくともこういうものは解消していなければならぬのだが、現実に解消していないわけです。まずその格差を縮め、医療内容近代医学に即応したものにするためには、まず第一に取りかからなければならぬのは、この医療内容制限撤廃をするということなんですが、これに対してあなた方は、一体具体的にどういう措置をとってきたかということです。
  14. 高田浩運

    高田政府委員 給付制限撤廃方について従来指導して参ったことは当然ですけれども、私どもとしては、今回国庫負担率が五分引き上げになりました機会に、さらに強力にこの給付制限撤廃について個別的に指導をいたしたいということで、実は今お話しの法律修正をある程度考えたのでございますけれども、この辺のところは実際上の指導で万全を期した方が妥当である、かような考え方で法律修正案は提案いたしませんでしたが、実際上の行政措置で強力に指導いたしたいと思います。  なお、念のために申し上げておきますが、先ほど課長から申し上げました数字保険料調定額の点でございますけれども被用者保険につきましては、本人分雇用主負担分と両方が含まれているということが第一。それから被用者保険につきましては、家族給付の分も含めての保険料、いわばそういうことになっておりますけれども国民健康保険につきましては、一人当たりでございますから、それに世帯員がかけ算になる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 実は世帯員を入れたところで、保険料というのは四千円ちょっとなんですよね。一年五千円の保険料と見ても、片一方は一万八千七十一円ですから、三分の一にならぬわけです。私は、事業主が出す理論を展開しようとしているんです。当然こういう実態だから、国が事業主として、擬制適用としてかわって出てこなければいかぬですよという理論を今からやろうとしているんだから、そういう理論をあれしなければ、国民健康保険の前進はない。そこで、一つ一つ今から私があなた方の口から言わせるわけです。鳴かしてみせようホトトギス、鳴くまで待っておったのではだめですから、鳴かせましょうというので言っているのです。そこでまず第一に鳴いてもらわなければならぬのは、今言ったように制限診療なんですね。今あなたは、顧みて他を言うようにいろいろのことを言われた、五分引き上げした後に強力におやりになろうと言われるけれども、先日の永山委員質問に対しては、現実に往診の制限をしているのが二百四十で保険者の七%、給食六百五十一で保険者の一八%、それから寝具六百九十で一九%、歯科の補綴に至っては六百七十八で一九%、こういうように御説明になっておるわけです。こんなものは去年の四月一日になくなっておらなければならぬはずです。いわんやそれから一年たったことしの三月の時点では、こんなものはもう解消していなければならぬのだが、依然として国会の答弁でこういうものが出てきておるというのはおかしいじゃないですか、こういうことなんです。そこで、このための財源措置というものは幾らかかるか。今これらの制限をしている、これを全部撤廃したら、一体幾ら財源措置を必要とするかということです。
  16. 首尾木一

    首尾木説明員 三十七年度で、医療費にしまして約三十四億でございますから、国庫負担にいたしますと、その四分の一の金額になるわけでございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、とにかく三十四億程度の金を必要とする、これをまず一つたな上げしておきます、あとで出てきますから。この金が要ります。少なくとも近代的な医学庶民大衆を浴さしめるためには、国民健康保険において制限給付撤廃するために三十四億の金が要る。今の国庫負担の率でいけば、少なくとも八億程度の金を必要とします。国の負担がその程度ふえます。こういうことが一つありますが、これはしばらくたな上げしておきます。  そうすると、次は、今われわれの望んでおる第二の点は、同じような医療の恩恵に浴していただく、すなわち医療における機会均等を与えるための一番の隘路は何なんだというと、五割窓口で払うことです。これはもちろんそうでないところもありますが、大がいは五割払う、これがやはり一番の隘路になっておるということです。そうすると、あなた方は、この五割のものを七割に引き上げたいということは再三ここで言明しておるのです。この委員会で、岡田さんの前の保険局長の時代に山本さんが次長だった。あの山本さんがここで言明したことがある。厚生省としては七割給付をぜひ実現したい。そのためには、富裕な市町村から七割給付を実現していくのだ。そのためには、五カ年計画でおやりになったら幾らの金がかかりますか。そうしたら、そのためには八百億の金がかかるというような答弁をしたことがある。そこで、さいぜんの三原則を貫いていくために、七割給付というものをあなた方はいかなる青写真で実行しようとするのか。新聞や何かにときどき厚生省は勝手なことを発表される。厚生行政長期計画を十カ年でやるんだ、こういう発表をされるから、ほんとうにそういう基礎的な数字まで作ってやっているのかと思ったら、幽霊であって、頭だけで途中がない。アドバルーンだって、ずっと下までひもがついてちゃんとしているけれども厚生省のやつは、そのアドバルーンの上の球だけはわかるけれども、全然ひもは見えないのです。これでは困る。だからやはりアドバルーンを上げたらひもがついておらぬと困る。人工衛星は遠隔操作でちゃんと帰ってきますから、これも帰ってくるような方法にしておいてもらわぬと困るのです。何かこのごろ、国氏健康保険も五カ年間で七割ないし八割にやるのだというようなアドバルーンをお上げになっておる。そこで新聞にああいうことを書く。その前にやはりここできちっと言ってもらいたいと思うのです。そこで、国氏健康保険が七割給付を五カ年で実現するという場合の財政的な負担というものは、どこから財政措置をするかは別として、一体どういう形でできるのだ、どの程度の財政の負担が必要なのだということを、今の国庫負担と今の保険料の形態を基礎にして、一つ説明を願ってみたいと思うのです。
  18. 首尾木一

    首尾木説明員 今後の医療費の伸びをどの程度に見るか、そういう点に非常に問題がございます。なお、七割給付にした場合に受診率がどの程度伸びるかという点についても、非常に問題がございますので、この点について正確な金額を出すのはなかなか困難でございますが、一応三十七年度予算を基礎にいたしまして、医療費の自然の伸びがかりに毎年一〇%ずつある、それから七割給付にした場合に、受診率が五割給付の場合よりも全体として約三〇%上がるというふうな見当で試算をいたしてみますと、三十七年度予算で療養給付費が千六百三十億円であったものが、四十二年度には二千九百二十二億円になるわけでございます。これは被保険者の減がございまして、被保険者を三十七年度四千五百三十四万三千人、四十二年度では三千八百七十七万八千人というふうに見込んだわけであります。その場合に、現在の国庫負担率によりますと、国庫負担は現在四百八十億円が四十二年度には八百五十億円、保険料は三百三十億円が千百六十四億円、患者負担額は七百八十億円から八百四十九億円というふうに増加することになります。  以上が総体の数字でございます。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
  19. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この場合における一人の保険料は一体幾らになるかということです。
  20. 首尾木一

    首尾木説明員 三十七年度予算で、医療費に見合うものとしての保険料は七百二十七円でございます。四十二年度においては三千二円という計算になります。
  21. 滝井義高

    滝井委員 今大臣お聞きの通りでございます。医療費の自然増を一割と見て、受診率を三割の伸びとする、そうしますと、国庫負担は二割五分で、五分の調整交付金で三割です。これで見ていきますと、結局七割給付を今の姿で実現すると、昭和三十七年の七百二十七円の一人当たり保険料が、四十二年には三千二円となっていくわけですね。保険料が約四倍ちょっとになるわけです。従って、問題は、四千五百三十四万人の現在の被保険者が三千八百七十七万人に減少した場合に、三千二円の今の四倍ちょっとの保険料負担するだけの経済力が日本の農村にあるかないかということなんです。このめどもがつけば、あとは政府政策として決定してもらえばいいことになるわけです。ここらあたりはしばらくおいておきます。だんだんやっていきますから……。だから今、制限給付の問題を一つおいたのです。それから今度は、保険料負担が四倍になるということを横に一つおいておきます。  次に入ります。そうすると、この問題は現在の保険税の状態です。これをわれわれは、少し立ち入って見ていく必要があると思うのです。現在の保険税の実態は一体どういう実態になっておるのか、現実保険料あるいは国民健康保険税の実態はどういう姿なのか。このどういう姿だということを言う場合に、一番今比較されるのは市民税なんです。市民税とこの保険税との比較です。これは、実態を大都市とか、中小都市とかいうような工合に、できれば典型的なものを出してお示しを願いたいと思うのです。
  22. 首尾木一

    首尾木説明員 これは全国の数字ではございませんが、自治省で、市町村民税と国氏健康保険税との比較を五十四町村について行なった例によりますと、国民健康保険税は、住民税の約一・五二倍というような数字になっております。  なお個々の市につきましては、それぞれいろいろな数字になっておるわけでございますが、手元にございます数字で申し上げますと、東京都の場合には、国民健庫保険税が被保険者の都民税の一・九倍、横浜の場合は二・三七倍、京都、大阪、神戸が、大体二・二倍から二・四倍というような数字になっております。こまかいものにつきましては、ただいま手元に数字がございませんが、大都市がそういうふうな状況で、一般的には一・五二倍、一・五倍というような見当になっております。
  23. 永山忠則

    永山委員 ちょっと関連して。今の点でございますが、平等割しか納めていない市民税との比率はどうなんですか。
  24. 松島五郎

    ○松島説明員 市町村民税を所得段階別にとりまして、それに対応する国民健康保険税がどのような状態にあるかということを、昨年の夏に調査したものがございます。これは今申し上げましたように、市町村民税を所得段階別にとり、その所得段階に即する国民健康保険税の納税義務者の国民健康保険税の額をとるという関係から、一人一人について調査をいたさなければならなかった関係上、大体人口三万以下の市町村について、五十四ばかり拾って調査したものであります。従いまして、これによって全部がそうであるというふうに即断することはちょと困難でありますが、一つの傾向を示すものとしてお聞き取りいただきたいと思います。  今、御指摘のございました所得割を納付しないもの、御承知の通り、市町村民税には均等割と所得割とがございますが、そのうち所得割を納付しないものに対します市町村民税と国民健康保険税の比率は四・三八倍、国民健康保険税が四・三八倍になっておる、そういう状況でございます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 何コンマの何倍というよりか、少し金額で言ってもらわないとわかりかねるのです。われわれ、みんなしろうとですから、実態がわからぬわけです。ですから、まず先に厚生省が、東京都は国民健康保険税の方が一・九ですか、それから横浜が二・三七倍とかおっしゃったけれども、東京都における住民税が幾らで、それの場合に国保の料または税は幾ら、こういうようにちょっと数字で言って下さい。そうすれば一コンマ何倍というのは、われわれが見たらすぐわかるから。それからさいぜんの自治省の方の均等割についても、全国の平均国保税と均等割の関係ですか、そういうものを数字で何円ということを言って下さい。
  26. 首尾木一

    首尾木説明員 東京都の二十三区の場合、被保険者の納めます市町村民税、住民税が六百三十二円、被保険者一人当たり保険料が千二百円。横浜市の場合は、被保険者負担する平均の住民税が五百四十六円、それから被保険者の一人当たり保険料が千二百九十三円ということになっております。
  27. 松島五郎

    ○松島説明員 国民健康保険税を納めております世帯の市町村民税が、均等割のみの分が四百二円でございます。それに対して国民健康保険税が千七百五十九円となっております。その比率は、先ほど申し上げました四・三八倍、こういうことになります。  なお、先ほど五十四市町村の全体を通じて一・五二倍というふうに厚生省の方からお答えございましたが、国民健康保険税を納めているこの五十四市町村の納税義務者の市町村民税が二千四百十三円でございまして、これに対しまして国民健康保険税が一世帯当たり三千六百五十九円であります。この比率が一・五二倍でございます。
  28. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この市民税と国保の税金との納入成績ですが、市民税の納入率は幾らで、国保税の納入率は幾らですか。
  29. 首尾木一

    首尾木説明員 国民健康保険保険料の収納率は九二%になっております。
  30. 松島五郎

    ○松島説明員 市町村民税全体といたしましては、昭和三十五年度の徴収率は九・一六%でございます。
  31. 滝井義高

    滝井委員 大体国保税と市民税の徴収率というのは九一から九二%で、これは似通っているということです。それで九二%の国保のものがそのまま正しいかどうかということは、いろいろの納入の成績によって、やはり問題が交付税その他の関係でも出てくるので、なおこれは内容を検討する必要があろうかと思うのですが、大体これは、納入成績は同じだということがわかりました。しかし、保険税の方が相当高い。とにかく二倍前後の高さであるということがわかったわけです。これはわかっていただいておけばそれでけっこうです。  そうしますと、一応こういうデータがそろいましたから、まだ制限撤廃の中で、医療給付範囲を、たとえば転帰までにしてもらわなければならぬとか、それから分娩費その他出産手当の額を上げなければならぬというのがあるのですよ。ちょっと参考のため聞いておきますが、転帰までということになると、この額は、この前永山さんもちょっと指摘をしておりましたが、相当の額になることになるけれども、これはなかなかちょっと見通しがつきにくいと思うのです、これは幾らするかということは、その病気の種類によって永遠に続くものもあるでしょうから。しかし、当面この転帰を三年からずっと延ばすということになると、相当の額が要ることは明らかです。相当の財政負担が要るということが一つ出てくるわけです。それから問題は、転帰も大事ですけれども現実に与えられなければならぬ分娩費、出産手当、それから保育手当、埋葬料、こういうものが非常に低いということです。たとえば分娩費のごときは、五百円未満というのが百三十一町村あるのですね。一体お産の費用が、今五百円くらいでやれるかということです。これは半額にもならぬですよ。それから出産手当なんというのは、国保にはないのですよ。日雇いにはあっても国保にはない。それから育児の手当金というのは、これは日雇いにないけれども国保にある、これはちょっといい。埋葬料も低いのです。従ってこういう点は、生まれても、病気になっても、死んでも、他の保険に比べて国保というものは差別待遇を受けているということです。こういう点はあるわけです。だからこういうものの前進というものも、当然はかられなければならぬ。しかし一番大事な医療のことが前進しないのにこういうものを前進せしめるということは、これはどうも両手に花であって、欲ばりだと言われるおそれもあるから、しばらくあまり言いたくはないけれども、しかし一応こういうものもある、これもやなければいかぬのだということだけは言っておきたいと思う。  そこで、そういうものもひっくるめて、今度は一体、こういう多くの欠陥を持っている国民健康保険をよくしようとする方向というものは、どういう方向でよくするのかというと、結局国保の財政に、できるだけあらゆる金を入れてこなければこれがよくならぬわけです。そこで一体、どういう方向から金を入れてくるかということですね。金を入れてくる方向一つ考えてもらわなければならぬわけです。これから一つあなた方に泣いてもらわなければならぬことになるわけですが、まず理想案、七割給付という理想を掲げたわけです。そうすると、現実においては、保険料というものは、市民税に比べて二倍程度の非常に無理な保険料負担がいっているということがある。その中で一体、国保の財政をどういう工合に充実していこうかという、この問題です。  そこでまず第一に、国保の財政を充実するのには、国保の財政の中で赤字の要素になっているものから、まず先に考えていったらいいだろう。そうすると、赤字の要素は何か、まず第一に事務費です。事務費で一体、一年にどの程度の赤字が出ておりますか。全国の三千五百有余の保険者団体で、専務費から出てくる赤字の総額というものを、ずっと三十年ころからわかればなおいいですが、わからなければ三十五年、三十六年でいいです。三十五年、三十六年ごろにおける事務費の赤字……。
  32. 首尾木一

    首尾木説明員 事務費の赤字とおっしゃる意味がはっきりいたしませんが、一応実際に保険者で使った役場費と、十割国庫負担が含まれると思いますが、その国庫負担金との差額というものがどれくらいあるか、こういう質問だと思います。そういたしますと、三十五年度におきまして約二十八億弱、三十四年度に十八億弱、三十三年度に約九億というふうな金額になっております。
  33. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、大臣、今お聞きの通り、とにかく事務費の赤字というものは非常な勢いで増加をしているということです。九億が十八億、十八億が二十八億、そらく三十六年になったらもっとふえるのじゃないか、その推定は幾らくらいになっておりますか。
  34. 首尾木一

    首尾木説明員 三十六年度の推定額は、今数字を持っておりませんが、若干増加しておるだろうと思います。こういうふうな計算にいたしますと、増加するものと思っております。
  35. 滝井義高

    滝井委員 これからだんだん大臣にお尋ねするわけですが、まず第一に、われわれが国保財政をよくしようとするならば、この累増する事務費の赤字、すなわち、事務費がうまくいけば一般会計から繰り入れる分が少なくて済むわけです。この事務費の赤字というものを一体厚生省はどう見ておるのか、自治省は、地方財政の大きな赤字の原因になるこの事務費の赤字の処理を一体どうしようとしておるのか。これは一つ厚生省の考え方と自治省の考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 高田浩運

    高田政府委員 お話のように、国民保険に伴いまして大都市が実施したことが、実績としての事務費の増、結果から言えば補助の金額との開きを来たした一つの大きな原因であろうと思います。従って、現実の問題として、事務費の補助の適正な金額をどういうふうに見るかということは、これは前の状況とは多少違っている点があると思います。従って、私どもとしては、この現実に照らして十分実情を検討した上で、今後の問題を考えていかなければならないと思っております。さしあたっての問題としては、一般会計からの繰り入れ等によってまかなっていくよりほかないと思いますけれども、今後の予算の問題としては、十分検討しなけならない要素を含んでおると思います。
  37. 松島五郎

    ○松島説明員 事務費の問題につきましては、私どもかねがね大蔵省の方にもお願いをいたしておるのでございます。現在十割負担の建前になっておりますので、その線が貫かれるように、今後とも厚生省とも御協力いたしまして、努力いたして参りたいと考えております。
  38. 永山忠則

    永山委員 関連質問。事務費は三十二年度の実績を基礎として作られておるのですが、三十二年度の実績がもとになって、その後実績を調査してないのです。そうしてその後においてベース・アップの率だけを伸ばしておりますが、旅費や需用費は全部据え置かれておるわけです。それから三十二年度は市の方があまりやっておりませんので、その後都市の方面がほとんど実施をいたしたので、この事務費の不足というものは著しい上昇をしておるということにかんがみて、すみやかに実態を調査して、適正な処置をされるということでなければならぬ、こう思うのです。
  39. 滝井義高

    滝井委員 今永山さんが指摘したように、これは三十二年を基礎にしてやっておるわけでしょう。そうしますと、一体政府としては、今言ったように一般会計から繰り入れてまかなうとか、十割負担だけれども検討しましょうというようなことでは、これは話にならぬわけです、法律では十割になっておるのですから。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕  大蔵省から見えておりますが、この国民健康保険の事務費です。三十三年で九億、三十四年で十八億、三十五年で二十八億、三十六年はおそらくさらに十億以上をこえると思うのです。そうすると、三十七年度はさらに増加していく、こういう形になってくるわけです。法律は全額国庫負担にするということになっておるのだが、その法律が規定をしておる全額負担と、実質的に査定をして、それを被保険者一人当たり、ことし百二十円ですかにして、その差額というものが、実際に二百円要って、そして査定は百二十円だということになれば、八十円ずつは実質的に要っておるわけですから――これはいつか質問したことがあるのですが、税の徴収員がこれを兼ねておる。だからその分の八十円というものは税の徴収の方で、保険料の徴収の方は百二十円でございましたというような答弁を、いつか大蔵省がしたことがある。しかし、現実にこういう実態が出て、国民健康保険の特別会計に大きな赤字を作る原因になっておるとするならば、私は、これを何らかの方法で解消してもらわなければ話にならぬと思うのですが、一体大蔵省はこれをどう見てきておるのかということですね。
  40. 岩尾一

    ○岩尾説明員 国民健康保険の事務費の単価の問題でございますが、政府社会保険につきまして事務費を負担しておるわけです。しかしながら、その事務費の負担と申しますのは、それぞれ保険者が実際に支出した額を全部負担するというわけではございませんで、それぞれの保険の事務を遂行するに要する費用を、ある額を基準といたしまして見るということでございます。たとえば非常に高額の人をかかえて――大半が人件費でございますけれども、高額の人をかかえて仕事をすればうんと費用がかかる、あるいは四人でやるところを十人でやれば、それだけ費用がかかるというふうなことになるわけでございますから、実際上、国民健康保険をやる場合に、基準となる額は幾らであるかということを算定いたしまして、それを交付していくという建前できておるわけでございます。  そこで、三十二年に実際上の現況を見ました場合に、多少記憶に誤りがあるかもわかりませんが、大体百十一、二円ではなかったかと思います。その中から、実際上国保の事務執行に要する費用として見るべきでないような経費を差し引きますと、大体九十円程度に相なったわけでございます。そこで三十三年からは八十五円を九十円に引き上げ、しかも、大体五円程度、さらに公務員のベース・アップ等に応じて、その部分を地方財政に見ております増加分に見合って増加をいたしまして、現在百二十円に相なっておる、こういう状況でございます。一例を申し上げますと、この百二十円という額は、国保の被保険者一人ずつについて交付される額でありますから、国保の被保険者世帯当たり大体四・二人というような計算だと思いますが、そういう見当で見ますると四百八十円、五百円内外というふうに世帯としてはなるわけであります。一方、社会保険のいわゆる健保組合等に対しまして、現在政府が交付しております額は百四十円でございます。これは大体世帯が、扶養家族が一・一八人でございます。二人といたしましても二百八十円という額になりますので、もちろん私どもといたしましては、この額が多過ぎる、あるいは非常に十分であるというふうには考えておりませんけれども、三十七年度予算といたしましては、この程度で適当ではないかというふうに考えております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 健康保険の方では源泉徴収ができる。こちらはそうでないわけです。非常に根本的な違いがあるわけです。そこでこういう根本的な違いがあるものを、被保険者の徴収方式でやるというわけにいかぬと思うのですが、この場合、三十五年度で二十八億円の赤字が出ておるということは現実です。そうすると、脆弱な財政を持っておる地方自治体に対して、二十八億の赤字が出たというので、そのままというわけにいかぬと思う。そこで私は、やはり政府はこの問題の解決を、責任を持ってやらなければならぬと思うのですが、三十二年の実態調査を基礎にして、その後のベース・アップその他で補正をしただけでは、旅費も上がっておるし、いろいろの需用費等も上がっておるわけですから、こういうものをやはり再検討するために、単に大蔵省と厚生省だけではだめだと思うのです。やはり市長会とか町村長会とかの人も加え、そしてお互いに納得のいくような事務費交付の基準を、きちっとしたものを速急に作っていただかなければいかぬと思うのです。そしてやはり各市町村が納得がいって、一般会計から繰り入れるだけの理論的な根拠を、繰り入れさせるにしても自治体に与えなければ、今のままではウナギ登りにこれが上がっておるのです。そしてここに赤字を作る大半の原因があるということは明らかですね。今までは三十四億だったですが、昨年からは四十億なにがしと、一般会計からの繰り入れが増加してきておるのです、大都市が始まったからでしょうが。そういう繰り入れの理論的根拠というものを作ってやることが必要なんです。ただ漫然と一般会計から繰り入れるということではだめなんです。厚生大臣、何かこの事務費を速急に、合理的に算定するものを、大蔵、厚生、それから関係団体、知事会等も入れて委員会を発足せしめて、そして少なくとも三十七年度の補正予算をやるときまでには――補正予算をやるかどうかわかりませんが、どうせやらなければならぬでしょう。そのときまでには、やはり地方自治体の納得する姿を作る必要があると思うのです。三十二年のままの実態で、ベース・アップその他で引き伸ばしてやっていくという考え方というものは、今後の国保の前進のためにとるべきでないと思うのですが、その点どうですか。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 事務費の問題につきましては、いろいろな見方があると思いますけれども、何にいたしましても、実情に沿わない点があるやに私ども考えるわけでございます。前の実態調査のときからだいぶ年月もたっておるわけでございますので、お話にもございましたような御趣旨を尊重いたしまして、関係省ないし関係団体ともよく打ち合わせをいたしまして、なるべく早く実態調査をいたすように進めて参りたいと思います。
  43. 滝井義高

    滝井委員 ぜひ一つ実態調査をやって、事務費の合理的な配分を速急にやることを、今の大臣の言明を信頼して要望しておきます。  次は、一般会計から国保特別会計への繰り入れの問題です。きょうはほんとうは奥野さんに来てもらうと一番いいと思うのですけれども、今までの自治省の行き方は、三十五年までは、一般会計から国民健康保険の特別会計に繰り入れることはいかぬという方針指導されてきたわけですね。自治省のいろいろの文書を見ても、一般会計から特別会計に入れるということについては好ましくないという方針指導してきた。ところが「三十六年度地方財政の運営について」というのを見ると、少しニュアンスが違ってきている。これは自治省としては政策の転換をおやりになったのかどうか。
  44. 松島五郎

    ○松島説明員 基本的な考え方は変わっておりません。従来から、国民健康保険は、現在の法制上の建前からいえば、国と保険税というものによってまかなわるべきものであるという考え方をとっております。
  45. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、自治省としては、現在も、一般会計から特別会計に繰り入れることはいかぬという基本方針は変わっていないのですか。
  46. 松島五郎

    ○松島説明員 同様でございます。
  47. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、この場合の理論づけが大卒になってくる。実は今度年金福祉事業団の総裁になっていらっしゃる高田正巳さんが保険局長の時代に、やはりここで私と論争したことがある。その場合に、高田氏がこういう答弁をしておる。自治省当局というものは、一般会計から特別会計に入れることは、これは特に事務費が赤字の大きな原因になるということも関連して、入れることはいかぬということでございましたが、その場合の理論的根拠として入れていいものがある、それは住民全体の福祉に関連をする部分、すなわち直営診療所を作るとか、あるいは保健婦の費用というようなものは、これは一般会計から入れてもいいだろうという理論を展開したことがある。なるほどそれも一つ理論だなと、私も実は感心をして聞いておったのですが、それについてもやはり自治省は異議ありということですか。
  48. 松島五郎

    ○松島説明員 国民健康保険事業による給付に関連いたします部分については、従来から保険税と国庫負担金をもってまかなうべきであるという考え方をとっておりますが、ただいま御指摘のありましたような直営診療所というようなものになりますと、当該団体におきまして医療機関の整備というようなことともよく関連してくる問題であります。また、保険との関連におきましても同様な問題があろうかと思いますが、その点につきましては、事情によって一般会計からそういう経費を持つということについては、適当な措置であるというような考え方も持っておるわけであります。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今のような住民全般の福祉に関係ある直営診療所、保健婦の問題はよろしい、しかし、事務費その他医療給付費等の赤字の出た分については、一般会計から入れるのはまかりならぬという方針でいくのだということですね。
  50. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまのところ、そういう考え方を持っております。ただ給付関係の仕事が、住民一般に関係がないとか、福祉に関係がないという考え方では必ずしもございません。これも住民の福祉に十分関係がある問題であろうと思いますけれども、ただ制度の建前からいって、そちらの方は、本来そういう制度があるわけでございますから、その制度を確実に実施してもらう、こういう方向を考えておるわけであります。
  51. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、現実に例年は三十四、五億だったのですが、昨年度四十九億くらいになっておった。実はきょう私は奥野さんに来ていただきたかった。というのは、奥野さんが論文を書いて、こういうことを言っている。最近における国民健康保険の伸展の状況にかんがみて、国保の特別会計に一般会計から繰り入れた分については、現在基準財政需要額の算定の基礎になっていない、従ってこれを基準財政需要額の算定の基礎にして交付税で見るべきであるという論を展開しておる。奥野さんは現実に今財政局長なんですが、今のあなたの答弁と奥野氏のあれと少し違う。これは私ばかりでなくて、参議院の専門調査員の法貨さんあたりもそういう見方をしていらっしゃる。だから私、この論文を読んで、自治省少し転換したなという気持を持っておったが、今のあなたの御答弁では転換をしていない。ということになると、今後四十九億のお金がだんだんふえる情勢にあるのですが、こういうものが、依然として事務費とともに、一般会計からの繰り入れ分というものが、地方自治体の赤字の大きな原因になってきておる。地方自治体の赤字の大きな原因は、国民健康保険の特別会計の赤字がそのまま一般会計にはね返って、赤字になってきたという状態が相当濃厚なんです。かつて自治省が出した資料で、今、年度を忘れましたけれども、二、三年前に出した資料を見ても、自治体の赤字の四割、当時百十億くらいあったと思う。国保の特別会計から一般会計に繰り入れたものが、赤字の原因の四割を形成しているという資料を自治省は出したことがある。そうなりますと、これはやはり基準財政需要額で見るという建前を、この際、自治省の今までの考えをやめてやる必要があるのじゃないかと思う。今のあなたの答弁では、なかなかこれはそうはいかぬということになると、ちょっとここいらで自治省の大臣にも来てもらって、この問題を詰めなければいかぬ点だと思うのです。
  52. 松島五郎

    ○松島説明員 この前うちの局長の申し上げました通り、現在の法制と申しますか、制度のもとにおける問題と、今後のいかにあるべきかという問題とがあるわけだろうと考えるわけでございます。現在の地方交付税法におきましては、国民健康保険に要する経費は、交付税の算定上の財政需要額に算入しないという規定がございます。従いまして、現行法のもとにおいては、そういうことはできないわけでございます。もちろん考え方を変えまして、法律を改正するということが絶対あってはならぬものかどうかという点につきましては、ただいま御指摘がございました通り、いろいろ考えるべき問題もあろうかと思います。財政局長が何か論文に、需要額に算入することを考えるというようなことを書いたというお話でございますが、従来自治省としてはそういう考え方をとっておらなかったが、そういう考え方をとることについては、なお検討すべき問題があるのではないかという意味で書かれたものと私は読んでおります。これは財政局長というのでなく、奥野個人の意見でございますので、自治省として決定したものではございません。ただ問題は、これを基準財政需要額に算入することの是非の問題ということになりますと、いろいろな問題を私どもも私どもなりに検討はいたしております。しかしながら、今ここで基準財政需要額に算入する措置をかりに講じたといたしますならば、その額は基準財政需要額の増額となり、その分は結局、現行制度のもとにおける地方交付税ではまかない切れないという問題になりますならば、当然地方交付税率の引き上げというような問題に関連をしてくる問題でございます。地方交付税率の引き上げという形になって参りますならば、いずれにしても、国と地方団体との財源の分配はいかにあるべきかという問題に関連をしてくるわけでございまして、そうなりますと、そういう形において国民健康保険事業に対して国が地方団体に対する金を出すべきか、あるいは現在のような国庫負担制度をもっと引き上げることによって問題を解消すべきかという問題も、考えていかなければならぬ点が出てくるであろうと考えられるのでございます。私どもは、現在までは、一応国民健康保険という仕事は、社会保険としてやはり国が責任を持ってやっていただく、これは地域の保険でございますので、具体的な事務の取り扱いというのは、一々国がおやりになることができないという点も多かろう、また不便な点もあろうと考えますので、市町村がその仕事に当たるといたしましても、やはり最終的な責任は国が持っていただくというような形において運営されるのが適当ではないか、こういうような観点から、一般会計からの繰り入れというものを考えてこなかったわけでございます。一般会計から繰り入れということを、制度それ自体を十分明確にした上でいかなる部分を市町村の負担とし、いかなる部分を国が食掛するかという問題を確立せずに、ただ一般会計から基準財政需要額に繰り入れればいいのだという形で参りますと、常に基準財政需要額をふやせば国の負担はしなくてもいいのだというような議論の中に入ってしまうと、制度それ自体が非常にこんがらがったものになってきて、さらに前進というような問題も期せられないのではないかというような点も考えられるわけでございまして、そういった問題を考えますと、今にわかに考え方を変えていっていいかどうかという点は、なお十分検討を要する点があるのではないか。また、いろいろなことを申し上げて恐縮でございますけれども、先ほども申し上げましたように、国民健康保険税の負担が町村民税に比べてかなり重いというような事柄は、結局他の保険にもっと所得を持っておられる方が入っておる。従って、国民健康保険に残っておる方方の所得分布というものは、非常に低い水準にあるというような問題もあるわけでございまして、そういった問題も考えますと、全部それを市町村の負担においてやるのが適当か、国の負担において問題を解決していくのが適当かというような点について、なお十分検討する必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 滝井義高

    滝井委員 従って、いかなる部分を市町村の一般会計から負担すべきかということは検討をしなければならぬのじゃとおっしゃるけれども、その検討を促すために今質問をしておるわけです。だから私は、今言ったように、すでにあなたが泣いてもらったわけだ、僕は泣かせてみしょうホトトギスで、きょうは政府の方のウイーク・ポイントを今ついていっておるわけですから、すでにあなた自身が言われるように、四十九億三十六年度において一般会計からつぎ込んでおるというような現実があるわけです。その現実というものは、それだけ一般財源が国保の特別会計にいったから、自治体はそれだけ苦しくなって、それだけ一般財源は減っておることを意味するのだ、この減っておる現実というものを何かでカバーしてやらなければ、これは本来いくべきところでない、自治省がいってはいかぬというところに四十九億の金が現実に流れておるのですから、この現実を無視することはできないと思う。その流れておるものを流れさせないようにするというのが自治省の使命なのです、また厚生省の使命なのです。ところが、現実にこれは水の高きから低きに流れるごとく流れていっておる。そうすると、それを調整するのには、一体今の制度のもとでは何かありますかというと、基準財政需要額として見る以外にないじゃないか。それはあなたの方の局長が言っておる。ようやくわかりました。それは「自治研究」の三十六年十月十日号、奥野誠亮、「忘れられ勝ちな国民負担合理化の対象」という中で、「それは、市町村の基準財政需要額に、国民健康保険事業会計への繰入れ金相当額を追加するということである。この措置については多くの是非の論議がわき出てくることであろう。何れにしても、税制改革の論語において、減税の主張はされても、国民健康保険税がその対象から捨ててかえりみられていない現状には大きな不満がある。」ということを言っておる。これは明らかに他のものは全部減税されつつある。しかし国民健康保険だけは増税の傾向にある。あとでもう少し私は具体的に証明していきますが、この増税の傾向にある国民健康保険――他のものは減税です。池田内閣というものは、公共投資、減税、社会保障、文教政策となっておる。減税というものが、内閣の所得倍増における四枚看板の一つです。その四枚看板の一つであるこの減税の政策が、国民健康保険税については増税の方向に向くというのは、これは池田政策の矛盾なのです。だからその矛盾というもの、大きな内閣の柱の政策にこれだけが逆行するというのはおかしいじゃないか。これは奥野さんみずからが、その局にあって今まで言わなかったことを言ってくれておると思う。従って私は、奥野個人の意見であると言われれば、それはそうだと思う。しかし、現実に問題があることは確実だ。四十九億繰り込んでおる。この繰り込んだものを、今までのように自治省が繰り込むのはまかりならぬというならば、四十九億を別な形で補てんする以外にない。そうすると、大臣としては、あるいは大蔵省としては、自治省というものは繰り込むことは反対、従って財政措置はしない、しなければ、繰り込みは消極的になって、国保の赤字というものは、ますます繰り込まなければ助長することになる、一体この矛盾をどう解決するか。今事務費の問題について一つの問題点を出した。これは調査をしてもらうということで解決した。そうすると、今度のこの一般会計からの繰り入れ、自治省は反対なんだ、ただ一つの解決の方法として基準財政需要額として見ていくということは、これはもう私はここ七、八年主張し続けているが、なかなか実現しない。しかし今度は、やがて八年になりますからね、実現しなければならぬところにきているのだが、実現しないとするならば、何か別の方法があるかどうか。四十九億、今後なお増加をするであろうこの財源について、大蔵省なりあるいは厚生省としては一体どうこれを――自治省が反対だと言っておるのだから実際は入れることはならぬけれども、やみで入れているようなものです。河野さんじゃないけれども、やみ米を公然としなければならぬということを打ち出したように、灘尾さんは、このやみの四十九億というものを、地方財政計画の中に入るものにしてもらわなければならぬわけです。それができなければ、それにかわる制度をここで打ち出してもらわなければならぬ。それは何か。どういうことをお考えになっているのか。これは古くて新しい問題です。
  54. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国保の問題については、先ほど来いろいろお話がありましたが、当面といたしましてわれわれが一番頭をしぼらなければならぬと思うのは、財政の問題だと思います。財政の問題につきまして、今御指摘になりましたようにいろいろな難点があるわけでございますが、ことに市町村の一般会計からの繰り入れ等も、現実の問題として相当に行なわれているわけでございます。本来の国保の制度の上から申しますと、私も、今自治省の課長が言われましたように、建前上は問題があるというふうに考えるわけでございます。従って、現状においては一般会計からの繰り入れをせざるを得ない、しかも、これに対する適切な措置が講ぜられておらないというところに立たされておるわけであります。財政の問題について、国保の財政の基盤を強化する、そして着実に給付内容等を改善して参るためには、どうしてもこの問題にメスを入れなければならない段階にきておると私は思うのであります。その方法といたしましまして一体どうするかということになるわけであります。保険料の増徴ということも一応考え得べき道ではありますけれども現実問題として、一体どの程度保険料の増徴ができるかということになると、実情はなかなかむずかしい問題がございます。また国庫負担の増額、これも考え得る一つの大きな方法でございます。国庫負担を増額することによって、この問題を解決するという考え方もあり得ると思うのであります。同時にまた、現実に地方団体から繰り入れをいたしておるわけであります。この現実に着目いたしまして、それに対して法制的な基礎を与えていく。今さっきお話しになりましたが、何かやみみたいな形で入っておるという御批評もございましたけれども、これをはっきりした姿に置いて、地方の団体に負担をしてもらうということも一つの考え方だろうと思うのであります。私、今別にこうするという結論は持っておりませんが、とにかく国保財政の基盤を強化するためには、今日の状態のままに放置しておくことは許されない実情にあると存じますので、いろいろな観点からこの問題につきましては検討を加えまして、なるべくすみやかに国保の財政基盤をさらに一段と強化するようにいたしたい、こういう心持で検討を重ねておるところでございます。その手段方法の一つとして、今お話しになりましたような問題も、確かに検討を要する問題だと私ども考えておる次第であります。
  55. 滝井義高

    滝井委員 検討を要するといったって、これはやはり緊急を要する問題だと思うのです。これは実際に地方財政計画に載っていない。四十九億が上がっていないというのは、載っていないのですからね。載っておれば基準財政需要額になるのです。だから自治省はこういうものは反対だというけれども、自治体は背に腹はかえられず、住民のためにやらざるを得ないという現実がある。自治省がいかぬというものを自治体がやっておる。やっておるのはどれのためかといえば、厚生省の制度のためにやっておる。そうすると、厚生省としては、これを何らかの形で合法的な、いわゆる基準財政需要額に載るような方向にするか、それが自治省の方でいかぬというならば、自治省に賛成をして別な形でこれをやるか、これ以外に方法はないと思うのです。そうすると、別な形でやるとすればどういう形でやるか、それは保険料の増徴か、国庫負担しかないということになるのですね。大蔵省はこの実態を一体どう見ているかということです。予算編成の過程で、大蔵省は基準財政需要額では認めない。といって自治体が出しておるのだから、やみのものは知らぬ顔をしてほおかぶりをしていくということは、今までの岩尾さんの筋を通すという議論から言うとおかしなことになる。あなたの方からは、実際にやっちゃいかぬということを言わなければならぬ。とすれば、何らかの方法を講じなければならぬ。私は今年四十億要るとすれは――三千八百万人の国民の入る制度、零細な中小企業者の入る制度に、四十億から五十億の金を毎年やみでやらせることはいかぬと思う。堂々と明るみに出さなければいかぬと考える。一体大蔵省は明るみにどう出すかということなんです。これはことしの予算編成のときに出たはずですが、もしあなた方が議論しておらなかったらあなた方の手落ちです。一体大蔵省としてはどう明るみに出しますか。
  56. 岩尾一

    ○岩尾説明員 市町村におきます一般会計からの特別会計への繰り入れの問題、これはただいま御議論されますように、実際上の市町村の実態の問題と、それから理論上、制度上の問題と二つに分けてお考えいただきたいと思います。  実態の問題といたしましては、先ほど専務費の問題も出ましたように、事実上は、現在の政府交付の事務費単価によりまして十分事務費をまかなっている市町村もありますし、あるいは足りない市町村もある。同じように、現在の市町村の給付金につきましても、現状の保険料あるいは国庫負担によりまして十分ペイしている市町村もありますし、また赤字になっているところもある。これを総体で見ていきますと、全体として国保の財政は、合国的に見ますと黒字になっている、こういう結果になっている。  そこでそういう実態というのは、事実考えられる療養給付に対しまして取るべき保険料というものが、その地方地方によって一定の基準はきめておりますけれども、その基準に従って取る場合に、市町村の実情に応じまして、東京都が取る場合には東京の地方税等がその基準になりますし、あるいはいなかになりますと、いなかの市町村民税というものが基準になります。その場合の市村町民税というものは、東京都におきます都民税と区民税、あるいは町村におきます市町村民税というものは、実際の所得によって違ってくるわけであります。そういうものが現実の基礎になって保険料というものが取られるわけでありますから、市町村の実態によって、ひどい言葉で言えば、取るべき保険料もなかなか取れない、従って低い保険料でいかなければならない、そこで一般会計からも出さなければならないというような実情もあるわけであります。現在の実情は、そういった各市町村ごとの実態、実情に応じて国保財政というものが運営されているというところに、今まで申しましたようなひずみが出てくるわけでございます。しかし、理論上は、先ほどから議論のありましたように、当然国庫負担保険料の一部負担というもので国保の会計はまかなうべきである。従って、一般会計から金を入れるということは理論上はできないのだという自治省のお考えが正しいわけであります。  今申し上げました通り、今の問題を考えて参りますと、そういった点に問題があるかと思いますので、今後国保会計全体をどうするかといった点は、そういった点も頭に入れて制度全体の問題として考えていきたい、こういうことであります。
  57. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、今のところをもう少し問題をわかりやすくするために、少し発展をさせてみたいと思うのです。  今あなたの御指摘のように、保険料というものは一定の基準をきめているけれども、市町村の実情によって、財政力が豊かな市町村はよけいに繰り入れることができるだろうし、給付内容も住民の要望に応じてよくすることもできるわけです。それはいい。従って、そこの保険という制度に焦点を当ててみますと、国民健康保険というものに焦点を当ててみると、一体自治体で裕福なところほどよけいに一般会計から出しているのか、貧乏なところほどよけい出しているのか、貧乏な市町村ほど受診率が高いのかということです。これを一つ説明をしておいていただきたいと思うのです。財政力の貧弱な町村ほど受診率が高くて、一般会計からよけい出しているのか、豊かなところほど受診率が高くて、一般会計からよけい出しているのか、これが大事なところです。これを一つ模型的に示していただきたい。
  58. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私が今申し上げましたのは、市町村の財政力に応じて一般会計の負担が多いというような意味ではないわけであります。保険料自体についても、市町村の実態に応じて、いわゆる平均所得から見れば、東京都のように平均所得が非常に高いところが、かえって保険料負担としては低いところもある。あるいは市町村におきましては、いなかのようなところで、市町村民税の高いところでまた高い保険料を出しているところもある。一般会計からの繰り入れにつきましても、先ほど申しましたように、固定資産税等が非常にたくさん入ってくるような市町村におきましては、非常に一般会計からの繰り入れが楽ですから入れておるところもある。それぞれ一般会計からの繰り入れだけについてそういった市町村の財政力があるわけではないので、実態は非常に区々であるということを申し上げたわけです。数字厚生省の方から……。
  59. 首尾木一

    首尾木説明員 これはいろいろな型がございまして、典型的なものを抜き出すということはなかなか困難なわけでありますが、たとえて申しますと、大都市の場合、一般医療費が高いために保険料も高い。これは三十六年度でございますが、横浜市の場合に、一人当たり保険料が千二百九十三円になっておるわけであります。東京都の場合には千二百円になっております。それからほかの例を申し上げてみますと、たとえば鎌倉市の場合は医療費が高く、一人当たり二千九百九十七円になっております。この保険料は千六十四円になっております。一般会計繰入金が、一人当たり百六十九円というふうになっております。それから比較的貧困と思われるようなところについて見ますと、青森の六ケ所村の医療費が一人当たり九百九十七円でありまして、保険料は一人当たり三百六十一円という数字になっております。一般会計繰入金はゼロということであります。いなかではありますけれども医療費が比較的高い、平均より若干高いところをとってみますと、岩手県の沢内村でございますが、一人当たり療養給付費が二千七百九円、保険料は七百十六円、それから一般会計繰入金が一人当たり十円ということになっております。
  60. 滝井義高

    滝井委員 今の統計ではちょっと区区で、はっきりしたものがつかめぬようですが、これはあとでもう少し典型的なところを私言いたいのですが、問題をもとへ返して、国民健康保険一般会計からの繰り入れというものについて、どうも政府は自信がないということは非常に残念なんです。これは現実にその市町村が入れておるわけですから、入れさしておきながらそれについての跡始末を厚生省が何も考えていないというところに問題がある、これは何か考えなければいかぬ。しかも、地方財政計画に載らぬような金を四十五億も五十億も出さしておって、そのまま制度を進めておるというところに、この制度に対する熱意が不足で、そして欠陥があるということですよ。これは当然何か考えてもらわなければならぬ。  そこで、これと関連をしてきまずから申しますが、こういう形になって一般会計からよけいに入れておるところはどういうことになるかというと、調整交付金が今度はよけいにいくのです。この保険というのは、所得の格差を縮めるための保険にもかかわらず、所得の格差を拡大する保険になっておるということです。だから社会保障ではなくなってきておる。その一番典型的な例を、調整交付金というものに焦点を当てて少し問題にしてみるといい。これは一般会計からの繰り入れと無関係ではない、非常に重要な関係を持つのです。というのは、まず東京都と茨城県の石岡市というのが調査されておりますが、総医療費で東京が三千九百十五円、茨城県の石岡市は千九百七十一円、だから半分ですね。この場合に国庫負担はどういうことになるかというと、医療費でいくわけですから、東京都にはどっさり金がいくわけです。石岡市には、二割五分ですからいかないわけです。そうすると、今度は一般会計からの繰り込みを見ると、これが重要な役割を演じてくるのです。医療費をよけいにするということは、一般会計からの繰り入れがある程度よけいになれば、また医療費負担がそれだけ余裕が出てくるわけです。だから東京都のような大きな財政力が背後にある自治体の国民健康保険というものは、やみであろうと何であろうと、とにかく莫大な金を入れるわけです。そこの政治力です。そこの住民の要望と、そこの首長、すなわち東京都の社会保障に入る金が、首長の熱意でよけい入るか少なく入るかという形が出てくるわけです。この一般会計からの繰り入れというものは、東京と石岡は雲泥の差で、東京がよけい入ってくる。そうすると、その場合に一体調整交付金はどうなるかというと、この調整交付金はこうなる。東京は被保険者一人当たり百八十七円もらえるのです。ところが石岡はゼロです。何ももらえないのです。これは自治体の貧富の格差を縮めるといってできておったこの調整交付金が、今度は逆に、お金持ちと貧乏人との格差を広げる役割になってきておるのです。茨城県全体の十六市の一人当たり平均調整交付金の額は九円です。東京が百八十七円であるにもかかわらず、東京よりはるかに国民所得の低い茨城県が九円です。そうしますと、これは一体どういうことになるかというと、一般会計からの繰り入れが多くて、従って医療費の支出が多い、だから東京はますますお金持ちになる、茨城県の石岡市はますます貧乏になる。国民健康保険というものは、貧富の格差を調整するためにできておる制度なんですよ。ところが、これはそうならない。従って、これは調整交付金自体のやり方に問題がある。なるほど問題があるのですよ。調整交付金のむずかしいやり方をちょっと見たけどれも、相当の問題がある。そこでこの際私たちは、医療給付費を二割五分から上げる理論的な根拠ができないとするならば、この調整交付金によって、お金持ちと貧乏人の格差を是正する方向に持っていかなければならぬ。従って、東京都の百八十七円というものはゼロにして、石岡市は百八十円に持っていく制度を作らなければならぬのです。そうしないと格差の是正にならない。これは実態調査が明らかにそうなっておる。従って、さいぜん私が財政力の豊かなところということを指摘したのはそのためなんです。すなわち、一般会計から入れ得る程度の財政の余力のあるところは、それだけ医療給付費に制限がないのです。一番冒頭に申しました入院とか往診あるいは寝具等に対する制限が、一般会計から入れて、なくなってくるわけです。従って、そういう制限のないところは医療費の総額が多いですから、調整交付金もよけいいくし、二割五分の国庫負担金もよけいいくからますますよくなってくる。だから格差拡大の方向になってくる。こういうように、この国民健康保険制度というものは貧乏人をよくするための制度であるのが、お金持ちをよくする制度に逆転をしてきた。こういう制度のままでこの七割給付を実現しようとするならば、貧しいところはますますよけいな保険料を取らなければならぬということになる。従って、そこの住民は、国の補助はもらえずに、しかも吸い上げられる保険料は増加をするという制度であるというのが、今の国民健康保険実態なんです。  もう時間がないけれども、これは私もう少し綿密に質問して、あなた方を泣かせなければならぬところなんです。現在、国民健康保険の被保険者の実に七一%は農業人口です。これはあなた方の調査では、四二%が大体農業らしいという今個人的にお話がありましたが、七一%は農業人口です。そうしてこの七一%の農業人口の中で、わずかに六・四%だけが所得税の負担能力がある。これはことし、多分千四百万人くらいの所得税の納入者がおります。千四百万だったと記憶しておりますが、あるいはもっとふえているかもしれません。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 ところが、その中で、農業における所得税の担税者というものは非常に少ない。国民健康保険に加入している被保険者の七一%は農業人口ですが、その中で六・四%しか所得税を納めていないんですよ。そうすると、他の者は全部所得税を納めない零細農家、その中から市町村民税よりよけいなものを取る。そうすると、七割給付を実現しようとすれば、今の約四倍程度の三千円を取らなければならないということになる。これは一体できるかということなんです。これは不可能ですよ。そうしてあとの二九%は何かというと中小企業者です。二九%は中小商工業者で、しかもその中小企業者の中の六割程度、もうちょっと水増しすれば七割程度が、固定資産を持たない零細企業者です。そして自治省の調査では、国保保険者の八八%は年間二十万円以下の低所得者層であるということは、これは奥野さんも認めておる。そうすると、最近における農業人口の変化をごらんになると――これは僕の友人で並木君というのが農林省におりますが、この並木君あたりの調査によっても、昭和二十五年は、農業人口というのは全人口の四割ちょっとを占めておったのです。ところが、これが三十六年には二割九分ですよ。というと千三百万人程度になる。ぐっと下がってくるわけです。そして千三百万人の農業人口の中で、長男で農業を継ぐというのは、今まで大体四十万人ぐらいありました。四十万人ぐらい若者が農業に行っておった。ところが、三十六年は七万六千人しか農業人口は残らない。そうすると、農業人口の大半は女性なんです。ここから保険料を吸い上げて七割給付をやるのですから、現在日本は農業革命というものが起ころうとしておる。当然これが機械化の方向にいかざるを得ないでしょう。そうすると、そういう農業における変化の実態、それから今度七割給付をやる場合に、今よりも四倍の保険料をこれから取っていこうとするのですから、これはとてもできない。そうして今の制度のままならば、貧乏なところには金がいかない制度になっておるのです。それで、これを七割給付を実現すると厚生省はおっしゃるのだから、一体どういう手品でやるかということをここで明らかにしてもらわなければならぬわけです。そうでなければ、これから厚生省は、新聞なんかに七割なんということを言ってもらっちゃ困る。ここでそれを明言できずして、新聞なんかに言ってもらっては困る。あなた方は、このからくりの中で一体どうして七割給付を実現するのか。まず、保険料負担というものが、現実に市民税が高くてどうにもならぬというところにきておるんですよ。今首尾木さんが御説明したように、今のままの制度でいけば、保険料を、七百七十二円を三千二円にしなければならぬ。それが不可能ならば、それに肩がわりするものとして一般会計から入れるか、あるいは国庫負担を増加するよりほかに方法はない。だから、ここを政府は忌憚なく国民の前に明らかにしてもらわなければならぬ。今の国民健康保険というものは、逆立ちの国民健康保険です。富裕なところにはたくさんいくけれども、貧乏なところにはいかないという国民健康保険なんです。それは国庫負担においても、調整交付金においても同じです。この矛盾を、あなた方はどういう方法で打開してやろうとしておるのか。これは今の問題です。来年、再来年の問題ではない。今年からの調整交付金なり国庫負担金の配分の問題に関連をしてきておる。ここらあたりを、もう少しはっきりしておいてもらいたいと思うのです。それをはっきりしなければ、国保なんか二割を二割五分に上げて、附帯決議をつけたって意味がないですよ。だからここで、少なくとも与党も野党も、思い切って国庫負担を二割を三割に引き上げ、そうして五分の調整交付金を一割に引き上げ、合計四割にする、そうすると七割給付が実現できるから、何かそういう応急の措置を講じないと、附帯決議なんかでその場その場でのがれるということは、国民健康保険の現状では非常に問題があると思うのです。今私は明らかにその矛盾を指摘したのですから、政府一つそれらのものに明快なる解明をやっていただきたいと思うのです。
  61. 高田浩運

    高田政府委員 第一に、調整交付金の交付のやり方の問題でございますが、従来のと申しますか、現在のやり方は、お話のように療養給付費の額というのが相当なウエートを占めてきます。と申しますのは、それに被保険者の所得を考慮して算定します額が満たない、そういう市町村に対して交付する、そういうやり方をいたしております関係上、療養給付費の額が高いか低いかということが、非常な大きな要素を占めるということになっております関係上、概して申しますと、貧弱な町村、特にいなかの方あたりにおいて療養給付費が非常に低い。ひっくり返していえば、あまり文明にも恵まれない貧弱な町村というところにつきましては、療養給付費も低い、それから保険料も低いということで、それなりに均衡がとれておる場合には調整交付金が必ずしも思うようにいかない。一方、療養給付費が相当高いというところにつきましては、これは調整交付金がいくということで、大都市等につきましてもお話のような点があるわけであります。この点は、調整交付金の本質の問題でございますが、確かに、常識的にいえば、相当検討を要する問題だと私ども感じております。三十六年度につきましては、これは年度途中でございますし、大体従来の方針を踏襲せざるを得ない考え方で処理したいと考えておりますけれども、三十七年度の交付の仕方につきましては、これは十分この辺のところを検討した上で方針をきめて交付いたしたい、かように考えております。調整交付金の交付の仕方については再検討してみたいと考えております。  それから給付率の引き上げの問題でございますが、お話のように、保険料の引き上げあるいは国庫負担の増額、両面とも必ずしも易々たる問題ではないことは、これは私ども承知いたしております。目標としては七割給付を実現する、そういう目標に向かってどう段階的に進んでいくかということでございまして、そういう意味で三十七年度の予算編成の場合には、一応私どもは世帯主について、結核、精神以外の一般の疾病についても一つ七割給付をする、そういう方針で最初のスタートを切りたいというような考え方で臨んで次第でございます。三十八年度の予算編成の場合にどういうことで対処するかは、さらに従来の経験あるいはお話の点等も検討した上で方針を固めたいと思っておりますが、私どもも一気にこれが七割に易々としていくということは考えていないわけなんで、漸進的に今申しましたように進んでいきたい、かように考えておるわけでございます。その場合に、保険料の増額あるいは国庫負担の増額という問題が、これは当然起こってくるわけでございます。その辺は一般の国家財政あるいは国民負担能力ということとにらみ合わせていくということで、それが最終的に五年で完成をするか、あるいはそれよりも縮まるか延びるかということについては、なお十分検討の余地があると考えておるわけでございまして、五年間に必ず七割給付を実現するということを、政府方針としてまだきめているわけではございませんので、その辺は十分実情を考慮しながら進んで参りたいと考えております。
  62. 滝井義高

    滝井委員 今の答弁では答弁にならないのですね。現状からちっとも出ていない。具体的に保険料の引き上げというものは、非常に客観情勢は困難な情勢にある。それから国庫負担の増額についても、国会であれだけ強引なやり方をして、われわれが一カ月も審議ストップをして、そしてようやく五%の引き上げができた。一般会計からの繰り入れについても自治省は断固として反対だ、やみの四十九億を繰り入れしなければならぬという実態である。これはどれを見ても財政上の問題というものは行き詰まって、ちっとも明るい方向はないわけです。それで今度は七割負担をしますということだけは言っておる。だからアドバルーンの足がはっきりしないようなものです。あなた方としては、今ようやく事務費だけは研究しますということになったけれども、他のものについてはちっとも具体性がない。これは大臣に要望しておきますが、実は私はもう少し綿密な数をもって質問したいと思ったのですけれども、二時に上げるという約束をして四十分も食い込んでしまいましたからこまかく理論的に展開できませんが、とにかく今お聞きの通り、国保についてはちっとも明確に答弁できないでしょう。前途は全く見通しがつかないという状態です。他の保険はみんな見通しがつくのです。健康保険だって二百六十億円の黒字が出ておるわけです。組合管掌に至ってはそれ以上ですからね。こういう実態では、格差を縮小するという池田内閣政策を出しておきながら、この一番自由民主党の基盤である中小企業と農民にこれだけ放置しているという実態ですが、これは何かやらなければ申しわけないのです。選挙のときだけ票をもらって何もやらぬ。この点は一つ大臣、私は期限を切るのは好きなんだけれども、一体その五カ年間でやるかと言ったのだけれども、今五カ年間でやることをきめておるわけではございません、そんなことを言えば、新聞に言ったのを取り消してもらわなければならぬですよ。古井さんのときも十カ年というような発表をしておるのです。こういう問題の論議をし始めたのは今じゃない。厚生行政の長期計画を作ってくれということは、私は大臣がかわるたびごとに言っている。その大臣は、かわるたびごとにやりますやりますと言うだけで、今度は古井さんの十カ年計画とは多少情勢が変わってきたので五カ年計画だといっておりながら、聞いてみると、あんなものは政府がきめたわけじゃございませんという。アドバルーンを上げるだけじゃいけません。一つあなたの在任中に――国保給付については、今世帯主七割でやりたいというけれども、そんなものは実際に七割に世帯主だけやっても、相当の国庫負担も増加しなければできないですよ。そういうことをここで答弁するだけでなくて、その言ったことは約束通り達成するということでなければ、世間には信頼がないですよ。池田さんは、私はうそは申しません、こう言っているのだけれども、うそどころじゃない、大うそですよ。私はいずれ機会をあらためてもう少しこまかくやりたいと思いますが、大臣の見解だけ述べて下さい。
  63. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 だんだんのお話で明らかになっておる通りだと思うのでありまして、国民健康保険内容を改善いたしまして、一般との格差を縮小していくということは私どもの目標でございます。ぜひそれを実現したい、かような考え方をいたしておるわけでございます。さてこれを実現するのには一体どうするか、ここが一番むずかしい問題です。滝井さんのお話の通りでありまして、国民負担能力の問題もございましょう。政府の財政力の限界もおのずからある。また自治体との関係におきましては、これを何とか完全にやるといたしますれば、制度的にも考えなければならぬ問題があるわけであります。幾多乗り越えていかなければならないむずかしい問題があると思うのであります。最近の新聞に今お話しになりましたような記事が出ておりましたが、実は、私は前からありますいわゆる十カ年計画というものについて、もっと具体的に計画一つ考えてほしいということで検討を命じておったのでございます。その検討の途中においてそういう話が出たのではないかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、なるべく早く格差の解消ということに向かって努力しようという心持においてはあの通りでございます。具体的にはまだ決定しておる段階ではございません。これをやりますためには、幾多乗り越えなきゃならぬ難関があるということを私は感ずるのであります。しかしながら、国民健康保険を将来ほんとうに医療保障の中核として発展させますためには、どうしても財政的な基盤も確実にいたしまして、また豊富にいたしまして、向上をはかっていかなければならぬことは明らかなことであります。その乗り越えていく道は一体どこにあるかということについて、具体的な検討をいたしたいと思うのでありまして、国庫負担の増額も、先ほど申しましたように確かに一つの方法でございます。また、われわれの願うところは国民の所得の増大であります。この所得の増大を通じまして、より多くの負担能力を養う、同時に、現状から見ますと、市町村の御厄介になっておる要素がたくさんある。そういう市町村の御厄介になるものをそのまま一つの形として是認して、これを制度化していくということも一つの考え方だろうと思うのであります。それらにつきまして、もっと適確な検討を遂げまして答案を出したい、そうして皆さんの御審議をお願いしたい、こういう心持で財政問題の解決ということに――実は今年度と申しますか、ことしはこの財政問題の解決のためにしっかり勉強もし、また皆さん方の御批評も仰ぎたいと考えておる次第でございます。
  64. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 八木一男君。
  65. 八木一男

    八木(一)委員 国民健康保険の改正案について御質問を申し上げたいと思います。時間が非常に制約されて、私の協定時間としては二十五分しかありません。厚生大臣や関係の方にお尋ねをいたしますが、できるだけ省略して端的に御質問申し上げますから、御答弁も、その場のがれの御答弁をなさらずに、ぴちっと御答弁願いたいと思います。  今の滝井委員との質疑応答を伺っておりましたけれども、私どもの感ずることは、厚生省が非常にへっぴり腰である、政府がほんとうに本気になっていないということをしみじみと感ずるほかに何ものもなかったわけであります。池田内閣は、二年前に、社会保障を一生懸命にやる、国民健康保険について七割給付をやるというようなことを言い、池田内閣後の総選挙のときに、自由民主党の候補者の方は、そのことをさんざん方々でしゃべられたわけであります。それに対する実行方法として世席主に対する結核、精神七割給付ということを去年やられたことは――ごくわずかでございまするが、やられたことは、私ども承知をいたしております。その後、ことしはとまっております。数日前の、滝井君が指摘された新聞紙上に出ました長期計画とかいうものは、拝見はいたしておりまするけれども、具体的に毎年進まなければ公約を果たせない。公約だけではなしに、憲法第二十五条のほんとうの精神が果たせないということはわかり切っているのに、この前のときに述べて、ことしはそういう制度の内容の前進がとまっているということは、これは厚生省が全く怠慢をきわめたか、あるいは自民党が公約を、最初の年だけは少しのことでごまかして果たしたような格好をして、それから後は、しりくらえ観音ということを考えておられるとしか言えないわけであります。どうしてことしは給付の増大についても具体的な提案をされなかったのか、それについて厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
  66. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 給付の引き上げという問題につきましても、われわれ決して等閑視いたしておるわけではございません。三十七年度予算において、できることなら実現をいたしたいという心持をもちましていろいろ検討いたしたわけでございますが、ついに結論に到達することができないで、本年度は五分の引き上げということで一応結論を得たわけでございます。引き続いてこの問題についてはわれわれの目標として努力するということを先ほど来申し上げておるところでございます。いずれにいたしましても、負担の問題と非常に関係を持つのでありますから、心ではそう思いましても、実現にはなかなか困難な点もあるわけでございます。その難関を逐次克服しながら進めて参りたいと存じます。
  67. 八木一男

    八木(一)委員 私、省略して申し上げますが、省略をした点は十分御承知の点ですから、そこはかみしめて聞いていただきたいと思います。  いろいろの横の雑音は別にしまして、この問題の解決は、この制度並びにすべての社会保障に対する国庫の支出を、どれだけ思い切って腹をきめて出すかということにかかっているわけです。その問題について、岩尾君がおられますので、岩尾君にちょっと伺いたいけれども、ことしの予算要求のときに、各省の予算を、前年度の予算の五割を基準として予算要求を出してもらいたいということで大蔵省がやりました。こういうことはとんでもないことであります。岩尾君は社会保障の担当官だからおわかりだと思いますが、大蔵大臣がおられないことは残念だけれども、責任を持って大蔵大臣国民が非常に憤慨していることをお伝え願って、今後改めてもらわなければならない。制度の中には、これからどんどん発展しなければならない制度、やや完成している制度、憲法に違反しておる全然やってはいけない制度と、いろいろな制度がある。そういう制度があるのに、一括して前年度の五〇%増しの予算要求にとどめてもらいたいというようなことであれば、財政当局の方が事務的には楽かもしれません。前年度の五〇%増しにする、それを値切って交渉するということは楽かもしれない。しかし、国政を全くぐじゃぐじゃにするものであります。少し時間を省略して――非常に忙しい思いをしておられますが、その人たちの、やや時間を省略して、がたがたにならずにまとめたいという気持はわからないではありませんけれども、皆さんは、国民のための政府政策の中の具体的な部分を担当しておる。財政計画について、その下準備をする公務員としての責任を持っておられる。そこで、一般的なめどで五〇をめどにするというようなことをすれば、今までの政府の予算査定あるいはそのいろいろな経過からすれば、五〇がもとになって三〇とか二五とか、そういうことでとどまるということは、常識的に結論になるのです。社会保障が今ぐんと伸びなければならない、格差を縮めるためにも、憲法三十五条の精神をほんとうに具体化するためにも、どんどん発展しなければならない。自衛隊みたいな憲法違反のものはなくさなければならない。ほかの前進的な制度であっても、大体固まっている制度については、社会保障ほどのスピードは要らないという段階であれば、社会保障については五〇%じゃなしに、三〇〇%くらいの予算にとどめてもらいたい。自衛隊は前年度より五〇%減くらいの予算を出せ、そのくらいのことでやっていいわけでありますが、そういうような権限は財政当局にはない、ないのに内閣を縛るような五〇%増しでやってもらいたいというようなこと自体が、財政当局のはね上がりであります。そこで、少なくとも社会保障について五〇のような制限をつけた要望を出すということは非常に不謹慎だ。社会保障について出てきた予算について、なたをふるうような考え方は不謹慎だ、かように国民は思っておる、国民の代表者は思っておる。それを銘記していただいて、大蔵大臣にも当局として伝えていただきたい。厚生大臣はもちろん商い地位にあられますから、内閣総理大臣や大蔵大臣にこのことを厳重に言っていただかなければならないと思います。厚生大臣と、それから岩尾君の責任者がおられないで残念でありますが、簡単でけっこうでありますから、そのことの御答弁を願いたい。
  68. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 本年度の予算要求に際しまして、前年度の五割程度の要求にとどめてほしいということは閣議で決定したことでございます。従って、事務官である主計官をおしかりになるのはいかがであろうか、責任はわれわれにあるわけでございますから、さように御了承を願いたいと思います。むしろ主計官は、厚生省のためには相当親切にいろいろ配慮しておられることは、私もよく知っておるわけでございます。そういうことでございますから、これはかかってわれわれ閣僚の責任であるということでございます。今お話しのお気持につきましては、私はよくわかるのであります。私自身もさような気持がないとは申しません。申しませんが、国の財政経済の運営の上から申しまして、おのずからそこに限界もあることでございますので、予算編成を容易ならしめるために、そういうふうなことできまったわけでございます。心がまえといたしましては、御鞭韃に従いまして、私もせいぜい努力いたす次第でございますから、御了承いただきたいと思います。
  69. 八木一男

    八木(一)委員 今おっしゃった閣議決定事項で、大蔵省が、いかに財政の当面の事務的な衝に当たっておっても、そういう権限があるべきはずがないと私も認識いたしておりますが、財政を握っておる大蔵省に実際上の権限を非常に強くして、大蔵大臣という形で、閣議という形でそういう意思を表示される。そのもとは、その下相談を作るためには、やはり主計局が実際的に介在しておることを私どもは体得しておるわけです。そういうことは許されないことである。そういうことが続けば、大蔵省の機構について抜本的にこれをたたきこわして、再検討する方針をとらなければならないということを、大蔵省の主計局関係に、主計官を通じて、国民の相当多くの気持を伝えておきたいと思って発言をしたわけです。閣僚としての、国務大臣としての灘尾さんの――大蔵省でなく、閣議の責任であることはもう当然のことであります。そこで私もとおっしゃいましたけれども、そのようなことを閣議できめられることは非常に情けないことです。灘尾さんのような政治にたんのうな、与党に影響力のある断固たる人が、大蔵大臣と取っ組み合いでもする覚悟で食い下がって、また一つ池田君に辞表でもたたきつけるというような覚悟でやれば、そのような妙なワクは全然はめられないで済むと思う。そういうことについて御答弁一つずつ求めたいのですが、また別の機会で求めることにして、徹底的な覚悟で進んでいただかなければならないし、それについて厚生官僚が、今までのありきたりの腰抜けのような態度でなしに、大臣を非常に大きな意味で補佐して、大臣が辞表を出されるときには、厚生官僚全体が、われわれも辞表をふところにして、社会保障の要求に最初から制限を加えるようなことがあったならば、そのような内閣にはわれわれとしては協力できない、すべて辞表をふところにして戦うくらいの覚悟がなければ、こういう問題は前進しないと思う。そういうことについて、今後ほんとうに腹を据えてやっていただきたいと思う。  次に、国保については、給付率の問題を同僚議員からいろいろ言われました。給付率の問題は絶対に大事な問題であります。一般にここにおられる方方は違う、生活もそう悪くない、だからぴんとこない。国保保険料を払って、そしていざ病気になる、病気になったときに、大きな手術であって五万円ほどかかる。半分の二万五千円を出さなければ手術ができないというときになると、泣き泣きその手術をあきらめて、病気が重くなることをそのままほうっておかなければならない人が出てくるわけです。給付率というものは絶対問題である。保険料を取られながら、そして半分の給付を受ける権利を持ちながら、それを放棄しなければならない人たちが、国保の被保険者の中にあるということを考えれば、国の財政とか地方の財政がどうとか、そんな回りくどい議論をするのではなしに、絶対に十割にすぐする、そのために国の財政を考え、地方の財政を考え、国保制度を考えるという気にならなければその問題は進みません。そのような意味で根本的に取り扱わなければならないのに、いろいろな問題で、今度は給付率の増大についてはことしはできなかった、そういうことでは国保の前進は期待できないわけです。少なくとも来年度においては、国保の被保険者について、われわれは即時十割にすべきであるけれども、財政について、まだそのようなわけのわからない連中がいるならば、灘尾さんかあるいは池田君が最大の努力をして、来年は被保険者全部について、文句を言わずに、保険料を上げずに、被保険者負担を上げずに、七割の給付法律を――検討するのじゃない、出す。長期計画、五カ年計画というならば、その末端は十割給付である、そのくらいの勢いでやらなければこの問題は解決しないと思う。今までの御答弁は、ほんとうにへっぴり腰で残念であります。大臣もりっぱな政治家であります。補佐する人も有能なる公務員であることはわかっておりますけれども、この社会保障が今前進をしなければならない、格差を縮めなければならない、健康で文化的な生活国民に保障しなければならないという任務から推すときに、ほんとうにへっぴり腰であります。それをほんとうに国民の要望に従って前進するためには、来年にはすべての国民に対して七割給付を実施をする、国保とバランスをとって健康保険日雇い労働者健康保険についても、家族給付も七割にしなければなりません。それに向かって徹底的に邁進をするという決意を今披瀝していただきたいと思います。
  70. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 非常に熱烈な御鞭撻をいただきまして恐縮いたします。ただ社会保障の充実、完成をはかっていくということは、およそどの政党といえども考えているところだと思います。われわれといたしましても、これが完成、充実のために邁進をする覚悟でございます。しかしながら、またお互いの頭に描く理想の姿と現実との間には、かなりな隔たりがあるわけでございます。これをどうして具体化していくかというところに、現実政治をやっていく上の悩みが出てくるわけでございます。あまりにまた理想を追うに急にして足元を忘れておると、せっかくの制度が崩壊するということがないとは脅えない問題でございます。私どもといたしましては、着実に現実に理想を兄詰めながら進んでいくという努力を継続いたしたいと思うのでござい快して、中央の財政あるいは地方の財政あるいは国民の所得、負担能力というふうなものとにらみ合わせ、また同時に、そういうふうなものの力をつけながら前進していかなければなるまいと思うのであります。八木さんの熱烈なるお気持はよく私どもわかるところであります。御鞭撻に従ってせいぜい努力をさせていただきたいと思います。
  71. 八木一男

    八木(一)委員 いろいろと景気のいいときと悪いときとありますけれども、自然増収というのは、少ないときでも相当あります。多いときには非常にたくさんある。ほんとうに社会保障をやる気だったら、それをほうり込めば直ちにできるわけであります。別な独立税を取っても――たとえば農地をつぶしたり、宅地に困っている人があったりするのに、広々としたところで貧しい人の幼い子に重い道具をかつがせて、球をぽんと飛ばして喜び勇んでいるような、ほかの国民のことを何も考えておらないような人間がたくさんいます。そういう連中に、禁止税的なゴルフ税をかければ何百億と出てくる。頭をひねれば幾らでもやれるのです。それは一つの方法であります。自然増収を第一にたたき込むことがほんとうでありますけれども、ほんとうにやる気であれば絶対にできるわけです。ほんとうにやる気でないところに、そういうことが実行できないわけがあります。それを一つ推進していただくことを強力に要求していただきたいと思います。  時間がございませんが、給付のほかにもたくさんの問題があります。制限診療の問題があります。給付の率は量的の問題、もう一つ内容の質の問題が直らなければ、ほんとうに国民保険とは言えないわけであります。たとえば熱が出たときに頓服を飲まして苦しませておいて――十人のうちの一人か二人は頓服でなおる、八人は苦しんで高熱を発する。そのときに初めてペニシリンを打つ、なおらなくて初めてオーレオマイシンを飲ます。そんなものは医療ではありません。国民というものは、痛さを感ぜずに、苦しさを感ぜずに、不安を感ぜずにすぐ早くなおしてもらって、早く職場にあるいは家庭に帰りたいわけであります。それが人間のほんとうの要望であります。政府は、ほんとうの正しい要望について、それを実現するために努められなければならない。それを金の問題で考えて、そういうものはほんとうに有効な方法があるのに、国民を苦しめてからでなければそれができない、実に情けない話であります。医療保障というものは、健康を保つために、病気になったらすぐ診断して、すぐなおすための制度であります。それがわずかな金の問題、それも作ればできる問題、それを金を作る方を怠けておいて、制限されて、財政上いたし方がありませんというようなことでは、医療保障を作ろう、育てようという概念がないと考えてしかるべきだと思います。このような点で、制限診療撤廃するという問題についても、どんどんと進めていただかなければならないと思う。そこでまたいろいろな問題があります。たとえば制限診療撤廃するときに、差額徴収の問題など間違って考える人がある。現物給付の正しい原則を逆にひん曲げて、療養費払いなんてとんでもないことを考える連中がある。差額徴収なんというものをやられれば、貧乏人はそれ以下の医療にとめられるわけであります。一部の金持だけが、そういうことでいい医療を受けようというような間違った考えを――今現物給付、それからそういうことをさせないといういい方法があるのにそれが金の問題や何かで、ブレーキがかかっておるのです。金の問題のブレーキの方を直そうとはしないで、間違った方向に制度を変えようというような動きがあることに対して、そういう動きをとめ、正しい方向へ金をつぎ込んで、すべての人が制限診療をされずに、差額徴収をされずに、完全な、一番いい最新の医療が確保されるという道に対して、厚生省は、社会保障担当の責任官庁として進んでいただかなければならぬと思う。本筋を曲げるような間違った議論が行なわれないように、少なくとも厚生省は微動だにもしないような方向で前進していただきたいと思いますが、それについての厚生大臣のお考えを伺いたいと思う。
  72. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療の問題につきまして、御承知のようにいろいろな議論がございます。ことに制限診療を緩和し、あるいは撤廃するというようなことも、一つの大きな議論でございます。それと同時に、現在の現物給付の建前のもとにできております医療費の問題につきましても、かなり重大な問題があるわけであります。決してそれらの問題が今日解消しているわけではございません。私どもとしましては、医療内容を充実していく、特にまた、日進月歩の医学あるいは技術というようなものが、惜しみなく保険制度の中に取り入れられるということは、われわれも努めていかなければならぬ方向だと思うのであります。しかし、実際にやって参りますと、どうしてもある場合においてはそこにズレを生ずる場合が出て参ります。そういうふうな場合には、せっかくの医療法がありながら、これが取り入れられないというようなうらみも出てくるわけであります。しかし、努めてそういうことを解消しつつ進んで参りたい、かように思っているわけであります。同時にまた、同じ医療と申しましても、一般のお医者さんの医療、あるいは研究機関でやっておりますような医療、そこらにもまた若干の相違が出てくる。この辺を一体どういうふうに解決していくか、かような問題もあるわけであります。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 いずれにしましても、せっかくの保険制度をしきます以上、新しい医学、新しい技術、そういうふうなものがこれに取り入れられまして、一日も早く病気をなおすことができるようにしたい、こういう目標に向かって努力するつもりでおります。これにはいろいろな問題を含んでおりますので、私ども、いろいろな問題、また世間の声等につきましても十分検討いたしまして、少しでも改善をして参りたい、こういう心持でおります。
  73. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣は非常にきれいな言葉で言われまして、その言葉だけでは別に一つも悪いことがありません。具体的な問題で間違った方向にいかない決心を持っておられる。そこで厚生大臣が、被保険者の貧しい階層が、最新の一番いい医療を受けることができるような方向へ問題を進めていく。人間のからだを大事にする、命を大事にする、健康を大事にするというのは、これがあらゆる人に共通のほんとうの平等な権利である。それが侵害されないように、一番底辺の人を含めて、すべての人が健康を保てるような最新の医療がすべての人に確保せられる方向で、医療が前進するという方向をとられなければいけないと思う。厚生大臣は、もちろんそのようなお気持であろうと思う。その点についての明快な御答弁を願いたいと思う。
  74. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 目標ないし方向という点におきましては、お話しの通りだと思います。現実の問題、これをいかにして処理していくかということが、お互いに頭を使わなければならぬ問題だと思います。目標としましては、八木さんお話しの通りであります。
  75. 八木一男

    八木(一)委員 現実の問題の処理については、私どもも考えた方法がありますから厚生大臣にいろいろ申し上げに参りますので、十分御参考にして、その目標を完全に実現する方法は幾らでも可能であります。厚生省としてもお考えでありましょうが、私どもも意見を具申いたしますから、その方法を百パーセント取り入れられて、さっきの目的が完全に実現するように努めていただきたいと思います。  その次の問題は、国民健康保険の問題の中で、私どもとしては、今の国民健康保険は世帯主の一部の病気の問題以外は五割だから、これは国民半分保険であると思う。皆保険ではないと思う。また、この上に非常に制限診療があるから、これはまた半分で、国民四分の一保険だと思う。ところが、四分の一保険よりもっと悪いところがある。診療所がそばになければ、掛金だけかけて見てもらえないわけです。これは国民ゼロ保険であります。今の状態は、国民半分保険国民四分の一保険国民ゼロ保険、これを解決しなければ、皆保険なんということは言えないわけであります。その意味で無医地区に診療所ができていない、できていても非常に遠い。そこへ行ってもお医者さんが一人しかいなくて、内科のお医者さんがいても外科のお医者さんがいない、そういうことでは、保険料だけは払わされて何にも健康は保たれない。その無医地区の解消については、厚生省は、それを解消する具体的なほんとうの方法をとっておられない。これをいかにするか、それについての具体的な方法をお持ちでございましたら、端的にお教えをいただきたいと思います。
  76. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 二分の一保険とかゼロ保険とか言われるとまことに頭が痛いのでありますが、現実は、御存じの通り各種の保険の間にかなりのアンバランスがあるわけであります。そういう点を逐次解消して参りたいということを先ほど来申し上げているわけであります。特に頭の痛い問題は、今お話しの最後の問題でございます。自然的条件その他、いろいろな条件があるために、思うにまかせない点がございますけれども、いやしくも皆保険という以上、それらの地方の人の医療に恵まれない状態を、何とかして解決したいという問題でございますから、この問題は実はきわめて古くして、しかも新しい、なかなか解決の困難な問題でございます。診療所を開設するというのも確かに一つの方法であります。せっかく開設しましても、なかなか医者が得られないという点がここにあるわけであります。うまくいっているのかと思うと、いつの間にか、だめになってしまうというような例もございます。この方法だけにたよるわけにもいくまいかと思います。またそこに勤めるお医者さんにいたしましても、非常に古い――新しい医学という点から申しますと、見劣りのするような人だけしか来ないというようなことも、現実としてはあるようであります。これでも困る。どういうふうにしてそういう地区に対しまして新しい医学なり新しい医療なり、そういうものを与えることができるかというところが、一番の問題であろうと思います。大きな、たとえば国立病院でございますとか、県立病院でございますとか、あるいは赤十字病院というような相当充実した、相当な医療従事者を持っておる病院との連携において何とか解消したいというのも私は一つの方法だと思いまして、これを推進したいと思っております。そのほかまた、若干はやっておりますけれども、巡回診療というような方法ももう少し進めていくとか、あるいは進んではヘリコプターみたいなものでも用意するとか、いろいろな方法を講じまして、できるだけのことはいたしたいという心持で努力したいと考えます。
  77. 八木一男

    八木(一)委員 非常に一生懸命心配していられるのはわかりますけれども、これもほんとうに決心をしてしないと、保険料は取っておく、盲腸になったら手おくれになって死ぬというのでは大へんなことになるので、にやるときに、お医者さんにしてみたら、そんなところへ行けば開業医はなかなかもうからない、経営ができない、それだけでなくて自分の勉強もできない、子弟の教育もできない、文化的生活もできないということから、普通の状態ではなかなか行けません。ですから、開業医制度についてそれを慫慂するとしたら、よほど財政的な点でしっかりしたものを見なければなりません。またこれは考えていかなければなりませんが、公的の病院についても法律的にも規制の方法はいろいろ考えられなければならないと思います。たとえば一つの方法として、国立病院で、相当新知識の診療もし、新しい学問もつけたそういう人たちを一どういう制度か知りませんけれども、医局員の中で相当上になって、一つの主任さんになる前ぐらいのときに、できれば十分な報奨をして、義務的に二年か三年かそういうところへ行く。そのかわり、帰ってきた人はそこで主任さんになるというようなこと。ところが、今国立病院に医者の来手がない。そうなれば、国立病院自体に来るような待遇、いろいろ給与法の関係か何かあるかは知りませんが、やはり大事なことですから、そういうことについても問題が解決するような方法をとる。しかも、国立病院のお医者さんがそういうところに行くのに、単数でなく複数で、内科のお医者さんと外科のお医者さんとが二人ぐらい行かなければ、お医者さん自体が盲腸炎になったときに、自分で鏡を見て手術をしなければならないということになっては大へんですから、やはり複数で行く。もちろん看護婦もつく。そういうようなことを考えれば、よほどの決心がなければできない。ほんとうの決意を固めてこれをやっていただきたい。これについては厚生省の方、また財政的には大蔵省の方、自治省の方、いろいろな方が考えて知恵を出し合っていただいて、それを実際に前進していただきたいと思います。それについて厚生大臣の強い決意を、一審でけっこうですから、お聞きしたい。
  78. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほどお答え申し上げた通りであります。何とかしなければならぬ問題だというふうに考えておりますので、私としましては、誠意を持ってこの問題と取り組みたいと思っております。
  79. 八木一男

    八木(一)委員 三つあるけれども、もう一つに省略します。  国民健康保険法の七十七条に、保険料の減免に関するあいまいもことした規定があります。条例または規約によって云々と書いてあって、実態は、災害のとき特別立法でわれわれがよく与党の方と御相談してやりますが、災害のときとか失業多発地帯しか適用されていない。ところが、国民年金には御承知の通り免除制度がある。国保の方が進んだ部分もありますけれども、また国民年金の方が進んだ部分もあるわけです。国民健康保険は、生活保護を受けておる人だけはやる。そのかわり医療の方で厄介な町があって、手続が厄介ではいけないのですが、この問題は健康の問題ですから、医療手続が厄介だとか、妙な制限をしていないで、すぐ見てもらって健康を回復しなければならない。この問題は、今時間がないからあとで生活保護のときにやるとして、その次のボーダー・ラインの階層の人たちは、ほんとうに払えなくても均等割ということで実際上むしり取られておる、応能割はとにかくとして。これは国民年金に免除制度があるから、その進歩した制度を国民健康保険にも適用する必要がある。また、国民健康保険が前進しておる、たとえば応能割のような保険料制度は、国民年金の方に適用しなければいけない。そういうことを実際にやっておるのですから、この国保の方でおくれておるところ、免除制度がはっきりしていない、こういう点は、規約とか条例ではさっきの格差の問題がありますし、そういうことはなかなかできないから、国の法律の方でこういうことをしなければならない。それについての補てんは、もちろん国がなさることですが、そういう減免の道を開くということを、はっきりとした条文に書いていただく必要があろうと思う。それについての厚生大臣の御所見を伺いたい。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、いろいろな制度との関連もあろうかと思いますが、御質問の御趣旨を尊重いたしまして、十分一つ検討さしていただきたいと思います。
  81. 八木一男

    八木(一)委員 もう少し質問がありますが、同僚委員の実に大事な質問がございますので、これでとめまして、法律の審議が終わっても、個々の問題について、また後日御質問を申し上げるということで終わります。
  82. 中野四郎

    中野委員長 小林進君。
  83. 小林進

    ○小林(進)委員 大臣の約束の時間が四十五分だそうでございまして、私四十五分にはやめます、一人ぐらい約束を守る者がいないと委員会も進まぬと思いますから。御答弁の方も簡単にお願いします。  国民健康保険法施行法の第十四条の第一項を三十七年度中において廃止するような法律の改正案をお出しになる熱意があるかどうか、お聞かせ願いたい。私はぜひとも三十七年度中に、この一項を廃止していただきたいと思います。施行法第十四条の第一項を三十七年度中に廃止をしていただきたい、これを一つお願いいたしたい。
  84. 高田浩運

    高田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、給付制限をしておりますところについて強力に指導をして、実際に給付制限が行なわれないように指導したいと思っております。法律案の改正をやるかやらぬかという問題につきましては、今のところまだそこまでの言明を申し上げる段階ではないと思います。
  85. 小林進

    ○小林(進)委員 これを廃止をしていただかなければ、第一この法律案に私どもが賛成するか反対するか、態度をきめかねます。これはきめかねますよ、重大問題であります。この給付制限の問題は、どうしても廃止をしていただかなくちゃならぬ。これは「当分」というように全く暫定規定なんです、三十二年からずっときている。こんなことじゃいけませんよ。これはどうしても廃止をしていただかなければいけません。廃止をしていただかなければ、何らかの形で抵抗しますよ。(「脅迫だな」と呼ぶ者あり)時間がないから脅迫でいくよりしょうがない。これは重大問題だ。  第二番目の問題は、国民健康保険税の推移です。一般の所得税は毎年々々みんな下がってくる。それに基づいて地方税も下がってきます。国民健康保険税は、そういう一般の税金に対して下がっておりますか上がっておりますか、これは一言でいいです。上がっているか下がっているか。
  86. 高田浩運

    高田政府委員 三十六年度までは上がっております。三十七年度において多少下がると思います。
  87. 小林進

    ○小林(進)委員 三十七年度なんて、これから先の話というのは信用できませんよ。三十年から三十六年まで上がったことは事実です。三十年度に比較をすれば、おそらく八〇%前後は上がっているじゃないですか。こういうことでは大蔵省も自治省も何をしているのかと、私どもは義憤にたえない。  そこで私は国民健康保険税だけに限ってお伺いをするのですが、一体被用者保険保険料に比較をいたしまして、国民健康保険保険税は高いとお考えになるか安いとお考えになるか、この比較の問題。いま一つは、市町村民税に比較をいたしましてこの国民健康保険税が高いか安いか、これは大蔵省もいらっしゃるし、自治省もいらっしゃるが、みんな一言でいいです。あなた方が長い答弁をすると私の時間がなくなるから、一言でいいから、高いか安いか答えてもらいたい。
  88. 高田浩運

    高田政府委員 被用者保険における保険料との関係は、これは一言で高いか安いかと言うことは、ちょっとなかなか言いかねる問題だと思います。ただ金額的に申し上げれば、収入との比較においては国民健康保険の方が金額的には低くなっておりますけれども、これは給付内容が違いますからそういうことになるのは当然で、その辺のところを厳密に比較しなければ、両者が高いか低いかということは言えないと思います。
  89. 岩尾一

    ○岩尾説明員 一応仮定の数字を計算いたしませんと数字が出て参らないと思いますが、三十五年の数字で結局高いか低いかということは、実際の所得を幾らに見るかということにあるわけであります。そこで国保の場合には、先ほど御説明のありました東北等について、昨年調べました県の実際の所得というものを検討いたしますと、大体一人当たり十八万程度になるわけであります。そこでその場合に、大体国保全体で取られております保険料というものを考え、それに一般世帯員数を考えて、それで所得に対してどの程度保険料が入っておるかという計算をいたしますと、一応二・一八%という数字になります。それから健康保険につきましては、同じように三十五年、見込みにいたしまして、この場合の報酬月額というものをどれくらいに見るかという問題があるのであります。一応平均として月一万五千円というものを置いております。そうしますと、平均保険料が当時四百七十九円でございますので、大体所得に対して三・一五%という数字になります。従って、保険料だけ見れば国保の方が低いということになりますが、一方において一部負担金の問題がございます。健康保険につきましては、家族は半額を納めるわけであります。国保については、全部半額ということになりますから、そういう点を考慮に入れますと、患者負担まで入れまして、大体私の方の計算では、国保が六・四%、健保が四・二%というような数字になります。そういう点を考慮に入れて、三十七年度の国庫負担を五%ふやしたわけであります。
  90. 小林進

    ○小林(進)委員 あなた方に聞いているとごまかしの答弁ばかりするから私が言うのだが、国民健康保険の被保険者の所得と他の健康保険の被保険者の所得との比較は一体出ておりますか。御承知のように、政府管掌の健保によれば、いわゆる所得は平均して年間十七万三千五百五十八円、組合管掌でいえば、年間一人平均が二十万一千八十四円、船員保険で二十万三千二百四十四円、国家公務員共済で、これは本俸だけで年間二十四万二千四百三十一円に対して、国保の上平均所得は七万五千円じゃないですか。こういう所得に対して、一体保険税はどうなっているのですか。いわゆる市民税の均等割だけを納めている――今度は国保税と住民税の比較をすると、これは自治省の出した統計だが、市民税一人当たり負担額は、東京では六百二十三円、横浜では五百四十六円、いいですか、これは市民税均等割ですよ。京都で五百三十六円、大阪で五百七十四円、神戸で五百十六円だ。これに対して、同じく均等割しか納め得ないような被保険者が、東京都でいえば都民税を六百二十三円しか納めない被保険者が、一体保険税を幾ら払っていますか。一千二百円も納めている。横浜においては、五百四十六円しか市民税を納め得ない人が、保険税では一千二百九十三円納めている。みんな二倍ないし三・五倍以上の保険税を払っているじゃありませんか。だから、所得割も納め得ないような人たち、その低所得者の人たちが、今一番税負担で重いのは健康保険税です。これが一体税の建前から正しいかどうかということです。それで大蔵省にお聞きしますが、所得税にも地方税にも免税点というのがありますでしょう。健康保険税の免税点と地方税並びに所得税の免税点とは違いますか。これは同一にできないのですか。
  91. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ただいまお話しいただきました七万幾らの所得というのは、ちょっと私の方では見当のつかない数字でございまして、実際上東北四県で調べた数字では十七万という数字が現に出ております。東京都全体の被保険者平均所得をお調べいただきましても、決して七万円ということはないのであります。  それからあとでお話しいただきました市民税と保険税との割合の問題、これはまた各市町村によって違いまして、実際上は地方税課税の方法によりまして、東京あるいはいなかの県におきましては、実際上は平均所得が高いところにおきましても、市民税はそう変わらないところもございまし、要は国民健康保険は、医療給付を行なうための財政負担として保険料を取っておる、片方は市町村の財政負担をまかなうために取っているという意味において、両者が違うわけでございます。同じ税金の名前でございますけれども、財源といたしましては、そういった目的が違ったものでございますから、これが違っておることは仕方ないのではないかと思います。
  92. 小林進

    ○小林(進)委員 第一、僕の言った七万五千円を君は知らないと言うけれども、これは厚生省からもらった資料で僕は質問している。さっきの滝井委員もみんなこれで質問している。この資料の中間報告を作った中には、厚生省の官房参事官の伊部英男氏から、審議官の山木正渉君から、自治省の税務局の市町村税課長から、地方財政審議会の委員の荻田君、みんな入っておるのだ。あと、自治省の財政局財政課長松島五郎君から、財政局長の奥野君も入っておる。そういう諸君が入って、国民保険制度調査委員会を形成して、その委員会の中間報告に入っている数字を知らないというのは、いかに君が勉強が足りないかということだ。国会に来て答弁するからには、少し勉強をしてきたまえ。そういうことを言うから、限られた時間に質問がピンボケなんだ。勉強が足りな過ぎる。それから一体所得税の建前は、給付があるのないのという問題ではなくて、所得のある者に税金をかけるのだろう。そういうことから、ともかく地方税において均等割しか課せられない者とか、あるいは所得二十万以下の者には所得割というものがかけられていないにもかかわらず、そういうものに対して、給付内容が違うからといって、今の所得割やら、均等割やら、世帯割やらという、そういう形のものを作っておいて、保険税だけは決して時代とともに軽減する、免税する処置が設けられていないということは、私は税法上の大きな間違いだと思うけれども、あなたはその点を承認するかしないかということです。間違いだと私は思うけれども、どうです。
  93. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ただいまの七万五千円というのは、均等割、すなわち九万円以下の人の所得の平均が七万五千円というようなことではないかと思います。決して国保全体の被保険者の所得の平均が七万五千円ということではございません。  それから今先生の申されました免税点につきましては、現在の建前といたしましては、少なくとも国民健康保険という保険でございますから、従って、税で考えておる免除あるいは減税の基準というものとは違ったものであるということでございます。
  94. 小林進

    ○小林(進)委員 こういう間違った考えの者がいるからだめなんだ。あなた方は、社会保障の一環たる国民健康保険をあくまでも保険だという、そういう抽象論に基づいて――世帯に分ければ多くはなるだろうけれども、一戸平均七万五千円にしか至らない保険者の低所得階層だ。先ほども滝井さんが何回も言ったように、地方税からいえば所得割を納める者が、四千八百万の被保険者の中でわずかに六・五%しかいないという。あとは所得税を納めない、ほんとうの低所得階層だ。そういう人たちから――地方税においては所得割も免税されている、あるいは均等割も免税されるような、そういうすれすれにあるような人たちから、これは保険だからという名目で、地方税の四倍も五倍も高いものをふんだくっておいて、しかもなお、今度病気になったら、また半額窓口へ持っていって医者にかからなければならないような状態に放置しておいて、それが正しいような答弁をするその頑迷さが間違いなんだ。あなた方、その自分の頑迷さに気がつきませんか。大臣、そういう矛盾を一つお考えになりませんか。
  95. 岩尾一

    ○岩尾説明員 先生のおっしゃいましたような低所得者から保険料を取るということに対しまして、まことに気の毒ではないかという御趣旨に対しましては、私も同感でございまして、それはよくわかるわけであります。しかし、制度として、税の方の免税点、保険の方の免除基準は全然別の問題であるから同一ではできない、そういう制度の問題であるということを申し上げたわけであります。
  96. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、国保がまだ任意加入の時代ならばよろしいけれども、三十六年四月から、国家の責任においてこれを強制するような制度になった以上は、そういう低所得から無理に保険料を取るような制度は、大いに間違いだと思うのです。その意味において、結論から申し上げますけれども、各種の保険があります。ありますが、その保険の徴税方法です。保険料保険税の取り方が、みんなばらばらなことが私は大きな矛盾であると思いますので、そういう給付制限その他の矛盾は別にいたしまして――これも直していただかなければならぬが、保険税の問題についても、私は同一の方法で、所得のある者からこれを取り上げるという原則に基づいて、これを改正していただく意思が一体おありになるかどうか、これを承って、答弁がつぼにはまりますならば、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  97. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 保険税の問題でございますが、これは小林さんのお考えの基本というものが、一つの考え方としてはあり得ると私は思うのであります。ただ現在の国民健康保険は、他の各種の保険と同様に、保険事業として経営せられておると思うのであります。その保険事業の経営に必要なる収入保険税という形で入れておるのでありまして、ほかの保険で申せば保険料に該当するものと、一応私はさように考えます。そういうふうな考え方で今の制度が仕組まれておるわけでございまして、この制度を変えれば別であります。現在の制度といたしましては、小林さんが御指摘のような問題が起こり得ると思いますけれども、この問題は、そういった意味で一つお考えを願いたいと思うのでございます。今直ちに、他の保険の建前と違った保険料の取り方をやろうという考え方はいたしておりません。十分検討もさしていただきたいと思います。
  98. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、ただいまの大臣の御答弁に満足するわけにはいきません。保険の特別会計それ自体が弱い者をいじめるようにできておるならば、やはりその改正のために最善の努力を払わなければならぬと思うのでありますけれども、時間がありませんから仕方がない、また次の機会に申し上げることにいたしまして、私の質問を終わります。
  99. 中野四郎

    中野委員長 井堀繁男君。
  100. 井堀繁男

    ○井堀委員 ごく簡単に、要点のみお尋ねをいたしたいと思います。  今回の国民健康保険法の一部改正案はきわめて微温的なものであって、まことに遺憾しごくといわなければならぬと思うのであります。もちろん、従来の二割を二割五分に増額するというそれ自身については、われわれも、微温的ではありますけれども、賛意を表するにやぶさかではありません。しかし、俗に五十歩百歩という言葉がありますように、この際とうとい国費をこういう費用に振り向けるのでありますから、それが有効適切であるというときに、初めてわれわれはその趣旨に同意ができるのでありますが、残念ながら、この際の政府の改正案は、保険の本質を十分理解しておるかどうかを疑いたくなるのであります。このことは、たびたび社会保障制度審議会や、また識者の間からも強く要請をされ、政府もまた公約として国民保険制度を確立することを誓っておるのであって、こういう立場からいたしますならば、この際この法案の改正をなされる場合には、そういう世論なり、政府国民に公約をいたしましたものに対して忠実な改正案でなければならぬことは、私の説明を必要としないところであろうと思うのであります。こういう点で、わが党は政府原案に対して非常な不満を感じておるのみならず、その本質を理解していないのではないかという疑いを持ちますので、この点を責任当事者でありまする厚生大臣に二、三お尋ねしてみたいと思います。  それは、もうすでに論議を尽くされておることでありますが 国民保険のねらいは、言うまでもなく、国民保険を従来の健康保険共済組合日雇い労働者のための保険制度と統合していこうというところにあることは、政府の述べるところでも明らかであります。ならば、その言うところと内容とが一致すべきではないか。戦後日本経済が荒廃しております際におきましては、財源を理由にしてそれをなし得なかったことについては、一応やむを得なかったと思うのでありますが、今日の日本経済は、政府も声高く主張しておりますように、その経済の成長率は世界の驚異の的になるほど飛躍的な成長を遂げているのであります。政府の予算規模におきましても、この費用をまかなうのにどこに不自由があるであろうかという点を、実はこの際はっきりお尋ねをしておきたいのであります。わが党が、さきに昭和三十七年度予算の際に明らかにいたしましたように、政府の今日計画しておりまする政策と予算の関係だけをこの点にしぼってみましても、どれほどの予算を必要とするのであるかは、私はそう多くを論じなくてもいいと思うのです。たとえば国庫負担金を増額してこの保険財政を強力なものにするという一点だけをとってみましても、二割五分などと言わずに、この際四割程度国庫負担として増額して、この保険制度にてこ入れをしていくべきではないか、そのために要する経費はわれわれは計上をいたしました。しかもそれは、税制を変えたり、あるいは政府政策を抜本的に変更するようなことをしなくても、たとえば一般行政費の節約などの点からいっても、これだけの経費を捻出するのに大して苦心をしなくていいはずだ。また、その他繰り越しの財源などを見ましても、こういう皆保険のために経費を割愛するに何ら事を欠かない。さらに言わしてもらいますならば、防衛庁の経費などは、世論からきびしく非難されておりますように、その一部を節約することによって易々として財源を見出せる現状ではないか。こういう現状の際に、この国庫負担をわずか五%増額するということでなしに、思い切ってやはり保険の建て直しのてこ入れをする、そのために四割の負担をなぜ厚生省は――内部関係のことを申し上げるのはどうかと思いますが、要求をなぜなさらなかったか。聞くところによりますと、三割の要求しかなさってないようでありますが、しかも今回は五分の引き上げというようないわば焼け石に水といったような経費というものを――ある意味においてその経費は こういう国の大方針からいきますならば、むだ使いになる危険すら感ずると言っても言い過ぎではないと思います。やはり保険の精神を生かしていくために、思い切って四割の増額をすべきではなかったか。この一点について、まず厚生大臣の責任ある、しかも国民に納得のいくような答弁がおありであるならば一つ伺いたい。
  101. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回の国民健康保険の改正についての御批判でございます。私どもは、国民健康保険が皆保険の最も至要な要素をなすものと考えまして、これが改善、充実のためにはもちろん最善の努力をいたしたいと存じておりますが、ただこれを実現いたしますについては、なかなか一挙に解決するということは困難だと思うのでございます。仰せの通りに、国民健康保険だけをとらえて考えますれば、財源に余裕があるじゃないかという御指摘は、その通りでございます。その程度のことは、全体の財源の中から出せないことはないという御議論も立つと思います。立つと思いますけれども政府といたしましては、他の諸施設についてもいずれも必要と考えて予算を組んでおるわけであります。全体の関係において、明年度はこの程度でということになったわけであります。本来の理想とするところに向かっては、漸次これの改善に向かって実現を期して参りたい、かように存じておるわけであります。本年度または来年度の問題としてではなくて、もう少し長い目でごらん願いたいと思います。
  102. 井堀繁男

    ○井堀委員 あなたと議論する気はありませんけれども、ただ御答弁を非常に不満に思う点を一、二あげてみたいと思います。なるほど全体の政策の上から、どこに優先的に経費を出すかという順位の問題については、政府とわれわれとは意見が違うかもしれません。しかし、違うベースに立ってわれわれはお尋ねしておるのではなくて、政府と同じベースに立ってお尋ねをしておるつもりであります。誤解のないようにしておきたいと思います。というのは、皆保険政府が主としなければ別であります。社会保障政治に対してかなり強い公約をしておるのでありますから、他の政策のバランスの中から、私は公平に見て、国保に四割くらいを出してもいのではないかということを申し上げるつもりであります。決して全体のバランスをくずしてまでということを主張しておらぬのであります。というのは、いま一ぺん重点的に問題を取り上げる場合におきましては、社会保障制度のどこから先にやっていくかということもあると思います。私は、社会保障制度の中における医療保険というものは、哺乳動物の背骨のような立場に置かれておると思います。ですから、この制度に政府がどれだけ誠意を払っておるかということで、全体を推しはかることのできるほどのものだと思います。そういう意味で、実は四割程度の増額ができないはずはないという立論からお尋ねしたわけであります。さらに私の言いたいことは、こういう制度にせっかく金をつぎ込む以上は、それが次に社会保障制度全体を引きずっていけるような性質のものであるならば、私は他を犠牲にしてもここにつぎ込む価値があるという議論が成り立つと思う。そういう立場で実はお尋ねをしておるわけであります。  時間がありませんから、重要だと思われる点を三つ、四つ一緒にお尋ねしていきたいと思うのであります。その一つは、国民保険制度を実施していくためには、この制度に対して国庫の補助金を増額するということによって活を入れていく。そのことは、次の問題を解決できる要素になるのではないかと思う。すなわち今日の医療保険の一番大切なのは、他の保険との均衡をどうとっていくか、一歩をすべり出すか出さぬかにあると思う。もちろん健康保険や公務員の共済制度のようなものと日雇い保険を、直ちに同一のものにするということは私は問題があると思いますけれども、どこをそろえていかなければならぬかということになると、保険給付の問題について非常に跛行的なものをそのままにしておいたのではいかぬではないか、そろえるところはどこかということを政府は明らかにしていくべきではないか。その中でわが党の主張しておる点を述べますと、一つは、医療給付の中における給付範囲それから給付の率というものについては、私は今一定の線にそろえるチャンスだと思う。その時期をおくらせることによって、そういう制度の統合整備の際に大きな障害を生むような時期にきておるという点を私は指摘していきたいと思うのであります。これは私は立場を越えて、国民すべてが考えられる問題であると思うからでございます。時間がありますならば、この点を詳しく述べて御意見を伺えば、国民の間にも理解が高まると思うのでありますが、時間がありませんので、簡単にお答えをいただきたいと思っております。  次の問題は、特に私は政府並びに地方公共団体の責任であると思いますのは、保険施設の中でも直営の診療所を設置するということは、保険制度を推進していくことのために欠くことのできない要素であることは御承知の通るであります。これに今力を入れるときじゃないか。しかも、それは多額の経費を要するのではありません。要所要所に一つのモデルを作ることによって、私は医療制度に対する一つ方向を決定できるものと思うのであります。ここに手を染める時期ではないか。  第三の問題は、何といいましても低額所得階層を相手にする保険でありますから、低所得者階層に対する他の政策とかみ合わせてこの政策が推進されていかなければならぬのにかかわらず、政府は、先ほど総合的なということを言われておりますけれども保険制度を考える際に、低所得者階層に対するこの医療保険というものはどうなければならぬかという点に対して、この際の改正案がそれに言及されていないということは、この点について一考もされておらないということであります。低いものでもいいから、そういうものに関連をした改正案が出てきてこそ、私は政府の誠意を信ずることができるのであります。  それともう一つ申し上げておかなければなりませんことは、この保険関係に従事する職員の処遇の問題が、地方公務員と同じ制度のもとに置かれておりながら、まだ今日多くの劣勢な条件をしいられておるということは、こういう制度に政府がどれだけ誠意を示すかということの一つの現われだと思うのであります。もちろん厚生省の所管ではなく、自治省の所管に属する法律改正を必要とするかもしれません。しかし、こういう国民保険の業務に専従しております職員が不当な差別を受けておるということは、こういう制度を推進する上に大きな障害を来たしておるということは間違いないのであります。こういう点についても改正を急がるべきではなかったか。こういうような点が同時に取り上げられてきてこそ、国民保険への前進の政府の誠意が理解されてくると思うのであります。私は、こういう意味で政府の態度というものは、口では社会保障制度あるいは国民保険を約束しながら、実際はどうもほんの申しわけで事を濁そうとするきらいがあると思われましたので、あえて短い時間でありましたが質問をいたしたのであります。急所だけについて御答弁をお願いしたいと思います。
  103. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 時間の点もあるようでございますので、簡単にお答えいたしたいと思います。  第一に、国の負担の問題でございますが、今年度は五分引き上げということで御審議を願っておるのであります。この問題につきましては、国民健康保険の財政一般の問題としまして、もっと腰を据えて政府も検討しなければならぬ問題である、かように考えておる次第でございます。三割がいいか四割がいいか、これは制度にも大きな関係を持つ問題でございますので、にわかに結論を下すわけには参らぬと思いますけれども、十分検討いたしたいと思います。  それから保険給付の問題でございますが、確かに国民健康保険保険給付、すなわち医療給付が他と比べました場合にアンバランスがあるという点は、しばし、は御指摘のある通りであります。これにつきましては、もちろん他との均衡をとっていくということを考えて参らなければなりませんが、さしてあったは国民健康保険の内部におきましても、医療制限によりまして保険者ごとに違った給付が行なわれておるというような実例もございます。そういうふうな制限撤廃という方向に進んで参りたいと存じております。  それから直営診療所の問題でございますが、先ほどもお話しのありましたように、地域によりましては、直営診療所を保険施設として経営するということに、なかなか困難なところもあろうかと思っております。医療機関整備の問題ないしは無医地区の問題といたしまて、そういう点十分検討していきたいと存じます。  それから、低所得者階層に対する対策あるいは職員処遇の問題でありますが、決して無関心であるわけではございません。なかなか一挙には問題が解決できませんので、ぜひ一つ今後検討をさせていただきたいと存じます。
  104. 井堀繁男

    ○井堀委員 それではこれで私の質問を終わりますが、この問題は、政府の公約に基づくもののみならず、国民生活のうちで一番重要な役割を果たす制度でありますだけに、格段の御注意を払って、抜本的な改正のできることを期待いたしまして、本案に対しましては非常に不満ではございますが、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 中野四郎

    中野委員長 ただいま議題となっておりまする六案のうち、国民健康保険法の一部を改正する法律案について質疑を終局するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――
  107. 中野四郎

    中野委員長 次に、本案を討論に付するのでございますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  国民健康保険法の一部を改正する法律案について採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  109. 中野四郎

    中野委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。     ―――――――――――――
  110. 中野四郎

    中野委員長 この際、浦野幸男君、小林進君、本局百合子君より、本案に対し附帯決議を付すべしと動議が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。浦野幸男君。
  111. 浦野幸男

    ○浦野委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、本附帯決議趣旨説明いたします。  案文を読み上げて説明にかえさせていただきます。    国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、国民保険の本旨に基づき、その基盤である国民健康保険の拡充強化をはかるため、左の事項の実施に努力すべきである。  一、当面給付率七割引上げの要望にかんがみ、給付率の引上げ及び給付内容の改善につき善処すること。  二、給付制限をすみやかに撤廃するよう措置すること。  三、僻地並びに無医地区に対する総合対策を樹立すること。  四、以上三点の実施に当っては、国庫負担の充実をはかり、あわせて被保険者負担の現状にかんがみ、保険税の合理的調整につき根本的に検討すること。  五、原爆被爆者の医療費の増嵩による関係市町村の財政負担の増加に対しては、特別調整交付金等により財政上特別の配慮を加えること。  以上でありますが、何とぞ各位の御賛同を得たいと存じます。
  112. 中野四郎

    中野委員長 本動議について採決をいたします。  本動議の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  113. 中野四郎

    中野委員長 起立総員。よって、本案には浦野幸男君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、灘尾厚生大臣より発言を求められております。これを許します。灘尾厚生大臣
  114. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府といたしましては、ただいまの御決議趣旨を尊重いたしまして、十分検討を加えまして、できる限り善処いたしたいと考えます。     ―――――――――――――
  115. 中野四郎

    中野委員長 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十三日午後一時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時九分散会      ――――◇―――――