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1962-02-07 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月七日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 大石 武一君 理事 永山 忠則君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       安藤  覺君    井村 重雄君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       小沢 辰男君    藏内 修治君       佐伯 宗義君    楢橋  渡君       八田 貞義君    松浦周太郎君       松山千惠子君    米田 吉盛君       渡邊 良夫君    赤松  勇君       淺沼 享子君    大原  亨君       河野  正君    五島 虎雄君       島本 虎三君    田邊  誠君       中村 英男君    吉村 吉雄君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛庁経理局         長)      木村 秀弘君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 山本 正淑君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     今村  讓君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      尾村 偉久君         厚生事務官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (薬務局長)  牛丸 義留君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君         厚生事務官         (年金局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (援護局長)  山本淺太郎君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 二月二日  委員吉村吉雄君及び井堀繁男辞任につき、そ  の補欠として矢尾喜三郎君及び佐々木良作君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員矢尾喜三郎君及び佐々木良作辞任につき、  その補欠として吉村吉雄君及び井堀繁男君が議  長の指名委員に選任された。 同月六日  委員井堀繁男辞任につき、その補欠として佐  々木良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  井堀繁男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月三日  労働組合法の一部を改正する法律案村尾重雄  君外二名提出参法第一号)(予)  労働基準法の一部を改正する法律案村尾重雄  君外二名提出参法第二号)(予) 同月五日  船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号) 一月三十一日  定年退職者失業保険金一括支給に関する請願(  肥田次郎紹介)(第四〇一号)  未帰還者留守家族等援護法による療養給付期間  延長等に関する請願井手以誠君紹介)(第四  〇二号)  薬種商取扱医薬品に関する厚生省省令撤廃の  請願小沢辰男紹介)(第四〇三号)  同(細田義安紹介)(第六一四号)  国民健康保険に対する国庫負担増額に関する請  願(吉村吉雄紹介)(第四三二号)  し尿処理場及びごみ焼却場設置費国庫補助増額  等に関する請願吉村吉雄紹介)(第四三三  号)  同外一件(田中武夫紹介)(第六六二号)  大口公共職業安定所庁舎新築に関する請願(池  田清志紹介)(第五〇一号)  国民健康保険に対する国庫負担率引上げ等に関  する請願池田清志紹介)(第五〇二号)  鹿児島県溝辺町に照明保育所設置に関する請願  (池田清志紹介)(第五〇三号)  戦傷病者のための単独法制定に関する請願(秋  山利恭紹介)(第五一五号)  同(大上司紹介)(第六一二号)  同(大橋武夫紹介)(第六一三号)  同(寺島隆太郎紹介)(第六六三号)  同(森下國夫紹介)(第七三二号)  保育所経営難打開に関する請願森本靖君紹  介)(第五四七号)  緊急失業対策法改正に関する請願富田健治  君紹介)(第五八一号)  社会福祉拡充のための予算増額に関する請願外  十四件(加藤勘十君紹介)(第五八二号)  同外五十七件(加藤勘十君紹介)(第八二七  号)  民間社会福祉事業従事者待遇及び労働条件改  善に関する請願外十四件(加藤勘十君紹介)(  第五八三号)  同(加藤勘十君紹介)(第七二七号)  同(滝井義高紹介)(第八二九号)  失業対策事業就労者待遇改善等に関する請願  (川村継義紹介)(第五八四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第五八五号)  同外一件(武藤山治紹介)(第五八六号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第五八七号)  老人福祉に関する請願堀内一雄紹介)(第  六一五号)  国民健康保険に対する国庫負担増額等に関する  請願外七件(安倍晋太郎紹介)(第六五七  号)  同外三十件(小澤太郎紹介)(第六五八号)  同(周東英雄紹介)(第六五九号)  同外十四件(田中龍夫紹介)(第六六〇号)  同外十五件(安倍晋太郎紹介)(第八二三  号)  同外五十件(小澤太郎紹介)(第八二四号)  同外十八件(田中龍夫紹介)(第八二五号)  同(周東英雄紹介)(第八二六号)  環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願赤松勇紹介)(第  六六一号)  民間社会福祉施設従事者処遇改善に関する請  願(久保田円次紹介)(第七二八号)  低所得階層対策充実等に関する請願久保田  円次紹介)(第七二九号)  同(鈴木正吾紹介)(第七三〇号)  動員学徒犠牲者援護に関する請願草野一郎平  君紹介)(第七三一号)  生活保護基準引上げに関する請願中澤茂一  君紹介)(第七八四号)  同(原茂紹介)(第七八五号)  同(松平忠久紹介)(第七八六号)  児童福祉法に基づく措置費増額に関する請願(  中澤茂一紹介)(第七八七号)  同(原茂紹介)(第七八八号)  同(松平忠久紹介)(第七八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月五日  睡眠薬の販売規制等に関する陳情書  (第一六七号)  遺族年金増額に関する陳情書  (第一七二号)  動員学徒犠牲者援護に関する陳情書  (第一七三  号)  同  (第一七四号)  保健所の補助基準額引上げに関する陳情書  (第一七五号)  国民健康保険財政確立に関する陳情書  (第一七六号)  社会福祉促進に関する陳情書  (第一七七号)  社会保障充実に関する陳情書  (第一七八号)  災害救助費国庫補助増額等に関する陳情書  (第二五〇号)  失業対策事業改善に関する陳情書  (第二五一号)  一般職種別賃金引上げ等に関する陳情書  (第二五二号)  社会保険診療報酬改定に伴う保険費等全額国庫  負担に関する陳情書  (第二五三号)  国民健康保険国庫補助増額に関する陳情書  (第二五四号)  同  (第二五五号)  同(第三一五号)  同(第三五一  号)  同(第三五二  号)  同(第三五三号)  同(第三五四号)  国民健康保険等改善に関する陳情書  (第二五六号)  国民年金事務費全額国庫負担に関する陳情書  (第二五七号)  公立病院経営改善等に関する陳情書  (第二五八号)  精神障害者鑑定関係費国庫補助に関する陳情  書(第二五九号)  清掃施設整備費国庫補助増額等に関する陳情書  (第二六〇号)  清掃施設等整備促進に関する陳情書  (第二六一号)  ごみ処理場建設費国庫補助に関する陳情書  (  第二六二号)  簡易水道整備費国庫補助増額に関する陳情書  (第二七五号)  国民健康保険財政強化に関する陳情書  (第二九七号)  国民年金給付引上げ等に関する陳情書  (  第二九八号)  簡易水道国庫補助増額等に関する陳情書  (第三一〇号)  同和対策確立に関する陳情書  (第三五〇号)  社会福祉関係予算増額に関する陳情書  (第三五六号)  福祉年金拡充強化に関する陳情書  (第三五七号)  国民年金事務費増額等に関する陳情書  (第三五  八号)  未帰還問題解決促進に関する陳情書  (第三五九号)  国立明石病院岩屋分院整備拡充に関する陳情  書(第三六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  竹野の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 まず、私の質問する三点だけははっきり申し上げておきたいと思います。一つは、拠出、無拠出によるところの国民年金考え方の問題、それからもう一つは、今度厚生省の方で局を作って大きく発足し、本年から重大な決意を持って実施することになった公害の問題、それから、その中に無水部落を解消する計画があるようですが、この具体的な問題、三つについて伺うことをまず申し上げておきます。  今回私が先にやることになりましたのは、国民年金法の一部を改正する法律案について、当然これは本会議で質問する予定でございましたが、きのうのような問題または前からこれが提案されておったような問題、その他の問題を勘案して、委員会でやることになりました。そういうような関係でこの問題には直接触れませんが、基本的な考え方の若干に触れなければならないと思いますから、大臣におきましてもそういうような点具体的に御答弁願いたい、こういうように思うわけでございます。  まず、私がこの国民年金法の一部を改正する法律案前提条件として大臣に聞きたいことは、基本的な構想として、拠出、無拠出の二木立を永久考え厚生省としてはこれを実施していくのか、または徐々に無拠出に切りかえていく考えがあるのか、このいずれを重点にして今後進めていく考えなのか大臣答弁を伺いたいと思います。
  4. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国民年金の将来の方向という問題でございますが、現在の国民年金法は、御承知のように、拠出年金本則といたしておると考えるのでございます。この拠出年金本則といたしながら、その補完的な意味をもちまして無拠出年金というものが行なわれておると思うのでございます。その原則を今変えるというような考え方はいたしておりません。のみならず、今度御審議をお願いすることになっておりますように、従来、国民年金保険料を免除しておる向きに対しましては年金給付がなされないような仕組みになっておったわけでございますが、今度御審議を願います案によって、これがお認めを願える、つまり保険料を免除しておる向きに対しましても国としては負担すべきものを負担する、その関係において、これらの人たちに対しましても将来年金に関する給付がある程度行なわれる、こういうようなことになりますれば、将来においては、私は、無拠出年金をいたさないで、今のような形においていわゆる拠出年金の方の納付が行なわれるという時期がくることと、かように考えております。
  5. 島本虎三

    島本委員 将来は拠出一本にする構想厚生省基本的な考え方である、こういうように大体了解いたしました。そういたしますと、拠出一本にして、これによって国民生活を絶対安心してでき得るような一つ長期計画なり具体的な方策があるはずですが、この点等について一つはっきりお示し願いたい。
  6. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国民年金給付改善したいという考え方はもちろん持っております。具体的に、いつどの程度に引き上げるかというところまでまだ熟してはおりませんけれども国民年金給付というものを、国民生活向上に伴いまして漸次改善して参りたいというのが、厚生省基本的な考え方であります。
  7. 島本虎三

    島本委員 そこで、私がまずおそれるのは、大臣が今申しましたような拠出制年金基本にして、将来はこれによってやっていくというような考えでございますが、そういたしますと、この将来の構想というものがはっきりでき上がっておらなければならないと思う。今まで老齢年金金額は、一つ基礎算定基準として、四十年間の経済成長率年平均二%と推定した。これは何回も聞いておるところですが、そのうちの資本蓄積の分が〇・五%である。そうしてそれを引いた一・五%で年金が上昇する。薫十二年の生活保護者の一人平均が二千円だったから、四十年間で上昇するこの過程をちゃんと見て、月に三千五百円あれは食べていける、こういうような基礎算定によって設定された金額じゃないかと思っております。おそらくそうだろうと思っております。しかし、この実施をさらに五年間だけ据え置いて、四十年間に料金を納めて、四十五年から実施して、生活保証法の適用を受けておる人と同じだけの給与をしてもらえるのが年金の安心して食える金額である、こういうようなことをすでにはっきり策定してあるわけですから、これで四十五年たっても一人平均三千五百円でどうして食べていけるのかという不安が当然あると思うのですが、この点に対しての不安は大臣ないのですか。
  8. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国民年令計画を立てるにつきましては、被保険者負担能力の点もございましょう、また、国の負担関係もございましょうが、一応現在のごとき形において計画が設定され、それに基づいて実施いたしておるわけでございますけれども国民生活国民経済力向上ということも今後大いに期待すべきことでもございますし、社会経済状況も変化していくことでございますので、私としましては、それに即応いたしまして、年金給付についても改善すべきものは改称していきたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。法律にも、御承知のように、社会事情の変遷に伴いましてこれが改定を予想しておるような条項もあるわけでございます。常に、その事態に対しましては、私ども注意を怠らないで遊んで参りたいと存じております。経済成長計画とか、あるいは所作倍増計画ということを申しておるのでございますが、われわれといたしましても、国民経済生活向上に見合って、年金給付についても今後改善のために鋭意研究を進め、努力していきたいと思っておるわけであります。
  9. 島本虎三

    島本委員 しかし、今ばく然と大臣がそのように言って、改善準備があるし、そういうように考えている、それだけで、どういうふうになったならば何%上げますと、具体的にそれを法案の中に入れるのでなければ、安心して、われわれとしては老後を楽しむことができないと考えるのは当然だと思います。私どもの方としては、今、まじめな灘尾大臣ですから、全面的にあなたを信頼いたします。しかしながら、今後永久に死ぬまで大臣をやっていてくれればけっこうなのですが、そういうわけにいかない場合には、今ここにあなたが断言したことについて、そのまま、はたしてわれわれ信用してお受け取りすることができるかどうかという点、疑問なんです。もしあなたの言うことがほんとうならば、具体的にそう法文の中に入れるべきじゃないか、こういうふうなことをしてもらわないとだめだということと、もう一つは、現在設定された年金額だけではこれは低きに過ぎておりますし、高度経済成長が達成されたあとで、それが一人三千五百円というようなことでは、おそらくは動物的な生活の維持にしかならない可能性が十分ある。私どもの方では、この点について心配することが一つあるのです。三千五百円くらいでは魅力がまずないのじゃないか。魅力がないところには、期待も当然ないのじゃないか。従って、今度四百万人ほど未登録の人が残っているというのは、そういう原因によってここに残るような結果になったのじゃないかと思うことは、だれしもそう考えているのです。今の三千五百円で魅力があるとはあなたも思わないだろうと思いますが、この点についてはっきり条文の中に入れて、国民を安心させる決意がおありですか。
  10. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今の三千五百円が魅力があるかどうかということになりますと、私どもそれほど魅力があるとは思いません。しかし、とにかく年金が出るということは、やはり国民生活を安定させる上におきましては、相当のお役には立つものと考えるわけであります。この三千五百円という金額につきましては、先ほど来申しておりますように、将来だんだんと改善していこうという考えのもとに、いろいろ検討しておるわけでございます。その計画が熟し、その時期がきますれば、もちろん法律にこれを書き改めまして、また御審議を願うという時期もあろうかと私は考えております。
  11. 島本虎三

    島本委員 そこなんです。その時川がきますれば——これは当然なんです。しかしながら、いつどういうふうな状態になって、時期がきたというふうにしてそれを見るのかというような点がわからない以上、これはどこまでが時期なのか。これはやる意思がなければ当然やらないでも済む。こういうような考え方では、やはり国民が安心できないのじゃないかと思うのです。だからその考え方を明確にしておかなければならないと思うのです。何か言葉だけではなしに、決意はわかりましたから、それを具体的に、国民に安心して老後を楽しんでもらうために、そういうふうになった場合にはスライドし、これを改定しますというような、具体的なものを法文の中に入れればいいわけなんです。入れますか入れませんか。(「まかしておいてくれ」と呼ぶ者あり)
  12. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その調査ができ、その準備ができ、その計画ができましたら、もちろん法律改正をお願いするわけであります。
  13. 島本虎三

    島本委員 いつからこの調査を始めて、いつでき上がる見込みですか、くどいようですが、その点一つだけ聞いておきたい。
  14. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いつからと申されましても、明確に申し上げるわけには現在は参りません。いろいろその心持を持って検討を進めておるわけでございます。法律には、御承知のように、この年金額というものは、そのまま未来永久に据え置くというようなことは、恕しておらぬわけであります。社会事情が変わって参りますれば、それに応じてまた考えなければならぬということも予想せられておることであります。そういうこともございますので、われわれとしましては、やはり国民生活の変わっていく状況というふうなものは、常に検討しながら将来に備えていかなくちゃならぬと思うのです。いつということは、私今日はっきり申し上げるわけには参りませんけれども、そう長い先までこのまま据え置いていこうというふうな考え方は持っておりません。
  15. 島本虎三

    島本委員 私としては、この問題についてはほんとうにあなたを信頼し、まかしておいてくれというヤジもありますからまかしたいと思うのです。しかし、もうすでに一〇%も物価は上がって、小売の店頭へ行ってみると完全に上がってしまっている。ちくわやかまぼこなんか弁当のおかずに、値段が高いからと思って興ってきても、中の穴まででかくなっている。こういうふうな状態で、物価の値上がりで二重にも三重にも生活が困っている。それでもまだ上げないで、まかしてくれと言ったって信用できますか。はっきり見ないとだめだと思うのですが、いかがですか。
  16. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この年金のことでございますが、まだ実施早々のことでもございます。また、現実に年金が支給されるというまでには、まだ相当日にちもかかるわけであります。そういうことでありますから、今直ちにどうこうという必要はないと思う。従って、やはり状況の推移というものをよく考え、被保険者負担能力、国の負担力というふうなものを十分勘案いたしまして——やはり今の制度ではもちろん生活保障すると申しましても十分でないことはわかっています。国民年金改善という方向に向かって政府としても誠意を持って努力したい、また、そういう精神国民年金法はできておると私は思うので、できるだけの努力はするということを申し上げるにとどめさしていただきたいと思うのであります。今直ちに法律改正して、この金額を幾ら上げるかというところまでは参っておりません。
  17. 島本虎三

    島本委員 これはやはり早い機会に明文化して、ぴたっとこれを入れておくように考えていただきたい。  もう一つは、大臣を激励しておかなければならないのですが、これは他の方のいろいろな社会保障予算等を見ましても、私どもがはっきり調べたところによっても、ただ昭和三十二年のころに——現在二千円として、最低生活保障ではございませんが、生活保護を受けておる一人分の額を決定した。そのころに、もうすでにイギリスでは、二〇%が総予算の中に社会保障費として組まれておった。西ドイツでも一六%を占めておる。しかしながら、大臣、これは日本で、三十七年度の現在で約一三%くらいだというならば、これはまだまだがんばっても差しつかえないでしょう。これはもっともっととあなたは強くならなければだめだ。おそらく大蔵省に対して、一番腰の強いのは厚生省だと言われるくらいまでいかなければだめだ。口でばかり言ってもだめですから、そのためには社会党は党をあげても応援します。(拍手)  その点が私としては心配な点であったわけですが、大臣にもう一つ伺いたいのです。それは厚生年金国民年金、こういうようないろいろな積立金運用について、皆さんの方ではっきりした考えがおありになっているのではないかと思います。これから社会保障が充実していくと、この方面の考えがまことに市大になってくるわけですが、この基本的な運営に対する考え方を伺います。
  18. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国民年金積立金運用につきましては、御承知のように、この使い道が発表せられておるわけで、それによって御承知をいただきたいと思うのでございます。われわれといたしましては、この資金の性質上、やはり被保険名福祉の増進、国民生活改善向上、こういう方向に向かってこの積立金が使われるように、さような趣旨をもって運用して参りたいと思うのでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 もしそういうような意思がおありでございましたならば、これは特別勘定を設定してやるというお考えの上に立って進められますか。
  20. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この積立金特別勘定にすべしという御議論は、かねがね承っておるところであります。昨年以来、政府におきましても、その趣旨をもちまして関係当局といろいろ相談をいたしておるわけでございますが、いまだに結論を行ないで今日まできておるわけであります。大体から申しますと、使途別明細表というものが現われておりますので、使途につきましてはあまり御心配をかけないで済むのじゃなかろうかと思いますが、特別勘定問題についてはまだ折衝中で、結論を得ていないという状況にあることを申し上げておきます。
  21. 島本虎三

    島本委員 特別勘定にするために現在厚生省がいろいろと努力をされておる、こういうような答弁に了解しておいてよろしゅうございますか。もしそうであるならば、われわれとしても、これに対しては急いで実現するように努力してもらいたいと思う。おそらくは、この考えは、私が大臣に質問する前に大臣の方は知っておられると思うのですが、厚生年金でも国民年金でも、厚生年金の場合は千四十億、国民年金の場合は加入者二千万と見て三百億、こういうふうにして見ましても、その四分の一の三百三十五億円くらいが年金福祉事業団の方に回される、その、ほかは全部財投の方に回される、こういうような状態であって、これが被保険者に対して全面的に満足してもらえるやり方であるということは、だれも考えておらないわけです。従って、この運用審議会、こういうようなものでも、もっともっと強力なものを作って、これがもっと国民の方に還元されるような考え方の上に立ったいろいろの改正をしていくのでなければ、将来、こういう年金に対しての運用の問題で、一つの大きい国民的な要求と申しますか、運動と申しますか、こういうようなものが盛り上がってくるだろう、私はそういうように思っております。あながち私の一つのはだで感ずることだけではありませんから、これはまず忠告しておきたいと思うわけですが、急いで特別勘定にするように一これはもうすべきであろうと私ども思っております。それだけじゃなしに、今度これを融資する場合の対象のワクを、もっともっと民主的に考えてやってあげないといけないと思います。現在のところのような老人福祉の施設だとか、それから医療施設だとか、その他の社会福祉施設、こういう限定の、その他というところがみそだろうと思いますが、これをもう少し広げて、ほんとう年金を支払っている人たちの福利厚生に役立つような、こういうことに遠慮なしにやる必要があるのじゃないか、こういうように思うわけです。たとえば住宅の問題、こういうような条件の悪い人に対する住宅の緩和の問題、こういうような点があろうと思います。この運用の方法も画期的にお考えでしょうか。
  22. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御承知のように、国民年金あるいは厚生年金、こういったふうなものの積立金につきましては、いわゆる還元融資とか特別融資という形においては、二割五分をこれの方面に向けるということになります。これは面接に厚生福祉、住宅、病院、そういった方面に使われる、融資せられるものであります。そのほかに、なお水道とか下水道とか、そういったふうな、いわゆる国民生活に非常に密着した方面に大部分が使われるような仕組みになっておるわけであります。年々積立金がふえるに従いまして、還元融資の額あるいは特別融資の額もふえて参っていることと思うのであります。われわれといたしましては、なるべく一つ趣旨に沿うように、できるだけこの方面のことを多くしたいというつもりでもって今後ともにやって参る気持ではおるわけでございますが、ことしも、昨年に比べますとだいぶ融資の額もふえる、そういう状況になっております。これは年を追うてふえていくことと思います。今の二割五分がいいのかどうかというふうな問題につきましても、われわれの気持としましては、もっともっとふやしたいというような気持でやって参ろう、かように考えておる次第でございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 しかし実際、この総金額を見ましても、二割五分にして三百三十五億程度のもので、そのほか全部がいわゆる財投の方にいってしまっておるということになりますと、将来もっともっと皆さんの方でも真剣に考えてやってもらう、こういうようなことでないといけないと思いますので、この点、強くお願いしておきたいと思います。  それともう一つは、これは大臣にはっきりお伺いしておきたいのですが、この前の十月の十九日に、社会労働委員会で、国民年金法の一部を改正する法律案年金福祉事業団法、通算年金制度を創設するための関係法律の一部を改正する法律案、こういうような法案を審議した際に、大臣も御存じだろうと思いますが、全部で十五の附帯決議がついておるわけであります。この附帯決議について大臣は発言を求めて、趣旨を十分尊重して今後善処いたしますというふうに、はっきり申し述べてあるのです。もしこれを善処してさえもらっておれば、私としては、今までの質問は全面的にしなくてもいいということに相なるわけですが、残念ながら、十月にこれをやって、大臣が明確に、趣旨を十分尊重して善処しますと言っていながら、これははたしてやったのかやらないのか、私としてはまことに残念だと思うのです。この中で、「各年金年金額を大幅に引き上げること。」について善処するとなっておりますが、この点いかがですか。
  24. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 委員会における皆様方の御決議を尊重することは、今さら申し上げるまでもないことであります。当然私としては尊重していかなければなりません。ことに、今申されましたように、御趣旨を尊重して善処するということを申し上げております以上は、その通りにやるべきだと私は考えております。ただ、御決議になりましたものの中に、直ちにやれるものもございますし、また今後大いに研究し、努力して、そうして実現をはかっていかなければならないものもあろうかと思います。直ちにやれるものにつきましては、私はやったつもりでおるわけであります。今後なお検討し、準備をし、調査をいたしまして、その実現の方向に向かうものについては、やはりその形において今善処中でございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 直ちにやれるものはやっていた、こういうことならば、「老齢福祉年金における配偶者所得制限を緩和又は廃止すること。」こうなっていますが、これについてはどういうような配慮をして、善処しましたか。これは皆さんの方には言う必要もないほどおわかりだろうと思うのです。しかしながら、大臣の方にははっきり言っておきますが、今後当然受給資格者である夫婦のものが、七十才をこえてもらうときにこれまた二割五分を引かれて、合計五百円引かれて支給される。この七十才以上の人を全部ピック・アップしてこれだけの人にやっても、財政上、高度成長政策の変更を来たすほどの額じゃ全然ない。刺身のつまほどでしょう。こういうようなものは、やれない部分に入らないと思う。こんなことをやらないでかわいそうと思いませんか。大臣どうですか。
  26. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御指摘の問題につきましては、確かに今回は実現することはできなかったのであります。将来を期しておるわけでございます。
  27. 島本虎三

    島本委員 将来というと、来年の意味ですか十年後の意味ですか。
  28. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 来年もまたこの主張をいたそうと思っております。
  29. 島本虎三

    島本委員 これは来年は大丈夫だということに私ども了解しておいてよろしゅうございますか。
  30. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私一人でできることならば大丈夫なんでございますけれども、相手と相談しなければならぬ要素もございますので、私一人で大丈夫だと申し上げても、これが実況できるというものでもございませんので、私といたしましては、引き続き努力するつもりであります。
  31. 島本虎三

    島本委員 くどいけれども、これ一つだけ。だからさっき私が言ったように、あなたの考え方はいいから、やるのに対して必要ならばわれわれも応援するということで、自民党の人も拍手された。見て下さい、ここに優秀な一騎当千の荒武者ばかりおって、大蔵大臣なんかものにしないほど、十分戦える人がおるわけです。もしあなたが、そういうようにやる意思があって力が不足だということなら、いつでもこっちの方に頼みに来て下さい。おそらく来年やれるという意味に解釈して、私はほこをおさめたいと思いますが、ほぼそう思ってよろしゅうございますか。
  32. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その気持は、何ら別に変わりはないのであります。今回はそこまではようやらなかったということでございます。できるだけ御期待に沿うように一つやって参りたいと存じております。
  33. 島本虎三

    島本委員 そうしますと、第二に「老齢年金、老齢福祉年金の支給開始年齢を引き下げること。」これに対して、やはり大臣も、「その御趣旨を十分尊重いたしまして今後善処したいと存じます。」こういうふうになっていますが、引き下げて提案いたしましたか。
  34. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この御趣旨につきましては、十分私ども検討いたしまして、善処したいということを申し上げておるわけでございます。なかなかそう簡単に結論が出る問題とは私は考えておりません。われわれとしましては、御趣旨を尊重して、十分に検討させていただきたい、かような意味でお答え申し上げておるわけでございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 ちょっとくどいですが、研究させてもらいたいという意味だけが善処ではないのです。善処というのは、ちゃんとこの趣旨を尊重した以上、これを実現させるようにするというのが善処なんだ。研究だけしておいて実現しないなら、善処でないのです。それはやはり、それだけが全部じゃないのですから、皆さんそこを考えて、これはやるならばやりますということを、はっきり言っておいてくれなければ困るのであります。それをやった以上、あなたの答弁に間違いございませんか。研究だけが善処ですか。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 研究した結果いい案ができますれば、これをやるということになるわけであります。問題によって、先ほど申しましたように、直ちにやれるものもありますし、また問題によっては、十分研究した上で、成案を得た上で実行に移すという問題もあろうかと思うのでございます。附帯決議の御趣旨も、必ずしもすぐにこのままやれという、こういう御趣旨じゃなかろうと私は思います。政府としましては、やはり十分研究し、検討をし、その上で具体化していくという立場にあるということを一つ御了承願いたいと思います。
  37. 島本虎三

    島本委員 一つ一つやっていると時間がかかり過ぎますが、一つ大臣にはっきり言っておかないといけないのですが、はっきりこの会議録に載っているのですよ。趣旨を十分尊重して研究すると書いてない。善処するとは、よろしく処するのです。処することは実行することなんです。研究なんというのは、善処するための前提条件なんです。これは前提条件にとどめておいて、善処しましたと言うことは、国民を侮辱する言葉であります。おそらくそういう意味じゃないと思いますから、この点は、十分大臣としても善処するということは来年を期してやりますというかたい決意だと私は思うのです。そういうふうに了解するならばもうやめますが、それはいかがですか。
  38. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 せっかくの皆さんの御決議でございますので、その御決議の御趣旨というものは十分尊重いたしまして、われわれとしましては、今後の策を考えていくわけでございます。この中に、研究していった結果、いい案ができれば直ちに実行に移すべくまた努力するわけであります。研究した結果、なかなか結論が出ないということになりますれば、せっかくの御決議でありましても、政府としてはどうすることもできないということになるわけであります。しかし、私は、委員会の御決議というものの趣旨はあくまでも尊重して、そうして積極的にその問題と取り組んでだんだんとやっていきたい、こういう心持をもってお答え申し上げておるわけでございます。
  39. 島本虎三

    島本委員 私はもう次の方へ移りたいと思いますが、最後に念を押しておきたいと思いますのは、一項目々々々たくさんございますが、おそらくは大臣のことですから、これは全部覚えておられると思います。今言ったのはたった三つしかでない。そのほかに「福祉年金給付制限を緩和すること。」または「保険料年金額給付要件、受給対象等すべての面において社会保障精神に従って改善すること。」それから「右の実現のため大幅な国庫支出を行なうこと。」それから「特に左の事項については可及的すみやかに適切な措置を講ずること。」これは大きいのですが、「1 保険料の免除を受けた場合にも、少なくとも納付した場合と同様の国庫負担を付することとし、保険料免除を受けたものの年金額を引き上げ全期間免除のものにも年金給付すること。」こういうようなことについては三分の一ぐらいでとどめておけという意味ではございませんから、この点を十分含めて、これをやったのだということで満足しておらないで、まだこれは少ないのです。ここなんか、この趣旨に沿っていませんから、十分考えないとだめですよ。それから次には、「年金受給要件に達しない者の実納保険料がその被保険者のものとして確保されるようにすること。」あるいは「各種福祉年金額を大幅に増額すること。」それから「夫婦とも福祉年金をうける場合の減額制度については、これを廃止すること。」なかなかいいことばかり並んでおる。それから「内科疾患に基づく障害に対しても障害年金、障害福祉年金を支給すること。」それから「老齢福祉年金における配偶者所得制限を緩和又は廃止すること。」こういうようなことについては思い切って堂々とやってもらいたいと思いますが、来年出てくる予算を見た上で、はたして善処したかどうか、私としては、この点で十分監視しなければならぬと思う来年と申し上げましたのは、次の機会ということでありますから、この点は大臣も、善処ということは研究調査だけではありませんから、一つそこを十分考えておいていただきたい、こういうふうに思います。これに対しては答弁は要りません。  次に、私は公害の問題について、質問に入ります。防衛庁の人は来ておりますか。——大臣もおりますから、はっきりこれを伺います。  今度厚生省の方では環境衛生局が新たに発足し、この環境衛生局のいろいろな事業が逐次増大してきている次第でございます。この環境衛生局のいろいろな事業を見ましても、予算を見ましても、前年度に比べて相当飛躍的に組まれておることは、なかなか厚生省やるじゃないかと思っております。しかし、その事業の内容を見ますと、まだまだ何かを遠慮し、おそらくは、こんなようなものじゃほんのちゃちにすぎないのではないかと思う程度の事業しかしておりません。この公害防止対策、こういうようなものに対して具体的にことしは何を考えておるのか、これに対する大臣決意をまず先に伺っておきたいと思います。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 公害の問題がだんだんと社会問題的にもなってきたわけでございます。厚生省としても、このままの状態で漫然と見ておるわけには参らない状態になってきたかと思うのでございます。従って、公害の問題につきましては、環境衛生局を中心といたしましていろいろ検討いたしておるところであります。特に大気汚染の問題につきまして目下いろいろ検討を重ね、調査をいたしておるようなわけでございます。来年度におきましても、それに関する若干の予算をちょうだいいたしておるわけであります。積極的にこの問題と取り組んで、なるべく早く結論を得たい、できるなら立法化したい、こういうようなつもりで今検討を続けておるところであります。
  41. 島本虎三

    島本委員 これは大津、十分考えておいてもらいたいのは、おそらくは公害防止対策ということは、これは一つの国の高度経済成長政策が進展していく度合に従って強化されなければならない対策なんです。これはおろそかにできない。しかしながら、この大気汚染だけの研究調査に終始する結果になるのではないかということをおそれるのです。一体公害というものは何と何と何が公害なんですか、これを一つはっきり言ってもらいたい。大気汚染ばかりじゃない。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 もちろん大気汚染ばかりが公害とは考えておりません。騒音というふうな問題もございましょう、それからまた水がよごれるといいますか、河水とか海水の汚濁というような問題もございます。今申しましたような大気の汚染の問題もございましょう。これらにつきましては、ひとり、厚生省だけではなくて、いろいろの面において検討を重ねておるところでございます。厚生省としましても、いずれの問題についても考えておりますが、今重点を置いて調査を進めておりますのは、大気汚染の問題が一番重点を置いている事項だということを率直に申し上げるわけでございます。関係向きとそれぞれ十分連絡もし、協調もいたしまして、この公害問題については、政府としても、もっともっと積極的に取り組んで解決していく問題だ、こういうつもりでやっておるわけであります。
  43. 島本虎三

    島本委員 緒についたばかりのような考え方では、これは私としてはまことに不満なのであります。この公害の対策は、今から十年以上も前に名古屋市で、法律がないものですから直接条例によってこれを規定して、大気の汚染その他水質汚濁の問題、こういうようないろいろな問題を含めて調査されてあるのです。どうにもできなくなって、これがやはりもう法によってやらなければならないような状態に追い込められておることを御存じでしょう。同じように、出てきたこの事業内容を見ましても、大気の汚染についてこれからやっていって、法律一つもまだ通産省との打ち合わせで出てこない、難航している、こういうような状態であっては、おそらくは公害対策は泣いてしまうのじゃないかと思うのです。公害対策を今回やるのは、大臣は、水質汚濁の問題があります。こういうふうに言っておられる。水質汚濁の問題は重要です。第二次産業が発展していくに従って、この問題はどうしても解決しないとだめなのです。御存じのように、この問題ではしり抜けになったような法律ばかりできておって、どうにもできないのです。今度ようやく大気の汚染に手をつけてきた、こういう状態でしょう。しかし、森の石松ではないのですが、忘れているのが一つあるのです。騒音の問題についてどういうふうにする考えですか、これをまず一つ伺います。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 騒音の問題につきましても、もちろんこれは公害の一つでありますので、この問題についてもおろそかにはできないと思います。には、特別の騒音のあるような場合には、それぞれそれに対する防音装置とかなんとか、いろいろな装置を講じておるわけでございますが、厚生省といたしましては、この問題につきましても関心を持ちまして、関係向きともよく連絡いたしまして、できるだけさようなことのないように努力を続けてみたいと考えております。
  45. 島本虎三

    島本委員 今から関係向きと相談してなんていうのは、おそ過ぎるのです。これは事務当局の人と、もう少し大臣、よく相談してみて下さい。この問題については結論が出ているのです。結論が出て、もう調達庁なんかでは、騒音の問題では八十フォン以上のものには今まで補償の対象にして、これが一時間断続何回以上のものはちゃんと補償してあげます。こういうようなところまでいっているのです。ところが、自衛隊になってからは、こういうものは行なわれなくなってきている。こういうような段階において、困っておる人は全部貧乏人ばかりです。こういうようなものをこれからやってみます——飛行機はもう飛んでいるでしょう。あの爆音のために子供がひきつけを起してしまって、どうにもならないような事態が起きているのです。これから研究する段階ではないのです。こういうような公害のうちの一つの騒音に対して、これから研究して足りるのですか。これは事務当局でもいいですから、大臣を補佐してどういう計画があるか、はっきりしてもらいたい。具体的な問題については、あとから調達庁並びに防衛庁の方にお聞きします。
  46. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 これから研究するとか、これから連絡するとかいう問題ではございません。この問題については、厚生省としても十分関心を持っていろいろやっておるところだということを申し上げたわけでございます。ことに調達庁のお話も出ましたが、こういう問題については、もちろんそちらの方で種々苦労をし、善処しておられることでありますので、一そうこういう点について、今後ともよろしくお願いしたいという立場に厚生省は立っておるわけであります。そういうことでございますので、この問題を厚生省関係したことじゃないというふうなことでやるつもりはもちろんございません。厚生省としましては、国民の保健衛生の立場から打出だというふうなことになれば、これに対しましては直接やるなり、あるいはまた、関係向きに対しまして善処を要望するなりやって参りたいというふうに考えておりますが、詳細のことは、なお事務当局から申し上げます。
  47. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 公害の中で騒音の問題でございますが、これはただいま御指摘のように、ジェット機による騒音の問題でございますとか、あるいは建築工事に伴う騒音の問題でございますとか、あるいは交通機関に関する騒音の問題でございますとか、いろいろ健康上聴力に障害を及ぼす、あるいは作業能率に影響を及ぼすというような問題が現実にあるわけでございます。そういった問題につきましては、ある程度医学的にも研究の成果が出ております。また、これを防止する方策についても研究が進んでおるわけでございます。私どもも、この点につきましては十分な関心を時って、その対策に尽力しておるわけでございますが、私どもがさしあたって公害の問題として取り上げて、一番最初に処理をしていきたいという問題として、まず大気汚染の問題を取り上げ、これから解決をして参りたいということを考えておる次第でございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 大気汚染の問題はやるなというのじゃない。やらないとだめなんです。この問題についてあえて私申し上げますと、必要な各都道府県の方がこの調査を先にしております。たとえば北海道の札幌市では、学者を入れてこういうような委員会を作って、これによって道費をつぎ込んで、また市費をつぎ込んで十分調査してしまっているのです。膨大なデータができ上がっています。これから調査しますなんというようなことでは、私としては靴の下からかいているようなあんばいで、なまぬるくてしょうがない。まして、現在もうすでに起きている騒音の問題は、これからまあいろいろと考えていきましょうというような程度のことではほんとうに困る。この点で、もう少し急いですぐにも対処するように、今国会内にこれに対する成案を得るように努力してもらいたい。ことに、対処するということになりますと、防音工事の施行の問題等、重大な問題もございます。こういうようなことに対しては、学校だとか、病院だとか、また保育所だとか、幼稚園だとか、いろいろなこういう工事の場合には、爆音の多いところでは不完全ですから、どうしても高度の建築をしてやらないといけないし、こういうことは国が直接見てやるか、または市の方で何とかするか、こういうふうな問題じゃなかろうかと思うのです。これははっきりした基準をきめて、被害を与えるのはだれなんだ、与える側から与えられる側の方へはっきり橋渡しをしてやるように、これは皆さんの方でもっともっと重大な決意を時ってやってやらぬとだめです。  この建築に対してのいろいろな考えはあると思うのですが、これはあとから防衛庁の方に聞きます。そのほかに、あなたはのんびりしておられるようですが、もうことしに入ってからでも、こういうような例があるのです。これは北海道の千歳に一才になる子供と五才になる子供がおったのですが、一才になる子供がひきつけを起こしている。それで入院して、医者がどうしてもこれはひきつけだということでやっていたら、偶然その上を飛行機が飛んだ。ところが、その医者がこれはひどいなと思った瞬間、五才になる女の子が走っていって、ひきつけを起こした子供の耳を直接ふさいでやっているのです。そして何でもない、何でもないと言いながらやっているのです。こういうことが現に起こって、そういうような子供が入院しておるのが現実としてあるのですよ。これからの実施の問題じゃないのです。こういうような問題も十分考えて、この補償の問題、移転の問題、いろいろな問題について早く対策を練ってやらないと、これはとんでもないことになる。今のような事態がはっきり起こっておって、これが社会問題化しておりますが、この問題についてあなたはどういうように考えておりますか。
  49. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 御指摘のように、公等の激しい都市あるいは府県におきましては、条例、委員会等の組織、制度を設けまして対策を講じ、あるいはある程度の規制を行なっておるということも承知いたしております。また、そこで研究いたしましたデータ等も私どもの手元にございます。また、それらの地区からの意見を再三にわたって聴取いたしまして、現実に問題の検討に当たっておるわけでございまして、私どもは、むしろ被害の状況をこれから調査するということではなくて、被害に対する現実の対策、具体的な防止の方策をどのようにしていったらよろしいかという段階で検討を進め、努力をいたしておるような次第でございます。今後、御指摘のような点も十分考えまして、この対策の前進に努力をして参りたいと思います。
  50. 島本虎三

    島本委員 具体的に問題がございますから、この点、漸進的にと言わないで、急速に対策を練るように努力してもらいます。大臣もこれは聞いておいていただきますが、調達庁の沼尻さん来ておられると思います。私の方としては、今のような状態でいろいろな問題が起きていますが、このような騒音のためにどうにもできないような生活をしなければならない国民のために、学校、病院、保育所、幼稚園、こういうようなものに対して、はっきりした防音施設を施してやるような準備が現在のところとられておるのかどうか。それと同時に、騒音の基準の設定というようなことを具体的にして、そこまでいったならばこらしていますというような具体的な対策をお持ちだったならばこの点をお示し願いたいことと、この通路というのですか、走路というのですか、飛行機のすぐ下になる家です。これは何という言葉かわかりませんが、そういうように、すぐいつも音の被害を受けているような人たち、こういう人の移転希望者があった場合には、これに対してどのような——滑走路の延長ですね、その下にいる人にどういうような措置をしてやっておったのか、それから消音施設に対しては、どういうふうに今まで考えて指導しておったのか、エンジンのテストの場所、時間、こういうようなのをはっきりして、これも今まで指導しておったのか、また、これにおけるいろいろな被害に対して間違いなく補償しておったのか、この点について一つ具体的にお示し願いたいと思います。
  51. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍の飛行場から発する騒音の点につきましては、私たちとして、対米関係並びに国内関係と二つに分けてこれまでやってきたわけでございますが、対米関係といたしましては、ただいまお話にありましたようなテスト・エンジン、それによって発する音が非常に強い、付近住民にいろいろ迷惑をかけているというような点から、このテスト・エンジンを行なう時期は深夜にはやらないとか、あるいは早朝にはやってもらって困るとか、また、やる場合においてもこの音を消す方法、そういうことを検討してほしいというようなことで、合同委員会のもとに騒音防止対策委員会というようなものが日米間で設けられておりまして、そこでいかにしてそういう音を消す問題とか、あるいは早朝とか深夜にはテスト・エンジンをしない、そういうことの話し合いがなされまして、そういう点が相当部分実施に移されております。また、音を消す問題につきましては、米軍としても、現在本国の方からそういう装置を取り寄せておりまして、近いうちにそういう装置が日本に着く。そうしましたら、それによって効果が上がるようでしたらそれを全国の基地にも及ぼしたいというふうなことになっております。また、飛行機の進入方向、これもあまり住宅街や何かの上は飛ばないようにというような点についても、米側にそういう点の考慮も促しておるわけでございますが、現地交渉等で、なるべくは人家の少ないところを飛ぶというような点、そういう点もいろいろ交渉しておるわけでございます。  また、国内的には、この音によって一番強い影響を受けるところの学校教育施設等につきましては、御承知のように、学校に対しましては防音装置というものを施して、従来相当数やってきたわけでございますが、今後も継続して学校の防音工事は実施に移したい。当初においては、木造に防音装置を施すというような方法でやって参りましたが、最近は、その防音効果等の面から学校を鉄筋化して、そして防音装置をするというような線を相当やっております。また、病院等についても、そういうことがやれるようになっておるわけでございまして、まだ病院の数は非常に少うございますが、ある程度はやっております。現在のところは、何せ学校に対する地方からの要望が非常に強うございますので、学校防音に全力を注いでおるわけでございます。  また、お話にございましたような学校、病院以外においても、保育所、公民館、図書館等にも防音装置というようなことが問題になっております。現在、そういう基地周辺対策をいかに円滑にするかというようなことで、内閣に周辺対策協議会というようなものが設けられておりまして、ここでいろいろ御検討願っておりますが、現在のところ学校に対する要望が非常に強うございまして、その対象校も非常に数が多い現状でございますので、現在においては、学校中心に力を注いでおるというのが現況でございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 今まではそれでよろしゅうございましょう。しかしながら、これからもそれでいいということにはならないはずです。それで、学校に重点を置いておっても、病院、それから保育所、幼稚園その他公共の施設、こういうようなところに対しては、これは完全に施設してやらないといけない。ただ私が一つ聞きたいのは、今までのはそれでいいとしても、今までと同じようなことをしても、F86Fジェット戦闘機、こういうような騒音を対象にして今までいたわけですから、今後来るF86Dジェット戦闘機、こういうようなことになったり、そのほか全天候機、こういうような飛行機の場合には、今までの概念では全然防音装置はだめだということになっておって、今のところではこれに対する対策はないかのように聞いているのです。今までと同じことをやったならば、今までの飛行機だけならいいのです。これから入ってくる飛行機に対しての対策は何か考えておりますか。
  53. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 最近、音の問題が非常に社会問題になりつつありますのは、やはりジェット機というような新しい航空機種ができてから特に問題になっておるわけでございますが、このジェット機の問題は、米軍基地ばかりでなく、自衛隊飛地、あるいはまた民間航空においても、このジェット機というようなのは、やがてはそういう時代に入るでございましょうし、そういう一般的な問題としても、これは検討しなければならない問題であると存じます。そういう点から、私たちとしては、米軍基地に関します限り、将来航空機種によっていろいろそれがまた変わってくる。現在、私たちの基準としては、学校につきましては、八十フォン以上には、一時間に何回頻度がある場合にはこうするとか、あるいはそれよりさらに音が高い、あるいは頻度が強い場合には鉄筋コンクリートにするとか、そういう基準を設けてやっておるわけでございまして、航空機種が変わって、こういう点が、学校の防音装置を施さなければならない対象校が、現在考えているよりもさらにふえるというような問題に将来なっていくというようなことも考えられるわけでございまして、現在のところは、そういう八十フォン以上、頻度は幾らというようなことで、航空機種のいかんを問わず、そういう基準でやっておるわけでございます。
  54. 島本虎三

    島本委員 それは現在のところわかります。現在のところはいいんですけれども、現在の状態でもまだ約五億くらい、若干の予算しかついていないので、完全にその防音装置ができ得ない状態です。でき得ない状態でもまだやらなければならないところがたくさんあるのです。ところが、今度RA3というような高級の防音装置、こういうような高級の防音装置でも、今度来る新機種のジェット機の音には全然対抗できなくて、それを施してもだめだ、こういわれている。それは御存じだと思うのです。それに対する対策は、何かあるかというのです。
  55. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 将来のことは別といたしまして、私たちとしては、現在使用されている航空機種を標準にして定めております。
  56. 島本虎三

    島本委員 F86Dジェット戦闘機、これによると、具体的にこのRA3というような防音装置でも、 これは全部、音に対してはその音を消すことができない。ことに授業中の生徒は、うしろの方から先生が大きな声で号令するのを、かすかにしか聞こえない。上を飛んでいる間は全然授業にはならない、こういうふうにいわれておるわけです。そういうようなところでも、まだこういう施設をやっていないところがほとんどなんです。これからやっても、飛行機の方が先に高い音を——全天候機なんかひどい音だそうですが、こういうような音で、おそらく勉強もできないような状態にしておく、その対策がまだないのじゃないか。これは住民には大きい一つの被害なんです。こういうような場合には、飛ばさないことに越したことはない。しかし、飛ぶ以上、それに対してはっきりした措置をしてやらないといけないのです。現在のものでも不完全、将来来るものに対してもお手上げ、こういうような状態でもいいのか。どうなんです。厚生大臣。こういうような状態なんです。これはもしなかったならば、大臣として防衛庁長官にはっきりした態度をとってもらわないと、国民に対する公害という大きい被害の問題ですから、これは大臣、がんばってもらわないといけないと思うのです。いかがです。
  57. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 現在F102が板付とその他の飛行場にもございますが、将来、この現在の鉄筋コンクリートでF102等に対しては十分耐え得るわけでございまして、また将来かりにF104というものが使用される場合においても、この現在の鉄筋コンクリートの建物で十分対処し得るというふうに私は承知いたしております。また、この学校防音装置につきましては、過去三十五年度までにすでに百九十校、あるいは鉄筋か、あるいは木造のままでの防音装置を施すというようなことをやっており、三十六年度においても約四十校、今後さらにこの防音装置を施さなければならない対象校と私たちが考えておりますのが、さらに二百数十校ございます。これらにつきましては、私たちとしては、国の財政の許す限りすみやかにやりたいというふうなことで、鉄筋化につきましては今後五年でそういう措置を終わりたいというふうな、五年計画というようなことを立てまして、そういう目標で現在進めております。
  58. 島本虎三

    島本委員 その問題については、将来の問題は将来の問題、そしてこれに対して早く対処しなければなりませんが、現在必要なこういう施設さえもしていないような現状の中で、防衛庁の藤枝長官が、はっきり住民との間で、それに対しては、大臣ではありませんが善処いたしますというような約束があるのですが、この約束さえも現在実施されないような状況にあるのが方々の基地なんです。おそらくどこに行っても、これは善処いたしますという答弁だけはあるそうです。私どもが会った人に聞くと、必ず、その問題については、消音の装置については完全にして、その補償は、私はよくわかりましたから帰って善処いたしますと言っているそうです。ところが、そのあと全然何もないのだそうです。これでは困る。鉄筋住宅ばかりならいい、木造の住宅だってある。木造の住宅だったらお手上げでしょう。こういうような問題に対しても具体的にどうするのだということをやらないと、現在の状態では、おそらく鉄筋でさえもだめだと思うんですけれども、木造の場合には移転なんかも当然伴うだろう。移転をさせなければ、それを全面的に音がしないような厚い、何かの方法によって、コンクリートででもこれは作ってやるようにしなければだめだ。善処しますと言う以上、やるべきでしょう。五億や今度二十億や、これくらいの予算くらいで済むなんて甘っちょろい考えではだめなんです。もっともっとこの問題に対しては具体的にやらないといけないと思うんですが、おそらくは今後五年以内に完全にこれはやってしまえるということですか、五年かかって何かある程度のことだけやるという計画ですか。この被害者全体に対しては、五年以内に全部完全な対策を立てますということですか、いずれですか。
  59. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいま五年と申しましたのは、学校防音の対象校が非常に多いわけでございまして、一年、二年で全部を処理するということは財政上できませんので、これを五年計画で、学校防音というのを現在考えておるということでございます。また、先ほど御質問ございました飛行場の進入表面下にあって非常に騒音の度合いが激し過ぎるというような個所につきましては、たとえば厚木飛行場、そういうところにおきましては、そういう進入下に住む住民に対しまして集団移転、他に移転してもらう。そしてこれはむろん調達庁として適正な補償を払って住居等を移転してもらうというような、私たち集団移転というようなことで申しておりますが、そういうことも考えて従来も実施してきましたが、将来もそういう点を考えなければならないというふうに考えております。
  60. 島本虎三

    島本委員 これは米軍機だけじゃないのです。結局これは自衛隊の方もそうなんです。今のようにジェット機は、米軍機の場合にはそういう補償をすると同じように、今度自衛隊が使っているものに対してはどういうようになっているのですか、これもはっきり伺います。
  61. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 自衛隊機につきましても、ただいま仰せになりましたように、問題は全く同じでございまして、米軍機と同じように対策を考えております。ただいま調達庁の方から御説明がありましたように、まず、とりあえず学校、病院というようなものから始めまして、逐次その他の方策に移っていきたい、こういうように考えております。
  62. 島本虎三

    島本委員 それじゃもう一つ伺いますが、厚生省の方では一つの公害に対して具体的な行き方をしてやっておりますが、どっちかというと、大臣はなかなか、なんですけれども厚生省はえてして少し着実型なんですか。それに対して皆さんの方が先制攻撃をかけて、これはこうなんだからといっても効果が求められない。これはあなたの方で直接、こういうような被害に対してどうすればいいのかという公害の一つの対策として、厚生大臣と十分打ち合わせの上で、こういうことのないようにこれから善処していかなければならないと思うのです。おそらく今までのような騒音基準の設定、こういうようなものは米軍が今までやったのと同じものを使用する、その認定でこれはいいとしても、移転希望者に対しては、今度は米軍の方で扱わない場合には、自衛隊の方で当然やらなければいけないと思うのです。そのほかにエンジンのテストの場所、おそらく大てい朝の、夜明けのころをねらうようですが、その辺の近所の人の話によると、いても立っても寝てもいられないのだそうです。おそらくそれをやっていると、生きていることが不思議に思われるほど、からだにはあらゆる意味の被害を受けるそうです。これをただがまんしていなければならないというほど、厚生省、間の抜けた話はないですよ。大臣、こういうようなことに対して、もっともっと先に手を打っておかなければいけない。防衛庁の方だからといってだまっていても、今度は自衛隊の方になっているのです。自衛隊の場合には、同じ国内問題として、あなたと藤枝さんと話し合いの上で、はっきりした対策を練らなければならないような状態になってきている。これは大臣、もう一回がんばって、もしあなたで足りなければこっちの方に荒武者がたくさんおりますから、幾らでも御応援申し上げたいと思うのですが、もう少し防衛庁の方でもこの問題について大臣とよく御相談の上で、厚生大臣とも相談して、早くこういうような措置をして、音に対する被害をなくするようにしてもらいたい。子供に対するひきつけ、こういうようなものが具体的に起こっておりますから、こういうような問題に対しては早く善処して、これに対する特別立法なり、いろいろな考えがあるはずですから、こういうような点は、皆さんも真剣になって取っ組んでもらいたいと思うのです。大臣、いかがですか。これに対する両方からの御意見を伺います。
  63. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまいろいろお話を伺っておりまして、非常に真剣にこの問題について御心配いただいておることを私ども傾聴いたしましたが、この公害問題、特に今お話しのありました騒音の問題と申しますか、この問題につきましては十分防衛庁とも連絡をいたしまして、お互いに国民生活をもっと安らかにするように努力いたしたいと思います。
  64. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいま厚生大臣から御答弁がございましたように、今後とも関係省と協議をいたしまして、十分な対策を講じていきたいと思っております。先ほど調達庁の方から御説明がございましたように、基地等周辺問題対策協議会というものが今内閣に設けられておりまして、なお、関係各省大臣をもって基地対策の閣僚懇談会というものがありますので、そういうところでせっかく重要な取りきめをいただいて、実行に移らしていきたいと思っております。  なお、御参考までに、防衛庁で来年度ということを総合対策として考えておるかということを若干御説明申し上げますと、教育施設、医療施設の防音対策の補助金として、来年度十四億三千百万の予算を要求いたしております。そのほかに、先ほどのお話の出ました移動式あるいは固定式の防音施設、サイレンサー、そういうものに二億七百万の要求をいたしております。これは、この種の予算としては過去に例を見なかった程度の規模のものでございまして、今後ともこういう方面にもっともっと力を注いでいきたいというふうに考えております。
  65. 中野四郎

    中野委員長 関連事項について発言の申し出があります。これを許します。河野正君。
  66. 河野正

    ○河野(正)委員 ただいままで島本委員からせっかく熱心な御論議が行なわれたのでございますけれども、そういう質問に対しまする政府当局の答弁では、私どもは満足できぬというふうに考えるわけです。と申し上げますのは、なるほど政府当局はもっともらしい御答弁でございますけれども、たとえば、騒音対策一つを取り上げてみましても明らかでございますように、先ほど沼尻不動産部長の発言によりますると、F104についてはこうだ、こういう意思の御表明がございました。ところが、御承知のように、現在の騒音対策だけでは、大体消音度というものは三十フォン程度だ、こういうふうにいわれておるわけです。そういたしますと、今後飛行機の機種がどんどん進歩いたしますと、少なくとも現段階におきましては、機種の進歩とともにこの騒音の度合いというものが高まる。少なくとも現段階においてはそれが常識でございます。そういたしますと、今のような調達庁あるいは防衛庁の認識では、この問題は解決することはできぬと思う。  関連でございますから、私はいろいろ追及する資料はたくさん持っておりますけれども、そういう認識でやっていただかぬと、この問題の騒音に対する解決はできぬということ。それからさらには、あまりにも騒音対策にとらわれておりますけれども、それだけでこの問題を解決するという御認識でおりますと、これはきわめて誤っておる。と申し上げますのは、この問題の飛行機、ジェット機の問題を解決するにあたりましては、騒音と同時に振動対策というものを考慮しなければ、十分な解決というわけには参らぬ。たとえば、音は消しましても強い衝撃を持ってくる、こういうことになりますと、乳牛は乳が出てこぬ、あるいは鶏は卵を生まぬ、あるいは乳児院におきましては子供が驚いて目をさます。そういうことで、この騒音に対しましては、音の対策と同時に振動対策についても十分意を注いでもらわなければならぬ。ところが、後段の対策についてはほとんど対策が行なわれておらぬ。これが現状です。一つこの認識を改めていただきたい。  それから、さっきの沼尻さんの発言の中で非常に気になるのは、それは重大な問題だと思います。特に厚生大臣がおられますから……。と申し上げますのは、今まで教育関係については非常に強い要望があった。そこで文教施設については重点を指向したということでございますけれども、そういたしますならば、これは厚生省は非常に大きな責任があると私は思う。というのは、ジェット機の騒音によって悩まされ、被害をこうむっているのは、何も文教だけではない。たとえば、さっき島本さんから追及されましたように、保育園の問題もございます。あるいは養老院の問題もございます。乳児院の問題もございます。そういう病院や数々の非常に莫大な厚生施設があるわけです。ところが、今までの論議を聞いておりますと、文教施設については非常に強い要望があった、そこに重点を指向したということでありますと、一体厚生省は何しているのだ、厚生省が怠慢であったから厚生施設に対する対策というものがおくれたんではないか、これは厚生省答弁を聞いていると、そういうふうな認識を受ける。そこで、私は、少なくとも今私が申し上げたような認識に立って、今後厚生大臣の格段の努力を願わなければならぬと思う。この問題を解決してもらわなければならぬと思う。  もう一つ申し上げたいのは、なるほど防衛庁の方、厚生省の方からの御意見は、しごくごもっともでございます。善処いたします。ところが、それだけでは善処できぬのですよ。今の特損法によりますと、文教施設とか医療施設にはいろいろ補償できます。ところが、その他の福祉施設については、それは補償できないのですよ。そこで、何ぼ善処いたしますとおっしゃっても、現在の法律ではできぬということです。これは全くごまかしの答弁であって、私どもは了承するわけには参りません。そこで、今私が申し上げましたような万般について、今後万全の施策を遂行するというならば、当然特別立法を御提出になって、そういう法律のもとに解決するということでなければならぬと思う。関連でございますから、私はいろいろ申し上げません。そこで、私が申し上げますようないろいろ不満の意を表明いたしましたが、そういう不満の意思を解決してもらうためには、究極的には特別立法を制定していただくという以外にはないわけでございますが、その点一点、率直に厚生大臣からも、防衛庁からも、調達庁もおられますから、それぞれ率直に承って、私の発言はこれで済むようにお願いをいたしたい。
  67. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 だんだんのお話でございます。私ども努力の足りなかった点もあるいはあるかと思います。また、研究不足の点もあったかと存じます。御注意によりまして、十分そういう点につきましては、私としましてさらによく実情を取り調べまして、従来の不備の点がありましたら、その点については何とか努力いたしまして補うことをやって参りたいと思います。  特別の立法を出すかどうかというようなことにつきましては、十分一つ検討させていただきたいと思います。
  68. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 ただいままでのところ、防衛庁で行なっておりますこういう防音関係の補助金等は、法律に基づかない予算措置で行なっているわけでございます。従いまして、学校、病院だけしかできないというわけのものではございません。ございませんが、先ほど米軍基地について調達庁の方から御説明がございましたように、手が回りかねる、要するに、やりたいのだけれども財政的な裏づけ等の面から考えまして、とてもそこまで手が伸びない、まずとりあえず学校、病院を最重点的に、最優先的にやろうじゃないかということでやっておったわけでございまして、特別の立法がなければできないというわけのものでもございません。その点で、たとえば移転補償のようなものもそうでございますけれども、先般厚木で行なわれました移転補償等につきましても、これは特別の立法ではございませんで、予算措置でやっておるわけでございます。従って、今われわれとしては、特別の立法ももちろん必要ないとは申し上げませんけれども、より以上に、この種の予算をどう獲得していくかということに重点を注いでおる次第でございます。
  69. 河野正

    ○河野(正)委員 今の厚生大臣の御答弁では、私の発言も遠慮しようかと思っておりましたが、どうも防衛庁の発言を聞きますと、黙っておるわけには参らぬ。と申し上げますのは、今まで私がいろいろ申し上げましたが、そういう問題に対して政府当局がどういう態度で臨まれてきたかというと、それは特損法という法の建前をもって臨んでこられた。そこで、今まで文教施設と、厚生施設の中でも医療関係、これだけがやっと行なわれておる。特損法の中では老人ホームあるいは乳児院、そういうような福祉施設は含まれておらぬということで、今まですべてが押えられてきた。そこに特別立法をぜひとも制定しておいてもらいたいという基地関係の強い要望があるわけです。そういたしますと、あなたのように法律に基づかぬで銭この問題だけで解決するのだとおっしゃるなら、今までどうしてそういう御措置をなさらぬのか、全く政府意見は不統一じゃないですか。調達庁では、今まで法律の建前で国民の要望を押えてきた。ところが、今度ここで私どもが責任を追及すると、そうでない。これでは政府の見解が全く不統一じゃないですか。そういうことで今日まで被害を与えて与えっぱなし、非常に大きい被害を与えてきたけれども、それに対する何らの措置がされぬということについては、私は非常に重大な責任があると思うのです。そこでこの点は、調達庁では今まで行政措置について誤っておったかどうか、はっきり御答弁を願いたい。
  70. 木村秀弘

    ○木村(秀)政府委員 多少私の説明が舌足らずで、誤解を受けた面があったと思いますが、御承知のように、特別損失補償法と申しますのは米軍基地関係だけに適用がございますので、自衛隊関係の飛行場等については適用がございません。適用がなくて、それじゃどうしているのか、とこういうことになりますが、これは先ほど申し上げましたように、特損法の適用はないけれども予算措置でもって毎年度国会の御承認を得て、そして防音関係の補助金を支出しておる、こういうことを申し上げたわけです。
  71. 河野正

    ○河野(正)委員 これはあなた、行政官として少し常識を逸脱していると思うのです。私の申し上げるのは、米軍関係においてすら特撮法の建前で厚生施設やら対象には及ばぬという情勢にあるわけです。それにどうして自衛隊関係が及びますか。私は、自衛隊関係に及ぼすためにも、まず特別立法をやって、米軍関係に及ぼすような方策を講じた後においてそういうことをおっしゃるならわかる。ところが、今までの経緯をごらんになっていただけばわかるように、米軍関係が片づかぬで自衛隊関係を片づけるということをおっしゃるなら、言語道断である。(発言する者あり)自民党の諸君がヤジるならば、それは認識不足ですよ。それですから、この問題を抜本的に解決するためには、今申し上げたように法律をきちっと整理していただいて、解決しやすいように、解決できるように、そういう方策をまず確立することが前提条件だというように思うわけです。あなたがそういう認識不足ならこれはいたし方がございません。そこで、大臣がおられますから、一つこの際、厚生大臣政府機関を代表して、今私の申し上げたことに対する卒直な御意見を最後にお漏らし願いたい。
  72. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの問題につきましては、先ほどお答え申しましたように、私どもとしましては、よく検討さしていただきたいと存じております。もし立法の必要があるというなら立法のことも考えなくちゃなりますまい。立法しなくても済むという問題ならその必要もないのでありますが、一つ十分検討さしていただきたい、かようにお答え申し上げておきます。
  73. 島本虎三

    島本委員 今いろいろ答弁を伺いまして、今後の努力を私は期待しなければなりません。それにしても大臣、特にこの点だけは留意しておいていただきたいのです。特別立法にしたというのは長期の災害と同じようなものです。今までこういうような人は何をしたらよいかわからなかった。しかし、これも政治問題として出てきた以上は、あらゆる関係に関連してくるわけです。これはあまり関連が多過ぎてどうにもならない場合には行別立法、災害の場合と同じである。災害の場合は十四から二十も特別立法をしているほどですから、遠慮しないでやっても差しつかえございません。その点よく考えておいて善処してもらいたい。ことに自衛隊の力の関係者に申し上げておきますが、こういうような問題について、自衛隊自体住民に対して高圧迫な態度に出てはいけないということです。一つの例として、北海道の千歳の住民が、この騒音に悩まされて、市の中に特別対策委員会を設けることになったわけです。市長を初め議会も全部入った一つの協議会を持つことにしたわけです。その協議会の中に、被害を与える自衛隊の隊長が、私を入れてくれ、入れないとどうしてもだめだ、こういうようなことになって、結局懇談会になってしまって正式の会議ができない。そのために、市民が自主的に騒音対策促進期成会、こういうようなものを作って、今自主的な運動を展開している状態なんです。騒音を解決しようとする市側のこういう意向に対して自衛隊側が、私が入らなければだめだ、こういうように指摘してその委員会を権威あるものから懇談会にしてしまう、こういうようなやり方が千歳にあったかなかったかよく調べて——こういうようなことはしない方がよい。こういうようなことをするからこそ特別立法の必要が生じてくるのです。皆さんの方もよく調べて、こういうことのないように早く善処してもらいたい。これを私は心からお願いする次第であります。  これで自衛隊関係は終わります。
  74. 中野四郎

  75. 伊藤宗一郎

    ○伊藤(宗)委員 今ちょっと議論がありましたけれども、もう戦後十六年もたちまして、もはや戦後ではないといわれる時代に、日本の政治が一刻も早く戦争の跡始末から脱却して新しい方向に向かうことを念願している一人でございます。従って、あまり戦争の跡始末に重点を置くような現在の政治には非常に不満を持っているのでございます。しかし、あれだけの大きな戦争の跡始末ですから、各界各層が十分納得をするような形でその跡始末を早くしていかなければいけない、そのようにも考えております。またこの点については、灘尾厚生大臣が近来まれに見るこの方面に理解の深い大臣として着々と成果を上げておられることについては非常に敬意を表しております。従って、いろいろとお伺いしたいこともございますが、それは厚生大臣の今後の政治力に信頼いたし、また御期待を申し上げて、ただ一つだけ、最近のこの委員会において取り上げられていない問題について、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。  特に最近国会に請願がたくさん参りますけれども、その中の大きな部分を占めているのが動員学徒の援護の問題でございます。実は私自身も戦争中学生でございまして、この動員学徒の一人ではございました。幸いに被害その他はございませんで、何か利益代表のような形になって悪いのですが、冒頭にも申し上げた通り、やはり各界各層の納得のいくような解決策が一刻も早くとりたい。それから全国民がすべて戦争犠牲者でございましたが、その中でも学徒というのは考えようによってはやはり相当の犠牲者ではなかったかというふうに考えております。最近動員学徒からいろいろな請願がきておりますけれども、その中で、現行の遺家族援護法では、遺族の年金の支給が五年限りで、しかも軍属の半額の給与金が支給されるにとどまっている。また、その他いろいろ支給条件にほかの面との差があるようでございます。これを改称してくれという要望が非常に強いのでございます。また実情の上からも今のままにしておくということは、私も適切ではないと考えております。このような面について厚生大臣が、今年度の予算についても非常に努力をされたことを私自身も認めておりますが、今後動員学徒の援護問題について、厚生省当局を代表いたしまして、大臣がどういうお考えを持っておられるかということを伺いまして、私自身の心がまえともしてみたいと思うのでございます。そのお考えを承っておいてまた質問したいと思います。
  76. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 動員学徒関係につきまして、遺家族援護法を改正する必要があるのではないかという問題につきましては、前の臨時国会でもたしか大原さんから御質問があったと思います。私も、何とかする必要がある、かように考えておる一人でございますが、できることならこの通常国会で御審議を願うように持っていきたいというような心持もいたしておりましたが、予算の際にいろいろ政府部内で話をいたしました結果、今回はこれを見送るというふうなことになりましたのでございます。政府全体でそういうふうなことになりましたので、この通常国会においてこの問題について、法律に取り上げて御審議を願うというところまで運ぶことができなかったのでございますが、私はこの問題につきましては、ことに期限を限られた立法でもありますので、次の通常国会にはぜひとも何とか努力いたしまして、国会で御審議を願えるように持って参りたい、さように今考えておるわけでございますが、今日からまた次の問題として、さらに検討もし、努力もして参りたいと思っております。
  77. 伊藤宗一郎

    ○伊藤(宗)委員 ただいまの厚生大臣の御答弁を聞きまして私も安心をしましたし、またたくさんの動員学徒遺族も安心をしていると思います。多分来年にこの法律が切れるということのようでございますので、本年じゅうにはぜひとも決着をつけなければならぬ。また、ただいまも大臣の御答弁で、次の通常国会にはぜひ出すということでございますから、この問題については、われわれ与党はもちろん、野党の皆さんも十二分に御協力をいただけることだと思いますので、与野党をあげて厚生大臣一つ御激励申し上げたいと思いますから、ただいまの御決意をぜひ貫いていただくように御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  78. 中野四郎

  79. 滝井義高

    滝井委員 実はあまり質問したくない問題でございますけれども、はたから見ておれないので、特にきょうは原生大田に御質問申し上げる次第です。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕  お互いに法治国家に住んでおる。従って、国会を通った法律というものは、これを実施していくというのが、当然政府の国会に対する責任でなければならぬそういう意味で、たとえばわれわれ野党が、反対をして委員さえ送っていない憲法調査会は、着々とその本来の道を歩いておるようでございます。そこでここまで言えば、私はだれでしょうということがおわかりだろうと思いますが、中央社会保険医療協議会です。昨年十一月すでに国会を通っておりますが、まだこれが動かぬですね。一体これはどういう理由で勅かないのか、まずわれわれ野党に明白にしておいてもらいたいと思う。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話の通りに、国会で成立いたしました法律については、好むと好まざるとにかかわらず、これが実施には関係の皆さんの御協力を願いたいと思います。昨年の臨時国会で御審議をわずらわしました中央医療協議会の改組法律でございますが、これが成立はいたしましたけれども、今もって組織をし、再出発をすることが実現しておらない状態であるということは、私も政府といたしましてこの法律実施の責任を打っておるわけでございますので、非常に苦慮いたしておるところでございます。いろいろいきさつはあり、御意見はあろうけれども、ぜひこの医療協の再出発ということについては、関係向きに対しまして御協力をいただきたいと思っておるのでありますが、まだそこまで運んで参りませんということを非常に残念に思っておる次第でございます。法律実施せられました以上は、その成立の経過において不満の点があり、あるいは案そのものについて不満の点がありましても、これについて一つ御協力願いたいという趣旨でもって、いろいろお話をいたしておるところでございますが、今もって解決を見るに至っておらぬのであります。私、責任を感じますし、同時にまたこれに対しまして非常に残念に思っておる次第であります。しかし何と申しましても、最も関係の深い向きの方々の御協力をいただかなければ、この医療協というものを動かして参るわけにいきませんので、根気よくこの問題と取り組みまして、いろいろお話し合いを進めて、御了解をいただいて、そして御協力を願えるように持って参りたいと思いまして、今せっかく努力いたしておるところでございます。なぜそうなるのかということにつきましては、いろいろあろうかと思うのでございますけれども、この前の中央医療協の改組法案につきまして、私の出しました法律案そのものにだいぶ御不満がある、そういうふうなことから問題が起こっておるのであろうと私は思うのでございますけれども、なかなかかたいので実は苦慮いたしておるところでございます。しかし誠意を尽くして、今後多少時間がかかりましても、私は御協力願えるように努力して参りたいと存じております。
  81. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、発足のできない理由というのは、あなたがお出しになった社会保険審議会及び医療協議会法案の提案の内容が不満だったから協力できないという筋がある、こう理解して差しつかえないわけですか。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いろいろあるのかもしれませんけれども、私がお話を伺って考えますのに、やはりこの不満のもとは、前回の臨時国会におきまして、私が社会保障制度審議会の答申の線に沿ってやる、こう申しながら、それをやらなかったじゃないか、違っておるじゃないか、こういうふうな点によほど不満を買う原因があったように思います。
  83. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、答申の線と辿った法案を出した。これは今まで政府が答申の通りにやったためしはないのですね。だから私たちは、答申がどんなことであろうと、それは政府のベースだから、国会は国権の最高の機関であるから、われわれは国会で勝負しましょうということをここで再々言ってきておるわけです。あなたがお出しになった法案についてわれわれが審議をするときには、もちろん一応答申がどうだったという参考資科が法案と一緒についておりますから、読ましていただきます。しかしそれから先は、国民意思を受けて国会が自主的に判断をして法律を作ったわけです。作ったのに、一体お出にならぬところはどこです。どういうところが出ないのですか。出ないからこれが動かないのです。これは一つはっきり明らかにしておいてもらいたい。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まだ話の連中でございます。従ってどこがどうということを申し上げるわけにも参らぬと思います。個々の団体によりまして、あるいは多少気持の上において相違があるところもあるかと思いますが、現在の状態のもとにおきましては、まだどの団体からも参加するというふうな明確な意思表示は受け取っておらないのでございます。一々どの団体がどう、この団体がこうということは、まだはっきり申し上げる段階ではないように私は思います。
  85. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、内閣としては法律ができて施行しても、それをいつまででも放置しておってもいいものなんでしょうか。ほんとうは一体大臣としては何のかんばせあってきょうここにおいでになったと言わなければならぬのです。これは十一月からですから、(「せっかちになるな」と呼ぶ者あり)せっかちにならぬでというけれども、憲法調査会なんかはせっかちにおやりになっている。自分の都合のいいときにはせっかちにおやりになるけれども、自分の都合の悪いときにはせっかちにやらないというのが、多数党の一党独裁の横暴なんです。私がきょうなぜこういうことを言うかというと、先日自民党の方で日経連の代表その他をお呼びになった。ところが、その日経連の代表が発言しておる言葉に、きわめて不謹慎な言葉が新聞その他にちらほら出ている。われわれは自民党に相当の政治献金その他の援助をしているのに、もしそういうことであるならば、国民協会にも加入しないというような発言があったということが新聞に出ておる。そういう何か取引するようなことが行なわれるとしたならば、断じてわれわれは許されぬと思うのです。これはわれわれ社会党はあくまでも責任を追及します。だから、そういうどこかで取引するような形でこの法案がもしやられるとするならば、大へんなことです。与野党一致をして——民社党は幾分反対しましたけれども、一致をして通しておる。従ってこれに参加をしないのは、だれが参加しないかということなんです。国権の最高機関である国会がきめたものに、もし日経連とかあるいは健康保険組合連合会が反対だというならば、そういう人たちは議会主義を認めないものです。今まで民主社会主義だなんといって、われわれは議会主義をとりますと言っておった人たちが、国会で作った法律が気に入らないからといってそれに参加しないと言うならば、これは議会政治を否定するものでしょう。自分たちが都合が悪いときには社会党は議会政治を否定するとかなんとか言って、都合のいいときには否定する。一たび自分たちの都合の悪いことになると、顧みて他を言う、こういうことは許されぬことなんです。しかも保守党を支持すればするほど、ますます保守党は厳然たる態度で臨まなければいかぬのです。だから憲法調査会と同じように、加入しないならば加入しない欠員をあけておやりになったらいい。これは今では憲法調査会と同じ程度に私どもは比重があると思っておるのです。だから参加しない人がおったならば、欠員をあけて発足したらいいのです。どうしてそれが発足できないのですか。カナマイシンのときには新しく任命しておやりになった。緊急是正のときにもおやりになった。今度はこれは両者が意見の一致を見て、そして中央社会保険医療協議会で持ってきて、それが迎えて出てきたってやむを得ぬじゃないですか。今まで政府は答中通りやったためしがありますか。きちっとやったためしがない。みんな政府が都合のいいように変えて出す。今回だって政府は都合のいいように変えて出した。国会が大所高所に立ってそれを修正したのです。だから、無理なことだけれども、きょうは社会党としては灘尾さんに期限をつけますよ。一体いつからこの法律を動かすか、これをはっきりきょうは言ってもらわなければならない。法治国家として、国権の最高機関である国会が法律を作って、しかも内閣がこれを公布したからには、当然責任がありますよ。それをいつかわからないように待ってくれということは、許されないと思う。私は個人的には灘尾さんを尊敬しております。しかし公人滝井義高はそれは許されないと思うのです。だから、この際灘尾さんがほんとうに厚生行政の所信を貫こうとするならば、これをきちっとおやりになる必要がある。だから、これはあなたはいつ発足をさせますか。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題についての御批判は、私はそのまま甘んじて受けなければならぬと思うのであります。この法律の施行の責任は私にあるわけでございます。厚生省にあるわけでございます。別に自民党とは関係ございません。私がこの施行については責任を負っておるわけであります。それが今もってできないということについては、私も非常に残念に存じておるわけでございます。今お話の通りに国会できめられた、しかも社会党さんもきん然として賛成していただいてできた法律でありますだけに、これが実施については私も非常に責任を感じておる。何とか自分の責任としてこの問題を解決して参りたいということで、非常に苦慮いたしておるところでございます。なかなか気持がかたくて、まだゆるんで参らないのでありますけれども、しかし厚生行政の将来のために、また医療行政の前進のためには、やはり関係向きの御協力をいただいて進めていかなければならぬと思いますので、あくまでもお話し合いをいたしまして、十分にお考えもいただいて、そして御協力願えるところに持って参りたいという、その努力をまだ捨てる気にはならないのであります。できるだけ一つ努力をいたしまして、最後は皆さんおそろいでこの協議会に御出席を願って、話し合いがだんだんと進んでいくような姿に持って参りたい、そういう一念で、自分としてもつらいのでありますが、今いろいろ努力をいたしておる最中でございます。いつになればどうということをここで私申し上げることは、今日の段階といたしましてはむずかしいのでございます。しかしとにかくこの種の問題をそういつまでも、一年も二年もほったらかしておくというような結果になっては相済まないことであります。さようなことにならないように、いましばらく時間をおかし願って、私たちに努力をさせていただきたいと思う次第でございます。
  87. 滝井義高

    滝井委員 こういうことは無期限では困るわけです。隠忍自重にもやはり限界があります。憲法調査会のようなものをおやりになっておらなければ、私はこんなことは言いません。あるいは、カナマイシンのときにおやりになっておらなければ言いませんし、あるいは緊急是正のときにおやりになっておらなければ言いませんよ。おやりになったのです。殷鑑遠からず、みずから示したのです。だから、人間というものはやはりはっきりするときにはしなければならぬのです。いつもみそもくそも一緒にしておったのでは困るのです。大臣、一体これが発足をしないために、どういう悪影響が今出ておりますか。発足しないために、日本の医界に起こっておる悪影響はどういうものがありますか。
  88. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 具体的に今どういう悪影響があるかというふうなことになりますと、私が考えておるのがはたして尽くしておるかどうかわかりませんけれども、新しい薬もだんだんとできることでもございますので、この医療協が発足しておれば、そういうふうな問題について御相談をする機会が得られるだろうと思うのでございますけれども、中央においてはそういうふうな事態に対しまして、直ちに対処することができないという問題があろうかと思います。それから地方の医療協につきましては、御承知のように保険医の指定あるいは取り消しというようなことは、地方の医療協に諮問することになっておるわけでございます。この方につきましては、だんだんとそういうふうな問題もあると思いますので、特に地方の医療協につきましては、急いで何とかしなければならぬ事態に迫られつつあるように私も感じているのでありますしその意味におきまして一そう努力をしよう、こういうふうな考え方でおります。
  89. 滝井義高

    滝井委員 一例をあげますと、たとえば滝井義高という一人の医師が死にます。滝井義高は保険医だったとします。そうしますと今大臣の御指摘のように、その滝井義高のむすこが医者になって大学で研究しておったが、おやじが死んだので、その跡に帰ってきて保険医の申請をした。これは直ちに保険医の許可が出てやれることになるわけです。ところが今それがやれない。やれないから、従ってその滝井義高に保険証でかかっておった人たちは困るわけです。どういう措置がとられておるかというと、とにかく請求書だけお出しなさいということで出しておく。これはその出した請求書に対して、基金はお金を支払っておられますか。
  90. 高田浩運

    ○高田政府委員 払っておりません。
  91. 滝井義高

    滝井委員 その通り。払っていないのです。これは保険医でないから払えない。払えないけれども、保険の診療だけはやりなさいと言ってやらしておる。これは人間の命に関する問題です。命に関する問題だからというので、古井厚生大臣は英断をもってカナマイシンをおやりになって、天下の拍手かっさいを受けた。現在そういうものが幾らありますか。そういう地方医療協議会で、現在保険医の登録あるいは新しい申請その他で停滞をしているものが、十一月以来幾ら出てきましたか。
  92. 高田浩運

    ○高田政府委員 私どもの手元にあります数字によりますと、一月二十日現在で、指定の申請が千七百四十一件、そのうち新規が九百十九件、更新等が八百二十二件、こういうことでございます。なおこのうちには医師、歯科医師のほかに薬局が百七十六件あります。そのほかに取り消し処分等が七件ございます。
  93. 滝井義高

    滝井委員 千七百四十一指定の申請が出て、これが停滞しておる。これはその地区の大衆にとっては、国民にとっては、大へんなことなんです。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 しかも医療機関にとっては、診療したものが金を支払ってもらえないわけですから、二カ月、三カ月とたまるわけです。請求書は出しっぱなし、お金はこない、こういう事態はまさに人道問題ですよ。こういう人道問題にまで発展をしておっても——カナマイシンよりさらに重大ですよ。カナマイシンのときには、カナマイシンがなくてもほかの薬がいろいろあるのですから、ぜひカナマイシンでなくてはならないというわけではない。オールマイティではない。ところが一つの地区に医師がいないということは、患者にとっては大へんなことですよ。しかも保険で見てもらえておったのに、来月になって、金がありませんから食っていけませんので、しばらく御遠慮下さいと言われたらそれまでですよ。一番困るのはだれですか。被保険者が困る。日経連が困るわけでも何でもない。保険者が困るわけでも何でもない。困るのは大衆と医師です。従って国会で通った法律が、一体どこに無理があるのかということなんです。聞くところによりますと、三点あがっておるようです。三点のうちの一つは、今大臣の言われたように、大臣のお出しになった法律が気に食わないということが基本的な問題かもしれません。しかし今巷間伝えられておるところを見てみますと、まず第一に、地方医療協議会に指導監督に関することをやらせい、こういうことですね。指導監督というのは、地方医療協議会のようなところで実際にやれるものではないわけです。これは保険局が毎月指導監督を熱心におやりになったらいい。こんなものは何も、医療協議会の八・八・四の委員が実際にはこういうことはできはせぬ。そうするとこれは問題にならぬことでしょう。それから医療担当者の代表に日本病院協会を除外しないように、これを入れなさい。これは医療担当者の八人の側で話し合いをして、入れる入れないをおきめになったらいいので、支払い側がこれにくちばしを入れると、今度は医療担当者の側があの団体を入れるのはいやだと言ったらどうなるのですか。そうするとこれはどうもいわれなきことだ。それともう一つは、地方医療協議会の改組よりも、むしろ優先して臨時医療報酬調査会を成立せい、こういうことなんですね。  これで私は一体法治国家の国民だろうかと思うのです。国会ですでに成立しておるものを動かさずに、これが通ってからこれを動かせなんという方法が一体ありますか。社会党は負けておるけれども、憲法調査会というのは歯を食いしばって、今これをつぶそうとかかっておる。しかし動いておる。動くことはやむを得ない。反対だって何だって、われわれには力がないのだから。だからわれわれが多数をとってストップさせる以外にない。これは運動でやる以外にないのです。だから参加しないなら参加しないままで、動かさなければいかぬのです。それ以外に方法がない。これは何よりも、憲法調査会より、めいめいの人間の命に関する問題ですよ。憲法調査会はストップしたって、命に関係しないですよ。これは命に関係してきておるでしょう。だからわれわれはカナマイシンのときには、町立といえども古井さんのあのやり方については拍手を送ったのです。そんなことを言ってはなんだが、あれは私がずっと前に舘林君にああいう方法があるじゃないかと示唆を与えたことですしそうしますと、大臣、結局この問題の解決は臨時医療報酬調査会にかかっておるような感じもするわけですが、その前に私は大田にちょうど言っておきたいのです。それは医療懇談会をお開きになりましたね。医療懇談会のときに、各界の者がお集まりになって意思の統一ができたと思うのです。そうすると医療懇談会のときに、臨時医療報酬調査会、いわゆる診療報酬のルールを作るという問題については話し合いがなかったのですか。
  94. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いろいろのお話でございますが、最後の医療報酬調査会の問題につきましては、医療懇談会において、特に医療報酬調査会というようなものを作れとか作るなとかいう議論は、全然私の記憶にはございません。あるいは当然のこととしてその議論はなかったのかもしれませんが、格別の議論はなかったように思うのであります。  それから前段のいろいろお尋ねでありますが、私はこの問題につきましては、先ほど申しましたように、中央においてもこれからだんだんとまた薬の問題その他が出てくれば、開かなくてはならぬという事態もあろうかと思いますが、特に一番私が心配しておりますのは、御指摘にもありましたように地方医療協の問題でございます。この地方医療協だけは、少なくともそういつまでも遷延するわけには参らないというふうな考え方に立ちまして、批准いろいろ関係向きともお話し合いをしておるところであります。これはあまり遷延を許さないという考え方のもとに、いろいろ話し合いをしておるということで御了承おきを願いたいと思います。  それから支払者側の諸君が、どういう気持でどうなのかということは、あるいは私個人に対するお考えがあるかもしれません。いろいろな点があると思いますけれども、私はとにかく先ほど申しましたように、またお尋ねもありましたように、国会で成立しました法律実施すべきである。その実施については御不満があろうが、経過について御不平があろうが、これは御協力願いたいという建前でもって、いろいろ協力を、話し合いをしておるわけでございます。それに関連しまして、別にその問題と、医療報酬調査会の問題、その他の問題とは、私は交換条件とかなんとかいう性質のものではない。これは私の考え方をはっきり申し上げるだけのことであります。医療協のあの法律実施するということは、それとは別の問題だ。これはあくまでも法律として成立した以上は実施する。そのためにはぜひ協力してほしいということを申すだけのことであります。  今お話の中にございましたが、この際私の考え方を関連して申し上げてみたいと思うのでございます。地方の医療協の諮問事項の中から、監督指導に関する一項というものが除かれておるわけであります。しかしこれはお話にもありましたように、ここで諮問しようとしまいと、指導監督するのは厚生省であり、また地方のそれぞれの地方庁がやっておるわけであります。この指導監督につきましては、指導すべきものは指導し、監督すべきものは監督し、大事な医療費を使う問題でございますので、これはどこまでも公正に、適正に指導し、また監督していかなければならぬ。これは当然のことであります。医療協の諮問事項であろうとなかろうと、厚生省としましては、もし現在指導監督が行き過ぎであるならば、これは是正しなければならぬ。もし足らぬということであれば、もっとしっかりやらなければならぬということは当然のことでありますので、地方を督励いたしまして、指導監督にあやまちなきを期して参りたいという考えを時っておるわけであります。  それからまた病院協会の問題にお触れになりましたが、この問題についてはいろいろ過去においていきさつがありましたことは、滝井さんも十分御承知の問題であろうと思うのであります。私はしかし今回の問題につきまして支払者側の皆さんに申し上げておりますことは、この新しい医療協に病院を代表すると申しますか、組織診療を代表すると申しますか、そういうふうな委員が入っていただかなければならぬということは明らかなことだと思います。甲乙二表が現に実施せられておる。あるいは病院診療の診療費というものも相当大きな部分を占めておるわけであります。こういうふうな向きを代表する委員が、このメンバーの中に参加しておらなくてはならぬということは、はっきりいたしておると思います。支払者側の諸君の御意向というものは、私どもにはよくわかり過ぎるほどわかっております。しかし今この病院協会を入れるとか入れぬとかいうふうな問題は、これは療養担当者側ともよく御相談をしまして、そして皆さんの納得のいくような形において、病院を代表する委員をとにかく入れるという考え方のもとにやって参りたいというふうに実は思っておるわけでございます。従いまして支払者側の御希望なり御意向なんかよくわかっておりますけれども、それによって今直ちにどうしようとかこうしようとか、これを条件にしようということではなくて、委員会の性質上、病院を代表する人を入れるということだけは、はっきり申し上げられますけれども、あとはわれわれと療養担当君側の内部の事情もございましょうから、そういうふうな向きともよくお話し合いをしまして、できることならこういう機会に、今までの、何か療養担当者側の内部において対立しておるとかなにしておるとかいうような姿でなくて、そしてみんな気持よく医療協議会に参加するようにあってほしいという考え方のもとにやっておるのだというふうなことを、支払者側の諸君にも申し上げておるところであります。しかしこれをもって取引の条件にしようというような心持は私には毛頭ございませんし、おそらく向こうさんにもないことだと想像するのであります。しかし何にいたしましても、今もって出発し得ないということは、私にとりましては、皆さん方に対しましても非常に相済まぬと思っています。また私自身も非常に残念に存じているところでありますが、しかしこの医療協議会というふうなものが円満に行なわれるということでないと、医療行政の進展をはかっていきます上におきましても非常に支障を来たす問題でございますので、できるだけしんぼうしまして、そして何とか早く御理解を願って、きん然御協力を願えるようなところまで持っていきたいというようなつもりで、今せっかくやっておるわけであります。特に地方医療協の問題につきましては、繰り返して申し上げるようでありますが、切実な問題がございますので、これにつきましては特に支払者側ともよく話し合いをしまして、何とか早急に厚生省としての態度を明確にしたいと考えております。
  95. 滝井義高

    滝井委員 地方医療協議会も中央のそれぞれの団体と無関係ではないわけです。これは御存じの通り、系統的に中央から地方に連なっておりますから、保険者だって、被保険者だって、療養担当者、みんなつながっておりますから、やはり中央の問題が片づかないと、地方でなかなかうまくいかない。というのは、地方の民生部長で、私のところは実は準備ができました、やりたいと言っておるところがある。あるけれども、まさか厚生省がそれをやるなとは言ってはいないと思いますけれども厚生省に工合が悪いからと言っておりますよ。中央が発足しないのに私たちのところだけやったのでは、保険局ににらまれますから、こうおっしゃっておる。だから、これは大脳がきちっといかぬと、末梢神経はなかなか動かぬわけです。そこでこの一番早い解決の方法は、やはり大臣が腹をきめることです。そして医療協議会を発足させることです。遅疑逡巡する必要はない。発足させることです。発足させれば、これはカナマイシンにしても、あるいはその前のときにしても、医師会が何か言っておったけれども、おさまったと同じです。これは今度逆療法です。それをやる以外にない。そうするとどうなるかというと、今度は医療報酬調査会提案反対と言っておる方がまずおさまる。一つおさめなければいかぬ、二つとも今いきり立っておりますから、どっちか一つをおさめる方法は、発足させれば一つはおさまる。そうしたらおもむろに今度は一つと話したらいい。これ以外にないです。これが最高の方法です。  その次の方法は何があるかというと、医療懇談会を開くことです。もう一ぺん。これは必ずしもうまくいくかどうかわかりませんが、医療懇談会を開いてフリー・トーキングをもう一ぺんやるのです。このために作ったのですから、和解の局所ですから、そこにあらためてもう一ぺん集まってもらって、和解の場所でもう一回けんかをやってみる、ディスカッション、フリー・トーキングをやってみる。これで意思の疎通ができればあなたは法律をお出しになればいい、こういう方法が一つあります。  もう一つ方法があるのです。それは、すでにできた法律はいかんともしがたいわけです。従って問題は、臨時医療報酬調査会です。そこでこの医療報酬調査会というものを一体どういう工合に出してくるかということです。当面われわれが今の日本で一番必要なものは一体何なのかというと、診療報酬を作るということの前にもう一つ必要なものがある。それは日本の医療経済の実態を把握するということです。これが把握されてない。これを把握することなくてルールも何もできやしないです。ところで、これは昨年厚生省は多分三千万円くらいで医療経済の実態調査をやる予算を組んだけれども、医師会等の反対で流れてしまった。これをもう一ぺんやることです。そして病院、診療所の実態、保険者の実態、被保険者の実態、これを調査するわけです。そしてまず調査の機関をお作りになる第一前提として、そのできた調査のものを臨時医療報酬調査会と同じ役割を今度は医療協議会におさせになったらいい。調査機関だけをお作りになって、徹底的に調査をして、来たデーターをきちっとまとめて、これを医療協議会に提示するわけです。これで一つあなた方がルールを作ってくれ、調査はわれわれがやりました——これだけで一歩も二歩も前進です。そうするとこれは顔とかなんとかいうとやくざのようになりますが、灘尾さんの顔も立ち、被保険者の顔も、担当者の顔も立つ。これならば文句は言わない。今やろうとすれば、この三つしかない。  いかにあなたが今の段階であの答申に出たものを——われわれはちょっと曲げておると思いますが、それを出そうとしても、そんなものが国会へ出てきたら、社会党はあれは答申と違いますから、反対します。そうしますとこれは通らぬようになってしまう。それならばこの二つというものはいわば対で出ている。これは和解の案ですよ。和解の案が一方で出て、他方で出してないところに支払い側の文句があるわけですから、やはり対で出てこなければいかぬ。対で出すためには出すような方法を講ずるより方法がない。そうすると今言ったように、一つは思い切って勇断をもって発足をさせる。今両方がいきり立っておるのですから、あなたが宮本武蔵みたいに両刀使いなら両方切り落とすことができるけれども、今は両方強いですから、そうはいかぬ。宮本武蔵に匹敵するくらい一方の担当君側も、日経連も強いから、この両方を手玉にとるのはなかなか問題です。自民党も問題だし、灘尾さんもわれわれが見ておっても問題ですよ。だからまず一つの方法として、一方にすわっておってもらわなければならぬ。あなた方立ってきちゃいかぬ、すわっておってもらわなければならぬ、こういう形がやはり必要です。この三つしか方法がない。とにかく今までの通りあなたの基本方針を強行しようとしても、これはとても無理です。だからそれを強行しようとすれば、医療懇談会で一ぺん荒ごなしをする以外に方法はない。ところが問題は、ここに出てくるかどうかという問題があります。しかしこれをやることも一つの方法だと思います。そうでなければ今言ったように、調査会にかわる実態調査をやる委員会をお作りになる。これは日本の医療にとっては一つの大前進ですよ。日本の医療の実態がわからぬところにやみくもに議論が行なわれるから、保険者も健康保険組合の財産が五千億あるのだ、医師会は相当の財産を持っているということをこの前も言われておった。こういうことは国民の前に明らかにする必要がある。これはお互いが委員を出して、実態調査をして、健保連の財産はこんなになかったということがはっきりすれば、折り合いが出てくる。医師が非常にもうけていると言っているし、一方ではもうけてないと言っている。もうけておるかおらぬか、実態調査をしてみたらいい。保険名はどのくらいの負担能力があるか、その上に立って実態調査がきちっと出たら、今度は診療報酬のルールができるかできないか。これはすでに各方面から見てもそんなものはなかなかできない。散髪屋さんの技術をきめる報酬さえもなかなか議論が多くてよう出ない。散髪屋さんよりもっと複雑な医師、歯科医師の技術料というものは、すでにあの優秀な——あえて優秀と申しますが、優秀な曽田さんが心魂を打ち込んで作った医療費体系でも、われわれとの理論闘争で理論的にやり合ったところでは、いかんともしがたかった。そういうことがあるわけですから、ここらあたりで大臣は、この機会にあなたの基本方針をきちっと明らかにしてもらう必要がある。そしてこういう方法でやってみよう——私がいろいろ考えてみたけれども、こういう三つくらいしかないだろう。だからここでもうちょっと、わしにまかせてくれ、わしにまかせてくれでは困るので、自分はこういう方法で打開するから、一つ国会は自分を全面的に応援してくれないかという積極性が厚生行政にないと困る。そういうあれがないと、厚生行政はいつもそれぞれの関係団体に引き回されて、おのれの進む方向がわからない。時計でも左、右にゆれていますよ。左、右にゆれていますけれども、心棒は必ず前進していますよ。これでなくてはならぬですよ。そういう意味で、あなたは、こういう方向でいくのだということを国会に示して、これを与野党どうですという、これだけの胸襟を開いたフェア・プレーがない。これをやらなければいかぬが、何かしんねりむっつりとあちこち話して、ついにどうにもならぬで、七人の人にまかせた。自民党に関係ないと言うけれども、七人にまかせた。臨時医療報酬調査会にまかせたというようなことが新聞に出ておるが、そんなことではいかぬ。国会で法律はやったことですから、こんなことではいかぬ。だから、堂々とあなたの所信を披瀝して、これで一ついくということを明らかにしていただきたいと思います。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 だんだんのお話でございますが、現在の状態のもとに直ちに地方医療協を発足したらどうかというお考えでございますが、発足したいのはやまやまでございますけれども、しかしやはり医療協を構成する要素といたしまして、今参加を渋っておられる皆さん方を除外し、そうして医療協を構成するということは、よほど考えなければならぬ問題だと私は思います。その意味において、できることなら、私どもはさらに努力を重ねまして、御協力を願える方向に向かってやって参りたいというふうな考え方が、現段階の私の考え方でございます。今直ちに発足するということは、また非常な無理を伴うことになり、将来ともに困った事態を起こすというふうにも私は考えますので、直ちにあすからでも発足するというふうなことには、まだ私は決意するに至っておりません。もっと努力を重ねてみたい、かように考えておる次第であります。  それからまた懇談会のお話もございます。実は私も今考えてみまして非常に残念に思うのでありますけれども、昨年の夏にやりましたこの懇談会は、かなりいい雰囲気を盛り上げてきたように思っておったのであります。あれをこの調子でだんだんと進むことができれば、いろいろな問題を解決する上から申しましても非常に助かる、こういうような気持でおりましたが、その後の医療費値上げの問題につきまして医療協を開きました当時から、この空気が実は遺憾ながらこわれてしまったというような気持がいたすのであります。その後引き続いて今のような状況でございますので、今直ちに懇談会を開くということも、なかなか実効を上げることにおいて困難があるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。これは率直に申し上げたのでありますが、そういう空気だというふうに私は思うのでございます。  実態調査の問題は、ちょうど懇談会におきましては、これは私は一つの収穫であったのではなかろうかと思うくらい話し合いができまして、関係の者とお互いによく相談をいたしまして、そうして実態調査をやろうかというようなところまできたわけであります。その意味の了解もついたわけでございますが、これも現在のこの空気のもとでは、お互いに寄り合って、実態調査の話し合いをするというふうなこともなかなかむずかしいような事態にあるわけでございます。言いかえますれば、現在のこの厚生省をめぐっての支払者側と申しますか、あるいは医師会側と申しますか、そういう関係向きとの間にしっくりしないものが今日非常に露骨に出てきておるわけであります。私といたしましては、これを何とか融和、和解といいますか、厚生省も含めて関係向きがそれぞれ協調し得るような、あのかつての懇談会のような空気にもう一ぺん引き戻したいという気持がいたしておるようなわけでございますけれども、なかなかこれがむずかしいので苦労いたしておるわけでございます。  ただ私が思いますのに、医療協議会の今日までの歴史から申しますと、ある時期においては、医療担当者側が一応医療協議会に出席しない、いわば参加しないというような形をおとりになった。これも私は非常に残念なことだと思うのでありますが、どうやらそっちの方が何とかなりそうだというふうになりますと、また今度——私が先ほど来申しておりますように、ものの筋道からいえば、御協力願ってしかるべきものだと思いますけれども、とにかく事実においてなかなか参加を渋っておられるというような状態でありまして、厚生省も、よく新聞なんかでいわれるように、まさしく厚生大臣は窮地に陥っているというような状況が今日の状況であります。ただ私は、どの方面ともお互いに協調し、お互いに時に意見の相違もあり、立場の相違もありましょうけれども国民皆保険というものを前進されるためには、それぞれの関係者がみんなそのつもりになって協力していこうという気持にならなければ、思うように参りません。厚生大臣といいますか、厚生省が、あるときには支払議に押しまくられ、あるときには医師会に押しまくられて、手も足も出ないというふうな状態そのものが、私は非常に残念なことだと思いますので、微力ながら何とかそういう問題についても、厚生省が主体性を持って今後進んでいくというようにありたいものと、かように念願をいたしておりまして、今後の施策を進めて参りたいと思うのであります。  今回問題となっております医療報酬調査会につきましては、すでに昨年の通常国会に政府としましては提案した問題でございます。また政府としましては、当時の社会保障制度審議会に、何か一つ適切な方策を考えてほしいということでお願いをして、その結果得た答申でございます。この調査会の法案につきましても、あるいは前国会に同時に提出すべきであったのではないかというふうな御批判もあるわけであります。当時といたしましては、会期の関係もありますし、またこれに対する反対の向きもあったわけでございますから、とうてい二つの法案をこなすことはむずかしいという判断のもとに私は見送ったのでありますけれども、今回はぜひこの問題も取り上げて国会で御審議を願おう、こういう心持でいろいろ今検討し、意見を調整いたしておるところであります。  自民党の内部において七人の人間にまかしたというふうなお話もございましたけれども、この問題の取り扱いを一体どういうふうにやるか、こういうふうなことについて党内の意見をまとめますために、社会部会あるいは内閣部会、医療対策特別委員会等々の皆さんの御相談の上で、今後の取り扱いについて一つその辺で話し合いをしてみてくれ、こういうふうになっておるだけのことでありまして、特別これを取り立ててかれこれ申し上げるようなこともないかと私は思いますが、要はなかなかむずかしい。あちら立てればこちらが立たずという言葉もありますが、立てる立てぬといいますよりも、むしろ私自身が立つか立たぬかという問題でございますので、私としましてはやはり事態に即応いたしましてしんぼうするところはしんぼうし、断行するところは断行する。しかしどこまでも厚生省としての一つの主体性を持って、今後の医療行政の進展をはかって参りたい、こういう考え方のもとに進んでいきたいと思いますし、今私どもが問題といたしております医療報酬調査会のごときも、その見地から私はぜひやりたいという心持のもとに、党内ともいろいろ意見の交換をいたしておるようなわけでございます。
  97. 滝井義高

    滝井委員 それではさっぱりわからない。医療調査会はやりたいというけれども、医療協議会の方はどうするのですか。大臣基本方針をもう少しきちっとはっきりして下さい。医療協議会というものは、もしあなたの方が臨時医療報酬調査会を国会に提出したら、必ずこれは任命をして動かしますということなのか、国会を通るまでは医療協議会はそのままほうっておいて、片方だけは出すというのか。その両方は一応対だと思うのです。ところが対ということは、和解をするということを条件にして対なんですよ。それは答申その他をお読みになっても、絶対この二つでまとめてくれということを書いています。けんかの体にしていいということは書いてないのですよ。これはけんかの棒になるようなものならば出してもらっては困るのです。だから私は言うわけです。客観情勢というか、私は先を見たのです。医療報酬調査会をお出しになれば、これはけんかの棒になるのです。この棒を医師会が今度握りますよ。それならけんかの棒になるようなものを何もあなたが立つために出す必要はないのではないか。もっと、客観情勢をよく見て、私はやはりまとまるような方向にこの棒を持っていかなければいかぬというのです。この棒を和解の棒にしなければいかぬ。けんかの棒にしてはいかぬということです。それには一体どうするかというと、私の今言ったような方向しかないと私は断言しておくわけです。それを今あなたは調査会法は出すと言うが、医療協議会の方は発足させるとも発足させないとも言わない。だから医療協議会法というものは、調査会を出した場合には、必ずその時点で同時に発足させるというふうに了解して差しつかえないのですか。しかも中央医療協議会を発足させる前に、全国の地方医療協議会はやる、できるだけ早くやるということを言いましたから、そういう理解の仕方でよろしいですか。これは国会としては当然あなたにそれだけの責任を追及し、あなたから言質をもらわなければならぬ責任があるのです。この問題はあいまいでは困るのです。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 中央医療協議会につきましては、先ほど申しましたように、目下これを再出発させるべくいろいろ努力しておるということであります。この努力がいつごろ実を結びますか、そこまでははっきり申し上げるわけに参りませんが、私としましても二年も三年もほったらかしておくというような性質のものではありません。おのずからそこに限界があろうかと思いますが、ただいまのところはまだこの外力を紡げさせていただきたいということを申し上げておるわけであります。地方の医療協につきましては、実情から申しまして、いつまでも遷延を許さないというような実情もございますので、その意味で、関係者の方ともいろいろ話し合いをいたしております。これにつきましては遠からざるうちに厚生省としても、はっきりした態度をもって処置しなければなるまいか、こういうような考え方も今しておるところでございます。それはそれで話を進めると同時に、片一方の医療報酬調査会についても私は話を進めて参りたい、こういうように考えておるわけであります。滝井さんは、今医師会では絶対反対だというようにおっしゃいましたが、現在反対しておられるということは私ども聞いております。聞いておりますが、医師会さんの方でもこの問題にそれほど反対される理由が一体どこにあるのかということも、考えなければならないと思うのであります。お互いに話が進んでいき、また政府考え方がわかれば、あるいは御了解もいただけるのではないかと思いますが、ただいまのところは、おっしゃる通り医師会の皆さん方が反対しておられるということでありますが、政府はこの国会に提出いたしまして、この国会を通じて政府考え方も十分申し上げまして、御理解をいただいて、将来は御協力願いたい、こういうような心持で、どことけんかしようという気は毛頭持っておりません。私の方からけんかをしかけていくということは考えておりませんけれども、私どもはこれをやった方がよろしいのではないかということで、現在準備を進めておるわけでございます。ただまだ与党との間の話し合いも十分済んでおりませんで、提案をするというところまでには参っておらない、目下党内の間で意見を調整しておるという段階と御承知願いたいと思います。今は御反対でございますけれども、しかしだんだんと御理解もいただけるのではなかろうか、またでき上がった場合の御協力ももちろんいただけることと思いまして、われわれといたしましては準備を進めておるわけであります。
  99. 滝井義高

    滝井委員 くどいようですけれども、あなたの今の答弁では何にも結論が出ないのです。私、今まで約四十分質問したけれども、医療協議会というものは法律を作っておるのです。作っておるものをやるのは当然のことなんです。調査会との見合いじゃないのです。だからそれをいつからやるかということです。相手があるから、向こうを説得しなければならぬから、それまで法律を持てというなら、国会は要らぬ。相手の委員が出てこないからわれわれに待てというなら、何のために作ったか。それなら憲法調査会は、あなたが内閣に行って待ってもらって下さい。憲法調査会は、社会党が納得をして入るまで待ってもらいましょう。灘尾さんは政党大臣ですから、憲法調査会のような国会でやったものをやるのならば、私はやっても文句は言いません。憲法調査会ではわれわれは負けたのだから、やむを得ぬ。これだって、私は令すぐ発足させてくれとは言っていないのです。一体いつごろまでに目鼻をつけるのかということです。いつも待った、待った、相手がいるから説得するまで待ってくれ、せっかく努力中だというが、十一月からやっておる。それなら憲法調査会も社会党が納得するまで待ってくれというのです。これはあなたがそう言うなら、池田総理を呼んで言わなければならぬ。憲法調査会とのかね合いです。こっちもケンポ、向こうもケンポウ、だからこれは待ってもらわなければならぬ。それは当然でしょう。私の言うのは無理はない。では一体予算が衆議院を上がるまでにははっきりしますか。予算は少なくとも衆議院を三月の初めには上がるでしょう。それまでにはこれをはっきりしてもらわないことには困る。なぜならば、調査会その他の予算は出ておるのですよ。これは予算関係の法案ですから、われわれとしても、通した法律さえもやりきれぬのに、今度新しくそのあとからくる法律が通るまではこれは動かぬ、待っておってくれなんて言われた日には、われわれは国会で何のためにかんかんがくがくの論をやったか、わけがわからない。それはあなたが立つために国民は犠牲になってもよろしいということは許されない。これはやはり国権の最高機関の国会を、この際は灘尼さん、立ててもらわなければならぬ。だからどうですか、これはあなたには酷なようでありますけれども、それによってあなた自身が大車輪の努力をするし、滝井のやろうがあんなことを言ったからこれは早く片づけなければならぬという、客観情勢も出てくるのです。これが大事なところだと思う。そのためにこそ国会は行政を督励をする効能があるものだと思うのです。だからどうですか、三月の一日、二日ころには、あるいは三日になるかもしれませんが、予算が通る。それまでくらいには医療協議会というものは、灘尼厚生大臣責任を持ってめどをつける、それで一つ御言明をいただく。しかもそれまでには、私は地方医療協議会は早くやれなんてけちなことは言いません。それまでに当然地方医療協議会もめどをつける、これを一つ、よろしい、引き受けようということを言明して下さい。
  100. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 滝井さんの御意見なり御要望などはよくわかりました。先ほど来たびたび申し上げておりますように、この法律実施につきましては、私は責任を持っておるわけであります。その責任が私の思うようになかなかまだ来たすところまでいかないということについては、相済まないと思っておるのであります。しかし何とかしてこの法律実施に移したいということで、今いろいろ苦心いたしておるところでございます。相手の方たちも社会保険ということなんかにつきましては、十分の理解がある皆さんであり、いろいろ従来のいきさつの上において御不満の点があるという点はあるかもしれませんが、究極するところにおいてこの医療協議会そのものに、私は絶対に反対だというふうな考え方に立っておられるものとも実は思わない。ですから、あくまでも努力をいたしますけれどもほんとうにこの医療協議会というものに、新しく開始せられた医療協議会というものには絶対に協力できない、こんなものは要らぬのだ、参加する必要がないのだというふうな考え方であるのかどうかというふうなことは、これはもっと時間のかかる問題ではないかと思います。はたしてこの医療協議会というものは存在の価値がないものだ、参加する必要がないものだというふうな考え方であるといたしますならば、これはそれとしてまた政府としては考えなければならぬ問題でございますから、その場合には私の国会に対する責任の問題ということにもちろん相なりますけれども、それはやはり時日が経過し、われわれが努力をいたしますれば、いずれは御了解も願って参加せられる日もあるであろうという考え方のもとに、ただいまは努力いたしておるところでございます。今何月何日にどうだ、こういうことをおっしゃいましても、早いに越したことはないのです。もちろん早くやりたいと思っておりますけれども、今この段階で私は、せっかくのお尋ねでございますけれども、ここで明確に御返事ができないということは一つ御了承願いたいと思うのであります。何さまどうも妙に空気がかたくなっておりまして、あるいは私の不徳のいたすところかも存じませんけれども、私としましても非常に責任を感じつつ現在努力いたしておるところでございますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  101. 滝井義高

    滝井委員 努力々々ではなかなか、毎日々々の人間の命に関することが行なわれておるわけですから……。そうしますと、これは努力してもいつ目鼻がつくかわからぬということになりますと、支払いも停止されておるわけです。おのずから限界があるといっても、なかなかそれが限界がない。そうするとその支払いはどうですか、支払いだけはやってくれますか。基金の支払いの問題はやってくれますか。そういう指定を受けて、当然受ける権利があると、行政で調べてみた結果、これは何もないのだから支払いを受けられる、こういうようなものについては、やはり仮払いなりの形をとってやらぬと、これは大へんなことになる。そういう問題さえしておけば、医療協議会は中央、地方同時にやってもいいわけです。カナマイシンと同じですよ。これは勇断ですよ。勇断が必要なんです。だからそれを一つ——あなた方が先を言わないから具体的な問題を言わざるを得ない。政治は現実でなければいかぬから……。仮払いをやり、そうしていよいよ問題になればまた返してもらうよりしようがない。借用証書でも書かして仮払いでもやっていくという、これだけの蛮勇はこの際行政にはふるう責任がある。どうですか。
  102. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その問題につきましては、これも先ほど来お答え申し上げておる通りでございます。地方医療協議会の状況は、このままじんぜん日を送ってやっていくわけには参らないという考え方をとっておりますので、早急に地方医療協議会については何とかしょうという考えのもとに、これも関係向きと話をいたしておるところでありますが、政府といたしましては、これはほんとうにいろいろ御迷惑をかけている問題でありますから、なるべく早く政府としての処置を決定したいと思っております。
  103. 中野四郎

    中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明八日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会をいたします。    午後一時十六分散会