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1962-06-01 第40回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年六月一日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 松澤 雄藏君    理事 石川 次夫君 理事 中島  巖君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大沢 雄一君    金丸  信君       齋藤 邦吉君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       前田 義雄君    山口 好一君       岡本 隆一君    兒玉 末男君       佐野 憲治君    實川 清之君       日野 吉夫君    三宅 正一君       山田 長司君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  委員外出席者         建設事務官         (計画局参事         官)      志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    沖  達男君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)   進藤武左エ門君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 五月七日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  西村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  西尾末廣君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。 六月一日  委員上村千一郎君及び坂本泰良辞任につき、  その補欠として丹羽喬四郎君及び山田長司君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員丹羽喬四郎君及び山田長司辞任につき、  その補欠として齋藤邦吉君及び坂本泰良君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  一、街燈整備促進法案川村継義君外十七名提   出、第三十九回国会衆法第一一号)  二、国土計画に関する件  三、地方計画に関する件  四、都市計画に関する件  五、河川に関する件  六、道路に関する件  七、住宅に関する件  八、建築に関する件  九、建設行政基本施策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  河川に関する件  派遣委員より報告聴取      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  去る五月二十六日より二十七日にかけて、集中豪雨により、南九州は相当の被害を受けたようでございますが、政府当局より被害状況説明を簡単に聴取いたします。山内河川局長
  3. 山内一郎

    山内説明員 河川局所管公共土木被害状況を御報告申し上げます。  五月二十六日、二十七日、南九州豪雨がございまして、鹿児島県、宮崎県に被害を発生いたしております。おもな被害河川の名前を申し上げますと、鹿児島県では隈城川、甲突川、神之川、網掛川、こういう河川でございまして、被害地で申し上げますと、鹿児島市、川内市、財部町、串木野市、伊集院町、こういう市町村の個所被害をこうむっております。報告額は、河川道路橋梁を含めまして、全部で三百九十六カ所、二億八千四百万円になっております。  なお、宮崎県につきましては、日南市を中心といたしました広渡川、酒谷川に被害がございまして、この地方河川海岸道路橋梁被害を合計いたしますと、八十四カ所、七千百万円、こういうようになっております。  なお、これと時期を同じういたしまして、静岡県にも多少被害を発生いたしておりますが、下田町、焼津市を中心といたしまして、十一カ所、五千七百万円。今まで申し上げましたことを合計いたしますと、四百九十一カ所、四億一千三百万円、こういうような被害になっております。      ————◇—————
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、本委員会におきまして、建設省関係公共事業等調査のため、議長の承認を得て、委員を関西、北陸地方及び四国九州地方に派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員よりその報告を求めることにいたします。中島巖君。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 去る五月十四日より、建設省関係公共事業調査を主なる目的といたしまして、現地調査を行なってきたのでありますが、その詳細を御報告申し上げますのは相当の時間を要することとなりますので、この際その概要のみを申し述べることといたし、これに対する政府当局の御答弁を承りたいと思うのであります。  まず道路関係といたしましては、尾道今治間の架橋問題を中心とした中国・四国九州連絡道路計画について申し上げます。  本計画は、広島県尾道市、愛媛今治市間を、その間に点在する瀬戸内海島嶼部利用して橋梁にて連絡をいたし、今治松山間は二級国道百九十六号線を、松山大洲間は、先般昇格いたしました一級国道を、大洲三崎間は、これまた先般二級国道昇格いたしました二十四号線を利用、これらの道路整備促進するとともに、愛媛三崎大分佐賀関間フェリーボートにて連絡しようとするものでありまして、すでに三崎佐賀関間フェリーボート計画につきましては、有料道路として、日本道路公団において、昭和三十五年度よりその採算制について調査実施中のものであります。本ルートは、申すまでもなく松江−尾道間の道路整備、さらには後ほど御報告申し上げます九州横断道路一級国道三号線中、三太郎峠改修促進と相待ちまして、遠く山陰、四国南九州地方の広範囲にわたる地域開発をその目標とするものでありまして、本ルート最大のポイントとなっております尾道今治間の架橋案も、この点が他の本土四国連絡架橋案が、阪神経済圏との連絡を主眼といたしておりますのに対し、著しい特徴となっているのであります。一方技術的な面より見た特質といたしましては、架橋地帯における島嶼間の距離が少ないため、海中に橋脚を築造する必要がなく、従いまして、工事費が低廉となるとともに、瀬戸内海における船舶の航行のために特別の措置を講ずる必要のないこと等があげられているのでありますが、いずれにいたしましても、本土四国連絡架橋の問題は、長年の懸案であり、おのおのその特質とするところを有しておるのでありまして、そのいずれを優先するかについては純然たる技術的な調査の結果を待って解決をはかるべき問題であろうと思うのであります。  次に、九州横断道路及び一級国道三号線中三太郎峠改修進捗状況について簡単に御報告申し上げます。  九州横断道路は、昭和三十五年日本道路公団により別府−阿蘇有料道路として大分公共企業体事業区間約六・六キロを含め、大分県湯布院町より熊本一の宮町に至る約五十二・四キロの間に着手されたのでありますが、そのうち昭和三十六年三月、第一期工事として熊本一の宮町−大分九重町牧の戸間約二十一・四キロに着工いたし、工費七億五千万円をもって本年十二月に竣工予定であります。また大分九重町寒の地獄−水分峠間約二十四・四キロの区間につきましては、第二期工事といたしまして、本年三月に着工、約八億二千万円をもちまして昭和三十九年三月の竣工を期して鋭意工事を進行せしめておるのでありますが、当地域一帯のいわゆるクロボクと称せられる地質が予想外に悪く、多少の工費の増額はやむを得ないものと想像されるのであります。また三太郎峠改修一級国道三号線中の難所として多年の懸案であったのでありますが、昭和三十二年度より直轄事業として施行されることとなり、昭和三十四年度までに佐敷−湯浦間約五・四キロの改良を終わり、昭和三十五年度より津奈木峠着工、三十六年度末までに津奈木隧道及びその前後の改良を完了いたし、ここに佐敷津奈木間約十一キロ余の新道の完成を見るに至ったのであります。しかしながら、本峠の完全改修には資材高騰等関係もあり、今後なお三十億円余の残事業が残されているのでありまして、現行道路整備五カ年計画のワク内での完成が危惧される状況にあるのであります。  その他今回調査いたしました一級国道三十二号線、同じく三十三号線にいたしましても、これらの路線四国地方における太平洋岸瀬戸内海側連絡する最重要路線であるにもかかわらず、三十八年度以降の残事業量は三十二号線において七十四億円、三十三号線において六十億円の多きに上り、さらに二級国道二百十九号線中球磨川沿い区間、同じく二百二十一号線中いわゆる加久藤越えの区間は地形上の悪条件もさることながら、全く未着手のままに放置されている状況であります。  以上は今回調査いたしましたうちのごく一部の例でありますが、これを全国的に勘案いたしますとき、二兆一千億円程度現行道路整備五カ年計画規模をもっていたしましては、激増する交通需要要請に対しとうてい応じ切れるものではなく、大幅なる道路整備五カ年計画改訂必要性を痛感いたすのであります。先般の新聞紙上におきまして拝見いたしましたところによりますと、建設省当局におきましても、三兆五千億ないし八千億円程度規模目途といたしまして検討を始められた旨が報道されていたように記憶いたすのでありますが、最近における資材人件費高騰等考慮に入れますとき、はたしてその程度規模をもってして円滑なる道路整備促進がはかり得るものであるか、この際当局の御見解を承りたいのであります。  次に、車両制限令の運用について申し上げます。  最近における大都市交通事故激増等にかんがみ、昨年車両制限令実施を見ることとなったのでありますが、一方道路整備が著しくおくれております地方公共団体等におきましては、所管道路緊急整備を余儀なくされ、高知県、愛媛県の例によりましても、これが対策事業費として六十ないし七十億円を要するため、これらの財源措置について特別な措置を講ぜられたい旨強い要望があったのであります。  もともとこの政令は道路通行車両との間の合理的な調和をはかるのがその目的であり、制限それ自体目的ではないのであります。これらの制限が強く行なわれることにより、大都市内等におけるいろいろな交通上の不合理な現実が解消するといたしましても、地方によっては逆に道路本来の使命たる産業経済国民生活上の利便に逆行するような現象が起こるおそれが皆無ではないのであります。従いまして、大都市等におきましてはより厳重なる規制を行なう必要があると思うのでありますが、道路整備の著しくおくれているいわゆる地方の僻地の道路につきましては、当分の間実情に即した弾力性ある行政指導を行なう必要があるのではないかと思うのであります。  次に、河川関係に移りまして、波介川河口改修計画について申し上げます。  高知県の中央部を貫流する仁淀川の支流、波介川流域の約六百ヘクタールにわたる一帯は、従来より地盤が低く、波介川自体の出水のみならず仁淀川の逆流水の影響をも受け、年々甚大なる災害をこうむっているのであります。  波介川改修事業につきましては、昭和二十七年度より中流部中小河川改良工事として、また昭和三十二年度より上流部地盤変動対策事業としてそれぞれ着手いたし、工事も漸次進捗いたしているのでありますが、これら波介川改修に関する一連の事業も、波介川河口の根本的な改修により、水位低下せしめる以外にはとうてい所期の効果は上げ得ないのでありまして、現在これが計画案といたしまして、第一には、波介川水位を一メートル低下せしめるために、合流点を現在位置より仁淀川下流に変更する案。第二には、仁淀川右岸提外側沿い波介川流路海岸まで延長する案。第三には、第二案の反対側、すなわち仁淀川本川内において右岸堤沿い流路延長する案の三案が検計されているのであります。  これらのうち、第一案につきましては、ある程度工事の施工は容易でありますが、一メートル程度水位低下をもってしましてはなお年々の床下浸水は免れ得ず、従って、決定的な効果はなく、また第二案につきましては、仁淀川右岸一帯地域高知県内におきましてもいわゆる現金収入の多い促成栽培中心地でありますため、用地の取得に相当の困難性が感ぜられるのであります。従いまして、第三案が考えられるのでありますが、何分にも波介川流路仁淀川本川の内側を通すこととなりますので、その分だけ仁淀川本川河積不足を生ずることとなるのでありまして、本案を遂行いたします以上は、当然その不足分約一千トンを上流計画されている大渡ダムによりカットする必要が生じてくるわけであります。  以上のように波介川河口改修による水位低下の問題は、単に波介川自体のみの問題ではなく、仁淀川本川、ひいては上流大渡ダム計画にも関連して参るのでありますので、当然これらを一貫した総合的な計画のもとに検討を進める必要性を痛感いたしたのであります。  次に、今回現地において調査いたしあるいは陳情を受けました球磨川川内川肝属川等につきましてその改修進捗状況を数字的に見まするに、三十七年度末におきまして、球磨川において三五・二%、川内川三〇・一%、肝属川五四・四%の改修率を示しているにすぎない状況でありまして、特に球磨川上流川内川上流地域改修は著しくおくれ、川内川上流宮崎県内におきましては、ほとんど原始河川そのままの状態に放置せられておるのでありまして、河川堤防着工計画も未確定のため、当地方においては、橋梁架設にも着手できない状況にあるのであります。  また、これら三河川のうち最も高い改修率を示しております肝属川にいたしましても、本年度程度事業費をもってしましては、一応の改修を完了するだけでも今後なお十数年の年月を要することとなるのでありまして、これを全国の河川について申しますときに、各府県におきまして治水事業十カ年計画の大幅なる改訂を強く要望いたしておりますのもけだし当然のことと言えるのであります。  去る五月六日の当委員会におきましてもこれらの点につきまして決議をいたしましたことは御承知のところであります。また建設省当局におきましても本問題につき検討を始められたやに仄聞するのでありますが、この際それらの構想の概要について御説明願いたいのであります。  次に都市関係の問題につき簡単に申し上げます。  まず高知市における都市改造事業についてでありますが、高知当局陳情によりますと、建設省当局との間に本年度事業費九千八百万円の了解のもとに換地計画等を進めていたにもかかわらず、本年度事業内示額が五千万円に削減されたため移転補償費の支払いも不可能となり、事業の遂行に著しい影響を来たしているとのことであります。  また熊本市内における白川改修都市計画の問題についても、長年の懸案であり、かつて当委員会における国政調査による委員派遣報告においても取り上げた問題でありますが、以上二件の問題につき当局の御方針を承りたいのであります。  以上、調査概要につきまして御報告申し上げたのでありますが、最後に新産業都市建設促進法による区域指定につきまして、愛媛今治市、伊予三島市等五市十二町村にわたる東予地区大分鶴崎地区及び熊本県有明・不知火地区の三地区より強い要望のありましたこと、有料道路事業といたしまして、西条−徳島線中のいわゆる中央トンネル、主として南九州における観光資源開発目途とする山川−千貫平線山川伊座敷線、栗野岳−霧島線、吉野−重富線等につきまして早期着工要請のありましたことをお伝えいたしまして御報告にかえる次第であります。(拍手)
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 引き続きまして第二班の報告山口好一君よりお願いいたします。
  7. 山口好一

    山口(好)委員 御報告申し上げます。  本日は派遣委員がまだお見えになりませんので、たまたま現地参加いたしました私が山中委員にかわって御報告申し上げます。  去る五月十五日から五日間にわたりまして福井石川富山新潟各県下におきまする建設省関係公共事業につきまして調査をいたして参りましたので、その概要につきまして御報告申し上げます。  御報告事業別に行なうことといたしまして、初めに道路関係につきまして申し上げます。  まず一級国道八号線でございますが、本線新潟市を起点としまして長岡直江津富山高岡金沢福井敦賀、米原、大津の各市を経て京都市を終点といたし、総延長約五九八・三キロメートルに及び、北陸を縦貫する唯一一級国道であります。本線改良並びに舗装につきましては、昭和三十六年度末におきまして改良率七六・九%、舗装率六三%という結果になっております。これを府県別に見てみますと、京都府並びに滋賀県内におきましては改良率及び舗装率ともに一〇〇%でございますが、福井県内では改良率九〇・八%、舗装率七七・二%でありまして、石川県内では改良率九三・七%、舗装率八二・二%、富山県内では改良率八三・三%、舗装五三・五%、さらに新潟県内では改良率四九・五%、舗装率が三五・九%となっております。かくのごとくに新潟県内につきましては、改良並びに舗装進捗率は他県の二分の一程度のおくれを見ております。これは新潟県の延長が他県の二倍近い長さのためでありましょうが、非常に立ちおくれた感がいたすのであります。特に親不知−直江津間のごときは、改良の手が加わらないままに、幅員も狭小個所が至るところにございまして、自動車の往来にはなはだしき支障があるばかりでなく、時速二十キロメートル程度の速力が出し得ない現状であります。もちろんかかる例は、道路としましては条件の悪い個所でありまして、一方は海岸または海岸から切り立ったがけであり、他方は北陸本線線路敷であるため、道路が狭められはしましても広がることのないところでございます。しかし将来北陸本線複線化とともに、当然技術的に解決すべきものであります。本線北陸各県を結び、関東並び近畿経済圏につながる唯一一級国道であり、産業開発地域格差の是正などに重要な役割を持っているものでありますので、改良工事などの促進をはかる必要があると痛感いたすのでありますが、今後の計画について御説明を願いたいのであります。  なお本線に関連いたしまして、福井県内におきましては武生市−丸岡町間のバイパス道路建設促進と、その計画道路整備五カ年計画終了後の昭和四十一年以後になるため、とりあえず丸岡町中の二カ所の急な曲り道を迂回する路線変更についての熱心な要望福井県及び地元からありました。これらは一級国道使命と将来建設予定されている北陸自動車道高度利用見地から、十分検討すべきであると思います。  二級国道では百五十六号線、高岡岐阜間、百五十七号線、金沢岐阜間、百五十八号線、福井松本間でございますが、金沢岐阜線福井県大野市から岐阜白鳥町まで福井松本線と共用し、白鳥町−岐阜市間は高岡岐阜線と共用しております。福井市−岐阜市間はこれらの三路線をつなぎ合わす路線となりますが、いずれも裏日本と表日本とを結ぶ最短路線であります。これらの路線改良率で三〇%、舗装率で一五%程度進捗状態でありまするが、産業経済上重要な路線であり、北陸各県の進展に大きな影響を与えるものとしまして、福井石川富山各県から一級国道昇格の熱心な要望がありました。  主要地方道の二級国道昇格につきましては、敦賀市−金沢市間及び金沢市−高山市間につきまして、福井石川の両県から要望がありましたが、敦賀金沢間につきましては、北陸地方降雪量が多いにもかかわらず海岸道路のため雪害がなく、冬季間は国道八号線以上の利用価値がある重要路線であるほかに、日本海を望む観光路としても価値があるものでございます。北陸地方産業経済とも後進性が顕著でありますので、その対策としまして、道路に関しましては十分考慮をせらるべきものと思うものであります。  次に河川関係について申し上げます。  まず多目的ダムにつきまして、大聖寺川総合開発計画に基づきます我谷ダム調査いたしましたが、このダム河口より二十五キロ上流山中我谷地内に築造されている堤高五六・五メートルのコンクリート直線型重力式ダムであります。このダム下流の大聖寺市などの洪水調節、水田約一千町歩の灌漑用水補給最大出力六千七百キロワットの発電を行なうものでありまして、総工費二十億円、完成昭和三十八年度予定であります。工事コンクリート打設中でありまして、その進捗状況は打設コンクリート総量七万八千立米中約四〇%程度であります。なお、本計画につきまして、地元柏野部落では、ダム建設の結果、水量が細り、風光を害するとして反対でありまして、目下訴訟中でありますが、計画に先立ち、地元十分話し合いをして、補償などについて問題の生ずるおそれがないようにすべきものと思うのでございます。多目的ダム地域開発に重要な意義を持つものであり、他の河川につきましてもまだ不足しておりますので、当局の一そうの努力をお願いするものであります。  河川改修工事につきましては、九頭竜川、手取川、常願寺川黒部川、信濃川及び片貝川などを調査いたしました。これらの河川はいずれも急流河川のため土砂流が多く、ほとんどが河底盛り上がりを見せております。例を常願寺川に見てみますと、河底盛り上がり年平均十七センチメートルといわれ、五年もたちますと、一メートル程度盛り上がりとなるわけであります。従いまして、雨及び雪解け水によりましてたちまち水位が上がる現状であります。現在砂利採取用タワーが四基設けられまして稼働しているわけでありますが、一基一日二百ないし二百五十立米を掘り上げております。こうした河川の現況を見ますと、現在の治水十カ年計画を根本的に改訂し、堤防のかさ上げ、護岸の促進、砂防、地すべり防止などにつき、一そう積極的な施策を講ずる必要を痛感いたしました。  また災害復旧現状につきまして、昨年の長岡地区豪雨被害地である大田川の村松地区調査しましたが、被害の跡もなまなましいままに降雨期を前にして、地元住民の不安は包み隠すすべもない有様で、大幅な災害復旧助成早期完成の強い訴えがありました。災害復旧の遅延は災害発生の温床をなすものであります。災害復旧早期完成とこれら助成措置などにつきまして当局対策などを御説明願いたいのであります。  なお常願寺川大日橋片貝川入会権黒部川の下黒部橋権蔵橋、阿賀野川の松浜橋などの永久橋架設促進について地元の熱心な御要望がありましたが、災害防止及び交通対策などの見地から当然のことと思いますので、一そうの御尽力を期待するものであります。  次に海岸侵食について申し上げます。裏日本海岸線後退現象が起こり、国土が喪失していくことは御承知の通りであります。これらの海岸侵食状況富山吉原海岸朝日海岸新潟新潟海岸について調査いたしましたが、荒天時には波浪が陸地に侵入して海岸地帯住民生命財産などを脅かすことでもあり、この保全事業に対する要望も熱心なものでありました。海岸保全事業は開始して日も浅い上に所管建設省、運輸省、農林省に分かれているなど行政上も複雑な関係にあります。吉原海岸を含む下新川海岸保全区域直轄事業費といたしまして本年度九千万円、また災害復旧費といたしまして五千六百万円が、また石川県の松任美川海岸保全区域の直轄事業費といたしまして四千五百万円が計上されていますが、新潟海岸につきましては、昭和三十五年度以降は運輸省の所管となっております。直轄施行海岸保全事業の国庫負担率は直轄事業、補助事業ともに二分の一でありますが、直轄事業の場合は事業費規模も大きく負担額も莫大な額となって地方財政を圧迫する結果となりますので、直轄河川改修事業と同様に三分の二に引き上げてほしいとの要望が県からありました。海岸線の長いわが国としまして、臨海産業地帯の整備などの観点から海岸保全事業は重要な問題であるため、当局の尽力を期待するものであります。  なお港湾関係としまして富山高岡工業地帯として臨海工業地造成に伴う富山新港の築港を、直江津高田工業地帯としての直江津港拡充工事及び柏崎港の改修事業並びに新潟港増深計画事業を視察いたしました。また新潟港と非常に深い関係のある旧信濃川関屋分水計画につきまして、ただいまも現地の県会の方々などから御熱心な御陳情がございましたが、この関屋分水計画につきまして現地をつぶさに視察いたしましたが、この計画は旧信濃川を新潟市関屋団九郎付近から競馬場西側を通り関屋浜に至る延長約一・八キロメートルの新水路を開さくいたしまして、全流量を直接日本海へ放流し、市内の旧川を埋め立て新潟港の土砂による被害を排除するほか土地の造成その他旧信濃川の治水問題を一挙に解決せんとするものであります。この計画につきまして県及び地元から調査並びに事業着手の促進と国庫の助成などについて非常に熱心な要望がありました。  その他、地元の熱心な要望についておもなものを見ますと、北陸自動車道建設促進、砂防事業費の大幅増額、都市計画関係事業費の増額、公営住宅建設事業標準建設費引き上げ、住宅金融公庫貸付金の限度額(標準建設費及び土地の標準価額)の引き上げ、立山黒部有峰開発計画等がありますが、いずれをとってみましても、裏日本産業経済開発に大きな影響を持っているものでありまして、地域格差の是正あるいは後進性の打開に必要なものであると思います。当局におきましては、これらの要望につきましては十分御検討の上、一そうの考慮をお願いするものであります。  最後に、去る四月三十日宮城県迫町及び瀬峯町の一部に生じました地震につきまして、建設省東北地方建設局及び宮城県から報告を聴取いたしましたので申し上げます。  当日午前十一時二十六分、迫町及び瀬峯町の一部を震央とする震度六の烈震、震央から十三ないし十八キロメートルの範囲で震度五の強震がありました。このため宮城県下一市四郡に被害が生じ、五月五日までの調査では、人的被害、死者三を含み二百七十五人、家屋被害、住家の全壊三百六十九戸、半壊千五百四十二戸を含み六万五千戸、被害額三十二億二千八百万円、農林土木関係被害額八億二千二百万円、総計四十億五千万円と推定される被害がありました。  直轄工事被害につきましては、一級国道四号線の古川市、築館町、志波姫村地区におきまして三十四カ所にわたり路盤沈下、地割、法崩れ、ガードレールの崩壊、コンクリート擁壁の傾斜が生じ、江合橋では九連鋼桁の移動と傾斜が生じました。また河川につきましては江合川筋及び新江合川の涌谷町地内、小牛田町地内、古川市地内の堤防護岸二十四カ所に天端の地割、亀裂、法面亀裂、切断等の被害が生じました。北上川下流筋東和町地内、中田町地内の堤防、護岸に三カ所の被害がありました。  直轄工事を除く県市町村の公共土木施設につきましては、河川三百六十三カ所、道路二百七十二カ所、橋梁百八十六カ所に及ぶ被害がありました。  県としましては地震被害地域の一部に災害救助法を適用する一方、復旧に全力を結集しているとのことであり、本院としましても災害対策特別委員会において調査を進めておりますので、詳細な報告が後刻あるものと存じておりますが、当局のこれに対する処置について御説明を願いたいのであります。  以上要点のみを申し述べ御報告といたす次第であります。(拍手)
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で派遣委員よりの報告聴取は終わりました。派遣委員各位にはまことに御苦労様でございました。  この際中島巖君より発言を求められておりますので、これを許します。  中島巖君。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 時間も非常にありませんので、ごく簡単に質問いたしたいと思います。  実は昨日の新聞かでありますけれども、吉田さんがオランダへ行きまして、東京湾の埋め立てに対するオランダ政府との借款をしたというようなことが新聞で報道されておるのであります。私どもの立場といたしますれば、この東京都の過大都市をどうするかというような現状におきまして、こういうような施策は適当ではない、こういうような考えを持っておるものであります。幾ら吉田さんでありましても、政府と了解なくいたしまして外国との借款はでき得ないものと思うのでありますが、建設大臣が今お見えでないようでありますが、計画局あるいは都市局なんかでそうした相談を受けたことがあるのか、あるいは建設省はそれらに対してどういう方針でおるのか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。  それから、これから休会が相当長くなりますので、来年度のいろいろな問題について二、三お尋ねいたしたいと思うのでありますが、その第一点といたしまして、先ほど両報告書にもありましたように、治水十カ年計画は本年度第二年目でありますけれども、明年度改訂せねばならぬ、こういうような国会におけるところの空気になったのでありますが、建設省はその準備を進めておるかどうか。  第三点といたしまして、道路整備五カ年計画が本年度たしか第二年目だと思いましたけれども、いずれにいたしましてもこれも改訂せねばならぬことになっておりますけれども、これらにつきましては建設省当局はどんな考えを持っておられるか、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。  それから第四点といたしまして道路局長にお伺いいたしますけれども、今度の視察の結果、ある県は非常に道路がおくれておる、ある県はそれらと比較してみれば非常に進んでおる、こういうような現象を見たわけであります。そこでこの道路予算の配分についての基本的の基準は、どういう基準でもって道路予算の配分をしておるか、この点が第四点として質問いたしたいと思うのであります。  さらに第五点といたしまして、本年度は中国自動車道、九州縦貫道など、たしか六路線に対しまして相当の調査費が盛られておるわけであります。そういうような関係で各方面でこの高速自動車道に対するところの熱意が非常に沸いてきておるわけであります。建設省あるいは首都圏整備委員会、またはただいま申し述べました吉田さんたちの問題を取り上げてみましても、国全体に対するところのこの計画というものは私はできておらぬように感ずるのでありまして、各県を調査して回りますと、ほとんど山の多い県は人口がどんどん減っておる、こういうような状況であります。これはやはり口では言いながら、公共事業投資を中央部集中に行なっておる結果、こういうような結果が出てきておるのではないかと思うのであります。従いまして、これを打開するにはどうしても全国的の高速道路網の開発整備というととが今後の地域格差を解消する最も重点な問題ではなかろうかと思うのであります。この道路政策にいたしましても、あるいは都市計画にいたしましても、目先のいろいろな問題に追われておりまして、現在の予算では先行的の道路投資ができないということは私も了解いたしておりまして、やむを得ぬと思うのでありますが、このままおきますれば、やはり都市の掘り返しだけの公共事業になってしまう心配が予算面から見ても非常に多いのであります。ここで思い切ってこういうような高速道路網の整備というようなことを、いわゆる先行的の道路行政をやらねばならない。それがためには日本の現在の経済力から見て一兆や二兆の借款をしても、道路公債を発行してもこれは差しつかえない問題である、こういうように考えておるわけであります。  そこでこれらを行なうについては非常な大きな政治力が必要なのでありますが、聞くところによりますと、現在本年度調査費をつけた、県にいたしまして約三十数県に上るらしくありますが、これらが高速自動車道協会、仮称でありますけれども、というようなものを設けるような機運になっておると聞くのでありますけれども、建設省はこれらに対しまして積極的な支援をして、そうしてこの大きな協会をこしらえて、その政治力によりまして、これらの資金を獲得して日本の幹線となるべき九州から北海道に至るところの幹線道路網を建設すべきである。こういうように考えるのであります。  これらに対しまして、これはむしろ大臣にお尋ねする問題だと思うのですけれども、大臣がお見えになりませんので、道路局長のお考えを承りたいと思うわけであります。  以上五点につきましてお伺いいたすわけであります。
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 中島君にちょっと申し上げますが、最初の東京湾の埋め立て問題につきましては、建設大臣が間もなくお見えになると思いますから、大臣より御答弁をいただくことにいたしまして、残余の問題につきましては各局長より答弁をいたしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。——それではさっき委員報告の中にありました質問とも関連いたしまして、ただいま中島委員の質問に各局長より御答弁をお願いいたします。
  11. 山内一郎

    山内説明員 治水十カ年計画改訂の件でございますが、現在いろいろ作業を進めております。数字的にはまだ固まる段階ではございませんが、御承知のように三十五年度からことしで三カ年目になりますが、既定の計画よりも促進をされて現在実施をされております。従って、数字的に申し上げますと、前期五カ年で三千六百五十億円のうち約二千百億円というものが本年度で使われてしまう。残りを半分にしてもことしの予算よりも減ってしまう、こういうようなちょっと形の悪いような格好になるわけでございまして、なおそれ以外に非常に最近の状況の逼迫性によりまして災害関係とか、水資源の開発促進、それから災害関係でございますが、大阪の高潮の問題、なお既定の事業促進、こういうような点につきまして、相当今後の十カ年計画あるいは五カ年計画を考えていかなければならない、こういうような構想で現在作業を進めております。  それから先ほどいろいろ御報告の中に御指摘がございましたが、第一、波介川につきましては、御指摘の通りでございまして、上流は中小河川地盤変動対策事業でやっておりますが、根本的にはやはり仁淀川合流点のつけかえをせざるを得ない、こういうことでそのつけかえの計画でございますが、非常にむずかしい点がございまして、三十三年度から実施をしておりますが、本年度やっとそれができ上がる、そういう状況でございまして、来年度からはこれを治水事業十カ年計画改訂に伴って活発に仕事をして参りたい、こういうように考えております。  それから球磨川川内川肝属川につきまして先ほど申し上げましたように治水十カ年計画の線に沿った以上の促進をやっておりますが、まだ不十分でございます。この点も今後是正をして促進をして参りたい、こういうように考えております。  それから大聖寺川の我谷ダムのことでございますが、ダムの地点につきましては地元の了解で、先ほど御報告ございましたように仕事を着工いたしております。ただ発電所の位置の問題でダムの直下に設けるか、あるいは水路式にして下流まで持っていくか、こういう点につきましていろいろ地元で紛糾があるということも存じております。この点よく県、あるいは発電のことでございますので、通産と極力折衝中でございますが、できるだけ早く片づけたい、こういうふうに考えております。  それから九頭竜川、手取川、片貝川等の促進につきましても治水十カ年計画関係ございますので、その点で十分やって参りたい。  それから長岡市内の大田川でございますが、非常に昨年度災害が激甚でございまして、助成計画として取り上げることにいたしております。その助成計画を作りますのに昨年度かかりましてまだ十分措置ができておりませんが、計画ができましたので、本年度から助成計画の線に沿って活発に仕事をして参りたい、こういうふうに考えております。  それから海岸侵食事業も予算も不十分でございますが、その中特に直轄海岸事業というものを今後大いに促進をして参りたい。その場合に国庫負担率が府県の補助事業と同じように二分の一でございまして、この点二年も、三年もいろいろ苦心をして予算時期に大蔵省と折衝いたしておりますが、まだ実現に至っておりません。これも来年度引き続いてがんばって参りたい、こういうふうに考えております。  それから関屋分水路の点でございますが、これは二、三年前から非常に地元の御要望が強うございまして、県と建設省と合わして調査をやって参っております。これも本年度調査がやっと完了する。これの実施につきましては治水十カ年計画とも関連がございますので、その際十分に考えて参りたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、宮城県の地震につきましては災害の直後査定官を派遣して工法の指導に当たらせまして、緊急査定を急いでくれという地元要望がございまして、六月七日から緊急査定を実施して本格的な復旧に当たらせる、こういう措置をやって参っているわけでございます。  以上でございます。
  12. 河北正治

    ○河北説明員 それでは最初に調査報告の中でお尋ねの点につきまして御説明いたしたいと思います。  最初に四国、九州関係でございますが、本州−四国連絡架橋の問題でございますが、道路局といたしましては、本州−四国間の架橋調査といたしまして昭和三十四年度から経済調査及び技術調査実施中でございます。  調査の対象の路線といたしましては五本ございまして、東から神戸−鳴門間、宇野−高松間、日比−高松間、児島−坂出間、尾道今治間となっております。  現在までに調査を行ないましたものは、経済調査といたしましては西日本産業構造、本州−四国間の輸送事業四国開発計画及び四国産業連関表の作成等でございます。  技術調査といたしましては地質調査、海洋気象調査及び試験調査等主として基礎的な調査をやって参りました。  今後なお調査すべき事項といたしましては、橋梁基礎の構造、工法、長大橋梁の構造、工法、耐風性、耐震性、海洋気象、潮流及び船舶の航行に関する問題等重要な問題が多々ございます。これらの問題の解明に少なくともあと数年はかかる見通しでございます。その後さらに詳細な設計、実験等を行なわなければ着工は困難かと思います。  御指摘の尾道今治線はその調査の一環になっておりますので、これは直接海中構造物の必要はないということでございますが、いずれのルートにするかというような経済的な問題からまず調査を進めていきたい、そういう工合に考えております。  それから次に九州の三太郎峠でございますが、これは三号国道におきまして一番の難所でございます。三太郎峠と私どもが称しておりますのは全長四十キロ、御指摘のように事業費は三十億でございます。三十七年度はこのうち五億を実施しておりますが、区間ごとに詳細に検討いたしまして、三十九年度中に改良を終わり、四十年度中には舗装まで峻工いたしますといろ確信を持っております。  その次に九州の二級国道人吉−都城線の加久藤峠のことでございますが、この路線につきましては目下都城方面から逐次整備を進めております。加久藤峠にかかるにはなおまだ平地部の改良が残されておりますので多少先にずれると考えております。  それから車両制限令のことでございますが、これの運営につきましても多少誤解の面もあるかと思いますが、先ほど中島先生の調査報告の中の御指摘にありました通り、私どもといたしましては車両制限令のために経済活動その他に支障を与えるというようなことがあっては困るという工合に考えておりますが、しかし、車両制限令につきましては、この第四条第一項または第五条第一項の前段の緩和規定を適用いたしますと相当この産業経済活動に支障を来たす面は緩和できるのではないかという工合に考えております。しかし、いずれにいたしましても道路の幅員に合わないような車両が通りまして転落事故とかいうようなことが起こりますと、これはゆゆしき問題でございますので、人命尊重、道路の不経済の損傷等の防止に重点を置きまして、今後とも運営に誤まりのないように十分打ち合わせていきたいという工合に考えております。  それから次に北陸関係調査報告の中でお尋ねの件でございますが、なるほど八号線につきましては富山石川福井、滋賀につきましては、一級国道の全国平均率以上に改良舗装が進んでおります。しかし、新潟県だけは御指摘のようにこれらの平均率からはだいぶおくれております。それで目下北陸地建におきまして、三十七年度以降五カ年計画におきまして四十年度までにこれが改良舗装竣工できるように、個所ごとに詳細に検討しております。これも三太郎同様に四十年度までには改良舗装が達成できるというめどを持っております。  それから福井についてでございますが、福井県の丸岡地内でございますが、これはたしか昭和二十三年だったと思いますが、福井地方に地震がございました。その節、丸岡地方のバイパス入り口に平面交差もございますのでバイパス計画を持ったのでございますが、当時といたしましては丸岡地方整備に沿道の方々の御要望が非常に強かったということがありまして、一次改良といたしましては原道の整備を進めて参った次第でございます。今日平面交差、直角曲がりが交通の隘路になっております点は御指摘の通りでございますが、今後これら二次改良につきまして検討して参りたい、そういう工合に考えております。  それから二級国道でございますが、二級国道は三十六年度以降十カ年で一次改良舗装を終わらせたいという目標で進めております。  それから大聖寺から敦賀に至る海岸道路でございますが、先般なるほどこれも二級国道昇格の御要望等もございましたが、海岸で非常に経費のかかる点もございますが、この路線につきましては鋭意改良促進いたしている現状でございます。  以上御報告に対するお答えでございます。  それから最後に中島先生から御質問になりました点にお答えいたしたいと思います。  道路整備五カ年計画につきましては本年が二年目でございます。それでこれの改訂云々はあれかと思いますが、しかし私どもといたしましては、現在のいよいよの交通の逼迫に対しまして十分に検討していかなければならぬという工合に考えております。ことに高速自動車国道というようなものをどういう工合に整備していくかというような点からも、また地方道につきましても十分に検討する必要があると考えております。  その次に御質問の第二点でございますが、道路整備の早いおそいが各府県によりましてあるということは、確かに御指摘の通りでございます。私どもといたしましては、従来ともその県の未改良延長、未舗装延長あるいは自動車の保有台数、そういった計数によりまして県ごとの配分をきめて参っております。しかし、数年前には地方財政が非常に逼迫いたしまして、改良工事にいたしましても修繕にいたしましても、いずれも地方負担を伴っておりますので、地方負担の関係で、私どもがやりたいと思っているところでもあるいはできなかった時代がございます。それらのしわが今日まだ解消しきれずにおるのではないかと思います。一級国道につきましては、従って当時は大規模工事とかそれから都道府県知事が行なうのが不適当な工事というようなものを直轄でやっておりましたが、これも先般の道路法改正によりまして一級国道はすべて直轄で行なう、改築工事は直轄を原則とするという、こういう法改正によりまして、今後は全般的ににらんで、早いおそいのないように、地方財政の問題のしわがなるべく早く消せるようにしたい。なお一級国道につきましては、先ほども申しましたように、一次改良、一次舗装はもおおむね四十年度までに終わる、こういうようなことを目標に鋭意工事を進めております。  それから縦貫道の問題でございますが、たしか部費だったと思いますが、高速道路調査に要する経費というものを計上いたしております。それがたしか三十七年度で三年目か四年目になると思いますが、大体本年度中にこの調査を完了いたしまして、全国の国道、もちろん縦貫道を含めまして、全国自動車国道網というものの構想を一応描けるのではないかという工合に考えております。なおそれぞれの縦貫道に、期成同盟会と申し上げるのも適当ではないかと思いますが、先ほど御指摘の、それぞれ同盟会、促進のためのいろいろな外郭団体がございますので、それらを打って全国一体としたらどうかというような、それに対する意見を求められております。そのどういう工合な構想でおまとめになるか、そういう動きは聞いておりますが、具体的にどういうふうに一体となられるのか、その具体的な構想を伺っておりません。それをお聞かせいただければ、それについて検討さしていただきたいという工合に考えています。  それから、道路公債の発行はいろいろ問題がございますので、これも道路局としては十分に検討は尽くしていきたい、こういう工合に考えています。以上、簡単でございますが、御意見に対する考え方というものをお答え申し上げました。
  13. 前田光嘉

    前田説明員 御視察の報告の中に都市関係としましては二点御指摘がございました。一つは、高知市の都市改造事業の予算でございますが、御指摘の地区は、高知市の下知地区改造でございまして、本年度は予算の都合もございまして、御要望のワクには参りませんでしたけれども、この地区は、御案内の通り、高知市の南部の重要な地帯でございますので、事業の進捗をはかりますよう、今後極力努力をしたいと考えています。  その次は、熊本の白川の改修に関連する区画整理事業の進捗についてでございますが、御案内の通り、本地区は、白川の河川改修の用地を区画整理事業によって造成するという計画でございましたが、計画を決定いたしまして事業計画を作りまして、地元の方々と御相談を申し上げておる段階でございますが、地元の方におかれましては、あるいは右岸の方と左岸の方との利害の対立とか、あるいはまた農地に対する強い愛着の心とか、あるいはまた移転される方とそれを受け入れられる方々との間の感情がしっくりいかないとか、あるいはまた地価の上昇の問題等もからみまして、なかなか地元の方々との御相談が十分いっていないようでございます。しかしながら白川の改修工事はゆるがせにできませんので、目下市におきましては用地の買収に全力をあげておりまして、相当用地買収という方向によって予定地を確保していくようでございます。その進捗とにらみ合わせまして、当初の区画整理も若干の修正を行なった上で、しかるべき機会にこの地区の区画整理も行ないたいというふうに思って、続々指導を行なっている段階でございます。
  14. 中島巖

    中島(巖)委員 あまり時間を食っては恐縮でございますので、ごく簡単に再質問いたしたいと思います。計画局長がおらぬようでございますので、志村参事官でけっこうでありまするが、御答弁願いたいと思います。  建設省計画局は、私どもの考えといたしましては、国土全体に対するところの国土計画というようなものを計画すべきものだ、こういうように考えておるのでありますけれども、先ほどの吉田案とか首都圏整備委員会の二つの法律がこの前成立している。これらは国全体ではなく、東京都中心とした首都圏のみの計画を立てている、こういうところに間違いがあるのじゃないかと思いますけれども、計画局としては現在どんな仕事をしているのか、何だか影が薄くて、ないような感じがするのですが、その点について御説明を願いたいと思います。  それからさらに、道路局長に対しましては、先ほど御答弁があって大体わかったのでありますけれども、この道路予算の配分は、去年何県はこれだけだったから本年度もこれだけだというようなことが基本になっておるように思うのであります。しかし国全体から見れば、均衡のあるところの道路予算の配分をすべきである。しかも現在国が地方公共団体に与えている道路譲与税並びに軽油引取税というようなものは、補助事業並びに直轄の県負担分の倍額以上の予算が平均して各都道府県にわたっておるのであります。従って国でもって、道路局でもって均衡のあるところの予算配分を、予算の上から見ましても、財源の上から見ましても、やるべきものである。従って、従来のこの県はこれだけだったから本年はこれだけだというような方針でなく、配分の基準というようなものをはっきり策定すべきである、均衡のあるところの予算配分をすべきである、こういうように考えるわけでありますが、この点もう一度お伺いいたしたいと思います。  以上二点を御質問いたします。
  15. 志村清一

    ○志村説明員 建設省計画局の役割でございますが、中島先生おっしゃる通り、建設省のやっております国土計画地方計画事業の総合的な問題のほかに、国土全般にわたっての計画に関するいろいろの仕事をやっているわけでございますが、その際に経済企画庁も国土総合開発法によりましていろいろの計画を練るわけでございます。それにわれわれとしても協力いたしまして、全国計画の策定なり特定地域の問題なりについて共同歩調をとって参っております。都府県計画というような地方計画につきましては、建設省が一応窓口になっておりますので、その仕事を計画局が受け持ちまして、経済企画庁と歩調を合わせながら進んでおります。  なお、首都圏の問題等につきましても、首都圏と緊密な連絡をとりまして、お互いに相そごし合わないような総合的な計画を進めたいというふうに考えておるわけでございます。  また、建設省の中のいろいろな仕事の問題でございますが、それらの長期計画なりおのおのの計画の総合性というような問題につきまして、いろいろな諸調査を通じましてお互いの調整をはかるというふうな仕事もやっておりますが、仕事がきわめてじみでございますので、あまり表立ったことはございませんが、着々努力はいたしておるという現況でございます。
  16. 河北正治

    ○河北説明員 二級国道地方道の県別の予算配分の問題でございますが、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、その県の未改良延長、未舗装延長、あるいはまた交通量の問題もありますので、交通量をも勘案するという意味で、自動車の保有台数、あるいはまた人口もございましょうが、それらの計数を出しまして、それらに基づきまして、それぞれの県の配分額をきめるという具体的にはそういう考え方できめております。しかし、それのみにはよれない場合がございます。たとえば産業立地条件が急激に変わってくる、あるいは電源開発で、水没道路関係でこれを合併施行で整備いたさなければならない、そんな関係で個別的に特殊事情がありまして、それらの補正をするというような点で、あながち先ほど申し上げましたそれらの未改良延長とか、未舗装延長とか、自動車保有台数、それらの指数ばかりではいかない場合がございます。それから前年度を基準にするということでございますが、私どもといたしましては、むしろ逆に電源開発——これは一例でございます。電源開発等が済めばそれらに要する経費はもう要らなくなっているのですから、それらのファクターを除いて計算をいたしたいという工合に考えますが、県内でそれらのためにいろいろ新しい制度を作られたこともございます。それらを一挙に減らすということはお困りのこともございまして、それらの関係で逆に私どもといたしまして、むしろ前年度というものをこちらではなるべくこだわらないで配分していきたいという工合に考えております。
  17. 中島巖

    中島(巖)委員 時間がありませんのでこれで質問を終わりますけれども、道路局の方へ過去三年間の各県別の、これは都道府県道まで入れると大へんでございますから、一級国道、二級国道だけでけっこうでありますが、改良舗装進捗率と、それからもう一つは、過去三年間の予算の配分の額、この資料の提出を要求いたしまして、私の質問を終わることにいたします。      ————◇—————
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 河川に関する調査を進めます。  本件調査のため、水資源開発公団総裁進藤武左エ門君に参考人として意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお参考人からは質疑応答の形式で意見を聴取いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  この際、参考人より特に発言を求められておりますのでこれを許します。進藤参考人。
  20. 進藤武左エ門

    ○進藤参考人 ただいま御紹介のありました水資源開発公団総裁進藤武左エ門であります。  本日、水資源開発公団が発足いたしましてちょうど一カ月になりますので、その後の経過を御報告申し上げ、なお今後の御指導、御支援をお願いいたしたいと思います。  水資源開発公団は去る五月一日に発足いたしまして、事務所を港区の西久保巴町に設定いたし、なお関西方面の事業を遂行いたしますために、関西の支所というのを大阪市に設定いたしまして、本日から発足いたしたわけでございます。  人事につきましては、職制その他との関係もございましたが、これも一応、定員はまだ決定いたしておりませんけれども、職制については御了解を得まして、六部にいたしました。ただいま約八十人近くの人の任命を終わって仕事の段取りをつけておるわけでございます。理事は八名、監事は二名でございますが、すでに新聞で御承知のことと存じます。なお仕事といたしましては、すでに利根川水系と淀川水系の二河川を指定いたされておるのでありますが、そのうち利根川水系の矢木沢ダム、それから埼玉県にあります下久保ダム、この二つはすでに建設省で仕事を継続中でございますが、これをできるだけ早く承継いたしたいと考えております。なお淀川水系におきましては、奈良県の島山ダム、それから長良の可動ぜきのかさ上げでございますが、この二つの仕事もできるだけ早く公団の仕事とし  て承継いたすことになっておりますが、これはいずれも政府の水資源開発基本計画をおきめ下さいまして、その基本計画が設定いたしましたら、われわれが実施計画を作りましてできるだけ早くこれの完成をはかるような努力をいたしたいと考えております。  なお、先ほども申し上げました利根川水系並びに淀川水系につきましては、三十七年度の予算に一億円の調査費がございますが、これも調査をいたしまして、政府の御決定になりまする基本計画によりまして、できるだけ早く仕事に着手できるような手配を進めたいと考えております。御承知のように、関東におきましても関西におきましても、都市用水あるいは工業用水が非常に切実な問題でございますから、基本計画と申しますと、非常に大きな長い計画になるのでございますが、われわれとしては基本計画を設定すると一緒にできるだけ早く具体的な仕事に段取りをつけていただくようにいたしまして、大きな仕事と並行いたしまして当面の問題もできるだけ早く段取りをつけるようにいたしたいと考えております。  先般来関東並びに関西のこれら二河川に御関係府県並びに建設事務所、農林省の地方事務所等については伺いまして、ごあいさつかたがた地元の御意見も拝聴して参っておりますので、人員の整備と並行いたしまして三十七年度の実行予算をできるだけ早く決定いたしまして、仕事にかかりたいと考えておるわけであります。  実行予算でありますが、三十七年度の公団予算といたしましてはすでに四十一億四千万円が政府によって御決定いただいておりますが、われわれのところにおきましてこれをさらに実施予算に組みかえまして、この予算のワク内で仕事ができるような段取りをいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、発足わずか一カ月でございますから、仕事の実質について御報告申し上げる段階に至っておりませんが、過去一カ月間公団がやって参りました業務の経過を御報告申し上げた次第でございます。
  21. 二階堂進

    二階堂委員長 続いて質疑の通告があります。これを許します。石川次夫君。
  22. 石川次夫

    石川委員 発足早々の水資源開発公団で、きょうは総裁が就任のごあいさつのような形で見えられたときに、いきなり御質問申し上げるということは当を失するあるいは礼を失することになるのじゃないか、こうも思いますけれども、実は水資源開発公団法あるいは水資源開発促進法をこの委員会では非常に慎重に審議をいたしまして通過をさせたという経緯から見ても、非常に大きな関心を寄せておるわけであります。私自身も水資源開発公団の内容については全然わかりませんし、まあ素朴な一人の国民として水資源開発公団の発展いかんというものが日本開発に非常に重大な関連があるということで、水資源開発公団の将来に期待をする国民の声として一つ御質問をお聞き取り願いたい、こう考えるわけです。  一つは今も若干の抱負があったわけでございますけれども、申し上げましたように、日本開発の限度というものは水と道路でもって大体限界がきまるのだといっても過言ではないと思いますので、将来日本の大きな総合開発促進する上で、水の果たす役割というものは非常に大きいわけでありますから、将来の構想、利根川、木曾川あるいは淀川といったようなものについて自分たちはこういうふうな抱負を持っている、これは本省の関係の方からいろいろ制約はあるかもしれませんが、それはそれといたしまして、水資源開発公団それ自体としての抱負というもの、まあいわば夢みたいなものかもしれませんけれども、それを示していただくことによって皆さん方担当者の水資源開発公団に対する情勢をくみ取るようなことにいたしたい、こう思うわけでありますけれども、ただここでいきなり構想というものをお示し願うということは、まだ時期尚早であろうと思うのでございます。従って、そのような構想について早い機会に一つおれたちはこういうふうにしたいのだという意のあるところをこの委員会でお示し願うように御配慮を願いたいという希望を一つ申し上げておきます。  それから今まで申し上げましたように、日本の総合開発につきまして水資源開発公団の占める重要性というものはちょうちょうするまでもないと思いますけれども、最近新産業都市の基準あるいは国土総合開発を早く発表してもらいたい。きのうあたりの新聞では曲りなりに一応の発表があったようでありますけれども、これにはそれぞれの審議会、それぞれの委員会があると思います。私は実はこの質問は建設大臣あるいはその他の国務大臣にすべきだろうと思うのでございますけれども、この審議会、委員会には必ず水資源開発公団を代表される資格を持った委員が参加しなければならぬと考えるわけであります。ただここで開発公団の総裁に御要望申し上げてもどうにもならないことでありますけれども、建設大臣が来ましてからあとでまた個人的にもお話し申し上げたいと思いますが、必ずこういう委員会には水資源開発公団は参加をすべき任務を持っているということで、一つ総裁自体としても御配慮を願いたいと考えるわけであります。  それから、いろいろ申し上げて恐縮でございますが、東京都の水の問題はきわめて深刻であることはいうまでもございません。これは東京都それ自体の問題かもしれませんが、東京は御承知のように一つの都だけではなくて日本における首都という性格を持っておりますから、われわれの委員会としても重大な関心を持たないわけにはいかぬわけであります。ただ緊急対策をどうするかという問題を短い時間でいろいろ申し上げる余裕もありませんから省略いたしますけれども、少なくとも恒久対策として、このような現状というものは放置できない、何とか対策を立てなければならぬということだけはもちろんだろうと思います。それで東京都の人に、将来にわたって決して不安はないんだという安心感だけは与えなければならない。これは当面東京都の責任かもしれませんけれども、しかし、これは水資源開発公団と重大な関連があることではないか、こう思うわけであります。  そこで一つ申し上げたいのですが、利根川の開発というものは東京都ではなかなか対処できなかった、管轄外であった。今度水資源開発公団ができて、利根川開発促進されるということに、大いに国民としても東京都民としても水飢鐘に悩んでおるところから非常な期待を寄せておると思うのであります。そこで、もしここで御発表ができるならば、今のところは中川、江戸川から導水をするんだということが緊急対策として考えられておるようでありますが、将来水資源開発公団としては恒久対策として利根川——今いわれております下久保、矢木沢ダムというものでもって何年度には何千万トンくらいは確保できるんだというようなプランを、確信を持って発表できるならば、東京都民は非常に安心感を持つのではないか、こう考えるのであります。もし、発足早々でもって今のところは発表できる段階ではないとおっしゃられればそれまででありますけれども、できるならば東京都民に安心感を与える意味で水資源開発公団としてはかく検討し、かく実現させるということを言っていただければ幸いだ、こう考えるわけであります。  それからあと一つ、私も実情がわかりませんから多少ピントの狂った質問になるかもしれません。あるいは河川局長に質問する方が正しいのかもしれませんが、建設省あるいは一部農林省の方から水資源開発公団の方に移籍になる従業員がかなりあるのではなかろうかと思うわけであります。水資開発公団ができた当初、私が建設省関係の従業員の中からいろいろの疑問を投げかけられましたのは、長年にわたりまして建設省関係の従業員は定員化を促進するということで、建設省の、大臣その他の当局関係に非常に御心配いただいて相当程度成果をおさめたわけであります。ところが今度水資源開発公団に移籍ということになりますと、これが定員化された形で向こうに移籍になるかどうか、非常に不安を感じている向きがあるわけであります。この水資源開発公団は出発早々でありますけれども、出発早々における人事関係というものは相当円滑に進めませんと、これから後の仕事というものは円滑にいかないのではないか、こう考えまして、実は私個人といたしましては、経済企画庁の関係者の方々にはこのことをよく伝えてはありますけれども、工事費というようなことで、今までせっかく定員化された人たちが建設省から水資源開発公団の方に移って、人件費として扱われないで、工事費の中でまかなわれる。仕事の性質からいいますと、一つの仕事が片づけばその仕事がなくなってしまうというようなことで、定員化された形でもって人件費として扱うことは非常に困難だというような事情があるかもしれません。しかしながら、それでは私は水資源開発公団の将来の人事関係、ひいては事業の円滑化という上からいいまして、非常に問題が残るのではないか、こう考えるわけなのでございますけれども、その辺はどう考えておられますか。私自身全然このことについてはその後の経過報告を聞いていないものですから、この際一つ明らかにしていただきたい。このことは水資源開発公団の将来の運営を円滑ならしめるために、私は、親心といっては大へん言い過ぎかもしれませんが、あえて御質問したいと思っておるわけです。  それから最後に、本年度の予算の概要は四十一億四千万円ということは、私も前から伺っております。伺っておりますが、実はこれは本予算ということにはなっておらないでしょう。しかし、これは早い機会に収入それから支出の内容につきまして一つ明らかにしてわれわれに御報告を願いたい。このことについて別にこまかく申し上げたいとは思いませんけれども、内容を具体的に知って側面的にわれわれも御支援できるものは支援をしたい、こう考えるからにほかならないのであります。ただその中で一つだけこの機会に明らかにしておいてもらいたいと思うのは、今度の予算の中で水資源会館というものをお作りになるような計画があるのかどうか、その会館を作るとすれば、場所とかあるいは予算とか、それからそれは水資源開発公団それ自体が直営をするつもりなのか、あるいはまたどこかに委託をして、そういうものの経営をさせるというようなことをお考えになっておるのか、実はこの点ちょっと心配になることがございますから、この点は大へんこまかい質問で恐縮でございますけれども伺いたいと思うのです。  以上、ここで御返事ができないような問題が多いかと思いますけれども、返事のできる範囲で御答弁願いたいと思います。
  23. 進藤武左エ門

    ○進藤参考人 ただいま御質問のございました点にお答えいたしますが、先ほど申し上げましたように発足早々でございますからあるいは総裁個人の考えが入るかもしれませんけれども、この点をあらかじめ御承知願いたいと思います。  第一点でございますが、公団の事業の大体の規模とか構想とかいうものについてのお尋ねがございましたが、これは公団法によりますと、政府におきまする水資源開発の基本法の御決定を忠実に実行するという、固苦しく申し上げるとそういうことでございますが、幸い今度公団の理事並びに職員になりました方は、従来各省におきまして主として水の問題を御担当になった方々ばかりでございます。ちょうど水資源開発に対して水資源公団で組織の一元化ができたような格好でございます。従来各省でいろいろ御計画になりました問題、あるいは民間で現在いろいろ御意見があり、御計画になっておる問題等もできるだけ早く調査をいたし、あるいはそれを総合いたしまして、公団といたしましても積極的に意見を政府あるいは関係方面へ御提出いたしまして、日本の水資源がほんとうに経済的に資源として活用できるようにいたしたいと考えておるわけでございます。そこで調査等につきましては、今後十分努力いたしたいと考えております。  それから第二点の東京都の水不足に対する問題でございますが、これも先ほどお話のありましたように、すでに建設省あるいは農林省におきまして東京都の上水道の水源に対する御計画等がございまして、それを今度一応引き継ぐことになると思います。これはただいま政府で御作成中の基本計画に当然盛り込まれると思いますが、われわれといたしましては少なくとも矢木沢ダムあるいは下久保ダム完成する前に利根川からの水をとる、そうして村山の貯水池へ入れまして、東京都の上水道の水源の不足を埋めるということを考えまして、いわゆる幹線水路と申しますか、下久保ダム下流から、利根川の本流から水をとりまして、村山の貯水池まで持っていくという、すでに建設省でおやりになっておる構想あるいは農林省の用水路を使う構想、この二つをただいま検討中でございますが、これも基本計画が御決定になりますれば、少なくとも幹線水路については二年くらいでやろうじゃないかというふうなことを申しておるわけでございます。これはもう少し具体的になりますと御報告がはっきりできると思いますが、この程度でお許しを願いたいと思います。  それから第三番目の従業員の引き継ぎでございますが、これは今検討中でございますが、政府との関係もございますし、ただいまお話の点もございますが、結局は仕事が十分できて愉快な職場になる、能率よく仕事ができるというその目的に合った職員の処遇をいさなくてはならぬ、そういう考え方を土台といたしまして、各種の公団の現行の状況あるいは政府との関係等を十分考慮いたしまして、職員の不安のないようにいたしたいと考えております。これも、もう少したちますと具体的に御報告ができると考えております。  それから先ほどお話のありました点につきましてはまだ実はあまり申し上げかねる点がございますので、今後具体的にいろいろ検討した上で御報告申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、ただいまお話のありましたように、水資源開発につきましてこの委員会が非常に御注目下さいまして、今後いろいろ御指導下さるという積極的の御意見に対しましては、われわれとしてもぜひそう願  いたいということを考えておるわけでございます。  なお、予算の問題がございましたが、予算は先ほど申し上げましたように、四十一億四千万円が本年度のきめられた予算になっておりますが、先ほどお話のありました会館の構想はございません。これは私は今のところ建てるつもりは持っておりません。  それからその他につきましては大体さっき申し上げました矢木沢ダム、下久保ダム、高山ダム、長良可動ぜきの建設は、現在の建設省の仕事を引き継ぐことになりますから、予算もそれを引き継ぐことになります。あとは調査でございますが、とりあえず一億円の調査費を計上されておりますから、これをどういうふうに使っていくかという問題は今後検討いたさなくちゃなりませんが、少なくとも琵琶湖の調査それから利根川の下流等にあります河口ぜきの調査というふうなところに重点的にやっていきたいというふうに考えております。
  24. 石川次夫

    石川委員 御答弁ありがとうございました。  従業員の扱い方は、何としても定員化されたものが工事費で扱われるということの不安が非常に大きいようでございますから、今後の円滑な仕事の運営を考える上ごとにかくその点十分配慮して善処願いたいということを申し上げておきます。  それから水資源の会館のことについて非常にこまかい質問をして恐縮でございましたけれども、実は私のところに二つばかり投書がございます。それは一億円で買うことになった水資源会館というものを相当大きな権利金をもって転売をする計画があるというような投書なんであります。ただ私は全然信憑性を疑っておりますから別に問題にする気持は毛頭ございませんけれども、これについては自民党の幹部の名前も連ねてあり、まことしやかな投書が出ておりますから、そういう点も含めて、そういう誤解を生まないような配慮をあらかじめお願いしておきたいと思います。  それでは建設大臣が参りましたから、全然別なことになりますけれども、実は先ほど中島さんの方から御質問のあった東京湾の埋め立ての問題でございます。これは初め朝日新聞その他に出ておりまして、大したこともなかろうというふうにたかをくくっておって、一つのうわさ話のように聞いておったのでありますが、昨今オランダからの借款ということで、非常に実現性が濃いような形で新聞記事に出ておるものでありますから、これは安閑として見のがすわけにもいかぬのじゃなかろうか、こう考えたわけであります。中島さんからその点で過大都市の問題がたくさん出ております。今の水の問題もそうでありますし、交通難をどうするかということも非常に緊急課題になっております。三河島の問題にいたしましても、私は国鉄の関係者の双方を責めるというようなことで問題の解決を見出そうとすることは誤りであると思う。これは都市問題の根本問題の解決をはからないと、とんでもないことになるのじゃないかということを少なくとも私個人は考えております。そのように過大都市からくるいろいろな障害というものが、抜き差しならない格好で今日出ておるわけであります。そういうときに東京湾を埋め立ててまた人口を集中することを考えることがはたして妥当かどうかということについては、いろいろ意見はございましょうが、われわれとして非常に疑問を感じないわけにいかぬわけであります。そのことで実は委員会で、東京湾埋め立ての計画もあるようだけれども、そういう説もあるようだけれども、大臣の所見は一体どうでございましょうという質問を私したことがございます。それに対して大臣は、個人の資格か大臣としての資格かわかりませんけれども、私としては賛成できかねる、こういう御答弁を委員会ではっきり言われたわけであります。われわれも大臣の見解が大体正しいのではなかろうかと思っておったのでありますが、吉田さんが旅行に行かれて、東京湾埋め立てというものがあたかも国の機関として政府の意見としてやらなければならぬかのような印象を新聞では受けるわけであります。  それで私は、吉田さんは一体どういう代表の資格で向こうに行かれたかということをあらためて疑問に思っておるわけであります。そして向こうに行きまして、政府の代表として政府の意見としてのこういう交渉をやっておられるのかどうか。もしそうだということになりますと、国会の方ではまだまだ意見がまとまっておりません。政府の機関としてはそういう意見にまとまったというふうには私は少なくとも聞いておりません。そういうことになりますと、こういう話があたかも前総理ということで——実は執行機関ではございませんから、代表の資格が与えられない限りにおいては何らの権限も持っておらぬわけであります。しかしながら、前総理という肩書きがありますと相手も相当信頼するでありましょう、相談にも乗る、ある程度具体化をする。しかし、それは政府の代表として行ったのではないから話が違うということでは、国際関係にも影響があるということになるので、われわれは非常に不安を覚えるわけであります。それでわれわれとしては東京湾を埋め立てるという意見は、国会の方でもまとまっておらぬし、少なくとも建設委員会では反対の方が圧倒的に多いようにお見受けするわけであります。政府機関としても東京湾を埋め立てるということについての意見がまとまったというふうには聞いておりませんが、こういう交渉を吉田さんが前総理というような肩書きではないでしょうけれども、そういう人が向こうに行って交渉をされると非常に誤解も受けるし、波紋も引き起こすと思いますが、これについて建設大臣はどういうようにお考えになっておるか、先ほどこの点について中島さんから質問があったわけでありますが、大臣に関連して質問を申し上げたいと思います。
  25. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 東京湾埋め立てまたは開発に関する私の考え方は、従来と同じであります。御承知の通り東京への過度の人口集中をいかにして排除し、また既成市街地の整備等をやっていくか、こういうことについてかねがね首都圏整備委員会中心に衛星都市の建設やらあるいは既成市街地における工業等の制限に関する立法措置やいろいろ苦労をいたしておるわけでありますから、東京に直結をしたところに東京湾の埋め立てまたは開発をすることは適当でない。東京湾の開発それ自体は相当意義がありますけれども、もし開発をされるならば東京と切り離れた衛星都市の姿でやるべきであろうというのが、私の基本的な考えであります。ただし東京湾ことに東京港は、ごらんの通りの現状でありますから、港湾整備の意味の埋め立てば大いに必要でございます。従って、東京都に直接関係をした区域は目標を港湾の整備に置いて埠頭を作る、あるいは埠頭の周辺に倉庫を整備するとか、要するに港湾機構の向上拡大に資する行き方で東京都接続地帯は開発すべきである、こういうように考えております。  今回私も新聞を見まして、吉田さんがオランダで東京湾埋め立てに関する借款の話をする——話をしたと出ておりませんが、する意向があるように報道されております。これについて私ども直接の関係は何らございません。多分吉田さんは大阪の借款も前に旅行されたときにサウンドして実を結んだ歴史もございますから、個人的にサウンドしてみよう、こういうことではないかと思うのであります。かりにそういうことが実を結んだにいたしましても、東京湾の開発自体は、私ども東京に接続したところは今のような考え方で、もし大規模開発をするとするならば東京とは切り離した衛星都市の姿で千葉側の方に行なうべきではないか、こういうように考えておるわけであります。  なお、これにつきましては、私どもの方の役所としてもいろいろな角度から研究中でございます。首都圏としましては、先年三年ほどかかりまして、東京湾全体についての深浅調査をいたしました。それに引き続きまして建設省といたしましては、埋め立て可能の深度のところ、大体十メートル以内くらいのところの地盤調査をやりました。この作業は一応終わって、目下その集計をいたしております。そういったようなデータがとにかく整わないことには、夢を見るような考え方だけで、役所としてはまた政府としては態度をきめるわけにはいかないというようなことで、いろいろなデータをそろえまして、今後世論もございますし、われわれとしましては慎重な検討を進めて参りたい、こう思っておる次第でございます。
  26. 石川次夫

    石川委員 建設大臣の御意見、まことにわれわれとしても同感でございます。東京港それ自体整備しなければならぬということ、それに関連する埋め立てということならわれわれもまことに同感でありますけれども、それ以上の大規模な埋め立てということになると、これはなかなか精密な調査をした上でないと結論が出にくいだろう、またいろいろな意見があって、おそらくそういう形、方向では誤りではないかと、建設大臣と同じように考えるわけですが、ただ問題は吉田さんが向こうへ行って、相当具体的に話を進めてしまうということをこのまま放任していいのかどうかという問題です。政府はこれに対して、何か向こうと連絡をとりまして、その点について確認をするなり、あまり行き過ぎのないような措置をとる必要はないでしょうか。
  27. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 まだそういったような、新聞がどの新聞かで報道されただけでございますから、私どもとして今の段階でそれはやめてもらいたいとかあるいはこうしてほしいとかいうことを言う段階でないように思うのであります。かりにそういうことが実を結ぶ方向に向かいましたにしても、御承知の通り千葉県及びその他の方面で、千葉側の相当大規模開発計画をしようということは一部にあるようでございますし、この考え方はいろいろな地盤調査と合理的な資料が整えば考慮してもいいのじゃないかと思います。従って、もしそういうことが実を結ぶ方向に向かいましても、私どもの責任としましては今考えておるような方向に方向づけて、やるならやるようにしなければならぬ、こう思っております。
  28. 山田長司

    山田(長)委員 道路河川の拡張等による補償の問題については全国各地に困難な問題、実例がたくさんあると思うのです。そこでこうした補償の基準価格について、最近の物価高から容易ならぬ価格が出てきておると思うのですが、これは建設省としてどこが基準になって、こういう物価高に対処する基準価格というものを作っていますか。
  29. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 公共用地の取得に関する評価基準につきましては、先般公共用地審議会から考え方を答申していただきました。建設省としましては計画局が中心になりまして、この答申をもとにいろいろな角度から適正な評価基準を作って閣議決定にいたしまして、全国の土地収用委員会にその基準をできるだけ守って、適正な評価、収用方法を講ずるように進めたいということで、目下計画局を中心に、公共用地審議会の答申を基本として慎重に検討しておる段階でございます。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 数日前の新聞にただいま大臣が申されましたような公共用地の取得についての問題が出ていましたけれども、すでに旧来何カ所かにわたり、こうした補償の問題を伴う拡張計画をなされておると思うのです。まず私はそれらの問題についても、一応どういうことでそういう基準が出ておるのかということ、同時にさっぱりこの基準価格というものについて明確さがない。それから収用委員会ではただ人民を威喝するような態度でこれが処理に当たっておるというような事例がたくさんある。私は今これらのことを伺おうとするのではないのですが、大体いずれもこの道路の拡張とか河川の拡張等については、地方自治体と緊密不可分の関係に置かれていると思うのですが、地方自治体との緊密不可分の関係に置かれているこのことについては、事業目的の中に当然認可条件として私は契約がうたわれていると思うのです。契約の内容、いろいろなものがうたわれていなければならぬと思うのです。この地方自治体との密接な関係道路の拡張とかあるいは河川改修等が行なわれるが、この不可分の条件として、大体どういうことが認可の条件としてうたわれているか。このことがうたわれずに進められるはずがないと思うのですが、一応大ざっぱでいいですが、どういう地域はどんな条件で進める、あるいはこういう地域はこんな条件で進めるとか、こういうことを建設省でお持ちだと思うのですが、一つお教えを願いたい。
  31. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 事業の認可ということについてのお話でございますが、それはどういう意味が、よく私は実は受け取りにくいのでありますが、国の直轄事業の場合には国で直轄でやりますが、区画整理の事業のように地方の公共団体の施行するものに対して認可をいたします場合には、それぞれの所管の部局におきまして十分に、その計画が適当かどうかを、技術的にも、また諸般の情勢等を勘案いたしまして検討して、これならばよかろうというものについて認可をするわけでございます。そうして執行の面におきましても行政指導と申しますか、つとめてその実施機関である地方公共団体と監督官庁である建設省とが緊密なる連絡をとりまして、適正な施行をするように指導いたしておるというわけでございます。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 全国各地にわたることでありますから、大臣が一々これを御承知であるとは実は考えていないのですが、一つの事例を一応申し上げて、これは大臣に御答弁できなかったならば河川局長なり都市計画局長なりに御答弁願いたいと思う。実は建設省と契約を結びまして、ことしの三月三十一日までに三百八戸の戸数が立ちのくことになっておりました。これは栃木県の足利市の勧農毛野地区という地区です。岩井山の北岸であります。三月三十一日までに動く契約を建設省としておきながら、実は動いたのは六十戸であります。あとの戸数はほとんど動かずにおります。どうして動かずにおるのかと思って調査をしてみますると、地元の足利市で都市計画をした地点にその家屋は移転することになっておりました。ところが今になりますと、都市計画はまるっ切り進行していない。そこへもってきてこの住民の契約書に従う金品の取得というものがあったことになって、税務署ではここに税金をかけてきました。こういう問題についても、住民にしますると、金はもらってない、税金はかかってくる、移転する先はちっとも進行してない、足利の都市計画というものは……。ですから動いていけない。しかし期限は三月三十一日できてしまった。こういうために動かずにいる人たちは、これはもう不安で生活がやれない。それから何一つ作ろうとしても、あるいは営業している人たちにとってもまことに不安な状態に置かれておるわけです。こういう場合、これから移転をしなければならぬ事態でも一年の間に御承知のように物価はまるで高くなってきておる。それから大工の手間等にしても、人夫の手間等にいたしましてもまるで価格が変わっておる。これは私が申し上げなくても大臣はよくその実情はわかると思うのですが、移転する先はちっとも進行してないのは住民の責任ではないのです。しかし、契約書は三月三十一日できてしまっておる。この立場に置かれる住民の労苦というものは並大ていのものでないと思うのです。そこで建設省ではそれでもなお動かすと言っておる。動かすなら動かしてみろと地元の人は言っておるのですけれども、動かすのも足利市の方に予算がないし、建設省にも予算がないから、建設省の出先機関で自分の方で動かすと最近は言ってきておる。一体そんなばかばかしいことができる筋合いのものではないのです。これは。この責任は足利市当局にまずあると私は思う。そこへもってきてこの税金がかかってきておる。こういう問題についても建設当局で取得していない人たちの税金というものは払うべき筋合いのものだと思いますが、これに対して大臣はどう考えておるか。  もう一つは自治体と緊密不可分の関係に置かれてこういう改修工事というものはなされておると私は思うのですが、地元の市役所に、私市長にも会うし、助役にも会うし、都市計画の担任の人にも会ったのでありますが、とにかく進行しなくて申しわけなかったというだけなんです。この物価高に対するものの考え方というものは、足利市ではちっともしていない。市当局建設省ではこの都市計画に対する契約か何か当然私はあると思うのですが、契約が完了しなかった場合には、これが住民の移転の問題についてどんなふうな内容で契約が進められておるのか、まずこの点を伺いたいと思います。
  33. 前田光嘉

    前田説明員 足利市のただいま御指摘の土地区画整理事業でございますが、河川関係で立ちのくべき人の用地の一部にも充てるということで昨年から市の施行といたしまして土地区画整理事業を施行したのでございます。これにつきましては、今御指摘のように用地の立ちのきの問題と土地区画整理事業の進行は当然タイミングを合わせていくべきだと思いますが、地元関係でそれほど十分進捗してないように聞いておりますが、われわれといたしましても、市の事業でございましょうけれども、極力あるいは融資のあっせんとか、あるいは技術の指導をいたしましてタイミングを合わせるように今後とも指導いたしていきたいと考えております。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 住民にもう取得したことによる税金がかかってきている。これはむろん法規上いろいろ問題があると思うのでありますけれども、金を取得していない人たちに税金がかかってきているという問題については、これは法規上からいって地元住民はどうすることもできないと思うのです。これは大臣はどういうふうなものの処置の仕方をしたらこの税金を免除させることができるか。これは当然私は市の事業は進捗しないで、移転できずにいる。移転できずにいる人たちに金をもらったことにして税金をかけて、これを取り立てる。これは税金の金額も非常に大きいのです。こういう問題についてどういう処置の仕方を大臣としてはしてやる決意がありますか。
  35. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 税務署が現実に収用代金を取得していないのにすでにその査定をして税金の徴収を行なおうとしている。これは確かに私どもも合点がいきません。現実に所得があってから初めて課税をすべきものじゃないかと思うのでありますが、この点につきましては私の方の河川局の事業でございますから、河川局の事業として補償をしていない現実の実情を税務当局の方にも訴えまして、何らか税務当局考慮してもらうようにわれわれの方でも一つ手配をしてみたいと思います。
  36. 山田長司

    山田(長)委員 金額等に相違があるかどうかわかりませんが、これは河川局でわかったならば、このことについては河川局から答弁願いたいと思います。二回にわたる建設省からの補償額は最初は三億六千万で、追加に千三百二十万円出したそうですか、実はこの仕事の衝にあたって移転の勧誘を積極的にやっておられた人たちはもうとうに六十戸の数の中に入りまして移転してしまった。移転できない人たちだけが二百四、五十戸残りまして、それで現在毎日々々不安な生活を送っているわけです。これは全国にこういう事例があるのかどうなのか私はわかりませんですけれども、建設省と契約を結んで三月三十一日までには間違いなく移転しますという一札を入れておいて、それで移転先はちっとも進行せずにいる。これについて建設省はさっぱり交渉していない。交渉しているならば交渉している内容を明らかにしてもらいたいと思うのです。交渉していない。それがために住民はまことに不安な状態に置かれているわけです。それで今度は移転していく場合には大工の手間も当時は六百円か七百円だったものが、今はもう千二、三百円です。それから人夫も三百円か、四百円だったのがもうすでに倍の金額になっている、こういう場合に建設省としてこの補償額は一体どうするのです。補償額は増額しますか。これは大臣一つ明らかにしてもらいたい。
  37. 山内一郎

    山内説明員 渡良瀬川の改修に伴いまして移転していただく方がだいぶできたわけでございますが、この補償につきまして三十六年の三月に契約を一部の人を除いてやっております。それの移転の期限は今言われましたようにことしの三月、こういうことで契約をやっておりますが、一年前は足利市の区画整理事業が順当に進みまして、三十七年三月には移れる、こういう目標でこちらもやって参ったわけでございます。ところがその後いろいろ事情がありまして、区画整理の審議会の中の事情かと思いますが、予定通りの進捗はして参りませんで、ただいまのところまだ移転する先がきまっていない、こういう実情は御指摘の通りでございます。  そこで、契約額について今後どういうふうに考えていくかという問題になるかと思いますが、三十七年三月までの移転でございますので、その時期には移転できる金額をはじき出しているわけでございます。ところがその後、三月を経過しておりますので、まず第一にやりますことは移転先を早く作ることでございますが、区画整理事業につきましても地方建設局から極力その事業促進をやって参っておりますが、今後その促進をさらに進めて、まず移転先を作り上げることに専念をして参りたいと思っております。その時期になりまして契約金額についてはたしてできるかどうかということは、もう一度見直す必要があろうかと思いますが、その場合でも地元の方個人々々やられると値段の点でいろいろむずかしいような点がございましたら、あるいは地方建設局の方で代行するというような方法もいかがか、そういうふうに今のところは考えておりますが、先ほど申し上げましたようにただいま移転先の問題に重点を置いて専念をしておる、こういう状況でございます。
  38. 山田長司

    山田(長)委員 私は言葉だけじゃ地元の人たちは了解できぬと思うのですよ。ただいま局長は移転先の問題を研究しているような意味のことを言っているが、私たちの知っている範囲では、移転先の問題については全然自治体も建設省の人たちも、考えているどころじゃない、実行に移している段階は一つもないと私は見ているのですよ。ですから、あまりにも地元の人たちが不安な状態に置かれているからこういう質問をするわけです。あなたがそうおっしゃるなら、移転する先の土地の問題で今どういうようなことを研究しているか、その研究している状況を具体的に言ってみて下さい。
  39. 山内一郎

    山内説明員 移転先につきましては、昨年から足利市の区画整理事業をやりまして保留地に移転する、こういう方針は地方建設局、足利市も意見の一致を見ているわけでございます。従って移転先については、やはり区画整理事業による保留地を目当てにしてその方向に進んで現在極力努力をしておる、こういうことでございます。
  40. 山田長司

    山田(長)委員 まことにばく然たることなんですよ。地元の区画整理委員会というものは一応役員が全部辞任しちゃったんです。辞任したあと、四月になって作っているというような状態で、まだ役員構成さえもろくにできていないのです。それだのに建設省地元住民の契約書の期限は三月三十一日できてしまって、私は建設省住民と結んだ契約書の権威というものがそんないいかげんなものでいいかどうかということが問題だと思う。実にこれはいいかげんじゃないですか。だから地元の市役所と建設省とはどういう内容の契約を結ばれているかということを私は聞きたいわけです。これはどういうふうに建設省と結ばれているのです。
  41. 山内一郎

    山内説明員 一カ年前地元と契約を結びました時限においては、足利市の区画整理事業によって土地を見つける、こういうことで進んで参ったわけでございます。その方針は現在も変わっておりません。従って、区画整理事業促進するということで現在やって参っているわけでございます。区画整理審議会にも今言われましたようにいろいろ問題ございましたが、やっと最近軌道に乗ってきたということでございますので、今後促進がはかられるかと思います。
  42. 山田長司

    山田(長)委員 私はかつて愛知用水の建設のとき、先祖の位はいまで持ち出していく住民の姿を、あの木曾の山中で見ました。しかも山の中に三回も足を運んだそのときの実情というものは、百七十五戸の移転については建設当局もそのほかの自治体の方々もかなり親切にめんどうを見て、あの知多半島にまで動いていく住民ができた。ところが今度の場合は、それは移転していくのでありますからもとの土地が確保されないのは了解できると思うのです。面積はどれだけ少なくしたか、少なくした形で動いていくことは私は了解できる。ところが都市計画自体で、今度の受け入れ態勢の面積というものはなっていないのです。私はこれは問題が起こるなと思って見ておったが、はたせるかな問題が起こってしまった。六人の人たちがどうして建設省と契約をしなかったかということで契約をしなかった人たちにも私は会ってみた。そうしたら市の区画整理の委員の人たちはどうも不公平なことをしそうな人ばかりが委員になってしまった。こんな人たちにまかせて先祖伝来の土地を離れ家を片づけていくというようなことは是認ができないからはんこを押さなかった。六人の人たちはみな同じようなことを言っている。私は最初から人選にもずいぶん誤りがあったと思うのです。これは私の郷里であって大へん失礼な言い分になってしまうと思うのですが、そういう実態が建設当局では見抜けなかったのかどうか。こんな進行しない状態に置かれているのをこのままにしておいてもしことしもキティ台風のようなものでもあって、また前のように何十人かの人を殺してしまうような大水が出たならば私はゆゆしい問題だと思うから、出る前にこのことをここで申し上げておくわけですけれども、これは大臣としても足利市当局者を呼んで、区画整理の進行状態ぐらいすみやかに私は聞いてもらいたいと思うのですよ。同時に、これは移転できずにいる住民の責任じゃないのですから、当然この金額については予算額をもってこれの処理をするというようなことを私は考えてもらいたいと思います。どうですか、大臣。
  43. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは河川局の事業でございますから河川局を中心に、また都市計画を指導いたしておりまする都市局もいろいろ苦労をいたしておるわけでございますが、都市計画委員の選任はこれは地元の責任においてやるべきことで、あるいはそういう点に確かに適当でない点があったので、委員総辞職というようなことになったのではないかと思いますが、われわれとしましては地元の市を督励しまして、早く計画通りに事業の遂行のできるように最善を尽くして参りたいと思って関係当局に今手を打たしておるわけでございます。なお私自身といたしましても、一つ今御指摘のありましたような点につきましては努力をしてみたい。  それから補償の問題でございますが、これは今河川局長から申し上げましたように、本年三月一ぱいが移転の期限でございますから、従来はその時点を補償の計算の基礎にしておるわけであります。その後の物価とかあるいは人件費等に移動があればこれは適正な範囲においては当然修正をすべきものだと私ども考えております。ただそういうようなどこが一体賃金、物価の適正な水準であるかということについては、これはあるいは事業執行者の側と個々の権利者との間に意見の一致を見ないような場合もあるかと思いますが、考え方としましては当然そうあるべきであると私ども考えております。
  44. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと山田君に申し上げますが、この部屋は一時から農林水産委員会が使うことになっておりますので、一つお含みの上質問をしていただきたいと思います。
  45. 山田長司

    山田(長)委員 委員長の注意もありますから要約して大臣に伺っておきますが、そうすると、税金の問題については建設省でこれが不当であるから善処をするということで、この点はいいですね。それから第二の問題の物価高に対処する問題は、いずれ地方の実情をしんしゃくして、物価高には善処をする、こういうことでいいですね。
  46. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 その通りでございます。物価、賃金に時期がずれて参りますれば、その時点を基準にスライドをさせるということは、考え方としては当然だと思っております。
  47. 山田長司

    山田(長)委員 最後に申し上げておきますが、これは建設省の方からも、県の土地収用委員会の方に強く要望してもらいたいと思うことが一つあるのです。それは地元住民を、幾ら法規があるからといっても、むやみに収用委員会に呼びつけて、一音半句質問をしないで、聞きもしないで、きょうは書類が整わなかったから帰ってもいい、こういう形で帰しているわけです。これはいかにも役人風を吹かせて、住民をいじめる一つの手段としてはまことにいいかもしれないけれども、そんなことは許されぬと思うのですよ。このことについて、私は収用委員会に抗議を申し込んでおりますけれども、私は再びこういう事態があってはならぬと思うのです。それで特にそういうことのなきよう宇都宮の出張所の方へ向けても、収用委員会の方にもやはり言っておいてもらいたいと思うのです。一応これを要望しておきます。時間の関係でやめます。
  48. 松澤雄藏

    ○松澤委員 関連して。ただいまの山田長司君の御質問のうちで、地方自治体と政府との関連性に対して、今後お互いによく考えねばならない問題が含まれておるように考えておるのでありますので、一言御質問申し上げます。ただいまの件に対しては、政府としては指導的立場においてのみなすべきものであるか、それとも直接に——最後に善処する云々という確認的なお言葉もありましたが、そういうふうな点からいたしまして、政府が直接に責任をとってなさねばならない問題であるかどうか。指導的立場であるとすると、よく自治団体等から、昨今日本の政治のあり方、あるいは行政のあり方が、すべて中央集権的な立場になってきている。もう少し自治体のあり方を認めてほしい、こういうふうなことをよくわれわれは耳にいたします。そうしますると、政府としての立場というものは、おのずからものの考え方が基本的に違ってくると思います。従って行政指導的な立場のもの、責任をとらなければならぬ立場のもの、この二つを明らかにして、私は今後ともなすべきである、かように存じますが、ただいまの問題の詳細がわかりかねますので、判断に悩む次第ですが、これに対して大臣の、ただいまの案件に対する考え方というようなものをお教え願いたい、かように思います。
  49. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 松澤さんから分析した御質問がございましたが、申すまでもなく都市計画計画されますのは、各地方公共団体であります。そこから一定の計画ができましたならば、その許可方を建設省に申請をして参りますので、われわれの方の立場としましては、その計画が妥当であるかどうかを認可するのでありまして、事業の執行責任はあくまでその申請をして参りました地方団体にあるわけでありますが、その他の部分につきましては、従って建設省としてはできるだけ行政指導をし、あるいはまた技術者が足りないから世話をしてもらいたいというようなものについては協力をするとか、こういう範囲で協力をいたしておるわけでございます。
  50. 松澤雄藏

    ○松澤委員 そうしますると、先ほど河川局長の言われたことに、移転先に専念をいたしておりますという言葉がございましたが、その専念をいたしておりますというのは、政府の直轄事業的な立場において専念をしておるのか、それとも地元の市が中心になる審議委員会なりあるいは市当局中心になってやっていくのか、それをその方面に専念せしめるように努力をして指導をしておる、こういうふうな意味であるか、これをちょっとお伺いしておきたい、かように思います。
  51. 山内一郎

    山内説明員 この事業直轄事業でございますので、やはり建設省中心になっていろいろ考えていかなければならないと思います。ただ建設省でやれる範囲とやれない範囲があると思いますが、たとえば区画整理事業によって土地を見つけるというような問題は、やはり市が主体になりましてやっていただく事業でございます。ただし建設省として直轄事業でございますので、応援できることは極力応援する、そうしてできるだけ早い期間にこの工事が進められるようにやって参りたい、かように考えます。
  52. 松澤雄藏

    ○松澤委員 ちょっと関連としては長くなったようでございますが、どうもはっきりわからないので再度御質問するのですが、その私が申し上げる趣旨は、今も大臣にも申し上げて御意向を承ったのでありますが、政府がなすべきことと、地方自治団体がなすべきこと、たとい直轄河川改修でありましても、その周辺に家屋があって、それを移転しなければならないというふうな場合、その移転をさせなくちゃならぬこと自体は、それは直轄河川としての改修のためにやるのではございますが、その移転をするそれ自体というものは、今都市計画の中に含めて市にいわばお願いをして、市が中心になって、そうして都市計画に基づく審議委員会等においてやっておるんだ、こうなりますると、なるほど改修の仕事それ自体は直轄ではございますが、移転せしめる方は市が一括責任を負うてやっておるのだ、こういうふうになりますと、この移転先に対して建設省が専念をしておるという言葉は、私は必ずしも妥当な言葉ではない。いわば専念せしめて、そうして一日もすみやかにその方面に宅地造成をするなり何なりをさせるように、私たちは河川改修の方が直轄であるだけにお願いをして指導をしておるのだ、こうであれば私は誤解を免れると思いますが、専念を直接にしておるのだということになりますと、すべて直轄でやっておるのだというふうにもなると思います。よく国会等において、こういう委員会等になりますると、ときによっては、私の言い方がまずいのかもしれませんが、地方のあらゆるトラブルというふうなものを、われわれは国民の代表なるがゆえに、といった立場から国会へ持ってきて、それを云々いたしまして、そうして地方自治団体の政争の具に供せられるような場合すらなきにしもあらざる今までの数回の問題がございます。そういうふうな点から、国会はあくまでも国民全体、日本全体を議するところでありまして、一地区の、一市当局のなしておるものまで取り上げてやるというようなことはよくよくでなければならぬはずだと私は思います。そういうふうな点から、今後十分にこのような問題に対しまして留意した上に立って御答弁のほどをお願いいたしたい。かように要望いたして私の関連を終わります。
  53. 二階堂進

    二階堂委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会