○三宅
委員 ただいまの
木村君の御質問に関連いたしまして、主として
建設大臣に二、三点お伺いいたしたいと思います。
国土
縦貫自動車道を国会を中心にいたしまして発案いたしましたときに、
建設省の事務当局と
意見の食い違いましたのは、私は、二つあったと思うのであります。
一つは、利用価値の問題が、
東海道の高速自動車道と
中央道との間に比較で出てきた。もう
一つは、先ほど
木村君が御
指摘になりましたように、非常に長いトンネル等ができ、しかも寒い地点を通るので、技術的に困難だという二点であったと思うのでであります。しかし私
どもが国土
縦貫自動車道というものを発案いたしました
根拠というものは、日本の産業、人口、富、文化、あらゆるものの格差を解消いたしまして、日本の均衡ある発展を遂げるための、その大きな骨組みとして、国土
縦貫自動車道が必要であるという観点から、ああいう大きな
法律が、しかも国会の
満場一致をもって通るという経過になったと思うのであります。そういう関係がありまして、そういう事務的な対立点とかいろいろのものにつきましても、すでに国会を通ってしまった大きな法案でありますから、だんだん
建設省関係もお
考えを下さっておることと思うのでありますが、第一点として、
大臣にお伺いいたしたいのは、今日、
東海道に高速自動車道を作る、そして
東京でオリンピック
道路を作る、二兆一千億の公共
事業費を計上いたしましても、もう過大都市その他の跡始末のために非常に高い金を使って、公共
事業費の七割というものはそっちへ使われてしまう。格差解消のために後進地域を開発するという方向には金が回らない。それでその道ができますと、今度はさらに
東京が大きくなる、表日本が大きくなる。その跡始末のためにまた金を使ってしまって、格差は無制限に広がるのみならず、非常に金を作って、その弊害が及ぶところというものは、実に大きなものがあると思うのであります。私
どもは二兆一千億の
道路五カ年
計画のごときものも、これだけ社会資本が立ちおくれになっている日本といたしましては、大企業の設備投資の二重投資やいろいろなことを節約いたさせますることによって、金をそっちの方へ向ける意味においては、もっと大きく再改定しなければならぬと思います。しかし、それを再改定するときには、少なくとも後進地域の開発、国土の総合的発展、格差解消というような見地で、今利用価値が少なくとも、先行手段としての
道路政策というものは、その方向に少なくとも半分は回すんだというような大きな筋というものが流れておらなければ、いたずらに金を使って格差を増長させるだけになると私は思うのであります。こういう点からいきまして、利用価値が少ないなんということは、私は理由にはならぬと思うのでありまして、その意味においては
中央道の関係などにつきましても、
富士吉田だけにとどまるものでなしに、ただいま
木村君の言われた
通りです。名古屋は日本の過大都市の中におきまして比較的弊害の少ない地帯ですが、あそこにもし
中央道が、トンネルの問題はあとにいたしましても、中津までの間に
高速道が
東京から行ったのと
小牧から行ったのと両方で行ってごらんなさい。あの道がもう一本できますと、国道も今改良しておりますし、できましたならば、名古屋の過大都市なんというものは、私は東濃地方が大きく吸収いたしまして、あとになって非常に高い金でまた道を名古屋の市内に作らなければならぬというようなことを防ぐ意味におきましても、私は政治家の見識からいたしましたならば、当然やらなければならぬことであると信ずるのであります。この点について大村君が
調整費でもって
一つそっちの方にも回したらどうだと言われますのは、私は見識だと思います。
一つこの点をお
考え願いたいと思いますし、御
答弁をいただきたいと存じます。
もう
一つ大きな点は、
工事が困難だというようなことが
一つの口実にされておりますけれ
ども、最近、
大臣も見ておられると思いますが、イタリア、スイス、フランスで、アルプスを突き抜きまして非常に大きな
工事が国際的協力で今やられつつある、おそらく私は、高度におきましても寒さにおきましても、赤石山系のあの
程度のトンネルなどは問題にならないと思うのであります。従いまして、おそらく
建設省の事務当局としては、そこなどの実情を見せにやったりいたしまして参考にされたらいいと思うのでありますが、今赤石山系のトンネルの問題が技術的にむずかしいなんということは、私は日本の技術の恥だと思います。あんなものがやれないなんということは、われわれしろうとでありますけれ
ども、これは問題じゃないと思うのであります。特に私は
道路におきまして、トンネル技術というものが——鉄道は非常にトンネル
工事の関係は練達しておるようでありますが、日本の
道路工事の上におけるトンネルの問題は、実に私はこれから重大だと思うのであります。われわれは格差解消のために
縦貫自動車道が日本全体にできることを望んでおりますけれ
ども、格差解消を早くやりまするためには、私
ども考えておりますることは、日本は細長いのですから、だからして稚内から鹿児島までの国土
縦貫自動車道というものを作ります順序をどう
考えるかといいますれば、私はやはり肋骨道として、表日本と裏日本の非常な短いところを早くつなぐということが、やはり格差解消という上からいきますれば非常に必要だと思うのであります。そうしますと、脊梁山脈が細長い日本のまん中に通っておりますから、かりに仙台と秋田をつなぐにしても、
東京と新潟をつなぐにしても、あるいは名古屋と金沢をつなぐにいたしましても、こういう最短距離による格差解消を行ないまする上において、トンネル
工事というものは非常にこれからあと大きなものが出てくると思うのであります。そういう意味におきましては、私は赤石山系など
一つ取り組まれて早くやられますことが、日本の
建設省の持っておりまする及び日本の土木
工事の連中の持っておりまするトンネル技術、開さく技術等における飛躍的発展を来たさせると思うのでありまして、そういう観点からいきましても、
中央道についてはもう少しやはり積極的なる施策をする必要があると思うのであります。まさか
木村君が言われたように、
法律で制定されておりまするものを、
東海道ができたらもう利用度が少ないからといって延ばすというようなことを主観的に意図しておるとは思いませんけれ
ども、そんなことをやっておっては問題にならないのであります。いつも私
どもは話すのでありますが、戦前寝覚の床のところに遊びに行ったら、葉山嘉樹君が——
中村君も御
承知かもしれませんけれ
どもプロレタリア文章家で、遊びに行ったとき、とても景色がいい所だなあと言ったら、葉山嘉樹君が景色じゃ食えないと言う。そばしかできない地帯であります。けれ
ども最近におきましては、景色が産業であります。そういう観点からいきましてもあの山系における石灰石とかあるいはまた木材だとか風景だとかいうものを
考えますというと、
東京と名古屋との間を脊梁山脈を横断して通る道ができますということは、いろいろな意味において私は日本の
建設工事における
一つの進歩の契機にもなると思います。
工事がむずかしいなんということを理由にいたしますことは、理由にならないと思うのであります。そういう意味におきましても、だいぶ今度も
大臣は骨を折ってくれたようでありますけれ
ども、
東海道の方は全線を
考える、
中央道の方はまだ
富士吉田までしか
考えない、そういういき方でなしに、
一つここでもっと進めるということが、私は今日の格差解消をほんとうに
考える際におきまして必要だと存じますので、この点について大局的な御
答弁を承りたいと存じます。
なお、イタリアやいろいろなところに比較して、トンネル
工事の日本における
建設水準とか技術水準などがどの辺まで行っているかということについては、もし御
答弁があれば
局長なりあるいは専門の方から承りたいと存じます。