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三宅参考人 私本日の
参考人としてお呼び出しにあずかりました
大阪府
土木部長の
三宅と申すものであります。
阪神高速道路公団法案が上程に相なって、
地元のいろいろのこれに対する
意見を述べよということでございます。
地元の
関係といたしましては、主といたしまして
大阪府、
大阪市、
神戸市、この三者が
関係者でございますから、まず
大阪を代表いたしまして
——代表と申しますよりも、府と市と、御
承知のように
大阪は
道路の
管理者が
大阪市内におきましては
大阪市長が、市を除きます
府下の
道路の
管理者は
大阪府知事が、というような格好に分かれております。後刻市の
道路関係につきましては市の
計画局長より非常に詳しく御
意見が御開陳に相なろうかと思いますが、府といたしましては、この市をも含めまして
府下全体の
道路の問題というようなことにして、
関連性につきまして総括的な
お話をさせていただきたいと思います。
と申しましても、現在一番問題の焦点となっておりますところは
大阪市内の
交通の
混乱、あるいは現在におきましては
交通麻痺といったような
現状すら起こっておりますが、そういうような問題をいかに
解決するかということが主たる問題でございます。これは
ひとり市内の問題にとどまらず、
府下全体の
交通に
関係することでございますので、府といたしましても最も大きな
関心を持っている次第でございます。かねてより
大阪府、市におきまして共同いたしまして、これらの問題の
解決に当たるべくいろいろ
調査をやって参っておるのでございます。この問題は
大阪府下にとどまりませず、いわゆる
阪神地区と申しますか、
兵庫県、
神戸市にも
関連のある問題であります。そういうことから、
地方建設局が
中心になりまして、
大阪府、市、
兵庫県、
神戸市その他
道路関係者が全部一緒になりまして、
阪神地区の
高速道路協議会というようなものを設けまして、いろいろ技術的にどういう
高速道路の網を
考えていくべきかというととで、数年前から
調査を続けて参っておったのでございます。その結果、
建設省の御指導のもとにいろいろ
構想を練りまして、ようやくまとまりましたのが、現在持っておりまする
構想でございまして、今回の
阪神高速道路公団法案の
内容となっておるものでございます。
これらの
内容、
計画につきましては、私の方からあまり多く申し上げませんが、なぜこういうものが必要になって参ったかということにつきまして、この際ぜひお聞き取り願いまして御了解を賜わりたいのでございます。
と申しますのは、さきに申しましたように、
大阪市内の
交通が日に増し
激増いたしまして、
東京においても
皆さん御
承知の通りでございますが、
東京にまさるとも劣らないような
状態が、現に
大阪地区におきまして生じておるわけでございます。
自動車の
激増は全国的な問題でございますが、特に大
都市、われわれ
大阪地区におきましても、非常な勢いで
自動車の
激増を見まして、
自動車交通に基因いたしまする多くの問題が発生いたしております。特に最近では
自動車の
事故等も非常に多く発生いたしまして、
自動車事故の多いことはもう世界で一番になるのではないかというような、非常に憂うべき
状態をすら呈しておるわけでございます。
大阪市内のおもなる
交差点が約四十カ所ばかりございますが、この
交差点におきまして最も
交通混乱のもとを作っておるわけでございます。
交差点がスムーズに
自動車の
交通を許すという範囲は、大体一日三万台くらいのものが適当であるということをいわれておりまするが、現在
大阪市内におきまする
交差点の三十九カ所のうちで、三十五カ所まではその
限度をはるかに超過いたしまして、最も多い
交差点におきましては、一日の
交通量が十万台に及ぶという
状態を示しております。従いまして、そういう
個所が数多くございますので、
交通は停滞いたしまして、ある
個所におきましては延長五百メートル以上の
自動車がたまりまして、これが三十分以上に及ぶというような
個所が
方々に続出いたしております。いわゆる
交通停滞と申しておりますが、これがさらに三十分が二時間となり三時間となるなんというような
状態になりますと、いわゆる
交通麻痺ということをいっておりますが、
市内の
交通がその付近において全然ストップしてしまうというような
状況すら、最近ではしばしば露呈いたしておるような
現状でございます。
こういう問題をいかにして
解決するか。おそらくこの
市内の
交通状況は、
都市がもう全く
窒息寸前にあるという
現状にありますこの
段階をいかにして
解決していくかということが、
大阪地区におきましても非常に重大な問題になっておりまして、これが
解決策——解決はできませんでも、せめてこれを
緩和するということにつきましては、
関係者一同が頭を悩ましております。現在におきましては一番大きな問題になっております。
こういう問題を
緩和するために、先ほど申しました
阪神地区の
高速道路協議会というものが設置されまして、いかにこれを
解決するかという
方法をいろいろ練っておるわけでございますが、結局は、いろいろ手段はございますけれども、
道路関係といたしましては、
高速道路を作りまして、いわゆる
平面の現在の
交通形態をさらに立体的に、新しい立体的な
高速道路を作って
緩和する以外にないという
結論に到達いたしたわけでございます。
そういうことから、
高速道路の網をいろいろ検討いたしまして、先ほど申しましたように、今回
阪神高速道路公団というものを新設いたしまして、そこでこの網の
実現をはかるという行き方をやらざるを得ないという
結論に到達いたしておる次第でございます。もちろんこの問題は
大阪地区にとどまらず、後ほど御説明もございますが、
神戸地区においてもやはり同じ問題が起こっております。
そこで、
大阪としてぜひお聞き願いたい問題は、それではなぜ
阪神高速道路公団、仮称でございますが、こういうものを作らなければいけなかったか、そういう踏み切り方をなぜやったかという問題でございます。いろいろ
考え方もございまして、現在ございまする
日本道路公団という機構がございます。ここにそういう問題をゆだねて
解決する
方法もあるではないかという御
意見も一部にあったわけでございますが、御
承知のように、
日本道路公団におかれましては、現在
名神高速をやっておられます。さらに本年よりは東海道あるいは
中央道について手をお伸ばしになる非常に御多忙な
計画を持っていらっしゃるので、一
大阪市内あるいは
神戸市内といったようなそういう局限した
個所における
高速道路計画にまでは、とても実際問題として手が及ばないであろうということがだんだんにわかって参りまして、これはどうしても
地元の
大阪あるいは
神戸においてそれに専任にかかり得る
高速道路公団というようなものを作って、この手によってやる以外には
解決する
方法はないという
結論に到達いたしまして、こういう
公団を作ることに
地元といたしまして思い切ったわけでございます。もちろんこれは単に
道路を担当いたしております府であるとか市であるとかいうところだけでなくて、
大阪地区の
経済界、こういうところにおきましても
重大関心を持ちまして、この
問題解決には再三府市とともに
構想を練り、
協議をいたして参ったのでございまして、そういう
経済界、財界におきましてもそれ以外に
方法がない、これが最上の
方法であるという
結論に到達いたしたわけでございます。
さようなことから、いよいよ
交通状態が緊迫いたしまして、もうにっちもさっちも動かないという
段階に押し迫って参りましたので、昨年来でございますか、
大阪地区をあげまして国会に御陳情申し上げ、ようやくこういう
法案が取り上げられたという
段階に相なりましたことは、諸
先生方もよく御
承知いただいておることでございます。そういうことでこういう
公団を新しく作る、どうしてもそういうことに
一つ御
協力を賜わりたいという
地元の心からなる
お願いを
皆さんにここに申し上げる次第でございます。
なお、これらの
内容につきまして若干敷衍さしていただきたいと存じまするが、最初、
阪神地区におきましては、こういう
高速道路をどの
程度のものに作るかということでいろいろ検討を加えました。もちろんできますれば、
公共事業によりまして無料の
道路ができることが最も望ましいのでございます。しかしながら、
公共事業にはやはり五カ年
計画等の
ワクがございまして、いかに多くを望みましても
限度がございます。従いまして、こうした膨大な
高速道路網の
計画ということになりますと、一般の
公共事業以外に、いわゆる
有料方式によりましてやるということ以外には、実際の促進はむずかしいということから、ついにこの
有料の
高速道路計画をやるということに
地区といたしましては踏み切ったわけでございますが、その
内容といたしましては、さしあたり今当面の問題を
一つできるだけ早く
緩和するために必要な量というもので、大体五十八キロ、九百七十億
程度のものを一応現在
考えております。この
程度のものをぜひ早急にこの新
公団によって
一つ実現をいたしまして、しかる後に、もしこれができ上がりますれば、さらにまたその次の
段階をあらためて
考える。当面今問題としておりますのは五十八キロ、九百七十億
程度のものを
公団としてこれをぜひ急速に仕上げようということを
考えておるわけでございますが、その中で、新
道路五ヵ年
計画のうちでは二百億
程度の
ワクしかないわけでございまして、もちろんこの五ヵ年
計画の
ワクによりましては、その一部しかできないわけでございます。
大阪地区といたしましては、この二百億
程度の
ワクではとうてい満足できませんので、今後この
ワクをあらゆる
機会に拡大することをお
考えを願いたいし、また
地元といたしましてもそういう努力をしなければならぬ。そういたしまして、とにもかくにも、一応
考えておりますところの九百七十億という
計画をできるだけ早く仕上げるということでないと、当面の問題が
解決できないという
状態にございます。
さらに、最も早く効果を表わすためにできるだけ早く着手できるところを選ばなければならない。いろいろ理想的なものを
考えておりますが、着工が非常におくれて完成が長引くということでは、これまた当面の
交通問題を
解決することになりませんので、できるだけ早く仕事ができて、早く使えるようにしようというようなことから、
大阪に数多い
水路、
河川の
個所をできるだけ使うというような
計画内容にいたしておるわけでございます。先ほど申しました五十八キロのうらで、大体四五%くらいのものは、そうした
水路あるいは
河川の上を通る。その他の
個所は街路の上を通る。なるべく
建築物のあるところを避けて参るというような
考え方をいたしておるわけでございます。一刻も早くこの
工事を完成させたいという
考え方から、そういう
個所を選んでいるようなわけでございます。
なお、これらの
地元がこの
事業に対する
負担等についてどれくらい覚悟いたしておるかというような問題にも触れてみたいと思いますが、首都
高速道路公団の例もございまして、
出資金等については、ほぼ国の
出資あるいは
地方公共団体の
出資というものが予定されるわけでございます。そういう例に従いまして、
地元としてもできるだけ
出資金あるいは
交付金というようなことにも力を入れまして、早く
工事が完成できますように、
予算の
獲得等についても、そういう
地元の
精一ぱいの
協力によって、容易にスムーズに進むようにということを心がけておるわけでございますが、
東京都の場合と違いまして、先ほど申しましたように、
大阪は
道路管理者区分が
大阪府と市になっておりますが、この際は地域的な
管理区分というようなことを度外視しまして、いわゆる府市
協力というような形で、一応、半分ずつ仲よく負担していくというような
考え方をいずれも持っておるわけでございます。なお、
大阪方と
兵庫県方とに分かれるわけでございますが、これはそれぞれ
事業量の
区分に従って、その配分によってそれぞれ
出資金も持つというような
話し合いもできておるわけでございます。
地元の
負担分につきましては四者の間で十分な
話し合いがもうすでについておる次第でございます。そういうことで
地元にいろいろごたごたが起きないように、そういう点については
地元として
十分用意もございますが、この上は、国におかれましてできるだけ
阪神高速道路公団の設立あるいは今後の育成、運営にお力をいただきまして、一日も早くこの
計画が
実現できますれば、
地元阪神地区といたしましてはこの上ないしあわせであるというふうに
考えておる次第でございます。
非常に大ざっぱな話になりましたが、一応総括的な
お話を申し上げまして、なお
大阪市、
神戸市におかれましては、それぞれ市特別の御
事情もおありのようでございます。そういう
方面の
お話を引き続いて御
意見を出していただくということにいたしまして、
大阪府としては取りまとめの
関係もございますので、総括的な御
意見を申し上げた次第でございます。何分よろしく
お願い申し上げます。