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1962-02-28 第40回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十八日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 松澤 雄藏君 理事 中島  巖君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       井原 岸高君    金丸  信君       齋藤 邦吉君    徳安 實藏君       廣瀬 正雄君    前田 義雄君       松田 鐵藏君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    佐野 憲治君       日野 吉夫君    三宅 正一君       井堀 繁男君    田中幾三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建設技官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君  委員外出席者         参  考  人         (大阪計画局         長)      高津 俊久君         参  考  人         (大阪土木部         長)      三宅靜太郎君         参  考  人         (神戸建設局         長)      山崎  博君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月二十八日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  井堀繁男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井堀繁男辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十七日  駐車場法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇六号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  阪神高速道路公団法案内閣提出第五四号)  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  水資源開発公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六七号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  阪神高速道路公団法案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本法案審査のため、特に参考人として大阪計画局長高津俊久君、大阪土木部長三宅静太郎君、神戸建設局長山崎博君、以上三名の方々が御出席になっております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。本案に対し忌憚なき御意見をお述べ願いたいと存じます。ただ時間の都合もありますので、初めに御意見をお述べ願います時間は、お一人大体二十分程度に願い、後刻委員から質疑もあろうかと存じますが、そのとき十分お答え下さるようお願いいたします。  それでは、はなはだ勝手ながら、御発言の順序は委員長に御一任願うこととし、三宅参考人よりお願いをいたします。三宅参考人
  3. 三宅靜太郎

    三宅参考人 私本日の参考人としてお呼び出しにあずかりました大阪土木部長三宅と申すものであります。  阪神高速道路公団法案が上程に相なって、地元のいろいろのこれに対する意見を述べよということでございます。地元関係といたしましては、主といたしまして大阪府、大阪市、神戸市、この三者が関係者でございますから、まず大阪を代表いたしまして——代表と申しますよりも、府と市と、御承知のように大阪道路管理者大阪市内におきましては大阪市長が、市を除きます府下道路管理者大阪府知事が、というような格好に分かれております。後刻市の道路関係につきましては市の計画局長より非常に詳しく御意見が御開陳に相なろうかと思いますが、府といたしましては、この市をも含めまして府下全体の道路の問題というようなことにして、関連性につきまして総括的なお話をさせていただきたいと思います。  と申しましても、現在一番問題の焦点となっておりますところは大阪市内交通混乱、あるいは現在におきましては交通麻痺といったような現状すら起こっておりますが、そういうような問題をいかに解決するかということが主たる問題でございます。これはひとり市内の問題にとどまらず、府下全体の交通関係することでございますので、府といたしましても最も大きな関心を持っている次第でございます。かねてより大阪府、市におきまして共同いたしまして、これらの問題の解決に当たるべくいろいろ調査をやって参っておるのでございます。この問題は大阪府下にとどまりませず、いわゆる阪神地区と申しますか、兵庫県、神戸市にも関連のある問題であります。そういうことから、地方建設局中心になりまして、大阪府、市、兵庫県、神戸市その他道路関係者が全部一緒になりまして、阪神地区高速道路協議会というようなものを設けまして、いろいろ技術的にどういう高速道路の網を考えていくべきかというととで、数年前から調査を続けて参っておったのでございます。その結果、建設省の御指導のもとにいろいろ構想を練りまして、ようやくまとまりましたのが、現在持っておりまする構想でございまして、今回の阪神高速道路公団法案内容となっておるものでございます。  これらの内容計画につきましては、私の方からあまり多く申し上げませんが、なぜこういうものが必要になって参ったかということにつきまして、この際ぜひお聞き取り願いまして御了解を賜わりたいのでございます。  と申しますのは、さきに申しましたように、大阪市内交通が日に増し激増いたしまして、東京においても皆さん承知の通りでございますが、東京にまさるとも劣らないような状態が、現に大阪地区におきまして生じておるわけでございます。自動車激増は全国的な問題でございますが、特に大都市、われわれ大阪地区におきましても、非常な勢いで自動車激増を見まして、自動車交通に基因いたしまする多くの問題が発生いたしております。特に最近では自動車事故等も非常に多く発生いたしまして、自動車事故の多いことはもう世界で一番になるのではないかというような、非常に憂うべき状態をすら呈しておるわけでございます。  大阪市内のおもなる交差点が約四十カ所ばかりございますが、この交差点におきまして最も交通混乱のもとを作っておるわけでございます。交差点がスムーズに自動車交通を許すという範囲は、大体一日三万台くらいのものが適当であるということをいわれておりまするが、現在大阪市内におきまする交差点の三十九カ所のうちで、三十五カ所まではその限度をはるかに超過いたしまして、最も多い交差点におきましては、一日の交通量が十万台に及ぶという状態を示しております。従いまして、そういう個所が数多くございますので、交通は停滞いたしまして、ある個所におきましては延長五百メートル以上の自動車がたまりまして、これが三十分以上に及ぶというような個所方々に続出いたしております。いわゆる交通停滞と申しておりますが、これがさらに三十分が二時間となり三時間となるなんというような状態になりますと、いわゆる交通麻痺ということをいっておりますが、市内交通がその付近において全然ストップしてしまうというような状況すら、最近ではしばしば露呈いたしておるような現状でございます。  こういう問題をいかにして解決するか。おそらくこの市内交通状況は、都市がもう全く窒息寸前にあるという現状にありますこの段階をいかにして解決していくかということが、大阪地区におきましても非常に重大な問題になっておりまして、これが解決策——解決はできませんでも、せめてこれを緩和するということにつきましては、関係者一同が頭を悩ましております。現在におきましては一番大きな問題になっております。  こういう問題を緩和するために、先ほど申しました阪神地区高速道路協議会というものが設置されまして、いかにこれを解決するかという方法をいろいろ練っておるわけでございますが、結局は、いろいろ手段はございますけれども、道路関係といたしましては、高速道路を作りまして、いわゆる平面の現在の交通形態をさらに立体的に、新しい立体的な高速道路を作って緩和する以外にないという結論に到達いたしたわけでございます。  そういうことから、高速道路の網をいろいろ検討いたしまして、先ほど申しましたように、今回阪神高速道路公団というものを新設いたしまして、そこでこの網の実現をはかるという行き方をやらざるを得ないという結論に到達いたしておる次第でございます。もちろんこの問題は大阪地区にとどまらず、後ほど御説明もございますが、神戸地区においてもやはり同じ問題が起こっております。  そこで、大阪としてぜひお聞き願いたい問題は、それではなぜ阪神高速道路公団、仮称でございますが、こういうものを作らなければいけなかったか、そういう踏み切り方をなぜやったかという問題でございます。いろいろ考え方もございまして、現在ございまする日本道路公団という機構がございます。ここにそういう問題をゆだねて解決する方法もあるではないかという御意見も一部にあったわけでございますが、御承知のように、日本道路公団におかれましては、現在名神高速をやっておられます。さらに本年よりは東海道あるいは中央道について手をお伸ばしになる非常に御多忙な計画を持っていらっしゃるので、一大阪市内あるいは神戸市内といったようなそういう局限した個所における高速道路計画にまでは、とても実際問題として手が及ばないであろうということがだんだんにわかって参りまして、これはどうしても地元大阪あるいは神戸においてそれに専任にかかり得る高速道路公団というようなものを作って、この手によってやる以外には解決する方法はないという結論に到達いたしまして、こういう公団を作ることに地元といたしまして思い切ったわけでございます。もちろんこれは単に道路を担当いたしております府であるとか市であるとかいうところだけでなくて、大阪地区経済界、こういうところにおきましても重大関心を持ちまして、この問題解決には再三府市とともに構想を練り、協議をいたして参ったのでございまして、そういう経済界、財界におきましてもそれ以外に方法がない、これが最上の方法であるという結論に到達いたしたわけでございます。  さようなことから、いよいよ交通状態が緊迫いたしまして、もうにっちもさっちも動かないという段階に押し迫って参りましたので、昨年来でございますか、大阪地区をあげまして国会に御陳情申し上げ、ようやくこういう法案が取り上げられたという段階に相なりましたことは、諸先生方もよく御承知いただいておることでございます。そういうことでこういう公団を新しく作る、どうしてもそういうことに一つ協力を賜わりたいという地元の心からなるお願い皆さんにここに申し上げる次第でございます。  なお、これらの内容につきまして若干敷衍さしていただきたいと存じまするが、最初、阪神地区におきましては、こういう高速道路をどの程度のものに作るかということでいろいろ検討を加えました。もちろんできますれば、公共事業によりまして無料の道路ができることが最も望ましいのでございます。しかしながら、公共事業にはやはり五カ年計画等ワクがございまして、いかに多くを望みましても限度がございます。従いまして、こうした膨大な高速道路網計画ということになりますと、一般の公共事業以外に、いわゆる有料方式によりましてやるということ以外には、実際の促進はむずかしいということから、ついにこの有料高速道路計画をやるということに地区といたしましては踏み切ったわけでございますが、その内容といたしましては、さしあたり今当面の問題を一つできるだけ早く緩和するために必要な量というもので、大体五十八キロ、九百七十億程度のものを一応現在考えております。この程度のものをぜひ早急にこの新公団によって一つ実現をいたしまして、しかる後に、もしこれができ上がりますれば、さらにまたその次の段階をあらためて考える。当面今問題としておりますのは五十八キロ、九百七十億程度のものを公団としてこれをぜひ急速に仕上げようということを考えておるわけでございますが、その中で、新道路五ヵ年計画のうちでは二百億程度ワクしかないわけでございまして、もちろんこの五ヵ年計画ワクによりましては、その一部しかできないわけでございます。大阪地区といたしましては、この二百億程度ワクではとうてい満足できませんので、今後このワクをあらゆる機会に拡大することをお考えを願いたいし、また地元といたしましてもそういう努力をしなければならぬ。そういたしまして、とにもかくにも、一応考えておりますところの九百七十億という計画をできるだけ早く仕上げるということでないと、当面の問題が解決できないという状態にございます。  さらに、最も早く効果を表わすためにできるだけ早く着手できるところを選ばなければならない。いろいろ理想的なものを考えておりますが、着工が非常におくれて完成が長引くということでは、これまた当面の交通問題を解決することになりませんので、できるだけ早く仕事ができて、早く使えるようにしようというようなことから、大阪に数多い水路河川個所をできるだけ使うというような計画内容にいたしておるわけでございます。先ほど申しました五十八キロのうらで、大体四五%くらいのものは、そうした水路あるいは河川の上を通る。その他の個所は街路の上を通る。なるべく建築物のあるところを避けて参るというような考え方をいたしておるわけでございます。一刻も早くこの工事を完成させたいという考え方から、そういう個所を選んでいるようなわけでございます。  なお、これらの地元がこの事業に対する負担等についてどれくらい覚悟いたしておるかというような問題にも触れてみたいと思いますが、首都高速道路公団の例もございまして、出資金等については、ほぼ国の出資あるいは地方公共団体出資というものが予定されるわけでございます。そういう例に従いまして、地元としてもできるだけ出資金あるいは交付金というようなことにも力を入れまして、早く工事が完成できますように、予算獲得等についても、そういう地元精一ぱい協力によって、容易にスムーズに進むようにということを心がけておるわけでございますが、東京都の場合と違いまして、先ほど申しましたように、大阪道路管理者区分大阪府と市になっておりますが、この際は地域的な管理区分というようなことを度外視しまして、いわゆる府市協力というような形で、一応、半分ずつ仲よく負担していくというような考え方をいずれも持っておるわけでございます。なお、大阪方兵庫県方とに分かれるわけでございますが、これはそれぞれ事業量区分に従って、その配分によってそれぞれ出資金も持つというような話し合いもできておるわけでございます。地元負担分につきましては四者の間で十分な話し合いがもうすでについておる次第でございます。そういうことで地元にいろいろごたごたが起きないように、そういう点については地元として十分用意もございますが、この上は、国におかれましてできるだけ阪神高速道路公団の設立あるいは今後の育成、運営にお力をいただきまして、一日も早くこの計画実現できますれば、地元阪神地区といたしましてはこの上ないしあわせであるというふうに考えておる次第でございます。  非常に大ざっぱな話になりましたが、一応総括的なお話を申し上げまして、なお大阪市、神戸市におかれましては、それぞれ市特別の御事情もおありのようでございます。そういう方面お話を引き続いて御意見を出していただくということにいたしまして、大阪府としては取りまとめの関係もございますので、総括的な御意見を申し上げた次第でございます。何分よろしくお願い申し上げます。
  4. 二階堂進

  5. 高津俊久

    高津参考人 私、大阪市役所計画局長高津でございます。  本日は、衆議院の建設委員先生方におかれましては、地元意見を聞いていただきます機会を与えていただきましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。  この計画内容につきましては、ただいま三宅部長から総括的なお話がございましたので、私は大阪交通事情その他につきまして、もう少し補足させていただきたいと思っております。  大阪人口は、戦前の一番多いときには、昭和十六年ごろでございますが、三百三十万あったのでございます。それが終戦と同時に非常に減りましたが、その後漸次増加いたしまして、現在三百万をわずかながらこえております。人口におきましては戦前よりもまだふえていないのでございます。ところが自動車の台数はどうなっているかと申し上げますと、戦前の一番多い、昭和十六年ごろは約十六万台、それが戦争の済んだときにはほとんどなかったのでございますが、昭和二十四年に約二万台近くになっております。その後毎年相当なスピードで増加をいたしまして、昭和三十三年には十四万台、約二万台当時の七倍の状況でございます。それが三十四年から三十五年までの間には五万台ふえている、三十五年から三十六年までの間に六万台ふえているというような状況で、現在二十五万台でございます。二十四年ごろの状態から比べますと約十四倍の増加になっております。人口はふえていないにもかかわらず、自動車は十四倍にふえているという状況でございます。こういう状況のために交通量が非常に多くなりまして、交差点における交通量というものは、昭和二十四、五年ごろにはどの交差点も三万台に達していないのであります。大阪の大体二十四メートルないし二十五メートルの道路の交差しております、電車の通っております交差点というものを考えてみますと、大体三万台が普通に通り得るマキシマムだということになっておるのでございますが、それが二十四、五年ごろには三万台に達している交差点というものはなかったのであります。ところが、最近になりますとほとんどの交差点が三万台を突破している、その倍の六万台を突破している交差点が十二カ所もある。先ほども三宅部長から話がございましたように、本町四丁目の交差点では約十万台、普通に考えられる交差点交通量の約三倍になっているという状況でございます。そういう状況のために結局交通停滞が起こるのでありまして、千メートルぐらいの交通停滞というものはもう毎日のようにどこかで起こっている状況になっております。これに何か一つ間違いや事故があったり、あるいは不届きな車があってその交通を乱すということになりますと、そこに交通麻痺が起こるという状況になっております。そういう状況でございますので、交通の方は非常に問題になっております。そこに対しまして、大阪市といたしましては、道路建設の面におきまして、これはもう終戦後から一生懸命に道路建設並びに舗装に尽力して参ったのでございます。本年度の予算におきましても約百億円の金を道路建設並びに舗装、修繕に充てております。これは大体ことしの予算といたしまして千二百億ぐらいでございますが、それに対しまして百億という金を道路建設並びにこれの関連事業に入れているわけでございます。ところが、今申しましたように交通量増加ということが非常に大きいものでございますから、その問題がなかなか解決しないのでございます。先年も、御承知かと思いますが、幅員四十メートルで長さ四キロに及ぶところの浪速隧道というのを完成したのであります。完成いたしてみますと、もうそのあくる日から三万台の交通量が流れるという状況でございます。その面から言いますと、非常に交通緩和になったわけでございますが、その四キロの間に大きな交差点が五つ新しくできた、これに交わる交差点が五つできたという関係上、そのために南北交通は三万台が走れるようになったが、東西交通はこれによって逆に停滞するという状況が現われてきたのであります。そういう問題を考えてみますと、どうしても今後交差点というものを立体交差にしなければならぬということを痛切に感じたのでございます。一キロ間隔ぐらいに大きな交差点があるのでございますから、どうしてもその交差点立体交差にするためには全部高架道路にしなければならぬということになるわけであります。一方が平面でいけば、必ず一方は高架にしなければならない、そうしなければ交通緩和をはかれないという状況になっております。そこでわれわれが考えましたのは、大阪市内には幸いなことに東横堀とか西横堀とかあるいは大川というような川がたくさんございますので、この川を利用して高架道路を作ろうという考えをいたしております。この高架道路市内中心部をなすところに環状線という形でやり得るわけでございます。それで高架道路環状線を作ろう。その一番近いところに阪神方面から来る交通高架でつなぐ、あるいは京阪方面から来る車をつなぐ、あるいは八尾方面、または堺方面泉州方面から来た車を取りつけるということにしまして、郊外から市内にノン・クロス道路を作る、また市内から郊外にノン・クロスで早く行くような道路を作るということが、最も必要ではないかという考え方に立ったわけでございます。  こういう計画を進めますのには、高架でやらなければならぬために相当な金が要る。大阪市単独でやっておったのではなかなか困難でございますので、どうしてもこれは有料道路にしなければならぬじゃないかという考え方に立ったわけでございます。この考え方に立ちまして、有料道路にするのにはやはり公団でやっていただくのが一番いいんじゃないかというような考え方に到達したような次第でございます。先ほど三宅部長から話がありましたように、大阪府、大阪市、神戸市、兵庫県が寄りましていろいろ協議いたしました結果、有料高速自動車道路を作っていただくよりほかに方法がないんじゃないかという考え方に到達した次第でございます。  以上、簡単でございますが、大阪市の実情を申し上げました。
  6. 二階堂進

  7. 山崎博

    山崎参考人 初めに、神戸市の中枢部の大きさと形が東京に比べてどのくらいであるかということを申し上げますと、左の方の図面にございますように、これは東京の地図の上に神戸市街連檐中枢部図面を張りつけたものでありまして、これを南北にいたしますと、赤羽から品川までになります。東西にいたしますと、荒川放水路から上高井戸に及ぶ細長い形で人家が連檐いたしております。神戸交通考えますときに、港との関連を抜きにしては考えられないのでございます。もともと神戸市は港から発達して参った町でございますが、その関係は現在でも、また今後とも変わらないものであろうと思われます。神戸港の外国貿易の金額は年間約九千億円でございまして、これは日本全体の外国貿易額の三割弱に当たっております。中でも、輸出におきましては四割に近いのでございます。日本の今後の発展は一に輸出にかかっておると申しましても過言ではないのでございます。従いまして、その最も重要なルートである神戸港の機能を増大することが必要であると思われるのでございます。その港の機能を増大いたしますためには埠頭、上屋、倉庫等の狭い意味での港の設備も大切でございますが、同時に、内陸との陸上輸送機関の整備を忘れてはならないのでございます。神戸港と国内各地との貨物の輸送関係を見てみますと、船便によりますものが約半分、陸送によるものが約半分でございますが、陸送のうちではトラックが三分の二強、鉄道が三分の一弱でございます。また、国内の各地力との輸送量の比重を見てみますと、やはり近畿地方が圧倒的に多くて、約六割を占めております。その近畿地方との輸送関係におきましては、船便が三分の一弱、陸送が三分の二強でございますが、陸送のうち九割弱がトラックでございます。トラックの比重が圧倒的に大きいのでございます。  このような関係から港を中心とする道路整備の重要性がうかがわれるのでごさいますが、この道路整備がどのように進められているかを図面について御説明申し上げますと、(図面を示す)これが現在の港湾地帯でございます。この辺がビジネス・センターでございます。これが現在運輸省の直轄工事でやっていただいております摩耶埠頭でございます。これがその次の計画の六甲埠頭でございます。このあたりが現在市でやっております臨海工業地帯並びに倉庫地帯。これは西部の現在埋立中の石油並びに倉庫地帯でございます。これに対しまして、道路整備の方は、現在の一級国道二号線阪神国道。これのほかに建設省の直轄でやっていただいております第二阪神国道。それから日本道路公団でやっております名神高速道路。東の方はこの三本でございます。西の方は現在の山陽国道。それから日本道路公団でやっていただいております放射道路神戸−明石道路。この二本でございます。こういったように道路整備が着々と進行いたしておりますが、これらはいずれも二年後には完成する予定でございます。ところが、これらの道路はいずれも神戸市の中枢部に対しましては端の方でとまっております。そこが終点になっております。従いまして、中枢部におきましては一般の街路、すなわち交差点の多い平面街路にゆだねられておる状況でございます。現在ですら混乱いたしております市内交通に加えまして、これら東西からの新しい高性能の改良道路からの交通増、これは道路がよくなれば交通激増するものでございますから、こういった新しい交通量が加わります二年後を考えますと、現在一番急がねばならないことは、これら建設中の遠距離道路の終点を港なりビジネス・センターへスムーズに導く市内中枢部東西に貫通する高性能の道路建設であると存ずる次第でございます。これが私ども神戸市の者が大阪と手を結びまして今回御審議にあずかっております阪神高速道路公団の設立の一日も早からんことを待ち望んでいる理由でございます。  以上、簡単でございますが、神戸臨港線の緊急施工の必要性を申し上げて、説明を終わらしていただきます。
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で参考人方々の御意見の陳述は終わりました。     —————————————
  9. 二階堂進

    二階堂委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。中島巖君。
  10. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私ども建設委員会に阪神高速道路公団法がかかりまして、この審議にあたって参考人の方に来ていただきまして、大へん御苦労さまでございます。阪神地区につきましては、私ども昨年十一月に視察いたしておりますし、またいろんな統計から見ましても——建設省からの参考資料に出ておる道路面積ですが、同じ建設省の国土建設の現況の昭和三十五年版によると、各国の道路面積が出ておりまして、ワシントンが四三%、東京都が一〇%、大阪が八%というように出ているのですが、ここへ出ておる参考資料と数字が、同じ建設省の資料でだいぶ違うわけですが、これはまたあとで適当なときに、どういうわけでこういう違った資料が出たのか、御説明願いたいと思います。  いずれにいたしましても、東京より非常に道路面積が狭いということと、それから警視庁の交通年鑑の昭和三十五年版でいきますと、自動車一万台当たりの交通事故の死亡率というようなものも、ニューヨークなんか四人五分になっておりますし、シカゴなんか三人一分になっておる。東京はうんと多くて二十四分になっておる。さらに大阪は二十二人四分、こういうような数字になっておりまして、世界の都市で、一万台当たりの交通事故の死者というものは大阪が一番ひどいということも、道路面積なんかとにらみ合わして非常にうなずけることであって、これは早急に何とかしなくてはならないというような考えがあるわけです。それから昭和三十五年の統計で見ると、アメリカなんかは、百人当たり自動車四十台、日本なんか一台五分になっておって、一番ひどい東京を見ても三台何分ということになっておる。こういうような数字から見ても、まだまだ自動車は、この三倍とか五倍とかいうものではなくて十倍くらいにふえる。こういうような観点から考えると、たとえばワシントンなんかの四五%も道路面積を持っておるところも、自動車がふえて、五十年たてばどうにもならないのじゃないかというようなことを発表しておるくらいでありますから、大阪がこうした計画を立てることそれ自体が、すでにもう非常な手おくれじゃないか、こういうように私どもは考えておるわけであります。  そこでお伺いいたしたいのは、第一点といたしまして、阪神というものは同一経済圏で、道路の問題だけでなくして、その他の問題も、同一経済圏という意味でもって、同じように歩調を合わしてやっていかなければならぬ問題がたくさんできておるのじゃないか、かように考えるわけであります。  そこで、これはどなたにお尋ねしていいかわかりませんけれども、大阪計画局長さんや神戸建設局長さんなんかが適当じゃないかと思うのですが、道路以外に対して、同一の経済圏として、ほかのことでも提携してやるというような計画が何かおありかどうかということが一点。  もう一点は、道路面積から見ても、公園面積から見ても、絶対量が不足しておるのでありますから、かりに今あなたたちが計画されておるような阪神高速道路が完成したといたしましても、ここへ集中してくる人の数というようなものを考えた場合において、これはとうてい内部改造でもって解決できる問題じゃない。そういたしますれば、ことに神戸地区なんかは裏に六甲山という山脈を控えておって、まるで海岸との間の帯のような狭い地帯でありますから、あるいは六甲山をぶちあけてそのうしろに住宅団地を作るとかなんとかいう、外に向かったところの計画も立てねば、恒久対策とはいえないのじゃないか。第二点として、そういうような御計画があるかどうか。  それから先ほど三宅土木部長からも御説明がありましたけれども、五十八キロのうち約四五%は公有水面の上を通る。そうしますと、五五%の中で何キロくらいが高架になって、何キロくらいが民有地になるのか、それが質問の第三点であります。  第四点といたしまして、神戸地区はあのような狭いところで海岸線を通るのか、あるいは現在の第二阪神ですか、この上を高架にするというようないろいろな説がありますが、計画はどういう計画になっておるかということが第四点の質問であります。  さらに第五点として、建設省から示された参考資料によりますと、五十八キロで約九百十二億というような予算を計上してありますけれども、この五十八キロの路線の完成するのはどんな年次計画をとっておられるか。  さらに第六点として、これは建設省の道路局長にお伺いしますが、道路整備五カ年計画が始まって一年終わったところで、昭和三十七年度は第二年度に人らんとしておるわけであります。しかし、この道路予算状況を見ますと、オリンピック関係などの都市改造に非常な金がかかって、二級国道なんかはわずかに一〇%、一割程度の増にしかなっておらぬ。諸物価の高騰で、一割程度の増では何ら工事量の増にならぬのじゃないか。しかもこういう問題が出てきて、当然この問題はやらねばならぬ問題でありますが、これは二年くらい、あるいはことしくらい、あるいは三年くらい、道路整備五カ年計画を全部新しく練り直さなければならぬところにきておるのではないか、こういうように考えるわけで、これは道路整備五カ年計画有料道路ワク内であるのか、ワクの外にはみ出すのか、この点を局長にお伺いしたい。  時間もありませんので、一度にたくさんお伺いしたわけでありますが、以上に対してお答えを願いたいと思います。
  11. 高津俊久

    高津参考人 まず第一番目の、道路面積の統計に違いがあるのじゃないかというお話でございますが、これは大阪市内千六百万坪を区画整理をやりまして、区画整理をやりましたときには、区画整理の区域内は道路面積がうんとふえているわけであります。その中の区画整理道路が認定をしていないのがたくさんあるわけ下あります。それを、現在認定はしておりませんが、実質上は道路として使用しているわけであります。そのパーセンテージを入れると一二%何ぼになってふえておるというのが現状でございますので、そこの認定の道路の面積を入れるか、不認定ながら区画整理ででき上がっている道路を入れるかという点で違っているのだろう、こう考えております。  それから高速自動車道を実現しても、現在の自動車交通状況が非常にふえていく状況から考えて、これではやるなり行き詰まるのではないかという御質問だったと思いますが、この点は全く私どもそう思っておりまして、これだけに決してたよっているわけでございませんで、市内道路にしましても、年々できるだけの努力はいたしております。都市計画街路も、都市改造にもよりますし、立体換地にもよります等、あらゆる方法をもちまして、道路の面積をふやすように努力しつつあります。また郊外におきましては、これは府の三宅君の領分かもしれませんが、市の周辺部、農地のところに大きな道路計画いたしておりまして、その方から分散して入るように考えていただくようになっておりますが、もちろんこれも実現しなければならぬ問題ではございますが、それと同時に、この高速自動車道路実現をはかっていくよりほかに方法はないかと考えている次第であります。  以上、私の関係について申し上げました。
  12. 三宅靜太郎

    三宅参考人 ただいまの中島委員からの御質問でございますが、高津参考人と多少重複する点ができると思いますけれども、府の立場でお答えいたしたいと思います。  道路によって解決する以外に、何か手を打つことはないかというお尋ねでございます。これは私どもといたしましても、一番この問題に頭を悩ましておるわけでございまして、もちろん道路問題のみによってこういう交通問題が片づくとは考えておりませんし、たとい高速道路実現いたしましても、これによって解決するというふうには考えておりませんが、一番緩和させる有力な手段がこれであろう、これ以外に今ちょっといい方法が見当たらないということで、どの程度緩和できるかということを念頭に置いてやっておるわけでございます。ただ問題点は、市内交通が非常に集まってくる、こういう問題を何とか他の方法によって市内交通が集中することをできるだけ少なくするように、そういう施策を立てなければいかぬということを、都市計画の面からいろいろ考えております。大阪は御承知のように商業の中心地でございまして、問屋街であるとかいろいろな施設が全部市の中心に集まってきております。これをできるだけ今後市外に分散させる、これは非常にむずかしい問題でございますが、そういうことを考えませんと、いかに道路の形態を整備いたしましても、中に車が入ってくるような状態に置いたのでは、これは解決いたしませんので、都市計画の面といたしましては、できるだけそういういろいろな施設を市外に分散していくということを今後できるだけ考えていくという手を今いろいろ考え、また打ちつつあるわけでございます。これらはいろいろな方面関係いたしますので、非常にむずかしい問題でございますが、住宅の問題にいたしましても、なるべく市内から市外に移せるものは移していく。特に今の問屋関係あるいは施設、あるいはその他の文教的な施設とか、そういうようなものをできるだけ一つ市内にまとめないように、市内に集まる交通をできるだけ分散させるようにというふうな考え方で今後やっていくことを、同時に考えなければならぬと考えておるわけでございます。特に道路の面ではございますが、道路網を、従来市内中心にして放射線にして出しておった、そういうやり方が市内交通を集めるもとになります。放射線にしますと、みんな市内に入ってくる。そういう計画を今後は環状線方式に改めまして、できるだけ市内に集まるものを、放射線を結ぶ環状線によって外に回していく。要するに、バイパス式に市内を通らない交通考えるということを、府といたしましては都市計画的にいろいろ考えております。そういういろいろな方法考えておりますが、何と申しましても当面現在の段階をある程度まで緩和できるものは、この高速道路建設以外にはないという考え方を持って、この問題に今最も力を入れておるわけでございます。御説のように、今後は道路以外につきましてもいろいろ総合的な手を打ちまして、市内交通が集中することを避けるように、これらを緩和させる方向に諸施設を一つ進めていきたいという考え方でおるわけでございます。  それから民有地がどれくらいあるかというお尋ねでございまして、先ほどらよっと触れましたが、現在考えております計画といたしましては、五十八キロのうちで河川が大体二十六・五キロでございますから、四五%ぐらいになりますが、そのほかに街路といたしまして十七キロございます。これは計画街路、既設街路でございますが、そういう街路の部分を使う、そうしますと残りの一般の民有地、公有地の宅地敷といたしまして十四キロということになりますので、大体四分の一ぐらいかと思います。そのうちで公有地が八キロ、いわゆる民有地というのは六キロ、非常に少ない。できるだけ民有地を避けて、河川であるとか、街路であるとか、宅地にしましても公有地を通るというような、実際にスムーズに早く建設ができるような個所を選んでやっておるという点が特徴になっておるというふうに考えておるわけであります。
  13. 山崎博

    山崎参考人 第二点の恒久対策でございますが、お説の通り神戸市は山と海に囲まれて、非常に細長い市街連檐地でございます。そこで神戸市を通らなくていい、素通りでいい通過交通量に対しましては、六甲山の北側に神戸バイパスを考えております。これは県と、それから神戸経済界の代表であります経済同友会等が研究されまして計画をし、国に何らかの方法で早急に取り上げていただきたいといったようなことで努力されております。なお、お話にございました六甲トンネルは大体調査が終わりまして、三十七年度から着工の準備にかかることにいたしております。従いまして住宅開発等を六甲山の北側に求める、こういったような計画を進めております。  それから第四点の、海岸線を通るのか、第二阪神の上を通るのかという御質問でございますが、現在の計画の住吉川以東につきましては、第二阪神ができ上がりますと現在の阪神国道の三倍ほどの能力を持ちますので、とりあえずは相当交通緩和になる。従いまして、今私ども考えておりますのは、住吉川以西の面を急がなければならぬということでございまして、住吉川以西のルートにつきましては、建設省なりまた地元の御相談にあずかりまして、今後の検討に待ちたいというふうに考えております。
  14. 三宅靜太郎

    三宅参考人 ちょっと一つ言い落としましたので、追加さしていただきます。  五十八キロの計画が、完成がいつごろになるのか、また年次計画を持っておるかというお尋ねでございますが、これにつきましては、一応計画としてはいろいろわれわれとしまして持っておりますが、現在の国の道路五カ年計画の中に、先ほどちょっと申しましたが二百億程度ワクしかこれに充ててございません。従いまして、現段階におきましては新道路五カ年計画ワク内で五カ年にやるということになるわけでございまして、これではもちろん一部しかできません。従いまして、あとの残りのものはその次の来たるべき五カ年計画に回さざるを得ないという格好になるわけでございまして、その次の五カ年計画であともちろんこれは全部やらなければいかぬのですが、それがどの程度ワク内に年次的にはまっていくかということはまだ決定いたしておりません。最悪の場合、次の年次の五カ年計画までにはこれは全部やらなければいかぬということでございますが、地元関係者意見としましては、そういう十年計画でやるというようなことでは待っておれない、どうしてもこれはできるだけ最短期間において全部完成いたしたいという気持を持っておりますので、この五カ年計画の二百億のワクも何とか一つ機会を見つけて広げていただきたいということを、今後国に対してもお願いいたさなければならぬ、そういうことによって、できるだけ早期にまとめるということでやって参りたい。それにいたしましても実際に執行能力があるかどうかということが問題になりますので、実際にやれる力をごらんに入れて、それによってワクの拡大をお認め願うという線にやるべく、今後地元としましては、あらゆる努力を傾注して参りたい、そういう考え方でおりますので、現在のところ何年に終わるかあるいは年次計画はきまっておるかという点につきましては、まだまだ多少不確定のものがございますが、とにかくできるだけすみやかにこの全体計画を完遂いたしたい。そのためには地元としましては、どんな犠牲を払ってもやりたいという気持で、そういう考え方大阪神戸を通じまして一致いたしておるわけでございます。
  15. 河北正治

    ○河北政府委員 中島先生の御質問の第一点のこの二百億という阪神道路公団の予定事業費は、ワク内だろうというお話でございますが、今三宅参考人からお答えがありました通り、二兆一千億の中の有料道路計画の四千五百億円の中で二百億を予定いたしております。従いまして、全体の八路線五十八キロの完成までには相当膨大な事業費が要りますが、これは現在のところでは四十一年度以降の五カ年計画で早期に実現するように努力いたしたい、このように考えております。  それからもう一つの二国の伸び率は先生のおっしゃる通り、前年対比は一〇%増でございますが、一級国道の五カ年完成とこれらの地方の交通緩和にも、また産業開発にも大いに役立つかと思いますが、道路事業全体といたしましては、前年対比は二割増となって、おります。  またオリンピック関係道路でございますが、これの整備もオリンピック関係はもちろんでございますが、最近の逼迫した東京交通事情に対処すべき事業として、これも交通緩和には大いに役に立つのではないかという工合に考えております。
  16. 中島巖

    ○中島(巖)委員 局長にお伺いしますが、いろいろ単価も上がってきておって、二国の一〇%増なんというのは単価増でもって食われてしまって、それ以前の事業量しかできない、こういうように考えるのです。また例の名神高速道路の栗東−吹田間は来年度供用開始ということになって、これが完成すると、おそらく高速道路に対する国民の世論というものはほうはいとして沸いてくるだろうと思うのです。今の阪神高速道路の例で見ましても、現在あの行き詰まっておる状態を十カ年計画でやるということでは、とうてい地元でも待ち切れぬことだと思うのです。そういうようなことを勘案すると、道路整備五カ年計画も一年たっただけではあるけれども、二年か三年目にはこれは改定せねばならぬような機運にくるのじゃないか、こういうように考えるのですが、責任ある立場の局長としては、どうこうというはっきりした御答弁もできぬですが、局長個人のお考えとしてはどんなふうに考えられるか。この点をお考えでけっこうですから、お伺いしたい。
  17. 河北正治

    ○河北政府委員 私個人の考えを申せということでございますが、道路局長といたしましては、ただいま定められております二兆一千億の線に沿いまして、極力道路整備をはかっていきたい、そういう工合に考えております。
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 佐野君。
  19. 佐野憲治

    ○佐野委員 本日の参考人の方たちは、地方自治行政の責任者の皆さんでありますので、参考のためにお尋ねしておきたいと思うことが二、三ございますから、担任の方から聞きたいと思います。  と申し上げますのも、私も前国会まで地方行政に所属しておりましたので、国の公共事業費は、地方自治の関係に対して非常に深刻な事態に直面しておるのじゃないか、こういうことがいろいろな角度から取り上げられておるわけです。特に地方自治が、公共事業の拡大ということにおいて非常に本旨が逸脱して参っておる、こういうのが現状じゃなかろうかと考えるわけです。その意味から、たとえば長期政策の中で道路整備五カ年計画を見て参りましても、ほとんどそれらの計画は、建設大臣が決定して、そして府県に通達する、こういう地方自治体そのものの権限を圧縮するというようなことが法律上できて参っておりますので、これらの点に対しましてやはり考えなくゃやならぬ問題がたくさんあるのじゃないかと思うのです。公共事業の性格上、中央集権的なものを持っておると思うのでございますけれども、しかしながら旧道路法においては、道路はすべて、町道にしろ県道にしろ国の営造物である、こういう旧道路法の考え方が、昭和二十七年の新しい道路法によって、県なり町村、市の営造物としての道路であることが、はっきり規定されてきておるわけです。しかるにかかわらず、道路整備五カ年計画、長期政策の中でみずからの権限というものが法律によって圧縮されていっておる、こういう点に対していろいろと議会でも問題になってきておるのです。  第二点として、五カ年計画を見て参りましても、財政援助という形において主要地方道という名称がつけられておる。あるいは特殊改良という名称がつけられておる。そうしてそれらのものに対して国が補助金なり、いろいろな制度を強化して参っておる。みずから持っておる営造物に対して、いろいろな意味におけるところの補助金を交付することによって施行を義務づけてきておる。そういたしますと、皆さん自身が地方自治体の中における道路整備計画を立てようとしても、あるいは地方財政計画ワク内から考えて参りましても、あるいは道路整備五カ年計画からいっても、単独事業の範囲というものが財政上非常に限定されてしまっておる。しかも、これは皆さんの持っておる営造物であるところの県道なり市道なりが、国の補助政策によって限定されてしまっておる。こういうところに大きな問題を皆さんはお持ちになっておるのじゃないか、かように考えるわけです。  第三の点として、やはり残念だと思いますことは、最近公団がどんどんとできて参っておる。公団というのは一体何であろうかと考えて参りますと、国家行政組織法の中におけるところの存在でもない。政府がよく言う政府関係機関かというと、政府関係機関でもない。政府関係機関でありますと、予算、決算に対して国会の議決を要する、これが政府関係機関なんでしょうけれども、この公団は、別個の公法人であるということになって参りますと、非常に問題点がたくさんあるのじゃないか。しかもこの公団というものは花盛りのようにたくさんできてきております。そうして、これがいわゆる行政組織法上あるいは法律上の根拠を持っていない、だから公団そのものが、規定が一貫していないといういろいろな問題を含んでおると思います。これらも私たちは委員会において、そういう点をもっと突っ込んでいきたいと思っておるのですけれども、ただ地方自治体の関係からながめて参りますと、こういう公団によって皆さんの持っておる権限、住民のためにやらなくちゃならぬという本来の任務、こういうものが公団の中に権限が委譲されてきてしまっておる。こういうことに対して、議会においても実施者においてもどのように考えられておったのだろうか。先ほどの御説明を聞いておりますと、そういう意味で、地方自治が重要な関頭に立っておるというときに、皆さんが運動したのだ。国会議員その他いろいろな方の御支援のもとに公団ができたことは、非常に喜ばしい。皆さん交通が麻痺しているということ、いろいろな根本的な原因が存在しているその中に交通行政を担当しておられる皆さんとして、その跡始末をやっていくためには、どうしても何か早急に解決していきたいという善意の気持はわかるのですけれども、今申し上げましたような観点から公団を設けられることによって、皆さんみずからの行政、地方自治体固有の権限を委譲していかなければならないのであろうかどうか。  そこで自治法の中にあるところのあるいは共同事務処理方式とか、地方公共団体相互間においていろいろな点が規定されておると思うのです。たとえば協議会の設置、委員会の共同設置、事務の委託、一部事務組合の設置、こういうのが自治法に取り上げられておる。と同時に、広域化する諸情勢に順応するために自治法の改正も国会で行なわれると思います。私やはり感ずるのは、政治でも、行政でも、住民に接触すればするほど健全なものになっていくのではないかと思うのです。それは皆さんの方が能率という観点から考えられると、この方が手っとり早くていいと考えられるのですけれども、しかしながら実際皆さん出資をなさる、そして公団を作られる。現在国会に提案されている法案内容皆さんも御検討になっておられると思うのですが、事業計画も主務大臣の認可だ、あるいはまた予算、決算にいたしましても主務大臣の認可で済んでいくのだ、国会にさえも提案されない。財政法二十八条によって単なる参考書類として国会に出されるだけで、これは決議も要しない。こういう公団の性格になっておりますね。そういたしますと、皆さんの主人公である住民から委託された県費を出資金として出す。そうした中に事業計画にしろ、事業の決算あるいは予算についても、何ら住民に対する責任、あるいは議会がこれに対する責任を持つことができなくなっておるのではないか。こういう点に対してどういう考えを持たれるか。これは国会の場合でも言えると思うのです。国会がコントロールできない一つの公法人ができてきておる。しかも決算も予算もタッチすることができ得ない。こういう公法人ができてきたということも非常に残念だと思います。そのためにいろいろ行政管理庁から勧告も出ておるようですけれども、国も根本的にこれらの問題で考え直さなければならぬところにきておると思いますが、地方自治団体側としては、みずからの権限を公団に委譲して、その上内容が、議会に対してだれが一体責任を持つのか、住民はどういう立場に立つのかということも、法的に実にこの法案は不明確だと思うのです。地方自治団体側として一体どのように考えておられるか。こういう法的にいろいろな欠陥も持っておるし、あるいは能率を上げるのだといわれますけれども、道路公団その他皆さんの方でもやっておられるように、なお逆に官と民との悪いところだけが弊害として出てきておるのではないかという指摘も行政管理庁の中にあったと思うのです。そういう点から考えて、一体こういう公団の中で解決していくことが、地方自治体としては、ほんとうにそういうことを議会あるいは自治体間において真剣に検討されたとすれば、検討された内容一つお聞かせ願いたい。かように地方自治体側からおいでになっておられますので、それらの点について一つお聞かせ願いたいと思います。
  20. 三宅靜太郎

    三宅参考人 ただいまの佐野委員の御質問非常に内容的にむずかしい面がございまして、私どもから的確にお答えできるかどうかと思いますが、一応府県といった自治体におります者といたしまして、お答えできるだけのことをお答えいたしてみたいと思います。  まず最初に、一般の公共事業等におきまして、国道あるいは地方道、そういうものに対して国が計画を地方に押しつけるようなことになってしまって、非常に地方がそれによって地方独自の考え方がやりにくくなるというようなおそれがあるのではないかというお話でございました。そういうような問題がいろいろ起こり得るだろうとは思いまするが、この道路問題につきましては、現在の日本のおそらく全部の地方公共団体において最も要望の強い問題であろうかと思います。議会等におきましても最も陳情が多いのは道路問題で、これはほとんど各県を問わず例外なくそういうことになっておりまして、日本道路が非常におくれておりますので、何とかして少しでも多くの改良を加えたいという気持が、理事者の間のみにとどまらず、地方住民の間にもそういう要望が非常に強いわけでございます。従いまして、いろいろそういう地方の要望も強いので、そういう線に沿った計画が進められておる。しかしながら、現在の日本地方公共団体におきましては、国の補助なくしては、とうてい単独でそういう事業がやり得る実情にはございません。富裕な例外的な府県は別といたしまして、大部分の府県はやはり国の補助によってそういう事業が進められるというような実情にございます。従いまして、どうしても国の補助をできるだけ多くもらってくるということにいろいろ努力をいたしておるのが実情でございます。しかしながら、その場合に決して国からの押しつけによってやるということではなくて、地元の要望を十分国に訴えまして、国もそれをできるだけ認めるというような両者協議の上に立って、おのずからワク内にそういう事業がしぼられてきまってくるというような状態を繰り返しておるわけでございます。もちろん地方で要求するだけの事業量が十分認められないというのがむしろ実情でありまして、できればもっと国から補助してもらいたいという気持を持ちつつも、現段階においては国の財政の点からこれ以上はできないのだということで、仕事が毎年繰り返されておるというのが現状ではないかと思います。しかしながら国道につきましては、国の道路でございますので、どうしても国としてある方針を持ってお進めになっておる。そういう場合に、地方としては、むしろそういう個所よりも、地方がやるべき単独の地方道に必要なところがあるというような問題もあることはあり得ると思いますけれども、これはいろいろ国と地方との協議によっておのずからその間に協調を保ちながらやっておるというのが、現段階ではないかと思っております。従いまして、決して地方の考え方が国の考え方によってゆがめられるというようなことは、まず現段階においてはないのではあるまいか。むしろ一番要求の多い道路事業に対してもっと仕事がしたい、しかしながら、それが財政問題で十分なことができないというような現状にあるのが、大部分の状態ではあるまいかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  それと、地方単独でやります事業、これがそれぞれ地方的には要望されておりますが、これは国の補助の対象になっておりまする事業が、先ほど申しましたように相当手一ぱいになっておりますので、普通の府県におきましては単独事業があまり思うように進められないという実情にあることは、これは事実であろうと思います。相当財政的にゆとりのある府県におきましては、ある程度思い切った地方の単独事業もやっておりますが、大部分の府県においては思う程度の単独事業はできないというのが、現段階の実情ではなかろうかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。  それから公団につきましていろいろお話がありまして、公団が地方自治体が持つべき分野まで取り上げてしまうのではなかろうかというような御心配でございまして、確かに公団の形態からいたしまして、ある程度事業をゆだねてしまうというような形をとらざるを得ませんので、そういうことも考えられますけれども、たとえばこの阪神高速道路公団にいたしましても、管理委員会ができまして、そのうちに地方公共団体の長が推薦する人がそれぞれ入ってきております。そういうことで、十分自治体の要求いたしておりまする事項をこの委員会で取り上げられるという形態をとっておりますので、決して公団事業をゆだねられたからといって、勝手なふるまいをするということにはならないだろうというふうにわれわれ考えておるわけでありまして、もちろん地方の議会との直接な関連はございませんけれども、そういう管理委員会に出しておりまする地方の代表選手といった者がおりますので、そういう立場の人が十分自治体の議会とも協議いたしまして、議会の意向を反映し得る余地は十二分にあるというふうに考えておるわけであります。これも大阪の場合を例にとって参りましても、これは大阪全体の要望によってこういう公団を作ることが、最も現下の状態を打開する一番効果的な方法であるということをみんなで認めた上で、公団にまかせようというのでございますから、もちろん地方自治体といたしましても異議はないわけでございますが、しかしながら、その間にあってやはり管理委員会を通じまして、できるだけ地方自治体の希望する線を実現させるように、要望を十分公団に伝えて、公団にその線に沿ってその仕事をやらせるという余地は十二分に残されておるというふうにわれわれ考えておりますので、決して自治体の権限を一部取り上げてしまったというふうには考えなくてもいいじゃなかろうか。むしろできるだけ仕事がスムーズにできるような、そういうような公団組織によって早くやってもらうことが、地方のために最もありがたいではないかというふうにすらわれわれは考えておるわけであります。これらにつきましてはいろいろ見解はあるようでございますが、一応そういう点につきましては、少なくとも大阪地区は割り切っておるということを申し上げていいんじゃないかとわれわれは考えております。
  21. 佐野憲治

    ○佐野委員 私はそういうんじゃなくて、もっとすなおな問題として、技術屋の皆さんだから、あるいはそういう考え方に立たれるのはわからぬわけでもないと思うのですけれども、しかしながら、何としても憲法の地方自治体の尊重、こういう点が非常に最近軽視されておるのじゃないか。ですから東京都の区長問題でも、私たち何回も国会に警告をしておるのですけれども、裁判所からああいう形でやれば憲法違反の措置だと言われざるを得ないというところに多くの問題があるということを考えますので、私は三つの点で皆さんの率直な気持を聞きたかったのです。長期政策は国が進める。道路計画にしろ全国的な目標と計画を立てられる。これが国の責任となるのは当然だと思うのです。けれどもそういう政策を立てられるとき、法律の建前としては、たとえば公営住宅の場合は、県が町村と協議して資料を作成して、それに対してそれを大臣に提出して大臣が決定をするという法律の建前になっております。ところが道路計画の場合におきましてはそうではないのですよ。建設大臣がこれを決定して通知するとなっているでしょう。そうすれば、道路法によるところの建造物がだれの建造物か、一体国の建造物なのか、県や市町村の建造物なのか、道路法は二十七年に変わっているにもかかわらず、逆に昔の道路法に戻っていくというようなことを平気で法律の建前として規定しておる。地方自治体は民主主義の基礎だ、このように言われるとするならば、あるいは能率の悪い点があるかもしれません、日本の封建的な官僚政治のもとに住民の自主的訓練が不足しておるかもしれないにしても、民主主義の基礎が地方自治である、かように憲法が一条項を作っておるわけです。その建前からいうと、道路法もその建前からできて参って、その建造物は国が決定して、これを府県に通知するというような法律が出て参る、こういうことに対してもやはり地方自治体側として相当問題を含んでいるのじゃないか。もちろんそういう結果としては所得倍増計画の中の道路整備の立ちおくれに対して、これは民間資本に対する社会資本の立ちおくれなりあるいは設備投資に対する社会資本の立ちおくれなり、いろいろなことを述べて道路計画を立てなくてはならぬという理由を述べておるわけであります。そういたしますと、そういう本来の地方住民の立場に立って、当然整備計画も立てられているでしょう。国土の保全、経済基盤の整備というのが道路計画の大きな建前になってきておる。だから国が決定してそれを通知するという、こういう乱暴な法律が出てきたのじゃなかろうか。それが皆さん混乱しておる交通事情にマッチする点がありといたしましても、地方自治体の問題としてはもう少し考えたきやならぬのじゃないか。これに対するお気持を聞きたかったのであります。  第二点は、財政が困窮しておる。だから財政援助を求めているんだ、だから陳情しておるんだ、たくさんのものを地元に持ってきたい、こう言われる皆さん方の気持はわかると思います。しかしながら、こういう補助にしても、道路整備緊急措置法による補助にいたしましても、一体そういう主要道に対して補助金を決定して、それのもとに事業を進めていくという財政援助の状態が、一体地方財政法の建前からいえば、当然地方自治団体が持っておる県道なり地方道に対する経費を財政需要額として見ていく、これに対する財政収入が不足する場合においては、やはり交付税法によって税率を引き上げる、あるいはまた財政制度なり地方制度を改革することを国に義務づけておるわけでしょう。そうすると、皆さんも当然の地方の需要を要求されて、それに立って交付税の変更その他をやらなければならぬということを財政法が規定しておるわけでしょう。ところが、ことしの予算編成を見ても、地方財政計画が立ってから国の予算が作られなければならぬにもかかわらず、国の予算ができてしまってから地方財政計画がやっとこの間国会に提案されておる。こんなばかげたことをやっておることを第一皆さんはどう考えられるか。皆さんはほんとうに必要な財政需要額を、やはり法律上の建前をとって要求すればできるにもかかわらず、なぜされないのだろうか。要求したってしようがないじゃないか、少しでも国からもらってきた方が得なんじゃないかという考えに立ちますと、民主主義、地方自治体はどうなるであろうかということが第二に考えられるが、そういう点はどう考えられますか。  第三の点は、権限の剥奪ということではなくて、府県みずからが、町村みずからが持っておる権限を、なぜこのわけのわからぬ、わけのわからぬといっては語弊がありますけれども、法律上、理論上わけがわからぬといっておるし、また日本の国家行政の中において公団はどう解釈するか、この理論的な統一ができていないという現状だけに、道路公団にしろ、いろいろな公団が、行政管理庁なり会計検査院の常時の査察の対象になっていないわけです。ただ出資金を国が出しておるから、事業団によっては会計検査院が検査できるというので、他の公社とか公庫のように国の義務として会計検査院が検査するという建前に立っていないと思うのです。しかも主務官庁が事業計画をきめる、あるいはまた資金計画にしろ、借入金にしろ、あるいはまた決算にいたしましても、みな主務大臣がやる。しかしながら、そういう法律があって、その法律を地方自治団体としてはどう受けとめていくか。ところが、国の場合におきましては、そういう別個の公法人だといいながら、大蔵大臣は事業計画において協議しなければならぬとかなんとかいうことで、法によって官僚内部の統制はできる建前になっておる。この公団は国会には直接責任を持たない。しかしながら、政府事業としての一つのコントロールができることが、ちゃんと法律の中に出てきておるわけであります。ですから地方自治体は一体どこでコントロールできるだろうか、議会に対して理事者はどういう責任を持つことができるか、県税なり市民税によって支出するわけですから、議会はこの公団に対してどれだけ住民のためにコントロールすることができるか、この点が全く公団法において不明確だと思うのです。そういうところに地方自治体側として、何でもいいから、できるだけ能率がよくなるので、早くできるからこれでいいじゃないかというふうに、大阪では何も異論もなくされたというのですけれども、どうも私納得できない。現実に道路公団その他が事業をやっておるでしょう。これに対してどのように地方自治体なるものが協調していかなければならぬかという建前に立つならば、どういう工合にながめておられるだろうか。これに対して地方自治団体としてなぜ自分の権限を委譲していかなければならないだろうか。みずからの権限を委譲しなくても、みずからの立場によって、地方自治法に示しておるように、各公共団体相互間における共同事務なり一部事務なり、いろいろな方法が提起されておる。それが実際の現実にマッチしないので、地方自治法の改正が国会において毎回取り上げられて、地方自治を育てていく中から、能率と合理性というものを財政的にもどうやっていくか。だから、今のような道路五ヵ年計画に基づく補助金制度をやめて、これは交付税の中に入れるべきだという意見も有力に出されてきておるわけなんでしょう。それから公団そのものの性格というものもやはりもう少し検討しなければならぬというときに、皆さんの側から、そういう意味の深刻な理論的な矛盾なり、実際に法律的な意義その他を通じて、あるいは地方住民の立場に立って、一体この事業計画なり事業執行に対してどれだけの責任を持てるか。あるいはみずから持っておる権限を委譲することがほんとうに今必要なことであろうかという問題に対して、もっと具体的にそういうものが討議される要素が非常に多いんじゃないかと私は思ったものだから、そういう点に対してどうだろうかということをお聞きしたわけであります。技術屋の皆さんにそういうことを言っても、いろいろな点において皆さんに対して申しわけない点もありますので、これ以上お聞きするのはあるいは失礼にあたるかもしれませんので、もし感じた点がありましたら、どなたでもお答え願いたいと思います。
  22. 三宅靜太郎

    三宅参考人 最初にお断わりいたしましたように、私どもはそういうお答えが十分できるかどうかということが立場上自信が持てないわけでございます。確かにそういう法律的な面、あるいは財政担当の面から見まして、そういう意見も一部にはあるわけでございまして、いわゆる純粋な理論からいって、もう少し地方自治のほんとうのあり方を強く打ち出すという方向で考え考え方があるのじゃないかというような意見もあることは確かにあるわけでございます。一部事務組合といった形でやれる方法もあるじゃないかということも、一応いろいろ議論されたわけでございます。もちろん純理論からいいまして、そういう形でやった方がすっきり筋が通っていいのだというような見解も出ておるわけでございますが、大阪は御承知のように非常に功利的なところでございまして、まず理論を通すというようなことよりも、なるべく実質的に効果を上げるという面に重点を置いて考える方がいいのじゃないかという意見が非常に強うございます。確かにそういう意見も出ておりました。もちろんないことはないのでございますが、そういう意見は一応あっても、この現状を打開する方法としては、そういう理論的なことを貫くということでは、早急に目的を達しにくいのじゃないかというようなことから、やや功利主義に走ったきらいがございますが、一応大阪としては今のやり方でやることが最もいいのだという結論に到達いたしまして、議会等に対しては、運営によってできるだけ十分連絡をとって議会の意思を尊重させる、反映させるという立場でいこうじゃないかということで、こういうふうにきまったわけでございます。お説のような理論的なやり方というものは、これは十分考えるべき余地はあると思うのでございますが、少なくとも大阪段階におきましては、功を急ぐと申しますか、とにかくがむしゃらにやらなければいかぬ段階においては、一つ今の方法でやろうじゃないかという結論が出ておりますので、私ども技術担当といたしましては、こうやるよりほかに早急に問題を解決する方法はないという考え方に立っておるわけでございまして、一つその点よろしく御了解願いたいと思います。
  23. 二階堂進

    二階堂委員長 岡本君。
  24. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 もう時間がございませんから、ごく簡単に二、三点お尋ねいたしておきたいと思います。  この計画を見せていただきますと、前期五カ年計画と後期五カ年計画との事業量の比率というものが、前期五カ年が非常に少ないのであります。少なくも十カ年間にこれだけのことをやらなければならないのに、前期計画がこのように少ないということ。しかもその間に車がどんどんふえて参りまして、都市交通難というものがますます激化していく。こういうふうなことをあわせ考えていきますと、元来道路行政というふうなものは先行的なものであらねばならないのに、しりばかり追っかけていって、結局これじゃ五カ年計画を終わっても交通難は現状とあまり変わらない。しかも十カ年終わったときには、また現状と変わらないのだ、こういうふうな危惧を私は持つのでございます。しかしながら、こういうような計画をお立てになった現地の方々の御意見としては、この計画でもって相当交通難の緩和に効果があるのだ、こういうふうにお考えなのですか。あるいはそうではないのだけれども、とにかく財政的に縛られているのだから、やむを得ずこの程度のことしかできないのだ、こういうようなお考えなのか、どちらかお伺いしたいと思います。
  25. 高津俊久

    高津参考人 岡本さんの御質問、後段の方でございまして、私らとしましては全くお説の通り、このままでいって五カ年で二百億をやり、あと五カ年で九百億をやるというのでは、実際あとあとと追いかけていく状態でございまして、もっと早急に完成したい、こういう考え方でおるわけでありますが、先ほど河北道路局長お話の通り、財政投融資のワクのない限り五カ年に二百億しかないのだ、これでももらわなければこの公団もやっていけないというので、やむを得ずこういうのでのんでいこうという状態でございますので、われわれとしましては実力をもってこの二百億をできるだけ早く使って、大阪はこれだけやるのだからもっといただきたいという面を示して、今後この五カ年計画の次の五カ年計画に入ったと同時にこれが完成するように努力していきたい、こう考えております。
  26. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 川の上に二階建にされるというふうな御計画のように、それが非常に多いように承りますので、そうしますと、片側何車線とれる計画でございますか。
  27. 高津俊久

    高津参考人 この今の計画は全体四車線の計画で、片側二車線計画でやっております。
  28. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それからもう一つ私が心配いたしておりますのは、地盤沈下との関係なんです。せっかく川の上に建造物を作って道路をお作りになりましても、今地盤沈下がどんどん進んでおるという状況の中で、地盤沈下は必ずしも各地平均に参りません。強く沈むところと緩慢なところとございます。そうしますと、大阪は、先般見せていただきましたが、橋の前後の道路が沈みまして橋だけが高くなっておるから、橋のところで非常に急勾配に道路が下がっていくというようなことが出ておりますが、今度は、この建造物をお作りになって、不均等に地盤が沈んでいくことのために、せっかくお作りになったなにに亀裂を生じたり、さまざまな事故が起こってきはしないかということを私は憂慮するのであります。従って、このような大きな計画をお立てになる場合には、地盤沈下を即時停止するという強硬な方策をお立てにならないと、これは将来大へんな事態が起こりはしないかということを憂慮するのでございますが、地元皆さん方はその点をどういうふうに考えておられるのでしょうか、承りたいと思います。
  29. 高津俊久

    高津参考人 高速自動車道路と地盤沈下の問題についてのお話でございますが、この問題は必ずしも高速道路だけではなくして、すべての建造物をやる場合に、地盤沈下ということはその基礎になる問題でございます。現在地盤が不等に沈下いたしております。海岸の方が非常に沈下をいたしておりまして、山手の方は沈下をいたしていないという場合に、これに連続したような事業をやるという場合には、必ず今おっしゃるような問題が起こってくると思うんです。たとえば東横堀の側は別に沈下しませんが、西横堀の側は沈下するという問題が起こるのでございます。こういう問題は、基礎はいかに十分にいたしましても、現在の地盤沈下というものは相当深いところから起こってきておりますので、必ずこういう被害は起こるんじゃないかと思います。そこで、私らの方は根本的に地盤沈下というものは絶対にとめなければならぬという信念を持っておりますので、昨年の室戸台風以来建設省並びに通産省の方にも、どうしてもこれはとめるのだという決心のもとにお願いしているような次第でございまして、この点も建設委員先生方において、どうか今後とも絶対に大阪の地盤沈下をとめるような法案の制定をお願いしたい、こう考えております。
  30. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この機会地元皆さん方の御意見を承っておきたいと思うのでございます。先般も委員会で通産省の企業局長といろいろ議論をしてみたのでございますけれども、私どもは、地盤沈下を防ぐためには少なくも地下水のくみ上げというものにある程度の、できれば禁止的な課税をやらなければ、やはりやすきについて、地下水のくみ上げをやっていくだろう。だからまず相当課税をすべきであり、またそうでなければ、地下水をくみ上げるものに対しては、一日も早く工業用水道を作るために工業用水道債というふうなものを発行してそれを負担さすべきである、こういうふうな考え方を持って議論をしておるんですが、それはやはり工業の発展のために非常に阻害になる、また工業用水があまり高くなっては困るというふうなことを通産省側は申すのでございますが、大阪方面の実業界ではどういうふうな意向を持っておられるか、工場みずからも他の周辺の住民とともに沈んでいく、地下水のくみ上げというものは自滅行為である、こういうような認識の上に立てば、相当な費用の負担は覚悟して地盤沈下の問題とは取り組まねばならぬ、こういうふうに私どもには感じられるのでございますが、工業用水が高くなっては困るというふうな議論が、やはり大阪財界の中にも相当あるのでしょうか、あるいは大阪財界は、地盤沈下問題はみずからの存亡の問題だから、少々の費用のことは言っていられないのだ、もちろん国からの財政的な負担というものは前提条件でありましょうけれども、みずからも相当犠牲を払うという決意があるというふうな立場に立っておられるのかどうか、現地の方のお考えを承っておきたいと思います。
  31. 高津俊久

    高津参考人 地盤沈下の問題は、非常に深刻な問題でございまして、われわれの方の市の市会の方面だけではなくして、商工会議所を通じまして、大阪市、大阪府、商工会議所、全員一致いたしまして、地盤沈下の停止の問題に対しまして努力いたしておるような次第でございます。それは今岡本さんのおっしゃるように、一部にはそういった工業家もあるかとは存じますが、大局に立っておられる商工会議所としましては、決してそういう考え方は持っておられないのであります。工業の生産がたとい少々落ちるようなことがあっても、根本的には、大阪の地盤が沈んでしまっては何にもならぬのだという意味におきまして、そういう面から、総意をもって地盤沈下の停止を考えておるような次第でございますので、よろしくお願いいたします。
  32. 二階堂進

    二階堂委員長 他に参考人の方に対する御質疑はございませんか。——御質疑はないようでありますので、参考人方々にごあいさつ申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。本案の審査に資するところ大なるものがあったと信じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時二十六分開議
  33. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案阪神高速道路公団法案及び水資源開発公団法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  三案に対しましては他に質疑の通告がございませんので、三案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、三案に対する質疑を終局いたしました。     —————————————
  35. 二階堂進

    二階堂委員長 これより討論に入ります。  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対し、討論の通告があります。これを許します。兒玉末男君。
  36. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は日本社会党を代表いたしまして、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対し、若干希望を申し述べて、賛成の意思を表明しようとするものであります。  今回の改正案は、その内容におきまして、住宅金融公庫の業務の範囲及びその権能を一部拡大いたしております。すなわち、住宅部分を有する家屋の用に供する土地について、宅地造成等規制法による勧告または命令を受けて宅地防災工事を行なう者に対し、必要な資金を貸し付けることができるものとし、また防災建築物に対する貸付金額の限度を高め、中高層耐火建築等のうち、防災建築物にあっては現行法の住宅部分と非住宅部分と同面積までを非住宅部分の貸付対象としているのを改めております。これらの改正点はいずれも妥当な改正で、よく時代の要求に応じたものであって、もとより賛意を惜しまぬところであります。  昨年の風水害の際、神戸市に起こったがけくずれによる宅地崩壊の災害を契機として成立を見た宅地造成等規制法による勧告または命令を受けて宅地防災工事を行なう者で、その必要な資金に困難する者に資金を貸し付けることは、たとい住宅金融公庫の本来の目的と、第一の業務が住宅の建設そのものにありとはいえ、その目的たる住宅の建設には、住宅の用に供する土地の取得及び造成を含むものとされておることからも当然であり、安全良好な宅地の保持の点からも時宜に適した措置であると考えられるのであります。  また第二の改正点である防災建築物に対する貸付金の限度額の引き上げも、これまた時代の要求に沿うものであります。もとより金融の目的が住宅の建設にあるのが本公庫の使命である関係上、住宅という点に重点が置かれることは当然でありますが、今回の改正では、現行法よりも一歩進めて、防災建築物にあっては中高層耐火建築物等に対し、非住宅部分が住宅部分よりも床面積が多くとも、その割合は政令で定める率、それは一・五と承ったのでありますが、それを貸付対象とすることとしたことは、中高層耐火建築物等の建設を少しでも容易にし、防災の見地からもけっこうであり、住宅金融公庫が都市の高層化と防災に貢献することは喜ぶべきことと思うのであります。  この点につきまして、私は、私見ではありますが、若干の希望を申し添えたいと思うのであります。すなわち、今日切実な問題となっております過大都市の問題、人口分散や交通対策の大局から見て、さらに住宅金融公庫もその使命を再検討して、都市の高層化や宅地問題の解決に大きな役割を果たすべきではないか。すでに今回の改正案にも漸次具体化されている業務範囲や権限の拡大の将来の発展を考えますと、百尺竿頭一歩を進め、宅地の開拓や市街地の再開発のためには、非住宅部分の貸付限度割合をさらに高めるのみならず、必ずしも住宅にこだわることなく、新たなる使命をもって都市問題解決の一翼をになうようにすべきではないか。もとより法律改正を必要とすることでありますが、政府においても御検討下さるようお願いいたしたいと思うのであります。  改正案の内容の第三点は、災害復興住宅及び地すべり関連住宅の貸付金の償還期間に関するものでありますが、現行法の一律十八年以内を改めて、耐火構造、簡易耐火構造、その他の構造のものと三種に分かち、前者はそれぞれ三十五年以内、二十五年以内と延長したこと、また北海道におけるこの種住宅にも、現行一律三十年以内を改めて、耐火構造三十五年以内、簡易耐火構造三十年以内としたことも、建物の構造及び建築費の差異に応じた適切な改正であって、もとより償還期間の延長は国民の要望に沿うものであり、けっこうなことと思うのであります。  以上のごとく、私は若干の希望を申し添え、本案に対し賛成するものであります。
  37. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、阪神高速道路公団法案に対し討論の通告があります。これを許します。中島巖君。
  38. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私は、日本社会党を代表して、阪神高速道路公団法案に対し賛成の意見を表明し、討論を行なわんとするものであります。  大阪市が東京と相並んで日本の二大中心地をなし、関西における中核、産業の都として発展し、また近接する神戸市とともに阪神地区をなし、ここに人口集中して、今や過大都市となり、道路の問題、水の問題がその解決を迫られており、関東における東京と相似たものがあることは今さら言うまでもないところでありますが、ことに大阪市は地域狭小の割に人口多く、市街地面積に比して街路狭く、交通事故の多いことも東京をしのぐものがあるといわれております。また阪神を通ずる地域も、山が海に迫り、平坦部少なく、多くの通路を通ずるに不便であります。阪神高速道路公団法案は、阪神地区のかかる特性と自動車交通量激増に対処するため、自動車専用道路の新設等を目的とする公団を新設せんとするものでありますが、もとより差し迫った必要に対処するため、やむを得ざる措置として賛成しようと思うものであります。  しかしながら、はたして本公団のみをもってして、よく阪神の特殊性に適応して、同地域の交通難の緩和、住宅問題の解決が期待でき得るやいなや。たとえば六甲山地と奥地を通ずる道路、隧道等の開さくによって背後地に住宅地を開拓する等、工夫をせねばならぬと思うのであります。私は、ここに、公団の設立後における適切なる運営によりよく効率を上げるように期待するとともに、いささか希望を述べて、本案に賛成するものであります。
  39. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で両案に対する討論は終局いたしました。  水資源開発公団法の一部を改正する法律案に対しましては、別に討論の通告が出ておりませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  まず、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  次に、阪神高速道路公団法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  次に、水資源開発公団法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  43. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)     —————————————
  44. 二階堂進

    二階堂委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました水資源開発公団法の一部を改正する法律案に対し、岡本隆一君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  岡本隆一君より趣旨の説明を聴取いたします。岡本君。
  45. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私は、自民、社会、民社の三党を代表いたしまして、ただいま議決されました水資源開発公団法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。    水資源開発公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、水資源開発の重要性と緊急性にかんがみ、本公団の発足後速かに愛知用水公団を統合し、わが国の技術と経験を総合的に活用して強力なる水資源開発の措置を講ずべきである。   右決議する。  次に、その理由を申し上げます。水資源開発二法の成立の際には、各省間のなわ張り争いが非常に激しく、そのために、その成立も非常におくれたのでありますが、われわれはその成立後も、その運営につきましてもこのなわ張り争いが持ち込まれはしないかということを非常に懸念していたのであります。ところが、はたせるかなそれが事実になって参りまして、公団は一本でいくべきであるという当初の方針にかかわらず、愛知用水公団は別建となりまして、今なお官庁のなわ張り争いが残っているということは、まことに遺憾といわなければなりません。  水系の指定は、水資源開発に最も喫緊なところから行なうべきでありまして、当初から、人口の集中、工業用水の需要の増大等の関係から、東京、阪神地方、愛知等の地域に水を供給する利根川、淀川、木曾三川等が指定されるものと予想されていたのでありますが、今般の公団発足とともに、指定予定水系の中から木曾三川がはずされておるということは、その悪弊の影響と見なければなりませんし、このようなことでは今後全国的な視野に立って、国家的な見地からするところの水資源の総合的な開発は望むべくもないと思うのであります。従って、政府は、このような官庁のなわ張り争いの悪弊を一掃するために、また総合的見地に立つ水資源の開発のためにも、同時にまたせっかく愛知用水公団の中に導入されました技術と経験を最も有効に利用するためにも、愛知用水公団をすみやかに水資源開発公団に統合すべきであると私は思うのであります。  以上が本附帯決議を付する理由であります。委員諸君の御賛同をお願いする次第であります。(拍手)
  46. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対しましては、別に発言の申し出もございませんので、本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  47. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。  この際、経済企画庁長官より発言を求められております。これを許します。企画庁長官。
  48. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ただいま水資源開発公団法の一部改正にあたりまして、附帯決議がございました。私といたしましては、十分その御趣旨を尊重いたしまして善処したいと思います。(拍手)     —————————————
  49. 二階堂進

    二階堂委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は明後二日、午前十時より理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十分散会      ————◇—————