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1962-04-24 第40回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十四日(火曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       濱田 正信君    藤井 勝志君       山田 長司君    古賀  了君  出席政府委員         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長)   江守堅太郎君         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房会計課長) 多治見高雄君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         調達庁次長   眞子 傳次君  委員外出席者         内閣調査官         (内閣官房内閣         調査室長)   古屋  亨君         総理府技官         (内閣総理大臣         官房参事官)  八段麒一郎君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  芦田 一良君         外務事務官         (大臣官房審議         官)      宇山  厚君         外務事務官         (条約局外務参         事官)     須之部量三君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山 糾夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月十八日  委員久保三郎君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として勝間田清一君及び栗林三郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十九日  委員久保田藤麿君及び栗林三郎辞任につき、  その補欠として大沢雄一君及び芳賀貢君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員大沢雄一辞任につき、その補欠として久  保田藤麿君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員菅野和太郎君、芳賀貢君及び森本靖辞任  につき、その補欠として藤井勝志君、矢尾喜三  郎君及び久保田鶴松君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員久保田鶴松辞任につき、その補欠として  森本靖君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員森本靖辞任につき、その補欠として山田  長司君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山田長司辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書       ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題とし、本日は、内閣所管並び総理府所管中、総理本府及び調達庁関係について審査を行ないます。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。大村公平君。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 私は、主として総理府関係、ことに農地買収者問題調査会性格並びにその審査内容、並びに農地買収者問題調査会から委託を受けて結論を出されました世論調査内容等について、当面の責任者でありまする江守審議室長古屋調査室長並びに後刻調査会長であるところの工藤君が出て参ることになると思いますので、工藤会長からも詳細にこの問題を伺いたいのであります。  この問題は、世論調査全般の問題にも共通点がございますので、世論調査とは何ぞや、いかなる世論調査を、内閣から委託を受けたところの中央調査社はやっているのか、世論調査内容を詳しく伺いたいと思います。場合によっては、その世論調査を担当した長谷川才次君あたりの御出席を求めなければならぬかと思うのでありますが、まず質問に先立ちまして、あなた方の記憶を呼び戻すために、農地買収者問題調査会の発足の経過について、私から一言申し上げてみたいと思います。  御承知通り政府は、昭和三十五年六月三十日法律第百十二号によって、内閣総理大臣諮問に応じて、旧自作農創設特別措置法及び農地法施行法により、政府の強権をもって祖先伝来の土地を買収された旧地主に関する社会的問題を調査審議するために、総理府付属機関として農地買収者問題調査会を設置したことは御承知通りであります。しこうして、本調査会存続期間は二カ年となっておりますから、本年六月三十日をもって満期となって任務を完了することになっておることも御承知通りです。法律によりますと。調査会委員数は二十名以内とされ、委員は特定の利害関係を有しない者をもって構成するよう配慮したために、その人選に難航し、法律施行後六カ月も経過した昭和三十五年十二月二十二日に至ってようやく会長工藤昭四郎君、副会長今井一男君を含む十九名を任命し、同日第一回総会を開催し、最近まで十二回の総会を重ねてきておるわけであります。また、法律によりますと、調査会専門的事項調査審議のために十名以内の専門調査員を選任することになっておりますが、この専門調査員は一カ年余を経過した昭和三十六年七月十三日に至って第一回の専門調査員会を開くに至っております。自来最近まで十六回会議を開いておりますが、専門調査員を任命するにも一カ年を要したということは重大であります。それからさらに、調査会のメンバーを決定するにも、実に六カ月間の時日を空費しておる、そのことをも一つ記憶をよみがえらして御記憶を願いたいのであります。  それから、内閣総理大臣からの諮問事項を思い出していただきたいのでありますが、内閣給理大臣は、第一回総会昭和三十五年の十二月二十二日に「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会の」すなわち農地買収者問題調査会、「意見を求める。」との諮問を行なっておりますが、この諮問の意味をどのように受け取っておるのであるかということを、江守審議室長古屋調査室長がおられれば御両氏から伺いたい。御両氏に御答弁ができなければ工藤会長一つ至急にお呼びいただきたいのであります。まずこの諮問をあなた方はどういうふうに解釈しておるか、この問題でありますが、御答弁できますか。
  4. 鈴木仙八

    鈴木委員長 今、江守さんはまだこられない、党の政調の交通部会に出ております。八段参事官がおられるから八段さんから……。
  5. 木村公平

    木村(公)委員 八段参事官でわかりますか。——その問題は答弁のできる方がおいでになってから……。しかし、これが一番根本の問題で、内閣総理大臣から「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める。」こういう諮問が出ておる。にもかかわらず、これをどのように受け取っておるか知らぬけれども、本日の新聞等によりますと、今度の、今問題になっておるところの被買収農地に対する補償の問題に対して答申が出るまで待ってくれという……。
  6. 鈴木仙八

    鈴木委員長 木村委員、今至急にくるようにいたしますから、ちょっと休憩いたします。    午前十時五十四分休憩      ————◇—————    午前十時五十八分開議
  7. 鈴木仙八

    鈴木委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  この際、委員長から申し上げますが、委員会は時間を厳守しておりますので、政府の人も時間厳守で来ていただかないと、われわれは貴重な時間を制約されておりますので、委員質問等に非常に支障を来たしますから、十分に一つ注意をしていただきたいと思います。
  8. 木村公平

    木村(公)委員 おいでになりましたのは江守さんでありますか。
  9. 江守堅太郎

    江守政府委員 そうです。
  10. 木村公平

    木村(公)委員 あなたでおわかりになるかならないか存じませんが、ひょっとしたら無理かと思いますが、実は工藤昭四郎君が会長をやっております農地買収者問題調査会に対しまして、昭和三十五年十二月二十二日に、内閣総理大臣から第一回総会にあたりまして、「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める。」との諮問を行なっておるわけでございます。  そこで、今問題になっておりますのは、この旧地主に関する補償の問題について一連の熱心な方がおられまして、すみやかにこの補償問題の法案を通せという動きがあるわけです。現段階動きとして……。これに対して政府は、答申が出るまで待ってほしいという態度でおるようにわれわれは承知をいたしておるのでありますが、われわれから見ますと、このよう諮問答申補償とは全く関係のないように思う。もしもそうだとすれば、政府はわれわれをごまかしておるということになるわけでありますが、「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める。」との諮問が出ておるわけでありますが、これを調査会いかように受け取って、いかなる世論調査をされたかということに、まず私は質疑を展開していきたいわけです。  それから、やがて世論調査内容、その方法、それについてわれわれはいろいろの疑惑を持っております。世論調査国費でもってこれを行なったのでありますから、長谷川才次君のおいでをいただき、工藤昭四郎君にもおいでをいただきまして、十分この問題の責任を明らかにしていただきたい。これはこの世論調査の上に立っていろいろの調査会議論がなされておるようであるからであります。従って、まずあなたでおわかりになるか、おわかりにならないか知らないけれども調査会はこの諮問をいかなるよう解釈して、そうして答申を出さんとしておるのかどうかという問題、この問題についてあなたがもしも答弁ができますならば、一つ答弁をいただきたい。できませんならば、できる人を一つお呼びをいただきたいのです。
  11. 江守堅太郎

    江守政府委員 調査会におきましては、三十五年の暮れ以来十二回の総会を開きまして、ようやく答申起草いたす段階に参っております。すでに起草小委員会を近く開く段取りになっております。起草小委員会を開く前の最後総会におきまして、起草小委員会でどういう方向で答申を出すかということについて、出席の各委員からそれぞれの御意見がございました。出席の各委員は、もちろんそれぞれお考えが多少違う方がおられることは当然でございますので、最後会長が、各委員の発言されましたことを要約されまして、きょう各委員の御発言になりましたことは、大体以上のようでございますが、各委員は御異存はございませんかと言って確認をされました点を申し上げますと、その一つは、政府諮問は、今仰せの通り農地を買収されました旧地主に対する旧地主社会上の問題と、それに対する対策の要否という問題である。従って、今問題となっておるところの補償という問題は、この調査会とは一応関係のないものとして、政府諮問趣旨に限定された線で答申を出すということが一つでございます。  それから、次には、すでに専門員によりまして、農地の被買収者実態調査が済んでおります。その調査の結果を確認いたしまして、旧地主生活実態は、一般社会人々生活に比べて、非常に悪いという状況にはない。概して言うならば、むしろややよい状況である。ただ、農地改革そのものに不手ぎわのあった点は認めざるを得ない。また、その後農地を獲得した小作人が、これらの農地を転売することによって莫大な利益を受けておることについて、旧地主として非常に不満を持っておるという点も、これは認めるという点が第二でございます。  第三には、従って、これらの生活上困窮しておる旧地主に対しては、社会保障措置、さらにはこれらの人々が、生活を再建し得るような何らかの前向きの措置をとるべきではなかろうかというようなこと、こういう大体の点は各委員とも御了承なさっておる点だと思うということで、各委員ともそれには御異存がございませんでした。  従いまして、今回出されます答申も、今申し上げましたような三点を基礎にいたしまして答申が出されるものと私どもは想像いたしておる現状でございます。
  12. 木村公平

    木村(公)委員 一番大事なことは、これは内閣総理大臣が、この調査会に対して諮問を発したが、この諮問内容解釈受け取り方です。これに対してあなた方の今のお話によりますれば、旧地主社会上の問題並びに旧地主対策の要否の問題、この二点にしぼられて、この点について調査を進められたのだというふうに受け取ってよろしいですか。
  13. 江守堅太郎

    江守政府委員 専門員方々調査をお願いいたします前の総会におきまして、調査を依頼する内容はどのような点にすべきであるかという点について、これまた総会でおきめを願ったのでありますが、その際専門員調査を依頼する問題としては、今申された通り政府諮問範囲のことを調査してもらう。たとえば、補償はすることがいいのかどうかというよう調査ではないという点は、総会において確認されて専門員調査に移ったというふうに私どもは心得ております。
  14. 木村公平

    木村(公)委員 これは調査会性格というものに触れて参りますが、この調査会というものは、内閣総理大臣から諮問を受けたその諮問事項をどういうふうに受け取ったかということが、まず一番の根本問題でありますが、それを要約すれば、旧地主社会上の問題並びにその対策の要否の問題と二つにしぼられて、それを調査会みずから調査することなく、専門調査員を委嘱して、その専門調査員調査させて、その結論調査会が審議するという形で調査を進めていかれるのですか。
  15. 江守堅太郎

    江守政府委員 専門員は初めからそういった問題を調査していただくということでお願いをしてあった方々でございます。それで調査された結果につきましては、総会におきましては、この調査された結果をどのよう解釈し、どのよう答申を出すかということは、もちろん総会の自由なところであると思います。でございますが、その総会におきまして、専門員の出された調査内容をどう取り扱うかということについて、いろいろ御意見もございましたが、結論といたしましては、専門員調査は非常に御苦労であった、総会においても、この調査内容基礎にして答申を出そうということを、全員で御相談なすっておきめいただいたというふうに心得ております。
  16. 木村公平

    木村(公)委員 あなたも御承知通り、この調査会存続期間は二カ年、だから、本年の六月三十日で終わるのですよ。ところが、この調査会委員は二十名だが、この二十名の委員を選定するだけに実に六カ月かかっておる。昭和三十五年十二月二十二日に至ってようやく会長工藤昭四郎、副会長今井一男を含む十九名を任命しておる。そうして第一回の総会ようやく開かれて、今日まで十二回の総会を重ねておりますが、その総会速記録あとで見せて下さい。何もやっていないのです。また、法律によると、調査会専門的事項調査審議のために十名以内の専門調査員を選任することになっているが、この専門調査員は一年以上経過した昭和三十六年七月十三日に至ってようやく第一回の専門調査員会を開いておる。二カ年の任期で、一年以上も専門調査員会を開いておらない。何をやっておるのです。そうして、いざとなると、政府の方は、この調査会答申が出るまでは旧地主に対する補償結論も得られない。きょうはそれを言おうとする大事な段階に至っておる。あなたの方の諮問事項を見てみると、そんな権限も何もありゃしない。ただ、社会的事情を調べてみよ、それから旧地主対策の要否、やっていいのか悪いのかということを調べなさいという程度のことで、かりに万全な答申が得られましても、こんなものは、そう政府参考にもなるような重大な答申はなされないと思う。  かりに参考になるよう答申がなされても、まずこの諮問受け取り方です。諮問を受けた場合、諮問事項解釈について、この委員会において定説を作ってもらわなければならぬ。委員個々ばらばらで、おれはこの諮問内容をこういうふうに受け取っていた、おれはそうじゃない、こういうふうに受け取ったというのじゃだめなんで、それではほんとうの調査ができません。従って、内閣総理大臣が、あなたの方の調査会諮問した「農地改革により農地を買収された者に関する社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める。」ということは、一体どのよう答申を求めておるかということに対する調査会解釈をまず一定することが大事なんです。  その解釈に基づいて専門員会調査を待つということもいいでしょう。世論調査をやるということもいいが、世論調査はわれわれとしては議論がある。従って、世論調査あとに出てきた、先ほどあなたがおっしゃった三点については、これから議論をするのですが、われわれはあの世論調査に対しては信憑性を認めておらないのです。国費三百八十万円と学生アルバイトを使ってやったよう世論調査、われわれはああいう方法は反対なんです。この世論調査信憑性がない、だめだということを国会がきめたならば、その上に打ち立てられたところの調査会答申なんというものは三文の値打もない。そんな答申は取り上げるに足りないということになる。そうすると政府は、まさにこれまた今の時点において、旧地主関係代議士諸君を招致して、答申が出てくるまでお待ち下さいと言おうとしているその段階において、まずわれわれが疑問に思ってきたのは、この調査方法、設問の仕方、これを調査せよという調査事項アルバイト等世論調査員による世論調査のやり方、この点については、いろいろ学問上も議論がありますから、それをこれからやりたい。そういう関係者をここにおいでをいただきたい。  まず根本の問題は、内閣総理大臣から諮問を受けた諮問事項に対して、調査会諸君は、これをどのように受け取って、どのよう調査をするかということを第一回の総会できめられたのかということを伺いたい。あなたはそこにおったはずだ。
  17. 江守堅太郎

    江守政府委員 実は私第一回のころには審議室長でございませんでしたので、その席にはいなかったのでございますが、結果は承っておりますので申し上げます。  委員人選が非常におくれましたことは、政府としてまことに申しわけないと思っておりますが、ともかく第一回の総会が発足して以来、数回にわたりまして、委員各位の間で諮問趣旨をどのように受け取って、どのような線で答申を出すべきかということにつきまして、非常に真剣な議論をなされたと承っております。そのためにどのような線で一体調査をするかということにつきましても、非常に時間がかかったわけでございます。従いまして、専門員を任命して、そして調査を御依頼するというのにも、一年以上もかかったということでございます。  でございますが、結果といたしましては、私最初に申し上げました通り調査会としては、政府諮問範囲に沿って答申を出そう、従って調査そのものも、地主の現在置かれているところの社会上の問題及びそれに対する対策をどうするかという線に沿って調査を依頼しようということでございます。そうして、この調査方法でございますが、この調査方法につきましては専門員の十名の方々、それぞれ各界の権威にお集まりを願ったと私どもは思っております。その方々におかれまして実に十回以上の討議を重ねられました結果、調査方法などについての御結論を得ました。  ただ、この調査は、全国的な調査でございますので、全国的な調査をいたします機関といたしましては、現在中央調査社というのが一社しかございませんので、それに依頼をして調査をしたということでございますが、その調査方法並びに調査内容についての判断と申しますものは、私どもとしてはなすべき立場ではございません。調査会がそのよう方法調査をお命じになり、そして調査の結果について、調査会としてもこれを是認をなさっておるということを申し上げるより私としては申し上げようがないわけであります。
  18. 木村公平

    木村(公)委員 そこで、くどいようでありますが、総理大臣諮問事項のうち「社会的な問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求める。」ということになっておるのですが、われわれの一番知りたいことは、この調査会は、社会的な問題の内容及び範囲をどのよう解釈しておるか、社会的な問題をどのように受け取っておるかという問題、この受け取り方によってそれに対する方策の要否が違ってくるわけです。従って、社会的な問題とはどのよう調査会は受け取って、どのよう結論を得て速記録に載せておるか。速記録は後ほど御提出を願いますから、十分検討をいたすけれども、あなたが申し送り事項として前室長から聞いたところによるとどのようなことになっておるのです。
  19. 江守堅太郎

    江守政府委員 最初速記録の問題でございますが、この会議内容は非公開ということになっておりまして、速記録を提出するのは会長のお許しを得ないと提出できないことになっておりますので、会長にお諮りをいたしまして措置することにいたします。  それから、私が引き継ぎをいたしました時分に、当時、社会的問題とは何であるかということについては、まだ調査会としてもいろいろ御検討の最中でございまして、私が引き継ぎを受けました当時におきましては、社会的問題が何であるかということは何も聞いておりません。  ただその後、最初に申しました通り、もうすでに起草段階になっておりまして、社会的な問題というものにつきましても、おいおいと委員方々の中において、どういう問題であるかということについてお考えもまとまってきつつある現状と思いますけれども、ともかく起草委員会がまだ開かれておりません現状でございますので、私どもとして、それが何であるかということを推測して申し上げることはできかねます。
  20. 木村公平

    木村(公)委員 だめだよそんなことは。諮問を受けた中の一番のネックはどこにあるかというと、買収された旧地主社会的問題及びこれに対する方策の要否ということがこの諮問事項の根幹をなすものですよ。従って、これをどのよう解釈して、どのよう調査を命じたのであるか、どのよう世論調査を委嘱したものであるかということは、すべてここから出てくるのです。社会的な問題とは何であるかという結論はいまだに出ておらない。調査会は六月三十日で終わるのですよ。そしていよいよ答申が迫っておる。その今の段階において——調査会任期は二年です。その二年のうちで一年数カ月は済んでしまって、この六月三十日に終わるという段階において、諮問の一番のもとをなす社会的な問題とは何ぞやということが、いまだにきまらないということでは、何の調査をやっていた。今まで社会的な問題の調査はしていないのですか。社会的な問題の調査をしようと思えば、社会的な問題とは何ぞやということがまず大前提として確認されなければならぬ。何もわからずに何を今まで三百八十万円使って調査させておったのですか。社会的な問題も、それに対する方策の要否の問題も、すべ決定して、その上にそういういろいろの調査事項が出てくるわけなのです。この一番もとのところが、いまだに不明確なままに何の調査をやったのです。中央情報社か何か知らぬが、長谷川才次君に何を頼んだのですか。調査会というものは、もう六月三十日で任期が切れてなくなってしまうのだ。この調査会に対して、いまだ一番のもとがきまっておらぬということでは、調査信憑性というものを疑わざるを得ないのですが、社会的な問題とはどのように受け取ったのか。こういうことがいわゆる社会的な問題だということを決定して、ついてはこの決定に基づいて専門員にこのよう調査をさせましょう、あるいはこのよう調査の一環として世論調査を行ないましょうということになるわけです。ところが、社会的問題ということは私は知らぬ、引き継ぎも受けていないし、今もなお何かもたもたしておるということでは、何のことかわからぬ。一方、政府は重大な調査会だと思っているのです。ところが、聞けば聞くほど実際上は中身も何もない調査会だ。ここでどんどん私が一日伺ってやりかけたら、こんなものが新聞に載ったら大騒動ですよ。池田さんもごまかされておる。調査会はろくなものじゃないということがわかって、工藤君を呼びつけて、ここでいろいろ議論しかけたらどうなるのですか。いまだにわかっておらぬ。一番根本社会的問題の解釈もできないで何の調査をやっていたか、まずこのことについて古屋君がおられたら古屋君からも聞きたいのです。
  21. 江守堅太郎

    江守政府委員 調査の結果につきましては、最初に申し上げました通り社会上の問題ということは、地主の中には非常に生活の困窮しておる者もある。ただ一般的にいえば、どちらかといえば、やはり生活はいい方であるということと、それから、農地を獲得した小作人が、その土地を転売したことによって莫大な利益を受けておることについては、非常に不満があるということで、そのような問題として結論が出されておるわけでございます。  ただ私が申し上げましたのは、そういった専門員調査結論に対しまして、調査会がどのような態度で、その中から社会上の問題を拾い上げ、それに対してどのよう対策をとるかということについては、まだきまっていないということを申し上げたのであります。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 あなたはだめだ。そんなことを私は言っているのじゃない。社会的問題ということは、どういうよう調査会の全員の諸君が受け取ったのであるか。その受け取り方によって、こういうことが社会的な問題だという解釈が統一されて初めて調査事項がなされるのです。たとえば社会的な問題としてこういうふうに受け取っておる人もあるわけです。農地買収者問題を中心とした国民生活についての実態調査を、あなた方の調査会では中央調査社に依頼しておるわけです。これの調査目的というところに「旧地主の現在の生活上、生業上の問題の所在及び性質を明らかにすること。」ということが載っておる。この調査目的を発するに至ったのは、社会的な問題というものは、こういうよう調査をすることによって明らかになるのだというよう考え方から、「旧地主の現在の生活上、生業上の問題の所在及び性質を明らかにすること。」という調査目的になったわけですから、社会的な問題とは何ぞやという問題は、以前にすでに調査会としては一応きまっておる。一応こういうことが社会的問題である、ついてはその問題の一環として、たとえば旧地主の現在の生活上、生業上の問題の所在及び性質を明らかにさせたらどんなものであろうかということは、社会的な問題というものの解釈が統一すればきまってくるわけです。ここから調査の目的が出てくる。ところが、あなたは結論だとか——世論調査の結果は私の方がよく知っています。今ここにちゃんとありますから十分あなたに教えてあげますよ。どういう目的で世論調査を行なったか明らかだが、それが間違っておるとわれわれは言うのです。その世論調査方法も信憑力がありません。あんな世論調査は信用できないと言っておるのです。  その前に一番伺いたいのは、これは調査会責任者答弁すべきですよ。一番の内閣総理大臣調査会諮問した諮問の柱は何であるかというと、旧地主社会的問題及びこれに対する方策の要否について貴会意見を求めるということだから、柱は二つある。社会的問題及びこれに対する方策の要否、この二つの柱というものをどのよう解釈しておるのか。そのうちでも、まず第一に、社会的問題とは何ぞやということを調査会で決定をして、その決定に基づいて専門調査員にも調査を依頼し、さらに世論調査も行なう。ところが、結果的に見てみると、専門員会も怠慢であって一カ年も開いていないような状態で、それから世論調査をさせるのにも、アルバイトの学生がうろちょろしていいかげんなものを集めておる。いいかげんなものというのは、私は根拠がある。それは後ほど申し上げますが、この世論調査もちょっと信じがたい。国民代表として信じがたいと言っておるわけです。これが信じがたかったならば、この世論調査であなた方が結論を出そうとするものが根本からくずれてくる。調査会のあり方にも疑問が出てくるし、大へんな問題になってくる。  この調査に基づいて、この答申を得て、それから農地買収者諸君に対して補償の有無を考えるというよう政府答弁は、これが根本的にくずれてくれば間違ってくる。そうすると、きよう以後の段階において大騒動になる。調査会答申々々と政府は言っておるが、われわれはそんな答申というものは三文の値打もないというような感じ方ですから、ここに答弁に値する人が出てきて、そうして一番根本問題の今の社会的な問題とは何をいうのか、どういうふうに受け取ったのか、わからなかったら政府に聞かなければいけないはずです。第一回の総会のときに、あなたが、諮問を受けてそのまま調査を進めようとしておることになれば、社会的な問題というのはどういうふうなことかということはわかっておるはずだ。それをまず明確に責任者から聞かなければいけない。この社会的な問題とはこういうことですと、調査会としては結論を得まして、その結論に従って専門員調査を依頼して、それから世論調査を行なう、まずこの社会的な問題とは何ぞやということを伺いたいのだが、答弁できる人がいるのですか。
  23. 江守堅太郎

    江守政府委員 審議室の立場は、総理の御諮問の補佐機関でございまして、諮問が出されましたあとにおきまして、その諮問に対してどういうよう措置をするかということでございます。ただ、たまたま調査会会長をきょうお呼びいただいておりませんで、私が出席を命ぜられましたので、私の承知しておりますところで、調査会の審議の経過並びに内容を申し上げておる次第でございます。
  24. 木村公平

    木村(公)委員 これは大事な問題で、社会的というけれども、今は旧地主諸君も、私がここでしゃべることも何も知らないからいいが、だんだんわかってくると、この調査会答申とか調査会内容とか、あるいは世論調査内容とかいうものが浮き彫りにされると、非常に大きな問題にもなって参りますから、審議室長さんというものは、どういう程度の責任があり、どの程度の御見解を持っておられるのか知らないが、どうもたよりなくて話にならない。あなたを相手に、私の孫くらいな人を相手に、私がここでいろいろ理屈を言うのもおとなげないが、工藤君を呼ぶとか、官房長官を呼ぶとかして、それが出てくるまでしばらく私は質疑を保留したいと思います。  もちろん政府も、この調査会なるものをあまり信じ過ぎておる。あまり忙しいから何も知らない。調査会を作ったからうまくやっておるだろうくらいに思っておる。しかし、だんだん内容を調べれば調べるほどろくなものではない。こんなものは三文の値打もないということになるのですから、そんなものに国費を使うのはもったいない。それに政府がごまかされるようなことがあったら、これはまた重大なことです。まして政府を通じて国会がごまかされるようなことになったら大へんなことです。  だからこの調査会というものは、重きをなしておらないのだ、こんなものはいいかげんなものだということを明らかにするためには、工藤君も呼ばなければいけないのですよ。それから、官房長官にも来てもらって、そうして調査会の権限、調査会性格、あるいはその調査事項、ことにこの世論調査のやり方は私は間違っておると思っておるのです。これに対する世論調査は統計学上からも——これは統計学の権威者であるところの美濃部亮吉さんでも何でも呼びつけてよく御検討願いたい、こんなばかばかしい世論調査というものをやって、二千万も人口がある、そのうち一万二千ばかり調べておる。それも旧地主やあるいは新地主を調べておるわけじゃない。一般の人も調べて、そしてアルバイトの学生がちょろちょろしてやったよう調査方法について疑問がある。だからこの調査が、内閣総理大臣諮問機関の唯一絶対の、これ以上ないという調査であることは、残念ながら受け取りにくい。私は信憑性がないと思う。あなたは、答弁の中にも、世論調査によれば、旧地主生活はこうこうだ、新地主はこうだ、しかし心の中では、旧地主は憤りを持っているというような、ここにあとに書いてあるようですが、そういうようなことをすぐ引用するでしょう。そうすると、この世論調査をあなた方は認めておられることになるのですが、われわれは世論調査そのものに対して疑いをはさんでおる。根本的に違っておるのです。  まず調査会諮問事項受け取り方に対して疑問がある。そしてあなたのお話によると、まだ決定していない、社会的な問題とは何ぞやという点についても未熟だと言うのです。未熟なときに未熟なままでいろいろな調査を命じたところで、そんな調査というものは熟した調査ができるわけでもありませんが、それを六月三十日が期限だから、すみやかに答申をしないとこれは身分がなくなってしまう。調査会そのものがなくなる。二年間も余裕があったけれども、いまだに結論が出ないというようなことでは、いよいよもって情ないことになりますので、私はきょうは、室長さんにはお気の毒だけれども室長さんを相手にこんな重大問題を議論したところでぬかにくぎです。ただ自己満足でありますから、私に関する限りはこれでしばらく休憩にして、あらためてその関係者であるところの調査会責任者並びに、これを諮問したのは総理大臣でありますが、総理大臣は何も知らないわけだろうから、それに関係するところの官房長官なりあるいは総務長官なんかが出てきて、私の方は何にも知らぬから、調査会というものを作ってやったんだが、今お話を伺うと、なるほどこの調査というものはあまり大したものじゃないということもはっきりさせていかなければならないと思う。今これは重大な段階なんです。この答申によって国論を動かすようなことにならぬとも限らない。この答申によって政府案ができぬとも限らない。この答申によって国会の審議に影響を与える、重大なことでありますから、きょうは私は質問ができませんから、一つ委員長におかせられては、私の質問は留保していただいて、あらためて質問の機会を与えていただきたいと思います。
  25. 鈴木仙八

    鈴木委員長 西村力弥君。
  26. 西村力弥

    ○西村(力)委員 沖繩の問題について簡単にお尋ねをしたいと思うわけですが、沖繩に対する日本本土からの援助は、いつから開始して各年度の支出はどのくらいになっておるかということを一つ言っていただきたいと思うのです。
  27. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 沖繩に対する援助の経過でございますが、昭和二十七年度に始まっております。最初は文部省関係で二百十六万円、漸次金額が大きくなっておりますが、昭和三十六年度まで合わせますと十九億六千六百万円。ただし、この数字の中には、恩給法あるいは援護法、こういうものによって沖繩に支払っておりますものは含まれておりません。その他の関係を申し上げますと大体そのようになります。
  28. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この援助に要した物資あるいは現金、そういうものですが、その中には、こちらからいろいろ技術員を派遣するとか、調査員を派遣するとか、指導員を派遣するとか、そういうような費用を全部含めての今の数字であるかどうか。
  29. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 援助の内容を概括して申し上げますと、昭和三十五年度までは、ただいまお話がございましたような、一般的に申し上げますと技術援助といいますか、向こうの人を本土に呼びましていろいろな研修を行なう、あるいはこちらからそれぞれの専門家を派遣いたしまして向こうの技術的な向上を援助する、こういった経費がほとんど全部でございました。三十五年度までは、それ以外の経費と申しますと、若干の見舞金を出したりしましたが、大体主流はただいまの技術援助の経費に限られておるというふうにお考えいただいていいと思います。
  30. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう支出は根拠に基づいて支出されなければならぬわけですが、マイクロウエーブの関係とか模範農場の関係は、立法措置がとられておるようでありますが、その他についてはそういう措置がとられないままに行なわれておるわけです。その根拠を一つ説明していただきたい。
  31. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 模範農場とマイクロ関係ともう一つ気象の関係につきまして三つの法律が出ております。これは援助を日本政府から物の形で行なう。日本政府が物を買いまして、買った日本政府の財産を沖繩側に贈与するという形になっておりますので、財政法の制限を受けるわけでございます。この財政法の特例を定める意味合いにおきまして三つの立法を行なったわけでございます。その他の援助につきましては、予算で御承認をいただきまして、その予算の施行という形で援助を実行しておりますので、特別に法律を作らない、こういう形になっております。
  32. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう国内的な措置は、必要ならば立法措置をやり、またあるものは予算承認でこれをやるということになりますが、それだけの根拠でこの援助がなされておるかどうかということになりますと、私はいささか疑問があると思う。それが沖繩におるわれわれの同胞に贈られるのだということが、対沖繩の関係からいいましてもっと決定的な根拠というものがなければならないと思うわけです。それは一体どういう方法でなされておるか。すなわち、向こうにはっきりした施政権を確保している合衆国との関係、これはどういう形で行なわれておるか、その点を一つ……。
  33. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 アメリカ側との関係は、アメリカ側と毎年話し合いをいたしましてきめておるわけでございまして、アメリカとの間に条約とかあるいはその他の特別な話し合いがあって、それに従ってやっておるという形には現在なっておらぬわけでございます。毎年々々施政者でありますアメリカ側と話し合ってやっておるという形になっております。法律を作ります場合に、それによりまして日本政府がある程度のことをする義務的な費用という意味で考えますと、法律ということも場合によると必要になるかと思うのでございますが、ただいままでの段階におきましては、毎年アメリカ側と話し合いまして、予算で御了解をいただきまして、その措置として援助をして参った、こういうことになっております。
  34. 西村力弥

    ○西村(力)委員 アメリカ側と話し合うというのは、琉球政府がアメリカ側と話し合う、こういうことか、日本の方が直接合衆国側と話し合って合意の上にこういろような援助措置をやるのか、それはどちらですか。
  35. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 実質はいろいろございますが、形の上では現在アメリカが施政をいたしておるわけでございまして、最後的な決定はアメリカ側と話し合って行なう、形の上ではそういうことになるわけでございます。実質におきましては、私どもも沖繩から十分いろいろな事情を伺いまして、努めてその希望に沿いますように努力をいたしておるわけであります。
  36. 西村力弥

    ○西村(力)委員 アメリカ側と話し合って援助の種類あるいは金額、方法、そういうものを取りきめるわけですが、そういう場合に、日本の立場とアメリカの立場というものはどういう立場になるものであるか。まあ簡単にいえば、私たちは向こうにおる同胞を援護したいという気持でやるし、私たちもそれを決してどうこう言おうという気持はない。より多く本土の援護の手を差し伸べなければならない、こういうように思いますが、その気持は気持といたしまして、とにかく向こうの立場とこちらの立場がどういう立場なのかということ。ある一つの第三者的な地域におる住民に対して相互に分担し合うという形の援助か。そうじゃなく、アメリカ自体が、日本の援助行使というものは許容するという立場で行なわれるのか、こういう点はどうなんですか。
  37. 大竹民陟

    ○大竹政府委員 ただいま申し上げましたように、実質の上では、私どもといたしましては沖繩の希望を十分に聞いております。また、私どもといたしましてみずからの判断を加えまして、沖繩側に対して何が必要であるかという日本側の見解をもちろん定めまして、それによって援助を実施しておるわけでございます。形の上でそれが話し合いになっておるか、あるいはアメリカ側が許容するという立場であるかということでございます。実質的にはアメリカ側と話し合いをして、アメリカ側と協力して沖繩を援護する、こういうことになっておるというふうに考えます。
  38. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この点は外務省の方はどう解釈しますか。そういう話し合いで、先ほど申しましたように、双方分担形式でやるというようなこと、それは気持からはそうでしょうけれども、はっきり国際法的な立場、そういうような立場からいいますると、やはり実質は、ほんとうのところは向こうがそれを認めて、日本はまたそれを認めてもらって、そういう援助をやっていく、こういう趣旨ではないか、こう思うのですがどうですか。
  39. 宇山厚

    ○宇山説明員 アメリカは御承知ように、平和条約第三条によりまして沖繩において立法、司法、行政の三権を行なっておるわけでございます。しかしながら、日本の立場から考えますと、あそこの人たちは日本国民でございます。従いまして、アメリカももちろん現地の住民の福祉をはかるという建前をはっきりいたしておりまして、それは沖繩の管理に関します大統領行政命令というのがございまして、その第二節に、国防長官がアメリカ政府においては沖繩に関する統治の責任者であり、国防長官がこの権限を行使するにあたっては、民主主義の原理を基礎とし、かつ健全な財政機構によって維持される能率的な責任ある琉球政府の発展を助長し、琉球列島住民の福祉及び安寧の増進のために全力を尽くし、住民の経済的及び文化的向上を絶えず促進しなければならない、こういう規定があるのでございます。従いまして、アメリカも沖繩の方々の民生、福祉の向上には十分尽くすという建前をとっておるのでございますけれども、日本政府、日本人の立場から考えますと、現在沖繩住民の民生、福祉の水準は、本土の同胞の水準に比較いたしまして十分でない点がある。いわんや日本の本土において所得水準がどんどん上がっている、民生、福祉の水準が向上しつつあります際に、沖繩においていろいろと格差があるという状態になることは、非常に遺憾なことでございますので、これは日本政府としましては、アメリカ政府に対しまして、アメリカももっと沖繩に対する援助をふやしてほしいという点と、それからまた、日本政府としては、これらの人々が日本国民であるということにもかんがみて応分の努力をしたいということを申し入れまして、米国政府もこの提案を受諾いたしまして、日米両政府の間の協力によって沖繩に対する援助を進めていきたい、こういうふうになっておる次第でございます。
  40. 西村力弥

    ○西村(力)委員 協力は協力でしょうが、ほんとうのぎりぎりのところはやはり統治しておる、施政権を持っておるアメリカの許容の限度においてこれはやられるのであって、完全な対等な立場における協力というわけにはいかない、こう思うのです。完全に対等な立場で協力ということになれば、これは日本の方としましても、その金の行く末というものは相当監視し、それが効率的に使用されるということを、会計検査院の面においてもこれはやらなければならぬ。ところが会計検査院はどうです。こちらからいく伝票とか何か、そういうものの支出によってそれを見るだけであって、現地に行ってわれわれの同胞に確実に当たって、それが効果的に生かされておるかどうか、こういうような点についての監査というのはあなた方はできないのですよ。それはできないのは当然だろうと思うのですが、これはしかし当然と言わないで、将来はこれを打開していかなければならぬ、こう思うのですが、検査院はどうですか。あなた方の立場としては限界はどういうことなんですか。
  41. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 従来までの沖繩に対する政府の援助は、先ほどもお話がありましたように、あちらから技術職員が来るのに対して、その経費をこちらで支給する、あるいはこちらの職員があちらへ参る族費等を支給する、こういう形で行なわれ、その他のものにつきましても、ほぼ国内における検査で検査が十分できて参ったと考えております。ただ沖繩に対する援助が、先ほど来お話を承っておりましても、今後は違ってくるのではないか、そういうことになれば、お話の通り十分な検査ができないという場合も生じ得るかと思います。私どもといたしましては、現在の法制、制度のもとでは、あちらに参って検査をいたすことはできないと考えております。ただ今後そういう確認が困難なものにつきまして、何らかの方法で、国民の税金によってまかなわれる経費が、効率的に使用されておるかどうかということが確認されることが望ましいと考えております。
  42. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは三十七年度以降で相当の費目にわたって、事項にわたって予算が組まれておるわけなのでありますが、その中では国内の書類検査によっては不可能なものがたくさんあるだろうとあなたも想像されるだろう。私たちもそう思う。  これはあとでまた総務長官から一つ今後の——沖繩等の問題に関するケネディ声明にもありましたように、協力分担の福祉増進や経済開発について双方で協力しよう、こういうこともありますから、それに対する政府側の具体策、そういうものについてお尋ねをしますが、それはとにかくとしまして、先ほど外務省の方も言われましたが、協力という形あるいは言葉、そういう言葉を使っておるから、いかにも対等であるかのごとく言おうとしておりますけれども、実質はそうじゃないのだということは、これは認められるべきじゃないかと思うのです。これをはっきり認めてかからないと、問題のほんとうの解決にはならないのじゃないか、こう思うのです。外務省としてはどうです。やはり日本の政府から沖繩同胞の援護のために活発にこうしたい、そういうようなことも言って、アメリカがその点はよろしい、オーケー、これは協力を望むということになって初めてそういう支出なり方策なりというものがとられる。だから端的に言うと、アメリカが認めたということが前提として行なわれるのだ、こういうことをはっきり外務省として認められるんじゃないですか。その辺はどうですか。
  43. 宇山厚

    ○宇山説明員 先ほど申し上げましたように、沖繩におきましては、立法、司法、行政は条約上米国がその権限を持っておることになっておるわけでございますから、米国側といたしましては、沖繩で行なわれておる経済開発、民生福祉の方のいろいろな業務につきましても、責任を持っております。従いまして、そういう責任のある立場から、これは自分らがけっこうだと思うという点を明らかにしたいということを主張するのは、これは当然でございます。ただしかしながら、沖繩同胞が日本国民であり、その日本国民である沖繩同胞に対しての援助を、日本政府はさらにふやしていきたいということを申しております。   〔委員長退席、小川(豊)委員長代   理着席〕 その主張は、米側ももっともだと認めておるのでございまして、今後いろいろな援助につきまして話し合いをだんだん進めて参ります際にも、それほど大きな支障がなくいけるのではないかと考えております。  ことに三月十九日に発表されましたケネディ大統領の声明の中に、米国としても初めて沖繩は日本本土の一部であり、沖繩住民は日本国民であるということを認め、さらに、沖繩における施政権が日本に復帰する日に備えて諸般の処置をとっていきたい、こういうことを認めておりますので、そういう趣旨に沿う援助は大体支障なくいくのではないかと考えております。  それから、先ほど先生が御指摘になりました会計検査の点でございますが、この点も非常に重要なことだと考えまして、まだその援助計画の細目については話が煮詰まっておりませんけれども、この会計検査の点は特に取り上げて話したのでございますが、米国側におきましても、自分らの国で税金がどういうふうに政府によって使われるかということは非常にやかましい問題で、その会計検査の制度もあるわけであるから、日本政府側が会計検査についてそういう主張をされるのはよく納得できるので、それについては十分の協力をしたいということを言っておりました。従いまして、援助計画がだんだんふえ、多岐にわたって参るに従って、そういう会計検査の点につきましても、できるだけ日本の関係法規の要求するところが満足されるように話し合いを進めていきたい、こう考えております。
  44. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あるいは将来の実態としては、こちらの希望はほとんどいれられるようになるのじゃないかという想定、そういうことはとにかくといたしまして、現実にはやはり向こうが許す範囲しかこちらは手が出せないということになっておることは間違いないと思うのです。総務長官、どうですか。ことしの沖繩援護に関する予算をずっと組んでおりますが、これは向こうとの了解が全部ついての話、それで予算を組んで計上した、こういうことになるのでしょう。
  45. 小平久雄

    ○小平政府委員 三十七年度の沖繩援助の予算でございますが、これにつきましては、琉球政府とアメリカの民政府、この間で十分連絡をとりまして、民政府関係で、これは外務省を通じて日本政府としてはこういう項目についてこの程度の協力をしてほしい、まずそういう連絡がございました。それに対して、先ほど局長からも御説明を申し上げましたが、日本政府としては独自の立場から、それらの項目なり金額なりについて検討をいたしまして、その結果米側から協力を申して参りました項目のうち、あるものは削除したものもありますし、新規に加えたものもありますし、金額等につきましても、当初米側が言って参りましたのは九億数千万でございましたが、それを御承知通り十億数千万円に全体としては訂正いたしました。それらについて米側と話し合いをしまして、米側も最終的にはそれを了解をいたしまして、それで御提案を申し上げた、こういう事情でございます。
  46. 西村力弥

    ○西村(力)委員 最後的には米側の了解のもとに組んであるということになっておるというのですが、そういう点からいうと、問題点は、日本のわれわれの審議する予算も、今もってある一部は米側の了解によって組まれるという実態にある。私たちはやはりそういうことを重大視していかなければならないと思うのです。  ところで、外務省にお聞きしますが、沖繩の施政権というものは米側にある。そうすれば、施政権を行使される側、客体というか、そういうものがはっきりしていなければならぬと思うのですが、その客体は一体何でありますか。沖繩の施政権の範囲というものは、沖繩本島その他の関係諸島でしょうが、主権者の統治の行為というものが、主体があれば客体があるはずである。その客体は一体だれであるか。
  47. 宇山厚

    ○宇山説明員 平和条約第三条によりますと、合衆国はこれこれの地域の「領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有する」ということになっております。従いまして、御指摘のように、この地域もはっきりしておりますし、その住民であるということもはっきりしておるわけでございます。
  48. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、われわれの同胞である沖繩の住民にこの施政権は限定される、こういうことでございますか。
  49. 宇山厚

    ○宇山説明員 沖繩のこれらの諸島におきまする住民でございますから、大部分はわれわれの同胞の日本国民でございます。また、そのほかに若干の外国人がおるわけでございます。そういうものを含めまして施政権の対象になっておる次第でございます。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 アメリカの軍人軍属、その家族あるいはその他の合衆国人民、そういうものは含まないのですか。
  51. 宇山厚

    ○宇山説明員 それは含むのでございます。そのほかにも、あるいはフィリピン人とか、その他の国民がおるだろうと思うのです。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほど申しましたように、ケネディ声明に基づくこれからの交渉で、自民党さんの方でもいろいろ調査され、検討されることでしょうが、われわれとしても非常に関心があるんです。それはなぜかというと、その話をもう少し進めなければならぬですが、アメリカの許容される限度において日本が沖繩住民に援助する、それはわれわれ同胞の気持だ。それは否定するわけじゃないけれども、やはりきめ手はアメリカの許容ということにあるのです。アメリカは沖繩に施政権を持っている限り、本来的にはその住民の福祉その他について責任を持つということは、宇山さん、あなたもおっしゃる通りだ。そのアメリカの責任の一半をわれわれが負担をするという形になるのです。そうしますと、負担をすれば負担したその金そのものが、有効に使われるとともに、アメリカの責任の一半を負担するのならば、アメリカの方からそれに対する反対給付というものがわれわれに来なければならぬのじゃないか、こういう考え方なんです。施政権というものがある。そしてこれだけやらなければならぬ。その半分——今ですと大体六百万ドルというと二十億、日本で出すのは十億だ。半半だ。その施政権の責任の半分を日本が財政負担をするということになれば、その反対給付として、施政権の半分というものはこっちに譲られてくるのが当然じゃないか、こういう考え方に立つのです。  こういう考え方を総務長官は認められるかどうか。賛成されるかどうか。そういう考え方に立っても、これはやはり相当今度の折衝においては強力な立場というものを主張されなければならないと思うんですが、一体どういう立場でこの折衝に入ろうとしておるか。また、折衝の具体的項目について、まだ固まっていないなら、その方向、そういうものについて内閣考え方をここで述べてもらいたいと思う。
  53. 小平久雄

    ○小平政府委員 三月のケネディ声明に対して、日本の政府としてどういう態度で臨んでいくかということにつきましては、当時官房長官談話をもって発表されておりますので、その大綱はすでに御承知のことと存じますが、今のお話のうちの、当初にありました、日本がアメリカと協力をして沖繩の援助をするならば、その反対給付を求むべきでないか、こういう御趣旨と思いますが、反対給付というのは、実体的に申しますならば、施政権の一部等を、こちらの援助につれて、相応して返還を求むべきでないかということになるんじゃないかと思いますが、施政権のことにつきましては、あの官房長官の談話にもありました通り、施政権そのものの返還ということにつきましては、日本政府としては従来通り引き続いてこれが返還を求めて参る、基本的にそういう態度をとっておるわけでございます。  また、今後どういう方針で対米の折衝に当たるかという問題につきましては、ただいま関係各省間で意見の調整を行なっております。その間、御承知通り琉球政府の大田主席も出て参りました。ここ数日滞在をいたしておりましたが、琉球政府の希望等も十分聴取をいたしております。いずれにいたしましても、概括的に申しますならば、ケネディ声明の第四項目だったかと思いますが、沖繩の援助については日本と討議をすることになっております。しかもそれは、沖繩住民の安寧と福祉について討議をしていこう、こういうことでございます。  そこで、問題の中心をなしますものは、やはり財政援助的なものになろうかと存じますが、それとあわせまして、沖繩における経済復興の問題、あるいは一般的な福祉の増進という意味からいたしまして、沖繩住民の、あるいは琉球政府の希望等も十分取り入れまして、われわれとしましては、なるべく広い範囲にわたってアメリカ側と話し合いをいたしたい、かよう考えております。ただ御承知通り、現在、政府には琉球に関する資料等もきわめてふぞろいと申しますか、不備でございます。そういう点から申しまして、近く調査団等も派遣をいたしまして、資料の整備を一方においてはいたし、それに基づいて具体的に話し合いをしていこう、かよう考えておるわけであります。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は、ほんとうは、施政権は即時返還されなければならないと考えておるのです。それはあとでやることにいたしますが、施政権が即時返還にならないにしても、向こうで権限だけは施政権の全部を持って、施政権に伴う責任の半分を日本が財政的に負担する、しかも、なおかつ施政権の問題については一言も触れないで、現状のまま維持するというようなことはおかしいじゃないか。全面的返還というものが即時できないにしても、そういう考え方ではおかしいじゃないかと思う。その件に関しましては、政府の態度、立場というものが不徹底である、私たちはこういわざるを得ないと思うのです。  また、そのほかの具体的問題につきましては、まだ概括的な今のお話だけでありまして、具体的にどうこうということではございませんが、これは私たちも相当関心を持っております。何らかの形で施政権が日本に取得される、こういう希望の持てる、あるいはそういう工合に評価のできる具体的問題についての成果というものを、この交渉というものはあげていかなければならない。金は渡しました、アメリカの負担すべき金の半分もこっちは負担している、その金の行く末は、計算もできない、こういう状態にあって、なおかつ向こうに施政権というのが全面的に、オールマイティにこれを許しておるというようなことでは、あまりに嘆かわしいというか、そういう気持がいたすわけなんであります。  その点についてはその程度にしまして、山田君から質問があるそうですから……。
  55. 山田長司

    山田(長)委員 総務長官、忙しいようですが、どうか数点、重要な問題ですから聞いておきたいと思うのです。  それは、内閣官房組織令によると、重要事項調査内閣の審議室でなされるものと、それから、内閣調査室の重要施策に関する情報の収集及び調査に関する事項という問題は、これはどう考えても——審議室の中に、内閣の審議室と総理府の審議室というものがある。それで、さらに内閣調査室の中に、総理府の広報室というのがある。これはどう考えても重複して、役人をやたらに作っているだけとしか印象を持たぬのです。この点、やはり当然考えられてしかるべきものだと私は思うのですが、この点総務長官に一つお尋ねしておきたい。
  56. 小平久雄

    ○小平政府委員 審議室の関係は、山田委員の御指摘のように、内閣の審議室と総理府の審議室とこうなっていますが、これは実際問題としては、同じ人が全部兼任をいたしておるわけでございます。  それから、調査室の関係でございますが、今のお話ですと、内閣調査室のうちに広報室がある、こういう御表現だったと思いますが、調査室の方は、これは内閣に所属をいたしておるわけでございますし、広報室の方は、これは総理府に属しておるのでありまして、全然別個でございます。御承知通り、広報室でやっておりますのは、政府関係のいわゆる広報活動をやっておるわけでございます。調査室とは性格が全然違っておる、こういうことでございます。
  57. 山田長司

    山田(長)委員 どうもこの点が明確でない。そこで、この審議室の所管に属すると思うのでありますが、世論調査の問題です。先ほど木村委員が、農地買収者問題調査会答申について、総務長官の見える前に、盛んに気炎を上げておったのであります。国費をたくさん使って、旧地主は大して困っていないという結論が出ているにかかわらず、その結論が出ているのに、三文の値打もないということを今ここで気炎を上げて帰られたわけです。  そこで、私は尋ねるわけだが、この調査に当たる——最初各社が実は調査機構を持っていたのです。朝日、読売、毎日、みんな大新聞社は世論調査調査機構というものを持っている。そのほかにたくさんの調査機関がある。国立の世論調査研究所というものがあったが、それが合併されて、形が変わって、中央調査社という名前になった。ところが、前には、あなた方の先輩である山崎巖さんが、これは特色を各社が持っているんだから、おのおの各社の方針に従って世論調査というものはやるべきものだ、こう言っておきながら、実際は政府の何億という金を使っていながら、調査はもうこの中央調査社一つにまかせておった。  これは私は将来大へんな間違いを犯してくると思うのです。ちょうど大東亜戦争当時、新聞もラジオもみんな八月十五日のお昼までは、勝った、勝ったと言っておった。これは新聞、ラジオというものを統一したために、政府機関に御用化してしまったために正しい世論が出なかった。それと同じように、莫大な経費を使いながら、今度の場合も、中央調査社だけに調査を依頼したという理由は、新聞社の機構なぞよりもはるかにこの中央調査社の方がすぐれているということで選んだものかどうか。一応このことは重大な問題だと思うので伺っておきたいのですが、どうなんですか。
  58. 小平久雄

    ○小平政府委員 まず最初に、世論調査の機構の関係ですが、これは御指摘のように、従来は、審議室の一部で——一部と申しますか、所掌事務として世論調査をやっておりましたが、去年の十一月から、これは広報室の方へ移しました。つまり総理府の仕事としてはっきりやっておる、こういうことでございます。  それから、中央調査社との関係でございますが、私ども承知いたしておるところでは、全国的な大きな規模で、しかも民間でやっておる調査機関というものは、中央調査社のほか適当なものがあまりないということで、たまたまこれに依頼してやることが多いわけですが、しかし専門的な調査であるとか、あるいは地方的な調査であるとかいうものにつきましては、必ずしもこの中央調査社によらず、他の方面にも依頼をいたしてやっておるわけでございます。たとえば社団法人輿論科学協会、これは東京でございます。それから永末世論研究所ですか、これは京都のようであります。それから大阪輿論調査研究所、これは言うまでもなく大阪でございます。その他二、三の機関も利用をいたしておるのであります。
  59. 山田長司

    山田(長)委員 私は、少なくとも末端の町村にまで機構を伸ばすという新聞社の機構の方が、はるかに調査しやすい状態に置かれているものがあるだろうと思うのです。しかるに、そう知られていない末端の調査機構のために何億という金を使うことは、私は意味をなさぬものだと思うのです。  そこで、さらに伺いたいことは、そういう莫大な、毎年二億も三億も金を使って調査をしておるこの調査内容というものは、私はすみやかに国会に提出されてしかるべきものだと思うのです。それを政府だけで握っておって、どういう結論を得たか、都合の悪いものは全く知らせない、都合のいいことだけは知らせる、こんな形で置いてはならぬと思うのです。今までどんな種類のものを調査したか、調査した内容というものを——たとえば憲法問題なんという問題については調査しているはずだ。全然出ていない。こういうものをどのくらい調査したのか、その調査内容を明らかにして国会の指針にすべきだと思うのです。その点どうですか。
  60. 小平久雄

    ○小平政府委員 お尋ねのうち、新聞社等を利用したらどうかというお話でございますが、御承知通り新聞社は、それぞれ独自の立場で調査もなさっておられますが、外部からの委託は受けられないようであります。従って、政府が新聞社に頼んで調査をするということは行ない得ない、こういう関係にあるわけであります。  それから、たとえば世論調査のうち、憲法問題についての世論調査等はどうかということでございますが、これらにつきましては、すでに公表をいたしておるのもありますし、それから憲法調査会の方の依頼等でやったものにつきましては、憲法調査会に報告いたしまして、その取り扱い等は憲法調査会でやっておる。憲法調査会委員等にはもちろん発表いたしておるようであります。  なお、全般的にどういう点について調査をしたかというようなことは、御要求でありますならば、資料として提出してもけっこうでございます。
  61. 山田長司

    山田(長)委員 今まで調査した内容等について、どんなものを調査したのか、どのくらいの経費を費したか、これは一つ資料として出してもらいたいと思います。  なお、これは希望ですが、最近の池田内閣の所得倍増計画のために、物価がどんどん上がってきていると思います。こういう生きた問題を調査する必要があると思うのです。こんな状態でいいのか悪いのか調査をして、都合のいいことばかり調査して、都合のいいことだけ発表するということでは、せっかく国民の経費を使ってもほんとうに生きたものが出てこないと思うのです。これは私の希望ですが、そういうことなども将来の計画としてやっていただきたい。  もっといろいろ聞きたいことがあるが、どうも先を急いでしりが落ちつかぬ状態ですから質問できないのです。
  62. 西村力弥

    ○西村(力)委員 総務長官に伺いますが、宇山外務省審議官が言うたように、沖繩の住民に対しては、本来はアメリカが福祉増進なり経済開発の責任がある。これはアメリカがやらなければならぬ責任なんです。これに対して日本が協力するという形で住民の幸福のためにわれわれはやる気持ですが、やはりその形というものは、アメリカの責任というものに日本が助力をするという形になるのです。すなわち、この援助は、アメリカに対する援助ということは、的確に感情を抜きにして考える場合においては、そういうことになるのじゃないか。こういうことは総務長官認められませんか。
  63. 小平久雄

    ○小平政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、ちょうど同じような御趣旨の御質問を、御列席の勝澤委員からもこの前ちょうだいしたことがあるのでありますが、沖繩に対する援助というものは、日本としてもいわゆる潜在主権を持ち、しかも今回のケネディ声明によりますと、これが日本の本土の一部であるし、日本国民であるということも明確にされたわけでございますし、援助は将来日本に施政権を返す場合に支障がなくなるように、そういう目標もはっきりいたして参ったわけであります。そういう点から考えますと、日本の援助というものがアメリカに対する援助だ、かようには私どもは解しておらないのでありまして、少なくとも、本土の一部であり、われわれの同胞が九十万近くもああしておられるという点から考えますならば、われわれは道義的にもこれは日本からもできるだけの援助をしてやるということが、むしろ当然ではなかろうかと思ます。そういう立場で私どもは、あくまでも沖繩に対して、あるいは沖繩住民に対して、日本としては援助をするのだ、かように私どもは理解をいたしておるわけであります。
  64. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ケネディが、沖繩は日本の本土だということをはっきりさせたと言いますが、これはフォスター・ダレスが、やはりあの当時から日本の主権というものが残存しておるということをはっきり言うておるのですから、今あらためてそういうことを言うたといって特筆すべきことではないのじゃないか、こう私は思います。  それからまた、平和条約第三条に基づくこういう関係にある沖繩ですから、日本の本国にその復帰がスムーズにいくよう責任を持ってやるのだということは、ケネディがそういうことを言うまでもなく、それは本来アメリカの責任だ、こういうことになるのでございまして、そういう理由から、国民感情から沖繩住民に手を差し伸べるのだということ、そういう気持に立脚した所論というものは、どうも正確に言うてはっきりしないのじゃないか、こう私は思うのです。  いずれにいたしましても、そういうことならば、やはり一挙に施政権を返還できないならば、部分的にでもより多く、今度の交渉においてその反対給付として施政権が返る、こういう交渉というものは強力に行なわなければならない、私はそういう工合に期待をするわけであります。それでは総務長官、けっこうです。  それでは、引き続きまして外務省にお尋ねいたしますが、施政権が即刻返還されなければならないことは、外務委員会あたりでも論議になっておると思いますが、私はいろいろな理由を考えておるのですが、一つは、やはり沖繩住民及びわれわれ日本本土の国民が沖繩の返還ということを熱望しておる。現状においてはそういう本来の住民の熱望というものは無視できない、こういう立場が一つあると思うのであります。それからまた、かりに信託統治に移っても、これは国連憲章の第七十六条のb項にあったはずでありますが、その信託統治に移せば、住民の自由に表明するその熱望に適合すべきであるという点から、即刻返還さるべきである、私はこういう主張をしたい。信託統治にしたら、直ちに住民の熱望にこたえるようにしなければならない。今、住民も、われわれも、それを熱望しておるのであって、かりに信託統治に移ったって、直ちに返還されなければならないのだ。国連憲章の第七十六条b項によって、そういう場合に返還されなければならないのじゃないか。  それから、今度のケネディ声明で、沖繩に対する信託統治を将来行なう、そういうことを国連に提案をする意思はアメリカにないのだということが明瞭になったということが一つ。そうしますと、これは国連に信託するまで、アメリカに対して施政権を認めたわけであります。いわばこれは契約としてはそういう条件付の契約だ、条件付の国連の信託統治に移すまでの施政権、こういうことである。ところが、そういう信託統治に移す意思というものを放棄した、こういうことになっておるのですから、その条件というものは将来にわたって満たされないということになってきておるわけであります。  ところが、条件が満たされない、こういうふうになって参りますと、条約それ自体がこれは破棄されなければならないじゃないか、条件が満たされることは不可能になったという現状においても、その条件が生きるということはこれはおかしいじゃないか、こういうことです。あるいはまた、よくいわれておるのだが、国連憲章の第七十八条によって、日本も国連に加入したのですから、国連に加入した国を信託統治にすることはできないはずであります。そういう点からいいましても、あるいはまた、よくあそこは戦略地区であるのだ、こういう規定の仕方をいたしますが、しかし、戦略地区としてこれをやろうとすれば、これは国連において信託統治理事会ばかりではなく、安保理事会というものにかけられる。安保理事会にかけられるとソビエトの拒否権ということになる、それでこれは、信託統治に戦略地区としてのそういう形は絶対とれない、これはやはり不可能であるということになってくるわけなんであります。  いずれの点からいいましても、条件が満たされることは、もう将来とも見込みがないのだということになって参ったわけなんでありまして、そういう点からいいましても、国際的にいいますと、直ちにやはり日本に復帰する、そういう主張が正当な主張として日本政府によってなされるべきだ、こういう考え方を私たちは持つのです。  アメリカの意向としては、安保条約の合意議事録、アジアの戦争の危機というものが解消しない限りはこれは必要だということを言っているあの合意議事録の内容というもの、こういうわけでありますけれども、しかしそれは、アメリカの考え方、アメリカの世界戦略の考え方であって、法的にいうと、将来信託統治に移す可能性は全然なくなったのですから、やはりこの際この平和条約第三条というものは解消されなければならぬ、こういう工合に私たちは主張するわけなんです。外務省としてはどうですか。その点についていろいろ専門家としての言いのがれ的な理屈があるかと思うのですが、一つおっしゃっていただきたいと思います。
  65. 宇山厚

    ○宇山説明員 平和条約第三条は、この沖繩につきまして、「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」こういうふうになっておるわけでございます。  従いまして、平和条約第三条は、アメリカが沖繩を信託統治に付するという提案をいたしました際に、日本が反対をしないということを規定しておるだけでございまして、そして後段で、そのような提案がなされ、かつ可決されるまではアメリカが施政権を行使するというわけでございますから、アメリカが国際連合に対して沖繩を信託統治に付するという提案をいつまでにしなければならないとか、必ず提案しなければならぬということを規定しておるわけではございませんし、それから、こういう提案がなされないからといった場合に、アメリカの施政権は無効になるということも規定しておらないわけでございます。従いまして、平和条約第三条から見まして、アメリカは現在施政権を行なっておることが違法であるということはいえないと思うのでございます。  それから国際連合憲章の点でございますが、七十六条のb項によりまして当然に沖繩は独立させるべきだというお話でございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、現在信託統治制度についての規定は沖繩には適用ございませんので、これでもって現在やっておることが違法であるということはできないと思うのでございます。
  66. 西村力弥

    ○西村(力)委員 平和条約第三条は、アメリカを唯一の施政権者とする信託統治に付することをここに提案することを反対しない、そういうことだけだと言いますが、そういうことだけだというと、これはアメリカの領有権を宣言するなんていうことも認めているのだ、国連に信託統治として提案することが第三条の一番の重点である、これは条件と先ほど言いましたが、もちろんそれが主体である、それまでの間条件として施政権を認める、こうくるのであって、唯一のものとして国連の信託統治に移す、そのことだけを第三条で認めている、こういうことだけであって、その他の領有権の宣言などは全然認めない、日本に返還する、復帰するということは文句のないことであって、これは当然主権がこちらに残存しているから、文句の余地はない。この第三条というものは、これを反対しないというだけでなしに、それが唯一の第三条の問題である、それ以外は認めない、こういうことに第三条というのは解釈すべきである、こう思う。だから、そのことが不可能になったという現状においては、これは施政権の行使というものも解消されなければならない、こういう工合に私は考える。第一点はそうです。国連に信託統治を移す、そのことに反対しないということだけの規定であって、その他の拘束はないというあなたの考え方は非常に危険だと思う。その点はどうかということと、それからアメリカは、信託統治に移す意思が、ケネディ声明によってなくなった、こういうことの現実を認めるかどうか、これが第二点。
  67. 宇山厚

    ○宇山説明員 第一点の信託統治に沖繩を付するということが平和条約第三条の実体であるとの御発言でございますが、先ほど先生がおあげになりましたように、ダレス氏は、平和条約の草案を作ります上において、最も重要な役割を果たしたわけでございます。そうしてサンフランシスコ平和会議におきまして、この平和条約の各条項について立案者として説明したのでございます。その際に、沖繩につきましては、連合国の間に意見の相違がございまして、意見が一致いたしませんで、ある連合国は、これは日本から分離すべきである、日本から離してしまうべきであるということを主張し、また他の連合国は、これは日本の領土であり、あそこの住民は日本国民であるから、これは日本から分離させるべきではないというふうな意見が対立しまして、その結果、当時考えられました重要な提案といたしまして、国際連合の信託統治に付するという提案があったわけでございますけれども、その点につきましては、将来そういう提案をするかもしれない、そういった場合に、日本政府はこれに同意をするという規定にしたわけであるということを説明しておったわけでございまして、従いまして、その平和条約が締結されましたときにも、沖繩は必ず国際連合の信託統治に付するというふうに確定的であったわけではないわけでございます。従いまして、先ほど申し上げましたように、沖繩を信託統治に付することがなくても、条約の義務違反とも申されませんし、この三条の立法精神にも違反しているということも言えないと思うのでございます。  それから、その信託統治に付することが、日本への復帰との関係はどうなるかという点でございますが、この点につきましては、私どもはちょうど奄美大島が日本に復帰いたしましたように、米国の施政権から日本の施政権に直接返ってくるのが一番支障のないやり方だと考えますし、そういう方針で今後とも交渉して参りたいと考えておる次第でございます。
  68. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第二点の答弁はちょっと違いますね。ケネディの三月十九日の声明ですか、あれによってアメリカは沖繩を信託統治に移す意思はないのだということは明瞭になったのではないかということなんですよ。第一点は、将来信託統治にするかもしれぬ、そういう場合には日本は反対しない、こういう取りきめであるんだということです。そうすれば、信託統治に移すように提案するかいなかということは未知数だ。するかしないかわからないのだということになると、こういう提案をしなければ、永久にアメリカの施政権というものは継続することを日本が承認したのだということになる。あなたの言い方によりますとそういう工合になるのだが、そういう工合に解釈してよろしいのかどうか。ところが、あの条約の条文ですと、信託統治に提案するまで、それまでの間施政権を認める、立法、行政、司法のオール・アンド・エニー、それのあれを認めるのだ、こういうことになっているのですが、実体は、そのあなたの解釈によると、それが条約の主体である。将来の信託統治に移すかいなかということは未知数だから、それをやらない場合には、永久にあの施政権が続くということを日本は承認したんだ、こういうふうにあなたの解釈ではなってくるのです。まことに危険しごくな解釈だと思うのですが、どうですか。その点は私はやっぱり信託統治に移すということを前提にして、彼らの領有は認めない。だから私たちは、沖繩については日本に復帰するか、あるいはやむを得ないときにはアメリカが信託統治に移すか、その二つだけをあの三条において認めておる、こういうことを考えておるのですが、今の御答弁によりますと、それは全然逆である。非常に危険な解釈に相なると思うのですが、どうですか。
  69. 宇山厚

    ○宇山説明員 第一の点は、ケネディ声明が、アメリカとしては沖繩を国連の信託統治に付さないということをはっきりしたかどうかという点でございますが、その点はこのケネディ声明にははっきりいたしておりません。おりませんが、米国政府がいろいろな非公式な機会にこれまでわが方に言っておりますことは、現在アメリカは沖繩を信託統治に移すという計画はないし、今後もないであろうということでございまして、私どもはそのよう解釈しておりますし、また、この方が日本のため、また沖繩の同胞のためにもいい、こういうふうに判断いたしております。  それから第二の、そういうふうに考えてくると施政権復帰は永久にできないではないか、いつまでもアメリカが統治を続けるのではないかという点でございますが、今度のケネディ声明には、自分は沖繩が完全に日本の主権のもとに帰復できるという日が来るということを待望しておるということをはっきりしておりまして、そして、それまでの間はすべての関係者が相互理解と寛容の精神で努力していこうということを言っておるのであります。従いまして、先ほど申し上げましたように、今後の沖繩援助その他につきましては、米国と協力してやるのでございますが、施政権返還の問題につきましては、しばしば大臣から国会で申し上げておりますように、日本政府といたしましては、あくまでもしんぼう強く交渉を続けていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  70. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第一点の、アメリカはケネディ声明以降明確になった点は、信託統治に移す意思はないのだということが確定的になったということ、これはいろいろな外交雑誌、「世界資料」その他いろいろ見てみましても、その点は明らかに書いてありますが、外務省としては、そういうところがケネディ声明後明瞭になったのではないのだと、こうおっしゃるけれども、そういうところをはっきりいたしてかかっていかなければならない、こう思うわけなんです。  第二点は、日本の施政権返還要求とは別個に、第三条の解釈の問題として、将来信託統治に移すかどうかということが不確定なことであります。そういう工合にするかしないかということは、まだ確定してないのだということだから、そういうことを解釈されましたから、そうすると、それは後段の方の施政権の行使というものは、アメリカが信託統治にしたくなければいつまでも認めるのだということになってしまう。ああいう解釈を私は非常に問題があると申し上げたわけなんです。  いずれにいたしましても、時間になりましたので、その点については将来またおりを見てお尋ねいたしますが、そういう基本的立場というものを明確にしていかないと、これからの沖繩問題に関する対米折衝において、日本の立場というものが非常に追随的になっていく危険性ということを考えますからいろいろなことを申し上げたわけなんでありますが、まあ以上でとどめたいと思いますけれども、われわれといたしましては、とにかく決算委員会の立場からいいますと、日本のこの金というものが生かされる道は何であるか、アメリカの責任の一端を分担して、アメリカに対する援助という形になっている、その反対給付は、当然これは来なければならぬのだ、その金というものが有効に使われているかどうかということは、日本のわれわれの機関によって検査をする可能性というものが見出されなければならぬのじゃないか、こういう点について問題を提起しておいたわけなんです。  それでは、この程度にします。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 勝澤芳雄君。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がございませんので簡単に質問いたしますから、一つ要点だけお答え願いたいと思います。  内閣官房の調査室にお聞きしたいと思いますが、最初に会計検査院にお尋ねをいたします。内閣官房に情報調査委託費というものがあるわけでありますが、これは会計検査院としてはどこまで調査するのですか。調査委託先まで行って調査されるのですか、あるいは本省で書類審査をされるのですか、その点からお尋ねいたします。
  73. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、すべての検査がそうでありますけれども、支出されました支出官について調査をいたします。それは特に補助金でありますとか、あるいは購入その他で指定して相手方を検査する場合もありますけれども委託費につきましては、そういった権限は認められておりませんので、主務庁であります総理府なり内閣なり、そこで調査をいたします。ただ、その内容は、主務庁で取っておられます相手方から出されました書類、そういうものによって確認をいたしております。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは内容について調査室にお尋ねしたいのですが、三十三年度は十二カ所、約一億、三十四年度が同じく十二カ所で一億八千万、三十五年度が十四カ所で二億六千万とだんだんふえているわけでありますが、この中で、だいぶ団体の中でも変わっている点がありますが、たとえばラジオ・プレスが三十五年度からジャパン・ニュース・センターという形に委託先の金額は変わっておりますけれども、これはどういうことですか。
  75. 古屋亨

    古屋説明員 お答えいたします。委託団体は、大体委託事項を示しまして、内閣の会計の担当官でありまする会計課長とその委託団体の責任者との間に契約がまとまりまして、細部の指示は内閣調査室長がする、こういうことになります。予算は、御承知ように一年ごとに変わるものでございますから、ものによりまして新たに団体がふえることもございます。今お話しのジャパン・ニュース・センターというのはラジオ・プレスとは別の団体でございまして、新たにできましたものでございます。従いまして、ジャパン・ニュース・センターと、もう一つ三十五年度におきまして国際情勢研究会というのが新たに加わっておるのです。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私のところにいただいている資料に書いてある点については別に重複して御答弁要りませんが、委託する団体は、調査室の方で、必要によってこの団体を作っておるのですか、それとも、こういう団体があって、こういうのを委託さしてくれという申請に基づいてやられているのですか、その点……。
  77. 古屋亨

    古屋説明員 委託団体があってと申しますか、団体がありまして事業目的がございまして、その団体を調べまして、こういう点を委託するに適当と思われる仕事をその団体がやっております場合には、そこへ私の方が委託をする、こういう建前でございます。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういたしますると、財団とか社団という団体もあるようですけれども、任意の団体を選定するときの基準といいますか、この団体を決定するに至った経過といいますか、こういう点はどうなっておりますか。たとえば請負の業務ですと、競争入札とかあるいは指名とか、いろいろやり方があるわけでありますが、そういう点から考えてみますと、任意の団体を選んだ理由、経過について御説明願いたい。
  79. 古屋亨

    古屋説明員 御承知ように、任意の団体はいろいろの団体がございまして、ずいぶん古いものも、十年近い前のものもございます。またこの二、三年新たに選んだものもございます。大体その団体の事業目的から見まして、私の方がこうこうこういう専門的な仕事をそこに委託することが適当であり、しかもしっかりしておる団体と考えましたものをよく調査をいたしまして、そこに委託事項を示しまして、それを了解されるならば委託をする、こういう選択の建前をとっているわけでございます。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 委託をする業務の内容の基準といいますか、あるいは委託範囲といいますか、こういうものは相当詳細にきめてあるのですか、その点どうですか。
  81. 古屋亨

    古屋説明員 委託をいたします場合に、先ほど申し上げましたが、支出官であります会計課長がその団体の責任者に対しまして、各団体ごとに相当詳細な契約と申しますか、指示と申しますか、そういう事項を示しまして、それによって委託される場合に、細部については調査室長の指示によるということを書きまして契約をしておりまして、その指示に基づきまして、私の方で委託団体の委託された仕事の運営についてチェックをしておると申しますか、あるいは目的にかなうようによく見ておる。従いまして、一年委託をする場合におきましても、あるいは場合によりましては三カ月委託をしまして、その状況を見ながら、さらにそれを継続していくというような格好を、団体によりましてはとっておる次第でございます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私の手元で調査した範囲内によりますと、委託をしなくても、国の他の機関調査資料を使用するならば十分やっていける、私はこういう調査資料があるような気がいたします。そうしますと、その国の機関をもう少し強化をすればお宅の方で十分に使えるにかかわらず、わざわざ民間にこういう委託費を出している、こういうふうに私は思うのですが、その点どうなんでしょうか。
  83. 古屋亨

    古屋説明員 お答え申します。実は他の機関、国全体のことにつきまして申しますよりも、私の方の仕事の範囲についてお答えさせていただきたいと思いますが、大体内閣調査室は、内閣法に基づきまして、結局内閣の重要政策についての情報の収集、調査という建前になっておるのでありまして、従って、内閣の重要政策についての基礎資料を作るという建前をとっております。しかしながら、御承知ように、そういう内閣の重要政策と思われる事項のうちには非常に専門的なものもございます、あるいはその道に相当経験を必要とするというものもございますので、各団体のうちでそういうことをやるに適当と認められる団体をよく調査をいたしまして、そこにこちらから連絡をいたしまして、委託をする場合には、会計課長から正式にその団体と契約して、さらに私の方で詳細にその運営が正しく行なわれるようにその委託費の範囲については指導監督をしている、こういう建前であります。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここへ委託している内容、事業の目的を見てみますと、たとえば外務省なり国会図書館なり、こういうととろで十分できることがわざわざ民間に委託されている、私はこういう点が見えるわけであります。ですから、最初お尋ねいたしましたのは、必要によってこの団体を作って委託費を出しているのか、団体があって、こういうのを委託さしてくれという形で委託をしたかという点なんですけれども、その点そちらから作って出したという御答弁は得られないと思いますけれども、そういう点があると私は思うのです。  そこで具体的な中身について一つ聞いてみたいのですが、みなわからないわけです。十四の団体を見てみますと、たとえば日本放送協会とかあるいは共同通信社とかあるいはラジオ・プレス、こういうものはよくわかるのですが、各団体を見ますと、一体これはどうなんだろうか、三千万も委託費を出していいような団体だろうか、実は疑問になるのです。疑問になるということは、それだけ知られていないのじゃないだろうかと思うのですが、そこでまず国際情勢研究会というのがありますね。国際情勢研究会とその下の国民出版協会とそれから民主主義研究会、この三つについて私はお尋ねしたいと思うのです。これは三千万以上の委託費が出ておりますから、これだけ取り上げてみたいと思うのですが、一体国際情勢研究会の事業の内容は、調査の中に出ておりますけれども、この役員の方はどういう方々ですか。
  85. 古屋亨

    古屋説明員 国際情勢研究会という任意団体、その当時は任意団体でございました。これはいろいろの情報の分析、評価をする団体でございまして、できました当時におきましては、最高裁の長官になられました横田喜三郎さんを会長にいたしまして、十名ばかりの理事をもって——会長はもちろん理事でございますが、それで発足したのでございます。横田先生が最高裁においでになりましたので、次には岸道三先生が会長になられたのでございますが、なくなられまして、今は長谷川氏が会長代理という任務をとっておられます。近くその会長が決定されるものと私どもは聞いております。ここにおきましては、各種の内外情勢につきまして、大体十人の理事ないし監事という審議員が中心になりまして、そのもとにそれぞれの専門の研究員というものがおりまして、ロング・レンジの問題、あるいは短い期間の問題等につきまして、毎週一回集まりましてテーマを出して論議をして、口頭ないし書面でその結果を報告していただいておる。そしてそれらの審議員の方は、現在は長谷川才次氏、福島慎太郎氏、田中重之氏……。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 名前は名簿がありますから……。前歴がわからないのです。
  87. 古屋亨

    古屋説明員 前歴を申し上げます。  福島氏は国連大使で、現在はジャパン・タイムスの社長、それから長谷川氏は内外情勢調査会会長で時事通信社の社長、それから植田捷雄氏は東大の教授、気賀健三氏は慶応の教授でございます。また花井忠氏は中央大学の理事、田中重之氏は埼玉県の教育委員長でございます。山口喜雄氏は医療金融公庫の監事でございます。それから今井久氏は前防衛事務次官、現在、審議員、すなわち理事ないし監事になっているのはそういう経歴の方でございます。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 加瀬さんと井出さんはどうですか。
  89. 古屋亨

    古屋説明員 加瀬俊一氏は外務省の顧問、井出勇氏はここの団体の事務局長理事を兼ねております。
  90. 勝澤芳雄

    勝澤委員 前歴はどうなんですか。
  91. 古屋亨

    古屋説明員 前歴は富山県の警察本部長でございます。
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今経歴を伺ったのですが、一週間に一回ずつ集まって話をする、その会のために三千何百万出ているということになるのですか。
  93. 古屋亨

    古屋説明員 この会は、ただいま申し上げました審議員が十名と、そのもとに研究員というものがございます。そして研究員の四十名の方々、それから十名程度の事務局員がございまして、大体審議員は建前としては一週間一回、一週間二回やることもございます。研究員はほとんど毎日常勤しておりますが、事務局員はもちろんでございます。こういう人々が研究テーマにつきまして研究いたしております。昨年の末からそういう研究テーマを発表しようではないかという相談が団体の中でまとまったようでございまして、第一回は昨年の秋でございましたか、出しました。ことしからは年四回に分けまして、この団体の研究した情勢をこの団体の名前において公表する、季報というようなものを出す、こういうことを聞いております。
  94. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この研究会の予算規模は年間幾らくらいですか。
  95. 古屋亨

    古屋説明員 三千八百九十八万というのが三十五年度の決算でございます。大体来年度の予算もこれと大同小異の数字でございます。
  96. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、これはあなたのところで委託した金で全部まかなっておる、こういうことなんですね。
  97. 古屋亨

    古屋説明員 この団体が発足して三年でございますので、この団体がそういうような季刊を出しまして、もしその収入がありますれば、それによってまたいろいろ仕事が考えられるという建前になっております。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、これは先ほど私が言いましたように、こういう団体があって、こういう仕事を委託しなければならぬということで申請があって、それに許可して委託したのでなくて、あなたの方が必要によってこういう団体を作って、これだけ金をやるからこういうことをやってくれ、こういう結論になるじゃありませんか、違いますか。
  99. 古屋亨

    古屋説明員 私が最初申し上げましたのは、従来からなっておる一応の建前を申し上げたのであります。私の方がこの団体を、自分の方でこういうものを作れといって作らしたわけではございません。この団体は昨年の七月から団体内部で相談がまとまりまして、公益法人の認可を受けまして、公益法人になりました。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 とにかく、できてから三十五年の決算までの間には、あなたのところからもらった金を使っておったということなんですね。それだけははっきりしております。それで全部まかなっておった。
  101. 古屋亨

    古屋説明員 収支関係はお話しした通りでございます。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 収支関係を話した通りというのは、あなたの方で委託費を出した、その委託費でここは全部今までまかなわれてきた、こういうことが言えるでしょう。
  103. 古屋亨

    古屋説明員 三十五年にできたものであります。それで二年たちまして、内部の意向によって法人に切りかえられたわけでございます。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは官房長官の方がよかったと思うのですけれども、結局三十五年にできて、できたときに三千八百九十八万円委託費を出して、その委託費でまかなわれたという結論になるわけです。三十六年なり七年になって、何とかよそからも収入の入ることを考えようじゃないか、こうなってきたということになりますと、そういう委託の仕方がいいのか、これは会計検査院の方にお尋ねしたいのです。検査院でお答えできるかどうかよくわかりませんが、どうなんでしょう。今あなたがお聞きしたように、団体があって、委託をするからしてくれという形で委託したのではなくて、委託費ができて団体ができた、こういう形になると思うのですが、そういう点、あなたの関係しておるほかの委託費との関係で何かお気づきの点を伺いたいと思います。
  105. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 委託費はもちろん団体ができて、その団体と契約するわけでございますから、先に委託費を出すというような事情がかりにあったといたしましても、私の方ではそういうことはわかりません。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に国民出版協会というのがあるのですが、これはまたどういうことをやられているか、というのは、実は概況としてこれに書いてありますが、どんなことが具体的に上がってきているのですか、委託されているのですか。抽象的な事業目的の書いてあるところはいいのです。
  107. 古屋亨

    古屋説明員 これはマスコミに現われました論調あるいは意見、そういう事象を調査するということが一つでございます。つまり新聞あるいは週刊誌あるいはラジオ、テレビ等でどういうことが現われたか、その結果を調査することが一つでございます。それから第二は中立ムードであるとか、あるいはテロに対する国民感情といったようなもの、あるいは最近学生がどういうような意識を持っているかというような、社会風潮などを調査する仕事をここで担当しておるわけでございます。
  108. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ここも団体の構成役員の点、名簿に出ておりますけれども、前歴を一つお教え願いたいと思います。人員構成ですね。
  109. 古屋亨

    古屋説明員 会長は構溝光輝氏であります。これは岡山、熊本の知事をされて、弁護士をされております。それから常務理事は志田石高という、中央大学法科を卒業して日本週報社におったのでございます。それから及川豊君は元警視庁の署長をやっておりました。それから理事としては、あと新聞社関係におられました方三人ばかり理事になっておられます。
  110. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはどこですか。
  111. 古屋亨

    古屋説明員 佐々木さんという方が毎日におられました。中山さんという方が産経におられました。古田さんという方が日経におられました。それから監事が弁護士の新家猛さんでございます。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、何人くらいで、仕事は、構成はどういうふうになっていますか。
  113. 古屋亨

    古屋説明員 現在ここの職員は十八名でございます。そしてこういうよう社会風潮、あるいは今申し上げました論調の調査等につきましては、直接ここの人々が担当する場合と、あるいは専門家、専門的知識を持った方に委託する場合とがございますが、週刊の論調の速報とかあるいは調査月報というものは、ことでまとめておる資料でございます。
  114. 勝澤芳雄

    勝澤委員 役員は常勤なんですか。
  115. 古屋亨

    古屋説明員 会長の横溝氏が非常勤、常務理事の志田、及川氏が常勤であります。あと理事三名は非常勤、こういうことになっております。
  116. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、この役員七人と職員の十八名で全部やっておる、こういうことですか。
  117. 古屋亨

    古屋説明員 委託費で出しておる職員でございます。
  118. 勝澤芳雄

    勝澤委員 委託費で出しておる職員が十八名だとすると、国民出版協会というのは何人でやっているのですか。
  119. 古屋亨

    古屋説明員 国民出版協会の職員でございます。
  120. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると国民出版協会というのは、全員で役員が七人で職員が十八人だ、こういうことですね。
  121. 古屋亨

    古屋説明員 さようでございます。
  122. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国民出版協会の一年間の経費は幾らですか、三十五年度は。
  123. 古屋亨

    古屋説明員 三千二百八十六万でございます。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、あなたの方から委託した金と国民出版協会の決算と一緒だ、こういうことになりますね。
  125. 古屋亨

    古屋説明員 向こうの事業で職員を任命しておるのは、ここにはわかりませんが、こちらの委託費で出している人数は今申し上げました数字でございます。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 答弁が先ほどと食い違っている。
  127. 古屋亨

    古屋説明員 私、今訂正しようと思いましたが、さっきのはちょっと間違いました。その中のこちらの委託費と関係ない費用が、ごくわずかでありますが若干あるようでありまして、そのために使っております職員は、申し上げました数字には入っておりませんから……。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、その人数は幾人ですか。三十五年の一年間の決算は、先ほど三千二百八十六万と言われましたが、それはどうですか。
  129. 古屋亨

    古屋説明員 国民出版協会の年間の使用高が三千二百八十六万でございます。それで今申し上げました人件費に当たるものがそのうちの一部をなしておりまして、あとは事務費とか資料費とか、あるいは調査活動に要する費用というものが人件費以外の費用になっております。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局、室長、こういうことなんですね。国民出版協会に委託をした金が三十五年度では三千二百八十六万になっている。この金で、とにかくほかの収入なしで国民出版協会も運営されておる、こういうことですね。
  131. 古屋亨

    古屋説明員 ちょっと、さっき申し上げましたのはそういうことじゃないと思いますが……。団体で、団体自体の収入でこちらと関係なくやっている、そのための収入で雇っているのは、こちらとは関係ないということを申し上げたわけであります。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから、それはどれだけ収入がありますか。
  133. 古屋亨

    古屋説明員 そうたくさんの数字ではないと思いますが、今ここに資料を持ってきていないそうでありますから。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 たくさんの数字でないというのは、具体的にどれくらいでありますか。
  135. 古屋亨

    古屋説明員 実は、委託費の三十五年の決算につきましていろいろ調べて参りましたが、委託費外の資料はきょうちょっと持って参らなかったわけであります。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、大した額でないというのは、何から判断してお答えできるのですか。
  137. 古屋亨

    古屋説明員 私が知っております範囲におきまして、そこにおる団体の職員等の費用はそこで払っておるということを聞いておりましたので、大した額でないという言葉は適当でないかと思いますが、そういうことで申し上げたのであります。
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この国民出版協会の決算書をあなたの方はお取り寄せになって、調べたこともあるわけですね。その調べた結果が、国民出版協会の全部の決算が、三十五年度で三千二百八十六万だ、こういうふうに私はあなたの御答弁を聞いたわけですが、違いますか。
  139. 古屋亨

    古屋説明員 こちらの委託関係についてだけ毎月精算して報告が参りますので、それによっての報告でございます。こちらの出した金についてだけの報告でございます。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、先ほどの国際情勢研究会のときの決算書は、総額で三千八百九十八万円だ、こう先ほど言われました。そうすると、委託費全額でそれをまかなわれるということは先ほどのでわかりました。国民出版協会は、結局あなたの方で委託している以外に、何かほかの事業をやられて収入がある、こういうふうに、その部分はわかりませんけれども、ある、こういうことなんですか。
  141. 古屋亨

    古屋説明員 申しわけありませんが、先ほど私が最初に国際情勢研究会で申し上げたことも、それから今、最初の言葉が足りませんで、訂正したつもりでございますが、説明がまずくて御了解いただけなかったと思います。これは委託費について毎月精算——月が済みますと、その委託費の精算が参ります。それを私の方で調査しまして、それを会計の方に送っておる次第でございまして、委託費以外の金は、私の方へ団体からは報告に参っておりません。ただ、先ほどその額が非常なものに上るものではないということを私は申し上げました。これは率直にそういう職員が一、二あるということを聞いておりましたので、資料を持って参りませんでしたので、そういうことを申し上げたのでございまして、ここにありますのは、委託費の金額、委託調査費として出しました金についての精算の額でございます。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員 委託をしておるのですから、委託をしておる会社が、かりに資本金が幾らで、人員がどれだけあって、委託にたえるかどうかということは、当然あなたの方でお知りになっておると思うのです。ですから、先ほどから私が質問しておることと今の御答弁を見ますと、だいぶ違っておるように思うのです。私が今まであなたの方に聞いてきたのと違う。そうすると、今あなたの御答弁通り解釈すると、今二つの団体は大部分が委託費でまかなわれておるけれども、ほかの部分もあるかもしれない。それはとにかく大したことはない、こういうふうにあなたの御答弁を理解してよろしゅうございますか。
  143. 古屋亨

    古屋説明員 非常に言葉がまずくて御理解を得なかったことを申しわけなく思うのでございますが、実は委託費の金額の精算について調査をして参りましたので、委託費以外でその団体の収入について、それがどういうふうになっておるということの資料をきょうは持ち合わせがないということを申し上げたのであります。だから、その場合に私の聞いておるところの、記憶にあるところでは、一、二名その団体の収入で団体で雇っておる人なんかあるということを覚えておりまして、そういうもっと根拠深い数字を持って御説明申し上げることができませんで、委託費についてだけ調べて参りましたので、その点については今申し上げた通りでございます。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この国際情勢研究会あるいは国民出版協会、あなたの方はこの財務諸表というのはとったことはないのですか。
  145. 古屋亨

    古屋説明員 委託契約をいたしまして、三カ月ないし六カ月の契約で毎月その団体から使った額を私の方へ報告をいただくわけでございます。それが委託の金額の中であり、妥当に使われておるかということを精査いたしまして、そのほかに随時に団体の経理については監督いたしますと同時に、委託しました目的の事項が行なわれておるかどうかにつきましては、時々係官を派遣いたしまして、間違いのないように調べております。
  146. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは国民出版協会というのは、今のあなたの説明でも、あなたの方から見せていただいた事業目的でも、あるいは実際に行なわれた内容についても、私の手元にいただきました資料を見ますと、これは新聞雑誌の切り抜き協会なんですよ。新聞雑誌の切り抜き協会なら、三千二百万というお金を使うより、図書館でできるわけです。ですから、三千二百万のお金を使うんだったら、私はもっと国会図書館を利用された方がいいじゃないか。今のメンバーを見ても、この人たちに聞かなければできないようなものではないと思うのです。これはぜひ検討していただきたいと思うのです。  次に、民主主義研究会というのがある。実は内容を見たが、民主主義研究会に三千四百万もお金を出すものがあるだろうかと実は思う。幾ら調べてもお金を出す根拠というものは出てこないわけです。どうも内閣官房は金が余り過ぎるからくれてやるんだ、極端に言うと、そういうことにならなければ、実はこの金というものは使い道がないように思うのですが、ここでも、先ほど私がお尋ねいたしましたように、役員の前歴と、この研究会の構成、人員についてお尋ねしたいと思う。
  147. 古屋亨

    古屋説明員 理事長であり会長は浅井清、慶応大学教授、元人事院総裁でございます。それから常任理事は秋山博、弁護士でございます。それから理事が和田敏雄、拓大の教援でございます。もう一人の理事の橋爪克巳というのは、元同盟通信記者、東京商工会議所顧問等をしまして、ここの理事になっております。監事は前田弘という弁護士でございます。  それから、ここの構成でございますが、事務局は六人でございます。それから研究員というものが十八人ございまして、ここにおきましては、それ独自あるいは他のテーマによりまして学者等に民主主義の本質に関する問題、民主主義の発達形態に関する問題等の調査研究、そういうよう事項調査研究を委託しております。  委託事項の例といたしましては、民主主義理論に関する研究としては、日本における民主主義思想の発達の研究、A・A諸国の中立主義に関する調査研究、軍縮問題に関する研究、学生の意識構造に対する研究、ホワイト・カラーの意識調査の研究、各国社会保障制度の比較研究というふうなことを、これだけではございませんが、ここではおもなものはそういう事項委託研究をやっております。
  148. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも聞けば聞くほど、この中身が一体必要であるかどうかということは常識的に疑問を持つんです。  そこで、この役員はともかくとして、事務局なり研究員なり、こういうところに役所から嘱託なりあるいは兼務している、こういう人はないんですか。
  149. 古屋亨

    古屋説明員 ここの役職員には、そういう役人、公務員が兼ねて入っているということは、私の今現在のあれではないと思いますが。
  150. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民主主義研究会のお話を今聞いてみると、あなたのところからここへ委託をした、ここからまた委託をしている、こういう形ですね。そうすると、ここはリベートをとる研究会ですか。直接委託することはできないのですか。そういう機構はないんですか。
  151. 古屋亨

    古屋説明員 そういう民間機構を通じてやりました方が、お願いをするそれぞれの専門事項について相手の学者の方が、お引き受けいただきやすい場合も相当あるわけでございますし、それから個々の団体で直接それらの専門の学者が調べることもございますが、大体今申し上げましたようないろいろのテーマ等につきましては、数グループの学者にお願いをいたしまして、そこに三カ月とか半年とかという期間をもちまして調査委託して報告をいただく。こちらでそれを調査活動の参考にしている。
  152. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、委託をする場合においては、相当明細に、この問題については経費がどういうふうになるということを調べて、全額をきめて出されているということですか。
  153. 古屋亨

    古屋説明員 大体テーマが、六カ月の場合に学者の方が何人でこの問題をやっていただくか、いろいろ御相談をいたしまして、月に一万円、その研究というか調査委託費を一人について出す場合もありますし、あるいは人によりましては五千円を出す。そして六カ月にその成果をまとめてもらう。大体どのくらいのものがまとまるかということをあらかじめ御相談いたしまして、必ずしもそれがその通り参るとは申し上げませんが、それによりまして金額を大体決定いたしましてお願いしております。
  154. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民主主義研究会の予算規模はどのくらいですか。
  155. 古屋亨

    古屋説明員 三千四百八十四万円でございます。
  156. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは委託費でしょう。この研究会そのものの予算規模は……。
  157. 古屋亨

    古屋説明員 先ほど申しましたように、委託費だけで、きょうその数字を持ってきてないので、まことに申しわけありませんが……。
  158. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではこういう資料をお出し願えませんか。今の三つの団体の財務関係の財務諸表、収支計算書、事業計画、三十五年度でけっこうです。それから調査をする場合、調査委託費を出す場合においては、相当明細な形で出されているはずなんです。これは一つの例ですが、通産省の委託費の出し方を見てみますと、委託費の出し方というのは、一日日当幾ら、それから旅費が二等でどうだという形までずっとこまかく出して、それで委託費の計算がなされている。ですからこれを見てみましても、やはり皆さんのところも相当端数がありますから、こまかい計算がなされていると思うのです。ですからこの三つの団体の三十五年度の委託内容の明細について出していただきたいと思いますが、その二つの問題よろしゅうございますか。
  159. 古屋亨

    古屋説明員 できるだけお出しをいたしますが、ただ相手の方によりましては、名前を出したくないという方もございますので、それは数字とかそういうもので御了承いただきたいと思いますが、いかがですか。
  160. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはどういうことなんです。
  161. 古屋亨

    古屋説明員 幾ら、どういう単価で出したということは計算をしてお出しをいたします。ただ相手の方の名前は、その団体が委託をしている方の了解を得なければなりませんので、情報の性格から、御了承いただけますれば、そういう数字で御了承いただけないでしょうか。
  162. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局、御承知ように、大体名前を見れば、その人の思想傾向というものはわかるわけですね。この研究所の役員の名簿を見ますと、大体これはどっちの方向の方だということがわかるわけです。ですから極端に言うと、マスコミというか、あるいは教授を洗脳する形にものを作ろうと思えば——そういう形で出ているのではないか。ですから、私はそういうものの必要性というのはあまりないじゃないか。金をくれるためにやっているのじゃないだろうか。金をくれるためというのは、何のために金をくれるかということです、国民の血税を。そこに問題があると思うのです。ですから今あなたが言ったように、名前を出したくない人たちがあるというのは、私も存じております。しかし、その名前を出したくない、出さなければ出さないほどよけい疑問を生むわけです。今御承知ように、ものの見方というのは、大きく分けて二通りなり三通りあるわけですから、それをどういうふうに結論を出そうか、どういうふうに情報を作ろうかということでやるならば、その学者の選び方で大体どんな情報が出てくるかということがわかるわけです。そこまでになっているわけですから、それが国の基本的な情報収集のほんとうに正しい姿が両方から出てくるなら大へんけっこうだと思うのですけれども、それでなくてさえ、どうも片寄っているじゃないかと言われているわけですから、そういう意味で言っておるわけです。今あなたが、名前を出すのははばかる、こういう人があるという点については、ある点においてやむを得ないと思いますから、その点はやはり良心的にできるだけ出していただきまして、一体たくさんの血税が使われている必要性があるのかないのか、これはないよりある方がいいというのは同じことですけれども、ほかにまだたくさん金が要るわけですから、そういう立場でもっと調査をしていただきたいと思いますので、お願いしたわけですか、とりあえず三つが約三千万円ですから、ほかの方についてもまだいろいろ疑問があるわけです、また中身についてもいろいろ聞いておりますけれども、一応この三つの問題について、私が申し上げました点について、一つなるべく早い機会に資料をお出し願いたい、こう思います。
  163. 古屋亨

    古屋説明員 御要望の件は、検討いたしまして、できるだけ、誠心誠意早い機会においてお出しをするように努力をいたします。
  164. 山田長司

    山田(長)委員 関連。ただいま説明員から国際情勢研究会及び国民出版協会及び民主主義研究会、この三つの委託事項内容だけは伺いました。国際情報の分析、収集とか、あるいはまたマスコミの中に現われている世論の調査だとか、実際の目次だけはわかったのです。しかし、もうすでに国民の経費を使ってその調査に当たっているわけです。ですから調査内容というものは、すでにできていると思うのです。一応この点について、目次だけでなくて、どんなものを調査したのか、調査内容がもし出せるなら出してもらいたいと思います。
  165. 古屋亨

    古屋説明員 検討いたしまして、できるだけお出しをするようにいたします。
  166. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどの理事会で、航空自衛隊の飛行機の事故が頻発する、これは重大な問題であるから、これを調査ようという話になりましたので、その間の資料の要求を一つお願いしたいと思う。  一つは、航空自衛隊の発足以来の事故の状況。年度別、個別にその事故の概況。犠牲、損失そういう点、それからその原因。事故発生機の国産であるか供与であるか、その別。  次は、現有航空機の機数及び種別。  航空自衛隊の所在及び配属機数。  その次は、航空自衛官の教育計画及びその費用。  次は、航空自衛官の待遇。給与その他の待遇及び宿舎設備等。  その次は、今後の航空機の増強計画と乗員の養成計画。  これだけの資料を出すよう一つ取り計らっていただきたい。
  167. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 ただいまの西村君の資料要求は、委員長不在ですが、委員長に通じて、そのように取り計らうようにいたします。
  168. 山田長司

    山田(長)委員 青少年対策に関する中央協議会の関係者はだれか見えていますか。
  169. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 来ておりません。
  170. 山田長司

    山田(長)委員 新生活運動の関係者は見えていますか。
  171. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 来ていません。
  172. 山田長司

    山田(長)委員 では資料の要求がちょっとできないのですが、総理府の問題について、次会にこれらの資料の提出を私はあらためて要求したいと思います。
  173. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 本日の審査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会