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1961-12-13 第40回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十六年十二月九)(土曜 日)(午前零時現在)におけるは、次の通りであ る。    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 田中 彰治君 理事 高橋 英吉君    理事 三和 精一君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       椎名悦三郎君    鈴木 正吾君       濱田 正信君    福田 赳夫君       藤井 勝志君    古井 喜實君      山口喜久一郎君    赤松  勇君       森本  靖君    山田 長司君       古賀  了君 ————————————————————— 昭和三十六年十二月十三日(水曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    鈴木 正吾君       藤井 勝志君    久保 三郎君       芳賀  貢君    山田 長司君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      大沢  実君         専  門  員 黒田 久太君    ───────────── 十二月十三日  委員赤松勇君及び山田長司辞任につき、その  補欠として久保三郎君及び芳賀貢君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員久保三郎君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として赤松勇君及び山田長司君が議長の指  名で委員に選任された。    ───────────── 十二月九日  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書  は本委員会に付託された。    ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書       ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  初めに、国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。  今国会におきましても、決算の適正を期するため、国政に関する調査をいたしたいと存じます。調査する事項といたしましては、前国会と同様、歳入歳出の実況に関する事項国有財産増減及び現況に関する事項政府関係機関の経理に関する事項公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する事項、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付し、または貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項、及び国会決算審査に関する事項とし、調査方法は、小委員会の設置、関係各方面より説明の聴取、資料要求等によって行ないたいと存じます。  以上によって国政調査を行なうこととし、衆議院規則第九十四条により議長承認を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、そのように決定いたしました。      ————◇—————
  4. 鈴木仙八

    鈴木委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和三十四年度決算中、外務省所管、特にドミニカ移民問題について、本委員会参考人出頭を求め、参考意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  7. 鈴木仙八

    鈴木委員長 続いて、昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  8. 小川豊明

    小川(豊)委員 三十四年度の決算は、審査がすでに終わろうとしているわけです。この終わろうとするに関連して、私は、感じたことをあげて、検査院検査の方針なり、組織機構なり、こういった点についてお尋ねしたいと思うのです。  会計検査院は、検査院法の一条で、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」こういうことになっておるわけです。そこで、これは法的な独立性、それから行政権に対する独立性、それからもう一つは、会計検査院の財政的な独立というものも考えなければならないと思うのです。こういう独立性というものは維持されておるのか。たとえば予算その他については、会計検査院予算機構等については、大蔵省等から非常な制約を受けるようなことはなくいっているのかどうか。そういう点をまず伺いたいと思うわけです。
  9. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまお話のように、独立性の問題で最も大事なことは、予算独立性であろうと思います。これは御承知の通り財政法によりまして、会計検査院あるいは国会、裁判所、いわゆる独立機関と称せられるものの予算につきましては、大蔵省が一応査定はいたしますが、その査定に承服できない場合は、原案要求を出しまして、それを大蔵省では——大蔵省といいますか、内閣では、こういう要求がある、それでこれをいわゆる要求通りにするのにはこの財源があるということを明示して、予算提出をしなければならぬということに財政法できまっております。従いまして、そういう意味におきまして、予算要求に対しても相当強い立場に立っておる次第であります。従いまして、大蔵省から予算制約をされるから検査院が何ともならぬということは、私としてはない、こう考えております。
  10. 小川豊明

    小川(豊)委員 非常に心強い答弁でけっこうだと思います。そうすると、最近の国の予算は年々膨張の一途をたどっておる。従って、事業分量も膨大になってきております。これに対する会計検査を行なっていくについての組織なり、人員なりというものが、これに伴ったような形でいかなければ、成績というか、所期の目的を達することができないだろうと思うのですが、会計検査院は、こういう予算増大と、それから事業分量増大に伴って、やはり会計検査院の方も、検査官というか、調査官相当ふえていかなければならぬと思うのです。あなたの方ではふえておりますか。たとえば昭和三十三年が一兆三千三百億であったのが、三十六年には二兆五百億に予算がふえている。事業分量もふえている。これと相伴って——というわけではないが、これと見合ったように調査官等検査院の人もふえて、機構も拡充されているわけですか。この点、私はちょっと疑問に思うのでございますが……。
  11. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、予算の増額に応じて検査院職員をその比率で増さなければならないとまでは考えておりませんが、やはり仕事が多岐にわたりますから、それだけに職員の数も増す必要がある。しかしながら、検査ということの特殊性にかんがみて、ただ量だけを増しても、なかなか仕事がうまくいかない。むしろ質の方のしっかりしたのがほしいというのが、偽らざるわれわれの考えなんであります。ところが、なかなかそうした点で苦労もあるわけでございます。具体的に増員の点でありますが、これは古いことを申しますと、戦前では約三百人程度の職員で、陸海軍から外地の会計などの検査も執行しておった次第でございます。戦後、これの拡充が叫ばれまして、新しい検査院法ができますときに、現在の定員に近い千名くらいの者が急速に膨張した。これの職員訓練相当日時を要してきたわけでありますが、大体これらの職員一本立ちになった。そうして三十年にさらに六十名の増員をしました。これがまたそろそろ一本立ちになる。この三十年からあとの経過を申し上げますと、この調査官——これがいわば独立して検査する職員であります。それからその下に主任——これはいわば半分独立して検査するといいますか、こまかなところは小さな部局においては独立して検査する権限を与えられております。この職員の数を申し上げますと、三十二年度に初めて調査官の制度を作ったのでありますが、このときに四百三十八名でありましたものが、三十六年度予算では、順次増しまして五百七名になっております。この点におきまして、六十九名ほどの調査官増員を得ております。それからその次のクラスの主任、これが三十二年度で三十九名でありましたのが、ただいま九十名——ただいまというのは三十六年度予算でありますが、九十名になっております。この方では五十一名ほどの増員であります。こうしたことで、質的に相当充実してきた。しかしながら、これからあと、まだ調査官増員ももちろん三十七年度でも要求しておりまして、さらに三十七年度においては、多少定員自身もふやしていく。そしてまた、それの訓練で質の向上をはかる。かように考えておる次第でございます。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 戦前の三百名から戦後千名になった。非常にふえたと言われる。何も人をふやすばかりが能ではなしに、質を充実しなければならぬことも私は同感なんですが、それでこの点とあとで私がお尋ねしていく点との関連が出てくるのですが、その前に、その次の二条の組織ですね。「会計検査院は、三人の検査官を以て構成する検査官会議事務総局を以てこれを組織する。」この二条を受けて、第十二条で官房及び五局に分けています。この五局の分担は、書類を見ればわかるわけですが、そこでこの会計検査院から会計検査報告として提出される書類は、どういう経路で作られるのか。たとえば、検査院には、たくさんの今おっしゃったように有能な調査官がおられます。これらの調査官調査をして、問題となったたくさんの件数が私はあると思うのです。そのすべてが検査報告として提出されるのではなくて、検査報告として提出されるのは、このまさに何分の一か何十分の一かだろうと、こう想像しております。そこで、問題として取り上げられた案件報告書として作成されるまでには、どういう経路をもって報告書になっていくのか。この点を、私ども決算に来てからもう何年になるか、実に不勉強で、会計検査院のそうした組織機構さえも十分に承知してなかったので、この機会に、こういう調査官調査をした、そして何千あるか、何万あるか、その中から報告書として作成されるまで、どういう経路を経てこういうふうにこうなってくるのか、この点をお尋ねしたいわけです。
  13. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 調査官書面検査あるいは実地検査をして疑問と思われる点が出ますると、まず最初に、当該機関あるいは相手方に対して質問を発して、その疑問の点の解明を求めます。これは年間に大体五千件くらいの質問が出ております。そしてその回答を見まして、こちらの初めの疑問が見当違いの疑問で質問を発したこともあります。そうしたものは、回答を見まして了解が得られる。いわゆる答弁で了するということになります。そして回答を得ましてもなお疑問の点がある。これを各課の課長がまずまとめます。これは調査官の部門を各課長のところでまとめるわけです。課長の判断によりまして、これはどうもこちらの考えの方が間違っていた、向こう答弁の方がいいのじゃないかというものが出て来ます。そういうものをふるい落としまして、今度は課長検査報告案として提出をするわけでございます。この提出した検査報告案は、一応各局——検査は、先ほどお話がありました五つの局で分担をいたします。各局局長委員長としますところの、局のいわゆる局委員会というものを組織しております。これは局長とその局の課長、その他数名の課長補佐で構成しております。そこで提案を大いに論議いたします。そしてその過程におきまして、やはりどうも課長はおかしいと思って提案したけれども、これはむしろ向こうの言い分の方が正しいのではないか、そういうものがまた出て参ります。そういうものは局の委員会で不問ということになって、これは検査報告に掲げないということになって落とします。そして局の委員会でふるったものが、今度は私、事務総長のところ、官房の方へ上がってくるわけでございます。官房では、また次長を中心といたしました、官房の各課長を集めました委員会を作ります。そこでさらに念査いたします。そうすると、あるいはそれまで向こう回答が十分尽くしていなかったのが、その段階において回答が来て、ああそうであったかという問題がまた出てきます。そうした問題は、件数にしてはごくわずかでございますが、ことしなどの例では件数——四件か五件でありますが、こういうものは一応そこでふるい落とします。そして最後事務総長は、そうしてふるい落とした結果の残り検査報告案として検査官会議に提案する、こういう順序をとっております。そして検査官会議で一、二、二、三読会を開きまして、その間にまた数件落とされる。これは検査報告書に掲げるのには軽微であるという問題、あるいはどうもこちらの立論がこれではやはりちょっとおかしいのではないかということで、御意見検査官会議で出まして、そうしてまた数件が落とされる。そうして最後に残ったものが、検査報告として印刷をされて出る、そういう経路をとっております。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 御説明を聞いて大体わかったのですが、そうすると、調査官調査は、局の委員会にかけられて、そこで審議されて、さらにあなたのところの事務総長のところへ持ってこられて、そこでまた審議されて、そうして検査官会議にかけられるという段階だと思うのですが、そうすると、検査官会議提出する案件責任者は、これは事務総長になるわけですね。そこで検査官会議では、お聞きすると、一読会、二読会、三読会、三回に分けられているということですが、そうすると、一読会で落とされたものは、もう議題とはならないことになるわけですか。一読会、二読会、三読会、三回あるというのですが、一、二、三とパスしたものが、初めて検査官会議議題になるわけですか。この点をはっきりしていただきたい。
  15. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 これはちょっと私の御説明がまずかったかもしれませんが、事務総長のところから提案いたしましたものを、検査官会議として一、二、三読会やるわけでございます。これは便宜一読会、二読会は一緒にいたしまして一回いたしまして、そのときに検査官の方で、これは検査報告に載せるのは適当でないというものは落とされる。それからさらに三読会になりますと、そのときに全体を通じてみて、たとえばAの省では非常に小さな問題が残っている、これはあまり軽微すぎて、ほかとのつり合い上検査報告書に掲げるのは適当じゃないというようなことで、これもごくわずかでございますが、落とされるものがあるということでございまして、事務総長が提案したものは、全部検査官会議にはかかることになります。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、検査範囲なのですが、検査範囲では、検査院法二十二条、これは必要的検査事項、それから二十三条は任意的検査事項、こうあるわけですが、この二つの区分と、あわせて最近とみにふえてきているのは、公団公社公庫、こういう検査、それから国が出資している会社ですね。たとえば日本航空とか、日本石油資源開発、これら半官半民等会社、団体、それから国が出資している輸出入銀行開発銀行、こういうところは、大口政策融資を行なっているわけです。たとえばアラビア石油とか、アラスカパルプ、スマトラの石油、日本ウジミナス製鉄所、こういうところに膨大な国の資金が投入されているわけですが、こういう会社に対する検査権限というものは、これは当然及ぶということは承知して、おりますが、検査をする方法等は、どういうふうにしておられるか、この点をお尋ねしてみたいわけです。
  17. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 検査院法の二十二条で、いわゆる政府関係機関、あるいはそれ以外の、国が資本金の二分の一以上を出資しているもの、これは当然必要検査の対象になっております。これは検査をやっております。今のお話は、たとえば輸出入銀行融資した先の会計お話だったと思うのですが、この場合には、今までの会計検査院法解釈上、その融資先検査ということは、当然われわれ権限がないのでございます。それで、住宅金融公庫法などは、特に公庫法によりまして、貸付先会計検査院検査することができるということを法律規定しております。そういった規定があるときは、当然貸付先まで検査できるけれども、その規定のないときには、貸付先会計まで検査はできないのではないかという解釈を、一応従来から会計検査院ではとっております。しかしながら、具体的な問題になりますと、ときによりますと、やはり相手方の実情をある程度知らなければ、融資が適当かどうかわからない。原則といたしましては、たとえば輸出入銀行におきまして、融資決定のときのいろいろな資料、これはもちろん審査する資料がありますから、われわれとしてはそれを審査いたしまして、融資が妥当であるかどうかということを検討しております。そしてたとえばある施設をするというために融資した、その施設ができてるかできてないかをどうしても知りたいというような場合には、当該金融機関は、当然貸付先に対してある程度報告を受ける権限がある、あるいは向こう帳簿閲覧権限があるとか、何か融資の契約その他においてありますから、その融資先権限に乗りまして——言葉はちょっとおかしいですが、その相手方金融機関職員と同行しまして、貸付先まで見に行くということは、たまにはありますが、原則としては、貸付先検査ということは権限が及ばないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 一応私のお聞きしたいきょうの質問の焦点は、一つはそこなのですが、膨大な政府資金が、開発銀行なり輸出入銀行なりを通していろいろこういうふうに出されていく、そうすると、すでに輸出入銀行なり開発銀行なりまでは調査できるが、その金がどう使われて、効果を上げているのか、上げていないのかということには権限がないということになると、これは調査が半身不随になってしまうのではないか、こう思うのですがね。こをあなたの方では、これで完全だ。現行がかりにそうだとすれば、それで差しつかえないとお思いでしょうか。これはもっと拡大し、その融資先の実態というものを把握しないことには、完全な検査ということはできない。ことに政府機関そのものよりも、こういうところに最近問題が非常に多いことは、この決算委員会審査を通じても、あなた御存じだと思う。そういうところへ、会計検査院としても検査権限が及ぶようにする必要というものがあるのではないか。そこで、今の二十二条の必要的検査事項、二十三条の任意的検査事項ということが、どっちに定められるか知らぬが、これは今の形では完全な検査成果というものは上げ得ないのではないかと思うのですが、どうお考えでしょうか。
  19. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 これはお話通りでございますけれども、会計検査の形態ということは、絶えず検査院内部でも論議になります。そうしていわばその先まで見なければ、ほんとうに徹底しないのではないかという当然の意見が出てくるわけであります。しかしながら、現行法律解釈上は、それはちょっと困難ではないか。だから、できるだけそれに近づけるためにはどうするかということになりますと、金融機関に行きまして、融資のときの相手方のいろいろな調査資料その他あります、それとまた、分割融資ならば、そのつど、ある一つ仕事に対する融資ならば、仕事成果報告というものが、金融機関なりに来ております。そうしたものをこちらとして調べまして、そうして融資の目的通りいっているかどうかということを、金融機関書類によって現在は調べている。そういう点に対して相当力を注いで調べておるつもりであります。法律改正をしたらいいじゃないかという御意見になりますと、これはまた一つの御意見でありまして、検査院内部でも、そこまでいったらいいじゃないかという意見と、そう検査院が何もかも検査するということは、検査院はオールマイティになるのじゃないか、こういう意見とありまして、その点は、まだ法律改正ということが具体的に問題になっているという段階にはなっておりません。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは、あなたが法律改正をした方がいいという意見を出せと言っているのではない。法律改正するしないは、われわれの考えるべきことです。ただ、検査院として、こういうふうに国の資金が、膨大にそれぞれの機関なりを通じてそういうところへ出ていっている。これは現象としては、以前じゃなく、最近にこういう傾向が強くなってきている。従って、検査がそこまでいくことが正しいではないか。あなたの方でそういう権限がないからできないというのではなくて、今のような形で責任を持った会計検査ができるのか、できないのか。このままではできないというならば、これは法律改正すべきだと思う。今でできるというのならば、これでいい。この点、あなたの方では、検査が適正に、妥当に、公正に、間違いなく行なわれていると言える自信がおありですか、持てますか。
  21. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 検査が間違いなくいっておる自信があるかというお尋ねになりますと、これは私、長く検査院におりますが、ほんとう検査がこれで十分だという自信は、決して持ち得ません。といいますのは、何も人員の問題とかそういうことでなくて、やはり人間の能力といいますか、相手方の全部のことをほんとうにしっかり握るということは、これはなかなか困難でありまして、もう検査をやったら、あと残りは何も悪いことないんだという自信があるかと言われたら、すべてないと申し上げるより仕方がありませんですが、今お話金融の問題であります。これは金融機関にある資料を見まして、融資がどう行なわれているかということは、検査課の方で十分調べておりまして、そしてその資料におきまして、金融機関融資したことが妥当であるかどうかということに対する判定には、現在のところで十分ではないか、かように考えておる次第でございます。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 ちょっと関連をして一つ、二つお尋ねしたいのですが、この間うち、ここの山田委員、それから横路節雄委員から九段会館事件というものが出てきまして、ここで活発な質疑が行なわれたのですが、私ども伺うところによりますと、九段会館というものは国有財産であって、評価委員会評価をさせても、建物、土地で大体五億円というが、それを日本遺族会無償で提供して、それを利用することによって、そこから出る果実育英資金なりいろいろにお使いなさいというので、法律をわざわざ作りまして、そしてその法律に基づいて無償で貸し付けておる。いわば資本金はすべて国有です。それを利用して数億の利益があった場合には、そのうちの何百万円かを育英資金に回し、その他日本遺族会のためになるようにその果実を利用しておるというのが現状です。これに対して、あなた方は審査権があるのですか、ちょっとお伺いしたい。
  23. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 九段会館の問題が新聞に出ましたときに、検査院内部でも、これの検査解釈が問題になりまして、これは非公式でありますが、一応検査官の方の協議もわずらわした次第でございますが、結局必要検査でない、二十二条には列記の事項からいって該当しないだろうが、たとえば今度は二十三条の第三号に、「直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計」は検査できる、これに当たるのではないかどうか、この点の検討をした次第でございますが、これは立法のときのいろいろな経過もありますが、この三号というのは、いわゆる補助金類似の金を出してやったときに、その金を出してやった先のその金の使い方、これを任意検査の対象とするという規定であって、国有財産無償で譲与するとかあるいは貸与するということのために、その譲与を受けた、あるいは貸与を受けた団体の会計検査の対象になるという解釈は、困難ではなかろうか、こういうことでありまして、結局、遺族会には補助金も交付金も出ておりませんので、検査院検査対象としてこれを取り上げるということは、解釈上困難ではないか、かような結論になっておる次第であります。
  24. 木村公平

    木村(公)委員 今のあなたの方の解釈は、どうもおかしいんじゃないですか。あれは株式会社じゃない。財団法人ではあるけれども、いわゆる無償で貸し付けたところのあの膨大な財産は、国有財産であることは一片の疑いもない。しかも、その国有財産は、おそらく五億円くらいであろう。巷説にして別の見方をする人は、五億円とか六億円とか、そんなものじゃない、もっと莫大な価値のあるものだという説もありますが、一応評価委員会評価を信頼しても、五億円の国有財産をただで貸した。なぜ貸したかといえば、それを利用することによって果実を得て、そうしてその果実でもっていろいろの事業をなさいということなんです。だから、いわば一種の資本金です。資本金は、二分の一以上の場合には、必ずあなた方の会計検査の対象になるというお話があるのでございますが、はたしてしからば、これは全資本が国有財産です。国のものだ。そこから出てくる果実をもって育英資金にするとか、その他日本遺族会においていろいろな行為を行なうという目的のために、あれが法律によって貸し与えられている。その果実を勝手気ままに、不正に利用するようなことがあったならば、これは国費の乱費といささかも違いはないわけです。だから、私は、解釈上も、これは当然あなた方の検査の対象になり得ると思いますが、その解釈というものは、あなた方検査官の合同会議において最終的に決定されたものであるかどうかという点を、もう一ぺん伺っておきたい。
  25. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 検査官のいわゆる議事として提出してはおりませんが、非公式に検査官三名の協議をわずらわした次第であります。その場合の解釈は、ただいま申し上げたような次第であります。  なお、ちょっと申し落としましたが、無償で貸付されている財産、いわゆる建物、それは当然国有財産でありますが、その建物の現況がどうなっているかということは、検査院としては、絶えず国有財産の管理という面から検査の対象にする、これは言うまでもないところでありますが、ただ、それを財産を受けている遺族会の会計というところまでいくのは、この解釈上困難ではないか、こういうことでございます。
  26. 木村公平

    木村(公)委員 誤解があるといけませんが、私は、その遺族会の全部の会計を言うのではありません。国有財産から生ずる果実の使途について、あなた方の会計検査の対象になるか、ならないかという問題です。あの遺族会全体の会計というものは、これは財団法人であって、そして寄付行為等によるものですから、あなた方の検査の対象外だと思いますけれども、九段会館という国有財産をもとにして、そこから生ずる果実育英資金に充てるとか、その他に充てるわけですから、その国有財産から発する収益、果実に対して、あなた方の検査の対象になり得ないかどうか。これは遺族会の特殊財産ですから、その疑問が一つありますから、御研究おきを願っておきたい。  もう一つ私不思議で仕方がないのは、きょう決算委員会要求資料としていただいたものを見ますと、農林省から出てきた資料の中で、ある農林省の役人が、一カ月のうちで二七日間出張している。これは農地法第五条によって出張している。農地法の五条というのは、どういうものか知らないが……。それから農地法の第七十三条の理由によって出張している。平日に出張しているのですから、日曜、祭日を入れると、おそらく一カ月のうち、役所へ出たというのは五日か、場合によっては三日くらいではないかと思う。それで国費を月給としてもらっている。こういうことは、行管の所管かもしれませんが、これは国費をほしいままに使っているんですよ。十月に、出張と称して一カ月に二十日間も出張している。しかも、日曜は入っておりませんが、もし日曜、祭日も入れると、ほとんど役所に通うのは五日か三日でしょう。しかも、出張先は明確に書いてありますが、どうもはなはだしく疑問です。これが疑問かどうかということを一々——幾らわれわれが国民の代表だからといって、そこに行って調べ上げるわけにはいきませんが、こういうことは、国費を使う面からいって、あなた方の検査の対象になるかならないか。
  27. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 農林省から提出された資料というのは存じませんので、具体的な問題はちょっとお答えいたしかねますが、大体旅行命令権者というのは、各省各庁の長あるいはそれの委任を受けた各部局の長でありますが、それが必要を認めて出張を命じて出かけている。そうしてそのために役所がからになる。これは各省各庁で、旅行命令権者がその旅行の必要を認めて出張さしておるのでありますから、それによって出たのは——から出張なら別ですが、ほんとうに出張して仕事をやっておられるならば、どうも国費の乱費にはならないかと——これははなはだ恐縮でございますが、私は、資料も何も存じませんので、抽象的に申し上げますが、たとえば検査院でも、課長が、時によると、一カ月に二十日間出張する。これは必要なわけでありますので、それだけでは何とも申し上げかねます。こういうことでございます。
  28. 木村公平

    木村(公)委員 そこで出張の命令権者という言葉がありましたが、命令権者みずからが出ておる。命令権者みずからが出張して、しかも、この出張先はいろいろ出ておりますが、これは、明らかに私どもからいえば反証があって、出張先がうそである。いわゆるあなたの言うから出張だ。から出張だということが明らかになった場合には、あなたの方では、それに対して検査の対象になるのですか。
  29. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 もちろん、そのから出張ということが検査の結果わかりますれば、これは不当支出でありまして、これはあくまで責めて、場合によっては回収を要求する、こういうことになります。
  30. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまのこととちょっと異なるのでありますが、国で補助金を出して、それが公の財団法人として仕事をやっていたところが、その財団法人の定款を変更して、それがもし株式会社になったとするならば、それは会計検査の対象になるかならないか。
  31. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 補助金を交付しておる団体は、これは財団法人であろうと株式会社であろうと、補助金範囲においては、会計検査院は必要に応じて指定して検査できることになっております。
  32. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、正確に株式会社となって事業の運営をしている団体があるとすれば、これは会計検査院で調べておるかおらないか別ですが、調べる対象になると思うのです。この団体を私は今明確に知っておるのでありますけれども、これについて、会計検査院はどういう態度をとりますか。
  33. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 今申しましたように、補助金を交付しておれば、その補助金の使途については、相手方がいわゆる財団法人であろうと会社であろうと、これは検査をすることのできる権限検査院は持っております。しかし、膨大な補助金が各方面に交付されておりますので、これを全部検査するということは、検査院としての能力上なかなか困難な点もありますので、現在は、そのうち、補助金を比較的多く交付されている団体につきまして検査して、相手方の帳簿内容まで検査しておりますが、一般には、各省におきまして、補助金の場合だとあとで完成報告書というものが出ておりますが、それを見まして確認する、かような検査方法をとっております。
  34. 山田長司

    山田(長)委員 財団法人が、同じ法人ではあるが、今度は株式会社と変更するというような場合に、これは一応常識的に考えてみたときには、解散して、そして財産整理をして、しかる後に新たに発足すべきものと私は思うのです。しかし、全然そういう経過を経ずに、財団法人の一つの大きな機構が株式会社となった場合に、これは当然私は、会計検査院として、この財団に対する調査というものをすみやかにやらなければならぬと思うのですけれども、そういう簡単なことで財団法人が株式会社に変更できるものですか。国の補助を受けたところが……。
  35. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 どうもその点につきましては、即座にお答えできるほど私知識がありませんので、何ともお答えいたしかねます。
  36. 山田長司

    山田(長)委員 これは検査院権限に属しないという解釈の仕方があると思いますけれども、私は、国の補助をもらっているとすれば、当然常識的に考えてみた場合に、その財団は国に伺いを立てることくらいはやってしかるべきだと思うのです。なお、会計検査院も、その機会に大きな機構である以上、これが調査をやってしかるべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  37. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 先ほど申しましたように、補助金を受けている財団法人が会社に変更するときに、国に承認を求める必要があるのではないか、私も常識的にはそう考えるのですが、これは補助条件などに何かそういうことが指定してあるかどうかという具体的な問題によっていろいろ変わってくるのじゃないか、かように考えております。
  38. 山田長司

    山田(長)委員 今の問題の結論として申し上げておきますが、これは数千万円の補助が出ている団体が、しかも公の機関が株式会社に変更したということで、それに属する会員がかなりこれについての異論を持っているようなので、いずれ当決算委員会会計検査院の立場も伺わなければならないと思います。自治省の関係に属する団体でありますけれども、これはあなたの方の調査もしていただかなければならぬと思いますので、一言この機会に——ここで団体名を言うことは差し控えますけれども、お調べになっていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 会計検査院法の三十六条に、改善の意見表示または処置要求、こういう規定があるわけです。ところが、これを見ていくと、あなたの方で指摘したのは、戦後わずか二件にしかすぎない。ところが、一方行政管理庁の監査報告を見ると、これは膨大な指摘がされておるわけです。これはあなたの方でもお認めになると思う。そこで私は、この点からも、会計検査院の行政的独立ということについて疑義を持たざるを得ないわけです。戦後に管理庁があれだけの指摘をしているにもかかわらず、あなたの方はわずか二件しか改善の意見表示または処置要求に対しては指摘していないということは、これはあなたの方の政治的配慮でやれなかったのか、あるいはほんとうになかったのか、それとも人員が足りないとか何とかで、そういうことをやりたくてもできなかったのか、何か理由がなければならないはずだと思う。この点はどういうお考えであるか。さらに、今後三十六条に対する会計検査院の方の態度なり方針等も、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
  40. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 会計検査院法三十六条の意見表示、これが二件だというお話であったのですが、その後ちょいちょいありまして、七件ほど意見表示をしたものがあると思います。これは各年度の検査報告意見表示した事項として掲げてありますので、さかのぼって見ていただけばわかるかと思います。しかし、二件にしろ、七件にしろ、とにかく少ないことは御指摘の通りでございます。これに対してわれわれとしてはいろいろな点で検討しておるのでありますが、改善意見の表示というのは、今までの考えとしては、言葉は悪いかもしれないが、一種の伝家の宝刀である。意見を表示したら、必ずそれはマッチしたところの改善がなされるというようなことが必要ではないかということになりますと、いろいろな経過におきまして、それだけを向こうに突きつける資料の収集ということも、なかなか困難な点もある。そういうような点で、各職員がそこまで踏み切るだけの決心がなかなかつかないという点も、確かにあろうかと思います。しかしながら、御指摘の通り、これは非常に少な過ぎると私も考えております。ただ、これの考えとしましては、いわゆる検査報告に、個々の不当事項でなくて、概説というような意味におきまして、いろいろな点が過去の検査報告にちょいちょい書いてあります。これも一種の改善の意見検査院が表示したということになりますが、ただ、三十六条による意見のように、相手方に対して文書は渡していないけれども、内容においては改善の意見表示を出しているのだ、そういう解釈でやっておる次第でありますが、それにしても、御指摘の通り確かに少ない。しかしながら、これは何も行政的配慮といいますか、こういうことを言っちゃ相手方を困らせるだろうというような配慮で改善要求を表示しないということではありませんので、やはり結論からいえば、われわれの能力、努力というものが足りないのではないか、かように考える次第であります。
  41. 小川豊明

    小川(豊)委員 行政財産の管理業務監査報告というのが管理庁から出ていて、三十六年十一月にこれだけあるのです。行政財産の管理報告だけでもこれだけある。しかも、相当件数が上げられてきている。それから見ていっても、あなたの方では国の一切の会計の使途を見ていくわけですから、ここに三十六条を適用されるものが私は二件——あなたは七件と言ったが、二件であろうが、七件であろうが、戦後にわずか七件なんていうはずはない。だから、私が最初にお聞きしたのは、会計検査院は国の予算が膨大になって、従って事業分量増大されていく。そういう中で、いろんなギャップが起こる。トラブルが起こる。それは不正、不当として指摘するのでなくて、その中には改善を要求しなければならないことが多々あると私は思う。ところが、あなたの方では戦後にわずか七件という。だから、人手が足らないのではないか、予算が足らないのではないかとお聞きしたら、あなたの方では、人手はこれで間に合うとは言わないが、これでやっていける。予算もこうだと言われている。それではもっとこれは出てこなければならないはずだ。これは一つも出ていないと言ってもいいと思うのですよ。戦後にわずか七件というのは、あなたの方の怠慢でないなら、予算面からも人的な面からもそこまで手が及ばないということになるのではありませんか。そうでなくて、わかってはいるがやらないのなら、これは大へんな問題でしょう。だから、私は好意的に解釈して、予算も足らない、人も少ない、そこまでは手が及ばないというのなら、これはまたわかるのですが、さもなければ、わかっていてもやらないというならば、これは重大問題です。私は言いたくはないか、政治的な配慮が加わってそういうことをやらないのか、こういうことを言わざるを得ない。ことにさっきから山田委員からも、木村委員からも問題になって、私からも申し上げたように、開発銀行なり輸出入銀行なりから出ている金が、これはアラスカパルプでも、ウジミナス製鉄所でも、スマトラ石油でも、みんなこの委員会で問題になっているでしょう。それから今の木村先生の質問にあった九段会館、これは検査院権限がどうだこうだではない。使用目的に反した使い方をされている疑いがあるわけでしょう、あの場合は。それから公団公庫を見て下さい。あなたの方では、予算がこうきめられている、その予算を超過せずに予算内で使ったのだから、これは法律上違反ではない、こういうことになるでしょうが、しかし、国の予算のむだづかいがあるとするならば、これはやはり改善を要求するのは当然でしょう。例をあげてみましょうか。ある公団は、会議費が年間二千万円です。三日に一回会議をやっているのですよ。それで百日近くも会議をやられている。一回には数万円近くの金が使われているというようなこの事実からいうならば、これはきめられた予算内で使っているのだから法律的に差しつかえないというのではなくて、それがむだづかいであるのかないのか、効果を上げているのかいないのかということは、やはり会計検査院検査をしなくて、一体どこでやるのですか。そういう点からいって、会計検査院が、三十六条にこういう規定がありながら、戦後わずか七件しか指摘されていない。今あなたのおっしゃるのには、指摘はしないが、伝家の宝刀だとかどうとか言われたが、指摘はしないがどうだでやっているというが、そうではない。あなたの方の任務としては、改善を要求すべきものがあるのなら、その意見というものをあなたの方から出して、それに対する回答を求めるのは当然なんです。なぜ一体これをおやりにならないか、この点を聞きます。
  42. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 一度お答えを申し上げたことを繰り返すことになって恐縮でありますが、まず、まっ先に少ないという点、これは私もよく認めております。ただ事情をちょっと説明申し上げたのですが、なかなかはっきりと改善意見を表示するだけの資料をまとめて突きつけるということが、資料の収集が困難であるという点で、職員がややもすればこれに対して消極的な気持になっておる。それで必ず改善させるという断固たる決心をもってやらせなければならぬという点で、やや消極的になっておる。そういう実情を申し上げたのでありまして、それがいいということは私は申し上げておりませんので、大いにこの点は将来も検査院の職務としてやっていきたい、かように考えております。ただ、行政管理庁の報告とやや異なっておりますのは、検査院では、個々の問題を取り上げても、相手方説明を十分聞きますと、具体的に取り上げている問題でも、これはやはり行政財産としてそのまま残しておくことが妥当ではないかと思われることもちょいちょいあります。具体的な問題になりますと、今ちょっと主管の検査課長もおりませんので申し上げかねますが、行政管理報告につきましても、検査院としての検討をした問題は相当あるのであります。そういう問題はさておきまして、一般的に悪いということは、考えとしては出てくる。それをどういう格好で資料をまとめて改善意見を表示するか、ここにみな一つのちゅうちょが生ずるわけでありまして、これはもちろんいいことではありません。将来、そうした点は資料をまとめて改善意見の表示、その方に進みたい、かように考えておる次第であります。
  43. 小川豊明

    小川(豊)委員 具体的な事例をあげるならば、食糧の問題を取り上げても、鹿児島でなくなっているでしょう。熊本でもなくなっているでしょう。それから広島県でも、千葉県でも、埼玉県でもある。宮城、青森にもある。私どもでさえこれだけのものがあると見ているが、それでもあなたの方では——これは私はいつか出てくるだろうと思って二、三年前から注意して見ておったが、あなたの方では出てきていない。ここで問題になったから、去年の報告に初めて三件だけ出てきておりますね。そうすると、八県か十県、八、九府県かにわたって食糧がなくなったというところがあるにもかかわらず、これがあなたの方で、ここで問題になってから三件だけ出てきているわけです。市川などまだ出ていません。そういうふうに、あなたの方では万全を期してやっておられるというけれども、いつもではないが、ここで問題になって取り上げられてから初めてあなたの方ではそれを指摘することさえ出てくる。これは一つの事例としてあげたわけです。全体の会計検査報告を見るときに、私は一つの見解を申し上げるならば、あなたの方から百万以下三十万だ、五十万だという口は幾つか出てきています。何百万だ、何千万だ、何億だというのは、まだ出てきてない。ないことを望むけれども、そういう問題が、この決算委員会で、あるいは参議院の決算委員会でも絶えず問題になっている。あなたの方で、報告するまでの事態に調査が進んでいないといえばそれまでだが、われわれの方からいうと、一体そういう大口へ手をつけずに、小口のばかり手をつけているのではないかという疑惑さえ持たなければならないわけです。で、私があなたの方に望むのは、従って、会計検査院独立した機関であるという立場に立って、どこからも制肘を受けることなく、会計検査の成績を上げていくということは、今の日本の政治の中で非常に大切な点ではないか。そのためには、もっと人員も必要ならば増強すべきでないか、予算ももっと入れても会計というものの公正妥当な検査をしていくべきじゃないか。こういうふうに、行政管理庁の行政監察としての指摘と、あなたの方の会計検査院の規則による指摘とで違うのはわかります。これはわかるけれども、こういうふうに幾つも幾つも行政管理庁から指摘されて、各官庁がそれに対して改善しているわけです。しなければならないわけです。ならば、あなたの方は法律上これは不当である、不正であるということだけでなく、——だけがあなたの方で出てきているが、この三十六条というものは、あなたの方では、会計検査院としては、これによって十分に日本の国の会計の適正を期し得られるはずなんだから、この三十六条をもっと活用し、強化していく必要があるのではないか、こう私は思うのです。これで私の質問を終わりますが、あなたの御意見を伺っておきたい。
  44. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 三十六条の関係は、先ほどお答えいたしましたように、私としても、なおこれに力を入れる必要がある、当然これはやらなければならぬ、こう考えております。この点は、将来一そう努力いたしたいと思っております。なお、お話中に、何か外部の力によって制約されているのではないかという御懸念があるというお話であります。その点だけは一つ御懸念いただかない——決して御懸念いただきますなと、私はここで断言いたします。決してそういう外部の制肘によってやめるとかいうことはありません。ただ、能力が足りないために、今御指摘の食糧の、ほかにもあったではないかというお話、実は私初めてここで伺うような次第でありまして、能力の足りないために発見がおくれるということはありますが、外部の制約によって云々されることは、絶対ありません。この点だけは申し上げておきたいと思っております。
  45. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはあなたに言われるまでもなく、独立した機関である会計検査院が、外部の制約によって検査方法をどうする、こうするというようなことは、あったら大へんで、私はないことを望んでいる。ただ、今の会計検査院の実態を見ると、そういうようなことがあるのではないかと疑わざるを得ない点が出てくるから、私は言っているので、ないことを望む。  最後に、今あなたが指摘されて、申し上げるまでもないが、能力の限界がある。そこで私が言うのは、会計検査院の能力、人間の能力だから、これは限界があるのです。いかに能力があっても、三十人の人の要るところを五人でやれと言ったって、これはできない。だから、そういう点はもっと充実したらどうかということ、私は、これは会計検査院に対してきわめて好意を持って言っているのだが、あなたの方で人が要らないというなら、これは何をかいわんやです。その点必要になってくるのではないかということは、私は最近の会計検査院検査報告というものを見ていて、繰り返すようだが、国の予算は膨大になり、仕事はきわめて増大されている。会計検査院のページは——好ましいことではあるが、会計検査院報告だけが薄っぺらになっている。薄っぺらになっていくことはけっこうだが、ないのかというならば、大きな問題がたくさん出てくる。おそらくこの国会でもかなり出てくると思います。そこにあなたの方の機能を発揮されていないではないかということを言いたいために、私はこういうことを言っている。  最後一つお聞きしたいのは、これは具体的に率直に言った方がよいと思いますが、帝都高速度交通営団といいますか、公団といいますか、ありますね。あそこで二重払い事件があるということを聞いて、どんなことかと思って調べた。ところが、これはすでに会計検査院でも調べているということを聞いたので、それでは会計検査院の方から出てくるだろうと思って、私の方はそのまま見ていたけれども、会計検査院の方からは何もない。これは来年出てくるか、再来年出てくるのかわかりませんが、あなたの方が調べたことは事実だ。私は、どういう方々が調べたかも知っている。それを調査したのだから、調査報告というものがなされているはずである。そうすると、調査をすれば、調査官の方から局長のところへ報告され、局長が調べてまた委員会みたいなものを開いて、最後にあなたのところへ報告されて、あなたのところで調整して、これを取り上げるか取り上げないか、最終的には検査官会議できめられるだろうが、その調査した報告がどこかでなくなってわかなくなっている。これはおかしいじゃないですか。これは局長会議で必要がないというのならばわかる。事務総長のところで必要がなくなったというなら、それもわかる。これは取り上げるべきでないときまったら、それもわかるが、調査した報告局長のところでわからないというのは、一体どういうことですか。
  46. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 今のお話は、おそらく地下鉄で三十四年度、三十五年度に、十九件ほど中野線とかなんとか大きな工事をやったときの型ワクの損料の問題ではないかと思っております。これは過払いしたという問題ではなくて、予定価格を作る場合に、型ワクを借りてくるという損料で型ワク代を積算してデータを作った。検査院としては、型ワクというものは各土建業者が持っているものである。だから、これはいわゆる償却費だけ見ればいいじゃないか。損料ということになると、借り賃ですから、償却費はただになります。それを見る必要はないじゃないか、償却費だけ見ればいいじゃないか、こういう趣旨の質問を発しまして、相手方からその点これから直そうという回答を得ました。それは十九件全部で五十数億の工事でありますが、そのうち、そうした損料と、ある程度計算違いを見ていくと、一件々々はわずかの金額でありますが、相当まとまると大きくなるというので、検査報告に提案しようとして審議したようであります。それはあと報告を聞いたわけであります。その結果、全体の金額五十数億のうち、数百万円が予定金額としてまずいということで、不当として断ずるのはちょっと困難ではないかということで、局の委員会でこれは提案しないということに成立した、かように承知しております。
  47. 小川豊明

    小川(豊)委員 今の事務総長答弁と違った形で出てきませんか。違った形、そういう形でない形で出てくるのではないですか。私も今調べていますし、与党の委員の方も調べています。おそらく出てくるだろうと思うが、これはあなたの答弁と違う。私も、まだちょっと完全な調査はできていないし、人の信用に関することであるから、公の席上で言うことははばかりますが、これは業者の問題じゃないです。むしろ営団とその他の官庁、いろいろな機関との問題だと思うのです。だから、あなたの方でそこまで調査がいってなかったとするならば、これはそれほどの問題でないとして伏せたのもわかるわけです。そうすると、それは調査が及ばなかった。私の考えていることが事実だとするならば、あなたの方の調査は及ばなかったということになる。伏せたのではなくて、調査が及ばなかったということになってくるのではないか。これは休会明けまでに調査してお尋ねするようにしたいと思いますが、私の方では途中で伏せさせてしまったのではないか、そう考えたからお聞きしたのだが、そうじゃなくて、あなたの方の調査が及ばなかったのだ、こういうふうに違うケースですよ。しかし、これはきょうここで御答弁を求める筋合いの問題じゃないので、委員長、私の質問はこれで終わります。
  48. 山田長司

    山田(長)委員 この機会に事務総長に伺っておきたいのですが、会計検査官会議なるものは、三人の人たちで最後の批難事項報告書に載せるか載せないかという結論を出すそうですが、批難事項は最近になって少なくなってきているというのが、ほんとうの姿の現状であれば、これは喜ばしいことなんですけれども、この批難事項に載せるために、会計検査官会議の三人の結論が、報告書なりに載せないで未然に防がれてしまっているものとするならば、これは大へんゆゆしい問題だと思います。会計検査官会議は、事務総長はおそらく立ち会っていると思うのですけれども、載せていいのと載せて悪いのと必ず議題になるはずだと思うのです。そういうときに、多数主義で、検査官の二人の人がこれは載せないということになれば、一人の人が載せなければならぬと言っても、載らぬことになると思います。だから、一人の検査官が言っていること自体だって、載せなければならぬということは、これは重大な意味を持っているものだと思うのです。いつかこれを山田会計検査院長のときに私は質問したのでありますが、そんなことはないのだという話でした。私はそんなことはないと思うのです。そこで、そこまでくる経緯というのは、一体どんなふうに各課あるいは局で扱われてきて、検査官会議までかけられる経緯なのか、その経緯を一つお話し願いたいと思います。
  49. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 これは小川委員の御質問にお答えしたことを繰り返すことになるようで恐縮でございますが、一つの疑問を各検査調査官というものが持ちますと、それに対して相手方に対して課長名あるいは局長——局長名が多いのですが、それで相手方質問を発します。そして相手方回答を得まして、そのときに疑問が氷解する事項もあります。そしてその調査官としては、疑問が氷解できないときには、課長のところに持ってきて、いわゆる検査報告案として提案し、課長の指揮を受けるわけです。課長はそれを調べまして、やはりこれは向こうの言うことが正しいというときには、それをふるい落としまして、課長がこれは検査報告に掲げる必要があると思ったときには、局の委員会提出いたします。局の委員会というのは、局長を中心としまして、その局の課長その他課長補佐の数名を集めた委員会で、そこで審議をします。その場合に、これはまた検査報告に掲げる必要がない、当然向こうの言うことが通っておる、あるいはこれは事態が軽微で、検査報告に載せる必要がないというものを落とします。そして最後にふるい落とされたものが、官房の私のところに回ってくるわけであります。官房にまた次長を中心とした委員会があります。またそこでさらに念査いたします。そこで、その結果によって、また新しく来た回答やその他によりまして、そこでまた数件のふるい落とすものが出てくる。そしていよいよそれでこれだけは検査報告に掲げる必要があるというものを事務総長がまとめまして、検査官会議に提案するわけであります。それで検査官会議の結果、検査官の意向によりまして、そのうちまた数件が、これは検査報告に掲げる必要がない、あるいは向こうの弁明の方が正しいことだ、あるいはいろいろな理由によりまして、事態が軽微ではないかということによりまして、検査報告に掲げないことに決定することもあります。そうしてその結果、残ったものが検査報告のになる。こういう経緯をたどっておりまして、もちろんその検査官会議におきまして、二対一といいますか、意見が二対一になる。これは当然あります。一人がこれは当然掲げるべきだ、二人はこれは掲げるべきではないという意見になることはあります。山田院長がこの前ここで話されたのは、そうした場合に、二対一という議決はとっていない、一人が掲げるべきだ、あとの二人が掲げる必要がないということになりますと、結局それじゃ仕方がないということで済んでおりますので、議決をとっていないということをたしか山田院長が話されたのではないかと私は思います。
  50. 小川豊明

    小川(豊)委員 検査の対象になりますか。たとえば、国には国有財産として行政財産と普通財産があります。行政財産であるものが行政目的に使われていない場合には、当然普通財産にすべきですね。そういう行政目的に沿わないような使用をされている場合に、あなたの方の会計検査院としては、そういうものを是正するということは、さっきの三十六条にかかってくると思うが、そういうものを是正させる要求というものは、あなたの方から当然なされてしかるべきだと思うのですが、これはあなたの方の権限外ですか。
  51. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 これは当然われわれの方の権限内であります。これは当然検査しなければならぬ問題であります。行政財産が何ら行政目的に使われずにあった、これは当然大蔵省に普通財産に引き継いで処分なりすべきだ。今までの検査におきまして、そうした問題を承服して、相手方が引き継ぐということをやった事態も相当あります。だから、将来もそうした面も当然検査するということになると思います。
  52. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、これはあなたの方で結局手が及ばなかったということになるのですか。私この国会でお尋ねしようと思っていたのは、那須の御用邸の五千六百坪という土地が、旅館になっておりますね。御用邸は別として、旅館があそこにできておりますね。それから検見川ゴルフ場、東大のゴルフ場運営委員会ができているが、あれも東大ではほとんど利用しておりませんね。一般の人が使っているわけです。それから北海道大学では、三百四十六万坪という坪数は小作させておりますね。国有林を演習林の名義で小作させておりますね。これは当然行政目的に使われていないでしょう。それから行政財産でありながら、行政庁でてんで利用していないもので、奈良の家庭裁判所の問題がある。五条の拘置支所の千六百坪の問題がある。兵庫県の陸運事務所がその通り。行政財産でありながら、民間から無断で占有されてしまっているのが、久里浜の療養所の二千坪、奈良療養所、これは第三国人に占有されてしまっている。こういう事例が幾つも幾つも出てくるが、こういうものを三十六条なりによって当然あなたの方で指摘し、改善を要求する。この点では、国の経費を不正に、あるいは不当に使ったというのじゃなくて、当然所管がえさせなければならないもの、また元に返さなければならないものをそのまま放置されていることが幾多ありながら、あなたの方では、いつか出てくるだろうと思ったら、まだ指摘されてない。そうすると、これはあなたの方の人手不足か能力の問題になってくるのじゃないか。あなたの方は、故意に伏せておくのじゃないだろう。人手不足か能力の問題になってくると思いますが、どっちなんです。
  53. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 今いろいろと御指摘になった事項のうち、行政管理庁の報告にそういう事態があったのじゃないかと思われる事態が相当あります。この点に対しましては、やはり検査の密度が少ないということになると思います。その中に、一つ今御指摘になりました検見川のゴルフ場の問題、これは数年前から検査院としても、行政財産としてはおかしいじゃないか、向こう回答が、いわば学生の運動場としてやっているのだ、その目的にやっているのだということで、おかしいじゃないかと言いながらも、そのまま結論が出ずに今日になった。その問題は、検査院として絶えず今まで考えておった次第であります。今御指摘になったその他の点は、各局検査で今まで直接に話に出たことはありませんので、検査が及ばないということになっております。もちろん、こちらの検査が及ばなかったからいいという問題ではありません。大体国有財産というものは歩いて回らぬとわかりませんので、これに対して相当努力しておりますが、今の北海道の演習林は、そういうような点はないかというので、おととしか検査したのですが、そのときは、そこの部分は報告がありませんから、そこまで手が及ばなかったのか、今ちょっと伺ってびっくりしておる次第であります。
  54. 小川豊明

    小川(豊)委員 足がないというけれども、私どもは全く足がないんですね。あなた方と違って、てんで足がない。それでも、私どもは決算に身を置く限りにおいては、やはり任務としてできるだけ調査もし、その適正を期したいと思ってやっているわけなんです。足がないわれわれでさえ、こうして出てくる。あなたの方でさっき御答弁のように、これだけの人がいるから何とかやっていけるだろうと言いながら——これは私の調べでこれだけです。もっとやっていったら、たくさん出てくる。こういうものが閑却されていながら、国の会計が適正に運用されているとは言えないのです。だから、私どもの言うのは、十分にこの点をあなたの方に取り入れて、反省すべきところは反省して、率直に予算の面で、人手の面で足らないなら足らない、それからこういう点で改善すればこれはやっていけるということがあるならば、この次の機会にそれを示してもらいたい。いつも会計検査院というものがありながら——会計検査院だって神様じゃないから、完全とは言えないことはわかっているが、手も足もないわれわれからこういう問題が出てきてから、会計検査院がそれは及びませんでした、これも及びませんでした、これでは会計検査院としては不手ぎわでみっともないことだ。会計検査院自身から出されてきて、われわれがそれをどうした、こうしたというのがあたりまえだ。それが、こういう事例が幾つもあることに対して、私は、会計検査院のあり方そのものについて再検討をする必要があるのじゃないか、こういうことを申し添えて終わります。
  55. 山田長司

    山田(長)委員 私が伺っておりますのは、今小川君から質問されましたからさらに伺うのでありますが、行政財産として大蔵省無償で貸し付けた虎ノ門のニューエンパイヤ、虎ノ門公園の跡です。これが来年の二月二日にいよいよ裁判が結審になるというのです。参議院は本会議で、原状に復して公園にすべしという結論が出ておることは、会計検査院当局も知っていると思うのです。私が会計検査院に伺いたいことは、百二十六坪の土地が五円十銭で貸し与えられている点が問題だと思うのです。今どき坪五円十銭なんということは、想像もできぬことです。そういう形で貸し与えられているのが、何か聞くところによると、二月二日の結審では、非常に不利になるのじゃないか、こういう話のようですが、会計検査院当局は、この結論をやはり何とか出して、それで裁判上に有利になるような形がとられなければ、国有財産というものを無償に貸し与えておいたほかに、ただでとられてしまうような結論になるのじゃないかと思うのです。何かこれに対して、会計検査院当局は、裁判上有利になるような立場の証書をしているかいないか、事務総長としては、このことは御存じだと思うので、私伺っておきたいと思います。
  56. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 虎ノ門公園跡のニューエンパイヤは、もちろん検査院が初めに指摘してそれが問題になった次第でありまして、われわれとしても非常に関心を持っておるのでございますが、訴訟になって、今のところ返還訴訟をやっておるわけです。返還訴訟ということになりますと結局、何といいますか、撤去してとりのける、これに対して、検査院が何か参考的な証言——これはそこに何も結びつきがないのではないかという感じを私は持っておるわけでございます。五円というのは安いのです。だから、これは返還訴訟で上げるということになれば、一つの質借権を認めるのでありますが、やっぱり返還で持っていくというのが訴訟としての筋ではないか、かように私は考えております。ほんとうは主管の局長が詳しいのですが、私が聞いたところで申し上げると、そういうことになります。
  57. 山田長司

    山田(長)委員 やはり国有財産として保存さしておこうと考えておるときなんですから、全精力をあげて返還要求には会計検査院も力を貸してやるべきじゃないかと、私は思うのです。二月の二日の日に結審が出てしまって、それがもし不利にでもなったということになれば、なかなか返還は不可能になる危険があると思うのです。私は、これは要望ですから、やはり会計検査院当局も指摘した立場上、何とかこれに対する有利な方法を講ずるための助力をしていただきたいと思うのです。    ────◇─────
  58. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和三十四年度決算中、通商産業省所管審査のため、十五日の本委員会に商工組合中央金庫より参考人出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。    ────◇─────
  61. 山田長司

    山田(長)委員 資料要求をしたいのです。  去る十一月十日の日に、小川委員から質問になられた砂糖の問題について、私は、次のような資料要求したいと思うのです。それは第一番として、昭和三十年度から三十六年度までの原糖の輸入の相手国別数量、それから価格、国際価格、輸入業者、それから輸入精糖会社その他の輸入会社。二番目として、国内での販売価格を各規格別に。三番目、会社の利益及び配当、それから社内留保、積立金、これを、過日小川委員質問に対して不足している部分だと思われる個所であるゆえ、資料要求をしたいと思います。
  62. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ただいま山田委員要求資料につきましては、委員長において善処をいたします。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後零時三十八分散会