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畑中参考人 先ほど
杉本局長から
お話がありましたように、三月の本
委員会で
二つの小
委員会が作られることになって、それはともに
ジュネーブで開くということにきまりました。
二つの小
委員会と申しますのは、
法律小委員会と
科学技術小委員会でございます。もともと
ジュネーブになりますいきさつにはいろいろ事情がございまして、私
どもは当然五月の中ごろに
ニューヨークで、再開されると思ったのでございますけれ
ども、いろいろな都合で
ジュネーブに移り、
ジュネーブのいろいろな
関係から、事務的な
関係から五月の末から
開会するということになった次第でございます。私はもっぱら
科学技術小委員会の方に出まして、
法律小委員会の方は全く存じませんので、ここでは
科学技術小委員会のことにつきましてのみ御報告申し上げます。
この
科学技術小委員会は、今
委員長から仰せのありましたように、五月の二十八日から六月の十二日まで
ジュネーブの
国連欧州事務局と申しますか、そこで開かれました。
開会の
手続といたしまして、当然
議長をきめるわけでございますが、これは一応国の
間同士で話し合いがついていると前々から聞いておりましたけれ
ども、
会議場で、実際にだれを
議長にするというだれかがいるわけでございますが、それがたまたま私に、だれだれを
議長にしろということを
発言しろということになりまして、
発言をいたしまして、それでオーストラリアのマーティンという学者が
議長になった次第でございます。それからいろいろ
事務手続がございまして、たとえば今おっしゃいましたように、この
会議は
投票によらないで全体
一致、
満場一致という形でもってのみ
議事を進めるということになりました。これはこの
委員会及び小
委員会を通じての全体の
原則となっているわけでございます。月曜日から始まりまして一応金曜までのつもりでございましたけれ
ども、その次の月曜まで延びたのでございますけれ
ども、
各国のいわば
一般演説と申しますか、
各国代表の
一般演説がございました。これは二十八カ国ありますうちで、大体十八カ国
程度、半分
程度の国が
一般演説をしたと思います。その間に、いろいろ
演説をしております間に、やはりその
演説だけでは小
委員会は済みませんので、当然小さな
ワーキング・グループスと申しますか、
作業班というものを作って、そこでいろいろなことの原案を作らせて、さらに小
委員会全体できめるというのが当然の
手続でございまして、いろいろそういう小
委員会を作るという話が下であるわけであります。下でありながら、上では
一般演説を一応続けているという形が数日続きました。その
一般演説をやっておりますうちに、
日本もやるのが当然だということを私は感じまして、そこで一応
日本の
立場を御
説明申し上げたわけであります。その
内容は、先ほ
ども杉本局長から
お話がありました
国連の方の
ヨーロッパの方の
総会で、本
委員会で
岡崎国連大使が
演説されましたことに大体筋は
一致してございますけれ
ども、小
委員会の性質上若干こまかな
技術的な話をつけ加えました。つまり、われわれの
根本方針は、
宇宙開発審議会ですでに
答申が出たごとく、
平和利用を
目的とし、自主的に行ない、結果は公開し、しかも特に
問題に応じて
国際協力を強調する、こういう
立場を推しまして、われわれといたしましては、国はあまり豊かではないけれ
ども、
国際地球観測年を機会といたしまして
ロケット観測を実施するという
方針をきめ、すでに二十六発の
観測ロケットを上げているということ、さらにもちろんそのほかにテスト・
ロケットはたくさんございますけれ
ども、実際に二十八個の
観測ロケットを打ち上げて着々と進めておる、さらに地面の方の
研究は、たとえば
人工衛星の
追跡とか、もっと基本的な
観測とか、いろいろな
研究をやっているということを申し、さらに、当然この
委員会は
ワーキング・グループスを作るべきであるという話をいたし、その
ワーキング・グループスとしてはこういうこともあろうということも申し上げ、
最後にこういうことを言っておきました。それは、
ニューヨークの
開会と前後いたしまして、
ケネディ大統領と
フルシチョフ首相の間に
書簡の
交換があった、その
書簡の
交換の
あとで、おしまいの方に、
両国の
科学者をしていろいろ
両国の
宇宙協力に関する具体的な
問題を討議せしめるという話があったけれ
ども、それは
ニューヨークの
会議の
あと、さらにワシントンで、さらに
ジュネーブで行なわれているはずだけれ
ども、その
問題について、できるならばなるべく早く
発表してほしいということをつけ加えました。と申しますのは、いろいろ
演説を聞いておりますというと、たとえば
ソ連の
演説によりまするというと、
宇宙協力はけっこうだけれ
ども、
全面軍縮をしない限りなかなか
宇宙協力はできないという話がしばしば出て参ります。それは確かに同感で、ある点はそうかもしれませんですけれ
ども、私
どもから見ますならば、そういう深い
問題まで立ち入らなくても、
お互いに
ロケットを見せ合おうということまで立ち入らなくてもできるような
宇宙の
科学の
協力が両首脳の
間の手紙に盛られた
内容についてすらすでに出ているわけでございます。たとえば
外側の磁場をはかるというようなことは別に
ロケットを
お互いに見せ合わなくてもできることである。たとえばそういうことでございまして、そういう
全面軍縮というむずかしい政治
問題はいろいろあろうけれ
ども、そういう
問題に入らなくてもできる
宇宙協力の
問題があると私には見えるから、だからそういう
問題からまず出発してほしいものである、そうしてその結果をなるべく早くみなに言ってほしいものであるというようなことを、私
ども一般演説の中で
最後の方にちょっと申したわけでございます。ついでながら、そういうことを言った
代表は実はほかにはございませんで、私は少し出過きたかと思ったのですが、もちろん
国連でありますから、
米ソ両国だけで
国連はできるわけではなくて、それはもちろん
各国がやらなければならないことでありますけれ
ども、ちょうど
国連の
ニューヨーク会議の途中にそういう話が出まして、非常にその
会議に大きく影響し、各
代表がことごとく両者の
書簡の
交換に触れているわけでございますから、これはその小
委員会の
外側のことであるとはいえ、われわれの小
委員会に非常に
関係があると
考えましたのでそういうことをつけ加えたわけでございます。
そこで、そういう
一般演説が終わりまして、それでいわゆる
作業班と申しますか、
ワーキング・グループスが三つできたわけでございまして、その
ワーキング・グループスをやりました結果、若干の
リコメンデーション、
勧告として出て参りました。それがここに、私の非常につたないものでございますけれ
ども、翻訳いたしましてお手元に参っておると思いますが、
国際連合総会宇宙空間平和利用委員会科学技術小委員会という小さな見出しのところにあります。これが
リコメンデーションの
ジュネーブでできました
報告書でございまして、この八月の終わり、または九月の初めの親
委員会、つまり
宇宙空間平和利用委員会そのものに提出されまして、そこでまた討議される
材料となるものでございます。もちろん
法律の方からも若干これに似たような
——何かあまり話がまとまらなかったように聞いておりますけれ
ども——このようなものが出まして、それが
ニューヨークで開かれます秋の
国連総会直前に開かれるであろうと思われます親
委員会の方で討議される
材料になるかと思います。
その
ワーキング・グループス、
作業班は実は三つできまして、大体第一の方は
アメリカの
提案と
考えてよろしいのでしょうけれ
ども、つまり
国連の
事務当局に集めますいろいろな
宇宙空間プログラムに関する、あるいは
宇宙空間に
関係する
団体に関する
情報を
各国から出してもらう、それを
国連の
事務当局で整理して、いろいろな国が見やすいようにする、そういう整理についてのいろいろいろな
勧告案でございます。そのほか現在
COSPARという
団体が
宇宙空間に関しましていろいろ早く通報いたします
関係上、スペース・ワーグというような通報のネットワークを作りましたり、あるいはその
資料を集めます
世界資料センター、
ロケット、
人工衛星に関します
世界資料センターというものを作っておりますけれ
ども、これがあまりよく知らない国には徹底していないから、これを徹底させるようにというような意味の
勧告な
ども、そういうことについて
考えたわけでございます。
第二番目のワーキング・グループの
仕事は、これは大体
ソ連の
提案に従ったものでございまして、つまり現在
科学者間で
ICSUという
国際科学連合会議でございますか、この
ICSUの
関係で、いろいろ現在、これから行なわれてきております大きな
国際協力の事業がございます。たとえばIOSYと申しまして、これは
太陽活動極小期国際観測年——この前の
国際地球観測年はたまたま
太陽活動が極大であったときに当たったわけでございますが、それはそれでけっこう。しかしながら、
太陽活動が静かなときにやってみなければ、どれだけが
太陽の
活動の影響であるかわからない。それをやろうということで、近く
太陽活動極小期
国際観測年というものが出ることになっております。
日本でも準備を着々進めておりますけれ
ども、このプログラムを取り上げて、これは非常に
宇宙空間に
関係する部分が多いから、
各国は大いにこれに
協力しろという意味でありますとか、あるいはワールド・マグ・サーベイ、つまり
世界磁気測量というものがございます。これもやはり
太陽活動の少ないときにやる方がよろしいということで、近くやろうといっております。そういう
国際的測量の
問題もある。そのほか、さっきも
お話が出ました
COSPARがいろいろ
勧告しております
国際協力の
問題あるいは
国際宇宙通信の
問題、
気象衛星の
問題等に関しましてそれぞれ
国際電気通信連合でございますか、
ITU、それから
WMO、
国際気象
機関等が
考えておりまするいろいろなプログラムがあるから、これを国内でよく徹底させて国家としてよくやるように
国連を通して
勧告しろというような案が第二グループの
仕事でございました。
第三は、
国際的な
観測の
ロケットを打ち上げる共同施設というものを作ろうじゃないか。これはもともと
アメリカの
提案でございますが、大体は第三のグループはこれを取り上げることになりました。
そこで三つの
ワーキング・グループスができたわけでございます。たまたま私が何か
議長をやったように新聞に出たわけでございますが、実はその第一の
ワーキング・グループスのチェアマンをやったわけでございます。
議長には違いないけれ
ども、大した
議長でないということをここでお断わり申し上げます。
それからもう一つ、同じく新聞に関しまして、誇張だか誤りだか伝えられたことがありますので若干釈明したいと思います。私が何か南極地方に
日本が
ロケット観測基地を設けるやらやらないやら
発言があったように出ておりましたけれ
ども、その真意はこういうことでございます。これは今申しました第三のワーキング・グループのテーマでありますところの赤道地方
——一応赤道地方でありますが、赤道地方に
国際的に
利用できるところの
観測ロケットを打ち上げる、そういう共同
利用施設を作ろうじゃないかという
提案に関しまして、
一般演説の中で私はこう申しました。それは
国際的に
利用できる
観測ロケット打ち上げの共同
利用施設を作ることは大へんけっこうである。しかしながら、どこに作るかということについては、現在そういう打ち上げ施設のないところを探して、それから今度は非常に学問的に意味のあるところを探して、それからきめるべきである。しかしながら、一ぺんにたくさん作ることも大へんだから、まず一つから始めたらよかろう、こういうことを申した中に、あらゆるところをよく探してという、穴の抜けてないところを探してというところに南極地方も入れてよく探せ、こう私は申したのでございますけれ
ども、何やら私がいかにも南極地方に
国際ロケット観測基地を設けるということを
日本がやったというように聞きとられまして、若干迷惑しておる次第でございます。意味は、
国際的な共同施設を作るのがよろしい、そのためにはいろいろの場所を調べろ、調べるには手落ちのないように調べろ、南極も入れて調べなければならないだろうということを申したわけでございます。
そういうわけで、その三つのグループが相当働きまして、そしてここにプリントがございますような何十カ条かの
報告書ができております。このおしまいの方に付録といたしまして人の名前とか、この前の
総会の
決議だとか、
米ソが出しました共同コミュニケでございますとか、というようなことがございますけれ
ども、それは翻訳をきょうは省略させていただきます。もちろんこの翻訳も私は非常に時間をかけてゆっくり、あるいは皆さんに御相談してやったわけではございませんで、勝手に私が意訳、抄訳をいたしましたので、その誤りのあります点は平に御容赦願いたいと思います。
こういうわけでございまして、約二週間かかりました
会議でこれだけの
仕事をしてきたわけでございます。いろいろ
考えてみますに、やはり
国際的にそういうことを
発言いたしますためには、どうしても国内的な実績がなければ、
発言いたしましても軽くあしらわれてしまうという、これは私が幸い
日本でいろいろ
宇宙空間に対します実際の
仕事が行なわれておりますためにおかげを受けた利益と、逆に裏返しいたしますと、そういうことがなければ私はどういう目にあったか、何かよく申せませんけれ
ども、いわばそういう実績があったからこそ私
どもが
発言しても割合にまともに受け取ってもらえたという気がいたします。
第二番目に、
科学技術小委員会に対しましては、これは割合に学者と申しますか、実際これまでやって参りました学者が
代表として多いのでございまして、それ以外のいわば若干政治家じみた
——政治家じみたというと工合が悪いのですけれ
ども、いわば文科系統と申しますか、つまりあまり学問をやっておられない方でそういう
国際会議になれているという方がもし出られたならば大へん工合の悪いような、ほかの方が見るとちょっと工合の悪いようなことがございまして、そういうことは詳しくは申せないと思いますけれ
ども、やはりそういう意味で国内の実績が大事であるということと、それから適当な、やはり実際学問をやった人が出る方が大へんよろしいのじゃないかという感じを持って参りました。これは私
自分に非常に身びいきをすることで大へん言いにくいことでございますけれ
ども、一応これだけは申し上げさせていただきたいと思います。
簡単ながら
経過報告といたします。