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1962-07-10 第40回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月十日(火曜日)    午後一時四十分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 西村 英一君    理事 岡  良一君 理事 河野  正君       安倍晋太郎君    秋田 大助君       佐々木義武君    松本 一郎君       石川 次夫君    日野 吉夫君       松前 重義君    三木 喜夫君       内海  清君  委員外出席者         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   森崎 久寿君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    杉本 正雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    杠  文吉君         外務事務官         (アメリカ局北         米課長)    西堀 正弘君         外務事務官         (国際連合局科         学課長)    栗野  鳳君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     岡野  澄君         気象庁次長   安井 正巳君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      肥沼 寛一君         郵 政 技 官         (電波監理局次         長)      二条 弼基君         参  考  人         (東京大学教         授)      畑中 武夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  宇宙空間平和利用に関する問題  科学協力に関する日米委員会に関する問題      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず最初宇宙空間平和利用に関する問題について、参考人より意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、東京大学教授畑中武夫君であります。  この際、畑中参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ本委員会調査のため御出席下さいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  それでは、本問題につきまして去る三月十九日より同月二十九日まで開催された国際連合宇宙空間平和利用委員会出席杉本計画局長から、この会議経過について説明を聴取いたしたいと存じます。杉本計画局長
  3. 杉本正雄

    杉本説明員 本年の三月十九日から二十九日まで十日間、ニューヨーク国連本部開催されました宇宙空間平和利用委員会代表代理として派遣されましたので、御報告申し上げます。  この委員会開催目的は、加盟国宇宙空間物体を打ち上げました場合にその記録を公開するかどうか、また公開いたしました場合にはその公開の方式をどうするかということを討議決定いたしまして、なお法律関係の小委員会科学技術関係の小委員会とを設置いたしまして、そうして両方下部機関役員並びに委員、さらに検討事項というものをきめようというのが今回の委員会目的でございます。  委員会は、十九日に前議長開会の辞でもって開会されまして、最初いろいろな手続が決定されました。まず議長等役員の決定がございまして、その結果議長にはオーストリアのマッチ代表、副議長にはルーマニアの代表記録者にはブラジルの代表満場一致でもって再任されたわけでございます。それから次に、委員会の討議の方式をきめまして、この委員会決議投票によりませんで、全員意見一致によるという形式をとることが全員一致で同様に採決されました。さらに宇宙空間平和利用委員会と非常に密接な関係がございます国連並びにその他の政府機関または非政府機関代表をオブザーバーという形式でもってこの委員会に招待いたしまして経過報告を聞くということが決定されました。そのためにWMO世界気象機構ITU国際通信連駅、さらにユネスコCOSPAR——COSPARと申しますのは、御存じのように国際学術会議連合ICSUの中の宇宙研究委員会でございます。そういうところの代表者宇宙空間平和利用に関します研究調査状況を御報告するということにきまったわけでございます。  こういうような議事がきまりまして、次いで各国代表——これは全員集まりまして、二十八カ国全部が参りました。これは新たに前の委員会よりか四カ国追加されまして、二十八カ国になったわけでございます。この全員意見を述べまして、その意見を述べたままを全部記録にして、議事録といいますか、にして残すということもきめられまして、各国が次々に意見を述べたわけでございます。  日本代表岡崎国連大使でございまして、三月二十二日の午後日本としての意見発表をいたしました。その概要を御報告申し上げますと、まず宇宙時代というのが到来いたしまして、そのために人類のものの考え方が変わってきている。その基本的な変化と申しますものは、自分たちはすべて地球と名づけられました一つの共通の天体に住む人類であるということでございます。これを英語でアース・メンというような言葉で申されまして、こういうことが今後この委員会仕事をやっていく場合の基本的な哲学であるのではないかと思うということを述べられました。それから次に、宇宙開発というものは平和目的に限定するという原則を確立しなければならないということを強調されました。三番目には、日本におきます宇宙開発関係研究につきまして概要を紹介したわけでございます。たとえばいろいろな基礎研究宇宙線研究であるとか、また太陽研究であるとかいうようなことをやっているということだけ紹介いたしまして、また応用関係等に関しましては今後の各国国際協力等に対します希望等も交えて述べております。たとえば通信衛星のごとき場合には、いろいろの国で開発されるにいたしましても、システムを一定にいたしませんと周波数その他でもっていろいろなトラブルが生ずる。そうしますと通信衛星本来の利益がキャンセルされるのではないかということも述べられております。しかも、そういう通信衛星というものは人類の福祉のために利用されることが絶対に必要であるということも言われました。なお、日本の今後の宇宙開発方針といたしまして、宇宙開発審議会審議状況を伝えたわけでございます。これはただいまでは答申が出ておりますが、この委員会当時はまだ答申作成中でございまして、その内容を紹介したわけでございます。この審議会答申作成しておりますが、日本宇宙開発に関します根本原則は、平和目的に限定するということ、研究成果を公開し、また必要な場合には国際協力を行なうものであるというととが原則になっていると申しますことから、主として基礎的な研究重点を置きまして、なお人工衛星に関しましては通信衛星気象衛星等利用等に関しまして非常な関心を持っている。そういうものの地上の観測装置等につきましても準備をやる予定であるというようなことがその答申に盛られる状況だというようなことを申し上げたわけでございます。そうしまして最後に、通信衛星が飛揚されまして、一九六四年に東京で開催されますオリンピックには全世界テレビ放送をすることをわれわれは期待しているんだということを終わりにつけ加えまして、別に本委員会議題でありますテクニカル・サブコミッティ、リーガル・サブコミッティ、法律関係の小委員会科学技術関係の小委員会二つ下部機構を作るということに賛成いたしました。そういう委員会で今後検討いたします具体的の事項に関しましては後日発言するということで演説を打ち切っております。  これに前後いたしまして各国代表全部の意見発表があったわけでございますが、特に委員会空気といたしましては、アメリカソ連がどういうことをしゃべるかということでございます。アメリカ代表最初意見発表がございまして、クリンプトン代表発表されたわけでございますが、自分の国のいろいろな従来やって参りました国際協力の例を述べられまして、さらにこういうような協力を拡大していきたいということを申されております。たとえば長期にわたります観測ロケットの同時打ち上げ、本年実施の予定でございます実験用通信衛星国際的実験というようなこと、さらに気象衛星に関しましては、国連加盟の諸国が自分の国の頭上を通るときに衛星によって得られました資料と、自分のところで行ないました気象観測資料とを総合的に検討するというようなことで、国際協力をぜひやってもらいたいというようなことでございます。同時に、これより前にケネディ大統領ソ連首相に送りました書簡発表がございまして、アメリカ代表発言もこの要旨を繰り返しております。これは御存じと存じますが、簡単に申し上げますと、気象衛星実用化協力追跡装置設置によります協力地磁気分布図共同作成宇宙通信に関する協力宇宙医学に関します研究成果のプールと情報交換無人ロケットによります月表面調査等に関します共同的な探求というようなことを繰り返し協力の題目として述べられました。最後に三つばかり、アメリカ代表の申されたことで特に述べたいのは、この宇宙平和利用委員会において国連事務局に要望したいということがございました。それは、各国宇宙研究計画とか研究施設等に関しますいろいろな資料、それから宇宙開発に関します科学及び技術データ、さらにそういうようなデータに関します翻訳のサービス、そういうものを事務局が一括し、配付までもやってもらうことを要望するというようなこと。また、これも要望でございますが、二、三の国際共同研究所を作ったらどうか。そして国際共同研究所は、特に宇宙飛行に関しまする人間の問題、これは宇宙医学宇宙生物学等重点を置くわけでありますが、そういうものの設置を提唱いたしました。法律問題に関しましては、当面の問題といたしまして、予期せざる事由によりまして他国に着陸いたしました宇宙船並びにその乗員の返還の問題とか、打ち上げました物体が衝突するというような事故に関します問題につきまして法律的な検討を早急に実施することを要望するというようなことがアメリカ代表意見発表要旨であります。  翌日ソ連代表から発表がございました。同時にやはり、前のケネディ大統領ソ連首相にあてましたメッセージに対するソ連首相返事が会場で発表されました。同時に一般に公表されたわけであります。従って、代表発言もそのケネディ大統領メッセージに対しまするソ連返事と大体同様な線で述べられておりますが、非常に協調的な空気の中にいろいろな国際協力可能性を述べたわけです。特に地磁気分布図を作るというようなことを強力に、いい問題ではないか、気象衛星通信衛星等にも国際協力の対象として考えらるべきものであるということでございました。ただ、ソ連代表意見発表の中で申し上げたいことは、国際科学連合と申しますか、先ほど申しましたICSUの中にございますCOSPARと密接な協力をこの委員会が行ないまして、そして国際協力をするということを相当強く主張されたように考えております。それから宇宙空間に関する情報交換のために、アメリカ代表意見のように国連事務局がそういう情報を収集するのではございませんで、国際会議をやったらどうか。しかも、その国際会議COSPARが主になってやらしたらどうかというようなことを強調したようであります。法律的な問題といたしましては、前にアメリカ代表が申しました宇宙船他国に着陸した場合の問題に関しましても、その必要性を認めて同調しております。こういうような意見発表がございました。  次いで他の代表、たとえばイギリス代表またはスエーデンの代表は、ヨーロッパ地区共同研究体制について相当述べられました。そういうものを通じて国際協力をやりたいというような考えに受け取れたわけであります。  二十八カ国がこのように次々に意見を述べまして、最後に、決議というものは出ませんでしたが、議長が十日間の委員会総合取りまとめをいたしまして、そして、この委員会宇宙空間というものの平和的な開発利用に関する国際協力必要性可能性を強調するということに全員一致をした。それから各国代表発言におきまして米ソの間の研究協力ということが緒についたことに深い満足の意を表するというというようなこと。それから、本委員会議題でございました科学技術並びに法律下部委員会設置を決定いたしまして、本年の五月二十八日からジュネーブでもって同時に開催する。しかも、その構成メンバーは本委員会全員でもって構成する、両方の小委員会も同時に全員でもって構成するということにきめたわけでございます。  それから、委員会意見一致としてあげられました事項といたしましては、委員会の任務というものは国連特別機関と申しますか、ユネスコ等でございますが、並びに政府機関、前に申しましたWMOとかITU、そういうものの宇宙空間平和利用の分野においてそういう機関が行ないます仕事調整することであるということが全員でもって意見一致を見ました。そのためには、さらに国際協力の促進に対する具体的な計画を、さっき申し上げました小委員会研究するのでございますが、そういう研究する場合、それから、ただいま申しました関連の機関といろいろ調整を行ないます場合に、国連仕事をもう少し組織化する必要があるのではないかということについて意見一致を見ました。そうしまして、最後国連総長に本委員会の秘書が、何といいますか、そういうことが十分にできるように事務的な機構と申しますか、技術サービスという言葉を使っておりますが、技術サービスを与えるということを要求する。五月の終わりに二つの小委員会が済みましたならば、本年の八月または九月に本委員会をさらに再開するというようなことがきまりました。これらの大体の意見共通点を取りまとめまして、全員一致でもって一応きまったわけでございます。  経過だけを簡単に御報告申し上げたわけでございます。
  4. 前田正男

    前田委員長 次に、同じく去る三月開催国際連合宇宙空間平和利用委員会杉本計画局長とともに出席され、なお、去る五月二十八日より六月十三日までジュネーブにおいて開催されました同平和利用委員会科学技術小委員会にも御出席されました畑中参考人より約十五分間程度において御意見をお述べいただきたいと存じます。畑中参考人
  5. 畑中武夫

    畑中参考人 先ほど杉本局長からお話がありましたように、三月の本委員会二つの小委員会が作られることになって、それはともにジュネーブで開くということにきまりました。二つの小委員会と申しますのは、法律小委員会科学技術小委員会でございます。もともとジュネーブになりますいきさつにはいろいろ事情がございまして、私どもは当然五月の中ごろにニューヨークで、再開されると思ったのでございますけれども、いろいろな都合でジュネーブに移り、ジュネーブのいろいろな関係から、事務的な関係から五月の末から開会するということになった次第でございます。私はもっぱら科学技術小委員会の方に出まして、法律小委員会の方は全く存じませんので、ここでは科学技術小委員会のことにつきましてのみ御報告申し上げます。  この科学技術小委員会は、今委員長から仰せのありましたように、五月の二十八日から六月の十二日までジュネーブ国連欧州事務局と申しますか、そこで開かれました。開会手続といたしまして、当然議長をきめるわけでございますが、これは一応国の間同士で話し合いがついていると前々から聞いておりましたけれども会議場で、実際にだれを議長にするというだれかがいるわけでございますが、それがたまたま私に、だれだれを議長にしろということを発言しろということになりまして、発言をいたしまして、それでオーストラリアのマーティンという学者が議長になった次第でございます。それからいろいろ事務手続がございまして、たとえば今おっしゃいましたように、この会議投票によらないで全体一致満場一致という形でもってのみ議事を進めるということになりました。これはこの委員会及び小委員会を通じての全体の原則となっているわけでございます。月曜日から始まりまして一応金曜までのつもりでございましたけれども、その次の月曜まで延びたのでございますけれども各国のいわば一般演説と申しますか、各国代表一般演説がございました。これは二十八カ国ありますうちで、大体十八カ国程度、半分程度の国が一般演説をしたと思います。その間に、いろいろ演説をしております間に、やはりその演説だけでは小委員会は済みませんので、当然小さなワーキング・グループスと申しますか、作業班というものを作って、そこでいろいろなことの原案を作らせて、さらに小委員会全体できめるというのが当然の手続でございまして、いろいろそういう小委員会を作るという話が下であるわけであります。下でありながら、上では一般演説を一応続けているという形が数日続きました。その一般演説をやっておりますうちに、日本もやるのが当然だということを私は感じまして、そこで一応日本立場を御説明申し上げたわけであります。その内容は、先ほども杉本局長からお話がありました国連の方のヨーロッパの方の総会で、本委員会岡崎国連大使演説されましたことに大体筋は一致してございますけれども、小委員会の性質上若干こまかな技術的な話をつけ加えました。つまり、われわれの根本方針は、宇宙開発審議会ですでに答申が出たごとく、平和利用目的とし、自主的に行ない、結果は公開し、しかも特に問題に応じて国際協力を強調する、こういう立場を推しまして、われわれといたしましては、国はあまり豊かではないけれども国際地球観測年を機会といたしましてロケット観測を実施するという方針をきめ、すでに二十六発の観測ロケットを上げているということ、さらにもちろんそのほかにテスト・ロケットはたくさんございますけれども、実際に二十八個の観測ロケットを打ち上げて着々と進めておる、さらに地面の方の研究は、たとえば人工衛星追跡とか、もっと基本的な観測とか、いろいろな研究をやっているということを申し、さらに、当然この委員会ワーキング・グループスを作るべきであるという話をいたし、そのワーキング・グループスとしてはこういうこともあろうということも申し上げ、最後にこういうことを言っておきました。それは、ニューヨーク開会と前後いたしまして、ケネディ大統領フルシチョフ首相の間に書簡交換があった、その書簡交換あとで、おしまいの方に、両国科学者をしていろいろ両国宇宙協力に関する具体的な問題を討議せしめるという話があったけれども、それはニューヨーク会議あと、さらにワシントンで、さらにジュネーブで行なわれているはずだけれども、その問題について、できるならばなるべく早く発表してほしいということをつけ加えました。と申しますのは、いろいろ演説を聞いておりますというと、たとえばソ連演説によりまするというと、宇宙協力はけっこうだけれども全面軍縮をしない限りなかなか宇宙協力はできないという話がしばしば出て参ります。それは確かに同感で、ある点はそうかもしれませんですけれども、私どもから見ますならば、そういう深い問題まで立ち入らなくても、お互いロケットを見せ合おうということまで立ち入らなくてもできるような宇宙科学協力が両首脳の間の手紙に盛られた内容についてすらすでに出ているわけでございます。たとえば外側の磁場をはかるというようなことは別にロケットお互いに見せ合わなくてもできることである。たとえばそういうことでございまして、そういう全面軍縮というむずかしい政治問題はいろいろあろうけれども、そういう問題に入らなくてもできる宇宙協力問題があると私には見えるから、だからそういう問題からまず出発してほしいものである、そうしてその結果をなるべく早くみなに言ってほしいものであるというようなことを、私ども一般演説の中で最後の方にちょっと申したわけでございます。ついでながら、そういうことを言った代表は実はほかにはございませんで、私は少し出過きたかと思ったのですが、もちろん国連でありますから、米ソ両国だけで国連はできるわけではなくて、それはもちろん各国がやらなければならないことでありますけれども、ちょうど国連ニューヨーク会議の途中にそういう話が出まして、非常にその会議に大きく影響し、各代表がことごとく両者の書簡交換に触れているわけでございますから、これはその小委員会外側のことであるとはいえ、われわれの小委員会に非常に関係があると考えましたのでそういうことをつけ加えたわけでございます。  そこで、そういう一般演説が終わりまして、それでいわゆる作業班と申しますか、ワーキング・グループスが三つできたわけでございまして、そのワーキング・グループスをやりました結果、若干のリコメンデーション勧告として出て参りました。それがここに、私の非常につたないものでございますけれども、翻訳いたしましてお手元に参っておると思いますが、国際連合総会宇宙空間平和利用委員会科学技術小委員会という小さな見出しのところにあります。これがリコメンデーションジュネーブでできました報告書でございまして、この八月の終わり、または九月の初めの親委員会、つまり宇宙空間平和利用委員会そのものに提出されまして、そこでまた討議される材料となるものでございます。もちろん法律の方からも若干これに似たような——何かあまり話がまとまらなかったように聞いておりますけれども——このようなものが出まして、それがニューヨークで開かれます秋の国連総会直前に開かれるであろうと思われます親委員会の方で討議される材料になるかと思います。  そのワーキング・グループス作業班は実は三つできまして、大体第一の方はアメリカ提案考えてよろしいのでしょうけれども、つまり国連事務当局に集めますいろいろな宇宙空間プログラムに関する、あるいは宇宙空間関係する団体に関する情報各国から出してもらう、それを国連事務当局で整理して、いろいろな国が見やすいようにする、そういう整理についてのいろいろいろな勧告案でございます。そのほか現在COSPARという団体宇宙空間に関しましていろいろ早く通報いたします関係上、スペース・ワーグというような通報のネットワークを作りましたり、あるいはその資料を集めます世界資料センターロケット人工衛星に関します世界資料センターというものを作っておりますけれども、これがあまりよく知らない国には徹底していないから、これを徹底させるようにというような意味の勧告ども、そういうことについて考えたわけでございます。  第二番目のワーキング・グループの仕事は、これは大体ソ連提案に従ったものでございまして、つまり現在科学者間でICSUという国際科学連合会議でございますか、このICSU関係で、いろいろ現在、これから行なわれてきております大きな国際協力の事業がございます。たとえばIOSYと申しまして、これは太陽活動極小期国際観測年——この前の国際地球観測年はたまたま太陽活動が極大であったときに当たったわけでございますが、それはそれでけっこう。しかしながら、太陽活動が静かなときにやってみなければ、どれだけが太陽活動の影響であるかわからない。それをやろうということで、近く太陽活動極小期国際観測年というものが出ることになっております。日本でも準備を着々進めておりますけれども、このプログラムを取り上げて、これは非常に宇宙空間関係する部分が多いから、各国は大いにこれに協力しろという意味でありますとか、あるいはワールド・マグ・サーベイ、つまり世界磁気測量というものがございます。これもやはり太陽活動の少ないときにやる方がよろしいということで、近くやろうといっております。そういう国際的測量の問題もある。そのほか、さっきもお話が出ましたCOSPARがいろいろ勧告しております国際協力問題あるいは国際宇宙通信問題気象衛星問題等に関しましてそれぞれ国際電気通信連合でございますか、ITU、それからWMO国際気象機関等が考えておりまするいろいろなプログラムがあるから、これを国内でよく徹底させて国家としてよくやるように国連を通して勧告しろというような案が第二グループの仕事でございました。  第三は、国際的な観測ロケットを打ち上げる共同施設というものを作ろうじゃないか。これはもともとアメリカ提案でございますが、大体は第三のグループはこれを取り上げることになりました。  そこで三つのワーキング・グループスができたわけでございます。たまたま私が何か議長をやったように新聞に出たわけでございますが、実はその第一のワーキング・グループスのチェアマンをやったわけでございます。議長には違いないけれども、大した議長でないということをここでお断わり申し上げます。  それからもう一つ、同じく新聞に関しまして、誇張だか誤りだか伝えられたことがありますので若干釈明したいと思います。私が何か南極地方に日本ロケット観測基地を設けるやらやらないやら発言があったように出ておりましたけれども、その真意はこういうことでございます。これは今申しました第三のワーキング・グループのテーマでありますところの赤道地方——一応赤道地方でありますが、赤道地方に国際的に利用できるところの観測ロケットを打ち上げる、そういう共同利用施設を作ろうじゃないかという提案に関しまして、一般演説の中で私はこう申しました。それは国際的に利用できる観測ロケット打ち上げの共同利用施設を作ることは大へんけっこうである。しかしながら、どこに作るかということについては、現在そういう打ち上げ施設のないところを探して、それから今度は非常に学問的に意味のあるところを探して、それからきめるべきである。しかしながら、一ぺんにたくさん作ることも大へんだから、まず一つから始めたらよかろう、こういうことを申した中に、あらゆるところをよく探してという、穴の抜けてないところを探してというところに南極地方も入れてよく探せ、こう私は申したのでございますけれども、何やら私がいかにも南極地方に国際ロケット観測基地を設けるということを日本がやったというように聞きとられまして、若干迷惑しておる次第でございます。意味は、国際的な共同施設を作るのがよろしい、そのためにはいろいろの場所を調べろ、調べるには手落ちのないように調べろ、南極も入れて調べなければならないだろうということを申したわけでございます。  そういうわけで、その三つのグループが相当働きまして、そしてここにプリントがございますような何十カ条かの報告書ができております。このおしまいの方に付録といたしまして人の名前とか、この前の総会決議だとか、米ソが出しました共同コミュニケでございますとか、というようなことがございますけれども、それは翻訳をきょうは省略させていただきます。もちろんこの翻訳も私は非常に時間をかけてゆっくり、あるいは皆さんに御相談してやったわけではございませんで、勝手に私が意訳、抄訳をいたしましたので、その誤りのあります点は平に御容赦願いたいと思います。  こういうわけでございまして、約二週間かかりました会議でこれだけの仕事をしてきたわけでございます。いろいろ考えてみますに、やはり国際的にそういうことを発言いたしますためには、どうしても国内的な実績がなければ、発言いたしましても軽くあしらわれてしまうという、これは私が幸い日本でいろいろ宇宙空間に対します実際の仕事が行なわれておりますためにおかげを受けた利益と、逆に裏返しいたしますと、そういうことがなければ私はどういう目にあったか、何かよく申せませんけれども、いわばそういう実績があったからこそ私ども発言しても割合にまともに受け取ってもらえたという気がいたします。  第二番目に、科学技術小委員会に対しましては、これは割合に学者と申しますか、実際これまでやって参りました学者が代表として多いのでございまして、それ以外のいわば若干政治家じみた——政治家じみたというと工合が悪いのですけれども、いわば文科系統と申しますか、つまりあまり学問をやっておられない方でそういう国際会議になれているという方がもし出られたならば大へん工合の悪いような、ほかの方が見るとちょっと工合の悪いようなことがございまして、そういうことは詳しくは申せないと思いますけれども、やはりそういう意味で国内の実績が大事であるということと、それから適当な、やはり実際学問をやった人が出る方が大へんよろしいのじゃないかという感じを持って参りました。これは私自分に非常に身びいきをすることで大へん言いにくいことでございますけれども、一応これだけは申し上げさせていただきたいと思います。  簡単ながら経過報告といたします。
  6. 前田正男

    前田委員長 参考人よりの意見聴取は終わりました。     —————————————
  7. 前田正男

    前田委員長 次に、本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
  8. 岡良一

    ○岡委員 三木長官が御出席いただければ政府としての責任ある御所信を承りたいと思っておりましたが、残念ながら所用で御出席でございませんので、かわって事務当局の方に若干お伺いいたしたいと思います。  まず、けさの新聞を見ますと、ジョンストン島の高空でアメリカは数メガトンの水爆の爆発実験をいたしました。その結果通信が若干の期間あるいは麻痺状態、人工的なデリンジャー現象が起こっておるような状況ですが、そういうさなかに私ども委員会宇宙空間平和利用について話をしなければならないということは、何としても大きな歴史のジレンマだと思うのです。そこでこのジレンマ、この矛盾をどう解決するかということは、やはりわれわれに課せられた大きな仕事だと思います。長官がおられませんが、宇宙開発審議会の会長としての兼重さん、あるいはまた宇宙空間については十分に勉強を積んでおられる科学者の一人としての畑中さん、お二人は、こういう大きな歴史的な矛盾に対して日本はどうあるべきと思われますか、どうすべきと思われますか。率直に一つ御所信を披瀝していただきたいと思います。
  9. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 私の名前をおっしゃいましたので私からお答え申し上げます。実は私、宇宙開発審議会の会長をこの間までしておりましたのですが、ただいまは任期が切れましてそうでございませんけれども、その方には関係の深いことでございますから、あたかもそうであるかのような口をきくかもしれませんが、それは失礼だとは思わないように受け取っていただきたいと思います。  仰せのように、宇宙空間が平和にばかり利用されていないということはまことに残念なことでございます。従って、そういうふうにすることにはあらゆる努力をしなければなりませんけれども、幸い、日本はそれに徹底しておりますから、そういう場合に自分の方にうしろめたい気持を持ちながら何かするという必要がないことは非常に幸い、ありがたいことと思っております。ただ、どういう方法でそれを実現するようにするかということは、これは非常にむずかしい問題でございますから、私のような微力の者がどれほどの効果のあることをやれるかは自信がございませんけれども、とにかく自分自身がそれに徹底するということは一番有力な方法の一つである、こう考えております。そのほかの手段につきましては、いろいろな方と御相談をしながら打つ手を考えたいと思っております。
  10. 畑中武夫

    畑中参考人 私といたしましては、もっぱらもう少し外側の方を研究しておりまして、あの核爆発のありました辺につきましては私は専門でございませんから、最初にお断わりしておきます。  それとは別にいたしまして、宇宙空間が平和的にだけ利用できる立場でないということを常に残念に思っております。しかしながら、今兼重先生がおっしゃいましたように、私どもはそういう平和的にのみ利用するという立場に徹底しておりますために、立場といたしましては何事をも自由に言える立場にあるということを将来とも堅持したいと思っております。
  11. 岡良一

    ○岡委員 兼重教授なり、また畑中先生の御所見では、自分たち平和利用に徹底しておるのであるから、従って自由にものも言えるし、またその立場にますます徹底していくことによってという、きわめて道義的な御所見でありました。ただしかし、かりに三百二十キロから八百キロ程度の高空と伝えられておりますが、いずれにいたしましても、宇宙空間において相当大規模な核兵器の実験が将来とも継続されるということになれば、これはたとえばわれわれが平和利用目的において気象衛星を云々する、通信衛星を云々するにいたしましても、その利用価値というものは、やはり実験の結果として阻害されるのではないかと私ども考える。現に今回の実験における昨日の状況では、短時間ではございましたけれども、しかしこれだって相当な広い範囲に放射能爆発物が拡散をしておるわけでございますから、これがあるいはバン・アレン帯、電離層に対してどんな影響を与えるかはこれからの問題だと思う。あるいは相当に長期にわたって思いがけないような通信衛星なり気象衛星観測データに対する阻害があり得るのではないかと思う。であるから、われわれがいかに平和利用に徹すると言ってみたところで、現実にそういう平和利用を遂行しようとすることに対する阻害の現象というものをそのままに見のがしておったのでは、事実上われわれの言うことは一つのセンチメンタルにすぎない。もっと具体的に、やはりこのような、せっかく世界各国協力の体制で平和利用に乗り出そうとしておる宇宙空間において、このような軍事的な危険が犯されておる、冒険が行なわれるということに対してはどうあるべきかということは、私どもは、やはり宇宙空間開発について関心を持つすべての方の重大な問題でなければならないと思う。  そこで、長官がおられませんが、杉本局長あるいは畑中先生にお伺いしますが、一体国連宇宙空間平和利用については、たとえば国際原子力機構というような、そういう新しいオーガニゼーションというものを作ろうという方向にだんだんと近寄っておるわけでございますか。
  12. 杉本正雄

    杉本説明員 私、ただいま宇宙研究関係の担当ではございませんが、先般国連会議出席いたしましたので、そのときの状況について申し上げます。ただいま御質問がございましたような傾向ではございませんで、逆に、先ほど申し上げたように、日本平和目的に限定するということは強く主張したわけでございますが、他の国の中には、もっと現実的に、原子力の二の舞を踏まないように、最初から平和目的に限定するということをもっとしっかりきめようじゃないかというふうな強い意見が一、二の国から出されております。
  13. 畑中武夫

    畑中参考人 追加いたします。国連では、私の知っております限りでは、最近宇宙平和利用に関します課ができて、これは大きな機関ではございませんで、一つのブランチができたと伺っております。
  14. 岡良一

    ○岡委員 よくわかりませんので再度お聞きいたします。私どもが懸念いたしますのは、たしか一九五二年の十二月でございましたか、当時のアイゼンハワー大統領の国連総会での原子力の平和利用に関する国際的な協力機構を作ろうという演説がありました。それから四、五年を経て一九五六年かに、新しい国際原子力機関が発足をいたしました。ところが、その憲章の第一条では、はっきり原子力の平和利用を推進することによって人類の福祉と文化に貢献をするということがうたってある。ただしかしながら、あの憲章には、いわば大国の軍事利用を禁止するという項目が一項目もない。従って、原子力機関の運用の実態を率直に申し上げますと、一面においては軍事利用を平気で行なっておる大国が後進国に対して非常に権力的なコントロールを加えておるというような傾向もあり得たわけであります。こういうものを作ったのでは、どうも。しかし、せっかく宇宙空間平和利用という方向に向かって各国の良心が立ち上がっておる、まだ未開拓の分野であるだけに、こういう国際機構を作り、はっきり平和利用を打ち出すという方向に日本政府としては努力をすべきじゃないかということを感じましたのでお聞きしたわけでございます。国際宇宙空間平和利用機構が作られる可能性があるのか。あるいはまた作る場合、国際原子力機関の二の舞を踏まない、憲章第一条で明確に大国を含めての平和利用ということをはっきり限定して打ち出すべきではないかと思うが、こういう点の可能性について、これまでも二度の会合にお出ましになったお二方としてはどういう印象を持たれましたか。率直なところを重ねてお聞かせ願いたいと思います。
  15. 畑中武夫

    畑中参考人 私どもは非常に深く国連の動きというものにタッチしておりませんので、その会議に出たたびごとにタッチするわけでございまして、印象は非常に間違っているかもしれませんけれども、私の受けました印象では、現在原子力機関に似たような国際宇宙空間平和利用に関しますそういうオーガニゼーションができるということは存じておりません。
  16. 岡良一

    ○岡委員 そうしますと、これは杉本さんにお尋ねをしますが、そういうものができる可能性はないという印象でございましたか。
  17. 杉本正雄

    杉本説明員 できる可能性はないという印象を受けたわけではございませんで、この前の会議宇宙空間平和利用に関します実際的な第一回の会議でございます。数字の上では第二回になっておりますが、具体的に申しますと第一回の会議でございまして、加盟二十八カ国が宇宙空間平和利用に関しまして国際協力可能性と具体的な問題お互いに論じ合ってその方向を見出すということに主力が置かれまして、岡先生のお考えのような動きは今後の委員会において取り上げられるべき——今後になりますか、またその次になりますか——取り上げられるような問題で、まだそこまで委員会空気がいっていないというような印象を受けたわけでございます。
  18. 岡良一

    ○岡委員 そこで問題は、人工衛星を打ち上げるその都度、米ソの責任ある首脳部は宇宙観測についての国際的な協力を、情報を提供しようということをたしかうたっていると思う。国連総会でも米ソ代表は、特に一昨年のロイド代表のごときは明確に国際協力するといっておる。その後、人工衛星の打ち上げというものは、私どものしろうとの観察ですが、軍事的な意味というよりも、むしろ未知な宇宙空間に対する人類の大きな英知がこれを観測しようとする進歩であると思われる。そういう意味で、条件は国際原子力機関の発足よりも非常に熟しておる。であるから、政府とすれば、この際、宇宙空間平和利用に関する方向に向かって外務当局なりあるいは科学技術庁なり、関係各省が一丸となって、そしてそういう方向に国際情勢を推進していくということが、私は政府のとるべき基本的な態度だと考える。この点について御所見があるなら、国連課長も来ておられますが、アメリカ側の情報等も、また科学課長も来ておられますが、国連の動きなどについても参考までにお伺いしておきたいと思う。
  19. 栗野鳳

    ○栗野説明員 私は、先ほど岡先生のおっしゃいましたアイゼンハワーの演説をこの耳で聞いておった経験がございます。ちょうど一九五三年、これは非常に画期的な演説でありましたが、ただ、すでにそのときにもう原子力の国際管理という問題が少なくとも国連の場でもうかなり行き詰まりがはっきりしておりまして、こまかい経緯は省きますが、新しい窓を開くという意味で平和利用への方向に一歩踏み出したという印象を受けました。なお、その後原子力機関が発足したのは一九五七年でございますから、四年ほどかかっておりますが、いろいろその間に外交会議などありましてやっと発足したわけであります。それからまた、私自身のことに関して申しわけありませんが、この機関ができますや私はその事務局に志願をして外務省から出向していって参りました。そのいろいろな動きをその当初の時期に約二年ほど内部から観察しておりました。岡先生のおっしゃいますように、なかなかりっぱな憲章がございますが、最初から一つのワクがありまして、この原子力機関というものは、いかに努力をしてもこれだけで世界全体の原子力の利用というものを平和利用だけに限定する方向に持っていくというだけの力は残念ながらないように思われます。  そこで、こういったほかの機関の経験にかんがみまして、国連の中では宇宙開発に関する国際機関を作るということについてはまだあまり積極的な空気がございません。私どもその点は非常に注意をして見守っておりますけれども、第一にまだどういう分野で協力することが望ましいかというようなことで、たとえば先ほど畑中先生のお話にありましたような、特に米ソ間の専門家の間でお互い技術的な話がぼつぼつ進められておるという状況でございます。かりに今すぐ国際機関を作りましても、これが一体何をするのか、それからどういう仕組み、機構でもってやるのかというようなことは、まだちょっと手をつけるには早いという——これは私の私見でございますが、そういう感じがいたします。  それからもう一つ、これは費用のことになりますが、やはりこういった国際機関を作りますと、職員などでも、たとえば小規模なものでも数百人、ユネスコあるいは国連のような大きなものになりますと数千人の事務局員を要します。運営の経費も年々数百万ドルから数千万ドルに至る費用がかかります。従って、各国ともそれを作っていろいろ分担金を払って金を使う、それに見合うだけの効果があるかどうかという点で、なお突っ込んで考えるに至ってないんじゃないかと思います。ちょっと観察だけ申し上げました。
  20. 岡良一

    ○岡委員 私が先ほど申しましたように、原子力のIAEAができた当時の条件と、今度の宇宙空間平和利用における国際的な条件とは若干変わっているのではないかということを申し上げました。それは、たとえば一九五三年にアイゼンハワー大統領が国連であの歴史的な演説をされた当時は、ある意味においてアメリカが核兵器を独占しようという気がまえが勘ぐられ得たのではないか。しかし、その後、真相はわかりませんが、一応米ソ両国とも核兵器を持った。またその核兵器の優劣も、ともあれ均衡状態を破ろうとし、また均衡状態になろうとする競合が続けられていた。しかし、この超高空における核爆発実験というものについては、まだまだ問題が将来に残されておるのではないかと思う。いわば門口に人っているような状態ではないか。もちろん専門的なことはわかりませんから、この一回なり二回なりの実験で安心される事態の効果なりあるいは防衛上のいろいろなデータが得られるかどうかわかりませんが、こういうときにこそ、条件が違っておるのだから、国際的な宇宙空間平和利用機構を作る方向に日本の政策を振り向けて推進をしていくという立場にまず立ってもらうべきではないか。その次には、今仰せの具体的な問題はどこで取り上げていくかということです。人工衛星の登録も必要でしょう。さて、それでは通信衛星をどうするか、あるいは気象衛星をどうするか。通信衛星なり気象衛星というようなものについても、日本の国から今それを打ち上げることはできないといたしましても、何らかの協力の場は私はあり得ると思う。そういう場合に、これが超高空の核実験をやられれば観測が妨げられるということになれば、その具体的な問題と取っ組んでいく過程の中でこの平和利用機構というものを作り上げる、それをまた平和利用に限定していくという一つの効果も伴ってくる。そういう方向に日本宇宙空間平和利用に関する外交政策を進めていくべきものじゃないか、そう私は思っておるわけです。もちろんこういう問題は、いずれ三木長官なり、また外務大臣なりによく御所信を承りたいと思いまするが、具体的な問題として気象衛星問題、あるいは通信衛星問題、こういう具体的な平和利用についての国際協力について、具体的な通信衛星気象衛星についてはどういう見解が国連の場において示されておりましょうか。
  21. 杉本正雄

    杉本説明員 科学技術の小委員会でも問題になったと存じますが、その方は私存じませんが、最初の本委員会の方におきましては、各加盟国いずれも通信衛星気象衛星開発によりましておのおのの国民の福祉の増進が期待されるということを、ほとんどの代表が述べております。ただ、実際に実用になりました場合には、特に通信衛星に関しましては、加盟国お互い利用します際に国際的な協定が必要になるのではないか。これは特にソ連代表発言をされたわけでありますが、戦争の宣伝とか他の国民の害になるような放送をされては困るというようなことで、実際の実用面に関しましては今後問題があるので相談する必要があるけれども、そういう人工衛星、通信並びに気象に関します人工衛星開発は大いに国際協力をやって推進する必要があるというようなことが述べられたわけでございます。
  22. 岡良一

    ○岡委員 そこで、いつかも申されたことですが、たとえば今アメリカでは気象衛星を飛ばしてハリケーンの研究をやっている。ハリケーンに対する予報措置の実験的な研究を進めているということを当事者は知っている。中部ヨーロッパでもハリケーンの被害がときどき襲うので、おそらく東南アジア地域における台風、モンスーンなり——日本も年々二千億近い災害復旧費を出しておりますが、その大半は台風の災害の場合でございます。そういうことを考えますると、この気象衛星による台風の予報、あるいはハリケーン、あるいはモンスーンの予報、ひいてはまた、現在は実験段階にあるとはいいながら、そのエネルギーを減殺する何らかの科学的方法があれば、これは一国のみならず、人類に対する大きな福音だと思う。そういうことが可能であるかどうか、今検討の門口に立っておるわけです。そのことについては、私どもは常識的にはどの国だって反対はないと思う。ただ、もしあれば、たとえばそのことのためには相当の個数の静止衛星を打ち上げなければならない。あるいは極軌道の衛星を打ち上げなければならない。そうなれば、やはり自国の中も相当詳しく撮影されるかもしれないというようなことが、国防という理由にからんで問題ともなり得ると思うのです。しかし、このような問題を、やはりお互いお互い国際協力人類の福祉という立場から協力する可能性は幾らでもあると私は思う。だから、そういう問題日本がもっと積極的に切り込んでいくべきである。切り込んでいって、そういう面から国際協力機構を推進していくというような政策をとるべきじゃないか。ただ出かけていって、そして大国の言い分を聞いてくるというだけじゃなくて、もっとやはり日本としての一つの方針を持ってそれに臨んでいく、こういう積極性というものが私は不十分なように思う。どこにその責任があるのか、どこにそういう不十分な点があるかはまたあと問題にいたしたいと思いますが、どうも不十分だ。だから、そういう点をもっと積極的にやるべきじゃないかと私は思うわけです。鈴江次官もおられますし、外務省の方もおられますが、あるいは杉本さんなり畑中先生なり、あるいは兼重前会長なり、どう思われますか。聞いてくるだけではるばる出かけていく理由はないと思う。何かもっと日本としての筋金を携えて、国際的な筋金を入れていくという積極性があっていいのじゃないか。
  23. 杉本正雄

    杉本説明員 前回の私の出席いたしました国連宇宙平和利用委員会におきましては、当時まだ宇宙開発審議会答申が出ておりませんので、日本としての方針がまだはっきり申し上げるといいますか、発表しかねる状態にございます。それからまた別個にWMO世界気象機構と申しますものに日本が入っておりまして、その面からは気象庁が主になってやっておられますが、もうすでに宇宙開発審議会答申も出ましたので、今後科学技術庁でやられると存じますが、それ以上の今後の問題につきましては、私担当でございませんので、事務次官の方からお話があるのじゃないかと思っております。
  24. 鈴江康平

    ○鈴江説明員 今、岡先年のお話ございました点、まことにごもっともであり、なお傾聴すべき御意見だろうと思いますが、これは何といいますか、科学技術庁だけの判断で、もっと外交政策その他のものに関連しますわけでございますので、十分御意見のありますところは長官に申し上げまして、今後政府としてとるべき態度をきめていただくようにいたしたいと存じます。
  25. 岡良一

    ○岡委員 問題は、科学技術政策面における国際協力の政策というものについて、日本には一貫した政策がないと言い切るのも若干早計かもしれません。どうもこれは、人にあるのか組織にあるのかということは、われわれ委員会として重大な問題です。このことはあとに触れます。  なお、通信衛星なりあるいは気象衛星についても日米協力に関する報告があるそうでございますので、そのあとの質疑に私は譲たりいと思います。
  26. 前田正男

    前田委員長 次に石川次夫君。
  27. 石川次夫

    ○石川委員 岡委員の方から適切な、質問がございまして、私も全く同感でございます。つけ加える余地はないと思うのです。と同時に、宇宙空間平和利用ということは全くのしろうとでございます。質問申し上げることがピントをはずれておると思いますが、その点はあしからず御了承願いたいと思います。  ただいま岡委員からもお話がございましたように、宇宙空間平和利用が非常に発展をしておりますことは、人間の英知の発展の姿をそのまま現わしておるというふうに考えられまして、非常に喜ばしいわけでございます。しかし、その平和利用研究が発展すればするほど、高度な軍事利用というものが具現していくということになりますと、素朴な国民の感情といたしましては、むしろそういう研究は不要ではないかという意見すら出かねまじい趨勢だと思います。そういうことで、今質問がありましたように、超高空の核爆発の実験というものがありまして、バン・アレン帯が撹乱をされて、レーダーなんかも使用不能になり、機能が停止されるというようなことになれば、軍事的に考えればきわめて重要な価値を持つというか、意義があることになります。そういう状態にしておいてあとからロケットをどんどん打ち込むということが可能になれば、ソビエトとしてもアメリカとしても、やっきになってこういう研究をするという事情もわからぬことはありませんけれども、それこそは人類平和という立場から見て、どうしても措置しなければならぬ重大な課題だと思います。そういう意味で、先ほど畑中さんから宇宙空間平和利用委員会出席されたときの模様の貴重な御意見がありまして、それに対して水をさすような形になりまして非常に恐縮ですが、技術的な実績を持った方がそういう委員会に出られることは非常に意義があるということは率直に認めます。しかしながら、われわれ先ほど申しましたような非常に素朴な国民感情としては、そういう開発が促進されることが同時に軍事利用を発展させるということになるならば、むしろ宇宙開発がなくてもいいんだというくらいの気持にならざるを得ないと思います。宇宙空間平和利用委員会というものは純粋な学術的なものではありましょう。従って、技術者がここに出ることは異議があると思いますが、あらゆる機会をとらえて人類平和のためには超高空の核爆発実験というものは措置すべきものだというような考え方で、こういう機会をとらえてやはり積極的にそういう意見を進言をして、そうしてそういう意見国際的な世論にまで高めて阻止するという方向にこういう委員会が活用できないかどうかということが質問の第一点であります。  それからあと一つ、これは全くしろうとの質問で恐縮でございますけれども、こういう超高空の原子力核爆発の実験が続行されるということになりますと、一時的に通信の機能が停止されたということが新聞に出ておりますけれども、続行された場合に、原子力それ自体の拡散の被害というものは今まで言い尽くされておりますので論外といたしまして、この電離層あるいは電波に対する影響というものは一体どういう程度のものか、全くわれわれしろうとでわかりませんものですから、それを一つ御教示を願いたい。  この二つの質問でございます。
  28. 畑中武夫

    畑中参考人 第一点につきましては、まことに同感でございます。われわれもいろいろ考えてみたいと思います。  第二点につきましては、どれくらい電離層が撹乱されるかということは、今回が初めてです。この前たしかソ連の実験がかなり上空の大気圏内であったと思うのでありますけれども、私はそのときのデータを持たず、まだ分析をしたことはありませんし、今回もまた実験が行なわれたばかりで、これから解析結果が出るだろうと思います。従って、それについてどれくらいか、新聞によりますと数十分デリンジャー現象のごときものが起こった、その程度のことしか現存のところ私もわかりません。いわんやバン・アレン帯がどれくらい乱されて、どれくらいたって回復するか、実験の公平な結果が公開されましたら、それを通じて判断し得るということだけお答えしておきます。
  29. 石川次夫

    ○石川委員 それから、これは質問の方向が全然違うのですが、先ほど岡さんの言われた通信衛星関係です。通信衛星のことで、実はこれは日本人の素朴な国民の感情といたしまして、何とかこういうものをオリンピックでは発進をさせて、同時に地球上のどの地域でもオリンピックをテレビで見られるようにしたいという夢を一つ持っておるわけです。ところで、これに関連する衛星その他の関係で、これも床屋でもってちょっと耳にはさんだ程度のきわめて素朴な私の仄聞をしたところによりますると、最近各国ではそういう実験を始める、ところが、日本は来年度の暮れにならなければできないのだというような話を耳にはさんだわけです。それが日本技術がおくれているからなのか、それとも予算も非常にかかるということもありましょうし、予算の関係でそうなっているのか、その他の政治的な関係でそういうふうにおくれざるを得ないという事情があるのか、その辺しろうとでさっぱりわかりませんし、現在の実態というものもよくわかりませんので、この点も、もしおわかりでしたら御説明を願いたいと思います。
  30. 二条弼基

    ○二条説明員 お答えいたします。衛星利用して長距離の通信をやりたいという考え方は非常に古くからございましたが、やはりそれが研究の結果実現できる見通しは、人工衛星が初めて飛び上がったときにさかのぼるわけでございます。これに関しまして、主要国は大洋横断の国際間通信というものに利用する研究を行なわれておりますが、わが国としましても、当然将来国際通信に利用するという見通しのもとに基礎的な研究を開始したのは二、三年前からでございます。ただ、この研究は一国だけでは非常にむずかしい問題で、やはり国際協力のもとにやらなければならぬということがございまして、一昨年以来当方の電波研究所がアメリカのNASAの方に手紙を出して、いろいろとその間の協力実験の状況調査したのでございます。なお、私もこの二月国際通信諮問委員会宇宙関係会議に参りまして、その間NASAともいろいろそういう問題で、どういうことが問題になるか調べました結果、アメリカヨーロッパの間では今年中にアメリカの打ち上げる人工衛星利用してテレビジョンの中継あるいは多重通信の実験をやる計画がかなり進んでいるということがわかりました。その計画にわが国が参加するためには、いろいろ問題がございまして、日本の政府の窓口機関、それからNASAとの間で覚書を交換し、しかも外交ルートによる確認というか、そういうものを必要として初めてこのアメリカとの実験に参加できるということがわかってきました。なお後に、当時の浅野次長がほかの用でワシントンへ参りましたときにも、その間の進め方についてだんだんわかってきたわけでございます。目下郵政省が通信衛星の実験に関しては、NASAに対する窓口になって覚書を交換したいということを郵政大臣から閣議報告もございました。目下手続上の問題について国内の政府機関との相談を進めるということになっております。
  31. 石川次夫

    ○石川委員 今の御説明でわかったようなわからないような、手続上どうしても確認を得るために立ちおくれているというふうな印象を受けたわけです。具体的にどういうことなんですか。
  32. 二条弼基

    ○二条説明員 おくれているという理由は、予算の関係もございます。また、国内の施設を国内で作り上げる——衛星は別といたしまして、地上施設を国内で作り上げるというような製作能力あるいは製作技術という面から判断して、来年以後じゃないとほんとうの実験施設の完成を見ないというのが現状であります。
  33. 石川次夫

    ○石川委員 これはここで簡単に質疑応答できる問題でもなさそうですから、よく実態を調査した上で、早く実現できるものなら実現したい、オリンピックに間に合わせられるものはぜひやりたいということで、一つ検討してみたいと思いますから、きょうの質問はこの程度にいたします。
  34. 前田正男

    前田委員長 畑中さんに一言お礼を申し上げます。  長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本委員会調査のため多大の参考になりましたことを委員会代表して私から厚くお礼を申し上げます。まことにありがとうございました。      ————◇—————
  35. 前田正男

    前田委員長 次に、去る五月二十一日より二十四日まで米国において開催されました第二回科学協力に関する日来委員会会議経過について説明を聴取いたします。  まず最初原子力委員会委兼重寛九郎君よりお願いいたします。兼重原子力委員
  36. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 私は日本側の委員議長と申しますか、そういう立場で去る五月二十一日から二十四日までワシントンで行なわれました科学協力に関する日米委員会の第二回会合に出席いたしましたものでございます。委員長お話のように、そのときの経過をできるだけ簡単に御報告申し上げたいと思います。  この委員会は、昨年の六月ケネディ・アメリカ大統領と池田内閣総理大臣との会談の結果発表されました共同コミニュケに基づいて設置されましたもので、昨年の十二月第一回の会議が東京で開かれましたことは御承知の通りでございます。  その第一回の会議で、五つの問題を取り上げたのでございます。その意味は、日米間の協力によって科学の進歩に貢献をし、それがひいては世界全体の福祉にも貢献できるということから、そういうものに対して一番最初に具体的にどういうような問題があるか、またどういう方法で協力の実をあげ得るかということを両方の国内でそれぞれ専門家と連絡をとりながら検討をいたしまして、第二回の会議でそれの実現の方途を探求しよう、こういう意味でございます。その五つは、お手元の報告の二ページ以降に書いてございますように、一は科学研究者の交流であり、二は科学技術に関する情報資料交換、三は太平洋に関する科学調査、四が太平洋地域の動植物地理学及び生態学、五がガン研究、こういう五つでございます。この五つの問題につきましては、日本側ではそれぞれ一人の担当の委員を委嘱いたしました。アメリカ側ではこれに対して、パネルと呼んでおりましたが、小委員会とでも申すべきものでございましょうが、五つの小委員会を組織いたしまして、その両方の間で手紙による連絡をとりながら、今度の会議までに準備をして参りました。そういう準備の結果、五月二十一日から二十四日まで行なわれました。  その会議におきまして、あとについておりますが、その結果五つの項目についてそれぞれ早期に実施することが望ましい計画、それから、長期計画、あるいはより長期の計画というような三種類に分けまして、早期に実施を望むものはどれどれについてはどういうことが、そこの二ページ以降に書いてありますように、特に三以下の学術上の共同研究項目としてはかなり専門的なものがたくさんあげてございます。  そういうことに相談がまとまりましたので、これを両方の政府に勧告するということを報告に書きました。さらに今度新しく八ページに書いてありますが、科学教育とハリケーンと台風に関する研究というものを、昨年の十二月に前に申しました五つの項目を選んだのと同じような意味で、これから検討する問題として取り上げたのでございます。  科学教育と申しましても、これは両方の教育制度をどうとかいうことに触れるわけではございませんで、その八ページの下の方に書いてございますように、「新しい改良された教材——テキスト類、講義・実験用具、その他科学教育の改善に関連ある器具、資料を含む——」というようなものの開発でございます。御存じの方も多いと思いますけれどもアメリカでは、電子計算機を使いました、先年のかわりをするような、そういうティーチング・マシンの研究があっちこっちで行なわれておりますし、もっと簡単な、それほど大じかけの装置を使いませんで、学生一人に家庭教師がつくようなふうに、機械を相手に教われるような、これは商品名でございましょうけれども、オートチューターと申します、そんなような機械を作っておるところもありまして、こういうようなことにアメリカ側は非常に熱心に研究を進めております。日本にもそういうふうなことに興味を持った専門学者はありますので、その両方協力によってこれを進め得るのではないかということから、これを次に検討する問題として取り上げたわけであります。  ハリケーンと台風に関します研究は、前の太平洋における科学調査の中にもそういうことは含んでおったのでありますけれども、ハリケーンは太平洋の問題ではありませんし、非常に大きな問題でございますから、特にこれを太平洋の問題の中の一つというよりも、別にはずしまして、取り上げたのでございます。  それで、日本側といたしましては、ごく最近、この第三回の会議に出ました者が集まりまして、科学教育については茅委員を担当にきめ、ハリケーンと台風に関する研究については和達委員を担当にきめまして、いずれアメリカ側でもこれに対応する人がきまるでございましょうから、その間で今後連絡をとりながら、この次までに計画を練っていく予定になっております。  こういうような報告が二十四日の最終日に採択になりまして、これをアメリカ側の委員代表ケリー博士、日本側の委員代表といたしまして兼重が署名いたしました報告を、アメリカはラスク国務長官へ、日本では小坂外務大臣に提出いたしました。日本では六月十二日に小坂外務大臣から閣議に報告をされたのでございます。  さて、この会議で今のような話がまとまりますまでのこの半年間、両方の間でそれぞれ担当をしました人はもちろん、国内のそれぞれの専門の学者が熱心にその案を練って下さった関係で、私といたしましては、この会議がここまでいったことは、非常によくいった、こう感じておるわけでございます。しかし、問題はこれからでございまして、こういう報告の中に盛られております勧告、あるいはいろいろこういうふうにしたい、あるいはすべきであるということを、政府がこれを受け入れまして、あとこれの具体化について政府の方で考えてもらう必要があるわけでございます。先ほど早期に実現を希望する項目と申しましたのは、この会議に出ました委員たちが何にも案なしに、ただこれは簡単そうであるから早期というふうにしておくというのではございませんで、日本といたしましても、三十七年度中に適当な方法でこの実験あるいは研究には着手できるという見通しを持ったものがそういうふうに選んでございますので、これはすでにその方向にある程度動き出しております。会議はしてきたけれどもあとはちっとも実行に移らなかったということはなしに済むわけでございますが、たとえば三十八年度の予算に要求をしてその資金の手当てをしなければならないものもありますし、それからどこのだれがこれを受け持つかというようなことをきめる問題もございますので、今後国内におけるこれの処理体制を整えてもらう必要があるわけでございます。その点は外務大臣も、閣議において、そういうことが必要であるから今後関係の省庁と協議をするつもりであるというふうに言っておられます。ごく最近、外務省からそういうふうな動きがございまして協議が始まっております。これもそのうらにはいろいろ具体化してくると思いますけれども、新しい問題でございますので、やはり議論をして参りますと、いろいろ問題がないわけではございません。いずれにいたしましても、資金がゼロではどうにもなりませんので、いずれ来年度の予算などについては、諸先生方の御支持と申しますか、お力がなければきまらないことでございますから、その辺は今からお願い申し上げたいと思っております。  簡単でありますけれども、要点だけ御報告いたしまして、もしも必要があればまた御質問にお答えするようにいたしたいと思います。
  37. 前田正男

    前田委員長 次に、鈴江事務次官よりお願いいたします。
  38. 鈴江康平

    ○鈴江説明員 ただいま兼重委員からお話がございましたので、特につけ加えることもないのでございますが、先ほど兼重委員から申し上げましたように、新しいテーマということもつけ加えられたわけでございますが、当初科学技術庁といたしまして、台風の問題その他日本としても相当切実な問題を日米の協力によって解決したいという気持もあったわけでございます。しかし、最初の昨年の会合におきましては、最初から非常にむずかしい問題を扱うよりも、まず協力の体制のひな形を作っていくというねらいが強かったのでそういった問題を一応見送ったのでありますが、今回の会合におきましては、ほかの委員の方と御相談いたしまして、台風の問題なりあるいは大気汚染あるいは水質汚濁というような問題も、これはあとの方は若干先の方の問題になりますけれども、そういう問題もこの委員会によって協力体制を打ち立てていくというめどがつきましたので大へん喜んでおるわけでございます。委員の中で私と、それから文部省のここにおられます岡野審議官、並びに西山公使、この三人は役人でございますので、むしろこういった勧告なり報告をどうやって政府がそれの実施に当たれるかというような問題を中心に考え立場にあったのでございますから、これは第二日目の委員会でございましたか、各主査がそれぞれアメリカ側の主査と個別的に話し合う会合があったわけでございますが、私はこういった問題をどうやって実現するかという問題についての打ち合わせをいたしたわけでございます。これは相手側といたしましてはナショナル・サイエンス・ファンデーションの、ドクター・ケリーが出てこられまして、個々の問題についてどうするというよりは、両国政府はどういったやり方でやるかというような関係でございますが、アメリカ側といたしましては、大体この報告によります結果につきましてはナショナル・サイエンス・ファンデーションが中心になりまして、そこで費用をこちらで持ちまして、あるいはまたクリアリング・ハウスといったような問題もございますが、そういった問題についてはとりあえずナショナル・サイエンス・ファンデーションがクリアリング・ハウスを設置するというようなことのお話があったわけでございます。日本側といたしましては、アメリカ機構とは違いまして、大学の関係につきましては文部省、その他各省の関係につきましては科学技術庁ということでございますので、日本側としてはそういったように一元的にはこの実現について責任をとるということにはならないだろうという話をいたしたわけでございます。しかし、日本側といたしましては、さっそくの問題については、文部省におきましては科学研究費の中からこれを支出することができるだろう、また科学技術庁におきましては研究調整費がございますので、そういったものを使って急ぐものは解決しないこともないのだという話をいたしました。しかし、三十八年度以降の問題につきましては、予算を編成して国会の承認を得なければできない、しかし、科学技術庁、文部省ともにできるだけそういった努力をするというような話をいたしたわけでございます。  そういうようなことで、今年の話し合いは終わったわけでございますが、その後、先ほど兼重委員からお話がございましたように、国内におきまして一応会合いたしまして、今後これをどうやって進めていくかということの話し合いをただいまやっておる最中でございます。私どもの感じましたことは、アメリカ側の委員と申しますのはパーマネントの委員でございまして、一回、二回、みな同じ人でございます。今後もそうだろう、しばらく続くだろうと思います。従いまして、一貫して問題を把握し、また研究しそれを推進する立場にあるわけでございますが、日本側といたしましては毎回委員が新しく任命されるということで、その間のつながりというものが形式的にはとれないわけでございます。従いまして、こういったパーマネントの委員にする方がいいのじゃないかというような話し合いも実はこの間起きたわけでございまして、そういった点、これは外務省の方で考えていただくようにお願いをしたような次第でございます。そういった問題と、それから今後これを進めるためにどういう機構でやっていったらよかろうか、もちろんこれは政府の方でこれをやるわけでございますけれども、しかし、こういった学術協力問題でございますから、やはりこの協力に当たる実際の学者側の意見も十分承知いたさなければなりませんので、そういうような連絡方法をどうするかというような話し合いをただいまやっておるわけでございます。  報告はここに書いてある通りでございますけれども、しかし、この内容につきましては、こまかい点についてはまだまだこれから検討を加えなければならぬ問題もございますので、私どもそういった今回行きました委員の方々ともどもに、こういった問題を具体化すべく努力いたして参りたいと思うのでございます。     —————————————
  39. 前田正男

    前田委員長 本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
  40. 岡良一

    ○岡委員 これは三木長官に御出席を願いたいのですが、残念ですが、率直な御感想を御出席の皆さんからお伺いいたしたいと思います。  今、鈴江次官からのお話によると、日本側の日米科学教育の委員はそのつどかわる、向こう側はパーマネント、これだけでも私は初めて聞いたのですが、それでは真の協力ができるかと私は思います。科学というものの本質からいいましても、そういう間に合わせの便宜主義ではほんとうに今言った協力はできるものではない。いわんや、ちゃんとテーマを設定しておる、こういう点にも私は非常に問題があると思うのですが、さらに範囲を広めまして、われわれがこうして国会に特別委員会を設けて、科学技術の発展に微力ながら国会として努力をしようという立場から考えましても、科学の進歩発展というものは日本だけでできるものじゃない。今日の科学というものは国際協力なしにはできるものじゃないということは、これは言わずと知れたことです。でありますから、日本の国内における科学技術政策を発展をさせる、推進をしようとするならば、この国際協力体制というものについても確固たる体制というものを持っておらなくては、とても国内における科学技術政策が推進できない。そういう点から見まして、この日本科学技術の分野における国際協力体制というものはどうなっているか、いろいろ私は疑点を感ずるわけです。先般この委員会で、南極観測、これはもっともっとやるべきだ、持続的にやるべきだという強い意見が出まして、決議をいたしております。これを一つとって見ましても、南極条約が結ばれて、南極条約では南極大陸はいずれの国のものでもないということになっている。そうなってくれば、これは従って外務省の所管とは若干趣きを異にするというふうな考えも出てくるのであります。おそらく公海というふうな概念も、従来の国際法上の公海という概念もあの地帯では適用されない。外務省の窓口というわけにもいかぬ面もあるということです。かと思えば、海上保安庁の方ではあそこに船を出す。船を出すが、限られた予算と人員の中でそこに船を出さなければならないから、出すということについては、海上保安庁としてはやはり非常な重荷を感じておられるような向きもある。さて、そこに出かけていく学者諸君は文部省の中におる、あるいは気象庁の職員もおる。各省ばらばらで間に合わせにかり集めてやっていくんだから、いいかげんなところで投げてしまう。いわばその実施業務を中心となって握って推進していく主体がない。これは私は宇宙開発問題にしても同じだと思う。宇宙空間などというものは、だれの領土でもない。そうなってくれば、国連の舞台で問題が論議されておるときは外務省が窓口だ。しかし、それ以外の分野ということになれば、またこれは文部省所管の学者諸君の手に研究がゆだねられ、進められていく。てんやわんや、こういうような形では、日本科学技術を推進するために、国際協力という分野においては非常に大きなマイナスがある。これを私は痛感をするわけです。これは兼重先生は特に長い間、われわれの委員会とも接触を持たれ、宇宙開発問題や原子力の問題で御苦労をいただいておるのですが、先生率直にいって、この際一つそういう機構をはっきりさせ、この国際協力業務というものを責任を持って推進をするところの主体的な局なり部分なりというものを作らなければだめであると私は思うのですが、あなたはどう思われますか。
  41. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 私の自分の気持だけ申し上げますが、御指摘のように、今、日本ではそういうことについてのはっきりした政策はきまっていないようでございます。また、きめる仕組みもないように思います。ただ、学術上の問題については、学術会議がそういうことについてかなり熱心に議論をしておりますけれども、学術会議も議論をし、それを勧告するにとどまりまして、あと自分が責任を持ってこれを実行するということができないという仕組みでございます。やはりくつを隔ててかくような感じでございます。この宇宙空間問題につきましては、私も幾度か日本で窓口を一つにしてほしいという希望を聞いておるのでございます。ただ、窓口という意味がいろいろございますが、その取りまとめ役としては、外務省が考えてもよろしいわけでございますが、それは事柄の性質によりましては、ほんとうにただ取り次ぎをしてもらうこと以上に出てほしいと申しましても、これは技術的な問題であれば困難であることは御想像の通りでございます。  さて、その内側の問題になりますと、やはりどうもなかなかうまく参りません。そこで、先般の宇宙開発審議会から出しました答申の中にも、そういう機構を作ってほしい、あるいは作るべきだという意味のことが書いてございますけれども、それをどういう形でどうして作ったらいいかということは、やはり外部の者が考えましても、事情が十分わかりませんために、適切でない案になるおそれが十分にございます。また、内部の人は事情はよくわかりますが、そのために多少これまでの行きがかりにとらわれるという欠点も出て参りますから、両者がよく協力をして新しい方式を見つける必要があると思っております。私は最近そういうような問題にいろいろ自分でさわっておるものでございますから、個人的なことではありますけれども、できるだけそういう問題についての協力をしてそれを進めるようなふうにいたしてはおりますけれども、こういうことは一人、二人の力でできることではございませんので、やはりそういう問題をこういう席で取り上げていただいたことは大へんありがたいと思っております。
  42. 岡良一

    ○岡委員 この問題は、やはり私ども委員会としても懸命にがんばっておる科学技術基本法にもかかわる重要な問題だと思うのです。でありますから、一つこの際委員長におかれては、適当な機会にこの問題について各関係者の方々の率直な御意見を承って、委員会としても何らかの結論と申しましょうか、構想があり得れば、またそれを政府関係にも申し入れてその実現に努力するというふうな方向にぜひ一つ善処を願いたいと思います。  それから、関連してお尋ねをいたしますが、先般この委員会宇宙開発仕事はやはり一本でやってもらいたいということを強く私どもが要請をいたしました。三木長官もその決意でやりたいということでありました。ところが、先ほど石川君の御質問にもありましたが、新聞紙などで、いわゆるオリンピックを目あての通信衛星利用、テレビの世界中継というようなことがしばしば報道されております。非常にユニークな、ショッキングな問題だから新聞が大きく取り上げているのかもしれませんが、この話はどの程度に進んでおるのでございますか。先ほど石川さんに対する御答弁ではちょっとはっきりわからなかったのでございますが、日本国際電電会社としてはどういう方針でどこまで進んでおりますか。
  43. 二条弼基

    ○二条説明員 お答えいたします。衛星通信の施設の進捗状況は、電波研究所とそれから国際電電の研究所と二つに分かれております。  電波研究所の方は、リレー衛星というものを対象に施設を計画いたしております。これはNASAが直接行なう実験に関連したものでございまして、初期の段階ではこの衛星からの電波を受信して、電波基礎科学研究を中心に展開してきたわけではございますが、たまたまテレビジョン中継という問題も出て参りましたので、送信の部分をも含めて計画中でございます。茨城県の南の鹿島町に約十数万坪の土地を得まして、基礎設備がすでに進んでございます。目下それにつけます三十メートルのパラボラ・アンテナの施設を取りつける準備が行なわれつつあります。それ以外の、それに付帯する送受信機は、目下製造会社と契約したものもございますし、これからの予算によってされるものもございまして、総合いたしまして、それらの施設が、もしかりに順調に予算の面も進みますれば、三十八年度末までには完成するという計画になってございます。  次に、国際電電の方は、これはNASAとATTとの打ち上げ計画によるテルスター衛星というものを対象に、国際間通信の実施というものを目標に実験施設が計画されてございますので、これもやはり先ほど申し上げた電波研究所の鹿島の実験所の南方十キロほどの地点に予定地を考慮してございます。現在のところは研究所におきますいろいろな施設の計画がほぼ完了したということで、発注それからアンテナの土台の建設その他は、今後これから行なわれる予定でございます。
  44. 岡良一

    ○岡委員 宇宙開発審議会の会長としての兼重さんにお伺いしたいと思います。今お聞きのような形で、電波研究所なり、国際電電の研究所では実用化の方向に対してぐんぐん進められておる。ところが、開発審議会が先般諮問に御答申になった案文を拝見いたしますと、きわめて研究団体ということを強く強調した印象を受けるわけであります。一体この国際電電なり電波研究所のこういう御計画というものは、宇宙開発審議会の方との間に何らかの連絡があり、また了解があり、その上で進められておるものなんですか、全然無縁に進められておるのですか。
  45. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 初めのことでございますが、答申の中に研究重点を置いておることは仰せの通りでございますが、今のような実用衛星については、国際協力を奨励するというような意味でそのことが触れてございます。  それから、電波研究所の三十メートルのパラボラ・アンテナの予算要求のときは、私がもう宇宙開発審議会の会長になっておったかどうか記憶いたしませんけれども、話は聞きまして、私もその実現には微力ながらお手伝いをしたことがございます。それで、現状そういうようなことがそれぞれ掛当のところで行なわれるのは、私は一向差しつかえないと考えておるのでございます。ただ、国内での連絡、もちろんやってはおりますけれども、それがはなはだ微温でございまして、そういう点、非常に完全にいっているかというふうな御質問であるといたしますと、私は率直に申して、今のでは十分でないというふうに感じるのでございます。しかし、決して全然連絡なしにということではありませんで、電波研究所の人も宇宙開発審議会のメンバーでございます。そういう事情は承知をしております。
  46. 岡良一

    ○岡委員 私も国際電電なり、電波研究所が、それぞれ今御答弁のような方向に御努力されることに対してこれを否定しようとはちっとも思わない。ただしかし、宇宙開発審議会設置法によってすでにできておる。これがやはり日本における宇宙開発宇宙空間平和利用のセンター的な役割を持っておるわけであります。でありますから、緊密な協同の体制があってほしい。先ほども申し上げましたように、現場の実施業務を担当される方々、その実施業務をおしなべて統一的に推し進めていくその中核というものがないと、ばらばらになってくるというようなことになっては、実はこんなことは申し上げるまでもなく、近代科学の統一性、総合性という観点から見ても、従来の役所のセクショナリズムによってそれが阻害されることは非常に私は将来に悪い影響があると思うので、こういう点もあわせてぜひわれわれとしても研究しなければならぬと思う。三木長官に具体的に案を示して御答弁を願いたいくらいに私は思っておるわけでありますが、ぜひこれは委員会としても慎重に検討したいと思う。  これと同じ問題が、気象庁にもありはしないかと思うのです。アメリカのタイロスは四号まで打ち上げましたか、そのほか、エアロスとかニンバスというような静止衛星なりあるいは極軌道衛星も気象関係で打ち上げることになっておりますが、先般アメリカのウェザー・リサーチ・センターの諸君の話では、気象庁と連絡があるやの話でありますが、単に情報の提供を受けているという程度なのか、あるいは写真でも提供を受けておるという程度なのか。あるいはどういう協力がすでに今日までなされておったのですか。
  47. 安井正巳

    ○安井説明員 現状を申し上げますと、タイロスで写しました映像をアメリカの方からファクシミリで流しております。われわれの方では、これは今のところは実験の段階で、この映像を受像しております。その受像した映像について、感度の点とか、その他いろいろな点については、常時向こうと情報交換しております。
  48. 岡良一

    ○岡委員 それでは兼重さんにお尋ねします。アメリカの方では日米協力議題にタイフーンとかハリケーンというようなものの情報を依頼したということでありますが、事前にもうすでに今申したような協力があるわけでございます。それとの関連は、どういうふうに総合されようというお気持ですか。
  49. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 お答え申し上げます。日米科学委員会の基本的な考え方としましては、現在行なわれておる協力関係はできるだけそのままで進めることにしておきたい。それに日米科学委員会が介入することによってじゃまするようなことにでもなったら、それこそ非常なマイナスでございますから、現に進行しておるものはそのままにして、やはり何かの障害のためにその進行状況が不十分であるとか、あるいは開始できないというふうなものについての協力を促進するということを基本方針にしております。それで、ハリケーンと台風の問題も、これまで気象庁とアメリカの気象局、ウェザー・ビューローとの間では、もちろんいろいろな協力関係があったそうでございますが、それは業務的な性格の強いものはそのまま両方の間で続けてもらいまして、研究的な性格の強いものを日米科学委員会でさらに促進する方法を検討しようということでございます。そういう場合に、気象庁がおもなる担当者になるということもあり得るかと思いますが、その辺は和達気象庁長官は幸い委員会委員でございますから、これは気象庁の長官としてお願いしたわけではないのでございますが、そういう問題検討するようにしてございます。従って、現在進行中のものまでも、何もかもあそこで取り上げることをしないというのが原則というふうにお考え下さってけっこうです。
  50. 岡良一

    ○岡委員 その他国際電電の方の関係ですが、通信衛星の共同利用といいますか、協力というようなことになりますると、これは外交的に何らかの協力協定を持たなければならないのではないですか。それとも経済ベースだけで、話し合いでまとまるというものですか。外務省の方にお伺いをいたします。
  51. 西堀正弘

    ○西堀説明員 お答え申し上げます。本件は、いつかNASAから申し入れがありました通信衛星観測衛星でございますが、観測衛星の点につきまして研究したことがあるのでございます。これは何分にも権利義務関係がいまだにはっきりしない部面が多うございますけれども、かりにこれが国民の権利義務に関連する点が非常に多いということになりますならば、これは当然国際条約を結ばなければならないということに相なるかと存じます。そうでなしに、現在の国内法できめられておる範囲内のことで国際協力ということが可能であるということでありますならば、これは単に行政協定でできるのじゃないかと存じます。しかし、行政協定にいたしましてもこれは国際上の協定でございますから、そういう意味におきましては、もちろん国際的な取りきめというものはやはりあった方が将来の実施には便利であろう、こう考えております。
  52. 前田正男

    前田委員長 次に齋藤憲三君。
  53. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 この科学協力に関する日米委員会の性格につきましては、この委員会でも前にいろいろ当局へお尋ねいたしましたが、はっきりしてないのです。これは勧告をする委員会だということであったのでありますが、ただいま兼重、鈴江両出席委員からお話を承りますと、来年もこれはやる。アメリカ側ではナショナル・サイエンス・ファンデーションから金を出し、日本では外務省と科学技術庁から金を出す。科学技術庁ではどういう金を出すかというと、調整費もあるのだ。こういうお話でございますが、私から申し上げるまでもないことだと思いますけれども、一体来年もやる日米科学委員会調整費から金を持ってくるなんという調整費は、私は性格上妥当じゃないと思う。もう来年やるときまっておったならば、何らかの形で三十八年度の予算にこれを組み入れるのが適当だと思う。しかし、単に日米間において大統領と総理との話し合いでこれが行なわれていく。いわば単に話し合いをした結果を勧告するという、法的な根拠もなければ、条約上においての何らの取りきめもない予算をこの日米委員会に使うということになりますと、これは国会の承認を求めなければならぬ。国会の承認を求めるということになると、性格がはっきりしなければならぬ。どういう立場でこれを来年もやられるのか。今までこれをやり来たったというその金の出どころですら、われわれから厳密にいうと多少の疑義があるのじゃないかと思うのです。アメリカはどうかというと、ナショナル・サイエンス・ファンデーション、民間側の金でもってやるというならば、これはまた別です。しかし、国家の金を目標として来年もやるということになりますと、全部資格というものが必要になってくるわけです。今回の日米科学委員会に三木長官が出席されるというから、どういう資格で出席されるのですかという質問をしたのでありますけれども、これは出席されるということが取りやめになった。ところが、鈴江次官は科学技術庁の事務次官として出席をしているのか、あるいはその資格でなくて委員として出席をしているのか。いやしくも官制において事務次官という肩書を持っておる者が日米科学委員会出席してあいさつをしている。どういう資格であいさつをしているか。また、朝海アメリカ大使もあいさつをしている。どういう資格であいさつをしているか。そしてその金は国家の予算から出ている金だということになりますと、この委員会はもっとはっきりした性格を持たなければ世の中はまかり通れないのじゃないかと私は思うのでありますが、こういう点は何回質問しても、あいまいもことして、はっきりしていないのです。そういうことが永続性があるのですか。一回、二回、三回とやっておって、そして性格的にあいまいであるという非難を世間から受けたり、国会で問題になったりして、ついには金が出なくなってみじめな終わりを告げるようなことがあったのでは、日本科学技術振興の体制からいって重大問題が起きはせぬか。それで私はいろいろ質問をしておる。ところが、さっぱりこれに対して結論が出てこない。あいまいもこたる性格に対して国家の予算が使えるはずはないということは、私から申し上げるまでもないと思っております。これはただいま御答弁をいただかなくていいのです。次会までにはっきりしたお考えをお示し願って、そのお考えに沿って、来年度はもっとはっきりした、力強い日米両国における科学委員会の遂行をわれわれははかりたいと考えております。さっき三十八年度から予算をとるようなお話で、しかも兼重委員でございましたが、予算をとりますときにはどうか諸先生方もしかるべく、こう言われておるわけでございますが、われわれそういうことがどうもよくわからない。ですから、予算を大蔵省に求めるときに、はっきりした形で強力に予算を獲得できるような体制に一つ持っていっていただきたい。これを次の機会に一つ御答弁を願いたいと思います。
  54. 鈴江康平

    ○鈴江説明員 ちょっと私釈明をさせていただきます。私先ほど調整費と申しましたのは、本年度急にやらなければならぬものにつきましては調整費というものがあるのだというお話をしたわけでございまして、先ほども、来年度以降につきましては予算を編成して国会の承認を得なければできないのだということは、はっきり言っておるわけでございます。先ほど申し上げた通りでございます。  それから、私が出席いたしましたのは外務大臣の委嘱ということになっておるのでございますが、もちろん学識経験者という意味ではなく、科学技術事務次官ということで委嘱をされたものだと思います。そうして、この委員会の法的な性格は、実は私もあまりよくわからないのでありますが、これは外務当局から考え方を述べていただく方が適当だと思いますけれども、ただ、この委員会をやりますときに閣議了解があるわけでございます。その中に、日米委員会勧告または報告があった場合には、その実現について文部省あるいは科学技術庁が協力するというようなことがたしかあったわけでございいます。そういう点で、われわれは閣議了解の線に基づきまして科学技術庁としては協力しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  55. 西堀正弘

    ○西堀説明員 ただいま何か日米科学委員会の性格がきわめてあいまいもことしておるというようなお話がございましたけれども、実はこの科学協力に関する日米間の委員会、これは正確に申し上げますと国内法上の行政機関ではございません。性格的に申し上げますと、これは国際間のいわば混合委員会という性格を持っております。そこで、両国の学識経験者が集まって日米科学協力のあり方について話をする。そうしてできたものは何であるかと申しますと、これは政府に対して勧告をする機関にすぎないということでございます。従いまして、この日米科学協力委員会を今後とも毎年少なくとも一回開いていくわけでございます。これは予算上外務省におきまして、いろいろな国との間の混合委員会と申しますか、国際的にこういうものに必要な経費と同じように、国際会議費として年々これは要求もし、当然つけられるものだと思っております。先生の御心配になっておられます性格があいまいもことしておるために予算がつかないではないかという点は、その勧告が政府に対してなされ、その勧告を政府が採択するということにきまった場合に、その実施について、これは膨大な予算になると存じます。従いまして、その点について今後どういうようなあり方にするか、こういう点は、先ほどから兼重先先その他から御説明申し上げましたように、鋭意研究中のところでございます。この科学協力委員会そのものにつきましては、そういったようにわれわれ何ら性格はあいまいではないし、きわめて明確である、こう存じておる次第でございます。
  56. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私の申し上げたのは、これは外務省からも予算が出る。これは外務省所管ならいいわけです。科学技術庁も予算の心配をしなければならぬ。そうすると、予算の面からいうと非常に性格があいまいだ。それは外務省が担当しておるならいいのですよ。ところが、外務省が担当していくということになりますと、一体何ぼの予算をもってこの大きな勧告をやるかということが、われわれは科学技術の建前からいくと非常に心配になってくるわけです。外務省がわれわれの要求通りの大きな組織を持って、アメリカ日本と対等の科学技術振興に対するこれだけの大きなテーマに対する勧告をやればいいわけです。しかも委員は一年ごとに交付しておる。そうしてわれわれからいうと、そんな勧告というのは一体尊重される性質を持っていけるかどうかということなんです。そこを私は言うておるのです、性格があいまいだというのは。一体本腰を入れて、国際のヒノキ舞台において、科学技術に関する日米両国間の勧告を日米政府に向かってやるだけの心がまえを持ってやっておるのか、おざなりでやっているのか、非常にあいまいな性格だと私は言うておるのです。それは予算が出るのだから、外務省では相当な理屈をつけてやっているでしょう。しかし、われわれは、科学技術振興という大きな建前からいくと、こんな一年更改の委員を十人ぐらい作って、そうして三日か四日アメリカへ行って論議をたたかわして、どうして勧告なんというものができるのです。そんなになまやさしい科学技術の振興じゃないですよ。だから、もっとはっきりした性格において、もっと予算を取って、もっと大がかりなことをやるならやるように、はっきりした性格を打ち出してくれ。やってもやらなくてもいいようならいいですけれども、しかもそれに朝海大使があいさつをしたり、今度は科学技術庁長官の三木さんが行くことになっておるのですから、そういうことになると、事はきわめて重大じゃないかということなんです。小さな、国際協力のどういう規定から予算が出るとかいうのではないのです。われわれはそれほど重大にこの問題考えたから、一体どういう考え方でこれを推進していくのかということを何べんも聞いたんです。ですから、はっきり毎年やっていくということであったらば、毎年やっていくように、そうして恥ずかしくないような体制を形づくれるようにやったらいいと思うんですが、それはどうなんですか。
  57. 西堀正弘

    ○西堀説明員 先先のおっしゃいました本委員会の性格についてはあいまいであるという点、よくわかりました。それで、今後の勧告をどういうふうにやっていくか、従ってそれについて予算をどういうふうにつけ、どういうふうに運営していくか、関係官庁においていかに協力していくかという点、まさにわれわれが現在各省庁の方々においでいただきまして研究中でございますから、その成案を得次第、また御報告申し上げたいと存じます。
  58. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 予算は外務省一本で、あと関係なくやるのだというのなら、そういう線をはっきり出しておいてくれるなら、われわれの考えもあるのです。しかし、科学技術庁も予算を取らなければならぬということになれば、やはりこの委員会としても相当考慮を払わなければならぬ、そういうことになるわけです。
  59. 前田正男

    前田委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十三分散会