運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-02-21 第40回国会 衆議院 運輸委員会観光に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十六年十二月二十日(水曜 日)委員会において設置することに決した。 十二月二十日  本小委員委員会において次の通り選任された。       生田 宏一君    川野 芳滿君       塚原 俊郎君    福家 俊一君       細田 吉藏君    三池  信君       山田 彌一君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       内海  清君 同日  塚原俊郎君が委員会において小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和三十七年二月二十一日(水曜日)     午前十時十六分開議  出席小委員    小委員長 塚原 俊郎君       川野 芳滿君    福家 俊一君       細田 吉藏君    山田 彌一君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  小委員外出席者         運 輸 委 員 佐々木義武君         運 輸 委 員 壽原 正一君         運 輸 委 員 關谷 勝利君         運 輸 委 員 井岡 大治君         内閣審議官   近藤 道夫君         運輸事務官         (観光局計画課         長)      安富由理男君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     降矢 敬義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  観光に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより運輸委員会観光に関する小委員会を開会いたします。  観光に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最初に、今三十七年度の予算も審議されておる状態でございますので、観光行政についての概括的な三十七年度計画に伴う御説明を伺いたいと思います。
  4. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまの先生お話に対しまして、ちょうど資料準備をいたしておりますので、資料をお手元にお届けいたしまして、その資料について御説明さしていただきたいと思います。  まず、お手元にお届けいたしました日本観光協会予算について申し上げたいと思います。  三十五年度と三十六年度と来年度の三カ年間について比較いたしました表でございます。  まず、収入の部が、政府出資金政府補助金、会員の会費及び賛助金、それから雑収入、その合計金額が、三十五年度が三億三千万円、三十六年度が四億二千万円、三十七年度が六億六千万円ということで、指数にいたしますと、一〇〇、一二七、二〇一と、出資を入れまして、三十五年度に対しまして来年度は倍になっておるわけでございます。  それに対しまして、支出の部では、海外事務所費海外宣伝資料作成費総合観光案内所施設費総合観光案内所運営費、それから管理費等受入体制整備費、こういった項目に分かれておるわけでございますが、その合計が、先ほど申し上げました収入と合うわけでございまして、こういうふうな観光協会予算になっておるわけでございます。  何をおきましても、この予算の一番大きな特徴をなしますものは、多年私どもの夢でございました政府出資をちょうだいしたいという念願がようやくにしてかなえられまして、一億の政府出資をちょうだいした、こういうことでございまして、その政府出資の一億は、総合観光案内所施設費に充当する、こういうことになっておるわけでございまして、丸ノ内かいわいの適当な個所に、ことしの十月の開設を目途にいたしまして、ただいま鋭意準備を進めておる段階でございます。その一億は、施設費そのものに充てるわけでございまして、その案内所運営に要する経費調度費だとか人件費だとかいうものが必要なわけでございますが、それで総合観光案内所運営費が千百二十万三千円上がっております。この金額施設運営に充てられる経費でございます。日本観光協会予算は、今申し上げましたようなわけで、海外活動宣伝中心わが国観光行政を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。  そのほか、海外活動宣伝以外に、国内事業といたしましては、観光局としてはユースホステルの問題がございます。これはただいま二十六設置されておりまして、そして国立ユースホステルが滋賀県の大津にございますが、これを入れますと、二十七になるわけでございます。これは、来年度は九カ所に設置をするという建前のもとに四千七百六十二万五千円という予算が一応計上されておるわけでございまして、これは大体一カ所五百万円見当の補助を出す、ころいうふうなことになっておるわけでございます。五十人収容ユースホステルに対しては五百万、それから百人収容するユースホステルに対しては七百五十万、こういうふうな算定のもとに計上されておるわけでございまして、五十人収容のところが八カ所、それから百人収容のところが一カ所というのが、予算算定の根拠になっております。  それから、国立ユースホステルセンターはずっと継続事業でやっておりまして、三十七年度で一応完成する、こういう計画のもとにただいま進めておるわけでございまして、これは来年度五千百五十万ほど計上になっておりますが、これによって一応三カ年継続で行なわれます国立ユースホステル建設はピリオドを打つ、こういうような建前になっておるわけでございます。  要するに日本観光協会に対する政府出資補助という一つの大きな柱と、それからユースホステル整備に対する補助金、それから国立ユースホステルセンター建設、こういったものが私ども観光局予算中心をなしておるわけでございまして、そのほかのものは、普通一般日常業務を行ないます。普通のいわば日常業務運営についての予算で、目新しいものは、特別申し上げるものはございませんようなわけでございます。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は、きょうは第一回目でありますから、一応運輸省観光行政というのを中心に行なって、また別の機会に、総合的な、文部省なり、厚生省なり、いろいろな関係機関のことについてお聞きすることにいたしまして、まずその前提として、今日観光行政というものが一応問題となってきたのは、やはりわが国貿易における国際収支の問題だと思うのです。国際収支の中における観光産業貿易外収支の問題というものは、大へん一つの問題となっておるわけでありまして、そういう建前からいきまして、国際収支の中における観光収支の果たしている役割、そして今後の任務、こういうような点について、どういうふうにお考えになっておるかという点についてお尋ねいたしたいと存じます。
  6. 梶本保邦

    梶本政府委員 まことに失礼でございますが、御説明をさせていただきます便宜にと思いまして表を持っておりますので、これで説明させていただきたいと思います。  これは、わが国への外客来訪数の過去の実績と将来の見通しを表にいたしたものでございまして、三十五年度までは実績でございます。三十五年度は、ここに書いてございますように二十一万二千人の外人がやって参っております。三十六年は、一部推定が含まれておりますけれども、二十四万八千人の人が参っております。この情勢は、大体対前年一七%ないし一八%ずつ増加をたどっておる、こういうふうな最近の増加傾向を示しておるわけでございまして、これに対しましてどのくらいの外貨手取り率があったかと申しますと、三十五年の二十一万二千人のときには一億一千六百万ドル、四百十八億円の外客消費額をあげております。それが昨年、三十六年の推定は、全体で一億三千七百万ドル、四百九十三億円、これが私ども推定でございます。今年度は、二十九万三千人の外客わが国にやって参りまして、外客消費額はおよそ五百九十億円、一億六千四百万ドルに達するであろう、かように考えておるわけでございまして、昭和三十八年には、三十五万人の外客がやって参りまして、そして消費額としましては二億ドル、七百二十億円というものを想定いたしておるわけでございます。それからオリンピックの行なわれます昭和三十九年でございますけれども、このときには、もしオリンピックなかりせば、この増加傾向をたどるとすれば四十二万人来るであろう、こういうように想定いたしております。それがオリンピックがあるために、五十五万人の外客わが国に来るであろう。そうしますと、五十五万人と四十二万人との差、十三万人というものがオリンピックを目ざして、オリンピックだけのためにわが国へ来訪する外客である、かように運輸省としては想定いたしておるわけであります。オリンピックが三十九年にございますので、四十年は、それが少し減りまして五十万四千人。それから依然として増加傾向を続けまして、十年後の昭和四十五年には、百二十五万二千人の人がわが国にやって参るであろう。そして外客消費額ベースとしては六億一千万ドル、二千百九十六億円の外客消費額を私ども想定いたしておるわけでございます。との想定は、今までの過去の経緯を考えて参りますと、決して架空な数字でもないし、私どもが勝手に捏造した数字でもない。当然達せられる目標であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。このように、人員の方では大体一七%ないし一八%の増、外客消費額ベースにおきましては大体二割近い増というのが、わが国傾向である、かように考えておるわけでございます。  さて先生のお尋ねのございました、その観光による収入日本の経済の中においてどのくらいの地位を占めておるんだ、こういう御質問に対しましてお答えを申し上げますと、わが国昭和三十六年度の年間輸出総額推定は、四十二億三千三百七十七万ドル、一兆五千二百四十一億円でございます。これに比較いたしますと、約三・二%になります。こういった貿易収支全体に対しての数字は三・二%でございますが、貿易外収入推定から申しますと、貿易外収入推定は七億八千四百万ドル、二千八百二十二億円でございますから、それと比較いたしますと、観光収入は一七・五%に達するものと想定をいたしております。  それからこの観光収入というものが、一体他の商品の輸出に比べてどのくらいのランクに位しておるかということを御参考までに申し上げますと、まず、わが国では鉄鋼材縞織物、船舶、魚介類、ラジオの受信機金属製品、こういったものが上位にございまして、その次の第七番目に位するのが、この観光収入でございます。従来はもっともっと低位にあったのでございますが、最近では、第七位にまで躍進をいたしておるような状態でございます。  それからなお、そのほかに特に申し上げたいと思いますことは、この観光収入というのは、いわゆる外貨手取り率というものが九八・六%と、非常に高いわけでございまして、別に関税障壁もございませんし、それから観光客の交流を通じまして、国際親善もはかれるというふうな効果もございますし、大体最近の傾向といたしまして、世界的な所得水準の上昇、あるいは労働時間の短縮に伴うところの余暇の増加、それからジェット機が普及しますことによって、国際交通迅速化による距離の短縮、こういったことを考えますと、ますますこの観光収入というものがこれから伸びていくに違いないということを、私どもとしましては確信をいたしておるわけでございまして、そういった確信のもとに、その確信が単なる夢に終わらないように、今後とも私ども政策を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 見通しについての一応の御確信立場の表明があったわけでありますが、やはり一番問題となる点は、一体国内受け入れがどうかという点ではないだろうかと思うのです。観光局から出されましたとの観光白書によりましても、輸送については心配がないということがいわれておるわけでありまして、私も、大体輸送については問題ないと思うのですが、やはり国内受け入れという点が、一番大きな問題だと思うのであります。そういう観点から、いろいろと逐次質問に入りたいと思います。  その最初に、この白書の中で大へん興味のある点を二、三伺ったわけでありますけれども太平洋極東観光圏という構想ですね。この構想前提となるというか、出てきた考え方を見て参りますと、ハワイまで来て日本に来ない、香港まで来ていながら日本に来ていない、こういうお客の推移というものが出されておるわけです。そこでハワイまで来た人を日本まで引き寄せるにはどうしたらいいか、香港まで来た人を日本に来させるにはどうしたらいいかという問題があるわけであります。それと一つ、問題は違いますけれども、一時上陸というものが、この点からいきますと、まだまだふやせるんじゃないだろうかという点もあります。そういう点は、税関の問題や、あるいはまた羽田におりて七十二時間内に見られる範囲、その交通事情というものもあろうと思うのです。そういう点などを考えてみますと、ここにも観光局としていわれております将来の日本国際観光の市場の地位を高めるためには、どうしても近隣諸国との極東観光圏というようなものの強化が強く考えられておるということで、私もこれはいい考え方だと思うのですが、この考え方というものをもう少し前へ進めていくには、一体どういうふうな考え方というものがいいのだろうかという点について、もし御構想でもありましたら、お伺いしたいと思うのです。
  8. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま観光白書によりまして御指摘をいただきましたように、私どもヨーロッパ東洋とを比べて一番悲しく思いますことは、ヨーロッパにおいては、ヨーロッパ全体のいわゆる国際観光圏が形成されておる。フランスへ行った人は、イギリスにも行くでしょうし、ドイツにも、イタリアにも、スイスにも、一時間ほど飛行機に乗れば直ちに隣の国へ行けるわけでございますけれども、そういった国際観光圏というものが、残念ながら東洋には形成されていない。日本へ来た人が、かりにお隣韓国へ参ろうと思いましても、韓国は御承知のような事情でございますから、南へ行った人は北へは行けないというふうなことでもございますし、また、台湾へ行った人が中共へ行きたいと思いましても、ヴィザの関係が必ずしもうまくいかないというふうなことで、東洋全体がもう少し観光圏形成ということに目覚めるならば、まだまだ東洋観光客を引きつけることができるに違いない、かように私ども考えておるわけでございます。現に、この白書の中にも指摘いたしましたことでございますが、香港へ参ります観光客は、年間十五万人を数えております。その十五万人の観光客の中で、日本から香港へ行く人、あるいは香港から日本へ来る人を除きますと、日本を素通りする人が半分以上の八万人に達しております。私どもは、これはほんとうに惜しいこと、残念なことだと考えております。せっかく香港まで来ながら、目と鼻の日本へどうしてお客を引きつけられないのかということは、実に残念なことでございます。と同時に、その対策観光に携わるものとしては十分に検討をしなければならない、かように考えておるわけでございますが、何がわが国にそういった観光客を阻害しているのかということを虚心たんかいに検討してみますると、いろいろの問題があろうと思います。たとえばホテルの料金が諸外国に比べて非常に割高になっておるという問題もございます。あるいは入出国の手続がもう少し迅速簡易に行なわれたら気持よく日本へ来訪できるんだがというふうな言葉も、間々聞くことでございます。  それから今私ども関係方面にいろいろお願いをいたしておりますことは、いわゆる料理等飲食税の問題がございます。これがこの三月三十一日限りで、昭和二十八年一月以来非課税措置が行なわれておりましたものが、課税されることになるということに法律の上ではなっておりますので、この点も、何とぞわが国の置かれている現在の国際観光地位というものをお考えいただいて、善処方をいただきたいということでございます。あるいはまた、観光地へ参ります道路が整備されていないというふうなこともございましょうし、また、言葉が不自由であるというふうなことによりまして、必ずしも快的な旅行をスムーズに行なうことができないというふうなこともあるのではないかというふうに考えております。それにもまして、香港と特に日本との関係を考えますと、香港世界のショッピング・センターになっておるということが、世界観光客の定説と申しますか、通説、常識のようなことになっておりまして、日本を見て、そして日本あまり金を使わぬで、香港に帰って、そこでみやげ物を買って帰る。あそこに行けば、日本で買うよりも、日本製写真機も安く買えるぞというふうなことが、観光客の間で流布され、それが常識のようになってしまうということは、これは私どもとしては非常におそるべきことだと考えておりますので、こういった面についても、やはり私どもとしましては、運輸省だけの問題ではなく、国全体として、こういったいろいろの施策について考えていかなければならない問題ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、単一ヨーロッパ観光圏というものと、それから太平洋地域における日本というような立場から考えてみると、かりにどういうような形で構成したら、ヨーロッパ単一のような形のものと別な角度から、新しい構想というものが考えられるのでしょうか。日本と、あるいは韓国なり、あるいは台湾なり、いろいろあるのでしょうが、中国の問題、あるいはソビエトのシベリア地域の問題、こういう点を考えたら、どんなふうなものでしょうか。考え方としては大へんいいように思うのですけれども、どんなふうなものの結び方で考えることが、アジアの特殊な立場のものができるのだろうか、こういうように思うのですが、その点について、もう少し何かありましたら、お伺いしたいと思いますが……。
  10. 梶本保邦

    梶本政府委員 今日本国内周遊旅行というのを考えてみましても、それほど完璧なルートというものが、形成されておりません。従って、日本に参ります外人の半分以上が、東京に滞在しておる。東京、京都、奈良大阪というこのルートが、ほとんど大半でございまして、大体東京奈良間に、その途中に箱根だとか熱海等がございますが、その間に宿泊され、その間を見て回る人が、全体の約八割七分でございます。従って、残り一三%というのがその他の地域に行く、こういう、私ども調査しましたところでは、統計が示しておるのでございますが、狭い日本国内を考えてみましても、北海道だとか、九州だとかに行く人が、非常に少ない現状でございます。私ども、今かりにこういった構想日本だけについても考えてみたのでございますが、羽田飛行機で着く。そして東京から札幌まで国鉄を利用する。札幌から今度は大阪飛行機で行く。大阪から汽船に乗って別府へ上陸する。別府から今度福岡まで自動車に乗って行く。福岡から羽田まで今度飛行機に乗って帰ってくる。こういった海、陸、空を通じての周遊旅行というものを考えられないか。その場合に、私たまたま運賃を計算制で足してみますると、四万一千四百九十五円になります。そうしますと、百ドルちょっと、それをそのまま計算しますと、そういう金額でございますから、これをたとえば割引する。そうすると、わかりやすく言えば、いわゆる百ドル周遊券というようなことになるわけでございまして、そういったものを海外で発売する。日本に来てから買わないで、外国で、その国を出るときに、日本エージェントの出張所、あるいは外国と契約を結んでおります外国エージェントに発売してもらうというふうなことで、日本に着いたら、その周遊券で回るというようなことだって考えられるじゃないか。まだそれすら、残念ながら現在行なわれておりませんので、こういったことも考えなければならないと思っておりますが、それにもまして、日本沖繩、あるいは香港台湾、フィリピンというふうな東洋諸国をぐるっと回る周遊券制度というものが、残念ながら現在まだ行なわれておりません。こういったことを諸外国ともっともっと話し合いをしていかなければならない問題じゃないかというふうに考えておるわけでございまして、幸い太平洋極東地域観光委員会、いわゆるPATAというものがあるわけでございまして、太平洋に面しております諸国が集まって、東洋へどういうふうにしたら客を引けるかというふうなことをお互いに研究し合う国際機関があるわけでございますが、そういったところでも始終この問題が出るわけでございますが、そういったことを将来もっともっと進めていかなければならぬ。それと一つの障害になっておりますことは、衛生状態でございまして、かぜは別といたしましても、チフスがはやるとか、コレラがどうのこうのというふうなことがよくございまして、やはり東洋全体の民度を高めるというふうなことも、一つの問題として、観光の面から考えますと、あるのではなかろうかというふうに思えるわけでございます。とにかく東洋全体を一つ観光ルートの中へ織り込んで、そうしてその周遊券外国において発売する。そうしてそれを割引するのだというふうな制度をもっともっと拡充していくということも、一つの方法じゃないかというふうに、私は考えておるわけでございます。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで最近、アメリカは、ドル防衛立場から、あらゆる分野にわたりまして詳細な対策をやっておるようでありますが、その一つの現われといたしまして、三十六年の六月ですか、国際旅行法というふうなものが制定をされて、積極的な国際観光客の獲得に大いに乗り出しておるというような状態であるようでありますが、このアメリカで現在行なっている国際旅行法というものは、どういうふうなものでありますか。それに対して、日本としてはどういうような形で対処すべきかという点について、まずお伺いしたいと思います。
  12. 梶本保邦

    梶本政府委員 今先生お話のように、私どもとしましては、一番関心を持たなければならない動向アメリカ動向でございます。と申しますのは、戦争を境としまして、わが国へ来訪する外客国籍別調査をいたしてみたのでございますが、戦前には、アメリカ人日本へやって参りましたパーセンテージは全体の二二%強でございましたが、それが最近では五四%になっております。それと逆の関係にございますのがお隣中国でございまして、中国は、戦前には二六・七%の来訪客があったのでございますが、残念ながら戦後は四・五%、こういうふうになっております。つまり私が統計の上から申し上げたいことは、戦争を境にして、わが国へ来る外客というものが、アメリカ中国がそのパーセンテージがひっくり返った、こういう事実でございます。この事実をすなおに考えますと、私どもとしては、アメリカがどのような政策をとるか、どのような観光についての対策をとるかということが、非常に大きな関心の的になって参るわけでございます。時たまたま、先生の御指摘になりましたような法律アメリカが出したわけでございます。今までのアメリカの——申し上げるのは失礼で、釈迦に説法でございますけれどもアメリカへ、アメリカへというので、アメリカからドルが流れるというので、アメリカ人外国へ出すといいますか、海外旅行を奨励しておりましたのが、今度は逆にアメリカへ旅客を誘致するんだ、観光客アメリカに来てもらうんだというふうに、政策の転換を行なったのでございます。この観光の面からだけ申しますと、そういうことでございます。その現われが、今度は日本海外事務所を設けておりますのと同じような事務所を諸外国に置くということになりまして、先般もアメリカ観光局長が私のところへあいさつにこられまして、アメリカも今度は日本観光事務所を置くことになった、どうぞよろしくたのむというふうなあいさつがあったのでありますが、そのようにアメリカ観光客を引きつけようというふうな考え方に変わって参ったわけでございます。それで、現在アメリカがどこに置いておるかと申しますと、ローマ、ロンドン、フランクフルト、シドニー、カラチ、それと東京と、全部で六カ所に今年度設置する予定だそうでございます。そしてねらいとしますところは、低廉に団体旅行を促進するとか、旅行障害の排除をするために、いろいろ便利なガイド等についても国として考えるとか、それがために、海外宣伝費を三百万ドル、来年度の予算として計上するというふうな話を聞いておるのでございます。  もう一つ耳新しい、私どもにとって一つ関心の的になりますことは、今まではアメリカでは、みやげ品をアメリカ人が持ち帰りました場合に、五百ドルまでは免税されておったのでございますが、その五百ドルという額を百ドルまで下げております。従って、今度は二百ドルでも税金をかけるということになるわけでございますから、勘定高いアメリカ人が、今まで五百ドルまで免税だというのでみやげ物を買っておったのが、今度は税金がかかるというので買わなくなるというふうな面で、あるいは私どもに影響があるのではなかろうかというような気持もいたしておりますが、ただいまのところでは、まだ影響が現われるという段階には至っておりませんけれども、やはり一番最初に申し上げましたように、わが国観光客の半分以上がアメリカ人であるという、この事実に徴しまして、今後ともアメリカ動向アメリカがどんな観光政策を立てるかということは、私ども十分に考えていかなければならない問題だ、かように考えております。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 アメリカのような国でさえ、今積極的に国際観光という点で乗り出してきたのでありますが、ましてや日本のような、昔から観光日本といわれるようなところでありながら、観光に対する行政というものは、だいぶおくれているわけであります。そこで過般来、業界の方々やいろいろな識者の方々から、観光基本法を作れ、あるいは観光事業振興法を作れというような意見が出て、具体的な構想も出てきておるようでありますが、その問題は、今のところどのようになっておりますか。総理府の方から、その現況について御説明願いたい。
  14. 近藤道夫

    ○近藤説明員 総務長官が旅行中で不在でございますので、私からかわりまして御説明申し上げます。  ただいまお尋ねの観光事業振興法でございますが、観光事業の振興に関しましては、観光事業を所管する各省庁が非常に多岐にわたっておりますので、従って、現在までのところ、総理府の内閣官房の審議室において、各省庁の事務を連絡調整するという段階になっております。  なお、これは御説明するまでもなく、観光事業審議会というものがございまして、審議会の諮問、建議等を通じまして、同じく連絡調整を促進しているという状況でございます。当然のことながら、広範多岐にわたっている行政でありますので、あるいはその行政機構を一元化しまして、もっと強力に観光事業を推進すべきであるという御意見に対して、われわれとしましては、十分検討すべきではございますが、現段階としましては、それぞれ各省の行政のワク内で、関連部局と密接な連携をとって観光事業の振興をはかるべきであるということで、鋭意努力しております。  なお、お尋ねの観光事業振興法につきましては、過般来、ある程度の内容を盛った法律案をお示しいただきまして、関係各省を集めまして、われわれの方が中心で検討しております。しかし、各省庁の行政が非常に多岐にわたっておりますので、なかなか統一された意見が固まりませんが、今後とも、なお検討を続けていくという段階でございます。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今のお話は、この前十二月でしたか、そのとき聞いたのと何も情勢は変わっていないわけでありまして、このことは、やはりまだアメリカドル不足というものと日本国際収支の赤字というものについての政府の認識の相違から、まあこういうものは何とかなるということになっていると思うのです。やはりこんなに資本の要らない金もうけはないのですから、入ってきたものが、大した投資をせずにみな収入になるわけですから、そういう点からいくならば、もう少し積極的な施策というものが必要じゃないだろうか。先ほどの観光局長説明でも、観光産業というものは七位になってきた、こう言われているわけです。そういう点からいうならば、やはりオリンピックを控えている今こそ、観光の問題について基本的に、各省庁のいろいろななわ張りをもっとスムーズな形にして、国全体が外客を喜んで迎える態勢というものを作るべきときにきているのではないかと思うのです。一つそういう点で、総務長官にも、また運輸省の政務次官もきておりますから、もう少し声を大にして、せめてことしの暮れくらいまでには、こういう構想というものができ——そのことは、ただまとめ上げるということではなくて、少しでも前に進むようにしてもらいたいと思うのです。  なお、今御承知のように、行政調査会の方でいろいろやっておりますが、いろいろ質問すると、あれ待ちだという声が出ますが、それこそまことに情けない政治のあり方だと思うのです。やはりそうではなくて、この辺でしっかりした方針というものを、よその国におくれないように、ぜひ作るようにしていただきたい、こう思うのです。この点について、総理府の方と、政務次官もきておりますから、運輸省のお考えも、両方お聞きしたいと思います。
  16. 近藤道夫

    ○近藤説明員 先生のお説の通りでございまして、なかんずくオリンピック東京大会を目前に控えておりますので、一そうその事態を推進させるべきものと思います。お話の中にありました臨時行政調査会において、やはり観光行政機構としての検討はあるいはなされるかもしれませんけれども、問題になっておりますのは、観光行政を一そう推進するといったような立場からの問題でございますので、行政調査会の結論を待ってどうこうするといったような判断ではございません。われわれも、今後とも各省庁とよく協調いたしまして、検討を進めていきたいという所存でございます。
  17. 有馬英治

    ○有馬政府委員 国際観光の問題につきましては、勝澤委員のおっしゃる通りでございまして、私も全く同感でございます。従いまして、運輸省といたしましても、三十七年度予算編成におきましては、大きな眼目として取り組んだわけでございますが、諸般の情勢もございまして、当初の期待通りには参らなかったのでございますけれども、熱意においては、全く仰せの趣旨で今後も進み、少なくとも再来年度の予算が審議し始められる夏ごろまでには、何とかもっと前進した方策を総合的に立てなければいけないと存じます。ただ、遺憾ながら、御承知のように運輸省だけで国際観光の問題を解決することができないような情勢でございまして、むしろ外客に御満足のいくような点は、運輸省外の方に相当ございますので、その間の調整に相当時日を要し、また困難な点もあろうと思いますが、仰せの御趣旨で、運輸省としては、今日も、また将来に向かっても、どこまでも観光政策を強化する方向で努力をいたすつもりでございます。御了承願いたいと思います。
  18. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今総理府なりあるいは運輸省の見解が述べられまして、その意味におきまして、われわれ観光委員会も、運輸省のワクの中だけでなくて、全般的な観光に関連をする各省についての要求もこれからしていかなければならないかと思いますので、一つせっかく御努力を願いたいと思う次第でございます。  そこで次に、海外観光宣伝の現況についてお尋ねをいたしたいのですが、最近の海外観光宣伝機関の活動状況というものは、どんなふうになされておるのでございましょうか。
  19. 梶本保邦

    梶本政府委員 諸外国の例を見ますと、政府みずからが直営で海外活動宣伝をやるか、あるいはいわば半官半民的な特殊法人のようなものに政府が全額補助金を出して海外活動宣伝をやるか、この二種類が大半の形態でございます。日本では、御承知の通り、本来政府がやるべきではございますけれども、政府の代行機関として、日本観光協会法に基づく特殊法人日本観光協会が、政府になりかわって海外活動宣伝をやっておったというのが、日本の実情でございます。現在その海外事務所というものが、全部で九つ動いております。これはホノルル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、トロント、ロンドン、パリ、バンコック、シドニーの九カ所でございます。それが来年度の予算で西独のフランクフルトとアメリカのテキサス州のダラスの二カ所に増設することが認められまして、これが全部稼動いたしますと、十一カ所の在外事務所を持つことになるわけでございます。従って、この在外事務所を通じて日本観光宣伝をするというのが、今までの私ども立場、やり方でございます。  それで、その協会が海外事務所を設けておるわけでございますけれども、その宣伝網を通じて宣伝、印刷物を配布する。あるいは新聞雑誌等に広告もしたり、あるいはテレビ、ラジオ広告、それから観光映画の上映といったことを行ないまして、わが国観光宣伝に努めておるわけでございます。何でも向こうでは、テレビのスポンサーに売ります時間が三十分というのが一つの区切りになっておるそうでございまして、従って、日本のこれらの海外観光宣伝用の映画というのは、大体上映時間を二十七分にいたしております。あとの三分というのはスポンサーの広告に充てるというふうなやり方までいたしまして、わが国宣伝に努めておるわけでございます。実は昨年度も、「東京」という映画と、それから「古い都京都」という二本の映画は、それぞれ世界観光映画祭におきまして首位賞を得たようなこともございまして、わが国観光映画というものが、世界的レベルから考えましても、非常にすぐれたものであるということを私ども確信をいたしておるわけでございますが、なお、この宣伝ということは、今後ともやはり強化をしていかなければならない問題だというふうに考えております。
  20. 加藤勘十

    加藤(勘)小委員 関連。今の御説明によりますと、来年度の海外宣伝個所として二カ所、フランクフルトとダラスをあげられたわけですが、この前の小委員会では三カ所あげられている。ブエノスアイレスをあげられておる。僕は、そのときに、同じ南米に設けるならば、ブエノスアイレスよりもサンパウロの方が先ではないか。それはあなたの方へ、そういう点について考慮する余地があれば一考されることがいいのじゃないか、こういうことを言うたことがあるのですが、それはどういう事情でブエノスアイレスが中止になって二カ所になったのか、その間の事情を聞かしてもらいたい。
  21. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいま先生お話の通り、三カ所予算要求をいたしました。当観光に関する小委員会において、ブエノスアイレスについての先生お話も、確かにちょうだいをいたしております。ときたまたま私外遊中でございましたので、ここにおります計画課長が先生お話に対してお答え申し上げたことを、あとで議事録を私拝読いたしまして、先生の御趣旨のおありのところを十分拝察いたしたわけであります。それで、私どもとしましては、できれば三カ所というものがほしいと考えたのでございますが、いろいろ予算の折衝上、来年度は二カ所ということになったわけでございます。二カ所となりますとどこを選ぶかということでございますが、まず私は、ドイツのフランクフルトを選ぶというのが、やはり一つ考え方だと考えたわけでございます。これは今ロンドンに一つとパリに一つとあるわけでございますが、ヨーロッパ大陸の観光宣伝網をどう持っていくかということから考えますと、どうしても英仏独と、このドイツにやはり一つほしいのでございます。フランクフルトには、現在四十五の航空会社が乗り込んでおります。ドイツ国鉄の本社も、フランクフルトにございます。それから観光協会の本部も、あそこにございます。それからドイツ最大の航空会社のルフトハンザの本社が、近くフランクフルトに移ってくるというような話も聞いておりますし、とにかくあそこは、世界のこういった観光関係事務所がうんと集っておるところでございまして、日本としても、英仏独のこのドイツが一つの盲点になっておりますので、あそこに置きたい、こういうふうな気持で臨んだわけであります。それからもう一つのテキサス州のダラスでございますが、これはアメリカ大陸の地図を広げてみますと、どう考えましても、南部の方が一つの盲点と申しますか、空地になっておるわけでございまして、それでここに一つ設けるということが必要であるということは、これは加藤先生に申し上げるのはまことに失礼でございますが、あのテキサス州の石油の業者といいますか、大きなものがたくさんございますし、最近私どもの得ました情報によりますと、テキサス州のそういった方々の海外旅行が非常にふえておるそうでございます。従って、われわれとしても、アメリカ大陸の地図を広げて静かに考えますと、あの点が盲点になっておるということと、あの点が私どものこれから開拓していかなければならない一つの分野だというふうに考えまして、そして予算の折衝過程におきまして、二カ所ということになりましたので、フランクフルトとダラスに置きましたようなわけでございます。ブエノスアイレスとサンパウロの問題につきましては、しばらく私どもとしてはいろいろのデータによって検討させていただきたい、かようにただいま考えておるわけでございます。
  22. 加藤勘十

    加藤(勘)小委員 ドイツのフランクフルトは、ごもっともです。それからまたテキサス州に設けるということ、これもごもっともです。私どもはそれをいけないなんとみじんも思っておりませんし、むしろ足らないくらいだと思っておるんだが、本来外客日本に来るアジア地域ヨーロッパ地域、北アメリカ、中南米の各地域における外来客の推移の状況等も聞かしてもらうと、将来観光客をどの方面に発展させていく余地があるかということを知ることができると思います。そういう点で、今はブラジルは、為替関係が非常に悪いから、すぐにどうこうということはむずかしいかもしれぬけれども、将来非常に発展する可能性を持った国柄です。これはブラジルばかりでなく、中南米全体について言えることだと思いますけれども、やはり人口を多く擁する点、経済的な発展の可能性を持っておる地域、そういう方面に観光客を誘致するような宣伝が必要である、こういうことから、私は中南米に置かれるならばサンパウロの方をまず第一に着手すべきじゃないかという意味のことを言うたので、予算が削られてしまって二カ所しか得られなかったということであれば、これは政府部内のことであるからわれわれはかれこれ言いませんけれども、しかしながら、観光事業というものが、特にオリンピックを迎えて、ただいま御説明になったような多くの外客を誘致しようというならば、やはりこれは欧米に限定さるべきでなくて、もっと広い範囲の外客を誘致するような方法が、具体的に講じられなければならない。外客の数というものは、先ほど来御説明がありましたように、ただ単に観光客を迎えて外貨を獲得するということでなく、日本の文化を世界に紹介し、さらに日本とその国々との相互の理解を深めるという、非常に大きな文化性を持った事業だと思います。そういう点に対して、わずかな費用を削るという政府の方針そのものも——先ほど総理府の御説明もありましたけれども、ほんとうに観光事業を発展せしめようというならば、わずかな費用をそういうところで削って、事務当局が案出した案を縮小するというような予算方針ではいかぬ。非常に膨大な予算を必要とするなら別ですけれども、全体をあげたところで、ほんの二億円か三億円これよりふえるという程度にすぎない。そういうことについて、今政務次官もおっしゃったように、来年度の予算編成までにはもっと具体的な振興方策について考えるということでありましたから、十分に一つその点を考えられて、オリンピックを迎えるにあたって、どうして外客を誘致するかということについて万遺憾のない方法を講じられることを希望して、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 有馬英治

    ○有馬政府委員 運輸省といたしましては、加藤委員のおっしゃるように、南米の事務所は、いずれにいたしましても重要であると考えております。従いまして、御趣旨を十分拝聴いたしまして、これを生かすように努力いたします。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今ヨーロッパの客が少ないというのが、統計的に出ておる。ヨーロッパの客の少ない原因を見てみると、海外観光事務所の配置を見てみても、やはり配置が足りないというのがよくわかるのです。そこで観光事業審議会でも、海外観光宣伝強化の策として、三十八年度までには十五カ所くらい設置しなければいかぬといわれている。そこで三十七年度で十一カ所になったわけですけれども、三十八年度はあと四カ所、これはできるのですか。どういう計画になっておるのですか。せっかく相当な人たちが、いろいろ考えてやられたのですが、この辺はどうなっておりますか。
  25. 梶本保邦

    梶本政府委員 お説の通り、観光事業審議会の答申が出ましたのが、すでに昭和三十四年九月十五日でございますが、私どもとしましては、オリンピックまでに、その答申をちょうだいいたしました通り、十五の海外事務所を持ちたい、これが私どもの悲願であったわけでございます。従いまして、それに到達いたしますためには、三十七年度に三カ所、三十八年度に三カ所、合わせて六カ所作っていただければちょうど十五カ所になるというのが、私どもの強い主張であったわけでございますけれども、残念ながら、ことに二カ所ということになりましたので、私どもとしましては、あくまでも観光事業審議会の答申の御趣旨にのっとりまして、来年度は四カ所の要求をして、そしてオリンピックまでにとにもかくにも十五の事務所を作りたい、かような願いを持っておる次第でございます。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 観光局長の力が弱かったわけじゃなくて、池田内閣全体のものの考え方が違っておったのだろうと思うのです。しかし、一事務所予算というものは、大したことはないわけです。作ろうと思えば——私は決算委員会に出ておりますが、決算を見ますと、毎年相当莫大な不用額というものが出ておるわけです。予算をもらっても使わない。一つの省なんかでは、一つのことに十数億使うのを三年も繰り越した事業があるわけです。ですから、そういう点で、それは局長の方から言うわけにはいきませんけれども、与党の皆さんの方で、そういう点はよく申し上げておきますから、ここの省のこれはまた繰り越しになりそうだ、不用額になりそうだというところをねらって、せめてもう少し態勢を強化するようにぜひ願いたいと思うのです。  そこで海外宣伝は、大使館、公使館も使われておるようですが、海外貿易関係事務所もありますし、海外事務所のないところはどういう形になっておるのか。それと嘱託の宣伝員というのがありますが、この運用というのはどういうようになされておるのか。
  27. 梶本保邦

    梶本政府委員 在外公館の数が、たしか私の記憶によりますと、九十九あると記憶いたしております。その在外公館等にも私ども資料を差し上げて、そして海外事務所のないところはやっていただいておりますが、同時に、事務所はどうしても置きたいが、なかなか事情が許さないというようなところにおきましては、今御指摘いただきました宣伝嘱託員を置いております。たとえばシンガポールとか、それからローマとかいうようなところに置いておるわけでございまして、長くそこに滞在しておられる日本人で、そこの国の国籍は取っておられましても、出が日本人であるという方、あるいは日本について非常に親日的な気持を持っていただいております現地の観光関係の方というふうな方をお願いをいたしまして、日本観光協会の嘱託員というふうな資格で、そこへいろいろの宣伝印刷物を送ったり、映画を送って、その方にいろいろの会合で映写するような手配をしていただいたりというふうなことで、事務所を置きたいんだが置けない、その一つ手前の段階は、そういった宣伝嘱託員制度を活用するということで、ただいま組織網の充実をはかっておるようなわけでございます。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、ぜひ海外観光宣伝の今行なっている状況と、予算関係についての、たとえばシンガポールではどれくらい嘱託員がおって、幾らくらい金を使っているんだというような資料がありましたら、次の機会までに一つ資料として出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  29. 梶本保邦

    梶本政府委員 承知いたしました。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、国際観光にもう少し力を入れるべきだということで、今回日本観光協会に一応出資がなされたわけでありますが、私、どうもけたを間違えたんじゃないだろうかとよく見ましたら、一億だそうで、十億の要求をして一億だとは、ほんとうに情けないことだと思う。きょうは、実は大臣が参られたら、十億が一億になった経過の説明を聞こうと思ったのですが、それで、その中で全部やりくりするだろうと思ったら、そうでなくて、今度は補助金の方に出した金で運営をやるということなんですが、これはどうなんですか。今回はということであって、やはり政府としては、一億じゃ少ない、もっと力を入れなければならぬ、こういうようにむろん考えられていると思うのです。日本貿易振興会、あるいはいろいろな協会があるわけでありますけれども、こういうものに引き比べてみて、先ほど観光産業は七番目だといわれるにしては、あまりにもお粗末なものの考え方だと思うのですが、国際的な観光についての力の入れ方というものは、まだまだなまぬるい。そのことは、アメリカドル防衛についての引き締めというものは、深刻に日本の経済に影響がないと考えておったこととうらはらの関係があると私は思うのです。国際収支に対する日本考え方というものが、まだまだ甘い考え方を持っておるということは、このことからも言えるのじゃないかと思うのです。こういう点も考えると、この問題について今まで何にもなかったんですから、一億は、大へん政務次官も一生懸命努力したことは認められますけれども、どうもちょっとお粗末じゃないだろうか、こう思うのですが、一つその見通し対策についてお伺いしたいのです。
  31. 有馬英治

    ○有馬政府委員 出資の問題につきましては、私ども当初の期待通りに参りませんでした。その主たる理由は、今回は、諸般の情勢から設備投資をするという考え方で、最後の話し合いが行なわれたものでございます。設備ということになりますると、とりあえず一億くらいで出発ができないかというようなことで、今日の状態になったわけでございます。仰せの通り、観光政策全体から考えますると、まだまだ微々たるものでございまして、再来年度の予算編成に向かいまして、一そうこの点も充実していきたいと考えております。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほど、この総合観光案内所構想の中で、丸の内近辺を考えられておるそうでありますが、私、東京の値段はよくわかりませんが、一億くらいで一体どういうものを作るんだろう。それが設備だということならば、土地、建物をかりに買うとしたら、一億では大したものはできないだろうと思います。ただ、政府としてもここまで乗り出したのでありますから、三十八年度についての一そうの努力をお願いをして、次に進みたいと思います。  ホテル関係の財政投融資の関係がまだ出ていないようでありますが、その点について、どんなふうになっておるか、お尋ねしたいのです。
  33. 梶本保邦

    梶本政府委員 ホテルにつきまして、財政投融資を初めてちょうだいいたしましたのは、昭和二十六年でございます。昭和二十六年から主十五年までの十年間に、開発銀行から出ましたホテル関係の融資は、ちょうど五十五億でございます。ホテルの数で四十五でございます。御参考までにその中で一番まとまって出ましたのを申し上げますと、帝国ホテルの約十億でございます。それが三十五年までの状況でございますが、三十六年度、つまり今年度は、ただいまのところ、約二十三億開発銀行からホテル関係に融資が出ております。来年度は、私どもとすれば、これよりももっとふやしたいというので、いろいろお願いをいたしておるわけでございますが、いかんせん、財政投融資は、田力とか鉄鋼とか海運とかという大きな方に多くとられまして、関係方面に観光の産業であるという実情がなかなか認識されませんで、私ども非常に残念に思っておるわけでございますけれども、少なくとも今年度よりは多く開発銀行の融資をちょうだいしたい、かように努力はいたしておるわけでございます。なお、そのほかに長期信用銀行、中小企業金融公庫、こういった方面からの融資も私ども考えておるわけでございまして、現に中小企業金融公庫からは、一件について二千万まで融資をするということで、一件について増額をしていただきましたようなわけで、開発銀行の融資のできない部面については、中小企業金融公庫の融資をお願いをするというふうなことで、いろいろの手を使いまして、各方面からの融資をお願いするということで、ただいまいっておるわけでございます。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この融資につきましては、長期で低利という要求が出ておるようでありまして、また、地方観光地のリゾート地域というのですか、こういうところの整備というのは、経営採算の面で、ほうっておいては相当困難だということがいわれておるようでありますが、こういう点から考えてみると、やはり全体的な整備を進めていく中で、ほうっておいても、採算のとれるところはどんどんできるでしょうが、採算のとれないところについても、国際観光という立場から、シーズン・オフにはそこへ行くわけですから、このリゾード地域についての問題も、少しく考えを強める必要があるのではなかろうか、こう思うわけです。  もう一つの問題は、上級ホテルだけでなく、中級ホテルについても考えなければならぬときにきているということがいわれておるようでありますが、これもまことにごもっともだと思うのです。私の友人なんかでも、金がないのですけれどもヨーロッパへこの間行ってきた。どこへ泊ってきたかというと、ユースホステルばかり利用してきたんだという話を聞きまして、われわれ貧乏人でも外国旅行ができるんだなという感じを受けたのですけれども、そういう点から考えてみますと、最近では、日本でもそういう中級のホテルというものについてもう少し力を入れる必要があるのじゃないだろうか、こう思うのです。ですから、そういうリゾート地域についての問題と、それから中級ホテルに対する問題、この二つの問題というのは、少し従来と変わった角度から、指導的な面で積極的な努力をすべきではないだろうか、こう思うのですが、その辺についていかがでしょうか。
  35. 梶本保邦

    梶本政府委員 全くお説の通りでございまして、大体ホテルというものの建設にどのくらい金がかかるかと申しますと、最近できましたパレスホテル、あるいはニュージャパン、それから今建設中の東急ヒルトンホテル、こういったものを検討してみますると、大ざっぱに申しまして、一室一千万円とお考え下さればけっこうでございます。これはこういうわけでございます。ホテルにはロビーも要れば、食堂も要る。それから機械室も要れば、洗たく室も要る。そういったあらゆる付属設備というものが必要なわけでございます。ホテル全体の建物の建設費の中で、そういった今申し上げましたような付属的なものを含めたホテル全体の建設費を有効な部屋数で割りました場合には、一室一千万円、かようにお考え下さいましてけっこうでございます。その一室一千万円の建設費がかかりますと、どうしてもホテルの料金というものは、やはり最低四千円以上とらなければ採算が合わない、こういうことになるわけでございます。これで間々日本のホテルは高いというふうな悪評を生むわけでございまして、これをどういうふうにして切りくずすかというのが、私どもに与えられた一つの課題である、かように考えております。従いまして、なぜそのようにホテルの建設が高くつくかといえば、普通考えられますことは、金利が高い。開発銀行から融資をいただきましても八分七厘でございまして、海運とはだいぶん開きがあるわけでございます。八分七厘でございます。それから土地というものが、東京のようなところに物色いたしましても、なかなか手に入らないし、手に入りましても非常に高価につく。また、日本は地震国であるというようなことから、必要以上に設計に注意を払わなければならないというふうなことが、ホテルの建設費の高くついておる原因だと考えておりますが、まあいろいろ財政投融資をお願いするととはお願いするといたしまして、私ども一つ声を大にして叫んでおりますることは、一室五百万程度のホテルの建設に乗り出そうじゃないか、こういうことでございます。一室五百万程度のホテルと申しますことは、それ以上の高価なホテルを作ってはならないというのではございませんで、国が財政投融資の対象として考えるホテル、国が財政投融資のお世話を申し上げるホテルというものは、せいぜい一室五百万円見当を対象に考えようじゃないか。それ以上、よりデラックスなホテルをお作りになりたい方は、どうぞ増資をするなり、市中銀行から金を借りられるなり、自分でお金の都合をしていただいて、幾らでもりっぱなものをお作りいただいてけっこうです。ただ、国がお世話を申し上げるのは、一室五百万円程度を対象にしてしようじゃないかというのが、私ども今声を大にして打ち出しておる一つ考え方でございます。これによりますと、大体五ドル程度でいいのではないかというふうに考えております。五ドルと申しますと、まあ大体二千円前後でございますが、このくらいまでホテルの料金を下げていけば非常にいいのではないかという、一つ考え方を持っておるわけでございまして、もう何も、あすこのホテルがデラックスのホテルを作ったからうちも負けないように作りたいというふうなことで、いたずらに競争心を刺激するよりも、手軽に低廉な料金で泊まり得るホテルというのをこれから十分考えていかなければならぬ問題だ。それで、一室五百万という一つの合言葉を私どもキャッチ・フレーズにいたしまして、ただいまいたしておるわけでございます。  それからもう一つ先生お話しのリゾート地域におけるホテルでございますが、この白書にも指摘いたしておりますように、リゾート地域におけるホテルの採算は、他のホテルに比べまして悪いわけでございます。というのは、いわゆるリゾート地域でございますから、シーズンとシーズン・オフの波が非常にあるわけでございます。従って、シーズン中はわれもわれもとこの地域へ押しかけますけれども、シーズン・オフになりますと、閑古鳥が鳴くというふうなことで、ホテルとしては、年間を通ずると採算がとれない、こういう情勢になっておりますので、そのシーズン・オフのときにも観光ルートに乗っけるということが、一つの仕事じゃないかと思うのです。それで、シーズン・オフにも、そこを一つ観光ルートにして、その観光ルートで、そこを通っていくルートに乗っけてしまうのだ。そうすれば、シーズンとシーズン・オフの波というものがなくなるのじゃないか。これが、これからの私どものリゾート・ホテルに対する行き方じゃないか、かように考えておるわけでございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、私、先般、国政調査で伊豆地方を回ったときにちょっと言われたのですが、観光施設について共同でやる。たとえば組合があれば、旅館組合がやる、あるいは町がやる、こういうような観光施設を共同で施設する場合に、何か国が補助というようなことができないだろうか、あるいはこれについての協力をしてくれる方法はないだろうか、こういう点が言われたわけであります。特に地方に行きますれば、採算のとれないところにはなかなかいいものが建たないわけでありまして、これを公共的な面として、その町、村を発展させるための観光としてこういうものを考えるときには、一つ考え方としては大へんいい構想だと思うのですが、こういう点についての何か施策というものについて、お考えになっておられますか。
  37. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまのお話の点について私どもとして考えておりますことは、商工組合中央金庫、これが一つの融資をやってもらえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。これは大体融資期間が、商工中金は、御承知の通り五年以内ということでございまして、融資期間がそういうふうになっておるわけでございます。そういったことが、今おっしゃった組合によるこういった宿泊の施設を共同に作るという場合には、一つの持って行き方、考え方ではないかというふうに考えております。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 まだ具体的な例もないようですけれども、私も先般聞いて、一つ構想として、いなかの大へんいい景勝地にホテルを作る、あるいは遊園地を作る。しかし、町の財政からいって大へんだ。しかし、その町を発展させるためには何とか考えるべきだというような——これは国際的な観光というよりも、国内的なものになるのでしょうが、そういう点からは、よく中小企業なんかの共同施設なんかにつきましては、商工中金からいろいろと機械設備その他について出されておるわけですから、そういう点から考えて、一つ観光というものを、レジャー・ブームによる遊興というよりも、産業的なものだという見方をするならば、一つ考え方としては可能じゃないだろうかというふうに思うわけでありまして、まあ一つ御検討をしていただきたいと思う次第でございます。  次に、ホテル代が日本は高いと、こうよく言われているのですが、外国と比較して——まあ高い原因はわかります。建物、金利が高いとかいろいろありますけれども外国と比較して日本の料金は大体どういうところにあるのでしょうか。
  39. 梶本保邦

    梶本政府委員 先生、お手元白書をお持ちでございましたら、五十四ページで私ども指摘いたしているのでございますが、上級ホテル、中級ホテル、並級ホテル、これでございます。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、このホテル代を見ますと、確かに日本は高いようです。高いから日本になかなか来ない。香港まで来るけれども日本に来ない。こう言われているわけです。そういうためもあるでしょうし、いろいろなことから、今まで宿泊料についての料理飲食等の消費税の非課税措置というものが暫定的に行なわれてきたのじゃないかと思うんです。これは過般も問題になりまして、観光局長あるいは運輸省立場から、あるいは木暮運輸大臣以来、これは永続的のものにしたいという念願で努力をされているようであります。ましてやオリンピックを控えておるという建前からいって、当然この問題は存続させるべきだと私は思うわけであります。しかし、これを無条件にどのまま今まで通りにやるということについては、いろいろ難色があるようでありまして、それは百八十日も日本におるというようなことから、いわば一時的なお客というよりも、長過ぎるわけでありますから、期間の問題、それからやり方の問題等々検討されて、従来通りこれは非課税を存続させるというふうなことが正しいのじゃないだろうかと思うんですが、これについてのお考えを伺いたい。
  41. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいま勝澤先生の御質問でございますが、先般、この小委員会でも私たちの考えを率直に述べさせていただいたわけでございます。これは先般も申し上げた通りでございまして、税制の立場からはなかなか理屈のつけがたい問題ではなかろうかというふうに私たちは考えておるわけでございます。それで、純粋な税制の立場から考えれば、消費税である、つまり物税というものについて内外人を区別するということは、諸外国の例に徴してもございませんし、やはり一般の税の理論からは適当でないという考え方のもとに、昨年の通常国会で改正をして、暫定的に一年だけ非課税措置を続ける、こういうことにしたわけでございます。ただ、先生から今お話がありましたように、政府、与党の方面におきましては、外客誘致あるいは観光政策という広い見地から、先ほど御質問がございましたような観光全般を通ずる基本的な施策の一環の中において、種々御検討のようでございますので、われわれもまだ成案を得て検討しておるわけではございませんが、その方面のいろいろな御検討があるようでございますので、その結果はどういうことになりますか、私、承知しておりません。そういう全体の動きは、先生御承知かと思うのでございますが、現在の段階では、われわれとしては、先般ここで先生の御質問に申し上げたような考え方で進んでおるわけでございます。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、この問題につきましては、観光事業審議会におはかりになって、観光事業審議会の方からも、総理大臣に存続せよというような意見具申がなされているようでありますが、この点について総理府の御答弁を願いたい。
  43. 近藤道夫

    ○近藤説明員 ただいまの問題につきましては、自治省の方から御説明がありましたように、税制の建前ということがございまして、ただにわかには従来の優遇措置を存続するというような結論を出しかねている状況でございます。総理府といたしましては、主として自治省、大蔵省、運輸省等々と連絡をとりまして、ただいまのお話にもありました通り、観光事業振興のためにとらるべき種々の措置といったようなものの一環として、本件の検討を続ける余地はないかというような意味で、現在でも検討しております。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この問題は、税制からいくという話なんですけれども、いろいろ理屈を言いますと、今の日本の税金ほど理屈の合わないような形になっているものは、私はないと思うのです。特に、租税特別措置法なんというのは、私たち社会党からいうならば、いつも問題になっているわけでありまして、この非課税問題につきましても、党の中、あるいは人によって、いろいろ意見の相違もあるようであります。しかし、言えることは、長い間やってきたその歴史があるわけです。そういう中から、日本のホテルが高い。そうしてますます日本のホテル代は高くなると思うのです。それは、よけいデラックスになりますし、よけいりっぱになって、そして金利も国際的に高いわけですから、どこかのところでめんどうをみなければ、やはり繰り返されるということになると思うのです。  それから、この点私よくわかるのですが、たとえば香港に行ってキャノンを買った方が、日本でキャノンを買ったよりも安いといわれるのです。そういう点がよくある。輸出で、外へ出るとき買っていけば写真機が安いとか、いろいろあるわけです。ですから、日本人と外国人の差別というのをここだけ強調されても、これはまた理屈に合わぬものであって、これは政治の問題だと思うのです。最近の交通事情のように、自治省の方が強くて、運輸省が押されて、何かめちゃくちゃになっているようでありますが、せめてこの問題ぐらいは、運輸大臣ががんばって、自治省と話がつくくらいのことをしなければ——運輸大臣は今年選挙があるようですから、まあ一つその辺で、政務次官、よく申し上げておいていただきたいと思います。これはこのくらいで終わっておきます。
  45. 降矢敬義

    ○降矢説明員 ただいま勝澤先生お話写真機の問題がございましたが、あれは実は物品税の問題で、大蔵省の問題でございますが、この前御説明申し上げましたように、輸出という観点から免税をしているわけでございまして、外国人が国内で全部消費をするというようなものについては、日本の場合は免税しておりません。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は、接客教育という点について、少しこの際お考えをいただきたいと思うのです。昔は、番頭さんとか女中さんとかいわれましたけれども、このごろは接客員とか何とか、いろいろ名前も変えているようでありますが、それほど昔と違って今の番頭さん、女中さんという地位は高くなってきた、あるいは高くしなければならない時期にきたと思うのです。そういう点からいきますと、これは日本の旅館の女中さんの型といいますか、あるいはホテルのボーイさんの型といいますか、一つこういう型を作るべきときに今きているのじゃないだろうか。それは、日本独特の味のある型だと思うのですが、そういう点からいきますと、ホテルあるいは旅館におけるそういう接遇者のエチケットといいますか、こういうものについて、もうそろそろ——オリンピックがあるというのを一つの契機に、何か観光協会でいろいろ講習会なり何なりは考えられているようでありますけれども、この際、一つだれでもなれるということからへやはり一週間でも十日でも、熟練工といいますか、経験を積んだといいますか、何かそういう点について、もう少し資格——資格なとというのもおかしいのですが、そういう点についてどうですか。接客教育といいますか、そういう問題について何かお考えになっておりましたら……。もしお考えがないならば、そういう点について何かお考えをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  47. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまお話しのように、従業員の養成、指導、教育と申しますか、この問題が一つの大きな問題だと私とも考えております。最近自動車における運転手諸君の問題がいろいろ社会問題化しておりますのと同じように、ホテル、旅館におきましては、この問題が大きな問題になって参っております。ただ、この問題につきまして、まとまってどこかで統一的に教育をするとか、そういった講習会を完璧に行なうというふうなことは、残念ながら、わが国ではまだ今までのところ行なわれておりませんでした。YMCAとかYWCAの国際ホテル学校、それから立教大学、東洋大学のホテル講座、それからホテル協会、国際観光旅館連盟の行なっておられます講習会、そういったもののほか、各ホテルの熟練者が、それぞれ自分のホテル内において後輩を指導するというふうな企業内における訓練、そういったととが、従業員の養成方法のおもなものであったわけでございます。ところが、最近のようにいろいろと新しいホテルが出て参りますと、新設されるホテルは、既存のホテルにあらかじめ自分のところで使う人を預けて、そしてそこで訓練をしてもらって、自分のところが営業開始すると同時に、預けておった人を持ってくる、こういうふうなやり方を今やっておるのでございますけれども、まあいわば組織的なものじゃなくして、企業の内部における訓練が主たるものになっておるわけでございますが、いろいろこれからの社会情勢等を考えますと、こういった問題について、もう少し計画的、組織的な訓練、養成をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。この点につきまして、実はスイスのジュネーブに、ホテルの従業員を専属に養成する学校が設けられておるのを私存じておりますが、実にこれなどは、さすがスイスは観光国だけあるし、またジュネーブといえば国連の支部でございますか、それもございますし、とにかく国際会議が四六時中開かれておるところでございますが、そういったところにおいては、非常にそういった面が平素から考えられているということを非常にうらやましく思い、かつまた、これなるかなという感じを得たのでございまして、われわれも、及ばずながらこの問題については今後ともいろいろ検討をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最近、芸妓さんには芸妓さんの学校もあるというようなことですから、女中さんや番頭さんの学校ができても不思議ではないと私は思うのです。また、そのことが今必要になっている時期にきているのじゃないだろうかと思うのです。その中で、外国語も教えなければならぬでしょうし、あるいは小笠原流の礼儀作法も、あるいはお茶やお花なんかを教えるということも、必要じゃないだろうか。人がないからだれでもいい、来てくれというやり方で通ってきた時代から、やはりもう一歩進んで、新しい国際観光の中に日本が地歩を占めていくということになるならば、国際観光ホテルに指定される条件として、あるいはそういうことも考えたらどうだろうか、こういうように思うわけです。また、せっかくスイスを見てこられたようでありますから、ぜひ検討されて、やはりチャンスがないとこういうものはできないわけでありますから、そういうチャンスを考えながら、効果的にお考えをいただきたいと思います。  それと、今度は次に経営者の教育だと思うのです。二月十九日の日本経済を見てみますと、下田の旅館について、ブームにつけ込む下田の旅館、ひどい宿賃つり上げで観光協会がパトロールで監視をするというような記事が出されて、今見ましたのですけれども、これは宿屋の少ないところへたくさんのお客が来る。そこで問題になる。しかし、少ないところへたくさんのお客が来たときでも、やはりある程度の旅館の道義というものがあるのじゃないだろうかと私は思うのです。そういう点からいきますれば、旅館を経営する場合、十部屋があって十人女中さんがおるというのも熱海なんかあるようですけれども、それは別として、やっぱり部屋が幾つで女中さんが幾人ぐらいのことは基準として、これは建設省ですかどこですか、許可をする場合に、何かそういう面について考えられないだろうか。五十も部屋があって女中が三人か四人しかいなかったというようなところも、私たちも間々突き当たる点があるわけですけれども、旅館の性格を初め、入口に、ここはこういう旅館だ、一般の普通の人が泊まる旅館じゃない、こう書いてあれば問題はないのですけれども、やはり知らないわけですから、何かその辺の点についても研究される、あるいは旅館主についても教育する必要があるじゃないだろうかと思うのですが、その辺についても、一つお聞かせ願いたいです。
  49. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまお話しの御趣旨、私もよくわかるのでございますが、御承知の通り、旅館と名のつくものは、おそらく日本全体で数万軒をこえると考えております。これは旅館そのものに対する風俗営業的な面からする取り締まりと申しますのは、御承知のように厚生省の所有でございまして、運輸省としましては、政府登録旅館、ホテル、こういったものを中心に、国際観光旅館連盟に加入しておられる旅館、あるいは日本観光旅館連盟に加入しておられる旅館、この程度のところまでが、私どものいわゆる行政の対象と考えております旅館でございまして、この問題につきましては、特にオリンピック等も控えておりますことで、全般的に登録旅館のあり方、登録ホテルのあり方、料金等も含めまして、全体を一つの法体系としてただいま検討をいたしております。と申しますのは、今のホテルの料金一つを考えてみましても、ホテルの料金を認可制にすることは、これはできないと思いますが、届出制にすらなっていないわけでございます。少なくとも国が財政投融資の対象として考えて、政府登録をして、そして税金等の面で援助、補助を与えるならば、料金その他の面においても何がしかの制約を加えるということは、一つの方向として考えていっていいのじゃないかということを私どもただいま検討をいたしておるわけでございまして、たとえばべらぼうに料金を高くとったというふうな場合に対しては、主務大臣から勧告をするというふうなことも、一つの方向として検討の余地があるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、お説の通り、いろいろのことを日常の新聞紙等におきましても、私も目につけておりますので、十分この問題については先生の御趣旨に沿いますように検討をさしていただきたい、かように考えております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、入出国手続の問題でありますが、私も実はまだそんなによく研究してないのでよくわからないのですが、観光客を誘致する立場から考えると、今の入出国の問題点というのは、運輸省としてはどこにあるか、そしてどういう点を改正すべきか、こういう点などについて意見があったら少しお聞かせ願いたいと思います。
  51. 梶本保邦

    梶本政府委員 外客の入出国手続を迅速にして気持よくするということが、まず観光客に接するその国の関門における態度と申しますか、気持でなければならないと思うのでございますが、この点につきましては、御指摘の通り、わが国におきましてはいまだ不十分であるというふうに、残念ながら正直に認めざるを得ないと私ども考えております。これは入出国管理関係の各関係省とも十分平素から連絡をとって、運輸省としては気持よく迅速に手続をやって下さるようにというようにお願いをいたしておるわけでございまして一むしろ私ども先生と同じ立場に立って、この問題については、関係各省にお願いしておるというふうな状況でございます。  なお、いわゆる査証、ヴィザの問題があるわけでございますが、現在わが国で相互に査証の免除されております国が十七カ国ございます。それから査証につきまして料金を取っておるのが今までのならわしでございますが、その料金を取ることを相互に免除いたしております国が十カ国ございます。それから全部免除しないが、半額にしようというふうに協定を結んでおります国が五カ国ございます。そういったことは観光立場から考えますと、査証を、少なくとも観光に来る人に対してはオール免除というのが、私ども立場からすれば望ましいことである、かように考えておるわけでございますが、これにはそれぞれ主務官庁もございまして、いろいろの立場からこの問題については検討しておられるようでございまして、私どもとしては先生と全く同じ立場、同じ気持でおりまして、そのように努力いたしておりますことを申し上げて、なおこの上とも努力を続けていきたい、かように考えております。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この入出国手続の問題で、簡素化がいいというのはよくわかるのですが、実は私文で見たときと——実は実情というのを知らないもんですから、よくわからないのですよ。そこでこれは別の機会に、一体どういうふうに日本の場合と外国の場合が違うものなのかという点について、また御説明を賜わって研究をさしていただきたいと思います。  次に、今度は総合観光案内所、ビジタース・ビューローの問題ですが、この構想、どんなふうな人員でどんなふうな御計画を持たれておるか、その点について御説明願いたいと思います。
  53. 梶本保邦

    梶本政府委員 総合観光案内所と申しますのは、諸外国の例を見ましても、全部そうでございますが、その国へ参りました外人観光客を対象とした総合的な観光案内所でございまして、旅行あっせん業者というようなものもございますから、そこへ行っても話は通ずる場合がもちろんあるわけでございますけれども、残念ながらわが国の現状を考えてみますると、今日本へ来られた外人が、運輸省観光局へ来られましても、十分な御案内、御説明も必ずしもできませんし、また国鉄へ行かれましても、私は必ずしも十分できないのではないかというように考えております。またいろいろの旅行あっせん業者でございますと、自分のところであっせんするお客に対しては、あるいは十分御説明をするかもしれませんけれども、自分のところを通じないお客、つまりもっと俗な言葉で申しますと、自分のところのもうけにならないお客、自分のところで切符を売ったりホテルの世話をしたりしないお客に対しては、必ずしも満足のいくような観光案内ができないのじゃないかというふうな気持を持っておるわけでございまして、これは当然そういった営利という観念から離れて、一切手数料を取らないで、その国へ来た外人が産業、文化それから政治経済あらゆるものについていろいろの質問等があった場合には、そこへ行けば用が足せる、こういったことを私ども理想として考えておるわけでございます。たとえばどこどこで何のお祭りがある、あるいはどこどこの名所へ行くというふうな単なることから、私は産業観光にまでこれを高めていきたい。つまりソニーの工場を見たいのだけれどもどうしたらいいか、キャノンの工場を見たいのだけれどもどうしたらいいかと言われましても、今何らなすすべがないというのが、今日日本の現状でございます。そういったことも組織的にお世話できるというふうな態勢にまで持っていきたい、かように考えております。  それから構想としましては、一億円でどうするかという問題でございますが、ビルをこちらが建てるのではございませんで、どこか適当なビルの一階を借りるという構想を持っております。これは百坪くらいの事務所を借りたい。一坪についての借家保証金を大体八十万と予定いたしております。そういたしますと八千万円になります。一坪八十万の借家保証金で百坪の事務所を借りて、そうして調度品だとかいろいろの資料等を整える、それが残りの二千万円ということで一億を考えておるわけでございまして、できるだけ場所の便利なところに設けるというふうなことを考えております。  定員としましては、大蔵省に予算上認められましたのが、総合観光案内所の所員として十名予算がついております。その十名は所長一名と少なくとも私どもは英、独、仏くらいは自由に話せる人をそこに配置したい。それからできれば国連の公用語でありますところのスペイン語等のできる人も求められれば求めたい、私はかように考えておるわけでございまして、一応所長以下十名の人数でこの十月に開設することを目標に、ただいま準備を進めておるわけであります。
  54. 細田吉藏

    細田(吉)小委員 ただいまの御質問並びにその前の質問に関連しまして一、二お尋ねをしておきたいと思うのですが、先ほど同僚勝澤委員から出入国問題につきまして話がございました。また今の総合案内所関係も出てくると思うのですが、羽田の空港、いわゆる空港ビルが改築される計画が進められておることは申し上げるまでもございませんが、日本の入国の大宗をなすのは今羽田でございます。この羽田が今の状況では実に狭隘で、外客が参りましたときには、非常に不便な思いをしておること御承知の通りでございます。そこで今度これを直そう、あるいは拡張しようということになっておるわけですが、これに対しまして、観光という見地からいろいろ御意見があるのではなかろうか、こう思うのでございますが、そういう点は十分反映いたしておるものであるかどうかということが一点と、それから今あとでお話しになりました総合案内所の問題は、羽田、丸の内という話がございましたが、羽田に、場合によりましては簡単な出張所を作るとかなんとかいうようなお考えがあるのかないのか。私はあってしかるべきではなかろうか、航空会社とかあるいは旅行あっせん業者にまかせないで、今何といっても羽田が玄関でございますから、そういうものが羽田にもあってしかるべきではなかろうか、こう思うのですが、そういう点についてどうお考えであるかということをお伺いしたいと思います。  それから弔う一点、ついででございますから、特に政務次官にお願いを兼ねて私申し上げたいのでございますが、先ほどのヴィザの問題で、何しろ日本へ参ります外人観光客の過半数は、アメリカ人でございます。このアメリカと相互主義の名のもとに、日本に参ります者はヴィザが要るわけでございまして、これが一番大きな問題なのでございます。おそらく過去もう十年くらいにわたりまして、アメリカから参ります者のウィザの廃止——なかなかアメリカ日本から行く者のヴィザを廃止するというわけにいかぬような事情にあるようでございますが、こちらが相互主義といったよう名のもとに、あくまでもこれをやっておるということについては、私どもはどうしてもこれは打ち破らなければならぬ。特に今のこの表にもございますけれども、飛躍的に外人客を増大させようというような計画のもとでは、これは絶対この辺でこの壁を打ち破らなくちゃいかぬのじゃないか、こう思うのでございます。なぜこれがいかぬのか、私どもも実務をやっておったこともございますけれども、なかなか了解に苦しむ点があるのであります。もうこの辺でこの問題は政府として踏み切りをつけられるべき時期にきておるのではなかろうか。出入国の問題につきましては、何と言いましても、最大の問題は、アメリカのヴィザの問題と羽田におけるサービスの問題でございますので、この点政府としてのお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  55. 梶本保邦

    梶本政府委員 まずヴィザの問題では、お説の通り、日本の外務省は相互免除主義と申しますか、このことを緊持いたしておられるようでございまして、相手国が免除しなければ、日本は絶対に免除しない、一方的に免除することは困るというのが外務省のお考えのようでございまして、われわれとしては、そういうふうな考え方だけにとらわれないで、広くこの問題を考えていただきたいということを機会あるごとにお願いいたしておるのでございますけれども、残念ながら今日まで依然として相互免除主義というのが、外務省の方針のようでございます。  それからビジタース・ビューローの問題でございますけれども、私は当然羽田には支店と申しますか、出張所を設けるべきだと考えております。  それからもう一つは、羽田のみならず、今度の国鉄の幹線が東京駅に入って参りましたときに、そのどこか一階あたりに一間でも私はほしい。そうすれば、東京駅へ降りたお客さんがすぐそこへ来て聞ける、あるいはまた汽車に乗る人がそこで聞けるというふうに、諸外国でもそうでございますけれども、町の中心部と大きなターミナル・ステーションのいい場所、それから空港というのが、諸外国の例を見ましても、そういうふうになっておるようでございますので、当然将来私どもはこういう方向に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  羽田の設備につきましては、これはもうすでに先生も諸外国をお回りになりまして、十分御承知の通りでありますが、率直に申しまして、どこの国へ参りましてターミナル・ビルをながめましても、差しさわりがあって失礼かもしれませんが、日本が一番貧弱なように私考えております。もう少しあれは拡張していただいて、日本の玄関として恥ずかしくないようなものにしていただきたい、それが私どものお願いでもございます。それは当然船で来る客よりも、空から日本へ来る客の方がはるかに多いのでございますから、その計画等につきましては、私ども観光立場からいろいろお願いをすることもあるわけでございます。その点につきましては、なお十分に連絡をとってやっていきたい、かように考えております。
  56. 細田吉藏

    細田(吉)小委員 今のお話、実は多少違うのでありまして、羽田の空港ビルについては拡張の計画があるわけですね。従って、今たとえばビジタース・ビルの出張所を出したいと言いましても、場所がきまってしまうわけです。それからいろいろなことを拡張したいということは、おっしゃる通りなんだが、現実にもうどんどん計画が進められておるのではないかと思うのですが、そういうものに対して観光という見地から、強力に発言をしておられるかどうかということを聞きたいし、もし発言しておられないということであれば、これは大へんなことだから、大いに設計その他の上で発言をしていただかなければならぬ、こういう意味で申し上げたのですから、今悪いから直さなければいかぬという程度でなくて、直そうという計画になっておるわけだから、それに対して観光という見地からいろいろやらなければいかぬ。ビジタース・ビルの問題にいたしましても、予算の問題等もございましょうが、手おくれになってしまうと、ほか方で全部占拠してしまうと、できなくなってくるのではないか。新幹線の駅の問題でも同様の問題でございます。予算関係もありましょうが、そういうことをお尋ねしておるわけです。
  57. 梶本保邦

    梶本政府委員 この問題につきまして、実は観光事業審議会の方では建議がなされておることは、先生も御承知の通りだと思いますが、入管事務所の設備の改善というふうなことは、羽田空港の拡張について当然考えていくべきであるというふうなことがすでに打ち出されておりまして、なお今後とも十分に、より以上に観光の見地から乗りおくれることのないように連絡をし、かつわれわれの立場を主張して参りたい、かように考えております。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、旅行あっせん業者の問題でございますが、最近各所にたくさんなあっせん業者ができておるのですが、これに対する資格とかあるいは認可とか、こういうものはどういうふうになされておるのか、あるいは今のような状態でまた進んでいくのかどうか、こういう点についてお尋ねいたします。
  59. 梶本保邦

    梶本政府委員 旅行あっせん業者には、御承知の通り二種類ございまして、日本人だけを対象とする邦人あっせん業者というものと、それから日本人はもちろんできますけれども外人を対象とする、両方を対象とするいわゆる一般旅行あっせん業との二種類あるわけでございまして、一般旅行あっせん業の方は、旅行あっせん業法によりまして運輸大臣の登録を受ける。そうしてもちろんその登録を受けるに際しましては、外国人の旅行あっせんするにふさわしい能力と信用があるものに厳選をするという態度で登録を行なっております。それから邦人の旅行あっせん業の方は、都道府県知事の登録を受けることになっておるわけでござまして、一般旅行あっせん業者は現在三十九業者ございます。邦人旅行あっせん業者の方は非常に数が多うございまして、最近の統計の示すところによりますと千七百六十四業者あるわけでございます。取り扱いの実績を御参考までに申し上げますと、邦人と外人と両方できる一般旅行あっせん業者の取り扱いの実績でございますが、昭和三十五年は十二万人、金額にいたしまして十九億七千万円扱っております。それから昨年は一月から六月まで上半期の成績を見ますると、人員は十万四千人、金額にいたしまして十六億七千万、こういうふうな現状になっておるわけでございます。この問題は、やははりいろいろの見地から、旅行あっせん業というものを登録制でいいのかどうか、登録制でいいとして毛、資格をもう少し厳選すべきではないかというふうなことで、いろいろの面から私どもの耳にも入って参るわけでございまして、この点についてもただいま検討を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その次にガイドの問題についてお尋ねしたいのですが、ガイドの収入状態といいますか、生活状態、経済状態といいますか、こういう問題と、それから、やはりこれもオリンピックですが、そういう点も考えてガイドの増員計画——と言うのがいいか悪いか知りませんけれども、そういうような、足りないからもっとふやさなければならないという問題について、どういうふうにお考えになっておりますか。
  61. 梶本保邦

    梶本政府委員 ガイドは現在年に一回ガイド試験を運輸省の方で行なっておるわけでございますが、この問題で一番困ります問題は、率直に申しまして、現在語学の国家試験が行なわれております唯一のものであるというふうな状況を呈しておるわけでございます。ガイド試験に自分は合格したということを一つの資格にしまして、実はガイドに従事しないで、それを一つの資格にして商社等に就職する。商社の方も、あの人は国家試験であるガイド試験に合格した人だから、語学については十分安心できる、人物等も大丈夫だろうということで、高給をもってかかえるというふうなことで、実は国が、何のことはない、予算を費してガイド試験を行なって、そしてそれが全部ガイドとしての役割を果たしていないというふうな、非常に極端な言い方かもしれませんが、そういうような状況になっております。現在ガイドの合格者はどのくらいあるかと申しますと、試験を始めましてからこのかた、全体で千八百人余りの合格者がございますが、実際にガイドとして稼働しております者は五百人に満たない、こういう状態でございます。これは結局ガイドの需要そのものが、季節的に非常に波動があるということで、年間平均して収入がないということで、ややもすれば、毎月定額の収入がある仕事につきたいという気持からいたしますと、いやがられるわけでございまして、こういう点をどういうふうに解決していくか。何もガイドというものも日本じゅうのコとをすみからすみまで知っていなくても、いわゆるローカル・ガイド、京都なら京都、奈良なら奈良地区だけについてのガイドであってもいいんじゃないか。そうするといわゆる全般のことを知っているオショナル・ガイドと申しますか、そういったものと、地域的な、専門にその地方だけをガイドするローカル・ガイドというふうなものに分けて考えていってもいいのではないだろうかというふうな気持も、ただいま持っておるわけでございまして、そうすればガイドの制度全体をもう一度われわれとしては検討しなければならないというふうな気持でおるわけでございます。  なお、オリンピックのときには、お説の通り今のままでいくとガイドは足りないと思います。それで今私ども考えておりますことは、もちろん関係方面と十分御連絡申さなければできないことでございますが、ローマ等においてもすでに実施されたように聞いておりますけれども、語学のできる人に腕章を巻かせまして、そこに英語のできる人は英国の国旗のマークをつける、ドイツ語のできる人はドイツ国旗のマークをつけるというわけで、腕章を巻かせる、それは中学の英語の先生もけっこうですし、高校の英語の先生もけっこうでございます。どなたでもいいわけなのです。その人は別に町角に四六時中立って、だれか自分に道を聞きはしないか、ホテルのあり場所を聞きはしないかといって待っているわけでございませんので、ただ腕章をつけて日常の仕事をするわけです。かりに私なら私がそういうことができるとすれば、私は腕章をつけたまま日常の仕事をじゃんじゃんやっているわけなのです。日常の仕事を普通通りやっておりますが、ただ腕章をつけてやっている、そのときにたまたま道のわからない人がそのマークを見て、あの人なら英語ができるとかドイツ語ができるとかいうので、もしもし、ちょっと道を聞きたいのですが、帝国ホテルはどっちへ行ったらよろしいかというようなことを聞くというふうなことで、いわば街頭において困ったときに、そのつど手軽に道を聞くというふうな方法も当然考えていっていいのではないかというふうに考えております。これはかりに学校の先生方にお願いすると仮定いたしますと、やはり文部省等にもお願いをしなければできないことでございますし、いずれにしましても、オリンピックなんかを考えますと、国家的行事でございますので、関係方面と十分に打ち合わせをしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこでガイドの集まりですが、日本観光通訳協会というのがあるわけですね。先ほどの総合観光案内所とガイドをつなぐのは、日本観光通訳協会、こういう形でつながるのですか。それとも交通公社とか専属のガイドというふうな形でつながるのですか。この辺の取り扱いがガイド全般の質を高めるといいますか、こういう場合にいろいろ検討される材料になるのじゃないだろうかというふうに思うのですが、この辺のところはどうなのでしょうか。
  63. 梶本保邦

    梶本政府委員 この問題につきましては、先ほど御答弁申し上げるべきだったのかもしれませんが、現在の実情は、先生指摘の通り、日本観光通訳協会という社団法人がございまして、これが直接指導に当たるという格好をとっておるわけでございますけれども、その協会に加入しておる人と、それから実際にはその資格をとって旅行あっせん業者と専属契約を結んでしまっておるという形態があるわけでございます。たとえば交通公社あたりのような大きな旅行あっせん業者になると、四六時中、仕事があろうがなかろうが、何人かのガイドを専属的に自分のところのガイドとして雇っておる、こういうふうな状態でございまして、たまたまお客があったから、おいどこかにガイドはいないかというようなことで探し出すということは、大きな旅行あっせん業者はいたしておらない実情でございます。それで、先ほど申し上げましたガイドの収入が、年間を通じて平均化していないということを防ぐ一つの方法としまして、旅行あっせん業者として登録を受ける者には、義務的に何人かのガイドをかかえておかなければならないというふうな方向にでも持っていけば、一つの解決策ではなかろうかというふうに考えておるわけでございますけれども、これをいたしますのには、法律改正を必要とするようなわけでございまして、この問題については、なお十分ガイドの問題といわず、旅行あっせん業の問題といわず、すべてを通じてもう一度大きな立場で考え直さなければならない時期にきておるように私は考えております。従いまして、すべての点を体系的に総合的に検討を進めていきたい、かように考えております。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ガイドの業者の専属制もいいし、あるいはまた全部フリーにするのも一つの方法だろうと思うのです。この点は、今局長の言われましたように、いろいろと検討の余地があるだろうと思うのです。そしてやはりガイドを年に一回なり二回なり教養を高めるという意味からいうならば、日本観光通訳協会というととろで、そうものをできるだけフリーなら全部フリーにしていけばいいわけです。あるいはまた専属制をどうするかという点もあるでしょうが、そういう点で国際的な観光の面ですから、日本の信用にも関することですから、いろいろと研究なされるのもいいだろうと思うのです。  そこで、ガイドの公定料金というものは大体きまっておるのですか、そういう点はどういうふうになっていますか。
  65. 梶本保邦

    梶本政府委員 きまっております。これはきめませんといろいろ弊害が起こるわけでございますから、これはきめております。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公定料金のきめ方にも、上中下という言い方はいけませんけれども、一、二、三級というような考え方は、今はないようですけれども、またこれも検討の余地があるのじゃないだろうか。少しぐらいできなくてもいいわというのもあるでしょうし、いや全部がしっかりしたものでなければ困るというのもあるでしょうから、そういう点なども研究の余地があるだろうと思います。  そこで最後に、日本旅行に来てチップの問題がよくいわれるのですけれども外国旅行して一番心配なのはチップだ、経験がないですからよくわかりませんけれども、よくそういわれまして、どこに行ってもチップがかかる。しかし、日本はチップが要らないということがいわれておるようです。しかし、最近の傾向としては、チップというものも必要になってきつつあるように思うのです。そこで、日本はチップがなくてなかなかいい国だといわれてきたのですから、チップなしで旅行ができる——今は別にチップなしで旅行できるのですけれども、少し世の中が派手になってきますと、習慣としてみんな出すようになってくるのです。そういう点などについても、せめて国際観光の部面については、かりに料金に含めてしまうなら含めてしまってもいいのですが、やはり外国ではチップで悩まされている人たちが、日本に来たらチップの心配はどこに行ってもないのだというふうにしてあげた方が、より特色が出るのじゃないだろうか、こう思うのです。私たちが国内旅行をしている場合においても、今まではチップなんというものは何も考えられなかったようですけれども、最近「旅」なんかの雑誌を見ても、チップの是非についていろいろ論議がかわされておる。しかし、最終的な結論を見ますと、識者の間では、ある程度のチップは必要だという結論が出されているようでありますけれども、私は、日本人同士の場合においてはかまわないと思うのですが、国際観光の部面についてだけは、何か少し時間をかけてすっきりした形をきめて、そのことをまた宣伝することがより有利だ、こう思うのですが、その点についてのお考えをお伺いしたい。
  67. 梶本保邦

    梶本政府委員 全く御説の通りに私考えております。これはもう一たびでも海外旅行の経験のある方なら、どなたからもひとしく伺うお言葉でございまして、多過ぎてはばからしいし、少なければばかにされるのじゃないかというような気持になって、実際チップというものは気苦労なものであるということは、ひとしく伺う言葉でございます。少なくとも日本に来ればノー・チップ制だ、チップにわずらわされないで旅行ができるのだということを一つの特徴にしたい、かように考えておるわけでございまして、ややもすれば最近チップの是非論が論議されるというふうになってきただけに、何かチップというものが一部ではやはり行なわれておる向きがあるのではなかろうかということも、憶測をたくましくすれば考えられるわけでありまして、こういうようなことは、やはり日本の特色を出すためにも、是が非でも従来のノー・チップ制を守っていくべきだ、こういう確信を持っておりますので、実は政務次官ともいろいろ相談をいたしておるわけでございますが、近く何らかの通達のようなものでも運輸省としては業界に出して指導をさらにしていきたい、かように考えております。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは私の経験した一つの例ですが、まだ国会に出る前に、中国に行って、くつみがきが二十銭なのです。それを五十銭払って三十銭はチップのつもりで歩いてきたら、そのくつみがきがあとから追いかけてきて、三十銭はお返しだというわけです。それはチップの分だからもらっておけと言っても、いやくつみがきは二十銭ときまっておるのだから、そんなにもらったら怒られる、これは国の方針ですと言う。これは社会主義の国はとんなところまで強制しておるのかという一つの見方と、社会主義の国はこれほどまでに一人々々の者が完成しておるのかという見方と、両面の見方があると思いますが、そういう点から考えると、この点はなかなか規制はしにくいと思います。しかし最近は、われわれが国政調査で地方を回っていくと、宿屋に泊まったあと、やはり国政調査でもそういうチップを払ってくるわけですね。これが一ころなくなったときにはみんなお互いにほっとして楽をしたのでありますが、このごろまたみんなこれで苦しんでおるようですが、これは日本人の習慣でなかなかうまくいかないと思いますが、もしそういうことが必要だとするならば、やはり料金にきっちりかけてしまえばいいわけであります。とにかく、これは処罰をするわけにはいかないでしょうが、やはり相当な時間訓練をしないと大へんじゃないかと思いますので、その点につきましては、従来から日本のいい習慣として宣伝がなされておる点でありますから、一つ十分な御検討をぜひしていただきたい。またこのことがオリンピックを契機に飛躍的に日本世界に紹介されることになるのじゃなかろうか、こう思いますが、その点はどうですか。
  69. 有馬英治

    ○有馬政府委員 チップの問題は、仰せの通りなかなかむずかしい問題でございます。観光政策の全体からいきますと、少なくとも外客に対しては、ノー・チップ制が日本としては結果において有利であるという結論でございます。ただし、運輸省といたしましては、直接指導できますのは現在のところホテル協会と観光旅館程度でございます。従いまして、まずできやすいところからそういう指導をすべく何かの方針を指示していきたいと思います。一般的にチップ問題は一つの習慣でございますから、ほかからのしわ寄せも出てくると思いますので、単に運輸省だけがその両協会だけを指導しただけでは、なかなか解決できない。雇用問題とも関連してくると思いますので、そういう点をさらにまた勝澤委員の方でも御検討下さいまして、いろいろ有益なる御指示を賜わりたいと思っております。
  70. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御発言はございませんか。——次会は公報をもってお知らせすることにいたし、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時四十一分散会