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1962-04-11 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十一日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊郎君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    竹内 俊吉君       西村 英一君    石村 英雄君       勝澤 芳雄君    田中織之進君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道参         与         (運転局長)  音田 和夫君         日本国有鉄道参         与         (船舶局長)  久田 富治君         専  門  員 小西 真一君     ――――――――――――― 四月五日  鉄道敷設法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五〇号) 同月九日  特急はつかりの小牛田駅停車に関する請願(愛  知揆一君紹介)(第三七〇四号)  私鉄運賃値上げ反対に関する請願島上善五郎  君紹介)(第三七〇五号)  国鉄線建設資金等に関する請願外一件(前田  榮之助君紹介)(第三七〇六号)  国鉄大崎大宮被服工場等の廃止及び統合反対  に関する請願松井政吉紹介)(第三七〇七  号)  同(山中日露史紹介)(第三八〇七号)  地下高速鉄道建設工事に伴う損失補償に関する  請願田中榮一紹介)(第三七〇八号)  唐津、呼子、伊万里線の調査線編入に関する請  願(保利茂紹介)(第三八九七号)  井原線敷設に関する請願星島二郎紹介)(  第四〇七二号)  岩手和井内駅の貨物取扱い存続に関する請願(  山本猛夫紹介)(第四〇七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月六日  鹿児島本線熊本、鹿児島間の複線電化に関する  陳情書  (第六五四号)  両毛線の電車化等に関する陳情書  (第七〇八号)  油須原線敷設促進等に関する陳情書  (第七〇九号)  国鉄香椎操車場、箱崎間第十三号踏切等の無人  化反対に関する陳情書  (第七一〇号)  姫路測候所移転に関する陳情書  (第七一一号)  海運強化対策確立に関する陳情書  (第七一二号)  尾道市久保地内防地口付近旅客専用停車場  設置に関する陳情書  (第七七五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  鉄道敷設法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五〇号)  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三八号)  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第三  八号)  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  去る五日、本委員会に付託されました内閣提出鉄道敷設法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。     —————————————
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 まず、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。斎藤運輸大臣
  4. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま議題となりました鉄道敷設法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、御説明申し上げます。  御承知のように、鉄道敷設法は、日本国有鉄道敷設すべき予定鉄道線路並びに日本国有鉄道線路敷設を許可する場合に必要な手続等を定めたものでありますが、この法律は、大正十一年に制定せられたものでありまして、この法律別表、すなわち、予定鉄道線路につきましては、経済事情変化等に伴いまして、数次の改正を見て、今日に至っております。  最近におけるわが国産業経済の急激な発展の傾向にかんがみまして、鉄道建設審議会におきましても、新しい事情を勘案して御検討になりまして、本年三月二十九日の同審議会において、十二線路鉄道敷設法別表に追加するを適当と認める旨の御建議をいただきました。  政府といたしましては、日本国有鉄道鉄道網整備することによって、産業資源開発並びに経済交流促進し、もってわが国経済発展に貢献いたしたい所存でございますので、ここに改正法律案として、御審議を願うことにいたした次第でございます。  別表に追加する十二線路内容につきましては、別に詳細に申し上げることといたしますが、この線路を新たに追加することが、この改正案内容でございます。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 続いて本案に対し、補足説明を聴取いたします。岡本鉄監局長
  6. 岡本悟

    岡本政府委員 今回新たに追加する十二線路につきまして概要を御説明いたしますが、法律案に記載した順序で申し上げます。  まず、「三十三ノ二 栃木県上三依ヨリ西那須野ニ至ル鉄道」でございますが、この鉄道は、会津線会津滝の原から今市に至ります予定線の途中、上三依より分かれまして、塩原を経て東北本線西那須野に至る約四十一キロの鉄道であります。  本鉄道は、会津地方関東に短絡いたしまして、この地方開発促進するものでありますが、日光国立公園地帯通りますので、着工線となりました野岩線とともに観光回遊ルートとしても有望な線であります。線路は、山岳地帯通りますので、比較的トンネルが多く、工事量相当多い見込みであります。  次は、「三十九ノ二茨城鹿島ヨリ千葉佐原ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は現在調査線として継続調査いたしております予定線水戸鹿島間をさらに延長いたしまして、成田線佐原に連絡する約十八キロの鉄道であります。  本鉄道は、常磐地区千葉地区との短絡線を形成するものでありまして、茨城県において、最近計画しております鹿島臨海工業地帯造成計画促進と、京葉鹿島臨海工業地帯を直結する主要路線となり得る線路であります。  経過地は、おおむね平坦地でありまして、利根川に相当規模架橋を必要としますが、そのほかは、特別な構造物もなく、工事は容易の見込みであります。  次は、「四十九ノ二 千葉船橋ヨリ小金ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、総武本線船橋常磐線北小金を短絡する延長約二十一キロの鉄道であります。  本鉄道は、今後相当規模輸送対策を必要とする京葉工業地帯に集散する貨物を、この線を介して現在着工線となっております武蔵野線によって、東北、信越、中央、常磐の各方面に輸送することができるようにするものであります。  そのほか、総武本線常磐線の救済となり、ひいてはこの方面通勤輸送緩和策一つともなる線路であります。  経過地平坦地で、特別の構造物もなく、工事は容易の見込みであります。  次は、「五十五ノ三 新潟県直江津ヨリ松代附近ヲ経て六日町ニ至ル鉄道及松代附近ヨリ分岐シテ湯沢ニ至ル鉄道」であります。  この鉄道は、信越線直江津より松代、十日町を経て上越線六日町に至ります延長約七十四キロの路線と一途中松代附近から分かれまして上越線湯沢に至ります約三十九キロの鉄道であります。  本鉄道は、北陸地方関東地方との距離を、現在の宮内経由に比較しまして著しく短縮することができるものでありまして、両経済圏を結ぶ幹線増強として輸送経絡上の意義を有する鉄道であるとともに、頸城地方交通の便を与え、その開発に資するものであります。  経過地は、一部錯雑した区間及び地すべり地区がありますが工事はさほど困難ではない見込みであります。  次は、「六十八ノ二 石川県飯田ヨリ蛸島ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、目下工事中の能登線終端から約三・七キロ延長して蛸島に至る鉄道であります。  本鉄道は、能登半島の開発を主目的といたします能登線終端をこの付近唯一の港である蛸島まで延長することにより、開発効果をさらに高めるものであります。  経過地は、平坦でありますのと、距離も短いので、工事は容易であります。  次は、「七十二ノ二 愛知県瀬戸ヨリ稲沢ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、着工線となっております岡多線の途中瀬戸東海道本線稲沢操車場を短絡いたします名古屋市北方外郭線でありまして、延長約三十二キロの鉄道であります。  本鉄道は、岡多線と合わせて大都市バイパス的役割を果たす路線として、都市中心部を通過する必要のない貨物列車等は、この線によって直接稲沢操車場に入れることができますので、都市交通の一助ともなります。また外郭衛星都市育成促進する効果も期待されます。  経過地は、若干起伏がありますが、工事は容易の見込みであります。  次は、「七十五ノ三 三重津附近ヨリ松阪経テ伊勢ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、参宮線津付近から伊勢湾沿岸に沿って伊勢市に至ります延長約三十六キロの鉄道であります。  本鉄道は、松阪及び伊勢市を中心とした伊勢湾沿岸臨海工業地帯を縦走するものでありまして、伊勢線の鉄道建設計画と合わせますと、四日市及びその周辺における工業地帯松阪及び伊勢市の工業地帯を相互に結んで一体をなす大工業地帯造成を助成するものであります。この地方には近畿日本鉄道が大体平行して営業しておりますが、最近広軌に統一したため、国鉄との貨車の授受が不可能となりまして、貨物営業を廃止いたしましたので、これら一連の工業地帯に出入する貨物に対する輸送対策として、重要な路線となるものであります。  沿線は、地形相当量架橋が必要かと考えますが、平坦地でありますので、工事は容易の見込みであります。  次は、「七十五ノ四 三重伊勢ヨリ長島ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、参宮線伊勢市から五カ所を経て海岸に沿って紀勢線紀伊長島に至る延長約六十五キロの鉄道であります。  昭和三十四年七月紀勢線が全通いたしましてから、紀南方面への旅客は激増しておりますが、大内山−紀伊長島間の連続する急勾配が大きな隘路の一つとなっている現状であります。紀南地方開発として重要な唯一幹線をこの鉄道を建設することにより改良することができるとともに、伊勢志摩国立公園地帯吉野熊野国立公園地帯を結ぶ回遊ルートの形成としても期待される路線であります。  沿線地形は、起伏の多い海岸に沿っておりますので、若干トンネルが多く、延長相当ありますので、工事量は比較的多い見込みであります。  次は、「八十ノ二 京都府広野ヨリ大阪長尾ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、奈良線新田片町線長尾とを短絡する延長約八キロの鉄道であります。  本鉄道は、宇治地方大阪方面とを短絡するものでありまして、現在線経由に比して通勤輸送時間を著しく短縮することができます。また、宇治地方は、最近住宅、工場建設計画等を有し、相当発展が期待されておりますので、これを助長するとともに、国鉄片町線利用度を高めることができると考えられます。  経過地は、木津川に架橋を必要といたしますが、おおむね平坦地でありますので、工事は容易の見込みであります。  次は、「百十ノ四 福岡県田野浦附近ヨリ曽根ニ至ル鉄道」であります。この鉄道は、鹿児島本線門司港に連絡する鉄道貨物線終端外浜から周防灘の沿岸に沿って日豊本線下曽根に至ります延長約二十六キロの鉄道であります。  本鉄道は、裏門司臨海工業地帯開発促進となるものでありまして、四大工業地帯として大きく発展して参りました北九州地区におきまして残された新工業地帯として、最近この裏門司地帯立地条件が大きく注目され、すでに今年度から用地造成工事に着手いたしておりますので、近い将来において、この地区輸送設備整備上必要となる鉄道であります。  次に、「百二十三ノ二 宮崎恒久ヨリ内海付近ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、日豊本線南宮崎から日南海岸に沿って現在工事中の内海線終端内海付近に至ります延長約十七キロの鉄道であります。  本鉄道は、宮崎地方日南地方の両経済圏を短絡するとともに、宮崎県南部の外郭環状線を形成するものでありまして、この地方開発促進が期待されます。なお、この区間には、現在宮崎交通株式会社鉄道営業を行なっておりますが、この線路がはなはだ弱く、現状のままでは一貫輸送は事実上不可能な状態にありますことから、先般鉄道建設審議会におきまして、日本国有鉄道において所要の措置を講じた上、一貫輸送を可能ならしめることを適当と認める旨の建議がなされております。  この措置を行なうにあたり、宮崎交通の施設を国鉄が譲り受けることにいたしておりますが、譲り受けた後なお相当改良工事が必要でありますので、現在工事中の内海線建設工事とともに、新線建設として一貫した工事を実施したいと考えておる次第であります。  次は、「百四十二ノ四 落合ヨリ串内附近ニ至ル鉄道」でありますが、この鉄道は、根室本線落合と現在着工線となっております石狩十勝連絡線の一部である狩勝線の途中串内付近を短絡する延長約四・三キロの鉄道であります。  本鉄道は、狩勝線と合わせますと、現在の根室本線輸送力を大きく制限している狩勝峠の改良線として、北海道の東西を結ぶ重要幹線を著しく増強することができるものであります。  石狩十勝連絡線は、長大路線でありますので、完成には相当長期間を要しますが、その間、まずこの短絡線を利用して現在幹線増強を行ないながら、全体計画を進める計画であります。  沿線地形は少々錯雑しておりますが、距離も短かく、工事は容易であります。  以上でございます。
  7. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 本案に対する質疑は、次会に譲ることにいたします。      ————◇—————
  8. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次に、国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 午後から観光小委員会がありますので、観光全体の問題につきましては後ほどお尋ねいたすことにいたしまして、とりあえず、この国際観光ホテル整備法に対する改正の二、三の点について、お尋ねをいたしたいと存じます。  そこで最初に、この法律適用になるホテルは、登録ホテル九十三、登録旅館三百三十八、こういうふうに聞いておるわけでありますが、この適用になるホテル業者方々の御意見は、本制度についてどういうような御意見を持っておられますか。  それから対象の個所は、都市に分けたときに、分布は大体どんな工合になりますか。この二つの点について、まず最初にお尋ねいたします。
  10. 梶本保邦

    梶本政府委員 まず第一の点でございますが、この法案事務当局として作成いたしましたときに、ホテル協会国際観光旅館連盟の幹部の方々に私のところへ来ていただきまして、そして法案内容説明して、外客を誘致する必要上、どうしてもこういう意味法案を作りたい、また作っていくことが、わが国国際観光上必要なことである、かような点を強調いたしまして、その趣旨については、ホテル協会並びに国際観光旅館連盟の方でよく了承をしていただいております。  第二の点につきましては、今お話しのように、ホテルが九十三、旅館が三百三十八、これが登録旅館並びにホテルの現在の数でございますが、それの分布状態は、この前に先生もお持ちになってお話しいただきました例の観光白書の中に、政府登録旅館ホテルの各地域別分布状況が全部詳細に出ておりますページ数は四十二ページにございまして、これをごらんいただきますと、どの地域にどれだけのホテルがあって、その部屋数がどれくらいあって、収容人員がどれくらいであるかというのが、全部詳細に出ておりますので、これをごらんいただければけっこうでございます。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この改正案の中で、「宿泊料金その他省令の定める業務に関する料金を定め、」こう言われておりますが、具体的には、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  12. 梶本保邦

    梶本政府委員 たとえば現在日本旅館におきましては、一泊二食つき料金というのが、宿泊契約を結びます場合における通例の契約になっておりますので、そういった宿泊と食事を提供する業務というものを兼ね合わせて当然提供されなければならないサービス業務というものも、省令の定むる業務の範囲にいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、料金省令で定めることになっておりますが、大体どの程度のものをお考えになっておりますか。
  14. 梶本保邦

    梶本政府委員 料金につきましては、各地域ごとにやはりいろいろ原価計算というものもあろうかと思いますし、また、その付近にございます他のホテル旅館とのつり合いと申しますか、比較というような面もございまして、一律に全国幾らというふうな、いわば国鉄運賃のようなきめ方は、この場合には私は当然でき得ないものだ、かように考えておりますので、結局その具体的なケースについて、そのつど判断をしなければならぬ問題ではなかろうか、かように考えておりますが、一般的に申し上げますと、能率的な経営のもとにおいて、適正な原価に適正な利潤を加えたものを不当にこえて、そしてそれが外客誘致上非常な障害になっているような場合には、これはいけないというふうな判断を下すべきではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、料金外客誘致上不適当であるという見方は、やはりある程度具体的な——これはABCというクラスか、あるいは一、二、三というクラスか、そういうような形で大体ある程度基準をおきめになっていくのですか。旅館々々に適合して個々的に見ていくのですか。また、今の料金というものを一応適正なものとして、そこを標準に、それ以上上げない、なお下げる、そういうふうに考えているのですか。できればちょっと具体的にお聞きしたいと思います。
  16. 梶本保邦

    梶本政府委員 いわゆるホテルの種類を上級中級並級というふうに三等級に分けて、その料金を比較検討した資料を当委員会にお届けしましたが、ヨーロッパ諸国では、星の数が一つ二つ三つというふうに、一見してそれによってそのホテルの格付というものが直ちにわかるような仕組みになっておりますので、それと比較検討する意味で、わが国におきましても、三つの区別にして比較した表をお届けしましたが、大体上級中級並級という分け方をして、それによって、この程度のものならば大体この程度料金が普通であろうということから、この問題をきめていったらどうかというふうに考えているわけでございます。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いうならば、これは宿泊料金なりその業務関係料金業者間協定といいますか、価格協定になるわけですが、そういう点から考えてみますと、現状の中でこれを整理するというのは困難でしょうが、やはり外客誘致というような建前から言うならば、ある程度クラスを分けて、そしてそのクラスの場合は、大体都市地方は違いがあるとしても、そう違いがないような料金考え方をされていく方がいいじゃないだろうかというふうに思うのです。また、食べものの場合は、むろんその土地々々によって、名物とかそういうもので違うのでしょうけれどもホテルそのもの、あるいは業務に関する料金というふうなものは、ある程度そういうような形でいけるのじゃないかと思うんですが、そういう点について、この際料金をある程度整理をしながら統一をしていく、こういうお考えはどうなんでしょうか。
  18. 梶本保邦

    梶本政府委員 お説の通り方向にやはり進んでいくべきだと、私ども考えております。幾ら原価計算主義をとるとかりに申しましても、そうまちまちのものであっては困るわけでございまして、特に一つの団体が来られて、二つ以上のホテルに分宿されるというふうな場合も考えられるわけでございますから、お説のような方向に向かってやはり料金問題は規制されていくのが当然ではなかろうかというふうに、私ども考えておるわけでございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、やはり宿泊料が一万円、二万円というようなホテルなんというのは、私はあまり好ましくないと思うんです。やはり二千円なり三千円なりというようなホテルをたくさん作った方がいい。むしろ一万円、二万円というようなホテルを作ることについては、あまり国が、このホテルそのものではなくて、別の面でもやはり援助していかない、こういうことが私は正しいのじゃないかという気がするわけです。そこで、今この法律を出した一番の基本というのは、私は、料金をある程度整備をする、あるいは協定をしていくということと、もう一つのねらいは、料金を安くさせるということが一番大きなねらいじゃないか、こう思うんです。そこで、この前資料をいただいたのですが、これを見ましても、確かに日本ホテルは高いわけです。世界一高いと言っても過言ではないと思うんですが、こういう高い料金を下げさせる具体策といいますか、こういうものが実はあってしかるべきだと思うんです。これから見ますと、イタリアあるいはスイスというのは、大へん観光客が多い。それに比べてみれば、まさにこの料金というのは高い。そうしてまた、それは上級ホテル対策もあるでありましょうし、あるいは中級なり並級なりのホテル対策もあるでありましょう。そういう点から考えますと、やはりある程度国際水準まで料金を下げる。そのための具体的な施策といいますか、こういうものが必要じゃないだろうかと思うんです。そういう点については、どういうふうにお考えになっておるのですか。
  20. 梶本保邦

    梶本政府委員 お説の通り日本ホテル料金の高いということにつきましては、原因が多々あると思います。  まず第一は、何と申しましても建設費が高くつくということが、一番大きな原因だと思います。これにつきましては、財政投融資、つまり開発銀行からの融資、あるいはそれに及ばないものは、中小企業金融公庫あるいは長期信用銀行あるいは不動産関係銀行、こういったところからの融資を今までより以上にお願いをするということが、一つの私どもとして努力をすべき事柄でございます。  もう一つは、現在この整備法の中にございます法人税減免、あるいは固定資産税減免、こういった問題についても、やはり諸外国といろいろと検討をいたしまして、さらにこの問題についても国として考えるべき問題については考えていくべきではなかろうかというふうに、私ども考えておるわけでございます。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 高いのを何とか下げようと努力をされていると言うが、そこで一体諸外国と比べてなぜ日本ホテル料金が高いか、その原因は、具体的におわかりになっておりますか。今は建設費が高い。建設費が具体的にどういうふうに高いのか。今度は維持費の方を考えてみますれば、日本なんか人件費が安いわけですから、そういう点から考えれば、そんなに維持費が高いとは思われないし、実はホテルの高い原因というものを、もう少し詳細に私は御説明願いたいと思うのですが……。
  22. 梶本保邦

    梶本政府委員 私どもの方で調査いたしました結果について、きょう現在わかっておりますものを御報告申し上げます。  ホテルに対する国の助成措置として世界各国で一体どのようなことをやっておるかということでございますが、まず考えられますことは、長期低利資金の融資、あるいは政府による債務保証、それから利子補給、補助金の交付、免税措置、これが諸外国においてとられている方法でございますが、長期低利資金、たとえばほんの二%から五%、つまり二分から五分くらいの低利の資金をお世話するという方法をとっておりますのは、イタリア、フランス、スイス、ベルギー、ポルトガル、オランダ、オーストリア、フィンランド、アイルランド、アルゼンチン、スペイン、こういった国々が、今申し上げるような方法をとっております。それから特にその中で、ポルトガルでございますけれども、これが、私企業に対しましては無利子の資金を国が貸し付けるというふうな助成措置を、ホテルについてとっております。それから債務保証を国がする場合は、ノルウエーとベルギーとアイルランド、これらの国が債務保証をいたしております。それから補助金の交付でございますが、これは、イタリア、アイルランド、スペインにおいては、利子補給的性格を持った補助金を国が交付をいたしております。それからベルギー、フィンランドにおいても、そういったような方法が実施されております。それから税の減免措置でございますが、これはイタリア、ポルトガル、アイルランドが行なっております。それから特にポルトガルは、国税の大半を免除するというふうな非常に手厚い措置を講じておるということが、私どもの調査でわかっておるわけでございます。  持にわが国におきましては、ホテルに対する開発銀行融資なんという問題でも、なかなか当初は御理解を願えませんで、ようやく昭和二十六年になって帝国ホテル融資をちょうだいいたしましたのが初めてでございまして、二十六年から三十五年までの十年間に開発銀行融資が、わずか五十五億、四十五ホテルに出たというような状況でございます。特にホテルについての利子は、開発銀行からお借りいたします場合でも八分七厘でございまして、電力、海運等の六分五厘に比べましても、差があるというふうな状況でございます。国内においてももうそういう状況でございまして、いわんや諸外国において二分ないし五分程度融資のお世話をしておるようなところと比べますと、非常に差があるといっていい状況でございます。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 外国ホテルに比べて、日本ホテルの設備なり、規模なり、こういうものの比較はどうなんでしょうか。
  24. 梶本保邦

    梶本政府委員 これは人によっておのおの見方が異ろうと思いますが、私の非常にささやかな体験によりますと、私は、それほど見劣りはしない、むしろ規格においては非常にすぐれておるのじゃなかろうかと思います。もっとも、非常に超デラックスなものを比べますと、なるほど向こうの方がはるかにすぐれておりますけれども、最近作られておりますようなホテルは、私は、欧米へ持って参りましても遜色のないものだというふうに考えております。そこに、先ほど先生のおっしゃいましたようなホテルよりも、もう少し格安のホテルを作る必要があるのではなかろうかという当面の問題が、私どもの課題として与えられるわけでございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、私はぜひこういうことを一つ検討願いたいと思うのですが、日本ホテル外国ホテルと比べて、日本ホテルが高い、その原因はどこにあるかというと、今御説明を聞いておりますと、やはり何といいましても建設費が高い、こう言われておる。建設費が高い理由は、いろいろ国の資金なり、国の政策の違いから起きているようでありますけれども、できるならば、一つの部屋が、この前たしか五百万とか一千万とか聞きましたけれども、この国では一つの部屋が建設単価が大体これくらいだ、日本はこれくらいだ。それから維持なり経常費というものが、向こうはこのくらいで、日本はこのくらいだ。人件費がこうで、あるいはサービス料とかいろいろ含めてどう、そうして比較した場合、やはり隘路というものは、日本の特色があるし、外国の特色があるでありましょうから、どこをどういうふうに施策をしたら、もう少し国際的な水準以下までにホテル料金を下げることが可能だ、こういうようなことをぜひ一つ検討されて、また機会を見て御説明を願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  26. 梶本保邦

    梶本政府委員 承知いたしました。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最後に、私大臣に要望やらまた意見を申し上げ、また大臣の御見解を賜りたいと思うのですが、オリンピックを控えまして、ホテルが足りないということが各所に言われておるわけであります。しかし、ホテルが足りないから、それじゃホテルを積極的にどうして作ろうかということについては、ある程度自然発生的に業界にまかせた形でやらせておるように私は思うわけです。やはりオリンピックそのものを考えれば、国の大きな事業でありまして、日本を世界に知らせる大へんいい機会でありますから、そういう機会をとらえて国がある程度積極的な観光施策を行なわなければならないわけでありまして、ましてやホテルのような場合におきましては、国際的に日本が高いと言われておるわけでありますから、国際的に高い料金を下げるための具体的な方策というものを検討しなければならぬだろう。そのためには、業者の方々の協力を願って、できるだけ業者も協力をする、国も、それに対して、資金なりあるいは税金なりそのほかのいろいろなめんどうを見て、そして適正な値段というものに下げる努力をするということが必要じゃないだろうかと思うわけです。そういう建前から考えますと、今まである程度業界まかせといいますか、そういうやり方から一歩進んで、観光国策あるいは観光産業、こういう立場から、もう少し国際競争の中である程度競争ができるというところまで引き上げてやる努力というものを積極的にしなければならないじゃないだろうか、こう思うのです。観光といいますと、何か遊びのように言われておりましたけれども、やはり国際親善あるいは国際収支の黒字というような問題からいきまして、大へん重要な地位を占むるものになっておるわけでありまして、過去のものの考え方から、この辺で新しく考え方を変えさせるときに今来ておるのじゃないかと思うのですが、こういう観点から積極的に施策をお願いしたいと思うのですが、大臣の御所感を承りたいと思います。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 勝澤さんの御意見は全く同感でございまして、私もそのように考えております。観光事業は、やはり国の大きな国策の事業でなければならぬと考えております。これはやはり世界の平和を促進するという意味からも、またおっしゃいましたように、日本の国際収支をよくしていくという意味からも、大きな一つの産業と考えていかなければならぬ、かように考えております。オリンピックを迎えまして、これに必要なホテル、ベッドの数を増さなければならないということも、全く同感でございます。ホテルあるいは旅館の新設、または既設ホテルの模様がえ、改造というようなことを、相当促進しなければならないと考えております。本年度予算におきましても、そういう意味合いから、融資のあっせんを前年度よりも大幅に考えているわけであります。ホテル旅館関係の方々の御協力を願いながら、さようにやって参りたい。  なお、オリンピックを迎えまして、不足の分は、あるいはユース・ホステルを活用するとか、他の施設の設備を臨時に活用するということも考えていかなければならぬと考えております。融資の面、ホテル等に対する援助の面につきましては、本年度は、必ずしも十分とは申せません。来年度、再来年度におきまして、さらに十分融資等の面において万全を期して参りたい、かように考えております。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 質問を終わります。
  30. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 田中織之進君。
  31. 田中織之進

    ○田中(織)委員 一点だけでいいのですが、今大臣の御答弁の中にもありましたが、国際観光ホテル関係の拡充と申しますか、そのために、融資あっせんの問題についても特に政府としても考えておるということでございますが、先ほど勝澤委員の御質問に対して、三十一年以降でありますか、国際観光ホテルとしては五十五億の融資を処置してこられたということであります。本年度は、国際観光ホテル関係としては、大体開銀の融資ワクというものはどの程度あるものか。それから国際観光ホテルに準ずるものとして、開銀の地方開発の資金ワクの中にも、一昨年あたりから若干観光ホテル整備融資のワクも作られておると思うのです。それは、大体三十七年度にどの程度予定されておるか。この点をまずお伺いいたします。
  32. 梶本保邦

    梶本政府委員 昭和二十六年から三十五年までの十年間で五十五億でございます。三十六年度は、まだ最終的に締め切りができておりませんが、約二十九億でございます。それから三十七年度はそれを上回るというふうに私ども期待を持っておるわけでございまして、少なくとも三十億以上はちょうだいしたいというので、ただいま話を進めておる段階でございます。
  33. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それはいわゆる国際観光ホテルとしての運輸省が持っておる一つの基準に基づいて、それ以上の関係のホテルに対する融資関係だろうと思うのですけれども、それに準ずる——実質的には国際観光ホテルの役割を果たすのでありますけれども、たとえば帝国ホテルであるとか、東京に最近できておるマンモス・ホテルまではいかない、特に地方にありますいわゆる観光ホテルで、その点については、むしろ地方開発の資金ワクの中に処理されておると思うのですが、その関係は、今の三十億以上というものと別ワクと考えられるのですけれども、その点はいかがですか。
  34. 梶本保邦

    梶本政府委員 私が今申し上げました開発銀行融資につきましては、その中でございまして、一切がっさいひっくるめての額でございます。それからそのほかに、中小企業金融公庫から出ておりますものもございますし、金額を申し上げますと、昭和三十四年度には六百六十七件、十四億千二百万円、昭和三十五年度には四百三十二件、九億六千八百万円、これは利息は九分で、融資期間は五年以内、こういうことになっております。それから商工組合中央金庫から出ておりますものが、昭和三十五年度には旅館業者に対しましてちょうど千件ございまして、金額の総トータルは二十四億三千六百万円でございます。それから長期信用銀行がございますが、これは三十四年度には全部で五億九千万円、それからそのうちにホテル関係が四件ございます。三十五年度には十六億六千二百万円、これは融資期間は十年以内、利息は日歩二銭七厘から二銭九厘程度、こういうことになっております。それから日本不動産銀行から出ておりますものは、これは旅館業者に対しましては、三十五年度には二十一億五千三百万円程度出ております。利息は日歩三銭一厘から三銭二厘程度で、原則として融資期間は五年以内でございますが、例外的には七年までぐらいは可能である、こういうふうな条件でございます。それから国民金融公庫がございますが、これは利息は九分でございまして、設備資金の場合は七年以内、運転資金の場合は五年以内という融資期間がございまして、これは三十五年度には六千八百七十件、十八億四千九百万円、これだけのものが融資されておるわけでございまして、お説の通り開発銀行からの融資は、登録級のホテル中心とするものに対する融資でございます。今申し上げました中小企業金融公庫以下のものにつきましては、これはその程度にいかない旅館に対する融資、こういうことでございまして、私どもとしましては、登録級のものも、それ以下のものも、できるだけ融資に努めておる、こういうことでございます。
  35. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今お述べになりました中小企業金融公庫、商工中金、あるいは不動産銀行、また国民金融公庫、特に一番最後は、金額も小さくなると思うのですが、そういう関係は、特に観光ホテル関係への融資の問題については、それぞれの金融機関におまかせになっておるのかどうか。あるいは登録ホテルと同じような形で、一定の基準というか、そういうものに基づいて、地方の陸運局等で、先ほど大臣がお述べになったような融資あっせんというような意味合いで、若干の指導的なものをやっておられるのかどうか。その点はいかがですか。
  36. 梶本保邦

    梶本政府委員 開発銀行に対しましては、毎年々々運輸省から書面を出しまして、事務次官名で、運輸省としてはこういう気持でおるということを出しております。それから先ほど来述べましたその他の金融関係に対しましては、そのつど向こうから照会が参っております。それに対して、運輸省としての見解を述べ、もちろん運輸省側は金を貸してもらいたいという気持はやまやまでございますので、私どもとしてはいろいろの理屈を立てまして、そして融資をお願いするように、そのつどお願いしておる、こういうふうな状況になっております。
  37. 田中織之進

    ○田中(織)委員 開銀はもちろんのことでありますけれども、その他の金融機関の関係につきましても、これはあまり役所が深入りすることはいかがかと思うのでありますけれども、関係の業者等からは、特に陸運局等には御相談を申し上げておるというのが実情であろうと思うので、そういう点は、特に陸運局から本省へ連絡をして、十分先ほど大臣が言われたあっせんというような意味効果を上げるように、一つ御配慮願いたいと思うのです。  それから、特に登録級の問題になりますけれども、現在の登録の場合の指定基準、従って、開銀融資の場合の基準、特にホテルの設備関係の点については、これはますます充実した設備を持つことが望ましいと思うのでありますが、これは現在の基準を踏襲される考えですか。それとも、現状に即して若干この基準について改正される考えをお持ちなのかどうか。その点についてお伺いをしたいと思います。
  38. 梶本保邦

    梶本政府委員 ただいまのところ、別にこの基準について早急に変えなければならぬというふうな必要性に迫られておるとも考えておりませんような状況でございます。
  39. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでは、先ほど私が申し上げましたように、三十億ということも、オリンピックを控えて簡単に半年やそこらでりっぱなものができるわけのものでございませんので、特に開銀の資金ワクの問題について、まだ三十六年度の集計ができないから、三十七年度は三十億以上を期待しておる、こういうことでなくて、運輸大臣の方から積極的にこの問題の資金ワクを確保するように、同時に従来行なわれてきておるそれ以外の中小企業関係の金融機関の関係につきましても、これは先ほど勝澤委員からもお述べになりましたように、国際的な関係から見て、消費的なものと見るわけには参らない性質のものでありますから、特にそういう点に留意せられることを要望して、質問を終わります。
  40. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 ほかに御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 ほかにないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  42. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより討論に入りたいと存じますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認めて、これより採決いたします。  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  46. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 船員法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  47. 久保三郎

    久保委員 船員法改正について、先般に引き続いて、国鉄の連絡船等を中心にしてお尋ねをするわけでありますが、従来の御答弁を見ておると、持って回ったような答弁も多いので、一つ端的に御答弁をいただきたい、こういうようにまず要望しておきます。  それから、先般のお尋ねの中で、船員法改正委員会から三十四年の二月に、国鉄の労使双方に対して一つの試案を出されておるわけでありまして、この内容については、先般私から御披露したわけでありますが、これに間違いがないかどうか、さらにこの結末はどうなったか、これを一つ御回答いただきたい。
  48. 若狹得治

    ○若狹政府委員 国鉄連絡船の船員の労働時間に関しましては、船員中央労働委員会船員法改正委員会におきまして、昭和三十四年二月二十日に国鉄労使双方に対しまして、改正委員会の試案の提示をしたわけでございます。この案の内容につきましては、週四十八時間以内、一昼夜少なくとも連続六時間を含む十二時間以上の休息を与えるという試案を提出したわけであります。これに対しまして、国鉄当局側からは、労使時間に定められた給与等の労働条件等の関連からも、との試案は受けかねるという回答をいただいたわけでございます。また、国鉄の労組側からも、この案については特段の異議はない。ただし、従来からの乗船中の労働時間以外の労働条件については低下はないものと考えるという御回答をいただいているわけでございます。こういうように両者の意見が一致しなかったために、船員法改正委員会では、労使双方からなる特別の委員会を設けて協議検討の上、中央労働委員会に対して意見を提出していただきたいということを、三十四年五月に要望いたしたわけでございます。この提案に基づきまして、国鉄労使は、特別委員会を設置されまして、検討されたわけでございます。その後、中央労働委員会船員法改正委員会から、何回もこの特別委員会に対して、その結論を早く出していただきたいということを督促したわけでございましたけれども、なかなか結論は出てこない。三十六年一月に至りまして、その審議の経過の報告をいただいたわけでございますけれども、これによりますと、国鉄当局側といたしましては、六週間を平均して、一日八時間、一週五十六時間制度という提案をなされたわけでございます。また国鉄労組側といたしましては、一日十八時間、一日平均九時間の一週五十四時間制度というものを提案されているわけでございます。これにつきましては、長い間当局側と労組側でこの問題についての検討をしてきたわけでございますけれども、なかなか妥結点が見出せないということで、国鉄労組側としては、何らかの妥協点を見出すために、こういう提案をした。しかし、労組側としては、やはり四十八時間制というものをぜひとも実現したいし、週休制というものはとりたいという御意見でございます。その後船員法改正委員会におきましては、国鉄当局及び労組側の意見がどうしても一致しないという状況がございますので、船員法改正の問題の結論を得るためには、結局現在の一昼夜交代勤務制のみを認めることとし、細部については省令にゆだねるということで、そういう結論を出すということにいたしたわけでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 そこで、三十四年の二月に出した試案というものは、当然船員法改正委員会は三者構成でやっていると思うのでありまして、その前後には、それぞれの実態調査をなされて、あるいは事情聴取もして、これを基準にして、結論を得るように強く要請があったと思うのですが、どうですか。
  50. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員中央労働委員会船員法改正委員会におきましては、昭和三十一年の七月からこの問題についての検討を始めたわけでございまして、その後、この小委員会の試案を出すまでの間、約八回にわたりまして審議を重ね、また青函及び宇高連絡船等の現地調査をも実施いたしたわけでございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 そこで、船員法改正委員会の議事録を見ますと、結局国鉄当局側は、この試案に対していかなる点でできないか、あるいはやりかねるということについての具体的な明示がなかったということでございますが、さようですか。
  52. 若狹得治

    ○若狹政府委員 この試案に対する国鉄当局側の御回答は、先ほど申し上げましたように、給与の条件その他から受けかねるというふうに回答をいただいたわけでございます。その他の詳細につきましては、われわれのところでは承知いたしておりません。
  53. 久保三郎

    久保委員 給与の問題については、労使双方で具体的な話は出ていないと思うのであります。もちろん、労働時間に見合って給与の問題は出てくると思うのでありますが、まず第一に、船員法改正委員会から出されたものは、給与の問題は別として、勤務時間、労働時間について、これはこうすべきではないだろうかということで試案を出されたと思うのでありますが、この点はどうなんですか。
  54. 若狹得治

    ○若狹政府委員 その点につきましては、労働委員会といたしましては、当然労働時間の問題だけを議論しているわけでございますけれども、時間短縮というものについての考え方につきましては、給与を引き下げないで労働時間を短縮するというような考え方も、もちろんございました。また、それが通常の観念ではないかというふうに一般的に考えられているわけでございますので、そういう点から、給与の改定を伴う労働時間の改定ということを船員中央労働委員会として内示したわけではございませんので、そういう給与の改定と労働時間の改定というものを相関的に見るかどうかという点についての考え方は、改正委員会国鉄との間のはっきりした見解の一致はなかったというふうに、われわれは考えておるわけでございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 そこで本問題は、先ほどお話があったように、三十一年からやって参りまして、とうとう結論を得られないままに今日に来ているということだと思うのであります。そこで、新しい法改正をした趣旨は、先ほどお述べになったように、政令できめるんだということでありますが、政令できめる場合に、いかなる手段、方法をとるのか。政令できめるというならば、運輸大臣が一方的にきめるということでありますが、その場合に、今までのような経過をたどってみて、はたしてそれがきまるのかどうか。これをまず第一にお伺いいたしたいと思います。
  56. 若狹得治

    ○若狹政府委員 このたびの改正におきまして、近距離を航海する船舶について、船員法の労働時間、すなわち航海当直に立つ者につきまして、一週五十六時間制度というものの適用のワクからはずすといたしましたのは、これはそういう近距離の航海に従事している者につきましては、非常に入出港等の回数が多いわけでございまして、その面から船員法の五十六時間制を適用することが適当ではないと考えられますので、その除外例を設けていく。従いまして、この法律に基づきます、省令におきましては、一日平均八時間といたしまして、その勤務態勢の八時間というものは、何週間を平均して八時間にするかというその限度の問題、それから連続休息時間を何時間にするかという限度の問題、それだけを省令によってきめていきたいというふうに考えておるわけでございまして、この具体的な労働時間制の適用につきましては、労使間において決定していただく、それをわれわれの方としては、省令及び法律に触れない限度において、その労使間の決定によって処理していただけるようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この船員法改正委員会の意図するところとは、若干、今の局長のお話では、違うと思うのであります。いわゆる始期、終期のきめ方、そういうものをきめていくということだけでありますが、船員法改正委員会では、一つの試案を中間において出したという意図は、少なくとも一週について四十八時間、いわゆる週休の建前ということを基本にして試案を出されておるわけなんです。そうしますと、あなたのおっしゃることとは少し違うと思うのですが、これはどうですか、同じですか。
  58. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員法改正委員会の試案でございますが、これはあくまでも試案でございまして、法律改正の趣旨は、必ずしも一週四十八時間ということには限定されるわけではございません。少なくとも五十六時間制の労働というものは、必ずしも近距離の航海に従事する船舶の乗組員には適当でないということで、その制限をはずすということにわれわれ主眼を置いているわけでございます。従いまして、四十八時間制を内容とするものではございません。
  59. 久保三郎

    久保委員 しかし、ものの考え方から、船員法改正委員会の試案が、もしも幸いにしてというか、労使双方でよろしゅうございますというならば、当然法改正はその線でなされたと思うのですが、その点はいかがですか。
  60. 若狹得治

    ○若狹政府委員 近距離航海に従事する船舶は、相当数多いわけでございますけれども国鉄連絡船につきましては、たとえばこの四十八時間制というものがもし決定いたしましたといたしましても、他の一般船舶について四十八時間制が適用できるかどうかという点について、なお問題があるわけでございまして、いずれにいたしましても、現在の船員法の五十六時間制の適用除外にするということに改正の主眼があるわけでございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 あなたのおっしゃることは、私は、連絡船の問題について聞いておる。国鉄の問題を聞いておるわけでありまして、その他の問題については、また別途お話を申し上げたいと思うわけです。これは切り離しての問題、ここに試案というものが、国鉄の連絡船についての問題が出ているから、それを中心にしてお話を申し上げているわけです。その区別はやはりつけてもらわぬと、話は混線いたします。  いずれにしても、この政令できめるというが、私が聞きたいのは、政令できめる方向というのは、どういうものなのか。政令できめるという方向は、どういう方向をたどろうとしているか。それがなければ、政令にゆだねるということは大へんなことだと思う。一般の船員については、五十六時間なり四十八時間でちゃんときめているわけです。それで、政令に譲るというのでありますが、これは政令に譲るものが非常に多い。だから、ある程度の構想を御発表いただくというのが当然だと思います。いかがですか。
  62. 若狹得治

    ○若狹政府委員 命令に譲る範囲につきましては、先ほど御説明いたしましたように、一日平均八時間の週期の問題と連続休息時間の問題でございますけれども、これにつきましては、現在陸上労働につきましては労働基準法がございますので、それを参考といたしまして、海上労働上の特殊性を考えながら、労働基準法の労働条件というものをあまりに上回らないという程度で、この省令を作っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 そこで、現在の国鉄の連絡船、特に宇高、青函の二つでありますが、これの勤務形態、こういうものは合理的と考えておりますか。
  64. 若狹得治

    ○若狹政府委員 現在の勤務形態と申しますと、たとえばダブル・ハンドの交代制で行なっておられるというような御趣旨の質問かと思いますけれども、その点につきましては、現在のような運航形態をとっておいでになる以上、これは当然やむを得ないものであるというふうに考えておるわけであります。
  65. 久保三郎

    久保委員 ダブル・ハンド制を否定するものじゃございませんけれども、現在のダブル・ハンドを中心にした勤務形態というのは、合理的であるかどうかということをお尋ねしておるわけです。  さらにもう一つは、船員法改正委員会の中では、労使双方から、この労働条件は非常に過酷であるというような指摘もあるわけです。これについてはどういう見解をお持ちになりますか。
  66. 若狹得治

    ○若狹政府委員 国鉄連絡船の労働につきましては、非常に入出港がひんぱんでございますので、そのたびごとに全員が当直に立つというような関係でございますので、海上の航洋船の労働に比べて、非常に断続労働であるという点が、特異な点ではないかというふうに考えるわけでございます。従って、われわれといたしましては、一週五十六時間という遠洋の船舶を前提にしたような労働時間につきましては、これを改めまして、このワクからはずしまして、具体的な労働時間の決定については、労使間の協議によって決定するという方向をとろうとしたわけでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 具体的な労働時間については、労使間においてきめてもらうのだ、こういうことでありますが、そうすると、ワクはどういうふうにきめますか。
  68. 若狹得治

    ○若狹政府委員 この命令に譲るワクといたしましては、これは一日平均八時間の限度につきましては、法律に明記してございますが、この週期の問題と連続休息時間の問題を考えるわけでございますけれども、この一週間の労働時間のワクにつきましては、ここでははっきり明示はいたしておりませんけれども船員法には五十六時間が最高になっておるわけでございます。従いまして、一応五十六時間のワク内というふうに考えるわけでございますけれども、そのワク内におきましては、具体的なことにつきまして、労使間の協議によっていただくというふうに考えておるわけであります。
  69. 久保三郎

    久保委員 あなたのおっしゃることと私の考えとは違いますけれども、一週五十六時間というワク内できめてもらうのだというならば、何で一週五十六時間と書かないのですか。それなら、何も特別にここに書く必要はないのじゃないですか。いかがです。そのワク内でそんなふうにきめるなら、政令で何も同じようなワクをきめる必要はない。特別なワクをきめようとするから、政令に譲るということなのじゃないですか。いかがですか。
  70. 若狹得治

    ○若狹政府委員 もちろん、そういう五十六時間以下のものがあり得るということを想定いたしまして、それに譲ったわけでございます。
  71. 久保三郎

    久保委員 五十六時間というものがあり得るというなら、それが最大のワクでしょう。最低のワクというか、最大のワクでしょう。それなら、そのワク内において政令できめるというなら、これは政令に譲る部分がそのワク内だから、五十六時間と書くのがほんとうじゃないですか。たとえば一般の外航船の場合は五十六時間、四十八時間、ところが、団体交渉というか、そういうものを通して、中労委にあっせんというか、仲裁、そういうことになって、今日週休制の問題が出てきている。そうでしょう。これと同じようにやるというのでしょう。いかがですか。違うふうにやるというのが七十二条の二じゃないですか。いかがですか。   〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  72. 若狹得治

    ○若狹政府委員 労働時間の総量につきましては、一週五十六時間は変わらないわけでありますけれども船員法にいっております八時間という制限は、今度の改正によりまして、一日平均八時間ということに変わるわけでございます。そういう点に改正の趣旨があるわけでございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 一日平均八時間、これもわかるが、それじゃ、そのあとはどうするのかというお尋ねを私はしているわけです。全部あとは政令に譲るというのでは、あなたのお話ではおかしいじゃないかというのです。一週五十六時間というワク内で、あとは労使間の協議にまかせるのだ、こういうお話です。なるほど一日平均八時間なら八時間というふうに直ってはおりますが、この点が改正の点だというなら、このほかに、一週の問題についてやはり明記するのがほんとうじゃないですか。私が考えるのには、それは明記しないで政令で具体的にきめるのだということなら、五十六時間ではない、こういうことじゃないですか。いかがです。
  74. 若狹得治

    ○若狹政府委員 政令できめるものといたしましては、平均八時間の週期、何週間で平均八時間にするかという週期の問題をきめることを考えておるわけでありまして、一週を週期として一日平均八時間というような規定を考えておるわけではございません。従いまして、労働基準法におきましても、四週間を平均して一日八時間という規定がございますので、それを参考としながら、海上労働の実態をも考えて、この週期を検討していきたいと考えておるわけであります。
  75. 久保三郎

    久保委員 どうも局長のおっしゃることは、実際中身についてよくわかりません。私も、しろうとですからよくわからぬのかもしれませんが、どうもあなたのおっしゃることについてはよくわかりません。そこで結局、政令できめるのは週期の問題だけですか、いかがですか。
  76. 若狹得治

    ○若狹政府委員 その通りでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 その始期、終期はいかなる規模においてきめますか。どういう程度にきめようとするのですか。
  78. 若狹得治

    ○若狹政府委員 先ほどから申しておりますように、労働基準法におきましては、四週間を平均して一日八時間という規定がございますので、この規定を参考としたいと思いますけれども、現在のところ、国鉄連絡船の実態等の問題もございますし、一応五週間以内の期間を予定いたしておるわけでございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 それは、国鉄の勤務形態を基礎にして五週間ということでありますか。現在のダブル・ハンド・システムは、労使双方ともこの方がよろしいということになっておる。そのために、今日の船員法を守れない部分も出てきているわけですね。そうだとするならば、これはやはり五週間というようなものじゃなくて、一勤務単位で始期、終期の問題を解決すべきだと私は思う。五週間単位ということじゃなくて、一勤務単位をとるべきじゃないですか。いかがですか。
  80. 若狹得治

    ○若狹政府委員 国鉄連絡船につきましては、現在の勤務体制がいいか悪いかという問題につきましては、今後とも労使双方におきまして検討されることと思いますけれども、われわれの考え方といたしましては、一応一カ月というものを基準にいたしまして、一カ月の限度内において、もとの勤務体制にまた返ってくるというような状況を想定いたしまして、五週間と考えておるわけでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 私が申し上げているのは、今のダブル・ハンド・システムでやっているのが、一番長い伝統もあるし、それから運航の形態からいっても、こうすべきであろう。さらに、入出港もひんぱんで、船内における休息というのが十分とれないことは、お認めになっておるでしょう。まずそれを聞きましょう。船内における休息時間が、十分外航船のように静かにとれるかどうか。いかがですか。
  82. 若狹得治

    ○若狹政府委員 確かにそういう問題があると思いますので、このたび改正いたすわけでございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 そういうことを考えれば、いわゆる五週間、一カ月以上になりますよ。そういうものを単位にとることがはたして妥当かどうかというよりは、むしろ今の勤務体制、いわゆるダブル・ハンド・システムを中心にしたものの考え方で問題を解決するのが至当ではなかろうかと、私は考えます。始期、終期の問題も、一勤務単位をとってやるべきじゃないか。そうしないと、なかなかむずかしい問題がさらに出てくると私は思うのですが、その点はどうですか。
  84. 若狹得治

    ○若狹政府委員 省令は、国鉄連絡船の問題だけを規定するわけではございませんで、いろいろな場合があるかと存じますが、一応一カ月を週期といたしまして、もとの勤務体制に返るということ、大体においてそういうような考え方の方が実情に合うのではないかというようなことを考えておるわけであります。国鉄の連絡船につきましては、どういう勤務体制になるかという問題につきましては、今後の問題として考えていきたいと思います。
  85. 久保三郎

    久保委員 私が先ほどから申し上げておるように、結局今質問申し上げておるのは、国鉄の連絡船のみに限定して申し上げておるわけであります。政令でこれをお定めになるということになれば、当然国鉄の連絡船についてはどうすべきか、あるいはその他の船についてはどうするか、こういうきめ方ができると思います。それはもちろん言うまでもありませんが、船員法改正委員会でも、国鉄の連絡船の勤務形態について特別な配慮をして、長い年月御研究なさって今日まできておるわけであります。そういうことから言うならば、当然国鉄の連絡船については特別な考慮がされるべきである、こういうふうに考えてお話し申し上げておるわけであります。あなたのお話のように、その他の一般の、たとえば別府航路も含めてということじゃないのであります。その点についての御見解を聞いておるわけでありますが、いかがですか。
  86. 若狹得治

    ○若狹政府委員 省令によりましては、近距離航海に従事する船舶すべてに適用されるわけでありますので、特に国鉄連絡船自体についてこれを適用することに支障があるかどうかという点が、問題になるわけであります。その最高限度が問題になるわけであります。そういう点について問題がなければ、われわれは、省令としてはこれでよいというふうに考えておるわけであります。従いまして、現在の勤務体制におきましては、一カ月を国鉄の場合においても週期としておるわけであります。具体的に申しますと、三十二日を週期としておるわけであります。そういうものをも適用し得るよう、省令を作りたいと考えております。
  87. 久保三郎

    久保委員 そこで、その問題については、われわれは前進の形ではないと思います。船員法改正は、いかなるねらいで改正案を出してきたか、ちっともわかりませんが、私は、少なくとも改正するならば、前向きの姿勢で改正がなさるべきであると思います。そういう点は、若干というか、この中にもあります。そういう点で、七十二条の二も新しく起こしたと私は思います。実情に合わせると同時に、これを改善していこう、そのために、船員法改正委員会でもそういう案を出しておるわけでありますから、それから逸脱して、さらに後退するようなものの考え方なり改正の仕方は、これはちっとも改正ではないとわれわれは考えております。  そこで、先ほどから五十六時間、五十六時間とおっしゃっておりますが、これは四月五日に、全日海の労働協約の調停案が出ておるわけであります。これはまだもちろん労使双方から受諾というか、そういうことにはならないと思いますが、一応のめどとして、外航船舶についても一日について八時間、一週間について休日一日の制度を設ける、こういうことであります。この休日を保障するということでありますが、保障の方法については、さしあたり全部が全部確実にこれがとれるわけにいかぬというので、現金を支給するとか、振りかえ休日をやる、こういう調停案が、現実に沿った妥当な線として出ているわけてすね。しかも、世界の海運から参りますれば、労働時間を五十六時間にこういう法律できめておくのは、この近くではインド、あるいは西ドイツ、この二つだけであります。あとは五十六時間でなくて、それ以内、四十八時間なり四十四時間、四十五時間、こういうことになっているわけですね。だから、あなたの方の考え方は、五十六時間を改定する意思はないというふうにとれるわけです。あとは労使間の協議でやってくれ——これも筋ですよ。しかしながら、そういう趨勢があるということは、あなたたちはどういうふうに考えているか。いかがですか。
  88. 若狹得治

    ○若狹政府委員 五十六時間制度の問題につきましては、遠洋航海を行なうものについては、当然船舶の中に拘束されておるわけでございますので、実態的に五十六時間制度というものはとらざるを得ないわけであります。従いまして、中労委の裁定におきましても、一週について一日の休日を与えるということでございますけれども、航海中にはたして一日与えるべきか、あるいは上陸後与えるべきか、あるいは時間外手当その他の方法によってかえられるべきかというような問題は、今後労使間において協議してもらいたいという裁定であります。従いまして、われわれといたしましては、一週五十六時間制度自体につきまして、今この点について法律が不適当であるというふうには考えておりません。ただ、その補償の方法については、いろいろな方法がございますし、今後時代の進展に応じまして、またその補償の方法についてもいろいろな変化があるであろうというふうに考えておるわけでございます。また国際条約におきましても、この五十六時間制は当然認められておるわけでございます。従いまして、この問題につきましては、有給休暇、あるいは振りかえ休日、あるいはその休日の買い上げというようないろいろな手段がございますので、それとの関連においてその適否がきまってくる問題ではないかと考えておるわけでございます。
  89. 久保三郎

    久保委員 五十六時間というのは、船の構造の問題が一つある。それから長い航海という問題がある。二つの問題から五十六時間ということになっている。それから当直三直制というか、そういう問題、この三つですよ。しかしながら、労働時間というものは、労働基準法では一日八時間、四十八時間制が基本になっているわけですね。海の場合は、そういう特殊な条件があるから、五十六時間ということになっている。しかしながら、時代の進運というものは、やはり海上労働者にも週休制を与えるべきだという理念が正しいということであります。だから、調停案がそう出た。しかし、現実には船の居住区を増すとか、あるいは船員をたくさん乗せるとか、こういうことは直ちには不可能である。よって、この休日補償については、現金支給、いわゆる買い上げか、あるいは振りかえ休日か、こういうことを言っているわけです。ただし、理念としては、たとえば三十四年の二月に出した船員法改正委員会国鉄連絡船に対する試案にしても、やはりそういう週休制をものの基本として考えている。今度のこの調停案にも、それはものの基本として考える時代になってきている。ただし、これは外航船の問題だから、現金支給とかあるいは振りかえとかいうことになるわけでありますが、少なくとも短距離の間を往復する国鉄の連絡船等は、当然現金支給というようなものではなくして、実質的な週休を与えるべきだというのが一貫した思想だと私は考える。この思想に対してあなたはどう考えていらっしゃるか、こういうことであります。
  90. 若狹得治

    ○若狹政府委員 一週四十八時間制の問題につきましては、先ほどから御指摘のありましたように、中央労働委員会といたしましては、三十四年にすでに四十八時間制の提示を行なっておりますし、また、先ほどの外航船につきましての裁定を見ましても、一週四十八時間制というものを基本にして考えておることは、事実でございます。しかし、われわれ行政の立場にあるものといたしましては、この問題につきましては、先ほど五十六時間制の問題で申し上げましたように、具体的な補償の問題との関連において考えなければならないということが一つございます。それから国鉄の問題につきましては、中労委が労使双方に前の試案を提示したときにいろいろ御検討いただきましたが、なお相当の問題があるわけでございます。具体的に言いますれば、現在の勤務体制をどうするか、あるいは給与をどうするかというような問題がございますので、そういうものとの関連において総合的に考えるべき問題であるというふうに考えております。
  91. 久保三郎

    久保委員 局長、あなたはどういう立場におられるのかわかりませんけれども船員法をあずかる役所の立場とするならば、労働時間あるいは給与の問題も含みますけれども、少なくとも労働時間そのものは、労働の再生産がその中でできながらきめられなければならぬ筋合いだと思うのです。そうだとするならば、これに見合った方向で前進させなければいかぬと思うのです。  なお、国際的に五十六時間は認められておると言いますが、国際法の場合は、最低基準ですよ。それを前進させることがどうして悪いかということなんです。時代が進展しておるのだから、外航船——国鉄の連絡船ばかりではありません、船全体が週休制をとられるような体制に持っていくことが、まず第一ではないか、こういうふうに私は考えるのです。あとは団体交渉でやるとか、労使協議の上やってくれればいいのだというのでは、あまり無責任過ぎるのではないか。いかがです一か。あなたは五十六時間と言われるが、あなたの思想からいえば、百時間にきめてもいいのです。あとは労使双方でやってくれ。国際法があるから、やむを得ず五十六時間にしておるという論法になりますよ。これは船員行政に携わる最高責任者としては、少しどうかと思うのですが、いかがですか。
  92. 若狹得治

    ○若狹政府委員 国鉄連絡船の労働につきまして五十六時間制を適用することが適当でないということでありますので、先ほどから御指摘になりましたような四十八時間制の問題もあるでしょうし、あるいは具体的にそこへ到達するまでのいろいろな段階があると思いますが、いずれにいたしましても、五十六時間制は適当でないという見解に立ちまして、そういう制限を取り除くことがわれわれの当面の仕事ではないか、そういう見地から、今度の改正を行なっておるわけでございます。従いまして、そういう制限がなくなれば、労使間において協議をして決定していただく問題であるというふうに考えるわけであります。
  93. 久保三郎

    久保委員 だいぶ前向きのお話になりましたが、前向きにとっていいと思うのであります。ただ、さっきのお話からずっといって、われわれの方としては、この際ある程度この問題にもめどをつけてもらいたいと思うのです。三十一年でありますか、長年やってきて結論が得られないというのに対しては、なるほど労使双方に実際問題があります。少なくとも今までの国鉄連絡船の労働条件というか、こういうものには前時代的なものがあった。これをふるい落とすことも一つです。そのためには、労働者も自覚してもらわなければならない。ところが、今日当局側の言い分としては、船員法による五十六時間を固執して、これをたてにして、今日までいわゆる週休制なりそれ以外の問題についても拒否し続けてきておる。ちっとも前向きになっておらぬ。もちろん、ここで政令がいつ出るかわかりませんが、法案が通った直後において、たとえば政令を出すにしても、直ちに私が言う通りの週休制を明日からとれるというわけにはいかぬでしょう。これは私もそう思っております。しかしながら、ある一定の期間内において、そういう操作をすることは可能だと私は認めておる。あなたはそう思いませんか。いかがですか。
  94. 若狹得治

    ○若狹政府委員 そういうような週休制の問題について、労使の間で結論が出れば、それを受け入れ得るような法律の体制にするということが、今度の改正の趣旨でございますので、命令がそういうものを前提にして作られることは当然でございます。
  95. 久保三郎

    久保委員 そういう結論が出れば受け入れるということではなくて、そういうところへ誘導するというのが政令の趣旨じゃないんですか。いかがです。受け入れるというのだと、非常に消極的です。だから、私が質問しているのは、そういう問題ではなくて、今の形態を双方で工夫すればそれに近づくことが可能であるというふうに私は見ているが、あなたはどう見ていますか、こういうことをお尋ねしているのです。
  96. 若狹得治

    ○若狹政府委員 この問題につきましては、三十四年の船員中央労働委員会の試案を提示いたしまして以来、労使双方におきまして検討をいただいたわけでございまして、二年間御検討をいただいても、なお結論が出なかった問題でございますので、私は私個人の考えとして、はたしてそれができるかどうかということを申し上げるわけには参りません。ただ、現在の中労委の考え方というものは、その試案に見られるごとく、四十八時間制をとっております。またこの前の裁定によりましても、四十八時間制をとっておることは事実でございます。従いまして、われわれは、このたびの法律改正におきましては、そういう結論が出た場合にも、それを受け入れ得るという法律体制にすることが、先決問題であるというふうに考えたわけでございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 それじゃその船員法改正委員会の試案にも見られるように、さらにはいつかの全日海の調停案に見られるように、週休制というものを、これはあなたもお考えになっておるわけですか。そういう場合には受け入れるというふうに政令をきめるというのではなくて、それを歓迎するのか、希望するのか、それともまあどうでもいいのか、どっちなんですか。いかがです。
  98. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員行政を担当する者といたしましては、中央労働委員会の裁定を尊重するということで考えていきたいと思います。もちろんこれにつきましては、いろいろな条件があるわけでございまして、たとえば海運企業につきましても、いろいろな条件がございますし、また、国鉄の問題につきましても、先ほどから申しておりますように、給与の問題その他がございますので、ただ単に、行政を担当する者として単純な希望を申し上げるというだけで問題は解決しないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 なかなか大事な点かもしれませんが、どうも逃げよう——と言っては語弊がありますが、あんまり言いたくないようでありますが、この辺は、やっぱりはっきりものを言っていくのが行政官としての立場じゃなかろうかと思うのです。ただ、ここでお尋ねしたいのは、私の方は修正案を出そうということなんです。もちろん自民党さんでは御異論があるようでありますが、その趣旨は、今申し上げたように、国鉄二つの連絡船については、四十八時間週休制にしたらどうか、こういうことなんです。これに対してはあらためてお尋ねしますが、そういうものはどうなんですか。受け入れられますか。
  100. 若狹得治

    ○若狹政府委員 先ほどから御説明いたしておりますように、具体的に法律で規定すべきもの、あるいは省令で規定すべきものにつきましては、一般的に適用される対象を考えまして規定するわけでございますが、国鉄の連絡船ということを特別に明記いたしまして、その労働時間について法律に規定するということについては、私は適当ではないというふうに考えるわけでございます。従いまして、個別的な労働時間制の問題については、労使の協約によって決定されるべき問題でございまして、法律といたしましては、その現在のたとえば五十六時間制の制約というものを取り払うということに今度の改正の主眼があるわけでございますので、個別的な労働時間について、法律の中へ一々規定していくということは、不適当であるというふうに考えるわけであります。
  101. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、政令できめればいいですね。いかがですか。
  102. 若狹得治

    ○若狹政府委員 命令につきましても、一般的な基準を命令に規定するわけでございますので、これにつきましても、個別的な労働時間を個々に掲げるということは、やはり適当ではないものと考えておるわけでございます。
  103. 久保三郎

    久保委員 それじゃ先ほどの話に戻りますが、あとは労使協議によってやるなり、その他の機関を通して決定すればよろしい、こういうことでありますが、それはそれでいいと思います。しかしながら、ものの考え方として、五十六時間制を四十八時間制に直すことについて、歓迎するかどうか、もう一ぺん聞きます。いかがですか。
  104. 若狹得治

    ○若狹政府委員 給与その他いろんな条件がございますけれども、労働時間の短縮ということは、これは当然労使双方において今後検討さるべき問題であるというふうに考えております。
  105. 久保三郎

    久保委員 いや、労使双方で検討さるべき問題であることはわかっておるわけです。あなたは、船員の方の立場にあって、その四十八時間になることを希望するかどうかを聞いているのです。くどいようでありますが、希望しますか、しませんか、いかがですか。
  106. 若狹得治

    ○若狹政府委員 労働時間の問題につきましては、単に時間が短くなるということだけですべてが解決するわけでございませんで、いろんな条件があるわけでございます。給与の条件、休息時間の条件、あるいは労働時間の、先ほどから申しております週期の問題、いろいろな問題がございますが、そういうものを総合的に考えなければ、ただ単純に時間短縮だけがいいんだというふうに一がいに申し上げることはできないと考えるわけでございます。
  107. 久保三郎

    久保委員 今は国鉄の連絡船についてお尋ねをしているわけなんです。その他の問題ではお尋ねをしていないのです。だから、そういうことからいって、なるほど給与の問題もございましょうが、しかし、労働者の人間として働くという時間はどうなのか、こう考えた場合に、先ほど申し上げたように、一般船員の場合は、五十六時間というのが、最大限なんですね。これはいわゆる船舶の構造、あるいは要員の問題、運航の形態、この三つから五十六時間というのが出てきているのだ。ただし、この調停案に見るごとく、やはり労働者の労働時間というものは、週休制が原則である、こういうふうに割り切った形なんですね。船員法改正委員会でも、その通りなんです。だから、まず一週四十八時間に引き直した場合に、給与のあり方については、これは別途考えなければならぬ。また別途の問題です。その前に、労働再生産の面から、時間についてどうなのかということを聞いているのです。あなたのおっしゃることは、どうも逃げ回って、その他の条件もございますから、休息時間の問題もありますから云々と言うが、特に連絡船の場合は、船内における休息時間は、労働の再生産には残念ながらあまりならない、こういう実態はお認めになるでしょう。そうだとするならば、当然その原則に基づいた、家に帰して一日休ませるという原則は、やはり貫き通すべきではないか、こう思うのですが、いかがですか。現実には、直ちにあしたからできるとは思いませんよ。しかし、原則はそういうものが正しいのではないかというふうに私は考えておる。どうですか。
  108. 若狹得治

    ○若狹政府委員 方向としては、労働時間の短縮という方向に進むべき問題であるというふうにはわれわれは考えておりますし、そういう方向に向かって労使双方において努力していただきたいと考えておるわけでございます。
  109. 久保三郎

    久保委員 努力していただきたいということでありますが、政令はどうきまるのか。さっき言ったような形では、どうもそういう方向を見つけることはなかなか困難じゃなかろうか、こういうふうに私は考えます。  そこで、さっき中村常務が何かお話をしたようでありますからお尋ねしたいのでありますが、国鉄当局は、今日まで、われわれの見るところでは、この問題については、五十六時間をたてにとって、前進するような形が見えてないと思いますが、これに対する努力は今日までなされたのでしょうか、いかがですか。
  110. 中村卓

    ○中村説明員 この問題につきましては、先ほど船員局長からいろいろ御説明がありましたように、相当長い間労使間の懸案でありまして、いろいろ検討はいたしております。しかし、昭和十七年でございますか、例のダブル・ハンドの問題、これは陸上勤務者との関係、バランスの問題もあって、やはりこういう方向で、この制度を維持しながら問題を解決していきたいということで、労使双方ともいろいろ苦慮したわけでありまして、われわれとしては、五十六時間というものが、従来の考え方から申し上げますれば、あるいは固執したかもしれない。必ずしもそれは否定しません。ただし、先生も御承知のように、昨年の夏、主としてこれは陸上の国鉄の勤務者を対象としておりますが、時間短縮が出まして、それについては労使ともに受諾いたしまして、これに基づいて団体交渉を継続中でございます。こういう世の中の風潮と申しますか、そういうことも勘案して、船についても、われわれとしては、同じ方向で将来考えていくべきではないかというふうには思っております。ただし、その場合、問題がございます。企業の合理化が、陸上の場合の調停案にもはっきり前提として書いてございますし、このたび——私の方には直接関係ございませんが、船員中労委から出された調停案の中にも、やはり企業の合理化ということが相当大きな条件として書いてあるように読めますので、われわれとしては、その合理化とにらみ合わせながら、なおかつ、一方においては、先ほども問題がございましたが、給与の関係、陸上勤務者とのバランスを考えながら、この問題を処理していきたいと考えております。
  111. 久保三郎

    久保委員 前のことをいろいろあげつらっても時間的にむだでありますから、続いてお尋ねしますが、私は、現実にどう解決するかが今日の問題だと思う。そこで、ものの考え方の一つの基本線としては、連絡船のごときものは、やはり船内における休息は完全にとれない。労働再生産には非常に支障がある。私は、機会がありまして、この間宇高連絡船に一往復乗って参りました。甲板員の休憩室は、航送貨車を入れる下の狭い場所にある。こうなりますと、一時間以内に発着するわけでありますから、睡眠といっても、上の方でがらがらやっていては、とてもじゃないけれども休息はできない、こういうふうに考えるのです。これは国鉄全体から見ても、やはり労働再生産を完全にするという立場から、週休制というものを打ち立てるべきだと思うのです。これに対する御見解はいかがですか。給与の問題はありますが、まずそういう形態に方向を向けるべきだと私は考えるのです。
  112. 中村卓

    ○中村説明員 いろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、現在の段階におけるわれわれの考え方は、先ほども申し上げましたように、給与その他の問題をひっくるめて、なおかつ、連絡船自体の合理化を一緒に考えて、その方向に進んでいきたいと考えております。
  113. 久保三郎

    久保委員 その方向に進みたいということでありますから、問題はないと思いますが、その場合、給与の問題はもちろんあるのです。さらにもう一つは、人間の頭数の問題、さらには船の構造の問題があります。この三つをやはり解決しなければならぬと思う。しかし、今までは、その週休制を建前とするということをたな上げするために、その他の問題を解決しようとしない。その他の問題に言及して、本論にあまり言及されていないように私は見るのです。給与の問題がどうだとか、給与が三号俸高いのだから、五十六時間働かせるのは当然だ。しかし、四十八時間働くのが建前で、そのためには給与をどうすべきだ、人間をどう配置すべきかというような、前進的な気がまえがないようですが、これを機会に、そういう方向に向けるのですか、どうですか。
  114. 中村卓

    ○中村説明員 これはくどいようでありますけれども、私たちの立場は、やはり先ほど先生がお話しになった給与の三号俸上積みという問題も一緒に解決しないと、陸上勤務者とのバランスがとれないという問題が起こって参りますので、そういう点については、慎重に団体交渉で話を進めて参りたいと思います。
  115. 久保三郎

    久保委員 給与の問題をということですが、四十八時間に引き直すということの原則が片づかなければ、給与の問題は片づきませんよ。全体の合理化にしても、たとえばオイルバーナー式に切りかえた、あるいは自動ストーカー式に切りかえたといっても、それだけでは、いつまでたっても四十八時間、週休制に引き直すことは不可能だ。いろいろありますよ。中で働く人間の配置にしても、たとえば一船ごとに庶務、経理その他いろいろやっておるようでありますが、こういうものをほかに移せば、これは国鉄当局も利益になるだろう。あるいは船員自体も利益になる面がある。こういう割り切った形で合理化なり時間短縮は考えるべきだと思うのですが、今まで、どうも双方とも、そういう点では積極性がなさ過ぎる。両方とも疑心暗鬼の点があったと思いますが、どうですか。両方とも疑心暗鬼でかかっておる。だから、三十一年からやっても結論が得られないと思うのですが、どうですか。
  116. 中村卓

    ○中村説明員 それは、確かに疑心暗鬼の面が全然なかったというわけではなく、私もあったと考えております。先ほど申し上げましたように、陸上も、時間短縮が正式には調停案をもとにいたしまして団体交渉を進められる段階になって参りましたので、海上勤務の船員につきましても、同じ方向で問題を処理すべきだとわれわれも考えております。従いまして、今後は、両方ともそういう疑心暗鬼ということのないように、ほんとうに率直な気持で団体交渉を進めて問題を解決していきたい、こういうふうに考えます。
  117. 久保三郎

    久保委員 今日団体交渉を持っておりますか。
  118. 中村卓

    ○中村説明員 この問題につきましては、話が昨年に一回ございまして、その場合に、私の方といたしましては、船員法改正を待ってやりたいというふうに回答いたしまして、たしかそれきりになっておると記憶しております。
  119. 久保三郎

    久保委員 船員局長、あなたの方ではどういう指導をしておるのですか。今中村常務が言うように、去年申し入れがあったんだが、船員法改正されるそうだから、それを待ってみよう、こういうことです。あなたの方では、船員法改正といっても、政令にゆだねる、こういう格好になるのですね。これではいつまでたってもケリはつきません。どういう指導方針をとるのですか。これができた、直らにやらせますか。それとも、裁定はあなたが下しますか。労使双方といっても、解決つきませんよ。全部船員法に抵触していくのですよ。
  120. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員法改正ができますれば、当然もう一度、国鉄の労使においてこの問題を検討するということをお願いする考えでございます。ただ、先ほどからお話がありましたように、現在陸上の者につきましては、四十六時間制という問題がございますし、また、海上につきましても、中労委の裁定が出ておる段階でございますので、海上の問題につきましては、この裁定の結果がどういうふうな状態になるか、今のところ見通しはつきませんけれども、そういう情勢ともにらみ合わせまして、国鉄労使間におきまして、早急に結論を出していただきますようにお願いする考えでございます。
  121. 久保三郎

    久保委員 今まで何回か船員法改正委員会で言っても、がんとして結論が出ない事態になっているわけです。あなたは、ただお願いするという、お願いの程度国鉄の問題が片づくと思っているのですか。これは、指導的な役割をあなたが果たさぬ限りは、だめだと思うのです。結局何年もこういうふうな形で見過ごしてきたということは、あなたの方にも責任がございますよ。いかがですか。
  122. 若狹得治

    ○若狹政府委員 労使間の問題につきましては、労使間で協議決定していただくということをわれわれは建前といたしておりますので、法律上、たとえば五十六時間制が不適当であるということならば、それを改正するということがわれわれの任務でございます。従いまして、具体的な問題につきましては、労使間において協議決定していただくということを、今後とも行政の方針としてやっていきたいと考えております。
  123. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、この問題を前向きで解決するというのには、今の体制では相当な困難があると思うのです。政令のきめ方についても先ほどのような形では、残念ながら前向きにはあまりならぬと、われわれは思っているわけです。始期、終期のきめ方については、後刻また一ぺんお尋ねするけれども、これはそういうことではどうかと思う。  そこで、中村常務にもう一つお尋ねしますが、そうしますと、先ほどのお話では、国鉄当局は、船員法改正になる。そうすれば団体交渉を再開するということでございますか。
  124. 中村卓

    ○中村説明員 私たちの気持は、そういう気持でございます。
  125. 久保三郎

    久保委員 それは、今の時短の問題とくるめておやりになりますか。
  126. 中村卓

    ○中村説明員 陸上関係の時短の問題と一緒にという意味の御質問でございますか。——それは必ずしも陸上関係の時短の問題と同時でなくても、むしろ陸上関係の時短の問題は、ある意味ではある程度進んでおります。大体今まで実質的な話し合いといたしましては、一昼夜交代の勤務の非常に激しいものをまず対象に取り上げて、これを解決したい。それから動力車乗務員のうち、電気機関車の乗務員とディーゼル機関車の乗務員につきましては、大体蒸気機関車の乗務員と同じような勤務時間の方向で解決したいということで、ある程度内容が前進しておりますので、それには若干ピッチが合わなくなるかもしれませんけれども、やはりそれと並行して考えていきたいというふうに考えております。
  127. 久保三郎

    久保委員 それでは、くどいようでありますが、中村さんにもう一度お伺いしますが、結局今の勤務形態、ダブル・ハンド・システムを基本にして、先ほど私が申し上げたように、労働再生産の面からも、週休制の建前で何とか——その他の問題もございますよ。くどいようですが、それを含めて解決したいという考えで、今日おられるのですか。いかがですか。
  128. 中村卓

    ○中村説明員 それは同じことになりますが、特にダブル・ハンドは、大体これは労使とも、この制度を維持していきたいと現在の段階では考えております。ただ、週休制の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、給与の問題、それから陸上勤務者とのバランスの問題もございますので、それとのバランスを考えて解決していきたい、そのように考えております。
  129. 久保三郎

    久保委員 では次に参りましょう。  今度は連絡船以外の一般の問題ですが、七十二条の二でありますが、この七十二条の二の中で規定するように、いわゆる第六十条及び第六十二条乃至第六十六条の規定によることが著しく不適当であると認められる主務大臣の指定する船舶に関しては命令できめる、こういうことになっているわけですね。著しく不適当だというのは、どういうものが指定されているか。連絡船はわかっている。それ以外に何か……。
  130. 若狹得治

    ○若狹政府委員 入出港が非常にひんぱんでありまして、その結果、船内労働が非常に断続労働になるというものでございまして、そういうものといたしましては、瀬戸内海に就航する船舶、あるいは近距離の、たとえば八丈島等に就航しておる船舶というようなものを考えておるわけでございます。
  131. 久保三郎

    久保委員 関西汽船だったと思うが、別府航路は、一週に一回休航して休息しておるというふうに聞いておるが、あの勤務形態は、今日国鉄のそれに比べて進歩しておるのかどうか。いかがですか。
  132. 若狹得治

    ○若狹政府委員 関西汽船の別府航路の勤務形態につきましては、現在の船員法の規定いたしております航海当直につきましては、五十六時間制度というものをとっておるわけでございますけれども、この点について、国鉄の連絡船の勤務形態とはたしてどちらが進歩的であるかという問題については、これはわれわれ容易に結論を下すことができないというように考えますけれども、関西汽船の労働の状態につきましても、今後この五十六時間制が適用されないということになりますれば、あらためて検討することになると考えるわけであります。
  133. 久保三郎

    久保委員 そこで、これは前に聞いたと思うのですが、はっきりしなかったので、もう一ぺん聞きますが、「命令で別段の定めをすることができる。」と書いてあるが、定めをしない場合もあるか。指定はするが、船舶を指定すれば必ず命令できめるわけですか、いかがですか。今おっしゃった指定する船舶に関しては、必ず政令できめるわけですか。
  134. 若狹得治

    ○若狹政府委員 これは主務大臣が、船員法の労働時間の原則によることが適当でないというように考える船舶につきましては、特に指定いたしまして、その指定した船舶については、命令で別の時間制度をきめるということでございます。従いまして、主務大臣の指定した船舶については、必ず命令で別段の定めがあるということでございます。そういう別段の命令の定めのないものを指定するということは、あり得ないわけでございます。
  135. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、指定をしない場合もありますね。不適当と考えながらも指定しないという場合も、出てくるわけですね。  もう一つ続いて聞きますが、この法案が通る時期は、通るとすれば最大限五月七日に通るわけですが、いつの時期に別段の定めをするか。いかがですか。
  136. 若狹得治

    ○若狹政府委員 まず第一の御質問でございますけれども、主務大臣が不適当であると認めながら命令で定めない場合があるかどうかという問題でございますけれども、過渡的にはそういう問題は当然あるというふうに考えます。しかし、そういう問題のないように、われわれとしては、できるだけ労働の実態に即応したような指定をしていきたいと考えておるわけであります。  それから第二の、この命令の制定の時期でございますけれども法律の施行は十月一日になっておりますので、それまでにこの命令の内容については考慮していきたい、こういうように考えております。
  137. 久保三郎

    久保委員 そうすると、当然国鉄の連絡船は十月までに一応の形を作る、こういうことですね。   〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 若狹得治

    ○若狹政府委員 十月までに結論を出していただくようにお願いしたいと考えております。
  139. 久保三郎

    久保委員 十月までに結論が出なかったらどうしますか。
  140. 若狹得治

    ○若狹政府委員 十月までに結論が出ない場合にはどうなるかという御質問でございますけれども、十月までに結論が出ない場合には、従来通りの情勢でございますけれども、今度船員法改正いたしますのは、現在の法律によりがたい労働であるということで改正いたしますので、そういう状態が長く続くということは、われわれは希望いたさないわけでございます。今度の改正の趣旨にも合わないわけでございますので、われわれとしては、何としても十月までに結論を出していただくということをお願いしたいと思っております。
  141. 久保三郎

    久保委員 それじゃお約束があったようですから、どうなるか見守りましよう。  それから次に移りますが、労働時間——六十条の関係でありますが、六十条にいうところの一週五十六時間というのは、先ほどから何べんもお話をしたわけですが、これは先ほどから言う通り、この辺である程度の前進をはかるべきだと私は考えていたわけなんです。この一週五十六時間については、あまりお触れになっておられない、こういうことなんです。世界的傾向なり、あるいは日本の海運の問題からいっても、当然これはそういうふうな前進をさせることが、今度の改正の大きな問題ではなかったかと思うのですが、これは船員法改正委員会等では、あまり論議がなかったのですか。
  142. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員法六十条の五十六時間制については、船員法改正委員会におきましては、今までは、この内容について長い討議を行なったということはございません。今後、こういう問題を検討するということになっております。ただ、われわれといたしましては、この規定は、週休制にするかどうかというような問題とは別個の考え方でございまして、船舶に乗り込んでおる間は、五十六時間の労働を行なうというのはむしろ当然でございますので、そういう意味から、むしろ問題はその補償をどうするかという問題で、先ほど中労委の裁定におきまして触れましたように、振りかえ休日をどうするか、あるいは有給休暇をどうするか、あるいは休日労働の場合の割り増し賃金をどうするかということで解決すべき問題で、法律自体としては、六十五時間の線というものは今後とも変わりはないというふうに考えておる次第でございます。
  143. 久保三郎

    久保委員 ちょっと参考にお聞かせ願いたいのですが、五十六時間船に乗っておるのは当然だとおっしゃいましたが、当然だという理由がどういうことかわかりませんので、お聞かせ下さい。
  144. 若狹得治

    ○若狹政府委員 当然と言ったのは言葉が悪うございましたけれども、四十八時間制というような場合を想定いたしますと、当然日曜日は船の中に拘束されておるわけであります。拘束されておって、しかも日曜日をとるということは、必ずしも労働の再生産の面から見ましても適当ではないのではないか。むしろ、その面については、上陸後に振りかえ休日を与える、あるいは有給休暇の日数を延ばすということが、適当ではないかというふうに考えるわけでございます。
  145. 久保三郎

    久保委員 それは、五十六時間にすることが妥当だという理屈にはならないですよ。——ならないでしょう。船内に閉じ込められて、いわゆる休息しても意味がないから、だから五十六時間働いて、あとはおかへ上がって云々というあなたの思想からいっても、四十八時間という建前をとる、こういうことが原則でなくてはならない。それで、船内において不合理であるから、これは下船したときに休暇をもらう、こういうことにするのが一番いい。さらに居住の問題が完備しておるならば、必ずしも振りかえでなくてもいい場合がある。船内において休息がとれる。そうすれば、労働再生産の面からいえば、やはり労働時間の短かい方がいいのですから、ただし、現在の船内の設備からいってそれは不可能だというときに、おかでもって振りかえをとる、こういうことの原則でなければならない。五十六時間の妥当性を主張する根拠にはならない。むしろ四十八時間というものの考え方からそういうものが出てくる、こういうふうに私は考えるのですが、どうでしょう。
  146. 若狹得治

    ○若狹政府委員 もちろん、今御指摘のありましたように、四十八時間を原則といたしておるわけであります。原則といたしておりますけれども、乗船中の航海当直につくものにつきましては、居住施設の関係もございますけれども、むしろ上陸した際に休養をとるととが、労働再生産の面から見てよりベターではないかという考え方が、国際労働条約においても認められておるわけでありますので、そういう考え方から申し上げたわけであります。
  147. 久保三郎

    久保委員 だから、この辺のものの考え方を、五十六時間を四十八時間に切りかえる時期ではないか。これに対する処理の方法は、船員中労委が出したように、一つの便法としてはある、こういうふうに私は思うのであります。ところが、それに対してはどうも消極的だというので、大へん私は不満です。時間の関係もありますから、先へ進みます。  次に、六十七条関係で、船長の指示によるところの時間外労働の問題でありますが、この時間外労働については、労働基準法では、大体三十六条の協定にゆだねるということが原則でありますが、これについてどう考えておりますか。
  148. 若狹得治

    ○若狹政府委員 現在の船員法は、時間外労働については、個別的に列挙する主義をとっておるわけであります。これは船員は、船内に拘束されておりまして、二十四時間船内拘束という状態にあるわけであります。従いまして、時間外労働を厳に法律によって規定することによって、船員の労働の保護をはかっておるわけであります。そういう意味におきまして、労働基準法のごとく、労働協約に基づいて時間外労働を規制するという考え方は、とっておらないわけであります。
  149. 久保三郎

    久保委員 御説明では、六十七条の規定の方と、船員を保護する規定のある三十六条、いわゆる基準法三十六条の規定はむしろ後退である、こういうふうなお考えのようでありますが、この部面からいって、あるいは実情からいって、船長が必要があれば無制限に——と言っては語弊があるけれども、こういうことが起こる。これでは保護規定にはなり得ない。いかがですか。二十六条協定によって縛っておくことの方が、まだ合理的ではないかとわれわれは考えるのですが、いかがですか。
  150. 若狹得治

    ○若狹政府委員 六十七条の時間外労働の規定は、臨時の必要がある場合にのみ時間外労働を行なわせることができる。臨時の必要と申しますのは、たとえば病人が出たとか、あるいは遭難があったとかいうような、そういう特殊な状態のもとにおいて初めて出てくるわけでございますので、時間外労働を制限するということに、この規定の趣旨はあるわけであります。
  151. 久保三郎

    久保委員 局長、あなたがお読みになったのは、六十八条の方ですよ。遭難があったとか、病人が出たとかいう場合は。臨時に必要というのは、それ以外ですよ。六十八条の一号から五号まで以外の問題ですよ。それから六十八条は、法制定の由来は、船長の公法的な立場からこれは出ておる。六十七条は、これとは違うのです。船長は、一船の運航のために臨時に必要があったときは、いつでもこれはやれるということですよ。おかにおいての労働基準法の三十六条の中身の予定しておるものと、大体六十七条は変わりはない。そう思っていいと思うんですね。いかがですか。
  152. 若狹得治

    ○若狹政府委員 六十八条と六十七条の問題があるわけでございますけれども、六十七条におきましては、たとえば狭水道を通過するというような場合に、臨時に当直を増加するというようなことがあるわけでございます。そういうものは通常必要ではないわけでございますけれども、船舶の航行の安全のために臨時の必要があるという場合には、時間外勤務をさせることができるというふうに、われわれは解釈しておるわけでございます。
  153. 久保三郎

    久保委員 そういうものは、だから三六協定に準じたものを規定して、そこでやるべきではないだろうか、こういうことなんですよ。それじゃまずいんですか。
  154. 若狹得治

    ○若狹政府委員 船員法におきましては、先ほど申し上げましたように、時間外労働は、法律によって個別的に決定いたしておるわけでございます。時間外労働を拒否する労働者の基本的な権利というものは、当然あるわけでございます。これはもう六十八条の問題にも関連いたしますけれども、当然あるわけでございますけれども、船舶の安全の保持、運航の安全の保持というような面から、どうしても時間外労働にたよらざるを得ないという場合があるわけでございますので、そういう点からいたしまして、ぜひとも必要なものはこの法律によって規定する。それ以外の時間外労働は法律によって禁止するということが、現在の船員法の建前でございます。現在海上労働の実態が、二十四時間拘束されているというような状態からいたしまして、また、船舶の乗り組み定数というものは、物理的に制限されるという状態からいたしましても、こういう時間外労働を法律によって規制するということは、必要ではないかと考えるわけであります。
  155. 久保三郎

    久保委員 これを規制するとおっしゃいますが、ちっとも規制じゃなくて、これは、臨時の必要があるときはさせることができる。たとえば、この船員が時間外労働を拒否できる条項がどこにございますか。ないでしょう。いかがですか。
  156. 若狹得治

    ○若狹政府委員 法律上特に定められた事項以外の時間外労働は、当然拒否できると考えるわけでございます。従いまして、「臨時の必要があるとき」というのは、いついかなる場合でも時間外労働を行なえるということではないんだというふうにわれわれは考えておりますし、特に船舶の安全航行の保持のために必要があるというふうに限定して考えるべきであると解釈いたしておるわけでございます。
  157. 久保三郎

    久保委員 ところが、解釈しておるというのは、ちっとも法律の文言としては載ってないのです。法律の文言としては、これでは船長が一方的に何でもやれるということになるんじゃないですか。いかがですか。資料をお調べいただきたい。何かありますか。
  158. 若狹得治

    ○若狹政府委員 現在の船員法にこういう時間外労働についての特別の規定を設けた趣旨からいきまして、船長の時間外労働を命ずるという職権につきましては、厳格にこれを行使していく必要があると考えるわけでございます。
  159. 久保三郎

    久保委員 船員局長のお考えだけなんで、法律に基づいてどこにそういうのがあるか。なければ、この法律日本語で言うならば、その他の解釈は絶対に出てこない。船長は、臨時の必要があるときは、これこれの労働時間の制限を越えて船員を作業に従事させ、もしくは休息時間を断続させて労働させることができる、こう書いてあります。これは一方的ですよ。労働者を保護するということは、一つも書いてない。厳格に船舶の運航上必要がある限度においてのみこれをやるべきだという文言でもあるならば、まだいいです。ないですよ。これはまず第一に、六十七条は、船長の公法的な権限に基づくところの時間外労働なのかどうなのか。船長としての公法上に基づくものなのかどうか。どうなんですか。それとも船舶所有者の管理者としての船長の場合も含めてあるのかどうか。どっちなんですか。
  160. 若狹得治

    ○若狹政府委員 この規定の趣旨は、当然船舶の安全運航ということを期する必要からの規定でございますので、公法上の——公法といいますか、航海上の必要から船長が行なうということは、すなわち船舶所有者の必要とも関連するわけでございますけれども、特にこの規定を置きましたのは、時間外労働を船舶の航行の安全に必要な場合以外はさせないという規定でございます。
  161. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、通達か解釈か、今まで出してありますか。今局長がおっしゃるようなことは、出してあるんですか。
  162. 若狹得治

    ○若狹政府委員 通達を出した事実はございません。
  163. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、船長なり船員は、何によってこれはわかるんですか。船長が船舶の運航のために臨時の必要があると認めるときは、いつでもできる。「臨時の必要がある」というのはどういう意味かというと、これは臨時の必要以外の常時の場合は、それだけの定員を乗せなければならぬという、六十九条の定員の規定があるんです。だから、こういうときは、臨時の必要以外にはないのです。そうでしょう。これは六十七条と六十九条は、そういう関係があるわけです。常時に必要な人間は、労働時間によって当てはめて、それだけの定員は乗せなければいかぬという規定が、六十九条にあるんです。だから、これはそれ以外の臨時にできた作業については、船長が一方的にできる規定であります。労働者保護のためではないですよ。だから、しょっちゅう臨時の必要があって時間外労働をさせる場合には、定員が不足なのでありますから、本来ならば、六十九条でこれは縛られなければならない。これはちっとも縛っていない。そうなりますと、さっきあなたがおっしゃるように、そういうあなたの見解は、この中には入っておらぬ。船舶の航行安全のためならば、これは六十九条の定員に関係する。それ以外のいわゆる例外の問題は、六十八条の、先ほどちょっとお話があった遭難、負傷、そういうようなものに入っておるんですよ。たとえばその航路が狭い水道とか海域を通るようなときは、その航路に必要な定員は、六十九条で乗せなければいかぬ。そうでしょう。だから、私は、これはやはり船舶所有者としての立場における船長の臨時の必要、こうならざるを得ないと思うのです。それなら、当然三六協定に見合ったもので縛らなければいかぬ。それでなければ、海員の方の労働法にはならぬこういうふうに積極的に思う。あなたの見解は、私の見解に対しては、それは後退だと言っているが、ちっとも後退でない。あなたの方が後退ですよ。いかがですか。
  164. 若狹得治

    ○若狹政府委員 「船長は、臨時の必要がある」と認めるときと申しますのは、これは時間外労働を制限するという趣旨の規定でございますので、今までそういう法律解釈について明確な解釈を周知徹底させなかったというような問題もございますけれども、われわれの考えとしては、船舶の安全運航上どうしても必要があるというふうな場合に限定して解釈すべき問題であるというふうに考えるわけでございます。船員法において、時間外労働というものはすべて個別的な列挙主義をとっております精神から見まして、この規定は、そういうふうに狭く解釈していくべき問題であると考えるわけでございます。従いまして、労働協約によりまして、船舶所有者と労働組合との間の協定によりまして、この時間外労働を規定していくということは、船員法の精神からはずれまして、この六十八条の問題とも関連いたしまして、私は、むしろ後退であるというふうに考えるわけでございます。
  165. 久保三郎

    久保委員 これはここにちゃんとその通り書いてあるのです。ところが、あなたの行政解釈がちっとも現われていない。今初めて現われた。そういうところからいけば、何をとって僕が言うことが後退なのか。私は実際不満なんです。それなら約束しましょう、あなたがここで答弁されて、そういう解釈でいくと。今まで一体船員法ができて何年になりますか。一番大事なことです。なぜ行政解釈として通達を出さないか。行政解釈を今度出しますか、いかがですか。
  166. 若狹得治

    ○若狹政府委員 さっそく検討したいと思います。
  167. 久保三郎

    久保委員 まあその問題は検討するということですから、検討というなら、行政解釈を出さなければいかぬと思うのです。行政解釈を出さぬで、久保君の言うことは後退だとかなんとか言ったって、私の言うことに対抗することにならぬ。あなたの行政解釈がぴしっと出れば対抗になるかもしれませんが、出てないんだ。だから、検討するじゃなくて、出すことを前提にしなければいけません。はっきりして下さい。私が船長なら心配ありませんが……。現実にこういう問題がいろいろたくさんあるわけです。おわかりですか。局長はまだ日も浅いようですから、そういう問題をたくさんお聞きになっておらぬように思うのです。現実にはたくさんな問題が出てくるわけです。トラブルの原因が実際出てくるんです。これをぴしっとしてもらわなければいかぬ。だから、これは本法案審議中に行政解釈を出して下さい。そういうことを約束してもらって次に移ります。  六十八条の例外規定でありますが、この六十八条の例外規定は、これはノー・ペイなんですね。ノー・ペイの処理は何かということです。
  168. 若狹得治

    ○若狹政府委員 六十八条の規定は、船舶の安全を保持するためにぜひとも必要な作業をあげているわけでございして、たとえば具体的に申しますと、「船舶の正午位置測定のために必要な作業」というのがございますけれども、これは一人の航海士ではできない。同時に二人ないし三人の航海士が、この作業に従事するわけでございます。従いまして、船舶には、居住区の関係から多数の人間を乗せることはできませんので、そういう意味から定員というものを守りながら、かつ、船舶の安全運航に必要な作業を的確に処理していくというためには、こういう特別の時間外労働は必要であるということを規定しているわけでございます。
  169. 久保三郎

    久保委員 この例外規定は、六十七条とこと違って、これは船長として公法上の権限に基づいて強制労働させる性質のものだと思うのです。そういう意味でしょう。これは有無を言わさずやらせなければならない、そういう意味にとる。たとえば遭難の場合、あるいは事故があった場合、今のあなたが言う正午位置測定、あるいは通関手続とか検疫とか、これは強制労働なんですね。強制労働なるがゆえにノー・ペイというのは話が違うと思うのですが、これはどうなのです。
  170. 若狹得治

    ○若狹政府委員 これは船舶の乗組員としては当然行なわなければならない仕事でございますので、基本給あるいはその他の基本的な手当におきまして、当然こういう作業につきましては、その対価を織り込んだものにすると、されておるべきであるというふうに考えるわけであります。
  171. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、さっき国鉄の連絡船の問題のときにも話が出ましたが、ほかの給与に比較して高いという理由は、一つにはこういうことがあるわけですね。そういう意味ですね。
  172. 若狹得治

    ○若狹政府委員 国鉄連絡船の給与の実態については、十分検討いたしておりませんけれども、もし陸上勤務との相違点というようなものがあるとすれば、こういうような規定によって、当然そういうものがあり得るかと考えております。
  173. 久保三郎

    久保委員 大へん悪いのですが、もう時間もだいぶ過ぎたし、あと肥田君の保留した質問もあるので、この辺で一応次回に回して、本日はやめさせていただきたいと思います。      ————◇—————
  174. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 航空に関する件について、調査を行ないます。  昨日大阪空港において発生しました日航機の事故について、政府当局より説明を聴取いたします。今井航空局長
  175. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 昨日の日航機の事故につきまして、経過を御報告申し上げたいと思います。  事故は、十日の午前二時三十六分でございまして、場所は大阪空港の現在の滑走路でございます。飛行機は、福岡から大阪を経由して東京に参ります、深夜のいわゆるムーンライト便というのでございまして、日航のDC4でございます。乗客は六十名、乗員は四名でございます。機長は、ダルトン・エバルト・アレイというアメリカ人の操縦士でございます。副操縦士は、金高という日本人のパイロットでございます。着陸するまでは、当該機は全く正常の状態でございましたが、滑走路に接地しまして以後、四秒ないし五秒で脚が正常でないということを知らせる赤ランプがつきまして、ブザーが鳴りまして、操縦士はそれに対する措置をいろいろはかったのでございますが、プロペラが地面に接触いたしましたときに、やむを得ずその措置を断念いたしたのでございます。飛行機は、その後約三百メートル胴体で滑走いたしまして停止する、こういう事故でございます。幸いに乗客、操縦士全部異常がございません。午前二時の事故でございましたが、さっそく自衛隊の伊丹部隊に連絡をいたしまして、伊丹部隊から特車その他牽引車を空港に派遣していただきまして、大体午前七時ごろには、ラン・ウエイはクリアになりました。その後ラン・ウエイの清掃その他をいたしまして、八時近くから正常の状態に戻ったのでございます。早朝でございましたので、空港自体の利用の面においては大体支障がなかった、こういうのが事故の現状でございます。  なお、飛行機の破損状態は、胴体の下部が大破いたしました。それから一番外側の、これは四発機でございますが、ナンバー・ワンとナンバーフォアのプロペラのブレイドが破損いたしました。それからナンバー・ワン・エンジンのノーズ・ケースが多少こわれました。それからなお、接地する場合に翼のフラップを下に下げております関係上、フラップが大破するということで、飛行機全体としましては、全損とまではいかないまでも、ややそれに近い程度に、まあ中破といいますか、その程度にこわれた、こういう状況でございます。
  176. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  177. 久保三郎

    久保委員 その事故の原因は何だったのですか。それから耐空検査はいつやったのですか。それから損害額の見込みは幾らで、今後の運航には支障があるのかないのか、その点……。
  178. 今井榮文

    ○今井(榮)政府委員 現在、事故の原因につきましては、私どもの方の航務関係、検査関係の係員を昨日の朝直ちに現場にやりまして、日航からも現場に参っておりまして、現在調査いたしております。調査の結果が出ましたら、詳細に御報告申し上げたいと思います。それで、私ども内部でいろいろ会議をいたしたのでございますが、接地するまでは正常であったのが、なぜ接地しているのにそれが引っ込んでしまったかという点が、非常に問題でございます。この点、きわめて事故としてはまれなケースでございますので、十分調査をいたしたいと思います。  なお、損害額につきましては、保険が大体三千万円程度もらえる予定になっておりまして、この飛行機はDC4という、日航が使っておる一番古い飛行機の中で、さらにまた最も古い飛行機であります。従って、すでに償却は全部完了いたしております。従って、経理的な損失はあまり大きなものはないと思います。  なお、今後の運行につきましては、現在この種の飛行機を十機持っておりまして、大体十機保有、八機稼働ということで、八機を運営しておる状況でございますので、この一機の損傷によって国内線の運営に大きな支障がくるとは考えておりません。
  179. 久保三郎

    久保委員 詳細はあとでわかり次第文書で報告してほしい、こういうように思います。お話の中で、一番古い飛行機でというお話でありますが、その古い飛行機全体についても、どういう程度のものか、それもあわせて御報告していただきたい。減価償却を終えたということですが、そういうものをどういうふうにして使っているのか、それも詳細に一つ御報告いただきたい、こういうように思います。以上です。      ————◇—————
  180. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 国鉄経営に関する件について、調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  181. 肥田次郎

    ○肥田委員 先日、四月四日でしたか、質問したときに、明確な返事がいただけなかったので、引き続いて質問をさしてもらいたいと思います。  まず、当日は、運転局長が見えましたが、その理由がわからないので報告を後刻にする、こういうことでしたが、それについての報告を一つ願いたいと思います。わかっていますか。
  182. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先回の運輸委員会におきまして、三月三十一日の東京駅発9M、「第二つばめ」、それから1列車「さくら」との発車順序が逆じゃないか、こういう御質問だったわけであります。その理由につきまして詳細に取り調べましたところ、率直に御回答申し上げますが、先生の御指摘の通り、食堂車の乗務員その他が間に合わなかったために、「第二つばめ」の編成は、実は「おおとり」と申しますか、名古屋特急の編成を当時流用いたしましたが、その乗務員その他がございませんでしたために、4Mと申しますか、「第一つばめ」の乗務員、什器等の到着を待ちまして発車さしたのであります。そのためにおくれたわけでございます。約四十分以上おくれました。その点私どもの方も反省いたしまして、いろいろダイヤを検討いたしました結果、食堂車をつける方がよかったことは確かだと思いますが、そのためにあまりにも長時間列車をおくらしたということは、運転整理上大へんまずかったというふうに反省いたしております。ただ、あの列車は、御承知の通り、ちょうど晩飯の時間にかかりますので、今までの例で申しますと、大体乗客約六百人の三分の一のお客さんが食堂で食事されます。そうしてあの列車は窓があきませんので、弁当も買えないということで、かたがた車内で販売いたします能力にも限界がありますので、食堂車をつけることに相当関心を持ったことは事実でございます。従いまして、今後、たとえば何分までなら待つとか、何分以上待てないという厳格なきめはできないにいたしましても、過般のような非常に長時間おくらせる。しかも速度の違う、速度のおそい方の列車が先に出るということは、運転上大へんまずいというふうに考えますので、今後は率直に反省いたしまして、今後こういうことのないようにいたしたいと考えます。
  183. 肥田次郎

    ○肥田委員 大体そういう理由については了解をいたします。ただ、たまたま例の国鉄当局と国労との紛争が前日あったわけですから、こういう際には、やはり例の国鉄の看板であるところの列車が正確に動くということが、第一義的な意味を持っておると思うのです。ですから、一般乗客は、聞いている人と聞いていない人がある。車掌が車内放送しまして、食堂の材料だとかそれから要員を準備をするためにというので、結局列車が入構してから発車するまでは四十数分かかっていますね。ですから、これは今おっしゃったような考え方で将来やられるということなら、それはけっこうだと思います。返す返すも残念だったのは、ああいう争議のあったあとですから、争議とそれから列車がおくれるのを一緒くたに解釈されている。国鉄当局の方は、何か歩のいいような、どうもそういう印象を受けました。特に「さくら」が先行するということは、これはどう常識的に考えても、どうも理解できない。こういう声が特に強かったので、質問をしたわけです。  それからそれに関連をして、これは将来検討材料ということで一つ十分御検討いただきたいのは、今特急「さくら」で九州に行きますと、何時間かかりますか。
  184. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 「さくら」が東京駅を出ますのは、十六時三十五分でございます。そうして——博多でよろしゅうございますか。
  185. 肥田次郎

    ○肥田委員 いいえ、私の聞きたいのは、「つばめ」だとか「こだま」だとかは、大阪まで六時間三十分、それから鹿児島まで行く特急については、大体二十時間ぐらいですか。普通急行で二十六時間ほどかかりますね。
  186. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 「さくら」の大阪着が二十三時四十六分……。
  187. 肥田次郎

    ○肥田委員 いいえ、大阪着を聞いているわけじゃない。「さくら」が始発から終着まで何時間を要するかということです。——それはあとでよろしいです。私の言いたいところは、これについて当日の被害というものは——もう一点私要望しておきたいのは、第二つばめのような大体十一時ごろに着く列車ですね、これが到着したのが翌日の零時四十九分ころでしたか、こうなりますと、乗りものはほとんどないのですよ。ですから、そういう点では特に注意してもらう必要があるだろうと思います。ずいぶんの人が、これによって相当被害を受けておると思います。所定の時間に着けば、いわゆる所定の計画通りの行動ができるのに、それが翌日の一時ごろになってしまうと、乗りものも全然ない。仕方なしに自動車でそれぞれが動く。これはおとなしかったからいいですが、これがだれかけしかけるものがあったら、またこれも相当一もめするだろうと思うのです。  それから特急、急行、準急の急行料金、総括して急行料金の払い戻し、この制度について実は先般お伺いしたかったのですが、明確な返事をしてもらえる人がなかったのですが、この制度そのものも相当古いようであります。おそらく五、六十キロのスピード時代の制度そのまま今日まできておるということも考えられますし、そういうことからすると、たとえば、今言いましたような、いわゆる優等列車級の特急が、東京−大阪間は六時間三十分、これが二時間おくれれば払い戻す。それから東京−鹿児島の二十六時間くらいかかる急行列車においても、二時間以上遅延の場合に払い戻す。この払い戻しの面については全く十把一からげで、六時間半に対する二時間、二十六時間に対する二時間、この比率は実に不合理だと思うのです。これはどう考えてみても、私は、もう今日のようにスピードがこういうふうに早くなってきて、それから今までなかったような地域に特急ができるようになってくると、当然これは改定する必要があるだろうと思うのです。いわゆる国鉄路線から見た場合の公共事業の一部分としての地域的な配慮というものも、わからぬことはありませんけれども、しかし、あまりにもその差がひどいように思います。ですから、これは古い制度ですから、スピードも上がり、いろいろとこの制度も変わってきておる、合理的になってきておる今日の状態では、これは当然再検討されてしかるべき性質の問題じゃないか、こういうことを特に考えました。これについて、一つ考えを聞きたいと思います。
  188. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまの御質問の第一の方でございますが、私どもといたしましても、先ほどの「さくら」はちょうど二十時間かかります。やはり列車の運転時刻を見ましても、大体東京着、大阪着がなるべく深夜にならないようにということで、極端に申しますと、もし二時ごろ着く列車でございますと、たとえば上り列車は、熱海からだらしまして、大体四時から五時に着くように配慮をいたします。大体一時ごろまでに着けるというのを一番最後にしておりまして、その場合には、必ず私どもの電車だけは、終夜運転と申しますか、おくれた列車を受けて運転するようにしておりますが、私どもの方でない電車にはそれをやっていただけませんので、先生の御指摘の通り、お客さんの中でなかなかむずかしい方がおられます場合には、自動車でお送りすることも間々あるわけであります。しかし、極力私どもの方といたしましては、私どもの方の電車を運転いたすことによりましてお客さんを送り届ける。もしどうしても深夜になります場合には、翌日の朝まで列車をだらすというような方法によって、なるべくお客様の直接の御損害の少ないような方法を考えております。  それから第二の御質問の急行券の払い戻しの問題でございますが、これは実は全く私どもも同意見でございまして、実は昨年の秋の時刻改正の際に、何んとか実は払い戻しを合理的にいたしたいといろいろ考えたわけでございます。案は時間がかかりますので省略いたしますが、簡単に申しますと、たとえば普通急行と特急、準急と、この三つだけでも、たとえば特急ならば幾ら、普通急行ならば幾ら、準急ならば幾ら、こういう払い戻しの額を種別によって変えるという、これは非常に簡単なのでございますが、そういろ案が一つと、それからもう一つは、それならば、たとえば鹿児島から来る人の二時間と、それから大阪から来る人の二時間と、同じ列車でも違うじゃないか、こういう意見もございまして、距離によって払い戻し額を変えるべきだという意見も実は出まして、そうなりますと、実は非常に複雑になりまして、払い戻しのとき窓口が混雑しますので、それもむずかしいということで、それじゃ、もう少し合理的な制度を考えようということにしております。御承知のように、私鉄でも、東武、小田急、近鉄等が急行料金をとっておりますが、これも私どもの制度をならったものと思いますが、二時間で払い戻しをしております。これらとも関係がありますので、これらはなるべく早い機会に十分検討いたしまして、もう少し合理的なものにいたしたいと、私どもかねがね研究しなければならないと考えておりましたが、御指摘いただきまして、大へん恐縮に存じております。
  189. 肥田次郎

    ○肥田委員 そういうふうにお気づきになったことは、非常にけっこうだと思います。これはコーポレーションになったからだろうと思います。今まで通りのお役所の習慣だと、なかなかそうはいかぬだろうと思います。今回は、御承知のように、どこのどんな事業体の中でも、特にお役所関係でも、規定だとか制度だとかいうものがずいぶんたくさんありますが、なかなかこれは実施がうまくされておらない。それが実施されないということは、その中にやはり旧態依然とした矛盾がそのまま持ってこられておるから、それが実施できない、こういう面があると思うのです。国鉄が公社になってからそれが改められるということになると、実は画期的ないわゆる企業体の進歩だろうと思います。どうか一つそういう点については、すみやかに実現をしていただくように要望しておきたいと思います。質問を終わります。
  190. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 井岡大治君。
  191. 井岡大治

    ○井岡委員 問題は違うのですが、この間北海道で地すべりがあって、列車がとまっていますね、あれの状況をちょっと聞かしていただけませんか。
  192. 音田和夫

    ○音田説明員 被害の状況は私よく承知いたしておりませんが、かなりひどいようでございまして、昨日から宗谷本線を迂回させまして、その線区はもよりの駅で折り返しいたしておりますが、直通になりますものは、オホーツク海の方を通りまして直通運転をやっております。
  193. 井岡大治

    ○井岡委員 ああいうへんぴなところですから、やはり一日も早く何とか手当をしてあげないと、これは日にあまり通らないところで、全くとまっちゃったということでは大へんな問題だと思ったものですから、それだけ一つお願いしておきたい。
  194. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次会は、来たる十三日、金曜日、午前十時より委員会を開会することといたします。  なお、本日、三十分後に観光に関する小委員会が、明日午前十時より踏切道整備に関する小委員会が、開会されますので、お知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会      ————◇—————