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1962-03-28 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    宇田 國榮君       川野 芳滿君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    竹内 俊吉君       西村 英一君    細田 吉藏君       増田甲子七君    三池  信君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    田中織之進君       楯 兼次郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         運輸政務事官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員佐々木義武君及び石村英雄辞任につき、  その補欠として舘林三喜男君及び武藤山治君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員舘林三喜男辞任につき、その補欠として  佐々木義武君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員武藤山治辞任につき、その補欠として石  村英雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  楯兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員追加選任に関する件  モーターボート競走法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二六号)  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員追加選任についてお諮りいたします。  すなわち、観光に関る小委員の員数を十三名とし、小委員簡牛凡夫君指名いたしたいと存じますが、これに御異議がございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決します。      ――――◇―――――
  4. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 モーターボート競走法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。宇田國榮君。
  5. 宇田國榮

    宇田委員 モーターボート競走による収益金地方財政に貢献していることは、皆様方も御承知であります。私は、先年観光使節としてモンテカルロ、モナコに参りましたが、ばくちでもっていわゆる財政を立てておるところであります。ところが、これは全くのいわゆるかけごとの標本ともいうべきものでありますが、わが日本競馬競輪、なかんずくモーターボート競走は、同じかけごとの中でも非常に大衆性があり、そしてまた、明朗な競技だと私は信じておるのであります。そこで、ことに競輪競馬などと違った点は、その収益の一部が海事思想の高揚になり、あるいは海難防止等、各種の事業に有効に使用されておるという点でございます。これらについて、船舶局長からでよろしゅうございますが、最近、このモーターボート競走による収益がどういう方面に使われておるかということを、この際一つ述べていただきたい。
  6. 藤野淳

    藤野政府委員 モーターボート競走法は、法律の冒頭の趣旨のところに掲げてありますように、造船関係事業のの振興あるいは海難防止事業等振興というところが、われわれの所管の行政に直結している仕事なのでございまして、収益の一部は、十九条の交付金として全モ連に交付されまして、運輸省監督のもとにいろいろな事業振興に充てておるわけでございます。大きく分けまして造船関係事業振興海難防止関係事業振興二つに分かれるわけでございますが、振興事業をどういうふうにやっているかと申しますと、御承知のように、貸付、補助委託というふうに分かれておるわけでございます。造船関係事業振興は、もちろん、政府予算によりましてそれぞれの振興をいたしておりますけれども、予算にもいろいろ限度がございまして、なかなか思うように参らないのでございますが、造船関係事業振興眼目はどこにあるかと申しますと、やはり年々激化して参ります受注の国際競争場裏におきまして、コストの面、品質の面、その他の面におきまして、西欧諸国に対して優位を占めるためには、あらゆる努力をしなければならぬわけでございますが、なかんずく日本造船業の最も弱点とされております点は、関連工業の点でございます。関連工業は、中小企業に依存する点がまことに大きいのでございます。中小企業は、御承知のように、設備近代化も非常におくれておりますし、技術も必ずしもレベルが高くないのでございます。また、生産の体制が多種少量ということで、コスト西欧諸国に比べてかなり高いのでございまして、運輸省としましては、数年来、重点的に造船関連工業振興に力をいたしております。そこで、この十九条の交付金をどのように使っておりますかというと、まず、輸出振興でございます。輸出振興のための海外市場調査とか、あるいは海外宣伝といったようなことをやっておりますが、先ほど申し上げましたように、造船関連工業中小企業が非常に多いのでございまして、これらの事業者団体は、独力でこのような海外市場調査とかあるいは宣伝というようなことをなし得ない現状でございますので、補助金を交付するとか、これに委託をするというようなことで、舶用機関海外市場調査、あるいは舶用機関等のカタログを作りましたり、あるいは船舶関係技術講習会をやったりという、さまざまなことをやっております。  第二に、品質改善ということをやっておりますが、これもあらゆる――大きい問題もこまかい問題もございますが、価格低減の問題とともに、品質、性能を改善して国際水準にまで向上させることが国際輸出競争に打ち勝つための要件でもありますので、十九条交付金をもって品質改善に関する種々の調査、研究を行ない、品質改善に努力いたしております。それから企業合理化でございますが、これもまず、造船関連工業会という外郭団体がございますが、この造船関連工業会を活用いたしまして、企業診断を実施いたします。そしてその中から選びまして、いろいろな経営指導、あるいは設備改善とか、あるいは工程管理というようなこまかい問題につきまして、指導をいたしております。それらの設備近代化ということが非常に大きな問題でありますが、これは所要資金を貸し付けることによって、設備近代化に大きな寄与をして参っております。  海難防止関係事業――海難防止関係は、国内でも強力な振興事業をやる団体がございません。日本海難防止協会あるいは日本水難救済会を通じまして、数年来、この交付金をもちまして海難防止周知宣伝施設整備、あるいは救難艇建造補助というような、実質面振興をはかっておる次第であります。
  7. 宇田國榮

    宇田委員 海難防止で、日本短波放送によって、毎朝五時五十分から日本沿岸近海漁船に対し、海上気象通報を行なっておる。これもやっておられますか。
  8. 藤野淳

    藤野政府委員 海上気象通報は、全モ連が直接日本短波放送委託して実施しております。
  9. 宇田國榮

    宇田委員 それから、十九条の交付金とは違って、水難奉仕隊というのがあって、これは暴風雨やあるいは洪水などを生じた場合、海上保安庁や関係警察等と連絡をとって救援に当たっておるような状態に聞いておりますが、たとえば伊勢湾台風の際、三重県の奉仕隊活動等は、非常に新聞などで報道されておるようでありますが、その点はどうでございますか。
  10. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいまの事業は、地方競走会が、これも実施事業として活発にやっておる次第であります。
  11. 宇田國榮

    宇田委員 御承知通り日本は、敗戦後四四%の国土を失って、人口、食糧問題の解決は、移民をやるとか、あるいは産業奨励をやるとか、あるいは開拓、開墾をやるとか、あるいは優生学的見地から産児調節をやるとか、いろいろありますが、何といっても、敗戦後の日本は、海にある宝庫を開拓する、海の資源を大いに活用するという意味からも、私はモーターボートによる海事思想普及によって益することが多いという感を持っておる次第であります。なるほど競馬競輪も大いに大衆性がありますが、これはやはり競馬競輪とは大いに内容が違っておるものであって、むしろ運輸当局は、これに対しては指導、啓発をされたら、いい方向に進むのではないか。もっとも、選手の訓練、あるいはこれらの知徳の養成、これらに重点を置いていったならば――御承知通り、キャバレーあるいは高級料理屋レストラン等は、一部階級の行くところであって、これらはむしろ社会党の方でも賛成していただかなければならぬのでありますが、同僚勝間田氏のごときは、これに非常に理解を持っておられるようであります。社会党は、これに対して、大体競輪競馬モーターボート反対のようでありますけれども、ここに御列席の方々は、仏様でも平等即差別、パーセンテージの問題で、モーターボートだけは特に御理解があるようでありますから、今後、運輸当局モーターボートを善導されて、ますます発展されるように――なお、またこの改正案を見ますと、非常に時宜を得たものでありますので、これは私が逐次ここで質問いたしますと長時間にわたりますから、私はこれをもって質問を終わります。
  12. 簡牛凡夫

  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先輩の宇田委員が該博な知識でいろいろと御質問いたしましたので、私はなるべく簡単に御質問いたしたいと存じます。  この競技法改正は、公営競技調査会結論に基づいて立案をされたと思うのですが、この答申内容につきましては、私は、前回、前の法案を延期するときに質問をいたしましたので、できるだけ省略いたして参りますが、まず前提として、われわれ社会党はとにもかくにも競輪あるいはオートレースモーターボート、これらについては反対だ、これはもう今日廃止すべきである、こういう立場で廃止の法律を今出しておりますので、その点は、態度は鮮明になっておるわけであります。従って、そういう立場で、質問をあまり深くしていくと、どうもモーターボート賛成じゃないだろうか、こう言われやすいので、われわれは、もうこれは廃止すべきだという立場質問をいたして参りますので、一つの誤解のないようにしていただきたい、こう思います。  そこで、答申の中で特に一項目から十三項目まで出ているわけでありますが、モーターボート競走法改正にあたっては、この項目を、どのような項目をどういう形で取り入れて改正したかという点を、新旧対照も出ておりますから、なるべく簡単でいいですけれども、骨子をまず最初に御説明願いたい、こう思います。
  14. 藤野淳

    藤野政府委員 モーターボート競走法の一部改正は、他の公営競技法律改正と同様に、公営競技調査会答申を受けて、それになるべく忠実に従って、これを内容に織り込むことを基本方針として改正案を作成した次第でございます。  あらまし申し上げますと、公営競技調査会答申は、公営競技の好ましくない面と、それからプラスの面と、両方掲げまして、結論としては公営競技は存置する。しかし、現在以上にこの種の競技は奨励しない。公正な競技が行なわれるように監督指導を強化するというのが精神でございます。具体的には、十三の項目にわたりまして改善意向が盛られておる次第でございます。  その中で一番大きな眼目といたしますのは二つに分かれまして、第一は、公正かつ円滑な競技の確保ということでございます。この点につきましては、モーターボート競走法は、従来中央団体であります全モ連が行なっておりました登録の中に、選手ボート、モーター、審判員のほかに新たに検査員登録事項に加えたという点が、一つの大きな改正点であります。  それから第二点としては、この種の公営競技は好ましくはないのだけれども、一応監督指導を強化することによって存続するということでございますが、競技による収益の一部が関連産業振興に使われておるけれども、新たに福祉、あるいは医療、文教、体育というような事業振興になるべく多く使われるような趣旨法律に明記しようということが、答申の第六号にありまして、これを法律目的、並びに交付金の使途、あるいは交付金を運用いたします団体に対する監督その他に規定したという点が、大きな点でございます。  それから、さらに振興事業を適正に行ないますために、また、競走に対する監督合理化いたしますために、振興事業を行なう団体を新たに作った点が、他の競技法には見られない一つの特色でございまして、全国モーターボート競走会連合会が、競技関係交付金による振興事業と双方を行なっておりましたのを、全モ連競技関係に専念することにいたしまして、新たに日本船舶振興会という財団法人を設立いたしまして、これに対する厳重なる監督規定したという点が、一つでございます。  それからもう一つ答申の第六号の、関連産業振興以外に、新たに福祉、いわゆる公益の増進関係に使用するということに関連いたしまして、交付金規定を追加いたしまして、従来関連産業振興に充てられておりました額のほぼ三分の一見当の交付金をさらに追加いたしまして、これをおもに新たに設立されます日本船舶振興会に交付いたしまして、それぞれ区分経理をすることを規定した。これらの点が改正の大きな点でございます。  さらに、選手共済事業を援護する目的で、施行者並び競走会に対して助言あるいは勧告をすることができるような規定を設けまして、公正な競走あるいはこの種の競技の健全な発達を確保する一つの最も大きな眼目でございます、選手に対する援護と申しますか、これを強化するという趣旨規定一つ置いた。この点は、大きな点でございます。  それからもう一つございます。現状以上に競走は奨励しないという見地から、競走開催日に対する規定を置いた点がございます。原則として土曜、日曜及び祭日に限る、これが原則でございます。そして現状以上に競技回数はふやさないという規定を実質的に置いたという点がございます。  それからもう一つつけ加えますと、いろいろな騒擾事件が起きまして、いろいろ世論の批判を受けました裏には、競走関係環境がよろしくないということがございまして、環境整備し、秩序をさらに高めるという見地から、施行者あるいは競走会に対する監督をさらに強化するといったような規定も、かなり整備しておる次第でございます。  以上のような点が、改正のおもな点でございます。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、これは局長にお聞きしていいのやらどうやらよくわかりませんけれども、一応お立場のところですから、一つ考えをお聞かせ願いたいと思うのです。  一体このモーターボート競走というのは、大衆娯楽なのか、それとも賭博なのかという点でございます。この点はっきりしているんですけれども、なかなかはっきりさせていないようです。これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  16. 藤野淳

    藤野政府委員 これは公営競技全部に相通ずることでございますが、大衆娯楽ではありますけれども、娯楽をささえるその心理的な点は、やはり射幸的な点が娯楽娯楽たるところだろうと思います。これはもう間違いない点でございます。大衆娯楽ではございますが、やはり射幸的な点がある。これはすべてに共通な点であろうと思います。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは、答申にも賭博だと書いてあるんです。どうでしょうか。私はこういうように見るんです。なぜ賭博だと書いあるかというと、これをやめたら非公開の賭博の道を開く、こういうふうに言われているわけですね。実は、この答申の中身について少し会長の長沼さんにお聞きしたいと思ったんですけれども、きのう商工委員会に行きまして、競輪の問題で、だいぶ競輪人たち立場から聞いておりましたので、きょうは別に大衆娯楽か、賭博かということをあなたにお聞きしようとは思いませんけれども、やはりこれは大衆娯楽とは言えない。やはり賭博性が強いものだということは言えると思うんです。それは局長も納得せざるを得ないと思うんです。結局この実態調査表を見てみましても、初めて行ったという人は少ないわけですね。プロがみな行っているわけです。ですから、これから見ましても、あまり好ましいものではない。しかし、好ましいものではないけれども、まあ置いた方がいいということで置くことになったのでしょうけれども、そういう点から、この調査会案を、これはほかのものとは違って、まさに百パーセント尊重をして、この改正案が出てきたのだろうと思うんです。そういう点からいくと、私としてはあまり好ましいとは思わないし、また、局長の方としても、もっとほかから予算がとれれば、この上がりで造船関連振興をやらなくても、直接造船関連振興予算を大蔵省からもらってこれるなら、その方がいい。しかし、別のところにこういう財源があるというのは、なかなか便利なものです。しかし、これが便利なために、本来の造船産業についての予算要求なり、それらについての手当というものをやはり忘れてはならないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  18. 藤野淳

    藤野政府委員 造船関連工業に対する振興財源としまして、モーターボート競走交付金というのは非常に大きな役割を務めておりますし、非常に大きな業績を上げて参っております。今後も、競走収益の一部である交付金に期待するところは、非常に大きなものがあるわけでございます。おっしゃる通りに、これは政府の本来の行政により行なうべき振興事業でございますけれども、何分財政にも限度がございまして、また、この振興のやり方につきまして、予算にはなかなか乗りにくい点で、しかも有効な使い方もあるわけでございまして、これらの点につきましては、予算の補充的な役割を従来とも務めて参っておりますし、今後とも、この交付金を活用いたしまして、日本の最大の弱点であります造船関連工業振興を早く効果づけまして、今後の貿易自由化に対処いたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから最初に、勝澤先生から賭博というお話がございましたが、いろいろな公営競技にもそれぞれ特徴がございますが、モーターボート競走は、今後競走場環境施設を着々と整備いたしまして、モーターボート競走をやること自体が、海事思想普及になり、また観光の面にもプラスになるというような方向に持っていって、ただちょっと遊びに行くという格好でこのモーターボート競走にも普通の人が行けるように持っていくのが、本来の方向ではないか、かように考えておる次第であります。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今その話が出ましたから、私、モーターボート競走に行ったことがないものですから、よく聞いておきたいと思うのですが、入場料幾らで、勝舟投票券はどういうようになっておって、投票券が一枚幾らで、その一枚幾らのやつを、幾らをどこへやって、幾らをどこへやって、幾らをどこへやって、それはどういうふうになるか。一枚のがどうなるかでいいわけです。
  20. 藤野淳

    藤野政府委員 勝舟投票券は、ただいまのところ一枚十円でございますが、十枚券として百円券と、それから百枚券として千円券と、二通りの券を発売いたしております。払い戻しは、ほかの競技と同様に、百円のうち七十五円が払い戻しになり、二十五円がいろいろな経費並びに収益になります。その二十五円のうち、十三円七十四銭が施行者開催経費であります。開催経費の中には、もちろんボートとかあるいは選手に対する賞金が含まれております。それから振興関係財源になる十九条交付金というのが〇・九四%九十四銭でございます。それから施行者競走事務委託いたしております競走会というのが各県に一つずつございますが、この競走会に対する交付金が四円三十銭、それから組合事務費償却費というのがございます。組合事務費と申しますと、幾つかの市町村が、施行者公共団体が集まって組合を作って競走をやる場合がございますが、これが五十七銭、それから施行者の純収入、残りでございますが、これが百円のうち五円四十五銭ということになっております。  入場料はこのほかでございまして、いろいろ場所によって入場料の額は一定しておりませんけれども、平均して十三円くらい、高いところで三十円。今度は、競走入場料も、最低額をきめて増額するようにしております。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その入場料と、今の二十五円の中で使われる開催経費との関係は、どうなるのですか。
  22. 藤野淳

    藤野政府委員 入場料はその百円のほかでございまして、これは施行者収入になるわけでございますが、特に入場料を別に掲示しておるわけではございません。今後は、入場料の増額を予定しておりまして、これを競技環境整備競技場整備ということに主として使わすように指導したいと考えております。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、施行者開催経費の十三円七十四銭以外に、まだ入場料というものが施行の費用に使われる、こういうことになるわけですね。そこで、当選率は一体何%くらいになるのですか。
  24. 藤野淳

    藤野政府委員 百円を買いまして、一応七十五円は返ってくるということであります。当選率というのは、なかなかむずかしい問題でございます。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 結局極端に言えば、無尽の方がまだいいわけですよ。とにかく四分の一だけはとられてしまうわけですから、無尽でお互いに出し合って分け合った方が、まだ公平なものだと思うのです。ですから、ここで局長と論議するわけじゃないのですけれども、やはり賭博性の高いものだということになると私は思うのです。観光とかそのほかのものにモーターボートを変えていきたいといっても、やはり七五の二五という割合を相当変えて、当たる率を多くしていかない限り、その弊害というものはいつまでも残るということになると思います。ですから、かりに二五対七五をもっと変えるなり、あるいは当たる率を変えるなりということによって、少し緩和していけばいいわけでありますけれども、実際にはそうは緩和されていないわけです。  そこで賭博の論争はやめまして、この六条の上の二項に、日取りについては、調査会結論でも、ある程度やはり規制した方がいいじゃないかということが出ておるのですけれども、ここでは具体的になっていないのですが、運輸省令としてはどの程度をお考えになっておられるのですか。
  26. 藤野淳

    藤野政府委員 運輸省令といたしましては、ただいま一つ競走場二つ以上の施行者競走をしておる場合がございます。そのほかの場合、一つ施行者がもっぱらやっておりますところでは、月に十二日開催いたしておりますが、二つ以上の場合には、合計して月に十四日開催をいたしております。その場合に、土曜、日曜という休日をはさみまして四日、四日という場合、中に六日というような場合を織り込む必要が起こっておる次第であります。今後は、この答申趣旨を生かして、連続六日という競走はできれば四日に短縮する方向に持っていきたい。これは省令でありますが、このようにして答申を生かし、それから相接近したところに二つ以上の競技場があるといったような場合、あるいはモーターボート競走以外の、競輪とか、オートレースとか、あるいは競馬といったような公営競技場があります場合には、それらの公営競技開催日取りをやはり調整して参る必要があるわけでございます。一律にきめることはできませんので、これは調整できるという精神を織り込んで省令を作っていきたい。かように考えておる次第であります。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、これは局長にお聞きした方がいいのか、政務次官かよくわかりませんし、自治省ではないかとも思うのですが、「一部の地方団体において、その財政公営競技に強く依存しているのは好ましくないことであるので、国及び地方団体は協力して出来るだけ早く、かかる事態をなくすように努力すること。」、こう書かれておるわけであります。そこで、国及び地方団体は協力して、できるだけこういう公営競技による依存度を少なくした方がいい。ですから、具体的に、この調査会答申がなされて、三十七年度予算あるいは三十八年度予算にこういうことがなされておるのですか、あるいはなされることをお考えになっておるのですか。その点お尋ねいたします。
  28. 有馬英治

    ○有馬政府委員 勝澤委員のお話は、単にモーターボートだけではなくて、とれと軌を一にしておりますあとの二法案、みないずれも同じであろうと思うのでございますが、政府といたしては、この答申趣旨に従いまして、関係方面において今後その趣旨を生かすように協議を進めておるところでございます。三十七年度予算にどう現われておるかということにつきましては、まだその措置をとったばかりでございますので、予算編成に十分表現できなかったということは、時間の問題でまことに残念でございましたが、今後その方向に向かって努力をしつつあるところでございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 先ほどもちょっと申しましたが、このモーターボートそのものは、今まで暫定的な法律であったのが、今度は割合固まった立場法律になった。そのために、造船関係の費用がモーターボートに肩がわりさせられて、むしろ逆の効果の現われないようにぜひ要望しておきたいと思います。  それから最後にもう一つ日本船舶振興会の問題です。私も前回、全国モーターボート競走会連合会のいろいろな決算なり予算なり見せていただきましたが、競走をやりながらなおかつ交付金を出しておる、こういうやり方について、少し複雑だなという気が実はしました。そういう立場からいうならば、日本船舶振興会が生まれて、これが今度はこの目的に従った振興事業をやるのだ、こういう二つに分けたことは、納得はするわけですけれども、従来全モ連でやってきたのを今度分けた。なぜ分けなければならないのか、そういう点が実は理解に苦しむわけです。このことは、国の行政でもそうなんですけれども、公社を作る。公団を作る。作ればいいことはわかっているのですけれども、作ったためにまた行政がふくらんでいるわけです。そこに費用が増大しているわけです。ですから、全モ連で余裕があって、その中の人なり経費なりで今までやってきたのを、今度はわざわざ船舶振興会を作った。振興会を作ると、私はその分だけ人件費が――そんなにたくさんふえるとは思いませんけれども、やはりふえざるを得ない結果になるのではないだろうか。今まで全モ連の会長が兼任しておれば、一人の役員でよかったものが、今度は全モ連の会長は会長、振興会は振興会の会長ができる、こういうことになれば、また経費がふえる。こういう点で、実はこの経緯については、今まで全モ連でやってきたのをわざわざ船舶振興会を作った。これは競輪、それからオートレースを見ましても、同じ型でこういう作り方をして参りましたから、これに基づいてみなやったことだと思うのですけれども、この点は、やはり全モ連がやった仕事がこれに引き移るのですから、人の問題これから話し合いが十分行なわれてきたかどうかという問題、そういう問題について少しお聞かせ願いたいと思います。
  30. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいまの問題は、全国モーターボート競走会連合会が、競走を統括し、かつ、振興事業をあわせ行なうということになっておるのが、現行法でございます。ところが、これをなぜこのたび二つに分けなければならないかという意味の御質問でございますが、従来からも、この競走の統括をやっております全モ連振興事業をやらしておりました状況を見ますと、全モ連の構成が地方競走会の連合体でございます関係上、役員の構成が振興事業を行ないますのに適当でないというふうにわれわれは考えておったのでございます。競走関係の専門家の集まりと、それから造船関係事業に対する技術、あるいは知識、経験を持ってやらなければできない振興事業というものとは、どうもしっくりしなかったのでございます。   〔委員長退席、高橋(清)委員長代理   着席〕  そういうことを考えておりましたので、三十四年に、実は日本船舶工業振興会という団体を、民法法人を作りまして、全国モーターボート競走会連合会の中には振興部というのがございまして、ここで自主的な振興をいたしますが、やはり高度な専門知識を必要といたします造船関連工業関連産業振興の原案の作成は、船舶工業振興会にやらしておったのでございます。ところが、その当時、三十二年に法律改正が行なわれまして、三年の限時をもちまして三十五年にこれが切れたわけでございますが、振興関係の法的な根拠が臨時的な立法で続いておりましたために、船舶工業振興会を法律の中に織り込むことが適当でなかったというふうに考えまして、三十四年来今日まできたわけでございます。最初に申し上げましたように、競走関係の統括業務と振興の業務とは全く性質を異にする仕事でございますので、このたび船舶振興会というものを設けまして、競走振興二つに分け、ともに運輸大臣が監督しながら、それぞれ責任体制を明確にするということにして、改正案を作ったわけでございます。  今の経費の問題でございますが、経費は、きわめて少数の事務局を持ちまして振興業務をやる、これは現在船舶工業振興会の事務局が非常に少数な事務局でやっておりますが、それを越えることはない、かように考えております。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは従来やっておった全モ連との話し合いも十分済んでいることだと思いますし、それから私が懸念いたします、なるべくいろいろな事務経費がふくらむようなことのないような点もお考えになって、そこでぜひお願いしておきたいことは、よく調べてみれば、これはまあ船舶局でやる仕事ですから、日本船舶振興会というものはそう勇ましいものにしないようにしておいて、やる仕事はきまっていることですし、それからこの役員になられる人もきまっておることでしょうから、あまり言いませんけれども、今までよりもなるべく簡素なものにして、そして十分な成果を上げるようにしていただきたい、こういうことをお願いしておきます。  最初に申し上げましたように、モーターボート競走法は、社会党は廃止の法律を今も出しているものですから、そういう立場質問したわけですから、一つ誤解のないようにお願いしておきます。  私の質問は、これで終わります。
  32. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 内海清君。
  33. 内海清

    ○内海(清)委員 なるべく簡単にいたしますが、まず最初にお尋ねいたしたいと思いますのは、昨年の国会におきまして、私もこの問題についてお尋ねを申し上げたのであります。私は、その当時、モーターボート競走というものは、現実の問題として、自転車競走などよりも実施の面において幾分弊害が少ないと思う、そこで、これらの弊害をできるだけ少なくするようにして、この交付金というふうなものをできるだけ多くして、これの使途に十分なる配慮をいたし、これが一番大きいものは造船関連工業でありますが、あるいは海難防止問題その他の問題に有効に使われて、なるほどこの交付金によってわが国の造船関連技術的な面において非常な進歩を来たしておる、あるいはまた輸出の面に非常に貢献いたしておる、あるいは海難防止の面において非常に助かっているというような、重点的にこれを使ってそういう効果を現わしたらどうかということを申し上げたわけであります。ところが、その後、公営競技調査会答申が出まして、今回はそれに基づいて法案が提出されたと思うのです。ところが、この調査会答申によりましても、なお、こういうことをやれば弊害がなくなるということは、よう言い切っていないのであります。弊害をなるべく少なくする、こういうことでその健全化をはかるべきだ。さらにいま一つ、今回の法案で特に変わったのは、その目的の中に、体育事業その他の公益を増進することを目的とする事業振興に資するというのが、一つ加わったのであります。ところが、この弊害の面が今回の改正によってはたして除去されるかということ、この問題は私非常に疑問だと思うのであります。しかも、この答申によりまして、今まで時限立法であったものが恒久立法的になってくる、ここに一つの大きな問題があると私は思うのであります。  それでまずお伺いいたしたいのは、昨年これが通りまして、一年間において、そういうふうな国会の論議を通じてあらゆる弊害を除去するような措置が考えられ、行なわれてきたと思うのでありますが、今日その弊害が何らか除去されておるかどうか、こういう点について、一つこれは次官にお伺いいたしたいと思います。
  34. 有馬英治

    ○有馬政府委員 今日まで、国会において、競馬競輪並びにモーターボート競走の問題につきましては、いろいろ貴重な御意見を拝聴して参っております。従いまして、そうした議論を参考にして今回の改正案にもなったわけでございますが、なかんずくモーターボートは、その他の競輪競馬と比べますと、最も今まで問題が少なかったものと私どもは信じております。しかしながら、お説のような御心配もないではなかったわけでございますので、その点について、当局といたしましては十分留意して指導して参ったわけでございます。具体的に申しまして、従来に比べますと、この一年間ぐらい、問題も非常に少なくなってきておるようでございます。具体的には局長からまた申し上げますが、この法律施行されますならば、一そう内海委員が御心配になられるような点は改正されてくることと、私は信じております。なお、一番重要な点でございますので、運輸当局といたしましては、さらに慎重な態度で、念入りに監督を進めていきたいと思っております。
  35. 内海清

    ○内海(清)委員 この改正案によってそれがだんだん除去されるであろうということでありますが、今日まで過去数年間、この弊害のことは論議されてきたのであります。しかしながら、今日なお、この当局から出ておりますいろいろな参考書類を見ましても、その跡がなかなか見えない。むしろ射幸性は以前よりも盛んになっておるのではないかというふうにさえ考えられる点がある。それはたとえば年度別舟券売上額及び入場者状況というようなものから調べましても、これは二十七年から三十五年までで、その問に社会情勢も変わり、経済情勢も変わってきておることはもちろんでありますけれども、だんだんと一人当たりの購買額などは上がってきておる。これは見のがすわけにいかぬと思うのであります。さらにまた、この参考書類の中にありますもので、競艇で損をしたか、もうけたかというふうな調査がございます。それらを見ましても、損したのが七五・九%であって、もうけたのは二四・一%という数字が出ておる。こういう点から考えますならば、これはお説のように今後注意するということであるけれども、こういう射幸性の強いものを行なう以上、人間の一つ弱点をとらえておるものである。この弊害は、決して私は容易に除去されるものではないと思う。従って、こういう点から、今後これを恒久的に存続させていくということには、私ども最も大きな問題があると思う。この点についての当局のお考え一つ伺いたい。
  36. 有馬英治

    ○有馬政府委員 内海委員の仰せの通りでございまして、政府といたしましては、決して射幸性をあおるということを前提としているものではないばかりか、どこまでもその射幸性を少なくしていきたい。かりに射幸性がある程度は伴いましても、それはできるだけ娯楽的な方向に、娯楽的な性格を脱しない範囲において健全に育成していく以外にないわけでございまして、今後これが恒久法としてかりに残った場合に、いろいろ御心配があるかと思いまするが、完全に射幸性をなくなした場合には、また娯楽性もなくなる場合もあり得るかとも思いまするので、そういった点は十分調整いたしまして、決して御心配のないように、できるだけ慎重に指導をしていく考えでございます。
  37. 内海清

    ○内海(清)委員 次官の強い発言でございますが、私は、遺憾ながらその点は全面的に御信用申し上げるわけにいかない、かように考える。これは今までの実績が示しておる。年々問題になりながら、今日これが大きく廃止論も出ておる。私どももそういう考え方に到達せざるを得ないわけであります。この点から考えて、今回のこの改正案には、もっとその射幸性を押える面が盛り込まれるべきである、こういうふうに私は考えるのであります。  時間をせかれておりまするから簡単にやりますが、さらにお尋ねいたしたいのは、これの十九条による交付金の問題。常に事務当局が非常に強調されているのは、この交付金の問題であります。なるほど、先ほど局長のお話にもございましたが、今日、造船関係で最もわが国で振興をはからなければならぬ問題、あらゆる面から考え振興をはからなければならぬものは、いわゆる関連工業の育成であります。ところが、この関連工業の育成というものが、わが国の海運造船政策からいえば、ことに造船のわが国におきます地位、輸出におきまする地位、あるいは世界におけるわが国の造船業の地位から考えましても、この点は今日、申し上げるまでもなく、政府当局において十分考えなければならぬ問題であります。それをほかにして、造船業輸出産業として十分伸ばそうというのは、無理な話であります。ところが、そういうものになおこういうふうな交付金を使わなければならぬという、この政策というものが、はたしてどうか。これについての次官の御意見を一つ伺いたい。
  38. 有馬英治

    ○有馬政府委員 内海委員の専門的な立場からの御意見は、まことにごもっともな御意見であると思うのでありまして、造船は、輸出産業の中でも一番重要なものでありまして、しこうしてまた、造船の工業におきまして、関連工業が一番重要であるということは、運輸当局もそういう方針で今日まで進んできたわけでございます。と申しましても、その重要な関連工業をこのモーター・ボート交付金だけで育成していこうというような考えは、毛頭持っておりません。従いまして、今日まで関連工業につきましては、主として金融、特に政府関係の金融機関の融資並びに金利の優遇、あるいは設備近代化資金等の方法によりまして、他の産業以上にこれは擁護するように努力して参っております。遺憾ながら、一般会計から特にこれを援護するというようなことにつきましては、諸般の関係もあることでございまして、もっぱら財投関係並びに金利の面で今は育成しておるというような状況でございます。従いまして、その面は、国際収支の改善が叫ばれている今日、ますます重要になってくると思うのでありまして、本年度の予算におきましても、全力をあげてこの造船金利の問題についてはわれわれ努力をして参ったのでありますが、今後は一そうその必要が起こってくると思いまするので、三十七年度中、あるいはまた三十八年度予算編成に至りましても、三十七年度予算編成以上の努力を傾けていきたいと心組んでいる次第でございます。
  39. 内海清

    ○内海(清)委員 ちょっとこの際お伺いしておきたいと思いますが、どうも政府の今日までの予措算置を見ましても、中小企業関係あるいはこういうふうな関連工業の育成の問題についての予算措置が少ない。とにかく力を入れていないのでありますが、三十七年度には、この関連工業関係でどのくらいの予算がとってありますか。
  40. 藤野淳

    藤野政府委員 いろいろございますが、造船関連工業の一般会計の振興費としまして、九十五万六千円というのが、造船関連工業技術並びに経営指導、それから造船関連工業の生産品種の整理と申しますか、そういうふうな目的に使用される振興費でございます。約百万円でございます。
  41. 内海清

    ○内海(清)委員 今お話のような、造船関連工業に対して一般会計から百万円足らず、これではたしてそれができるかということです。そういうことだから、こういうものにたよらざるを得ないことになるのであります。やはり政府が海運造船というものをわが国の立場から重要に考えるならば、この面において十分予算措置をすべきである。しかるに、それがありませんから、こういうものにたよる。十九条のこの交付金が、三十五年度で見ますと、二億八千万足らず。これは、 モーター・ボートの売り上げ三百億近くの一%にも当たらないのであります。三十五年度には〇・九四%。こういうふうなものによって、わが国の重要産業でありますそういうものの育成をはかろうというところに、そもそもの出発の間違いがあると思う。  ここで一つお伺いいたしたいと思いますのは、この売り上げの一%にも足らぬ、こういうようなもの、これは政府予算措置をすれば、二億や三億の問題は、いかに予算折衝がむずかしいといっても、もし運輸省に熱意があるなら、当然解決できると思う。この一%の交付金の問題について、モーター・ボートの弊害というものをどう考えられるか。この弊害を出しても、一%の交付金によってこういうものを育成していかなければならぬかどうかということです。この点についての御見解を伺いたい。
  42. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいまの内海先生の御質問はまことにごもっともでございまして、わずか百万円足らずの造船関連工業振興予算を三十七年度において初めて認められたわけでありまして、従来は、開発銀行とかあるいは中小企業金融公庫を通じて設備融資の面について実質的な振興が行なわれて、あとはもろもろの事業者団体を通じまして、半ば行政指導という面で、技術振興企業合理化、あるいは性能の向上といった技術を中心とした指導行政が行なわれて参ったのであります。モーター・ボート競走収益の一部は、このような一般会計の予算に比べますと相当な額でございますが、本来ならば、政府予算をもって行なうことができますれば、まことにけっこうなことであると考えております。
  43. 内海清

    ○内海(清)委員 それではそれはあとにしまして、運輸省は、ことに船舶局は、従来、造船の関連工業の育成ということについては非常に力を入れて、これを常に口にしておられる。国内船はもちろんでありますが、輸出船の関連工業の育成ということが焦眉の急であります今日、わが国の造船技術が世界的のトップを行く水準にありながら、この関連工業が弱いために、やはり諸外国のものを使わなければならぬし、なおまた、輸出船においていろいろの問題が起きて、補助工業にしても、技術者がヨーロッパまで飛んでこれをやらなければならぬという点が多い。こういう点から考えて、モーター・ボート交付金によってこの関連工業の育成をしようというのは、私は根本的に誤りであると思う。この売り上げの一%というような交付金、このモーター・ボート競走を実施するについての弊害というようなもの、特にモーター・ボートを実施いたしますと、これがまた地方公共団体財政の援助にもなりますが、これに参りますのは、やはりその地元の者が一番多いのです。そして、これによりわずか地方に還元する財政援助よりも、そういう弊害、ことにこれは個人的に見ますと、家庭悲劇まで起こすような問題をはらんでおるので、これらの点をどういうふうにお考えになるか。わずかの十九条の交付金、こういうふうなものを目当てにして、この弊害をなお今日そのままに認めていくかということ、これらの点につきます当局のお考えを、一つ大臣からお伺いいたしたいと思います。
  44. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 モーター・ボート競走は、自転車競走等と同じように、なるほど今まで相当の弊害もあったことは認めるわけでございますが、同時に、これらは、今日といたしましては、相当普及された娯楽一つでもあるわけであります。従いまして、できるだけこれを健全娯楽のような方向に持って参りまして、弊害をためながらやって参りたい、かように考えているわけでございます。こういった弊害が伴いやすいものを全部なくしてしまうということも一つの方法でありますが、しかしながら、ある程度の健全な射幸心を満足させるということも、一つの必要なことでもあるわけでありますので、おっしゃいますような弊害の面をためながら、健全娯楽として育成して参りたい、かように考えているわけでございます。
  45. 内海清

    ○内海(清)委員 大臣は、これは健全娯楽として持っていきたいということですが、もちろん人間には娯楽が必要であります。ところが、この実態をごらんになれば、ここに出ておる参考の書類を見ましても、だんだん射幸性が強まっている。しかも、これによってもうけたという者は二五%ばかりで、損したというのが七五%出ておる。これではたして健全娯楽であろうか。損した者は、これは決して娯楽にはなりません。家庭悲劇さえ起こせ、娯楽にはならない。こういうふうなものを実施しておるから、その現象が出てくるわけであります。そういう点について、大臣の御所見を一つ……。
  46. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 やはり国民心理の中には、ある程度の射幸心というものがあるわけであります。従って、そういった射幸心を、弊害を少なくしながら、ある程度満足させるというものもありませんと、すっかりやみにもぐった射幸行為が横行するということにもなるわけでございますので、そこらの点をかね合わせて考えていくということが、やはり政策として必要なことではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  47. 内海清

    ○内海(清)委員 いろいろ議論すればずいぶんあるわけでありますが、これから弊害をなくするとか、やはりこういうものは必要であるという平行線的なことになりますので、もう申し上げません。ただ私は、国民世論が、今日、この問題については相当反撃があるということ、この点を十分考えられて、さらに先ほど私が申しましたような非常な重要な問題が含まれておると思いますから、恒久的な立法とするというようなことをおやめになって、できるだけ早い機会にやめられる、廃止するという方向政府も踏み切らるべきであると、私は考えるのであります。また、最近のわが国の経済の発展の状況などから考えてみますと、地方自治体の事業収入の確保とか、あるいは関連工業、こういうものの合理化の促進とか、あるいは体育事業などの公益的なものの増進のための資金を確保するという面については、基本的な考え方が全く間違っておる。さっき関連工業で申し上げた通りであります。でありますから、こういうものに対しては、このような強化するという改正の行き方でなしに、むしろそれを漸次解消していくという方向に向くべきだ、私ども痛切にこのことを考えるわけであります。  そこで、もちろん、今日わが国におきまして、オリンピックを控えて、その資金を得るために、射幸性のあるものをほかにもいろいろ議論されたようなときもございます。さらにまた地方団体においても、こういうものによらない財源確保というために、若干の時間も必要だ、そういう点を考え合わせまして、少なくともオリンピックの終わった年くらいには完全にこれを廃止するという政府方向を出してもらいたい、こういうように私は考えるのであります。もちろん、これを廃止するにあたりましては、これらに関係しておる人の離職の問題、あるいは再就職の問題、あるいは生業資金の確保の問題、いろいろ問題があると思います。こういうふうな点についても詳細な計画を立てて、一定の経過期間を設けてこれを廃止して、この弊害を除去する、そうして国民の精神の作興と申しますか、そういう方面に十分寄与するような政策をとられるべきである、かように考えるのであります。  いろいろ申し上げたいことはまだたくさんありますけれども、時間もえらいせかれておられますので、この辺で私の質問を終わります。
  48. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 關谷勝利君。
  49. 關谷勝利

    ○關谷委員 一点だけ簡単に希望を申し上げておきたいと思います。  今度改正をいたしました趣旨が、「海事思想普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業振興」ということで、今度新しく追加せられましたのが、体育、あるいは社会福祉、医療普及、教育、こういうことになっておるのであります。私は、そこまで飛躍するものなら――今の日本の小型海運事業が非常な窮地に陥っておるということは、局長も御承知通りであろうと思うのでありますが、それならば、そういう方面にも、この二十条の二の収益が振り向けられるべきであると私は考えるものであります。  そこでこの解釈でありますが、二十条の二の終わりの方の「体育の振興その他住民の福祉の増進を図るための施策を行なうのに必要な経費」ということになっておるのでありますが、「住民の福祉の増進を図るための施策」という面に、小型海運というものも直接結びついてくるのでありまして、この書き方そのものが非常にあいまいではありますが、広義に解釈いたしまして、小型海運事業というふうな方面にもこれらの金が出せるように御配慮願いたい、広く解釈して出していただきたいと思いますので、この点を要望して、あなた方の御意見をちょっと伺っておきたいと思います。
  50. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいまの關谷先生の御希望でございますが、二十条の二に「住民の福祉の増進」という言葉がございまして、振興事業の中に「海事思想普及及び観光に関する事業並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業」云々というのがございますので、この内容が同様な内容考えますと、広く住民の福祉という見地から、小型船の海運業が窮地に陥っておる点を何らか助成するために、そちらに使えないかという御趣旨かと考えますが、この交付金の使途につきましては、関係省あるいは学識経験者その他を含めた運用協議会を作りまして、各方面の意見を伺いながら公正に運用するつもりでおりますけれども、そのような御趣旨をどういうように表現するかということは、運用協議会でいろいろ議論があると思いますが、なるべく御趣旨に沿うように努力いたしたい、かように考えます。
  51. 關谷勝利

    ○關谷委員 これはモーターボート競走法目的そのものが造船関連事業振興が一番大きな目的になっておりますが、これと並行しておりますのは今の小型海運事業でありますので、この点は、ほかの医療とか、あるいは体育、文化、社会福祉という方にいく前に、この中小企業である小型海運事業にこの金を半分さいてもいい、これが本来じゃなかろうかとさえ考えておりますので、この点、そういうふうな協議会があります際に、局長から強調して、その方面へできるだけの努力を払っていただきたいと私は希望しておきます。
  52. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 田中織之進君。
  53. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私ども社会党の方から、競輪、競艇、競馬、この三つのきわめて射幸性のある関係法はこの際廃止すべきだということを年来主張して参りまして、今国会にもこれの廃止法案を提出いたしたわけでありますが、政府の方では、今回は競馬競輪、モーター・ボートのそれぞれ改正法案を出して参りました関係から、商工委員会にかかりましたこれらの三つの廃止を含む法案が、一足先に関係のある運輸委員会に一言の相談もなしに多数でもってこれを否決し去ったという事実の上に立って、このモーター・ボート改正法案を審議しておる、また審議を要求しておる政府の態度を、私はきわめて遺憾に思うのであります。ことに先ほど来、内海委員あるいはわが党の勝澤委員等からそれぞれ質問があったと思うのでありますが、競艇法そのものについては、社会問題といたしましても、重要な問題を含んでおると思うのです。特に今關谷委員及び内海委員からは、交付金の運用の問題についての若干の意見が出ておりますけれども、問題は、やはり極端な言葉でいえば、こうした公営のばくちをやらせるというようなことは、民主国家として適当ではないと思う。そういう観点から見ますれば、競艇関係の売上金、自治体等で主催をしておる競艇関係についても、この売上金の預託関係をめぐって、いろいろな問題を各地方で起こしておる。さらに交付金の問題については、その交付金をどのように運用するかという問題より前に、全体のワクが一割足らずのものしかそれが地方財政なりあるいは国営の関係で納めておらないというような、現在の仕組みそのものにも問題がありますけれども、この点については、私もここで多くを論じようとは考えません。  そこで、特にこの競艇が存続するという建前に立ちますならば、きわめて関係を持ってくるこれらの競艇関係の従業員の問題について、一、二お伺いをしておきたいと思うのでありますが、現在全国の競艇関係の従業員は、どのくらいあるのか、しかも、それらの諸君の待遇関係というものが、ところによって若干の相違があろうかと思うのでありますが、どういう状況にあるかという点を、まずお聞かせいただきたいと思います。
  54. 藤野淳

    藤野政府委員 お答えいたします。  モーター・ボート競走関係に従事しております概略の人数は、約二万四千名でございます。その内訳を申し上げますと、施行者関係が八千五百二十一人、これは概略であります。競走会関係、これは中央の全国モーター・ボート競走会連合会を含みまして千五百五十七名。それから選手でありますが、これが千三十二名。その他の間接従業者と申しますのが、一万二千九百名ございます。間接従業者の内訳は、競走場の施設の所有会社、これは七社ございます。これが八千七百人ばかりおります。それから競走場内外の売店の従業者が千二百七十五名。それから競走場内外の予想新聞の関係者、これが約五百人。それから競走場の中の自転車の預かり業者が二百二十五名。それから予想業者というのが千八百七十五人。ボート及びモーターの製造業者が二百七十五人、以上でございます。  それらの待遇でございますが、待遇は、常勤と非常勤というふうに分かれておりますけれども、施行者関係の常勤は、これは公共団体の職員でございますので、別に問題はないと思います。問題は、競走関係の非常勤の従業員の待遇でございます。これは、施行者が一カ月の単位で雇用契約を結んでおりまして、平均実働六時間でございまして、五百円が基本賃金ということに相なっております。そのほかに、交通費とか、あるいは精勤賞、期末手当などを支給しておる施行者もかなりあるわけでございます。それからこれらの非常勤は、年に一回大体二十円見当の昇給を行なっております。  それから福利厚生面でございますが、これは全部ではございませんが、若干の施行者が、これらの非常勤の従業員に対して、日雇いの健康保険、あるいは労働者災害補償保険、それから失業保険への加入を行なっておるものがあります。  それから、これらの従業員はどういうふうな勤務をしておるかといいますと、地方によりまして、家計を補うためのアルバイトがかなりありますけれども、大部分の者はモーター・ボート以外の類似競技とかけ持ちを行ないまして、その収入だけで生計を維持しておる者が大部分でございます。モーター・ボートにおきましても、Aの競走場からまたBの競走場へ移っていく、あるいは近くの競輪場の方にも出かけていくといったようなことをやっておるのが多うございます。  それからさらに、モーター・ボート競走関係の職員でございます。この職員は、基本給が平均二万七千円程度でございまして、そのほか開催手当とか時間外手当とかいったようなものを、大部分の競走会が支給をいたしております。それからすべての競走会は、社会保険――いわゆる厚生年金保険あるいは健康保険でございますが、社会保険やあるいは失業保険への加入も行なっておるような状況でございます。
  55. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そのうちで一番問題になるのは、いわゆる施行者関係の非常勤職員の問題だと思うのでありますが、最近聞くところによりますと、各地で、こういう非常勤関係の諸君の労働条件の改善等を主目的にしまして、労働組合が結成されつつあるやに聞くのですが、現在全国でそういうところは幾つあるのでしょうか。組織状況等についてお調べになったことがあるのか。
  56. 藤野淳

    藤野政府委員 施行者の雇用いたしております臨時の職員が、労働組合を結成いたしておりますという事実は、そういう話は聞いておりますが、結成したということは、実は聞いておらないのでございます。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)委員 一番近いところで戸田の競艇場の関係では、組合があるように聞いているのですが、そういう動きがあるだけで、実際に組合がないとおっしゃるのですか。
  58. 藤野淳

    藤野政府委員 正式な報告を受けておらないのでございます。機運のあることは前々から聞いております。
  59. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の伺ったところでは、戸田競艇場ではすでに組合ができている。それから飛びますけれども、九州の福岡の関係におきましても、最近施行者関係で、従業員の待遇問題等に関連をして、戸田の競艇揚のそういう特に非常勤関係の従業員諸君の組合の実情を、昨年の暮れであったかと思うのでありますけれども、視察に来られたという事実も、私は伺っておるわけです。その後、福岡の方は組合ができたかどうかということはわかりませんけれども、そういうことも実は伺っておるのです。今こういう非常勤の者は、競馬あるいは競輪というように、車券なり馬券の販売というような仕事に転々と動いておるかのごとく言われるのでありますけれども、施行者の方としては、もちろん間歇的なことで、常用的にということには参らないのでありますけれども、金銭を扱う関係から、やはりある程度確定しておかないことには、この仕事をまかすわけにはいかない。そういう点から見ても、何らかやはり組合のようなものを作らして、それと地方公共団体なり施行者との間で話し合いを持つということが、私は、近代的な労務管理の点から見て、当然やるべきことではないかと思うのです。そういう点について、主管の運輸省の船舶局で、そういう動きは聞いているけれども、実情は正式に報告を受けておらないというようなことでは、私は、こういうきわめて社会的に問題になる競走を存続するという建前から見るならば、いささか怠慢ではないかと思う。その意味で、この点はむしろ運輸省の方で、これを存続するということになるならば、従業員の待遇改善とも関連をして、組合を作らす、そして施行者との問で協約その他の形で労働条件の維持という方向へ向いて指導していくことが、監督官庁としての当然の立場ではないかと思うのでありますが、この点についての運輸当局の御所信を伺いたいと思います。
  60. 藤野淳

    藤野政府委員 ただいま、この臨時職員が組合を結成しております事実につきまして最新の情報を得ておりませんのは、まことに遺憾でございます。このたびの法律改正は、公営競技調査会答申をほとんど全面的に取り入れるという趣旨で立案をいたしたのでございますが、答申項目の第十に、「公営競技関係者の雇用、労働その他の関係近代化する。」というのが一つございまして、これは私ども十分承知いたしておるのでございます。今後、この趣旨施行者を十分指導いたしまして、雇用を合理化し、近代化することによりまして、明るい競技環境を作っていくということは、やはり競技の健全な発達のために重要な一つの要素であると考えまして、十分適正な指導を行なって参りたい、かように存ずる次第でございます。
  61. 田中織之進

    ○田中(織)委員 調査会答申の中にも、私と同じような趣旨のことが盛り込まれておるということでありまするならば、なおさらのこと、そういう面について――私どもは一日も早く廃止すべきだという考え方の上に立っておるわけでありますけれども、どうも現在の国会分野の関係から見るならば、存続するということが必至の情勢にある以上は、やはりこれらの従業員諸君の労働条件の問題について考えてもらわなければならない。  なお、先ほどちょっと失業保険の点について触れたのでありますけれども、失業保険だとか、そういうような社会保険の適用関係は、現状においてどういうようになっておりましょうか。主として非常勤関係であります。  それから、あわせてお答えをいただきたいのでありますが、先ほどの従業員数の内訳の中に、設備の所有会社というのが七社あげられたのでありますけれども、地方公共団体等で独自に自分自身で設備を持っているところが全国にあるのか、この七社が全国の競艇場の施設を全部やっておるというのか、その関係についてあわせてお答えをいただきたいと思う。
  62. 藤野淳

    藤野政府委員 前段の社会保険のお話は、施行者の職員につきましては施行者が、それから競走会の職員につきましては競走会が、保険に入る。  それから後段の問題につきまして、二十四の競走場がございまして、十七の競走場は、施行者が所有をいたしております。七つの競技場は、民間の施設会社が所有をいたしておる次第であります。
  63. 田中織之進

    ○田中(織)委員 どうでしょうか、二十四のうち、七社だけは民間の施設会社が所有いたしておるということであります。そういう関係の、たとえば施行者との間の使用料契約というよう問題については、若干問題があるようにも伺うのでありますが、その間の問題は、あるいは存続するということになれば、施行者地方公共団体であるということになれば、施設会社から施行者の方にそういうものを引き継ぐというような関係の方が、監督官庁の立場から見ても合理的にいくのではないかと思うのでありますが、施設の関係について、どの程度の資本が投下されているかというようなことも私詳しく存じませんので、そういう点にも問題が出てこようかと思うのでありますが、そういう点が一体どういうようになっておるのでしょうか。お伺いいたします。
  64. 藤野淳

    藤野政府委員 二十四の競技場のうち、七つの競技場は民間の所有でございます。施設会社が所有しておりますが、これは当初からそういうような関係になっております。また、中には、ある競技場がうまくいきませんために、移転をしてそこに設けたという競技場もございます。この競技場を所有いたしております施設会社と施行者との問の契約の内容、たとえば使用料その他契約料金につきましては、監督官庁といたしましては、何ら監督規制を加えておりません。コマーシャル・ベースで行なわれておりますので、これを強権をもちまして施行者の方に引き継ぐような指導をやることが適当かどうかにつきましては、私どもは疑問を持っておる次第でございます。
  65. 田中織之進

    ○田中(織)委員 藤野局長がお答えになっているように、若干の施設会社との問ではトラブルがあるということは事実なんです。私はそういう観点から見て、これは、もしできるものならば、施行者の所有に――もちろん強権的にどうこうということではないけれども、それの方が監督官庁から見て、特にやはり射幸性があるという点については、これは存続するとしても、政府に課せられた重要な一つの任務になってくるわけなんです。そういう関係から見ても、好ましいの一ではないか。あえて強権をもって七つの施設会社から施行者にその設備を移せということは申しませんけれども、やはりそういうことについての行政指導は当然行なっていいのじゃないか。特に競艇場でも、若干いろんなトラブルが起こるところは、問題がやはり施設会社そのものの所有と施行者とが違うというような関係一つの原因があるようにもうかがえるので、その点を申し上げておるので、この点は、一つ十分お考えをいただきたいと思います。  なお、一番最初に私が指摘をいたしました月に何日か競艇をやります関係から、年間にすれば三百億といっておるのでありますけれども、あるいはもっとそれ以上の売り上げがあると私は思うので、その意味で、この売上金を金融機関等が預け入れをさせる関係から、ともすれば施行者との間にいろいろな問題が出てきているということも、これは運輸省としても考えなければならぬ問題ではないかと思う。特にそういうような点については特別な配慮をもって指導に当たられると同時に、今回は調査会答申などに基づいてそれを法改正に持っていったんだということでありますけれども、先ほどから問題になっておりまする交付金の売り上げに対する率の改定の問題については、これは今後の課題として存続される以上は、検討さるべき問題を含んでいるのではないかと思います。この点は、反対立場から申し上げることはいかがかと思うのでありますけれども、率直な私の意見を申し上げまして、当局の注意を喚起しておきたいと思います。
  66. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 ほかにないようでございますので、本案に対する質疑は、これにて終局いたしました。     ―――――――――――――
  68. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 これより討論に入りたいじますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、これより採決いたします。  モーターボート競走法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――
  72. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 次に、国鉄の経営に関する件について、調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  73. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、年度末の手当をめぐって国鉄労働組合と国鉄当局との間に今紛争が生じておるということで、実はモーターボート競走法の前に緊急質問をいたしたいと思っていたのでありますが、きょう法案を上げるということでありましたので、法案が上がりましたので、そのあと質問をさしていただきたいと思うのですが、大臣がせっかくお見えになっているのに、責任者である総裁、副総裁が見えていないというのは、これは大へん遺憾だと思うのです。委員長、私はけさ十時ごろから言っているわけです。最近、さっきの委員会もそうなんですけれども、政務次官や委員の方が先に来て、局長の方はそれから二十分も三十分もたってあとから来ておる。まことに国会軽視もはなはだしいと思う。これは一つ政府委員は、もう少し、せめて時間を――国会は守っているのですから、正確に守るように委員長から一つ厳重に注意していただきたいと思う。それと同時に、総裁、副総裁並びに中村常務、それから兼松常務も要求しておったのですが、まだ見えていないのですが、その理由を一つ聞かしていただきたい。いつになったら来るかということをまず第一に聞いて、それから質問に入りたいと思いますので、明確にしていただきたい。
  74. 中村卓

    ○中村説明員 私がかわってお答え申し上げますが、総裁、副総裁は、鉄道建設審議会がただいま開催中で、それの方に出席さしていただいております。それから兼松理事は、万やむを得ない用事で、世銀の関係でちょっと仕事が忙しいものでありますから、先ほどちょっとここへ来たのでありますが、またすぐ帰りまして、その方へ行っておりますので、御了承願いたいと思います。
  75. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 建設審議会に大臣は先ほど出ておられたのですよ。しかし、大臣は、重要な国会審議があるからと言ってお帰りになり、この委員会に参加をしている。しかるに、総裁、副総裁が鉄道建設審議会へ出ている。一体総裁、副総裁はしゃべることがあるのですか。何もないじゃありませんか。ましてや、兼松常務が仕事があるから向こうに行った、国会で呼ばれているにもかかわらず、仕事があるから向こうへ行ったというのは、一体どっちが中心なんですか。まさに国会審議を妨害しているじゃありませんか。もう一回御答弁願います。
  76. 中村卓

    ○中村説明員 総裁、副総裁が審議会に出る必要はないというお話かもしれませんが、いろいろ事情がございまして、他へ出席しておるわけでございます。先ほどお話がございましたので、ただいま連絡をとっております。近く返事がはっきり来ると思います。兼松常務は、御承知のように世銀の関係では欠くことのできない理事なものでございますから、その点はぜひ御了解願いたいと思うのでございます。世銀からは調査官が来ておりまして、その関係でどうしてもごかんべん願いたいという話で、私がかわりに出していただきました。
  77. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の質問するのは、国鉄労組と国鉄当局の話し合いの中で、中村理事だけの背信的な行為があるではないだろうか、こういう建前から、ほかの理事にも来てもらいたい、そういう立場で実は理事なり総裁を要求しているわけです。その点を私は究明したいわけです。あなた一人に聞けば、あなたの都合のいいことだけであって、その真相がはっきりしないわけです。私が質問しているうちに、総裁、副総裁が出席できるように、一つ手配をしていただきたいと思います。  せっかく大臣も見えておりますので、大へんお忙しい時間でありますが、大臣に簡単に御所見を承りたいと思うのでございます。これは大臣も御承知だと思いますけれども、昨晩の夕刊を見して、私、驚いたわけです。国鉄の労使関係というものは、大臣が就任以来、円満な労使慣行というものが打ち立てられてきたことは、大臣も御承知通りなんです。しかるに、この年度末手当をめぐって、今までの労使の慣行が打ち破られた。しかも、こう言われておるわけです。これはぜひ大臣に聞いておいていただきたいと思うのですが、国鉄労働組合と国鉄当局とが年度末手当をめぐっていろいろな話し合いをしておった。そして二十六日の夜に、どうも動力車労働組合そのほかの職能別労働組合と妥結する傾向があった。しかし、これは、従来の国鉄の三十何万の組織の中では、一握りの組合なんです。動力車の組合なりあるいは職能別労働組合は、ほんのわずかの組合なんです。ですから、今までは、国鉄労働組合とまず妥結をして、それからほかの組合と妥結していく、そしてそれを全体に及ぼしていく、これが今までの労使の慣行なんです。それを動力車の労働組合やそのほかの労働組合と妥結しそうになっておるから、それはいけないじゃないかということで団体交渉を行なった結果、最終的に一方的な妥結はしない、よその組合ともいたしませんということで、さらに交渉を継続するということを二十六日の夜中に取りきめをして、そして国鉄労働組合と当局との間では、その翌日の団体交渉を約束して別かれた。別かれたあと、三時間後の午前三時になって、動力車労働組合と一方的に組合との約束を踏みにじって妥結をした、こういうことが言われているわけです。そこで、国鉄労働組合は、これはまさに背信行為だ、団体交渉の席上で約束されたことが、従来からの労使の慣行できめられたことが破られた、どういうことかということで責任追及を今やっている。まさにこれは重大な問題だ。これは、過般四工場の払い下げの問題でも、いろいろな問題が起きました。大臣にもいろいろお骨折りを願った通りであります。まさにこのやり方というものは、大多数の労働者の意思を踏みにじって、しかもなお、国鉄の労使の今日までの健全な労使慣行というものをぶちこわそう、こういうところにあるわけであります。これは重大な労働政策の転換です。こういうことを突き詰めて聞いてみますと、どうも一理事の越権行為によって行なったとか言われておるわけであります。これは私は重大な問題だと思う。今日大臣も御承知のように、年度末手当の問題につきましては、よその三公社五現業といわれるところは、まだいつも妥結していないわけだ。ですから、国鉄労組も、よその方のことを見ながら、またいろいろな点を考慮しながら、円満に妥結をしようとしておるにかかわらず、かかる一方的なやり方を行なってきたということは、まことに私は残念である。そこで前会も、これは事故のときに私は申し上げたわけですけれども、今日国鉄の中にはたくさんの労働組合があるわけです。十五だか十七だかあるそうです。ですから、機関士が動力車の労働組合員で、機関助士が国鉄の労働組合員で、旗を振っている人が職能別の労働組合員で、連結をやっている人がよその組合員で、保線がよその組合員で、電力がよその組合員というように、まさに入れ乱れている中で仕事をさせられているわけです。こういう状況の中にある労使の問題というものは、よほど気をつけてやらなければならないのは当然なことなんです。ましてや労働組合法の十七条によって、大多数を占める組合との協約というものが優先するのだということがきめられておって、従来そのような慣行も行なわれてきたわけであります。それが今回はこういうことが行なわれずに、単に出先の一理事がこういうことをやって、それを全体的に及ぼそうというのは、重大なことだ。一つこの問題について、大臣のお考えをまず最初にお聞かせ願いたいと思います。
  78. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 国鉄と労組の問のいろいろな話し合い等の問題につきましては、私は原則として、国鉄当局のやられるのを見ておると言ってはあれでございますが、それに干渉を加えるという気持は持っておりません。国鉄の運営上重大な支障を来たすということであれば、これは監督者といたしまして、ある程度の干渉も必要であろうと思うのでありますが、そうでない限り、労使の話し合いは労使にまかしておくのが適当だ、私はかように考えておるわけであります。このたびの年度末手当の交渉につきましては、今おっしゃいますような点について、昨晩どういうことになったのか、詳しいことは聞いておりませんが、私の想像いたしますところでは、国鉄労組と一般組合と並行して話し合いを進めてきたと思います。そして各労組の要求と国鉄の考え方の食い違いがあったかわかりませんが、そこで、どの組合を先にして、どの組合をあとにしてということではなくて、並行的に進めていたと私は思っております。この並行的に進めていたことがいいか悪いかという御議論がありましょうが、私は、これも一つの行き方であり、従って、組合の方で、国鉄の出しております線をのんだといいますか、話が先についたということであれば、これはまあ自然の成り行きとしてやむを得ないのじゃないだろうか。一方の国鉄労組の交渉が済むまでは他の労組との交渉を進めないというやり方も、これは大きい、小さいはありましょうけれども、大きい方と話がつかなければ、他の組合との交渉に入らないというあり方も、私は、健全な労使の話し合いとしてはいかがなものであろうか、かように考えますので、ただいまのところでは、国鉄当局が労組との話し合いについて非常によからぬことをやったというようには、私は考えておりません。
  79. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたはよからぬことをやったという報告を受けていないでしょうけれども、実はよからぬことをやったから問題になったわけです。それはなぜかというならば、夜夜中までかかって国鉄労組との話し合いの中で、とにかくその組合との一方的な妥結はいたしませんと、こういう約束をしておる。そうして事態を収拾したのです。事態を収拾したあと三時間たったら、それを裏切ったわけなんです。ですから、こういうような不信行為をやる経営者はけしからぬということで、国鉄労働組合は、この不信行為を直すために今抗議をしているわけなんです。それは大臣も御承知通りなんです。国鉄がどういうような状態かというのは、大臣御承知通りなんです。それと同時に、これは労組法ではっきりきまっているわけです。それからまた、国鉄の労使の今日までのやり方というものは、やはりそういう慣行できた。小さな組合とかりにまとまろうとしても、大きな組合とまとまらなければ実施ができないからということで、話し合いというものが保留されてきた。また、今回の年度末手当についても、そうなっているわけです。国鉄労働組合と話がつかなければ支給ができませんから、国鉄労働組合と話し合いがつくまで支給を待ってよろしゅうございますし、こうなっているわけです。何も実害がないのです。早くきめたから早く支払うという約束になっているわけじゃないのです。とにかく、こういうような労使の慣行が、あなたのまかしておる国鉄の中で、一理事の越権行為によって行なわれているということを、私はぜひあなたに聞いておいてもらいたいと思うのです。そしてなおかつ、その問題につきましては、別の機会にあなたに御質問いたしますので、あなたへの質問はこれで私は終わることにいたします。大臣、けっこうですから、あと国鉄当局にお尋ねいたします。
  80. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私は、一理事が越権行為であったか、なかったかということもまだ聞いておりませんし、これは国鉄総裁なり副総裁から、理事がこれらの意に反して越権行為をやったのか、その点も聞いておりません。今お話になりました点は、伺っておきまして、また同時に、他の労組とは妥結をしない、国鉄労組と妥結するまでは他の労組とは妥結をしないと約束したかしないか、その点もまだ聞いておりませんし、今後国鉄当局から詳細報告を受けると思いまするが、受けました後に、また私の所見を申し上げます。
  81. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これ以上大臣には質問いたしません。また問題になったときに来ていただきますから。  そこで、国鉄の総裁なり副総裁は、いつお見えになりますか。
  82. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 すぐ参ります。
  83. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで、一体今国鉄の中にはどういう労働組合があって、それは構成人員はどうなっておりますか。
  84. 中村卓

    ○中村説明員 大体のことを申し上げますと、正確な数はちょっとはっきり覚えておりませんけれども、これはちょっと資料が古うございますが、昨年の十二月の資料でございます。もちろんこれは当局の調べでございます。国鉄労働組合が、十二月一日現在の組合員数は三十万八千九百余り、国鉄動力車労働組合、これが組合員数は五万四千二百余りでございます。職能別労働組合連合が一万三千五百余りでございます。この職能別労働組合の中には、いろいろ小さな職能別組合がそれぞれございまして、それが連合体を作っておるわけでございますが、その全体について申し上げたのが一万三千五百という数字でございます。それから国鉄地方労働組合総連合、これも仙台とか東京とか新潟とか大阪とか、そういうところの労働組合の連合体でございまして、これが組合員数は二万三千六百余りでございます。それからあと国鉄動力車乗務員労働組合、これは十人です。これは単独の組合でございます。それからあと車掌区労働組合、これが三百八十四人。大きな組合は端数をちょっと切り上げて申し上げましたが、小さな組合は端数まで申し上げます。それから奈良の保線区労働組合、これが百七十四人、新幹線労働組合、これが三百二十八人。十数あると申し上げましたのは、たとえば職能連の中に九つばかり組合がございますし、それからいわゆる地方総連の中にも、それに近い組合がございますが、そういうものを全部合わせますと、組合の数が十数になろうということでございまして、組合員数の総合計は、四十万一千三百二であります。
  85. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、団体交渉のできる組合というのは幾つなんですか。
  86. 中村卓

    ○中村説明員 中央でいわゆる中央交渉と称する団体交渉をやりますのは、国鉄労働組合、動力車労働組合、それから職能別労働組合、それから地方労働組合総連合、この四つでございます。あとは地方団体交渉をやっております。
  87. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 実は私の方の静岡に、二百人の組合で三人専従している組合があるのですが、これはどういうふうにやっておるのでしょうか。二百人で三人の専従者を持って、なおかつ職員を雇っておるのですが、これはどういう経理のやりくりをやっておるんでしょうかな。
  88. 中村卓

    ○中村説明員 おそらく、私の方の資料によりますと、国鉄の静岡地方労働組合というのだろうと思いますが、組合内部の経理につきましては、私の方ではちょっとわからないわけでございます。お答えいたしかねる次第でございます。
  89. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 月給さえ払えば、二百人の組合でも三人の専従者を許すと、こういうことになっているのですか。
  90. 中村卓

    ○中村説明員 専従者三人という問題につきまして、あまり詳しく手元に資料もございませんので、後刻調査の上御返事申し上げたいと思います。
  91. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いや、調査をしなくてもおわかりになっているはずなんです。それは全体的な数で専従者をきめて――ですから、金さえ出せば幾らでも出す、こういうことになっているのじゃないですか。
  92. 中村卓

    ○中村説明員 一応大きな組合につきましては、大体組合員何人につき一人というような専従制度を考えておりまして実施しておりますが小さな組合につきましては、必ずしもそういうわけにも参りませんので、若干の例外的な扱いはしているかと存じますけれども当該の組合につきましてどういう格好になっているかということの責任を持ったお答えは、後日に譲らしていただきたいと存ずるわけであります。
  93. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 しかし、基本の問題はあなたの言うのに重大な問題ですよ。大きな組合については幾人ときめております。小さい組合については例外があります――例外とは、二百人の組合が三人の専従者を持っているということは、これは例外も特例じゃありませんか。これは特異な例じゃありませんか。
  94. 中村卓

    ○中村説明員 あるいは全体から見ますと例外的な現象かもしれませんけれども、やはりそういう場合にいろいろと当局の方でも考えまして、そういう処置を、もし三人ということが事実でありますれば、認めたのだと思います。
  95. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その特異な例があるわけですけれども、それはどこからか強要されてやっているのですか。それとも国鉄の方針でそうなっているのですか。どういう意味なんですか。
  96. 中村卓

    ○中村説明員 どこからも強要されたわけではございません。私どもの自主的な判断でそういうことをやっているわけでございます。
  97. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 自主的な判断でやっているというけれども、自主的な判断というのは、ばかにひど過ぎるじゃありませんか。二百人ばかりの組合が三人も専従者を持っているということは、日本全国の労働組合の中にないですよ。だから、やる仕事がないんですよ。何をやっているか。これは見たらよくわかる。私はそれを質問するのが目的じゃありませんから……。  そこで年度末手当の問題については、今一体どこの組合とどういうような形でまとまったことになっているのですか。
  98. 中村卓

    ○中村説明員 動力車労働組合と職能別労働組合連合、それから地方総連合、この三つの組合と、年度末手当といたしまして〇・四カ月分、支給期日につきましては三月三十一日以降準備でき次第ということでございまして、そのほかに増送に対する報労物資といたしまして、一人当たり千円の報労物資を支給するということに妥結をしております。
  99. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 国鉄と似たようなほかの三公社五現業は、今どういうふうになっておりますか。
  100. 中村卓

    ○中村説明員 まだ妥結していないのではないかと思いますが、内容については詳しく聞いておりません。
  101. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 よその方がまだきまっていないのに、国鉄だけがきまったというのは、どういう理由なんですか。
  102. 中村卓

    ○中村説明員 私どもの方の提案につきまして、この三組合が一応これでもって引き受けましょう、というと語弊がありますが、けっこうですと返事があったので、妥結したわけでございます。
  103. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ほかの方の十人とか、三百八十四人とか、百七十四人とか、こういう組合はどうなっておるのですか。
  104. 中村卓

    ○中村説明員 これはまだ進行中でございます。
  105. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで私が先ほど申し上げました二十六日の夜、当局は一方的に妥結はせず、さらに交渉を続けると約束をしたと組合も言い、そのように各新聞に書かれておりますけれども、ここはどうなっておりますか。
  106. 中村卓

    ○中村説明員 当時はっきり申し上げましたのは、一方的な支給はしないということは、たしかそういう意味のことを申し上げたと思います。それからなお、ほかの組合と妥結をしないという約束はいたしておりません。
  107. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたはそういうふうに言われておりまするけれども、組合の方から聞くと、この新聞の記事の通り、一方的には妥結をしない、こういうふうに言われておるわけです。あなたは一方的に支給をしないと、こう言う。これは大きな食い違いです。ここが紛争の一番の原因なんです。一体なぜこのように誤解が生ずるような団体交渉になったのですか。それは、当局の出席者組合出席者がたくさんある。組合出席者は、みなそのように解釈をしておる。これは重大な問題じゃありませんか。また、二十六日の夜半の状態の中かろ考えてみまする、これはやはり私は組合の言っていることが正しいように思うのです。この点どうですか。
  108. 中村卓

    ○中村説明員 御承知のように、私の方も、金の支払いというのは、大体早くて一週間前後かかるわけであります。従いまして、もし三十一日に支給しなければいけないということになりますと、二十六日中に話をきめましてその手配をとりませんと、三十一日には支給できないわけでございます。そういう意味も含めまして、二十六日には一方的な支給はしないという意味のことを申しあげたわけで、従いまして、支給期日は三十一日には困難であるという意味が、その裏に含まっていたわけでございます。ただし、それは、一方的な支給をしないということは、その当時の状況でございまして、結局表向きの議論といいますか、お互いの了解の内容ではそういうことになったと思いますけれども、要するに、われわれといたしましては、一方的に支給をしないという約束をしろという組合の要求に対しまして、そういう約束はできない。それはあくまでも原則であって、両方が誠意を尽くして団体交渉をやって妥結した上で支給をするということが望ましい姿であるけれども、場合によって例外はあり得るということで、最後まで私ががんばったわけであります。
  109. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 話がきまらぬで支給することができるのですか。それはどこにどういうふうにきまっているのですか。
  110. 中村卓

    ○中村説明員 望ましい姿ではございませんけれども、たとえば今問題になっております年度末手当のごときものにつきましては、年度内に少なくともはっきり債務が発生いたしませんと、来年度になって全然払うわけにはいかないわけでございます。この点は、組合側もよく了解していただいていると思っておりますが、三十一日までにもし妥結ができないという場合には、場合によっては一方的な支給ということも起こり得るのではないか。われわれは、決して望ましい姿ではございませんけれども、そう考えておるわけでございます。
  111. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ですから、三月三十一日までにきまらなければ、支給の問題が出てくるでしょう。あなたは三月三十一日には一方的に支給はしない、これはあたりまえのことですよ。三月三十一日までに妥結をしなければ、一方的に支払わなければならないような事態が起きるかもしれない。そうしないと債務が生じないから、むしろ払えなくなるのだ。だから、四月にこしてかりに妥結をしたとしても、もう支払うことができないのだ。こういう立場は、組合も認めているのは当然です。それはあたりまえですよ、会計の上から考えているのだから。三月三十一日までに妥結をしなければならない。もう時限的にきまっているのだなということは、組合もみな知っているわけです。しかし、ここで問題になるのは、三月三十一日に一方的に支給しないと、こうあなたは言っている。三月三十一日に一方的にしないということは、あたりまえなんですよ。話がきまらなければ支給できない。話がきまらなければきまらぬ、きまらなければ支払えない、きまるには三月三十一日までにきめてもらわなければ困る、この筋については、あなたも組合も意見が食い違っていないでしょう。
  112. 中村卓

    ○中村説明員 私が先ほど申し上げたことと、先生のおっしゃったことは、若干ニュアンスが違うのかもしれませんけれども、あくまでもそれは団体交渉で妥結した上で払いたいという気持は、当局は持っております。しかし、先ほども申し上げましたように、三十一日までにきまらなければ、来年度になってはもう支払いできませんので、三十一日になったら、一方的に支払い――債務を発生させて、その債務の履行が新年度にかかる場合は、これは処理として認められておりますので、三十六年度の支出として処理できるという格好になりますので、そういう方法しかないというふうに考えております。
  113. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはあなたの言っていることは、あたりまえのことなんですよ。そういうことを約束したのじゃないのですよ。そういうことであなたは約束した、こう言っているのでしょう。そういうことで約束されていないのですよ。そんなことは、だれが聞いたってあたりまえのことです。会計年度を知っているならば、三月三十一日は会計年度の終わりですよ。三月三十一日までにきまらないと、とにかく支払いができませんよ。債務が発生しないから、支払いができませんよ。これはだれでも承知していることですよ。年度末手当は、三月三十一日までにきめなければならぬ。しかし、まだ日があるんだから、その問に一方的な妥結はしませんということが、はっきりなっているじゃありませんか。それが守られていない。ここの問題なんですよ。
  114. 中村卓

    ○中村説明員 いや、私の方では、あくまでも一方的な妥結はしないということは、申し上げてございません。一方的な妥結をしないということは、決して申し上げてありません。三十一日までに一方的な支払いはしない……。
  115. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 一方的な支払いをしないというのは、これはあたりまえのことなんですよ。そんなのは労使の問題じゃないのですよ。一方的に支払いをしないということは、これはあたりまえのことなんです。あなたが了解しなければ、金が払えませんよ。しかし、三月三十一日までにきまらなければ、小切手は切れませんよ。それもみんな知っているじゃありませんか。これはあたりまえのことですよ。だから、一方的に支給をしないということは、それは労使の問題では、あたりまえでしょう。一方的にあなたは支払いができるのですから、あなたは、さっきから聞いていると、一方的に支払いができるということが、反面解釈――一方的に支払いができるということは、どういうことですか。
  116. 中村卓

    ○中村説明員 これは法律上の問題と事実上の問題と両方あると思いますけれども、事実上の問題といたしましては、やはり私がさっき申し上げたように、三十一日なった場合に、やむを得ず一方的に支給するということが考えられるということでございますけれども、それが三十一日にならなければ絶対にできなくて、法律上、理論上、二十八日なら二十八日、二十九日なら二十九日に一方的に支払いができないというわけではないと思います。これは事実の問題あるいは政策の問題でございまして、法律的な問題ではないと思います。
  117. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 労働条件の紛争があって、話がきまらぬうちに一方的な支払いが、法律的に、理論的にできるのですか。できるとするならば、一体法律的に、理論的に、それはどういうことなんですか。御説明願いたい。
  118. 中村卓

    ○中村説明員 先ほどから申し上げておりますように、妥結した上で払うのが望ましい姿でございますけれども、妥結ができない場合に一方的にやり得ることは、今までほかの問題でもありましたし、それから現に、先ほど申し上げましたように、三十一日までに妥結をしない場合は、一方的に支給するということは、これは決して法律的な根拠とかなんとかいうことではございませんで、これはできると存じております。
  119. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 金を支払うのに、法律的な根拠がない、法律的なものも何もないということは――妥結をしないときは支払いができるという根拠があるはずですよ。なければできないはずですよ。
  120. 中村卓

    ○中村説明員 私の申し上げたのは、言葉が足りなかったかもしれませんけれども、もちろん会計法規的な根拠はございますし、労働法上違反するようなことは起こらないというように考えております。
  121. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは会計法上、労働法上、とにかく妥結できなくても支払いができるということを説明してくれ、私はこう言っておるのですよ。会計法上、労働法上、どうなっているのかというのです。
  122. 中村卓

    ○中村説明員 会計法上は、たとえば予算総則の中におきまして、今度の業績手当につきましては、予算にきめられた以上の収入があったり、あるいは経費の節約があった場合には、主務大臣の認可を受けて業績手当としてそういうものを支出することができるという条文が、はっきり予算総則にございます。これによって、一方的にも、法律上は、主務大臣の認可さえ受ければ、支出権があると思います。労働法上は、何もそういうものを制約する法規はないと存じます。
  123. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 労働法の上で、妥結をしないのに一方的に支給できるというのは、どこにきまっているのですか。あるいは公労法上。
  124. 中村卓

    ○中村説明員 そういうものをしてはいけないという禁止的な規定はないと思います。そういうことは、先ほどから申し上げておるように、決して望ましいということはわれわれも考えておるわけじゃございませんけれども、やむを得ない場合には、そういうこともあり得るというふうに考えております。そういうものを絶対に禁止した規定というものはないと存じております。
  125. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 やむを得ない場合――やむを得ない場合とは、一体いかなる場合ですか。今回のような場合は、やむを得ない場合に当てはまらぬことは常識でしょう。どうです。
  126. 中村卓

    ○中村説明員 ですから、私の方では、一方的な支払いはしないというふうに申し上げているわけでございます。
  127. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 常識的なことを常識的に言っただけなんですよ。それで、二十六日の晩の解決ができたと、あなたは判断しているのですか。これは重大な誤りじゃありませんか。だから、そこに背信行為だと言われているのですよ。それは常識的なことで、あたりまえのことなんです。三月三十一日まで支払いません。あなたは支払いを約束したのだ。片一方は、一方的な妥結を約束したのだ。だから、あなたは支払いを約束をしたという、これは常識的なことだというのは、あなたは解明しておわかりになったでしょう。これは常識的なものです。あなたの言っているのは常識的なものです。だから、一方的な妥結というのは……(「それがわからない」と呼ぶ者あり)今わからないと言っている。これは確かにわからないのです。それがわからないのですよ。それがわからないというのが、基本的な問題ですよ。基本的な問題は何かというと、従来の国鉄労働組合と国鉄当局の労使の慣行なんです。これはまた慣行であり、社会の常識なんです。モーターボート法律について、われわれは反対だ。ですから、反対して論議を尽くした。もう論議を尽くして、これは仕方がありません、あとは民主主義のルールによって多数決に従います、こういう約束でもって、起立多数でもってモーターボートの法案は通った。これは民主主義のルールなんです。とにかく最終的には、多数の意見が少数を支配するのだ。これが今日まで国鉄労働組合と国鉄当局で行なわれてきた労使の慣行なんです。多数の労働組合――今言いましたけれども、十人の労働組合と三百八十四人の労働組合、百七十四人、三百二十八人、一万三千の職能別組合があるというが、これは九つに分かれている。これを中心に国鉄の労使の問題を円満に運営するということは不可能だと、今日まで考えてきたのですよ。これはあたりまえのことですよ。先ほど国会議員の皆さんだって、モーターボートのさっきの多数決原理について承認されたわけです。これは当然なことですよ。ですから、多数の者によってやはりきめられなければ、少数の者がきまったとしても、それは実施が困難だぞということを承知して、今日までやってきたのです。だから、結局、今日まで円満な方向というのがやられてきた。それが今回だけ一あなたは一方的な妥結はしないという約束はしなかったと言う。一方的な支払いをしないという約束はしたけれども、一方的な妥結はしないという約束はしなかった、こう言っている。これは、明らかに過去の今日までやってきた労働政策の大きな転換じゃありませんか。この転換について、あなたは一体理事会なり、あるいは総裁なり、副総裁なりにこれは報告をして、承認をとってやったのですか。
  128. 中村卓

    ○中村説明員 われわれの方といたしましては、政策の転換とかなんとかいうことは考えていなかったわけでございまして、たまたまわれわれの方の最終提案と考えたものにつきまして、一番早く受諾の意思表示がありましたところから順番に妥結したということでございます。従いまして、当時私といたしましては、総裁からまかされた権限の中の行為というふうに判断いたしまして、事前の御了解は、総裁にも副総裁にも得ておりませんでした。
  129. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 順番というが、過去の順番はどういう順番だったのですか。順番が狂ったじゃありませんか。そこで問題になっておる。過去の例は、一体どういう順番だったのですか。
  130. 中村卓

    ○中村説明員 大体時間的に申し上げますと、順番になるわけでございますけれども、小さな組合と申しますか、国労以外の組合は、国労と妥結したあとでないと、正式に妥結したいという事前の意思表示がなかったわけでございます。従って、そういうことから考えますと、国鉄労働組合が第一番、その次に動力車、あとは職能という順序になっておったのが、今までの事実でございます。このたびは、それが国労からまだ正式な返事がこないうちに、ほかの組合が正式な返事を持ってきたということでありまして、われわれとしては、われわれの最終提案と考えたものに対して、向こうから受諾の返事がきた以上は、これは妥結という段階にならざるを得ないというふうに考えております。
  131. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それが今までの順番とは今度は変わっておる、それはおわかりになりますね。
  132. 中村卓

    ○中村説明員 それはわかっております。
  133. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そういう変わった順番でやってもよろしいということは、あなたはまかされていなかった、こういうことですね。
  134. 中村卓

    ○中村説明員 私の判断では、私はまかされていたと存じております。
  135. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 しかし、それは重大な問題です。それは労働政策の転換でしょう。どうなんですか。
  136. 中村卓

    ○中村説明員 私は、労働政策の転換とは、必ずしも考えておりません。
  137. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それでは、労組法の十七条によって、多数の組合が納得しなければ少数の組合を納得させることは不可能だということを、あなたも御存じですか。
  138. 中村卓

    ○中村説明員 労組法十七条は存じております。
  139. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 法律を知っておるということでなくて、法律の精神を知っておって、それを実践しておりますかどうかということです。
  140. 中村卓

    ○中村説明員 この問題と労組法十七条とは、必ずしも直接の関係がないというふうに心得ております。
  141. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 労組法十七条は守らなければならぬとあなたは思っておりますか。
  142. 中村卓

    ○中村説明員 当然十七条以外にも、法律は守らなくてはいけないと思っております。
  143. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 十七条以外というのをもうちょっとはっきりして下さい。とにかく十七条は守るのか守らないのか、はっきりして下さい。
  144. 中村卓

    ○中村説明員 十七条はもちろんのこと、法律は全部守らなければならないというふうにお答えしたつもりでございます。
  145. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、今度の場合は、十七条が守られなければならないじゃありませんか。今度の場合は、十七条が守られないと思うのですが、あなたはどう思いますか。
  146. 中村卓

    ○中村説明員 先ほど申し上げましたように、十七条違反にはならないと考えております。
  147. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 どうしてならないのですか。逆説的に説明して下さい。私は明らかにこれは十七条によって――大体労働組合法なんというのは、ほんとうの労働者のためにできておる法律じゃないですよ。とにかく経営者に都合のいいように、資本家に都合のいいようにできておるのが、労働組合法です。その労働組合法でさえ、多数決原理というのは認めておるのです。これはあたりまえなんです。多数決原理を認めなかったら、国会でも、いつも自民党から、政府から出ておる法律は、ひっくり返るわけです。だから、われわれはそれを認めます。しかし、多数の労働組合の言うことが通らないような労働政策は、明らかに十七条の精神を踏みにじっているやり方じゃありませんか。
  148. 中村卓

    ○中村説明員 十七条には、たとえば数組合があったときに、小さな組合と団交をして妥結してはいけないというようなことは、盛り込んでいないと思います。
  149. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、技術的なことを言っているのではないんですよ。十七条の精神を言っているのです。ただ単なる法律技術上の解釈を求めておるのではない。ですから、先ほど言っておりますように、私は、ものを常識で判断しなさいと言うのです。今回の措置は、明らかに常識に欠けておるじゃないですか。そうして他の組合でまとまったものを国労に押しつけようとしておるが、押しつけられないで、にっちもさっちもいかなくなっておる。これが今日の国鉄の姿じゃありませんか。三十日に汽車がとまる。そのとめた原因は何であるか。あなたの今日までやってきた労働政策をひっくり返したことが、大きな原因ですよ。この汽車をとめるような事態を起こさせるような労働政策をやった責任、これはあなたの責任は重大なんですよ。副総裁も見えましたけれども、これは副総裁、お聞きだと思います。それは中村常務から聞いておりますから、中村常務の言うことだけしか聞いていないと思いますが、しかし、ゆうべの夕刊を見れば、組合との意見の相違がはっきりしております。背信行為だというのです。そうして明らかに中村常務も説明しております。夜中の三時にきまって、朝になってとにかく総裁なり副総裁に報告をした。一番のキー・ポイントになっておるのは、妥結の順番の問題です。かつてない順番のやり方をやっておる。今までは、国鉄の労働組合と話がきまることによって、よその組合とも話がきまっていった。それを、よその組合が先にのんだらよその組合からきめるというようなことは、これは十七条の精神による国鉄の労使の間を円満に解決しようというやり方とは違うのだ。そういうことで今日までずっと行なわれてきた。しかし、それが今回だけ順番が破られて、こういうやり方をした。そうしてなおかつ、他の組合ときめたこと以上に国鉄労働組合と話し合いをするつもりはございませんと、こう言われるのでは、これは少数によって多数を押し切ろうとしておることだ。そうしてそれが国会の中の力でそうやっておるというのならば、外の方でも少しは了解するでしょうが、それが法律か何かでいかにももっともらしいオブラートに包んでやられたのでは、多数の国鉄労働者が文句を言うのはあたりまえですよ。
  150. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今いろいろなお話がございましたが、国鉄当局といたしましては、国鉄の職員が、組合員であろうがなかろうが、また、その職員が大きな組合に入っておろうが小さな組合に入っておろうが、職員であるものを差別待遇をするということはできません。またやっておりません。  それで妥結の順番ということをおっしゃっておられますが、これは組合が幾つかありまして、それらの組合を相手に一緒に団体交渉をやっております場合、時間的に、物理的に、前後の差別ができるのは、やむを得ないことでございます。ただ、従来の慣例といたしましては、組合員がまた相互にお互いの様子をにらみ合わせてやっておりますから、大体同じ日に妥結するというふうになっておったのが、従来の慣行でございます。しかし、それは物理的に全部の組合が一緒になって団体交渉をやって下されば一緒にきめられますけれども、やはり組合の方は別々でないと承知して下さいませんので、国鉄当局側の方は、同じ人間が、同じようなことを、三つでも四つでも組合があればお話をしておるわけでありまして、妥結をするときには、物理的には今までも前後の別がいろいろございました。ただ同じ日に妥結するという意味で、何月何日に何々について妥結をしたということでございまして、今回はたまたま、国鉄当局としてはどの組合に対しても同じことを申し上げておったのでありますけれども、その同じことに対して、三つの組合は、それでよろしいということで妥結ができたわけであります。国労だけが、そういうことでは承知ができない、もう少し団体交渉をやろうじゃないか、こういうお話でありましたので、結局三つの組合と先に話はまとまったが、国鉄労組との団体交渉だけがあとに残っておるというのが、現在の姿でございます。そしてこの団体交渉は今後も続けられることと思いますが、ただ、今後の見通しといたしましては、国鉄当局が先に妥結をいたしました三つの組合に対して呈示いたしました国鉄側の案というものは、国鉄としてはぎりぎりの線をお示ししておったわけでございますから、これを変えるということは、国鉄の現在の情勢では困難でございます。しかし、国労の方が妥結しておらぬということは、これまた事実でございますから、妥結するまで団体交渉は続けることになると思います。しかし、根本は、国鉄職員である者を、どの組合に入っておるかということで差別扱いはできませんし、また、組合に入っておろうがおるまいが、国鉄職員であるからには同じような待遇を私どもはやらなければなりませんので、ある時期に、そのときの状況に応じてまたいろいろと判断をいたしまして、事柄をきめていかなければならない場合も出て参りますが、私どもとしては、これはおそらく今まで中村常務からも申し上げておったことと思いますけれども、当局側としてはぎりぎりの線を申し上げておるわけでございますので、これについて国鉄労組にも理解をしていただけるように、今後さらに国体交渉に努力を重ねるつもりでおります。
  151. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は常識的に言っているのですけれども、副総裁、国鉄は今もうかってもうかってたまらぬですよ。それは昨年の運賃値上げをする前の決算を見れば、おわかりになると思う。その決算が国会の中で問題になったことも、御承知通りです。ですから、とにかく昨年の年度末よりも支払いができないということは、これは幾らあなたがここで答弁をしたって、それは世間が納得しない。これは常識なんです。ですから、その常識をはずれたこのきめ方に、まず問題がある。しかし、その内容が高いとか低いとかいうのは、われわれの問題ではありません。国鉄労使の問題です。ですから、申し上げませんけれども、しかし、あなたは職員は一つだから差別待遇はしないと言っているけれども、他の組合を合わせ十七組合ができています。こういう他の組合がなぜできたか。私は、あなたからきれいごとを聞こうとは思わない。なぜできたかといえば、他の組合を作れば差別待遇をしてもらえると思って、みんな他の組合ができた。この組合に入れば、助役の試験が受かる、この組合に入れば転轍手の試験が受かる、こう言って、局長が言ったか、部長が言ったか、課長が言ったか、だれか知りませんけれども、こうやられて他の組合というものはできたのですよ。その作った結果が、こうなっている。これはあなたが幾らそうじゃないと言っても一そうじゃないと言うのはあたりまえでしょう。そうだと言ったら大へんですよ。その通りだという事実は、この国会始まって以来、数年前から運輸委員会、社会労働委員会で問題になっている事実で、よくおわかりになるところです。しかし、まあそれもいいでしょう。それは労働者があまりにも貧乏で、そっち側へいけば助役になれるような錯覚を受けて――助役になった者もあるでしょう。駅長になった者もありますよ。もっと偉くなった者もありますよ。しかし、なったとたんにその人が何と言っているか。他の組合でだまされた、職は偉くなったけれども、人間としておれはくずになったと言っているじゃありませんか。くずになるような政策をやっている。あなた方は経営者だと思っているかもしれないが、私は、経営者ならいいと言っているのですよ。経営の資格のない管理者じゃありませんか。今総裁は、国鉄建設審議会に行っているが、これは一体何をやっているかというと、国鉄経営が悪くなるような、赤字路線になるようなことをやっているんだ。その運賃をどこに引っかけているかというと、東京の満員の国電の中で押しつけられて、そしてその押しつけられた良識あるお客がぎゅうぎゅう言わされて、その金が政治路線に使われている。そのために、国会をほったらかしてそんなところに行っている。(「それは問題が違うぞ、汽車のないところも考えろ。」と呼ぶ者あり)ですから、それはお作りになってけっこうです。結局問題は、今までの労使の慣行から、今度の決定はとにかく違っている。ですから、これだけの他の組合と、あとまだ大きな組合が妥結をしない。これは与党だって同じことですよ。一人々々やられて、多数がそれで押しまくられたら、文句を言います。これはあたりまえですよ。一体今までそういう慣行を行なってこずに、今回だけなぜそういう慣行を行なわれたか。その点についての、御説明を願いたい。
  152. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今までの過去の慣例ということになりますと、私は、いろいろなことがあったと思うのでございます。あるときには、大きい組合が違法状態にあるために、団体交渉ができない。事柄としては団体交渉事項であるけれども、団体交渉なしに当局側が一方的に実施せざるを得なかったということもあったと思います。
  153. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は過去のことを聞いているのではない。今回はなぜ過去と違ったことをやっているのかと聞いている。
  154. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今回がなぜ変わったかとおっしゃいますと、やはり過去のことを申し上げなければ、今回が変わっているかどうかお答えできませんので、過去のことから申し上げたのでございますが、今回は、確かに結果は――いつもでございますと、先ほど申し上げましたように、同じ日のうちに全体の組合が妥結するようになっておりますけれども、今度は、遺憾ながら一つ組合だけが妥結ができなかった、そういう点において、過去と状況は違っております。
  155. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 組合々々と言っておりますが、人数の比率はどうなっておりますか。そしてその少ない人数できまったことを、あなたは多数の人数に押しつけようとしているじゃありませんか。そこが問題なんですよ。
  156. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 小さい組合であろうが、大きい組合であろうが、労働組合は労働組合、そういう意味で、組合の大小によって差別的な取り扱いをするということは許されないと思います。私どもは、組合が大きかろうと小さかろうと、平等に扱うのでございます。しかし、組合との交渉によって、団体交渉の結論がまだ一つ組合について出ておらぬわけでありますから、これについては、今もなお継続をして団体交渉をやっているというのが、現状であるわけでございます。
  157. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 平等で扱うということと、先ほど論争しました、労組法十七条による多数の組合によってきめられたことが全体的に及ぼすことと、これは違うでしょう。多数の組合のきめたことによって少数がきめられていくというのが、労組法の精神でしょう。労組法の精神からいうならば、今回のきめ方というものは、そして押しつけ方というものは、明らかに違反しているということはおわかりになるでしょう。
  158. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 労組法十七条の条文を今ここに持っておりませんけれども、これは一つの工場、事業場において、四分の三以上の従業員を持つ労働組合との間の協約をその他の従業員にも適用する場合があるという規定でございまして、今度の問題とは直接何ら関係のないことであると思っております。
  159. 肥田次郎

    ○肥田委員 ちょっと関連して。重大な問題なので、関連して私は少し質問の時間をもらいたいと思います。  まず、今副総裁のおっしゃった言葉、それから中村常務のおっしゃった言葉で、基本的なものの考え方というものを私は少しただしておきたいと思いますが、労組法制定の趣旨というものを、どういうふうにお考えになっていますか。これはもう簡単な言葉ですから、一つはっきり答えてもらいたいと思います。二人に答えてもらいたいのです。
  160. 中村卓

    ○中村説明員 これは労使対等の立場で、労使間の問題は原則として団体交渉できめていくという建前でできておると思います。
  161. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今条文を持っていませんが、第一条にその趣旨は書いてあったと思います。
  162. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、事を荒立てた言い方をするのは、まことに不得手で、きらいなんです。ところが、今お二人のおっしゃっていることは、これは私、全くわれわれを愚弄された言葉じゃないかと思うのです。この労組法の制定の趣旨というものは、きわめて明快な言葉なんです。これは労働者と会社とが団体交渉をするためにというような、そんな単純なものじゃないんですよ。それから副総裁も、法文を持っていないが、その趣旨は労組法の第一条に書いてある。そんなものを聞いているんじゃないんですよ。私は、労組法というものはなぜ作られたかということを聞いているのです。労組法というものはなぜ作られたか、労働省はなぜ設置されたか、労働大臣はなぜできたかということを私は聞いている。これがものの基本ですよ。
  163. 中村卓

    ○中村説明員 経済的にやはり弱い立場にある労働者を一応保護しようという根本的な立場があると思います。その手段として、先ほど申し上げたようなことを労組法は規定していると思います。
  164. 肥田次郎

    ○肥田委員 労組法の制定されたということは、労働者というものが弱いから、労働者を守るために作られた法律なんです。よろしいですか。経営者にこれ以上のことはしてはいけないぞということを示したのが、労組法なんです。そうでしょう。どんな法律を作る場合にでも、そのものを育てようと思うために作るのが法律なんです。これが新しい法律を作る精神でしょう。悪いことをしてはいけない、こういうふうにして弱いものをよくしていかなければいかぬ、これが立法精神なんです。まあこれはいいいとして、そこでそういう趣旨で作られたところの労組法というものは、これは労働者を保護するための法律なんです。そこで問題の焦点は、この十七条になりますが、十七条というものは、今副総裁のおっしゃったように、一事業場という単位というもの、そういうものをさしてはおりませんよ。これは一つあなた方十分考えてみて下さい。私は、あっせん委員を四年も五年もやってきておる。いまだかつてそういう判断をしたことは一度もない。よろしいですか。一事業場という単位が企業と分離して考えられるという、そういう考え方は出したことはないんですよ。いわゆる判例を見て下さい。これが一つ。  それからもう一つ、根本的にあなた方の考え方が間違っているのは、いわゆる多数の意思をどう尊重するかということなんです。技術的にはあるかもわかりません。今言うたように、戦略目的を達するための戦術的手段として、十人の組合を対象にして交渉する場合も、これはあるでしょう。しかし、これはきめ手にはなりませんよ。私は、それは考えてもらいたいと思う。これは一つの手段であって、これで何らかの打開の道が開ければいいというふうにお考えになることは、これは相手方から考える戦術だから、これはやむを得ないでしょう。しかし、今これでものがきまるんだというふうな考え方を持っておられるならば、これは明らかに不当労働行為です。きわめて不穏当な行為、こういうことになります。私らが今日まであっせん、調停をやった際にすべて基準になったのは、これが問題点なんです。第二組合を作ると、第二組合の勢力が、国鉄の皆さん方の組合のような状態でなしに、千人の組合が、第二組合が五百人になり、それが七百人になり、八百人になる、こういう状態でも、会社の力をもってすればできる。会社が常にそういうところに介在をしてやっておる。その際に、労働委員会はどのような結論を出すかといえば、正しい労働組合というものは、明らかに残りの二百人が正しい組合だということは、これはもう労働員、公益委員、みなわかっておる。わかっておるけれども、八百人の組合が、会社の手が入ったとしても、それらの組合員がある線で妥結をしたということなら、本来の第一組合もその線に従わざるを得ないだろう、こういうあっせんの方法を、涙を流して幾たびかやってきておる例は、これは幾多ある。これは今は全く逆なんでしょう。だから、もしそういうことをやっておってあたりまえなんだという考え方を持っておられるなら、これはきわめて不当な行為であるということを私は指摘したい。あなた方はさっきから、ここでやっていることは何も間違ってはいないというような、そういう言い方をされておるから、いまだかつてそういうことで――よろしい、そうしたら、あなた方がやってごらんなさい。あなた方が今やっておられる行為というものが正しい行為だという判定を受けるかどうか、一ぺん判例をよく調べてみて下さい。三万人の人がこれで済んだから、あとはこれに従わなければならぬというような例は、絶対に出ません。私は、力関係というものを言っているのじゃないですよ。ものというものは、そういうふうに考えて運ばれない限りは、ここで一つの解決の道を開いたとしても、これが妥結の道にはならない。これは勝澤委員が言っておる通りです。従来の常識を破った不穏当な措置を講じて、これが国鉄の労務管理で成功すると思われたら、これは私は大きな誤りだろうと思う。そういうことになってくると、これがために起きてくる争議行為というものがあったとすれば、これは社会がどう責めるかということはさておいて、私らの立場からすれば、これは明らかに国鉄当局の責任になってくる、こういうふうに私は考えます。私は重ねて一つ中村常務に、これがあたりまえだというふうに考えておやりになったことかどうか、これを聞きたいと思います。
  165. 中村卓

    ○中村説明員 あたりまえだ、きわめて自然な姿でこういう形になったというふうに考えております。今までは、先ほどちょっと申し上げましたように、大きな組合が妥結いたしませんと、ほかの組合は正式に受諾の意思表示がなかったわけでございます。従いまして、大きな組合が妥結したあとで小さな組合と妥結するということになってきたわけであります。これがたまたま、われわれの方で、先ほど申し上げましたように、最終的な提案という気持で、言葉の上でははっきり最終提案とは申し上げなかったかもしれませんが、そういうことがわかるような意味の提案をいたしまして、先ほど申しましたように、順番に提案をしたところが、動力車労働組合その他から受諾の申し出があったので妥結をしたという状況であります。
  166. 久保三郎

    ○久保委員 中村常務、私もあまりこういうことは不得手で、申し上げたくないのでありますが、また別な席でお尋ねしますけれども、あなたに一つだけ聞いておきたいのは、こういう形でやった場合、予想されるものは何もなかった、その後どういうふうになるかというお考えが何もなくて、先ほどおっしゃったように自然の形――それが自然かと私は言いたいのです。私は、法律とか慣行とか、そんなものは別として、あなたが労務行政というか、労務管理をやるという立場に立っておられて、そういう形で先行されるものが先行されないで、片方は団体交渉の継続という形、片方は妥結ということ、そういう場合に必然的に起こり得るであろうということを何も予想しないで、ほんとうに自然に考えておられるかどうか。そこに私は、先ほど勝澤委員が言ったように、労働政策の大きな転換がありはしないかと思う。転換があるとすれば、これは大へんな問題だ。先ほど勝澤委員が言っているように、労働法の精神にももとるものではないかと思う。理屈は別にして、現実に直面した場合に、そういう筆法で今後もやるお考えなのか。さらに、今日当面する問題を解決する意欲は、今日持っておられぬじゃないか。私は、そこに非常な不満を持っておる。ことさらに平地に波乱を巻き起こすようなことを、わかっていながらみすみすやっておられる。その考えを私は聞きたい。そうでないとするならば、もっと自然な姿があるはずなんだ。また、やり方もあるはずなんだ。なぜこの期においてそのことをやらざるを得なかったのか。
  167. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今度のことについて、ほんとうの実情がよくおわかりになっていないのじゃなかろうかと思いまして、私申し上げるのでありますが、いつもそうなのでございますけれども、こういう年度末手当の団体交渉とかなんとかいう際には、交渉に当たる担当の理事あるいは局長、そういう者から、大体どういう条件で話をまとめたいと思いますが、それでよろしいかということについては、私ども総裁も副総裁ももちろん相談を受けておるわけでございます。そこで、ある線のワクの中で、そこまでなら話をつけてよろしいというふうに指示をいたすわけでございまして、具体的な団体交渉のやりとりと申しますか、話の進め方その他までは、一々私どもがどうせい、こうせいということは申しておらないわけであります。それで今度も、私どもがこの線まではやむを得ないだろうということで年度末手当のワクをきめまして、その中で話がつくなら、一つ君ら話をつけてくれないか、こういって交渉をまかしておったわけであります。従来の例によりますと、やはり先ほども申し上げたことでございますが、労働組合相互間でお互いに連絡もしておりますし、また様子も見ておりますから、ある一つ組合だけを残してほかの組合が先に妥結するというようなことは、今まではなかったことなんでございますけれども、たまたま、こちら側、当局側の方から提示しました条件に対して、三つの組合が、いやそれでわれわれの方はもういいのだからということを先に申されましたので、こちらが案を示し、組合側の方から、われわれの組合はそれでいいのだと言われれば、いや、実は国鉄労働組合とまだ話が済んでいないから、君たちともまだここで妥結するわけにいかないのだということは、いくら相手の組合が小さいからといって、そういうことは申せないわけでございます。今度はたまたま、こちら側がぎりぎりの案としてこういう考え方でいきたいと申し上げたのに対して、三つの組合の代表の方々は、それじゃやむを得ない、われわれはそれで手を打とうというふうに言われましたので、結果として国労だけがまだ団交がまとまらない姿になって残ったということでございます。私どもといたしましては、むしろ考えようによっては、非常に意外な結末になったものだという気持さえいたしておるのでございまして、決して術策を用いて国労を困らせようとかというような意図から、わざわざそれをあと回しにして、ほかの組合と先に妥結したということではございませんので、その辺はもし誤解があってはいけないと思いますので、実情を率直に申し上げた次第でございます。
  168. 久保三郎

    ○久保委員 副総裁、あなたにお尋ねしておるのは、私がさっき言った通りでありまして、あなたがいろいろ釈明とか、そういうことをお述べになりましたその中でも、疑問が出るわけです。もしもそういう事態になれば、当然国労との間には団体交渉継続でなくて、おたくの方の立場団体交渉を決裂に持っていくのが当然じゃないですか。それを継続に持っていっておるところに、逆に考えれば、私は大きな疑問があります。勝澤委員が言われたように、背信行為じゃないか、こう言われても、どうも弁解の余地がないのじゃないかと思う。背信行為なんというのは、労働法のどこにも書いてありません。いわゆる労使慣行の確立が、大前提なんです。その前提をくずして、理屈をこねられても、経過を説明されても、われわれは了解できない。そして結局窮地に追い込んで、窮鼠ネコをかむような形で混乱せしめる。そして今度処分でくる、こういうようなことは、近代的な労使慣行ではないだろうと思うのです。どうもそういう点が、われわれが第三者として公平に見ようと思っても見られない。だから、その点の解明がもう少しされるなら……。  それからもう一つは、今日の事態をどう解決するかがまず当面の問題だと思うのですが、何ら解決の策を持たぬで、団体交渉は継続中だ、継続中だというだけでは、これは納得いかないと思うのです。
  169. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お話がございましたように、見ようによっては、何か当局側が意識的に背信行為をやったんだというふうにごらんになれるかと思いますが、実際の状況は、もう一つ率直に申し上げますけれども、なかなか団体交渉が行き悩んでおりましたので、動力車の労働組合も同じ総評に加盟しておる組合でもありますし、おそらく先に妥結するなどということはむずかしいのじゃないだろうかというふうに私は思っておりましたし、また報告も、なかなか話はつきませんというふうに聞いておったわけであります。ところが、意外にもと申しますか、当局側がとにかくぎりぎりの線を話しておったのに対して、動力車労組はそうかということで、先に妥結をしてくれましたので、何も国鉄労組だけを孤立させようと思って、特別に何か術策を使った結果、こういうことになったというのではないのでございます。それで国鉄労働組合としては、われわれは満足していない、さらに団体交渉も重ねたいということでありますから、それじゃ団体交渉を一ついたしましょうということになっておりますのが、現在の姿でございます。
  170. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ただいまのお話の中で、これはぎりぎりの線だと言っておる。しかし、妥結した結果、意外の結果だとあなたは言っておる。これはあなたの意見も、中村常務の意見も、一致しておる。この条件でのむと思わなかった、意外な結果なんです。これはもう常識です。それは過去のやりとりを考え、今回の年度末手当の中身を考え、そしてよその三公社五現業の状態を考えれば、意外な結果だ。それはあなたも思うでしょう。全部思っておる。意外な結果できまった。しかも、今度はこれがぎりぎりなものだったとつけ足しておる。それがもしぎりぎりだというなら、もう一度直しましょう。三月三十一日に支払うとしたらぎりぎりだった、こういう言い方がいいでしょう。しかし、三月三十一日までにきまって、支払いが四月に入るなら、まだ余裕があった。これはあとの問題ですから、私はこう理解する。そこでこれからやる団体交渉を、先ほどから問題になっておる労組法の精神に従うならば、明らかにこれからの団体交渉については、今までの他の組合ときまったことについては何も拘束されずに、新しい角度で団体交渉によって歩み寄りなり話し合いというのができるはずだ、またしなければならない、こう思うんですが、どうですか。
  171. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 意外だったということを申しましたのは、当局側が提示した金額をのんだことが意外だったということを言っておるのではないのであります。いつもの例から考えまして、全労系の組合が独自の立場で妥結をするということは、これはきわめて考えやすいことでございますけれども、今まで動力車労組は国労と同じように総評に加盟しておりましたし、今も加盟しておるわけですから、それが別々の交渉でもって先に妥結をするようになったということが、意外だという意味で申し上げましたので、誤解のないように一つお願いいたしたいと思います。  それからぎりぎりということを申しましたのは、国鉄の現在の収支状態その他諸般の事情から考えまして、本年度としてはこの程度のものを出すのがぎりぎりだ、こういう意味でありまして、別に三月三十一日に支給するために今日がぎりぎりだということも、それはなかったとは言えないかもしれませんが、私が申しましたのは、金額そのものがもうぎりぎりの案であるのだという意味で申し上げておったわけであります。
  172. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはぎりぎりであるかないかというのは、あとからくっつけたことですから、私はそんなことは言っても仕方がありません。先ほど私と中村常務の論争をあなたもお聞きしておったと思うのですけれども、組合との約束というのは踏みにじられておるわけです。そのことが、今日大きな問題になっているわけです。その中村常務の背信行為によって、これは大へんな労働政策の転換だ、こういう立場で、三十日にこのような重大な事態が起ころうとしておるわけです。しかし、その前に、あなたも円満に話し合いをしたい。団体交渉を続けましょう。団体交渉を続けるための話し合いの見通しというものは、あるんですか、ないですか。あなたは、話し合いをまとめようとする意思があるのですか、ないのですか。
  173. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 話は何とかまとめたいものと思っております。
  174. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 まとめたいものであるということは、まとめる意思があるということですか。まとめるように努力する、こういうことですか。
  175. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 まとめるように努力するという意味でございます。
  176. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 まとめるように努力するということは、とにかく前を向いているということですね。
  177. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 前向きとかうしろ向きとかということになりますと、私非常にお答えが申し上げにくいのでありますけれども、とにかく今まで団体交渉を続けておるわけでございますから、その交渉の中において納得してもらうようにいたしたい、そういう意味で申し上げておるのでございます。
  178. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 今回の問題というのは、従来の問題とは違って、とにかく当局の提案がここまでだ、組合の提案がここまでだ、そうしてあと与えられた中の力によって解決するんだというものではないわけですよ。それだけでなくして、われわれが団体交渉において約束されたことが踏みにじられた、こういう労使慣行は許せない、こういうことで行なわれるわけですから、これは重大な問題なんです。ですから、ここであなたは、これを話し合いによって解決をする、努力をする。また努力をしなければならぬ。しなかったならば、三十日に起きた事態については、当局自体が責任を負わなければならぬ。こう思われているわけですね。
  179. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほどから何か当局が背信行為をしたとか、組合考えを踏みにじったとかいうふうなおっしゃり方をなさっておられますけれども、別に国鉄と国労と妥結しない間は、ほかの組とは妥協をしませんというような約束は、何もしていなかったのです。しているはずはないと思います。それでただ、国鉄労組が、妥結をまだしない、団体交渉をさらにやってくれというのに対して、やりましょうと言っているだけのことだと思います。
  180. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたの答弁を聞いていると、思いますですから、あなたが思うというのは、聞いて思っているわけです。ですから、それは明らかに食い違っておる。団体交渉に携わった中村常務と組合側の代表者との意見とは、明らかに食い違っておる。そのことが今度の紛争の大きな原因なんです。ですから、あなたはやはり明確にしなければいかぬと思うのです。  委員長一つあすにでも、これは当局代表と組合の代表者に来てもらって聞きたいと思う。それで、まだ私は、関常務理事にも、今問題になっておる点について質問したいわけです。
  181. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分より再開することとし、休憩いたします。    午後一時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時五十四分開議
  182. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 再開いたします。  国鉄の経営に関する件について引き続き調査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。勝澤芳雄君。
  183. 肥田次郎

    ○肥田委員 その前に関連して。私は実は質問をしかけておって、さらに関連が出ましたので、私もう少し聞き足りない部分についてお伺いしておきたいと思います。  その問題点は、一つ副総裁と中村常務、これも両方でお答えをいただきたいと思いますが、これはものの解釈の基本的な問題です。先ほど副総裁もおっしゃったように、十七条の関係を同一職場というふうに非常に単純にお考えになっているようですけれども、そういうふうに単純にお考えになっても、国鉄というような場合には影響がある。これは例をあげなくてもおわかりだろうと思うのです。たとえば動労一つとっても、それからそれぞれの職能別の組合にしても、一つの職場の中に何んかがまじっているわけなんです。だから副総裁の言われるような、ただ単に十七条の解釈は同一職場だというふうなこういう解釈は、どんな場合でも当てはまらない。いわゆる組合が次々にできた場合には、必ずその中に何人かが占めているのですから……。これはおわかりでしょうね。どうでしょうか。
  184. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 十七条の解釈ということになりますと、私どもが何か申し上げるのも恐縮なんですけれども、あの精神はやはり一つ事業場なり何なりにおいて、四分の三以上の人が――それは組合が分かれておる場合もありましょうし、一つの場合もありましょうし、いろいろあると思いますが、四分の三以上の者に適用される労働協約があるという場合には、それを他の同じような者にも推し及ぼしてよろしい、こういう趣旨の条文でございますから、同じ職場であれば、その中の最も多い組合に適用される協約なり何なりを他に推し及ぼすということがあり得る、そういう規定であるというふうに承知いたしております。
  185. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、今勝澤委員が問題にしておられるこのもの自体を直接問題にしておるのではないのですよ。基本的な解釈があやまっておればそこから問題が起こるので、だからそれをお尋ねしたわけです。ですから同一職場だとか同一企業だとか同一事業場だとかこういう解釈は、実はどう広義に解釈してみても――第一組合から第十組合以上まであるということになると、必ず職場の中にそれがまじっておるはずなんです。しかも、それはきわめて少数なんでしょう。少数にきまっておる。片一方に三十数万の組合がおるのですから、それ以外の組合はみんな少数にきまっておる。だからそういう解釈はどう考えてみても当てはまらない。それから、この考え方のそういう解釈ができるかできないかということについて問題点があります。先ほど私が言ったように労組法というものは、事業者を保護するために作った法律ではない。力のない労働者の生活条件を守り、それからいろいろな基本的人権的な問題までも守ってやろうとするのが、労組法の立法精神なんです。もし現在の労組法が労働者のことばかり思って事業者のことを思ってくれないということなら、今後企業者保護法を作ればいいじゃありませんか。それが一つのものの考え方です。今日はそんなところまで行っておりませんよ。ですからどう解釈してみたって、労組法が現存する限り、労組法の精神というものはあくまで労働者を保護するという立場である。だから、この考え方をあやまって考えてもらったら困る。労組法というものは経営者が自由自在に解釈していいものではない。主体は労働者保護の立場にある。労組法ができて十数年になるが、どこの立場に置かれておる労働委員会あるいは仲裁委員会、あるいは公共的な委員会でもすべてとっておるこの基本的な理念を間違われておるということは、――間違われておるというか、あるいはあいまいに解釈せられておるというか、それともさらに一段言葉を添えて言うと、いやわかっておるのだけれどもということになると、これは問題になる。だから中村常務のおっしゃったようなものの一つの戦術としてとられる場合には、これは議論の余地もあるし、それからまたいわゆるそれに対する戦い方というものも出てきます。しかし、こういうことをやったってあたりまえのことなんだ、何も法の精神を踏みにじるようなことはやっていない、こういうことにはならないですよ。これはどうあなたが解釈せられても、なりませんよ。しいて私らの立場ではなしに、皆さん方の立場、というよりももっと理解的な立場という範囲でものを考えた場合に、一つの戦術としてはあり得る。しかし戦術としてはあり得たとしても、それでもってものが解決したということにはならないという大きな矛盾を残すことは間違いないでしょう。片一方に三十数万のものが残って、そうして寄せくちゃにしてその一割か一割少々のものと話がついたとしても、これで解決する道にはならない。労務管理の基本的な理念というものは私はそこだろうと思うのです。労務管理の一番大切なことは、全体をどううまくやらすかというのが目的なんであって、一部をきんちゃく切りのようなやり方で問題を片づけて、そうしてこれで片づいたと旗を揚げてみたって、そうはいかない。ですから、私はこれはあたりまえだという解釈のように聞こえるから、あらためてもう一度お伺いしておきたいと思うのです。こういうやり方について。
  186. 中村卓

    ○中村説明員 先ほど、私も一応いきさつは御説明申し上げましたし、それから副総裁からもいろいろ御説明申し上げましたので、おわかりになられたんじゃないかと思うのでございますけどれも、今までの実例から見ますと、順序が変わって、異例的な格好にはなっておりますけれども、団体交渉の結果から見まして、そう特別な変わったことではないんじゃないか。もちろんわれわれとしては、当時そういう判断をいたしますときには、若干と申しますか、ある程度国労との問題が全然ない、これですらっといくというふうには考えたわけではございません。それはもちろんある程度問題が残る可能性があるということは考えましたけれども、片一方においてわれわれの最終提案と考えましたものをそのままのむといってきた組合がありましたので、それを断わる理由もまたわれわれとしてはなかったわけであります。両方の立場考えまして、結局向こうと妥結という線にいったというわけであります。
  187. 肥田次郎

    ○肥田委員 中村常務、私が重ねてお聞きしておるのは、誤解をしないようにしていただきたいのは、あなた方の交渉のやり方がどうこうということに私は触れているわけじゃないのです。これは戦術としてそれはやられる場合もあるだろうということは、私も認めておるのです。その結果がよくなるか悪くなるかは別なんですが、大よそ今までの慣例として、それからいわゆる労働組合法というものが示す精神、それから労務管理上の正しい考え方として、そういうものを基本にしてものを考えた場合、他のものを片づけて、そうして大多数のものがそれに従うということは考えられないでしょう。だから私は、おっしゃっておる言葉の中をどうこうと言うのじゃないのです。しかし本質的にあなた方のとられた手段というものは、大きな誤りを犯しておるということを言っておるのです。本末を転倒しておるということになるのです。私が交渉の立場にあったとしたら、大多数のものが占めておる、いわゆる労働組合の主流をなしておる、国鉄の運営の中心的な役割を果たしておるものを、こういう人たちを納得させなかったら、問題は片づかない、私はそういうことを言うておるのです。労働組合法の精神というものはそこにある。労働者を保護するということもあるけれども、経営者に対して、自分勝手なことはやらせないように、一つ経営者のものの考え方、行動の基本を示しておるのが労組法なんです。それをいろいろに拡大解釈をしてやられては、これはもう誤りが起こるにきまっておる。こういう点はどうお考えなんでしょうか。
  188. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 労働組合法の解釈のことにつきまして、私どもはそうひどく曲げて、曲解するとか何とかということは言っておらないつもりでございます。ただ国鉄の場合、これは申し上げるまでもないことですが、公共企業体の労使関係について、特別に御存じの通りの公共企業体等労働関係法という法律がございます。これは、まずまつ先に当然考えなければならないことでございまして、あの公労法の中では、今さら釈迦に説法みたいになりますけれども、組合を結成するかしないかということについては、完全なオープン・ショップの制度をとっておりまするし、当局側が、組合が大きいからとか少さいからとかということで、これに対して差別のある取り扱いは許されておらないわけでございます。今度の交渉もそうでございましたし、過去におきましても、国鉄当局としては、大きな組合に対しても小さな組合に対しても、いつも同じことを申し上げておるわけなんであって、今度もやはり具体的な問題としては、年度末手当が問題であったわけですが、それに対して同じ回答を申し上げ、同じような立場で申し上げて折衝をしておったわけです。その際に、先にそれでよろしいと言った組合があれば、それに対してこちら側が、いや実はまだ国労と話がまとまらないから、あなたの方と今ここで、あなたがいかにいいと言われても妥結できませんよと言うことは、これは許されないことでございまして、やはりこちら側の申し出に対して、相手方の方もそれでいいと言われれば応諾するというのは、これはあたりまえの話ではなかろうかと思うのでございます。決して術策のためとか、小さな組合と話をしたもので、何でもかんでも大きい方を適当に処置しようとかいうような考え方でやっておったわけではないのでございますから、その点はよく御理解いただきたいと思うのであります。
  189. 肥田次郎

    ○肥田委員 副総裁、公労法の話を出されましたが、公労法の幹は労組法ですよ。公労法の基礎は労組法なんですよ。これを一つ誤解のないように……。  それから、私らがどうするかということについて。あなたのやり方もそれはあるでしょう。あるでしょうけれども、私らはどうするかということになると、他の方はちょっと待ちなさいよ、こちらが話が片づかなければ、君らの方でいくら話を片づけてみたってもめるだけだから、問題はここにあるのですよ。私が経営者なら――私は争議を何百件、何千件と解決した今日までの経験からすれば、そういう手段をとりますよ。これを私は言っておるわけなんです。ですから、あた方のとられた行動を非難するのじゃないけれども、大きな誤りを犯しておられますよ。もしこのことを言葉で表わすなら、あなた方は不当だと思っちゃおらないだろうけれども、しかし妥当でないということは事実なんです。大きな問題が起こっているじゃないか。不当でないということと、妥当でないということとは別ですよ。自分らのやったことはあたりまえだと思うかもしらぬけれども、あたりまえのことならば、結果がうまくいってあたりまえになる。あたりまえのことをやったつもりであって、結果がうまくいかなかったら、これは妥当でない処置をとったということになる。そういうことをやはり慎重に考慮されないと、四十万の職員をかかえておられる国鉄の運営というものはうまくいかないだろう、こういうことを私は考えます。関連質問ですから、私の質問はこれで終わります。
  190. 楯兼次郎

    ○楯委員 関連して。どうして理解ができぬので二、三お伺いしたいと思いますが、私どもは団体というか個人であなた方にお目にかかって、この事態を収拾せよ、こういうことを二回、三回やっておるわけです。というのは、私どもは労働法の十七条がどうであるとか、あるいは公労法がどうであるとかいうような法律論争をするためにこういうことを言っておるんじゃないのです。あなた方が幾ら強弁されようとも、現実に私が言うよりあなたの方が当局からの情報でよくわかっておると思うのですが、下部の組合員は従来にない激高をしておるんです。だから肥田君や私の方から見れば、あなた方の面子といいますか、やり方を正当化すために、とにかく三十万近い従業員をこのまま怒らしておいていいかどうかということなんですよ。これを解決さえしてもらえば、私どもこんなにもあなた方を追及なんかしませんよ。ところが私は、先ほどから終始一貫聞いておるのじゃないのですが、聞いておると、何かあの団交が間違いでない、法律上正しい、こんな答弁ばかりされておるんです。しかし、そんなことでは組合員はますます激高をし、事態の収拾にはならぬのです。だから、あなた方は、自分のやったことでありますから、正当化しようとしますが、私はあなた方が今国労の立場に立っても、こんなことに憤激をしなければ、一生怒るということはないと思うのですよ。団交が前進するかどうかということは別として、とにかくあすの朝もう一回話し合いいたしましょう、こう言っておいて、片方では、他の組合と妥結をして、それが最後の線である、一歩も出ない、こんなことを言われて納得する人はないと私は思う。あなた方は実際自分のやったことを悪いならば悪いと言って改めればいいと思うのですよ。解決の方法はあると思うのです。しかも話を聞いておりますと、公労法が適用になってから、慣行としてはそういう取り扱いは全然やっておらない。今度だけあのような取り扱いをしておる。ここに問題があると思うのですよ。国労と団交はまだ継続中だと私は思うのですが、それなら一体何を団交されるんですか。今継続をしておる団交によって解決をされるというなら、他の組合と協定した協定内容よりマイナスであっては、常識的に問題の解決にはならぬ私は思うのですよ。団交が継続中というたら、多少でも前進を出すという腹がおありなのかどうか、これをお聞きしたい。
  191. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄労働組合と何の団交をするのかというお話でございますが、国鉄労組の方から団体交渉を求められてされているわけであります。それに対して私どもは応じて、団体交渉をやりましょうという状態にあるということでございます。
  192. 楯兼次郎

    ○楯委員 どちらが要求しようと、これは年度末手当の交渉だろうと思う。当局は、さらに団交継続中だという状態にあるんですから、他の労働組合と協定した内容以外のものを想定して、これに応じたのかどうか。
  193. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 たびたび申し上げておりますように、私どもといたしましては、組合が大きいから小さいからといって、違った申し出はいたし得ません、そういうことはできません。ですから、同じことをどの組合に対しても申しておったわけであります。今後も同じことを申すつもりでおります。
  194. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういたしますと、大きい小さいで差別はしない。それは法律上はそうでしょう。しかし先ほど肥田君が言っておったように、とにかく三十二万の組合と、正確には何万あるか知りませんけれども、そういうものとの意見が一致すればいいですよ、意見が一致すれば、管理者としてはそういうことを言っておってもいいでしょう。しかし、その意見が一致しておらぬのですよ。意見の一致といいますか、その協定に対して国労は賛意を表しておらぬのですよ、現在の段階ではそうでしょう。そのときになぜ三十二万の国労、つまり国鉄従業員の四分の三以上の団体を中心としてものを考えないのか、こういうことですよ。各委員が先ほど来言っているのは、これは常識じゃないですか。あなた、三十数万はどうなってもよろしい、こういうことですか。
  195. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもは四十五万職員を生かそうと思っておりますので、二万を生かそうとか三十二万を生かそうとか、そんなことは考えておりません。
  196. 楯兼次郎

    ○楯委員 それではおかしいじゃないですか。私も、今まで組合の中の立場におってよくわかるんですが、慣行として今までやってきたのと今度のやり方は違うでしょう。あなたは自分たちのことが正当なりというふうに考えているから言いませんが、今までの慣行と違うじゃないですか。今まではこういうやり方をやったから問題はなかった。今度だけ組合の怒るのはけしからぬ、おれたちは正当だ、こうおっしゃるのですか。
  197. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今までに比較いたしますと、今までは団体交渉がだんだん煮詰まって参りましたときに、組合の相互にいろいろ横の連絡もいたしておりますし、特に同じ、たとえば総評というような上部団体に加入している組合の場合には、当然横の連絡があるのが普通でございますから、従来の例によりますれば同じ日に――物理的にはどうしても前後はできますけれども、同じ日に妥結をしておったのが今までの例でございます。そういう点から申しますと、今度のようなことは非常に珍しいことであったと思います。
  198. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうすると、従来の慣例ではない。珍しいという言葉がどういうことを意味しておるか知りませんが、従来の慣行と違うということは、副総裁もお認めになっておりますね。やり方が珍しいということは、違うということですね。これはお認めになっておると思うのですが、私が承知しているのは、朝の三時とか六時というのですが、そのときの当局の出席者はだれですか、何名参加して、国鉄をゆるがすような問題提起の原因をお作りになったのですか、あなたも出席してですか。
  199. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 従来の慣行ということでございますが、私が申し上げておりましたのは、労使の間の慣行ということよりも、むしろ組合同士が同じように、いつも一緒になって、同じ時期に妥協をするのが、そういう習慣であったということを申し上げておるわけであります。なお、一昨日の交渉の際には私は出ておりません。中村常務理事、職員局長以下関係の者が出席しておったのでございます。
  200. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうしますと、先ほど来の答弁を聞いておりますと、当局では何でもない、あたりまえだというふうなお気持だと思うのですよ。ところがわれわれも国鉄の民主化、再建については微力ながら協力をしてきたつもりです。しかし、断固としてこの線だけは譲れぬ、こういうわれわれの覚悟は十分御承知だと思うのですが、あなたは、こういう結果をもたらした団交が大したものじゃない、そんな結果は出てこない、あたりまえじゃないか、こういう安易な気持で中村さんなりあるいは職員局長に団交の最終決定権を与えられたのか、あるいはそういう結果が惹起するであろうということを承知しながら、すでにあなた方最高幹部はそういう方針でいくんだ、こういうことで、事前に中村さんなり当局側交渉委員の出席の代表の方、現場におった代表の方にそういう決定権を委託されたのか、どちらですか。
  201. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもといたしましては、団体交渉の対象が年度末手当の問題でございますので、今回の年度末手当として出し得る限度はこれまでである、だから、この限度でもって話をまとめるようにやってくれということを、この担当常務以下に話をしておりました。それ以上話の仕方をどうしろのこうしろのという点までは一々指図はいたしておりません。その線でまとまったものは妥結し、まとまらなかったものはあとに話が残っておるということでございます。
  202. 楯兼次郎

    ○楯委員 繰り返すようでありますが、あなた方が、正当であり、大したことはない、問題は小さいとお考えになっておることが、実際はここ数年来、国労にとっては最大の問題となっておるのです。しかし、そんなことはそっちの勝手だ、国鉄の運営がどうなろうと、もたつこうと混乱しようと、従業員の――あなた四十五万とおっしゃいましたが、四十五万の中の三十二万というのは、これは相当大きい数なんですよ。そういう連中が憤激をしておるようなことは、何もこっちに落度がなければ大したことはないじゃないか、こういうお気持ですか。あなたの御答弁を聞いておると、何か自分たちの数人の幹部の立場の正当性だけを主張なさって、とにかく現場の三十数万の人がほんとうに腹から憤激をしておるという事態を収拾をしよう、解決をしようという意欲がないじゃないですか。一体あなたは、自分たちは正当であると思っても、三十数万の人たちが憤激しておる事態というものは反省をし、これを収拾しようという、管理者としての責務がなくちゃいかぬと思うのですよ。ところが、あなたは、ここで自分たちの立場のみ、法律的にどうだとか、そんな正当化の議論ばかりやっておるじゃないですか。われわれは何も吾孫子副総裁、中村常務を憎うて言っておるのじゃないですよ。このような大問題が起きているのをいかにしたら収拾できるか。そのためには、当局は誤ってはおらないといっても、現実に受け取る従業員は、幹部のやり方はわれわれをペテンにかけた、これでは組織が守り得ないではないか、こういって、あなた方自体の当局の情報によって十分知っておるように、大憤激しておるのですよ。われわれも国鉄の再建については協力してきたが、こういうことをやられたのでは、もう素っ裸になってその白黒を争うより方法がない、こう思っておるのですよ。そういうことを考えぬのですか。そんなものは、団交がどうだとか、大きいやつも小さいやつもどうだとか、あなた方のそういう議論で納得するなら、国鉄の運営がうまくいくなら、従業員が納得するなら、われわれも議論に負けておきましょう。しかし現実には、あなた方がそういう工合に主張すればするほど、現場の事態、運営というものは激高しているじゃないですか。憤激しておるじゃないですか。管理者として私は、これを打開する道はまだ方法があると思うのです。しかも幾らあなた方が正当化しようとしても、日本の労働運動なんというのは日が浅いわけです。だから、ぴちんちょんとワクにはめたような取りきめはないのです。日本の労働運動というものは、大体日常の慣行を積み上げをして、それが憲法となり基本精神となって運営をされているというようなことは、私が言わなくても十分知っておるじゃないですか。その慣行を一晩にしてひっくり返すようなことをやっておる。そうしておれは正当だ。なるほど、字句を見れば、あるいは正当なところもあるかもわからない。しかしそれでは解決できぬじゃないですか。今日の管理者としては、国民に迷惑のかからないように、従業員がいかにしたら納得をするかという方途を考えなくちゃならない時期だと思うのです。何も吾孫子さんが、中村さんやあるいは職員局長立場を正当化するために、ストライキが起きたり、利用者に迷惑のかかるようなことは、国民はまっぴらだと思うのですよ。あなた方が反省をし、打開の策を講ずれば、それであなた方二、三人の面子というか立場がつぶれたって、正常な運営ができた方が、国民はどれだけ喜ぶかわからない。そういう点がちょっと食い違っておるじゃないですか。どうですか。
  203. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもは少し違った考えをいたしております。
  204. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういたしますと、違った考えというのはどういうことですか。それは組合を怒らしてこれをあなた方権力によって処分をして、そうして抑圧をすれば何とかなるだろう、こういう態度で将来いこう、こういうことですか。
  205. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもといたしましては、もちろん国鉄の部内にいろいろなよけいな波風が立つということは、ひいては国民の皆様にも御迷惑をおかけする結果になるのでございますから、もちろんそういうことをできるだけやらないように努力しなければなりませんし、またそういう努力もするつもりでございますが、しかしそれだからといって、組合が満足するように、どんなことでもやらなければならぬかということになりますと、これはまた経営者としての責任者の立場もございますから、組合側が承知しておさまってさえくれれば、それで国民に対するわれわれの責務が果たせるかといえば、そうは参らない。そういうわけで、何でもかんでもおさめさえすればいいというふうには必ずしも考えませんけれども、しかしこういうような事態、一部に非常に激高した人たちがおるということは、これはやはり何とかしておさめなければならないことでございますから、今後もこれらの方々の了解を得られるように状況をよくのみ込んでいただくように、繰り返し了承を求めるように努力をいたすつもりでございます。
  206. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は、五十万近い世帯でありますから、いろいろな点で波風の立つのは避け得られぬと思う。これはだれがやっても同じだと思うのですよ。しかし今度の問題は、金が五百円、千円高いとか安いとかどうとかという問題じゃないのですよ。十何年やってきましたあなた方のやり方というものを一挙にして変えたのですよ。これは筋が通っておらぬですよ。だから、もし私があなた方の立場に立てば、何もこれが最後の線なら、団交をしよう――しかし他の組合がこれで承知をする、国労どうだ、よその組合はこれで承知するが、どうだ、そんなことがなぜできぬのですか。今までやっておるじゃないですか。なぜそんなことができぬのですか。たとえばお互いに労使の腹の中は違っても、話し合いを続けていこうということは、労働組合にとっては、話し合いを続けていけばマイナスになるということは考えられぬですよ、たとい一厘でも、交渉というものは前途に前進を見出すための交渉をするのですから。そういうことを打ち切らずに、そういう言質を与えておいて、そうしてほかの組合とはとんとんでやって、そうしてきのうもわれわれがお伺いすれば、これが最後の線で何ともなりません。それならなぜ団交を継続しましょう、話し合いをやりましょうとばかなことを言ったのですか。あなたが組合立場になったって、こんなものは怒らなければ男じゃないですよ。あなたはだましておるじゃないですか。前の豊川の問題でもそうですよ。私は、あまりこまかい点は知りませんでしたが、現地に行っていろいろ話を聞いた。従業員はほんとうに、国鉄の幹部というのはおれたちをだましておるといって、涙を流して泣いていますよ。事情を聞いてみたら、昭和三十二年――あなた方は、運賃の値上げでも、国鉄のいろいろな問題でも、経営調査会答申があったから、答申があったからと言っている。答申を見れば、豊川を残しておけと書いてあるじゃないですか。第一次の何とか調査委員会でも存置することが書いてある。第二次にも書いてある。第三次にも書いてある。それをことしになって全部廃止だ、従業員は泣いていますよ。きのうまではやれ三百名が五百名に増員になるのだ、こんな宣伝を工場長にやらしておいてそうして一夜明ければ一人もおらぬように焼野原にする。こういう従業員を憤激せしめたり、ごまかしておるような行政をやっておる責任者はどういう責任をとるのですか。そうして労働組合が実力行使をやれば、あなた方は権力で首を切ること、処分することしか知らぬじゃないですか。こういうばかげた、従業員に希望を持たしておいて、そういう政策を変更する。管理者、経営者は一体今日までどういう責任をとったか言ってもらいたい。
  207. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 経営合理化過程におきましては、いろいろな気の毒な事情の方が出てくるということは、私どもとしてもまことに遺憾に存じておるわけでございますけれども、その影響の程度を最小限にとどめますようにいろいろと配置転換その他の条件をきめたり、その他の施設をやったりして、それらの方々にはいろいろお気の毒な方もいらっしゃいますけれども、最後的には了承していただいて処置をいたしておるわけでございます。
  208. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は国鉄の運営上すぐはできないが、将来はこういう構想である、長年かかって従業員にそれは不満ではあっても国鉄の運営上こうあらねばならないというので、説得をしていくならいいですよ。特に最近豊川が問題が起きたので、言ってみれば、きのうまで、去年とまるで反対ですよ。これは労働組合が出した答申案とか、委員会の決定じゃないのですよ。当局の鉄道工場調査委員会、こんなような委員会を作って、あなた方は外部の学識経験者に調査を依頼をして、これははっきり存置と書いてあるじゃないですか。工場合理化方策第一次案、第二次案みんな存置すると書いてあるじゃないですか。これは労働組合がやったのじゃないんですよ。あなた方がやったのですよ。ひまと費用を……。これは遊んでおるのですか。これは何をやったのですか。こうして何かといえば、やれ経営調査諮問委員会だ、あるいは経営調査会からかかる答申がありましたからこうして下さい、それを唯一の根拠にしてあなた方は国会に要請しておったのじゃないですか。その調査会が存置という答申を出しておる。以下これに続いて、去年の三十五年までは、三十六年までですか、全部そういうことを出しておいて、そうしてあなた方の運転と工作の派閥争いかなにか知らぬが、急に一つも残さず全部ゼロにするのだ。このこと一つだけでもあなは自分の身にそういうくやしさあるいはそういう感情そういうものがないから何とも感じないと思いますが、従業員なんというものはどういう心境でおるとお思いになる。全く国鉄の幹部というのはわれわれをだますことにかかっておる、こういって憤激しておるのですよ。だから、この前も組合との協定は協定であるけれども、とにかくこういう感情をやわらげて国鉄の運営に協力させるためにはなんとか手がないか、こういってわれわれはあなた方のところへ行って話し合ったのですよ。われわれは何もあなた方をやり込めて喜んでおる、こんなことは考えていないのですよ。当局のやってきた豊川については、無理の連続なんですよ。愚弄の連続なんですよ。だましにだましておるのですよ、従業員を……そうして土地を売り、うちを売っていかなければならぬというので、家族や子供は泣いておる。当局は自分の身に関係がないから涼しい顔をして、あくまでも強行だ、文句を言えば処分をして、あるいは首切り、あるいは減俸だとか言っている、そんなことをやればもういいだろう。これではうまくいかないというのです。話が横道にそれたのですが、あなた方が幾ら正当化しようと思っても、これは近来にない国労の組合員は憤激をしておると思います。私は、この難局をあなた方が打開するのに大して国鉄の経営に支障を及ぼすような金も要らぬと思うのですよ。なぜそんなつまらぬ面子を捨てて打開しようとしないのですか、なぜその二万かの組合か、寄せ集めの組合かしらんの立場を擁護されるのですか。しかも現場へ行ってごらんなさい。副総裁や中村常務は知っておられるかどうか知りませんが、あの第二組合なんというのは、当局がひまと金とにあかして作り上げた人が多いのですよ。先ほど勝澤君も少し触れておったのですが、あなたの意思であるかどうかは知りませんが、当局の地方幹部がこの脱退を勧誘し、そうして職能別組合を大鼓をたたき、金なり利益運動をやって、そうしてこれは作っておるのですよ。これは公然の事実なんですよ。なぜ三十数万の国鉄運営の主体の人たちをへ理屈は言わずに打開しようとしないのか、なぜ幹部数人の面子にこだわらなくちゃならないのか、こういう点がわれわれにはどうしても理解できない。どうですか。
  209. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもは何も少数の者の面子にこだわってどうこうというようなことは考えておりません。再々申し上げますように、組合が大きいから小さいからというようなことで差別待遇はいたすべきものではないというふうに考えております。
  210. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 二十六日じゅうに決着をつけ、三十一日には支給したいと当局が強い態度で提案をした、国労はこれが不満だということで、そうして紛争が起きて、その紛争解決をするために当局から一方的な団交の打ち切りや他労組との妥結はしない、こういうことがあったために、二十六日の夜中の紛争は一応回避された、こう言われておるわけです。副総裁それは御存じですか。
  211. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私は他労組との妥結をしないというような約束をしたなんということは聞いておりません。
  212. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 二十六日の夜に、二十六日じゅうに決着をつけて三十一日は支給したいという提案があって、国労とそのほかの組合と意見が食い違って、そのために紛争が東京管内に起きたということは御存じですか。
  213. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 当局側が三十一日に支給できるようにしたいと、これは組合側からもそういう御要望があった組合もありますので、三十一日に支給できるようにしたいということを言っておったことは知っております。また国鉄労働組合との問でなかなか話がつかない、団体交渉が延びそうだということも知っております。
  214. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 二十六日じゅうに決着をつけたい、三十一日に支給をしたい、こういうことをめぐって二十六日の夜に紛争が生じておったことは御存じですか。
  215. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄労働組合との問に話がつかずにおるということは聞いておりました。
  216. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そのために国電に二十七日の早朝影響するようなことが行なわれて重大な事態になっておったということは御存じですか。
  217. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一部にそういう動きがあるということも聞いておりました。
  218. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それを収拾するためにどういうことが行なわれたかということも御存じですか。
  219. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 そのときには、そのことは知りませんでした。
  220. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それを収拾するために行なわれた行為が問題になっているのです。それを収拾するために行なわれた行為がまさに手練手管まさにごまかしだ、まさに背徳行為なんだ。それが問題になっている。それが発端なんです。ですから、先ほど楯委員が言われましたように、あなたの、中村理事なりあるいは河村職員局長なり、その面子だけを保つために、国民に迷惑をかけさせ、三十数万の国鉄職員が重大決意をして、この国鉄のやり方に対して憤激をしている。これが今日の実情じゃありませんか。これはやはりあなたたちが――大体常識考えて私はわかると思うのです。あなただって知っているはずだと思うんです。無理な形でとにかくものがまとまっている。大体どこの組合でもどこの会社でもそうですよ。まあ専務が団体交渉に出てきた、これじゃだめだ、一つ副社長出てこい、副社長じゃだめだ、そこで三百円から五百円、五百円から千円、こう上がっていくのがこのごろどこまでも民間の組合のあれじゃないですか。そして社長が出てきて、これが最終ですよ、それでストライキになるとかならぬとかいう問題が出てくるんです。一体今の異常な状態で、予想もしなかった状態で、とにかくまとまりそうになった、だからこれは重大だ、こういうやり方は過去の国鉄労使の問題になかったのだということで、二十六日の夜中には大へんな問題が起こったんです。だから、大へんな問題が起こったための一つの妥結条件として、一方的に団交の打ち切りや他労組との妥結はしない、こう当局側が折れて、まあこの問題は終わって夜中の三時ですよ、六時、ともかくだまし打ちをしておってやったんですから、現場の人たちはよく知っています。だから、ここに問題がある。ここが大きな問題になっている。それは副総裁が直接にいなかったということは明確になりました。中村常務と河村職員局長がやられたというのも明確になりました。ですから、あなたは知らない――それは知らないでけっこうです。しかし今日このような状態が起きているということはこれはなまやさしい事態ではない。ところが当局と国鉄労働組合との年度末手当は一体どういう形で妥結になるだろうか、どういうことが行なわれるだろうかということも予想しておったというんです。予想以上のことが今行なわれようとしているじゃありませんか。予想以上のことが行なわれようとしているのは何が原因であるのか、あなたは何が原因であるかということをお考えになっておると思うんですが、何が原因でこういうふうにかってない状態で紛争が起き、かってない異常な状態でわれわれが国会で皆さんに質問をしているかということをどういうようにお考えになっておりますか。
  221. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 少なくとも私は、手練手管や背徳の行為が原因でこういうことが起こったとは思っておりません。それでこういうような状態になっておるということはまことに遺憾しごくだと思います。
  222. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 あなたは今までの経過の中から考えて、年度末手当の問題がこのように紛糾してこのように強い行動が行なわれるとあなたは予想していなかった、いないような事態が起きた原因は何か、これは明確になっている。それはあなたが裏切ったのじゃない。あなたが背徳行為をやりたのじゃない。しかし、とにかく労使の問題でまかせた中村常務なりあるいは河村職員局長なりの行なった行為というようなものが今日問題になって、このような大きな問題になっている。これは異常な状態です。先ほど楯さんも言われました国鉄の民主化、国鉄の再建については、われわれも努力してきた。そのことは、国鉄当局も労組も裸になってお互いに切瑳琢磨し、お互いに協力し合ってきた。しかし、多くの労働者が今日積極的に新五カ年計画なり新幹線建設なり――上の方は汚職か何かやっているかもしれませんが、下の方は素っ裸になって、まる裸になってやっているのですよ。裸でもってみんな仕事しているのですよ。一番劣悪な労働条件でもってやっているのですよ。今日二十四時間勤務なんというのがどこの民間企業にありますか。下積みに積まれて、下積みにたたかれて仕事をしているのですよ。そういう人たちが憤激して怒っている。私は、この問題はもっと重要にあなたが真剣に考えていただきたいし、考えなければならないと思うので。また、これは当然三十一日に起こる事態を回避するためのあなたの努力をしなければいかぬと思う。一常務務や局長のやったことをカバーする、このことだけできゅうきゅうとして国民に大きな迷惑をかけ、国鉄三十数万の労働者の憤激を買ったら、国鉄経営というものは成り立っていきませんよ。あなたたちが幾ら号令をかけたって、号令をかけるそばから、何を言っているんだ、上は汚職をやって金もうけをしてやっているじゃないか、おれたちが働いてどうなるのだ、おれたちが一生懸命経営能率を上げたって、片方で国鉄の経営はどうなっているのだ、こう言われるじゃありませんか。  委員長、もう少し私は質問を続行したいのですが、社労の方へ副総裁から中村常務、呼ばれているようでありますからあす、船員法の終わったあとでもまた質問させていただくことにいたします。また一番重要な東洋電機の問題につきまして、まだ何もしていないわけであります。これは、運輸を担当しているわれわれが何もやらずに、ほかの委員会ばかりがやったということになったら、運輸委員会、何をやっているのだということになります。そうすれば、これは委員長としても大へん世間に申しわけないわけですから、ぜひ一つ続けて質問させていただくようにお願いして、私あと保留して、きょうはこれで終わります。
  223. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次会は明二十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会      ――――◇―――――