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1962-03-07 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月七日(水曜日)    午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 山田 彌一君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    宇田 國榮君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    竹内 俊吉君       西村 英一君    細田 吉藏君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       田中織之進君    内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  高橋 末吉君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豐君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     關  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道参         与         (資材局長)  紙田千鶴雄君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  柴田 元良君     ――――――――――――― 三月五日  川内市の川内川河口水中貯木場建設に関する  請願(池田清志君紹介)(第二〇六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二日  山陰線特急まつかぜの博多まで延長運行に関す  る陳情書(第四四  八号)  東北地方鉄道輸送力増強に関する陳情書  (第四七九号)  長浜市の東部回り高架鉄道敷設に関する陳情書  (第四八〇号)  地方航空路線の拡張に関する陳情書  (第五二二号)  牟岐、後免間の鉄道敷設に関する陳情書  (第五二三号)  越美北線の敷設工事再開促進に関する陳情書外  一件(第五五七  号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の一部  修正に関する陳情書  (第五九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより会議を開きます。  国鉄経営に関する件について、調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。肥田次郎君。
  3. 肥田次郎

    肥田委員 きょうお伺いをいたしたいのは、例の東洋電機関係で、これがあたかも国鉄汚職関係があるかのような新聞記事が、続いて二回出ております。これについて、当局の方ではどういうふうにお考えになっておるか、質問をいたしたいと思います。
  4. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 このところ、連日あのような新聞記事が出されておりまして、私どもも、これを見て、まことに遺憾しごくに存じております。新聞を読みますと、何か関係者国鉄の幹部に対する贈賄行為を自認したというように読める記事がございますけれども、私どもといたしましては、どうしてもそういう事実があるとは信ずることができません。まことに残念に思っておる次第でございます。
  5. 肥田次郎

    肥田委員 実はわれわれも同感なんです。最近、何か汚職がどうこうというような新聞記事が出ると、やはり国鉄が一応関係しておる。まことにどうも、われわれとしても、共同の責任を感ずることをどうすることもできなくなります。そこで、俗にいいますように、火のないところに煙は立たないということわざがあります。この記事の根拠になっておるのは、これは警察取り調べですから、将来どう発展するかわかりませんが、しかし、さも現職国鉄課長関係をしておるような記事も出ておるし、それからこの東洋電機のいわゆる重役陣と称するものは、かつて国鉄にその籍を置いておった者がほとんどだという記事が出ておるのであります。これは今副総裁のおっしゃるように、こういうことはけしからぬことだというふうに、全く被害者のような表現をされておるけれども、こういうふうな記事が出てくると、被害者のような立場という、そういうことだけでは済まないのじゃないか、こういうように思いますが、これに対して当局としてどういう処置をとられようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  6. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 東洋電機国鉄を退職いたしました者が相当数入っておりますことは、事実でございます。しかし、それがために、東洋電機株式会社に対して国鉄が何か特段の利益を与えるとか、特別の取り扱いをしておるとかいうような事実は、私どもには考えられないのでございます。と申しますのは、東洋電機生産能力関係もあるわけでございますけれども、ここ数年来、東洋電機に対する国鉄発注量というものは、むしろ減っておるのでございまして、そういうような点から考えましても、何か特殊の便宜を与えておるというようなことは考えられないと思うのでございますが、現在関係当局の手によって捜査が進められておることでございますから、その取り調べの結果いかんによりましては、当然、国鉄としても、東洋電機との取引関係というようなことについても、場合によればこれを打ち切る、中止するというようなことも、事態いかんによってはやらなければならないかと思っておりますが、ただいまのところ、まだ取り調べ中の段階でありまして、私どもにも、新聞記事以上のことは何もわかりません。そういうわけで、ただいま何とも申し上げかねる次第でございます。
  7. 肥田次郎

    肥田委員 ここに出ております清水政治、それから現職課長ですか、相原弘治、それから三輪、国行、石井、こういう関係の人は、実際には何ですか、今言うところの国鉄の現在のいろいろな関係と全然関係は保っておらぬのですか。それでなければ、この新聞の書き方についてわれわれも不満なので、ただいたずらに記事の上でその内容をどう書こうとも責任はないのだというような、この新聞記事扱い方にも、これは私がいつも言うように、当局として何らかの処置をとらなければならぬ。ところが、国鉄関係のあった連中がこうだ、現職課長がこうだというふうな記事が載っていることを、当局として平然としておられるということは、どうも納得ができない、こういうことを私は言っておるのです。
  8. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 ただいまお話のございました相原某といわれる方は、国鉄には何も関係のなかった方であります。今この会社国鉄から行っております役員といたしましては、前に監査委員をしておりました石井英一氏と、それから大阪鉄道機器製作監督事務所長をしておりました沢瀉作雄氏、役員として行っております者はこの二人、それにこれはもうずっと昔にやめられた方でありますが、この会社の会長をしておられます三輪真吉さんという方が、昔、終戦時にやめられた方であります。あと職員として若干の人が行っています。三名ほど行っておりますけれども、今お話相原さんという方は、国鉄におられたことも何にもない方であります。いずれにいたしましても、私どもとしても、こういうようなことが報道されますことは、先ほども申し上げましたように、残念しごくでありますけれども、しかし、取り調べが始められた以上は、徹底的にお調べをいただきまして、事態をはっきりさしていただく以外に道はない、そう思っております。
  9. 肥田次郎

    肥田委員 かつて三十六年の五月二十六日、ちょうど今から十カ月ほど前ですが、新幹線汚職新聞に出ました。そのとに久保委員から質問がありましたが、これに対して十河総裁は、自分の不徳、統率力の不足で、国民に対してはなはだ申しわけがない、この機会綱紀粛正をやる、そうしてさらに一段と監察も十分にやる、こういうふうに答弁をしておられます。そこでお聞きしたいのは、一体言われるところの綱紀粛正、あるいは監察を十分にやるという、これはどういうふうにおやりになったのでしょうか。私らが常識的に考える場合は、これから後に汚職を起こさないということも大切であります。しかし、これから後に汚職は起こさないというこの考え方の中に、従来の機構がどういうふうに運営されておるのか、従来のいわゆる取引というものはどんなふうにやられておるのか、人はどうなのか、あらゆる条件というものが精密に検討されてしかるべきものだと思う。そうすると、これは発表できることではないと思うけれども、およそ過去にそういう慣例のありそうなこと、あるいは何か変な状態がありそうな、こういう場合には、そこにも監察の手は行き届かなければならない。過去の問題は取りはずしておいて、これからのことを正していくというのでは、十分な成果は上げられないと思う。だから、もし言うように、当局監察を実際十分にやっていかれるとするならば、今までのいろいろなできごとも、何らかの形でつかまえておるはずであり、つかまなければならぬ。そういう基礎の上に立って、初めてこれからの問題が改められていく、こういうように考えるのですが、一体どういう措置をおとりになったか、一つ聞かしてもらいたいと思います。
  10. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 過去において何回か関係職員の中から汚職者を出したということに対しては、私どもとしても心から申しわけなく思っておる次第でございますが、そういうことが起こりました原因というものを考えてみますと、終局的にはやはりそれらの人々の心がまえの問題に帰着する点が多いのでございますから、そういう意味で、総裁以下、あらゆる機会精神心がまえをまず立て直すということで、たえず注意をし、指導もし、そしてまた、いやしくも行動の上において疑惑を招くようなことを起こしてはなりませんから、そういう点に対する注意を、それぞれの所属長はたえず部下に対して行なっておるわけでございます。しかし、そういう心がまえの問題ばかりでなしに、やはり制度の上におきましても、そういう機会が発生しがちだと思われるおそれのある事態に対しましては、制度を改めていく。あるいは従来は、一人の人間で決定できた事柄を、お互いに牽制し合うような組織に変えるとか、あるいは物品の購入とか工事請負契約をさせるというような場合の制度の進め方にいたしましても、それまでは何と申しますか、関係の係の自由裁量で行ない得たようなことを、なるべくそういうようなことができないような制度に切りかえるとか、その制度の切りかえについては、国鉄部内監察事務といたしまして、いろいろ新しく検討を加えたものもございますけれども、同時に、部外学識経験者の御意見等も承って、制度を変更したというものもございます。要するに、一面においては心がまえを正すということに力を入れますと同時に、やはり制度的に、いろいろそういう事故を起こす原因になるおそれのあるような制度は改めていくというような方法で、こういう事実の防止に努めておるような次第でございます。
  11. 肥田次郎

    肥田委員 簡単に言って、何か具体的な処置をおとりになりましたか。
  12. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 そういうことが起こりましたときには、総裁から伝達をいたしましたし、また、各所属長から部下に対して、いろいろこまごまとした注意を与えております。と同時に、ただいま申しましたように、制度的に変更を加えたものもあるわけでございます。
  13. 肥田次郎

    肥田委員 制度が悪ければ改めるという、これはできますね。ところが、あなたの言われるように、当事者の心がまえが悪いんだということになると、これは何か特殊な教育法でもやらないと、処置ないのでしょう。それはただ心がまえの問題だということだけでおられるのですか、何かおやりになったのですか。
  14. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 究極的には心がまえの問題でございますが、やはり私生活と申しますか、そういう面でも、昔の言葉にございますように、瓜田にくつを入れずという考え方で、非常に具体的なことを申し上げれば、たとえば部外の業者の方々とマージャンみたいなものをやるとか、あるいはゴルフの招待を受けるとか、そういうようなことがやはりいろいろな間違いを起こす発端になりがちでありますから、そういうようなことをやらないようにさせる、そういうように行動の面でもいろいろ注意を与え、またそういうことをやらせないようにいたしておるわけでございます。もちろん金品の贈与等を受けた場合には、それを所属長に連絡をして内容証明の郵便で送り返すというようなことも、こまかく注意をいたしまして、いろいろ疑惑を招くことのないような処置をとらせるように指導をいたしておるわけでございます。
  15. 肥田次郎

    肥田委員 私ら考えるのは、心がまえというものに対する対策というものは、今副総裁がおっしゃったようなこともありましょうが、やはりもっと大切なことがあると思うのです。それは根本的な問題ですが、要は、国鉄職員としてそういう地位にある人は、実は個人じゃないということが、私は一番大切だと思うのです。日本国有鉄道という、その名の示す通りに、日本の国の大きな公益事業というものをつかさどっておる。そこには私というものは一つもない、この気持が欠けておるのじゃないか。欠けておるのじゃないかということは、これはこういうものに対する対策がなされておらぬのじゃないか。ただマージャンをするのはやめなさい、招待を受けるのはやめなさい、こういうことだけでは、私は、やっぱり本質的に、商人誘惑に勝てないと思う。商人誘惑に打ち勝つ唯一のものは、自分は私人じゃない、あくまで国のものだ、こういう立場をとったときに、初めて商人誘惑に勝てると思う。そういう点は、やはり大いに研究される余地があるだろうと思います。  それから実は当時のことになるのですが、昨年の五月に、やはり総裁運輸大臣の言われておったことは、同じようなことを言われておるわけです。これは政務次官にどうこうしたということをお聞きするわけじゃありませんけれども、きょうは、鉄道監督局として、こういうことに対してやはり勧告なり指示処置をとられておるか、これを念のためにお伺いしておきたいと思います。
  16. 高橋末吉

    高橋説明員 運輸省といたしまして、幹線汚職の際に国鉄に対しまして指示いたしましたこと、運輸省ではございませんけれども、あの場合に司直の取り調べその他を受けてその処分を受けたような者に対しましては、信賞必罰の観点から、これに対して処分を行なうべきであるということについては、文書ではございませんけれども指示をいたしております。その他、ただいま副総裁が御答弁になりましたこまごましたことにつきましては、これは当然のこととして、その当時いろいろわれわれの方からも話はいたしたことでございます。
  17. 肥田次郎

    肥田委員 これは繰り返すようですけれども汚職だとか何とかという、こういう忌まわしい記事が載る相手方というのは、残念ながら政府関係ではあまりよそにはないのです。その点を私は残念だと思うのです。ですから、今おっしゃったように行動でという形——これは口であろうと、文書であろうと、本質的に大して変わるものではないと思いますけれども、ただ、おい、こんなことが新聞に載っているから、気をつけなければいかぬぞというようなことぐらいでは、私は、やはり本質的なものを改めるわけにはいかないだろうと思うのです。ここで拾い上げてみますが、最初に申しましたのが三十六年五月二十五日、東海道新幹線汚職国鉄本社捜索、このときに久保委員質問に対して、総裁が、綱紀を引き締めて、これからしゃんとやるのだという答弁をなさっておる。それからもちろんこの記事の続きでありますけれども、三十六年六月五日、ここでは新幹線汚職発展をして、大阪工事局次長が逮捕された。それから三十六年六月十三日には、新幹線汚職は核心に入って、熊谷組の平木支店長が逮捕された。さらに三十六年六月二十七日には、新幹線汚職はさらに発展をして、西松建設の本田京都出張所長が逮捕された。こういうふうに出ておるのです。それから次に、三十六年九月十五日には、これは国鉄関係ではございません。政府関係でありますが、いわゆる十大ニュースともいわれたところの武州鉄道事件で、元の運輸大臣が逮捕された。これは国鉄関係ではないと言われるかもしれない。それから今度の三十七年三月四日の記事と、昨日の六日の記事です。私は、この新聞種は、国鉄に関する限り、よそと比べて決して少ないとはいえないと思う。出てくれば、みな汚職なんです。これはだれが考えたところで、国鉄のPRにはならないと思うのです。こういうことが、実際に国鉄考えておられるところの公共企業経営精神と一致しておられるかどうか、こういう感じがいたします。国鉄国民に対してサービスをしたという記事が出るなら、これはわれわれとしてもこの上もなく喜ばしいことなのだ。外国の観光客の誘致に大きな役割を果たすとか、こういう記事を私らは望んでおる。ところが、そういうものがちっとも出ないで、出るといえば、国鉄の運営に対する非難、汚職、これは、どう考えてみても私は残念でたまらない。先ほど心がまえの面だというふうに副総裁はおっしゃっていましたが、それはそうでしょう。俗に言いますところの小人閑居して不善をなす、小人というものではなしに、大人でも、ひまがあればろくなことはやらない。ましてや小人がやるのはあたりまえのことなんだ。これは今さら説明の必要がなかろうと思う。これは古今を通じて生きていく言葉じゃないかと思います。私は、いつも言っているように、汽車に乗れば汚職考え、船に乗れば造船疑獄考える、こういうふうな弱い面がいつもつきまとっておるということについては、これはお互い注意をしなければならぬことだと思う。それは同時に、さっきも言ったように、自分というものを捨て去らなければできないと思うのです。こういう人間の弱さということは当然あるのだから、その人間の弱さを克服するところの処置というものが講じられなければならぬと思う。この点については、どういうふうにお考えなんです。
  18. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 究極するところ、心がまえの問題であり、精神の問題である。その精神を立て直さなければいけないというお言葉は、全くその通りであると拝聴いたしました。私どもも、こういうような事態が起こり、また、こういうようなことが新聞に報道されるというようなことは、先ほど来申し上げますように、まことに残念のきわみでございまして、私どもといたしましては、総裁以下さらに自粛自戒いたしまして、心がまえの立て直しということになお一そうの努力を重ねて参りたいと思っております。
  19. 肥田次郎

    肥田委員 しつこいようですが、もう少し聞きたいと思います。  四十万あまりの国鉄職員の中で、いわゆる汚職がやれるような条件にあるのは、どういう人なんでしょうか。
  20. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 四十万職員と申しましても、おのおのいろいろ分担が違うわけでございまして、それぞれその分担に応じまして、職権——職務権限というものがきめられております。その職務権限というようなものを正しく行使しない、それが利益によって動かされて妙な職権の行使をやるというととろに、汚職原因があるわけでございます。そういう意味から申しますと、心がけがよろしくなければ、小さい仕事をあずかっております者はそれなりに、また大きな仕事をあずかっております者はそれなりに、やはり心を引き締めておらなければ、このポジションならば何にもそういう心配はないというポジションはないのではなかろうか。そういう意味におきまして、四十万の全員が、めいめいおのれの持ち場持ち場で心を正しゅうして仕事をするということにならなければいけないというふうに考え、そのようにあらゆる機会指導をいたしておるのでございます。
  21. 肥田次郎

    肥田委員 私は、やはり汚職をやれるような条件は、限界がはっきりされておると思うんですよ。線路工手汚職をやろうたって、そういう機会はないでしょう。電車運転手にしたって、その通りなんです。電車運転を明けても暮れてもやっておって、汚職をやるような機会がありますか。車掌にしたって、その通り、ないですよ。工場で働いておる労働者にしたって、そうでしょう。汗まみれになって働いておる。汚職をやろうなんという気持で働いておるのは、一人もおらぬですよ。きょうは事故がなかったからよかった、あすも安全な運転ができるように、みんなこう思って一生懸命に仕事をしておる。四十数万の国鉄職員の中で汚職がやれるという条件にある人は、ほんとうにごく一部の者なんです。その的をはずして、一般の人に国鉄心がまえというようなものを正してみたって、これは何にもならない。大部分の人は一生懸命に働いておる。大部分の人が一生懸命に、国鉄事故がないように、輸送の任務が完遂できるように、こういう気持で働いておる。にもかかわらず、一部では一年間に何回となしに汚職という記事新聞に載ってくる。どんな気持で働いておると思いますか。実際国鉄皆さん方当局皆さん方は、これを読んでどういう気持になっておられますか。
  22. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 おそらく国鉄職員全員、遺憾しごくだというふうに思っておると思います。特にまじめに働いておる大部分職員が、こういう記事を見て、ふんまんにたえないという気持を持つであろうということは、私どもといたしましても同感できることでございます。ただしかし、汚職疑いがあるという報道がされたことと、そういう事実があったということとは別問題でございまして、私どもといたしましては、こういう事実があるということを信ずることはできないのでありまして、こういう意味で、今回のような記事につきましては、まことに遺憾しごくであると、残念にたえないと思っているのでございます。
  23. 肥田次郎

    肥田委員 何かあるというふうに感じただけではどうにもできない、これはその通りであります。警察も、そういう容疑については、これはあくまで容疑ですから、どうもできないことはわかり切っています。そういう、一方に非常に慎重な、ある意味でこれは思いやりのあるような考え方を持っておられても、しかし、あなた方、組合がストライキをやったら、平気で首を切るでしょう。処分するでしょう。配置転換は、どんなに反対があってもやるでしょう。工場の移転あるいは廃止は、どんなに反対があってもやるでしょう。これは計画だからといってやっておられる。それもいいでしょう。しかし、反面にそういう思いやりがありながら、反面では非常に峻烈に、冷酷な扱い方平気でやられる。そういうような皆さん方が、それでいて、四十数万の中におるほんの一部分の、この汚職をやるような、こういう限られたグループの取り締まりができませんか。そんなはずはないと私は思うのです。
  24. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 ただいま労働問題につきましても言及されてのお話がございましたが、これに、私ども労使関係というものは、申し上げるまでもなく、法律の定めるところに従っていわゆる正しい労使関係を保持していく責任がございますので、法律に違反する事実がありましたり、あるいはまた部内の諸規定に反するようなものがありましたりいたしました節には、それぞれその事態に応じて処分をいたすということは、これはまたやむを得ない処置であると考えております。工場合理化その他について、組合が何を言おうが、従業員がいかに反対しようが、お前たちは強行するじゃないか、こういうお言葉もございましたけれども、これはやはり法律に定められた手続に従って、所要の事項については団体交渉を行ない、その線に沿うて処置をいたしておりますので、従業員組合員の意思をじゅうりんして勝手気ままなことをやるというような処置は、決していたしてはおらないのでございます。  しかし、いずれにいたしましても、汚職というようなことが、たといそれがただの疑いでありますにせよ、そういうようなものが大きく取り上げられるということは、国鉄に勤めております私どもとしては、深く反省をしなければならないことでございますので、そういう点につきましては、なお一そう自粛自戒いたすつもりであるということを、先ほど来申し上げておる次第でございます。
  25. 肥田次郎

    肥田委員 副総裁、私は、あなたに今ほんの一部分ということで労使関係のことを言いましたが、この労使関係答弁を求めておるわけではないのです。これは、いい悪いは別にして、あなたの方でも一つの方針としてやっておられるのだから、私は、別にそれをここで非難しておるわけではありません。私が問題にしておるのは、片一方でそういうことを当然のこととしてやっておるにもかかわらず、片一方にあるところのほんのわずかの部分の、押えていけばすぐわかるような、いわゆる汚職をやりそうな条件にあるところの問題について、少しも処置が講ぜられておらないじゃないか、これを私は問うておるわけです。今、国鉄労使関係について、私は質問しておるのではない。その答弁よりも、問題の核心であるところの、ほんとうに四十数万の中のほんのもう一部分に該当するところの、押えればすぐわかるような、汚職をやりそうな条件のあるところ、これに対する対策はどうしてやれないのですかということを、私は聞いておる。
  26. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 その点につきましては、先ほども申し上げましたように、制度的な面で汚職事故というようなものが起こりがちな制度については、これを絶えず部内監察等も行ないまして、改めるべきものは改めるというふうに今までも努力して参ったということを申し上げたわけでございますが、究極のところは、やはりめいめいの人の心がまえの問題に帰着いたしますことは、これまた先生のお言葉通りでございますので、そういう点に対しましては、あらゆる機会を通じて、それぞれ所属の長が自分の指揮監督下にある部下に対して絶えず注意を喚起し、誤った行動に陥ることのないように指導をするということに努めておりますので、それにもかかわらず、なおかつ、事故が起こるということも絶無ではございませんけれども、それは私どもの力の及ばない点でございまして、そういうことを今後より少なからしめるように、なお一そうの努力を重ねて参りたい、かように存じておるわけでございます。
  27. 肥田次郎

    肥田委員 この問題に対して、私は、ずばりこういたしますということは言えそうだと思うのですけれども、聞けないのを不思議に思います。ですから、これは悪くいえば、なぜはっきりわかっているのに、これに対して適切な処置をとらないんだろうか、こういう気がいたしますよ。これがわからない、どうにもつかみようがないのです、ということじゃないのです。この点はこういうふうにすればということぐらいは——私らのような経験の浅い者でも、こうしたらこれは直るだろうという考え方は持っておる。それを非常に慎重な態度をとっておられる。だから、悪いけれども、こう言いますよ。国鉄当局のいわゆる上級グループというもの、あれはあんなふうにできておるのだ、こう言う人さえいますよ。あれは黙って見ているんだろうと言う人もいる。いやいや、そうじゃない、どうあるかもわからないということさえ言う人もおる。それともう一つは、肝心なことは、実際に副総裁、あなたはともかくとして、中村理事やその他の方に私はお伺いしますが、こういう問題が起こって、いうところのいわゆる国鉄の服務規程に従って職員に精励恪勤せよという達示が、実効があると思いますか。これは一つ一人ずつから、こういう状態があまり続くので、私は、お考えのほどを聞いておきたいと思います。
  28. 中村卓

    ○中村説明員 実は、昨年新幹線の問題が起こりましたときに、総裁からは二回にわたって綱紀粛正の通達を出したと同時に、また一回は本社の課長以上を集めて、それこそほんとうに声涙の下るようなお話があったわけであります。われわれといたしましても、その話をじかに伺いまして、ますます感銘を深くすると同時に、また一そう自粛自戒しなければいけないという気持を、これを聞いた者がひとしく持ったろうと確信いたしております。なお、そのテープは、支社長会議で支社長が集まったところで後日聞かせまして、支社長等も、ぜひうちの部下に聞かせたいというので、リプリントをとりまして、各社へ送りまして、各社でおそらく数回にわたって総裁の訓示と申しますか、訓告は十分聞いておるはずでございます。そういう点につきましては、私といたしましては、特にあの問題に関連いたしまして、特に部内の幹部級に対しては、総裁のお気持が徹底しておるのではないかというふうに感じております。
  29. 關四郎

    ○關説明員 私どもも、もちろんそういうことがあってはいけないことでありますし、また、私自身電気関係の請負工事の問題で、こういう点の他から疑いを受けるようなことはいやしくもしないということについては、非常に深く考えてやっておりますので、この点は、常々もお互い注意し合って、疑いを持たれることのないようにということで注意をいたしておりましたのですが、少なくとも疑いを持たれただけでもこれは大へんに残念なことだ、こういうふうに考えております。実は、車両の契約の問題でございますが、あのような課長とか何かが裁量できるというようなことのできないような制度をすでに四年前からやっておりまして、実は車両の発注についても、国鉄部内に車両購入価格調査委員会というのを三十三年の十月に作りまして、これの答申に基づきまして、なるたけ車両の価格を安くするために集中発注をする。それから計画生産を行なえるようにする。それと同時に、発注数量については、過去三年間の契約実績というものを八割見ていく。その残りの二割については、これは技術とか、品質とか、経営努力とか、または国鉄に対する協力の度合いとか——協力の度合いというのは、期限通り物を納めたとか何とかいう、そういうような要素をまじえまして、これによって計数的に出せるようにして、最終的にはわれわれがそれをきめるということにいたして、そういうようなことの、少なくとも発注数量に対して手かげんをするというようなことのできないような制度を四年前からとっているわけでございます。
  30. 肥田次郎

    肥田委員 こういうふうに問題がたびたび起こってくるということは、私はここで一言言っておきたいのは、これが最近の、今目前のことでないからということで、私は、しいて言えば、まだまだわれわれは国民に言いわけが立つと思うのです。何か今出てくるのは、昔のことを掘り出されているのだというような言いわけができますからね。しかし、それは、皆さん方も、そういうつもりで残念だ、残念だと言っておられるのと違うのですか。私は、残念だという言葉は、皆さんから出てくるはずはないと思う。申しわけないという言葉は出てきても、何かおれらに責任がないのにこういうことができてはなはだ残念だと、さも不満らしい言い方をされておる。残念なんですか、皆さん。
  31. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 私が残念だと申し上げましたのは、先ほども申し上げましたように、そういうようなことがあるとは信じられませんので、そういう意味で残念だと申しております。しかし、いやしくもこういう疑いを招いたということが起こった事柄に対しては、申しわけないと思っております。
  32. 肥田次郎

    肥田委員 私は、残念だという言葉と申しわけがないという言葉とは、全く相反するニュアンスを持っておると思う。残念だということは、私が今言ったように、おれらの関知せぬことがこういうふうに起こったのだ、こういうふうにとられる。申しわけないということは、これはすべての責任はわれわれにあるのだからということになる。国民は、やっぱりそういうことを聞きたいのじゃないかと私は思いますよ。申しわけがない、具体的な方策はこうやります、これがあって初めて、こういう記事に対して国民は安心するのでしょう。私は、この責任というものははっきりされなければならぬと思う。たとい過去のことであっても、あれは何代か前のことだからわしは知らないということでは通らない。何年前であろうとも、当時の責任者じゃなかろうと、あろうと、今の責任者が一貫して国鉄経営に対する責任を持たなければならぬことは、これは当然のことなんです。こういう責任について、ただ残念だというふうにお考えになるのか、申しわけないということで、何らかの責任処置をとろうというふうに考えておられるのか、これも一つ念のために承っておきたいと思います。
  33. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 先ほど来申し上げますように、現在取り調べが進められておるわけでございます。その取り調べの結果によりまして、もちろん私どもとして責任は明らかにいたすつもりでおりますけれども、今まで、こういうような事故を防止いたしますために、制度的な面におきましても、また心がまえの面におきましても、できるだけの努力はしておったつもりでございまするし、また、たまたま今新聞に伝えられております立場職員の人柄その他から考えまして、私どもは、新聞に伝えられるようなことがあるとは信じがたいという気持を、そのまま率直に申し上げておるわけでございまして、そういう気持から、私は、あのようなことが報道されるということを残念に思っておるのでございます。しかし、たとい事実があろうがなかろうが、そういう新聞記事が出るということは、疑惑を招く種がどこかにころがっておるからこそ、そういう記事も出たことと思われます。そういう意味におきましては、申しわけないと申し上げておる次第でございます。
  34. 肥田次郎

    肥田委員 私は、あなたの御答弁を聞いておって、まことに隔靴掻痒の惑がいたします。あなたは、取り調べ中だ、取り調べ中だと言われますが、私は、あなたにどういうふうに責任をとりなさいと言っておるのじゃない。けれども、あなたが取り調べ中だと、こう言っておられるでしょう。取り調べ中だというのは、この東洋電機関係について三千万円国鉄の方へ使っているらしい、その使っている内訳は、今調べているのだということを警察は言っておる。これが取り調べ中だ。ところが、新幹線汚職については、去年の五月から始まって、二、三カ月の間にある程度の結論が出ているじゃないですか。大阪工事局の次長ですか、こういうような現職関係、これは今の東洋電機関係取り調べ中の関係、こういうものの答弁とは関係ない。今までそういうふうにあったことについて、どう考えておられるか、責任は一体どう考えておられるのかということを私は聞いておるのです。
  35. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 新幹線汚職の問題を含めてのお尋ねだと思いませんでしたので、あのように申し上げたわけでございますが、新幹線汚職問題が起こったことにつきましては、全く申しわけないと思っております。また、そのことにつきましては、先ほど先生も言及なさいました通り十河総裁もえりを正しておわびをいたしておるわけでございまして、私どもも、二度とあのようなことのないように努力をしておる次第でございます。  なお、処分のことについてお尋ねがありましたが、それぞれ懲戒処分をすべきものは処分をいたしましたし、また、刑法犯でありますので、判決の確定を待たなければならないものにつきましては、休職の処分をするというように、それぞれ処置をいたしておる次第でございます。
  36. 肥田次郎

    肥田委員 あの新幹線汚職について私らが質問を継続しなかったのは、もうああいうふうに出たことであるし、総裁もああいうふうな決意を言っておられたし、それから特にその中間において、重大な決意をするとまで言われたから、これについては国鉄におまかせしておいていても大丈夫だということで、それ以後の追及は全然やっておらない、これは皆さん御承知の通りです。一時は、こういううわさが出ました。総裁もお気の毒だけれども、やはり今度は責任をとっておやめになるのだろう。これはわれわれとしてあまり追及しないで、これによって国鉄がりっぱになれば、これに越したことはない、こういう声が出ていましたよ。ところが、いつの間にやらそのままずるずるっと今日に及んでおる。そうしてまたこれが出てくる。こうたび重なれば、この取り調べが終わるのを待ってとか何とかいうことじゃなしに、やはり具体的に、どうしてもこういう点は改めなければいかぬから、こういうふうにやりましょうという責任のある答弁が出てくるはずだ、こういうふうに考えるのです。それを私は言っているのですが、何か取り調べ中だとか、いや、やっておるのだとか、心がまえの問題だとか、こういうような答弁ばかりでは、この問題を取り上げた以上、どうも納得できかねる。先ほど言ったように、片一方では一生懸命みんな働いておる。汗まみれ、油まみれになって国鉄輸送任務達成のために一生懸命に働いておる。にもかかわらず、一部では依然として過去のものもひっくるめて汚職々々というふうに騒がれる。これは四十数万の国鉄の中で、ほんの一部分です。これの責任をどう感じますかということと、これで完全な労務管理ができると考えられるかということをお尋ねしておるのです。
  37. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 多数の職員の中のごく少数の者であるにせよ、こういう疑惑を招くような事実が出て参りますことは、まことに遺憾しごく、申しわけなく思うのでございます。また、私どもの労務管理という面におきまして、こういう事実が起こるということは、非常にまずい話であると思っておりますが、しかし、国鉄経営というものは、国鉄の私ども上から下まで全部が一体となって国民に対して責任を負わされておる問題でございますので、今後も、足らない点は多々あると思いますが、自粛自戒いたしまして、御期待にそむかないように努力をいたしたい、かように考えております。
  38. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。私ちょっとおくれたものですから、おそらくお聞きになっておられるかと思いますが、もう一度お聞かせをいただきたいと思うのです。この東洋電機国鉄からおやめになって入っておられる方々は何人くらいですか。
  39. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 国鉄の退職者で役員として入っております者は、会長を含めまして三名でございます。それから職員として入っております者が三名でございます。
  40. 井岡大治

    ○井岡委員 これは新聞記事ですから、あなた方はまだ十分そういうことは明らかでない、こういうことを言っておいでになるわけですが、これによりますと、かなり前から国鉄とのつながりがあった、こういうように理解していいのですか。
  41. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 東洋電機という会社とうちとの関係は、かなり古いものでございます。
  42. 井岡大治

    ○井岡委員 これは特殊品であるから、いわゆる指名入札とか随意契約という形でおやりになっておると思うのですが、しかし、今度の場合は、そこに大きな問題があると思うのです。そういうようにお考えになりませんか。
  43. 關四郎

    ○關説明員 東洋電機は、大正七年に創立されましたが、これはもともと創立当時から電車製作ということが東洋電機の目標でございまして、このために、最初に日本電車を国産化したのは東洋電機でございます。御承知のように、都電の古い電車などのコントローラーのところを見ますと、全部東洋電機と書いてございまして、これが日本で一番歴史の長い電気車両メーカーでございまして、そういう点で、車両部品の特殊なものについて、非常に優秀な技術を持っております。たとえば心臓部であります主電動機であるとか、あるいは制御器、パンタグラフというようなものについて、非常に特殊な技術を持っておりまして、特に四、五年前に、カルダン台車というような、従来のつりかけ式の電動機の取りつけ方法に対しまして、カルダン式の動力伝動装置を作りまして、これが日本電車が長距離運転用として非常に活躍できるもとになったものでございます。そういう点で、電気車両の技術としてはまず第一級だ、こういうふうに申し上げられると思います。
  44. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、第一級であるとか第二級であるとかいうことでなくて、随意契約をやるということは、第一級だということでおやりになっておるだろうと思う。それだけに、汚職の温床があると考えるのが常識だと私は思うのですが、そういうふうにお考えになりませんかと、こう聞いておるのです。
  45. 關四郎

    ○關説明員 先ほどの御質問のあれでございますが、車両は、これは運転保安に非常に関係がありますために、技術的な信頼のできるところに随意契約という方法をとっておりまして、東洋電機ばかりでなくて、車両メーカー全体について、運転保安に直接関係のあるものにつきましては、随意契約の方式をとっております。
  46. 井岡大治

    ○井岡委員 私の聞いていることを、ポイントをはずしちゃだめですよ。随意契約をやるということは、これは特殊な契約方式なんですから、それだけに便宜供与とか何とか、いろいろな問題があるわけです。ほかのところよりはいわゆる結びつきが濃くなっていることだけは事実なんです。だから、そういうところにあなた方のいわゆる監察というか、検査というか、そういうものの目が光ってこなければいかない、そういうように思わないですか。こう言っているのです。
  47. 關四郎

    ○關説明員 お答え申します。  随意契約をやりますについては、これはおっしゃる通り、そういうような危険もありますし、また、疑いの目を持って見られる場合もございますので、先ほども申しましたように、四年前から車両購入価格調査委員会で答申を受けまして、過去の三カ年の契約実績のほかに、品質とか、技術とか、それから国鉄に対する協力の度合いとか、それから価格を安くする度合いとか、こういうものを考慮して、これによって毎年の発注量をこういうような計数を出してきめるということにして、その随意契約に対して、そういうような便宜供与の入ることのないように気をつけております。
  48. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、これは今疑いで逮捕されておられる方々は、どういう疑いなんです。これは新聞では、納品検査のために贈賄を受けた、収賄した、こういうことになっているわけです。これは間違いですか。
  49. 關四郎

    ○關説明員 新聞記事につきましては、私どもまだ正式に何ら聞いておりませんで、新聞記事を見ているだけでございますから、何とも私どもはわからないのです。
  50. 井岡大治

    ○井岡委員 おそらくそうじゃないでしょうよ。それは表面は、新聞記事に載っておって内容も何も知らないということであろうけれども、少なくとも帳簿なり、あるいは検査なり、参考人なりで、次から次へ調べられているはずなんです。そうであると、最初調べられたときには、おそらく上司に対して報告をしておるはずなんです。そうでないとするならば、これは全く大へんなことです。あなた方は何でもっと調べないのです。副総裁言葉では、そういうことがないとわれわれは信じている。こういうことなんです。けれども、現実にはやはり収賄として拘束を受けているのです。こういう点をもう少し明確にしないといかないのです。
  51. 關四郎

    ○關説明員 それは東洋電機の役職員は召喚を受けているのでございますが、私どもでは、だれも取り調べも、捜査も、まだ受けている段階ではございませんので、私の方としては何もないと信じております。
  52. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、まだ全然何もないということなんですね。
  53. 關四郎

    ○關説明員 今の取り調べの段階では、全然ないとも、あるとも、何とも申し上げようがない、こう考えております。
  54. 井岡大治

    ○井岡委員 「相原弘治国鉄課長らの任意出頭を求め贈賄容疑で取調べをはじめるとともに同社、自宅など数カ所を捜索、証拠書類を押収した。」こう書いてある。任意出頭は、これは取り調べじゃないのですか。
  55. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 実は、会社の方で国鉄課長なんという名前をつけられることは、私どもとしては迷惑だと思うのですけれども国鉄課長なんて書いてあるから、何か国鉄の人であるかのごとくに新聞をお読みになった方は思われるのじゃないかと思うのでございます。それから先ほどもお答え申し上げましたが、相原さんというのは、国鉄におられたこともない方でございます。初めから全然会社におられる方で、会社の方で国鉄課長という名前をつけられたのでございまして、これからそういう名前をつけるときには注意してもらいたいと思います。
  56. 井岡大治

    ○井岡委員 それは私の不明でした。それはそれとして、いいんです。それだけに、ここの会社とあなた方の国鉄というものとの結びつきというものが、非常に深いというふうに理解して間違いないでしょう。
  57. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 私どもの聞いておりますところでは、会社国鉄に対する取引高というものは、会社の総生産のかれこれ三分の一くらいであるというふうに聞いております。そういう意味で、もちろん歴史も古いことでございますし、縁は深かったわけです。
  58. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで問題は、先ほど私が申し上げましたように、そこは、かなり前からの随意契約等で、いろいろ問題があろうと思う。従って、ここのところでもう少し明確にしておかなければいけないと思う。たとえば、私は、幹線汚職のときに、中村常務に、そういう贈賄なり汚職を引き起こすような会社は、今後契約をしないということにしたらどうだ、こう言ったら、それは因ります、じゃ何年くらい——取引は当分中止をする、こういうことでした。だから、こういうことをやるということは、受ける方の心がまえも悪いだろうけれども、やる方は意識的なんだから、そういう意識的なところを、糧道を断たなければ、これは結果としてあなた方が責められるだけだと思う。国民疑惑を招くだけだと思います。私は、そういうことがあってはいけないと思う。そういう意味で、今後この種の汚職の出るような、しかもそういう容疑で引っぱられるというところは、やはりあなた方は糧道を断つ、契約をはずす、こういう考え方で——しかし国鉄にはそれが非常に必要なんだ、こういうことであれば、国鉄の方で今持っておられる研究資料でいろいろ研究されておられるわけですから、別途方法が考えられると思う。ここでなければならぬということではないと思うのです。国鉄としては、ここでなければならぬのですか。
  59. 關四郎

    ○關説明員 ここでなければならないことはないわけでございますが、しかし、これは東洋電機一社で作っているわけではございませんので、たとえば主電動機にいたしますと、川崎車輌、日立、東芝、三菱、五社で作っております。それから電動発電機にいたしますと、東芝、三菱、東洋電機というようなところで作っておりまして、これが現在全体的に製造能力が間に合わないために電車の製作がおくれているというような状態でございますので、製造能力の点から、これを除くということは、需給が間に合わなくなるという点があるのではないかと思います。また、東洋電機につきましては、最近納入がおくれがちということで、国鉄に対する協力程度が悪いということで、最近割当契約高が減っておるというのが現状でございます。
  60. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、関連質問ですから、これで終わりますが、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、いわゆる特殊契約をするところでは、さらに一段と、単なる監査制度でなくて、その部分を直接監査をできる方針を立てることが必要だと思うのです。  それから私は、いつも国鉄汚職が起こったときに考えることなのですが、この前も言ったと思うのですが、あまり同じポストに長く置いておくから、こういう問題がある。といって、一ぺんにしろうとを持ってくるわけにいかぬから、逐次かえられるように下の者を養成していっては交代をしていく、こういうシステムをとらなければいけないのではないか、こういうように私は前にも申し上げたはずなんです。そういう際に、国鉄当局は、その通りだと、こう御答弁をなさるのですが、そういうようにおやりになっておるのかどうか。一点は、ただ一般的な監察制度でなくて、特殊監察制度を設ける。それから随時人間をかえていく。こういうことがやられておるかどうか。この二点を聞いて、私は関連ですから、一応私の質問を終わります。
  61. 中村卓

    ○中村説明員 監査制度につきましては、随意契約の問題に特に力を入れて見ております。それからまた会計検査院あたりでも、こういう問題につきましては、特に随意契約を中心に手前の方の会計検査もやっていただいておるはずでございまして、われわれといたしましては、従来から、相当随意契約につきましては、事前及び事後の調査を厳重にやっておるつもりでございますが、こういう問題が起こったことは、まことに申しわけないと思っております。  それから担当職員の問題でございますけれども、これにつきましては、大体従前からもそうでございましたが、二年ないし三年くらいで交代させるというような方針でやっております。たまたま若干の例外は絶対にないとは申し上げられませんが、原則としてはそういう方向で実施しておる段階でございます。
  62. 肥田次郎

    肥田委員 最後に一、二点質問いたしますが、私は繰り返して言っておるように、こういう問題が起きたことによって、当局のいわゆる全職員に対しての威信というもの、信頼性というものが、非常に低下してくると思うんです。そこで、こういう問題が一部分の問題であるということも、これははっきりしておる。これも繰り返して私が言っているように、大部分の人は一生懸命に当局の言う通りになって働いておる、こういう関係については、当局は、その職員に対して、国民にあやまると同時に、その責任上、何らかの処置が講じられる——何らかの処置というのは、諸君らが一生懸命に働いてくれておるけれども、こういう不心得な者がおって、国鉄の名誉を傷つけ、国民に対して不信の感を抱かしたということの処置だとか、こういうことをやられることによって、具体的には相互監視というものが一そう強くなるだろうと思います。それからもう一つ、人間的なつながりというものは、これは非常にむずかしい問題だけれども、この人間的なつながりを克服しなかったら、問題はいつまでたってもよくなりませんよ。これが一つです。それから特殊の機械というものに関して当局が甘いとか辛いとかいうのじゃなしに、特殊の機械だからこそ、井岡さんが言われるように、ここにいろいろな問題が出てくる。これと直接関係はありませんけれども、先般合理化の対象になっておるところの被服工場、これをやめて、一般の民営工場から安いものを入れるのだ、その方が安いのだと言われた。私は、そのときに、今は安いかもしれないが、これは必ず高くなる。それは、国鉄が今やる機関を持っておるから、それと見合って安い、高いというそろばんがはじけるのであって、ものさしがあるのであって、国鉄が被服を作るこの施設がなくなったら、もう相手の言いなりの値段にする以外にないのじゃないかということを言った。この特殊機械にしたって、同じことなんです。外から間に合わない。国鉄の需給関係がどうもうまくいかない。仕方がないから高く買う場合もあるだろう。向こうは、高く買わすためにはいろんな手段を講じて、高くてもこれをみんな黙っておるように、そういうあたりに物をまいて煙幕射撃をしておいて、その間に高いものを入れてくる、こういうことに三千万円からの金を使った。これは新聞に出ておる。これは新聞責任なら、新聞を訂正さして下さい。書いておる。これを改めるということは、どうすればできるのか。特殊機械だからこそ警戒をして、そこに厳密な値段を入れさせるような、そういう措置を講じなければならぬ。この辺にも大きな手抜かりがある。特殊機械だから仕方がない、特殊機械だから、文句言うたら入品がおくれてくるし、こういうことで黙っておったのでは、品物が幾らでも高くなる。これはもう赤子でもわかる理屈なんです。そういうことに対しての処置が不十分であった。それから最終的には、私は、当局の全体的な適切な処置が欠けておるのだと思う。今後こういう問題が起きないということについて、われわれは、皆さん方の手腕に対して期待をかけます。それから今までの過去のこういう汚職事件というものも、もうこの辺でピリオドを打ってもらいたいというように願っております。しかし、それには皆さん方の重大な決意が必要なんです。これから先のことには注意するけれども、今までのことはもうというようなことでは、私は最初に言ったように、いわゆるこの汚職の本質というものを改めることはできない。過去のことを摘発して、こういうところに欠点があったから、こういうことが起きたのだということを、これは時日を要することじゃなしに、すみやかにそのとき、そのときに処置をされてこそ、初めて私は将来の戒めになるということを考えるのです。この点については、私は、十分な皆さん方対策というものを、責任のある対策というものを、しかもすみやかな対策というものを、強く要望して質問を終わります。
  63. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 久保三郎君。
  64. 久保三郎

    久保委員 ただいままで、国鉄関係汚職というか、そういう問題の質疑がたくさんなされたわけでありますが、私も一言だけ申し上げておきたいと思うのでありますが、汚職の発生要素というのは、まず第一に、業者の方から出てくるのが定石だと思うのです。心がけの悪い人間も、数多くの中でありますから、こちらから業者に対してリベートというか、あるいは贈りものを強要する者もあるいはあるかもしれませんが、常識としては、業者の方から自分仕事を有利に運んでもらいたいというところから出てくるのが、まあ普通だろうと思う。今日まで、国鉄といわず、いろいろなところに汚職があるわけでありますが、これらはほとんどそういう形だと思うのであります。そこで最近、東海道新幹線にからむ汚職ども、どういう結末になったかわかりませんが、あります。最近は、東洋電機ということで、これはいまだ国鉄にはその手が及ばぬというようにお話がありましたが、いずれにしても、最近における国鉄工事量は多くなっておる。たとえば新幹線一つとっても、非常に大きい工事である。さらにもう一つは、車両の近代化によって、車両のいわゆる製造発注ということが、非常に多くなっておる。さらにもう一つは、国鉄が今までやっていた仕事を外部に委託するというか、そういう形がたくさん出てきた。これは特徴的な要素であります。でありますから、当然国鉄当局の首脳部としては、そういう情勢からして、業者自身のすき入る場所を与えないような態勢を下部末端までとる注意というか、手配が必要であったのではなかろうかと思うのです。ところが、今までの汚職その他は、つまびらかには私はわかりませんが、少なくともこれに対する配慮が、ただ単に精神的訓話だけに終わって、おそらく具体的なそういう対策はなかったのではなかろうかと思うのです。副総裁おいででありますから、いかがでしょう。新しいこういう事態、こういう場合には、えてして業者がすき間をくぐって入って参ります。人間はもらいものでありますから、善良な職員といえども、そのわなにかかって、最後は司直の手に渡すということであります。単にその職員一人の問題ではなくて、日本国有鉄道という金看板に、実は信用に、威信にかかわることでありまして、軽々に、これは単に下部職員がやったのだというだけで済まされる問題では私はないと思う。やはり国鉄としての国民に対する前向きの姿勢を正す時期ではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  65. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 全くお言葉通りであると思います。国鉄に対する国民の信頼感というものが、こういう事実が発生いたしますたびに非常に傷つけられるということは、まことに申しわけのないことでございまして、私どもといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、できるだけの努力を重ねておったつもりでございましたが、なおまたこういうような疑惑を招く事柄が出て参るということは、私どもの努力の足らない結果であると考えまして、なお一そう自粛自戒いたすように努力いたしたいと思います。
  66. 久保三郎

    久保委員 それからもう一つ、これは申し上げにくいことでありますが、結局公的の生活において、長い惰性によって今日まできている面がありはしないかという点。たとえば、これは私生活にわたりますが、何か安易に業者との関係が——たとえば一つの例でありますが、業者がゴルフ大会を主催するといえば、易々諾々としてこれに乗っていく。あるかどうかわかりませんよ。一つの仮定として申し上げた場合、そういうのは、長い惰性の中で、通常のことだというふうに考えられている、そういう考えがまだ残っていやしないか。そうだとするならば、当然——これは一つの仮定の例でありますが、もしもそれに類似したことがあるとするならば、これは断じてこの際姿勢を正す一つの方針にしてほしいと私は思うのです。これは、私自身は非常に心配しておるのであります。そういう点でやらぬと、単に職員一般に訓戒をしたとか、訓示を与えたとかいうだけでは、たとえば総裁選で、こういうことが発生したから十分自戒しろというだけでは、これはいかぬだろうと思うのです。これはもちろん、働く者の立場からの一つの規律というものもありましょうが、国鉄ということを見た場合、やはり国鉄首脳部としての、そういう方針なり何なりを具体的に生み出す時期ではないだろうかと思うのです。私は、どういう公的な生活をなさっているかは、逐一わかっておりません。しかし、私の感ずるところ、見るところ、どうもそういうふうに見られて仕方がないのです。私は、東洋電機の問題はどう発展するかわかりませんけれども、それがないだろうというふうに思っております。そんな不心得の者がたくさんあるはずがない、こう思うのでありますが、先ほど申し上げたような業者の競争というものは、役人とか勤め人の考え以上に非常に熾烈である。金もうけには手段を選ばずということも、これは一つの常識になっておる。こういう点を十分考えていただきたいと思います。  そこでもう一つ、これは先般この委員会で出ておる問題でありますが、国鉄の信用の問題では、いわゆる事故の問題でございます。これに対しては、それぞれ訓示というか、指令を発しているようでありますが、私は、事故の真の原因は、探求されておらないのじゃないかと思うのです。真の原因というのは、いわゆる単なる不可抗力であったとかないとかの問題でなくて、いわゆる業務の遂行の体制についてどうなのか。あるいは今日あるところの制度についてのメスを入れたかどうか。これは私の地元に起きた東海駅の事故であります。この機関士は私の親友でありますから、私は非常に心配しております。まだ病院におるそうでありますが、しかし、この人情を越えて考えた場合に、この東海の事故というのは、われわれの常識をもってしては、こういう運転法則は実際はないはずです。主要なる列車は、主本線を通すというのが国鉄の原則であったと思う。ところが、今度はいわゆる二義的な貨物列車を主本線に置いて、主要な急行列車を側線、中線、こういうところを通過させるという事態が、あまりにも便宜主義的な業務の遂行ではなかったか。これが一つであります。  さらにもう一つは、この間じゅう、やはり前後しておきた、山陽線であったかと思いますが、その事故では、いわゆる濃霧のためというか、通信途絶のために、隔時法で運転したという。隔時法というのは、私もよくわかりませんが、時間を限って出すということであります。これは、少なくとも明治五年に東京−横浜間に鉄道が敷かれたときくらいの話でありまして、最近のように列車本数が多い、さらに関係の向きが多いときに、こういう隔時法的な運転方式を許していいかどうか、こういうふうに思うのです。しかし、反論があるでしょう、そうやって通さなければ、現実の輸送には応じ切れないのだという。しかし、国鉄はそこまでやって輸送しなければならぬ義務と責任がどこにあるのか、危険まで予想されるような運転方式をなぜとるのかという点であります。私は、最低限国鉄が今日まで守ってきたのは、まず第一に、安全輸送でなくてはならぬ。迅速というのは——安全、正確、その次は迅速、迅速は一番下と私は見ておるわけであります。なるほど、時代の要請でありますから、最近は迅速がおもになってきた。そのために、安全というものの範囲が非常に狭められてきたということは、考えてもらわなければいけないと思うのです。幸い、聞くところによれば、さような運転方式を再検討する時期だというふうに考えられているようでありますが、私は、真剣に各方面にあるそういう矛盾を解決してもらわぬと、国鉄の信用は落ちるではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  67. 吾孫子豐

    吾孫子説明員 一々ごもっともなお話ばかりでございます。最初の公生活の態度というようなことにつきましては、私どもも、極力身辺をされいにするということをモットーにいたしまして、お互いに相戒めておるわけでございますが、たまたま先ほどお話の中に、業者の招待ゴルフというようなお話も出ましたけれども、そういうような具体的な問題につきましても、いやしくも疑惑を招くということを起こさないように、厳重に注意をいたしておりますので、最近におきましては、そういうことはなくなっておると信じておる次第でございます。  さらに、国鉄の全体の信用に関係いたします運転事故の問題につきましては、過般来重ねて大きな事故を起こしまして、この点につきましては、私どもといたしましても、ほんとうに申しわけないところでございますが、ただいま、今後の事故防止ということにつきまして、なお一そう万全の態勢を整えますように、いろいろと施策を講じ、手を打っておる次第でございまして、お言葉のように、いかに迅速であり、あるいは正確であっても、安全という要素が無視されるようなことがございましては、輸送機関としての使命が果たせないことになりますので、安全第一ということは、今までもできるだけの努力はしてきたつもりでおりましたけれども、なお、こういう機会に、一そう安全確保のための努力を重ねて参る所存でおる次第でございます。先ほど、昨年暮れの常磐線の東海駅における通過貨物列車の取り扱いについてのお話が出ましたが、これにつきましても、その後、あのような場合には、少なくとも一たん停車をさせるというような手配に改めておりまするし、それからまた、山陽線で問題になりました隔時法の運転方式につきましては、これは現在複線区間で、信号が働かなくなり、通信が途絶した場合には、やむを得ず隔時法というような方法をとることにいたしておりますけれども、これもさらに万全を期する意味において、他の方法を併用するというようなことも、ただいま検討いたしております。事故の防止ということにつきましては、幾ら努力いたしましても、これでよいということはございませんので、私どもといたしましては、なお一そうの努力を安全の一点に集中いたしまして、国鉄に対する不安、不信の念を払拭いたしますように、努力を重ねて参る所存でございます。
  68. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、安全とか汚職というのは、えてして精神訓話的な事項に相なりますが、それももちろん必要でありますが、それを受け入れられるような体制を具体的に築くことが私は必要だと思うので、あえて申し上げたわけであります。でありますから、単に安全にやれよということだけではなくて、むしろそういうことができ得るようなシステムというか、そういうものをぜひ早急に確立してほしい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、事故の問題で、先般の事故の御報告がございました。施設の保守にからむ脱線転覆の事故等がございます。これも人間の面といえば人間の面でありましょうが、これらについても、少なくとも十分な配慮が必要だろうと私は思うのです。  そこで、時間もありませんから、さしあたってお尋ねしたいのは、先般予算分科会でも少しばかり申し上げましたが、来年度の予算で、たとえば改良費、あるいは改良費の中の取りかえとか、こういうものが非常に減っている。それに応じていろいろ御苦心もあろうと思うのでありますが、少なくともこの列車、電車を走らせる土台である施設関係について、従来からも申し上げたように、人間ばかりじゃなくて、機械を入れることがやはり必要であります。しかしながら、新保守体制をしこうということで、昨年来いろいろおやりになっているようでありますが、人を減らすというよりは、今日ある人間を高度に使うために機械化、合理化をすべきであると思うのでありますが、どうも最近のやり方を見ていると、人間、要員の面だけを何とかするために機械化、合理化をしようという傾向がございます。最後には、やはり国鉄仕事人間であります。人間の充足をしないままに、さらに機械を入れて、それを減らしていくということになりますれば、今後幾多の事故等も予想されるのであります。そこで私は、本日のところは概括的にお聞きしたいのだけれども、今やらんとするところの施設関係の新保守体制のねらいは、何でございましょうか。どういうねらいでおやりになるのか、一つお尋ねしておきます。
  69. 關四郎

    ○關説明員 これは施設関係の新保守体制でございますが、電気関係で二、三年前から新保守体制をとりました。そのやり方としましては、たとえばトロリー線を張っております電車線を締めておりますハンガー・イヤーというのがございまして、これはボルト締めになっておりますが、これが月に一回くらいずつ上って締めないと、ゆるんであぶないというので、それボルトのないハンガー・イヤーをつけまして、それではしごをかけてやるというような危険な作業を減らすというようなことで、そのために電車線の建設費を二五%くらい浮かすというようなことをやっております。それからまた、変電所では数を減らしまして、変電所自体を、予備を一カ所くらい作っても、運転が続けられるようにしまして、全部を自動遠方制御というようなことにして、人間を減らす、こういうような危険であったり、いやな仕事をなるたけ減らして、充実した能率のいい仕事にする。これが保線の方に参りましては、砂利を砕石砂利にいたしますし、また枕木はコンクリート枕木にする。そうしてレールも大きなレールにするというようなことにしまして、これによってなるたけ例のつるはしをふるってのタンピングの回数を減らすとか、こういうような保守の回数を減らして、それによって人手を減らしていく。人手のかからないような設備をして、そういうような線路改良の装置をしながら、少ない人でもって保守して、そうして新しい保守体制にしていく、こういうことでございます。そのためには、たとえば従来は線路分区でやっておりました巡回と修理というようなことを、巡検班というものとそれから修理班という二班に分けて、おのおのが機動的に動けるようにする、こういうようなことによって、全体的に施設が、コンクリート枕木にし、砕石砂利にすることによって仕事量の少なくなったところへ少ない人間を機動的に動かしてやるというようなことで、線路のわきで仕事をするということは非常に危険な仕事でございますし、また、冬の寒いときとか夏の炎天下では、非常に労働条件の悪いときでありますから、こういうものの仕事はできるだけ減らして、労働環境がいいように、悪いところを減らしていくというのが、新保守体制のねらいでございまして、決して無理やりに労働強化をして人間を減らすというような考え方に立っているわけではないのでございます。
  70. 久保三郎

    久保委員 關さんのお話では、無理やりに人を減らして労働強化をしようという話ではないという。それではないというのは、積極的に労働の軽減をはかるというのでもない、こういうふうにも意地悪くとればなるわけですが、それは言葉のあれですから、よしますが、少なくとも今のお話では、労働強化をしいるものではないと言うが、今の労働強化を軽減することに積極さが欠けていはしないか。しかも、電気の新保守体制も、聞くところによれば、私の地元ではやっているそうであります。それ以外は口頭禅に終わっているのじゃなかろうかと私は見ている、そう言っては悪いですが。私の地元では、完全に移行しつつある。それはどこにあるのか。全国的にそういう新保守体制がりっぱにやられているかどうか。きょうは關さん、その方の所管でございましょうから、お聞きしたいと思うんですが、いかがですか。
  71. 關四郎

    ○關説明員 新保守体制は、先ほど申しましたように、たとえば電車線のハンガー・イヤーというものをボルトのない、手のかからないものにするというようなことでございまして、これは東北線のたとえば宅都宮から北の方の設備、それからまた、常磐線の新しく電化したところは、そういうような人手のかからないような設備になっております。ところが、東海道線のようなところは、いまだ昔の設備が残っておりますので、これは漸次トロリーを二本張る、そうしてボルトのないハンガー・イヤーにかえるということを現在やっておりまして、こういうことが進み次第、そこを新保守体制に切りかえていく。またもう一つは、東海道線の変電所は、今のところ二十キロ置きにありますが、この間に変電所を毎年五、六十カ所ずつ作っていきまして、これが終わりますと、全部遠方制御にして新保守体制にできる。今のところ東海道線が一番おくれておりますが、これは新幹線要員の要るときに間に合わせるようにしようということで、現在鋭意設備の近代化をやっております。北九州は、やはり最近電化したために、新保守体制に移行しております。山陽線も、大体岡山から西の方は、新保守体制に移行する。これは設備が近代的な設備になったところから漸次やっておるわけでございまして、これをごらんになりましても、無理に設備がないのにやっているというようなことはやっていないということの証明になると思います。
  72. 久保三郎

    久保委員 きょうは電気の関係ですから、施設の関係ではまだ無理と言っては語弊がありますが、専門家というのが来ていますか。——關さんから御答弁いただいているから、關さんではちょっと電気の関係じゃなかろうかと、こう思ったのでありますが、それではお尋ねします。  施設の新保守体制は、先ほどお話があった通りにやるというのだが、それは非常に大まかな話でありますから、概要を御披露いただきたい。概要というのは、すでにもらっている書類はございます。ここでお尋ねしたいのは、何年度からおやりになるか。それからそのシステムは、先ほど關常務からお話があったようなことでいいのかどうか。私の知る範囲では、たとえば作業の機械化といって、上級、中級、下級線区に分けて、そこに所要の機械を配置するというようになっているが、はたしてそういう機械が、今日までの経験上、うまく使いこなせるかどうかという問題と、さらには、これによって要員の削減はどの程度見込んでいるか。要員の削減というものを考えているのか。さらに、今日ただいまの施設関係のいわゆる欠員は、どの程度になっておるか。その欠員の穴埋めをどう考えているのか。そういう点できょうは質問を終わります。それを御答弁願いたい。
  73. 柴田元良

    ○柴田説明員 ただいま先生から御質問のありました点につきまして、御説明申し上げたいと思います。  なぜ新保守体制をやるかという根本的な構想は、先ほど關常務からお話がございました。私どもといたしましては、先生方から再三御指摘のございますように、今日国鉄で一番近代化がおくれております部門と申しますと、これは施設の部門でございます。線路の状態は、昔ながらの線路状態と申しますか、構造であります。今日の輸送量、スピードというものに対処するには、幹線につきましては、まだ構造的に十分でございません。こういう問題が一つございます。それから作業の中心が、労力依存と申しますか、労力中心主義でございます。こういったところに施設の大きな問題があるわけでありますが、私どもは、将来をいろいろ考えまして、しかも将来の国鉄輸送というものの発展を期待いたしますと、どうしても現在の線路の構造を根本的に直さなければ、とても輸送にたえられない。根本にこれがあるわけであります。従いまして、近代化の前提は、線路の構造をできるだけ強化する。結果として作業量が減るということは、当然でございます。しかも、その作業をできるだけまとめてやれるというふうな体制に整備したい。また、このことによりまして、従来の労力依存という線路作業を、より一歩高い、高度の技術を駆使する作業体系に早く切りかえたい、こういうことを私ともの念願として考えておるわけであります。最終的な目標は、私どもは、昭和五十年ということを一応目標に考えておりますが、第二次五カ年計画におきまして、一応の線区を想定いたしました。これは、先例もございますけれども、主要幹線七線、延長にして約三千キロの範囲を、軌道の大幅な強化、それから御指摘のございました機械の整備、それと線路状態の実際の狂い、あるいは作業量というものを十分検討しながら、四十年の姿において、約三千キロのそういう幹線、それから中級線と申しますか、使用頻度の比較的低い約八千キロの範囲というものを、新しい体制でもってぜひやりたい。このような一つの姿を描きながら、現在いろいろと検討をいたしておるわけでございます。  機械が使えるかという御質問もございますが、御承知の通りに、こういった作業に使います機械は、二つに分けますと、道床作業が一番大きな労力を従来から要しておりますが、この作業の機械化、これは、従来は手でもってついております作業を、単独ではございますが、タイタンパーという電気を動力といたしましたつき固めの作業方式に、今日すでにほとんど全部、この作業になじんできております。しかし、これはまた単独の作業になりますので、さらにこれをまとめましたマルティプルータイタンパーという言葉を使いますけれども、集約した道床の重作業を今日逐次やって参りまして、かなりの経験とその実績を分析しながら、自信を持って参っております。しかし、この作業の機械の機能的な問題は、まだ今後研究する問題はございますけれども、逐次研究しながら機械化を進める。このように考えて参っております。  そのほか、機械の作業以外に、特に運搬具が一番必要だと私ども思っております。この運搬具は、線路を使うものもございますけれども、やはり将来は、近接する道路を使って作業材料を運びながら線路の作業に従事するような体系をどうしてもとっていかないと、現在の線路が、だんだん作業の時間がとれなくなるということ等を考えながら、運搬器具の能率的なもの、要約いたしますと、そういう二種類の機械を中心に考えて参りますが、このような機械の見通しは、私どもは自信を持って使えるようになると、実は考えておるわけであります。  それから将来どのような要員事情になるかというお話してございますが、これは先ほど申しましたように、軌道の構造が十分強化されますと、いわゆる保守の作業量というものは減って参ります。このことは事実でございます。こういった面では、労力という作業量に見合うもの、これは当然減って参ります。しかし、将来いろいろと線路増設その他設備の増という問題もございます。そういったことをいろいろとかみ合わせながら、将来の要員の姿というものを描いておるわけでありますけれども、昭和四十年度におきまして、理想的にこの体系がとれると私どもが想定いたしました場合におきましては、幹線に参ります方々もおられますけれども、作業量という面から検討いたしますと、大体千名程度の労力面におきます作業量は減って、十分の維持ができる、このように実は考えておるわけでございます。  それから欠員の状態、ただいまのところ、いわゆる定員という面と比較いたしますと、私の持っております十月末の資料におきましては、雇用員というものをその中に含めまして、実際の欠員は四百二、三十名という数字でございます。この前ちょっと間違っておりましたので……。
  74. 久保三郎

    久保委員 雇用員を含める。雇用員というのは臨時人夫のことですか。——臨時人夫を除いて幾らですか。
  75. 柴田元良

    ○柴田説明員 約七百名の臨時雇用員を持っておりますから、七百と四百、千百というのが、線路工事という職名におきます欠という姿でございます。
  76. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんが、申し上げますが、そうしますと、雇用員を入れても四百何十名が不足、この要員対策については、雇用員を職員に直すとか、あるいはいずれにしても定員に近づけるのか、近づけないのか。このままで参った計画だと、四十年で大体千名程度減らしてもいいということになりますが、それまでその形態をもっていくのかどうか。先ほどの御説明では、四十年になれば、約千人の労力を節約できる。いわゆる定員から千名減らしてよろしい。今日定員から比較すれば、正規の職員は約千百名少ない。そういう体制をそのまま持続して新保守体制に移行していくのかどうか。それとも、その現実に見合ったように、さらに定員化をはかっていくのかどうか。そういうお考えはどうなんですか。
  77. 柴田元良

    ○柴田説明員 先生の御質問の中に含まれると思うのでありますが、現実に東海道初め線路の強化工事をいたしております。こういった作業に、現在の保守に従事いたします線路工手の諸君が、平均して二割程度は従事いたしておりますが、この二割程度の方々の穴埋めというものは、保守の面で、先ほど申しました臨時雇用員あるいはそういった仕事でもってカバーいたしております。そういった今後四十年までの間におきまして、いろいろと作業がふえて参ります問題を考えながら、毎年消化されて参ります分に見合う作業量の減と、それから部分的に機械などを使いますことによります労力減、このようなことを突き合わせながら考えて参りますと、ただいま申しました欠員の程度というものは、主として幹線はもちろん充足する必要がありますが、その見合いにおいて、私は、何とか切り抜けていけるのではないか、このように考えております。
  78. 久保三郎

    久保委員 いずれまた時間のあるときにお尋ねしますけれども、見合いにおいてという大へん言葉の言い回しが上手なので、はっきりわかりませんが、大体この形をそのまま持続していくということになるようでありますが、そういうところから、今日いろいろな問題が出てくるのではなかろうかと思うのであります。私は、四十年に千人程度減らすことが正しいものであるとするならば、これはその時点において考えればいいと思います。しかし、今日まだそういう体制になっておらないのでありますから、それまで、早くいえば一つの穴があくという格好が見えるわけです。なるほど臨時雇用員を充てるということでありますが、臨時雇用員というようなもの自体に施設の仕事が補われておること自体、問題が一つあると私は思います。だから、正規の職員ではなくて、周年労働をさせながらそういう雇用員の身分で置く。使う方も使われる方も、アウトサイダーの気持になって、真剣なものは出てこないと思います。そういうことでありますから、私は、この際最後に要望しておきたいのは、四十年後の姿はいざ知らず、今日の実態に合ったことだけは、ぜひ最低限確保すべきではないか。どうも今までの五カ年計画その他を見ても、全般の五カ年計画はたくさんやったというが、私は当時から思っておるのでありますが、施設系統——何々系統というものは国鉄にはありませんが、施設の方の意見は、あまり重要視されていないのではないか。上の方は早い列車が去年の秋からうんと走るが、その下の方の意見は十分取り入れられないままに今日まできていやしないか。こういう面もあるように私たちは見ておるわけです。局長は立場上いろいろありましょうが、きょうは吾孫子さんもおいでになりますから、もう少し主張すべきところは主張して、ほんとうにさっき言った安全が確保でき得るような体制を責任をもって作るようにしなければならなぬと思います。  きょうは時間もありませんから、以上にしておきますが、この次の機会には、もっと詳細にいろいろ御意見も伺いたいと思います。      ————◇—————
  79. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 この際お諮りいたします。  先般の土讃線の事故について、その実情を調査するため、委員を現地に派遣いたしたいと存じますが、それには議長の承認を得なければなりませんので、その派遣人員、派遣期間など、その承認申請の手続をすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう取り扱います。  明後九日、午前十時より商工委員会と連合審査会を開きますから、御承知おきを願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会