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1962-02-02 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二日(金曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 福家 俊一君 理事 山田 彌一君    理事 久保 三郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    砂原  格君       高橋 英吉君    竹内 俊吉君       西村 英一君    細田 吉藏君       三池  信君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       島上善五郎君    田中織之進君       肥田 次郎君    八百板 正君       吉村 吉雄君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  今井 榮文君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         参事官)    富永 誠義君         北海道東北開発         公庫総裁   岡田 包義君         北海道東北開発         公庫理事    県  二郎君     ————————————— 二月二日  委員増田甲子七君、松原喜之次君及び矢尾喜三  郎君辞任につき、その補欠として竹内俊吉君、  八百板正君及び吉村吉雄君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員竹内俊吉君、八百板正君及び吉村吉雄君辞  任につき、その補欠として増田甲子七君、松原  喜之次君及び矢尾喜三郎君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 一月三十一日  老人の国鉄運賃割引に関する請願外一件(佐藤  虎次郎君紹介)(第四〇五号)  同(藤井勝志紹介)(第五五〇号)  同外二件(逢澤寛紹介)(第六一六号)  赤穂線早期全線開通等に関する請願逢澤寛  君紹介)(第四三六号)  宇野高松間海峡連絡鉄道早期実現に関する  請願逢澤寛紹介)(第四三七号)  大畑、大間間鉄道敷設に関する請願三浦一雄  君紹介)(第四三八号)  大間修築等に関する請願三浦一雄紹介)  (第四三九号)  鹿児島奄美大島間旅客定期航路事業に対する  航路補助金増額等に関する請願池田清志君紹  介)(第五〇五号)  戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する  法律による乗車券家族共用に関する請願(關  谷勝利紹介)(第五一六号)  同(高橋清一郎紹介)(第五四九号)  同(始関伊平紹介)(第五九〇号)  同(大上司紹介)(第六一七号)  宇野高松間海峡連絡鉄道早期実現に関する  請願福家俊一紹介)(第五一七号)  福知山線大阪、宝塚両駅間の複線電化に関する  請願山口丈太郎紹介)(第五九一号)  東京都滝野川銀座副道に鉄道踏切設置請願(  鈴木仙八君紹介)(第六一八号)  信越本線軽井沢長野間電化促進に関する請願  (中澤茂一紹介)(第八〇八号)  同(原茂紹介)(第八〇九号)  同(松平忠久紹介)(第八一〇号)  甲府、長野問国鉄複線電化に関する請願中澤  茂一紹介)(第八一一号)  同(原茂紹介)(第八一二号)  同(松平忠久紹介)(第八一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空に関する件  陸運に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件及び航空に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。壽原正一君。
  3. 壽原正一

    壽原委員 一つ航空局長に、北日本航空という航空会社の件についてお尋ねいたします。私が北海道北日本航空の問題についてお尋ねするのは、北海道五百万道民の総意で質問するのですから、そのつもりでお答え願いたい。  北日本航空が現在どういう許可内容になっているか。それをちょっとお聞かせ願いたい。
  4. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 北日本航空につきましては、現在不定期団体輸送という形で運輸省航空局長の承認によって運航いたしております。
  5. 壽原正一

    壽原委員 それは貸し切り営業ということですね。
  6. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 その通りでございます。
  7. 壽原正一

    壽原委員 それではお尋ねするのだが、航空会社をあなた方が許可をして、その後の運営状態について一体監査を行なったことがあるかどうか。これをお聞きしたい。
  8. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 航空会社運営許可いたしました後におきましては、その運航許可した直後、経営上の監査を行なうこともございますし、特に私どもが最も重点を置いておりますことは、安全上の検査でありまして、これは操縦士運航規程に従って、あるいは局の運航上の指示に従って運航しておるかどうか、あるいはまた整備関係が十分に整備規程によって行なわれておるかどうかというふうな、主として安全上の検査重点を置いて検査を行なっております。
  9. 壽原正一

    壽原委員 北日本航空に関しては、監査を行なったことがあるかどうか。
  10. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 北日本航空につきましては、秋田空港基本施設が完成いたしました後に、たまたま国民体育大会がございまして、その当初、臨時団体輸送運航申請がございました当時に、その運航について、輸送実態について、監査をいたしました。その後は、なお運航実態につきまして、会社関係方々をお呼びして、局におきまして関係の課でいろいろ質問をいたしたこともございます。さらに、特に最近におきましては、北日本運航実態不定期団体の範囲を行き過ぎておるのではないかというようなお話が間々ございますので、係官を現地に派遣いたしまして、現在調査を行なっておる状況でございます。   〔委員長退席高橋(清)委員長代理着席
  11. 壽原正一

    壽原委員 その現在あなたが調査しておるという状況が、今わかっておりますか。
  12. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 派遣いたしました関係官がまだ北海道から帰って参りませんので、帰りましてから十分事情を聞きたいと思っております。
  13. 壽原正一

    壽原委員 それでは航空局長があまり知らぬようだから、私から教えてあげようかね。  北日本航空、これは団体貸し切りの名目で東京へ乗り入れている。そして現在は、その団体貸し切りという名前のもとで個人々々に切符を売って、普通の航空許可されたごとくにやっておるという現状だ。この点は知っておるか。
  14. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 そういう事実については存じておりません。そういうことはしていないと実は思っております。
  15. 壽原正一

    壽原委員 それではしていないということであったならば、私から知らしてやるんだが、こういうパンフレットは見たことがあるか。
  16. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 今初めて拝見いたしました。
  17. 壽原正一

    壽原委員 この問題については、これは違法になるか、ならぬかね。
  18. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 個人に個々に会社切符を売るということは、私ども許可した趣旨には合わないと思います。
  19. 壽原正一

    壽原委員 陸上を走る自動車、これは同じ認可事業でありますが、この認可事業乗り合い行為をやるということについては、厳重な処分を課せられる。ましてや航空輸送という重大な輸送任務を帯びておる会社が、そういう団体という名称のもとに名をかりて、そうしてそういう運航パンフレットを配布してやるということについて、何か処罰をする規定があるのかどうか。
  20. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 航空法処罰規定があると思います。罰金だと思います。
  21. 壽原正一

    壽原委員 これは私は、北海道知事ときのう、電話で話した。この件については知事考えはどうかということを私は聞いてみた。ところが、北海道を代表する知事が、そういうことはもってのほかですから、これだけはぜひ差しとめてほしいというような希望があった。あなた方はそういうパンフレットを見て、実態調査して、そうして明らかにそれは違法であるというような観点であったならば、この会社に対して処置は当然とるだろうと思うのだが、今秋田に乗り入れているという状況——秋田はまだ地上の装備が完全にできておらぬでしょう。それをちょっとお伺いいたします。
  22. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 秋田空港は、現在、滑走路誘導路、エプロン、要するに地上施設は全部完成いたしております。今作っておりますのは、保安施設のみでございます。従来でも、空港によりましては、保安施設ができ上がる前に、地上基本施設ができました場合には、一定の気象上の条件を課しまして、有視界飛行飛行させた例は多々あるわけであります。秋田も同様の立場に現在あると思います。
  23. 壽原正一

    壽原委員 私は、秋田空港が完全に整備をされていないということも聞いておった。のみならず、この北日本航空は、そういうけしからぬ運航をしておって、あなた方がだれそれに頼まれた、だれそれに運動された、こういうことを私は聞いておる。そういうことによってこれがゆがめられるというような行政をつかさどっておるならば、これは即刻に改めてもらわなければならぬ。そうして飛行機購入に際しても、道内ローカル線航空というものに限って特に航空局長許可があった場合は、それに従って運航するというような規定になっているようです。その規定にも反してやっておるということは、あんまがつえを放して歩いておるのと同じような結果になっておる。団体というものは、毎日三人や五人でもって来るものではないですよ。私の調査したところによると、大体四、五人から十人、十五人くらいを運んでおる。一回の運航は一時間十四万円、聞くところによると、そういうような料金もとらないで、一人々々に切符を販売して、そうして各航空のターミナルには、北日本航空という看板が出ておるのをこの間も見てきておる。そういうようなばかばかしいことをやって、そうして航空行政を乱すことを黙認しておるという君らは、おかしいじゃないか。全然そういう問題を調査しなかったという当局に対して、私は深くこれを追及したい。そうしてあなたのところに行って最初私が聞いたときに、あなたは、なかなかあの件についてめんどうでございますと言うた。ところが、この間聞いたら、あれは許可しなければならぬ情勢だろうと言うておる。どういうことなんだというて調べてみたところが、これを猛烈に運動した人間がいる。その人間名前は私はよく知らぬが、その人間のいわく、池田総理大臣の同級生だの、佐藤通産大臣の友だちだの、そういう肩書を持っている。そうしてこれを運動するというようなけしからぬことであっては、航空行政というものはゆがめられなければならぬというような状況になってくる。そういうことは厳に慎んでもらいたい。この件については、あなたは私からそういうものを見せられて今驚いたような格好ではあろうが、あなたはこれを許可するというように踏み切っておられたようだが、断じてそういうことであってはならぬ。この六億の会社経理内容について、あなたは調査したことがありますか。
  24. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 経理内容については、調査いたしたことがございます。
  25. 壽原正一

    壽原委員 六億円の会社全部、完全会社というふうにあなたは解釈しておったかどうか。それを聞いておきたい。
  26. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 北日本経理状況につきまして、私どもが調べました点を申し上げますと、北日本の三十六年三月末の決算について見ますと、収入の総額は一億一千万円程度で、昨年の二・五倍になっております。支出総額が一億一千万円でございますから、約二百万円程度——先ほど一億一千万円と申しましたのは、正確に言うと一億一千三百万円でございます。支出総額一億一千百万円でございますので、三十六年度には二百万円の利益を計上いたしております。しかしながら、三十六年三月末の資本金は二億四千六百万円でございまして、繰り越し欠損を差し引いた正味資本は一億五千万円、これに対して負債総額は五億六千四百万円に上っておりますので、負債比率は相当高率でございます。従いまして、負債比率を見ますと、必ずしもよくないと思います。しかしながら、航空会社そのものについて見ますと、やはり機材を新しく導入した会社につきましては、大体このような結果が出ておるようでございます。先生のおっしゃる通り会社そのものは、必ずしもいずれの点から見ても健全な経営状況だということはできないと思いますが、ほかの航空会社と比べた場合に、必ずしもこの会社だけが非常に飛び抜けて悪いというふうなこともないように見受けられます。
  27. 壽原正一

    壽原委員 一月三十一日の毎日新聞に、北日本航空が今度の運審にかけられて、そうして許可の運びになるというような記事が出ておったのですが、これは許可するつもりであったのかどうか。それをちょっと聞いておきたい。
  28. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 お答えを申し上げますが、北日本航空に対してこの路線免許を与える意思があったかどうかということでございますが、これは、現在までのところ全くそういうことは考えておりません。私ども不定期団体という特殊な形であの飛行を認可いたしました趣旨は、実は先ほど申し上げました通りに、十月に秋田国体があるということで、秋田県の方からはぜひ飛行機を寄せてもらいたいというような強い要望があったわけであります。さらにまた、秋田空港基本施設ができ上がりました後におきまして、北海道秋田人会であるとか、あるいは農業協同組合というふうなところから、これは先生の方がよく御存じだと思いますが、秋田県と北海道との関係が非常に深いという関係で、陳情があったと私どもは了解いたしております。そういうふうな陳情がございまして、国体が済んだ後におきましても、何らかの形で秋田空港運航上の安全な限度において使わせる必要があるというふうな認識を、私どもとしては持ったのでございます。これは、地元の非常に強い要望にでき得る限りの限度でこたえなければならぬ。それからその場合に、北日本からは路線免許申請が出ておったのでございます。しかしながら、私どもといたしましては、北日本に従来私ども道内輸送を完遂するという建前任務を与えておるというふうに感じておりましたし、それから内地の全国的な主要ローカル線につきましては、従来の建前は、当然全日空が全体をネットする。それから局地的なローカル等については、それより小規模な各会社がそれぞれ経営いたしておる。そういう状況でございます。従いまして、北日本航空東京への路線というものを当時の状況において認めるというふうなことは、従来の国内航空輸送秩序という観点から適当でないという考え方で、従って、路線免許はこれを行なわない。しかし、さしあたって現実の場合といたしまして、全日本空輸は、十一月の申請におきましては、四月から以降でなければ秋田路線は開設しないということでございましたので、その間暫定的に路線権を伴わない輸送の仕方、つまりいつでもどういうふうにも変え得るという形で、不定期団体ということで認めてきたわけでございます。今の私の説明によってもおわかりになる通り北日本に対して政府路線権を与える申請を受理して、手続をして審議会にこれを持ち込むというふうなことは、全然今のところございません。
  29. 壽原正一

    壽原委員 その件についてはよくわかったのだが、開発公庫にちょっとお伺いしておきたい。  あなたの方で北日本航空融資をしておるということを聞いたのだが、その融資の額、並びに融資に対する条件があるというようなことを私はちょっと聞いたのだが、そういう事実があるかどうか。これをちょっと聞かしてもらいたい。
  30. 岡田包義

    岡田説明員 お答えいたします。北海道開発公庫でございます。  北日本航空会社に対しまして、当公庫は六千万円を融資いたしております。貸付年月日は三十五年三月三十一日でございまして、期限は四十五年三月二十日までに償還ということにいたしております。  次に、六千万円貸し出しました条件があるかというお尋ねでございますが、条件をつけております。以下、それを詳細に申し上げさせていただきます。一口に言いますと、全日本空輸北日本との合併、適当の時期になるべく早く合併するということを条件につけておるのでありますが、それを一口でなしに詳しく申し上げぬと御満足いかぬかと思いますから、ちょっと冗長にわたりますが、ごかんべん願います。三十五年三月二十二日付の公庫総裁名をもちまして北日本航空会社社長高岡文夫殿へ次の文面の照会状を出しました。「かねて貴社より、航空機一機(予備部品を含む)及びバス購入並びに格納庫建設資金総額一億二千五百万円の内六千万円供給方御申出の件については、貴社と、全日本空輸株式会社との可及的速やかなる合併条件として承諾見込でありますが、右に関し、御異存の有無、何分の御回答願います。」これに対しまして、三十五年三月二十六日付北日本航空社長高岡氏より公庫総裁あてに「貴発昭和三十五年三月二十二日付、北東公第三十四号をもって御来示の件、当方異存御座居ませんから、御了承願います。」次に、全日本空輸社長美土路昌一殿あてに三十五年三月二十二日公庫総裁名をもちまして照会状を出しました。「かねて、北日本航空株式会社より、航空機一機(予備部品を含む)及びバス購入並びに格納庫建設資金総額一億二千五百万円の内、六千万円の供給方御申出の件については、貴社北日本航空株式会社との可及的速やかなる合併条件として承諾見込でありますが、右に関し、貴見承知致し度く、何分の御回答願います。」これに対しまして、三十五年三月三十日付をもちまして美土路社長より公庫総裁あてに対しまして返答が参りました。「昭和三十五年三月二十二日付、北東公第三十三号を以て御照会に係る件、下記の通り回答いたします。記 当社と、北日本航空株式会社合併の件は、一両年来の懸案となっておりますが、当社としても合併に賛成しております。但し、合併条件は、同社経営内容を検討して申出たいと考えております。尚、為念申添えますが、同社に対する貴公庫の御貸付は、当社と直接関係のないものと御了承下さい。」次に、昭和三十五年三月三十一日に公庫総裁名をもちまして北海道知事町村金五殿に次の手紙を出してございます。「拝啓 早春の候愈々御清祥の段大慶に存じます。拠て、貴庁御推薦の下に、北日本航空株式会社より航空機購入格納庫建設、その他資金の一部として、当公庫に対し六千万円の融資申込がありました処、当公庫としては、同社全日本空輸株式会社との可及的速かなる合併条件とするを適当と認め、別紙通り、これに対する両社の意向を照会致しましたる処、別紙通り回答を得ましたので、前記条件の下に、融資承諾を致しました。右御了承を得たく、尚、両社合併実現促進については、今後特段の御高配賜り度御依頼申上げます。」かように手続をたんねんにいたしまして融資いたしたのでありまして、なおよろしく一つお願い申し上げます。
  31. 壽原正一

    壽原委員 全日空とそういう約束をしておったということを、前から局長知っておりますか。
  32. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 公庫融資に際しまして、そういうふうな念書を入れておるという点につきましては、話は伺っておりました。しかし、実物は、今お読み下すったので初めて知るわけでございます。
  33. 壽原正一

    壽原委員 どうも航空局長不勉強でいかぬね。そういうことを聞いておって、日本航空という問題を真剣に考えなきゃならぬ立場にある人が……。外国航路日本航空国内全日空というような基本線だということを私は聞いておったのだが、そういう方針のもとに現在でも考えておるのかどうか。
  34. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 ただいまの点につきましては、私どもが聞いておったというだけではなしに、実際はこの趣旨に従って、微力ではございますが、全日空並びに北日本に対して、私自身として合併についてのお願いをしたこともございます。しかしながら、現在のような体制のもとでは、私どもの強権をもって両社合併させるということは、なかなかむずかしい問題でございまして、従って、今御叱正いただきましたようなことになっておるわけでございます。  ただいま第二段の御質問であります国際航空国内航空体制についての一応私ども考え方でございますが、国際線につきましては、日本航空株式会社法によりまして、現在日本航空が一手にやっております。全日本空輸は、鹿児島沖繩間だけを国際線については担当いたしております。国内幹線につきましては、現在、日本航空全日本空輸が併存の形で運営いたしております。私どもは、この両社幹線運営につきましては、全日空幹線に参加いたしまして以後、非常に機材近代化が行なわれ、両社の適切な競争によって旅客需要は非常に伸び、しかも公衆に対する利便は非常に増大し、幹経運営によって得る両社利益も非常に大きなものになってきておるという意味で、この競争関係は、結果としては非常に成果を上げておるというふうに確信いたしております。今後とも、この両社幹線における運営につきましては、過当競争にわたらないように適切に指導して、共存共栄するような方向へ努力していきたいと思います。ローカル線につきましては、従来、御承知のように、全日本空輸がほとんど大部分の路線につきまして運営をいたしておりますが、現在でもその体制は変わっておりません。ただ、最近の状況を見ますと、昭和三十五年より特に航空旅客需要が非常にふえております。もう一年にほとんど百パーセントずつ、二倍ずつにそれがなってきておるというふうな状況でございます。全日本空輸も全力を上げて航空輸送に努力いたしておりますが、機材あるいは乗員の面において非常に苦心をしておるというような状況であります。しかも一方、空港はたくさんでき上がってくるというような状況でございまして、全国のあらゆる路線にまで全日空がネットするということは、非常にむずかしいのじゃないか。従来力をたくわえております中小の路線各社、たとえば藤田航空であるとか、あるいは東亜航空であるとか、あるいは日東航空であるとか、そういうような会社につきましても、ある程度全日空の全体のネット・ワークを補充させる、あるいはその足りないところを補うという努力は必要ではないかという、全般的にはそういう認識に立っております。
  35. 壽原正一

    壽原委員 岡田総裁、その貸出条件について、全日空合併するという条件で、北海道知事並びにあなたのところの松田総裁が立ち合ってこの金を出したというふうに聞いておるが、もしこれが合併にならぬというようなことで、あなたの方の貸出条件とマッチしない場合、あなたはその金の引き揚げということを考えておるかどうか。
  36. 岡田包義

    岡田説明員 お答え申し上げます。  これは私らの考えといたしまして、当時いろいろ研究したり、方々の意見を聞きまして、できるだけ早く合併する方がよろしいという信念のもとに条件をつけた次第でありまして、先ほど読みましたように、知事にも初っぱなから連絡してあるわけでございまして、両者精神論としては賛成しておることでありますから、万が一にもじんぜんと日が延びて合併ができぬということがないように、合併できるように知事も努力されることでありましょうし、両者もそれぞれ考えることでありましょう。適当の時期には機が熟しまして、あくまで合併ができるものなりと期待をいたしておるのでありまして、万が一のできぬ場合にということは、今のところ、実はさような場合はもうあってはならぬということでおるわけでありまして、この趣旨ができますように、一つ壽先生初めこの委員会皆さん方も御協力願いたいと、私は念願しておる次第でございます。
  37. 壽原正一

    壽原委員 それでは聞くが、現在あなたの方に北日本航空から借り入れ申し込みをやっているでしょう。
  38. 岡田包義

    岡田説明員 賃借り入れしたいという空気があるやには仄聞しておりますけれども公庫に対していまだ申し入れはございません。
  39. 壽原正一

    壽原委員 あるやに聞いておって、まだないということですが、もしあったならば、融資するかどうか、それをちょっと……。
  40. 岡田包義

    岡田説明員 あったならばということは、あったならばそのときに慎重にやるというのが普通の答弁のようでございまするが、そう水くさいことでなしにお答え申し上げたいと思います。  ただいまの問答にありましたごとくに、秋田乗り入れ問題は、いろいろな研究問題もあり、慎重におやりになる模様でございまして、許可されるかされぬかは、今のところ全く五里霧中ではないかと思います。乗り入れ以外に関する航空整備の問題でありますれば、またその意味で独自にそういう申し出がもしありとせば考えるわけでありますが、乗り入れに関連した申し出でありますならば、第一に、乗り入れ問題がきまらぬことには本論にならぬ。それから、当然さような場合には相当の金額になりましょうから、これまでの合併問題がいかに推移するものであるか、あるいはこれまでの貸付状況がどうであるか、会社の全体の経理の状況がどうであるか、北海道運航状況がどうであるかというようなことを慎重に研究いたしませんと、何分の意見もしかる後でないと立てがたいが、さような場合には、要するに超慎重に考えるわけでございます。
  41. 壽原正一

    壽原委員 それじゃ、これを許可されなければ貸さぬということのようであるから、これはこれでいい。  そこであなたにちょっとお伺いするんだが、あなたの公庫に役員をしておる方で、池田総裁の友だちとか、佐藤通産大臣の友だちとかいう人がおるやに聞いておった。これは名前佐藤とか佐藤何とかいうておった。この男があなたのところに勤めておって、そしてこの北日本航空の増資のときに、あなたのところの融資をしておる先へ行って株式の募集をしておったように私は聞いておるし、それから航空局へ行って圧力をかけておるやに聞いておったんだが、そういう事実をあなたは知っておるかどうか。
  42. 岡田包義

    岡田説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話、ごく紳士的に御質問でありますが、そのおっしゃる意味は、裏では大体心当たりが、この人のことを言うておいでになるということは想像はもちろんつくわけでありますが、その点はぼやかして話すことでごかんべん願います。高岡君とは航空会社の社長になる以前から従来その人は懇意でございまして、いろいろと高岡氏と交友は深いように想像いたしております。しかし、公庫をバックにいたしまして圧力をかけたとか、あるいは株式の募集に携わったとかいうことは、私は全然存じませんし、またさようなことはあるべきでないと思っておるのでございます。なおしかし、何らかお疑いがあったことでありますから、今後念を入れまして、さようなことがないように、本人にもきょうの空気を申し伝えるようにいたしたいとは存じております。
  43. 壽原正一

    壽原委員 岡田総裁はなかなか答弁がお上手で、怒るにも怒れぬが、うしろから言えと言うからはっきり言うが、佐藤弥というやつだ。これが池田総裁の友だち、佐藤通産大臣の友だちだというて、航空局へ二へんも三べんも行っておる。また、融資先へ行って株のあっせんもしておる。自分の職場に出もせぬ。そういう者を公庫で一体養っておかなければならぬ義務があるかどうか。それを聞いておく。
  44. 岡田包義

    岡田説明員 公庫のため及び北海道のためにいろいろ御注意いただきまして、まことに恐縮に存じます。今後御趣旨はよくくみまして、できるだけすみやかにおかしいところは直す、いいところはなお伸ばすようにいたしますから、きょうのところはこの程度で一つ……。
  45. 壽原正一

    壽原委員 そういうことでごまかしちゃいかぬ。そういう者に、天下の公金で俸給を払って養っておかなければならぬ義務があるかどうかということを聞いておる。
  46. 岡田包義

    岡田説明員 御訓辞のほどはよく体しますから、一つまげてこの程度で……。
  47. 壽原正一

    壽原委員 岡田総裁、私がきょう質問するのは、公庫のあり方についても是正せんければならぬ、また、航空局のあり方についても、将来航空行政というものをゆがめちゃならぬということから聞いておるのですよ。そういうように航空局へ行って圧力をかけて、そしてこれを許可しろと言うてみたり、そのあっせんによって株式を募集したり、そういうむだなものであったならば、さっそくそれはやめさせた方がいいんだ。これはむだですよ。実際のことで、うそのごとは言うておらぬ。これからそういうことのないように——今までのことは別に私は何にも言わぬが、今でもその態度が改まっておらぬように聞いておるが、その点は現在どうですか。
  48. 岡田包義

    岡田説明員 きょうのお話以前にいろいろと特に寿原先生よりも御注意があった事柄でございまして、実はきょう初めてここでお話を承るというのではないわけでございます。それで、本人にもその趣旨はよく公庫といたしましても伝えてございまして、本人も勤務状況を改めると言うておるのであります。  なお、きょうのお話、こういう席上 でありました以上は、なお強く申しまして、過去のことは申しわけないのでありますが、すみやかに是正をいたすように必ずいたしますから、一つ……。
  49. 壽原正一

    壽原委員 これは市中銀行であれば、私は何にも言わぬですよ。少なくとも公庫という名のつく銀行でそういう不心得者があって、総裁と名のつく者と副総裁と名のつく者がおって、そういうけしからぬ勤務状態にさせておるということは、これは天下のために許せない。そういうことは許せないから、その者の現在までの状況をあとで委員会に文書をもって回答をしてもらいたい。これだけ言うておきます。
  50. 岡田包義

    岡田説明員 はい、承知いたしました。
  51. 壽原正一

    壽原委員 航空局長、こういうような状況下において、北日本航空東京乗り入れを計画しておるという事実をあなたはよく知ったでしょうから、この件については、これをよく体得して、そしてこの問題の処理に当たるということをあなたは言うことができるかどうか。
  52. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 いろいろ先生の御注意をいただきまして、もちろん航空行政が今後どういうふうになっていくかという問題につきましては、先ほど御説明し上げましたように、非常な躍進過渡期になっておるわけであります。十分大臣並びに関係方々と御相談した上で誤らないようにいたしたいと思います。
  53. 壽原正一

    壽原委員 そこでもう一つ、これはあなたに対する最後の質問であるが、あなたは先ほど日本航空全日空というものは二本の柱で、国内全日空、あるいは国外は日本航空というのが基本線だというようなことを言うておったが、全日空が沖繩に行っているんだね。今度は沖繩へ行ったが、沖繩は現在のところ国内とみなして許可したのかどうか。
  54. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 私どもが沖繩線を許可するに至りました経緯は、鹿児島並びに沖繩の従来からの人的並びに物的の交流から、沖繩並びに鹿児島両地元から非常に強い要望がございました。御承知のように、鴨池の飛行場は滑走路がわずか千二百メートルという状況でございまして、日本航空そのものが就航し得る機会は全然ないわけでございます。それからもう一つ、日本航空が出られないという理由のほかに、やはり形式的には日本航空協定による外国路線になっておりますが、私どもの国民感情からいたしますれば、沖繩は非常に身近な、いわば実質的にはローカルに近いというふうな感じを実は持っておるわけでございます。そういうふうな趣旨からいたしまして、特に全日空にあの路線を認めたのが当時の許可趣旨でございます。
  55. 壽原正一

    壽原委員 それでよくわかったが、きょう政務次官は大臣のかわりですね。
  56. 有馬英治

    ○有馬政府委員 そうでございます。
  57. 壽原正一

    壽原委員 それではあなたによく言うておくが、今まで私が質疑していて状況はよくおわかりでしょうが、こういうけしからぬ北日本航空なるものに対して、あなたは一体許可を与える御意思があるかどうか、ちょっとあなたのお答えをいただきたい。
  58. 有馬英治

    ○有馬政府委員 この件につきましては、先ほど今井航空局長から申し上げた通りでございまして、実は大臣を中心にいたしまして、局長並びに事務当局でも相談済みのものであります。
  59. 壽原正一

    壽原委員 その内容は薄々知っておるのであまりしつこく聞きませんが、その意味をよく体して、こういうものに許可を与えないという基本方針をきめていただかないと、こういうものに許可したということになると、将来の航空というものは非常に乱れてくると思う。ですから、その意味を体して、よくあなたも考えておいてもらいたい。これで航空問題は終わります。
  60. 關谷勝利

    ○關谷委員 今の航空問題にちょっと関連して……。今、北日本航空のお話がありまして、これにはいろいろ特別な事情がおありのようでございます。私は航空の問題について別にお尋ねしようと思ったのですが、幸い局長も見えておりますので簡単にお尋ねを申し上げたいと思います。  航空の全般的な考え方といたしまして、日本航空全日本空輸との幹線の配分ということ、これが日本国内航空の基礎になると思います。この点は早く取りきめをして、これを立ててから、またあとのローカルのことも考えなければならない、こういうことになるわけですが、この全日本空輸日本航空との幹線比率をどういうふうにしようとしておるのか。この幹線はそういう二つの会社比率を立てておいて、日本航空は国際経由航空、それから全日本空輸国内のローカルの連絡、こういうことに実際なってくるわけですが、今の北日本航空の場合は、あそこからは東京へ直通線が全日空日本航空もつながっておりますので、私はこの点は今壽原委員が言われておりましたことは筋が通っていると思います。しかし、四国、九州の問題についてこれを画一的にあてはめられた場合には、私たちはそこには異論があります。と申しますのは、北海道東京と直通いたしておりますのが幾つもありますが、四国、九州は直通のものがございません。飛行機というものは非常に時間をとうとぶと申しますか、短時間にそこに到達して用事が達せられるというのが原則であります。ところが、幹線といっておりますのは東京−大阪−福岡、東京−札幌ということになっておりますが、私たちの希望いたしますのは、東京と四国、九州を直通するものだけはあってもよろしいのではないか。これは全四国の島民・九州の方々も同じであろうと思いますが、私としてはそれを希望いたしておりますので、今の北海道秋田東京というのを許可してならないというその原則を四国にもあてはめられたのでは、これは大へんなことになるので、二便も直通がありますのと、直通がないものとをよくおかみ分けをいただきたい。これはおそらく有馬政務次官も事情がわかっておられると思いますが、私は四国と直接つなぎ、九州と直接つなぐものはあってほしいと思う。ブロックごとの航空網を整備するという航空局の案には賛成でありますが、それは必ず一本だけは中央に直結する路線であってほしい。私はどうしてもこれだけはやっていただきたいと思う。これは四国全島民の願いであり、九州の人もおそらく全部それをこいねがっていると思いますので、北海道の場合とは意味が違うということを御理解願いたい。これだけを特に申し上げておきます。  それと今のこの幹線輸送比率その他の問題につきましては、後日お尋ねを申し上げます。
  61. 宇田國榮

    ○宇田委員 航空局長が御列席だから、関連してほかの問題で……。たとえば航空管制ということ、それがために、たとえば福岡でも、着陸と離陸の際に、いわゆるアメリカの飛行機のために民間航空に非常な悪影響を来たす。そして乗客が非常に迷惑をする。たとえば福岡の上空のごときは三十分も待たされる。三十分だと岩国まで行ってしまう。そういうことで非常に時間が狂ってくる。それだから利用者が非常に閉口しておる。それでありますから、航空局長が何かの形で軍の方に交渉されて、離陸、着陸のいわゆる航空管制をなるたけ民間の航空に優先的にやってもらうように、これを一つこの際要望しておきます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連して。航空の問題が出ておりますので、一言だけ申し上げておきたいと思います。特に今日東京都の交通が麻痺しておる。東京都の交通が麻痺しておる原因はどこにあるかといえば、一貫した政策がないからなんですね。それは自動車を制限しろと言っても、通産省の方は、なかなか業界が言うことを聞かない。それでは道路を作ろうといったって、金がないからろくな道路ができない。結局責任を運転手にしわ寄せをしたり、いろいろなところで制限をやっているわけです。しかし、結論的に言うならば、戦争が終わって今日まで十数年間政治をやってきた自民党政府の政治責任が東京都の交通を麻痺させている、こう私は思います。  そこで今度は飛行機の方も、今はまだ割合と整理がしいい時代なんです。今ならまだうまみがないわけですから、整理がつくわけです。それから日本航空というのは、御承知のように国からたくさんの出資をしている。そこへ全日空がある。それで、御承知のように、国際線においては国際線の運賃の協定があるわけでありますから、結局勢い国際線の赤字というものは国内線でカバーしなければならぬ。また、日本航空そのものがまだ浅いわけですから、経済基盤ができていないわけです。ですから、そういう中から今の東京都の交通を考えてみると、空の方ももうそろそろこの辺でしっかりした国の方針を立てておかないと、部分的に北日本航空がどうとかこうとかいう面が出てくると思います。ですから、やはりローカルの問題はローカルの問題としてきめ、全体的なものは全体的なものとしてきめておかないと、やっていることが資本主義、自由主義経済ですから、今にまた、さっきも話が出たように、きょうの方針があしたになれば変わるのだよというつぶやきが事実問題になってきたら困ると思います。ですから、そこはやっぱり局長もしっかりされているし、次官もしっかりされていると思いますけれども、せめて航空行政くらいは、せっかく国の大きな金を入れて今日まで盛り立ててきたわけでありますから、もうこの辺でしっかりした政策を立てて、どこからも動かされないような方針というものを立てていただくように、私も毎回言っておりますし、今いい意見が出ておりました。そう意見が食い違っていないようでありますから、一つ東京都の交通事情とあわせながら空の方も十分御検討を願い、早い機会にしっかりしたものを作っていただきたいと思うわけであります。
  63. 今井榮文

    今井(榮)政府委員 御趣旨を体してしっかりやっていきたいと思います。
  64. 壽原正一

    壽原委員 自動車局長にちょっとお尋ねしたいのだが、きのう東京都の交通問題、タクシー問題についての運送協議会なるものの集まりがあったようだが、その状況をちょっと知らしてもらいたい。
  65. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 お答え申し上げます。  昨日東京陸運局におきまして、陸運局の諮問機関である自動車運送協議会の委員の方と、協議会ではございませんで非公式な懇談会を設けて、当面の問題について協議をいたしました。その協議の内容につきましては、陸運局長から概略を聞いておりますので申し上げますが、問題は、三十七年の東京都における二十三区内のハイヤー、タクシーの輸送力の増強問題をどういうふうにしたらよかろうかということが懇談会の議題になったわけであります。これにつきましては、昨年八月に、昨年の最後の増車の決定をいたしましたときに、協議会から陸運局長に対する要望といたしまして、八月の当時にきめた輸送力は三十六年中に大体消化する輸送力であるので、三十七年に入ると、当時の情勢からいうと、再び輸送需要と供給のバランスがまた違ってきて、需要が増加してくると思うので、当局は三十七年の輸送力の増強対策が早目にできるようにその措置を講ずるようにという要望があったわけです。それにこだえまして、陸運局長は、昨年の十月に、次期の輸送力の策定についてはいかがいたしましょうかという諮問をいたしたわけであります。それに基づきまして、自動車運送協議会は、答申をした昨年の増車が、当時まだもちろん稼働状態に入っておりませんので、調ぶべき情勢、実態というものがまだきまっていないので、しばらく様子を見た上でとの諮問に対して答申をするべきであるということを、協議会において申し合わせまして、その諮問を協議会としては受けたままで今日に至っておったわけでございます。  そこで、昨日非公式に陸運局当局と自動車運送協議会とが今のいきさつを経まして懇談会を開いたわけであります。昨日の様子は、協議会といたしましても、昨年来いっております輸送力の増強は、需要と供給の現状から見れば、やはり三十七年においては輸送力の増強が必要であろうという大体の空気のようでございました。ただし、昨年末ごろの増強の具体的な実施に伴いまして、御承知のように、運転手の不足ということがかなり大きな問題になっております。また、都市交通の混雑、東京都における混雑ということも御承知のような状況でございますので、需要供給の面から見れば、やはり需要の方が強いとして供給輸送力をつけるべきであるけれども、運転手の不足等が今後どういうふうに推移していくかということを、しばらくなお事態を見る必要があるであろうというふうな大体の話し向きになりまして、運送協議会において小委員会を設けて、そういった事態の推移を見ながらなお調査をやっていこうというふうに、おおむお話がなったというふうに了解しております。
  66. 壽原正一

    壽原委員 需要と供給がアンバランスだというような見解を持っておるようであるが、自動車局長の見解としては、現在のこの交通状態でまだ自動車を増強しなければならぬというような情勢かどうか、あなたの見解をちょっと……。
  67. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 需要と供給の関係についてどうかというお尋ねでありますが、単純に需要と供給の点だけから考えますと、今まで陸運局等が調査いたしました資料をつぶさに見てみますと、やはり経済が伸びておりますと同時に、需要は相当強くなっておることは私も認めております。ただ、需要供給のバランスだけでもって、この際さらに車をふやすということが、あるいは交通混雑の問題、あるいは運転手不足の問題等から考えていかがであるかということにつきましては、私といたしましても、いましばらく実情を見た上でその決定をすべきでありまして、今にわかに、今日ただいま車をふやすということはいかがか、かように考えております。
  68. 壽原正一

    壽原委員 今局長さんは、必要であるというようなことを言うておるが、経済の成長率は今年度は下回るということを総理が言うておるでしょう。経済が伸びておると言うけれども、ことしは伸びませんよ。伸びないのに、自動車だけをふやして、そうして交通困難をいたずらに招くというような考えになるということは、ちょっと私はおかしいと思う。毎月一万台ずつ自動車がふえていって、東京の道路状態あるいは運転者の状態、ああいう面を勘案してみて、どの程度ならばあなたが認可した会社が成り立つか、運転手が生活安定ができるかということを、あなた方は検討しているのかどうか。現在の会社状況、運転者の状況は、必ずしもあなた方が考えるようなものじゃないということを、私は率直に申し上げる。  そこで、運送協議会のある委員の話を聞くというと、自動車はもうかっているんだから増車をするんだというようなことを言うやに聞いておる。もうかっておる。商売をやっているのだから、もうからぬしかけのものじゃない。もうからなければ商売というものはやっちゃいかぬのだ。事業というものはもうけるためにやる。もうければ、会社も従業員もともに生活の安定ができるという基本線に立たなければいかぬ。まだもうけているのだから増車をするというような言葉を吐くような運送協議会の委員がいるとすれば、そういう運送協議会なんというものは、何ら意味をなさぬじゃないかと私は思うのだ。(「それが自由経済の原則だ」と呼ぶ者あり)自由経済の原則だなんというひやかしもあるようだが、そういうことであっては、認可事業というものの面が何も意味をなさないということを私は言うのだ。現在、先ほどのように、飛行場まで行くのに、昼間行って一体何時間かかると思う。ここから行くと、普通は大体二十分ぐらいで行く。昼間行くというと、何時間かかるか。一時間半から二時間かかります。こういう状況で、まだ自動車をふやさなければならぬというようなことを、あなた方は基本的に考えておるということがおかしいのです。しかも、景気がいいとか悪いとか言うが、ことしは景気が下回るということを総理も言うているじゃないか。総理も言うているのだよ。あなた方そういうことを考えているのかどうか、それをちょっと聞きたい。
  69. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 最後の御質問の、運送協議会の委員が、もうかっておるからということで車をふやすというようなことを言ったというお話でございますが、(壽原委員名前を言えといえば言います」と呼ぶ)実は、私も昨年の七月まで東京陸運局長をいたしておりまして、当時の運送協議会の委員は、現在も変更がございません。同一の方にやってもらっておりますが、私の局長をしておりました間にしばしば開きました協議会で、単純に、業者がもうかっておるから車をふやすべきであるという議論は出ておりません。やはり社会的にいろいろ練達の人がおそろいでございますので、増車につきまして、単純な、そういう意見ですべきだということは、言うべきでもありませんし、またお話しになっておりませんことを申し上げます。  それからもう一つ、何でございましたか……。   〔「それでよい」と呼ぶ者あり〕
  70. 壽原正一

    壽原委員 まあそういうことを表立って言う者はおらぬだろうが、雑談のうちにそういう問題が出てきている。  それから、あなたは経済の成長率に伴ってという言葉を使っておるのだが、ことしは経済の成長というものはないというふうに私らも考えている。だんだん不況になってきていることの事実はあなたはよく知っているでしょう。これでまだ輸送力を増強しなければならぬ、自動車が足らぬと言うが、自動車の足らぬ原因は、自動車が流れないから足りないのだ。自動車というものは走るものなんだ。その走る通路をふさがれておるから、自動車が待ってもこないから、これが足らぬと称せられる。あらゆる交通機関がラッシュ・アワー時は込んで乗れないから、電車を何台も待たなければいかぬ。それは電車を幾らでもふやせばいいのじゃないかという議論になるのだが、自動車だけを、一番弱い立場にある業者を、あなた方は育成しなければならぬ義務があるのに、どんどん自動車をふやして、この交通難を招いて、そうして自動車許可はおれがやるのだ、取り締まりは警視庁でやれと言ったって、警視庁だって、あまり腹のあんばいが悪いからこんなことはやらぬでしょう。警視庁も限度があるのだ。そういうようなことで、自家用車も規制してもらわなければならぬ。また営業車においてもしかり。大体昭和三十年、時の三木運輸大臣が、われわれ業界人がちょうど陳情に行ったそのときに何と言ったか。自家用を許可するのには、車庫を持たなければ許可しないように規制しますということを言うている。それを何年たって一体あなたはこの法文を作成するつもりなのか。その注文が大体できておるのか。案ができておるか、ちょっとそれを教えてもらいたい。
  71. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま自家用の車庫の問題でお話があったのでありますが、実は、東京都の道路上の混雑緩和の一つの方法といたしまして、路上放置をなくする意味から、営業車は車庫を持っておりますから問題がありませんが、特に自家用車につきまして車庫がないからということで、車庫を持つことを強調したらどうかという話が出ております。運輸省といたしましても、車庫を持つことが路上放置等に効果があれば大いに協力しようということで、その具体的な方法も内閣の交通対策本部等で、私は幹事でございますが議論いたしまして、大体申し上げるような線でその方法を考えることになっております。と申しますのは、自動車をわれわれの方で登録いたします際に、必要ないろいろな書類を添えて持ってくるわけでございますが、その中で、自動車の主なる使用の本拠、これを書くことになっております。従って、主たる使用の本拠には当然車を置くわけでございます。そこに車庫があるかないかということを見ることが、使用の本拠を確認する上において必要であるという考えから、車庫があるという証明書を必要書類として添えて出すように、これは道路運送法に基づきます省令であります道路運送規則の改正によってできますので、今その改正案を自動車局といたしましては作成いたしております。従いまして、その証明書は、警察署長なりあるいは市役所、区役所等において発行してもらって、これを見て、これがなければ登録をしないという方針でいくことに、自動車局といたしましてはきめたのでありまして、近く次官、大臣の決裁をいただく、かようになっております。
  72. 壽原正一

    壽原委員 時間がないようですからまとめて申し上げますので、これを全部警視庁と両方でお返事願いたいと思います。  先般、新聞に、志村観光の問題があった。この運転者不足の状態が今日のあの状態を惹起したというようにあなたも考えておられるようだが、現在東京都内で毎日、一日千八百台から二千二百台までの車——認可された車が稼働しておらぬのであります。これに要する運転者は大体四千人から四千五百人くらい。これだけの運転者がなければ車が稼働しない現状です。これについてあなたは一体どういう考えを持っておるか。  それから運転者の第二種免許の養成状況、これをこの間久保三郎先生があなたに御質問なすったときに、業界も養成しておるが、私らもそういうふうに養成しておるというが、運輸省では一体どういうような形で運転者を養成しておるか、これを聞かせてもらいたい。  それから警視庁に聞きたいのは、運転者で大体一年間に二種免許証を取得する者が何人おるか、昨年一年間では何人できておるか、これも知らせてもらいたい。  それからこの間私は福岡に参りましたところが、白タクが堂々と看板を掲げて二カ所やっておる。これは柏村長官にこの間お会いしたときにも、この状況を申し上げておいたんだが、警視庁ではそれらに対する対策を一体どういうふうにしているか、その点も聞かせてもらいたい。  それから福島県から私らの議員全般に請願書がきておる。これは福島県下において日通が自動車申請の願いを出しておる。ところが福島県下の状況は、非常にさびれたいなかであるために、自動車事業というものは成り立つか成り立たぬかというような非常にきわどい状況にある中に、こういう大資本をもって、そうして大企業が進出してくるということは、中小企業者の一大脅威の的になって、請願書になって現われておる。あなたのところにも行っておるでしょうが、この対策についてちょっとお尋ねしておきたい。  それから警視庁に、交通規制、交通規制とおっしゃっておるが、今乗用自動車のタクシーの方で乗車拒否という問題がたくさん起きておる。ところがこの乗車拒否という問題の解釈の問題、これは自動車の乗降場が定めていないために、自動車に乗せられないところでお客さんが手をあげて、そうしてここは乗せられないのだと自動車の中から言っても、お客さんに聞こえないでそのまま通ってしまう。これがいわゆる乗車拒否というふうに目されておる。そういう自動車で乗っていけないところ、いけるところを、もうちょっと明確にしるしを立てておくような必要がありはせぬかというふうに考えておるのだが、この点についての考えをお聞かせ願いたい。  それから最近運転者のひき逃げが非常に多い。警察庁当局は、運転者から罰金さえとれば文通違反がなくなるのだという誤った力の考えを持っておる。これは非常に間違った考えじゃないかと思う。そうして東京都では昨年は十億六千万円も罰金をとったなんということを言っておるが、運転者から罰金をとるのみが運転者に対する指導方針じゃないだろうと思う。しかも罰金をとるのみならず、運転者に対して二重処罰というて、免許証の取り上げ、あるいは使用停止、そういう二重処罰を過酷に加えておるというふうな現状にあるということをあなた方はよく知っておるでしょうが、そういう問題について、過酷な取り締まりだけでは文通の緩和にならぬということだけはよく考えてほしいと思う。大体運転者連中は好きこのんでやっておるのじゃない。実際指導さえしてやれば、運転者でも良心があるのだから、何とかこれは防止できる。その良心を生かそうとせずに、ただ力をもってこれを制するというような考えは、全く現在の世相に相反するものだと私は解釈する。そういう観点から考えてみて、もう少しそういう問題について何とか親切に指導してやるというような方向に向けてもらいたい。警視庁は、何しろ昔から運転者と巡査というて、これは犬とサルみたいなもので、年じゅうけんかばかりしていなければならぬような状態である。文明の利器を扱っておる運転者に対しても、あなた方の考えをもう少し改めてもらわなければならぬ。運転者に対するそういう過酷な条件よりも、運転者の技術のみならず、そういう交通道徳の高揚という問題について、いま少し教育をしなければならないというような謙虚な態度になぜなってもらえぬかということを非常に残念に思う。どうかそういう意味において、警察庁当局も、運転者に対する処罰は、高い罰金だけをとれば運転者は必ずこれに従うというようなことでなしに、高い罰金をとられるのがおそろしいために、悪いと知りつつもひき逃げをしなければならないというような現状を考えてみて、そういう指導方向に向かってもらいたいということを私はお願いしておきます。  それから道路運送法の改正の問題について運輸省にお聞きしたい。これは前国会で運輸大臣が、必ず改正をして、道路運送法に違反した者に対しては何とか処罰規定を与えるであろうということを言うておる。ところがいまだに今国会においてもそういう気配がないということは、まことに遺憾千万です。その点はどこまで案文が進んでおるか、これをちょっと聞かせてもらいたい。  それから最後に、東京都内の交通状態を一体警察当局あるいは運輸省当局は根本的にどう考えておるか。それから運送協議会なるものは何のためにあるのか、タクシーの増車だけにあるのか、その意味を聞かせてほしい。それだけでほかのことは全然やっておらないようだから、そういう意味合いのことを全部まとめて御返事を願いたいと思います。   〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 広くいろいろな問題に対しまして非常に適切な御指導をいただいたわけでありますが、御指摘の点について順を追ってお答えしたいと思います。  まず第一点は、運転手が不足しておるために車が休んでおる状況についてのお話でございましたが、運転手が不足しておる事実は十分存じておるのですが、しからば一体どういうふうな実態でどの程度不足しておるかということは、実はなかなかつかみにくいわけであります。そこで手っとり早くこれを推定する方法といたしまして、過般東京陸運局におきまして、会社を一部抜き出しまして、その会社についての実態を調べたことがございます。ごく最近の話でございますが、それらを総合いたしてみますと、その調べました全体の中で、休んでおるという車が大体五%ぐらいでございます。もちろんどういう理由で休んでおるかということを調べましたところ、運転者が不足しておるためにやむを得ず休んでおるというもの、あるいは車の整備が悪いので整備中で休んでおるもの、いろいろあるわけでございまして、それらを含めまして大体五%ぐらいの休車状況であるということをつかんでおります。もちろん全社にわたって調べたわけではございませんで、いわゆる抽出方法でやったのでございますが、一応そういう推定ができる一つの資料として業務上の参考にいたしております。  なお従来ハイヤー、タクシーにつきましては、営業上からもフルに車を使うということで、一両につきまして大体二・四人程度の運転手を必要として三交代でやっておりますが、運転手の不足のために、一両の車について一人の運転手にして八時間労働をさせるというような方法も認めておりますが、運転手が足りないために、会社経営にはうま味はありませんが、やむを得ず一両について一人の運転手でやっておるというところが、会社にいたしまして現在約二十社ほど、その画数は百両余りというふうな実情も陸運局において把握しておるわけであります。運転手の不足の状況について当局が一応推定し得る事柄の数字は以上でございます。  それからその次の、しからば旅客用運転手である二種免許の養成に対してはどういうふうにやっておるかというお話でございますが、前回久保先生の御質疑のときにもちょっと申し上げましたが、現在運転手の養成機関といたしまして、陸運局長が指定の養成機関がございまして、この機関で養成を受けますとある程度早くその資格が得られるということになっておりますので、努めて陸運局長の指定を養成所は受けるように指導をいたしております。なお、業界におきましても、あるいは事業者におきましても、みずから養成機関を持っていろいろやっておられますので、そういうことに対しましては、当局としてもできる限りの応援をいたしたい、かように陸運局の方を指導いたしております。  それからその次は福岡における白タクの問題でございますが、全国的に警察の非常な協力を得まして、白タクの取り締まりはかなり浸透いたしておりますが、御指摘のごとく、まだ全く平静に返ったという状態ではございません。はなはだ遺憾でございますが、今後も引き続き努力をいたすつもりであります。  ところで福岡につきましては、お話のようにいまだ組織が残っておるというお話でございますが、ごく最近の情報はまだ聞いておりませんが、あるいは御指摘の通りだろうとも思います。ただ福岡につきましても、特に前から全国的に見て北海道と並んで白タクの非常にばっこしておった地域でございますので、警察との連絡等については十分努力いたしておるわけでございますが、特に福岡の陸運局では、昨年の人事異動に伴いまして、責任の自動車部長を、警察から優秀な人物をもらいまして、これを自動車部長にして局長を補佐いたしておりますので、福岡に関する限りは、今後の取り締まりにはさらに一そう徹底できるものと信じております。なお、お話の点は、早速福岡に連絡をとりまして、一そう取り締まりの徹底を期するように注意を促すつもりでございます。  それからその次は、例を福島県にとられたわけでございますが、日本通運が地方のタクシー事業の免許申請をやっておるという問題に関連しての質問でございます。日本通運が直接ではないかと思いますが、日本通運の出身の方あるいは退職の方が、日本通運からあるいは経済的な応援等を得てタクシーの申請をされておる事実は、これは、福島県郡山、福島もそうでありますが、他の地域にも一、二あるやに聞いております。この問題につきましても、各方面からいろいろ私も陳情とかあるいは御意見を聞いておるわけであります。事はタクシー事業の免許に関することでございまして、申し上げるまでもなく、御承知でございますが、免許につきましては、道路運送法による免許基準というものがございます。この基準に照らしてやるわけでございまして、特定の一つの会社、広い基盤を持つ大きな会社申請をしたからといって、これがいいとかいけないとかという判断はにわかにはできないわけであります。ただ東京とか大阪とかそういった非常に業者の数も多い、車の数も多い大都会は別といたしまして、地方の中小都市以下におきまして、わずかに数社の小規模の会社なり法人が、車両数の少ない事業規模で事業をやっておる、それが平穏にかつ利用者に対するサービスもよくやっておるという状況下におきまして、にわかに大きな資本をもって、しかもそれが他の運輸事業等もやっておる大規模の会社がそこに進出してタクシー事業をやるということは、その地域におきまして小規模ながらサービスもよくやっておる、あるいは経営もどうにか健全化しておるというところに進出することは、今までのそういった事業者に心理的にも影響するところが非常に多いと私は思うのであります。従いまして、そういった場合にそれをどう取り扱うかということは、法的にはそういった事業を免許することが公益上はたして必要であるか、あるいは適切であるかという条項がございまして、これに照らして陸運局長がその土地々々の実情に応じて適切な判断をしてやるべきであると私は陸運局長を指導しておるのでございますが、一般的に申しまして、そういった巨大な資本をバックにして中小都市のタクシー事業に不必要な不安を与え、あるいは不必要な摩擦を与えるということは、これはやはり避けるべきではないか、かように考えております。特に、中小企業育成という見地から、この問題は慎重に考えるべきだということは、先般全国の自動車部長会議を招集いたしましたときにも、当局の意のあるところは十分伝えておいた次第でございます。その次の、道路運送法の改正に関連いたしまして白タクの取り締まりのための強化策、このお話でございますが、この問題につきましては、申し上げるまでもなくわれわれとしてもぜひ法的措置を講じて、取り締まりをさらに効果あらしめたいと考えております。現在のこの法案の進んでおる状況を申し上げますと、方法としまして、そういった違反行為のあった行為者とそれからこれに使った車、この両方を取り締まりの対象にいたしませんと徹底が期せられないということをわれわれ考えておりまして、車につきましては、現行法で任意にナンバー・プレートを提出さすようになっておりますし、また使用の停止もできるわけでありますが、さらにこれを確保するために、ナンバー・プレートを強制的に取り上げる方法を考えております。それから、人つまりそういう運転をした者に対しましては、やはり何としても運転免許証を取り上げるということをしなければ制裁にならないということで、運転免許の問題は、公安委員会の問題でもございますので、警察と密接に連絡をとっておりまして、ただいまのところ一応私の方で考えております草案を警察庁の方に渡しまして、警察庁の方で検討してもらって、近く何らかの回答をいただき、協議を進めて、本国会に間に合わせたい、かように考えております。  それから、交通混雑しておる大都会の交通対策についての根本策はどうかというお話でございましたが、この問題につきましては、内閣交通関係閣僚懇談会、あるいはその事務局になっております内閣の交通対策本部——われわれも参画しておりますが、ここでその原因、方法、打開策等を協議いたしておりまして、新聞等でも御承知かと思いますが、根本策としては、私は、やはり圧倒的に道路が少ない、狭い、これが一番大きな原因であると考えております。従いまして、根本策としては、どうしても、その土地における、東京なら東京におきます経済活動あるいは都民の日常生活に対応するだけの交通量をまかなえる道路を作るべきである、こう思うわけでございますが、ただこれは一朝一夕にできないわけでございまして、そうなれば、応急策としてはやはり交通規制をやらざるを得ない、かように考えております。しかし、交通規制につきましても、できるだけその影響するところを少なくし、しかも交通規制の効果を大きくするということを眼目といたしまして、その方法論につきましては、私たちといたしましても交通行政に携わる経済官庁として、経済あるいは日常生活等、そういう見地から、今申し上げましたような最大多数のために最小の被害にとどめる具体策というものにつきまして、公安委員会等のお立てになる規制の案に対しましても十分協議もいたし、意見も申し上げたい、かように考えております。  それから陸運局にあります自動車運送協議会がどうしておるかという御質問でございますが、自動車運送協議会に陸運局長が諮問すべき項目は相当たくさんございます。ただ現状を申し上げますと、大都市におけるハイヤー、タクシーの輸送力の策定、ほとんど各陸運局ともこういう問題に今までは終始しておるのが事実でございます。これはかつて道路運送法の改正の際に、自動車運送協議会が設けられましたいきさつからいたしまして、そういう経過をたどって参っておるのが実情でございますが、もちろん協議会にはそのほか運賃料金の基本問題あるいは服務規律その他いろいろな問題が諮問できることになっておりますので、そういう線に沿ってこの運営をはかりたい、かように常々私自身も考えておりますが、陸運局長に対しても、そういうふうな運営の仕方でこれを運営するようには話しております。ただ実情は、御指摘の通り、ハイヤー、タクシーの輸送力の策定ということに現在までは終始しておるということが事実でございます。
  74. 富永誠義

    ○富永説明員 残念ながら、警視庁がおりませんので、警察庁の富永でございますが、お答え申し上げます。  第一点、二種免許東京都における合格者、取得者の状況でございますが、東京都だけのがございませんので、全国の状況を申し上げてみますと、年間約三万五千でございます。それで二種免許の試験が非常にむずかしいということが、事実過去にないでもなかった。たとえていいますと、東京でいいますと、二種免許の際にいろいろな適性検査も実施したわけでございます。たとえば反応動作の検査あるいは視覚の検査あるいは奥行きの知覚の検査と、いろいろむずかしい検査をやりましたので、結局東京ではむずかしいから地方へ行くというような、必ずしも全国が二種免許に対してのやり方が同じであったというふうにはなっておりませんでしたので、新道交法の実施の機会におきまして、できるだけやさしくしようといたしているわけでございます。また全国の統一の基準をはかっておるのでございます。  第二の白タクの問題でございますが、全国的な現況を申し上げますと、昨年の十二月一日現在、組織白タクといいますか、組織を持っておる白タクの組合が五十三組合、台数七百九十八台、別にいわゆる個人の白タクが六千七百四十二というふうな状況でございます。これは最盛期の昭和三十二年九月ごろに比べますと、組合数においてその当時百七十四でございましたので、三分の一以下に減っておりますし、台数が二千八百五十三台でございますので、四分の一以下に減っておるような現状でございます。その後の状況におきましても、一昨年一年間の検挙件数は、この前申し上げたと思いますが、一万四千二百二十八件でございますが、昨年は十一カ月間で一万六千六百九十五件というふうな状況でございます。  なお、その結果、組織的な白タク組合の白タクが壊滅いたしましたところが、八府県、北海道東京、神奈川、石川、京都、奈良、熊本、宮崎、それから減少いたしましたのが七県、岐阜、愛知、大阪、岡山、愛媛、高知、福岡でございます。福岡につきましては、ただいま御質問もありましたように、たしかに看板が立っておる状況があります。しかしながら福岡におきましても、これは一時非常にしょうけつをきわめたころから見ますと、取り締まりによってかなり減っている状況でございます。  件数にしましても、たとえば昨年の十月までに三千七百六十六件福岡県で検挙しておりますので、その検挙の状況は、前年の昭和三十五年の五百九十三件に比べて、前年一カ年の七倍というふうな状況でございまして、むしろ交通事故全体が実は全国的に非常にアンバランスでございますが、九州がふえているのは、特に福岡が三池争議のあとに続いて白タクにだいぶ警察官の勢力がとられましたために、一面福岡県の全体の事故がふえたということもあるような状況でございます。  問題は、看板があるのがけしからぬということだろうと思いますが、私の方は、いつも申し上げますように、大体は現行犯逮捕でいかざるを得ない。そのためには乗客の協力も得なければならないという現行犯から出ていきまして、特に組織的な組合になりますと、いわゆる道路運送法の四条ですか、これで追及していくわけでございますが、それに持っていかなければならない。それにはいろいろな立証もしなければならないという点がある。それでただ看板があるから、それをやっているのに間違いがないということだけでは、なかなか捜査技術上むずかしい点があるわけでございます。むしろこの面は、指導の面で看板をどうするかということでいかるべきであろうというふうに考えるわけでございます。  それから第三の乗車拒否の問題でございますが、これは、たとえば交差点の中とか横断歩道上とか、交差点の端あるいは道路の曲がり角から五メートル以内は、駐車も停車も当然禁じてあるのでございます。従ってタクシーに乗っておられるお客さんが、かりに下車する場合においても、そこで降りたいと言われましても、ここはとめてはならぬことになっておりますので、と言っていただきたいことは当然でございますが、逆にそこでお客さんが手をあげておる場合においては、やはり車のスピードをゆるめて、ここでは乗せることは禁じられておりますので、その先でお乗り下さいというふうに、これは当然やっていただくべきであろうと思うのでございます。従ってその場合には、もちろん親切に教えてあげるということになれば、おそらくは乗車拒否という形にはならぬのではなかろうかと思うのでございます。お客さんが手をあげれば、タクシーもその手をあげたお客さんのところにとまるということは、はっきりした違反でございますので、むしろそれはやめていただきたいというふうに考えるわけでございます。  その場合はっきりしろということでございますが、これは当然運転者は御存じのはずであります。大体そういうところへ車をとめられるということは、他人に非常に大きな迷惑を与えるわけでございますので、今申し上げましたように、もしお客さんがそのとめてはならぬところで手をあげている場合においては、やはり親切に教えてやっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  それから第四には、力をもってのみばかりではなしに、指導をもってやるべきじゃないかという点でございますが、これは最初に罰金の問題がございましたが、これは実は私どもの方ではございません。御存じの通りに、結局判決の形で罰金がいくわけでございます。従って事は裁判所ということになると思いますが、一方行政処分につきましては、これは確かに公安委員会の所管事項でございます。行政処分というのは、その人がはたして運転免許を持つに適するかどうかという適性の見地からやっているわけでございまして、その点がいわゆる罰金とは違うものでございます。それで力のみでやっておるわけじゃございません。たとえてみますと、私どもの方としましても、いかに現在の道路の運営状況が非常に運転しにくいかということは、重々承知いたしておるわけでございますので、運転がしやすいように、ここを改善してくれとか、あそこが非常にまぎらわしいとかいうふうなことを、場所々々をあげまして、その改善方をはかっておるとかいうふうな努力もいたしておるわけでございますし、それからまた講習におきましても、業界で指導委員会でございますか、全体の講習には私どもも係を派遣いたしておることは、御承知の通りでございましょうし、今後各会社ごとからでも、どんどん講師を派遣していただきたいという場合におきましては、私どもは進んで参るつもりでございます。そういった両面で臨んでいかなければならないということは、私どもも非常に力を入れておるところでございますので、御了承をいただきたいと思うのでございます。  それから、第六番目の都内の交通に対する根本対策の問題でございますが、これはむしろ皆様方が真剣にやっていただきたい。結局は東京をどうするかという大きな都市計画の問題であり、あるいはまた先ほどお話がありましたように、道路をどうするかというふうな根本問題でございます。しかしながら、私どもはあくまでも一線でございますので、そういう根本対策といいますか、根本計画を論じておる時間がない。とにかく現場の交通をどう解決するかということで苦慮いたしておるわけでございます。従って、ここの場所はこうしてもらった方が車がさばけるんじゃないかということで、一つ一つ場所をチェックしまして、道路の改善なり、あるいはまたたとえば車の流れでもこうすればいいんじゃないかとか、あるいはまたいろいろな路線の問題もございましょうが、関係方面に積極的にいろいろ申し上げまして、とにかく解決していくことに専念しておる状況でございます。
  75. 壽原正一

    壽原委員 ただいま当局からいろいろお話を聞きましたが、いずれもあまり満足な返事でないので気に食わぬが、時間がないので、きょうはこれでやめさせてもらいますが、政務次官はよくこの状態を考えて、そしていたずらに業界の車をふやすのに没頭したり、あるいは車庫のない者に車を許すとかいうふうな問題を一刻も早く解決するように努力をしてもらいたい。また次会に質問いたします。
  76. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 吉村吉雄君。
  77. 吉村吉雄

    吉村委員 ただいま壽原先生から質問があって、自動車局長の力から答弁がありました福島県に日通系の会社がタクシー経営の新免申請をしておるということについて、実はこの問題は地方におきまして非常に大きな問題になっております。従って、ここに八百板先生等も来ており、地方の議員も来ておるのですが、この問題は単に福島県に関係をするという問題だけでなくして、先ほど自動車局長からも答弁がありましたように、中小企業をどうするか、大資本と中小企業との産業分野をどういうふうにするかという問題とも関連します国家的な産業政策から見ていかなければならない、こういうように考えまして、先ほど自動車局長から答弁がありました点については、私ども一応安心ができるような答弁でありましたけれども、もっと確実にこれを安心のできるようにするために、政務次官にお伺いしておきたいのです。  日本の産業状況からいたしまして、日本には中小企業というものが非常に多い。これをどのように育成し発展させていくかということが、今日大きな政治問題になっていることは御承知の通りだと思うのです。こういうような問題に対して、先ほど自動車局長の答弁の中に許可基準云々というふうな話がありましたけれども、これを事務的にだけ扱っていくわけにいかない。国の政策を推進する上にどういうふうにしていくかという根本的な立場に立って、検討をしていく問題だと思うのであります。従って、今政府の方でも中小企業法なり、わが党の方でもそういうものを考えておるわけでありますけれども、いずれにしましても、現在の中小企業というものは、今までの政策の結果としまして非常に苦しい経営をしいられておる。こういう状態でもあり、再三にわたって議論をされておりますように、産業間の所得格差、あるいは地域間の所得格差のほかに、同一産業の中の経営規模における格差というものも非常に問題になるわけです。従って、こういう観点から考えてみまして、今福島県に起きておる日通系の資本が新たにタクシー業として申請をしているという問題に対して、国の産業政策上の観点からこれをどういうふうに措置するのが正しいかということについては、十分配慮していかなければならない問題だと思う。そうでないと、政府が常々強調いたしておりますような中小企業育成云々といいましても、現実にそれが実をみのらないということになりかねないと思っておりますし、すべての中小企業の人たちが非常に注目をしておる問題でありますから、こういう点について政務次官としての見解をまず伺っておきたいと思います。
  78. 有馬英治

    ○有馬政府委員 運輸省といたしましても、内閣の方針に従いまして、中小企業については十分諸般の点において考慮をいたしております。ただ運輸行政から見ますと、大企業と中小企業にはそれぞれ分野があり、また限度もあることと思います。特に自動車許可、認可につきましては、御承知のように陸運局に一切の許可をおまかせしてある問題であります。方針といたしましては一々根本方針を本省から指示いたしております、今お示しになった事態がどういうケースでございますか、私どもも十分資料を拝見させていただきまして、今申しましたような運輸省がこれまでとって参りました立場から、十分監督をいたすつもりでございます。
  79. 吉村吉雄

    吉村委員 十分事情を調査していくという話でありますが、先ほど自動車局長から話がありましたように、すでにこれは現地におきまして新免の申請が出されて、仙台陸運局で聴問会も終わっておる、こういう状態でございますので、最終的にはやはりイエスかノーかの答えを出さなければならない、こういうふうに切迫をしておる問題なんです。従って、先ほど申し上げましたような中小企業育成という観点から、これをどういうふうに行政指導をして、適切な措置をとるかということは、今後の中小企業育成の国の政策上の観点から見ても注目をされる問題でございますから、なるほど陸運局で許可基準その他の問題もあり、あるいは需要と供給というような関係から見まして、一がいに言えない問題があろうと思うのですけれども、何といいましても政策上の観点からこれをながめていくということが大切じゃないか、こういうように考えますので、十分その点を配慮をされて措置をしていただくように要望しておきたいと思います。
  80. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 關谷勝利君。
  81. 關谷勝利

    ○關谷委員 時間がありませんので、簡単に自動車局長にお尋ねを申し上げたいと存じます。いろいろ都市交通の面から申しますると、私都市交通の小委員長もやっておりまして、混雑緩和の結論も出ておりますので、その結論も委員会等で報告をいたしておりますが、きょうは壽原委員質問に関連をいたしまして、交通規制の面からだけ御質問を申し上げて、あとは次の機会に譲りたいと思います。  先ほど壽原委員からもちょっと出ておりましたが、都市交通の今日の混雑ぶりは、これは自家用車が多過ぎるということであります。無制限な自家用の登録、はんらんによって非常に交通が乱れておるのであります。これに手をつけなければ、いかなる方法を講じましても、都市交通の緩和はできません。もっともこれは交通規制の面からだけ見ておるのであります。地下鉄をどうするとか、道路をどうするとか、立体交差をどうするとか、路面電車を撤去するというような根本的な問題とは別途に、交通規制の面から申しますると、自家用を規制する以外には方法はないのであります。ところが、この自家用の規制につきましては、今までとられておる措置がはなはだ手ぬるい。先ほど壽原委員質問に対しまして局長がお答えをいたしましたが、寿原委員はあれで満足しておられるか知りませんが、あれは将来に向かって、これから登録をする人にのみそういうふうなことでありまして、裏を返しますと、過去のものはそのまま放任するという答弁であります。まことに答弁は上手にやっておりまするが、私が聞いておりますると、これじゃ大へんだ、今より混雑の度を増さないという程度にしようというのでありまして、今までの混雑はそのまま放任しておいてという前提に立っての御答弁というふうに私は解釈ができるのでありまして、将来に向かってだけではどうにもなりません。そこで、これはどうしても道路運送法の改正、道路法の改正、道路交通法の改正  富永参事官もよく聞いておって下さい。その三者が一緒になって車庫規制をやらなければ、そうして駐車禁止をやらなければ、この混雑の緩和はできないのであります。外国あたりのように広い道路を持っておって、そうして立体交差でやっておるところなら差しつかえないのでありますが、この日本の狭い道路の中に、立体交差の一つもないというふうな中で、これだけ自動車がふえてきた場合に、方法といたしましては、車庫規制をやって路上放置をなくする以外にはありません。このことはよく肝に銘じてもらっておかなければなりませんが、それをとかく軽く見ております。先ほどの自動車局長の御答弁でも、壽原委員はあれで全部車庫規制をやってくれるのだと思って喜んでおられるかもしれませんが、そうではないので、答弁を聞いておりますと、これから登録する者だけであって、今までのはそのままにほっておく、こういうことであります。大へんなことでありますので、私は、この三つの法律を改正をいたしまして、厳重な車庫規制をやってもらいたい。もっともこれは全国的にやれと言うのではありません。これは六大都市とかあるいは五大都市に限ってというふうなことで、混雑の激しいところだけでけっこうでありまするが、それだけはどうしてもやらなければならぬ問題であります。これについての局長のはっきりとした御答弁を私は伺っておきたいのでありまするが、これをやりますと、メーカー、ディーラーはもちろん激しい反対をするはずであります。聞くところによりますと、私はあるところで座談会をやりました。そうして自家用の車庫規制はどうしてもやらなければならぬのだということを私がしゃべりましたところが、あいつがそんなことを言い出したんだから、ひょっとしたらやられるかもわからぬぞということで、これは大へんだということで、メーカーとディーラーとがさっそく手を打って、もう政治的な手を打ったんだからこれは話が進まぬのだということが私の耳に入ってきておる。おそらくそうじゃないかと思いますし、メーカー、ディーラーは相当な反対をするであろうけれども、勇断をもってこの車庫規制をやって、駐車禁止、路上放置をやらないような方向に持っていかなかったら大へんなことであって、都市交通の混雑の緩和の第一はこの自家用車の車庫規制であるというととを銘記していただきたいと思います。これについて局長と参事官と両方から答弁を伺いたい。
  82. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 關谷先生のお話はもっともでございまして、ただ、先ほど申し上げましたのは、今後ふえる車についての登録の問題であります。現在あります自家用車についての車庫の問題は当然考えなくちゃならないと思いますが、この問題も先般交通関係閣僚懇談会の席でも話が出ました。ただ問題は、現在すでに車を持っておるものが、そういうことを義務づけることによっていろいろ受ける影響というふうなことで、法律的にも検討の必要があるというふうな意見も出ておりましたので、われわれといたしましても、そういう点も十分考えまして、なお警察ともよく連絡をとりまして、お説の方向に進めていきたい、かように考えております。
  83. 富永誠義

    ○富永説明員 車庫の問題は、戦前は、御承知の通りに、車庫がなければ車は持てなかったのでございますが、戦後現在のような状況になっておるわけでございます。ここまできた状況を全部車庫を義務化すということができますかどうかという点があると思います。それからなお、道路に車を置いているのはけしからぬ、みんな警察の責任だというふうなわけで、私どもにまで怠慢だというふうに言われておるわけですが、この機会にちょっと釈明させていただきたいと思います。もちろん、警察の場合は、具体的にそこが交通の危険があるか、あるいは交通の円滑に非常に支障があるかというところを規制いたしておるわけでございます。法律に基づいて駐車してはいけないところはいろいろあります。狭い道路で車を置いた場合に、その余地が三・五メートルないところは、これは法律上いけないわけでございますが、そうでない、もう少し広いところであって、しかも今のような具体的な状況がないのに、置いておるのはけしからぬということになりますと、これはちょっと私の方で今のところ、今の法律の体系ではどうにもならない現状でございます。それで、結局は、車庫を持つかどうかということは一体どこがやるかという問題でございます。これはもちろん内閣の交通対策本部におきましても検討しなければならぬことでございまして、これはむしろ関係各省の方が相当直接な関係が深いのじゃないかと思いますので、私どもとしましても、このままの状態では困るということは一そう身にしみておるわけでございますので、今後とも推進していきたいというふうに考えております。
  84. 關谷勝利

    ○關谷委員 今のお二人の御答弁を聞いておりますと、まことに手ぬるいようであります。今まで車庫を持っておらなかったものをこれから規制するということは法律的にもむずかしい、こういうふうなことでありますが、その場合には、一定の地域内におる者が寄って共同の駐車場を作るというふうな方法も成り立つのでありますし、そこになりますと、駐車場会社というふうなものもまたできるのでありますが、それは法律ができてきましたならば、それに基づいて、そんな格好はすぐにできてくるものであります。これはどんなことがあってもやらなければならない。これをやらないのなら、これから先自動車行政で混雑緩和というようなことは口にしないようにしてもらいたい。なお、この交通法あたりでも、これは富永参事官は法に基づいて取り締まる仕事だけをするということで、法律を変える方じゃないということですから、ちょっと今の法律ではということもごもっともですが、その際に法律を変えてでもやらなければなららぬという御意見があるかどうかというのをお尋ねしたのですが、これもあなたにお尋ねするのは無理かもわかりませんから、そこらで省きますが、これはどうしても法律を改正してやらなければならぬので、その面に向かっての努力を一つこれから政務次官にやっていただきたいと思います。この間大阪で一日交通閣僚懇談会でありましたか、これをやると言うたときには、珍しく大阪の警視庁が動いて、そうして道路の関係を非常によく取り締まって、その日一日だけは実に大阪の都市交通が緩和したというこの現実は、富永参事官ようく聞いておいて下さいよ。そういうふうなことになるので、取り締まるばっかりでは交通を緩和することはできぬのだというその事柄は、あの大阪が、一日ではありましたけれども、それが立証しておりますので、できぬというあなたのお言葉はここで返上しておきますから、あの当時の事情を向こうの方からよくお聞きになって、それを見本としてやっていただきますようにお願いしておきます。これ以上その答弁をせいとは言いませんけれども……。  それから次に、車庫規制、駐車禁止、これは一つ政務次官の決意だけをちょっと伺っておきます。
  85. 有馬英治

    ○有馬政府委員 仰せごもっともと私も考えます。お話しの点は大臣にも十分報告いたしまして、ただいまちょうど閣僚懇談会が持たれておりますので、それにも十分反映いたしまして、すみやかに実現ができるように努力してもらうように御相談をしたいと思っております。
  86. 關谷勝利

    ○關谷委員 それから運転手不足の問題について、壽原委員がお尋ねをし残した点を少し拾って御質問を申し上げてみたいと思いますが、今、東京ではタクシーが大体二万一千台そこそこであろうと思いますが、私の調べたところによりますと、その中で一千七百台遊んでおる、休車しておるのが実情でありますが、これは何といいますか、無謀な増車の結果が運転手不足を来たして、こういうふうな状態になっておると思うのであります。先ほど局長が答弁をしておられましたのに、輸送の面から見るとこれは増車の必要がある、ひょっとしたらそうかもわかりません。しかしながら、交通の面から考えた場合に、道路の状態も考えず、運転手の状態も考えずして、それで増車をするというのであったら、そんなただ交通輸送の面だけしか見えないような人ばっかりを自動車運送協議会に集めておって、そうして絶えずそれで答申させて次へ次へ増車をやったのでは、それは行政というものではありません。それは政治じゃないと思う。そんなことなら、もう無統制にほっておいた方がいいくらいなもので、そうすれば、運転手のあるくらいしか車はふえて参りません。せっかく増車をもらったんだから、それでは何とかしなきゃならぬというので、運転手のスカウトや何かの状態が出てくるというような状態になるのでありますが、増車をいたしましても、今千七百台も遊んでおるような状態でありまして、輸送力の増強にはなりません。そしてその結果はどうかといいますと、千七百台に対しまして四千人からの運転手不足があります。そうして運転手は勝手ほうだいをやる。エントツもやむなしというふうなことになっておる。これは真実のことは知りませんが、そういうふうな状態で、経営者に対しては非常な打撃を与えております。そうしてまたそれを何とかしなきゃならぬ、不足だというふうなことで、自動車は遊んで動かずにおるというふうなことで、経営はますます悪くなるというふうなことであります。事故防止というふうなものは健全経営から出てこなければならぬというのが、これはだれでも、しろうとでもわかる議論でありますが、今の増車というものは、この健全経営を阻害し、業者の経営を悪くし、しかも輸送力は一つもふえずして、そうして事故を起こすというようなことで、これでは行政とは言えません。私は、先般から、タクシーの問題につきましては、増車の問題というふうなことでいろいろ議論があって、皆さんいろいろ言っておりましたが、そのつどの答弁で、ああ悪い答弁をしておる、まだこの上増車をするような答弁をしておるのかいというようなことで、私は、壽原委員がその業界の代表で出ておりまするから、そこで言うことを、こちらは要らぬことを言う必要はなかろう、内部であれだけやっておるのだからそれでいいだろうということでながめておりましたが、黙ってながめておりましたのでは、もうどうにもなりません。また、あなた方、壽原委員が言うておることは、あれは業界の業者が言うておるのだということで割り引いて聞いておられるのだろうが、私は業者ではないのでありますから、割引でないところで聞いて、手を打ってもらいたいと思います。これから先の増車は、今の道路の混雑ぶりから見まして、動かない車を割り当てていくために経営を苦しくするだけで、輸送力の増強にもならず、業者の経営を悪くして事故を起こすというだけでありまして、行政というものと逆行をいたしておるのであります。大へんなことでありますので、この点は、大臣なり政務次官、局長ががっちりと腹をきめて、今こういうふうな六大都市——ほかは十分知りませんが、東京に関する限りは毎日私たちの目で見ておりますが、これ以上の増車をしてはなりません。これをやるということは、業界を混乱に陥れて何らの効果のないものであるということを、私ははっきりとこの目で見ております。また、いろいろそういう業界の人とたまに接触し、あるいは私は、日曜日あたり出歩きますときにタクシーをよく拾って参考に話を聞いてみるのでありますが、運転手は、水揚げが減ってしまったというようなことで弱っております。水揚げが減って給料が足りないから、今ごろ方々から来てくれ、来てくれと言われて、行くときには支度金を出してくれますので、あちこちとかわっていきますと、月給の足しにはなります、これが運転手の声であります。このようなことで放任しておくということはない。これを諮問をしてもう一回ふやすということになったら、大へんなことであります。輸送の面だけしか見えないような自動車運送協議会の委員を、いつも同じ顔ぶれを出すから、一方だけしか見えない人ばかりを委員に選定するから、このようなことになるのでありますから、自動車運送協議会の委員の選定にあたっても、慎重な御考慮をわずらわしたい。なお、増車の点につきましても、今年あたりでまた増車をするというようなことは、暴政、悪政といわなければなりません。これについての御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  87. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 關谷先生から非常に御懇篤なるお教えをいただいたわけでありますが、大いに行政の参考にいたしたいと思っております。ただ、先ほど私が申し上げました東京陸運局における自動車運送協議会の状況でございますが、輸送需要、供給の面だけで判断しておるような誤解をされるような発言をあるいはしたかもしれませんが、もしそうでございましたら、訂正をいたしたいと思います。需要、供給の面だけから考えれば、まだ車は要る。しかし、現実に車をふやすということになれば、混雑の問題あるいは運転手の問題等を十分に見なければいけないということで、その状況を検討しようということになっております。  なお、ただいま休んでおる車は千七百両というお話がございましたが、われわれも業界からそういうふうに聞いております。そこで、今後、各会社別に実態がどうであるかということも陸運局として全部網羅して調査いたすようなことも言っておりますので、真実の実態をよくつかみました上で……。なお需要、供給だけの点からいたずらに増車が必要だというようなことは、陸運局長も軽々には申さないというふうにわれわれも信じておりますので、諸般の事情や、御指摘になりましたような点を勘案いたしまして、東京におけるタクシーの輸送力の問題は、慎重に考えるように陸運局長にも指示するつもりであります。
  88. 關谷勝利

    ○關谷委員 それから運転手の問題でありますが、さしあたっての問題、現在遊んでおる車を遊ばさないようにするためにも、運転手の養成が必要でありますが、この場合は、私は臨時措置をとるべきだ、こういうふうに考えます。臨時措置ということについては、いろいろ方法もありましょう。今いろいろ養成をしておりましても、月に百人かそこらでありましょうが、千七百台休んでおるということになりますと、四千人足りないということであります。それを月に百人ぐらいやったのでは、三年も三年半もかかるということになりますので、この際には一つ臨時措置がぜひとも必要だ、こういうふうに考えます。   〔委員長退席高橋(清)委員長代理着席〕  そして臨時措置として考えられるところは、今あなた方が考えておられるのは、二種免許を——これは警視庁あたりは二種免許の保持者が十分あるのじゃないかというようなことを言っておられますが、これは、資格を持っておる人はありますけれども、タクシー運転手になる者ばかりが資格を持っておるのではありません。早い話が、私のうちでも資格を持っておる子供が二人もありますが、だれもタクシーの運転はしません。そういうふうな者がたくさんあるのでありますから、ただ資格を持っておる者がおるというようなことで、安易な考えを持っておるのでは大へんでありますから、よく実態調査して、臨時措置を講じなければいけません。二種免許、これは全般的にやれというのではありませんが、一種を持っておる者がこれを二種に切りかえるというふうなことについて、臨時措置といたしましては、年限を短縮するというふうなことも一つの面であろうと思います。そういうふうなことを考えて、年限の短縮もやったり、あるいはまた技術の面につきまして、これを相当程度の高い試験をして、それに通った者は、たとえ年数が短くても、技術が優秀であるから二種免許をやるんだというふうな考え方も一つあります。それともう一つは、東京あたりでは相当な技術が要りますけれども、いなかの閑散なところでやります分は、私は一種免許の自家用車でもかまわぬ。別に自家用に乗る人は死んでもかまわぬ、普通の人の生命、財産は保障せいというのではありませんが、一種の免許の者でも、自家用ならやっても差しつかえないということは、大体閑散なところはやり得るのではなかろうかという意味合いであると私は解釈しております。そういたしますと、地方でのタクシーというものは、これはある一定規模の都市以下については、交通量がさほどに頻繁でないということになりますと、その地方においては一種免許でタクシーの運転をしても差しつかえないのだということになれば、引き抜かぬでも、東京自動車運転手が不足しておるのだということで地方からずっと出てくる。そうして東京へ十分充足することができるだけの数が集まってくるのではないか、こういうふうな気持ちがするのでありますが、これは、きょうそう言ったらすぐそうするというて答弁のできる問題ではありませんが、こういう考え方もあるということを承知をしていただいて、よく御検討を願いたい。そうして、もしできるものなら早急に手を打ってもらいたい。ある一定規模の閑散な都市以下においては、一種免許でタクシーの運転手もやれるのだ。そうして大都会においては二種免許の者でなければならない。また、その二種免許についても、技術の特に優秀な者は、年限にかかわらずこれに与える。あるいはまた、まじめにやって事故のない者は、年限を短縮するとか、いろいろ考え方があろうと思います。年限を短縮して早く二種の資格者を作るということ、そうして地方においては一種でもやっていけるというふうなことにすることを、臨時措置——これは恒久にやれとは言いません。臨時措置としては私はやるべきことではなかろうかと思いますので、こういうことを申し上げる次第であります。この点、あなた方に今すぐに御答弁を願うということは無理だろうと思いますので、そういう方法も考えられるということを頭に置いて、これから御検討を願いたい。  いろいろまだほかにたくさん私、都市交通の問題について根本的にお尋ねをしようというつもりでおりましたけれども、こういう時間でありますので、きょうは一応打ち切りまして、次にまた御質問申し上げることにいたしたいと思います。
  89. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 次会は、来たる七日水曜日、午前十時より委員会を開会することといたします。なお、理事会は、来たる六日火曜日、午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会