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津島参考人 戸田が
国際競技場としてふさわしくないということをおっしゃる方もあるようでございます。しかし、それは過去の
状態をいっての話だと思うのでございます。今われわれの企図しているような
計画が実現すれば、これは現在
国際競艇界の
責任者も来て、ここがいいということを言われているくらいでございますから、私は決して恥ずかしくない
国際漕艇の
競技ができるものと思っております。
それはそれとして、それより他にいいところはないかという
意味において、たとえば
相模湖のごときがよりいいのではなかろうかという話もずいぶん聞くのでございます。そこで、この問題については、われわれ
部内関係の者はもうすでに一昨年もそこを見て、
調査もしました。ただ、これはそこをやるというための
調査ではなかったのです。他にも適所ありやという
意味においての
調査でございます。
組織委員会としては、あれはいけないという
決定をしないで、こちらがいいということで
決定しているのが
現状でございます。
そこで、御
質問のありました
相模湖の例を申し上げます。これは
専門的に研究したものでございますから、私の答弁で十分でなかったならば補足するということにいたしまして、
概略をちょっと申し上げたいと思うのです。私は
専門の者ではありませんから、その点は
一つ専門家に補足していただきますということを
前提に置いて申し上げます。
これは
ボート競技場としては、やはり
コースをどうとるかという問題が大きい。景色とか何とかいうことも、つけ加わるものとしては、よければなおいいということですが、今までのわれわれ内部の
専門家の
検討によれば、あの途中の水面において、
ゴールと
スタンドの配置からいって、
スタンドから
ゴールのところが見られないように途中に島なんかがあって、その
技術的な設計をするときに非常に厄介なものがあるということを申してきたのであります。それから
水深の問題でございます。三十九メートルの
水深を
相模湖は持っておる。
戸田はわずか数メートル、まあ三、四メートルのものでございます。ここへ線を引いて
コースをきめるという場合に、非常に深いところへ行くと
——鉄線を張るわけでございますが、
作業が非常にむずかしく、また動くという
競技上の
欠点があるともいわれておるわけでございます。それから、
分村をしなければいかぬという問題がある。
相模湖には何人の
選手と
役員が集まるかということは、今後の問題でございますが、大体従来の例からいって、
選手は、カヌーもいたしますとして、七百人の収容は必要だ、
役員は百人、約八百人の
分村というか、ちゃんとしたビレッジは作らなければいかぬという問題がある。
戸田の場合は、ワシントン・ハイツは広うございますし、
距離も近うございまして、道もできるという
前提のもとに、あそこに
分村というものは作らないで、わずか休憩するような仮りの
施設というか、そういうものを作って間に合う。ところが、十日、二週間あそこへ泊まるということになると、ほかの例におきましても、あそこへ
分村式のものを必要とする。非常に
距離が遠いものでございますから、これには
相当金がかかる。
人件費も、それだけの
設営をするだけの
担当者も置かなければいかぬ、こういうような
欠点がここにあるわけです。また、
駐車場を
設営しなければいかぬ、これについては、ある程度まで人家を撤去しなければいかぬという問題もあるかと思うのです。
やり方にもよりますが。それから、多数の
ボートをあの
距離運んでいくということも、われわれ
組織委員会として
相当の
経費をここに負担しなければいかぬというようなことも
考えなければいかぬ。もう
一つは、
電信電話の
設備です。
直通の
電信電話の
施設をあそこへ作るということについては、これは直接でありませんが、
部内の者がいろいろ
関係の
当局と話したところによると、どうも
直通電話をあそこまでやるという期間の問題、
技術的問題が非常に
支障が起こるというようなこともございます。また、内外の
通信記者団、これがまたあそこへ出かけていって
競技を見る場合の
設備ということも
考えなくちゃならぬ。
東京都内においては、プレス・ハウスを作って、ちゃんとした便宜を一括してやれるというようなこともございますので、ヨットの場合は例外でございますが、
一つの
競技のためにそういった大きな
施設をするのは、国費の上、われわれの運営上どうであろうかということは、どうしても
考えなければならぬ問題であるので、私
どもはあそこがあるということは知っており、また、国内の
練習、
競技などに使う場合においては適地であって、将来も利用するということも当然私は
考えなくちゃならぬことであり、また、
現実に
練習場に使うということについては、もうすでにやっておるものもあるわけでありますが、要するに、
コースをとることの
技術の問題、また
水深関係、その他運営の問題、
設営の
関係において、あのために
相当多額の
費用が要るということがわれわれの見ておるところでございまして、
戸田ならば、今言ったような
設営の金も、全部入れましても
——コースの
関係は残るものでございまして、決してこれは
オリンピックのためだけだとは申しません、その他の点からいっても、
戸田ということに
組織委員会としては
決定をし、また昨年十月末にも再確認をして、そうして閣議においてもこれは了承されておる、そして
拡幅は認められたということでございますので、そういった
意味合いで
——甲乙優劣は、いかなる場所についても、いかなる
競技場についてもあることでございまして、いろいろな
意見があるということは非常にけっこうなことだと思うのですが、われわれの見ておるところの
概略を申し上げて、これはやはり変更するだけの理由はないんじゃないか、こういうことでございます。